運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1967-06-09 第55回国会 参議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十二年六月九日(金曜日) 午前十時三十五分
開会
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
山本
利壽
君 理 事 内田 芳郎君 小柳
牧衞
君 岡田
宗司
君 佐多
忠隆
君 黒柳 明君 委 員 植木
光教
君 大谷 贇雄君 源田 実君 谷口
慶吉
君 長谷川 仁君
林田悠紀夫君
増原
恵吉
君 安井 謙君 伊藤
顕道
君 稲葉 誠一君
鶴園
哲夫君 森 元治郎君 向井 長年君 国務大臣 労 働 大 臣 早川 崇君 国 務 大 臣 塚原 俊郎君 国 務 大 臣
増田甲子
七君
政府委員
防衛庁防衛局長
島田 豊君
防衛庁教育局長
中井 亮一君
防衛庁人事局長
宍戸 基男君
労働省職業安定
局長
有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
常任委員会専門
員 瓜生
復男
君
参考人
南方同胞援護会
会長
大浜
信泉
君
南方同胞援護会
評議員
末次
一郎
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
沖繩居住者等
に対する
失業保険
に関する
特別措
置法案(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
沖繩
その他の
固有領土
に関しての
対策樹立
に関 する
調査
(
沖繩
の
施政権返還等
に関する件) (
沖繩
その他の
固有領土
に関する件)
—————————————
山本利壽
1
○
委員長
(
山本利壽
君) ただいまから
沖縄問題等
に関する
特別委員会
を
開会
いたします。
沖繩居住者等
に対する
失業保険
に関する
特別措置法案
を
議題
といたします。前回に引き続き、
質疑
に入ります。
質疑
のある方は、順次御
発言
を願います。 他に御
発言
もなければ、
質疑
は尽きたものと認めて御
異議
ございませんか。
山本利壽
2
○
委員長
(
山本利壽
君) 御
異議
ないものと認めます。 それでは、これより
討論
に入ります。御
意見
のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御
意見
もないようでございますが、
討論
はないものと認めて御
異議
ございませんか。
山本利壽
3
○
委員長
(
山本利壽
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。
沖縄居住者等
に対する
失業保険
に関する
特別措置法案
を問題に供します。
本案
に賛成の方の挙手を願います。
山本利壽
4
○
委員長
(
山本利壽
君)
全会一致
と認めます。よって
本案
は、
全会一致
をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本
院規則
第七十二条により議長に提出すべき
報告書
の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。
山本利壽
5
○
委員長
(
山本利壽
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、午後一時再開することとして、暫時休憩いたします。 午前十時三十七分休憩
—————
・
—————
午後一時四十分
開会
山本利壽
6
○
委員長
(
山本利壽
君) ただいまから
沖縄問題等
に関する
特別委員会
を再会いたします。
沖縄
その他の
固有領土
に関しての
対策樹立
に関する
調査
中、
沖縄
の
施政権返還等
に関する件を
議題
といたします。 本日は、
参考人
として
南方同胞援護会会長大浜信泉
君、
南方同胞援護会評議員末次一郎
君の御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
特別委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。 本日は、
沖縄
の
施政権返還等
に関する件について御
意見
をお述べいただきます。なお、議事の都合上、まず御
意見
をお一人二十分程度で順次お述べいただき、その後
委員
からの
質疑
にお答えをお願いいたしたいと思っておりますので、よろしく御協力お願いいたします。まず、
大浜参考人
からお願いいたします。
大浜信泉
7
○
参考人
(
大浜信泉
君) ただいま御指名いただきました
大浜
でございます。ここに御列席の
末次一郎
君と二人で
アメリカ
に参りまして、前後四十日にわたりまして、
アメリカ
の
官辺筋
では
国防省
、
国務省
、それから
大統領
府等の
官辺筋
の
方々
、並びに上院、下院の
方々等
に会い、その他
民間
としましては、
極東
問題の
権威者
である
学者
の
グループ
、さらに
アメリカ
の
外交
に
影響
を持っておるかと思われます
民間団体
として
カウンシル・オブ・フォーリン・リレーションズ——外交懇談会
と言っておるようでありますが、なお、ニューヨークにあります
日本会
、それからワシントンの
日米協会
の
会員等
、その他
スタンフォード大学
、
カリフォルニア大学
、
コロンビア大学等
の
学者グループ等
、大体百人近くの人に会ってまいったのであります。会うのは個別的に会いました場合もありますし、または
グループ
で会った場合もあるのであります。 どういう
内容
のことを話し、それに対してどういう反応があったかということを申し上げる前に、私の
立場
、
資格
を申し上げたいと存じますが、私は
政府
の使節として参ったのでないことは申すまでもないのでありますが、その意味では
民間人
ではありますが、ただし、総理府の
外郭団体
で
沖縄
問題を取り扱っております
南方同胞援護会
の
会長
、さらに
総務長官
の
諮問機関
として設けられた
沖縄問題懇談会
の座長という
資格
があり、かたがた、私
自身沖縄出身者
として従来から
沖縄
問題については
政府方面
に対しても進言、ある場合には
助言等
もしてきた
立場
にあり、社会的には非常に大きな
責任
があり、また、私の
発言
もある
方面
では
相当
反響
が大きい
立場
にあるのだと、そういう
立場
から話をしてまいりましたし、
アメリカ
の
人々
に会う際も私の
立場
を明白にして会ったのであります。なお、
沖縄
問題について、この
問題提起
の
前提条件
といたしまして、このアプローチの
角度
にも
関係
しまして、これがおのずから私の
発言
の限界というものを規定するのじゃないかと思いまして、その点を先に申し上げたいと思うのであります。 御承知のように、
沖縄
には
軍事基地
があり、さらに
アメリカ
の
施政権
があり、この
二つ
が表裏の
関係
に不可分的にからみ合っておるわけであります。そこに
沖縄
問題の
複雑性
と
解決
の
困難性
があるのじゃないかと、こう思われるのであります。この
二つ
の
関係
をどういうふうに理解するかということでありますが、
アメリカ
は従来の
声明
から判断して、ほんとうにほしいのは
軍事基地
であって、
施政権
というのは
基地
の
維持
、その
使用
の自由を
保障
する
手段
として考えておるのじゃないかというふうに考えられるのであります。そのことは、
日本
の歴代の
総理大臣
が渡米されて
アメリカ
の
大統領
にお会いになって常に
共同声明
を出しておられるのでありますが、岸‐
アイゼンハワー大統領
の
共同声明
、それから
池田総理
と
ケネディ大統領
との
共同声明
、それから
佐藤総理
と
ジョンソン大統領
との
共同声明等
について見ましても、
日本側
からは常に
沖縄
の
祖国復帰
、
施政権
の
返還
というものを提起されたに対して、
アメリカ側
は
基地
の
重要性
を強調し、
極東
の
情勢
が緩和しない限り
施政権
の
即時返還
ということは困難である、しかし、
アメリカ側
としては一日も早く
国際情勢
が緩和してこの
施政権返還
、つまり、
沖縄住民
の
悲願
である
祖国復帰
の実現が早くなることを期待しておるのだという
趣旨
の
声明
を出されておるのであります。これに対して、
日本側
も
沖縄
の
基地
の
極東
の
平和維持
の上で果しておる大きな
役割り
を認め、さらに、ひいては
日本
の
国防
との関連においても重要であるという見解をとっておらるるように理解しておるのであります。私の
立場
上、
政府
の
基本的方針
を乗り越えた
主張
をすることはどうかと思いまして、今回はとにかく
基地
と
施政権
というものを一応分離して考えて、
ことば
をかえて申しますれば、
基地
の
存続
を認めながら、この
施政
については
日本政府
が直接
責任
を負い得るような
態勢
に持っていくべきであるという
角度
から
主張
をしてまいったのであります。
向こう
で私から持ち出した
意見
は、これは、その相手方の
立場
なりあるいは前後の時間の
関係
等しんしゃくしまして、非常に詳しく述べたこともありますし、簡約して申したこともありますが、要は、戦後
アメリカ
の
沖縄統治
というものが二十二年の久しきにわたっておる、当初の七年間は
軍事占領
でありますが、一九五二年から
平和条約
の発効とともに、
アメリカ側
が
平和条約
の第三条に基づいて行政、立法、司法の全権を有するという規定に
根拠
を置いて、全面的に
アメリカ
の
施政
のもとに置かれて今日に至っておる。これに対して
沖縄
の
住民
がどう受け取ったかという点を申しますと、当時の敗戦に伴う精神的の虚脱、また
経済
的の窮乏、
社会的混乱
のさなかで
アメリカ
の
施政
に移されたわけでありますので、
沖縄
の
住民
もさほど強い抵抗を示すことなしにこれを甘受したということが言える。ところで、その後だんだん
生活
が安定してくると、
沖縄
の
住民
も、
自分たち
の置かれておる特異な地位に
疑惑
の念を抱くと同時に、
アメリカ
の
施政
に対していろいろ
不信不満
の点があらわれてきて、一日も早く
祖国
に復帰したいという
考え方
が強くなり、そういう
運動
が日を追うて盛んになりつつある。
アメリカ
の
沖縄
に対する
統治
には、確かに一面においては明るい面がなきにしもあらずであるけれ
ども
、暗い面があるのだ。明るい面と申しますのは、
アメリカ
の
財政援助
があり、なお大規模の
軍事基地
があって、常時数万の
アメリカ
の
軍人軍属
が常駐しておりますので、そのことが
沖縄
の
経済
にも大きく寄与している。裏返して言えば、
沖縄
の
経済
が
基地
に依存する形になっておる。その結果としまして、
沖縄住民
の
生活水準
の向上、
経済
の繁栄の上に貢献していることは否定できない。しかし、独立の
民族国家
が、その
領土
の一部を
本土
から切り離して
住民
とともに他の国の
統治下
に置くということは、人類の歴史上あまり例のない、非常に異例の
措置
である。
統治
されるものの側から言えば、他
民族
による
統治
というものは、
民族
的の
感情
、ことに
民族
のプライドなり尊厳の上からたえがたいものがあるのだ。だから、どうしてもそういう特異な環境から解放されたいというふうな声が起こってくることは当然のことである。これは幾ら
経済
的の
援助
というものがあっても、
民族感情
というものは
経済
的の代償で相殺される
性質
のものではない。どうも、
アメリカ側
が非常にこれだけの
財政援助
をやり、また、
基地
が大いに
沖縄
の
経済
に寄与しておることを
アメリカ
の恩恵あるいは功績であるかのごとくに言われる人があるけれ
ども
、そういうものではないのだ。のみならず、長年の間の
アメリカ
の
統治
の成果を振り返って見るというと、
アメリカ
の
軍人軍属
と現地の
住民
との間にはたえず
トラブル
があり、また、
アメリカ人
による
犯罪——人権侵害
だとか
交通違反
とかいろいろな
トラブル
が起こってくるけれ
ども
、それの処理のしかたを見ておるというと、あの
体制
では、
アメリカ人
の起こした事件の裁判の
管轄権
というものが
軍法会議
にあって、
沖縄
の
裁判所
、
住民
による
裁判所
にはないことになっているので、これが常に公正に処理されているかというと必ずしもそうではない。そこから
アメリカ
の
施政
の公正に対する
住民
の
疑惑
の念が起こってくるし、非常に
アメリカ
は
民主主義
を誇示しているけれ
ども
、どうも実際にやっていることを見るというと、
アメリカ
の
民主主義
を疑わしめるような事例も少なくない。そういうことがだんだん
アメリカ施政
に対する
不信不満
の
根拠
になっているのだ。また、
アメリカ
は財政的の寄与ということを非常に強調されるけれ
ども
、しかし、最近は
日本
の
経済
の
高度成長
の結果として、
日本
ではあらゆる面において
生活
の
水準
その他が向上してきている。
アメリカ
のやっている現在の
財政援助
だけではとうてい
本土
の類似県との比較においても著しい
格差
が出てきている。例を言えば、
教育
について言えば、学校の
施設設備
の面について見ても、
日本本土
と比べ
格段
の差がある。ことに
社会保障
という観点からすると、
日本
では
社会保障制度
というものが
相当
に拡充されているけれ
ども
、
沖縄
ではいまだに
——
ようやく最近
失業保険
だとか
健康保険
という法が制定されたわけでありますけれ
ども
、しかし、
日本本土
に比べては非常に
内容
の貧弱なものであり、その面においても非常に
格差
が出てくる。そうなってくると、だんだん
アメリカ
の
施政
に対する
不信不満
というものが起こり、それが同時に
祖国復帰
の
悲願
となってあらわれてくるのじゃなかろうか。このままの
情勢
で放置するということになると、
日米両国
の
協力関係
の上に大きな
障害
になるのじゃないかということもおそれる。で、
基地
が必要であるかどうかということは、これは別個の次元の問題であるので、私は一応は
基地
を肯定した上でものをこの際は考えるけれ
ども
、しかし、ああいう状態を放置するというとだんだん
反米感情
というものが高まる。また、
日本本土
内においても
アメリカ
の政策に対して非常な批判的な
立場
をとっている
政治勢力
がある。そういう
人々
の
立場
から言えば、
沖縄
問題というものは、
沖縄
の実情というものは、
反米感情
をそそり、
反米運動
を起こさせるための好個の材料になるので、この点も
アメリカ側
で考うべきじゃないかということで、
アメリカ
は最近
財政援助
の増大、それから
自治権
の拡大ということの
方針
をとって着々その方向へ必要な
措置
を講じておるけれ
ども
、むろん、それも必要なことであるけれ
ども
、そういう
手段
だけではとうてい
沖縄
問題というものは
解決
しないのだ。どうしても
沖縄
問題が
日米両国
の
協力関係
の上に
障害
にならぬようにするためには、
沖縄
の
施政
については直接
日本政府
が
責任
を負い得る
体制
に切りかえていくことが
両国
のためではないかというふうに考えるのだ。むろん、理想的には全面的に
施政権
を
日本
に返すということが望ましいけれ
ども
、一挙に
全面返還
がいま困難ならば、これは
段階
的に考えてもいい。
段階
的というのは、とにかく可能的なものからだんだん
施政権
