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1967-05-17 第55回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十七日(水曜日)    午後二時三十七分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     鬼木 勝利君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 中村喜四郎君                 温水 三郎君                 大橋 和孝君                 竹田 現照君                 二宮 文造君     委 員                 木内 四郎君                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 野知 浩之君                 山本茂一郎君                 横井 太郎君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 瓜生  清君                 岩間 正男君                 石本  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        防衛施設庁労務        部長       江藤 淳雄君        外務政務次官   田中 榮一君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設大臣官房会        計課長      高橋 弘篤君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  三橋 信一君        建設省営繕局長  小場 晴夫君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        外務省北米局安        全保障課長    浅尾新一郎君        国土地理院長   安藝 元清君        会計検査院事務        総局第三局長   石川 達郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書(第五十一回国会内閣  提出) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第五十一回国会内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第五十一回国会内閣提出)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動につきまして報告いたします。  五月十六日黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として鬼木勝利君が選任されました。     —————————————
  3. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は建設省決算について審査を行ないます。  まず、建設省決算について説明を聴取いたします。西村建設大臣
  4. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 建設省所管昭和三十九年度歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。歳入につきましては、一般会計歳入予算額十五億四千五百余万円に対し、収納済み歳入額は二十七億二千九百余万円となっており、道路整備特別会計は、歳入予算額三千四十三億七千四百余万円に対し、収納済み歳入額は二千九百八十八億一千六百余万円。また、治水特別会計治水勘定は、歳入予算額八百三十八億六千百余万円に対し、収納済み歳入額は八百三億五千五百余万円、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定では、歳入予算額百七十九億五千百余万円に対し、収納済み歳入額は百七十六億二千百余万円となっております。  次に、歳出でありますが、一般会計支出済み歳出額は四千百五十一億五千九百余万円、道路整備特別会計支出済み歳出額は二千九百六十二億八千余万円、治水特別会計治水勘定支出済み歳出額は七百九十一億二千二百余万円、特定多目的ダム建設工事勘定支出済み歳出額は百六十六億三千七百余万円であります。  これらの各会計支出済み歳出額は、治水関係事業災害復旧関係事業道路整備事業都市計画事業住宅対策事業官庁営繕その他の事業実施するために支出したものであります。  次に、これらの事業執行の結果について、概要を御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、昭和三十五年度初年度とする治水長期計画に基づき、河川ダム砂防の各事業施行いたしました。  その結果、河川事業につきましては、直轄河川改修事業として、北海道を含め百十七河川改修工事実施し、補助事業におきましては、中小河川改修事業等八百五河川改修工事施行し、二十一河川を完成いたしております。  特定多目的ダム建設事業につきましては、和賀川湯田ダムほか十五ダムについて建設工事及び実施計画調査実施し、このうち淀川天ケ瀬ダムを完成いたしました。このほか、補助事業として三十六ダムについて建設工事及び実施計画調査実施し、六ダムを完成いたしました。  砂防事業につきましては、直轄事業として利根川ほか二十五水系について百五十六カ所の砂防工事実施し、うち五十九カ所を完成し、また、補助事業として二千百五十一カ所の堰堤工流路工等実施し、うち九百九十九カ所を完成いたしました。  海岸事業につきましては、直轄事業として十海岸実施し、補助事業として百三十四カ所を実施し、うち二十七カ所を完成いたしました。  次に、災害復旧関係事業につきましては、河川等災害復旧事業として、直轄関係では、三十七年発生災害は完成し、三十八年発生災害は九四%、三十九年発生災害につきましては、補正予算及び予備費を使用して、全体の四七%の復旧を完了いたしました。  また、地方公共団体施行する災害復旧事業につきましては、三十六年災は完了し、三十七年災は八七%、三十八年災は六八%、三十九年発生災害につきましては、三〇%の復旧事業を完了いたしております。  次に、道路整備事業について御説明申し上げます。  昭和三十九年度は、改定いたしました新五カ年計画初年度事業として一級国道等の改良及び舗装等実施いたしましたが、その結果、改良において二千四百十一キロメートル、舗装において三千百六十七キロメートルを完成し、全体計画に対し、一三%の進捗状況となっております。  また、五カ年計画の一環として、一級国道直轄維持管理を行なっておりますが、昭和三十九年度は延長五千七百十五キロメートルの区間を指定し、その維持修繕実施いたしました。  以上のほか、有料道路事業実施している日本道路公団、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対し、それぞれ国の出資を行ない、有料道路建設実施させております。  次に、都市計画事業につきまして申し上げます。  下水道関係といたしましては、五百三十カ所の公共下水道等施設整備実施し、このうち五百二十七カ所を完了いたしましたほか、国営公園都市公園及び墓園整備を行ない、その大部分を完了いたしました。  次に、住宅対策事業について申し上げます。  公営住宅建設といたしましては、五万八千九百二十六戸の建設実施いたしました。  また、不良住宅地区改良事業といたしましては、改良住宅四千三百八十二戸の建設を行なうとともに、不良住宅地区整備実施いたしました。  以上のほか、政府施策住宅として、住宅金融公庫及び日本住宅公団において、十六万五千九十八戸の住宅建設いたしております。  次に、官庁営繕について申し上げます。  建設省に計上された営繕事業予算及び他省庁所管に計上された営繕事業予算支出委任等により、国立劇場新営工事ほか五百五十九件の工事施行し、三百三十六件の工事を竣工いたしました。  以上が昭和三十九年度における建設省所管決算概要であります。  次に、昭和三十九年度決算検査に関する建設省所管事項概要について御説明申し上げます。  所管事業を遂行するための予算執行にあたっては、常に厳正な執行をはかるため内部監査等により万全を期してまいったのでありますが、決算検査におきまして、相当数指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。  これら指摘を受けました事項に対する措置としては、まず、工事計画が適正でなかったなどのため不経済となった件につきましては、今後このような工事施行にあたり不経済が生じないように十分検討し、万全の措置をとる所存であります。  また、井筒工工事費積算が高価であった件につきましては、当省としても、最近における事業量の増大に対処し、技術の改善職員研修等に意を尽くしているところでありますが、この種工事積算には特に配慮するよう適切な指導を行なう所存であります。  次に、直轄関係施行不良工事につきましては、関係者に対し厳重に注意いたしましたが、今後は、工事施行にあたってさらに監督及び検査の強化につとめ、適正な予算執行をはかってまいりたいと考えております。  次に、地方公共団体施行する国庫補助事業につきましては、設計に対し工事の出来高が不足しているものまたは工事施行が不良なため工事効果を達成していないものについては、手直しまたは補強を命じ、事業の所期の目的を達するよう措置し、国庫負担の対象とならないものについては、国庫負担金相当額国庫に返還させる措置を講じ、積算過大については積算の適正を期する所存であります。  今後は、さらに事業執行改善について指導を強化するとともに、その責任体制を確立せしめることとし、このような事態発生を未然に防止するよう指導を徹底する所存であります。  また、災害復旧事業費査定額の減額につきましては、被害の実情を十分に把握し、さらに厳格な査定に万全を期するよう努力いたしたいと考えております。  以上が、昭和三十九年度における建設省所管決算概要及び決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  5. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。石川第三局長
  6. 石川達郎

    説明員石川達郎君) 昭和三十九年度建設省所管決算につきまして検査をいたしました結果、不当と認めました事項につきましては、検査報告の九六ページ以下、改善意見を表示いたしましたものは、検査報告の一三七ページ以下に記述してございます。  不当と認めました事項一つは、分水路の掘さく工事にあたりまして、土量配分計画が適切でなかったなどのため不経済事態を招来したというものでございます。  次に、井筒工積算にあたりまして、その底面積計算を誤ったため予定価格過大となったもの、これが一件ございます。  次に、直轄工事施行にあたりまして、監督及び検査が当を得なかったため施行設計と相違していて設計に比べて工事効果が低下していると認められるもの、これは六件掲記いたしております。  次に、改善意見を表示したものでございますが、その一つは、補助工事施行及び災害復旧事業費査定につきまして改善意見を表示したものでございます。すなわち、補助工事施行におきましては、工事施行が不良となっていたり、あるいは積算過大となっていたりする事例が多く、また、災害復旧事業費査定につきましては、設計積算過大となっている事例が依然としてなおあとを断たないという状況になっております。これらにつきまして、現場担当職員の配置、研修、あるいは工事施行体制整備、さらに業者の資力等調査に万全を期し、さらに、工事施行にあたりましても早期に着手するよう努力をすること、また、積算にあたりましては、工事規模等に適合した工法を採用する等、事業主体に対しまして強力な指導を行なうよう改善意見を表示したものでございます。  災害復旧事業費査定につきましては、積算過大設計過大等事例相当数見受けられる状況に照らしまして、これも実情に即した査定を行ない、さらに積算等にあたりましても、工事機械化等に即応して合理的な積算を検討していただきたい、こういう趣旨のものでございます。  次に、改善意見を表示したものの一つは、立体交差化工事等実施についてでございまして、道路法踏切道改良促進法等によりまして、国道鉄道とが交差する場合は、これを立体交差化するということになっておりますが、検査の結果によりますと、その工事進捗がはかばかしくなく、相当数工事が遅延しているような状況でございます。このような事態を生じておりますのは、道路側国鉄側とが総合的な計画調整を行なわないで、個々の工事につきまして出先の実施部局ごとに協議しているために、計画あるいは予算がその間にそごを来たし、費用分担あるいは細部設計等について意見が不一致となっていたりするためであると認められますので、中央におきます道路側国鉄側との計画調整ももとよりでございますが、さらに、実施部局相互間におきましても十分連絡調整をとっていただきたい、こういうような趣旨改善意見でございます。なお、これと同じ趣旨改善意見国有鉄道あてにも出されております。  以上、簡単でございますが、検査結果の概要でございます。
  7. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  8. 大橋和孝

    大橋和孝君 建設省住宅計画についてごく簡単に一、二点質問をさせていただきます。  住宅対策は、民間建設戸数と、それからまた政府施策によるところの建設戸数とによって、その割合が、おおむね報告によると六対四という形にやられておるというふうに聞いておるわけでありますが、このごろの建設費の暴騰やら、あるいはまた、いろいろ一世帯住宅というような形での要求に沿っていくためには、このような調子でいかれるものであるかどうか、特にその伸び率なんかについてもお考えを聞きたいと思います。また、ことに民間建設促進については相当施策をしないといかぬのではないかと思うのでありますが、その辺の点をお聞かせ願いたいと思います。
  9. 西村英一

    国務大臣西村英一君) お答えいたします。住宅建設五カ年計画は、実は昭和四十一年、昨年計画を決定したのであります。そのもとになっておる数字は、昭和三十五年から四十年までの五カ年の実績を——その間におきましても、やはり公営の、公的な金を使ってやっておったものもありますし、あるいは民間の、自力でやっておった住宅もあるわけでございます。そういうものを勘案して、一応の計画はつくられておるのであります。まだ計画としては一年経過しただけでありまするが、昨年は、まだ昨年の目標実績とははっきりわかっておりませんが、おおむね達成されておるわけでございます。したがいまして、いまのところ、この調子でいきますると、昭和四十五年の、われわれが目標といたしましたこの目標額は達成できるものだと、かように考えておる次第でございます。  詳しいことは住宅局長がここにおりますから、住宅局長から説明いたさせます。
  10. 三橋信一

    政府委員三橋信一君) ただいま過去の実績はどうかというお尋ねでございますが、非常にこまかい数字もございますけれども、おおむね千戸単位で申し上げます。  三十六年におきましては、公営住宅は五万三千、三十七年度におきまして五万四千、三十八年度におきまして五万六千、三十九年度で五万九千、四十年度で六万六千という数字になっておりまして、これらを合計いたしますと、公営住宅におきましては二十八万六千戸の実績を示しております。  これに対しまして、今後五カ年間、つまり四十一年から四十五年までの五カ年間で、公営住宅につきましては、調整戸数というのが実は計画の中にございますけれども、これを除きまして、四十四万戸を建設いたしたいというふうに考えておりまして、したがいまして、倍率といたしまして、三十六年から四十年までと、四十一年から四十五年までの比較をいたしますと、一・七倍強というようなことに相なるというふうに計画いたしております。  なお、今回の五カ年計画が、民間自力建設を含めまして六百七十万戸といっておりまして、そのうち政府施策住宅、つまり、公営住宅改良住宅公団住宅公庫住宅、その他雇用促進事業団等で行なわれております住宅、その他公務員宿舎等も含めまして、これらの政府施策住宅を二百七十万戸というふうに考えておりますが、従来の計画実績との比較がどのようであるかということに相なりますと、大体毎年度民間住宅も含めまして見ましたところ、計画いたしております戸数よりもおおむね数万戸よけい建っておるというような状態でございます。と申しますのは、民間自力建設と申しますのは、実は非常に小さいものもございますけれども、この小さいもの、つまり私ども目標としております九畳未満のもの、二人、三人の世帯では九畳未満、それ以上のものを統計的にとりまして、いろいろ過去の実績等を見てまいりますと、おおむね民間住宅も含みまして数万戸よけいに大体建っておるというような状況でございまして、したがいまして、ただいま大臣から答弁がございましたように、今後の計画につきましても、おおむねいくのではなかろうかと、また、いかさなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  11. 大橋和孝

    大橋和孝君 戸数のほうではそのようになって、この住宅対策費ですね、それとこの戸数との関係を過去に振り返ってみますと、住宅政策費相当伸びておるけれども、戸数がそう伸びていないと。これは政府の分であります公営住宅のあれですが、そういうようなことが出ているわけでありますが、その原因はやっぱり構造、質の改善だとか、あるいはまた費用の点だとか、建築単価の問題なんかもあるのではなかろうかと思うのでありますが、そういうような方面について総合的な対策というものが必要ではないかと思うのでありますが、そういう点はどうですか。
  12. 三橋信一

