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1967-07-04 第55回国会 参議院 建設委員会 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年七月四日(火曜日) 午前十一時開会
—————————————
委員
の
異動
六月三十日
辞任
補欠選任
大森
久司
君
温水
三郎
君 七月三日
辞任
補欠選任
温水
三郎
君
大森
久司
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
藤田
進君 理 事
稲浦
鹿藏
君
大森
久司
君 山内 一郎君
大河原一次
君 委 員 石井 桂君
熊谷太三郎
君
小山邦太郎
君
中津井
真君 瀬谷 英行君
田中
一君 松永 忠二君 春日 正一君 相澤 重明君 国務大臣 建 設 大 臣 西村 英一君
政府委員
建設省計画局長
志村
清一
君
建設省河川局長
古賀雷四郎
君
事務局側
常任委員会専門
中島 博君 員
説明員
林野庁指導部長
手束
羔一君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
の件 ○
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
(内 閣送付、
予備審査
) ○
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する調査 (
治山治水事業
並びに
和知ダム
の
水門決壊事故
に関する件)
—————————————
藤田進
1
○
委員長
(
藤田進
君) ただいまから
建設委員会
を開会いたします。
理事
の
補欠互選
についておはかりいたします。
大森久司
君が六月三十日
委員
を
辞任
され、昨三日再び
委員
に選任されましたが、この
委員異動
により
理事
に欠員を生じましたので、この際その
補欠互選
を行ないたいと存じますが、
互選
は、投票の
方法
によらないで、
委員長
にその指名を御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤田進
2
○
委員長
(
藤田進
君) 御
異議左
いと認めます。 それでは、
理事
に
大森久司
君を指名いたします。
—————————————
藤田進
3
○
委員長
(
藤田進
君)
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
及び
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
を一括して
議題
といたします。 両案につきましては、すでに
説明
を聴取いたしておりますが、その
補足説明
を聴取いたします。
計画局長
。
志村清一
4
○
政府委員
(
志村清一
君) ただいま
議題
となりました
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、逐条的にその
内容
を御
説明
申し上げます。 まず第八条の
改正
でありますが、これは今回新たに、
土地等
の仮
登記権者
、買い戻し
特約登記権者
、差し押え
債権者
及び仮差し押え
債権者
を
関係人
とし、これらの者を
収用手続
に取り込むこととしたものであります。 次に第十条の二の
新設
は、
起業者
が
取得
した
土地
の
管理
については、
現行法
では
規定
がないので、これが
適正管理等
を
内容
とする
規定
を追加することとしたものであります。 次の、第十五条の二及び第十五条の四の
改正
は、従来
土地細目公告
前の
制度
としてあった、
あっせん制度
を、
事業認定
の
告示
前の
制度
として
規定
したものであります。 次の第十八条の
改正
は、今回
土地所有者等
に
補償請求権
を与えることとしましたので、
起業地
の
範囲
がよくわかるように
事業認定
の
申請書等
を
整備
することとしたものであります。 第二十六条の
改正
及び第二十六条の二、第二十八条の二の
新設
も、
起業地
の
範囲等
を明確に周知させる趣旨のものであります。 次に、第二十八条の三の
新設
は、従来
土地細目公告
の
効果
であった
起業地
の
形質変更禁止
を、
事業認定
の
告示
の
効果
として
規定
したものであります。 次の
事業認定
の
有効期間
を定めた第二十九条の
改正
は、今回
土地細目公告
を
廃止
したこと、及び
収用
または
使用
の
裁決
を、
権利取得裁決
と
明け渡し裁決
とに分離したことに伴い、それぞれの
裁決
の
申請
または
申し立て
の
期限
を定め、それを経過したときは、
事業認定
が失効することとしたものであります。 第三十条の
改正
及び第三十条の二の
新設
は、
事業
の
廃止
、
変更
により
土地
の
収用等
の必要がなくなったとき、及び
土地
の
取得
を完了したときに、
告示
や
市町村長
への
通知
を行なうこととしたものであります。 次に、第三十一条から第三十四条の六までの
改正
または
新設
は、従来の
土地細目公告
に関する
規定
を
廃止
し、
事業
の
認定
後の
収用等
の
手続
を
保留
する
制度
について定めたものであります。 すなわち、
土地細目
の
公告制度
は、
収用
しようとする
土地
を具体的に
公告
する
手続
でありますが、今回の
改正
で、
原則
として
事業
の
認定
のときの
価格
で
補償額
を算定することとするとともに、
土地所有者等
には、そのときから
補償請求権
を与えることとし、
事業認定
時にすでに
起業地
の
範囲
が明らかとなっておりますので、
土地細目
の
公告制度
を
廃止
して、
手続
を簡素化いたしました。 しかし、
事業認定
は、一つの
事業
の全体について行なうため、その
事業
の
規模
あるいは
性格
、
用地取得
のための
資金措置等
、種々の
関係
で一挙に
用地取得
に取りかかれない場合も多いと考えられますので、すぐに
用地取得
に入る
用意
がない
区域
につきましては、
起業者
は、
事業
の
認定
の
申請
にあたり、一時
収用手続
を
保留
することを
申し立て
ることができることとし、
用地取得
の
用意
が整ったときは
収用手続開始
の
告示
をして、
収用
の
手続
に入ることといたしました。また、この
手続保留地
につきましては、一部の
規定
を除き、
手続開始
の
告示
があったときを
事業認定
の
告示
があったときとみなして、この
法律
の
規定
を適用することといたしております。 次に、第三十九条の
改正
は、
土地細目公告
の
廃止
に伴い、
起業者
は
事業認定
の
告示
の日から一年以内に、
収用
または
使用
の
裁決申請
をしなければならないことに改めるとともに、
土地所有者等
が、
自己
の
権利
にかかる
土地
について、
起業者
に対し
裁決申請
の
請求
ができることとしたものであります。 次に、第四十条及び第四十一条の
改正
は、今回の
改正案
で
土地
に対する
補償金
の額を、
事業認定
の
告示
のときの
価格
に押え、
土地所有者等
に
裁決申請請求権
及び
補償請求権
を与えたのに伴い、従来ややもすれば形式に流れ、
実効
の薄かった
法定協議
の
制度
を
廃止
したものであります。 次に、
現行法
第四十二条の
改正
は、これを第四十条に位置を移すとともに、
裁決申請
の
手続
を簡略化して
手続
の
迅速化
をはかることとしたものであります。 次に第四十四条及び第四十五条は、
土地所有者等
から
裁決申請
を
請求
した場合の
裁決申請
の
特例
を定めた
新設条文
で、
請求
を受けた
起業者
は、二週間以内に
裁決申請
すべきこととし、これに応じて
申請書
の
記載事項
を簡略化する等を
規定
したものであります。 次に第四十五条の二と第四十五条の三は、
裁決手続開始
の
決定
の
制度
を
新設
したもので、
収用委員会
がこれを
告示
し、嘱託
登記
した後は、その
登記
にかかる
権利
を承継した者は、
相続人等
を除き、その承継を
起業者
に対抗できないこととしております。なお、この
登記
前は、
補償請求権
は差し押えや
譲渡等
ができないこととし、
登記
後にもすでに
土地
について差し押え等がされている場合は同様としております。 次に第四十六条の二から第四十六条の四までの
規定
は、
補償金
の
支払い請求
の
制度
を
新設
したもので、
土地所有者等
の
利益
の保護と
周辺地
の
土地所有者等
との
均衡保持
のために、
土地所有者
または
土地
に関して
権利
を有する
関係人
が、
事業認定
の
告示
後は、いつでもこれらの
権利
に対する
補償金
の
支払い
を
請求
することができることを
規定
したものであります。 第四十六条の四は、
補償金
の
支払い請求
を受けた
起業者
は、
請求
を受けた日から二カ月以内、そのときにまだ
裁決手続開始
の
登記
がされていないときはその
登記
から一週間以内に、
自己
の
見積もり
による
補償金
を支払わなければならないことを
規定
したものであります。 次に第四十七条の二から第四十九条までは、
