運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-04-25 第55回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十五日(火曜日)     午前十時十四分開議  出席分科員    主査 野田 卯一君       稻葉  修君    仮谷 忠男君       松野 頼三君    板川 正吾君       加藤 清二君    阪上安太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         運輸省航空局長 澤  雄次君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   関  忠雄君         大蔵省主計局主         計官      荒巻与四郎君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君     ————————————— 四月二十五日  分科員船田中君、横路節雄君、永末英一君及び  松本忠助委員辞任につき、その補欠として稻  葉修君、板川正吾君、竹本孫一君及び鈴切康雄  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員稻葉修君、板川正吾君及び竹本孫一君委  員辞任につき、その補欠として船田中君、横路  節雄君及び永末英一君が委員長指名分科員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算運輸省郵政省、  建設省及び自治省所管  昭和四十二年度特別会計予算運輸省郵政省、  建設省及び自治省所管  昭和四十二年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 野田卯一

    野田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十二年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川分科員 私は、最近踏切事故が非常に続発しておりまして、国民生活に大きな不安を与えている、その事故防止に対しまして若干伺いたいと思います。  御承知のように最近の傾向は、鉄道運転が過密化しておる、それから列車が長大化している、しかもスピード化している。一方において自動車保有台数が年々ウナギ登りに上がっている。こうした交通の需要に対しまして道路整備が立ちおくれだということは、これはもうどなたもおわかりの状態でありますが、特に踏切道整備というのが非常に立ちおくれておる状態だと思います。ですから、こういう事態の中で一たん事故が起きますと、この間も南海電車のごとく、あるいは東武鉄道、あるいは国鉄、各所に起こっておりますように、事故の被害が非常に大きい。こういう実情にかんがみまして政府はこの踏切事故防止のためにいかなる対策なりを講じつつあるのか、これをまずひとつ伺っておきたいと思います。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説のとおり、最近踏切に関連いたしまする重大事故が続発いたしますことは、まことに憂慮にたえない次第でございます。政府といたしましても、踏切事故状況にかんがみまして、重大事故発生を防止するために、踏切事故対策の強化をはかり、その実施を強力に推進いたす方針にいたしておるのでございますが、まず本年度予算において予定いたしておりまする踏切道交体交差化構造改良及び保安設備整備等事業は、できるだけこれを早期に実施をいたすよう促進いたしたいと思っております。  本年度予算におきましては、まず、国鉄においては、踏切立体交差化あるいは鉄道高架化を含めまして百数億の改良事業費をとっております。これによりまして踏切改良を進めてまいりたいと思っております。  私鉄につきましても、相当額の資金を開銀を通じて融資をいたし、その利率を七分に引き下げる、そして融資率を五〇%、こういう方針でもって特に踏切道改良を促進いたす方針でございます。  こうしたことにつきまして、これらの予算的なあるいは融資面の措置を講ずるほか、行政的に指導監督を強力に進めてまいりまして、できるだけ早く踏切道改良の完成を促進いたしたい、かように存じております。
  5. 板川正吾

    板川分科員 これは事務当局からでいいのですが、最近の年間における踏切事故の人的、物的損害というのはどの程度あるのですか、それを伺っておきたい。
  6. 増川遼三

    増川政府委員 昭和四十年度の確定的な数字が出ておりますので申し上げますが、国鉄私鉄合計いたしまして踏切事故発生件数は四千二百八件でございます。これによりまして出ました死者の数が千二百六十一人、負傷者の数が千八百二十七人、合計いたしまして死傷者としては三千八十八人出ております。この状況は、昭和三十六年度に比較いたしまして発生件数死傷者の数とも二四、五%ずつ減っております。  物的損害につきましてはつまびらかな数字をつかんでおりませんので、まことに申しわけありません。
  7. 板川正吾

    板川分科員 今度の南海電車事故でも、おそらく数千万円物的損害があると思います。また事故のために収入となるべきものが収入とならないという損害まで加えれば、物的損害というのは非常に大きいと思います。当事者は、事故というのはなるべく小さ目に報道したほうがいいということで、そういう損害を少な目に報告しておりますが、実際は、これは人的、物的にばく大な損害を社会に与え、しかもそれは国民に大きな不安を与えておる、この実態を見なければいけないと思うのであります。  そこで、国鉄に三万七千の踏切私鉄に二万四千の踏切、合わせて全国に六万一千踏切がありますが、一体、この保安上の指導監督というのは、実際にはどこでやっておられますか。
  8. 増川遼三

    増川政府委員 踏切管理につきましては、道路法によりまして、踏切に関する道路管理者鉄道事業者との協議によってすべて行なうことに原則としてなっております。この協議につきましては、国鉄の分につきましては建設省国鉄との両者協定がございまして、この協定に基づきまして管理責任を来たしております。私鉄関係につきましてはそのような表立った協定というものはございません。その点は、私鉄におきましてそれぞれ事情が違いますので、個々協議して定めるということにいたしております。
  9. 板川正吾

    板川分科員 質問の趣旨をよく聞いてください。私が言ったのは、鉄道側から見た踏切保安指導監督をどこでおやりになっておるのですかというのです。踏切道管理を聞いておるのじゃないのです。
  10. 増川遼三

    増川政府委員 鉄道側からの監督は、当方の運輸当局としてやっております。
  11. 板川正吾

    板川分科員 六万一千ある踏切道を、幾人ぐらいで、実際どういうふうな保安上の指導監督をやっておられますか。
  12. 増川遼三

    増川政府委員 従来、通常の行政指導をもってやっておりますほかに、踏切道改良促進法によります指定行為がございまして、これによって立体交差化構造改良あるいは保安施設整備という点で相当指定行為をやっております。その指定につきましては、法律に基づきまして運輸省建設省の共管ということになっておりますが、この指定をやることによりまして、国鉄並びに私鉄に対しましてそれに基づいた強力な指導をいたしております。従来の指定によります実施率はおおむね七五%程度に相なります。
  13. 板川正吾

