○
参考人(
安里積千代君)
琉球立法院の
議員をしております
安里積千代であります。
琉球立法院は三十二名の
議員でありますが、われわれは野党の
立場に立っているものでありますが、
沖縄の
祖国復帰の問題につきまする
決議並びに長い間の
県民の
要求、その間におきまするいろいろな方法論的な問題につきましては、
意見の相違があったにいたしましても、基本的にすみやかに
沖縄を
日本に回復してもらわなければならない、
施政権を返してもらわなければならぬということにつきましては、今回の
決議でもわかりますとおり、
全会一致の問題であります。このことをまず冒頭に申し上げますとともに、いま
沖縄問題は
日米間の重大問題であると、これは内外あげていわれております。
アメリカ自身そのようなことを言うておられるのであります。なぜ
沖縄問題が
日米間の重大問題であるか、
政府の
大臣、
皆さん方にお会いいたしましても、
日米間にいま
懸案とさるべきものは
沖繩問題以外にはないのだと、こうおっしゃっておられます。それほど
沖縄問題は、解決しなければならない
日米間の大きな問題であると考えております。
アメリカがなぜ
沖縄問題を
日米間の重大問題であるというふうに考えておられるかということを私なりに観察いたしまするならば、もちろん、御
承知のとおり、
戦争の結果、
沖縄を
アメリカが治めておるわけであります。
平和条約の第三条でありまするけれ
ども、
政治的な
常識があるならば、あるいは
政治的な良識の上から、あるいは
国際政治の慣例の上から見ましても、
戦争終結後のあの
条約で、しかも無期限に、しかもあの
条約をごらんになりますればはっきりしまするとおり、
信託統治を提案する場合にはこれは
日本が同意をする、このような
決定がなされるまで、
行政、
立法、
司法の
権利を有すると、こういったような規定をよりどころとして十何年にもわたって治めておるということが、良心的に
アメリカの
民主主義の
立場からも、あるいは
アメリカの言う
民族自決の
立場からも、
世界の
指導国として、あるいは国連においても大きな
指導カを持つ
アメリカなるものが、
自分自身は
友好国であるところの
独立国日本の
国土をいつまでもそのようにやっておる。口では
友好国と言いながら、口では
主権の尊重と言いながら、事実において
主権国、しかも
友好国である
日本の一県、
日本の
国民をみずから支配をしておる。このようなことは許されてはならないことです。私は、しばしば
アメリカの
皆さん方と話す場合も申し上げるのであります。
沖縄をこのように継続して支配しておるということは、いかなる理由があるにしろ、光栄ある
アメリカの
歴史に汚点を残すことだ、
軍事に
政治が優先するという、あるいは文官優位の
精神は
アメリカ憲法の
精神であるはずなんだ、それが
沖繩に関する限り、
軍事が
政治を支配する昔の
日本のあやまちを
アメリカ自身がおかしておることになるのだという忠告も申し上げておるわけであります。
アメリカ自身で、
平和条約に名をかりていつまでも
日本の一部、
沖縄を支配しておるという
不当性、不
合理性を良心的に十分知っておられるのであります。知りながら、あえて
軍事上の必要ということになりまして
沖縄を放さないのが
現状でございます。したがいまして、
アメリカの上院の委託によりまして
アメリカの勢力の及んでおりまする各
地域を
調査いたしました
調査機関コンロン報告の中にいみじくも言われておるのでございます。
沖縄の問題は
アメリカにとって
軍事的には資産であるが
政治的には負債である。このように、
アメリカ自身の
学者も、あるいはまた
外交論評家と申しますか、
学者も、このように評しております。
軍事的に
プラス、
政治的に
マイナス、一体この
政治的マイナスと
軍事的プラスを
政治の
歴史の中から顧みた場合に、いずれをとるか。これはもちろん
アメリカが選択しなければならぬことではありますけれ
ども、こういう不合理な
政治継続は許されないものであるということを
アメリカ自身が理解しておると私は見ております。しかし、それなるがゆえに、それであるにかかわらず、
沖繩はなお
軍事上重要であるというふうにいたしまして、現に
ベトナム戦争に利用しておることになっておるわけであります。この事態も長い目で見まするならば、
アメリカ自身の
軍部関係では、
アメリカは
世界の各地に
軍事基地を持っておる、しかしながら、いずれの国からも何らの
干渉を受けることなく自由に
戦争行動ができる
唯一の
地域、それが
