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1967-07-04 第55回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月四日(火曜日)    午前十時五十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 小酒井義男君     委 員                 井野 碩哉君                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 平島 敏男君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 中村 順造君                 田代富士男君                 中村 正雄君    政府委員        運輸政務次官   金丸  信君        運輸省船員局長  河毛 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○船員災害防止協会等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————   〔理事谷口慶吉委員長席に着く〕
  2. 谷口慶吉

    理事谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  本日は、委員長が都合によりおくれますので、委員長が出席されるまで私がかわって委員長の職務を行ないます。よろしくお願い申し上げます。 船員災害防止協会等に関する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちょっと実態ですね、船員災害実態を少しお尋ねをしたいのですが、船員災害発生率陸上災害発生率の二倍以上あるのだというふうに言われておりますが、この船員の、船員であるという、船の上で生活をしているという特殊な条件による病気は何があるのか、最も大きい病名、それから死因ですね。そういうものを少し説明してくれませんか。
  4. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいまお話のございました船員災害実態に関連いたしまして、まず、船員につきましては、職場が常に生活場所であるというのが特徴でありますことは御指摘のとおりでございまして、それに関連いたしまして、一つの大きな特徴は、船内生活に伴う疾病が非常に多いということであります。  そこで、その疾病のうちでどういったものが一番多いかということでございますが、やはり消化器系統疾患が非常に多うございます。これは大体、パーセンテージで申し上げますと、四六・六%を占めております。それからその次に多いものでございますが、これはあとはわりあいいろいろなものに分散いたしておりますが、神経系統感覚器系統疾患もかなりございます。それから呼吸器系統、これが大体みな一〇%台を占めております。あとはいろいろなものに分かれておる次第でございます。大体以上でございます。
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから療養のために船をおりる船員が二八%くらいあると前回も言われておるのですが、船をおりる場合の病名ですね。やはり同じことなのか。そうして船をおりた場合、の大体おりておる期間ですね、というのは長いのですか、あるいは短いんですか、その点をひとつお尋ねしたい。
  6. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 下船療養でございますが、これはただいま申し上げましたような船内で起こりました病気に基づいて下船をいたしておる次第でございます。それで、病気期間は、病気内容によりまして、あるいは災害内容によりまして非常に差異があるわけでございまして、長いものは数カ月かかるというものもあるわけでございます。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、相当の人数が船をおりるわけですね。その場合に、船のあとの補充は、これはどういうことになっておるのですか。
  8. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 航海下船をいたしました場合には、直ちにその欠員を補充するわけでございますが、わが国の船会社は、そういった場合も含めて、不測の事態に備えるために予備員制度というものを持っております。で、その予備員の中から病気のため下船した者のかわりを任命いたしまして乗船させるという制度になっております。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、総トン数の非常に小さい、たとえば二十トン未満というような漁船の乗り組み員なんかの災害というものは、全体を比較して率が多いのかどうなんですか。
  10. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 私どもが直接取り扱っております船員と申しますのは、船員法適用対象になっておる船員でございます。  そこで、ただいま御質問のございました漁船、特に総トン数二十トン未満の船につきましては、これは船員法適用対象外でございまして、法律的には労働基準法適用を受けるということでございます。したがいまして、労働省一般労災に含めてこれが取り扱いになっておるという現状でございますが、私ども船員法関係を見ますと、やはり災害発生率は、汽船が一番少なくて、機帆船、漁船は非常に多いことになっております。そのような傾向から推測いたしますと、これら二十トン末満の漁船船員災害は、大型船に比べると高いんではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 大体災害実態はわかりましたが、そういう災害防止のために協会をつくるわけなんですけれども昭和三十九年ですか、船主協会中心になって船員災害防止協会というものができておりますね。これの加盟状態は、どのくらい、全体の対象になる協会なり船主なり、どのくらいの程度加盟しておるか、御説明願いたいのです。
