○国務
大臣(三木武夫君) そういう批判は非常に心外に思うのです。それは総理でも私でも、おそらく皆さんもそうだと思うのですが、中国との
関係でも、長い長期的な視野に立ったらば、これと何とか平和に生きていこうという
考え方が
国民のやはり
考え方でないでしょうか、長期的に見れば。これは
一緒に平和的には生きていけない相手である、これは戦争でもしなければならぬというふうに、そういうものの
考え方に、健全な
国民の良識というものはだれも賛成する人はないと思いますよ。しかし、平和共存と言ったところで、これは長期的な視野に立てば、これは
国民の願いである。しかし、また中共はどこの国とも平和に共存していこうという政策をとっていないですから、現在の段階としては、
現実政策としては従来とっているような政経分離の方針で中国と接触していくんだ、私は、この
考え方というものは、総理、外務
大臣の間に違いがあるわけはないと思いますよ。自民党の、あるいは社会党の皆さんでも、同じようなこの
考え方でないかと思います。そういう点で、こういう
国民の良識の上に立った
一つの
考え方を私も発言し、総理も、どこの国ともやはり敵視しないで仲よくしていきたいのだ、そういうことをしばしば発言を
国会においてもしておるのですから、どこの国とも仲よくしていきたいという
考え方は、その
考え方の根底には、どこの国とも平和に共存したいということですから、違いがあろうはずはないのですよ。こういう
考え方に違った政治というものはできるでしょうか、私はできないと思いますよ。長期的に見たら、いまはなかなかそういうふうな
考え方になってこなくても、早くなってもらいたいと、そしてみながよその国の
立場を尊重して、よその国に対して内政干渉をするようなことをしないで、みながお互いに共存しようではないか。もし共石できるものであったらば、ほかのことでみなが競争していったらいいではないか。人類を幸福にするための競争をやるなら、これは害はないですからね。こういう
国民の願いというものが今日の政治をやる者の
基本でなきゃならぬ、そういうことを私はASPACにおいても言ったのです。そういうことで、総理と外務
大臣との問に考えが違やせぬかということは、そういう声が出るのすら心外に私は思っています。これ以外に
日本の生きる道はない。
日本は力でこれからやっていこうという国じゃないのですよ。
日本の憲法から見たところで、そういう力で世界の政治の中に乗り出そうと言っている国ではないのですから、こういう
考え方でいくよりほかないと、私はASPACで、特にあすこだけでそういう発言をしたのでないのです。私はどこにおいてもこういう発言をいままで何年もの間繰り返しておるので、これは特にASPACの場をかりて言ったのではない私は
日本の
国民の
考え方もおそらくそうであろうと考えますから、率直な意見として述べたものでございます。
またもう
一つは、総理がそういう韓国とか台湾その他東南アジアの旅行を、岡田さんいろいろおっしゃいますけれ
ども、良識をお持ちになる岡田さんの発言としては私は受け取れない。もし総理が韓国と台湾その他南ベトナムだけを訪問するというならば、これは政治的な
意味がある。しかし、総理が行こうとするのはアジアの全部の国を訪問しようとするわけです。したがって、日程の都合で前になったりあとになったりすることはこれはあり得ることですから、だから、今度訪問するというのは、カンボジアのような国もありますし、ラオスもあるし、インドネシアもあるし、シンガポールもある。かなり反共国家というのにしてははだ合いの違った国がありますからね。そういう国はみな
日本と国交を回復している国なんです。大使を交換しているのですから、大使を交換しているということは、その国の
立場を尊重しているということですからね。おれは気に入らぬとか気に入るとかいうわけじゃないんですから、大使が行っているのですから、その国の主権者の意思を尊重してその国とおつき合いをしましようということで外交
関係を開いているのですから、その中でより食いしていくなら、岡田さんの言われるとおりですが、より食いでないのです。だから、やがて総理はまたソ連へ行かれることもあるでしょう。そうしたら、共産国へ行っておまえはけしからぬ、少し外交
関係が左回りになったのじゃないかと、そういう批判も当たらないと同様に、やはり国交を回復しているものは、その国の
立場というものを尊重して合って、総理が首脳部といろいろ話し合いをするということは、私は特別な
意味を持たさないで、野党の方々も、これに何か特別な
意味を持たすと、その旅行というものが、せっかくあれだけの月日をかけてせっかく回ろうというのですから、その総理のアジア旅行というものが国のためになれと、しっかりやってこいという
立場が良識を持つ岡田さんの
立場でなけりゃならぬじゃないでしょうか。(笑声)