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加藤シヅエ君
外務大臣に伺いたいのでございますが、せんだってILO百号の批准に対しまして私は、あの
条約が勧告されまして批准まで、十六年ですか、非常に長い期間を経過したということにつきまして、これはやはり
日本の国際的地位というものを考えて、ことに女性の問題に
関係した勧告であるというようなことを考えましても、ああいうふうに長いこと放任しておくということははなはだ遺憾なことであるということを申し上げつつ賛成いたしたわけでございます。そして、さらに廃油による海水の汚濁の
条約、この批准も、一九五四年にロンドンにおいて
締結されて今日ようやくこれが顔を出したと、その間の年月があまりにも長いではないか、こういうような特にその
内容に含まれている点が、公害というものに対して
日本という国がどれだけ神経を用いているかという
一つのバロメーターにもなるような
条約に対して、あれほど長い間放任されたということは非常に遺憾であるということを申し上げつつあの
条約をも批准いたしたわけでございます。
それで私は、もう
一つそれと同じような問題を今日
外務大臣に申し上げなければならないことを非常に遺憾に思うわけでございます。それで、私がいま提起いたします問題は、一九六〇年に
東京で第十二回の鳥類の保護に関する国際会議が開かれたわけでございます。その会議には、たいへん
各国から、欧米及び東南アジアの国からも参加されまして、非常に有
意義な会合が行なわれたわけでございます。その会議でたくさんの収穫があったわけでございますが、最後に決議を十六いたしまして、その第四の決議は、国際鳥類保護会議は、汎太平洋諸国が渡り鳥の保護に関し会議を開くことを
提案すると、こういうことが決議に入ったわけでございます。それで、その後三十九年に
アメリカの大使館の武内大使を通じまして
外務省に照会があったわけでございます。それは、「鳥類保護
協定に関する件」、「今般、在米武内大使より、一九六〇年
東京における太平洋十ケ国による国際鳥類保護
委員会の開催に際しての
関係国家間の渡り鳥の保護に関する決議の採択に関し、スミソニアン博物館
事務局長リプレー博士は国務省とも相談し、先ず
日米間の渡り鳥保護について検討を行ないたい、
両国間
協定の成立の運びともなれば、他の太平洋沿岸諸国の
本件協定に対する関心度を深めることともなり得べしと考えるので、
本件に関する
日本側の意向を承知したい由申し越した旨報告した。
ついては同民はスミソニアン博物館の鳥類専門家ミスター・ウォーナー及び国務省ローレフスン博士等をまじえ、近く在米
日本大使館と
本件につき懇談したい意向なる趣のところ、右懇談に際しわが方応答の都合もあるので、
わが国における情勢の概要等貴見とともに至急回報願いたい。」、これはワシントンのいまあげました名前の方々から、国務省の専門家の方々から武内大使に対して照会があったことに対しまして、
日本の外務
事務次官からこの
本件に関しての所管庁林野庁長官に対して、こういう手紙を外務
事務次官から出したわけです。林野庁のこういう考え方を聞いたわけです。ところが、林野庁のほうからは何ら回答がないらしいのでございます。それで、回答がないままに、これは三十九年五月に起こったことでございますが、いまだに回答がないままに放任されている。それで、この鳥類保護連盟の方がワシントンにいたときに、国務省の方々から、それは一体どういうことになっているのだろうか、できないとか、研究中だとか、あるいは賛成だとか、何らかの返事があってしかるべきなのに一言のあいさつもない、これはどういうことであろうかということを問われた。こういうことなんでございます。私は林野庁長官の責任に対して伺わなくちゃなりませんし、どういう
事情で回答なさらないか、その
事情を詳しく伺わなきゃなりません。私の理解する範囲では、これは別に
国内法に対して、何かこの間の廃油の海水汚濁の問題のような非常にむずかしいことがあるわけでもないようでございますし、これは
日米間の一種の文化
協定として非常に価値のある
協定としての試み、こういうものに対して林野庁が何ら返事をしないということ、これは非常に問題だと思いますが、また
外務省としても、一応林野庁に対してこういう手紙を出していらして、それに対して林野庁から何も返事がないということに対しては、やはり武内大使を通じて来た問題としては、これは
外務省としても責任を感じて何とか処置をしていただかなければならなかったのじゃないか。そのことについて大臣から御答弁願いたいと思います。