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1967-04-20 第55回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十日(木曜日)    午前十時五分開議  出席分科員    主査 野田 卯一君       仮谷 忠男君    川崎 秀二君       登坂重次郎君    船田  中君       松野 頼三君    加藤 清二君       唐橋  東君    後藤 俊男君       阪上安太郎君    島上善五郎君       田邊  誠君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    帆足  計君       横路 節雄君    池田 禎治君    兼務 大原  亨君 兼務 玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         文部省社会教育         局長      木田  宏君         文部省体育局長 赤石 清悦君         厚生省児童家庭         局長      渥美 節夫君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設大臣官房会         計課長     高橋 弘篤君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         建設省営繕局長 小場 晴夫君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   片岡  誠君         大蔵省主計局主         計官      長岡  実君         大蔵省銀行局保         険部長     上林 英男君         文化財保護委員         会事務局記念物         課長      柳川 覚治君         厚生省環境衛生         局公害課長   橋本 道夫君         建設省都市局区         画整理課長   葛生 新一君     ————————————— 四月二十日  分科員横路節雄君、永末英一君及び樋上新一君  委員辞任につき、その補欠として広瀬秀吉君、  池田禎治君及び渡部一郎君が委員長指名で分  科員選任された。 同日  分科員広瀬秀吉委員辞任につき、その補欠と  して帆足計君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て田邊誠君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  分科員田邊誠委員辞任につき、その補欠とし  て島上善五郎君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員島上善五郎委員辞任につき、その補欠  として唐橋東君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員唐橋東委員辞任につき、その補欠とし  て広沢賢一君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員広沢賢一委員辞任につき、その補欠と  して後藤俊男君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員後藤俊男君及び池田禎治委員辞任につ  き、その補欠として横路節雄君及び永末英一君  が委員長指名分科員選任された。 同日  第二分科員大原亨君及び玉置一徳君が本分科兼  務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算建設省所管  昭和四十二年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 野田卯一

    野田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。建設省所管につきましては、質疑通告も多数にのぼっておりますので、質疑時間は本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員になられた方々は三十分程度にとどめることになっておりますので、何とぞ御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。質疑通告がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原分科員 まず第一の問題は、昨年の五月にできました国土開発幹線自動車道建設法についてでありますが、いままでの政府答弁によりますと、この国土開発幹線自動車道建設は二十年間で完成する、こういうふうに答弁していたと思うのですが、大体最終年度はいつから起算していつになるのか、これが一つです。  もう一つは、その中で、青森から鹿児島まで突き抜ける、いわゆる五道縦貫道、これの貫通目標年次、これについてもいろいろと議論があったわけですが、従来どおり変わりはないか、こういう点について、まず二つの点についてお伺いいたします。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 国土開発幹線自動車道ですが、四十一年から今後二十カ年ぐらいの間にやりたいという非常に大ざっぱな目標でございます。それを前期と後期に分けて考えておりますが、前期十カ年、そしていま申しましたように、まず第一に青森から鹿児島までの背骨をつくっていきたい。そうしてから枝葉をつくるということになるわけでございます。そのうちで、現在基本計画ができており、さらに整備計画ができておるものと、それから基本計画もできておらなければ整備計画もできておらないというものもあるわけであります。いまのところ、全線についてかちっとした年度計画というものはできておりませんが、今度の新五カ年計画では大かたこれくらいなところは達成したいというような目標は持っておるわけでございます。大ざっぱにに言いまして、前期十カ年計画で七千六百キロの半数、三千七、八百キロはあるいは完成するものもありあるいは着工するものもあるだろう、こう思っております。したがいまして、そのうちでも、いわゆる五道といわれておるものが二千五百五十キロありますから、その辺のところは大かた全部完成するのじゃないかというような大体あらましの見当を持っております。  それ以上の詳しい数字は、政府委員から答弁させます。
  5. 大原亨

    大原分科員 国土開発幹線自動車道国土開発ということですが、やはり幹線だけでなしに、国道県道その他総合的に国土開発していくということ、それを計画年次的にやるということがいままでの道路行政開発行政の中では非常におくれておった。欠陥とされるところであった。したがって、そういうふうに今後の人口移動等を見ながら、あるいは国土全体の開発を見ながら、計画的に進めていくことが大切だと思うのです。したがって、力の強いところに片寄っていくというふうなことであるならば、かえって国土開発が悪循環をもたらす、こういうことになることが私どもは問題であると思います。  もう一回、政府委員でもよろしいが、お尋ねいたしますが、幹線の五道継貫道については、これは昭和四十一年からですから昭和五十年、これを貫通目標としておることに変わりはないか、こういうことについてもう一回……。
  6. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 お答えいたします。  端的に言えば、五道につきましては、いろいろ問題がある個所もありますが、全般として、昭和五十年を目標に開通を考えていきたいというふうに考えております。
  7. 大原亨

    大原分科員 昭和五十年を目標貫通考える。それから、これらの国土開発幹線自動車道建設と新五カ年計画との関係について、ひとつ簡単にお答え願いたい。
  8. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 新五カ年計画の中で、幹線自動車道にどのくらい金を入れるか、いま検討中でございます。おおよその構想といたしましては、五道につきましては、四十六年までの新しい五カ年計画では、全線着工したいというふうに考えております。
  9. 大原亨

    大原分科員 新五カ年計画昭和四十二年から四十六年までの間に五道についてはすべて着手する、こういうことであります。そこで、着手するについても、用地を買収しただけとか、ちょっと工事しただけとか、いろいろあるのですが、きょうの新聞によりますと、第二東海道線を、バイパス高速道路としてつくっていく、こういう計画が非常に早急に必要である、こういう意見が建設省の中にあるということが報道されておるわけです。そういうことになりますと、やはり一定のワクがあることですから、そのワクの中で操作しなければならぬと思うのです。その点につきまして、大臣東海道の問題については具体的にどういうふうにお考えになるか。   それからもう一つは、この道路の新五カ年建設計画決定は、大体いつごろにやるのか、政府は、内容についての決定はいつやるのか、この二つを……。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 東海道は非常に込むわけです。したがいまして、第二東海道を、全線をやるという考えはいまのところ立っていませんが、とにかく込んでおるところをバイパスをつくってやろう。これは東名高速道路もできるのですけれども、それじゃ間に合わぬという現実の問題が起こっておる。これはバイパスでかわす。しかしそれのために、一方のほうは、幹線道路というのは有料道路ですから、財投でいくわけですから、金の種類が違います。多少の益は受けますけれども……。しかしそれだからといって、幹線道路が非常におくれるというようなことはないようにしたい、かように考えております。  あとの問題は、これはいま道路法緊急措置法の改正を出しております。それがきまりましたら、建設大臣はその内容について閣議決定を求めなければならぬということでございますので、法律がこの国会で成立しますれば、直ちに内容をきめまして、閣議決定を求める……。
  11. 大原亨

    大原分科員 いつごろになりますか。
  12. 西村英一

    西村国務大臣 大かた七月ごろになるかと思います。
  13. 大原亨

    大原分科員 これから私いろいろ議論を進めていきたいのですけれども、その中で、新聞記事を見ましても、私、感じたのですが、第二東海道高速自動車道としてやるということになれば、これは無料道路にしていく。つまり国道路にしていく。それからいまの中央道名神高速道は、有料道路であるが、これは全部無料であることが望ましい。少なくとも国土開発については無料であるべきではないか。これは原則的なことですよ。そういう点から考えてみまして、これからの五カ年計画ワクの中でいろいろ議論される問題になると思いますが、そういう点はむしろ逆になっておるのではないか。新聞その他の報道によると、第二東海道無料であって、中央道や名神道が有料である、こういうふうなことは、これは全部開発道、その他経済性を持っておるものですから、これは無料であるべきではないか。これは順序その他からいいまして、そういう縦貫道のほうが無料であるべきではないか。国土開発というふうに銘打っておるのですから、経済性よりも国土開発格差是正ということを言っておるのですから、そのほうが無料であるべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。原則的なことですが…。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまのお話のように、国土開発という銘を打っておりますと、これはやはり無料に越したことはないと思います。現在やはり国土開発のための幹線自動車道でございますが、国土開発には、やはり幹線自動車道が骨幹になることは確かでございます。しかしそのほかの培養線、もとの二級国道あるいは主要地方道あたりが、やはり幹線自動車道を生かす一つ培養線ではなかろうかと思いますが、しかしそういうようなもとの二級国道なり主要地方道整備が、いまかなりおくれている状態でございます。これを相当整備を急ぐというためには、これこそ無料でやらなければならぬというふうに考えております。そのためには、現在の政府財源問題から見ますと、高速で走る幹線自動車道については無料が望ましいのですが、いまの財源状態では、有料でやらざるを得ないというふうに考えております。
  15. 大原亨

    大原分科員 これは、またあと議論するとしまして、新五カ年計画でいわゆる幹線道縦貫道については工事に着手する、こういう御答弁ですが、その緯線道路の中で、基本計画ができていないところ、つまり整備計画ができておって、残りの基本計画ができていないところ、これは大体どのくらいあって、どういう地域ですか。
  16. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 五道につきましては、全線もう供用開始をしておりますものを除きますと、約二千三百キロくらいになろうかと思います。そのうち基本計画ができておりますものは千五百四十キロでございます。そのうちで、さらに整備計画のできているのは千十キロでございます。それを五道についていいますと、東北では整備計画のできていないのが仙台−十和田間、中央道では甲府−大月間、これは基本計画整備計画ともにできておりません。北陸自動車道では、富山から新潟に至る間が基本計画整備計画がまだできておりません。また武生−米原間が基本計画ができておりますが、整備計画ができておりません。それから中国縦貫自動車道でいいますと、広島千代田から山口鹿野の間が山が非常にございまして、ルートの選定に困難を感じております。まだ基本計画ができていない状態でございます。また広島千代田から岡山の花台までは整備計画ができていない状態でございます。もう一つ山口鹿野から美称間、これも整備計画はできておりません。九州縦貫自動車道については、北九州−福岡間、これは基本計画整備計画ともにできておりません。また熊本から鹿児島、それに宮崎というのが基本計画ができていないという状態でございます。
  17. 大原亨

    大原分科員 それで、その中で基本計画ができていない、あるいは工事が非常にむずかしい、あるいはその両側が整備計画もできていない、こういう地域で、中国縦貫道の問題について、全体の問題を踏まえながらいろいろと議論して大たいと思うのですが、その整備計画基本計画は、たとえば中国縦貫道の場合を例にとってみますと、これはどういう、順序でいつできるのか、基本計画について特にいつごろを目標にこれをつくるのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は全般的の問題でございますが、幹線自動車道につきましては、基本計画をつくるための調査を全国的に進めております。基本計画はやはり基本計画でございまして、できるだけ早くこれが調査を終わりましたら、財源関係なく、予算関係なく、あらかじめここに幹線自動車道が通るんだというような基本計画を早くきめておったほうが、そのほかの道路計画に非常に便利ではないかというふうに考えておりますので、基本計画は、その調査が終わり次第、できるだけ早く出していきたいというふうに考えております。整備計画になりますと、やはり五カ年の財源その他も考えなければいけませんので、全般的に見ますと、そういうものを考えて、基本計画のできた区間から、逐次整備計画を出していきたいというような思想で来ております。
  19. 大原亨

    大原分科員 国土開発のことなんですから、具体的にできるだけ早く基本計画を策定して、そうしてそれに伴う国道主要地方道県道、農道その他の整備をやるべき、だろうと思うのです。そういう点で、私は促進をすべきだと思うのですが、そういう点で、もう少し時間的な問題を含めて、基本計画はいつごろを目標につくるのか、この点についてもう一回お伺いしたい。
  20. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 具体的の問題、非常に全国的になりますので、まず先ほどお話のございました中国道について申し上げたいと思います。  中国道につきましては、先ほど話しましたように、岡山の落合から広島千代田間、これについてはすでに基本計画ができております。これはできるだけ早く、ことしじゅうに幹線自動車道審議会を開きまして、整備計画に入れたいというふうに考えておるのでございます。問題は、広島千代田から美祢間だと思います。この辺が早く基本計画——ルートはそう大きく変更できないということからいえば、主要経過地を出すことはできると思いますが、このルートにつきましては、幹線自動車道としての規格でやりますと、いま非常に工費もかかるということで、ルートについて再三検討しておる状態でございます。これについては、ことしじゅうに基本計画を出したいという考えもございますが、それに間に合うかどうかということは、ちょっといまのところ不安があるような状況でございます。
  21. 大原亨

    大原分科員 基本計画ができていない、一番距離の長いのは、ちょっといま私は誤りではないかと思ったのですが、広島県の千代田から山口鹿野にかけてでございます。百キロくらいあるのではないかと思いますが、これが宙ぶらりんになっておるということで、ルートについて再検討するというお話ですが、たとえばこれは南にずっと大きく回るというようなことはあるのですか。北線という方針を従来言われておったのですが、そういうことはありますか。
  22. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは、昔、千代田——鹿野間については、南に回るというような案もございました。しかし、いまの七千六百キロの幹線自動車道からいえば、千代田から広島までは、山陽と山陰を連絡する横断の高速道路計画もございます。それから、山陽筋については、第二山陽の問題もございますので、いまのところ、これを大きく南に回すということになると、山陽のほうに二つ高速道路が重なるということで、いまのところ、そういう考えはございません。
  23. 大原亨

    大原分科員 整備計画の進め方ですが、たとえば知事用地先行取得するときの財源措置関係はどうなのですか。
  24. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先行取得をする場合に、これは公団に、ことしの新規の縦貫自動車道用地費、これが四十二年度に使える金が百九十億円くらいございまして、これを委託してやる分は財源の問題はないと思います。そのほかにつきましては、約百億の債務負担行為がございまして、これで契約をする。その際に、県が市中銀行その他から財源を借りまして、それに対する金利を次の年に支払っていくというような、考えを持っております。
  25. 大原亨

    大原分科員 その際の金利はもうきまっておるのですか。そういう整備計画に入っていく際には、当然どんどん仕事を始めていくわけですが、いまお話がありましたが、知事があらかじめ金を借りまして、その金の金利を払ってやるのですが、その金利政府が見る、こういう際のその金利はきまっておりますか。
  26. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは現在、大蔵省といろいろ協議しておる段階でございます。
  27. 大原亨

    大原分科員 大蔵省主計官おられますか。——金利についてはどういうお考えですか。
  28. 長岡実

    長岡説明員 ただいま道路局長からお話がございましたように、四十二年度にどの程度先行取得をどういう形でやるかというような問題を、お互いに事務的に詰めておる段階でございまして、金利につきましては、どのような金利を基準として先行取得措置を盛り込んでいくかという点につきましては、まだ結論に達しておりません。
  29. 大原亨

    大原分科員 道路公団のは幾らですか。それで、道路公団金利以上になるのですか。
  30. 長岡実

    長岡説明員 御承知のように、道路公団が調達いたします金利は、運用部引き受け債あるいは世銀借款等によって異なっておりますけれども、事業費に織り込まれると申しますか、いわゆる資金コストとしては、大体年六分をめどに運営がされておるわけであります。その六分の道路公団金利負担と、それから縦貫道につきましての都道府県の先行取得の場合に織り込むべき金利とをどのように関係づけるかという点につきましては、申しわけございませんけれども、ただいま申し上げましたように、まだ検討中でございまして、結論には達しておりません。
  31. 大原亨

    大原分科員 ぼくが言ったのは、道路公団利子よりも高くとるのですか、こう言ったのです。
  32. 長岡実

    長岡説明員 まだそこまでの結論に到達いたしておりません。
  33. 大原亨

    大原分科員 道路公団利子よりも高くとるべきではないという私の見解に対して、どう思いますか。
  34. 長岡実

    長岡説明員 道路公団金利よりも高くとるべきではないということでございますが、要するに先行取得をいたします場合に、地元の府県といたしまして、どの程度金利資金をどういう形で調達するかというような問題もまだはっきりいたしておりませんので、そういうような先行取得に必要な、地元で調達する資金金利負担が、現実にどの程度金利負担になるかを見ながら考えていかなければならない問題であろうと思います。
  35. 大原亨

    大原分科員 どのくらいの範囲の利子のものを借れ、こういうことで、どこから金を借れというようなことなんかについて、大まかな方針を出すのじゃないですか。どこで借りてもいいからやっておけというのですか。それであと政府債務負担行為で振りかえる、こういうことなんですか。その点ちょっと議論が進んでおりますが、建設大臣いかがですか。
  36. 西村英一

    西村国務大臣 私はあまりよく存じませんので大蔵当局のほうから……。  国道でいろいろやった例はあるのですが、この幹線道路でそういう例がいままでないと思います。国道でやった例はたくさんございますが、その数字を知らないので、ちょっと答弁ができないのです。
  37. 長岡実

    長岡説明員 ただいま大臣がおっしゃいましたように、国道につきましては前例があるわけでございます。これについては、私の記憶いたしておるところでは、たとえば地方債金利が六分五厘であるというようなことを例にとりまして、六分五厘までは利子補給をするといいますか、その金利負担を見込んで補助金を交付するといったような措置がとられておるように記憶いたしております。ただ縦貫道路用地先行取得の問題は、再々申し上げますように、新しい事態でございまして、どんな資金をどういう条件で調達するかということ自体がまだはっきりきまっておりません。きまっていないにもかかわらず、どんどん用地先行取得をせよということを地元に対して言っておるわけでもございませんので、その点につきましては、十分に事務的に建設省大蔵省の間で検討を、詰めました上で、地元にも意思表示をいたしたいと考えております。
  38. 大原亨

    大原分科員 いつできるのですか。
  39. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これはできるだけ早急に結論を得たいと思います。ただいま主計官からもお話がありましたように、どういう資金を借りるか、これは県がある程度市中銀行から借りる際に、金利が安く借りられるところもあるし、安く借りられない場合もあるし、その辺が各県ばらばらのような状況でございます。その辺われわれとしては今後検討の材料にしたいと考えております。
  40. 大原亨

    大原分科員 これは本年度予算にも関係するし、あるいは特に地方予算には関係する問題ですね。ですから早く決定をすべきである。できるだけ低くやるべきである。地方財政超過負担の問題なんかもあるのですから、そういう点をやるほうが、かえって安く安定した価格で買えるのじゃないか、全部が得じゃないか、こう思うわけです。ですから、そういう点についてはよくひとつ……。  それからもう一つ問題は、私は中国縦貫道の場合を考えて全国のものを考えるのですが、これは有料道路にするというのはおかしいと思うのですね。開発道路有料道路にするなんということは、せっかく何千億円の金をかけてつくりましても、額ぶちの中に道路を入れているのと同じで、一般大衆には縁のない道路になってしまう。これはこんなものは観光に使うというのはわずかだし、格差是正のためにやるという場合に、有料道路で突っ張るということは、これは原則的に誤りではないか。有料道路にしまして、そして減価償却ができるような計算が成り立つでしょうか、どうでしょう、その点。  それともう一つは、これについて、新五カ年計画の中で再検討する余地があるのか、あるいはそのあとの、五カ年計画検討する余地があるのか、こういう二つの問題。
  41. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これはただいまいろいろ計算をやっております。まず有料道路にして償還できるかどうか。これには大きな問題が二つございます。この問題はやはり建設費が高くなると非常に償還しにくくなるという問題と、やはり有料道路で見ますと、金利コストが高くなると利子が非常にかさみまして償還がしにくいということで、金利コストを下げるのには、やはり国の出資金を相当回すべきじゃないか。またそういう金利コストの問題と、やはりどのくらいのスピードで走る道路にするか、これが非常に構造に影響してきまして、これいかんが、償還をするかしないかの一つの大きな分かれ目になるというふうに考えております。
  42. 大原亨

    大原分科員 これは大臣から答弁をしてもらいたいですね。大臣、つまり国土開発縦貫道というのは、国土開発なので、後進地域、またはやはり全国的な視野における国土開発考えて、あるいはそれらの国道県道その他の道路網を考えながら、都市の過密化と、あるいは人口がだんだん減少しているそういう地域考えながら、国土の全体的な開発を進めようという、そういう大きな目標を持った計画が、これが有料道路ということになる。たとえばいまこの中国縦貫道で百キロほど基本計画ができてないというところが非常に難所である。しかし技術的に不可能なことはないということを建設省は言っている。これは従来どおり突き進んでやる、国土開発の見地からやるということには間違いないという御答弁である。しかし、その一キロについて二十億円ぐらいかかるというようなことも言われておる。そういたしますと、下関から大阪まで行くのに、いろいろ原価計算してみると、有料道路でペイするのは、一キロについて三十円ぐらい取るということになると、五百キロ余りですから、一万五千円の料金を払わないとこの道路が利用できない、こういうふうに算術計算でいえばでき上がるように思われる。そうすると、一万五千円も出して、その幹線道路縦貫道を利用する者がはたしてあるのか、それがその地域における、たとえば農村その他の開発に役立つのか、格差是正に役立つのか、こういうことはきわめて重要な問題ではないか。これはいますぐといっても、発足は有料で発足するわけですから、資金の導入のしかたや事業主体が問題でしょうが、それはともかくとして、方針としては、私は新五カ年計画、次の五カ年計画等で当然に再検討すべき問題ではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
  43. 西村英一

    西村国務大臣 道路は公共のものでございますから、願わくは無料で一般に使わせるの、が——特別なプライベートの用ならば別ですけれども、それは大原君のおっしゃるとおりでございます。しかしまた一方に、やはり国家の財源の制約がございますから、それはそういうことで、一般の用で、一般会計でやろうということにいたしますと、現在どんな計画をいたしましても、百年河清を待つような状況になろうと思うのです。しかし、国土開発をしなければならぬために幹線道路が必要だとすれば、やはり何かの方法でとにかくつくるということ、したがいまして、それは無料でやるよりも、それは効率がある期間には下がるかもしれませんけれども、いまの国家財政その他の方法としてはやむを得ぬ措置じゃないかと思っております。しかし、いま仰せのとおり、これをどこまで続けていくかというようなことについては、今後国家財政が許せば、またほかの考え方も出てくると思うのであります。私の記憶では、有料道路は、主査野田先生が建設大臣になったときに——例の関門の軍部がつくりかかったものが、一億数千万円の金をかけておったけれども、国家財政が許さなかったからできなかったわけであります。そうして年々使っている金は一億以上、それはポンプで水を揚げるだけ、そうして、何とか考えて、とにかく開通したらいいじゃないかということで、あの関川のいまの隧道を、これは野田大臣であったと思うのですが、有料道路の案を編み出したわけで、とにかく完成したわけであります。したがいまして、時代とともに変遷するといえばおかしいですが、大原先生の御意見ごもっともでございますから、将来にわたっては十分検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  44. 大原亨

    大原分科員 野田さんかおやりになりましたことは、たとえば船でトラックの荷をおろして積みかえていくとか、あるいはトラックのままで船に乗って積んでいくとかいうことよりも、トンネルのほうが、時間的に早くて労力も要らなくて安い、こういうことですから、有料ということでも、これは十分経済性もあるから成立するわけです。ただし、私が算術計算でしたところによると、下関から大阪までの中国縦貫道は、非常にコストの高い面もあるし、あるいはそういうことになるわけですから、全般的にそうですか、一万五千円かかるわけです。一万五千円の計算になる。これは料金というものは、名神道路の例でも、できるだけ安くしてたくさん使わせればペイするということもあるのですが、それにいたしましても、減価償却を、いまの交通量等を推定してやれば一万円以上になるわけですよ。そうすると、一万円以上も使ってやるよりも、国道の込んでいるところ、あるいはバイパスができて若干有料が加わっているところ、いま第二山陽道が言われているか、そういうほうを通るほうがいい、こういうことになって、ますますそれは利用しないということになるし、あるいは奥地の人々や農村地帯の人々はそこを利用しないということになるし、あるいはそのあたりで農村の加工その他の工場をつくろうと思っても、経済性との関係でできないということになる。そういう点から考えてみると、やはりこれは無料にすべき方向で検討すべきじゃないか。大体私の意見ですけれども、道路その他は現在のわれわれだけが税金で負担する必要なはいのであって、これは借金でやってもよろしいし公債でやってもよろしい。ただし建設公債は、自民党は、松野さんおられるけれども、自衛隊をひっくるめて建設公債と呼んで、赤字分をそこへ持っていくような、そういうしかたは放漫財政ではないかとわれわれは言うわけだ。あなたは答弁する資格はないから何だけれども……。だから、そういうずさんなやり方が放漫財政でインフレになるのであって、だからわれわれは、そういう道路その他というものは、後世にわたって目標がはっきりして、返済計画がきちっとそれに応じて税金で立つようになっておれば、そうすればこれは国費を投入する、国の借金でやるということはあり得るし、あり得てもよろしいのではないか。そうすれば事業主体を国にして無料にしなければ、これは国土開発と銘打ったことにならぬのじゃないか。これはでき上がったところを見ると、これはいま言ったように、額の中へ道路が入っているということだけであって、国民には高ねの花であって、一部の人以外に関係ないということになる。そういうことですから、私はその点を真剣に検討すべきじゃないか、こういうふうに大臣に要望しておきますが、大臣は、原則的に賛成だ、しかしさいふの都合もあるし、大蔵省主計官もおるから——あんな主計官なんか、大臣はおそれる必要なんかありはしない。それはともかくとして、しかし大臣は、大所高所から考えて、これは無料にしなかったら意味がない、そういう考えでやります。こういうことぐらいは、私は西村さん言われても、伴食大臣じゃないのだから、よかろうと思うのですが、いかがですか。
  45. 西村英一

    西村国務大臣 大いに傾聴に値する議論でございます。大いに検討いたします。
  46. 大原亨

    大原分科員 それで、道路局長政府委員にお尋ねするのですが、中国縦貫道広島県の千代田から山口県にかけて百キロぐらい空白地帯があって、いろいろ問題があって、いまだに路線が決定しない。陳情、陳情ということで、ずいぶん陳情費用がかかるということです。しかしこれは大体大まかな線はきまっておる経過町村もきまっておるのですから、経過町村も含めて、基本計画を早く策定して、その範囲内において技術的な検討をすべきであるということが一つと、それからもう一つは、そういう際に、部分的にでも事業主体を国にするような方式をやって、つまりそれは無料だ。最も難所ですから、無料というふうな、そういう形態を導入してやるようなことについて、行政的に技術的に検討する余地はないのか。結局はルートがきまらないというのは、このルートを通せばばく大に金がかかる、トンネルも多い。あるいはこのルートならば比較的安い。あるいはいろいろなことがある。ただし縦貫自動車道ということになれば、いろいろ上下するにしても左右に振るにしても、それぞれの制限があるだろう、あるいはいろいろの制限があるだろうと思うのですが、専門的なことは私も詳しくないが、そういう点から考えてみると、そういう点についてやはり考慮する必要があるのではないか。部分的にでもそういうことを考慮する必要があるのではないか、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  47. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほどの基本計画を早くしろという御趣旨、これは非常に私のほうもそのつもりで早くやりたいと思います。これはやはり基本計画が早くできますことは、そのほかの道路計画を非常に促進する材料になりますと同時に、ほかの計画を的確にきめられるということで、私たちも基本計画を早くしたいというふうに考えております。  次の、部分的に無料にして、国がやるような検討はしたかということでございます。これはいまの千代田鹿野間について、そのことができるかどうか、これは今後も検討していかなければならないと思いますが、そのほかの地区でもいろいろございまして、現在幹線自動車同と旧道とがございます。国道とは大体その経過地としてほぼ一緒になっているようなケースがございますが、こういうところにつきましては、まず無料である国道を先につくって、それが、相当交通が一ぱいになるような時期に、幹線自動車道をさらにまたつくるというようなことも考えられますので、そういうような方法も全国的に一つ考えられるのじゃないかというふうに考えます。その点も今後大臣とも相談して、検討していきたいというふうに考えております。
  48. 大原亨

    大原分科員 縦貫道国道と交差する主要地方道で、激しいところで交差するところは立体交差にしなければいかぬと思う。絶対立体交差でないと、縦貫道の役を果たさぬと思う。しかし、縦貧道というのは、有料であることもさることながら、これは高速道ということで、全部立体交差ということ、すなわち平面式でなくて、土盛り式か高架式をとっていく。トンネルをやったり、それでコストも高くなるでしょうが、そういう点を考えた際に、農村地帯その他で、現在横断道を全部立体式にしなければならぬというふうな、そういう制限を設けないでも、若干ゆるやかな、そういうことでできるような、いま言われた、いままでの国道をよりよくしていくというかっこうでこれをつないでいく、将来の発展その他に備えてまた追加をし計画を変えていく、こういうことを考えることは、国の全体の費用やあるいは事業を促進するという意味において、きわめて有意義なことではないか、こういうふうに思うわけです。その点については、十分考慮の余地ありというふうな御答弁でございますが、この点について、もう一回ひとつ道路局長、御答弁を願いたい。
  49. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほどの、非常に交通量の少ないときは、高速道路においても農道その他が平面に取りついてもいいのじゃないかという御議論でございます。実は、これは高速道路の設計速度を幾らにするかに非常に関係がございます。現在、設計速度を八十キロ以上にいたしますと、たとえそういう農道で横断する交通が少ないといたしましても、非常に危険だと思います。そういう点で、設計速度を六十キロ以内にまで落とせば、これはそういうことも可能ではないか。しかし六十キロに落とすということになりますと、いまの一般国道の改良と同じような状態になってくると思います。そういう点もございますので、一般国道の改良の問題、それと一般旧道の計画路線網、そういうものとあわせて、幹線自動車道を的確に結んでいって、七千六百キロを早く採算のとれる形でつくりたいというふうに考えております。
  50. 大原亨

    大原分科員 これは全国的に、五道、いわゆる貫通自動車道は高架式にするのですか、平面式にするのですか。
  51. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 原則的には平面式にしたいと思います。ただ高架になりますのは、湛水があるところとか、将来市街地になるようなところ、こういうところは高架もやむを得ないと思いますが、建設費につきましても、高架のほうが平面式より非常に金がかかるということもございまして、原則は平面にしていきたいというふうに考えております。
  52. 大原亨

