○八塚
政府委員 ただいま
お話がありましたように、ミカンにつきましては、特に既存産地において
生産過剰のきざしがあるのではないか、ないしは近い将来くるのではないだろうかという危惧の念を抱いておられる
生産者の方が相当多いわけであります。従来ミカンの新植の勢いは、もちろん
農林省のいわゆる選択的な作物の
一般的に言いますと随一と言っていいような推奨もございましたが、しかし、それにしても、この
程度であればという勢いをだいぶ突破いたしまして、最近におきましては約一万町歩前後の新植の勢いになっているわけでございます。
昭和四十年現在で十万ヘクタールございますから、年々いまの勢いでありますと、一万ヘクタールというのは相当やはり
考えるべき栽植の率ではないだろうか。そこで、御
承知のように、昨年改正になりました
果樹振興法によりまして、本年その後作業をいたしまして、三月三十一日の農林
大臣の公表いたしました
果樹基本方針におきまして、一応
需要の予測をいたしまして、その
需要の予測に対応して、どれくらいであればいいだろうかという植栽の
目標を
一般にお示しをいたしたわけでございます。大体いま申し上げましたような
事情で、
生産は伸びておりますが、一方、もちろんやはりミカンの
需要は、今後の
所得の伸びあるいは消費生活の向上等で伸びると
考えなければなりません。ただ、その伸びの計数はなかなかあれでございますが、大体十年先、
昭和五十一年度は約三百三十万トンから三百七十万トンぐらいの
需要になるであろう。現在の
生産量が三十九年で百二十三万トン、あるいは四十年で百三十一万トンということでございますが、そのくらいは
需要はあるであろう。ただ、これはもう御
承知のように、植えたからすぐその
生産量に響くわけではございませんけれ
ども、そういうことを計算いたしましても、樹齢別に結果年齢がどうなるというようなことをかなり詳しく計算いたしましても、一万ヘクタールの現在の勢いは、やはり五十一年ごろでは、
需要をオーバーするのではないかということで、公表いたしました基本方針の中では、四十一年度から五年の間は、従来の一万ヘクタールを年間約六千ヘクタール、それからあとの五年間は、三千ヘクタール
程度にひとつ植栽を落としていく、調整していく必要があろうということになったわけでございます。しからば、どういうふうにして今後そういう調整をしていくかということでございますが、四十二年度、各府県で、この基本方針に基づきました各府県の
果樹農業振興
計画というのをつくっていただくことになっております。その振興
計画は、この基本方針に即するということに法律上なっております。各府県の御協力を得まして、そうして各府県ごとのそういう
見通しをさらにつくっていただく、そうしまして、その振興
計画の中では、また各府県の地域ごとのそういう適地における集団的な濃厚な産地をつくっていくようなことを
考えておるわけでございます。
なお、しからば
需要を、たとえば加工であるとか、あるいは輸出であるとか、そういう点で伸ばすことはどうだろうか。ただいま三百三十万ないし三百七十万トンと言いましたのは、一応
国内の生食用の
需要の伸びだけではなくて、加工、輸出の伸びを一応内訳で含んでおるのでございます。なお、詳しいことは省略いたしますが、現在の加工及び輸出用を合わせますと、大体全体の一六%
程度、残りが生食用ということになっております。生食用の輸出は、これはもちろん、御
承知のように、主としてカナダでございます。目下アメリカの北部三州でどうだということを外交ルートを通じて交渉いたしておりますが、これは植物防疫上の問題がありましてなかなかむずかしい。カナダにつきましても、やはりカリフォルニアでいわゆる
日本の温州ミカン、すなわちサツマを栽培いたしておりますので、今後はそういう競争の問題も出てくる、こういうことでございますが、なお今後とも生食用の輸出は伸びていくべく
努力をいたしたい。加工についても、やはりだんだん加工食品というものは伸びていくと思います。そういう
意味で、加工の販路につきましても、輸出用、生食用、特に輸出につきまして今後なお
努力をいたしたいと思っておりますが、そういう
見通しにつきましては、私
どもの一応計数的なもの、さらに輸出を現実に取り扱っておられる方の感触等を入れまして
見通して、そういうことに相なっておるのでございます。