    板川分科員 どうも私の日本語があまり通じないようですが、この六万一千というたくさんの踏切、そこに一日何百万台という自動車が通行し、それに何百万人という人が乗って踏切を通っておるわけです。その踏切事故が頻発をして大型化しておるのですから、運輸当局としては踏切事故を防止するために、保安指導上具体的にどういうような要員をもって保安指導をしておるのであるか、具体的にどういうふうにやっているかということを実は聞きたいのですが、どうもおわかりにならないような感じがしますから、わからなければその数字はあとでもいいです。
  14. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  鉄道事業者に対しまする踏切道保安に関連いたします運輸省の体制といたしましては、本省におきまして鉄道監督局がございまして、国有鉄道関係におきましては保安課、それから民営鉄道関係におきましては土木課が所掌いたしまして、さらに監督局総務課が所掌いたしております。なお、地方陸運局におきましては、鉄道部というのがございまして、鉄道部の中の技術課というのが主としてこれを担当いたしております。人員は非常に微々たるものでございまして、確固たる数字は持っておりませんが、土木課踏切担当係は三名程度でございます。
  15. 板川正吾

    板川分科員 次に伺いましょう。  踏切事故現場を私は何回か見ておりますが、踏切事故現場を見ますと、両端道路は最近大いに拡幅をされてきております。しかし、踏切内のいわゆる踏切道踏切内の道路部分だけは非常に狭くなってしぼられております。こうした踏切道が狭いために起こった事故というのは、昭和三十四年かに国鉄亀有事故がありました。これは両端が十四メートルですが、踏切道が四、五メートルだったと思います。両端が非常に広くなっておりましたから、大型トレーラーのトラックが入ってきたら、踏切がしぼられておる。無理して通っておるうちにひっかかって動けなくなって、国鉄がそれにぶつかって二両脱線転覆、こういう事実が昭和三十四年ごろありました。最近においては埼玉県越谷市における東武電車とバスの踏切事故、これまた両端が八メートルになっておりますが、踏切内の道路は四・六メートル、そして四・六メートルというのは、大型自動車が行き帰りできません。お互いに片道通行しかできない。大型と小型が向こうにおっても、なかなか行き帰りできない。大型が通るときに、前に自動車があって交通不能になって、電車がぶつかって事故を起こした。これまた同じように、両端道路が広げられておりますが、踏切道が狭い。今度の南海電車事故現場を見ましても、やはり国道から入るところは広くて、だんだん狭くなって、そして踏切の中は二・一メートル、こういうふうにしぼられておる。こういうような大事故が起こる踏切条件というのは、踏切道が狭いというところにも大きな原因があるようにも思います。ですから、この六万一千カ所の踏切の中で、両端道路より踏切道が狭いという踏切はどのくらいありますか。
  16. 増川遼三

    増川政府委員 昨年の六月に全国的な踏切道調査をいたしました結果によりまして申し上げますが、現在拡幅をどうしても必要とするものにつきましては約九百七十カ所ございます。それからそれに類しました、交差角度が非常に悪いというようなこともございますとか、あるいは接続道路直線長が悪いとか勾配とか見通しとか、そういった面も共通して重なっておりますが、先ほどの拡幅以外のもので、そういった改良しなければならないというものが千九十カ所ばかりございまして、合わせまして二千六十カ所というふうに、現在の調査ではなっております。
  17. 板川正吾

    板川分科員 私の感じでは、もっと多いように思いますが、それはそれとして、いいでしょう。  いままでの事故を分析して、踏切が狭いために、そういう条件のところで起こった事故と、道路踏切が同じ幅であるところで起こった事故とが、事故比率といいますか、そういう比率は調べてありませんか。
  18. 増川遼三

    増川政府委員 踏切原因別で見まして、運転の誤りによりまして起こりましたものが、四十年度件数の中で八百三件ございますが、これは全体の数の一九%に相当いたします。これは踏切道自体構造等が悪くて、やはり施設を強化しなければならぬというようなところだと大体推定されると思います。
  19. 板川正吾

    板川分科員 わからなければ、将来調査される場合に、両端道路より踏切道が狭い、そういう踏切事故が起こったのとそうでないのと、ひとつ区分けをしてもらいたいと思います。  次へ進みますが、踏切道整備するのは、これは理想としましては立体交差が一番望ましいのです。これはだれでもわかっていることです。しかし、立体交差にするのにはばく大な費用と、また長期間の時間が必要です。急に立体交差ができるわけじゃないのです。しかし立体交差を一方において着々行なっておりますから、最近踏切における事故が若干減少傾向をあらわしているのはそういうところであろうと思いますが、それはそれとしまして、いまの調査によりましても千近い踏切がある。これは急に立体交差というわけにはいきません。そこで、この中で踏切道両端道路より狭いという点を、一体どういうふうにこれから整備改善していこうとしているのか、その点を伺います。一体九百七十というのが、全部踏切道道路との差がなくなるのはいつごろですか。
  20. 増川遼三

    増川政府委員 現在われわれの持っております計画といたしましては、国鉄私鉄合わせまして立体交差をやろうと考えておりますのが約六百カ所、構造改良、ただいまの踏切道の幅を直したりする、それに類するものが二百五十カ所、踏切保安設備改良改善、これが六千九百五十カ所、こういうふうに現在考えております。
  21. 板川正吾