    大原分科員 それから、これは東京でオリンピックのときにずいぶん夜昼かけて金を使ったわけですが、そのわりにお客さんも来なかったわけですけれども、万国博はお客さんが来るだろうと思うのですが、しかしそれがいつも議論になるわけですね。これにうんと金を使うわけですけれども、それを一つの契機として、道路その他を整備をするということになれば、やはり広い視野で考える必要がある。たとえば新幹線にしても、どこまでやるかということや、あるいは縦貧道にしてもどこまではやるか、そういうことを、四十五年なら四十五年の万国博を目標に、こういうことでやる必要があるのではないか。ただ大阪だけに——阪上君がおらぬから言うわけではないが、大阪だけに金をつぎ込むというようなことは、これはやはりおかしいのじゃないか。それはもう少し広い視野で、この機会にひとつ道路その他国道、そういう道路を中心として。整備するというのであれば、広い視野でやはり計画を立てたほうがいいのじゃないかと思うのです。いかがですか。
  53. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの御説ごもっともだと思います。万国博のためにほかの道路を犠牲にしてまでやることはなかなかできないと思います。ただ、万国博につきてましては、会場周辺の直接の関連のもの、これはやらなければならぬと思います。また、いろいろ大阪周辺にあります道路計画がございます。これが万国博に間に合うなら、できるだけそれに間に合わしていきたいというふうに考えております。
  54. 大原亨

    大原分科員 以上で、縦貫道については大体終わるわけです。時間の関係がありますから、私は主査に協力いたしまして、以上をもって……。
  55. 野田卯一

  56. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 都市計画区画整理の問題について質問をいたしたいと思いますが、今日、都市計画あるいは土地区画整理事業を実施した個所において、そのあと始末の問題が全国的に非常に停滞をしておくれておる、こういう問題が非常に多いわけでありますが、換地指定の問題あるいは町名地番の変更の問題とか清算金を徴収する面、支払う面あるいは登記の事務、そういうようなものは全くおくれている。こういう問題に対して、建設当局としてどういうように指導をし、どういうように促進をされるか、この点について、まず全般的なお考えをお聞きいたしたいと思います。
  57. 西村英一

    西村国務大臣 区画整理の問題は、私権との関係があるものですから現在非常にむずかしくなっておるのです。そして、あなたのほうの地域でもいろいろ問題があるかもしれないけれども、全国的にいろいろ問題があるわけでありまして、これは建設省といたしましては、いま一ぺん再検討しなければならないような時期にきておるのではないか。部分、部分に出会った問題につきましてもたくさん問題があるのでございまして、いま御指摘のように、ひとつ十分力を入れて再検討したいというふうに考えておる次第であります。
  58. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 たとえば、私の出身の宇都宮に例をとりますと、昭和二十一年——まさに戦争の翌年、戦争直後であります。二十一年から戦災復興都市計画というものが始まりまして、区画整理事業を行なってまいりました。これは当時としては、全国に先がけて宇都宮は非常によくやったということで、いまの宇都宮の発展の一つの基礎は確かに築かれたわけであります。なるほど道路は、メインストリートはよくなった。しかし、そういう道路拡幅に伴って、その道路の裏側のほうに住む人たちがみんな減歩、減歩で非常な犠牲を受けている。しかも、そのことがずっと二十年間も仮換地のまんまで、その間における財産の移動もできない、あるいは相続もできない。それから、当時ある程度強硬な反対を押し切って強制執行もやった。担架で病人までかつぎ出したというような例まで織り込みながら、かなり強行してやってきたわけであります。それで、その中には三角の畳、ひし形の畳でやっているというふうな、まさに五角のうちができたというようなところなどもあって、非常な不便と犠牲というものがあるわけであります。そういうものに対して、今日まで清算が二十年にわたって放置されてきている、こういう事例は、建設行政における土地区画整理事業というものが、一体そういうように市民の権利というものを剥奪をして、そのままでいいのか、こういう非常に深刻な問題になっておりますし、重要な問題になっておりますし、また、そこに住んでいる犠牲を受けた人たちの気持ちというものは非常に深刻なものがある。現実にそれによって生活が破壊されたり、あるいは商売もやれなくなったりというような幾多の気の毒な事例もあるわけであります。そういうものに対して、これは再検討の時期だと言われる大臣答弁は、もっと大きい全般的なものだろうと思いますが、そういう実情というものを踏まえて、一体これをどうやって促進するのか、清算事務というもの——市会あたりでは四十二年から四十三年で大体やりますと言っておるけれども、それはもう五年も十年も前から、同じ答弁を市長は繰り返してきたのであって、そんなものは全く信頼できない。市当局にまかしておったのでは、やると議会用の答弁はしても、全く信頼できない状況に今日ある。こういうものに対して一体どういうお考えで具体的な対策を用意しておられるのか、あるいは指導を用意しておられるのかどうか。こういう点をお聞きしておきたいと思うわけであります。
  59. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 宇都宮の戦災復興の土地区画整理事業は、御指摘のとおり、昭和二十二年度から始まりまして、三十九年度末に終わったわけでございます。工事のほうは大体概成したわけでありますが、換地処分のほうがおくれておるわけであります。宇都宮市にはこの関係の区画整理の地区が六工区ございますが、そのうち二工区につきましては四十一、年度末に実施を終わりたい、残りの四工区はその後実施いたしたい、こういうつもりでおります。先ほど御質問のありました点に若干触れますが、全国的に申し上げますと、戦災復興区画整理を施行いたしておる都市は、百二都市ございます。そのうち換地処分に至らない都市が三十都心ございます。これにつきましては、われわれといたしましては、機会あるごとに、換地処分を促進するように、喚起いたしておるわけでございますけれども、なかなか進まない点があることは御指摘のとおりであります。
  60. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 二つの工区は四十二年度にやる。その際、ここではっきり聞いておきたいのですけれども、清算金の評価、それの基準年度をいつにとるのか。もう二十年前に大体坪百円であったところは、もはや五十万円くらいまで値上がりしておる、あるいはひどいところは百万円までいっておるというところが、現実に宇都宮にあるわけであります。そうすると、金をもらう側にしても問題があるし、また出すほうも、おまえらは手をぬらさずして地価値上がりの利益を受けたじゃないかというようなことで、どれだけ一体取られるだろうと、両方でいま非常に思惑が入り乱れて、取られるほうの側にしてみれば、そんなものはいままで何らの指導も——取られるのだぞということだけはあるけれども、いつの時点の評価でどのくらい取られるのだということは、何の見当もついてない、積み立ても何もやってない。それをいまの地価で評価して取られるとするならば、いまの商売全部売っ飛ばしてやらなければならないというようなおそれも抱いておる者すらあるわけであります。そういう点で、宇都宮から、たしか今月の十六日ごろの市議会か何かで、清算の計画書がきておるそうでありますけれども、それの中で、一体基準年次はどのくらいにして評価をしておる計画になっておるのか、そしてそれが妥当かどうかというような面についての建設省の見解を、ひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  61. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 清算金の徴収、交付の価格の基準年次の問題は、実は法律とかそういうものできまっているものではございませんで、実際の事業施行片がその総会等にはかって、あるいは区画整理審議会にはかってきめることでございますが、おおむね従前からやっておりますやり方は、これは一般論でございます。宇都宮でやるかどうか、宇都宮のことはまだつまびらかにいたしておりませんが、工事が大体概成したころとか、あるいは仮換地の使用収益ができるというような時期の固定資産税評価額を基準にいたしまして、そしてその他もろもろの要素を考慮いたしまして単価をきめるというのが、通常行なわれているやり方でございますが、これは各事業主体にまかされていることでございますので、一方で取り、一方で払うという状況でございます。そこら辺は、評価価格のきめ方というのは非常にむずかしい点がございますし、いろいろなやり方がございますけれども、大体多いのは、ただいま申しましたようなきめ方が実例としては多い。宇都宮につきましては、まだ私承知いたしておりません。
  62. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そうしますと、何か計画書を出してあると、市ではこう言っているわけですが、それでは、その計画書にはそういうことを書いてない、したがって、建設省としては何もわからぬ、計画書の内容というものは、そういうこまかいことまで、工事が概成した時期なら時期、こういうところで清算金は評価の時期として押えますというようなこまかい内容、具体性を持った内容というものはない、こういうことですか。
  63. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 計画書はまだ建設省のほうに届いていないと聞いております。
  64. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういうぐあいで、これは市会における市長答弁で、市は三月の十六日ころにこれはもう送ったという答弁をやっているわけなんですね。しかし、そういうものが届いていないということになると、非常におかしいわけですし、あれは四十二年にやれるというようなことを市から言ってきても、これはおそらく不可能に近いだろう、現地の状況から推察して、そういうことは十分にいわれるわけです。二十年もほったらかしてきたものを、しかもまだその前段階における町名地番変更をやってからだという、その進みぐあいなんてものは全くめちゃくちゃで、停滞していてどうにもならぬ状況だ。そういうもろもろの情勢を勘案しますと、これは主管官庁として、そういうものを言ってきたから、大体そこらに手をつけられるだろう、そのほかの工区についても一年か二年おくれでできるだろう、そういう甘い考え方では全くだめだということをこの際御認識いただきたい。これは昭和三十七年でありますか、青森市で清算事務をやった。これがきわめてずさんであって、めちゃくちゃであって、この清算を発表したことによって大問題が起きたというケースを御存じだと思うんです。こういうことに必ずなるだろう。それは、実施主体の市の特殊性、いろいろなことで、それぞれそういう問題についてはやるんだとおっしゃるけれども、建設省として、事業だけはやって、あとは、しりぬぐいは全部おまえらがやるんだと知らぬ顔をしていたんでは、これから先の問題についてやはり重大な問題が起こる。こういう見地からも、この問題についての建設省の責任というものをこの際ひとつ明らかにしていただきたい。どういうお考えで指導をし、そしてそういうものに対して統一的な指事というもの、その清算金の評価基準年というものはどうとるべきだというようなことについても、はっきりしたそれぞれのケースに当てはまるようなものが、示されるということも必要ではないか、こういうように思うんですけれども、それらの問題についてどうお考えでしょうか。
  65. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区画整理事業で一番最後に問題になりますのが、清算金の徴収、交付の問題でございます。これは区画整理事業が非常に長くかかるということから一番大きなトラブルが起こるわけでございますけれども、戦災復興都市区画整理事業は実際問題として非常に長くかかったわけでございますが、それ以降やっております。都市改造事業としてやっておりますような区画整理事業につきましては、できる限り短い期間で事業が完了するようにするということが一番必要じゃないかということで、われわれといたしましては、都市改造事業の施行をできる限り早くやるというふうなことに努力しておるわけでございます。それから、戦災復興の区画整理事業の清算の問題につきましては、先ほど来お話し申し上げておりますように、とにかくこれはあとにおくれればおくれるほど問題が大きくなってまいりますので、できる限り早くやるようにいままでも指導してまいりましたけれども、今後強力に指導を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  66. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 もう全くそのとおりであって、特に宇都宮のごとく、二十年この方放置されているというようなことは、利害関係も錯綜して、これは清算事務に入ったらたいへんなことだろうと思うのです。しかも計画書が出たということを聞いたものですから、ある程度具体性を持ったものが出ているのかと私、その答弁を期待しておったわけですが、それもないということになると、これはやはり非常に問題だと思うのです。できるだけ工期を早くして清算も早くするという、これは全く原則的にはそのとおりだけれども、一体なぜそういうように長引いたか。二十年というような、放置されたそういう長い記録というもの、期間というのはほかにありますか。そういうことはざらですか、宇都宮のこれは特例ですか。
  67. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 先ほど申し上げましたように、戦災復興卒業はほとんど一斉に仕事を始めておりますので、換地処分に至っていない都市が三十都市と申し上げましたが、三十都市はまだ清算が終わっていないわけでございます。
  68. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 それほど非常にこの問題は大きい問題だと思うのです。しかも困難のある問題です。それで、いま第二期といいますか、戦災を受けていない昔からの密集住宅地帯、そういうようなところにこれから新しく第二期の土地区画整理事業が延びていく、こういう段階を迎えて、このことがどれほど障害になっているか。二十年たってもまだあのざまではないか、それで新しくどんどんやりながらあと始末は何一つやらない、こんなことでわれわれ生活権を脅かされて行けるだろうか、こういうようなことにもなるわけでありまして、このことを私はやはりしっかりきまりをつけなければ、これからの土地区画整理事業というものがなかなかスムーズにいかないだろうと思うのですよ。だから、極端な言い方をすれば、この二十年来の清算というものを、三年なり五年なりのきっちりとした計画を持って、それできまりをつける、つけるべきものはつけるという強力なこれは建設省としても主管の官庁として指導もし、監督もして、そういうものをきまりをつけてから次の段階に移るんだというくらいの決意を示さないと、これは非常な問題が残って、至るところこの事業をめぐってのトラブルというものが起こるんじゃないか。そうして、もう二十年もほったらかしていたら、まさに土地を減歩してとったものが、これはほんとうに没収と同様な結果にも相なると思うのです。こういう問題について建設大臣としての決意といいますか、こういうものをひとつこの際はっきり伺っておきたいのです。
  69. 西村英一

    西村国務大臣 大体土地区画整理事業でございまするから、やはり健全な都市をつくりたい、そうして公共投資も、公共施設もやり、かたがた、整理するんだからそこに宅地等も多少できるという、住民福祉を考えてやっておることでございますが、これはひとり建設省はただ単に強権を発動してやるという性質のものではないのでありまして、やはり地域住民、なかんずく市の当局、それから市の議会、またその地域住民というものの協力がなくてはできるものではないと思います。しかし、この指導のしかたによりましては、その協力を得られもするし、得られないような場合もあるのでございますから、建設省がこれに対して国家の財政をつぎ込む以上は、いま言ったようなことのないように十分注意しなければならぬ。最近は、やはりどうしても私権の問題が非常にやかましくなっておりまするから、特にこういう問題につきましてはひとつ十分な力を注ぐ。また建設省といたしましては、権力を持つのみならず、都市をよくするのだという愛情を持って指導していくというようなことをやれば、問題の解決にもなろうかと思うのでありまして、御指摘の点は十分考慮いたしたいと思います。  なおまた、広瀬さんのところの宇都宮市の問題につきましては、私も最近は行っておりませんが、前に行きましたときには多少の話も聞いておりますが、これも事情をよく調べまして、できるだけ私のところはあっせんの労をとりたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま大臣はたいへん血の通った答弁を最後のところでしてくれたわけでありますけれども、そのことを確認してよろしゅうございますか。現地にやはり都市局長なり何なり、責任者の方が、宇都宮の事情はどうなっているのか、こういうことについて、しかるべき方を本省から派遣をして実情を調査をし、そして今後の計画等についてきちんとチェックをする、こういうようなことまでなさるつもりでございますか。特に宇都宮の場合は、ほかよりはかなり計画区域等も広いし、非常におくれが目立っておるという特殊事情にもございますので、そういうことをなさることをお約束できますか。これをしていただきたいと思うのです。
  71. 西村英一

    西村国務大臣 いたしたいと思います。ただしその場合は、その地区の与野党の代議士先生方にもひとつ協力していただくこともお願い申し上げたいのでございます。
  72. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いまお約束をいただきました。また私どもも出身の国会議員としてできる限りの協力をいたしたいと思いますが、ぜひひとつそういうぐあいにお願いしたいと思います。  それからもう一つ、土地区画整理事業がどういう角度から行なわれているかというねらいについて最近疑問を持つのでありますが、これは単なる道路拡幅なり道路網の整備ということではないのか。それぞれの住宅地を二五%以内というようなことで減歩をさせて道路を広げるということで大体は終わってしまっているのではないか。いままで四十坪あったものが十坪減らされるというだけで、それぞれいままで庭もあり、立木も置いて、幾らか緑のある生活を営んでおった、そういうものが押せ押せ方式で二五%ずつ供出して、狭いところに、さらに道路に取られた分だけ狭い宅地にごちゃごちゃと市民の家を閉じ込めて、それでもう土地、区画整理は終わったのだ、これはもう都市開発のために非常に大きな役割りを果たしたのだ。一体その中で市民生活というもの、市民の生活環境、こういうようなものを非常に犠牲にしたものではないのか、こういう感が非常に深いわけであります。特に、先ほども一例を申し上げましたけれども、三角の畳がいまでも敷いてある、ひし形の畳も敷いてあるというようなこと、それからどちらの窓をあけてもいままでは庭があった、そして日も幾らか当たった。ところが、区画整理の後においては、どっちをあけても全部隣の家で、もう目の先がふさがっている、こういう結果になっているということが実際の姿として出ている。そうなると、この都市計画、土地区画整理事業というものは、単に道路を広げるという——これは公共の立場、全体的な発展のためにはこのことも必要である。しかしながら、住民生活がそのことによって非常に犠牲になっている。そういう生活環境の面においてそういう事例が非常に多い。そうだとすれば、これはもう都市計画などというものから出発したものではなしに、単に道路整備事業にしかすぎない、こういう壁にいまぶち当たっているのではないか。特に今度宇都宮で、これは都市局長も現地まで来られたこともあると思うのですが、第二期工事として手をつけようとしている小幡、清住、泉地区、こういうところは、これは戦災にあわなかったところです。したがって比較的住宅地と申しますか、商店街の少ない地域が全面的にこれに該当している。そうなりますと、定年退職をした公務員がようやく土地を買って家を建て、それで安楽な波風の立たない生活を送ろうという人たちなんかが非常に多いところであります。そういうところにこれが伸びていくということになって、いままでのように前にやったところは商店街の多いところでありましたが、それでも裏通りにそういう問題が数多く出ている。そういう形で出るメリットは何があるか、何もない。固定資産税が高くなるくらいしかない。あと道路が通って、いままで自動車が通っていなかったところが自動車の猛烈な交通ラッシュがきて、子供たちの生命の危険、子供たちばかりではなしに老人たちの生命の危険も出てくる。こういうことでかえって市民生活としては脅かされる、こういう面も出てくるわけです。そういうような問題でこの土地、区画整理というものは限界にきているのではないか、新しいねらいを持った、もっとより総合的な都市開発と申しますか、都市改造と申しますか、そういうものに転換をしなければならない時期にもうきているのではないかという気がするのですが、そこらあたりについて、いままでどおりの感覚で今後も土地区画整理事業をやられるつもりか、これは大臣と都市局長の両方からお答えをいただきたいと思います。
  73. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 御指摘のような地区、たとえば戦災を受けなかったために非常に昔ながらの町並みになっているという地区は、戦災都市の中にもございますし、また戦災を、受けなかった都市にもございます。そういうところには非常に曲がりくねった迷路があるというようなこと、あるいは非常に密集した形で家が連なっている、こういうような市街地に道を通し、また宅地としての利用増進をはかるということのために区画整理を行なっているわけでございます。しかしながら、難物が非常に密集しておるというようなところにつきまして、しかもその宅地が非常に小さいというような場所につきまして区画整理事業を行ないまして、減歩をいたしますと、さらに過小宅地ができてくるというようなことがございますので、そういう地域につきましては、実は別の法律でございますけれども、市街地改造事業ということで、むしろ宅地の立体化と申しますか、建物を建てて、そこに住んでおる人を収容していくというような方式もあわせて現在やっているわけでございます。したがいまして、その場所によりまして、非常に密集しているようなところにつきましては、必ずしも区画整理事業の指導よりも、むしろ建物を建てながら収容していくという方法が合っているのではないか、しかしながら相当ゆとりのあるところでは、区画整理事業で町並みをきれいにし、また宅地も整然たる宅地にしていくということが必要ではないか、こういうふうに考えるわけであります。
  74. 西村英一

    西村国務大臣 いま都市局長から話がありましたが、大体現在の都市は、広瀬さんも御承知のとおり、規模が一回りも二回りも大きくなっております。したがいまして、やはり都市改造というようなことを新しい問題として現在、戦後は特に行なっておるわけであります。したがって、私の考えといたしましても、従来の区画整理一本やりでいって、いま言いましたように、手をつけないでもいいようなところでしばしば手をつけて、住民の不安を呼ぶというようなことは、これは避けたいと思います。むしろ大きい目で——都市の規模も大きくなっておりますから、広い目で都市改造をして、住民に福祉を与えたい、かように考えておる次第でございます。
  75. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま都市局長からも御答弁があったようなそういう出題を十分これから考えていっていただきたいと思うのです。  それから、これは裁判ざたにまでなっている問題でありますが、都市計画でなわ延びの問題というのが非常にむずかしい問題で、このなわ延びの問題については、三十年も五十年もなわ延びのままでそこに住みついて、それを利用しておったわけです。この問題については最高裁の判決も出ておりますね。その趣旨に従って各該当地区の取り扱いを一定するように処理されるつもりですか、こういう点についてはどういう処理をなさっておりますか。
  76. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区画整理課長から答弁いたさせます。
  77. 葛生新一

    ○葛生説明員 お答え申し上げます。  なわ延びの問題につきましては、台帳地籍と違うわけでございます。この点につきまして施行規程で従前地の権利地籍が確定しますが、申告によって地籍訂正という一つの救済方法がございます。それから、本来一番よろしいのは、全筆を実測する、それによってやるという点もございますし、それから周辺の地形、地物で動かない、そういうものの実測をいたしまして、それを各ブロックの中の各宅地に案分する、こういうようなこともやっております。最高裁の判決にございましたように、特に緊急火災のような場合には一筆実測ができないということで、やむを得ず台帳地籍によって従前地としておりますので、その点におきまして、清算におきまして、そういう点がわかりましたところにおいては、換地処分といいますか、換地計画を作成しまして考慮するということで指導しております。
  78. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 宇都宮の場合なんかにおきましては、建設部長あたりが、なわ延びの問題までは清算の対象にならないというようなことをはっきり言っている。そしてなわ延び分をみんなぶった切ったものですから、今度はみんな減歩さして、配分さして余ってしまったものですから、そこのところにいま田川改修事務所なんという公共の施設をつくって、これはいずれこわすのでしょうけれども、これは何に使うかわからないが、こういう施設ができている。しかも最高裁の判決が出たにもかかわらず、最近その後において、やはりなわ延び分に対しては清算金の対象にならないというようなことまで言っている。これは、いまの指導と違いますから、これらの問題も十分お含みの上、もう一ぺん対処してもらいたいと思います。よろしゅうございますね。  それから、先ほど申し上げましたように、第二期工事に入ろうという小幡、清住地区、これは事情もよくおわかりだと思いますが、私がいままで質問したような問題が宇都宮にあるということも含めながら、そしてまたそこが商店街などが非常に少なく、そしてひっそりとした静かな市民生活をしておった、そういう人々の非常に多いところでございますので、道路が広げられる、道路が広がって市全体の交通難が緩和されるという面については理解をするものの、やはり住民の約七五%から八〇%がこぞって反対をして、いまその地区に参りますと、一面に区画整理絶対反対というようなビラが張りめぐらされている。これはどんなことがあっても、われわれはこの計画を阻止しなければならぬということで、失行委員会もつくってやっておるわけです。こういうところに対してどういうお考えで今後やられるのか。先ほど建設大臣はあまり無理をしたくないというようなことも言われましたけれども、この問題についてのこれからの進め方、それから予算関係では、この新しい第二期工事の問題、小幡、清住地区の問題はどういうふうに今日進んでいるか、この点をひとつ聞いておきたい。
  79. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 小幡、清住地区は、四十一年度の新規採択地区でございますが、まだお金のほうは使っておりません。  それから今後どうするかという問題でございますが、やはり地元権利者と市の意見調整がつかないものを、われわれが強力にやれと言うことはできませんので、地元権利者同士で意見の調整の結果を待ちましてこれに対処してまいりたい、こういうように考えております。
  80. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そもそもこの問題がここまで大きく発展した中にも、市当局等のやり方、計画をするときの進め方に非常に問題があるわけであります。何も住民に知らせないでおいて、突如として町内会長なんていうのを呼び集めて、さあ今度はこういうことをやるから、君たちはんこを押してくれ、そこではんこを全部とったというようなことで、そしてその次に今度はもうすっかり審議会にかけてしまって、それで施行計画ですか、事業計画ですか、そういうようなものができた段階でぱっと説明会におろすというような、下からそういう要求が非常にあるとか、あるいはそういう人たちに十分納得を得るような工作をするとか説得活動をするとかいうことなしに、町内会というような、この問題については何らの代表権も持っていない人たちをぼんぼん抜いて、その地域は賛成しているのだというような態度をとる、これはこの種の問題にはありがちなことなんですが、そういう問題が一番大きな問題になっている。それらの問題も考慮されて——これはいま都市局長がおっしゃいましたように、何が何でも強引に、八割が反対であろうと何であろうと強行するのだというようなことを市役所の連中まで、建設省もそういう意向なんだ、それでことしは予算も組んであるのだというようなことを盛んに言っているわけです。この土地区画整理ということも、やはり地域住民のためにやることでしょう。その人たちの生活を脅かし、納得を得られないまま、不満、反対というものを徹底的に押し切った形で強硬に実施するという段階を迎えますと、これはたいへんな事態になろうかと思います。これらの問題について、十分慎重な指導というものが必要だと思いますが、その点についてもう一度お答えいただきたい。
  81. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 小幡、清住地区の区画整理につきましては、慎重な指導をいたしたいと考えております。
  82. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 以上で終わります。
  83. 野田卯一

  84. 帆足計

    帆足分科員 私は、きょう御質問いたしますことは、建設大臣がたまたま郷土の先輩でもございますし、虚心たんかいに聞いていただけることをたいへんしあわせに存じます。  御承知のように、東京の都はいつしか一千万をこえるようになりました。そうして安井都知事時代の十三年間は無我夢中になって復興に努力してまいりました。いわば、いまから考えてみれば、めくら馬のようにただ走っただけである。東さんになりましてからもオリンピックに追われて、とにもかくにもオリンピックではいい成績をおさめたが、その間、俗語でいえば都民不在の都政になっていたことは事実であると思います。これは日本の国全体にもいえることでありまして、私はいまでも思い出しますが、大東亜戦争の始まりました日、日本の鉄がちょうど七百万トン、しかしアメリカから輸入しますくず鉄を考慮に入れて考えますと、自給力はほぼ三百五十万トン、その年にアメリカの鉄鋼の年産額は六千八百万トンでした。三年後の昭和十九年八月、日本の鉄は二百万トンを切れておりまして、アメリカの鉄は一億トンでありました。一億トンと二百万トンの鉄の戦争、サンフランシスコと東京までの距離を入れて三次方程式をつくりますと、六カ月後東京は全滅するという数字が出ます。そのときにすでに軍事は行き詰まり、政治、外交の力によって総合的に理性的にものを見なければならぬときが来ておったわけであります。せめて一国の総理大臣が、日本の鉄は二百万トン、戦争が始まったときに三百五十万トンということを知っておれば、妥協点はほぼ上海か香港で、シンガポールまで足を伸ばし得るのもほんの一時的に可能なこと、いわんやガダルカナルまで足を伸ばすに至っては、それは足が伸び過ぎて、あげくの果ては五体が蒸発するような結果を招くことは当然のことでございましょう。しかしそのくらいのことが当時常識になっておりませんでした。後に、海軍大将の高橋三吉という人、翼賛会であちこち啓蒙宣伝して歩いた人ですが、いまはなくなりましたが、戦後お目にかかったときに、帆足君、日本の鉄がたった二、三百万トンとはおれは知らなかった、せめて満州を含めて二、三千万トンくらいあると思っていた。これが日本の軍の最高幹部の一人で必勝の信念を全国に説いて回った人の大脳の水準でありますから、われわれの政治指導者の常識の低さを考えざるを得ません。  同じようなことが、今日もそのガダルカナルが至るところにございます。それは建設大臣が身をもって体験されているところでございます。昨年選挙戦が始まりますときに、私は日本の鉄は四千五百万トンと思っておりました。ところが、鉄鋼連盟に行って尋ねますと、もう五千万トンをまさにこえ、ことしの正月鉄鋼業の友人に会いまして話をしますと、ことしは五千八百万トン、フランスの二倍以上です。私が東大を卒業した昭和六年、満州事変の始まった年ですが、そのときに日本の鉄は二百万トンです。それが何と、朝鮮、満州、台湾をなくした日本が五千八百万トンの鉄をつくっている。フランスの二倍半。造船は英国を凌駕して世界一、世界の半分近くにふえている。それのみか、私は自動車工業などはまだ非常におくれていると思いましたが、晴海の展覧会を見て、そのけんらんたる風景に驚きましたが、その生産総額はいまや世界第三位になっておるそうです。  しかるに、道路はどうかといえば、旧態依然たる、道路というよりも水虫の広がったような形のものが大東京でだいぶあります。水洗便所に至っては、文化の都市、私の出身地は杉並、中野、渋谷でございますが、その杉並、中野、渋谷におきまする水洗便所の普及率は実にわずかでございまして、駅の近辺の大衆食堂、料理飲食店に行きましても、まだウガヤフキアエズノミコトが設計したまい、スサノオノミコトがものしたもうたような、二千年来のクソヘココタクの不潔な便所がそのまま使われておる。それで精神衛生を説いても環境衛生を説いても、私は民主主義は水洗便所から始まると言いたいくらいなんです。五千八百万トンの鉄をつくりながら、文化の都市、杉並にまだ水洗便所がない。それから、下水道のかわりに吸い込みと称するものがありまして、その吸い込みから漏って、近所に井戸があって、その井戸からまた水をくむ、これが杉並の相当部分のまだ現状でございます。したがいましてガダルカナルは至るところにある。  この生活を体験している東京都民が一たび丸ノ内、大手町、霞ケ関に参りますと、ニューヨークかと驚かすほどの大廈高楼がそびえ立っている。高速道路でその風景を見ながら国際空港に参りまして、二階でビフテキでも食べて帰れば、ちょっとサンフランシスコへでも行ったような気分がするくらいです。ところが、わが家に帰れば、一間に家族全部が住んでおるような家庭、庶民の家庭が、東京都内にまだ七十万あるということを聞いております。ガダルカナルは至るところにございます。  したがいまして、この不均衡を直すことは建設省並びに東京都政双方の当面の任務でございますが、私ども東京出身の議員としては、単に政府を攻撃するだけでなくて、東京出身の議員として、与党野党ともこれは共同の責任があると思います。われわれも確かに怠慢でありました。罪を謝すべきであると思っております。したがいまして、今後は、建設省のかかえておる問題、建設省が中心となってかかえておる問題に、中央地方ともひとつ虚心たんかいに協力せねばならぬと思います。  このうっせきした空気かいまや爆発しまして、二十年退廃した東京都政が革新の勢力に移ったのでございます。それは何を望んでかといえば、何も社会主義を直ちに望んでおるわけではありません。そういうことではなくして、このうっせきした都政に窓を開いてもらって、そして何か打開の道を講じてもらいたい、都民の心をもっと考えて、このアンバランスを直してもらいたい、こういう切な願いの反映だと思いますから、自民党の諸君は別にうろたえる必要は私はないと思います。これが客観的な事実だと思います。したがいまして、それが美濃部さんであろうと、ほかの方であろうと、とにかくだれかにすがって、東京都政を打開してもらいたい。それには政府及び都庁、それから都政及び建設省との円滑な連絡が必要であると思いますから、私は、新知事が合理公正な立場に立って誠意をもって部局の要請にこたえようとするならば、建設省当局も、そういう積極的な無位を持っている知事のその意見が公正合理である限りは、これに対して虚心たんかいに相互理解し、相互協力すべきである、こう思います。  佐藤総理の失言をかれこれ、言うわけではございませんけれども、敬愛する建設大臣におきましては、虚心たんかいにそういう気持ちになっていただけるものと私は確信いたしますが、出発点でございますので、念のため御心境を伺っておきたいと思います。
  85. 西村英一