沖繩である。このように
軍部は高言をいたしております。どこからも
干渉を受けることなく自由に
自国の軍隊を動かすことのできる
唯一の
地域だということは、いわばそれは
自分の
国土以外にはないはずであります。したがいまして、しばしば
沖縄を
現実に
アメリカが支配し、そして
現実に軍備を強化しておる実態をとらえまして、相対立する国からするならば、
アメリカこそ
侵略主義じゃないか、
アメリカこそ
帝国主義の見本じゃないか、それを
アメリカ自身が示しておるということになります。このように考えまするときに、
アメリカにとって、
沖繩の
現状継続ということは、決して
プラスする面があるとは思わないのであります。のみならず、このように
日本の
国土と
国民をいつまでも支配することは、
独立を誇る
日本一億の
国民の
感情も許さないはずであります。そうして、このようなことが継続しまするならば、せっかくの
友好国日本をも失う結果にならないとも限りません。まあ、そういうふうに私は思うわけであり、
軍事基地を保有しておるということも、われわれから見まするならば、
日本本土には
安保条約というのがあります。
他国の
領土に
軍事基地を持つ場合には
条約上の根拠を要するということはもはや
常識だと思います。
沖繩に
軍事基地保有の
条約がございません。あるのは
平和条約の第三条でありますが、第三条の
司法、
行政、
立法の
権利を有するということから
軍事基地設定の条項も含まれるのだと
拡大解釈することは当たらないことだと思うのでございますが、かりにそうだといたしましても、そのことがはたして
世界の平和に寄与するか、あるいはまた極東の
緊張緩和に役立つか、これも疑問であります。
まあ、そういった
立場からいたしまして、
アメリカといたしましては、
沖繩問題を何とかしなければならぬ
立場とも考えております。また、
祖国日本の
本土の
立場からしまするならば、
独立国であるとは言いながら、
自分の
国土と
国民を
他国に支配させておるということは、私は
独立国日本の権威も誇りも傷つけるものだと、このように考えるのであります。
私
たちは
沖縄問題を
祖国に訴えますときにいつもこう申しております。
戦争の結果、あの当時の事情やむなくわれわれは
アメリカに渡された。しかし、その渡されたことに対しまして、私
たちはぜひ
日本の
政府、
国会、全
国民が深く掘り下げて
責任を感じていただきたいと、こういうふうに願っております。
平和条約が結ばれようという機運がございまして、
日本から切り離されるという状況があらわれたのは一九五〇年、
昭和の二十五年であります。そうしますと、私
ども沖縄県民は
日本から切り離されちゃいけないということで、
アメリカの
軍事占領下にあり、
アメリカのおかげで一切の生活もでき、
日本から一文の
援助の手を伸ばすことのできないような
状態に置かれておりながらまだ
軍事占領中、
平和条約によって
アメリカに渡されることを反対し
日本に復帰せしめよという全県的な
署名運動を大きく展開をいたしております。その
陳情書は膨大なものでありまして、送られてきておるわけです。ですから、いまから十何年も前に、
平和条約の結ばれぬ前から
沖繩のわれわれは
祖国に返るという
運動を続けておるのであります。十七年間も叫び続けておる問題であります。そこで、
平和条約が結ばれたのでございまするけれ
ども、御
承知のとおり、
平和条約は
国民の名において
国会の
承認を得るはずであります。この
国会の
承認は、いわば国の最高の
意思決定機関でありまする
国会でありまするが、この
国会の
意思は、われわれの
県民に相談がございません。われわれの
反対陳情を押し切っております。そして、
沖縄からもちろん
代表も送られていない
国会であります。いわば、
沖繩県民不在、
沖繩県民を除く
日本国民の名においてなされております。過ぎたことでございますので、いま時分このようなことを申し上げる必要はないと思いますが、ただ、私が申し上げたいことは、そのようにしてなされたところの
条約であり、そのことに対しまして、当時の事情やむを得なかったであろうけれ
ども、今日もはや
経済的にも
世界に驚異的な発展を遂げておる
日本であるとするならば、あるいはまた、国際社会において大きな役割りを果たしつつあり、アジアの
指導国としての大きな役割りを果たしつつある、そういう
立場の
日本でありますならば、二十二年前に負けた
戦争の結果をなぜ強く是正するためにやっていただけないか、これを私は訴えたいのであります。
