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1967-04-21 第55回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十一日(金曜日)     午前十時十四分開議  出席分科員    主査 鈴木 善幸君       井出一太郎君    周東 英雄君       細田 吉藏君    八木 徹雄君       山崎  巖君    石田 宥全君       猪俣 浩三君    兒玉 末男君       中澤 茂一君    広沢 賢一君       帆足  計君    八木  昇君    兼務 玉置 一徳君 兼務 伊藤惣助丸君    兼務 田中 昭二君 兼務 松本 善明君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      関  道雄君         国防会議事務局         長       北村  隆君         防衛政務次官  浦野 幸男君         防衛庁長官官房         長       海原  治君         防衛庁防衛局長 島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁人事局長 宍戸 基男君         防衛庁衛生局長 高部 益男君         防衛庁経理局長 大村 筆雄君         防衛庁装備局長 國井  眞君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁総務         部長      財満  功君         防衛施設庁総務         部会計課長   春日敬太郎君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁労務         部長      江藤 淳雄君         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  藤井孝四郎君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁資源         局長      佐々木 即君         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵大臣官房長 亀徳 正之君         大蔵大臣官房会         計課長     中込 達雄君         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         国税庁長官   泉 美之松君  分科員外出席者         経済企画庁水資         源局管理課長  山田 嘉治君         大蔵大臣官房財         務調査官    近藤 道生君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         大蔵省主計局主         計官      小幡 琢也君         大蔵省主計局主         計官      辻  敬一君         建設省住宅局住         宅総務課長   角田 正経君     ————————————— 四月二十一日  分科員畑和委員辞任につき、その補欠として  兒玉末男君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  分科員兒玉末男委員辞任につき、その補欠と  して石田宥全君委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員石田宥全君委員辞任につき、その補欠と  して帆足計君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て広沢賢一君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員広沢賢一委員辞任につき、その補欠と  して畑和君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  第二分科員玉置一徳君、第二分科員伊藤惣助丸  君、田中昭二君、第二分科員松本善明君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算総理府防衛庁  及び科学技術庁関係)及び大蔵省所管  昭和四十二年度特別会計予算大蔵省所管  昭和四十二年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  この際、分科員各位に申し上げます。議事の都合により、交代して分科員になられる方の質疑時間は、慣例によりまして、原則とし三十分程度にいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  昭和四十二年度一般会計予算総理府所管のうち防衛庁科学技術庁及び大蔵省所管予算昭和四十二年度特別会計予算大蔵省所管及び昭和四十二年度政府関係機関予算大蔵省関係予算を議題といたします。  まず、防衛庁予算質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。八木昇君。
  3. 八木昇

    八木(昇)分科員 三次防に関連をいたしまして若干ご質問いたしたいと思います。  第三次防衛整備計画によりますというと、総額二兆三千四百億円という総額が一応決定をされておるようでございますが、そのうち本年度防衛関係費は三千八百九億円、さらにそのうちの防衛本庁歳出予算は三千五百七十五億円、こういうことに相なっておるのでございますが、この三次防二兆三千四百億円の、大体のところでけっこうなんですが、今後五カ年の間の計画ですね、第一年度、本年度は三千数百億、第二年度目がどのぐらいになるだろう、第三年度目がどのぐらいになるだろう、そういうものの概要の御説明を願いたいのです。
  4. 増田甲子七

    増田国務大臣 概要のことを申し上げます。御承知のとおり、二兆三千四百億、それから上下二百五十億の幅を見ると、こういうことになっております。そこで二兆三千四百億というものは今後五カ年のお説のとおりの計画でございます。そこで、こまかいことは政府委員をして、補足説明をさせまするが、平均いたしましておよそ四十六百億前後ではないか、これは五十年で割ってみますと、そういうふうに考えております。明年度はその四千六百億のほうへ近づける、明後年度は四千六億ぐらいであり、それからその次の第四年目は四千六百億から上回る、それから第五年目は五千億をちょっと上回る、そういうことにいたしまして、平均いたしまして四千六、七百億ではないか、こう考えておる次第でございます。  詳細のことは政府委員をして答弁せしめます。
  5. 島田豊

    島田(豊)政府委員 二兆三千四百億の年度別の内訳につきましましては、実はまだ庁内におきましていろいろ計数の整理をやっておるところでございまして、およその考え方としては、ただいま長官から申されたようなことになると思いますけれども経費の中には、いろいろな事業経費もございますし、設備整備等関係経費もございますし、それから装備品維持費系統の問題もございますし、これを年度別にどういうふうに計算をしていくかということについては、いろいろこまかい問題が生じておりますので、実は防衛庁としての一つの案がまだでき上がっておらないという状況でございまして、大体の傾向としまして、いま長官から申されたようなことであろうと思います。
  6. 八木昇

    八木(昇)分科員 そこで、いまの総額二兆三千四百億のうち、航空機購入費あるいは艦船建造費、さらには各種装備費、そういったいわゆる装備関係ですね、飛行機購入艦船建造も含めて、これは大体そのうちどのくらいの金額になるのでございましょうか。
  7. 島田豊

    島田(豊)政府委員 兵器等装備費関係につきましては、ごく大ざっぱに申し上げまして、艦船建造関係が約八億、航空機購入費関係が約千四百億、地対空誘導弾経費、これはナイキ及びホークの部隊の増設等に伴う経費でございますけれども、約八百億、それから戦車、装甲人員輸送車、こういうものの経費が約三百億、三次防におきまして調達を行ないます総体経費、ただいま申し上げました経費を合計いたしますと、約三千三百億ということになるわけでございます。
  8. 八木昇

    八木(昇)分科員 総額二兆三千四百億円からしまするというと、非常に小さい数字のような気がいたしまますが、ほかに人件費を除いて大きなものはどういうのがあるのでしょうか。
  9. 島田豊

    島田(豊)政府委員 二兆三千四百億円のうちに、人件費が約一兆、四〇%強と見込んでおりますが、それ以外が広い意味でのいわゆる物件費でございまして、その中の主要な装備費ついての金額が、ただいま申し上げましたようなものでございます。それ以外に、弾薬関係もございますし、被服費関係あるいは糧食関係あるいは研究開発関係、いろいろなそういうものがございますし、また調達するもの以外に、装備品を維持補修します場合の修理費系統もございます。施設整備関係もございます。そういうものもすべて言わせまして約一兆三千億ということになるわけでございます。
  10. 八木昇

    八木(昇)分科員 ちょっとこまかいことを聞いておるのですけれども弾薬費というのはどのぐらいこの五カ年間で必要でしょうか。そのうちいまの誘導兵器の弾丸ですね、ナイキとかホークとか、それは弾薬費の中に入るのでしょうか。
  11. 島田豊

    島田(豊)政府委員 弾薬費関係総体としましては約八百四十億でございまして、この中には陸海空の弾薬関係、それからただいま申されましたミサイル関係のたまの関係、これも入っておりますが、ちょっと詳細については装備局長のほうから御説明させます。
  12. 八木昇

    八木(昇)分科員 時間が短うございますので、あと質問を続けたいと思います。  そこで、人件費約一兆で、残り一兆何千億円かがいわゆる物件費だ、こういうことになるわけですか、そのうち兵器関係弾薬関係以外はむろん全部国産品であると思いますが、ところでいまの兵器関係弾薬関係弾薬も含めますと総額四千億をこえるわけなんですが、これのうちに国産部分、これはどのくらいになるのでしょうか。
  13. 國井眞

    國井政府委員 ただいま御質問ございました各種のもの、大ざっぱに言いますと、大体九割程度装備品の中で九割程度国内調達というふうに私ども考えております。ただ、御指摘の具体的な、何が何%ということになりますと、これはちょっと今後詳細に詰めませんと出てはまいりませんので、総体十として装備品の中で大体九割ぐらいではなかろうかというふうに考えております。
  14. 八木昇

    八木(昇)分科員 そこで、いよいよやはり防衛ということになれば、これはもう当然一朝有事の際に備えるということになりますから、いざというときに、外国製武器にすべてを依存しておるということでは、これはもう勝負にならないわけですから、当然この本格的な筋道に入ってきつつある、こう私は考えておるわけであります。したがって、今後はもうほとんど兵器の大部分というものが国産化へということに、やはり当然の筋道としてそういうふうに進んでいく、そういう本質を持っておるのが防衛本質だ、こう思っておるのですが、非常に国内調達というものが拡大されていくというその一つの大きな段階を迎えておるのが三次防だ、こういうふうに感じるわけであります。そこで、三次防の最大の特色は、やはり装備国産化がいよいよ本格的にこれから進められようとするところにある、こういうふうに一般的にも見られておるわけであります。  そこで具体的に伺いたいと思うのですが、今度の三次防によればナイキあるいはホーク、こういうものの国内生産、これをいよよい始めるというところに非常に大きな特色がある、こう思いますが、三次防によると、ナイキについて二個大隊分を三次防の期間中に装備をする。そのほかに個大隊分編成準備をする。それからホークについても同じように二個大隊分、そのほかに一個大隊分編成準備をする、こういうことのようでございますが、ナイキホーク、それぞれ、個大隊分に一体どのぐらいの経費を要するものでございましょうか、費用を要するものでございましょうか。
  15. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ナイキホーク大隊特殊装備品あるいはミサイルあるいは車両等一般装備品、そういうものもすべて含めまし、ナイキにつきましては、これはハーキィリーズでございますけれどもも約百四十二億、ホークにつきましては約百二十億ということでございます。
  16. 八木昇

    八木(昇)分科員 ところでナイキホーク、それぞれ当然もう予算要求を本年度もしておられるわけでございまして、本年から発注をせられるわけでございましょうね。
  17. 國井眞

    國井政府委員 ナイキホークともに本年度、四十年度予算要求をいたしております。三次防で考えております全体をまとめて実は要求はいたしておりませんで、さしあたりそのうちの一部分につきまして四十二年度予算要求をいたしております。
  18. 八木昇

    八木(昇)分科員 予算要求をしておられる以上は、当然業者決定の内示ぐらいはしてあるはずと思うのでございますが。
  19. 國井眞

    國井政府委員 ナイキホークともに、実は目下生産に当ります対象の業者は検討なかでございます。これつきましてはそれぞれ武器等製造法等許可関係等もございまして、関係者とも十分打ち合わせをして決定をしていくというふうに考えておるわけでございます。
  20. 八木昇

    八木(昇)分科員 ナイキについてはすでに三菱電機あたり決定しておるようなふうなことをわれわれは仄聞するのですか、そうではございませんか。
  21. 國井眞

    國井政府委員 確かに、三菱重工が生産について希望をしておるということは事実でございますが、また決定ということにはなっておりません。
  22. 八木昇

    八木(昇)分科員 ところで、いよいよこれから本格的な防衛国内生産か始まるということから、やはりいよいよ業者争いが激化していくという状態にあることが世間で非常に問題にされているわけですね。そこで、一体どういう問題でこういうメーカー決定されるのか。その辺が非常に明確なる一つ方針というものが定まっておって、それに当てはめて業者を公正に、厳正にきめていく。こういう立場がないと、やはりいろんな疑惑を生みまするし、その中におもしろからぬいろんな事柄も発生する懸念が当然あるわけで、これは単に日本のみならず、いつの時代でも、そういう兵器生産メーカー政治家あるいは防衛庁そのものとの間に、いろんな問題がともすれば発生しがちでありますので、その辺の、この業者決定の方式といいますか、その基準といいますか、そういったふうなものについて、長官の考えをひとつこの際明快にしておいていただきたい。
  23. 増田甲子七

    増田国務大臣 一般方針に関する点について、八木さんの御質問にお答えいたします。  防衛生産につきまして正確を期するということは、政府におきまして最も留意しなくてはならぬところでございます。その点は八木委員の御指摘のとおりでございます。そこで基準その他につきましては、いずれ政府委員から補足説明いたさせまするが、技術の点、あるいは能力の点、その他責任あるりっぱな装備品をつくり出す責任能力責任観念の点というようなことにつきまして、厳正公平を期してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  24. 國井眞

    國井分科員 ものの調達につきましては、私ども、従来とも世間疑惑を招かないよように、法律にのっとりまして厳正な調達をしてきておるわけでございますが、三次防期間におきます調達につきしましても、もちろん法にのっとりまして会計法あるいは予決令というものの規制に従って実施をいたすわけでございます。装備品によりまして、たとえば国内指名競争あるいは一般競争、あるいは随意契約というような方法がいろいろとられもわけでございますが、新しく初めて生産にかかるというようなものにつきましては、この点特に慎重にやっていきたいというふうに考えております。一般的に申しまして、点数制で何が何点というような基準をこまか立てるということは、これはなかなかむずかしい問題でございますし、事柄からいいまして総合的な判断——ある一点だけとって、その点に合うか合わぬかというようなことで判断をすべきではないんじゃなかろうか、総合的な判断をやはりしていくべきではなかろうかと考えております。その節、たとえば技術的な能力、その仕事か確実にできるかどうかというような問題、あるいはもちろん価格的にも、私ども考えております経費の範囲に入るものでなければ困るわけでございますし、その他資金的な能力、あるいは技術につきましても、外国から技術を導入するわけでございますから、その辺の能力、そういったものを総合的に判断してきめていきたい、かように考えるわけでございます。
  25. 八木昇

    八木(昇)分科員 価格その他いろんな問題がたくさんございますが、どうしても最初に受注をするためには、やはり相当業者のほうで、最初段階では犠牲的にでも安く受けて、損失覚悟でまず仕事を取るというのか、もうアメリカあたりでも常識で、べらぼうに安い価格で犠牲的に取るというようなこと等やるのですね。ですから、いろんな不明朗な問題が発生しがちです。  ところで、これは国内生産といいましても、いわゆるライセンス生産ということでしょうが、どういうふうにやるんですか、ホーク生産する場合。そのアメリカ設計図どおり日本で製造するという形であろうと思いますが、あらゆる部分日本生産するのでございましょうか。特にこのホークについては、非常にもうかるということのほかに、エレクトロニクスの部門のウエートが非常に高いという意味で、その会社技術革新、また研究のためにも非常に役立つというようなことで、非常に競争が激しいというふうに聞いておるのですけれども国内生産といっても、どういったやり方をやるのでしょうか。
  26. 國井眞

    國井政府委員 ただいまお話のございましたホーク国内生産方法といたしましては、これに関する技術アメリカ業者が持っておるわけでございます。この技術を入れまして国内生産するという形をとるわけでございますが、ただいまお話し技術導入に際しましては、いわゆる外資審議会認可というような手続上の問題もございます。それからさらに、御承知のように先ほど申しました武器等製造法許可というような手続もございますが、実際の進め方といたしましては、それぞれの分野におきまして米国側にも幾つかの連係した業者がございますので、それぞれの持っております技術を関連して入れるという形になろうかと思います。  それからこれの調達は、実際に当たりますときに、選定の問題は先ほど申し上げたとおりでございますが、その辺の手順等も十分考えながら決定をしていくというふうにしたいと思っております。
  27. 八木昇

    八木(昇)分科員 ところで、民間会社はもうすでに実績つくりを相当前からやっておるというふうに聞いているんですがね。たとえば三菱あたりは、もうすでに何回も三菱グループからアメリカ視察に行っておって、そうしてホーク生産をしておるアメリカ会社に何度も視察に行っている。むろん日本防衛庁から何らかの紹介がなければ、先方会社だって、そんなに、日本会社からぽかっと視察団が来たからといって、視察もさせないでしょうし、いろいろな話し合いもしないと思うのです。また、先方会社からも、何回も日本に来ておるそうですね。それからレイセオンというホークをつくる会社三菱との間に、すでにホーク生産についての技術提携協定を結んでおるということも聞いておるわけなんですが、それは事実上ちゃんとレールを民間会社のほうが敷いて、そうしてすでに防衛庁と意を通じてやっておる。ごく客観的に見てそういうふうに受け取れるのですけれども、そうでしょうか。そしてまたその国内業者をだれにきめるかということについては、日本政府か独自の判断で自主的にきめ得るわけでしょうが、そういったようなところを御説明願いたい。
  28. 國井眞

    國井政府委員 生産をいたします国内業者としましては、いまおっしゃったようなこと、まさに企業努力ということで、自分のほうはぜひやりたいというつもりでいろいろ努力をする、これはもう当然のことであろうかと思いますが、私どもは、ホーク国内生産にあたりまして、入手できる資料はあらゆる面からとりたいというつもりでおるわけでございます。実は私ども直接アメリカに、昨年の四月でございますが、これに関する調査団防衛庁職員で構成をいたしまして、派遣をいたして調査をしてきておりますが、そのほかに国内で入手できる資料もできるだけ調査にとりたいというつもりで、国内のどの業者がということは別に特定をいたしませんが、相当の技術を持って、やり得る能力のある者が行って調べてくる、その資料等を私どもが入手できるということは、これは非常にけっこうなことでございますので、その点私どもとしましては、十分に能力ある者はいろいろ調べてきて資料を出してもらう、これは歓迎するところでございます。  それから先ほどお話しの、向こうのレイセオンとの間に技術的な約束があるという話だがということでございますが、これは私どもも報告を受けております。もちろん外資法による政府認可というものが前提でございまして、これがなければ最終的な効力が出ないわけでございますが、会社間でそういう話し合いがしてあるということは私どもも聞いておるところでございます。
  29. 八木昇

    八木(昇)分科員 質問の第二点の答弁が抜けておりますから、これをあとで御答弁願いたいのですが、日本メーカー日本政府が独自できめ得るかどうかという問題。それと、もともと当然これはアメリカ側日本ホーク国内生産をすることを許可しておるんでしょうね。また、許可をしておるとするたらば、一体どういうふうな協定みたいなものを結ぶことになっておるのか、そういったところを御説明願いたい。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 八木さんの御質問のうち、日本政府が独自の立場で、主体的立場決定し得るかどうか、主体的立場で、独自の立場決定し得るものと思います。また、そういうふうにいたします。
  31. 國井眞

    國井政府委員 これはかねがねアメリカからMAAG軍事援助顧問団等もこちらにありますし、私ども接触をとっておりまして、それらを通じて、その点は日本生産することについてはけっこうであるという表明を受けておるわけでございます。ただ、具体的な協定というようなことになりますと、今後米側話し合いをいたしまして、具体的なものの話し合いをするわけでございますが、これにつきましてはたしてどの程度のものが必要か、これは話し合いが進む段階でないと明確にはお答えできないわけでございますが、今後の話を進めていくわけでございます。
  32. 八木昇

    八木(昇)分科員 きょうのところはいろいろな問題点文字どおり質問をいたしておるので、将来の推移によってさらに意見を申し上げたい、こう思っております。本年度中に必ずそういった話し合いもついて、そして本年度中に予算要求をしておられるものは消化されるのだろうということに一応承知しておきます。  ところで、その三菱のほかに三井グループのほうでも東芝あたりが相当活発にやはり運動をやっておる、その背後にはいわゆる政界の大ものの人たち等もいろいろからんでおる、こういうふうなことが事実一部報道されております。今度の場合はホークの問題をめぐってですけれども、将来ともこういう争いが激化するであろうということが、非常に苦々しい気持ちで一般国民からは見られておるわけです。それで、いまのたとえば三菱東芝争いということを考える場合に、私どもしろうとが考えましても、技術的にも東芝が上でございますし、規模の上からいいましても、東芝、日立といえば大体日本の双壁ですね。これに比べると三菱ははるかに下だ、こういう感じを持つわけです。そういう非常にむずかしい問題等に逢着するのですけれども、さっき申されたような基準では非常にあいまいもことしておりますか、もっとき然たる態度の表明ができないですか。
  33. 増田甲子七

    増田国務大臣 八木委員のおっしゃる防衛産業の、ことにホークライセンス生産につきましては、厳正公平なる立場をもって臨みたいと思っております。それからあらゆる不当なるインフルエンスは排除する、こういう心持ちで御期待に沿いたいと、こう考ええておる次第でございます。
  34. 八木昇

    八木(昇)分科員 ところで、これも非常に問題になっておるのですけれども防衛庁の制服組が退役してどんどん民間兵器メーカーに入社しておるというのが最近非常に多い。しかも、そういう兵器メーカー会社の顧問になっている人とか、それから社員になっておる人あたりが、防衛庁のいろいろその衝に当たる人たちをゴルフに呼んだり、マージャンに呼んだり、いろいろなことをやっておる。その間非常に不明朗である。こういうことが言われております。そういったことが社会的にもある程度問題になっておるということは御承知だと思うのでございますけれども、そういう事柄について防衛庁長官はどういうふうにお考えでございますか。これが一般職でありますと、そういった関係会社等に退官後入社することについては、人事院の承認を要するということになっておりますけれども、制服組には特別職というような関係でそれを必要としないそうです。そういった事柄について、長官としてどういうお考えをお持ちであるか。いまの状態はきわめて遺憾でありますし、こういう状態かずっと今後長く続いていくということば非常に不明朗な状態をかもし出す。こう思いますから、御見解を承りたい。
  35. 増田甲子七

    増田国務大臣 御指摘の御意見は各種の問題を含んでおるのでございまして、私どもはお説には全然賛成でございますしすなわち、できるならば制服組もあるいは背広も、両方とも退職後も兵器産業に関係すべからずというのが私の考えでございます。そこで、いままでのところ、人事院関係でなくて、これは特別職でございますけれども防衛庁長官、国務大臣の特別の許可を受けて民間産業に従事する、こういうことになっております。そこで民間の国防産業の中には、大体においていまのところ理事者として入ってはいないのでございます。これは八木さんがよく御存じのところでございますが、顧問、相談役あるいは嘱託という立場でございまして、理事者ではないということをあらためて御認識願えれば幸いでございます。  それから、その理事者ではない顧問、嘱託その他とときどき社交のためにゴルフ等をいたすというようなことは、従来あったかもしれませんが、私が就任以来は厳禁いたしております。先般箱根で遺憾なことがございました。巌重に戒告処分をいたしたわけでございます。将来はそういうようなことは一切いたさない。ただし、社会生活はともにしておるわけでございまするから話等はいたすわけでございますから、その点等までは社交を禁ずるものではない。しかし、まぎらわしきことは一切いたしてはいけないという態度で臨んでおります。その他、御指摘の点は重々、ごもっともでございまして、これからも厳重に対処してまいりたい、こう考えております。  それから、防衛庁が発注いたします兵器産業の従事員が防衛庁のそれぞれの係員のところへ密接に連絡に来るということは必要でございしまして、防衛庁に軍需産業の者が出入りするということは職務上は当然のことでございまして、その点がちょっと間違われておるんじゃないか、八木さんにおいてはお間違いはないのでございまするが、どうも最初私も行ったときには、何々兵器産業、かにかに兵器産業というのが防衛庁に出入りするのはちょっと目ざわりなような感じがいたしましたが、それは当該係員、当該課長のところへ説明に来たり、あるいは計画書を出したり、そういうようなことで出入りするわけでございまするから、その点のことはどうぞ御認識を願いたい、こう考えておる次第でございます。
  36. 八木昇

    八木(昇)分科員 会社の重役とか等の理事者にはなっていないとしましても、非常に下級職員は別としまして、相当数やっぱり民間会社の相当の役どころなんかに入っているんじゃありませんか。その実情を把握しておられましょうか。
  37. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 高級幹部の関係会社への就職状況でございますけれども、ユニホームでいいますと一応将補以上、シビリアンでいいますと二等級以上について申し上げますと、最近の四年間でございますが、営利企業に退職後就職した者が百八十四名おります。年度で申しますと、四十年度に四十六名、三十九年度に五十七名、三十八年度に四十四名と、大体四、五十名程度退職して就職しております。このうち大部分は非常勤の嘱託とか顧問あるいは役員以外の社員でございますけれども、役員に就職している人も若干おります。大体年間二名ないし一名程度でございますけれども、この役員になりますには一般職と同様に法令上の制限がございまして、長官の承認を得ることになっております。その場合には、本人が在職中にその会社に密接な関係があったかどうかというようなことを調べまして、密接な関係がある場合には長官は承認されない。関係がなければ、たとえば師団長とか司令官とかいうようなことをやっておりまして、会社と特別の関係はないという場合には役員になることもできる。こういうふうな基準で承認をしている、こういうことでございます。
  38. 八木昇

    八木(昇)分科員 これで大体の質問は終わりますが、以上の現状でもやっぱり相当問題があるように感じます。将来この点は相当けじめをつける態度を防衛庁としてはとっておられないというと、だんだん今後長期化するにつれて非常におもしろからぬ状態を現出すると思いますので、その点は先ほど長官の御答弁の精神にのっとって、もっとやはり具体的に厳正な一つのルールというようなものを立てらるべきだ、こういうふうに考えております。  そこで最後に、経団連に防衛生産委員会という一つの部門があるそうでございますが、この方面が兵器国内生産の必要性をかねてから非常に強く力説をしてきております。いざという非常時に役立つためにはどうしても国内生産が必要なんだ、しかもその国内生産も、コストを安くするためにはどうしても大量生産の必要があるのだ、そして常時ある程度大量生産ということを維持していくためには、兵器外国輸出ということを考えるべきだ、こういうことを非常に強調しておるやに実は聞いておりますが、そういう考え方は、さらに発展すれば、世界のどこかで戦争や紛争というような兵器の消耗の事態が常に継続されておることを望む、こういうことにもつながってまいりますし、まことに危険な徴候ではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。そういった日本の経営者団体連合会の考え方は私どもとしてとらざるところでございます。こういったことに防衛庁としてまさか動かされはすまいと思いますけれども、こういった経団連の動きに対する防衛庁長官の見解、考え方、そういったものをひとつお述べいただきたいと思います。しかし、ただここで長官が言われただけでは実際実効は期しがたいので、やはり兵器民間の営利の目的で生産されている限りは、どうしてもいま言ったような原理が好むと好まざるとにかかわらず将来作用する。したがって、兵器を国が直接生産するという、昔はそういった工廠、海軍工廠だとか何とかというようなことをある程度やりまして、営利目的で、兵器生産でもうかることのほうがおもな目的のために、筋の曲がった方面に政治がころんでいくことを戒めておったわけでありますが、そういうこととの関連においてどういう御見解をお持ちであるか、これをお述べいただきたいと思います。
  39. 増田甲子七