    西村国務大臣 私たちは、選挙戦に臨みましては、やはり自分の信ずるところによって保守党の方々を応援してまいったのでございます。しかし、市民の審判がかように下った以上は、私は建設大臣として、東京都に対して、仕事をするのでは都知事のために仕事をするのではないのでありまして、都知事を含んだ東京都民のために仕事をするのでございす来るから、いま帆足さんの言われるように虚心たんかいで、都民の利益になることなら、あくまでもそういうような方向でやりたい、かように思っておる次第でございます。
  86. 帆足計

    帆足分科員 冒頭に申し上げましたように、さすがに郷党の先輩でありまして、御答弁のほどはわがふるさと大分の誇りとすべきものである、都民も喜ぶことと思います。どうぞ今後、野党との接触は非常にしげくなりますが、私もいまの大臣の御答弁に沿うよう、公正合理な心境でこれから何かとお取り次ぎもいたしますから、まずその点をよろしくお願いいたします。  さて、本論に入りまして、時間がありませんから、お答えの不十分な点は統計でいただけばけっこうでございます。  交通地獄の状況は御承知のとおりでありまして、東京が最高と思っていましたら、東京以外の地方都市において東京よりもっとひどい交通犠牲者が出ておる姿を見まして、ああこれも日本の縮図であるかと思って私は心を痛めておる一人でありますが、まずお尋ねいたしたいのは、私の責任を持っております東京、並びに同時に責任を持っております日本全国における交通犠牲者の数、それからその中で子供の数を伺いたいのです。と申しますのは、私が承知しておるところによりますと、四月ランドセルを背負って幼稚園または小学校に行く、その子供たちの、交通犠牲者の中での率は、五割が一学期に犠牲者になる、三割が二学期、二割がややなれて三学期。私は、一人の子供がランドセルを背負って学校に行くとき、よくぞここまで育ってくれたと、両親とも涙を流さない親はないと思うのです。その子が、交通犠牲者の中での率は一学期に五割、まず道になれないために、哀れにも犠牲者になっている。先日、ある交差点で死んだ少女のために佐藤首相がお見舞いに行っている写真を見ました。総理がそこに心寄せてくださることばけっこうですけれども、時すでにおそかった。こういう事態になってからもう十年になっております。首相がワニの涙を流されることよりも、もう少し早く対策を考えていただきたかった、こう思うのですが、ワニの涙などと悪口を言ってすいませんけれども、ほんとうにそういう気がするのです。私どもは、自分の仕事柄、都会出身の議員でありますから、その事例を数多く見ております。かけつけますと、もう髪振り乱して泣き叫んでおります母親の姿を見ますと、慰めることばもありません。一人の幼児の命も地球全体の重さよりも重いというのが、われわれ議員共通の感想です。そうして、その犠牲はどこで起こるかというと、もう統計を見れば明らかでありまして、半分近くは交差点、学校への通い道、犠牲者は子供と老人、加害者は遺憾ながら大型トラック、だとすれば、交差点を立体交差にすることと、至るところに陸橋を設けることが先決問題だと私は思うのです。このことはもう五年前から私は叫んできました。しかし、最近に至って警視庁が取り上げられ、建設省がその行きがかりにとらわれず大きな予算を組まれましたことを伺って、きょうわれわれはおどり上がるようにして喜んでおる次第であります。これは魔の六環の最近の陸橋の工事の進捗で親しく経験したことでございます。これにつきまして、都の予算だけでは足りませんから、都と国の予算がどういう関係になってこの交通地獄と戦おうとしているか、ごく概略だけを、時間がありませんから、そしてあとは統計でいただきたいと思います。
  87. 片岡誠

    ○片岡説明員 まず事故統計を御説明いたします。  昨年の交通事故によりましてなくなりました一方、死者が一万三千九百四人でございます。一昨年に比べまして千四百二十二人ふえまして一一・四%の増、それから負傷者が五十一万七千七百七十五人で、一昨年に比べまして九万二千百九人ふえまして二一・六%の増でございます。  子供の交通事故でございますが、十五歳以下の人を子供として考えました場合に、昨年十五歳以下の方で交通事故でなくなった方が二千四十三人、そのうち歩行者——これは車に乗っている人を全部含めてでございますので、歩行者として子供さんがなくなったのが千四百三十三名、それから自転車に乗っておる状態でなくなった方が三百七十八名でございます。
  88. 帆足計

    帆足分科員 もう一つお尋ねしたのです。東京における犠牲者の数、それからもう一つ、時間の関係上急いでお尋ねしますが、子供の犠牲者の数が、死亡順位において、病気別に第何位になっておるか、これは厚生省の方でけっこうです。
  89. 片岡誠

    ○片岡説明員 東京警視庁管内で、昨年の死者が七百九十四名でございます。負傷者の数が、昨年東京で六万七千八百九十八人でございます。
  90. 帆足計

    帆足分科員 それから、死亡者のうち子供の数——これはあとで統計でいただきましょう。  そこで私は、厚生省及び文部省の方に伺いたいのですが、まず、昔は子供の敵は疫痢でありました。それから、やがて青年になれば結核でした。いまお年寄りはガンと心臓病が残っている課題です。安全保障というのが国民の命を守るということならば、そういうことに対する対策費と、外交、軍事上の安全保障費との間に一定の函数関係、一定のバランスが必要だと思うのです。それがほんとうに国民及び国土を心配する者のなすべきことだと私は思うのです。時代おくれのグラマン、ロッキードなんというようなものが、いま適切であるかどうかということをもう少し私は議員にも相談してもらいたかった。議会にも戦術専門家もおるわけです。ところが、日本の防衛庁における専門家はほとんど軍事のことを知らない。いわば軍事を知らない、孫子の兵法も読んでおらないのが防衛庁長官になって、おれは大元帥だといって小学校でパレードしておる。ほんとうにかわいらしいけれども、それならバチカンの護衛兵みたいに、五月五日のコイのぼりのあれに使えばいいと思うのです。これは非常に深刻な問題です。これはほんとうは総理に聞くべき問題でしょう。しかし、とにもかくにも子供の交通事故で死ぬ死亡率が、東京及び全国において——いままでは一番ひどかったのは疫痢ですが、疫痢はほとんど退治できました。子供の死亡順位の中で事故死というのはどのくらいの順位になるでしょうか。
  91. 渥美節夫

    ○渥美政府委員 正確な数字は持っておりませんが、四歳から十五歳までにおきましては、不慮の事故死というのは、子供の死亡順位の第一位であると考えております。
  92. 帆足計

    帆足分科員 これは詳細な統計をいただきたい。  医者が一人の子供の看護をするのはたいへんなことです。そしてやっと今日まで子供の死亡率を引き下げることに成功したのに、事故による死亡が死亡率の第一位ということを聞いて、私はかねてそのことを聞いておりましたが、責任ある方の口から聞いて、一体このことを文部省はどう考えておったのですか。文部省の方おられますか。
  93. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 文部省関係の事故死となりますと、ただいまお話のような交通事故がございますし、プール、それから山、水泳等々ございます。これはすべて安全教育関係で、学校管理下におきまして安全指導につきましては従来、ずっと意を用いてきたところでございます。
  94. 帆足計

    帆足分科員 緑のおばさんの御苦労のほどもよく知っております。これは文部省と協議の上行なわれたことであろうと思いますが、私は、文部省がほんとうに子供を愛する気があるなら、建設大臣のところに泣き込んででも、この対策を講ぜねばならないと思います。文部省は人格教育とかなんとか、へぼ作文をおつくりになるひまがあるならば、一体この問題について建設大臣に申し込み、協議されたことがありますか。
  95. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 交通安全のほうにつきまして申し上げますと、先生いま御指摘のように、学童の交通事故が非常に多くなってきておりますので、交通安全教育をもちろん徹底いたしますとともに、やはり安全施設の充実が大事でございますので、私どもといたしましては、建設省のほうに歩道橋等の交通安全施設の整備について、ぜひ急速に整備していただきたい、こういう希望を建設省のほうに要望してまいっております。その結果、本年度は非常に大幅な予算増を見た、こういうことになっております。
  96. 帆足計

    帆足分科員 六日のアヤメなんとかということわざがありますが、事ここに至って、一年間に東京都内だけで七百人も死ぬようになって、そしてこのうちたぶん子供が五百人を越していると思います。犠牲になるのは子供と老人がパーセントが多いと私は伺っております。そしていまになって気がついても、たいへん御同慶の至りですなどと言ってはいられない。これは政府だけを責めるのではなく、やはりわれわれ議員の怠慢ですから、自分で自分を責めているようなことですけれども、しかし私は文部省でもっと早く注意してほしかったと思います。これは議員として、ただ互いの責任を明らかにするために申し上げておく次第でありますから、関係各省もおられることですから、ひとつ、自分の子供が交通事故にあって死んだと思えばおわかりでしょう。私の選挙の最中に、この前の選挙ですが、長男が父の加勢をしていて、自動車でうしろからまっ二つにやられてしまった。五間ばかり吹っ飛ばされましたが、幸い慈恵医大の御苦労によって後遺症もなくなおりましたが、こういうことは千に一つの例であります。そのときに救急病院その他のことを全部経験しました。救急病院がいかに不親切であり、また不親切であらねばならぬ制度になっておるかということ。これは厚生省にいずれこの次の機会に御注意を促しますから、ひとつ記憶にとどめていただきたいのであります。それは惨たんたる、見るも無残、この世の地獄です。ですから私はこれをガダルカナルと申し上げる。鉄鋼五千八百万トンをつくり、大廈高楼がそびえているこの世の中にこういうことが行なわれている。これはガダルカナルです。敗戦、戦争は終わった。しかし、われわれが合理性において立ちおくれている国であるという、合理主義の戦い、民主主義の戦いはまだ終わっていない、こういうことを意味するものと思います。どうかその方面の専門の方々の一そうの御奮励を御激励したい思いで立ったわけです。  次にお尋ねします。これは御指摘しておきますが、神宮、原宿駅前のところに交通事故の多い場所があります。それから三百メートルばかり離れているところに一つ陸橋があるものですから、つい近所であるから陸橋を怠っておりますが、幼稚図の多いところですから、やはりそういう特殊事情をお考えくださって、地元の幼稚園及び学校から陳情がありました場合には特別の考慮をひとつ加えていただきたい。これは新聞にも出ておりますから御承知でしょう。御記憶にとどめていただきたいと思います。これはおわかりですか関係の方。わかって、対策を考えて要望に沿うというお答えをいただけば私は……。
  97. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの原宿の点につきましては、私まだ詳細に聞いておりません。ただ、方針といたしましては、幼稚園とかそういうものを優先的にやりたいというふうに考えておりますので、また帰りまして、いろいろ事情を聞きまして、御要望に沿うようにいたしたいと思います。
  98. 帆足計

    帆足分科員 それではその地図と材料を差し上げますから、ぜひとも、予算委員会で注意を受けたものとして格段のお取り扱いをお願いします。死んだ子供たちは語ることができませんから、その子供たちにかわって言うわけですから、ひとつ、しかとお聞きを願いたいと思います。  その次に子供の遊び場の問題ですが、これは直接は厚生省の仕事でないかもしれませんが、どこが主管官庁でございましょうか、東京都においては、特に大阪もそうでございましょう、子供の六〇%は遊び場がありません。私のうちなどは比較的広いうちなんですが、娘が二人結婚しました。かわいくて、なるべく近所に住ませましたが、やはり遊び場がなくて困っております。遊び場をさがして遠くまで行こうとすると、幾つかの踏切を越えなければなりません。幼児の遊び場は、近いところで、狭くてもいいですから、まず幼児の遊び場が先で、それから少年の遊び場がその次だと思います。少年の遊び場の中で、野球、野球というのは愛らしい遊戯でありますが、あれはアメリカのような広漠たる国土から渡ってきた遊戯であります。諸君のマージャンのように、ずだ袋を着てゴリラがたまを投げるようなかっこうをして投げる、あまりエレガントでないスポーツが、爽快であるがゆえにこの国では過剰に流行しておりますが、私はヨーロッパ趣味ですから、あまりああいうものを好みません。あれは場所をたくさんとりまして、愛らしい遊戯ですけれども、子供のためには間に合わないと思うのです。九人ずつ十八人の子供、応援団を入れて二十二、三人の子供があれだけ広いところでやっておる。私は、野球ファンの層が減ろうとふえようと、それは関係ありません、学齢前の幼稚園前後の子供が遊びに行く場所が第一番、その次に、その次の子供が遊びに行く場所、第三番目以後に野球その他の場所があればいいので、そういう順序で子供の遊び場が至急必要だと思います。この担当の官庁はどこで、どういうふうにお考えになっておられるか。と申しますのは、区でもってこれを考えます。国では財源がない。区の所有地があるところはできるだけやりますが、都の所有地がなくて国有の土地もないところは、財政上の多少の補助がなければできません。問題はここまで深刻になっておりますから、都と国と区とが相談して、どういう分担になっておるか明らかにして、これは各官お立ち合いの上での発言ですから、御理解を持って進めていただきたい。
  99. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 お尋ねの児童公園の問題でございますが、現在のところ市街地人口一万人当り一・二カ所の現状でございます。今後五カ年間でこれを二カ所に倍増させるというような計画で、四十二年度三億八千万の補助金をもってその整備をはかる所存でございます。なお、最近五カ年間の児童公園に対する補助金は、三十七年度をベースにいたしまして約十四倍に増加いたしております。  東京につきましては、東京都区部でございますが、昭和四十一年度の児童公園の現況は、個所数にいたしまして四百二十四カ所、人口一人当たり〇・四八カ所でございます。四十六年度までに、これを面積にいたしまして百ヘクタール、個所数にいたしまして四百カ所を新設する計画でございますけれども、これをやってまいりたいと思っております。そのほか、東京都単独でございますが、東京都におきまして、御承知のように四十一年度から遊び場対策本部というものを設置いたしまして、当面の応急対策といたしまして都有地の一時開放、学校の校庭の開放、民間有志の申し出に基づく用地を一時的に借地するというふうな形で積極的に遊び場不足の打開に努力していることは御承知のとおりでございます。
  100. 渥美節夫

    ○渥美政府委員 ただいま御説明ございました建設省所管の仕事に補完的に、厚生省におきましても、児童福祉法によります児童厚生施設の一つの種類といたしまして、児童遊園というものの設置を進めておるわけでございます。これはただいまの都市公園法によります公園よりもやや小型でございまして、対象は先生お話のありましたような、幼児でございますとか、あるいは低学年の子供、こういった者を主として対象といたしまして、特に、そういった対象でございますので、児童厚生員という指導者のような方をそういった施設には置いていただくようにしておりますが、現在のところ、千五百カ所ばかり全国におきまして設置されておるわけでございます。なお、こういった設置に要する費用につきましては、国民年金の還元融資等によりまして手当てをしておるわけでございます。  なお、児童福祉法によります児童遊園のほかに、児童館というものを設置しております。これらが遊び場も兼ねておるということでございます。児童館は現在のところ約九百三十カ所ばかり全国に置かれております。以上であります。
  101. 帆足計

    帆足分科員 この件につきましてお願いしたいことは、全国平均は東京を出すためにはいいかもしれませんけれども、実施上は、いなかにまいりますと、あき地がたくさんありまして、子供は適当にあき地を利用して遊んでおりますから、やはり重点的に、そのあき地すらないところから優先的におやりください。また補助金も出していただく、こうしていただきたいと思いますから、特に東京、大阪に注目をしていただきたいと思います。  そこで、ただいまの程度の御答弁には不満足でありますけれども、担当者は熱意があってされていることと思いますけれども、非担当者が熱心さが足らないのではないかと思いますから、声を大にして予算委員会で私どもが要望したこの要望にこたえなければならないということで、ひとつ担当者の方の御奮闘を願います。  それから、地主のあき地を一定期間子供たちのために開放してもらいたいのです。売るまでの期間でけっこうですから、設備なしで入口だけつけて——それで子供が遊んでいると、地主のおやじが出てきて目をむいて追い散らかすという風景をよく見かけますから、あけておいてほしい。そうして別に畑をつくっていないようなところは、畑をつくっておるようなところも、一定期間貸してもらうというようなこともしてもらえば、東京でもまだだいぶあき地があります。それから、買っていただければなお一そうけっこうです。それから学校の校庭を開放しているところと開放してないところ、開放してないところは校長先生が事大主義で、もっとも、どろぼうが入ったり変質者が入ったりするのを防ぐ、このために子供の指導員を一人ふやして開放する、放課後、土曜日、日曜日に開放する、これはいま行なわれておりますけれども、これはもっと系統的に拡大していただきたい。時間がありませんから次に移りまして、東京の外郭環状線の問題はもう大臣お耳に入っているとおりですが、前大臣はこれを再検討するというお約束のまま判こを押しておやめになりました。しかし都市計画を実行するときに、その場に当たった場所の住民が単に利己的利害で反対するならば、それは残念ながら説得して理解してもらう以外に方法はないと私は思うのです。また条件つきで——諸条件をできるだけ考慮してあげる以外に方法はない。しかし東京都市計画全体から十分な審議が行なわれていなく、てそして他の地区の議員がこれを検討してみて、これは納得できないというならば、これは再検討していただかなければならぬと思います。幸いに新知事はこの再検討を約して立候補されました。もちろん松下さんもこれは再検討するということを公約しております。そういう深刻な事態でございますから、これはいずれ地元からも陳情に参り、地元でない者からも参ると思いますから、虚心たんかいに再検討していただくということをお約束願いたいと思います。知事もかわりましたし、それから首都圏整備審議会というものが——これは大部分官庁連絡会議になっておりまして、役所のきまったことに異議を申し立てたら損だということで、選挙前にはみんな反対しますけれども、選挙が済んだらしょぼんとしてしまうのです。というのは、建設大臣や都知事のげきりんに触れたらまずい、補助金がもらえないという非常に深謀遠慮な人類の本能が働きます。私は、首都圏整備については、もう一つ首都圏整備委員会の中に東京都市計画のための専門家の委員会というものがありまして、ここで利害関係のない者が検討するというようにすればいいと思う。近郊の市長さんなんというのは選挙が近づけばそれに追われますし、選挙が済めば安心ムードですから、委員としての資格はない。これは諮問委員会、官庁連絡会議という意味であって、首都圏整備委員という名には値しないと私は思っております。これは諮問連絡会議。したがってほんとうに首都圏のことを考えるのは、東京の大都市計画考える人に考えていただく。現在の審議会にはそういう明白なる欠点もありますから、再検討していただきたい。  ついでに一緒にお尋ねします。第二は排気ガスについて、特に自動車の排気ガスについて、新しい装置が最近できたということを漏れ聞きましたが、そういうことはありますか。また、そういう排気ガスのことを心配する帆足君などはもはや時代おくれである、みずから原子科学の観点に立って外交のことを論ずると言いながら、なんじのごときは時代おくれであるという光栄ある御忠告を官庁の人から受けました。そういうような光栄あるほど自動車排気ガス浄化の設備の発明ができており、特許ができており、これを実施する準備が進んでおるかどうか、これを第二にお尋ねしたいと思います。  それから第三に、排気ガスのみならず公害の規制の法律が幾つあるかということをお伺いしたいと思います。と申しますのは、たとえば川にごみを捨てるということ。どこに参りましても、たとえばアムステルダムに参りましても、小川の水は実に美しいもので、川を大事にしております。川では魚をとることも一応禁じております。橋の上にもたれて、ぼんやりしているときに——かりに失恋して橋にもたれておりましても、下には魚が泳いでおり水がきれいだと心も慰められて川に飛び込むのもちょっと恐いとどまるということになるでしょう。したがいまして、失恋のあと仕末の責任は、川を粗末にした皆さんにあると申さねばなりません。そういうこともありますから、川にごみを捨てない。お盆のときにいやらしいおこわのめしなどを川原のところに持っていってぽんと捨てている。スイカやマクワウリも捨てている。私はあの風景を見ていやらしくなります。私は以前は千葉の海岸に海水浴に行くのが好きでしたけれども、いまはごみで一ぱいなんです。ある特定の市長さんなんかには警告を発しました。青年団でごみを集めて近所の百姓のところに持っていって肥料にしなさいと言ったこともありますが、海べや川にごみを捨ててはいけないという規制法があるかないか。なければ、至急それもやっていただきたい。私は公害対策の進行状況は一応は存じております。神州清潔の国が神州不潔の国であることはまことに遺憾でございます。  それから一緒にお尋ねします。住宅の問題で建設省にお尋ねしたいこと、急ぎのことがあります。一つは、不燃公社等において、非常な便宜をはかっていただくことは感謝しておりますが、ある家を買いまして、年賦金が五十年というのです。これは私が経験しました。大体家を買うときには四十歳です。五十年だと九十歳のときに完了する。月二万円の月賦金が九十歳のときに光〜するのでは、だれでもしり込みをします。これは、過ぎたるは及ばざるがごとしです。借りた人は、せめて五年、十年で返したいと言っているのです。したがいまして五年以上五十年と、こうしていつでも返せるようにこれを改めるべきではないかと思います。そうすれば、個人のたんすの中に入っている金が早く建設省関係資金に戻るわけですから、住宅資金も豊富になるわけです。何を好んで借りている人が返したいというのを受け取らないかというと、転売されるのをおそれる。それなら五年間の期間を設けて、五年後に返すということにすればよい。その後の管理をおそれるというなら、その後の管理は協同組合をつくって、そしてそれを公社なり公団なりが世話をするという一札を、地主と相談してとっておけばいいのです。大体において管理料は少し高いと私は思っております。そのほか五十年ということだけは、あなたのほうの御助言で、せめて五年以上の適当な期間に借りている人の都合も考えて返す——五十年というのはひどいと思うのです。これはあなたのほうの御助言だけで実現することですから、お答えを願いたい。  それから、住宅公団でつくるのもけっこうですが、金のある人は自分でつくりたい。自分でつくらせれば、そういう階級の分だけが楽になるわけですから、住宅資金は思い切って出しても戻る金ですからかまわぬと思います。したがいまして、住宅資金は残りがあるのか、あるとすればどうして残りがあるのか。足らないとすれば、住宅資金のほうはもう少したくさん出したほうがいいと思う。これこそ事業公債で出しても、インフレにもならず損にもならないお金の使い方だと思います。  それから最後にもう一つ、子供の墜落及び階段から落ちるおそれのあるような設計は、あなたのほうで取り締まってもらいたい。公団の設計の中に、事務所の設計では子供が落ちるくらいの網の目のものがたくさんありまして、デパートなどでもあとであわててビニールでふさいだりするのですが、私はそれですらむだなことで、最初から子供の落ちないような規制を建築規制の中に入れておけば、こういうことにならぬと思うのです。いわんや家族が一緒に住む公団の中において、そういう場所があっちこっちにあります。これについて警告いたし、また要望いたしましても、資金繰りがまだつかないとかということで二、三年延びる。その間に不祥事が起こるということであります。今後高層建築がふえるということでございますから、子供の墜落を防止するための注意というものを事前に規制の中の一つに入れると、最初からすればそれによって経費は幾らも変わらない。経費上の重みにはなりません。もし入れなかった場合には、急いで追加させること。何度も陳情して時間をとるということのないように。これは厚生省の御意思一つでできることですから、御注意を促しておきます。  その他いろいろありますけれども、時間が限られておりますから、申し上げましたことは記録にとどめまして、そして簡単なことはいま御答弁いただいて、複雑なことは書類でいただきたい。日本の議会というのはふしぎなところなんです。こうして約束しても実行しない。実行しなくても、監察委員というのはなくて、心臓の強いやつほど得なんです。汽車は出ていく煙は残る、残る速記がしゃくの種で、私は国会に監察委員会がないのはふしぎだと思うのですが、野田総裁候補どうお考えですか。ほんとうにふしぎなんです。  実は先年テレビにつきまして、テレビの最中に広告を入れるのは困るということで、もう三度も約束したのです。極端な例は、オフェリアが発狂してハムレットを慕って恋歌を歌おうというとき、その瞬間は何億ボルトも流れているのですが、その瞬間にインスタントラーメンの広告が入る。これでは不良少年ができないはずがない。今日の大脳生理学はそれを教えている。そのときに、愛知さんでしたか文部大臣も郵政大臣も立ち会って、これは必ず忠告して、今後こういうことはやめさせます。こういうことを約束して、約束が破れたら私は愛知さんの応接間に行って、おたくのテレビをこわして軽犯罪を犯してあえて世間の注目を求めるようにするから、これが最後の手段で、私は破壊主義者では断じてありませんけれども、軽犯罪法程度の破壊主義者にそのときはなるから、その約束までしたのに何一ついま直っておりません。これが一例でありまして、ここで約束したことは、ただ言いたいだけのことは言わしておけ、そこでその根本の欠陥は、予算分科会というのは一番大事で、ほんとうは十一月に一度開いて、そしてその後それを参照して予算ができて、そして二月にもう一ぺん開くというのが私はほんとうだと思うのですよ。昔のように第一読会、第二読会という時代のほうがずっといいと思う。英国ではそれは文書でちゃんと答弁をやって、答弁したことは監察委員会でこれを監察して数カ月後には実行に移す、こういうことになっているわけです。わが国会は遺憾ながらみずからを監察する委員会はないわけです。
  102. 野田卯一

    野田主査 帆足さんの御意見はごもっともで、別途にまた承る機会を持ちたいと思いますが、時間がきましたので……。
  103. 帆足計

    帆足分科員 ひとつ考える機会を……。  少なくともきょう立ち会った皆さんだけは、私が申し上げたことについて責任を持ってひとつ善処していただきたい。これは党派のことではありませんから。それでは御答弁は簡潔にお願いしたい。
  104. 西村英一

    西村国務大臣 東京外郭環状道路だけは重要でございまするからちょっと一言申し上げておきますが、橋本前大臣が再検討をすると言ったことがあります。それからまた今度は東京都の新都知事の美濃部さんもそういうことを言ったのは新聞で拝見いたしましたが、再検討ということはどういう意味で言っておるか、それはいわゆる再検討でしょう。廃止するというのか、あるいは部分的に変えるというのか、あるいは路線を変えるというのか、いろいろあります。しかしこれは帆足さんの御承知のごとく、あの路線は外から入ってきます放射線の道路を全部受けとめるということで、非常に重要な道路でございまして、すでに都市計画決定もいたしておるのでございまするが、私もこの点については慎重に取り組みたいということだけを申し上げておきます。その他の関係はそれぞれ……。
  105. 帆足計

    帆足分科員 そのことについてひとつ……。  ただいまのことにつきましては、前大臣、あなたの前の大臣は、私どもに十分な資料を下さって、委員が打検討してそしてその合理性、合理的な点があるか不合理な点があるかを明らかにした後に決済するという約束だった。ところがわれわれには十分な資料が手に入っておりません。御承知のごとく資料をほとんどくれておりません。そしておやめになるときの行きがけのだちんにぽんと判こを押して、そしてさっき申し上げましたように、汽車は出ていく、こういう結果になったわけです。そういう事情も速記録を見て御勘案くださいますようにお願いいたします。それからあと答弁をお願いします。
  106. 橋本道夫

    ○橋本説明員 排気ガスの点でございますが、総理府の公害対策推進連絡会議におきまして検討いたしまして、昨年の秋出ました新型車から、排気ガスについての基準が運輸省のほうで道路運送車両法の公安基準で取り上げられまして始められております。本年の秋からは新型単のみならず旧車にも行なわれるということでございます。それから厚生省としましては、東京都内では三カ所の定期測定点を設けております。東京都も測定をいたしておりますが、汚染の状況を申し上げますと、若干増加はいたしておりますが、道路の幅が非常に広くなったところ等では、汚染が減少してきておるというような実情になっております。
  107. 帆足計

    帆足分科員 一言ちょっと。いまの自動車の排気ガスを浄化する装置がすでにでき上がったというわけですか。それが新車につけ加えられることになった、日車にもやがてそれがそういう付属設備がつくようになるというところまで技術が進歩したわけですか。ひとつ簡単明瞭に……。
  108. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いまおっしゃった点は運輸省がお答えすべきものと思いますが、その点はある程度処理をする装置というのができてやっておるということでございます。
  109. 帆足計