を
日本
に移すという姿勢で臨んでいくことが必要であるのではなかろうかということを強調し、もし
段階
的に進んでいく場合には、まず
教育権
を取り上げることが一番適当じゃないかということを考えておるわけであるが、しかし、
教育
の問題に何も限ったことではないのだというふうに説明をしてまいったのであります。そこでこの問題は、なかなか
日本側
にとっても
アメリカ側
にとっても重要な課題であると同時に、この
解決
にはいろいろな複雑な要素が入ってくることであるから、
日米両国
の間で
沖縄
問題をどう処理していくかということで
お互い
に
青写真
をつくって、それを基礎にして、正式の
外交ルート
に乗せる前に
外交ルート
でも非公式に
話し合い
をするなり、あるいは
国会
、
議会レベル
で
議員相互
で
意見
を交換するなり、あるいは
民間
の
団体
あるいは
学者グループ
、あらゆる
レベル
で
お互い
に
青写真
をつくって具体的の討議を進めていくことが必要じゃないのだろうかということを強く強調してまいったのであります。そういう
趣旨
の
主張
に対して示された
反響
としましては、
官辺筋
の
人々
は非常に慎重でありまして、しかし、全然相手にしないというような
態度
は示さなかったのでありますが、昨年、
末次
君がこの種問題で
南方同胞援護会
から
アメリカ
に行かれて
官辺筋
、あるいは
民間グループ
とも会ってこられたのでありますが、昨年とことしとでは
格段
の相違が看取できるということを言っておられるのであります。昨年は、どこへ行っても、
施政権
に触れる問題は取りつく島がないほど非常にそっけない
態度
で応待したけれ
ども
、今回はそうでなしに、われわれの
主張
を大いに耳を傾けて聞き、
官辺筋
の人も、
ポイント
、
ポイント
に来ると、こういう点はどうかというふうに質問をしてきておりますし、また
教育権
返還
問題などについても、ある高官は、
内容
はどういうものかと
——
私、いま
懇談会
で
検討
しておる
具体的内容
を詳細に説明しましたが、それに対してよく理解したようであります。それで、
官辺筋
の受け答えの空気なり、
ことば
の節々から観測できることは、どうも
アメリカ
の
官辺筋
でも、
沖縄
問題はこのままほうっておけない、何とかしなければならぬという空気が起こっておる。だから、部分的には、事務的の
レベル
ではあらゆるいろいろな
可能性
について
検討
を始めだしているのじゃないかというふうに受け取れる面もあるのであります。また、
議会方面
の
方々
の
立場
は
官辺筋
の人よりは自由な
立場
、より高度な
立場
におられるわけでありますが、大体この問題は
国会そのもの
が
イニシアチブ
をとって持ち出す問題じゃなくて、
アメリカ
の
国務省
なり
国防省
なり担当の
エグゼキュティブ——行政府
のほうから問題を提議されて、コングレスとして
アメリカ政府
の
方針決定
に取りかかるという段取りになるので、いま
エグゼキュティブ
のほうから提議をなされていないのだということを
前提
として私
ども
の
主張
をよく聞いてくれて、もしそうなったときにはこういうことが気になるのだがどうかという反問のしかたもいろいろあったのであります。非常に深い関心を示してくれたということが申せるのではないかと思うのであります。また
学者グループ
、
民間グループ
になりますと、
立場
がもっとフリーになりますので、その
発言
に直接
責任
を負わなくてもいい
立場
にありますから、
相当
思い切った議論が出たのであります。ある
学者
は、これは
アメリカ
の
政府筋
に
相当影響力
を持っておる
学者
でありますが、この
沖縄
問題の
解決
は三
段階
を経るものだと
自分
は観測している。第一
段階
は
自治権
、
財政援助
を増大して
日本本土
との
格差
の是正に重点を置く
段階
。その次には
施政権
の
返還
。第三
段階
になって初めて
軍事基地
の撤収ということを考えなければならない。いまは第一
段階
にあるけれ
ども
、
施政権
の
全面返還
問題も
検討
しなければならない時期が来ているのだというようなことを言っておったのであります。いま
ベトナム戦争
が盛んに行なわれておる最中でありますので、
沖縄
問題の
施政権返還
問題に触れることは
タイミング
の上からどうかということをただしたのに対しては、これはいますぐ返せないかもしれぬけれ
ども
、しかし、
タイミング
としては決して悪くない。むしろ適当な時期だと
自分たち
は思っている。なぜならば、
ベトナム戦争
というものは、これはいつまでも続くものではない。いずれ近いうちに
解決
するものである。そうなれば
沖縄
を
返還
するということと当然取り組まなければならないのだから、いまから
検討
することが望ましいのだというようなことを言っておる
学者
もあったのであります。それからもう一人、これは非常に
アメリカ政府
と密接な
関係
があり
影響力
のある
学者
でありますけれ
ども
、この方は、一九七〇年までに
沖縄
問題を
解決
する必要があると
自分
は痛感しているのだ。で、問題はきわめて簡単であるように思う。
施政権
を全面的に
返還
することが目標であるけれ
ども
、その
前提
として、いま
軍事基地
が、
法律
上の
根拠
としては
平和条約
に基づく
施政権
にその
根拠
を求めておるわけであります。
施政権
を返してしまうというと
軍事基地
の
根拠
がなくなるので、だから、新たな
条約
を
締結
してこの
軍事基地
の
存続
の
法律
上の
根拠
を与える、それから、その
使用
の自由について
保障
を与える、そういう新しい
条約
を
締結
すれば、
アメリカ
は
施政権
を返すことには何らやぶさかでないわけなので、その道が一番
解決
への近道ではないだろうかということを強調しておられたのでありますが、ただ、それに対して私のぼうから、どうも、確かにそれも
一つ
の
考え方
ではあるけれ
ども
、問題は、
日本
の国内の
政治情勢
から見て、そういう
条約
の
締結
ということは
相当
困難が予想されるのだということを言いましたら、その人は、この二、三年の
日本
の世論の動向を見ていると、必ずしもそう困難とは思えない。
日本
ではどうも
国防意識
が高まってきておるし、また、
極東
の
情勢
に対する認識も高まってきておるので、
政府
さえ決意をすれば、そういう新たな
条約
の
締結
も必ずしも不可能ではないのではないかというふうに
自分
は観測しているのだ。ただその場合、
施政権
が
日本
に
返還
された場合には、当然
日本
の
憲法
が
沖縄
にも適用されるわけなので、もし
沖縄
の
基地
に
核兵器
を持ち込む、そういう特殊な
基地
を
条約
で認めるということになると、
憲法
との
関係
が大きな問題になるので、
核兵器
というものは
攻撃兵器
でありますので、はたして
日本
の
現行憲法
で
核兵器
を認める
必要性
、
基地
を認める
条約
を
締結
することができるかどうか、ここに
一つ
の問題があるんだ、こういう
角度
から問題を提起しますと、その人が、どうも
核兵器
というものは、
アメリカ
の
立場
から言えば、必ずしも
沖縄
に
基地
を置かなければならぬという理由はないんだ、
核兵器
はミサイルで遠くから発射できる
性質
のものであるし、
アメリカ
には
ポラリス潜水艦
が多数あるし、なお、
沖縄
のほかグアムにも
基地
を持っておるのであるから、
核兵器
の持ち込みというものは、
日本政府
が強く
主張
すれば
アメリカ側
は必ずしも固執しないのではないか。残る問題は、むしろ、
基地
を
根拠
にして
作戦地域
に軍隊を出動する際に、
安保条約
では
事前協議
が必要になっておりますけれ
ども
、
沖縄
の
基地
から出動する場合にも、一々
事前協議
が必要だということで、
基地
の利用の面に制約が加えられるということになると非常に困るけれ
ども
、そういう
事前協議
が要らないという
趣旨
の
条約
の
締結
ができればいいじゃないだろうかというような
意見
を言っておったのであります。これも
一つ
の御
参考
になろうかと思いまして申し上げるわけでありますが、なお、
学者
によっては、どうも
日本
がもう少しみずからを守ること、
日本
の
国防自体
について真剣になってもらう必要があるのではないか。とにかく、いま
アメリカ
の
援助
によって国の安全を保っているような
態勢
にあるわけで、その点がもう少しはっきりしないというと、強く
沖縄
問題について
主張
ができないじゃないだろうかということを言う人もあったのであります。しかし、そういう
方面
のそういう
趣旨
の
発言
というものは、
官辺筋
は話には全然出ておりませんし、非常にその点は慎重であったのであります。そこで、私が、
官辺筋
にも、あるいは
民間団体
に対しても、今後、
日米両国
が
お互い
の
立場
を
主張
し、今後、
沖縄
問題をどういう
方針
でどういう
段階
を経て
解決
していくんだという具体的な点について
意見
を交換しよう、
ディスカス
をする
機会
をつくりたいんだということを強く
主張
しまして、
民間
の
学者グループ
、あるいは
民間団体等
では、大体賛意を表されたのであります。この面については
民間
的なものでありますので、私
ども
今後、具体的にそういう
機会
をつくりたいということで、いま計画、
検討
中であるのでありますが、また
青写真
ができれば、これは
アメリカ
の
官辺筋
と
日本
の
官辺筋
との間にも非公式の
話し合い
を始めていくべきじゃないかというふうに考えるのであります。これはあちらでも指摘されたことでありますけれ
ども
、問題の
性質
上、どこの国がインシアチブをとるかという問題があるのでありますが、これはどう考えましても、
日本側
から
アメリカ側
に問題を提起していく以外にはないので、
アメリカ
は
自分
の持っておるものを返すのでありますから、
向こう
のほうから、こっちから求めないのに、
向こう
の
施政権
のこの部分を返しましょうということが出てくる気づかいはないのであります。どこまでも
日本側
で
イニシアチブ
をとらなければならぬ問題であると考えるのであります。そのためにはどうしても
日本側
で明確な
青写真
をつくることが必要だということを痛感したのであります。
青写真
と申しましても、何年何月にどうというタイム・テーブルの意味では困難かと思いますけれ
ども
、とにかく、どういう基本
方針
のもとにどういう手順を経てこの問題を
解決
していくかという
方針
の確立は必要であるのじゃないかというふうに考えているのであります。 そこで、
日本
に帰りまして佐藤
総理大臣
並びに三木外務大臣にもお会いした際にも、私
ども
アメリカ
で話をしてきたこと、それに対して感じ取った反応、
反響
について詳細に報告申し上げるとともに、ぜひ
政府
部内に
沖縄
問題を全般的に高い次元から
検討
する審議会を設置していただきたい、そこで
沖縄
問題をあらゆる観点から
検討
して、
日本側
がどういう手順を経ていかなる手を打つべきか等々、できるだけその
措置
の
内容
等について
検討
をしてもらって、それで
日本政府
の
方針
を確立してもらいたいということをお願い申し上げてきたのであります。
佐藤総理
は、近く総理の
諮問機関
として
沖縄
問題審議会というものを設置し、そこにそういう問題の
検討
を委託するということを発表しておられますが、私の報告に対しても、ぜひそうしたいということを言っておられたのであります。 なお、新聞
関係
とも渡りをつけておくことが必要だと思いまして、
外交
問題については世論形成の上に権威のあるニューヨーク・タイムズの編集長、国内的に非常に
影響力
を持っておるワシントン・ポストの編集長にも会いまして、私
ども
の
主張
をよく詳細に説明し、すぐこの問題を新聞に取り上げて書いてもらいたい、ということはいま頼むわけじゃないけれ
ども
、将来、適当な時期にそのときどきの
情勢
に応じて
沖縄
問題をこういう方向へ扱ってもらいたいということを希望を述べ、私もできるだけ
関係
資料というものはそのつど送るからよろしくということを申し上げ、
向こう
も大体了承したようでありまして、二、三日前
アメリカ
から来た手紙によりますと、ワシントン・ポストは、
教育権
の分離
返還
問題を論説に取り上げて扱っておるようであります。私
ども
の今回の使命は、問題を提起してそこで交渉して結論を得るということに主眼があったわけではなく、
アメリカ
の考慮を促して、とにかく、今後、
日本
の
政府
が
沖縄
問題を取り上げていかれる際の素地をつくる機運つくり出すという
趣旨
で参ったのであります。その限りにおいては一応は目的を達し得たのじゃないだろうか、こう思うのであります。 なお、問題が問題でありますので、幾ら
政府
が決意されましても、やはり背後の国民世論というものが強力に結成されなければならぬと思うのであります。その意味において、
日本本土
並びに
沖縄
の現地においても
政府
の
方針
を実現するのにその背景になる世論の形成ということがぜひ必要じゃないだろうか。だが、その場合に、単なる大衆
運動
化し
反米運動
の形が強く打ち出されるということになると、結果においては逆効果になる点もあるので、世論の形成の上には細心の注意が必要じゃないかということを考えておるのであります。 一応、ざっと、
アメリカ
で会った
方面
の
人々
、私
ども
の
主張
しました
意見
の大綱と、それに対して示された反応等を申し上げましたが、このくらいにとどめて、あとで御質問に応じてお答えを申し上げたいと存まじす。どうも長いこと御清聴ありがとうございました。
山本利壽
8
○
委員長
(
山本利壽
君) ありがとうございました。 次に、
末次
参考人
にお願いいたします。はなはだ失礼でございますが、後ほどまた質問に答えていただきますので、できますことならば、二十分以内で
意見
をまとめていただきたいと思います。
末次一郎
9
○
参考人
(
末次一郎
君) 時間もございませんから、ごく要点のみ簡潔に補足さしていただきます。 先ほど来
大浜
会長
から御報告がございました私
ども
が会いました
人々
は、官民百名をこえる
人々
でありますが、その中のおもなる
方々
をまず申し上げす。
政府
関係
ではホワイトハウスで
大統領
がちょうど不在でもありましたので、その補佐官をしておられるウォルト・ホイットマン・ロストウ特別補佐官、それから安全
保障
を担当しておられますウィリアム・ジョルデン特別補佐官、そのほかスタッフの
人々
とお会いいたしました。
国防
総省
——
ペンタゴンでは、
極東
関係
を担当しておられますマックノートン
国防
次官補、陸軍長官リーザー氏、同じく陸軍省のホルト陸軍次官補という
方々
、及びそのスタッフの
人々
であります。
国務省
ではユージン・ロストウ国務次官、
極東
担当のバーガー国務次官補代理、そのほか文化担当のフランケル国務次官補、あるいは
日本
部長のスナイダー氏その他のスタッフの
方々
でございました。議会
関係
では、上院がちょうど審議が非常に忙しいさなかでありましたために十分に会えなかったのでありますが、ハワイ選出のダニエル・井上氏とは十分
話し合い
をいたしました。なお、
外交
委員長
のフルブライト氏及びマンスフィールド院内総務はそれぞれ時間がないからというので、先方の御指定によりまして、それぞれの政策補佐官をしておられるジョーンズ氏あるいはヴァレオ氏というような
人々
と長時間
話し合い
をいたしました。下院
関係
では十数名の議員と
話し合い
をいたしましたが、特にマコーミック議長とは約一時間にわたって