  12. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 昭和三十九年の、ただいまお話のございました財団法人船員労働災害防止協会というものが、商船あるいは漁船船主設立者となってできておるわけでございますが、この団体の性格は、財団法人でございます。したがいまして、具体的に個々の船主会員となってこれに加盟するということは、団体の性質上ないわけでございます。ただ、これを設立いたしますときに、日本般主協会、大日本水産会全国内航タンカー海運組合全国海運組合連合会、この四者が設立者となっております。それから、同時に、賛助員というものを設けまして、会社または団体で主要なものが四十一社これに加わっております。したがいまして、この団体は、海員のためということではございませんで、財団法人といたしまして、広く船員一般に対しまして、災害防止のための周知宣伝、あるいは具体的な安全手帳の発行、あるいは安全標識の頒布、そういったことを行なっておる次第でございます。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、加入していないものも同じ扱いをするわけですか。
  14. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) そのとおりでございます。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから衆議院においての決議の中に、「船員災害防止協会への加入率が、比較的低いと予想される中小船主協会への加入について適切な指導を行なうこと。」というのがあるのですがね。将来この法律によって協会ができた場合、加入が促進されるという見通しがあるのか、どういうようなふうにこれをおやりになるのか。
  16. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 衆議院附帯決議で、ただいまお話がございましたような内容をいただいておるわけでございますが、現在、船員法対象になっております船員全国で二十七万名おるわけでございます。で、本来この協会は、これら船員を使用する全船主会員といたしまして活動することが、法律上最も望ましいわけでございまするが、陸上災害防止協会その他の状況及び中小船主現状から見ますと、直ちにそれらの全船主加入させることには相当困難があるという見通しでございます。そこで四十二年度の、私ども補助金を計算いたします前提といたしまして、一応立てました事業計画におきましては、二十七万名のうち十七万名の船員を使用しておる船主がこれに加入するということを前提にいたしまして、いろいろなことを考えておる次第でございます。そこで残りの十万名は、当然中小船主に属する船員になるわけでございまして、これらのものについて、早急に船主加盟を促進することは当然のことでございまして、四十三年度以降、この協会の基礎が固まりますと同時に、協会自身努力によりまして、また私どもも及ばずながら御協力を申し上げまして、この残りの十万名の船員が属しております船主についても、できるだけ早急にこの協会加盟するように、行政指導を行なってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席
  17. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでいま衆議院決議の問題を取り上げたので、続いてお尋ねしますが、先ほど漁船災害が多いのじゃないかということを尋ねたのですが、この漁船災害防止について、適切な措置を講じよといっておるのですが、これはどういうふうに進められるのか、方針があれば伺っておきたい。
  18. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 附帯決議の第二項におきまして、総トン数二十トン未満漁船船員に関します災害防止につきまして適切な措置を講ずることということがございますが、この御趣旨は、先ほど申し上げましたように、総トン数二十トン未満漁船につきましては、船員法対象船員ではない。したがいまして、この法律案によります船員災害防止活動対象にはならないわけでございます。で、この二十トン未満漁船船員を、特に船員法からはずしました理由につきましては、船員法は、海上労働特殊性にかんがみまして、労働基準法との特別法をつくっていくという考えが基本にございます。そこで海上労働特殊性と申しますのは、結局、船員陸上を離れまして長い航海海上一般社会と分離して行なうということから、食料品の問題なり、あるいは般内設備の問題なり、いろいろ特殊性が出てまいります。そういった特殊性に着目して船員法という特別法ができておるわけでございます。そういう立法趣旨といたしましては、二十トン未満漁船につきましては、それほどそういった海上労働特殊性考える必要はないであろうという趣旨で、労働基準法適用ということになっておるわけでございます。ただ、実体問題といたしましては、最近の状況から見ますと、二十トン未満漁船につきましても、やはり海上労働特殊性というものを相当検討する必要がある場合もございます。いろいろ問題はございますが、これらの点につきまして労働基準法に基づく一般労災の面についても、特にこれらの船員法適用を受けていない船員についても、同じように災害防止について適切な措置を講ずべきである、この点につきましては、労働省のほうもこれについては現実にいろいろ活動を行なっておられるようでありますが、私ども労働省とよく御連絡を申し上げまして遺憾のないように措置をいたしたい、こういうことでございます。
  19. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから、ほかの点で二、三点続いてお尋ねいたしますが、法律の第三十条を見ますと、「会員総数が三百人をこえる協会は、」あと云々、こうなっているようです。会員総数が三百人をこえる協会という、三百人をこえる協会が幾つかできるようにも受け取れるのですが、協会がどういうふうになるのか、たとえば、協会一つであれば各広範なる地域支部とか出張所とか、そういうものができるのか、そういう地域ごとに三百人以上集まって協会をつくることになるのか、この点はどうなんですか。