    増田国務大臣 御指摘の点はごもっともでございます。そこで経団連の防衛生産委員会におきましてわれわれに対する意思表示は、MAGもなくなったんだし、MASもだんだん少なくなるのであるから、でき得る限り国内産業を国内のテクノロジーの上昇という見地からもやらしてもらいたい、こういうことを一般的に言っておるだけでございまして、またそういう意味からは非常に役立つということは八木委員も御指摘のとおりでございます。それ以上のことをわれわれは考えておりませんし、もし兵器産業が発達して外国武器を輸出するかどうかというようなことについて、防衛生産委員会から何らかの陳情あるいは意思表示等を受けたことは私はございません。ただ、この予算委員会の総括質問の際に、通産大臣が皆さまのほうの御質問に対してお答えいたしましたが、この通産大臣のお答えのとおりでございます。
  40. 八木昇

    八木(昇)分科員 さらに念を押しておきますが、日本兵器外国への輸出などということは、これはもう絶対にすべきでないという御見解ははっきりしておりますでしょうね。
  41. 増田甲子七

    増田国務大臣 どうもその辺のところは、私は国内防衛産業がそこまでいまの段階で達しているかどうかわかりませんし、通産大臣のおっしゃったとおりであるということをもう一ぺん繰り返さしていただきます。
  42. 八木昇

    八木(昇)分科員 問題点がたくさんあるのでございますが、きょうは一応問題点指摘しておく程度質問を終わります。
  43. 鈴木善幸

    鈴木主査 猪俣浩三君。
  44. 猪俣浩三

    ○猪俣分科員 ごく簡単に質問をいたします。  それは、いわゆる恵庭判決と称せられまする自衛隊法違反の裁判判決、これに関しまして、これは主として法務大臣に質問すべきものでありますが、防衛庁にも関係ありますからお尋ねしたいと思うのであります。   この判決は、御存じのように自衛隊が使っておりまする通信線を破壊、切断した、これが自衛隊法百二十一条違反として起訴されたのです。最初器物損壊罪でもって捜査しておったのを、起訴の段階になって自衛隊法違反に切りかえたというのが実情のようであります。しかるにこれが無罪になった。これに対して控訴しないでしまったわけであります。そこに私どもはなはだ矛盾を感ずるのでありますが、この無罪の理由は、自衛隊法百二十一条の規定「自衛隊の所有し、又は使用する武器弾薬航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の懲役又は五万円以下の判金に処する。」という規定のうちの、「その他の防衛の用に供する物」を損壊したということで起訴されたわけであります。ところがこの通信線は、この裁判所の判断によりますると、これは自衛隊法の「その他の防衛の用に供する物」に当たらない、こういうふうなことで無罪と相なっておるのでありますが、これに対して控訴がないのですから判決は確定してしまっておる。  そこでお尋ねいたしたいことは、刑罰法規というものは犯罪の構成要件をなるべく具体的に掲げることが原則でありまして、抽象的、多義的な表現というものは避けなければならない。そこで、この自衛隊法百二十一条の規定は「その他の防衛の用に供する物」と、抽象的で多義的の表現であって、はなはだ不完全なものだと思うのであります。そこで一体防衛庁は「武器弾薬航空機」のほかに「その他の防衛の用に供する物」というものをどんな基準でお考えになっているのか。これは国民の側から見まするとたいへんな人権問題と関係があるのでありまして、百二十一条ということになりますと、親告罪じゃないし、その罰則も五年以下の懲役、五万円以下の罰金である。刑法の損壊罪は、これは親告罪であるのみならず、懲役三年以下、罰金二万五千円以下ということになって、たいへん罰則が違うわけであります。そこで防衛庁が考えていられる「その他の防衛の用に供する物」とは一体どういうものをいうのであるか。そういう何か標準がおありなのであるか。とにかく通信線はそうじゃないということは、判決は確定してしまっている。こういう見地から、防衛庁は百二十一条の「その他の防衛の用に供する物」というものを、どういうものを考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  45. 海原治

    ○海原政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生もおっしゃいましたように、政府としましての解釈となりますと、これは当然法制局のほうからのお答えが当然のものでございますが、一応私ども防衛庁におきまして、関係者としまして考えておりますところを申し上げるということをあらかじめお断わり申し上げます。  この百二十一条の「防御の用に供する物」ということにつきましては、武器弾薬航空機、この三つしか例示ございません。ところが、その武器ということばも実は非常に広い概念でございますので、過去の百二十一条の適用例を見ますと、小銃につきましてその例がございます。それから待機しておりました航空機の足の安全関係の線を切りまして、T33という練習機に、乗って逃げようとした事件がございますが、これにつきましては、ほかの条項との併合罪でもってこれは適用されております。どの部分がこの百二十一条該当かということにつきましては具体的にございませんけれども、そのような例を考えますし、また立法の趣旨を考えますと、防衛の用に供せられるということは、具体的に防衛活動に供せられておる場合と、本来そのものの持っております性質上防衛の行動のために使用されるもの、この二つあろうかと思いますが、そこで私どもとしましては、たとえば通信線のごときものも、平時の演習場の通信線を、あるいは裁判所の御判示のようなこととなりましても、かりにこれが行動時の通信線ということになれば、これはまた別ではないかというような考え方も実はございます。その辺のところは今後私ども研究の対象になろうかと思いますが、いま具体的にそのほかのものとおっしゃいますと、たとえば電波関係の機材であるとか、あるいは通信機であるとか、距離測定関係の機材であるとか、ないしはたとえば被服のごときにいたしましても、高々度に飛び上がりまして行動しますジェットパイロットの被服というようなものは、これは当然特別のものでございますので、いわゆる一般の昔の歩兵が着ておりましたような被服とは違う。そういう意味では戦闘の用に供するものと、こういうことになろうかと思いますが、この辺につきましては、今後関係のところとも打ち合わせをいたしまして、具体的にどの程度のものがこれに該当するかということの解釈を確定したい、こう考えておる次第でございます。
  46. 猪俣浩三

    ○猪俣分科員 これは控訴なさらなかったので確定判決になっておりますが、判決ではその基準を示しておる。「その物自体の機能的な属性として、いわゆる防衛作用のうち、とくに、自衛隊法上予定されている自衛隊の実力行動に直接かつ高度の必要性と重要な意義を持つ物件であり、それだけ、現実の防衛行動に先だち、その機能を害する行為から守られていなければならない要求が大きく」これが第一点。「自衛隊の物的組織の一環を構成するものとして、いわば不可欠に近い枢要性をもつ物件であり、したがってこれに対する損壊行為は、自衛隊の本質的な構成をおびやかす面を持ち」これが二点。三点は「さらに、規模、構造等の関係で、ひとたび損壊行為がなされた場合にもたらされる影響が深刻なものとなる危険の大きい物件であり、同種の物件によって用法上の代替をはかることも容易でない等の特色を持つ。」こういうふうに三つの要件をあげているのですが、判決はすでにこういうことを提示されておる。これに対して検討なされたのかどうか。そうして、こういうことを参考にして何か具体的に検討なされたのかどうか。私は、これは緊急に防衛庁としてもやらなければならぬことじゃないかと思うのです。こういうことがひんぴんと起こらぬとも限らぬし、また国民から見ましても、自衛隊法違反と普通親告罪である損壊非と非常に違うわけでありまして、罪刑法定主義から見てもはなはだ不安定な規定だと思う。判決にすでにこういうふうに三つの要件をあげているのですが、これに対して防衛庁は、これは研究なされたのかどうか。そしてこういう基準に従って、いま具体的に検討なされているのかどうか。もう一ぺん返答していただきたいと思います。
  47. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま先生がおっしゃいました三つの要件につきましては、私ども承知いたしております。部内におきまして一応検討いたしましたが、何ぶんにもこれは今後のことに関係いたしますので、先ほど申しましたように十分に関係方面の意見等も伺いまして基準をきめたい、こういうことでございます。先ほど私、通信線のことを申しましたが、具体的な例を申しますと、昔のことばで申しますと、歩兵の一個中隊が活動しておる。これと本部との間の通信は有線のこともございますし、無線もございます。その他の連絡方法もございますが、たとえば有線の通信線が唯一の通信連絡手段であるというような場合の通信線と今回のような演習場の平時の通信線とは、先ほど申しました三つの要件との関連におきましても相当意味が違ってまいります。したがいまして、先般も裁判所の判事は——およそ通信線というものは全部これは該当しないということに解釈すべきなのか、ないしはいま申しましたように具体的な当該部隊の防衛、戦闘という目的に関連して考えていくべきか、その辺のところにも一つの大きな問題がございます。このことは、先ほど来同じことを繰り返して恐縮でございますが、関係方面とも十分打ち合わせをいたしまして、なるべく早く具体的な基準をつくりたい、こういうことで今後処置をしてまいりますので、御了承を得たいと思います。
  48. 猪俣浩三

    ○猪俣分科員 この恵庭判決に対して控訴権を放棄なされたことについて、法務省と防衛庁とは協議なされたのかなされないのか、それを承ります。
  49. 増田甲子七

    増田国務大臣 ここで私が猪俣委員の御質問に対してお答えいたしましたとおり、この問題につきましては、あげて検察当局の御判断にゆだねます、こういうことを申し上げましたが、法務大臣にもその趣旨を私が申しております。すなわち、検察当局の判断にゆだねます。終始一貫、文字どおり、そのとおりやっていただいたわけでございます。
  50. 猪俣浩三

    ○猪俣分科員 いま御答弁のような趣旨だとすると私もどはなはだ遺憾だと思うので、いま申しましたように非刑法定主役の確立から、防衛庁兵器防衛のためにも、あるいは国民の人権のためにもこれを控訴されて争われて、諸君の検討しているこの百二十一条の解釈をなぜ裁判所で確定しなかったのか。なぜ堂々と争って、裁判所にいろいろの資料を出し、いろいろ防衛庁の見解もこれまた法廷に持ち出して、そうして百二十一条のこの抽象的な規定を具体化するような努力をしないか。これは国民のためにも防衛庁のためにもなることだと思う。なぜそれをあいまいにしてしまったか。そうして防衛庁としても検察庁を督促して、上訴して、そうしてこの通信線などが百二十一条に該当しないものであるかどうかということに対してなぜもう少し争わないか。はなはだ私は奇怪に思うのです。そのことが結局法律の精神を明らかにすることである。そうしてこれはわが国の防衛のためにも、国民の権利のためにも重大なことなんだ。それを、最初器物損壊非で訴えたのをわざわざ自衛隊法に切りかえておきながら、これが憲法問題に発展してくるというと引っ込めてしまって、そうしてこれをうやむやにしてしまう。なぜ堂々と控訴して、憲法問題もそうだし、百二十一条の問題も争うようにしなかったのか。防衛庁の態度もはなはだぼくは、不可解なんです。そうしてあいまいのままにしておく。一体国民はどこに法の準拠を求めていいかわからぬじゃないですか。これは防衛庁だけ責めてもいかぬと思う。大体ぼくは法務省のやり方がわけがわからぬ。だけれども防衛庁としても、いやしくも防衛庁関係ある重大な問題じゃないですか。ある人に言わせれば、通信線なんというものは最も重大なものだという論拠ものるわけなんです。あなたのいまの説明を聞いても、場合によってはこれは百二十一条に該当するし、場合によっては該当しないという。それではまるで罪刑法定主義を破壊した解釈じゃないですか。その点はどういう見解なのか、もう一ぺん聞かしてください。
  51. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたは法務省がいろいろ検察当局を指揮すればよろしいとおっしゃいましたが、おそらく法務省自体も検察当局の国利、国益、国家を代表して行動する立場を尊重した、こういうふうに私は考えております。私ども防衛庁としても、もとよりそういう立場以上の立場はとり得ないわけであることは猪俣委員のよく御存じのとおりでございます。それから、これを上訴しなかったということはどういうことを意味するか、これはわれわれ政府あるいは国民すべて裁判を解釈するわけでございますが、あの恵庭判決というものは、武器弾薬航空機その他の防御の用に供する物件というものは制限的列挙である、広く解釈してはいけないというのが札幌地方裁判所の判決の内容でございます。いやしくも控訴しなかったからには、われわれではございません。検察当局が控訴しなかったからには、その制限的列挙であるという趣旨を体してこれからいくべきではないか。それが当然の防衛庁のとるべき態度である、こう考えておる次第でございます。
  52. 猪俣浩三

    ○猪俣分科員 そうすると、いまの政府委員の答弁のように、通信線でも、ある場合には百二十一条になるし、ある場合にはならぬというような解釈は非常に困る。そのときの場合、場合によって法律を適用したりしなかったり、罰則を適用したりしなかったり、それが困るというのです。だからそういうことのないように、もう少し防衛庁でも裁判を検討してやるべきである。なぜならば自衛隊法違反でもってこれは争ったのです。法務省の態度なり防衛庁の態度なり、はなはだ私どもは納得いたしかねる。奇怪なんです。ほかのことについては最高裁判所まで、どこまでも争うにかかわらず、これでは一審で——だから世人は全部、政府は逃げてしまった、憲法解釈を逃げてしまったと思っている。それが常識じゃないか。私もそう思うんだ。そうするとすでに憲法解釈について政府は自信がないのですよ。最高裁判所まで争う自信がないのじゃないかとぼくら考える。これは水かけ論になりますからよしておきます。  いま兵器をたくさんおつくりになるのでありまますが、これは国防のための兵器である。防衛のための兵器つくるのでありましょうが、一体防衛のための兵器というのと侵略のため、攻撃のための兵器というのとどういうところで区別されるのか。まさか侵略のための兵器というものはつくらぬわけでしょうと思いますが、どういうところに区別の基準があるのかお聞かせ願いたい。二兆何億も出していろいろな兵器をおつくりになるが、それが防衛のための兵器か、攻撃のための兵器か、一体どこで区別をなさるか、区別の基準を明らかにしていただきたい。
  53. 増田甲子七

    増田国務大臣 大体のことは私がお答え申し上げまして、政府委員をして後ほど補足させます。われわれの自衛隊というものは、防御のための自衛隊であり、またその範囲の兵器というものを備えております。その解釈は一体どこできまるのか、攻撃と防衛とはどの辺で違うか。すなわち総理も私もしばしば総括質問の際に繰り返して同じことを申し上げましたとおり、外国に脅威を与えない。通常兵器によって外国から、あるいは外国以外の諸団体もございましょうが、もろまろの団体が日本に侵略をしてきた場合に、その侵略を阻止し、これを排除する。この範囲の通常兵器をしかも通常兵器による侵略があった場合に、通常兵器による侵略を阻止し、これを排除する、こういう範囲のものしか備えていません。これが大体の私のあなたにお答えするカテゴリーでございます。
  54. 海原治

    ○海原政府委員 具体的にどういう兵器が攻撃的な兵器であり、防御的な兵器かということにつきましては、過去におきましてもたびたび御質問がございまして御説明しておりますが、兵器というものは、結局用いる目的、用途によってきまるということでございまして、たとえば、具体的な例としましては、高射砲というものは、入ってくる敵機を撃つものでございます。敵機を落とすということにおいては、その敵機に対しては攻撃的でございますけれども、高射砲は入ってくる敵機を落とすわけでございますから、全体としてはこれは防御的兵器である。高射砲で他国を攻撃するということはまず考えられません。したがいまして、具体的な兵器の性質、用途等によって決定すべきものであるというのが従来の政府側の答弁でございます。その際の例としまして、手ぬぐいはからだをふくものであるけれども、これによって殺人もできるのだということの御説明もあったかと記憶しておりますが、具体的に特定の兵器のそれ自体の性質から攻撃的なものあるいは防御的なもの、こう言うことはできにくいというのが従来の考え方でございます。
  55. 猪俣浩三

    ○猪俣分科員 これを一つ一つ具体的に私はお聞きしたいのですが、時間がありませんので省略いたしますが、ただ、かような抽象論では区別できないことは、これはこの前のときも申し上げたように、第一次世界大戦後の国際連盟で各国の学者が集まって攻撃用の兵器をやめようじゃないかというような申し合わせをした。ところがその区別がつかぬ。とうとう幾ら検討しても区別がつかぬということで、これは結論が出なかったんですよ。それをあなた方は簡単に、区別ができるようなことをおっしゃるから私は疑問なんだ。いま言われたように、高射砲なんというのははっきりしていますよ。爆撃機などどういうことになるのか、ジェット機などどういうことになるのか、一々具体的に言うたならば、これはなかなか容易じゃないんだ。  しかし、私は、いま私に許された時間がありませんから他日の宿題にいたしまして、この程度でやめておきます。
  56. 鈴木善幸

    鈴木主査 伊藤惣助丸君。
  57. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 初めに日米合同演習について大臣にお伺いいたします。  海上自衛隊が五月八日ごろから約一週間にわたって日本の海域や津軽海峡を舞台に大型空母一隻を含む米第七艦隊と大規模の合同対潜攻撃演習を行なう、このようなことが新聞に報道されましたが、事実であるか、どうかお伺いいたします。
  58. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤分科員にお答えいたします。  新聞等に掲載されておる事実は必ずしも的確ではございませんが、しかし、日米安保条約の趣旨に従いまして、従来から米国の軍隊とともに共同の演習をいたしておるのでございます。もう数回、年に一回以上必ず行なっておるわけでございます。
  59. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この演習の計画の大要についてお伺いします。
  60. 中井亮一

    ○中井政府委員 お答えいたします。  ただいま長官から申し上げましたように対潜特別訓練、毎年のように、昭和三十四年以来実施しておりますが、いずれも対潜空母を協力の相手側としてやっておりまして、本年の計画につきましてはまだ確定を見ておりません。しかし、昨年の規模とほぼ同様のものを実施する予定で計画は進められております。昨年行ないました米海軍の対潜空母を含みますわが自衛隊の対潜特別訓練は、七月の下旬から約一週間、横須賀を出まして、三陸沖、津軽海峡を経て、日本海の沿洋海域におきまして、日本側は護衛艦が五隻、対潜哨戒機若干、米国側は対潜空母の一隻と駆逐艦等の数隻が参加をして行なわれました。
  61. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 新聞の報道が正確かどうかはわかりませんが、大型空母は今回が初めてである、このようにいわれておりますが、その点についてお伺いします。
  62. 中井亮一

    ○中井政府委員 新聞に大型空母という記事がございますが、何をもって大型といっているのか私はわかりませんけれども、対潜空母は三万トン級の航空母艦でございまして、載せております飛行機は、対潜哨戒用の航空機とヘリコプターを載せている、そういう航空母艦でございます。
  63. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 これらの演台については、海上自衛隊からの申し入れなのか、あるいは米軍からの申し入れなのか。さらに、今回の演習のいきさつ、また大臣はその問題を知って許可したのかどうかという点についてお伺いします。
  64. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、日米安保条約に基づきまして毎年行なっておる訓練でございます。それからいま教育局長からも補足説明申し上げたとおり、別段従来と変わった大型空母が参加するわけではございません。従来とおりの空母か——対潜関係の空母か参加するだけでございます。
  65. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この日米合同演習終了後は、米第七艦隊は韓国と再び合同演習を行なう、このようなことが報道されております。私は現在の国際情勢、また極東情勢の緊迫しているおりから、この日本海及び韓国周辺の海域におけるこのような大規模な演習は、いたずらにソ連や中共を刺激するのではないか、そしてまた、それらの点を考慮して演習を行なっていくのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  66. 増田甲子七

    増田国務大臣 演習後韓国と行なうか云々ということは、私は存じないところでございます。  それからやはり毎年演習等をいたしまして、わが海上自衛隊の防衛能力をチェックしてまいりませんと、やはり自衛隊存在の意義が達成されない、国民のためにならない。外国に対して刺激等は、従来どおりの演習をしているにすぎませんから、与えていないというふうに私は考えます。
  67. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がございませんので、以上で合同演習については終わります。  私は、今回の第三次防衛力整備計画について、国民の立場から、いままでは各委員より数々の質問が出ておりますが、一部明快でない点、さらにまた、より明確に国民が知りたい点について質問してまいりたいと思います。  初めに、国際情勢、極東の軍事情勢をどのように把握して今回の三次防を決定されたか、その点について簡単にお願いしたいと思います。
  68. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんにお答えいたします。  国際情勢は、総括質問の際にも各委員にお答えいたしましたが、わが国の、平和と安全とを維持する見地から、マイナスの現象もあるし、プラスの現象もある。一般的に申して、最小限度の通常兵器による侵略に対処するだけの自衛力は持つべきである、日本という国が独立主権国家として持つべきである、こういう見地から第三次防衛計画を策定いたしました。  それから、普通二兆三千四百億位というと非常に膨大なように見えますけれども、三次防というときにいつも五カ年計画という字を使わないものですから、ほんとうは、正確に第三次防御五カ年——五カ年という字を必ず入れると、五で割ってみると、道路等に比べまして——道路は六兆六千億でございます。これは非常にけっこうなことだと私どもも思っておりますが、やはり五という字を特に入れてひとつ伊藤さんもPRを国民にしていただきたい、こうお願いする次第でございます。
  69. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 いま侵略に対してということでありますが、侵略には直接と間接がある。その直接、間接についての定義をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  70. 増田甲子七

    増田国務大臣 政府委員から補足させますが、直接は、御承知のとおり直接でございます。間接は、外国の一国または数国の使嗾、扇動によって国内に異動、内乱等が起きた場合、すなわち直接には向こうの正規軍等は日本に侵略してこないけれども、しかし必ず連絡があって、こちらに治安撹乱現象、国家の存立を危うくするような現象がおきた場合に間接侵略というふうに私は考えております。  なお、政府委員をして補足させます。
  71. 島田豊

    島田(豊)政府委員 直接侵略及び間接侵略の性格というものにつきましては、ただいま、一般的には長官からお答え申し上げたとおりだと思います。直接侵略と申しますのは、やはり外国からの正規兵力によりますところのわが国の領土、領海等に対する侵略、こういうふうに解されるわけで、間接侵略につきましては、単に国内の治安が非常に撹乱をされておるという状況だけではなくて、やはりこれに対しまして外国からのいろいろな教唆、扇動がある。それによって国内に大きな内乱、騒擾というふうな事態が発生をする、そういうものが間接侵略ということであろうと思いますが、具体的に侵略があります様相というものは、これはおそらく千差万別であろうと思うのでございまして、いきなり直接侵略ということはなかなか考えにくい、むしろやはり間接侵略的な様相から直接侵略が生起する、こういう様相を呈するのが一般的ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  72. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 その間接侵略についてもう少しこまかく聞きたいと思うのです。その点お願いします。
  73. 島田豊

    島田(豊)政府委員 間接侵略についての定義というものは、必ずしも明確ではございませんが、  一応の政府の解釈としまして、一国または二国以上の教唆あるいは干渉によって生ずる国内における暴動、内乱、騒擾、こういうふうなものを間接侵略の事態と、こういうふうにいうということになっておるわけでございまして、その具体的な様相というものは、これはいろんな様相が考えられます。一つの様相というわけにはまいらないというふうに考えるわけでございます。
  74. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 過去にそのような侵略があったかどうかということについて、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  75. 島田豊

    島田(豊)政府委員 過去といいますのは、戦前戦後を通じまして、わが国に対する侵略があったかどうかということでございますが、本土に対す直接の侵攻がなかったことは、御承知のとおりでございますけれども、航空部隊によりますところのわが国に対する攻撃というものは、これはもう御承知のとおりあったわけでございます。  それからただいま申しましたような間接侵略、私が申しましたような意味での間接侵略というものが過去にあったかどうかということについては、これはなかったというふうに申し上げられると思います。
  76. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がありませんので、次ぎに進みます。  今回の、二次防終了年度であります昭和四十六年度には、陸海空の防衛能力はどのくらいになるのか、また二次防と比較してどのくらいになるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  77. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三次防の性格は、一次防、二次防に続きまして、三十二年度に閣議決定しております国防の基本方針に基づきまして整備をしてまいるわけでございますが、三次防のねらいといたしますところは、二次防末、つまり四十一年度末におきますところの現在の勢力というものを基盤といたしまして、通常兵器によるところの局地戦以下の侵略に対処し得る防御力を整備するということを目標にいたしまして、三次防としては、これを漸進的に整備するということでございます。その際に、先ほど申しましたように、現在の勢力というものを基盤といたしまして、できるだけ三自衛隊の内容の充実をはかっていく、また隊員の士気を高揚しまして、できるだけ精鋭な部隊の建設につとめていくということでございます。三次防の装備の内容は、たまたま三次防というものが、一次防以来アメリカから供与を受けました装備品が非常に老朽化してくる段階でございまして、それに対する更新というものをやる時期になっておるわけでございまして、そういう更新にあたりましてのいろいろな近代化をはかると同時に、一面わが国の周辺海域の防衛あるいは防空あるいは陸上におきますところの各種の機動力の増強というふうな点に一つの柱と申しますか、重点を置きまして、整備してまいるつもりでございますが、これによりまして自衛隊の力というものが特に著しく増強されるということは、なかなか期待できないわけでございますけれども装備の更新に伴いまして、それを質的に改善をしていく、質的な近代化をはかっていく、また一部機能につきましては、従来なかったものを強化するということによりまして、ある程度のわが国の自衛力というものがここで整備をされる、こういうふうになるものだと考えております。
  78. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 わが国の経済情勢、さらに予算の中で防衛費のワクはどの斜度が適当であると判断しているか、それをお伺いしたいと思います。
  79. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは、防衛庁として、財務当局あるいは政府全体に対する要望というようなものは、こういうものさしでやっていただきたいという希望はありますけれども、いまのところ二兆三千四百億、それからし下の幅を二百五十億と見る、これが最も適当である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  80. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 四十六年度の割合はどの程度になるか、それもまたお伺いしたいと思います。最終年度です。
  81. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほども八木委員にお答えいたしましたが、大体において二兆三千四百億、それからプラスマイナス二百五十億ということでございまするが、物価等の状況にかんがみまして、二百五十億というのはおそらく、これは私の推察でございまするが、プラスになりはせぬか。そうすると二兆三千六百億といたしまして、一年の平均は四十六百億ないし七百億でございます。そこで最終年度は、つまり三年度辺が、ベースアップは別でございますが、四千六百億ないし七百億でございまするが、四年日くらいは五千億近くになり、それから四十六年度予算は五千億をオーバーする。それにベースアップのプラスがございます。そういうふうに与えておる次第でございます。
  82. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 国民所得の何%ぐらいになるのか、それをお伺いしたいと思います。
  83. 増田甲子七

