○
国務大臣(
三木武夫君) 最終的には、私はやっぱりああいう
一つのアジア太平洋機構といった背景の中には、アジアの南北問題の解決というものが私の頭の中に非常に大きくあるわけであります。やはりこれからの問題というのは南北問題だと思っているんですね、最大の課題は。そういうことで、
世界全体の南北問題の解決のためにわれわれも協力しなければならぬのでありますが、アジアの一員ですから、アジアの
地域的な責任というものを果たしていこうということを考えたときに、
日本はアジアであって、アジアだけで解決するということもできませんから、やはりもう少し広い範囲内で、アジアの動向に対していろいろな直接の
影響を持つ国々、これは遠い国々より関心が深いことは明らかですから、そういう広さで将来はやはりアジアの南北問題の解決、それをアジア・太平洋という広さで考えていきたいというのが、これが一番のねらいであり、そのためにはいろいろな案が将来出てくると思いますよ。ただしかし、
日本側が先に案をつくってそうして追い込んでいくということはよくない、反発が起こりますから。だから、いまやるのは、
一つにはやっぱりアジア・太平洋というものの全体の意識というものを高めなけれればならぬ。また、アジア自身の
地域協力、こういう機運というものも盛り上げていかなければならぬ。このため
日本はできるだけのことをしたらいいと思います。
日本ができるだけのことをすれば、アジアというものは結びついてくるんですよ。みなアジアのリーダーというものは、初め独立するときには、非常に独立独立ということで指示したんでしょうけれども、いまはもう
国内建設ですから、アジアのリーダーに課されているのは非常に現実的になっておるんですから、あまりイデオロギーばかり言ってもめしは食えぬという感じですから、そういうことで非常に現実的なじみな考え方を持ってきておりますから、これが背景になってアジアの
地域協力というものも非常に進んできておるわけですから、この問題もやっぱり
日本もできるだけの後援をしながら
地域協力の機運を盛り上げていったらいい。太平洋の先進諸国、これは
貿易の上からいっても結びつきが多いんですから、こういう国々がやっぱり将来
貿易の自由化という線に沿うてもっと結びつきが出てくるんですね。このアジア・太平洋の先進諸国というものの協力
関係というものも、これは
一つの検討に値する。こうなってきたら、こういう三つの側面があって、こういう雰囲気の中にやはりアジアと太平洋先進諸国を結びつけて、アジアの南北問題の解決に寄与したい。これがアジア・太平洋
外交といわれておる内容でございます。そういう形以外にアジアの南北問題を解決する方法はないと強い確信を私は持っている。それをあまり急いでやったら、それは
日本が何かいろんなことを考えているのだと言って結局成功しないですから、時間をかげながらそこへ行く以外にアジアの開発というものを促進する道はないのじゃないか。その確信のもとに、これは
羽生さんなどのいろんな見識を持った方々の御協力も得て、これをやっぱり成功させたいと願っておるわけでございます。