話し合い
をいたしました。そのほか、
日本
になじみの深いスパーク・松永氏、あるいは
外交
委員
会の
極東
委員長
をしておられますザブロッキー氏、あるいは軍事
委員
の海外
援助
で知られておるプライス氏、あるいはアルバート院内総務、その他軍事
委員
会、
外交
委員
会のメンバー十数名と食事をともにしながら
話し合い
をいたしました。 一般の学界
関係
では、せんだってまで
日本
の大使をしておられて、いまハーバード大学教授をしておられるライシャワー氏、あるいはコンロン報告の執筆者として知られておる
カリフォルニア大学
のスカラピーノ氏、あるいはサンフランシスコ近郊の
スタンフォード大学
でライシャワー氏のもとで講師をしておられるエマーソン氏ほか
極東
関係
の教授約十名程度の
方々
と
話し合い
をいたしました。またコロンビア大学では、カーク総長以下
極東
研究所の主要教授メンバーと二回にわたって前後五時間程度の
話し合い
をいたしましたし、ワシントンでは、
アメリカ
ン大学の教授
グループ
と
話し合い
をいたしました。ロスアンゼルスでは、
カリフォルニア大学
のロスアンゼルス分校あるいは南
カリフォルニア大学
及び州立大学などの
関係
者約六大学の代表にお集まりいただいて、ここではセミナー形式で約三時間に及ぶ
沖縄
問題に関する
討論
をいたしました。 以上の
学者
関係
のほかに、先ほどお話がありましたワシントン・ポストあるいはニューヨーク・タイムズのそれぞれの編集長と会いましたほか、ニューヨークのフォーリン・アフェァーズという雑誌を出しておられることで知られておりますカウンシル・オブ・フォーリン・リレーションズのメンバー、それからニューヨークの
日本
協会、ワシントンの
日米協会
の
方々
とそれぞれ数時間にわたって
話し合い
をいたしました。 以上がおもな
方々
でありますが、その
方々
との
意見
交換の方式は、先ほど
会長
からお話がありましたように、
会長
の御
主張
をできるだけ訴えるということでありますが、同時に、その間に相手方の
意見
をできるだけ引っぱり出したいという着意で
話し合い
をいたしました。したがって、相手の方の
立場
やあるいは与えられている時間を考慮して、
話し合い
のしかたはそのつどやり方を変えるなどくふうをこらして、できるだけ密度の高い
話し合い
をすることにつとめていたわけであります。したがいまして、先ほど御説明がありましたように、当方の
考え方
を十分に説明すると同時に、先方の話を引っぱり出す、あるいはまた、将来の日米間の
話し合い
が必要であるということを強調する意味で、特に状況に応じて、私が先生のお許しを得て、私見と称していろいろな問題をぶつけるなど、いろいろとくふういたしました。たとえば講和
条約
第三条の有効性の問題とか、あるいは日米
安保条約
第五条の防衛区域の規定が、御承知のように、「
日本
の
施政
下にある領域」というふうに規定されているのでありますが、一九六 ○年の
段階
では、およそ
日本
の
施政
は
沖縄
に及んでいなかったのであります。しかし、昨今では
財政援助
が急速にふえたのをはじめとして、かなり接触面がふえておりますし、今後数年の間にはかなり拡大していくであろう。そういう場合に、
アメリカ側
として、大体
安保条約
と
沖縄
とは無
関係
だという
考え方
をとっている向きが多いので、はたして無
関係
と言えるかどうかということの
問題提起
をいたしました。それから、
基地
の
重要性
があらゆる場合に提起されましたが、
基地
が重要であることは認めるとしても、その
基地
が一体どのように重要であるかということについて明確に答えが出されない限り、現地
沖縄
の
人々
は納得できないだろうという意味で、そういうことを説明するために、過去二十年に及ぶ
アメリカ
の
基地
が、
情勢
の変化に応じて
基地
そのものの性格が常に変わってきたのではないかというようなことを綿密に指摘するなど、いろいろな
角度
から
問題提起
をいたしまして、できるだけ
アメリカ側
の
考え方
を引っぱり出そうとしたのであります。先ほど
大浜
会長
からお話がありました、
アメリカ側
のわれわれに与えた感触というのは、そういうやり取りの中から得られたものであるということを補足申し上げたいと思います。 なおその次に、やはりさっきのお話の中に、昨年と今年ではかなり違っているということにお触れになりました。これはお話にも出ましたように、ちょうど一年前に同じく
南方同胞援護会
の使いとして私自身
アメリカ
に行ってまいりまして、今回と同じように、各
方面
の
人々
と率直に
意見
を交換してまいりました。そのときの印象と今回の印象とを比較いたしますと、先ほどお話しのように、著しく違うのであります。 その点を簡単に若干御説明いたします。先ほど
大浜
会長
のお話の中に、ある
学者
が
沖縄
問題を
解決
する方法として三つの
段階
を考えるということを述べた人がいるということにお触れになりましたが、この見解を述べたある
学者
というのは、
日本
及び
沖縄
にかなり深い
関係
を持つ人でありますが、昨年私が参りました
段階
におきましては、そうした具体的な
考え方
はほとんど明らかにしなかった、というよりも、まだ持っていなかったと申し上げていいと思います。ただ、
沖縄
を知り、
日本
を知っている
立場
から、とにかくこのままではいけないのだ、何とかしなければならんということは繰り返し繰り返し強調いたしました。それではという具体的な論議に入りますと、なかなか
自分
の考えをまとめていないという
態度
でありましたが、今回はみずから進んで
自分
の
考え方
を披瀝するなど、非常に積極的に、しかも建設的にいろいろ考えているということを強く感じました。また一般
民間
の
学者グループ
の場合にも、昨年の
段階
では、現地の
施政
を改善する。つまり、
財政援助
の拡大とか、琉球
政府
の
自治権
を広げるとか、そういうことにほとんど限定されておりましたのが、今回はさらに本質的な問題である
施政権
の
返還
という問題について積極的に考えておる姿勢あるいはその
考え方
がきわめて明らかにされてまいりました。この点は非常に大きな昨年との対比による相違点でありまして、私
ども
としては非常に意を強くしたわけです。また、
政府筋
におきましても、昨年われわれが参りました
段階
は、まだ現在のアンガー・ハイ・コミッショナーが到着しておりませんで、前のワトソン高等弁務官の時代でございました。そうして、御存じの裁判権移送問題がまだ問題とされていた時期でございまして、さかのぼって、キャラウェー高等弁務官時代に起こったいろいろな問題を始末するという意味も含めて、ワトソン氏時代になるとかなり改善されたとはいいながら、それはほんの緒についた
段階
でありましたが、現在は御存じのように、かなり積極的に
施政
改善が行なわれております。したがいまして、
施政
の改善、つまり現地において高等弁務官の許される権限内における
施政
の改善という問題についても、昨年の
段階
ではさほど積極的な意気込みを見せておらなかったのが、今回は非常な意気込みを見せておりまして、
政府
関係
との
話し合い
の中でも、随所に、もっとわれわれは権限を琉球
政府
に渡したい、しかし、琉球
政府
側の能力にも限度があるから一ぺんにはいかぬのだというようなことを
政府筋
側からもしきりに繰り返すというほどでございました。もちろん私
ども
としては、それを聞き流すのじゃなくて、琉球
政府
の自治能力を拡大するためには、
日本政府
との間に人事交流の道を開くなど本質に触れないでこの自治能力の問題を改めるだけではだめだとか、あるいは
アメリカ
の民
政府
は、つまりUSCARが四百名をこえるスタッフをかかえていつまでもおって、ああいう形でいて、権限を譲るといったってできっこないので、あれを思い切って縮小して、ほんの十数名あるいは数十名のアドバイザー・
グループ
にする考えでなければだめじゃないかといったような問題の切り出しもいたしましたが、いずれにいたしましても、
施政
改善に関しましては、非常に積極的な意気込みがありました。また、これは先ほどお触れになりました点でありますが、昨年は
施政権
の問題にわれわれが触れますと、かたくなな
態度
を見せまして、われわれはかまわずに一方的にわれわれの
考え方
をぶつけたわけでありましたが、これに対する応答というものはほとんど見るべきものがございませんでした。しかし今回は、将来の基本的な
解決
のためには
施政権
を
日本
に返すというところに踏み込まねばならぬのだということを
会長
から繰り返し力説されるのに対し、初めは慎重でありましたが、次第にわれわれのペースに乗って問答を始めることになり、やがては先方からいろいろな
問題提起
をしてくるという反応のしかたの中に、昨年との非常な違いを見出すことができたと思います。こまかいことはいろいろございますが、一応そういうふうに、昨年とことしは違っておったというふうに申し上げられると思います。 最後に、
会長
のお話の結びにありますように、結局は
日本側
が積極的な姿勢をもって
問題提起
をすべきである。そのためには、ただ漠然とした
問題提起
ではなくて、将来の
青写真
を描き、それへのプロセスを描いて
アメリカ
の説得に当たるべきであるということを強調なさったのでありますが、そういうことの根底として、われわれがはっきりつかんでおかなければならぬと思われます幾つかの点に触れて終わりたいと思います。 その第一は、
アメリカ側
では、この
沖縄
の
基地
の有用性あるいは
基地
の
必要性
ということについては譲歩する余地が全くないほどこれに対する執着がある。これはいろんな理由があるわけでありまして、ここでは触れませんが、要するに、別の言い方をいたしますと、直ちに
基地
を撤廃させるということは、これはもうおよそ不可能であるという感触をわれわれとしては受けたということであります。もちろん、
基地
の
内容
については、先ほど御紹介のように、
学者
によっていろいろの所見の違いはございますけれ
ども
、
基地
に対する執着というものは牢固たるものがあるということが第一であります。 第二には、したがってと考えてよろしいと思うのですが、
施政権
の問題に触れますと、つまり
施政権
を
日本
に返しなさいという問題に触れますと、全般を通じてきわめて慎重でありましたのは、実は
アメリカ側
の認識としては、
基地
をささえておる
根拠
が
施政権
を持っておるということに由来するという点を深く考慮しておるからだと思われます。つまり、もしも
施政権
を
日本
に返すということになりますと、それによってささえられておる
基地
保有の権限というものはなくなる、あるいはくずれていくわけでありまして、この点から
施政権
の問題に触れることについては非常に慎重であったというふうにわれわれは観察をいたしました。 第三番目の問題は、しかしながら、だからといって、いまのままでいいという
考え方
が
アメリカ側
にあるわけじゃない。それが、先ほど来申し上げる現地において高等弁務官に与えられておる権限内における
施政
の改善ということについて、きわめて意欲的な姿勢を見せておる。つまり、このままではいけないということでの対応の
一つ
がこれであるというふうに私
ども
としては受けとめたわけであります。 さらに進んで、これも先ほど来のお話にありましたように、それでは現地の
施政
を改善するだけで
沖縄
の問題が
解決
するのかというと、必ずしもそうではないという認識が、これはもう昨年はあまり見ることができなかった点でありますが、ことしは各
方面
に非常に深く認識されつつある。もちろん、これが大きく大
方針
として取り上げられておるというほどわれわれ甘く見ません。しかし、それぞれの省、あるいはそれぞれの担当分野において、やはり将来の問題を考えなければならぬのだというかまえがうかがえるのは、実は現地における
施政
改善だけで問題の本質的な
解決
はできないということを次第に認識してきつつあるからだというふうにわれわれは理解するわけです。したがいまして、われわれとしましては、最後に申し述べたこの点に今後対応していく
ポイント
がある、それには、ただいたずらにただ返せと言うだけではなくて、こういう方法で、こういう
解決
のしかたがあるではないかという積極的な、建設的な姿勢をもって臨むということが必要であるし、そういう姿勢をとって臨むとすれば、
アメリカ側
はこれに応じてくる
可能性
を十分に持っておると見て間違いないだろうと、こういうことが
会長
の最後にお述べになりました、
政府
が早急に
青写真
づくりに取り組むべしとする考えの基礎をなす認識であるということをつけ加えておきたいと思います。終わり。
山本利壽
10
○
委員長
(
山本利壽
君) ただいまの
参考人
の
意見
に対し
質疑
のある方は、順次御
発言
を願います。 なお、最初にお願いしておきますが、だいぶ時間も狂いましたので、できればお一人十分程度につづめていただきたいと思います。
森元治郎
11
○森元治郎君 お話を伺ってちょっと期待が違ったというか、
大浜
さんの
前提条件
——
南方同胞援護会
の
会長
、総理府の
沖縄問題懇談会
の
会長
、
沖縄
出身、そういう
前提条件
。それからもう
一つ
の
前提
は、
大浜
さんの行かれた大きな
内容
の
前提
としては、
軍事基地
と
施政権
を分けて相談を持ちかけたという点にちょっと私は、もう一段前にやはり
全面返還
、いわゆる
条約
には
軍事基地
なんて書いてないから、あの
条約
のそのままの
沖縄
、小笠原で、東経、西経何度でいって、次にお分けになったらまたよかったと思うが、議論はいたしません。 そこで、いままで
政府
は岸・アイゼンハワー、池田・ケネディ、佐藤・ジョンソン、いろんな
共同声明
を出しながら、一生懸命交渉しているようなことを
——
交渉じゃない
——
話し合い
をしているように聞いておったんだが、
声明
は出たけれ
ども
、それほど
向こう
ではシーリアスにとってないという感じを受けることが第一点。 それから、私も先ほどお話があった
学者
連中その他とも四、五年前十分懇談したことがあるが、
アメリカ
は自由な国で、デモクラシーの国だから何かおもしろい、われわれの想像できないような若々しい
意見
があるかと思うと、案外一本なんですね。ものの思考方法、この点が私は
アメリカ
へ行って驚いて、デモクラシーと言うが、さっぱり固いということ、それからもう
一つ
、
大浜
さんの
ことば
では、
官辺筋
は相手にしない
態度
ではないと、慎重だと、この問題出すと。そこで一体、
官辺筋
では昨年より
格段
の相違が見られるが、どこかで真剣にある機関で
検討
をしているんだろうかどうだろうか。ただ慎重、聞こう、聞こうという空気だけなのか。私は
大浜
さんが行かれてよかったと思うのは、
向こう
がやっと気がついたような顔をしたんだか、ほんとうに気がついたか知らぬが、初めてたいへん耳をかしたと。
大浜
さんのお話では、
エグゼキュティブ
のほうが
イニシアチブ
をとるならばと、コングレスのほうは言っていると言うが、
アメリカ
という国は、御承知のようにコングレスのほうが強いんですから、やはり共和、民主両党の
相当
な人がイニシアをとることが大事だと思うが、さっぱり議会のほうは冷たい。まず行
政府
がとれと、こういうところに、まだ真剣になっていないんじゃないか。 第四点、この
学者
連中が三
段階
に分けていると言いますが、
アメリカ
のものの
考え方
には、
基地
というのはこれは別なんだと、
沖縄
、小笠原というものをただ
基地
としてとらえているのか、この点が私
返還
問題に分けて考えていることがおかしいと思うんです。 もう