    政府委員三橋信一君) 確かに御指摘のように金の伸びよりは戸数伸びのほうがよくないというのは、過去においてございました。と申しますのは、やはり御指摘のように毎年度予算編成時期の単価実施におきます単価との差異が、年度によりましてはある程度開いてくる、そういうようなことの結果、金と戸数とが必ずしもうまく合ってこないというようなことがございます。それから同時に、実際その住宅建設計画いたしましても、用地入手がずれましたり、そういうようなことで毎年度こなす戸数が若干おくれがくるというようなことも事実でございます。これに対しまして、私ども、この五カ年計画を今後進めていくにあたりまして、まず第一の問題といたしましては、宅地を大量に供給するということ、これもなるべく政府施策によりまして、住宅公団その他県の住宅供給公社、そういうようなところによりまして宅地を大幅に供給していくということ、もちろんそれにあわせまして民間宅地開発もございますけれども、そういうようなことでの宅地開発、これが第一点でございます。  それから第二点の問題といたしまして、これはお尋ねと若干ずれるかもしれませんけれども、やはり県や市町村で公営住宅実施してまいります際に、あるいは金融公庫等が金を貸しまして住宅を建てます際に、その予算単価実施単価とのズレ、これが先ほど申しましたようにいろいろございますので、これらの点を大幅に解決してまいりたいということで、四十二年度予算におきましては、特に公営住宅関係におきまして、工事費におきましては一五%、用地費におきましては一一%のアップをはかるというようなこともいたしておりますし、その他公団公庫等におきましても、それぞれそういうような手当てをいたしております。また、今後の問題といたしまして、やはり住宅というものを簡便に、早い工期で建てやすくするという意味におきまして、住宅量産化、いわゆる工場生産住宅というものを進めてまいりたい、そうしてこれを、この五カ年のうちには相当まず公営、公共的な住宅から進めてまいりたいということを考えております。これらのことをあわせまして、ただいまお尋ねのような点の解決につとめてまいりたいと思っておる次第でございます。
  13. 大橋和孝

    大橋和孝君 いま御説明の中にありましたように、いろいろこの用地入手難の問題あるいはまた実際、価格が低いためにいろいろ地方財政をも圧迫しておるという問題があるわけでありますが、特にそういうことも原因だろうと思うわけでありますが、この住宅対策費についても、まあ二割前後繰り越しになっているわけであります。こういうようなことも、住宅対策の非常に叫ばれている中に、繰り越しなんかがそうたくさん出ているということは非常に問題があると思うわけでありまして、特に私は、こうした住宅をつくることが、地方公共団体に対しましては税の伸びとつながるわけでありますけれども、一面また、そのために学校も建てなければならない、いろいろなことをしなければならぬということで、いまの都市としては、住宅建設に対して非常に大きな負担になっておる。むしろ公共団体としては、住宅を持ってきてもらうことはありがた迷惑だというような状態にまで発展をするのではないかというようなことが各地で叫ばれておるわけでありますが、こういうことに対して根本的にどういうふうに考えておられるか。むしろ私は、公共的なものは国のほうで負担さすことを、もっともっと大きく取り入れなければ、やはり地方財政をより圧迫することになるのではないかと思うのですが、そういう観点は……。
  14. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 地方公共団体が、住宅を持ってくることはどうも困るというようなことだというような御質問ですが、実はその公営住宅でも、各地方がそれは、そんなことはないのであります。四十二年度も割り当てができないくらいよけいに希望するのであります。ただ大橋さんのおっしゃるごとく、団地等で大量にある一カ所へ持ってくるというようなときは、それに伴う公共施設が要るものでございまするから、道路とか下水とかあるいは学校とか、いろいろあるその負担に耐えられないということで、地方公共団体が実は非常に困るというようなことが問題になっておるわけでございます。したがいまして、大量に団地でもって、相当都市づくりに似たような住宅建設するという場合には、その公共投資につきましては、地方公共団体が困らないように、あらかじめ政府が金を貸してやって、この公共施設整備してやる、また、従来から住んでおりましたその地域社会人たちが、新しく住む団地等人たちと密接な連絡がとれるようにして、あの団地ができたからこそ、われわれのほうもこれだけよくなったのだという地域住民のことを十分考えてやると、こういうことを心がけなければならぬと思っておりまして、一般のところはひとつどうかどんどん公営住宅を増してくれということの希望が実は多いわけでございまして、欠点のある点は十分考慮したいと、かように考えておる次第でございます。
  15. 大橋和孝

    大橋和孝君 公営住宅は確かにそうなんで、ところが、先ほどお話ししたように、民間住宅建設に対しても、大体計画で六対四といわれておったというくらいに思うわけでありますから、そうした比重は、公営住宅に取り組むよりも、そうしたものが相当あると、そういう観点からいまぼくは質問しているわけでありまして、そういうことに対しても、民間住宅建設であるからして政府は知らぬというのではなくて、公営のものに対しても、相当政府としては国の金を公共費に回さなければ、大きな迷惑になるのではないか。だからして、そういうことを含めて政策をここで考えなければならぬのではないかということが、私の質問点でございます。
  16. 三橋信一

    政府委員三橋信一君) 確かにごもっともでございます。そこで、私ども特に今年度からいろいろやっておりますことは、住宅民間の方が建てたいという場合の減税措置、これにつきまして十分ではないとは思いますけれども、数年来いろいろ税制当局と相談いたしました結果、かなりの減税措置を講ずるように租税特別措置法の改正等によってお願いしておる次第でございます。  それから同時に、先ほども申し上げましたが、宅地を大幅に供給する方策、これが第二の問題だと思うのです。  第三の問題といたしまして、これも先ほど申し上げましたが、まず公共的な住宅量産化というものを進めまして、これによりまして住宅のコストを下げてまいるというようなことを取り入れまして、いろいろ施策を講じつつございますが、本年度からそういうようなことでいろいろ進めておる次第でございます。
  17. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう一点、住宅の問題については、三十九年度公営住宅及びそのあれですね、改良住宅ですか、こうしたものを六大市を含む府県ですね、府県でどれほどいままで入れられているか、その比率をちょっと私調査してみたのでありますが、そういうところから考えますと、非常に私は京都府が少ない。これはまあ地理的なあるいは発展の体質があるわけでありますが、そういう観点で私はいささかそのあれがわからないわけでありますが、この点について東京都、神奈川、大阪、兵庫、福岡というぐあいにしてずっと調べてみたのでありますが、そういうことで非常にきわ立ってけた違いに少ないというのは、その都市の何かの特徴、これをどういうふうに建設省ではとらえられておるのか、これをちょっと……。
  18. 三橋信一

    政府委員三橋信一君) 三十九年度の京都の住宅が少ない……。
  19. 大橋和孝

    大橋和孝君 四十年度
  20. 三橋信一

    政府委員三橋信一君) 四十年度でございますが、少ないという理由につきましては、ちょっと私どもつまびらかにいたしませんけれども、府県あるいは市からの御要望に対しましては、もちろん先ほど大臣から申し上げましたように、十分に行き届いて満配するというところまでいっておりませんけれども、それだけの御要求のありましたところに対しては、それだけのものを私どもは予算上つけるというような仕組みでやっておりまして、現にこの五カ年計画におきましても、京都を含みます全国の七大都市の地域におきましては、戸数の五三%程度この地域に振り向けたいというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、特に京都につきまして私どもこれを差別したというふうなことはないはずでございますが、なお、京都につきましては、特に不良住宅改良の問題がございまして、これが行なうべくしてなかなか行なえないというような特殊の事情もあるのではなかろうかというふうに感ずる次第でございますが、的確なことをちょっと、四十年度予算配賦につきまして私つまびらかにいたしませんので、そういう御答弁を申し上げます。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 私がお尋ねしたい点は、先ほど申したように、比較伸びていないというのと同時に、また改良住宅のほうはわりあいに数が多く、そうして公営住宅のほうの伸びが少ないと思うわけでありますが、これは各都市についてどれくらいの要求が出て、どれくらいのあれをしたかと、そういうようなことはおたくのほうでわかるわけですか。
  22. 三橋信一

    政府委員三橋信一君) ただいまお尋ねのどの市からどのくらい出て、それに対してどのくらいつけたかという資料は、手持ちはございませんけれども、京都府営と京都市営、公営住宅について三十九年度、四十年度実績を見てみますと、まず京都府営につきましては、三十九年度が百七十戸、それから四十年度が二百六十五戸でございます。それから京都市営につきましては……、失礼いたしました。ちょっと訂正さしていただきます。京都府営につきましては、三十九年度は二百六十五戸でございます。それから四十年度は四百四十戸でございます。それから京都市営につきましては、三十九年度が二百二十戸でございます。それから四十年度は二百二十戸でございます。そういう状況でございまして、どのくらいの要求が出てという資料はちょっと持ち合わせございませんけれども、おそらく市や府からの御要求がかなり少なかったのではなかろうかという感じがいたします。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 私ちょっとこれで市のほうに調査してみましたが、やはり少ないのは少ないと。しかし、非常に要求はあるわけですね、地元の要求は。ですから、あるいはそのほうの関係をもう少し調査をして、この次には詳しく質問をさせていただこうと思いますが、とにかくこの予算もあることでありましょうから、特にそういうわけにはいかないにしても、できるだけこれらのものに対しては措置をして、今後そういうような公営住宅のほうに重点を置いてやっていただきたい。と同時に、私がいま申したように、民間でも相当のウエートを占めなければ一世帯住宅ということにはならないと思います。そういうことで、特にもう一つお願いしておきたいことは、その地方団体に対しての大きな圧力とならないようにこれを国で措置するということについては、相当積極的なかまえで進んでいただきたい、こういうようなことを要望しておきます。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 実は私は道路行政についてお伺いをしたがったんでありますけれども、あす道路公団を中心とする公団関係決算における質疑がなされるそうでありますが、大臣お見えじゃないようでございますので、私は、大臣がおられるこの機会に、道路行政は、公団関係の総裁もお見えでございませんから譲るといたしまして、この建設行政全体に対する問題点を少し指摘をして御解明をいただきたいと思っているわけであります。  そこで、まず会計検査院にお尋ねをいたしておきたいのですが、この三十八年、九年、四十年を見ますと、土木事業の中における不当事項、あるいは注意事項というのですか、指摘事項というのですか、そういうのが、特にたとえばこれは手抜き工事ではないかと思われるような指摘があるのです。たとえば砂利が少ないだとか、セメントの量が少ないとか、そういう指摘があるわけですね。それが、私が三十八年度からずっと見てまいりますと、大体傾向としてそういう工事が出ているのは、県別に見てみますと、大体一定の県に集中しているように思うのであります。こういう傾向がある。こういう状況でありますから、一体こういうものが出る原因というのか、それからそういう傾向というのは、各県の土木行政の中における体質が私は一面において影響していると思うのでありますけれども、そういう点について、どう会計検査院はこういう指摘の中から本質的なものを解明されておるのか、まずお伺いしておきたいと思うのであります。
  25. 石川達郎

    説明員石川達郎君) お尋ねの点は、補助工事施行に関するものでございますが、先ほども改善意見説明で申し上げましたように、これにはあるいは各県に片寄っているというような事例もあろうかと思いますが、ここにも掲げてありますように、まず事業主体における事業実施体制が十分でなく、そのために工事監督検査が行き届いていないというような面があろうと思いますが、それらの点につきまして、三十九年度におきましても、改善意見を表示いたしまして、それに応じまして各県の土木におきましても、それぞれ検査部局というようなものを設置されたように伺っております。また、業者の工事能力、これも十分検討しなければいけないわけでございますが、これもそれぞれ各県にそういった調査をいたしますセクションを設けまして、それらの調査の万全を期しておられるように伺っております。その他いろいろな原因があろうかと思いますけれども、建設省補助工事全体を通じまして、従来見ましたような便乗工事とか、そういう悪質なものはもうあとを断ちまして、ただいま御指摘の施工不良であるとか、積算過大とかいうようなものに不当な事例は集中しているようなわけでございますが、これらの点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、各府県において自覚を持ってやっていただくのはもちろんでございますが、補助金を交付いたします建設省指導、そういったものにつきましていろいろな期待をする意味で三十九年度改善意見を付したようなわけであります。
  26. 達田龍彦