  20. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 法律のたてまえなり、趣旨といたしましては、法律規定されております一定の要件がそろいまして、申請があります場合に、それが複数であることを法律はある程度予想いたしております。ただ、陸上法律もこれと大体同じ仕組みでございますが、現実の問題といたしましては、陸上の場合におきましても産業別複数災害防止団体ができておるという実例はいまだございません。  それから、私どもの現在の、実情でございますが、やはりいろいろ漁船船主あるいは商船関係の意向も内々打診しているわけでございますけれども、やはりさしあたりは、漁船商船を含めまして一本の災害防止協会というものを進めることが妥当ではなかろうか、こういうような意見に大体一致しておるようでございます。そこで組織は、そのような場合には単一の全国組織にするということでございます。ただ、御承知のとおり、船員災害防止につきましては、特に全国の主要な港あるいは漁業基地中心にいたしまして具体的な活動を行なうということが非常に重要でございます。したがいまして、その支部組織その他につきましては、十分今後配慮いたしまして必要な場所に必要な機関を設けていくということが肝要ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから次に、協会ができますと、役員がきまるわけですが、会長一人、理事四人以上、監事二人以上というんですがね。この役員は常駐することになるのか、何かほかの仕事と兼任でいいのか。これは、別に協会ができてからきめることなんでしょうけれども予算が出ておりますから、予算との関係で、役員というのは大体どういうような待遇を受ける人ができそうなんですか、お尋ねしたい。
  22. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 本防止協会役員につきましては、ただいまお話がございましたように、協会ができましたあと、総会によってきめられました定款の定めるところによって選任されるということで、法律の数字はいまお話のございましたとおりでございます。実際問題といたしまして、事業計画で具体的にどのようにされるかということは、もちろん協会ができましたあと会員である船主が集まってきめることになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、補助金を算定するにあたりまして、私どもがいろいろな事業計画を一応前提としてつくったわけでございますが、それによりますと、いわゆる役員というものを、有給の役員を三名考えております。それから職員といたしましては九名考えております。したがって、合計十二名ということで一応事業計画を立てておる次第でございます。しかし、これはあくまでも常勤役員なり職員でございまして、あと非常勤、名誉的な理事その他につきましては、もちろん検討されてしかるべきではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから最後に、予算でこういう気がするんですがね、総額が五千万円ちょっとですね、そのうちの管理費が二千三百万円、大体約四五%近く管理費に食われている。あと事業費というものが非常に少ないような気がするんですが、これでいま考えられておるような活動が可能なんですか。
  24. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま御指摘のございました事業計画規模でございますが、この規模は結局さしあたりまして船主がどの程度会員になり得るであろうかということを現実出発点といたしております。したがいまして、先ほども御指摘がございましたように、船主会員になることを促進することによって今後全体の規模をふやしていく、同時にまた、それに伴いまして補助金は会費と同額、見合うものを出すということになっておりますので、補助金のほうも当然ふやしていくということによりまして、今後全体の事業規模をふやしていく、それによって事業費その他を潤沢にしてまいるということは当然私どもとしては考えなければならない次第でございますが、さしあたってやはりこの協会を設立いたしましてその基盤なり、当初の活動方針を明確にするという意味では、先ほど申し上げました程度常勤役職員は必要不可欠なんではなかろうかということを判断いたしております。したがいまして、御指摘のような点はございますが、今後これは会員加入促進、あるいはそれに伴う補助金の増によりまして全体の事業計画をふやしていくということで努力さしていきたい、こう考える次第でございます。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 私の質問はこの程度で終わります。
  26. 中村正雄

    中村正雄君 大臣きょう見えておりませんので、政務次官でけっこうですが、船員安全衛生災害等防止に関しまする運輸省の基本的な考え方について一、二お尋ねしてみたいと思います。 先ほど小酒井君の質問の中にもありましたように、これは名業界なり団体によって数値が違っておりますが、私の調べました範囲では、現在の船員疾病災害等陸上で休養いたしておるという者はやはり一割近くあると思うんです。これは陸上労務者に比べまして海上労務者疾病災害の率が、非常に高いということを示しておるわけなんですが、そういう観点から、陸上におきまする労務管理海上船員に対しまする労務管理の点におきまして、非常な格差があるんじゃないかという感じがするんです。たとえば船舶自体事故等につきましては、非常に詳細な規定もありますし、また、事故等起きた場合は、事実認定のためには特別な裁判制度まで設けるというように、船舶は非常に大切にいたしておりますけれども船舶に乗務する船員につきましては、あまりにも酷使するような機構になってるんじゃないかという感じがするわけです。たとえば陸上労務災害でありますると、労働省基準監督局があって、あらゆる機構が整備されて、予防的な問題についても指導をやっておりますし、また、事故が起きた場合のあと始末につきましても、詳細な事後処理機構もあれば規定もございます。ところが、海上労務者につきましては、船員局が管轄いたしておるわけでありますけれども疾病災害等船員自体のものに対しては、現在の船員局機構自体についても非常にお粗末じゃないか。