運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-05-18 第55回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 小酒井義男君     委 員                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 前田佳都男君                 森田 タマ君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 吉田忠三郎君                 田代富士男君                 岩間 正男君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    政府委員        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省航空局長  澤  雄次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通指導        課長       関  忠雄君        運輸省航空局技        術部長      松本  登君        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○船舶積量測度法の一部を改正する法律案(内閣  提出) ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道の財政問題に関する件)  (羽田空港における停電事故に関する件)  (陸運行政に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  船舶積量測度法の一部を改正する法律案議題といたします。これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 小酒井義男

    小酒井義男君 この改正理由なんですが、各国間で基準が一致しておらないという従来の取り扱いで、これは基準が一致しないで手数がかかることはわかるんですが、そういうことがわかりながら、ずいぶん長い間いままで改正がされなかったですね。何かその裏に利害関係というようなものでもあるんですかどうなんですか。
  4. 芥川輝孝

    政府委員芥川輝孝君) 船舶トン数をはかりますのは各国おのおの定めておる法律、またはそれに準ずる相当重い規定によりましてはかっております。それで、従来は各国がその規定相互互認の形でやっておりました。たとえば日本船舶積量測度法等で申し上げますと、大正三年の三月三十一日にこれを制定いたしました。それからただいままで相互互認でやっておりますのが十一カ国、主要海運国全部入っております。そういう形でやっております。そうなりますと、非常に技術本位な問題でございますから、技術の発展その他に伴いまして、取り扱いはばらばらになってまいりました。その不便を修正いたしますために、国連の一機関でございますところのIMCO——イムコと略称しておりますが、IMCOにおきまして、トン数のはかり方の統一会議をやろうということで、トン数の小委員会を設けました。そうして各国やり方を研究いたしまして、ようやく一致案をまとめまして、昭和三十八年十月、一九六三年の十月に勧告をしたのが、今回日本でもそのとおり法律改正をしようという内容のものでございます。  それで、その後の経過を申し上げますと、一九六五年に一ヵ国、一九六六年に四ヵ国、それからことしになりまして、一月から現在までに六カ国、合計十一カ国がこの勧告案どおりやるというふうになっておりますのが現在の状況でございます。それでもちろんこの中には、主要国といたしましては、ソ連、アメリカ、イギリス、オランダ等全部入っておるわけでございます。
  5. 小酒井義男

    小酒井義男君 実は船のことをあまり詳しくないんで、具体的にひとつわかりやすい説明をしていただきたいと思うんですが、船舶構造などは、構造によって総トン数の何か計算が違ってくるようなことはありませんか。
  6. 芥川輝孝

    政府委員芥川輝孝君) 仰せのとおりでございまして、トン数のはかり方のきめ方によりまして、船舶構造は非常に変わってまいります。と申しますのは、大体この総トン数、純トン数というものは、各種の租税公課等基準として使われるものでございますので、なるべくこれを小さくしたい。一方、船といたしましては、小さな総トン数を表示しながら、なるべく大きな載貨容積を得たいということを考えますので、トン数のはかり方のきめ方いかんによりましては、非常に構造が変わってまいりまして、そこで従来やっておりまするやり方でも、船の安全に直接影響のあるような場所につきましては、これをあらかじめ総トン数に入れておかない。たとえば操舵室、それから揚錨機等を格納する場所、それから採光に要する場所あるいは便所、そういうふうなものは総トン数に入れないでおくというふうなことで、不当にこういう場所が圧縮されることを防いでおる、そういうようなものでございます。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから改正案の三条、「満載吃水線位置主務大臣ノ定ムル位置ニ在ルモノニ在リテハ」というところがありますね。これはもう主務大臣の定めない、定める位置にないものがあるのですか。
  8. 芥川輝孝

    政府委員芥川輝孝君) 主務大臣の定める位置と申しますのは、この改正案によって主務大臣の定める位置でございまして、この満載吃水線の表示を技術的に考えます場合に、二つ、その場合には出てくるわけでございまして、それで、深い満載吃水線をとります場合には、今度の総トン数に算入しないという取り扱いをいたさないものでございまして、浅い満載吃水線を表示する場合にだけ総トン数を除外するということでございますので、深い満載吃水線を表示いたしまする場合には、これは当然税金の対象として取り扱って差しつかえないものという解釈なのでございます。したがいまして、それは総トン数に算入するものでございます。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 それは統一することは不可能ですか。
  10. 芥川輝孝

    政府委員芥川輝孝君) これは船主側申し出によりまして、どちらでもやれるという態勢にいたしておるのでございます。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 いや、現在はそうなんでしょうが、統一をしたほうが便利じゃないんですか。そうじゃないんですか。
  12. 芥川輝孝

    政府委員芥川輝孝君) これは実はその辺一番論議になった点でございまして、従来の商慣習と、それから純粋に技術的に考えました場合の安全問題とを、両方をあわせ比較検討いたしまして、先ほど申し上げましたIMCO勧告としては、船主申し出によりいずれか一方を選ぶという形で当面やっていくということにきめたものでございます。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから最後に、この手続がまだ日本の場合よりもおくれておるところがありますね。こういうところはどういう理由なんでしょう。早くこの統一基準にまとめたほうが、それぞれの国の仕事がやりいいような気がするのですが、おくれておるのには何か理由がありますか。
  14. 芥川輝孝

    政府委員芥川輝孝君) さした重大な理由があるとは考えておりません。特に勧告内容に関する疑義によりましてこれが実行が各国おくれているというふうには考えておりませんので、先ほど申し上げましたとおり、各国とも従来のやり方と比較検討いたしました結果、逐次実施に移るという態勢でございまして、先ほど申し上げましたように、十一カ国の現在の実施国がございますけれども、本年になりましてから六カ国ふえているということでございますので、本質的に疑義があっておくれておるという問題ではないと存じます。  それから、日本は順調に国会の御承認が得られれば十二番目の実施国になるはずのものでございます。
  15. 小酒井義男