    達田龍彦君 私も調べたことがあるんです。これは非常に問題があると思っておるわけですけれども、私は、一つは、いまの土木行政全体に対する制度にひとつ問題があると思います。それから契約のあり方に問題があると思います。それから土木行政に対する業者の心がまえ、こういうものにも問題があると思います。特に地方政治の中では皆さん御承知だと思いますけれども、国の建設委員にはあまりなり手がないんですね。だけども、地方の土木委員会に行ってごらんなさい、全部土木委員になりたいといって競っているんです。なぜかと言ったら、今日皆さんも御承知のとおり、土木行政には一番利権がからんでいるんです。この利権を追及するために土木委員になりたいのが県会あたりでは非常に多いという実態があるのです。会計検査はわずかに指摘をいたしておりますけれども、この指摘には非常に今日のおくれた土木行政、建設行政に深い根があると私は考えておるのです。この深い根を徹底的に解明していかないと、今日の土木行政における利権行政というものは、私は解消できないと考えているがゆえに、二、三の問題を指摘して、建設大臣からできれば御答弁を賜わりたいと思います。  それで私は、こういう指摘があったんで、実はあるところを調べてみました。そうしたところが非常に不思議なことには、たとえば百万円の工事があったら、業者には一体幾ら手元に入るんだと私が聞いたところが、大体七〇%が業者に入って、あとの三〇%は政治家の手に渡ってみたりあるいはその談合費に使われてみたり、そういう金に使われて、実際は七〇%しか業者に入らないんだと、こう言うのです。その実態を私がつかまえたのはなぜかといったら、その請負業者が、あなたらは指名業者によって業者を指定いたしますけれども、ほとんどはあとは請負制度によって零細な、これでも土木業者だろうかと思われるような業者に全部請け負わせているわけですね、実際は。そして工事をやっている。そういう工事の中から賃金の不払いが出てきたんです。なぜ賃金の不払いが百万円の工事をしておって出てくるんだと言ったところが、実は自分たちの手に入るのは七〇%で、あと三〇%は、いま申し上げたように談合資金だとか、政治家の口きき料だとかいうことで取られちゃって、こうなるんです、というのが零細の業者の悩みなんです。それがいま言ったように、われわれのいわゆる労務者の賃金未払いの原因をつくった原因があったので、私はいろいろ解明をしてみましたところが、非常に封建的な、しかも前近代的な、または今日土木行政の発展のために非常に阻害になるような要因をその中にたくさん含んでいるということを私は知ったのです。そこで、申し上げておきますけれども、まず建設省では、指名業者というものをいろいろランクに分けて業者を指名されていますね。この基準ですね、これは一体どういう基準によって行なわれておるのか。  それからもう一点は、その指名業者をきめておきながら、その指名業者が、地域の場合は地域の請負業者にまた請負わせておるのですね。また、その請負業者が次の業者に請け負わせていくという状態をつくっておる。こういう制度というものはこの請負のあり方として——これは直轄工事でも補助工事でもけっこうですけれども、認めておるのかどうか、妥当性があるのかどうか。そのためにどういう欠陥というものが露呈をするのか、そういう点についてお伺いをしておきたい。
  27. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 先生御指摘になりましたようなことは、まあできればそんなことはありませんと私は言いたいのでございまするけれども、そうもいかないようでございます。実際地方の例は、やはりどうしても議員の方々が、率直に申しますと執行部に非常に干渉されまして、工事が出ますと業者はいろいろな方々に頼みに行くというようなことも実際に行なわれておるようでございます。したがいまして、これを阻止することは、また別な方法で、政治家はみなおのおのよくならなければならぬということだと思いますが、もう一つ建設省に関する請負業のことにつきましては、いまは業者の登録制でございます。建設業法も古い法律でございまして、だれでも届け出をすればできるのでございます。したがいまして、年々歳々相当に業者もふえています。いまは十一万とか申すのでございます。したがいまして、建設省としては、建設業法の改正といいますか、検討というものをしなければならぬ、かように思っておる次第でございます。いずれにいたしましても、私たちとしては、工事体制を強化していかなければならぬだろう、かように考えております。しかし、まあ先生が言われました、談合だとか、あるいは工事が次々に投げられていくというようなことについては、われわれはそういうものを認めるわけのものではございませんが、実際上皆無であると言い切るわけにはいかないと思います。したがいまして、十分この工事体制に気をつけたいと、かように私は考えておりますが、詳細については官房長官からお答えいたします。
  28. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 建設省直轄工事の話でございますが、県のほうの工事につきましては県独自の構想を持ってやっておると思いますが、ただいまお話しのありましたA・B・Cのランクの問題でございます。建設省では、一般土木につきましては五つのランクに分けて業者の格づけをやっております。これは各地建の局長が自分の発注いたします工事につきましてつけるランクでございまして、これがそのまま地方公共団体のランクになったり、あるいはよその地方建設局のランクになるわけじゃございませんが、各地方建設局ごとに五つに分けておるわけでございます。分け方でございますが、これは業者が建設省の仕事に参加したいということで登録の申し込みをしてくるわけでございます。その申し込みのありました業者につきまして、資本金の額であるとか、あるいは過去の工事実績であるとかいうふうなことで点数をつけまして、点数の多い順に一応並べまして、それから工事のほうを五つに切るわけでございます。工事によってたとえば一億五千万円のものはA工事、五千万円以上のものはB工事というふうに切りまして、各工事の規模別の件数分布に応じまして一列に並べてあります業者を五つに分割するといいますか、分けておるわけであります。そこで、発注に際しましては、A工事につきましてはA業者を原則とする、B工事につきましてはB業者を原則として指名するというふうな制度になっておるわけであります。
  29. 達田龍彦

    達田龍彦君 では、まあそういう簡単な説明では実は私が聞こうとしていることに対して答えにならぬのですけれども、じゃ、私がこまかく話を聞きます。それで、そういうランクがあって指名業者というものがきめられるわけですね。そうすると、実際の工事というのは、その指名された事業者が、今度は請負業者にまた再契約をして実際に仕事をさせておると、また、その請け負わされたやつがまた小さい零細業というような形で現実に仕事が進められる、こういう再契約をして請け負わせていくという制度は、建設省のいわゆる契約の制度として認めておるのかどうか。認めておるとするならば、矛盾点が出てくるのは、契約をするという、いわゆるランクをきめてこれは適当な業者だからということで、資本金だとか能力の問題だとか建設力の問題とかいうことをはじいてきめておるわけですよ、実際には、やっておるのは。その能力があるかないかがわからない請負業者がやるという結果は、一体、基準をきめてみても何にもならないじゃないかという矛盾があるんですよ。こういう点をどう考えますか。
  30. 志村清一

    政府委員(志村清一君) 先生のおっしゃるとおり、各ランクに分けまして、分けたにかかわらずそれを下請にして、そのランクに適合しないものにやらせるというのは矛盾じゃないか、そのとおりでございます。そういう意味におきまして、建設業法におきましても、一括下請を禁止いたしております。ただ先生も御存じのとおり、建設業というのは非常に総合的な事業でございますので、わが国に限らずどこにおきましても、いろいろな分野を総合してやっていくということでございますので、それらの請け負った仕事のうちの一部を下請に出すというのは、事業の性質上やむを得ないことでございます。そういう意味において、下請というのはわが国だけでございませんで、各国におきましても、建設事業をやっていく場合においては一般的な事例でございます。ただ御指摘にございますように、それが重層下請に偏したり、あるいは下請と元請との関係におきまして、力関係で下請が泣かされるというふうな事態が生ずる、それが最後にしわ寄せになりまして賃金不払いになるというふうな事態が出るということはまことに適当ではございません。そういった問題にからみまして、業法の中におきましても、下請契約につきましても、当然お互い対等の立場できちんとした契約を結ぶべきであるということにいたしておるわけでございますが、さらに、この点につきまして業法改正ということを検討すべきである、かような情勢でございます。先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、ただいま中央建設業審議会におきまして、下請等の問題もからめまして、業法の改正について検討を加えておる段階でございます。
  31. 達田龍彦

    達田龍彦君 私が指摘をしたいのは、いま言われたように、そういう下請、下請をしていくから利権行政になるんですよ。ここに利権が全部からむのです。一千万の工事が一番下にいくときには、三割ずつピンはねをしてごらんなさい、結果として高い工事になる。そして手抜き工事をしなければ、その業界が立たないという結果をつくるんですよ。その請負請負という順番をきめるところに利権がかさむのですよ。ここに今日の建設行政の中における利権行政の根があるんです。それから粗悪工事、いわゆる不完全な工事をしていくこれまた原因をつくっておるのですよ。そういう意味では、いま言ったように、私は法律体系をもう少しそういうような内容にしていかないと、いま言ったような形をとる限り、今日のような利権行政は工事費が高くなる。それはさらには全体としては粗悪工事があとを断たない、こういう原因をつくるわけですから、これは私は、大臣、根本的な問題ですから、ひとつ十分検討をして、これに対する答えをひとつ出してもらいたいと思いますが、どうですか。
  32. 西村英一

    国務大臣西村英一君) さいぜんも申しましたように、建設業法に対しては検討すべきものがたくさんあると思います。したがいまして、善良な適正な工事をやらせるためにも相当に検討しなければならぬと考えており、非常に古い法律でございまして、今後こういうような状況を続けてまいりますと、ただ登録だけでどんどん業者が出る、しかも、その業者が出ることは職業の自由でございますからいいけれども、もう非常な困難を来たすような状況になろうかと思われますので、検討をしたいと思っている次第でございます。
  33. 達田龍彦

    達田龍彦君 いま、業者の認可登録の問題ですけれども、私はこれにつきましても御検討をいただきたい、指摘をしておきたいことがあります。これはね、その業者が多いがゆえに、一つは、粗悪工事になるのです。悪い工事をつくっているのです。それはいま言うように、工事をとりたいと、競争のために金を使うのです。たとえば一カ所に三百億、五百億の工事を集中的にしてごらんなさい。私が知っている例でも、それ以前にあった業者が大体一つの市で五十業者ぐらいしかなかったのが、ある問題が起こって、二百億の金を国が使ったのです。そうしたところが、見てごらんなさい。業者が三百五十から四百に一つの市でふえておりますよ。そういう業者は、その仕事がなくなったら一体どうして生きていくかというと、そのためには、金を使ったり政治家を利用したりして、利権をえさにして工事を取らなければならないのじゃないですか。そういう状態に置くから、結果として利権がかさみ、もう一つは、いま言ったように業者が悪い工事をせざるを得ないという原因をつくるのですよ。でありますから、単なる登録で業者を認める、こういうことに問題があるのです。そういう点についても、工事全体の問題として、これは建設行政全体の問題として、私は十分検討をして処置をしてもらいたいと、こう思っています。  それからですね、これも地方でよく私はいろいろなことを調査してみました。そうしたところが、業者間でこう言っているのですね。三年先ぐらいの工事を、あの工事はどこの土木業者がやる、この工事はおそらく私のところになるでしょうというように、建設省一つ計画を出す、あるいは県がそれに基づいて補助をされながら工事をやるということになると、向こう三年間ないしは二年間の工事に対しての契約業者がきまっているというのがよく地方ではあるのです。これは一体どういうことかというと、ほとんど地方と中央との結びつきによって、それが業者に、案分にかしれません、あるいは利権によってかしれません、ばらまかれているという状態があるのです。これは一体適当だと思いますか、どうですか。こういうことが行なわれている結果、どういう弊害があるとお思いですか、御回答願いたい。
  34. 志村清一

    政府委員(志村清一君) いわゆる業者間でいろいろ話し合いをいたしまして、この次の仕事はだれがとるというようないわゆる談合の問題かと存じますが、談合につきましては、御存じのとおり、刑法におきまして、暴力行為を伴ったりあるいは不当に値段を引き下げるというような結果を起こすような談合というものは禁止されているわけでございます。最近におきましても、地方において何カ所かいわゆる談合屋というのがございまして、金品の授受などもあったようでございます。検察庁の検察の対象になったようでございます。かようなことのないようにつとめてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  35. 達田龍彦

    達田龍彦君 いずれにしましてもね、地方政治の中には、とりわけこういう工事の輪番制というか、あるいは談合によって工事を事前にきめてしまうと、こういうことがもう公然の秘密として行なわれているのであります。これは私は建設行政、土木行政の上から見ても、非常に好ましくないやり方であると考えるのであります。ここにも利権がかさみます。黒いうわさがこの中から介在してまいるのであります。そういう面についても、とりわけ地方県政と、それから首長と業者とのからみにおいて、問題がよくそういう形で提起をされるのであります。こういうあり方は明るい建設行政ではないと私は思いますから、こういう点について大臣が全然知らないわけじゃないと思います。でありますから、こういう点につきましても、建設行政の一環として、厳重な私は処置をとってもらいたい、そうしないと、いま申し上げたような利権行政であってみたりあるいは工事全体が非常に悪いものになってみたり、建設行政全体が日本の発展の中で大きく取り残されるという原因をつくることにもなりますから、そういう意味で十分私は検討をいただきたいと思うわけです。  それから最近また目に立つことに、地方工事の中に中央業者がずいぶん進出をしております。それで地方の業者に言わせると、非常に中央の権力と金力とそれから建設力を持ってやってこられるから、地方では成り立たないと、こう言っている。建設省の方針を聞いてみれば、地方産業の発展のために、建設業界の発展のために、地方の業者を育成しなきゃならぬと、こう言っている。ところが、よく中に入って聞いてみますとね、この業者が一体何で、長崎なら長崎、あるいは福岡なら福岡の業者に、工事をするんだいとこう聞くと、ひもつきだと、こう言う。どこのひもつきだと言ったら中央官庁のひもつきだと言うのです。こういうことは私は全くけしからぬ話だと思うのでありますけれども、これはあるのか、ないのかといったらないとおっしゃるでありましょう。しかし、地方からはね返ってくる話というのは、中央からのひもつきですと、こういうのであります。その話は私は真実にあるんではないかと私は思う節が全国にいろいろあるのであります。もしかりにそういうことがあるとするならば、私は全くもってけしからぬ話だと思いますが、まず建設大臣にお聞きをしたいのは、そういうあり方がかりにあるとするならば、どういうお考えをお持ちになるか、ひとつお聞きをしておきたいと思う。
  36. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まず前の問題でございますが、まあやはり過当競争からすべて起こると思うのであります。業者が多い。そこでその話し合い——次々に順番かきまっておるとこういいますが、請負に出すほうも、何軒か業者があれば、たとえいい業者が一、二軒あっても、そこばかり出していくというわけにはやっぱりいきませんので、次から次にとこうなるわけであります。したがいまして、業者はこの次は自分のほうにくるんじゃないか、あればかりやらせるわけにいかぬからという、やっぱり商売上の根性でそう思うわけであります。それが、あなたが言うように、高じて悪くなって、請負に出すほうももう順番をきめてしまって請負に乗らしてやるというように、そこまで進むと非常な弊害であろうかと思うのであります。しかしそれだからといって、その善良な業者ばかりに全部を出すというわけにもいかないんであります。ところが、非常に過当競争でございますものですから、もうこの次は自分のほうにこなけりゃならぬのだという圧力をかけたり、いろいろなことが行なわれるのであります。それが非常に高じてしまえば、これは非常に悪いと思います。要は、やはり過当競争にならないような善良な業者を育成するということが第一に必要じゃないかと思って、そういうような観点から業界のこの法律も改正したいと思っております。  もう一つは、中央からのひもつきがあるんじゃないか、これは私の知っておる限りではありません。まあたまたま、それは官庁役人から出たものではなしに、だれか依頼した者があってそういう方がまあ口をきくということではなかろうかと思うのでありまして、ひもつきであるということは、私はそういうことはないと思います。また考えたくないとも思います。しかし、現実にもしあるということで、われわれが知ることができますれば、厳重にそれを取り締まりをしたいと、かように考えておる次第でございます。
  37. 達田龍彦