    増田国務大臣 国民所得は五カ年を、いまのところ経済社会発展計画から見ますと、二百二兆円と見ておりまするが、おそらく二百二十兆円くらいになりはせぬかということを専門家は言っております、そこで、二百二兆円から見まして一・三%であろう、こうは考えております。
  84. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 それが妥当である、そのように判断している根拠をお聞かせ願いたいと思います。
  85. 増田甲子七

    増田国務大臣 国によって違いまするが、GNPが世界第三番目とかあるいは第四番目という日本の国でございます。中国のGNPの倍もあるという国でございます。そういう国柄からいたしまして——アメリカ防衛費か八%、九%でございます、GNPなりあるいは国民所得から見れば、もっと多いわけでございまするが、そういうわけでございまして、あるいはソビエト・ロシアその他ずっとこう見てまいりますと、先般石橋委員が御指摘のとおり、日本はGNPなり国民所得から見れば、世界で三、四番目というところにきておりまするが、十二番目くらいの国防費を計上しておるわけでございまして、これは公債を発行したり、いろいろして、これはもちろん建設公債でございまするが、そういうような財政も非常に苦しいわけでございまして、まずまず——各国の非難めいたことばもございます。日本防衛費をろくに計上しないで、そのかわり経済の発展は飛躍的であるといったような多少ねたんだような意味の発言も、諸外国の指導者が日本に対してしておることは、伊藤委員の御存じのとおりでございまするが、われわれは財政経済その他の見地から見まして、この二兆三千四百億ないし六百億円、すなわち、五カ年間の国民所得総額から見まして一・三%というところが最も適当である、こう考えておる次第でございます。
  86. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 外国の例を伺いましたが、外国の場合は、これは軍隊なんです。わが国はあくまでも自衛力としての戦力であるという、いわゆる外国との比較についてはこれはおかしい、私はそのように思います。  次に、防衛力の限界は何年度をもって終わるとか、またいわゆる三次防あるいは四次防、五次防と続くのか、そういう一つのめどをお聞かせ願いたいと思います。
  87. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛隊をいつまで持つかという問題に伊藤君の御質問は関連してくるのではないかと思っております。そこで、将来、永久の先のことは申し上げかねますが、ここ十数年くらいは世界全体の軍縮があるとか、あるいは軍備の廃止が行なわれるというようなことは、われわれの最も歓迎するところでございまするが、当分の間はやはり三次防の五カ年計画昭和四十六年度に終わったならば、昭和四十七年から四次防がある。おそらくそれは五カ年計画でございます。その次は五次防がある。しかしながら、その範囲は、ただいま申し上げました一・三%以上は出ないということで、おそらく将来の政府もやっていくのではないかと私は考えております。
  88. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 十五、六年ぐらいが大体めどだということを聞きましたが、次に、この三次防とさらに在日米軍との関係については、どのように移行するのか、ちょっとその点を伺いたいと思います。
  89. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三次防の計画を立案いたします過程におきましては、当然いろいろな見積もりをやるわけでございます。したがいまして、わが国としても日米安全保障体制を基調として、わが国みずからも有効な防衛力を整備していく、こういうことでございますので、米国との協力関係につきましては、平素からいろいろ連絡をいたし、相互に情報等も交換をいたしておるわけでございますが、この計画の中で、日本として米軍というものに有事におきましてどういうものを期待するかということについては、その辺のこまかい詰めというものは実はございません。したがいまして、防衛力整備計画を立案します場合には、そういう点につきましては、自衛隊として持っております情報等から一つの推定を行ないまして、有事におきましてはこの程度のものを期待できるのではないかというふうな推定を行ないますけれども、それが直接この三次防の立案の過程において計算上出てまいるというふうなことはないわけでございます。ただ、わが国としては、みずからも有効な防衛力を整備するということでございますので、できるだけ自主的な防衛力を整備していくという方針で、しかしながら、わが国の自衛力だけですべての事態に対処できるということでございませんので、それは米国との安全保障体制によって国の安全をはかっていく、こういう方針でございます。
  90. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 最近の在日米軍はふえているのか減っているのか、お伺いしたいと思います。
  91. 島田豊

    島田(豊)政府委員 米軍は、最初に進駐しました当時から逐次減ってまいっておりまして、現在の在日米軍の兵力というものは多少減少という傾向にあるかと思いますが、そう著しい変更はございません。
  92. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 二次防の初年度と今度の三次防の初年度である現在と比較しまして、米軍は減っているかふえているか、その点お伺いします。
  93. 島田豊

    島田(豊)政府委員 具体的な数字を持っておりませんけれども、陸上部隊につきましては多少減っておるというふうに記帳いたしております。空軍につきましては、御承知のとおりに板付におりました航空部隊が撤退いたしまして、三沢あるいは横田に配置をされておりまして、その限りにおいては移動があったわけでございますが、いま兵力の推移を申し上げますと、三十七年度、つまり二次防の発足の年でございますけれども、この二月が陸海空入れまして四万五千名、ことしの、四十二年の一月が三万六千四百名ということでございますので、当時から見ますと兵力としては減少いたしております。
  94. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 いわゆる日本防衛力が増強されて米軍の勢力が減少していくということは、だんだんに自主防衛の方向にあると解釈してもよろしいでしょうか、その点見解をお願いいたします。
  95. 増田甲子七

    増田国務大臣 そう解釈してくだすってけっこうでございます。日本はやはり誇りある自主独立主権国家でありますから、自主防衛の線をだんだん発展さしてまいる、これが日米安保条約の条項にもかなっておるわけでございます。
  96. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 そうしますと三次防は自主防衛体制の一歩前進である、そのような整備計画である、そのようにいま考えられるわけでありますが、そうなりますと、安保条約との関連についてどのような見解、また態度で臨むかということについてお伺いしたいと思います。
  97. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤君にお答えいたします。  安保条約第三条に日米相互は自分の国の国情、国勢に応じてそれぞれの防衛力の発展をはからなければならないと、こう書いてございますのでございまして、その趣旨に沿うておるわけでございます。
  98. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 ここで安保の長期固定化または自動延長という問題がありますが、しかし自主防衛への前進であるというふうに考えていくならば、自衛の範囲を当然越える可能性がある。そうなるといわゆる防衛の範囲を越えるのではないかという点についていろいろ問題があるのではないかと思うのです。その点の見解についてまたお願いします。
  99. 増田甲子七

    増田国務大臣 三次防の最終年度昭和四十六年度のことを予想して考えてみまして、決して防衛の限度を越えるとは考えておりません。
  100. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この問題についてはいろいろまたありますから、次の内閣委員会で質問したいと思います。  さらに三次跡におきましては兵器装備が近代化されていくわけでございますが、それに並行する隊員の処遇の問題を考えているかどうか、お伺いしたいと思います。
  101. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほどベースアップの場合は二兆三千四百億のワク外であるということを申し上げましたが、この給与のことはもとより、その他の点につきましても種々勤務条件のことにつきまして、人事院の所管でないためによけいに私は配慮しなければならぬ、こう考えて配慮いたしておる次第でございます。
  102. 鈴木善幸

    鈴木主査 伊藤君に申し上げます。お約束の時間も過ぎましたので、結論をお急ぎ願います。
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 私は、今回の三次防の問題につきましては、兵器の近代化よりも隊員の処遇、特に福利厚生、事故等の補償に対しての改善をすみやかに促進することが非常に重要である、このように考えております。  時間がまいりましたので、以上をもって質問を終わりたいと思います。
  104. 鈴木善幸

  105. 松本善明

    松本(善)分科員 いま自衛隊が一体軍隊なのかどうか、自衛隊のやっていることが憲法違反ではないかという議論が方々で起こっているわけです。あらためてこの際にはっきりと防衛庁長官にお聞きしておきたいと思います。  憲法九条は、明文で陸海空軍その他の戦力は一切これを保持しないというふうに規定をしております。政府もかつて統一見解で、憲法九条二項は、侵略の目的たると自衛の目的たるとを問わず、戦力の保持を禁止をしている、こういう見解を発表したわけであります。いまでもこのとおりであるか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  106. 増田甲子七

    増田国務大臣 松本君にお答えいたします。現在でもそのとおりでございます。
  107. 松本善明

    松本(善)分科員 ところが最近の政府の答弁では、平気で戦力とか、自衛隊は戦力であるとか、あるいは軍隊であるとかいうことを答弁をしておる。たとえば三月二十八日の予算委員会で、猪俣委員から、いままでの政府答弁によれば自衛のための戦力、戦争は認めるんだという解釈なのかというような質問があった。それに対して佐藤首相は、そのとおりなんだ、自衛のためであれば戦力や戦争を持てるんだ、こういう趣旨の答弁をしているのであります。これについてはどう考えられますか。
  108. 増田甲子七

    増田国務大臣 松本君もよくおわかりのとおり、使いにくいことばがたくさんあるわけでございます。そこで、もちろん総理のおっしゃることも防衛力という意味を前提としておりますし、それから、予算委員の諸君との、話し合いの際もそういう大前提があるのである。たとえば戦争をする、こういうようなことを申しましても、それは防衛のための戦争というようなことでございまして、絶対に前提として防衛という字がつくわけでございます。ですから、軍隊というような字が使われたり、あるいは戦力という字が使われても、それは相互に使っております。あなたのほうでも——あなた方と言ったほうが正確でしょうが、あなた方のほうでもときどき戦力とおっしゃったり軍の機密などということばをおっしゃったり、あるいは軍隊とおっしゃったりしますけれども、これは正確な意味におきましては軍隊とは言わない。正確な意味においては防衛という範囲において外国のあるいは諸団体の急迫不正なる侵略を阻止し、排除する実力、こういう前提に、憲法論になってくるとなってくるのでございまして、それがときどき、便利なものだからいろいろなことばを使いますけれども、その点は、松本君も法律家でございますし、御了恕を願って、そうでないとお互いに話がしにくい場合が多々あるのでございます。大前提は必ずそういうことでございます。
  109. 松本善明

    松本(善)分科員 防衛庁長官はいまも防衛のための戦争ということを言われたわけです。防衛のための戦争は認められているという、こういうお考えですか。
  110. 増田甲子七

    増田国務大臣 正確にいえば、防衛のための実力排除の行動でございます。
  111. 松本善明

    松本(善)分科員 しかしいま防衛庁長官が言われたように、このことばは、戦争、軍隊というようなことは方々で使っております。たとえば首相も使うし、それからあなたも使われるし、それから法制局長官も言われる。これは実際上あなた自身、私がその問題についてお尋ねをしている最中に、防衛のための戦争はできるんだということを言っているのですがね。そういうことでは、これはもう実際上政府も、自衛隊は軍隊だ、それから防衛のための戦争はできるんだ、こういう立場に変わってきているということの証拠ではありませんか。
  112. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま私はあなたに話し合いをして、対話をして、御了解を得るためにお答えしているのでございまして、たとえば防御のための戦争というようなことばが使われようとも云々と、こう言ったのでございまして、防御のための戦争はなし得るのだということは、いまこの機会において言ったわけではございませんから、これは速記録をお調べください。そういうような各般のことばが、戦争とかあるいに軍隊とかあるいに戦力とかいうことばが使われようとも、それはことばの便宜上そんなことばを使うのであって、正確にいえば、必ず防衛のための自衛力であるし、防衛のための実力行動である、こういうことでございます。
  113. 松本善明

    松本(善)分科員 問題は、政府が正確にいえばこうだというふうに答えるかどうかということではないのです。実際上自衛隊が軍隊なのかどうか、もうそうなっているのかどうか。政府の考えではいわゆる戦争をもう認めているのかどうかということが重大な問題なんです。ことばの使いようではどんどん戦争と言い、軍隊と言う、そうして実際上もその実体を備えてきている、こういうようなことをことばの使い方の問題だということで、憲法違反でないということで、一体それで国民に対して責任のある答弁ということができるかどうか。防衛庁長官も法律家でありましょう。問題は軍隊かどうかということです。はっきりお答えいただきたいと思います。
  114. 増田甲子七

    増田国務大臣 はっきりお答えいたします。すなわち、急迫不正なる侵略を阻止し、これを排除する、自衛隊が万一の場合には自衛隊法七十六条に基づいて防衛出動をいたしまして、そして実力行使をする、こういうことでございます。その点を便宜上いろいろ言っておるけれども、その便宜上いろいろなことばを使いたくないということで私は松本さんにお答えしておるのですから、松本さんも同じ法律家として御了解を願って、お互いの話のやりとりをし、対話をしていただきたい、こういうことでございます。
  115. 松本善明

    松本(善)分科員 それは簡単に了承できないのですよ。といいますのは、使いたくないということを言いながら、そのすぐそばからどんどん軍隊と言い、戦争と言っているのです。予算委員会でも佐藤首相が、私は使いたくない、今後使いません、こう答弁しました。そのあとすぐに、軍の機密と言っているのです。軍需産業と言っているのです。三木外務大臣も軍備と言っているのです。あなたも軍の機密と言っているのです。いまもそうです。使いたくない、使いたくないと言いながら、実際には軍隊であり、それから戦争をやるということを認めているではないですか。これは話し合いの場ではないのです。国民に対して、一体この自衛隊は軍隊なのかどうか、政府は戦争を認めているのかどうか、こういうことが重大な問題だから聞かれているわけです。それに対してはっきりと、ことばの問題、使い方を間違ったとかいうことではなくて、はっきりと軍隊なのかどうか、戦争なのかどうか、いままでそういうことを言ったのは全部間違いなのかどうか、それをはっきり答えていただきたい。
  116. 増田甲子七

    増田国務大臣 はっきりと申します。軍隊ではございません。それから防衛のためにわれわれが行動する場合には、実力行動でございます。こういうようなことを、総理大臣や各国務大臣がいろいろなことばをまだ使いなれない点がございましょうけれども、お含みの上御了解願いたい。あくまで正確に言えば防御のための行動であるし、また戦力ではございませんし、軍隊ではございません。この際、各国務大臣の分も明確に御答弁申し上げておきます。
  117. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、そういうことを言った、そういう答弁は全部間違いだった、ことばとしては、正確でない、間違いであった、こういうことですね。
  118. 増田甲子七

    増田国務大臣 正確に言えば、松本君のおっしゃるとおりでございます。
  119. 松本善明

    松本(善)分科員 そういうような国民をごまかすような、実際には軍隊であるということを認めておきながら、そうしてだれもがいまそう思っています。自衛隊は軍隊だと思っています。そうして戦争を認めていると思っています。それでいながら、国会の答弁だけそれは戦争とは言わないのだ、軍隊とは言わないのだということで国民に対して一体責任がとれると思われるかどうか。これは防衛庁長官は国民の安全に対して重大な責任を持っている。憲法の平和条項について、これを守るということについて重大な責任を持っている。それであなたは責任をとられると思うかどうか、それをもう一度聞きたいと思います。
  120. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛隊を設置し、これを訓練し、一たん緩急あるときは国家、国民を守るために——一たん緩急と言ったって別に恥ずかしいことはない。つまり侵略を受けたときはこれを阻止し、これを排除するための実力行動、これをとることはわれわれの国民に期待されておるところである、堂々とやるべきである、こう考えております。
  121. 松本善明

    松本(善)分科員 それではとうてい納得できませんけれども、次のことを聞きます。  今国会の本会議で、わが党の川上議員がブルラン作戦について質問いたしました。それについて佐藤首相、それから防衛庁長官もこれは関知しないということを言われたわけでありますけれども、その後調査をされましたかどうか。
  122. 増田甲子七

    増田国務大臣 部下にも聞いてみましたが、全然知らないということでございます。私もその後調査をいたしましたが、結局本会議においてお答え申し上げました総理大臣の関知せず、また防衛庁長官増田甲子七も関知せずということは、今日まで同様でございます。
  123. 松本善明

    松本(善)分科員 関知しないということと、それからないということとは違うと考えております。どうでしょうか。
  124. 増田甲子七

    増田国務大臣 あの時点では知らないということでございましたが、今日、ずっと調べてみましたけれども、存在いたしておりません。ブルラン作戦という計画は存在いたしておりません。
  125. 松本善明

    松本(善)分科員 それではもっと正確に聞きましょう。  防衛庁のつくった計画番号の六番、オペレーションナンバーの六という、そういう計画がないと言い切るのかどうか。すでに幾つも週刊誌に載っております。その内容が出ております。それから、それについて防衛庁の機関誌も何か抗議をしたようですけれども、その中でもないということは一言も言っていない。それをいまになってないというふうにはっきり言い切るのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  126. 島田豊

    島田(豊)政府委員 御指摘のような文書は全くございません。
  127. 松本善明

    松本(善)分科員 それでは三矢作戦以後、アメリカとの共同作戦の計画はありませんですか。
  128. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三矢計画自体、これは自衛隊の制服組が幕僚研究としてやったものでございます。  それから、米国との間に作戦計画というふうなものはございません。  以上でございます。
  129. 松本善明

    松本(善)分科員 フライングドラゴン作戦はあることを認めていませんか。
  130. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これはもちろん、日米間におきましては、安全保障体制のもとにおきまして、有事においては共同してわが国を防衛するというたてまえでございますので、両者の間におきましては絶えず意思の疎通をはかりますし、いろいろ意見の交換をやりますけれども、具体的な両者間の作戦計画というものはございません。  フライングドラゴンというものにつきましては、いろいろ幕僚が相互間で意見の交換等をやります場合の一つのメモとしてのものでございまして、これは決して作戦計画というふうなものではないのでございます。
  131. 松本善明

    松本(善)分科員 そうすると、アメリカとの関係では一切そういう計画はないというのですか。
  132. 島田豊

    島田(豊)政府委員 日米間の作戦計画というものはございません。
  133. 松本善明

    松本(善)分科員 それでは、いま伊藤惣助丸委員も聞かれたけれども、日米合同演習をやっているでしょう。これは一体どういう計画なんですか。そういうものは計画なしにやるのですか。
  134. 島田豊

    島田(豊)政府委員 日米間の演習につきましては、相互に打ち合わせをやりまして、一つ計画を立てて演習を実施するということでございます。
  135. 松本善明

    松本(善)分科員 計画はあるじゃないですか。
  136. 島田豊

    島田(豊)政府委員 私が申しましたのは、具体的な作戦計画はございませんと申し上げたわけでございます。
  137. 松本善明

    松本(善)分科員 これはそういうようなことばのやりとりではないですよ。あなたの言われたような日米合同演習というような、そういう計画です。そういう計画が三矢作戦以後一切ないというのかということです。
  138. 増田甲子七

    増田国務大臣 作戦という字を、戦という字を使ってまたしかられるかもしれませんが、ほかのことばがあったならば、あなたのほうでオペレーション計画という英語を使ってもいいというふうに言ってもらえば私は使いますが、要するに日米作戦計画というものはございません。それから、合同演習等はいたしておりますが、そのときどきの打ち合わせによってやっておるのでございまして、そういう各論的なものまでも作戦計画と言えというならば、それはそのときのものはありましょう。一般的に日米安全保障体制のもとにおける防衛のための作戦計画というものは、日米共同のものはないのでございます。ないのでございます。
  139. 松本善明

    松本(善)分科員 そんなことが軍事常識として通用しますか、どう思いますか。それで防衛庁長官つとまりますか。そういうことは一切なし、アメリカと自衛隊との関係での計画というのは一切ないのだ、いわゆる総論的な大きな計画というものはないのだということで、つとまりますか。
  140. 増田甲子七

    増田国務大臣 一切ございません。
  141. 松本善明

    松本(善)分科員 それではお聞きしますが、三矢作戦のときはどうだったのですか。
  142. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三矢作戦、三矢計画といいますのは、これは幕僚が、いわば職能の訓練と申しますか、研究をやったわけでございまして、その場合におきましては、これは当然日米が協力をしてある事態に対処するということを想定いたすわけでございますので、それに関連したいろいろな研究をやっておりますけれども、何もそういう具体的な作戦計画があるわけでもないし、また、その作戦計画の各論をあの三矢研究でやったというものではないのでございます。
  143. 松本善明

    松本(善)分科員 そういうことでは、だれも納得しないと思いますよ。先ほど伊藤委員の聞かれた日米の合同演習、これと同じようなことが、私たちの知っているブルラン作戦では書いてあります。たとえば、対馬海峡の封鎖は、日本海の本土周辺の外側を警備するアメリカの艦隊が担当する。対馬海峡の封鎖は、空母を主力とするアメリカの第七艦隊指揮下の機動部隊が当たる。今度の演習も空母が入るわけですね。そうして、日本本土は不沈空母として、アメリカの兵員、物資の補給、集積基地、それから修理、休養の基地としての役割りを果たす。本州から沖繩、本州から韓国への海上輸送は日本が当たり、日米共同でこれを防衛するというようなことがあります。それと、私たちが手に入れていると同じようなことが、すでに現実に日米合同演習として五月にやられようとしている。あなたはそれでも、はっきり実際にこういうふうになっておっても、国民をだますことができると思いますか。
  144. 島田豊

    島田(豊)政府委員 先ほど伊藤委員の御質問に対して、教育局長から御説明申し上げましたとおりに、この日米の合同演習というものは、これは毎年それぞれの計画に基づきまして実施しておるわけでございまして、それとただいまのブルラン作戦とを一つの、何といいますか、結びけつをされておるわけでございますけれども、これは片一方は全然そういう事実がないわけでございますので、ただ合同演習をやっておる、それといろいろな材料とをそこで結び合わせて、一つのイメージといいますか、姿を描き出したものがおそらく記事になったものだというふうに考えるわけでございまして、全く現実にはそういうことはないのでございます。
  145. 松本善明

    松本(善)分科員 合同演習の話が出たのでちょっと聞いておきますが、この問題については、先ほど防衛庁長官は、これは外国を刺激することはないという答弁をされたけれども、四月の八日の東京新聞の記事によれば、防衛庁筋でも、防衛庁でも、ソ連、北朝鮮は神経をとがらせ、対日監視を強化するだろうという趣旨の報道をしております。また、常識で考えても、これだけの大規模な演習をやった場合に、それに外国が脅威を感ずるであろうということは明白じゃないかと思う。防衛庁長官どう考えられますか。
  146. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛庁筋が云々ということは、私はないと思います。それから、従来そういう演習はしばしばやっておるのでございまして、従来の規模以上のものではないのでございます。この際その点を明瞭にしておきます。たとえば大型空母云々とございますが、対潜関係の空母でございまして、三万トン級というものは決して大型ではございませんし、従来も日米合同演習というのは安保条約に基づいてしばしばやっておりまするし、また、やらなくてはならぬことでございます。今回やるかもしれない合同演習の規模というものも、おそらく従来以上を出ていない。したがいまして、防衛庁筋云々ということは、防衛庁としては迷惑でございます。新聞が書かれることはごかってでございますが、防衛庁筋が、おまけに、北鮮やソ連を刺激するであろうなんということは、おっしゃることはありません。
  147. 松本善明

    松本(善)分科員 防衛庁長官、そう言われるけれども、演習のたびにソ連は大型爆撃機を出して監視をしております。また、アメリカの飛行機が日本海域に入ると、ソ連の艦艇はこれを監視しております。御存じでしょう。それでも、全然刺激しない、いままでの作戦は何ら外国に影響を与えない、こういうふう言い切られますか。
  148. 増田甲子七

    増田国務大臣 要するにハイウォーターの上でやっていることでございまするから、外国の飛行機がこれを見にくることや、船が見にきたって、ごかってでございます。自由でございます。
  149. 松本善明

    松本(善)分科員 そういうことでは通用しないですよ。  それからもう一つお聞きしますが、私たちの手に入っているブルラン作戦の内容によれば、いざという場合の本土の防衛ルートというようなものをきちっときめております。その道路は、これからつくられる道路計画、それとぴったりと符合しております。こういうことを言われても、防衛庁長官はこれはしらを切っておられますか。こういうことは全く架空のことだと言っておられますか、どうですか。
  150. 増田甲子七

    増田国務大臣 そのブルランというのを全然知らないのですから、どうも答弁能力がないわけでございます。  それから、日本の道路というものは、産業、経済、交通関係の道路でございまして、決して防衛関係を眼中に入れた道路ではない。むしろこれは建設大臣からお答えしなくちゃならぬことでございまするが、建設省の分も買ってお答えいたしますが、決して防衛関係云々ということはございません。いま産業、経済、交通の関係から申しても、日本にはほとんど道路らしい道路はないのでして、そこで道路五カ年計画の六兆六千億を、私は先ほども防衛庁長官でありながら大いに支持しておりまするが、これは産業、経済、交通の動脈としていま行き詰まって困っていらっしゃるのですから、これは松本君だって困っていらっしゃると思うのです。これはそのためにまず道路らしい道路をつくろうかというところなんです。
  151. 松本善明

