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帆足分科員 大蔵大臣はりっぱな方ですけれ
ども、ここで
一つの重大な欠陥があると思うのです。お互いに反省すべき点があると思うのです。子供の、死亡率は、いま厚生省からもらいました数字で、五歳から九歳までの死亡は、死亡原因別では事故による死亡が四二%。この数字を聞いて肝をつぶさない人がいるでしょうか。まだおんもに出ることのできない一歳から四歳までの事故による死亡率は三八%。おんもに出られるようになってからは、交通事故による犠牲がさらに急激にふえますから、四二%。そうだとすれば、健康保険の問題を論ずるよりも、むしろ事故死に対する対策を考えておかねばならぬ。これほど交通事故その他の事故はいま切迫した問題でございます。大臣はこれに大いに胸を打たれる思いがいたしますかどうか。東京都内の事故死の数をきのう伺いました。全国の事故死の数も伺いました。その事故死の大
部分は、ひかれる被害者の大
部分は子供と年寄り、加害者は遺憾ながら大型トラック、遭難の場所はおおむね交差点と学校への通い路、これが五割でございます。だとすれば、交通地獄の対策を講じさえすれば、まず五割解決するわけでございます。そのための
経費を従来厚生省も
要求せず、文部省は子供の命を軽んじ、大蔵省は、ただいまお答えのように、大臣の聡明さをもってして疫痢が減ったということは知っておられますけれ
ども、事故死がこれほどふえておるということまでは、それほどまではまさかとだれしも考えると私は思うのです。
第二に伺いますが、
日本の身体障害者並びに精神障害者の数はどのくらいとお考えですか。そのうち何割が一体学校なり適切な収容所に収容されているとお考えでしょうか。もうこれ以上追及することはやめます、これは人道上の問題ですから。大臣をいたずらに苦しめてもしかたがありません。その数は、いずれ来週月曜日の厚生
関係の
分科会におきまして係官に立ち会っていただきますから、ひとつ大蔵大臣には、こういう天文学的な矛盾が、すなわち厚生省に対する大蔵省の理解の不足があるということを心にとめていただきたい。
私は昨日の
分科会でも言いましたが、
日本の鉄は、私が大臣とも
ども大学を出ましたころ、満州事変の起こりましたころの
日本の鉄は二百万トンでした。それがいまでは年間五千八百万トンの鉄になっております。フランスの三倍近くでしょう。五千八百万トンの鉄をつくる大工業国に成長した
日本が、国民生活の水準は世界の二十一番目。身体障害者、交通事故、自殺に至っては世界一です。オリンピックに心を労することも大切ですけれ
ども、世界の社会福祉のオリンピックにおいて
日本が最劣等であるというこの悲惨な事実について、ひとつ聡明な大臣の御注意を促したいと思って、あえてこういうことを申し上げる次第であります。
身体障害者の数及び精神障害者の数、それから青年の自殺と年寄りの自殺が世界一であるという数、これだけちょっと主計官から申し上げて、大臣に御注意を促したらいかがでしょうか。あまりにもひどい例だからです。もし適当な数字を御記憶なくんば、後ほど大臣に提出して、大臣の御注意を促すことが適当だと思います。
私はきのうこういうことを言いました。五千八百万トンの鉄をつくりながら、東京の中心の私の住んでいる杉並で水槽便所の普及していることのりょうりょうたること。その便所の大
部分は、大衆食堂においても、ウガヤフキアエズノミコトが三年前に御設計になり、スサノオノミコトがものしたような便所で大衆食堂を行なっておる。民主主義はまず水槽便所から、これも
一つの象徴的な例として申し上げる。この伝統的矛盾、六千万トンの鉄をつくり、イギリスの三倍以上の造船力を持ちながら、国民生活の水準は世界の二十一番目。ボーダーラインにさまよう人口は二千万をすでにこえております。かつて植民地だったころのインドの郊外のような風景が至るところに展開されている。これらの数字の五つ六つのきびしい事態を、大蔵大臣、肝に銘じておいていただきたい。私はこのことを、昨年の秋スウェーデンに行って、言いました。五千八百万トンの鉄をつくる
日本が、どうしてこうも社会保障が貧しいのか。スウェーデンの厚生大臣は私にこう言いました。それは心がけの問題です。そういうどうしても必要な