    達田龍彦君 これは大臣が知って知らぬふりをしてるのかしりませんけれども、一つの国の大きな工事計画がありますと、業者をだれにしろというのは土木業界の中では常識ですよ。そういうことは必ず出てくるんだというのは常識なんです。そういうことが一つは弊害をつくっております。これも利権にからんでおるのですね。私が指摘をしたいのは、その日本の土木行政全体を考えてみたときに、八千億も九千億も、高速道路をつくれば数兆億の金を使って日本の国土の建設をしなきゃならぬという計画ではありませんか。これは道路の問題もしかり、住宅の問題もしかり、河川の問題もしかり、海岸の問題もしかり、とにかく建設行政全体に対しては、社会資本を含めて相当公共投資を日本はするはずですよ。それを効果的に有効に使うためにはいろいろ私は問題点があると思う。一つは、土地があまりに高い。そのためにその実際には計画どおり進まないということがあります。これと並行して大きな欠陥は、私は利権行政にあるというのですよ。いま言ったように契約のあり方の問題、業者のあり方の問題。地方政治における業者と首長と、それから議会とのあり方の問題、そういうところに多くの利権を生む要素を持ち、そこで経費が何といいますか、チェックされていく、ピンはねされていくが故に、全体の工事が進まなくなるというのが日本の私は土木行政の大きな欠陥であり、特徴だと思うのです。そういう点を抜本的に改正しない限り、金さえつぎ込めば日本の土木行政が大きく発展すると思っては間違いです。そういう面の行政指導建設行政のあり方というものを根本的にしないと、私は専門的に調査していったら、全国にこれほど不明朗な利権行政が行なわれてることはないだろうと思う。そういう観点から、私は日本の国土建設をはかるならば、そういう体制ですね、そういう体制をどう立て直ししていくかということを根本的にひとつ検討をし、一つ一つこれを実行してもらいたいということを実は指摘をしたいわけであります。その点について、大臣はどういうお考えですか。
  38. 西村英一

    国務大臣西村英一君) われわれは国費を使うのでありまするから、仰せのとおり十分適正に効果的にやらねばならぬと思っております。今後ますます公共事業費に大きく金を使うわけであります。その点につきましては十分気をつけなければならぬと思っておる次第でございます。あらゆる点から適正に国費が使われるようにひとつやっていきたいと、指導もし、監督をしたいと、かように考えておりますから、せっかく御教示のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  39. 達田龍彦

    達田龍彦君 それからもう一点言っておきますけれども、いま建設省として、直轄工事あるいは補助工事ですね、それに関係する監督指導機関というのはどういうところがあるのですか、御説明願います。
  40. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 直轄工事につきましては、これは地方建設局で監督いたしておりまして、工事施行監督あるいはでき上がりの検査等、すべて地方建設局でやっております。それから県の工事あるいは市町村の工事でございまが、これはそれぞれ公共団体がそれぞれの組織を設けてやっておるわけでありますが、建設省といたしましては、補助事業につきましては完了検査をやっております。完了検査を通じて監督をいたしておる次第でございます。
  41. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、この出先の監督機関の中で、この土木工事関係で、贈収賄だとかあるいはそれに関連する事件として、刑事事件にこの二、三年に問われておるいわゆる公務員はいらっしゃいますか。あれば説明してください。
  42. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 出先といいますが、公共団体職員については、私も資料を持っておりません。地方建設局の職員について申し上げますと、三十九年に七件ございました。関係者八人でございますが、一人は起訴猶予になっております。したがいまして、七人が起訴になったわけでありますが、そのうち五人は懲戒免職いたしております。あと停職三カ月、戒告というのがございます。それから四十年度は六件で六人でございます。これははっきりいたしました者については懲戒免職四人やっております。あとの二人は刑事事件として起訴ということでございますので、休職を発令いたしております。四十一年度は、事件が六件、九人ございまして、起訴された者五人でございます。これにつきましては、懲戒免職二人、減給一人、戒告三人、それから休職中の者が三名、かようになっております。
  43. 達田龍彦

    達田龍彦君 これはどういう原因かよくわかりませんけれども、聞きませんけれども、それに対する行政措置上欠陥があった面があれば何らかの措置がされたと思うのです。ただ個人の不心得で起こった問題ではなくて、やはり監督指導に当たる機関として、制度として、何か問題点があって出てきたものであるかどうか、そこら辺どうですか。
  44. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) この事案は、いずれも金品をもらったり供応を受けたりという事案でございまして、仕事の面で直接制度的にこれをチェックするということは非常に困難かと思います。しかしながら、常に綱紀の粛正につきましては強く注意を喚起いたしております。なお制度的なものといたしましては、建設省の本省に監察官の制度がございまして、特にこういったことだけやっておるわけではございませんけれども、こういうことも含めて監察をいたすことができるようになっております。
  45. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は地方でとかくのうわさを聞くわけですね。監督にあるべき立場の人と業者のなれ合いだとか、あるいは県の土木関係の人々と建設省とのなれ合いというとかくのうわさは聞きます。いま刑事事件になっている実情も出ておりますけれども、一つは、確かに監督行政というのが必ずしも十分でないという面があるような面が非常に多いのです。でありますから、この点に対しましてもぜひひとつ監督指導というものの、特に地方の出先の制度といいますか、あるいはその指導といいますか、そういう面については十分配意をしてもらわないといけないのではないか、私どもも地方におって業者からも聞きますし、それから関係者からもそういう話を聞くのです。こういう問題は確かに大きな問題でございますから十分配慮をしてもらいたいという気持ちです。  それから、これは会計検査院にお尋ねをしますけれども、会計検査院でこの土木の問題に関して検査院の中にそういう贈収賄で刑事事件等、あるいはいま裁判にかかっている方が、三十八年以降いらっしゃるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  46. 石川達郎

    説明員石川達郎君) そのような事実はございません。
  47. 達田龍彦

    達田龍彦君 わかりました。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、米軍地図の提供の問題についてお聞きしたいと思うのです。  日本国内の軍用地図が政府機関の一つである建設省国土地理院でつくられてひそかに米軍の手に渡された。この問題は、日本を攻撃する軍用地図が日本人によってつくられてしかも米軍に渡された、こういう問題で、日本の独立の問題、それから自主の問題こういう問題と関連して非常にいま国民は深い関心を持ち、また、憤りを持っているのです。そこで、私はまず最初に伺いたいのでありますが、その後建設大臣、いままでの経過、その概要をこれはお調べになったと思いますので、その後の経過についてお伺いしたいと思います。
  49. 西村英一

    国務大臣西村英一君) お尋ねの国土地理院におきまして地理をつくった問題につきまして、私の調べましたことを申し上げたいと思います。  米軍からの余剰農産物の資金の中から二億五千二百万円をもって日米共同地図作製を行なうことにつきまして日米両国の合意をみて昭和三十五年二月十八日、外務大臣と米国大使との間で交換公文がかわされたのであります。これに基づきまして国土地理院は、当時は地理調査所でございましたが、現在は国土地理院でございます。昭和三十五年度から昭和三十九年度までの五カ年間に本州及び北九州の一部につきまして総面数四百五十四枚の地図を作製したのでございます。地図の内容につきましては、このつくりました地図は、日本式のやり方と米国式のやり方の折衷をとって作製したものでありまして、国土地理院が刊行して市販をいたしております五万分の一の地図と大差はないのでございます。いわゆる市販をしておるものと大差はないのでございます。ただ、異なる点といたしましては、地図の中にグリッド——方眼一キロメーターごとに網の目をつくるグリッドの記入と、道路状況の表示、等深線——海の深さの等深線の記入等であります。  このグリッドを地図の中に入れるか入れぬかということにつきましては、すでにイギリス、スイス、ドイツ等の諸国におきましても、市販の地図に採用しておりまして、わが国でもこれを入れたほうがいいじゃないかという意見もあったのでございます。  道路状況の表示につきましても、わが国の市販の地図と標準は若干違っておりまするが、やはりたいした変化はないのでございます。  また、等深線につきましては、水路図におきまして一般に発行しておりまするところの海図から編集したものでありまして、軍用地図軍用地図といって非常に異なるようにいわれておりまするが、市販のものと大差はないように見受けられるのでございます。  以上でございます。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの答弁で市販と大差ないというふうに大臣は一応結論づけられておる。しかし、だれも信用できないと思うんです。もしそういうことをおっしゃるなら、私はやはり原版出してもらわなければいけないと思う。原版出して市販のものとわれわれは対照してみなければ、これはそういうことになりませんよ。あなたは、いま問題になったからそこでどうしてもこの問題はまあたいしたことないんだ、軍用地図でないんだ、そういうことをひたすら説明の中で何とかごまかされておりますけれども、そういうことにはなりませんよ。もしそういうようなことでありましたら、私は原版を少なくとも、地理院でこれは保存されているわけでありますから、このものを出して市販のものとこれは対照しなければならぬと思う。ことにグリッド・ゾーンが入っているという問題、あるいは道路の問題、さらに等深線の問題、さらに地磁気の偏差の問題、これはいま説明の中で抜かれましたけれども、これなんかもミサイルを撃ち込むためには、非常に地磁気の偏差の問題というのは軍事的に重大な課題でありますから、こういう問題を具体的に明らかにするということは私は非常に重要だと思うんです。ですから、その点については、いまの説明では非常に不十分で、ひたすら事態を何とか隠すような形の答弁では私は残念に思う。  次にお聞きしたいんですが、もっとこまかくお聞きしますが、一番最初にこの話が始められたのはいつごろなんですか。
  51. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) だいぶ昔のことでつまびらかにいたしませんが、大体昭和三十四年、一九五九年のときから話が始まったように記憶しております。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在の院長の安藝さんはいつから就任されましたか。
  53. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 昨年の二月でございます。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃその当時の詳しいことはわかっていないわけですね。今度調べられましたか、あれから。大体武藤院長時代のことですね、これは。
  55. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) さようでございます。
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 あれから院長は何人かわっていますか。
  57. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 私が五人目でございます。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 五人もかわっている。それでだいぶ昔のことだからということでありますが、三十四年ごろからこの交渉が持たれ、伝えられるところによると、当時は、武藤勝彦院長は最初このような米軍の申し出に対して不賛成であったらしい。ところが結局、これは承諾してしまった。どうしてこれは承諾したか、この間の事情について、大臣これはどういうふうにおつかみになっていらっしゃいますか。
  59. 西村英一

    国務大臣西村英一君) もう本人がなくなられておりますので、いま本人からその事情を確かめることはできないのであります。おそらく本人は、まあ個人的な問題でどう考えておったかわかりませんが、そういうものをあとに本人が賛成をしておったか反対しておったかというものの記録もありません。ただ、この交換公文によりましてそしてやったものでございますので、本人のことについては、ただいま本人がいませんからわからぬ次第であります。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ本人、死人に口なしでわからないということでありますけれども、大体地理院の本来の任務というのは何ですか。地理院の本来の任務というのはどういうことをされることが任務か、これは設置法にうたってあるでしょう。どういうことですか。
  61. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 地図の作製業務でございます。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 地図の作製業務にもこれはいろいろある。昔の陸軍の測量部時代から非常に軍に奉仕させられた。しかし、終戦後はこれは非常に変わったんじゃないですか。どうなんです。この地図の目的は何ですか。どういうものに使うための地図なんだ、ここでつくるのは。
  63. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 設置法では、土地の測量、地図の調製その他これに附帯する事業実施すると書いてございますが、測量法という法律がございまして、その法律に基づきましてわれわれは測量を実施いたしておるわけでございます。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣にお伺いしますが、これは平和目的を主とするのか、それからいまのような軍事目的を主とするのか、もとがもとだけに、前身が前身だけに、これはたしか明治二年ですか、この前身の測量部ができたのは。その時代から軍に奉仕するというかっこうで始まっているんだね。しかし、終戦後は性格が根本的に変わっておる。したがって、いまのような職務の内容でなくて、性格はどうかと聞いている。どうお考えですか。
  65. 西村英一

    国務大臣西村英一君) もちろん測量し、地図の作製でございまするが、この交換文書にありますように、日米共同防衛のために、その交換文書によれば、日米共同防衛のためにいろいろな資材であるとかその他役務を提供するという交換公文に基づいてこれはやったのでございます。したがいまして、われわれのほうも、この地理院が戦争を目的としてやるということであるのではございません。けれども、この地図をつくったということは、日米共同防衛のための役務を提供しただけで、交換文書によって行なわれたものでございます。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は本来の任務は何かとお聞きしているんですよ。あれは全くの特例でしょう。特例です。これはあとで詳しくやりますけれども、そういうものを常態に考えるんだったらこれはたいへんなことになるんであって、特例はあくまで平和的な、そして人民の生活に役立つ地図をつくるということじゃないんですか。これが地理院の本来の任務じゃないんですか。大臣がいまのような事態説明されるために、いまのようなことを言われたんだと思いますけれども、いまのような御説明だと、これは非常に先にいって誤解を招くとまずいですからね。本来の任務は何かという点については、明確にしておく必要がある。どうですか。
  67. 西村英一

