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1967-06-27 第55回国会 参議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 小酒井義男君     委 員                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 平島 敏夫君                 大倉 精一君                 中村 順造君                 吉田忠三郎君                 田代富士男君    政府委員        大蔵省銀行局長  澄田  智君        農林省農政局長  森本  修君        運輸政務次官   金丸  信君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省航空局長  澤  雄次君        気象庁長官    柴田 淑次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        大蔵省銀行局保        険部長      上林 英男君        運輸省航空局技        術部長      松本  登君        気象庁予報課長  久米 庸孝君        気象庁東京管区        気象台長     仁科 伸彦君    参考人        カナダ太平洋航        空機及びBOA        C(英国海外航        空会社航空機        事故技術調査団        団長       守屋富次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (航空に関する件)  (自動車行政に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、カナダ太平洋航空機及びBOAC英国海外航空会社航空機事故技術調査団団長守屋富次郎君を本日の委員会参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。    〔速記中止
  4. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  航空に関する件について調査を行ないます。  守屋参考人に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中のところ本委員会のために御出席をくださいましてありがとうございます。お礼申し上げます。  まず昨年三月五日のBOAC航空機事故調査結果について概要の御説明をしていただき、そのあとから委員質疑を行なうことにいたしたいと存じます。  それでは御説明をお願いいたします。守屋参考人
  5. 守屋富次郎

    参考人守屋富次郎君) 昨年の三月五日に、B ○AC会社飛行機事故富士山麓において起こしました、それの技術調査をいたしました、その結果について御報告申し上げます。  まず、結論から先へ申し上げますと、この事故御殿場上空付近におきまして、突然異常に激しい乱気流に遭遇いたしまして、設計制限荷重をはるかにこえる突風荷重が加えられまして、空中において破壊分離したという、そういうふうな結論を得た次第でございます。  この調査の経過につきまして簡単に御報告申し上げますと、三月八日にわれわれ技術調査団が任命されまして、即日第一回の会合を開きました。このときにはすでに英国及び米国——米国製造国であるというためで、米国にも調査団ができまして、英国及び米国調査団が来日しておりまして、第一回の会合は合同の会合をやりまして、そうして今後調査を進める手順等につきまして当日相談をいたしました次第でございます。で、われわれがその調査を進めるにあたりまして、そのときに討議してきめました方法は、まず調査団員五つグループに分けまして、運航グループ証言グループ構造グループ発動機グループ気象グループ、これだけ、五つグループに分けまして、それぞれの専門に従いまして調査を進めていく、そしてその途中段階におきまして全体会議を開きましてそれぞれのグループのそれまでの調査報告をしてもらいまして、ほかのグループからいろいろの意見を聞いてさらに詳細なる調査を進めていくという、そういうやり方をいたしました。  そのようにして進めてまいりましたときに、いろいろ途中におきまして問題が起こり重要なポイントが生じた、そういうふうな点をかいつまんで申し上げますと、まず運航グループについて申しますと、大体このBOACのマニュアルによりますと、この計器飛行が原則になっております。特別の場合においてのみ有視界飛行ということが許されておる。その特別の場合というのはどういう場合であるかといいますと、飛行の進行を促進するというふうな場合、そういうふうな場合においてのみ許されております。で、当日、機長のドブソンは出発直前までは計器飛行によりまして大島経由経路をとることの許可を得ておりました。ところが出発直前におきまして有視界上昇許可を求めて、そしてこれは後にわかりましたのですが、富士山の方向に向かって飛んでいった、何ゆえにこういうふうなことをやったかということ。これは非常に重要な問題でありまして、飛行を促進する意味においてそういう必要があったかどうか、まずこれを調べてみますと、BOACが実際に出発しましたのは十三時五十八分ですが、十三時五十二分にフレンドシップが羽田を離陸いたしまして、そしてBOACの予定のコースである大島経由コースをそのままとっております。ですからして、そこにもうすでに数分を経過しておりますからして、その飛行機BOAC機飛行にじゃまするということがあるかどうか。まずいろいろその点について調べましたのですが、大体BOAC機のほうが速度が大きいからして、あるいは途中で追いつくことを心配して別の経路をとりたいという、そういうふうなことがあったのかもしれませんです。それから富士山というのがこれは外国人にとりましては非常に観光的な魅力のあるところである、したがって、富士山を旅客によりょく見せるためにその付近に行ったのであろうか、そういうふうな疑問もわれわれには起こったわけであります。そのいずれであるかということにつきましては、いろいろ調査をいたしましたけれども、きめ手になる資料は何一つ得ることができません。これは飛行を促進するということのために有視界飛行をやるということ、これも機長の独断でできることなんです。そういうふうな意味でやったのか、観光ルートをたどったか、それにつきましてはわれわれは何ら結論を得ることができませんでした。  それから次に、証言グループについて問題になった二、三の点を申し上げます。証言グループと申しますけれども、かなりいろいろな範囲の広いことを取り扱っていただきました。まず証言グループでは、犠牲になられた方々写真、これは警察のほうで全員の写真がとってありますが、そのコピーを全部防衛庁航空医学実験隊というところへ持っていきまして、そしてその遺体の傷の状況、そのほか医学的な見地から詳細に調べてもらうようにお願いいたしました。そこでわかりました事柄は、この遺体に共通的な傷があるということ、もう少し具体的に申しますと、最後まで座席におった人も、途中からこぼれ落ちた方も同様に顔面損傷があったということ、こういうふうなことがわかりました。これは何を意味するかということ、これは非常に急激な衝撃皆さんが受けられまして、そして前の席のところへ顔面をぶちつけたという、そういうふうな事柄が想像されるわけでございます。それから乗客の一人が八ミリのフィルムを写しておりまして、それが発見されまして、そのフィルムを検討すること。この検討にはいろいろな意味がありまして、まずそのフィルムによりましてこの飛行機羽田を離陸後いかなる経路をいかなる高さで、そしていかなる速度で飛んだかということを見出すこと。これに対しましては防衛庁の一〇一測量大隊というところへそのフィルムを持ち込みまして、そしていま申しましたような事柄解析してもらいました。その解析の結果は、イギリスにおいても同様なことをやられたらしいのですが、われわれ一〇一大隊にお願いしたということを申しましたら、イギリス側のほうから、それなればわれわれは全面的に信頼していい結果であると思いますという、そういう手紙がまいりまして、で、われわれの解析の結果というものが非常に信頼できる結果が得られたということであります。その結果によりますと、ちょうど御殿場付近におきましては、四千九百メーターくらいの高さであった。その途中も写してある、フィルムがとられておるところにおきましては、その前の高さは五千百メーターくらいのところ、それから御殿場のところ、少し下がって、二百メーターくらい下がりまして四千九百メーターくらいのところを飛んでおった、その瞬間に、非常な異常なる衝撃を受けたということがわかりました。で、この異常なる衝撃を受けたということのもう一つ証明としまして、その八ミリフィルム最後場面——これがちょうど御殿場上空付近からしまして、山中湖が非常にきれいに写っております。しかもそれ八十一こま連続してとられておりますが、その山中湖の景色は、飛行機がゆれたりなんかしたという形跡は何にも見られませんで、非常に静かに、全く平常な飛行を続けておったという写り方がしておりました。それが八十二こま目と、三こま目が飛びまして何にも写っておらない。そして八十四こま目以下が何かわからないものが流れ写っておるという状態。この流れ写っておるのは、おそらく人の顔か、カーペットか何か、そういうふうなものであろうという、色からして推察ができました。われわれとしましては、この二こま飛んだということに着目いたしまして、何ゆえに二こま飛んだか。そのカメラ構造、これも分解しまして構造を調べてみますと、これは異常な衝撃を与えると飛ぶ可能性があるということがわかりました。中の構造上からそういうことがわかりました。で、はたしてその通りであるかどうかということ、そのカメラにつきまして実験をしてみました。そうしますと、その実験の結果、だんだんに衝撃を大きくしていきまして、千分の七秒というごく短い時間の間に七・五Gという力に到達するような、そういう衝撃のかけ方をいたしますと、ちょうど二こま飛びます。そうしてそのカメラファインダーのところが押しつぶされたようになっている。ですからして、それから推察されますことは、山中湖を写しておるときに、非常に突然に、がんとぶつけられるような衝撃をその人は受けておる。それでカメラファインダーのところがつぶれておる。そしてそのときの衝撃はいま申しましたような数値であったろうということがわかったわけであります。で、飛行機自体がどういう衝撃を受けたかということは、それによってはわかりませんですが、とにかくカメラという一個の品物についても、いま申し上げましたような大きな衝撃を受けておるということがわかりました。飛行機全体として機体の受けた衝撃は、おそらくこれよりももっと大きな衝撃を受けておるであろうということがわかりました。  それから次に、構造グループで問題になったところを申します。  まず構造グループは、めちゃめちゃにこわれております機体たんねんに調査いたしまして、そうして空中でこわれた部分であるか、あるいは地上へ激突したときのこわれ方であるか、そういうふうな区別たんねんに調べた結果、その区別が大体わかりました。で、その結果を見ますと、御殿場上空におきまして、これはあとで申しますが、乱気流に出会っているわけですが、非常に突然右主翼だけがまず乱気流の中へ突っ込みまして、右主翼だけがひどくこわされております。二カ所でへし折られております。左主翼は、空中においては何らの損傷を受けておりません。ですからして、まず右主翼が異常なる衝撃を受けたということが想像されます。で、まずその右主翼が異常なる衝撃を受けることによりまして、機体全体に非常に大きな慣性力が働きます。ここに主翼があります、ここで非常に大きな衝撃を受けます。そうすると、慣性力によりましてこの胴体の翼よりも前の部分、ちょうどこの翼のつけ根に近いところ、このところで胴体が割れてしまって、これから先が、後になってこれがはずれて独立物体として落下している。それからエンジンなども、四個のエンジン慣性力によりまして、こちらのほうへぐっと非常に大きな衝撃を受けている、左下のほうへ大きな衝撃を受けております。そこで御殿場上空におきましてまずぶらぶらの状態になっている。尾翼のほうも同じような状態でこわれてしまいました。そうしてそれから先、太郎坊に至るまでの間にぽろぽろと、次々と離れて落ちていきました。これは実はもっと後の段階のところは証言のほうから……。非常にたくさん写真をとられた方もありますし、八ミリをとられた方もありまして、また目撃した方もありますけれども、この御殿場上空からしばらくの間というものはだれも気がついておりません。ところが機体の各部分、分離した部分地上へ落下しております。これが何と前後十六キロ、幅二キロの範囲にわたって分布されております。こういう分布のしかた、これを一つ一つ一つずつ、全部ではございませんが、おもなものにつきまして、風洞実験をやりまして、どういう空気抵抗があるかということを見まして、そうしてこういう空気抵抗を持つものが空中を落下してくるときには、どういうふうな軌道を描くかということを、逆に計算をいたします。そうすると、その落下地点がわかっておりますからして、逆に空中のどの辺で本体から離れたということが逆算できるわけなんでございます。そういうふうにしてみますと、御殿場上空で異常な衝撃を受けて、そのときに主要部分は、いま申しましたように、ほとんど破断されておりますけれども、まだばらばら落ちていくまでにいきませんで、それから先、太郎坊に至るまでというものは飛んではおります。が、富士山風下のほうで一番最初に受けたような大きな衝撃ではありませんけれども、乱気流のためにゆすぶられまして、そうして次々と各部分が落ちていったという、そういうふうなことが推定されます。  それから、構造部分におきましてもう一つきわめて重要な問題がありまして、それは縦の尾翼うしろけたの右取りつけ金具に疲労のクラックが入っておった、亀裂が入っておったという、これは詳細に破断面を検討してみましてそういうふうな事柄が発見されたわけなんです。これはきわめて重要な問題でありまして、つまり疲労亀裂というものが原因になりまして、まっ先に尾翼が飛びまして、そうしてその後そういうふうな事故に到達したのか、あるいは乱気流によって事故が起こったのか、これをきめる重要な問題であるわけです。そこで、この疲労亀裂が起こっておる部分、これを製造国であるアメリカボーイング社に持っていってもらいまして、そうしてその亀裂の残りの部分にどれだけの強度が残っておったかということを調べてもらいました。そうしますと、それはなお設計制限荷重の一一〇%の力は十分持っておるということが証明されました。しかし、それだけで、なおそれが原因であるか、そうでないかということのきめ手にはなりません。われわれは原因をきめる最後方法としましては、この五つグループ調査結果を総合しまして、そうしてその調査結果に一点の矛盾もない、これ以外には考えられないという、そういう結論を導かなければならないわけです。いまの尾翼の問題にしましても機体のこわれ方、あるいは証言グループのほうで調べました遺体損傷状況、あるいは八ミリカメラの二こま飛んだ状況、そういうふうなものを総合して考えてみますと、そうして尾翼のこわれ方等を総合して考えてみますと、とうていその疲れ亀裂原因でまず尾翼が飛んで、そうして尾翼が飛べば、安定性操縦性もなくなる、それによって事故を起こしたという、そういう行き方は考えることができない破壊状態、あるいは遺体損傷状況等でありまして、したがって、亀裂がかりになくても同じ結果になったであろうという、そういうふうなことが推定されました。傷がありましたことは確かに重大な問題ではありましたけれども、傷が事故原因でないということをそのほかの方面から突き詰めていくと、なったわけでございます。このほか発動機グループは、発動機を分解いたしまして詳細に調べましたのですが、発動機につきましては、事故になるまでには何ら異常がなかったということがわかりました。そのほか操縦系統、そのほか機体の内部のいろいろなものにつきまして、やはり事故前には不ぐあいがあったということは発見することができません。機体主要部分はそのまま太郎坊付近に落下しましたのですが、ただ一つ胴体の前の部分主翼よりも前の部分の相当長い部分、これが本体から折れてはずれてしまって、そうしてこれが自由落下をいたしまして、この主要部分よりも約三百メートルぐらい先の山林の中へ落っこちております。その前部胴体火災を起こしてすっかり燃えてしまって、計器関係は全部燃えてしまいまして、事故調査には何の役にも立ちません。前部胴体の中には燃えるものがないはずです、それが燃えてしまっている、どういうわけか。これは最初に大きな衝撃を受けたとき、つまり右主翼に非常に大きな衝撃があったそのときに、主翼が折れておりますが、それと同時に前けたもこわれております。その前けたのこわれと同時に、そのうしろガソリンタンクがある、それも破壊しております。それから先ほど申しましたように、衝撃を受けたそれの反動としまして、非常な大きな慣性力が働きまして、この胴体にありますところの燃料の非常に多量な部分が、そのこわれから慣性力によりまして前部胴体のほうへ流れ移りまして、そのままの状態で落ちていきまして、ところが前部胴体にはいろいろな電気関係の機器がたくさんありまして、おそらく地面に激突したときにスパークか何か生じた、そうしてそこにはもう一面に燃料が流れてきておりましたので、それに引火いたしまして燃えてしまったのであろうという、そういうふうなことが推定されます。その中にフライトレコーダーが備えつけてあったはずでありましたが、遺憾ながらそれも燃えてしまって、何の役にも立ちませんでした。このフライトレコーダーにつきましては、まだこのBOAC機は正式にそれをつけることに決定する前に、トライアルとしてつけておりました。したがって、正式につけることになったものについては規格がきめられております。たとえば温度二十度にたえられるとか、何度Cにたえられるとか、いろいろなこまかい規定がありますが、まだ試みにつけられておった状態でありまして、その規格に合ったものがついておりませんでしたので、火災のときに溶けてしまったという、そういうふうな状況でありました。  で、こういうふうに、われわれはいろいろな角度からしまして、——失礼しました。気象グループ、これはたいへんに重要な問題です。  気象グループも、その事故後にいろいろ研究してもらいましたが、われわれがこの事故気象学的にきわめて重要な問題が含まれておるということ、つまり、乱気流——乱気流というようなものによって起こったことにより、したがいまして、この気象グループにおきましては、当日、富士山風下においてそのように飛行機破壊に導くようなおそるべき乱気流がはたしてあったかどうか、あるいは、これを予知する方法はなかったかどうか等、いろいろ調べていただきました。ところが、今日の気象学状態におきましては、そのような強い乱気流が生ずるということを証明する方法もありません。といって、また、そういうものは生じないという証明ももちろんできません。この乱気流というふうなものにつきましては、まだ、実は気象学的に、これは各国ともいま研究段階にありまして、日本だけでありませんですが、とにかくまだ非常に未知なものがたくさん含まれております。  で、気象班におきましては、あの付近の半径大体五十キロ角の地形模型をこしらえて、そうして風洞の中におきまして、そういうふうな乱気流がはたして生ずるかどうかというふうなことを調べてもらいました。富士山へ吹きつける風、当日の風は、富士山頂におきまして、六十ノットないし七十ノットという非常な強い風でありました。そういう強い風、つまり風に大きなエネルギーを持っておるわけであります。そういうエネルギーを持った風が富士山のような孤峰に当たった場合に、風下にいかなる乱気流ができるか。そうしてその乱気流エネルギーはどんな程度のものであるか、いろいろ調査をしてもらい、実験をしてもらいましたけれども、断定する資料というところまでには到達できませんでしたけれども、しかし、いろいろな状況からしまして乱気流というもののいたずらであるということには間違いがない。そういうふうな若干、まだ気象学的には断定する資料にはなりませんですけれども、しかし、これによりまして乱気流というものに対する認識というものが相当深められ、また、今後も深められる機運になったということ、これは今後の事故防止に大きな役立ちになるだろうと、そういうふうに考えております。  で、われわれがここできよう御報告を申し上げるに至りましたまでに、われわれとしましては、非常に各方面お世話になっております。  まず第一に、事故の直後の現場保存の問題、これは事後調査に非常に大切な問題でありますが、これに対しましては警察方々自衛隊方々等非常にそういうふうな点に留意をしていただきまして、そうしてあとの処置をしていただきましたということ、これは調査団としましては非常にありがたいことでありました。  それから、いよいよ調査を始めるにあたりましては、先ほど来申し上げましたように、航空医学実験隊一〇一測量大隊、それから航空宇宙技術研究所気象庁防衛庁技術研究本部第三研究所など非常に各方面関係のところにお世話になりまして、この結論皆さんに御報告申し上げる段階になりました。かつ、イギリス及びアメリカ調査団も終始われわれに協力的でありまして、われわれは両調査団の示されたわれわれに対する協力というものに対しましてはやはり感謝しておる次第でございます。各方面お世話になりましたことをここに深く感謝申しまして、私の報告といたしたいと思います。
  6. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) どうもありがとうございました。  ただいまの御説明に対し、質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  7. 岡本悟

    岡本悟君 守屋先生にお尋ねしたいのですけれども、乱気流によってこんな大きな遭難を起こした事例が国際的に見てそうたくさんはないはずなんですが、そういう事例があったかどうか。その事例を十分研究されたか。  もう一つは、かつて航空自衛隊でしたか、やはり富士山付近乱気流にあって遭難したと見られる事件がございましたが、そのデータなんかも研究されたのかどうか、この二つのことについてお尋ねいたします。
  8. 守屋富次郎

    参考人守屋富次郎君) 乱気流の問題は、実はこれは飛行機速度がのろいときには、飛行機がゆれるということで済みましたのですが、ところが、速度が速くなってきますと、ちょうど乱気流の中に突っ込んだときにはやはり衝撃的な力になりまして、ゆれるというなまやさしい力ではありませんで、ここにハンマーでたたきつけられたようにがんといくということ。したがいまして、飛行機速度が大きくなりましたことによりまして、乱気流の影響というものが大きくなってまいりました。外国におきましてもやはりこの乱気流の問題は相当重要視されておりまして、それらの点につきましてはできるだけの文献を調べていただきました。  それからBOAC事故を起こしたのが三月五日であります。防衛庁事故を起こしましたのは三月たしか十七日だと思っております。三十七年だったと思います。同じ三月、あのころの気象状況というものがやはり非常に似たような気象状況で、その当時の防衛庁事故に関しましては、詳細な事故報告書が出ております。そういうふうなものも検討し、なお、当時の関係の方にもお伺いなどしまして、そしてそれを非常に参考にいたしました。両者の事故原因がきわめて酷似しております。よく似ております。したがいまして、防衛庁事故の後すぐに乱気流というものに対してもう少し関心が高かったならば、というふうな、非常に遺憾な気持ちがせぬではありませんです。で、乱気流というものに対しまして、私ども調査を進めていく場合におきましては、いろいろな資料を集めてみました。たとえば当日、富士山を中心にしまして百五十キロ以内を飛んだ飛行機全部調べてもらいました。大体百機あります。百機のうちで七十九機が乱気流を経験したという報告があります。しかし、それはこの富士山のすぐ風下でありませんで、どちらかというと低空で、離陸直後あるいは着陸の寸前で、大体三千メーター以下のところで経験しておるという報告が大部分でありまして、ただ四機だけは富士山から五十キロ以内の東象限の中において経験したという、そういうふうな報告を得ております。それからアメリカの好意によりまして、人工衛星からとりました日本の写真というふうなもの、これも調べてみました。ところが、これによりまして富士山風下に、そのような恐るべき乱気流があるということはわかりませんでした。と申しますのは、当日の富士山へ吹きつけました気流というものが、この付近よりも温度がマイナス九度くらい低かった。そして非常に空気が乾燥しておりました。したがって、もし水分が多く含まれておりますと、乱気流のところで雲ができたり、あるいはたつまきなんか、中心が見えるような、そういう状況が出てくるはずなんですけれども、空気が非常に乾燥しておったために、全然そういうふうな目で見えるような現象が起こらなかった。で、鈴鹿山脈の風下のところにおいては明らかに、人工衛星からとった写真によりますと、山岳波というふうなものの影響がはっきりと出ております。ところが富士山につきましては、遺憾ながらわからなかったという状態でございます。
  9. 岡本悟

