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1967-03-29 第55回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十九日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 赤澤 正道君 理事 小川 半次君    理事 久野 忠治君 理事 田中 龍夫君    理事 八木 徹雄君 理事 加藤 清二君    理事 中澤 茂一君 理事 小平  忠君    理事 伏木 和雄君       相川 勝六君    愛知 揆一君       有田 喜一君    井出一太郎君       池田正之輔君    岡本  茂君       加藤 六月君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    北澤 直吉君       塩谷 一夫君    周藤 英雄君       鈴木 善幸君    登坂重次郎君       灘尾 弘吉君    野田 卯一君       野原 正勝君    福田  一君       藤波 孝生君    船田  中君       古井 喜實君    保利  茂君       松浦周太郎君    松野 頼三君       石橋 政嗣君    大原  亨君       角屋堅次郎君    北山 愛郎君       阪上安太郎君    高田 富之君       畑   和君    八木  昇君       山中 吾郎君    横路 節雄君       折小野良一君    和田 耕作君       沖本 泰幸君    広沢 直樹君       谷口善太郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 田中伊三次君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         厚 生 大 臣 坊  秀男君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  菅野和太郎君         運 輸 大 臣 大橋 武夫君         郵 政 大 臣 小林 武治君         労 働 大 臣 早川  崇君         建 設 大 臣 西村 英一君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 福永 健司君         国 務 大 臣 増田甲子七君         国 務 大 臣 松平 勇雄君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         任用局長    岡田 勝二君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         人事院事務総局         職員局長    大塚 基弘君         内閣総理大臣官         房臨時在外財産         問題調査室長  栗山 廉平君         総理府人事局長 増子 正宏君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         防衛庁防衛局長 島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁人事局長 宍戸 基男君         防衛庁経理局長 大村 筆雄君         防衛庁装備局長 國井  眞君         経済企画庁総合         計画局長    鹿野 義夫君         経済企画庁総合         開発局長    加納 治郎君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         法務省刑事局長 川井 英良君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省欧亜局長 北原 秀雄君         外務省経済局長         事務代理    鶴見 清彦君         外務省経済協力         局長      廣田しげる君         外務省条約局長 藤崎 萬里君         大蔵省主計局長 村上孝太郎君         大蔵省国際金融         局長      柏木 雄介君         国税庁長官   泉 美之松君         文部省初等中等         教育局長    齋藤  正君         文部省大学学術         局長      天城  勲君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   若林 正武君         水産庁長官   久宗  高君         通商産業省通商         局長事務代理  原田  明君         工業枝術院長  馬場 有政君         運輸省航空局長 澤  雄次君         郵政省電波監理         局長      淺野 賢澄君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省住宅局長 三橋 信一君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      宇ノ沢智雄君         専  門  員 大沢  実君     ————————————— 三月二十九日  委員荒木萬壽夫君、周東英雄君、中野四郎君、  曽祢益君及び西村榮一辞任につき、その補欠  として塩谷一夫君、加藤六月君、登坂重次郎  君、和田耕作君及び折小野良一君が議長指名  で委員に選任された。 同  委員加藤六月君及び塩谷一夫辞任につき、そ  の補欠として周東英雄君及び荒木萬壽夫君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算  昭和四十二年度特別会計予算  昭和四十二年度政府関係機関予算  昭和四十二年度一般会計暫定予算  昭和四十二年度特別会計暫定予算  昭和四十二年度政府関係機関暫定予算      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計予算昭和四十二年度特別会計予算昭和四十二年度政府関係機関予算、並びに昭和四十二年度一般会計暫定予算昭和四十二年度特別会計暫定予算昭和四十二年度政府関係機関暫定予算、右の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。谷口善太郎君。
  3. 谷口善太郎

    谷口委員 私は、日本共産党を代表して質問するものであります。  最初に、緊急に総理質問したいことがございます。  ただいま恵庭事件判決が出ました。無罪判決であります。これは非常に重大なことでございますが、この判決に対して政府はどう考えられますか、まず総理に伺いたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど判決があったばかりです。私も他の席でただいまの判決主文だけは聞いたのでございます。しかし、理由等まだ十分伺っておりません。したがいまして、検察当局においては、もちろんこれをとくと検討するだろう、検討した上で善処する、これはもう当然のことであります。
  5. 谷口善太郎

    谷口委員 理由は私どもまだ聞いてないわけであります。しかし、この裁判の経過から見まして、御承知のとおり、これが無罪であるか有罪であるかという問題の争点は、自衛隊法憲法に反するかどうかということが基本になっている。したがって、これは当然自衛隊法憲法に反するものであるという観点に立っておるものとわれわれは確信している。この無罪判決が出たこれ自体におきましても、はっきり今日の自衛隊法が違法なものであるということがわかるわけでありまして、したがって、私どもといたしましては、直ちに三次防はやめるべきであるし、また、現在の自衛隊は解散すべきだというように考えますが、政府はどう考えられるか、お答え願いたい。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 自衛隊については、砂川事件でかつて最高裁判決がございます。私どもは、そのもとにおいてただいまの制度を確立しておるのであります。ただいませっかく谷口君からの御要望でございますが、これはやめる考えはございません。
  7. 谷口善太郎

    谷口委員 法律上の手続きの問題を私は聞いているのじゃないのでありまして、こういう重大な判決が出ている以上、長い間自民党政府憲法九条に反して自衛権などと称して軍備を拡張し、軍国主義復活に狂奔してきている、これに対する重大な批判であります。したがって、政治的に、これは政府は重大な責任を持つと思いますので、そういう点をやはりはっきり答えておいていただきたいと思います。
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 やめないということを、はっきり申し上げておきます。
  9. 谷口善太郎

    谷口委員 これは、この判決をめぐって重大な国民の問題として今後闘争が進められると思います。判決内容が出た上で、さらに同僚議員その他が追及すると思いますので、私はこの点はこれでとどめますが、まことに政府にとって頂門の一針となる重大な判決が出たことを国民は非常に喜んでおることを、ここではっきり申し上げておきたいと思います。  続いて総理にお伺いしたいことがございます。  ここに日本共産党国会議員団に届きました一つ請願書がございます。内容は非常に長文のものでございますが、重大でありますから、ぜひお聞き取り願いたいと思います。山口上関皇座山国有林不正払下げ国庫補助金不正受領事件調査についての請願というのであります。この請願書は、共産党国会議員団にきているだけでなくて、衆参両院議長にも届いているようであります。読みます。  山口上関皇座山国有林約三十ヘクタールは昭和四十年一月に上関町に払い下げされましたが、これは払い下げを受けるために上関町の名を使ったものであり、事実は同年九月に設立登記された皇座山開発株式会社、その内容は、本社は東京都日本橋区小網町一丁目にあり、代表取締役吉永茂佐藤総理大臣地元秘書取締役大津佐藤内閣総理大臣秘書官、同秘書稲葉、同大津氏の実兄岩熊勇、同大津秘書官実弟横尾某、中守上関町長、同井森組社長井森助等によって設立された会社でありますが、この周囲にある皇座山開拓団の所有する二十数ヘクタールとともにこれを所有し、観光事業を行なうためのものであります。  彼らは郷土民に対して総理記念事業として行なうものだというふれ込みで、一方的に世間批判も許さず、その強大な政治力ですべての機関を押えて今日まで着々とその野望を達成しつつあります。  この会社観光事業を助けるために、上関町は地元農民畜産業のためと偽って牧野整備事業なるものを事業費一千万円で昭和四十年度に起工、昭和四十年度分として国庫補助金約四百万円を不正受領会社のために会社の所有する土地まで大型自動車が乗り入れられる牧道と名のつく道路を建設している。昭和四十一年度分は牧草地をつくる計画でありましたが、道路だけが目的だったためか現在中止されております。また山口県は同地区国立公園地域内であるとの理由で同地区国立公園整備事業なるものを起こし、会社が所有する土地の隣地から園路の整備、展望台休憩所設備等を国、県の費用で行ない会社の所有する土地観光価値を高める事業を行なっております。  なお本年度より皇座山の山ろくより対岸の長島に対し上関大橋が架橋され会社不正払い下げを受けた星座山観光価値はさらに増大するのであります。  以上申し述べました国有林不正払い下げ国庫補助金不正受領等に対して今日に至りようやく批判の声が上がり、県議会農林委員会もこれを取り上げ、現地調査までを行ない、期待されましたが、いつの間にか立ち消えになりました。  これは当地方の政治的実権を握る佐藤派政治的工作によってかくなったものとされております。  時の総理大臣という強大なる肩書きによって国有林をほしいままにし、県や市町村の機関を威圧して自分らの野望達成のために動かし、私財と政治力の増大をはかるこの所業をわれわれは絶対に見のがすことはできません。  何とぞ国会という最高権威をもって佐藤総理側近者の不正をただしていただくよう請願いたします。  これは酒井周一という方で、山口県会の元議員のようであります。  去る十八日、わが党の岩間議員がこの問題について参議院質問しましたことに対しまして、総理は、この件については、大津らは私の訓育した秘書官秘書等であるから、間違いをやるわけはないという意味答弁をしておられます。しかし、この問題は、いまお聞きのとおり、こういう御答弁では済まされることではないと私は思います。特に私、ここに会社設立当時の重役登記謄本を持ってきております。これによりますと、大津氏が取締役であったことは歴然としておるのでありまして、大津氏が関係がないなどとおっしゃる総理の御答弁は納得がいかないわけであります。お答え願いたいと思います。
  10. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この皇座山開発株式会社の問題につきましては、共産党岩間君から参議院の本会議において質問がございました。当時の事情は、私の知る限りにおいて説明をいたしたのであります。また昨日は、公明党の広沢君からこの問題についてのお尋ねがありまして、農林大臣からお答えをいたしております。私は全然知らないこと、全然関係のないことでございますが、ただいま読み上げられた中に、私の記念事業一つとして開発観光をやるのだ、こういうようなお話でありますが、私の記念事業というものは、くにでは考えておりません。この点は私がはっきり申し上げますから、だれが何と言おうと、くにで私の総理になりました記念事業をするという、そんなけちな佐藤ではございません。それだけは誤解のないように願っておきます。これをはっきり申し上げておきます。  また、私が本会議説明をいたしましたように、大津君は私の秘書官でもありました。私は長い間つき合っておりますし、私の訓育を受けた者でございますから、どういう仕事をしておるか、これは別といたしまして、世間から非難を受けるようなことは絶対にない、このことを私は申し上げたのでございます。私の訓育を受けておりますから、世間から非難を受けるような不正不当なことはしない、これははっきり申し上げておきます。
  11. 谷口善太郎

    谷口委員 そうしますと、大津秘書官はこの事件関係がないと、こういうふうにおっしゃるのですか。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は出時、どの登記であったか知りませんが、会社の何か登記を見ますと、重役には登記されておらないようですね。だからこの辺は、賢明な谷口君もおわかりじゃないかと思います。私の旧秘書官あるいは秘書等がそれに名前を連ねておるということでございますが、私はそんなことは全然知りません。
  13. 谷口善太郎

    谷口委員 登記簿をごらんになって、大津さんが関係してない、こういうふうにおっしゃるのですが、実は私ども登記簿を探しましたときに、最初もらったのはないのです。ところが、その関係しているということがやかましくいわれているので、もっと調べてみましたら、ちゃんとありました。前の登記簿にある。これは会社設立しましたのは昭和四十年九月二十日でありますが、そのときにちゃんと出ている。ただ、九月二十日に設立してから約二月後の十一月十五日に、秘書官である大津さん、それから首相の秘書であります稲葉さん、この二人がそろって抹消手続をとっている。これは出さぬ、よほど探しませんと。だから、この九月二十日に会社設立して、大津さんなんかが取締役として届け出て、そして十月一日に土地移転登記をやって、そして十一月十五日に、どんな理由かやめている、こういうことですね。関係はあったのです、関係はあった。登記簿を見てもないという、そういうことはないです。
  14. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、先ほどから申しますように、私の秘書がどういう仕事をしているか、これは一々知りません。私はそういうことは知りません。また、それが何をしているということが問題ではなくて、不正があり、不当がある、これが問題だと思います。だから、私の訓育を受けている、また私が監督している大津君には、これは世間から非難を受けるような不正、不当はございませんとはっきり申し上げておる。だから何か不正、不当があれば、そういう意味で御意見もひとつ聞かしていただきたい。はっきり申し上げます。
  15. 谷口善太郎

    谷口委員 農林大臣に伺います。  農林省は、三十九年の暮れに山口上関町が申請した皇座山草地改良事業を認めて、二年間の助成をきめている。そして国と県との補助金で四十年度に牧道というものをつくらしておる。しかし、四十一年度にはこの補助は打ち切っている。これはどういうわけですか。
  16. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまのお話お答えの前に、いまの上関町がこれを処分いたしました経過を申し上げないとよくおわかりにならないと思いますけれども上関町が昭和四十年の一月に開拓農家から買い受けまして、その後皇座山開発株式会社へ売り渡された約二十五ヘクタールの土地は……
  17. 谷口善太郎

    谷口委員 委員長、私の質問答弁さしてください。時間がないのです。私は一時間しかないのですから……。
  18. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 それでは、ただいまのは事務的なことですから、政府委員からお答えいたします。
  19. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 お答えします。  この山口県熊毛郡皇座山草地改良事業は、昨日も広沢委員お答え申し上げたのでございますが、上関町が山口県を通じて昭和三十九年に草地改良計画を立てまして、申請をしてまいったのでございます。四十年に小規模草地改良事業として採択をいたしまして、途中で施行期間の変更をいたしまして、二年間にわたってやるということで、四十年度には牧道事業実施をいたしたのでございますが、四十一年の三月に県が牧道竣工検査をいたしました際に、地区内に上関町所有にかからない施設が設けられておることを知りまして、将来申請どおり預託牧場として利用するのかどうかという点に疑点がありましたので、四十一年度実施予定をいたしておりました他の事業の停止をいたしましたが、町からも、一年間事業の継続について延期をしてもらいたいという申請がございました。それを了承をいたしまして、四十二年度以降、将来の事業実施管理、運営をどうするかという町の態度を明確にするように、県並びに農林省の出先であります中四国農政局において要請をいたしておる段階でございます。
  20. 谷口善太郎

    谷口委員 つまり、四十年度には事業はやった、補助金を出した、けれども四十一年度になって、そこに上関町以外のものの、つまり星座山開発株式会社施設等があったのでやめた、こういうことですね。これは県知事もそう言っている。ちゃんとここに県知事の回答をもらっている。だから総理は、大いに不正がないと言いたいんだと思うんだが、ここにからくりがあるのであります。この土地が国から上関町へ譲り渡されたのは三十九年であります。そのころから大津氏らは集まって、そうしてこの土地に目をつけて、中守町長をも含めてこの土地を譲り渡すことを相談してしまっている。こうやっておいて、補助金を町を通して請求してとって牧道をつくらせて、そうして土地価値が上がる時期になって、土地がはっきりと手に入ってから会社設立する、こういうやり方なんです。しかも、この半島は国立公園地帯でありますから、県や国が開発するという、そういう事業内容をみんな知っている。それはもう総理大臣秘書官であるからよく知っていると思う。だから、先に町を抱き込んで土地をちゃんと手に入れて、登記は一年後にやった、会社設立も一年後にやる。しかし、最初に手に入れておいて、そうして補助金をとってやっている。こういうやり方総理、不正じゃないですか。こういうやり方は、不正じゃないですか。このやり方が、いわゆる政界にいま問題になっております黒い霧のすべてのやり方なんです。地位を利用して、ここはどうなるかを知って——この事件の場合は町長でありますが、町長を抱き込んで、その土地を安い値段で払い下げを受けて、この値上がりを待つ、いま読みました請願書の中にありました長島への架橋なんかできますと、この土地は一躍四、五千円になるといわれている。買ったのはただの四十円から八十円、それが二十三ヘクタールも買われている、払い下げを受けている、一年か二年の間で。これだけでも実に四億円以上のものがもうかる。そんなことをやっている。私は、総理、あなたがこの事業関係しているとか、あなたがやらせているとかいうようなことは思いたくはありません。そんなことはないだろうと思う。だけれども、あなたの秘書官がやっている。内閣総理大臣秘書官です。この内閣総理大臣秘書官があなたの選挙区で——あなたの選挙が、この間の選挙のときでも上関町の隣の柳井市であったでしょう。そういうところで、あなたのいわば政治的実力というものを背景にしてこういうことをやっている。こんなことに対して総理が、わしは知らぬの、責任がないというようなことは、これは総理、あなたの立場からいってもちょっと国民は納得しないのです。だから私どもはこれを、さきに岩間君も取り上げ、私もここに二度取り上げますのは、こんなわかり切ったことを——黒い霧を払うことを一生懸命にやるということを言っているあなたのことでありますから、わかり切ったことなんです。あなたの身辺の人たちがこういうことをやっているのだから、これはどうも悪かった、うまくないということをはっきりおっしゃい、こう言っているのです。そうすべきだと思うのです。どうです。
  21. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 谷口君のお話、静かに聞いておりましたら、ちょっと御無理な論理構成のようです。私は知りません、私は関係がございません。しかし、私の秘書官は、こういう事柄関係があるかもわからない。まだそこを調べておらない。しかし資料では、ただいまもお調べになりましたとおり、ただいまこの会社に直接関係はございません。もうこれははっきりしております。さような状態の場合に、私があやまらなければならない、そういうことはないでしょう。私はもうすべての人の——それはなるほど総理ですから全責任があるのだ、最高責任者だ、そういう意味で私の責めを、どこかにそういう間違いがあれは——まして秘書官だからわりに近いじゃないか、こういうようなお話だと思いますけれども、どうも無理なようですね。私がやったと思いたくない、かようにも言われます。また、私が関係しているものではないと、かようにも言われます。私ははっきり申し上げます。私に関係はございません。これはもうはっきりと申し上げておきます。もしも私に関係があるかのような言動なら、幾ら国会だといっても無責任言動だけは慎んでいただきたいと思う。私はそういう意味でただいまのものが不正であり、不当である、こういう意味なら幾らでも追及なさい。しかし、私自身が追及される筋ではないと言っておる。しかし不正、不当ということははっきりしない。ただいまのような憶測で、こういう事柄があるから、これは不当利得しようとしたのだというようなお話ですが、そこらは少し御無理な論理構成ではございませんか。私はあえて、ただいまのようなお話ございますけれども、私の関係のないこと、また、私の秘書等がこれにつきまして、たいへん私の訓育を受け、私の監督を受けておりますから、世間から非難批判を受けるような行為はない、これだけははっきり申し上げておきます。
  22. 谷口善太郎

    谷口委員 驚いた御答弁です。あなたは直接関係がないかもしれません。私も関係があるとは思いたくありません。しかし、世間はそう言ってないです。あなたの秘書官が、あなたの選挙区で、こう言っている。あなたがそうおっしゃればおっしゃるほど、国民は、あなたがいかに綱紀粛正するだの、あるいは黒い霧を晴らすだのと言いましても、なるほど大臣というものは、自分の関係のある秘書官が、現職の秘書官が、こんなことをやっておっても、それは何も悪事じゃない、悪いことはないんだ、わしは知らぬ。それは法律的に言ったら、先ほど申しましたようにちゃんと抜け道ができるようにやっておる。しかし事実は、こういうふうにして町長とぐるになって、あなたの秘書官が開墾地であったこの土地払い下げを受けて、そして補助金を取ってやっている。これはもうはっきりしているのです。だから、あなたがそういうような御返事をなさればなさるほど、黒い霧の問題に対してえりを正してやっていくなどとあなたはおっしゃっていますけれども、だれもそれをまともに受けないということになります。悪いことをやっておって、会社設立以前に土地がすでに大津さんたちのものになったということは、町長自身が上関町の広報に書いている。悪事であることははっきりしている。だから、あなた自身が御関係がないということによって、あなたの関係者がこういうことをやったことについて、もう道義的にも政治的にも責任はないというようなお考えは、私は総理のためにとりません。それは非常に残念です。非常に遺憾に思います。しかし国民は、その点は非常に総理責任を追及しているわけであります。もう一ぺん御所信を伺いたい。
  23. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来言われるように、大津それがしは私の秘書ではございますけれども、ただいまのとおり、これはこの会社関係のないことがもう立証されております。また、私が十分監督いたしておりますので、批判非難また不法な行為をするような大臣ではございませんから、このことを重ねて申し上げまして谷口君の御意見は御意見として伺っておきます。
  24. 谷口善太郎

    谷口委員 私、時間がないので、しかも非常にたくさんいろいろなことを聞きたいので、これはこの辺で打ち切りますが、いま申しましたとおりに、こういう政府の政治的態度というものは、ますます国民の疑惑を深めていくということになるわけであります。  次に、東京都知事選挙の立ち会い演説会で、愛国党総裁赤尾敏がとんでもないことを言っている。この問題について、これはすでに国会の別な委員会で問題にされたところでありますが、こういうことを言っているので若干取り上げたい。社会党委員長浅沼君は殺された、美濃部さんも社会党、共産党がうしろにいるから、浅沼君の二の舞いにならないとは限らない、気をつけろ、というような意味の演説であります。これはおそろしい脅迫であります。浅沼委員長を殺したのは赤尾敏その者の団体だったのです。その関係者だったのです。これは単なる選挙妨害でないと私は思う。ちょっと極言になるかもしれませんが、明らかに殺人の予言をしていると考えられても——世間にはそういう印象を与えておると思いますが、そういうものだと言っていいと思います。政府はこれを捨てておいてもいいのですか。地方行政委員会では、警視庁の捜査二課長が、いまのところ危険はない、こう答弁をしておる。何の保証があってそういうことを言うか。自治大臣に、彼らに対する警備計画をはっきり示していただきたいと思います。
  25. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 東京都知事選の立ち会い演説会で、赤尾敏がそういう発言をいたしたことは、私どもは承知をいたしております。もちろん、これに対しましては、一方赤尾敏の行動について十分な警戒をいたしますと同時に、また候補者の方々の身辺についても十分な警戒をいたしまして、万全を期しておるような次第でございます。
  26. 谷口善太郎