    松本(善)分科員 防衛庁長官、いま道路については全く関係ないと言われたけれども防衛庁が道路建設について意見書を出していませんか。
  152. 島田豊

    島田(豊)政府委員 私の承知しております限りにおきましては、そういう照会もございませんし、それに対する回答もしてないと思います。
  153. 松本善明

    松本(善)分科員 私たちは、いつまでも防衛庁長官政府がこの問題について知らぬ存ぜぬ、ないということで最後まで突っぱれるものでは絶対にないと思う。三矢作戦のときも、フライングドラゴン作戦のときもそうであった。みんな初めは、知りません、ありませんというようなことを言って、最後は認めたではありませんか。私たちは必ずそういう時期がくるということをはっきり言って、質問を終わります。
  154. 鈴木善幸

  155. 玉置一徳

    玉置分科員 私は、国防につきまして国民の皆さんが不安に思っていること、あるいは明らかにしてもらいたいと思っておる問題について、防衛庁長官並びに政府委員の各位から率直な御意見をいただきたいと、こう思うのです。  そこで、いまもいろいろお話がありましたが、戦力なき軍隊から今日まで発展してきたわけでありまして、国民の皆さんも、私のほうの党もそうでありますが、最小限の自衛措置というものはほぼ必要であるという認識も大方にしみわたっておるんじゃないかということも言えると思うんです。こういう意味で、何しろ二兆三千億円という金を使うわけでありますから、これが有効に使われるかどうかということは、国会の大きな関心事でなければならない、こう思いますし、一体どのような国防計画をもって第三次防のあとには第四次防、第五次防というものができてくるのか、青写真はどこなんかというようなことも論議をされなければならないときじゃないだろうか、こう思うのです。そこで、いままでの国会論議を見ておりますと、大体、「三矢作戦の計画があるか」「絶対にございません」「何やら作戦があるか」「絶対にございません」、国会の予算審議がスムーズにいくことをこれつとめてきょうまできたわけであります。自民党の先生方はほとんど質問をされません。こういうことで、防衛庁だから防衛ばかりをやってきて、国民にほんとうの全貌を知らす機会があるいはなかったんじゃないか、こういう観点からひとつ聞いてみたいと思うのです。  国民がまず一番心配いたしておりますのは、いまの自民党の政府の総理が国防会議の議長をされております。閣僚が全部その議員をされております。この形でいけば、出動その他の問題についても国会があるいはチェックすることができるんじゃないかとも思いますけれども、非常不安である。しかも国防会議は、御承知のとおり、調達庁や何やらと一緒のようなところへ、防衛庁設置法の中に入っておるというところにも問題があるのじゃないか、こう思うのです。大きな基本計画の国防の問題が、国防会議という一番重要な事項が、防衛庁設置法の中に規定されておって、閣僚が議員であり、議長は自民党政府の総理である、そのままですべてのことが国民に明らかにされないところに、防衛という問題をもう一度国民のみんなが考えるということがないんじゃないだろうかというのが、私の考え方、感じ方なんです。こういう意味で、シビリアンコントロールということがやはり国民の一番関心事であります。いまのような、防衛庁予算の素案をこしらえられて、それを大蔵省が財政的見地でチェックして、総理大臣が、国防会議の議長というか、総理大臣という立場で政治的に、二百百五十億どちらでもいいというような形のものが整うのがいまのやり方でありますが、日本の国防というものは、もっと大きな財政的な、経済的な、社会的な見地に立って常時そういうものが研究され尽くして、そのもとに防衛庁なりあるいは大蔵省がその大基本方針のもとに査定されていかなければならないんじゃないだろうかという感じがするのですが、その国防会議のあり方、これについて長官の御所見を伺いたいのです。
  156. 増田甲子七

    増田国務大臣 玉置さんの御質問にお答えいたします。  自衛隊は最小限度国家国民を守るために必要であるというお説に対しましては、深く敬意と謝意とを表する次第でございます。全国民がそうなっていただきたいということをこの機会に申し上げます。  それから、われわれのお答えも、知らぬ、存ぜぬ、あらぬというようなことばかりではないのでございまして、いつも総理も私も、自衛隊というものは通常兵器による局地戦争的の侵略が日本に行なわれんとする場合にこれを阻止し、行なわれた場合にこれを排除する、そのための自衛力は必要でございます、その自衛力を設置し、これを訓練し、そうして有事に備えておるのでございますということを申し上げておりまするが、この機会に、玉置君の御質問に対して、さらに繰り返して国民にお訴えをし、御理解を求める意味におきまして繰り返す次第でございます。  それから玉置君の御質問は、おそらく国防会議というものをアメリカの国家安全保障会議のように独立法でつくったらいいじゃないかということじゃないかと思います。いまは防衛庁設置法の中に書かれてございまするが、国防会議というものは非常に重要でございまするから、ことに防衛出動なりその他のことについても相当の諮問機関として働かなくてはならぬ場合があると思います。お説は非常に有益なるお説であるというふうに承っておきます。  それから、先ほど答える機会がございませんでしたから申し上げますが、日米安全保障条約に基づきまして日米安全保障協議委員会というものが持たれておるわけでございまして、太平洋軍司令官と、それから在日のアメリカの全権大使と、外務大臣と防衛庁長官のこの四人が、一年に一回ないし二回は協議をいたしております。全体に対しての日米共同の作戦計画というものはないことは、これは事実でございますが、打ち合わせということは必要でございまして、条約に基づいて打ち合わせはいたしておる次第でございます。
  157. 玉置一徳

    玉置分科員 私が国防会議防衛庁設置法の中に入っておるのは誤りじゃないかと申し上げたのは、いわゆるシビリアンコントロールというものを、暴走を排除するということのために、国民としては非常に心配だから、もう一つ、しかも、一体どういう国防計画をつくっておるのか、いままでもややともすれば秘密裏に、あまり国民に知らされないところに、もうひとつ国防というものに対する考え方が普及しないんじゃないかという感じがするから申し上げたわけです。  まあよく承っておくというお話でありますが、その次は、局地戦に在来兵器でもってあれをすると書いてあります。国防計画というものですが、国民は、二次防、三次防、もちろん兵器の進歩に伴いまして自衛ということも金のかかることも事実でありますけれども、大体日米共同防衛の中にあって日本を守る、直接侵略、間接侵略に対して日本を守るということになっておるわけですから、その他の応援はアメリカに求めるんだ、大体一カ月ないし二カ月くらいしかすべてのものが準備されておらない、これも大体国民はわかっておると思うのです。そうすると、日米共同の中で、局地戦争で在来兵器でもってどういうものを策定されておるのか。私は、国防会議としては、いろんな第七艦隊の話がありましたが、一切そういうことはございません、計画しておりません、なにしておりませんと言いますけれども、何を想定されて国防の基本ができておるんだということを国民が知らない限り、第三次防は第五次防の一つ段階でしかないのか、三次防で大体いまの日米共同の関連の中におきまして日本の局地というものを守るあれがほぼ完成されるのかどうか、こういうものが国民に全然知らされないできておるところに、とこまでいけば——安上がりのほうかいいわけですから、税金はかなわぬのだから。そういう点で私は、国防会議は国防の基本計画を持たれる、その基本計画は日米共同防衛の中で組まれるわけでありますので、その局地戦あるいは在来兵器、したがって核はどうなるのか、在米兵器はどうなるのか、こういう問題についてもう少し国防の基本をはっきりやっていただきたいと思うのです。
  158. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防の基本方針昭和三十二年に国防会議決定されたものでございまして、これを発表いたしております。それから第二次防というものも大綱を発表いたしております。これは広く、国会のみならず、国民全体に発表をいたしております。それから第三次防の大綱というものも、昨年の十一月二十九日に国防会議という諮問会議を経まして、閣議決定を経てこれを発表いたしております。その大綱の中に、追って第三次防の主要項目は国防会議できめるんだということが書いてございます。その主要項目というものを、去る三月十三日、十四日にわたる国防会議と閣議決定によってきめました。その文書等は全部秘密はございませんで、艦船は四万八千トンつくるとか、あるいはナイキハーキュリーズを二個大隊つくるのだ、ホーク国産化をはかるのだ、あるいは自衛隊の陸上部隊を、十七万一千五百人であったのを八千五百人ふやして十八万まるまる一ぱいにするのだ、こういうようなことを書いて発表いたしております。  そこで、玉置君のシビリアンコントロールの御心配でございますが、シビリアンコントロールというのは、シビリアンがユニホームをコントロールすることでございまして、そこでこれを大にしては国会がコントロールしているわけでございます。すなわち、防衛出動なりあるいは治安出動をする場合には、一番よいことは事前に国会にかけることでございます。それができない場合には事後に承認を得る、こういうことが必ず規定してございまして、最高の機関は国会でございます。それから、隊としての最高指揮は、背広を着ておる内閣総理大臣でございます。内閣総理大臣が同じく背広を着ておる防衛庁長官を指揮監督する、防衛庁長官が隊を動かす場合には、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長を指揮監督する、こういう形でございます。その指揮監督をする場合に、ここに内局がおりますが、内局の補助機関がシビリアンである防衛庁長官を補佐する。それから陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長を通じて自衛隊は行動いたしますが、その際は、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長は、シビリアンである防衛庁長官の部下である、こういうわけでございます。これでまずシビリアンコントロールの実はあがっておる。将来ともこの点については特に留意してまいりますということをお答えいたしておきます。  それから、前の御質問に対するお答えでございまするが、でき得る限り国民とともに歩む自衛隊でなくてはいかぬというわけで、自衛行動のことにつきましてもPRにつとめておりまして、それぞれ防衛庁にはPRの機関がございまして、一生懸命国民の理解と納得のもとに自衛隊が設置され、訓練され、行動するということに将来とも気をつけてまいりたいと思っておる次第でございます。  なおその他の御質問がありましたならばまたお答えいたします。
  159. 玉置一徳

    玉置分科員 防衛局長一つお伺いしておきたいと思うのですが、日米共同防衛の関連において日本の自衛隊は一体どういう役割りを持っておるか、それを具体的に、局地戦、在来兵器、その定義もひとつお伺いしたいのです。
  160. 島田豊

    島田(豊)政府委員 有事におきます自衛隊と米軍との協力関係につきましては、先ほど来申し上げておりますように、具体的な協定計画というものはございませんので、有事におきましてどちらがどういうふうな分担をするというふうなことはもちろん明確になっておりません。しかしながら、大体の考え方といたしまして、有事におきましてはいろいろな様相が想定をせられるわけでございますけれども、間接侵略の事態あるいは直接侵略におきましても、ごく小規模のものでございまして、これに対して自衛隊自体で十分対処できる、こういうふうなものにつきましては、わが自衛隊が独力でこれに対処するということがあるわけでございます。ところが、自衛隊自体の力によりましては対処するには非常に事態が大き過ぎるというふうな場合、これに対する阻止をし排除する力が自衛隊として十分でないというふうな場合には、やはり米軍の協力を得まして共同してこれに対処する、こういうことになろうかと思います。そこで、今後できるだけそういう意味でのわが国の自衛隊の分担する分野というものが少しずつでも広がっていくということが非常に望ましいというふうに考えるわけでございますが、あくまで自衛隊としまして対処できるのは、憲法の制約といいますか、憲法の精神にのっとりまして自衛に必要な限度において行なうということでございまして、それを具体的に申しましたのが、要するに通常兵器による局地戦以下の侵略に対処するということでございます。通常兵器といいますのは、これはいわば在来型兵器と申しますか、要するに核兵器でないものを通常兵器といっておるわけでございまして、わが国としては核兵器は持たない、通常兵器によるところの防衛力を持っていく、こういうことでございます。局地戦につきましては、これはいろいろな定義があると思いますけれども、要するに、全面戦争に対立する一つの概念だというふうに思うわけでございまして、数国間が相討つというふうな非常に大規模な、しかも一番大きなものは、核兵器の使用を含みますところの全面戦争、これは現実にはなかなか生起しがたい、これが相互の抑制力によりまして強く押えられると思いますけれども、将来起こり得るのは、やはり限定されたところの局地戦争というふうに思うわけでございまして、そういう局地戦といいますのは、要するに、数カ国が共同して相互に相討つというふうな事態でないような事態を考えるわけでございまして、それがどういう地域に行なわれるかということは、そのときの情勢、様相のいかんによっておのずからきまってくるというふうに考えるわけでございます。
  161. 玉置一徳

    玉置分科員 では重ねてお伺いしますが、直接、間接侵略に対して、日米共同作戦のもとに自衛隊が自分の国土を自衛するのに大体このぐらいでいいのか、あるいはどこまで防衛庁は考えておいでになるのか。
  162. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは具体的に申し上げますとなかなかむずかしい問題でございますが、一応三次防大綱にございますように、いろんなそういう防衛構想というふうなものを前提といたしまして、わが国としては通常兵器による局地戦以下の侵略に有効に対処し得る、そういう防衛力を整備することを目標とするということでございまして、これを一挙にそこまで持っていくということはなかなか困難でございますので、国防の基本方針にもございますように、漸進的に整備していく、さすれば、その有効に対処し得る防衛力、要するに、米側と一体になって十分わが国として国としての安全感が保てる、こういうふうな事態に至るまでにどれだけの自衛力というものを持たなければならないかということは、これはやはりそのときの生起します事態のいかんにもよりましょうし、また、わが国周辺のいろんな軍備の動向、非常に最近は兵器がすべて進歩いたしてまいっておりますので、それに伴いましてわが国としても近代化、質的強化というものをはかっていかなければならないということで、一般的によくいわれますように、防衛力というのは非常に相対的なものでございますので、どこまで持てばわが国として米軍の協力を得て十分対処し得るかということは、これを数字その他あるいは具体的に申し上げるということはなかなかむずかしいわけでございます。ただ、いろんな幕僚の研究といたしましては、およそこの程度のものまではわが国自衛力としては持つ必要がある、持ちたい、こういう研究はございますけれども、それはまだいわば防衛庁としてのオーソライズされたものではないわけでございまして、少なくとも三次防末の防衛力というものが、御質問のような意味におきまして十分であるということは言えないということは確かであろうというふうに思うわけでございます。
  163. 玉置一徳

    玉置分科員 防衛力が相対的なものであるということは常識でありますが、よくわかりますが、国民の聞こうと思っておるのは、多々ますます弁ずることは事実でありますけれども日本の憲法並びに自衛隊法の精神からいって、海外に出ていってどうしようというのじゃありませんから、そこにおのずから限界があるのじゃないだろうか。だから、陸上兵器は大体このようなものですとか、何かのめどがなければ、三次防をやれば五次防まで、六次防までいくのか、そこらのめどを防衛庁としてどうお考えになっておるのか、局長からお答えいただきたい。
  164. 島田豊

    島田(豊)政府委員 この点は当然われわれとしても十分検討いたさなければならない問題でございますけれども、それでは四次防の末の段階あるいは五次防の末の段階に至れば自衛力としては十分であるというような具体的なことは、ちょっとなかなか申し上げにくいわけでございます。しかしながら、もちろん、これが無制限に自衛力を拡大するということは適当でない。おのずからそこにはやはり一つの限界はなければならない。また兵器の問題にしましても、やはり憲法上のいろんな制約もあろうかと思います。しかしながら、それではどの段階になったらほぼわが国として十分な防衛力であるということを、いろんな条件がからんでまいりますので、ここではっきり申し上げられないということを非常に遺憾に存じます。
  165. 玉置一徳

    玉置分科員 それならば長官にお伺いするのですが、いまは日米共同防衛の関連において、局地戦、在来兵器で国土の直接、間接侵略を守る、こういうことでありますが、日米共同のたてまえをなくしたときに——安保の廃棄をいたします、そのなくしたときには、いまの憲法並びに防衛庁設置法、自衛隊法の精神に基づいて日本の安全を守るにはどういう構想があるのか、そういうことをお考えになったことがございますか。
  166. 増田甲子七

    増田国務大臣 国連憲章五十一条に、いわば国際連合安全保障理事会が全世界の平和を保障するというような場合が出現するまでの間、各国はそれぞれ主権国家として自国を防衛する固有の権利があるのであって、そのために集団的もしくは個別的の安全保障の取りきめを締結する権利があることが確認されたということが明文になっております。そこでわれわれは、前後はいたしましたけれども、国連には昭和三十一年に入ったわけでございまするが、昭和二十七年四月二十八日に発効いたしました日米安全保障条約という集団安全保障体制のもとに日本の平和と安全を維持していくという決意をしているのでございまして、それ以外のことはいまのところ考えていないのでございます。
  167. 玉置一徳

    玉置分科員 防衛局長にお伺いします。  問題は、私は、いま独自で戦争をする能力のあるようなところは、アメリカとソビエト、そのぐらいしかないのじゃないだろうか、お互いにその他の国々は身分相応な抑止力を持っているだけのことだと思うのです。いわゆる自衛力です。そういう点を考えてみますと、これは幾らふやしていったってきりがないのじゃないだろうか。まず定員の充足がほんとうにはたしてできるのかどうか、軍艦や飛行機やらをたくさん並べてみたって、やはり大きな国防費、国の税金を使うわけですから、最少の人間で、少数精鋭で士気旺盛なものでなければ意味をなさぬのじゃないか。そういう点から考えても、ある程度のところで押えなければこれはもうきりがない、こういうふうに思うのです。定員の充足なんというものは、これから求人難の世の中になってまいりますが、陸上自衛隊のごとき、幾らでもふやし出したらきりがない。また、それだけの定員の充足ができない。陸上自衛隊の定員の充足率、ことに兵に対する充足率の現在の見通しをひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  168. 島田豊

    島田(豊)政府委員 こまかい数字につきましては人事局長からお答え申しますが、三次防期間におきまして陸海空それぞれ人員の増強を計画いたしておるわけでございますが、これの充足の見通しにつきましては、いろいろな充足対策を講じることによりまして、現在の充足率が、たとえば陸上自衛隊におきましてはほぼ八八・数%というふうになっておると思いますけれども、増員を見込みまして、四十六年度の期末におきまして九〇%程度の充足率を確保したい、それに対する対策を講じていきたい、こういうことで計画を作成いたしておるわけでございます。
  169. 玉置一徳

    玉置分科員 私は、過去の統計から見れば、ことに兵隊さんの充足率はますます悪くなる、だろう、だから、定員を幾ら伸ばしていっても、そこに限度があるような感じがいたしますし、また自衛という感じからすれば、そんなにふやす必要はないのじゃないだろうか。こう思うのです。  そこでお伺いいたしたいのは、直接侵略、間接侵略に対して出動を命ぜられるようなときに、これが人命の死亡もしくは負傷その他の場合に、いまのやり方で、国家公務員の特別職というやり方だけで遺族の補償ができるのか。そういうものなしで自衛隊というものがこの目的を達成することが、世界の通例のあれを見てみて、できると思うか、できないとすれば、どうしようと思っているのか、これはひとつ長官からお答えいただきたいと思います。
  170. 増田甲子七

    増田国務大臣 玉置君のあたたかい御発言に対して敬意を表します。先般、徳島沖におきまして十名の者が殉難殉職したわけでございますが、これらの自衛官に対する補償がきわめて軽いのでございまして、長官といたしましては、何とかいたしまして、命をかけて平和を守る自衛官に対しまして手厚い福利施設を講じたい、こう考えておる次第でございます。
  171. 玉置一徳

    玉置分科員 福利施設とか金一封というなにじゃなくて、法律に基づいてきちんとやらない限り、自衛隊の士気は、それが国防省という名前に変わってみたり、大臣という名前に変わってみたって、私は同じだと思うのです。最小限の自衛措置という意味できょうまで自衛隊が厳然として存在することだけは事実です。その任務達成に基づいた措置だけは、世界じゅうどこでもやっているのです。日本だけが中途はんぱな形に残っておるということは事実だと思うのです。将来法律でこれを制定する意志があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  172. 増田甲子七

    増田国務大臣 前向きで研究いたしたいと思っております。
  173. 玉置一徳

    玉置分科員 定員充足でついでに聞いておきます。私は定員をふやすなという意味で言うのですよ。いまでも充足が足らないのに、ますます足らなくなる見通しが社会的にあるのに、そういうことにあまりとらわれなさるなという意味で言うのですが、兵の停年が四十三歳だと聞きます。恩給は、若年停止で、五十五歳から発効する。ある一定の年限就職して、四年より六年で終わるというような就職のしかたは、このごろはそうだれも好んでいく者があるはずがありません。こういう関連をどういうようにお考えになっておりますか。
  174. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 兵とおっしゃいましたけれども、正確には陸士とか海士、この階級の人たちのことかと思いますけれども、これは停年制ではございませんで、二年とか三年の任期でございます。任期が終わりましたら、退職金を支給することになっております。通常の退職金の計算よりは若干有利になっておりまして、二年で百日分、三年で百五十日分というふうな退職金を支給する、こういう制度になっております。曹、さらに上の幹部、これは停年制でございまして、御指摘のように、一番若くて四十三、一番高くて五十八という停年制の制度がございます。やはり若年停止がかかりまして、全部年金をもらうのには、五十五という年齢に達しなければもらえません。御指摘のような問題は、将来十分検討しなければならぬかと存じております。
  175. 玉置一徳

    玉置分科員 防衛庁兵器研究開発の予算は幾らで、どういうことに使っておいでになりますか。
  176. 國井眞

    國井政府委員 三次防で考えております研究開発の予算は、二次防当時、実はパーセンテージで防衛費に対して一・三%程度でございましたが、今度はこれをできるだけふやしたいという考えのもとに計画をいたしまして、大体二%をちょっとこえる程度予算を組んでおります。  従来、研究開発の対象といたしましては、装備をできるだけ国産化していく、また、優秀な装備を備えていきたいという意図のもとに研究開発いたしておりますが、たとえて申しますと、従来、30型のロケット弾、あるいは空対空の誘導弾、あるいは対戦車誘導弾というようなものの開発のめどをつけてきております。それから、陸上兵器につきまして、戦車の日本での開発ということをいたしまして、これは私のほう独自ではございませんが、もちろん民間と協力をいたしてつくっておるものでございます。その他新しい小銃の開発等もいたしまして、逐次装備化されておるわけでございます。三次防におきましても、たとえば誘導弾関係の性能をさらに向上するというような方向、それから戦車等につきましても、これの性能向上というようなことを考えまして、これの開発を進める予定でございます。それから、大きな項目といたしまして、高等練習機の国内での開発、これは超音速のものでございますが、そういったものをしたい。それから輸送機でございますが、こういったものの開発は、すでに四十一年度から基本要目の決定等をいたしまして着手しておりますが、こういったものを続けていきたい、かように考えております。
  177. 鈴木善幸

    鈴木主査 玉置君に申し上げます。お約束の時間が過ぎておりますので、結論をお急ぎ願います。
  178. 玉置一徳

    玉置分科員 研究開発は、なるべく日本の自衛という観念に一番ふさわしいものにしぼるべきじゃないか、あらゆるところへあまり金を出すということも問題じゃないかと思うのですが、それはそれにいたしまして、もとへ戻りまして、最後の質問をいたします。  時間がありませんからざっぱくになってしまうのですが、結局、日本の自衛のための憲法並びに自衛隊法の規制するところに基づきまして、自衛隊が大体どのような計画でどうなるのかということが国民にある程度明らかになる方法がなければ、私は、士気も上がらなければ任務の達成もほんとうはむずかしいと思う。そこで国民の心配するのは、暴走を絶対避けるためのシビリアンコントロール並びに国会のチェックというようなとこが平生からわかりやすいような形がいいんじゃないか。そのためには、先ほど申しました国防会議のあり方並びに国防会議の規定のしかたも問題がある。これが第一点であります。  第二点には、国会で予算審議のときだけやられる防衛庁の委員会の設置のあり方にも問題がある。できれば外交防衛委員会というような形にでもして、常時防衛に対する問題点を国会は論議していくという姿勢が望ましいんじゃないだろうか。そのことによって、国防というもののあり方を十分時間をかけてみなで審議していけるように思うのです。こういう短い時間でお互いに話をしたって、逃げ口上に終わるのは、どうしてもやむを得ぬのじゃないだろうかという感じがいたします。この点は国会独自の問題でありますけれども防衛庁長官としてはどうお考えになるか。  それからもう一つは、先ほどいろいろ申し上げましたが、国防という問題に対して、どの限度でどうなるんだということを、いろいろな週刊誌やら何かで、日本は二十二番目だとか、兵力はどうだとか、軍艦は海軍から見ればどうだとか、いろいろ出るものですから、国民はいまや——日本の軍隊みたいなものは、ガソリンも何も持たない、一月もすれば、だれかが来てくれなければ手をあげなければいかぬのですから、その程度の自衛措置しか持っていないんだということ、しかも、こうなれば、そんなにあせってごつい金を使ってまでしなくても、この程度で、いよいよとなれば国民全部がほんとうに守る気にならなければ守れないということも事実だと思うのです。そういう意味では、そういう事態に出っくわさなければ自衛隊というものは出動しないということの腹をきめてかかれば、防衛費をそんなに思い切って出す必要はないんじゃないか。それよりは、もっと国民の自衛隊になったほうか、気持ちか——そこに問題点があるのじゃないだろうかという感じがするわけです。  この第二点並びに第三点、重ねて、第一点の国防会議のあり方、シビリアンコントロール、こういう点についてもう一度防衛庁長官から御返事を承って、終わりたいと思います。
  179. 増田甲子七

