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1967-04-04 第55回国会 衆議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月四日(火曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 植木 庚子郎君    理事 赤澤 正道君 理事 小川 半次君    理事 田中 龍夫君 理事 八木 徹雄君    理事 加藤 清二君 理事 中澤 茂一君    理事 小平  忠君 理事 伏木 和雄君       相川 勝六君    有田 喜一君       井出一太郎君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    北澤 直吉君       坂本三十次君    塩谷 一夫君       周東 英雄君    鈴木 善幸君       登坂重次郎君    灘尾 弘吉君       野田 卯一君    野原 正勝君       福田  一君    藤波 孝生君       船田  中君    古井 喜實君       保利  茂君    松野 頼三君      三ツ林弥太郎君    石田 宥全君       角屋堅次郎君    北山 愛郎君       阪上安太郎君    高田 富之君       畑   和君    山中 吾郎君       折小野良一君    河村  勝君       和田 耕作君    鈴切 康雄君       正木 良明君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         厚 生 大 臣 坊  秀男君         通商産業大臣  菅野和太郎君         労 働 大 臣 早川  崇君         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         警察庁交通局長 鈴木 光一君         経済企画庁調整         局長      宮沢 鉄蔵君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         大蔵省主計局長 村上孝太郎君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         厚生省薬務局長 坂元貞一郎君         農林政務次官  久保 勘一君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         農林水産技術会         議事務局長   近藤 武夫君         林野庁長官   若林 正武君         水産庁長官   久宗  高君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         運輸政務次官  金丸  信君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         建設大臣官房会         計課長     高橋 弘篤君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省住宅局長 三橋 信一君  委員外出席者         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 四月四日  委員荒木萬壽夫君、石橋政嗣君及び折小野良一  君辞任につき、その補欠として三ツ林弥太郎  君、石田宥全君及び和田耕作君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として石  橋政嗣君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算  昭和四十二年度特別会計予算  昭和四十二年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計予算昭和四十二年度特別会計予算昭和四十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。河村勝君。
  3. 河村勝

    河村委員 初めに、四月一日夜発生いたしました南海電鉄事故について少しくお尋ねをいたします。  まず初めに、民社党といたしまして、なくなられた方に対しまして深く哀悼の意を表しますと同時に、けがをされました方々に対してお見舞を申し上げます。  そこで、事故発生いたしましてからすでに三日を経過いたしましたので、諸般の事情がおおむね明らかになったことと存じます。いろいろ報道されることが食い違いもございますので、要点だけ、問題点だけをごくかいつまんで御説明をいただきたいと思います。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 発生時日は、昭和四十二年四月一日午後七時二十六分ごろ、大阪泉南泉南町男里、南海電鉄樽井九号踏切でございます。第一の原因者は、森吉運送株式会社、本社は愛知県にありますが、それの運転者佐藤新一郎でございます。大型トラックを運転してその踏切に入ったときにエンストを起こしまして、それで電車が近づいてくるので逃げ出しまして、そして助手の白川というのが合い図をしたそうですが、暗いときでわからずに、そのまま南海電鉄運転士杉本佳紀——電車は急行五両編成の一八〇五号車でございます、これが衝突をいたしました。死者五名、重傷九十三名、軽傷百二十五名、計二百二十三名の事故を起こしたわけでございます。  目下、警察といたしましては、このトラック運転手並び南海電鉄運転士について捜査をやっておる最中でございます。
  5. 河村勝

    河村委員 これに関する鉄道側の御説明をかいつまんでお願いいたします。
  6. 金丸信

    金丸政府委員 このたびの事故につきましては、まことに申しわけないと思っておるわけでありますが、運輸事業における輸送安全確保につきましては、つとに最も意を用いておるところでございまして、今回の大事故につきましては、徹底的に原因を究明し、再びかかる事故のないような措置を講じたいと考えておるわけであります。  なお、運輸省におきましては、南海電鉄事故対策本部をつくりまして、大臣本部長に鋭意この問題について対策を講じておるわけでありますが、現在、死亡された方あるいは負傷者方々につきましては、補償の問題、あるいは一日も早く回復するような万全の措置を講じ、なお、電鉄あるいは森吉運輸両会社に対しましてもあらゆる指導をいたしまして、万全の措置を講じたいと考えておる次第であります。
  7. 河村勝

    河村委員 実は、問題となっているポイントを伺いたいと思ったのですけれども、御説明がありませんので、二、三の要点だけをお伺いいたします。  まず第一に、ただいまの国家公安委員長の御説明で、単はエンストしたというお話でございますが、それに対して、鉄道側踏切道整備状態はどうであったか、それをお伺いいたします。
  8. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私から便宜お答えいたしますが、その踏切町道でございまして、その町道は舗装してありますが、踏切そのものは舗装はございませんで、まくら木の踏切でございまして、相当でこぼこがあったように承知いたしております。
  9. 河村勝

    河村委員 ただいまの道路の問題でございますが、たいへん幅員の狭い道路でありましたが、これは車両制限令によってトラック通行禁止になっている区間であったかどうか、その点をお伺いいたします。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 大型車の規制をしていないところであると承知しております。
  11. 河村勝

    河村委員 事業用トラックについては、こういう非常の際のために手旗あるいは携帯用のランプを所持しなければならないことになっているはずでございますが、この場合どうであったか、それをお伺いいたします。
  12. 金丸信

    金丸政府委員 お答えいたします。  手旗は持っていたようであります。ほかのものは、ただいまの御質問の点は調査中であります。
  13. 河村勝

    河村委員 いま一つだけお伺いいたしますが、この事故電車運転士子供を連れて運転台に乗っておったということでございますが、その事実の有無と、そういうことに関する南海電鉄服務規程がどうなっておるか、それをお伺いいたします。
  14. 金丸信

    金丸政府委員 お答えいたします。  運転士の三歳になる子供運転台に乗せておったということは事実のようであります。なお、服務規程には、いわゆる腕章をつけている者でなければ運転台に入ることができないというような服務規程になっておるようでございます。
  15. 河村勝

    河村委員 事故原因につきましては、まだほんとうのところはわからないであろうと思います。そういう意味で、現在両方運転士捜査段階にあるときでもございますので、一日も早くこの事故原因を究明すると同時に、死亡された方あるいは負傷者に対する弔慰については、ぜひとも遺憾のないようにお願いをしたい、こう考えるのでございます。  ところで、そういう直接の事故原因についての責任は別といたしまして、やはり鉄道のように大量の人員輸送責任を負っておる機関でございますから、そうした直接の責任は別にいたしましても、当然そういうことについての社会的責任は大きいわけでございます。そこで、このような非常に痛ましい教訓を生かして、ぜひとも今後の万全の対策をとっていただきたいわけでございます。  今後、こうした事故、本件と同じような事故が起こらないとは限りませんので、今後の事故を考えてみますと、大体、運転事故防止の主眼として考えられるものは、一つは、この事件のような踏切対策であり、いま一つは、前々から問題になっております自動列車停止装置というような運転保安設備、この二つであろうと思います。  そういう意味で、この二点について、これからその対策をお伺いしたいのでございますが、第一に、昭和三十六年に踏切道改良促進法というものができまして、それによって、国鉄はもとより私鉄に対しましても、こうした事故防止のため踏切道改良対策をやっておられるはずでありますが、実際、その進捗状況はどういうふうになっておるのか、それをお伺いいたします。
  16. 金丸信

    金丸政府委員 お答えいたします。  私鉄に対する立体交差化踏切保安施設等保安施設整備につきましては、この工事重要性にかんがみまして、従来開発銀行融資を行なっております。これらの工事進捗をはかるために、今後とも社会的な要請にこたえるべく、これら施設計画的な整備促進につとめるつもりでおります。  なお、これらの財政融資融資条件の改善につきましては、四十年度から融資比率を、工事費に対しまして、いままでは二五%であったわけでありますが、五〇%に上げてあります。なお、四十二年度から貸し付け利率を、いままで八分二厘でありましたのを、七%にするというようなことで優遇措置を講じておる次第であります。
  17. 河村勝

    河村委員 実はそういう抽象的なことを私は伺ったのではなしに、大体こういうあぶない踏切がどのくらいあって、今日までどのくらい整備をして、まだあぶないところがどのくらい残っておるか、そういうことをお伺いしたがったのでありまして、もう一ぺんお答えいただきます。
  18. 金丸信

    金丸政府委員 お答えいたします。  踏切道改良につきましては、踏切道改良促進法を制定しまして、政府といたしましても、従来からこれを強力に推進していたところでありますが、昭和三十六年度から四十年度までの五カ年間に整備した踏切道数は、立体交差化が八百十カ所、構造改良二千七百六十九カ所、保安設備整備一万二千五百五十五カ所となっております。その間に整理統合された踏切道は七千三百四十五カ所にのぼっております。この結果、昭和三十六年度には七万七百三十八カ所あった踏切道が、四十一年四月一日現在で六万一千三百八カ所となりまして、保安設備のない踏切も六万一千百二カ所から四万一千七百六十四カ所に減少しております。踏切道改良につきましては、今後ともこれを強力に推進いたしてまいりたい所存でおります。踏切道改良促進法によりまして、昭和四十一年度以降五カ年間に立体交差化が六百カ所、構造改良二百五十カ所、保安設備六千九百五十カ所を改良する計画を遂行しております。しかしながら、これについては、昨年踏切実態調査を行ないまして、この結果を分析し、交通量事故発生状況の変化を織り込んだ踏切道改良計画検討中であります。踏切道改良促進法による指定基準の再検討を含めまして、今後より効率的な整備を行なってまいりたいと考えておる次第であります。
  19. 河村勝

    河村委員 どうもよくわかりませんけれども、要するに、相当やったけれど、まだあぶないところはかなり残っておるということだろうと思いますので、なお一そうそれを促進していただきたいと思います。  次に、自動車停止装置、いわゆるATSというものが、踏切道以外の運転保安設備として一番大事でございますが、これも前々からやっておられる計画がどのくらい、少なくとも大事なところの本線都市近郊本線でどの程度整備状況になっておるか、南海だけでなしに、おもな私鉄の全体の状況がどうなっておるか、それをお伺いします。
  20. 金丸信

    金丸政府委員 お答えいたします。  列車衝突事故を防止するため、自動車列車停止装置大都市周辺輸送を担当する私鉄主要線区約千三百キロメートルについて、昭和四十四年度末までに完備するよう、特にこのうち重要な区間約七百六十キロメートルについて昭和四十二年度末までに緊急整備するよう指令をいたしております。これに要する費用は約百四十億円と見込まれております。なお、財政的な援助措置といたしまして、開発銀行融資利率を、いままで八分二厘であったのを七%としました。なお、固定資産税についても二分の一に激減するというような優遇措置をして促進いたしたい、こう考えておる次第であります。
  21. 河村勝

    河村委員 ただいま政務次官は、しきりにこれからのいろんな助成措置のことだけをおっしゃっているようでありますけれども、昭和四十二年度から特に都市交通を担当する私鉄助成措置についてやっておられることを述べておられるのだと思います。それでは、そのおもな内容、一体その中でもって輸送力増強に振り向けられる部面と、それから踏切道あるいは運送保安設備のような立体交差とか運転保安設備とか、そういう保安関係に向けられる部分と、その区分をいたしまして概略を御説明いただきたいと思います。
  22. 金丸信

    金丸政府委員 都市交通緊急整備対策につきまして、昨年七月、都市交通審議会において高速鉄道助成小委員会を設置しまして、八月三日以来同小委員会で六回にわたりまして検討が加えられた結果、十月十九日、同審議会から関係大臣あて建議がされたわけでございます。この建議は、十一月十五日に、その大綱につきまして交通関係閣僚協議会了解事項となっております。建議の概要は、わが国の経済発展産業構造高度化東京大阪名古屋等大都市への人口の集中をもたらし、その結果生じている通勤通学難の激化、路面交通の極度の渋滞化というような過密化現象は、このまま放置できない状態となっております。したがって、高速道路等を緊急に整備する等によりこれらの問題を解決しない限り、都市生活の安定と都市機能円滑化は期待できない。しかしながら、大都市高速鉄道経営主体は、投資余力が貧困でありまして、しかも、設備投資に伴う過重な金利負担がその収支を悪化させたもので、輸送力増強工事を十分に進捗させることができません。そこで、都市政策としての国家的見地からその整備をはかる必要があるが、その場合、運賃負担力等見地からも、収支の悪化を運賃値上げのみにより改善すべきではなく、国は、地下高速鉄道及び私鉄に対し抜本的な助成政策をすべきであるというようなことにいたしております。  以上であります。
  23. 河村勝

    河村委員 私がお伺いしたのは、そういう要綱をお聞きしたのではなしに、具体的に通勤対策その他に振り向けられている、その対象となっているおおよそのスケールと、それから保安設備に対して向けられておるスケールと、これはどのくらいになっているかということをお伺いしているわけであります。
  24. 金丸信

    金丸政府委員 具体的な数字の問題につきましては、実はいま参議院のほうに係が行っておりますので、いますぐ呼び任せまして御報告をいたさせます。
  25. 河村勝

    河村委員 それじゃ、時間の都合もありますので、数字がわからないようでございますから、あとでもらうことにいたしまして、私の知る限りにおきましては、どうしても、こうした融資あるいは税制の緩和はありましても、私鉄対策がとかく通勤対策——これはもちろん大事なことでございますけれども、輸送力増強のほうばかりに振り向けられがちでございまして、運転保安設備のほうがおろそかになる傾向が生じやすいのでございます。そういう意味で、ぜひとも政府におきましては、そういう点の指導によくよく念を入れて御指導お願いしたい、それをお願いをいたしまして、問題は別に進めさしていただきたいと思います。南海電鉄の問題はこれで終わります。  これから私は、住宅問題と、それから土地、特に宅地対策、その中でも地価対策についてお尋ねをいたします。  いわゆる社会開発というものは、佐藤総理大臣組閣前から言っておられることで、佐藤内閣の一枚看板といってもよろしいかと思うのでございます。それにもかかわらず、最初組閣以来二年半を経過いたしまして、なおいまだにその看板に値するような政策というものは何もないといってもよろしいかと思います。昭和四十二年度以降、経済社会発展計画というようなことで下水道あるいは道路等につきまして一応新しい構想をお持ちのようでありますけれども、しかし、少なくとも今日まで何かそれらしきものがありとすれば、四十一年度からスタートいたしました住宅建設五カ年計画ぐらいなものであろうと思います。それも多分に不況対策のにおいがございますけれども、しかし、それにいたしましても、大事な問題でございます。  そこで、この五カ年計画のいっておりますことは、昭和四十五年までに国民世帯住宅を完成する、それを約束をいたしまして、四十五年までに六百七十万戸をつくるということでございます。その数におきましても、その内容におきましても、決して満足すべきものではございません。特にその中に占める政府施策住宅の割合、多少なりとも政府がお金を出してつくる住宅の比重がわずかに四〇%で、あとの六〇%四百万戸というものが全部民間自力建設に向けられていることは非常に不満でございます。しかし、その問題は一応おきまして、私がお尋ねしたいのは、政府といたしまして、この程度計画であっても、はたしてそれを達成するだけの自信がおありになるかどうかということなのでございます。  そこで、まず第一にお伺いしたいのは、この計画が遂行されれば、ほんとうにこの計画の約束する一世帯住宅、これは単に一世帯住宅というのではなくして、三人まで——正確にいえば二人半までというべきだろうと思いますが、それまでの世帯は九畳以上、それより多い場合には十二骨以上ということになっております。したがって、六畳間一つというようなアパートは入っていないわけでありますが、一体これはほんとう目標が達成できるか。この計画の原案は、もともと七百六十万戸なければならないということで計画された。それが六百七十万戸に変わったということでございますが、その数字につきましては、過日本予算委員会で論議がございましたので、その点につきましては、もう一度ここでお聞きするつもりはございません。ただ、ここでは、この計画によって一世帯住宅が完成されるという自信がおありかどうか、この計画を遂行する自信がおありかどうかということを、建設大臣最初にお伺いいたします。
  26. 西村英一