    谷口委員 それがちっとも信用できぬのですよ。反共右翼の暴力団がこういうふうに人もなげなる行動、言動に出ておるのは、実は自民党と佐藤政府の反共政策、むしろ右翼擁護の政策にささえられているからだといわざるを得ない。警備を何とかするとか言っていますけれども、何にもならないです。  そんならどうですか。現に尼崎で警察は一体どんなことを暴力団に対してやっていますか、三月二十二日、わが党の議長の野坂参三参議院議員が、尼崎の文化会館の演説会に出席したときに、右翼暴力団に襲われている。これは政府は知っているでしょう。ところが、この尼崎というところは、今日まで非常に右翼暴力団のばっこしているところで、野坂議長をはじめわが党の幹部は何回も襲撃を受けている。だから、わざわざ尼崎の警察へ行って、これに対する取り締まりを事前に打ち合わして、そしてやることになった。ところが、どうやったですか。会場の中へ護国団の隊員が入った。これはあぶないから何とかしてくれ、こういうふうに会場警備のわが党の党員諸君が現場におる警官に言った。ところが、これをほっといたばかりじゃないんです。野坂さんを襲撃したやつは、その場で警察はそれをつかまえ、写真をとったけれども、犯人を逃がしておる。抗議に行ったら尼崎の警察はどう言っていますか。こう言っているんです。野坂さんは殺されたわけでもけがしたわけでもないから、何も心配要らぬじゃないか。殺されてからだったら何になりますか。だから、警備を要するの何のといったって何にもならぬです。これは総理、非常に重大な問題だと私は思うのです。私は直ちにこの責任者を処罰すべきだと思う。また、こういうやり方に対して、政府としても万全の策をとるべきだと思うが、いかがですか。
  27. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 秩序維持については、政府責任があります。
  28. 谷口善太郎

    谷口委員 答弁になっておらぬ。責任があるって、責任を果たしていないという問題を追及している。だって、けがもしておらぬじゃないかと言っておる。こんなことは警備責任を持っている警察の言うことか。この政府・自民党の反共政策と暴力政策というやつは、あるいは暴力団の擁護する、賛美するというやり方は、これは自民党自身が公然と言っている。(「ばかなことを言うな」と呼ぶ者あり)ばかなことを言うなと小川君は言うけれども、小川君も京都の人でよく知っている。この間、二月の京都の市長選挙で何をやったか。こういうことを言っているのです。ここにおもしろいものがある。これは全国で問題になると思うので、ひとつ、ぜひ聞いてください。つまり、こういうことを言っているんだ。いまや京都は共産暴力革命の危険の前にさらされている。ああ二月二十六日。われら自民党市会議員団は総決起して、特攻隊のごとく最後の血の一滴を流してまで戦う。こういう申し合わせをしたのは自民党の京都市会議員団三十二名なんです。そうしてこの申し合わせを新聞記者を呼んで発表したのです。二・二六事件を賛美して、そのように、特攻隊のようになってやると言うのです。これはおそろしい恐怖政治を宣伝して、選挙の中で人民をどうかつするじゃないですか。これは総理、あなたの党員がやっているのです。京都の市会議員団がやっている。どうです、これに対して。これは総理としては、国民に申しわけないことをあなたの配下がやっているということになりますが、いかがですか。
  29. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうもやっていると言われるけれども、言うただけじゃございませんか。間違いのないようにしていてください。
  30. 谷口善太郎

    谷口委員 国民は、あなたの答弁を肝に銘じて聞くでしょう。やったらたいへんですよ。やるということを言っているんです。自民党の公式の市会議員が言っている。やったらたいへんです。あなたも警察もない。あなたがそれだから警察はそう言う。やってないという、殺されてないという、そういうことで、反共あるいは暴力団を擁護するというこの政策をやっていくということは、これは重大なことです。日本の民主主義の危機だと私は思うのであります。  全く時間がないので沖繩問題に入ります。政府は、沖繩問題につきまして、わが国を含む極東の安全保障について重要な役割りを果たしていると繰り返して言明しております。これは具体的にはどういうことですか。沖繩は現在ベトナム侵略戦争の一大拠点となると同時に、アメリカのアジア侵略戦争のかなめになっている、これはアメリカの高官も言明していますし、世界周知の事実なんです。だから、アジアの平和と安全に貢献しているという、こういうことをおっしゃるのですか。こういう基地だから貢献しているとおっしゃるのですか。これはひとつ外務大臣、あなたにお伺いします。
  31. 三木武夫

    ○三木国務大臣 谷口君御承知のように、ベトナム戦争が起こってから沖繩にアメリカの統治が始まったのではないわけです。朝鮮の戦争後における極東の軍事的バランスといいますか、安全保障の必要から起こったものでありまして、これは全体の、日本を含めての極東の安全保障のために、前々から、ベトナム戦争が起こる前から大きな役割りを果たしておるとわれわれは考えておるのであります。
  32. 谷口善太郎

    谷口委員 そうすると、政府の意見は、沖繩におけるアメリカの軍事基地、つまりアメリカがベトナムその他を侵略する基地にしている、この基地が存在していることに全く賛成だということですね。その点はっきり言ってもらいたい。たくさんのことは要らぬです。賛成か反対か。
  33. 三木武夫

    ○三木国務大臣 われわれはベトナム戦争をアメリカの侵略なりという単純な見方をいたしていないのであります。したがって、沖繩の果たしておる役割りというものは、極東の平和維持のために重要な役割りを果たしておる、こういう考え方でございます。
  34. 谷口善太郎

    谷口委員 三木さんが侵略していると認めているか認めてないかということは問題になりません。現に侵略しているということ、これは事実なんです。こんなことについては、国会ではうんと論議されているから、いまさら論議の余地はない。しかも、この戦争の基地が、沖繩の県民に対しても重大な犠牲をもたらしているということをわれわれ同胞は黙視することはできない、看過することはできないのです。たとえば、現にこの二十三日、那覇市の米軍の軍港内で、日本人の港湾労働者内間さんが、ベトナム行きの軍事輸送で暴走している米軍のトレーラーにひかれて即死している。しかもアメリカ軍は、この内間さんの轢死体を四時間も放置している。写真をとった新聞社の写真班を憲兵が追っかけて、そしてカメラまで没収する、フィルムをとってしまう、そういうかってほうだいなことをやっている。これは一例にすぎません。たくさんの土地がとられ、沖繩県民は基地があるために全く残虐な目にあっている。戦争をベトナムでやっておる、侵略をやっておる。日本国民に対してはこういうひどいことをやっている。この米軍基地、これを私ども見ますと、アメリカ軍は日本の人民の命なんというものは何とも思っていない。こういうものが極東の平和と安全に役立っているといえるかどうか。総理は、日本人民がこんな残虐な目にあっていることについて、当然責任者としてどういう態度をとり、どういう方策をとりましたか、これをひとつ伺っておきたい。
  35. 三木武夫

    ○三木国務大臣 谷口さんの立場は、アメリカに対して、日米関係等についても、日本人が残虐な目にあっておる。こういうアメリカに対するあなたの偏見は、われわれと基本的に主張が違うわけです。われわれは、アメリカが日本に対して尊敬もし、友好的な関係を維持しておるので、アメリカに対して、残虐な取り扱いを日本人が受けておるなどということは毛頭考えていない。日米関係というものは、日本の平和、繁栄のためにきわめて重要な関係である。こういう偏見を持って他国を罵倒するような態度は、自民党の外交政策としてとらないところでございます。
  36. 谷口善太郎

    谷口委員 そんなことを聞いているのではないですよ。こういう残虐なことをやっている。現に殺された人間がおる。これに対してどういう措置をとったか、あるいはどういう措置をとるかということを聞いている。
  37. 三木武夫

    ○三木国務大臣 どういう事件をさして言っておるのか、殺されたというような、そういうふうな——いろいろな事故なとも起こるでしょうけれども、殺すというような、そういう意図のもとにおける事件が起こったとは私は考えていません。
  38. 谷口善太郎

    谷口委員 あなた方の返事は、私と立場が違うということで、あなた方自身の本質をまる出しにしている。日本人が殺されて四時間も放置されて、しかも、その写真をとった新聞社のカメラマンまで犠牲にあう、こんなことが起こっている。当然あなた方はこれに対してどうすべきかということを措置すべきであります。それはあなたはアメリカになかなか親しいでしょう。私はアメリカに親しくない。占領しているんだから、われわれは占領されているんだ、あなた方の安保条約によって。だから、われわれはアメリカ人にいい気は持っておらぬ。アメリカの帝国主義に対しては、あたりまえです。しかし、いま明らかになりましたとおり、政府は、侵略の基地であり、戦争の基地である沖繩の米軍基地は必要だというのだ。そうすると、この間から盛んに言っておられます、いわゆるあなた方の施政権返還の問題とこれはどういう関係になるのですか。日本国民の要求は、沖繩、小笠原の無条件返還なんだ。これはすでに昨日新聞に報道されましたとおり、沖繩の祖国復帰促進協議会、これはかつて基地の問題について反対するというような態度がなかなかできなかったところでありますが、ここも基地に対して反対するということを決議している。沖繩県民にも基地問題が重要になっているのです。ところが、総理、あなたはこの間横路さんの質問に答えて、基地の返還と施政権とは分離して考えているのではない、こういうふうに答えられています。基地は必要だというんですね。施政権は返してもらいたい、しかも基地とは分離せぬ、これはあなた答弁になりますか。少なくとも、国民の聞きたいことはそうじゃないのです。この関係はどうするんです。どういうふうに考えているのですか。
  39. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御承知のように、佐藤内閣の態度は、施政権の全面返還であります。一日も早くそういう事態を実現させたいというのが基本的な目標であります。それに近づくためにあらゆる方法を講じて、一歩でも半歩でも全面返還に近づけるための努力を払っていきたいというのがわれわれの立場であります。したがって、おそらく谷口君とわれわれとの違いは、基本的にアメリカに対する考え方も違えば、また、沖繩に対しての考え方も、われわれは、沖繩の人たちが一日も早く祖国復帰をしたいというこの考え方、また日本の本土の国民もそれを望んでおる、これを体して、できるだけこれを——ただ理屈ばかり言ってもしかたがない、一歩一歩その実現に向かって誠実な努力をしようというのがわれわれの立場です。アメリカを頭から反米的な態度で、そういう方針を初めからきめてかかって、そしてきめつけるような態度でこの問題が解決できるとは思わない。やはりこの現実を認めつつ、全面返還という目標に向かって一歩一歩近づけていく努力が、沖繩の人たちにも、本土の国民の要望にも沿う道である、こういう考え方で今後とも努力をしていきたいということでございます。
  40. 谷口善太郎

    谷口委員 そういうわけのわからぬ答弁は、もうこの予算委員会でも何回も三木さんから聞いているのです。大体、今度の国会の前後から、政府の沖繩問題に対する態度に二つの変化があると私どもは見ている。一つは、たとえば教育権の返還などという部分的な施政権の一部を返還させる、こういうことは声をひそめてしまったことが一つ。もう一つは、全面返還ができるかのように、いや全面返還があったときに沖繩の諸君とうまく本土とが一緒になれるように、その準備のために援助をするとか、いやもう、いろいろ配慮しているとか考慮しているとかいうことを盛んに言い出していることですね。基地をそのままに残しておいて、全面返還ということはないのですよ。あり得ない。理屈じゃないのだ。ないのに、盛んにできるかのごとくあなた方は言っておる。これははっきり国民をだますことなんだ。できっこないですよ。できっこないのに、できるかのごとくに盛んに言う。そして国民をだましておいて、そうしてもって基地問題ではアメリカの侵略基地を国民が認めるように、国民を軍国主義的に動員して、そしてもって解決しようと、そのためにあなた方は今度の国会の前後から盛んに、何かいかにもまことしやかに全面返還、全面返還と言っている。おそろしいごまかしですよ。ここのところをはっきりする必要があると思う。沖繩の問題、小笠原の問題は、はっきり言って米軍の基地の問題ですよ。核基地の問題です。これを取り払うということ、これを取り払って、米軍を追い返して、日本がこれらのわが国の領土を完全に取り返すということなんです。基地を置いておいて、何とかできるような言い方は、全部ごまかしなんです。そんなことを言い出しているのです。だから私どもは、はっきりこの問題が解決するための道を示している。安保条約の破棄ですよ。サンフランシスコ平和条約第三条の破棄ですよ。これは、諸君は笑っているが、それ以外に道はない。私どもはこれを強く主張するのですが、これはもう一ぺんここで総理、あなたの御意見を伺っておきたい。
  41. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 谷口君も先ほど言われているように、政府の考え方は、この委員会を通じ、また本会議を通じ等々で、もうはっきり何度も申し上げております。いままでの政府の考え方に変わりはございません。これははっきり申し上げておきます。
  42. 谷口善太郎

    谷口委員 ごまかしで、こういう重大な、民族と平和、安全の問題に関連するような問題は解決できません。われわれは、野党の諸君と協力し、全人民と団結して、ほんとうに祖国へ小笠原、沖繩を取り返す、この運動をさらに続けていくつもりであります。  最後に、核拡散防止条約について、もう時間がないので、一点だけ確かめておきます。この間からの外務大臣の御答弁を伺っておりますと、この条約は非核保有国に核の開発を許さないというだけで、簡単にいえば、核保有国が核兵器を持ち込まないという保障はないということであったようですが、これは、この点間違いないですか。
  43. 三木武夫

    ○三木国務大臣 核の拡散防止条約は、第六、第七の核兵器保有国をつくらない、こういうことが主眼であります。第六、第七番目の核の兵器を持つ国をつくらない、そのことが核戦争防止のために役立つ、こういう判断がこの条約の原動力になっておることは事実でございます。
  44. 谷口善太郎

    谷口委員 持ち込みは自由であるかどうかということです。
  45. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御承知のように、各国とも地域的集団安全保障条約を結んでおるわけですね。地域的集団安全保障条約のもとにおいて世界の安全を保障するためのいろんな取りきめがいままであるわけですから、この核拡散防止条約が地域的集団安全保障の体制に触れるならば、この条約というものは実現が可能でないと私は思う。そういう意味から、地域的集団安全保障によるこの防衛措置に対しては、この問題は触れないというたてまえであります。
  46. 谷口善太郎

    谷口委員 はっきりした。つまり持ち込みは自由だ、こういうことだね。
  47. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは私は北大西洋条約のことを頭に入れて申しておるのですが、日本の場合は、繰り返し繰り返し国民の前に政府の態度を明らかにしておるのは、核の開発もやらない、核兵器の持ち込みも許さないというのでありますから、日本に関しては、この核拡散防止条約によって核兵器の持ち込みを許すとか許さぬということは、全然関係のない点であるということは、これは国民の皆さんにも御理解を得ておきたいと思うのです。
  48. 谷口善太郎

    谷口委員 その点も、もう耳にたこができるほどわれわれは聞いている。わかっておる。だけど、そんなものは何にもならぬということなんです。日本政府はいかなる国からも核の持ち込みは許さぬ、拒否すると、あなた方はこう言っておるけれども、何の保障もないのです、この問題については。こんなことで時間をとる必要はないから論議を繰り返しませんけれども、安全保障条約の地位協定その他の問題を出して、事前協議をやるのだとかなんとか言っている。そんなことできますか。アメリカは原子力法によって核の所在を厳秘に付している。これを明らかにした者は厳罰に処せられるのです。そういう状態のもとにおいて、原子力潜水艦が入ってくるわ、エンタープライズが入ってくるわ、B52は入ってくるわ、あなた方はどうすることができます。できっこないのだ。しかも、現に、いま申しましたとおりに、核兵器が持ち込まれていることは明らかだという点を、これはこの間の本会議で私どもの川上議員が明らかにしましたが、そういう状態であるのです。この核拡散防止条約が、持ち込みを禁止したのでないということになったら、日本のこういう安保条約下における状態で、われわれは政府を信頼して——信頼するのは、さっき皇座山事件ですら解決できない、あれに対してすら正当に考えられない佐藤さんを大将にした政府です、信頼できますか。わが党は、この条約には全面的に、根本的に反対です。これは、あなたがいまおっしゃったとおりに、核非保有国に対して核の開発を許さぬ、保有国が核独占を固定化する、しかも、保有国が核非保有国の安全を保障してやるという名のもとに、そういう口実で、どこでもかってに二国間条約をつくったり、地域条約をつくったりして持ち込むことができるということです。こんなごまかしは許せますか。世界の人民と日本の国民の要求しているのは、核の全面禁止です。少なくとも核兵器の使用禁止、これを要求している。しかし、この防止条約は、そういうことについては何らの規定もあり得ないし、また逆に、アメリカ帝国主義の世界支配の道具として利用される、この点が私どもが根本的に反対するところでありますが、特に、いま明らかになりましたとおりに、核の持ち込みが自由だということになりますと、現に持ち込まれている日本ですから、今度はアメリカは大手を振って持ち込んでくるし、あなた方はどうにもできない。この条約ができたら、それを持ち込むのは合法的になる。  そこで、わが党は、核兵器の全面禁止、とりわけ、核兵器の使用禁止について今後も努力するつもりでありますが、日本国内に核を持ち込むことを絶対に許さぬというその立場を法的にはっきりするために、核兵器持ち込み禁止法をここで提案したいと思うのです。もちろん私どもは、先ほど皆さんにお配りした中にこの内容を書いてございますから、それを見ていただきたいと思います。時間がないから私ここで読みませんけれども、これはぜひ、このわれわれの提案をまじめに検討してもらいたい。  それから、これは委員長、時間がないから読みませんけれども、配付しました文書を記録にとどめておいていただきたいと思うのですが、これをお願いします。総理は核兵器持ち込みに絶対反対だと言っておられる。したがって、このわが党の提案に反対することはできないと思うのです。総理の御所見伺っておきたいと思うのです。
  49. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御承知のように、これはもう私ども、この佐藤内閣になって初めて持ち込みを許さないというのではございません。もう保守党内閣は、ずっと以前から、岸内閣以来、核の製造もしないし、また持ち込みも許さない、こういうことを声明しております。たいへん長い間の問題であります。先ほどは何らそういうものについての保障がない、こういうお話でございますが、私は、政府自身がかように決意し、また国民がこれを支持しておる限り、これより以上の保障はないと思う。私は、法律をつくることについても、そういう意味で、いまさら法律をつくる必要がないように思っております。
  50. 谷口善太郎

    谷口委員 法律をつくることに反対だ、こういうことでありますが、われわれは、この問題をぜひひとつ皆さんで御検討いただきたいと思いますので、先ほど申しましたとおりに、これを記録にとどめておいてもらいたい。これは時間がなくて発言できない場合にはそういう先例があるのですから、ぜひひとつ記録にとどめていただきたい。いかがですか。
  51. 植木庚子郎

    ○植木委員長 谷口君にお答えいたします。  ただいまの御要望の件につきましては、理事会において協議の上、決定いたしたいと思います。
  52. 谷口善太郎

    谷口委員 質問を終わります。
  53. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて谷口君の質疑は終了いた  しました。  次に、石橋政嗣君
  54. 石橋政嗣

    ○石橋委員 本日恵庭裁判の判決が下ったわけでございますが、あれほど憲法九条について違憲か合憲かという議論が戦わされたにもかかわらず、最終判決においてこれの判定を避けたことは、残念だと思います。  そこで、なぜ判決の際に合憲、違憲という判定を避けたのだろうかということを考えてみますと、あまりにも既成事実としてでき上がっております自衛隊というものが大き過ぎる、これに対して違憲という判決を下した場合の及ぼす影響が大きいということを考えて避けたのではないかと私は思うのです。それがなければ、当然皆さん方の期待されるようなものが出るはずだ、私はこのように思います。  一つだけお伺いしておきたいのでございますが、これは法務大臣になるかと思うのですけれども最初は、野崎兄弟が電線を切断いたしました。これは刑法の器物損壊罪適用ということで捜査をやっておったと思うのですけれども、急遽切りかえて、自衛隊法百二十一条違反というふうに持っていったのはいかなる意図によるものであるか、これは直接きょうの判決関係がございますので、その意図をお伺いしておきたいと思うのです。
  55. 田中伊三次

    田中国務大臣 おことばのとおり、最初の警察の取り調べは、器物毀棄で捜査に着手したやに聞いております。しかるところ、捜査が漸次進んでいくに伴うて、これは自衛隊法にいう防衛の用に供する物である、こう判断をするに至ったので、自衛隊法百二十一条に違反するものとして送致してきたものでございます。
  56. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それはもう少し詰めていけば、この際やはり法のさばきを受けておきたい、自衛隊憲法違反ではないのだという司法機関の裁断をとりたいという、そういう意図もあったのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  57. 田中伊三次

    田中国務大臣 そういう複雑な意図を持っておったものとは考えられません。そういう意図はなかったものと御承知を願いたい。
  58. 石橋政嗣

    ○石橋委員 その辺は私は明確にならないのでございますけれども、とにかく自衛隊法百二十一条の適用はない。防衛の用に供する物ではない、こういうふうな判決が下ったわけでございますから、その点からみましても、政府側としては所期の目的は達していないわけです。そうしますと、これは当然何らかの措置を講ずることになるわけでございますか。
  59. 田中伊三次

    田中国務大臣 これは下級裁判所における裁判所の一判断を下したものでございます。判断のしかたは二つあろうと思う。これは学問的に見ましても、実務家の判断から申しましても、二つの判断があろうと思う。電線をペンチで切った、こういう事実には争いがないわけでございますが、その事実を判断する判断のしかたに二つあるであろう。  第一の判断は、器物を毀棄すれば、刑法における器物毀棄罪である。しかるところ、自衛隊の電線を切れば、自衛隊法にいう防衛の用に供する物を毀棄したものである、こう判断をいたされますと、刑法に対する自衛隊法は、一般法に対する特別法、普通法、特別法という関係に置かれておるものとの判断が行なわれる。この場合においては、一般法の適用をすべきものでなくて、特別法を優先適用して起訴をせなければならぬのが法理の理屈でもあり、取り扱い上の条理でもございます。  それからもう一つの判断は、やや複雑な判断でありますが、裁判所のとっております判断でございます。一体、刑罰法規というものはすべて国家の法益、個人の法益、社会の法益というものを保護することから刑罰があるのだ。本件の場合においてはどういう法益かというと、いわゆる一般の器物投棄は、一般の器物をこわされては困るということについての法律の保護の利益である。ところが、自衛隊の用に供しておられる物件は、同じものでありましても、自衛隊法にいう防衛の用に供しておるという、特に高度の法益の保護を必要とする。これは法益の性質が違うのだ。法益の性質が違うという観点に立ちましてこれを判断をいたしますということになりますと、有罪、無罪判決は、本日の判決内容のごときものになろうかと任じます。  この二つの判断のやり方があろう、こういうことでございます。検察の行ないました判断は、前者の判断に立ったものであり、それから本日の判決理由は、後者の判断に立ったものであろう、こういうふうに判断をいたします。
  60. 石橋政嗣

