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1967-06-06 第55回国会 参議院 外務委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年六月六日(火曜日) 午前十時三十九分開会
—————————————
委員
の異動 六月一日 辞任
補欠選任
黒柳
明君
北條
浩君
北條
浩君
黒柳
明君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
赤間
文三
君 理 事 木内 四郎君 長谷川 仁君 増原
恵吉
君 森 元治郎君 委 員
鹿島守之助
君 佐藤 一郎君 高橋 衛君 山本
利壽
君
岡田
宗司
君
加藤シヅエ
君 佐多
忠隆
君 羽生 三七君 大和 与一君
黒柳
明君
渋谷 邦彦君
国務大臣
外 務 大 臣
三木
武夫
君
政府委員
外務政務次官
田中 榮一君
外務省北米局長
東郷 文彦君
外務省中近東ア
フリカ局長
力石健次郎
君
外務省条約局長
藤崎
萬里
君
事務局側
常任委員会専門
員 瓜生
復男
君
説明員
外務省条約局参
事官
高島
益郎
君
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
○
日本国
と
ソヴィエト社会主義共和国連邦
との間 の
領事条約
の
締結
について
承認
を求めるの件 (
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
のた めの
日本国
と
ノールウェー王国
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件(
内閣提出
) ○
国際情勢等
に関する
調査
(
中近東
における
国際紛争
に関する件)
—————————————
赤間文三
1
○
委員長
(
赤間文三
君) ただいまから
外務委員会
を開会いたします。
日本国
と
ソヴィエト社会主義共和国連邦
との間の
領事条約
の
締結
について
承認
を求めるの件
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
のための
日本国
と
ノールウェー王国
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件 以上二
案件
を便宜一括して
議題
といたします。 まず、
政府
から
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
三木外務大臣
。
三木武夫
2
○
国務大臣
(
三木武夫
君) ただいま
議題
となりました
日本国
と
ソヴィエト社会主義共和国連邦
との間の
領事条約
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして、
提案理由
を御
説明
いたします。
政府
は、
ソヴィエト連邦
との間の
領事
の分野における
関係
を
規定
するための
領事条約
の
締結
につき
昭和
四十年七月以来
同国政府
との間で
交渉
を行ないました結果、
最終的合意
に達し、
昭和
四十一年七月二十九日に東京において
椎名外務大臣
と訪日中の
グロムイコ外務大臣
との間でこの
条約
に
署名
を行なった次第であります。 この
条約
は、
本文
四十三カ条から成り、これに
条約
と不可分の
議定書
が附属し、また、
議定書
に関連する
交換公文
があります。その
内容
は、すでに発効している
日米
間及び
日英
間の
領事条約
とほぼ同様のものであり、
領事館
の設置、
領事
の
任命手続等
のほか、
派遣国
が
接受国
において
領事館
について享有する
特権免除
、
派遣国
の
領事
や
領事館職員
が
接受国
において享有する
特権免除
について
規定
し、また、
国民
の
保護
、
船舶
、
遺産等
に関する
領事
の
職務
の
内容
について
規定
しております。なお、
交換公文
におきましては、
日ソ両国
間の特殊な問題としまして、
北太平洋
において
領海侵犯
を
理由
として
ソヴィエト連邦当局
により
逮捕
拘禁される
日本国民
に関して、その
保護
のための
領事
の
職務
、権能について特別の
規定
を定めております。
わが国
と
ソヴィエト連邦
との間の経済的、文化的及び人的な
交流
は近年ますます盛んになっており、近く
両国
間で
相互
に
領事館
を設置することも予定されておりますが、
ソヴィエト連邦
はその
国内体制
において
わが国
と異なる点が多いので、この
条約
の
締結
により
領事
の
職務
や
特権
について
両国
間で具体的に取りきめておくことによって、
わが国
の
領事
の地位及び
活動
に
条約
上の保障が与えられることとなることは、きわめて有意義なことと
考え
る次第であります。 次に、
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
のための
日本国
と
ノールウェー王国
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして、
提案理由
を御
説明
いたします。
政府
は、
昭和
三十四年二月二十一日に
署名
され、同年九月十五日に発効した
ノールウェー
との間の
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び脱税の
防止
のための
条約
を改正する新
条約
の
締結
について、
昭和
四十一年十一月以来
ノールウェー政府
との間で
交渉
を行ないました結果、
最終的合意
に達し、
昭和
四十二年五月十一日にオスロにおいて
福田臨時代理大使
と
ノールウェー王国リュング外務大臣
との間でこの
条約
に
署名
を行なった次第であります。 この
条約
は、
本文
二十九カ条及び
附属議定書
から成っております。その
内容
は、
現行条約
の
規定
の全般にわたって、
OECD
の
モデル条約案
の
規定
をできるだけ採用しつつ改正を加えたものであります。
条約
の
内容
及び
現行条約
との
相違点
の主なものは、次のとおりであります。すなわち、
現行条約
では、
相手国
に
支店等恒久的施設
を有する
法人
の
利得
に対する
課税
は
相手国
が自国に
源泉
のあるその
法人
のすべての
利得
に対して
課税
するという
方式
によることとされているのに対し、新
条約
は、その
恒久的施設
に帰属する
利得
に対してのみ
課税
するという
方式
によることとしております。
船舶
及び航空機による
国際運輸業所得
につきましては、
現行条約
では、一定の
登録要件
を満たすものにつき、
相手国
における
租税
を
全額免除
していますが、新
条約
は、そのような
要件
なしに
全額免除
とし、また、新たに、公海における
漁獲活動
により取得する
所得
についても
租税
を
免除
する旨の
規定
を加えております。また、
配当
、
利子
及び
使用料
に対する
源泉地風課税
の
制限税率
は、
現行条約
では、
配当
、
利子
、
使用料
とも十五%の
税率
とされているのに対し、新
条約
は、
親子会社
間の
配当
については十%、その他の
一般
の
配当
については十五%、
利子
及び
使用料
については、
親子関係
の有無にかかわらず、それぞれ十%としております。さらに、
政府職員
、百八十三日以内の
短期滞在者
、二年以内の
短期滞在
の教授及び教員並びに学生及び
事業修習者
の受け取る報酬や
手当等
につきましては、
現行条約
と同様に、
滞在地国
で
課税
されないこととしております。また、二重
課税
の
回避
は、
現行条約
では、
両国
とも
外国税額控除方式
によることとされているのに対し、新
条約
は、
日本国
においては
外国税額控除方式
により、
ノールウェー
においては、
配当
、
利子
、
使用料等
一部の
所得
を除き、
原則
として、
外国所得免除方式
によることとしております。 現在
両国
間の
経済関係
は、貿易、
技術交流等
の一面で緊密になりつつありますが、新しい
条約
の
締結
によって、
両国
間の