    国務大臣西村英一君) もちろん日本は平和のためにすべてをやっておるのでございます。したがいまして、地理院の測量をしたり地図をつくったことに対しましても、平和の目的のためにやっておるのでございます。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、私は、武藤院長は、大体米軍のそういうような申し入れに対して内心はやはり不賛成な気持ちがあったのだということは推測できるし、立証できると思うのです。ところが、それに対してどうしてもこれは圧力が背後から加わった、そういうことのために結局引き受けさせられたということなんですね、これはそう考えてよろしいと思うんです。作業を始めたのは、先ほど話がありましたが三十六年ですね。
  69. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 三十五年です。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 三十五年からですか、それから完成したのはいつですか。
  71. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 三十五年から三十九年の五ヵ年間の契約でございまして、すでにいまはもうそういうことはないのでございます。三十五年から三十九年の五カ年間においてこういう契約を取りかわしたわけでございます。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 それで完成した日があるでしょう。それから渡した日、引き渡した、米軍に引き渡したのはいつですか。これははっきり、事実関係ですから、まず最初に明確にしておきたい。
  73. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 契約につきましては、毎年何面をやるという契約をいたしまして、金も毎年きめまして、二億五千二百万の年度割りが毎年契約されまして、逐次事業実施いたしましてやったわけでございます。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、その作業の経過というのは、これは一応あなたたちの作業内容ですから、これは資料としてもらえますか。何年度に何枚つくり、そうしてそのときの金が幾ら……、これはできるでしょうな、これは資料提出を要求します。
  75. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 資料提出できます。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 これを引き渡した年月日は、米軍に。
  77. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 一度にでき上がるわけではございませんので、逐次でき上がったつど、お互いに検査の要領等も、作業規程できめられておりますので、それによりましてお互いの検査をいたしましてやっておるわけでございまして、いつ一括して引き渡したということではなしに、逐次でき上がるたびに交換をしたわけでございます。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、このような契約をするについては、お互いの話し合いをして何か契約書を取りかわす、あるいは覚え書きですか、そういうものがこれはなくちゃならないはずですね、そういうものはございますか。
  79. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 毎年交換いたしました覚え書きがございます。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初の契約書は、これは一番大もとですから。三十四年ですか、これはいつですか。いつ契約して、そうしてその中身はどういうことなのか、それから契約者の当事者はだれなのか、この点はっきりしていただきたい。
  81. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 当初は、一九六〇年五月二日に、地理調査所長武藤勝彦と、極東米陸軍地図局長代理との間で覚え書きが確認されておるわけでございます。その後、毎年、五回にわたりまして覚え書きの交換がなされておるわけでございます。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一回教えてください。一九五 ○何年ですか。
  83. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 一九六〇年五月二日に覚え書きの確認がなされておるわけでございます。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 この内容は、どういうことをこれはきめたものですか。これはお持ちですか、あなたのほうで。これも資料として、これは提出してほしいんですが。こんなのは当然何でもない問題でしょう、作業に関する問題だから、どうぞひとつ提出してください。
  85. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) この覚え書きの内容につきましては、その年度施行いたします事業量、それからだれがどういうふうに契約するかとか、それからでき上がった原図をどういうふうにお互いに検収をするとか、そういうふうなことに関しての取りきめが、それから作業の仕様書につきましてはどういうふうにするか、作業規程でございますが、そういうことについての打ち合わせ事項を手続的にきめたものでございます。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、これは作業システムを具体化したということになるわけですね。それからその中に、どうなんですか、経費の問題はこれは出ていませんか、経費の問題。  それからもう一つは、機密保持の問題は、この覚え書きには明記されておるのか、されていないのか。
  87. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 初年度の金につきましては、交換公文の中にうたわれておりますが、次年度から、一九六一年度からにつきましては、金が覚え書きの中に載っておるわけでございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 あとの分どうですか、秘密保持の問題についてはどうなってるんですか。
  89. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 何もございません。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、この資料は、これは出してもらっていいわけですね。これは国会に提出を私はしてほしいと思うんですが、大臣、いかがですか。この覚え書きは当然——ことに先ほどから言うように、何も軍用地図じゃないんだと、別にたいしたことはないんだと、そういうことでございますから、その契約書はいま疑惑の中に閉ざされているんですから、その契約書をはっきり公表して、国会審議の資料にも提供して、そうして明確にすることが政府の態度としては望ましいのだ。主管大臣としては当然そういうことを努力されるべきだと私は期待するわけでございますが、この点についていかがですか。
  91. 西村英一

    国務大臣西村英一君) そのメモは、結局、こちらの代表者と向こうの代表者との間のいわゆるメモでございますので、外交上一般にそれを全文を掲げて出すということは、これはいままでそういうことは外務省としてもやっていないようでございます。ただし、その内容につきまして、この概要を書きまして、こういうことになっておるというものは、私は出しても差しつかえがないと、かように考えておる次第でございます。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 外交文書でも、向こうの了解が得られればこれは出して差しつかえないという例がいままでございます。したがって、これはいま大臣がお話しのとおり、何もたいしたことないと言うのですから、しかも、疑惑が持たれてるんですから、そういう中で国会の当然審議に必要だという要求がなされているんですから、私はそういう御努力をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  93. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これは建設省よりも、むしろ、外務省のこういう文書の取り扱いというのは一定のあれがあるわけでございます。その例にならって、外務省と打ち合わせた結果、そういうふうなことでございます。また、先方の意思が確かめられれば、そういうことも可能かと思われますが、個人の意思を確かめずしてこれをやるわけにはまいらないという外務省との打ち合わせでございますので……。ただし、その概要について出してもらいたいというんなら、それは出せないことはないと、かように申し上げたいと思います。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 その概要もいただきたいし、原文もいただきたい。  まず第一に、それではこれは外務省を通してということですから、外交折衝持ったんですか。当然これは持ったはずですね。持たなければそういうふうなことにはならぬ。どうなんです。この問題について外交折衝をやったのかどうか。そうでなければいまのようなことにはならぬでしょう、外交文書と言われるけれども。そういうことになりますか。これは外務次官にお聞きしたほうがいいわけだ。どうなんです。
  95. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) ただいまの問題になっておりまする文書につきましては、いわゆる外務省でいうところの公式の外交文書の取り扱いはしておらぬのであります。したがいまして、これを発表することにつきまして、正式に米国側と交渉するということはいかがかと考えております。そういう点につきましては、むしろ政府部内におきまして、十分ひとつ話し合いをつけました上で善処いたしたらどうかと考えております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 私のお聞きしたのは、当時、この問題で外交折衝を外務省当局としては持ったのか持たなかったのかということです。いまの御答弁は、これの取り扱いについて外交折衝をする考えはないんだと、公式の外交文書じゃないんだから。しかし、これについては考慮をすると、こういうふうにお聞きしたんですが、そういうことですか。
  97. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) もちろん外交文書——正式のものではございませんが、相手との交渉の結果、こういう文書を作成しておりますので、もちろん交渉は十分いたした上でこういう文書を作成しておるのでございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは委員長にお願いしておきますが、非常にいま国民が関心を持っている問題ですから、当委員会の任務としましても、これは明らかにすることが非常に重要だと思います。したがって、向こうの了解を得て、たいしたことはないわけなんだから、概要報告できるというのだから、全文提出をお願いしたい。委員長からこの点確認しておいていただきたいと思います。委員長、いいですか。
  99. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) いま、岩間委員のほうから、問題の覚え書きの提出の話が出ておりますが、いかがですか。
  100. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これはさいぜんも申しましたように、個人個人のあれですから、外交上のいままでの取り扱いとしては、外務省と私は打ち合わせている限りにおきましては、先方の意思を確かめていかなければならぬという慣例になっておる。したがいまして、それが先方に確かめて、よかろうというようなことを相互に理解を得ればということになっておるわけでございます。しかし、疑惑を招く、疑惑を招くといいますから、その概要のことにつきましては、本文でなければ、私はいまでも、後ほどでもお出しいたしましょうと、こういうことを言っておるわけでございまして、なお、外務省と打ち合わせをいたして、きめてもいいと、こう外務次官も言っておりますから、さように御承知願いたいと思います。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 わかりました。  ただいまの御答弁、一応いまの段階では了解しました。しかし、つまり概要は出すと、それから原文については向こうと折衝をして、そうして、これは出す努力をする、こういうふうに承っておきます。これは原文が出ますと、またわれわれいろいろ検討するところがあるわけでありますけれども、それで概要については、これはいつ出されますか。少なくとも必要な項目はこれは全文出るでしょうな。これは単にピックアップして、そしてあまり必要でない、事前に発表してぐあいが悪いというものは抜いてしまったというようなことではまずいのだ。概要はいつ出してくれますか。
  102. 西村英一

