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1967-05-18 第55回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 大竹平八郎君                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 大橋 和孝君                 竹田 現照君                 二宮 文造君     委 員                 木内 四郎君                 佐藤 芳男君                 山本茂一郎君                 小野  明君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 瓜生  清君                 石本  茂君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        建設省住宅局住        宅総務課長    角田 正経君        会計検査院事務        総局第五局長   佐藤 三郎君    参考人        住宅金融公庫総        裁        師岡健四郎君        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        稗田  治君        日本住宅公団理        事        関盛 吉雄君        日本住宅公団理        事        尚   明君        日本道路公団総        裁        富樫 凱一君        日本道路公団理        事        宮内 潤一君        首都高速道路公        団理事長     林  修三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣  提出) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第五十一回国会内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十一回国会内閣提出)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十九年度決算外二件及議題といたします。  建設省及び日本住宅公団決算について審査を行ないます。  まず、日本住宅公団決算について説明を聴取いたします。林総裁
  3. 林敬三

    参考人林敬三君) 日本住宅公団総裁林敬三でございます。  日本住宅公団昭和三十九事業年度における決算概要を御説明申し上げます。  日本住宅公団は、御承知のように昭和三十年七月創立されまして以来、本年で十一年目を迎え、国の住宅施策の一環として住宅不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために集団住宅及び宅地の大規模な供給を行なうことを目途にいたしまして、着実に事業の進展を続けております。この間、国会をはじめ関係方面各位より格別の御指導、御鞭撻を賜わりまして、今日に至り得ましたことを、この際厚くお礼申し上げる次第であります。  まず、住宅建設状況から申し上げますと、当三十九年度における建設計画戸数は、賃貸住宅二万四千戸、分譲住宅一万二千戸、合計三万六千戸でありますが、これに対しまして同年度工事を発注した戸数は、賃貸住宅二万四千二十二戸、分譲住宅一万二千三百四十戸、合計三万六千三百六十二戸となっています。工事進捗状況は順調で当初計画のとおり推移いたしました。  この発注戸数に対し、同年度内に完成した戸数は、前事業年度末までに発注済みの分まで含めまして、賃貸住宅二万六千九十五戸、分譲住宅一万二千七百五戸、合計三万八千八百戸で、工事はおおむね順調にはかどりました。  住宅建設にあたって、まず確保しなければならない用地取得につきましては、日常努力を注いでいる次第でありますが、当年度におきまして、当公団住宅建設のため直接一般より取得いたしました土地は、国から現物出資を受けましたもの若干を含めまして、総計三百八十三ヘクタール、すなわち百十六万余坪となっております。  次に、宅地造成事業について申し上げますと、まず、住宅用地開発については、当事業年度予定取得面積は、継続事業分新規事業分を合わせて七百八十ヘクタール(二百三十六万坪)でありまして、これに対し同年度内契約を締結した面積は七百十七ヘクタール(二百十七万余坪)となっており、予定取得面積の九二%の実績を示しております。  また、工業用地開発については、当事業年度予定取得面積継続事業分新規事業分を合わせて二百七十一ヘクタール(八十二万余坪)であり、これ対し同年度内契約を締結した面積は、二百二十八ヘクタール(六十九万余坪)となっており、八四%の実績を示しており、用地取得はおおむね順調に進んでおります。  続いて、宅地造成工事進捗状況について申し上げますと、同年度における工事費予算額は八十億一千三百六十万円に対しまして、債務負担済み額は、六十億七千九百七十三万円で工事進捗率は七六%であります。  次に、住宅管理部門におきましては、昭和三十九事業年度末における管理戸数は、当年度完成戸数を含めまして総数二十七万四千五百五十七戸で、その内訳は、賃貸住宅十七万一千百九十月、分譲住宅十万三千三百六十七戸となっております。なお、この分譲住宅戸数には譲渡代金を完済したもの三千七百五戸を含んでおります。  次に、昭和三十九事業年度における造成宅地処分状況について申し上げますと、総処分面積は百五十五ヘクタール(四十七万余坪)でありまして、内訳は、住宅用地七十九ヘクタール(二十四万余坪)、工業用地七十六ヘクタール(二十三万余坪)となっております。  この結果、昭和三十九事業年度末までの造成宅地処分面積は一千二百四十二ヘクタール(三百七十六万余坪)でありまして、その内訳は、住宅用地七百二十三ヘクタール(二百十九万余坪)、工業用地五百十九ヘクタール(百五十七万余坪)となっております。  次に、昭和三十九事業年度における予算執行状況及び管理部門の損益につきましては、会計検査院の御報告のとおりでございますので省略させていただきます。  以上で昭和三十九事業年度における事業執行並びに決算概要の御説明を終わらせていただきますが、当公団事業推進のため、今後とも関係各位からの御協力を賜わりますよう切にお願い申し上げる次第でございます。
  4. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。佐藤第五局長
  5. 佐藤三郎

    説明員佐藤三郎君) 日本住宅公団昭和三十九事業年度決算検査の結果は、検査報告に載せますような不当事項はございませんでした。  以上であります。
  6. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  7. 大橋和孝

    大橋和孝君 一、二御質問させていただきたいと思うのでありますが、特に、この財政投融資の額の推移の問題でありますが、三十九年度には、出資金が九十五億で、政府借り入れ金が三百三十九億ですか、それに民間からの借り入れ金が三百四十億、こういうふうになっておるようであります。この政府出資金伸びは、いままでを見ますと非常に少なくて、そして借り入れ金が非常に伸びて、政府に比べますと七、八倍の伸びを示しておるようであります。それに借り入れ金の中に、六分二厘コスト政府資金よりも、七分、八分の民間資金ウェートが置かれるということになりますと、これはひいては、この住宅家賃とか、あるいはまた分譲住宅であれば分譲価格影響すると思うわけであります。もちろんそればかりが価格となるわけではないと思いますけれども、そういうことになると思うわけであります。ことに一万円以上こえるような家賃を払っている例もあるわけでありまして、そういう点から考えますと、もう少しこの資金構成が、借り入れ金ウェートを置かないで、公共料金の引き上げなりを抑制するような政府観点から考えましても、こういう点はひとついろいろ問題があるのではないかと思うのでありますが、公団側としては、どういうふうなお考えを持っておられますか。
  8. 林敬三

    参考人林敬三君) ただいま御質問の中にお述べになりましたとおり、最近は、公団事業資金財源変遷をしてまいりまして、以前は、政府資金相当の率を占めておったのでございます。公団十一年間を顧みて、平均をいたしましても大体半々、政府資金が半分、民間資金が半分と、まあ民間資金のほうが少し多いというくらいでまいったのでございます。しかるに、昭和四十年度くらいから、政府資金比率が減ってまいりまして、額としては伸びておりますが、比率は減ってまいりました。そして四十一年、四十二年、急激に減っておること御指摘のとおりでございます。したがって、民間が大体八、政府資金が一、あと自己資金が一という率になってきておるのでございます。そういう財源変遷はございますけれども、御指摘のような、それではそのために、その家賃なり分譲価格影響があるかというと、これはないような仕組みになっておりまして、すなわち、政府資金はおっしゃるように六分五厘で借りております。しかし、民間生命保険とかその他から借りますのは七分四厘から七分七厘くらいの金を借りておるのでございますが、賃貸住宅を建てますときは、それをならして五分利息計算をするわけであります。五分利息、そこで、その間の利息の差額というものは補給政府でしてもらうということで、何億という金、あるいは十数億、数十億という金を毎年政府から利ざや、利の違いだけは補給をしてもらっております。したがって、五分でやっておることで、もとの借り方は、政府資金だと利子補給が少なくて済みますし、それから民間のを借りれば利子補給をよけいもらわなきゃなりませんことがありますが、国民方々に対する御迷惑は同じということに相なっておるのでございます。ただし、そのお気持ちにあったと思いますが、私も非常に同感な点がありますのは、郵便貯金とか生命保険とか、そういう零細な貯金庶民の零細な貯金の集まりましたものは、なるべくまたこういう住宅公団のような、その他公営住宅のような、そういう庶民のための福利施設に還元をするという姿が望ましいので、それは家を建てます私ども公団職員のためにも非常に励みになります。また、お入りになる方の気持ちにおいても、またいい影響があるし、一般国民がながめてもいいわけでございまして、私内心としては、実はそのお金に色はないわけでありますけれども、しかしやはり、簡易保険とか生命保険のものを相当入れて公団資金運営をはかるようにしていただきたいという気持ちは持っており、そのほうがいいと思っておるのでございます。そこで、この郵政省とか、こういう資金運用委員会の方には、会うたびにそれはお願いしております。また大蔵省当局にもお願いをしておるのでございますが、まあ国全体の財政計画でいろいろとまたその政府資金がほかにも要るようでございますので、それで公団ではどっちから借りてもいい、利子補給すれば同じだという、どっか気安さがあるんだと思いますが、だんだんと民間資金が多くなってくるというのが実情で、私はしかし少しでも、むしろ政府資金のほうを多くして、公団のような仕事にはふさわしい、また生命保険簡易保険のほうからいっても喜ばしいことと、こういうふうに考えて、今後も努力して増してもらうようにいたしていきたいと存じております。
  9. 大橋和孝

    大橋和孝君 利子補給してもらっているからはね返りがないという話で、非常にその点はありがたいと思うのですが、しかし、私も総括のときにいろいろ質問しようと思いますが、いま政府のほうにも、大蔵省のほうにも要求をしておられるという話でありますが、私は、この大衆から納めたところの年金、いまのようなふうなものは、いまたぶんこういうようなところにはね返っているのは二五%くらいだと聞いてるわけでありますが、少なくともこれを五〇%、フィフティー・フィフティーくらいにするとか、あるいはいろいろそういうようなことで安い資金が回り、よりコストダウンさすことを念願しておったわけです。ところが、いま一万円以上もするような家賃もでき、あるいはまた、このごろ非常に分譲価格も上がっておるわけですが、もう少しそれは下がるような要因は考えられないのであるかどうか、その点で分譲価格、あるいはまた、そういう家賃コストに対する考え方を少し聞きたいと思います。
  10. 林敬三

    参考人林敬三君) 申し上げるまでもなく私どもの任務は、住宅に困窮する方々のために庶民住宅を提供するということでございますので、やはり現在のような住宅困窮状態のひどいときにおいては、数多くということが一つのモットーであります。それから同時に、少しずつ国民生活程度が水準が上がってきておりますので、少しでも質がいい、または少しでも広い、狭いながらも広いというもの、それからやはりこれが交通状態なんかで、土地が高くなりますので、だんだんと地方へ分散していきますと、交通状態の問題もございますので、できるだけ高家賃にならない程度では近い所近い所という、適地をといういろいろな要請の中で苦心惨たんをしておるわけでございます。ただ家賃につきましては、逐次、創設当初から見ると、倍以上になっておりますので、まことに残念でございますが、この原因というものをいろいろ調べてみますと、やはり土地値上がりということが大きな要因一つ、それから材料費というもの、あるいは手間賃というもの、大工さんの費用、こういうものの値上がりということがもう一つ要因、それからもう一つ要因は、やはり創設当初から見れば、だいぶ公団住宅といえども広くなっております。その規模増というものが原因でございまして、規模増と、地価の増と、それから工事費の増と、この三つがその年々によっていろいろの違いはありますが、大体三つの大きな要因になっております。そこで、いましかし、一年間に六万一千戸を建てる、また、来年はおそらく七万戸、その次は八万戸というように、一番日本で大口に住宅をつくるのでございます。そこで、いわゆる大量生産の利点というものを生かして、そしてできるだけ規格を統一して——あまりこううるおいなくなってもいけませんが、しかし規格を統一して、それによるコストダウンをはかる、また、大量生産によって備品類、流しとか、あらゆるものをいいものを安くたくさん注文するということでコストダウンをはかるというようなことは、たいへんいたしております。それで、私のほうの建築技術者から出してもらいました統計を見ましても、まあほかの方と比較して悪いのですが、府県のやっておる公営住宅よりも、いわんや民間住宅よりもはるかに安くて、しかし、比較すればまずいいというものをつくる努力をいたしておるわけでございます。また、土地の選び方につきましても、まことに苦心惨たんをして、いわゆる割安の所を選んでおるのでございますが、それでも遠くになり過ぎるとか、それから高過ぎるとかいろいろな御批判を受けて、反省をしながらやっております。大量生産あるいは規格建築あるいはあらゆるそういうことを生かしましたくふうと努力というものを払って、まあ次第に家賃はどうしてもこういう時勢で高くなりますが、その中でも割安のものをつくり上げて、また良心的なものをつくり上げる努力を今後も一そう励みたいと存じます。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 たいへん御努力もよくわかるんでありますが、非常に苦労しておられることもわかりますし、また、現在応募者も十何倍あるいはまた三十倍をこえるというところから見ましても、非常に住宅難で苦しんでおる状態ではあるけれども、こうしたいい住宅に対する国民の希望もあると思うのでございます。そこで、時間がせかれておりますので、非常にまとめて御質問したいと思うのでありますが、東京周辺では、北八王子だとか、あるいはまたあちらこちらに、非常に三十五年あるいはまた三十八年ごろから着手されまして——三十二年ごろから着手されまして、いまだに進んでおらない所があるわけでございます。こういうことで、いまのいろいろな問題を考えてみますと、やはり国民要望は非常に大でありますので、こうした計画に、まあいろいろ土地の問題もありましょうし、いろいろな困難はあるのを、いまお話は聞いておりますが、もっともっとこれを計画的に、あるいはまたより支障のないようないろいろな綿密な計画と申しますか、あるいはまた配慮と申しますか、そういうものを重ねて、私はこうした事業のより十分な遂行ができるようにひとつ考慮をしてもらいたいと思うわけであります。そうしたことに対しては特に私は配慮してもらいたいと同時に、いまこの公団が非常に超高層化になっているわけでありますが、その問題に対しましても、特に都市改造と申しますか、道路交通難道路が狭くて各都市とも非常にこのごろは困っておるというところで、私は道路の中で都市交通の安全を期するためにも、今度は住宅のほうで高層化がされたら、こうした住宅公団のほうのいろいろな計画もそういうところに盛り入れてやってはじめて都市改造ができるのだと思うわけであります。そういう配慮からも、私は、もっともっと充実した、あるいは急速にこれができるような資金運用も、あるいはまた、いろいろな要望もされなければならぬと思うのでありますが、特に、そういう点について十分な配慮といいますか、特にそういうことを思うわけであります。  そこで、私はもう一つ重ねてお伺いしたいわけでありますが、いままで何でも公団では、大きなマンモスといいますか、大きな団地ができるわけでありますが、そのできるために地方公共団体が非常に圧迫を受ける。たとえば学校だとか、保育所だとか、あるいは道路とか上下水道だとか、いろいろな問題があるわけでありますが、もう公団のほうでは配慮されて、たぶんこれを立てかえて建設をして、何か二年間ぐらい据え置いて三年ぐらいで返却するというような形でありますが、おそらく地方公共団体で、三年ぐらいで支払うということでは、とても耐えられないということになるわけだと思うのでありますが、こういうことも一つの障害になると思うのであります。こういう観点からも、もう少し何と申しますか、公共的なものに対するやり方ということを、もっと積極的に考えてもらいたいと思うわけでありますが、そういう観点については、どういうような構想をもっておられるか、あるいはまた、非常に倍率が高い人が要望しておることにこたえるためにも、だんだんふえていく計画もあるでありましょうが、資金運営の面でどういうふうに地方に対しては、あるいはまた大蔵省に対して要求しておられるか、苦労のほどは先ほども聞きましたけれども、もっと綿密な将来の展望をここで伺っておきたいと思います。
  12. 林敬三

    参考人林敬三君) 御質問でお述べいただいたこと、いずれもまことに大切なことで、ごもっともなことと存じます。私どもも御趣旨のとおりに考えておるのでございまして、やはりもっと住宅難に対処して住宅を大量に供給するにしても、国家全体としても、基本計画というものが、もっと総合的に、住宅だけでなく、あらゆる公共施設なり他のいろいろな交通なり、資金計画なり、あらゆるものとマッチした大きな基本計画というものが、もっと確立しておったらもっとやりやすい。また、もっと確立していないと、何となく前途に不安があるということを痛感する次第でございます。もはや、もうあき地があるから行き当たりばったりで家を建てたらいいという時代ではございませんし、そういう所ももうこういう大きな機関がやる所としては残されておりませんし、また、やりましたら、害があると存ぜられます。したがって、現状においても、できる限りのあらゆる面を広く当たりました基本計画の線に沿って、そうして国土計画地方開発計画、そして都市計画と、その線に沿ったところでは比較的適地を求めて、それから基本的条件にぶつかりますいろいろな問題というものを解決しながら家を建てて進めているというのが現状でございます。  同時に、お話しのように、都心部改造ということもまさに大切でございまして、あまり遠くへ行く、ちょっといま限度になっておりますわけで、これ以上になりますと、現状交通状態では通勤に差しつかえる、勤務に差しつかえるというような状態都心部改造ということも必要でございます。研究家のいろいろな話によりましても、やはり人口の三分の一ぐらいというものは、働く所と、寝る所、住む所というものは、そんなに遠くにあることを許されないものがどうしてもある。東京でいいますれば、やはり東京の中心に働く人の三分一ぐらいというものは、大体山手線のまわり以内ぐらいのところ、三十分以内ぐらいで通えるところに住まなければならないという、いろいろな条件が、学者の研究から出てくるようでございますが、そういう面から見ましても、やはり高層化を、そうして、高層化をしたその間に、いわゆる緑と空間と太陽とを入れる、そうして、上へ上へ伸びていくということを、これまたはかっていかなければならぬ。しかし、それだけで解決がつくかというと、決してそれでこの人口問題、住宅問題は解決つきませんで、やはり適切な所に交通機関を伸ばしながらの郊外の団地づくりということもさしていただかなければならないと存ずるのでございます。  その中でいろいろ問題がございますが、用地の問題もあれば、交通の問題もありますが、御指摘地方公共団体との間の負担の問題というもの、これまた地方公共団体側にとってももっともな話ということをつくづく感ずるのでございまして、学校の問題、道路の問題、下水道、上水道、汚水処理保育所、これら、まあいずれも負担になってまいりますわけであります。率直に申しますと、長い年月をかけた目でながめますれば、健全に発達すれば、その行き先の市町村にマイナスになるということはない。むしろ整然とした都市計画に基づく都市づくりができて、そうして、その土地人たちにも資すると存じますが、数年の間というものは確かに負担が多くなるわけです。そこで、その国庫補助のあるもの、あるいは起債の許されるもの、それでもなかなかすぐ短い期間では償還ができない、あるいは施設ができないものは、まあできる限り公団でもってかわってこれを建築し、そうして、かわって維持していきます。そうして、公共団体が支払い得る限度の相談をしながら、逐次償還をしてもらうというようなことで、学校ども起債が三年間ということになっておりますが、これはその三年間で償還するということが自治体ではほとんど無理な状態、そこで、公団がこれをさらに引き受けて、かわりまして、そうして七年から十年というくらいの長期でもって公団に返してもらうということで、まあこちらが、入っていきますものとしてもある程度の犠牲を忍んで、その地方にもお尽くしをしながらまたなすべきことをなしながらやっていくという状態でございます。ただし、この府県市町村との間にも相当激しく折衝をし、また、こちらもがっちりやるわけでございまして、われわれは結局、これは家賃にはね返ってくるものでございますから、入る人に対して、またあまりに負担が多くなってもいけないということを考えながら、しかし、自治体の立場も考えて、そうして短い年度では負担が多いけれども、長い年度ではかえってプラスになるというような計算のもとに、自治体も納得していただいて、それぞれ自治体の事情もありますが、できるだけ円滑にやるように努力をしておるわけでございます。幸い昨年いわゆる住宅計画法というものを通していただきましたので、中央においても、地方においても、住宅五カ年計画というものが総合的に考えられるようになりましたので、公団といたしましては、その中においての五カ年間に三十五万戸ないし三十九万戸を分担いたしまして、そうして、それぞれの府県の中にまたそれぞれ公団計画として入ってまいりまして、そうして、円滑に、また資金財政の面においても、そのほかの交通の面におきましても、あるいはほかの社会生活のいろいろな面におきましても、公共施設の整備の面におきましても、極力マッチするような整然たる発展というものを遂げてまいるように、今後も一そう励みたいと存じております。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 特に私は、そうした配慮が必要であるし、この各都市都市計画とか、もちろん国もそうでありますが、そうした計画にマッチしたもので、もっともっと推進をするようなことを反映しつつ、特にいまの議論をしておる焦点も、この来年度予算のときにも、大きくこれを反映してもらいたいというようなことを考えておるわけであります。  特に私は、ここで少し近畿のほうのことについて触れてみたいと思うのでありますが、これは道路公団のほうに対してもお伺いをして、同時に、考えておるわけでありますが、いま大阪では万博の計画があるわけでありまして、あちらのほうでは道路公団のなにも新しく設けられて、そうして、これのためのいろいろ施設計画されていると思うのであります。私は、こうした、東京はオリンピックのために道路が非常に普及した。今度は大阪は万博のために相当道路も普及されるというふうに考えるわけであります。こうした観点で、私は、大阪、近畿の将来の展望から考えて、京都府方面が比較的ベッドタウンとして将来発展するのに好適な地域ではなかろうか。そうなると、私は、あそこの中で道路網を道路公団のほうで考える——もちろん政府には中央のほうであるわけでありますが、道路公団のほうからも大きくこれを盛り上げていただいて、京都方面に対する道路網を整備してもらう。同時に、それによって住宅公団が将来この二年間に大きくそこに重点的な目標を設定して、そして住宅建設を大きくやってもらうということが、私はあの近畿地区の住宅問題を解決する非常にいいチャンスではないかと考えるわけでありますが、そういうことの考え方。そうしたところで大阪周辺の、特に京都側に対するところの非常に好適地があるわけでありますが、そういうふうな問題も含めて至急にこれを具体的に調査をして、そうしてそこらにベッドタウンをつくると、そういうためには特に来年度から予算を計上してもらうような折衝をするという、そういうような方面についてのお考え方をひとつ聞かしてもらいたい。
  14. 林敬三