経済交流
は一そう促進されるものと期待されます。 よって、ここに、この
条約
二件の
締結
について御
承認
を求める次第であります。御審議の上、すみやかに御
承認
あらんことを希望いたします。
赤間文三
3
○
委員長
(
赤間文三
君) 次に、
補足説明
を聴取いたします。
高島参事官
。
高島益郎
4
○
説明員
(
高島益郎
君) ただいまの二
条約
につきまして
補足説明
いたします。 最初に
日ソ領事条約
でございますが、戦後
日本
が
アメリカ
及びイギリスと結びました二
領事条約
がございますが、今度
ソ連
との間に結びました
領事条約
は第三番目の
領事条約
になります。
日本
が戦後結びました
日米
、
日英
両
領事条約
と比べまして、
日ソ領事条約
は若干の特色を持っております。これは、
一つ
には従来
領事官
の
制度
、
領事官
の
職務
ないしは
特権
につきまして、われわれが通常伝統的に
考え
ております
考え方
と
ソ連
の
考え方
が多少違いまして、伝統的な
領事官
の
制度
につきましての
考え方
は、
外交官
と違いまして、
領事官
というのは自
国民
の
利益
の
保護増進
ということが主たる任務、
外交官
のほうはその国を代表して国と国との接触の機関になるという点で根本的に違うわけであります。したがって、この根本的な
考え
に基づきます
特権免除等
がそれぞれ違いまして、
領事官
のほうは
外交官
よりは、若干少ない
特権免除
が認められている次第であります。
ソ連
は、少しこういう伝統的な
考え方
と違いまして、
外交官
に近い、つまり、従来
領事官
に認められております
一般
的な
特権免除
よりも大きい
特権免除
を認めるようにという主張をしております。戦後
ソ連
が、
共産圏
の
諸国
約三十カ国
——共産圏
だけじゃありませんが
——
約三十くらい
締結
しております
領事条約
のその根本的なたてまえが、そういう
考え方
に基づいております。そういうことで、今回
締結
いたしました
日ソ領事条約
は、
日米
、
日英
の両
領事条約
とは違っておりますが、また他面におきまして、
日本
の
領事官
が、
ソ連
の
社会
の
特異性
にかんがみましてそれだけ厚い
保護
を受けるという結果になることにかんがみまして、この
日米
・
日英領事条約
と違うたてまえの
ソ連
との
条約
を
締結
した次第であります。 おもな
相違
を申し上げますと、まず
領事官
の
制度
、たとえば
館長
につきまして、
外交官
の場合、
大使
ですと
事前
にアグレマンを取るということになっております。それと類似の
制度
を設けまして、
領事館
の
館長
につきましても、
外交官
の場合と同様に、
事前
に
相手国
の同意を求めるという
たて方
にいたしました。これは従来の
領事官
にはない
制度
でございます。 それからもう
一つ
、
外交官
の場合にございます、ペルソナ・ノン・ダラータという
制度
がございます。つまり、受諾しがたい人物ということになりました場合に、それの帰国を求めるという
制度
でございますが、これに類似するやはり
制度
をこの
領事官
の
制度
にも設けております。 二番目に、
特権免除
の
内容
につきましては、従来
一般
の
領事官
の場合ですと、
領事館
の事務所については
不可侵
が認められておりますが、それ以外の住所につきましては、そういう
不可侵
は認められないのが
原則
でございますけれ
ども
、この場合には、
領事館
の
館長
及び館員すべての住居につきましても
不可侵
を認めた次第でございます。 それから、
一般
的に
裁判管轄権
の
免除
という
制度
がございますが、
外交官
の場合ですと、民事、
刑事
を問わず、一切その駐在国の
裁判権
から
免除
されるわけでありますが、
領事官
の場合は、
公務
上の
公務
についてだけ
裁判権
を
免除
いたします。そうして、
公務外
のことにつきましては
免除
を認めないのがたてまえでございますが、この
日ソ領事条約
の場合は
外交官
に一歩近づきまして、全く同じではございませんけれ
ども
、
公務外
のことにつきましても
刑事裁判権
につきましては
免除
するというたてまえにいたしております。 それから、これは普通の
条約
の場合ですと
規定
しないことでございますけれ
ども
、
管轄区域
内における移動、旅行の自由ということをはっきりきめております。ほかの国の場合、こういう
規定
は必要ない
関係
上、特に
規定
しなかったわけでありますが、
日ソ
の場合は特殊な
関係
で、そういう
規定
を特に設けました。 三番目に、
職務
につきまして、特に自
国民
が
逮捕
、拘禁された場合の
通報義務
、これを訪問したり、これと通信したりする
権利
につきまして、特にその
日限
を限った次第であります。
日米
、
日英
の
領事条約
の場合ですと、ただ単に
遅滞
なく
通報
する、
遅滞
なく通信する
権利
を与えるということになっておりますが、
日ソ
の場合は、やはり
ソ連社会
の
特異性
にかんがみまして、
国民
が
逮捕
、拘禁された場合には、一日から三日の間に
通報
しなければならないということにいたしております。それからまた、これを訪問し、これと通信する
権利
につきましては、二日ないし四日の間にそういう
権利
を与えなければならないというたてまえにしております。 それから最後に、やはり
職務
につきまして、
北西太平洋
におきまして、従来
日本
の
漁民
が
領海侵犯等
の
理由
をもちましてしばしば
逮捕
されておりますので、必ずそういう
逮捕等
の行なわれた場合におきましては
日本
に
通報
する。
通報
するのみならず、これに対して訪問、通信の
権利
を与えるということにいたしまして、その
日限
をやはり一日から十日以内というふうにはっきり定めまして、従来は、このような抑留ないし拿捕された漁船、
漁民
につきましては何らこちらの要請なしには
通報
を受けませんでしたのを、この際はっきり
通報
の
義務
を定めまして、しかも、その期間を限ったわけであります。これによりまして
北太平洋条約
におきます
日本
の
漁民
の
利益
が幾ぶんなりとも
保護
されるという結果を確信する次第であります。 次に、
ノールウェー
との
租税条約
につきまして簡単に
補足説明
をいたします。 現在の
租税条約
は、
昭和
三十四年に
締結
しました
租税条約
でございまして、その後
日本
は
OECD
に加盟し、
OECD
の
租税条約
に関する
モデル条約
を新しく
締結
する場合、またこれを改正する場合に必ずこれを採択するようにという
勧告
がございまして、その
勧告
にのっとりまして、現在の古い
ノールウェー
との
租税条約
を全面的に改正したものでございます。
OECDモデル条約
の主要な目的は、
源泉地国
の
課税権
を制限するのが主たる
内容
になっております。したがいまして、
ノールウェー
の
企業所得
の
課税
、
日本
の
出先企業
に対する
ノールウェー側
の
課税率
を従来よりも制限するというのが
一般
の
OECD租税条約
の
内容
でございまして、この例によりまして、従来
企業利得——日本
の
企業利得
あるいは
ノールウェー
の
企業利得
に対しまして、それぞれ
ノールウェー側
、
日本側
に課しておりました
課税方式
を、
恒久的施設
に帰属する
部分
についてのみ限定するというふうにしまして、従来非常に広範な範囲で
課税
されているのを制限されたわけでございます それから第二点といたしましては、
投資所得
、これは
配当
、
利子
、
使用料
の三種類でございますけれ
ども
、これを従来一五%であったのを、
一般
的な
原則
としまして一〇%にしたわけでございます。この結果、現実に
日本——ノールウェー
間で
影響
がありますのは、
技術輸出
を伴います
使用料
の
税率
でございます。これが、いま申し上げましたとおり五%減になる
関係
上、昨年の例で申しますと、
日本
から
ノールウェー
へ約七十三万ドル
使用料
を払っております。また逆に
ノールウェー
から
日本
へこの
技術輸出
に伴ないます
使用料
