○曽祢
委員 時間の
関係で次の問題に移ります。
次には、いわゆる核兵器の禁止と拡散防止問題について申し上げたいと思います。
中共の核開発以来、核兵器の禁止とその一環としての核拡散の防止は、わが国の安全上、死活的な重要かつ緊急な課題となったことは、御
承知のとおりであります。そこで、核保有国がまず核兵器を縮小せよという議論、そんなことを言っていると、新たな核保有国がどんどん出てきてしまって、これはもう核兵器の禁止が不可能に近くなるから、いや新たな保有国の出現を禁止する、
つまり核拡散防止のほうが先だというような議論は、私はあまり
意味がないと思う。これは両方とも、言うならば並行して進められなければならない。片方が片方を条件にするような態度は、根本的に間違っていると思います。しこうして、最近中仏両国の核に関する独自の主張を前にいたしまして、御
承知のように米ソの接近が深まった。そうしてややもすれば、そのこと自身はいいけれ
ども、今度は米ソが一緒になって核を持ち得る潜在的能力ある国に対して、おまえらは核を持つなという、拡散防止という形における核拡散防止問題が非常にクローズアップしてきた。それが一昨日一応休会になりましたけれ
ども、いまのジュネーブにおける十八カ国軍縮
会議において、今度こそ何か核禁条約ができそうだという急な高まりが起こったのは、そういうバックグラウンドの結果だと思います。
そこで、いまこそ、わが国は核に関する潜在的能力においては確かに自信を持って、中仏に次ぐのはわが国だと思ってよろしいと思いますが、単に核問題を論議することすら何かタブーであるというような
考えを改めて、あくまでわが国は核武装しないという基本
方針を貫きつつ、同時に、核保有国のかっては許さない、核兵器をやめさせること、究極的になくすことと同時に、平和的な核開発は徹底的にやるということを目ざして、一方においては国論を統一し、他方においては強力な外交を展開すべきではないか。わが平和外交のもう一つの幹は、ベトナム戦争終結に努力することと、やはり核に関する平和外交だと私は
考える。ところが、昨日同僚の石橋
委員が指摘されたように、どうもこれだけ世界も
国民も注目している問題に対する
政府の態度が、まあ一吏僚と言っちゃ失礼かもしれませんが、外務省高官の――これは私は警告的発言だったと思います、それがあったのに、
総理は二月十八日の記者会児では、この問題についてはむしろことばを満したような――ある新聞の論評でも言ったように、ドイツのキージンガー首相が、その内容のいい悪いは別として、はっきりとドイツの言わんとするところを言っているのに対して、
総理の態度はこれは逃げ腰です。ステーツマンシップがございません。今度の施政
方針演説においても、核拡散防止条約の精神に賛成だ、非核保有国の立場も尊重されることを望む、まるで人に頼んでいるような、全く何か力が足らない。私は、これは残念ですけれ
ども、ステーツマンシップがない。さらに、わが党の西尾
委員長の提案である非核クラブについても、
総理は賛成とはっきり言われ、翌日になって官房長官はあわてて――証拠物件はいつでも読み上げますが、時間の
関係で省略しますけれ
ども、実際は積極的にはやらないんだぞという、水をぶっかけるようなことを言っている。今度は三木外務
大臣が、さすがにセンスがいいとみえて、核拡散防止問題については、これは超党派外交の踏み出しにしよう。しかし、何といっても、
政府にはこの問題について真剣に
考えて積極的に中外に呼びかけるという態度がない。これは私は残念です。ことにこの問題について、昨日もどのくらいの
期間のゆとりを持って
考えたらいいかという有益な
質疑応答がございましたが、私をして言わしむるならば、拙速がいいとか、あるいは時間をかけても完全なものをつくったほうがいいかといえば、それはもう後者のほうがいいにきまっているというようなものの、しかし、わが国だけのイニシアチブではきめられないファクターがある。したがって、五月九日までの十八カ国軍縮
会議の休会という時点は、私はこれは非常に重要であると思う。もしこの際におたおたして何も言わなければ、何といってもこれはゲームセットですよ。そんなおたおたしていることではいけないので、やはりこういうものはタイミングが非常に重要だ。したがって、私をして言わせるならば、いまからでもおそくはない。いままでのことを誓うのではない、大きな問題なんですから。だけれ
ども、あさってではもうおそ過ぎるという、それだけの切迫感をもってこの問題に対する
政府の態度をより明確にし、
国民の支持を求めて、そしてあらゆる形の国際外交――なかんずくアメリカさんにお願いします、ソ連に話せばいい、その態度だけではだめです。高利貸しから金を借りればいい、自前の
資金は要らないというのと同じことですよ。私は、アメリカに対して反抗的な態度をとれと言っているのではない。しかし、核保有国と持たざる国との
考えは、違うのがあたりまえです。日本と西ドイツとの違う点はあるけれ
ども、それだったら、なぜあなた方日本
政府は、国連総会においてAAグループとも話をするのですか。非核グループをつくって話をするのがあたりまえじゃないですか。私は、そういう
意味から、
政府がもっとこの際に、基本的な態度において核問題にまじめに取り組んでもらいたいと思うのです。まず、この基本的な態度について
伺います。
総理大臣から
お答えを願いたい。