    参考人林敬三君) 万国博は、申すまでもなく世紀の大事業でございまして、いろいろ困難も多いようでございますが、しかし、ああいうことをいたします国民努力の総合というものを契機として、それをいいほうにさらに伸ばしていって、あの付近の大きな画期的な発展をはかるというお考え、まことにごもっともだと存じます。住宅公団といたしましては、御承知のように、大阪に支所がございまして、そして大阪を中心としてあの付近一帯の人口集中に対処する住宅問題の解決ということに努力をいたしてまいっておる次第でございます。それで、京都府にも相当いままでも努力をいたしておりまして、あの中の市内の市街地住宅をつくりましたり、それから京都と大阪の間にも現在も候補地をずっと選考して進展中、折衝中というところも数カ所ございます。さらに京都だけでなく、滋賀県からも相当な希望がございまして、これらについても万博が終わるころの交通状態というものともにらみ合わせて、それからそのころの住宅の需要というものともにらみ合わせて、健全な発展というものをはかるようにつとめてまいりたいと存ずるのでございます。で、どういうのか、ただ大阪付近というものが、やはり阪神のほうへはわりあいに伸びが楽である、あるいは奈良方面にはわりあいに伸びない、北のほうには住宅がなかなか伸びていかないというような、あそこの一つのいままでの傾向がございます。それだけに私どもにとってはやはり一つの穴場といいますか、近いところにわりあいに候補地があるということでもございますし、また、万博のあと地をどう処分するかというようなことも、いろいろまあこれは有意義に御処分を願わなきゃいけないと思いますけれども、そういうあたりも私どもも入る余地はないのかというようなことも寄り寄りいろいろ相談をしておるような次第でございます。御趣旨の方向に沿って公団といたしましても最善の努力をいたしたいと存じます。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一点だけ。特に私は、そういう機会に御配慮は願っておるでありましょうけれども、特に東京のオリンピックのごとく、今度の万博に対しての考え方を相当集中的に考えてもらって、いまちょうど総裁がおっしゃったように、非常に私は京都と大阪間、ことに京都に面したところの、京都に入ったところのあの辺の地区に対しては非常にいい地であるし、ただ、あの辺にベッドタウンがいまできることが一番近く、先ほどからおっしゃったように、毎日の朝晩の勤務するために要する距離的な時間というものを縮小する意味においても、私は一番大事なことだと思うわけです。そういう観点で特に万博に関連をした考慮というものを相当大きく盛り上げていただかないと、こうしたことが伸びないと思うわけであります。特にまた京都府におきましても、相当万博に対してこれからいろいろ援助しようというような計画もあるようでございますが、やはり国のほうにおいても、道路公団あたりも、住宅公団あたりにおきましても、そうしたものを十分盛り上げて要求を出してもらうことが、また国を励ますことにもなる、また国の政策をよりつちかうことにもなると思うわけでございまして、そういう点で私は万博ということを中心において、特に京都府の付近に住宅建設というものを大きく打ち出して、私は本年度から前向きになって進んでいただくことをひとつお願いするわけでございまして、そうしたことに対する総裁の考え方もひとつお聞きいたしたい。
  16. 林敬三

    参考人林敬三君) いまお述べになりました御趣旨ごもっともと存じます。私のほうも、あそこの支所をよく督励いたしまして、また大阪府、大阪市、それから京都府、市、そういうところともよく連携をとって、いまも相当の仕事をその中間においてはいたしておりますが、今後もでき得る限りの努力をいたしてまいりたいと存じます。
  17. 大森創造

    ○大森創造君 住宅公団土地の買収という作業は非常にむずかしいということは私も了解できますけれども、従来は、買収にあたって相当とかくのうわさがあったことも事実でありまして、私もそれは実際経験しておりますし、わかっているのです。そこで、従来よりはだいぶ改善されたようには見えますけれども、まだまだ改善すべき点があるようでございます。過般二宮議員が指摘した光明池の問題についても、それは一つの例だろうと思うのです。そこで、具体的な問題をお尋ねしたいと思いますが、私は、ここ二、三カ月来千葉市外に今度できます日本一の住宅公団、花見川団地についての調査を行なってまいりましたけれども、なかなか住宅公団側では資料を出していただけませんので、幾つも疑問の点が出てまいりましたから、きょうは、あからさまに私の現在考えております疑問の点を具体的にお尋ねをしていきたいと思うのです。その千葉の花見川団地の具体的な事例について質問いたしますが、公団総裁から、花見川団地買収について、その発端から買収完了までの経緯を具体的にかつまた包括的にお述べいただきたいと思います。
  18. 林敬三

    参考人林敬三君) いまお尋ねの花見川団地と申しますのは、千葉市のいわゆる新編入区域の千葉市の柏井町にある所でございます。成田線に行きます沿線の近くに存在しております。面積は七十万四千九百四十四平米、すなわち二十一万坪余りでございます。そこに地主が百七十八人おりまして、そして地区は三つに大きくいいますと分かれております。花島地区というのと柏井地区、天戸地区というのとございます。大体昭和三十九年の四月ごろから、こういう所が相当土地がまとまって、買ってほしいという申し出が公団のほうに連絡があったようでございます。だんだんとそれが熟してまいりまして、そして公団でこれを買おうということにきまりまして、四十一年の二月十二日が第一回であります。それから十一回にわたって買収契約を進めまして、一番終わりの十一回目は、四十二年の一月十七日でございます。そして買収をいたしまして、これの買いました金額の総額は二十四億三千六百七十四万三千五百八十三円でございます。なお、買いました平均単価でこれを見ますと、一平米当たり三千四百五十七円、すなわち、三・三平米、坪当たりにいたしますと、平均いたしまして坪一万一千四百二十七円で買っております。なお、詳細に申しますれば、初めの九回までにまとまりました土地が、平均単価一万一千三百円でございまして、あとの二回分のところは二万二百五十円という単価になっております。  かくして買収を終わりましたので、そこを少し整地いたしましたり、住宅を建て得る状態につくりかえまして、そうしてそこに住宅建設する予定で、すでに建設の発注をいたしております。大体、戸数といたしましては、昭和四十一年度には四千七百八十二戸、それから昭和四十二年度に二千二百九十八戸、合計七千八十戸をつくるという予定にいたしております。すなわち、四十一年と四十二年でやって、四十一年からスタートしておりますから、やってしまう予定でおりますが、幾分四十三年にかかるところがあるかもしれないというような状態でございます。で、それができることと関連いたしまして、いろいろ交通の問題、バスの問題、道路の問題というものを関係自治体その他と協議を進めて、大体順調に、いろいろと問題ございますが、進んでおるのが現状でございます。
  19. 大森創造

    ○大森創造君 大体わかりましたけれども公団土地買収事務の進め方はどのように行なわれているのか。  まあ説明しますというと、地主がございます。地主の代表がいる。それから公団。この三者の間の土地買収の交渉、それから契約と代金支払いの進め方について、少し詳しくお述べいただきたいと思うのです。  また、その間の不動産業者の役割りはどのようなことをやっているのか、不動産業者。
  20. 林敬三

    参考人林敬三君) さきにお述べになりましたように、用地の買収というものは、公団の仕事の中でまず一番むずかしい仕事でございます。それからまた職員も、率直な気持ちで言えば、一番いやがる仕事でございます。しかし同時に、一番大切なんだからということで励ましてやっておりますし、なかなかよくやっているというふうに、もちろん人間でございますから至らない点はございますが、なかなかやっているという感覚を持っておる次第でございます。しかし、限られた人数で、いかにベテランと言いましても、大量の土地相当ある期間、短い期間で買っていかなければならないということがあるわけでございます。そこで、売る意思のある地主というものがいろいろと申し出てくるわけです。地主さんが直接来られる場合もあります。それからいわば不動産屋といいますか、ブローカーといいますか、そういう人からの話で持ち込む場合もございます。それから、部落会長あるいは市町村を通じて持ち込んで来るのもたくさんございます。一番私どもの歓迎するのは、当該市町村が持って来られるというのが一番こちらとしては信用もありますし、あとあとのいろいろな負担とか、いろいろな問題もスムーズにまいりますので、それを一番望んでおるのでございますが、いろいろなケースがあります。もちろん、初めからまゆつばであったり、悪質であったり、あるいは問題のあるものは省いていくわけでございますが、ある程度こちらで協力すれば解決し得るというようないろいろトラブルのあるところはそれをそのまま取り上げて、住宅適地を選定して、買収するような方向でまいっております。  それから手続その他を完全に了しました場合は、土地収用というものができるたてまえになっておりますが、しかし、これには非常な年月がかかりますし、また、あまり好ましくない、もうやむを得ない方途だと存じますので、原則はやはり、任意収用、任意買収ということを前提として、ほとんど全部いままで土地収用をやったことがございません。振りかざしたことはありますが、やったことはございません。そういうような状態で任意買収を前提としてやっております。  それから、なるべく間に人が入らない、できるならば個人との直接の契約によってやる、あるいは間に入りましても、最後の契約は個人同士でやるということができるものについては、できるだけやっていきたい、これが基本の考えでございますが、しかし、いろいろな事情がありまして、個別契約によりがたい場合が多いのでございます。その場合は、地方公共団体に入ってもらう場合もあります。あるいは地主の正規なちゃんとした委任状を受けた一括契約代理者、そういうものを相手にする場合もございます。また、地主の中から代表を出して、それを契約代理人として持ってきて、それがそう無理なく、そういうことで双方の合意できまっているということが推定されますものについては、それを相手として買収をいろいろするということをいたすわけでございます。その場合には、そういう代表、代理者あるいは公共団体が入ってくる場合に一括して買い上げます、こういう場合には、対象の土地全体については公団が一括した評価を行なう。そうして個々の土地についての一筆一筆の評価は行ないません。それは地主相互間または地主と契約代理人との間の話し合いにゆだねてしまう。これは実に、御承知のように土地というものはいろいろ違いがあり、あらゆる複雑な事情がございまして、それをたとえばここで言いましても、二百人に近い者を一々追っかけて一々差をつけて行司役をやっていたのではとてもできませんものですから、それを内部の調整にゆだねまして、一括して買うということをそういう場合には行なっておるのでございます。  それで、その場合に、不動産業者というものが地主さんのまたさらに下働きになるといいますか、地主代表の下働きになるということでベテランぶりを発揮して、いろいろ調査、交渉をするということもこれはあると存じます。ただし、いわゆる悪徳土地ブローカーというようなものは、これは絶対に入らないようにする。それからブローカーといいますか、不動産業者が代理人になるときは、その身元を厳重に調べ、特に個人の地主さんが、赤子の手をねじるような形で知らぬ間にいろいろなことがやられてしまうということのないように、こちらは気をつけて、サービスといいますか、いろいろな努力をいたしておる次第でございます。  そこで、一括してどうして評価するかといいますと、近傍類地の売買実例を調べましたり、あるいは固定資産税の基本額を調べましたり、相続税の基本額を調べましたり、そうして公団独自としての一応価格というものを計算してみる、そうしてさらに不動産鑑定の専門機関にお願いをしまして、そうして鑑定をとりまして、評価をとりまして、その範囲内で話がつくということにおいて、一括した平均の価格というものを出します。それをもって代表者に支払うということをいたしております。また、支払うときには、地主の代表者である場合は、地主のまた立ち会い人を求めて、必ずこういうものを支払うということを明らかにして、誤りのないことを期してやっておる次第でございまして、絶えずこういう問題については、できるだけ能率があがるように、そうしてまた相互間に不平がないように、また誤りのないことを期して、反省をしつつ改善をいたしながらいつも進めておる次第でございます。
  21. 大森創造

    ○大森創造君 土地買収のいきさつと手続という一般的なお話は承りましたけれども、私はあとからお伺いしますが、この花見川団地の買収のいきさつと、それから手続と交渉過程というものについて少しわからないところがございますが、あとで御質問いたします。  そこで、花見川団地の買収の予定価格と申しますか、そういう公団側予算額が初めにあったはずだと思いますが、坪幾らか。私の調査した限りでは、住宅公団にお伺いした範囲では、メーンの土地、おも立った土地は坪当たり一万一千三百円であって、一部の道路用地が二万二百五十円と承っておりますが、これは事実でございましょうか。
  22. 林敬三

    参考人林敬三君) ひとつお許しを得まして、稗田理事からお答えさしていただきます。
  23. 稗田治

    参考人(稗田治君) 先ほど総裁からお答え申しましたように、花見川の団地につきましては、価格は、十一回にわたって契約いたしましたが、九回までが一万一千三百円、それからあとの道路その他に関係のあるところで二万二百五十円、御質疑のとおりでございます。
  24. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、九回までは一万一千三百円、おも立った土地の買収価格の予定価格ですね、これは。そこで、十回目は多少高くなっているということはわかりますけれども、大体住宅公団で予定価格としたものは、当初からメーンの土地は一万一千三百円であって、一部の道路予定の土地は二万二百五十円であったと、稗田さんがお答えになりましたが、私の申し上げたこの数字に変わりないでしょう。
  25. 稗田治

    参考人(稗田治君) 予定価格と申しますのは、公団が買収を最終的に決定いたしまする場合に、評価審議会にかけまして、そこに議案としてかかるわけでございます。そのときに初めて一万一千三百円がおさまるだけの額がきまるわけでございます。当初から一万一千三百円というようなことを予定して始まるわけではないわけでございます。不動産鑑定、その他の売買例、その他のいろいろの資料を添えまして、妥当な額である。かつ、公団住宅経営上これでやれば実賃もそう高くはないし、予算にもおさまるというので、評価審議会ではかってきまるわけでございます。
  26. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、土地鑑定人とか、いろいろなものの評価を勘案して花見川団地のメーンについては一万一千三百円が妥当であろうという数字は一応出すんでしょう。その場その場の行き当たりばったりで、二万円になったり、一万二千円になったりするものではないのであって、一回から九回までの買収価格が一万一千三百円であるということは、予定価格はどうかわかりませんけれども、とにかくこの価格の範囲内で買いましょう。しかも、総額二十何億という目安の数字はあるわけでしょう。それが評価審議会で調査をした結果、一応目安として一万一千三百円、道路用の土地は二万二百五十円という数字は一応メドとしてあなたのほうにあるわけでしょう、最初から。
  27. 稗田治

    参考人(稗田治君) この花見川の地区について申しますると、正確に申しますると、一万一千四百二十七円という額が評価審議会の額でございます。
  28. 大森創造

    ○大森創造君 わかりました。  そこで、道路を除いたメーンであるところの一万一千四百二十七円の地区についてお伺いしたいと思うのです。  私のほうも現地調査には数回行きまして、おたくのほうでの資料が出てまいりませんので、相当人数から、実際の地主に当たって買収の価格を聞いております。百七十何人とかいま総裁がおっしゃいましたけれども、全部には当たっておりませんけれども、大体数十人の人に当たって聞いておりますから、そうして得た価格ですから、実際に地主が売った価格、これは統計学的にもたいしたミスはないと思うのです。誤差は少ないだろうと思うのです。実際に当たってみたんです。そうすると、坪六千八百円あるいは七千五百円、八千円くらいが最も多いわけです。きわめてわずかに一万一千円というのがあります。これを平均しますと、全部に当たっておりませんが、数十人について調べたところによりますと、いま申し上げたとおりの数字なんです。私の勘では七千五百円から八千円くらいの間ではなかろうかと思うのです、実際の買い値は。いまおっしゃられたようにその予定価格と申しますか、そういうものは一万一千四百二十七円だそうですが、私が実際に当たってみた限りでは、七千五百円から八千円くらいまでの間であろうと推測されます。そうすると、いま言われました一万一千四百二十七円とは非常な大きな隔たりがあるわけです。これはどういう意味を持つのか、非常に私は疑問に思う。この点ひとつ簡単にお答え願います。
  29. 稗田治

    参考人(稗田治君) 内部の地主間の受け取りにつきましては、地主相互間の話し合いあるいは契約代理人と地主との話し合い、それによってきまっておるわけでございます。したがいまして、公団としましては、地主間の向こう側のことでございますので、これに立ち入って介入するということは避けておるわけでございます。ただ、いろいろたとえばなわ延びの問題でございますとか、本人が売り急いでおるとか売り惜しんでおるとか、そういう個人的な事情もございますし、また、場所その他のこともございますので、地主間の坪当たり単価につきましては若干の差異があるということは予想されるわけでございますが、なお、一括代理契約をいたしました場合には、その事務を進めていくまでにいろいろ地主間の会合その他で費用がかかるかと思いますが、そういうようなものも含まれて増額となると思います。
  30. 大森創造

    ○大森創造君 いまのお答えの点、確かに土地買収の手続は煩瑣であって、それから非常に微妙な点がありますので、私はわかるのでございますけれども、しかし、いかに複雑であろうと、微妙であろうと、ずうっと経過をたどっていきますと、明確なものが出てこにゃいかぬと思うのです。その点について私が調査した限りでは、納得がいきません。そこで、花見川団地の最大の地主はだれかというと、これは公団側で御承知のように、京成電鉄です。京成電鉄は、非農地とそれから農地を合わせて五万二千坪持っております。それからもう一つ地主代表の川口幹、その奥さんの川口中丸という人、この川口中丸という人の土地は二万五百坪のはずです。そうすると、京成の五万二千坪と川口中丸さんの持っておる二万五百坪と合計いたしますと七万二千五百坪という数字が出てまいります。そうすると、いま公団総裁の言われました総面積の三分の一をこえるわけです、この二人の地主が。  そこで、私どものほうの調査で、地元の人の話を総合したり実際に当たってみました。それから川口幹さんに会って聞きました。そうすると、こういうことが判明したわけです。京成の支払いは坪当たり全部おしなべて一万四千五百円ということを言うております。しかし、私が個々に地主に当たってみますというと、さっき申し上げたとおり、六千八百円から多くて八千円くらいである。一番高いのが一万一千円くらいであって、平均すると七千五百円から八千円の間であるにもかかわらず、京成の持ち地については一万四千五百円であるというふうに私の調査のほうでは出ております。  それから川口さんのほうの二万五百坪については、これは本人に当たって聞きましたところでは、一万三千五百円であります。そこで、ここに地図を持っております。京成の土地も川口さんの土地も、幾筆にも分かれていまして、農民の土地の間に散在しております。周囲の農地や山林がすべて七千五百円前後で、京成と川口さんの土地のみが倍近くの単価で公団と取引されておるというのは、私は納得ができないわけです。そういう疑問を払拭するためにひとつお答えいただきたいと思います。どういう事情でしようか。これは京成の土地と川口さんの土地はやっぱりばらばらですよ。それから現地へ行ってみまするというと、京成の土地と川口さんの土地のほうが倍以上の値打ちがするとは思えません、散在しておりますから。これはどういう事情でございましょう。
  31. 稗田治

    参考人(稗田治君) 代理契約の場合は、そのような個々の地主との問題につきましては、代理契約人と地主の相互の納得によって配分されたものでございますので、公団としましては、的確にその理由はこうでありますということは申し上げられないわけでございます。
  32. 大森創造

    ○大森創造君 いまの御説明や前の御説明では、どうも私は釈然といたしません。で、公明正大に何らやましいところのない事務のしかたを行なっているなら、地主個人別の実支払い額を記載したリストを提出していただけませんか。
  33. 林敬三