    西村国務大臣 五カ年計画を立てまして、それに自信があるかどうかということでございますが、これは自信を持ってやるつもりでございます。そのためには土地の問題とかいろいろ艱難は相当にあると思います。あると思いますが、政府といたしましては、これはもう非常な大きい公約でございますから、予算的な措置を十分講じまして、一世帯住宅、四十五年に目標に達したいとかたく決意いたしておるものでございます。
  27. 河村勝

    河村委員 すでにこの計画がスタートをいたしましてから満一カ年を経過いたしております。一カ年を経過いたしましたので、おおむね実績はおわかりのことと思いますが、昭和四十一年度実績見込み、それを公営公庫公団というような政府施策民間自力建設とに分けて、その見込みを御説明お願いいたします。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 昭和四十一年度、昨年からこの計画は始まったのですが、昨年におきましては、政府公的資金でやったものが四十万四千戸、来年の計画はこれよりやや一割上回りまして四十五万二千戸、それから、民間自力によるものは、四十一年が六十四万戸、これは実績でございます。それから四十三年度は、したがいまして、この傾向を見まして、七十一万戸の自力建設ができるであろう、こういうふうに考えておるのでございまして、おおむね、この六百七十万戸を達成するためには、今後四十三年、四十四年、四十五年と、等比級数で徐々に上げていって、最終年度の四十五年度には目的の数に達したい、かように考えておるのでございます。
  29. 河村勝

    河村委員 いま建設大臣が御説明になった政府施策住宅の数というのは、これは計画であって実績ではないように思うのですが、私がお伺いしたのは、四十一年度の、その計画に基づいた実績が一体今日までどうなっているか、それをお伺いしているのでございます。それを政府施策民間両方に分けまして御説明願います。
  30. 西村英一

    西村国務大臣 ただいま申し上げましたのは、四十一年度——まだ実績はわかっていません、計画でございますが、私はおおむねそれに達したと思います。四十二年度も、これからの計画でございます。したがいまして、四十一年度が幾らというのは、もう少したたないとわかりません。過去の実績、四十年までの実績ということなら、これはその前も公的資金でやった、あるいは民間でもやっていますからわかっていますが、その数字が必要ならば政府委員から説明させます。
  31. 河村勝

    河村委員 四十一年度実績はまだおわかりにならないということでございますが、本来、こういった年次計画をつくった場合には、その年度の中でも四半期ごと実績検討してあとの問題を調整するとか、少なくとも翌年度計画を立てるときには、全部わからないまでも、大体第三・四半期ぐらいまでの実績をもとにして、翌年の計画をどうやったらいいかということを考えるのが至当であるはずでございます。全く四十一年度実績見込みもわからぬということになりますと、一体、本気でこの計画をお進めになる決意がおありなのかどうか、はなはだ疑わしいと私は考えるのでございますが、その点はいかがでございますか。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 いや、その見込はおおよそ達成されると思いますが、途中でもって統計をとっておるか、とってないか、それは政府委員にちょっと説明させます。
  33. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  住宅統計につきましては、着工統計というのがございますけれども、これは実は都道府県でとっておりまして、現在のところ、本年度どこまでいくかということにつきましては、正確な数字はまだ私ども把握しておりません。ただ、公営住宅につきましては、各都道府県等公共団体から、それから公団公庫等につきましていろいろ聴取しております。公営住宅につきましては、ほぼ実績に近いところまで進みつつございます。ただ、若干東京都におきましておくれがございますが、これも契約の面におきましてはほとんど達成しております。それから、公団につきましては、予定どおり大体進んであります。それから、公庫につきましては、これはやはり金を貸しまして、そうして民間でお建てになるということになりますので、若干おくれがきておりますけれども、これも私どもの計画いたしましたとおり大体いくものと考えております。と申しますのは、従来三十五年から四十年までの正確なる数字を把握しております。これによりますと、民間自力の建設等も含めまして、一応私どもの計画いたしましたものと——たとえば三十九年におきましては、計画は八十五万七千でございました。これが八十八万八千できております。それから四十年におきましては、計画は九十七万一千でございましたが、これが九十九万八千できております。もちろん、これは一定の規模以下のものを除きましての実績でございますので、したがいまして、四十一年度におきましても達成できるものというふうに私ども考えておる次第でございます。
  34. 河村勝

    河村委員 それでは次に、昭和四十二年度の予算についてお尋ねをいたします。  民間自力建設の推定は別といたしまして、政府施策住宅だけについて申しますと、四十二年度計画は、一世帯住宅ということが目的でございますから、これは戸数で議論すべきものと思いますので、戸数で申します。計画は四十五万二千戸、これが政府施策住宅の総数でございます。これは対前年一二%の増加でございます。ところが、五カ年計画の予定というものは、次年度から一四・六%の伸びを予定して、最終年度政府施策二百七十万戸を達成することになっているわけでございます。一二%と一四・六%の差があるわけでございますが、二・六%、戸数にすれば一万何千戸で、そう多くないように見えますけれども、幾何級数的にこうやってふやす場合には、計画の二年目に狂いを生じますと、先々非常な影響を持つものでございますが、何ゆえに次年度からこうしたおくれを出すような計画をお立てになったのか、それを伺います。
  35. 西村英一

    西村国務大臣 さいぜんも申しましたように、初年度四十一年度から四十二年度等比級数的に上がっていきまして、そうしておおむね四十五年度には二百七十万戸にするように、こういうことであります。その年によっては、財政上の都合もあって、多少のでこぼこができますけれども、おおむね等比級数でずっと上がっていってその目的を達するようにしたい、こういうわけでございます。
  36. 河村勝

    河村委員 おおむねいけばよろしいというお話でございますけれども、実際この計画ができましたのは、過去の実績、三十六年から四十年までの政府施策住宅の伸びというものは一一・四%なんですね。それではいけないから一四・六%に上げたはずであります。それがわずかに一二%増。この中身を洗いますと、実質的に公庫公団等の準政府施策に限りましても、もう少し差がありますので、実質的にいまままでの伸び率とちっとも変わらないのです。これでは計画を新しく立てたという意味がないじゃありませんか、それはいかがですか。
  37. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまの問題にお答え申し上げます。  私ども最初要求いたしておりましたのは等差で要求しておりました。ところが、政府施策住宅、特に公営住宅等につきましては、税収との関係がいろいろございます。したがいまして、これは等差でまいるよりも、むしろ税の伸びというものを考えあわせまして、定率でいくほうが合理的ではないかという議論をいろいろいたしました。その結果、四十一年から二年に対しましては、定率でずっと伸ばしてまいりますと、先ほど大臣からお答え申しましたように、三百七十万戸というものは達成できるという結果になるわけでございます。
  38. 河村勝

    河村委員 その内容の御説明はわかっておるので、なぜ当初一四・六%の目標が一二%にとどまったかということを伺っておるわけでございます。
  39. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  これはなぜと申されるわけでございますけれども、予算要求のときの私どもの要求としては、一四・六%で要求いたしましたが、これはあくまでも私どもの要求側の立場でございました。したがいまして、予算をまとめます際に、将来を見まして、これをどういうふうに将来に向けて考えていくかということで、定率をとりまして一一・九%という伸びで、一応いまのところ予算をきめたわけでございまして、このまま推移いたしますれば二百七十万戸は達成できるというふうに考えておる次第でございます。
  40. 河村勝

    河村委員 いまの数字は少しおかしいんですけれども、一応それはおきまして、先ほど建設大臣が財政上の都合もあって狂うときもあるんだというお話でございますが、ことしはおそらくそういうことなんだろうと思いますけれども、大蔵大臣いかがでございますか。
  41. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように、ことしは公共事業の伸びの率を昨年よりは非常に調整いたしました。四十年という不景気の年に対して、景気対策としての昨年度の公共事業の伸び率というものはむしろ異常な伸び率でございますので、本年度のように予算の中立性を保とうとするときは、この伸び率の調整が当然必要になったのでございますが、ほかのものはともかくとしまして、私どもは、住宅計画についてはこれを落としたくないと考えまして、四十年度から四十一年度にかけては、御承知のように三五%という予算増をやりましたが、今年度はそういう事情がございましても、三三%。しかし、特に住宅対策費は、私どもは非常な高率で予算の査定をやったということでございまして、昨年度と同じ比率は保てませんでしたが、戸数の絶対数において、金額においては相当の増強でございまして、私は、この五カ年計画の遂行に差しつかえることはなかろうというふうに考えております。
  42. 河村勝

    河村委員 支障はなかろうとお考えになるのは、ことしはそう言えるかと思いますが、一回おくれてくれば、あとどうなるかわからぬわけであります。いま大蔵大臣は、公共事業費はことしはだいぶ落としてある。この前の予算委員会の御説明でも、公共事業費は四%削減をしたという御説明があったと思いますが、しかし、実際、中を洗ってみれば、復旧対策費のような当然増の経費を——当然減るものは減るし、ふえるものはふえるというものを抜けば、対四十一年一七%増で、あまり変わってないのです。ですから、そういうことの理由で、住宅の五カ年計画を、金の面は多少ふえているかもしれませんけれども、戸数において最初から狂っておるような計画をおつくりになるのは、佐藤内閣看板からいってもおかしいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  43. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 戸数も本年度は四万八千戸ふやしておりますし、今年度計画としては、進捗度を落としたことにはならないのではないかと私は思っております。
  44. 河村勝

    河村委員 どうもコンニャク問答みたいでぐあいが悪いのでありますけれども、では、これだけお伺いいたします。  大体これくらいでいいだろうというお考えは、これは主観的なお考えでございますが、一体、昨年予定しました本年度目標戸数に対して、今年度予算というものは、それを達成できるだけの数にはならない、二・六%少ないという事実をお認めになるかどうか、建設大臣と大蔵大臣にそれだけをお伺いいたします。
  45. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 ただいま、ことしの公共事業の景気政策との関係で、大臣説明になりましたが、戸数につきましても、われわれこの五カ年計画の達成につきまして、着実な計画の遂行ということで、ことしの住宅建設戸数については、一応これで差しつかえないという考え方をしておりますが、その根拠を申し上げますと、当初は確かに一一二%の伸びになっておりまするが、四十年から四十一年度にかけては一一八・五%という伸びになっておりまして、この二カ年を通計いたしますと一三二%というふうな伸びになっております。これはちょうど一一五%の二乗に当たるわけでございまして、われわれは五カ年計画をつくりました四十一年度からのことを考えますと、四十年度から四十二年度までにはほぼ一五%の伸びで計画を遂行してまいっておる、こういうことでございます。  それからもう一つ、二百七十万戸の政府施策住宅の中には、一割の調整戸数というものを保留してございまするが、これを除きますと、等比級数の平均進率は九・三%になるわけでございまして、これと先ほど仰せられました調整戸数を含む全体戸数の平均進率は一四・六%でございまして、そのいわば平均的な一一・九%というのが、こういう景気に対する警戒的中立をとらねばならぬ予算の前提といたしましては、われわれが最大限度に見込み得ることしの住宅計画ではなかろうか、こういうことでございます。
  46. 河村勝

    河村委員 たいへんおかしな御説明を伺ったんですが、この五カ年計画というものは、四十一年度からスタートしたんでしょう。ですから、四十一年度に対して四十二年度が何%ふえるかという問題であって、四十年度から通計すれば元がとれるというような議論をされるのは、これは計画というものはあるけれども、それをまるっきり無視したやり方だと思うのです。  それからいま一つは、調整戸数を除けばちょうどいいんだというお話でございましたが、私はたぶんそういうふうな御返事があるだろうと思って、去年の、この五カ年計画が上程されたときの建設委員会における政府委員の答弁を調べておいたんです。それをここで読んでもよろしいですけれども、調整戸数というものは年度間の調整をするのではなく、事業主体別の需要動向あるいは所得階層別、そういうものの需要動向を調整するためにあるので、年度内にあれこれこれを動かすのであって、年度間で都合のいいときに減らしたり、ふやしたりすることができないようになっていると思うのですが、いかがですか。
  47. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 確かに調整戸数という制度を設けましたのは、今後の五年間にいろいろな社会的変動もございましょうし、住宅に対する需要の変動もございましょう。そういうことで置かれました制度でありまして、年度間におきます調整戸数ではございません。しかし、今後五年間に社会的変動がどういうふうに起こる、あるいは住宅の需要がどういう地域でどういうような質で起こるということは、まだ実績的には一年しか過ぎておらぬところでございますから、そこで調整戸数の遂行については今後五カ年間のそうした社会的、経済的変動というものも考えまして、それを遂行していけばいいわけでございまして、私がここで調整戸数を除いた年率と、それからそれを含む年率の中間値をとったというのは、ことしの景気動向というものに関連しまして、全体的に公共事業というものはある程度押えていかねばならぬ。確かにおっしゃるように、災害復旧事業があまり押びないという幸運な条件がございましたけれども、しかし、交通保安の面から空港にもたくさん金を出さねばならぬというふうなこともございまして、去年の三三・五%に対してことし三三・三%という住宅経費の増をのみましたのは、われわれとしては、置かれました諸条件において最も住宅に力点を置いたということのいわばあらわれであろうか、こう存ずる次第でございます。
  48. 河村勝

    河村委員 結論的に、できるだけのことはやったけれども、ことしはこのぐらいで少し足りないけれどもがまんしろ、どうもこういうことらしいのであります。これも大臣、皆さんお聞きのことだと思いますけれども、この国会の施政方針演説で、佐藤総理大臣がこういうことを言っておられるのですね。ちょっと読みますからお聞きをいただきたいと思う。「私は、国民の住まいを安定し、改善することを社会開発の中心といたします。四十五年度までに一世帯住宅の実現を目途とする住宅建設五カ年計画を強力に」——強力にですよ。「強力に推進しております。」これを本国会の冒頭でもって佐藤さんが言っておられるのですね。強力に推進するというからには、少なくとも年次計画を少しは上回るぐらいの計画をお立てになるのが至当だろうと私は思うのですけれども、せめて計画に達するぐらいのものをおつくりにならなかったら、総理大臣の施政方針演説というのは作文だけであって、何も政策とは関係ないのでございますか。
  49. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ことしの住宅に対する予算と財政投融資は、合計しますと約三千八百億円。三千八百億円を投入するという計画は、政府施策としては相当中心的な施策でございまして、大体住宅建設ということは、有効需要喚起には他の事業に比べて一番効果のあるものだといわれております。ですから、本年度のようなときに、住宅対策の限度というものについては私どもも非常に考えましたが、しかし、やはりこれが施策の重点になっていいという考えから、こういう事情があるときにかかわらず、住宅対策に予算と財政投融資三千八百億円を私どもが投入するということは、相当の施策であると私どもは考えております。
  50. 河村勝