    板川分科員 そうするとこういうことでしょう。昭和四十一年度から四十五年度の五カ年間に、いまの調査によると、九百七十カ所踏切道が狭いという踏切がある。そのうちに国鉄百五十カ所、私鉄百カ所で五カ年間に二百五十カ所は直しましょう、こういうことじゃないですか。そうでしょう。踏切道改良促進法計画によって今後五カ年間に二百五十カ所を直そう、こういうことになりますね。そうすると、二十カ年たたないと、昨年の調査段階で約千カ所の踏切道が狭いというのが改善できない。ところがいま政府が、道路整備五カ年計画で膨大な資本を投じて道路整備をしますと、それが千カ所じゃおさまらないですね。さらに千カ所か二千カ所か知らぬけれども、道路整備が進むにつれて踏切道整備が必要となる個所が非常に多くなる。去年の段階調査においても約千カ所あるのに、五カ年計画で二百五十カ所しかできないというんじゃ、国民の不安は何十年たったって解消しないのじゃないですか。
  22. 増川遼三

    増川政府委員 従来構造改善について、法によりまする指定個所数が非常に少なかったことは事実でございまして、今回の大きな事故契機といたしまして、交通対策本部におきまして基本的な方針もきめていただきましたので、この趣旨にのっとりまして、今後は積極的に法の指定を行なう予定でございます。それに要します費用につきましては、現在までの計画に基づいていただいております諸予算というものを積極的に使わしていただきまして、なお今後とも相当のこれらに対する予算的な配慮までいただいて努力いたしたいと考えております。
  23. 板川正吾

    板川分科員 いまの私の数字はちょっと違いました。先ほどの局長答弁から言うと、九百七十カ所を千カ所と言ったのですが、この踏切道改良促進法における二百五十カ所というのは、構造改良全体を言っているのであって、踏切道の狭いものだけを言っているんじゃない。そうすると構造改良を要するものはそのほかに千九十カ所あるわけですから、合計で二千カ所ということになりますね。二千カ所のうちに二百五十カ所を五カ年計画構造改良をする、こういうことになるわけです。そうするとたいへんな日時、四十年たたないといまの二千カ所近い道路構造改良はできない。しかも一方において道路整備はますます進みますから、さらに条件は悪くなる、こういうことです。ですから、この踏切道改良促進法による踏切道改良計画は、根本的に予算の面からも実態の上からも計画を立て直さなければだめじゃないですかね。大臣、どうでしょう。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 板川委員の先ほど来仰せられましたことは、まことにごもっともな次第でございまして、政府が従来踏切改良について考えておりました計画というものは、現実の情勢から見ますと、あまりにも規模が小さく、現在の必要に応じ得ないものであることは明らかでございます。  そこでこのたび、南海電鉄の事故契機といたしまして、交通関係閣僚協議会を開催いたしました。その際におきましても、その点を勘案いたしまして、この際もっと大きな規模をもって踏切道改良に進むべきである、かような趣旨の決定をいたしておるのでございます。したがいまして、運輸省といたしましても、各省と協力いたしまして、この危険なる踏切をできるだけ調査をし、この機会にできるだけすみやかに徹底的に改良に進むようにいたしたい。そのために必要があれば将来予算の増額を当然考慮すべきものだ、かように考えておる次第でございます。どうぞ御了承を賜わりたいと存じます。
  25. 板川正吾

    板川分科員 とにかくこの実態の上から見ると、踏切道整備というのはたいへんおくれておりますから、ひとつ抜本的な計画の立て直しを要望しておきます。  そこで私伺いたいのは、踏切道整備が進捗しない、要するに拡幅をされないという原因を検討してみますと、これらの拡幅に要する費用負担区分というのがどうも不明確なんです。不明確で、道路法によっても、原因者負担原則あるいは受益範囲負担あるいは両者協議というようなことで、協議しなければならないという義務づけはありませんから、話し合いを持ち出したほうがよけい費用を持つような気がしまして、どちらも自分かってな理屈で、整備しようということを考えない。ですから、いま私が議論するのは、道路が広がって踏切内の道路が広がらないという問題だけに論点をしぼりますが、これの拡幅に要する費用一体どこがどのように持たなければならないのか、これがいまの中ではどうも不明確なんです。たとえば、われわれの常識からいえば、両端道路が広がると踏切道が狭くなる。ですから、その踏切道整備するのは、道路を広げた道路側に私は責任があると思うのです。これは原因者負担原則に基づいて、原因をつくったほうですから。ところが一たん事故が起こると、鉄道側非難攻撃の中心になる。なぜそういう踏切整備しなかったのだ、こう非難をされる。鉄道側からいえば、踏切内の道路を広げても、それを利用するのは鉄道側ではない、利用するのは一般通行者ですから、一般通行者のために鉄道側道路自分費用で広げなくちゃならない理由はない、こういうことで、これまた鉄道側ではそういう予算のあれもない。そこで考えたことが、広がった道路から踏切道の幅まで、トラさくと言いますが、まくら木の古いのを切って、トラ色に塗って、しぼって、そうして道路が広がってきても、踏切内は踏切道路の幅しか通れませんよというふうに、鉄道側は自衛上そういう対策をしておるのです。道路側道路側で、踏切内は鉄道がやるべきだというような考え方に支配されておって、積極的に踏切内の道路整備しようとしない、こういういわば両方とも責任を回避しておる。だからたくさんな踏切道整備されないままに放置されておる。したがって私は、国民立場からいえば、いずれにしても道路が広がったのだから、踏切内の道路を広げてもらいたい、そうして早い時間にそこを通過するようにしたほうが事故が少ない、それが道路側であろうが、鉄道側であろうが、早く整備してもらいたいというのが国民立場だと思うのです。ところが、その費用分担区分あるいは負担区分というのが明確じゃないために、とにかくそういう整備が立ちおくれている。この負担区分を合理的にこの際はっきりしておくべきじゃないか、私はこう思うのです。  そこで、その点では建設省国鉄の間における「道路鉄道との交差に関する建設省日本国有鉄道協定」いわゆる建国協定というのがある。この建国協定の十二条を見ますと、こういう趣旨があるのです。「踏切道管理等」と言いまして、「踏切道は、鉄道側がその管理を行うものとし、その管理に要する費用は、鉄道側負担する。」その「管理」とは、細目協定において「管理」とは、所有又は支配し、並びに改築、取替、修繕及び維持することをいう。」ここまでを管理という、これは鉄道側でやるべきだ、これははっきりしております。二項としまして、「踏切道幅員当該踏切道に接続する道路幅員に満たない場合において、当該踏切道幅員当該道路幅員まで拡幅するときは、その工事に要する費用は、当該踏切道幅員当該道路幅員に満たないことに至らしめたことについて責を有する者が負担するものとし、その責が不明の場合においては、道路側及び鉄道側がそれぞれその二分の一を負担する。」一応こういうふうに協定ができております。この十二条の一項は、これは管理鉄道側が全部持てということをうたってあるのですが、第二項は前段と後段に分かれておる。前段は、道路が広がっておるのに踏切道が狭い、狭いことに至らしめた責を持つ者が負担しろ、これはいわば原因者負担原則というのを言っておると思うのです。要するに、そういう原因をつくったほうが負担しろ、この場合には道路を広げたほうに私は踏切道の内部の道路を広げる費用負担する責任がある、こういうことを言っておると思うのですが、これはいかがですか、この解釈は。
  26. 増川遼三