といたしまして約二十六万ドル払っております。したがいまして、この差額の四十七万ドルにつきまして五%だけ減になるわけでございますので、約二万数千ドルの税の減収ということになるわけでございます。 それ以外には、実際上その
租税条約
によりまして
両国
間に
課税関係
に特別な
影響
はございません。 以上簡単でございますが。
赤間文三
5
○
委員長
(
赤間文三
君) 以上をもちまして
説明
は終了いたしました。 二
案件
に対する事後の審査は、後日に譲ることにいたします。
—————————————
赤間文三
6
○
委員長
(
赤間文三
君) 次に、
国際情勢等
に関する
調査
を
議題
といたします。 御質疑のおありの方は、順次御
発言
を願います。
岡田宗司
7
○
岡田宗司
君
中近東
における
戦闘
が始まりまして、このことは
世界
の平和にとりまして非常に危険な問題でございます。一日も早くこの
戦闘
が停止されなければならないというのは
世界
の大多数の国の願いであり、またその
努力
がなされ始めているわけでございます。 ところで、いまこの
状況
を見ておりますというと、いずれが先に手を出したかは別といたしまして、その
戦闘
は各方面においてかなり熾烈になってまいりまして、また
爆撃等
が
相互
に行なわれだしまして、そうして、
イスラエル側
に立つといいますか、
イスラエル
に同情を寄せている
英米
の
艦隊
は、すでに
地中海
、紅海におきましてある種の
行動
を起こしております。また
ソ連
の
艦隊
は、ダーダネルス、
ボスポラス海峡
を通りまして、すでに
地中海
に入ってきております。この
イスラエル並び
に
アラブ諸国
の
うしろ
に立つ
国々
との間の緊張もようやく高まってきております。こういうふうな
状況
におきまして、
わが国
としても、それらの
動き
については非常に大きな関心を持たなければならない問題である。また、場合によりますというと、これが
わが国
も
戦闘
に巻き込まれかねないような
事態
になろうかと思うのであります。私
ども
は、この
中近東
の現在の
情勢
が
世界戦争
につながっていくことを非常におそれるものでありますが、まず第一に、
外務大臣
にお伺いしたいのは、この
中近東
の
情勢
の
見通し
でございます。すでに昨日
あたり牛場事務次官
がこの
見通し
について
発言
もされておりますけれ
ども
、ここにあらためて
大臣
からこの
中近東
の
情勢
に対する
日本政府
としての
見通し
についてお伺いをしたいのでございます。
三木武夫
8
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 私
ども
も
中近東
の
情勢
、この進展というものに対しては非常に憂慮をいたしておるわけでございます。カイロにも
空襲
が行なわれ、
イスラエル
も
空襲
を受けたようでございますし、それから
アラブ
九カ国は
イスラエル
に向かって宣戦を布告をいたしたわけで、非常に本格的に
戦争
が
拡大
していく傾向を帯びておるわけであります。そこで一体この
見通し
はどういうふうに
考え
ておるかということでありますが、これはまず
紛争
の
当事国
あるいはその
当事国
と深い
関係
を持っておる
大国
、こういう
人たち
が一体これをどう
収拾
しようとしておるのかということでありますが、
国連
もやはり昨日は五十分間
会議
をやってすぐ休憩に入って、むしろ
国連
の
安保理事会
よりも
舞台裏
でこの
収拾
のために
努力
が払われておるようであります。
日本
とすれば、この
戦争
の
拡大
というものは、これは
日本
にも、ことにわれわれは
中近東
に
石油
の大
部分
を依存しておるわけでありますから、現在のところは
ペルシア湾
によっておるわけで
石油
の供給に不安はないけれ
ども
、こういう
戦争
の
拡大
によってわれわれとしても
十分警戒
をしなきゃならぬわけでありますので、
国連
を
中心
にして、
日本
とすればどちらにも介入はしない
厳正中立
の
立場
をとって
紛争
の
早期解決
のために
努力
をしようということで、
松井大使
を
中心
にして動いておるわけであります。一体これがどういう
見通し
かということについては、むろんわれわれはこれが全面的な
衝突
に至らないことを期待し、また、
当事国
の背後におる
大国
もこれを
全面的衝突
に持っていかない
責任
が私はあると思うのであります。そういうことで、
責任
を持っておる
大国
による
努力
、自制、こういうことによって
戦争
の
拡大
をしないように
努力
が行なわるべきであるし、われわれもそういう面から
早期解決
に
努力
をしようという
考え
であって、的確な
見通し
をわれわれがいま持つということはなかなか困難であります。できるだけこれを
拡大
しないよう、また、その国と特殊な
関係
を持つ
大国
の
責任
というものを強調して、これをやはり
戦争
の
拡大
に至らないように
早期
に
解決
するように
努力
をするということが現在のわれわれの
立場
でございます。
岡田宗司
9
○
岡田宗司
君 現在、いわゆる四
大国
が
舞台裏
でもっていろいろな
話し合い
をする
努力
をしておるようでございます。しかしながら、この四
大国
の
話し合い
だけで私はこの問題が急速に片づくとは思わない。現在、
英米
と
ソ連
とは、ともに
戦争
の
拡大
を好まない
立場
にはあるけれ
ども
、やはりいろいろと
立場
の
相違
もありまして、それを一致させることはなかなか困難である。また、
フランス
は中立的な
立場
にありますけれ
ども
、
フランス
が、両
陣営
と申しますか、
両側
に対する
圧力
というものもそれほど大きいとは思われないのであります。そういたしますと、やはり
世界世論
というもの、
世界
の圧倒的な多数の
国々
がやはり大きな
圧力
を加えて、そうして四
大国
の間に
見解
の一致をさせるようにし、さらにそれが
アラブ側
並びに
イスラエル側
に
一つ
の大きな
圧力
となって初めて
戦闘
の中止、そして
拡大防止
ということができるのではないかと思います。この
世界各国
の
動き
というものも、そういう意味で私は大きな力になると思いますが、その際における
日本
の
立場
並びに
役割り
というものも、私は重大だと思うのであります。で、過日
国連
におきまして
松井大使
からの
発言
もございましたけれ
ども
、さらに
日本
としては
厳正中立
の
立場
に立って、
収拾
に対して
世界世論
を形成する上においてやはり大きな働きをすべきではないか、こういうふうに
考え
ておるわけでありますが、この
厳正中立
の
立場
に立つということが、これはなかなか私は容易なことではないと思うのであります。いまのうちはそれでいいのでありますけれ
ども
、しかしながら、もしもう少し進んでまいりますというと、たとえば
アメリカ側
の
見解
が
日本側
に伝えられて、そうして
日本側
が
アメリカ側
の
意見
に一致するように求められる、あるいはまた
アメリカ
と
行動
を共にするように求められるということになってまいりますというと、これまた勢い、
厳正中立
の
立場
というものを失うような結果にもなろうかと思うのであります。もし
厳正中立
の
立場
がそういうようなことから失われてまいりますというと、やはり
日本
に供給される
石油
の問題にも
関係
してまいりましょうし、あるいはまた
スエズ運河通航
の問題にも関連を持ってくると思うのでありますが、そういうような観点からこの
厳正中立
の維持ということについては、これは単に現時点だけではなくて、私は相当長きにわたってこの
事態
の終息するまで続けられるべき
立場
であると思うのでありますが、その点についての
外務大臣
の
見解
並びにそれに対する
外務大臣
の方途をお伺いしたい。
三木武夫
10
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 私も、いま言われたように、
国際世論
というもの、これはやはり特殊な
関係
にある
大国
の
責任
ということは非常にあると思いますよ。しかし、そればかりではこの
紛争
の
早期解決
ということが十分だとは言えません、いろいろな
利害関係
がありますから。だから、
国際世論
をやっぱり喚起すべきである、
国連
を
中心
にしてそういう