たとえば病気予防にいたしましても、いまの船員局の中に医師免許を持っている職員が何人いるか——ほとんどいないんじゃないか。また、事業主にいたしましても、先ほど言いましたように、船員の一割近い者が陸上療養するというような労務管理状態であれば、もっともっと船舶を大事にする以上に船員疾病予防策についても、相当金をかけても、経営上そう支障はないんじゃないか。船主自体の問題は別にして、運輸省自体船員に対しまする労務管理という面におきまする基本的な考え方陸上と比べて相当私はおくれておるんじゃないかと考えるわけですが、この点について政務次官はどうお考えになるか。政府委員金丸信君) ただいまの御質問、まことに私も同感でありまして、御指摘のところにつきましては、いわゆる人命の尊重という点から考えてみましても、陸上海上、こういうような関係考えてみましても、非常に格差があると考えております。ところで私も、実は大臣ともこの話をいたしたわけでございますが、行政の府におりましてこれを推進してまいりますためには、予算という問題もからんでおるわけでございまして、できるだけひとつ昭和四十三年度の予算につきましても、こういう面に思いをいたしまして、格差をなくするような方向にしようじゃないかというようなことを大臣も言っておられましたが、私もただいまの御指摘の点につきましては同感であります。できるだけひとつ改めまして、陸上海上格差のないような方向に持ってまいりたい、こう考えております。
  27. 中村正雄

    中村正雄君 方針としては適切なお考えだと思いますが、じゃあ、海上労務管理のおくれておるのを、格差を是正するために、具体的にどういうことを考えておるか、また、今後どういう点を改善しようとお考えになっているか。
  28. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま政務次官からお話のございましたとおりの方針でございますが、具体的な問題でございますので、私からお答え申し上げたいと思います。  御承知のとおり、船員労働災害関係につきましては、船員法自身にこのための根拠法規がございまして、また、これに基づきまして労働安全衛生規則その他が整備されております。  それからまた、特に疾病関係につきましては、船員法陸上の場合と違いまして、船自身に、一定の大きさ以上のものにつきましてはドクターを乗せることを法律的に強制いたしております。  さらにまた、それ以下の船につきましても、必要な範囲におきましても衛生管理者を乗せましてその辺遺憾のないようにいたしておりますので、海上労働特殊性に基づく従来の配慮につきましては、一応私どもといたしまして考慮できる範囲措置を必要に応じましてとってまいりましたものでございます。さらに、全体的に船員疾病あるいは災害一つの問題といたしまして、療養給付その他の問題がございますが、これにつきましては、御承知のとおり、船員保険制度というものが総合保険として確立されておりまして、これによりまして大部分のものは、陸上と全く同じような関係においてカバーされるということに相なっておる次第でございまして、これらに関する船主保険料負担というものも、相当の金額になっておりますことは御承知のとおりでございます。  さらにまた、現場の機構でございますが、私どもといたしましては、全国海運局がございますが、ここに船員労務官を配置いたしまして、この船員労務官によりまして具体的な労働安全衛生関係法規の順守につきまして、あるいはまた、それらの法規を円滑に運用するための指導につきまして遺憾なきを期しておる次第であります。ただ、御指摘のように、現状において全く十分であるということは、私どもといえども申し上げることはできないわけでございまして、このたびの法律案も、そういった点を別の見地から、船主の自主的な災害防止活動ということの面から一つ措置をしようということが努力のあらわれでございます。ただ、私どもは、このように船主自主的活動にすべてをまかすのであるという考え方では決してございませんで、今後、ただいま申し上げましたような点につきまして、たとえば船員労務官の数が非常に全国的に見まして少ないわけでございますので、この定員をふやすということにつきましては、御承知のとおり、ただいま予算的には一番むずかしい点でございますが、何とか実情関係方面に説明をいたしまして、できるだけ増加するように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  それからまた、すでに陸上では、こういった労働安全衛生関係指導監督につきまして指導員制度というものを設けておるようでございます。これらの点につきましても、私どもといたしましても十分に陸上施策を研究いたしまして、取り入れることが適切であると考えられるものは取り入れ、今後一そう、船員労働安全衛生関係施策に遺憾なきを期したいと、こう考えておる次第であります。
  29. 中村正雄

    中村正雄君 私は、いまの運輸省のこれに関しまする方針は、一応、船主が守る一定ワク法律なり規則なりでつくって、そうして、それに従っておやりなさいということであって、すべては船主まかせ、ただ、監督官庁として法律にきめられておる基準の人を配置しておるかどうか、その人が適正な人であるかどうか、あるいは法律にきめておる機構を守っておるかどうかということを考えるだけであって、運輸省自体が、たとえば陸上におきまする労働基準監督署のように直接指導する、また、法律ワク内においても、災害が起きたり、あるいは起きる場合の予防措置等について指導するということがないのじゃないか。たとえば、いま局長の御答弁にもありましたように、船員法に基づきまする安全衛生規則というのができておりますが、この安全衛生規則を実施する機構というものがいま船員局にどの程度陣容であるわけですか、この中にもおそらく衛生関係がありますから、何といっても医学上のことが大きく仕事中心になると思うのであります。先ほどちょっと言いましたように、じゃあ医師免許を持っている職員が一体何人この安全衛生規則を実施する機構内におられるか、御答弁願いたいと思います。