    参考人林敬三君) 先ほど来のこの問題についての大森委員からの御質問でございますが、先ほど申し上げましたし、また御承知と存じますが、二百人に近い地主を相手にいたしまして一つ一つというわけにまいりませんものですから、そこでこれは三つの部落がある。それの代表者、さらにその三つの部落の代表者の中から川口氏というのがまた総代表になりまして、その代表との間にその土地二十一万坪全体についての評価というものをこちらで行ないまして、そしていわゆる一万一千三百円という評価をする——少し高い、専門機関の評価は少し高いのですけれども、話し合いをしまして、そして一万一千三百円で一括して買おうということで話をきめたわけでございます。そこで、その中にはもちろん川口という人がその単価でお金を受け取りましても、その中の分け方というものになりますれば、いい土地もあれば悪い土地もあるし、それからまた山林あたりのなわ延びというものはたいへんなものだということも申しておるようであります。また便利なところ、不便なところ、それからもうすぐにのどから手が出てお金のほしい人と、それから売りたくなくて、もうとても動きたくないという人、そういうようなことでいろいろな違いは実際あるようでございます。それからまた代表になったり、それがまた非常にいろいろな事務機関を使いましたり、それから代表の補佐者になった人、いろいろそういう人の実費というものもかかっておることだと存じます。そしてそれらはみなしかし一切を委任するという委任状を書いて地主さんが出しておりまして、そしてその人との間で結ばれているわけでございます。で、自分の大事な土地を一切これを交渉するときあなたにまかせるといって判を押すときというものは、必ず自分の土地は幾らで売って幾らになるんだということはまずまずちゃんと納得された人は、納得がいってみな委任状を出してきているものだと思います。その委任状に基づいてこちらはやっておるわけです。  それは個々の百七十何名の中のそのアンバラがどうかということについては、違いについてまでは、こちらは関知しないという態度を、ほかのところにおいてもそういう態度をとっております。四、五人の地主のときは、むしろ代表者はなく直接でやってしまうということをいたしますが、この百人、二百人となりますときは、代表者との間で間違いない取引をする。それからあとの間のことは、しかし地主相互のことでございまして、悪徳ブローカーと地主というのではないわけでございまして、地主相互間においてのそれぞれのお家の事情というものによっての違いというものはそれぞれあるだろうということは、こちらも知らないとは決して申しませんけれども、そういうような状態で、平均してここを幾らで代表者の、正規の権限に基づいた代表者に幾らで渡したということは、まあ私どものほうははっきり存じておるわけでございます。あとはまあ間接のいろいろなうわさとか、たまたまこういう仕事をやっておりますために知りましたという程度の知識であるわけでございますが、そういうたてまえでいたしておるわけでございます。で、やはりその代表者間あるいは各部落の代表者を集め、そしてそれらで相談して、それから個人個人は委任状を出すときに納得して出しているものと私どものほうでは見て、それでその中のところまで、今度こっちが入って、おまえはこっちだ、おまえはこっちだ、どうだというふうなところまでタッチすることは行き過ぎじゃないか、かようにも考えまして、そこはこちらはタッチせずに、全体としての平均価格で買収をして、代表者は正規の権限で正しく行使するもの、こういうことで出しておる次第でございます。
  34. 大森創造

    ○大森創造君 林総裁のお話は一般論としてはわかります。そういうややこしい手続をとるということもわかりますけれども、私がいま具体的に質問をしております問題についてのお答えにはなっていないと思うのです。そこで問題は、個々の地主に当たってみたのですよ、私のほうは。それで先ほど申し上げたような数字が出てきた。それから川口幹氏と京成の土地についてはこうだということを私は指摘しているのです。一般的な手続や交渉過程のことを言うておるわけではございません。そこでそれならば、地主個人別の実支払い額を記載したリストを提出していただきたいと思うのです。これがあると思うのです。この書類は地主の代表川口幹の依頼で三菱銀行の千葉支店で作成し、公団を通じて税務署に出されておるわけです。その写しが公団にあることはあなたのほうの担当の方から私は直接聞いております。ですから、公団は所得税法や法人所得税法の秘密を守る義務に縛られていないはずですから、これはぜひ出していただきたいと思う。これを出していただくと一ぺんに氷解すると思うのです。いかがでございますか。
  35. 林敬三

    参考人林敬三君) そういう書類を地主代表から公団を経由して税務署に提出があるということはお話のとおりでございます。これは公団土地を買いますときの、いわゆる税法上のいろいろな特典もございます。それから、公団が買い主でございますから、いわゆる不動産の売買についての買い主のほうからの立場というものもいろいろあろうかと存じますので、そういう地主から公団を経由して税務署に書類を出し、公団からは一括して総額として平均単価で受け取ったけれども、それを個々の地主にはどういうふうに配って、個々の地主のふところにはどう入っておる、それから事務費をどういうふうに引いてあるという書類でございますね。これは本来は、あるいはまた、この地主の代表の方から税務署にお出しになるのが本筋かと存じます。しかしいろいろ公団が買い主でもございますから、そういう関係で公団を経由することにずっとなっておるのでございます。それで、そのほかに各個人は個人で税務署に申告をいたしておると存じます。そこで公団としては、それはしかし、本来地主代表が、地主全体がどういうふうにお金を受け取ったかという書類を税務署に出すものであって、それを公団を経由して出している、こういう内容のものでございます。したがって、公団はお取り次ぎをしておるという、中途を経過をしていった書類なのです。それじゃ公団は見ていないかというと、東京支所はこれを見ております。内容も知っております。しかしながら、これはどういうわけだとか、これはどうであるとか、オーソライズは一切しないわけでして、そのまんまを黙って税務署に出しておる。それから、それはいわゆる参考の資料として地主からこういう参考の資料が出ましたということで、参考資料として提出いたしておるわけでございます。したがって、その御要求がありましても、私のところはいわゆる経由機関でございます。それでまた、そこでもって私のほうがチェックして、これは妥当である、これはいけない、あるいはこれはもっとこうじゃないかというようなことでもやって、こちらの書類として出したものであればこちらの文書だと思いますが、そのままをすうっと出してあるものでございます。したがって、いろいろ税金のことや何かに関係ございますと存じますが、地主の方がお出しになるなら別、それからまた税務署が国家の機関としていろいろ御要求に応じてお出しになるならこれは別でございますけれども、中間の経由機関がそれをお出しするということは、いろいろ差し控えるべきではないかと、かように存じますので、ひとつ御了承を願いたいと存じます。
  36. 大森創造

    ○大森創造君 私は、いまお話しのように、実際その書類があって、そして地主代表の川口幹の依頼で三菱銀行千葉支店で作成して、公団を通じて税務署に出されていて、その写しがあるということをあなたはお認めになった。非常にややこしい御説明をされておりますが、ぼくはこんな資料は出していいと思う、決算審議の立場から。一般的な抽象的な論議を繰り返しても始まりませんので、それならばそういう書類の写しをちょっと拝見さしていただきたいと思うんです。全部の地主に当たってみればわかります。わかりますけれども、あなたのほうにパスした写しがあるんだから、それをひとつ委員会のほうに、私のほうにお出しいただきたいと思う。そうすると一ぺんに氷解すると思うんですが、これは公文書でない、私文書でもけっこうですからお出しいただきたいと思うんです。これを出せないという理論的な根拠はありますかな。
  37. 林敬三

    参考人林敬三君) まあ出さなくても見せたらどうだというお話なんですが、これやはり地主各人の金額の、金銭の出納の内容でございますし、それからそれは公団は経由するというたてまえでお出しになったものであって、そしてこれが税務署に入って税務署の税を算定いたしますときに、それを信用するかしないか、これまた税務署の見方でございましょうが、しかし、それを参考資料として受け取っての税務署の文書になってきています。それを通り道のやつがごらんに入れるということは、これはやはり当事者、税務署か地主かどっちかがうんと言わなければ、それはこちらとしてはぐあい悪いと、かように存じますわけでございます。これは人のものがここを通っていったときに、通っていった道のやつがその中身を見せてしまうというようなことだと存じます。それほどたいした文書でこれがたいへんなものというわけじゃそれは私もないと思うのです。ですけれども、やはり事税金だとか収入だとかに関することであって、性質がまたそういうことで公団の書類じゃない、公団を経由した書類という性質のものでありますから、そこはひとつ公団のほうへ当たってみてそれを出せと言われることは非常につらいのでございまして、御了承いただきたいと思います。
  38. 大森創造

    ○大森創造君 その書類を見るというとはっきりする。しかし、その書類の金額を右左私のほうでは採用するわけではございませんよ。どこへ行ってどうしたならばこういうものを見ることができますか、それじゃ。国会議員で決算委員なる私がこの書類を見たいならば、どういうことをしたらいいか、ひとつ共同にお考えいただきたい。
  39. 林敬三

    参考人林敬三君) やはり地主代表の川口氏とお話しになるか、あるいは受け取った税務署とお話しになるか、いずれかだと思うのでございまして、中間の私ども、少しことばが過ぎるかもしれませんが、郵便局のようなところでございますので、これはひとつ御了承願いたいと思います。
  40. 大森創造

    ○大森創造君 その点が肝心なんですよ。繰り返しますが、一般論ではなくて。そこで別な角度からお伺いしますけれども、問題のある地区では具体的にはこういうことがあるわけです。花島地区の問題ですけれども、某地主、ある特定の地主、親戚の人がたまたま公団に勤務していたために——いいですか、一万一千四百幾らでしたかな、さっき言われましたあの金額を、その買収価格の予定金額を事前にわかっていたわけですね。そこで最後までこの契約をこばんで——具体的な例ですよ。花島地区は六千八百円と七千五百円の二本立ての買収価格であったにもかかわらず、いわゆるごね得をきめこんでいる。なぜかというと、いま申し上げたとおり、親戚の者がたまたま公団にいたからです。ごね得をきめこんでいる。それで一万一千円以上で公団に買い取らしたというふうに、私が調査した限りではいわれている、こういう事実をどうお考えになりますか。
  41. 林敬三

    参考人林敬三君) まあ先ほど申しましたように、いろいろと土地柄も違い、また、いろいろな事情があって、それぞれある程度の差が出たということは、これはまたあるのが当然だと思うのでございまして、いわゆる正当な、妥当な、適切な差額というものはあるべきである。また同時に、不当な差額というものはあってはならないというのが——いかに地主代表と地主間の問題でございましても、天下の理論だと思うのでございます。それで、しかし、そこまでは向こうの中のことであって、公団の関知する分野よりは外へ出ていることであるわけでございます。いま御指摘の点は、それは私はそんなことは聞いたこともないのでございます。いろいろあの地域の中にはごねる方がおるという話はずいぶん聞いております。これはむずかしい人がずいぶんいたという話は聞いております。ですが、公団の親類の者だったので数字がわかってやったということは、聞いたことはないので、その親類の者がおりましても、公団の者がそんなことをするはずがないと思っております。  なお、ちなみに少し脱線して申しますと、実は花見川のことについてですね、大森先生からのいろいろ御質問があるということを承っておりました。公団の、しかし東京支所の者、みな私のところに参りましてですね、さあ、いろいろと人間のやっていることであって、なかなか、ああいうむずかしいところだと。しかし総裁に言っておくことは、公団の職員に限って、どんな点でも不正なところはないと、この問題について絶対にありませんと、だから、そこはもうあなた信用して国会でやってくれと、こういう話は聞いてまいっておるわけでございます。  で、私は公団の職員がそれとぐるになってですね、ある一部の者をもうけさせるなんてことは絶対にないと思うわけでございます。  なお、しかしまあ幾分でもそういうことをおっしゃられること自体、これは不徳のいたすところということで、今後一そう気をつけてまいりたいと思います。
  42. 大森創造

    ○大森創造君 まあ総裁の御答弁としてはしかあるべきだと私は思うのです。そうなければならないと思いますけれども——具体的な名前申し上げてもいいんですよ、私は具体的な名前を。しかしここでは控えておきます。そこで、私の申し上げるのは根拠があるから申し上げているのですから。公団が地主代表との取引で、不動産屋は単に地主代表をアシストすると、援助するということで、公団とは直接の関係がないというような趣旨の御説明でありましたけれども、私のほうの調査では、この団地の買収に関係する三人の不動産屋と直接に会ってわかったことですけれども、事実は、土地買収の話は、まず不動産屋が——この場合ですよ、不動産屋が公団に持ち込んで、実務をすべて不動産屋がやって、地主代表は形式的なものにすぎないというふうに私は感じ取ってきたのですが、あなたのほうの一般論ではなくて、このケースについては、そういうにおいが多分にいたします。いかがでしょうか。
  43. 林敬三

    参考人林敬三君) いろいろと不動産取引の専門家もこの話を持って来られた。また、地主の代表の依頼によっていろいろ調査をされたり、それからあっせんをされたということはあるように聞いております。しかしながら、それまた、いわゆる俗にいう悪質な不動産ブローカーというのとは全く違った不動産の業者だと存じます。それから、やはりあくまでも責任者というものは納得ずくでの地主代表及びそれに依頼をした地主でございます。それで、単に不動産の取引をやる業者の方だけとやりますと、とかく地主の立場を離れた誤りがあるわけでございまして、どうしても私どもまとめてやります場合には、極力やっぱり地主の代表というものが入ってもらって、その納得の上でのこの売買取引というものをやるように努力をいたしますのをたてまえといたしておりまして、したがって、これはまあ場所は、三カ所のがあのときはいわゆる集まって一つになったようなところであります。そうして出だしにおいては、不動産屋のこういうのはどうですと言って持ってきたところがずいぶんあるようでありますし、ここは六千円で売りますと言って持ってきた不動産屋はずいぶんあるようですが、これは最後のまとめの上げのところは、これは地主の代表を押えて、それの総代表ができて、それが正当な権限で、納得ずくの上で取引をやった、こういう形になっていると存じます。単にそれじゃ形だけだ、実質は全部不動産屋だ——そんなことはない、かように思います。
  44. 大森創造

    ○大森創造君 時間がありませんので、一方通行になるかもわかりませんが、疑問のところは次回に譲りますが、いずれにしても、不動産屋はこの場合は非常に重要な役割りを持っていますので、先ほど総裁のおっしゃられたように、身元調査をする、信用の置けるものでなければならないと思っております、私も。  ところで、今回のこの土地の買収に関与した第一明和とはどのような会社ですか。幾つかの団地の買収には第一明和とか、明和、明和興産、明和産業、菊清とか、その一連の会社が関係しているように聞いていますけれども、明和不動産という、明和という会社について、身元調査をしたということですから、御説明いただきたいと思います。
  45. 林敬三

    参考人林敬三君) その不動産業者を直接公団が対象として、その人が地主の代表になって取引をする、あるいは不動産業者と直接売買をするという場合は、身元を厳重に調べることにしております。しかし、地主の代表というものをこっちの相手にしている、そうして地主の代表が下働きに使うというときは、特別の、いわゆる普通直接取引をするような深い身元調査というものはこの場合はいたしておりません。これはやはり川口さん、あるいはそれを補佐する三つの部落の代表者というものが全責任を持っていただく、そしてその人がお使いになる、こういうことでございます。しかしそこでも、こちらから見ておりまして、札つきの悪徳ブローカーであれば、これはわかりますから、そのときはいろいろ御注意もすれば、そうでないと、こちらも取引を停止するということもあると存じますが、そこまでは、こういうことには至らないでまいったわけでございます。私、いま第一明和、菊清がどういう種類のどうだという、直接いま申し上げる材料を持っておりません次第でございます。
  46. 大森創造

    ○大森創造君 第一明和とか、明和という会社、不動産屋が、総裁のお話より以上にこの場合には非常に比重を多く占めている、私のほうの調査では。したがって、当然第一明和なるものの身元調査をしなければならぬと思うのです。川口幹さんが地主代表であるということで、その人のみ交渉するというのではいけないので、相当程度いま申しましたような不動産屋がそのことに強く介入をいたしておりますから、身元調査は当然やってしかるべきだと思うのです。私のほうの調査を申しますと、第一明和というのは、不渡りを出して倒産しています。計画倒産のにおいが強いのです。千葉税務署も困っています。これは参考までに申し上げておきます。この土地の買収についてはあなたのおっしゃるように、川口さん以上に比重が強いと私は思うのです。形式的には川口さんかもしれませんよ。しかし、実質的にはいま申し上げましたような不良な不動産屋が強く介入しているという事実を今回の調査では強く痛感しております。そこで、不動産業者は今回の契約で坪当たり三百円の手数料——手数料は幾らなんでしょうか、不動産屋の手数料は、三百円ですか、坪当たり。
  47. 稗田治

    参考人(稗田治君) 宅地建物取引業法によりまして、それの報酬につきましては、各都道府県の条例にきめられておるところでございます。千葉県の条例によってきめられておることと思いますが、段階的に、金額をこえた場合、こえた部分についてだんだんと逓減していくというような比率で大体各県ともきめていると思います。私、ここに県の条例は持っておりませんけれども、おそらく坪三百円という手数料は、県の条例には違背していないのではないかと思います。
  48. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、不動産屋の手数料三百円なるものは正しいとして、それは、先ほど言われました買収の予定価格と申しますか、一万一千四百二十七円のうちに入っているのですか、この三百円という手数料は。
  49. 稗田治

    参考人(稗田治君) この場合、住宅公団としましては、一地主である川口幹という契約代理人と契約しておりますので、先ほどの全体の総額を土地代として払っておるわけでございます。公団として、地主側のほうで依頼した宅地建物取引業者に内訳幾らという支払いはしていないわけでございます。
  50. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、一万一千四百二十七円のうちから、実質的には公団のほうのアカウントにはないけれども、不動産業者の手数料は、そのうちから三百円の手数料というように私は了解します。  そこで、花島地区担当の明和不動産は実はこうなんです。当時一年以上にわたって、ホテル・ニュージャパン並びに千葉市に居をかまえて、数多くの従業員を使って、また、花島地区の農家の説得のために、千葉市内で数多く供応をしている。農協より一年近く多額の金を借りて、公団の支払いの何カ月も前から農家に対して手付金を打っているわけです。ちょっとおかしいではないですか。いままでの御答弁のように、地主代表の川口さんを相手にしてこうだこうだという話はどうもおかしい。これは事実なんですよ。この不動産屋が、ホテル・ニュージャパン並びに千葉市内の旅館にたむろをして、そうして数多くの従業員を使って供応をして、地元農協から一年近くも前から金を借りて、そして公団の支払い、地主代表の川口さんなりそっちのほうに代金を支払う何カ月も前から、実は農家のほうに手付金を打っているのです。こういう手付金を打っているのは、川口さんではないです。多額の金利まで自己負担しているのです。こういうこともしかたないのでしょうか、私は納得できないです。坪当たり三百円の手数料で、企業採算はこういうことをしていると全く成り立たないわけです。ところが、地元税務署の調査では、数千万円の利益が不動産屋はあがったと、こういうことを言うております。そこで計画倒産をしている。しかるにこの不動産屋は、住宅公団の仕事は、今度ばかりじゃなしに、相当何カ所もこういうことをやっておるように聞いております。これはどういうふうに解釈すべきですか。こういう問題について、一般論ではありません、具体的な事実についてどういうふうに解釈すべきですか。
  51. 稗田治

    参考人(稗田治君) 不動産業者のほうでそういう取りまとめのためにいろいろ資金繰りの手当てをしておったということでございますけれども、そのことにつきまして、公団としては別に不動産業者に依頼しておったわけではないわけであります。その会社として独自の危険負担でやっておられたのだと思います。
  52. 大森創造

    ○大森創造君 不動産屋に言わせるというと、公団には調整金というものがあるそうですね、あるのですか。公団の担当課長にお伺いしますけれども、そういうアカウントはないと、簡単に言うけれども土地勘定の中に何もかも入れて、一種のどんぶり勘定のようなしかけのような説明をしていたわけです。調整金というのはよくわからないが、土地の買収価格に不服な地主に支払われる宣撫工作、宣撫工作というのは大げさだと思いますが、宣撫工作、なだめ料、口どめ料、そういうもので地代に上積みしたように理解されますが、実情はどういうことですか。
  53. 稗田治

    参考人(稗田治君) 公団といたしますと、土地代として支払うわけでございますので、いま議員の御質疑のあった調整金等を——地主側のことでございます。ですから、はっきりとどういう使途に使われたかということを申し上げる材料もないわけでございますけれども、まあわれわれが想像して考えられる点について申し上げますると、農地を売った場合に、区域外に代替地を求めたいという場合が間々あるように聞いております。そういうような場合に、代替地の取得につきましては、公団団地建設と違いますので譲渡取得税の軽減等がございません。したがいまして、実際の取得価格が高くなるわけでございます。そういうようなものに補てんするとか、あるいは場合によりましては、われわれのほうは公簿で買収しておりますので、なわ延びが個々の筆によって非常に違うという場合もございます。そういうなわ延びを勘案して使うというような場合もあるかと思います。具体的にはっきりとどういう使途に使われたかということはわれわれも了知しておらないものですから、この点については申し上げかねますけれども、考えられることはそういうようなことが考えられるわけでございます。
  54. 大森創造

    ○大森創造君 その明和は、調整金で相当もうけたと同業者は言っているわけです。そこで、どうもややっこしいのですね。さっきから御質疑申し上げたように、一般論としてはわからないわけではないのですが、わからないので……。偽造領収書などが出ているのじゃないかと思うのです。これは偽造領収書がこういう点と関連があるかどうかは不明ですけれども、現在花島地区で相当騒いでいる。これに対して公団のほうは交渉中であって、道路をつくったり、それからカヤぶきの神社などを銅板ぶきの屋根にしてあげるという話を聞いているのですが、そういう予算はどこから出ているのですか。
  55. 稗田治

    参考人(稗田治君) 花島地区について東京支所長のほうにいろいろ地元の陳情があったということは私も聞いております。しかし、先ほどから申し上げましたように、正当に権限を委任された契約代理人と契約しておりますので、法律上は公団の買収契約はきちんとしておりますので、そのようなあとからいろいろ手当てをするというようなことは考えておりません。
  56. 大森創造