収拾
のために
日本
は動くべきだという御
意見
には全く同感で、
松井大使
にも、そういう
政府
の趣旨に従って今後この
収拾
に
国連
を舞台に
活動
してもらいたいと
考え
ております。そういう
日本
のような場合は、これは実際に
日本
の
立場
というものは、こういう
戦争
によって、どちらかの側に立って
相手
を非難するという
立場
に私はないと思います。そういう点から、
日本
がこの
紛争
に中立的な
立場
を維持することによって、できる限り
早期
にこの
紛争
の
解決
に
努力
するという
立場
は、いま現在の時点というよりかは、
紛争解決
に至る
日本
の基本的な
態度
でなくてはならぬと
考え
ておる次第でございます。
岡田宗司
11
○
岡田宗司
君
日本
としては、
イスラエル
とも、それから
アラブ連合
その他の
アラブ諸国
との間にも
外交関係
を持っております。おそらく
両側
の
大使
からそれぞれの国の
立場
も
説明
があったと思います。また、
日本
がどういう
立場
をとるかということについても、おそらく
向こう側
から聞かれたことと思うのでありますが、この両
陣営
の国に対する
日本側
の
立場
は、すでに
説明
されたのでしょうか。
三木武夫
12
○
国務大臣
(
三木武夫
君)
出先
の
大使
を通じて、
両国政府
に
日本
の
立場
というものはすでに通達をいたしてございます。したがって、現地の
政府
に、
日本
の
政府
の
態度
というものは誤りなく伝えられておるものと
考え
ております。
岡田宗司
13
○
岡田宗司
君 いま
戦闘
が始まったので、いままでとられてきたいろいろな方策というようなものは一時中絶をしたわけでございます。たとえば
アカバ湾
の
航行
につきまして、
米英
におきましては、大きな
海運国
に対して働きかけて、
アカバ湾航行
の
自由宣言
をするというような案がありました。そして、
日本
も大きな
海運国
の
一つ
でありまして、当然
米英
のほうから何らか働きかけがあったと思うのです。しかしながら、これらはいますぐ問題にはなりませんけれ
ども
、しかし、これに対しまして、たとえば
日本
がこの
米英案
に加わるというようなことになりますというと、これは
アラブ連合
をはじめ他の
アラブ諸国
からは
イスラエル
に加担したものととられるおそれも出てくるわけであります。こういうような問題について、私は
日本
は当然慎重な
立場
をとるべきであると思うのでありますが、そういうことについてすでに
米英
から話があったか、そしてまた
日本
はこれに対してどういう
立場
で対処しようとしておったか。これはいますぐもう問題にならなくなったわけでありますけれ
ども
、しかし、この問題はなかなか重大な問題でありますので、これらについて
日本政府
としての
考え方
をお伺いいたします。
三木武夫
14
○
国務大臣
(
三木武夫
君) その
世界
の
海運国
の共同宣言ですね、公海自由の
原則
、こういうものに対してまだ公式まで行かなかったのです。非公式な連絡は受けておったわけでありますが、この問題については
政府
の
態度
は慎重でなければならぬ。なぜかといえば、
日本
のような海洋国として、公海自由の
原則
はだれよりも
日本
はこれは賛成ですからね。当然にそうなければ、
日本
としてはこういうふうな海洋国として
日本
のこの
立場
から
考え
ていっても、これは当然にどこの国よりも
日本
はそういう
原則
の支持国である。これは言うまでもないのですが、現在の時点に立ってそういう共同宣言というものが
事態
の
収拾
にどういう
役割り
を果たすであろうかということについては、
政府
は慎重に
考え
ざるを得ない、
原則
にはもう前から賛成しているのですから。そういうことで、もし公式にこういう申し出があったときには、きわめて慎重な
態度
で検討を加えたいという
考え
でしたが、いまここに、ああいうぐあいに
戦争
になってしまったものですから、これはまた新たなる
事態
になったと、こういうふうに
考え
ております。
赤間文三
15
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記をとめてください。
赤間文三
16
○
委員長
(
赤間文三
君) 速記を起こして。
岡田宗司
17
○
岡田宗司
君 この
アカバ湾
の
航行
の問題は、直接
日本
にも
関係
のある問題だと思うのです。と申しますのは、
日本
と
イスラエル
の間に貿易が行なわれておりまして、
日本
から
イスラエル
に行く船が
アカバ湾
を入りまして、そしてエイラートの港に行っておるわけであります。現在その
航行
は非常にむずかしい状態になってきたと思うのでありますが、これは
日本
にとりましては重大な、
原則
的に非常に重大な問題であると同時に、実際的にも現在
戦争
に巻き込まれる地帯にあるわけでありますから、その
航行
は危険であり、また、場合によれば停止されなければならぬ問題であるわけであります。現在エイラートに
日本
の船がいるのかどうか。それからまた、
イスラエル
向けの船は、
日本
船はすでに
航行
を停止しておるのかどうか、または途中にあるものは、その
イスラエル
の港に向かうのを避けるように命令が出されているのかどうか、その点はどうか。
三木武夫
18
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いまは
アカバ湾
には
日本国
籍の船は行っておりません。
岡田宗司
19
○
岡田宗司
君 それから、向こうへ行く船もない、あるいはまた、途中にある船もないわけですか。
三木武夫
20
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 定期船がないもんですから、ああいう
紛争
になったからむろん行けるわけはないのですが、ああいう
紛争
のときには
日本
の国籍の船は行っていなかった。定期船もない。
岡田宗司
21
○
岡田宗司
君 それから次に予想されるのは、たとえばスエズ運河を通ってハイファの港に入る
日本
船ですね、こういうものについて、スエズ運河の通行を禁止される、あるいは停止されるおそれがあるし、また、そういうことも起こり得ると思うのですが、その点についてはどういう措置をとられていますか。
三木武夫
22
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いまハイファに来る定期船はないようですけれ
ども
、しかし、われわれとしてはこれに対してはやはりあらゆる場合を
考え
ての配慮は必要であると
考え
ております。
岡田宗司
23
○
岡田宗司
君 いまの
状況
がさらに
拡大
していくというと、スエズ運河の
航行
がとめられるという
事態
が起こりかねないと思うのでございます。これは
日本
の貿易
——
中近東
、ヨーロッパあるいは北アフリカに対する貿易にとりましても非常な打撃になることであります。当然スエズ運河の
航行
が行なわれるように
日本側
としても
アラブ連合
側に働きかけるべきであると思いますが、こういうような措置はとられておりますか。
三木武夫
24
○
国務大臣
(
三木武夫
君) お説のとおり、スエズというものはこれはたいへんな
影響
を与えますから、
事態
がいかに進展しようとも、スエズ運河を閉鎖するようなことのないような、やはりこの点については特に
政府
からも
出先
外交関係
を通じてもこの確保には最大の
努力
を払いたいと
考え
ております。
岡田宗司
25
○
岡田宗司
君 次に、こういうように
イスラエル並び
に
アラブ諸国
との間の
戦闘
が
拡大
されてきますと、やはり
両国
にその
戦闘
を中止させるための
圧力
として、
両側
の国からそれぞれの国に対して武器等を供給することを中止すると申しますか、そういうような案が出てくるだろうと思うのであります。
アメリカ側
ではすでにそれを提案しだしているようでありますけれ
ども
、当然そういうような措置もとられてくる。しかし、この武器といいましても、直接
戦闘
に役に立つ武器以外にそれぞれの国のいわば戦力の培養になるような物資もあるわけでありまして、これらのものまで含まれてくるということになりますというと、これは