    小酒井義男君 いいです。
  16. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  17. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、運輸事情等に関する調査議題といたします。  日本国有鉄道の財政問題に関する件について調査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  18. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 国鉄総裁が「運輸と経済」という雑誌の中で、「深刻な国鉄事情」という題で筆をとっています。これを拝見をしてまいりますれば、その中でも通勤通学輸送の問題がたいへんである、こういうことを書きながら今日の国鉄経営悪化という問題も触れられて、最後には、こうした事情の中ではどうしても国の資金を何らかの形でしていただかなければどうにもならないという意味の文章があるのであります。そこで、私はそれはそれとして、この際二、三伺っておきたいと思いますが、第一には、現在国鉄経営は正常的な業務の運営がなされたとしても、主として収入運輸収入でありますから、この運輸収入で直接経費をまかない、間接経費ともまかなっていけない事情のものがあるんじゃないか。たとえて言えば、新幹線であるとか、あるいは関東周辺あるいは大都市大阪周辺等はこれは別として、国鉄というのは全国的なものですから、特に公共性が強くしいられておる中で、いま申し上げたように、直接、間接経費ともども運輸収入の面で償うことのできない事情のものがありゃせぬか、こう考えるので、この点を赤裸々に、総裁みずからがこういう雑誌の中にいろいろなことを言っていますから、私は、この委員会でこの事情説明していただきたいと、こう思うのです。
  19. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの御質問は、国鉄経営の全般の問題であり、また将来にわたっての経営の基本をなす問題でございますので、多少数字にわたってこまかくなりますけれども、現時点における私ども見方並びに将来の見通しについて申し上げてみたいと思います。  国鉄経営が悪化いたしましたのは、実は昭和三十九年度からでございます。昭和三十八年度ごろまでは大体わりあいに順調に運輸収入も伸びておりましたし、もちろん経費増加もございましたけれども、その経費増加十分運輸収入増加でまかなってきた。一方、三十二年度から第一次五カ年計画、三十六年度から第二次五カ年計画を始めまして、相当多額の資本投下をいたしましたが、いずれもまだ長期負債の絶対額としてはそれほど大きなものじゃなかったということで、利子負担がまあまあせいぜい五百億前後で済んでおったと思います。しかしながら、その後、特に昭和三十九年度以降新幹線ができ上がりまして後、主として通勤輸送全力をあげて、また地方の幹線輸送力の強化に全力をあげる、さらに保安対策というものにいままでに倍するぐらいの金を入れるというふうな、何と申しますか、非常に資本を投下いたしましてから、それが利益を生むまでに時間のかかる仕事投資を始めましたのが昭和三十九年度ないし四十年度からであります。したがって、投資いたしましても、それが極端に申しますれば、いいもので五年、悪いもので十年、十五年間は利益を生まないどころか、利子支払いもできないような投資を四十年ごろから始めたわけでございます。したがって、一方、利子は毎とし借金いたしました翌年からふえてまいりましたので、利子負担が非常に急激にふえておるわけでございまして、昭和三十二年ごろに比べますと十倍以上の利子負担になっておるわけでございまして、私ども借りております金は、御承知のとおり、財政投融資並びに国鉄の独力で集めます特別債等でございますが、平均利率が約七分でございます。そういたしますと、一兆の金を借りますと、七百億だけはもう自動的に利子として出てしまうというようなことで、経費の中の利子負担が非常に急激にふえてきておる。大体毎とし百五十億から二百億くらい利子負担がふえておるというようなことで、もちろん人件費のアップの問題もございますが、主として資本費の大きな増加のために経営状態が非常に苦しくなっておる。一方、収入のほうは、道路の非常な急激な発達とそれから自動車の普及と、あるいは内航海運の復活というようなことで、国鉄陸上交通における独占的な地位はもはや全く失われたと申しても過言ではないと思うのでありまして、電電とか、あるいは郵政とかが非常に法律的にも実質的にも独占企業として続いておられるのとわけが違いまして、私どもほんとう独占性が崩壊し始めたのがやはり三十八、九年から非常に顕著に現われてきておると思うのであります。これはある意味では、輸送構造変化ということは当然産業の近代化というものの一翼をなすものであって、やむを得ないものであるというふうに考えておりますが、ただ、いかにも近代交通機関としてほかの輸送機関に対抗すべくあまりにも輸送力が貧弱である。たとえば主要幹線におきましてもそれが建設されたときのままの単線蒸気鉄道である。これではとてもバス、トラックあるいはことに最近の発達マイカーには及びもつかない脆弱な輸送力しかないということで、全体の輸送構造変化、その変化の中にも国鉄自体の非常な立ちおくれと申しますか、近代交通機関としてふさわしくない姿でもって現在輸送をしておるということにも大きな原因があって、やはり輸送構造が変わりつつあるというふうに思っているわけでございます。ことに旅客輸送貨物輸送と分けて申し上げますと、まず貨物輸送におきましては、もう石炭がいやがおうでも毎年二百万トンないし極端なときには三百万トンずつ減送するわけでございます。私ども貨物運賃貨物収入の大宗をなすものは石炭でございます。一時は全体の貨物収入の四分の一を石炭で占めておったわけでございます。輸送量から申しますと、大体四分の一でございます。ことに九州等におきましては石炭減産がはなはだしく、石炭減産、即国鉄から見ますれば石炭の減送になるわけでございます。そうすると、ほっておいても貨物は年間いま大体二億トンぐらい輸送しておりますが、そのうちの三百万トンぐらいは自動的に減っていくと、こういう現象でございます。したがいまして、石炭運賃収入がもうそれだけ減るというふうなことで、貨物収入は昔は大体旅客収入と半々近かったのでございますが、現在は大体旅客収入の三に対して貨物収入は一でございます。非常に国鉄全体の中の貨物収入のウエートが狭まってきておる。しからばそういう石炭等の減送の穴埋めを何か運賃商い貨物でしなければいけないということは、これは当然でございますが、それをしようと思いますと輸送力がないということで、荷主の希望するようなスピーディーな、あるいは非常な便利な輸送ができないということで、結局運賃の高い貨物はやはり道路に取られるというふうな現象がやはりこの数年間急激に起きてきているわけでございます。で、ここで何とかして貨物収入を戻すためにはどうしてもやはりいい輸送をしなきゃならぬ、まあことば語弊がございますが、荷主側から見ればぜいたくな輸送をしなければいけないということだと思うのでございまして、最近は物資別にいろいろ検討いたしまして、たとえば自動車輸送、まあことしの秋には日本の全乗用車の生産量の約半分は鉄道輸送にかかると、これは非常に運賃も高いし、わりあいにコストも、輸送コストも安いし、非常に私どもとしてはもうかると言っては語弊がございますが、もうかる商売でございます。こういうことがやれるようになったのは、やはり幹線輸送力がふえて、多少なりともそういった特別の貨物列車を走らせることができる、あるいは現在旅客列車と同じ速度で、百キロ以上の速度九州あるいは下関の鮮魚を運んでおりますが、これらもほとんど一時はトラックに取られかけたものが、やはり国鉄輸送サービスがよくなって東京市場の売りが著しく早くなった。鮮度が高くなったということで、またトラックから徐々に鉄道に戻りつつあるというふうに、結局、今後貨物輸送について穴埋めを、石炭等の減送による穴埋めをするためにはどうしてもいい輸送をしなきゃいけない。いい輸送をするためにはやはり輸送力をつけなければいい輸送ができない。これはひいては国民全体から見ますれば流通経費を下げていく、そして大都市の方々に新鮮な鮮度の高いものを供給できるということになると思います。貨物輸送につきましては徐々にそういう点に着目いたしまして、現在いろんな施策をやっておりますが、しかし、これとても急激に輸送量が伸び、急激に貨物収入が伸びることはそう大きな期待は実はできないと思っております。その証拠で、約ここ四年間というものは貨物輸送は二億トンの線を前後上下するままで、ほとんど残念ながら輸送量はふえておりません。これは逆に申しますれば、石炭の減送をまあずいぶん努力して補っているというふうな見方にもなりますが、しかし、国鉄貨物輸送の実績は大体二億トンで頭打ちであるというのが現状でございます。  一方、旅客輸送のほうは、これは一番問題は、もちろん昨年の運賃値上げ影響もございますが、主として中長距離輸送、これはまだまだ国鉄独占性と申しますかが相当保たれている。ただし北海道輸送などにつきまして見ますれば、大体全体のもう東京北海道間の、国鉄でいえば一等客飛行機客国鉄一等客の割合は大体九十五対五、あるいはもっとひどいときには九十八対二と、ほとんどは飛行機に行ってしまう。九州におきましてもこれは五〇対五〇というふうな事情で、長距離輸送も大体国鉄シェアは減っておりますが、まだまだ近距離輸送に比べますればうちシェアは確保されているというふうに言っても差しつかえないと思いますが、ただ一番の問題はやはり百キロ前後の、たとえば東京周辺で申しますと箱根とか、あるいは伊豆とか日光とか、こういった約百キロ前後の近距離輸送の面におきまして非常に自動車の進出が目ざましい。実は先ほど申しました長距離輸送も、ずいぶん先生方のお目にとまると思いますが、国鉄の全体の旅客の、定期券外旅客の足の長さは大体五十キロでございます。したがいまして、長距離輸送はずいぶん多いように見えますが、全体から見るとそれほど多くない。結局百キロないし百五十キロ輸送でもって一番国鉄としてはいい商売をしておったわけでございますが、それが最近のマイカー発達によりまして、百キロ前後の輸送が非常に食われておるということが旅客収入の減の非常に大きな理由でございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在百キロ前後の輸送で何とかして客の確保ができないか。ことに土曜、日曜、祭日等におけるレジャーの客が車に移っているということは、もう見のがせない事実でございまして、これは国鉄的に申しますれば、ほとんど資本投下をしないでウィークデーの通勤輸送余力でもってやれる非常にいい商売だったのでございますが、これが、客が減ってきているというようなことが、これからの私ども旅客輸送の非常に大きな問題点だと思います。まあいまいろいろ施策をやっておりますが、なかなかやはり起死回生の妙手はないと考えております。  まあこういうことで、非常に悲観的なことばかり申し上げましたけれども、現在の状況で申し上げますと、収入が急激によくなる、非常に対前年の一割とか一割五分とかいう増加は、なかなか期待できない。せいぜい五%、よくて五%から六%ぐらいの増収しか期待できない、まあこういうふうに考えられるのでございます。  一方、経費のほうは、先ほど申し上げましたとおり、一番問題の利子増加並びに人件費増加一つでございます。現在問題になっております人件費ベースアップ等につきましても、国鉄だけがよその公社のおつき合いができないという事情も全くこれはやむを得ない点でございまして、これらを吸収するだけの余力国鉄経営費になくなっておるというのが現状でございます。  一方、私のほうの工事経費と申しますと、いわゆる新規投資のことでございます。これは国会の御承認も得まして、昭和四十年度から七カ年間の長期計画をやっておりまして、全体で三兆の投資をする、国鉄全体の体質改善をするという方針で進んでおりますが、何といっても一番急ぐのは通勤輸送改善でございます。でも、それは用地の獲得その他にいろいろ問題がございますが、経営的に申しますと、非常に残念ながら収支の償わない通勤輸送というものをこれからやらなければいけない。で、通勤輸送収支が償うようになる、すなわち定期外のお客が乗ってくれるようになるには、やはり十年以上の年月がかかって、そうして定期の客で損したものを定期外の客でカバーするという時代がきますには、十年ないし十五年の時間がかかるというふうにいま考えておりますが、それにいたしましても、その利子と、それからもう一つ借金内容から申しますと非常に短期借金が多い。短期と申しますといわゆる一般の民間の短期ほどではございませんが、いわゆる長期負債と申しておりますが、実際には長期ではなくて七年ないし二年据え置きの五年償還、あるいは極端なものはもう翌年から償還するというふうな、借金内容が非常に長期的な低利的なものでないということが一つの問題でございます。したがって、借金返還に非常に問題がございます。たとえば昭和四十年度に運賃値上げができませんでしたので、いわゆる特別債というものを千億ばかり初めて発行したわけでございます。これは政府保証はございませんし、また日銀の担保適格債でもございませんので、金融機関が持てば持ち切りになってしまうわけでございます。その昭和四十年度に借りました約千億の特別債をもうすでに償還を始めているわけでございます。ところが、その千億でやり始めました通勤輸送等工事はまだまだ工事が完成するどころか、用地買収あるいはほんとう基礎工事ぐらいにしか進んでない。ところが一方、借りた元金を返し始めている、こういうことでございまして、国鉄長期負債内容が非常に経営的に見ると悪い。一番大事な郵便貯金、あるいは簡易保険から借りているものは全体の一兆三千億のうちの約四分の一ぐらいしかございません。これは非常に長期負債で約二十年以上の借金でございますし、非常に償還期限が長い、利子も六分ないし六分五厘ということで、これは非常にありがたい金でございます。これらが非常に少なくなってきておる。そしてほとんど鉄道債券、すなわちその鉄道債券の中には政府保証のある鉄道債券と、最近のように政府保証の全くない、いわゆる特別債というものがございますが、ほとんど大部分が、四分の三がその鉄道債券であるということは、非常に借金返還に大きな問題がある。ことしの予算でごらんになりますように、ことしやはり九百億の借金の返済をしなければならない。これは期限がまいりますので、いやがおうでも返さなければならない。したがいまして、財投借りましても、財投借りた分がその財投以外の借りかえの分になってしまうということでございまして、たとえばことしの予算で全体で財投特別債等で約四千億の金を借りますが、そのうち九百億は右から左に借金返還に充ててしまうというふうなことで、返還金を、借金借りかえをするために借金をする、これは当然でございますけれども、そのために利息を払っていくということになるわけであります。  最後に結論的に申しますと、ことしの予算ではまだ利子を払っていくことができます。いわゆる償却残は黒でございます。しかしながら、残念ながらいまの状況でまいりますと、四十三年度時点以降はよほどの収入増加の伸びが期待できない限り、利子支払いのために借金をする。すなわち借金を返えすために借金をするのは、これは当然でございますが、利子を払うために借金をする、こういう非常な経営の悪循環を来たすおそれが四十三年度以降、一応数字的に詰めてみますと、考えられる。こういう意味で、うち総裁ことばを使いますと、まさにいまやほんとう経営の大きな曲がりかどにきているというふうにいろいろ外で申し上げておるようでございますが、その意味は、ことしまではどうやら借金をしないで利子を払っておりますけれども、来年度以降は利子を払うために借金をする、こういう経営の悪循環を来たすということになる次第でございまして、かと申しまして、一方、現在やっております長期計画をやめる、あるいはうんと延ばすということになりますれば、それだけ通勤輸送緩和がおくれる、あるいは幹線輸送力がふえない、昔からの蒸気単線鉄道のままで置いておくという形になるわけでありまして、どうしても現在の長期計画をやっていかなくちゃならないという前提に立ちますれば、四十三年度以降は経営事情が非常に悪化するというふうに申し上げざるを得ない。この点、私どもといたしましても、何とか独力でできるだけのことはいたしたいと思っておりますが、いまやまさに経営の危機に直面しているというふうに申し上げざるを得ないのはたいへん申しわけないと思っております。
  20. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 副総裁からかなり詳細にわたる経営の今日の状況を話があったわけでありますが、総裁が先ほど申し上げた雑誌に書いているのとほとんど同じようなことを言われたのですが、非常に私どもまさに深刻な事態がきておるのじゃないかという感じを受けるわけです。それで具体的に、運賃値上げを去年やったわけですが、先般予算委員会総裁は、従前国鉄には運賃値上げという神さまがあったが、最近この神さまもあまりごりやくがないのだ、こういう答えをしたわけですが、この間の予算委員会でね。そこで一体ごりやくがあるかないかということはわれわれちっともわからぬわけで、具体的に、つまり運賃値上げをしたときからの収入分、それから、いまわれわれ予算審査をしている段階ですから支出面の問題点、要所要所でけっこうですから具体的な問題点としてわれわれに知らしていただければたいへん私はけっこうだと思います。
  21. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 昨年の三月運賃値上げをしていただきまして、その後、総裁が申しましたとおり実は非常に予定どおりの収入があがらないということでございますが、数字的に申し上げますと、昨年御説明いたしましたとおり運賃値上げ輸送増加と両方考えまして、四十年度と四十一年度で約千八百億くらいの増収をする予定でございました。それは主として輸送の伸びがやはり従前どおりであるという想定のもとに約千八百億ぐらいの増収の予定をしておりましたが、実際にはそれから五百五十億ぐらい減収いたしまして、千二百億前後の、まだ正確な決算は出ておりませんが、大体千二百億ぐらいの増収しかはかれなかった。結論的に数字を申し上げますとそういうことでございますが、これを旅客貨物に分けて申し上げますと、旅客におきましては、これもちょっと申し上げましたが、定期客は相変わらず増加するわけでございます。これはほうっておきましても大体年間一〇%ぐらい増加いたします。したがって、定期収入定期運賃値上げの率は高うございましたけれども、さらに輸送増から見ますと定期収入は非常に皮肉にも順調に実は伸びておるわけでございます。問題は定期外収入で、まださっき申しましたとおりどの地帯で非常に減っているということについては、正確な決算はまだ出ておりませんが、大体私どもの推定で申しますと、やはり東京付近、大阪付近の収入減が大きいということは、やはり近距離の百キロ前後のところの収入減が非常に大きいというふうに考えられます。現在のガソリン代から申しますと、三人乗れば大体百キロ以内の距離は鉄道運賃より自動車が安い。もちろん自動車を持っている人は償却費とか、あるいは税金とかは考えないでランニングコストだけ見ますので、ガソリン代と運賃だけを比較いたしましてよく話が出ますが、三人乗れば運賃より安くなるというのが最近の常識のようでございます、百キロぐらいならば。そういうようなことで、百キロ前後の輸送の減が相当大きい。しかし、まだ百五十キロから以上につきましてはそれほど、大体いまの推定では予定どおりの収入があがっているというふうに思っておりますが、一番国鉄収入の最大の財源でございました近距離のお客さんの収入減というものが相当響いてきた、こういうふうに考えられます。  それから貨物につきましては、これはずいぶん思い切って、何と申しますかいわゆる昔の明治時代の税金的な運賃の制度から、トラックのような原価主義的なものに近づけていただいたということをいたしまして、十ほどの等級のものを四つに簡素化していただきましたけれども、やはりコストを上回る高級品につきましては必ずしも増加しない。先ほど申しましたように、よほどの輸送サービスを徹底的にやらない限り、やはり高級貨物は減少の一途をたどるというふうに思わざるを得ないと思います。国鉄の全体の、国全体の輸送量の中のシェアから見ましても、国鉄シェアは減っておりますし、その減っている国鉄の中でも、さっき申しました石炭、これはまあ別な原因で減っておりますが、それ以外の運賃の面から申しますと、いわゆる高級貨物、たとえば電気製品だとか、あるいは紙パルプとか、こういったものの減少は相当に大きい、今後よほどの施策を講じない限りもう運賃を上げる余力がなくなってきている、こういうふうに思わざるを得ないと思います。しかしながら、一方、国鉄コストを割って輸送しております、たとえば米とか、あるいはその他の低等級と申します等級の低い生活必需品的な物資は、これはコンスタントに鉄道に乗っているわけであります。今後の運賃の問題は全体としてのレベルを上げるということはもう限界にきているというふうに思わざるを得ないと私は思います。物価の値上がりとは別にいたしまして、現在のトラック運賃あるいはその他の自動車運賃あるいは内航海運運賃等を考えますと、国鉄運賃を全体的にレベルアップするという時点はもう過ぎた、もう昨年の運賃値上げでおしまいだということを前提として考えざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。そういたしますと、いま総裁のおことばを御引用されましたけれども、まさにそのとおりで、いわゆる運賃値上げによって極度に収入状態をよくしようということはほとんど不可能に近い。ただ、不幸にして、たとえば定期運賃とか、あるいは等級の低い生活必需品の運賃というものはまだまだこれは鉄道独占性が強いために幾ら上げても減らないといっては極端でございますけれども、上げる余裕がございますが、そうでない非常に競争にさらされている定期外の一般客あるいは貨物で申しますれば高等級貨物というものは、実はもういまの運賃でさえも競争力はなくなっているとは申しませんが、非常に減ってきている、これ以上運賃を上げてもむしろ輸送量は減ってくる、全体としての運賃収入は減ってくる、こういうふうに考えるべきだというふうに現時点では運賃問題については考えざるを得ない状況でございます。
  22. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大体、副総裁からの経営現状を伺ったのですが、運輸大臣ね、これを前提として私、ちょっと伺ってみたいと思う問題が一つあるわけであります。これは副総裁がただいままで言われたことが、この総裁が書いたものにあるわけですが、この中で総裁はこういうことを書いておるわけです。つまり政府の出資を求めているわけですね、ここの中では。それなのに政府は今日までに国鉄にはわずか四十億円より出資をしていない、こういうことがここに書かれているわけです。そうして、そのことでいま副総裁が申されたように、経済の構造変化、変遷、社会構造変化等々ございまして、それに伴う国の政策——国策ですね、に求められて、国鉄がいろいろな仕事をしなければならなくなっている、加えて、ただいまも副総裁申されたように、通勤通学等の問題は去年の運賃値上げをやった際に多少割り引き率を下げましたから、その反対給付としてやや是正されているけれども、なおかつ四十一年の公共負担は八百三十億をこえるものである、こう言われている。そのほかに新聞、雑誌、もうこれはただにひとしいような低い運賃でやっている。それから農林水産物等の特定貨物運賃などたくさんございますけれども、これは「要するに国の政策を国鉄の犠牲においてやっているものだが、」と、こうここで申されております。したがって、出資の可否を論ずる場合は、ぜひともこうした点を関係の人々はもとより国民全体も考慮に入れてもらいたいというような意味のことがここに書かれています。  それから、最後総裁は、市町村納付金の問題、それから社会が、その構造変化してきていますから、それに伴ってまいります都市改造の問題が必然的に全国至るところに出てまいります。具体的には、したがって、鉄道の線路がじゃまになってまいりますから高架をやりなさい、高架化の問題ですね、こういう問題、それと、ただいままで副総裁申されたように財政的な面、経営の面から見ましても、限界ということばを使ったようでありますが、私もそう思っているのですが、限界に達しているような気がする。ですからいまの国鉄現状といったら、もう再建をしなければならないのではないか、ですからそうした観点に立って政府は、是正をするものはしたり、あるいは他の産業、他の企業等々と比較をしてみて幾つかの矛盾を露呈していますから、こういう矛盾を直していくというようなことをしなければならぬじゃないだろうか、これはひとり国鉄の企業努力のみによって私は解決しないんじゃないか、これをそのまま放置しておくならば、政府の、歴代内閣のとってまいりましたそれぞれの計画がございますが、そのことのよしあしを私は申しません、言いませんが、その計画に即応するように国鉄も一次、二次、さらにいま第三次長期計画というものを進めているようでありますけれども、そうした長期計画などというものの遂行は私はできないじゃないか、こう心配するのです。特に国鉄総裁がここで言われておりまするのは、昭和四十二年は「国鉄の将来の明暗を決するといってよい極めて重大な年になりそうだ。」と、こうここで結んでおりますけれども、これを読んでみても、そういう言ってみれば危機感のような感じを私はいたすのであります。  さて、政府のほうですね、特に監督指導する運輸大臣として、今日のこの国鉄の企業が、もはや限界にきたと、こうした事柄をどう一体見ているのか。  それからもう一つは、これは立ったついでですから伺っておきますけれども、ことしのいま審議しておりまする予算ですが、この中の資金計画というものがあるわけです。この資金計画を見て、副総裁運賃値上げをした当初の運輸収入の増一千何百億というものが現実にこの調書で——先ほど副総裁五百億と言いましたが、ここに出ていますものは四百五十三億の減となっています。これは間違いない数字ですね。ですから、そうなって、予定よりはるか少ない収入であったということになっていますね。ところが、依然として四十二年度の資金計画では、今度は逆に、さらに五百億程度増収を見込んだ運輸収入になっている、この表だけでみますと。したがって、この増収の伸び率というのは四百五十三億減になった前年度比の中で、私は約六%前後収入の伸びということで見ているんじゃないかと思うんですね。ですから、いまやもう国鉄は私は独占じゃないと思うのです。空の関係、海の関係、特に陸——自動車ですね、こうしたものと常に競合しなければならぬという客観的な事情の中で、独占じゃないと思うんですね。したがって、年々歳々算術計算的に、たいていいままでは六%前後は運輸収入が伸びてきたのであるからということで、前年度の約五百億ぐらい減収したこの事実を無視して、依然として六%増を見込んだというものは一体何か、これが一つですね。  それからもう一つは、資本及び工事勘定の中で特別債券、依然として去年よりさらにふやして千二百三十億、こうなっていますけれども、この特別債券なるもの、私はこれはたいへんな問題があると思う。前年度のこの約一千億というものは四十年度に本来運賃値上げをすべきだということでいろいろ議論になったんだけれども、当時佐藤総理大臣は諸般の——これは選挙があったであろうし、それから物価等々の政策の問題もあったでありましょうが、政治的にこれを押さえたもんです。したがって、長期計画に欠陥を生じますから、そこで結果的にはこの特別債というえたいのしれない債券を予算面で見積って国鉄の企業責任の中において始末をしなさいということをやられてたいへん——先ほど来副総裁も若干何がしか答えられていたわけでございますが、苦労されている問題ですね。それをさらに千二百三十億というものを今年度歳入に見込んでおりますが、一体これが今日の金融事情あるいは経済が過熱するとかしないとかいま議論されているさなかでございますが、経済事情の中で、ひとり国鉄の企業者のみにこうした努力を転嫁をさして、この収入面で見て一体千二百三十億という特別債というものを消化できるかどうかということを私は非常に心配をしているわけなんです。本来これは財政の問題ですから、大蔵大臣に質問して答えていただくのが本来だと思いますけれども、とりあえずは運輸大臣として、やはりこの予算を編成するにあたっては十分国鉄側の要請等々もあったはずですから、それに対する運輸省としては、こういう問題を相談をして大蔵折衝したかっこうの中から今日原案として私は出てきているものだと考えるのですけれども運輸大臣、こういう関係は一体どう見るのか。  それから、いままでの特別債券を受け持っていただいたそれぞれの金融機関はどういうところで、しかもそれが先ほど副総裁申されたように、長期といっても二年据え置きの七年償還などというやつがていのいいほうだったのですね。そうすると、そうでないものが債券を持っていただいた翌年、翌々年あたりにもうすでに元利償還しているものもあるんじゃないかと思うのですがね、そういう点も含めて明らかにしていただきたいと思います。  それから副総裁も若干物件費、人件費のことに触れられましたが、去年の国鉄の企業会計で見てまいりますれば、利息を約三百億近いものを払っていますが、それを相殺した中で、なおかつ資本勘定へ繰り入れたものは七百七十九億ぐらいになっていますか、今年度繰り入れようとしているものはなっていますね。そうすると、これはその面の会計だけで見れば決してそう困った状態になっていないと思うのですね。ところが一面、先ほど言ったような政府の政策を踏まえた諸般の事業をいま行なっておりますから、当面これは資本勘定に繰り入れられていった結果、企業会計全般の決算をやってみると赤字が出てくる、こういうことに勘定別に判断してみると出てくるのじゃないかと思うのです。しかし、まあことしはそれで済むかもしれぬけれども、来年度一体消却できるかというと、この状態ではできないと思うのですね。一面においては先ほど私が言っている答えはまだ出てきませんけれども、依然として消化できるかできないかわからないような特別債収入面で見込まれて、それから運輸収入の伸びだって、これはかなり私から見ますれば水増しの運輸収入を見込んでいる、こう言わなければならぬものですから、したがって、そういうものを勘案してみると、来年度は消却さえできない。こういう事態が資金計画だけで見てもあらわれてくるんじゃないかという気がするので、この辺は担当の運輸大臣としてどういうようにお考えになっておって、しかもこれは最悪の事態をやはり想定しなければなりませんから、そうした事態が到来した場合にどう善処するのか、このこともひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  23. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 国鉄は御承知のとおり現在線増その他の改良工事のために第三次長期計画を設定し、昭和四十年度から四十六年度までの七カ年間に五千二百億を投入することに相なっておるのでございますが、このうち特に注目すべきものが通勤輸送対策であることは御承知のとおりでございます。元来通勤輸送投資は一般にすこぶる巨額の工事資金を要するにもかかわりませず、採算にのらない面が多く、したがって、できるだけ運賃収入などの自己資金によってこれをまかなうことが理想であるといわれておるのでございます。最近における大都市通勤輸送の需要の伸びに対処いたしますためには、むしろ現在の計画を繰り上げても実施する必要があるといわなければならぬのでございますが、一方において国鉄の財政状態は、副総裁から申し上げましたごとく、全く楽観を許さない状況にありますから、四十二年度の国鉄予算の概算要求にあたりましては、約九百億円の政府出資を要求いたした事実があるのでございます。これは通勤輸送対策等の促進をはかりますために、国の大幅な出資が必要であると判断をいたしたわけでございますが、これは形式的に何も出資金という名目に限るべきものではなく、国鉄全体の収支のバランスをとりますために、一般会計から無償でこれだけの繰り入れを国鉄にしてもらいたいという意味であったと思います。したがって、たまたま御指摘の公共投資等の増額が昭和四十二年度におきましては八百九十億円にのぼっておりますから、約九百億というのはそれにも対応する金額でございますので、公共負担について政府が肩がわりをするという意味で、補助金を出してくれましてもよろしいわけだと思うのでございます。一応予算要求といたしましては、政府出資という形で要求書を提出いたしました。しかるに従来、独立採算でやってまいりました国鉄会計において、にわかに多額の繰り入れを要求したというような状況でございまするので、大蔵省の財務当局といたしましても、なかなかこの問題を完全に理解し、消化するということが困難でございますので、何とかこの問題を検討するために一年間の余裕がほしい。その間に勉強をして、昭和四十三年度の予算編成にあたっては、必ず公共負担等の問題をも含めて、この出資という問題、すなわち一般会計から国鉄に対する繰り入れという問題及びこの問題を含めた国鉄の経理全体の今後の処理ということについて検討を根本的にやってまいりたい。したがって、一年間猶余をしてもらいたいということでございまして、そのかわりに、さしあたり昭和四十二年度の予算編成に支障を来たしまするので、それを糊塗いたしまする方法として、財政投融資その他の借り入れ金増額をはかるというような方法で、第三次長期計画の遂行には一応支障なからしめるという措置がとられたわけなのでございます。で、来年以後の国鉄の資金計画というものにつきまして、ただいま吉田委員から、非常に不安があるではないかということを最後のところで御指摘になったのでございますが、この点は私も全くさように思うのでございます。昭和四十三年度の予算編成にあたりましては、大蔵省との間に、必ず国鉄予算の根本的な検討をいたしまして、適当な解決策を樹立したい、こう思っているのでありまして、すでに国鉄当局を含めまして、運輸大蔵両省の間において、この問題に関しまする事務的な打ち合わせが始まっているような次第でございまして、ひたすら来年度の予算編成に期待をつないでいるような状況でございます。  それから市町村の納付金について御指摘がございましたが、なかなか自治省は、市町村の納付金の減額についていい顔を見せてくれないのでございます。いろいろ折衝いたしました結果、今年度の予算におきましては、三億五千万円と、わずかではございまするが、一応減額に賛成をしてくれたような次第でございます。  それから、今年度予算において約五百億の増収が見込まれている。昨年の予算において減収があったのに、本年増収を見込むということは、はたして間違いないかどうかという御質問でございましたが、昨年の減収というのは、予算に比べて減収でございまして、昨年度の予算は、一昨年に比べまして運賃引き上げ等の点もございましたので、かなり大幅な増収を見積っておったわけでございます。その見積りが実現せずに、約五百億の減収に相なっているということでございます。昭和四十三年度におきましては、幸いに景気も上向きの状況にございまするので、国鉄当局といたしましても、何とか努力をいたしまして、予算面に見積られた増収だけは実現をいたしたいというふうに、努力をいたしているような状況でございます。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣のいまの答え方というのは、メモを読んだような程度なんですな。最後には、善処するとか、努力する、こういうことだけで終ったと思いますがね。毎回、これは善処するとか、努力すると、こう言ってみても、具体性が何らないですよ。ところが、いままでの質疑のやりとりの中から明らかなように、国鉄総裁が冊子に書いておりますように、もう国鉄経営の実態は限界に来ているということは、総裁も言っているし、私どももそう見ているのです。そこで大臣、こうした事情が出てきたことについて、どうですか、国鉄総裁以下、幹部はもとより、五十万も職員がいまいらっしゃると思いますけれども、こうした人々の努力が不足をしてこういう事態になったと思いますか。この点どうですか。
  25. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) まず第一に、吉田委員から、私が答弁をするにあたりまして、メモを読んだのがけしからんというようなお口振りでございましたが、私といたしましては、せっかくの御質問の要領をメモに取ってありますので、これに基づきまして誠意を尽くして申し上げて、むしろメモに基づいて申し上げるのはそれだけ丁寧な答弁をすると、こういう意味でございますので、ひとつ誤解なくお取り願います。  それからただいま、国鉄当局が経営に熱意、努力を持っている点を認めるかどうかということでございますが、私ども国鉄の諸君が、超人的な努力で今日の国鉄財政の非常な苦況を切り盛りしておられる点につきましては、その実情をよく認識し、十分なる敬意を払っているつもりでございます。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 国鉄職員が熱意と努力をもってやっていることは認めるということですね。ですから、言いかえれば、そういう人々の、つまり端的なことばで申し上げますけれども、サボってこうした現状ができたということじゃないわけですね。精一ぱい一生懸命やりながらもこういう状態に落ち込んできたとね、こういうことの理解でよろしいでしょうか。
  27. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) お話しのとおりでございまして、私どもは、今日鉄道事業の経営各国を通じて困難になっております。先進国ほどその程度はひどくなっておるのでございますが、むしろわが国の鉄道経営というものは諸外国に比べましていまなお社会的に経済的に重要な使命を果たしつつある。これはその経営が非常にうまく運ばれておる結果である、こういうふうに認識をいたしております。
  28. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、大臣ね、それ以外にどこかに欠陥があってね、あるいは何かに矛盾があってですね、ここまで落ち込んできたということになると思うのですがね。そこで、ここまで落ち込んでまいった最たる原因は何であるかということを大臣はどうお考えになっておりますか。
  29. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) まず、御承知のとおりわが国におきましても、時勢の変転に伴いまして、従来においてはほとんど旅客並びに貨物輸送について独占的な役割りを持っておりました鉄道が、自動車発達によりましてその独占性を失いつつある。これに対しまして、新しい交通機関に対して国鉄がいろいろな努力を尽くして競争力を涵養しておることは御承知のとおりでございます。いずれにいたしましても、独占性を失ったということがこれは一つの原因だろうと思います。  次に、戦争以来のインフレ等の関係上、たびたび運賃の値上げが行なわれましたけれども、この運賃の値上げにおきましては、いつも、物価対策というような見地から、必ずしも国鉄の従来からのコストを十分にカバーするだけの引き上げが全面的に行なわれておったかどうか。この点はいろいろな点から問題があろうかと思うのでございまして、主としてその二点が今日の収支の困難を来たしました原因ではなかろうか、こういうふうに考えます。
  30. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣は、いまの国鉄というものは独占企業ではなくなってきたと、非常にその点が薄らいできたとね。それから政府の物価対策上たびたび運賃値上げというものをやってきましたが——三十六年もやったですね、それから去年もやった、やってきましたが、それが国鉄コストを完全にカバーするようなつまり具体的にいえば運賃値上げ運賃の政策上それらが原因になって満足なカバーをし切れなかったからこういうことになったと、こう言っているわけですね。私はその二つだけに限っていえばそうだと思いますが、しかし、それ以外に私はあると思うのですよ。これは私の意見も含まれるわけでございますけれどもね、これ以外に、政府として、独占でなくなってきたという産業経済の構造的な変化ですね、それから大臣も言ったように、社会のこの進展、時勢の移り変わりというようなものですがね。そういうことから適切に政府が打つべきことをやっていなかったところにも大きな原因があるのじゃないか。具体的に申し上げますれば、これは大臣も御承知のように、先ほどちょっと私も触れましたが、いままでに政府が公共負担を国鉄側にしいています。これは全体の金額としては私はかなりの金額じゃないかと思うのですよ。去年の運賃法をやったときに、私どもいろんな角度から検討を加えてみたことがあるのですが、そのときでももうすでに戦後七千億ぐらいの国鉄側に公共負担ということでしいていたと、そういう実績が資料によって出てきますが、で、今年度の決算状態でこれはどうなっているかわかりませんが、ここでも総裁が申されているように、どこに幾ら幾らということは言っていませんけれども、八百三十億四十一年度に公共負担をしいられていますということをはっきりこれ総裁が書いているのですよ。したがって、これに対する政府側の打つべき手が打っていないということを私は指摘せざるを得ない。なぜかというと、通学についてはこれは国の政策上やっているわけですね。ですから本来これは文部省としてこの問題を検討して、つまり通学の関係については当然文部省の経費として負担すべきものじゃないですかな。それから学生割引も当然同じことがいえますね。それから特別扱いをしております新聞とか雑誌、これはどこでやるか別としても、こういう問題を扱うやはり省庁というものはおのずからありますね。それから通勤関係においても同じことがいえるのじゃないでしょうか。それから今日、農林水産関係に暫定割引であるとか、あるいは政策等級の割引とか、こういうものがございます。これなどはおのずから農林省でやらなくちゃならぬものじゃないでしょうかね。それと同時に、市町村の納付金もこれはばかにならないのですよ、この金額はですね。これなどはどうでしょうか。大臣も運輸大臣初めてやったわけじゃないでしょうからね。過去に経験かなりある人ですから、あなたは。本来は自治省でこういう問題を検討して、総合的ないまの地方行政に対する特別交付金、あるいは交付税等々からめて検討されてしかるべきものじゃないですかね。こういうものについては何ら手を打っていないわけでしょう。これはほほかむりと、これは国鉄のほうにほほかむりで全部おっつけておいて、しかも運賃法のときに、私どもに提示されたものでございますけれども、特別措置の品目一覧表というものをぼくは見ていますが、これは一五%から一七・二%の大きな割引きをしているものがかなりあるんですよ。まず米が第一そうですね、それから大根がそうですね、なま大根。それから菜豆類がそうです、野菜。果樹がそうですね、タマネギ、まあこれ一つ一つ読んでおりますとたいへんなことになりますから……、それから下級鮮魚もそうです。そういうもののほかに営業割引をしているものもある。この営業割引をしているものは何かというと、石炭それから亜鉛鉱、硫安、消石灰、パルプなどなど、言いますと重化学工業に必要な主として原料、こういうものがございまして、六十九品目にわたって国鉄はどえらい割引きをしいられているのですね。いまの政府の化学工業の重点の政策については、私は立場は異にしいますからそれなりの私考え方を持っています。ただ、私そういう議論いまここでしようとは思いません。ですけれども、国の政策が産業経済を中心として、特にその中における重化学工業を重点として基盤強化をやりながら、日本の産業経済を発展していくんだと、そのためにはいま言ったこういう特別な運賃、これは割り引きをやりなさい、こういうことでやっているわけですね。かってに国鉄がきめたものじゃないのですよ、これは。ですから、当然国も政策上それが必要であるとすれば、いまあなたもおっしゃったようなもはや独占企業ではない、同時に、今日までの歴代内閣の政府の方針に従ってきて、その犠牲になってコストがカバーできなかったという運賃政策等々考えてみると、当然この問題は政府として今年度これはもう措置をされなければならない問題なんです。それがそうせないでおいて、ここまで落ち込んでまいった状況から、来年度には努力をするとか善処するといっても、これはいままで私も幾度かそういうことはいわれてきただけに、先ほど言ったようにどうも大臣は気に入らなかったようだけれども、メモを読んでいました、こう言ったゆえんはここにあるのですよ、大臣。それからもう一つ私言っておきますが、去年の運賃法の、時の大臣、いまの幹事長です、福田さんです。いま伊藤さんいらっしゃらなくなりましたが伊藤さんがこの委員会委員長、たまたま岡本理事もおります。私もその当時理事をしてますから、それからきょう岡さんがいませんが、与野党の運輸委員会の理事と委員長と、それから時の大蔵大臣の福田さんといろいろこの問題について話し合ったことがあるんですね。その話の内容はここでは私は明らかにしません。しませんけれども、この公式の委員会でいま私の意見として申し上げたような内容のものを含めて、第一に、昭和四十二年の予算編成にあたっては政府の出資をせざるを得ないということが第一項目で議論された。  第二は、先ほど来副総裁も言っておりましたように、利子を払っていくだけで精一ぱいだといういわゆる問題があるのですね。ですから、この問題に対して国鉄に対する利子補給、それから、それをはじめとしていま言われる公共負担、市町村の納付金等々については、国鉄経営の基本問題について重大な影響を与える問題だ、ですから、すみやかに最初の出資の問題は四十二年度予算編成——こういうふうに言いましたが、いまあとから申し上げた問題については、すみやかにあなたも言ったような善処、検討しなければならないということを、この委員会の最終日に政府を代表して、あなたの前任者の中村寅太運輸大臣は答えているんです。これに対して、どう私は善意に理解しても、昭和四十三年度に何とか善処、努力せねばならぬということをよく私は……、大臣、私は善処せなければならぬと思っていますけれども、いますけれども、いままでの経過なり背景から考えてみますれば、どうも私はここで釈然としないものがある。これは私ばかりではないと思いますよ、当時立ち会った岡本理事でも、いま当時の伊藤委員長はいませんけれども、みなそう同じような考え方に立つのじゃないかと思いますがね、こういう点は、一体引き継いだ後任の運輸大臣としてどうお考えになるのですかね。