平和条約によって
沖繩が
日本から切り離されるという条項がありますることに強く反対をいたしましたのは、御
承知のとおり、インドであります。このようなことは将来紛争のもとになるのだとしてインドの
代表がこの
平和条約に調印しなかった
一つの大きな理由であります。このインドにおける良識ある人々の声として二、三年前の共同通信にあったことに私は非常に強く打たれております。このインドの良識ある人々の声は、こういうことを言っております。われわれは
戦争に負けたとはいえ、アジアの
日本がこのようにすばらしい発展を遂げておることに対し非常に尊敬し、アジアの誇りであるとともに、われわれは
日本が将来ともアジアのわれわれの
指導国となることを欲する。しかしながら、それであるのに、なぜ
日本はいつまでも
自分の
領土である
沖繩を
アメリカに支配させておるのだろうか。
戦争の結果いかに発展しようとも、
戦争の結果失った
沖縄をみずからの手で回復せずして
日本はアジアの
指導国となることができない。このような共同通信が載っておったことを私は見たのでありますが、私は、
他国の
国民からこのように言われることに対しまして、ほんとうにむしろ恥ずかしく思うものであります。
また、これも一昨年の四月でありましたか、五月でありましたか、
ベトナム戦争に関連をしてベトコンに
日本の技術者が抑留されまして、捕えられまして、二十五日間ベトコンに捕えられまして、無事二十五日目に釈放された方々が帰られましての話がありましたが、私はその人々の語りましたことの中にも非常に反省させられるものがあったのであります。と申しますのは、この南ベトナム解放戦線のベトコンが彼らを釈放するにあたって、このように言っておったそうであります。団長さんの話であります。一兵士が、われわれベトナムの人は
日本を同じアジアの人として尊敬し、信頼をしている。それだのに、同じアジアのわれわれに、われわれの上に注がれている砲火がわれわれの
友好国であり尊敬する
日本の
国土沖縄から出ていることを思うときに、なぜだろうと、こういうふうに実に素朴ながら真理の通った質問をしたということを、帰られました人の談話として載ってておるのを私は見たのであります。
沖縄の
現実の問題もいろいろ申し上げたいのでございますけれ
ども、
戦争の結果切り離された
沖縄におきまして、さらに現在はもちろん
ベトナム戦争に大きな役割りを果たしつつあります。このことは、しかし、遠く離れておりますところのこちらにおきましては、あるいは対岸の火事で、身にしみて感じないかもしれません。だが、たとえて申しますと、広島の原爆—原水爆禁止の問題におきましては、
日本国民は
世界における
唯一の被爆国として原水禁に対しては大きな発言力があるのだとしばしば聞かされるのであります。被害を受けたその国、これ自身が痛切にこの問題を感じております。われわれ
沖縄県民がいま素朴にこのように感じております。二十何年前われわれの上に注がれた
アメリカの砲火、草木も施設もあらゆるものが破壊をされた、多くの無事の民も幼き子供も年寄りも失ったところのあの悲惨な
戦争、海から陸から空からのあの砲火は、いまベトナムの上に注がれている同じ砲火である。それがいま、二十何年前にはわれわれに注がれたものが、今度はわれわれのところから、利用されて発射されておる。そしてああいった悲惨な目にあっておる実情を見るときに、理屈はどこにあるにしろ、われわれ
沖縄県民にとりましては、このような
戦争のために
沖縄が利用され、
自分たちの目にあったことが、さらに
自分たちを中心にしてなされておるということに対して、耐えがたい苦痛を感じておるのであります。これは
現実の問題でありまするけれ
ども、現に
沖繩が
軍事上重要だということばをもって置きかえられておるのでありまするけれ
ども、これはわれわれとはかかわり合いのない問題でありますが、ここで申し上げたいことは、
平和条約に
軍事上必要だからとか、極東の緊張が続く限り
沖縄を
アメリカが保有するというようなことは、
平和条約の第三条からうかがわれないのであります。ただ、
現実にそのようになっておるということであります。そしてその場合に、われわれ
日本として、
日本の
国民としていつでも感じさせられますることは、
——アメリカは私
どもにはこのように言われております。
沖繩が
軍事上重要であるということは
日本の
総理大臣ちゃんと認めておる、佐藤—ジョンソン会談においても、
共同声明の中においてもちゃんと認めておる、これは正式に
琉球立法院におきまする開会式に当たって冒頭に、現地の