日本
にとりましてもやはり相当
影響
もあろうかと思います。また同時に、そういう措置がとられたことに対する
一つ
の対抗措置として
石油
の供給の中止というようなことも
考え
られると思うのでありますが、それらの点について
日本政府
としてはどういう配慮をしておりますか、お伺いしたい。
三木武夫
26
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 従来とも、いまの
紛争
地帯に
日本
は武器などは売っておりません。したがって、これによって、この
紛争
が起こったから、特別に
日本
の
政府
の
態度
が変わったということにはならない。だから、
日本
の場合はこの武器の問題については
関係
は非常に薄いわけですが、また、ほかの
国々
でも
紛争
地帯へやっぱり武器というものの輸出というものは当然にやめられなければ、一方に平和というもののために
努力
しながら、一方で武器を売るというようなことは、武器を供給するということは非常な矛盾でありますから、
紛争
地帯に対しては、これはいずれの国も武器の輸出はとめるべき性質のものだと、私も
岡田
さんと同様に
考え
る次第でございます。
岡田宗司
27
○
岡田宗司
君 その直接の武器はもちろん
日本
から送ってもいないし、また、そんなことはない、これからもないと思うのでありますけれ
ども
、いわゆる間接的に戦力の培養になるようなものというと、これは非常に広いわけであります。そういうものについて
相手
側からの指摘があり、そしてそれによってまた片方で対抗措置をとるということになってまいりますと、ただ直接的な武器でなくて、そういうものまで含めるということになると、これはまた将来
影響
も出てこようかと思うのであります。特に私
ども
がおそれるのは、そういう場合に、
アラブ諸国
の結束によって
石油
の供給が停止されるような
事態
が起こるのではないかということですが、その点について、まあ、一面においてはかなり楽観的な
意見
がある。別に、
アラブ諸国
からの
石油
の供給はとまらないだろうという楽観的な
意見
もあるし、しかし、戦火が
拡大
すればあるいはそういうことになりかねないというか、かなり警戒的な
意見
もあるわけであります。
政府
としては、この問題についてはどういうように対処されていきますか。
三木武夫
28
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 直接の武器でなく、それに戦力ということになってくると、関連性を
考え
ていけば、思いがけないものがそういうふうな関連性ももたらしてくるのかもしれませんが、いま
原則
的にこうだとは言い切れませんが、やはり
早期
に、平和的にこの
紛争
を
解決
をしたいという願望に反しないように、その問題、問題で処理するよりほかにないと
考え
ております。いまここで線を引くというようなことはなかなかむずかしい状態でありますから、一日も早く
紛争
の平和的な
解決
を
日本
としたら一番望む国の
一つ
ですから、そういう角度からいろいろ良識のある措置をするということ以外に、何か個々についてどうということはちょっとなかなか申し上げられないと思います。
岡田宗司
29
○
岡田宗司
君
石油
の供給については、大体
政府
は心配ないというお
考え
ですか。
三木武夫
30
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 現在のところ、やはり
石油
の供給に対しては不安はないと
考え
ております。
岡田宗司
31
○
岡田宗司
君
イスラエル
、
アラブ連合
その他の
国々
に
日本
人の滞在しておる者はありますが、それらがやはり
戦争
の危険を受けなければならぬような
事態
にもあるわけです。特にそれぞれの首都に対して
空襲
が行なわれておるというような
状況
は、やはりそれぞれの国におります
日本
人が非常に危険だ。これに対しては、至急引き揚げなり何なりの措置が講ぜられなければならないわけでありますが、それらの措置はすでに命令をされておるかどうか。
三木武夫
32
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いま
紛争
の地帯における在留
日本
人は五百四十五名おりますが、
イスラエル
に百十五名、
アラブ連合
に二百二十名、シリアに十三名、レバノンに百九十二名、ヨルダンに五名いるわけでございますが、御承知のように、カイロはいま
空襲
な
ども
あって、民間飛行場というものが、通告があるまでということで閉鎖になっているわけであります。したがって、カイロの飛行場から
日本
に帰るとか、あるいはどっか場所を移動するというようなことが、なかなか飛行場を使えませんから、いまは非常に困難でありますが、しかし、
アラブ連合
の
政府
当局も、飛行場付近の
戦闘
が平穏になれば、特別機のカイロ飛行場へ立ち寄ることに対してはこれを解くという意向でもありますので、この
戦争
の進展とにらみ合わして、場合によったならば、アテネから特別機を回して
——
戦争
の進展いかんによってですが、在留
日本
人の引き揚げに万遺憾なき処置をいま行なっている次第でございます。外交のいろいろな折衝を行なっている、そういう場合のことを
考え
て。
岡田宗司
33
○
岡田宗司
君
イスラエル
の場合は非常に出にくいわけでありますが、これはやはりアテネに集結さすという方針ですか。
力石健次郎
34
○
政府委員
(
力石健次郎
君)
イスラエル
の場合、事実非常に出にくいので、もし日航が特別機を
イスラエル
のテルアビブの飛行場に着けることができない状態であればどういう手を打てばいいかということを、現地の
大使
館にすぐ調べて返事をくれるように訓令している段階でございます。
岡田宗司
35
○
岡田宗司
君
日本
から特別機を出す場合に、
中近東
の
アラブ諸国
の上空を通るわけですが、これは現在の
戦闘
状況
からいって必ずしも危険ではないというふうにお
考え
ですか、大体通れるとお
考え
ですか。 それから、
日本
とヨーロッパとの間の南回りの定期航空便は、カイロに寄らないで、直接カラチその他からベイルートあるいはアテネというふうに行けば危険なしに行ける、そういうふうにお
考え
ですか。
力石健次郎
36
○
政府委員
(
力石健次郎
君) これは特別機を飛ばしますときは、あらかじめ
相手国
政府
及びそれの反対側のつまりUARに飛ばしますときには、
イスラエル
に対しても
事前
に了解を求めまして飛ばすつもりでございますので、さほどあぶないことはないんじゃないかというふうに
考え
ております。
岡田宗司
37
○
岡田宗司
君 またもとの問題に戻りまして、
日本側
のなす
役割り
ですが、もちろん四
大国
のような大きな
役割り
は演ぜられないと思うけれ
ども
、国際的世論を高めていく上での
一つ
の
役割り
はできると思う。特に
安保理事会
ですね。これは
日本
も非常任理事国として
安保理事会
に加わっているわけでありますが、したがって、
安保理事会
の段階において何らかの
活動
ができるというふうに
考え
るけれ
ども
、
安保理事会
は、いまのところなかなか五
大国
の
意見
の一致も見られそうもないので、問題はむずかしいわけでありますけれ
ども
、
日本側
として、たとえば
アメリカ側
に対して、あるいは
ソ連
側に対して、
日本側
として
考え
ておる提案、単に
厳正中立
を維持するとか、
戦闘
をすみやかに中止して平和的
解決
をもたらすというような抽象的なことではなくて、
アメリカ
並びに
ソ連
に対して何らかの具体的な提案をするつもりがあるかどうか、この点お伺いしたい。
三木武夫
38
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 御承知のように、
安保理事会
は毎日のように開かれておる。ウ・タント事務総長からも訪日中止の通告も受け取ったわけであります。
早期
にこれを
解決
しようという根限りの
努力
が続けられておるので、いま
日本
が、特にこういう点で新しい提案というものは
考え
ておりませんが、
日本
は両方とも、
日本
の
関係
は、どちらにも片寄るという