  31. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいま、昨年の運賃改正当時のいろいろな話し合いのいきさつにつきましては十分に承った次第でございまするが、先ほど来申し上げましたるごとく、今年度予算の編成にあたりましては、大蔵省も先例のない措置であるし、また金額もすこぶる多額にのぼりますので、予算編成の最中にとうてい妥当な結論を出すことは困難である。したがって、この問題の解決を一年間延期してほしい、こういうことでございまして、その間の経過的な措置としては、先ほども申し述べましたるごとく、財政投融資等によって当面を何とかやりくりするという措置を講ずるので、そこで何とか一年待ってもらいたい、かような誠意ある、また懇篤な話でございましたので、私も財政当局のこの提案に応諾をいたしたような次第でございまして、その結果、昨年の当委員会におけるお話し合いの中に、四十二年度から適切な措置が直ちに講ぜられなかったという結果になりましたことはまことに遺憾でございますが、いきさつはさような次第でございまするので御承知賜わりたいと思います。
  32. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのいきさつが、まあ大臣から申されましたから、おそらくきょうは、そのことによって四十三年度の予算編成、政府原案を煮詰めるという事務的なものは、おそらく八月かおそくとも九月ごろになると思いますがね、ですから、すでにこうしたピンチに立っている国鉄の経済事情ですから、経理事情ですから、大蔵省とそれから運輸省のほうとは何か折衝をしているんだと私は思うから、この点はそれ以上申し上げません、上げませんけれども、その事情はいままでの経過からあのいきさつというものを十分御認識しているようですから、あえて言いませんが、特段の、私は大臣ね、努力をしてもらわなければたいへんなことだと思うので、そういう点強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、根本的な問題があると思うのですね。その問題は、交通事業でもそういう現象があるんですがね。不採算路線をかなり国鉄は抱えていると思うんです。だから、いま不採算路線がどことどこで、その不採算路線に対する財政的なカバーを採算路線によっていますから、そういうものの比率とか何かを私はここで聞こうとはしません。しませんけれども、この不採算路線を抱えているために、一つにはやはり経営的な非常な苦労の多い点も国鉄側に私はあると思うのです。さて、大臣、国鉄というのは都合のいいときには公共性を盛んにいわれるんですね。御都合が悪くなるとどうも政府の人々のほうに独立採算制ということをよく言ってくるんですね。国鉄も本来企業ですから、企業の見地に立てば採算のとれないわけですからやめたらいいんです。しかも独占じゃないのですからね。ところが大臣どうですか。公共性というものから見たらやめるわけにはまいらぬわけですね。そうしますと、当然そこには国の手だてというものがなければこれはどなたさんがやったってやれないと思うのですよ。ですから私はこの公共企業体というものと独立採算制というものの側面を一体政府がどうとらえていくかということがまず一つの疑問になる点がございますね。  それからもう一つは、国鉄というのは、こういう公共企業体と独立採算制と二面性を持っているんですけれども、プラスして、この企業は経済というものと政治というものの二面性を持っているような気がするんですよ。これはもう、大臣御承知のように、日本経済のいま中期経済計画というものを立てて、具体的には特に社会発展計画とかいうえらいりっぱな論文が予算委員会に出されておりますよ。私も見ていますがね。そうした計画の中でも、国鉄というものは経済から切り離すことができるかというと、できないのですね。国鉄というものは日本の産業経済の、今日なお私は動脈的な使命、そういうものを持っていると思うのですよ。ですから、経済的な面からの一面がある。それからもう一つは、先ほど来いろいろ話しているように、国鉄の企業をやっておられる人々は精一ぱいやっているんだ、目一ぱいやっているんだ。だけれども、なおかつ今日的な諸情勢の中では、そういうたいへん財政的に、経済的に、経営上ピンチになってきている。こういうものについては、一面においては私は政治というものの側面を持っているような気がする。これはあなたも先ほど来言ったように、政府の物価政策というもの等、いろいろ考えて運賃政策というものを政治の場でとらえてきたのですから、そういう面での私は政治性があると思うのですね。こういう点を一体大臣はどうお考えになっていますか。
  33. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) まず第一に、昭和四十三年度の予算の編成期に当たって、先ほど来私の申し上げました努力を必ず実りあるものにするように、一段と御激励をいただきましたが、これにつきましてはありがたく拝聴いたします。すでに国鉄当局をまじえまして、運輸当局、大蔵当局の間には来年度の予算編成の一般的作業に先立ちまして、国鉄財政の問題を取り上げましてすでに折衝を開始していることだけをお答え申し上げておきます。  次に、国鉄公共性とその独立採算制の両面性からくる矛盾の問題、また経済性と政治性からくるところの矛盾の問題、これに対しては政治的に特別な配慮が必要であろうという御結論であろうと思いますが、この御意見に対しましては私は全面的に同意いたします。したがいまして、来年度予算の編成に当たりましては、そういう筋が通るような予算をぜひともつくるよう今後とも努力をいたしたいと思います。
  34. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 非常に、大臣からそういうことを十分考えるという意味、いま私が申し上げた意見を肯定したわけですから、それ以上私は何も言うことはない。したがって、そういう方向で積極的にやってもらうということと、先ほど来言ったように、出資がいいか、あるいは助成の措置がいいか別問題として、とにかく運賃をきめたときにすでに今日あることは想定されるわけですよ。その上に立って政府が答えられておる出資の面と利子補給の面ですね、それから地方自治団体との関係の負担金ですね、こういう問題をやはり検討してまいると同時に、大臣、もう一つは都市改造の問題とからめて、これはひとり国鉄だけじゃございませんよ、私鉄の関係も出てくるし、都市交通の関係も必然的に出てまいりますけれども、高架化の問題があります。これは予算委員会で私は大蔵大臣に伺ってみようと思っておりますから細部にわたって申し上げませんけれども、その中で国鉄だけとって見てまいりましても、全国でいま都市改造をやらなければならぬところに高架化の問題が随所に出てきております。そうすると、いままでの国建協定によりますれば、ここまで追い込められてきた国鉄の財政事情の中ではその協定を実行していくということは不可能だと思います。そうしてまた当時の国建協定というのはかなり早い時期ですから、時代の変遷にそぐわない点がありますから、そういう問題を再検討して、当然そのことをやることによって国鉄が受益する面があります。構内改良をやるとか何とか、そういうものは直接に国鉄は受益します。国鉄が受益するものは、これは当然国鉄が負担すべきだと私は思います。ですけれども、そうでなく、社会の構造変革、都市の構造変革に伴い、そのためのつまり都市を改造していかなければならぬというものについては、これは私は国の責任においてやるべきものである、こう思っておりますので、そういう見地に立てば、この国建協定というものは、もはやかなり古いものになる、こういう感じがいたしますので……ただいまのは答弁要りませんが、来年度予算編成とあわせて一つの重要課題として運輸大臣に取り上げていただきたいということを私は申し上げておきます。  さて最後に、これはもうすでに十二時過ぎましたから一つだけ伺っておきますが、いままで申し上げられてきたような事情から、いま盛んに各三公社五現業がいろいろ給料を上げていただきたいという問題が起きていますね。で、これはいろいろなことが取りざたされておりますけれども、そうした事柄をこの委員会で私は申し上げるのでなくして、どうもきのうあたりの調停作業段階を見ておっても、国鉄だけが合議に入れないというような事態ができていると思うのです。そこで私は、国鉄総裁、副総裁はいまおいでになっていますが、経営の責任者であります人々は、おそらくはその合議に入っていけないというゆえんのものは、試みにはあるのだけれども、具体的に入っていけないということは資金上の問題ではないか、こう思って見ているのですがね。見ているのですが、たまたまいま予算審議の過程にあるわけですから、当然これは諸般の客観的な事情等を勘案してみたって、これだけ上がってまいった物価等々の事情からからめて、いまの給与水準でいいとは大臣も思わないと思うのです。ですから、したがって、それを始末をしなければならぬとすれば、これまた何かしなければならない。国鉄事情の中では、いままで申し上げたように、ないですね。そういうその弾力的な運営をしていくということはできないというようなのが実態でしょう。だから合議にも入っていけない、こういう事態が生ずると思います。だからない袖は振れないときは、それで済まされるかというと、私は済まされないと思うのです。ここらあたりどうなんでしょう。しかもあなたもその衝にある閣僚として、それぞれこの間の予算委員会でも、官房長官は調停の段階で始末をしたいという、努力をしているということを言われていたんですが、国鉄の場合は、たいへんないま事態に直面しているような気がします、私は。そこで去年だって機の三号まで予算を出して始末をしたことがあるのです。ことしはいま予算審議をしていますから、大蔵省として、政府が叱る気になれば、機の一号なり二号を出してもいいんじゃないかな。ここらあたりあなたに、国家財政の問題ですから、運輸大臣に聞いてもしようがないから、私はやがて大蔵大臣にも聞こうと思っておりますが、それは答えられたければ答えられないでけっこうです。そこのところはけっこうですが、予算編成の技術上の問題として私は可能なような気がするのです。したがって、運輸大臣としては、その予算編成上の、技術上のことは別として、いまの事態をどう眺めておるのか、この点をひとつ率直に聞かしていただきたいと思います。
  35. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 今週の火曜日の閣議直後におきまして労働関係の閣僚懇談会が開かれまして、その席上におきまして申し合わされましたことは、三公五現に対する従来の対政府の労使関係は必ずしも適当であったとは思われない、これを将来にわたって改善いたしまする一助といたしまして今年の春闘においては仲裁手続の段階において各公社の理事者から相当建設的な賃金に対する回答を提出するように取り運びたい。こういうことでございました。その率といたしまして大体昨年の仲裁裁定の中で決定された程度の率の引き上げはやむを得ない、こういうふうな回答を各公社からしよう、しかし、予算審議の最中であるから金額を示すわけにはいかないが、金額については調停委員におかれて適当に決定されるようにしてもらいたい、そしてそのために直ちに合議に入ってもらいたい、こういう要求を各公社当局から公労委に対してしようじゃないかという御相談でございました。ただしその際において国鉄だけは例外であって、国鉄の経理状態から考えて、国鉄当局としてはさような申し入れをすることはできない、こう言っているので、その国鉄当局の申し入れは例外として認めよう、こういうことでございまして、御承知のとおり昨年来国鉄当局といたしましては国鉄財政の未曾有の危機に対処いたしまするために大蔵省といろいろ折衝を重ねてまいっておるのでございまして、その折衝がある程度実りまして、昭和四十三年度の予算編成にあたっては必ずその問題を取り上げて検討して結論を出そうじゃないか、こういうところまで大蔵当局を引っぱってまいることに成功をいたしておる状況なのでございます。したがって、この折衝が成功いたしましたならば、今後の国鉄財政が非常に改善され、国鉄としては根本的な改善に成功することができるという状況でございまして、いわばいまは国鉄の将来長い経理のことを考えますと、それがうまくいくかいかないかのせとぎわにあるということも言えるわけなのでございまして、そういう際において国鉄の理事者諸君が経理に影響のある賃金問題について非常に慎重な態度をとりたいという気持ちも私にはよく理解ができたようなわけなのでございます。そこで国鉄といたしましては仲裁段階において他の二公五現のごとき有額回答をすることはできないという事情にありますから、政府といたしましてもこれを認める。そうすれば国鉄は仲裁段階を素通りいたしまして終局的には仲裁手続に入らざるを得ないだろう、この仲裁手続のことを考えまするというと、従来の公労委の態度等から考えまして、この仲裁手続におきましては労使間の言い分を十分に取り上げるばかりでなく、民間の賃上げの実情、物価の状況、こういったことを十分判断の資料に取り入れられて結論をお出しになるのでございまするから、相当公正な金額がきめられるであろう、したがって、私は調停段階における手続が不完全でありましても、仲裁手続において終局的には国鉄の関係労働者諸君の賃金も他の二公五現に決して劣らないようなバランスのとれた賃金が仲裁裁定で出る、こういうふうに予想をいたしたわけなのでございます。従来から政府といたしましては、仲裁裁定につきましては、これを尊重し、文字どおりこれを厳格に実行するという態度を数年来とっておりまするので、今年におきまして、いかに国鉄の財政が苦況にありましょうとも、一たん仲裁裁定が下されました以上は、政府としては国鉄当局をしてこれを必ず実行せしめるという態度に出ることは疑いないところなのでございまするから、したがって、私は調停手続において他の二公五現と別扱いをされましても、終局において賃金は必ず他の二公五現にまさるとも劣らざる結論が得られるであろう、こう思いまして、ただしかし、調停手続において別扱いをされておるということが国鉄関係の各労働組合の組合員諸君に非常な不安を与えておることは、これは疑いのない事実でございまするので、国鉄の立場といたしましては、それ以上ということもできなかろう、こう思いましたので 特に運輸大臣としての資格におきまして、私は国鉄関係のおもなる三つの労働組合の委員長以下三役をお招きいたしまして、ただいま申し上げましたような国鉄の窮状、また国鉄の経理の将来にとっていまいかに大事な時期であるか、したがって、こういう時期において国鉄当局が調停手続において他の二公五現と異なる態度に出なければならぬ点もやむを得ないのではなかろうか。しかし、政府という立場からは、必ず国鉄労働者の諸君の賃金の引き上げについては他の二公五現と必ずバランスのとれた均衡ある結論を得るように努力するし、また公労委においてもそうした結論が必ず出るから、それは必ず実行する。したがって、この点をよく理解していただきたい、こういうことをお願いを申し上げたわけでございます。むろん各組合からは、そういう事情でございますから、それに対するお答えはございませんでしたが、私のほうから一方的に懇篤にお願いを申し上げてある次第でございます。
  36. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣の申された事情はわかりました。ですけれども、いま大臣が申されたようなことが考えられ、それが可能だということであるならば、私は公労法の十六条できめられていることとは相反するわけじゃないんですから、調停段階は、それはどうなるかは別としても、仲裁の中でははっきりしたものが——これは仲裁委員になる人々がきめることでしょうけれども、いい得るのじゃないかという気がしますね。大臣は労働大臣やりましてよくこのことを知っているわけでございますから、十六条の問題は、つまり団体交渉の中でどういうことをきめたらいけないということを書いているわけじゃないでしょう。十六条というのは、こういうことをきめてもいいが——つまりこの給与総額からはみ出て予算上、資金上どうにもならない場合は国会承認を得ると、公労法の十六条のきめはそうなっているわけですからね。そうですね。そうすると、いま大臣の答えられたことが可能だということであれば、当然仲裁へいって予算上、資金上、これはもう給与総額を上回るものが出るということなんです、金額はいってないけれども。そうすると、これまたいきおい国会承認を得るということになるのですからね。同じことなんだよね、これは解釈上は。そうですね。ですから、私はそうであったならばいまたいへんな事態が展開されつつあるわけですから、そういうことなのだからこの問題については労使双方の団体交渉で本来きめるべきものです。ところが片や国鉄側には財政事情が許さないということから、それがきまらないで調停に持ち込まれて仲裁ということになっているのだと思うが、しかし他の公企体との関係を見てみますれば、具体的な有額のまま、それは妥結するしないにかかわらず出ている。片やただ単に国鉄のいまのような事情だけで出てこない、政府はどうだと聞いたら政府は他とは遜色のない始末をするのだと、だから了解していただきたいという——ぼくに言ったんじゃなくて相手側に言ったというのでしょう、大臣は。それが可能であったらその以前だってそういうことはできるんじゃないですか、ここらあたりどうですか。
  37. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 理論的にはまさしく吉田委員の言われるとおりかもしれません。ただ先ほど来申し上げましたるごとく、国鉄の理事者の立場といたしましては、来年度の予算編成の結果いかんによって、国鉄百年の大計がなるかならぬかというような立場にあるわけでございまして、しかもこれを実現いたしまするためには大蔵当局の全面的な協力を前提にしなければならぬような実情でございますれば、本来から言えばそういう必要はないということは重々言えるのでございますが、しかし、人情といたしまして国鉄当局としては大蔵当局に対してはいろいろ心中はばかるというような気分があるのではなかろうか、それもどうも国鉄の重大なる立場、そしてまた国鉄の理事諸君の来年度予算に対する重大なる責任ということを考えまするというと、私も十分その気持ちには共感ができました次第でございまして、したがって、こういう立場にある国鉄当局として、大蔵当局の意思いかんにかかわらず一方的に仲裁手続において、予算上、資金上困難なる金額を内容とする回答を申し出るということは、これはできるだけ避けたいという気持ちが、また今後の国鉄の再建につながる気持ちと変わらないのでありまして、私はその気持ちを尊重いたしまして、国鉄当局のさような態度を関係閣僚会議においても認めるにやぶさかでなかったような次第であります。しかしながら政府当局といたしましては、国鉄の労働者に差別待遇を与えるというようなことは、政府全体の労働政策としても断じて許されないことでございまするから、必ず他の二公五現の諸君とつり合いのとれた賃金をとれるように最後まで努力をする、こう申したわけでございまして、しかし、それには現在の政府の立場といたしましては、一応公労委の手続を通じて金額が明示される、あるいは団体交渉の手続を通じて金額がきまってくるということが前提になるのでございますから、団体交渉についてはいま申しましたように、国鉄理事者の立場からいって金額の妥結をみることはむずかしい、政府といたしましてはこれが仲裁手続に移行され、仲裁裁定の下るのを待って、これに対してはあくまでも尊重、善処いたしたい、こういう次第でございます。なかなかこの点には言うに言われぬいろいろな気持ちがあることをひとつ御了解していただきたいと思います。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、いま政府側がとられる態度について少しお伺いをしたいと思うんですが、なるほどプロセスとしてはね、一応いままでの関係閣僚懇談会の取りきめですね、そういう筋から、大体四十三年度については将来に向けて国鉄ほんとうに経理が安定するような方向で、具体的にもう会議にも実は入っておる段階だと、こういうふうな状態だから、それを踏まえた国鉄当局としては、やはり政府部内の今後の予算編成その他のことを考えればですね、それはなるほど国鉄労使の関係の中でものを言い、あるいは調停委員会という場でものを言いにくい立場に——言いにくいというよりも、むしろ言えないような立場に追い込まれていることは、これは事情としてよくわかるわけです。大臣、そこに共感を感ずると言ったが、私は共感ではいかぬと思うんですよ、これは。むしろそういう立場に国鉄当局を追い込んでいるのは、そういうところへ国鉄当局が追い込まれているのは、実は今日まで政府国鉄経営の問題について、何回となく、本委員会でももちろんでありますし、関係の委員会でも言っておるように、にっちもさっちもいかない状態になるんだから、いつまでも公共性と独立採算制の経営の矛盾というものをこのまま放置しておいたんではいけないんだということをしばしばこれは強調をしてきたんで、先ほど大臣は、何かにわかに国鉄経営が行き詰まったようなことを、まあことばの端をつかまえるわけじゃありませんが、これは長い間の実は問題なんです。したがって、この前の運賃値上げの際にもそのことが最大の問題になっておって、政府は十分その点を検討しますといって、もうすでに一年有余たってしまった。そうしてここにおくればせながらも、一応四十三年度予算編成にあたっては、具体的に御相談をして何とかするというところまできたんですから、その前進は私は認めたいと思う。ただ、理論的には吉田委員の申し上げるとおりでございますというけれども、いま当面している問題は実は現実的な問題なんです。一面経営のあり方をどうするかという問題も現実的な問題であると同時に、国鉄の関係でいま労使が直面をしている問題もこれまた現実的な問題。言いかえれば、ほかが、世間一般の賃上げの問題が片づくという時期に国鉄だけが取り残されるというような関係になっては、やっぱり相当不安もあるし、あるいは業務の運営もなかなか円滑にいかないと、こういう事情にある一面も、大臣もこれは十分におわかりになっていただけるんじゃないか。そうすると、労働問題としてひとつとらえていくならば、政府はここでやっぱり国鉄当局が言いづらいんじゃなくて、言いやすいように、たとえばさっき出た政府保証債じゃないけれども政府がきちっと態度を保証してさえやれば、国鉄の労使問題というものは、それはやっぱり無用の紛争や混乱というものをなくして問題を解決することも可能なんです。そこのところについて、大臣、どう考えられるか。ここがぜひ大臣に伺いたいところで、それは新聞読みましても、私たちにしても三公社五現業ということばがなくなって、少なくともここ二、三日は二公社五現業。こんなばかな話はこれは世の中通らぬですよ。そうだとすれば、せめておまえ、手続上あるのだから、調停はとにかくだまってじっと待っておれ、仲裁へいけば大体同じようになるんだぞと、こう言ってみたって、なかなかそれは現実に働いている人たちは、気持ちの上で安心できない。やはり雇い主である国鉄当局のほうから、こういうことなんだという関係が出てこないと——これは調停にゆだねている以上は、具体的な金額を言うというわけにはこれはいかぬと思う。だけれども、そこのところがすかっと出ないものですから、大臣が一方的に言って、それでもうものを言えば終わりという関係では、これは問題の解決にならないという状態に現在置かれておるわけですからね。そこのところを大臣、少し何かの、国鉄当局をしてもの言いが多少できるようなことの方法を、大臣はこれは労働問題のとにかくベテランでもあるのだからね。ここのところをひとつ、いまなければないでまたやむを得ないと思うが、できるだけ早い機会に、やはり政府部内の意見というものをまとめて、事態の解決のためにここでひとつ大臣がそういう立場で一はだ脱いでいただくということが、監督官庁の運輸大臣としてどうしても必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、その点をひとつ伺いたい。
  39. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) まことにごもっともしごくな御質問でございまして、お答えを申し上げることばを見出だすに苦しむような次第なのでございますが、何ぶんにも、先ほど来申し上げましたるごとく、国鉄といたしましては百年の大計がなるかならぬかという大切な時期であり、またこの問題につきましても、運輸当局といたしましても、対大蔵省の関係において、運輸省は国鉄当局と一体になって大蔵省に話をいたしておるような状況でございまして、運輸省としても、この段階におきましては、内心は国鉄と同じような気分に引き込まれている点も必ずしも否定できないわけなんでございます。しかしながら、運輸省には政府としてのおのずからな立場がございまするので、そこで国鉄財政の状況がいかにあろうとも、また、大蔵当局の感触がいかがであろうとも、政府の労働政策といたしましては、三公五現の賃金については従来からおのずからつり合いというものがあったのであって、二公五現について賃上げの措置がとられる以上、この際国鉄についても、従来のつり合いから見て妥当な賃上げが行なわれなければならぬ、こういう意味で労働組合の諸君に特にそのことを申し上げた次第でございまして、まあ私といたしましては、いろいろな事情を考え合わせまするというと、これが私のとり得る最善の努力の限度であるというふうな気がいたすのでございまして、そこをはっきり理屈の筋道を立てておっしゃられまするというと、私もこれ以上お答えをすることばがないような次第で、この点はまことに申しわけなく、遺憾に存じますが、どうぞいろいろの実情をひとつ御了察を賜わりたい次第でございます。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 大臣の答弁は答弁として、私はある程度これは了解を、そういう意味での今日の答え方としてはよくわかるような気がするけれども、しかし、大臣としては、いま大臣が直接直面をしておるこの問題が、実はこの今日の——ちょっと飛躍した言い方をするかもしれませんが、国鉄経営自体が今日こういう状態になってきているということも、実は私は率直に申し上げたいのですよ。これはちょっと大臣、あるいは私が意識してものを申していると同じように、飛躍しているというからちょっと理解がしにくいかもしれませんけれども、とにかく大臣のお答えを聞いておっても、政府部内なんですからね、だから、大蔵省のあるいは担当者なり、その関係のところと運輸省が折衝をするといったような問題を、私はあまり求めているわけではない。ここはやはり政府全体として、佐藤内閣としてはやはり三公社五現業というものの賃金問題の円満な解決という、そういう立場から大臣は閣議の中でやはり発言をされて、政府全体として二公社五現業でなしに三公社五現業というような立場を原則的に確認をして、国鉄当局をしてある程度労使の関係が、この段階で自信を持って円満解決な処理ができるような、そういう立場を大臣にとってもらえないかという、こういうのが私の申し上げたいところです。実はそういうことを、ざっくばらんに言って、はばんできたのが、今日まで公共性、独算性の問題についても、大蔵省当局が——これは私あまりそういう面で、大臣とは違いますから、責任がないと思いますから申し上げますけれども、どうだこうだといわれることはないと思いますから申し上げますけれども、大蔵省の今日までの一つのさいふを握っているという立場が、ある程度公共企業体の経営問題ということについても、相当これは窮地におとしいれてきたことは間違いないんです。運賃の値上げ問題のときにも直接ぶつかった問題であります。しかし大蔵当局としても、そういう考え方というものが一歩前進をしたというから、私はその意味では、これを非難しようとして申し上げているわけじゃなくて、大臣がもう一歩ひとつ当面の問題解決のために、そういうことを抜きにされて、政府としてひとつ態度をきめていただくようなところにもう一歩進めた努力ができぬものだろうか、そういうお考えはないだろうかということをひとつお伺いしたい。
  41. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 三公五現の性質からみまして、賃金問題についてこれを常に平等の立場において取り扱っていくことが、政府の政策の理想であることは、もとより申すまでもない事柄でございます。ただ、現実に今度の場合におきましては、国鉄現状等から考えまして、政府といたしましても、仲裁段階を経た最終的段階においてはともかくといたしまして、調停手続の段階においては三公五現を同一に取り扱うということは困難であるというふうな結論を下したようなわけなのでございまして、この点がいろいろ批判の起こるところなのでございますが、さような結論を下すにあたりましての私の考え方につきましては、先ほど申し上げたような次第でございまして、国鉄当局としましても非常にこの点は残念に思っておるであろうと思いまするが、まあ一日もすみやかに国鉄の財政の根本的な対策を立てまして、明年度以後においてはこういうことのないようにいたしたいと、こう存じます。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 もう一回。四十三年度の予算編成の問題は、これは間に合わないですよ。そのことを通して、いまの賃金問題を解決するという関係は、いずれにしたって、理論的にも現実的にも間に合わないでしょう。これはおわかりでしょう。そうしますと大臣、やはり政府の考え方を伺いたくなるのですが、仲裁ならばこれはしようがない。調停の場合には、ある程度、まあまあと言われるという、これもやはり政府の問題の扱い方としては間違っているのじゃないか。本来ならば、労使の団体交渉できまれば一番いいことなんですね。が、不幸にしてなかなか話がつかないから、第三者機関である調停を使うということになり、最後には仲裁というものを使う。できれば調停の段階で解決すれば、これはもう次善の策なんです。仲裁へ持っていくと、たいへんにきちっときまったように思うけれども、これは一番下策なんです。本来ならば団体交渉できまるのが一番いいのです。だからこれはいま政府が、仲裁が出たらひとつということで、それは大体二公社五現業が三公社五現業というかっこうになると、大臣はこういうふうに言われているけれども、それをいま一歩調停の段階にまで進められぬだろうかということを、実は大臣にお伺いしているつもりなんです。
  43. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) その点は、先ほど来申し上げましたごとく、国鉄の現在のいろいろな立場から見て、国鉄の理事者としてはむずかしい、こう判断したわけでございまして、政府といたしましても国鉄理事者の判断を、やむを得なかろう、こういうふうに認めた次第でございます。
  44. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私の質問に関連して木村委員が二、三質問をしたわけですね。そこから出てくる答えは、非常に運輸大臣として歯切れのよくない答え、まあやむを得んのかもわかりません。ですけれども、具体的にこれから、予算をいまやっているわけですので、ですからその予算とのどういう関係になるかということがやはり問題になりますよ。大臣の答えていることば意味は、いまの時限で私どもは理解したとしても、具体的にしからば今後審議している予算との関係がどうなるかということが出てくるのです。非常に、国鉄の再建ということばが使われたり、それから百年の大計上こうだということばを使われましたが、その意味は、私はわからんわけでもないわけです。ですけれども、そのことと、いま起きておりまする賃金紛争の問題は別なんです。これは別なんです。そのことを複合させて大蔵省に対する、国鉄側は別として、運輸省として、当面ねばり強く接触をしていくということについては、どうも私は迫力がない。特にさいぜん国鉄経営現状を聞いたり、それを打開するためにはどうするのか、どこに問題点があるのか、それから国鉄総裁以下五十数万の職員がさぼったからこういう状態になったのかと聞いた意味もそこにあるのだが、さぼってないと先ほど大臣が答えられたように、非常にりっぱにやっている。苦労してやっているのです。だからそういう事情の中で、賃金紛争というのは別ですから、大蔵省にもっとそういう点を明らかにしてこの問題の解決にあたるように、これは積極的な姿勢を運輸大臣にとってもらいたいというふうに私は思う。  なぜそういうことを言うかというと、現に昭和三十二年から昭和四十一年までに、国鉄が、本来大蔵省として国家財政の中で検討されなければならなかったはずの公共負担というのを七千億しております。言ってみれば大蔵省に貸している。大蔵省に貸しているということは、国鉄側は企業として政府に貸している。単純な考え方で言えばそれを返せということです。返せばいい。答えはすぐ出ますよ。国鉄経営者はその中で、つまりいまの賃金紛争問題だけ取り上げたってすぐ回答出ますよ。それがないから国鉄側としてはどうにもできないという状態に私はなっていると思う。その返す、返さないの問題が煮詰まっていないということです。運輸大臣もいままでやってないのです。やっていないということばはよくないけれども、やっているけれどもなかなか進まないということだと思う、これは。大蔵側としては金がない。国家財政運用上のやりくりがつかない、こうきっと言うと思う。ところが、衆議院段階においてこの問題を取り上げたときに、水田大蔵大臣は必ずしもそういうことを言っていない。いま大臣が、これは政府閣僚ですから十分そういう点は連携がとれていると思うからそうなっていると思うが、これはいま大橋運輸大臣が言ったような意味のことをやはり言ってますよ。衆議院のこれは大蔵委員会でも堀さんという人の質問に対して答えられている。そういう意味で私は先ほど来善意にあなたのことばを聞いていた。だからそういう客観的なものがあるわけですから、あるわけですから私はやはり積極的に働きかけてよろしい、こう言っている。金がないならこれは運輸大臣、突拍子もない話をするようだけれども、そうでもないですよ。金がなかったら在外財産のあれほど問題のあるものに対して二千五百億でしょう、与党としてきめたものは。いま大蔵省と折衝中ですね、二千五百億ですよ、やり方はいろいろあるんだと思うのだが、金がなくない。しかも、本来昭和四十一年度分だけの公共負担を国鉄に返したって八百三十億ある。そういう手立ては何にもしないで、いまの事情だけ考えて、いわゆる賃金問題が解決できないということはあまりにもまじめに今日総裁以下やってきた職員にその責任転嫁をする、そういう問題のしわ寄せをやるということ以外に私は何ものもないと思う。大臣、どうですか。しかも、仲裁裁定へいったならばそれはという意味はどういうことでしょうかね。この予算の中には、これは大臣、経営費の中に給与予算が入っておりますが、分類されていませんから何がし入っているかわかりませんが、この六千五百四十三億で運用するということですか。具体的に仲裁裁定が出たらそこの中で運用するということですか。できないでしょう、これは。これはもう国鉄の副総裁、責任者がいますから、聞いたらできないというだけの話だから聞かないだけで、これはできないですよ。できなければどうするのかということです。だから冒頭言ったように、いま予算の審議過程ですから、過去にそういう例がなかったわけじゃない。機の一号、機の二号、機の三号まで出した去年の予算の例があるのです。ですからやろうと思えばできる、やろうと思えば。ということは、あなた方の努力によって、大蔵省が国鉄にいままで七千億というばくだいもない公共負担をかけたのですから、それだけ政府はその金を別な面の産業投資をしたことになるのですから、そうでしょう、だからこの段階では七千億なんというものじゃなくったって、とりあえずは昭和四十一年の八百三十億というものを、公共負担をかけたのですからそれを始末をしてやる。そのやり方はいろいろあると思いますけれども、その公共負担だということで、ぼくはお返しするということだけでなくったっていいと思う、そのしかたによっては。そういうものを具体的に取り上げて私は大蔵当局に迫る必要がある。これはこのままではどんなにここで大臣がいろいろがまんしてもらいたいとか、あるいは国鉄の再建のためにとか、あるいは国鉄の百年の大計のためにいま国鉄がものを言えないということはやむを得ませんと言ったって、これはとてもじゃないけれども通らないですね。ですから仲裁裁定が出たら——しからば出る時期は、予算は二十七日に自然成立ですからね、物理的に、時間的に間に合わないなら間に合わないというように、そのあとをどうするのか。こういうものがなければ、これは国鉄経営者は経営費の中でやりくりをやれと言ってもできませんよ。ましてや工事経費の第三次長期計画の中で運用してやれと言っても、手品師でなければこれはできませんよ。これはどうですかな。
  45. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては先ほど申し上げましたるごとく、最近数年来の不文律といたしまして、仲裁裁定は必ず尊重実施するという立場にありまするので、私はこの際におきましては仲裁裁定が下されるのを待って、そして既成事実としてこの問題を政府全体の責任で処理していくということが一番いいんじゃないかと、こう思うわけでございます。
  46. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 わかりました。そうしますと、いまかなり時間が経過しておりますから、端的に聞きますけれども、そうした努力の具体性というものは直近の臨時国会で補正をするということですか。
  47. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) まだ仲裁裁定が出ておりませんので、何とも申し上げかねます。仲裁裁定を見ました上で、政府全体の責任で必ず実施いたすようにいたしたいと思います。
  48. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 仲裁裁定が出ていないと言いますけれども、間もなく出ますね。これは大橋運輸大臣は労働大臣の経験者だからなおこういうことを言うのですが、出るのです。金額が幾ら幾らということはいまは言えない。私も言えない。大臣といえども言えない。言えないがつまり公労法の十六条に規制されている、つまり資金上、予算上始末のできないものが出る趨勢であることは間違いないのです。だからあなたは先ほど来つまり国鉄を除いた二公社五現業と遜色のないことを政府の責任において始末をしたいということを言っておるわけですからね。出ることは間違いない。ですからあなたのいま答えられたことについては私は善意をもって了解をしますけれども、具体的にやるとすれば、直近の臨時国会で補正をするということ以外にない。ですからこれを聞いておるのです。金額は別としてそうですよ。手続上そうですよ。
  49. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 財政上の問題でございまするし、ことに予算に関する問題でございまするので、ここで私が自分の責任で申し上げるべき性質のものではございません。必ず仲裁裁定が出ました際に政府全体の責任でこれが実施できるように財政的に措置いたします。
  50. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 何回繰り返しても、大臣は運輸大臣ですからそれ以上出ないと思います。したがって、予算の関係につきましては予算委員会で大蔵大臣に伺うことにして、いま大臣の答えられるように、仲裁裁定が出た場合に政府の責任において始末をしますと、これを了として私の質問を終わりたいと思います。
  51. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 午後一時半まで休憩いたします。    午後一時休憩      —————・—————    午後一時五十一分開会
  52. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を再囲いたします。  羽田空港における停電事故に関する件について調査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 去る五月十六日夜でございますが、東京国際空港においてケーブル線の故障のために飛行機の着陸が不能になり、そうして一時内外のお客に対しまして迷惑をおかけいたしたわけなんです。三時間ほどおくれまして、一応もとどおりというわけにはまいりませんが、便宜的にも発着できるようになった次第でございますが、幸いにも人身事故というような大きな事故にまで発展せずして、小さな事故でとどまりましたが、当日私、その事故の現場にも参りまして、いろいろな起こってきた事故というものが単発的なものであるか、あるいは一貫して連続したものであるかというところにいろいろ問題があると思いまして、私も私なりの立場で見て参りました。何しろ夜分のことでありますし、その後詳細にはまだ調べておりませんけれども、所管の運輸大臣にはその後の事故の根本原因あるいはその事故の起こったところの要因というものを含めまして、運輸大臣から御答弁を願いたいと思います。それと同時に、この事故の起きた問題に対しまして、運輸大臣のお耳に入ったのは何時ごろであるか。また、この事故に対しまして、運輸大臣としてどのような指示をとられ、どのような当日結果が出たか、そういうこともあわせて最初にお伺いしたいと思います。
  54. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 先般羽田飛行場におきまして、夜中三時間以上にわたりまして、最も飛行機が発着の忙しい時期に電灯が消えました。そのために飛行場の離着陸不能になりましたことはまことに遺憾しごくでございます。これがために多大の乗降客に御迷惑をおかけいたしましたことにつきましては、まことに申しわけない次第と存じておるのでございます。当日この事故につきまして、私、宅におりましたが、航空局長より電話で報告のございましたのは八時過ぎでございまして、おそらく事故発生直後のことであったかと思います。これに対しまして、大体の予想を聞きますというと、しばらく離着陸は不能になるが、直ちに飛行場も、滑走路も閉鎖したということでございました。その後、事故のないように気をつけて、また、すみやかに復旧の作業を急いでくれるよう命じたような次第でございます。この事故の原因でございまするが、後に調査いたしますると、羽田飛行場に使用いたします電力を受ける施設といたしまして二カ所から東京電力の電力を受けております。この受けた電力が流れまして変電所へ行って、変電所から滑走路までは地下ケーブルがございまするが、これは共同溝の構造がございましたのでこの中に入っておるのでございます。この変電所から各滑走路へまいりまする電線はそれぞれ一かたまりのケーブルとして各別になっておりまして、各滑走路ごとに一括されながら区分して埋没されておるわけでございます。ところで今回の故障は、そのケーブルを先般いろいろな事情で少し長くいたしましたとき途中で継ぎ足したものでございます。その接合点が不十分なために加熱をいたしました。そのためにケーブルが焼けたわけです。最初焼けましたのは、C滑走路の進入角指示灯に伝わろうとするケーブル、これが焼けまして、続いて滑走路に沿うて設置してありまする滑走路灯へ伝わるケーブルに火が移りまして、しかも絶縁するために各ケーブルごとに区分して包んでございました絶縁体がどうも不十分であったと見えまして、C滑走路のケーブルが焼けました。その熱によりまして次々とA滑走路、B滑走路の電線も焼けた。こういうことが原因であったように思われます。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣の事故報告を聞きますと、ケーブルは各滑走路ごとに区分されておる。そして最初C滑走路の進入灯のケーブルに加熱を来たしている。それがC滑走路の誘導灯が立っているそのケーブルに転火してきた。それは絶縁してあるその被覆にだんだん燃え移っていった。そういうお話でございますが、そのケーブルごとに区分してあるといま申されましたように、何個ほど区分してあるのか。それとどのように燃え移っていったか、その間の詳しい事情を教えていただきたいと思います。
  56. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 政府委員のほうから詳しく申し上げさしていただきたいと思います。
  57. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。ケーブルは二十五回線に区分してあります。
  58. 田代富士男

