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1967-07-19 第55回国会 参議院 外務委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)    午後二時二十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         赤間 文三君     理 事                 木内 四郎君                 長谷川 仁君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 鬼丸 勝之君                 佐藤 一郎君                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君    政府委員        外務省アジア局        長        小川平四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省アジア局        参事官      吉良 秀通君        外務省条約局参        事官       高島 益郎君        運輸省航空局審        議官       林  陽一君     —————————————   本日の会議に付した案件国家と他の国家国民との間の投資紛争解決  に関する条約締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国政府大韓民国政府と  の間の協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国家と他の国家国民との間の投資紛争解決に関する条約締結について承認を求めるの件  及び航空業務に関する日本国政府大韓民国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  以上二案件を便宜一括して議題とし、これから質疑に入ります。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 航空協定について少し伺いますが、日韓航空協定と銘打ってあるが、これは確かに航空協定であって、文化協定でもなければ、科学の協定でもない。これは一つ経済——広い意味での経済、このカテゴリーに入る協定だと思うのだが、いかがでしょう。
  4. 高島益郎

    説明員高島益郎君) これは、この協定の名前が称しますとおり、航空業務に関する日本国大韓民国との間の協定でございまして、一般的な経済関係を律する協定ではございません。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 広い意味経済的性質の強い、商業的性質も加わり経済的性質も加わったものと理解していいわけだね。
  6. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 他の国と日本政府が結んでおります航空協定がそうでございますと同じ意味で、そういう性質協定でございます。
  7. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、これはビジネスに入るわけだ。ビジネスになるわけですよ。ビジネスといえば、商売といえば売った買ったと、こういうことになる。原則としてはお互いがギブ・アンド・テイクで、取ったり、やったり、譲るべきものは譲り、そうして相協力して業事の伸展をはかる。総括してみれば、たいへん韓国のほうに与え過ぎ、こちらはたいへん遠慮をしておる。附表に示す飛行機の飛んでいく——日本から行けばソウルまで、向こう日本を経由して太平洋をまたいでシアトルまでですか、そこまでも行ける。距離が同じなら大体距離が同じ、目標もおおよそ両者に便宜のいいところであるのが普通なんですね。ところが、韓国の場合はシアトル日本京城まで行くが、それから先はないわけですね、必要があって行ったときには。お話の上で延ばしていくわけですよ、少なくとも協定自体は。協定がまとまれば、あそこでストップだろう、こっちの飛行機は。
  8. 高島益郎

    説明員高島益郎君) きのう御説明いたしましたとおり、日本のほうの路線につきましては二つございまして、一つ日本国内地点からソウルまで及びソウル以遠と、もう一つ路線は、日本国内地点から始めまして釜山及び釜山以遠と、この二路線でございまして、この二路線にございます以遠権につきましては、これから日本が必要と認める時点において、必要と認める国に対しまして、その以遠を求めるわけでございまして、これにつきましては、韓国側路線と対応しまして三点だけの権利を確保しております。現在のところどこに行くかという点につきましてはきめてございません。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 地図を見てもおわかりのように、以遠以遠と、以遠なるほど土地も空間もありますがね、行けないじゃないですか、外交関係も何もない国が隣にぴったりくっついているのに、そこから以遠といったって。シアトルのほうは、あれから海岸線をたどって南米の突っ先まで行けるし、ロンドンまでも行けるし、世界一周もできる。こっちは行きどまり。何でそんなふうなことになったか。日本アメリカ交渉でもそうでしょう。日本とニューヨーク・ビヨンドとさんざん騒いだ末、アメリカからそれなら日本はバンクーバーかどこかから南米のほうに行く権利は捨てろとか、ここで相当ぶったくられ、あげくの果ては東京ビヨンドアメリカ飛行機は南のほうへ行けることになったでしょう。これほど日本日米安保条約で仲のいい国でも、商売になったら商売商売日本人は商売と人情をときにまぜてしまうのだね。あくまでビジネスビジネスで、話はこれが一番原則ですよ。どうですか。
  10. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) その点についてお答え申し上げます。もちろん、航空協定は、先生のおっしゃいますとおり、経済性の非常に強いものでございまして、この点につきましては、外務省としまして、交渉します際に運輸省航空局と十分緊密に連絡をとりながら、むしろ一緒に交渉したということでございまして、運輸省のほうにおきましても、日航のやはり採算性ということを十分念頭に置かれておやりになったことでございまして、なるほど協定の表面上から申しますと、先生指摘のように、日本ソウル以遠と申しましてもまだ埋まってない、特定されてない地点でございます。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 可能性もないですよ。
  12. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 先方はシアトルと台北−香港とはっきりきまっております。いかにも不均衡のように見えるわけでございますが……
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 見えるじゃない、不均衡そのものだ。
  14. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) シアトル線と申しますのは、東京経由北回り路線でございまして、これは非常に経済性の低いものとわれわれは判断いたしまして、韓国側大韓航空でございますが、ここで大きな利益をあげることはできないもんだと、こういうふうに考えました。そして日韓航空企業の力の比較におきまして、現在のような形の協定でも、この運営におきましては、わがほうが日韓航空路を安定した基礎の上において経営することができるならば、韓国側が得る利益よりもはるかに大きな利益を得るのではなかろうか、そういうような考慮もございました。  それからもう一つは、韓国の現状におきまして、一般商社支店等設置ないしこれに伴います活動というものは非常にむずかしい状況でございます。これはいずれ通商航海条約等しかるべきものをこしらえまして、わが商社支店活動なんかを確保しなければならないわけであります。それにはまだこういう現況におきまして日航支店韓国において設置され、かつ、これが活動し得る基礎を獲得するならば、この利益は非常に大きなものである、このような判断に基づきまして、日韓航空協定をこしらえたわけであります。そのような背景がございます。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 韓国航空会社は、聞くところによると、まだ十分の実力太平洋を飛ぶだけの飛行機、機材、人員、経験、そうして飛行機は十台あれば、十台飛ぶのじゃなくて、よい整備をするためには、最高のコンディションならば四分の一くらいしか飛ばさなければ一番安定で、まあ三割くらいが飛んでいてあと予備機として置いておけばこれは最良のコンディションだと思う。力がないのにしかもやったって、実力がないんだから、われわれ日本が損することはないんだと言って与えるようなことでなくて、実力ができてくれば自然ビヨンド東京シアトル世界一周、ヨーロッパヘもどこへでも行けると思う。だから、日本ソウルならソウル、あるいはソウルから東京ソウル釜山東京、それでローカル線になりますね。これで十分ではないか。その他の線は国際航空協定による運賃の取りきめもあるんですから、たいして韓国も損しないで他国の飛行機を利用して飛ぶこともできると思う。何か韓国航空育成のために航空協定を結んだのですか。ビジネスじゃなくて育成目的ですか。
  16. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) われわれといたしましては、韓国企業育成しなければならない、そういうふうな考えでやったのではございませんで、わが国の国益ということを問題にして、航空当局とおはかりしてやったわけであります。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 国益というのは正直に見てビジネスだ。あなた、さっきも、経済性が大きいといった見地から見れば、国益なんということばを使うほどの国益ではないんですな。そういう意味で、私は非常にこの航空協定は何かお手軽な感じがする。こうして向こうの顔を立てなければならないほど、こちらに弱みがあるのかどうか。大臣弱みがありますか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 弱みはないと思いますよ。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連。  実際問題として国交のない以遠の場合は、たとえば北鮮とか中国とかそういう国をさすのですから、実際問題としては、いまのような国際情勢では、そこから先は飛べる可能性はほとんどないんじゃないですか。そういうことが予想されたのに、こうしてこういう協定をつくるということは、ちょっとおかしいと思う。
  20. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) もちろん、いまのところは可能性を考えておりません。しかし、将来においては国際関係もいろいろ変わるだろうと思います。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 だから、森委員指摘は、変わったときに、韓国側東京からシアトルその他の条件に応すればよかったのではないかということを言っておると思うのですがね。
  22. 森元治郎