    岡本悟君 これは航空局のほうにお尋ねしたいと思うんですがね、この調査経過概要、この二枚目の下のほうに、これは先ほども守屋先生からお話があったんですが、下から四行目、「当時の状況機長航空機の進行を促進するため有視界上昇を要求させることとなったがい然性も認められるので、富士経由の有視界上昇は、もしそれが航空機の進行を促進するために行なわれたものであれば、機長の裁量に属することであると認めた。」と、問題は、初め大島経由であった進路を突然変えたわけなんですね。ここにまあ悲劇のあった直接の原因があったわけですが、先ほどの御説明によると、つまり、その前に、全日空のフレンドシップが数分前に飛んでいる。そこで、ジェットのほうがそれを追っかけることになると、速度関係でちょっとややこしくなるから、そこで、まあ天候もいいことだし、有視界飛行許可を求めて進路を変えていったというふうなことも想像せられるというふうなお話でございましたね。ところがですね、そういう推定が許されるということになると、航空管制に私は相当問題があるんじゃないかと思うのですね。つまりそういう危険性のあるような飛行許可といいますか、航空管制すること自体に、まあしろうととしては疑問が一つ残るのです。私はおそらくこれはやはりBOAC機長が、そうじゃなくて、富士山を乗客に見せてやりたい、こういうサービス精神から出たものと私は直観的に推定しているのですが、それにしても、まず第一にこういう推定をせられるということは、非常に私は乗客一般に対していまの管制がそういうことを考慮に入れてないで許可しているということになって非常に不安を与えるんですね。これは少し解明にしてもらわなければいかぬ、納得できるように。そのことを航空局のほうでひとつお答え願いたいと思います。
  10. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。先生方御承知のように、飛行機の飛び方の方式といたしまして、計器飛行とそれから有視界飛行があるわけでございます。この場合には、機長ドブソンは、飛行計画を出しましたときは、報告書に書いてありますように、計器飛行方式で大島経由飛行計画を出しました。それから出発前に有視界上昇許可を求めてきたわけでございます。BOACのマニュアルによりますと、飛行を促進させる場合には上界、降下の場合に限りまして有視界上昇できることとなっております。したがいまして、この飛行は、飛行前にドブソンが有視界上昇を要求いたしましたのは、富士レベルというところまでの有視界上昇許可を求めたわけでございます。それでレベルといいますのは、航空路の緑六の上にございまして、ちょうど浜松の真南くらいにあたっております位置通報点でございます。それでこの場合調査団としましては、考えましたのは、先ほど団長から御報告ございましたように、飛行計画は計器飛行ではあるけれども、この際羽田航空交通状況、それを考えまして、先ほどのフレンドシップが前におること、それからまた、有視界飛行方式で飛んでいる航空機とか、計器飛行方式で飛んでいる航空機とか、到着機等がございましたので、この場合パイロットといたしましては、十分ほかの航空機の交通状態を考えまして、自分としましては富士経由レベルまでいくまでには有視界上昇しても十分であると、安全であると判断をいたしたのじゃないかと思われます。それで、先ほどの航空管制の面でこういうことをかってにやらせるのは危険じゃないかという御指摘でありますが、現在羽田ほか空港におきましても、かかる飛行方式は相当とっておるわけでございまして、全部計器飛行方式にいたしますのが非常に混んでおる飛行場につきましては理想でございます。それで、将来東京とか羽田とか、それから伊丹その他混んでおる飛行場周辺につきましては、VFR、有視界飛行を認めないで全部計器飛行にするという意見もあるわけでございますが、そのためには相当の施設と人員を要しますし、早急に行なうことはむずかしいわけでございます。
  11. 岡本悟

    岡本悟君 私がお尋ねしたいのは、有視界飛行許可したのが悪いと言っているんじゃないんですよ。いまそれは行なわれておることは事実であるし、またそれを将来全部計器飛行に切りかえなければならぬということも知っているんです。先ほどの守屋先生のお話では、数分前にフレンドシップが出ている。こっちはジェットだから、あとから追っかけるとぐあいが悪いということを考慮に入れて有視界飛行に切りかえたのかもしれぬという推察も成り立つ、これはここに表現してあるんですよ。そのことを聞いているわけですよ。そうすると、つまりターボプロップとジェットの間において十分安全のとれる間隔をおいて管制しなきゃならぬわけです。それを機長がかってに、いま許可をもらったけれども、それじゃあぶないからおれはよそへ行くんだ、こういう推定が成り立つような管制では困るじゃないかということを言っているわけです。それはどうだということの質問なんです。わかりましたか、私の言っていること。
  12. 松本登

    説明員(松本登君) この場合、フレンドシップの航路は大島経由航空路をとることになっております。それで、この飛行機が、六分後にBOAC機が出ますと、確かに機長といたしましては、前方に速度のおそい飛行機があったのじゃ困るという心配があったんじゃないかと思います。したがいまして、今度有視界飛行をやりますと航空路を通りませんで、ショートカットといいますか、大島を回りませんで羽田から小田原、あちらのほうを通りまして、そして航空路に入るわけでございます。そうしますと、前方にフレンドシップはないわけでございますので、フレンドシップが航空路を飛んでおる、あるいはその前に航空路を、フレンドシップが緑六に入ろうとして、これは想像でございますが、その場合には航空路に入りますときは、必ず出発前に管制官から、航空路に近づいたら東京のセンターに通知しろよと言っておりますので、その場合に航空路を飛んでいる飛行機、フレンドシップが航空路を飛んでおりますから、その前に航空路に入ろうとするときには必ずセンターに連絡して入りますので、その辺の危険はない、有視界飛行をやっても危険はないというふうに判断したのだと思います。
  13. 岡本悟

    岡本悟君 そうじゃないんですよ。私が言っているのは、そういうことを管制官が許すこと自体が不安があるのじゃないかと言っているんです。機長が管制官から飛行許可をもらった数分前にフレンドシップが立っているんだから、そいつを迫っかけることになるとあぶないから、よそからこのルートに入ろうということ自体、機長が判断して、別のより安全なルートをとろうとしたんだろうというような推定が成り立つような、そういう許可をすること自体に問題があるんじゃないですかということです。つまりもっと間隔を広げて後発の飛行機許可をすべきじゃないかということを私は尋ねているわけなんです。そのことにちっともあなたお答えにならぬのですが、そのことを聞いているんです。
  14. 松本登

    説明員(松本登君) 有視界飛行の場合は、先生御承知のように、左右、前後、上下の飛行機を見て飛ぶわけでございます。ですから、有視界飛行許可になりますればパイロットの責任においてまわりを注意して飛ぶということでございますので、その場合は十分有視界飛行上昇を要求した以上パイロットは、当然そのパイロットの責任において衝突防止をするということをパイロットが考えるのが常識でございますので、管制官はおそらくそういう考え方で許可したのじゃないかと思います。
  15. 岡本悟

    岡本悟君 ちょっと時間がないので恐縮ですが——そうしますと、何ですか、定められた出発時刻よりおれは有視界飛行で出るから、出たいから、その前に出さしてくれということになったのですか、いまのお話によると。
  16. 松本登

    説明員(松本登君) この場合、飛行計画よりも出発時間がおくれております。
  17. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 ちょっと守屋先生、先ほど八ミリのフィルム山中湖をずっと写していますが、そのときの高度が五千百までいっていると、しかし、事故発生の推定の高度というものは四千九百、こういうふうなお話でございましたね。
  18. 守屋富次郎

    参考人守屋富次郎君) 私の説明が悪かったかもしれません。五千百メーターの高さというものは、その前の明神岳でございましたか、明神岳の近くを通りましたときに五千百メーターの高度でありまして、その付近の山を写しております。それからとぎれまして、山中湖の画面が出ております。そのときには約二百メーター下がっております。四千九百メーターの高さで山中湖を写しておる。
  19. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 それじゃね、五千百まで、その明神岳の頂上が五千百であった場合に、まあ高度上げてまいりますわね、上げた場合に、富士山にぶつかります場合には、正常の運航で行きます場合には、この飛行機速度と高度からいけば、四千九百から五千以上の、この高度は高くなっているのが常識じゃないかと思われるのですがね、そういうことから判断いたしますと、いろいろと御苦労御研究願ったのですけれども、まずパイロットが正常でない運航をしたのだということの——ただ乱気流だけにこの責任を負わせることはいかがであろうかという、私はこれはしろうとでございますけれども、何かもっと、富士山も、私もしょっちゅう飛んでいますから、高いところから見さしてもよかったかもしれないのに、サービスに低いところをわざと飛んで、写真でも写しなさいと、サービスしたような気がしてならないのですね。そういうことが許されるということは、今後われわれ飛行機を利用する者にとって非常に危険だという、そういうことを岡本君言っているのだろうと私は思います。その辺について、先生の御判断はどうですか、しろうとですからね、私どもは。
  20. 守屋富次郎

    参考人守屋富次郎君) 明神岳のそばを飛んでおるときに五千百メーターでありまして、そうして御殿場上空が四千九百メーター、その間二百メーター下がっております。これはいまお話しのように、富士山をよりよく見せようとした意図によるものか、もっとほかの意図があったのか、それはわれわれただ推察は、お説のとおりの推察はできぬことはありませんけれども、きめ手になる資料がありません。富士山の高さは三千七百七十メーターですから、まだ富士山へぶつかるということはありませんですけれども、当日の気象状況から見ましたら、風下に相当な乱気流があるだろうということは、当然想像されたことと思いまして、したがいまして、私どもとしましてはこれは機長に責任を背負わせるべき問題であるかどうかということにつきましていろいろ論議いたしましたけれども、いま申し上げましたように、きめ手になる資料というものがありませんので、ただ推察でありますから、そのとおり推察という形態で報告書を書かざるを得なかった次第でございます。
  21. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 あのね技術部長、いま私は国内のどの飛行会社かということは申しませんよ、有視界飛行許可をとってですよ、富士山のほうに飛んで行って、非常に眺めがいいからといって、あの周辺まで、一回転までしてサービスしてくれたのがおりますよ。それは有視界飛行だからもうわれわれの責任の範囲内じゃないのだというような考え方なら、これはあぶなくてしょうがないということを、だれしもこれは考えざるを得ないのですよ。だから、もう岡本君の言われるのは、私はやっぱりそういうことを——有視界飛行許可たんだから、本人は目が見えているんだからそれはその判断で飛べばいいだろう、こういうことのようですけれども、それじゃ一体飛行機に運命と生命をまかしているのですよ、その乗客の立場から考えてみませんとね。富士山にちゃんとレーダーもございますからね、その辺のところと連絡をとりながら、責任のある運航をしないと困るぐらいのことは、なんかそれも指示できないのですか。事実一回転して見せましたよ。それはながめはきれいだった。そんなジェットの早いのでなかったから、乱気流に合わなかったのかもしれないけれども、あぶないですよ。われわれみたいにしょっちゅう飛行機を利用する者からいえば、たえず生命の危険を感じながら乗る、そのことだけで神経が疲れて非常に疲労しますよ。ほんとうに安定した気持ちならば、飛行機旅行は疲れないのだけれども、二時間や三時間でもおりてきてからほっとしますよ。それはあなたがおっしゃるように、有視界飛行だから、それを許可したのだから、右も左もうしろも前も見えるのだから、あとはパイロットの責任、判断にまかせるのだということではたしていいものかどうか。これはまして外国のパイロットでしょう。優秀なパイロットらしいけれども、初めて富士山の上に上がったら、観光客がたくさん乗っている飛行機ですから、あれはサービスしたいという親心はありましょうよ。それはああいう乱気流風下のほうには起きるのだということを知らない。そういうことを予告し、警告するということについて考えが及ばぬでもいいのですか、それを聞いているのです。
  22. 松本登

    説明員(松本登君) パイロットといたしましては、技倆としまして一応十分な気象の知識を持っているはずなんでございます。したがいまして、出発いたしますときは、私たちは天気図ももらいまして、一般的なものでございますが、それで気象を調べまして飛ぶことになっておるわけでございます。それで、先生お乗りになりました飛行機は、富士山の回りを回ろうという場合、おそらくそのパイロットは気象図を十分調べまして、そうしてだいじょうぶであるという判断で当然飛んだものと考えられます。ただ、そのような事故が現に起きておりまして、その前にも自衛隊の86の事故も、先ほど御説明がありましたようにあったわけなんでございますので、今後は、この事故の直後、羽田の気象機関におかれましては、パイロットに対してさらにこまかい気象のブリーフィングといいますか、パイロットが出発いたしますときに、気象の状況説明するわけでございますが、そういうものをさらにきめのこまかいブリーフィングをやっておりますし、国内のパイロットといたしましても、当然この事故が強い教訓になりまして、気象状況につきましては、従来よりももっと真剣に十分調査をして飛ぶというふうに当然やっていると思いますので、そういうことで、今後この事故を教訓といたしまして、同じような事故はふえないのじゃないかと思います。
  23. 大倉精一

    ○大倉精一君 いまお話を聞いておりますと、非常に不安な気持ちになるわけなんです。というのは、いま局長も、有視界飛行であれば、自分の責任において前後左右を見て飛ぶのだ、こうおっしゃいますけれども、乱気流は有視界飛行では見えませんね。でありますから、乱気流が発生しておるということを観測するということは非常にむずかしいということを聞きました。それから団長さんから乱気流飛行機のスピードの関係も聞きました。したがって、将来音速の倍以上の飛行機が飛ぶとなると、日本の空は一体安全なのかどうなのかということを原則にしてまず考えなければならぬと思います。それで、鈴鹿の山の上にもあるということが観測されておる、こういうのですけれども、これはどうでしょうね。日本の上空全部について乱気流の発生する高山のある場所というものをあらかじめ調査をして、そうして調べて認定しておく必要があるのじゃないかと思います。そういう点はできるのですか。
  24. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) ただいま大倉先生の御質問でございますが、日本は御承知のように山岳が非常に多くて、特に候補地というものがたくさんございます。富士山だけが候補地でございません。そういうようなわけで、日本国内片っ端から調べ上げるということは非常に手間がかかりますし、困難なことでございます。したがいまして、ある特定の代表的な山を選定いたしまして、その幾つかの代表的な山について特に念入りに調べてその結果をもって全般を推測するという方法もあろうかと思います。したがいまして、そういった山による山岳波というようなものにつきましては、気象庁といたしましては、富士山を含めまして適当な山、たとえば鈴鹿山脈、あるいは大子山系とかというようなものもございますが、そういうような代表的な山につきまして将来乱気流調査をやって、それをもとにしまして、ほかの全般的の山の状態を考えてできるだけ適切な乱気流の予報を出したいというようにただいまは考えておる次第でございます。
  25. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはどうですかね。いままでそういう乱気流の発生のおそれのある個所、あるいはそういう可能性のある空というものを調査をしたことはありますか。
  26. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) ここに予報課長が来ておりますので、従来のことにつきましての詳しいことは予報課長に説明させたいと思います。
  27. 久米庸孝

    説明員(久米庸孝君) 一般的な乱気流の分布につきましては調査してございます。
  28. 大倉精一

    ○大倉精一君 調査したとすれば、パイロットはそれを知っていなければならぬと思うのです。あるいはまたこれからどんどんふえるコースについても、コースを新しく設定するについても、そういうことを避けなければならぬと思う。今度の場合に非常に重要なことは、あそこに乱気流が発生する可能性というものをパイロットが知っておったかどうか、これが問題じゃないかと思うのです。これはおそらく知っておらなかったのではないか。私もかつて日航の招待飛行で、五千メートルぐらいの高さであそこの上をぐるぐる回って見せてもらったのです。いま聞くと危険な山だということですが、事故がなくてよかった。で、あの乱気流のある個所をパイロットに知らせておく。いま乱気流が起こっておるということはこれは観測できぬと思います、突然起こってくるのだと思いますけれども。そういう可能性のある場所は、飛行図といいますか、少なくともその中にちゃんと書き入れておかなければならぬと思うのです。その点はどうですかね。
  29. 久米庸孝

    説明員(久米庸孝君) これは私の単なる想像であります。そのつもりでお聞き願いたいと思うのですが、山のところに行くのですから乱気流があることは知っておったと思います。ただ飛行機がこわれるとは思わなかったのだろうと思います。これは私のあくまで想像であります。
  30. 大倉精一

    ○大倉精一君 それはあるでしょう。あるでしょうが、非常に危険な乱気流という場合もありましょうね。ですから、ここは飛んじゃいけないという、そういう個所をいまの調査で設定をする。陸上交通でもいまとりあえず危険個所を総点検する、こう言っておるのですから、空の交通でもそういう危険個所を総点検しなければならぬと思うのですが、そういう点はどうでしょうか、危険個所を設定しなければならぬという点ですね。
  31. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) 先ほどの予報課長の説明をもう少し補足させていただきたいと思います。前の羽田事故の際に、東京航空地方気象台長をして、現在東京管区気象台長をやっております仁科技官が参っておりますので、その点について若干補足させていただきたいと思います。
  32. 仁科伸彦

    説明員(仁科伸彦君) ただいま御質問がございました乱気流について、統計的に調査ができているかということをいま久米課長のほうから申し上げましたが、もう一つ乱気流につきましては十分わかっていないということを先ほど調査団長の守屋さんからお話がございましたが、これにつきましてちょっと詳しく事情をお話したいと思います。  乱気流と申しますのは、大体今日四種類に分かれております。その一つは、戦後、先ほどもお話がございましたように、非常に速度の早いジェット機というものが高いところを飛ぶようになりまして、そのために雲のないところにまで非常に大きな乱気流らしきものに遭遇する、これが晴天乱気流といって戦後非常に開発されてまいりました。ただし、これは高度の比較的高いところでございまして、高くて六千メートルくらいまでしかないと言われておりますが、その高度の高いところにある乱気流、これを晴天乱気流と申しております。これにつきましては、一応現在どういうふうにして予報するかということにつきましては、ある程度の手がかりができまして、それは各気象台、世界じゅういろいろな似たような原則によります手がかりをつくりまして、それによってこの高度には晴天乱気流があるらしい、ある可能性があるということは、一応たとえば天気図のようなものに書き込みまして、今度の場合もBOACの操縦士には渡しているのでございます。これは現在、世界各国ともそういうことをやっております。それからもう一つは、これはもう昔からよくわかっておりますので、地面の凹凸によりましてそこに強い風が吹きますと乱気流が起こる、これは昔からの小さい飛行機でもたびたび遭遇しておりまして、先ほど守屋団長からのお話にございましたように、百機の飛行機のうちで非常に激しい乱気流にあったものが七十九機ある、その大部分は三千メートル以下の、二千あるいは千という低いところの乱気流である。これは離着陸の、しかも飛行場の周辺でございまして、これがいま申しました地形による乱気流でございます。これは低いところでございます。それからもう一つわかっておりますのは、積乱雲のような非常に対流性の強い雲の中に入りますと、そこで非常に乱気流が起こりまして、大きな事故を起こします。このほうは雲の中でございますから、雲は目に見えます。したがって、その雲の、そういう積乱雲のできるようなところを気象学的に予報いたしますれば、大体この地域にはそういうものがあり得るということはわかっております。これは大ざっぱにわかります。しかし、飛行機の場合には大ざっぱでは困るのでございまして、いつ、どこに、どのくらいの高さの、どのくらい強い積乱雲があるかということを知りたいので、これは雲の中の積乱雲の場合は水滴が非常に大きいものでございますから、レーダーによって見つけることができる。つまりレーダーというのは、飛行機のほうでレーダーがほしいというのは、その積乱雲を見たいからでございます。その積乱雲のあるところを知りまして操縦士がそれを知り、あるいは地上でサービスする者が知っておりますと、それを操縦士に教えましてその積乱雲に近づくことを回避する、これが今日各飛行場でレーダーをほしがっている理由でございます。ただし、これは雲の中の乱気流でございます。  以上、三つございますが、その次の第四番目は、これは非常に新しい十年くらい前からかなり研究はされておりましたけれども、航空のほうのわれわれの気象サービスのほうにこれを利用する、勉強する資料といたしましては、いろいろの研究が出てまいりましたのはここ四、五年でございます。それでいろいろな学者の研究が出てまいりまして、これは大きな山脈がございます。長い山脈がございましてそこに非常に強い風が吹きますと、その風下に山岳波というのが出てくる。空気が強い波を打ってうねるわけでございます。この山岳波というのは、戦後よくグライダーなどが非常に高度の高い記録をつくりますときには、山岳波に乗りましてうまいこと高いところにのぼるわけでございます。そういう意味から申しますと、これは非常に山岳波そのものの上昇速度は大きいのでございますけれども、その山岳波の運動によって急激な異常な衝撃を受けるということはまずない。ただ、飛行機が急激に上げられましたり飛行機が急激に下げられますときに、下がりますと、ある高度をとったものが地面にぶつかる、そういう事故は考えられますが、つまり、今回のような大きな衝撃を起こすような乱気流とはちょっと性質が違うのでございます。ところが、この山岳波の中にたびたびこの乱気流らしきものが起こりまして、今回のような飛行機事故が起きておるのでございます。これは一番よく調べられておりますのがアメリカのロッキー山脈とシェラネヴァダでございます。この山脈につきまして、最近非常に研究が進んでまいりました。しかし、一番研究が進んでおりますアメリカにおきましても、この山岳波が非常にエネルギーの強いものであるときに初めてその中にできる乱気流は強いものである、いわばその基準と申しますか、どういうときに強いのか、これが山の高さ、風の強さによって非常に違っておりまして、ごく最近シェラネヴァダでは、コルソンという人がこの基準を一応きめまして、このくらいの風の強さでこのくらいの山の高さのときには非常に強い山岳波ができるのだ、あるいは波ができるのだ、弱いのができるのだという一つの試みを出しておりますが、これがいま世界にございますそういう山岳波に対する一つの基準、試みでございます。これを各国では、またロッキー山脈ではやっております。日本のほうではまだできておりません。しかし、いろいろそういうような山岳波というものの性質については、かなり研究が進んでおりまして、こういうものを山脈の場合に各国では当てはめて、これから基準をつくってみようというところでございます。  ところが、今回のは富士山でございまして、これは山脈ではございません。山脈といういわゆる非常に長い山ではございませんで、孤立した山でございます。こういう山につきましては、今日世界でほとんど手がついていないというのが実情でございます。まあ二、三研究はございますけれども、まことにそれはある示唆を与えるだけのものでございます。一つだけございまして、これは山脈のような長いものでなくて、ちょうどようかんを風のほうに直角に置いたようなかっこうのものを考えまして、それに横のほうから風をぶっつけますと、風の方向に直角に方向を持つ、ようかんの幅でございますから、これは富士山のようなものを考えられるのではないか。これは計算によりまして理論的に風下のほうにどんな上昇域ができるか、下降域ができるかということをウルテルという人がやりましたけれども、そのときに風下のほうにどんな上昇域ができるか、これが非常に今日興味を引きましたのは、日本の阿部博士が昔富士山写真をたくさんとりました中に、ときどきそういうようなV型の雲ができるということが文献にございますのをウルテルが見まして、自分のやったのが富士山に似ているというのがごく最近出ております。これが予報に対する唯一の今日の一つの示唆でございます。われわれは、そういう示唆をもらっただけでは、たとえば羽田の気象台でこれを富士山の場合に当てはめてやりますときには、風速がどういうときにはこういうことが起こるという基準をきめなければなりません。ある程度の乱気流、つまり、波程度の乱気流は当然考えられるのでございますが、先ほども言いましたが、普通パイロットあたりは、あのくらいの風のときには、飛行機は揺れるということは知っております。これは確かにお客さんに不愉快な感じを与えるかもしれませんが、あれほど異常な大きな乱気流が起こるとは、おそらくだれも考えていなかったのじゃないか。少なくともシビアーの乱気流があるかどうかということもまだはっきりしていなかった。これに対しまして、先ほどの、操縦士がなぜそういうところに行ったか、あるいはなぜそういうところに行かせたかという御質問がございましたけれども、これにつきましては、やはり乱気流につきましてはよくわかっていないと申しますか、先ほど申し上げましたような大部分乱気流についてはわかっておりまして、これには気象図によりましてサービスを提供しております。ただ、遺憾ながらこういうような富士山のような孤峰のような場合につきましては、いま実際にやります手段というものはでき上がっていないというのが正直に申し上げました現状でございます。  以上でございます。
  33. 大倉精一