    ○石橋委員 とにかく自衛隊法百二十一条によって処罰することはできないという判決だけは下ったわけです。  これは防衛庁長官にお尋ねいたしますが、そういうことになりますと、自衛隊の使っております、あるいは持っております電線などは、じゃんじゃん切っても、自衛隊法の適用を受けて処罰することはできないということになる。防衛庁長官、支障ございますか。
  61. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 われわれは、防衛の用に供するものと考えまして検察当局から起訴があったものと思っております。そこで、防衛に供するものでないという御判断に対しましては、あらためて検察当局においてお考えがあると思っております。
  62. 石橋政嗣

    ○石橋委員 防衛庁の意見として、法務省のほうに、これは困るから上告してもらいたい、こういうようなことを申し出るつもりはあるかという意味でございます。
  63. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 司法検察当局の御判断にゆだねるつもりでございます。
  64. 石橋政嗣

    ○石橋委員 防衛庁としては別に希望はないということですか。
  65. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 司法検察当局の御判断にゆだねたいと思っております。
  66. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それじゃ、法務大臣にその点だけ……。
  67. 田中伊三次

    田中国務大臣 重要な御発言がありましたので、一言申し上げておきます。  無罪判決があった、今後、防衛庁に関するかようなものの切断は自由である、すべて無罪であるという、その判断と影響にはならないものでございます。これを検察が器物毀棄罪、すなわち一般法益と見て器物毀棄罪、刑法上の犯罪として起訴をすれば、有罪の判決が下らなければならぬ、こういうことでございます。
  68. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そんなことはわかっていますよ。だから、最初は刑法上の器物損壊罪で調べておったわけです。途中で検察庁が変えたわけですよ、自衛隊法百二十一条に。しかし、自衛隊法百二十一条では罪にならぬという判断が下ったわけです。だから、今後あらためて刑法で持ち込んでいくというなら別ですよ。しかし、自衛隊法百二十一条では持っていけないじゃないですか。それじゃ支障を来たすということになれば、当然上告ということになるんじゃないかと、こう聞いているわけです。そこまではまだわかりませんか。
  69. 田中伊三次

    田中国務大臣 両説が、先ほど申し上げたようにございます。どちらの説をとって判断をするかということについて、いずれに妥当性があるかということは慎重に一週間の間検討をいたしました上で決意をする考えでございます。
  70. 石橋政嗣

    ○石橋委員 とにかく、冒頭に申し上げましたように、地方裁判所が扱うにはあまりにも事が大き過ぎる、重大過ぎる。それほど自衛隊というものが、もはやゆるぎない既成事実を積み重ねてしまっておる。これは私、非常に問題だと思います。しかし、いまここでとやかく言ってもどうにもならないわけでございますが、この間、質問の際に指摘いたしましたように、日本の自衛隊は、すでに完全にといっていいほど陸海空軍の態様を整えておるわけなんです。その防衛費の絶対額からいっても、世界で十一番目、自由主義諸国では八番目、総合戦力からいえば五番目ないし七番目ではなかろうかというようなところまで、すでに増強されてきております。それが、さらに今度の三次防で一段とまた強化されようとしているわけです。装備の面からいいましても、新しい戦闘機、ナイキハーキュリーズ、そういうものを中心に、たいへんな近代的な兵器が装備されます。私は、このようにどんどん憲法解釈を拡張して既成事実を積み重ねていくというやり方には、どうしても承服できません。  そこで、一つの例として飛行機の話を持ち出したわけです。新しい戦闘機の機種を何にするか。FX、FXといわれておるわけですが、これを一体どのようなものにしようとしておるのか、ここに焦点を置きながら実はお尋ねをしたわけなんですが、どうもはっきりいたしませんから、この点に関して御質問をいたしたいと思うのです。  防衛庁長官は昨日の記者会見におきまして、F86Fの改装機以外は戦闘爆撃機は持たぬ、保有せぬ、こういうことを述べておられるようでございますが、これは間違いございませんか。ずいぶん大きく出ておりますが……。
  71. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 昨日の記事はいろいろ出ておりまするが、私は石橋君との問答につきまして、私の所見を明確にいたしたまででございます。
  72. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それじゃ、この記事に基づいてお尋ねをしてみます。  政府としては、F86F以外の戦闘機については、将来の機種を含めて、戦闘爆撃機を持ったり、これを戦闘爆撃機に改装する考えはない、こういうふうに言っておられるようです。これは各紙共通いたしておりますから、間違いなくおっしゃったものと思います。間違いございませんか、この談話は。
  73. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 このごろからのあなたとの質問応答につきまして、私はもう一ぺん明確にしたい点がございましたけれども、機会がございませんでしたから、この際明瞭にいたしておきまするが、いつも私がこの席において明確にいたしておるのは、通常兵器による局地的侵略があったときに、また、あるおそれのあるときに、これを阻止し、これを排除する、こういう目的において航空自衛隊もできておるし、海上自衛隊もできておるし、陸上自衛隊もできておる。したがって、爆撃機も戦闘機もそういう線でわれわれは保有するのであって、そういう線以上のものを保有するものではないということでございます。  FXのことは、憲法上差しつかえのない、憲法に触れない範囲におきまして、事は将来の問題でございます、慎重に検討をし、また、国防会議にもかけまして選定をいたすということを、他の委員質問に対してもお答えいたしておりまするが、総合して石橋君にお答えをいたしておきます。
  74. 石橋政嗣

    ○石橋委員 この談話には間違いもあるのです。たとえば、性能としては〇・五トンの爆弾を積むだけだとか、半径は三百五十キロ程度だというような間違いがありますが、そのことは私はいま指摘しておりません。ポイントの次期戦闘機、いわゆるFX、FXといわれております——ばく大な国費を使うわけですから、国民としても重大な関心を持っておるわけです。そのFXというのはどういう性能を持ったものだろうか、皆さん方の立場でいう日本の安全のために、どういう機能を果たすものであろうか、たいへん関心のあるところなんです。それに対して、私は率直なお答えを期待しているわけです。新しく返事を求めているわけではございません。この新聞に載っておりますところによりますと、昨日の記者会見で明確におっしゃっている、これは間違いがないかと、こう念を押しているだけなんです。いわゆる戦闘爆撃機といわれるようなものは持たぬ、純然たる戦闘機——戦闘爆撃機でなければ、私は要撃戦闘機だと思います。そういうものを考えておるのであって、戦闘爆撃機というものは持たぬ、こういうふうに記者会見で国民に向かってあなたは御説明になったのだが、これは間違いないでございましょうねと念を押しているのですが、なぜ率直にお答え願えないのですか。
  75. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 このごろからあなたがいわゆる戦闘爆撃機と言っておるのでございまして、F86Fに爆撃装置を施し、またその訓練をいたしておる、これはいわゆるファイターボンバーでございまして、戦闘爆撃機という、その範囲のものを私は持てると言っておるのでございます。  それから、新聞記事のいかんにかかわらず、将来の問題といたしましては、FXをどんな形で持つか、これはいま慎重検討中でございます。また相当時間もかけます。この際こまかいことを言い得ませんが、ただ私が言い得ることは、憲法に違反しないように慎重に検討し、これを選定する、こういうことを明確にいたしておきます。
  76. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私が言いたいのは、たとえば耐空ミサイルにいたしましても、最初はホークとかナイキアジャックスとかいうのを装備するのです。そうしてころ合いを見て、既成事実をつくってから今度はナイキハーキュリーズを装備するのです。だんだんより有効な、より攻撃的な、そういう兵器を持っていきよるわけですよ。飛行機につきましても、さしあたりはF86Fの改装程度のものを——これは正確にいって戦闘爆撃機といえるかどうか私は疑問を持っておりますが、そういうものをつくっておいて、爆撃をする性能も与えたものをつくっておいて、これはちゃちなものでございますから御心配はございませんと言いながら既成事実をつくって、今度は新しいFXという段階になったらすばらしい性能を持ったものをつくる。こういうふうにいって、いつもずうっと発展させていく。あなた方は、だいじょうぶ、だいじょうぶ、そんなものは持たぬ、持たぬと言っておきながら、既成事実を積み重ねて、持たぬと言っておったやつをだんだん持つようになっていく。これは私だけの懸念ではありません。国民の疑惑でもあるわけです。それに率直に答えてもらおうと思ってお聞きしているわけなんです。  そこで、何度も言うようでございますけれども、あなたはきのうの記者会見で、新しい機種をきめる場合には戦闘爆撃機とか、あるいはそれを戦闘爆撃機に改装する考えはないと明確におっしゃっている。なぜきょうは言いそびれられるのですか。記者会見で言うことと国会で私たちの質問に答えることと食い違いが出るはずがないと私は思うのですが、なぜそれじゃ、きのうはこれほど明確におっしゃったのですか。それとも、これは新聞が全部うそを書いた、こういうことですか。言っても、おらぬことをかってに書いたのだということになりますか。しかも、新聞も一紙や二紙じゃございません。全部一致して書いているのです。あなたははっきりおっしゃったはずです。もう一度お尋ねします。FXの選定の場合には、戦闘爆撃機、そういうものは持たないかどうか。
  77. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 あなたのほうで戦闘爆撃機、戦闘爆撃機とおっしゃいますが、俗称にもファイターボンバーというのはあります。というのは、F86Fというような、能力において要撃能力しかないもの、しこうして爆撃装置を施して爆弾投下訓練をやっておる、これは合憲、合法であるということを私はここで言ったのにすぎないのでございまして、それを拡張いたしまして数千キロも飛び得るようなものに爆撃装置を施してやることができるかというあなたの御質問がございましたときに、私は、きのうは新聞に対して明確にしておるにすぎませんが、すでにあなたに対して、そういうものは憲法に触れると思いますということを言っております。すでに言っておるということで御了承を得たいと思います。
  78. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それじゃお尋ねします。FXの候補機として大体F105、F111、F4ファントム、こういうものがあがっておるようですが、装備局長間違いござませんね。
  79. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいまの御質問のFXの機種の問題につきましては、防衛局長の所管でございますので、防衛局長からお答えいたします。
  80. 石橋政嗣

    ○石橋委員 あなたは答えられないのですか。いまでは、内閣委員会で質問する場合でも、全部戦闘機の問題については装備局長が答えてきたのですが、どういうことですか。あなたは答える自信がないのですか。
  81. 國井眞

    ○國井政府委員 将来の機種選定の問題は、これは防衛局の所管でございますが、現在のところ、将来何を次期の戦闘機として選ぶかということは、まだ決定をいたしておりません。
  82. 石橋政嗣

    ○石橋委員 将来の戦闘機を何にするかということが、防衛局の所管になったというのはいつからですか、防衛局に変わったというのは。
  83. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 次期の戦闘機の機種を選定いたします場合に、どういうふうな構想のもとにどういう要求性能のものをつくるかという、その要求性能をきめるのが防衛局のことでございまして、その要求性能に基づきまして、いかなる機種がその要求性能に合致するかということにつきましては、これは装備局の固有の仕事というよりも、防衛局、装備局等のおそらく共管事項ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  84. 石橋政嗣

    ○石橋委員 珍しく譲り合うものですね。お役人さんにしては全く珍しい。いままでは全部装備局でやっておる。今度は共管というところ……。それではかまいません。それでは大臣に直接聞きます。もう両方一々聞くのはめんどくさいから、いま申し上げたFXの有力な候補機としてF105、F111、F4ファントム、こういうものがあがっておることは、お認めになりますね。
  85. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いろいろあるということは伺っております。
  86. 石橋政嗣

    ○石橋委員 候補の中に入っておりますかと聞いているのです。具体的にお聞きしているのです。
  87. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 いろいろあるということは伺っております。
  88. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それじゃ、答えられる人答えてください。
  89. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 機種選定につきましては、実は防衛庁としましてはこれからの問題でございまして、現在機種の選定の基準等につきましてもまだ決定いたしておりませんし、要求性能等につきましても、これからいろいろな角度から検討いたさなければなりません段階でございますので、機種の問題につきましては、これはいまのところ白紙でございます。もちろん、先ほど長官から申されましたように、わが国の自衛に必要な限度においてのものを装備するということでございますけれども、どういうものについて選定をするかということは全く白紙で、現在その候補機種というものもございません。
  90. 石橋政嗣

    ○石橋委員 無責任きわまりないことを言いなさんな。何のために第三次防衛力整備計画ができたのですか。何にもきまっていない。日本の防衛のためにどんな飛行機が要るか、そんなこともきまっていないと言えますか。ばく大な国税を使うという、その認識がないじゃないですか。あなた方の立場に立って私は議論を進めておるのです。日本の安全を守る、そのためには自衛力が要る、自衛隊が要る、質的にも量的にも強力な陸海空三幕が要る、あなたたちはそういう立場をとっている。日本の安全を保障するためにはかくあらねばならぬというのが、第三次防衛力整備計画でしょう。その一端として、非常に大きな柱として、ばく大な税金を食う次期戦闘機を装備しようという。しかるにどういう性能のもの、どういう任務のもの、きまっておらぬとは何事ですか。書いてあるじゃないですか。大綱にも書いてあるし、防衛力整備計画にも書いてあるじゃないですか、抽象的に。
  91. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 新戦闘機を装備いたしたいというこの理由は、現在御承知のとおりに、要撃戦闘機といたしましてはF104Jの部隊七個スコードロン、F86Fの部隊八個スコードロン、F86Dの部隊四個スコードロンを持っておるわけでございます。104Jにつきましては、第三次防期間中に現在の七個飛行隊を維持していくという考え方でございますが、F86Dの部隊、これは三次防に入りまして早急に用途廃止にならざるを得ません。また86Fにつきましても、四次防の途中におきまして用途廃止になる、そういう意味で、防空能力を維持していくために新しい戦闘機種を選定するというのが、三次防の計画でございます。したがいまして、その際におきましては、現在持っておりますところの戦闘機よりも、今日の世界の現状あるいは科学技術の進歩等に即応いたしまして、さらに性能の向上したものを選定したい、こういう考え方で三次防の計画はつくられておるわけでございます。
  92. 石橋政嗣

    ○石橋委員 昨年の十一月二十九日の第三次防衛力整備計画の大綱には、「重要地域の防空力を強化するため、新戦闘機の整備に着手する」と書いてあります。今度できました防衛力整備計画の中では、将来防空迎撃能力の向上のため、新戦闘機の機種を選定の上、その整備に着手すると、具体的に書いてあります。迎撃能力と書いてあるのですよ。そのことを私は聞いているんです。あくまでもこの迎撃能力というものにウエートを置いて、スピード、上昇機能、そういうものにウエートを置いて新機種をおきめになるつもりなのか、そうでなくて、私がいま言っているように、非常に多目的の、通常戦闘爆撃機といわれる、地上攻撃力、こういうものに非常に大きなウエートを置いた機種を選ばれるつもりか、どちらなのか。だから、きのうの記者会見で増田さんが、戦闘爆撃機といわれるようなものは持たぬと言うのは正しいんです。三次防に即した考え方なんです。ところが、どうもその辺が私、何かごまか上があるような気がしてならないから、念を押しているんですよ。はっきり言えばいいじゃないですか。
  93. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 石橋君のおっしゃるとおり、第三次防におきましては、航空自衛隊の力というものは要撃能力——迎撃ではございません、要撃能力を高めることを主眼として新機種を選定する、こういうことになっております。その新機種は、あなたのおっしゃるような候補機もございましょうが、これからでき上がるアルファといったような候補機もあると思います。すなわち、あなたのおっしゃったのはF4、それからF111、それからF105でございまするが、その他にもあるかもしれません。要は、あなたのおっしゃるとおり、要撃能力を高めるという見地から、すなわち、あくまでも自衛能力を高めるという見地から、これを慎重に検討するのでございます。
  94. 石橋政嗣

    ○石橋委員 あなたは、私が迎撃と言ったら要撃と言い直しておりますけれども、あなた方がきめた計画に書いてあるのですよ、迎撃と。そのとおり読んでいるんです。迎撃能力と書いてありますよ。私が何もつくったことばじゃありません。一々そんなこまかいことにこだわる必要はないと思います。  そこで少し核心に入ってきたんです。F105、F111、F4、そういうものは当然この新機種の候補機にあがってくる有力な飛行機だということは、お認めになるわけですね。
  95. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 三次防におきまして、国防会議等においてきまりました文句は、最初の草案は迎撃かもしれませんが、インターセプターという、すなわち要撃でございます。もし草案がそうなっておるならば、要撃というふうにお改めを願いたいと思います。  それから、いま申し上げました、またあなたのおっしゃる機種というものは、われわれの選定する対象になっておるということを申し上げておきます。  それから、もう一ぺん国民の前に明確にしておかなくてはならぬことは、F86Fに爆撃装置を施して爆撃訓練をしておる。それはいわゆる俗称においてファイターボンバーといわれておるがどうかというようなことにつきまして、私は、その範囲の戦闘爆撃機ならこれを持てるし、現に一、二年前からこれを所有し、これを訓練いたしておるということを明確にいたした次第でございます。
  96. 石橋政嗣

    ○石橋委員 あなた、自分がおっしゃっていることの矛盾をお感じになっておられないようですね。迎撃でも要撃でもいいですよ。要撃能力というものを向上するために新機種を選ぶ、したがって、戦闘爆撃機と通称いわれているようなものは装備しない。片一方でそんなことを言っておきながら、いま私が念を押したら、F105やF111は有力な候補機であるということを認めている。これはどういうことです。F105とかF111とかいうのは戦闘爆撃機の典型なんです。どんな性能を持っているか、知っておられるのですか。F105とかF111とかいうのがどんな性能を持っているのか。これは古い感覚でいえば、戦闘機というよりも爆撃機的な性格のほうが強いんですよ。航続距離も、あなたがお考えになっているような、いわゆる足の短いものじゃないのですよ。昔から言っているような爆撃機というものは、もうなくなる方向にいきよるのです。そしてこれは長距離のものは、ミサイルにかわりよるのです。B52とかB58とかいうものは、もう最後の爆撃機になるでしょう、そういわれておる。そうして爆撃機が持っておった要素のうち、一部はミサイルに、一部は従来戦闘機といわれたものに肩がわりされている時代なんです。その典型がいま申し上げた105とか111ですよ。それをあなたは持たぬ、持たぬと、あんなにでかでかと新聞に出るようにおっしゃっている。うそを言うことになりますよ。たとえば一つの例として、このF105というものがどんな性能のものであるか、私が説明をしたんじゃおかしいと思われるかもしれませんから、防衛庁の専門家が国会の場で説明したのを読んでみましょうか、こういうふうに言っております。これは結論として「これは爆撃機である、あるいは要撃機であるということの規定ができないということは、この飛行機の性能等から私どもは判断しておるわけでございます。」どっちとも言えない、多目的で。そういうことを防衛庁の当時の防衛局長がはっきり言っているんですよ。昭和三十八年五月二十四日の内閣委員会において、克明にF105の説明をしております。これがいかに強力な、行動半径の広い、性能の優秀な飛行機であるかということを説明してますよ。あなたは憲法違反かどうかのすれすれの限界線を足の長さできめようとしておりますから、足の長さで言いましょう。行動半径は千五百キロメートルあります。わざわざF105Dの戦闘爆撃機行動半径といって、こういう図まで出ております。これは安全保障調査会で出したものです。これはF105Dだけに限って行動半径を図にしたものです。板付からどの辺までの行動半径を持っているか、原爆、水爆を積んでどこまで行けるか、大体北のほうならハルビンまで行けるのです。こっちのほうへ行きますと、北京まで行けるのです。もう少し南に行くと、武漢まで行けるのです。これがF105Dの行動半径ですよ。積載量は、この間申し上げたように五・四トンを上回るといわれている。原爆でも水爆でも積めるのです。そういう飛行機を次の飛行機として三次防で装備することを自衛隊は考えている。F111となればもっと優秀だ。優秀ということは、航続距離が長いということです。こんなものを持とうとしているのだということを、あなたはおわかりなんですか。これはいままであなた方が言ってきた憲法の限界を越えておるのじゃないかという疑問が出てくるのは、当然じゃないでしょうか。爆撃機は持てませんと明確に言っておられた、憲法上持てませんと言っておったんだが、こんなものが持てると言い出した。明らかにこれは憲法解釈の拡大じゃないでしょうか。その転機がいま来てるんじゃないでしょうか。おわかりいただいたと思うのでございますが、とにかく、いまあなた方は、そういうどえらいものを三次防の中で装備しようとしているんです。もっと時間がありますと、F105の働きといいますか、任務といいますか、そういうものがここに詳しく出ておりますから、これを全部読み上げたいぐらいです。これはかっての自衛隊空幕防衛部運用課長一等空佐黒江さんが「国防」という雑誌に書いた論文です。この中でどういうことを述べておるか。「F一〇五が、そのスピードと航続力と搭載量に鑑みて、従来F一〇〇とB五十七が果してきた役割を革命的に更新したことははっきり言える。少なくとも今まで配備してあった旧式機のF一〇〇と交代し、またB五十七を本国に呼び戻したとしても、沖繩と日本に新装備された百五十機のF一〇五は一年前の態勢を上廻る攻勢力を十分に確立したはずである。それがアメリカの考える極東の脅威に対抗するに十分なものであると米空軍作戦計画の上に立証されて明記してあるものと筆者は考えるのだ。彼らが有事の日に功撃を命ぜられるであろう個々の目標は、今、われわれに判らなくても、使用する爆弾が何メガトンで成功率が何パーセントであるかの数値をはじいて公算と統計の上から、さらに広い戦略空軍の功勢力を背景にしたとき、F一〇五のパイロットたち一人一人が果す役割の総計で当面の共産陣営の力に対抗できるとの結論が出ていないことはないはずである。」こういう論文も出ている。たいへんな威力を持った飛行機であるという認識を頭の中に置いてください。いままで政府の解釈として、爆撃機は憲法九条の規定があるから持てません、とこう言い続けてきた。それをひっくり返すようなことをあなた方はやろうとしておるのだということがおわかりになりますか、長官。
  97. 増田甲子七

    ○増田国務大臣 やろうとはしておりません。  それから爆撃装置ということについては、私はきわめて慎重であるということを、この前あなたとの問答において明確にしております。そこで、候補機のことをいろいろおっしゃいまして、その機能のことをおっしゃいますけれども、その機能というものを駆使するのは政治家がやはりきめるわけでございます。その政治家の合議体である国防会議においてもきめるわけでございまして、同じF104でも、西ドイツにおきましては爆撃装置をしておりますが、日本においては装置していないのでございまして、すなわち政治家が……(石橋委員「聞かぬことは、知っていますから、いいです」と呼ぶ)シビリアンが支配しておるということを、あなたは明確でございましょうが、国民の前にこの際再び明確にいたしておきます。
  98. 石橋政嗣