    国務大臣西村英一君) なるべく早く委員長のほうに打ち合わせをして、出したいと思います。概略を書いて、少しでもわからぬようにするというような、そんなやり方はいたしません。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではそれをできるだけ早く——これはまだ審議が継続されておるのですから、一日も早く出してほしいと思うのであります。  そこで、ただいまお聞きしますというと、一九六〇年の五月二日にこのような覚え書きが交換されたと、こういうことですが、覚え書きの相手は武藤院長と、それからだれですか。
  104. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 極東米陸軍地図局長代理ジョージ・E・タウスエントが相手であります。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 その前に、前年の十一月のたしか十七日だったと思いますけれども、MSA局長のアーサー・T・ストックランド中佐と武藤院長との間に交換した覚え書き、プロジェクト・P・L四六〇というのは、これはどうなんです。
  106. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) それは事務折衝の段階においてかわされた覚え書きでございまして、先ほどから申しております一九六〇年五月二日にその公文、覚え書きを確認しておるわけでございます。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 同じものですか、確認しておるというのですから。そうすると、前のプロジェクト・P・L四六〇、これと同文ですか。
  108. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 同文でございます。前のやつを確認するということでございます。
  109. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではあらためてお聞きしますが、先ほど西村建設大臣は、この余剰農産物の資金、この中から日米共同の地図作製のそういう資金を出すのだ、二億五千二百万円ですか、こういうことが藤山外相と当時のダグラス・マッカーサー二世ですか、この大使との間に折衝がされて話し合いがついた。その結果、これはこういうことをやったんだ、こういうようなお話だったのですが、これはもっと厳密に言いますと、どういうことなんですか。この覚え書きといいますか、これは何か協定としてこのときのものは残っておりますか。藤山外相とマッカーサー大使とのこの折衝の内容、それからそのときの取りきめの条項、そういうことは、これははっきり外務省には残っていると思うのですが、外務次官、どうですか、この点は。
  110. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま言いました藤山外相とマッカーサー二世との間のこれは交換公文ですから、これは一般に発表されておるものでございます。したがって、公表も何もございません。発表されておるものでございます、交換公文として。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうして衆議院の建設委員会であんな秘密にしたんです。あれはあなたたち知らなかったのですか。あんなのは国会論議でなんぼもやっていた。いま、いかにも秘密らしく、出さない、出さない。いまのプロジェクトP・L四六〇もそうでありますが、マッカーサーと藤山外相との取りきめ事項ですね。これについても、もう出さない、出さないと言ってがんばっているが、速記録を私見たが、これはどういうことですか。
  112. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は、予算委員会でそんな出さない、出さないと言ったんじゃない。新聞を見て初めてその事柄を知ったわけです、ああいう事柄を。したがいまして、それは交換公文で発表されておるものか、発表されていないものか、そういうような確認をする間もなかったわけです。その朝突然の質問であったから。しかし、事務当局から説明を受けたことによれば、やはりその地図は市販のたいしたものでない。交換公文のことについては、私は詳しく知らなかったのです。だからそれを提出せよというような御質問もそのときはなかったように私は思うのですが、秘密に秘密にしておいたわけじゃなかったと私は記憶いたしております。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、知らなかったというのですね。私は、この前の速記録を読んでみて、いまいったように速記録に出ていますよ。私さっき読んでみたら、建設委員会で、五月十日の午後から開かれています。予算委員会じゃないのです。予算委員会じゃこれは出なかった。そうすると、これはここで読むのは——時間がかかるから読むのやめますけれども、これは出ていますよ。しかし、それはいま訂正された。はっきりしていますね。そうすると、これは外務当局にお聞きしますけれども、この内容はどういうものです、この交換公文の。
  114. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) これは昭和三十五年二月十八日に東京で調印をいたしまして、同日付で効力を発生しました「農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づく円資金の使用に関する交換公文」でございます。それの(a)項に、「日本国における日米共同地図作製計画のため二億五千二百万円」を支払うということが規定されておりまして、これは長くなりますので朗読は省略さしていただきまするが、この中に詳しく規定をされておるわけでございます。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは公表されておるのですが、念のためにもう一度外務省から資料としてやっぱり提出を願いたいですね。もうだいぶん前のことで、われわれも書類をさがすのに時間かかるから、これはぜひ出してもらいたいと思うのでありますけれども、そうすると、これはどうなんですか。この余剰農産物ですね、これの会計というのはどういう形になっているのか。この余剰農産物資金というやつは、これについての経過は、発足当時からのこと、概略どうですか、外務省おありだと思うのですが。
  116. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) この余剰農産物の協定でございますが、これは第一次協定と第二次協定と二つ協定がございまして、第一次協定は、第五条の規定により、第二次協定は第四条の規定によりまして、これらの積み立て金の積み立てられました円を使用する場合におきましては、その使用方法の一つとして別段の合意のある場合においては使用ができる、その別段の合意ということにおいて、昭和三十五年二月に、外務大臣と在京米大使との間にこの交換公文が、ただいまの交換公文が取り交されたわけでございます。で、この交換公文によりまして、日本における日米共同地図の作製計画のために、いま問題になっております二億五千二百万円を支出することが合意せられまして、昭和三十五年から三十九年までの間に、この二億五千二百万円の経費が支出されたわけでございます。  で、なおこの施行細目につきましては、国土地理院と米軍との間に覚え書が昭和三十四年十一月に別途交換されまして、これがさらに昭和三十五年五月に確認されております。こうした方法によりまして、いまの二億五千二百万円の地図作製費が使用されておるのであります。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前の予算委員会を傍聴したのですが、参議院の。そうすると、何か地理院と米軍との間の契約でこれに対して政府がどれだけ介入しているかという、政府の責任の所在というものはこれは明らかにならなかったわけですが、この点は、いまの説明でだいぶんこれは事態が変わってきたわけでございます。これは言うまでもなくMSA援助、つまり余剰農産物資金について、これはいままでの経過はあとのほう、後半のほうを言われましたけれども、これは結ばれたのは、言うまでもなく一九五五年のこれは五月十三日、それから同附属交換公文が一九五六年二月十日、アリソン大使と重光外務大臣との間にこの交換公文が交換された、その当時の資金が八十七億七千九百十万八千三百五十二円という明細な金額になっておりまして、そのうち六十三億くらいが主としてアメリカ軍人、軍属の宿舎の建設費にこれは使われている。残り二十四億七千八百四十七万五千四百三十一円、これについての使用協定、これがいま田中次官の説明されたものだと思うのですが、そう了承してよろしゅうございますか。
  118. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) ただいま岩間先生のおっしゃいました金額につきましては、この交換公文の冒頭に全部詳細に金額が明記されておりまして、ただいま仰せになったとおりでございます。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、ここのところははっきりさせておきたいと思うのですが、そのとき単に日米共同地図作製だけではないわけですね、六項目たしかきめられていると思うのです。そうでしょう。  第一に、日米共同地図作製のために二億五千二百万、第二にアジア諸国向けの車両の日本国における調達、修理のために五億一千六百四十七万、第三に、農産物市場発展のために三億六千万、第四に、日本国におけるフルブライト教育交換計画のために八億四千六百万円、これはかつて私が予算委員会でやった問題であります。日米教育交換の問題でこれはやった問題であります。それから第五には、原子力関係医学の研究治療、訓練の進歩に資するために長崎に新しい病院を建設する、このために二億一千六百万円。第六に、目黒区内にあるアメリカン・スクールの新校舎建設のために一億八千万円。こういうふうにあげてきますというと、これはほとんど軍事目的に使われているのですね。どうなんですか。このMSA資金の性格として、当然軍用目的だけに使用するというふうな限定がはっきりあるはずです。この点を確認されますか。その六項目は変わりないかどうか。金額も変わりないか。それから軍用目的のためにだけ使用するという、そういう性格のものであるということも確認されますか。この二点。
  120. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) これの内容をまだ私も詳しく一々チェックしてございませんけれども、ただいまの日米共同地図作製につきましても、先ほど建設大臣から御説明ございましたように、一面におきましては、政府といたしましても、日本の領土のはっきりした地図を十分つくっておくということも必要でございましょうし、また日本の産業の建設のため、国土開発のためにもまた必要でございましょうし、それからまたいろいろ国民の土地に関する権利を確認する立場から申しましても、やはり正確な地図というものはどうしても必要でございまするので、まあそうした点から申しますと、やはりこれはある意味におきましては、平和的利用の目的のためにつくられたものと考えても支障はないと思うのでございます。また一面、それがある意味におきましては防衛上の非常な貴重な資料になるということもまたもとより考えられるところでありまして、まあこうした(a)項から(f)項に至るプロジェクトの中には、ある意味におきましては、もちろん軍事的なものの考え方もあるかも存じませんが、たとえばアメリカン・スクールの校舎をつくるとか、あるいは農産物市場発展計画のための費用であるとか、そうしたものは、これははっきり明らかにもう平和的目的のためにつくられるものではないかと一応考えられるわけでありまして、一がいにこれを軍事的目的のために使うものであるときめつけるのもどうかと考えられるのでございます。これは私の私見でございますが。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはちゃんとMSA交換公文の中にあるじゃないですか。これは交換公文を出してやるとわかると思うのですが、占領目的、そうしてその内容は結局、もういろいろこれは説明して平和的とかなんとか言われますけれども、ほとんどこれは軍事目的です。地図作製、それからアジア諸国向けの車両、それからフルブライト教育交換計画というものは、これは非常に日本の文化、そういうものに対する支配を強化する。日本の国内体制を全くアメリカのこれはもう反動的なそういう教育行政の方向に大きく変えていく。また大学なんかのいろいろな研究費用とか、あるいは向こうへ行く留学生とか、そういうものにこの資金を出すのでありますが、ほとんどこの内容的なものは軍事的なものであります。それから原子力、さらにその前のやつを見ますというと、これはアメリカの軍人軍属の宿舎建設、こういうような性格。そうして、それ以外のものに使用されないということは、これはもう明記されているはずなんです。こういうような性格のもの。一体こういうようなものを、この地理院は平和目的のためにこれは発足した。新しくこの戦後発足したはずの地理院にいわば米軍が押しつけてきた。この問題について、当時政府としては何らのこれは関心も持たなかったのですかね。ここが問題でしょう。大もとはここなんだ。当時の政府の、これは岸内閣のときでありますけれども、岸内閣のとき、こういう形でもって使用協定ができたのだ。そうして、その結果この軍事地図の作製が始まるわけです。しかも、その資金はといえば、二億五千二百万円というのは、まさにこのようなひもつきの、これははっきりした軍事的な目的、あるいは占領目的というようなかっこうで、対日政策に必要だから、アメリカの支配のために必要なんだ。そういう目的をもって元来が出されたところのものだ。しかも、このMSA援助というのは、名前は援助だけれども、援助でも何でもない。これは中古の兵器、それから中には半分捨てなくちゃならなかった腐った小麦、大豆、トウモロコシ、いま考えてもぞっとするようなそういう食糧が日本に入ってきたわけです。これが援助で日本人にただ渡されたか。そうじゃないでしょう。全部これは国民から取り上げたものでしょう、代金を。そうしてこの円資金を積み立てた。これが日本の利益に使われたかというと、対日政策の全くこれは手段として使われてきた。その一環として今日この軍用地図の問題がはっきり出てきたのです。この点を私は明確にしなければならぬと思うのでありますけれども、この地理院の武藤院長が、最初はこれに対して賛成できなかった。しかし、政府がこれに対して背後から強引に押しつけた、押しつけたというのは、結局このような交換公文で使用協定をきめてしまったのであります。その結果は地理院としてはこれをやらざるを得なくなった。最初は予備折衝をやって昭和三十四年ですから一九五九年ですか、五九年の十一月の十七日、ここで最初に話し合いをきめて、そのあとに本格的に、これは日米間の政府によって外交折衝で、はっきり交換公文が出された。そうしてそのあとの五月の二日になってこれを確認すると、こういう経過になりますね。この点はこう理解してようございますね。一応いままでの経過だと、この点を明確にしなきゃならぬ。これが非常に混乱している。両院の審議を通じては、全然この間の事情が明らかになっておりません。私は、だからこれは国会の名誉にかけてもこの点は明確にしておくことが必要だというように思うのです。どうですか。
  122. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これははっきり書いてありますように、日米共同防衛のためのいろいろなきめでございます。したがいまして、その共同防衛のための装備、資材、役務の提供等に対する一つの問題として地図の問題もそういうふうに起こったのでございます。ただし、この問題は、それであるからといって、その相手方の米国だけを利したのではございませんので、地図の作製につきましては、両者でいろいろと研究し合ったというようなこともあるわけでございます。両者の共同防衛の利益、こういうことになると私は思うのでございます。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの答弁は了解できません。日米共同にも限度があります。自分の国を素っ裸にして、裸にして相手にささげるような、こういう一体あれというのは安保の中でも必要なんですか。  日米の共同防衛だということを言っているけれども、まるで裸の写真じゃないですか。裸の地図じゃないですか。こういうものを向こうに渡しておいて、この前も問題になったようでありますが、これは逆用される。世界情勢の変化ではそういうことだってあり得るだろう。そういうことを考えますと、しかも独立ということを考えれば、国の独立の立場からいえば、そこまでこれはやるべきですか。国の節操というのはどうなんです、国の節操というのは。日米共同のために必要だからアメリカのこういうような軍用地図がほしいと日本が言った場合に、アメリカが承知しますか。ほかの国だってそうでしょう。私はこういう点でこの一体外交というのは何物かということを今日やはり大きな課題にしなくちゃいけない、ここから根源が発しているのじゃないですか。そうじゃないですか。私はこういう点についてはこれは了承できないのです。しかし、大臣は日米防衛の立場からこういうこともある程度やむを得ないのだというようなお話をされた。そうすると、このようなことを許した法的根拠はどうなんです。法的根拠がなければ、単にこれはそういう気分だけでやれるものじゃありません。向こうの押しつけによってやれるものじゃありません。やみ行為のようなことは、これは許されないはずであります。そうでしょう。それで当時あたかもどうかといいますと、これは安保改定のときなんだ。その安保の改定で政府はどういう説明をしておったか、対等の条約を結ぶのでございます、あくまでも対等、一対一の対等の条約でございますということを、岸総理をはじめ盛んに国会で宣伝につとめておった最中じゃないですか。その足元でこういう事態が起こっているのです。したがって、私は法的根拠を明らかにされることがこれは必要だと思うのでありますが、これはいかがでございますか。
  124. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) 本地図作製につきましては、別に日米間に法的根拠、条約上の義務であるとか、権利であるとか、そうした法的関係の権利義務に基づくものではなくして、これは両国のあくまで合意によりますところの、話し合いと申しますか、合意によりまして事実上こういう地図作成をやることに両国が合意をいたしまして、事実上地図を作成するということによってこういう計画が進められたわけでございます。別に条約上の義務であるとか、権利であるとか、そういうような事実は本件につきましてはないわけでございますので、この点ひとつ御了解願いたいと思います。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 一種のやみ取引ですね。いやしくも国民の預託をになって多数によって選ばれたという政府でしょう。その政府がその国の独立の立場に立って、そうして人民の負託にこたえるという立場でこういうことをやっていいんですか。これじゃまるでやみ取引じゃないですか。安保条約にはわれわれは反対だ。しかし、安保条約そのものも、何でもいいということじゃないでしょう。ここには手続があるだろうし、そうしてちゃんと窓口があるだろうし、そういう手段を尽くして、これは日米の関係というものを明確にしなかったら、一体どこで日本の独立というものは保つことができるのです。これは最もその典型じゃないですか、こういうことは。法的関係の権利義務じゃなくて、これは両者の合意だと言っていますけれども、裸にされているのです。国の節操というものはじゅうりんされている。そのことに対して私はいまのような御答弁なら、これはたいへんな事態だと思うのでありますけれども、どうなんでしょう。そのあらわれが今度の問題じゃないですか。
  126. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) ただいま両国間のやみ取引というおことばをお使いになったのでありますが、これはやみ取引でも何でもないのでありまして、やはり形式が合意、話し合いということであります、事実上の話し合いによって地図作製が取りきめられ、これが進んだわけでありまして、その間には経理、支出の方法につきましても、双方におきましてすでに交換公文等も取りきめられておりまするし、そうした公的の機関も働いておりますので、これは絶対にやみ取引ではないのでありまして、これはあくまで公式の行為であるとわれわれは断ずるわけであります。しかもこれは日本の防衛上必要であるという観点からこの取りきめを進めたわけでありまするので、これが絶対に日本の国をやみ取引で裸にしたとか、そういう意味では全然ないのであります。あくまで防衛上の必要から、こういうことをやらざるを得なかったということを申し上げるよりほかないと思います。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 やみ取引じゃないのだ、合意だと言われますけれども、所定の手続というのはあるわけでしょう。いやしくも独立国ということになっているんでしょう。独立国日本が、それは大国アメリカかもしらぬ。しかしこれは一対一の関係で対等の立場でやっていくというときに、全然そのような問題を抜きにして、それで単に交換公文を出したらそれでいいんだということでは私はないと思う。特にいま防衛ということばが出たが、防衛なら防衛の取りきめによってはっきりやるのが当然の政府の立場でなかったかと思う。そうすれば当然それについての規定があるはずでしょう、安保条約にそういう規定が。どうですか。これは外務次官御存じだと思いますけれども、地位協定によって米軍に対してこのような労務を提供するとか、その他の資材、器物、そういうようなものを調達する場合には、はっきりそれを処理するところの法的な取りきめがあるはずでしょう。御存じだと思いますけれども、これはどう考えますか。
  128. 田中榮一