    森元治郎君 きょう現在では差しつかえないんですよ。それで要するに、やっぱり新興国というのは大国並みになりたいという気持ち、これはわかりますけれども、わかるが、私は経済性の強い協定というならばこれは間違いだということ。それから、さっきの以遠権の問題にしてもそのとおりで、あれほどけんかをやって国境線でこのごろ人がよく死んで、当分中国北鮮、ソ連なんかと、まず考えられる将来には行きそうもないところを、その先を飛ばす。都合によっては、それは韓国外交関係を持っている国であって初めて可能で、国交がなければ何ともならぬのだ。そこでお手軽だと言うのです。  第二点は、条約局長合意議事録というのが参考として出されております。合意議事録というのは、一般的な了解では、何かの交渉をする、協定ができる、その協定交渉過程で到達した了解記録にとどめるのが、合意議事録ですね。それでいいでしょうな。
  23. 高島益郎

    説明員高島益郎君) そのとおりでございます。通常条約交渉等におきまして、その条約の解釈ないし適用につきまして、交渉の経過で了解した点について記録にとどめるというのが通常の例であります。
  24. 森元治郎

    森元治郎君 ところが、この議事録を見ると、簡単に要約すれば、両国はそれぞれの相手国航空会社に対して一つ支店営業活動を認めること。第二点、支店長及び上級職員については二年間の滞在を許可するとか、あるいは内国税の課税に対して最恵国待遇を与えること。一番おしまいのほうが、アメリカ・ドルによる送金をして、外国通貨建て預金勘定の開設に努力すること等について、これは合意したのですね。これは、こういう種類の内容というのは、普通通商航海条約とか通商条約とかいうように別個に盛り込まれるべき性質のものであると思うのです。ところが、この際はこれが合意議事録、前の協定本文のところの交渉過程における思い違いのないように、言い間違いのないように、理解の食い違いのないようにメモをした合意議事録とは全く違う。これは合意議事録は載せるべきものではなくて、別個のもう少ししゃんとした形式、ちょっと条約を見ても、議定書という形式より強い形式もあるだろうし、交換公文という形式——もっと形を整えたもので、しかも国会承認を得べきものだと思うが、どう考えますか。
  25. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 先生指摘のとおり、ここに掲げてありますような事項について両国間の取りきめというふうな場合は、原則として当然通商航海条約その他の経済問題に関する協定等の中で規定すべきものだと思います。ただしかし、ここで合意議事録の中に書いてあります文句に従いますと、最初に、「各国政府が自国の法令に従い次の措置を執ることについて合意した。」というふうに書いたのでございまして、これはそれぞれ日本政府及び韓国政府がその行政権範囲内でできるところに従ってやるということでございまして、たとえば通商航海条約の場合でございますと、これはそういう「法令に従い」ということでなくて、国と国との関係において約束することでございますので、その点においては、内容としまして支店設置ということをここで認めておりますけれども、これはこの規定によって支店設置を初めて認めるということではなくて、韓国なら韓国法令に従ってその行政権範囲内で認めるということでございますので、通商航海条約で言っている場合とは多少その内容が違うと思います。通商航海条約の場合でございますと、そういう法令を変更して、たとえば設置を認めなくするということは不可能でございます。しかし、この場合ですと、形式論でございますけれども、たとえば法令を変更することによって支店設置を認めなくなるということはこれはやむを得ない。仮定の問題でございますが、そういうことになります。したがって、ここに、支店設置、それから支店活動の自由、その他支店に勤務するいろいろな役職員滞在等に関しますいろいろな規定がございますけれども、これはすべてそれぞれの国の法令に従って次の措置をするということをここで約束しただけでございまして、これは新しい行政権範囲外の問題についての約束とは違うものでございます。
  26. 森元治郎

    森元治郎君 そこがずるくできていると思うのだ。元来内容が、先ほどあなたが認められたように、通商航海条約のようなオーソドックスな形でやる内容なんだな。それは、この際は急いだせいもあろうし、これは航空会社活動だけですから、航海条約だと広くなるものだから、できない。そこで、次のそれぞれの国の法令に従って措置するのだという逃げ道をつくっておいて。それなら、やらなくてもかまわないです。これは韓国に逃げられたらどうしますか。
  27. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 法令に従ってやるという約束以上には出ないものであります。したがって、これは非常に形式的な法律論によりますと、たとえば法令を変更することによって日本の法人の設置を認めないということは、これは可能でございますので、そういう場合には、なくなってしまう。しかし、これは政府間の行政権に基づきます約束でございますので、これはそういう法律論の問題とは別個に、やはり両国政府をこの限りにおいては拘束するというふうに了解しております。
  28. 森元治郎

    森元治郎君 法律論政治論両方からじゃまずいと思うのだ。両方でこれを合意したはずのものが、それぞれの政府都合によっては認めないこともあり得るということを合意しているのだな。
  29. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 一般的に、国会承認を得ないで結びます政府間の取りきめというものは、すべてそういう性質のものでございます。行政権範囲内でございますから、その政府法令等によって与えられておる権限以上のことはできないわけです。したがって、その法律国会等で変更になるということになった場合には、その権限内容に従って変わるということは当然であろうかと思います。
  30. 森元治郎

    森元治郎君 最恵国待遇なんというものを与えるという、最も代表的な最も著しい通商条約上のポイントであるものを合意議事録でもってやっていくということは、これは新しい行き方じゃなかろうか、新例だと思うのだが、どうですか。
  31. 高島益郎

    説明員高島益郎君) その点も、これは4項だけごらんになりますと、いかにも最恵国待遇を与えるように感じられますけれども、これは全部「法令に従い」という規定がかぶしてありまして、したがって、行政権範囲でできる限りにおいて最恵国待遇を与える、こういうことでございます。これは今回初めてではございませんで、いろいろ二国間の貿易取りきめ等におきましては、そういう行政権範囲内で最恵国待遇を与えるというような趣旨の規定は、所々に、いままで先例がございます。それもすべて法令範囲内、行政権のワクをかぶしております。
  32. 森元治郎

    森元治郎君 こういう手は、これは一番最近の国際的な傾向ですかな。
  33. 高島益郎

    説明員高島益郎君) いろいろ国家間の関係複雑多岐にわたっておりますので、これに対応いたしますには、いろいろの便法と申しますか、こういう措置も必要であろうかと考えます。
  34. 森元治郎

    森元治郎君 こういうところも、私はきわめてお手軽である、非常に急いだということと、先ほど国益なんていう御答弁があったが、国益などにも何ら関係のないものである。お手軽である。何とか急いで結ばなければならぬ。そこであなたら頭のいいのが集まって、法律論でしろうとをだませると思ってこういうものをつくった。これはやはり、私は昔式の形式条約論でやれと言うわけじゃないですよ。しかし、おおよその筋は、現在は、何と言ったって、世界はまだそこまでやわらかくなっていませんから、この手のことが、かりに安保条約関係なんかでこういうふうにひねって、条約で行くべきものを、合意議事録で逃げていくというようなことになりますと、しかも、国会承認は経ないでもいい。たいへん将来に問題を残すと思うんですよ。やはり時間もお手軽に急ぐ必要もないので、これは別個にこの種のものを話し合って国会承認を得るというほうがベターであるとは思わないかどうか。
  35. 高島益郎

    説明員高島益郎君) 仰せのとおり、実は韓国との関係におきましては、通商航海条約締結ということを非常にわれわれは熱心に韓国側に対して催促をしておりまして、何回も、機会あるごとに催促いたしております。これは日韓基本条約の中にも、なるべく早く通商航海条約締結すべきであるということになっておりまして、当然韓国側もこれに合意すべきものでございますが、実情はなかなかそう参りませんので、かだがたまた、今度航空協定締結するにあたりまして、日航支店をとにかく合法的に韓国設置するということが非常に緊急に必要でもございましたし、また、いろいろの諸点の実益もございますので、両方の理由から合意議事録の中にそういう規定を置いたということが実情でございます。
  36. 森元治郎

    森元治郎君 航空会社利益擁護のため——広い意味国益だ。一体この路線の開通によってどれくらいの利益があげられるのか。運輸省のほうからでも、あったらおおよその予想、過去から推算して予想を出してください。
  37. 林陽一