一つ
は、この
青写真
を持ってきたらというのは、持ってお
話し合い
に臨んだほうが
政府
としてはいいんじゃないかと進言をされたが、そういう場合に
向こう
は
話し合い
に乗るかどうか。
国防
あるいは国務、
議会方面
がそういうことを受ける
態勢
があるという確信がおありであるかどうかですね。それらのことについて、簡単でけっこうですが、ひとつ感想をお聞かせ願います。
大浜信泉
12
○
参考人
(
大浜信泉
君) 第一点の、歴代の総理が
アメリカ
の
大統領
と会見して、
沖縄
問題を提起しそうして
共同声明
を発しておるけれ
ども
、はたして歴代総理というものが強くこの問題を打ち出して
アメリカ
も非常にシーリアスにこれを受けとめたかどうかということでありますが、これはちょっと過去の過ぎ去ったことのせんさくになるんでありますけれ
ども
、どうもどの程度突っ込んで
話し合い
なされたか、これは私は今回の渡米では知ることはできなかったんでありますけれ
ども
。 第二点、
官辺筋
の人が非常に慎重であったと申し上げましたが、まあ、相手にしないということではありませんで、
民間
の人のようないろんな
角度
から、こういうこともあるんじゃないかとか、
段階
を経なければならぬとか、ああいう言い方をしないで、また、こういう
条約
を
締結
すれば簡単に
解決
するじゃないかという新しいその
方針
を打ち出すような
意見
は出さないで、とにかくこっちの言うことを聞いて、いろんな要点要点に質問をするという程度であったということでありまして、別に相手にしなかったということではないんであります。こっちから言うことはよく聞いてくれたと、こう話をしておるんであります。 なお、コングレスと行
政府
との
関係
でありますけれ
ども
、確かにコングレスが非常に強いのでありますけれ
ども
、どうも具体的にこれをすでにきまっておる事態に新しい局面を打開していこうとコングレスのほうから問題を提起されることもありましょうけれ
ども
、まず
施政権
の
返還
とかなんとかいうようなことになると、やっぱり行
政府
のほうから問題を先に持ち出してこないと、
自分たち
のほうから
イニシアチブ
をとってやるわけにはいかないんだという弁明が一、二の議員からあったんであります。だけれ
ども
、決して、じゃあ、議員諸君が、議員の
方々
がこの問題に
自分たち
全然熱意を示さないかというと、必ずしもそうではないように私はとるんでありますけれ
ども
、それは
学者グループ
が、やはり
基地
の存在というものを肯定した上で、問題打開の別の面のことを言っておることは確かでありますが、どうも
アメリカ
では、国家の利益、国の
外交
方針
ということになると、自由な
立場
にある
学者
というものも、大体その線に沿ってものを考えるという人が多いので、全く
アメリカ
のナショナル・インタレストなり
政府
の指示の線を離れた批判的の
意見
というものが、まあ、概して非常に弱いんじゃないか。これは
日本
と非常に国情が違うと思うのであります。非常にわれわれから見ると歯がゆいと思うのでありますけれ
ども
、
アメリカ
の国の体質がそういうふうじゃないかというふうに受け取るのであります。 なお最後に、こっちが
青写真
を持って当たっていけば、打開する見込みが、確信があるかというお尋ねでありますけれ
ども
、これはまあはっきりした
方針
を打ち立てて話を進めていけば、一挙に
全面返還
ということはできないかもしれませんけれ
ども
、あるいは部分的な
解決
くらいのことは、あるいは
解決
のめどは一応つくんじゃないか。また、門戸は開けていくんじゃないかというふうに考える。いままで総理が行かれ、あらゆる
機会
に
沖縄
の
祖国復帰
、
施政権
の
返還
、いろいろな問題が提起されておるけれ
ども
、具体的な
内容
を持ってぶつかったことはないので、ごく漫然と理想を述べて、遠くへボールを投げておるようなことになっておる。ほんとうに問題の核心に触れて
向こう
と突っ込んで話をした
機会
というものがないんじゃないだろうか。だから、こっちに確固たる
方針
を持って強く押していけば、打開の道が開けるんじゃないかというふうな観測をするんでありますが、相手のあることでありますので、きっとそうなるという確信ということは申し上げることは差し控えたいと思うのであります。まあ、
前提条件
で申し上げたことは、確かに歯がゆいという、期待に反したとおっしゃることはごもっともでありますが、この点は、私参るについて、どういう
立場
で、どういう
角度
で
主張
しようかということをいろいろ考えてみましたけれ
ども
、いま
政府
がとられておるワク内で一応ぶつかってみることが、一応私の
立場
上は適当だと考えまして、
基地
の
存続
は一応
前提
とした上で、
基地
と
施政権
を離して、
施政権
の
返還
という点に重点を置いたんであります。
森元治郎
13
○森元治郎君 もう一点、
アメリカ
の
青写真
の私の御質問の
趣旨
は、打開できるかという重点の前に、その申し入れをすれば、
向こう
が
外交
チャンネルの
議題
として乗るかどうか、受け取るかどうか、それすらも受け取らないかもしらんからね。それが
一つ
。 それから小笠原の問題も、やはりそうやって
軍事基地
、
施政権
と分けて話されたのかどうか。
沖縄
列島以外の小笠原の問題が一緒に
主張
されたかどうか、その反応。 もう
一つ
は、
アメリカ
は
沖縄
の
軍事基地
を自由に使えれば、あそこにプライス法だの何だの、文句を言われながら
財政援助
するのはもうめんどうなんだ、足手まといなんだ、全部
基地
としての
沖縄
がほしいので、ほかはもう荷やっかいで、できれば
日本
に、筋さえ立てればというふうな、財政負担に少し
アメリカ
はつらいといいますか、そういう感じを持っているのかどうか、その三点をお尋ねいたします。それで終わりです。
大浜信泉
14
○
参考人
(
大浜信泉
君) 第一点の、こっちから
青写真
を持って
向こう
に当たった場合に正式の話題に乗せて応じてくるかという観測でありますが、これは私は応じてくるんじゃないか。結論がどうなるか知りませんけれ
ども
、一応話題に乗せて、折衝には相手になるんじゃないかと、こういうふうに観測するのであります。 第二点の小笠原の問題でありますが、今回私
ども
は
沖縄
に集中しまして、小笠原問題にはあまり触れなかったのであります。 それから第三点の、どうも
施政
の
責任
を負うことにもう荷やっかいになってその
施政権
は返してもいい……
森元治郎
15
○森元治郎君
基地
だけほしい、と。
大浜信泉
16
○
参考人
(
大浜信泉
君) というような、確かに財政負担には
相当
悩んでおるんじゃないかと思われることは、いまプライス法の
アメリカ
の
財政援助
が千二百万ドルになっておるのを二千五百万ドルに増額するという改正案が出て、下院は通過しましたけれ
ども
、上院でひっかかっておった時代でありますが、上院の
責任
者に会ったときにその観測を聞いてみたのでありますけれ
ども
、どうも二千五百万ドルは困難じゃないか、あるいは千七百万ドル、八百万ドルになるんじゃないだろうかというふうに考えておるんだという話をしておったぐらいでありますから、私は
機会
あるごとに、
日本政府
の
財政援助
がだんだんふえてきて、昭和四十二年度の
財政援助
は百三億をこえておる、それで
アメリカ
の
財政援助
は現在のところは四十何億しかならないので、プライス法が二千五百万ドルまで改正されても、やはり
日本
の
援助
には及ばない、
日本
の
財政援助
がだんだん大きくなれば、
日本
国内において、これは政治的には、これは金を出す以上は、もう少し
発言
権を持つべきじゃないかという
意見
も出てくる、これは当然のことだということを強調してきたのですけれ
ども
、しかし、そう言いながら、どうもこの
基地
というものが非常に
沖縄
の
経済
に寄与しておる点を強調するのでありますが、いま、年間、輸入超過が一億四、五千万ドルに毎年なっておるのでありますが、この輸入超過というものは何でペイしておるかといえば、やはり
基地
を通じてドルが流れるわけです。それを非常に
アメリカ
の
援助
みたいに考えてものを考えるべきであると言う人があるのです。これに対しては、
援助
をされることと全然別個である、これは間違いだということは、私は強く
主張
してきたのでありますが、確かに財政負担のほうは荷やっかいになったと考えておることは事実だと思います。そうかといって、
基地
がほしいからその
根拠
になる
施政権
がほしいというのが
アメリカ
の
立場
ではないかというふうに考えております。
岡田宗司
17
○岡田
宗司
君
大浜
先生から、
アメリカ側
と交渉するにはやはりこちら側でブルー・プリントをつくっていかなければならぬ
——
私ももちろんそれには賛成なんであります。ただ返せ、返せと言うだけではいけないと思うのであります。ブルー・プリントというのは、かなり具体的になると思うのです。しかし、その
前提
として、私はやっぱり
佐藤総理
なり、あるいはまた、その次にどなたが総理になろうが、その総理と
ジョンソン大統領
あるいはその他の
大統領
、そういうものとの間に、大体
沖縄
は
全面返還
とか、あるいはまた、しばらく
軍事基地
は保留するが
施政権
は返そう。それは年数は限らないけれ
ども
、大体いつごろまでに返そう、そういうトップ・
レベル
において大体の話ができて、その上で
日本側
から、それじゃこうこうこういう方法があるではないかというので出して、初めてブルー・プリントというのが生きてくると思うのです。だからブルー・プリントをいきなり出して、それで話の糸口がつくのだ、返るのだということではないと思うのです。これは私の
意見
なんです。やはりそういうために、私は
日本政府
がちゃんとした姿勢をとること、また国民の世論、また現地の
住民
の
方々
が強い希望と意思を表明されて、それがささえになっていくことが必要であろうと思っております。で、その点で私はいまの
佐藤総理
の
考え方
が多少動揺をしておるのではないかと思うのです。たとえば佐藤内閣ができましてから、森
総務長官
のときには
教育権
の分離
返還
ということで
アメリカ側
と交渉をされるような
態勢
をとっておった。しかしながら、昨年の十一月にジョンソン・
アメリカ
大使から、それはできないということでだめになったわけであります。
国会
の答弁におきましても、だんだん変わってまいりまして、最近ではいわゆる分離
返還
、これは地域的分離
返還
でもあるいは機能別分離
返還
でもこれは観念的であると、こういうようなことでいわゆる
全面返還
を
主張
される。あるいはまた下田
発言
に対しては否定的な
態度
をとられる。私
ども
に言わせれば、いわゆる
全面返還
論のような
立場
をとっておられたように思うのです。こういうふうに、内閣自身においてその
方針
に動揺があるということは、これは私はやはり話がなかなかやりにくい面があるのじゃないか、また、そういうようなことであると、いわゆるブルー・プリントをつくる場合に迷いが出てくる。ブルー・プリントなんか何通つくってもいいかもしれませんけれ
ども
、それにしても基本的
態度
というものがしゃんとしていないと話はしにくくなる、こう思っておるのです。いずれにせよ、
政府
の
態度
をしゃんとしていただくことが私はあらゆる交渉に先立って必要である。そういう意味で、もし総理の
諮問機関
として新しい審議会なり
懇談会
なりが出発した場合には、これは
大浜
先生のほうからも、そういう点について
政府
自身が外から見て動揺しておるのでないというしゃんとした
態度
をとるように十分にハッパをかけていただく、あるいは入れ知恵をしていただく、策を献じていただく、そういうふうにしていただきたいと思う。これは私のほうから
大浜
先生に対するお願いです。
山本利壽
18
○
委員長
(
山本利壽
君) ちょっと速記とめて。
山本利壽
19
○
委員長
(
山本利壽
君) 速記を始めて。
植木光教
20
○植木
光教
君 どうぞおすわりになったままでけっこうですから。
基地
の
存続
を肯定するという
立場
で
向こう
へ行かれていろいろお話しになったわけですけれ
ども
、
基地
としての
沖縄
、特に核
基地
としての
沖縄
を
アメリカ側
がどう評価しているかというようなことについてお聞きしたいのです。と申しますのは、軍事的な技術が進歩する、あるいは軍事戦略が変化していくというようなことに応じて、特に核
基地
としての価値はだんだん薄れていくんじゃないか、むしろゼロじゃないか。さっきも少しお話がありましたけれ
ども
、そういうような
考え方
があるわけです。その点についてまず第一点、お聞きしたいと思います。 それから第二点は、いまちょっと出ましたが、
教育権
の分離
返還
ですが、特に
大浜
先生は、
沖縄
地区の
教育権
の
返還
構想というようなものもお書きになって、この点についてたいへん熱心な姿勢をとっておられたわけでございまけれ
ども
、
向こう
でお話しになって、いわゆる
青写真
の
一つ
の足がかりとしての、また
返還
の足がかりとしての
教育権
の
返還
ということが、
可能性
がどれぐらいあるとお感じになったか、これが第二点です。 それから第三点は、先生方の日程表を見ますと、パナマだとか、プエルトリコなんかにも行っておられるわけですが、
沖縄
と事情は違うと思いますが、何か
沖縄
と関連して
参考
になることがありましたならばお聞かせをいただきたいと思います。 それから最後に第四点として、先ほど来、今後の
日本
の取り組み方で、
青写真
の問題、
政府
の
態度
の問題というのが出ておりましたけれ
ども
、国民
運動
の点について積極的、建設的でなければならぬというのとともに、
反米運動
はかえってマイナスになるんじゃないか、
基地
撤廃闘争一本やりではどうにもならぬのじゃないかというようなお話がございましたが、国民
運動
を今後どういうふうに展開していけばよいとお考えになっているか、さらにもう少しお考えをお聞かせいただきたいと思います。 以上でございます。
大浜信泉
21
○
参考人
(
大浜信泉
君) お許しを得ましてすわったままでお答えしたいと思います。 第一点の
基地
に関する
アメリカ
の評価でありますが、これは
学者グループ
でも、
官辺筋
でも、
基地
の
重要性
というものを強調される人が非常に多かったのであります。ことにある高官のごときは、地図をかいて、
沖縄
基地
の位置と、将来国際紛争が予想されるような場所、場所を指摘しまして、どうもこの
基地
というものが大きなかなめになっておって非常に重要であるのだ、
基地
という点にしぼって強調したわけじゃありませんけれ
ども
、で、
アメリカ政府
が一番困ることは、東洋の
情勢
というものが非常に流動的であって、非常に思わざる所に思わざる事態が発生する、予測がなかなか困難だという例を朝鮮戦争の例にまずとりまして、一九五〇年にああいう時点でああいう形の動乱が起こるということはだれも予想しなかった。中共政権がその前にできておるわけでありますが、その後、中ソ
関係
というものの変化がどうもだれも予想できなかったし、また、これが今後どういうふうに変わってくるか予想がつかない。ことに、中国の紅衛兵があの時期にああいう事態で事が起こってくるということは、どうも専門家といえ
ども
予測がつかなかった。将来、台湾海峡というところでどういう事態が起こるか、これもなかなか予測が困難だ。そういう
国際情勢
下にあるので、将来の見通しをつけることが非常に困難だ。あらゆる場合を予想すると、どうしても
沖縄
の
基地
というものが大きな
役割り
