○
国務大臣(
三木武夫君) これは
一つの、
最初の言われたこと、まあ何もアジア・太平洋というのじゃなしに、
世界の南北問題として解決してはどうか、アジアの問題をね。これはこの間もブラント西独外相が来まして定期会談をやったのです。そして、まあアジアの農業開発基金の話をしたわけです。よくわかると、それはね。おつき合いはできるにしても、やっぱりアフリカだと、こう言うのです。アフリカならとにかく、西欧諸国
——西欧とは言わなかったが、西独としてはやっぱりアフリカというものに大きな援助をこれからしていかなければならぬ。どうしても私は、こう地域的に見ると、アジアというものに一番関心を持つ地域というのは太平洋の先進諸国だと思うのですよ。だから、アジアの開発というのは
世界の課題ですよ。だから西欧というものの何も援助要らぬということはないのですよ。これは
世界の問題ですけれども、一番アジアの安定とかアジアの発展というものに対して直接の影響を持つものはやはり太平洋の先進諸国だと思うのです。そこで、やはりみな
世界各国の問題ではあるけれども、ことにアジアの問題というものを今後みなでひとつ協力してやっていこうではないかという呼びかける広さというものは、これはやはりアジア・太平洋という広さを持つと私は思うのですよ。これが一点。だから羽生さん、六カ月もおまえたつけれども、全然……これは少し気が早い。それはEECなどごらんなさい。あれができるまで何十年かかっているでしょう、前後。だから、私は、いま必要なことは、第一やはりこうみながアジアというものに目を向ける必要がありますよ。オーストラリアだってせいぜいやっぱりインドネシアですよ、関心持っているのは。あれはインドネシアの、自分のニューギニアですか。またニュージランドだって、必ずしもアジア全体というところまでやっぱり関心は、ニュージランドはむろんオーストラリアよりも関心の度合いは薄いかもしれない。カナダだって、やっぱりみな大西洋のほうに向いておる面が多いですからね。アメリカは、これはアジアというのはいろいろな形でアジアから手を引けないような状態。しかし、全体としてアジア・太平洋という地域が、みながひとつアジアの問題の重要性というものを認識してやろうではないかという、そういうふうな全体の空気が盛り上がっておるわけではないのですよ。あらゆる機会にこいつはPRをやらにゃならぬ面がありますよ。アジアが安定しないというと、
世界というのは安定しないですからね。
国際問題というのがみな集中的にアジアに
——中東もああいうふうな状態でありますけれども、もっともっとアジアというものは重大になるということで、そういうPRの面があるし、それから太平洋の先進諸国の援助といりても、アジア自体がそれを受け入れるだけのみずからの態勢が要ります。地域協力ということは非常に私は大事だと思う。アジアの排他的なナショナリズムということで、みながお互いに隣同士ほどあまりよくないということは、アジアの開発というものを非常におくらせますからね。この地域協力に
日本がある程度の寄与をしているということが、やはり地域協力を生んでおる原動力だと思うんですよ。あれに
日本が何の寄与もしないで、アジアだけが寄っておるといったら、こんなに地域協力の効果が出ておるかどうか疑問だと思う。アジア地域協力のせっかく機運が盛り上がりつつあることを助長していくことは、
日本の外交として大事だと思う。アジア開銀にしても、農業開発基金にしても、
日本が推進力ですよ。こういう面がありますよ。これはみないわゆる私の言うアジア・太平洋外交の重要な一面なんですよ。そういうふうな努力を積み重ねて、そして、その上に太平洋諸国とアジアというものを結びつける何らかの協力
機構が私はできると思う。EECのような
機構というものとは条件も違いますし、それは一ぺんには無理ですよ。ただ、農業開発基金でも、やっぱり結びつける
一つの
機構ですよね。あるいはまた、アジア開銀でも、やっぱり先進諸国とアジアとを結びつけている
機構ですよね。あの新聞に出ているのは、私が言ったんではなしに、ああいう意見もあるということを大使
会議に出したのです。たとえば肥料回転基金なんかをこしらえて、そしてブラントに協力して、その見返り資金で農業開発をやったらどうかとか、いろんな案が出てくるわけです。私は羽生さんや皆さんにいろいろアイデアを出してもらいたい。ねらいはアジアの南北問題の解決ですから、みながアイデアを出して、一番これが重要な問題であるとするならば、そういう問題というものを一歩でも
——一ぺんに大きな
機構ができなくても、アジアと太平洋先進諸国を結びつけるいろんな
機構があってもいいんではないかと、こういうことです。どうかあんまりせっかちに、おまえ半年になって言い始めて……。これはできたらたいへんな人類初めての
機構ですよ。(笑声)なぜかといったら、ヨーロッパなんというのは、同じような文明や文化の上に咲いた
一つの
機構でしょう。これはアジアと太平洋だもの、白いのと黄色いのがやるんですから、これで協力
関係ができたら、たいへんな歴史的なことですよ。どうかあまりせっかちにおっしゃらずに、やはりこれだけの大
事業だから、相当時間をかけてやれや、あまり急いでするなという御注意を先輩からいただきたい。