    増川政府委員 仰せのとおり、原因者負担原則をここでうたっておるものと解釈いたします。
  27. 板川正吾

    板川分科員 ここでは踏切道の幅が道路の幅に満たないことに至らしめたことについて責を持つ者というのですから、鉄道側道路が広がっておるのに踏切をわざわざ狭くしてしまったという例は、とにかく日本全国さがしたって、そういう例は私はないと思うのです。ですから、こういう言い方をしておりますが、実際は、道路が広がって踏切道が広がってない場合には、広げた道路のほうがその費用負担しなさい、責を負いなさい、こういうふうに一般的に解釈していいんでしょう。
  28. 増川遼三

    増川政府委員 仰せのとおりでございます。
  29. 板川正吾

    板川分科員 建設省来ておりますか。建設省はこれに対して、いまの解釈に対してどうお考えですか。
  30. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま運輸省から御答弁がありましたとおりでございまして、狭い部分を前後の道路まで広げる増幅工事費用は、当然原因者である道路側が持つべきだというふうに私どもは理解しております。
  31. 板川正吾

    板川分科員 その趣旨は、これは国鉄建設省ですから、いわば国道国鉄、最終的には同じところから金が出る関係で、わりに割り切って考えられますが、これが私鉄地方道、この場合にもその趣旨はそういう趣旨で間違いありませんね。そういう趣旨指導されているでしょうか。
  32. 増川遼三

    増川政府委員 原則は明確にされておりませんけれども、大体その趣旨はそのとおりに従来やっております。これが実際にどういうふうになっているかと申しますと、大体私鉄の場合受益がございますが、受益の限度でその場合におきましても負担をいたしております。
  33. 板川正吾

    板川分科員 建設省、これに対してひとつ答弁してください。
  34. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 考え方国鉄の場合と同じでいいと思います。原因がはっきりしている場合は原因者負担、はっきりしていない場合をどうするかということでございますが、その場合は個々のケースになると思いますが、鉄監局長お答えのような、私鉄側負担するとすれば受益範囲内というような考え方も一つの考え方でございます。
  35. 板川正吾

    板川分科員 受益範囲内の負担、これは問題は別におきましょう、それは別にわれわれも質問してないし、それを否定していませんから。この問題は、地方鉄道地方道の場合には、どうもこの趣旨が不徹底なんですよ。ですから県道私鉄、こういう場合には、両方県道は広がっているが踏切内だけは広がってないという県道がずいぶんあるのです。そこで、鉄道側踏切道幅員を満たないことに至らしめた例というのがいままでありましょうか。考えられますか。どういう場合に——たとえば道路が広がっていて踏切道が狭い、それを、鉄道側踏切道を狭くしておるという例が日本全国に過去においてありましたか。これは両方から……。
  36. 増川遼三

    増川政府委員 大体、鉄道を踏み切ります道路のほうが自後の交通量の増大によってあとから広くなるという場合が非常に多いものとわれわれは見ております。
  37. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 大体運輸省の御答弁と同じように考えております。
  38. 板川正吾