    田代富士男君 私が言ったのは、いま大臣がC滑走路の進入灯のケーブルが燃えて、それからA滑走路のケーブル、それからB滑走路のケーブルとだんだん燃えていったわけです。だから燃えていく順番として、やはりここからこのようにして燃えていったという、その燃えていった経過があるのです。ただ単に、一度にどのように燃えたかというその点は、いまの大臣のお話で、十六日の事故が起きて、きょう十七日、十八日とかかっておりますが、私はきょうは期待しておった。私は事件の当日現場に行きました。運輸省の関係の人はまだ来ておりません。私は委員長にも現場から電話をしました。そこまで私も確認してきておりますし、私も見てきております。ところがいまの大臣の答弁では、ただ単にその辺の火事のような、焼けていきましたというような答弁であります。もっと私は実のところ期待しておりました。いま松本さんにお聞きしましたら、区分は二十五回線ですと、ただ単なる一回の答弁ですけれども、これだけ羽田空港を全面閉鎖しなければならない、幸いにも大きな事故はありませんでしたが、これじゃ私は航空局として、こちらは誠意をもって何とか解決策を見出だそうと思っている、例をあげて言っているにかかわらず、二十五回線だけです、そういう答弁はないでしょう。私はどのようにして焼けていったか。いま言うように区分がなされている。その区分がこのように絶縁体で焼けないようになっているそれが焼けていった。どのようにして焼けていったか、それは事故の根本じゃないかと思うんです。その一点に焦点がしぼられまして、内外のお客に対して多大の迷惑をかけております。私は待合室にも行ってきました。待合室のあの動揺、この目で見てきております。それにしてはあまりに誠意がなさすぎると思うんです。だからもっと誠意をもって答えてくださいよ。お願いします。
  59. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) いま政府委員から答弁をいたしたのでございますが、最初にちょっと申し上げておきたい点は、私の申し上げましたのは、最初にC滑走路の進入角指示灯へ伝わるところのケーブルが接合点が不完全であったために過熱した。したがって、その部分が焼けた。それでそれと一緒にありましたC滑走路の誘導灯に伝わるケーブルが次に熱を持って焼けた。大体それで一つの滑走路の関係が終わるわけでございます。滑走路ごとに絶縁体をもって区分をいたしてあるのでございますから、大体絶縁体は断熱の作用を持ちますので、それだけでとどまれば幸いであったのでございますが、その絶縁ないし断熱の材料が不完全であったかと見えまして、次にA滑走路に熱が移りまして、A滑走路のほうの明かりが消えた。最後にC滑走路のほうへいくケーブルも同様の過熱状態となって燃えた、こういう順序で事故が起こったわけでございます。
  60. 田代富士男