を果たすんじゃないかという点が強調されて、なかなかこの
基地
というものは
アメリカ
としては手放せないのだというような
角度
からの
発言
があったのであります。特に核を持ち込むかどうかという点に焦点をしぼって議論はしなかったのでありますけれ
ども
、いまの
基地
は、
核兵器
を持ち込んでも文句の言えぬような
立場
に置かれているので、
向こう
もあまりそれに触れなかったのだろうと思うのですけれ
ども
、そういうことであったのであります。第二の
教育権
の分離
返還
でありますが、実はこの点につきましては、さきに岡田議員からも御指摘のように、総理の
発言
がぐらぐらしておることが
アメリカ
にも非常に響いておるらしいのですが、どうも総理は、
全面返還
を求めると言い、ある場合には、
教育権
の分離
返還
を
政府
部内で取り上げて
検討
しておられて、またそれを打ち消すような議論があって、
佐藤総理
のほんとうの考えがどこにあるのだろうかということを
官辺筋
の人からも実は二、三質問を受けたのでありますが、私それに対しまして、
佐藤総理
に直接会って
意見
を聞いておるわけじゃないけれ
ども
、私はこう理解しておるんだ、どうも総理の
立場
では、
全面返還
をいままで理想として掲げてしょっちゅう打ち出しておることなんですけれ
ども
、その理想を捨てて部分
返還
を求めるんだということはなかなか言いにくい
立場
にあるんじゃないか。なぜかというと、
教育権
の
返還
を求めるんだということを強く打ち出しますと、この次は何を求めるかという追及が必ず来るに違いないし、また、
沖縄
の
住民
に与える
影響
から見ても、
教育権
の
返還
を求めてあとをどうするということをはっきりしない限りは、どうも
教育権
の
返還
を求めてあとは現状固定されるのではないか、現状固定の
手段
として部分
返還
を求められるんじゃないかという反論が出てくるんじゃないか、だから総理としては、全般のどういう過程を経るかという基本
方針
がきまらないと、うっかり部分
返還
を持ち出せぬというのが
佐藤総理
の
立場
じゃないだろうかと私は理解しておる、もし
アメリカ側
が進んで
教育権
なら返そうというときに、総理といえ
ども
、それはいやだとは言わないに違いないというふうに説明をしておいたんでありますけれ
ども
、
佐藤総理
は、やはり全般的の
方針
がきまらないからしょっちゅうぐらぐらしておるんじゃなかろうかというふうな理解をするわけであります。それで、
教育権
の
返還
をほんとうに俎上にのぼせて推し進めていったときに、それで
向こう
が受けるだろうかという観測でありますが、これは観測にすぎませんけれ
ども
、全般的の
方針
がはっきりすれば、やはり
教育権
だけでもじゃあ返そうかという気分になるんじゃなかろうかというふうに私は観測するわけであります。 あとのプエルトリコ等の問題は、むしろパナマには
末次
君一人行かれたので、
末次
君からその問題について、なお国民
運動
の問題も
末次
君からお答え願いたいと思います。
末次一郎
22
○
参考人
(
末次一郎
君) 時間がないと思いますから、簡単に申し上げます。 まずお尋ねのパナマでありますが、パナマには、お許しを得て私が二日行ってまいりました。時間があまりなかったのでありますが、可能な限りいろいろ
調査
いたしましたが、
沖縄
との関連における若干の問題点を申し上げますと、御承知のように、北海道よりもちょっと小さい程度の国でありますが、人口が百三十万でありまして、最も関連が深いのは、
沖縄
には大きな
基地
がありますし、パナマには現在運河地帯と呼ばれる特殊地域があるわけであります。そして、新聞等で報ぜられておりますように、対米紛争がおりおり起こっておるという状態でありますので、その点を中心として観察をいたしました。
経済
条件として、
沖縄
に非常に類似しておりますのは、先ほど
大浜
会長
からお話があったように、
沖縄
は年間外貨収支の赤字が一億五千万ドルほどあるわけですが、このパナマは大体一億一千万ドル程度の赤字がございます。その赤字を埋めておる財源が
沖縄
に非常に似ておりまして、年間百九十三万ドルの運河
使用
料金のほか、運河地帯で働いているパナマ人が約二万四、五千と推定されますが、この人たちの俸給のたぐい、ここに駐留いたします運河
政府
及び米軍陸海空が
基地
を持っておりますが、これらの米側が調達いたします物資あるいは軍人及びその家族が使うドル、そういうもので埋めておるという意味では
沖縄
と全く類似であります。しかしながら、最近パナマ
政府
では、これに対して
経済
開発を進めて、その
経済
力を高めようということに非常に真剣に努力をしておるという点も関連して
沖縄
に似ております。特に私
ども
が
参考
としたいのは、御承知のように、パナマにおける若干の紛争のあと、いまの
大統領
も
——
現在のパナマの運河地帯に与えられておる、第三条に規定されておりますが、あたかも主権のあるかのごとく全権を
アメリカ
が握っておるわけです。これは適当でないということをジョンソンも認めておりまして、そこで新しい運河をつくるという問題と関連させて、その運河地帯の権益をどういうふうに扱うか。そこに
基地
を設ける場合にそれをどのように位置づけるかというような問題について、パナマ
政府
と
アメリカ政府
はそれぞれ三名の代表をもって構成する交渉団をつくりまして、ちょう
ども
うことしで三年目を迎えますが、それらの具体的なあり方についての
話し合い
を続けておるわけです。このやり方というのは、今後われわれが
アメリカ
と
沖縄
の処理要領について、ブルー・プリントに基づいて問題を考えていく場合の
一つ
の方式として
参考
とし得ると同時に、これは先ほど岡田先生がお話しになったこととちょっと関連いたしますが、
青写真
をいきなり出したって
向こう
は応じないだろう、トップ・
レベル
でその方向をきめなければならないということで、これは基本的には全くそうだと思うのでありますが、これは私の全く私見でありますけれ
ども
、実は
青写真
というのは、ないしょでこっそりつくらないほうがいいのであって、審議会等ができれば、ここで大いに
青写真
に関する論議をやるべきである。その論議をワシントンに大いに聞かせなければいけないわけで、その
段階
からすでに
外交
が始まるが、正式の
話し合い
が始まる以前のその過程が実は大事じゃないかと思うのでありますが、こういう意味でやるべきことは幾つもあると思います。ぐらぐらしない
方針
をきめてもらうこともその
一つ
であります。従来はワシントンで
沖縄
問題に対するタッチはしてなかったのでありますが、私
ども
の感触では、これからワシントンの話題に
相当
なる。その意味で新しい大使は
相当
腹をきめて行ってもらわなければならないと思いますし、たとえば
青写真
の討議のあり方は、ワシントンの反応を正確にとらえるための機能をわがワシントン大使館が持たなければいけないわけでありまして、いろいろな問題が関連してくると思いますけれ
ども
、そういう作業過程を経て日米交渉の具体的な
段階
になると、現在存在する日米協議
委員
会のようなものではだめであって、むしろパナマがやっておるような方式もその
参考
の
一つ
になるのではないだろうか、こういうふうに感じました。 こまかい点はいろいろございますが、時間がありませんから省略して、プエルトリコ、これは御存じのように、カリブ海の中にある島でありまして、大体四国の半分ぐらいの島で、二百五十万ほどがおります。 われわれが
参考
にしたいと思って訪問いたしました
ポイント
は
二つ
ありまして、
一つ
は、
沖縄
と同じようにパイナップルとサトウキビしかとれない島である。その島が昨今は大小二千に近い工場をつくってたいへんな
経済
的な繁栄をもたらしているというのは一体どういう状況から由来したか、そして、それはどのようにして進められているかということを見たかったわけです。この点については、たいへん
参考
になりました。税の免税
措置
とか、あるいはまた、
アメリカ
合衆国
政府
のいろいろな保護
措置
などが大きな
役割り
を果しているということをつかむことができました。 第二点の、プエルトリコの
反米運動
というものがわが国の新聞等ではかなり伝えられましたけれ
ども
、ニューヨーク等では始終事件が起こっておるということから、そういう面がどういうふうに一体展開されておるかということも特に私にとっては関心の
一つ
でありました。行って見ますと、われわれが新聞等で得ておった印象とは全く違っておりまして、島そのものでの反米的な動きというものは皆無とは言わないが、きわめて微少な存在であって、非常に現実的に問題をとらえながら、むしろプエルトリコのためにどうすることが有利であるかという
考え方
が圧倒的に支配している。こういう点は、われわれが今後
沖縄
問題を処するにあたって
参考
とすべき点であるというふうに感じました。 それから、最後にお尋ねの国民
運動
のあり方ということですが、これはどうあるべきかということをわれわれの
立場
から規定できないわけですが、われわれとしてはどう取り組みたいと考えているかという点を簡単に申し上げます。ついせんだって、ある学生
グループ
と話し合っておりましたら、この学生
グループ
の言うのには、
沖縄
問題がいまのような状態であることは、われわれが
運動
するのにたいへんぐあいがいい、つまり、
アメリカ
に対してとことんまで食いついて文句が言えるのであって、なまはんかの改善はしてくれないほうがいいという議論をする学生
グループ
と会いました。この連中の
考え方
というのは、実は
沖縄
問題を
解決
することを願っているというよりも、
沖縄
問題を道具に使ってこの
反米運動
をしようという
考え方
であります。この種の国民
運動
はできるだけ国民の良識で押えて、もっと建設的な、国民的な勢力の結集ということを目ざすべきである。相手を説得せなければならぬのでありますから、そういう説得でき得るような建設的な
内容
を持った国民
運動
をわれわれとしては目ざしたい。ただ、その前にすべてを一色に塗りつぶすということは事実上なかなか困難でありまして、たいへん強い触覚で、当たるもの、やわらかいタッチで当たるもの、いろいろなものが組み合わされていくべきであると思いますが、これは
沖縄
の
方々
にお願いしておりますし、われわれも戒めねばならないと思うのは、
お互い
日本
人同士が、あるいは
沖縄
の同胞の仲間同士が何か
お互い
に向き合ってむきになってしまうということは断じて戒むべきである。われわれは
アメリカ
に対して要求せねばならぬのでありますから、ときには芝居をすることだって必要でありまして、そういう意味では、
お互い
がゆとりを持って大局を観察しながら、よりよい効果的な動きができ得るように、こういう方向を指向して国民
運動
の努力をしていきたい、そう考えております。
山本利壽
23
○
委員長
(
山本利壽
君) それでは、
沖縄
の
施政権
の
返還
等について
参考人
からの
意見
聴取はこの程度にいたします。
参考人
各位には、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり御
意見
をお述べいただき、なお、かつ、
質疑
に対する御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。お述べいただきました御
意見
は、今後
委員
会の審査にきわめて有効に、しかも
参考
になることと存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
—————————————
山本利壽
24
○
委員長
(
山本利壽
君)
沖縄
その他の
固有領土
に関しての
対策樹立
に関する
調査
中、
沖縄
その他の一
固有領土
に関する件を
議題
といたします。
質疑
のある方は、順次
発言
を願います。
黒柳明
25
○黒柳明君 防衛庁長官、初めは、特連局の人だと思うんですが、先日の続きで若干申しわけないと思いますけれ
ども
、
沖縄
における自衛隊員の募集、先日のお話ですと、現地の人から照会があれば教える程度だと、ポスターも若干配付してある程度だと、このような御答弁であったのですが、それでよろしいですか、もう一回この点確認したいと思うんです。
宍戸基男
26
○
政府委員
(宍戸基男君) せんだっての
委員
会でも御説明申し上げましたけれ
ども
、
沖縄
に籍のある方は
日本
人でございまして、自衛隊員になることができる、われわれとしては歓迎するわけでございます。ただ、募集方法そのものは、
施政権
がないわけでございますので、
本土
における募集と同じような方法はとり得ない。しかし、
沖縄
の
方々
で自衛隊が好きで自衛隊に入りたいという方もおられますので、いろいろ問い合わせが参ります。それに答える意味で、ポスターなりパンフレットなりを事務所を通じてお送りしているというのが実情でございます。
黒柳明
27
○黒柳明君 要するに、現地の方が入りたいと、こういう希望があれば紹介程度にポスターも配ったりしているのだ、こういうことですね。まあ、そのこと自体、別に
法律
に触れることでも何でもないわけですけれ
ども
ね。自衛隊の幹部の方、
日本
にいる方で
沖縄
の学校の出身の方が現地の学校に、応募に対しての依頼あるいは推薦という手紙をほとんどこうやっているわけなんですけれ
ども
、このことは知っているかどうか。これはこまかいことであるといえばこまかいことなんですけれ
ども
ね。私も五、六そういう事実を持っております。たとえばその
一つ
は、豊川駐とん地司令の第十特科連隊長馬木礼助という人が、出身校が
沖縄
の水産高校です。そこの先生あてに、名刺を入れて、まあ
内容
まで言うとこれは長くなりますから、要するに、自衛隊に学校の生徒を応募させることに協力してもらいたいと、こう依頼の手紙をみずからの名刺を入れて、出身校である高校の先生に出している。その他首里高校、
沖縄
高校、中央高校、石川高校等にも、
日本
にいる自衛隊の幹部の人が大多数ですが、その人が出身である高校に対して依頼手紙をやっているわけなんです。ある場合にはポスターも一緒に入れている。まあこういうことをですね、まずその事実を知っているかどうか。こまかいことだと思うんですけれ
ども
、いかがでしょうか。
宍戸基男
28
○
政府委員
(宍戸基男君) 豊川駐とん地司令の馬木礼助という一佐がおります。それが、隊に
沖縄
出身者がおりまして、それが
沖縄
に帰ります際に隊長としての紹介状を持たしたという事実は聞いております。ほかにも同じようなそういうことがあるんじゃないかと。御承知のように、この前も申し上げましたが、自衛隊には四百名程度の
沖縄
出身者がおられますので、休暇等で帰られるその際に、後輩にすすめる意味で学校等を尋ねます。その際に紹介状等を持っていくということは、この馬木一佐の場合もそうでございますが、そのほかにもあり得ることだと思っております。
黒柳明
29
○黒柳明君 そういうことはあれですか、特別に指令なり、あるいは内部的に、やろうじゃないかと、こういうふうな相談なりしてあるのか。それとも、自発的にそういうことが行なわれているのか。どうでしょう。
宍戸基男
30
○
政府委員
(宍戸基男君) 特に私
ども
から、こうしろああしろとうふうに具体的に指示したわけではございませんけれ
ども
、一般的に、御承知のように、自衛隊員、特に陸上自衛隊につきましては、隊員が必ずしも全部充足しているわけではございませんので、募集にいろいろ苦労いたしております。その一環として、出身地、もちろん、内地の場合もそうでございますが、青森なら青森に帰郷して後輩を誘ってこいというふうなことは一般的に言っておりますし、やっております。それと同じ意味で、
