○春日正一君 いま提案されてます
下水道整備緊急措置法案これに対して私は日本共産党を代表して反対いたします。
今日、
下水道の早急な完備は、国民の切実な要望となっています。にもかかわらず、わが国の
下水道事業が諸外国に比べて著しく立ちおくれ、東京ですらボンベイ以下の二四%という低い
普及率にとどまっていることは、政府も認めているとおりであります。わが党は、このような
状況のもとにある
下水道施設の緊急な
整備を強く要望するものであります。しかし、この法案に基づいて策定される新
下水道整備五カ年
計画と、政府の
下水道政策は、決してこの要望にこたえるものではありません。
反対理由の第一は、新五カ年
計画の遂行によって、都市
計画税、受益者負担金、
下水道料金の値上げなど、
地域住民に対する負担が一そう増大するからであります。歴代の自民党政府は、
下水道事業に独立採算制を押しつけ、受益者負担の名目のもとに住民の負担を強め、
河川の
汚濁、工業用水の汲み上げによる地盤沈下排水
計画を無視した工場建設による浸水の激化など、主として大企業、大会社によってつくり出されてきた生活環境の悪化を、国民にしりぬぐいさせる政策をとってきました。佐藤内閣は、新五カ年
計画においてもこれを改めるのではなく、逆に強める方向をとっています。そのことはすでに本委員会の審議を通じても明らかであります。政府は
昭和三十九年度から実施してきた事業費四千四百億円の
計画を改定して、新たに九千三百億円の五カ年
計画を発足させ、その初年度である今年慶予算から、国庫補助金を従来の大都市四分の一、一般都市三分の一から一律に十分の四に引き上げ、これによって
下水道事業が大幅に進行するかのように言っています。しかし、国庫補助金は依然として建設資金のごく一部に過ぎません。新五カ年
計画によって二倍以上に拡大される膨大な資金の大部分は、起債と都市
計画税、受益者負担金などでまかなわせ、その結果、年々増加する起債の利息は、
下水道料金の値上げで支払わせるものになります。すでに、
行政管理庁は、
昭和四十一年九月の
勧告の中で、都市
計画税の徴収の推進、受益者負担金制度の促進、適正な使用料の決定と徴収の確保等々、人民に対する収奪強化の方向を打ち出しています。
建設省、自治省はこれを受けて、都市
計画税を徴収していない市町村に対しては賦課徴収するよう強く指導せよとか、受益者負担金を徴収する制度を持たない都市は積極的に採用すべきであるなどの通達を出し、受益者負担金制度を広げるための標準省令案を作成するなど具体化しています。この事実は、佐藤内閣が強行しょうとしている
下水道整備五カ年
計画が基本的に人民の利益に反するものであることは明らかであります。
反対理由の第二は、この五カ年
計画の実施を通して官僚統制が強化され、地方自治が一そう破壊されるからであります。
下水道事業は、本来地方自治体の国有の事務であり、その
計画は、地方自治体と住民の間で自主的に決定されるべきものであります。したがって政府の果たす役割りは、その実施に必要な財政的援助、あるいは幾つかの自治体にまたがる事業についての
調整等にとどめられるべきであります。にもかかわらず、政府は流域
下水道の
整備、
河川汚濁防止対策、新市街地対策等、広域的な事業を重点とした
計画を一方的に決定し、建設資金の一部にすぎない国庫補助金あるいは起債の
認可をてことして、都市
計画税の創設と値上げ、受益者負担金制度の採用、
下水道料金の値上げを迫るなど、地方における
下水道事業の自主的な運営を妨げ、不当な干渉を一そう強めようとしています。そのことは、
行政管理庁の監査報告だけでなく、
建設省、自治省の通達が、これらの都市、受益者負担金制度を採用している都市に対しては、国費の補助及び起債の許可を優先的に考慮する
方針であるとして、その制度を採用していない都市との間に
行政的な差別をつけるとしていることから見ても明らかであります。わが党は、このような政府のやり方を断じて認めるわけにはいきません。
今日、すでに
全国百七十八のの
下水道事業実施都市は、例外なく膨大な建設資金の捻出と、年々増大する起債の利息の支払いに追われ、赤字を出しているところも少なくありません。政府の
下水道政策は、このような
状況をさらに激しくするものであり、決して
下水道事業の緊急かり
計画的な促進となるものではありません。
下水道事業は、本来、道路、公園などと同じように、基本的な都市の施設であり、その
整備には国税、地方税を充てるのが当然であります。にもかかわらず、政府は大工場のための埋め立て、産業道路、工業用水の造成など、大企業、大会社の利益を中心とした開発には国と地方の資金を惜しみなくつぎ込む一方、
下水道事業のような人民の必要とする事業には国の資金を押え、受益者負担金の徴収や、
下水道料金の値上げを押しつけています。
わが党は、自民党政府が以上のような政策をやめて、国庫補助金を大幅に増額し、さしあたって元金、利息の支払いによって財政が著しく窮迫している都市に対しては、起債の利息は全額を国庫で補給し、元金の償還は一時たな上げすることを要求して、反対の討論を終わります。