    田代富士男君 その順序はわかりましたけれども、そのケーブルというものは区分してあるということは、大臣どのように区分してあったのですか、現場は。区分というのですけれども、まとまってあったのか。このように区分してあるとおっしゃるんですから、このA滑走路の進入灯のケーブル二十五回線とおっしゃるんですから、二十五回線のケーブルが、どのように一つ一つ区分をしておいてあったのか。その一つ一つのA滑走路が燃えて、今度次へ移っていった、また移っていった。そのようになったのか、その辺のくわしいところをお願いしたいと思うんですが。
  61. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。共同溝の中にありますケーブルは、先生御承知のとおり、設計上はたながございまして、そのたなの中に各回路ごとに区分しまして乗っているわけでございます。当日は点検整備のために、先生ごらんになった場所につきましては、各回路のケーブルがまとまってあったという状況でございました。それから先ほど私御説明が非常に不十分で申しわけなかったのでございますが、先生御承知だと思いますが、一番最初にやはりC滑走路の北側の進入角指示灯の回路がアースしたという、ブザーが照明変電所で鳴ったわけでございます。それでそれから考えますと、一番最初に故障を起こしたのはC滑走路の北側の進入角指示灯の回路と考えられます。これに引き続きましてその同じC滑走路灯の回路のブザーがやはり照明変電所で鳴ったわけであります。したがいまして、これが二番目じゃないかと考えられます。それから鳴ったので、管制塔でこの照明のコントロールはできるようになっておりますので、管制塔でC滑走路はここまで故障が起きれば使用不能と判断いたしまして回路を切ったわけでございます。その直後、A滑走路につきましてはやはり同じようなブザーが鳴りましたので、今度は管制官といたしましてはAC二本の滑走路につきまして回路の故障がありましたので、残るところはBでございますけれども、先生御承知のとおり、電気の故障というものはなるべく早く電源を切って、そして被害を最小限にとどめなくちゃならないということで、管制塔ではBの滑走路の電源も切ったわけでございます。そのような順序でございます。
  62. 田代富士男