沖縄
出身の
人々
が
沖縄
に休暇等で帰る場合に、そういう紹介状なり持っていって勧誘してこいということは、部隊等でおのずからやっておると思います。われわれとしては、別にそれで差しつかえないものと考えております。
黒柳明
31
○黒柳明君 そうすると、先ほどは、照会があれば知らせる程度だと、こういうふうなことにプラス今度は、部隊内では各郷里
——
当然
沖縄
も含めて、勧誘をやってこいと、こういうふうなことが行なわれていると、こういうわけですか。
宍戸基男
32
○
政府委員
(宍戸基男君) そのとおりでございます。いま申し上げましたようなとおりでございます。
黒柳明
33
○黒柳明君 そうすると、一番初めの、先回のときに特連
局長
がおっしゃった、まず初めは、行なわれていないと、こういう
発言
だったんです。まあ、これは若干のニュアンスの相違があるとは思うんですけれ
ども
、現在には行なわれていません、現地では。ですけれ
ども
、明らかに応募は行なわれている。
相当
のポスターも配られている。また、いまの人事
局長
のお話は、紹介程度であるということからさらに話は発展して、各部隊ごとに奨励されていると、勧誘されていると、こういうことまで話は進んでいるわけですね。そうすると、一番初めの、照会があれば知らせる程度だと、こういうお
ことば
とちょっとここで若干、あるいは
相当
話がずれてくるんじゃないですか。さらにまた話はあとに発展するんですけれ
ども
ね。いかがでしょう。
宍戸基男
34
○
政府委員
(宍戸基男君) 最初に申し上げ、あるいはせんだっての
委員
会で申し上げましたのは、内地の府県とか市町村におけるような事務を委託したり、地連を置いたりしての非常に積極的な募集活動は
沖縄
ではやっておりませんということを主にして申し上げたつもりでございます。そういう募集の委任とかいうふうな方法でなくて、問い合わせに応じたり、あるいは個人個人が後輩を勧誘したりするようなことはやっていますと、こういうことでございます。
黒柳明
35
○黒柳明君 そうすると、国内においてもですね、各学校の先輩、後輩の間柄を通して推薦状を送ったり勧誘したりすると、こういうことがどんどん行なわれている、こういう事実が
相当
あるわけですか。
宍戸基男
36
○
政府委員
(宍戸基男君)
沖縄
以外の
本土
におきましては、正規の市町村あるいは地連を通じての募集が大部分でございますけれ
ども
、それ以外に、おっしゃるように後輩等に個人個人が勧誘をするということも行なわれております。
黒柳明
37
○黒柳明君 まあ突っ込んで失礼ですけれ
ども
ね。そうすると、
沖縄
の場合は、これはまあ距離が離れておりますから、当然手紙、そこに名刺が入り、ポスターが入るというケースをとっていると思うのです。国内の場合ですと、口から耳、耳から口と、こういうふうになると思うのですけれ
ども
ね。そういう幾多のケース御存じでしょう。あそこにもこういう幹部がいてこの学校に行ってこういう誘いかけをしたとか、あそこにもこういう自衛隊の幹部が、出身者がいてこういう誘いかけをしたとか、そういう事実、
相当
御存じでしょうか。これは
沖縄
の場合
一つ
じゃない。
相当
ある。いま言った高校五つ、六つ並べましたけれ
ども
、これは国内においても
相当
あるのか。こういうことですね。内地と同じようにやっているというのですから、内地でもそれ以上にやっているというのですから、そうすると、こういうケースも
相当
国内でもある。こういうふうに判断してよろしいでしょうか。あるいは、あればその事実を多少とも御存じでしょうか。
宍戸基男
38
○
政府委員
(宍戸基男君) 国内といいますか、こちらでは
相当
もちろんあると思います、
沖縄
より
本土
のほうでは。それから、
沖縄
でも、先ほど申し上げましたように、この馬木一佐のことにつきまして私承知いたしております。それ以外の、何三佐なり一尉がいつ紹介状を持たしたというようなこと、個々には承知いたしておりませんけれ
ども
、先ほ
ども
ちょっと申し上げましたように、一般的な空気として奨励されておりますので、この馬木一佐以外にも、隊員の休暇等に紹介状を持たして帰したというふうなことはあり得ることだと、こういうふうに考えております。
黒柳明
39
○黒柳明君
日本
の国内でですね、
沖縄
ではいいわけですよ。
相当
あるわけです。それと同じようなことが国内でも行なわれていると、こういう
可能性
があると、こういうわけですね。ですから、まあ行なわれていれば、そういう事実を
一つ
でも
二つ
でも三つでも御存じであるかどうかと。私残念ながら、
沖縄
のことは知っているのです、具体的に。国内のほうは知らないわけです。で、いま
局長
さんの御答弁ですと、国内でもあると、当然やっていると。そうすると、それじゃ具体的な事実は、こういうところにもこういう先輩がいてこういうことをやったと、こういう事実御存じでしょうかと、こういうことなんです。
宍戸基男
40
○
政府委員
(宍戸基男君) 国内でございましたら、これはもう無数と言ってもあれですが、二十数万の隊員がおりますので、それぞれ上層幹部から中級幹部からあるいは曹クラスから、たくさんおりますので、出身学校等にそういう、いまお示しのような方法をやっていることはたくさんございます。個々に知っているのも、何とか一佐がどの学校の出身で後輩を呼んで来たというようなことを個々に知っているのもございますが、個々に私が知っているのはほんの一部でございまして、非常にたくさんあると思っております。
黒柳明
41
○黒柳明君 長官にお伺いしますけれ
ども
ね、当然、
沖縄
は地理的にも国際的にも、あるいはいろいろな面において特殊な地位にあるわけです。先ほ
ども
参考人
がおっしゃいましたように、また幾多大臣の人が述べていますように、異常な状態にあるわけですね。その地においてですね、部隊で奨励して、そうして、幾ら
自分
の出身校とはいいながらですね、そういう紹介状を持たせてどんどん募集をやる。これに対して地元がどういう感覚を持って受けるか。あるいは、このことはどのように内地の人たちに受けられるか。まあ、これは推測の域でも、長官の想像でもけっこうですけれ
ども
ね、いかがでしょう。
増田甲子七
42
○国務大臣(
増田甲子
七君) この前も黒柳さんにお答え申し上げましたが、黒柳さんの御心配は一応ごもっともでございます。そこで、数等を調べてみますというと、わずかに四百二十名でございまして、内地でございましたならば、人口百万について二千五、六百人というところでございます。でございますから、その六分の一という程度の自衛官の応募しかないわけでございまして、そこへ潜在主権がある。しかしながら、立法、司法、行政の三権、すなわち
施政権
は
アメリカ
にある。しかし、
日本
人である。
日本
人であるならば、やっぱり
日本
の国の守りにつくという崇高なる使命に挺身し得るということは、私はやっぱり
沖縄
県人の
——
琉球人と言ったほうが正確かもしれませんが、その辺ははっきりよくわかりませんが、
沖縄
の人の誇りである、こういうふうに私は考えております。弊害の面もそれはないではございませんでしょうが、やはりうれしいといったような気分がよけいあるのじゃないか。喜び勇んで自衛隊員になれるのだ、なるのだということでなっているのが四百二十名でございます。
黒柳明
43
○黒柳明君 先ほ
ども
、この前のときもそれに対して長官にお尋ねしたわけですけれ
ども
、そうしてもっともっと
沖縄
の人に喜びを与える方法がある。それはそれとして、喜び勇んで応募するであろうと。それならなおさら、わが国の自衛隊が
沖縄
をなぜ守らない。守る権利も
責任
も当然あるのじゃないか。いまの状態でおいてはできない。それではそれを改善する方向にどうしていかないのか。一方的に、応募するほうだけは喜んでいるのだ、喜んでいるのだと。喜んでいるかどうかわかりませんよ。現地の人は喜んでいないのです、現実問題。これは応募する人は、応募するのですから、喜んでやっているかわからない。ですけれ
ども
、全体の島民の
感情
としては決して、喜んでいるとはとんでもない話なんですよ。そのことを一方的に、応募する人が喜んでいると。それはこちらから
沖縄
に対していろいろなさらに大きな喜びを与えるものが、それは
経済
援助
も御苦労さんだし、日の丸の旗もたいへんだと思いますが、まだまだ根本的には九十五万の島民はそんなことを願っているわけじゃないのです。全面的復帰を願っている。これに対して、いまも答弁、応答もありましたように、ブルー・プリントをつくれ、
沖縄
でも積極的で、
アメリカ
でも積極的で、肝心な
日本
がいつも手ぶらでは、理想論じゃないか。もしほんとうに、長官の、喜んでいると、こういうお
ことば
が真実であるとするならば、今度はもっともっと長官が
沖縄
の人たちに最大の喜びを与える最大の努力、
全面返還
に対してどのような構想を持ち、どのような努力をしてきたか、あるいはこれからするつもりであるか。
増田甲子七
44
○国務大臣(
増田甲子
七君) 私も国務大臣でございまするから、国務全般について
責任
はございまするが、やはりこの問題は内閣
総理大臣
並びに主務大臣たる
総務長官
が一生懸命心配し努力いたしておるわけでございまして、それで日米
安保条約
第五条によりますというと、
日本
の
施政権
下における
——
つまり
本土
です
——
本土
に対する武力攻撃がありたるときに
アメリカ
は
日本
と共同してこれが阻止並びに排除につとめる、こういうわけでございまして、遺憾ながら
施政権
はないわけでございます。そこで、
施政権
の
返還
ができるだけ早くあって、そうして、できれば
施政権
の
返還
があれば、われわれは全面的に九十五万の、黒柳さんのおっしゃる
日本
人を守り得るわけでございまするから、守り得るようにいたしたいという気持ちは黒柳
委員
と同じように持っているわけでございます。
黒柳明
45
○黒柳明君
沖縄
の人が喜んでいる、これは現地の新聞、
沖縄
タイムスの報道です。ですから、このあとは新聞も若干オーバーなところもあるのですけれ
ども
、そういう自衛隊の募集、あるいはこれは来島も含みますけれ
ども
、二万何千の毎年中卒があるわけです。それに対して、
日本
の若い働き手が不足である、わが
沖縄
の年間中卒者二万八千に対して
日本政府
はその触手を伸ばしているのじゃないか、こういうようなことまで書くくらい
——
そんなことは私はないと思いますよ
——
何も、
日本
の若い人だってその何倍、何十倍いるわけですしね。自衛隊だって別に、欠員はあるけれ
ども
、そんなたいした欠員もないと思います。まだまだなり手だって一ぱいいる。若干PRが不足だし、待遇が悪いから入ってこないのですけれ
ども
、現地においては、
沖縄
においてはこのような自衛隊の募集方法、あるいは来島も含めての話ですけれ
ども
、
日本
の
本土
においては若い自衛隊になり手がいない。いよいよ
沖縄
の中卒、毎年二万八千人、この中卒の若手の
人々
に対して触手を向けてきたのだと、こういうような記事も出ている。どうですか長官、こういう記事をお読みになったことございますか。
増田甲子七
46
○国務大臣(
増田甲子
七君) 私はその記事をまだ読んでおりませんけれ
ども
、しかし、ちょっと傾向的な記事じゃないかと思うのです。やはり人口百万について二千五、六百人が
日本
の各府県の自衛官の状況でございます。でございますところを四百二十人でございますから、やはり
日本
の自衛官になれるのだというようなこと、そういうような既成事実はやはり積み上げまして、内地と琉球との交流といったほうが
ことば
が正確か、ちょっとその
ことば
はよく存じませんが、やはり各般の交流の事実をあげて
日本
人たる誇りを持たせるということが、
アメリカ政府
がじゃまするなら別でございますが、じゃまもしていないわけでございますから、私は、黒柳さん御存じのとおり、役人もたくさんおります。役人がおるなら、自衛官だけその道をふさぐということはまずいのでして、やはり自衛官にもなってもらうというわけで、いま自衛官
——
陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊
——
の充足率は非常によいのでございまして、従来は陸上自衛隊ちょっと率が落ちておりましたが、最近は九〇%近くなっております。われわれも、内地のほうが足りなくなったから
沖縄
へさがしに行くというわけではないのでございまして、こういう
機会
も均等に
日本
人である以上与えられておるというような
立場
で募集をしておるわけでございますから、どうぞそういう傾向的な記事には、黒柳さんのことでございますから、決してとらわれないと思いまするが、やはりおおらかな心持ちで対処していただきたい、こう考えておるわけでございます。
黒柳明
47
○黒柳明君 私も、
沖縄
なんかへ行ってこそこそ人を引っぱってくるようなことは決してないと
——
天下の
日本
の自衛隊ですからね
——
確信していたんですが、何かそういう反発的な記事が出ているもんですから若干お尋ねしたのですが、それと、先ほど
局長
さんのほうから、各部隊で自発的にやっていることだ、奨励していることだ、あるいは勧誘していることだと、こういうことでありましたけれ
ども
、当然、長官としてそういう面に対しても
責任
があると思うのですが、こういうこと、当然防衛庁長官は、喜んで来ているのだからということで、知ってはいなかったとは思うのですけれ
ども
、あるいはお知りになっていたか。将来とも
ども
沖縄
にこういう形で自衛隊の募集をしていく、勧誘をしていく、この事態を認める、あるいは大いに奨励したい、こういうようにお考えでしょうか。
増田甲子七
48
○国務大臣(
増田甲子
七君) 従来どおりの程度で私はいいのじゃないかと思います。特に奨励したいということは考えておりません。従来どおりの奨励をしてまいりたい、こう考えております。
黒柳明
49
○黒柳明君 また、これ先日のことですけれ
ども
、長官が、
沖縄
に自衛隊が行く、私が、自衛隊行くことは非常にうまくない、現地の
感情
は。いや、うまくないたって、新聞で自衛隊歓迎という記事が一ぱいありましたよと、こう言われたもんですから、私見ました、現地のタイムスも新報も。あるいはテレビ、ラジオ、マスコミで放送されていたかどうか見ましたけれ
ども
、残念ながら私の目に触れなかったのですが、長官そういう記事お読みになったでしょうか。
増田甲子七
50
○国務大臣(
増田甲子
七君) この前たしか黒柳さんとは予算
委員
会の応答のときだったと思いますが、私は防衛庁に来る前に、
沖縄
へ行くことは非常に歓迎されておるのだということを、安全
保障
に関する
調査
会でときどき聞いたことがございます。その従来の知識をもってお答えしたわけでございまするが、その後の話によりまして、記事がここにございます。十月六日の記事でございます。昨年行った自衛隊に対してこんなことを書いてございます。「音楽隊を先頭に純白のセーラー服に身を固めた二百三十三人の隊員が日章旗を掲げて堂々と行進、沿道を埋めた観衆の目をうばい拍手がわいた」、こういうことでございますから、これはやはり歓迎であります。それから琉球新報の論説でございまます、「話の卵」というこれは囲み記事でございます。「自衛隊音楽隊の楽しい演奏」と書いてございまして、これは題目でございます。そのうち特に強調いたしたい点は、演奏隊の「高度の演奏技術と、キビキビした音楽隊員らしい
態度
が多くの市民から好感を持って迎えられた」、こういうことでございまして、やはり私が申し上げた、昔持っておった知識、経験の裏づけをするのがこの新聞記事でございます。
黒柳明