    帆足分科員 ある程度というのはどういう意味ですか。
  110. 橋本道夫

    ○橋本説明員 先ほど先生のおっしゃいました触媒によって処理をするというものではございませんで、燃焼促進をして一酸化炭素を減少さす、分量を減らすというものにつきましては、すでに一部では実用化されております。これはテストの段階でございます。
  111. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の首都圏不燃公社の、五十年の償還期間を短くする、五年というお説でございますけれども、やはりこれは住宅金融公庫から継ぎ足して金を貸しております。したがいまして長期低利の資金を貸しております関係上、あまり極端な繰り上げ償還ということは問題になると思いますが、ただ五十年たたないでも所有権を移転する方法、これはできるようにいたしたいということでただいま検討中でございます。
  112. 帆足計

    帆足分科員 それにはもう絶対反対、それにはとてもわれわれ承知できません。というのは、五十年の後を見てごらんなさい。五十年後に所有権は自分にあっても、なぜ五十年間借金を背負わなければならぬか。早く返したい人に返させればいいじゃないか。なぜたんす預金で置かなければならぬか。しかもこのインフレーションの時代に。これは、ぜひとも御検討願いたい。
  113. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまちょっと私説明が足りませんでした。繰り上げ償還できるものはさせてもいいじゃないかということに考えております。ただそれが極端な場合には、長期低利の資金を出しておるという点から問題がありますので、そこいらの兼ね合わせはにらむ必要があるということでございます。
  114. 帆足計

    帆足分科員 それじゃ、大臣もお聞き及びですから、これは大体常識問題で、あなたさまと論争すべき問題じゃないと思いますから、申し上げました趣旨はおわかりでしょうから、至急御検討願いまして、そして私も御連絡に参りますから……。
  115. 三橋信一

    ○三橋政府委員 第二の点の住宅資金の問題でございますが、国の資金に余りがあるかどうかという点になってくると思いますので、これは私住宅局長からお答えするのはいささかちょっと荷が勝ち過ぎますので、この点は別途またお願いいたしたいと思います。
  116. 帆足計

    帆足分科員 現在のところ資金は余っておりますか。すなわち借り手がなくて金のほうが時々余っているという記事を読みますからお伺いしたのです。
  117. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  現在のところ余っている、だぶついている資金はございません。  それから第三の点についてお答え申し上げます。子供の墜落防止の点についてもう少しきめのこまかいことをやるべきだ、この点につきましては同感でございます。現在建築基準法におきまして窓からバルコニーあるいは屋上、それにさくを設けろという規定がございますけれども、それを子供がくぐり抜けられるかどうか、そこいらのきめのこまかさのチェックは設計上足りない点があるのではないかと思いますので、その点は今後設計上の監督の問題といたしまして、いろいろ先生の御趣旨を体して措置いたしてまいりたいというふうに思います。
  118. 帆足計

    帆足分科員 そのいまのことで一番緊急なのは階段なんです。窓は自分の費用でできますから。共用部分のは簡単にできないでしょう。そこでそれが極端な例だけ、済んだことはしかた、がないとしても、追加補修する。窓などは自分でするように勧めてもいいでしょう。今後のは、いまあなたのおっしゃるようにもっときめをこまかくしていただく。こういうことに御了解願えばいいと思います。
  119. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 河川にごみを捨てることでございますが、これにつきましては、従来から旧河川法で取り締まっておりましたけれども、新河川法の二十九条でただいま政令を準備いたしております。こういう河川にごみを捨てることは、たとえば隅田川の汚濁のような問題の相当な原因になっております工場排水の問題もございます。したがいまして、非常に公害の大きな問題を生じております。この政令を各省ただいま協議しております。早急に進めたいと思っております。
  120. 帆足計

    帆足分科員 海のほうは、とうですか。私は河川をなさるときに、一緒に海岸に捨てるのも、やはり何してもらいたいと思います。
  121. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 海の問題につきましては、それぞれ関係省がございますので、お返事……。
  122. 帆足計

    帆足分科員 では希望としましては、海も入れていただきたいということです。御検討なさるときに……。
  123. 野田卯一

    野田主査 あとで連絡いたします。  午後一時より再開することとし、この際、暫時休息いたします。    午後零時十九分休息      ————◇—————    午後一時六分会議
  124. 野田卯一

    野田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。田邊誠君。
  125. 田邊誠

    田邊分科員 私は去る三月十七日の衆議院本会議で、首都圏整備とそれに関連をする問題について、総理並びに建設大臣にお尋ねをいたしたのでございますが、それを受けて、さらにきょうは御質問いたしたいのでありまするけれども、時間の関係もございますので、話を前後いたしまして、まず端的に大臣のほうからお伺いいたしたいのは、首都圏整備に関連をいたしまする東京の水不足を解消するために、利根川の流域に巨大なダムをつくるべきであるという論議がなされましてからかなりの口数がたっておるわけであります。その間建設省の内部でも沼田地点——岩本地点でありまするけれども、かっこうのダムをつくる場所があるから、ここにダム建設をしてその水を利用したらどうか、こういう論議がかなりなされておったようでありまして、一説には建設省内部の試案としてかなりの数字がはじき出されたということも聞いておるわけであります。しかしこれが具体的になりましたのは、昨年のちょうどこの予算分科会で、当時の瀬戸山建設大臣が佐藤総理の意を受けて沼田ダムの建設をすべきである、ぜひ建設をしたい、こういう発言を明確にいたしておるのであります。これが各方面に非常に大きな反響を呼びまして、その後その是非をめぐって論議がかなり沸騰したのでありまするけれども、しかし大臣がかわりましてその次の橋本大臣になりましたところが、いまだ建設をするというところまで踏み切っておらないというような消極的な発言に変わり、せんだっての西村大臣の私の質問に対する本会議の答弁においても、いまだ建設に着手したわけではない、計画は持っておらないけれども十分調査をしたい、こういう御答弁があったわけでありますが、私は西村大臣の御答弁はもちろん大臣の真意を答弁されたと思いますけれども、大臣がかわるごとにこの種の大きな問題に対して発言が違い、そしてまたその経緯というものが紆余曲折するということは、これはただ単に地元に対して不安感を呼び起こすというだけでなくて、これから先の日本経済にとっても重要な問題を含んでいるだけに看過することはできないのじゃないかと思うのであります。かなり久しい期間にわたって論議がされてまいりましたし、その間、民間の産業計画会議等においても、それぞれ案が発表されておるという、こういう事態でありまして、いつまでもこの問題に対してうやむやにほっておくことは許されないと私は考えるわけでございますが、この際、建設をするという考え方でものごとを処理されようとしておるのかどうか、その点政府の明確な方針を国民に知らせる必要が私はあると思いますので、その上においてひとつ大臣からお話しいただきたいのです。
  126. 西村英一

    西村国務大臣 政府に統一的なあれがないと言いますが、これは実際に問題もないわけです。重要問題でありますけれども、そういう意味からいくと、まだ機が熟していないといいますか、政府で見解をまとめたこともありませんし……。しかし御案内のように、利根川が関東全体に対して水利上最も重要な河川であるということで看過できない。この発端になったことは、田邊さんも大体御承知のように、キャスリン台風、昭和二十二年のときでしたか、あのときに、これはたまらぬじゃないかということで洪水量の調査にかかったのです。そのとき洪水量のピーク時は毎秒一万七千立方メーターであろうということで、そのうちで幾らの水量を上のダムで防ごうじゃないかということで、いままで長年かかって藤原ダムあるいは八木沢、下久保ダム等々をやっておるわけです。しかしその後、河川流域がいろいろ開発されたので、その洪水量が一万七千以上だ、そうなると、いままでのダムばかりでは足らないので、さらに新しいダムをつくるべきではないかということで、小さなダムにつきましてはその他の個所もあるけれども、やはりそれ以上の洪水を押えるといえば、どうしても岩本の付近にしか適地がないからということは、これは産業計画会議のみならず、ほかの人、多少これに関係している人はだれでも常識でそう考えるわけです。したがって、問題点はいま建設省として調査しておるのは、はたして一万七千トン毎秒トンが、どれだけの大きい水量に、それ以上になるだろうかということが第一点の調査であろうと思います。したがって、それ以上の水量だということになりますと、一体何トン上で押えなければならぬかということが数字上出てくるわけであります。したがいまして、総理が言うたことも政治的な問題としておよそのことを言うたのであろうと思われますし、また瀬戸山大臣も、やはり重要だから前向きでやると言ったかもしれません。その点については、やはり重要な水でございますから、私もそう思います。それだからといって、政府が直ちにすぐこれをやるのだ、こうきめつけてしまうまでのデータをいま持っておらないのです。一方、これとは別に松永老人が、これを一生懸命開発をすべきではないかということで、政府の意図ではなしに、民間有力者によって談論されておるわけです。田邊さんだから、ざっくばらんに申し上げますけれども、松永さんも別に会いたいと言うから、私も知識を求めるために会っていろいろお話も聞きました。私も利根川の、そういうふうに洪水量が多くなって、一たんまたキャスリンのようなああいうような大災害になりますと、洪水量がふえると下流がたいへんなことになるから防ぎたいという気持ちはありますが、しかしまた一方、聞くところによりますと、それのため非常な犠牲になる民家がとんでもなく多いということでございます。したがいまして、その辺の調節、一体これをやって、それだけの犠牲を払ってやらなければならぬのかどうかというようなこと、それとまた、やるといたしましても、一体その金がどこから出るのかという問題もあります。したがいまして、いまは盛んに、私としては調査をして、できるだけ早く結果をきめなさいというお気持ちはわかりますから、私もできるだけ早くきめたい、こういう気持ちは持っておりますが、いま日にちを切ることはできません。特にこの際、こういう分科会ですから、ざっくばらんなことを言いたいと思いますが、松永産業会議の案というものは、ちょっと傾聴に値する意見でもあるのです。というのは、非常に犠牲者が多い、その犠牲者が家を失い、職を失う、それをいかにして救済するかということが一番大きな問題だ、この問題を、産業会議独特の方法でひとつこうしたらどうだというような案を打っているようでございます。一口でそれを申しますと、いままでの埋没民家に対する補償というものは、国家がその金をもって対処している、しかし金だけで対処すべきではなかろう、これは業を与えるという対処のしかたをしていかなければならぬと思うがというような意見も拝聴いたしました。  いずれにいたしましても、田邊さんも御意見は非常に持っておると思いますが、私としても、これは調査を進めまして、自分としてある程度の自信ができたときに、これをそんな犠牲を払ってまでとか、これはまだ時期尚早であるとか、あるいはまた急速にやったほうがとか、これは両者を含めて、下流の住民が利益するのみならず、その犠牲になる人も含めてためになるのだとかいう結果を期待して、それまではやはり調査を進めなければならぬ、かように考えている次第であります。
  127. 田邊誠

    田邊分科員 かなり慎重な御発言ではありまするが、しかし大臣の御発言の中に、たとえば利根川の洪水調節をする場合に、従来の水量であった一万七千毎秒トンという数字は再検討しなければならぬ、したがって治水上からいっても利根川上域に対して、さらにダム群をつくらなければいかぬ、その中でも最適地というか、一番いい場所はやはり岩本以外にはないのじゃないか、こういう御発言もあり、したがって、そういった一つ考え方の上に立って松永さんともお会いになって、いろいろ民間の意見も聞かれた、こういうことがありまして、かなり大臣大臣としての考え方をいろいろとまとめていらっしゃることが私はわかったのであります。そういったことで、実は三十五年以来建設省でもかなり予備的な調査を行なってきているはずであります。特に昨年は二千万円の予備調査費を組まれていろいろな調査を行なってこられ、その中には日本能率協会に対する委託費等も含まれて具体的ないろいろな調査もやられてきたようであります。私は大体昨年までの予備調査費約七千二百万円というものが、主としてこの種の調査に充当されてきたというふうに考えているわけでありますが、いままでの調査段階では、一体どこまでこのダム建設に対する前提としての調査として進んでこられたのか、ひとつ建設省のいまの時点における考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  128. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  沼田ダム関連と申しますか、利根川全体の治水、利水の諸施策を講ずるためにどうしても利根川全般として調査費をいままでつぎ込んでおります。三十五年から四十年度までに総額五千二百万つぎ込んでおります。これは必ずしも沼田と限定したことじゃなくて、要するに、先ほど大臣が申されたように、一万七千トンというキャスリン台風の洪水の推定、これは従来から上流がはんらんしたままの形でそういう水が流れてきたので、そのはんらんを戻したり、あるいは流域の開発に従って流量がふえてくるという予想があります。いわゆる流出係数が増大するとか、あるいは山地が相当開発されると流量が増してくるとか、いろいろな問題がありまして、それらの問題を詰めるために五千二万を一般調査として使っております。  その内訳を簡単に申し上げますと、水文観測ですが、これは雨量、流量等の観測をやっております。それから利用の現況の調査ということで、既得用水の取水と、流水の機能維持の流量の調査と、それから、その次お話申し上げるのが一番大きく金をつぎ込んでおりますが、いわゆる流出解析でございます。これは基本洪水の検討のための予算でございますが、これに千数百万をつぎ込んでおります。それから従来のはんらんの調査でございます。下流地帯のはんらんはわりあい比較的つかめるのでございますけれども、上流の地域のはんらんはなかなかっかめない点もあるし、実際の洪水痕跡等でたどっていくと、従来の洪水のはんらん面積が報告と違ったり、いろいろな問題がございます。そういったことにも金を入れております。あるいは低水の問題、低水がどういうぐあいになっていくのか、その解析も必要ですし、地形調査あるいは利水計画等もやっております。  さらに直接若木ダムと申しますか、沼田ダムと申しますか、それにつきまして三十九年度より、一応先ほど大臣が申されましたように、治水計画上どうしても大規模なダムが要るとすれば岩本地点が最適地点だろうというようなお話がありましたが、そういう意味合いで一応調査を開始いたしておりますが、それで三十九年には五十五万だけやりまして、これはほとんど群馬県あるいはその上流地域の地理、社会、経済に関する資料を収集しております。  それから昭和四十年に五百万を使っております。これは水理調査と地質調査あるいは関連開発調査のアウトライン的なものをつくるということで五百万を使っております。  それから昭和四十一年度お話の二千万を水理調査、これは洪水調節をどうしたらいいかとか、あるいは水利用計画をどうしたほうがいいかというようなことで、それの調査をやっております。それに関連開発調査を約千万程度行なっておりまして、周辺地域の航空写真測量あるいは実態及び立地条件の調査としまして、これは能率協会に委託いたしまして四百三十万だけ使っております。  ただいまの調査の具体的な内容はいま申し上げたとおりでございます。
  129. 田邊誠

    田邊分科員 その調査の中に、昨年河川局長の国会答弁の中では、地元の了解を得られれば地質調査なり地形調査なりを現地においてやりたいという、こういう意向が表明されたことは、あなたは御記憶になっておると思うのであります。それは一体どうなりましたか、やられましたか。
  130. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 まあかりにダムをつくるとすれば、ダムの地質が致命的でございます。したがいましてつくるかつくらないかは別としまして、そういう利水治水上の必要性から大規模なダムが必要とすれば、まず地質を確かめる必要があるということで、それを確かめないとその辺の計画は立たないわけでございまして、利根川全体の計画上どうしても必要とあればやはり調査をしなくちゃいかぬということでお話申し上げまして、これは地質調査はただいまのところ具体的に地元の了解は得られておりませんので、概査程度のことをやっております。四十年に概査程度のことをやっておりますが、そのほかのことはその後やっておりません。
  131. 田邊誠

    田邊分科員 今年度のいま審議中の予算案の中に、一体昨年度の二千万円に続いてどのくらいの予算が組まれておるのか。それからそのいま審議をされておる予算案の中で引き続き調査をされると思うのでありますけれども、聞くところによりますと、いよいよ建設省としても日本能率協会やそういった民間に委託をするだけでなくて、現地にいわゆる観測の事務所といいましょうか、測量の事務所といいましょうか、そういうものを設置して地質調査なり地形調査なり、まあだんだん段階が積み重なってきているわけですから、そろそろその段階じゃないかと私ども判断をするのですけれども、そういうことを一応もくろんでおるということを聞いておるのです。ひとつ簡単でいいですから明快に御答弁いただきたい。
  132. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 現地に調査出張所をつくって調査するというお話はただいま初めてお聞きしましたけれども、実は沼田に利根統管事務所の出張所がございます。それがただいま立ちのきを食っておりまして、そのために新しい地点に統管事務所の出炭所をつくるということが、そういうぐあいに誤まり伝えられたのじゃないかというふうに考えます。  それから、四十二年度につきましてはもちろん継続の水理調査はやらしていただきます。それから関連開発関係、その地域にたとえば新たにダムをつくるとすれば相当移転を要するという問題がございます。したがいまして、そういうことがはたして可能かどうかという調査をやらなくちゃいかぬということでわれわれ考えておりまして、それらの調査を進めたい。金としましてはまだ具体的にあれしておりませんが、四、五千万程度考えてみたいというふうに考えております。
  133. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、先ほど大臣お話の中にもありましたとおり、われわれはこの種の多目的ダムを考える場合、構想を持つ場合、何といっても一番重要なのは治水の問題であるということに注目をしておるわけでありまして、これは建設省のいままでの一貫した方針であったわけです。ところがわれわれは、これは内容的に申し上げる時間がございませんけれども、大体八斗島において毎秒一万七千トンの洪水調節をしなければならぬ。そういう流量が流れている、最大流量が流れるという予想で、その中で八斗島の上流地点において毎秒三千トンのカットをするという、大体こういう考え方であったわけです。ところがその基礎になる最大洪水流量というのが、いま大臣お話でもって一万七千トンをこえるのじゃないかという、こういうお話になってまいっておるのでありますが、この点がひとつ疑問であります。  それと同時に、いままで大体三千トンのカットというのは、これはたびたび建設省も言明しているように、いままでの既設ダム、それから下久保とか矢木沢、このダム群をつくることによって、大体三千トン・カットは可能であるというように言明したと私は思うのですが、つい最近その方針が変わって、いままでのダム群では二千二百トンくらいしかカットできない、あと不足分をこれから先のダムへ依存しなければならぬ、こういうふうに変わってきたのでありますけれども、私は、河床の上昇やその他でもって二十二、三年ごろとは若干状況が変わってきたということはわかりますけれども、しかしそれが何か基本的に大幅な形でもってカットの量というものが変わるというのは、これはあり得ないと思うのであります。きわめて何か政治的な配属がその中に含まれるような感じがしてならないのでありますけれども、この点に対してはひとつ建設省としてはきちんとした根拠を——その年その年の水位によって幾らか違ってくることはありますけれども、大幅な改訂はあり得ないと思うのでありますけれども、その点、簡単でけっこうでございますから御答弁をいただきたい。
  134. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 一万七千トンとしまして三千トンを上流でカットすることにつきましては、現在の基本計画のとおりでございます。この三千トン・カットのうちに、先ほど先生のおっしゃいましたように、二千二百トンをいままでつくったダムでカットできるということになっております。あと、たとえば八ツ場ダムとか、そういう点で解決していかなくちゃいかぬという問題が約八百トン残っております。しかしこれは、川というのはしょっちゅう変わっておりまして、降雨量によって変わりますし、最近のたとえばの例を出しますと、九頭竜川の真名川におきましても、従来の最高日雨量三百ミリに対しまして千ミリ近くの日雨量が降っておるというような状態が生じます。それで常にわれわれとしましては治水、利水上の見地からそういう問題の解析をやっておかなくちゃいけない、それはわれわれの責任だと考えております。そういう点におきましていま盛んに利根川の洪水追跡をやっております。従来からの集まった水文資料によりまして洪水の解析を行なっておりまして、これらの問題が出れば、先ほど申し上げました流出率の増大とか、あるいは二十二年のキャスリン台風の精査の不足というような問題が重なり合いまして、若干の増高を要する。増高を要しましてもダムでできるのじゃないかといわれる点がありますけれども、利根川は基本流量も非常に多いし、かなり世がふえれば既設のダムでは無理でございまして、新しいダムをつくって調整していかなくちゃならぬという問題は必ず残ると思います。
  135. 田邊誠

    田邊分科員 大臣、いまお聞きをしておりまして、治水のためにも、それからこれは、ちょっときょうは時間がございませんから論及できませんけれども、いわゆる利水のためにもダムが必要だ、こういうお考え方、基本に立っているわけですけれども、私は、いま言った三千トンのカットが二千二百トンで、これから先のダム群にさらにこれを要請しなければいかぬ、こういうことはさることながら、問題は、ダムをつくる、ダムをつくるということだけでもって考え方をしぼっていくのは非常に危険でありまして、いまは利根川の治水の問題の場合でも、いわば八斗島の下流の水の配分計画というのが、実は建設省計画というものが完成しておらないのであります。このいわばいままでのダムのつくられた時点で下流の水の配分を一体どうするのか、河口ぜきや貯水池をつくる、遊水地の利用、そういった面の計画というものが実は進んでおらないのであります。このほうにさらに目を向けなくちゃならぬというふうに私は考えるのでありますけれども、この点に対する大臣のお答えをいただきたいと同時に、いま申し上げたように、沼田ダムの問題は、これはきわめて慎重を要することだけれども、内部的にはかなり大臣お話のように進んでおる。いつ踏み切るかまだわからぬけれども調査をしておるのだ、こういうのでありますけれども、私は、問題は、治水の問題からいっても、いま言ったいろいろな方法がある。それから利水の問題については、これは、なおかつ、とるべき方策は、利根川の余剰水の導入等、いろいろと方法があると私は思うのです。霞ケ浦の水の利用、いろいろあると思うのでありますけれども、そういった面と、さっき大臣がおっしゃったように、住民の水没のあまりにも大きいということ、いろいろな地元に与える影響等の大きいということ、それからただ単に金を与えるという補償だけでなくて、仕事の面やその他でひとつ新しい構想を練ろうじゃないか、こういう民間人の意見に対して傾聴したという、こういうこともありまするけれども、私は問題はやはり政治的な配慮というものが、最終的にこれをつくるかつくらないかの決断に一番大きなウエートを持っているのではないかと思うのでありまして、そういった点からいいますると、まだまだいろいろな方策を当然とるべきである、その上に立って政治的な配慮をして決断を下すべきだ、こういうように私は考えておるわけですけれども、一体そういった総合的な利根川の治水の面、利水の面に対して、建設省は、あるいは政府は、対処をいたしておるのかどうか。また、今後の、いま申し上げたような巨大なダムをつくることの損失、国民に与えるところのいろいろな利害得失、こういつたことに対して大臣はどのようなお考え方をお持ちであるか。大臣考え方と決意をひとつ表明願いたいのであります。
  136. 西村英一

    西村国務大臣 まさにそのとおりでございます。治水五カ年計画はあっても、利水五カ年計画はないのであります。そのように利水というものは非常にむずかしいのでございます。いま言ったとおり、君のところはダムだけつくるのに一生懸命じゃないか、そのとおりでございます。ある程度まで私どもはそうやっております。治水五カ年計画があって利水五カ年計画というものがない。つくれない。むずかしいのです。そういうところに問題はあると思います。したがいまして、せっかくのおことばでございますので、利水の面も利根川については十分考えなければならぬことだと思います。  それから、事柄は非常に大きい問題でございまするから、直ちに政治問題に取り組んでこれを政治上ぽかっとやるというようなことは、やはりなかなかできないと思います。したがいまして、あくまでやはり科学的な根拠に立ってものごとを解決いたしたい。それはまた一方におきまして地域出身代議士の諸公等の御協力も得なければできることではございません。  かようなことで、あらゆる面を勘案いたしまして私としては善処したい、かように考えております。
  137. 田邊誠

    田邊分科員 そういたしますると、まあいろいろな紆余曲折はあるけれども、西村大臣としては、政府の統一的な考え方として、治水の問題についてもいろいろな総合的な検討をする余地がある、まして利水の面に対するいまの見通しをつけた計画がないということですね。これらの計画を十分立てて、その上に立って、最終的にやはり沼田ダムをつくるか、あるいはその他の方法によって治水利水について利根川の問題を処理するか、東京を中心とした首都圏の水不足やその他の今後の発展の問題をどう考えていくかということになろうかと思うのでありまして、したがって、やはりそういった総合的な計画というものが、ある程度決断が下せないうちは、結論が出ないうちは、やはり単純に沼田ダムを建設するという踏み切りはできない、このように考えてよろしゅうございますか。
  138. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  139. 野田卯一

  140. 島上善五郎

    ○島上分科員 私は大臣に、政府の住宅政策につきまして若干お伺いいたしたいと思います。御承知のように、大都市における住宅不足は最近非常に極端なものがある。大京で都民の一番求めておるものは何かという世論調査をしておりまするか、昭和三十八年以降は、その世論調査で一番都民の求めておるものは住宅問題。三十八年以降ずっとそうです。政府もこれを承知していると思いますが、世帯住宅、住宅の大量建設を言っております。公約しております。それはもちろんけっこうですが、しかし実際にそのことばどおり実行されておるか、推進されておるかと申しますと、残念ながら事実はそうではなさそうです。  そこで、まず最初にお伺いしたいのですが、去年から始まった公営住宅建設五カ年計画、私の承知しておるところによりますると、ことしは二年目で八万六千戸建設と伺っておりますが、これで一体五カ年のうちに住宅不足をどの程度に緩和できるか。もちろん一世帯一住宅などはとうていできませんけれども、どの程度に緩和できるとお考えか。それからその後のさらに第二次五カ年計画というような構想がありましたら、簡単でけっこうですから、それで一世帯一住宅はどのようにして、いつ達成するという方針であるかを伺いたい。
  141. 西村英一

    西村国務大臣 住宅五カ年計画は昨年、四十一年から四十五年において一世帯一住宅、したがってそれを計画的にずっと四十一年、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年において一世帯一住宅ということでございます。そして主としていままで皆さん方が、そんなことを言ったってできるんだろうか、こういうわけですが、いま計画に基づく実績は一年目の昭和四十一年しかないわけです。これはまだ四十一年でもって公的資金でやり、民間の自力でやったのが幾らになるかという統計はまだとれておりません、ようやく四月になったばかりですから。もうしばらくいたしましたら、統計が全部とれると思います。必ず私は初年度のこちらが目標とした戸数は約束できると思うのであります。したがいまして、四十二年度も一定の計画を立てましていまやっておるわけであります。それを年々完遂していけば、四十五年に一世帯一住宅、こういうことになるのでありまするから、まだ実績は昨年一年だけでありますが、心配は非常にけっこうでございまするけれども、ぜひとも、ことに東京都の住宅不足につきましては、もうこれは与野党を問わず、非常に心配をいたしておりまするから、絶対これを守りたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 島上善五郎

    ○島上分科員 大臣、五カ年計画最終年度に一世帯一住宅を達成されるとおっしゃいますが、たしか五カ年計画で五十二万戸公営住宅をお建てになる計画だと思います。五十二万戸建てて、一体一世帯一住宅達成されますか。私はそれはできないと思うのです。第一、住宅困窮者とは何ぞやという問題からはっきりさせないと——いま東京に六畳以下に一世帯入って生活している者が一体どのくらいあると思いますか。私の調べたところ——これは私が調べたんじゃなくて、東大の下総研究室で調べたものですが、東京で、大体三百三十万世帯と見て、そのうちの四分の一、八十万世帯以上が民間アパート、そしてそのうち一間だけのアパートに住んでいる者が七五%、六十万世帯以上、その一間のうちで、さらに四畳半以下というのが六五%で、三十二万世帯あまり。こういう一世帯六畳以下に住んでいるというのは、私は住宅困窮者だと思うのです。住宅困窮者というものを政府はどういうふうに考えているか。五カ年間で五十二万戸全国で建てて、これで一世帯一住宅ということは、三号のうちでもそれは一住宅かもしれない。極端に言えば三畳でも四畳半でも六畳でも、一住宅と言えるかもしれない。しかし私はそれは少なくとも公営住宅法の冒頭に「健康で文化的な生活を営むに足りる」云々という、法律の精神からはなはだしく遠いものだと思うのです。住宅困窮者をどういうふうに考えているのか。五カ年計画最終年度までに五十二万戸建てて、一世帯一住宅が実現するという、その考え方についてもう少し伺いたい。
  143. 西村英一

    西村国務大臣 島上さん、話が食い違っておりますので……。結局、いま五十二万戸と申しましたが、島上さんは東京都のことばかり言っているのか何かちょっとわかりませんが、五カ年間に全国考えまして六百七十万戸つくろうと言っているのです。そのうちで公的に、政府が金を出すとか金を貸すとかいってつくるものは二百七十万戸、あとの四百万戸は民間自力でつくってくれるだろう。五カ年間に六百七十万戸でございます。これは全国の話です。そのうちで東京都の話だけに限定いたしますと——私が言いますのは、二百七十万戸が公的資金あとの四百万戸が民間自力による。その民間自力というのもいろいろな方法をとりまして、宅地を心配をしてやるとか、あるいは住宅減税をやるとか、いろいろして民間を政府が助けてやらせようという六百七十万戸でございますから、何か話の食い違いがあるようでございまするから、五十二万戸という数がちょっとわかりませんので……。
  144. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまの島上先生の五十二万戸、これは五カ年計画におきます公営住宅だけの戸数でございます。ただいま大臣からお答えいたしましたように、公的資金によりますものは二百七十万戸でございます。したがいまして、この公営のほかに公庫、公団、その他つまり雇用促進事業団とか、ああいうものによりますもの、あるいは公務員宿舎とか、そういうものも含めまして二百七十万戸になる。これによりまして五カ年たちました四十五年、終わりましたときには二、三人の世帯におきましては九畳以上、それから四人以上の世帯におきましては十二畳以上、いわゆる一世精一住宅というものを確保いたしたいというふうに考えております。したがいまして五十二万戸は公営住宅、改良住宅を含んだものでございますので、これは一番低い階層の方の住宅でございます。あと中所得の階層の方については公団、公庫等でいろいろとお世話申し上げる、そういうような考え方になっております。
  145. 島上善五郎