  30. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま船員法及びこれに基づきます労働安全衛生規則の実施の私ども陣容でございますが、具体的には、先ほど申し上げましたように、海運局に配属されております船員労務官が第一線において行なっておる次第でございますが、これは全国で八十名でございます。たしか陸上の労働基準監督官が二千数百名であったというふうに記憶いたしておりますが、この率は船員数と労働者数との単位当たりの比率においては必ずしも少ない数字ではございません。ただ、船舶が非常に全国に分散しておるというような状況から考えまして、私どもはこれで十分であるというふうには考えておりません。さらに、先ほど申し上げましたように、一そう充実に努力してまいりたいと思います。  それから医者の件でございます。運輸省行政機構として特にこういったものを担当する医師免許を持っておる公務員がいるかどうかという点でございますが、これはまことに遺憾ではございますが、現状においては私どもはそういう人を持っていないわけでございます。ただ、これらの者を持っておりませんけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、厚生施設といたしまして掖済会病院その他を外郭団体として持っておりますので、必要に応じましてそれらの方のお知恵なり御協力を仰ぐということによりまして、当面の問題を片づけておる次第でございます。
  31. 中村正雄

    中村正雄君 政務次官先ほど御答弁になりましたように、陸上に比べて海上労務管理については非常におくれておる。これは、その格差を是正するために今後努力をしたいという御答弁でありましたので、来年度の予算、再来年度の予算等で、少なくとも疾病災害者の率というものは陸上に比べて非常に高いわけでございますから、この格差是正のために今後一そう御努力をお願いしたいということで、基本問題につきましての質問は打ち切りますが、法案の内容について一、二船員局長にお尋ねしたいと思います。  この前の委員会に私出ておりませんので、そのときに御答弁になったかと思いますが、先ほどもちょっと御答弁の端にありましたように、法律の四十六条に、船員保険特別会計の予算範囲内で費用の一部を補助していくという規定がありますし、またその前に、二十一条に、会員から会費を徴収すると、この二つが収入の根幹になると思うのです。したがって、会員から徴収する会費をどの程度にお考えになっておるのか。また、会員については、強制加入ではありませんので、行政指導でできるだけ全船舶所有者が入るように行政指導なさると思うのでありますが、この予算関係をひとつ御説明順いたいと思います。
  32. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) まず補助金と会費の関係でございますが、原則的に私ども考えておりますのは、まず船員保険特別会計からこの協会に対しまして補助金を出すわけでございますが、それは会費の総額にほぼ見合う補助額を出すということを原則といたしまして今後進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  その次に、会費の額でございますが、先ほど申し上げましたように、四十二年度の事業計画といたしましては、船員十七万名を対象にいたしまして、その所属する船主から船員一人当たり百円を徴集する、したがいまして、その額は千七百万円になるわけでございます。したがいまして、四十二年度に政府の予算計上いたしております補助金の額はそれと同額の千七百万円、こういうことでございます。
  33. 中村正雄

    中村正雄君 この協会が取ります会員からの会費は定款できめるわけですが、これは一応一人百円ときめる予定でございますね。したがって、四十二年度は十七万人、現在、船員法適用を受けております船員は、私の記憶ですが二十六万前後だと思うのです。したがって、四十二年度に会員となる船主、そのうちの十七万名くらいの船員を擁する船主会員になる見通しだと思うのです。これはまた四十三年度、四十四年度になりますと、現在の二十六万人が船員法適用を受けておる船員であるとすれば、それに見合うだけの船主会員になるように行政指導をなさるおつもりですか。
  34. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 船主会員加入の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、なお十万程度船員の属しておる船主につきましては、四十三年度以降におきましてできるだけすみやかにこの協会加入するように私どもといたしましていわゆる全力をあげて行政指導をしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
  35. 中村正雄

    中村正雄君 私は特にこの際お願いしておきたいのは、この法律が通れば、いわゆる大船主といいますのはすぐ入ってくると思うのです。実際に災害発生率が多いのは、この協会に直ちに入らないような弱小船主と言っては悪いのですが、いわゆるそういう船主のもとに働いておる船員が多いと思うのです。だとすると、大手でありますれば、会社自体でそういう予防措置もそれぞれやっております。会社自体が弱小のために、法律にきめられておることさえも実行できない船主がこういうものを設けるために一番必要な存在だと思うので、当初十七万と考えておりますのは大体いままでの任意団体に入っている人に近い教字だと私は思います。したがって、やはり相当行政指導の面においては困難かと思いますけれども災害発生率の多い弱小船主、これをやはり一日も早く会員にするように行政指導を願いたいと思います。それから四十六条は、船員保険特別会計から本年度は千七百万補助する、こうなっておりますが、この船員保険特別会計の中のどの部門から千七百万お出しになるのですか。
  36. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 船員保険特別会計に船主が特に支払っておる保険料の特別部分を対象といたしました福祉施設費という項目がございます。この中から千七百万円を立目して補助金として出す、こういうことであります。
  37. 中村正雄

    中村正雄君 そういたしますと、国が、政府が補助するという形にはなっておりますが、実際は船員なり、あるいは船主が納めた保険料から補助することになるわけですね。