    田代富士男君 当日は下へまとめてあったわけなんですか、ケーブルを。何のために下へまとめてあったのですか、その点を……。
  63. 松本登

    説明員(松本登君) ケーブルの整備のために、あるいは長さ等、そういう点を調整したり、それから接触点、先ほど申しましたケーブルの接続の点、そういう点を確かめたり、点検整備をするため、そういうために下にまとめまして日中点検しておったわけでございます。その点検は明日もかかるのじゃないかというような予想で、また明日の作業のためにもそのままにしておいたわけでございます。
  64. 田代富士男

    田代富士男君 私はこう思うのです。いま部長さんが説明されたとおりに、あのケーブルというものは焼けるものじゃないと思うのです。もう私が説明するまでもなく、あのケーブルというものは五千ボルトの電気を通しまして、そのように過熱されても燃えないようなケーブルになっておると思うのです。そのケーブルが区分されてある、あすこはたぶん八段だったと思うのです、両方。その八段の中に一つ一つのケーブルが入っておりまして、二十五回線とおっしゃるその一回線の事故であったならば、あのような電気が全面ストップするような事故になっていないと思うのです。今回のあのような全面的に空港を閉鎖しなくちゃならないという問題は、あのケーブルの上に二十五回線のケーブルを全部置いていたそのケーブルのジョイントの故障から過熱を来たして、そのためにそのそばにありますA滑走路、B滑走路、羽田空港全体の、要するに人間でいうならば、脳神経の中枢ともいうべき八号変電所です。御承知のとおり、八号変電所は三千ボルトの電圧を九十ボルト、あるいは誘導路灯によって三十ボルト、そのように変電すべき変電所じゃないですか。あのセンターともいうべきところに全部のケーブルを集めて、その一本のジョイントの故障のためにほかの二十五回線の全部が——燃えた個所はたった二メートルです。燃えた個所はたった二メートルでありますけれども、二十五回線そのもの全部が燃えてしまった。そのために、次から次に、Cの進入口のブザーが鳴って、今度はAが鳴って、次から次に過熱をしていった。私はそこに原因があると思うのですが、どうですか。
  65. 松本登

    説明員(松本登君) C、A、Bの滑走路の進入灯が全部消えましたことは先生おっしゃるとおりだと思います。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 だから、私が言っているのは、このような工事の、点検中であったということでございますが、それは考えられないわけではありません。だから工事中であったにかかわらず、中枢神経ともいうべきあの第八号変電所の事故がもしも起きた場合には、これは二十五回線のケーブルが全部だめになると思うならば、それは翌日へその仕事を回すということも考えられますけれども、長さにして、あそこの中はそう長くないのです。一々そのケーブルをもとのたなへ戻して、そうしてあくる朝になったらまた一本一本おろしてでもやればよろしいのです、点検というものは。それをまとめて当日とおっしゃいますが、たぶん三日前からあれは下におろしてあったと聞いております。私が行ったとき聞きました。このような状態にいつからなっているのですか、三日前からです、どうしてこんなことをやっているのか、だから私はそういう作業過程というものは必ず部長さんなり局長さんに出ていると思うのです。そのときに、二十五回線のケーブルを全部あのような下にかためて置いて工事をやってよろしいという許可をされたかどうかということをお聞きしたいと思うのです。部長さんか局長さんか、それを許可されたのか。その工事の段階として、あのようにいつも工事をやっておるのか。また今回の事故というものはあそこに二十五回線のケーブルがまとまっていたために全面的なそのような事故になったわけなんです。その点ですね。工事計画書がどのようなことで出ていたのか、その点の説明をお願いしたいと思います。
  67. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ちょっとこれは私からお答えいたします。おそらく工事計画書には、工事中、翌日の作業時間待ちのために格納する場合に一緒にしていいなどということは書いてなかったろうと思いますし、逆にまたその際に別々に格納することは普通常識上当然でございますから、特に別々に格納しろということも工事の仕様書には書いてなかったのじゃないかと思います。しかし、これらの工事に当たりまして、そういうふうな扱いが行なわれたということは、私もただいまの御質問に対する答弁で初めて承知いたしたような次第でございまして、ここで聞いておりまして、これは工事やり方として明らかに手落ちがあったと認めざるを得ないわけでございまして、部下がかような失態を起こしたということにつきましては監督者たる私といたしましても、まことに重大な責任を痛感する次第でございます。もともとケーブルというものが幾つにも分かれており、また共同溝の中に幾つかのたなが区分してあるということが、常に原則としてケーブルがそれぞれのたなに分けて格納される、そこにまた安全をはかる意味があるわけなんでございますが、工事中やむを得ず必要があって一緒に取り出すのならいたしかたございませんけれども、しかし、それ以外の場合においては厳重に隔離しておくということがこれは当然の扱いなのでございまして、今回さような事実があるということを初めて聞きましたが、まことに申しわけない次第でございます。今後この点につきましては各飛行場を通じまして厳重に警告をいたしまして、二度とさような誤った取り扱いのないようにさせる所在でございます。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣のお答えで私も一応納得しましたが、今度は、この二十五回線のケーブルが一カ所にあったために起きた事故である。そのために一カ所で済む事故が全部にわたったということですが、私は事故はこれだけじゃないと思うのです。もう一つ立ち入りますと、この回線というものはクロロブレーンシールケーブルという、御承知のとおりのあのようなケーブルが焼けるはずはないのです。ジョイントの接続というものは御承知のとおりに、あれは二十メートル単位ですか、いま長さを調整するとおっしゃった。四十メートルのもある。そのジョイントの中に端末を両方から入れまして接続してあります。その三千ボルトからの電流を通すケーブルですから、その点検というものはきびしいくらいきびしいはずです。私は思うのです。どうしてそのようなジョイントの底がそういう過熱をもたらしてきたか、これが私はそもそもの原因です。起きてきた原因は二十五回線のケーブルを一カ所にまとめたために、小さな事故が大きな事故になった。その根本の事故はジョイントである。そのジョイントをどうして発見できなかったのですか。だからいま言うとおりに、両方八段ずつのたなになっておるときに、たなの上にこのようにずっと上げておるときには、そのジョイントの圧力というものはかかりませんから、少々ゆるい接続でありましても目立ちません。これは電流が流れるときには差しつかえありません。しかし、これを地べたの上に置きましてその上を補修の人々が三千ボルトのケーブルの上を行ったりきたりしておるのです。そうしますと、三千ボルトのケーブルでありますけれども、行ったりきたりしておるうちに重みというものがかかります。二十五回線の重みで、下のほうにあるケーブルというものはかなりの重みがかかります。そうすると、設計どおりのジョイントに端末がおさまっていた場合には、これは問題ありませんが、ここに甘さがあった場合には、この重さのためにこれがゆるんできた。そのためにジョイントに過熱を起こしてC滑走路進入灯のケーブルが焼け出す。さあ問題は、私はそのケーブル線の点検というものがどのような形において行なわれておるのか。私は聞くところによりますと、検査というものは、いわゆる毎月一回検査を行なっておるということを聞いておりますけれども、実際どのように具体的になされておるのか、また今回の八号変電所のそのケーブルにつきましての検査というのは何月何日に行なわれて、だれがその検査に立ち会って確認したのであるか、その点をお知らせ願いたい。
  69. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。  ケーブルとケーブルジョイントの点検についてでございます。これは航空局で定めました航空照明施設補修要領というのがありまして、これに従いまして先生ただいまおっしゃいましたように、月一回点検することになっております。それでケーブルの絶縁抵抗の測定につきましては、照明変電所にあります各回路に挿入してあります絶縁指示計がありますので、それで絶縁は一日一回チェックするようになっております。またジョイントの検査は外形を一カ月に一回点検することになっております。それから日常点検でございまするが、これは午前午後各一回、一日二回車両によりまして巡回点検を行なっておるわけでございまするが、そのような点検を行なっております。それから工事の関係でございますがこれは三月三十一日に完成、竣工検査に合格しております。それでことしの三月三十一日に竣工検査に合格いたしまして、その検査官は飯田という検査官でございます。現場の監督者は東京航空保安事務所の電気課長でございます。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 小倉さんですか。
  71. 松本登

    説明員(松本登君) さようでございます。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 いま三月三十一日にこの八号変電所が合格しているというお話でございますが、ことしの三月末には御承知のとおりに無停電装置を完成されたと思います。羽田空港のその無停電装置を完成された直後にこのような事故が起きている。いま申すとおりに、三月三十一日にはそのような検査を受けまして合格しているのです。この無停電装置の費用はたぶん五千万円であったと私は聞いておりますけれども、無停電装置という、これだけの多額の金額をもって装置を完成し、その直後に、三カ月たたない間にこのような羽田空港が全面的に停電をきたす、これはもう全く考えられないことじゃないかと思うのです。これがもう三年も四年もたっているというならばまあまあそういうこともあり得るだろうということは考えられますけれども、三月三十一日にこのような装置にした、そうすれば五千万円の金をかけてこのようなことをやってどうなるんだろうかと私は考えざるを得ないわけなんです。また、この装置の利用価値はどうであるかということも私は説明願いたいし、またこのことにつきましては、たぶんこれは無停電装置の範囲外の事故であるということを申されるのじゃないかと思いますが、いまお聞きいたしますと、三月三十一日にこれは合格をしているということは、三月三十一日で無停電装置のその部分と同じくこれは完成したものと見ることができると思うのですが、しかし、このような事故が起きたならば、こういう利用価値というものは五千万円の費用をかけても価値がないのじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  73. 松本登

    説明員(松本登君) お答えいたします。  現在、羽田に装置しております無停電装置はレーダーとかILS通信機のためのものでございまして、いまのところ無停電装置は飛行場灯火用のものではございません。配線してございませんです。それで、ただ照明の無停電に、装置的な考え方で申しますと、照明関係につきましては照明の電源は東京電力から二本来ております。これがたとえば一本故障という場合には約五分の一秒でほかの線に行くというようなことでございますので、ほとんど、まあ五分の一秒でございますので、瞬間的というふうに考えられます。そのほかに御承知のとおり、発動発電気、予備発電機も持っております。三重の照明になっております。いまのところは先ほど申し上げましたように照明関係につきましては無停電装置というものは、今年つけました無停電装置というものは考えておりません。しかし、これは今回の事故にもかんがみまして、将来照明のほうにも無停電装置を考えるかどうかということにつきましてはいろいろこれから慎重に検討してみたいとは思っておるわけでございます。無停電装置を無線関係、レーダー関係などに適用いたしましたのは、先生御承知のように、たとえば飛行機がレーダーによって誘導されてきます場合に、そのときに電源が切れた、しかし、御承知のように、レーダーの場合には電源が一回落ちますと、それからまたレーダーに移りますのに数分かかるわけでございます。それでレーダーのほうは優先的に無停電装置をつけたというようなわけでございます。
  74. 田代富士男