責任者である高等弁務官が堂々と述べられていることなんです。つまり、そうして、そういう演説がなされ、そういう
共同声明がなされまして、そうして二月にはいまのように
ベトナム戦争が始まり、
沖繩がおっしゃるとおり
戦争に大きな価値を与えているということになっております。勘ぐりようによりましては、
ベトナム戦争を遂行するためには
沖縄を利用しなきゃならぬ、
沖縄を利用するためには、その母国であるところの
日本の
責任者の言質を取らなければならないとしてあの声明がなされたと、このように勘ぐって勘ぐられないこともないわけであります。このようにしまして、この
軍事上の重要性が、あるいは極東の緊張ということが
沖繩の
祖国復帰を妨げるところの原因になっておるとしますれば、われわれは耐えがたいのであります。そしてもし
日本政府が
日本の国が、
アメリカの言うそれを理由にして同様な
意見を持たれるとしまするならば、私はそれは大きな誤まりであると考えております。極東の緊張だとかあるいは脅威だとかいうことは、いろいろな見方があるでございましょう。しかし私は、こう私自身
アメリカの方にも率直に言っております。ぼくは、
日本政府の方々も
日本の
国民も
アメリカに対して強く言ってしかるべきものじゃないかと思います。一体、
沖縄の
軍事基地を強化するということが極東の緊張をやわらげる原因になるのか、極東の緊張を強化することになるのであるのか。一九五五年でありました、国連十周年記念式典におきまして、時の大統領アイゼンハワー氏は演説をしております。たいへんうまいことを言っております。軍備競争によっては平和は達成されない。正直と正義と他を尊敬し相互を理解することがその武器とならなければならない、このように言われております。国際緊張なりあるいは脅威というものは、相手方に対するところの信頼を失い、猜疑心で結ばれ、相手方を信頼できずに尊敬できない
立場からも生まれてくるでありましょうけれ
ども、さらに軍備競争によって醸成されると思っております。そして私はこのように申しました。実例をとるならば、キューバにかつてソ連が核兵器を持ってきたときに、
アメリカの安全脅威に
関係するとして危機をはらんだことをわれわれは知っている。
戦争一歩手前までも行った。だがあのときに、このキューバからの核兵器の撤去によりまして事なきに済んだ。これを逆の
立場から、今度は
アメリカがアジアに、そして
沖縄に核兵器を持ち、ここに軍備を強化するならば、相手国には脅威にならないと思うか。
他国が
自国の
領土近くに持ってくるときには脅威になり、
アメリカが
他国のところへ持っていくときは
他国が脅威を感じないという理屈は出てこない。だから、ほんとうに
アメリカが平和を愛し、正義を愛する、また極東の緊張を緩和するという信義があるなら、まずみずから
沖繩にある基地は、これは
本土の基地と意味が違うことは御
承知のとおりであります。
本土は防衛的のものだといわれ、
沖縄基地は攻撃的作戦上の基地だといわれております。ですから、ほんとうに
緊張緩和の原因は、
沖縄から核兵器をなくし、あるいは
沖繩を自由に
戦争に使うというそういうような基地の性格を一歩
アメリカに退いてもらいさえするならば、ここに
緊張緩和されるところの大きなあれができると、そのような大きな腹を、
アメリカ自体言うことと行なうことを実をもって示すべきだと考えておりまするし、
日本がアジアの一員として、そうして過去において大陸を侵略した
日本が、過去のあやまちを再び起こさない、国際紛争を武力に訴えないというこのとうとい国是の中から、
日本政府の外交も、ほんとうに
沖繩の核兵器は必要だ、基地は必要だ、
本土防衛のために
沖縄という
現状が必要だというそのような消極的な
立場じゃなくて、
戦争を否定し、
日本の
国土の中においてはそのような基地は認められないという、むしろ
世界に誇るべきこの
精神を発揮して、
沖繩県からも、
日本国土である
沖縄にも、核兵器を持たないように、攻撃用基地にしないように、一歩下がるならば、防衛的な性格にまで持っていくならば、
施政権の返還をはばむ理由は何ものもない。そのことはまた、
アメリカ自身としても平和を愛する、正義をとおとぶということを実行することじゃないか、なぜそれができないかというくらいの強い
要求があってしかるべきだと思う。そうでなくて、いつも
沖繩返還問題になってきまするときに、
アメリカがなかなか許さないから、認めないから、こういったような
立場では、私は
沖縄問題の解決にはならぬのじゃないか。この際ひとつ私は