    ○大倉精一君 それではあの当時BOACが遭遇した乱気流というのはどういう程度のものであったかということはわからないのですか。
  34. 仁科伸彦

    説明員(仁科伸彦君) 今回のBOACの遭遇いたしました、推定されておりますところの乱気流、これにつきましては、あとからいろいろな資料でもって調べてみましても、飛行機破壊に導くほどの強いものであったかどうかということは、今日でも証明することはできません。
  35. 大倉精一

    ○大倉精一君 何かの実験で、たとえば尾翼が、翼がちぎれて飛んでしまうというような乱気流はどんなものだということをあわせて調査しなければならないじゃないかと思うのです。ですからそういうものがなかったとすればほかの原因になるのですね。ですから乱気流でやられたのだ、それで翼がすっ飛んじゃった、これは乱気流だろうと、こうなるのですけれども、しからば飛んでしまうような乱気流というものはどういうものか、これが富士山に発生するというそういう原因可能性はあるのか、この検討が必要ではないかという気がするのです、が。
  36. 仁科伸彦

    説明員(仁科伸彦君) 報告書にも書いてございますとおり、後ほど調査いたしました結果、確かにそこに飛行機破壊に導くほどの乱気流があったという証明はできておりません。しかし、反面そういう乱気流が絶対にないかということに対しましては、そういうことは必ずしも言えないのであります。なぜ言えないかと申しますと、先ほど申しました、今回の場合とにかく山の風下でございます。ですから考えられるのは、山岳波というのが、いまわれわれの知識では考えられる。山岳波というのは山脈の場合については、少なくとも山脈の場合について、その風下に起きる山岳波、それは非常にエネルギーの大きい場合にのみ、その中の一部分、非常に小規模な、範囲の小さい、まあ詳しいことはわかりませんが、たとえば渦巻きのようなものができまして、それが非常に激しい連動をして、大きなエネルギー乱気流がそこに部分的に起きるということが考えられます。そういたしますと、今回の場合、山岳波ができているかできていないかという知識は十分ございませんけれども、その山岳波が非常にエネルギーが大きいものであったという一つの仮定をいたしまして、そうしてくればそれから崩壊してできるところの小さい乱気流はああいう大きなものになり得るだろうということは否定できないわけです。
  37. 大倉精一

    ○大倉精一君 わかりました。せっかくこういう調査をされまして、一応結論が出たのですが、とにかく、どんな乱気流にしろ、乱気流である、こういう結論が出たとするならば、乱気流に対する措置が必要です。調査しっぱなしで乱気流が発生しただけではいけないのであって、その措置としては、いま私のしろうととして考えられるのは、一応日本の空、特に飛行機が飛ぶ空を調査する。そういう大へんなエネルギーのある乱気流の起こる可能性のある場所について調査をする、そして少なくともそこは飛ばないようにする、こういうことが必要じゃないかと思うのです。ところが乱気流可能性あるといって、しかし、いまはないからといって飛んで行っても、乱気流は突然起こるでしょう、そういう可能性がある。しかも有視界飛行じゃ乱気流は見えない。ですから少なくともそういうところに設定する航空路というのは、この際あわせて検討する必要があるのじゃないか、こう思うのです。と同時に、この際お伺いしたいのですけれども、大島の上空というのは、これは乱気流の発生する公算があるのですか、飛行機で大島へ行く場合……。
  38. 仁科伸彦

    説明員(仁科伸彦君) ただいまの御質問によりまして、乱気流の発生しやすいところをよく調べる、統計的に地図をつくっておいて注意するということ、これは一つ方法でございますけれども、御承知のとおり、その日その日の気象条件によりまして、そこが乱気流の発生しやすい場所になったりならなかったりするわけであります。それを毎日毎日、その日その日の気象条件によっていわゆる制限して、飛んでぐあいの悪いような区域を図の上に示すわけであります。その技術を開発することが大切であって、初めから地図の上に書きまして、この上をいわゆる制限区域にするとか、そういうようなことをするのではなくて、その日その日の気象状況によって、ここはちゃんと制限区域のような図を書きまして、警戒区域として図の上に書いて渡しております。それがよくあたるような、非常にいいものをつくる努力を今後しなければいけない、そういうやり方になっております。
  39. 大倉精一

    ○大倉精一君 大島はどうですか。
  40. 仁科伸彦

    説明員(仁科伸彦君) 大島は昔から乱気流の多かったところでございますし、気象条件によりましてどこでも起こります。いまちょっと落としましたが、それから地形によりましては、これは地形を見ますと、風の強いときには、低いところは局部的な乱気流がございます。これはどこに限らず、山岳地帯にはそういうところがあります。これは昔からわかっております。
  41. 大倉精一

    ○大倉精一君 私が大島ということをお尋ねしたのは、かつてあそこは全日空の飛行機が山へ衝突したことがありますね。これは考えようによっては乱気流にあって急降下したということも考えられる。もう一つは、いわゆる米軍の厚木の飛行場の上を、あの中を通っちゃ、いかんということになっていますね。ですから北陸のほうへ行くのでも、あそこを避けなければならないので、どうしても大島の上を行かなければならないということは、日本の民間飛行機の宿命ですね。前にそういう事故があったので、あそこにそういう乱気流が起こるということになれば、これはどうしても危険じゃないかと思うのですね。ですから厚木の上をどうしても米軍が通してくれない、そこに問題があるから心配をして聞いたのですよ。そういう点に関連して、あそこがたとえば乱気流の発生する可能性のある場所である、こういうことがわかっておる場合に、航空局はどういう措置をとりますか、飛ばなければならぬ場所について……。
  42. 松本登

    説明員(松本登君) ただいまのお話で、乱気流というのは、そのときの気象状態によって起こる場合もあるし、起こらない場合もあるということで、一般的に大島の上空はあぶないということで危険区域とすることは、まだ技術的に無理であるというような気象庁のお話でございます。しかし、気象庁のほうでそういう精密な資料を将来おつくりになりまして、ここはもう大体においてあぶない地域であるというような資料をいただきますれば、当然航空路を設定する場合にもそういうことを考えなくちゃならぬと思います。
  43. 大倉精一

    ○大倉精一君 委員長速記をとめて下さい。
  44. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をとめて。   〔速記中止
  45. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあせっかくこういう結論を出されましたので、日本の国は宿命的に、どこへ行っても山の上を飛ばなければならぬという宿命にあります。しかも山の上は必ず乱気流があるんだと、こういうお話でありまするから、調査結論出しつばなしではどうもぐあいが悪いので、この乱気流に対する対策について遺憾のないようにやってもらうように要望しておきます。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 簡単に。まあBOACというような、国際のメーンストリートを飛んでいるわけです、か、たまたま日本へ来て富士山を見ると、こういうことだったと私は思うんですよ。そういう点でこれは機長が軽率だったんじゃないかというふうに私は思うんですがね。それはなぜかというと、箱根の山の上を飛んでいるんですね、これ。明神岳というと。それから御殿場へ出ている。普通ならばもう少し海寄りに走るなり何なりしなければいかぬと私は思うんですが、天下の箱根、世界の箱根だから、箱根の上を飛んで富士山に行く。全く遊覧的な飛行機になっておるんじゃないか。まあそういう点を飛ぶならば、日本の飛行機にまかせてもらいたいというふうに注文つけにゃいかぬというふうな気がするんです。これも想像ですが。そういう点で一つはっきりしたいのは、いま言った八千メートル以上になれば心配ないというけれども、香港経由で三万一千フィートで大体計画されておる。三万一千フィートで大体飛んでいくというやつを、にわかに離陸直前に有視界飛行に切りかえてもらったというふうなところが、非常に、何というかラフなような気がするんですね。まあそのときに何かやはりこう飛行機に乗った人がとことこ機長のところに歩いていって、きょうは天気がいいからひとつ富士山見ていこうじゃないですかぐらいに言ってですよ、にわかにそこで航路を変更したような想像が、まあわれわれも飛行機かなり乗ってみて、少しそういう点についてはやはり日本の上空というものについては、国際路線は必ずこういう経路で飛んでもらわにゃ困ると、そのときの状況によって右へ行ったり左へ行ったりされたらたまらないじゃないかというふうなことについては、やはり厳重にひとつやってもらいたい、こういうふうな気がするわけですが、これは想像ですからこれ以上申しません。  私が聞きたいのは、今度の調査団の主要なる一つ資料というのは、フィルムがポイントになっているような報告ですが、かりにもしもこのフィルムがなかったとした場合に、主翼部分、頭の部分の計器類が全部焼失しているということになるというと、たまたまフィルムがあったからよかったけれども、フィルムがこの場合なかった場合、これはどうなんですかね。ちょっとその点をお伺いいたしておきます。
  48. 守屋富次郎

    参考人守屋富次郎君) 乗客がとりました八ミリのフィルムは、確かにきめ手一つでありましたのですが、しかし、先ほど申しましたように、われわれはいろいろな専門的立場からして、総合してこの結論を導き出した次第でございまして、あのフィルムがなくても同じ結論が導き出されたことと私は思っております。が、一つきめ手としてプラスになったということは事実でございます。  それから、私どものこの調査報告に、先ほど来問題になっております乱気流の問題、そのほかいろいろの問題を提起していただきましたのですが、われわれとしましては、この報告書の末尾へ勧告的な事柄をつけるべきかいなかという問題を相当論議いたしました。この報告書そのものがこれは非常に大きな教訓でありまして、この報告書をごらんになる方が気象関係の方でございましたならば、乱気流というものを今後しっかり調査して、それの危険を避けるような方法を考えなければならぬということをおそらく考えられるだろうと思います。あるいはパイロットの、運航関係の人がお読みになりましたならば、かりにそういうふうな乱気流の予報がなくても危険なところは避けるべきであるとかですね、いろいろなことが考えられると思います。また、設計者のような、そういう技術的な立場に立たれる人がこれを読みましたならば、衝撃的力というものに対して、飛行機のいままでの設計ではたしていいかどうか、もっと考えるべき点が存在しておるのではないかというような事柄もこの中に含まれておるわけなんです。あるいは行政的な見地からいまのそういうふうなものを今後いかにして事故を未然に防ぐような方法を講ずべきかということもお考えいただけるだろうと思います。したがいまして、私ども調査団といたしましては、限定された項目だけを勧告の形でいたしませんで、これ全体が読む人によりまして教訓になるような、そういうふうなくみ取り方をしていただきたいという、そういうふうな意味で勧告の項目をつけなかった次第でございます。
  49. 中村順造

    ○中村順造君 一つだけお尋ねしたいのですが、学術調査団たいへん御苦労だったのでありますが、こういう結論になりますと、BOACの会社の責任というのはどういうことになりますか。これは国際的に見ましてですね。これは航空局のほうでもいいですが。
  50. 松本登

    説明員(松本登君) 会社、この場合におきましてはパイロットも会社も含めまして、不可抗力であったというふうに考えております。
  51. 中村順造

    ○中村順造君 私は、先ほどからいろいろ御苦労なさった調査団報告を聞きまして、また若干の質疑の中で、技術的にはそういう予想外の力が加わって飛行機がこわれたということは、まあ私はしろうとですけれども、多少材料力学などやりましてわかっているわけですがね。いま冒頭お尋ねした会社の責任と調査団結論というものの結びつきを考えてみますと、これは別な角度からやっぱり判断をしなきゃならぬと思うのですね。私ども、まあもちろんしろうとでございますが、まあしばしば飛行機に乗る機会があるわけですが、大体ね、離陸して五分、少なくとも十分以内には所定の高度に達して、そうして所定の速度を出して、安全ベルトをはずし、たばこも吸えるというのが大体どこの飛行機に乗っても、旅行した場合それを経験するわけです。いま見ますと、この飛行機はおそくとも十四時には羽田を離陸しているわけですね。十三時五十八分。十四時にはすでにタワーと交信をしておりますから、そういたしますと、これは推定でありますからよくわかりませんが、御殿場に大体飛行機が落ちたというのは十四時十五分ですね、十五分間の間ですから、これは質問いたしておりませんからわかりませんが、私の指摘するのは間違いかもしれませんが、一体この飛行機は高度、幾らの高度をもつのが所定の高度であるのか、幾らの速度であるのか。こういうことが飛行機の場合に問題になると思います。書いてあるのを私は断片的に読みましたが、実際大体三万一千フィートだと考えております。もしこれが所定の高度であるとするならば、これが一万六千フィートで事故を起こしております。そういたしますと離陸後十五分たってもなおかつ所定の高度の半分にしか高度を上げておらない。こういう場合に、また一つの代表的な議論の中で飛行士の責任として考える場合、こういう点も私はやはり会社の責任ということになれば、機長のとった措置というものがはたして適切であったかどうかというのは問題があると思う、私は。なおかつ、先ほどお話がございましたが、有視界飛行あるいは計器飛行にいたしましても、それは前を速度のおそい飛行機が飛んでおったとかいろいろ事情はあります。事情はありますが、この出された資料の中を見ますと、BOACの原則というものはやはり計器飛行が原則だ。しかもこれは有視界飛行によるときは規制があるわけですね。いわゆる離陸時においてはこうこうだということがこの報告書の中にも書かれております。この厳重な規制という判断をする限りにおきましては、あまりにもこの場合有視界飛行という機長のいわゆる申し入れというものは非常に根拠が薄いということは私は言えるのじゃないかと思いますが、これは計器飛行にたよっても何らふしぎでない状況の中であえて有視界飛行に切りかえるそれを申し出るということも、やはり先ほど来岡委員の発言にありましたように、天気がいいから富士山を見ていこう。私は先般、黒い画面ですか、映画、記録的なものをNHKかどこかでやっていたのを見ましたが、大体われわれが旅行しても、八ミリカメラで所定の高度に達したものが窓の外が写真にとれるというのは考えられないのですよ。それは北極を飛んだ場合に、まあ真下が氷の一面だ、そういうものは写ります。あるいはヒマラヤを通るときに、大きな山脈を越えるとき隣の山を写すという場合は写りますが、山中湖というそれが明確に画面に出るという、そういうカメラで地面がとれるような飛行をすること、しかももう離陸後十分以上経過してそういうカメラの撮影が明確に出るというようなことは考えられないわけですよ。何らかの意図がなければそういう飛行はやらない。この黒い画面の、一〇一測量隊などの記録を見ておりますけれども、こういうことで特に先ほど岡本委員から指摘のありました、かつて自衛隊飛行機が四機遭難をして、人命に損傷はなかったけれども、飛行機は全部だめになった。こういうことが先ほど団長の三月十七日ということで、年は違いますが、要するにそのときの映画を見ましても、天気のよいときには富士山に近寄るなという一つの不文律が飛行士の仲間にあるということが言われておる。しかしながら、残念なことに外国人機長で、そういう自衛隊飛行士などの、いわゆるお互いに言われておることわざは理解しないといたしましても、これは乱気流の問題に発展いたしますけれども、富士山というものは非常に危険だ。しかも天気のよいときには非常にあぶない。そういう事故があった。こういうときに本人が知る知らずは別にいたしましても、知らなければなお悪いのですが、知っていれば特段に悪いことである。この状況を見ましてこれは機長に責任がない。もしかりに、この調査団報告が会社の責任に結びつくものならば、これは重大な問題だと思う。これはどこでこういう議論をしたらいいのか私も判断に迷いますけれども、これは非常に重大な問題だと思う。この間、私は映画を見まして、そういう感を非常に深くいたしました。だから、将来日本の上空が安全であるかどうかという以前の問題として、あるいはボルトの装着問題とかあるいは技術的に、こういう力が、何ぼですか、七・五Gとか言っておられましたけれども、その力が飛行機に加われば、これは、飛行機はこわれるのだ。四・五Gの耐久力しかない。それは設計上の問題であり、なおかつ、これは技術上の問題であろうと思いますけれども、この飛行機羽田を離陸して、落ちるまでの、いわゆるそういう技術以前の問題として、機長の責任は私は鋭く追及されなければならぬと思うわけです。これは意見ですから、質問になりませんから。この一連の飛行士のとった経過を見ますと、特に私は離陸後十五分も経って、まだ所定の高度に達しておらない。こういうことをいま申し上げましたが、もし私の意見が違うならば航空局から、それはこうこうこういう事情で、その当時は所定の高度がとれなかったのだ、あるいは経路が違っておったのだ。こういう説明がつくならばしてください。これは私の意見ですからね。  もう時間が来ておりますから、私がいま言ったのは私の意見ですから、それはいいのです。いいのですが、ただ私が知りたいのは、羽田を十三時五十八分に離陸した飛行機が現地で一体幾らの高度を保っておらなければならぬのか、時間的に見ましてですよ、所定のその経路がいいとか悪いとかいうことは別にしまして。
  52. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  53. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記を始めて。
  54. 松本登

    説明員(松本登君) いま先生のおっしゃったようなことも十分この事故調査の場合調べました。また、われわれとしましては、どうしてVMC上昇をやったのかということ、それがまずBOACの運航規程の違反じゃないかというようなことをまず調べました。先ほどの団長の御説明にありますように機長がVMCをやる必要があると判断した場合には、VMCをやってもいいということがBOACのマニュアルに書いてございます。この点、この場合に、それじゃ富士山を見せようとするためにやったのかどうか、こういうこと。これはもう全員死んでおりますし、そういう点のきめ手がわれわれとしては、調査団としてはっかめませんので、富士山を見せるために飛んだのだということは、調査の過程ではどうしても発見できません。また、BOACのマニュアル違反であるというようなことも、マニュアル違反ではないというふうな結論になったわけでございます。
  55. 中村順造

    ○中村順造君 高度は。
  56. 松本登

    説明員(松本登君) 高度につきましては、レベルに行きましてから、三万一千という飛行計画でございまして、この付近を飛んで、事故を起こした当時四千九百メーターという高度は、もっと飛行機の性能からみましたら、もっと高い高度をとりますが、しかし、この場合、パイロットがどういうことを操作上考えまして、この高度で飛んでおるのかということも全然証拠がございませんので、何ともわれわれとしては断定できなかったわけでございます。
  57. 中村順造

    ○中村順造君 時間ですから、ぼくはあまりやりませんが、しかし、そんなものですか、飛行機飛行士というのは。これは技術的なことでないからあなたにあえて聞きますがね、その飛行士、機長というものは、そんないいかげんなものですか。たとえばどの経路で高度何万フィートというふうにきめられたものが、それはもう何かの絶対的な条件のもとに、その高度がとれなかったとするならば、あえてそれには説明をつけなきゃならぬが、しかも、こういう場合、晴天でですよ、晴天で非常に見晴らしが、有視界飛行のあれをするくらいですから、いいし、しかも、風もあらしでも何でもないという状態のもとに、飛行士が生きておらない、死んでおるから、何らかの事情でそういうことになったのかということじゃなしに、私は少なくとも飛行機というものは、事故になればばく大な犠牲を伴うものですからね、それを前提に判断をするなら、いわゆるこれだけの高度で、三万一千フィートなら三万一千フィートという高度がきめられたら、特殊な事情のない限りにおいては所定の時間内にその高度に達しなきゃならぬはずじゃないですか。規定というか、私はその点はどういう規制を受けるのか知りませんが、一体飛行機の操縦士というものはそんないいかげんな——三万一千フィートが一時間後に三万一千フィートになってもいいと、そういう状態じゃないでしょう。離陸して、おそらくこの角度で上がって、しかもこの時間内にはこれだけの速度になってこれだけの高度になるということが規定をされることによって航空の安全というものは確保されるわけでしょう。それが死んだから、なぜその速度でその高度だったという——これはその高度であったことは、一〇一の測量隊の綿密な計算で、電子計算機で計算をされて、一万六千フィートだという高度が計算を出されてるわけです。その結果を見て、これは飛行士はけしからん、いわゆる規則違反だという結論になぜならないんですか。もしそれが死んだからわからぬというならば、客観的にこういう条件があったからとれなかったんだという立証がされない限りにおいては、この飛行士は規則違反じゃないですか。それからいまBOACのマニュアルのことがございました。報告書の中に書いてございます。それは議論されたと思いますよ。報告書に出されております。しかし、いま岡本委員からの質問でいろいろ前後のいきさつ聞かれても、あなたはあいまいな答弁なさっておりますが、この条件ここに書いてありますよ。出発許可がおくれ、または上昇制限を課せられるおそれがある場合……。これは出発許可は多少おくれておりますがね。これは有視界飛行計器飛行か、この論議をするために出発許可がおくれる、そういう条件じゃなかったんですよ。ただ、前を速度のおそい飛行機が飛んでおったことの事実は一つありますね。上昇に制限が課せられるというようなことは考えられないでしょう、この場合は。これは規則でしょう、BOACの会社の。その規則を厳密に、まあここで時間がないから一通り読んだだけでも、当時の状況はこの規則に照らしてこういう条件のもとにあったということは考えられないんです。そうすればやはり私は機長に重大な責任があると判断せざるを得ない。特にこの調査団結論BOACの会社の責任そのものに結びつくとするならば、これは本院でやることが適当かどうかわからぬということを私は先ほど申し上げたとおり、これは重大な問題ですよ。明らかに、私はあえて言うならば、その意味から議論をするならば、このBOACの当時の機長に対しては重大な過失があると断定せざるを得ないということを申し上げておるわけです。あなたはそれなのに、一万六千フィートー当時、死んでおったからなぜそういう条件下にあったかわからぬとおっしゃるけれども、三万一千で飛ばなきゃならぬものが、しかも離陸後十五分たって半分の高度しかとっておらなかったということは、別な条件が示されない限りは、この機長には重大な責任があると言わざるを得ないんです。この点はどうなんです。
  58. 松本登