51
○黒柳明君 好感をもって受け入れられる、大いに私もけっこうだと思うのですけれ
ども
、そうすると、今度はこういう記事がある。これはちょっとでっかいですよ。長官の、囲み記事じゃないですよ。二、三行の記事じゃないですよ。そこから読めますか。ちょっと読んでいただきたい。「自衛隊は来るな」、これはすごいですよ、一段、二段、三段、四段、五段、六段、七段抜きです。そうでしょう。長官のはボックスであり、わずかな記事です。これは読むと長くなりますから……これはついせんだってのことなんです。読んでみますと、これのほうが
相当
権威があると思うのですけれ
ども
。どういうことかというと、この前も予算で言いましたから、もう長官頭がいいからお覚えになっておると思いますけれ
ども
、要するに、
沖縄
の国民的な
祖国復帰
運動
、要するに
祖国復帰
協議会です。そこの第十二回の定期協議会で、自衛隊の来島は好ましくないと。これも私は全面的にそうであると、こう言いたくないです。いま言ったように、誤解もありましょうし、評判もあります。ですけれ
ども
、事実そういう国民的な大会において、いままで行なわれたことがないような決議がされておるわけです、自衛隊来るなと。これには、合同訓練やっているとかなんとか、事実に反しているとは思いますよ。そういうことを理由としてあげているのです。それはともかくとしても、こういう世論があるということもこれは事実なんですね。ですから、必ずしもそういうボックスあるいは二、三行、あるいは着物がきれいだから、音楽がすばらしいから、拍手が起こったから、そんなことをもって歓迎されていると、こういうような御答弁ですと、これは幼稚園の
質疑
応答になるので、ここはあくまでも
国会
ですから、そういうことの歓迎という意味じゃなくして、もっともっと根幹的に自衛隊の募集、それから自衛隊の来島、またさらに質問は発展したいと思うのですが、そういうことについて非常に現地においては反感的な空気がある。こういうことをあくまでも認識をされ、だから応募しちゃいけない、だから自衛隊が行っちゃいけないと、こうは話が行くかどうかわかりませんが、まず、現状の認識から始めていかなければならない、こう思うのですけれ
ども
、どうでしょう、長官。
増田甲子七
52
○
政府委員
(
増田甲子
七君) 黒柳
委員
、この前も総括質問の際に同様な御質問がございまして、その新聞も私も拝見しております。大きさから見ると、こちらのほうがちょっと大きいような気がしますけれ
ども
、(笑声)同じ
沖縄
タイムスです。いかがでしょう。そこで、やはりあのときに黒柳さんに申し上げたのですが、
沖縄
の島民というのは
日本
国民でありながら、
施政権
は外国が持っておる。しかしながら、潜在主権はあって
日本
国民である。そういう非常に複雑な環境下にあるのであるから、複雑なる環境下にある九十五万の
方々
の
感情
というものをいたわり、尊重申し上げねばならないと思いますということを黒柳
委員
にお答え申し上げましたが、今日もそのことにつきまして私
ども
留意の上にも注意を加えねばならない、こう考えておる次第でございます。
黒柳明
53
○黒柳明君 それから、自衛隊の派遣も当然年々ずっと多くなっているわけですけれ
ども
、四十二年の派遣計画、これはどのようになっておりますでしょうか。
中井亮一
54
○
政府委員
(中井亮一君) お答えいたしますが、昨四十一年度千二百六十九名ということでございますが、大体同じような規模の人たちを大体同じようなやり方で
沖縄
に行かす予定でいまのところは事務を進めております。
黒柳明
55
○黒柳明君 四十一年が千二百六十九ですか、四十年が八百四十三、三十九年が六百五十一、三十八年が七十八、非常に、半分から倍ぐらいに急速にふえていますね。四十一年と四十二年は現状
維持
ですか。大体五割ずつ増してきていますね、数の上で見るだけでも。四十一、四十、三十九、三十八と、三十九からはぐっとふえておりますけれ
ども
、ことしは現状
維持
ですか、大体。
中井亮一
56
○
政府委員
(中井亮一君) 本年度は昨年度と同様の規模でございます。
黒柳明
57
○黒柳明君 それで、これは私ごとき者が言うまでもなく、要するに、
沖縄
の複雑な現況下のもとにこれは再三
質疑
応答されましたし、また同じことを答弁いただくようにもなるかと思いますけれ
ども
、どうしてそこに自衛隊を派遣しなければならないか。前回のときにも稲葉
委員
からいろんな
疑惑
あるいは事実らしきものが質問されまして、長官それに対して御答弁された。しかしながら、そういううわさにしても
疑惑
にしても、火のないところには煙というようなことわざもありますし、もしかすると、そのうちの
一つ
の事実があるかわからない。そういう
疑惑
を起こすような、あるいは、たとえうそにしても、そういううわさが出るような、それをあえてどうして
沖縄
に自衛隊の派遣をしなければならないか。この点どうでしょう。
中井亮一
58
○
政府委員
(中井亮一君) 何回かいつかの
委員
会で御説明しましたとおりに、御承知のとおりでございますけれ
ども
、
沖縄
は第二次大戦中に
日本
の国内
——
当時国内でございますけれ
ども
——
国内で行なわれました激戦地、そこが戦闘の行なわれたところであるという、そういうところをやはり見るということは、見学に行くということは、自衛隊としてはぜひ必要なことであるということと、それから、御承知のように、
沖縄
には米軍のいろいろな施設がございますので、そういうものを見せていただくということも、これもいまの自衛隊にとって非常に意味のあることであるということでございます。
黒柳明
59
○黒柳明君 確かに私も自衛隊の発展のために必要だと思うんですけれ
ども
、それと、今度はその自衛隊に関するいろんな
疑惑
、
国会
でそれを取り上げられ追及されなければならない、それについてのウエート、そのウエートをてんびんにかけたとき、どちらがはたして重いか。自衛隊の方が、第二次世界大戦の戦跡はいろんな勉強になると思う。また今後のことにも当然
参考
にもなると思うんです。
沖縄
はすぐそばですし、米軍のいろんな施設もあるし、近代的な施設を見ると
参考
になると思います。ただし、それだけで済めばいいんですけれ
ども
、いろんな
疑惑
が起こり、さらにこの
委員
会が行なわれる過程において、もっともっとこの自衛隊をめぐっていろんな論議が、まあ私たちから言えば、追及がなされるだろう、こういうことを思います。そうなると、これをてんびんにかけたとき、ほんとうに
沖縄
じゃなければならないか。ほんとうに自衛隊が
沖縄
の
アメリカ
の
基地
の施設を見なければならないのか。この前長官おっしゃいました、
沖縄
で何も練習やらなくたって
日本
でも幾らだって練習やるところがあると、稲葉
委員
に対して。
沖縄
に行って合同訓練なんかやる必要ないじゃないかということは、同じ論法は、
沖縄
の米軍施設なんか見なくたって
日本
でも幾らでもある。同じじゃないか。これは長官の御答弁そっくりにできると思うんです。それから、第二次世界大戦の戦跡見たからといって、また戦いをやる
日本
じゃないんです。また、第三次世界大戦にそれを
参考
にするような
日本
の
立場
じゃない。そこを見てはたして何のプラスになるのか。そのいうことが非常に疑問になるわけですけれ
ども
、どうでしょう。
中井亮一
60
○
政府委員
(中井亮一君)
本土
防衛という任務につきましては、これは
日本
の国内で、あるいは直接侵略、間接侵略の場合はそれに対処する任務を負わされております自衛隊としましては、国内
——
当時におきましては国内であったところで戦闘の行なわれたところはほかにはございませんので、ああいう大規模に行なわれたところはほかにございませんので、やはり私は
参考
になると思っているわけでございます。それから、米軍の施設としましても、ああいういろいろな種類の部隊のある、あれだけの施設のしてあるところは
日本
の国内にはございませんので、それを見せていただければ見聞も広まることになるし、幹部自衛官としても必要だというふうに考えております。 それから、先ほど誤解のお話がございましたけれ
ども
、米軍の施設を見学をしあるいは部隊を見せていただく際に、米軍の
基地
の中に行くわけでございますが、その
基地
の中で非常に短時間見ておりますことが、あるいは誤解を生んでいることになっているのかなというふうに思いますけれ
ども
、それは非常に短い時間見学さしてもらっているという程度でございますので、おそらくいろいろな地元の人たちの御
意見
はあると思いますけれ
ども
、私は誤解だと思っております。
黒柳明
61
○黒柳明君 ですから、私も
参考
にならないと言うのじゃなく、
参考
になるだろう、当然なると思うのですよ。しかしながら、誤解だ、誤解だ、なに、おまえたちがかってに火のないところに煙を立てているのだとばかりは言えないと思うのです。やはり当事者としてはいろいろな問題点が出てくる。地元から反感を呼び、あるいは
国会
において論争を巻き起こす。そういうマイナスと比べて、はたして私は、
参考
になると思いますというような、何か非常に消極的な御答弁みたいに私は感覚は受けたのですけれ
ども
、絶対これは行かなければならない、絶対これは必要であるのだと、こういうことよりも一歩、二歩後退したような御答弁のように感じるわけです、私は。何だか、そういう
参考
になると思います、こういうようなこと。そうすると、何かくどいようですけれ
ども
、
参考
にならないのじゃないか—なると、私もそう思います。だけれ
ども
、非常に私その
根拠
が何か意思薄弱というか、自信ないというか、そうすると、今度はマイナスの面と比べた場合には、今後もいろいろ出てくると思います。どうしても行かなければならない絶対
必要性
があるのかどうか。
中井亮一
62
○
政府委員
(中井亮一君) 私の
発言
に誤解を黒柳先生が受けているかもしれませんけれ
ども
、私は絶対に必要だと、いまの
段階
では思っております。
黒柳明
63
○黒柳明君 長官、どうです。
増田甲子七
64
○国務大臣(
増田甲子
七君) 私は、レイテ島の上陸、ルソン島の上陸、
沖縄
の上陸、硫黄島の上陸というものがございますが、そのうち米車が
沖縄
に上陸したし、
施政権
を持っていながら見せてけっこうと言われるのですから、やはり見に行きまして、わが自衛隊というものは、
日本本土
に上陸せんとする通常兵器による侵略者を阻止しこれを排除すると、こういう使命がございまするから、ただの演習だけでしたら、
日本
はすべて海なし県というものは少ないのでございまして、どこでもできるということは、それは申し上げたには申し上げたのですけれ
ども
、実際の戦跡があって、そうしてそのことの説明をして、こちらも説明するでしょうし、
向こう
も説明するでしょうが、そういうことが一番生きた
参考
である。それは、
日本本土
を守る上からは、
本土
に来る来襲者があるとすれば、侵略者があるとすれば、それは海からでございまするから、通常兵器の
関係
では。でございまするから、私は、昔の
ことば
で言うと、敵前上陸というようなことのあとをよく見学してそして研修するということは、たった四、五日のことでございますが必要であると、こう考えておるわけでございまして、
教育
局長
と所見が同じでございます。
黒柳明
65
○黒柳明君 通常兵器による侵略は海からも空からも当然考えられると思うのです。いまのイスラエル、アラブ、あれは核を使わなくても空から戦っておりますね。当然海からだけではないと思う、空は自由ですから。ただ、またくどいようですけれ
ども
、とにかく
沖縄
の
基地
はベトナムの前線
基地
であることは明確なんです。それから、核
基地
であることも明確なんです。また、
沖縄
島民が非常に
祖国復帰
に対して、ある意味においては対
米感情
が悪い、そういうことも
相当
これは濃厚なんです。非常に条件が悪いのですよ。そこにあえて絶対必要だ、また
教育
局長
さんは言い直しましたのですけれ
ども
、ほんとうにそういうすべての悪条件を乗り越えてそれでも行かなければならない、それでも見学して、それでも見て、わが国の防衛のために、自衛隊のために
参考
にしなければ絶対ならないのだと、こういうことですか。くどいようでほんとうに申しわけないですが、長官。
増田甲子七
66
○国務大臣(
増田甲子
七君) どうも黒柳さんの御質問が非常におじょうずで、絶対必要でなければならぬという信念でございますから、そこで
教育
局長
が絶対という
ことば
を申し上げたわけだと思いますが、私は必要である、こういうことを何べんでも繰り返します。必要である。こういうことです。
黒柳明
67
○黒柳明君 そこで、結局まあ、これは先ほど、米軍
基地
をちょっと見ただけで
疑惑
が起こるのだ、あるいは四、五日行っただけではないか、
政府
の側が、そういうわけで何もないのだと、こういうふうにおっしゃいますけれ
ども
、そういうこと自体がわが
国防
衛のために、
本土
防衛のために絶対必要なんだ、見学するのだと、そういうことなら、それじゃあ第二次世界大戦のときに、
アメリカ
がLSTに乗って
沖縄
に上陸した。こういうところを見、また、こういうことも当然やるのだろう、やっているのだろう、こういう三段論法も成り立っていくわけですよ。いま長官おっしゃいましたように、あるいは
教育
局長
もおっしゃった第二次世界大戦の戦闘のあと、わが国の
本土
防衛のために、攻めてくるなら海からだ、そのために絶対第二次世界大戦のあとである
沖縄
、海から攻めてくる、そのことを想定して、その条件に合った
沖縄
、こういうことを
発言
されて自衛隊を派遣するから、だから五日行ったって何もやってこないのだ、こう言ったからといって、ちょっと見るだけなんだ、こう答弁されたところで、すぐその
ことば
の裏には、そういうことはうそだと、こういうもう話をする中において誤解を招くような点が出てくる。それじゃ第二次世界大戦の戦跡、非常にくどいようですけれ
ども
、海から来るそういう敵に対して防衛する、そのために
沖縄
と、先ほど、戦跡のあとを見るだけじゃなくて、実際に
アメリカ
がどうして
沖縄
に上陸したか、あるいは、いま
沖縄
をどういうふうにして
アメリカ
軍が守っているのか、そういうところまでも見、あるいは、そういうことも実際に行なっているのじゃないか、あるいは、たとえば緊急に武力攻撃でもあったときに、自衛隊が緊急に出動でもして、そのときの準備のために、LSTではどのくらいかかるというような、こういう下調べまでもしているのじゃないかというようなところまで
疑惑
が発展していく。現にLSTで行っているのですから、輸送機で行っているのですから。そういうところまで
疑惑
は
疑惑
を産んでいくわけです。これはそんなことをやってはいないのだ、そんなこと思うほうがかってだと言われてもだめだと思うのです。これは、
沖縄
に対しての
青写真
もでき、総理が
アメリカ
を訪問すれば、ますますこういう論議が活発になっていくと思うんですよ。それでもあえて自衛隊を派遣するということは、私は、これは私見にとどめておきますけれ
ども
ね、非常にマイナスの面がますます大きくなるのではないか。いま聞くところによりますと、いままで五割増し、五割増し、五割増しと、四年間続けてきた派遣の人員も、今年は横ばいである。充足率は非常にいい、当然今年あたりに倍にしようというふうな御答弁、あるいは従来どおり五割増しだと、こういうような御答弁もあるかと思っていたのですが、充足率はよくなっているのにもかかわらず、四十一年と同じようにしていくと、こういうわけです。来年はどうでしょうかね。来年のことを言えば何とかということもありますけれ
ども
、来年はどうお考えになっておりますか、派遣に対して。