収用
または
使用
の
裁決
を、
権利取得裁決
と
明け渡し裁決
とに分離したものであります。すなわち、第四十七条の二においては、
裁決
を分離すること及び
明け渡し裁決
は、
起業者
または
土地所有者等
の
申し立て
を待って、
権利取得裁決
のあった後か、またはこれとあわせて行なうことを定めたものであり、第四十八条及び第四十九条は、それぞれの
裁決
における
裁決事項
を定めたものであります。 次に、第五十条は、
裁決
を分離したことと関連しまして、
和解
についても、
権利取得
に関する
事項
と
明け渡し
に関する
事項
とについて、それぞれ成り立つものとしております。 次に第六十七条の
削除
は、二以上の
収用委員会
の
合同審理
及び
裁決
の
制度
が従来全く活用されていないばかりでなく、
手続
が煩瑣で
裁決
の
遅滞
を招くことにかんがみ、これを
廃止
するものであります。 次の第七十一条から第七十三条までの
改正
は、今回の
改正案
の最大の
主眼点
でありまして、
現行法
では、
補償額
を
裁決
時の
近傍類地
の
取引価格等
を考慮して算定しておりますのに対し、
土地
の
対価
に当たる
補償額
を、
事業認定
時の
近傍類地
の
取引価格等
を考慮して算定した額に、
権利取得裁決
時までの
物価
の
変動
に応じて
政令
で定める
修正率
を乗じて得た額とし、それ以外の
地上物件
の
移転料
や
収用
によって通常生ずる損失の
補償
は、
現行法どおり明け渡し裁決
のときの
価格
によって算定するものとしております。第七十一条が
収用
の場合、第七十二条が
使用
の場合の
土地
についての
対価補償
の
原則
であり、第七十三条がその他の
補償
の
原則
であります。 次に、第九十条の二から第九十条の四までの
新設
は、
補償請求者
に対する
裁決基準
の
特例
を定めたものであります。すなわち、第九十条の二で、
補償請求者
については、
物価
の
変動
に応ずる
修正
は、
裁決
時ではなく
補償金
の
支払い期限
までの
期間
について行なうものとし、第九十条の三で、
補償請求
に応じて支払った額が少なかった場合、それが
遅滞
した場合は、全体の額に対する
遅滞額
の割合に応じて
日歩
五銭、三銭、一銭七厘の三段階の
加算金
を支払うべきものとしております。第九十条の四では、
土地所有者等
から
裁決申請
の
請求
を受けてから二週間以内にその
申請
をしない場合は、
起業者
に
日歩
五銭の
過怠金
を支払わしめることを定めております。 また、第九十六条は、
裁決手続開始
の
登記
前に差し押え、仮差し押えがされている場合に、差し押え
権者等
の地位を保全するため、これについての
補償金
は、直接
裁判所等
に支払うべきこととした
新設規定
であります。 次の第百条及び第百一条の
改正
は、
裁決
の分離に伴い、
裁決
の失効及び
権利
の
取得
、
消滅等
の
規定
を
整理
したもので、
所有権
の
取得
その他の
権利
の
消滅
を、
権利取得裁決
の
効果
とするとともに、従来明確でなかった差し押え、仮差し押え、
仮処分
の
効力
が
収用
によって
消滅
することを明文化する等を行なったものであります。 次に、第百一条の二は、
権利取得裁決
後も、従来の
土地所有者等
は
明け渡し
の
期限
まで
明け渡し
を猶予することを
規定
し、その
利益
をはかろうとするものであります。 次に、第百四条の二は、
補償請求
に応じて支払った
見積もり補償金
に
過払い額
があった場合の
調整
の
規定
であります。 次に、第百六条の
改正
は、
収用
された
土地
の旧
所有者
の買い受け権の生ずる時期を、個々の
収用
の時期から起算するのは不公平であることにかんがみ、一律に
事業認定
の時から起算することとしたものであります。 次に、第百八条から第百十五条までの
収用委員会
の
調停
の
規定
の
削除
は、この
調停
が同じく
収用委員会
による
和解
の
制度
と
重複
する面が多く、従来もほとんど活用されず、
実効
があがっていないことにかんがみ、今回これを
廃止
したものであります。 次に、第百十六条から第百二十一条までの
改正
は、従来
土地細目公告
後一年内に限り認められていた
協議
の確認の
制度
を、
事業認定
後
裁決申請
までの間に広く認めて、その活用をはかるよう措置するものであります。 次に、第百二十五条の
改正
は、
事業認定
の
申請
や
裁決申請
の
手数料
について、これらの
事務
に要する費用や今回の
改正
に伴う手数の増加に対応することができるようにするため、これらの
手数料
の
限度額
を引き上げることとしたものであります。 次に、第百三十六条の
改正
は、今回の
改正
に伴い
収用委員会
の
審理
の
促進
が特に重要となることにかんがみ、不必要に多数の代理人が出席して
審理
が遅延することのないように措置したものであります。 次に、第百四十条の二は、今回の
改正
に伴い、
事業認定
、
手続開始
、
裁決
の
申し立て等
の際に、
都道府県知事
、
市町村長
、
収用委員会
、
起業者等
の相互間の
通知
、その他の
手続
などについて必要な
規定
を置くために設けたものであります。 以上のほか、これらの
改正
に伴う、
手続
の
整備
及び
条文
の
整理
を行なっております。
最後
に、附則は、本
改正法
の
施行期日
、
経過措置
、
関連法律
の
改正等
につきまして、別に
施行法
をもって定めることといたしたものであります。 以上が、
土地収用法
の一部を
改正
する
法律案
の
内容
であります。何とぞ慎重御
審議
のほどお願い申し上げます。 次に、ただいま
議題
となりました
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
につきまして、逐条的にその
内容
を御
説明
申し上げます。 まず、第一条は、
土地収用法
の一部を
改正
する
法律
の
施行期日
について、公布の日から起算して八月をこえない
範囲
内において
政令
で定める日から
施行
する旨定めております。 次に、第二条から第十条までは、
土地収用法
の一部
改正
に伴いまして必要となる
経過措置
を定めております。すなわち、
改正法
の
施行
前に
事業
の
認定
を受けている
事業
については、
土地細目
の
公告
を終わったものは
現行法
の
手続
によることとし、その他のものは
改正法
による
手続保留
の
事業
の
認定
を受けたものとみなして、
改正
後の新法を適用していくこととする等、必要な
経過措置
を定めたものであります。 第十一条以下の各条は、今回の
土地収用法
の一部
改正
に伴い
改正
することが必要となった
関連法律
の
改正
及びその
経過措置
について定めております。 第十一条及び第十二条は、
不動産登記法
の一部
改正
及びこれに伴う
経過措置
でありますが、今回
収用
の
効果
として差し押え、仮差し押え、
仮処分
が
効力
を失うことを明文化したのに伴い、これらの
登記
を抹消する
規定
を
整備
いたしました。 第十三条及び第十四条は、
都市計画法
の一部
改正
及びこれに伴う
経過措置
であります。
都市計画事業
については、
都市計画事業決定
をもって
事業認定
とみまして
土地収用法
を適用することとされておりますが、
事業
の性質上、その
執行年度
が別に定められている
関係
から、
都市計画事業
を執行すべき
最終年度
を経過するまでの間は、
事業認定
も失効しないものとしております。 また、
改正
後の
土地収用法
を適用するため必要になる
都市計画事業
の
告示
、
関係書類
の
縦覧等
に関する
規定
を
整備
することといたしました。なお、
経過措置
としては、
土地収用法
の場合と同様といたしました。 第十五条及び第十六条は、
測量法
についてでありまして、
測量法
により
土地等
を
収用
または
使用
する場合は、
土地収用法
によって
事業
の
認定
以下の
手続
を受けなければならないものとしました。 第十七条から第二十条までは、
鉱業法
と
採石法
についてでありまして、図面の
縦覧手続
、
手続保留
の
制度等
について、
土地収用法
の
改正
に伴い、
関係規定
を
新設
あるいは
整備
したものであります。 第二十一条は、
森林法
の一部
改正
でありますが、これは
土地収用法
の
改正
にかかわらず、買い受け権について
現行
の
森林法
と同じ扱いをするため必要な
改正
であります。 第二十二条及び第二十三条は、
駐留軍
の用に供する
土地等
の
使用等
に関する
特別措置法
につきまして、
土地収用法
の
改正
に対応する
所要
の
改正
を行なったものであります。 第二十四条及び第二十五条は、
土地区画整理法
についてでありまして、
土地区画整理事業
のため
土地
を
使用
する場合には、
土地収用法
による
事業認定
を受けなければならないことといたしました。
形質変更
の
禁止
については、この
法律
に
規定
がありますので、
土地収用法
の
保全義務
を二重に課さないこと等を
規定
しております。 第二十六条は、
核原料物質開発促進臨時措置法
につきまして、