    河村委員 政府は、ことしの予算というものを、景気過熱に対する警戒的な予算であるというふうにおっしゃっておりますけれども、しかし、実質的には相当の大型予算であることだけは間違いないわけですね。ですから、今後の景気の見通しを考えたって、ことしよりもっと大型な予算になるということは、それはインフレ政策をおとりになるつもりなら別ですけれども、そうでなければ、そう変わらぬはずですね。少なくとも、これ以上になるとは考えられない。そうしてみると、ことしぐらいの大型予算ですら、こういうふうに計画が何のかんのといいながら削減されるようであるならば、この計画というものは、結局去年の予算のように、不況対策として有効需要喚起を目的とするような対策を積極的におとりになる年度だけに初めて計画を達するだけの額ができるので、それ以外の年にはみんな落とされるのはあたりまえである、そういうふうに考えざるを得ないのですね。それじゃ、この計画というものは、終わりまで待たなくてもだめになることは見え透いた話なんですが、その点はいかがなんですか。
  51. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは経済情勢の変化によりまして、予算の編成においてもそれに対応した考え方はございますので、私は、五年の間に政府計画を全部完成していくというやり方はりっぱにできるというふうに思っております。
  52. 河村勝

    河村委員 お聞きしたいのですが、大蔵大臣せっかく佐藤総理大臣がここまで力点を置いておられる仕事なんですし、せめて計画に達するだけの予算を、ことしの予算はこれからまだ審議を続けるわけですから、御修正になる気はございませんか。全額一般会計で負担するとして勘定したって百数十億くらいのもので、五兆になるようなたいした大きな問題ではございませんから、そのくらいのことをおやりになるのは、国民に対する公約を果たすゆえんであろうと思いますが、いかがでございますか。
  53. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたように、今年度としては、私どもは相当大きい投融資をやっておるというふうに思っております。
  54. 河村勝

    河村委員 どうも切りがないようですが、せめて妥協いたしますから、来年度でおくれる分を取り戻すくらいのお約束はできませんか。
  55. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 四十年度から四十一年度にかけましたように、やはり経済基調が変わってきて不況様相が出てきたというようなときには、最も有効需要の喚起になる住宅建設というようなものは力を入れるべきものでございますので、経済情勢によってこれは若干率を落としたり、大きくおくれを取り戻したりする方法は、そのときどきの情勢によって私どもやりたいと思っております。
  56. 河村勝

    河村委員 いま大蔵大臣がはしなくもおっしゃったのですが、有効需要喚起が必要なようなときには住宅政策大いにけっこうだ、こうおっしゃったわけですね。ここでもってやはり私は、自民党のお考えになっている社会開発、社会資本の充実というものの性格が非常に明確になったと思うのです。やはりそうした景気対策が必要でなければ、あと経済成長だけやっておれば社会需要は自然にあとからくっついてくるのだというお考えなんだろうと思います。ですけれども、私は、経済成長派の立場をとりましても非常に心配しておるのです。これから経済成長で一番問題になるのは、やはり農村の近代化とか中小企業の近代化とかいろいろございますね。こういうものに、これからネックになるのは住宅なんです。労働力の移動、特に住宅ごと、世帯ぐるみ移動するということが可能でないと、その意味で私は経済成長自体が隘路にぶつかると思うのです。ですから、いいかげんにこの辺でもってお考えを改めて、経済成長派なら成長派でけっこうですから、そういった隘路を打開するためにも、もっと本気でもって住宅政策に取り組んでいただきたいと思います。時間がございませんから先に進みます。  そこで第二に、民間自力建設でございますが、今度の住宅対策民間自力建設のウエートが非常に高いというのが特色でもあり、欠陥でもあるのですけれども、これは政府側の説明によると、昭和三十六年から四十年までの住宅建設民間の伸び率が一〇%、これを今後五カ年間で政府施策でてこ入れすることによって四十一年度以降一一・二%ずつ伸ばしていく。それで四百万戸が達成できるのだ、こういうお話ですね。そこで、一体この民間自力建設ほんとうに達成するためにどういうような対策を講じておられるか、要点だけでけっこうでございますからお伺いいたします。
  57. 西村英一

    西村国務大臣 民間の自力による建設でございますが、これには第一番に、やはり宅地の大規模な開発と、第二番には、やはり住宅の金融制度の改善をやる。第三番には、今度新たに取り入れたのでございまするが、民間住宅に対する税の点についていろいろ恩典を与える。こういうようなあらゆる施策をもちまして、民間自力による建設に臨みたい、かように考えております。今度の税制改革におきましても、住宅貯蓄のためには免税をするというような、いろいろな施策が立てられておる次第でございます。
  58. 河村勝

    河村委員 融資保険とか、あるいは減税とか、これは比較的小さいのですね。いまおっしゃったように、宅地の供給というのは一番大事だと思いますけれども、一体、民間自力建設に対して宅地の供給ですね、大体見通しとして、昭和四十五年までに必要な宅地の何%ぐらいを政府では民間のために確保していただけるのですか、それをちょっと伺います。
  59. 西村英一

    西村国務大臣 どれぐらいの宅地が必要か、こういうことですが、四十一年から四十五年度までに公共で二万三千六百ヘクタール、民間で二万五千四百ヘクタール、これぐらいが必要ではないかと思っております。四十二年につきましては、さしあたり公共では四千六百五十、民間で四千九百五十ヘクタールぐらいな宅地が必要ではないか、かように思っております。
  60. 河村勝

    河村委員 かなり宅地の供給についてもおやりになっていることは認めますけれども、私の考えでは、まだまだ政府でやってくださるのは、民間について見れば半分以下だろうと思うのです。それで、この際、公共団体等による宅地の供給は必ずしも十分ではないわけでございますから、個人に対する宅地取得についての融資ですね、これをお考えにならないかどうかということをちょっと伺いたいのであります。いま申し上げるまでもなく、一般物価水準、それから所得水準に比べまして地価は非常に高いわけですね。べらぼうに高い。そこで、一応の所得水準者でありましても、手ごろな土地があっても、とてもその土地が手に入らない。土地と家屋と一緒となると、とても手がつかないわけですね。だものですから、みんな住宅自力建設、個人の自力建設ですね、これをあきらめているような傾向が非常に強いのです。そこで、まず宅地を手に入れる際に融資があれば、まず宅地を手に入れて、それから準備を始めて、それから住宅建設にかかる、そういうことができますと、非常に個人の住宅建設が促進されると考えるのでありますが、その点いかがでございますか。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 これは現在でも住宅融資保険制度でやっておるのでございまして、住宅融資保険制度を、これはさらにそのてん補率を拡大するとか、あるいは保険の掛け金を下げるとかいろいろな施策をもって住宅の金融をやっておるのでございまして、別な制度を考えるというようなことはいま考えておりません。しかも、この住宅融資保険制度の扱い銀行といたしましても、従来は限られておったところでございますが、この扱い銀行等におきましても、今回はこの範囲を広げまして、たとえば商工中金だとかあるいは農林中金だとか、こういうようないろいろな金融機関まで銀行の範囲を広めたわけでございます。
  62. 河村勝

    河村委員 建設大臣、私が伺っておりますのは、住宅に対するものでなしに土地ですね、宅地を取得する際の融資をお考えにならないか、そういう意味でお伺いしているのです。
  63. 西村英一

    西村国務大臣 現在、宅地だけで融資をやっておる制度はないようですから、これもひとつ、何と申しましても宅地が重要でございまするから、検討はいたしてみたいと思っております。
  64. 河村勝

    河村委員 どうもはっきりしなかったのですが、積極的に考慮する、そういうお考えでございますか。
  65. 西村英一

    西村国務大臣 住宅につきましては、宅地が第一でございまするから、これは前向きの姿勢で検討いたします。
  66. 河村勝

    河村委員 けっこうです。  そこでもう一つ、宅地に関連してお伺いしたいのでありますけれども、国有地の払い下げについてでございますが、住宅地の再編成や再開発ばかりでなくて、一般的に国有地、公有地を積極的に活用し、また、これをふやせというのが物価問題懇談会の勧告でもございますのに、今日まだ政府においては、国有地の払い下げについて明確な態度がない。というのは、もう時間がないので、私は言いたいことだけ申し上げますけれども、この際、私は市街化するような地域につきましては国有地、公有地の民間払い下げは一切やらない、そういう態度を明確に打ち出すべきだろうと考えておるのでございますが、お考えを伺いたい。
  67. 西村英一

    西村国務大臣 国有地全般につきましては、これは大蔵大臣の所管でございまするが、いままでも、国有地はやはり住宅につきまして相当利用をいたしております。また、公的のものといたしましては、公団公庫でなるべく多くの土地を買いたい、一般的に国有地の払い下げはどうだ、こういう問題になれば大蔵大臣からお聞きになったほうがいいと思います。相当にいままで国有地もこの住宅の建設に利用しておることだけは申し上げておきます。
  68. 河村勝

    河村委員 国有地を住宅に利用しておることは私も承知しております。ただ、これから市街化するような部分については、もう原則はあくまでも民間にはやらないのだというくらいなきつい態度でないと、とかくいろいろなひもがついて払い下げが行なわれて問題の起こった例も多々あることでございまして結局、有用な土地をむだにするような例があるのでありますから、大蔵大臣、ひとつこの辺でもって態度をはっきり明らかにされたらいかがかと思いますが、いかがですか。
  69. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御承知のように宅地審議会から答申が出てまいりまして、すでに都市化しておるところ、これから都市化する場所と、四場所に分けたそれぞれの対策をすべきだという意見が出ておりまして、これについていま建設大臣が中心となってこの答申の検討をして、各関係大臣にこれから協議するということになっておりますので、こういう問題の全体の総合計画と一緒にからんで、私どもも、国有地をその場合どうすべきかというはっきりしたやはり方針をきめたいと思います。
  70. 河村勝

    河村委員 あとで都市計画法のことについてはお伺いいたしますけれども、しかし、かりにそれが実現するにしても、必ずしも土地の売買そのものを押えるような規制はないはずでございます。時間もかかります。その間にいろいろと問題を起こし、国有地が有用に使われない、かえって悪いところに使われるという例があるわけでございますから、少なくとも市街化を予定される地域の国有財産は、当分の間民間に払い下げしないのだ、当分の間でけっこうですから、そのくらいの考え方をはっきりされたらいかがでございますか。
  71. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その考え方は、私はよろしいのじゃないかと思います。
  72. 河村勝

    河村委員 大蔵大臣おやりになるそうでございますから、それでは先に進みます。  次に、土地の問題に入りまして、住宅対策の一番基礎になる土地の問題に関連をいたしまして、今回、公共用地の取得に対しまして、昨年の五十一回国会において土地収用法の一部を改正する法律案、並びにこれに伴う租税特別措置法の一部改正案が提出されて廃案になりましたけれども、再度今回、三月三十一日でございますか、閣議決定でもう一ぺん出されるそうでございます。大体中身は去年とそう変わりはないと思いますが、その大筋だけちょっとお話しをいただきます。
  73. 西村英一

    西村国務大臣 去る五十一回国会に土地収用法の改正を提案いたしまして、衆議院では修正可決いたしましたが、参議院で審議未了になりまして廃案になりました。したがいまして、政府は今度の国会に土地収用法を提案いたしました。その中身は、最も柱となるものは、土地の売買につきまして事業認定時の価格でもって価格をきめたい、従来裁定時で価格をきめておったのは非常にぐあいが悪いということがその心棒でございます。これに伴いまして、当時提出いたしましたのは、これに関連する税制の改革として三つのことをきめたのでございますが、いろいろ意見もございましたので、今回は被収用地に対する千二百万円の特別控除をしたいということだけを、この土地収用法の改正と関連して、その税制を行なうような方式で提案をいたしたような次第でございます。
  74. 河村勝

    河村委員 これに関連しまして三点だけお伺いいたします。  一つは、土地収用の際の補償額を事業認定の時期の価格で算定することはたいへんな進歩でございます。しかし、たとえば大都市付近の鉄道の新線建設というような場合に、これが計画が決定をいたしますと、公表されて、実際その事業認定をとるまでに大体十カ月くらいかかるわけですね。そのために、その間にすでに倍くらいに上がってしまったというような例が、現実に最近武蔵野線なんかの例にあるわけでございますけれども、こういうように所管官庁の許可、認可があって、計画がオーソライズされるというような性質のものについては、例外的に、事業認定の時期でなしに、計画決定時の価格を採用するというようなことはお考えになっておられないでしょうか。
  75. 西村英一

    西村国務大臣 いまの御質問は、途中で話をしておってちょっとわからなかったのですが、どういうあれでしたか、もう一回……。
  76. 河村勝

    河村委員 事業認定時で補償額はきめられるのですね。それを新線建設——都市付近の武蔵野線の例なんか見ても、事業認定までに十カ月くらいかかってしまうのですね。これはちょっと宅地と離れますが、ついでですからお聞きするのですけれども、事業認定のときに、すでに倍くらいに上がってしまう。そうすると、あんまり新しい法案の効果はなくなってくるわけですね。ですから、そういう公表もされるし、オーソライズされるようなケースについては、計画決定時の価格というものを採用される気はないか、こういうことなんです。
  77. 西村英一

    西村国務大臣 いや、計画決定時の価格を採用し、それでその手続も、前のようにだらだらやらないようなことになっておるわけでございます。
  78. 河村勝

    河村委員 それでよろしいのですか、それでよろしければけっこうなんですが……。
  79. 西村英一

    西村国務大臣 どうも私はちょっとわからなかったですから、政府委員から説明させます。
  80. 志村清一

    ○志村政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問ございました事業認定に至るまで相当時間がかかるではないか、したがって、事業認定でなくて、計画が確認されたような段階において考えたらどうかという御指摘かと存じます。冒頭の、事業認定に非常に時間がかかるという問題でございますが、ただいまのところ、平均いたしまして九十日程度で事業認定は行なわれております。事業認定申請に至るまでのいろいろな手続等、準備がどの程度できているかということで非常に時間がかかったりなんかするわけでございますので、事業認定そのものについてはあまり時間はかけない、九十日以内で処理する、これも縦覧をいたしましたり、場合によっては公聴会をやったり、意見が出たりするのを整理いたすためにある程度の時間は必要でございますが、できるだけ短期間に取りまとめるようにいたしております。また、事業認定の性格は、事業の計画策定の性格とは違いますものですから、ただいまのところは事業認定時を計画策定時というふうに改めるつもりはございません。
  81. 河村勝