  38. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 船員保険全体につきましては、国からの繰り入れ金というものがございますので、具体的にそういったものの全体によりまして船員保険というものがささえられておりますので、その福祉施設費というものが船主負担の金額から相当入っているということは間違いありません。
  39. 中村正雄

    中村正雄君 最後に、協会の人的構成ですが、先ほど小酒井委員からも質問がありましたが、とかく政府が一つの法人をこさえますと、やっぱり役員その他には天下り的な人事がやられておるという社会の非難があるのです。もちろんこの協会をつくり、先ほど御説明にありましたような役員構成等の中に、やはりこういう業界なり、あるいは政府の行政指導の面でたんのうな、かっての公務員の人がある程度入られるのはこれはやむを得ないかもわかりませんけれども今後の人的構成の面におきまして、運輸省行政指導する場合、やはり社会の非難を浴びないような役員構成にしてもらいたいという希望意見をつけまして、私の質問を終わります。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 いただいております資料を見ますと、「船員災害実態」というところに、「船員の乗船中の傷病による死亡及び療養のための下船は、千人につき年間延一六五人に及んでいるばかりでなく、毎年増加の傾向にある」このように説明してあります。この船員の傷害、疾病のこのような状況というものは、陸上産業労働者の労働災害発生件数率と比較してみると、平均二、二倍の高さであるというように、これは真剣に考えて改善策を講じていかなくちゃならないという実情じゃないかと思うわけなんです。ところが船員災害の中におきましても、船種別に見ますと各年度ともに機帆船が高率な数字が出ておりますけれども、どの問題に対しても力を入れなくちゃならないのですけれども、ことにそのような機帆船が毎年高率である。その災害においての差があまりにもひどいわけなんです。その機帆船に対する対策というものはどのようにされてきたのか、あるいはこのような対策をしてきたけれども、依然としてここまでの高率であるという結果であるのか。そういう対策がどのようになされたか、もし対策を講じたならば、対策を講じた結果このようになってきたというその御説明を最初に願いたいと思います。
  41. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 船員災害が非常に発生率が高く、特にその中でもいわゆる機帆船と申しますものが災害発生率が非常に高いという点は、御指摘のとおりでございます。ただ、機帆船は、現在におきましても非常に災害発生率が高いわけでございますが、最近の一年間程度の推移を見ますと、機帆船につきましては災害発生率が全体としてやはり非常に高いのではございますけれども、高いながらもわずかに下がっておる、こういうような傾向が見られるわけでございます。そこで、機帆船あるいは漁船もほぼ同様な状況にあるわけでございますが、基本的にはやはり営業形態が非常に零細である。したがって、労働条件その他についても、なお今後私どもといたしましても、法律的にも、行政指導的にもなされなければならない点が非常に多いわけでございます。そこで、こういった点につきましては、数年前より労働条件改善指導要綱というものをつくりまして、これに基づきまして必要な行政指導を行なってまいっております。  それからまた、環境を改善するということも非常に大事なことでございますので、やはりこのような点につきましても、できるだけ関係方面と相談いたしまして努力をしてまいっておる次第でございますが、今後この法律案に基づきまして、先ほどからお話がございましたように、零細船主についてできるだけ加入を促進するということによって措置をいたすことはもちろんでございますけれども、特に船員法関係につきましては、これら非常に小型船につきまして、たとえば船員労働時間というようなものが従来はきまっていなかったというような実情でございます。そこで、小型船につきましては、今後さらにこのような点につきましても法的な整備を行なっていくというような点に特段の努力を払いまして、船員災害自身及びそういったものの環境を改善してまいりたいと、こういうふうに考える次第でございます。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 昭和三十七年の八月一日の水産庁長官、運輸省船舶局長船員局長連名によるところの漁船船員の労働環境改善のための措置要綱というものが出されておりますけれども、これは現在どのように適用されているか、その点を御説明願いたいと思います。
  43. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま御指摘のございました措置要綱につきましては、いろいろなことがございますが、特に漁船船員につきましては、船内居住施設が非常に不備であるという点がございました。これにつきましては、特に漁船は大きさを、船を大きくするということに非常にきびしい制限がございますが、そういった船内居住施設を改善するというような点につきましては、ボーナストン数等を与えるというような点につきましては、この措置要綱につきまして従前努力してまいっております。また現在もそれを行なっている次第でございます。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 いま努力していらっしゃるということでございますが、この通達をさらに効果あらしめるために、向上さすために、通達だけでなくてさらに省令化していくべきであると、そのように思うのですけれども、当局の考えとしてはどうですか。