森林法
の場合と同様、買い受け権について
所要
の
改正
をいたしました。 第二十七条及び第二十八条は、
首都圏
の
近郊整備地帯
及び
都市開発区域
の
整備
に関する
法律
についてでありまして、この
法律
で認めている
買い取り請求
は、
手続保留地
についてのみ認めることとして、
補償請求
の
制度
と
調整
をはかることとし、また
工業団地造成事業
を
施行
すべき
土地
の
区域
内における
建築行為等
の
制限
の
規定
との
重複
を避けるため、
土地収用法
の
土地
の
保全義務
の
規定
は、この
区域
内には適用しないことといたしました。 第二十九条は、
住宅地区改良法
の一部
改正
ですが、
改良地区
内の
土地
についての
建築行為等
の
制限
の
規定
との
重複
を避け、
土地収用法
による
土地
の
保全義務
の
規定
を排除したものであります。 第三十条及び第三十一条は、
公共施設
の
整備
に関連する
市街地
の
改造
に関する
法律
についてでありまして、
市街地改造事業
によって造成され、建築される
建築敷地
及び
建築物
についての譲り受け
希望
の申し出と
補償請求
との
関係
を
調整
して、いずれか一方によるものとし、譲り受け
希望者
に対して譲り渡す
建築施設
の
価額
については、その
建設コスト
と時価を
基準
として定めることとなっておりましたものを、
収用価格
が
事業認定価額
とされることに対応して、
建設コスト
と
都市計画事業決定
の時の
価格
を
基準
として定めることといたしました。 次の第三十二条及び第三十三条は、
公共用地
の
取得
に関する
特別措置法
の一部
改正
及び
経過措置
で、
土地収用法
の
改正
に対応する
改正
をしたほか、
特別措置法
の
性格
上、
特定公共事業
は
緊急性
を要件といたしておりますので、
収用
または
使用
の
手続
の
保留
は認めないとしたこと、又
明け渡し裁決
の
申し立て
の
期限
は、
土地細目
の
公告
を
廃止
したことに伴い
事業認定
の
告示
の日から一年六カ月としたこと、
緊急裁決
の
申し立て
があったときは、
権利取得裁決
と
明け渡し裁決
とにかかる
事項
について、同時に
緊急裁決
すること等を定めたものであります。
最後
に第三十四条から第三十七条までは、それぞれ新
住宅市街地開発法
と
近畿圏
の
近郊整備区域
及び
都市開発区域
の
整備
及び
開発
に関する
法律
につきまして、これらの
法律
で認めている
買い取り請求
と
土地収用法
の
補償請求
との
関係
を
調整
し、また
事業
を
施行
する
区域
内の
土地
については、それぞれ
建築行為等
の
制限
の
規定
がありますので、
土地収用法
による
土地
の
保全義務
の
規定
を排除する等の
規定
を置いております。 以上が、
土地収用法
の一部を
改正
する
法律施行法案
の
内容
であります。何とぞ慎重御
審議
のほどお願い申し上げます。
藤田進
5
○
委員長
(
藤田進
君) 両案についての
質疑
は、後日に譲ることといたします。
—————————————
藤田進
6
○
委員長
(
藤田進
君)
治山治水事業
並びに
和知ダム
の
水門決壊事故
に関する件を
議題
といたします。 これより
質疑
を行ないます。
質疑
のある方は順次御発言願います。
田中一
7
○
田中一
君
最初
に伺いたいのは
砂防予算
のことなんですけれども、従来
建設省
が
砂防予算
を
要求
する場合には、
規模
によって、
面積
によって
一定
の
単価
を見出して
要求
している。しかし、
農林省
ではそういう行き方をとっておらぬというふうに聞いておるのですが、その点をひとつ詳細に
説明
してほしいと思う。
古賀雷四郎
8
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君)
砂防予算
の編成にあたりましては、
治水
上
砂防
の見地から、その地点におけるところの
流出土砂量等
を算定いたしまして、それを適切な
方法
で
調整
あるいは防止するための必要な
個所ごと
の
ダム
の
計画
を立てまして、それに要する
標準歩掛り
あるいは
労務単価等
によりまして積算して、
予算
を
計画
いたしております。
田中一
9
○
田中一
君
林野庁
はどういう方針でおられますか。
手束羔一
10
○
説明員
(
手束羔一君
)
林野庁
といたしましては、
荒廃山腹
並びに荒廃するおそれのある
山腹等
の
面積等
を考えまして、それを復旧し、かつ予防するために必要であるところの
山腹工事
並びに
工事計画等
に関しまして
予算
を積算いたしております。
田中一
11
○
田中一
君 どうもぼくははっきりわからないのだが、もう少し具体的に
説明
してもらわぬと。この
建設省
の場合、
堰堤
の
規模
というものは、これはおのずからわかります。しかしながら、
砂防事業
の
施設区域
内、要するにその広さを見た場合には、これはいま
渓流砂防
を行なう場合、その
堰堤
の広さ、
堰堤
の大きさ、
規模
というものから算定はできますが、いまの
説明
は、しかし、
林野庁
が行なう
山腹砂防
の場合には、そういう
種類
のものはないわけなんですから、やはり
一定
の
区域
というものをきめて
予算請求
の
基準
としているのだろうと思うのです。同じような
種類
の
仕事——堰堤
をやった場合に、たとえば
林野庁
が
堰堤
の
工事
を行なう場合に、同じように
建設省
が行なっているような
堰堤
の
規模
によって
請求
していないのです。全体の広さによってそれを
請求
して、
堰堤
をつくっているというようなことになっているように承知しておるのですけれども、その点はどうなんですか。
手束羔一
12
○
説明員
(
手束羔一君
) 全体の広さに応じまして必要な
経費
を計上いたしております。
田中一
13
○
田中一
君
林野庁
は一ヘクタール百五十万円くらいの見当で
予算請求
は、
要求
はしているわけですね。それで、大体一ヘクタール百五十万円程度のものだと思うのですが、その点どうなんですか。
手束羔一
14
○
説明員
(
手束羔一君
)
面積
に応ずる
経費
と申しましても、通常の
造林等
と違いまして、その
地域地域
によりまして、付帯する床固め、あるいは山ど
め等
の
工事
が必要でございますので、
面積当たり幾ら
と申しましても、それはその年の
工事計画
を積算いたしました場合に、結局
面積
を割ったら
幾ら
になるかというようなことから
工事費
が出てまいるわけでございまして、事前に、
面積当たり幾ら
ということでもって
要求
するようにはなっておらないわけでございます。
田中一
15
○
田中一
君 御承知のように、
昭和
三年の
閣議決定
、これは
渓流
のほうは、当時の内務省だ、
建設省
。それから
山腹傾斜地等
は、これは
林野庁
、こういうように
事業
の区分をきめているわけなんです。ところが
林野庁
が
渓流砂防
を行なっている。
堰堤等
をつくっております。その場合、
最初
の
予算
を
要求
する、いわゆる
事業
の
規模
をきめて
要求
する場合には、
堰堤
をどの
河川
のどの
渓流
に一
堰堤
をどういう
規模
のものをつくるというような形の
予算
はないわけなんですよ。これは、もしあるならば、私の間違いであればそれを明らかにしてほしいと思うのですが、
一定
の
区域
、それも一ヘクタール百五十万というような
単価
をきめて、その
規模
、広さに応じて
予算要求
をして
決定
をしている。ところが
建設省
のほうは、これは
渓流砂防
ですから、どこまでも
渓流
における
堰堤
の築造ということを中心にして、いま
河川局長
が言っているように、資材、労賃、
事務費等
を加えて、それを一本一本
請求
しているわけです。そういうわけなんでしょう。
河川局長
、それでいいですか。
古賀雷四郎
16
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) そのとおりでございます。
田中一
17
○
田中一
君 そうすると、
昭和
三年、四年、重ねてどうも
区域
の競合があったために、こういう
決定
をして
——昭和
三年
閣議決定
というものをもう一ぺんここで読みますけれども、
渓流工事
及び
山腹
の
傾斜急峻
にして
造林
の見込みない場合における
工事
は
建設省
、それから
森林造成
を主とする
工事
は
農林省
の
主管
とし、なお
渓流工事
といえども、
右工事
と同時に
施行
する必要ある場合においては、
農林省
の
主管
とする。詳細は実施に先立ち、実地につき両省において具体的に協定すること。こういうようになって今日まで
砂防工事
は進められてきているのですが、この協定を無視して、おのおのがおのおのの持ち分を出て、そうして仕事が競合しているという形がたくさんあるわけなんです。これは何かというと、結局
予算要求
の際のこまかい、
建設省
の場合には、いま
河川局長
が言っているように、こまかく何々
河川
のどの地点においてどれだけの
規模
の
堰堤
をつくるのだ、こういう
要求
をしているのです。これは具体的になって、そのとおりやればいい。ところが、
林野庁
