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1967-07-10 第55回国会 衆議院 本会議 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十日(月曜日)     —————————————  議事日程 第三十号   昭和四十二年七月十日    午後二時開議  第一 原子力基本法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第二 動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提   出)  第三 昭和二十二年以前の郵便年金契約に関す    る特別措置法案内閣提出)  第四 通学路に係る交通安全施設等整備及び   踏切道構造改良等に関する緊急措置法案   (大久保武雄君外二十四名提出)  第五 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正   する法律案内閣提出)  第六 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律   案(内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  地崎宇三郎君の故議員横路節雄君に対する追悼   演説  日程第一 原子力基本法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第二 動力炉・核燃料開発事業団法案(内   閣提出)  日程第三 昭和二十二年以前の郵便年金契約に   関する特別措置法案内閣提出)  日程第四 通学路に係る交通安全施設等整備   及び踏切道構造改良等に関する緊急措置法   案(大久保武雄君外二十四名提出)  日程第五 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を   改正する法律案内閣提出)  日程第六 防衛庁職員給与法の一部を改正する   法律案内閣提出)    午後二時二十六分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御報告いたすことがあります。  議員横路節雄君は、去る六月十四日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る六月十六日贈呈いたしました。これを朗読いたします。   〔総員起立〕  衆議院は多年憲政のために尽力された議員横路節雄君の長逝を哀悼しつつしん弔詞をささげます      ————◇—————  故議員横路節雄君に対する追悼演説
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) この際、弔意を表するため、地崎宇三郎君から発言を求められております。これを許します。地崎宇三郎君。   〔地崎宇三郎登壇
  5. 地崎宇三郎

    地崎宇三郎君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員横路節雄先生は、去る六月十四日、青山の議員宿舎において急逝されました。  先生は、なくなられるその日の午後、会館に私をたずねてこられましたが、用談が済んでからも、さきに行なわれた地方選挙のことや、かつて北海道知事選挙に立候補した当時のことなど、時のたつのも忘れたかのように、次から次へと懐旧談をされた後、翌日の再会を約して別れたのであります。しかるに、その印象もさめやらぬうちに、突然先生の訃報に接した私は、しばしわが耳を疑い、どうしても信ずることができなかったのでありますが、やがてそれが疑うことのできない事実と知ったとき、言いようのない驚きと悲しみにぼう然自失するばかりでありました。  私は、ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしん追悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  横路先生は、明治四十四年一月、北海道夕張市にお生まれになりました。父君炭鉱労働者として、当時の過酷な労働条件の中で働いておられましたが、先生は、幾たびか病床に倒れながらもなお働き続ける父君の姿を見守りつつ、幼少時代を過ごされたのであります。  向学心の旺盛な先生は、長じて札幌師範学校に進まれました。昭和六年卒業するや、直ちに郷里の小学校に勤務し、若き情熱とあたたかい愛情を傾けて児童教育に当たってこられましたが、この間、あまたの教え子を戦場に送られた先生は、そのたびに耐えがたい思いに苦しまれたのでありまして、そこには教え子を限りなく思う心情が如実にあらわれているのであります。これらの教え子たちが、いまに至るまで変わらずに先生を敬慕し、進んで支援の手を差し伸べていたのも、先生から受けた感銘のいかに深かったかを物語るものであります。(拍手)  戦後、わが国に平和がよみがえるや、教育界民主化教職員の地位の向上を目ざしていち早く立ち上がり、感激と希望に燃えて教職員組合結成のため、懸命に奔走されたのであります。  先生の献身的な努力が、二十一年二月、札幌教員組合の誕生となって実り、さらに先生は、翌二十二年二月には、全道の組織化をなし遂げて委員長につき、引き続き日本教職員組合結成に参加し、同年五月、これが成るや、推されて副委員長の要職につかれ、その指導、育成に日夜奮闘されました。日教組が今日あるのも、草創期における先生のなみなみならぬ苦心と努力によるところが大なのでありまして、その功績は、労働運動史上特筆さるべきものと信ずるのであります。(拍手)  平和にして、病気と生活不安のない社会実現、これは先生幼少時代教師時代における体験を通じて得た確固たる信念であります。この信念政治に具現すべく、かねて政界進出の決意を固めておられた先生は、道議会議員となって政治生活の第一歩を踏み出し、そして、昭和二十七年に行なわれた第二十五回衆議院議員選挙に際しては、北海道第一区から出馬して、みごと当選の栄を獲得し、本院に議席を占められたのであります。  本院議員として、横路先生は、地方行政、大蔵、文教、予算等の各委員会において幅広く活躍されましたが、とりわけ予算委員会においては、第十九回国会に、海運行政の問題を取り上げて政府を追及し、その人ありと知られて以来、諸君のすでに御承知のとおり、まことに目ざましいものがありました。  先生満身に闘志を込め、その緻密な理論と多くの資料を駆使して、問題の核心をついて迫るとき、その舌鋒の鋭さは峻烈をきわめ、言々火を吐くの感があり、ことに外交防衛問題を取り上げては、全く他の追随を許さないものがあったのであります。(拍手)  また、安保国会あるいは日韓国会において示された先生の獅子奮迅の活躍ぶりは、いまなおわれわれの記憶に新たなところであります。先生が何を叫ぶか、政府はもとより、同僚議員のひとしく注目するところであり、全国民もまた耳目をそばだてずにはいなかったのでありまして、横路質問こそ、まことに国会論議の白眉であったと申せましょう。  党内にあってもまた、国会対策委員長あるいは政策審議会長の重職につかれて、国会の運営に、あるいは社会党政策立案とその実現に大いに精進努力せられ、その本領を遺憾なく発揮されたのであります。  政党政治の健全な発展は、各政党がその政策を披瀝し、相競い合い、もって国民の批判を待つことにあります。このことにかんがみましても、先生がその論議を通じて、問題の論点を浮き彫りにし、国民の関心を大いに喚起して、国民の目を国会審議に定着せしめたことは、真に政治国民のものたらしめる上にはかり知れない大きな役割りを果たしたものと信ずるのであります。(拍手)  かくて、横路先生は、本院議員に当選すること八回、在職十四年八月に及び、その間、国政に残された功績は、まことに偉大なものがあります。  思うに、横路先生は、確固不動信念と鋭い洞察力をもってみずからの信ずる大道を邁進し、一たび事に当たるや、満身に熱情を燃やしてこれに臨むという熱血漢でありました。また、まれに見る努力家で、議員宿舎でしばしば夜の明けるまで資料の整理や研究に没入されていた姿は、同僚議員の語りぐさとなっていたのでありまして、先生が、屈指の政策通として党内外にその名をうたわれたのも、この不断の努力の所産にほかなりません。  先生は、若き日、アイスホッケーにテニスに、そのすぐれた技量をもって大いに活躍されたスポーツマンでありました。当時のスポーツによってつちかわれたものでしょうか、先生は人一倍のきびしさと、しんの強さを持つとともに、あくまでも明るくあたたかく、しかも広い心の持ち主でありました。  国政に対する真摯な姿勢と、この豊かな人間性とが相まって、先生はあらゆる階層の人たちから大きな信頼と期待を寄せられ、敬愛されるところとなったのであります。  過日の郷里での告別式は、イデオロギーを越えて、一般市民参列者があとを断たず、厳粛のうちにも盛大にとり行なわれ、先生を送るにまことにふさわしいものでした。私は、これらの人たちだれもが、こうべをたれて深い悲しみに耐えている姿に接し、その支持の広さと深さをあらためて感ずるとともに、しみじみと故人の偉大さをしのんだのであります。  横路先生、あなたはお年いまだ五十六歳、なお若く、しかも有為の材を抱きながら、雄図半ばにして盛んなりし生涯を閉じて逝かれました。先生を郷党の先輩として慕い、また、政治家としての力量と識見に敬服してやまなかった私は、今後一そうの御活躍に多大の期待を寄せていたのでありますが、いまやその期待もむなしくなり、ほんとうにかけがえのない方を失ったものと、痛惜の情いよいよ切なるものを覚えるのであります。  今日、内外の情勢を思うとき、先生のごとき前途ある有為政治家を失いましたことは、ただに日本社会党のみならず、国家のため、国民のため、まことに大きな損失であると申さなければなりません。(拍手)  ここに、つつしん横路先生の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りいたしまして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  日程第一 原子力基本法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第二 動力炉・核燃料開発事業団法案   (内閣提出
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第一、原子力基本法の一部を改正する法律案日程第二、動力炉・核燃料開発事業団法案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  7. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 両案を一括して採決いたします。  日程第一の委員長報告可決、第二の委員長報告は修正であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第三 昭和二十二年以前の郵便年金契約   に関する特別措置法案内閣提出
  9. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第三、昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案議題といたします。     —————————————
  10. 石井光次郎