    河村委員 大臣にお聞きすれば、あるいはおやりになると言うかもしれないと思ったのですが、政府委員ではだめですからやめます。しかし、事業認定までほんとうに三カ月くらいで従来なされておるとは思いませんけれども、お約束になったことですから、これからぜひとも三カ月くらいで片づけるようにお願いをいたします。  次に租税特別措置法のほうを伺います。いま伺いますと、被収用者が非常に安い価格でとられる、それに対する優遇の租税特別措置はお考えになっておるようでありますけれども、その周辺の土地所有者に対する譲渡所得税の改正、これが消えておるようであります。これは一応この前の国会の事情がありますから、それでいいかもしれませんが、しかし、それはそれだけでなく、しっぱなしにしておいたのでは、あまりにも周辺の土地の所有者との均衡を失するだけでなくて、地価対策としても非常にかたわのものになると思うのでございますが、この租税特別措置以外に、かわるべき対策を何かお考えになっておりませんか。これは経済企画庁長官のほうですかね。
  82. 西村英一

    西村国務大臣 確かに仰せのとおりでございまして、公共事業をやったその周辺の土地の値上がりの問題、しかし、この譲渡所得をどうしようかということに対してはいろいろ意見がございます。したがいまして、今度大蔵省とも相談をして見送りましたが、この譲渡所得に対しては、やはり土地の供給の面だとか、あるいは地面の安定の面とかいうことから考えまして、今後一年間で十分検討して新しく出直そうということになりまして、今回の土地収用法では、とりあえず被収用地についてやったばかりで、この問題は引き続いて検討いたしたい、かように私のほうでは思っておるわけでございます。
  83. 河村勝

    河村委員 大蔵大臣、それでよろしゅうございますか。
  84. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それでよろしゅうございます。
  85. 河村勝

    河村委員 それでは問題を進めまして、三月二十四日の宅地審議会で、都市地域における土地利用の合理化をはかるための対策について答申があったわけでございますが、それに基づいて、政府が都市計画法の改正を今国会に出されるということを聞いております。そうでございますね。この答申は、その中身は、土地利用計画であるとか開発許可制度、空閑地税というふうな、なかなか注目すべき内容が含まれております。そこで、ぜひこの答申に基づいて大いに積極的な施策を展開していただきたいと思うのであります。ついては、この審議会の答申の、こういったおもだった項目を全部消化できるような法案なり、対策なりをお考えになっておるかどうか、それをお伺いいたします。
  86. 西村英一

    西村国務大臣 三月二十四日に宅地審議会から第六次の答申をいただきました。いろいろな点に触れておりますが、結局のところ、やはり現在の都市周辺の無秩序なことを考えると、どうしても土地利用計画を確立すべきだというのが根本のようでございます。しこうして、そのためには、土地の利用計画でございますから、こういうところはこうする、ああいうところはああするという、いろいろな計画をするわけでございまして、それに対する税の問題等非常に広範な勧告でございます。私といたしましては、答申を受けまして、その答申を尊重していきたいと思いまするが、さしあたりのスケジュールは、やはり地価対策の閣僚協議会がございますから、これに一応はかりまして、さしたる困難がなければ都市計画——これはずいぶん古い法律でございまするが、これを改正して土地利用計画を確立したい、かように思っております。しかし、いろいろむずかしい問題がたくさん含まれておるわけでございまするけれども、これは真剣に取り組んでいかなければ、いまの都市の周辺におきまする状態は解決しないんじゃないか、かように考えて、せっかくいま検討中でございます。
  87. 河村勝

    河村委員 本国会に都市計画法をお出しになるという予定であるならば、大綱だけはもうお考えがきまっておるはずだと思います。そこで、項目一つずつお考えを伺いたいと思うのでありますが、第一に、法的拘束力のある土地利用計画をつくる、この点についてはいかがでございますか。
  88. 西村英一

    西村国務大臣 法的というのはどういうことですか、その法律を、私どもがもしこれをやることになれば、現在の都市計画法を改正したいというのですが、それを法的と……。で、やはり制度の面から取り上げてやらないと解決しないと思います。したがいまして、それに含まれる部分は非常にたくさんな範囲があります。ことに一番むずかしいのは、やはり宅地と農地との関係におきまして、いろいろなめんどうな問題ができると思いまするから、十分な検討をしたい、やはり法的な措置を講じたい。法律的な措置を講ずるということは、都市計画法を改正するということになるのでございまするが、項目もいろいろ検討いたしておりますから、おおよそわれわれとしてはアウトラインは描いております。描いておりまするが、各僚、各省との調整もまだ十分にとっていないわけでございます。
  89. 河村勝

    河村委員 経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、先日の物価対策特別委員会の質疑の中で、長官が、土地利用計画については、世論が熟してないので直ちに実行に移す考えはない、こういうふうな発言をされましたが、この問題との関連はどういうふうにお考えですか。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いまの宅地審議会の答申の問題でございますが、もう御承知のように、いろいろな問題を含んでおりますし、各省の権限もたいへんに錯雑をしておりますので、それで先ほど建設大臣が答弁をされましたように、総理大臣を中心にして関係の各大臣が、仕事を事務当局におろす前に、まず大まかな検討をしようではないかという、そういう建設大臣の御発議がありまして、関係閣僚が間もなくその第一回目の検討をいたすわけであります。で、私自身の希望といたしましては、この答申が早急に立法化されることが望ましい、これが第一であります。その際に、非常に権限が多岐にわたったままにいたしておきますと、結局でき上がる案というものはあってなきがごとき、適正なところへ適正なものを置くといったようなものになってしまいます。それではいけませんので、ある程度権限を整理して集中しなければならないんじゃないかというのが第二であります。それから第三に、おそらくそういたしました場合には、答申にもございますように、土地利用計画というものを、都道府県の長が、まず利用計画を定める案を書きまして、それを主務大臣が認可をするような形になると思うのでございます。その際、主務大臣の権限が集約されておれば、かなり実行のできるものが認可できるようになる、こう思うのでございます。で、私が土地利用計画云々と、そのとおり申しましたかどうか、おそらくそう申しましたといたしますと、これはまず、私権の制限の問題についてある程度政府各省の合意がなければいけませんし、次に、権限の調整について合意がなければなりませんので、その二つの、少なくとも閣僚レベルでの合意がありませんと、いきなり土地利用計画ということを申しましてもこれは実行ができない。私としては、いま考えましたような条件を今度の検討の中で整理いたしまして、その上で都道府県知事に土地利用計画を考えてもらう、その点、そういう条件さえできれば速急にやってもらいたい、こう考えているわけでございます。
  91. 河村勝

    河村委員 実は、この前物価対策特別委員会の席で、確かに、世論が熟さないということばをお使いになったのです。私聞いておったのですから間違いありませんが、いまのお話ですと、世論じゃなしに閣僚の世論ですね。閣僚の中がまとまらぬ。じゃ、長官自身として消極的であるという意味ではない、そう了解してよろしいですね。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かに、一つは行政府の中の問題でございます。もう一つは、おそらく、いわゆる私有財産権の制限については、これは世論にもあるいは問題があろうかと思いますが、ことに訴訟のところまで考えますと、公共の利益とは何かというようなことが問題になってまいります。しかし、まあこれは内閣の立場さえ、体制さえ整えば、行けるところまで行ってみるということがほんとうではないだろうかと私は前向きに考えております。
  93. 河村勝

    河村委員 たいへんけっこうです。  そこで、開発許可制度については、これはどうせそうたいした問題じゃないからおやりになるものと認めて、反論がなければおやりになると考えていきますが、未利用地税、空閑地税ですね。これは大蔵大臣、この宅地審議会の答申を実行されますか。
  94. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは何が空閑地であるかという問題と関連しまして、実際にはなかなか困難な問題じゃないかと私は思っています。
  95. 河村勝

    河村委員 何が空閑地であるかとおっしゃいますけれども、宅地審議会の答申の中にはちゃんと具体的に書いてあるわけですね。それを何かよくわからないような返事をされるのは少しずる過ぎると思うのです。まだ当分やりたくないというなら、やりたくないでよろしいのですが、はっきりした答弁をいただきたいと思います。
  96. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ひとり空閉地の課税の問題だけじゃなくて、私のほうでもいまいろいろ検討しておりますが、土地に関する譲渡所得税、とにかくこれがいま非常に複雑になっていまして、さっき建設大臣が言われましたように、ここでひとつ根本的に私どもは考えたいということで、一年の余裕を持ったわけでございますが、いろいろよそからの意見を総合しますと、土地問題の解決に一番いいのは、税金を取らぬことが一番土地問題をうまく解決する道だということまで出てくるくらいで、土地の問題を解決するのにはやはり総合的な計画が必要であって、これに伴った措置として、税は補完的な役割りを果たすものであって、税制自身によって土地問題の解決をしようということは非常に無理だと思います。そういう意味で、空閑地の問題におきましても、ただ無計画にこれをなくするという方向じゃなくて、いま言った全体計画とからんで、そうして、それをよくするほうに税を働かせるかどうかという問題と関連して考えないと、これはへたをやると全部土地問題を悪いほうに——流動化を防いだり、土地の値段を上げるほうに税を作用させるということがあってはいけませんので、私どもは、この点はまとめて慎重に考えたいといま考えております。
  97. 河村勝

    河村委員 大蔵大臣のおっしゃるように、税金を取らずに地価対策ができれば、これは一番よろしいのです。  そこで、先ほど土地利用計画に関連しまして経済企画庁長官も非常に積極的な態度を示されたので、たいへん頼もしく思うわけなんですが、時間がありませんので、私、最後にこれを提案したいと思うのです。  今度の宅地審議会の答申ができて、それが完全に実行されたとすれば、まあ、一応その土地の利用区分みたいなものができるでしょうけれども、これは無秩序に都市が広がることの対策には確かになります。その点においては非常に有効だと思うのですけれども、土地の売買についての規制は何もない。逆に、ですから市街化地域に指定されたところでは土地が値上がりをしまして、そのためにまた投機的な売買が行なわれるという危険性もずいぶんあるわけなんですね。そうお考えになりませんか、企画庁長官、いかがですか。
  98. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一部にそういうことが、ことに市街化地域についてあるだろうと私は思います。調整地域、保存地域については、これは逆になると思うのでございます。ですが、私はいま大蔵大臣の言われたことは、実際卓見だと思いますので、もしいまのようなことができますと、むしろただいまの譲渡所得税を利用しまして、賢いかえ、買いかえとやっておりますが、これはある意味で需要のない土地を買う、あるいは買いかえる物件がない限り売らないというようなことがございますので、もしいまのようなことができますと、かえって私は流通はよくなるだろう、むしろそのほうに重点を置いて考えるべきじゃないかと思うのでございます。
  99. 河村勝

    河村委員 時間がありませんので、最後の提案をいたしますが、大蔵大臣のおっしゃるように、税金を取らないで地価を凍結する方法としまして、いまおっしゃったように、問題は市街化地域だけに限っていいと思うのです。ですから、その地域に関しては、それもおそらく東京大阪付近に限られるわけですが、その地域内では、土地の売買は公的機関だけにやらせる。公的機関というのは、何もお役所にやらせるという意味はなしに、不動産業者でけっこうなんです。そういうものに公的資格を与えて売買をさせる、それ以外は許さない。それで手数料とかあるいは宅地造成費によって利潤をかせぐのは、これはけっこうです。ただ、土地の投機的な売買による利益だけは認めないという、一種のその時期における地価凍結で、私はこれ以外に——いまの上がった上がったといっても、この十年で物価は二倍ですね。土地はこの地域では十倍です。これはもう安定をさせるとかなんとかということでなしに、むしろ凍結し、引き下げる方向に向かわなければならないわけなんで、これぐらいのことをやらなければ、私は対策にならないと思うのですが、企画庁長官、いかがですか。
  100. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御質問の意味はよく私にはわかるわけであります。ただしかし、先ほど前提に申し上げましたように、まず各省大臣がよくこの提案の趣旨を理解いたしませんと、たとえば、いまの市街化地域で農地をどう扱うか、農地の転用を自動的にするのか、あるいはどうするかといったような問題すらまだお答えすることが政府としてはできません。御提案は私にはよくわかりますので、研究をすべきものだと思います。
  101. 河村勝

    河村委員 いよいよ時間がなくなりましたのでやめたいと思いますけれども、最後に企画庁長官——総理大臣に言うのがほんとうかもしれませんが、この物価問題懇談会の提案の中に、こういうことが書いてあるのです。「地価問題の重要性を考えるとき、従来往々にて持ち出される現実論を乗りこえて、対策の視点を一段と高い次元へ飛躍させることが必要であり、それには、国土の公共性、社会性の認識を新しく打ち立てること、そして不労期待利益を容認してきた従来の態度を打破することが基本的な前提となる。」ということを物価問題懇談会でいっております。これはおそらく御賛成だろうと思うのです。  きょうは時間がこれで切れましたのでやめますけれども、どうかひとつ勇気を持ってやらないと、私は神奈川県に住んでおりますが、東京周辺五十キロ圏はおろか、八十キロ圏付近まで、もういわゆるスプロール現象というものはひどいものです。歩いてみますと、普通なら人間が住めないような谷底にどんどん変な業者が出てきて宅地造成をやります。それをみんなだまされて買っていきます。それはもうまるでアミーバが広がるようにどんどん広がっていくのです。これは数年を出ずしてたいへんなことになるのです。住宅というのは、むしろうちを建てるのは一番最後で、やはり上下水道、道路通勤用の鉄道、それから学校、そういったものが整備されなければならないわけなんですが、いまこのまま放置しておきますと、もうあと、五、六年してからそういった社会環境設備をやろうと思いましても、手もつかぬ状態になるであろうと私は思うのです。そういう意味で、何とかこの辺でもって手を打ちませんと、将来にたいへんな禍根を残すと思いますので、政府の閣僚諸公も特に勇気を持ってやっていただきますことを最後に希望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
  102. 植木庚子郎