  45. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 御指摘の点につきましては、いわゆる船内設備というものを船舶一般を通じまして省令によって定めていくということがILO条約においてもすでに条約としてできておる次第でございまして、私どもといたしましては船員地方労働委員会にこの問題を諮問いたしまして、すでに五百トン以上の商船につきましては船内設備基準につきまして答申をいただいております。現在五百トン未満商船につきまして船員船内設備を検討していただいております。次いですぐ漁船関係につきましても船内設備基準につきまして御検討いただき答申をいただくということになっておりますので、この答申に基づきましてできるだけ早急に御指摘のございましたような省令化に進んでまいりたい、こう考える次第でございます。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 それから一九四九年改正の船内船員設備に関する条例に示されている状態まで、いまいろいろお話がございましたが、船内設備の向上をはかることを省令化して、まずそのためには国内法を整備すべきであると思うのですが、この点についても見解をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま申し上げましたように、そのような条約の基準線というものを私どもといたしましては尊重いたしまして省令化するように努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 その次に、いま問題になっております船員災害防止協会の設立の認可並びに監督については、運輸大臣と厚生大臣が行なうように現在のところはなっておりますが、船員労働という特殊性考えてみた場合に、このように運輸大臣あるいは厚生大臣ということになっていることを改めて、運輸大臣に一本化していくのが当然だと、そのような考えを持っているのですけれども、その点に対してはいかがお考えでございましょうか。
  49. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 御指摘のとおり、この法律案におきましては、防止協会の監督に関しましては運輸大臣と厚生大臣が共管になっておる次第でございます。運輸大臣がこれを監督いたしますことは、船員労働全体につきまして責任を持っている大臣といたしまして、御説明を申し上げるまでもないわけでございますが、厚生大臣は御承知のとおり船員保険というものを一括運用しておる次第でございます。そこで厚生省といたしましては、船員の福祉関係特に療養関係の事業につきましてみずからこれを行なうということを権限として持っておるわけでございますが、このような協会につきましては、これをみずから行なうかわりにこのような信頼できる協会にその事業をかわって行なわせるということが可能なわけでございます。そこでそういった福祉事業をみずから行なうかわりにかわって行なうという趣旨でこの協会にこれを委託し、これを監督するということがたてまえでございます。  それからまた、実際問題といたしましても、私どもはこの協会仕事を行なうにあたりまして、特に疾病関係が非常に問題でございますので、まず両大臣が共管いたしまして、御相談しながらやっていくということが一番適切に事業が行なえるのではなかろうかというふうに考えておりますので、原案によってお考えいただくことが一番望ましい、こう考える次第でございます。
  50. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ御説明願いましたが、その御説明願いました厚生大臣船員保険特別会計から、いまもお話が出ておりましたとおりに千七百万円を補助金として計上しておりますけれども、その根拠は何であるかということをもう一度お聞かせ願いたいと思います。
  51. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 船員保険特別会計に福祉施設という項目がございます。この費用は、先ほど申し上げました厚生大臣が行なう福祉施設のために必要な経費を計上してあるものでございます。これをみずから行なう場合と、他人にこれを行なわせる場合があるわけでございます。そこで、福祉施設費の中に、他人に行なわせる補助金といたしまして千七百万円を計上している、こういうことでございます。
  52. 田代富士男

    田代富士男君 ついでに、船員災害防止協会の四十二年度の予算案について概略を説明願いたいと思うんですが。
  53. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 船員災害防止協会予算でございますが、四十二年度は、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、会費収入といたしましては千七百万円でございます。それから補助金収入といたしましては国庫補助が千七百万円、これで三千四百万円でございますが、そのほかに事業収入といたしまして約八百万円程度のものを計上いたしておる次第でございますが、これは講習会あるいは資料等の頒布費用というものによる収入でございます。これらのものを合わせまして、大体収入規模は五千万円でございます。次に支出でございますが、これは管理費といたしまして二千三百万円、それから事業費といたしまして二千六百万円を考えておる次第でございます。したがいまして、収支合わせて五千万円という規模で四十二年度は出発いたしたい、こういう考えでございます。
  54. 田代富士男

    田代富士男君 五千万円のいま説明を聞きましたが、これで所期の目的は達成されるんでしょうか、その点の確信のほどをちょっとお聞きしたいと思います、どの程度まで達成できるものであるか。
  55. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま五千万円の規模でどの程度まで事業達成ができるかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもは、四十二年度におきましては協会の創設のための基礎固めを行なってまいりたいということに最重点を置いている次第でございます。もちろん事業につきましても、ただいま申し上げましたような二千六百万円を計上いたしておりますので、許される範囲におきましてできるだけ所期の効果を上げるように努力してまいりたい、こう考えておる次第でございます。四十三年度以降につきましては、さらに会員の増加あるいは補助金の増加等によりまして、法律にございますような事業を積極的に推進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 田代富士男