のほうはそうじゃないのです。いわゆる
山腹
の
傾斜急峻
にして云々という、その
山腹
の土砂の流出、流出というか、落下をとめるための
工事
を行なう。だからこれは
区域
になるわけです。平面的に
区域
になるわけですね。それで
要求
しておいて、どの
河川
でどういう
渓流
の
堰堤
をつくるかということは、これは全然
予算
の面にはあらわれてないわけなんです。それは
林野庁
、そういうふうにぼくは理解しているのですが、その点はどうですか。もし具体的にやっているものなら、具体的に四十二年度の
工事
は、どの
河川
のどこの地点に対して
堰堤
をつくるのだ、
山腹
の
工事
をするならするのだというような
内容
が示されているかどうか、ひとつ
説明
してください。
手束羔一
18
○
説明員
(
手束羔一君
)
砂防事業
との
事業
協定につきましては、御
説明
のとおりでございます。その後、両省連携を密にいたしております。
昭和
三十五年にも、この
閣議決定
の細部につきましての両省
事務
連絡
調整
というようなこともいたしておりますし、人事交流等もはかっておりますし、
計画
上はきわめてスムーズな連絡がとれていると、私は確信いたしている次第でございます。
予算要求
の
方法
でございますが、先ほど申し上げましたように、
山腹
荒廃地何ヘクタール、これを腹旧するのに
幾ら
かかる。これは、大まかに申しますればそういうことでございます。しかしながら、どうも先ほど申し上げましたように、普通の
造林
でございますと、一ヘクタール当たり
幾ら
、よって何ヘクタールだから
幾ら
というようになるわけでございますけれども、治山
事業
につきましては、それに付帯する
工事
がございますから、その個所個所の
工事
によりまして、これは一ヘクタールと申しましても、
単価
はいろいろと違うわけでございます。それぞれ積み上げになるわけでございます。したがいまして、全体の
予算
が、今年はどこそこのどこそこに
山腹工事
を
幾ら
やる。また谷どめ
工事
を
幾ら
やるということを、ちゃんと
計画
があるわけでございまして、さような
計画
に対しまして
予算要求
いたしました結果きまった
予算
、その
予算
額を当初
計画
いたしました
山腹
で割れば、これは一ヘクタール当たり
幾ら
というような形が出てまいるというだけでございまして、
造林
予算
のように、一ヘクタールが
幾ら
かかるから、荒廃地
幾ら
について
幾ら
という機械的に作業したものではございません。
内容
といたしましては、
建設省
の
砂防
でやっていらっしゃることと
規模
は違います。
規模
は違いまするけれども、考え方としましては同じものでございます。
田中一
19
○
田中一
君 わかりました。そうすると、具体的な
工事
個所というものをきめて、これには当初から
山腹
砂防工事
に付随する、関連する
渓流
の
堰堤
をつくるのだということが積算されて、もし言えば、それが
規模
から言うと、一ヘクタール百五十万円という平均
単価
になるのだということなんですね。
手束羔一
20
○
説明員
(
手束羔一君
) さようでございます。
田中一
21
○
田中一
君 実は、
建設
大臣に伺いたいのですがね。ことしの四十二年度の
砂防予算
それからかっての
治水
五カ年
計画
の実施状況、こういうものから見合って、一体どういう形に現状なっておるのかということですね、五カ年
計画
の実施状況がですよ。一応四十二年度終わるわけですから、どうなっておりますか、現状というものは。進捗率といいましょうかね。
古賀雷四郎
22
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君)
建設省
の
砂防事業
につきましては、四十年から四十四年度までの五カ年
計画
におきまして千七百八十億を見込んであります。そこで四十年度二百六十八億二千五百万、四十一年度三百十六億三百万、四十二年度三百七十一億五千七百万を使う予定にいたしております。それで、ただいままでの進捗率は、全体で約九百五十五億をただいままで三カ年で
事業
費につぎ込んでおり、まして、千七百八十億に対して五四%程度の進捗率を示しております。
田中一
23
○
田中一
君 大体私の調べたのと似ていますわね。大体その数字ですけれどもね、一体これで、
建設
大臣伺いますがね、来年四カ年目なんですが、来年また新五カ年
計画
を策定するつもりですか。ただね、こうして三カ年やって五四%しか完成する見込みでしかないわけなんです、進捗率としてはですね、これでは、できないですよ。相当四十三年度に大幅に、
計画
はありますけれども、実際の
予算
を計上しなければ、これは達成できないわけなんですよ。近ごろ、去年、ことし、ここ二、三年台風がなくて、部分的な災害はあるけれども、大災害がないために、どうも
砂防事業
に対するところの関心が弱まっているように思うのです。この調子でいけば、これは
河川
改修にいたしましても、
砂防
にいたしましても、これは完成できないですよ、この五カ年
計画
の総額というものは。八千五百億というこの総額が消化できないわけですよ。その点はどういう見込み立てていますか。
西村英一
24
○国務大臣(西村英一君) 千七百八十億、九百五十五億使って、残りが八百二十五億です。そうすると、ことしは三百七十一億ですからですね、これ
予算
はしり上がりですから、かりに四十三年四百、四十四年四百としても、もう達成できる。大体三カ年
計画
五〇数%でいけば、しり上がりですからね、大体五四、五%にいけば、大体五カ年で達成できるわけです、しり上がりになりますから。私はこれは千七百八十億は、いまの
砂防
の予防
砂防
に移るかどうかということは別でございまするが、少なくとも千七百八十億に対してはこれは十分まかなえる、あと二、三年でまかなえる、さように考えております。
田中一
25
○
田中一
君 ほかの道路や何かと違ってですよ、災害がないと縮まってきているのがいままでの現状なんです。しかし、来年が四十三年、四十四年を一年、初年度とするところの新しい
計画
を現在立てようとしているかどうか、どうですか。
西村英一
26
○国務大臣(西村英一君) まだ正直なところ、いまそこまで詰めて考えていませんが、もう少しこの
予算
時期も接近しましたから、四十三年度の概算
予算
も接近いたしましたので、それを見まして考えたいと思います。まだ詰めておりません、そこまで。
田中一
27
○
田中一
君 これはね、
河川局長
、あなたのところは去年もことしもあまり災害がないものだから、花形局にならないけれども、いまのうちにしなければならぬと思うのです、いまのうちに。それで
林野庁
のほうにも伺いたいのは、
林野庁
のほうの
砂防事業
は伸びはどんなぐあいになっていますか。
手束羔一
28
○
説明員
(
手束羔一君
) 五カ年
計画
国。民有林合わせまして千六百七十億に対しまして、
昭和
四十二年度末は進度は五六。二%でございます。これは
計画
伸び率によりますと、毎年大体一一%程度のものでございますけれども、金額といたしましては、四十から四十一に対しまして一六%、四十一から四十二に対しまして一七%と、まあ大体当初
計画
いたしました率よりも伸びているわけでございますが、
単価
の上昇、災害の発生等がございまして、
事業
の
関係
から申しますると、必ずしも十分な進度とは申せない、かような状況でございます。
田中一
29
○
田中一
君
建設省
に聞きますがね、大体想定されている一
河川
、一支流といいますかね、一本の予防
砂防
、
堰堤
をつくろうというのが、この新五カ年
計画
発足のときに考えられたことなんです。大体一万本ぐらいやろうじゃないかというような想定をされておったと思うのです。進捗率はどうですか。これはもう大きな
堰堤
は別として、
ダム
等の上流の
砂防
施設ですね、これはどうなっていますか。たとえば先だって、つい二、三日前に、一昨日ゲートが決壊した、ゲートがこわれた
和知ダム
なんかは、その上流
砂防
はどういうぐあいになっていますか。
古賀雷四郎
30
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君)
砂防事業
につきましては、いろいろ
種類
がございまして、流路工それから
堰堤
その他ありますが、昨年は通常
砂防事業
としまして二千八百四十
渓流
について
事業
を実施いたしております。
ダム
の数等につきましては、これ四十年度、四十一年度それぞれございますので、後ほど資料を提出いたしたいと思いますが、ただいま御質問の
和知ダム
の上流につきましては、由良川の上流に大野
ダム
という
ダム
がございまして、その
ダム
の下に
和知ダム
がございます。したがいまして、
和知ダム
そのものに対する
渓流砂防
的なことは、ただいま実施いたしておりません。
田中一
31
○
田中一
君 じゃここでついでに伺っておきますが、
和知ダム
の調査済みましたか、
和知ダム
の現状わかっているなら、わかっておる
範囲
でひとつ御
説明
ください。
西村英一
32
○国務大臣(西村英一君) 実は非常に重大な事故を起こしまして、まことに申しわけないと思っておるわけでございます。 去る二日の十一時ごろ、由良川水系で和知という関西電力の発電所がございます。これは多目的ではございませんで、関西電力が発電をするため