    植木委員長 これにて河村君の質疑を終了いたしました。  次に、石田宥全君
  103. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は、本日は主として阿賀野川における水銀中毒、すなわち、水俣病の問題を中心といたしまして、これに関連する農薬の問題について質問をいたしたいと考えておったわけでありますが、けさ新聞を拝見いたしますと、先般来暴露されました病菌豚肉の問題について、一時需要も減退をし、小売り業者も相当深刻な打撃を受けたようでありますが、同時に養豚業者が買いたたきにあって、非常な深刻な影響を受けておったわけであります。しかしながら、これについては、本委員会においてもしばしば問題になり、あるいは他の委員会等においても問題になりまして、政府といたしましては、すでにこれについては安全宣言を発した形において解決を見たと考えられておったのであります。たまたまけさの新聞を拝見いたしますると、二つの新聞で、朝日新聞では座談会が出ておりまして、ここには農林省畜産局の衛生課長が、「事前に防げなかったことは申訳ないが、農林省は、事件発覚後、次官通達を出すなど三回にわたり、打つべき手は打っている。」こういうけさの新聞です。ところが産経新聞では、こういう大見出しで、正規の肉とすり変えて畜産振興事業団にこの病菌豚が買い入れられておる、こういう記事がこのように大きく出ておるわけであります。ここで再び問題が再発いたしたわけでございますが、一般にはある程度問題が解決されたように伝えられておりながら、政府機関がこのような病菌豚肉を買い入れをするというがごときは全く予想もされないし、許さるべき事態でないと考えるのでありますが、これらの事情につきまして、本日は農林大臣が病気欠席なようでありますから、やむを得ませんが、畜産局長から御答弁を願いたいと思います。
  104. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 畜産局長でございます。  ただいま御質問の点についてお答えいたします。  本日の新聞に、畜産業団にも病毒の豚肉があるのではないかというふうなことが出ておるわけでございます。その内容は、千葉県にございます南九州畜産商事株式会社というものが事業団の委託を受けまして——農業団体が売ってまいりましたものを事業団が産地で買い上げまして、その加工を委託しておるわけでございます。委託いたしたものを五十嵐冷蔵という会社の冷蔵庫の中に冷蔵保管をいたしておるわけでございますが、加工される段階において、事業団が買い上げた豚とは違った豚にすりかえられたのではないかという疑いのようであります。そういうふうなことが明らかになりましたので、事業団といたしましては、昨日、冷蔵庫の中にあります豚肉につきまして、都の衛生局において、現在、豚コレラ菌があるかどうかということを検査いたしておるわけでございますが、冷蔵庫にございます肉につきましては移動を禁止いたしておりますので、一般への影響はないというふうに考えておるわけでございます。
  105. 石田宥全

    石田(宥)委員 一般に販売される豚肉の中にはないというお考えだということでありますけれども、この新聞に書いてありますように、すりかえた肉のうちで病毒肉が一体どのくらいあるのかということについては、これはどういうふうに把握されておりますか。
  106. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、南九州畜産は、昨年の八月に指定をいたしまして、十二月まで加工を委託したわけでございます。その頭数は三千九百九十二頭でございます。
  107. 石田宥全

    石田(宥)委員 いま冷蔵庫に入っておる肉のうち、これは病毒肉であり、これは正規のものであるという判別は、どういうふうに行なわれますか。
  108. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、月別にどの程度入ったかということがはっきりいたしておりますので、月別にサンプルをとりまして、病原菌があるかどうかというのを現在検査をいたしておるわけでございます。
  109. 石田宥全

    石田(宥)委員 いまサンプル調査でおやりになるということであるけれども、畜産振興事業団というものは政府機関であり、しかも畜産振興の目的のもとにつくられたものであるにもかかわらず、最近加工乳の輸入などで相当な利益をあげておる団体でありまするから、これをほんとうの畜産振興のために、目的を達成するためには、一部の正当な肉を犠牲にしても国民に不安を与えないように行なうべきものであって、一々サンプル調査などということでなしに、ある一定期間に買い上げられた肉はすべて焼却処分にする等の思い切った措置をとるべきであると考えますが、この点についての御意見を承っておきたいと思います。
  110. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 すりかえられた疑いがあるということでございますので、現在検査をいたしておりますので、その検査の結果を待ちまして、問題を起こさない万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  111. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題にあまり時間をとりたくないのでありますが、畜産振興事業団は、従来しばしば、買い入れと売り渡しにあたりまして、優良肉と劣等肉とを業者との間に裏取引をする、公売に付するのでありまするけれども、一たん公売した肉のうち、優良なものは業者に渡して劣等肉を事業団がかかえ込むという常習的な事実があるといわれておる。これは内部からの話だから、間違いございません。先ほど申しますように畜産振興事業団が畜産衰微事業団になるような状態では、これははなはだ困りますので、きょうは事業団の理事長を呼んでおりませんけれども、畜産局長のほうでそれらのことについても十分御調査の上に、再びこのようなことのないように警告を申し上げまして、私はこの問題についての質問を終わります。  次に、公害の問題でありますが、政府の公害基本法に対する考え方をお伺いしたいと思うのであります。  陸海空などと申しますと、何か軍隊のような感じを与えるかもしれませんけれども、都市の工業地帯には煙害があり、海水面、それから河川の汚濁など、いまや大都市のみではなく、全国にこれが広がりつつあります。これに対してかねてから公害基本法を提出するということが言明されておりましたが、昨年の十月ごろに、通産大臣の諮問機関である産業構造審議会は、産業公害部会の中間答申といたしまして、公害の責任は主として国と地方公共団体が負うべきものである、環境基準はあくまで公害防止技術の範囲内で設定すべきであるという結論を出しておるのです。ところが、厚生大臣の諮問機関である公害審議会は、公害による損失は無過失であっても企業が全責任を負うべきである、この基本線に基づきまして、企業は費用の一部を負担する、環境基準の設定は人間の健康を中心とすべきである、さらに公害によって他人の生命、身体、財産その他一定の受忍限度をこえる損害が生じたときは、原因者がこれを賠償する、こうきめておるのであります。御承知のように、憲法の規定に従って基本的人権と生存権が保障されておるわけであります。公害審議会の答申に基づいて制定されるべきことは、当然であると思うのであります。公害基本法は厚生省の担当だと承っておるのでありますが、昨年の十月二十四日、参議院の社会労働委員会における質疑の中で、鈴木厚生大臣は当時このように答弁をいたしております。「厚生大臣の諮問機関である公害審議会から第一次答申と呼称すべきものだと思いまするが、「公害に関する基本施策について」ということで大臣への答申がなされておるわけでありますが、その答申の中に、「公害によって他人の生命、身体、財産その他の利益に一定の受忍限度をこえる損害が生じたときは、原因者がこれを賠償する」ということをうたっておるわけでございまして、」こういっておって、あとでまた「まず第一に、水質の汚濁、これがわれわれの生活環境を阻害をし、ひいては国民の保健衛生に有害な影響を与えた、これは明らかな公害である、今後公害基本法あるいは公害防止のための法律その他で規制の対象になるべきものである、こういうぐあいに私は考えております。それから、さらに受忍限度をこえた場合の発生原因者が補償の責めに任ずべきであるという答申は、私どもその答申を尊重いたしまして、今後公害基本法等の制定にあたりましてはそういう方向で法制化を考えていきたい、このように考えているわけであります。」こういう答弁をいたしておるわけであります。ここに、当然といえば当然でありますが、通産大臣の諮問機関と厚生大臣の諮問機関との間に大きな食い違いがある、対立があるわけです。私は、当然これは憲法の条章に従いまして厚生大臣の諮問機関である審議会の答申の線に沿うた公害基本法が制定さるべきものであると考えるのでありますが、厚生大臣の所見を伺いたいと思います。
  112. 坊秀男

    ○坊国務大臣 公害基本対策につきましては、昨年の十一月に厚生省が、厚生省としての試案でございますが、それをつくりまして、総理府に設置しておられまする公害対策推進連絡会議、そこへ提出をいたしました。御承知のとおり、公害問題は各省にわたっておりまして、十四省庁にも及んでおる、こういうことでございますので、そこの連絡会議で、いまおっしゃられました通産省の意見、農林省の意見、その他の意見を調整をいたしまして、総理府の公害対策基本法試案、これをつくったわけでございますが、これは各省のいろいろな意見を調整したものでございまして、それをたしか二月の閣議了解をもちまして、公害対策基本法については厚生省がこれを主管する、こういうことに相なりまして、そのつくられた試案をもとといたしまして、いま厚生省におきまして鋭意成案を得べくつとめておるわけでございます。  総理府においてつくりました公害基本法試案におきましては、公害の発生する原因者であるところの企業体、事業体に対しましては、その重大なる責務を明らかにいたしまして、そしてそれから発生するところの公害を防止するその措置、及び国、地方団体といったようなところが公害防止に対して施策をやっていく上において、その事業者がこれは協力をしなければならない、こういう責務を明らかにしておるわけでございます。そこでさらに、事業者が公害防止にあたっての費用をどうするか、費用も負担すべきであるといったような責務を明らかにいたしております。おっしゃるような無過失の責任ということにつきましては、これは立法上相当の問題があろうかと思いますが、そこまで文言においてはうたっておりませんけれども、相当重大なる責任原因者であるところの事業者には持たしておる、こういうたてまえになっておりますが、それらの無過失責任といったようなことにつきましては、今後検討していかなければならぬ問題であろう、かように考えております。
  113. 石田宥全

    石田(宥)委員 大臣から無過失責任の問題にも触れられておりますが、私は、やはりこれは文書の上に明らかにいたしませんと、これから質問を申し上げたいと思うところの阿賀野川の水俣病の問題、あるいはまた港湾、河川その他で混合型のような場合、あるいはいろいろな形態のものがございまするので、そういう場合に、無過失だから責任を免れるというようなことになると、ほとんど捕捉しがたいものになるのではないか。そこで、やはり明文として無過失責任というものを課すべきである、そういう態度で臨んでいただきたいと考えるわけであります。その点簡単にお答えを願います。
  114. 坊秀男

    ○坊国務大臣 石田委員の御意見としては、非常に私は示唆されるものがあると思います。ただ、立法上直ちにそれを文言、明文の上にあらわしていくということは、これは相当重大なる問題でございますので、将来の検討事項にさしていただきたい、かように思います。
  115. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題はほとんどが——どろぼうにも三分の理と昔から言われておりますから、原因者がほぼ明らかであっても、なかなかこれは私のほうの責任だとは言わない。でありまするから、この点を私は重大視しておるわけであります。  これは最後に提案したいと思ったわけでありますが、実は各地に公害のために紛争が起こっております。これは原因者と被害者の間における被害額の査定、認識の問題、あるいはその責任の有無について非常な紛争が起こっておる。私のこれから質問しようとする阿賀野川の水銀中毒事件のごときは、その好例でございます。そこで、従来長い間の公害に対する紛争の経過を見まして、私は、特にその被害額の査定または認定並びにそれに対する補償、賠償という問題について、一つの提案をしたいと思うのです。これは最後にしようと思いましたけれども、ついでにやっておきます。  それはかつてしばしば紛争が起こった際に問題になっておりますただいま申し上げたような問題点について、一定の権威のある調停機関をつくってはどうか、こういうことです。これは調停委員会のようなものを、相当権威ある機関をつくって、そこで被害額の査定または認定、同時に両者間の調停という機関を、単なる諮問機関ということだけでなしに、相当権威ある機関を設置すべきではないか、こう考えるのでありますが、厚生大臣いかがですか。
  116. 坊秀男

    ○坊国務大臣 阿賀野川の水銀事件につきましては、今日慎重迅速に調査を進めておるわけでございますが、石田委員の御提案は、そういうことではなしに、一般的にこういったような事態に対処すべき何か審議機関といったようなものをつくったらどうか、こういう御意見のように承りますが、そういうことにつきましても、今度の事件等を端緒といたしまして考慮をしてまいりたい、かように思います。
  117. 石田宥全

    石田(宥)委員 もうすでに三十九年以来の問題でございますから、みな御承知だと思いまするけれども、大臣がほとんどおかわりになりましたので、私はあえてここで繰り返さざるを得ないのでありますが、昭和三十九年八月の下旬から患者が発生いたしまして、死亡者が五名、後遺症でいま苦しんでおる患者が二十一名、六〇PPMの保有者で胎児性水俣病の子供を産むおそれある者が四十名のうち、胎児性水俣病の子供が産まれております。さらに、鹿瀬の電工の排水口から日本海へ注ぐ六十キロの間、漁獲規制をいたしておるわけであります。そういう状態の中におきまして、これは科学技術庁の所管でありますけれども具体的には、厚生省において、疫学班、分析班、臨床班の三研究班をつくられまして、調査を行なってこられたのであります。これについて昨年の十月の参議院の社会労働委員会並びに衆議院の科学技術振興対策特別委員会におきまして、当時の鈴木厚生大臣は、十月末から十一月上旬にその結論を出せると、この見込みを発表しておるのであります。しかしながら、今日なおその原因が発表に至らないのは一体どういう理由があるのか。専門家だけに、特に学術部門の結論でありますから、政治的配慮はないと言っておりますが、またあるべきでないと考えておりますけれども、今日なお発表の段階に至らないとすると、必ずしも政治的な配慮がないとは言い得ないではないかと考えますが、これは窓口は科学技術庁でありますので、科学技術庁長官と厚生省と両方からひとつ伺いたいと思います。
  118. 坊秀男

    ○坊国務大臣 実は、まだその疫学班の調査報告というものは、厚生省がお受けをしていないというような状態でございます。おそらくはまだ調査班が報告をされないということは、それぞれの委員の間において、あるいは地元から、新たな資料があとからあとへと出てまいるものでございますから、そこで、まだ調査班といたしましては決定的な報告ができない、こういうような状態にあるのかと思っております。
  119. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 この事件の窓口は科学技術庁ということになっておるようでございますが、私のほうは、この事件の重要性にかんがみまして、農林省と厚生省に特別調査費というものを渡しまして、そしてこの原因がどこにあるのかということなどについて調査をしてもらっておる段階でございますが、一応、農林省のほうからはある程度の報告書がまいっておりますが、厚生省のほうは、いま厚生大臣がお答えになりましたとおり、詳細な報告がまいっておりません。したがいまして、私のほうで結論を出す段階に立ち至っていない、こういうことでございます。
  120. 石田宥全