立場
で
日本
はないわけでありますから、
日本
の果たす
役割り
も
国連
を舞台にして相当あるわけでありますから、必要に応じて
ソ連
にも話すだろうし、
アメリカ
にも話す。そして、とにかくこれ以上
拡大
しないようにその
努力
をするということが今日の
日本
の
立場
としては一番適当だろうと
考え
ておる次第でございます。
岡田宗司
39
○
岡田宗司
君
日本政府
としては、この
中近東
のこういう
情勢
がさらに悪化してくるということが、アジアにおける最大の
紛争
であるベトナム問題、これにどういう
影響
を与えるか、これどういうふうにお
考え
になっておりますか。これは、私は相当大きな
影響
がある。また、このために、ベトナム
戦争
があるために向こうでああいう
事態
が起こったとも
考え
られる。また、ああいう
事態
が起こったことによってベトナム
戦争
の
解決
が非常にむずかしくなったというふうにも
考え
られる。決してこの二つの
事態
は別々のものではない。こういうふうに特に重大に
考え
られるのですが、この点についての
政府
の
見解
はどういうふうにごらんになりますか。
三木武夫
40
○
国務大臣
(
三木武夫
君) いま、問題がむずかしくなったのではないかと、国際政治のいろんな推測を加えれば、そういうお
考え
も成り立つでしょうが、私はどこもかしこも、なかなか局地戦といいますか、そういうものが
収拾
できないという
事態
に対して、これはもうこういうことになれば、たいへんなことになるということで、一面から言えば、そういう
戦争
の終息というものに対して一段とやはり
世界
の世論というものが盛り上がってきて、そしてかえってむずかしいというよりかは、やはり平和
解決
を促進する一面もあるのではないかと、そういうことで、必ずしも
政府
の
意見
でなしに、いまの
イスラエル
と
アラブ連合
とのこの
紛争
がベトナム
戦争
の終息をむずかしくするというよりかも、何とかしてこれは地域的な
紛争解決
を早くしなければ人類の将来にたいへんなことになるという、こういう
世界
的世論というものは一段と盛り上がってくる面もあって、そういうことで、必ずしもあの
イスラエル
と
アラブ
との
紛争
が、より一段とベトナム
戦争
の
解決
をむずかしくしたという観測はいたしていないのでございます。
岡田宗司
41
○
岡田宗司
君 そういうふうになっていけば、私
ども
もたいへんいいと思うのですけれ
ども
、しかし、なかなかそう楽観も許されない
状況
にある。やはり
日本政府
としても、
国際世論
の喚起につとめられて、
日本
自身も、その場合に、積極的に
厳正中立
の
立場
をとりつつ、早くこの
事態
が終息されるように御
努力
を願いたいと思うのであります。
羽生三七
42
○羽生三七君 ちょっと関連して、いまの問題で一問だけ、簡単ですが。 いままでの
岡田
委員
の質問に対する外相の御答弁、これは全面的に同感です。大いに敬意を表します。ただ問題は、
紛争
が起こった最初からどっちか一方に加担するなどということはあり得ざることで、これは現時点では外相のおっしゃるとおりだと思いますが、しかし、
米英
陣営
のうち、特に
米英
あたりから特に強い要請があり、あるいは将来問題が発展していったような場合、いまの様相と異なるような条件が出てきたような場合、それでも、この
アラブ
と
イスラエル
との
紛争
には、とにかくこの
戦争
にはいかなる
事態
に発展しようとも、絶対に
日本
が、先ほどお話しになったような中立を守り通すと、こういう理解をしてよろしいかどうか。私自身は、それほどこれが大規模な
戦争
に発展するかどうかはいささか疑問に思っておりますが、しかし、それにしても、万一そういうことが起こった場合にも、いわゆる終局的にその
態度
を貫かれると理解してよろしいかどうか。
三木武夫
43
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 私は、これは
日本
がこれに介入する
理由
がないではないか。やはり、この
紛争
に対して介入をしないで、中立的な
立場
で、そうして、
紛争
の
早期解決
のために
努力
することが
日本
の方針だと私は信じておるものでございます。
岡田宗司
44
○
岡田宗司
君 私の最後の質問ですが、これは沖縄の
船舶
がインドネシアでインドネシア海軍に拿捕された問題ですけれ
ども
、過日沖縄特別
委員
会で私が外務当局に対しましてどういう措置をとったかということを聞いたのでありますが、その際に、西山
大使
がマリク
外務大臣
あるいはまたスハルト代理大統領と会ったときにその話を持ち出しておるようでございますけれ
ども
、アンボンに抑留されておる
人たち
との連絡はとれてない。特にアンボンに出向いて実情についての
調査
あるいはそのつかまった
人たち
と会っておるというようなことが行なわれておらない。そこで私は、それを当然行なうべきであるということを言っておいたのであります。これらの点につきまして外務省はその後どういう措置をとったか。とにかく、もうつかまって、第一のものは約一カ月になるわけであります。当然私は、つかまったものに対して、
日本
大使
館は現地におもむいて、つかまった
人たち
と面会をし、事情を聞き、あるいは当時の実情を
調査
すべきであると思うが、そういう点がどの程度まで明らかにされておるか、また、そういう措置がとられたかどうか。その点をお伺いしたい。
東郷文彦
45
○
政府委員
(東郷文彦君) 前回、沖縄特別
委員
会においてその問題に関しまして、私、交通が不便だということを申し上げたわけでございますが、この拿捕がありましてから、できるだけ早く現地に行くようにということはすでに訓令しておったわけでございますけれ
ども
、現実にアンボンに行く飛行機は、マカッサル経由で週一往復、そのマカッサル飛行場の故障か何かで五月初めからその飛行機が全然飛んでおらない。船で行きますにも定期船もなく、特にサンパンをさがしまして行くならば行く。それにしても十日かかるし、便船がなかなかつかまらないというのが実情でございまして、まことに遺憾ながら、まだ
大使
館員を現地に派遣することはできないでいる次第でございます。しかしながら、お話しのとおり、なるべく早くわれわれとしても現場において実情を調べる必要があると思っておりますので、なお、最近の便をさがして行くように、
努力
するようにということを
出先
の
大使
に申しておる次第でございます。先週以来、遺憾ながら、まだ館員が現場に行くところまでいっておらないわけでございます。
岡田宗司
46
○
岡田宗司
君
外務大臣
、非常に遺憾なことでありますので、やはり至急にそういうふうな処置をとっていただきたいと思います。特に私、インドネシアとの
関係
で、この領水の問題ですか、これはやはりインドネシア側との間に話を進めて、そして安全操業のできるような措置を講じていただきたい。これはやはり沖縄だけでなくて、
日本
の漁業にとりましても重大な問題だと思うのです。何といっても
日本
とインドネシアが友好
関係
にあり、相当
日本側
からも財政援助もし、また、いろいろな経済開発等についての協力もしているおりでありますから、こういう
事態
が起こることは、今後のインドネシアとの
外交関係
の上にもおもしろくない
事態
である。これはひとつ、単に事務的な
解決
がなくて、外交上の
一つ
の問題として
解決
をされるように御
努力
を願いたい、こういうことを
一つ
。 もう
一つ
は、前々から沖縄の漁船員等が外国でつかまった場合には、これは第一義の外交
保護
権は
日本
にあるということで、
外務大臣
もそういう処置をとられておる。また、そうも言明されておったわけでありますけれ
ども
、アンガー高等弁務官と
アメリカ側
とは、船員並びに船についての問題は
アメリカ側
に
保護
権があるのだということを言っているようでありますが、この点について、まだ
アメリカ側
が船員の外交
保護
権についてはっきりした了解がないために、そういうことになっているのじゃないかと思うのですが、その点について
日本側
としてはもっとはっきり主張されたらどうか。そして
アメリカ側
に、この問題について、いま言ったように、船員等の
保護
権については
日本側
