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大原委員 まだ最後に一つ問題が残っておりますから、
総理大臣も中座されておりましたので、ここでひとつ、
医療問題について締めくくって
質問いたします。
私は、今日、保険料の大幅引き上げの問題、それから
医療費の一部患者負担の問題、この問題を中心にして臨時特例で出ておるのですが、たとえば薬の問題一つとりましても、私は薬価基準その他、
政府の責任に嘱する問題が多いということを議論いたしてまいりました。あるいは一日一剤十五円という、そういうことをやるだけで、今日、矛盾は拡大するだけだということについても私は指摘をいたしてまいりました。で、私は
総理大臣のイテシアチブ、指導性あるいは責任という問題についてお聞きしたいのですが、
総理大臣が社会開発をスローガンに出されましてから、たとえば厚生大臣とか
経済企画庁長官は伴食大臣であってはならぬ、こういうことを言われたこともあると思うのであります。しかしながら、神田厚生大臣、鈴木厚生大臣、坊厚生大臣、一年ごとにどんどんかわってまいりまして、ようやく中身がわかったころには更迭ということであります。そういたしますと、
医療保障だけでなしに、そういうたびごとに初めから総合的に研究しなければならぬ。そして
医療保険の問題で毎年毎年こういう同じこと繰り返しておる。暫定対策ではなくて、抜本対策に
関係がある。たとえば薬価基準について、実勢価格と合致させれば
相当の
予算が浮くんだ。しかしながら、医者の技術や薬剤師の技術を尊重するという総合対策や
医療制度の問題全体の改革をやらなければ、これは実現できぬ。そういうことについて、できないような状況に
総理大臣は組閣その他の方針を通じて持っていったのではないか、こういう点について、私は
総理大臣の政治責任はきわめて大きいと思うのです。これが第一点。
それから抜本対策については、いままでの国会の議事録をひもといてみますと、昭和四十年十二月二十四日の
予算委員会におきましても、私の
質問に対しまして出時の鈴木厚生大臣はずっと問題点をあげられまして、そして「昭和四十二
年度の
予算編成にはそういう抜本的な対策の上に立った制度の改善を実現いたしたい、このように
考えております。」というふうに言われたのです。それを受けて当時の福田
大蔵大臣、いまの幹事長、これは「いま厚生大臣が申されたように、来年一年かけて、ほんとうに根本的にどうするのだということをきめて、そして、四十二
年度からは明るい展望を持って保険制度というものが全面的に動き出す、こういうことにいたしたい、かように
考えるわけであります。」と
大蔵大臣も言われたのです。それを、当面の情勢を糊塗する赤字対策、臨時対策だけを積み上げてきて、矛盾が拡大するというふうなことをやっている。この赤字の問題は、私がいままで長い間時間をかけて議論をいたしまして明らかなように、
政府、厚生省当局の責任である。それを患者や被保険者に転嫁するということはいけない。政治の不信であり、あるいは国民不在の政治であるといってもこれは過言ではない。歴代厚生大臣、あるいは
医療費の問題の取り組み方において
総理大臣が欠くるところがあるのではないか。国民の命と健康にかかわる問題が非常に大きなピンチにきている。そのことが日本の社会保障制度全体を混迷と停滞におとしいれておる。そして圧力や利権のあるところに政治の恩恵が及ぶというふうなことは、これは私は許しがたいことではないかと思う。政治資金規正法もいまやまさに流れんとしている。私は、いまの厚生大臣、坊さんについてとやかく言うのではない、鈴木厚生大臣について言うのではない、神田厚生大臣について言うのではない。ないけれ
ども、次から次へ大臣をとっかえて、そして習熟したかと思えばすぐかわっていくというようなことでは、これはだれが責任を持つのか。厚生省の良心的な官僚諸君も非常にこれは疑惑を持ち、勇気が出ない、学者も協力しない、そのことを私は指摘いたしました。これは私はまさに
総理大臣の政治責任であると思う。
もう一つは、抜本改正について、歴代の厚生大臣あるいは
大蔵大臣が、昭和四十二年にやると、こういうことを言ってきた。
総理大臣もそれを裏づけてきた。議事録にあるけれ
ども、内閣の責任としてやっていきたいということを言ってきた。何らできないばかりでなしに、期間も示されないような臨時特例を設けてここにやるというようなことは、患者の負担と国民の負担でやるというようなことになるので、これはいけない。このようなことをやって混迷を倍加するよりも、こういう法案はすべからく撤回をして、一日も早く国民の声を聞いて抜本対策をやるべきである。そのために五百二十億円の赤字、これは七百四十五億円で、二百二十五億円は
政府はもう
予算に計上しているのですから、五百二十億円の赤字というふうなものは、これは大局的に見て、単なる赤字の問題として、赤字対策として処理するのでなしに、そういう政治的な見解から処理すべきである。けさから
北山委員も指摘したとおりである。
この二点について、私は
総理大臣の責任はきわめて重大であると思うので、この際、この
予算委員会を通じて国民に所信を明らかにしてもらいたい。