    板川分科員 私は、鉄道側踏切道両端道路に満たないようにしたという例は過去においてどこにもないと思います。あったらひとつお目にかかりたい。だから、こういう表現をしておりますが、私は、狭い踏切道拡幅道路側負担するのが妥当じゃないか。先ほども言いましたように、広げた道路鉄道が使うのじゃないのです。広げた道路は一般の通行の用に供するために広げるのですから、それを鉄道側負担すべしという理屈は当たらない。だから鉄道側踏切道整備について積極的にならない。また一般に県道、市町村道においては、踏切管理鉄道がするのだから、踏切道を広げるのまで全部鉄道でやってくれ、こういうふうに思っているのです。だから予算にも計上しない。大臣、地方へ行くと、野原の中に両端道路がずっと広がって、踏切道のこんな狭いのがずいぶんあります。あれを地方道関係者に聞けば、それは踏切内は鉄道でやってください、こういう気持ちでいるのですね。だから私は、この建国協定というのは国鉄建設省協定でありますが、しかし、この趣旨は合理性を持っていますから、地方鉄道地方道路との間にもこの原則が確立されないと、これはいつになっても踏切はなかなか整備されませんね。この趣旨を運輸関係者と道路管理者に徹底させないといけないのじゃないでしょうか。だから私は、そういう場合には、両端道路が広がったのですから踏切道も広げなさいということを鉄道側道路側に要求しなくちゃいけないと思う。ところが、いま負担区分が明確じゃありませんから、それを要求すると、では鉄道側も半分持ってくれ、こういう形になるから要求しない。そのかわりトラさくを設けてしぼっておく。こういうことが事故の大きな原因になっているのですよ。ですから大臣、これは私は、この建国協定の十二条の趣旨というのは合理性を持っておるし、これを逆に解釈できっこはないのですから、この趣旨道路関係者、鉄道関係者に周知徹底さして、鉄道側から積極的に道路側に、予算を持ってほしい、改善しなさいと要求する必要があるし、道路側も、両端道路を広げる場合には、踏切道道路自分費用で広げなくちゃならぬ、あらかじめ予算を組む必要があるのじゃないかと思うのですが、大臣これはどうでしょう。
  39. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま板川委員仰せられましたことは、私全くそのとおりであると存じております。したがいまして、今後踏切道改良を促進いたしますためには、そういった面における費用負担区分をできるだけ明確にしておくということが適当であろうと存じます。そこで運輸省といたしましても、十分建設省と相談をいたしまして、急速にこの費用負担原則的な了解を確立いたしまして、その了解のもとに、その趣旨建設省から各級の道路管理者に対して、また運輸省からは各関係鉄道事業者に対しまして周知徹底させ、鉄道事業者また道路管理者、双方協力して踏切道改良に進みますよう努力をいたしたいと存じます。
  40. 板川正吾

    板川分科員 建設省に伺いますが、この建国協定の十二条の二項の後段に「その責が不明の場合においては、道路側及び鉄道側がそれぞれその二分の一を負担する。」とありますね。「その責が不明の場合」とはどういう場合が考えられますか。実は、要するにわけがわからなくしておけば鉄道側が半分負担をしてくれるのだ、道路側は全部持たなくていいのだ、こういう気持ちになりやすいのです。これは例があるのです。私あげてもいいのですが、例があるのです。それは昨年九月、埼玉県の越谷における東武電車事故の際に、私は県の知事に——県道が八メートルになっておって、踏切道が四・六メートルです。大体大型自動車というものは二・五メートルありますから、踏切道の中は大型自動車が行き通いできません。両側は八メートルですから完全にできます。この道路を広げて、なぜ踏切道を八メートルに広げるようにしなかったのだ、道路を広げたのはいつか、踏切道がこの状態になったのはいつかという質問をして文書で回答をもらったのです。そうしたら、結局どっちが早いかおそいか不明だというようなことで、あいまいな態度で埼玉県知事、土木部長から答弁書がきているのです。結局、その責任の拠点をあいまいにしておけば、自分のほうの責任を半分しか負わなくていいし、場合によってはのがれられるというふうに感じているのですね。  そこで私は伺っておきたいのは、この二項後段の「その責が不明の場合においては、道路側及び鉄道側がそれぞれその二分の一を負担する。」ということは、どういう場合にこの例があるのか。これは鉄道側と、協定した建設省両方が説明してほしい。
  41. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいまの御質問は、建国協定十二条の二項後段の「不明の場合」の具体的な例はどういうものがあるかという御質問であったと思いますけれども、実はいろいろ担当の者に伺いましたところ、これは具体的な例というよりは、建国協定を制定いたしました当時の経緯からいきまして、この鉄道道路との交差というものは歴史の古いものでございますから、道路扱い上一つの線を画しておく必要があるということから、これの運用といたしまして、昭和二十一年以前と以後に分けまして、二十一年以前においてもうそういうふうな状態があるのは不明と解釈する、以後において道路が広がったのは……(板川分科員昭和二十一年ですか」と呼ぶ)昭和二十一年でございます。そういう一つの申し合わせのようなことで今日まで運用されておるようでございます。
  42. 板川正吾

    板川分科員 そうすると、昭和二十一年前にすでに道路が広がっておって踏切道が狭いというのは、これはお互いに半々の負担で広げなさい、昭和二十一年以降において道路が広がったのは、踏切道は、二項の前段において原因者道路側負担しなさい、昭和二十一年以前にそういう状態であったのは両方で持たなくちゃならない、そういう意味ですか。
  43. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 そういうように運用されております。
  44. 板川正吾

    板川分科員 私はこれがはなはだ不合理だと思うのです。そういうことは、国鉄建設省国——国道の場合は、最終的には国が出すのだからどっちでもいいだろうということで、いいと思うのです。しかし、いまの運用の基準が私鉄地方道路に当てはまったら合理的じゃないと私は思いますね。理屈に合えば、それはたとえどういう費用でも出さなくちゃなりませんが、先ほども言いましたように、広げた道路を利用するのは鉄道側じゃないのです。踏切道路が狭い、これを広げて、広がった踏切内の道路を利用するのは鉄道側じゃない。それは通行者のために広げるのですから、道路通行者です。それを二分の一鉄道負担させろ、私営鉄道負担させろという理屈は、これは私は妥当性を欠いておると思う。合理的じゃない。こういうように私鉄側にもそれを負担させるということでは、踏切道整備というのがなかなか立ちおくれて進まないと思いますね。国鉄国道関係であればこれでいいかもしれませんが、その辺は私はあくまでも原因者負担原則により、道路を広げたために踏切道も広げなくちゃならないのですから、それは道路側原則として持つというたてまえを貫くべきだと思うのですが、この解釈はいかがでしょう。
  45. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいま申し上げました取り扱い上の考え方、どういういきさつでこういう申し上げたような運用をしてまいったかということを私つまびらかにいたしませんが、察するに、昭和二十一年、終戦のあくる年でございますが、それ以前のわが国の道路状態、つまりそれ以前に道路拡幅されたというその事実というものは、戦前の道路行政なり道路政策というものが非常に御承知のとおり貧弱でございまして、道路行政、道路事業というものが画期的に伸びてまいりましたのは終戦後十年ほどたってからでございます。そういうふうな事情から、戦前におきましては、はたしてそういう状態道路にいつなったか、鉄道との関係でどういうふうな事柄になるのかということが非常にはっきりいたさないというようなことから、おそらくそういうものは一応では折半ということでいこうじゃないか、こういう考え方でそういうふうになったのじゃないかというように私想像いたすわけでございます。今日の時点においてそういう考え方がいいかどうかという御批判、御意見はあろうかと思いますが、事の経緯はそういうことじゃないかと私理解いたしております。
  46. 板川正吾