ダム
をつくったのでございます。で、
工事
が完成しましたので、それぞれ会社から竣工検査の
通知
を受けまして、こちらは和歌山の土木所長を監査官に命じまして、同時にまた、電気
事業
の主官庁である通産省も監査官を命じまして、
建設省
と通産省もともに六月の二十六日に監査にかかったわけでございます、その途中のできごとでございます。実は現場ではまあ監査もやや終了いたしましたので、検終——まあかりによかろうという、これは現場でもやるのでありますが、本終了書は出していないのでありますが、そのときに二日の日に三号ゲートを少し一尺ほどあけておった。ところがだんだん流木、ごみが流れてくるので、水門が四つありますが、第三ゲートを一尺ほどあけて水を流しておる。しかし第四ゲートでごみを流す設備があるわけですから、まず第三ゲートをとめて第四ゲートのじんかいゲートを——ごみを流すゲートをあけようとした瞬間に、第三ゲートがもろに流れたのでございます。しかし第三ゲートと第四ゲートの
関係
は雇いのでございまして、ときたまたまちょうどそういう操作のときに流れたということでございます。不幸なことに、すぐ発電所現場といたしましては、それで下流に警告を発するために、自動車も相当数出しまして警告を発したのでございますが、やはり一人の方が犠牲になったのでございます。ただいまこの調査にかかろうとしておりますが、ゲートは百メーターほど下流にとまっておりまして、これを早く引き揚げなければほんとうのあれはできないのでございます。しかし警察のほうで現場、過失致死罪の刑法上の問題もありますので、しばらくの間現場を維持してもらいたいということでございまして、その現場維持をなるべく早くひとつといていただく、いま交渉中でございます、警察と。といてもらいまして、ゲートを引き揚げることができましたならば、どういうことが原因であるかということを詳細に調べたいと思っておるわけでございまして、
ダム
の
工事
は大阪所在の株式会社森本組、ゲートの製作者及び取りつけこれは日立造船株式会社がやったんで、しかし契約上どういうふうなことでどういうふうな取りつけをやろうということになっているのか、両者の
関係
があるのか、森本組と日立造船の間に。そういうことまだ詳細にわかっておりません。私の最も心配いたしますのは、それでなくても非常に
ダム
のことについてはいろいろ問題もあるさなかに、こういうことで一つ人身の死傷者ができたということについて、非常に憂慮をいたしておる次第でございます。したがいまして、関西電力の幹部の方々も私のところに見えましたが、それとは別に、この事故原因につきましては徹底的に調査をしたい、かように考えておるんですが、さらに詳しいことは
河川局長
おりますから答弁をさせたい、以上でございます。
古賀雷四郎
33
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) ただいま大臣から事故の概略の報告がありましたので、私補足して簡単に申し上げます。
和知ダム
は高さが二十五メートル二十、長さ百四十四メートル、コンクリートの体積が二万四千二百立米の
ダム
でございます。ゲートは高さ十二メートル、幅九メートルのものが三門、これは一号から三号までのゲートです。一号、二号、三号、四号と申しますのは、由良川の本川を下を向きまして、左から一号、二号、三号、四号になります。四号ゲートがいわゆる流芥ゲートと称しまして、先ほど大臣から申されたように、ごみを捨てるような穴がゲートの上部についておりまして、ごみを流すようになっております。そこで流芥ゲートは、高さ二メートル、幅四メートルの流芥ゲートづきゲートでございまして、それも合わせまし三局さ十二メートル幅九メートルの同じものでございます。それが一門ございます。それから有効貯水量は百二十八万六千トンでございまして、総貯水量は五百十二万トンでございます。その時点の
計画
洪水量は二千六百四十トンでございまして、毎秒二千六百四十トンで、下流の無害流量は約三百トン程度でございます。先ほど申されたように、事故が起こると同時に、直ちに関西電力は自動車を、警報車を派遣しまして相当数を退避せしめました。話に聞きますと、約五十名ほど退避したということになっておりますが、二名ほどが流されました、そのうち一名は助かった、一名は行方不明になってきのう死体があがったというようなお話でございます。
河川
法の処分の
関係
も簡単に申し上げます。
昭和
三十六年三月一日に関西電力より当時の
河川
管理
者、これは二級
河川
でございます。当時の
河川
管理
者京都府知事あてに、発電水利
使用
に関する流水占用及び工作物設置の許可
申請
が提出されております。そこで、京都府知事から大臣にあて認可
申請
がございまして、大臣が四十年の十二月十三日に大臣認可をいたしております。そのとおり認可をして四十年十二月十七日に京都府知事が関西電力あて、先ほどの
申請
の許可をいたしております。四十一年四月一日に一級
河川
となりましたので、
河川
管理
者は
建設
大臣となっております。それから、なおその間におきまして、四十二年四月一日に
河川
管
理事
務の専決規程におきまして、
ダム
の竣工検査等につきましては地方
建設
局長に専決させることにしてあります。それから四十二年五月三十日に、関西電力が近畿地建局長あて
ダム
竣工検査
申請
がございまして、先ほど大臣が申されましたように、六月二十六日に竣工検査を行なっておりまして、大臣のお話のとおりに、検査の結果、完成検査終了書というものを現場で交付しておりますが、合格書は地建局長が当然交付すべきものでございまして、合格書はまだ未交付でございます。同日に電気
事業
法に基づく現地検査を完了いたしております。これは大阪通産局の神吉検査官でございます。 それから先ほどお話にありましたように、
和知ダム
の本体
工事
は、株式会社森本組と関西電力で契約をしておりまして、工期が四十一年二月十九日から四十二年九月三十日までになっております。それからゲート製作につきましては、四十一年八月九日にゲート製作、据えつけ
工事
を株式会社日立造船所と関西電力が契約をしております。工期は四十一年八月九日から四十二年の七月三十一日までになっております。なおゲートにつきましては、四十一年の十二月にゲート締着部の工場検査は完了されております。それから四十一年の二月から四月に扇体——あるいはテンターゲートと称しまして、広がっておりまして、この先に水門を、水圧を受ける部分がある、そういう扇体部分の戸あたりの仮組工場検査を完了いたしております。それから四十二年四月に扇体、捲揚機の現場据付検査完了を関西電力がやっております。それから六月二十五日に、現場で無荷重試験完了、荷重のない、水圧のかからないゲートの検査を完了しております。これは関西電力と日立造船の間で行なわれております。六月二十六日に、先ほど申し上げました近畿地建と大阪通産局の検査を完了しております。それから六月三十日に、ゲートの有荷重試験を続行中でございまして、
ダム
本体につきましては請負契約上の完成検査は未了になっております。それから
ダム
本体及びゲートにつきましては、関西電力は請負業者より契約上の引き渡しを現在の段階では受けていないという状況でございます。 以上簡単でございますが、補足して
説明
をいたしました。
田中一
34
○
田中一
君 私は寡聞にして、ゲートがふっ飛んだということは初めて聞いたんですが、かつて矢別
ダム
がゲートが上がらぬためにその上部が決壊したことはあります。十何年前にあったけれども、そんなことがあるんでしょうかね。非常に今度の問題は小さいような問題だけれども、まあ溶接等が、そういうものはあり得るだろうと思うけれども、しかしそういうことはいままでないし、またみんな下流の人たちも、流域住民も安心しています。大体どのくらいの流量が、一つのあのゲートが飛んだために流れたんですか。
古賀雷四郎
35
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) ゲートは四門で、先ほど
計画
洪水量二千六百四十トンを流すようになっております。したがいまして洪水時は六百六十トンを一門で担当するということになっております。あの際に水位の
関係
から、瞬間流量としては約五百トンが想定されております。しかし、河道に入りますと河道は幅が広がったり狭くなっておりますので、その流量の貯流等が行なわれまして、河道は低減いたしておりまして、福知山におきまして実測いたしましたところ、大体二百トン程度の流量になっている。無害流量程度になっております。
田中一
36
○
田中一
君 そうすると、何時間でその水はすっかりきれいになりましたか、何時間後に。ちょうどあの事件のときに、ぼくは嵐山にいまして、非常にたいへんな水が来たのです、雨の最中に、桂川で……。びっくりしたのですよ、何だろうと思ったのですよ。しかし、そんな大きな水が流れてきたわけじゃないからね、桂川では。何時間ぐらいかかったのですか、それがきれいになるには。
古賀雷四郎
37
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 大体一時間半程度でなっております。精細につきましては、ちょっと間違いがあるかもしれませんので、後ほど御報告いたしたいと思います。