    説明員(松本登君) 飛行計画は、巡航高度三万一千でございます。したがいまして、地上から三万一千まで上がりまして、それから水平に三万一千で飛ぶ飛行計画になっております。で、その三万一千までの上昇につきましては別に規則も何もございません。そのときのパイロットの判断によりまして、どれだけの上昇率をとっていくかというようなことはパイロットの自由裁量になっております。これは日本でも、普通飛んでる飛行機も同じでございます。この場合に三万一千、巡航高度で三万一千を変えようとする場合には、これは当然管制官の許可が要るわけでございます。しかし、三万一千に達するまでは、——この場合有視界でございます。有視界というのは先ほど御説明いたしましたように、パイロットの目で見て飛ぶわけでございます。それでこの場合に、当然この飛行機航空路に入ります場合、レベルという地点に入りますときは、三万一千の高度をとりまして、そしてその場合には入る前には東久留米の管制官に連絡いたしまして、自分はいま航空路に近づいた、これから航空路に入りますということを連絡してきます。その前におきましては有視界上昇でございますので、パイロットの判断によりまして、危険防止という点につきましてはパイロットの判断によりまして飛んだというようなことになっております。
  59. 中村順造

    ○中村順造君 私は、この点はしろうとだと言っております。しかし、お互い同僚議員もあれですが、世界何十カ国、何十回となく飛行機に乗っているわけです。かりに、私お尋ねいたしますが、浜松から所定の経路に入るという計画でしょう。そうしたなら、日本の場合は、富士山があるなしは別にして、羽田から出て浜松に行くまでは高度も何も何でもいい、全部機長の裁量にまかせる、そんなことになっておりますか。浜松に入るまではわれわれの経験では、少なくとも五分ないし七分後にはもう安全ベルトをはずしてよろしい、たばこも吸ってよろしいというのが、飛行機に乗ったときはみなそうです。日本だけそんな特別なことがあるのですか。まああなたと議論したってしょうがないのだけれども、実際われわれしばしば飛行機に乗るからよく聞いておかないと、恐怖症じゃないが。浜松へ行けば、当然浜松の間では所定の経路で三万一千、それまではどこを空中漫歩してもよろしいというふうなことじゃないでしょう。それは監督官庁としてはもしそういう考え方があるなら、これは重大なことです。これは議論にはなりませんが、私は私どもの経験から言うならば、少なくとも離陸後五分後ないし少なくとも十分以内には、特別に天候が悪くない限りにおいては、普通の状態に高度を保ち、あるいは巡航速度になるわけですよ。それがこの場合それをやっていないわけです。あなたの議論を聞くと、あなたは機長のかってだ、所定の航路だといって、全部これは羽田を出てから浜松へ行くまでみなどこを飛んでもいいというわけじゃないでしょう。しかも高度も何万メートルでもそんなものかまわない、ある一定の、今度再びタワーと、センターと交信をして高度を保つまでは幾らの高度でもいいというような、そんなでたらめではわれわれ飛行機に乗れませんよ。これは私の意見ですからお答え要りませんが。
  60. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろお話がありましたが、これは原則論になるかわかりませんが、乱気流が起きない最高度の基準というものは概要説明では、山の高さ掛けるの二倍の高さであるならば一応これは安全とみなしてよいのじゃなかろうか、そういう御説明がありました。山の高さの一・五倍くらいの場合は乱気流の危険性が多分にあるという説明でございますと、これで数字を計算しますと一万六千フィートですから、四千九百メートルでございますが、富士山の高さが三千七百七十六メートルでございますから、これを倍しますと七千五百五十二メートル、すなわちこれを大体三倍しますとフィート出ますから二万二、三千フィートでもしもこのBOACが飛んでいた場合には、このような危険性はなかったということも言えるのじゃないかと思うわけなんです。いま説明のあった原則論で言ったならば。この点はどうでございましょうか。事故の起きたことで御苦労なさって、結果を出していただいておりますが、もし二万二、三千フィートで飛んでいたならば、そういう事故が起きていない、そういう一応の原則論ですけれども、この点はどうでございましょう。
  61. 柴田淑次

    政府委員(柴田淑次君) これはあくまで原則的にでございます。原則的に考えますと、理論的にそうでございますが、田代先生おっしゃるように、もしも富士山の場合、あるいはそれ以上の高さを飛んでおれば原則的にこういう富士山による今度のような乱気流には遭遇しなかっただろうということは言えます。しかし、乱気流に遭遇しなかったかどうかということは、これは先の仁科台長の説明のように、一万メートルくらいのところには高高度のいわゆる晴天乱気流がございますので、乱気流にはあるいは遭遇したかもしれないけれども、いま申しましたように富士山によるものには遭遇しなかったというようなことは考えられます。
  62. 田代富士男

    田代富士男君 もう一つ。これは極度な見方の違いになってくるかと思いますが、古い資料を私はちょっといま正確には調べなかったのですが、このBOACが日本にくるときに、たぶん羽田に着かずに一たん板付に着いたのじゃないかと思うのです。そして、こちらの羽田に戻ってきて、この操縦士もいささかそういう精神的に、もう日本へくるときにまた早くイギリスに帰りたいというような精神状態であったということを新聞でちょっと拝見しております。しょせん、これは飛行機の問題を一応検討されまして、それと気象の問題をひとつ検討されまして、これは物体対何というのですか、宇宙体のひとつのいろいろなきめ手じゃないかと思うのです。しかし、私思うのですが、乱気流が起きるとか、いろいろなことも起きます。しかし、こちらの物体ではBOACの機械が最高度に発揮されたとしても限度があります。それを事故を未然に防ぐか防がないかというのは操縦士の一念によってきまるのじゃないかと思うのです。その操縦士がそのようないろんな事態が起きてきた場合にどう対処するか。そうした場合に、いま言うように、精神的な状態といいますか、それはもう日ごろから教育もされ指導もされていると思いますけれども、そういう面で、何か操縦士自体が精神的な安定感といいますか、そういうものを持ってるならば、こういう航空機の場合は、特にきめられたあたりまえのことをあたりまえと言われながらでもそれを実行していくところに安全性というものは保たれるのじゃないかと思うのです。そうすれば、いま私たちのようなしろうと考えでいきましても、富士山においてそういう晴天のときには注意をしろと言われている。山脈掛ける二倍の高さをいつも保っているということであるならば、それ以上で事故が起きた場合は不可抗力でしょうけれども、それ以下で起きているわけです。こういう点において当然わかってることでありますし、数回日本の国の航行もやっておりますからわかってるはずだと思うのです。そういう点でもう少し操縦士自身がそういうあたりまえのことをあたりまえの原則でやってるならば、こういう事故は未然に防がれているのじゃないかと思うのですが、そういう操縦士に対する原則論を、じみちなことでございますから十年一日と言われるかもしれませんけれども、そういうことをやっていくべく指導していくことが今後の事故を未然に防ぐということにもなるのじゃないかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  63. 松本登