中井亮一
68
○
政府委員
(中井亮一君) 行く要素になっている人たちの数が、いまの場合ふえたとすると、その行く人たち、幹部学校とか、幹部候補生学校とか、こういうような人たちの数がふえた分がふえるのでございますけれ
ども
、来年同じような規模のかっこうの学生の数でございましたならば、やはり同じような数になると私
ども
のほうでは思っております。
黒柳明
69
○黒柳明君 それから、
安保条約
の三条あるいは五条、これは私言うまでもなく、当然
沖縄
に武力攻撃があった場合には、
沖縄住民
を守る、このような条項もありますし、それから五条においては、防衛区域内に入っていない、こういうような第三条と第五条、この
関係
から見ても、
日本
の
施政権
下に入っていない。たとえそこに何事が起こっても、防衛区域じゃないわけですよ。こちらが守る区域に入っていないわけですよ。総理も、
感情
論としては行きたいけれ
ども
実際的には派兵もしないと、このような御答弁もありましたけれ
ども
この第五条、わが国の防衛区域内に入っていない。このようなことも不必要な刺激をこれは与えているように私は思うのです。何のために、そういう区域に対して派遣しているのか。この第五条との関連性はどうですか。
増田甲子七
70
○国務大臣(
増田甲子
七君) 有事の際は、
施政権
下の武力行使に対してこちらが正当防衛として武力の反撃をするだけでございます。実力をもってでございます。でございまするが、また
極東
の平和と安全を保持するために、
日本
の
基地
をあるいは施設を
アメリカ
に供与するという
関係
もございます。しかし、これは交換公文その他によりまして、
沖縄
に事があった場合に、
日本
の
基地
から発進するとかそういうような装備の変更あるいは、
アメリカ
は正式に軍でございますから、軍の動かし方等は
事前協議
になっております。でありますから、
事前協議
をする場合に、わが
政府
としては自主的な見地をもってイエスと言ったり、ノーと言ったり、あるいは半分イエスと言ったり、半分ノーと言ったり、いろいろな場合があるわけでございます。 それから、福祉
関係
は、同じく、交換公文によりまして、いつでも
日本
は
沖縄
の福祉を守る、ことに事があった場合にはよけい守るという約束は果たさなくてはならない、こう考えておる次第でございます。これはもう黒柳さんの御存じのとおりでございます。
黒柳明
71
○黒柳明君 時間がおそくなりましたし、また、現地へも行きますし、
総務長官
のほうにお聞きしたいんですが、防衛庁長官、また後日。 あの山川議長の要請決議、当然ごらんになったと思うんですけれ
ども
、私もまた自民党の先生方もこれを読んで非常に語句が強いなと、こうおっしゃっていた。私たちが感じるならともかく、自民党の
方々
も、この立法院の要請文書、決議文書を見て非常に強く感じを受けられた。こういう印象を述べておりました。まあ長官、この全体に関してというより、特に私はこの二点、「独立国の国民の一部が、」云々というところから「
日本
国についてなおこのような事実があることは近代世界において許されるものではなく、
日本
の真の独立を侵すものであって、われわれは強い憤懣を覚えるものである。」と、こういうように怒りの表現をあらわしているわけです。さらにまん中ごろに行きますと、「
軍事基地
の保有を目的とする米国の
施政権
下において」云々というところに行って、「
沖縄
県民は
施政権返還
こそが県民の
生活
と権利を守る唯一の途であるという考えのもとに今日まで要求し続けてきた」、非常に語句の強い、きびしい憤りの
ことば
といいますか、ふんまんやる方ないというか、そういうものが立法院の要請決議としてあらわれているわけなんです。このことについて
総務長官
も当然山川、安里の両議員にも会われたわけですし、また、その後いろいろ
委員
会に出て御
発言
もされていますけれ
ども
、お考えを持っていると思うんですが、どうでしょう、この要請決議は。
塚原俊郎
72
○国務大臣(塚原俊郎君) ただいま御指摘の決議に対しましては、これは特連局からの報告でも拝見いたしましたし、また、議長並びに安里君がおいでになりまして親しく二、三回プライベートと申しますか、オフィシァルと申しますか、さしでお話をいたしました。また、参議院のこれに出ませんでしたが、衆議院の
沖縄
特別委員会
で御両所の所見の開陳の際にもこれを拝聴させていただいておりますけれ
ども
、全文これまことにごもっとものことでございまして、だからこそ私もしょっちゅう申しておりまするように、九十五万の
沖縄
の
方々
、また一億の
日本
国の
方々
の
悲願
とも熱願とも言える
施政権返還
ということについても、たびたび申しておるのでありますけれ
ども
、
沖縄
の
方々
のこの御決議に盛られたお
ことば
、私はよくわかりまするし、また、その裏にあるものを考えまするとじっとしてはいられないような気持にもなるわけでございます。
黒柳明
73
○黒柳明君 今度議長の要請文の中に、これはいまも
参考人
との応答の中に出たんですが、
政府
が国論をすみやかに統一して米
政府
との交渉をやってもらいたい、このような
ことば
があるわけですね。私も当然だと思う。あくまでもこういう
委員
会で、ありもしないことを、あるいはうわさを通してこういう事実であると言ったって、私たちに何のプラスもないし、あるいはそれに対して事実であるかどうかわかりませんとか、いろいろな討議をやったってしようがない。問題は
日本政府
と
アメリカ政府
との
話し合い
です。これはもう当然なことです。ところが、この
話し合い
がどの程度まで真剣に行なわれておるか。いま長官がおっしゃったように、ほんとうにお説ごもっとも、いてもいたたまれない状態だと、こういう御心境は、ほんとうはその
政府
を代表している
責任
者の一角であるんですから、全面的にその
責任
を背負っておる方です。であるならば、あくまでもこの
国会
審議を通じていろいろな
話し合い
を行なうことは当然ですけれ
ども
、もうこの
レベル
で
話し合い
をするよりも、
日本政府
と
アメリカ政府
とがほんとうに話し合わなければならない
段階
に来ていなければうまくないと思うんですよ。この議長の要請の、国論を統一して
アメリカ政府
との交渉をすみやかにやれと、このことについてはいかがお感じになったでしょうか。
塚原俊郎
74
○国務大臣(塚原俊郎君) 今日までトップ・
レベル
の会談で何回か
沖縄
問題は話し合われておることを私はよく存じておりまするが、もちろん、いずれの時期においても重要な問題ではありましたが、今日ほどこの問題に対する国民の、また
アメリカ
も
日本
も関心が高まっておるときはないと私は考えております。直ちに日米の交渉という黒柳
委員
のおっしゃることは頂上会談、トップ・
レベル
でやれという意味と私は考えております。これがあすにでも開かれることを私は望んでおりまするが、その時期もいまいつになるかは申すことはできません。おそらく秋に総理が訪米されるときの重要な課題になる、最重要な課題になると私は信じておるのであります。なお私も、国務大臣として特連局を預かる総理府の
総務長官
として、この問題に重大関心を持っておりまするが、
アメリカ
との折衝になりますると、私のなし得ることは、まあプライベートに
アメリカ
の大使館の
関係
の方、もちろんこれは公式にもございまするが、やはり正式の場でも、日米協議
委員
会
——
私この職につきましてからは二回しかございませんが、まあ、私としてはできるだけの希望と要請、日米相互の理解と協力によってこの問題の
解決
を強くお願いしてありまするけれ
ども
、やはりワン・クッション置くねらいはありますが、やはり外務当局が当面の
外交
折衝の
立場
にありまするので、三木外務大臣とも連絡をとりながら、常時この問題についての
アメリカ
との折衝はお願いしておるわけでございます。しかし、そういうものでは根本的な
解決
ははかれない、国論をバックとした
施政権
の
全面返還
というようなことについては、やはりトップ・
レベル
の会談でなければならないであろう、私はこのように思っておる。その
機会
の一日も早い到来を待っておるわけでありまするが、なお、今度の
国会
から衆議院、参議院両方に
沖縄問題等
に関する
特別委員会
ができましたのも、私をして言わしめていただくならば、これをもって政争の場にしないで、それこそ文字どおり、九十五万の
沖縄
の
方々
、一億の
日本
の国民の
方々
の熱願とも言うべき
沖縄
問題の
解決
について、非常によい御
意見
を承り、またその御開陳を願い、
政府
としてもあらゆる
角度
から
検討
いたしておりまするが、さらにそれとあわせまして、来たるべき非常に早い
機会
に行なわれることを希望いたしておりまするが、トップ・
レベル
の会談においてこの問題を国論を中心とした折衝に移っていただきたい、また移らなければならない、私はこのように考えております。
黒柳明
75
○黒柳明君 そこで当然、今秋予定あるいはある程度確定しました総理の訪米のときのこれは
相当
重要な話になると、そのときには先ほどから応答ありましたように、理想論ではだめだと、ブルー・プリントをつくり、これに対してやっぱり陰の力、これは
総務長官
だと思うのですが、今秋の総理の
アメリカ
行きに対して、何としてでも、先ほ
ども
おっしゃったその信条を、ここで
一つ
の結果を出すために努力をしてやろう、そういうお考えはあると思う。それはお考えだけではなくて、
一つ
のやっぱり
日本側
の
態度
を示す何らかの具体的な構想を持って出かけていただきませんと、また、総理にそういうものを持たせてやっていただきませんと、これはいつまでたってもまた同じような蒸し返しがある。長官の期待したような、この
委員
会における審議もできない。いろんなそれは難点もあります。ところが、
国会
審議よりも
沖縄
の人をまずその重点に考える、
沖縄
の島民の心情というものを最優先に考えてやる、これが一番重要である。まあ、いろんな考えは、もう琉球
政府
だって、琉球王国千年間も続いたんですから、じゃ、この際
沖縄
王国をつくって独立させたらどうか
——
これは突拍子もない話ですけれ
ども
、いろんな考えを含めてひとつ構想を練って、総理に、ぜひ
アメリカ
へ行くときには、
総務長官
が自信を持って、いまの
発言
のとおりに、ほんとうに長官の、
沖縄
が一日も早く
日本
復帰できる、これなら間違いない、米国も乗るだろう、こういうブルー・プリント、構想というものをぜひ練って、そして総理が持って
アメリカ
に行ってトップ・
レベル
の会談をやってもらいたい、こうお願いする次第ですが、それに対して長官の、あとまだ日にちがございますから、これは重要な問題ですからいろいろお考えもあると思うのですけれ
ども
、現在の御心境を吐露していただきたいと思うのです。
塚原俊郎
76
○国務大臣(塚原俊郎君) 私のところは非常にたくさんの仕事を持っておりまするが、先ほどから申しておりまするように、この問題については私は最大の関心と、また一番心配いたしておる問題でありまするし、また私が
総理大臣
と接しておる限りにおきましても、総理の御心境もわかるような気がいたすのであります。総理も
国会
においてたびたびお答えいたしておりまするし、またこの間も総理から私は、この小笠原の問題と
沖縄
の問題とについて今日までも十分やったろうが、さらに
検討
を続けてこの問題の
解決
に当たる努力をしなければいけないという強い御指示をいただいたようなわけであります。で、至らない者ではあるけれ
ども
、
自分
としてはできるだけのことをやっている。先ほど
大浜
さんがいろいろと訪米の成果を御報告されたでありましょう。ただいま総理府の
一つ
の機関であるかもしれませんが、
大浜
さんをヘッドとする
委員
会は
教育
の問題についての御審議を願っております。これが近い
機会
に私は答申案が出ると思いまするが、総理も参議院の予算
委員
会、衆議院の
委員
会等においてお答えいたしておりまするように、この
大浜
コミッティというものが一応現在の任務が終了したあと、今度は
総理大臣
の直属の
一つ
の
諮問機関
と申しまするか、形は私と官房長官で相談することになっておりますが、そこで
沖縄
の全般の問題について御審議を願うというお気持ちも、そういう御
発言
も、私は何かのものをひとつ見出してもらいたい
——
もちろん、
政府
も努力をしておりまするが、英知を傾けて、それこそ超党派的にこの問題のよい
解決
策というものを見出したいという気持ち以外の何ものでもないと私は考えております。決していま申しましたことが、私、他人まかせという意味ではございません。私もその驥尾に付しましてよい案を出して、この秋行なわれるであろうときには、その
一つ
の
青写真
というものを持って、たとえ
沖縄
にブルー・スカイができなくとも、その
施政権返還
についての、この決議案に見られるような、
沖縄
の
方々
の気持ちにこたえなければならないという強い決意を持ってこれからも勉強を続けていく考えでございます。
黒柳明
77
○黒柳明君 最後に一間だけお願いします。 いまの
沖縄
問題の
懇談会
、新しく新審議会ができると、それに基づいていま答申案の骨子というものが、まあこれはどの程度の答申案が出るかわかりませんが、新聞情報によりますと、おもなものは
二つ
です。
一つ
は、
教育権
の分離の問題、
一つ
は南方連絡事務所を
教育
局にするという、このような答申の骨子が新聞で発表されておりますけれ
ども
、これはきっかりした答申案ができてから当然御勉強していただき、また結論を出していただくわけですけれ
ども
、いま現在の骨子、草案だと思うんですが、それに対して長官のお考えはどうでしょうか。
教育権
の分離の問題と、それと南方連絡事務所を
教育
局にすると、そういう問題に対しての……。
塚原俊郎
78
○国務大臣(塚原俊郎君) いま黒柳
委員
の御指摘になったような問題は、新聞で私も拝見いたしましたが、私が伺っておるところでは
——
まだ伺っておると申しましても正式の答申が出ませんから、
大浜
さんなり
委員
の
方々
からどういうものをお出しになるんだということは、私はお聞きしたことはございません。しかし、私はそういうものではないと思います。今日まで
大浜
委員
会に私、
出席
いたしましたし、小
委員
会
——
小
委員
会には出ませんが、いろいろと私が聞いておりまするところでは、
日本政府
が
責任
を持ち得る
教育
行政のあり方、それから
教育
の面におけるところの
格差
の是正という
教育
全般の問題についての御審議を願っておりまして、その答申の
内容
が、いまおっしゃったような
二つ
の問題であるというふうには私聞いておりません。いずれにしろ、
教育
はいかにあるべきかと、
日本政府
が
責任
を持って行なえる
教育
のあり方というものについてのお考えが示されるものと私は考えております。もうわずかでありまするから、時日を待っておるわけであります。
黒柳明
79
○黒柳明君 大体いつごろ答申は
——
新聞だと七月とか何とか。見通しはまだ全然立たないのですか、大体七月ごろですか。
塚原俊郎
80
○国務大臣(塚原俊郎君) はっきり私も存じませんが、じゃないかと、そのころではないかと考えております。
黒柳明
81
○黒柳明君 どうもおそくまでありがとうございました。
山本利壽
82
○
委員長
(
山本利壽
君) 他に御
発言
がなければ、本件に関する本日の
質疑
はこの程度にいたします。 次回の
委員
会は六月十六日に
開会
することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十六分散会