田中一
38
○
田中一
君 そのほかの被害は……。まあ一人の方が犠牲になったという以外の被害はどうですか。
古賀雷四郎
39
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) ただいまのところ、現地から
河川
の被害その他の被害につきましては、たとえば堤外民地の冠水とか、そういった問題につきましては、報告を受けておりません。
田中一
40
○
田中一
君
建設省
の検査官ですね、これに対する行政上の責任というものは若干あるのですか。
西村英一
41
○国務大臣(西村英一君) まだそこまで実は原因がはっきりしません。検査官に対する責任問題はどうだとかいうことまで、まだちょっと考えられませんが、しかし、事柄が非常に重要ですから、いろいろ調べてみたい、かように思っておる次第でございます。
田中一
42
○
田中一
君 この問題、ひとつ、ある時期に一応新聞にも出るでしょうけれども、正確に当
委員
会に報告をしてほしいと思うのです。不可抗力か、あるいはそうした人為的な欠陥があったのかですね。われわれ国民が考えるよりも、あなた方自身が非常に神経質になって、この問題の原因の究明は徹底的におやりになると思うのです。それをえてして、どうもあいまいな結論を出されたのじゃ困ると思うのです。そういうことのないようにひとつ十分に、これはいろいろ主面から検討しなきゃなりませんから時間がかかると思いますが、報告していただきたいと思います。
西村英一
43
○国務大臣(西村英一君) 十分調べましたら御報告申し上げるつもりでございます。
松永忠二
44
○松永忠二君 関連。こういうことが新聞等に出ていたのですが、近畿地建の局長の話で、検査は設計どおりにできているかどうかということを見る程度であって、検査
方法
は考え直す必要があるかもしれぬということが出ている。で、
河川
法の
施行
規則の第九条というのに検査のことが出ておりますね。これを見ると、私たちしろうとでも別に構造とか、そういうものについて検査するわけじゃない。で、
河川
管理
という立場から検査をするので、要するに設計そのものについても
最後
の検査のときのことについても、それほど構造的な面については明確になっていないわけですが、きょうの新聞あたりによると、
河川局長
の言の中にも、少しそうしたものについて
方法
の再検討が必要ではないかというような点に触れられて出ているので、この点についてちょっと局長の意見を聞きたいわけです。
古賀雷四郎
45
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君)
ダム
の今回の事故は、主としてゲートに関する部分が多いわけでございます。ゲートにつきましては、まあ鋼材の安全率等につきましては四程度見ておりまして、かなりの安全度を持っております。それから設計の
基準
等につきましては、水門鉄管協会の水門鉄管技術
基準
によってやっておられまして、材料の安全率も四程度になっておるということになっております。それから
ダム
については、もちろん
ダム
の設計
基準
がございまして、それでやるようになっておりますが、今回の事故にかんがみまして、契約者と施工者の間の検査
関係
をもう少し明らかにすべきじゃないか、たとえば材質の検査をどういうぐあいにやったとかいうようなこと、そういった問題の資料を見てゲートを検査すると、資料を提供さしてゲートを検査するというようなことが、その間になされておりませんので、業者と関西電力との契約の検査の
関係
と、完成検査におけるそういった資料の
内容
等につきまして、この完成検査を完全にするためには、どうしてもそういった資料の提出を願うということにしていかなければならないのじゃないかというふうに考えておりまして、これらの問題をなお精細にひとつ検討してまいりたいというふうに考えております。
松永忠二
46
○松永忠二君 通産省の検査も行なわれるわけですが、通産省検査というのは、どういうふうな限度で行なわれるのですか。
西村英一
47
○国務大臣(西村英一君) これは電気
事業
法によって、通産省もやはりその発電所のみならず、
ダム
につきましても、その全部についての一応の検査があるわけです。その上にさらに
建設省
としましては、やはり
ダム
によっていま言ったとおり、そのような事故で一時に大きい水が流れると、やはり被害を起こすわけですから、
ダム
に関する限り二つ検査がかぶっておると私は思うのであります。通産省は、
ダム
は私は
関係
がないとこういうわけではなくて、
ダム
を含んでの発電所その他電気設備についての検査、
建設省
はさらに
ダム
は発電用ではなくてやはり災害防除の点からと、
ダム
については二つの官庁が検査をする、こういうふうなものであろうと、私は推察をいたしておるのでございます。
松永忠二
48
○松永忠二君 こういうことも書かれてあるのですね、「完工してからでは、設計許可通りの材料が使われているかどうか、などはわからず、とかく形式的におわりがちだ」というふうにいま反省があるのですね。この完成のときに検査をする項目の中にも、具体的にそういうものは全然出ておらぬわけですからね。だからそういう点については、やはり完成の検査規則というふうなものについても、相当
最後
の段階において、その竣工検査にあたってなお充実する部面があるというふうに考えておられるのですか。
古賀雷四郎
49
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 完成検査の
内容
の問題でございますけれども、これにつきましては、今回の事故にかんがみまして、検査の
内容
あるいは検査の
内容
をどういう形で具現するかは別としまして、たとえば業者と契約者の間で行なわれた検査のときに資料を提出してもらう、資料を作成してもらって、完成検査時に、そういう重要な部分に関する精細な報告を受ける、そういうものが必要じゃないかと思っております。したがいまして、完成検査の規則に、いわゆる
ダム
が今後
河川
管理
上非常に致命的に在るような点につきましては、具体的な資料の提出を願って、検査をしていきたいというふうに考えております。
松永忠二
50
○松永忠二君 その点については、やはりなお検討してほしいという気持ちがするわけです。確かに
河川
法の立場から言えば、
河川
管理
者という立場から、その操作の問題であるとか、あるいはこれが
河川
維持のためにどういうふうな影響があるとか、そういう面についての資料を提供しなければいかぬことは、項目をあげて書いてあるわけですね。したがって、こういう点について特に
建設省
が関心を持つということは、当然なことだと思うわけだけれども、しかし届け出の際、認可を与える際も、
建設
の
関係
の単なる設計の図を出させて、それによって認可をされているのが実情のようです。したがって、いまお話しのように、一体そのつくられたものが、構造的にどういうふう主力を持っているものなのか、またそういう検査を、実際さっきお話しのようにやられているようだけれども、その資料が具体的に提示をされて、その上に立って検査をされるというようなことは必要のように、私たちも思うのです。この点については、所管も何か通産省と
建設省
にまたがる両方の検査が必要だというようなことであります。こういう点についてもとかくあることですから、いずれがこういう問題についての責任を持つのか、こういう点についての点が明確になっていないような感じがするわけです。なお検討を要する問題だと思うのですが、この構造の問題についての
管理
の所在というのは、一体どこにあるのがほんとうなんですか。
古賀雷四郎
51
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 当然電気
事業
者にあるべきだと思います。
松永忠二
52
○松永忠二君 私が言っているのではなくて、そういうことを検査するという、そういう最終の場所というのはどこにあってしかるべきものなんですか。
古賀雷四郎
53
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) この
河川
管理
者としての検査は、
河川
法に定められておりまして、それから電気
事業
法に基づく検査も、電気
事業
法で検査するようになっておるわけです。したがいまして、若干その
ダム
の検査についてオーバーラップした部分があります。しかしそれぞれの、この
ダム
は電気
事業
が主として行なわれる専用の
ダム
でございますので、そういった点で、両方から検査官を出して具体的に問題を検査していくというようなことになるかと思います。
松永忠二
54
○松永忠二君 構造という問題についての監督といいますか、責任というのは、どこにあるのですか。
古賀雷四郎
55
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 構造等につきましては、発注者から
申請
のときに、水門鉄管協会の水門鉄管技術
基準
でやられるのだが、
ダム
は
ダム
の設計
基準
でやられるというようなことで
申請
が出てきておりますので、発注者が当然責任を負うべきものと考えます。
松永忠二