    ○石橋委員 この間申し上げたように、これも内閣委員会で、私の質問に対して当時の防衛庁長官の伊能さんが「私は憲法上の問題として、明らかに他国に脅威を与えるような大きな原爆、水爆並びに爆撃機等については、憲法上持つことは適当でない、憲法の解釈として適当でない、かように申し上げておるのであります。」と、昭和三十四年三月十八日、明確に述べておられるのです。その後、安保の特別委員会で私は確認をしているのです。憲法上爆撃機は持てませんと。ところが、F105を持とうとしておる。F111も持とうとしておる。こういったものは、かりに上に戦闘というものがついて、戦闘爆撃機と俗称いわれておろうとも、過去の爆撃機以上の能力を持っておるものですよ。こんなものが憲法で持てるのですか。持てるとするならば、従来の解釈が変わっておるじゃありませんか。こういう疑問を呈するのは当然じゃないでしょうか。  それでは逆に総理大臣にお聞きします。いま私が申し上げたような、おそるべき戦力であるF105とかF111とかいうようなものは絶対に採用しない、憲法のワクを越えるものだということを国民の前に明言できますか。できれば、私は引き下がります。
  99. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私はいつも申し上げておりますが、憲法の規定を乱るようなことでは申しわけございません。私は憲法、それより以上のものを考えておりません。申すまでもなく、平和主義また国際協調主義、憲法の前文が示しておるその二つにのっとりまして、現憲法はできております。そうして第九条というものは、そういうところから考えていかなければなりません。私どもは武力を持たない、かようには申しますが、固有の自衛権を否定するものじゃない。しかし自衛権だといって、これはもう昨日も論争いたしましたが、それがどんどん、どんどん拡大されるようなことでは、憲法の前文の趣旨に反するわけであります。前文の趣旨は厳に私どもは守らなければならない、かように思っております。したがいまして、自衛権で許される範囲というものは非常に狭いものであります。かつての自衛権といったこととはよほど事が変わっております。そういう点で防衛庁長官もしばしばお答えいたしたのでありますが、これはどこまでも他国に脅威を与えるようなことはいたしません。自衛権の発動として通常兵器による局地的な戦闘を抑止する、それを持ちたい。だから、やむを得ない場合、また最小限度の必要にとどめるものだ、かような観点に立って今後FXもきめてまいるわけであります。したがいまして、御指摘になりましたようなFXなら、これはもう明らかに他国に脅威を与えるものだと私は思いますから、その選定にあたりましても、これから十分注意してまいるつもりでございます。
  100. 石橋政嗣

    ○石橋委員 わかりました。  とにかく三次防というものを私つぶさに見てみますと、これからだんだんはっきりしてくるわけでございますが、非常に脅威を感ずるのです。たいへんなものが次々に装備されようとしておるわけです。その一例として、FXといわれているものを私は指摘いたしました。いままでナイキハーキュリーズの問題についても論議されました。しかし、ナイキハーキュリーズにとどまらないのです。すでに装備されております、軍艦が持っておりますターターにしても、あるいはアスロックにしても、全部これは核装備も可能なんです。両用兵器なんです。そういうものを自衛隊は持っております。そこへもってきて今度はナイキハーキュリーズです。それから飛行機も、できれば、いま総理がはっきり否定されたわけですが、こういうような強力なものを持ちたいというのが着々と進められておるのです。どこかでチェックしなければならぬわけです。  それからまだ一つありますよ。憲法違反で持てないと明確におっしゃっております中距離、長距離のミサイルですね。これにしても、いつでも転用ができるようなものが、もう国内でできているのです。たとえば、東大の宇宙研で開発いたしておりますあのロケット、いまラムダをやっておりますが、今度はミューをやる。これなどは、アメリカがいま一番世界に誇っております大陸間弾道弾ミニットマンの推力よりも大きいというのですよ。  科学技術庁長官、私はお尋ねしておきますが、あのロケット、平和目的、平和目的と言っておりますけれども、通常弾頭であろうと核弾頭であろうと、先に爆弾をひっつければそのまま軍事用に使えるのだということは知っておられるでしょうね。いかがですか。
  101. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 軍事用に使えるかどうかということについては私は存じておりませんが、現在科学技術庁で宇宙開発推進のために強化プラスチックロケットという機材を使って気象観測をやっておるものは、そういうものに使用できないと私は心得ております。
  102. 石橋政嗣

    ○石橋委員 それでは、自信のある専門家、どなたでもようございますからお聞きいたします。私が申し上げたアメリカの最も誇る大陸間弾道弾、ICBM、ミニットマンの推力よりも大きいぐらいだ。ただ誘導のほうがどうもうまくいかぬようですけれども、推力としてはそれに匹敵するか、それ以上のものを持っている。だから、いつでも人工衛星をつける、つけると言っておりますが、人工衛星をつけないで、あそこに弾頭をつければそのまま——使う意思かあると言っているのじゃないですよ。そのまま軍事的に使えるものであるということをお認めになれますか。これは防衛庁のほうが専門家だから、それでは防衛庁に聞きましょうか。——答えられますか、科学技術庁長官。あなた何も知らぬで、平和利用でございます、ああそうか、それだけでとどまっておるのですか。答えられますか。
  103. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 非常に技術的な問題でありますし、文部省のほうが所管しておりますから、文部省のほうから答えていただきます。
  104. 天城勲

    ○天城政府委員 私も専門家でございませんので詳しいことはわかりませんが、いま東大で開発しておりますラムダとミューにつきまして、これは科学観測が目的なものですから、観測機器の重量、普通言っておりますペイロードがどれだけかということと、高さを中心に考えておりまして、最高高度はどこまでいくかということが、このラムダにしましてもミューにしましても性能の中心でございます。したがいまして、先ほどもちょっとお話がございました誘導関係につきましては、それほど精度の高いものではございません。これは、観測用はそれでいいわけでございます。  それから、これに姿勢制御の誘導方式を取りつければ爆弾になるじゃないかという御議論もあるようでございますが、推力の力だけから爆弾になるかならないかということを見られるわけではございませんで、乗せます機械と推力との関係一つ問題でございますし、それからの誘導制御方式をとるといたしますれば、ロケットの構造、エンジンと推力との関係等を基本的に考え直すということで、基本的な設計のし直しに入るのではないか、われわれはそういうふうに聞いておりますし、了解いたしております。
  105. 石橋政嗣

    ○石橋委員 時間がありませんから、これから核心に入りたいところですけれども、残念ながらきょうはとどめます。  ただ、非常に憂慮すべき事態に着々と入りつつあるということを、特に政治家たる総理以下閣僚の方々は十分に念頭に置いてただきたいと思うのです。十分に知らないままに特定の勢力にずるずる、ずるずる引きずられて既成事実を積み重ねるというようなことが絶対ないように、このことだけを申し上げて、質問を終わります。
  106. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。  午後は一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時十二分開議
  107. 植木庚子郎

    ○植木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十二年度総予算並びに昭和四十二年度暫定予算に対する質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  108. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和四十二年度の暫定予算並びに将来の審議される本格予算に関連をいたしまして、最終的な締めくくりの質問をいたしたいと思います。  問題が、すでに御連絡を申し上げて、広範にわたっておりますので、総理はじめ関係大臣の御答弁はなるべく簡潔にお願いをいたしたい、かように希望を申し上げておきたいと思います。  最初に、外務大臣が、きょう豪州の外務大臣が来ておられて、どうしてもそれに会う緊急の用務があるというお話でございましたので、私もそれを了承いたしまして、順序はあとのほうでございましたが、まず冒頭に、外務大臣を含めたアジア外交を中心にした問題について数点御質問を申し上げたいと思います。  三木外務大臣は、本会議の外交施政方針の中でも、あるいは本予算委員会の議論の中でも、これからの日本の外交方針の中で一つの大きな柱のアジアの繁栄、その問題に関連をして、いわばアジア太平洋構想というふうに受け取られるお考え方が出ておったかと思うのであります。外務大臣の在任というのは、各大臣そうでありますけれども、そう必ずしも長期にわたるわけでありませんから、やはりキャッチフレーズだけでなしに、これからの三木外交として、こういう構想の内容のもとに推進をいたしたいという所信があって、そういうお考えを述べられたのだろうと思います。  今日の国際的な情勢をどう見るかという問題は、これはヨーロッパの場合、あるいはアジアの場合、あるいはラテンアメリカ、アフリカを中心にしたそういう地域の場合、国際情勢全体としていろいろ流動する中で、特にベトナムを中心にした今日のアメリカのエスカレーション政策に対する問題、あるいは核拡散防止条約に対する各国の受けとめ方、いろんな問題が緊急の問題としてもあるわけでございます。同時に、いわゆる貿易為替の自由化、それに当面大きく問題になっております資本取引の自由化問題、さらに数年来の懸案として討議されておりますケネディラウンドに対する問題等々、いろいろ政治的にも軍事的にも、また経済的にも、日本の外交としての対処のしかたというものはきわめて重大でございます。  そういう中で、特にアジア太平洋構想ということを言われた外務大臣の考え方について、まずお伺いしたいと思います。
  109. 三木武夫

    ○三木国務大臣 アジア太平洋地域外交を強力に推進すると私は申したのであります。御承知のように、今日は孤立しては各国ともやっていけない。それでは自分の国の発展ははかられないというわけであります。また自分の国の安全のためにも、あるいは発展のためにも、孤立してはもうやっていけない時代が来た。また地域的に近い国々というものはお互いに密接な関係を持っておる。お互いに影響し合う。そういう角度からアジアというものを見たときに、やはりアジアというものはアジア太平洋という一つの広さでものを考えることがこういう時代の方向ではないか。現にアジアではお互いに地域協力をしようという傾向が非常に起こってきておる。従来の極端な民族主義、これに対する反省期にも入っておる。地域的な協力。また太平洋上における先進諸国、ことに豪州、ニュジーランドはもうアジアの一員であるという意識が非常に強くなってきておる。こういうふうに太平洋の先進諸国におけるアジア的な意識、アジア自体の中に生まれつつあるアジアの地域協力、こういうものを結びつけて、アジア太平洋の時代というものは必ず来るものだと私は思う。その来る前に、やはり太平沖先進諸国間のお互いの協力、これを促進していかなければなりません。また、アジアの地域協力というこの機運、これをやはり具体的な問題として進めていく必要があるでしょうし、そうなってくれば、将来のアジア開発というようなことを考えてみても、これはどうしてもその広さでアジアの開発というものを考えなければ、ただ問題は観念的だけではだめでありますから、そうすることがアジアの開発のためにも必要である、またアジア太平洋におけるところの安定、繁栄のためにも、そういう広さで考えることが必要なので、どういう形のものが生まれるか、欧州のような形になるかあるいはラテンアメリカのような形になるか、アフリカのような形になるか、これはやはり太平洋アジア諸国の国々が新しい協力体制というものをこれからつくり出していかなければならぬ。いまわが日本の外交としてすることは、そういう広範な協力体制をつくる素地をつくりあげていきたい。そのために二国間の関係あるいはいろいろな国際会議、それを通じてそういう、その機運、その素地をつくるために、日本の外交は努力すべき歴史的な段階にある、こういうことが私の申し上げた背景になっておる考え方でございます。
  110. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 三木外務大臣の頭の中にあるアジア太平洋構想の関係国というものの中に、おそらくアメリカ、カナダ、豪州、ニュージーランド、さらにことしの四月にマニラで第二回目の会議が開かれようとする東南アジア開発閣僚会議の諸国、こういうものは当然頭の中に描かれておるのだろうと思いますが、問題は、アジア太平洋構想という場合に、不幸にしてアジアにはいわゆる分裂国家が現実に存在をしておる。朝鮮の南北問題、あるいは中国本土と台湾問題、あるいはベトナムにおける南北ベトナムの問題等々、これは第二次世界大戦の非常に悲劇的な所産として生まれたわけでありますけれども、私どもはアジアにおけるところの繁栄と平和という観点から見れば、分裂国家の統一への方向というものに対する日本の外交としてのじみちな、しかも粘り強い努力というものが、外交の一つの大筋になければならない。同時に、したがって、こういう分裂国の一方を除外をし、そして他の国を加えた形のアジア太平洋構想というものは、長期展望に立ったアジアの繁栄と平和という形には決してならない、こういうふうに私は考えておるわけであります。いわゆるアジア太平洋構想というものの関係国というものを描いてみた場合に、三木大臣の頭の中にあるのは、いま言った指摘の中でどういうふうに考えておられるのか、それを明らかにしてもらいたい。
  111. 三木武夫

    ○三木国務大臣 先ほど申し上げたように、これは一つのかたまったものがあって、そして日本の外交が各国をそういうかたまった中に誘い入れていくというものではないわけですから、どの国が入ってどの国が入らぬとは考えていないので、角屋君の御指摘のように、このアジア太平洋という一つ地域の中には、むろん共産圏も入るわけで、共産圏諸国も今日のような国際的孤立の道を歩まないで、国際的に協力できるようなこういう体制ができるならば、どの国も拒否すべきものではないし、当然にそういう地域に入るわけでありますから、やはり広く考えることが適当であろうという考えでございます。
  112. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この機会に、今度の特別国会が一応六月で会期は終わることになっておりますが、重要法案その他を控えておりますから、おそらくある程度の会期延長ということも予想されますけれども、それは別として、巷間、佐藤総理をはじめ三木外務大臣等の外遊が伝えられておるわけであります。この機会に、まず三木さんから、国会終了後の外遊のプラン、そしてまたその目的、こういうものについて一応お聞かせ願いたいと思います。
  113. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御承知のように、今日では総理大臣も外務大臣も簡単に行き来をしておるわけであります。そういう形で接触をいたすことは、世界の平和のためにも、あるいは世界の発展のためにも好ましいわけでありますから、総理大臣国会の終了後外遊をされることになるであろうと思いますが、時期とか場所とかいうのは、それが効果あらしめるためにいろいろ検討を加えておるので、現在は申し上げる段階ではないということでございます。  私の場合は、いろいろ予定が組まれており、この四月にはマニラにおける東南アジア開発閣僚会議あるいは七月にバンコクにおけるアスパックの会議、あるいは国連総会、ソ連との定期協議というようなものがすでに予定されてあるわけでございます。
  114. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 総理大臣……。
  115. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま三木外務大臣から、自分のこととあわせて私のことについてもお触れになりましたが、御了承いただいたと思います。  私は、昨年は外国へ出かけませんで、ことしは、外遊というものではございませんが、外国に出かけたい、かように思っております。まだ国会中でございますし、いずれ国会が済まなければ行けないことですから、まだこの段階で予定を申し上げるまでにはまいっておりませんが、出かけたい国、また招待を受けておる国、これも多数ございますので、それらをあんばいして、どういうふうに順序よく外国に行けるかひとつ考えてみたい、かように思っております。まだ申し上げる段階ではございません。
  116. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 再度総理にお伺いしたいのですけれども国会終了後の外遊というのは、日本をめぐる当面の国際的な特に重要な問題、特にアジア外交というものに一つの大きな焦点があるわけでありますが、私の希望から言うならば、アメリカのベトナムに対するエスカレーション政策、いわゆるベトナム紛争というものを早期に解決をするという立場からの総理並びに外務大臣の積極的な努力というものが、これから計画される外遊を通じて当然なされなければならない。ただ各国との親善融和というだけじゃなしに、やはり外遊するからには、当面の国際情勢の中での日本の外交、あるいは経済外交等も含めてですけれども、そういう点で、特に焦点として何を中心にして、あるいは何と何を考えながら、それを日本の立場において国際的に積極的な役割りを果たすか、これがやはりリーダーシップとしても必要だし、またそういう気持ちで外遊を組まれるだろうと思いますけれども、私はその中では、特にベトナム戦争の早期平和的解決というための努力というものが当然中心の一つにならなければならない、こう思いますが、総理いかがでございますか。
  117. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私が出かけるところは、ただいま、いまから予定しておらない、かようなことを申しましたが、わが国が今後進めていくその基本になるものは一体何なのか、また今日問題になるものは一体何だ、こういうことを考えて、そういうものにお役に立つようにと思うのであります。したがいまして、ただいま角屋君が御意見も述べられましたが、ベトナム紛争が一日も早くおさまるように、そうして平和が招来されるように、このことを、ひとり日本ばかりではございません、各国がみんな気にしておりますが、ことにアジア、極東にある日本とすれば、このベトナム問題、これはたいへん気になる問題でございます。したがいまして、これが平和をもたらす方向にやはり役立つこと、そういう意味の、何か出かければそういうこととも取り組み得るようなものがほしい、これが一つでございます。  それからもう一つは、ただいまお話にありましたように、日本の外交の推進、これはもう各国同様とは申しましても、何といってもアジア外交、これが中心でございますし、また各種経済会議その他ございますから、そういう意味でアジアの諸国との親善、さらに各種の問題等と取り組み得る、こういう事柄もあるわけであります。  ただ時期的に、いま申し上げたような順序どおうりに私の外国行きがきまるかというと、そうでもない。そこらのまだ時期の問題をきめかねておるものですから、そこらでまだ発表の段階でない、かように申したわけです。しかし、さすがに角屋君の言われますように、そのねらいは私も同じような考え方でございます。
  118. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 このベトナム戦争の平和的解決という点では、私は、単に総理とか外務大臣が、非常に重要であるということでみずから動かれることはもちろん努力してもらいたい点でありますけれども、多面的に当然やらなければならぬ。それで総理にお伺いしたいのですけれども、その多面的な努力という意味で、かつて横山特使を派遣された。これは必ずしも成果を得なかったと私ども思いますけれども、いわゆる閣僚級の人物を、そういう点で特に特使として今年中に、多面的な活動の一環として派遣をする、こういうお考えは総理にはないわけですか。
  119. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまベトナム問題について特使を派遣する考えがあるか、こういうお尋ねでありますが、きょうちょうどサイゴン駐在の中山君が現地に帰ったばかりであります。帰るにつきましてはいろいろ指図もしてございますが、さらにまた連絡を受けるつもりでございます。いまのところ、すぐだれか派遣する、こういう考え方はまだ具体的に持っておりません。
  120. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、今度の予算委員会の、横路質問に始まってずうっとやられてきた中で、非常に残念なことの一つは、沖繩同胞が求めておる沖繩の祖国復帰というのが、佐藤総理やあるいは三木外務大臣の答弁を通じて、少なくとも佐藤時代には沖繩の完全復帰はないのではないか、こういう感じを、現地の沖繩住民はもちろんのこと、われわれ自身もそういう感じを受けるわけであります。そういうことがはたして佐藤総理の真意でないのか、佐藤時代に沖繩の完全復帰はいままでの御答弁の中で私はあり得ないという失望感を持つわけでありますが、そうではないというふうにはっきり言い得ることであるならば御答弁を願いたい。
  121. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 沖繩の祖国復帰、これは沖繩同胞を含めて一億国民、民族の熱願でございます。しかして、これはなかなかむずかしい問題でございます。私はいまいついつまでにこれが実現する、こういうことを申し上げることができないことをまことに残念に思いますけれども、この民族の熱願は必ず実現する日がある、またこれを実現しなければならない、かように考えて、あらゆる機会をつかまえ、またあらゆる総合的な考え方を進めてこの解決に努力するつもりであります。
  122. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 アジア外交を中心にした当面の問題については、きわめて問題が山積をしておるわけでありますけれども総理はずっとおられるわけですから、外務大臣について要請のとおり了承いたします。いずれまた後に触れることがあるかもしれませんが……。  次にいよいよ本日四、五月の昭和四十二年度の暫定予算が最終的な段階に来ておるわけですが、この機会に大蔵大臣、自治大臣等から若干お伺いをいたしておきたいことは、今度のこの暫定予算は、われわれはいずれ討論の段階でも明確にいたしますけれども政府の暫定予算には基本的に反対でありますが、これが処理をされて、実際に運用をされる場合、去年は御承知のように公共事業の繰り上げ実施とか、不況打開のためにいろいろな手を打ったわけであります。ことしは景気の過熱ということが懸念されておる段階でございますから、去年とは性格を異にしておりますけれども、しかし、いずれにしても四、五月が暫定であり、その後に本格予算が成立をしていくという段階になりますと、単に中央の行財政運営の問題ばかりでなしに、地方自治体の行財政運営とも密接な関連が出てくる。これは新規の事業でやるべきもの、昨年来の継続事業でやるべきもの、これはまた地方財政との関連、そういうところで、今年はたまたま解散、総選挙があったという異例の事態の中で暫定を組まざるを得ないという経緯になっておるわけですが、そういう形の中でも、いわゆる国政全般の運営、地方自治体の行政推進ということには万遺憾ない手配をしなければならないことは当然でございます。そういう点で大蔵大臣あるいは自治大臣として、四、五月暫定、その後における本予算成立という前提に立って、特に重点的にどういう点に配慮をして行財政運営に支障ないようにしておるかという点をポイントに、お答えを願いたいと思います。
  123. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 暫定予算におきましては、いまおっしゃられましたような地方財政にも、地方行政の運営にも、支障を来たさないような配慮を十分にいたしております。特にいまおっしゃられました問題は、公共事業関係費についてであると存じますが、これは昨年は御承知のように公共事業は繰り上げ実施をやるというようなときでございましたので、あのときの実績、そういうものを参考にすることがいいと思いまして、昨年の四月、五月の契約あるいは補助を決定する必要のあるものについては、昨年の実績を十分に参考にして決定いたしましたし、ことに積雪寒冷地の事業につきましては、一般公共事業費に考えたよりももっと重く特に留意して予算化をいたしました。一つの例をあげますと、一般の比率は、災害復旧においては二六・八%、それから一般の公共事業のほうは二三%というぐあいになっておりますが、北海道を見ますと四七・八%、倍以上になる、以下これに積雪寒冷地は準ずるというような措置をとりましたので、支障はないんじゃないかと存じます。
  124. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 暫定予算が地方自治体の運営に悪い影響がないように、各省に、関係方面に連絡をいたしておったのでございますが、ただいま大蔵大臣のお話のように、公共事業費あるいは社会保障費等は十分組んでありますし、地方交付税も所要額が組んでございます。その結果地方自治体全体といたしましては四月で七億七千万円ぐらい、五月で六億ぐらい、次の月に繰り越すことができる程度の財政を組めると思います。もっとも個々の団体においては資金繰りの苦しいところもありますから、これについてはつなぎ融資を十分に考慮をいたしておる次第でございます。——失礼しました。四月から五月へ七百七十八億、それから五月から六月へ六百八億であります。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 四、五月暫定の中でわれわれが基本的に反対をしておる一つの問題は、公債発行に関する問題であることは御承知かと思います。この公債発行をするかどうかという是非論の問題はもとよりでありますけれども、こういうきわめて重要な政策に関する、そうしてまた与野党で基本的に十分議論しなければならぬ問題を四、五月の暫定で組んできたというところに一つの大きな問題点をわれわれは持つわけでありますが、その点は別として、ここに四、五月暫定に公債発行を組んできておる、これの市中消化ということをたてまえとして、具体的にはどういうふうに、四、五月暫定が処理されたときにやるのか。去年の四十一年度公債の点について、私が持っておる資料に誤りがなければ、去年の発行の中で約七千百億円、もちろん公債発行額の若干の減額等をやっておりますから、数字は若干違っておるかもしれませんけれども、都市銀行で四一%、長期信用銀行で一〇%、地方銀行で二一%、その他金融機関で一八%、個人消化分を九%含んで証券会社で一〇%、こういうふうに資料を——私の調べたところでそう思っておるわけですが、今度の四、五月の公債の消化というものについては、具体的にはどういうふうにやられるのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
  126. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 大体昨年の実績を見まして、それと同額の市中消化をやるというつもりでございますので、大体いま言ったような比率の消化が行なわれるのじゃないかと思います。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この機会に特に公共事業関係関係ある建設、農林からも若干お伺いしたいわけですけれども、便宜上農林大臣のほうからお伺いいたしますが、これは四、五月が暫定、六月以降が通常であれば本格予算の成立ということになる関係もあって、新規事業というのは、いわば本格予算成立待ち——通常であれば三月で本格予算が通りますから、そこからすべり出していくわけですけれども、私ども地元の関係等でいろいろ注文があって、それらの問題で具体的にそれらを実現をしたいということでありますと、これは予算が成立しない前から本格的なものをおろすということは事実上できない点もありますけれども、いわば本格予算成立待ちというふうな点が具体的には出てまいっておるわけです。その問題と、これは新聞等に出ておりました中に、たとえば暫定という関係もありまして、住宅金融公庫への住宅の金融の申し入れ、いろんなものが現実には例年に比べると控えぎみであるというふうな点等も指摘をされておるわけであります。そういう点の本年度の事業遂行についての段取りをどういうふうに適切にやっていこうとするのか、簡単にひとつお答え願いたい。
  128. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 四十二年度の暫定予算の編成に当たりましては、農林漁業生産基盤の整備事業等農林関係の公共事業の円滑な実施を確保するために、継続事業を中心といたしまして、工期の季節性その他の事情を考慮いたしまして、暫定期間中に実施が見込まれる事業量について所要経費を計上することといたしております。いまお話しの一般公共事業については、北海道は前年度予算の五〇%、内地、離島は二四%を計上いたしております。それから災害復旧事業については、補助事業は四十二年度の本予算分の三分の一、直轄事業は四五%を計上いたしております。  暫定予算が成立した際の執行につきましては、三月中に大蔵省との協議で、四月早々その割り当て内示を行なうことといたしまして、各事業実施に支障なきを期しておる次第であります。
  129. 西村英一

