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石田(宥)
委員 まあ時間がきたようでありますから
——そこで肝心な問題で、水俣病が起こったのは
昭和二十八年です。もう四十二年というと十四年もたっておるわけです。十四年もたった今日、水銀の被害というものに対する認識が非常に甘い。そうして再び水俣病を発生せしめておる。同時に、それが農薬全般にも影響があるように
国民には印象づけられており、日本人の常食としておる米の中にまでそれがあるといわれておる現段階において、
政府がその許容量を示し得ないということは、私は
政府の怠慢以外の何ものでもないと言わざるを得ないのです。怠慢ですよ、これは。ですから、この問題だけでも相当予算も使って、厚生省、農林省、科学技術庁の三者で、三者の間でなわ張り争いなどをせずに、すみやかにひとつ結論を出していただきたい。
実は、時間があれば日本農村医学研究所の資料も持っておりますので、これについて実は一々お伺いをしたいと思いましたが、前段の質問が長くなったので、これで終わりますけれども、少なくとも農薬の被害というものがどの
程度あるかということについて、農村医学研究所では、農薬中毒が四二、三%ある、こういっておるのです。ところが、ずっと
昭和三十年から三十一年にわたって全国十四県、十六部落を対象にして悉皆
調査、全員
調査をやったことがあるのですが、その当時やはり病気の発生率、潜在疾病を含めますと、男女とも農閑期では四二%から四三%
程度であって、これ自身驚異的な
数字であるが、農繁期ではさらに男女とも四七%と、明らかに高率を示しておる。こういう資料があるわけです。一体、三十年、三十一年当時と現在とでは、農薬の種類も変わってきておる。それからもう
一つ、私は、この若月先生という人は、非常にまじめな、熱心におやりになっておられるそうでありますから、敬意を表しておる者の一人でありますけれども、一体、白米の中にもこういう水銀の残留があるというようなことをすぐぽっと発表する、全
国民にショックを与える、こういうような取り扱いのしかたには問題があるのではないか。だれかお民音さんが何かぱっと言うと、すぐ新聞がぱっと書く。そうすると、一億総恐怖に襲われるわけです。私は、相当長い間農業に従事したものでありますが、養蚕もやり、脱穀調製もやりましたが、その当時は二十四時間のうち三時間ぐらいしか眠らないことが相当続くんです。重労働をやって三時間ぐらいしか睡眠をとらなければ、頭が痛くなったり、ふらふらしたり、目まいがしたりするのはあたりまえなんだ。ところが、ここの研究所の研究はアンケート
調査なんです。アンケート
調査ということになると非常なあやまちをおかしやすい。私は農業をやっておって、私の祖母はこう言って教えておった。農民というものは、一年三百六十五日のうち、きょうは頭も痛くないし腹も痛くない、どこも何ともないという日は三日しかないものだ、こう私は教えられておった。私は
ほんとうの農民だから、農業をやったから、そう教えられておったが、一体、二十四時間のうち三時間ぐらいしか眠らないで重労働をやっておれば、ふらふらしたり目まいがしたりするのはあたりまえじゃないか。これは長野県で
調査をされておるんだが、私の調べたところによると、ある地域で、ここは農薬を散布しない地域だがといって、作業を半日間やらせてどうだったかというと、いや何ともありませんでした。実は農薬を散布した区域だった。どうですかと言ったら、何ともありませんと、こう言った。農薬を散布した区域に半日間労働をさした。そしてどうですかと言ったところが、これは何ともなかった、こういう結論が出ておる皮肉な事実もあるのです。これは事実です。そうすると、なるほど権威ある学者であるかもしれないけれども、そうした問題を軽率に新聞などに発表をするということは、これはきわめて危険千万なものであって、私はやはりその許容量というものが定まらないところに
原因があると思うけれども、これらの問題を再び繰り返すことのないように、
政府の
措置がすみやかにとらるべきであると思います。これは重大な問題でありまして、ひとり水銀問題だけではございません。いろいろな面にあると思いますので、これは厚生
大臣並びに科学技術庁長官から、この問題について御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。