    ○島上分科員 公的費用で建てる二百七十万、それから民間自力建設四百万、こういう戸数についても私は問題があると思うのです。そのうちで五十二万戸は公営住宅ですね。私は一番住宅に困っているのは勤労者だと思うのです。その勤労者のうちでも収入の少ない人々、そこで五十二万戸ではとうてい一世帯一住宅にならぬということを私言っているわけで、数字はいま言った点で明らかになりました。食い違いも何もないのです。  そこで政府は一体持ち家主義というか、自分で自分の家を持つという持ち家主義を重点に考えているようですが、この数字から言ってもそうですか、持ち家主義と公営住宅主義、このウエートをどういうふうに置かれているか。私は、少なくともいまの日本の勤労者の収入の状態では、勤労者にうちを持たせるということはたいへんむずかしいことだと思うのです。せいぜい三十年か四十年つとめて、退職金もらってうちを建てようかというのが勤労者の夢であって、その夢すらもなかなか実現できない状況です。あとで伺いますが、このごろ公団住宅でも分譲住宅方式にだんだん重点を移しておるようですが、分譲住宅を買いましたら、頭金が七十万円とか八十万円とか百万円とか要るわけですね。一般の勤労者にはなかなか手が届かぬところである。その持ち家主義を重点にして公営住宅を従にしておるという考え方に私ども賛成できませんけれども、それで一体勤労者に一世帯一住宅を、いまあなたがおっしゃったような畳数で与えることができると思いますか。
  146. 西村英一

    西村国務大臣 持ち家にするか賃貸にするかということは、いま島上さんが言ったように、低所得者のために賃貸住宅を重点にすべきだ、それはそのとおりでございます。決してこの五カ年計画でも持ち家が重点にはなっておりません。どちらかというとやはり賃貸住宅、低所得者のほうが重点になっておるのでありまして、なおますますそのほうに力を入れたらどうだということは、経過を見て考えたいと思いますが、住宅が持ち家、持ち家ということになった原因は二、三年前に、ドイツの方式によって、勤労者が貯蓄をする場合にやはり家を持たして貯蓄のかわりということにしたらいいじゃないかということが一時議論になりましたから、あれですが、いまはどちらかというと、やはりあなたのおっしゃるように賃貸住宅、持ち家はやはりそれよりちょっと上の人、分譲してもらうのはちょっと上の人だという考えで、計画もそうなっています。しかし、経過を見ましてさらにもっと低所得者の人に足らないじゃないかということになれば、それはまた検討する、こういう考え方を持っておるのでありまして、決してわれわわれは持ち家に重点を置いてという重点主義はとってはおりません。
  147. 島上善五郎

    ○島上分科員 しかし持ち家五、公営四、それから給与住宅一という比重で考えているのじゃありませんか。それからこの数字を見ても、民間自力建設四一万戸、公費建設二百七十万戸のうちで、さらに公営住宅が五十二万戸ですから、あと公庫住宅その他ありましても、勤労者のための公営住宅という比重が非常に少ないということは、私はこの数字で立証しておると思うのですが、どうですか。
  148. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま大臣からお答え申しましたとおりでございますが、五カ年計画で確かに持ち家と借家との割合は五分五分でございます。ただいま給与住宅一、それから借家四、それから持ち家五とおっしゃいましたが、給与住宅というのはこれは貸し家でございます。したがいまして、全体で申しますと、五分五分になっております。それから今度、公的資金二百七十万戸のうちの持ち家と借家の割合について申し上げますと、持ち家は百十七万戸、四三%でございます。それから給与住宅を含みました借家、これが百五十三万戸でございまして、五七%ということにいたしております。したがいまして、持ち家だけに重点を置いているということには必ずしもなっておらぬのじゃなかろうかと、私ども思っておる次第でございます。
  149. 島上善五郎

    ○島上分科員 それなら、公団でこのごろ賃貸よちも分譲住宅にウエートを置いている、少なくともそういう方向にいっているということはどういうわけですか。
  150. 三橋信一

    ○三橋政府委員 公団につきまして、分譲にウエートがいっているというお説でございますけれども、四十二年度公団の賃貸住宅と分譲住宅の戸数を申し上げますと、三万六千戸が賃貸住宅でございます。それから分譲住宅が二万五千戸でございます。したがいまして、その点から申しましても、必ずしも分譲だけに重点を置いているということにはならぬのではなかろうかというふうに考えております。
  151. 島上善五郎

    ○島上分科員 この数字だけで見ればそういえるかもしれぬけれでも、しかし公団がだんだん分譲にウエートを置き、年々分譲にウエートを置いている、賃貸を軽視するという傾向があることは事実です。まあ大臣から公営住宅について足りなければ検討するということですから、大いに検討してもらって、私はこの問題だけに停滞している時間がありませんから、公営住宅をもっと大量に建設しないことには、最も住宅に困窮しておる勤労者に、あなたがさっきおっしゃったような住宅を提供することにならぬと思う。そして現に公営住宅の中でも一間住宅というのがずいぶんあります。まだ一間、これなどは住宅困窮者のうちに入ると思うのです。東京のまん中で一間で一世帯、四人も五人も生活しておる。これなどは住宅困窮者です。ですからもっと広いうちを与えることを考えなければならぬ。ですから、私どもの調べたところによりますれば、五カ年計画で公営住宅五十万戸ではまだまだとても足りないと思う。もっとこれは検討して大量にしてもらわなければならぬ。
  152. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いまの問題に関連して伺いたいと思いますが、建設省はいろいろな公共事業をやる場合に、公共事業から逃避して、当然やらなければならぬ公共事業から逃げて、独立採算の公益事業というようなものにえらく依存しておる。たとえば先ほど問題になりました道路問題にいたしましても やはり日本道路公団というようなものに一切をやらしておる、主要なものをやらしておる。今回のこの住宅につきましてもやはり、政府みずからが庶民住宅を提供していこうという、そういう積極的な考え方が非常に足りない。いま問題になっております公営住宅、私はもっと建設省は公営住宅主役に徹すべきだろう、このように考えるわけなんです。今回の四十二年度では第一種が三万二千四百戸ですね、五カ年計画のうち四十二年度において。それから第二種は四万八千六百戸、こういう数字から見ても、あなた方がやっておる公営住宅というものについての考え方は、何といいますか非常に不徹底な考え方だと私は思うのです。なぜもっと公営住宅主義に徹しないのだろうか。場合によっては、地方公共団体にまかすばかりでなく、みずから建ててもいいじゃないかというくらいの考えを私は持つのです。そこで今回のこの予算と関連いたしまして、なぜ第二種住宅——先ほどから庶民に対して低家賃の住宅を与えるのだなどということを言っておるけれども、なぜこんな程度にとどまっておるのか。一種住宅よりも二種住宅のほうを三倍も四倍もふやすべきじゃなかろうかという考え方も成り立ってくるわけなんです。聞くところによると、建設省はこの問題については強く第二種住宅の飛躍的な増設を今回の予算と関連して考えた、こういうことを私どもは承知しておるのです。ところがどうしたかげんか、このあなた方の希望がそこまで達成できなかった。第二種住宅三カ年計画等が根底からくつがえされておるということになっておるわけなんであります。関連でありますので一々応答をやっているわけにいきますまいが、そういう建設省の態度では困るし、またこれを国の重点政策として政府が取り上げておきながら、第二種住宅というものにもつと重点を注がなかったという政府全体のかまえというものは、住宅対策にほんとうに真剣に取り組んでおるかどうか私は非常に疑問を持つ。この間の経緯は一体どうなっておったのか。公団住宅その他の政府施策住宅にしても、あるいは民間住宅など先ほど言っておられるけれども、民間住宅など計画の中に入るべきものではない。そんなものを計画だというのはおかしいと思う。それによって四十五年度において一世帯一住宅を与えていくのだ、これは非常なへんちくりんなものであって、私はこんなものはからくりだと思う。できっこないと思う。この点についてさらにこの計画を練り直し、できれば今年度中にでもこの問題の画期的な処理に当たっていくということでなければいかぬと思います。今日、庶民住宅などというものは先進国においては個人の次元でもって考えるべきものじゃなくて、団体として考えなければいかぬということは、もうどこでもやっておる。しかも補助金までついておる。したがって低家賃の可能性がある。そういったものを避けて通って、そして日本住宅公団の住宅だとか、あるいは金融公庫の住宅だとかいうものに逃避してしまって、公共事業を真剣に取り組んでいこうという考え方がない、いわゆる公営事業と取り組んでいこうという考え方がない。ここに私は、いま島上さん言われるような非常な疑問点が出てくるんだと思うのです。この点について、大臣それから局長さんあたりにも一ぺんしっかりした根性のあるところをここで答弁願いたいと思う。
  153. 西村英一

    西村国務大臣 第二種公営住宅をどんどんやったらいいじゃないか、われわれもある程度そういう気持ちはいたしております。これはしかし地方公共団体の協力なしにはなかなかできない。それで、いろいろな理由があるわけであります。そういう計画をしてみたことも建設省としてはかつてはあったようでございます。決して安易な方法にわれわれは逃げ込んでおりません。やはりあくまでも低所得者になるべく早く住宅を与えたいということについては、今後も私たちとしてはさような方向で進みたいと思っております。
  154. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 もう一点だけ。したがって、地方公共団体がこれになかなか取り組まないといううらみがあるということでありますが、私はそればかりじゃないと思う。補助金は第一種住宅は二分の一でしょう、二種は三分の二でしょう。そのあとのいわゆる持ち出し財源、これは超過負担との関連が出てくると思う。土地を平均坪当たり東京都内でもって四千円で買えといったって、東京都はよう買うわけはないのです。選挙前に二人の候補が盛んに住宅問題で、思いきって建てる、こう言ってみたものの、そんな坪当たり平均四千円やそこらで土地が買えると考えているのはおかしい。坪当たり十万も二十万もかかるでしょう。そういう超過負担の問題がかさんでこうなっているんだから、この点をやはりあなた方のほうで手心を加えてやらないと、地方公共団体はこんなものに取り組めませんよ。国だってあなた方ようやらぬでしょう。それで住宅公団か何かにまかしてしまう。そして地方公共団体にこれはまかしておる。一種、二種だから地方公共団体がやればいい。ところが、地方公共団体はやらない町やらない原因は何か。これは超過負担がついてきてどうにもこうにもやれない。財源的にこれは困る。建設省としてはそこのところを解決してやらなければ、地方公共団体は手が出ませんよ。これらの問題についてはやはり、建設省超過負担をなくすだけの考え方を持っておるかどうか。やるならいつやるか、それをもう一ぺん明らかにして答弁してもらいたい。
  155. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまの御質問、結局超過負担をどうするのかということに帰一すると思います。超過負担につきましては、四十一年度におきましては大体百二十五億程度超過負担があったと思われます。これに対しまして、私ども今回の予算の要求に際しまして、戸数の問題もほしいのでございますけれども、むしろただいま御指摘のような点をいろいろ配慮いたしまして、単価の是正ということにかなり意を用いたつもりでございます。しかしながら、その是正は完全にいたしたとは遺憾ながら申しかねますけれども、その結果四十二年度におきましては、従来の物価で推移するならば約六十億ないし七十億の出過負担で済むのではなかろうか。したがいまして、金額といたしまして四十一年度の半分くらいで済むのではなかろうかというふうに考えておりますが、しかし、今後私どもいろいろ努力いたしまして、これの解消の方向に向かうようにいたしたいというふうに考えております。
  156. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これで終わります。したがって、超過負担の解消、まだ六十億も七十億も残るということです。さらに、大幅にやっていくことになればまた超過負担額の総額はふえてくる、こういうことになるわけです。地方公共団体はそんなものに耐えられない。この点が一つですが、これはできるだけ早く解消してください。  それから、大蔵省の方がおられると思うが、聞いておるひまはない。そこで三分の二の負担よりも二分の一の負担のほうが楽だということで、国の財政の観点に立って一種住宅は建設省が好みもしないのにふやして、第二和住宅は非常に強く要求したのにその要求額に達してない。こういうばかげた政治のあり方というものは、私はないと思う。これはもっと大臣のほうで強く要求されまして、せっかく政府が住宅五カ年計画、一世帯一住宅、こううたっておるのでありますから、もっともっと強くこの点について処置してもらいたい。つきましては、私はこの前も大臣に伺ったのですけれども、四十五年に至る過程の中で弾力性を持って調整していく、こう言っておられますけれども、やはり住宅はできるだけ早く与えてやったほうがいいのですから、そういう観点に立って、今回の予算で直ちにいまどうせよというわけにいきますまいが、この機会に早くそういう措置をして所定の目的に達するように努力してもらいたい、こう思うわけであります。ちょっとこれだけつけ加えておきます。
  157. 島上善五郎

    ○島上分科員 いまの超過負担の問題ですが、住宅局長考えは少し甘過ぎますよ。東京は代表的ですから、私は東京のことを申します。東京は去年一万戸、改造一千戸。ことしは都民の非常に強い要求があって、住宅大量建設の条例制定の著名運動まであった。これに知事がこたえて、ことしは一万四千戸、こういうふうになってきました。もちろんこれでも足りませんが、東京都で聞いたところによると、大体平均して、三多摩のほうの地所の安いところも含めて二百万、一種二種平均しての話ですよ。こまかいことを言っておる時間がありませんが、それで九十九万五千円の超過負担だ。東京都の役人が言うのですから間違いない。ですから昭和四十一年度一万戸建てたとき、東京都だけで九十九億五千万円の超過負担だ、こういうことですよ。ことし一万四千戸になったら、さらにふえますね。ことしの予算で標準建築費というものを去年に比べて格段に引き上げておるなら別ですけれども、どのくらい引き上げておりますか。
  158. 三橋信一

    ○三橋政府委員 単価につきましては、一般の公営住宅の工事費におきましては一戸当たり約一五%、それから用地費におきましては約一一%引きしげております。また改良の住宅におきましては一戸当たりの工事費九・八%、約一〇%でございます。それから用地費の引き上げ率は約三七%引き上げをやっております。
  159. 島上善五郎

    ○島上分科員 その程度の引き上げでは、去年に比べて土地も建築費も上がっておるのですから、土地の値上がりと建築費の値上がりにすら追いつけないのじゃないかと私は思う。それから超過負担の解消も、私は去年の予算分科会でも大臣に伺いましたが、大臣は、本年度たしか一四%増にしたから三年をめどに超過負担を解消する方針である、こうおっしゃいました。この程度では、去年、ことし、来年、解消なんかできっこないですね。この点はどうですか。三年をめどに解消するという方針は、いまの大臣、踏襲されてそれを実行されるお考えですか。
  160. 西村英一

    西村国務大臣 三年で約束したかどうかわかりませんが、超過負担の問題は、住宅のみならず政府の一番大きな問題であります。また公営住宅のほうは少ないくらいで、ほかに非常に大きなものがある。そこでわれわれとしては、原価としては年度予算交渉では常に努力しておる。しかし、これは一ぺんにすぐ解決するということはできません。徐々に解決の方向を取りたい。島上委員よく予算委員会等で一番痛いところをやられるわけですから、こういうことはよく知っておるわけです。公営住宅は私のほうの責任でございますから、なるべく早く解消したいということだけは申し上げておきたいと思います。
  161. 島上善五郎

    ○島上分科員 おっしゃるとおり、超過負担はあらゆる方面にあるのですが、いま住宅問題だけ伺っておるので、住宅に関することを聞いておるわけですが、去年は三年をめどに——ちゃんと速記録にあるのですが、それをなるべく早く解消したいというふうに後退してきている。こういうふうに政府のやり方はどうもとかく後退しがちで、われわれ不満なんですが、そこでこの超過負担の解消にもっと努力してもらいたいということです。  超過負担だけではないですよ。公営住宅がどんどんできる。そうすると、これに関連する公共施設、学校とか幼稚園、保育所とか水道とか道路とか、こういうものはその土地の地方公共団体で負担することになっているんですね。地価が高いから、どうしてもだんだん郊外へ行く。郊外というか、東京でいえば三多摩のほうへ行く。遠隔の地域に持っていく。ところが、その地域地方公共団体が関連する公共施設を負担する、こういうことになっているから、地方団体はいやがって、このごろ公営住宅や公団住宅がおれのほうにくるのは反対だという声さえ起こっている。ですから、ここで超過負担を解消すると同時に、関連する公共施設についても、特別の補助ですね、いままできまっている補助ではなしに、特別の補助というものを考える必要があると私は思うのですが、どうでしょう。
  162. 西村英一

    西村国務大臣 集団的にある程度の住宅ができるというようなところについての公共施設は、ともに考えていかたければなりません。もちろんその都市の負担にはなりますけれども、たとえば日本住宅公団がやる場合には、あらかじめ住宅公団が公共投資をやって、そしてそれを地方公共団体が徐々に返していくという方法をとっておるわけであります。したがいまして、島上さんがおっしゃいましたように、ただこちら側が住宅だけを建てて、あとは全部公共団体にまかして、おまえのほうでやれと言ったって、これはきらうのはあたりまえでございますから、できるだけそれらのめんどうを見ていかなければいかぬということで、いまでもそういう公共投資は先行してやってやって、あとでもって年賦で返していただくという方法もとっておるわけでございます。
  163. 島上善五郎

    ○島上分科員 わけでございますといっても、事実は必ずしもそのとおりいっていないので、これは十分考えてもらいたいと思う。そうでないと、おれのほうへ都営住宅や公団住宅がくるのは反対だという声がだんだん強くなってしまって、今度は安い土地をさがすこともできないというジレンマにおちいると思うのです。  それから、このごろ公営住宅でも公団住宅でも家賃が非常に高くなってきている。著しく高くなってきている。公営住宅法の第一条の目的のところに「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより」云々と、こうなっている。この「低廉な家賃」ではもう現になくなってきている。これも東京都の例で恐縮ですが、法律の基準によって家賃をはじき出すと一万一千円で貸さなければならない。これは第一極の公営住宅ですよ。そうすると、第一種の入居基準からしまして、この一万一千円はどのくらいになりますか、二二・三%になるのですよ。そこで東京都の場合は、家賃は大体収入の一六%程度が適当であろうということが、一万一千円で貸さなければならぬものを、いわゆる政策家賃ということで九千八百円で貸している。しかし、それでも私はなお、いまの第一種の入居基準の収人のある者からすると高過ぎると思う。これは公営住宅法や日本住宅公団法にどんなにりっぱな文句をうたってありましても、それと実態とが乏しく合わなくなってきている。そこで、政府は家賃というものは収入に比べてどのくらいが適当とお考えになっておるか。いまの趨勢では高すぎると思わぬかどうか。それを安くするにはどうすればいいか。ただ建てさえすればいいというものではありません。公営住宅法の第一条は、全く文句のつけようのないような文言ですよ。「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」なかなかりっぱな文句ですよ。この実態とも合わなくなってきている。家賃がこう高くなってくると、もっと低くするためにはどうするか、あるいはどのくらいが収入に対して適当な家賃とお考えか、これをひとつ……。
  164. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  家賃を安くする方策はいかんということが第一だと思います。それにつきましては、やはり現在一番問題の多いのは宅地の価格でございます。工事費のほうは全国でそれほど違いはございません。宅地が一番問題でございます。そこで、この宅地をいかにして大量に安く取得できるようにするか、これが第一の問題でございます。これにつきましては、公的な機関等によりまして大量の宅地造成をはかっていく手段を講じつつあるわけでございます。  それから、第二の問題といたしましては、建設コスト、建築コストをいかにして下げていくかということでございます。そのためには、やはり一戸一戸建てるということも、これは個人の好み等によっては必要かもしれませんけれども、やはり集団的な団地造成をやっていく、その場合に量産住宅の方法をできる限り開発してまいりたい。そしてこれを、特に公営と申しますか、公共施策の住宅をまず舞台にいたしまして、量産住宅というものを大幅に開発いたしまして、これによって建設コストを下げてまいりたい。それと同時に、先ほど申し上げましたような公的な住宅についての単価の是正、結局国が補助いたしませんあとの部分が家賃のもとになるわけでございますから、その単価の是正によってその額を少なくしてまいりたい、そのようなことで家賃を低めるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  165. 島上善五郎

    ○島上分科員 家賃の収入に対する割合はどのくらい……。
  166. 三橋信一

    ○三橋政府委員 収入に対します家賃のパーセンテージはどのくらいが妥当か。これは所得によりましていろいろ家賃の限界というものが違ってくると思います。どのくらいの家賃が適正かということについては、諸外国いろいろ例はあるようでございますが、ただいま住宅対策審議会におきましてその点の検討をしてもらっております。これは秋までに、その家賃がどのくらいであったらいいだろうか——つまりいま検討いたしておりますのは、家賃と所得と家族構成、家の広さ、この関係をいかに考えていったらいいか、こういう関係におきまして住宅対策審議会で現存検討してもらっております。
  167. 島上善五郎

    ○島上分科員 土地の暴騰が家賃の値上がりにはね返ってくる大きな原因であることは、そのとおりです。そこで、宅地対策に対してもっと政府が思い切った、先を見通した計画を立てなければ、いままで、私は極論するならば、宅地対策は全く無策であった、無為無策であったといってもよいぐらいであると思う。そこに大きな問題があるわけです。だから、今後公営住宅の家賃の値上がりを押えるために、宅地対策を積極的にやってほしい。それからいま言った超過負担をなくするということ、関連公共施設に対する特別の補助を考える、こういうようなことも必要でしょう。公団住宅の場合は特に最近非常にひどい家賃の値上がりです。もう二万五千円以上、二万円。2DKですよ。そういうところがもうざらにできてきている。そればかりではない。以前に建てた、つまり五年以上たった公団住宅のあき家も、全国平均四四%、東京では七〇%の値上がり、それから私のほうの選挙区ですが、青戸の住宅など九〇%ぐらい、ずいぶん不当な値上がりですよ。こういう値上がりに対して、監督官庁としてどうお考えか。このままにしておくならば、どんどん上がっていく。これはもう勤労者に住宅を提供するという法律の精神からも、どんどん逸脱していってしまうことになる。そうして私は、その原因のあるいは一部になっているかと思いますが、住宅公団資金関係をちょっと調べてみましたら、だんだん政府の融資が少なくなって、民間の金がどんどん入ってくる。その比重、割合は非常に高まっている。昭和四十二年度は、これは住宅公団で調べたものですが、生命保険と信託銀行、それから住宅債、合わせますと、何と八五・八%が民間資金。そうして、これは数字が多少違うかもしれませんけれども、この民間の利子は、利子は間違いない。生命保険が七分四厘、信託銀行が七分六厘、こういう資金構成の割合で、これだけの高率の利子を払うということになれば、公団の住宅は公共性というか公益性というか、それをだんだん失って、営利性に移り変わっていく、重点がもう営利事業になってしまう、こういうことを私は心配せざるを得ないわけです。利子の安い政府資金をもっとどんどんつぎ込まないことには、土地の値上がりの問題ばかりではないのです。こういう点にも家賃の値上がりの大きな原因があると思う。値上げ自体が非常に不当であり、高額であると思いますが、こういうところにも政府の思いやりがもっとなければ、原因を取り除くことはできないと思いますが、どうでしょう。
  168. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま御指摘の住宅公団の家賃でございますが、まずあき家の家賃を高くしでいるのばけしからぬじゃないかという御指摘でございます。実は古く建ちました住宅と現在建てております住宅と、むしろ昔に建ったもののほうが、遺憾ながら便利なところにあるわけでございます。そのほうが家賃が安い。そうして最近建ちますところがむしろ高い。非常に高くなっている。そうなると、むしろこれは非常にアンバランスを生じます。そこで、でき得るならば、家賃是正というものを、いろいろ経済的な趨勢に見合いましてやりたいという気はあるのでございますけれども、しかしそれではあまりひどいだろう。そこで、あき家になりましたところに新たに入居されます方だけを家賃を高くする。ただしそれも、その時期に建てたものとしての家賃を全部とりますと、これはまた非常に高くなりますので、その二分の一程度を加算してとるというようなことで、あき家の家賃を高くしておる次第でございまして、その点につきましては、やはり一般的なバランスの問題、隣近所とのバランスの問題は確かに違っておりますけれども、一般的なバランスの問題からは、やはりやむを得ないことではなかろうかということで、そういう措置をとっているわけでございます。なおその資金構成等につきまして、できるだけ低利に、賃金コストが安くなるようにする努力は、今後とも続けてまいりたいと思っております。
  169. 島上善五郎

    ○島上分科員 これでもうおしまいにしますが、時間がないので、ほかの機会にまた伺いたいと思いますけれども、あき家住宅の家賃を値上げするということ、これはきわめて巧妙な一般の家賃値上げですよ。ということは、あき家の値上げは比較的抵抗が少ない。全部値上げするとなるとみんなが反対するということを考えて、きわめて巧妙な家賃上げのやり方ですよ。バランスということをお考えのようですけれども、一般的なバランススもさることながら、同じうちで、隣が五千円でこっちの隣が九千円だというアンバランスは、私は団地内の融和にも微妙な影響を及ぼすと思う。現に及ぼしておると思うのです。自治会をつくって仲よくやっておるその中に、微妙な悪影響を及ぼしておるということも考える必要があると思う。  もっと伺いたいことがたくさんありますけれども、最後に一つだけお尋ねしたい。  政府は収人別家賃方式ということをお考えになっているかどうか。いかの公営住宅法のたてまえからすると、そうではないですね。建築費と管理事務費、修繕費等を計算して、二十年以上の償還を考えて割り出しておるのですが、将来、収入別家賃方式にすることを考えておるのか。それから公営住宅法の改正ということを考えておるのか。この前の国会で、たしか公営住宅法を改正しようという話がだいぶ現実化してきまして、猛烈な反対運動があったが、公営住宅法の改正を考えておるのか。改正するとすれば、どういう点の改正を考えておるか。これは簡潔でけっこうですから、最後に伺っておきたい。
  170. 三橋信一

    ○三橋政府委員 まず第一点の、収入別家賃ということを考えているかというお尋ねでございますが、これは先ほどお答え申し上げましたように、所得、家賃、家族構成、それとうちの広さ、この関係というものを、特に公的な資金によります住宅について、どういうふうに考えていったらいいかということ、この点につきまして、ただいま住宅対策審議会にいろいろ諮問しております。したがいまして、そういう所得別の家賃という方策をとっている国もございますけれども、そういうものが日本の国にはたしてうまく適用できるかどうか、そういう点につきましても、あわせまして検討をお願いしておる次第でございまして、今後とも研究いたしたいと思っております。  それから、なお公営住宅法の改正について、一体どうするのか。改正するのかしないのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、これもまた住宅対策審議会、と申しますとおしかりをいただくかもしれませんけれども、実は戦後二十年たちまして、また公営住宅法ができましてから十五、六年たっております。したがいまして、現在におきます公的資金による住宅と民間の住宅とのあり方を一体どう考えるか、さらに公的資金の住宅の中におきます公営、公団、公庫、いろいろな住宅のそれぞれの持ち場と申しますか、これをどう考えるか、そういうようなことをいま検討中でございます。それの一環として、公営住宅法の改正ということを考えてまいりたいというふうに考えております。
  171. 島上善五郎

    ○島上分科員 大事な問題になると、審議会審議会と逃げて、そうして審議会が答申すると、尊重しない。こういう政府の無責任なやり方には私どもはなはだ不満ですけれども、住宅問題は緊急問題で大きな問題ですから、そうあまり逃げずに、政府自身が責任を持って取り組む、こういう姿勢でもってやってもらいたいと思います。
  172. 野田卯一

  173. 玉置一徳

    玉置分科員 住宅につきまして、特に宅地の確保について御質問申し上げたいと思います。  まず第一点は、都市への人口の集中が予想よりも進行いたしております。ある調査によりますと、昭和四十年に二八・五%と予定されておりました東京並びにその周辺三府県の人口の予定が、たしか二九・五%近くになったのじゃないか、こう思うのですが、こういうようにして都市への人口の集中、特に東京都への人口集中は非常に進行いたしております。一千万都市になりましたこのマンモス都市の、今後もこの傾向は容易におさまるものじゃない、こういうように考えられるのですが、これに関連して、東京周辺の、毎年もしくはここ五年、十年の住宅はどの程度に必要とされるか、住宅の需要はどの程度とお考えになっておるのであるか、お答え願いたいと思います。東京都並びにその周辺に流入する、都市に集中してくる人口増加、これに対する住宅の需要はどの程度計算されておいでになるか。
  174. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま資料の手持ちがございませんが、先生おっしゃいました東京圏、東京、千葉、埼玉、神奈川の昭和三十五年と四十年の国勢調査の結果を比較いたしますと、約三百万程度の人口増を来たしております。一世帯大体四人程度考えますと、この五年間で八十万戸程度の増になろうかと思うわけであります。
  175. 玉置一徳

    玉置分科員 したがって、この統計を見まして、今後五年ないし十年間にどの程度の住宅の需要があるか、どういう見積もりでいまおやりになっておるのか。
  176. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのは、東京都についての御質問でございますけれども、実は私ども計画しておりますのは全国の問題として考えておりまして、それにつきまして、東京都の計画は、東京都で東京都の住宅計画をつくることになっております。したがいまして私ども東京都のほうの五カ年の計画を実はいまちょっと案を時っておりませんけれども、東京都のほうへ問いあ合わせて資料を提出するようにいたしたいと思います。
  177. 玉置一徳

    玉置分科員 私の言うておるのは、東京都に通勤する人も住宅はその周辺になっていますので、東京都並びにその周辺三府県の合計の人口集中のぐあいとそれに伴う住宅の需要はどの程度あるか。ここ五年間にとの程度、十年にとの程度——これを考えなければ、全国のやつが建つはずはありません。そのことを聞いておるのです。
  178. 三橋信一