    板川分科員 先ほど言ったように、出すところは最終的には国だということで、国鉄国道の場合にはあるいはそれでいいかもしれません。しかし、私営鉄道地方道路との関係において、二十一年以後は別ですが、二十一年以前のものはこれは二分の一持てというのは理屈に合わないのじゃないか、合理的な負担区分ではないのじゃないか。鉄道側が使うのじゃないのに鉄道側負担を半分持たせるというのは理屈に合わぬのじゃないか、私はこういうように思います。この点、鉄道側はどういうふうに考えておりますか。
  47. 野田卯一

    野田主査 板川君、時間が倍ぐらいになっていますから、ひとつ簡潔に。
  48. 増川遼三

    増川政府委員 鉄道側といたしましては、やはり昭和二十一年以前におきましてもこういうようなことが明確でありますれば、同じ原因者負担原則でやっていただきたいというふうに考えております。ただ、道路交通、特に自動車交通というものが非常に画期的に伸びまして道路拡幅されたという実績はやはり戦後でございますので、現在起こっております道路拡幅に伴う踏切道拡幅を要する場面というのは、戦後の問題が大部分だと考えております。
  49. 板川正吾

    板川分科員 もう一つ今度建設省に伺いますが、踏切道を広げるためにたとえば信号機等の施設がまた若干移動しなくちゃならない。この移動する費用はどちらが負担するたてまえですか、この協定で。
  50. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 踏切道拡幅に伴いまして信号機の移設を必要とするものにつきましては、移設費は道路側負担するという形になっております。
  51. 板川正吾

    板川分科員 それからもう一つ、運輸省のほうでは、踏切保安設備に開銀融資をひとつ積極的に行なう、こういう趣旨を大臣答弁されました。不十分と思いますが、そう取り組んでおりますが、いまの建設省趣旨で貫かれますと、地方自治体における財政的措置も私は特別に考慮する必要があるのじゃないかと思います。それでないと、結局自治体のほうでは、それはこっちでやることになっています、しかしとても手が回りません、金が回りませんということになって、整備がおくれてくると思うのですが、建設省のほうでは、この踏切道整備に対する県、市町村、地方自治体に対する財政的措置についてはどういう対策をとられておりますか。
  52. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お答えいたします。私どものほうの道路事業におきましては、道路の種別に応じまして府県道、市町村道、それぞれ道路法に基づきますところの財政援助の規定がございます。通常の場合におきましては、改良の場合は三分の二を国が補助いたしております。それから小規模改良、特改と申しておりますが、特殊改良につきましては二分の一の補助を国がいたしております。私どものほうの関係はそういう扱いでございまして、あと地方負担等の問題につきましては、地方財政の関係といたしまして自治省のほうで処理されておるものと考えております。
  53. 板川正吾

    板川分科員 地方自治体における財政措置というのも一面考慮してやらないとできないと思います。いずれにしましても、こういう拡幅を要すべき踏切道、これに対して道路側拡幅責任があると私は見ておりますが、しかし従来の例は、道路側から踏切道拡幅しましょうという積極的な提案をなされたという例はあまりない。そういう点で、ぜひひとつ先ほどの負担区分原則を早急に取りまとめて、合理的な負担区分をきめまして、そして地方道路管理者及び鉄道関係者に明確にして、早急に踏切道整備に関する指示をしていただきたい。これは先ほど大臣言われたとおりですが、それからもう一つ警察庁関係に伺います。  最近の信号踏切で、東京周辺でも、私調査しましたらば、これは埼玉県越谷の踏切調査したのですが、ある時間二時間のうちに五十九分遮断をしておって、そして五十三回遮断機がおりておる。ですから五〇%ですね。しかもそれはえらい主要道路じゃないのです。主要道路じゃなくても五十回も遮断機がおり、二時間のうち一時間、五十九分が遮断をされておる。こういう状態が続きますと、通行者の中には、信号が鳴っておってもどんどん入っていってしまう者がある。両方見て、だいじょうぶだろうというので入っていく。両方見ればいいのですが、中には、上り電車が通ったから、いまかんかんは鳴っておっても上り電車のやつだろうといって入っていくと下り電車が来てはねる、こういう事故が多いんですね。このかんかん鳴っておっても踏切を突破していくということに対しては、踏切警手はいない、また踏切警手がいてもそれを阻止する権能はない、こういう状態が各所にあります。ですから、こういう場合には、これに対して交通指示権を持つ警察官が、主要道路における交通整理をするのと同じように、国民の危険を防止するために踏切における交通整理をすべきじゃないかと思うのですが、これに対してどういう対策をいま考えておられるか、伺っておきたいのです。
  54. 関忠雄