    増田国務大臣 玉置君の御質問を兼ねた御意見は、私は非常に傾聴に値するものと思っております。  それから国防会議というものを防衛庁設置法から抜き離して、シビリアンコントロールということを明瞭にするために国家安全保障会議のような形にするということも、かねてわれわれも研究しておるところでございます。従来、私は安全保障問題の研究をここ数年やっておりましたが、そういう見地からも、お説は全く賛成でございます。  それから国会がコントロールをする、それがほんとうのシビリアンコントロールであるということは、この機会において先ほど私が明瞭にいたしましたが、従来、やはり時間の制約等もございまして、ございません、ありません、そういたしません、そういったような消極的な答弁ばかりに終始するきらいがあったということは、御指摘のようなきらいがないでもございません。私は率直に認めます。やはり日本の平和と安全を守るために最小限度の自衛力は必要であるということを、国会の中における対話の形において国民の皆さまに知っていただく、そういう機会にこの国会をしていただきたいというわけでこの分科会においてもいささか私も御答弁申し上げておる次第でございます。  それから、自衛力の出動というものは国会の承認がなければできないんだ、治安出動もそうなんだというようなことも、先ほどお答え申し上げましたが、この機会に繰り返して申し上げます。  それから、自衛力がこの程度であって、私から見れば、率直に申しまして、GNPあるいは国民所得が、絶対額において世界で三番目ないし四番目、明年くらいには三番目になることは確実でございますが、にもかかわらず、十二、三番目の防衛費を出しているにすぎないということは、これまた国民の皆さまの御理解を得るためにわれわれは努力いたします。しかし、要するに、自衛官、自衛力、自衛隊、防衛庁予算、第三次防衛五カ年計画というものも、国民的の理解という基礎がなくてはいけない。コンセンサスを得るためには、これから後も私は努力してまいりまするから、玉置君においても御協力あらんことを切にお願いいたします。
  180. 鈴木善幸

    鈴木主査 防衛庁予算に対する質疑はこの程度にとどめ、次に、科学技術庁予算質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  181. 兒玉末男

    兒玉分科員 科学技術庁長官に、本年度予算に関連しまして四、五点ほど御質問いたしたいと存じます。時間が非常に制約されておりますので、項目別にまとめて質問したいと存じます。  特に今日ほどわが国が科学技術の進歩に国民が期待するときはないと思いますし、特に科学技術の進歩は、コールドチェーンや合成繊維、各種の新建材の出現など、特に科学技術の振興というものが国の社会経済の発展に非常に重大な関連を持つものでございます。ところが、いままでのいろいろな調査によりますと、外国からの技術導入昭和四十年度においての支払いとして約五百九十六億円。これは昨四十一年度予算の約四五%に近い貴重な金が技術導入のために使われておる。今後これはどういうふうな傾向になるのか。  第二点は、わが国の科学技術の水準について、それぞれの分野において専門的な調査の結果によっても、レベル以上にある分野というものはわずかに四〇%にすぎないといわれておりますが、戦後すでに二十二年を迎えました今日、なぜこのような状態に置かれておるのか。  第三点は、四十一年度の科学技術振興の予算は千四百三十一億円で、国家予算のわずかに三・七%しかありません。戦後二十数年後の今日の国民生活の水準という立場から考えましても、また西欧先進国の、たとえばアメリカは国家予算の一五・四%、フランスは九・二%、イギリスにおいても実に六・三%という多額の予算が科学技術振興に費やされているにもかかわらず、なぜもう少しこれの増大につとめないのか。  第四点は、科学技術研究部門における実情というものは、その七〇%を民間に依存しているということは、やはり政府の前向きの積極的な取り組みが足りないのではないか。欧米等におきましては、大体民間に依存する度合いは四〇%前後といわれておりますが、これの改善にどういうふうな御意見を持っておられるか。  次に、科学技術の振興で最も隘路といわれますところの総合的な研究、境界領域の研究、理論と実践とが関連した研究が、特に科学技術振興の三つのネックとしてこの問題の解決がおくれておるようでありますが、この解決と、さらに今後の重点施策をどこに置いていかれようとするのか。以上五点についてまず御答弁を要求いたします。
  182. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 時間もありませんので、詳しく御説明を申し上げかねますが、いろいろ数字をあげての科学技術関係予算に対する御質疑でございますが、お説のとおり科学の技術振興開発はわが国における産業、経済のエネルギーでございまして、これに国としてももっと大きな力をいたすべきであることは当然であると考えております。わが国における研究投資が先進諸国に比べて非常に少ない。これは数字をあげていま説明されたとおりでございます。したがいまして、私どもは今後は科学技術に対する投資も、いまは国民所得に対する投資の比率が大体一・七%でございますが、ここ数年の間にはこの比率を少なくとも二・五%以上に持っていきたい、こういう方向で技術振興、科学関係予算を増額いたしたいと考えております。本年度予算も、昨年度に比べまして、全体を含めますと約一九%ぐらいの伸びになっております。円全体の予算の伸びからすると、大幅に増額されたとは申しましても、まだまだ足らないところでございます。特に資本取引の自由化を迎えまして、資本と技術が同時にわが国の産業界に入ってくるということも明らかでございますので、私どもは、わが国の技術水準を引き上げることも同時に考えていかなければなりませんが、また、外国の優秀な技術によって日本技術が牛耳られるというようなマイナス面もございますので、そういう点にも深く考慮をいたしまして、先進諸国の技術を学ぶと同時に、わが国に開発されております優秀な技術を開発し、同時に今後自主的な開発に一そうの努力をいたしてまいりたいと考えております。なおまた、いろいろな研究政府機関においてもまちまちに行なわれておる。宇宙開発においてもそのとおりでございますので、私は、こういうような国が行なっておりまする開発に対しましては、関係各省がそれぞれ目的を持って研究いたしておることはそれ自体として進めていきましても、大きなプロジェクトになってまいりますと、やはり相当な国費の浪費あるいは頭脳のむだづかい等と考慮しなくちゃなりませんから、そういう大型のプロジェクトの開発等につきましては、できる限り政府機関も一本化して、予算、政策、企画をまとめて、そしてまた実施する部面につきましては特別の機関等も考えて、できるだけ少ない金で効率的に技術の開発等をやりたい、こういうふうに考えております。  簡単でございますけれども、すべての答弁にはなっていないかもわかりませんが、以上一応申し上げておきたいと思います。
  183. 兒玉末男

    兒玉分科員 いまの長官の答弁に私も同意するわけでありますけれども、そういう状況であるならば、現在科学技術庁が予定されておるところの種子島の開発センター、あるいは、現在すでに数回にわたり実験が行なわれている内之浦の東大のロケット研究所、こういう点等は実質的に内容にどのような違いがあるのか。宇宙開発という一つの目標に進むならば、それぞれの独立した形でなくて、いま長官が答弁されましたように、国家の大事な金を使うのでございますから、当然このような問題は総合的に宇宙開発に対する国家投資をなすべきだと思うのですが、特に今回あらためて南種子にこの宇宙開発のセンターをつくるというのは一体どういうふうな関連があるのか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  184. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 宇宙開発が非常に大きな規模で進められてまいっております。東京大学が鹿児島県におきまして約十年にわたって百億の金を投資して、宇宙の物理的探検、研究を行なっております。この東大のやっておりました宇宙探検の実績というものは、わずかの人が少ない金であれだけ成果をあげたということは、国内におきましても、国際的に見ましても向く評価されてしかるべきものだと私は思っております。しかるところ、また最近、宇宙におきまして通信衛星を打ち上げて、それが実用化されてきておる。あるいは航海衛星も打ち上げようといたしております。あるいは気象衛星、測地衛星、こういうようなものがどんどん宇宙に打ち上げられて、そして平和の目的のために利用され、産業開発に利用されるという時代がすでに参っております。したがって、わが国におきましてもそれだけの技術と頭脳を持っておりますから、できるだけ早い機会にそうしたものを打ち上げて、そして、世界におくれをとらないという態勢をつくることが目下の急務ではないかと考えております。しかしながら、いま申し上げましたとおり、運輸省なり郵政省なりあるいは気象庁なり、あるいはまた民間におきましても、放送関係の方々がそれぞれ違った衛星をばく大な金を使って打ち上げるということになりますと、先ほども申し上げたようなたいへんな国費の浪費になる。また頭脳の点から申し上げましても、優秀な頭脳がそうたくさんあるわけではございません。したがいまして、私は種子島において打ち上げまする——これ実用衛星でありまして、四十五年度までには少なくとも通信衛星を打ち上げたい、こういう政府としては一つの目標を持っておるわけであります。東大におきまする施設は、空間における科学探究をやる、物理的な探究をやる、これはそれぞれ目的が違っております。違っておりまするが、最終的にはいま申し上げたような実際に役立つ通信衛星、航海衛星とか測地衛星とかいうものになるわけでありまして、こういう打ち上げる施設に関する統制あるいは開発というものを各省がばらばらに考えて予算を取るということは必ずしもいいことではないと考えますので、政府内部におきましても、こうした機構を一元化するということに意見の統一を見ておりますし、また実際これを実施するものをどういう機構でつくるかということは、今後いろいろな学会、産業界——世界の各国にも例かございますし、意見等も十分慎重に検討いたしまして、できるだけ早い機会に一本化していきたい。内之浦の基地をなくして種子島に統合するのか、あるいは種子島の基地をなくして内之浦に一本化するのかということではないのでございまして、それぞれの基地は残しておいて、そうして基礎研究、また違った目的のために研究には資するが、大きな目的のために多いなプロジェクトが行われる場合には、いま申し上げたような一元的な機構と実際機関というものをつくっていくことが国益なのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  185. 兒玉末男

    兒玉分科員 特にいま長官の答弁されました種子島の新しくできます宇宙開発センターによるロケットの実験に対しまして、特に関係の地元の漁民というのが激しい抵抗をやっております。この点につきましては、特に佐藤総理も、漁民の反対を押し切って強行してはならないというふうな指示をし、また長官自身も現地を視察されまして、漁民の納得しないままの実験はやらない、こういうような発言をされておるわけでございますが、特に十分実情を御承知のとおり、長崎県、鹿児島県において、なかんずく宮崎県の関係漁民の場合は、現在リマ水域において約九千平方キロ、先ほど長官が言われました東大のロケット実験によって約六十日間、それから海上航空自衛隊のいわゆる調練によって年間延べ約六百日、こういうふうにさまざまな漁業の制約を受けて、今回の宇宙ロケットの種子島の実験が行なわれるとするならば、特にこの地域は年間三十数億の水揚げをするという、漁民にとってはきわめて死活の問題であります。こういうような重大な問題として、先ほど申し上げましたとおり佐藤総理の意向なり、また長官が現地の実情を十分把握されておるとするならば、このような漁民の死活に関する問題というものを十分御配慮していただきたいと思うのでありますが、これについてどういうふうなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
  186. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 この宇宙の開発に関する実験に伴いまして、漁民の方々からいろんな意見が出ておることは私も十分承知をいたしております。こういう実験をうまく円滑に行なうためには、やはり地元民の協力がなければできません。特に漁業関係に従事しておられる方々の協力がなければ、私はやれないと思っております。したがいまして、今日まで私も、地元民の了解を得、円満に解決ができるようにできるだけの努力をいたしてまいりましたが、四十一年度の実験を行なう段階に至らなかった。政府といたしましてはこのことは非常に遺憾であります。遺憾ではありますが、やはり将来大きな規模の実験をいたしますには、何としてもこの地元の漁民の理解を得るということが前提になろうかと思っております。したがいまして、政府におきましても関係各省間の、特に政府部内にも漁業対策協議会というものをつくりまして、一本の窓口になって、真剣になってこの漁民の方々の対策を考えていきたい。しかも各省のやっております実験がまちまちになって漁民に迷惑を及ぼすということも確かにございます。したがいまして、打ち上げる日数、方向、基数、そういうものを調整をいたしまして、政府が一たんきめたものはそのとおり実行していくという方針を確認いたしたのであります。  同時にまた、私どもの党におきましても、鈴木善幸さんを委員長とする特別委員会もつくっていただきまして、党と政府が一体となって、こうしたプロジェクトの実施について関連する漁民、地元の方々の了解をつけるように、円満妥結をみて、政府は漁民に対してはやるべきことは必ずやるという態度を示し、協力を求めていくという姿勢をとっておるわけでございまして、この国策については、私も地元の方々といろいろお話をいたしましたが、宇宙開発の国策については必ずしも全面的反対はない。ただ漁場が問題なんだ、生活権の問題なんだ、こういうことでございますので、そのことについて政府も党も一体となりまして真剣に対処していきたい、そうして理解を深めてこの実現を円滑に行なっていきたい、こういう考え方でございます。
  187. 兒玉末男

    兒玉分科員 特にいまの点については、長官の答弁にありましたとおり、漁民の死活の問題であり、非常な制約を受けている実情を十分御理解して対処していただきたい。  次に石田委員の関連質問がございますので、あと一問だけいたしたいと存じますが、すでに科学技術庁がコールドチェーンの一環として、いわゆる生産地と消費地を結ぶ生鮮食品の輸送に対して冷蔵船の計画ということが面から検討されておりますが、これについて、いまどういうふうな実情にあるのか。また、特にこの点は単に冷蔵船の計画だけでは十分にその目的を達し得ない。生産地におけるところの生鮮食品がやはり定期的に生産をされるということと同時に、いわゆる着地における保管施設あるいは販売機構、こういう一貫性というものがなければ、単に冷蔵船の設計だけでは十二分にはその所期の目的は達成できないと考えるわけでございますが、この画期的な海上輸送、冷蔵船の計画と今後の対策についてどういうふうな御所見をお持ちか、お伺いしたいのであります。
  188. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 コールドチェーンの問題につきましては、一昨年来科学技術庁におきましても科学的な研究を行なってまいっております。特に南九州のピーマン、サヤエンドウ、トマト、ポンカン、それからまた各地におきます肉なども低温輸送の実験をいたしておりますが、非常にりっぱな成績をおさめておる、そういう結果が出てまいっておるのであります。したがいまして、四十二年度におきましても一億ばかり投じましてさらにこれらの実験を続けて、またほかの品目にも及ぼしてまいりたいと思っておりますが、いま兒玉先生がおっしゃるとおり、この計画生産地における蔬菜園芸などをつくっている農民の所得をふやすという、しかも年間を通じてそういうものができる地域にそういうものをつくらして、そうしてそれを計画的に消費都市に送っていく。そうして野菜不足などのときにはこれを放出して、価格政策の上からもこれを大きく取り上げていきたいというのが政府方針でございます。ただいまは私のところにおきまして運輸省、農林省との協力を得まして実験をいたしております。その実験の結果は先ほど申し上げたとおりでございますが、これが生産対策、消費対策として、政策として生きていくためには、やはり何と申しましても農林省、運輸省あるいは厚生省等の関係各省がそういう政策を実現するために歩調を合わせて予算なり実施を行なっていかなければ、目的の成果をおさめることができないのでございます。したがいまして、四十二年度におきましては約五十数億の財政投融資を行ないまして、運輸省の貨車あるいは冷凍設備あるいは販売店における冷蔵庫等の融資等を行なっておりますが、四十二年度におきましても、基礎実験については一億近く、また運輸省、農林省等におきましては財政投融資等約六十六億ばかりを投じて、こういう一連の施設を促進するための設備を行なうようにいたしております。何と申しましてもこれが成果をおさめるためには、生産地において適切に生産計画が進められ、また農協等を通じて一元集荷が進められて、そして輸送も計画的に進められる。着いたものがまた計画的にある程度消費者の手元にスムーズに渡っていくという制度まで到達していかなければ、これが政策として完全な目的を達成することにはならないと思っておりますので、そういう方向に向かって本年度もまた引き続き関係各省の協力を得て強力にこの政策を実施していきたい、こういうふうに考えております。
  189. 兒玉末男

    兒玉分科員 これで私は終わります。
  190. 石田宥全

    石田(宥)分科員 関連して……。時間がないそうですから、きわめて簡単なことでありますけれども、先般四日の予算委員会で阿賀野川の水銀中毒問題を取り上げたわけでありますが、長官はずっとその経過をお聞きになっておられる。十八日に厚生省の調査班の報告が発表になりました。私は四日の委員会でも指摘をしておったのでありますが、一応厚生省の調査班の報告が行なわれても、さらに再検討を必要とするということで、別個の調査会なり研究班なりを、編成されるということになって、その中に昭和電工の嘱託の学者であるとか、あるいは電工の重役であるとかいうような人たちが多数参加するところの調査会なり調査班なりができるということを非常におそれておったわけです。たまたま十九日に長官は名古屋での新聞記者会見で、あの報告は政府の結論ではない。ことさらにこれを強調しておられる。テレビやラジオあるいは新聞等にもこれは報道されたわけです。私が一番おそれておった点は、どうも長官はひとつここでポイントを打っておいて、そうして結局はやはり別個のものをおつくりになって、さらにその政府の結論なるものをずっと遅延させようとする意図のもとにことさらにああいう発言が行なわれたのではないかということを実は考えておる。その発言の意図を伺いたいと思います。
  191. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先般の予算委員会において、石田先生から、この阿賀野川の問題については詳細に私も意見を承っております。そのときにも厚生大臣から申し上げたとおり、厚生省の意見が近い機会に出ますということでありました。私のほうは、厚生省から出た調査班が三班に分かれて調査をいたしておるようでございますが、この三班の調査報告というものは受け取っております。この中で三班ともかなり具体的に、疫学班のほうは工場からの流出によるものだというようなことを言っておる、ようでございますが、ほかの臨床班とか、あるいは検査班とか申しますか、ほかの二班の結論は必ずしも断定しておるようなものでもないというふうに私も了解いたしております。そこでこの班の意見を私のほうが中心になりまして、一昨日関係各省を呼びまして、意見の聴取をいたしましたし、さらにまた厚生省のほうからは引き続きこれらの班の報告を中心にして食品衛生調査会というものにこの報告をかけて、そして厚生省として総括的な結論を出したいということでございますので、私のほうもその総括的な結論をもらった上でなければ最終的な結論を出すことはできないと、私はこう考えております。  名古屋において、新聞記者の諸君からそういう質問がございましたので、そのままを申し上げたのでございまして、必ずしも先般受け取りました三班の結論が厚生省としてのまとまった意見でもないようである。私のほうはさらにその報告書の上に食品衛生調査会の結論も受け取らなければ、政府としての結論を出すわけにはまいりません。一部は工場の廃液がその原因であるというふうに言っておるけれども、これは必ずしも政府としての意見でもないし、厚生省としてのまとまった意見でもないと私は承知しておると、こういうことを申し上げたのでありまして、そこで新聞記者のほうから、それでは工場の廃液でないとする意見が強いのかという質問でございましたので、必ずしもそうでもない。そうしたら、農薬のほうがそれじゃおもな原因か、こういう点もございましたので、農液でも農薬でもないのだ、この結論はあげて厚生省から最終的な結論が出てこなくちゃわからないのだ。私は記者会見でこういう話をいたしました。それが新聞記事の一部に、まだ私のほうが農薬説を捨てていないのだというようなことが出ておりましたので、おそらく国会ではまた石田先生からいろいろやかましく聞かれるだろうと思って実は来たわけでございますが、率直に申し上げまして、そういうようないきさつでございます。
  192. 石田宥全

    石田(宥)分科員 もう一問だけ、長官ひとつ……。  そういたしますと、その順序は私もわかっておるのです。そういう順序を経なければならないことはわかっておるのですが、その前に科学技術庁と厚生省の担当者の間に、科学技術庁としては、これが報告書が出されても、それを検討するようなスタッフもないので、厚生省の結論を即科学技術庁の結論としてよろしい、こういう了解があったということがあったわけです、この前も私強調しておきましたが。  そこでもう一点伺いたいのは、科学技術庁のいまの陣容で、いままで厚生省が行なってきたあの三班のメンバーよりもさらに高度の調査を行なうことのできるようなメンバーがいまの科学技術庁にあるかどうか。もう一つは、やはり研究班なり調査班なりというものを編成される意図があるかどうか、これだけを承りたいと思います。
  193. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私のほうで特別にこの調査をする特別班を設けて、さらに厚生省から出てまいりました報告を調査するということは考えておりません。また、その報告が出ました際には、関係各省担当者を呼びまして、そこで政府全体としての結論を出すような窓口となっての取りきわめはいたしますけれども、そのことをさらに研究班をつくってこれから研究しようということは私は考えておりません。
  194. 石田宥全

    石田(宥)分科員 長官、忙しいそうですからよろしいです。  あとちょっと一、二問いたしたいと思いますが、研究調整局長おられますね。——実はいま長官から特別に研究班なり調査班なりを設置して再検討するというような意図はないということは明らかになった。ところが、事務次官は原則として国会においでにならないことになっておりますが、井上科学技術庁事務次官は、こう言っておるのです。「毛髪中に含まれていた水銀の量が三十九年六月の新潟地震直後に急激にふえたのはなぜか、またその後次第に減少しておる事実をどう評価すべきか、さらに詳しく検討する必要がある。」と、こう言っておるのです。そうなると、やはり別の機関をつくらないとすると、一体いまの科学技術庁だけでこれ以上できるかどうか、私はこれは疑問に思うのです。だから私はいよいよになれば厚生省の担当官の名前もあげるし、科学技術庁の担当官の名前もあげますけれども、とにかく厚生省の結論は即科学技術庁の結論として差しつかえないという話し合いが行なわれておったということなんです。ところが、こういうふうにまた疑問符を投げかけられると、また何とかしなければならない、こういうことになる。実はもうこの前出た報告書は、昨年の三月中間答申で出ておるのです。それを今日まで延々としてきておる。  それからもう一つは、昭和重工側では、こういう反論をしておる。「疫学班の調査は熊本の場合と同様、工場廃液が原因とする予断のもとに行なわれたもので、公正な判断とはいえない。もう一度権威ある調査団をつくって公正な再調査をしてほしい」こういうことを言っておるわけです。そうすると、私は非常におそれるのは、また一年も二年もこの結論が延ばされるのではないかということです。そこでいま長官の答弁を承ったのですが、長官ははっきり言っておるけれども局長としては一体これに対してはどうお考えになっておるか。
  195. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問のうち順を追って答えさせていただきますが、まず、当庁と厚生省との間で、厚生省の意見をもちましてそのまま科学技術庁判断といたします、こういうような話し合いがあったということでございますが、この事実はございません。もちろん所掌の上で国民の保健を保っております厚生省が最も権威のある省庁だろうと思っておりますけれども、当然今後の行政上の措置その他からいたしまして、私ども研究が至当に行なわれたかどうかということを科学的な見地からも判断しなければなりませんので、そういう事実はございません。  それから井上次官の発言云々というあれがございましたけれども、これは当然私どもといたしましても、疫学の研究の結果というものは、いろいろな一つの仮定のもとに立ちまして、試験的な研究あるいは野外的な調査等によってこれを立証づけるものでございますので、その中の一部につきまして技術的な面からさらに解明をすべき点がございますればそれを研究者から伺いたい、こういう意図であったろうと思っております。  それから、先ほどすでに長官からお答え申し上げておりますが、現時点におきましては、各省庁におきまして研究の内容を検討いたしますが、現実に申しまして報告書がまだ刷り上がっていない段階でございますので、先ほど先生の御指摘がございましたように、事を遅延させるという誤解があるといけないと思いましたので、十九日にはすでに各省を集めまして、ガイダンスでございますけれども厚生省から説明を聞いております。来週の初めに報告書の全部の印刷ができ上がるそうでございますので、これを各省が持ち帰りまして検討をいたします。もちろんその際に、各省庁におきましては、必要な部面につきましては専門家の意見を徴することもあると思います。現時点におきましては、私どもはできるだけ——その食品衛生調査会の意見等が二カ月もかかるそうでございますので、その前に各省でも検討を並行して進めたい。もちろん食品衛生調査会の意見というものが大きな示唆になるということは否めないと思うのでございますけれども……。そういうことで、現在並行的に進めておるということでございます。  以上でございます。
  196. 鈴木善幸

    鈴木主査 石田宥全君、簡潔に願います。
  197. 石田宥全

    石田(宥)分科員 ええ、もうこれ以上申し上げません。  ただ、ここで、井上次官の言われておる地震直後急激にふえたということですが、実はこれは私、昨年の科学技術振興特別委員会で申し上げたと思いますけれども、すぐ近くで村長をやっておった人で、名前はそのときは申し上げておきませんでしたが、そのちょっと前に工場の縮小か拡張か何かで大量に投棄したということは、津川町あるいは鹿瀬町では知らない者がないということを、前の村長が私の部屋へ来てはっきり言っておるのです。そこらあたりはまだどうも調査されておらないようです。それから、その後だんだんと恐れが減少しておるというのはどういうことかということを次官は言っておるのですね。ところが工場は封鎖したでしょう。封鎖してしまえば減るのがあたりまえでしょう。  それからもう一つ、あなたからよく注意してもらいたいことは、実は電工側は、上流には死者がないということをしばしば言うのです。ところがこれはあるのです。実はその点できのう法務大臣に、捜査権のない者では困るからということでいろいろやったけれども——私は名前を出してはおりませんが、すでに昭和電工のカルテの始末をしたのではないかと思うのです。カルテが残っておれば明らかになると思われるのですけれども、上流に死んでおる人があるのです。それから患者もたくさんおる。このことは疫学班も指摘しております。そういう点がわれわれ沿岸民から見ると、実はもう非常に調査が不徹底である。そうして会社側に、企業に対して非常にどうも親切過ぎる。こういう考えを持っておるのですが、それらの点については、ひとつ局長のほうでよく配慮をしてもらいたい。  なお、厚生省ならば一応そのカルテが、焼き捨てられておれば別だけれども、見ることはできると思うのです。しかし、昭和電工の診療所は火災で焼けておりますから……。しかし、この火災で焼けたというその火災がはたして一体何で起きたのかということにも私は疑いを持つのです。実は非常に疑いがあるのです。だから、これは日本全体の企業と住民との憲法を中心とする——生命、財産の保障をしておる憲法のもとにおいて、今日のように企業中心にこういう問題が取り扱われてはたいへんですよ。だから、参考までにいま私が指摘した点などについては、どうも今日まで厚生省は手を入れておらないようです。ですから、そういう点もお含みの上でひとつ善処してもらいたい。  以上、長官の答弁もわかりましたし、局長の意向もわかりましたから、私のほうからなお一つ注文をつけて質問を終わりたいと思います。
  198. 鈴木善幸