    ○大森創造君 最後にお尋ねしますけれども、要約しますというとこういうことなんですよ。その川口幹さんという地主代表の二万幾らの土地と京成の五万幾らの土地合計すると大体三分の一以上の面積である。そこでその京成と川口さんの土地は決してほかの農家の土地と比べて不当に高く買う理由はない。川口さんやその他の人に当たってみるというと、先ほど申し上げましたように、一般の農家の土地は六千八百円から八千円程度であって平均しても七千五百円から八千円ぐらいであるのにかかわらず、いま申し上げました二つの土地については、何らそれ以上に不当に高く買う理由がないのにかかわらず、高く買われている、倍近くに買われている。総計が、いま言われましたように、一万一千四百何がしかの予定価格全体で二十何億の数字に合致すればいいんでしょうけれども、これは少し私は納得できない。だから税務署に地主代表の川口さんが三菱銀行の千葉支店を経由したその各個人の地主の買収価格の一覧表のリストがあるはずだからそれを見せてもらいたいということを言ったらば、いろいろ理由がありまして、総裁のほうはお出し願えないということです。そこで決算委員会としては、私としては、これは納得できればいいし……。それから土地買収ということは非常に複雑な問題であるというその事情もわかります。わかりますけれども、いかに複雑であろうとつじつまが合うのが至当である。私の頭の中では複雑なプロセスがいかにあろうと——ここのところがこねたと、それはあるでしょう。調整金あるいは手数料、それはいいですよ、そんなものは。れれはいいですけれども納得できないわけです、私は。そうするというと、まあ肝心なところにいくというと資料をお出し願えませんのです。そこで、これは総裁並びに建設大臣に私は聞こうと思うのだけれども、一体、国家公務員法の第百条の秘密を守る義務というものはどういうことなんでしょうか。きょうの問答にしたって、結局わからないのですよ。私は、一番資本効率が最高度に発揮されるような土地買収であってほしい。うわさのように、何だかわけのわからぬような不動産業者がばんばんもうけている。ホテル・ニュージャパンだとか、千葉市内の旅館にたむろしていろいろ供応したり、農協から金を借りて、一年前から工作をして手付金をやっているという姿は納得できない。総裁の理論的な説明にかかわらず納得できないので、これを明らかにするためには、あなたのほうから私に協力してもらわなければならない。決して公団をいじめているつもりはないのですよ。前段申し上げたように、複雑な事業ですから、誤解を受けやすい事業ですから、誤解が氷解すれば問題はないのです。私、この二、三カ月調査した限りでは、いろいろ疑惑が出てくるわけです。公団側と一緒になって、ほんとうに総裁がおっしゃったように、東京支所のほうでは一点もやましいところがないならば、一緒になって調べてください。税務署に行ってリストを調べてみましょうよ。国家公務員法の百条によるところの秘密保持ということはどういうように解釈されますか。いままで質問をしたところでは明らかにされないわけですよ。これでは押し問答になってしまいます。だからこれは私のほうで調査をいたしますけれども、それに御協力いただきたいと思う。御見解をただして私の質問を終わります。
  57. 林敬三

    参考人林敬三君) どうも一般論を総裁は言っておるというような御指摘で恐縮でございますが、重ねて一般論に流れますけれども、この花島の土地を買うにつきましても、東京支所の職員としては、いかにして安く買うか、また、いかにしてある一定の定められた期間内に買うかということにたいへんな努力をしているというふうに思っております。それで、高く平均して買ってしまえば問題は少ないかもしれませんが、それでは新しく入る人の家賃が高くなるわけで、これまたまことに相すまないことになるということで、できるだけ安く、そうしてできるだけ早く、そうして誤りないようにということを期しているわけでございます、指導方針としては。しかし、急ぐことも必要だけれども、いやしくも誤りないほうがいいのだというくらいに言っているわけでございます。そこで、先ほど来お話がありますように、結局平均価格で評価して、そうして代表者に平均価格でこちらがお渡しをするということでございます。そこで、その代表者というものは、各地主からのちゃんとした代理の委任状を持ってきまして、そうして最後のところでは判をついたものを持ってきて——初めから判をついているというより、最後に判をついているものが多いと思いますけれども、持ってきまして、そうしてこちらと契約をしているわけでございます。こちらはいま御指摘のように、京成の土地だから高くする、川口の土地だからというようなことは、毛頭そういうことは考えておりませんで、そういうつもりで買っておりませんので、全部平均価格で買っているわけでございます。あと、地主間ではそれはいろいろ違いがあるだろうということは、これはこちらは想像は当然しているわけでございます。しかも、お金の払い方もまず半金を払いまして、あとから半分は農地転用があったとき払う。それがおそくなるときには先に払う。一回ぽつんと払うのではなくて、二回くらいに分けて個人的にもやっているわけでございます。そのつど個々の地主のほうも納得をしてその金を受け取ってやっているというふうにも考えられるのでございます。また、お金を払いましたときには、こちらで、あなたのお金は代表者に払いましたよということは通知もしてやっております。それから部落ごとの立ち会い人というものも出ているような次第でございまして、これはみな同じところに住んでいるわけでございますし、隣合わせで秘密にしたって、区別したって、しばらくすればあのところはどうだということは当然わかると思うのです。一応みな納得した理由のもとにおいてのお金の配分というものがあったと私は考えておる次第でございます。  それから調整金につきましても、こちらは全部地代として払っておるわけでございます。あと地主の代表とか、幹事役がこれはほかの地主さんとの間でどういうふうにそれを配分し、その下働きをしたものにどういうふうにやったかというその問題じゃないかと、かように存ずるのでございます。
  58. 大森創造

    ○大森創造君 あの、そういう御説明はわかるんですよ。私の言っているのは、具体的な問題で、いかに複雑な手続があろうと、京成の土地について、それから川口さんの土地について幾らで買ったかと。手取りがあるわけでしょう、手取りが。川口さん、地主代表の二万何ぼの土地は一万三千五百円で買ったんですよ、現金で。川口さんの土地についてはそれだけの金額で支払われているわけです。調整金の手続が、こういう手続があるということは別にして、これは百何十人、二百人近い地主について、幾らで買ったかという数字はこれはあるはずですよ。で、私の申し上げるのは、個々の農家についての手取りは幾らかと。不動産業者が介入しようと幾らもうけようとそれはかまわない。あなたのほうで幾らで買ったかという厳然たる数字というものをこう並べてきてみて、そうして川口さんの土地と京成の土地は一体幾らで買いましたかという比較ですね、これが私はわからないんです。これは押し問答してもしかたがないので、そのリスト、一覧表を見るというと一目りょう然わかるだろうと思うのです。とにかく税務署に申告するんだから、うちの土地は坪幾らで売りました、うちの土地はどうこうだと。それがこの地図にありますように、特殊な、京成の土地と川口さんの土地がまとまって高く売られている。そういう疑問をいまでも持っているわけです。そういうものはやっぱり決算審査の重要な内容になるわけですが、これは一般論の問答をしたって私は始まらないと思うので、私なりに調査をして、そしてややこしいプロセスの中で総裁なり、それから稗田さんのほうでおっしゃることが妥当ならそれでいいですよ、これは。しかし、どうもいまのところでは私は納得いたしかねる。時間もございませんのでこれで終わります。
  59. 林敬三

    参考人林敬三君) 先ほど申し上げるのを一つ落としておりましたが、秘密を守る義務ということですが、それ以前に、いわゆる公団の仕事のことでありますれば、よくよくの秘密であって、どうしても申し上げることが公益上妥当でないというものがありますれば、これはやはり申し上げかねる。また、そこでのいろいろ意見の食い違いがあれば、政府としても、所管大臣としていろいろな発言を申し上げる、こういうことになるものだと思いますが、それ以前に、この問題というのは、やはり先ほども申しましたように、地主さんの個々の人の問題、それからそれを受け取った税務署の問題で、私のほうは中間の経過機関というものでありますので、まあやはりこちらから申し上げるのはどうしても妥当でないということでございます。  それから、幾らみんな個人のふところに入ったかということは、こちらは正当な権限を持った代表者との間で幾らで払うかという、これまでがまあ文理上というか、法律上というか、実際に相手に対して言い得る範囲でございまして、そこからあとの地主側の中のあれがどうなったかということまでは、こちらはこう幾ぶん関係しておるものですから、ばく然とはいろんな点で知るわけでございますが、正確に把握しておりませんし、また、それを求めてもそれは得られないということで、そちらにもう民間の自由にまかせておるという状態である次第でございます。これはうちのほうで言うとそういうことになりますので、御了承いただきたいと思います。
  60. 大森創造

    ○大森創造君 そういう説明がありましたから一言申し上げますが、そいつはわかるんですよ。ただ、公団のほうは、大づかみにしてそういう支払いをして、途中どういう計算をするかこれは知らない、結果的にまとめたものを一括して握っておればいいんだと、しかし、問題は効率的な資本の運用という立場からするというと、個々の農家から幾らで買ったかということについて、やっぱり公団としては調査する必要があると思う。二十一億か二十五億か知らぬけれども、ここでもって団地つくる、そこで不動産屋が不当にもうけたり、特定の地主が不当に高く買わせたりして、個々の農家の地主に幾ら支払われておるということの吟味はあずかり知らぬでは、私は効率的な資本の運用という点からしてこれはまずいと思うんですよ。その点については、お役所は知らない——それでもいいですよ。それでもいいようだけれども国民的な立場からすれば、決算委員の私からすれば幾らの金額で買ったかということはやはり押えてみないといかぬです。実際は二十一億のものが十四億で買えるかもしれないものだし、それは役所の仕事として、私のほうはそれからあとは知らぬという態度ではまずいのであって、それならば実際に売買がどういう価格で行なわれたかという吟味は、国民的な立場から必要だと思います。まあ、きょうはやめておきます、時間がありません。
  61. 林敬三

    参考人林敬三君) いま御指摘のこと、最後の最後のところまでの実際の動きというものを公団としてもつとめて把握するようにいたしまして、そうしてそれが今後の運営をやります上の制度の立て方として誤りない方向に持っていくという努力はいままでもずいぶんいたしておりますが、今後一そう徹底してまいりたいと存じます。
  62. 二宮文造

    ○二宮文造君 公団の総裁にお伺いしたいのですが、本委員会でも昨年問題になりました深谷の工業団地ですが、その当時、買い戻しの特約があるのでその件に該当して買い戻しの請求をするという答弁はいただきました。その後の経過を伺っておりませんので、この深谷の工業団地につきましてのその後の経過についてお伺いしたいと思います。
  63. 林敬三

    参考人林敬三君) この深谷の工業団地の国際家畜研究所の土地の買い戻しの件でございますが、これは昨年の七月三十日に、国際家畜研究所から転得をいたしました大映株式会社に対して買い戻し権を行使いたしました。八月一日に移転登記を完了いたしましてこちらに戻しました。そのときに大映に対しては二千三百四万三千七百四十四円も買い戻しの代金としてこちらからは支払っております。そうしてそれによって買い戻しました土地が、坪で申しますと八千五百三十四坪の土地であります。これに対して公募を開始いたしました。公募しました結果、数カ所からあとを使いたいという希望がございました。そうして選考の結果、十一月の二十九日に、日東電気工業株式会社に分譲することに決定をいたしました。この際は三・三平米、坪当たり五千四百七十八円という評価価格が出ましたので、これをもってそちらに分譲をいたすことにいたしたのであります。  そこで、その土地の始末はそれでつきました。ところが、まあこの買い戻しをして大映に払いましたけれども、あと今度日東が買いましたので、差し引きではむしろプラスぐらいにはなりました、その間の時価の違いがございますものですから。しかしながら、国際家畜研究所に対する違約金等債権の請求は消えるものではないのでございまして、田中牧場、すなわち国際家畜研究所の後身である田中牧場、それから連帯保証人の田中彰治氏に対しまして千百六十四万七千百四十六円の違約金等の請求をいたしました。で、その後、内容証明その他で督促をしましたが、支払いがございませんので強制執行に踏み切ることにしまして、北海道の幌泉町の牧場の中にあります家屋百十四棟の差し押えをいたしました。そうしてこれが強制競売を開始する、この決定と執行をいま待っておる、また競売価格というもののいろいろ決定がございますので、それを待っておるという状態でございます。ただし、この差し押えをやっとさがしていたしましたのですが、この家屋につきましても、もう先着の税務署とか、それから農林漁業金融公庫とか、そういったほうから先にまた来ておりまして、私どものほうがそこからどれだけ取れるか、いま弁護士を介しまして折衝中でございます。
  64. 二宮文造

    ○二宮文造君 この場合は、いま公募されたというお話ですけれども、この公募は一般公募で、しかもその価格については入札のような価格になったんですか。また公団で払い下げ価格をきめて、そうして日東と交渉されたのか、その点はどうですか。
  65. 林敬三

    参考人林敬三君) これは公募といいましても、広く新聞広告を出したというわけではございません。しかしながら、新聞にはこういうものを募集しているという記事が出まして、そうして希望者が相当来たわけでございます。また地元の市からも推薦がございました。それからその他の方々からも推薦のあったのが五、六件まいったわけでございます。その中から資本がしっかりしているとか、あるいはその内容について、ほかの団地にいるところの事業との間であまりひどい妨害のないもの、矛盾のないもの、こういうものとか、特に地元の市の強力な推薦、こういうようなものを考慮いたしまして、ここにきめた次第でございます。  それから金額につきましては、その少し前にも同じようなところで買いかえたのがありまして、不動産の専門の鑑定機関研究をしてもらったのがありまして、それで、それからこちらは時点修正をいたしまして、そうしてこちらでその金額をきめて払い下げ分譲をした、こういうわけでございまして、合意とは違っております。
  66. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは代金はどうですか。もう収納済みですか。
  67. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 代金につきましては、予定の契約代金を納入いたしまして分譲契約をいたすのでございますので、お尋ねのとおりでございます。
  68. 二宮文造

    ○二宮文造君 この件はそれでわかりました。  次に光明池ですが、これも本委員会でずいぶん問題になりまして、買収価格の問題でいろいろと物議をかもした点が明らかになってきました。しかし、いずれにしましても、公団としてはすでに買いとったわけですし、それが三十八年からもうえんえん四年にわたっておるわけですから、昨年も私ども委員会から視察にまいりまして、大阪の支所での説明を受けました。その後どういうふうな計画が進んでおりますか。明らかにしていただきたい。
  69. 林敬三

    参考人林敬三君) 御指摘の光明池の進捗状況でございますが、実は昨年の暮れぐらいまでは非常な難航をしておったのが、うまくずっと昨年の暮れごろになってまとまりかかってきまして、いわゆる光明池と相ともなってそれに先行する信太山のことをまず解決しなければならなかったんですが、信太山のことにつきましては、地元の和泉市当局との間で全面的な了解に達した。そうしていろいろな負担問題を含めて信太山建設に互いに協力して邁進するという覚え書を交換して、たいへんよかったのでございます。しかるところ、事情が御承知のように急変をした。それは地元の和泉市と隣の泉大津とそれから堺、この三市が合併をすることになっておる、その予定のもとにまたいろいろな工事が進められておったのでございますが、これが急に非常に困難な状態に遭遇してまいりまして、ついに四十二年の二月には合併不可能であるという問題になり、ことに隣の泉大津、堺ではいろいろな不祥事件まで起こるという状態になりました。そこで和泉市のほうはそれをまたすっかり当て込んで、いろいろ道路の改修その他にすでに着手し、契約までしてしまっているという状態から、財政がそれによって極度に逼迫をここ数年間はせざるを得ないという状態に急変してまいりました。そのためにいままでのことは御破算になったということになって、一ぺんまた、やっといよいよここでというのが挫折をしてしまったわけでございます。しかしながら、それではいけないということで、地元も気を取り直してまいりまして、私どものほうも気を取り直しまして、もっとお互いに道路の長さにしても、そう欲張らずにもう少し短かくするとか狭くするとか、財政がうまくいかないからしかたがないということで計画内容を縮小いたしまして、具体案をいま提示をいたしまして調整しておりまして、これもほぼ了解点に達しつつあるように存じますので、本年の上半期にはこの問題を解決して、引き続き光明池のほうの交渉をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。ちなみに、それはそれとしまして、光明池地区というものは宅地造成に必要な現況の測量をいたさなければなりませんが、それは完了いたしました。それからまた現地に事務所が必要でございますので、信太山事務所の中に現地の事務をやる開発の課を増設いたしました。そして具体的な開発計画について地元のお隣りで施工している泉北丘陵住宅開発計画、これと調整をとらせながら具体的な開発計画を作成中でございます。
  70. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、まだこの光明池の活用についてはマスタープランはできていないわけですね。
  71. 尚明

    参考人(尚明君) いまマスタープランを作成中でございます。そのために、隣りで開発しております大阪府の泉北丘陵との街路の関係あるいは水道の取りつけ、そういうような点を府等と折衝しつつ、いまのお話のマスタープランを作成中ということでございます。
  72. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、伺っておりまして、先ほどの大森委員の質疑の際も横で伺っておりまして、どうもすっきりしないんです。たとえば深谷の工業団地のあの売り渡しのやり方についても、先刻質疑をいたしましたような非常にあいまいな書類、そういうもので事務が進められておる。あるいはまた光明池の用地の買収についても、当委員会であらゆる角度から質疑が展開されましたように、これまたすっきりしない。先ほどの花見川団地の購入につきましても、総裁は地主の代表と話をしているんであって、個々の人々に幾ら渡っているか、それまでは公団としては関知しない、こういうふうな答弁、この一点につきましても、私はこれがはたして国費を扱う、そしてまた重要な私有財産を国の権威のもとに買い上げをしていく公団の総裁の答弁だろうか、こういうふうな疑問を持つわけです。同様に私がお伺いしたいのは、清瀬の団地です。この清瀬の団地の購入について概略御説明いただきたい。
  73. 林敬三

    参考人林敬三君) 清瀬は、御承知のように東京都の北多摩郡の清瀬町にございます。埼玉県と道路一つへだてての境のところでございます。買収をいたしました面積は二十万七千二百八十二平米でございます。坪に直しますと六万二千七百三坪でございます。地主は七十九名ございます。買収いたしました単価は、平米あたり三千五百三十九円、坪当たりにいたしますと一万一千七百円で買収いたしました。総額七億三千三百六十二万五千百円でございます。ここにその土地を買いましたのは、昭和四十年の十月六日が第一回でございました。十二回に分けて買いまして、四十一年四月二十八日をもって終了をいたした次第でございます。そこへ四十年度、四十一年度事業として住宅をすでに建設をしております。それで建設戸数は二千七十戸でございまして、ことしの五月、もういま入ったか入るかという時期で、人を抽選で募集しまして入れておるというような実情でございます。
  74. 二宮文造

    ○二宮文造君 この場合のその買収の方式はやはり花見川と同じようなやり方でしょうか。とすると、その代表はどなたになるのでしょうか。
  75. 稗田治

    参考人(稗田治君) 清瀬につきましても、契約の代理人は、地主の代理である加藤という方でございます。
  76. 二宮文造

    ○二宮文造君 住所と氏名をちょっとはっきりおっしゃっていただきます。
  77. 稗田治

    参考人(稗田治君) 契約の当事者は、加藤鉄雄さんでございます。住所につきましては、ただいま手元に持っておりませんので……。
  78. 二宮文造

    ○二宮文造君 この場合、町役場のほうはどの程度介入したでしょうか。
  79. 稗田治

    参考人(稗田治君) 初め清瀬の土地開発につきましては、町がこの方面を開発したいというので、当区域の地主の代表数人をそろえて、東京支所のほうに申し込んだように聞いております。
  80. 二宮文造

    ○二宮文造君 この場合、その公団がお買いになったのは、これもまたでこぼこがあると思うんですが、坪単価一万一千七百円で、これで平均一万一千七百円でお買いになったと、こういうお話でございますが、この場合地主には一体幾ら渡されたか、御承知でしょうか。
  81. 稗田治

    参考人(稗田治君) この場合も、各地主が契約、あるいは契約条件、代金受領一切の権限を加藤鉄雄さんに委任をされまして、委任をされた加藤鉄雄氏と契約したことでございます。したがいまして、それがどのように各地主間で配分されたかということは、公団としてははっきり存じておらないわけでございますけれども、委任状を出す際に当然契約代理人の加藤鉄雄さんと地主相互間で、納得のいく話し合いがついて委任されたものだと存じておるわけでございます。
  82. 二宮文造

    ○二宮文造君 この用地買収費をめぐってことしの三月の二十九日、清瀬の町議会で物議をかもしたということは、公団側は御承知でしょうか。どうでしょうか。
  83. 稗田治

    参考人(稗田治君) 新聞等において拝見いたしております。
  84. 二宮文造

    ○二宮文造君 そのときの答弁にですね、新聞を切り抜いたのがありますので読んでみますと、町長の答弁によりますと、「これらの金は」というのはあとで御説明します。「これらの金は本来町が公団から直接受け取るべきものだが、公団の都合でやむなく土地代に上積みしたものだ。普通ならもらえないものを公団に出させたのだから、むしろ町の手柄だと思う」、こういう町長の答弁があるのですが、先ほど公団側から御説明をいただいた点によりますと、町はさほど介入をしていない。またそれらのことについてはあまり関知してないような答弁でございましたけれども、この町長の答弁からみますと、相当に町と、それからまたあるいは町長と公団との間に折衝が持たれたのじゃないか、こういう経緯をこの答弁は物語ると思うのですが、この点はどうでしょう。
  85. 稗田治