    西村国務大臣 建設省の公共事業につきましても、昨年は景気回復のために繰り上げをやりましたが、大体去年は九月末までに予算の七〇%くらいを契約しようということで、大体繰り上げでやったのですが、その結果は、四月、五月におきまして、大体予算の二五%くらいを契約いたしましたが、ことしはこの暫定予算につきまして、二七%くらいな予算がついております。去年の国庫債務負担行為による金を払いましても、昨年と同額及びそれ以上の工事の契約ができる予定でございまして、暫定予算が通過いたしましたら直ちに手続をして、工事のブランクができないように心がけておるところでございます。
  130. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 このいままでの議論の中で——昨年度の税の増収がいずれはっきりするわけですけれども、大体三百億というあれですが、さらに一般会計の余剰、こういうふうなものが現実にきちっとしてきた場合に、いま大蔵大臣にお聞きしました暫定予算で予定をしておるところの公債というふうなものを減額する用意があるかどうかという点について、お伺いをいたしておきたいと思います。
  131. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 四十一年度でございましたでしょうか。四十二年度でございましたでしょうか。
  132. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 四十一年から……。
  133. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 四十一年度は御承知のように三百五十億国債を削減いたしましたが、その後の税収を見まして、あとに予定されておったもう三百億円の公債もこれはもう出さないことにいたしました。四十二年も私どもは最大限の自然増を見たつもりでございますが、これが先にいってどうなるかわかりません。しばしば答弁しておりますように、もし見込み以上の自然増があるという場合には、この四十一年の処置と同じように公債を減らしていくというようなことをいたしたいと思っております。
  134. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次は行政機構改革の問題について若干重点的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、昭和三十九年の九月二十九日に臨時行政調査会から内閣の機能に関する改革意見をはじめ十六項目にわたる改革意見が出たわけであります。その後数年を経過をいたしております。申し上げるまでもなく、行政機構の問題は、これは中央、地方を通じ、国民のための行政というところの前提に立って、経済社会の進展、国民の行政に対する需要、サービス、そういうものに十分対応し得るような機構でなければならぬことは当然でございます。そういう点で臨時行政調査会からばく大な陣容と費用を使って、そしてアメリカのフーバー委員会に匹敵をする活動としてやるということで、それぞれ努力をして答申が出たわけでありますけれども、私は率直に言って、この臨時行政調査会の答申の中には、私も綿密にこれらのものを精査をし、そうして、従来内閣委員会の中で取り上げたものの中でも、これらのすべてがこのとおりでよろしいとは必ずしも思いません、思いませんが、その流れておる考え方については、十分これらを尊重してやるべき内容を持っておるというふうに率直に思っておるわけであります。残念ながら、臨時行政調査会の答申が出されてから、新しく行政監理委員会が発足をするという形で今日に来ておるわけですけれども、遅々としてその成果があがらない。しかも、そういう遅々として成果があがらない中で、新しい構想というものがやはりどんどん打ち出されてくる。たとえば、これは一つの考え方として私は十分検討すべきだと思いますけれども総理からは都市住宅省というふうなものをひとつ考えてみたい、こういうことが出てまいる。さらに、過般逓信委員会で郵政大臣は、いわゆるあのロケット問題にからんでおりますけれども、宇宙開発庁というふうなものを考えてみたいということで、新しい構想というのが次から次へ打ち出される可能性を持っておるわけです。そうして、現にことしの場合でも、マスコミから批判をされておりますけれども、これは現実にできた公団とかあるいる事業団、つまり動力炉開発事業団あるいは環境衛生金融公庫、中小企業振興事業団、石油開発公団、外貿埠頭公団、さらに日本学術振興会等も含んでおりますが、いずれにしても、こういう新設のものがどさくさの中で生まれたということの経緯もあって、激しい世論の批判があるわけであります。われわれも、これらの新設のものについて、すべてが適切であるというふうには考えがたいのであります。やはりそういう点で、臨時行政調査会が答申をしてから数年を経過しておる中で、新設のものはどんどんふえる傾向にある。しかし反面、整理統合の問題については、残念ながら進み得ない、こういう現状にあるわけです。そういう中で、総理として、これからの行政機構改革の問題については、施政方針の中でもお考えを述べておられるわけでありますが、きわめて抽象的でありますけれども、基本的にどういうふうにやっていこうとされるのか、これをまずお伺いをしたいと思います。
  135. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 行政機構の問題はいつも議論がされておりますが、時代の進運と申しますか、発展に相応したそのときどきにふさわしい行政機構を持つということはなかなか困難な問題です。新しいものがどんどんできるということ、これは新しい要請にこたえるという、そういう意味で新しいものが出てきます。また過去のものの整理ができないと、ただいまのように非常に行政費がかさむという、そういう意味国民は納得いたしかねる、こういう問題があろうかと思います。臨時行政調査会の答申というものも、そこらにメスを入れたつもりだと思います。過去のものについての批判はこの臨時行政調査会が十分に果たしておる、さような意味でこの答申を尊重するということでありますが、やはり時代の進み方に応じて、そのときどきの要請にこたえて、そうして国民の生活水準を上げていく、こういうことでなければならぬ、かように思いますので、まあいろいろの御批判は受けながらも、政府としてはただいま新しいものもつくりましたが、これはそれぞれ要請にこたえた、かように私は考えております。また過去のものについての整理等、これをおろそかにしないように、一そう各関係庁を督励しておるような次第でございます。
  136. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 新年度の予算編成の基本方針を昨年末に政府がきめたときには、機構の問題として新しく公社、公団等は、昨年の例もありますけれども、新設をしない、こういう基本方針をきめられた。そういう方針をとにかく天下をとっておる政府の方針としてきめながら、二月二十八日の予算の最終段階のいわば数日のどさくさの中で、新しい公団や公庫やあるいは振興会、事業団等が生まれてくる。こういうところにやはり国民の割り切れない気持ちが出るのだろうと思う。私は機構の問題はもっと冷静な姿の中でやるべきだと思う。行政管理庁が、そうして臨時行政調査会の答申を受け継いで行政委員会としての行政監理委員会が、常時機構の問題について、中央、地方を通じての実態の行政査察もやることができるようになる。それの報告もやる。どこにむだがあり、どこに行政需要が多いか、どうすべきであるか、あるいは新しく与党から提示され、あるいは政府から一応素案として出てくる問題については、事、機構の問題については、行政管理庁あるいは行政監理委員会として、これはやはり一つのそこを通らなければならぬパイプとしての立場を尊重していかなければ、これはどうしても歯どめにならないのじゃないかと思う。今度のこの新設の問題についても、行政監理委員会の会合の中では、悪評さくさくたるものが出ておる。こういうことでは私は自然の姿ではないのじゃないかと思う。行政機構の問題についての新設の問題は、そういうあわただしい中で行なわれるのではなしに、もっと冷静な環境の中で、つまり政府が大蔵省でいわば第一次査定といういまのようなやり方をやっておる、その時点の中で、機構の問題については行政監理委員会あるいは行政管理庁の十分すり合わせの中できちっとしてしまう。予算のどさくさの中で、そういうものが不合理であっても何であっても、強引に通っていくという姿は断じて許さない、こういう歯どめがなければ、事、機構の問題についてはいけないのじゃないか、こう思うわけです。現に行政管理庁の長官として、行政監理委員会の委員長として、この問題の重要なポストにある松平さんはどういうふうにこの問題について考えておられるか、率直な意見をお伺いしたい。
  137. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行政機構改革に関しましては、仰せのとおり、三十九年の臨調の答申の線に沿って私ども行なっておるわけでございます。今度の特殊法人の新設に関しまして、いまお話しのとおり、今年度は七つできたわけでございます。そのうち、われわれといたしましては、現在ございます百八の特殊法人をふやさないという方針でやってまいったのでございますが、しかし社会あるいは経済の進運に従って新しい行政の需要が出てくる、これもやむを得ない問題でございまして、臨調の答申といたしましては、行政の簡素化、能率化ということをうたっておりますが、一面どうしてもそういった点で必要なものはつくってもしかたがない、しかしその反面においては、不必要な特殊法人その他がいろいろあるはずだから、それを整理統合して、そうして新しい行政の需要に従うようにしろというふうな趣旨があると考えておるのでございます。したがって、今度の問題に関しましては七つ新しくできましたが、三つ既存の特殊法人を廃止いたしまして、純増は四つでございます。この内容はいずれも現時点において必要なもの、かように認めましたので、私どもこれを許可したわけでございます。  今後は、先ほど申しました方針に従いまして、さらに百八の特殊法人を再検討いたしまして、そうしていままでは予算の編成期にいわゆるスクラップ・アンド・ビルドで、古いものをつぶすから新しいものをつくるというような考え方でやってまいりましたが、今後はそういった新しいものと古いものとの関連をさせないで、臨調でもってこれはもう整理統合してもいいというものは、別途にわれわれといたしましては監察いたしまして、そうして整理統合あるいは改組の方向に向かってまいりたいというふうに考えております。
  138. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 総理、さっきも私が指摘申し上げましたように、行政機構、特に新設の公社、公団、事業団、こういうふうなものが、いわゆる最終版の、重要段階のきわめて異常緊急事態の中できまっていく。こういうことでなくて、機構の問題については長期にわたる問題ですし、ある意味では時限的に設置をする場合もありましょうけれども、もっと冷静な姿できめていかなければ歯どめができないのじゃないか。したがって、これが九月の段階であるか十月の段階であるかは別だけれども、予算が最終的にきまるすでにその前に、機構の問題については一定の方針と一定の精査に基づいてそれはきちっとする、こういう形が望ましいし、またやらなければならない、こう私は思うのです。それがまた国民に、行政機構の問題について必要なものが設けられ、必要でなくなったものあるいは必要性の薄くなったものは整理統合されていくという理解を得るゆえんになるだろうと思う。やはり現実に必要で、いま現存しておるものについても、こういうことでがっとたたかれるというと、公社、公団に働いておる諸君にしても十ぱ一からげということにされてはいかぬし、いま行政管理庁の長官が言ったように、これから公社、公団等の問題についての整理統合を根本的に検討していく、それはけっこうであります。これらのことは冷静な段階の中でやらなければならぬ。そういうふうにこれから改められてはどうなんですか。
  139. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 角屋君の御意見は多分に入っておりますが、行政機構の問題あるいは公社、公団、これは必要なものについてやるという政府の考え方から申せば、どさくさに際してやるというようなものであってはならない。これは確かに御指摘のように、冷静のうちにどうすれば一番うまく行政が効果をあげるかということを絶えず考えているわけであります。ただこの問題は、前びろにもなかなか取り扱いかねる問題でありまして、きわめて少数のものは腹のうちにちゃんとたたみ込んで、今度の公社、公団はこの程度つくるか、ように考えて取り組むのでございますから、世間の目から見ますると、これはもう予算の編成についてもそういうことをしばしば言われますが、復活折衝の段階において一体あれだけの金額がふえるとは何事だとしばしば言われますが、大蔵省が最初に提案したものを、その後規模を拡大したというようなこともございません。また公社、公団等につきましても、大体そういうような経過をたどっております。ただ、そのときどきによりまして、昨年は一切つくらないという非常にはっきりした態度を示しました。けれど、これがいつまでもその態度で押し通せるものではございません。これは角屋君も御指摘のように、社会需要と申しますか、情勢の変化によっての新しいもの、望まれること、こういうものを否定はなさらないだろうと思います。  そこで、ただ問題は、過去のものがどれだけ整理できるか、そして新しいものがいかに生まれるか、こういうことだと思います。いま行政管理庁長官の説明もそのとおりでありまして、これは行政管理庁とすれば現行の数をふやさないというたてまえであったろうと思いますけれども、私どもは、新しい需要にこたえるためには、いまの程度の公団、公社をつくる、つくらざるを得ない、かように思っておるのであります。ただ、御指摘になりました点は、もう少し予算編成あるいは公社、公団をつくる段階においても、国民に納得のいくような処置をとりなさい、こういう御注意だ、かように思いますから、それはしごくもっともなことだと思いますので、一そう注意してまいるつもりであります。
  140. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いませっかくの御質問でございますが、もう少し冷静にというお話でございましたけれども、これはあまり冷静にやっている分は外に出ないので、非常にわれわれの努力が足らなかったように印象づけられたかもしれませんが、実を申しますと、もう概算要求の段階では二十幾つという要望について、いま行政管理庁長官が申されましたような基準で整理されて、私どもの手で冷静に討議された結果、十幾つというものは実際においてこれは整理されているということでございますので、相当の行政機構に対する努力は私たち自身はしたつもりでおりますので、このことだけつけ加えて御答弁します。
  141. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は水田大蔵大臣の育ったことを逆に言うと、公社、公団、事業団の新設要求が非常にやはり旺盛である。しかし反面、具体的に整理統合すべきものを積極的にやるという面はなかなか進まない。こういうことで百八のやつがさらにことしふえ、さらに今後ふえていくということになれば、いわゆる公社、公団というのは行政機構の隠れみのにされて、また同時に最近非常に問題指摘がされております公社、公団等への天下り人事、これは行政管理庁の実態調査でも出ておるわけですけれども、ほとんど経済官庁から役員が七割以上もとにかく占めておる。いわば高級官僚のうば捨て山という事態に今日なっておる。したがって、後輩の高級官僚とすれば、先輩のためにも、あるいはわれわれの行き先としてもということで、単に政治的要請とかなんとかということはいわれますけれども、現実は官僚、政治家、外郭団体こういうものが、新しい機構のそういうものをつくるという大きな政治圧力になってくるということで、私はそういう点で特に高級官僚のこういう面でのプレッシャーとして働いている部分が非常に多いと思う。そこに行けば俸給も飛躍的に上がるし、また六年ばかり在任をしていれば、おそらく一千万円以上の退職金がもらえるという計算をしているのが常識だろうと思う。私はこの点で人事院の総裁にお伺いしたいのですけれども、高級官僚の天下り人事という問題で、民間の場合、あるいは公社、公団の場合、こういう場合のチェック策というのをどういうふうにやったらいいと考えられるか。あるいは現実の姿はどういうふうになっておるか、こういうふうな点について御答弁を願いたいと思う。
  142. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のとおり、人事院におきましては、公社、公団以外の私企業の面だけを所管いたしておりますので、その点について申し上げたいと思います。  御承知のとおり、これはまた国家公務員法に明文がございまして、その役所と密接な関係のある会社の役員その他にはつけない、ただし人事院の承認があった場合はこの限りでないというたてまえになっております。この現行法そのものを、さらにきびしくするかどうかという問題が一つ考えられますけれども、これは御承知のように、いまの法律ができます際にすでに憲法問題等もありまして、基本的人権との関係等も論ぜられたのでございますが、私どもとしては、まあ現行法の行き方で法律のほうはおいていただいて、このわれわれの承認ということを適正に行なっていくということがまず穏当なところであろうと思います。  御承知のように、いろいろ一般私企業へ公務員が転出される、これについて相当の批判もございます。私どもも十分それは承知しておりますし、また国会あたりでもいろいろ御質問を受けておるわけでありますが、私どもとしては、まずその本人の職歴ということを中心に考えまして、その職歴からいっていろいろ誤解を受けるような、悪因縁のつけやすい、誤解されそうな経歴を持っておる人は、いかに本人が清廉潔白であっても、これはもうあきらめていただくというような態度で、その点は相当きびしく臨んでおるはずでございますけれども、数はなかなかそう二人や三人というような数ではいきません。これは全体の離職者数というのはたいへんな膨大な数になるものでありますから、その膨大な離職者の中で、相当数の人がそれに該当して民間に転出されるということは、これは事実として率直に申し上げなければならないと思います。要するに、それらの承認の扱いについては、われわれ従来も十分気をつけてまいりましたし、今後もその辺は適正を期してまいりたい、そういう気持ちで臨んでおるわけでございます。
  143. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私はこの機会に、率直に申し上げておきたいのですけれども、高級官僚というものの選挙への立候補の制限問題、あるいは公社、公団に対する非常に大きな役員比率を占めておる問題、あるいは私企業に対するところの一定の制限という問題があるわけですけれども、それはやはり行政は国民に対する公僕としてのサービス機関である、いささかもそのことによって、行政が、自分の地位を利用して、関係会社その他と結びついて、あとで行く場合のいすをつくっておくというふうな弊害を生んではいかぬ。さらにまた、公社、公団の場合でも、公社、公団をつくってやるゆえんのものは、民間の新風を織り込んで、そして合理的な運営をいたしたいというところに一つの考え方がある。そういう点から見て、われわれは野に遺賢なからしめるということは、これは与野党ともに基本的な考え方だろうと思う。一方においては、そういう有能の士をどう活用するかということは別の問題でありますけれども、政治の問題として、行政の問題として弊害を生ずるという、そういう判断に基づいて必要最小限の制限をしなければならぬ、これが本筋だろうと私は理解をしておるわけです。  そういう前提に立って考えます場合に、この公社、公団に対する役員の場合も、私の提言の一つとして申し上げたいのは、公社、公団全体を通じて、一定のポストにある者の通算期間は何年以上はつとめさせない、こういう形を積極的に考えてはどうか。私の承知しておるところでも、ある公団におり、そこで相当程度の退職金をもらって、右から左にまた新しいところに移って、そこにおって、また次に行く者がある。それは有能ということで逃げるかもしらぬけれども、これは日本の国民の中だって次から次に新しい人材が出てくるはずなんだから、民間との比率、こういうものを公社、公団の場合に考えていくことも一つの行き方だと思います。同時に、一定のポスト以上の軒については、一定の年限以上、公社、公団を通じての通算年限としてそれはつとめさせない、こういう積極的なことを考えていく必要があるのではないか。これがやはり高級官僚のいい安住の場所になるというふうなことであったり、あるいはまたそういう者のポストのたらい回しの機関になったり、あるいは先輩でもう一ぱいに詰まってしまったから、新しいものをつくらなければあとの行き道がない、こういうことで、必要であるかどうかについては、理屈はつけるけれども、しかし客観的に見ると、非常に問題があるというふうな形でどんどん公社、公団が増発されてくるという傾向をやはり避けていかなければならぬ。それをするのには一つの方法だけでは私は済まないだろうと思いますけれども、場合によれば公社、公団に関する関係法案については、時限立法的な設置にして、その時点において、もう一回その公社、公団が必要であるかどうかを検討してみるということも私はやられなければならぬと思う。いま言った公社、公団についての必要なものについては、もちろん考えていかなければなりませんけれども、この今日の乱発傾向というものをどう是正するか、正しい方向にどう持っていくかという点については、一つは既設の公社、公団等についての適切なこれからの整理統合の配慮をしていくということと同時に、いま言った機構の中に入っておる高級官僚の問題については、一定の年限というものを配慮していく、あるいは民間と高級官僚の比率というものについても検討していく、あるいはこの機会に時限立法的な考え方というものを今後の問題については導入をしていく、こういう幾つかのことを積極的に考えていくべきではないのか、こういう点についてまず行政管理庁の長官からお考え方を承りたいと思います。
  144. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 お答えいたします。  今後新設される特殊法人に関しましては、時限立法で考えたらどうかというようなお話でございますが……(角屋委員「全部じゃないですよ。よく聞いておいてください」と呼ぶ)いまお話しのとおり、その特殊法人の性格によりまして時限立法で設立するものもあると思います。それからまた、その性格によっては時限立法では事業は遂行できないということで、そういう立法でないものでやるというふうに二本立てでいったらいいんじゃないかと思います。  それから高級官僚の天下りの問題に関しましては、私のほうの管轄でございませんので、総理府その他のほうからお話し願います。
  145. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ではひとつこの機会に、先ほど公社、公団等の問題に関連して私の提言した点について、総理から……。
  146. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 角屋君から各方面からの公社、公団並びにその人事構成等について御意見を述べられました。申すまでもなく、お説の中にもありましたように、野に遺賢なからしむ、とにかく残存能力といいますか、お互いの能力がある限りにおいて、その能力をやはり国家社会のために奉仕さす、こういう基本的な考え方がなければならない、かように思います。これは過去においていわゆる高級官僚であろうが、そうでなかろうが、すべてがそういう考え方で、りっぱな社会をつくる、風格のある社会をつくる、こういうことに御協力願いたいと思います。  そこで、ただいまのお話でありますが、任期をひとつ制限をしたらどうか、これも確かに問題でございます。いま内閣がとっておりますものは、大体二期でひとつ打ち切ろうじゃないか、こういうことを考えております。ところが二期と申しましても非常に短いものもございます。たとえば一期が二年というような、あるいは三年というようなものは短いほうでございます。四年、五年というものもございます。これが二期やるといえば大体八年から十年、その辺がいいところではないだろうか、かように考えておりますので、短い期間の任期の場合は三期になりましても、そのままつとめていただく。  また、あまり好ましいことではないというのは、甲の公団から乙の公団に移るという、これがいま御指摘になりましたように、甲の公団をやめるときに退職金をもらう、そしてまた乙の公団をやめるときに退職金をもらう、こういうことになりますので、いかにも退職金かせぎをしているのではないかというような非難があります。しかし、これは会社の場合だと普通なんですから、これは別に理論的にどうこうではない。ただ、非常に恵まれた者と恵まれない者、そこに格差ができるじゃないか、こういう意味の公平論からこういう問題についての批判があると思います。これはなるべくそういうことはしないように、こういうのが私どもの考え方であります。  また一つの提案で、時限立法はどうかと言われる。これも私、ものによってたいへん考うべきことではないかと思います。たとえば、いま問題になっておる愛知用水公団と申しますか、こういうものはもうすでに事業は完成し、目的を達した、直ちにそれはやめるべきではないか、こういう議論が出ている。これはいずれ整理し、やめるべき筋のものでございますが、あれだけの公団が、建設事業もいたしましたが、同時に管理運営の仕事もしておる。管理運営の仕事をいまあります水公団で引き受けるとすれば、やはり法律を改正しなければならぬ、こういうような手続上の問題もありますが、しかし目的を達したそういう際に考えるというので時限立法、こういうことではないか、私はさようにも考えます。問題はいろいろ各方面にわたりまして考えていかなければならないのでございますが、いまの角屋君の御指摘になりました点等をも考慮に入れ、国民の納得いくような公社、公団をつくる。そうして時世の要請にこたえるということをいたしたい。この上とも気をつけてまいるつもりであります。
  147. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は公社、公団問題にえらい焦点をしぼったようにして話をしましたけれども、行政機構全体の問題としては、公社、公団のみにとどまらない。臨調の答申の中で提案をしておる行政改革意見に対する名省庁の意見一覧というのを見てみますと、具体的な問題については、一つの問題についてある省は歓迎、賛成、ある省は反対というふうにいろいろ意見がまちまちに出る。これは単に各省のセクショナリズムばかりでなしに、実体論からの意見ということもあると思いますけれども、こういう実体のままにしておくわけにいかない、省内の問題であれば、やはり時代の進展に応じてどういうふうに変えるかという点について、積極的に省内で考えていくということは必要だし、各省にまたがる問題については、逐次重要な問題から意見調整をしていく、こういうことが必然なされていかなければならぬ。  それと同時に臨時行政調査会の答申の中でも、いわゆる人員整理を伴うところの行政整理を考えてないのではないか。人員整理という問題についてはこれは考えてない、積極的な行政指導に基づく配置転換等は考えられるけれども、人員整理を目的とした行政整理の問題ではないということを特に満場一致で認めておるわけですけれども、そういう前提に立つ場合でも、省内あるいは各省間でやり得ることは、やはり私は積極的にあると思う。そういう点が、意見が分かれたままであるということで、そのままに放置されては断じてならない。そういう点は関係各大臣ともに関連はあるのですが、積極的にそういう点に取り組む。新しいものをつくるときには血眼になるけれども、具体的にどうしていったほうがよりベターであるかという点については、必ずしも十分でない。  それと同時に、やはり人事の停滞というものを、もう少し水の流れの如く流れを持っていくというためには、省内の人事交流あるいは各省間の人事交流というようなものについても、総理府の人事局になるかどうかわかりませんけれども、やはり十分長期人事の交流についての考え方というものに基づいて、清新さというものを絶えず注入をしていくという配慮も必要だろうと思う。そういうことを通じて各省のセクショナリズムあるいは省内におけるセクショナリズムというものを逐次是正する。問題はやはり国民のための行政というところに基本を置いて、もちろん中央、地方を通じての行財政指導の配分という問題もございます。そういうもの全体の中で、いま特に取り上げたのは公社、公団、事業団の問題でありますけれども、やはりやり得ることについては総理はリーダーシップを持って、われわれもなるほどというそういうものをひとつやってもらいたい、こう思う。新しい都市住宅省とかいろいろなものについてはあるいは二十幾つ出ておったと大蔵大臣が言う。そういう問題については出ますけれども、具体的にどうしていったらいいかというのは、静かな姿の中でやらるべきものであろう、こういうふうに私は思う。その点では行政管理庁、行政監理委員会というものを中心にして、各省もお互いに連携しながら、時代の進展に即応し、どういうふうにやっていくか、それは単に閣内だけでなしに、部外あるいはそこで働いておる労働組合等の意見についても積極的にこれを吸収するという努力も私はなされてしかるべきだと思う。  この機会に人事院の総裁にお伺いいたしますが、四月の段階はいつも人事院勧告についての調査の時期に入るわけです。例年人事院の勧告の問題については、関係閣僚会議等でも議論が出ておるわけでありますけれども、ことしの人事院勧告に対する作業態勢というものは、総裁としてどういうふうにお考えでございますか。
  148. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のとおりに、最近まで勧告時期の改善案ということが問題になりまして、私どもとしても、いまより一そういい案があればということで、政府あたりのお力も相当わずらわしまして検討いただいたのでありますけれども、昨日、新聞で報道されましたとおりに、ことしは当面のところ、他にかわるべき案がないということで、従来どおりということになりましたので、これからさっそく調査の準備に取りかかります。したがって、調査時点は四月、それからおそらく作業の順序から申しまして、勧告の時期はやはり八月の半ばごろになるのではないか。要するに大体従来のとおりになるのではないかと考えております。
  149. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この際、給与担当大臣のほうから、今後人事院勧告に関連をして、さらにそのあり方を検討されるという形をとられるのか、本年は従来の勧告どおりでいくという既定方針には変わりはないのか、この点給与担当大臣から簡潔にお答えを願いたいと思います。
  150. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 人事院の勧告の方法、時期、あり方については、ずいぶん長いこと問題となっておることは御承知のとおりであります。本院などにおきましても、附帯条件あるいは附帯決議等でいろいろと要望されておることも事実であります。したがって、従来のマンネリズムを打破する意味においても、何らかの打開策はないかということを関係閣僚の間で相談いたしておりまして、数案について検討いたしましたが、今日の時点ではまだ成案を得るには至っていないわけであります。したがって、昨日も関係の六人閣僚会議を開きまして、四月も目の前にありまするから、民間給与の調査をなすべき時期が目の前にあるので、四月の調査というものはやむを得ないであろう、しかしその後においてなすべき事項も、また従来からのペンディングを解決する方途についての対策を講ずるために、今後あらゆる機会をとらえて関係閣僚会議を開き、努力していきたいと考えております。
  151. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最近、政府は、経済社会発展計画、四十年代への挑戦という五カ年計画を発表されたわけですけれども、私はそれらの問題のうちで、この委員会でも議論された問題でありますが、若干ポイントを数点にしぼってお伺いいたしたいと思う。  まず経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、国土総合開発に関連をする地域開発問題、この点では国土総合開発法に基づいてやられるところの問題、さらに中部圏の整備促進法を最後として、東北から、北陸から、首都圏から、あるいは近畿から、中国から、四国から、九州まで、それぞれの整備促進の立法もございます。それに基づいてやっております問題もございます。さらにいわゆる鳴りもの入りで大騒ぎされた新産都市の問題もある、あるいは工業整備特別地域の問題もある、あるいは低開発地域工業開発地区の問題もある。最近では、山村振興法もそれに関連をいたしましょう。そういうふうにいわば総合開発に関連をした都市地域開発というものを含めて、ずいぶん盛りだくさんな立法ができ、その成立過程は非常に年次的にも差がある。そしてそれらの多くのものは、閣議決定ということで、よほどでないと修正ということは通常あり得ない。もう一回経済社会発展計画というものを立て、これに基づいて政府はやられようというのであれば、いままでのそういう国土総合開発に関連したものを読み直してみる必要がある。あるいは実態をもう一回見きわめてみる必要がある。それは経済企画庁だけの問題でございませんけれども、各省全体を含めてそういうことを積極的にやるべき段階に来ておる。それは各省のセクショナリズムを越えた基本的な重要な問題の一つである、こう思うわけです。経済企画庁の長官がこれらの問題について検討するというだけのことばはお聞きしておりますけれども、それだけにはとどまらないのであって、具体的に企画官庁として、各省とも密接な連携のもとに、どういうことをやりたいのか、私は率直に言って、鳴りもの入りでやられた新産都市等の問題についても、これは十五になっておるかと思いますけれども、もうそれぞれの関係地域では、去年の不況ということも一部の問題でございましたけれども、相当頭をかかえておる地域が多いことが実態であります。それらの問題も含めて、これから具体的にどういうふうにやろうとするのか、お聞かせ願いたい。
  152. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まことに御指摘のとおりだと思うのでございます。ことに地域開発法の中には行政府の意思よりは国会の御意思で成立したものもございますために、よけい問題が複雑になっておるわけでございますが、ただいま仰せのとおりのことなので、私としましてはことしの夏ごろからはほぼ一年間かけまして、関係各省の協力を得て、全国総合開発計画を書き直したい。このたびの経済社会発展計画も出ましたことでございますので、全部見直すつもりでおるのでございます。その場合に、国会の御意思で成立した関係の法律もございますので、そこらをどういうふうに調整するかという問題が後に残ると思いますけれども、ともかく政府としては、全部見直してみたい、こう考えております。新産はやはり五十年まででございますから、多少地元の早急な期待というものが事実と食い違ってきておるような点は確かにございます。これはしかし、もともとかなり長い計画を考えておりました。工特のほうは概して順調に進んでおるように思います。
  153. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 労働大臣にお伺いをいたしたいのですけれども、雇用対策基本計画というのが最近でき上がったわけでありますけれども、早川労働大臣の談話の中に、外国の労働力という問題に触れた見解発表がございます。これは諸外国を見てまいりますと、そういう事例が、たとえばヨーロッパ方面においてもわれわれも見聞をするのでありますけれども、日本の場合は、はなばなしく経済の発展ということは喧伝はされますけれども、労働内部の問題というのはきわめて多くの問題を持っておるわけです。同時にそれらの基本的な是正ということが、やはり当面一番中心にならなければならぬ。しかし、雇用の基本的な将来の展望として、これらの問題をどういうふうに考えておられるかという点は、やはりこれはお聞きしておかなければならぬ一つの問題である、こう思いますので、その点についての見解を承りたいと思います。
  154. 早川崇