にあるのだということを認めさせるような措置をとられたらと思うのですが、その点いかがでしょう。
三木武夫
47
○
国務大臣
(
三木武夫
君)
岡田
さんの最初の、やはりインドネシアとの間に、つかまって釈放みたいなことばかり繰り返してはいかぬではないか。これは安全操業について外交
交渉
を通じてもっと根本的な
解決
をはかれということ、私もその必要を感じておる。この前も
日本
人でありましたけれ
ども
、そのときも非常にたいへんな
——
釈放されましたけれ
ども
ぽんとうに船員の
人たち
、船員の家族は非常に不安な気持ちで、この問題は、問題が起こってから処理するということではだめなので、安全操業についてインドネシアと
話し合い
をする
考え
でございます。いま検討を加えているわけでございます。 それから、沖縄の漁船の
船舶
と船員については、
船舶
は船籍が沖縄であるものでありますから、第一義的な
保護
は
アメリカ
がやるわけです。船から離れた沖縄人というものは、
日本国
籍を持っているし、これは
日本
が第一義的にこれの
保護
に当たることは当然のことだと
考え
ておりますので、
岡田
さんのおっしゃるような、そういうお話があるならば、これは明らかにするつもりでございます。そうでないと、船から離れたらこれはもう
日本
の国籍がある。
保護
の第一義的な任務はわれわれ
日本政府
にある。しかし、
アメリカ
とはこれは連絡をとって、船と人間というのは、分けても、やはりこれは非常に結びつくものですから、
アメリカ
の
出先
外交機関とは連絡はとらなければならぬけれ
ども
、
考え方
としてはそういう
考え方
でやりたいと
考え
ております。
森元治郎
48
○森元治郎君
一つ
だけ、あと大和君がやりますから、
一つ
だけ伺いたい。
大臣
のお話を聞いていると、
国連
中心
で
中近東
問題は片づけていく、不
拡大
を願う、
厳正中立
でいきたいのだ、
世界
の平和的世論の喚起だ、こういうことでありましたが、ただ
一つ
御答弁の中に、「背後の
大国
の
責任
」ということばがあったのですが、背後の
大国
の
責任
云々というところがね。この事件は、背後の
大国
にあやつられているのかどうか。一体、それはいずれの側がいずれの
大国
にあやつられているのか。「背後の
大国
の
責任
」というのはちょっと大事な
発言
だと思うのですが、その点の御
説明
をちょっと伺いたいと思います。
三木武夫
49
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 「背後」ということばは使ったですか。
森元治郎
50
○森元治郎君 使いました。
三木武夫
51
○
国務大臣
(
三木武夫
君) それは適当ではありません。これはやはり
関係
の深い
大国
それぞれの国、だから「背後」ということばは適当なことばじゃありません。それは訂正をいたします。これはやはりそれぞれの
関係
の深い
国々
ということで、「背後」というのは、これは私記憶しないのですけれ
ども
、もしあったとしたならば、不適当なことばであります。その国と
関係
の深い国ということであります。
森元治郎
52
○森元治郎君
三木
大臣
はなかなか答弁がうまいですよ。そのうまさがどこにあるかというと、簡単なんです。プレゼンテーションがうまいのです。
内容
よりプレゼンテーションがうまいから、なかなかいいといわれる。私はそうは思わない。そこで私は、さっきからあなたが言うのをちょっとメモしていたら、「背後の
大国
」というのがあったのですよ。そこで私は伺った。
三木武夫
53
○
国務大臣
(
三木武夫
君) それは訂正いたします。「背後」というのは適当ではありません。
大和与一
54
○大和与一君 いまの「背後」というのは確かにおっしゃったのですけれ
ども
、それは別にして、
国連
を
中心
にして中立的
立場
で行く、
国連
に協力する、こういうふうにおっしゃったと思うのですが、一体、今回の
国連
軍のガザ地区の撤退、これはウ・タント事務総長だけが独断で撤退を指示すとるいうことに間違いはないのか。
国連
法規に照らしてもどうなのか。それを
一つ
。
三木武夫
55
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 私が聞いておるのは、権限は事務総長にまかされておる。事務総長の独断でやれる権限を持っておって、それによってウ・タント事務総長がやったと、こう私は承知いたしております。
大和与一
56
○大和与一君 そうしますと、やはり今回のこの事件の
拡大
は、非常にそれが大きな問題だと私は思っておるのです。そこで
国連
を信頼ができない。われわれは、さっき
外務大臣
がおっしゃるけれ
ども
、いまの
国連
は分担金も払い込まれていない。なかなか力も足りぬ。あるいはウ・タント総長の今回の指示というものは重大な間違いをしたのではないかとも、私個人としては思っておるわけであります。そうしますと、私は、
国連
を
中心
にして
政府
が協力すると言うが、それじゃ、
国連
に対して
日本政府
はどういう
態度
をきちんととっていらっしゃるのですか。中立ということだけを言うのか。具体的にいろいろな問題が起こった場合に、やはり
一つ
一つ
はっきりイエス、ノーと言いながら
国連
をあと押しをする、こういうことになると思うのですが、そういう点の
見通し
なり具体性はどうですか。
三木武夫
57
○
国務大臣
(
三木武夫
君) それはどういうことが起こるか、いま予想はつきませんが、この問題はこの
紛争
を
一つ
の
戦闘
行為によって片づけようとするものではなくて、やはり平和的に
解決
するという大きな方針のもとに、いろいろな起こってくる問題を処理していくよりほかにない。いろいろな問題ということは手がつきませんから、それはやはりこういう大きな太い線に沿うて、そして問題を処理するほかにはないのではないか。いろいろなことが起こることをいま想定して、その場合にこうだ、ああだということはちょっと言いにくいんじゃないでしょうか。
大和与一
58
○大和与一君 昨年私はアフリカに行ってきたのですが、
アラブ連合
の国の状態は、
一つ
は、イエメンに相当の軍隊を送って非常にその
収拾
に手こずっておった。国内においてはアスワン・ハイダムがあって、ダムができるにはできたが、操業はまだまだで、そういうときにこういうふうな具体的な事実が起こったということは、さっき打ち消されたけれ
ども
、非常に
関係
の深い国との
一つ
のつながり、それとあわせて、
岡田
さんおっしゃっているように、ベトナムとの問題でも大きく
世界
的に関連がある、こういうふうに
考え
ますが、その
関係
の深い大きな国というのは一体何ですか。
三木武夫
59
○
国務大臣
(
三木武夫
君)
関係
の深いというのは、たとえば
アラブ
にしても
イスラエル
にしても、従来からみな親密な
関係
を持って
影響
力がある国がありますから、それは単数ではないですよ。いろいろやはり
イスラエル
でも
アラブ諸国
に対しても従来から
関係
の深い
国々
、
影響
力がある
国々
、こういうことであります。
大和与一
60
○大和与一君 チラーン海峡を船が通るのがむずかしい問題のようですが、もしも
アラブ連合
が言うように、十二海里説ということを唱えれば、海峡は全部
アラブ連合
の領土になってしまう。しかし、国際法の大
原則
による三海里説に従うならば、岩礁がたくさんあって通りにくいけれ
ども
、国際航路として、どこの船でも通過できるのだが、
日本政府
の現在の常識はどういうような
見解
でしょうか。
三木武夫
61
○
国務大臣
(
三木武夫
君) あそこの海峡はいろいろな角度の議論があろうと思います。したがって、国際的な水路ということは間違いない。あの
アカバ湾
から入って四カ国ほどあるのです。これに対していろいろな
意見
が出てくる余地はあると思います。そういうことで
紛争
にもなるわけです。けれ
ども
、やはりそれは国際的な航路であるということには間違いがないが、それが領海説ということになってきますと、いろいろ各国によって領海というものも違うし、また、ああいう場合の領海というものが実際に適用になった場合にはどうなるか、普通の領海とも違ったものであって、これが
紛争
の
一つ