    鈴木主査 科学技術庁予算に対する質疑はこの程度にとどめます。  午後は二時三十分より再開し、大蔵省関係予算質疑を行なうこととし、この際、暫時休憩いたします。   午後一時四十六分休憩      ————◇—————   午後二時三十八分開議
  199. 鈴木善幸

    鈴木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省関係予算質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。帆足計君。
  200. 帆足計

    帆足分科員 実は与党の方にも聞いていただきたいと思ったのですが、チャンピオン一人お出ましになって、たくさんの敬愛する与党の方に聞いていただけないことは残念でございますが、まあ大蔵大臣がいらっしゃいますから。私は平素外務委員をしておりますので、大蔵大臣のごけいがいに接する機会が少なくて、ひごろ残念に思っておりましたが、この際、まず原則的な問題から、それから逐次具体的な問題に及びたいと思います。  第一に、日本の憲法では平和及び社会福祉の問題を非常に重要視しておることは、御承知のとおりでございます。政府においても、憲法の趣旨に対して、平和の問題、社会福祉の問題を重要にお考えになっておられるかどうか。それならば、防衛費と社会福祉の問題との間に一定のバランスが必要なわけで、一方にのみ偏するということは、これは邪道でございますから、少なくともパンと弾丸との間の合理的バランスが必要である。この合理的バランスをはなはだしく失するとするならば、総合的観点からこれを調整することが、大蔵省の任務の一つであろうと思います。大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  201. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 適正なバランスがどうかということはなかなかむずかしい問題でございますが、現在のところは、大体国費のうちで、御承知のように、社会保障費が七千億をこえており、防衛費はいままだ四千億には達していないというような比率で、一ころはパンか大砲かというような問題が論議されましたが、もういまでは、この比率は完全に破れておりまして、趨勢として見ますと、この比率の差はもっと開く方向にいま行っておりますので、おそらくここ一、二年の間に、防衛費の倍の社会保障費というような比率の変化が出てくるだろうというふうに考えております。
  202. 帆足計

    帆足分科員 安全保障ということになると、国土及び命の安全保障、国土の安全保障のためには、水の国、台風の国として、災害防止はきわめて必要です。それから人の命の安全保障としては、医療、予防医学及び子供たちの命を大切にすること等が必要である。それに対して、必要最小限度の経費を注がねばならぬ、子供の命の安全保障こそは、政府が最も心すべきことであり、子供はわれわれの将来のただ一つの希望で、子供の命を通じて、民族永遠の命、人類永遠の命につながるわけですから、大蔵大臣としては、子供の予算はどうなっておるか、まず一応閣議でも目をお通しになってしかるべきだと思います。子供の死亡率の中で、一番最高の死亡率はいま何でございましょうか。このくらいのことは御記憶で、心を痛めておられると思いますが、ちょっとメンタルテストを兼ねてお尋ねしてみたいと思います。
  203. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 従来子供の死亡率の高いのはいわゆる疫痢でございましたが、いま抗生物質ができましたために、この死亡率は激減したと私は聞いております。
  204. 帆足計

    帆足分科員 そこで、疫痢を退治し得たことはもう非常な収穫でありまして、私は医学の進歩に感謝し、健康を祝う祝日、これこそ紀元節以上に重要なことと実は思っております。どうしてこのことに議会が思いつかないのか、私は不思議に思っているくらいです。平均寿命が、女子は七十三歳ですか、男子は互いに多少罪深きものでございますから六十八歳、御同慶の至りでございます。しからば、子供の最高の死亡率は疫痢にかわって何になったとお考えでしょうか。
  205. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 正確に存じておりません。
  206. 帆足計

    帆足分科員 大蔵大臣はりっぱな方ですけれども、ここで一つの重大な欠陥があると思うのです。お互いに反省すべき点があると思うのです。子供の、死亡率は、いま厚生省からもらいました数字で、五歳から九歳までの死亡は、死亡原因別では事故による死亡が四二%。この数字を聞いて肝をつぶさない人がいるでしょうか。まだおんもに出ることのできない一歳から四歳までの事故による死亡率は三八%。おんもに出られるようになってからは、交通事故による犠牲がさらに急激にふえますから、四二%。そうだとすれば、健康保険の問題を論ずるよりも、むしろ事故死に対する対策を考えておかねばならぬ。これほど交通事故その他の事故はいま切迫した問題でございます。大臣はこれに大いに胸を打たれる思いがいたしますかどうか。東京都内の事故死の数をきのう伺いました。全国の事故死の数も伺いました。その事故死の大部分は、ひかれる被害者の大部分は子供と年寄り、加害者は遺憾ながら大型トラック、遭難の場所はおおむね交差点と学校への通い路、これが五割でございます。だとすれば、交通地獄の対策を講じさえすれば、まず五割解決するわけでございます。そのための経費を従来厚生省も要求せず、文部省は子供の命を軽んじ、大蔵省は、ただいまお答えのように、大臣の聡明さをもってして疫痢が減ったということは知っておられますけれども、事故死がこれほどふえておるということまでは、それほどまではまさかとだれしも考えると私は思うのです。  第二に伺いますが、日本の身体障害者並びに精神障害者の数はどのくらいとお考えですか。そのうち何割が一体学校なり適切な収容所に収容されているとお考えでしょうか。もうこれ以上追及することはやめます、これは人道上の問題ですから。大臣をいたずらに苦しめてもしかたがありません。その数は、いずれ来週月曜日の厚生関係分科会におきまして係官に立ち会っていただきますから、ひとつ大蔵大臣には、こういう天文学的な矛盾が、すなわち厚生省に対する大蔵省の理解の不足があるということを心にとめていただきたい。  私は昨日の分科会でも言いましたが、日本の鉄は、私が大臣ともども大学を出ましたころ、満州事変の起こりましたころの日本の鉄は二百万トンでした。それがいまでは年間五千八百万トンの鉄になっております。フランスの三倍近くでしょう。五千八百万トンの鉄をつくる大工業国に成長した日本が、国民生活の水準は世界の二十一番目。身体障害者、交通事故、自殺に至っては世界一です。オリンピックに心を労することも大切ですけれども、世界の社会福祉のオリンピックにおいて日本が最劣等であるというこの悲惨な事実について、ひとつ聡明な大臣の御注意を促したいと思って、あえてこういうことを申し上げる次第であります。  身体障害者の数及び精神障害者の数、それから青年の自殺と年寄りの自殺が世界一であるという数、これだけちょっと主計官から申し上げて、大臣に御注意を促したらいかがでしょうか。あまりにもひどい例だからです。もし適当な数字を御記憶なくんば、後ほど大臣に提出して、大臣の御注意を促すことが適当だと思います。  私はきのうこういうことを言いました。五千八百万トンの鉄をつくりながら、東京の中心の私の住んでいる杉並で水槽便所の普及していることのりょうりょうたること。その便所の大部分は、大衆食堂においても、ウガヤフキアエズノミコトが三年前に御設計になり、スサノオノミコトがものしたような便所で大衆食堂を行なっておる。民主主義はまず水槽便所から、これも一つの象徴的な例として申し上げる。この伝統的矛盾、六千万トンの鉄をつくり、イギリスの三倍以上の造船力を持ちながら、国民生活の水準は世界の二十一番目。ボーダーラインにさまよう人口は二千万をすでにこえております。かつて植民地だったころのインドの郊外のような風景が至るところに展開されている。これらの数字の五つ六つのきびしい事態を、大蔵大臣、肝に銘じておいていただきたい。私はこのことを、昨年の秋スウェーデンに行って、言いました。五千八百万トンの鉄をつくる日本が、どうしてこうも社会保障が貧しいのか。スウェーデンの厚生大臣は私にこう言いました。それは心がけの問題です。そういうどうしても必要な予算を先に組んで、そして残ったもので防衛費とか大産業補助金とかいうのは間に合わせればいい。おおむね大産業は、長期の金利でもって間に合わせる方針をとって、そして何とか証券に二百億も無期限、無利息の金を渡したということをうわさで聞いておるが、すばらしい心がけではないか。そういう心がけでよくぞ五千八百万トンの鉄がつくれるものだ。すばらしいというのは皮肉なんです。アイロニカルなすばらしい。ですから、日本の所得倍増はそれ相応の一つの目的を達しました。いまや総合政策に大蔵大臣が心を配られて、そして日本における年寄りの自殺率が世界一、青年の自殺率も世界一、交通事故に至ってはいま申し上げましたような痛ましい数字、ぜひともひとつきょうのことばをお忘れなく。議員は、ロシア革命か中国大革命か、紅衛兵をどう思うかなどと言えば、人哲学の相違があるように、フイフイ教徒と仏教徒と人生観が違うように違いがあります。しかし、こういう日常の問題になれば、われわれの子供たちは同じ教室で勉強しておる兄弟ですから、皆さんとわれわれとの開きはあまり大きくないと思うのです。ただ、重要なことに非常に重要性を痛感する庶民の立場と、そういうことを痛感しない冷暖房装置の中でお暮らしになっておる方の立場と、焼き鳥屋で豚の臓物で栄養をとっておるそういうビタミンのとり方と、金田中で美妓をはべらしてホルモンを吸収しておるそういう相違、それがやがて心理に影響を及ぼして、残念ながら子供たちのことをあまり考えず、子供の今日の死亡率、事故死というもののはなはだしさ、年寄りの自殺が世界一であるという事実、国民生活の水準がプエルトリコに劣り、ベネズエラに劣るという事実などに賢明な大蔵大臣が多少認識を欠かれる、またはなはだしく認識を欠かれるということの原因だと思いますから、私は大臣に好意的苦言を呈したわけです。このことを言えば、話せば長い物語になりまして、三十分の所定時間をこえてしまうおそれがありますから、直ちに当面すぐ御考慮を仰ぎたいことを申し上げます。  ただいまから申し上げます三つ四つの点も、いずれも政党政派と関係ありません。皆さまの御親戚、御家族の一員が申したというふうに気楽に、そして切実にとっていただきたいのでございます。  第一は相続税の問題ですが、日本では古来の純風美俗、多少純風悪俗、こんがらかっておりますが、夫婦は一体というふうに大体考えられておりますから、ともに糟糠の妻と努力したその財産はおおむね夫の名義になっております。また銀行との関係どもありまして。そこで、十分な用意をせずに突然無情の風が吹きますと、残された未亡人はばく大な税金を払わねばならぬ。そういう税金とも知らず、家まで売って払わねばならぬということも非常に多いのでございます。私どもにくる身の上相談の中で最も多いものの一つは相続税です。大財閥と申しますかそういう人たちの場合思い切った相続税を取って、子供はやはり清らかに出発するようにすることはいいことだと思います。私は、青年で親の財産でぜいたくをしておる者を見ると不潔だと思います。しかし、五十歳をこえて貧之しておるのもあまり清潔な風景でもありませんけれども、これはやむを得ません。しかし、健全な中産階級を擁護するという意味において、私は、未亡人の涙に追い打ちをかけるような税金の取り方は悪いと思う。したがいまして、せめて五十万円まで、すなわち平均年齢を七十三歳、しかし六十歳になって先を思うと、八十五歳ぐらいまでは未亡人が涙を流さずに晩年を楽しめるというぐらいの、インフレも考慮して、資産は残してあげたいと思います。無産政党たるわれわれが、中産階級のためにかく弁ずるのは、社会党かくも成長したかと喜んでいただきたいのでございますが、今度ひとつ政府もそれにかんがみまして、昨年も一昨年も私は田中角榮氏にこれを非常に強く要求したわけですが、三十万円までは奥さんの相続税を免除する、奥さんがなくなればむすこが引き継ぐ、そのときに税金を取ればいいんですから、私は五千万円くらいが適当だと思いますが、いま内定しておる政府の御意見、それからいつから実施するか、これは二、三月に非常に死亡が多くて、四月にいろいろ相続のことが起こるものですから、いつから実施するかということもきわめて重要なことです。ちょっと伺いたいと思います。
  207. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 実施は、この法律が通りますれば、本年の一月一日から適用されるということになります。  それから三千万のお話がございましたが、いま大体日本で七十万人の死亡者、そこで相続税を納める件数が一・二%、そうすると七十万人のうちで七千人ぐらいが相続税を納める。そのうちで三千万をこえる財産の相続人というものは、さらにまた七千人のうちの一〇%前後ということになりますので、この相続財産の評価は非常に低うございますから、この三千万という限度でいきますと、いまおっしゃられました妻の相続に対する優遇というようなものも大体徹するのではないかというふうに考えておりますが、これは要するに国民の財産階層の分布のいかんによりますので、国民の三千万をこす資産者というものが非常に多くなってくるというようなときには、それにつれて五千万までの優遇というような措置を順次とったらいいんじゃないかというふうに考えております。
  208. 帆足計

    帆足分科員 この法案が出れば一月にさかのぼるということを伺って、一、二、三月が一番死亡率が多い月ですし、たくさんの未亡人の涙をわれわれはまわりに見ておるわけでございますから、この情理兼ね備わる大臣の態度に対して私は心から敬意を表します。中産階級擁護のために、あえて無産階級代表のわれわれも御協力を惜しまぬ、理解を惜しまぬ気持ちでございます。  第二に、自家用の住宅及び自家用の店舗、昔はカキの木二本、土地百坪、高円寺から向こう荻窪、吉祥寺、武蔵境などというものは、私などまだ課長にもならない平サラリーマンのときに買った土地を持っております。そういう人が非常に多いのです。それが自分の責任でなくて、知らない間におまえの土地は二千万円もするぞと言われてみなびっくりいたします。それはカタツムリのからみたいなもので、おまえの肝は、おまえのからは二千万円と言われても、富山の反魂丹ではあるまいし、自分の肝臓を売りに行くわけにもまいらぬ、重い肝臓がくっついておるけれども、これから離れれば生きていけない。それに高い固定資産税を取られて迷惑しごくと考えておる。したがって、あき地でなくて、自分が使っておるもので、それは必ず子供が使い、孫が使うでしょう。それ以外に生くるべき道もない、このカタツムリのから、昔はそうではなかったのです。どこに移るにも気やすく移れた。今日に至ってはカタツムリのから、それにばく大な相続税がかかるし、評価はもはや特価に近い評価になっておる。したがいまして、私は一定の坪数だけは、子供の数に応じて自家用の住宅、自家用の店棚については免税措置をとるべきであると思います。相続者が未亡人であるときは解決つきました。しかし、この国においてはおおむね長子相続の制度がありまして、それも一がいに悪いとは言えません。その中心点を親はきめるでしょう。ちょうど自作農の農地に似たようなことがございます。まさに今日は住宅はフリーな売買の対象でなくして、カタツムリのからにひとしいし、われわれのからだにたとえれば肝臓にひとしい。肝臓に税金をかける、そういうことにいつしかインフレーションのためになっておりますから、これをひとつ大臣のお耳に入れて至急御研究願いたい。未亡人の問題はいまの問題で解決に近づきました。しかし、子供の相続の場合にみなこのために困っておるのでございまして、家を譲ってもらったはいいけれども、その相続税を月賦でばく大な額払わねばならぬ、こういう状況でございますから御研究願いたいと思います。
  209. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 研究は十分いたしますが、いま大幅な一般的な控除という形で、通常の自家用の店舖とかあるいは小規模の住宅には大体税金がかからないように配慮されております。つまり課税最低限は、相続人五人の場合に一千万円ということになっておりまして、しかも相続件数が八千件、先ほども申し上げましたように七十万人のうち八千人前後の相続税を払う人ということでございますので、ほとんど大半、小規模の住宅とか自家用の店舗というものは相続税はかからないことに現状はなっておると思います。
  210. 帆足計

    帆足分科員 それはちょっと数字が間違っておると思います。最近は、これは地方税でしょうか、そのときにきめるのでしょうが、時価に近い値段できめますので、百坪の土地、カキの木二本ぐらいのところに、親一人、子供二人ぐらいのところに税金がかかる。したがいまして、これは互いに調査することにしまして、重要な問題として御記憶を願いたい。私のほうでも調べて数字を提出いたします。  第三に所得税の申告の問題です。地方税と同じ二度の申告をばかばかしくやっておったのは今度おやめになったように聞いておりますが、おやめになるかどうか。第二に、所得税の申告用紙を見ますと、私ども学識教養まず中くらいと自負しておるものですが、それを見て全くわからぬ。よくよく読んでみると、文章がやまとことばになっていないし、また文法からはずれている文章も多い。したがいまして、これは一応税金のしろうとに読まして、私などその適任者ですから、相当の原稿料をお出しになれば、またお出しにならなくてもこれを書き直して差し上げますが、しろうとにわかるように、そば屋のおじさまにも、おかみさんにもわかるようなふうに説明を書きかえることは可能です。このことはたびたび問題になったのですが、みつぎものことばでお書きにならずに、やまとことばでお書きになるようひとつ書き直す。これは国語研究所もありますから、普通のやまとことばで、だれにもわかるようにという書き方は可能です。私に二週間時間を与えてくだされば加勢して上げます。きょうの私のこの意見は、多くの人に聞きましたら、みな拍手して全くそのとおりだ、大蔵省の官吏の方でも、ぼくにもほんとうはわからない、ある人はこう言っていました。ですから、そういうふうに平易に、だれにもわかるように書くことに大臣は反対でないでありましょうから、賛成だとすれば賛成な具体的措置をとっていただきたい。そういう措置をとるという御意思があるならば、私に連絡していただけば、また顧問料なしで公共的精神をもってお助けする用意もあることを申し上げておきます。
  211. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 所得税の申告書は記載事項が法定されておりますが、様式というものは法定されておりません。で、いままでそういう御議論がございましたので、いまから四年前に納税者の各層の御意見を十分に聞いていまの様式がきめられておるということでございます。これはおっしゃられるように、できるだけ平易に、納税者の便宜のようにしたいというのが私どもの考えでございますから、いいお考えがございましたら、これはいつでもそういうふうに変えたいと思っております。
  212. 帆足計

    帆足分科員 現在の申告用紙は全部落第でございます。私が国語の教師だったら全部留年、すなわち落第ですね。これはだめです。ですから、いいお考えどころじゃない、根本的に書き改めればだめです。したがいまして、いい考えというのは、私を相談役にして、そして国語研究所とも相談して、過当な——私は福澤諭吉学派ですから、御承知のとおり非常に申すこともわかりやすい。私の母は諭吉先生にだっこされて育ったのです。生まれは中津。そういうことですから特に痛感するわけです。みつぎもの取りがみつぎものを取りにくくして意地悪しているというのも矛盾した話ですから、みつぎものことばでなくやまとことばにしていただくように、私のところへこの忙しいことが済んだらだれかよこしてください。そして大臣は、だれが見ても、そば屋のおかみさんが見てもわかる申告書、そういう趣旨には御賛成かどうか、明確に言っていただけばあとはおのずから解けますから。それとも、なるべくわかりにくくして混迷におちいらしめて、そしてみつぎもの取りがいばるようにしたいのか。そこを明確にはっきりしていただけばいいのです。もう一度御答弁願います。
  213. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 なるたけやさしくわかりよくするのがほんとうでございますから、実は四年前に納税者の各層の意見を聞いていまの様式をつくったということになっておりますので、それがまだむずかしいとするなら、さらにやさしくすることはいつでもいたします。
  214. 帆足計

    帆足分科員 それではいまの問題は、それぞれのかあちゃんに読んでいただいて御意見を伺えばすぐわかることでございます。私のうちでも、うちの家内はフエリス女学院出身の才媛で、卒業式には代表で答辞を述べたといばっておりますが、そのかあちゃんが困っているのです。おたくもそれぞれ才媛を奥さんにお持ちでしょうから……。ですからいまのような趣旨で、次の予算委員会ではこういうことのないように、至急四年前のあれを改めて、そしてもっとわかりやすいことにしていただく、このように了解いたします。速記録に正確に書いておいてください。  その次、もう時間がありません、たくさんありますけれども他の委員の御発言ものります。物品税と入場税について意見がございます。税金というものは、損しても得してもとにかく取るというのは、軽い率で、通行税のような形で取るべきだと思います。損することが明らかなものに対しては、しかもそれが文化価値を有するものについては、ごくわずかにするか免税にすべきものであると私は信じます。その点で第一に、物品税の中でレコード税ですが、私は新世界レコードという小さな会社をやっております。これはソビエトの古典と民謡を出しますが、大体においてプラスマイナス・ゼロか、少し損をしております。というのはクラシックでございますから、日本で世界一流のオペラのレコードを発売いたしますと、おおむね三百枚ないし七百枚くらいしか売れません。芸者ワルツとはちょっと段違いでございます。それからヴォーカルでありましても売れる枚数は実に知れたものでございます。しかしながら、それにもかかわらず、ショスタコビチのオペラ曲を私は出しまして、このたび第二十一回文部省芸術祭優良賞を私はいただきました。国会議員にして芸術祭優良賞をもらったのは私をもって初めとするそうでございまして、いずれ大蔵大臣からもお祝いが来るものと期待しておりますが、みごとな彫刻をいただきまして、きょうここへ持ってきて皆さんに見せるところだったのですが、持ってくるのを忘れました。しかるにそれの売れ行きは何と五百枚くらいで、非常に高級と言っては、買わなかった皆さんが低級ということになってはまずいのですが、特殊なものです。しかし日本の音楽の発達史上、各音楽学校等にはなくてはならないものなんです。ビクターもコロンビアも東芝もそういうものを犠牲的に出しております。日本の能のクラシックとかその他を。こういうものは全部ばく大な損をしておりまして、流行歌で穴埋めをしておる。私のごときはクラシック専門ですから毎年多少のマイナスです。これに対して一割からの物価税がかかっております。いまのレコードは大体一千八百円ですから百八十円の税金がかかる。べートーベンのミサ曲を聞いて百八十円の税金を払わねばならぬことは、教会の門前へ行って十字を切るのに税金をかけるようなものであろうと思う。したがいまして、これについてずいぶん論議いたしました。その結果、何がクラシックで、何が大衆歌謡かという区別は非常にむずかしい。大衆歌謡の中にも非常に愛らしく、かつ、すぐれたものものりますから、そういう分け方は非礼にわたると私は思います。結局考えました結果、五百枚までのものについては思い切って減税するか、免税にする。そうすると二千枚売れましたときは千五百枚分を払えばいいのです。五百枚だけでとどまったものは免税にするか減税する、それが分類するよりも私は名案ではないかと思う。こういう事こまかな考慮については専門家でなければ気がつかないことでございますから、ぜひとも御研究を願いたい。日本におけるクラシックというものが、特殊なものを除いてほとんど犠牲出版であるという事実にひとつ注目を願いたい。また、そのクラシックがなければ一国の文化水準を保つことはできないわけでございます。たとえば能の中のあるすぐれたものなどをレコードにして五百枚、三百枚を能の専門家に残しておくということは非常に必要なことです。ところがそれを出すたびに、年に一回くらいそれも何らかの賞をもらうこともございますが、経済的には引き合わない。  それからもっと痛切なものの一つが入場税でございます。入場税の問題につきましては、能に至っては最もそうですが、オペラもそうです。多くの場合特殊のもの、そして非常に伝統的な無形文化財というようなものについては非常にばく大な損失をしている場合が多いのです。それに、やはり同じように一律に入場税がかかる。したがいまして、私は、五百人くらいまで、それは何人を仕切りにするか存じませんけれども、五百人とか三百人とかいうようなものは——映画を除いてですよ。そういう無形文化財に免税措置を講じたらいかがであろう。たとえばその一例を引きますと、藤原義江氏の率いるオペラ、たくあんとおみおつけを食べながらイタリアまで行って、しかもそれほど遜色のないようなオペラ歌手をたくさん出しているということは、何とすばらしい日本民族の才能ではないかと私は尊敬しております。こういう人たちが一生轗軻不遇の、何度差し押えされたかわからぬというような歴史を持っているのは、これことごとく入場税のためでございます。利益のあるところに税金をかけるのは当然です。それからまた、行事のあるところに多少の交通税程度のものをかけるのも当然でしょう。しかし日本のためになり、日本の文化水準を維持するのに非常に役に立っておるのに、なおかつ入場税のためにしばしば破産をしておる。この事実に対して格別の考慮をいただきたい。それには題目をもって分けることはほとんど困難でございますから、そういうものについては三百人までは免税にするとか五百人までは免税にするとか、普通一つの芸能を継続興行いたします場合には、ワンユニット二千人とか三千人とか四千人とか入るわけです。そうして初めて償うわけですが、それが三百人とか二百人とか、あとは全部切符をただでやるしか方法がないというようなもの、か無形文化財には多いのでございますから、ぜひとも教養高き大蔵大臣においてその点御注目を願いたい。いずれ芸術議員連盟のほうからも同趣旨の陳情があると思いますけれども、あなたの大蔵大臣御在職中ならば私はやれることじゃないかと思う。田中先生はおえらい方ですけれども、もっぱら浪花節のほうに御趣味がございます。これもまことに健康な庶民の芸術としてとうといことでございますけれども、そちらのほうは聴衆も非常に多いことでございますから心配もありませんし、浪花節がたとえすぐれておりましても、あれを音譜で書きますと、音楽としての水準はあまり高くありません。しかし愛すべきものでございます。しかし日本の工業の水準から見ますと、浪花節だけを教えておりますと旋盤が狂うのでございまして、どうしてもピアノとオルガン、特にピアノを教えなければ、ピアノの音符を耳で聞き分ける力がなければ、すぐれた旋盤工にはなれないのでございます。もし小学校にピアノがなくて、浪花節ばかりでございましたら、いい船やいい自動車は絶対にできない。ですから現大蔵大臣に期待して申し上るわけです。別に田中先生の音吐朗々たる浪花節に対して礼を失することを申し上げているわけではないことを御了解願います。御了解願えたかどうか、どうぞよろしく。
  215. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 どうも音楽的素養はむしろ田中大臣より私のほうが劣るようでございますので……。この問題はもう御承知だと思いますが、間接税は私どもの考え方として利益に税金をかけるという性質のものではございません。したがって、レコードには物品税をかけるべきじゃないとか、こういう入場者からは入場税を取るべきでないという議論でしたらまた別の問題でございますが、入場者の数によって入場税をどうするとか、物品の販売量によって物品税をどうするということのやり方は、実際においては技術的にもこれはむずかしい問題でございますし、また現在の程度の物品税、入場税のあり方のために日本の高級音楽の普及を拒んでいるかどうかということも、これが原因であるかということも、これはなかなか簡単ではないのじゃないか。前からこの問題はいわれておりますが、私は、おっしゃられるような方向に持っていくことは税制として非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えております。
  216. 鈴木善幸

