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剱木国務大臣 昭和四十二年度
文部省所得の
予算案につきまして、その
概要を御
説明申し上げます。
まず、
文部省所管の
一般会計予算額は、五千八百四十五億八千六百二十九万円、
国立学校特別会計の
予算額は三千二百七十二億八千六百四十八万一千円でありまして、その
純計は六千二百二十九億六千九十二万八千円となっております。
この
純計額を前年度当初
予算と比較いたしますと、およそ八百三億円の
増額となり、その
増加灘は一四・八%となっております。
以下、
昭和四十二年度の
予算案におきまして特に重点として取上げました
施策について御
説明申し上げます。
まず第一は、
教育費の
負担軽減と
育英奨学事業の
拡充であります。
このことにつきましては、かねてから努力を重ねてまいったところでありますが、
明年度は特に
父兄負担の
軽減に留意し、
教材整備の
促進、
教科書無償の
推進、
学校給食の
普及充実、
就学援助の
強化、
遠距離通学費補助の
拡充につとめましたほか、
地方公共団体の
超過負担の解消を
促進し、
育英奨学事業の
拡充を行なう等の
施策を進めることといたしました。
そのうち、まず
教材整備の
促進につきましては、
国庫負担の
対象となる
教材基準の設定を行ない、
当該教材基準の七〇%までの
充実を十カ年
計画で
整備充足することといたしました。また、
教科書無償につきましても、国、公、私立学校を通じて、中学校及び特殊教育諸学校の中学部の第二学年までの児童、生徒に対して教科書の無償
給与の措置を拡大することにいたしました。
次に、
就学援助の
強化につきましては、要
保護、準要保証児童生徒の就学奨励として、通学用品費を新たに支給品目に加えるとともに、学用品費の補助単価の改訂を行なうことにいたしております。
次に、遠距離通学費につきましては、
対象人員を一万人
増加いたしまして、その
拡充につとめました。
次に、
地方公共団体の
超過負担の解消の
促進につきましては、公立文教施設の単価の引き上げ及び構造比率の
改善に特に配慮し、また、義務
教育費国庫負担金の
給与費のうち、政令都府県の給料定額の是正をはかることといたしました。
また、
育英奨学事業の
拡充につきましては、大学院奨学学生及び大学特別奨学生の
増員を中心として引き続き
事業を
拡充し、また、大学特別奨学生で私学に進学した者について特別な配慮を加える等、全体で二十五億円余を
増額いたしております。
第二は、義務教育の
充実と後期中学教育等の
拡充整備であります。
まず、僻地教育の振興につきましては、僻地の教育環境の
改善等のため、引き続き
各種の施設、設備の
充実をはかりましたほか、給水施設の補助、眼科医の
派遣、一、二級僻地
学校給食の特別措置等、新しい試みを加えて、総合的かつ重点的に
施策を
推進することといたしております。
次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校及び特殊学級の
計画的な普及と就学奨励費の内容の改称のため必要な
経費を
増額いたしますとともに、特殊学校担当教員の待遇の改心を行ない、また、社会生活への適応性を一そう助長するため、職業教育の
充実をはかり、さらに特殊教育の振興に資するため、新たに特殊教育の総合的
調査、特殊教育
推進地区の
設置及び
心身障害児総合実態
調査を行なうことといたしております。
次に、後期中等教育の
拡充整備につきましては、引き続き定時制教育及び通信教育の振興をばかるとともに、新たに定時制通信制併置高等学校を
設置し、高等学校教育の多様化に対処するための施設及び設備等に必要な
経費を計上しております。
次に、理科教育設備及び産業教育の施設設備の
充実につきましては、引き続き新基準による
計画的な
改善充実を行なうことといたしましたほか、自営者養成のための農業高等学校の
整備をはかり、また、新たに高等学校の衛生看護科教育に対し施設費の補助を行なうことにいたしております。
次に、学級規模の適正化と教
職員定数の充足の
推進につきましては、学級編制の基準を原則として、小・中学校いずれも最高四十六人に改めるとともに、特殊学級の増設、充て指導主事の
充実等のための
増員をはかっております。また、
給与の
改善につきましては、管理職手当、特殊学級担当教員の給料調整額、旅費の
増額等を行ないました。
次に、幼児教育の重要性にかんがみ、父兄の要望にこたえて、引き続き幼稚園の普及
整備のために必要な