    ○関説明員 踏切におきますところの違反の取り締まりの問題でございますけれども、踏切におきます事故の重要性にかんがみまして、道路交通法に基づきますところの踏切の通過方法違反に対する取り締まりも厳重にやっておるつもりでございます。昨年中約十万件近くの検挙をいたしましたほか、約九万件の警告を行なっておるわけでございますけれども、今後とも、重要な踏切におきますところの保安設備の整備等々と相まちまして、取り締まりも続行いたしてまいりたい、かように考えております。
  55. 板川正吾

    板川分科員 こういうことが踏切事故に大きく関連がありますから、ラッシュのとき——ラッシュのときのほうが鉄道の回数も多いし、お客の通行も多いときですが、こういうときにはひとつ警察官を派遣して交通整理をするように、そういう対策協議をしていただきたいと要望いたします。  時間がないようでありますから、ほか二、三ありますが、以上をもって私、終わります。
  56. 野田卯一

    野田主査 稻葉修君。
  57. 稻葉修

    ○稻葉分科員 運輸大臣にお目にかかってと思いましたら、こちらだというので、公に質問の形になりますけれども、本日の新聞に、昨日運輸大臣が米日中のロギノフ・ソ連民間航空大臣とお会いになったてんまつが日経、毎日、朝日、読売等に出ております。私、これを写してまいったわけですが、それに基づいてお聞きしておきたいことがあります。  先方は、新潟—ハバロフスク間のローカル線を開設する用意があるという官房長官へのお申し出があり、さらに運輸大臣もそれにお答えされたわけでありますが、新聞の報ずるところによれば、運輸大臣としては、今後これを検討したいと答えられましたが、運輸事務当局では、商業採算に合うかどうかということが疑問であるというのが第一。第二に、現在の東京—モスクワ間の共同運航方式は、二カ年以内にこれを改定して、シベリアの上空を開放し、日航の自主運営に切りかえることに話し合いがついているんだが、ハバロフスク—新潟路線が実現するというと、なかなか開放しないだろう。ローカル線があるから乗り継いでいけばいいじゃないかということで、ハバロフスク—モスクワ間の上空を日航の自主運営に切りかえる日本の主張がおくれるのではないかということが第二の理由。第三は、日ソ航空協定を改定しなければならないという手続上の困難があるという、三つの理由をあげて、これに消極的な態度を示されたと報ぜられておるわけです。うそかほんとうか知りません、これは新聞の報道ですからね。しかし、私は、この新聞の報道はありそうなことだと、従来の経過をよく知っておりますから、そういうふうに思うのです。  それから、これは外務省に聞くべきことですけれども、牛場外務次官も、二十四日の記者会見で、ソ連側と話し合う意思がないことを明らかにした。この新潟−ハバロフスク間のローカル線の問題については、向こうはそういう用意があると言ってきたけれども、こちらは話し合う用意がない。とにかく日航の自主運航ということが先決だ、それがおくれるようなおそれのある交渉は始めないことにするという意思だと思うのですね。それもわからぬではない。わからぬではないが、どうでしょう。運輸省事務当局があげておる三つの難点の一番おもなものは、現在の東京−モスクワ間の共同運航方式は二年以内に日航の自主運営に切りかえるという話し合いがついておるのに、これが始まるとなかなかシベリアの開放をしないおそれがあるというのが一番の中心だと思う。ところが、私はそうは思わないのです。これは国際条約で二年以内に自主運営に切りかえるという話し合いがついておるのですから、そういう契約をしておいて向こうを信用しないという言い分になりますね、これは。それは必ずシベリアを開放するもの、もし開放しなければこの協定は破棄するとさえ、外務省はあのときはおっしゃった。それくらいの勢いでやるのですから必ず開放するでしょう。そうすれば、新潟−ハバロフスク間のこのローカル線を開設したからといって、何ら差しつかえないのではなかろうかというふうに思うのですが、その辺のところをひとつ大臣から……。
  58. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お話のとおり、ソ連の民間航空大臣が昨日お見えになりまして、いろいろお話をしておりました中に、新潟—ハバロフスク間の新しいローカルの航空路の問題について言及をされたのでございます。これに関しましては、ただいま稲葉委員の仰せられましたように、検討の上御返事を申し上げましょうということをお答えいたしてあるわけでございますが、検討すべき事項と申しますのは、御承知のとおり、日ソ間の新しい東京−モスクワ間の航空路が開設せられまして、これにはいろいろな経過がございまして、この航空路が取り上げられる前に、すでに新潟−ハバロフスク間のローカルの航空路の問題が取り上げられておったことは御承知のとおりであります。それを排しまして、今回のモスクワ−東京間の航路を優先的に取り上げたわけでございますが、この航路が開設されました以上は、はたしてこの航路と並行してローカルの新潟−ハバロフスク間の航路というものが採算的に成り立ち得るかどうか、これはいろいろ検討すべき余地があるのではなかろうかと思うのでございます。それにつきましては、まずもって開設早々の東京−モスクワ間の航空路の営業状況をしばらく検討する必要もあろうかと存じまして、直ちに新潟−ハバロフスク間の問題に取り組むことは困難な状況にある、かように私は判断をいたした次第でございます。したがいまして、この東京−モスクワ間の航空路につきましては、日航の自主運営というような問題も残されておりますが、これはこれとして処理すべき問題でありまして、今回ソ連側から提案されましたローカルの問題とこの問題とをからめて考えることは、私どもとしては、そこまで考える必要はないものと思っておるのでございまして、これは別個の問題として考えたいと思っております。したがいまして、東京−モスクワ間の航路の今後の経営の状況というものをしばらく見た上で、なおその上にこのローカルの路線が採算的に可能かどうか、こういう問題に取り組んで、その上でしかるべく結論を出したい、こういう考えでございますので、御了承いただきたいと思います。
  59. 稻葉修