    鈴木主査 帆足君に申し上げます。お約束の時間も経過しておりますので、簡単にお願いします。
  217. 帆足計

    帆足分科員 言うてわからなければ、私どもはわが文化の党社会党が多数になるのを待つ以外に方法はない、こうなるわけですが、しかし、なるべくならば共通の場で話し合って解決したい。というのは、単なる通行税はどのものでしたら、それはとういうのにかけてもいいのです。しかしベートーベンのミサ曲一つ出して、そして百八十円出さねばならぬ。そのために、すぐれた曲でもってまあ出さないでおこうという曲が相当の数あるのです。三百枚、五百枚、六、七枚——千枚を過ぎてなければこういうものはジャケットもりっぱですし、引き合わないのです。そこで、大蔵大臣の無理解のために、音楽専門家の耳に入るべき、また家庭に入るべき曲が入らないことを私は残念に思っておりますから、大蔵大臣がいま頭から御否定なさるにはちょっと貴重な問題であるということを御注意を促して、専門の方も御研究願いたい。入場税の問題も同じ問題でありますから、どうぞお気を悪くなさらないでもう一ぺん再検討願いたい。こういうことです。
  218. 鈴木善幸

  219. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 財政投融資の問題についてお聞きしたいと思います。  最近の傾向を見ますと、財政投融資の運用は社会資本の充実に力点が置かれております。これは私的独占と申しますか、財界の高度成長が著しいにもかかわらず、水や交通、道路、住宅、中小企業等の立ちおくれが非常に目立ったからそうなってきた、このように理解します。これは当然のこととは言いながら、財政投融資の最近の傾向は、いろいろこまかに見ると非常に遺憾の点がありますが、いい方向にいくのじゃないか、こういうふうに思っておりますが、今後こういう方向を続けていく予定でございますか。どっちの方向にいくのか。たとえば私的な大きな企業にかつて復金融資とかなんとか行なわれたのと違った方向がずっと目立ってきていますが、そういう方向へいくのかどうか、お聞きしたいと思います。
  220. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 社会貸本のおくれを取り戻さなければならぬという現実的な要請は強いものがございます。したがって、公営企業的なものに資金を相当重点的に配分しなければならぬというのと同町に、たとえば開銀の貸し付けを見ましても、従来のような基本産業以外に、新しく国際競争の上で浮かんできている幾つかの必要な業種というようなものも、やはりけってはおけない新しい産業であるというようなことでございますので、この権衡をどうとるかの問題はございましょうが、私は、これは両方が必要であって、並行的にいかなければいかぬじゃないかというふうに考えております。
  221. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 大蔵大臣は用心なさって、私がいい方向だと言ったにもかかわらず、やはり開発銀行とかその他の大企業に対する融資について伏線を張っておられるのですが、そういう警戒は要らないので、租税特別措置法の大体、二千億の大資本に対する減免税並びに財政投融資という問題、この二つが柱になって、財界と政界のいろいろ黒い霧とかその他について国民が非常に疑いを持ち、納税意欲がなくなり、それから年金に対しても、年金の掛け金が上がるたびに何に使われるのだという不満が出てくるという重要な問題だと思うのです。  そこで開発銀行、輸出入銀行から出すいろいろの私企業に対する融資の条件と、それから中小企業、公営企業に対する融資の条件と比較して私はいろいろとお聞きしたいと思います。  第一番目に開発銀行に対する融資の問題ですが、全体で二千二百五十三位で、電力、石炭、硫安、特定機械、海運と、順序は不同ですが、そういうところに出されていると思うのです。これは生産性の高い、大きな独占的な企業が主である、こういうふうに理解して差しつかえないと思います、が、その利率は大体どのくらいでございますか。たとえば私の手元にある資料ではちょっとのぞいた範囲では六分五厘です、「その他」について八分四厘とありますが、その「その他」はどういう企業ですか。
  222. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの御質問でございますが、開発銀行は基礎になります一般的な金利といたしましては、基準金利とこれを申しておりますが、八分二厘でございます。去年の九月まで八分四厘でございましたか、十月以降八分二厘に下がっております。したがいまして、一般的な金利としては八分二厘でございますが、そのうちで貸し付けの対象によって特別金利としてただいま御指摘のような六分五厘のもの、あるいはその間に七分五厘のものもございます。
  223. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 さっき質問しました「その他」というのは答えがありませんでしたが、「その他」が八分四厘で、ほとんどは電力、海運、石炭、特定機械、硫安、重機械、全部六分五厘そういうふうになっていますね。「その他」はどういう業種ですか。
  224. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほど申し上げましたように、金利の体系といたしましては八分二厘のほうが一般の金利ということになっておりまして、そのうちで特定のものが特別金利、こういう形でございます、ただ貸し出しの金額の中に占める割合を見ますと、特別金利を適用されているもののほうが多い、こういうような形になっておりますが、それは先ほど御指摘のような電力その他基幹産業に対するもの、あるいは輸送振興の上で特に重要な機械類、特定機械などでございますが、そういうものに対して特別金利が適用されております。  一般の「その他」に該当するものの中にはいろいろあるわけでございます。たとえば地域開発に該当するもの、あるいは大都市の開発とか、そのほか開銀の融資対象となっておりますもの一般は、基準金利の八分二厘が適用されております。
  225. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 いろいろな私企業に対する——地域開発といっても、どこへ出したかわかりませんが、六百六十二億の中でのおもな会社名を十くらいあげてください。
  226. 澄田智

    ○澄田政府委員 個別的な会社名をという御質問でございますが、基幹産業等でございますと、たとえば電力というと九電力会社というようなことになりまして非常にはっきりいたしますが、その他の部門は非常に多くの会社に融資をいたしておりまして、私、手元にその会社名をあげた資料を持ってきておりませんので、例示といってもちょっと不正確になってもいけませんものですから、またいずれ調べた上で御返答申し上げたいと思います。
  227. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それではそれはあと回しにしますが、たとえば業種で、食品なら食品、そういうところまではわかるでしょう。資料を持ち合わせなくたって出てくるはずです。それを一回お調べになっていただきたいと思うのです。  そこでまず、六分五厘の安い利子の一つである鉄鋼についてお伺いします。鉄鋼についてこの曲の大蔵委員会では大蔵大臣が放言されまして、わが党の堀委員からいろいろといわれましてとっちめられたようなところがおりました。つまり大蔵大臣も言われておるように、最近は非常に過剰投資の、景気過熱のおそれがある。鉄鋼なんかはそれで一得問題になったわけです。そういうような条件の中で、たとえば鉄鋼が六分五厘の安い利子で大口の融資を受けている。さらにまた輸出入銀行からも受けていると思います。そうするとたいへんな利益を鉄鋼が受けているわけですが、その額と、輸出入銀行ではどのぐらいの延べ払いの利率かという問題についてお伺いしたいと思います。鉄全体ですね。
  228. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま鉄鋼に対する御質問でございますが、開発銀行は現在鉄鋼については特殊鋼に対して融資をいたしております。これにつきましては、先ほど申し上げました八分二厘の基準金利ということでございまして、開発銀行からの鉄鋼融資はそれだけでございます。それから輸出入銀行につきましては、鉄鋼そのものに対して輸出入銀行から融資をいたしておるという例は原則としてないと存じます。
  229. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それじゃその次に海運の問題に移ります。海運に対してはやっぱり開銀と輸出入の延べ払いと二つあると思いますが、それはどのくらいの利率で行なわれていますか。
  230. 澄田智

    ○澄田政府委員 造船に関しましては、開銀からは計画造船につきまして六分五厘の金利でもって融資が行なわれております。それから輸出入銀行の船舶の延べ払いでございますが、これは四%の金利ということになっております。
  231. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると鉄でも海運でも、鉄は八分二厘、海運は四分の安い利子で貸している。中小企業の場合を見ますと、大体国民金融公庫が八分二厘、それから中小企業金融公庫が大体八分二厘から七分七厘、商工中金は組合は八分四厘で、組合員に対しては八分六厘、大体そのくらいの利率で貸していると思いますが、大蔵大臣、大体承知していますね。
  232. 澄田智

    ○澄田政府委員 中小企業に対します政府金融の融資の金利でございますが、国民金融公庫、これはやはり基準金利といたしまし八分二厘、こういうことになっております。それから中小公庫も八分一厘でございます。ただ、中小公庫あるいは国民公庫につきましては、七分厘とかあるいは七分五厘あるいは六分五厘というような特別金利がございます。それから商工中金につきましては、純分とそれから組合の構成員に対するものによりまして金利が違っておりますか、大体八分四厘から八分六厘というような金利になっております。
  233. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、たとえば特定機械に六分五厘の安い利子で開銀から貸してあって、中小企業のほうには特定機械は先ほど言われたとおり中小企業金融公庫から七分五厘、これは非常に安いですが、どうして同じ機械類でもって七分五厘と六分五厘の一分の差があるのですか。それについてお聞きします。
  234. 澄田智

    ○澄田政府委員 特定機械に対します金利は、開発銀行の場合も中小企業金融公庫の場合もいずれも七分五厘ということで同一の金利を適用いたしております。
  235. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それは契約上は八分四厘、これを強調するとそうなるのかもわかりませんが、そうしますと、あとの電力、海運、石炭、硫安、重機械、これは六分五厘ですね。これと中小企業のほうの大体八分二厘程度の違い、これは特別に何か大事だということでもって違いをつけたわけですか。
  236. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほど申し上げましたように、開発銀行の場合は一般には八分二厘、こういうことになっておりまして、そのうちで特に基幹産業といたしまして造船あるいは電力、そういったようなものにつきまして六分五厘の特別の金利を適用しておる。それから輸出等のために特に枢要なものといたしまして特定機械というようなものに対して、これは中小企業金融公庫の勘弁もともに七分五厘という金利を適用いたしております。それ以外の一般につきましては、中小金融の場合もそれから開発銀行による融資の傷心も、いずれも八分二厘というのが現行の金利の体系ということになっております。
  237. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、一番初めに大蔵大臣がお話ししていましたが、つまり輸出上非常に大切だ、それから資本蓄積のために大切だとか、資本の自由化に加えてといういろいろな理由があると思うのです。この理由に対しまして私は非常に疑問を打つのですがね。たとえば資本の自由化については最近財界も非常に警戒をしている。慎重論をとっている。それに対しては、株式の制限その他についてきびしい条件をとったらいいではないか、こういう考え方なんです。これはつまり経済外的ないろいろの措置でもって自分の国の産業を守ろう、こういう考え方だと思うのです。そこから考えますと、たとえば輸出競争力を増加するというのでむやみやたらに——この利子の差額を計算しますとたいへんな額にのぼるのですよ。そういうことを特別にたとえば電力とか造船とかそれから特定機械、硫安、重機械、こういうところに許すという理由は私は成り立たないと思うのです。  一方、たとえば中小企業のほうを見ますと、いま私が申し上げました国民金融公庫とかその他は大企業の中の「その他」という部分と大体同じだと申しますが、普通中小企業というのは、これを借りられる人は非常に恵まれた人でして、大体歩積み、両建てで一割前後ですね。こういうお金を借りているわけです。そこには、皆さんもよく御承知ですが、たとえばこの「中小企業基本調査資料」によると、従業員二十人以下の小企業の五〇%はお金が借りられない。借り入れ金のない企業として調査にのっている。いろいろな貸し金業者、親戚、知人、高利貸しですね、貸し金業というのは。だれも貸してくれないという状況だと思うのです、したがって、そういう人が国民の大多数を占めている中で、特定の、たとえば造船にしてみましても、最近の経営は好転しいて、しかも対資本の利益率が大体一五%あれば、たとえば利子補給のいろいろなものは返してもらうというとてもやわらかい条件です。  もう一つお聞きしますが、こういうように開発銀行や輸出入銀行からいろいろ大企業に出していて、何か条件はつけていますか。何年据え置きとかなんとかいうのは特典だけれども、たとえば経営上についてこうしろああしろ、人事問題についてこうしろああしろという条件はつけておりますか。
  238. 澄田智

    ○澄田政府委員 開発銀行等の政府金融機関が融資をする場合にあたりまして、相手企業の内容、その経営状況等については、これは一般の民間金融機関の場合と同様に厳重な内容の審査をいたしております。したがいまして、その内容につきまして、経営の健全性というような見地から、今後の経営内容について金融機関として要望するというようなことは、これは具体的なケースとしてあるいはあるかと思います。しかし、いま御質問のような意味の条件というようなものをつけるというような例はないものと存じます。
  239. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 今度は公営企業の問題に移りますが、その前に、私はいま聞いたので、開発銀行の場合を例にとりまして若干私は聞いてただしたところがありますから、総額と照らし合わせて計算しますと、大体中小企業金融の八分二厘と、それから開発銀行の特定の六分五厘ですね、開発銀行の出しているのは多くは特定の優遇したところですから、その差額を掛け算しますと、三十八億円、それから、これはもっと大ざっぱですが、中小企業の一般の借りている一割のお金でもってその差額を計算しますと、七十八億円の大きな利益が電力その他特定のところにいくわけです。輸出入銀行の場合でいいますと、これは延べ払いという特殊の条件もありますが、金額だけ申し上げますと、大体二百七十一億円くらいもうかります。ただで、金を借りるだけでもうかる。延べ払いするというだけでもうかる。国のために必要だということ、延べ払いの場合はそういうふうにいわれますが、事実、金額だけ見てとればこういうことになるのです。中小企業は輸出上その他について下請していますから、それで、国のためにならない、中小企業はほっておいてもいいというわけにはいかない。同等に国の経済に役に立つという点から見ると、特に生産性の低い中小企業や農業の生産性を高めるということが、これが大体物価を下げる、安定させる一つの大きな方途だということはいろいろいわれてます。そういう点から考えますと、物価の値上げということが、輸出の問題と並んでいま一番焦点になっているときに、中小企業に対する配慮とかいろいろの手当は、一般会計ではもちろん若干手当はされておりますが、財政投融資で見る限りはやはり片手落ちである。やはり相当の、百億以上の金が優遇されている。だから、財政投融資の使い方についてまだ疑惑が相当国民の中にある、こういうふうに私どもは理解していますが、大蔵大臣としてどうですか。
  240. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように、戦後日本の経済復興をするためには、やはり基幹産業の再建からしなければならぬというような当時の要請と開発銀行の職務は結びついたといういきさつがございます。したがって、基幹産業への融資というようなものは、一般の産業より歴史的にも利率が低いことになっておる。しかし、それは同時に国民経済への影響が大きい産業であるからそうなっておるのでございまして、たとえば電力の料金もコスト主義で政府認可するということになっていますので、非常に高い金利で電力というような基幹産業が経営されておれば、国民の電力コストは上がるということになりますので、そういういろいろな国民経済全体からの配慮でできているこの金利は、また特定の私企業を優遇しているということには事実上なっていないのではないかというふうに考えています。  それから、中小企業の金利はそれに比べたら確かに高くなっていますが、問題は、中小企業がいま使っている資金最というものは、一般金融機関が大体九割、政府関係機関は一割しか貢献していないというようなことになっておりますので、できるだけ政府関係機関も中小企業への金利は安くしようということで年々努力はしておりますが、実際は中小企業への影響というものは、政府のする仕事というものの影響力は非常にないというふうになっておるのが実態だと思っています。
  241. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 だんだんと中小企業について政府の関心、政府金融というものを重要視してくる、大企業、たとえば鉄と同じ条件にしわ寄せしたいという方向は、いまの御答弁から私は感じとられたと思うのです。非常にこれはいい方向だと私は思いますが、今後それはお約束していただけますか。
  242. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 政府関係の資金をできるだけ多くするという努力と、さっき申しましたように民間金融機関に依存している部分が多いのですから、この金利を中小企業に対して下げさせるという施策をすることが同時にやはり大切だというふうに考えております。
  243. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、量からいいましても、たとえば中小企業と、それから農業を含めまして、圧倒的な数の人たちがそれに従事しているわけです。この数字に誤りがあるかどうかわかりませんが、低生産性産業というのが、金額にして二年前の四十年に五千七百四十六億運用されていました。ところが、四十二年度には四千七百三億に滅っているのです。ところが、大企業は——大企業とここに書いてあります。国の予算でも書いてありますね。大企業は、四十年が三千九十四億、四十二年度が大体三千九百五十七億ということになって、四十一年が総体的に全部減りましたから、これは飛ばして見ますと、あまりいい傾向ではない。量的にも中小企業と農業が基礎ですから、やはりそちらのほうに力点を置く。工業というのは、先ほど大蔵大臣も指摘されているように、景気過熱が心配されている。もうけ過ぎている、それからいろいろの拡張は自己金融力を非常に使って、最近は景気過熱を盛んにやっているという心配があると、大蔵大臣自身が警告されていますから、そういった傾向から見て、国民の疑惑を少なくするためにも、さっきの利子をだんだんと縮める、同時に、量の問題についても画期的に改めなければならない、私はそう思いますが、どうでしょう。
  244. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 景気を調整する対策としては、量の問題もそういう問題も考えなければならぬと思います。
  245. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 いろいろいいお約束をしていただいて、今後に非常に期待しております。  その次に、水道——水ですね、それから交通事業の問題等についてお伺いします。  まず第一番目に水の問題、水道の問題でも、いま全国的に公営事業が非常に行き詰まっております。行き詰まっている原因についていろいろ書かれております。そこで、たとえば、ここにある一つ資料を見ますと、制度調査会中間答申に対する、これは全水道という組合の見解ですが、これは大体現実の分析は一致していると思う。つまり、だれでも水は一日として欠くことができません。二、三時間飲まなければ声がかれてしまいますから。そういう大切な水ですが、その水道事業の経営困難な原因が、元利償還金が料金の収入の二〇%を占めていること。これは前の地方政治の問題でずいぶん議論されていますから……。ここに書いてありますが、起債は、政府資金によるものが、利率六分五厘、五年据え置きの二十五年償還、公営企業金融公庫によるものが、利率七分三厘、二年据え置きの十六年償還、その地縁故債や地方債ですが、昨年、公共料金の値上げ抑制策に関連して、起債の償還期間の延長と利率の引き下げを要望する声が高まって、大蔵省の資金運用部資金の利率が四分二厘だから、もうちょっと下げてほしい、そうすれば、私たちが一日として欠くことのできない水の問題が相当スムーズにいくという要望を去年出しております。それに対して、去年のそれについての地方公営企業の国会での決議にはこう書いてあります。これは交通事業も含めてですか、資金繰りの円滑化と利子負担の軽減をはかる。低利資金を確保することですね。それから、公営企業の建設資金として必要な地方債のワクを確保する。その他ずっと書いてございますが、これについては、水資源ばかりでなくて、水道事業全体が大蔵省に出した要求、それについてどの程度まで満足できる結論を出したか、今度の予算に盛り込んだか、それをお聞きしたいと思います。
  246. 中尾博之

    ○中尾政府委員 水道事業につきましては、量と質の問題がございますが、資金は主として起債でございます。これにつきましては、いま御質問にございましたようにいろいろな事情もございますので、できるだけ政府資金をよけいつける、あるいは公営公庫資金をよけいつけるということでやっております。条件は、先ほどお話のございました事情もございまして、ただいまのところでは六分五厘、それから公営公庫資金のほうは七分に下げております。郵便貯金の関係のお話もございましたが、現在六分五厘で出しております。というのは、これは最低でございますが、これでいきまして運用部の経営といたしましてはほんとうにもうすれすれでございます。私どもも、益を出しても施策に滞りがあるということでありますし、損を出したのでは預金者に申しわけないわけでありまして、この辺のかれ合いを非常に苦労しておりますが、まずすれすれの線でやっておるということでございます。なおそのほかに、財政投融資計画でワクがきまりまして、それが各地方地方に配分になりますが、御要望の線にはなかなか応じきれない、しかも、あわせて工事はおやりになりたいというような場合に、事実上今度実行の場面でそれ以上の起債の認可をしてくれないか、こういうようなお話がございます。それらにつきましては、条件その他、高い金を借りてもつまらないことでありますから、なるべくそういうことはおやりにならないほうがよろしいでしょうということで、私どもとしてはあまり賛成はいたしておらないのですが、実際問題といたしましてはやはりそういう分を相当認可せざるを行ないような状態になっております。それが実情でございます。仕事といたしましては、地方債計画の中で水道は一番大事な部類で取り扱っておる次第であります。なお、それよりもさらに、どういたしましても、これは経営のことでありますから、水道の料金は地方によって非常に違います。設備の新しい古いによっても違います。それから条件によっても違うわけでありますが、何と申しましても飲む水のことでございますので、これは融資の面でございませんので私の担当ではございませんが、別途利子の補給を一般会計のほうで税金からも行なっておるというような状況でございます。
  247. 鈴木善幸

    鈴木主査 広沢君に申し上げますが、お約束の時間がだいぶ経過しておりますので、簡略に願います。
  248. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 いまの御答弁、非常にいい答弁だと思うのですが、つまり利子補給をやるということです。この前問題になったのは、造船汚職の問題で利子補給の問題が非常に問題になりまして、これはだれでも知っております。つまり、造船会社というのは一私企業です。相当国家的に大きいといっても、やはり一つの独占企業です。しかし、水というのは国民だれもが飲まなければいけない。大臣も毎日飲んでおると思うのですが、この水というのは造船の比ではないのです。経済の成員率がどのくらいになる、一五%が一四%になるかならないかという問題ではなくて、一番大事な問題です。これは水道労働者の実情を見ていただけばわかりますが、たいへんきびしい労働条件で、首切りがまた出るのではないか。これは交通事業でも同じでございます。したがって、ほんとうに政治というものを考えたり何かすれば、先ほど言った利子の差額をもうこの際納めてしまう、全部なくする。中小企業も大企業も同じ。大きな利益をあけておる大企業は、自立しておるのだから、独占企業というのは自立して大きな景気過熱の勢いにあるのだから、これはかまわないで、一般会計から利子補給するということになれば、四分、五分の安い利子の水に対するいろんな政府資金が供給できる。これがほんとうの放流だと思うのです。これを来年おやりになるかどうか。非常に大事なことだと思うのです。  それからもう一つは、時間がないから急いで申しますが、先ほど申しました交通事業です。いろいろ学者が書いております。外国のあれで、ここで引用するのはまた聞きになりますから、正確かどうかお調べになってからいろいろと今後検討していただきたいと思います。交通の事業も同じです。やはり利子負担というものは非常に大きいし、お金を借りるために、資料は一ぱいありますが、非常にやきもきしておる。しかも、お金を借りるために市中金融までたよらなければならないという状況が出てきておるのですね。これは都民の交通だし、地下鉄なんかことにそうです。いろんな資料は省略しますが、その交通企業についてパリの例が出ています。パリでは、これはフランス語だから言わないことにして、日本語で言うと交通営団というのですね、国が営業補助を出しています。一九六四年には収入の約四割を国が補給しており、そのうち、社会政策的な意味ですね、通学とか身体障害者というものは特別に公共負担の分として差し引いている。そういう、二九・四%が運賃抑え置き補てんというから、つまり料金を上げないというためには、国の補助、安い利子の負担がいろいろ行なわれているということだと思います。  そうすると、一番初めに戻って、たとえば電力とか、石炭は非常に苦しかったですが、特定機械とか硫安とか、こういうものと、それから交通事業並びに水の問題について比較検討されたときに、どちらに重点を置くか、これを明確に答えていただきたいと思うのです。どちらに重点があるか、水が大切なのか、都民の水、それから国民の水、そういうもの。それから地方公営企業には病院も入っています。病院は看護婦さんはたいへんな気の毒な状況で、お医者さんも看護婦さんもなかなか病院がうまくいかないというのは、命に関する問題です。  したがって私が望むのは、物価政策としては、生産性の低い農業、中小企業にもっと比重を置くということが第一番日。第二番目に、水とか交通とか、それからさらに病院とかいう公営企業については、これは第一順位に置く。その要求を満足させた上でさらにいろいろの——日本経済というのはもう世界的に驚異の成長率ですから、そういう点から考えて、いわゆる開発銀行の特定産業に対する融資は第三順位に置く。このようにお約束願いたいと思いますが、どうでしょう。
  249. 中尾博之

