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春日委員 ぜひとも、ひとつ
総理御協力を願いたいと思う。中小企業者の税負担の軽減をはかるためにも、徴税理論に筋を通してまいりまするためにも、このことは、今回地方税制の中で一言も触れられていないということは片手落ちであると思う。すみやかに何らかの措置をとられることを強く要望いたします。
次は、この際、税の苦情に対する租税審判所の設置の問題について、ひとつわが党の考え方を申し述べて御判断を得たいと思います。
現在、国税庁または国税局に協議団がございます。けれ
ども、これは
長官または
局長の諮問機関でございまして、しかも、協議官は税務職員のみで構成されておるのでございまするから、苦情処理を受けて、そうして国の側に立って公正なる判断をなさなければならないところのその職員の身分、これは税務職員である。だから、言うならば、これは苛斂誅求に当たる御同役、悪く言うならば同じ穴のムジナと言っては失礼だけれ
ども、同じ身分であり、同じ
機能であり、同じ
使命をになわれておる諸君である。そういうような諸君によって苦情処理をさしておったところで、これは
最終的な問題解決にはならない。したがいまして、この際、税務争訟については、これを審判するために厳正なる第三者機関、何かこれは行政
委員会のような性格のもとに、たとえば、租税審判所というようなものを設置すべきであろうと思うがどうかという問題。この問題は、アメリカの制度をいろいろと調査をしてみたのでございまするが、さすがにアメリカにおいては、すでにその制度が設けられております。問題は、租税審判所設置について、税務官署と司法裁判所との
関係をどう調整するかという問題でありまするが、これは、ただいまお手元に配付いたしましたわが党の参考資料の中に租税審判所設置法案、わが党の案が要綱としてまとめて提示されておりまするから、時間がないままに、後日ひとつ御検討願いたいと思うのであります。これは言うならば、納税者が税務署長の
処分に不服があるときは、その上級行政庁である国税
局長に審査請求をすることができる、そうして国税
局長の裁決になお不服があるときは、そこで初めて租税審判所に持ち込んでいく、租税審判所は司法裁判所の裁判の前審であるという地位、これを有するものとして、そうしてこの租税審判所は内閣直属の行政
委員会、そうして国税局の設置場所ごとにこの租税審判所を設置して、準司法的
機能をこれに与えていく、そうして租税審判所の裁決にかかる争訟については、裁判所としての第一審の裁判権は東京高等裁判所に専属せしめることにする。これが大体租税審判所設置のわが党の構想でございまするけれ
ども、現実には、現在
憲法に保障されておる
国民の財産権が、現在の徴税制度のもとにおける苦情処理機関の限界では完全に擁護されてはいないと見るべきである。国家権力をかさに着た徴税当局がどんどんやっていく。そういうようなものに対して、
国民としては、力
関係で一々自分の財産権を一〇〇%擁護することができない。協議団へ行ったところで、これが救済機関というような構想で設けられておるけれ
ども、これは気休め的であって、少なくとも、徴税当局が決定したものを、これは間違っておるといってくつがえした決定をするということは、まあ統計では相当出ておるようでございまするけれ
ども、実質的には、事前に却下されたりして、実際
国民の財産権は完全に擁護されてはいない。民主主義の本山アメリカにおいてなし得ておりますこのことを、日本においても制度として取り入れるべき必要性がなくはないか。この問題は時間がありませんままに、資料としてここに提示をいたしておりまするので、塩崎君も参られておるけれ
ども、真剣に内閣の問題としてどうかひとつ御検討を願いたいと思う。いずれ他の
委員会でこれについてはお伺いをいたしたいと思います。
次は、産業政策についてお伺いをいたしたいのでありますが、問題は、資本の自由化を控えて産業体制整備の必要性がいよいよここに高まってまいった。ところで、過般設定された経済社会開発計画では、産業体制の整備とは企業の合併、統合ないしはその過程における投資調整、共同投資、こういうようなことを
意味しておるようでございます。これは三十年代におけるわが国産業の発展が、多数の企業のシェア競争によってさまざまな弊害をもたらしたことの反省の上に立ってなされたものと思うのでありまするが、これを産業界の自主的な
立場でのみ行なわれようとしている点に私は問題があると思うのでございます。このことは、鉄鋼の設備調整問題一つにしても明らかなとおり、うまくいかないではございませんか。さらにまた、やってみればいろいろな弊害があらわれてくるじゃございませんか。また逆な
意味では、巨大企業や寡占体制をいたずらに強化する、こういうことにもなりかねない。したがいまして、真にナショナルインタレストに立脚した産業体制を整備するためには、ここに私
どもがお手元に配付いたしました重要産業基本法案、こういうような法律をつくる必要がなくはないか。先般特定産業振興臨時措置法でありましたか、
政府提案で出されたけれ
ども、さまざまな抵抗があってこれが廃案になりました。そうして、この特定産業振興臨時措置法というような、わが国の重要産業、基幹産業のあるべき姿を法律的に規制しようとしたような重大政策が、自来、数年間不問に付されて今日に至っておるということは、これは捨ておくべき事柄ではないと思う。したがいまして、この際すみやかに何らかの措置がとられなければならぬ。いまや、ここに資本の自由化を前にして、このような野放し体制ではいかぬ。産業体制に対して何らかの措置をとらなければならぬけれ
ども、どういう施策があり得るか。
これに対する私
どもの研究は、この重要産業基本法案の制定である。わが国の産業体制を整備するためには、シェア拡大競争のような自由放任体制、これをため直していかなければならぬ。それから最も肝心なことは、企業の社会的
責任体制を確立していかなければならぬと思う。現在、企業が資本主義だ、自由経済だといっておりますけれ
ども、日本の企業の資本構成というものは、企画庁の統計によれば、自己資本が二〇%であり、他人資本が八〇%である。しかも、その借り入れ資本の原資というものは、主として銀行からの調達でございましょうけれ
ども、それは大衆の預金であり、銀行の金の足らざるところは日本銀行から借りた国家的性格の金である。だから社会資本である。だから、日本の資本主義は単なる自由経済のもとにおける資本主義ではなくして、意地悪く言うならば、他人資本主義であり、資本主義そのものの形態から名づけるならば社会資本主義である。こういうときに、企業の体制を自由放任のままに許しておくということは適当なことではないと思う。何らかの規制を、資本自由化に備えて、民族産業擁護の
立場からも、そのような社会的性格を持っておる企業の社会的
責任を明らかにするためにも、立法措置が必要であると思うが、この点はいかがでありますか。経済企画庁、通産大臣、大蔵大臣、三者から伺いたい。