    田代富士男君 いまの無停電装置というのはレーダーとか通信機械のためであって、こういう照明灯、誘導灯のためでない、無停電装置が、特にレーダーが途中で停電したらたいへんである、だから無停電装置はそのためである、私は今回の事故のときも、これは大臣のお耳に入っていらっしゃるかどうか私はお尋ねしたいと思いますが、今度の事故も実のところはたいへんな事故になるところだったのです。というのは、もうすでにこの事故が起きておるときに、全日空の仙台発のフレンドシップが着陸態勢に入っておった、さあもう数分でもこの火の手が——火の手と申しますか、ジョイントの過熱がひどかったならば、着陸態勢のまままつ暗やみです。幸いにもこの全日空の仙台発八時着のフレンドシップが無事に着いたからこれは人身事故が起きておりません。もしもこれ数分おくれておったら大事故になっておるのです。このこと大臣のお耳に入っていらっしゃったでしょうか。
  75. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私は事故がなかったということを聞いて喜んでおったのでございますが、非常に危険ないまのような状況であったということはまことに申しわけございませんが、ただいま初めて承わりました。
  76. 田代富士男

    田代富士男君 だから、大臣は日ごろから航空行政に対しましては、今後国際線の交流も激しくなってまいりますし、こういう点に対しましては、先日の予算委員会の席上におきましても日本航空を中心として国際線を強化していく、そういうような御答弁をなさっておりましたけれども日本の表玄関であります国際空航において、このような人身事故というまでもいかなかったのですけれども、こういう、あと二、三分間の違いです、電気の過熱でございますから、私はこういうことをいいかげんにしていたならばたいへんな事故になっていくのじゃないかと思うのです。だから、私はきょうはそういう問題も、特に今回の羽田空港の問題に対しましては、私も力をそそいで、どこに根本原因があるか、まして、今後は超音速時代に入りましたならばもう何秒という秒を争う時代です。このときに、電気の過熱も、それも同じです。そういうことを考えて私は身ぶるいするような感じをしたわけなんですけれども、こういうことを大臣も大きな立場から取り上げて積極的にこれをやっていただくのが私は当然じゃないかと思うわけなんです。こういうことすらもまだ報告はされてないということはたいへんだと思うのです。事故が起きなかったからよいのじゃなくして、事故が起きる九九%までいったものが何なくのがれているのです。しかし、一面から今度はいうならば、その全日空のフレンドシップをおろすために燃えるものは燃やせといって、そのために過熱のケーブルの火事がひどくなっているのです。飛行機がおりる間とめてしまえば飛行機の事故です。しかし全日空のフレンドシップがおりていく時間はどうすることもできないためにそのまま放置する、そのためにケーブルの事故がその時点において対策を講ずるならば未然に防げていたかもしれません。しかし、この反面、飛行機の事故は未然に防げたけれども、ケーブルの事故のために今度は、内外の国際線のお客さんも来ております。国内線のお客さんも来ております。そういう人々に全面的に多大の迷惑がかかる、これでよいというものではありません。このように思います。今回の事件というものは、最初に大臣に申し上げましたとおりに、単発的なもので解決してはならない。お互いにこのような、玉突きではありませんけれども、連続的な関連性のある事故である。その事故の根本原因を改めなかったならば、この一つの問題、羽田空港自身の問題を取り上げれば一ぱいあります。きょうは時間がありませんから、この今回の事件を通じての範囲内にしておりますけれども、その点に対して、飛行機の事故は守られたけれども、多大の迷惑を相手に与えているのです。こういう点に対する大臣のお考えはどうですか。
  77. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) いろいろ承るにつれまして、今回の事故がまことに重大な問題であり、また将来のためにいろいろな教訓が含まれているということが痛感される次第でございます。今後これにかんがみまして、いろいろな検査のやり方なり、あるいは隔離してあるケーブルの取り扱いなり、またひとりケーブルばかりではなく、諸般の事故につきましても根本的に各方面から検討いたしまして、役所の仕事と申しますか、飛行場のいろいろな機材なり施設の管理につきまして、おおよそのマニュアルというようなものをすみやかにつくりまして、取り扱い者がこのマニュアルに従って適正に誤りなく仕事を進めるような方法を相談してみたいと存じますので、どうぞ御了承を賜りたい次第であります。
  78. 田代富士男

    田代富士男君 もう一つ問題がありますけれども、いま大臣の御答弁で、今後そういう事故を未然に防ぎ、建設的な方向に持っていくという、そういう御意向のようで了といたしますけれども、消火ですね、消火にあたった今回の措置でありますが、全面的に電源を切りまして、まず火を消さなければならないというわけで火を消された処置に対して云々いうものではありませんが、消火に対してもいろいろ化学消火剤があると思いますが、今回水を使われた。まず消すということが目的でありますから、どういう手段であろうと問題はありませんが、水を使ってこれをとめることはできた。しかし、今度復旧という面から考えていきますと、水がかぶさったためになかなか絶縁ができない。だからその場当たりで、火事だ、水をかけろ、消えた、これでなくして、日ごろから一貫した、こういう地下ケーブルに対する消火訓練というのですか、こういう地下ケーブルの事故が起きた場合には、復旧する場合のことも考えたあげくに対策というものを講じなければならない。こういうところに現在の、これは航空行政に限らず、全般的、一元的な政策に終わっているのじゃないかと思うのです。私はこれは一断面であり、航空問題だけではありません。今回の事故だけではありません。全般的に言える問題だと思うのです。やはりその終わった時点から次に移るところまで効果を価値あらしめるためにはどうすればいいか、そこまで考えた上でいろいろな問題を取り上げていくならば、もっといろいろに価値的、効果的にあがるんじゃないかと思うのです。だから今回水で消すことは消した、ああこれで一応終わった、これは復旧が、絶縁ができなかったために三時間も四時間もかかった。こういう点ですね。こういう点から考えていくならば消火訓練あるいは消火に対する対策というものがその場限りの対策だ。そういう消火訓練その他に対する対策はどんなふうになっているのでしょうか。その点ひとつお願いしたいと思います。
  79. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は今回の事故に際しまして、現在の羽田空港の消防施設がいまだ完全でないということが痛感された次第なのでございます。まず今度の火事が発見されまして消火をしなければならぬということに相なりましたが、何分にも共同溝という狭いところでございますので、直ちに放水するというわけにはまいらない。そこで消防士が中に入らなければならぬということになりましたところが、すでに共同溝の中にはガスが充満いたしておりまして、したがって、ガスに対する防護マスクが必要だということになりましたら、どうもその防護マスクが羽田の飛行場の消防署には備え付けがなかった。そこで東京都の消防がかけつけるまで待っておった。今度その消防署がかけつけてきたところが、これはどうも自分らの手には負えない、化学消防車が必要だということになりましたらば、この化学消防車は京橋の消防署に常時置いてあるから、それを呼ばなくちゃならないということになりまして、結局まあ東京都の消防車がかけつけて、それが今度京橋の消防署から化学車を呼びよせるというまで消防の実施が遅延をいたしたというような事実があったわけでございまして、これらの点から考えまするというと、羽田におけるわれわれの消防施設は根本的に考え直さなければならぬ点があるように思われますので、この点につきましては先ほど来御質問があるということを聞きましていろいろ答弁の準備をいたしておりまする中で明らかになりまして、今後の対策につきましても事務当局との間でよりより相談をいたしておるような事情でございます。
  80. 田代富士男

    田代富士男君 いまの大臣のお話によりますと、これじゃだめ、蒲田の消防署じゃだめだ、これは京橋の消防署から持ってこなくちゃだめだと、そのために火事が起きていくのをみすみす消火するのが遅延したというお話ですけれども、確かに羽田空港の消防訓練は放水訓練が月一回、消防署と警察庁の合同訓練が年一回です。しかし、これはあくまで地上の訓練です。大事なことは、地下のケーブルとか、そういう事故が起きることを何ら予知してなかった。こういうところにも手抜かりがあります。いま申されるとおり地下ケーブルに対する地上もともどもにこういうものに対する根本的な対策をやっていただきたいと思うのですが、この点お願いできましょうか。
  81. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 必ずやるつもりでございます。
  82. 田代富士男

    田代富士男君 次に、この事故に対する航空局がとられた処置の問題でございますが、あれだけのラッシュの時間です、八時前後は御承知のとおり。まあ全面あのような停電になりましても時間が半時間、一時間おくれても私は離着陸ができるのじゃなかったかと思うのです、判断で。それは緊急事態が発生した場合は、御承知のとおりいろいろな電池によるところの誘導灯というものが施設してあります。蓄電池の誘導灯とか、蓄電池の誘導灯の予備灯をつける設備がありながらどうして今回行なわなかったのだろうか。それだけの設備を持ってやっておるならば三十分や一時間内外はお客さまに御迷惑をかけるかわかりませんが、飛び立てないわけはありません。そういう点が不可解でならないんですが、この点どうでしょう。
  83. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 予備灯、バッテリー・ライトは八時三十分にCランに設置いたしたわけでございます。しかし、この安全のために日本航空の727によりまして、つまり地上滑走によりまして、この安全度をその後試験をいたしておったわけでございます。それで八時半にこの使用の許可をいたしたわけでございますが、航空会社のほうでこれを使用しなかったわけでございます。
  84. 田代富士男

    田代富士男君 そうすると、航空局とすれば、八時半にその蓄電池の予備灯をつけてやるようにということを許可したけれども、航空会社ですか、航空会社がそれでだめだと言ったんですか。過去にこの予備灯を使って離着陸をやった例がありますか、その点お聞きします。
  85. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 過去におきまして、離着陸に予備バッテリー・ライトをつけたことは二度ございます。四十年の十二月と四十一年の七月でございます。
  86. 松本登

    説明員(松本登君) ちょっと補足さしていただきます。局長から御説明いたしました四十年の十二月十五日A滑走路にバッテリー・ライトを使用いたしました。四十一年の七月二十三日C滑走路にバッテリー・ライトを使ったのでございますが、これは最近の事例でございます。御承知だと思いますが、記録が非常に膨大になりまして、羽田が戦後再開いたしましてからの資料となりますと、いまのところちょっと間に合いませんもので、最近の資料を順ぐりに追っていったものがいまのところ二件でございますし、私の記憶しておる範囲ではバッテリー・ライトを使ったという例は非常に少のうございます。その少ないのを大きな資料、日誌から探すわけなんで、まだ十年前というようなものは発見されておりません。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 いまの蓄電池のそれ、過去に、いま申されておるように、四十年十二月十五日十六時三十五分以後使っていらっしゃいます。四十一年七月二十三日は午前一時二十五分からこれが使用されております。過去にこれだけ使用されているにもかかわらず、今回もこのような緊急事態であります。羽田空港の滑走路の事故のために内外の客がストップしたということは、羽田空港始まって何回かありますか。その点お願いします。
  88. 松本登

    説明員(松本登君) 飛行場灯火のために滑走路をクローズしたということは三十年ころに一件と記憶しております。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 それは何の原因ですか。
  90. 松本登

    説明員(松本登君) ケーブルの故障と聞いております。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 ケーブルの故障で三十二年ごろに一回起きたわけなんですか。そうすると、そのときは滑走路は何本でしたか。
  92. 松本登

    説明員(松本登君) A滑走路とB滑走路でございます。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、十年前にも事の大なり小なりはあれ、同じことを繰り返しているわけなんです。まして、この蓄電池によるところの予備灯によって離着陸した飛行機というものは過去に、いま私もらったこの実績によってもかなり飛び立っているわけです。まして十年一昔といいますが、最近において羽田空港が空港自身の誘導灯とか、そういう事故によって全面的な閉鎖というものはあり得ないことなんです。こういうときこそこういう蓄電池というものを使用すべきじゃないかと思いますし、航空局がこれではだめだというような蓄電池であるならば、持つも持たないも同じじゃないかと思うんです。そういうものに金をかけてもしかたがないと思うんです。これはどうでしょうか。
  94. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) このバッテリー・ライトは離陸には十分使用できるわけでございますし、前回の場合のバッテリー・ライトを設置しましたあとに日航の727で十分にチェックいたしまして、そして機長から十分使えるというチェックのあと、NOTAMで離陸は可能だ、こう通知をエア・ラインのほうに出したわけでございます。エア・ラインのほうは自重して運航を中止した、このように聞いております。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 いまそれを聞けば、こちらでは許可をした、しかし、向こうが自信を持つだけの予備灯でなかったならば、私は必要ないと思う。やはりこれだけの予備灯——予算をとってそれだけの予備灯を持っておりますし、そういうところで、航空会社には連絡をしたというのですけれども、相手に説得するべき立場の人がだいじょうぶということを言われれば何ら差しつかえありませんが、こういう羽田空港始まって以来——十年前に一回あったというのですが、規模が違います。十年前の羽田空港と今日とは、一昔前の全面的に飛行場閉鎖になったのとは規模が違います。言うならば羽田空港始まって以来、史上始まって以来のこれだけの事故です。まして離陸だけは何とかできる、技術部のほうでは。航空局でも保証する、そうであるというならお客があれだけ出せ出せとカウンターへ来て、どうしてですかと、航空会社は出したいと思いますけれども、空港のほうで出してくれないのだ、そういう応答です、お客に対する応答は。いまの局長の話を聞きますと、こちらは許可をしたのだけれども、しかし、航空会社のほうがだめなんですという。カウンターのほうでは、航空局と空港の許可があればわれわれはいつでも飛び立つだけの態勢をしております、外人のパイロットなんかちゃんとカウンターのところに来ておりました、どうして出さないのだ、そのパイロットがそう言っているじゃないですか。私は現地へ行ってきたんです。事故の起きた現場を、待合室の混雑の状況もこの目で見ているのです。外人のパイロットも早く出せと管制塔に連絡しておりました、まだ許可が出ないのだと、いまの局長の話では許可が出たという、何時に許可を出しました。
  96. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 離陸だけ可能というNOTAMは二十二時三十分に出しております。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 二十二時三十分でしたら、現地の状況はどういう状況になっていたか御存じですか。そういうケーブルの事故の現場、待合室の状況を詳しく説明してください。
  98. 松本登