    説明員(松本登君) 先生のおっしゃること、全くそのとおりだと思います。操縦士はきめられたことをぴちっと守っていくということが事故を防ぐ根本だと思います。規定にきまっております操作、そういうことも自分の個人プレーでなしに規定どおりにやっていくということが事故防止の最も一番の原則だと思っております。
  64. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をやめて。   〔速記中止
  65. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。  守屋参考人に申し上げます。本日は長時間にわたり貴重な御意見を賜わりましてまことにありがとうございました。午後一時半まで休憩いたします。   午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後一時五十九分開会   〔理事谷口慶吉委員長席に着く〕
  66. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、航空に関する件の調査を行ないます。
  67. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 前々回の委員会で、日本航空の又出資に関係いたします資料を求めたところでありますが、ただいまのところ手元にきております資料では、日航商事を筆頭に、三十三の会社が資料として出されてまいりました。その決算の概要ということ、まさにそこに書いているとおりで、概要で、さっぱり内容わかっていません。そこで、この三十三社よりあとないかどうかということをまずひとつお聞きしたいと思います。
  68. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは五月二十二日に当委員会に提出いたしましたので、その後、六月十六日に至りまして、沖縄に日航が、航空会社を現地資本と一緒に南西航空という名前で設置いたしました。これに七千七百万円の出資をいたしましたので、総合計が十七億三千四百九十九万一千円に相なりましたので、訂正をさしていただきたいと思います。
  69. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま南西航空について訂正がございましたが、それはそれとして、出されております概況から見れば、出資額書かれています。そこで、私の手元にありまする、私が独自に調査した出資額と若干相違をいたしていますから、この点をちょっと伺っておきたいと思う。その一つは、日本空港動力というところに約倍近く、私の手元にあるものよりも金額が多く出資されたような資料になっている、私の手元の調査では二千四百八十万になっています。私の手元にきたものが。それが資料では七千七百八十五万、こうなっていますね。どうも大きな数字で……、そうしますと、これはいつごろからこんな増資をすることになったか、このことと、それからこの会社は約千二百四十万ぐらいの赤字を出していますね、この資料では。ですからこの関係一つですね。それからもう一つは、これはJAL・デ・メキシコ、利光松雄何がしか代表者になっていますものの、これが私の調査をしたところによりますれば千二百八十七万四千円、これが現在は千五百四十三万七千円と、こうなっておりまして、損益勘定では黒字が五百十四万円、こうなっていますので、これは増資をしていることになります。それからその次には、日本空港ビルディングこれは秋山龍ですか、ここに私の手元の資料では二千七百十七万一千、それが三千六百二十万とやはり増資をしたようなかっこうになっていますので、この関係。  それから今度逆に、私の手元で調べたものよりも少ないものもございます。その一つは東洋端子株式会社、これが資料では八千七百五十万円、私の資料では九千五百四十六万六千円、株の取得権、こうなっております。この関係は一体どうなのか。それから国際航業、国際航業が、資料では六千七百五十万円、私の調査したものによりますれば六千四百五万円、こうなっていますから、この関係は一体どうなっているのか、詳細にひとつ答えていただきたいと思います。
  70. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 日本空港動力につきましては、先生のおっしゃいましたように、四十年十二月に二千四百八十万でございましたが、四十一年十二月十六日に増資して、七千七百八十五万円になっております。それからそのほかの会社の増資、あるいは少なくなっている関係につきましては、ちょっと、いつ、先生のお手元の資料がこのようになったか、ちょっと資料がございませんので……。
  71. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私の資料は、昭和四十一年三月三十一日の、つまり四十一年の決算期におけるかなり信憑性のあるところでとった資料であります。あなたのほうで出したもの、四十二年五月二十二日、それからきょう何か、これは同じものですか、同じものですな、いま配付されたものは。わかりませんね、これは、わからなければ次回の委員会までにいま申し上げた点を詳細にちょっと調べて、この委員会で答えられるようにして、資料を求めておきます。委員長いいですか。
  72. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  73. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記つけて。
  74. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは、私のほうは四十二年五月二十二日でございますが、全部各社の四十一年度決算の資料によってこれをとりましたので、もし先生のお持ちの資料の写しをいただけましたら、その資料との差がいつどうなったというのが明快に次の委員会資料として御提出できると思いますので、写しをいただけましょうか。
  75. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 全体の質問が終わって、そのいかんによっては提出いたします。  そこで、金額の差は、これは決算時期におけるとり方によって多少違っているのかもわかりませんが、この三十四社ですね、あなた方の資料では三十四社とか三十五社、あるいは三十六社、それはもう大同小異ですから、ここでは何社ということは言いません。また聞こうともしませんが、これは航空局長、日本航空というのは特殊法人だと私は理解するのですが、これは間違いないですか。
  76. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 日本航空株式会社法によって設立された会社でございます。
  77. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 特殊法人ですね。
  78. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) そのとおりでございます。
  79. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、その前提に立って、この資料を中心にお伺いいたしますが、日航商事という、たいてい一般普通の法人でよく商事会社というのを私ども見受けたり、あるいはそういうのを知っておりますが、日航商事というのは何をやっておりますか。
  80. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 日航商事は、日本航空が業務遂行上付帯する業務、たとえば航空機機体保険業務、日航の社員の作業衣の洗たく、それから日航の技術指導マニュアルの印刷、それから日航の社屋の清掃、営業用時刻表、パンフレット類の支店あての発送等、元来なら日本航空自身の業務として日航がやるべきものを子会社にしてこれに外注する形をとっているものでございます。
  81. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だんだん聞いていきますが、このグランドサービスの関係は聞かなくてもこれは常識でわかりますからやめますが、東京航空食品株式会社、これはどんなことをやっておりますか。
  82. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは普通フライトキッチンと申しておりますが、機内食を、これはやり方がいろいろございまして、元来なら日航が自身でこの機内食業務をやっていいんでございますが、こういうふうに別会社にやらせまして、日航のものを主としてやりますが、他のエアラインからの注文も取りやすいようにするということで業務の合理化をはかったものでございます。
  83. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それからこの大阪空港交通株式会社というのは、これは自動車会社ですか。これはどんな内容のものですか。
  84. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この会社は、日航の国内線の利用旅客に対して、大阪空港と大阪市、京都市、神戸市、こことの間のいわゆるバス連絡をする会社でございます。これは阪急と一緒になってやっておる会社でございます。
  85. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、この大阪の会社ですね、自動車会社ですか、これは。いま、阪急と何とかと提携しているとか言いましたね。これが二百五十万ほどこれは赤字を出していますが、この関係はどんなような状態でこれは赤字になるのですかねえ。この資料では赤字が出ておりますね。一般的に普通の常識では、今日の自動車会社というのはよほどのずさんな経営でもやらなければ赤字になることはないので、これは赤字が出ておりますが、どういうわけですか。
  86. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 赤字の原因につきましては、次に調べて御報告いたします。
  87. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 調べて次回にひとつ詳細に…。  それから、いま、ホテルのことは、やっていますことを知っていますが、このホテルに三億二千万、ラウンドナンバーを読み上げません、これは出資しておりまして、今日、三千七百万赤字出ているのですね。この関係は、一体、航空局で、どう監督官庁として把握していますか。
  88. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 日航ホテルは、これは御承知のように、日本航空の乗客あるいは乗務員、旅客のサービスのためにつくったものでございますが、これは銀座と川崎とにございまして、銀座のほうは非常に成績がよくて黒字をあげておるのでございますが、川崎のほうの日航ホテルの経営が、旅客が少なくてこのような赤字を出しているわけでございます。
  89. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 先ほど答えられた増資ですね、四十一年十二月増資したというこの日本空港動力株式会社の増資です。ここで約五千万円ですね、近々増資をしたわけですね。そうしてなおまた三月三十一日の決算で千二百四十万ほど赤字が出ておりますが、これはどういうような状態なんですか。
  90. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 日本空港動力は大阪空港におきます地上係留中の航空機の必要とします電力、それからスタート用の圧縮空気、機内の冷暖房器の供給等現行の車両による供給にかえまして地下の埋設施設により供給を行なう会社であります。それでこの赤字の原因につきましては、日航との使用料その他の関係あるいは創設費の償却等の関係かと思いますが、これも調査して次回にひとつ御報告させていただきたいと思います。
  91. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも航空局長はっきり把握していないようですから、あと報告もけっこうですが、大阪だけではないですよ、株式会社は。羽田でもやっているのじゃないですか、この点はどうなんですか。
  92. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは大阪だけのそういう圧縮空気、冷暖房器の供給会社であります。
  93. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 わかりました。  次に、大阪ハイドラント株式会社、これが日航が千百万円持っておりますね。これまた妙なのは、その倍以上の二千万のこれは赤字を出してありますが、これはどういうことですかね。
  94. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 大阪ハイドラントといいますのは、ハイドラント方式、地下に埋設して、給油骨を地下に埋設しまして、飛行機のところへ航空燃料を供給するというハイドラント会社でございまして、これは日航と全日空と、それからここにございます南貞男という人の経営しておる会社との共同出資会社としてつくりましたもので、これがハイドラントを設置いたしましたが、まだ正式に業務の開始に至っておりませんので、その創設費の関係で赤字を計上しておるという状況でございます。
  95. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはまだ始まっていない、操業していないのですか。
  96. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) まだ料金がはっきりきまらないものですから金を領収していないわけです。
  97. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そういういいかげんなものですか。料金をきめないで政府の出資を受けて、又出資をするという、そういういいかげんなことでいいのですかね。
  98. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) いいかげんではないのでございますが、関係会社−日航、全日空、それからハイドラント会社との間で料金のまだ完全な了解ができていないので料金の徴収がまだ実施されていないわけでございます。
  99. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あとでその関係のものは議論しますが、それは一応あれですが、このメキシコとの関係はオリンピックの関係ですかな。
  100. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 特にオリンピックとの関係ではございませんが、まあオリンピックのこともございまして、日本航空としてはごく近い将来にメキシコ線を開設するという計画を立て、政府もその方向で、航空協定を締結すべくいま準備を進めております。そのために、日航は現地に支店をつくるわけでございます。ただ、あそこの税制の関係で、その本社の収益全部が一応税制の対象になるというような関係にございますので、現地法人をつくったわけでございます。実質上は日航支店でございます。
  101. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あと、国際航業というのは、これはどういう仕事をしているんですか。
  102. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは大日本航空——日本航空のまあ前身と申すとおかしいのでございますが、戦前の大日本航空のときからの関係でございまして、国際航業というのは、大日本航空の格納庫をつくりましたり所有いたしまして、これを大日本航空に貸しておったわけでございます。それで、その関係が戦後も続きまして、国際航業が格納庫を所有いたしましてこれを日本航空に貸借しているという、そういう会社でございます。
  103. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうすると、この国際倉庫というのは、これは何か倉庫会社でもやっているんですかな。
  104. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは、御質問のございました国際航業の子会社でございまして……。
  105. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 孫会社だな、日本航空から見れば。又出資の又出資というやつだ。
  106. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 保税上屋を持っておりまして、日航貨物の保管と、それから通関業務を行なっている会社でございます。
  107. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 東洋端子というのは、これはどういう仕事していますか。
  108. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 東洋端子は、主として圧着端子——私もよくわからないんですが、圧着端子の製造販売を行なっている会社でございまして、前に日本航空が日本航空整備会社というのを別会社で持って、日航の航空機の整備のみならず、ほかの航空会社の整備事業もやっておりまして、そのときに、こういう圧着端子というものが航空機整備事業と関係があるということで、日航整備が出資いたしておりました。ところが、日航整備を日本航空が合併いたしましたものですから、そのままその株式を日航が引き継いだというものでございます。これは日航の業務とあまり関係がないということで、この株は漸次整理していくという方向でいま指導いたしております。
  109. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから、パレスホテルと東京国際ホテルですね、これにそれぞれ出資していますね。日航ホテルがいま銀座と川崎にある。それで、さらにまたこのパレスホテルと東京国際ホテルに出資をしている。その関係はどういう関係なんですか。
  110. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) パレス、国際だけでなくて、その次のホテルニュージャパン、それから大成観光というのはこれはホテルオータニでございますが、これらの四つの有力ホテル会社に出資いたしまして、日航が海外におきます日航の旅客のためにホテルのリザーべーションをとるのに便利なようにということで、日航業務のためにこれらに出資をしておるわけでございます。これは、いま、海外から旅客を誘致いたしますには、ホテルをとるということが非常に日本ではむずかしいのでございまして、そういう意味からも、ホテル会社の株を持っておりまして日航の業務に役立たせようということでございます。先ほどの日航ホテルとの関係でございますが、日航ホテルは、ごらんになりましてもわかりますように、あまり上等なホテルではないのでございまして、やはり一流のお客さんはこういう一流ホテルにリザーべーションをとると、そういう関係になっております。
  111. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それで出資をしたというのですね。そこで、このホテルのことでもうちょっと聞いておきますが、パレスは一億九千三百万の黒字を出しておる、決算で。それから東京国際ホテルは一億五千万黒字を出していますな、あなた方の資料で。さて問題のニュージャパンですが、日航のホテルは一流じゃないと。まあニュージャパンが一流であるか、二流であるか、三流であるか、私は知りませんが、大体一流じゃないんですね、これは。これが約四億に近い赤字を出していますがね、こうしたことの関連性は、これはどうなんですか。
  112. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは、ホテルニュージャパンはホテルニュージャパンとしてのいろんな経緯から赤字が出ているのだと思いますが、そのホテルの収支決算のいかんとかかわらず、日本航空としては、やはりホテルニュージャパンは一流のホテルでございますので、ここの発言権をとりたいということで若干の出資をしておるわけでございまして、二十万の出資をしているという状態でございます。まあ、ホテルニュージャパンの欠損により、日航の株が、非常に出資が損をするとかというほどの額ではないかと思います。
  113. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あと、これは聞いていきますと三十四ありますからたいへんな時間がかかるんですがね。日本館という株式会社がございますね。この関係にもかなりの出資をしていますが、赤字を出しているんですが、この日本館というのはどんなことをやっているんですか。
  114. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはドイツのデュッセルドルフにおきまして、ホテル、食堂、クブラ等の業務を、いわゆる日本の宣伝をかねましてやっているわけでございまして、日航といたしましても、業務上、協力態度を得るために出資しているものでございます。
  115. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これはドイツですか。そう書いてないですからね。次のパリの日本館というのははっきり書いていますがね。ところが、パリとドイツでどう違うのか知らぬが、パリのほうは逆に千四百六十万円ももうかっているんですが、これはどういう経営の状態なんですか。
  116. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 申しわけございませんが、パリ日本館の経営内容まで承知いたしておりません。
  117. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それも調べてください。ドイツのほうが赤字が出ているわけですからね。
  118. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  119. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記をつけて。
  120. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 もうちょっと事務的なことを質問していきますが、この三十四社、これは南西航空は別ですが、それを除きますと三十三社、利益をあげて利益配当しています会社が十三社、赤字を出して無配の会社が二十社、この資料で見ますとね。そこで、利益配当を受けた総金額は一体日航でどのくらいになっているのか、ここで明らかにしてもらいたい。
  121. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 十六億四千六百万円の出資に対しまして約二%、三千万円程度と思いますが、いま計算いたしまして、それから後ほど資料で御提出いたしたいと思います。
  122. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これは、これからのいろいろな問題とからめて大事なことですから、思います、とか何かではいけませんよ。私は、かなりこまかな数字で——何を意図しているか、あなた方、察する点があると思う。ですから、私のほうも的確な数字を言っているわけですから、あなた方も、思いますとか何かじゃいかんのですから、十分調査をして間違いのない答えをここでしてもらうことを私は要求しておきますわ。
  123. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それならば次回に資料で提出させていただきたいと思います。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから、この三十四社、これは今度南西航空を含めてでございますがね。日本航空法という法律がありましてね。おそらく政府並びにあなた方は、その第十二条の二を適用して、会社の事業計画報告によって運輸省はこれを認めたということをおそらく言うと思うのですよ、これをね。そこでね、この南西航空については、これは近々発足したわけじゃない。かなり事前に運輸省といろいろな折衝をしておったことは間違いない。間違いないね。ですから、一体この事業計画は、昭和四十二年度に出てきて認可したというものじゃないと私は思いますよ。これは、いつ出ましたかね。  それから、私だけこんなに時間とっておったのではいけませんからね、どうせこの委員会で終わりませんから、あなた方、資料が十分出てこないわけですから、ずらっと言いますから、このナンバーワンから三十四社に至る事業計画を具体的に、いつ出したか、いつ認可したかということをつけ加えて私は資料を要求いたします。
  125. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 委員長から航空局長にお尋ねいたしますが、資料の提出は、提出していただけますか。
  126. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま御要求の一から三十四までに対する会社の認可の時期につきましては、資料を作成いたしまして提出いたします。
  127. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 さて、今度は、局長ね、あなた方が認可したことになっていますな、法律の十二条ですね。その場合の会計検査を、会社ですから監査ということになるでしょうが、これはどういうことでやるのですか。
  128. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは、日本航空のほうの監査でございますから……。
  129. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 又会社から孫会社までいま一つありますね。そういうものの経理の監査は、どこでどういう形でやるのかですね。
  130. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 子会社、孫会社の監査は航空局では実施しておりませんで、日本航空がその事業計画を出しますときに、日本航空の事業計画によりまして、この子会社の状態を日本航空から聴取するということでございます。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 日本航空から事情を聴取するということですね。そこで、南西航空はいま始まったばっかりですからね。三十三社に対して、どういう経理の事情で、監査の結果がどうであったか、これは報告を一緒に資料で私は提示を求めておきます。  それからもう一つは、認めるときは事業計画書を出させて認めるけれども、つまり今度は、そうしたものの監査については、日本航空を通して報告を受ける、こういういま答えですが、それだけで一体航空局の国民に対する責任が果たされるものか、もし果たされるとするならば、法律的な根拠はどこにあるかということをひとつ私に教えていただきたい。
  132. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは法律的な御回答を、おしかりを受けるかもしれませんが、法律上、運輸大臣は、日航法十七条で日本航空を監査し、経理に関する報告を徴し、または事業場に立ち入り、必要な帳簿、物件を検査することができるということで、日本航空には、立ち入り検査あるいは監査ができるわけでございますが、日本航空がさらに出資している会社につきましては、そういう監査の権限が運輸省にはないわけでございます。それでそれらの状態は、日本航空を通じて聴取しているというのが実情でございます。
  133. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこまでは大体あなた方も答えられることぐらいは私はわかっているのですよ。わかっていますが、そうしますと、日本航空株式会社法の十二条の二をどう理解していますか。ここには、「事業計画及び資金計画の実施並びに収支予算の執行について、監督上必要な指示をする」とこうなっていますからね。指示をするということと、聞くだけだというのとは、およそ違いますかられ。具体的に運輸省としては、十二条の二をどう適用して、日本航空に指示をしたか、その意味は、もう少し、ぼくは意見として申し上げますけれども、この出た資料の中でも、きわめてずさんな経理内容の会社が幾つかある。ですからこういう膨大な赤字を出しているのですからね。    〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕  これはただ単に何億何千万赤字が出ましたという報告だけじゃないわけでしょう。少なくとも百六十億という膨大な国民の税金を支出している会社なんです、日本航空というのは。だからこそこの法律の十二条の二に、こういう具体的に指導する、指示をする、こういうことを規定しているのですよ。この関係はいままでの答弁ではまことに薄らいでいる。これは具体的にどういう指示をしたか、もうもろもろの膨大もない赤字会社をかかえて……。
  134. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 十二条の二の2項につきましては、日航本来の事業計画、資金計画、これは本来のと申しますと語弊がございますが、たとえば727を何機買うとか、DC8を何機発注するとか、そういう事業計画につきましては、そういう監督上必要な指示をしているという運用の実情でありまして、先生の御質問の子会社、孫会社に対する出資状態、またその子会社、孫会社の経理状態については現在までこの十二条の二の2項によって行政指示をしたということはございません。
  135. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いままでにそういう指示をしたことがないということですから、必要を認めなかったということですか。
  136. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 必要を認めなかったということではございませんで……。
  137. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこまでの権限がないということですか。
  138. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) いや、いままでそういう指示をしたことはございませんが、これは吉田先生から御注意がございましてから、日航に対しましては日本航空の本来の業務と関係のない株は整理していくようにという指示をいたしました。
  139. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それは、私がこの問題を国会で取り上げてからでしょう。
  140. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 取り上げてからいたしました。
  141. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それ以外にないね。  そこで、私はこの会計検査院法という法律をここに拝借して持ってきているのですが、これを一体どう理解しているかというのです。冒頭に、日本航空という株式会社は特殊法人ですねというだめ押しを私はいたしましたね。特殊法人ですね。会計検査院のこの法律の、私はこれはあなたに言うことは、会計検査院の次長と打ち合わせしてきて、その見解をただして、同時に冒頭申し上げておりますが、行政管理庁の局長とも打ち合わせをしてきて、これからあなた方にものを言うわけですからね、ここのところですよ。会計検査院のこの法律によりますれば、任意的に検査をする事項がございます。二十三条の三号、四号特に五号に明記されています。三号は、「国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計」、それから第四は、「国が資本金の一部を出資しているものの会計」日本航空は一部じゃありませんね、六十数パーセント出資をしていますね、国が。いいですか、第五、「国又は公社が資本金を出資したものが更に出資しているものの会計」、どうですかこれは。又貸しというのは、又出資というのはどうですか、日本航空が国から百六十億の出資を受けて、さらにその会社が出資しているものというのは、いまのあなた方が出された三十数社ということになるじゃないですか。このことについては会計検査院法で明かに会計検査することになっていますよ。この関係はどうですか。
  142. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それは、会計検査院がそういう国の出資会社の出資しているところを検査するという規定かと思います。
  143. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 かと思いますかと言ったって、そういうことではいけませんよ。それを少なくても、たとえば大蔵省の関係であれば大蔵大臣に指示を求めるとか、監督をゆだねるというように、同じようにこれを移しかえしたものが日本航空法の十二条の二なんだ。それをやっていない。やっていないから、私は予算委員会で、そういうことをやっていないから、日本航空が国民の税金百六十億も融資をしておきながら、二十数億についてこういう子会社、孫会社に融資をしておることはトンネル会社じゃないか、こう言った意味はここにある。どうですかこれは。やったことがありますか、ないでしょう。あなたの先ほどの答弁では聞くだけだ、報告を受ける。報告を受けるだけということになっていない、これは。会計検査院法あるいは日本航空法の十二条の二に明らかだ。この関係はどうあなた方は理解しますか。
  144. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 法律的には、非常にこういう子会社あるいは孫会社で経営の状態がおかしいというものがございましたら、運輸省としては日本航空はもちろん、そういう子会社の経理状態あるいは業務状態も直接調査する、すべきであると、このように考えます。
  145. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ちょっとその前に、日本航空はもとより筆頭株をもって出資していますから、やるべきでありますが、少くともあなたの答弁のように、今度は逆に戻ってみて、報告を受けた、報告を受けたらこういう状態でしょう。こういう状態のものについては運輸省としては当然この十二条の二を適用する、あわせて会計検査院法の二十二条、二十三条を適用して監査を公正に的確にして、初めて国民の税金を百六十億も日本航空が使っているという意義があるのじゃないですか。この関係はどうですか。国民の税金を百六十億も使い、あとは監査のほうはどうでもいいという、そういうでたらめなことになっていないのだ。
  146. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは日航に対します出資は、すべてをあげまして国際線の航空機の購入の頭金に使用しておるわけでございます。しかし、先生のおっしゃいますように、金にしるしはないわけでございますから、十七億の出資をしておれば、これについて子会社、孫会社の状態もよく調査すべきであると思います。
  147. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 局長ね、よく調査をすべきであるという表現の中には、日本航空自体が調査をすべきであるということも含まれるし、監督官庁としてあなた方がやはり調査をしなければならないということも含まれるし、その規定づけというものは明らかに出ているわけですよ、これは。だから私は、その国なりその政府なり、あるいは行政官庁の監督官たる航空局長以下何をやっているかということなんだ。いままでの出てきた答えの中では何をやっているか、こういうことになるのです。同時に、いまあなた頭金に、それは国から出た出資は使うのである、たとえば今年度予算二十六億ですか、国民の税金ただで日本航空にやるのは。それから財政投融資は四十八億でしょう、そうですな。
  148. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ことしは財投はないのです。
  149. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ことし財投かりにないとしても、出資だけが二十六億ですね。それは新しい飛行機を購入するための頭金だ、こう言っていますが、これだけの会社は、ぼくの事実とちょっと違いますが、ぼくの調べたのでは二十何億でございますが、あなたのほうはちゃんとプラスしたので十何億ですか、そんなに言うてみて全体で変わっていませんがね。こういう子会社、孫会社に又出資している相当額というものを、わずかいまあなたの答えられている利益を、配当だけで三千万、これも誤まりだ、はっきりしていない。そのことでこれだけの会社の運用というものはできますか。二十六億、いままでのトータルが百六十億は確かに航空機の頭金に運用したかもしれないけれども、それが循環的にこうしたものに運用されていったことは間違いないじゃないですか。あなた子供だましみたいなことを言って、われわれがはいそうですかと言えますか。言えますかね、ただ単に五億や三億じゃないのだから、百六十億という金は莫大な金ですよ。これを今度、一面、私企業である全日空に置きかえてください。もし全日空が、百六十億ほどでもない、その半分でけっこうだ、かりに八十億でもこんなように国から出資をされていったとするならば、ことしの十七億なんという赤字はでっこないじゃないですか。それが飛行機のやはり購入の頭金に使われたとしても、経営全体に循環されていく、こんなのは経営の常識じゃないですか、どうですか。
  150. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この会計検査院法の二十二条、二十三条の解釈につきましては、吉田先生が会計検査院とお打ち合わせになったというので、先生のおっしゃるとおりだと思いますが、ちょっといま会計検査院法を所持しておりませんが、それは会計検査院が、そういう国が出資した場合、会社はもちろん、その出資会社がさらに出資した会社の経理を監査できる、そういう規定かと思います。それで運輸省が法律的に、そういう運輸省が、出資した会社がさらに出資している会社に、直接日航法十七条のような報告検査ができるかどうか。この点につきましての運輸省の解釈につきましては次回に述べさしていただきたいと思います。それから政府が日本航空に対しましては、確かに現在まで百三十億、二十六億出まして百五十六億の出資をいたしておりますが、この出資はいま申し上げましたように、日本航空の海外にサービスする機材の購入に全額を出資するということで、出資するといいますか、それに出すということで運輸省の許可をとっているわけでございます。それでもちろんそれが子を生んだり何かいたしまして、日航の経理全体としての金からこういう出資金を出しているわけでございますが、このうち、決算上の利益を計上いたしておりませんでも、日本航空の業務に非常に貢献しているというような場合は、これは決算上の問題ではなしに、日本航空全体として考えたときは、それは非常なプラスになっているんではないか、このように考えられます。  それから国策上、政府として、日航にこういう会社に出資をせよ、こういう勧告をしたことが過去にもあるわけでございます。これは欠損会社になっておりますが、全日本空輸、日本国内航空につきましては、日航との業務提携の強化という意味から、そのときどきにおきまして政府が日本航空に対して出資を勧奨いたしているわけでございまして、一つ一つの個々のケースによりまして、かりに出資会社が黒字を出しておりましても、さらに出資後の状態によりまして、現在の時点において検討して、この出資はやめさせるべきだというような会社もございましょうし、赤字を出しておりましても、これは国策上、あるいは日航の業務遂行上、かりにこの出資会社が赤字であっても、日航全体としては非常なプラスになる会社だというような場合は、そういうものの出資というものを継続し、あるいはさらに増資をさせる必要のあるものもあるかと思います。それで、これらは運輸大臣が、それぞれの出資の時期におきましては詳細に調査をいたしまして、これは日航の業務遂行上あるいは国策上必要だということで認可をいたしておるわけでございますが、その後の情勢の変化によりまして、これを修正すべきものがあるいは多々あったかと思います。それを実際に行なっていなかったということは、これは私どもの怠慢でございます。先生の御注意を受けまして、さっそくいまこの全出資会社につきまして再検討をやっているというのが実情でございます。
  151. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも澤局長は、ぼくが聞いていることをだいぶ飛躍しちゃって、出資をやめたらどうか、あるいは赤字を出しておってもさらに必要のあるものは出資したらいいんじゃないかと、なおかつこの問題は、国会で私が提起してから、全子会社あるいは孫会社については再検討している段階だと、こう言いましたが、私はそこまではまだ発展していないのですよ。つまり政府の監督権というものと、それから経理上の監査、会計の検査ですね、これは特殊法人でありますから検査ですよ。これは、ただ単に親会社である日本航空だけにとどまるものでないというのが会計検査院の規則にあるんですよ。二十二条と三条にですね。そしてその前段に、あなた方はただ単にこの事業計画書によってこのものを認めるということだけじゃないんだ、そのあとにちゃんと2項のほうでその会計の監査、指導監督、指示をするようにちゃんと法律ができている。だから、その関係をどう運用するのかということです。いままで運用されていないでしょう。だからあなた方、いまそこで私どもの怠慢だと、遺憾だと言った答えがそこから出てきた、やっていないから出てきた。今後どうしてやるんですか、それは。
  152. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先生が会計検査院法の御解釈をお示しいただきましたが、これは私どもといたしましてももう一度会計検査院法の二十二条、二十三条をよく勉強させていただきまして、会計検査院は確かに出資会社、あるいはその出資会社がさらに出資している子会社、孫会社を検査できる権限があると思いますが、運輸大臣にそういう法律上の権限があるかどうか、もう一度われわれに検討させていただきたいと思います。  それで十二条の二の2項が、会計検査院法を受けて、運輸大臣にさらに子会社、孫会社までの監査権限があるかどうかということも、もう一度われわれとして調査いたしたいと思います。もちろんこれは法律上のことでございまして、先生のおっしゃるように、日航という特殊会社が出資している子会社、孫会社の状態というものは、航空局としてはよく把握しておかなければならないということは当然のことでございまして、先生の国会で御注意がございましてから、ただいま三十四社全部につきまして事実上洗い直しているという状態でございます。
  153. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 法律の解釈と法律の運用論をいま言いましたけれども、いま会計検査院は小峰院長がやめまして空席でしょう。ですから私、やむを得ず次長と会っていろいろ話をしたんです。したがって、この法律のたてまえは、これは法語局でさらにたてまえ論というものをやらなければならないのかもしれませんが、この法律の解釈というのは、検査院法では、あなたも先ほど答えられたように、孫会社であろうと曽孫会社であろうと政府が一部なんだ、ところが日航の場合は一部じゃないですからね。過半数以上国が持っているわけです、国民の税金で出すのですから。ですから、その出資額の金額じゃなくて、一部ですよ、国が一部でも、先ほど言ったように補助金であるとか何とか出した場合でも、孫、曽孫会社でもやった場合は、二十二条と二十三条は適用されてやれるということなんです。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕 ただ特殊法人ですから、特殊法人というのは日航だけじゃない、いわゆる最近問題になっています公社、公団ですよ。こういう関係につきましても主務大臣に対する−−それぞれ何もなくてできたわけじゃないですから、法律がありまして、それによってできたわけでしょう。ですから、この法律の中には主務大臣がちゃんと監督あるいは指示をしたり、会計についてもこれは明らかになっています。日本航空株式会社法という法律にも明らかになっているように、すべてそうなっているというのです。ですから、そこでそういうものをまず第一にチェックして、そうしてこの中に幾つかは必要ですよ。絶対に検査の必要なものがあるんです、この三十三の会社の中には。そういう必要なものについては主務大臣のほうから会計検査院のほうに言われて、検査院は孫会社であろうと曽孫会社であろうと、国民の立場に立って公正な会計の検査をする、こういう移り変わりになっているのです。これはぼくよりも向こうのほうが専門家ですから、いろいろ聞いたのです。そういう答えです。それから行管の局長ともお会いしていろいろ話した。行管としては、特殊な事情によって子会社一社くらい、あるいは二社くらい持つ場合もあるかもしらぬけれども、こんなにべらぼうに三十三社とか四社など持つのは、これはわれわれも初めて知ったことであるけれども、驚きましたというのが局長さんの話で、本来、特殊会社というものはそうあるべきものじゃないというふうな見解を披瀝しています。どこの会社ですかということですから、私はその会社の名前は言わなかった、たとえばこういう例があるがどうですかという話をしたところが、それは行管として今後検討してみなきゃならぬ問題の一つであろうという個人的な見解を述べられておりましたけれども、それくらいの問題があるものだと私は今日確信を深めているんですが、あなた方はどうなんですか、これは。
  154. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この日航の出資会社の内容を分析いたしますと、先ほど申し上げましたように、たとえば日航海事あるいは航空食品のように日航自身が実施すべきもの、それから日航の業務をよりよくするために出資しているもの、たとえばホテルに対する出資のような関係あるいはターミナルビル、日本航空ビルに対する出資のような関係、それから国策上あるいは航空政策上政府が出資をむしろ勧奨したもの、このように三つの体系にあたるかと思います。それでそれぞれ認可の際にそれらのカテゴリーに当てはめまして、妥当性があるので認可していったというのが実情でございます。ただ出資後の情勢の変化によりまして、出資のときに認可した事項に非常な事情の変更があって、現在では出資を必要としないというようなものにつきましては、これを日航自身がその株を処理すべきかと思います。処理しないときには政府のほうで処理するように指示すべきであると思います。それからこの株式のうちで日本航空整備という会社が持っておりましたものを、これは運輸省の許可なく、日航に合併になったためにそのまま引き継いできた株がございます。そのうちの非常に多くの部分が日航の業務と関係がなくなっております。この分につきましては、まずこれは早急に処理せいという指示をいたしたわけでございます。ただ、そういう株は市場性がございませんし、また買い取り手も少ないというので、現在処置が困難でございます。この処理を急げと日航に言っている状態でございます。
  155. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 航空局長、どうあんたがおっしゃっても、理屈に合わないものはたくさんあるのです、あえてぼくは言いませんが。どだい特殊法人が——おそらくこの三十四社というのは一般法人で登記しているのでしょう、登記は。特殊法人が一般法人をめちゃくちゃに三十数社など持つというのは論外と言っているのですよ。ぼくが言っているのじゃないですよ、行管の局長ですよ、ぼくが見解ただしたらそうなんです。ですから、たとえば東北北海道開発公庫というのがございますが、あそこに株式会社というのがあって、新聞紙上でも問題になったでしょう。たとえばあそこは特殊法人ですがね、せいぜい一つくらい、その場合でもちゃんと主務大臣から連絡をとって会計検査院がちゃんと検査していますよ。検査した証拠を見てきましたよ、私は検査院に行って。ところが、同じ特殊法人でありながら日本航空の場合には三十数社だ、あなたがどうおっしゃっても、これは出てきたものはそのまま認めるというやり方でできておって、歴代の主務大臣たる運輸大臣は何らそういう連繋などとっていなかったと思うのですよ。これはもう間違いないと私は思うので、同時にとやかくあまり言いたくないのですが、運用は明らかに日航の古手幹部が次々とところてん式に天下り式に新しい会社をつくって社長に、重役になっているじゃないのですか。ABCランクをつけますと、これはわが党の加瀬完さんが議運でいろいろ特殊法人の重役が幾らどこで現にもらっておってダブルプレーでやったというようなことで、たくさん発表しましたが、私は持っていますよ、日航については。しかし、そのことは言いませんが、そのことだけだって明らかに日航のいわゆる会社の政策上、天下り式にたとえば特殊法人をつくって、そこに官僚がおどり込んで、幹部を送り込んでいるのと同じようなことをやっているのじゃないですか、これはあなたそうでないとは言えないでしょう。まずそういう運用面だって問題があるんですよ。それからこの会社の中に幾つか——経理内容を見たってそうだし、それから日航に国の出資をいたすという大きな前提というのは、国際競争力基盤を強化させるということなんでしょう。これはもう歴代の運輸大臣がこう答えられてきている。やっぱりこの問題を私が取り上げてからでも、大橋さんがそういうことを答えられてきている。しからばこの三十四の中で、これをやらなければ日本航空が国際競争力基盤強化にならないというものは一体何がありますか、これは。ホテルだってみずからやっているホテルがさっき言ったように四億の赤字を出している。片や先ほどあなたは発言力とか何とか言っていたが、この発言力というのはどういうことか私はよくわかりませんが、業務提携にすれば幾らでもホテルはできるんじゃないですか、ニューオータニであろうとニュージャパンであろうと、ニュージャパンは赤字を出していますが、これまた四億に近い赤字を出しておる。しかし事実問題として、その他のたとえば大成観光というのは観光会社だと思いましたらホテルニューオータニという話だから、これはホテルだといま認識しましたが、ここは黒字ですな、三億六千万の黒字を出しておる。幾らでもあるじゃないですか、ホテル一つをとってみたって。  しかし、私は国際的な航空会社の趨勢を見ますと、ホテルをどこの航空会社も持つようになっていますよ、ひとつの会社の場合のサービス面もあって持つようになっていますが、ホテル、それは言いませんが、自動車会社を持って、こんなものは民間の自動車会社と提携してできないことはない。至るところで送迎を、前には無料でやっていた。その後、あんた方が認めていま料金取っていますがね。そのことの善悪を私は言いませんよ。すべて既存の自動車会社と提携してやっているにもかかわらず、大阪のこれだけは、直営に近い子会社をつくってやっているんですね。そこでこれだけの赤字を出していっている。その他たくさんあるでしょう、これは。洗たく会社など、ざらにあるんじゃないですか、クリーニング会社なんというのはね。日航でやらなければ国際競争力の基盤強化にならないなどという理屈はどこに立つのかね。これ、ひとつ政務次官、教えてください。いまあんた、ちょっと席をはずした間に、かなりのことをいろいろやっておりましたがね。このことだけを聞いておきますわ。この会社、すべて日航がやらなければ国際競争力基盤強化にならないという理論的な根拠があるなら、私に教えていただきたいと思います。
  156. 金丸信