    石田(宥)委員 実は、そういう白々しい答弁が行なわれると問題なのであります。疫学班としては、昭和四十一年十二月二十三日に報告書なるものを出しておる。これは長文でありますから、私はあえて全文を読みません。ただ、その結論だけは、「以上本事例は、阿賀野川のメチル水銀汚染を受けた川魚を多食して発生したメチル水銀中毒事例で、第二の水俣病というべきである。すなわち、この汚染源は、阿賀野川上流鹿瀬地区にある昭和電工鹿瀬工場で、汚染機序は、アセトアルデヒド製造工程中に副生されたメチル水銀が工場排水によって阿賀野川に流入し、アセトアルデヒドの生産量の年々の増加に正比例してその汚染量も増し、それが阿賀野川の川魚の体内に蓄積され、それを一部沿岸住民が補獲、摂食を繰り返すことによってメチル水銀が人体内に移行蓄積し、その結果発祥するに至ったものと考える。」こういうふうに結論が出ておるのです。この結論がちゃんと出ておるにもかかわらず、そんな白々しい答弁は一体何事ですか。これは、ことに最近になりまして、私は二回も厚生省のある係官に伺ったところによれば、全員一致でこれはまとめた。全員一致でまとまった疫学班の結論、これは鈴木厚生大臣ははっきり言っておって、この結論が出ればそれに対して対処いたしますと何回も断言しておるんです。そうしてこの結論が出た。この結論が十二月の二十三日に出されたにもかかわらず、さらに、この疫学班員全員に対して、この文書で異議がございませんかという問い合わせをさらにやった。それが先月の二十二日までにその意見を出してもらいたいという文書を送付した。ところが、ほとんど全員、これには異存がない。たった一人、結論には異存はないけれども、中間の字句の修正ができれば願いたいという意見があって、疫学班員全員がこれに同意しておるじゃないですか。それを何ですか、いまごろになって、白々しい、そんな答弁をするとは。特に最近私が耳にしたことで許すべからざることは、一部の強硬な学者のところに、だれのところへだれが行ったかということまで私は調べておるのだけれども、数名の学者に対してそれぞれ、あまり強硬な態度をとらないでもらいたいという説得工作が行なわれておる。これは許すべからざることです。これぐらい良心的な学者が満場一致で出した結論が、いまだ結論が出ないとは何事ですか。明らかにこれは政治的な配慮であり、陰謀であると言わざるを得ないのです。私は、昨年の十一月十日に科学技術振興対策特別委員会におきまして指摘をいたしたのでありますが、昭和電工といえばわが国財界のトップメーカー、彼はしかも総理大臣も親戚であるし、三木外務大臣も親戚であるし、皇室にまでちゃんと姻戚関係がある。したがって、これは政治的な陰謀が行なわれるから、すみやかに結論を出しなさい、結論を遷延すればするほど、その間に陰謀をたくましゅうする者ができて、歪曲されるおそれがあるから、すみやかに出しなさいと言ったのに対して、当時の鈴木厚生大臣は、十月末か十一月の上旬には出せる、こう言っておったのです。ところが、一体いまの答弁は何ですか。その事実はあなたは一体知っておるのか、知っていないのか。
  121. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いま石田委員の御朗読になりましたことは私はまだ知りませんけれども、その結論とおっしゃるものでございますが、これは十二月のたしか下旬だと思います、疫学班の中の幹事が一応阿賀野川水銀の件に関しまして一部の資料をまとめまして、その資料を班員全体に、おっしゃるとおり、こういう一部の資料をまとめましたと、こう言いまして、配付、提示をしたように聞いておりますけれども、これは疫学班調査の全体の結論ではおそらくないであろう、一部の資料としてまとめたものであろう、こういうふうに私は考えております。
  122. 石田宥全

    石田(宥)委員 それはおかしいですよ。それは先ほど私が触れましたように、かりに幹事団がまとめたものでありましても、三月二十二日までに、疫学班全員にこの文書を送って、そうしてこれに対しての御意見はどうですかということを全員に問うた。ところが全員結論には共存はありませんという回答をよこしておるのです。ただ一人、結論には異存はないけれども、一部字句の修正をしたいという意見があると言っておる。私は何回も調べたのです、厚生省の係官に。裁判でないからここに証人として引っぱり出しはしませんけれども、あなた不勉強なのか、とぼけておるのかわかりませんが、それならば私は具体的にひとつ確認していきます。  昭和電工側は、これは鹿瀬工場の廃液ではない、農薬である、こういうことを主張しておりました。最初これは新潟地震の際に新潟港にあった倉庫の農薬が流れ出て、これが通船川というところを通って阿賀野川に入って、そこで一日市の汚染があったのだ、こう主張しておったのです。ところがこれは、当時地震のために通船川は隆起しておって、全然水が流れておらないのです。そのことが明らかになると、今度昭電側は、いやそれは海に出て海から今度は阿賀野川を塩水くさびという形で遡上したのだ、こう言い直しておる。そういうふうに塩水くさび状に遡上したのだ、こう言っておるから、もうこの点はくずされておるから、私はこれに対して別に答弁を求めませんけれども、さらに昭電側はこう言っておるのです。海水面に出た農薬が阿賀野川に回ったが、海水面には非常な農薬が浮上しておってと言って、——これはある学者が大きな写真を持ってきて、このとおりだ、こう言っておる。ところが、この写真を撮影したところの専門家はアジア航測会社の西尾元充という人ですが、これに見せたところが、おれがとったのだ、これは地震のときに昭和石油のタンクから流れ出た石油だ、カラー写真で見ればちゃんと色彩まで出ておって、絶対に間違いがない、こう言っておる。何ですか、一体。こういうふうにこれは数限りなくあるけれども、あなたがそんなしらを切るなら、私は今度全部確認していきたい。これくらいのことは、あなたの答弁を求めなくても、ちゃんとはっきりしております。  それから次に、衛生部長が、どうも地震の際に農薬が流れ出たおそれがあるようだから、沿岸の市町村は警戒をしてもらいたいという文書を流した。これをたてにとって、農薬がたくさん流れ出た、こういう主張をした。だんだん調べてみたら、衛生部長は、当時、もし被害が起こっては困るから、非常に慎重に、警戒をしてもらいたいという達しを出した。それを取り上げて、今度は農薬だと、こう言い出した。農薬だと言い出したけれども、だんだん最後になって、調べてみたら滝沢倉庫というところが一番海岸ぶちにあるのだが、施錠が行なわれておって、全然流れ出ておらないのです。ほんの一部流れ出たものがあるかもしれないけれども、大体メチル水銀なんというものはそこにはない。農薬というものは大体九九・九%はエチル水銀だ。フェニル水銀だ。そういうものが被害を与えるはずはないじゃないですか。それからもう一つは、あの農薬会社が、その倉庫から、水浸しになったから、これを運ぶ途中に阿賀野川に投棄した、こういうことを言い出した。ところがこれには自衛隊が当時この搬出に当たっておって、自衛隊が絶対にそんな事実はないということを証明しておる。証明は私のところにありますけれども、時間がありませんからあまりやりませんが、一体この事実に対してはどうお考えになりますか。これは大臣はわからないようだから、環境衛生局長でいいですよ。
  123. 坊秀男

    ○坊国務大臣 新潟の災害に際しましては、いろいろな事実と申しますか、いろいろなファクターと言いますか、これがあるということでございます。そこで、それらのことの真相を追及していかなければならない、原因を探求していかなければならないということで、今日調査班をしてこれをやっていただいておる。いま先生がお読みになったものは、これは一部のものでございます。さらに広く総合的に、新たなる事実、新たなる資料といったようなものもどんどん出てまいっておりますので、そういったようなものを総合して調査をして、その結果を提出してもらうために、厚生省としてはこれを待っておる、こういうような次第でございます。(「明快、明快」と呼ぶ者あり)
  124. 石田宥全

    石田(宥)委員 まことに明快ですよ。この間十九日から三日間、いわゆる御用学者の一団が調査に行っておりますよ。全く明快です。こういうふうに昭和電工側に責任なしとするような調査が意識的に次々と行なわれて、撹乱工作をやっておるのです。  それでは時間がないようでありますから通産大臣に伺いますが、あなたのほうは、熊本県の水俣病が起こったときに、アセトアルデヒドの製造工程から出るメチル水銀というものが水俣病を発生せしめたということが熊本大学の調査研究によって明らかになっておるが、その際に、一体全国の同じ工程の工場に対していかなる措置をなされたのであるか、お伺いしたいと思う。
  125. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいまのお尋ねの件はだいぶ技術的なようでありますから、政府委員から答弁させます。
  126. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいまの、水俣病以後におきまして水俣と同じような製造工程をとっておりますカーバイドからアセトアルデヒドを製造いたしております工場に対して通産省でどういう措置をとったか、こういう御質問でございます。当時通産省といたしましては、同様の生産工程をとっておるところに対しましてさっそく手配をいたしまして、いわゆる排水施設等の関係につきまして、あるいは調整池あるいは除濁池等を設けること、あるいはまた、循環水につきましてこれをできるだけ外に出さないようにというふうなこと、それぞれの工場に対応した措置をとるようにというふうな指示をいたしたわけでございます。
  127. 石田宥全

    石田(宥)委員 あなたは昨年の十月二十四日の参議院社労でも同じような答弁をしておりますが、その後調べたところによると、その指示はしたけれども、その鹿瀬の工場では指示に従った措置は何もやっておらなかったと会社も認めておるし、従業員も言っておる。裁判でないから私はここで証人を出すとは言いませんけれども、これは政府委員が言っておるのです。通産大臣、一体これくらい危険な、たくさんの死者を出し、後遺症の患者をたくさん出しておる、そういうふうな事業をやっておるところに対して、指示の出しっぱなしでいいのですか。いつでもあなたはそんなことをやらしておるのですか。
  128. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまお説のようなそういう重要な問題でありますから、その施設に対して各工場がそのとおり実施しない場合には、それに対しては厳重な戒告を発するし、あるいはまたそれぞれ適当な措置をとるべきだ、こう私は思っております。いま私としては初めて承ったので、そういう事情であれば、さっそく調査させたいと思っております。
  129. 石田宥全

    石田(宥)委員 通産大臣は初めて承るということでありますから、大臣を責めてもしかたがありませんが、これは役人の怠慢だ。何もやってないのです。事実、政府委員がはっきり言っておるし、私は工場が近いのだから、みな話を聞いておる。  そこで一体、昭和電工は、その排水にはメチル水銀は全く排出をしておらなかった、それから排水溝のミズゴケからメチル水銀が分析されたけれども、それはそうではない、こう言っておる。メチル水銀など排出していないし、したがって、その排水溝付近のミズゴケ、その下流のミズゴケにもあるはずはない、こう言っておる。ところが厚生大臣、現にそのボタ山——アセトアルデヒド工場の製造工程から出たそのカーバイドかすを山にしておるのを普通ボタ山といっておるが、そのボタ山が売りに出されておるのです。そうして、同時に、その排水溝付近の清掃が行なわれておるのです。これは、証拠隠滅のためにボタ山をどこかへ隠し、そうして川を清掃して証拠を隠滅しておいて、それから御用学者を連れてきて何かやるのではないか、こう付近の人はうわさをしておる。ところが私が調べたところによると、このボタ山なるものは、昭栄工業株式会社、北進工業株式会社、東京化工株式会社などのルートでこれが売りに出されて、水銀は含有しておらないというボタ山に二%の水銀が含有しておって、それがいま清掃が行なわれておるのです。それでもその昭和電工の主張を、厚生大臣、一体、これでもまだ次々いろいろなものが出て、きめ手にならないとおっしゃるのですか。これくらい明々白々なものはないでしょう。まだ結論は出せないのですか。
  130. 坊秀男

    ○坊国務大臣 調査班の結論が出ない場合には、厚生大臣としては、これに先立って結論を出すというわけにはまいるまいと思います。
  131. 石田宥全

    石田(宥)委員 厚生省の疫学班の結論というものを政府はいま押えにかかっておる。——政府というのは言い過ぎかもしれません。昭和電工かもしれません。とにかく強硬な結論を吐いておる学者のところへ、一人一人、説を曲げてもらいたいという説得工作が行なわれておる。だんだん日がたっていけば成功するかもしれない。そうすると、これはあいまいになってしまう。だから私は鈴木厚生大臣のときから、これはおくらせればおくらせるほどいろいろの陰謀が行なわれて、被害者というものがひどい目にあうことになるから、すみやかに結論を出すようにしなさいということを言ってまいったのです。それが去年の十月末か十一月上旬というのがいまだに出せないのですから、政府に対しても何らかの圧力があると言わざるを得ないのです。圧力なしに、どうして一体結論が出せないとあなたは考えるか。いろいろの事実が出るというけれども、一体何がありますか。私はまだたくさん事実はあるけれども、たとえば電工の謀略というものは実に至れり尽くせりで、たとえば「財界」という雑誌がありますね。これは財界の機関誌だからかってだけれども、相当なページ数を使って、これは電工の廃液ではないということを大きくいろいろの角度からいっておる。根も葉もない全くでたらめ千万なものなんですが、そういうことをやっておる。またほかの新聞もかなりそういう点に意識的なものが見られる。  先般NHKが特別番組を放送いたしました。たまたま私これを見ておりましたが、電工の廃液説を主張するようなものをちゃんと出して、それを被告人扱いをしておる。私は、NHKともあろうものがこのような態度をとることは問題だから、別の常任委員会などで徹底的にこれを究明しなければならないと思うが、少なくともマスコミのほうにかなり手が回っておることは、これはもう弁明の余地はございません。  それからもう一つちょっと申し上げておきたいことは、電工はこう言っておる。電工の廃液の下から鹿瀬町の上水道を取っておるが、上水道を使っておる人たちは一人も病人が出ておらない。こう言っておる。こんなばかげた話がありませんか。水俣病というのは、メチル水銀なるものに魚や貝が接触をして、その魚や貝をたくさん食べた者が水俣病になるのであって、その水から微量のメチル水銀をとったからといって、水俣病が起こるはずがないじゃないですか。子供でもわかっているようなことを昭和電工はしゃあしゃあとこれをやっておる。まことにナンセンスと言わざるを得ないのです。同時に患者は阿賀野川の下流だけだ、上流にはいない、こう言っておる。ところが、ちゃんとこの報告書にも書いておるからあとでお聞きを願いたいのでありますが、上流の鹿瀬、向鹿瀬、大鹿瀬、津川町にも水銀を多量に保有しておる患者があるということを報告書は確認しておるのです。私、先般衆議院の選挙の際に回ってまいりましたが、実は相当数おるという。相当数おるが、電工の会社の者がその患者の家を訪問して、新潟大学へ行くと、これは水俣病だと言われるから、新潟大学へ行かぬでくれ、新潟大学に行っても同じ薬しか与えられぬのだから、こっちで世界最優秀の薬を提供するから、新潟大学へ行かぬでくれということを言って、しょっちゅう患家を訪問しておるのです。これは私は別な意味において人権擁護委員会等で問題にすべき問題であろうと思うのでありますが、そういうふうに全く許すべからざる陰謀が次々と行なわれておるのに、じんぜん日を費やして、そうしてその陰謀をたくましゅうせしめておるのが厚生省であり、科学技術庁であると言わざるを得ないのです。  また同時に、電工会社はフェニル水銀——農薬ですね。水銀農薬の九九・九%はフェニル水銀であるけれども、二%のメチル水銀を含有しておる、こういうことを電工は主張しておった。ところが、一月十七日に厚生省の特別研究班立ち会いの上検査をしたところ、〇・〇〇五%の微量であったということが明らかにされたのです。この事実は御承知ですかどうですか。
  132. 坊秀男

    ○坊国務大臣 その事実については、私はつまびらかにいたしておりません。
  133. 石田宥全

    石田(宥)委員 こういう重要な問題を——二%もメチル水銀を含有しておるなどと言って、ところが厚生省特別研究班立ち会いの上で検査をしたら、全くたいした違いじゃないですか。〇・〇〇五%の微量である。こういう明白な事実の前に、一体政府はどういう措置を考えておるか。  私は、まず政府として二つの責任があると思う。その一つは、先ほど通産大臣はわからないとおっしゃったんだけれども、この除濁装置などの施設は何にもやっておらないという。アセトアルデヒド製造工程から必ず出る、そうしてこういう被害を受けておるのに、何らの措置をとっておらないということに対する政府責任です。これが一つ。  もう一つは、農林大臣がおりませんから水産庁長官でやむを得ませんけれども、先ほども触れましたように、昭和電工の排水口から六十キロに及ぶ阿賀野川が、いまは死の川になっておる。死の川です。しかも、漁業組合に対しては、年々二百八十万尾の稚魚の養殖と放流を義務づけておる。二百八十万尾で相当の予算で漁業組合は養殖をし放流をしておるのに、漁獲の規制を行なっておる。一体この責任はだれがとるべきか。当然政府がとらなければならない責任であると私は考える。これは本来ならば総理大臣か官房長官を呼びたいと思いましたけれども、大蔵大臣、ひとつこういう事態が起こった場合に、明らかにこれは政府責任でしょう。政府はこの除濁装置等を全然やらせておらなかった。そうして、害毒を流出せしめておったという責任。二百八十万尾の放流を義務づけておりながら、漁獲規制をやって漁民を苦しめておる。この責任というものは、これは政府がとるべき当然の措置であろうと思いますが、どうですか。
  134. 久宗高