皆さんのお力をかりまして、
政府の腰を非常に強くたたいていただきまして、
国会が
国民の
意思を
決定する、そうしてこの
国会の意向というものを
政府は無視していけないというたてまえからいたしまするならば、過去にとらわれず、そうして
沖縄返還という、
独立国家として当然のこと、そして同じ
国土と
国民がこのようにされておることに対するところの耐えがたいところの、極端に言いますれば、侮辱を感ずるというところまで行ってもいいと思う。そういったところで、
国会が強い決意を持って
沖縄の返還
——その場合においては平和の問題がございましょうし、極東の問題がございましょう。そういうことに対しましては、それぞれ国として打つべき手段があると思います。これからみ合わせまして、
沖繩の
現状を継続させられるということが、われわれにとっては耐えがたいことであります。
軍事上の必要のために、
沖縄の
現実の統治が
軍事優先の
政治になっておりますることは御
承知のとおりであります。いまの
世界に、しかもわれわれはこの点も国連憲章違反だと言っております。もちろん、
沖繩の特殊な地位は
世界に例がないでございましょうけれ
ども、
類似したものが国連憲章の中にはございます。これは国連憲章の第七十三条にありまする非自治領域に対しまする統治の大原則であります。その大原則が確立されております。すなわち、施政国は統治するその
地域の
住民の利益を至上のものとすべし、ことばをかえて申しますれば、治める国の利益を目的として治めてはいけない、治められる
地域の利益を目的として治めるということがこの施政国に与えられまする国際法上の大原則なんです。
アメリカの利益のために、
アメリカの
軍事目的のために
他国を
軍事優先の
立場で治めるということ自体、大きな違反をおかしておるのであります。したがいまして、
日本の国といたしましては、
アメリカに強く
沖縄の返還を
要求して不合理な姿を正常に戻すということにつきましてのりっぱな
合理性があり、
アメリカはこれを拒む理由はないと考えております。現在までわれわれの耳に達しまするところの問題が、何となく
アメリカに遠慮することによって、
アメリカの言い分を聞かなければというような、一歩敗北感に、劣等感に、従属感にとらわれたような
立場ではなかろうか、こういう感じを受けるわけであります。はなはだこのことばがどうも穏当でなかったかもしれませんけれ
ども、これは二十何年間も、そうして
条約が発効して十何年間も
祖国から切り離されて、こちらに参るにも自由でない。
軍事優先のために大きな人権問題の制限も受ける。そして現に
戦争の危機をひしひしと感ずるわれわれ、そしてもうがまんができないというような
一つの私
どものうちに燃え上がりますところの力も、不満も加わりますとともに、母国なればこそ、父なればこそ、母なればこそ、どんな無理でもあえて受け入れていただけるであろうという、このように甘えた気持ちで申し上げておりますことを御理解願いたいと思うのであります。
国政参加の問題につきましては、
議長がお話しをなさったのでありまするけれ
ども、ただ
一つだけ私は申し上げたいと思います。私
どもは切り離されておりましても、
日本国民であることをだれも疑っておりません。ただここで相矛盾がありますそれはどういうことであるかと申しますならば、
日本の
国会が制定をいたしました法律の中に、逆に
沖縄を削っていることであります。この矛盾を、口では
日本の一部であると言いながら、法規の上から
沖繩県を削っているということ、私はこの点につきましても御配慮を願いまして、どうぞ
皆さん方がこの問題につきましても御配慮を
お願いを申し上げたい。もちろん、
アメリカの了解を得ることが必要でございますけれ
ども、これこそ私は
日本の国内問題であると考えております。
日本の
国会に
日本の
国民をどのように参加せしめるかということは、国内問題であると考えております。したがいまして、国におきましてこのような法律をつくりますならば、法的な技術といたしましては、現地から送られるところの選挙法は現地で別に
立法してこれをつなぐということもあり得るわけであります。どうぞ
皆さん方の格段の御協力と御理解を仰ぎまして、根本的には
沖縄がすみやかに
日本に帰りまするために、この
国会の力強いあと押しを
お願い申し上げたいと思います。
たいへんどうも限られた時間、また若干超過いたしましてお耳をわずらわしましてまことに申しわけございませんでしたが、お許しを願いたいと思います。ありがとうございました。