    政府委員(田中榮一君) この地図作製につきましては、地位協定の五条とか、そういう規定には該当いたしておりません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、そうした協定の五条の根拠によるとか権利義務による、そういう法的根拠はないのでありまして、これはあくまで事実行為として、両国が話し合いの上取りきめをいたした、合意によるところの取りきめでございます。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、日本外交というものの正体が疑われますよ。国際的に通用しませんよ。独立したという国日本が、全くまるで裸にされるような、こういうアメリカ側の言い分に対して、これを唯々諾々としてのんだということになるのでありますね。なぜ安保を使わなかったのです。安保六条による地位協定の中にも、はっきりこれはもうそういうあれが求めればあるわけでしょう。たとえば地位協定の七条の「合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする。」というこの条項そのものも、たいへんなこれは軍事優先、アメリカ優先の条項ではあるが、取りきめがあるでしょう。なぜこういう七条を使わなかったのですか。七条の前までは、この時期には多分安保の改定は成立していなかった。しかしこれと同じような条項があったはずでしょう。役務とか資材とかその他の提供についての規定があったはずです。なぜ使わないで、いま言ったようなことをやったのです。 これははっきり言えば、とてもこれは正面に出せないしろもので、日の目を見せちゃならぬ、そこでその内容を伏せていまのような形でやったのじゃないですか。それはやみ取引じゃなくて何ですか。そういうかっこうで表面に出したらたいへんなことになる。日本の国の軍事的な一つの秘密を含んでいるこういう地図というものを、日本を攻撃することのできる地図を日本人がつくって、それを相手に渡すというようなこと、これはどこへいったって通るものじゃありません。独立国の面目として、体面は絶対維持できません。こういうことだから、これは表面に出さないで、わざわざそういう規定があるにもかかわらず、この規定を最後まで使うことができなかったというのが正体じゃないんですか。いかがですか。
  130. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) ただいま御指摘になりました点についてお答えいたします。  まず第一に、日本国とアメリカとの間には安全保障条約を締結しておりますので、その関係でアメリカと日本との関係は特別の関係にございます。これはお互いに協力するという点からくると思います。ただいま御指摘の地位協定の各条項でございますが、七条あるいは十二条というのはこの問題とは直接関係がないというふうに了解いたしております。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 特別の関係だって限度があるでしょう。節操も何も——この前予算委員会でノーズロというようなことばを使われたわけですけれども、そういうことでかまわないんですか。これが特別な関係って言うんですか。たいへんきたない問題だ。そんなものは許されません。なぜこういう法的な取りきめがあるのにこれを使わないのか。これを使えばやれるはずです。これを使わないで、いまのような協定でやらなきゃならなかったというところに、この実際の仕事そのものが国民の前に明らかにできないという弱点を持っておったと、こう断ぜざるを得ないと思うんですね。当然私はこの条項を使うべきだ。——ただ、これを使えとすすめてるんじゃなくて、これを使うなら、当然そのあとにくるのは、日米合同委員会にかけなくちゃならないと思う。なぜ日米合同委員会にかけなかったんですか。日米合同委員会で当然扱うべきじゃないですか。こういうのを扱うためにこそ日米合同委員会があると思うんですが、どうです。そういう規定はこの地位協定の中にありませんか。
  132. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) 日米合同委員会の任務は、協定にも書いてございますように、この協定の実施に関して両国政府の協議の場とするということでございまして、ただいま御指摘のこの地図作製は、農産物協定及び交換公文に基づくものであって、特に協定のほうはこれは国会の御承認を得ておる。それからそれに基づいて交換公文をいたしておるので、この地位協定に戻って、地位協定の各条項を発動する必要はないというふうに判断されたんではないかと考えております。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは軍事的な目的を持たなければそういうようなあなたの説明も成り立つかもしれない。しかしはっきり軍事的な目的を持っている。大臣の答弁は何かというと、日米の防衛のためだと言っている。性格を規定しているのです。だから私は聞いているのです。食い違いがあるでしょう。日米防衛のためにこれはやむを得ないのだ、安保体制のためにはしかたがないのだということを、全部答えている。防衛庁長官もこの前同じようなことを答えているのですよ。それから西村建設大臣もこれについて答えておられる。外務大臣にまだ聞いてないけれども、いずれはこれは予算の分科会あたりでこの問題は明らかにしなければならぬ。しかし軍事的な目的は歴然としている。こういうものを決定するときに、防衛の目的だったら、なぜ防衛条約によってやらないのか。当然これをやるとすれば、日米合同委員会にかけなくちゃならない。日米合同委員会にかけるとなれば、当然これは日米合意書というものが必要になってくるでありましょう。なぜそういう方法をとらないのか。三十五の合意書を私は検討した。かつてこの日米合同委員会の合意書、分科会によってつくられた合意書を、私はずいぶん大きく問題にしたことがある。三十五検討したことがあるけれども、建設省はなぜ一体この合同委員会を持たないのです。分科会に入っているのですか。日米合同委員会の分科会に入っていますか。そしてこの合意書をつくらないで、こんなやみ取引でやっていいというのですか。
  134. 浅尾新一郎

    説明員浅尾新一郎君) ただいま手元に各分科会の名簿を持ってきておりませんけれども、分科会の中には施設関係の分科会がございまして、その場合に建設省関係する部分もあるかと思います。具体的にどの委員会に建設省の方が関係しているか、ちょっと私ここに手元に持ってきておりませんので、正確にはお答えできません。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、たとえば気象業務に関するときには気象業務で、これは気象庁との間にちゃんと合意書が出てるでしょう。こういうものでこれはされていって、それが一応法的な根拠を持ってるという形だったら、私はここがまた論議の対象になるわけでありますけれども、これはあなたたちとしてはそれはそれで筋が通ると思うんです。ところが全然そういうような手続をやらない。そうしますと、こんなことをほんとうにその場限りの必要から米軍から強要された場合に、それに対して応じていく、どんどんうのみにするという事態が起こったならば、何のために一体この安保条約というのは、あなたたちの立場から考えたってこれは必要になってくるのですか。何にもならぬです。これは空文じゃないですか。安保条約そのものは空文じゃないですか。そして合同委員会に、分科会に入っている、入っていながら一方においてはこの地図の問題だけはこれは別に扱いをやっているなどということでは、私は全くこれはその陰に伏在するもの、そういうような米軍の意図、そういうようなものに対して全く抵抗を示さないところのこういう日本の外交について、いまさらながら思いをいたさなければならぬのです。そうしてその一翼を、これは建設省の付属機関であるところの国土地理院がになっている、こういうことになる。になわされているのです。どうなのです。私はそこでお聞きしたいのですけれども、さっきの覚え書きというのはいまだに生きているのでしょうか、どうですか。生きているのでしょう。毎年日米の地理会議が定期にいまだに開かれているのが実態じゃないのですか。
  136. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これはさいぜんも申しましたように、交換公文に基づいてやっているので、約束は昭和三十五年から三十九年の約束で、その約束は切れているのでございます。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまはやっていないのですか。
  138. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いまはそういうことはやっておりません。すでにこれはさいぜん私が申し上げましたように切れているのでございます。ただその地図の技術上の打ち合わせをするとかなんとかいうことは、これは米軍のみではございません。ほかの外人も含めまして、地図は非常に技術上の問題がございますから、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいということがございますから、それは米軍のみでなくて、ほかの国の地理のほうの専門家とも、それは知識の交換はいたしておりますけれども、この条約の関係に基づいた関係は三十九年で切れているのでございます。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの御答弁重大です。そうすると、あの覚え書きの効力というものはなくなった。そうすると、いまやっている仕事はどういう根拠なのです。会議には出席している、定期の会議には出ている。新たに疑問が起こってくるのです。法的根拠なしにやっているのですか。これはどうなんです。
  140. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 別に定期の会合は持っておりません。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 出席してないというのですか。毎年出席しているのでしょう。日米の地理会議があるでしょう。そこへ出ているでしょう。
  142. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) これに基づく会議には出たことはございません。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは実態は私どもはいろいろ聞いているのですが、今後そういうことについて、なおこれは明らかにしたいと思います。現在だってそれを持たれているのでしょう。米軍の求めがあったら出ていくとか、そういうことはしていないのですか。そういうことはないですか。米軍とは全然絶縁ですか。そう言い切れますか。あなたは知らないかもしれない。あなたは去年の二月からだから。どうなんです。
  144. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) これが終わりましてから、特別に定期的会合を持っているように私は聞いておりません。
  145. 岩間正男

    ○岩間正男君 定期的じゃなくてもいい。日米のそういう地図会議には出席しているか、していないか、それはどうですか。
  146. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 地図会議があるというような話は私は聞いておりません。
  147. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはよく調べてみてください。あなたは就任されてから一年そこそこなんだけれども、われわれはそういうことをいろいろ聞いておりますから。やはりそれは持たれている。そういうものにやはり地理院は協力体制をとらされている。もしないというならはっきりない、そうして今後その線を明確にする必要があるので、そういうことは、もう何らの根拠もなしにそういう事態が起こるということは、これは許されないと思います。  私はその次に進めたいと思うのですが、これはどうなんです、一体。日本の政府はいろいろいわゆる防衛体制の中で要求されて、たとえば日米合同委員会の合意書の一つに基本労務契約があります。そうしますと、こういうものとの関係はこれはどうなるのかね。職種番号の二十九に製図補助職、三十番に製図補助職、三十一番に製図補助職、それから三十二番に地形製図職、それから八十一番に測地計算職、八十二番に測地技術職、それから二百十九番に地名専門職、それから三百十六番に地形製図職千七番に製図職、こういうものがこれは労務提供としてなされているのでありますが、これは米軍の地理作製のためにこれは要求された労務者だと思うのですが、これと一体この地理院なんかのこれは関係はどういうことになっているのですか、具体的には。これはどうなんですか。これは防衛施設庁の説明をお聞きしたい。
  148. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) ただいま先生のお読みになりました職種は基本労務契約の付表にあるわけでございますが、これは在日米軍が地図を作製する必要がある場合に、所要の労務を提供してほしいというような要望があった場合、日本政府が日本人労務者を雇用しまして在日米軍に提供しておる、その職種でございます。
  149. 岩間正男

    ○岩間正男君 全体でいま言ったような九つの職種についてあげたのですが、これは人員はどのくらいいるのですか。
  150. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) ただいま先生お読み上げになりました千七番の製図職、これは一名でございます。それから三十番の製図補助職というのは七名全国におります。合計八名でございます。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは職種に九つ出ていますよ。私さっき読んだので繰り返しませんけれども、製図補助職、これが四つある、二十八、二十九、三十、三十一。それから地形製図職、測地計算職、測地技術職、地名専門職、地形製図職、これは時間の関係からあとで何か資料で出してもらっていいんですが、人数、それから何を一体やっているのか。それからこれを見ますと、等級というのがあるのだが、これは何をあらわすのか。語学手当支給区分とあるのだが、何をあらわすのか。そして何よりも、米軍の中にいて、さらにまた日本の地図作製なんかと交渉がないのか、こういうような問題。こういう問題はこれは明らかにしてもらいたいと思うのです。それでどうなんです、一体。その問題は非常に私は安保条約そのものの正体を語っていると思う。安保条約では一応地位協定といったようなものをつくり、窓口をつくり、そして日米間のいろいろ協議すべき問題については、懸案についてはそこで相談をするのだということになっているけれども、しかしこれが一体どの程度行なわれているかという問題です。筒抜けじゃないですか。どんどんこれは網のようなものじゃないのですか。ざるのようなものじゃないですか。実際はこれは表面だけのことで、ここで行なわれているのは、もっともらしい表面的なことです。陰のほうではどんどんとこういうような規定にさえもこれは従わないところの日米の折衝というようなものがどんどん行なわれ、米軍の要求に応じていく。そういうことになったら、これは一体どうなるんです。実際一つの法治国として、そして法の根拠に立ってこれは何でも進めていくというかっこうになっている。安保条約はさっき話したように、われわれが絶対にこのような安保条約の成立そのものから見ましもこれは反対をしている。しかし、あなたたちの立場からいえば、これによって日本の安全を守るのだという、そのめに日米共同して防衛に当たるのだ、こういうたたてまえだ。しかもこれは決して日本の主権というものを侵害するものではない、独立はこれによって失なわれるものではない、こういうことを絶えず主張しておりますけれども、実態はかくのごときものじゃないですか。表面に浮かんでいる合同委員会の機構、日米協議委員会があり、日米合同委員会があり、そうしてこれをめぐるところの分科会がある。そうしてさらに合意書がある。そういうような規定は一応ありますけれども、これは都合のいいときには米軍はこれを使い、都合の悪いところではどんどんほかの条項でやっていく、ことに協定というのはいまだに生きているのだ。軍事顧問団がこれは日本に何人いるのです。こういう連中は暗黒で覆面をしているのです。車のナンバーをつけていないでしょう。外交官待遇を全部受けておるわけです。しかし公式のほかの外交官と違うところは、公式のそういう日本のいろいろの儀式とかなんとか、そういうところに顔を出す必要はない。こういう連中はいまどこを歩いているか。こういう連中は工場を歩き、防衛庁を歩き、それからいろいろの三自衛隊のところを歩き、そうして陰のほうでそういうことをやっている。こんなことに依存したら、安保そのものが無視されるという現状じゃないですか。私はやめいと言ったのはそれなんです。なるほど安保の機構は表面的にはある。しかしその背後にはばく大なやみがある。広大なやみがある。そのやみの中で処理されておるのがいまの姿です。これが安保条約の正体じゃないですか。これで法治国と言えますか、この裸の状態で。この地図の問題というのは、はしなくもその一端をはっきり暴露したということになる。これは重大なんです。これに応じて、あくまでもこれは平和の、人民のための地図を作製するというなら、あすこの人たちは抵抗すべきだ。私はこういうような問題について、平和憲法を持っている日本の立場から、当然あすこの職員人たち、それから骨のある人もいるでしょう。また労働組合があって、これに絶えず反対運動をやっているわけです。しかし、なかなかそれに対して相当頑強なこれは弾圧をやり、あるいは分裂支配をやり、いろいろの形でもってこれを圧迫しておる。その背後には政府の力がある。そうしてそこに落とされておる。いつの間にかあなた——私は売国奴という名前では呼びませんよ。しかしそれに近いような、そういうような名前で言われるのが現状じゃないですか。そこに落とされていいのですか。こんな恥知らずなことでいいのですか。私はこのことを非常に大きな問題にしなければならぬと私は思います。建設大臣どうですか。あなたの付属機関の一部でこういうようなことが行なわれておるのです。安保条約、合意、防衛体制のため、しかたないのだという抜けことばではだめです。こういうことを佐藤総理も同じようなことばで言った。防衛庁長官も言った。私は傍聴しておってふんまんにたえなかった。なぜ一体これに対して徹底的な対決をしないのか。日本の現実というものを明確にしなければならぬ。そういう体制の中で一翼をになわされているのですよ。こういうことを考えますと、私はこの地理院の問題は、一つのいまの日米体制下における日本の暗黒をほんとうに私は典型的に示した一つ事例だと思う。単にこれだけではありません。こういう点では非常に独立の立場から、日本の自主の立場から私は憂えざるを得ないのです。だからこういう質問をしているわけです。この点について十分に私は御検討いただきたいと思うのです。まあこれについて御答弁は要りません。しかし、非常に重大な問題ですからね。これは小さい問題じゃない。そういうようなことで片づけられる問題じゃありません。日本の一つの恥辱、恥部が出ているわけです。この恥部を、こういうものがたくさん背後にあるのだということを現実に考えるときに、私はこのままにしておけない問題としてはっきり申し上げておきます。  最後に私は会計検査院にお聞きしたい。会計検査院としては、この二億五千二百万円のこの経理はどうなっているのですか。これはどういうふうにあなたたちこの問題をつかんでおられるのですか。
  152. 石川達郎