    ○早川国務大臣 労働力が不足しているという情勢から、一部で特に万博あたりにからみまして、外国労働力、特に韓国、フィリピン等から輸入しようという声もございますが、現在の日本の労働力事情は、なお有効に活用されてない面が多々ございまするし、なお外国労働力を輸入することによって生ずるいろいろなほかの問題等を考慮いたしまして、外国労働力は輸入しない、こういう方針で進んでおる次第でございます。
  155. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 公害の問題に入りまするけれども総理は、施政方針の演説の中で、「大気汚染、水質汚濁などの公害問題は、工業都市を中心に国民生活の健全性をむしばむ最大の要因となっております。国民の健康と生活環境を公害から守るため、公害対策基本法案を今国会に提出いたします。さらに、産業災害の防止については、近く第三次五カ年計画を策定し、職場の人々が安んじて働くことができるようにしたいと考えます。」こういうことで、公害対策基本法要綱というものをすでに発表され、私がこの問題を取り上げる前に、衆議院の産業公害対策特別委員会等でもこの問題はすでに議論が始められておる段階であります。ただ私は、公害対策基本法というのは、今日の公害の現状から見て速急に法制定がなされなければならぬと思いますけれども、問題は、そういう公害の問題についての全体的な政府のかまえ、あるいは地方自治団体のかまえ、あるいは特に公害の発生源である企業者の責任というものが、具体的にどういうふうに組まれておるかということがより重要である。単に公害対策基本法ができるということだけで問題はとどまらないのであって、公害対策基本法が具体的にできることによって、いまでまの公害の現状をどう打開できるかという点についての回答が出されてこなければならない、こう思うわけであります。  ここでやはり問題になりますのは、いままででもいわゆる水俣病の問題、最近では大牟田川の水銀を中心にして第二の水俣病の問題も報道されておるわけでありますし、またさらに、新潟の阿賀野川の公害問題というものも具体的に出ておるわけであります。この際、厚生大臣になるかと思いますけれども、これらの最近の問題について、厚生省としてどう対処しようとしておるか、あるいは今後政府がつくろうとしておる公害対策の関係の中では、それがこの種問題について具体的にどう処理されるというふうにさらに発展をしていくことを期待をしているのか、これらの点を明らかにしてもらいたい。
  156. 坊秀男