助成を
強化いたしますとともに、
所要の教員を確保するため、公、私立大学及び短期大学の教員養成課程に対する設備の補助を行ない、また、新たに私立幼稚園に対し施設費の補助を行なうことにいたしました。
また、公立文教施設につきましては、引き続き既定
計画の線に沿ってその
整備を進めることとし、公立文教
施設整備費二百九十五億円を計上いたしました。
このほか、前年度に引き続き、教育課程の
改善、道徳教育及び生徒指導の
充実並びに教
職員の
研修及び研究
活動の
推進に必要な諸
経費を計上いたしております。
第三は、大学の
整備拡充と高等専門学校の
拡充であります。
国立学校特別会計予算につきましては、前年度の当初
予算額と比較して三百十九億円の
増額を行ない、約二千二百七十三億円を計上いたしました。その
歳入予定額は、
一般会計からの
繰り入れ千八百八十九億円、借り入れ金二十、五億円、付属病院収入二百四十七億円、授業料及び検定料五千六億円、学校財産処分収入二十八億円、その他雑収入二十六億円であります。
歳出予定額の内訳は、国立学校運営費千七百、五十七億円、
施設整備費四百九十八億円などであります。
国立大学の
拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な
増加を予想して、大学及び短期大学の入学定員の
増加をはかり、三千九百八十五人の増募を行なうことにいたしました。このため大学について、二学部の創設、三文理学部の改組、三十一学科の新設及び十九学科の
拡充を行ない、短期大学について、一
医療技術短大の創設及び一学科を新設することにいたしました。
なお、
昭和四十三年度から九州芸術工科大学を
設置することとし、これが準備のため必要な
経費を計上いたしました。
次に、教官当たり積算校費、学生当たり積算校費、設備費等各大学共通の基準的
経費につきましても、引き続きその
増額をはかっております。
また、新制大学における大学院修士課程の
拡充、付属病院、付置研究所の
整備につきましても特段の配慮をいたしておりますが、特に付属病院につきましては、三公立医科大学付属病院の国立移管、五歯学部付属病院の創設及び病院教官の
増員等の措置を講じております。
次に、専門的
技術者育成のため、一工業高等専門学校の創設及び既設六校に学科を新設する予定であります。このほか、船舶
職員の資質の向上をはかるため、既設の五商船高等学校を転換して、商船高等専門学校を創設することにいたしました。
次に、国立学校施設の
整備につきましては、財政投融資資金及びその他の収入を財源の一部に含めて
予算額を四百九十八億円と大幅に
増額し、一段とその
整備の
促進をはかることといたしておりますが、なお、
施設整備の円滑な
実施をはかるため、後年度分について、百八十五億円の国庫債務負担行為を行なうことができることといたしております。
第四は、私学の振興であります。
私立学校の振興は、今後の文教政策の重要な課題であり、その基本的な
助成方策につきましては、なお慎重に検討中でありますが、現下の状況等にかんがみ、
昭和四十二年度の
予算案におきましても、特に重点として取上げたところであります。
まず、私立学校振興会に対する政府出資金及び財政投融資資金からの融資につきましては、合わせて二百六十億に拡大し、私学全般の施設の
改善充実に充てることといたしました。
また、私立大学理科等教育設備
整備費
助成及び私立大学研究設備
整備費
助成につきましても、合わせて四十四億円を計上し、前述の私立大学特別奨学に関する特別な配慮、その他私立幼稚園に対する施設費の補助の新設等の
施策を講じております。
第五は、家庭教育、社会教育の振興と青少年の健全育成であります。
宵少年の教育問題は、近時ますますその重要性を加えており、これに対処するためには、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く意を用いるべきところであると存じます。
まず、社会教育は、国民の教養の向上に大きな役割りを果たすものであり、その普及振興は、学校教育の
充実とともに、きわめて重要なものであります。このため社会教育指導者の養成確保に一段と意を用い、社会教育主事等の講習会のほか、各般の指導
事業の
充実強化につとめ、国立社会教育
研修所の
整備充実を行なっております。
また、特に家庭教育を重視して家庭教育学級を
充実強化する等の措置を講じました。
次に、青少年に団体宿泊による
研修、訓練の場をより多く与えるため、国立第六青年の家を新設いたしますとともに、公立青年の家につきましても、その機能の拡大を考慮して、