56
○松永忠二君 そうしたものを検査をするところがあっていいわけですね。やはりそういう点についての
管理
の検査というものは、
建設省
の所管
事項
だというふうに私たちは思うのですが、しろうとなりに。こういう点はどうなんですか。
古賀雷四郎
57
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 発注者としましては、先ほど申し上げましたように設計
基準
に基づいて物が完全にできたかどうかということを確認して、初めて物を受け取るわけでございまして、発注者もそのゲートが完全にできているということが前提になるわけです。そういう検査は、発注者として当然やられなくちゃならぬ、そういう段階を経まして
ダム
が全体的に完了したということで、完了の検査を
建設省
なり通産省が行なっておるわけでございます。
松永忠二
58
○松永忠二君 そういう水圧に対する構造的主面を証明されたものとか、そういうふうなものについてのものを一応調査の段階で確認をして、そうしてなおかつその他の
管理
的な面についても異状がないか検査をして、それが検査の完了になると私たちは思うのですがね。したがって、やはり従来そういうことについていろいろな
方法
がとられたということについては、別にどうこうということを言っているのではないけれども、なおその完全を期するためには、やはりその検査の
事項
について、もう少し検査の
事項
を加えていくということについての所管の場所は、やはり
建設省
であるというふうに私たち考えるんですが、この点どうなんですか。
古賀雷四郎
59
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 今回の事故にかんがみまして、われわれとしましては検査すべき
事項
を検討しまして、たとえばピンのところにおける材質のレントゲン写真とか、そういった問題を具体的に発注者に提出させる、そういったことも検査項目、それは一例でございます。まだほかにもあるかもしれませんが、そういったことも具体的に考えていったらどうかというふうに考えております。特に重要な部分についてだけそういった
方法
をとるような考えをいたしていきたいというふうに考えております。
田中一
60
○
田中一
君 四十二年度の
予算
の中にある急傾斜地崩壊対策
事業
、これは補助
事業
ですけれども、これと
砂防事業
との関連はどういう見解を持っているのか。
古賀雷四郎
61
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君) 急傾斜地と申しますのは、一般に
河川
の流域とは、もちろん大きくは
関係
ございますが、
河川
の流域からはずれてがけがございます。そのがけがくずれることによって、四号台風等による死傷者が非常に多かったわけでございます。それの対策のために、がけくずれの防止をはかりたいということで、急傾斜地を
予算要求
しまして、四十二年度に二億の
事業
費をもって行なう予定にしております。ただ、これにつきましては、全国的にたくさんございまして、これは宅地造成等規制法に基づくものは別といたしまして、従来からありました家屋、そういったものは非常に危険な状態にある。そういったことでこれらの対策を行なう
予算
でございます。
田中一
62
○
田中一
君
林野庁
に聞きますが、この急傾斜地崩壊対策
事業
、これはあなたのほうのやっている
山腹砂防
等にも、その地点が同じところにあるものがあるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
手束羔一
63
○
説明員
(
手束羔一君
)
山腹等
に関連いたしましても、当然危険なような集落、家屋等の存在はございますが、ただ
建設省
でお考えになっておりますのは、主として何と申しますか、比較的連続した山岳地帯というようなことじゃなくて、がけのようなもの、住宅等には、宅地規制法等には関連はないが、しかしやはり家屋ががけ等であぶないとかいうようなところについて、主として御注目なさっておられるように承っておるわけでございます。しかし、その境目等につきましては、やや所管等につきましていろいろ行政の上で一致するものもあろうかと思いますが、その点は十分研究して実施いたしたいと思っております。
田中一
64
○
田中一
君 西村さん、どうも
林野庁
と
建設省
は
砂防
関係
のものは競合するような印象を、私たち受けるのですよ。事実、
山腹等
山の中でもって相当こうした現象が起きている。ただ人畜に死傷がないもんだから、これは直接問題になりませんけれども、奥地のこうした崩壊地区というのは、相当あるのです。私なんかが知っている
範囲
でも、山へ行ってみますと、山が変わっている。おかしいな、ここに道があったのにないということがあるのです。だから、
林野庁
の主として
砂防
とか地すべりとか、そういうものに関連する仕事として、あっちがとるからこっちも
予算
とるんだといって、同じよらな仕事やっているという形は、これはやはり避けなきゃならぬと思うんです。
建設省
は、えてしてそういうことやるのです。たとえば厚生省は一つの例でもって厚生住宅というものを六十億程度とると、とんでもない、すぐにこっちでもって立法化して産業住宅をとるとか、同じような仕事を、事実
林野庁
でやっているんですよ。それだから、そういう面は
林野庁
でやってもらったらいいのですよ。何か競合するように仕事をやる。
砂防
にしても、よく私が悪口を言う伊勢のあれなんか、まるで百メーターか五十メーターぐらいそばに農林
砂防
と
建設
砂防
がくっついているのです。同じ地点に同じものをつくる。これは
昭和
三年の閣議了解にあるように、もっと緊密に話し合いをすればいいと思う、行政という仕事の面については。現に地すべり対策
事業
というものがあるわけですね。これは崩壊と同じようなものですよ。もっともよってくる原因は違うかもしれませんけれども、現象は同じですよ。何か事があると、それにくる。ことに
建設
大臣は同じ富士山の大くずれ、あれを何百億でもいいから仕事をやってみようじゃないかという勇ましい非常に日本的な、良心的なというか何というか、ぼくはあまり賛成しませんが、発言をなさるけれども、あれ一体だれの所管ですか、地すべり対策——大くずれと言ったかな、富士山のあれはだれが担当しなければならぬ性質のものですか。
西村英一
65
○国務大臣(西村英一君) 政府が担当しなければならぬ仕事であります。
田中一
66
○
田中一
君 御名答です。あの
土地
が、富士山がだれの所有です、そうすると。
西村英一
67
○国務大臣(西村英一君) まだ所管がはっきりわかっていません。いろいろ争いがあるところでございます。したがって、総体的に政府が責任を持つというわけであります。
田中一
68
○
田中一
君 人畜に
関係
ない地点ですよ。これは国民感情としては、あいつをとめたらいいじゃないかということなんですけれども、直接人畜に
関係
がない。それよりももっと、そんな二百億も三百億もあるなら、もっと国民の苦しんでいる、国民のしあわせを考えて使ったほうがましだという気持ちもするわけです。これも国民感情の一つです。それで富士山には
林野庁
が担当する面がありますか。
手束羔一
69
○
説明員
(
手束羔一君
) 現在中腹の国有林につきましては、実施いたしております。
田中一
70
○
田中一
君 あの崩壊でもって国有林に相当の被害ありましたか。
手束羔一
71
○
説明員
(
手束羔一君
) 国有林自体といたしましては、下部のほうにおきまして多少林縁が削られたという程度の被害はございまするけれども、たいしたものではございません。
田中一
72
○
田中一
君 将来あれはどんどん崩壊が進むとすれば、相当の被害を感じますか。
手束羔一
73
○
説明員
(
手束羔一君
) 被害と申しますのは、御質問の意味は、国有林が被害をこうむるかどうかという御質問でございますれば、林縁等が削られたり、それから上方からの土砂崩壊によりましてそれが林内にあふれますれば、これは森林が荒廃をする、こういうことになろうかと思いまするけれども、この際の被害と申しまするのは、やはりそういうことが下流に及んで、そして都市なり農村在りというところにどう被害を及ぼすかという観点とあわせて考えてまいるべきものであろうと、かように考えております。
田中一
74
○
田中一
君 あの崩壊でもって国有林が少しぐらいくずれてもしようがありません——しょうがありませんと言っちゃ、ことばが過ぎるかもしれないけれども、まあそのくらいの気持ちのものです。大臣はあれに対して非常に情熱を傾けて対策を立てようと言っているけれども、一体どのくらいかかるというか、どのくらいかかって、どういう対策を立てようとしているのですか。
西村英一
75
○国務大臣(西村英一君) いまその大沢くずれによる被害につきまして、
建設省
は五カ年
計画
でずいぶん前からやってみたのですが、やはり
農林省
とも
関係
がありますのでうまくいかないので、
昭和
四十年に、五カ年でもってひとつ下流の被害を軽減しようじゃないかということで、現在
建設省
で五カ年に一億、
農林省
で六千万円、一億六千万円で
農林省
の部分、
建設省