    ○坊国務大臣 最近の公害によって、われわれの生命、身体、健康等が阻害され、また、生活環境が非常にそこなわれておるということは、御指摘のとおりでございまして、これに対しましては、御指摘のとおり、産業、企業といったようなものが非常にこのごろ発達してきて、これが影響を及ぼしておるということも、これはもちろんのことでございますので、そういったような、事業者が今後事業をやっていくにあたって、その事業から発生するところの公害というものは、ぜひこの事業者に責任を持たしてこれを防止する。こういう責任を明確にいたします。その責任事業者に明確にいたしまして、そして公害原因であるところの排出基準というものを事業者に対して厳重に守らしめる。厳重にこれを守らしめてもなおかつこれが十分でないといったような場合には、国なり地方団体なり、そういったところが、この公害を防除するために、いろいろな施設をやっていく。この施設に対しまして、事業者、企業者が協力をせなければならない。こういったような義務を課するといったようなことで、事業者の責任を明確にしていくということがまず一点であろうと思います。  さらにまた、この公害基本法ができることによってどういう公害防止の施策が進んでいくか、こういうお話でございますが、今日までいろいろ実例をあげて角屋さんがお述べになりました公害等について、一つの公害防除の欠陥というものは、私は、事業者、国、地方団体及び住民といったようなものの責任の所在と申しますか、さらにまた、責任の区分と申しますか、こういったようなものが、今日までは非常に明確でない。そこで、この公害を防除するとか、あるいはこれに対して賠償をするとかといったようなことについて、はなはだ明確でないために、そこにはっきりとした具体策が立つということがむずかしいことであった。そこで、そういったような人たちに対して、それぞれの責任を明確にしていくということが非常に大事なことだと思います。  さらにまた、今日までは、御承知のとおり、公害源からの排出基準というものがございますけれども、これからは環境基準、われわれの生活していくにあたりまして、どれくらいの環境ならば、われわれが生活していく、健康を保持していく上において、とにもかくにもそれでいいかといったような、生活環境に対する尺度と申しますか、そういったような環境基準といったようなものをきめまして、そうして、その環境基準を逸脱するといったような場合には、これは明らかに公害基本法なりわれわれの生活を妨げるところの公害であるといったような尺度をきめていくというようなこと、それから、今日、公害というものは、御承知のとおり、非常に多種多様でございますので、いまこれに対して行政の分野が非常にはっきりしていない。そういったようなことから、ひとつ公害対策会議といったような統一機関を設けまして、そうしてそこで総合的に計画的に検討をしていく、こういったようなことによりまして、私は、公害基本法を制定して、そうして公害対策というものの推進に当たっていくということによりまして、相当な公害対策というものが推進されることであろうと思っております。
  157. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 公害問題は、非常に広範囲な問題の中で簡単に取り上げるのは非常に至難だと思いますが、これは社会党からすでに提案をしておる公害基本法と、政府がいま検討の最終段階にいっておる公害対策基本法要綱とは、基本的な点でやはり相当に違った点がある。つまり、われわれは、企業の責任という点に明確な規定をはっきりさせていかなければならぬ、単に文章上の問題ばかりじゃなしに、たとえば公害を発生した企業は、損害賠償その他必要な救済措置をとらなければならないという趣旨の事業者の責務、あるいはまた、国の責務として、公害による被害者の救済及び紛争処理という責務、あるいは環境基準の設定の中でも、場合によっては操業停止ということが明確にできるような規定というふうな点で、やはりそういう点の柱が抜けておりますると、公害基本法ができても、企業の責任というものが、今日の資本主義体制の中での企業の力と政治との関係から見ると、うやむやにされる危険性がある。この際、通産大臣にお伺いをいたしますが、企業の無過失責任というものはどこまでこの基本法を通じて負わせる御意図を持っておるのか、はっきりしてもらいたい。
  158. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 企業側の責任についてお尋ねがあったと思いますが、いま仰せのとおり、企業が加害者でありますので、したがいまして、公害を起こさないようにするということが第一の要件。それから、もし公審が起こった場合には、その公害をいかにして排除するかということ。この二つの問題があると思うのでありまして、その点におきまして、たとえば公害を未然に防ぐ方法としては、いま私のほうでは、脱硫の研究をやったりなんかいたしておりますが、公害が発生した場合に、その公害の原因が何かわからぬ場合には、一時操業を停止するということもやっております。そういうことで、公害がいかにして発生したかということをまずよくきわめて、それがいかに人体に影響を及ぼすかということによって、また企業に対してのいろいろな対策を講じたい、こう考えておる次第でございます。
  159. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 公害の問題についての試験研究の問題まで触れられましたけれども、私は、これは産業公害対策特別委員会で従来議論をしてまいりましたときにも申し上げたのでございますが、これはまた先ほどの行政機構の問題にも関連をしてくる新しい問題でありますけれども、今日、各省それぞれのところの試験研究機関で、公害防止のためのいろいろな試験研究が行なわれておりますが、私は、将来のこれからの問題として、公害対策の総合研究所というものを真剣に考えてみてはどうか。これは総理の言う人間尊重という立場からも、最近の四日市その他各地における従来の既設の無計画な工場の設置、今日それのあと始末、都市改造というふうなものが提起されておりますけれども、やはり通産省でも、新産都市その他で工場の計画ができる場合には、事前の調査を最近やり出しており、非常にけっこうであります。やはりでき上がってしまってから、後手になってからではだめである。新産都市に限りませんけれども地域開発の場合に、事前調査をする、企業のプランを精査をするという形で、是正すべきものは事前に是正していく、こういう姿勢も必要でありますが、現実にあるこの公害の発生しておるところの対策の問題については、試験の開発というものを総合的にやっていかなければならぬ。そういう意味では、公害対策総合研究所というようなものもひとつ考えていく必要があるのではないか。総理、いかがでございますか。
  160. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 十分ひとつ検討してみることにいたします。
  161. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはいずれ今後の公審問題との関連では一つの問題になると思いますけれども政府は次から次へ長期計画をまとめつつありますが、最近大々的に喧伝をされておりますところの原子力長期計画、原子力の平和利用、あるいは最近の核拡散防止の問題、いろいろな問題がございますけれども政府の原子力長期計画の最近まとめたものによりますと、従来の計画を一部是正をいたしまして、昭和五十年までに約六十万キロワット、昭和六十年までに約三千ないし四千万キロワット、したがって昭和六十年以降においては電力エネルギーの主役を占めるまでに変わってくるだろう、こういうふうな展望に立った原子力長期計画というのがまとめられたわけでございます。従来からの核拡散防止の条約をめぐっての議論の中で、まず冒頭に科学技術庁長官にお伺いしたいのですが、やはり核保有国と核を持っていない国、しかも持っていないけれども潜在の核開発の能力を持っているというふうな点は、原子力発電所等がどんどんできてくる段階においては、技術的には紙一重の段階にある、こういうふうに承知してよろしゅうございますか。明らかにしてもらいたいと思います。
  162. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 角屋さんも御承知のとおり、わが国における原子力の開発研究は、あくまでも自主的で、そして平和目的のために開発するということが基本になっております。そうしてまた、その成果は公開の原則をとっておりますので、将来原子力発電の利用計画等、相当な量が開発されるものと考えますけれども、わが国における原子力の開発利用というものは、あくまでも平和に限るという基本原則に立っておりますから、そういう心配はないと考えております。
  163. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この原子力長期計画を見たときに、私の選挙区の三重で数年来電発をめぐる芦浜問題というのが出ておるだけに、非常にいやな感じを持つわけです。しかもこれは、われわれ科学者でありませんけれども、原子力の平和利用の場合においても、いわゆる放射汚染問題、海水の場合もそうでありますし、大気汚染の場合もそうであります。ことに、学者の文献等によりますと、再処理工場の場合の海水汚染というものは相当なものである。したがって、指定の海域というものをつくらなければならぬというふうな問題等も聞いておりますし、さらにいろいろ見てまいりますと、原子力産業と沿岸漁業というふうなことで、原子力安全研究協会での三宅泰雄さんの文献等を見たり、あるいはまた「世界」に出た三宅さんの文献を見たり、あるいはこの問題は、去年の予算委員会の段階においても、当時の三木通産大臣、それから佐藤総理にも具体的に現地の問題について触れてお尋ねをしたことがございます。   〔委員長退席、赤津委員長代理着席〕 今日、統一地方選挙が行なわれておるわけですけれども、それが終わったあと、これらの問題を三重において具体的にどうするかという段階に来るのじゃないか。結論から申しますならば、数年来非常に地元における政治的問題になっておるし、そうしてまた、中曽根調査団が国政調査ということで来られましたときに、結局、現地に行けないという不幸な姿が出たわけであります。この点について、警察等が数十名の者に任意出頭を命じ、あるいは今日裁判の中で取り調べておる事態がございますけれども、これらの数年米の紛糾をしておるそういう地域に、国政調査ということではあっても、いま行くべきときであるかどうかというタイムリーの判断というものは、現地で非常にそういう紛争が起こっておるようなときには、考えなければならぬ。それと同時に、そういう時点の中で、これはさらに申し上げますと、科学技術特別委員会の理事会等で相談をして、福島、福井、それと三重に行きたい、こういうことで関係県に連絡をした。関係県の中で、三重は事務段階では、数年来の紛争問題であるから、いまおいで願うのはタイムリーでない、こういうふうに申し上げた。しかし、その後いろいろ打ち合わせた結果、結局行くことになった。そして紛争問題になった。それで公務執行妨害とかいろいろなことでいまやられております。これは恵庭事件の問題ではありませんけれども、素朴な漁業関係者が、発電を芦浜に設置してもらいたくないという、そういう意味からの、国会議員の調査団に率直にそれらの問題を申し上げるということで起こったトラブルであって、決してこれは罪を構成すべきものではないというふうに見るべきである、こういうふうに思います。宮崎県のロケット問題にからむ最近の問題を見ましても、あるいは三重の芦浜問題をめぐる数年来の紛争を見ましても、ただ国策という美名においてどんどん官庁や、あるいは県や、あるいはそれを企画する相当の会社等が力をもって押してくるという形は、断じて避けなければならぬというふうに思うわけであります。結論から申し上げれば、原子力の長期計画の問題が今日出ておりますが、事、芦浜の問題については、この際白紙に還元すべきである。総理も、当時の三木通産大臣も、今日の民主主義の世の中であるから、現地に強い反対のある段階の中で強行するようなことはいたさない、こういうことを私の質問に答えてやっておるわけであります。これらの問題について、私の、現地でずっとこの問題にタッチしてきた者からの意見についてどういうふうに考えられるか、お考えを願いたいと思います。
  164. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 現地の理解と協力がなければ新しい仕事はできないことは御指摘のとおりであります。しかしながら、これも反対すれば何でもいい、そういうものでは実はないのです。事柄によりましては十分説得するというか、説明を尽くせばものごとはわかってくるはずなんですね。だから、世間的に、ただいまの原子力発電、こういうようなものはほとんど常識的なものになりつつある、そういう際になお反対するとか、ことに、それは海水汚染あるいは放射能というようなものについての疑問から出てくる反対だと思いますが、そのような事柄について十分納得のいくような説明ができるわけですから、それをぜひやってもらいたい、かように実は思うのであります。  また、三重県下の問題は、角屋君自身長い間これに携わっておられることであります。そうして国政調査、その一行で問題を起こしたということは、これはまことに私残念に思います。ことに国会調査団でございますから、現地の事情もよくわかっていただろう、かように思いますが、なおかつそういうような一つの問題を起こしたということは、私はたいへん残念に思います。ぜひこの上とも事柄の性質をよく御理解いただくように、また、放射能あるいは海水汚染、汚濁、それらの点について十分われわれが信頼の置けるような、納得のいくような説明ができるはずでありますから、それもよく聞き取っていただきたいと思います。  また、いまの宮崎県下の問題、これは種子島の問題ですが、これあたりも、いまの三重県下の問題にからんでおると思いますのは、あとの損害が出た場合の補償の問題。損害は起こらないにいたしましても、現実の漁業の問題でありまして、漁場等に出ていけなくなる。ロケットを発射する結果、漁場で漁労ができない、こういうような場合だと、これは損害賠償もしなければならぬ。そういう損失補てんの問題も一つありますから、それらをも含めて、とにかくみんなが納得のいく、また協力のできるようにぜひしたいものだと思います。私は、公益優先だとか、あるいは国家的事業だ、こういうただ抽象的なもので国民にしいていくつもりはございません。
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは原子力の長期計画を進めるにあたって、今後ともに地域によって起こってくる問題のまず教訓になる問題だと思います。私は率直な気持ちからいえば、全国の三大優良漁場の一つといわれるような、そういう優良漁場の地域で、まず最初取りかかる東電、関電、中電の候補地の一つになってくるというところに第一の問題を感ずる。やはりそういうものを始める場合には、優良漁場、海水汚染等の問題も含めてそういう点で避ける。これは将来の計画として相当に原子力発電の所要量を期待しておるわけなんですけれども、私は、三重の熊野灘には、将来とも原子力発電所は絶対来てはいかぬという、かたくなな考え方を持っておるわけではない。さらに、原子力の平和利用という問題をわれわれも否定しておるわけではない。われわれも賛成しておる。しかし、具体的にどこに設置するかということは、そのこととは全然別個の問題である。設置をする場合において、これから具体的にこういうことがそのまま進むかどうかは別として、そういうプランで進める場合において、どこで始めていくか。年次計画というもので配慮すべき基本的条件というものがあるはずである。私は、そういう点で現地側の中にも、白紙還元あるいは休戦、いろいろな声が出ておりますけれども、こういう数年来の紛争の中で押し進めるということは、やはり今後に非常に大きな、県政上にも禍根を残すということになる。そういう意味で、私はこの際、優良漁場の中で漁業に専念をしてきた地域関係者の意向からいたしましても、この際、白紙還元をし、将来の問題として原子力の平和利用の進展とともに、あの地帯においてどうするかは、それは将来の問題である、こういう考えにぜひ立ってもらいたいと強く思っておるわけであります。
  166. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御趣旨の点はよく私のほうでも考えてまいります。ただいま私は、一般的な問題として原子力発電所についての心がまえを申したのでございますが、いまのような熊野灘については特別な理由があるのだ、こういうことでございますが、十分検討してみたいと思います。
  167. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、次に農政問題について数点お尋ねをいたしたいと思います。これはいわば私の専門分野でありますけれども、すでに芳賀委員からも、それぞれ農林水産全般について総括質問で触れられたのでありますが、重点的な問題にしぼって数点お伺いをいたします。   〔赤津委員長代理退席、委員長着席〕  まず第一は、農基法体制の反省ということに関連する問題であります。いわゆる農業基本法ができるときに、われわれは対案を出して、政府の農業基本法はヤマブキ法案であって、中身は必ずしもない、こういうことを言ってまいりました。われわれはそういう点で——実がない、ヤマブキ法案、太田道灌の昔のあれを思い出してください。現実に農基法待望ムードというものが当時ありましたけれども、農基法は制定以来ここ数年の経過を見て、農基法が、できたから農村が非常によくなったという姿にはなっていない。生産の停滞、あるいは農業労働力の老齢化、婦女子化、兼業の進行、あるいは外国からの食糧の輸入の増大等々、やはり今日の農村の状態というものは、農基法体制で関係者が期待したような方向とは全く逆の道を歩いておる。こういうことが現実の姿だと思う。私は、それらの個々の問題について触れようと思いませんが、その中で政府が構造政策の一つの柱としてやった構造改善事業、これは構造政策そのものではない。いま農林省では、いわゆる構造改善事業について、構造政策も含めてどうするかということで、部内で次官を中心にして検討を開始したいといふうに私ども承知しておるわけですけれども、この場合には、やはり構造改善事業という視点からではなしに、構造政策としてどうするかということが真剣に考えられなければならぬと思う。  私は、時間も十分ありませんから、これらの問題について深く触れるいとまはございませんけれども、今日までの構造改善事業はパイロット事業であり、一般地区を含めていわば点の政策である。面の政策ではない。しかも大型のトラクターあるいはコンバインあるいはライスセンターというものをセットにした、そういう形で一部落ないし二部落に——市町村の中の特殊な、それを受け入れるところの点の政策である。そこには農業経済圏あるいは総合開発の観点からの視点で、今後五年、十年後の農業の地域的要請にこたえるという意味において描かれた構造改善事業とは必ずしもいえない。現実に数年来進められてきた農業構造改善事業は、いよいよ融資等の返済期に来ておる段階を見てまいりますと、なかなかこれから苦労が多いというところが相当にございます。この際、構造改善事業を含めての構造政策というものについては、やはり根本的な検討が必要な段階に来ておる、こう思いますが、農林大臣から、その点について、今後どのように進めようとしておるか、まずお伺いいたしたいと思います。
  168. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまのお話は、農政の基本に関する大事な点でございますが、御承知のように、十年間この構造政策についてやることになっておりましたが、その間御存じのような日本の経済の跛行的な一部分の成長、一部分においては立ちおくれがありました。したがって、農業基本法に予定いたしておりましたとおりの実績をあげるには至っておりませんけれども、やはりあの方向は私どもは踏んでいくべきだと思っております。  先ほど、ここで企画庁長官が土地問題についてお話がございましたけれども、やはり構造政策を完全に進めてまいりますためには、私はやはり土地利用の区分というものについて国家的な大きな計画を持つ必要があるのではないか、そうして、その上に立って構造政策を時代に即応したような形で進めていく必要があるのではないか、このように思っております。構造政策につきましては、やはり足りないところには主力を注いでこれを補完いたしまして、既定の方向でやってまいりたいと思っております。
  169. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この予算委員会の質問の中で、米価問題の点についてもいままで議論が行なわれてきたわけであります。  まず第一に、農林大臣にお聞きをしたいのは、ことしの米価審議会について、これは例年であると、生産者米価問題、消費者米価問題というのは別々に議論されてまいりましたが、ことしの場合には残念なことに、政府は十月から一四・四%の消費者米価の値上げを一応予定しておる。であるとするならば、米価審議会の審議をやる場合に、生産者米価、消費者米価の同時審議をやる、ことしの場合にはそういうふうに考えておられるかどうか、これをまずお伺いしたい。
  170. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いわゆる同時審議というやり方はとらないつもりでございます。
  171. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 同時審議という形をとらないということは、生産者米価から先にやるということだと私は思います。私は、去年は米審で一年間やりましたから、そういうことであろうと思います。しかし、米価審議会の委員議員がなるにしろならぬにしろ、とにかく米審の委員としては、一四・四%すでに消費者米価を認めておるという段階でございますから、同時審議をやらないといっても、この点についてはどうするのかとか、あるいはこの点についてはどういう考え方かという点が必ず出てくる。事実上の取り扱いを、同時審議をやらぬというのは、諮問としてやらないということで、議論としては、すでに政府は十月からということをいっておるだけに、事実上はそうなるということがあると私は思います。しかし、形式上は同時審議、同時決定をやらないという考え方だという点で、一応その点は承っておきたいと思う。  それから、芳賀委員が国会議員の委員会参加の問題について触れたときに、農林大臣は臨調の答申——臨調の答申というものは都合のいいところだけはそういう意味でことばとしては使う。しかし、ぐあいが悪くなると、臨調の答申ということばは引き合いに出さない。これはもう総理でも各大臣でも、審議会とか調査会とかいうのは、都合のいいところだけはそれを使う。しかし、私は、国会議員の締め出しというのは、別の意図があると思う。しかし、現実に議員立法という問題もあったでしょうけれども、今日相当数の審議会等に国会議員が参加をしておる、鉄道建設審議会委員、その他北海道開発とかいろいろな各地域の開発問題をはじめ、参加をしておる。そういう参加をしておる審議会と、今日締め出しをして具体的に進めてきた数審議会、あるいは非常に農民としては重要なあるいは消費者としても重要な米価審議会というところについて、同じような画一的な考え方から締め出すのかどうかということは、きわめて大きな問題だと思う。私は多くを触れるつもりはございませんけれども、ああいう米価決定の時期になりますると、それは国会でやったらどうだといったって、過去もう国会でやろうということで、農林委員会等で要請をしても、与党の議員も出てこないという状態。あるいは委員長も要請に応じない。あるいは時期的にも、それはなかなか国会で静かにやるというぐあいにいかない。これはたくさんの人が出てきておるからということもございましょう。であるとするならば、やはりそういう重要問題については、最終的には政府がきめるのですから、委員会できめるわけじゃないのだから、なぜそういう点から画一的に締め出そうとしておるのか、私は理解できない。だから、これらの問題についてはケース・バイ・ケースでやはり考えるべきである、野党側の意見も謙虚に聞くべきである、客観的にも判断をすべきである、私はそういうふうに思う。だから、画一的に国会議員を締め出す、こう言ってみましても、現実に審議会の中で有効な働きをしておるところも、私は相当にあるだろうと思う。また、運営の問題について配慮しなければならぬ点があるとするならば、運営の問題として考えればよろしいということであって、今日審議会の答申に基づいて画一的に締め出そう、そしてまた政府与党として非常に窮地に追い込まれるものはできるだけ締め出していこう、こういう考え方は、私はとらざるところだ。ケース・バイ・ケースでこの問題はやるべきであり、米審の問題については従来どおりやるべきである、こういうふうに思う。ことしは生産者米価問題、消費者米価問題、食管制度の問題も含めて、十分どうあるべきかということを検討すべき時代であると私は思う。いかがでございますか、総理——これはやはり総理だ。
  172. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農林省関係の三つの審議会に国会議員をわずらわさなかったことにつきましては、先般お答え申し上げたとおりでございます。米審につきましては、まだ任期中でございますので、どのようにいたすか、考えをきめておらないわけであります。
  173. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 総理に明確にしなければならぬですが、いまの点ちょっと少し打ち合わせがあったものだからあれにしたのですが、総理から簡潔にひとつ……。
  174. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま民主政治のもとにおいて、いわゆる三権分立というものが、せつ然と考えられております。いわゆる行政、立法、司法。したがいまして、先ほど午前中も恵庭裁判の話が出ておりましたが、私どもそういうものについての批判はしない。これはやはり司法権の問題だ。行政で主体になりまして責任の所在を明確にしておるような事柄には、これは立法府はタッチしないほうがいいのじゃないのか、こういう基本的な考え方がございます。私は、やはり三権分立の原則は守るべきだと思います。ときに、と申しましても、これは一律にはなかなかいかないのでございますから、お説にもありましたように、ケース・バイ・ケースできめるべきだ。そのきめる基本的な基準は何になるか。それはやはり立法府はあまり行政にはタッチしない、こういうことで明確にしたい、かように私は考えております。
  175. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 総理にさらに引き続いてお伺いしたいのですが、従来からの委員会の答弁の中で、消費者米価の問題について、値上げは米価審議会の審議を経て最終的に政府がきめるわけですけれども、その場合に、いわゆる減税の恩典にも浴しない、そういう人たちには二段米価的な性格で十分考えていく意味の発言があったと思う。私は、これは政府の人間尊重という精神から見るならば、われわれは値上げするものに基本的に反対をする立場をとっておりますけれども、しかし、政府が値上げを計画する場合に、日の当たらざる、あるいは低所得層といわれるそういう人たちに対する配慮をやろうというかまえについては、敬意を表したいと思うのですが、問題は、そういう場合にいわゆる低所得層という対象に総理が描いておるのは、生活扶助を受ける人々ばかりでなしに、要するに国税を納めるという段階の対象にならない低所得層というものまで含めた約一千万の人々を頭に描いて言っておられるのかどうか。その点、ひとつ非常に重要な問題でありますから、ぼかしておくだけではいけない。——それは総理から言ったことばだから、総理から……。
  176. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もし足らなければ農林大臣から説明させますが、私この予算を御審議いただくに際しまして、十月から消費者米価を上げると  いうことを一応予定して、これは予算に計上されております。しかし、これは今回予算が成立したからといって、もうそれできまったというものじゃございません。これはもう消費者米価についてはちゃんと手続がございますから、きめるべき手続を踏んでそれできめる。だから、今回直ちにきまった、かようには私も考えておりません。  それから二段米価の問題につきましては、これは今日もいわゆる徳用米制度という制度がございます。しかし、名前が気に食わないのか何か、なかなか利用度もあまり高くないという現状でございます。ここらに何らかのくふうがされないものだろうかどうか。もっと政府もそういう意味で真剣に考えてみたらどうだろう、かように考えております。  それで、その中身は、ただいまの生活扶助者を対象とするものばかりではございません。もっと範囲をどの辺にどういうように引いたらいいか、なかなかむずかしいことですが、これもひとつもっと範囲を広くして、かように私は考えておりますが、もっと研究しないと、せっかくつくりましても、何か差別待遇したようでその制度が利用されないということでは残念ですから、よく実情に合うように、もう少し研究してみたいと思います。
  177. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さらにちょっと念を押しておきたいのですが、それはやるということですか。方法論についてはさらに検討する、こういことでござますか。
  178. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまそれらのことを含めて検討する、研究する、かように申しておるわけです。
  179. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 出かせぎ問題、失業保険の問題について労働大臣に若干お聞きしたいのですが、いま職業安定の審議会で議論をしておって、数日中にさらにまた議論するのですが、この問題は、われわれも非常に重大な関心を寄せておる問題でありますし、与党の中でも東北とか北海道とか、特にこの問題に非常に関係の深い地域の与党の方々は重大な関心を寄せておる。しかも北海道、青森、秋田、山形、長野あるいは岩手等をはじめ、ある場合には県議会の決議、あるいは県議会で意見採択という形で中央にもそれらの声が上がってきておるわけでありますが、数日中に開かれる審議会において、政府が諮問しておるところで世論あるいは議論を無視してまで強行するという姿勢にはない、こういうふうに判断をしておるわけですけれども、その点に対するかまえについてお伺いしたいと思う。
  180. 早川崇

    ○早川国務大臣 失業保険法の改正は、御承知のように、一番失業の危険にさらされておる五人未満の零細企業の勤労者二百万人に、大企業と同じように労災保険、失業保険を適用するというのが本態でございます。それにからみまして、季節的な循環繰り返し労務者に対しての問題でございまするが、これは御承知のように、本来保険というのは、予期せざる事態に備えるためのものが保険なんで、必ず毎年繰り返すというものは、本来保険の原理からいえば適用されないのが本態で、諸外国におきましては、そういう意味で季節循環労務者に対しましては失業保険は適用されておらないのであります。しかし、日本の特殊事情で、現在まで五十八万人、そういう季節労務者が失業保険を受けております。したがって、いま審議会に御審議願っておるのは、そういう本来保険には当てはまらないのだけれども、日本の格差から出てくる五十八万人近い季節労務者に対しましては、既得権を尊重して保険金を差し上げたい。ただし、これから新規に行く人には、二年間は失業保険金を差し上げます。保険料の二十二倍、そういう多額な保険金を差し上げますが、三年目からは、ひとつ保険金を二分の一に減らそう。それでも保険料の十何倍になるのです。そういうあたたかい配慮をしていこう、こういう案を現在御審議を願っておるわけでございまして、目下審議会において審議中でございまするから、答申を得まして御審議をわずらわしたい、こういう段階にあるわけであります。
  181. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この失業保険法の改正問題、あるいはきょうは議論しませんでしたが、学校教育法の改正問題等が、もし政府の考えておるような方向で出てくる場合は、国会関係委員会において非常に大きな問題になるだろう。ことにこの失業保険法の一部改正の問題については、単にわれわれが言っておるだけではない。与党の、特にこれに関係の深い地域の方々も重大な関心を寄せておる問題である。これは今後社会保障制度審議会の議論にもかけていく筋の問題でありますけれども、あくまでも強行するようなかまえではなしに、十分議論をしてもらって、慎重にやはり政府としても対処するという姿勢でやってもらいたい。  最後に、私は総理にお伺いをいたしたいわけでありますが、いわゆる今度の解散、総選挙後における特別国会というのは、言うまでもなく、黒い霧解散といわれる中で、お互いが国民の信頼と支持を得て出てまいったわけであります。したがって、政界の刷新、あるいは清潔な選挙、清潔な政治ということは、与野党を通じて共通の問題としてやらなければならぬ。鉄はやはり熱いうちに打たなければならぬということもございますが、われわれ社会党の場合は、若干最近遺憾の問題が出ましたけれども、これを機会に——これは与党の場合は、われわれも選挙区の活動を通じて多くの意見を持っております。意見は持っておりますが、そういう個々のことには触れませんけれども、やはりこの際、与党も野党も清潔な政治の実現のために思い切った、国民の期待にこたえる姿勢を示さなければならぬ。そういう意味では、政治資金規正法の問題で、かねて第一次選挙制度審議会等での答申以来懸案になり、今日、問題の中心となっております会社、法人あるいは労働組合等、団体からの寄付は、これをやめていこう、個人の寄付に限定をしていこうという考え方、マスコミも国民の世論を反映してそういうことを提唱しておりますし、われわれも、次の選挙までには相当程度間があるわけですから、また政党としても新しい体制をやはり考えていく、国民的基盤における体制を考えていく、われわれも考えていくという意味では、こういう点については、思い切ってこれらの論に謙虚に応じていくというかまえが必要なのではないか。この点では、社会党は中央執行委員会でも方針を決定しておる。これは野党側においても、おそらくどこの党といえども文句のないところである、異論のないところである、賛成であるということであろうと私は思う。問題は、いま大多数を占めておる与党が、イエスかノーかということが一つの問題になるだろうと思う。この際、思い切ってこれらの政界の刷新のために要請をされておる団体、組合等の寄付の禁止ということについては、真剣にやはり自民党の総裁として、あるいは総理として考うべきではないか。さらに言うならば、いわゆる政治家の寄付行為の問題、花輪であるとか、いろんな問題、過剰サービス問題、あるいは後援会の規制問題等々、いろいろあります。われわれ九年近くの政治活動を通じて、こうやったほうがいいのではないか、政界全般の刷新のために、ということはいろいろあります。それらの点については、積年の旧弊ということを言われますけれども、一新をすべき段階に来ておる、こういうふうに思うのです。やはりそういう姿勢で取り組まなければならぬ。そういう過剰サービスとか、いろんな現実にお互いが見聞をしているというような姿、それを一新しなければ、いわゆる出ていくのを制しなければ、入ってくるのに求めるということが当然出てくる。入ってくるのをきれいにすると同時に、出ていく姿についても、選良としての立場から、こういうものについて、悪いというものについては勇断を持ってやめていくという形で臨んでいくのが、この黒い霧解散後における各政党、お互い選良のまず当面の最大の任務ではないか、こう思うのでありまして、これらの点に対する総理の考え方をお聞きしまして、これで私、終わりたいと思います。
  182. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 角屋君から最後に、われわれの政治資金の問題について意見を述べられました。私は、今回の選挙は、自民党は出直し解散ということを申しておりました。いわゆる不祥事件をめぐりまして、国民の政治に対する信頼をなくしてきた、これを取り返さなければならない、そのために国民の上審判を受ける出直しの解散だ、選挙だ、かように実は考えたのであります。したがいまして、選挙の済んだ今日、われわれは姿勢を正す。これは姿勢を正すだけではない。実効をあげていかなければならない。実効をあげるのに、まず第一は、いま御指摘になりました政治資金の問題。ただいまお話にもありましたように、政治には金がつきものでございます。金は必要なものは必要なんだ。ただいま、過剰サービスあるいは選挙区における花輪その他等々の番付なども、これはひとつやめようじゃないかというようなお話がございます。出ずるを制するという、その意味において入るも制しなければならない。そこで、政治資金の規正の問題が起こるわけであります。これはただいま各政党とも真剣に考えておる。しかし、いままで選挙区に対する皆さん方のサービスは、たびたび申し合わせをしても、なかなか実行されなかった。今回のようにいよいよ金が入らないということになると、出しようがないから、今度は必ず守られるだろうと私は思います。せっかくそういう意味選挙制度審議会に諮問しております。聞きますところによると、もういよいよ結論を出すのも間近になっている、こういう状態であります。私は、この問題について、いろいろの問題がある。現状においてはどうだとか、理想はどうだとかいうようなお話がございますが、とにかく現状に即してこの問題を、国民から信頼がいくというか、国民の納得のいくような方法で処理したい、かように私は決意いたしている次第であります。どうかよろしくお願いいたします。
  183. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 以上でもって終わります。若干時間が延びましたことを御了承賜わりたいと思います。(拍手)
  184. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて角屋君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十二年度断定予算に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  185. 植木庚子郎

