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小林国務大臣 郵政省の犯罪というものが相変わらずなかなか減らない、これは非常に残念なことであります。国鉄などもやはり現金を扱ったり荷物を扱ったりしておるが、こういう問題は比較的少ない。しかし、
郵政省だけどうしてこんなに多いかということを私は始終考えて、こちらにも監察などというりっぱな制度がありながら、なかなか十分な機能を発揮しておらぬじゃないか、こういうことを非常に私やかましく言っております。これらの犯罪については弁解の余地はないというふうに私は思っております。事務当局に聞けば、いろんな理屈をまた言いますが、そんな理屈の問題じゃないんだ、そういうことを何とか防ぐというか、少なくなるというか、そういうくふうがあってしかるべきだということを言っております。ただどうも
郵便局の仕事は一人でする場合があるので、たとえば集配人はだれの監督もなくて一人で行く。ところが、そういう面でやっぱり出るのです。一人で責任を持って仕事をしておる。国鉄などには、あまり一人でということは、われわれの仕事よりか少ないように見えるのです。しかし、これを一々一緒に見るというわけにいきませんし、要は個人個人の教育と申しますか責任感、反省と申しますか、要するに従業員教育、こういうことに私はどうしても根本的な考え方を置かなければいけない、ただ出たものを追いかけるだけでは間に合わないので、出ないようにするくふうを教育あるいは訓練等によってやらなければならぬ、かように考えておるわけであります。しかも、出てからの処理が非常におそい。これは一般の方と同じように、私も外から見ているとおそい。何かやはりどっちかというと隠したがる通性が役人にはあるのです。従来ややもすれば、これは新聞に出さないようにしましたということを私は報告を受けますが、そういうことはいけない、新聞にみな出せ、悪いことは一切さらけ出して、そうして日本じゅうの、われわれ従業員もやはり反省するようにしなければいかぬ、こういうふうに申しておるが、なかなか急なことに及ばないで、私も非常に残念に思っております。これはまた事務当局からお答え申し上げますが、詳細については、そういうことで、いろいろ統計等もこれからひとつ御報告申し上げますので、何とかしてこれをひとつ減らすくふうをするには、やはり人の問題である、こういうふうに考えております。いま申すように、どうしてもやはり
郵政省の仕事は、集配等は個人の責任において、自分だけでやることが多いものだからして、監視が届かないという面もあります。しかし、これをもう直すわけにいかないから、いま私が申し上げたように、訓練とか教育とか、要するに従業員の素質をよくする、責任感を持たせる、少し手間のとれる仕事であるが、そういうことをせざるを得ない、かように考えております。鶴岡政府
委員 防犯につきましての基本的な対策といたしまして、大臣ただいまお述べになりましたとおりでございますが、私からは特に昨年の渋谷の事件後とりました具体的な対策について申し上げてみたいと思います。
一つは、いわゆる
郵便物の抜き取りと申しますものが、いわゆる局内の区分作業、区分け作業のときによく行なわれるということにかんがみまして、現場の管理者の管理監督を
強化をするということが一つでございます。そのためには、いままで
課長あるいは副
課長の席から現場の作業員の作業状態が途中の遮蔽物で見えなかったようなものも撤去したりして、いつも一望の監督のもとにおくというようなこと。そして、もちろん監督の
強化は当然でございますが、そういう方策もやっております。
第二点といたしましては、これは従来からやっておることではございますが、集配の作業監査と申しまして、たとえば、
郵便が
郵便局に到着をして、これを配達にかける前に、そのうちの若干を抜き取って控えておく。そしてそれが確実に受け取り人のところに着いたかいなかを、後日、数日あとに、いわゆる通信探問あるいは実地探問の形で確かめるというようなこと、これは従来からやっておりましたものを
強化をいたしたわけでございます。
第三点といたしましては、とにかく現金を
郵便物の中に入れていけないということは現行の
郵便法で定められておりますが、これを犯して現金を封入する、このことが非常な事故の発生のもとになりますので、現金を普通
郵便物に入れてくれるなということの周知徹底をはかっておるわけでございます。そして、そのためには、これにかわる制度、たとえば定額小為替等がございますが、こういうものの利用も呼びかけておるわけでございます。そして次には、このように事故が起こりましたときに、公衆からもよりの
郵便局に申告をする制度、これは部内では一〇一号申告と呼んでおりますが、このような申告は従来
郵便局に出向いて、書面で申告をするようになっておりましたのを、電話ででもよろしい、正式に受け付けますというようなことをいたしまして、同時にまた、そのような申告を受け付ける者は特定をして、いわゆる担当者を各局ごとにきめておく、そして同時に、その
処理等についての訓練等もいたしたわけでございます。
最後の点は、特に監察局内部でこのような申告が参りましたときは、いわゆる分析をいたしまして、たくさんの申告を受けて、その中から犯人を、犯行の行なわれた局所あるいは時刻等も大数観察で推定するわけでございますが、そのような分析をさらに一段と
強化をいたした。
大体そのようなことが、ここ渋谷事件以来特に強くとられておる方策でございます。