    参考人(稗田治君) 清瀬の当該の土地につきましては、都市計画法上の問題といたしましては、住居地域でございますけれども、第一種風致地区の指定が受けられておったのでございます。それから農地法上は第一種農地でございまして、首都圏の整備計画でも近郊地帯の緑地地域という予定の中に入っておったわけでございます。で、かような土地柄でございますので、たとえば第一種風致地区と申しますると、敷地面積に対する建築面積、延べ建築面積の割合というものは十分の二というような非常にきつい制限でございますので、このままの形では用地買収ができないわけでございます。したがいまして、これらの土地開発するにつきましては、関係当局のほうへの打診をしなければならないわけでございますが、そういう都市計画その他につきましての計画の変更というのは町の機関を通じて行なうわけでございます。したがいまして、清瀬町とともに関係各機関に打診をいたしたわけでございます。その場合に、この東京都の首都整備局のほうの意見と申しまするのは、清瀬町のその当該の土地につきましては、一団地住宅経営という都市計画手続をとりなさい。しかし、この当該地区だけの開発では、その周囲にやはり人家が無計画に建つおそれがある。したがって、本団地の北方を走る都市計画街路との間に、公団取得しようと意図してない土地が約一万坪ございますけれども、その中に区画街路のような性格を持つ道路を数本建設する。そういうことを町に条件として申されたわけでございます。なお、総理府の首都圏整備委員会におきましては、公団取得しようとしておる土地の中に、自然林約一万坪を自然公園として残すと、そういうことであれば土地利用計画の変更も応じよう、こういうような下相談があったわけでございます。で、この最初の首都整備局のほうの申し渡しました条件と申しまするのは、公団取得する土地と全然無関係とは申されませんけれども公団団地建設にさしあたり必要な道路ではないわけでございます。したがいまして、これは当然町道という形で建設をするということで、またそういった同時に町道の建設計画がなければ全部この土地利用計画の変更は認めない、こういうようなことでございましたので、町と相談しまして、東京支所のほうにおきまして協定書をかわしまして、町のほうで負担しまして町道を開設しますと、こういう協定書を結びまして、その協定書とともに一団地住宅経営によりまして延べ面積の緩和という措置をとっていただくような手続を清瀬町を通じまして首都整備局、それからさらに建設大臣へというような進達を行なったわけでございます。そういうことでございますので、土地全体の町の区域内における土地利用計画の全般的な変更でございますので、町はそういう意味でこの開発には十分関係があったわけでございます。
  86. 二宮文造

    ○二宮文造君 なるべく答弁を簡略にしていただきたいと思うんです。要点だけひとつ答弁していただきたい。  そこで、また先ほどの町長の答弁に戻りますが、「町が公団から直接受け取るべきものだが、公団の都合でやむなく土地代に上積みしたものだ。普通ならもらえないものを公団に出させたのだから、むしろ町の手柄だと思う」、これは談話じゃありませんよ、町議会における町長の答弁ですよ。権威あるものだと思うんです。もちろん全文じゃありません、抜粋ですが、その趣意だと思うんですが、これをお聞きになって公団の側としてはどういうお感じがしますか。
  87. 林敬三

    参考人林敬三君) 公団といたしましては、平均価格坪当たり一万一千七百円、これを不動産研究所、不動産銀行、そこいらの鑑定を求めまして、またこちらの近傍類地の価格その他税金の基礎額、それらを勘案しまして、ここいら一帯の土地のさら地としての値段として妥当である、こういうことで先方の地主の代表との間に双方合意をしてこれをきめたというもので、土地そのものの値段として適切であるということでこれをきめたのでございます。なお、あの記事が出ましてから、私も実は聞いてみました。どうなんだといって部内の者に聞いてみましたが、地主代表と交渉をしたときに、地主さんのほうはできるだけ値を上げようということを考えて、公団の区域の外側ではあるけれども東京都の要請によるその町道の整備というものをどうしてもやらなければいけない。それでは結局どうしてもこの貧乏な町で、地主や何かから寄付してもらわなければならぬというような話もあるんだから、売買の値段を上げてくれないかという交渉は、そういうことはあったそうでございます。しかしながら、それは交渉でそういう発言が向こうであったというだけであって、こちらとしてはこの近傍類地の売買実例あるいはその他の鑑定資料、並びに不動産研究所並びに不動産銀行の評価額というようなものを基準といたしましてこれをきめたということでございます。
  88. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、一般の地主には坪当たり平均九千三百円しか手渡されてないんです。ここでもまた花見川と同じような問題が出てきて、それが発端で騒がれたわけです、おかしいじゃないかと。公団は一万一千七百円で買ったのに、われわれの手元になぜ九千三百円しか入らないのか、その差額は何に使われたか、お調べになりましたか。
  89. 林敬三

    参考人林敬三君) これは、やはりそれは形の上では花見川と同じでございまして、地主代表という人と、それからまた立ち合い人まで入れまして、そうして一切この人にその土地売買のことを委任しますという正規の委任状を基礎にして調べまして、そうしてお金を渡すということをいたし、また渡したという通知を各地主に出しておる、こういうことをいたしてまいったのでございます。それからあと、それをどう地主と地主代表との間で相談をして配分をするかということは、まあ先方内部のことと、かようなたてまえになっておる次第でございます。なお、その新聞紙上その他では、その地主の代表がその間のいろいろな費用にはどういうものにどれだけ使ったという発表をいたしておるようでありまして、それを発表して各地主に通知をして、だからあとあなたのところにはこれだけが手取りでまいりますという通知を出しておるようでございまして、その記事はまたわれわれどもも見て了承、承知をいたしておる次第でございます。
  90. 二宮文造

    ○二宮文造君 了承している内訳をひとつ教えていただきたい。何にどう使われたと了承しているわけでしょう、公団では。
  91. 林敬三

    参考人林敬三君) その新聞の記事を見ましてですね、それを知っておるという程度の了承でございます。
  92. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは一般論になりますがね、花見川の団地あるいはこの清瀬団地、こういう場合に、地主の代表が公団から一万一千七百円もらったと、ところが一般地主には九千三百円しか渡ってない。こういうことが、今後公団用地を買収されていきますとき、もしこういうケースがあっちこっちに続発してまいりますと、公団用地買収に非常に私は難が出てくるのじゃないかと思うんですが、そうお感じになりませんか。いや、公団は地主の代表と、しかもその代表は成規の手続を経て委任状をとって公団と折衝するんだから、あとは何に使われようと公団は関知しない、こういう態度をおとりになったら、一般地主はその地主の代表を選び、それが公団と交渉しますのに非常に疑心暗鬼になってくると思うんです。ますます用地の買収のやり方がむずかしくなってくるのじゃないかと私は心配します。また、こういうことはあまり好ましいことではないんですが、東京といえども清瀬となりますと、あるいはいなかとなりますと、どうしても一部の人たちの意見というものが、やはり従来のしきたり、封建制といいますか、そういうふうな従来のしきたりによって非常に影響力がある。そういう封鎖的な生活の様式にあるところで権威ある公団用地を買収される方式としては、私はこういう方式は納得できないと思うのですがね。今後もこういうやり方をお続けになるつもりですか。
  93. 林敬三

    参考人林敬三君) 用地取得の方針といたしましては、できるだけ個々の地主と契約を結ぶということ、事情許す限りはそういうことをして、少し苦労が多くてもやっていくという所存でございます。しかしながら、これは地主のたくさんのところで、またそこが比較的適地だ、ぜひやりたいというようなところになりますと、やはりその代表が出てきて、そうしてそれがまとめてやっていくという方針によらざるを得ないわけでございます。そこで、先ほど来申しておりますように、それが代表といっても不動産業者となりますと、地主とは違った赤の他人、一応赤の他人なんです。そこでよほどの資格を選考してやりませんと、地主があとで泣くというような状態になっては、公団としては信用にもかかわることでございますので、これまた十分に気をつけて、地主の利益を保護するように、そのつど通告をいたしまして、こうだぞ、こうだぞ、こうなっているぞと言いながら誤まりなきを期するということを厳重にやっております。ただし、地主の代表とか、町当局とか、そういうお互いに一緒に軒を並べて住んでいる地主さんの代表者、また、それが部落ごとに代表があって、その上に総代表者がある。そしてそれに町村当局が入っておるというような場合におきましては、まあこれは民主政治が行なわれており、またお互いに並んでおるので、そう隠しごともできるはずもございませんし。しかし、やはりそこにまたそうはいうものの各家の事情があり、各個人のいろいろな違いがあり、各土地の縄延びその他の条件の違いがございますから、そういう芸のこまかい、きめのこまかいことは、その地元のそういう代表者間と地主との間の折衝にまかせるということでやっていくのも、またやむを得ないと存じます。しかし、だからといって一般から見て非常に疑惑が起きる、何か変なことがあって、地主代表だけがもうけているのだとか、町当局がおかしいのじゃないかというような疑惑が起きないように公団としてもできるだけの努力をして、公明で民主的な、一部の人の意見ばかりが通るというようなことにはならないようにしたいと存じます。同時に、用地買収というものはたいへんなむずかしいことは御推察いただけると思うのでありまして、個々の人の意見というものはそれぞれありますし、それから一たん承知して全部委任状を出しておきながら、あとで考えてみると惜しかったとか、残念だったとかいって、またいろいろと言われる方もありますし、あまりそれを一々全部取り上げていきますと、もう土地が買えなくなりますので、まあある段階においては、形の整った法規的な文書による権限というものを尊重しながら、大筋では、ことを進めていかなければならないというのが実情であるわけでございます。その平均単価で渡したのよりも低いところがある、これは土地柄にもよりましょうし、それから納得ずくでもって地主代表が事務費としてみんなから徴収するなり、それから共通費として徴収するものがあるということは、これはまあ程度問題でありますけれども、適切なものは、それはまたあってよろしいと、かように思う次第でございます。またしかし、それが不適切または非常に疑惑を招くようなことは、一そう公団側としてもなからしめるような努力を、今後もこまかく気を配ってやってまいりたいと存じます。
  94. 二宮文造

    ○二宮文造君 この問題に返りますが、総額が七億三千万円、そしていわゆる差額が約一億五千万円なんですね、それだけ一般地主は当然公団から受け取るべき金額を、七十九名の地主は一億数千万円少なく受け取ったわけです。それでその内訳は、一億数千万円がどういうふうに使われたかというここに一つの情報程度ですが、情報があります。これは私確認したいのですが、町道の負担金、先ほどお話になった町道の負担金として四千六百八十万円、それから一般負担金、これはどういう意味ですか、一般負担金として一千二百四十八万円、会社の移転費として、ここに会社があったそうです、工場があったそうです。その移転費として一千九百四十六万円、民家の移転費として百八十万円、神社費として百十二万円、諸経費として百八万円、あとはその他と、こういうふうな内訳になっております。これはこの程度のものであったということを公団のほうはお聞きになっておりますか。先ほど参考人説明によりますと、都市計画街路が、この地域ではないけれども都市計画街路をつくる、そこは町道として一線敷かれる、その条件で風致地区の指定が解かれた、こういうふうな説明がありました。それに関連しての町道だろうと私は思うのですが、このいま私が情報としてつかみました金額の内訳、この程度に理解されておりますか、どうでしょうか。
  95. 稗田治

    参考人(稗田治君) 明確には存じておりません。
  96. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃもう一点公団にお伺いします。先ほどの町長の答弁は、これはうそですか。もう一ぺん読みましょうか。
  97. 林敬三

    参考人林敬三君) よろしゅうございます。公団といたしましては、その土地そのものが、平均して一万一千七百円の価値ありと認めて合意をして土地代を支払って買った。こういうふうに了承しておるわけで、議論の経過において、向こうではそれだからできるだけ買い取り価格を高くしてくれということを言われた。そういう経過でございます。こちらはそれを認めてやったということではなくて、あくまで土地そのものに価値ありということで、これを買ったというふうに存じております。
  98. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの総裁の答弁非常に重要になってくるのです。そうしますと、町長は、そういう経緯でないものを権威ある町会の席上で答弁しているわけです。それがどういう影響を持ったかといいますと、今度は何も知らない一般地主に、いかにも土地の値段は九千三百円なんだ。しかし、一万一千七百円で公団が買ったのは、これはやはり町道とか、そういうものの負担金があるから買ったのだ。こういう説明のもとに坪当たり一万一千七百円の中から二千数百円天引きがされて、公団がそういう姿勢なんだからということが根拠になって、そういうことが進められていったとしますと、地主の代表が、これは委任権の乱用になります。虚偽の説明によって、何も知らない一般の地主を損に導いていったわけですから、委任権の乱用になります。いかに白紙委任状であっても、その中に虚偽の事実があったり、説明があったらこれは委任というものは成り立たないと私一般論として感ずるのですが、この点はどうでしょうか。
  99. 林敬三

    参考人林敬三君) 町長がどうお答えになったか、まあ私も新聞で読んでいる程度でございます。また、その間実情が、いろいろな事情はあると存じますが、当方が地主代表との間に契約をいたしましたのは、あくまで土地の代金ということで、土地にそれだけの価値ありとこう見て鑑定機関の評価までとりまして、がっちりかためて、それを買ったということをいたしたわけでございます。あとを推定すれば、地主代表と、それからおそらく町当局も入ったと思いますが、それから地主との間のいろいろな話し合いの結果、その中から、いわゆる町にそういう都市計画街路を寄付するための寄付金を出したということを相互に納得の上でおやりになっているものと存ぜられるのでございます。
  100. 二宮文造

    ○二宮文造君 この町長の答弁から、自発的な寄付金なんていうことがニュアンスがありますか。「これらの金は本来、町が公団から直接受取るべきものだが、公団の都合でやむなく土地代に上積みしたものだ。普通ならもらえないものを公団で出させたのだから、むしろ町の手柄だと思う。」、したがって、そういう経緯があるから一万一千七百円のものを九千三百円でしんぼうしなさい。あとは町道の負担金だとか、移転費とか、そういうものに使っていいのだ。上積みしたものなんだ。これが説明なんです。ところが、総裁の答弁はあくまでも土地の値段だと、そうすると、くどいようですけれども、地主の代表が虚偽の事実を申し立てて、そうして判断を誤まらせたという結果が私は出てくると思う。またそういうふうな応待をする地主代表と契約をかわして、あとのお金の使い方は私は知りません。風致地区を解いて町道をつくりますというのも公団の責任でしょう。公団がその用地を有効に使いたいがゆえに風致地区を解いてもらいたい。したがって、それでは都なりあるいは総理府なりのほうの御意見で、町道をつけなさい、こういう条件がついて風致地区の指定が解除になった。それを土地を売った地主に負担をさせるということは、これは公団のとるべき態度じゃないんじゃないですか。もしそういうふうなやり方を今後お進めになるのだったら、公団を相手に用地を売ろうというその交渉がますますしにくくなると私は思うのです。この点いかがですか。
  101. 林敬三

    参考人林敬三君) この土地が、先ほど稗田理事から御説明申し上げましたように、いろいろの制限のついている土地です。そこでいわゆる農地法からの制限もありますれば、東京都の都市計画の関係の制限もございますし、それから首都圏委員会の緑地地帯の制限と、こう三つあるところでございます。そこで、それをしかし住宅公団土地として非常に適地だから、何とかしてここに住宅をつくろうということで、町当局、私のほう、それから地主さん方というものが非常に苦心をしたところであるのでございます。それで東京都のほうから、そういう近傍のごく近く、近接したところを区画街路を設けなければ許可しない、こういうようなことになってきたわけでございまして、これをどうするかということは、町当局が一番苦労したと存じます。そして公団もまたそうでなければ団地を建てさせてもらえませんので、町当局との間には、それをつくりますという契約を町のほうから公団のほうに一札入れてもらいまして、そうして許可があったものであるわけでございます。しかしこの金銭の出し入れの関係ということになってまいりますと、重ねて申して恐縮でありますけれども、一万一千七百円というのは土地のさら地の代金、それだけの価値があると認めて、それだけの価値ありと公の他の機関からも認定を受けましてそれを買ったわけでございます。買いましてからあと、今度売ったほうの地主代表という者が、まあ町当局もおそらく中に入ったと思いますが、それを地主さん方との間でいろいろと、これだけはこの際寄付してくださいとか、この際こういうことには共通して使いましたからと、こういうことで精算を納得ずくでしてやったというものと存ぜられます。で、これはしかしその公団のためのものじゃないか、あるいはどこのものじゃないかという——これは広く言いますと、ここへ団地ができて、この近傍も一帯に発達いたしますことは公団のためでもございます。公団に住む人の利益のためでもあり、また町の発展のためでもあり、また地主さんの一つのこれはためのものでもある。こういうことだと思うのでありまして、それをそれぞれに、これが解決があったと思うのでありますが、その間町長さんがどういう答弁をそういうふうにして、想像でなさるのか、私もどうもこれはわからないのでございます。
  102. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうじゃないのですよ。公団の名前がここで使われておるのです、公団の名前が。ですから、公団ではそうでないと、そういうことを町当局なりあるいは一般の売った地主に釈明なさるお気持ちはありますか、そうじゃありませんよと。公団はさら地価格として一万一千七百円を認めたんだ、上積みしたものじゃありませんよと、これは私は公団として一般地主に対して釈明する義務があると思う。先祖伝来の土地を公共用地だからというので売ったわけですから、それを本来ならば一万一千七百円入るものが九千三百円しか入らなかったのですから。その契約の相手方である公団は、しかもこういうふうな答弁がされているとしますと、ここで公団の姿勢を明らかになさる必要がある。そうでなければ、今後のこういう買収にも非常にひびが入ってくる、こう私は思うのですが、一般の地主に対してこの間の経緯を釈明なさる意図はおありですか、おありでないか、この点どうでしょう。
  103. 林敬三

    参考人林敬三君) これは地主代表の加藤氏とこちらの支社長との間で契約を取りかわして、それに要するさら地の代金としてこれだけを支払うということを明確に言ってあるのでございまして、それをごらんいただいてもこれはわかっていただけると思うのであります。しかし必要に応じて、これは本来土地の値段はこれだけしがなかったのにそれに上積みしたものか、そうではなく、全体として値段のあるものとして認めたのか、どっちかと言われれば、後者であると、いつでもこちらでは言明いたします。
  104. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから町長に対しては抗議を申し込まれますか。事実と違うじゃないかと言って、たいへん迷惑すると言って、公団として抗議を申し込まれますか。どうですか。
  105. 林敬三

    参考人林敬三君) あれは新聞の出ましたその間の事情というものをよく調べまして、町長との間はよくお話をした上でとるべき措置があればとりたいと思っております。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 どうも答弁を聞いておりますと、ごらんになったんでしょう、この新聞を。公団の名前が出ておれば、そのときにどういうことだと言って、もうすぐ町当局に対して疑義をただせばいいじゃないですか。いま私どものほうから指摘されて、初めてそれでは今後町長とも相談します、こういうことでは。それでさかのぼってこの契約の状況なんか類推しますと、非常にその間にあいまいもことしたものが出てくるわけです。したがって、これはもう結論に入りますが、私はこの用地買収の問題について一般地主の方がおこるのは当然だと思う。自発的な意思ではないのです。これだけのものを寄付してくれではない、ふんだくりです。ですから、また自発的な意思であったら町議会で問題にならない。一万一千七百円のものが九千三百円しか入らない、こういうことがわかって一般地主が騒いだわけです。花見川と一緒で、一つあることは二つあると言いますけれども、二つあることは、また三つ、四つと続いてまいります。ですから、今後公団用地の買収については、その辺のことを特に気をつけていただきたい。もうきょうはこの清瀬の団地の問題につきましては、以上で私はとどめておきます。しかし、ほうってまいりますと、たいへんな問題が出てまいります。二、三私の耳に入ってまいりました事実関係がきょうはっきりしませんので、ここでは問題にいたしませんが、それは後日に譲ります。  問題は、これは四十年度になりますけれども公団に対して会計検査院から用地の買収について改善、こういう措置をしなさい、講じなさいという改善要求が出たのも私は当然だと思う。この会計検査院の改善意見の結論のほうを見てみますと、「同公団土地買収の事業量は膨大に上り、その買収価格も他に影響するところが大であり、かつ、用地取得は今後ますます困難性を増す傾向にあることにかんがみ、土地買収予定価桁評定について、執行機関等の責任体制を確立し、評定手続等に関する規程をすみやかに整備するほか、土地買収業務に従事する職員の配置、研修等について適切な処置を講ずるなど、買収予定価格の適正化を図るよう格段の努力を傾注するとともに、土地買収業務の公明な運営を期する要があると認められる。」と、会計検査院指摘するとおりだと思う。不明朗です、まことに。これをどう今後改善なさる御意図があるか、その点をお伺いしたい。
  107. 林敬三

    参考人林敬三君) 先ほども申し上げましたように、公団の仕事の中で一番困難な問題は用地でございます。また職員が一番苦心をします、一番泣くのも用地でございます。率直な表現をすれば、一番いやがっておるのも用地でございます。しかし、それだけにこれは影響することも大きいし、大切な仕事でございまして、ただ高く買えばいいというものでもない、ただ、やたらに安く、どうでもねじ上げればいいというものでもないわけでございます。私は内輪のことになりますが、職員の苦労というものも十分わかるのでございます。私はそれを担当している者は非常に気の毒だと思って、おりに触れ励ましている状態でございます。しかし、生きた人間で、いろいろまだ未熟な点のある者もありまして、不なれな点もあっていろいろな摩擦が出るということもあり、これは逐次反省をさせ、練磨を積みまして、りっぱな者にしてまいるように気をつけてまいりたいと存じます。  会計検査院からの御指摘についてのお話もございましたが、これはそのとおりでございまして、土地の評価についてのやり方、あるいは土地取得の選定のしかた、あるいは促進のしかた、これらを的確にしていくというための体制を整えるということ、まず、もっともっと公団はやっていかなければならないと思いまして、各支所ごとに用地専門役というものを今度新設するということにいたしております。また評価の方法につきましては、どうしてもこちらは買いたいという一心で評価をいたします点がありますので、冷静な第三者の評価鑑定機関による鑑定評価というもののウエートというものを、いままでより以上ずっと強くしていくという方針に改めます。また職員も増強いたしますとともに、この研修というものをいままで以上活発にすることによって、お話のとおり公明な健全な運用を期してまいりたいと思う次第でございます。何とぞ今後ともよろしく御指導をいただきたいと存じます。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 資料と、それから私のほうの要望とあわせてお願いしておきます。  資料のほうとしては、用地買収の一覧表を御提出を願いたい。というのは、この清瀬団地について、いわゆる地主の氏名、それからその面積、地番、これらを一覧にして、七十九名ですからそんなにお手数はかからないと思います。それから地主代表の住所、氏名、それから先ほど差額について、私情報として金額をあげましたが、これは町へお聞きになっていただけばわかると思います。ですからそれを取り寄せていただきたい、それから町長の答弁が公団に非常に迷惑がかかると、私はこう理解するのですが、その点について町当局と折衝なさるならなさった経過、これはあとでもけっこうです。なさってからでけっこうですが、どういう町長からの釈明が出たかということをお知らせ願いたい。  それから要望のほうは、一般地主に対して町長が議会で答弁したようなケースではない、これはあくまでさら地の価格である。一万一千七百円はさら地の価格であって、上積みしたものではないと、公団の権威を高める上においても、その間の事情を一般地主に私は公団として当然そういう知らせる措置をとるべきだと思う。ぜひとっていただきたい。これは私のほうの要望です。以上ですが、どうでしょうか。
  109. 林敬三