予算を先に組んで、そして残ったもので
防衛費とか大産業補助金とかいうのは間に合わせればいい。おおむね大産業は、長期の金利でもって間に合わせる
方針をとって、そして何とか証券に二百億も無期限、無利息の金を渡したということをうわさで聞いておるが、すばらしい心がけではないか。そういう心がけでよくぞ五千八百万トンの鉄がつくれるものだ。すばらしいというのは皮肉なんです。アイロニカルなすばらしい。ですから、
日本の所得倍増はそれ相応の
一つの目的を達しました。いまや総合政策に大蔵大臣が心を配られて、そして
日本における年寄りの自殺率が世界一、青年の自殺率も世界一、交通事故に至ってはいま申し上げましたような痛ましい数字、ぜひともひとつきょうのことばをお忘れなく。議員は、ロシア革命か中国大革命か、紅衛兵をどう思うかなどと言えば、人哲学の相違があるように、フイフイ教徒と仏教徒と人生観が違うように違いがあります。しかし、こういう日常の問題になれば、われわれの子供たちは同じ教室で勉強しておる兄弟ですから、皆さんとわれわれとの開きはあまり大きくないと思うのです。ただ、重要なことに非常に重要性を痛感する庶民の
立場と、そういうことを痛感しない冷暖房装置の中でお暮らしになっておる方の
立場と、焼き鳥屋で豚の臓物で栄養をとっておるそういうビタミンのとり方と、金
田中で美妓をはべらしてホルモンを吸収しておるそういう相違、それがやがて心理に影響を及ぼして、残念ながら子供たちのことをあまり考えず、子供の今日の死亡率、事故死というもののはなはだしさ、年寄りの自殺が世界一であるという事実、国民生活の水準がプエルトリコに劣り、ベネズエラに劣るという事実などに賢明な大蔵大臣が多少認識を欠かれる、またはなはだしく認識を欠かれるということの原因だと思いますから、私は大臣に好意的苦言を呈したわけです。このことを言えば、話せば長い物語になりまして、三十分の所定時間をこえてしまうおそれがありますから、直ちに当面すぐ御考慮を仰ぎたいことを申し上げます。
ただいまから申し上げます三つ四つの点も、いずれも政党政派と
関係ありません。皆さまの御親戚、御家族の一員が申したというふうに気楽に、そして切実にとっていただきたいのでございます。
第一は相続税の問題ですが、
日本では古来の純風美俗、多少純風悪俗、こんがらかっておりますが、夫婦は一体というふうに大体考えられておりますから、ともに糟糠の妻と
努力したその財産はおおむね夫の名義になっております。また銀行との
関係な
どもありまして。そこで、十分な用意をせずに突然無情の風が吹きますと、残された未亡人はばく大な税金を払わねばならぬ。そういう税金とも知らず、家まで売って払わねばならぬということも非常に多いのでございます。私
どもにくる身の上相談の中で最も多いものの
一つは相続税です。大財閥と申しますかそういう人たちの場合思い切った相続税を取って、子供はやはり清らかに出発するようにすることはいいことだと思います。私は、青年で親の財産でぜいたくをしておる者を見ると不潔だと思います。しかし、五十歳をこえて貧之しておるのもあまり清潔な風景でもありませんけれ
ども、これはやむを得ません。しかし、健全な中産階級を擁護するという
意味において、私は、未亡人の涙に追い打ちをかけるような税金の取り方は悪いと思う。したがいまして、せめて五十万円まで、すなわち平均年齢を七十三歳、しかし六十歳になって先を思うと、八十五歳ぐらいまでは未亡人が涙を流さずに晩年を楽しめるというぐらいの、インフレも考慮して、資産は残してあげたいと思います。無産政党たるわれわれが、中産階級のためにかく弁ずるのは、社会党かくも成長したかと喜んでいただきたいのでございますが、今度ひとつ
政府もそれにかんがみまして、昨年も一昨年も私は
田中角榮氏にこれを非常に強く
要求したわけですが、三十万円までは奥さんの相続税を免除する、奥さんがなくなればむすこが引き継ぐ、そのときに税金を取ればいいんですから、私は五千万円くらいが適当だと思いますが、いま内定しておる
政府の御意見、それからいつから実施するか、これは二、三月に非常に死亡が多くて、四月にいろいろ相続のことが起こるものですから、いつから実施するかということもきわめて重要なことです。ちょっと伺いたいと思います。