    ○久宗政府委員 お尋ねのございました水産関係につきましてお答え申し上げます。  これは先般国会法に基づかれまして正式の御質問が出まして、政府としてのお答えを申し上げてあるわけでございますが、御指摘のございました、養殖の義務を課しておきながら規制するのはおかしいではないかというお話でございます。御承知のように、内水面におきます漁業権につきましては、海面の漁業権と違いまして、本来養殖の適地につきまして、しかも養殖の計画をいたしましたものに限りまして与える形をとっておるわけでございます。したがいまして、養殖義務と申しますのは、役所が恣意的につくるものじゃございませんで、内水面の漁業権に内在する本来的なものであるわけでございます。ただ、本件につきましては、特殊な状況下でございましたので、漁業調整上の必要に基づきまして、委員会指示によりまして、ごく期間は短いわけでございまして、七月から八月の末までの期間、かつ区域につきましては、先ほど六十キロというお話がございましたけれども、下流の十四キロにつきまして捕獲の制限をいたしたわけでございます。さようなことでございまして、適法に行なわれたものでございますので、御質問のような賠償問題というものとは関係がないと考えております。
  135. 石田宥全

    石田(宥)委員 かってなことを言っておるように聞こえますが、これは、総括いたしまして、本問題の結論は早急にと去年の九月から言っておるのですが、いまだにその結論が出ない。私は出させないんだと思うのです。ほっておけば出るのです。政治的圧力があるから出ないのです。この先何年出ないかわからない。そう思いませんか。そうすると、あまり鈴木厚生大臣のことをここへ引き合いに出すのはどうかと思うけれども、少なくとも疫学班の結論が出れば、補償すべきは補償をし、あるいは原因者が明らかになれば賠償についても政府は積極的な努力をいたしますと、こう言っておるんだが、坊厚生大臣の御意見を承りたい。
  136. 坊秀男

    ○坊国務大臣 厚生省といたしましては、疫学班の結論をできるだけ早く出してもらう。そんなにおそくなろうとは私は思いません。出していただいて、そうして、石田委員御存じのとおり、三班に分かれて調査をしておりますので、そうすると、それぞれその三班のものをこれは総合しなければなりません。そういったような過程を通じまして、これを総合いたしましたならば、厚生省としてのいろいろな過程を通じて意見が出てくるわけでございます。それに対して、なおいま御質問があってお答えがあったような、水産の問題だとか、あるいは通産省の問題だとかいったようなものもございますので、そういったようなものを科学技術庁へ提出いたしまして、そうして総合的なこの調査のまとめというものを科学技術庁でやっていただくということによりまして、これに対するいろいろな対策といったようなものがそこに生まれてくる、こういう経過であろうと思います。私は、先ほどからずいぶんおしかりも受けておりますけれども、だれに圧力を加えられるとか、だれに指示をされるとかと、さようなことは断じてございません。でき得る限りすみやかにこの結論を得まして、そうしてしかるべき対策を講じたい、かように考えております。
  137. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあ坊厚生大臣の人柄にも信頼をいたしまして、私はすみやかに結論が出されるよう努力をしていただきたいと思いますが、科学技術庁長官、やはりこれは窓口はあなたの所管です。調査研究は厚生省にゆだねられておるけれども、あなたの所管なんであります。先ほど来私が質問を申し上げておるような実情であります。私どもはきわめて明々白々だと考えておるのでありますが、所見を承りたいと思います。
  138. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先ほどから厚生大臣がお述べになっておるとおり、私のほうには厚生省のほうから報告は参っておりません。また厚生省の疫学班から資料として出された報告書なるものも私のほうには届いておりません。また、先ほどお話を聞いておりますと、私どものほうからもある程度の政治的な配慮がなされておるのじゃないか、これは科学技術庁の責任でもあるというようなおことばでございましたが、そういうようなことは、業者のほうからも、また私のほうからも、何らそういう政治的な配慮とか圧力というものはないということをここで明らかにいたしておきます。
  139. 石田宥全

    石田(宥)委員 実はこれはざっくばらんに申し上げますと、疫学班の結論なるものが科学技術庁に送られた。科学技術庁は、どうも自分のところに医学上の専門の職員もいないので、私のところでこれを再検討するという実は能力がないからといって、これをまた厚生省に差し戻した。厚生省は、そこでさっき坊厚生大臣が言われたように、いろいろなものが次から次へと出てきてと、こうおっしゃる。私をして言わしむれば、次から次へと御用学者のような調査班ができて、そうしてますます混乱させるのだと私は考えておるのだけれども、それがまた厚生省に差し戻されて、厚生省では、これは環境衛生局長のもとで、いわゆる御用学者を多数加えたところのまた別の研究機関をつくって検討し直す、こういわれておるのです。おそらくあなたはその事実は知らないとおっしゃるでしょうけれども、私はちゃんと知っておる。だれがどう言ったかまで知っておるのだけれども、ここでそんな暴露はしませんが、そういう実情なんです。  そこで、先ほどから厚生大臣は、どうも次から次へいろいろなものが出てきてこれはできないのだと、こうおっしゃるけれども、一体、まだ結論を出すには何と何が足りないのか。どういう点とどういう点で新たな事実が出てきたか。これだけひとつ伺っておきます。
  140. 坊秀男

    ○坊国務大臣 その具体的な内容についてはまだ私は存じておりません。だがしかし、いま出たと先生が言われるこのものは、これは資料の一部をまとめたものである。そのほかにも広くこれを検討の対象としていかなければならないものがあって、そしてそれを基礎といたしまして、さらに三班ございますから、三班がばらばらに出ておるというようなことでは、一つの厚生省の意見としてはまとめるわけにはまいらない、かように思っております。
  141. 石田宥全

    石田(宥)委員 私が申し上げておるこの問題は、疫学班でまとめはいたしておりますけれども、三班の総括なんです。三班の総括であるのに何が一体足りないのか。どんな事実があとからあとからと出てきておるのか。あなたがおっしゃっておるのだから、あなたおわかりでしょう。それを聞いておるのです。
  142. 坊秀男

    ○坊国務大臣 結論を、最も正確を期してやっていくためには、こういったような調査というものは広くやっていかなければならない。そういうことです。
  143. 石田宥全

    石田(宥)委員 もうこれ以上議論しても水かけ論になるようですが、実は時間があればこれをはっきりしなければ何にもならないのです。あなたは言っておるのでしょう。次から次へといろいろなものが出ておるとおっしゃるが、一体何が出ておるのですかと言っておるのですよ。そうして、総括結論には何と何が足りないのですか、こう言っておるのです。その具体的な事実が明らかにならなければ、こっちは引っ込みがつかないじゃないですか。もうやめようと思っているのだけれども……。
  144. 坊秀男

    ○坊国務大臣 所管の政府委員からお答えさせます。
  145. 舘林宣夫

    舘林政府委員 先ほど先生からお話がございましたように、農薬の中の分析作業をことしの一月の間に研究班その他の学者の間でやりましたり、あるいは個々の研究班の班員が分析をさらに進めるというようなことで昨年来ことしの春にかけて補足調査をいたしておったわけでございますが、現段階はそのような調査はほとんど終了いたしまして、先ほど来先生がおっしゃっておられますように、結論を書き上げる段階に入っておりますので、ごく近日中に結論の提出があるものと、かように期待をいたしております。
  146. 石田宥全

    石田(宥)委員 厚生大臣、無責任な答弁はやめなさいよ。いまの答弁ではっきりしておるじゃないですか。もう結論を書きつつある。書き始めておると言うのでしょう。文章をまとめるのにそんなに時間がかかるはずはない。とぼけなさんなあなた。次から次へと新しい事実が出るとか、まだ足りないものがあるとか、何回言っております。そんな事実はないじゃないですか。そういう無責任な答弁はやめなさい。
  147. 舘林宣夫

    舘林政府委員 大臣が申し上げたのは、昨年十二月に先生がお持ちになっておられる資料の一部を提出して、その以後今日まで、いろいろの調査をいたしておったということを大臣が申し上げたわけでございまして、それがいろいろ次から次へと資料を各委員が持ち寄りまして調査をいたしておったわけでございます。
  148. 石田宥全

    石田(宥)委員 環境衛生局長、もう文章を書き始めたということであるから、そうすると、大臣の言うような事態ではないということが考えられるわけでありますが、文章をまとめ始めておるということになれば、それほど時間はかからないと思うのであります。これは大体近日中といっても、五日も近日中、一週間も近日中、十日も近日中ということになろうかと思うのでありますが、おおよそ幾日ごろまでに文章はおまとめになりますか。大事なところですから、これははっきりしてください。
  149. 舘林宣夫

    舘林政府委員 先ほど来、石田先生がおっしゃっておられますように、意見の調整がなお残っておったわけでございます。現段階でどの程度その調整がついておりますかは、ただいま大部分の学者が名古屋の日本医学会に出向いておりまして、おそらくはその席上でもそういう話し合いがあるかと思いますが、それさえ終了すれば提出があるもの、かように思っております。
  150. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういう逃げ口上はやめなさいと言うのですよ。なぜかと言うと、先月二十二日までに関係者全員にこの原案を配って、それに異議があるかないかということを確認しておるが、全員異議はございません、ただ一人、字句の修正が行なわれれば幸いだという人があるということをあなたの部下は言っておるのですよ。ここまで来ておってまだ逃げようというのですか。そこまではっきりしておったならば、何を一体いまごろになってそんな逃げ口上をやりますか。大体幾日くらいにまとまるかということをはっきり言いなさい。
  151. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま申し上げましたように、学会を機会に各種の学者が会合することができるわけでございまして、学会は四月の上旬一週間程度で終わるわけでございますので、それが終われば間もなく出るもの、かように期待をいたしております。
  152. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも逃げ口上のようでありますけれども、もう委員長をはじめ大体おわかりだと思う。ですから、この問題は、時間がございませんので、どうも大臣の答弁がむだが多いので時間をかけましたから、少しばかり延長さしてもらうようになるかもしれませんが、次の問題に移らしていただきます。  先ほど申しましたように、昭和電工ではいろいろ撹乱工作をいたしておりましたが、その中でこういうことを言っておるわけです。フェニル水銀農薬が生体を通してメチル水銀に変化すると言っておるのです。ところがこれは、私は何人かの学者にも聞き、同時に昨年十一月十日の科学技術振興対策特別委員会の席上、斯界の権威であるといわれる喜田村教授にも伺ったのでありますが、絶対にないということを明らかにしておるわけです。これは専門学者何人にも私は聞きました。またこの記録にもあります。ところがそのような宣伝がかなり各方面に行なわれました結果として、いま非常な問題が起こっておる。先般の衆議院議員の選挙から、さらにこの間じゅう地方統一選挙に回っておりますと、農民の中には、農薬の中にメチル水銀などをそんなに多量に含有しておるとすると、これは非常に危険なものではないかということで、まず農業協同組合の諸君が非常に問題にしておる。また農民個人が、これに対して一つの恐怖感に襲われておるわけです。私が行きますと、私がこの問題を取り上げておるということを知っておるものでありますから、至るところでその危険性というものについて質問を受けるわけです。ところが、それだけならまだよかったのでありますが、昭和電工の謀略的な宣伝だけならよかったのでありますけれども、その次に今度ことしの二月二十五日に発表になりました、これは長野県にありますところの日本農村医学研究所で、農民の健康会議というものに提出をした資料によりますと、農民の四十数%が農薬中毒にかかっておるということを発表しておるのです。これについては、昨年来問題になっておりまして、昨年の科学技術振興対策特別委員会は、こういう決議をしておる。前段は抜きにいたしますが「農薬の残留毒性を速かに科学的に究明すること。」ということを三項目の中の最初に入れてある。一体農薬の毒性というものがいかなるものであるかということに対して、国民の間に、特に農民の間に非常な誤解があるのではないか、こう思われるのです。  そこで、科学技術庁は、昨年の三月の決議に基づいて、農薬の人体に及ぼす被害、中毒性、そういうものの科学的究明というものをどの程度に行なわれておりますか、長官の答弁を願います。
  153. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 その前にちょっと、先ほど石田先生のお話の中に、厚生省から出された報告書を私のほうが受け取って、そしてそれを判定する能力はないというので突き返したというようなお話がございましたが、そういう事実はございませんし、また担当の局長も医学の大家でありまして、私はそういう判定の能力は十分持っておると思っていますが、そういう事実はございませんことを明らかにいたしておきたいと思います。  なおまた、この農薬の問題につきましては、衆議院の、特別委員会で、四十一年三月三十日に決議をされておりますが、その決議にのっとりまして、当庁といたしましても、新しい農薬の研究部門を設けたり、あるいはまた、最近は砒素剤の代替農薬としてポリオキシンという新しい農薬も実験段階に入っております。お説のような決議を尊重いたしまして、鋭意それらの研究を行なっておる最中でございます。
  154. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間がありませんから、これは厚生大臣から実は承りたいと思ったのでありますが、これは厚生省の統計にあるのですけれども、農薬による被害、これは実はだんだんと減っておるわけでありまして、特に最近の厚生省統計では、三十五年を一〇〇%とすると、その中毒は一七・三%まで減ってきておるのですね。それから死亡の原因などについても、激減をしておるのです。いま農薬中毒というものは、ほかの産業別と比較をいたしますと、たとえば化学工場では〇・一三一、それから窯業、土石業などでは、これは非常に少なくて〇・〇〇九ですが、鉱業では一・七八六%に及んでおる。ところが農業の農薬中毒というものは〇・〇〇八%というふうに激減をしておるのです。こういうふうに激減をしておるにもかかわらず、一般のマスコミ等の影響があって、非常にその中毒の率が高いということがいわれておる。これは私は昭和電工の陰謀だと実は考えておる。農薬問題が出てきたので、今度は農薬の被害というものをことさらに大きくPRをやっておるその結果ではないかと考えるのであります。これは農林大臣はきょう来ておりませんけれども、大体今日の農薬の中毒というものは、これはおそらくその管理と使用の方法にあるのではないか。管理が完全になり、そうして使用が、ちゃんとビニールのような被服などを使うならば、ほとんどゼロに近いものになるのではないかというふうに考えておるのです。厚生省もそういう点を十分指導するほうが——農薬を切りかえることもいいですよ、私は切りかえに反対するわけではないけれども、そういう面に対する厚生省の、あるいは農林省の指導が不十分なのではないかと考えるのですが、厚生大臣、いかがですか。
  155. 坊秀男