    参考人林敬三君) 一つだけお尋ね申し上げますが、その差額というのはどういう意味のことでございましょうか。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど総裁が、自発的に寄附をする、これこれに寄附をするという金額を皆さんが納得したと、こういうふうに理解すると答弁されました。そのいわゆる一万一千七百円を公団がお支払いになった。一般地主は九千三百円しか受け取っていない。その差額についてはこういうふうに使いましたという、その地主代表からの一般地主に対する説明があったと思う。これは当然アフターケアとしてなさるべきだと思う。ですから、その説明を受けて資料として御提出願いたいということです。
  111. 林敬三

    参考人林敬三君) 御要求の資料のうちの用地の買収の一覧ですね、これは整えまして、できるだけ早くお届けいたします。  それから町長とは折衝いたしますので、これはまあ相手方のある行為でございますけれども、その町長との間の折衝の経過というものは適切な機会にまた御報告するようにいたします。  それからいまの差額の問題でございますね、差額はどう処理したかということなんですが、これは形式論になりますが、まああくまで地主と地主代表との間の問題なのでございます。ただ新聞を読みますと、それを地主代表は一点のやましいところなしということで、地主にみんな配っている、もう公開しているようでございますから、そういうものだったらこっちも手に入るかと存じますが、しかし、それは一つの新聞の報道であって、いやそんなことでないということでありますと、これはちょっと先ほどのケースと同じことであって、地主代表が承知するかどうかということであろうと存ずるのであります。町当局に言いましても、町当局としても、これは地主代表の問題だと、こう申すかと思いますが、しかし、ひとつ地元に当たってみまして、そうして、いやもうみんな何兵衛に全部配っているのだからあげますよということなら、もらってきてそちらに差し出すようにいたしたいと存じます。  あと要望事項については、とくと承りまして善処いたしたいと存じます。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから地主代表の住所、氏名ね、さっき言った。
  113. 林敬三

    参考人林敬三君) いたします。
  114. 稗田治

    参考人(稗田治君) 先ほど資料がございませんので申し上げなかったわけでございますが、地主の代表加藤鉄雄氏の住所でございますが、北多摩郡清瀬町清戸下宿千三百七十六、以上でございます。
  115. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がありませんので、私は二、三の点について問題を投げかけて御検討をいただきたいと思うのですが、先ほどからの用地買収等々は、住宅公団の問題について一番問題点になっているのは、土地の買収に対する評価価格の問題だろうと思うのです。いまちょっと総裁も触れましたが、土地価格の評価の鑑定機関の確立というものを急速にこれはひとつ立てていただきたいと思うのでございます。どこでもこの問題になりますと、もみ合いになるわけですから、ある程度近傍類地という価格で評定するわけでございますが、それでは納得できない面があるので、全体的に見てこういう価格なんだという、第三者が見て納得のいけるような価格を地主に提供できるような姿勢というものをつくることが必要だと思うのです。  第二点としては、用地買収後の対策に対して、もう少し公団としては農林省とか建設省とか、それぞれの機関の協力が得られるような機構、法的措置、こういうものが必要ではなかろうかと思うわけです。たとえば農地を買収した後に、減反された農家に対して、減反面積でしかも営農形態でやっていくためには農村のいろいろの近代化の設備も必要だし、あるいは集団的な集荷場等も必要だし、あるいは道路の問題等も必要になってくる。しかしそういう問題になると、住宅公団ではどうにも手に負えなくなって、農林省につてを求め、建設省にこれを求める。しかし、これは公団の仕事だ、あるいは農林省の仕事だといって受け付けられないで、結局は土地を手離したままの姿になるために、用地買収に応じない形がどの地域でも起きているということ。こういう点を考えて十分ひとつ他省との連絡協調のとれるような体制を整えてもらいたい。いまの二宮さんの質問等にも同じようなケースが私は生まれておるのじゃないかと思います。私研究学園都市関係にも長く関係しておりまして、用地買収の困難さを承知しております。しかも、それは価格だけではなく、われわれは将来どうなっていくかということに対する問題が手離す農家の一番問題点になるんです。したがって、他省との連絡をとるということ。もう一つは、地方公共団体を媒体として用地買収を十分やっていくということ。いまの住宅公団のやり方を見ていると、大体そういうケースをとっておりますけれども、しかし、究極的にはそれから離れているとすれば、それは公団の機構の問題、あるいは人的構成の問題、膨大な面積等の問題に関連するからでありますけれども地方公共団体側としては虫食いの開発状況でなく、あるいは公共の道路の問題、あるいは土地利用計画の問題、下水道等の問題と関連して用地買収はやっていかなければ地方開発にはならないわけで、都会の犠牲において地方開発される、こういうことになるわけですから、地方公共団体と密接な連絡をとりつつ用地買収を進めていただきたい。  用地買収については以上の点ですが、さらにもう一つは、公共事業費の問題でございますが、埼玉県にしても、千葉県にしましても、公団用地買収に応じにくくなった、われわれはここに住宅公団の進出を求めないというのは、住宅公団ができて団地ができますれば、小学校も中学校もつくらなければならない、公共施設もつくらなければならないのに、それを負担することが地方公共団体としてはできないからです。しかも、現在の法律ではそのような特別の助成方法はないわけです。したがって、これらの問題につきましては、法の改正点について他省とも十分検討を加えていただきたい。  三つ目には、これからの大きな問題になっているわけですけれども、水の需給の問題でございます。各町村で住宅をつくった場合に、水が出ないところに、水の不足なところにつくったためにどうにもならなくなって大騒ぎになっているということが各地に起きているわけです。いまの東京都の水の需要状況等から見ると、私どもが調べたところでは急速な水の不足を来たしているわけでございます。昭和三十二年東京都の全都区で必要とした水が一日百九十万トン、三十五年で二百六十万トン、四十年では一日三百七十八万トンという。しかも、水の開発は進められていない状況です。東京都の周辺で現在の二千二百万の人口が、これは一都六県になるわけですが、おそらくこれがあと五年ないしは十年たって二千六百万の人口になる。これに対応する水の対策というものは、政府で十分な対策が立てられておらないわけです。御承知のようにアメリカ等においては、もう国会におきましても水の対策の特別委員会がつくられて、膨脹する人口に対して四十年後、五十年後の水対策を立てている状況です。東京都周辺の住宅地が開発されるにつきましては、これからこの水の問題を十分御検討をいただきたいと存じます。現在利根川等の水量等の状況を見ましても、年間平均一秒間に四百トンの水が流れている。四百トンの水というものを考えてみますと、工業用水の一番安い値段でトン五円と計算しましても一秒間に二千円の水が流れている。これを一昼夜に換算してみますと、膨大な価格の一億五千万円以上の水が使われずに太平洋に流れたまま水不足になっている状況です。しかも、住宅地では水が不足だ。こういう状況を考えて水の対策も公団としましては、他省とも連絡し、水資源開発公団とも連絡をとり合って問題討議を進めていただきたいということ。  もう一つ最後に自動車のパーキングの問題ですが、団地等におきましては、駐車場を十分将来の計画として考えていただきたいと思うわけです。御承知のように、現在日本の自動車免許証を持っている人は、二千万の人がそれを持っておる。八百万台自動車がある。乗用車だけで百八十万台、これが経済企画庁の統計によって見ますと、おそらく十年後には十七倍の増加率を示すだろう、一世帯一台ぐらいの率になっていくだろう、こういう見通しも立てられておるわけです。したがいまして、将来の大きな構想として駐車場、パーキングの問題も同時並行的に今後団地構成の中で考えていただきたい。この四つの点を問題点として投げかけておいて、御検討をいただきたいと思います。
  116. 林敬三

    参考人林敬三君) いずれも公団の仕事に携わる者にとりまして、大切な、非常に適切な前向きのお話を承ってたいへんうれしく存ずる次第でございます。第一の団地の問題でございますが、土地の買収の評価、これを第三者が納得するような信頼のある鑑定機関というものを確立して、正しい姿勢のもとに行なうようにしろという点、まことにごもっともでございます。それで、このたびからは、いままでは近傍類地価格その他の材料を一生懸命公団でつくりまして、それを基本にして、なお足りなければ第三者の鑑定機関の専門家の鑑定をとる、こういう態度でたいていはとっておりましたが、必ずしもとらなければならないというふうでなかったのですが、今後は絶対にこれがなければいけないということで、二つないし三つの鑑定機関の鑑定をとりまして、むしろそれを基本にしながらあとを補充的な方法というような形にまでいたしまして、御趣旨のような体制を強化してまいりたいと存じます。  また農林省、建設省その他のところとも十分あらかじめ連絡をよくして協力を得られるような団地づくりをやらなければいけないじゃないかという点も、まさにそのとおりであります。十年前あるいは六、七年前のころとすっかり事情が変わりまして、どうしても多数の住宅というものを供給いたしますためには、団地がだんだんと大きくなってまいります。大きくなってまいりますれば、それだけそこに公共施設というものをしっかりつくっていかなければなりませんし、またそこから離作してまいります万の農業が成り立つようにもしなければ、近隣との折り合いもうまくまいりませんわけで、もう十分に建設省では河川局、道路局、計画局や住宅局はもとより、そういうところと密接に連絡をいたし、また総理府の首都圏整備委員会、あるいは農林省関係及び運輸省関係、国鉄の関係、私鉄の関係、これらとよくよく連絡をとって、極力この点の摩擦を少なくし、協力のもとに初めて住宅が成り立つということに進めてまいりたいと存じます。  また公共団体というものを媒体として活用せよということ、まさにそのとおりでございまして、これを無視しては団地づくりはできないような次第でございまして、またその負担の困難ということもよくわかるのでありまして、こちらの立場もわかってもらう、向こうの苦しみもまたこちらのわが苦しみとするというような密接な関連をもって、むしろ共同事業というような気持ちで進めてまいりたいと存じます。  なお、関連公共事業につきまして、いろいろとその補助裏については公団が一応負担する、あるいは公団と関連するような事業については補助裏について半分を持つとか、あるいはたてかえておいてあとで返してもらう。いろいろなことをやつて急激に自治体負担増にならないような努力をいたしておりますが、さらに御指摘のように、国庫補助の対象を拡大する、あるいは補助率を上げるというようなものを、むしろもう一歩進んだ抜本的なことを、国家としては法改正その他によって講じていただきたく毎年要望をいたしておりますが、今後も続けてこの実現をはかるようにつとめたいと存じます。  次に、水の問題でございますが、これまたもう一番基本的な大問題でありますこと、御指摘のとおりでございます。初めはまあ水道のないところは井戸を掘ってやっておったりしたのですが、その井戸自身が回りが発達しましてどんどん地下水を吸い上げられますとだめになってくる、急にあわてるというようなケースも出てまいっておるわけであります。政府関係並びに水資源開発公団関係とよく連携をとりまして、スタートの当初からこの水の問題というものを基本的に考えて、その上で団地、ことにスケールの大きい団地というものは設計することを必ず十二分に打ち合わせてまいりたいと存じます。  最後に、パーキングの問題でございます。だんだんと時勢が進んでまいりまして、初めは公団住宅に住む者が自動車を持つことはぜいたくである、自動車の持ちたいような者は公団から出て行けというような声があったわけであります。近ごろは、それは庶民といえども車はあるべきだという声のほうがだんだんと強くなってきている状態でございます。住居者の一割ないし一割五分、多いところは二割くらいは駐車ができるという余地をとりまして、公団団地づくりをやるように指導いたしておるのでございます。これは場所にもよるわけでありますが、高蔵寺ニュータウン、名古屋の郊外にありますが、これは十カ年計画、完成するためには十五カ年かかるわけでございます。その十年ないし十五年の先を見た計画の場合は、二軒に一台持っても持てるというだけの土地を考えながらいたしておるのでございます。できるだけ多く持ちたいのでありますが、そこはまた用地費がかさみまして、家賃にはね返ってくるものでありますから、それと家賃を安くすることと、将来計画のときにすぐ困ることのないようにということ等をにらみ合わせながら、前向きにこの措置を進めてまいりたいと存じておる次第でございます。いろいろありがとうございました。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど私、清瀬町長の答弁を三月の二十九日と言ったような記憶もあるのですが、これは町議会が三月二十九日に開かれたのでした。町長の答弁は十日でありますから、訂正しておきます。
  118. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にとどめます。  午後二時半まで休憩いたします。    午後一時三十四分休憩      —————・—————    午後二時四十七分開会
  119. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和三十九年度決算外二件を議題とし、建設省住宅金融公庫、日本道路公団及び首都高速道路公団の決算について審査を行ないます。  この際おはかりいたします。  当委員会提出されております住宅金融公庫、日本道路公団及び首都高速道路公団の決算概要につきましては、口頭報告を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、会計検査院検査報告についても、説明を省略し、後日文書をもって提出願うことといたし、これらの報告につきましても、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  122. 大橋和孝

    大橋和孝君 私は道路公団に対しまして一、二御質問してみたいと存じます。  昭和三十九年度の業務収入は、予算額におきまして百四十二億余円のところが、収入決定済み額にいたしましては百二十五億余万円となっております。これで十七億余万円の開きが出ておるわけであります。また、四十年度の業務収入についても同様の開きは六十三億余万円あるわけであります。また一方、昭和三十九年度公団に対しますところの政府出資金予算額は百八億円のところを、決算では百四億余万円となっておりまして、その差にやはり三億二千四百万円ほどの開きができておるわけであります。国の道路の整備の特別会計の経理では、不用額としてこれを経理しているようであります。この二点について、予算決算とのあり方として、また、(1)については、業務の収入は供用路線の料金収入の予定と実績の開きでありますから、路線別の予算決算の食い違いがいま言ったような形で出てきておるわけであります。このようにして食い違いの実情とか、あるいは原因について、少しく御説明をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  なお、こういうふうにして予算決算の間に開きができてくる理由というものもひとつ明らかにしていただけたら御説明を願いたいと思います。
  123. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) ただいま御質問のございました収入予算額決算との差がございますが、これは三十九年度におきましては、名神関係の事業に多いわけでございます。その理由の一つは、収入の予算額に対して名神の収入の決算が少なかったのは、開通当初でございまして、かねての計画どおり交通がございませんで、収入決算の差を生じたわけでございます。  また、先ほど不用額のことが御質問にございましたが、これは名神高速道路その他におきまして、用地買収が計画どおりに進みませんで、不用額を生じたわけであります。  それから政府出資金のことでございますが、政府出資金は、事業の費用が全般で六分の利子になるように出資金を出してもらっておりますので、そういう関係で、政府出資金に差を生じたものでございます。
  124. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから四十年度にはもう政府出資金が出てないようでありまして、そして計画としては、やはり新しく五つの路線が高速道路として計画され、あるいはまた、一般の有料の道路でも工事中のものが十六路線もあるし、延長としては百九十九キロメートルですか、それほどあるわけでありますが、こういうようなところを考えてみますと、四十年度政府出資金が減るということは、結局、民間の借り入れといいますか、借り入れにウエートが移るわけでありますからして、これがやはり料金にはね返ってきて、相当高くつくのではないかと思うわけでありますが、その点はいかがでありますか。
  125. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 四十年度につきましては、ただいまここに資料を持ってきておりませんが、全体を調節いたしまして、資金コストが六分になるようにいたしておる、そういう結果から、四十年度はないことと思いますが、ただいまここに資料を持っておりませんので、調べましてお答えいたしたいと思います。
  126. 大橋和孝

    大橋和孝君 やはり政府としても比較的借り入れ金とか、そういうことで非常に利息が高くつかないようにして、これが料金にはね返らないような方法を講じるということは、かねがね聞いているわけでありますが、そうした方面のことは、この道路公団としては、どういうように配慮されておって、現状はどういうふうになっておるか、そういうようなことをもう少し詳しく御説明を願うわけにはいかないものでありましょうか。
  127. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) ただいまのお尋ねには、道路公団のこれまでの資金構成を御説明申し上げたほうがいいかと存じますが、昭和三十一年から四十一年度までの公団資金は、全部で六千百八十二億円でございます。そのうち、業務収入が七百六十二億円でございます。その他の資金につきまして内容を御説明いたしますと、政府出資金が六百四億円、それから補助金が五十五億円、道路債券が三千五百二十一億円、資金運用資金が二百五十九億円、産投会計資金が百八十七億円、世銀が七百九十四億円、この計が五千四百二十億円になります。業務収入を除いてこの構成比率を見ますと、政府出資金が一一・一%、補助金が一%、道路債券が六四・九%、資金運用資金が四・八%、産投会計が三・五%、世銀が一四・七%、合わせまして一〇〇%でございますが、このうち、道路債券の利子は七分一厘でございます。それから資金運用資金が七分、産投会計が同じく七分、世銀が、これは借りた時期によりまして変わっておりますが、大体利子のほかに手数料等を入れますと七分になります。この資金政府出資金で平均六分の利子になるようにしておるわけでございます。
  128. 大橋和孝

    大橋和孝君 それでは、有料道路の料金決定の方法はどういうふうになっておりますか。
  129. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 有料道路の料金の決定方法でございますが、これは高速道路一般道路とで違います。一般道路のほうにつきましては、道路整備特別措置法に、料金の額につきまして条文がございまして、「当該道路の通行又は利用により通常受ける利益の限度をこえないものでなければならない。」、また、具体的な基準が道路整備特別措置法の施行令にきめられておりまして、料金の額は、距離、時間の短縮及び路面等道路構造の改良等により、車両の運搬費、輸送費、旅行費、荷役費、包装費等について通常節約することのできる額をこえないものでなければならない、という規定が一つございます。また、料金収入の総額は、当該道路の新設、改築の費用、維持修繕費、管理費、調査費、料金等の徴収費、損失補てん引き当て金、借り入れ金利息等、政令に定められた費用の合算額に見合う額となるようにしなければならない、この二つがございます。  一つには、通常の自動車による利用によって利益が、有料道路を通ったためにあるわけでありますが、それをこえない範囲で料金をきめなければならないということがあるわけなんです。それが政令に定められております車両の運搬費でありますとか、輸送費でありますとか、荷役費でありますとか、そういうものに対して節減があるわけでありまして、そういう利益をこえないものであることが一つでございます。それからもう一つは、この有料道路をつくった費用並びに維持管理費、それらの総額と見合う額でなければならぬ、この二つの条件から一般有料道路の料金はきめられております。これは建設、運輸両大臣に協議をしてきめることになっております。特に地方公共団体の管理する道路につきましては、地方公共団体の議会の議決を得ることとされております。  次に、高速自動車国道でございますが、この料金は当該道路の新設、改築、その他の管理に要する費用を償うものであり、かつ、公正妥当なものでなければならないときめられております。この原則によりまして、政令で具体的な基準がきめられておりますが、料金徴収総額は、当該道路の新設、改築の費用、維持修繕費、管理費、調査費、料金等の徴収費、損失補てん引き当て金、借り入れ金利息等、政令に定められる費用の合算額に見合う額となるようにしなければならない。それからもう一つは、料金の額は、料金の徴収期間及び利用効率を勘案してきめなければならぬ、この二つの基準から高速道路の料金をきめておるわけでございます。
  130. 大橋和孝