    説明員林陽一君) 昨年日本航空は、ソウル線運営によりまして約六千五百万円の収益をあげております。これは週五便を基礎にしたものでございまして、その後、週七便になっておりますので、本年は大ざっぱに申し上げまして、六千五百万円の五分の七程度、四割増し程度収益があげられるのではないかと思います。
  38. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは収益ですか、運賃収入ですか。
  39. 林陽一

    説明員林陽一君) 利益でございます。
  40. 森元治郎

    森元治郎君 韓国では。
  41. 林陽一

    説明員林陽一君) 大韓航空利益につきましては、数字がございません。
  42. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 おかしいね、共同運航をやっていて、数字が出ないというのは。
  43. 森元治郎

    森元治郎君 商務協定を結んで、日航大韓航空と飛んだり来たりしていて、ほんとうのことは商売だから隠すかもしれぬがさ、おおよそのことはわかるでしょうよ。
  44. 林陽一

    説明員林陽一君) 日本航空大韓航空商務協定によりまして、座席の利用率が八〇%をこしました場合にのみ収益分配が行なわれるようになっております。現在までのところ、それほどの高い利用率はあげておりませんので、収益分配の必要もございませんし、したがって、計算の必要も生じておりませんので、向こう側収入がわからないわけでございます。
  45. 森元治郎

    森元治郎君 そこら数字を、私は基礎なしにしゃべっているものだから話が進まないと思うのだが、本委員会は明日もある予定ですから、あしたまでに日本向こうとの収益関係、ちょっと数字を見せてもらいたいと思います。
  46. 林陽一

    説明員林陽一君) さっそく手配いたしまして、数字を取り寄せたいと思います。
  47. 森元治郎

    森元治郎君 とにかく政府側答弁から受ける感じでは、韓国航空はひよわで、飛行機もないし、人もないし、たいしてもうけられっこもないし、お客さんはしにせの日航さんのほうに乗ってくれるはずだ、しかも、こういうあやしげな合意議事録で、支店長さんも向こうへ行って商売もできるし、滞在もできる、いろいろ内国民待遇も受けられるのだ、かせげかせげ、当分の間は向こう商売のかたきにならぬのだ、こういう感じを受けるのですが、どうも下品だと思うが、どうですか。
  48. 林陽一

    説明員林陽一君) これは御承知のとおり、以前に日本航空とそれから大韓航空との間の商務協定で、路線をまず双方政府行政機関において開設いたしまして実際上は運航しておりましたものを、日韓国交正常化後に、正常なベースに乗せますために、今回航空協定締結いたしましたものでございます。別にこれによりまして商売のために無理をして急いだというようなことはないように思います。
  49. 森元治郎

    森元治郎君 林さんはそうおっしゃるが、いままでの政府側答弁を聞いていれば、会社利益のために、国の根本方針、いわゆる外交技術面その他から見ても少し無理をしてでもやる、それほどの大事業でもない。そこらを私はまあ非常に強く感ずるんですがね。この大事業のためには多少新例を開いてもということもあり得るが、この日韓協定のこの内容附表を見ただけでは、緊急に締結させるべき必要条件を十分備えているとは思わないんですがね。
  50. 高島益郎

    説明員高島益郎君) まず第一番に、国は日韓基本条約の中で、第六条で日韓航空協定を至急に、早急に締結すべきだということを約束しております。  第二点といたしましては、六四年以来、日航大韓航空との間の商務協定によって運航しておりますのを、これは非常に変則的な事態でございますので、政府間の協定に基づいて乗り入れを許可し、その上で両航空企業運航を行なうという通常の軌道の上に乗せるのが目的でございまして、そういう意味で、これは別に無理して協定を結んだということは決してございませんで、むしろそういう協定締結がおそきに過ぎたというふうにわれわれは考えております。
  51. 森元治郎

    森元治郎君 そんなら、同じく日韓協定の中の、通商航海条約のこれもやるべきではなかろうか。やるべきだと書いてあるでしょう。そっちのほうはあと回しにして、この簡便なる、安易な、しか弔筋を譲ったようなこういう態度はちょっと受け取れないんですね。何かこの韓国というと、とかく必要以上にあったかくして差し上げるとか、何かそんな感じがするが、大臣どうですか、眠ってないで。
  52. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことでもないですよ、これは。まあ条約の中にもそう言ってますし、日韓が相寄ったら、やっぱりああいう条約の中に言っておるということで、やろうやろうということになりますからね。
  53. 森元治郎

    森元治郎君 とにかくこの形式内容条件緊急性はないね。少し法律の取り扱いについても、条約的な立場から見てもお粗末過ぎる。もう少し時間をかけて、やはり国際約束になるんですから、約束には約束らしく堂々としたものをつくることが将来のため。こういう悪い例をつくれば、韓国側はまた次の点を何らかの形でこんなふうにして——ほかの国に対してはリジットなこういう態度で出ていく。韓国にはソフトもいいところでいく。この使い分けは将来にかなり問題を残すと思う。賛成はできませんな、これは。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この条約附表にあげられている路線ですね。これはまああげられているのですが、現実に現在運航している路線はどことどこですか、地点
  55. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 現在運航しておりますのは日航東京ソウル間。それから、大韓航空ソウル−大阪、釜山−福岡の二路線でございます。
  56. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現実に行なわれている路線の運送量——といいますかね——は、どれぐらいの実績があるのですか。
  57. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 手元の資料をもとにして申し上げますと、いま申し上げました東京ソウル間の数字は、昭和四十一年度におきまして九万六千三百五十二人となっております。ただし、この数字日航とノースウエストと合わせたものでございます。それから大阪−ソウル間、これが一万七千四百五十人。それから福岡−ソウル、これが三千六十三人。ただし、これはキャセイ・パシフィックというイギリスの航空会社がやっております。それから福岡−釜山、これが大韓航空がやっておるものでございますが、一万百二十八人、こういうふうになってございます。
  58. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから、さっき出たその以遠の問題ですがね。以遠の問題では、いま考えられる以遠地点というのはどういうところなんですか。
  59. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) ただいまのところは、現実の地点として以遠は考えておりません。
  60. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 考えるほどのあれもない・・・。
  61. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 以遠権は、将来のことを考えまして、韓国外交関係をそれらの地域に持つ場合と、外交関係を持たなくても、韓国が自国の航空企業ないしは第三国の航空企業韓国経由で外交関係のないところに航空を認める場合、そういう場合に、日本韓国の同意なくして以遠地点飛行機を持っていく。こういうことを考えてこしらえたわけでございます。
  62. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その場合に、地点としてはどこを考えられるのか。
  63. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 航空当局の御意見では、現在のところは何も考えておられないようでございますが、将来の問題としましては、北京というふうなところももちろん考えられるわけでございます。
  64. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、いまはたとえば北鮮その他あたりも考えられてないわけですね。それから、いまの北京その他は、もし日本がそれを要請をしたら、国交回復以前でも向こうは承諾する見込みがあるのか。いや、もうそれ全然いまのところはありませんというので、考えておられないのか、その辺の事情は。
  65. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) いまの現在の状況におきましては、大体日本側から中共地区に航路を開設しようというお考えは航空当局も持っておられないようでございます。まあ、程度の問題でございまして、いまかりに日本側が中共との路線を開くというふうに考えをきめたとして、ソウルビヨンドのことにつきまして、韓国政府の御同意を求めるということも非常に非現実的なことでございますので、どういうリアクションを示すかといえば、ノーと言うだろうと思いますが、まだそこまで考えておらないわけでございます。
  66. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、以遠の問題を、共産圏以外のところでは具体的に考えられるあれは何もないと、それからさらに、共産圏では、どうもいまの情勢ではそれが了承される見込みもないというようなことになれば、この以遠という問題は、絵にかいただけで何ら実質のないものだというふうに考えざるを得ないと思うのですが、その点はどうなんですか。
  67. 林陽一