    ○三橋政府委員 東京都とそれを取り巻く周辺の問題でございますけれども、実は私ども、地方計画といたしまして、関東地方としての一画は一応集計してございます。それを申し上げたいと思います。関東地方といたしましては、五カ年間で総戸数二百四十七万戸、そのうち持ち家が百十九万戸、貸し家が百九万戸、そのほかに給与住宅等が十九万戸、そのようなことで、関東地方の住宅が必要であろうと思っております。
  179. 玉置一徳

    玉置分科員 そうしますと、住宅地はどの程度必要と見ておるか。それを確保するに必要な手はどういう手を打っておるか。
  180. 志村清一

    ○志村政府委員 住宅建設は、すでにございます建物を建てかえる場合、あるいは再改造と申しまして立体的に使う場合、あるいは既成の市街地の宅地のあき地を利用する場合等々がございますが、新しく宅地を必要とするであろうという戸数でございますが、この想定たいへんむずかしいのでございますが、私でもは大体四割程度じゃないかというふうに考えております。したがって、約二百五十万上いの四割といたしますと、約百万戸程度の分が新しい宅地を必要とするのではないかと考えております。
  181. 玉置一徳

    玉置分科員 その面積は幾らで、大体、東京を中心に一時間半以内の通勤距離とすれば、ぶん回しで回して五十キロないし百キロのところにどのくらいの土地を確保しなければならないのか、こういうことです。
  182. 志村清一

    ○志村政府委員 新しい宅地につきましても、これを普通の平家建てにする場合と耐火造にする場合といろいろございます。なべて申しますと、大体ミニマム・グロスで五十坪程度じゃなかろうか。そういたしますと、百万戸の五十坪ですから、ほぼ五千万坪程度ではなかろうかと推測できるわけであります。
  183. 玉置一徳

    玉置分科員 五千万坪程度というのは、いま申しました一時間ないし一時間半の通勤距離で五千万坪ですね。これを確保するのにどういう手を打っておりますか。
  184. 志村清一

    ○志村政府委員 宅地の供給たいへんむずかしい問題でございます。国、地方公共団体、民間、この三社が共同いたしましてこの仕事をやってまいらねばならぬわけでございますが、国といたしましては、日本住宅公団が宅地の造成をいたしております。大体現在までに、公団は住宅用地につきまして八十七地区作業をいたしておりますが、そのうちの半数はただいま先生のお話のございました関東域内に考えております。ただいま施行中の面積——大まかなものでございますが、千七百万坪程度一応手をつけております。ただ宅地造成はなかなか時間がかかるものでございますから、すぐそれがそのまま宅地に造成できるかと申しますと、時間がかかるわけでございます。それから公共団体でございますが、公共団体に対しましては、区画整理の方式をもって進む場合は、国が起債のめんどうを見ております。また公共団体、たとえば東京都も住宅公団と一緒に多摩におきまして新住宅市街地開発事業を施行するようにつとめております。ああいう全面買収による宅地開発も進めております。こういったものに対しては、住宅金融公庫から宅地造成融資をやっております。そのほか民間の団体、たとえば区画整理組合、これらの方々が宅地を造成するように区画整理を行なっております。これに関しましては、私どもといたしましては、若干ではございますが、無利子資金の貸し付けを行なっております。また一般の宅造業者がございます。これたのものにつきましては、住宅金融公庫の宅地造成についての融資保険を活用してもらうことによりまして、良質な資金が回るようにという努力をいたしております。それらを兼ね合わせますと、私ども五千万坪——なかなかたいへんな一事ではございますか、今後の努力次第で可能ではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  185. 玉置一徳

    玉置分科員 公団で千七百万坪、その他公共事業体もありますけれども、いまの電鉄その他の民間のかなりはっきりした信用の置けるところもやはり思い切って使わなければ、五千万坪の確保ということはなかなか容易なことでないのじゃないか。しかもそれは相当の日数がかかるものでありますから、ひとつ早目に手の打てるような思い切った施策を、住宅金融公庫を使うことももっと思い切ってやれるような形にしていくほうが望ましいんじゃないか。国が直接やることが一番いいのでしょうけれども、ともかく土地を確保するということのほうが一番先決であることだけは事実でありますから、そこで、こうすることによって宅地の暴騰というものをある程度避けることができるのじゃないかと思うのです。土地の価格暴騰というものは、これはもういま日本の物価の問題でも一番大きな問題ですが、これを思い切って暴騰を避けるような方策をどういうふうにお考えになっているか、一言建設大臣から御説明いただきたい。
  186. 西村英一

    西村国務大臣 この問題は、政府といたしましても一番重要な問題でありますし、また頭の痛い問題でございます。しかし、いまこれを押えるという一つのきめ手はやはりないのでございまして、あらゆる手をとってやっておるのでございます。したがいまして、まあ防衛といいますか、下げるということじゃなしに、やはり安定していくということでございます。先般来土地収用法の問題を提案いたしましたのもそれでございまして、また今後土地利用計画をつくるとか、いろいろな方法を総合的にやって、とにかく、下げることはなかなか困難であるから、安定するような方法をとっていきたいということで、あらゆる手をとってやるつもりでございます。
  187. 玉置一徳

    玉置分科員 まあこの問題をうまくやられれば実に立派な大臣だと思うのです。だからこれにはひとつ土性骨を入れて、そのためにも土地の確保ということが一指安定の早道じゃないか、こういう感じもしますから、お願いを申し上げておきたいと思います。  そこで大臣、問題は、そういう五十キロないし百キロの向こうに住宅地を五千万坪確保するわけですが、確保したところへ足をどうするかによりまして、もう一つさらに、たとえばいまの新幹線式な短距離のものを、あるいは必要なところまでは地下鉄で、あとは…、というような、方法によってはもう一つ向こうから、極端に言えば富士のすそ野まで、ということができるんじゃないか。土地の確保という点から考えても、こういった足の問題を、建設省の所管じゃございませんでしょうけれども、建設大臣として、思い切った構想を掲げて、その実現を迫っていくという気迫がほしいと思うのですが、何かそういうことで、夢物語でもけっこうですから、一つの構想があれば、それをお聞かせいただきたいと思います。
  188. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま玉置先生のおっしゃいましたことは、国鉄のいわゆる角本構想というものに近いかと存じます。私どもといたしましても、過日、まだ未熟なことが新聞紙上にスクープされてしまったのでございますが、そういった新聞に出ておりましたようなことにつきまして、各方面ともいろいろ接触を持ちながら、検討いたしております。構想としては、非常におもしろい構想ができるわけでございますが、実現の問題としては幾多の問題点がございます。まだまだ熟しておる段階ではございません。しかし、さらに各方面とも十分な接触を保ちながら、今後とも一検討を続けてまいりたいと存じております。
  189. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣にお願いしておくのですが、鉄道建設公団で、必要な十年計画に基づいてどんどんやっていただいておりますが、そうじゃなくて、若干不採算線のまた上塗りのような政策的なあれすら建設公団は手がけようとしておる。前の大阪の万博でもそうですか、阪急にしてもらうかだれにしてもらうか、鉄道建設公団にさせなさい、私の案はそうなんです。これだって、鉄道建設公団にさせれば、二十年後、三十年後には赤字にならぬのです。それをいまさら、いま初めてする営利会社というものはなかなかないと思うのです。そういうような意味で、鉄道建設公団なんかにさせることも、こういう問題の一つ考え方じゃないかと思います。ひとつ思い切って御検討いただきたい。  それからもう一点ですが、結局、土地の確保、住宅地の確保が土地の暴騰を安定するんだという考え方からすれば、この間、前の大蔵大臣の、自局党幹事長の田中角榮さんも気炎を上げておいでになりましたが、市街地の再開発、これは、やはりいまおそらく東京都で、東京都内の住宅地の住居のむねは、まだ二階平均にいっていないんじゃないか。四、五年前で一・四階だったと思うのですが、いまでも一・六階くらいじゃないかという感じがいたします。これをまあパリやいろいろな都会のように、三階ないし四階建てに、思い切った政策によって都市再開発をすることによって、足の問題から、交通緩和の問題から一挙にいくんじゃないか。そのうちに東京都も、この間の選挙のスローガンじゃないけれども、青い空が見えるような東京に、あらゆる施薬をやっていくわけですから、外へばかりみな出るというところに交通の無理があると感じますから、都市再開発についてどのくらいの構想をお持ちになるか、ひとつ説明を願いたいと思います。
  190. 西村英一

    西村国務大臣 まあ人口の流動がひどいということで、すべてのいろいろな問題が提示されておるのですが、政府といたしましては、これは建設大臣のみならず、人口のこういうような急激な変動をとめなければならぬということが第一であります。したがいまして、今日やはりこの金のないおりから、幹線道路開発をいなかにもやっていこうじゃないかというようなこと、それから、まあこれもあなた方からおしかりを受けるかもしれませんけれども、新産業都市で地方に産業、人口を分散させようじゃないか、もう少し地方開発を進めて、産業を地方に誘致する、また都市にいたしましても、地方の都市をもう少し開発するようにして、その人口の過度の移動をとめようじゃないかということが第一点でございます。しかしやはり国家が近代化されれば、好むと好まざるとにかかわら、ず、人口の移動はある程度ございます。集まってきた者はしようがないから、それに対しては、集まってきた者に対しては、りっぱな健全な都市を提供するようにまあ力をいたさなければなりませんが、いままでの建設省でやっておりました都市計画法にいたしましても、その他の法律にいたしましても、相当に古い時代の都市を考えて——もうすべて古い時代のことを考えたものでございまするから、この際思い切ったことをやらなければ、これはとうていいかぬ。地価の問題にいたしましても、需要供給の問題でございますから買い手がなければ上がるはずはないのでございます。ところが人口の移動でもって住宅の需要があるから、だからどうしても、土地にいたしましてもやはりいまのような買い手市場をつくらないようにしなければならぬ。それにはやはり大量に住宅を公的機関で確保しておいて、それを提供する。いまおっしゃいました都市再開発の問題にしても、これは周辺に出ていけばまた足の問題が起こりますから、やはり十分考えなければならぬ。これはだれでも気がつく問題でございます。都市内を、東京都の市街地を見ましても、いま言いましたように、二階建てという家は少ないくらいですから、これをもっと有効に使うには、むしろ低さのほうを押えたらどうだ、三階建て以下はもうつくらせぬぞ、そういうようなやり方が、時代とともに変わってきておるのであります。したがいまして、建設省といたしましても、既成市街地に対する再開発をあらゆる面から考慮したい。今度の国会におきましても市街地再開発法を出しまして、それで皆さま方の御審議を願うことといたしておりますが、市街地を十分有効に使いたいということであらゆる手をとっていきたい、かように考えておる次第でございまするから、せっかくひとつ御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  191. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、先ほども言っておる住宅地の確保、都市の再開発、ものすごい金の要ることばかりなんです。努力はしていただかなければいかぬけれども、なかなか言うべくして困難な問題も多いと思います。だからといって、ほうっておいたらとても手がつかぬような大きな問題が起こります。  そこで、いま日本全国の生命保険の毎年の掛け金というのは、一体どのくらい入っておるか、それを住宅に直接、間接どのくらい投資されておるか、かなり住宅のほうへは行っておることは行っておるのですが、それを思いきって、何かの方法で、生命保険のやつは全部住宅に持ってきてもらって、それに対していま七分何厘の金利で回れば、生命保険は貸してくれているわけですから、それになるように、政府利子補給なり何なりしていいのではないかということが第一点。  第二点は、市街地再開発の場合に、田中角榮さんも新聞で言っておりましたが、何らかの土地の利用の規制が必要だ。私は、ある一定の地域を限って、この地域の土地はこうい規制はいたしますということはやっても、憲法違反にならぬのじゃないか、全国のなにを言うのじゃないのです。過密の、手がつかないところだけをやる方法はあり得ると思うのですが、それに対して、この二つの問題のお答えをいただきたい。
  192. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 第二番目の問題でございますが、都市の既成市街地の中の一定の地域について、土地利用規制を思いきってかけてもいいのじゃないかという問題でございますが、これはなかなか、たとえば最低の高度地区をかけるとか、土地の利用を、用途を非常にきびしく規制するということをよく言われるわけでございますけれども、現在の既成市街地の中でも、非常に細い路地にびっしりうちが建っているところもございますので、ただ単なる権利規制だけをかけるということはなかなかむずかしいのではないか。そこでわれわれといたしましては、規制をする場合には、必ずあとで何らかの形で再開発利用が行なわれるというようなものについては、ある程度規制ができるのではないかということで、先ほど大臣が申し上げました再開発法の中身といたしまして、現在検討いたしておるわけでございます。
  193. 玉置一徳

    玉置分科員 都市計画法に基づくいろんな規制は、それまで憲法違反だといい出したら、もう何らかの規制はいましているわけですから、東京の過密都市の場合に、住宅地としてこういう形をせなければいかぬ、街路をもう少し、何メートルまではせなければいかぬとか、そういう規制は公共のためにしていいのではないだろうかということを感じますから、ひとつ思い切った措置をおとりいただきたいと思うのです。  ここで、質問を変えまして、時間がございませんので、急行で行きたいのですが、京都の双ケ岡問題です。古都保存法の関係もございまして、文部省のところで申し上げるのがいいかと思いましたけれども、公園化あるいは古都保存の関係もありますので、ここでやらしていただきたいと思います。  双ケ岡問題は、あの問題が起こりまして、結局大騒ぎになって、その後古都保存法の制定を急いでいただきたいという世論が地元で喚起されたわけですが、今度古都保存法の特別保存地区に、建設大臣として、指定して諮問された、それに入っていない理由をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  194. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 古都保存法の特別保存地区は、先生御承知のように、歴史的風上保存区域内において特に枢要な部分を構成しておるというところを、特別保存地区として指定することになっております。したがいまして、歴史的に重要な文化遺産とその周辺の自然的環境が一体となって歴史的風土を構成しているというものを保存しようという精神でございます。したがいまして、双ケ岡の場合は現況を見ますと、この地域におきます重要な文化遺産と目されます仁和寺とか、あるいは竜安寺の地域等はすでに国道百六十二号線あるいは京福電鉄あるいは沿道市街地というようなものによって分断されておりまして、特に枢要な意味での自然的環境の一体性ある地域を構成するものではないというふうに考えられることが一点。それからもう一つは、双ケ岡は、すでに文化財保護法によりまして名勝という指定をされております。したがいまして、名勝の指定によりまして、文化財保護法によって開発の規制がなされております。そうしてその名勝指定の理由といたしましては、この岡を展望地として利用する場所だというふうに考えております。特別保存地区は、現況を可能な限り保存するということで、利用を主体とするものとは若干性格を異にするというような、この二点によりまして、今回の諮問案から双ケ岡地区を落としたわけでございます。
  195. 玉置一徳

    玉置分科員 若干私は異論がありますが、まず文化財保護委会のほうから、名勝地区に指定しますと、どういう効果があるのか、これをひとつお聞きしたい。
  196. 柳川覚治

    ○柳川説明員 文化財の名勝の指定をいたしましたものにつきましては、文化財保護法によりまして、現状変更を伴う行為につきまして許可制といたしております。したがいまして、双ケ岡は名勝に指定されておりますが、ここにおきまして岩石の破壊や、あるいはみだりに樹木の伐採を伴う行為、あるいはみだりに眺望を妨げる施設あるいは風致に支障を来たす建物等の建設につきましては、これを規制していくというようなたてまえであります。それから、現状変更を無断でいたしました者につきましては、所有者が行なった場合におきましては、二年以下の懲役または一万円以下罰金、それから所有者以外の第三者が行ないました場合におきましては、五年以下の懲役または三万円以下の罰金等の罰則がございます。
  197. 玉置一徳

    玉置分科員 都市計画法の風致地区の指定も受けているようでございますが、これの効果もひとつ御説明を願いたい。
  198. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 風致地区は、京都の場合でございますと、特別市である京都市の風致地区規則で規制をいたしておりますが、その中に特別地区と一般地区とございますが、特別地区の場合には、樹竹林の二分の一以上にわたる伐採でございますとか、電気・水道管またはガス管の地上設置というようなものをしてはならないということになっております。それから、特別地区を含めました一般地区におきましては、竹木、土石の採取あるいは建築物、土地の開墾その他につきまして、市長の許可が要るということになっておりまして、これに違反した場合は、二千円以下の過料の規定がございます。
  199. 玉置一徳

    玉置分科員 在来も、風致地区あるいは名勝地区の指定というものはすでにあったわけであります。なおこれでもこのごろのような住宅地その他の開発で文化財が侵されるおそれがあるから、わざわざ一部保存法をつくってもらいたいという世論にこたえて、議員立法したのだと思う。私もその議員立法の党の特別委員長として、一緒に参加したのでありますが、結局は、いろいろな規制があるけれども、すべてこれは懲役でもぴしゃっとかける気なら別といたしまして、懲役もかまわぬという気になったら収拾がつかないわけであります。したがって古都保存法の特徴は、それを国なり府県なり——国も府県も一緒ですか、買っていただいて、国が思い切って補助金を出そう、こういうようなのが、ほかよりも強い法律じゃなかったか、おかしな言い方ですが……。  そこで、古都保存法のそもそもの始まりが、双ケ岡問題なんかで火がついたときにやった問題でありすまので、京都市民としてはせっかくつくってもらった古都保存法が、特別保存地区から指定をはずされるということに、何か非常に感情として割り切れぬものがあるし、もうそれが新聞に載るや、直ちにあれをどうするんだ、どこへ売るんだというようないろいろなこと、か出ておるわけです。こういう息休からも、まず第一点、名勝地区あるいは風致地区その他の、双ケ岡の置かれている地位と申しますか、位置にふさわしい法律的な保護を将来とも受けなければいかぬわけですが、それはやはり基準としてやっていただけるかどうか。
  200. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 双ケ岡、特に二の岡、三の岡における自然景観を保つということ、それから名勝指定の理由にふさわしい利用的な保存をはかるという意味で、私どもといたしましては、風致自然公開的な利用ということを今後積極的に考えていったほうがいいんじゃないかというふうに考えておりますので、この方向に沿って、地元の京都府及び文化財保護委員会とも連携をとりまして、さらに積極的に考えてまいりたいというふうに考えます。
  201. 玉置一徳

    玉置分科員 もう一度はっきり言っておきますが、名勝地区、風致地区の指定は、法律が施行されておるのですから、これで無許可で現状を変更するようなときには、それの罰則は厳として適用するということを確認をしていただきたい。
  202. 柳川覚治

    ○柳川説明員 文化財保護法といたしましては、所有者の変更、移転にかかわらず、好ましくない現状変更につきましては、これを許可しないという従来の方針どおり進めておりまして、現にこの双ケ岡につきまして、最近所有者におかれまして、観光施設の造成等の計画があるやに聞いてはおりますが、これにつきましても、好ましくないという態度をもちまして対処したいと思っております。
  203. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、都市局のほうですが、古都保存法の保存地区には指定はしない、しかしながらその他の諸法令によって保護されておるようなことを十分にやるために、何かの対策があるか、先ほど簡単に言われたことをきちっとここでお答え願いたい。
  204. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 ただいま、具体的に直ちにこういう方策を持っておるということではございませんけれども、寄り寄り地元のほうと相談しておりますのは、公園的な利用という方向で進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  205. 玉置一徳

    玉置分科員 公園的利用ということは、それを民間から一応府なり地方自治体に買い上げるという、古都保存法の特別指定地区と同じような効果を、違うことであらわしていこう、こういうことですね。
  206. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 双ケ岡のうち、二の岡、三の岡の特に大事な部分につきまして、公園というような杉で保存する、あるいは積極的に利用できるようにしたい、そういう考え方であります。
  207. 玉置一徳

    玉置分科員 そうしたら、国庫補助をどうして、どことどこが責任を持って、どうするのですか。
  208. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 その負担の問題あるいは今後の財政措置の問題等を、いま検討中でございます。
  209. 玉置一徳

    玉置分科員 最後に一点、例年でまことに恐縮ですが、河川局長ひとつお願いしたいのです。これ一問で終わります。  毎年同じことを申し上げておるわけですが、河川の砂利採掘その他の関係もありましょうが、河川の河床低下によりまして、治水上は非常によい効果をあげておるわけでありますが、利水上、ことに農業用水の取水が困難になって、初めの間一メートルほどずつ下がるたびに応急手当をしておったわけでありましょうが、収拾がつかないような河川ができてきて、上流部に合同樋門形式で水取り口をこしらえて、長い延長を水を引いてくる、そういうようなことで、それぞれが相当な巨額な金額になります。国庫補助は六割、地元負担四割のうち、府県が半分していただくのを通例といたしますが、それにしても二割方、その二割方は必ずしも小さくございません。いまの六割補助というものは、愛知用水のごとく、畑地帯に水を引っぱっていく場合にも同じであります。それに、こちらはそうじやなしに、昔から土地は同じところにある。ひとりでに水は入っておった。これが水利権だと思います。府県知事に水利権があるとするのは、主としていままでの農業用水のあれを守っておったのじゃないかと思うのですが、それが河床が二メートル、三メートル低下しますから、水がいよいよ取れなくなってしまうわけです。それに同じ六割補助では、農家としてはこれは非常に災難ではないか。この問題をここ三年間、農林省とそれから建設省が相互にひとつ協議をいただいて、検討をいただいて、前向きで、全然関係のない農家の方々、被害をこうむっておいでになる農家の方々に、お金を取らないでできるような方法をお考えいただきたい。あるいは高率の補助をしてもらいたい。あるいは床どめ堰堤だけは、建設省はもう少し考えられないかというように、いままでお願いをしてきたわけでありますが、なかなか事情がむずかしくてうまくいっておりません。運んでおりません。しかしながらこういう河川は全国的にもどんどんふえてくるのではないかということも考えられますので、いつか内水排除を公共事業として取り上げていただいた、ああいう新しい感覚で、こういうものを、一つの河川局の新しい施設と申しますか、そういうような考え方でやっていただくようなわけにいかないかどうか、ひとつ御質問申し上げます。
  210. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  最近、河川で、お示しのように非常に河床低下が著しくて、取水困難あるいは河川管理施設が災害を受ける、あるいは工作物か災害を受けるというような問題が生じております。これを全国的に見ますと、かなりの個所があるわけでございますが、現在大きな川で全国的に見てみますと、直轄河川の指定を受けている部分で見てみますと三十数河川ございます。これらの問題につきましては、われわれとしましては、河川管理者は、洪水の管理のみならず、低水も管理すべきであるということが大事なことだと思います。特に最近水の利用は非常に盛んでございますので、低水をいかに管理していくかということは非常に大事な問題でございまして、先生からお話がありましたように、われわれとしましても、これを前向きに持っていきたいということでおるわけでございます。たとえば、直轄河川でおもに河床の下がった名前を各地区別にあげてみますと、名取川とか多摩川とかあるいは烏川、神流川とか手取川、矢作川とか、揖斐川、木津川、重信川、九州の川内川、松浦川と、いろいろ問題が生じております。それらの河床の低下の著しい河川につきましては、改修計画の一環としてできるものにつきましては、ただいま床固めその他につきまして、あるいは可動せきにするとかいうようなことで処理をいたしております。しかし先ほど申し上げたように、数が非常に多いものですから、この対策が十分だとは私は考えておりません。そこで河床をいじるということはいろいろな問題がつきまとってまいります。たとえば地下水の問題とかあるいは井戸水の問題とか、いろいろな問題がありまして、ひいては農業の問題とかあるいは飲料水の問題に響いてくるわけです。これが対策は非常に慎重を要するわけでございまして、現在私らのところとしましては、主要の直轄河川につきまして、昭和四十年度に九河川、それから四十一年度に二十一河川、それから昭和四十二年度には二十八河川につきまして、そのうち継続もございますが、河道計画をどうしたらいいかという調査をやっております。現在までに数カ所につきましては、大体この調査がまとまりまして、河道計画をどうしたらいいかということを解析いたしておるわけでございます。これらの結果を待って、具体的な対策を講じていきたいというふうに考えております。  さらに砂利の採取の問題でございますが、これが影響があると見られる河川もあるわけでございまして、これらの採取につきましては、特に河川の保全あるいは用水取水等の確保をするために、各河川別に砂利採取基本計画というものを立てまして、あるいは砂利の規制の計画というものを立てまして、これはもう各河川とも実施しておりますが、そういう計画に基づきまして砂利を計画的に採取させる。過採ですか、掘り過ぎるとか、そういうことのないようにいたしたいと思っております。そういうことで、これらの調査をわれわれとしましてはやっていっておるわけですが、金としましては、四十年度に一千百万円、四十一年度は三十百四十万円、それから四十二年度には四千三百万円近くの費用を使いまして、具体的な計画を練って、あらためて対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  211. 玉置一徳

    玉置分科員 終わります。
  212. 野田卯一

    野田主査 玉置分科員に申し上げます。先ほどの保険関係の御質問に対する大蔵省険部長答弁は、後ほどお答えさせることにいたしたいと思いますので、御了承願います。唐橋東君。
  213. 唐橋東

    唐橋分科員 私のお伺いしますのは、水利権並びにそれに伴う水利使用料、それに関連する減電補償の問題についてお伺いしたいと思うのでございますが、具体的の事例に入る前に、基本的な考え方として、減電補償に対する考え方、これを大臣のほうからお伺いしたいわけでございます。  御承知のように、水利権を持ってそうして発電をする、その発電をすれば当然それに対して水利使用料が賦課される。その水系からかんがい用水として揚水をすれば、その下流の発電に対して影響がある、すなわち減電をする、発電量が減る、こういうことで減電補償がとられておるわけでございますが、この補償については、私はやはりこの補償の性格上、実質的な発電の減が出てくるならば、やはりそれは減電補償として出さなければならないだろう。しかし実際減電しない、こういうような事実があるとすれば、やはり補償というものは考えなくてもいいじゃないか。結論的にいえば、初めから予想して、発電量が減るから、だから減電料を先にいただいておく、こういうことは補償の精神にとって行き過ぎじゃないのか、こういう点に対して大きな疑問を持っておるのでございますが、この減電補償に対する基本的な考え方として、まず大臣にお伺いしておきたいのでございます。
  214. 西村英一

    西村国務大臣 水利使用料の問題でございますが、いまは結局一級河川の管理は建設省になっておるようでございますが、これはある一定のキロワットの量によって、一定の算出基準があってやっておるようでございまして、それ以上、基本的な考え方といたしまして特に私は持っておりませんが、これはひとつ政府委員から説明をさせます。
  215. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 流水の占用を受けまして、水利権が設定されて発電されているといった場合に、新たにその上流で土地改良等によりまして農業用水を取水するというような場合に、実際的に減電が起これば、当然減電補償すべきだというふうに考えます。減電が起こらないという程度のものならば、これはよく実情を調査して考えるべきであろうというふうに考えます。  現在、そのようなケースにつきましては、只見川水系に若干例がございまして、ほかの地区に比較的少ないのでございます。それで、それらの問題につきましては、今後私らとしましても、そういう事例につきまして精細に調査いたしまして、具体的な方針とかいろいろなものを考えるべきだというふうに考えております。ただいま私らが手元に持っておるものは、只見川の水利権で減電補償の契約が締結されてないものが四件ほど、同意のものが三件程度あるようでございます。これらにつきまして、今後十分調査をしたいというふうに考えております。
  216. 唐橋東

    唐橋分科員 考え方として、ひとつ確かめておきたいのですが、ただいまのお答えで、補償の精神というものは、あくまで実害の出たときに補償すべきだ、こういう考え方で減電補償も考えられる、こういうように明確にしておいていいですかどうですか。これはあとの質問に非常に重大なる関連を持つので、まずその点をもう一度確かめておく意味でお答え願いたい。
  217. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 発生電力量が明らかに減少するというものには、当然補償をすべきだというふうに考えます。
  218. 唐橋東

    唐橋分科員 具体的に、いまも只見川沿岸においては——御承知のように、あそこは只見断層とかいう断層になっています。そうすると、いままでは川底が非常に深かった。今度あそこは、下流から上流にかけて全部の水系がどんどん発電化された。同時に、機械化されたために、今度は大型機械による土地基盤の整備事業が非常に楽になった。あの地帯は、ものすごい勢いでいま土地基盤の整備並びに開山事業というものに力を入れているわけでございますが、その場合に、東北電力、あるいはほかにも、日橋川水系は東京電力でありますが、それと揚水について契約をする場合に、減電補償条項を入れる、入れる精神はいまのようなことでけっこうなんですが、そういう場合に、いままでの例を見てみますと、必ず年幾ら、こういうことではっきり定められているわけなんです。現実に私たちがいろいろな資料を見ていても、それだけあけても、実質は、いま水利使用料関係の算定方式から照らしてみても、これはそれだけの被害はない。こういうのにもかかわらず、それはそれとしてやはり契約上のものだからとる、こういう例がある。したがってこの点について、いままで二、三件と申しますか、福島県内だけで阿武隈水系等もございますが、これはおそらく新しいものの数じゃないかと思うのです。いままでの既設のものは十数件あるはずです。これらについて、このような問題がいままでどのように取り扱われてきたのか、具体的な事例の中でいままでのものと今後のものを分けていますので、いままでのものに対してやはり問題が起きていなかったのかどうだか、まずそこらからひとつお伺いしたいと思います。
  219. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 従来の減電補償につきましては、これは水利権を許可するときに、電気事業者と新規水利利用者の間に協議が成立しているということで水利権を許可してまいる、そこで土地改良区の水が使えるということになっておったわけでございます。したがいまして、これらがどういうぐあいにいままで行なわれてきたか、新河川法以前におきまして分明でなかった点もございます。した、かいまして新河川法におきましては、これらの問題につきまして十分検討しなくちゃいかぬというふうに考えているわけでございます。従来の例を申し上げますと、山都町と書いてありますが、土地改良区の水利権の申請に際しましては、三十九年の四月十四日に同意されまして、この際減電補償として一年間に四万九千円を毎年受け取るということで、出しております。そのときの農業の水利使用量の最大は〇・四二トンという程度女年間に二百万トン程度の使用水量でございます。それから東北電力としては、減電があるときは原則として減電部分の補償をいただくということにしているらしいのですけれども、事情によっては減電補償を申し受けないこともあるということを申しております。これは具体的に確認いたしておりませんので、これらの問題につきまして、さらに精細に調査をいたしまして、事情を調べてみたいというふうに考えております。
  220. 唐橋東