    ○坊国務大臣 石田委員の御指摘のとおり、農薬による中毒死亡といったような率が年々歳々少なくなってきておる、これはもう事実でございます。そこでいまおっしゃられましたような使用方法、管理のしかたといったようなことも、非常にこれには貢献しておるだろうと思いますが、さらに近ごろでは、毒性の低い農薬といったようなものも相当多くなってきておるということも一つ原因でなかろうかと思います。昭和電工が謀略でもって、農薬が危険だ、危険だと言っておるというようなことは、私は決してないであろうと思う。  なお農薬を新たに登録するのは、これは農林大臣でございまして、その際に厚生省に対して、こういったような新しい農薬を登録するということについては相談があるようでございます。それでその場合に、厚生省といたしましては、その中の有毒性といったようなことを、これを分析いたしまして、そしてこの農薬に対しては、こういう毒性があるということを明確にいたして、そしてその取り扱い、管理等について、農林省でひとつ管理してもらう、こういうような行き方をやっておるわけでございます。
  156. 石田宥全

    石田(宥)委員 農林大臣が見えておりませんから、農政局長に伺いたいのでありますが、ただいま私が指摘いたしました問題、それに関連いたしまして、昨年の科学技術振興対策特別委員会では、大体三年ぐらいの間に水銀系の農薬は切りかえるようにということが指摘をされておるわけであります。ことしは、新潟県などは相当大幅に切りかえをいたしたようでありますけれども、全国的にはどの程度切りかえが行なわれたか、また、いま指摘したように、管理と使用等に対する配慮はどのように行なわれておるか。これは農政局長でけっこうですから……。
  157. 森本修

    ○森本政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点は、水銀系農薬を非水銀糸農薬にどの程度年度切りかえたかという御質問でございますが、昨年度は、いもち病の防除の面積にいたしまして約四〇%程度非水銀糸農薬が使用されておる、そういう状況でございます。  それから第二点は、農薬の取り扱いの点でございますが、御案内のように、農薬を登録をいたしておりますが、その際に保管でありますとか、あるいは取り扱いの方法について適正な表示をするということで、農家に対しましても、その保管なり、あるいは取り扱いについての方法を適正にするように配慮をいたしております。  なお、毎年、御案内のように、農薬の安全使用週間といったようなものをつくりまして、それぞれ関係団体あるいは農家に対しまして、安全な保管なりあるいは使用の方法につきまして周知徹底をいたしておる、そういうことでございます。
  158. 石田宥全

    石田(宥)委員 次にこれは、——農政局長そこにいててください。この間、最近の発表でありますけれども、やはり農村医学研究所で発表したところによると、——これは地方の新聞でありますけれども、「白米から有機水銀」という大きな見出しで、長野の日本農村医学研究所で検出をした、こういうことが記事になっておるわけであります。これは「このほど最高〇・六PPMの酢酸フェニール水銀を検出した」、白米の中にある水銀は全部無機水銀で、有機水銀が含まれているのは稲の葉だけと従来はされておったが、この検出の結果、有機水銀も含まれておるということが明らかになった、こういう発表が行なわれておるわけです。  それで、玄米並びに白米に対する水銀の含有量と、ただいま私が申し上げました新聞記事との関連についてお答えを願いたい。
  159. 森本修

    ○森本政府委員 お答えいたします。私どものほうで現在持っております資料は、日本植物防疫協会水銀問題対策委員会の調査結果でございまして、それは稲の玄米で〇・二PPM程度の残留をする。これは酢酸フェニル水銀を二回程度散布した稲の調査結果でございます。
  160. 石田宥全

    石田(宥)委員 白米はどうです。
  161. 森本修

    ○森本政府委員 白米はちょっといま私材料を持っておりませんので、後ほどでもまたお答え申し上げます。
  162. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、昨年科学技術振興対策特別委員会で突如としてこの問題が出てまいりまして、私はその裏面をある程度知っておりますけれども、とにかくしかし、疑わしきはこれを使用せずということに対して、私は双手をあげて賛成をしておった。わが党の議員がこれを問題にいたしましたときに、私も手伝いをいたしました。ところが、白米の中に、あるいは玄米の中に、あるいは牛乳や乳製品の中に水銀が含まれておるということが非常に問題になり、ことに国際連合のWHOというところでは、一応エチル水銀等の含有については許容量ゼロということになっておる。ところが、昨年の十月に行なわれたWHO並びにFAOの会議では、最近の科学技術が進歩をいたしまして、従来のように単に含有率ゼロということには問題がある。何百万分の一、億分の一程度まで検出ができるようになった今日では、従来のゼロというものはこれを破棄して、再検討すべきであるということが、結論として出されておる。まだリポートは届いておらないそうですけれども、そういう状態の中で、米を食べる人の毛髪中の水銀の量というものが大問題になったわけです。  ところが、その問題が科学技術振興対策特別委員会で問題になりますと、これは昨年の三月号に出ておりますが、「労働の科学」という雑誌の中に山口誠哉という人とそのほか三名、全体で四名でちゃんと名前をあげて、そうして共同研究の結果を発表しておるのです。それによると、特別委員会では、日本人の毛髪中の水銀含有量が外国人の二倍である、ことに農薬を使った地域の農民の毛髪中の水銀の量が非常に多いということを強調されておったわけです。ところが、いま申し上げたこの四名の共同研究の結果は、必ずしもそうではないということの数字が出ておるわけです。それは精神病院患者の頭髪水銀、これは「長期入院の、しかも監視つきで外出の禁止されている精神病患者の頭髪中水銀を測定した。もちろん、これらの患者は所定の病院食による米食をしている。週一回はパンまたはめん類で、それ以外はすべて米食である。彼らは整髪料はほとんど使用しないし、したがって外界の塵埃汚染もきわめて少ない。測定結果は、男性患者十二例平均二・〇九PPMであり、女性患者二十一例平均二・〇二PPMである。この結果から、米食はかならずしも頭髪中水銀を増加させないことがわかる。一方、整髪料を使用しているが、一般人より比較的外出の回数の少ない結核療養所入院患者の頭髪中水銀は、男子八名の平均四・〇一PPM、女子六名の平均二・六七PPMであり、精神病患者より多いが、じゅうぶんな米食をしているにもかかわらず、頭髪中水銀は一般人より少ない。」こういうことを指摘をしておるのです。さらにまた、地域別に見て「北九州、久留米、大牟田の三地区で測定した降下煤塵中水銀は、」「水銀量は〇・一四PPMから一九・二PPMまでであり、その量はかなり大量である。特に久留米地区では田園地区は少ないが、エントツの影響を受けるところに置いたデポジットゲージからは、大量の水銀が発見されている。塵埃中のどの成分に水銀が多いか、今後の研究にまたねばならないが、水銀農薬に由来する土砂に原因しているかもしれないし、その他の汚染物質があるかもしれない。しかし、過去の文献をさがしてみるとき、エントツのススのなかに、きわめて多くの水銀が見いだされている。」たとえば三・五から二八PPMの水銀を検出したところがあり、あるいは三・九PPMが検出されたところがあり、この著者は一・七PPM以上の水銀を見出している。  こういうことで、いろいろ以下たくさんありまするけれども、都市のじんあいの多いところに住む人の毛髪中の水銀含有量が、農村で農薬汚染を受けておる患者の頭髪中の水銀含有量よりもむしろ多いということを、ここでは指摘をしておるのです。これはいろいろなデータでやっておる。私はそれは十分だとは言いませんよ。言いませんが、少なくともこの人たちが専門的に研究した結果、こういうふうに出しておる。そうすると、一体従来の水銀農薬をだんだん切りかえることは賛成だが、しかし、それが値段が高いと、結局米価も上げなければならないという要素にもなるし、農民は従来使いなれたもののほうをとりたいという意欲を持っておる。研究が不十分であって、許容量というものの定めがないところに問題がある。検出の方法にも問題がある。一体どういう検出のしかたをするか、そうしてどの程度の許容量まではこれを認めるかということが、政府当局によって、これは科学技術庁によって明らかにされなければならないし、すみやかにそのことが明らかにされなければならないと私は思うのであります。これに対しては科学技術庁は十分意欲的な取り組みを行なわるべきであると思いますが、一体、予算的にはどの程度措置されておるかを承りたいと思います。
  163. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 ただいまは石田先生の科学的な、学問的な御意見を拝聴いたしまして非常に参考になりました。私のほうといたしましては、外郭研究機関でございまする理化学研究所におきまして、農薬の残留毒性の研究を徹底的にやっておりますし、また、先ほど申し上げましたとおり、新しい素材をもとにした農薬等の研究を行なってておりまして、現在わが国におきましては、水銀を含まない農薬を約十種ぐらい生産をいたしておりますが、なお引き続きそういう問題につきましても研究を積極的に進めてまいりたい、こういう考えでございます。詳細な予算につきましてはどの程度か私存じておりませんが、あとで調べて御報告いたします。
  164. 石田宥全

    石田(宥)委員 厚生大臣、その点でひとつ……。
  165. 坊秀男

    ○坊国務大臣 残留農薬の対策費といたしまして、四十二年度におきまして千三十六万一千円、四十一年度では三百五十九万円でございますが、そういう予算が計上されております。  なお、残留農薬に対しましては、私のほうの食品衛生法に基づきまして、食品中の許容残留量の基準を設けて取り締まっておるわけでございますが、現在対象としておる農薬の種類は、砒素、鉛、DDT、銅等でありますが、近く範囲を広げましてBHC、パラチオン、水銀等についても、仰せられるように基準をきめるために検討をしてまいりたい、かように考えております。
  166. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 予算がわかりましたので……。理研についております先ほど申し上げましたような農薬関係の予算は、一億四千万円つけてあります。
  167. 石田宥全

    石田(宥)委員 厚生大臣、私は砒素だとかあるいは燐のようなああいう——これも猛毒ですが、しかしそれを言っておるのじゃないので、水銀農薬についての、水銀についての許容量というものが明確でないのではないか。WHOあたりでも議論が行なわれておるが、そこでは再検討ということになっておる、日本においては、やはり水銀の許容量というものをすみやかに明らかにすべきではないか。そうすれば、どの程度ならば被害がないが、これ以上になると被害があるということがだれにもわかるわけで、そういうものをお示しを願いたい、こういうことです。それがきまっておったら発表願いたい。
  168. 坊秀男

    ○坊国務大臣 現在はまだきまっておりませんが、これは農林当局とよく相談をせねばならぬ問題だと思っております。
  169. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあ時間がきたようでありますから——そこで肝心な問題で、水俣病が起こったのは昭和二十八年です。もう四十二年というと十四年もたっておるわけです。十四年もたった今日、水銀の被害というものに対する認識が非常に甘い。そうして再び水俣病を発生せしめておる。同時に、それが農薬全般にも影響があるように国民には印象づけられており、日本人の常食としておる米の中にまでそれがあるといわれておる現段階において、政府がその許容量を示し得ないということは、私は政府の怠慢以外の何ものでもないと言わざるを得ないのです。怠慢ですよ、これは。ですから、この問題だけでも相当予算も使って、厚生省、農林省、科学技術庁の三者で、三者の間でなわ張り争いなどをせずに、すみやかにひとつ結論を出していただきたい。  実は、時間があれば日本農村医学研究所の資料も持っておりますので、これについて実は一々お伺いをしたいと思いましたが、前段の質問が長くなったので、これで終わりますけれども、少なくとも農薬の被害というものがどの程度あるかということについて、農村医学研究所では、農薬中毒が四二、三%ある、こういっておるのです。ところが、ずっと昭和三十年から三十一年にわたって全国十四県、十六部落を対象にして悉皆調査、全員調査をやったことがあるのですが、その当時やはり病気の発生率、潜在疾病を含めますと、男女とも農閑期では四二%から四三%程度であって、これ自身驚異的な数字であるが、農繁期ではさらに男女とも四七%と、明らかに高率を示しておる。こういう資料があるわけです。一体、三十年、三十一年当時と現在とでは、農薬の種類も変わってきておる。それからもう一つ、私は、この若月先生という人は、非常にまじめな、熱心におやりになっておられるそうでありますから、敬意を表しておる者の一人でありますけれども、一体、白米の中にもこういう水銀の残留があるというようなことをすぐぽっと発表する、全国民にショックを与える、こういうような取り扱いのしかたには問題があるのではないか。だれかお民音さんが何かぱっと言うと、すぐ新聞がぱっと書く。そうすると、一億総恐怖に襲われるわけです。私は、相当長い間農業に従事したものでありますが、養蚕もやり、脱穀調製もやりましたが、その当時は二十四時間のうち三時間ぐらいしか眠らないことが相当続くんです。重労働をやって三時間ぐらいしか睡眠をとらなければ、頭が痛くなったり、ふらふらしたり、目まいがしたりするのはあたりまえなんだ。ところが、ここの研究所の研究はアンケート調査なんです。アンケート調査ということになると非常なあやまちをおかしやすい。私は農業をやっておって、私の祖母はこう言って教えておった。農民というものは、一年三百六十五日のうち、きょうは頭も痛くないし腹も痛くない、どこも何ともないという日は三日しかないものだ、こう私は教えられておった。私はほんとうの農民だから、農業をやったから、そう教えられておったが、一体、二十四時間のうち三時間ぐらいしか眠らないで重労働をやっておれば、ふらふらしたり目まいがしたりするのはあたりまえじゃないか。これは長野県で調査をされておるんだが、私の調べたところによると、ある地域で、ここは農薬を散布しない地域だがといって、作業を半日間やらせてどうだったかというと、いや何ともありませんでした。実は農薬を散布した区域だった。どうですかと言ったら、何ともありませんと、こう言った。農薬を散布した区域に半日間労働をさした。そしてどうですかと言ったところが、これは何ともなかった、こういう結論が出ておる皮肉な事実もあるのです。これは事実です。そうすると、なるほど権威ある学者であるかもしれないけれども、そうした問題を軽率に新聞などに発表をするということは、これはきわめて危険千万なものであって、私はやはりその許容量というものが定まらないところに原因があると思うけれども、これらの問題を再び繰り返すことのないように、政府措置がすみやかにとらるべきであると思います。これは重大な問題でありまして、ひとり水銀問題だけではございません。いろいろな面にあると思いますので、これは厚生大臣並びに科学技術庁長官から、この問題について御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  170. 坊秀男

    ○坊国務大臣 非常に重大にして広範囲な問題でございまして、ただ厚生大臣だけがお答えをするような問題ではないと思いますけれども、厚生大臣といたしましては、提示せられました事項等につきまして、今後科学技術庁、農林省、その他の関係各省とよく相談をいたしまして、何らかの検討をしていきたい、かように存じております。
  171. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 真剣に対処いたしたいと考えております。
  172. 植木庚子郎

    植木委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  次会は、明五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会