    ○中尾政府委員 いろいろお話がございまして、こまかい点にお触れになっておりますから、私から申し上げさせていただきます。  そういう御意見もいろいろ常日ごろ承っておりまして、いろいろ私どもも検討はいたしております。ただ、いまの基幹産業と申しますのも、融資を受ける企業そのものの採算のために出しておるのではなくて、それの転嫁される国民経済的な政策の考慮でやっております。したがって、その必要がなくなればこれはやめるわけで、したがって鉄鋼あたりももうない。それから電力あたりも、例の石炭対策の火力あたり以外には新しいものはいたしておりません。そういうことでやっております。それから輸出のほうも同様でございます。それから国内の船も同様で、これは外国へ行ってかせぐ船だものですから、外国のほうの造船資金の金利と差額がありますとこれは勝負にならぬものですから、ある程度それが手薄であった時期もあるし、それで業界に問題を起こして外貨事情その他に影響を及ぼすというようなことで、実は必要最小限のかつかつの線でやっておるというのが事情でございます。  なお水道その他の公営企業の問題、これも私どももたいへん大事な仕事だと思います。十分に気をつけてやっておるつもりでございますが、何しろ問題がいろいろ大きうございますし、それから、考え方といたしまして、いろいろお話もございました料金の据え置きと財政補給というようなもの七ございますが、基本的な考え方といたしましては、やはり公営企業あるいは準公営、やはり受益者の負担で合理的な計画が立つようにということを第一段に考えております。税金でこれをかわってやるということではとても長続きはいたしません。基本的なことになっていかないということが、基本的な考え方でございます。ただし、そう言っておりましても、実際問題として経営がおかしくなってくるというようなことで例の再建計画を立てなければならぬというような場合が出てまいります。そういうような場合には、料金の問題、経営の問題、その他事業計画全体につきましてこれを何とか軌道に乗せなければいけません。そうしませんと、せっかく受益者負担といってもその基盤が得られないわけであります。そういうような点につきましてはいろいろ財政的な措置もあわせて考えておる、起債もやっておるというのが実情でございます。なお、いろいろ御意見も承りましたことでありますから、今後とも十分に気をつけてやってまいりたいと思います。
  250. 鈴木善幸

  251. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大蔵大臣に租税の自然増収についてお尋ねいたします。  まず、ことしの二月末の租税の収入状況を見てみますと、約三兆百九十億、このようになっておるようでございます。前年度の三月の収入状況から見ましても当然三千六百億程度の収入があっておりますし、本年の三月の収納状況は、少なく見ましても四千億程度になることは明らかであります。そういたしますと、自然増収は約二千二百億程度になるわけでございますが、四十一年度の約千六百億の自然増収よりも約七百億も増加することになります。この事実は大蔵省部内においてもいわれておることでございまして、その自然増収は二千億前後であるというふうなことがいわれております。そうしますと、大蔵大臣は、現在千六百四十億の自然増収をこえて幾らになるか、また、予想としてその二千億をこえるかこえないか、こういう点について大臣の御所見を伺いたい、このように思うのでございます。
  252. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ただいま田中先生のおっしゃいましたように、四十一年度の自然増収につきましては、昨年の十一月に補正予算に千四百六十億円を計上いたしまして、一応の自然増収を見込んだわけでございますが、御案内のように、当時見ておりました経済成長の見通しとその後の経済成長の見通しが違ってまいりまして、事実経済がより大きくなったわけでございます。そのような関係で、先ほどおっしゃいましたように、千四百六十億円を上回る自然増収が生ずることは確実だと思うわけでございます。それが幾らになりますか、先ほどおっしゃいました二千二百億というふうな数字を想定されておるのでございますが、それは前年度の比較からいたしまして想定されて私は決してそれが間違っているとは思いません。しかし、御案内のように、四月は二十九日、三十日と休日がございますので、その分が四十一年度の収入にならない、そういう関係からいたしますと、二千二百億円というような収入にはならないで、おそらく二千億に近いような自然増収、つまり千四百六十億円に対しましては四、五百億円ばかりの自然増収が生ずる、このような見通しを私どもは持っております。
  253. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま御説明いただきましたが、二月末の収納状況が出ております関係上、そうしますと三月、四月の収納状況を、大体の予想でけっこうでございますが、お聞きしたいと思います。
  254. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 おっしゃるように、三月は、私どもの見通しでは、約三千二百億円ぐらいの収入があろうかと思っております。四月は、過去の趨勢から見まして、前年度は八百億円ばかりの収入でございましたが、経済の規模が大きくなっておりますので、一割くらいふえますと約九百億円ばかり、しかし、それが、先ほど申し上げましたように月末が祭日及び日曜日でございますので、繰り越されまして、おそらく四、五百億は四十二年度のほうにずれ込みます。したがいまして、四月は、四、五百億ばかりの収入が入るのではないか、こんなふうに見ております。
  255. 田中昭二

    田中(昭)分科員 何べんも繰り返すようでございますが、いま三月の収納は三千二百億とお聞きしましたが、そうしますと、前年度同月分の租税収入から見ましても、だれが考えてみてもあまりにも常識はずれしたような金額じゃないか、このように私には思われますが、それについて主税局長の……。
  256. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 これは三月分だけの収入でございます。前年の三月も、二千七百億円ばかりの収入が三月だけに入っております。それを上回りまして三月には三千二百億円ばかりの収入が入ろう、こういうふうに見ておる次第でございます。
  257. 田中昭二

    田中(昭)分科員 どうも基礎が違っているようでございます。私、二月分の収納状況額を昨年のものも見てみましたところが、二千三百億というのはどこから出たものかと思います。あくまでも、前年度の二月末の歳入決算額に対する割合と、また当然本年度の二月末における収納税額に三月分が積み重なった場合に、前年度の二月から三月にかける収納金額が、いま二千三百億程度と聞きましたが、その数字はどこから出てきたものか。また、それが二千三百億が正しいとするならば、その二千三百億がどうして三千二百億になるか、その点をお伺いしたいわけでございます。
  258. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 前年の二月は、おっしゃるように二千三百八億入ってございます。今年の二月は二千六百十八億円入っておりますが、月々の納期が税目によって違いますので、前年の三月には二千六百九十九億入っておりますが、今年の三月には三千二百億円ばかり、まだはっきりした数字はわかっておりませんが、入ることに予定されております。
  259. 田中昭二

    田中(昭)分科員 もう一回お尋ねしますが、そうしますと、前年度の三月の収納税額は幾らでしょうか。
  260. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 私は、単年度と申しますか、三月分だけの収入額を申し上げました。おっしゃる点は、累計を申されておるのかと思いますが、累計は、前年の三月末には、御案内のように三兆四百九十五億六千万円でございます。——ただいまは決算額を申しましたが、前年三月には、決算額は三兆四百九十五億であり、前年二月末累計では、二兆六千九百億円ばかり入っております。
  261. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その差額が収入になるのじゃないでしょうか。そうしますと、主税局長さんは、さっきは、三兆四百九十五億ですか、それを三月の収納だとおっしゃいましたけれども、いま再度訂正されまして、三兆四百九十五億は歳入額である、そのようにおっしゃいました。そうしますと、その歳入額に対して、二月末が二兆六千九十六億であるならば、その差額がどう収納されたかということを聞いておるわけであります。おわかりでしょうか。
  262. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 前年度の決算額は、先ほど申し上げましたように三兆四百九十五億円でございます。本年度の補正後の予算額は三兆三千四百三十七億円でございますので、すでに予算におきまして三千億円ばかりの自然増収を出しておりますので、これを上回る額が入って初めて、自然増収が生じた、こういうことが言えるのではないかと思いますが、その点について御質問がございますれば、お答え申し上げたいと思います。
  263. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私がお尋ねしておるのは、何べんも繰り返すようですが、よく聞いてください。三兆四百九十五億でございますか、その数字の入る前の前の月、二月末は二兆六千九十六億、このような収納があっておるわけでございましょう。そうしますと、その差額が三月末に収納された税額じゃないか、このように私言っておるわけでございます。そうしますと、その収納された税額が当然今年度はそれ以上に入ってくるのじゃないか。二月末の収納税額に対して、前年度の同じ月の三月分の収納税額より多いのではないか、このように私聞いておるわけでございます。おわかりになったでしょうか。
  264. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 確かに、三兆四百九十五億と二兆六千九百億との差額、これが三月と四月に二回に分かれて入ってまいります。したがいまして、その差額は約三千五百億円ばかりになりますが、今年度は、おっしゃいますように規模が大きくなっておりますから、おそらく三月、四月におきまして、四月末の休日ということがなければ、確かに大きく入ってまいるわけでございます。それが、先ほど申し上げましたように、三月には三千二百億円ばかり入り、四月は実は千億円ばかりの予定をいたしておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、休日の関係で四、五百億円ばかり四十二年度にずれ込みますので、四月分は四、五百億円ばかりであろう、こういうふうに考えておるのでございます。
  265. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大蔵省としてなかなか計数に明るいと聞いておりますが、いまのただ決算額と二月末の累計の差額だけでも三千五百億という数字は出てこないようであります。三千二百八十三億になるようであります。それは大体わかりました。  いま大蔵大臣も聞いてもらったと思いますが、いまの主税局長の答弁のとおりにしましても約七百億くらいの増収が出るわけでございますが、この七百億に対しまして大臣としてはどのようにお考えになっておるか、その点を大臣からお聞きしたいと思います。
  266. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 七百億かどうかははっきりいたしませんが、それだけの増収がありましたから、私のほうはその範四内で国債の発行を減らしておる。そのあとは剰余金になっていくという性質のものだろうと思います。
  267. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま大蔵大臣から結論をいただきましたからなんでございますが、もう一回重ねてはっきりしておきたいと思います。七百億くらいの増収がかりに出た場合には国債のほうにも回す、このような御意見だと思いますが、それでいいでしょうか。
  268. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう情勢が出てきましたので、私のほうは、もう国債は三月末で削減してしまいました。三百億、一番最後に残しておった国債のワクをなくしてしまいました。
  269. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その国債の減額の問題でございますが、このたびの選挙前には八千二百億の見積もりをしてあったと聞いております。それが、選挙も終わり、いよいよ、予算編成にかかりますと、自然増収の増加が見込まれて、二百億円だけは削って八千億になさった、このようなことは大臣の答弁でも聞いておりますが、いまの三百億というのは、その関係はどうなるのでしょうか、お尋ねしておきます。
  270. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 四十一年度の公債の発行額は、御承知のように七千三百億、市中で消化すべきものを三百五十億円切りまして、あとに残っておったのは、預金部が引き受ける分として三百億円の予定がございましたが、これを打ち切りにしたということですから、年間を通じまして六百五十億円の公債の削減をやったということになります。四十一年度の問題でございます。
  271. 田中昭二

    田中(昭)分科員 よくわかりました。自然増収につきましては、予算の範囲内におきましてその歳入確保についてはいろいろ努力されましていままでの結果を見ておるようでございますが、この前の委員会でも申し上げましたとおり、歳入決算額、歳入額と税の収納額においては、いつの年度も収納額が超過しておるという現状、こういうことにつきましては、ひとつ今後、間違いのないようにとはできないかとも思いますけれども、十分考えていただきたい。なぜかならば、税の徴収については、第一線の税務官吏は、予算の収納が悪ければしりをたたかれるという事実がございます。そういう問題もございますし、収納額がふえてくることはわかりますが、そのために、そのような第一線において徴税の強行といいますか、第一線の税務職員の仕事につきましては大臣も御存じと思いますが、まことに涙ぐましい努力をしておるようでございます。そういう点をよくお考えいただきまして、今後財源がそのように確保される場合には、当然大臣において有効なる計画実行をお願いしたい、こう思うのでございます。きょうの新聞を見てみますと、在外補償の問題で政府は一世帯当たり十万円出すとか出さないとかという論議もなされておるようでございますが、このような政府与党の政策的と思われる支出がその財源の余裕によってなされるということになりますと、これは問題ではないか。まだまだわが国のこの現状におきましては、憲法に保障された義務教育の教科書の無償配布さえ実行されていない。たった九億か十億程度の財源でもそのように問題があるようであるならば、そういう面につきましてはもう少しはっきりした態度をとっていただきたい、このように思うのでございます。  以上で租税自然増収につきましては終わりたいと思いますが、一応大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  272. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御意見のとおりでございます。
  273. 田中昭二

    田中(昭)分科員 ここでもう一回大蔵大臣に私お尋ねすると同時に、わかっていただきたいと思いますことは、この前の大蔵委員会におきまして、予算の見積もりについて間違いがあるのじゃないか、このようなことを、私も初めてでございまして申し上げまして、言い過ぎたことばではなかったかと反省もしておりますが、その後歳入面につきましていろいろ検討いたしましたが、間違いといえば間違い、大蔵当局としましては、自分たちのやったことは金科玉条のごとく一歩も引かないというようなことになれば、あくまでも政府与党と大蔵官僚との話し合いによってどうでもできる、このように私は直感したわけでございます。ただ、小さいことのようでございますけれども、租税収入の歩合を一%少なく見るか多く見るかによってばく大な金額が歳入面にあらわれてきます。そうしますと、本年度の収入見積もりにおいては明らかに低い見積もりをしてあるという点につきましては、当局の方にも指摘もいたしましたが、その点について局長並びに大蔵大臣に報告があり、また検討なされたものか、お伺いしたいわけであります。
  274. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この前にもお答えいたしましたが、正直に言いまして、過小に特に見積もろうとして見積もったという事実は、ほんとうにございません。もし去年の減税措置がなかったらことしはどれぐらいの自然増があるか、経済の伸び率を一三・四と、一応この伸び率を基準に見た数字が八千二百億円前後、これだけのものを最初に見積もったわけですから、相当大きい見積もりだったと思います。それが去年の減税がことしに響いてくる千百億前後のものを引きまして、七千百五十億というのが当初の見積もりでございました。これは去年の十一月でございますが、その後の経済の動きを見まして、選挙後にまたもう一ぺんこの見積もりを直しまして、さらに二百億円自然増を追加する、そうして追加した分だけ国債の発行予定額を切るという作業をしたのですが、当初の見方としては私どもそう過小の見積もりではなかったと思っています。問題は、この経済の伸びがどういうふうになりますか、これがいま予定した一三%よりも非常に多い伸びになるというときには相当な狂いがくるのじゃないかと思いますが、そうでない限りとしましては、私は適正な当初の見積もりであったというふうにいまでも考えております。
  275. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 田中先生に私どもも事務的に御説明申し上げまして種々の御批判を賜わりまして、私ども十分その点を反省し、また考慮いたしております。ただ、過去の経緯を見まして、おっしゃるように全部が全部過小評価となっているのではないことを私は申し上げたいのでございます。私どもといたしましては、与えられたる経済見通し、さらにまた、与えられました過去の収入実績、これを基礎といたしまして、意識を過大とか過小とか置かないで適正に見積もっておるつもりでございますが、何ぶん経済情勢が変動いたしますときには自然増収が生ずることが多いことは事実でございますが、逆に一方、過大見積もりとして非難されたことはございます。昭和三十九年度及び四十年度でございますが、御案内のとおり、私どもは過大見積もりといたしまして非難を受けたことがございます。どちらかと申せば、私どもは、過大ということは歳出面におきましても非常な弊害も生じますので、そういった意味の過大評価は避けたい、こんなような意識がございますが、しかし一方、特に過小評価しよう、こんな気持ちはございません。中に御指摘のように、私どもが事務的に伺ったところでは、去年の収入実績よりも一%低目に見ているというような御指摘もございました。確かにそんな点もあろうかと思いますが、これはできるだけ私どもの得られます実績値に近い数字を計上しようとする努力のあらわれでございまして、特に意識的に過小評価する意味をもってやっているつもりではございません。できる限り適正に評価し、財政全体に迷惑をかけないような方向で努力しているつもりでございます。
  276. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま主税局長から私の質問の前に進んで答弁いただきまして、その点は十分わかったつもりでございますが、こうなってきますと、あくまでも主税局のほうでおつくりになった数字が一番有効であり、価値的であり、低目に見た確実な数字である、このように私は受け取るわけでございますが、それじゃその数字を算出するにおいてはどのような基礎が参考になっていったのかというところまで聞いてみますと、何も四十三年度において一%収入を下げる根拠はないように私はお聞きしたわけでございます。この点につきましては担当の方から局長に報告があったかどうか、私はその点をまずお聞きして、それに対する主税局長の施策なり、またお考えなりをお聞きするつもりでございましたが、時間もあまりないようでございますし、その点につきましてはまたゆっくり局長お話してお伺いしたい、このように思っております。御苦労でございました。  次に納税についてでございますが、納税は国民の三大義務の一つでありますし、いろんな議論が多いようでございます。その執行面の責任者である国税庁長官もお見えになっております。この長官は税金につきましては高い見識と御理解があると聞いております。また当然でございますが、その長官といたしまして、世間では、税金というものは国民は取られる、また税務官吏のほうも、税金を取るというような現実の姿がございますが、これに対してどのようにお考えであり、どのようにそのことを今後指導教育していくものか。国会の中でも、税金を取るとか取らないとかいうことばが出ますけれども、私は、このことにつきましては、当事者にとってははなはだ迷惑なことばであり、迷惑な考え方である、このように存じておりますから、国税庁長官の御意見と方針をお伺いしたいと思います。
  277. 泉美之松

    ○泉政府委員 お答え申し上げます。  お話のように、よく世間では、税金を取られるとか、あるいは取るとか申しておりますが、私は、これは国民の納税観念を非常に誤らせることになるものだと思って、遺憾に思っております。私といたしましては、税金は、国民が憲法に基づく納税の義務として納めるもの、国の運営を円滑にやっていくために納めるものであり、また税務官吏の面から見ますと、国民から納めていただくものだ、そういうふうに考えるべきものであって、取るとか取られるとかいうようなことは、表現は、非常にそういう納税の観念をゆがめるものであるというふうに考えております。
  278. 田中昭二

    田中(昭)分科員 思っておりましたとおり、長官も私の考えと同じようでございます。国民は取られるという感じは、これは直ちに直らないと思います。そうしますと、税務官吏のほうからでも、税金というものは、いま長官もおっしゃっていただいたように、納めていただく、納めてもらうものであるというその姿勢、そういう考え方、そういうものがいままで長官も部下職員に対してなされてきたにもかかわらず、現実にはその態度は改まっておらない。少なくとも自分の心にあるものであるならば、国民の厳粛なるその納税に対しましては、まず官吏側からだけでも、納税をしてもらうという態度なり、そういう姿勢でいかなければいけないのではないかと思いますが、長官のそれに対するいままでの指導、並びに今後それに対してどのようにしていくか、その長官の指導方針、それを確約いただきたいと思うのでございます。
  279. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話しのとおり、まず税務職員のほうから、納税者の国民の方々から納めていただくのだという観念に徹していくべきものだと思います。したがいまして、国税庁といたしましては、ここ数年来、税務運営の基本的な方針といたしまして、近づきやすい税務署にすること、それから適正な課税を行なうこと、それから綱紀を正しくして職場を明るくすること、この三点を税務運営の基本方針としてまいっておりますが、やはり、税務署が納税者にとって近づきやすいものとなるということには、取る取られるといった観念ではいけないと思うのでありまして、あくまでも納税者の方に納めていただく、税務官はそのためのサービス機関である、こういう気持ちに徹していかないと、納税者の理解をいただいて納税に協力をしていただくということがなかなかでき得ないと思っております。私どもといたしましては、税務連帯の大方針といたしましてそういう考え方を打ち出してまいっておるわけでございます。ただ遺憾ながら、昔からの観念が残っている部面がありまして、先生の御指摘をいただきましたような点で、税金は納税者の方から納めていただくものだという観念がまだ十分に徹し切っておらない点は非常に遺憾に思っておりまして、この上ともそういった点の教育を十分徹底いたしたい、かように考えております。
  280. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いま長官の御答弁をいただきましたが、近づきやすい税務著であるということは、いつも私たちも聞いております。また、適正なる課税——適正なる課税になりますと、ちょっといろいろ問題があるようでございますが、いつもお聞きしているようなおことばでいま終わったわけでありますけれども、私から特に大臣に、その所管の大臣といたしまして、税務職員については、税金は納めてもらうのだ、官吏がそのサービスをするのだという、官吏側からだけでも、税金は納めてもらうものであるということを徹底していただくように、重ねてお願いする次第であります。大臣、よろしゅうございましょうか。——それではお願いいたします。  次に、いまの税務行政の中で一、二問題のある点がございますが、これは事務当局の方にちょっとお尋ねいたしましたが、あいまいなことがございまして、私は、そのことにつきましてはあいまいではいけない、このように思っております。きょうは時間がございませんし、そのことにだけ触れておきたいと思いますが、善良な納税者の中に、いろいろな種類もございますが、民主商工会というものがございまして、その民主商工会の会員は、うわさに聞くところによれば、税金は納めぬで済むとか、または、民主商工会に対して税務署の調査が強行されておるとか、このようなことを聞いております。当然、この民主商工会に対しましては、税の最高の責任者である国税庁長官、並びに大蔵大臣もその実態につきましては御存じのことだ、このように私は思っておりましたところが、当局のほうにお尋ねいたしますと、それが明らかでないようでございます。そのようなことでは、私は、この民主商工会に対する健全なる指導または調査、徴収という面につき出してなおさらみぞを大きくするのではないか、このように思っておりますが、その民主商工会に対することにつきまして、長官並びに大臣がお知りの程度につきまして御意見を伺いたい、このように思うのでございます。
  281. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話しのとおり、民主商工会という団体がございまして、税務に対しまして協力をしていただけない点が多いのであります。お話のように、この民主商工会に加入すると税金を払わなくてもいいというようなことで会員を募っております。それからまた、税務職員がその会員の店舗などに臨みまして税務の調査をいたそうといたしますると、多数の人が集まってきまして、組織的に妨害を行なうというようなことがございまして、税務の執行といたしましてたいへん困っておるのであります。  それでは民主商工会の会員はどの程度かということになりますと、年々変動いたしておりまして、まあ、向こう側と申しますか、全商連という全国的な団体がございますが、そのほうで申しておりまする数字は、どうも私どもがつかんでおる数字よりは多いようでありますが、これはこういった組織の常として、勢力をやや過大に表現されるのではなかろうかと思っております。私どものほうとしまして、民商の会員として把握いたしておりますのは、昨年九月末現在でございますと五万二千七百余りになっております。その前年は四万四千くらいであったのでありますから、一年間に約八千増加いたしておるというような状況であります。もっともその前、三十八年当時は四万八千九百程度おったのが、三十九年、四十年とで若干減りぎみであったのが、四十一年にさらにふえていくという傾向にあります。私どもは、三十九年、四十年とだんだん減る傾向にありましたときは非常に喜んでおったのでありますが、これがまた四十一年にさらにふえる傾向に転じたという点におきまして、これはゆるがせにできない問題であるというふうに強く感じております。  もっとも、これは全国的な数字を申し上げたのでありまして、いま言った会員の増加、減少の傾向は各地域で非常に違っております。東京国税局管内におきましては、先ほど申し上げました三十六、七年ごろ非常に多かったのでありますが、これは最近減りぎみであります。最近ふえる傾向がありますのは、大阪、名古屋地区であります。それからなお、田中先生よく御承知だと思いますが、福岡地区におきましては、昨年前半はふえる傾向にあったのでありますが、その後、昨年の九月以降やや減少する傾向になってきております。
  282. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は、この問題は二十五年、六年当時、その当時の国税長官原純夫氏のときにも詳しく聞いて、これは何とかしなければいかぬと、この対策にはやはり頭を痛めた一人でございますので、事態はよく承知しております。いまはどうか存じませんが、当時においては、会員が意識的に申告を低くするという問題もございますが、それよりも、やはり会員について、内部の職員で、会員であれば特別に扱うというような関係があったために、非常にまた民主商工会が発達したというようないきさつがございましたので、当時の国税庁はその対策に相当かかっておったということで、私ども、これについてはずいぶん努力しましたが、一時非常に傾向がよくなって、また最近活動を行なってきたということでございますので、国税長官にも、引き続きこの問題は厳正な税務署の処置をとるように、私からも要望しておるところでございます。
  283. 田中昭二

    田中(昭)分科員 時間がありませんから、一つお願いだけして終わります。  いま、長官並びに大臣から承りましたが、それにまたけちをつけるわけではございませんが、善良なる納税者の中にそういう者がありながら、その者に対して国税庁長官並びに大臣は、具体的にどのようにそれをしたかということをお聞きしたかったわけでございます。いま、民商会員の人員の報告がございましたが、そういうことよりも、民商会員で、当然税金を納めなければならない人が四万人近くもかりに納めないでおるとするならば、そういう事実に対して放置しておる、その内容がわからない、国税庁長官も大臣もわからないというようなことでは国民に対して申しわけがないじゃないか、このように私は思うわけでございますから、今後、国税局から報告をとるばかりじゃなくて、本庁の役人が地方に出張することもございますから、自分のほうから進んでその実態を調査して、そしてそれに対する庁の国税局に対する指導方針決定するのがあたりまえじゃないか。ただ局からの報告を待っておって仕事をしておるというようなことが、官庁のいままでのいろいろ批判される根本じゃないか。庁は、国税局を指導監督するならば当然、出張することものることだし、そういう大事な仕事であるならば、出張していって、報告をとるのじゃなくて、自分らが報告をそこで求めて、そして今後完全なる税務行政の執行をお願いする次第でございます。  以上で終わります。
  284. 鈴木善幸

    鈴木主査 大蔵省関係予算に対する質疑はこの程度にとどめます。  これにて防衛庁科学技術庁及び大蔵省関係予算質疑は一応終了いたします。  本日は、これにて散会いたします。   午後四時四十八分散会