    田代富士男君 ひとつ実情についてお聞きしてみたいと思いますが、国内の福利厚生施設について、特に船員の宿泊施設の面では船員保険によるところの施設、船員厚生協会などの厚生施設や海運会社の自分の会社の施設等のうちで、最近建てられたものは鉄筋コンクリート等の構造で、その利用率は非常に高いわけなんです。しかし、宿泊施設のうちで過半数というべきものが施設の老朽あるいは内部施設の不備、構造上の欠陥、立地条件の悪さ、そういうような諸条件があって利用者が五〇%前後で、経営がだんだん苦しくなっているという、これが現況じゃないかと思うわけなんです。いま四十二年度は基礎固めをやっていきたい、そういうような四十三年度の会員が増加していくに対する対策を講じていかなければならないわけですが、私はこういう点を、一面では力を入れているけれども、現況はそういう施設があっても利用者が五〇%以下である、こういうところの面を改善していかなかったならば、所期の目的は達成できないんじゃないかと思うわけなんです。そういう点を最後に御説明願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  57. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま船員の主として宿泊施設につきまして、現状が大部分のものが非常に老朽しているのではないかという御指摘があったわけでございます。船員厚生施設と私どもは申し上げておりますが、これにつきましては別に船員厚生協会というものがございまして、これによってやっているわけでございます。そこで、現在施設が非常に老朽しておりますものを代替いたしますとともに、とにかく港がどんどん発達しておりますので、新しい港についてはこのような施設をつくらなければならないことは御指摘のとおりでございます。そこで、こういった点につきましては、運輸省昭和三十六年度から五カ年計画を立てまして、補助総額約一億二千五百万円、それから事業費総額約八億二千万円ということで、四十年度までに十六カ所の厚生施設の整備を行なってまいっております。さらに引き続き、第二次の五カ年計画を予算計上するために努力しているわけでございますが、いままでのところ、なお、この点につきましては実現をみておりません。そろそろ四十三年度の予算原案を私どもといたしては検討しなければならない時期にまいっておるわけでございます。このような船員厚生施設につきましては、特に新しい港、あるいは非常に老朽いたしております施設の代替ということを重点に置きまして、第一次の五カ年計画と同様、国の補助金、地元負担あるいは利用者負担、三者の協力によりまして、このような施設を整備する予算案というものを最重点的に四十三年度を目標にして御検討願い、実現するように努力してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  58. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 他に御質疑はございませんか。
  59. 岡本悟

    ○岡本悟君 船員災害の問題とは直接関係ございませんけれども、先般来御質疑のありました中で、他の委員から指摘がございましたように、災害率が非常に高い。そうしますと、必ずしも魅力のある職業ではないということもいろいろ心配されるわけでございまして、特に、四十三年度は、まあ労働力がさらに窮迫の度を増すだろうというふうに想定されているわけでございますね。そこで海運国であるわが国にとりまして非常に心配なのは船員に対する就職希望者がだんだん低下の度合いが激しくなっていっているのではないかというふうに私は想像するのですが、実情はどうなんですか。
  60. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 最近における船員需給の状況でございますけれども、一般的に申し上げますと、陸上においても同様でございますけれども船員につきましても、外航船がやはり年間二百万トン程度の建造が行なわれておる、それから内航船につきましても必要な建造が行なわれているというような状況を加味いたしますと、最近、機帆船につきましてはスクラップ・アンド・ビルドが行なわれるというような点で、そういう意味での代替要員のソースがあるということを考慮いたしましても、全体的には特に若年の船員が非常に不足いたしているということでございます。そこで、このような船員不足の現象は現在のところ大型船については必ずしも顕著ではございませんで、結局、漁船なり小型船にそのしわ寄せがいっているということは実情でございます。ただ、大型船につきましても、特に船舶職員が非常に不足いたしておるという状況でございますので、これは御承知のとおり、本年度商船高校を商船高専に昇格させると同時に、四十三年度以降におきまして、私どもといたしましては、新しくできます商船高専の定員を増加する、倍にする一クラスを二クラスにするということをお願いいたしまして、大体その方向で進んでいくのではなかろうか、それからまた職員につきましては、現在船に乗っておる者を海技大学校におきまして再教育いたしまして職員にするということでございますが、これも本年度予算におきまして、従来三百名やっておりましたのを百二十名ふやして四百二十名にする、こういうことによって大体ある程度見通しが立つのではないか。特に問題は若年労働の漁船及び内航小型船の関係でございますが、これにつきましては、私どもも四十二年度の予算で清水に漁船船員のための三カ月の補導教育コースというものを、それからまた内航船につきましては、愛媛県に波方というところがございますが、ここに新しくやはり三カ月の内航船員の補導教育というものを行なうことをきめまして、すでに予算もついておりますので、漁船はことしの秋から、それから波方につきましては校舎その他が本年度一ぱい建設がかかりますので、四十三年度以降そのような教育補習を行ないまして、遺憾なきを期してまいりたい、こういうことでございます。
  61. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  船員災害防止協会等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  64. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 天坊裕彦

    委員長(天坊裕彦君) 速記をつけて。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四分散会