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八木(一)
委員 同和対策特別措置法と私が呼んでおります
法律の
内閣のほうの草案は、
同和対策の促進に関する
法律案というような名前で呼ばれております。促進ということばでは、
一般的な行政でやらなければならないことを急ぐという表題になります。これは四百年間の非常な
差別のもとに起ったものを取り返すには、特別中の特別の措置をしなければなりませんので、やはり題名は、特別措置法という題名で御提出をいただけるのが一番よいことではないかと思うわけです。
その次に、その一審で、非常に苦心をした作で前向きのところもありますし、非常に努力のあとが見えておりますが、
国民の責任を書いて、国の責任が――国の実施すべき事項というふうに、いささかぼやけた表現がございます。これは岸さんの
内閣以来、
国会と
内閣との約束の点で、やはり国の責任ということを明確に出しておく必要があろうと思います。それとともに、具体的な問題を進める必要がございます。
具体的な問題について、この前も
総理大臣と総括
質問でお約束をしましてから各大臣とお話をし、各大臣がお約束を願った問題でありますが、たとえば、
各省が補助をしていろんな事業をやります。これは
厚生省にしても、
文部省、
建設省、
農林省、通産者、あらゆるところで同和問題の推進のために、いささかながら、いままでしてきておられることに補助があります。二分の一補助もあり、三分の一補助もあるわけであります。それをできるだけ高率にいたしませんことには、特別な地域にだけ超過負担がふえてくるわけであります。それともう
一つは、補助対象を十分にしませんと、建物の補助だけ出て土地の買収費の補助が出なかったり、あるいは整地費や前の建物の
移転費等が出ないと、やるつもりでそのものが動かないことが起こります。それからもう
一つは、
一般的にいわれているところですが、
予算単価と実質単価の差があります。それが非常にネックになります。これが障害になります。それは
一般的に全部大事なことでございますけれ
ども、
同和地区の集中しているのは、ある種の特別な府県に集中し、また、特別な市町村に集中をいたしております。でございますから、全体がそうでございますが、特にこの問題に関する限り、そのような補助率が少ないこと、補助対象が必要なもの全部に行き渡らないこと、それから実質単価と
予算単価の差があること、これがブレーキをかけてしまいます。貧困な
部落の同胞に、自己負担はこれは絶対さすべきじゃありませんし大字負担もさすべきじゃありませんし、市町村負担分がふえれば、それだけのものが多くなります。そういうようなことを進めるために、その
同和対策特例措置法には、非常に風格あふれている
憲法の
条章からきた前文をつけ、国の責任をうたい、地方自治体の責任をうたい、そういうことをしてから、具体的にものを動かす条項が必要であります。
一つの例を申し上げたわけでございまするが、ひとつ、そういう点をできるだけ明確に規定する
条文を入れていただく必要があろうと思います。
それともう
一つは、地方自治体自体で、その所在の
同和地区に対して、やはり積極的にやる
義務がありますし、必要がございます。地方自治体は、その
同和地区のある自治体に限って特にそういう財源が少のうございますし、必要度が多うございますから、特別交付税という
制度を活用しなければなりません。ところが、特別交付税の
制度は、交付税交付金の中の六%ということに限られておりまして、その大部分は災害その他のために充てる
金額になっております。そうなると、特別交付税を活用するといっても、特別に
同和地区のための特別交付税という
制度を設けるか、その六%という
ワクを今度そういう問題に、
同和対策のために特別交付税を活用するとなれば、その
ワクを広げる操作をしないと、そこで制約を受けて、地方自治体がその
施策を前進できないという問題があります。そういうような問題も、具体的な条項としてできるだけ入れる原案をつくっていただきたいと思うわけであります。
総理大臣でいらっしゃいますからお時間がありませんので、柱だけを申し上げまして、あとは各主務大臣に申し上げますけれ
ども、たとえば、雇用の問題にしますと、石炭離職者に対する特別の措置法がございます。また、職業安定法と緊急失業
対策法という、いわゆる失対二法といわれた
法律がございます。その石炭離職者に対してとられた
方法が、半永久的な潜在失業群であるこの
同和地区に当然とられてもいいのではないか、その
条文そのままを。石炭離職者の特別措置法を
同和地区の申請した住民に対しては適用するという簡単な書き方もありましょうし、それと同様な
条文をそこにうたう書き方もございましょうけれ
ども、とにもかくにも、具体的にそういう問題で動く、そういうことを書いていただく必要があろうと思います。
それから失対二法の中で、たとえば、失業多発地帯といって、失業保険の受給率が全国平均の二分の一以上のところには、特別の措置をすることになっております。ところが、
同和地区の住民は、失業保険を受けるような企業に就職していない人が多いわけであります。失業
状態は、いわゆる普通の失業多発地帯よりも多いのに、そのような規定では当てはまらないということになります。そういうことで、
同和地区には、この失業多発地帯としての取り扱いとするというような規定をうたうという問題が、雇用の問題にあります。
それから地域の開発の問題では、離島振興法というような
条文か、
一つの参考事項になろうかと思います。それ以上の厚みをかけていただく必要があろうと思いますが、そういうような既存のいろいろな
対処すべき
法律があるわけであります。
そういうような問題を具体的に動かす
条文を入れた
同和対策特別措置法を至急に御検討になって、至急に御提出になり、さらに
国会の前向きな
審議を経てこれを制定をしていただきたい――制定は
国会の権能になりますけれ
ども、提出をしていただきたいと思うわけであります。これについて
総理大臣のぜひ前向きな御
決意を聞かしていただきたいと思います。