    政府委員金丸信君) 理論的な根拠があるとかないとかいう問題はさておきまして、いま吉田先生のお話を、中断はいたしたんですが、いろいろ承って、日本航空の一番の目的は航空を、全き航空をやろうということであろうと思うわけでありまして、そういう意味から、この中にどうしても必要なものもあろうと思います。また、検討してみますと、必要でないというものもあるかと思うわけでありますが、そういう面につきまして、航空局長からも前から私も話を承っておったんですが、十分検討いたしまして、いわゆる国際競争力の基盤ということを——これをつくらなければ基盤ができるできないということじゃないと思いますし、十分ひとつ検討いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと、こう考えております。
  157. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 検討して御期待に沿うようにというお話ですからね。また十分これは検討してもらわなきゃならぬし、まだまだ資料出てきまして、これはきょうで終わるわけじゃないですからね。十分まじめにですよ、検討してみてもらいたい。法律的な根拠は、あんた、いなかったけれどもね、日本航空株式会社法の十二条の二をどう一体見るか、会計検査院は会計検査院法二十二条、二十三条をどう一体踏まえたかということを話していたわけですからね。そういうことも総合的に含めて、この会社は一体どういうものであるかということを再検討してもらいたいと私はお願いしておるわけです。  その中でね、かなりぼくは譲ってですよ、譲って、政務次官、ホテルなどというものはね、国際的な航空会社の趨勢として、ある程度は認めたとしてもね、たとえば長期信用銀行などにも金を出していますな。それから新日本証券などというのにも金を出している。私は、あの一千億の無利子無担保の山一証券などというやつは知っていますけれども、新日本証券などというのはあまり聞いたこともないものなんですね。日本航空がこういう証券会社に一体てこ入れしなければ、国際競争力基盤が何とかかんとかというものじゃないと思うのです。そういうことをさせないために、ことしだって、二十六億という金を、国民の税金をただでやるのですからね。そのただでやったものを、今度は営業全体のつまり運転資金に活用して、こんなところに本来あなた、政府の国策会社がですよ、日本航空がこんな、あまり国民が名前もわからぬような新日本証券株式会社などというものにてこ入れをするようなことじゃ、私は国際競争力基盤を強めていくという大義名分を踏まえるならば、余裕がないと思うのです。私は金じゃなくて、時間的な余裕がないと思うのですよ。しかも、あなた、今日七十何億というような純利益をあげているような会社がですよ、どうなんですかね、この点は。だから、この点はただ国会で問題にされたというだけで、形式的なやり方でなくて、抜本的にこの日本航空の子会社、孫会社——子会社がまた子会社をつくっていくという、こういうやり方は、私企業じゃないですから、抜本的にこれはメスを入れて整理を私はしていただきたいことを強く要求をきょうして、きょうはこれで終わります。
  158. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 本件の調査については、本日はこの程度といたします。     —————————————
  159. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 自動車行政に関する件について調査を行ないます。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  160. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) 速記をつけて。
  161. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私は前回に引き続きまして、自動車損害賠償責任保障制度につきましてお尋ねいたします。  前回は保険収入収支の現状について内容を明らかにしていただきたいとお願いいたしたのでございますが、作業中であるから資料のでき次第に説明をするというお答えであったのであります。私はこの政府管掌の再保険の収支内容等につきましては、わりあいに容易に知ることができるのでありまするが、保険会社関係等につきまして、大蔵当局はとかくこの説明が徹底せられないうらみがあるのをまことに遺憾に存じます。三十九年の二月の保険料改定の際も、本委員会におきまして、保険収支の説明に、いろいろと大蔵当局は、保険金の支払いが五年に及んで未払い既払いが雑然としておるとか、あるいはまた、保険契約の日時のズレがあるとか、こういうことを口実に、核心に触れる数字の説明が行なわれなかったのであります。もっとも、この三十九年二月の値上げは、一方、御案内のように、運輸省が、保険収支の赤字に直面しておるという関係で政令を強行せられて、結局は、説明などもあとの祭りになったかっこうで、まことに遺憾に存じたわけでありますし、また、納付者等も、一般も泣き寝入りになったような形になって実施せられたというのが実情であります。賠償保険の関係は、再保険の割合が純保険料の六割ということになっておりますから、残り四割の内容が、同様の方式で年次別に概数が示されないはずはない道理であると思います。われわれは、年次別の概数をつかむ場合に、契約日時のズレとか、あるいはまた、未払いが五年にわたるなどの、個々の場合を云々するものではございません。年次別の出入りの数字を見れば、大数観察によって、大体この事業の概要は十分に理解できると、かように考えておるわけであります。  なお、大蔵当局は、先般の交通部会において、保険金額を、死亡の場合三百万円とすれば、保険料も自然引き上げねばなるまい、その上げ率は約四割程度であると述べられたと記憶いたしております。すでに四割程度と専門の大蔵省がお見込みになっておるというまでに進んでおるならば、この保険収支の概要を御説明になるのに、長い日時を要することはないと思います。国民の納得のいくような御説明をお願いしたいと思います。
  162. 上林英男

    説明員(上林英男君) 保険金をかりに死亡、廃疾について三百万、それから傷害につきましては五十万ということで、かりに計算をしてみますると、これはだ正式な確定をした数字ではございませんけれども、大体おっしゃるように、四割程度上昇が見込まれるということでございます。それは、過去の、三十六年度の保険契約というものが、大体その後の保険成績がわかっておりますので、そういうものをもとにいたしまして、現在の事故状況あるいは保険金額の状況というようなことをかみ合わせまして試算をいたしますと、その程度になるということでございます。   〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
  163. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 死亡の場合三百万円、それから傷害の場合は五十万円、そういう据え置きということで、四割値上げをしなければならぬということは、私はおかしいと思う。概数からいっても、保険金支払いの総額からいけば、大体四割程度になるかと、ざっと見れば思います。思いますけれども、今回は運輸省、大蔵省——この前運輸大臣もここで明言せられたのでありますけれども、保険金額の引き上げというのは、死亡の場合に限る。一人当たり三百万円とするけれども、傷害の場合は据え置きとするという意向を明らかにせられている。これに基づいて保険料の値上げを検討中であるというお話であったわけです。これからいたしますというと、三百万円——なるほどいま現行が百五十万円ですから、三百万円ということになれば倍額になる、倍額に引き上げをするのだから、四割くらいよろしいじゃないかというような、しろうとだましのようなことでは、納得はいきませんよ。それであるならば、私は、私自身が独自の、推計とかいうような前提はありますけれども、さような点についてひとつ所見を述べて、そうして私の積算を御参考に申し上げたいと思います。  保険料の今回の改定ということになれば、これは結局、増加するものは、従来より違っているものは死亡給付がふえるということ、それからもう一つは、後遺障害について若干増支出があるであろうという、この二つじゃないか。この二つがわかれば、そうすれば今回の増支出がどれくらいになるかということがはっきりするのでありますから、この保険収支全体でこれがまかない得るならば値上げをしなくてもよろしい、どのくらい足らないということで足らないだけを補給するとかいうことであるならば、その額を上げればいいということになると思う。責任保険全体の数字を、いつも大蔵当局はわれわれにお示しにならない。これはもちろん、取り扱い保険会社には付加保険料の制度がありまして、別にちゃんと収支が行なわれる、そうして実費をまかなうというたてまえで、残りは、純保険の残余というものは、これは強制保険制度のたてまえから、これを再保険特別会計同様、積み立てをしておいて、そうして、これを次の改定あるいはまた事故の増加等に対処するというたてまえに私は理解している。そうであるならば、再保険が責任保険全体の六割ということから、再保険特別会計の収支を見て責任保険全体の概数を逆算することは、これはできる。しかも、それをもって保険会社各社の運営関係というものを把握することは、私はこれは当然だろうと思う。大蔵省はこの場合でも、私はあえて言うわけではありませんが、保険収支の見方には、三十九年二月の場合同様、やはりこの契約年度別、しかも、一件一件の数字を積算して、そうして概数を見ていくという方法をとっているのだろうと思います、まだ説明がありませんが。もちろん、責任当局といたしまして、これが悪いとかなんとかいうわけじゃない。しかしながら、年度別の収支の出入りというものは、われわれが判断する場合に、まことにしろうとわかりがしにくいことになってしまうのであります。今回は、その中の、収入は別として、支出のいわゆる保険給付というものは、死亡は一人三百万円ときまっている。何もほかに考えることはない。人間が出てくれば、それに対してかけていけばいいわけでしょう。だから非常に私は簡単だと思う。その簡単なことが、どうして、大蔵省は、当委員会に対しては、そういうものをいつもはっきり説明をしない、提出しないというようなことなのか、これはわれわれとしては非常に遺憾に思います。  そこで私は見方を変えて、会社の予算の組み方とか、こういう場合の方式に変えて一応これを試算してみたわけです。年度別の収支自体を過去の実績から求めて、この実績を一応踏まえて保険金の改定の後における保険収支の概算を推定してみたわけであります。あるいは、こういうのはしろうとがこしらえたのですから、決して私はそれをもってこれでなければならぬとか、これが正しいということを主張しません。しかしながら、ぜひひとつこれを一ぺん考えてみていただきたい。もちろん、この推算の前提としては条件がある。その前提条件というもの自体が、あなた方から見れば非常に問題になるかと思いまするが、まず第一は、再保険特別会計の数字のみによって計算してみた。六割が再保険になっている政府側と、それから今度は一方、保険会社各社がやる分、これはおそらくあなたのほういつも提出しないのは、私は、監督をやっておってわからぬのだと思う。しかしながら、再保険、すなわち、この政府管掌の分はもうちゃんとわかっておりますから、で、これによって全体の収支を計算してみればすぐわかる。私のこれから申し上げる数字は、運輸省の官房の統計から出ているこの数字と、それから本年度の運輸省の予算書に出ておる数字を踏まえて、これによって計算をしてみるというのが第一。それから第二は、車両増加の関係、これは最近御案内のように、非常にふえてきた。これによって保険料収入が非常に伸びておる。これが伸びれば、すぐ事故数がこれに正比例すれば同じことであるけれども、事故数は特に死亡の場合には落ちておるというような関係から、この保険料の収入の推算を車両増加のほうで一つ見たということ。それから保険支出は、事故発生状況の過年度分の推移によって見る。また、改定による保険給付の増加率は、死亡数の過去の推移によってやるということ。それから責任保険全体の収支は、再保険の六、それから会社関係の四の割合で逆算をしてみます。それは決して皆さん方のやる仕事では、大蔵当局のやる仕事ではないかもしれませんが、私はざっとこれでもって、ほんとうに今回の三百万円、死亡だけの改定によって、保険料を改定しなければならないかどうかというその点を、全体の収支の面から見るという意味でこういうことをやったわけであります。  これによりますというと、私の推算によれば、結論を先に申し上げるというと、保険収支残高を考慮に入れますというと、今回の保険金額改定を行なっても、保険料値上げは必要がないということになります。単に四十二年度にその必要がないばかりではなく、四十二年の八月から改定するということにして、四十三年、四十四年、四十五年七月まで三カ年間は値上げの必要がないという結果になるわけであります。これは申すまでもなく、御案内のように、四十一年七月に保険金の引き上げを行なっておる。なおかつこういう状況であるということ。言いかえれば、三十九年の二月の三倍引き上げというものがいかに大幅であったかということを数字が証明しておると思うのであります。もっとも、これは上がったがゆえに今回も引き上げをせぬでも済むということになるから、幸不幸を言うわけではありませんが、とにかく、そういうことに私は考えるわけであります。  では、私の見た数字を簡単に要点だけ申し上げます。これみんな言ったらたいへんです。車両数の増加は、四十一年が九百三十三万九千台となっておる。これを踏まえまして、対前年増車率を三十九年、四十年、四十一年とはじいて、その平均を見ますと、これが七%である。約百二十万五千台になります。それで、これによりますというと、この四十二年末、正確に言えば四十三年の七月といいますかね、八月からするとして、この数字をそう見ていきますと、その末には車両数が、四十二年が千五十四万四千台になるわけです。で、この台数がふえるということによって、従来の保険加入率、これは九〇%でしたか、九〇・九というようなことになっておりまするから、このままもう継続するものと見て、さらに保険料率はこれを据え置くということにして計算いたしますというと、ここが大事です、四十二年の再保険収入の見込みは、四百八十四億五千万円に見込みがなっております。これは予算書にある数字です。そうしますというと、これは純収入の全部をこれで逆算いたしますというと、八百九億五千万円になります。これがすなわち、責任保険の全体の収入総額ということになるわけであります。間違っておったらば、ひとつあとで直していただきたい。保険収入はそれでわかる。  今度は保険支出のほう。これは四十二年の政府管掌の再保険の見込みが四百億二千万円になっております。したがって、これの全体といたしますれば六百六十七億円になるわけです。これが結局、この責任保険全体の支出額、これには事故数は、これはむしろ減少する、減少しないまでも傷害は横ばいです。過去三年だけ見たのですから、そういうことになります。あまり古いのは、前を見ますと、台数がえらい違うので、話にならぬので、三年だけ見て、大体は減少するけれども、その減少はないものと見て計算をした数字に相なるわけであります。  それからもう一つは、問題の死亡数であります。これが今回の百五十万円から三百万円になりますから、つまり、この収入以外に百五十万円足らないことになる。従来の支出以外に百五十万円、一人当たり足らないことになる。したがって、死亡数を計算いたしますというと、四十一年の数字が一万三千九百四ということに相なっておりますね。で、これを対前年のいわゆる増加数を過去三年にわたって見ますというと、結局、その合計は千九十人年間ふえておるわけです。だから、これを千九十人を加えますというと、一万四千九百九十四人ということになる。何か一万六千をこえるんじゃないかということもありますが、あれは警察事故数であるか、あるいはまた、保険給付対象としての数字か、そこのところはよく、しろうとですからわかりません。わかりませんが、ここに出ておる数字をそのまま私は見たんですから、大体それでいいのじゃないかと思う。でこれが、この死亡一人当たり今回は三百万円になるのですから、百五十万円ふえるわけです。しかも、八月一日から運輸大臣が実行する意思である、こういうことであるから、その日からこれを上げるということで計算をして、すべての人に対して百五十万円をかけるというと、二百三十九億九千万円要ります。で、この死亡の増加支出以外の六百六十七億と二百三十九億九千万円を合わせますと、九百六億九千万円になる。そこで、先ほどの保険料収入を見ますというと、八百九億五十万円、結局、四十二年度には——これは八月、私はしかし、一年間やることにしてあるのですよ。だから年度末に、三月で打ち切れば半分ぐらいになると思いますが、七月まで続くことにしてありまするから——九十七億四千万円足らない、こういうことになります。こういう推算を四十三年にいたします。これはもう数字は申し上げませんが、四十三年に同様の方法をもってやりますというと、保険の支出が四十三年には九百六十九億九手万円になる。で今度は保険料収入が八百六十六億一千万円になる。そこで、その差が百三億八千万円ということになります。で、四十四年は、支出がこれで千三十六億二千万円、それから保険料収入が九百二十六億七千万円、これが差額が百九億五千万円足らないということに、私の推算ではなる。で、この三カ年間の合計は三百十億七千万円。だから、三百十億七千万円——三百万円に上げて据え置きということになれば、そういう結果になるという私の推算です。  ところが、一方、この保険料の収支残高を見ますというと、これには再保険が四十二年末——これは予算書にあります——三百四十九億ございます。これは再保険だけでありまするから、責任保険全体といたしましては五百八十一億六千万円あるわけです。この五百八十一億円を間にこれをくずしてやれば、前回の四十一年の七月にやりましたように、保険金額を改定し引き上げをいたしましても、まだ残ってくる。二百七十億残るわけであります。これは、私が、いまのような前提で、しろうとでわかる範囲で推算いたしたのでありまするから、大蔵省のお話のように、これはその支払いが未払いとあれに分かれるとか、あるいは、ずれておるとかといういろいろな問題があれば、これはこの数字とはがっちり合わない点もあるかと思いまするが、少なくとも大数観察の原則に従って、こういう数字は私は大差はない、こういうぐあいに踏んでおります。こういう数字をどうしてあなたのほうから説明ができないのか。私はこれが正しいとは言いません。しかし、そういう方法はできるのだから、できることをひとつ頭を使ってやっていただかぬと、いつも、何月何日にした保険料が三分の一しか払っていなくて、何年間かかっておる、だから今年度の支出はどうであるとか、そんなことばかり言って、こういう数字は一向御答弁がない。私はまことに遺憾と思うのです。こういう点をひとつあなたはどうお考えになるか。私は、四割なんてとんでもない。まだこれで二百七十億残っておる。諸君、残っておるのですよ。でありますから、一面、保険会社の付加保険料の支出を見ますというと、だいぶ赤字になっておる。それはベースアップがあるから赤字になるはずである。それをずっと押えている。もっとも、三十九年には変えましたね。そして、その数字がありまするから、たとえば三十九年には七億六千万円ほど赤字になる。その合計が三十九年までで二十六億ということになっておるようです。だから、これがどのくらいあるか。ここはあなたのほうに聞かないとわからないのだが、年々かりに七億じゃなくて、十億よけいに要ると見ても、四十二年の改定から三十億減してもまだ二百四十億残っておる。いわんや、この前数字を提出していただきたいと言った、金利問題が別にあるわけです。銀行とか会社——保険会社というのは、金利一番なにしているわけです。それが少なくとも二百三十億程度のものが何年間これはずっと来ておるか。この前の値上げからこちらに含まれているその金利というものが一体どうなっておるのか。言いかえれば、金利の、この保険給付を上げるというような場合に使う金であるならば、民間のほうもそれに対して金利は一応計算する。私は一割だとか八分だとか、そういうことは言いませんよ。それは一番安い金利で私はよろしいと思う。よろしいが、それを入れておいてやっていくということになれば、これは何ぼになるか、あとで御説明を願いたいが、これがプラスされるわけです。再保険のほうの関係は、これもわかりますね。それがプラスされる。そういうものはすべて給付改定に役立たせるというのが、強制保険のこの制度の私は精神であると思う。どうかひとつこの点を——私はそう見た。言いかえれば、保険料の値上げは絶対に必要なしという数字になるわけです。しかし、私のこれはどこか間違っておるということであれば、それはひとつ教えていただけばいい。とかく保険会社のほうにみないきますというと、私は今度ほんとうに思った。再保険の制度がここにあるからこそ、こういう保険関係というものが、これでわれわれでも、しろうとらしいようなことならこれはつかめる。これがわからなかったら一体どうなるのか。みな保険、損をした、今度は赤字だ赤字だと言われれば、ああそうかという形でこれはたいへんなことになる。この点が私は大蔵当局も、また運輸当局もこの点を考えて、十分に上げるのはよろしい、人間が価値が上がったのだから上げるのはよろしいから、この上げるというものに対しては、少なくとも収支その他はっきりして、そのかわりに、いまの付加保険料のうちの事業費とか、あるいは代理店費というようなものが足らないならば、あなたのほうで上げたらいいじゃないか。ベースアップがあるのに銀行屋だけはこれはじっとしておれと言っても、それはやれはせぬ。やっぱり上げなければならぬ。それは上げたらいいと思う。ただ、おのおのの会社でありますから、再保険のようにでなくて、人件費といってもいろいろござんす。たとえば頭取から副総裁、理事、こういうような方々の分割はどうしておるかというようなことを十分に大蔵省は考え、また、最近の合理化というようなことを十分にやっていただかなければ、これはそこでもってみんな消えてしまう。私はそういう感じがします。これについてのひとつ御感想、また、こういうことでなくて、おれのほうはこういうぐあいにできておる、このとおりやるんだという御説明があったら、それを承りたい。
  164. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  165. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  166. 上林英男