    大橋和孝君 そうしますと、やはりその利用率の変化といいますか、そういうことによって、今後も、何といいますか、使用料に変化を来たしてくるのでありましょうか。それからまた、その点についても、ちょっとかね合いをどういうふうに道路公団では考えておるか。たとえば、そこに道路が新しくできたために、利用する人の時間とか、あるいはまた、いろいろな便宜を受けるその便利さ、それといまお話しになった道路をつくったための経費というものをからみ合わせて、両方から、からみ合わせての料金を決定されるわけでありますが、その料金のからみ合わせをどういうふうに考えて、このウエートはどういうふうに置いて、また、今後、料金が変わっていくかどうか。また、利用度はその都市の周辺の状況によっても、また変わるわけだろうと思うのでありますが、特に、そういうふうなことはどうなっているかということを一ぺん考えてみたいと思いますが、御返事をいただきたいと思います。同時にまた路線の料金というものは、その路線路線で単独に計算をしてやっていくものか、もっと総合的にこれをプールするかなんかして、もっと安くする方法はないのか、そういうふうなこともひとつ考慮してもらいたい。  それから、名神なんかを見てみますと、非常に利用度も最近は少ない。たとえばトラックなんかに至りましては、依然としてまだ一号線を走っておる。そのために、市中の道路を通過するのをそれでもって緩和しようということが、あまり緩和になっていないということが、まあやはり料金が高いこともあろうし、そういうことを考えれば、やはり道路をつくったことによっての利用度といいますか、利用された、通行する自動車の、それを通行することによって得る利益というか、そういうものの度合いが料金よりは少ないために、やはり旧道路を走るということになるのではないかと思うのでありますが、そういうからみ合わせから、一体名神の料金あたりは不当に高くはないかということを考えるのでありますが、そういうふうな点については、どういうふうに考えられておりますか。
  131. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 有料道路は各路線ごとに採算をとることになっております。一般の有料道路で申しますと、その路線の、まあ簡単に申しますと、建設費を償還すればただにするというやり方でございますが、おっしゃるように、これは時とともにその周辺の事情等もございまして、交通量に高低を生じます。そういう際に、一々料金でこれを修正するということはいたしませんで、早く償還したものは早くただにする、こういう考えで一般道路はやっております。  それから、名神高速道路につきましてのお話がございましたが、これも、並行して一級国道の一号線がございまして、貨物等その国道を利用する割合が多いわけでございます。この名神の利用が比較的少ないのではないかという御批判に対して、その理由としてあげ得るのは、次のようなものであろうと思われます。一つには、この道路延長が約百九十キロでございますが、高速道路としては比較的に短いということ、また、この道路を利用することによって得られる節約時間が十分活用できるような節約時間にしがたい。特に長距離トラックについてはそうでございますが、そういうことが一つございます。こういうことがありますので、トラックの利用が比較的少ない。それから、短距離のバイパス的な利用が多くて、平均の走行距離が計画の約二分の一であるということでございます。それからもう一つは、栗東から東のほう、小牧の間、交通量が計画の二分の一程度でございまして、少ないということがあげられます。こういうことが原因だと考えるわけでございますが、これらのうち、東名高速道路が小牧から岡崎の間、来年の春にも開通することになろうと思いますが、これができますと、この状態がだいぶ変わったものになるであろうと考えます。また、トラック業者に対しまして、誘致対策と申しますか、PRが従来足らなかったのではないかと反省しておるわけでございますが、このPRを積極的にやりたいと考えております。  それから、名神道路に接続する道路の整備状況でございますが、これがまだ十分な状態ではないのでございまして、これらにつきましては、建設省にお願いいたしまして、接続する道路の整備を実行していただきたいと考えております。  それから、これもPRのことになるわけでございますが、高速道路を利用すればそれだけ経済的であるということがまだ広く知られていないのではないかと、乗用車の利用は非常に多いわけでございますが、そういう感じがいたします。これも今後積極的に進めてまいりたいと思いますが、しかし、名神高速道路の開通以来、料金収入は逐年増加いたしております。最近の例で申し上げますと、交通量は計画の七六・一%に達しておる状況でございますし、また、収入のほうも前年比三一%程度伸びを示しておりますので、これらのことを考えまして、近い将来に計画目標に達し得るものと考えておるわけでございます。トラックの料金が高いということが言われまして、昨年の四月にトラックの料金を下げまして、その結果、トラックの利用率がだいぶ上がってまいりまして、最近の状況ではおおよそ乗用車とトラックが半々になってきております。こういうようなことで、名神高速道路に対しましては、近く計画交通量に達するものと考えております。
  132. 大橋和孝

    大橋和孝君 さきの質問の第一点、まだ十分お答えを願っていないわけですが、各有料道路は非常にいままでのたてまえでは、建設費が償却されたらそれはまあ無料にして、その地域のほうに無料で通過さすように、料金はゼロにするということなんですが、それはそれで私は当然いいと思うわけでありますが、しかし、この料金の中の問題が、先ほど言ったように、名神あたりでは、あれはレジャー道路であって、観光バスとか乗用車がおもに走って、トラックは依然としてやはり国道一号線では押し合いへし合いする。あるいは事故もどんどん起こっているという現況で、まあそういう非難は非常にぼくはあると思うのです。そういうことなんか考えまして、この高速道路は別としましても、たとえば有料道路なら有料道路はいまぼくが言うたようにプールにして、そうして、ある程度全体を見合って、そうしてコストをダウンしていくということは考えられないのかどうか。そういうことはもっとぼくは考えてしかるべきじゃないか。まあ百六十六ですか、いま路線をやっているわけでありますし、これからやろうとしていま建設中のものを入れましても、相当のメーターは引いているわけでありますから、こういうものを、もっと全般的にこれを見て料金をダウンする方法を考え、そうして、そういうことをするのも一つの方法ではないかと思うのでありますが、そういう点はやられる意思ありやなしやということを一ぺんお聞かせいただきたい。  それから同時に、いまお話しになっているのは、だんだん改良してくるのだと、あるいは、まあいま御説明の点はもちろんあると思うのでありますが、私やはりトラックの運転者にはその間でも、たとえば、そこを通ることによって時間的、あるいはまた、いろいろな条件が有利であるということになれば、そのコストの割合にして有利であるということになれば、私は利用すると思うのです。ところが、やはりその利用度を考えて——利用の便利さというものもあるでありましょうが、料金の差というものもあって私は利用されないと思うわけです。何か話に聞きますと、夜間だけはチケットを持っている者は何ぼか、私、割り引きをするとかなんとかいうこともあると思うのでありますが、そういうことももちろんPRも足らないと思います。けれども、もっとそういうことは、ぶつかってみて、そういうことになって料金を云々するよりは、やはり今度は五道路も新しい高速道路計画されておるわけでありまして、そういうことに対しては、もっと名神そのものの何といいますか、成果というものをもっと分析して、今度の東名にいたしましても、あるいはまた、いろいろ出ておる中央とか北陸とか中国とか、あるいはまた、九州にも新路線を考えておられるようでありますが、こういうものに対しても、やはりもっと綿密な、料金を安くする方法ということを考えなきゃならぬのじゃないか。それは資金の面からも考えなきゃならぬでありましょうし、また、建設の面からも、同時に、いろいろなその道路のために、そこへ入ってくるところのほかの道路のことも考えなければならぬと思いますが、あわせてそういうことを考えることが、やはり国民に対するサービスでもあるし、あるいはまた、同時に、交通難の、いまの交通事故のときの非常に私は配慮すべき問題ではなかろうかと思うので、質問さしていただいているわけでありますが、その点について、少しこまかしい意見を開陳してもらいたいと思います。
  133. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 一般の有料道路について先に申し上げますが、現在六十三路線やっております。そのうちで、期間内に償還可能な道路は三十八路線ございます。それから五路線のほうは開通後間もないので、まだこれはどうなるか、これからであります。それからいまのところ、期間内に償還がむずかしいと思われる路線が二十路線あります。  そこで、先ほどお話のございました成績のいい道路は早く償還して無料になり、それから成績の悪い道路はいつまでも有料である、こういうことがございますので、おっしゃるようなことは、これはぜひ検討しなければならぬことであろうと考えます。ただ、ただいまの法制ではそれができないのでございますが、今後はそういう考え方をとって、全体をプールしてやってみたらどうか、これは建設省でも御検討中と聞いておりますが、その方向に検討さるべきものと考えます。また、高速道路につきましても、五道——北陸道でありますとか、東北道でありますとか、九州道でありますとか、こういう道路がこれから建設されなければなりませんが、必ずしも採算的に有利なものばかりではございません。高速道路に対しても、やはりプール制で考えていく必要があるのではなかろうかと考えております。
  134. 大橋和孝

    大橋和孝君 東名のほうも着手しておられるようでありますので、特に私は名神のほうでいろいろなことをちょっと尋ねてみたいと思うわけでありますが、名神のほうは一体建設費は、出資財源はどういうふうであって、そうして、それがどれくらいになっているか、あそこはたぶん世銀からも金が入っておったようでありますが、それはどのくらいになっておるか、ちょっと。
  135. 宮内潤一

    参考人(宮内潤一君) 私からお答え申し上げます。  名神の建設費は千三百二十五億円、それから資金の割り当てと申しますけれども資金というのは、公団に対して一括して、先ほど総裁が御説明しましたような資金が入っておりますので、名神だけ特別ということはありません。ただ、世銀だけは、これは名神ということで受け入れておりまして、これは八千万ドルでございます。したがいまして、二百八十八億になります。
  136. 大橋和孝

    大橋和孝君 この償還は何でも二十五年ですか、何かそんなふうに聞いておるわけですが、そういうことから割り出してみて、東名路線の計画されているのは、どんなふうな比率になっているわけですか。それからして、出資の面から考えて、どういうふうな割合になっておるから料金としてもどういうふうになるだろう、そういうようなことなんかのかね合い、大体わかるのですか、どうですか。
  137. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 東名並びに中央道に関しましては、来年の春一部開通をいたしますし、地方道につきましては、ことしの暮れに一部開通することになっておりまして、料金をきめることが急がれておるわけでございますが、ただいま公団委員会を設けまして、学識経験者にその委員になってもらって、ただいま鋭意検討していただいておるところでございます。六月中一ぱいぐらいに結論を得たいと思っておるわけでありますが、これと償還期限と関連いたすわけでございます。初めはまあ、おおよそ三十年ぐらいというようなことを考えておったわけでございますけれども、今後五道の建設も進んでまいりますし、それらを勘案して、料金体系をどうしたらいいか、ただいま検討中でございますので、償還期限について、まだ申し上げかねますので、御了承いただきたいと思います。
  138. 大橋和孝

    大橋和孝君 先ほど申したように、こうした問題は、比較的利用する一般国民に対して、非常に密着に影響を及ぼすものでありますので、特に私はいろいろな観点から——もちろん、そうやつて審議会開いてやっておってもらっておりますから、老婆心で言うに及ばないかもわかりませんが、名神高速道路の例もありまして、非常に利用率が低い、途中で値を下げなければならぬというようなこともあったわけでありますから、そういう経験を生かして、私は将来の展望として、こうした道路ができることは非常にけっこうだと思いますが、ただ、それがレジャー道路になったり、あるいはまた、そういうことであって、ほんとうに物価そのものにもはね返ってくるところの、輸送のほんとうの使命になってないということであっては、たいへん私は道路計画されることが、ほんとうの意味があらわれないと思うわけでありますので、特にそういう点は考慮してもらわなければならないいまは大事な時期だと、こう思いますので、特にそれを要望したいと思うわけであります。  それから最近の新聞で出ておりましたように、バスが横転をした、名神高速道路、しかも、それはいままでわからなかったけれども、あのときの説明では、ある程度雨が降って水がたまっているところで、あるスピードを出せば、バスは浮いてしまいまして、そして、そうしたことが起こるのだということを、われわれしろうとの者は新聞を見て考えたわけでありますが、こうした高速道路計画の中で、ぼくは外国のそういう例もあったことであろうと思うし、いろいろ研究はされておると思うのでありますが、特にこのごろ交通事故の多い現段階で、これを建設のところでは、そういうことに対しては、どういうふうな配慮をしていくのか、おそらくあれもカーブとか、いろいろ道路建設する上において大きな影響を持つと思うのでありますが、ああいう新しいことを耳にすると同時に、私は、こういう計画の中で、道路公団ではどういうふうにこれを踏まえて、どういうところでこれを歯どめするような研究機関を置いておられるのかどうか、そういうことを心配してひとつお聞きしておきたいと思う。
  139. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 貴重な御意見、御指示をいただきまして、ありがとうございました。  事故防止対策と申しますか。名神高速道路の安全性の問題でございます。名神高速道路は供用を始めましてから三年ほどたっております。この間にいろいろの事故を起こしておりますが、特に死傷を生じたというような事故も多々ございます。しかし、この死傷を生じるような事故はだんだんに減ってきておりまして、四十一年度におきましては、一億台キロ当たり五・六というような数字を示しております。これは一級国道に比べまして少ない死傷率でございますし、また、この数字には欧州の数字に似ておる数字でございます。アメリカよりは少し高いのでございますが、この事故の中には、バスが横転いたしましたり、あるいは濃霧の中で多重衝突を起こしたりいたしまして、こういう事故を生じておりますが、公団といたしましては、道路構造の面で安全性を欠くものがあれば、これを直ちに改良いたしますし、また、安全に対する施設、これは逐次増強いたしておる。また、冬季の雪氷対策につきましても、逐次増強いたしております。濃霧の問題につきましても、いろいろ最新の欧米でとられている方法等を採用いたしまして、事故のないようにつとめておるわけでございます。先ほどお話のありました水膜現象と申しますか、ぬれた道路を九十キロ以上で走りますと、水膜現象を生じて車がすべるということがございます。これも先般の事故でそれが明らかになったわけでございますが、こういう事故を起こさないように、交通取り締まりの面からやっていただくところは、警察のほうにお願いいたしておりますし、また、施設を設けることで安全を増すことができるのは、その方法をとっております。水膜現象を起こしましたところは、ガードレールが道路のわきのほうにありまして、中央分離帯のほうにはなかったのでありますが、その後、さっそくガードレールを取りつけいたしました。なお、本年におきましても、その予算をとりまして、全面的に交通の安全を確保するようにつとめておる次第でございます。
  140. 大橋和孝

    大橋和孝君 それから資金の面を考えてこうした道路建設してもらうのも、先ほど住宅公団にもそう申し上げたのでありますが、やはりこうしたことは非常に公の利益につながることであり、こうしたものがうまくできることは非常に将来望ましいことでありますけれども、それが資金の面で非常に問題があろうと思うわけでありまして、住宅公団でもそういう御説明を受けたわけでありますが、道路公団としましても、やはり財投のほうから受ける金は相当あるわけであり、回してもらう金はあるだろうと思うわけでありますが、私は、いまの財投からのいろいろ融資をする過程で、こういう公共的なものに使うのには大体二五%とか聞いておるわけでありますが、私は、公団のほうからも、もう少し大蔵省のほうに対して積極的な要請をして、そうして、それが政府資金相当出してもらうように、ことに財投のほうからも、こうした公のものに対しては、もっと大幅に切りかえるという処置を、やはり私は、大蔵省に対してはいろいろわれわれとしてもしなければならぬと思うのでありますが、公団としても、そういうような計画をただいま樹立をして要求をするような前向きな姿勢になってもらったらどうかというようなことを考えるわけであります。やはりもっと比重を公のほうに金を回すような要求をするというたてまえをとっていただきたいと思うわけです。同時にまた、私は近畿の方面のことを考えているわけでありますが、あそこには万国博覧会が開かれるということであって、相当のたくさんな交通のあれが出てくるので、いま建設省としても、阪神でございますか、高速道路公団をこしらえて、そうした意味で道路建設する計画を持っておられるようであります。私は、日本道路公団のほうからも、もう少し全体的なことでこれに対していろいろ横からの要望を加えていただきたい。特に私は、京都あたりは観光都市であるために、大阪からの京都に通ずるところの、何と申しますか、自動車道路というものも、名神高速道路一本ではとてもものにならないし、また、一部考えてみますならば、これと連絡するところの道路も非常に必要なわけだと思うわけであります。先ほど総裁からもお話があったように、高速道路ができても、そこに入るところの道路が十分でないから、これは建設省に頼まなければいかぬということでありますが、そういうことに対しては、もっと前向きに、いわゆる万博を機に、もう少し道路建設というものに対して、何とか道路公団では考える余地はないのか、あるいはまた、そういうことで特に意見を各方面に出して、そうしたことに対して、道路公団としては何か役割りを演じてもらったらどうかと私は思うのでありますが、そうしたことに対する総裁の考え方をひとつただしておきたいと思います。
  141. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 仰せのとおり、資金難の問題でございまして、毎年毎年この点では大蔵省に折衝しておるわけでございますが、力が足りませんで思うようにいただけないのでございますが、この努力は将来とも続けてまいりたいと存じます。  なお、道路計画につきましては、有料道路も五カ年計画の一環でございまして、五カ年の総ワクがきまってくるわけでございます。これらにつきましても、全体の、全国的に有料道路で整備すべきものがたくさんあるわけでございますし、なお資金を増していただけるように努力いたしたいと存じます。
  142. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう特に、私いま申し上げたのですが、東京がオリンピックのために非常に道路が整備した。これは私は非常にいいものが残ったと思うわけであります。ですから、私は今度、万博ができることに対しては、やはりある程度その万博が行なわれたあと、その地区に対してはいいものが残ったというようになることが考えられなければならぬと思うのです。そういうものができて初めて、私は、その周囲の府県もまた協力することと考えるのでありまして、そういう観点から、私は、そういうところに携わっておられるところの公団で、いままでの計画どおりに動いておられ・て、資金はなかなか急に動かないものだと思うのでございますが、特にこの万国博覧会の開催を機に、八月の予算要求のときには、もう少しそういうことを大きく盛り上げて、ひとつ公団はそういう現象に対して協力するとともに、それがあとに残って国民のしあわせになるということに、私は多く努力しなければならぬと思うわけです。ただそのときだけで消えてしまって、そのときはりっぱであったけれども、あとに何にも残らないで、むしろ、その付近の住民に対しては何かのマイナスになるということであれば、私は、そういうことはやらないほうがいいと思うのであります。そういうことから、特にあとに残るものが、そこの国民全体として非常に有意義であるというものが残されるということが望ましい。そういう観点からいえば、私は、道路というものが、今度の万国博覧会開催にあたって、京都方面に行く道路がもっと整備されていなければ、車が一ぱいになってなかなかたいへんだろうということを考えておる。同時に、政府のほうも考えられて、阪神ですか、高速道路公団を設けられたわけでありますが、私はきょうもそのことについて少し質問したいと思っておったのですが、その政府委員の方が十分出てこられないので……。私は、将来はこの阪神というのを京阪神に延ばして、あの一帯に大きく道路網を形成してもらうと同時に、住宅公団あたりもそれに引き比べたところの住宅政策をもって将来に臨むということが総合計画的にやられていって初めて、その付近のいろんな問題が解決できると考えるわけでございまして、そういう観点からも、私は、この道路公団で受け持てる範囲内のことはもう少し道路のことは受け持っていただきたい。たとえば、いま行なわれておるところの阪奈と申しますか、あの道路あたりもできておりまして、私どもも通ったことがありますが、非常に便利であります。ああいうふうなものをもっと道路公団でこしらえてもらうということは非常に意義が深いと思う。特に私がそれをいま申し上げるのは、普通の計画だけでなくて、万国博覧会に際して特にどれだけの計画を立てようという意欲的なものを私はここで要求したいと思うわけであります。そういうことに対しての総裁のこれからの前向きの姿勢はどうであるかということを一応聞いておきたいと思います。
  143. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 万博に関連いたしまして道路公団はただいま次のようなことを実施いたそうと考えております。その一つは、吹田から池田までの中国道でございます。それからもう一つは、大阪から奈良に行きます阪奈道路でございますが、これは現在狭くなってきましたので、これを広げたいと考えております。それから神戸から明石までに行く道路のうち、まだできてない分がございます。公団の有料道路がございますが、それと引き続きまして明石までこれを有料道路として実施いたしたいと考えております。その他、ほかの県で万博関係といっていろいろ言ってこられるものもございますが、直接万博に関係するものとして、以上三つ道路を考えてこれは実施いたしたいと考えております。
  144. 大橋和孝

    大橋和孝君 この三つはもちろん必要だろうと思います。なお一そう前向きに私はそれを要求しているので、ひとつ考慮していただいて、この夏から来年度、再来年度にかけて、もう一本なり二本なりふやしていただけるものなら——特に私は見ておりまして、京都に入るのが少ないと思う。そういう意味で、少し考えてもらいたいということを私は思っておるわけでありまして、地元から陳情に来るからするというのではなくて、大所から考えてもらわなければ、陳情を受けたものだけを消化したというだけでは、私は前向きの姿勢として考えられない。もっと大所から、こういうものが必要であると思えば、もっとそれを推進してくれることの気持ちがあってしかるべきだと思うのであります。それを特に要望して私の質問を終わります。
  145. 石本茂

    ○石本茂君 私は住宅金融公庫の関連におきまして、特に個人住宅の貸し付けのやや細部にわたりますけれども、一、二のことについてお尋ねしたいと思います。  まず初めに伺いたいと思いますのは、この個人住宅の貸し付け対象者の基準とでも申しますか、何かそういうものがあるように聞いているのでございますが、そちらのほうの具体的な基準があれば教えていただきたいと思います。
  146. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 住宅困窮者で住宅を必要とする、それから世帯者であって公庫から金を借りました場合にこれを償還する力がある者というようなことを基準として貸し付けておるわけでございます。
  147. 石本茂

    ○石本茂君 そこで、その貸し付けの基準額と申しますか、そういうものにも、もちろん規定されたものがあるのでございましょうが、そういうことにつきまして、簡単でけっこうでございますが、どういうことが基準として定められているのですか、お伺いいたします。
  148. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 個人貸し付け、木造の場合でございますが、法律によりまして、建設費の七五%を貸し付けるということになっております。建設費は標準建築費に坪数をかけて出す、その七五%を貸すという標準建設費をきめております。坪数はやはり法律で六十七平米までお貸しする。つまり、二十坪までお貸しする、こういうたてまえになっております。
  149. 石本茂