    唐橋分科員 いまの御答弁、非常に前向きな考え方で、私なんか非常に了解できるわけでございますが、一つ具体的な事例を出してみたいと思うのです。いま山都町で、実は二十六町歩の開田計画が行なわれている。そのうち全部が揚水したかんがいではないのです。その中には多少いままでの用水がある。拡張した分については揚水しなければならない。こういう事態のときに、東北電力と契約しましても、いまの揚水についての契約を持っていきましたら、今後の減電補償分として四百五十万を出していただきたい、そうしなければ契約々結びません、こういう実態の事例が出たのです。そうしますと、二十戸足らずの戸数で二十六町歩をいままでの計画の中でやると、各農家の負担は多くなってきておるわけでございますが、それに対して、ここに突如として四日五十万を納めなければ契約を結びません、こういう事例が一つ出て、そしてもう挫折、放棄するしかない、こういうような緊急な事態等も起きておるわけでございます。ここには農林省の方が来ていますか。——農林関係で、こういう問題であとで資料等要求したいと思います。  それからいま国営でやっておりますのは、北郷開発といって、国営で基礎調査をやっております。これは日橋川水系からやはり揚水をして、大規模な土地改良事業をやろう。そうしますと、いままでのように現実発電量に対する被害がないということを、やはり多少数字的でなくとも、農民、農家は現実に見ているわけですね。あるいは聞いているわけです。そして減電補償も出さなくていいじゃないかというような考え方も強く流れている。なかなか金というものは集めるに——電力会社側からいえば徴収するに困難なものも出ている。そういうものだから、いまのように前に一括とろうというわけです。そしていま北部開発等で計画されているものも、事業費としてやはり減電補償を当初から組み込もう、こういうような計画ができておるわけです。そうしますと、いま私が申しましたように補償じゃなくて、あくまでもこれは何か予想されたものに対する賦課金であって、補償の精神に実は反する、こういうような考え方を強く私としては出さざるを得ないわけです。したがいまして、これらの点について今後処していく方途は、検討するということでなしに、もう目前に迫っておるのですから、考え方としては、やはり一括前納させて、補償料をとるというようなことはやらせてはならないと思いますが、それに対してひとつ明確な方針をお伺いしたいと思います。
  221. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 一括まとめて前もって十年分か二十年分かもらうというようなことだろうと思いますが、そういう話はただいま初めて承りましたので、よく事情を精査し、四百五十かとかいう金がどういう積算の根拠であるかわかりませんので、これらを十分チェックしないと具体的なお答えもできませんし、それらにつきましては検討さしていただきたいと思っております。
  222. 唐橋東

    唐橋分科員 委員長のほうにひとつ資料の提出をあれしておきたいのですが、いま私が具体的に出しました会津地区の北部開発、国営の大規模計画ですが、農林省関係は、私さきに通告しておかなかったので来なかったのですが、それの計画の中にいまの減電補償がどのように見込まれ、どのように計画されているか、あとでひとつ資料を出すように委員長のほうから通知をしていただきたいと思います。
  223. 野田卯一

    野田主査 承知しました。そうはからいます。
  224. 唐橋東

    唐橋分科員 それからもう一つ、やはり私たちがこの問題で非常にふしぎに思うのは、御承知のように只見川発電所関係は上流に貯水ダムができました。奥只見田子倉です。そしてあの大貯水ダムができたために、下流はその水量調整によって下流増の発電量が出てきたわけです。つまり下流に対する増加した発電量、これを普通私たちは、下流増と言っているのですが、それに対して当然水利使用料は増加してよろしい。いままで上流に貯水ダムができないうちは、下流の発電所の発電量と、それから上流に貯水ダム、しかも巨大な貯水ダムができて、下流に今度は調節しながら平常の発電量を上げていく、こういう場合に下流増の問題が非常に困難であって、そしてしかもそれに対する水利使用料の増加というものはなかなか実施されていない、こういうような点ですが、この下流増に対しての考え方、あるいはどういうようなふうに水利使用料関係考えられているか。
  225. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 実態的に、ダムをつくりまして、その下流に水軍が増してくるという実態はあるわけでございまして、その下流の発電所の水利の水量が多くなるわけでございます。そういった改めた申請が出れば、われわれとしましては水利使用料を増加をいたします。ただ、この水利使用料は、われわれ河川法の制定のときに、府県に帰属することになっているわけです。そこでどういった事態になっているか、これもちょっと調べてみないとはっきりわからぬ点もございますが、原則としてはそういうことだろうと思います。
  226. 唐橋東

    唐橋分科員 ちょっとくどいようですが、いまのように下流増についてなかなか水利使用料の関係が増加しない。他方では揚水をしてそしてかんがい用水に使う。それについてはもう減電補償料を前もってとっておる。こういうことが現場においては非常に問題になっておるということをひとつ十分御認識いただいて、そして最初私が申し上げ、御答弁いただいたように、やはり農民の立場に立って、そしてほんとうに実害あるならば、この揚水した各個所がその比率によって減電補償を出すのはあるいはやむを得ないと思います。しかしそうでなくて、いま私が申し上げましたように、あらかじめ何年分をあるいは永久分を減電補償として取り上げる、もしそういうような契約をしなかったならば契約を結びません、こういうようなことは、全くこれは監督官庁としての責任上見のがしておけない事実であると思いますので、大臣のほうでも十分実情を御調査になって、いまやはり非常に土地基盤の整備が大きく生産意欲を高揚しておるさなかに、これがために開田事業がおくれる、こういうことが現実に起こってきますので、ひとつそういうことが起こらないように、十分な調査の上に善処していただきたいということを強く要望して、この点に対する質問を終わらしていただきます。  次に、やはり河川関係なんですが、これも具体的な例として、いま建設省のほうでお骨折りいただいております日橋川の河川改修、塩川町という地内に入っておるわけであります。猪苗代湖から流れ出て只見川との合流のちょうど中間なんです。これは有名な、上のほうをとめれば上が洪水になり、放せば下流が洪水になるという、よく発電調節のための人工洪水というようなことが言われた個所でありまして、それが直轄工事として河川改修が始まった場所であります。これはちょうど町の中を改修しなければなりませんので、家屋の移転が前々から問題になっておりました。そしてこの家屋の移転については、いろいろ年来の懸案を消化しまして話し合いがついて、いま家屋のとりこわし、家屋移転が進行しておる最中であります。ここまではいいのです。ですが、そういうことの場合に、そういう密集した五十戸——間借り人や何かを入れますと五十戸になるのですが、実質はそれより少ないのですが、その移転というものが当然前々から問題になりまして、それには都市計画でひとつ移転先というようなものを計画しよう、こういうことで都市計画が立てられて、その人たちは任意に隣接地を買って、そして新しく建築をし始めた。しかしそれなんですが、実は都市計画が、どういう理由であるかそれをお伺いしたいのですが、実におくれまして、土地購入をしていま建築しよう、こちらのほうはもうこわす、こういうことで自分が購入した場所に建築許可をもらいにいった。これは集団的になっておりますから……。そうしますと、それは都市計画でこういう道路ができますので、このあなたの建てるところは道路にかかります。あるいはちょうど道路にこの個所が入ります。ですから、いま建ててもよいが、建てれば来年か再来年にはまた引っ越さなければなりません、そのときの補償は、いま契約上当然わかっておることだから、補償金は出さないでよろしい、請求しません、そういう確約書を入れなければ建築許可はしません、こういう問題が具体的に出て、そしてその地の人たちは非常に驚いたわけなんです。したがって、この河川改修と都市計画との事務的な誤差というものは、私たちは、並行して進められていた、あなた方の御努力によって解決した、こう思っていたのですが、実はこれがそうでないということがいま地元の人たちや関係の人たちに明らかになって、非常に問題が複雑化してきたのですが、都市計画とこの河川改修の進め方についてはどのようにいままでされてきたのか、ひとつお伺いしたいわけなんです。
  227. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 塩川町は日橋川の改修で非常に御迷惑をかけまして、去年の暮れごろから話が非常に煮詰まりまして、予算的にも処理ができまして、ようやくまとまり、ありがたく存ずる次第でございます。せっかくの立ちのきでございますから、できるだけ町の計画に合ったほうに立ちのいていただいたほうがいいわけでございまして、そういうことにつきましては、地建等を通じまして、計画的に移転してもらったらどうだろうかという話はしておるのでございます。ただ、いまお話しになりました都市計画がどこでどういうぐあいに立てられたのかが私よくわかりませんし、この都市計画がどれだけの拘束力を持っておるのか私もちょっとつまびらかにしませんので、具体的に調査してみないといけないと思っております。
  228. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 都市計画というものは、私具体的な場所についてどういう都市計画がかかっておるかわかりません。調べまして善処いたしたいと思います。
  229. 唐橋東

    唐橋分科員 実は、その都市計画中に、ある程度の、単に土地改良やその他の問題ならば問題は出てこないだろう。都市計画については一応本庁まで上がってきた。しかも、それは現実いまの河川改修に伴って計画されたもの——あの町は小さいので実際は都市計画についての認定というのですか、そういう条件には多少不足とされている。人口やその他からいうと、ちょっと足りないのですが、いまのような河川改修に伴うための都市計画、こういうことで現地が認定された。したがって、いま私が申し上げますように、当然関連されたものとして、そういう理解のもとに質問したのですが、何かここはいわゆる本省までは上がっていないとすれば、私のほうとして多少また質問を変えなければならないと思うのです。
  230. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまの御質問でございますが、あるいは塩川町が計画いたしております土地区画整理事業の施行区域の問題かと推定いたしますが、もしそうであるといたしますと、塩川町におきましても、町の周辺部で宅地化をはかりたいということでありまして、塩川町が事業主体になりまして、その事業主体が実施する予定の土地区画整理事業につきまして、今年の三月二十九日施行区域の都市計画決定を行なっております。ただ、ただいまのところは都市計画決定を、区域について行なった程度でございまして、どのような内容で事業を行なう、あるいは設計をどうするというようなことについては、まだはっきりしたことはきめてないようでございまして、これらにつきましては、現在塩川町におきまして、関係する権利者の皆さんに対していろいろ内容を御説明申し上げているという段階であるというふうに聞いております。
  231. 唐橋東

    唐橋分科員 大体問題の焦点が明らかになりました。実は移転をする、移転をするためにいまのような問題、こちらのほうの計画が非常におくれていた。しかし、もうこれだけの直轄工事のためにこちらだけが進んで、ですから、この移転の人たちは隣接のところを購入した。したけれども、いまの計画のように、今度は新しく図面を引いてみると、あなたがいまうちを建てようとするところは道路になりますよ。それで、今度初めて驚いて来た。しかも、先ほど申し上げましたように、一年後、二年後には移転しなければなりません、そのときの補償は出ませんぞ、それでなければ建築許可いたしません、こんなような非常に矛盾した点か、いまのおくれてきた計画——並行されておったと私は実は認識していたのですが、並行されていないためにそういう問題が生じた。こういうことであるとするならば、ひとつおくれていた部面を早急に進めていただかないと、いま宙ぶらりんになってしまう人たちが大ぜい集団的に出てきた、こういうことでございますので、この事務の遂行を早急に出先と連絡しながら御指導願いたい、こういうことを要望してこの質問を終わります。  時間もありませんので、もう一つなんですが、磐梯吾妻有料道路計画ですが、この計画は、ことし一千万ほどの予算をとって、実施されるということで、計画として進められたことに対して非常に深い敬意を表するものであります。しかしいまの計画策定の前に、あそこの桧原湖の湖畔の一向道路、それが最初やはり第二次スカイラインということで計画され、それが既設の道路との関係でいまのような計画に変更されて決定されておると思うのです。実は当初計画にあがったように桧原湖一周ということが、いまの有料道路ができたとしても、桧原湖一周の道路が完成しない場合には有料道路の価値が半減する、こういうように考えざるを得ないのでございますけれども、したがって桧原湖一周の、一周といっても半岡なんです。ほとんど三分の一以内の部分だけができていない、あとは全部一周、そういう地域に対する有料道路そのものの質問でなくて、それに関連する道路として建設省のほうでどう計画されておるかということでございます。
  232. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの御質問の桧原湖一周の道路とこの第二磐梯吾妻の有料道路との関係でありますが、実は第二磐梯吾妻の有料道路につきましては、御承知のように四十二年から道路公団で新規事業としてやることになっております。これは御承知のように約十七キロございまして、秋元湖の北を通りまして、小野川湖の南に入りまして県道につくわけでございます。これの採算その他については、今後実設計をつくるための調査道路公団でやってもらいますので、その際に桧原湖一周道路との関連がどのように採算に影響するか、また全体のこの辺の開発のためにどういう道路が必要か、そのときによく検討したいというように考えております。
  233. 唐橋東

    唐橋分科員 これはいまの有料道路計画の先につくって、建設省直属のあの山越なんですが、先につく道路が一応継続しないと、私申し上げましたような第二次スカイラインの価値というものが非常に減ってくるのではないか、こういうことなんで、これは有料道路ではないわけです。有料道路ではないので、有料道路に継ぐ湖岸の道路建設省としては考えておるのかどうかということなんです。もしいま即刻御答弁いただけるものでないとするならば、あとで資料等でお答え願ってもけっこうです。
  234. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの桧原湖一周の道路につきましては、早速県の計画がどうなっておるか、この辺を調査して、後刻お知らせいたします。
  235. 野田卯一

  236. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 私の質問は、この前岡本委員が質問した田端の区画整理の問題から始まった区画整理全般の組合の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  まず第一番目に、法律や政令に基づいて行なわれる建設行政が、各県、各地方によって執行のしかたがばらばらだということはあり得ないと思いますが、たまたま田端の区画整理問題ではっきり出てきておりますが、たとえば東京都か法理上の解釈に疑義を生じた場合、東京都が問い合わせしますね。そのときに東京都独自の法律解釈を許しているのか、それとも建設省と打ち合わせしたその指示に従って事業を執行しているのか、これはおわかりになると思いますが、一応お聞きしたいと思います。
  237. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区画整理法に基づきまして区画整理事業をやっている場合、区画整理法あるいはそれに基づきます政令その他の命令につきまして、解釈上疑義があります場合には、通常の場合には、府県を通じまして解釈についての見解を聞いてまいります。それに対しまして、建設省で行政的な有権的解釈を下しまして、それを当該県並びに全国に流すというようなことでございます。
  238. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうするとやはりその指示に従わない地方自治体か出れば、建設省としてはどういうように処置をしますか。
  239. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 これは事業主体によって違いますけれども、組合の場合におきましては、第一次的には監督権者は都道府県知事になっております。したがいまして、われわれといたしましては、都道府県知事に対しまして適切な措置をとるように指導する、こういう立場に立っているわけでございます。
  240. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると適切な措置というのは、たとえば従わないという場合に、それはいかぬ、取り消すとかその他強いような態度に出るのですか。適切な措置の具体的な内容についてお伺いします。
  241. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 第一次的な監督権者であります都迫府県知事が適切な監督をしてないという  ことかわれわれにわかりました場合には、県のほうに私どものほうから指導するということでございまして特別にそれに対して行政処分的な権限は持っておりません。
  242. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると行政指導をするということですね。そこで田端問題についていろいろお聞きしたいのですが、やはり行政指導は強くやらなければ結局各地方ばらばらでやられて、全く中央集権としてのていさいはなさないようになると思うのです。したがって、具体的な問題をひとつ聞きますから、それについてどのぐらいの程度に指導するのかということをはっきり答えていただきたいと思います。  田端の地区というのは、大体ここに図がございますが、非常に広範囲にわたっています。駒込の駅から田端の駅にわたって非常に広範囲の区画整理地区ですが、ここの土地区画整理組合というのが昭和三十三年十月に都知事の認可によって設立した。この組合は最初二十五万坪の事業計画でありましたけれども、それを途中で区域を半分にして十、一が四千坪に計画を変更しました。この設立の手続に対して、東京都が新しい組合ができたときにこういうふうに言った。施行予定区域を変更した場合、変更後の組合設立についての同意書は変更前の組合設立について集めた同意書の日付を訂正すればよいかというように建設省に照会したのですね。ところが、建設省計画局の当時の区画整理課長さんは、昭和三十三年一月十七日建設東発第三号で、区域変更後の組合設立について全く新しい同意書を取り直さなければならぬと回答しているわけです。その組合側の認可申請書によりますと、区域内の土地所有者総数六百十九名のうち四百四十八通の同意を得たとして都知事に認可を申請しているわけですね。この四百四十八通の同意書というのは全く驚くべき問題なんです。旧組合というのはいろいろ不正な問題がありまして、解散を命ぜられて新しい組合になったのですが、その切りかえですね。たとえばここに一つ同意書の元本があります。つまり昭和三十一年十二月〇〇日、たとえば十二月二十四日というのを、これでは昭和三十三年五月十日というふうにちょんちょんちょんと日付を直しただけで、上に捨て判がありますが、これは捨て判というのは普通つくものです。そこに日付訂正としたまんま、全部解散して、それでその建設省の回答が三十三年一月ですから、そうすると明らかに建設省がきちっと回答しているにもかかわらず、百十二通は無効なことをやってのけたのです。同意数が法定数をはるかに不足して、組合認可は違法無効であると思いますが、この問題はどうですか。
  243. 葛生新一

    ○葛生説明員 田端の組合につきましては、先生も御案内のように、当初の二十五万坪の区画整理組合の設立につきましては、昭和三十三年の二月に東京高裁の判決によりまして無効であるというような判決が下ってきたわけであります。それで、その次に組合をどうするかというような問題がございまして、その約半分の十二万四千坪につきまして新組合が三十三年の十月に設立されたわけでございます。そのときの同意書につきましては、先生御指摘のような問題がございまして、そのうち不明なもの、そういうはっきりと確認できないもの、そういうものを除きましても三分の二以上の同意があるというようなことができまして、いまのところは有効に設立いたしております。
  244. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それは三分の二か三分の一かということについてはあとでもっと詳しい数字検討しますが、ここに来ているいろいろの数字で見ると、ちょっとその見解と違いますが、そうするとそっちのほうは、たとえばさっき申しましたこれですね、これについてはもう全然建設省の指示どおりではない、違法だということですね。
  245. 葛生新一

    ○葛生説明員 法律のたてまえから申し上げますと、東京都知事が組合の設立を認可を与えるわけでございます。その同意書の数につきまして、先ほど申しましたようにあとで期日を入れた、そういうような、不確定なものがございます。そういうものをはずしましても一、三分の二以上の同意があるというような判断を下しまして東京都知事が認可したものでございます。
  246. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 私が聞いているのは、これはもう無効だということを確認する、これが一つですね。それからあと、今度は三分の二かどうかということについては、これは水かけ論になりますけれども、私の手元では違ったのが来ていますから、それは事実を調査しなければならぬと思いますね。それで田端の区町整理の問題については、設立無効となった旧組合組合の、十八年間いつもごたごたが絶えないということについては、前に岡本委員がいろいろ質問しました。このいきさつばよく御存じでございますね。どうですか。
  247. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 四十一年の十一月二十九日の委員会で岡本先生から御質問がありました。
  248. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それは私たちは違法であると思うけれども、東京都がこの設立した組合に対して四十年度までに二億六千万円の補助金を交付しております。その間に、前の理事長が堀内、よく御存じだと思いますが、不正にだまし取ったりおどかしたりして、いろいろ不正事件があった。最近でも今度損失補償金の横領事件があって、これは現在検察庁で捜査中のことですが、これについて岡本委員がいろいろ御質問しましたから、調査いたしましたか、どうですか。
  249. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 岡本委員が御質問になりました組合の役員のいわば刑事事件の問題につきましては、現在検察庁のほうで調べている段階だというふうに聞いております。
  250. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そういうような組合というのは、岡本委員も指摘しましたが、ほかにも例があると思うのです。結局この区画整理というのは、民間の団体にまかして、民間の組合はそれぞれ地域の、ボスがいろいろ選挙運動みたいのをやって、それで私がさっき申しましたように、ただ形式的に三分の一になったかどうかという問題、これはもう水かけ論ですが、そういう問題で、おっしゃるとおりまだ無効だとは言っていない。これは無効だと思うのですが、こういう無効なものを押し通して、そうしてそれがわずか三分の一だ、二だというような問題での非民主的なボス的手続でもって起きた組合が、非常に保留地をいろいろと値段を操作したり、それから補償金についても、全く善良な奥さんや何かがびっくりするようなことを言って、行政官庁に近い権限を行使して、やられた者は泣きの涙というような、こういう区画整理のやり方、これについてはもう、ずいぶん前、戦前から悪い因習だと思いますが、これについて建設省としてはどう考えていますか。
  251. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 御指摘のような問題が区画整理組合に起こったのは、まことに困ったことだというふうに考えておりますが、これにつきましては、われわれといたしまして、第一次監督権者であります知事に対しまして積極的に指導、監督を強化するように指導してきておる次第でございます。
  252. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 これは大事な問題です。行政指導の問題で知事にいろいろ言うというのですが、これで泣いている人がいるし、十何年か片づかないで、始終頭にきている市民の方々がずいぶんいるのですから、そこで、行政指導としてもっと具体的にお聞きしたいのですが、たとえば、この北区田端復興土地区画整理組合の問題について、形式的にも違反な、こういうかりそめのものが三分の一、ですから、成立していないかをよく調べて——私ともも全部調べます。ここにもちゃんと数字がきているから。そうすると、全然私どもの見解では成立していない。これは仮定の問題ですが、もしかおっしゃるとおりでなくて、成立していないとはっきりきまった場合には、組合の認可をやった東京都は間違いであるということをはっきり建設省から意思表示いたしますか、どうですか。
  253. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 組合の設立に瑕疵があったかどうかということは、いまの段階では、われわれのほうの行政的な判断では、組合の設立に瑕疵かないという判断をいたしております。この前三十三年に設立無効の判決があったように、裁判等で判決がありますれば、組合設立が無効になるということはあり得ると思いますけれども、現在の段階では、行政的には瑕疵がないというふうに判断しております。
  254. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それじゃやはり建設省の行政指導は役目をなさないと思うのです。つまり裁判所が違法ときめたらあとしぶしぶとついていくというのではなくて、この問題では、たとえば田端と名ざすからいけないので、田端と全然違う架空の一つ問題として、こういうような改ざんをしたものか一っぱい書類が出てきて、あやふやではっきり定足数にも達しないというある地区の問題が出たときには、強力に、たとえば何々県知事でもいいのですよ、それはいけないというので解放を指算するということか行政指導だと思いますが、それをおやりになるかどうですか。架空の問題としてお聞きします。
  255. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 法律上報告を求めまして、もしそれに対しまして違法であるということがはっきりいたしますれば、それ相応の措置建設省としてはとるように知事に対して行政指導するということになります。
  256. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それをお聞きしまして、東京都がそういう報告をした場合には、はっきりいまのような処置をとるのだと思います。これはお約束していただきたいと思います。  それからもう一つは、この区画整理事業が、さっき私が申しましたが、もうちょっと詳しく申しますと、強制加入の問題、それから減歩のただ取りの問題、清算金徴収の問題等で全国各地で岡本委員が言ったとおり深刻な問題をかもしております。これは組合設立のやり方が非民主的というのですか、ただ形式的で、町のボスや何かがいいかげんに処理することができるというので、ばく大な金、何億という金が動く。田端の場合は、もうけちまってたいへんな家を一ぱい建てたという人かうんといるのですね。こういう問題については、つまり土地区画整理法が悪いのだ、東京都のお役人が、法律があるからどうしてもしょうがないのだといって頭をかいている。どこにいったらいいかということになるのですね。したがって、土地区画整理法は、今後市街地間発の問題その他かありますから、全面的に廃止するか改正をするという意図、お考えはございますか。
  257. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区画整理法の規定につきましていろいろ問題があるということは、われわれも問いておりますので、できるだけ早い機会にこれを検討しまして、必要があれば改正するという方向で進みたいというふうに考えております。
  258. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そこでお聞きしたいのですが、先ほど他の委員から発言がありましたが、市街地再開発法案というのを建設省でやっております。その開発法案の中で、これはまた開きでございますが、やはり民間まかせにした区画整理組合と同じような事業施行の方法に立っているんではないか、これが第一点。もう一つは、その中に有力な業者を組合員にすることができるような文句も入っているんではないか。そうしたら、これは不動産業者も介入したら、化けもの屋敷みたいなことになると思うのです。こういうことに対して、そういうことはない、まして、いまお約束になったとおり、十地区画整理法は改発するんだ、変えていくんだということをお約束になったからには、新しい市街地再開発法案については、そういうものはないんだ、もっと新しいやり方をとるんだというならば、新しいやり方はどういうやり方なのかということについて御説明願えればありがたいのであります。
  259. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 現在市街地再開発法の検討をいたしておりますけれども、その中で、やはり地方公共団体とかあるいは公団だけではなかなか仕事の量がさばけませんので、民間の力をかりて都市の再開発を、やっていくということが必要だということで、民間の関係権利者が集まって市街地の再開発ができるような法制をつくってまいりたいというふうに考えております。ただいまのところ、まだ検討中でございますので、法案の内容等は、もう少し固まってからまた別途申し上げたいと思いますけれども……。
  260. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、民間の力をかりるというのは、権利者がみんなそうなんだから、それはそのとおりだと思いますが、いま申し上げましたように、区画整理というのは全国的にたいへんな問題を起こしておる。何十年間起こしておるということから見ますと、これを防止する考え方、防止する方法について何かお考えになっておりますか。そういうことは議論になっておりますか。いま言った強制加入の問題、それから減歩のただ取りとかその他ですね。思うように引っかきまわしますね。
  261. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区間整理の組合の場合には、総会というものが置かれておりますし、その役員等も選挙によって行なわれるという形をとっております。しかも都道府県知事が監督をするというたてまえをとっておりますので、法律上の監督規定をこれ以上もっときびしくするという必要が直ちにあるかどうかというのは問題だと思います。むしろ実は運用のほうが問題ではないかというふうに考えておりますので、運用面の指導をもっと強力にやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  262. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、先ほどおっしゃいましたことをもう少し具体的にわかりやすくやりますと、運用ですね。運用をきびしくするというからには、やはり法律的にやるのかです。先ほど私が申し上げた問題は、運用が非常にルーズで、だからかってにやるんですから、したがって、運用面についての、たとえばさっき土地区画整理法は改正の意図ありとおっしゃったんです。そうすると、そういう問題についてきちっと議論してやっておる。運用の問題ですね。どういうようにその運用の問題についてやっておるかということを二、三お聞きしたい。
  263. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 まず一番大事なことは、第一次監督権者である都道府県知事がやはりしっかり検査をすることじゃないかと思います。検査をいたしまして、不法なあるいは不当なことを発見いたしましたならば、それに基づいて直ちに措置をする、必要があれば告発等もするというようなことが一番大事なことではないか、そういうふうに考えております。
  264. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、そういうような内容も入れて改正する、こういうように考えていいですか。
  265. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 ただいま申し上げましたことは、監督の運用の問題でございます。実は区画整理法全体につきまして、いろいろなところから実績に徴しまして問題が出ております。そういう意味で直ちにこの組合の監督の問題ということに限りませんで、いろいろと問題が出ておりますので、検討してまいりたい、こう申し上げたわけであります。
  266. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 この土地区画整理法というのは、国民がずいぶん関係が深い問題ですから、たとえば国会で審議する、これは当然ですが、その前に、いろいろと関係の人の御意見なり、専門家の意見なりを聞いて、立案するに際して慎重を期する、それからこれじゃ足りぬ、これでいいというようなことについてのお考えはありますか。
  267. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区画整理法の運用につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますので、常々関係公共団体の研究会、あるいは関係公共団体の事務担当者を集めまして講習会等をやっております。そういうようなことで区画整理法の規定の運用を適正なものにしていくようにいたしていきたいと思っております。
  268. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 関係の方々の顔ぶれですがね、問題は。そうすると、たとえばこういう問題で、先ほど申しましたように、町のボスから非常に泣きの涙を見ておる、十何年間も気にしている、神経衰弱になりそうなおばあさんとか、そういう人の悩みをどうやってくみ上げてそれを取り入れるかという努力を、どういうふうにして行ないますか。
  269. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 区画整理の事務担当者は、具体的に現地にいていろいろな事件を知り、いろいろな問題を承知しておりますので、そういうようなところから、われわれといたしましては、実際にどういうふうに行なわれているかということを拾い出しまして、それの改善を検討していきたい、こういうふうに考えております。
  270. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そこで、大体違法ならば解散する、それから、区画整理法は改正する。それで、大体その改正の内容についてお聞きしました。だから、私はこのお約束を信じて、やはり庶民大衆が非常に町のボスに泣かないようないろいろの工夫を建設省がやるべきだ、これを要望しておきます。  その次に、市街地再開発の問題についてですが、これはいままで建設委員会で議論はもう当然されていると思うのです。私は、あらためて、重複すると思われますが、しかし革新都知事ができた段階で私どもとしても、革新都政を推進する上において、やはり交通地獄とそれから大竜の近代的な住宅建設というのをあわせ考えて、二、三の点でいろいろぶつかっている問題がありますから、埋設省の御意見をお聞きしたい、こう思うのです。  来京都で住宅をつくるということは、これはもう強い要求と運動が展開されまして、非常に大きな問題になっている。これは早くてきぱきその仕事をしないと、百年河清を待つにひとしい状況になると思うのです。  第一番目にお聞きしたいのは、げたばきアパートとよくいわれますが、道路を非常に大きく広げて、そこで商店街の人たちを一階に入れて、それで上にずうっと引っ込んだところの住宅の方々を入れるという、これはもう市街地再開発法に入っていると思うのですが、都心部では特にそのようにしなければだめだ。その場合、まず第一番目に、広げられる予定地、交通繁多な場所でアパートもしくはアパートでなくても近代的な本建築のビルが一ぱい建てば、これがじゃまをして、なかなか道を広げることもできなくなるということもあると思いますが、その場合、十分各都道府県で徹底していると思いますが、これについてやはり即座にいろいろと措置をしなければならぬ。これについての補償はどうかということをまずお聞きしたいと思います。
  271. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 都市の中に街路をつくる、広げるというようなことが交通対策から出てまいりますが、その場合、街路の都市計画決定というものをいたします。都市計画決定をいたしますと、その街路の幅のものにつきましては鉄筋とかあるいは三階建て以上の建物というのは建たなくなる、建築制限がかかるわけであります。これにつきましては、これは一つの都市計画制限でございますので、補償というようなことは行なっておりません。
  272. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 私どもがちらちら見ていると、やはりどういうわけだかそれが徹底しないうらみが二、三見られますが、これは東京都の問題ですからさておいて、今度は民間の力を借りると申しますが、そこで同意をして、いざそこに今度は近代的なアパートをいっぱいつくる、げたばきアパートをつくるというときに、非常にちゅうちょされる問題が各地区で起こっています。それは既得権者が地上権その他の権利を保障されて、担保、売買ともに許可される。だから、そのときにいろいろ議論が出ておりますが、たとえばそういう近代的アパートの分割登記をして、担保も売買も許されるのだというようなことをいろいろ説明したり何かしておりますが、この点については建設省として十分これを解決しなければなかなかうんと言いませんから、この問題についてどういうふうにお考えになりますか。
  273. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 分譲アパートの場合には、その中に入ります各部屋と申しますか、各戸が区分所有権と、それから共有部分の持ち分権というものを持つことになっております。それにつきましては登記もできますので、担保にとるということも法律ではできると思います。
  274. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それからもう一つは、引っ越しするについて、引っ越しする先が見つからないとか、それからその引っ越しの補償料、営業権の問題はたいへんですが、補償料の問題がございます。そういう場合に、これも案として考えられておるのですが、一カ所に引っ越し用の回転率の早いアパートを大きくつくる。これは東京ばかりではないと思いますが、そこでたとえば近代的な建築ですから、早い、半年ぐらいにどんどん回転率をよくして、そして収容していくというような能率的なことをしなければはかどらぬという御意見が出ていますが、それについて建設省はこの市街地再開発法案等で議論なさいましたか。
  275. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 市街地改造をやります場合に、そこに入っている人が一時移転するということが一番問題でございます。私どもといたしましては、現地あるいは現地に近いところに場所がございますれば、できる限り仮常業所なり仮住居なりをつくって、そこに一時収容するというような方針をとっております。
  276. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 大体以上で終わります。
  277. 野田卯一