    説明員(上林英男君) 先ほど私が、かりに保険金を倍額に上げれば四割の増加になると申しましたのは、三十九年度契約に基づきまして、それと同じような事故が起こった場合においてはそうなるという試算があるということを申し上げたわけでございます。したがって、現実の料率をはじいてまいりますためには、今後の料率と申しますかをはじきますときには、金丸先生御指摘になりましたような過去の黒字の問題とか、あるいは事故率の低下傾向というような問題を勘案いたしまして、これを推定してまいらなければならないわけでございます。したがいまして、そういうものを加味した場合に、今後あるべき保険料率はどの程度になろうかという推算をやっておるわけでございます。しかも、それをいたしますときには、もちろん自動車算定会が一応これを推定をいたしまして認可申請を出してまいりまして、それをよく運輸省とも御相談をし、その内訳につきましては、自賠責の審議会でよく御審議をいただいて結論が出る、こういう手続になるわけでございまして、そう過程におきましては、あらゆる計数が審議をされ、それで合理的であるかどうかということが検討されるわけでございます。したがいまして、大蔵省だけでもってかってにいろいろな計数をはじくわけではないということでございます。  それからもう一点、いまの金丸先生のおっしゃいました御計算、私どももよくわかりませんから、あとで詳しい御資料をいただきまして検討させていただきたいと思いまするけれども、いま申しましたように、いろいろな今後の推測を含めまして、個々のデータに基づきまして推測を含めまして計算いたすわけでございます。  いま伺っております中で、ちょっと私としても疑問のありましたのは、たとえば過去の死亡者数の平均の率が七%であるということでございましたけれども、ある意味では、何と申しますか、その事故率といいますか、そういうようなものは自動車台数がふえていけば、率としては減ってまいりますけれども、人数としてはふえていくというような点もあるわけでございまして、そういうようないろいろな計数をはじいて積算をしてまいりまして、その積算の見込みにつきましては、先ほど申し上げましたように、よく運輸省とも御相談し、自賠責の審議会でも議論をしていただきまして、結論をいただくわけでございまして、そういう数字につきましては、いつでもはっきりとお答え申し上げるということができるということになるわけでございまするが、ただいまの段階では、いま申しましたように、正式な資料がまだ整っておりませんので、御希望に沿えない状況でございます。  なお、私どものいろいろやっております保険成績の表と、それから運輸省が自賠責特別会計でやっておられます表とは、計算の方法が違いますので、具体的な数字につきましては、両方ともお出ししてございますが、若干の相違はございますが、傾向としては大体似ているわけでございます。たとえて申しますと、運輸省の自賠責の特別会計で四十年度までの収支の状況が載っておりますが、三十六年度までは、収支としては赤字であったけれども、累積赤字を三十八年度で消して、三十九、四十には黒字になって、累計百八十四億の、特別会計では黒になっております。これは六割部分でございますから、これを全体に換算いたしますと、六分の十ということになりますが、三百七億程度の黒であろうかと思います。  で、私のほうでやっておりまする自動車賠償責任保険成績表をごらんいただきますと、これはこの前も御説明申し上げましたように、その年度に結ばれました契約が、ある一定の時点でどれだけ保険金が払われたかという、非常にもう確定した数字でもってここに載っているわけでございます。ただし、そういうやり方をいたしまするので、このやり方には、これは、四十一年三月三十一日現在でございますが、三月三十一日現在では、既契約分に期限が経過したものではあるけれども、まだ事故が起こったが請求がないというものは含まれておりません。したがって、この表によりますと、四十年度までに四百二十一億の黒が出ているということになっておりますけれども、それまでは事故が起こったけれども支払いの請求がない、いわゆるアンノウンクレームというものでございますが、それが大体いままでの経験から推定いたしますと、百二、三十億ございますので、大体運輸省がはじいておられる数字と似ているという感じがいたしております。これをもとにいたし——これが実績の確定数字でございますが、これはいま申し上げましたように、アンノウンクレームを引いてみたり、今後の事故率が低下した状況その他いろいろ考えまして、新しい保険料率をはじいてまいる、こういう作業を私どもはいたすわけでございます。  それから、先ほど社費の問題と滞留金金利の問題が御質問ございましたが、同様なことが言えるわけでございます。たとえて申しますと、運輸省がお出しになりました資料によりますと、利子収入額というのは累計で十八億ございます。特別会計の金は六割、保険会社に残ります金は四割でございますから、レートが全く同じでございますと、保険会社には十二億残ったということになるわけでございます。しかし、現実の話といたしまして、保険会社に残りました金は、保険会社の資産運用の一環として運用されております。したがって、これがどの程度に回ったかということは、なかなか推計がむずかしいわけでございますけれども、かりに私のほうからお出しいたしましたようなかっこうで計算をいたしてみますと、これもいろいろな推計の方法があるわけでございますが、ここに記載いたしております推計方法は、月ごとの収入保険料から支払い保険金を引きました、いわゆる保険会社の手元に残りました金の平均残を一年ごとに出しまして、それを合計いたします。したがって、その金額が五百五十六億ということになります。この五百五十六億というものが結局、一年分運用できたという計算になるわけでございます。で、そのうち、従来の経験等にかんがみまして、年度末の未経過保険料の合計額が長期に運用できるだろうという仮定を立て、それを一応長期の一般事業社債として運用すると仮定する、その他のものを普通預金、通知預金を含めました流動性のある預金にしておくということになりますと、二十八億程度ではなかったろうか、これは全くの推定でございます。で、先ほど申しました運輸省の特別会計から推算いたしますと、とにかく十二億でございますので、まあこの程度のところならば、そうでたらめではないのではなかろうかという感じがいたしております。それに対しまして社費は、先ほど金丸議員から御質問ございましたように、四十年度までに三十九億の赤字が出ております。これはなぜできたかと申しますと、社費は、こういうような強制保険という性格にかんがみまして、できるだけきつい査定を実はしてきたわけでございます。この社費の金額につきましても、昭和三十年に社費を決定しまして以来、三十七年まで一ぺんも変えたことがなかったわけでございます。三十七年度におきましてどういう計算をしたかと申しますと、当時損保の1損害保険会社の平均給与が五万二千円でございました。しかし、それでは、こういう性格からかんがみまして、もっと査定すべきであろうということで、当時の公務員給与のベースが三万七千円でございました。しかし、保険会社の人員構成からいうと、男よりも女のほうが多い、そこで、男女の給与の差を公務員ベースに引き直してみますと、現実の公務員ベースが三万七千円でございましたのが、三万四千円に男女の構成比を考えると当たるだろう、そういうことで、現実に五万二千円の保険会社の給与を三万四千円に置き直しました人件費を算定いたしまして計算をした。その後、三十七年から、ずっと昨年、百万の保険金額を百五十万に上げますまで、この人件費は、いま申しましたような三万四千円のベースではじいておった。また、物件費につきましても、若干の値上がりがあるわけでございますが、そういう点も四十一年まで据え置きのままに来た、こういう点が、社費につきまして現実の赤字が出たということでございます。それは、ある意味では、おっしゃいますような滞留金金利の問題もあるし、また、損保会社自体、これは全世界的にも、金利を計算するということは損保会社の料率の計算にもなじまないというような議論もございまして、そういうようなことで、まあ特に損保会社がこれによってもうかるとかなんとかということはないという考え方も持ちまして、このままの料率を算定してきた、こういう実態であるわけであります。
  167. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 ところが、いまの金利の問題、まあやり方として、それは十二億であろうが、二十八億であろうが、そういうものをやはりはっきりしておいて——たてまえのことを言っておるわけです、事実。そうして社費といいますか、事業費その他管理費等が安いというのを、無理やりに押えつけて、三十七年からずっとそういうぐあいにやったということ自身が、私は間違いであろうというときに、事業のうちの人件費というのが一番大きいですからね、そういうようなものについての値上がりは、やはり監督官庁として、ある程度見るのがあたりまえだ、それは毎年というわけにはいかぬけれども、そういうことにして、立て方をひとつそういうぐあいにやっていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。  なお、私のいまお示しした数字というのは、申すまでもなく、運輸省のいわゆる再保険の数字から推論を加えて、そして各保険会社の経営の総括的な数字をはじいたのですから、推定したのですから、これはまた一銭一厘間違いないということにはならないと思います。しかしながら、基盤の数字というのは、この運輸省の統計と、それから今度の予算書にあがっておる数字を見たのですから、それを利用したのですから、これはひとつそれによって私の申し上げるような、私の立場からすれば、今回の三百万円の値上げというものについては、少なくとも二年、少なくとも三年、まあ一ぱい一ぱいいえばまだいけるでしょうが、私自身がほかのいろいろの数字をつかんでおりませんから、ざっとした考えでも、三年はだいじょうぶ、こういう数字に相なるわけなんです。それを、ぬけぬけと、四割も初めから上げるということになれば、これは一体このうちには、おのおの車の保有者、あるいは、いわゆる営業車等においては、たいへんなこれはもう次々に負担がかかってきて、運輸省も頭を痛めておる。特に最近の労働省からの、この勤務時間評定の指示なんというのは、わずか局長の指示であっても、経営者としては、たいへんな生命に関係するような問題になってきておる、こういう時期ですから、ぜひひとつ、払うべきものは払うが、なおかつ、ここに相当の余裕があるということで、三十九年二月の改定がまことにわれわれは驚くべきその数字であったということが、これがはっきり今日においてもわかるわけなんです。あの当時に、ずいぶんとわれわれは、ちょっと待って、二月に実施しなくても、予算が通った四月からやったらいいんじゃないか、ここでずいぶんがんばったのだけれども、どうも、のれんに腕押しで、綾部大臣でしたかな、通してしまった、そういうことになっておりますから。それはそれとして、それを同僚がやりました結果が、今日値上げせずに済むというのだから、これはまことに救いの神さまだ、そういう意味において、ひとつ大いに感謝しますが、ただ、あなた方の、なかなかわれわれとしてはわからない、一件当たり契約年限別に計算して、それをむずかしい数字で割って、そして次々にこの積算したやつで、これを今度は全体の件数にかえていくというようなことで何ぼ足らぬという、あるいは余るとかいうこと。この前あのときに、あなた方が言われるのがほんとうであったなら、こんなに金が残るはずはない、もっとはっきり、この保険自体の内容を担当大蔵省としてはつかまえておらなければいかぬ。少なくとも、先ほど吉田委員が言われたけれども、それはいろいろ事情もあるだろうが、要は、監督省としては大体のつぼだけは押えておらなければならぬのに、全然なっておらないというのが、三十九年から今日までの実情です。もちろん、車がふえたから余裕ができたということはありますが、私はそれを否定するものではございません。まあどうかひとつ……。その程度ですか、きょう何ぼ上がる、その基本はこうだということの御説明はないですか。まあ諸君だけではそういうことは言えないだろうな。やっぱりきょうは……。ただし、私の言ったことはわかるでしょうな。そういう見方でみたら、こういうふうになると、大いに参考にしてくださいよ。かりにあなた方が値上げにかかっておるとするならば、これは赤字だけをなくすということで、五百八十一億というものを相変わらず銀行及び政府に金をためておきたいということであるならば、九十億から百億の値上げをすればいい。それだけしか要らない。どうですか。
  168. 上林英男

    説明員(上林英男君) 先ほどお答えいたしましたように、考え方は同じだと思います。私どものほうも、先ほど申しましたように、三十九年度の契約がそのままずっと将来続くならば、そういう三十九年度契約のような情勢が続くならば、四割上がるだろうと申し上げたわけであります。その後、自動車の台数はふえ、一方、死傷者数もふえておりますけれども、自動車の台数のふえるほうがふえておりますので、事故率自体は下がっております、あるいは黒字がある、こういうことを加味いたしまして、できるだけ低い金額に押えるように算定をしていきたいと思っております。したがって、四割ここで保険料を上げるということを申し上げておるわけではありません。それをどの程度下げられるかということにつきましては、いろいろの数字をはじきまして、運輸省とも御相談をし、保険審議会の御審議を経てからきめていきたい、こういうふうに申し上げているわけであります。気持ちといたしましては、全く同じでございます。ただ、現実の問題といたしましては、私どもいろいろいま試算の途中でございますけれども、私どものいろいろなはじいております数字では、金丸先生がおっしゃいますように、上げないでいいという結論は、私どものほうではまだ出ておりません。というよりは、そういう上げざるを得ないんではなかろうか。それをできるだけ小幅にとどめるようにという努力は惜しまないつもりでございます。
  169. 金丸信

    政府委員金丸信君) 金丸先生のお話、まことにごもっともでございます。なお、大胆が出れば明快な答弁が出るだろうとかというようなお話もちょっと出たわけでありますが、いまの状況は、ただいま大蔵省からもお話がありましたように、運輸省、大蔵省、事務的な段階で検討いたしておりますし、なお、自賠審議会等にもかけなくちゃならぬというようなことで、結論的なお話は申し上げるわけにはいかないわけでございますが、あくまでも強制保険ですから、できるだけ保険料が安いということは当然考えなくちゃならない。先ほど四割というようなお話も出ましたが、私は、四割というようなことは考えられないということは、これは大臣も考えておられると思うわけでございまして、ただ健全な運営をやらなくちゃならぬことは当然でありますから、そういう面で、できるだけひとつ先生のただいまのお話も参考にいたしまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  170. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 いま政務次官のお話がございまして、どうぞひとつ、私のいま述べましたのは、これは運輸省の数字及び予算書を基本として私がこういうのをはじいてみた試算でありますから、間違っておれば、もちろん直していかなければならないし、ただ、そういう趨勢で、大数観察の上からいってそういう状況にあるということは、十分に、値上げになられる大蔵、運輸の御当局、特に運輸のほうはいろいろとこういうものを無条件で賛成をされるというと、あとの公共料金のたたりが大きいですから、そういう点もひとつ十分お考えになってやっていただきますように、大臣に十分にひとつこの点をお伝え願いたいと思います。
  171. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 農協の関係、農林省来ておりませんから、その間ちょっと速記をとめていいですが……
  172. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をとめて。    〔速記中止
  173. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記を始めて。
  174. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農政局長に伺いますが、去年の八月から、農協のほうで自賠責の事業を開始、とりあえず原付き自転車、それから軽自動車、三六〇CC以下の自動車、こういうことですが、その取り扱いを始めてまだ一年になりませんけれども、おおむね一年を経過した今日、農協がこれを、実施した場合の数は、これは幾らぐらいになっておりますか。
  175. 森本修

    政府委員(森本修君) 去年の八月から農協のほうで、いわゆる自賠責の事業を始めたのですが、本年の三月三十一日までに、その事業をやりました農協の数は、六千九百八十二組合ということになっております。
  176. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農協のあなたのおっしゃる三月三十一日までの引き受け実績はどういうふうになっていますか。これはわかるなら車種別にお答え願いたいんですが。
  177. 森本修

    政府委員(森本修君) 車種別に申し上げますと、原動機付き自転車、これが二百七十九万八千台、それから軽自動車、これが二十三万八千台、その他六千台、こういう状況であります。
  178. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 その他というのは、三六〇CC以上で、農業協同組合が保有する乗用車あるいは貨物自動車、それが六千台ということですか。
  179. 森本修

    政府委員(森本修君) そのとおりであります。
  180. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは農政局長、あなた去年の局長じゃないから御承知にならないと思いますが、農協が取り扱える車種というのは、去年のわれわれ自民党内部でも非常に問題になって、どこで線を引くかということについて、いろいろ何といいますか、議論百出、やっと一応試験的に、一年間は三六〇CC以下の軽自動車、つまり、届け出によるもの、強制検査しないもの、それと原動機付き自転車をとりあえずやったらどうかということで始めたんですが、そこで私が、一年もまだたたないけれども、大体三六〇CC以下の軽自動車あるいは原動機付き自転車の台数から考えてみて、これが農協以外の取り扱いの量が、これは運輸省じゃないとわからないと思うのだが、自動車局長、どういうふうになっていますか、農協のほうはいま説明がありましたが。
  181. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 農協のほうの関係の付保率で私どもわかっておりますのは、八一・四%の加入率になっております。
  182. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農協以外は……。しかし、これは運輸省が特別会計やっていてわからぬというのがおかしいが、わからぬければ、大蔵省。
  183. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 農協の関係につきましては、再保険をやっておりませんので、われわれとしてわかっておりますのは、再保険をやっていますものしかわかりませんので、農協の関係は再保険の向きは扱わないという状況でございます。
  184. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農協以外のはわかっていませんかと聞いているのですけれども、それもおわかりにならないのですか。
  185. 上林英男

    説明員(上林英男君) ただいま精細な資料を持っておりませんが、保険会社の担当しております自動車につきましては、御存じのように、車検のございます普通の自動車は、ほぼ一〇〇%の付保率でございます。ただし、軽自動車につきましては、車検等の制度もないのでございまして、大体八〇%ぐらいの付保率かと考えております。それから原付きにつきましては、大体これはどの程度が農協の守備範囲であり、どの程度が保険会社の守備範囲であるかということは、これはデータがございませんけれども、おしなべまして大体八〇%ぐらいの付保率ではなかろうかという感じを持っております。
  186. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農林省ね、いつも私ども農村に帰って困るのは、三六〇CCで一応の線が引かれているために、それ以上と以下と、こういうことになりますが、農林省のほうで三六〇CC以上の組合員たる農民が保有する自動車の台数は幾らぐらいあるか、押えていますか。
  187. 森本修

    政府委員(森本修君) 実は役所のほうで農協の組合員が何台自動車を持っているかということを一済に調査した資料がございませんので、ちょっと的確な数字はわかりかねる状況であります。
  188. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 私のほうで大体押えてみたら、七十二、三万台ないしは七十五万台、そのうらに、先ほど私が質問申し上げたその他六千台というのは、完全に農業協同組合が保有しているものが六千台であって、残りの七十二、三万台から四万台近いものをば農家は三六〇CC以上のものを持っていると私どもは推定している。ところが、省のほうでは、こういう重大なことをばやらなきゃならないのに、そういうほうの調査はしておられないのですか。
  189. 森本修

    政府委員(森本修君) 関係の農協連合会からは、そういった保有台数がありそうだという報告は受けておりますけれども、役所のほうでみずから調べました数字は、残念ながら現在ないわけでございます。
  190. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 まあそれはそれでいいですよ。ただ、ここで農政局長ね、すぐ調査にかかってほしいと思いますのは、まあ釈迦に説法かもしれませんけれども、テレビの普及率というものは、すでに今日においては、都市と農村とは格差が全然ないと言ってもいいと思うぐらいなんです。テレビが初めて始まったころは、どういうふうにして普及していったかといえば、まず都市近郊の農村からこれが入って、そして末端の農協に入っていった。おそらく私が推察するところでは、ここ数年の間に、あのテレビの普及率と同じような率で自動車が普及していくんだ、こういうふうに私は見ております。また、それが農村の最終の目標はそこだと私どもは見ている。ですから、こういう重大なことであるから、早急にこういう調査の体制をあなた方のほうでは、たとえ局は違っても統計調査部を持っていますから、そういうところで、はっきりひとつつかんでいただきたいと思います。  次に進みますが、昨年の八月から農協がこの保険を実施するようになって、一体、事故の発生の率とか、数とか、その車種別がわかっているなら、それをばひとつ。これは農林省でわからなかったら、運輸省はわかっていると思うから、それについて、どっちからでもいいから、ひとつお知らせ願いたいのでございます。
  191. 森本修

    政府委員(森本修君) 四十一年度末現在、四十二年の三月末現在の数字でございますが、事故がありまして、共済金を支払いました実績は、原動機付き自転車は五千四百八十三台、それから軽自動車が六百五十九台、その他四十三台、こういうことになっております。
  192. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 運輸省、これは保険金を支払う場合に、将来この制限を解いた場合に、いろいろと参考になると思うのですけれども、全体の事故率の中に、いま農政局長が報告されたその事故率との、何か比較対照されたことがございますか。
  193. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) いままでそういうふうな比較対照はやったことはございません。
  194. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 これは、自動車局長は去年は局長じゃなかったから、これはもう私はこれ以上追及しませんけれども、私どもは、将来の農村の動向について、農村でも相当な高速自動車道ができたり、あるいはバイパスができたり、道路が整備され、舗装されれば、事故も相当高まってくるという見地から、やはりこの問題については相当関心を持っているんですから、主管庁がこういうことについてまだ研究していないというのは、ちょっとこれは私どもからいえばおかしいような気がするのですけれども、まあ、ないとおっしゃられればそれでいいと思いますが、私がここで承りたいのは、事故が出たから保険金を払うんだ、そのために被害者を救済するんだという法のたてまえではあるけれども、願わくは、事故防止がやはり私は並行し、あるいは優先すべきだと、こういうふうに考えます。事故の発生がある程度押えられれば、先ほど金丸委員が言われるように、保険料をそんなに上げぬでも済むという裏の答えが出ると思うのですよ。  ところで、農協のほうでは、事故相談所をすでに一年足らずの間につくっている県があるというようなことを聞いていますが、農政局長、あなた知っていますか。
  195. 森本修

    政府委員(森本修君) そういう話は報告を受けておりまして、現在やっております県は、五つの共済連でそういった相談所をつくっておる。なお、他の府県についても、大体、来年の三月末ごろまでには、すべて開設する運びになるだろうという報告を受けております。
  196. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 まだわずか数県のようですが、これをひとつ早急に各都道府県の農協が全部実施するように、行政の立場からこれをひとつ強く要請する気持ちがありますか。
  197. 森本修

    政府委員(森本修君) お説のように、こういう施設はきわめて有益なものだというふうに思いますので、私どもとしても、できるだけ各県につくるように指導をしてまいりたいと思います。
  198. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 自動車局長、運輸大臣の出身県の島根でも、すでにできておるのですよ、あなた知らないかもしれないけれども。というのは、別にここで事故が起きたら、なるべく安上がりに示談にしようという場所じゃないのですよ。ここは事故の相談——保険会社のほうにかかっていれはらちがあかぬから、農協に行って聞いてみようと言って来てくれるのですよ。こういうことを、農協以外の損保の協会などでやっている例があったら、教えてください。
  199. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 保険会社の団体でもそういうふうな事故相談をやっておられるということも聞いておりますし、それから各府県で私的にそういう事故相談をしておられるような事例も聞いております。それ以外に、本年度から総理府のほうで各府県に事故相談所を設置するというふうなことで予算もついておりますし、われわれのほうとしましても、法律扶助協会なり弁護士会等でやっておられる事故相談に対して、一部助成を考えておるような次第でございます。
  200. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 農政局長ね、全国運輸農協連が今月一ぱいで全購連と合併し、すでにその総会があって承認されたと私は聞いておりますが、もちろん御承知でしょうね。
  201. 森本修