    説明員林陽一君) 考えられる地点といたしましては、たとえば東京ソウル以遠、台北−香港−シンガポールなどということも考えられますけれども、商業採算上その必要がございませんので、現在のところ、航空当局ないし日本航空としてはそのようなことは考えておりません。
  68. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、以遠というのは何にもない全く無意味なものだ、ただていさいをあと韓国の三本と合わすために形式上それを入れて、あたかも平等であるかのごとく、条件均衡しているかのごとく見せるだけだというのに過ぎないのじゃないですか。
  69. 林陽一

    説明員林陽一君) 先ほどの森先生の御質問にも関連がございますのですが、シアトル線というものは、これは韓国にわがほうで今度与えるようになっておりますシアトル線は、シアトルどまりの路線でございまして、東京シアトル線は、日米航空協定も、初めのころの形におきましては、日本には持っておりましたわけでございます。現に日本航空も数年間これを運航しておったわけでございますのですが、大韓航空よりも有力な日本航空をもっていたしましても、非常な不採算路線でございまして、そのために非常な赤字のもとになっておりまして、日米航空協定改定交渉以前にすでに中止しておったような路線であったわけでございます。したがいまして、力の弱い大韓航空路線としてこれを与えましても、とても採算的にはこれを運営できない不採算路線でございます。でございますから、さらに日本韓国間の旅客の運送の状況から見ましても、機材、それから旅客の吸収力といいますか、切符の売り上げの能力その他からい、ましても非常に差がございますので、本協定締結によりまして受けます利益全体を見ますと、わがほうの享受利益のほうが相当大きいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  70. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この韓国のほうの台北−香港という路線はどうなんですか、この見込み。
  71. 林陽一

    説明員林陽一君) 現在のところ、具体的に韓国側からは申し出がございませんが、これは東京シアトルよりは採算性がいいのではないかと、かように考えます。
  72. 羽生三七

    羽生三七君 関連。  その場合にはやはり共同運航なんですか、韓国だけのことを言っておるのですか、どっちですか。
  73. 林陽一

    説明員林陽一君) 日韓航空協定が効力を発生いたしました場合には、その後は現在の共同運航を廃止いたしまして、日本航空大韓航空両方のプールで何らかの形で新しい商業取りきめを行ないますように考えております。まだ交渉は進んでおりませんけれども、共同運航は廃止する考えであります。
  74. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、いまのお話によると、韓国東京シアトルはあまり問題にならぬ、それから大阪−台北−香港は若干問題になるかもしれぬというようなことで、これらはほとんど意味のない、日本の場合もそうだが、韓国の場合でもあまりそうたいして意味のないものですね。そうだとすると、現在行なっていた商務協定で現実にやっているもの、それをただ航空協定協定すればいいのであって、それ以上に以遠の問題を、こういう意味もないものを並べ立てるというのは何ら意味がないのじゃないですか、どうなんですか。
  75. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 商務協定は大体一年ごとに改定するというような、日本航空大韓航空との間の民間の協定でございまして、政府の保証というものはないし、いつどうなるかわからぬという不安にさらされているものでございますから、やはり航空協定政府間の取りきめにする実益があるわけでございます。その際におきまして、ただ、いまあるものをそのままの形で政府間の協定のレベルまで持ち上げることは、もちろん一つの方法でございましたでしょうが、やはり韓国のほうで以遠権シアトル線のほうの話もございましたし、これは将来の問題、それから台北−香港の以遠の問題も出てきましたので、それで普通の航空協定、ほかの航空協定の例にもならいまして、以遠権で必要なバランスもとっておくというふうに考えた次第でございます。
  76. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、韓国側利益を考え  て以遠権協定をしているというにすぎないのであって、日本のほうは何らそれによって利益をもたらすことはないし、形式的には非常に均衡あるかのようであって、実質はただ韓国側利益と面目を考えてここにあげているにすぎないと、こういうふうにしか考えられないのですが、その点はどうなんですか。
  77. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 確かに以遠権の問題につきましては、韓国側シアトルという具体の地点、それから台北−香港も具体の地点でございまして、日本のほうは不特定の、今後あり得べき地点としての三点でございますので、御指摘のとおりのアンバランス、われわれも正直に認めるつもりでございます。しかしながら、その内容につきましては、先ほど林参事官のほうからも申しましたように、シアトル線というものは経済的に成り立たない。それから台北−香港のほうは今後の問題、多少採算性はとれるだろうという点は御注目願いたいと思いますが、われわれが航空協定韓国との間に結びますときに、わが国の利益を考えました一番の重点は、日本側から見まして、現在の路線を安定した基礎に置くということが何よりもまして大切なことであるという判断に基づくものでございまして、路線上の多少のアンバランス、形式上におきますアンバランスは、現在の路線を安定した基礎に置くこと、それから日航支店活動を確保するということによって、十分償って余りあるものであるというふうに判断したわけでございます。
  78. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それなら以遠権の問題は別にして、現実の商務協定をそのまま安定させるという意味航空協定に結びさえすればいい問題じゃないですか。
  79. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  80. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を始めて。
  81. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 以遠権の問題につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、韓国側のほうで、そういう以遠を求める提案がございましたので、それに基づいてわが方も対処したというのが真相でございます。
  82. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじゃ大臣が退席されるそうですから、これは大臣に聞いておきたいと思うのですが、日中の航空協定というような問題、日中の間の航空路を開設するというようなことは、国交回復前でも可能だと思うのですが、その必要性なり、それをやるべきだというお考えはないかどうか。
  83. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは日中の航空路というものは、一つの有望な航空路だとは思いますが、やはり日中の国交問題というものがかなり具体化されないと、これは容易でないと私は思います。
  84. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 しかし、業務協定なり商務協定としてならば可能でしょう。それから韓国との間でも、すでに国交回復以前にも行なわれてきたので、だから必要性その他から見れば非常に重要な問題だと思うので、むしろ、そういう形で国交回復以前に業務協定としてでも結ぶべき問題だと思うのですが、その点はどうですか。
  85. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 結ぶべきものというふうには考えませんが、将来の課題としてはいろいろ研究すべき課題だと思います。
  86. 羽生三七

    羽生三七君 それでは私、いまの問題はまだあと御質問もあるようですから、大臣のここにおられるうちに、投資紛争に関して一、二お伺いしたいと思いますが、その中で、こまかいことはあと事務当局から承ればけっこうですが、これに関連して一、二点承りたいことがあるわけです。これは投資紛争そのものとは直接関係ありませんが、いま問題になっておる特恵関税制度の問題ですね、これはすみやかな解決を迫られておると思っておりますが、ところが、日本としてはこれは無差別主義に重点を置いておるのか、あるいは三木外相の言う南北問題の重視という点から無差別主義でなしに、地域的低開発国の開発という見地から特恵制度に重点を置いているのか、その点は一体どういうふうにお考えになっているのか。これはやはり直接は関係がないけれども、間接にはいろいろ関係があると思いますので、この機会に承っておきたいと思います。
  87. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 従来、羽生さん御承知のように、日本は特恵制度あるいは地域的、あるいはまたいろいろな自由の貿易の原則ではないのですからね。特恵関税をするについては、こういうことで原則的に反対だという主張をしておったわけです。ところが、もう相手がいなくなったのです。そういう主張をするところは、いまのところ、日本以外にはちょっと僅かであって、そういう主張をしておった国が少なかった上に、たいていの国がみな再検討をするような……
  88. 羽生三七

    羽生三七君 何をするんですか。
  89. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 再検討をする。みんな日本と同じような立場をとった国も、そういう方向を再検討しようということで、一つの大きな、やはり低開発諸国に対して、この問題は前向きに処理せざるを得ないという世界的なやっぱり大きな空気になってきておるのです。だから、御承知のように、来年二月にニューデリーで国連貿易開発会議が行なわれるが、この特恵関税問題というのは一つの中心題目になっている。で、いま外務省においてもこれを、どういう態度で臨むかということを検討を始めております。これは通産省ともその他大蔵省とも関連しますが、これを前向きでこの問題を処理せざるを得ない。これは日本が一番この問題については打撃を受ける国であることは間違いないのですから、したがって、原則論だけではもう終始できない。やはりこの場合、低開発国の貿易の拡大という面からもこの問題を見ざるを得ないということで、日本自身も再検討を迫られておる、こういう世界の大きな流れに沿うて前向きに処理をする方向のもとに検討を始めておる次第でございます。
  90. 羽生三七