の部分、それぞれ防災をやっているわけであります。しかし、やはりそれにもかかわらず下流のほうの被害もあまり改善されていない。かたがた大沢くずれそのものにつきましても、いままでそれぞれ研究はいたしておるけれども、あまり真剣に取り組んでいない。こういうわけで、はたしていまの五カ年
計画
の
規模
くらいで、この大沢くずれそのものでなしに、下流のほうの防災もできるのだろうかどうかということも、もう一ぺん再吟味したい。それには、まずやはりもとを正さなければならぬから、大沢くずれの防止いかん、人によってはそのことを火山の先生だとか地球物理の先生は、そんなのは地球が変わっていくような、宇宙が変わっていくようなものに手を出すというようなことは無謀だ、ほうっておけばいい、崩壊するのはそれもいいじゃないか、こう言う方々もあるのです。そういう方々は大体やはり千年とか一万年とかいうことを単位にして考える方々なんです。しかし、私たちは、大臣は一年しか寿命ありませんから、 (笑声)それに比べるとやはり五年や十年のことはやはり考えなければならぬから、大沢くずれも何とかして、これも全然防止するというわけにはいきませんけれども、何かひとつ
方法
は互いだろうかということで、私は実は
建設省
にそれぞれの気象
関係
、それから火山の
関係
の方々、地球物理の
関係
の方々、あるいは歴史の
関係
の方々、そういうような者を集めまして、上からひとつ大沢くずれそのものを攻めていって、
方法
がないならそれでよろしい。しかし、現実に
農林省
はやはり農林地帯の被害の防除をやろうとしている。その行為にいたしましてもいまのような
規模
ですと、六メーターや七メーターの
ダム
をつくったって、下にどんどん石が流れていく。もう少し大
規模
にやれば、せっかく
ダム
をやるのですから、それでもって上からの石を防ごう、それがなければ下までくるのですから、やはりいまやっている
農林省
の、あるいは
建設省
の
砂防
につきましても、もう少しやはり
規模
を大きくしてやったほうが、被害が少なくなるのじゃないか。このように考えまして始めたのでございますが、人によりましては、
田中
先生のようにそんなものはという方々もあります。また、富士山の形がよくなるのじゃないかと言う人もありますから、そういうことでとにかく取り組んでおりますが、どういうことになるかは、少し結果を見たい、また皆さん方の御指導も仰ぎたいと、かように考えております。
田中一
76
○
田中一
君
最後
に聞きたいのは、せんだってから大臣相当発言なさっているいわゆる貯水
ダム
ですね。これはひとつこの本年度の四十二年度の
予算
でどこにどれだけの
予算
をもって幾つつくるかということを、ひとつ川の名前、地点の名前も入れて資料を出してください。わかっていれば
説明
を聞きますけれども。それから、それが今年度。それはこの五カ年
計画
に入っているものかどうか、またそれ以外のものでやるのか。その点の
予算
の立て方、それから
範囲等
もひとつ出してほしいと思うのです。もしわかっていて、数が少なければ、いまここで
説明
してくれてけっこうです。これは私は賛成なんですよ。その構想にはみんな賛成なんです。私は非常に賛成なんです。かねがねそういう政治家が、行政官が、大臣が生まれることを
希望
しておったのですが、あなたそれをやろうというので非常にいいことです。それで、今後五カ年
計画
に織り込んでやるのか、あるいは本年度試みにやってみようというのか、その点をひとつ
規模
を明らかにしてほしいと思います。
西村英一
77
○国務大臣(西村英一君) ことしは、まあ大蔵省と折衝をした結果ですが、十カ所ほどやろうと思っております。来年は相当な個所を、いまその個所は言えませんが、言いますと、大蔵省がまた先に……。私は個所も大体このくらいは
要求
したいということを持っておりますが、いまそれを言いますと、大蔵省が先に
予算
上で防戦しますからちょっと言いにくいのですが、とにかくやはり降った水をためておきたい。それがやはり治山でもあり
治水
でもあるという考え方に基づいてやりたいと思うのであります。したがいまして、来年の
予算要求
は、相当大
規模
にしたいと思っております。そのために、これも現在のまあ五カ年
計画
のワク内でということになりますが、この
予算
が大きくなれば、五カ年
計画
そのものもちょっと直していかなければならぬじゃないかという考えを待っております。いま一番考えておることは、いま言いましたような水をためておく設備をするということと。最近中小
河川
、ことに都内の中小
河川
が、にっちもさっちもいかない。これはばく大な金がかかるわけでございます。したがいまして、そういうものにどうして対処していこうかということが、
河川
として重要なことになっております。 それからがけくずれの話が出ましたが、実はがけくずれは、これは非常に広
範囲
に考えると、果てしのないことになりますし、これをどういうふうな程度にとどめるか。現在のところ、これはやはり人家を、人命の尊重から人家を対象にしてきたのでございまして、たった一軒あるが、その上のがけを直してくれと言っても、なかなかそれは果てしのないことになります。しかし集団的にある部落がある、二、三十戸、四、五十戸ある。それでその上の山から一雨、集中豪雨がくると必ず流れる、必ず崩壊するというようなところを目あてにしたいと思っておりますが、これを果てしなく広げるということは、
予算
上もたいへんでございまするし、特定の方ばかりに、一軒の家がある、おれのところの裏山はどうも危険だからやってくれという、こういう場合に、そういう一軒、二軒というわけにはいかぬ。ある程度集団的なところについてのがけくずれは、十分直したいという気持ちでやっていくわけでございます。
田中一
78
○
田中一
君 そうすると、十カ所はどこですか。それで
予算
は
幾ら
ですか。
古賀雷四郎
79
○
政府委員
(
古賀雷四郎
君)
ダム
の地点あるいは
予算
につきましては、後ほど資料で提出したいと思いますが、いま大臣が申されましたのは、中小
河川
の対策と利水の、渇水補給の
ダム
でございまして、いわゆる
治水
ダム
と称しておるやつでございまして、これは加治川等十カ所をただいま実施
計画
調査に着手しております。それから、そのほかに直轄の多目的
ダム
の
建設
工事
等、あるいは補助
ダム
の
建設
工事
等がございますので、これらにつきましては地点名それから
予算
、五カ年
計画
に入っているかどうかにつきまして、具体的に資料を提出さしていただきたいと思います。
田中一
80
○
田中一
君 明年度三十カ所ぐらいという話ですけれども、何でしょう、もっとやったっていいでしょう。
西村英一
81
○国務大臣(西村英一君) 私の考えておるのは、そんな
規模
ではございません。もう少し大きいです。
田中一
82
○
田中一
君 これは非常にいいことで、当然これは都市問題なんです、一つの。決してこれはただ単に山間僻地の、山の中の貯水じゃないのです。都市問題です。いま一番問題になっておる都市問題の一つなんです。非常にいいことをやると思って感心しているんですがね。これは大いに、これこそ大沢くずれよりも、こっちのほうに情熱を傾けてやってもらいたいと思います。
—————————————
相澤重明
83
○相澤重明君 一つ資料
要求
したいと思うんですけれども、大臣が御出席だからひとつお調べになって、できたら資料を、これは
河川
の問題でありませんが、旧陸、海軍、いわゆる戦時中大都市においては強制疎開を行なったわけですね。その強制疎開を行なった中で
建設省
が持っておる道路予定地、これは
建設省
の所属もあると思うんです。しかし終戦直後、各省単独に処理できないものは、総理府でこれは所管をしておったのがあるんではないかと思う。いわゆる当時総理庁といいましたが、いまの総理府、そういうことで内閣直属がこの道路の用地を持っておるというのもあるのではないかと、これが全国でどのくらい現在残っておるのか。つまり
建設省
や総理府がそれぞれ持っておる道路予定地というのはどんなものであるか。それがおそらく、従来調べてみると、旧軍は買収をしても仮
登記
が多いわけですね。本
登記
になっていない。こういうもので、あとで
土地収用法
の問題もいろいろ
市街地
開発
の問題に
関係
してくると思うのですが、その旧軍が強制疎開をさした道路敷地というものは、一体どのくらいあるのか。道路になっておれば、これはもう道路になっておるのですから、
建設
大臣か所管するなり
都道府県知事
が
管理
するなりされていく。そうでないこの道路予定地というものは、どのくらい国有財産があるのか、これをひとつお調べをいただきたい。私も具体的に二、三事例を持っておるわけです。これは、いずれあとでまた
関係
の
法律
のときに御質問したいと思いますが、一応お調べ願いたい。できれば資料を提出願いたい。
西村英一
84
○国務大臣(西村英一君) いまの御発言ですと、十分よくのみ込めませんが、いずれ
土地
の問題につきましての御質問材料がほしいわけでございましょうから、ひとつできるだけ調査をいたしまして提出したいと思います。
藤田進
85
○
委員長
(
藤田進
君) 本件についての
質疑
は、この程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十二分散会