    ○石本茂君 先ほどこの貸し付け対象者の基準というようなことを聞きましたですが、お答えの中に、やはり回収能力がないということが一つの大きな問題だと思うのでございますが、私はここに特にお伺いしたいと思いますのは、現在独身者というものがいろいろな条件があると思いますが、結婚適齢期を過ぎましてなお一人でおります者、現在労働に従事いたしまして相当のと申しますか、賃金を獲得しているというような者でありましても、独身者でありますというゆえをもちまして、この個人住宅の貸し付けを受けることができない実例を幾つも見てきておりすす。現に私自身がいまから数年前にそのワク外の一人でございまして、だめでございました。なお、独身者である者は、現に働いている労働状況あるいは収入条件、そうしたことを一切無視して、独身者だからだめですというようなことを言われておりますのか、具体的に御説明願いたいと思います。
  150. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 先ほども申し上げましたように、お貸しする対象といいますか、貸し付け対象者としまして、同居する者がおるということを条件にしているわけでございます。これは貸し付け方針としてきめておるわけでございます。やはり独身者というよりは、独身者でも同居する家族がおればこれはよろしいのでございます。いわば妻帯者であっても単身居住という状態になれば、これはお貸ししないというたてまえをとっております。ですから、独身者の場合でもお貸しできる場合もございます。しかし、独身者が単身居住の場合は、これはお貸ししない。つまり、同一家族が一緒に住んでいる場合よりも住宅困窮度が若干軽いのではないか、こういう考え方で一応そういうことをきめております。しかし、これは御承知のように、貸し家についても、最初は世帯だけの貸し家をやっておったのでありますが、だんだんに多少でも貸し家の問題が、一時の終戦後のひどい状態が緩和したときに、やはり単身者の、独身者のための貸し家もつくっております。それでありますから、持ち家につきましても、だんだんと住宅事情が多少でも緩和し、また、予算等がふえれば、単身者にもお貸しするということが、もちろんそういう方針をとることができると思います。
  151. 石本茂

    ○石本茂君 そこで、現在年間、四十一年度でも、あるいは三十九年度でもけっこうでございますが、年間の申し込み者に対しまして、一体どれくらいの率で貸し付けが実際行なわれておりますのか、いま申されましたように、単身者、いわゆる家族の、戸籍の上では三人おりましても一人で住む家のための融資はしないというふうに理解したわけでございますが、そういうものは絶対にないのか。  それからもう一つは、同居者があればとおっしゃいますけれども、同居者と申しましても、いわゆる先ほどちょっと私が申しました戸籍の上のいわゆる同居者なのか、または、友だち同士が一緒になりまして二人で生活をしたいと思いますから貸してくださいというような同居という意味でございますのか、そのことをちょっとお尋ねいたします。
  152. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 同居者の範囲でございますが、たとえば内縁の妻はよろしいわけです。それから親戚の者も、一緒に住んでいる場合はこれはよろしい。友人関係、これは全然……。
  153. 石本茂

    ○石本茂君 もう一つ聞きましたのは、年間の申し込み者に対しまして、どの程度まで貸し付けが実現しておりますか、その率をお聞きしたいと思います。
  154. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 各年度違いますが、最近の三カ年間を申し上げてみますと、三十九年度は、申し込み者が二十三万一千人ほどでございます。で、これに対しまして大体契約できる、事業計画といたしまして契約できるものは四万四千五百戸ほどであります。そこで、三十九年度大体一回と二回に分けてやっておりまして、同時に、十六坪借りたいという方と十三坪借りたいという二組に分けて抽せんを行なっております。  それで、木造について申し上げますと、十三坪までの場合は十人に六人、それから十六坪の場合は十人に二人、それから四十年度になりますと、第一回について申し上げますと、これが十人に四人、それから十人に二人、それから四十一年度も同様、十人に六人、十人に二人、こういうふうな当せん率になっております。
  155. 石本茂

    ○石本茂君 いま申されておりますように、家を持たない多くの国民の皆さんは、その他の住宅金融機関どもございますけれども、何といいましても、政府機関であります金融公庫に対しまして、非常に夢と希望を託しながら信頼しているわけでありますが、いまおっしゃいましたパーセンテージを見ましても、まだまだもっともっと拡大強化していただきませんことには、夢がかなえられないということでございますし、あわせて、先ほど来ちょっと申しておりました単身者といいますか、私は独身ということばを使いましたけれども、私がこの独身ということばを使いましたのは、たとえば私どものように、五十を過ぎまして一人でおります。一人でおろうと思っておったわけではありません、職務の性格等から今日そうなった者が大ぜい私の仲間にはおります。そういう者が、さっき申しましたこの法律ができましたときに、そのワクの中に入れていただけるかと思いましてお願いいたしましたらだめであった。結局、自己資金をもちまして、老後自分の家を持ちたいという希望を持って今日まで来ましたところが、いまほとんど定年退職というところに入り込んでしまいまして、やめましても行く家がない、いわゆる弟さんの家あるいは自分の兄弟の家しか行くところがないということで、自分の持っている自己資金では、いわゆる二間の家を建てることも困難である、土地の問題もございますので、そういう状態もございますので、どうか、申し込み資格を持っておられます有家族者の方はもちろんでございますが、できますことなら、いまあります法律のたてまえを別に、法律を見ておりますと、第一条の目的のところにも、先ほど総裁も申されましたように、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするもの」に融通するのだという法律のたてまえもきちっと出ておりますね。憲法のたてまえからまいりましても、個人の尊重ということがうたわれていると思うのでございますが、ただひとり者であった、一人で生活をしているということのために、そういう恩恵が受けられないとしますと、非常に何かやはりいびつな感じがしてくるわけでございますが、このことにつきまして、法律がそうなんだ、規則がそうなんだ、たてまえがそうなんだからしかたがないとおっしゃるかどうか、総裁の御意見を伺っておきたいと思いますが。
  156. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 先ほど申し上げましたように、法律できめてあるわけではございません。貸し付け方針でそういう方針を出しておるわけでございます。したがいまして、そういう事情、需要と申しますか、かなりある、強烈にある、相当数もあるのだということになれば、これは将来考えていくべき問題であろうと考えております。
  157. 石本茂

    ○石本茂君 ぜひ、このことにつきましては、家族を持っておられます方が優先するのが当然かと思うのですが、一部ではありますけれども、そうした者もあるということをぜひお認め願いまして、将来の方針の中で御検討いただけます時点において検討していただきたい。  それから、先ほどひとり者でありましても公庫の持っております、何といいますか、独身者のための居住場所といいますか、何かそんなものもあるようにちょっと申されましたが、どの程度にそういうものが現在ございますのか、教えていただきたいと思います。
  158. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 公庫でやっております独身者の貸し家は、現在のところ、何と申しますか、たとえば産労住宅で、独身者、社宅に入る場合の独身、それから学生でございます、学生寮というものに対する貸し付けを行なっておりますが、つまり、学生、それから地方から都会へ出てきました単身者のための貸し付けもいたしております。しかし、これは非常にそういうものが少ないのでありまして、まだたくさんありませんが、多少ございます。
  159. 石本茂

    ○石本茂君 主として、これはそうしますと、産業労働者のためですか、そういう地域とか、それから都会地とか、一部分に限られていると思いますし、また、全地域にあっても必要がないかと思うのでございますが、少しでもそういう面に手をつけていただいているのでございましたら、どうか、この個人住宅の貸し付けということにつきましても、特段の配慮——いまそれじゃ何百人いるのかと言われましても、いますぐ出るわけじゃございませんけれども、非常に地域によりますと、ちょうど年齢的にも私のような年になって、わりあいひとり者が多いものですから、しきりにこの声を聞きます。うそでも、養子でももらって借りたいというようなことさえも盛んにこのごろ言っております。  それからもう一つ、いま、うそでもということばを使いましたけれども、ほんとうにあれが養子なのかしら、娘さんなのかしらん、嫁に行ったのじゃないかしらんと思う人でも、一緒におれば借りておるということについての不平不満もやはり相当聞いております。  それからもう一つ、申し込みをしましたときに、順位というものがあるのかないのか存じませんが、何べん行っても、毎年行ってもなかなか当たりませんのに、隣の人が一ぺん行ったらさっと当たってしまった、あれはどうも頼み方がじょうずなのじゃないでしょうかということも聞いておりますが、このことにつきまして、何か当局の御意見ございましたら、お聞きしたいと思います。
  160. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) お話のとおり、単身者に対する貸し家というものは、大都会に大体できておるものであります。したがいまして、いなかにおける単身者のための住宅としましては、やはり持ち家が必要になってくるということはお話のとおりであろうと思います。まあお話のとおり、また数も少ないのではないかと思いますが、そういう面は将来積極的に前向きで考えていきたいと思います。  それから、抽せんの問題でございますが、これはちゃんと、申し込みに対しまして番号をつけまして、そして公開抽せんをやっておるわけでございまして、全然そういう不正はないはずなのでございます。先ほど申しましたように、十人にとにかく六人当たるわけですから、一回で当たる場合もございます。そして、三回落せんしました場合には、これは無抽せんで選考してお貸し付けする、つまり、三回落せんして四回目にはお貸しするわけですから、年に二回、大体四月と七月にやっておりますから、一年半ほどたつと無抽せんで借りられるというたてまえにいたしております。
  161. 石本茂

    ○石本茂君 もう一つお伺いしたいと思いますのは、申し込みをいたします地域別によりまして、その当たる比率といいますか、それがたとえば金沢に申し込んだ人、あるいは四国の高松に申し込みました者、あるいは東京で申し込んだ者、その申し込み場所に対しての比率は、どういいますか、当たる率といいますか、そういうのは場所ごとにきめてありますのか、全体をプールいたしまして、そして契約者をおきめになっておりますのか、それをちょっとこの際、聞いておきたいと思います。
  162. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 当せん率は全国一本できめております。これは一般個人の貸し付けの場合でございますが、分譲住宅等になりますと、その団地団地の募集をいたしまして、そこで応募した者に対する抽せんを行ないますから、これは当然に当せん率が違ってくるわけでございますが、一般に年に二回やるこの分は、全国一本の当せん率でやっておるわけでございます。
  163. 石本茂

    ○石本茂君 最後に私のお願いでございますが、先刻から申しておりますように、われわれ人間が生活をしていきますときの大きなやはり基盤の要素であります住宅でございますし、それから、だれでもやはり自分の家を持ちたい、これが念願だと思うのです、もちろん分譲住宅にいたしましても。そういうことから考えまして、何か昨年、四十一年度から発足されました建設省住宅建設五カ年計画など見ておりますと、やはり国を背景といたしますものでは、住宅金融公庫の将来の持ち分といいますか、割り当て率が一番大きいように思います。こういうことから見ましても、一般大衆、国民住宅金融公庫の今後の割り当て等につきまして、もっともっと大きなパーセンテージになってほしい、伸び率を期待していると思うのでございますが、どうか、この事業が一そう拡大されまして、強化されますように、特段の御配慮、御努力くださることをお願いいたしまして、私の単純な質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  164. 瓜生清

    ○瓜生清君 時間もおそいですから、ごく簡単に道路公団住宅金融公庫に質問をしたいと思います。  まず、道路公団に聞きますが、先ほど総裁が大橋委員の質問に答えられまして、いままでの道路公団で使った資金の構成についてお述べになりましたが、その中で、営業収入を除いたほかの資金の割合でございますが、政府からの分が大体一一・一%、補助金が一%、道路債券が六四・九%、資金運用部の金が四・八%、それから産業投資特別会計が三・五%、世銀が一四・七、合計一〇〇%、こういうふうな数字の開陳があったと思うのですが、この中で、世銀の比率相当大きいわけですね。そこで、借り入れ金利息をいま聞いておりますと、大体七分から七分一厘ぐらいになって、ほぼ同じような金利なんですね。そこで私が伺いたいのは、世銀の借り入れというものを、金利がそう変わらないのに、国内の資金を調達せずして、世銀の世話にならなきゃならないという一番大きな理由はどこにあるのか。ということは、金利に差異がほとんどないならば、できれば国内資金を使ったほうがいいんじゃないかという気がするんです。その点についてひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  165. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) 世銀の金は名神以来借りておりますが、初めのうちは利子が安かったのです。一番初めは五分七厘五毛でございます。国内の資金コストよりも有利であったものですから、世銀から借りることにしたわけです。だんだんその金利が高くなってまいりまして、最近では、国内で借りるのと変わりなくなってきております、手数料を含めまして。そこで、世銀からの借り入ればただいまのところ東名で終わりまして、今後借り入れる計画はございません。
  166. 瓜生清

    ○瓜生清君 よくわかりました。  次の質問は、道路公団から出されておる、「事業概要道路統計」というパンフレットございますね。これを見ますと、一般有料道路の中で比較的、何といいますか、観光地の周辺の道路が多いような気がするわけです。そこで、その可否は別にしまして、その方針というものは、中央で策定したものか、それとも、地方公共団体等の強い要請に基づいて建設されたのか、その考え方のウエートというのはどちらにあるのか、お答え願いたいと思います。
  167. 富樫凱一

    参考人(富樫凱一君) お話のように、観光道路が幾つかございます。これの大半は、私の記憶するところでは、地方からそういう陳情がございました。それを検討いたしまして、有料道路として適格であるということで始めたものが多いわけでございます。ここ二、三年前であろうと思いますが、観光道路をあまりやらぬようにしたらどうかというお話もございました。最近は観光道路を比較的少なくしております。ただいま営業中の路線が六十三路線でございますが、このうち、純粋に観光であるというふうに見られるものは数カ所ではないかと思います。あとの部分はまあ観光とも言えますが、産業的にも非常に役に立っておるというように考えておるわけで、先ほど来からお話のございましたように、公団資金もなかなか容易ではございませんので、今後は純粋の観光というのは、これは県なり地方公共団体でやっていただくような方針にしたらどうかと思いますが、その点は、ただいま建設省でも御検討中のように聞いております。
  168. 瓜生清

    ○瓜生清君 先ほど言いましたように、観光用の道路につきましては、まあ国の費用も相当使ってつくるわけですから、その日本を代表するような、たとえば、先ほどの大橋委員のような、京都とか奈良とか、そういうところは別にして、あまり、何といいますのか、開発をそう急がなくてもいいようなものは今後の計画の中でひとつ調整をしてもらいたいという意見を申し上げまして、道路公団に関する質問は終わります。  次に、住宅金融公庫にお尋ねしますが、私どもがもらっておる資料によりますと、政府昭和三十八年、それから四十一年度に至る貸し付け契約高の種類を見てみますと、いわゆる個人住宅の貸し付けの伸び率が、三十八年を一〇〇とすれば、四十一年は一八二、それから分譲住宅の貸し付けを見ますと、昭和三十八年を一〇〇とすれば、昭和四十一年は三〇四、こういうふうに伸び率が、個人住宅の貸し付けよりも分譲住宅の貸し付けのほうが非常に大幅な数字を示しておるわけです。そこで私がお尋ねしたいのは、個人住宅の貸し付けがこういうふうに足踏みをして、そして分譲住宅の貸し付けというものが急速に伸びておる。その背景には、何といっても建設費の高騰というものがあるのじゃないか、特に土地値上がりというものが大きく影響しておるように判断をされるわけです。そこで、いまの住宅金融公庫の貸し付けの額というものに対しまして、これを現行よりも拡大する必要性があるんじゃないかというふうにわれわれは考えるんですが、そういうことにつきまして、住宅金融公庫なり、あるいは大蔵省なり、あるいは建設省なり、そういう政府当局のいま、何といいますか、考えておられることをひとつ承りたいと思います。
  169. 角田正経

    説明員(角田正経君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のございました個人住宅が足踏みして、分譲住宅伸びているんじゃないか、これは総体的な戸数からいいますと、個人住宅分譲住宅を含めまして、個人の持ち家ということで総体計画を出しておりますので、そのワクの中で伸ばしておるわけでございますが、なお、その場合に、個人住宅分譲住宅のシェアをどうするかというふうなことになりますと、一般的に見まして、個人が自分で土地をおきがしになるのが非常にたいへんだ、それからもう一つは、考え方といたしまして、都市のスプロール、いろいろ御自分で土地をおさがしになっている方もございますが、新たに土地をおさがしになるような場合に、郊外に郊外にと伸びていくわけでございます。そういうような意味で、都市のスプロールをある程度防ぐというようなことを考えますと、計画的な住宅団地を建てるほうがいいじゃないかというふうな点が一つでございます。  なお、その他に四十年度から発足いたしました住宅供給公社がございます。これは積み立て分譲住宅、その他の分譲住宅を主とする公社でございまして、法律に基づきまして、御審議いただいて発足したものでございますけれども、その公社の積み立て分譲住宅というものが将来伸びてまいりますと、必然的にその範囲内におきましては、分譲住宅を伸ばしていくというふうなことになるわけでございます。  なお、貸し付け金額につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、私ども決して十分だとは思っておりません。なお今後とも融資額等につきましては、格段の努力をいたしまして、増額をいたすように努力をいたしたいと思っております。
  170. 瓜生清

    ○瓜生清君 いまの、何といいますか、家を建てるのになかなか、土地、建材その他の値上がりによって、従来の住宅金融公庫から金を借りて建てればすごく便利な面もあったけれども、いまの貸し付け金額から申しますと、あまり、何といいますか、これまでほどの妙味が薄れつつある。したがって、やはり情勢の流れに応じて、これはどうしても貸し付けの額というものを早急にふやす必要があると思います。おそらく、いろんな関係がありまして、住宅金融公庫だけの裁量で解決できる問題じゃないと思いますが、ひとつ早急にそういう問題の解決に積極的な努力をしてもらいたいと思います。と言いますことは、最近では、御承知のように、それぞれの都市銀行なり、いろいろな機関が長期ローンつきの土地なり、あるいは土地つき住宅なりというものをどんどんつくって、住宅金融公庫、それと比較すれば、前者のほうが多少は有利だというような面がありますけれども、後者は幾ぶん不利であっても、何といいますか、自分がある時期には、入らないにしても、大体期間的に見て、住宅金融公庫のしちめんどうくさい手続をして、当たるか当たらないかわからないような、何といいますか、不安定な計画のもとに自分の持ち家をつくると、それが個人住宅であろうが、分譲住宅であろうが、そういうことを比べてみますと、住宅金融公庫自体の業務というものがもっとやはり民間べースというものに近づいていかないと、妙味というものが薄らいでくるんではないか。せっかく貴重な政府資金を使いながら、そういうふうな結果を招来したんでは私はいけないと思うのです。そういう観点からこういう質問をしているわけですから、その点をよく理解してもらって、貸し付け金額の面、それから返済年限の面、それから審査のスピード化、こういうものについて特段の御留意を願いたいということを強い意見として申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、いま宅地債券というのがございますがね。これの消化状況というのはいいのか、悪いのか、当初、計画された見込みに比べて、一体どういう状況にあるのか、お知らせ願いたいと思います。
  171. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 宅地債券毎年発行しているわけですが、三十九年度二十億円、それから四十年度と四十一年度はそれぞれ二十五億円発行しておりますが、実際に応募して入りました金は、三十九年度は十九億一千六百万円、これは大体一ぱい調達できたわけでございますが、四十年度になりますと、十七億三千一百万円、それから四十  一年度は十五億三千八百万円、多少ずつ低下しております。
  172. 瓜生清

    ○瓜生清君 そうすると、当初のアイデアはよかったけれども、実際やってみると、それほどの効果がないのだというふうに解釈してもよろしゅうございますか、それとも、すすめ方が足りないのか、その点いかがでしょう。
  173. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) この考え方としては、大体いいんじゃないかと私ども考えておりますが、ただ、だんだんやってまいりますと、適地と申しますか、皆さんがあれならいいという場所について宅地債券を発行するということがなかなか困難になってまいりますという状態でありまして、制度の問題というよりは、やはり土地が窮屈になってきているということのあらわれじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  174. 瓜生清

    ○瓜生清君 それは事実はそのとおりに違いないんですけれども宅地債券というものが、そういう制度が生まれてまだわずかしかならないわけですよ。それから土地が足りなくなるなんということは、何もいまごろ総裁から聞かなくても、既定の事実であって、私は深く追及しようとは思いませんけれども、思いつきの非常に多い制度だというふうな感じがしてならないわけです。したがって、今後、こういうふうな何か人気取りのようなことをお考えにならずに、もっと現実というものを直視したいわゆる政策というものを立ててもらいたい、こういうふうに私は思うんです。  そこで、最後に、昭和四十一年度住宅金融公庫の貸し付け契約高の予定額を見ますと、千四百六十五億円ということになっておりますが、これに比べまして、民間の金融機関、これはなかなか集計するのはむずかしいと思いますが、どのくらいのものを、何といいますか、出す計画にしているのか、わかっておれば教えてもらいたいと思います。
  175. 角田正経

    説明員(角田正経君) お答えいたします。  お断わりしておきますけれども、いま先生からも御指摘になりましたように、統計がやや不備でございまして、的確であるかどうか、多少問題がある点もございますが、私ども調べました範囲内でお答えいたしますと、四十一年の一月から十二月まで、ちょっと暦年でございますが、都市銀行が九十億、信託銀行が百一億八千万、地方銀行が二百八十四億三千万、相互銀行が百八十八億でございまして、その合計が六百六十四億でございます。そのほかに、労働金庫が三百二十九億、それから農業協同組合、これは信用事業を行なっております農業協同組合が三百六十一億、その他農林中金、商工中金その他もございますが、それぞれ約十億単位程度でございまして、概数といたしますと、およそその程度でございます。なお、生命保に険つきましては、これは統計がはっきりいたしません。それから信用金庫も、実はまことに申しわけございませんが、数字が的確につかめませんので、いまの数字の中には入っておりません。
  176. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十二分散会