    羽生三七君 その前向きと言われた意味がちょっとのみ込めない点があるのですが、それはやはり地域的な要素に重点を置くということですね。
  91. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この点は今後の検討だと思うのですよ。低開発国のこれは工業製品になるわけですから、これを関税、いわゆる特恵関税でやろうというのです。それを地域というものでやるか、これはもう低開発国全体の問題としてやるかということは今後の研究の課題だと思います。ただ、いま言うような、貿易というものは、もう一つの自由無差別の原則であって、低開発国の工業化というものはもっとそういう関税の面でなしに、経済協力とか技術協力の面でやるべきだという日本原則論というものは再検討しなきゃならない。地域の点については、今後のやっぱり研究の一つの課題であると考えております。
  92. 羽生三七

    羽生三七君 私が地域と言ったのは、特定の地域ということを言ったわけじゃないのです。ただ、三木外相の言うアジア・太平洋地域というものがある。そこにおもに低開発国が集中しておるためにいまのような意見を出したのですが。  そこで一説には、通産省側では、このEEC等に対抗して——向こうの差別に対抗して何か対抗措置をとる。そのためには免責条項等を導入して何か国際、国内問題を、ミックスしたような政策で、国内産業を保護しながら、またいまの特恵関税制度そのものにも対処していくというようなことも考えておられるということを言われているのですが、その辺はどうですか。
  93. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、外務省なり大蔵省なり通産省でおのおの検討を真剣にやる必要があるものですから、そういう国際的な会議もだんだん迫るわけですから、いまもう各省で検討しているのがある程度の検討を終えれば、すぐ政府関係各省の間で最後のやはり問題を詰めなければならない。通産省でも、国内産業に対する打撃が一番大きいものですから、いろいろな案を検討されていると思いますが、いままだ結論が出ている段階ではないと私は聞いております。
  94. 羽生三七

    羽生三七君 この点は、まあ日本のいま早急に差し迫った問題と言えば言えるけれども、まだ時間もあることですから、他日お伺いすることにして……。  外相おいでになるときに、直接、条約協定には関係はないけれども、一点だけお伺いしておきます。   ソ連にいらっしゃる場合に、ベトナム問題でおそらくお話し合いになると思いますが、これは昨日森委員の提起された領土問題とともに、ベトナム問題を中心にかなり論議されると思いますが、その際、ソ連側の役割りもかなり期待されていろいろ発言なさると思いますけれども、外相は、ジュネーブ会議の開催というものを強く希望されているということも伝えられている。これはイギリス、ソ連の両国が議長団であった関係ですから当然だと思いますけれども、そういうジュネーブ会議の開催等を求められるようなことをお考えになっているのかどうか。これについては、こういう前提が私は一つあります。それは、出発前に言うという限界を置いておりますから……。この問題と、もう一つは、ずっと先般来の総理の、停戦を相互に呼びかけるということもあるし、外相も同じ意見を述べられた。もう一つは、十七度線を境に両南北ベトナムの平和的競争的共存ということを外相は言われておった。それはジュネーブ協定との関連等もあるので、何らかこの辺である程度の考えを持ってソ連と話し合いをなさるのかどうか。私がこんな問題に触れてこういう話をするということは、あまりこまかいことを聞くのではないけれども、この秋には——青木大使の考え方が当たるか、当たらないかわかりませんが、この秋には何らかの話し合いがベトナム問題でなされるのではないかという動きも伝えられているからです。しかし同時に、きびしいいまの現実の条件を考えるというと、必ずしもそんな安易なものではないと思いますけれども、かりにもしお話し合いになるというような場合には、いまのジュネーブ協定に基づく会議開催等を求められたり、あるいは、いま申し上げたような停戦を呼びかけたり、あるいは南北ベトナムの平和的競争的共存を言われるならば、そこに何らかの若干の構想があってしかるべきだと思いますが、差しつかえのない範囲で話が承れれば幸いでございます、この一点でございます。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は羽生さん、このベトナム問題の解決というのは一九五四年のベトナム協定のときに、問題を振り出しに戻すよりほかないと思っているのです。私自身、ほかに解決一つのめどというものは、新たなめどというものはない。また、それを解決する場はジュネーブ協定の加盟国にとらわれないで、新たなる一つの何か協定に参加する国をきめるということは非常にやっかいです、あの国を入れろとか。また、その場もジュネーブ協定に参加した国々の場が一番自然ではないかと、こう思っているわけです。しかし、いきなりそのジュネーブ協定の議長国——ソ連とイギリスですけれども、いまの状態で招集すると言っても、これはやはりハノイもそういう気にならなければ、それはハノイもそういう会議に参加しないような会議は意味ないですから、結局、最後はそうだとは思うけれども、そういうジュネーブの協定当時に参加した国々が寄って会議を開けるまでには、相当なやはりそれだけの工作と準備が要るので、ソ連でジュネーブ協定の旧会議に参加した国々を招集されたらどうかという提案は少し現実離れがしている。だから、そういう考え方は持ってない。ただ言えることは、ソ連は議長国である。そういう点で、よその国よりもこのベトナム戦争に対しての果たすべき役割りというものをソ連は持っている。こういう点では、ジュネーブ協定というものとの関連で、ものを言う点はあると思いますけれども、いまの段階でジュネーブ会議、これを招集したらどうかということは、やはり現実離れがしていると私は思っております。
  96. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一点だけ。外務大臣、ソ連に行かれるときに、経済開発協力の問題を重要な議題としてあげられるように伝えられておりますが、これは大体どういう態度で、どういう方針でもって、この問題話されるおつもりですか。
  97. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、シベリア開発という問題が脚光を浴びてきておるわけですね。この間の永野使節団もこの問題を大きく取り上げられた。これは民間の協力、向こうは、民間といっても民間ではないのでしょうけれども、こちらのほうは民間の経済協力の使節団が行ったわけです。一体シベリア開発というものをソ連はどういうふうに考えているのか。日本の協力というものをどのように期待しているのか。いろいろな点で、個々のやはり何か協力のプロジェクトというようなものでなしに、シベリア開発に対するソ連の基本的な考え方、日本に対する期待、こういう問題を話をしてみたいと思っておるのでございます。個々の問題について私はソ連で話をするという考え方は、まあ、話題が出てくれば触れるようなことがあっても、それを主として話し合いのテーマにして話をしようとは考えておらないのであります。
  98. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その場合に、日本はいまよりももっと積極的に大規模に開発協力をすべきだというようなおつもりで話をされるのですか、どうですか。
  99. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、日ソ間の関係というものは、友好関係を増進したらいいという基本的意見です。ただしかし、やっかいなことには、ソ連もいまなかなかいろいろ開発に対する協力の場合でも、条件が非常な長期であるし、それからまた低利であるし、そういう条件というのは、かなりソ連の条件というものも寛大な条件を要求するわけですね。われわれから見たら、大国ソ連ですから、東南アジアもありますし、あの大国ソ連にほんとうに重点を置くというわけにはいきますまい。東南アジア諸国というのは、これはやはり日本としては非常に関係の深い地域もありますから、しかし、可能な範囲内でソ連の経済協力というものも強化していきたい。しかし、日本経済協力をソ連に重点を置くということは、それは私はできないというふうに考えております。
  100. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほど羽生君からベトナム戦争の問題についていろいろ御質問があったのですが、過日、青木大使が帰ってきて、かなり確信ありげに、今秋あたり何か動きがあるであろうということを新聞記者会見で発表された。おそらくその報告は外務大臣もお受けになったであろうと思うのですが、この報告から外務大臣は、そういう可能性がかなり具体性がある、そういうふうにお受け取りになりましたかどうか。
  101. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 青木大使とも私話してみました。青木大使が言うのは、ああいうジュネーブ協定に加盟した国々が、何とかならないかと、このベトナム戦争は、寄るとさわるとベトナム戦争のことが外交団のうわさにのぼってくる。そういうことで、この秋ごろが来たならば、和平といいますか、ベトナムの平和的解決に、何かジューネーブを中心として動きが出てくるだろうというような、そういうはっきりした徴候があるわけではない。外交団が寄ると、何とかベトナム戦争は片づかぬだろうかという話は、もうしょっちゅうやはり一番大きな話題になる。こういう世論というものがベトナムの平和的解決というものを熱心にみなそういうことを望んでおるわけだから、将来そういう動きが具体化してこないとも限らぬというようなことで、十一月から——ちょっと新聞どぎつく出ておって、予言者のように新聞に出ておったのですけれども、そういうふうに自分は言ったのではないので、そういうジュネーブの空気を日ごろはだに感じておるものとして、多少の希望的な観測も入れて述べたのだということで、私もそれならわかるごとで、やはりベトナムの状態から、秋が来たならば和平のための会議が開かれるような見通しは、私は持てない。私はそういうことを希望いたしますけれども、私のいま入手し得る情報からは、秋からやはりベトナムが和平のためのそういうジュネーブ会議のようなものが開かれるというような徴候は、残念ながら一つも入ってまいらないというのがいまの現状でございます。
  102. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度ソ連へ行っていろいろお話しになるが、単にソ連は五四年のジュネーブ会議のときの議長国であったということで期待を寄せるだけでなくて、特にソ連が北ベトナムとも深い関係を持っておる一面、いわゆる平和共存の関係においてアメリカとも深い関係を持っておる。したがって、ソ連が単にジュネーブ会議の共同議長国であるというだけでなく、今後のベトナム戦争の解決について何らかの特別な役割りをする、そういうふうにお考えになって、ソ連に対して話をされるでしょうか。
  103. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、岡田さんね、役割りをソ連がやるかどうかということに私自身の何か確信というものはないんです。はたしてこの段階でベトナム戦争を終わらすためにソ連が役割りを果たすであろうかどうかということに対しては、私、全然見通しを持っておりません。ただ、言えることは、ハノイに対して影響力を持っておる国である。ハノイの戦争継続に対するソ連の軍事援助というものはこれはもう世間周知のことでありますから、そういう意味において、ハノイに影響力を持っておる国として、ソ連の首脳部とは、ベトナムの早期平和的解決というものについては非常に話してみる値打ちがある相手であると考えておるわけでございます。仰せのとおり、議長国であったというそういう歴史的なことよりも、むしろうしろの場合のほうが重点が置かれるべきだと思っております。
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、話をしてみて、そして、ソ連が将来何か解決へのいろいろな条件が生まれたときにはそれは動くであろうということを打診することと、そして、そういうようなときには、ソ連にやはり乗り出すようにまあ慫慂をされるということになるのでしょうか。
  105. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、われわれは乗り出してもらいたいとは思いますけれども、ソ連はソ連としていろいろなやっぱりそれには条件もあるでしょうから、はたしてわれわれ日本が期待しておるような形になるかどうかはわからぬが、話してみる値打ちがある相手である、これだけの期待でございます。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一点。きのう、例のユニバーシアードの問題が、参加団体の名でユニバーシアードに出てくるということでどうやら解決できたわけですが、まだ多少問題が残っておりますけれども、北鮮からの選手団の入国については何か特別な条件はこれでもってつけることはなくなったと、こういうふうに解してよろしいでしょうか。
  107. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま、御承知のように、新聞に出ておるような形で委員会の意見が一致したようでありますが、私は、できるだけこれを円満に開催するために、あれはネビオロ会長ですか、に対して、こういうことで、ユニバーシアードの全加盟国がありますわね、これに対する了解をとってもらいたい、そういうことに努力をしてもらいたいという電報を打っておきました。まあ、これでみんなが円満に——いろいろ知恵をしぼった案ですからね、この案でどうか加盟国全員が了解するように最後の努力をしてもらいたいという電報を打ったわけでございます。それで話が円満に片づけば、むろん北鮮からの入国者に対しても、そんなに、普通の条件以外に別につける考えは持っておりません。
  108. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記ちょっととめて。   〔速記中止〕
  109. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を始めて。
  110. 森元治郎