整備を進めることといたしております。また、青少年の団体
活動を一そう
促進するため、青少年団体等の育成も
強化したいと考えております。
このほか、青少年に対する映画、テレビの影響力にかんがみ、積極的に優良な映画、テレビ番組の製作の奨励及び普及を
促進することといたしました。
また、社会教育の施設につきましては、再少年施設のほか、公民館、図書館、博物館等の施設、設備の
整備を一そう
推進することといたしております。
次に、体育、スポーツの普及につきましては、広く青少年一般にスポーツを普及奨励し、その体力の向上をはかるため、水泳プール、体育館、運動場及び柔剣道場等の
整備を
促進し、また、スポーツテストの普及、スポーツ教室等の
実施、スポーツ団体・行事の
助成、指導者養成等について、引き続き必要な
経費を計上いたしております。このほか、登山
研修所の
設置、オリンピック記念青少年総合センターの建物の
整備、本年度開催されるユニバーシアード東京大会の
実施のための
経費、及び
昭和四十七年度開催予定の札幌オリンピック冬季大会の準備
経費等、それぞれ必要な
予算を計上いたしております。
次に、
学校給食の
普及充実につきましては、完全給食の
実施を目途として、引き続き単独校及び共同調理場の給食施設、設備の
充実をはかるほか、夜間定時制高等学校の食堂の
設置、栄養
職員の
増員等の
施策を行なっております。さらに小麦粉及び脱脂粉乳につきましては、従来のとおり補助を継続することとし、
所要の
補助金を計上いたしております。
第六は、学術研究の
推進であります。
わが国の学術の水準を高め、ひいては国民生活の向上に寄与するため学術研究の
推進につきましては、引き続き努力をいたしております。
昭和四十二年度
予算につきましては、まず、科学研究費の
拡充を行ない、特にガン特別研究費は一段と
増額をはかっておりますほか、引き続き研究所の新設、
整備を行ない、また、ロケット観測、南極地域観測及び巨大加速器の基礎研究及び建設に伴う準備研究等につきましても、それぞれの目的に応じて必要な
経費を計上いたしました。
なお、在外研究員の
派遣のための
経費についても
増額計上いたしております。
第七は、芸術文化の振興であります。
すぐれた芸術を広く国民に普及し、また、
わが国の伝統的な文化財を保存いたしますことは、民生活の向上の上からもきわめて必要なことであります。
まず、新しい試みとして、新人芸術家の開発育成につとめ、
地方文化施設費の補助及び青少年のための芸術
活動の
推進等を行なうために必要な
予算を計上するとともに、芸術団体に対する
助成を行ない、さらに国立の美術館、博物館の
整備を進めることといたしております。
次に、文化財保存
事業につきましては、文化財の修理、防災施設の
整備等を一そう
充実することといたしておりますが、特に最近国土開発の急速な進展に伴ってその必要性を痛感されております史跡、埋蔵文化財の
保護につきましては、特段の配慮を加え、平城宮趾の買い上げ及び発掘
調査につきましても必要な
予算を計上することといたしました。さらに、無形文化財の保存活用等につきましては、引き続きその
強化をはかることとし、
わが国古来の無形文化財である歌舞伎、文楽等の保存と振興をはかるための国立劇場に対する
助成につきましても、万全を期するよう配慮いたしました。
第八は、教育、学術、文化の
国際交流の
推進であります。
まず、
外国人留学生教育につきましては、その
受け入れ体制の
強化をはかっております。また、
国際学術文化の交流を
促進するため、新たに日米間の文化教育に関する人物交流の
促進をはかるとともに、引き続き教授、研究者の交流を
推進することといたしました。
なお、最近、特にアジア、
アフリカ諸国に対する教育
協力の要請が高まってまいりましたおりから、教育指導者の招致、理科設備の供与及び指導者の
派遣等を行なうために必要な
経費を計上いたしております。
さらに、ユネスコ
国際協力につきましては、国内ユネスコ
活動普及
促進下葉の
実施、
国際大学院コースの継続等、一段とその
事業の
推進をはかることといたしました。
以上のほか、沖繩の教育に対する
協力援助費につきましては、これを大幅に
増額し、別途総理府所管として計上いたしております。
以上、
文部省所管予算案につきましてその
概要を御
説明申し上げた次第でございます。
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