    ○稻葉分科員 大臣の御答弁はたいへんに明瞭で、私は納得いたしまして、別個の問題として取り扱うべきものだということをはっきりお答えになりました。たいへんけっこうだと思います。採算の問題ですが、これは非常に検討すべき問題だと思います。のみならず、新潟−ハバロフスク、ハバロフスクからモスクワ間をソ連の飛行機で運賃をかせがれては、日本は損なわけですね。日本はハバロフスクから新潟へ来て、新潟から東京間の運賃しかかせげないわけですから、ずいぶん損するわけです。ですから、そういうような点については交渉の余地があると思います。こっちが五回往復する、向こうは一回にせよとか、そういうことは向こうも納得すると思うのですね。そういうような点で交渉の余地はあるけれども、ここに新聞の報ずる——東京−モスクワ間の日本の自主運航は二年以内ときまっているのです。それをはっきりさせることが先決だというのが運輸省、外務省両当局の意見だ、こういうふうに報ぜられているものですから、ちょっと御質問申し上げたところが、運輸大臣としては、それとこれとは別だというお答えを願ったことは非常にけっこうだ。それから、いま言ったもう一つの、運輸大臣の、採算等の問題でなおよく検討する必要があるから、そう急には乗るわけにはいかぬという意味のお答え、これも十分納得いたします。ただ、御承知のように、日ソの貿易につきましては、日ソ経済合同委員会というものが去年からできて、第一回の会議を去年東京でやった。ことしの六月五日、モスクワで第二回日ソ経済合同委員会をやるわけですね。そうして日ソの貿易を伸ばしていこうということで、この日ソ経済合同委員会の日本側委員会では、堀江薫雄さんがソ連東欧部門の担当者になられて、沿岸貿易のこと、——一般貿易と沿岸貿易のことについての担当者をきめて、沿岸貿易についても振興しようというやさきなわけです。ところが沿岸貿易の向こうの範囲は、沿海州とハバロフスク州ということだけでは狭いから、もう少しイルクーツクあたりまで広げたらどうかということを言っているわけですね、向こうの沿岸の範囲を。それでないと、輸入する物資なんかも一こうありませんから、そういうことを今後日本の代表はモスクワへ行ってやるでしょうが、おそらくそういうふうになるでしょう。そうしますと、沿岸貿易の交渉のために人的往復が行なわれるのだが、その往復が、横浜から北海道の海峡を通ってナホトカに行って、ナホトカから十八時間もかけてハバロフスクへ行って交渉するのでは困るわけで、それでは飛行機を使えばいいんじゃないかということになると、一たん東京からモスクワまで行って、モスクワからまたハバロフスクまで飛行機で帰ってきて、そして交渉する。相当にいまは各構成共和国の首長に対しソ連中央政府は自主権を与え、それらにまかしてありますから、やはり沿海州の知事とかハバロフスク州の知事とか、そういうものに現地でぶつからねばいかぬ。そういう往復のために、新潟—ハバロフスク間の航空路の開設ということは、日ソ沿岸貿易の拡大に非常な役割りを果たすのだという観点から、採算のこともありますけれども、大きく日ソ沿岸貿易の拡大、日本海沿岸地帯の振興、太平洋岸との経済格差の是正といったような国策、さらには住宅五カ年計画というものがわれわれのほうにある。六百七十万戸をつくる。とうてい材木が足りませんよ。年間三百五十万立方メートル足りない。これで、今度の日ソ経済合同委員会で、モスクワへ永野団長以下乗り込んでいって、沿海州、ハバロフスク州の材木を入れて、そうして日本海岸の、あなたのところの浜田港とか、それから河北潟——新潟は河口で貯木場がないものですから、木材コンビナートをつくるには不適当だ。あそこで部分品をつくって、住宅の安いものを——非常に安いのですから、アラスカ材とか米材というものとは比較にならないですから、また奥地から持ってくるには、北海道へ行くんだったら網にひっかかってだめですから、どうしても沿海州のものを直接いかだで持ってくるというようなこともありまして、今後日本海沿岸貿易の相互の交渉はひんぱんになる。そのひんぱんになるたびごとに、モスクワへ一たん飛んでいって、ハバロフスクへ帰ってきて交渉するのじゃ、あるいは沿海州へ来て交渉するのじゃ、非常に不便きわまりないものだということがあるものですから、住宅政策等にも関連をして、大きなあらゆる面に関連してくるものですから、採算のことも十分お考え願わなければいかぬけれども、そういう大きな観点から、このローカル線の開設は、運輸省としても広い視野に立って御検討賜わりたいというのが私の所見ですが、その辺のところを大臣から御答弁願いたい。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 日本海の沿岸貿易とかいう点に関連いたしまして、ただいま稻葉委員からきわめて示唆に富む御意見を承り、私ども国際航空路の開設を決定するにあたりましては、単に従来の航空路の採算というだけではなく、お説のような貿易その他の新しい国家的な利益、経営という点をも含めまして検討をいたすべきものだという点を十分了解いたした次第でございます。つきましては、そうした見地を含みまして、今後すみやかに検討を加えてまいりたいと存じます。
  61. 野田卯一

    野田主査 以上をもちまして、本分科会所属の、運輸省所管郵政省所管建設省所管、及び自治省所管に対する質疑は、全部終了いたしました。     —————————————
  62. 野田卯一

    野田主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算運輸省郵政省建設省及び自治省所管並びに昭和四十二年度政府関係機関予算中日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 野田卯一

    野田主査 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  これにて、本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員の各位には、連日長時間にわたり御協力を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  これにて第四分科会を散会いたします。    午前十一時三十九分散会