    森元治郎君 ちょっと資料要求。大臣が訪問するポーランドの現在の貿易の状況、これに関連する商社の名前、取り扱い品目及び取り扱い量——金額でもいい。そういう資料を、あしたくらいに、簡単でいいですから、つくって出してください。
  111. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 承知しました。
  112. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私も、韓国に対する日本経済援助の現況に関する資料をお出し願いたい。
  113. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 韓国に対する経済援助の現状ですね。
  114. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 特に最近の状態。
  115. 岡田宗司

    岡田宗司君 日韓の問題ですが、附表を見ますと、附表の一に、「日本国の一又は二以上の指定航空企業両方向に運営する路線(a)日本国内地点ソウル及び以遠地点(b)日本国内地点釜山及び以遠地点 注 日本国の指定航空企業は、路線(a)及び(b)において三をこえる異なる以遠地点運航することができない。」と、こうなっているわけなんですね。このソウル以遠地点釜山以遠地点というのは、韓国内のことなのか、韓国から外へのことなのか、これはどっちなんですか。
  116. 林陽一

    説明員林陽一君) 韓国から向こう側の外への地点でございます。
  117. 岡田宗司

    岡田宗司君 「釜山及び以遠地点」も同じですか。
  118. 林陽一

    説明員林陽一君) さようでございます。
  119. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、これは同じ附表の2の「(a)大韓民国内の地点東京(北太平洋経由)−シアトル(b)大韓民国内の地点−大阪−台北−香港」、これに当たるものですか。これと対比されるものですか。
  120. 林陽一

    説明員林陽一君) さようでございます。
  121. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、(c)の「大韓民国内の地点−福岡」というのがありますね。これは韓国側だけにあるのですね。片方は二つ、片方は三つなんですがね、これはどういうところからこういうことになっているんですか。
  122. 林陽一

    説明員林陽一君) 日本側が(a)(b)の二つでございまして、御指摘のとおり、韓国側は(a)(b)、(c)の三つでございますけれども、具体的に申しますときには、日本のほうが地点をたくさん持っておるわけでございまして、したがいまして、日本国内地点でございます福岡から日本航空企業ソウルへ参りますこともできますし、釜山へ参りますこともできるわけでございます。でございますから、実質的には別に不利というふうにはなっておりません。
  123. 岡田宗司

    岡田宗司君 さっきから盛んにこの条約は平等だと言うのだけれども、この附表だけ見ますと、どうもさっきから「以遠」の問題が、日本側からのほうはいまのところ実現性のないことだと、向こうのほうから日本を通っていく場合には、これは経済価値は低いかもしれないけれども具体的であって、まあ、(b)の場合には多少経済利益もあるということで、日本のほかに韓国側韓国内の地点から福岡というのもあるというぐあいで、何か形の上からいってもどうも平等でないように見えるのですね。内容を聞いてみてもそうなんです。確かにそれは、東京シアトル間というのはこれは日本航空もやめてしまったくらいですから、したがって経済的価値はないかもしれないけれども、韓国側でも経済的価値があるかないかということの判断はわかっているんでしょう。どうなんですか。
  124. 林陽一

    説明員林陽一君) 最近、まだやっておりますかどうですか、実はきょうちょっと資料を持ち合わせておりませんが、韓国側では、韓国シアトルの不定期便をときどき運航しておったことがございます。で、採算性の点で悪いことをどの程度知っておりますかでございますけれども、先生の御指摘のとおり、航空協定交渉、ことに以遠権の交換、路線の交換の点は、経済的価値の交換の要素を非常に多く備えておるわけでございます。でございますから、韓国側といえども、ほんとうはもう少し大きい価値のございますもの、たとえばニューヨークとか、まあそういうようなものがほしかったのかと思いますけれども、日本側との交渉におきまして、このくらいしか取れないということで、まああきらめたのじゃないかと思います。
  125. 岡田宗司