    説明員(松本登君) 私おくれまして現地へ行ったんでございますが、事故の処理、そういうことでもっぱら保安事務所のほうにいましたもので待合室には行きませんでしたが、当日保安事務所のほうの航務課へ相当にパイロットが参りますし、それから新聞関係の方々が相当みえたところを見ますと、待合室は相当の混乱であったということを私も想像いたします。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 二十二時三十分という時点は、ケーブルの発火ももうこれは終わっております。そして技術部長や航空局長御存じのように別の配線で応急措置をやったあとじゃないですか、そういう事故が起きたその時点においてその応急措置ができるまでに、少なくとも蓄電池によるところの予備灯をつけて離陸だけをさしていくのが航空局の仕事じゃないかと思うんです。二十二時三十分に許可をおろしましたと。許可がおりた時点は、一応復旧のきざしが見えているときじゃないですか。それに許可をおろしても、何の役に立ちますか。ここで問題になるのは、これだけの大きな事故があったにもかかわらず、空港長も来ておりませんし、空港次長も来ておりません。もちろん航空局の担当の責任者もだれも来てない。空港始まって以来の事故が起きているのに、いま言うところの、ほかにいろいろありますけれども、こういうような事故が起きているにかかわらず、そういう的確な判断を下し、そうして指示を与えるべき人が何ら来てないです。これは私は運輸大臣にお聞きしたいんですけれども、こういうような管理のしかたでよろしいでしょうか、どうでしょうか。運輸大臣にお聞きしたいと思います。
  100. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私は当日自宅で電話で指図をいたしておったので、現場まで出向くことを怠りましたことはまことにざんきにたえない次第でございます。一応は現場においてそれぞれ権限ある人たちが出向いて適切な指示をしておったと思うのでございますが、ただいま伺いますというと、関係者がかけつけるのがおくれたということでございまして、今後は羽田の重要性にかんがみまして、こういうことのないように厳重に戒めるようにいたします。
  101. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 私自身参らないでまことに申しわけないと思っておりますが、事故が起きましてすぐ技術部長にも現地に行ってもらいましたし、それから現地の空港事務所の施設部長と電気課長は最初から現場におったわけでございます。私自身すぐかけつけるべきであったのを、技術部長だけを派遣したことをまことに申しわけなく思っております。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 私はそれをあくまで追及する何ものもありませんですけれども、時間があればもっといろいろなことを申し上げたいと思いますが、こういう小さな事故というものもするべきでなくして、いま建設的な意見で十年先、超音速時代に入った場合の空港をどうするか、機種をどうするか、そちらに目が入っておりますけれども、肝心かなめのそういう目に見えないところに対する配慮、また事故が起きた場合に対するそういう指揮系統と申しますか、そういうものが何ら改革されてないということは、責任者であって責任者でなき、責任不在の今日の羽田空港といってもしかるべきじゃないかと思うんです。だから、電話で指示をしたというならば、その指示が的確に予備灯に対しても、これで離陸だけはできるということを少なくとも航空局長あるいはそういう立場の人々が航空会社に対しても指示するならば、出ておりますよ。そういう現地の——確かに会いましたよ。電気課長さんにも会いました。施設部長さんにも会いました。そういう人々が説明をしてもですよ、航空会社は納得しませんよ。もしもそこでもう一歩、電話でもよろしいし、あるいは空港長が小岩に住んでおるということを聞いておりますけれども、小岩から、事故が起きた報告を聞いて、何分かかります。にもかかわらず、私は十一時までは確認しております。十一時に至っても空港長は来ておりません。事故が起きて三時間です。その間にいろいろの問題は、いま申し上げたようなことは一ぱい出てきております。そして航空局長の澤さんの話では、その予備灯の許可を出したのが二十二時三十分という。あなたが八時に、そういう第一回の事故を聞いたのは八時だとおっしゃいました。八時に事故を聞いて、この事故で飛行場が閉鎖になったということを聞いたならば、おおむね、羽田空港始まって以来の事故であるか、どういう事故であるかどうかわからないわけはないじゃないですか。その八時から十時半までの間の二時間半にわたって思慮をしなきゃならないような問題だったかというのです。そのような緊急事態において二時間半というのはたいへんな時間です。で、許可を与えたというのですが、二時間半の差があります。私はこういうことにおいて、これは今回幸いにも大きな事故は起きておりませんけれども、こういうことをこれでよしとするならば、今後大きな事故が起きあがります。しかし、今回の羽田事故を通じまして、大臣がじきに問題点を究明しまして、今後こういう事故を二度と起こさないとするにはどうすればよいか、そういう点にやっていただいたならば、災いを転じて福とすることができるのじゃないかと思うのです。後車に轍を踏ませないように、こういう点を厳重にひとつ改めてもらいたいと思いますが、そういう点について最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  103. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) よく御趣意に沿うようにいたします。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ大臣も御都合があるそうでございますから、次の小さな問題はまたの機会にいたします。     —————————————
  105. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、陸運行政に関する件について調査を行ないます。岩間君。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 千葉の交通事故の問題について質問したいと思って、けさほど来その要求をしておったのですが、国家公安委員長も見えないし、さらに警察庁長官も、交通局長も、これは見えないわけだね。したがって、十分なことにはいかぬと思うのですが、しかし、現場の実情はむしろあなたのほうがおつかみになっていらっしゃると思いますから、そこでお伺いするわけですが、第一に、この事件の経過ですね、この経過を、あなたのほうでキャッチしておられると思いますから、これを一応ここで報告をしてもらいたいと思います。
  107. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 昨日千葉県で起こりました機動隊員による交通事故でございますが、交通事故の防止を責務といたします警察官としてまことにあるまじきに不心得な行為によって起こったものでございまして、被害者の児童はもとより、その御両親、さらには全国民の皆さま方にも衷心よりおわびを申し上げる次第でございます。  事故の概況について御報告をいたします。事故が起こりましたのは、昨五月十七日午前八時五十八分ごろでございます。発生場所は千葉市轟町五の二の機動隊の庁舎のございます付近の市道、幅員四・六メートルの市道でございます。関係者は、千葉県の機動隊員の菅原昭人巡査、二十三歳でございますが、この者は、原動機付自転者の免許を三十九年三月に取得しておりますが、それ以上の免許は持っておりません。この者が、同日、県下の交通一斉取り締まりを行なうことになっておりまして、その出動前に、機動隊の中庭に駐車してございました大型輸送車に同僚二名とともに乗車をいたしまして、先ほど申しましたように、運転資格を持っていないわけでございまするけれども、同車を動かしまして、機動隊の玄関の前に移動させました。その際、運転操作を誤りまして、道路の境に高さ一メートル、幅一・五メートルの組み立て式のさくがしてあるわけでございまするけれども、その二個一組になっておりますものに衝突いたしまして、おりからその道路を二列縦隊で通行してまいりました幼稚園児の列にそのつい立てを倒れこましたわけでございます。そのために幼稚園児五名が負傷をいたしたという事案でございます。この被害者につきましては、直ちに千葉市の国立病院に収容をいたしまして、この当該菅原巡査につきましては、目下事故の原因なり、さらにこれらの車両の管理といった面その他の監督者の責任等、当事者の責任につきまして目下厳重に調査中でございまして、早急に刑事ないし身分上の処分をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 二、三の点について伺いたいのでありますが、第一に、道幅が非常に狭いですね。四・六メートル、こういうところに機動隊の庁舎があったのですか。
  109. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) さようでございます。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは常々、この道幅について何か非常に不便だとか、そういうところで、あの輸送車というのは非常に大きかったでしょう。どのくらいの輸送車だか、発表しておらないのですがね。こういう小さい道を通るということになると、絶えずその付近の住民に迷惑をかけるという事態が起こっておったんじゃないですか。その点どうですか。
  111. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 自動車の幅員、正確には記憶しておりませんが、普通の大型トラック並みの幅でございます。それで、この幅員が狭いことによりまして、交通上、一方通行にいたすとか、そういう措置の検討をいたしておったということはあったようでございます。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 まだ一方通行もしていなかったわけですね。四・六メートル、そこのところにあの大型  私もまだ現場に行くひまがないので、けさテレビで見たわけですけれども、このごろ機動隊がいつも輸送用に使う輸送車でしょう、大型ですね。ああいうものが通れば、いっぱいになる。こういう問題について検討しておったかどうかという問題が一つある。もう一つは、近くに陸運の事務所がある。そしてしょっちゅう付近に駐車をされておるという事態があることですね。これはあの付近の人たちが、テレビの「一〇二」ですか、あの中で話していましたよ。こういう実態はどうですか。
  113. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 付近に、やはり陸運事務所がございまして、そこに車検等のために車が出入りいたしておるというような事実はございます。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 操車を誤ったというのですが、どういうふうに誤ったのですか。
  115. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 運転者は、先ほど申しましたように、免許を持っていない未熟な者でございます。これが運転の練習のために、車をほしいままに動かしたわけでございますが、さくの約一・五メートルくらいのところで、あわててブレーキとクラッチを一ぺんに踏みましたけれども、ブレーキがききませんで、さくごと約二メートルあまり道路のほうに出てとまったというような状況でございます。それで、そのさくによって児童を押し倒したというような状況でございます。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいろいろ現地を調査するとか、そういう事態が非常に必要になってくると思うのですが、この問題を契機として、そういう道路の幅の問題、そういうところに庁舎がある。陸運事務所が近い。非常に混雑しておる。そういうようなところにこのような機構を置くのはどうかという問題について、これは検討の余地がありませんか。
  117. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 現地のほうでもいろいろ検討しているようでございますが、さしあたって、その道路の一方交通といったような措置を早急にとることを検討いたしている模様でございます。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 次にお聞きしたいのは、いままで警官によって交通事故を起こしたという例は、これはしばしばやはり報道されるわけですけれども、こういうものについて、資料がありますか。
  119. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 警官による交通事故の状況について申し上げます。  昨年中の数字がございますので、これを申し上げますが、警察職員が関与をいたしました交通事故の発生件数が四百二件でございます。このうち、警察職員が第一当事者となりましたもの、責任の重いと思われるものでございますが、これが百七十件、相手方が第一当事者となっておりますものが二百三十二件でございます。それで、警察官が第一当事者となりました百七十件のうち、これは公用、私用あるわけでございますが、公用中の事故が九十四件、私用中の事故が七十六件ということになっております。  事故の原因といたしましては、安全運転の不履行でありますとか、ハンドル操作の不確実といったような原因が多くなっております。  この警察官が第一当事者となりました事故によりまして死亡いたしました者、相手方のほうが十三名、警察官のほうが十五名、合計二十八名の者が、この警察官が原因者となりました事故によりまして死亡いたしているような状況でございます。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 この中で無免許運転というのがございますか。
  121. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 現在無免許運転に関する数字は持ち合わせておりませんが、数件はあろうかと思います。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは調べて、この際ですから厳重にやる必要があるので、資料として出してほしいですね。  それから、いまの件数はこれは昨年度だけですか、この四百二件というのは。そうすると、ここ数年の資料を出してもらいたい。三十五年から四十一年までの、こういう警察官によるところの交通事故、そうしていま話がございましたが、これにさらに無免許運転の例、こういうものを加えて、資料として出してほしい。  そこで、問題なんですが、先ほどの説明の中にもありましたけれども、交通事故を取り締まる警官が交通事故を起こしている。しかも、その日は県下の交通一斉取り締まりの中に出動する交通取り締まりの輸送車がまずまつ先に交通事故を起こしたという、これは笑えない一つの悲劇なんです。この原因というのは一体どういうところにあるというふうに考えておられますか。今度の問題はいま検討中だと思うから、これについてまだ全体的な把握はできていないかもしれないけれども、しかし、少なくともこういう事故を起こした原因はどこにあるか。むろん無免許運転そのものは、これは現象でしょうが、その一つ奥にあるところの原因というのは、どういうふうに考えていますか。
  123. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) まあ直接の原因といたしましては、当該機動隊員の全く不心得な行為でございますけれども、そのような行為ができたような管理状態にあったという面について、監督の責任、車両等の管理の責任といった面を追及いたす考えでございます。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはやはり公的観念が警官の中に欠除した者が相当多いのじゃないかということを、私は物語っていると思うのです。第一に警官を取り締まる、そういう機関というのはこれはどういうことになっているのか。たとえば無免許運転をやったとするでしょう。これを交通巡査が取り締まることをしない。お互いの仲間のなれ合いで、それで実は免許証を持ってない、それで交通事故を見のがすというようなかっこうにこれはならざるを得ない。そこのところは非常に私は大きな問題だと思うのですが、したがって、これは運転資格があいまいでも、警官の場合は大目で見のがされてしまう。こういう一つの何といいますかな、もろさを持っているのだ、弱さを持っている。したがって、これについての私は取り締まりのしかたというものは相当研究されないというと、再びこういう事故を繰り返さないという保証はないわけですね。そうして、しかも、いま見ますというと、統計的にこの一年間で四百二件も事故を起こしている、こういうことでありますから、私のいまの指摘というのは単なる空論ではないということを端的にこれは意味している。どうですか、この点については。あなたは取り締まりの立場にあるのだが、これは一般の取り締まりのことを言っているのだろうけれども、その取り締まるところの警官を取り締まる、そういう機構というものが今度の事件は必要だということを私ははっきり示している。こういう点についてはいままでどういうふうにやってきたか。そうして今後どういうふうにしようと考えているか。これをお聞きしたい。
  125. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 警察官による交通事故の防止ということにつきましては、平素から物心両面にわたり厳重な教育訓練を重ねてまいってきたところでございます。今回このような事故が起こりましたことは誠に申しわけないことでございますけれども、今後ともこのような物心両面からいたしまするところの訓練をさらにさらに重ねまして、このような事故の絶無を期してまいりたい、かように存じております。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは一般的なそういう説明だけではこういう問題を防ぐことは非常に困難だが、もう少しこの点は明確にしなくちゃなりませんが、免許証を持たない場合に、普通の人がこれを指摘された場合にはどういう罰金、処罰をされますか。どうなりますか。免許証を持ってないで無免許運転をやっていた、こういう場合にはどういうふうな処罰をするのですか。
  127. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 道路交通法に基づきまして、無免許運転ということで事件が処理されます。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 具体的にはどういう処罰になりますか。罰金刑ですか。
  129. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) これはおおむね罰金。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 罰金どのくらいですか、どのくらいかかりますか。
  131. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) これは個々のケースによりまして、いかほどということをちょっと申し上げかねます。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 警官の無免許が指摘されてもこれは見のがしになっているのじゃないですか。警官が無免許で指摘された場合に警官に罰金が科されたという、そういう例がありますか。
  133. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 警官であるがゆえに法律違反を行ないました場合に見のがすといったようなことはないつもりでございます。現に各種の違反といったような場合に、警察官が立件送致された例がかなりございます。
  134. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことを言っているけれども、これはお互いにそこのところなれ合いになって大目に見のがされているのが実情じゃないですか。四、五年前のことだけれども、酔っぱらい運転の例がございました。警官が酔っぱらい運転で、しかも免許証を持っていなかった。そうして途中でやはり事故を起こした。駐車している車に突き当たった。そうして、その車を大破した。幸いけが人はなかったんでありますが、この問題で当時私は何ですね、警視庁から警視総監の出席を求めましてこの問題を追及した。そのとき、酔っぱらいで指摘された運転の場合はたいていゴム風船を吹かせるでしょう。そうでしょう。そうしてめいてい度をはかるわけだが、第一、警官にゴム風船を吹かしたかと聞いた。そうしたら吹かしていない、全然。この処罰についてもはっきりこれはしてない。そういうやり方をやっていると、非常にそこはプライベートなんだな、お互い同士。何かもち屋はもち屋で自分の家の中の問題だ。したがって、そういう問題はお互いに見逃しをやっておるという、こういうゆるみがあるんじゃないかと考えられるのですね。こういう事態が今度のような事故を起こしている一つの原因になっておるんですから、こういう点についての、ことに取り締まりの立場にあるのですから、取り締まりをする者がこういう事故を起こしたのでは全く権威が失墜ですよ。これでは全く取り締まりに行ったってどうです、きょうこのごろは、交通巡査が取り締まりをやったにしても権威失墜しておるんじゃないですか。全国的にきのうの問題はもうはっきり知らされているんですから、そういう中では非常にぐあいが悪いと思うのですね。取り締まりの立場から考えたってこういう事態というものはみずからのそういう取り締まりの効果というものを全く減殺しているわけですから、こういう点について考えてみたことがありますか。こういう点について今度の問題についてはもっとしっかりした、いまのような抽象的なやり方では私は話にならないと思うのです。しかし、まあこれは課長さんにここでこの問題を追及してもいろいろな政治的な回答は得られないと思うから、このくらいにするわけでありますけれども、この点よほど真剣にこの問題は対処しなければならぬと思うわけです。第一に、一つの問題である機動隊のあり場所、陸運事務所のあり場所、こういうものについてははっきり再検討して、これに対する対策を考えますか、考えませんか。これはどうです。
  135. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 現地のほうとも十分連絡をとりまして、先ほど申し上げましたような一方通行でありますとか、すみやかに実施できるような対策はすみやかに実施いたすようにいたしてまいりたいと、かように考えております。
  136. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  137. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記を始めて。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つの問題ですが、事後措置の問題、あの事件が起こってからの警官のけが人に対する措置のしかたというものが非常に問題になっておりますね。きょう、母親たちのテレビでの談話が出ておりましたけれども、非常にどうも不十分で、何かけがした子供をだいて警官がそのままぼおっと立っておったと、こういうことが言われておりますが、これはどういうふうに思われますか。人命救護の立場から考えたって、こういうやり方は全く信頼を失墜してしまう。この問題をどういうふうにつかんでおられますか。
  139. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 被害者の救護の点に至らない点があったといたしますれば、まことにこれは申しわけないことでございまして、その点もおわび申し上げなければならぬのですが、今後そのようなことがあってはなりませんけれども、一般的に被害者の救護について万全を期するように指導をしてまいりたいと考えております。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に、とにかくほんとうに交通取り締まり、これは非常にいまの交通難の事情の中ではいろいろ困難な問題も含んでいるだろうということも推測されます。それであながち警官ばかり責めて問題が足りるわけではない。問題は道路が非常に狭い、それから道路がよくできていない。そこへもってきて自動車のラッシュの波でありますから、どんどん売らんかなという政策で自動車の洪水になっておるのですから、そこから問題が起こってくるわけですから、したがって、これに対する取り締まりというものは、非常にこれは御苦労なことなんです。しかし、取り締まりの態度というものは、実際市民に対しては非常に厳格なんだな。自分に対しては案外寛大なんです。こういう態度では非常に基本的に私は問題があるのですね。そのゆるみが今度のような事故を起こしているのですから、こういう点から考えれば、根本的にこういう対策を立てるということは私は必要だと考えます。したがって、今度の事故に対するこれは統一した対策をどうするか、こういうものがまとまれば、これは当然交通運輸関係の委員会でありますから、当委員会にもそういうふうな結論、一つのまとまったものをこれは報告してもらいたい。いずれ——きょうはまあほかの委員会でずいぶん長官やあるいは公安委員長は呼び出されておるのですからね、十分な論議はできないようでありますけれども、これは当委員会としてもやはり関心を持たざるを得ない問題ですから、そういう点から、これは取り上げてほしいと思うのですが、そのことをぜひ私は要望しておくわけですが、いかがですか。
  141. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 法の執行に当たります者が、執行にあたって、公私の混同といいますか、そういうようなことがあってはならぬことはもちろんであります。その点、十分その心がまえでおるつもりでございまするけれども、さらに自粛自戒いたしまして厳正な法の執行に邁進いたしてまいりたい、かように存じます。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと、子供が五人と書いてあるけれども、七人とテレビで言っておりますが、これはどちらですか。
  143. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 七名を病院に運びましたけれども、そのうち負傷いたしたのは五名であったというふうに報告を聞いております。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから、菅原という巡査は、これはいつ就任したのですか。どのくらいの経歴を持っているのですか。
  145. 関忠雄

    説明員(関忠雄君) 三十九年の拝命であったかと記憶いたします。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 三年目ですね。  それでは、さっきの資料と、それからいまのこれに対する事後措置の対策、そういうものがまとまったら提出してもらうことを条件として、きょうの質問はこれで終わります。
  147. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本日の調査はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。   午後三時二十二分散会