の原因にもなっておるわけでありますから、そういうことで
紛争
が起こっておるときに、やはりこの問題に対して
日本政府
がどうということは適当でないと思います。そういうことで、この問題が
解決
をすれば、そういう問題もやはり
解決
されなければならぬというふうに
考え
ております。
大和与一
62
○大和与一君 スエズ運河に万一のことがあるかもしれないということも
一つ
考え
られますが、その紅海の入口にいま
日本
の清水組という会社が岩盤を掘っており、しゅんせつ船が置かれている。そこへ行ってきましたが、その船が横を向けばスエズ運河はとまってしまう。
日本
としてはそこの一番第一線に近いところに
日本
人がおるのです。その
人たち
が一番苦労するわけですが、それに対して
政府
としてはいまから具体的にどういう
事前
措置が
考え
られるか。
力石健次郎
63
○
政府委員
(
力石健次郎
君) 清水組の人がスエズ運河に働いておられることは事実でありまして、多少カイロから離れているために、その
人たち
の安全を確保するために、約十日ほど前だったと思いますが、すでにわが方の在UAR
大使
館でも、何か事が起こればいつでも適当な措置がとれるように、すなわち、すみやかにカイロまで引き揚げてこられるように、油その他の準備をいたして置くようにという指示をいたしております。したがって、現在どうなっているかはまだ報告が来ておりませんが、現地ではそういう準備をしておると思います。
大和与一
64
○大和与一君 先ほど、
イスラエル
からの
日本
人を国外に引き揚げさせるための飛行機の話が出ましたね。しかし、そちらのお話としては、そんなに心配はない、
日本
に対する好意というか、そう悪意はないから。そうすると、飛行機だけでなくて、たとえば自動車でレバノンからイスタンブールに行くということは
考え
られるのですか、シリアでもいいが。
力石健次郎
65
○
政府委員
(
力石健次郎
君) シリア、レバノンにおります在留邦人につきましては、一応いつでもレバノンに集まってこれるように……
大和与一
66
○大和与一君
イスラエル
からは。
力石健次郎
67
○
政府委員
(
力石健次郎
君)
イスラエル
からはむずかしいと思います。
大和与一
68
○大和与一君 最後ですが、そうすると、
外務大臣
は、今度の問題については
厳正中立
を堅持する。それで今後も押し通す。そうすると、ベトナムについてとちょっと形が違う。いろいろ
アメリカ
との
関係
もあるからそんなに
厳正中立
でない、だから、特需も大目に見るしLSTも行っているということでありますか。
三木武夫
69
○
国務大臣
(
三木武夫
君) ベトナムについては、われわれとしては安保
条約
、これに附属する協定の
義務
を果たす。ベトナム
戦争
に対してわれわれが軍事的に介入するなどというのはできるものでもないし、また、していないことも事実でございます。われわれは、
条約
上の
義務
はこれはどういう場合にも果たしていくということであります。
大和与一
70
○大和与一君 そういう
大臣
の巧妙なじょうず、なお答えが困るのですよ、わがほうの
委員
もいろいろ言っているように。
中近東
に対しても
厳正中立
堅持と言っておられる。そうしていまのベトナムのお話はわかりました。
政府
の言うのはわかっているけれ
ども
、争ういうことがだんだんともやもや起こってくる可能性があった場合に、一体
大臣
の言っているような
厳正中立
とは違うのじゃないか、色がついたのじゃないか、傾いたのじゃないか、こういうことを
国民
は心配する。だから、明らかにベトナムと違う、同じ中立でも違う、こういうおうにおっしゃるのですか。
三木武夫
71
○
国務大臣
(
三木武夫
君) 中立という意味が、
日本
が安保
条約
によっていろいろな協定を
アメリカ
と結んでおるこの
義務
というものは履行しなければならない、その
義務
を履行するという
責任
はあるわけですから、それを中立的でないと言うならば、それは解釈の御自由ですと、しかし、われわれとしてはベトナム
戦争
に対して軍事的に介入していないことは事実でしょう。これはそういう意味において、われわれはできる限り、ベトナムに対して、
日本
が深くこの
戦争
に介入という
態度
はとろうとしていないのであります。ただしかし、
条約
上の
義務
を履行したいということであります。何も、いま森さんの言われるように、プレゼンテーションがじょうずへたということでなくて、私は誠心誠意答えておるのであります。
大和与一
72
○大和与一君 私も誠心誠意お尋ねしておりますが、純一無雑で中立を
政府
はいかなる国に対しても堅持してもらいたい。終わります。
岡田宗司
73
○
岡田宗司
君 関連。いまベトナム
戦争
に関連して、
日米
安全保障
条約
による
日本側
の
義務
というようなことを言われたのですが、このベトナム
戦争
に対して一体
日本
は安全保障
条約
上
アメリカ
に対してどういう
義務
を具体的に負っているのか、具体的に示してもらいたい。
三木武夫
74
○
国務大臣
(
三木武夫
君) ベトナム
戦争
そのものが、安保
条約
から具体的に
義務
ということはないのですけれ
ども
、たとえば
アメリカ
の飛行機が
日本
の空港に立ち寄ることはできるわけです、安保
条約
によって。そういう場合に、それがやっぱり休養したりするような場合がある。給油をしたりする場合もある。そういうことで、直接
日米
安保
条約
からベトナム
戦争
ということには直接の
義務
を負うておるというような
規定
があるとも思いませんが、そのことが、
アメリカ
の安保
条約
から来る
規定
が、ベトナムに対する補給などの場合に、これが
アメリカ
自身が安保
条約
のワク内において、ベトナム
戦争
との間に、補給的なそれは利点が行なわれておるというような
関係
はあり得ると
考え
るわけでございます。
岡田宗司
75
○
岡田宗司
君 これはひとつ
条約
局長に、
条約
上法理論的にどういう
関係
にあるか、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
藤崎萬里
76
○
政府委員
(藤崎
萬里
君) 安保
条約
、地位協定上、合衆国が元来できることを、そのままベトナム
戦争
に関連しても継続していけるということでございまして、一口に言うならば、許容の
義務
と、
日本
の
義務
として、そういうふうに言ったらよろしいかと思います。
岡田宗司
77
○
岡田宗司
君 そうすると、直接にはベトナム
戦争
について、
日本
がいままでより以上のものを与えるということはないわけですね。
条約
上。
藤崎萬里
78
○
政府委員
(藤崎
萬里
君) 「以上の」ということばの意味でございますが、いままで与えていないような種類の
権利
というものを認めるとか、あるいは
義務
を負うとか、そういう
関係
はございません。
岡田宗司
79
○
岡田宗司
君 先ほど大和君がLSTの乗組員の問題を出しましたが、あのLST乗組員の
アメリカ
軍当局との私的契約、ああいうことは安保
条約
の条項に基づいて許されているのではないのですね。
藤崎萬里
80
○
政府委員
(藤崎
萬里
君) 安保
条約
ないし地位協定に
規定
がなければできないという種類のことではないと思いますが、しかし、ああいうような直接雇用の形態があることを予想した
規定
は地位協定にございます。
羽生三七
81
○羽生三七君 安保
条約
によって
義務
づけられるという場合、それは逆に
考え
れば、安保
条約
の精神、極東の平和と安全のために、いまのやり方では適当でない、かえって
日本
の安全をそこなうという議論もあるわけですね。ですから、必ずしも安保
条約
の
義務
という解釈は、私たちは
政府
の
考え
と一致しないということだけを申し上げておきます。これは答弁は要りません、本質的な問題ですから。ですから、またいずれ……。
三木武夫
82
○
国務大臣
(
三木武夫
君) またわれわれもそれには賛成をしない。
赤間文三
83
○
委員長
(
赤間文三
君) 他に御
発言
もなければ、事件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四分散会 —
——
——
・—
——
——