    岡田宗司君 なにですか、私もおそらく東京シアトル間は、韓国側ではもうからないことを知っておる。ここへ落ちつくまでに、韓国側から東京−サンフランシスコ、東京−ハワイ−ロスアンゼルスとかなんとかを求めてきたんじゃないですか。
  126. 林陽一

    説明員林陽一君) 前々から共同運航を行なっておりました関係もございまして、航空会社を通じてあるいは直接の打診等はしばしば行なわれましたが、その段階におきまして、これ以上与える用意がないということを内々明らかにいたしましたもんで、会議の席上では要求はございませんでした。
  127. 岡田宗司

    岡田宗司君 さっきからのお話ですと、東京シアトル間は韓国側でも実際には運航しないだろうというようなことであったんですけれども、いま聞きますと、まあ不定期でもってやっておったということなんですね。そうすると、今度これは認めるということになりますというと、この線はやはり不定期でもって続けられるということになるんでしょうね。どうなんですか。
  128. 林陽一

    説明員林陽一君) 先ほどちょっとことばが足りなかったので恐縮でございますが、韓国側が不定期で行なっておりましたころは、ソウルからシアトルへ直接、あるいはアンカレージで休養しまして、日本関係のないものとして行なっておりましたわけでございます。さらに、今後かりに韓国側が不定期で路線を行なうことになりますと、これは航空協定とは関係のない運航ということになりまして、日本の航空法によりまして、運輸大臣が許可をすることもしないことも自由裁量というようなことになりまして、航空協定上これは許可しなければならない義務はない、かようになるわけでございます。
  129. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、この2の(a)というのは、定期航空路という意味なんですね。東京シアトルの間の不定期航空ということは、これとは全然関係のないこと、そういうことなんですね。
  130. 林陽一

    説明員林陽一君) さようでございます。
  131. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうところから、韓国側でおそらく東京シアトル間の定期航路は実際には開かないだろうと、こういう推測も出てくるわけですか。
  132. 林陽一

    説明員林陽一君) いまのところ開くということも、まあきざしもございませんし、まあ商業的採算に乗りました路線としては開くことはできないだろう、かように考えます。
  133. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、(b)の大阪−台北−香港ですね。この線は日本路線と競合するんですね。どうですか。
  134. 林陽一

    説明員林陽一君) さようでございます。
  135. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは、日本側として、もし韓国がこの路線を開くと、どのくらいの影響を受けるのですか。
  136. 林陽一

    説明員林陽一君) これは、韓国側が使用いたします機材及びその便数にもよりますわけでございますが、現在韓国側で持っておりますプロペラ機でこれをやりましても、非常にわずかな影響しかないと、かように考えます。現在韓国側で使っておりますのはスーパーコンステレーションとかダグラスDC4、一番新しい機材がフォッカー・フレンドシップでございますから、その程度のもので行ないましてもたいして影響がないと思います。
  137. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま影響ないかもしれないけれども、韓国の航空だっていまのままじゃないし、おそらくジェット機も持つようになるでしょうが、そうなってくると影響あるんじゃないですか。
  138. 林陽一

    説明員林陽一君) これは日本航空だけでございませんで、ほかの航空会社権利を持ち、かつ、中には運営しているものもございます。それからいたしますと、向こう側がジェット機を持ちますころは、こちら側も機材を更新してさらにもう一歩先へ進んでおるわけでございますから、正直に申しまして、ごくとるに足りない影響しかないのではないかと思います。
  139. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで済めばいいですけれども、そうすると、この附表から推論できることは、韓国側には相当名は与えているけれども、実を与えていないんだ、こういうことですか、一口に言って。
  140. 林陽一

    説明員林陽一君) 形の上では相当不均衡があるやにも見えるかもしれませんけれども、そのような不均衡はございませんと思います。
  141. 岡田宗司

    岡田宗司君 不均衡があるなしじゃなくて、その名は与えて実は与えていないんだ、こういうことかということなんです。
  142. 林陽一

    説明員林陽一君) 日本側ではそういうつもりでございますが、韓国側がそう思っておりますかどうか。 (笑声)
  143. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、日本韓国共同運航しておって、そうしてその結果、それが今度この協会ができたことになったわけですけれども、韓国には、日本飛行機だけでなくて他の外国の航空機が入っておりますね。それはどことどこが入っておりますか。
  144. 林陽一

    説明員林陽一君) アメリカのノースウエスト航空が東京以遠ソウルに入っております。それからイギリスのキャセイ・パシフィックが福岡から以遠ソウルに入っております。それから中華民国のCATが台北から直航しましてソウルに入っております。
  145. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま韓国へ入っているのは、日本以外にはその三つだけですか。
  146. 林陽一

    説明員林陽一君) さようでございます。
  147. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、そのうちで二つが日本経由で入っておりますけれども、他の国でやはり日本経由で韓国へ入るというような申し入れがございますか。
  148. 林陽一

    説明員林陽一君) 現在のところ、さような申し入れはございません。
  149. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから、ノースウエストなりあるいはキャセイなりあるいはCATなりというものと韓国大韓航空ですか、大韓航空との問に協定ができて相互乗り入れというようなことになっておるのですか。
  150. 林陽一

    説明員林陽一君) 日本航空を除きますほかの各国の航空企業は、大韓航空との間に航空協定を結びまして相互乗り入れしておりますけれども、商務協定のような企業間の提携という関係はございません。
  151. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、片一方だけ行っていて、韓国のほうからアメリカに乗り入れてい・ない。それから韓国のほうから、キャセイですから香港ですか、どこか香港のほうへ乗り入れていない。それから台湾にも乗り入れていないのですか。
  152. 林陽一

    説明員林陽一君) 現在までのところ、日本以外は単独乗り入れを韓国が許しておるわけでございます。ただ、大韓航空では香港乗り入れの具体的な計画を近い将来に持っているやに聞いております。
  153. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、日本だけが相互乗り入れをやる、しかも以遠にまで許すということでたいへん寛大な御処置をとられたわけですか。そういうことですね。
  154. 林陽一

    説明員林陽一君) 韓国と英国の間、韓国アメリカの間でも、相互乗り入れの権利韓国側で持っているわけでございます。しかしながら、いままで韓国航空企業が未開発の状態にございましたために、そこまでまだ行ってないという実情でございます。権利の上では対等になっております。
  155. 岡田宗司

    岡田宗司君 いままで共同運営——共同運航をやっていたわけですが、日本韓国との間の共同運航というのはどういう形でやっていたんですか。たとえば航空機はどちらの所有、それから搭乗員はどちらとか、そういうことですね。それから、何といいますか、計算ですね、そんなことはどういうふうになっていたんですか。
  156. 林陽一

    説明員林陽一君) 昭和三十八年の十二月に日本航空大韓航空との間で商務協定締結されまして、その後一、二回改定、更新がいたされまして現在に至っておるわけでございます。目的と申しますか、方法は、営業上協力し合って、切符を売り合いますことと、それから技術上援助をする。協力となっておりますけれども、これは実際はわが方から向こうに与える援助のほうが大部分を占めているわけでございます。  路線及び便数といたしましては、東京ソウル間は日本航空がもっぱら自分の機材でみずから運航いたします。最初は週三便でございましたが、その後五便から七便ということになっております。それから大韓航空は、ソウル−大阪間と釜山−福岡間を運航しております。ソウル−大阪間は、最初は二、三便でございましたが、現在は週七便ということになっております。それから釜山−福岡間は、やはり最初は二便または三便でございましたが、現在は週五便ということになっております。  機材の点は、日本航空はジェット機のコンベア880型を使用いたしております。その後一時ダグラスDC8友使用いたしておったこともございます。大韓航空はダグラスDC3型、DC4型、それからフォッカーのフレンドシップF27、それから、その後ロッキードのスーパーコンステレーションを追加いたしております。  あと収支の勘定をどういうふうに設定するかでございますが、これは収支尻が黒字になりましたときには、相手側企業にその黒字部分−収益の五〇%を支払うということになっております。しかしながら、これは当初両社とも赤字でございましたために、収益分配の条項が適用になりませず、その後昭和四十年に改定になりましたときに、先ほど申し上げましたように、航空機の座席利用率が八割——八〇%をこえました場合には、それをこえました部分について収益を折半する、そのような協定になっております。この八〇%というのが非常に高いところに設定してございますので、実際は収益を折半したことはございません。  以上でございます。
  157. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度この協定が成立をして、そしてそれが施行されるということになりますと、大韓航空はどんな飛行機日本に乗り入れてくることになるんですか。
  158. 林陽一