  278. 後藤俊男

    後藤分科員 まず最初に、国道一号線の問題につきましていろいろと考え方をお聞かせ願いたいと思うのであります。  御承知のように、三月六日でございますか、鈴鹿における大きな事故がございました。国道一号線というのは、申し上げるまでもなく名古屋、大阪をつないでおる非常に大切な道路でございますが、三十八年から四十一年、この四年間に日本の国内における近路等の修理に対しては、中央、地方を通じて三千七百億円から使われておる。しかしながら、この国道一号線は一体どうなっておるかと申しますと、現在地元の調べによりましても一日に三万台の自動車が通る、しかも半分以上が大型トラックだ、こういうような非常に大切な道路でございますが、いま言った四カ年間の三千七百億のうちわずかに八%の二百九十億、約三百億程度しか使われておらないというようなことも、当時の新聞で世間に発表をいたしておりました。しかも、あの大きな事故がありましたあとの三月九日でございましたか、大臣は現場を視察に行かれたと思います。現場の視察に行かれましたのも、トンネルの問題なり国道一号線等の視察だと思いますが、あの鈴鹿トンネルの問題、さらに国道一号線が幅が非常に狭い。しかもどんどんと交通量はふえつつある今日、三重県の関町から滋賀県の栗東方面の国道一号線に対して、建設省としてはどういうふうにこれを事故の起こらない方向へ前進させる考え方を持っておられるか。予算の面については一体どうお考えになっておるか。この点をお答え願いたいと思います。
  279. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまお話しになりました国道一号線の混雑をどうやって緩和させるかという問題でございます。  まず第一に、名神高速道路につなげます東名高速道路、これを四十三年度末——と言いますと、四十四年の四月から五月くらいになるかと思いますが、そのころ全線供用開始をはかるように、いま東名高速道路工事を促進しております。  もう一つ考え方は、東海道一号線と申しますと非常に前から改良になりまして、その当時はよかったのでございますが、現在の交通量に比べまして非常に狭くなってきておるというのは確かでございます。それに伴いまして、東名高速道路ができましても、現道に残る短距離の車がかなりあるということがいろいろな調査で出ておりますので、こういうものを救うためにバイパスをやっておりまして、一例をあげますと、関東のほうから言いますと、大磯—小田原間及び沼津のバイパス、浜松のバイパス、島田—金谷—日坂のバイパス、富士—由比のバイパス及びいわゆる名四国道と称しております名古屋から東は豊明町、それから名古屋から西のほうは四日中の名四国道というもの、また例の鈴鹿峠の付近の混雑の緩和につきましては亀山から天理に行きます間、名阪国道というのを一昨年完成いたしまして、二車線でございますが、供用開始をいたしまして、それの延長、天理−大阪間をいま道路公団有料道路として着工しておりまして、これも四十五年の大阪の万国博覧会に間に合わせるように工事を促進させまして、また名古屋から亀山に向かいましては東名阪道路というような形で、これも道路公団に施工を命じておる次第でございます。また現状の交通の打開につきましては、交通安全施設をやるほか、今後の計画といたしましては多少でも広げられるようなところ、すれ違いではございませんが、歩行者、自転車、そういうものの通行の緩和になるような、多少でも広げられるようなところを、局部改良という形で今後広げていきたいというふうに考えております。現在、四十二年度から始まります新しい第五次五カ年計画につきまして、その間の東名高速道路及び一号線のバイパスにつぎ込まれる金につきましては、現在いろいろ検討し、試算をやっているような状況で、はっきりした数字はまだ出ていないような状態でございます。
  280. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、いま言われたのは、国道一号線については部分的には広いところをつくる、こういう説明でしたが、四十二年度においてはどのくらい手をかけられるわけですか。
  281. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほど言いました各地区のバイパスの、これもなかなかまだ用地の話のつかないところもございますので、そういうようなものを促進していきたいというふうに考えております。また新規としていま検討しておりますのは、もう一カ所清水から興津に向かうようなところ、及び大阪に入ります寝屋川国道、こういうものを新規として開拓していくことをただいま検討中でございます。
  282. 後藤俊男

    後藤分科員 いや、いま私が聞きましたのは、そうではなしに、現在の国近一号線についてお尋ねしておるわけなんです。ほかのバイパスその他につきましては、いま御説明がありましたが、当面国道一号線について、先ほど広いところをつくるというような説明がありましたが、その点、昭和四十二年度としてどの程度のことをお考えになっておるかお尋ねしておるわけです。
  283. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは現在いろいろ検討しておりまして、いままでも局部改良的なことはやっております。たとえば鈴鹿の手前の町の小さなバイパスとか、そういうものはやっております。そのほかに、やはり現在の一号線につきましては、いま検討しておりますのは、交通安全もございまして、歩車道をこの際区分しようではないかということでいろいろ検討しておりますが、これが四十二年度どれだけ着手できるか、いまのところ、予算がきまってから検討するような状態でございます。
  284. 後藤俊男

    後藤分科員 そうすると、いまの説明によりますと、まだ予算も何もきまっておらぬけれども、現在の国道一号線についてやる意思というものは十分持っておる、そういうことははっきり言えるわけですね。
  285. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 そういうことでございます。
  286. 後藤俊男

    後藤分科員 それで、先ほど申し上げましたように、国道一号線についてはもう大臣みずから見てこられたと思いますので、いま言ったような、交通事故が非常に多いところでございますから、積極的にひとつ取り組んでいただくようにお願いをいたしたいと思います。  それから、その次の問題は、北陸自動華道の問題です。これは現在のところ富山から武生までは決定いたしております。ところが、武生から米原までは決定されておらぬ。御承知のように、名神とつなごうと思えば、米原までやらぬことには名神につながらぬ。そういうことになれば、北陸自動車道のできた場合のことを考えてみましても、当然武生——米原間はつなぐべきだ、早く決定して、着工して通るようにすべきだ、こういうふうに考えておるのですが、この点は一体どうなっておるか、お尋ねします。
  287. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 御質問のとおり、現在のところ、北陸自動車道は武生から富山間が整備計画決定しております。これは幹線自動車道としての性格を通すためにも米原までつなぐべきだと考えております。現在、近畿地方建設局の調査と並行いたしまして、四十二年の三月に、長浜に道路公団調査事務所を設置いたしました。道路公団が施工命令を受けるという前提のもとに、実施の調査を始めております。できるだけ早い機会に米原−武生間の整備計画を策定いたしたいというふうに考えております。
  288. 後藤俊男

    後藤分科員 長浜に調査事務所が最近できました。あそこでは一体何をどういうふうに調査をしておるのですか、簡単に説明願いたいと思います。
  289. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほど言いました近畿地方建設局でやっております調査は、大体整備計画を策定するまでの調査でございまして、それには大体のルートをきめるのと同時に、いろいろどこにインターチェンジをつくるかといった調査でございます。道路公団に移りますと、それがきまったルートにつきまして実施計画をきめねばなりません。そのためには地質調査その他もさらに入念にやらなければなりません。そういう調査を長浜の公団調査事務所でやっておる次第でございます。
  290. 後藤俊男

    後藤分科員 それでは、現在の見通しを簡単に説明願いたいと思います。
  291. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 先ほど言いましたように、本年度できるだけ早い機会に幹線自動車道審議会を開きまして、そのときに米原−武生間の整備計画決定したいというふうに考えて、それで幹線自動車道審議会整備計画決定されしなすれば、すぐに道路公団に施工命令を出しまして、現地の幅ぐいを打つとか、そういう作業に入るようにしたいと考えております。
  292. 後藤俊男

    後藤分科員 次には、国道六十一号線の問題でございます。  これは十分御承知だろうと思いますが、志賀県の琵琶湖の向こう側を通っている道路です。いわば沿線はほとんど観光地でございますが、あの付近は、中部なり近畿方面から、夏になりますと特に、観光客の多いことは御承知のとおりです。ところが、国道百六十一号線そのものが非常に道幅が狭い。しかも事故が多い。それも悪質な事故が非常に多いというようなことで、先ほどもちょっとお話がありましたように、歩道の設置とか交差点の整備、これはああいう場所柄、特にこれは積極的に早急に解決すべき問題であろうというふうに私たちは考えておるわけなんですが、この国道百六十一号線について、来年はどういうふうなお考えであるか、お尋ねしたいと思います。全然考えておられぬのか、現状のままか、どういうふうにするのか、その程度でけっこうでございます。
  293. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 百六十一号線は、御承知のように敦賀から大津に至る国道でございまして、琵琶湖の西を通っております。これがただいまもお話しございましたように、非常に狭い道路でございまして、五メートルくらいしかないところもあるかと思います。舗装だけは全部終わりましたが、まだ鉄道との平面交差も多いし、かなり混雑しておるところだと思います。これにつきましては、われわれの計画とすれば、全面的な二次改築が必要ではないかというふうに考えております。これをやるのにかなり費用がかかりますが、四十二年度は、まずその手始めといたしまして、百六十一号線としての大津バイパスの着工を現在検討しておる次第でございます。
  294. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、昭和四十二年度としては、大津のバイパスのことだけを考えておって、百六十一号線の、先ほど言われた区間については考えておらない、そういうことですか。
  295. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは現在いろいろ計画考えておる段階でございまして、私は全体のこまかい話は聞いておりませんが、こういう非常に大きな大津のバイパスみたいなものは始めていきたい。そのほかは現在検討中の段階でございます。
  296. 後藤俊男

    後藤分科員 検討されておると言われますが、具体的にどう検討されておるわけですか。
  297. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 非常にこまかい話になりますが、やりは安全施設、こういうものは十分やっていきたいというふうに考えております。バイパスの問題につきましては、大津バイパス以外についてはまだ調査も終わっておりません。どの辺を通したらいいかという問題もございますので、まず調査から始めたいという、ように考えております。
  298. 後藤俊男

    後藤分科員 いずれにしましても、これ以上とやかく言っておってもあれですが、百六十一号線の沿線の環境なりその他については十分御承知だと思いますので、この問題につきましても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  次は国鉄の湖西線の問題でございますが、現在江若鉄道で運営をされておるわけです。これは昭和三十九年の六月二十五日に着工線になっておると思います。それ以来この江若鉄道で働いておられる労働者の皆さんも、行き先一体どうなるのだろうか、こういう心配も家族含めてあると思います。しかし現在国鉄のほうで買収される、こういうふうなことにもなっておるわけでございます。現在の状態ではあまり突っ込んだ話を聞きたいとは私は思いませんが、関係各所においてこの江若鉄道の買収問題について話がぼつぼつ最終段階の方向へ進むのではないか、こう予想しておるわけですが、現在どういうふうな情勢になっておるかということを御説明をいただきたいと思います。
  299. 増川遼三

    ○増川政府委員 江若鉄道に関しましては、国鉄の新線であります湖西線と平行する分は大体五十一キロでございまして、このうちで現在の鉄建公団計画しておりますのは、その五十一キロのうちの約半分ばかりの二十七キロくらいでございます。その点で鉄建公団がこれをどう評価をして質収するか。江若鉄道といたしましては鉄道の廃止に伴います。一切の補償並びに従業員の継承ということを主張いたしておるのでございますが、公団といたし、ましてはやはり建設費というものもございますし、江差鉄道の現在の実情も考慮いたしまして、土地に関しましては同者で合意されました不動産鑑定評価機関、これは三社ほどを選んでもらってやっておりますが、これに評価を依頼いたしまして適正な価格を出していただく。それにその他の多少の補償法的なものを加えて合意に達したい、こういう形で折衝を目下継続中でございます。
  300. 後藤俊男

    後藤分科員 大体話のつく見とおしというのはわかりますか。
  301. 増川遼三

    ○増川政府委員 この国鉄の湖西線につきましては、公団といたしまして、昭和四十六年度までにこれを完成する計画でございますので、少なくともこの江若鉄道と並行部分につきましてもおそくとも四十三年度からは手を実際つけざるを得ない。起工式はことしの二月に一応やりましたのですが、大体北のほうから手をつけ始めまして大津のほうへだんだん近づいていくという姿にいたしておりますので、その間におきまして、四十三年度始めますときくらいまでにはどうしても結論を得て両方の合憲が成立することを期待しておる次第でございます。
  302. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、大体工事が四カ年かかるというふうなことも聞いておるわけです。たとえば博覧会を考えると——これは四十五年度でございますか。いま説明をされましたのは四十六年度一ぱいくらいまでに完成をしたい、こういうふうな御説明でございましたけれども、やっぱりそういうことを確認しておいてよろしいですか。
  303. 増川遼三

    ○増川政府委員 湖西線の建設につきましては国鉄の第三次長期一画に盛られたものでございまして、したがいまして四十六年度完成という中に入っておるわけでございます。これは万博との関連において工事期間を設定したものでございません。都市交通対策という考え方から第三次長期計画の中に取り入れてこれを実施する予定にしておるのでございまして、御説のように、万博にもこれを活用したいという意見も出ておることは私ども聞いておりますが、そういった面でぜひとももう一年早くつくり上げる必要があり、またその要望が強いということでございまするならば、その点につきましてはあらためて、こういった工期の短縮ができるかどうか、そういう点につきましても検討をさせていただきたいと考えております。
  304. 後藤俊男

    後藤分科員 いずれにいたしましても、沿線住民二万人から著名請願が出ておると思います。だから、この問題についてはいろいろとたくさんな問題を含んでおると思いますけれども、できるだけ早く、このことによって悲しむべき者の出ないようにひとつ解決をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。時期がくればまたこれらの具体的問題につきましてお聞きする機会もあろうと思いますので、その時期に譲りたいと思います。  それからもう一つでございますが、日本の横断運河の基礎調査の問題です。これにつきまして私あまり詳細には知りません。しかしながら琵琶湖の水を使い、敦賀から桑名へ抜ける、こういうふうな大筋は地元関係県においてもかなり重大なる関心を持って今日きておると思います。さらにこの琵琶湖をかかえる滋賀県といたしましては、海につないでしまえば一体水質がどうなるのか、さらに運河における漁民は一体どういうことになるのだろう、さらに農村の皆さんは一体どうなるのか、さらに京阪神における皆さんにもこれまた重大なる関係がある問題だと私は思います。聞くところによりますと、日本横断運河の建設の基礎調査も最終段階に入った、こういうようなことも私聞いておるわけであります。特に地元であります滋賀県比九十万としては関心を持っており、先ほど言いましたところの近畿関係におきましても大きな問題である。さらに日本にとりましても、かなりこれは画期的な大きな問題であろうというふうに考えますので、現在どうなっておるんだ、現在ここまでこうなっておるんだ、そういう説明をひとつお願いしたいと思います。
  305. 志村清一

    ○志村政府委員 日本横断運河の調査でございますが、この調査は、ただいま中部圏開発整備本部におきまして調査を行なっておりますが、中部圏開発整備本部ができます四十年度までは建設省でこの調査の一部を実施いたしました。いろいろ調査をいたしましたが、広範な基礎調査でございます。経済調査あるいは利水の調査、地質の調査というふうなことを総合的に行なっておりますが、何せたいへん大きな仕事でございます。  問題点といたしましては、これはちょうどパナマ運河のようなロックでだんだん上がってまいりまして琵琶湖に入る、またロックでだんだん下へ行くというふうなことでございますが、そのロックの問題、あるいは治水、利水の影響等、あるいは相当大きな切り取り、土盛り等の問題がございます。そういう大きな問題がございます。これは相当大きな土木事業でございますので、そう早急には実現はなかなかむずかしい問題ではないかというふうな考え方を持っておりましたが、昨年から中部圏整備本部のほうでいろいろ調査をいたしております。あくまで、これは基礎的な調査でございます。
  306. 後藤俊男

    後藤分科員 そこで、アメリカのパナマ運河をつくった技師等も来て調査をしたという話も私は聞いたわけでありますが、そうすると現在中部のほうでこの基礎調査というのはやっておられるわけですね。そこには調査予算は一体どれくらい盛られておるわけですか。いまあなたおっしゃるように、日本で大きな問題だ、大きな問題だと言われますが、どれだけ基礎調査予算というのが組まれてやっておるのか。よほど慎重にかまえて、この問題については運河のルートの問題、さらには工法の問題、さらに、一体琵琶湖に対してどういう影響が出るか、これはたいへんな基礎調査だと私は思うわけです。おっしゃるとおりの大きな問題です。これに対する基礎調弁の予算というのは、私の聞くところでは非常にわずかしかついておらぬわけです。大きい大きいと言われるが、一体どれぐらい大きい調査予算がついておるのか、ちょっとお答え願いたいと思うわけです。
  307. 志村清一

    ○志村政府委員 ちょっと私、中部圏整備本部でどれだけ予算がついておるか記憶しておらぬのでございますが、大体従来は毎年一千万円から二千万円程度ございました。大体その程度ではなかろうかと存じます。これはもういわゆる実施の具体の調査でございません。基礎的な調査でございます。さような意味ですぐ事業にかかるという式の調査ではございません。
  308. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、この基礎調査が終わらなければこの横断運河をつくるかつくらぬかということは現在のところ明確ではない、基礎調査の結果に基づいてこれを実行に移すか移さないかということがきまるんだ、そういうふうに解釈して間違いないですか。
  309. 志村清一

    ○志村政府委員 そのとおりだと存じます。
  310. 後藤俊男

    後藤分科員 いずれにいたしましても、あなたも言われておるように、これはかなり大きな事業でもありますし、成功すればこれはりっぱなものになろうと思いますが、関係府県においては重大なる関心を持っておりますので、基礎調査というのを徹底してやっていた、だかないと、実現はしたは、基礎調査とは違っておったということでは取り返しがつかないから、中部圏整備本部等におきましてもぜひひとつ、調査予算でございますか、できるだけ出していただいて、間違いのないように基礎調査をしていただく。その後において実施に移すか移さないかということを最終決定するんだといまあなたがおっしゃいましたから、そのとおり私も確認をいたしたいと思います。それでよろしいですね。ありがとうございました。これで終わります。
  311. 野田卯一

  312. 池田禎治

    池田(禎)分科員 建設大臣にお尋ねいたしますが、大臣がもしなんでしたら、こまかいことでしたら関係局長さんでけっこうでございます。  今度、関門架橋ですね、これは画期的な世紀の大事業だと思いますが、建設が発表されております。その本年度予算というものはどれくらいになっておりますか。それから建設省のお考えでは大体何年くらいかかるのか、いわゆる何年計画でやるというのか、その総費用というものはどの程度のものであろうか、こういうことがおわかりであったら御説明願いたいと思います。
  313. 西村英一

    西村国務大臣 第二関門の道路ですが、これはようやくことし着工の段取りに取りつけたわけです。しかしそれがいつかということは、第一関門の交通量の問題から割り出して、いままでのは昭和四十七年に使えるようにしたいという計画であったのです。もちろん地方の方々はもっと早目に繰り上げられぬか、こういう非常な希望があるわけです。そこで、金の問題は第二の問題として、第一に技術的につくり上げることができるかどうかというのがいまの問題であります。というのは、これはつり橋でやろう、例の若戸大橋の二倍の長さ以上もあるというんだから、なかなか技術的な自信がつかぬと、それじゃ一年繰り上げようなんていうことは簡単に言えないということでございますが、いずれにいたしましても、いままでこれは直轄で直接に調査してきたのでございまするから、ことし基本計画を立てまして、基本計画ができたら早目に日本道路公団に施工命令を出すという段階にこぎつけたい、こう思っております。  工事費全般につきましては道路局長のほうがよく知っておると思いますから、局長から……。
  314. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの第二関門の架橋、これはつり橋でございますが、現在の計画でいきますと、四十二年度から着工いたしたいというふうに考えておるわけでございます。これが何年にできるかでございますが、大体六年くらいはかかるんじゃないか。そういたしますと、昭和四十七年にはぜひ開通させたい。また四十七年度くらいになりますと、現在の関門トンネルがちょうど一ぱいになりまして、それ以降になりますと非常にトンネルの交通にも支障を来たすということで、ぜひ四十七年までにはこれを供用開始に持っていきたいというふうに考えるのでございます。  本年度予算につきましてはこれは四月、五月の調査を九州地方建設局で直轄でやりまして、この予算は暫定予算で一千万でございます。その後道路公団にこれを移しまして、現在まだ道路公団のほうから実施計画書が出てきておりませんが、われわれがほぼ聞いておるところだと、大体調査費が約二千三百万くらい、事業費が約六十万くらいを予定しておる次第でございまして、これで現地のいろいろな調査工事を実施するための実施設計を組むことになるかと思います。また、そのための現地の工事事務所の新設、そういうものを事業費のほうでまかなっていきたいというふうに考えておる状況でございます。
  315. 池田禎治

    池田(禎)分科員 それじゃ、その全体の予算は目算がつきませんか。
  316. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ちょっと言い落としましたが、全体の事業費につきましては、現在九州地方建設局でいろいろ計算しております金が、四車線の橋で大体百五、六十億くらい予定しております。もう一方、四車線を六車線にした場合のものをいま検討いたしております。大体そうなりますと百五、六十億から二百億程度のものばかかるのではないかというふうにいまわれわれは考えております。
  317. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これは、このつり橋をつくることによって本州、九州全体の道路行政にも大きな変更を来たす、たとえば新道路建設するというようなことは並行的にお考えになっておるでしょうか、どうでしょうか。この橋をかけることによって本州、九州の近路行政に新しい手を加えるということはお考えになっておりましょうか、どうでしょうか。
  318. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この橋だけかけましてその前後の道路をつくらないと交通が麻痺するということがございまして、それを現在検討いたしております。ことに山口側については、大体中国縦貫自動車道に接続できるようにしたい。もう一つ福岡側につきましては、将来の九州縦貫自動車道に接続するような計画をいま考えております。
  319. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これは大臣にお尋ねいたしたいのですが、実はこれはあなたの所管ではありませんけれども、今国会には石炭対策の特別委員会を設置しまして、政府予算案の中において新しく石炭の特別会計として五百二十一億八千万円という、これはまあ不満の方もありますけれども、言うならばこれは日本のエネルギー革命に対する国としての最も抜本的な対策を樹立するまず一歩として、この予算を提出されて、いま審議をしております。この中で、御承知のように九州、中国にわたりまして、炭鉱のビルド鉱でない山は漸次取りつぶしていく、これからといえども、能率のあがらない炭鉱は買い上げて、能率のあがる炭鉱だけに集中する、こういうことになっているわけです。こういうことは当然多くの失業者を出し、多くの炭鉱の閉山に伴いますところのあらゆる影響を各界に与えております。経済的にも労働的にも、いろいろ甚大な被害というものを与えております。したがって、こういうものから、石炭特別会計をつくり、特別な措置を国としてはとろうとしておるわけです。産炭地域の振興策とか、それに工場を誘致するとか、いろいろなものが行なわれておるし、これからも積極的に行なわれようとしておるわけです。こういう関門架橋なんということは、私のほうに岩戸大橋という、いわば世紀のつり橋といわれましたが、これに輪をかけたような大きなものです。こういう事業に、産炭地振興策として行なわれておるいろいろな製品なり会社なり労働力なり、こういうものをお使いになって、洞の保護政策と相並んでこの事業を推進する、こういうようなお考えになれるものであるかどうか、こういうことをひとつ大臣にお伺いしてみたいと思います。
  320. 西村英一

    西村国務大臣 私は当然考えなければならぬのじゃないかと思っております。あの付近におきましてそういう事業ができる以上は、労務問題にいたしましても、できるだけその付近の方々を使う、また産炭地でいろいろな工場ができて、もしそういうところから製品ができて橋のほうに使えるなら、おそらく砕石とかその他いろいろな問題が産炭地で起これば、それはなるべくそこのものを使ってやるというようなことは、つとめて私はやるべきだ、かように考えておりますが、いかなるものがどういうふうにできるかというようなことは、これは私も、産炭地のことで、これからの問題もあるでしょうから、使えるだけできるだけ利用するという考えでいきたいと思っております。
  321. 池田禎治

    池田(禎)分科員 私も、どういうものがあるかということを言われると、何があるから何を使え、こう甘えるものを持っておるわけじゃありませんが、両県の、本州、九州にまたがるところは、山口県においても、特に今度は宇部炭鉱の閉山とかいろいろなものが州次いで行なわれておりますし、あの筑豊炭田の今日の状態というものは全く日をおおうものがあります。それなるがゆえに国もこれだけの誠意と努力を傾倒しようとしているわけですから、いかなる製品になるかを私は存じ上げているものではありませんけれども、当然そういうものは、国として、あたたかい配慮で並行的にやっていただきたいということをあなたに申しげたわけです。別に私は具体的のものは持っておりませんけれども、そのことはひとつお含みおきいただければたいへん、ありがたいと思っております。  もう十年前になりまするが、当時油須原線といわれておりまして、いま川崎線といっておるかといますが、これは産炭地の振興方策の一つとして、あるいはまた石炭を京阪神に輸送する場合に経済路線として、これは相当な無理をしてつくってもらったものです。ところが、部分的には開通しましたが、全線の開通はまだしてないようでございます。これはどういうふうな状態になっておるものでしょうか。たとえば、当分はいまちょっと無理だというのか、すぐその切断個所をつなぐことができるものであろうかどうか、そういうことがおわかりでございましたら、御説明願いたいと思います。
  322. 増川遼三

    ○増川政府委員 油須原線は、漆生から豊前川崎までは部分開通していることは御承知のとおりでございますが、豊前川崎から油須原までについては現在鋭意工事続行中でございます。  現在の工事状況を申し上げますと、彦山川の橋梁を現在手をつけておりまして、これがもうしばらくたてばでき上がると思いますが、そのほかに用地問題がまだございまして、その用地問題が解決次第、その手前にあります福田隧道の工事に着工するという段階になっておるわけでございます。  着工が四十年の四月でございまして、四十年度と四十一年度、二カ年間で約六億七千万円ばかりをかけまして、部分的に完成を見たわけでございますが、全体の総工事費が十五億でありまして、あとなお八億ばかりの工事が残っておるわけでございます。  これに対しまして、四十二年度といたしましては、約二億余りの金をつぎ込みたいと、現在鉄建公団予算の線別の配分を検討中でございます。大体私どものほうの見ておりますのが約二億何がしというふうに踏んでおるわけでございまして、極力用地問題を早期に解決でき次第促進できるものと考えておりまして、工事の全通までにはやはりまだ、三年ぐらいかかるのではないかと考えております。
  323. 池田禎治

    池田(禎)分科員 あれはずいぶん着工は早くしたのですが、どうして延びたのですか。それはやはり途中で難問題が出たのですか、それとも予算上の措置としては継続して出されておらなかったのでしょうか。
  324. 増川遼三

    ○増川政府委員 調査費がつきまして、相当いろいろと調査に手間どり、かつ用地買収等もございまして、工事の着工は、認可をいたしましたのが四十年の四月七日となったわけでございまして、調査、設計、用地買収の問題、こういったものが隘路になって着工がややおくれているという段階でございます。
  325. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これをもって終わります。
  326. 野田卯一

    野田主査 次会は明二十一日午前十時より開会し、自治省所管について審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。   午後五時九分散会