    政府委員(森本修君) 全国運輸連が全購連と合併をするという原則的な話し合いはできたというふうに聞いております。ただ、細部の手続は必ずしも十分済んでいないようでございますが、大体そういうふうな方向で合併が行なわれるというふうに私どもは考えております。
  202. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 合併の認可申請か出らた——大臣じゃないと、あなたに答えろというのは困難かもしらぬけれども、方向としては、これは認可なさるつもりですか。
  203. 森本修

    政府委員(森本修君) 細部でどういう認可申請が出てくるか、それを待ってみないとわかりませんけれども、大体原則的にはそれに対して認可を与えてもしかるべしというふうに思っております。
  204. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 私は重大な問題が残されておることを農林省、御承知かどうかわからないから非常に心配します。過去の実績をずっと大蔵省でもお調べになればいいと思いますが、自動車保険なんというものは、こんなにきらわれた保険はなかったのです。特に農協の事故なんというものは、そんなことを引き受けたら損じゃないか、いやですと言われたものをば、どうして農協の車両の事故が今日まで——他の業者の、たとえばトラックに例をとっても、その事故率が非常に低下したかと言われるゆえんのものは、これは全国運輸農協連の功績なんです。あの乏しい中から、交通安全の旬間もしくは月間、あるいは週間を開いて、そうして徹底的に農協の車両の事故防止対策につとめてきた。今日の農協車両の事故率が少なくなったりゆえんは、ここから発足してきておる。ところが、全国運輸農協連が全購連にこれが対等合併というけれども、吸収だろうが、そうなった場合に、一体これはどこでやらせる気ですか。
  205. 森本修

    政府委員(森本修君) 当然そういった事業は合併後の連合会において引き続いてやられるものというふうに想定をいたしております。
  206. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 毎年優良運転者の表彰をやり、優良事業所の表彰をやって、何年間か事故を起こさなかった、非常にけっこうでございました、感謝申し上げますというのを、毎年毎年これを積み重ねてきているのです。ところが、全購連というところはそういうことをやるところじゃございませんよ。そこで、これはあるいは私は知恵をつけると言うと、はなはだおこがましいけれども、せっかく全国共済農協連が自動車損害賠償保障法に基づく保険を始めたのだから、ここに当然やらせるべきなんです。ここに当然というのは、やらせることによって事故防止にもなってくる、あるいは優良な運転者をばどしどし養成していくということは、今後は私はもう全国運輸農協連と全購連が合併するんだから、この際、昨年からせっかく全国共済農協連にこの保険事業をやらしたのだから、ここにおやりなさいという行政指導をやってください、そのほうが筋が通ります、筋が通りますから。このことについては、会長がこの前私のところへ見えましたから、保険屋というのはややもすれば利潤追求におちいる場合が間々あるから、せめて、われわれの農協の組織だけでも、そういう方向にひとつ力を入れてくれと話してございます。おそらくもう全購連と全運連の合併は、これはもうどうしてもやむを得ないと私も判断します。その際に、一番力をつけて一番力を果たしてきた、このことが欠けてしまえば、せっかく農業協同組合に保険をやらしてみても、もとのもくあみにならないとも限らないから、これはひとつ御検討を願いたいと思います。  それから、いろんなことを考えてみるのですが、都会には横断歩道というのがあります。あるいは歩道橋というのがあります。ところが、農村には横断歩道なんか見ないのですよ、あんまり。だから、これは農林省——これも私の要望ですけれども、農村の農業協同組合長というのは、トラックなども持っているために、その所轄警察の安全協会の一員になっていますよ。ですから、警察署や交通安全協会などとこの三者で、せめて、農村の学童の命を守るために、横断歩道なんぞをつくるための経費は微細なものですから、農協などに協力するように呼びかけてくれませんか。私も側面からこれ協力します。ただ保険をやって、それから幾らか利潤をあげようかなどというさもしい根性は、少なくとも農業協同組合は私は持ってはならないと思う。ですから、もし、先ほど吉田委員が言われるように、何ほどかの利潤がかりに出たら、そういう方向に金を使ってもらいたいという私の要望でございます。それと同時に、不幸にして事故にあった人の後遺症の問題をどうするかということも、これは検討しなければならないと私は思う。全国のすべての共済農協連が持っているわけではありませんけれども、一部の共済農協連では診療所を持っております、病院を。ああいうものをばなるべくなら持たせる、また、たとえ、なくても、これはもう農政局長のほうでお調べ願えればわかりますが、全国の共済事業を行なう連合会は、温泉場に農民の休養所を持っていますよ。こういうのを、これは厚生省あたりの所管にはなりましょうけれども、われわれ政治家から言えば、厚生省であろうと、大蔵省であろうと、農林省であろうと、われわれは一億国民が政治の対象ですからね、どうしてもこういうことについても、せっかく農業協同組合がこういう制度をばやってもらうようになったのだから、いまじゃだめだろう、三六〇CCや、人が飛びつかないような原付き自転車ばかりやらされている間は、そういう方向へはたどれないかもしれないけれども、やがては目標はそこにあるのだというような一つのイメージがあってもいいのではないかと私は思う。どうですか、局長。
  207. 森本修

    政府委員(森本修君) 確かにお説のようなことを考えていくことはたいへん必要なことだと思います。自動車による事故の積極的な防止、あるいは不幸にして事故が起こりました後のアフターケアを十分にやるということは、単に公共的な意味から必要であるばかりでなく、やはりこういった事業をやっている団体としても積極的に心がくべきことだと思います。私どもも同感でありますので、できるだけそういう線に沿って行政指導をしていきたいと思います。
  208. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 銀行局長、私の意見をお聞きになって、あなたも御賛成だろうと思いますが、どうですか。
  209. 澄田智

    政府委員(澄田智君) 私の所管の事項では直接ございませんが、方向としては、そういうふうなことは考えられる方向だと思います。
  210. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 先ほどから申し上げておりますように、ちょうど自動車の農村への普及は、テレビの普及率と同じようにずっといっているのですよ。もうどうですか、この辺でこだわらないで、三六〇CC以下しかやらさないで——佐竹さんと相当去年やり合ったのだが、くしくも、今度は佐竹さんは農林漁業金融公庫の副総裁になっていった。農協の組織の、どんなに人々のために働いているかということをしみじみわかっていただいたと思う。あの人が副総裁をしてから銀行局長になっておられたら話がわかったと思う。いま私が申し上げているようなことを、せっかく農業協同組合の保険を営む連合会にきつく、私は強く要望する反面に、そういう夢がかなえられるように、どうですか、この際、三六〇CCなどと、政令で車種はきめることになっておりますが、今度の百五十万の保険金を三百万円に上げることを一つのきっかけで、この辺でひとつ政令と取り組むだけのお気持ちがありますか。これはまず金丸政務次官に聞くのです。あなたは去年は政務次官じゃなかった、どんなもんでしょう、いま申し上げるようなこと……。
  211. 金丸信

    政府委員金丸信君) ただいまのお話は、大蔵省と農林省との話し合いの問題であろうと思いますし、その話がうまくつくということであれば、われわれも協議してまいりたい、こう考えております。
  212. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 銀行局長、どうですか、あなたの考えは。
  213. 澄田智

    政府委員(澄田智君) 昨年いろいろ経緯のありました問題でございます。お考えのようなことも、われわれのほうも今後検討をしていかなければならないことかと思いますが、昨年いろいろございまして、その結果、議員修正で法律が改正になり、そうして、その実行として現在の形がきまっているというような経緯もございますので、にわかにということは、ちょっと私の立場からも、いま申し上げかねるわけでありますが、御趣旨のようなことを将来の問題として検討してまいりたいと、こういうふうに考えます。
  214. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 銀行局長、共済農協のほうでは審査員を八千人委嘱しているのです。これは生命共済をやっていますから。だから、いろいろとこういう後遺症の問題だとか、あるいは私は、将来は救急車の面まで考えなきゃいかぬぞというようなことまで私は夢を持っているのです。そこまでは到達してくれないか。佐藤総理のことばをかりて言えば、まさに人間尊重のいま一番重大なことだ。もうテレビで、いやになるほど聞かされるように、交通安全と公害の問題、あの朝の「スタジオ一〇二」を聞くのは、このごろ正直言っていやになった。ああいうことをああいうところで毎日毎日なぜ叫ばなければならないであろうか、ほんとうに無意味であるから、私がこたえるのかもしらぬけれども、もう聞きあきた。残りは実行のみだと私は思う。その一助として真剣な気持ちで私はいま申し上げているのです。去年の経過は、それはお聞きになって御承知と思いますけれども、やらしてみなかったら、初めてのことだから、どんなことになるかもしれない、ようわからないということもあったと思いましたので、あの程度で一応修正はいたしましたけれども、場合によっては、われわれの努力によってでもやりかねないということがあることをひとつ——しかし、そうされちゃ、政府のほうでも面目ないことになりはしないかと思いますから、願わくは、ひとつ早急に御検討いただいて、八月一日を期して、これもひとつここで踏み切りましたというような、簡単なことなんだから、政令事項ですから、法律じゃございませんから。これはしかし、局長だけではむずかしいでしょうから、あなたのところの大臣にも言うてくれませんか。もうなわ張り争いの時代は過ぎ去ったんだ、良心的にこの保険業務と取り組んでいるかということをば真摯な気持ちで御反省なさる時期が来たんじゃないかと思うから、いまここであなたに、すぐ政令に取っ組みなさいと、答えなさいと言っても困難でしょうから、それはよくわかります。しかし、なおよく検討してみますというのは、何年やっても検討は検討ですからね。その辺はやはり幅のある検討でなければいけないと思います。これは私の要望ですが、以上で私の質問は終わります。
  215. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸省に聞きますが、わずか一年足らずの農業共済で扱った自賠責による実績とでも申しましょうか、それがいま谷口先生から質問されて、農林省あるいは大蔵省、運輸省も答えていましたが、この実績をどう評価しているのか、それをちょっと聞かしてもらいたいと思います。これは原山局長がその限りじゃないとすれば、政府として次官に聞きたい。
  216. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 農業共済の加入率が非常にいいということについては、それを行なっておる方々の熱意が非常に高いというふうに考えております。
  217. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 熱意が高いというふうに評価しているということですが、ぼくはそれだけではないと思いますよ。これは大蔵省の保険部長おりますが、従前の既存の保険業者の諸君がこれを取り扱ってきて、昭和三十八年まではむしろ保険制度が敬遠されたようなかっこうですね、赤字が出るというので。そして一挙に保険料金を値上げをして、その後、先ほど来金丸先生が言ったように、すでに四百億から五百億くらいな、再保険等についても金を持っているということになっていますが、私はそういう議論をいま避けたとしても、いろいろこの法律を制定するときには議論がありましたが、一年間の実績であるけれども、この保険の付加率の向上などについても非常に私は貢献したんじゃないか、こう私は評価しています。同時に、そのアフターケアの関係についても若干先ほど触れましたけれども、島根県の話がありましたが、私の調べたところでは、長野でも実施しているし、山口県あるいは鳥取、あるいは谷口先生がおっしゃいました島根はもとより、福岡、そして全国的に準備がそれぞれ行なわれている、こういう段階を既存の保険業者と比較してみると、はるか数段、従前考えられなかったたった一年足らずでやっているということについては、私は、ノーリスク・ノーペイの原則を貫いて自賠責保険のその精神をすなおにまじめに踏まえてやっているこの実態は高く評価していいのじゃないかと、こう思っているのですが、どうですか、大蔵省の局長。あなた方どうこれは理解したり評価をしていますか。
  218. 上林英男

    説明員(上林英男君) 農業共済の実施状況について詳しく承知いたしておりませんけれども、おっしゃるように、りっぱに努力をされておるものと私どもは考えておりますが、私のほうは保険会社のほうを担当いたしておりますわけでございますけれども、保険会社にしましても、公共性のある保険事業の遂行に事欠かないように常に注意をいたしておりまするし、そのようにいろいろ行政的にも努力をするように運用指導をいたしておるつもりでございます。
  219. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 努力、指導していくつもり、そのほうはけっこうですが、農業協同組合で扱ったものについてはよく存じ上げていませんということを言っていますが、だが、あの法律を制定するときに種々議論をしたのは、大蔵大臣に相談をすることになっている条項が一つある、そんなものは必要ないじゃないかという話をいろいろしたけれども、結果、入れたんですがね。そうすると、いま全体その実態を把握していないということになると、まさしく、ぼくたちが当時主張したことが正しいなという気がするのですが、何ら把握していない、何ら相談する必要はないということになりませんか、これは。しかも、谷口先生がいまるる系統を立てて項目をあげて質問しておったのですが、それを拝聴しておっても、それに対するそれぞれの政府側の答えを聞いておっても、もう当然のようなことが質疑応答の中で行なわれているので、特に私はそういう感じを受けたんですが、どうですか、大蔵省。
  220. 上林英男

    説明員(上林英男君) 農業共済で行なわれまする共済につきまして、大蔵省に同意を求めてまいりますのは、保険料率の問題あるいは約款というような問題でございます。実際の運営の監督は、これは行政庁、すなわち農林大臣及び地方庁だったと思いますが、行なわれるわけでございまして、現在のたてまえにおきましても、その運営の監督自体は大蔵省ではございませんわけでございます。議論の途中におきまして、保険と同じように監督をすべきだという議論は確かにございましたが、現行法はそのようになっておらないわけでございます。保険料率あるいは規約、保険契約というものは大蔵大臣の同意を要するという趣旨になっておりまするのは、政府全体として統一された運営が行なわれるべきであろう、ことに、ある場合においては、共済にかけたからそっちのほうが得であったとか損であったとか、そういうようなことがないようにというような配慮であったと私は記憶しておるわけでございます。
  221. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それはそれとして、大蔵省で約款であるとか、その他等々についての同意を求めるだけであって、しからば、把握しないと言われれば、そんなものだと思いますよ。しかし、それはそんなことじゃないと思いますがね。そのことについては触れませんが、とりあえずの実績を大体見てみますと、もう一年足らずでですよ、既存業者というのはずいぶんございます。時間がございませんから読み上げませんけれどもね。これを扱っている既存の保険業者というのは、全く多数ありますね。そうした中でね、農協という組織力を持っているからというだけでこれは判断されないくらいの実績が出ているわけですよね。で、扱い件数については断然トップですわな。三百万台はいってるわけですよ。全車両の二〇・五%くらい契約してますね、一年足らずでですよ。それで、今度は付加率の関係についても四番目であるし、掛け金等についても八十億をこえてますよね。これを見ますとね、全体の八・二%ですよ。東京海上というのが一番トップでありますが、これが一一・八%、二番目は日産八・六%、安田が八・五%、それから農協の八・二%、あとは千代田であるとか、興亜であるかと、いろんなものがございますけれども、問題にならない扱いですよ。ですから、そういう面から見ても、非常に私は付加率の向上等についても貢献していると思うんですね。ただ、ちょっと谷口先生も触れられましたが、先ほど来の答えの中にも出てまいりましたが、法律で規制をしておりまして、扱い車両というものは原付きが主でありますからね。非常に金額などについては、したがって少ないということが具体的に出ていると思うんですね。私は当時の法律制定のときから、車種別制限というものをすべきじゃない、こういう主張をいろいろここであらゆる角度から議論を展開した一人でありますがね。一体、当時の速記録をごらんになればようわかりますがね。いわゆる初めてやるのであって、実績がないからということで車種別制限をしたものなんですね。ところが、一年足らずの実績が、堂々と他の保険既存業者よりもすばらしい成績を残して、実績をあげているということになれば、私は今日の段階で車種別の制限などというものはすべきじゃないと思う。特に、先ほどの農政局長の答えを聞いてますと、具体的に役所として調査した実績は持っていないけれども、系統の農協の関係報告を聞きますれば、おおむね谷口先生が言ったように、七十二万から七十五万台くらいの保有量がある、こうおっしゃっていますからね。それが他の部外の車両であるならばいざ知らずですよ、農家全体がほとんど加盟しておられる共済制度の中では、私は当然その車種というものは農業共済制度の中で扱っていいんじゃないか、こう思うんですがね。思うんですが、これは保険部長は、将来検討をしてみますと、こういう答えですがね。将来と言ったって、いろいろありますからね、これは。私はそういう、実績を踏まえて考えてみたら、これは政令できめるだけの話ですからね。そういう政令をきめるだけであって、法律を制定するわけじゃないんですからね。やろうと思えば、これは八月の一日でおそらく保険支払い金額を三百万にするというような、具体的な八月一日ということは言わなかったが、八月から実施したいということを運輸大臣は答弁を前前からしていますからね。そういう準備をいま進めているのじゃないかと思いますからね。そういう契機にやはりこういう問題を検討してみる必要があると私は思うのですね。  それからもう一つ認識理解していただきたいと私思うのは、われわれの居住しておりまするような北海道は広大な面積を持っていますね。これは日本の国の面積の四分の一とか言われるくらいの面積を持っていますがね。広大なものですよ。そして、人口の密度が低い。こういう面と両方相あわしてみますと、都市周辺における農協は別として、大多数は僻地における農協の本来の活動と、それから、こうした共済あるいは福祉活動を行なっているわけですね。そのときに、部外の車両は扱っちゃいけませんなんていうような、これまたまさにナンセンスだと私は思うのですよ、これは。しからば、既存の業者がそうした僻地山村に、この保険の扱いにセールスマンを派遣してやっているかというと、これは全くやっていない。これは谷口先生も指摘したように、利潤追求ばかりやっているからそういうことになるのですね。ですから、やはりそうした山村僻地におけるこうした問題を含め、経済も含めて、いやおうなしに農協が中心になってやっていますよ。そういう地域的な差のあること等々についても、これはあわせて検討して、何か既存業者のみ保護していくというような従前の大蔵省の考え方というのは、私は是正してもらわなきゃ——間違いだと私は言いませんよ。言いませんけれども、さらに新しい方向に是正をしていくという私は努力検討が、やはりいまも申し上げた車種の制限撤廃という問題とあわせて、そういう時期に来ているのじゃないかと、こう思うのですが、どうですか、保険部長
  222. 上林英男

    説明員(上林英男君) ただいまの御議論は、確かに去年もそのようにいろいろ御議論をいただきましたわけでございます。しかし、昨年におきましては、議員修正の際に、御存じのようなことに決定をされましたわけでございまして、いろいろの御議論があることは私もよく承知をいたしております。ただ、将来の問題といたしましては、澄田局長が申し上げましたようなつもりで勉強させていただきたいと思うわけでございます。
  223. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもね、上林君。きみの答弁は歯切れが悪くてわからぬですが、将来とか、申し上、げたように勉強させていただきますなんて言ったって、それは議会では修正をしましたがね。この委員会で修正しましたけれども、そのときには、いまあなた方が答えられたようなことがちゃんと附帯決議についていたわけでしょう。だからね、まじめに——当時からあなたはいたわけだから、あなただけなんだな。ほかの局長は次々にかわって、まことに歯切れのいい答弁をしたと思ったら、翌日はどこか、中金か何かの理事長だか理事になって行ったなんて——前の局長でごさいますがね——局長でありますがね。当時からおったのは上林君、きみはちゃんと知っているのだ。知っているのだからね。こんなものじゃないのだからね。あのときの法律審議にあたっては、あらゆる角度から議論をしたのですからね。それをやはり少し前に進めていくということでなければならぬし、あのときは、農協というのは初めてやることですから実績がないと言えば、これは何をか言わんやです、当時はね。しかし、一年足らずしてこの実績は何ぴとも否定できないでしょう。何ぴとも否定できないのじゃないですか、これは。その実績の上に立って、こうした矛盾というものをどうするかということは、将来何とかかんとかという、そういうあいまいな、抽象的なことばじゃなくて、料率を改定するとか、あるいは補償金を改定していくというような、やはりチャンスをとらえて積極的に検討していくというかまえでなければ、せっかく国会で議論をした意義が何もなくなってくるのです。これは局長、どうですか、こういう議論は。
  224. 澄田智

    政府委員(澄田智君) いまのお話、よく承りまして——私は御指摘のとおり、去年はこの仕事をやっておりません。しかし、経緯は十分、いろいろ速記録も読みましたし、勉強はいたしております。ただいまのお話、ことに北海道の実情等よく承りました。ただ、この席で、私どもの立場として、おっしゃるような歯切れのいいことは、ちょっとすぐこの場では申しかねるわけでございまして、先ほども申しましたように、去年の経緯等も十分考えまして、いろいろと今後、決していつまでも何もしないでおくというような意味ではないわけでございますが、今後検討させていただく、そういう事項だと思っております。
  225. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 一つだけ。ほんとうに困るのですよ。私は実は、村に帰れば農業協同組合長なんです。ところが、三六〇CC以上は、これは保険会社は別として、突っぱねているのですよ。けげんそうな顔で組合員が帰りますよ。これは何か、しょうがないんだというような、いい答弁のあれがあったら教えてくれませんか。何とも言えないで、苦虫をかみつぶしたような顔で下を向くのが私なんで、先生は国会議員でしょうと、こう来ます。それだけ困っているのですよ、みんなが。だから、わかっていただきたいということですから、もう質問しないですが、これは私の要望です。そういうわれわれの苦しい立場をよく御理解いただきたいと思います。
  226. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 これは、銀行局長おいでになっていて、私の質問、上林君ばかりに聞いてなんですが、大臣に来てもらいたかった。よくお聞きください。いま、あなたのほうで作業していると、こう言われる。きょうも待っておったけれども、どういうぐあいでどういうぐあいになるという御返事も、御説明もない。これまた、この前みたいにやみ討ちでしていって、われわれをすっぽかしてしまうというようなことでは困ると思うのです。この前はもう運輸省に、大蔵省のほうにもお願いしておきましたが、やはり上げるということになれば、私の計算では、いまは全部この再保険のほうから考えていって余裕しゃくしゃく、三年間上げなくて済むのですから、そういう数字があるのだから、今度はひとつ、あなたのほうでどういう案を出されるか、これは本委員会においてぜひ説明を願ってからお願いしたい。ここでひとつお願いしておきます。運輸省も、政府次官、やみ討ちはいけませんよ。必ずこの委員会でひとつ、大蔵と協議の上で、その方針等について具体的の案ができたらぜひ御説明をお願いしたい。これを留保しておきます。お願いします。
  227. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本件の調査については、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会