    説明員石川達郎君) 交換公文あるいは覚え書き、その当否等につきましては、会計検査院としていま申し上げる限りではございませんが、ただいまお話しのありました二億五千万円、これは五年間にわたってすべて予算化されております。したがいまして、その予算執行につきましては、毎年度書面及び実地につきましてこれを検査をしております。検査の結果につきましては、特に指摘するような事項はございませんでした。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは当初予算に入っているのですか。入っていないのですか。
  154. 石川達郎

    説明員石川達郎君) 当初予算に入っております。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 入っているのですか。はっきり組んでいるのですか。——そうすると、年度当初からこれを組んだのですか。途中でしょう。契約が結ばれたのは五月二日でしょう。当初予算に入るわけはないじゃないですか。
  156. 石川達郎

    説明員石川達郎君) 三十五年度から特定五万分の一地図作製の経費として入っております。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは国庫に一度入るのですか。
  158. 石川達郎

    説明員石川達郎君) これは歳入歳出両建てになっております。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、あなたたちはこの問題の中身について、この金の性格については何も調べなかったのですか。単に予算に組まれているからその経理上の問題だけを調べたということになるのですか。
  160. 石川達郎

    説明員石川達郎君) 先ほども申し上げましたように、まあ交換公文というものに従いまして予算化されたものでございますので、国の政策としてそういう措置をとった。したがいまして、検査院としては、ただきめられました予算執行につきましての当否が検討されるだけであろうと思います。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、これはどういう経理の状態になっていますか。先ほど資料をお願いしましたね。地理院のこれは出してもらえますね、この二億五千二百万円の。何年度に幾ら入って、それから支出のほうはどうなっているか、収支決算のそういうものですね、これはいいですか。
  162. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) 提出できます。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間が来ましたから、時間を守ってこれでやめようと思うのですけれども、私は一番最初に申しましたように、非常にこれは国民が関心を持って、しかもこの実態をほんとうに明らかにするということは、われわれとしても任務だと思っている、当然なさねばならない。そこで、その一端を私は質問申し上げたのですが、まあ資料がまだ十分出そろっておりません。委員長からも確認をしていただきまして、先ほど要求しました資料を出していただきまして、さらに私はその結果についてこれはお伺いしたいと思うのであります。  ただ、最後にどうしてもこれは明らかにしたいのですが、ここの労働者が労働組合をつくっているわけですが、こういういわば米軍の地図作製というような事態の中で、これをまあ上からのそういう政府の方針に従って、しかも米軍の要求に応じていくということになるというと、その職場においていろいろなこれは必要以上の不当なできごとが行なわれてきているやに聞いております。こういう問題はどうなのですか。これは院長としてどういう感じを持たれますか。ほんとうにあそこの職場が民主化されているというふうにあなたたちはお考えになっていらっしゃいますか。
  164. 安藝元清

    説明員(安藝元清君) この地図の問題につきましては、職員組合のほうでこれを取り上げまして問題にいたしておるということは、これは承知をいたしております。しかし、われわれといたしましては、つくりました地図は先ほど大臣から御説明がございましたように、現在市販されている地図とほとんど変わりがございませんで、多少まあ色合いが違うとか、グリッドが入っているという違いはございますけれども、それはそれなりに科学的な理由がございまして、別に私たちは軍用というふうに考えておりません。そういうことで職員の皆さんにはそういうことを徹底したいと、かように考えているわけでございます。それで職員一同の誤解を解きたい、かように考えております。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはあそこでいろいろ職員たちが会合を持ったりする、そういうようなことについていろいろな制限があるというように聞いておりますが、そうなんですか。そういう半面に一方で、いつごろですか、あなたがきていられない金子前院長時代ですが、「昨年一月、国土地理院庁舎内で、小林旭主演「俺にさわると危いぜ」という日活映画ロケが行なわれました。この映画は、小林旭の活劇と北あけみ等女優のピンクが売りものです。庁舎内では女の上半身裸体場面や小林旭の活劇場面が撮影されました。」、こういうことが許可されている。これはひた隠しに隠したそうだけれども、これは職員が見たのです。見たから壁新聞を張ったら、撤去しろというようなことがこれはあったそうですが、こういうことは差しつかえないのですか。これは大臣にお聞きしましょう。そういうことをして、職員が民主的ないろいろな運動や、そうして生活の問題、権利の問題、そういう問題と、さらに平和目的のためにあそこの地理院をほんとうにこれは人民のためにする、そういう要求をもっていろいろな組合活動をやっていると思うのですね。そういうものと全くこれははかりにかけられて、一方のほうはこれは非常に禁止され、一方のほうは、これはいま言ったように全く半分裸体みたいなのが撮影が許されている。こういうことについてどういうふうにお考えになりますか。最後にこれに対する大臣の御見解だけ伺っておいて終わりにしたいと思います。
  166. 西村英一

    国務大臣西村英一君) はっきり、何か声が小さくて聞き取れなかったのですが、職員のことにつきましては、私も十分注意をいたして、ひとつ適正に仕事をやるように指導したいと思います。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 一方で日活の映画のロケに貸しているのですよ。それなのに労働組合の活動にはいろいろ制限があって、なかなかたいへんだ、そういう事実が具体的に出ているわけですけれども、そういうことについてはどうか。
  168. 西村英一

    国務大臣西村英一君) なお取り調べまして、ひとつ適正に指導したいと思います。
  169. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 ちょっと関連して。  いままでの政府の答弁を承っておって、達田委員あるいは岩間委員質問に対して、もう少し政府側が、ひとつ自信のある、国民を納得させるような答弁が私は必要じゃないかと思うのです。いまいわゆる答弁の姿を見ていると、スタンドポイントが違うからというような考え方で省略した感がある。あるいは岩間委員の言うままの話を聞いてそのままで、自分たちはこう考えるのだということを私はやはり明確に打ち出すべきではなかろうかと思うのです。さらに私、ことに建設省大臣及び官房長、どちらでもいいですが、お答えをいただきたいと思うのですが、先ほど達田委員質問の中に、地方議会等において、建設土木委員会に希望者が殺到している。その殺到している原因は、すべて利権に関係するからそうなんだという断定的なことばが出ている。しかもまた請け負い状況を見ても、七〇%程度しか請け負い金が入らない。それは次から次へ渡っている。現実がそうなっているのだ。一例をあげれば、たとえば一億円の指名入札の場合に、次から次へ受け渡す。三〇%、三〇%値引きされて、結局は手抜き工事になってしまう。こういうようなことが話されたのですが、こういう問題が、院内だからよろしいですけれども、院外でかりに語ったとすれば、地方議会等においては相当これは問題になる点だと思うのです。そういう点については、私は大臣においても官房長においても、もっと明確な立場でひとつ説明をして、国民の誤解を受けないようなことが必要ではなかろうか。これは要望を、今後の答弁その他について要望を申し上げておきます。  そこで、私はお聞きしたいのですけれども、会計検査院の検査結果の報告等を見ますと、たとえば災害復旧工事等において、二万六千六百カ所の施行工事の中で七千カ所を検査した。その中で積算過大のものがこれだけある、それから設計過大のものがこうだと、合計しますと約二億二、三千万のものが出ているわけです。どうしてこういうのが出るのか。特に私は一つの例を取り上げてみますと、この五九三号で取り上げている井筒工工事の問題で、底面積を出すのに、半径掛ける半径に円周率を掛けるべきが筋合いなのに、直径を二乗してそれを二分の一に割って円周率を掛けたと、こういう結果がこういうふうな積算過大になっているんだと。このことが検査院のほうから指摘されているわけですが、これは会計検査院から指摘されるばかりではなく、少なくとも、かりに直径四メートルのものとすれば、二、二が四と、四、四、十六の二分の一と、そこに面積におきます大きな違いが出てくるわけです。したがって、そこに使う資材、骨材等もおのずから違ってくるはずです。だとすれば、業者においてもそれはわかっているはずです。こういうふうな粗漏の起きるのはどういうところに原因があるんですか。というのは、これらの問題について会計検査院のほうから指摘されて、取り扱い方として、返還金を出さしたとか、あるいは訓告、文書による戒告等の行政上の処分をしたというけれども、現実的な問題としては、技術屋の不足によって起きるのか、監督行政の粗漏というか、精上密さを欠いたために起きるのか、こういう起きる原因をひとつ聞かしていただきたいんです。
  170. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 最初の災害復旧工事積算過大の問題でございますが、御承知のように、災害が起こりました場合に一刻も早く復旧に取りかからなきゃならぬということで、非常に急いで査定をやっておるわけでございます。そういった面において、人員も必ずしも十分ではございませんので、ほかの局の人まで河川局の防災課に併任いたしまして、応援体制を整えてやっておるわけでございますけれども、何ぶんにも災害直後のどさくさのときでございますので、十分な査定ができないということが原因一つでございます。この点につきましては、なお人員の強化等をはかりまして、動員体制をさらに広げまして、間違いのないようにしたいと思っております。  それからもう一つは、特に市町村災害等につきましては、市町村に技術能力が足りない面が多いわけでございます。県災害につきましては比較的技術能力を持っておりますので、設計等もかなりやれるわけでございますけれども、市町村災害、特に町村災害等につきましては、現地の公共団体の技術能力が貧弱であるという問題があるわけでございます。これにつきましては、県の応援体制をさらに強めていくというふうなことで対処していく以外になかろうかと思っております。  それから、先ほど御指摘井筒工の問題でございますが、これはもう全く御指摘のとおりでございまして、弁解の余地のない事案でございます。事の原因は、これはまあ設計を担当いたしました技術者が円の面積の出し方を知らなかったというのではないのでございまして、これはまあ不注意による間違いであったわけでありますが、問題は、人間でございますから不注意で行き違いの点もあろうかと思いますが、それをどこかの段階で発見できなかったというところにあると思います。そういう点で、円の面積の出し方を知らぬ技術者はおらぬと思いますので、そういう研修をしようとは思いませんけれども、上におって設計をチェックする人が、めくら判ではなくて、そのような大きな間違いにつきましては、直ちに発見できるような体制にしていかなきゃならぬというふうに考えております。
  171. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 先ほどの大橋委員質問等に関連して、住宅用地やあるいは公共用地を確保するために非常に建設省が苦労していることはわかるわけですが、問題は、この用地確保の方法の問題だと思うんですが、それに関連して、土地収用法について改正の意図があるようですが、どういうふうな考え方で、大臣今後やっていきたいと思っておりますか。同時に、私は土地収用法の改正だけではなく、自分のところはたんぼにしておきたいのだ、山のままでおきたいのだ、こういう考え方が相当用地買収に困難性を来たしている場合が多いわけですが、用途指定の発動の問題について、市町村、地方公共団体にこれをよくアドバイスする必要があろうかと思うんですが、この二つの点、土地収用法の問題と用途指定の問題についてひとつお伺いしておきます。
  172. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 土地収用法は、先般衆議院に提案をいたした次第でございます。したがいまして、いずれ参議院のほうにも御審議を願わなければならぬと思っておるわけであります。あくまでもやはりこの用地の取得につきまして万全を期したい、しかもそれをスムーズにやりたいということで、土地収用法は提案をいたしておる次第でございます。  第二点の問題ですが、ちょっと意味がのみ込めませんが、土地の用途指定のことであろうかと思いますが、先般、宅地審議会におきまして第六次の答申をいただきました。地価の問題等につきましていろいろまあ方法はあるであろうけれども、最近の産業と人口の都市集中の傾向を見るというと、従来の都市計画法で用途指定をしたぐらいでは間に合わぬから、新しい観点に立って土地の利用計画を確立すべきだということが御意見にございました。したがいまして、建設省といたしましては、都市計画法をただいま改正して、この土地利用計画についての制度を確立いたしたい。せっかく検討いたしておるのでございまして、できれば都市計画法の改正法律案をこの国会に提案をいたしたい、かように考えて、いま一生懸命勉強しておる次第でございます。
  173. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十七分散会