    説明員林陽一君) やはり当分の間はフォッカーのフレンドシップ・それからスーパー・コンステレーション、ダグラスDC4だと思います。ただし、ダグラスDC9と申します短距離ジェット機を一機発注しております。それを入手いたしましたら、DC9で来ることが考えられます。
  159. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから次に、これは外務省のほうにお聞きするんですけれども、交換公文ですね。それから合意議事録ですね。まあこれがついているわけですが、この合意議事録の中の1、2、3、4、5、これは先ほど森委員からの質問に対する答えで内容はわかったんですけれども、こういうようなことを合意議事録をつくらなければならなかったということは、他の、たとえば商社等が韓国においてこういう状況にないということを裏返しにしたようなことなんですか。
  160. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 先ほど御説明申し上げましたごとく、韓国との間にまだ通商航海条約のごとき規定がございませんので、わが国の一般商社につきましても、その支店のステータス——支店の地位というものが確保されませんというのが現情でございます。そこで、個々に解決していくというふうなことから、航空協定については、日本支店設置及びその活動についてかような形で確保したわけでございます。
  161. 岡田宗司

    岡田宗司君 で、確保したことはいいんだけれども、この確保が、次に他の商社支店なりあるいはそこに働く人々にも及んでいく。その突破口というのかな、それになると考えていいのか。それとも通商航海条約がなかなかできないで、これだけがいつまでも特別の形で残るということになるのか。そこらの見通しはどうか。
  162. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 日韓の基本条約の中に、ちょうど高島事官が御説明申しましたとおり、海運とか、通商貿易の関係規定する協定、つまり通商航海条約のごときものを想定して、それを早くやろうじゃないかということを規定しておるわけでございます。しかしながら、これについては政府としても十分努力いたしましてやっておるわけでございますが、何せ広範囲の複雑な問題を含みますので、そう急に実現することもなかなかむずかしい事情でございましたので、まあできやすい航空協定のほうから先に手をつけた、その航空協定に関する日航支店活動を確保したということでございますが、ある意味から申しますと、その突破口を確保したということも申せるわけでございます。今後基本的には、抜本的にはその通商航海条約等において商社の地位を確保したいと、かように考えております。
  163. 岡田宗司

    岡田宗司君 これも、通商航海条約締結、非常にいろいろな問題を含んでたいへんむずかしいことはわかるんですけれども、現在、韓国における商社並びにそこに働く人々がいまたいへんいろいろ不便な状態にあるわけですね。それで日本に来ている韓国商社並びにそこで働いている韓国の人というのは、ちょうど日本人が韓国へ行って受けているようなのと同じ待遇なんですか。それとも、日本の中にある韓国商社やあるいはそこで働いている韓国人に対しては、他の外国人と同じような待遇をしているんですか。そこはどうなんでしょう。
  164. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) いまの御質問につきましては、私、確たるお答えができないのが残念でございますが、至急に調べましてお答えいたしたいと思います。
  165. 岡田宗司

    岡田宗司君 それを私お伺いするのは、韓国でときどき日本商社等に対していろいろな問題が起こりますね。商社活動の問題だとか、それから、それに働いている人々に対する税金の問題だとか、それから、商社に対する課税の問題、いろいろな問題ありますね。日本側で向こうが行なうようにやっているのかどうかということは、これは知っておく必要があると思うんです。というのは、ときどき韓国はあれを持ち出してきて、だいぶ日本商社だのなんかを、こう、いじめているのですね。別にこっちのほうじゃあまりそういう話も聞いていないのですがね。また、たいへん親善関係だなんだ言って韓国に対してサービスもしておるし、それから有償、無償の経済援助というのか、とにかくそれも相当にしているし、まあ、今度の航空協定でもたいへん韓国に対して便宜を計らっているように見えるのですがね。それだのに、ときどきどうもこっちに対してはいやがらせ——向こう法律に基づいているのでしょうけれども、こちら側から見ればいやがらせと思われるようなことを盛んにやっているのですね。だから、このことをきめるのはいいけれども、これだけはまあ特別にきめた、しかし、あとのほうは、向こう側としちゃ、いじめたりいやがらせをやっていくために、そういうことは政治的に考えてはっきりきめないほうがいいんだなんということになると困るので、私聞いているのですがね。とにかく、向こう側のほうでは相当日本のなには、おそらく韓国が他の条約を結んでおる国々だの、国交を結んでいる国々の商社や使用人に対するよりも悪い待遇に置かれていると思うのです。日本側ではどうなっているかということもこれは私は知っておく必要があると思うのでお伺いしたのです。
  166. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) いまの御質問に対して韓国側の事情についてお話し申し上げますと、確かに先生指摘のとおり、韓国においてわがほうの商社が、まあわれわれの目から見たら、不当な課税をされたというようなことがありましたことは事実でございまして、まあ、これは韓国側の行政的手続から見れば合法的に行なわれたことなんでございますが、認定課税というふうなことで非常に高い税金を査定され、現実にそれを納付したというようなこともあります。しかしまた、韓国側の手続に従いまして異議の申し立てもやっております。これはまあ韓国側も受けつけております。しかしながら、これは解決にかなり時間がかかるだろうと思うわけでございます。つきまして、政府といたしましては、このような商社が過当——過当といいますか、非常に大きな重い税金をかけられるというふうなことで商社活動がやりにくくなることはよくないことでございますので、これの抜本的解決のためには、どうしても二重課税を防止することを目的とした租税協定のごときものを結ばなければならないという認識に基づきまして、韓国側交渉いたしております。この六月にはすでに第一回の交渉をいたしました。引き続き韓国側交渉いたしまして、租税協定締結を志しておるわけでございまして、またその間におきまして、個々の商社の不当な課税に対しましても、その商社政府が一体となりまして是正を求めておるというふうな現状でございます。決してそのほうの努力を怠っているわけではございませんので、御説明を加える次第であります。  なお、先ほど、確たる自信がないと申し上げたのですが、日本におきます韓国商社の取り扱いにつきましては、ほかの第三国の商社と変わりのない待遇を与えているものと深く確信しております。
  167. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、こちら側は別に通商航海条約を結んでいないけれども、第三国の人に与えておると同じような待遇を与えておる。本来なら、日本がそうしているなら向こうもそうするのでしょうけれども、そうしてない。たいへんこちら側から見ればいやがらせみたいなことをやっている。どうも韓国に対して日本というのは下手に下手に出ているというか、先ほどの森さんのお話じゃないけれども、何か、こう、痛いおしりを握られておるように思うのですがね。そういう印象を受けるのですが、そういう印象を私どもなり、あるいは国民一般に与えないような形をいろいろな面でとれぬものですかね。
  168. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) さような印象を与えておるとすれば、非常に遺憾なことでございまして、私たち韓国に対して特別の取り計らいをしておるというふうな考えではやっておりません。
  169. 森元治郎

    森元治郎君 上司の命令だな、それは。
  170. 岡田宗司

    岡田宗司君 その点で、いま森さんが言われたのだけれども、まああなた方は、それはそういうことを考えていないかもしれないけれども、全体としてそういうふうな印象を与えるように動いているように思えるのですが、それは国の方針かもしれないけれども、あんまりもう遠慮しないでもいいのじゃないですか。そうしてもうちゃんとするところばして、そうしていくように、特に韓国に対してはそういうふうな方針で臨まれたらどうですか。私ども、どうもこんなことをやっていると、平ったいことばで言えば、つけ上がられるだけだと思うのですよ。そういう感じは与えておると言っても言い過ぎじゃないと思うのです。どうでしょうその点。
  171. 吉良秀通

    説明員吉良秀通君) 御説はよく拝聴いたしまして、さような印象を与えぬように一生懸命やるつもりでございます。
  172. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会      —————・—————