    ○植木委員長 引き続きこれより昭和四十二年度暫定予算について討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。北山愛郎君。
  186. 北山愛郎

    ○北山委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十二年度暫定予算三案に対し、反対の態度を表明するものであります。  本年度の予算編成は、一月選挙によって中断されましたが、総選挙の前後を通じて例年のような予算ぶんどりが行なわれたことは、まことに遺憾に思うのであります。昨年、公債発行が導入された結果、本年においても、政府良民党の予算編成への態度は、ますます慎重を欠き、各種の圧力団体、地方自治体その他の関係者も参加して、入り乱れてのぶんどり合戦の末、例のごとく大蔵省の隠し財源が気前よく分配されたのであります。この放漫な予算編成のやり方のもとで公債が発行されることの危険性を、一そう痛感せざるを得ないのであります。  さらに、私が遺憾に思いますことは、本年度予算編成についての社会党、民主社会党、公明党三党の協定に基づく共同申し入れに対し、政府が一顧をも与えない冷淡な態度であります。消費者米価など物価の抑制、中堅以下の勤労者、事業者に対する減税、経済成長によって激化された交通難、住宅難及び公害等五項目についての三党申し入れば、広範な国民大衆の要望を代表したものであると信じますが、政府は野党の意見を尊重すると口に言いながら、事実においてその要請に応じ、予算編成に再検討を加えるだけの一片の誠意も示されなかったことは、了承しがたい点であり、深く遺憾に存ずるものであります。  以下、数点について、暫定予算案反対の理由を申し述べます。  第一は、無計画な公債発行についてであります。  昨年、公債を導入される際の政府の方針は、いわゆるフィスカルポリシーといわれる景気調整のための公債政策であったのでありますから、景気が上昇し、産業活動が過熱化し、物価の上昇と国際収支の悪化が憂慮される現状においては、公債発行をやめ、あるいはこれを大幅に削減することが当然であります。しかるに、本年は、昨年の公債七千三百億に対して八千億と、逆に七百億円を増額し、政府保証債についても一千百億円をふやしているのであります。このような筋の通らない放漫な財政政策には、断じて賛成はできないのであります。しかも、一年おくれに国債の日本銀行の買い入れまたは担保貸し付けを認めることは、インフレに通じ、実質上財政法違反を犯すものであります。すでに公債は急速に累積し、信頼できる償還年次計画すらも示されないのであります。昨年とは全く経済環境を異にする今日における公債発行の是非は、あらためて慎重に検討すべき重要な政策であり、これを軽々に暫定予算に計上することは許されざるところであります。  第二は、物価抑制について何らの配慮をせず、逆に、消費者米価をはじめとし、健康保険料の値上げなど、むしろ物価上昇に拍車をかけていることであります。しかも政府は、農業基本法農政は完全に破綻し、農畜産物の生産は停滞し、生鮮食料品高騰を招いているのに、これに対してはほとんど見るべき対策を講じておらないのであります。これら政府の物価対策の無策と、公債発行、インフレによって、ますます消費者物価の高騰と国民大衆の生活を圧迫することは明らかであります。  第三点は、税制改正についてであります。  勤労者軽視、大企業と金持ち階級優遇のわが国の税制は、租税公平の大原則に反し、大衆の憤激の的であります。  本年度は、給与所得に対し、標準世帯の非課税限度を約十万円引き上げたとはいえ、減税額はわずかに千九十億円であります。約八千億円以上と見込まれる租税の増収の中では、全く申しわけばかりの減税にすぎません。これでは米価をはじめとする物価値上がりにも追いつけないことは明らかであります。反面、政府は、本年三月末をもって期限切れとなる利子配当所得の分離課税をさらに三年間延期することを決定しましたが、昭和二十八年以来、資本蓄積の名のもとに暫定的に続けられてきたこの金持ち減税をさらに延伸することは、絶対に承服し得ないところであります。この制度は、資産階級のばく大な財産の隠匿と脱税を許し、配当所得の税額控除と相まって、数千万円の株券を所有する者に対しては、標準世帯二百二十六万五千円の配当所持があっても、所得税は一文もかからないという結果になっておるのであります。高校新卒の就職者も、一万七、八千円の月収があれば所得税がかかるのに、資産家に対しては、利子配当の分離課税をはじめとし、株式の譲渡所得を非課税とし、あるいは法人の受け取り配当の益金不算入の制度など、至れり尽くせりの優遇を行なっていることは、他の資本主義国にも例を見ないところであります。わが党は、このような資産階級擁護の税制に反対し、給与所得者に対する標準世帯百万円までの非課税限度引き上げのすみやかなる実現に努力するものであります。  第四は、防衛費増額と国民生活軽視の点であります。  政府は、第三次防衛力整備計画を決定し、昭和四十六年まで約二兆三千四百億円の膨大な軍備拡充の方針をきめましたが、これによって喜ぶのは、軍事支出によって金もうけをたくらんでいる兵器産業、死の商人であります。国民は、この憲法違反の自衛隊増強によって年々約四百億円もふくれ上がる防衛費を負担しなければなりません。これによって、国民生活は圧迫をせられ、いわゆる社会開発に支障が生まれ、社会保障が立ちおくれることは明らかであります。政府は、部分的には、生活保護の生活扶助基準、失対賃金など、若干の改善の点はあるにしても、厚生、労働、教育、住宅、生活環境対策など、また、交通、医療、公害など、今日国民生活が直面しておる複雑にして困難な問題の根本的解決のため体当たりする姿勢は、どこにも見ることができないのであります。防衛長期計画はできても、社会保障の計画はつくられておらないのであります。ミサイルや戦闘機の整備のためにはばく大な国費を計上しながら、広島、長崎の原爆被爆者の生活保障に対するわずかな予算は惜しんでおるのであります。われわれは、危険な軍国主義への道につながり、国民生活圧迫の政府案に対して、断固反対の意思を宣明するものであります。  なお、一言つけ加えたいことは、議題となりました四、五月の暫定予算案は、以上の基盤の上に立つ予算のうち二カ月分のいわば部分的な応急の予算でありますが、しかし、その内容は、一般会計をはじめ四十六の特別会計、十四の政府関係機関予算並びに財政投融資など、膨大複雑な内容を含むものでありまして、これを短時間の間に審議する必要があればあるほど、審議に関係する資料はすみやかに提出しなければならないにもかかわらず、支出各日明細書などその提出がおくれましたことは、まことに遺憾であります。従来の予算案審議にあたりましても、予算案そのものの内容に突っ込んだ実質審議がきわめて不十分であり、多くの改善を要する点が少なくないのでありまして、予算不在の予算委員会の観を呈する場合が少なくなかったのであります。予算制度につきましては、これらの予算制度並びに予算に対する国会の審議の抜本的な改革のために、国会及び政府が真剣に取り組む必要を痛感するものであります。私は、この点につきまして、この予算制度並びに予算案国会審議に関する根本的な、抜本的な改革について政府並びに国会において調査、検討することを強く要望を申し上げまして、以上反対討論を終わるものであります。(拍手)
  187. 植木庚子郎

    ○植木委員長 八木徹雄君。
  188. 八木徹雄

    八木(徹)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十二年度一般会計暫定予算外二案に対し、二、三の所見を申し述べ、賛成の意を表明するものであります。  明年度総予算は、総選挙後の新内閣のもとで鋭意編成を急ぎ、今月十三日国会への提出を見たのでありますが、政府においては、従来の審議期間等を勘案し、年度内に総予算成立は不可能と見て、四、五月分にかかわる暫定予算を今月二十日に提出したものでありまして、この点、予算実施経過措置として妥当なものと存ずる次第であります。  さて、私は、以下二、三の点について所見を申し述べます。  まず第一に、暫定予算は、元来、本予算成立に至るまでのつなぎ予算として、新規の事務、新規の政策はできるだけ計上を差し控え、当面の国政運営に支障を来たさない範囲における必要最小限度の基準的経費にとどむべきものと考えるのでありますが、今回のごとく本予算が暫定予算に先立って国会に提出されている場合には、ある程度本予算を基礎として編成いたすことは当を得た措置と申さなければなりません。  過日本委員会において示された大蔵大臣の編成方針は四つに要約されると思うのであります。すなわち第一に、人件費、事務費等の経常的経費のほか、既定の施策に基づく経費は計上するが、新規の施策費は原則として計上しない、第二に、法令に基づく義務的経費は四十二年度提出予算に基づき二カ月分を計上した、第三に、教育及び社会政策上の見地から暫定予算の期間といえども放置できないものについては、新規の施策を計上した、第四は、公共事業については先例等にかんがみ特に配慮している、ということでありまして、まことに時宜を得た妥当な方針と認めざるを得ないのであります。特に新規政策として生活扶助基準一二・五%、失業対策事業における賃金日額約一三%の引き上げ、また大学入学志願者の急増に対処して学科の新設、拡充、教職員の定数増加等を行ない、大学生三千七百四十五人の募集増加を行なうことといたしたこと、さらに育英事業として、育英資金の貸し付け対象人員の増加、貸し付け月額の増額をはかったことなど、現下社会的諸情勢より見ていずれも適切妥当な措置であり、政府の英断に対しあらためて敬意を表する次第であります。  このほか、公共事業では積雪寒冷地の事業、災害復旧事業等について特別の配慮をいたしていることも適切な措置であり、また日本輸出入銀行に対し三百七十億円の出資をいたしていることも、輸出振興の重要性にかんがみ時宜を得た措置と存ずるのであります。  なお、暫定予算の審議において論議されたおもなる問題は公債発行問題でありましたので、本問題について一言触れておきたいと存じます。  すなわち、本委員会において野党の諸君は政府の公債政策にしばしば論及され、公債は発行すべきではないと主張いたしておるのであります。その論拠は、一つには、公債の発行はしょせんインフレを招く、二つには、現下の経済情勢から、経済過熱の危険がある、三つには、暫定予算には予算の性格からして公債発行のごとき新規施策に類するものは盛り込むべきではないというのであります。第一、第二の論点は公債発行の本質論であり、来たるべき本予算の討論において十分に論及いたしたいと存じますから、この際は省略することといたします。  第三の点について一言申し述べておきたいと存じます。もとより暫定予算は、審議の促進をはかるため、その内容には論議をかもすごとき政策はできるだけ盛り込むべきではないことは当然でありますが、明年度予算においては市中公募を原則として総額八千億円の発行を予定いたし、このうち暫定予算において千八百八十億円を発行することといたしております。このことは、わが国の金融情勢が四月、五月は緩和する時期であり、この好期をとらえて相当額発行いたすことが、年度を通じて公債の円滑な市中消化を確保する意味できわめて時宜を得た措置であり、またこの千八百八十億円は予算に計上された公共事業費二千三百七十八億円をはるかに下回るのみか、昨年同期に発行された千九百億円を若干ながらも下回ることにも着目するならば、公債発行についての政府の慎重なかまえすらうかがい知ることができるのでありまして、野党の主張には承服することができないのであります。  なお、明年度所得税を中心として減税を実施するに伴い、給与所得の所得控除の引き上げ、退職所得の特別控除の引き上げ等を四月分の源泉徴収から実施することといたしましたこと、さらに本年四月末までに期限の到来する国税の特別措置等について、本年五月末までその期限を延長する措置を講じておることも適切な措置と存ずるのであります。  以上をもって私の賛成の討論を終わります。(拍手)
  189. 植木庚子郎

    ○植木委員長 小平忠君。
  190. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、民主社会党を代表し、ただいま議題となっております昭和四十二年度暫定予算三案に対し反対の討論を行なわんとするものであります。  言うまでもなく、今回の暫定予算の措置は総選挙による政治的空白と、これに基づく予算審議の遅延によって当然とらなければならなかった措置であることは明らかであります。したがって、今回の暫定措置それ自体に対し、わが党はこれに異議を唱え反対をしようとするものではございません。わが党が本暫定予算案に反対する根本の理由は、そのような手続に対してではなく、暫定予算の内容そのものに対してこれを容認することができないからであります。  言うまでもなく、過去四回にわたって作成されました暫定予算は、本予算成立までのつなぎとして文字どおりの事務的な暫定予算でありました。したがって、その内容もこれまでの慣例では、前年度を基準にした事務的経費を計上するだけにとどまっていたのであります。もしこのような方針に沿って今回の暫定予算を編成するのであるならば、その歳出規模はおおむね六千八百三十億円程度になるはずだと指摘されております。しかるに今回に限って従来の方針をくつがえし、本予算案をまず編成して、その基本線に沿って大幅に政策経費を盛り込んだ暫定予算を編成したのであります。私は、本予算案が国会においていまだ決定されない状態の中で、かくのごとく大幅な政策経費をつなぎの暫定予算案に盛り込んだことは、明らかに暫定予算としての限界を逸脱するものであり、これを容認することはできないのであります。われわれが本暫定予算案に反対する第一の理由はこれにあるのであります。  筋二の理由は、わが党は、すでに本委員会においても明らかにしたごとく、本予算案に対して根本的な疑義を持っております。それは、先般の総選挙においてわが党は政府に対し国民生活の重要課題に関する公開質問状を出し、物価、住宅、減税などについてその予算化を要求すると同時に、選挙後再び、四十二年度予算案の編成についても具体的な申し入れを行なったのであります。しかるに政府の本予算案では、このわが党の要求を無視しているのみならず、政府選挙国民に明らかにした公約さえも踏みにじっているのであります。かくのごとき本予算案を基礎にし、わが党の政策と根本的に対立する形で編成された今回の暫定予算案、それは国民の期待に大きく反するものであります。わが党は以上の観点から、とうていこれに賛成することはできないのであります。これが本暫定予算案に反対する第二の理由であります。  次に、私は内容に立ち入って一、二問題を指摘し、政府に再検討を促したいと考えます。  その第一は、国債の発行についてであります。今回の暫定予算案におきましては千八百八十億円の国債発行が予定されておりますが、これは、言うまでもなく、昭和四十二年度発行計画八千億円の一環であります。政府は国債導入にあたって、フィスカルポリシーの原則を守ることを国民にこの議場を通じて確約したのであります。さすれば、今年は景気が立ち直り、昨年当初の状況とは全く一変していることがだれの目にも明らかであります。このような状態の中で四十一年度発行額六千六百五十五億円の約二〇%増にあたる八千億円の発行を計画することは、みずからフィスカルポリシーの原則を踏みにじるものでありまして、インフレ政策もはなはだしいといわなければなりません。政府は、物価問題懇談会が昨年の十月に提案した線に沿って、四十二年度の国債発行額は四十一年度の額を下回るよう大幅に減額すべきであります。したがって、この計画の一環として今回の暫定予算案に計上されております国債も、これまた大幅に減額することが当然であります。  第二点は、物価対策についてであります。  政府は、今回の暫定予算案を、従来の方針を大幅にくつがえし、政策予算を盛り込んだ大型暫定予算にしたにもかかわらず、その基調は、相変わらず経済の景気振興に重点を置き、現在最も緊急に手を打たなければならない物価対策費については、単なる事務的経費程度にしか計上されていないのであります。これは現在国民が最も期待する物価対策に全く背を向けた態度といわなければなりません。  以上が、本暫定予算案に対する反対の理由であります。  わが党は、政府に対し、この際、以上の見地に立って、本暫定予算のあり方を再検討することを求めるとともに、上述のわが党の趣旨を参酌して、その根本的組みかえを行なうよう要求いたし、ここに民社党を代表して、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)
  191. 植木庚子郎

    ○植木委員長 伏木和雄君。
  192. 伏木和雄

    ○伏木委員 私は、公明党を代表して、四十二年度暫定予算三案に、以下特に二点を申し上げて、反対の討論を行なうものであります。  反対理由は、暫定予算の性格であります。暫定予算は、できる限り厳密に、国政運用に不可欠の事務的費用に限るべきでありまして、政府の都合によって伸縮自在とすることは悪例を残すことになり、わが党の絶対認められない点であります。  その第一点は、今回の暫定予算は従来の暫定予算と異なり、国債、公共事業費を大幅に計上いたしておるのでありまして、過去四回の暫定と性格を一変しております。国債一千八百億円と公共事業費は、四十一年度景気対策として大幅にふくらませた事業費の四分の一を計上したのは、納得できないのであります。四十二年度の財政は引き締め型でなければならないのに、スタートの二カ月間に二千三百億円をこすような公共事業を行なう必要を認めませんし、そのことは必ずや景気を刺激し、過熱を招くことをおそれるからであります。  反対理由の第二は、暫定の中に公債発行一千八百八十億円を盛り込んだことについてであります。四十一年当初は、高度成長政策の行き過ぎにより招いた不況を克服するため、政府は、景気刺激対策として多額の公債発行に踏み切ったのであります。わが党は、赤字公債の発行による財源確保には強く反対したのであります。それは直ちにインフレに結びつき、国民大衆の生活を苦しくする危険が大きいからであります。大量の公債を市中消化することになれば、市中金融は逼迫し、起債市場は大きな負担となるのであります。起債市場は、国債のほかに大量の政府保証債及び公社債の消化も行なわなければならないのであります。そのためには、大蔵省証券の発行を先行させたり、短期証券の日銀引き受けによるなど、人為的に無理をして金融の緩和基調を続けていかなければならないという、ゆがんだ形の金融情勢をつくり出しております。このような状態を続けなければ、市中公募は不可能で、国債の消化は困難となるのであります。四十一年度にこのような無理をして国債を発行してきましたが、本暫定では、政府は四、五月の金融緩和期に一千八百億円を発行しなければ、年間八千億円の発行が不可能になると説明しておりますが、これはまさに国債の市中消化が行き詰まったことを政府みずからが告白したにひとしいのであります。このような特定の時期に売らなければ売れない国債は、出すべきではないのであります。四十一年度の不況時と、四十二年度の景気行き過ぎが心配されるときの公債の性質は全然異なっております。しかるに政府は、公債発行を四十一年度は景気浮揚のためといい、四十二年度は景気鎮静にも使えるような説明をしておりますが、これは納得できないのであります。かかる点で、四十二年度の公債は、いわば公債の新政策といわなければならないのであります。  このように幾多の問題をかかえている公債を、いまだ本予算において十分審議を尽くしていないうちに、いかなる理由があるにせよ暫定予算に入れることは承知しかねるのであります。百歩譲って、前年度大量の公債を発行してしまった今日では、全額をとめることは不可能としても、漸次減少の方向に進めるべきであります。したがって、四十一年度実質六千六百億円以下にすべきであります。わが党の代表が審議の段階で明らかにしたとおり、好況による税の増収は相当多額に出ることが予想され、また大蔵大臣も年度中に税の増収があることを認め、その分を国債発行の減額に回すことを明らかにしております。少なくとも、暫定予算に国債発行を予定すべきではありません。当面不足する歳入は、大蔵省証券の発行ワク五千億円があれば十分まかなえるのであります。  以上二点を指摘し、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)
  193. 植木庚子郎

    ○植木委員長 谷口善太郎君。
  194. 谷口善太郎

    谷口委員 私は、日本共産党を代表して、昭和四十二年度暫定予算三案に反対の態度を表明するものであります。  その理由は、まずこの暫定予算案は、行政上最小限の基準的経費のみを計上し、新規政策のための経費の計上は避けなければならないという財政法の精神に反して、四十二年度本予算案に組まれた新規政策費の多くを盛り込み、また異例にも一千八百八十億円もの赤字公債の発行を組み込んでおることであります。それゆえに、われわれは四十二年度本予算案と関連してこれを論じなければなりません。  第一に、佐藤内閣はますます凶暴になるアメリカ帝国主義のベトナム侵略戦争に加担し、アジア侵略のためのいわゆる日米安全保障体制を堅持するばかりか、自衛力の自主的整備と称して、アメリカの核のかさのもとに、日米共同作戦のために、膨大な第三次防衛力整備計画によって自衛隊の増強とその核武装を進め、また核拡散防止条約に賛成するなど、わが国へのアメリカの核兵器持ち込みを合法化しようとしております。  さらに徴兵制の準備のために、自衛隊適格者名簿を作成し、紀元節を復活し、小選挙区制を準備するなど、軍国主義的政策を一段と強化しておりますが、この政策は、暫定予算においても防衛費の増加として盛り込まれております。  第二に、佐藤内閣は、資本取引の自由化によって、アメリカ資本の日本に対する浸透を許し、他方では、この対米従属のもとで、日本独占資本がアジア太平洋地域に向かって侵略的に進出するために巨額の人民の血税と資金を使用しようとしております。それは、この暫定予算においても韓国その他への援助、協力費として計上しております。  第三には、独占資本に奉仕するために、本予算案はもちろん暫定予算においてさえ。道路、工業用地、用水、港湾その他の巨額の公共事業費を計上していることであります。また、資本取引の自由化に備える国際競争力の強化と称して、独占体の集中、合併と、アメリカ資本との従属的結合を飛躍的に強化しようとしております。そのために、戦後最大の赤字公債を発行して、インフレと人民収奪をさらに激しくするばかりか、受益者負担と称して、消費者米価、健康保険料、公共料金など、当然国庫で負担すべきものまで人民負担とし、人民生活と社会保障制度を根底から破壊しようとしております。さらに労働者の首切り、近代化の美名による農業、中小企業、流通部門に対する独占支配の強化と取りつぶし政策を一そう強行するものであります。  佐藤総理は、政府の経済社会発展計画を自画自賛し、民族の巨大なエネルギーを生かして風格ある国家を建設すると大言壮語しましたが、以上のように対米従属をますます推し進め、軍国主義を復活し、一握りの米日独占体のために大多数の人民を徹底的に支配し、収奪する政策を強化している、これがこの実態であります。民族のエネルギーをいよいよ消耗し、破壊し尽くそうとするのがこの暫定予算案であり、また本予算案であると断言して差しつかえありません。  日本共産党は、以上の理由から、この暫定予算案に断固として反対するものであります。  以上であります。(拍手)
  195. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより昭和四十二年度一般会計暫定予算昭和四十二年度特別会計暫定予算昭和四十二年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  196. 植木庚子郎

    ○植木委員長 起立多数。よって、昭和四十二年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、おはかりいたします。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は付録に掲載〕     —————————————
  198. 植木庚子郎

    ○植木委員長 来たる四月三日から昭和四十二年度総予算に対する一般質疑に入ることにいたしますから、御了承願います。  次会は、四月三日午後一時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会