  11. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 ただいま議題となりました昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案に関し、逓信委員会における審査経過と結果とを御報告いたします。  本案は、昭和二十二年以前に締結された郵便年金契約が、社会経済事情の変化によって、年金としての役割りを十分に果たし得なくなっている実情にかんがみ、これらの契約につき、年金の支払いにかえて特別一時金を支給する特別措置を定めようとするものでありまして、昭和二十二年以前の年金契約加入者は、昭和四十三年一月一日から同四十四年十二月三十一日までの間に、契約を消滅させる旨の申し出をすれば、年金及び分配金の将来分と特別の付加金とを一括して受け取ることができることとなっております。  逓信委員会においては、四月十八日本案の付託を受けて以来慎重審議を重ねたのでありますが、七月六日、質疑を終了し、引き続き、討論採決の結果、多数をもって本案はこれを可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 通学路に係る交通安全施設等の整   備及び踏切道構造改良等に関する緊急措   置法案大久保武雄君外二十四名提出
  14. 石井光次郎

  15. 石井光次郎

  16. 山下榮二

    山下榮二君 ただいま議題となりました大久保武雄君外二十四名提出にかかる法律案につきまして、本特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における交通事故発生状況にかんがみ、緊急に交通の安全を確保する必要がある通学路及び踏切道につきまして、昭和四十二年度及び昭和四十三年度の二カ年間において、国及び地方公共団体が一体となって、総合的な計画のもとに、通学路にかかる交通安全施設等整備事業及び踏切道構造改良に関する事業実施すること等により、通学路及び踏切道における交通事故防止の徹底をはかろうとするものであります。  そのおもな内容は、  第一に、通学路につきましては、現行の交通安全施設等整備事業三カ年計画を変更し、昭和四十二年度及び昭和四十三年度の二カ年間において、通学路にかかる交通安全施設等整備事業実施することといたしておりますが、その変更のための計画の案は、市町村都道府県及び国のそれぞれの段階において順次作成しなければならないことといたしておるのであります。  なお、これらの諸計画のすみやかな策定及び実施をはかるため、計画提出等につきまして、それぞれ期限を定めております。  第二に、踏切道につきましては、道路管理者及び鉄道事業者は、昭和四十二年度及び昭和四十三年度の二カ年間において、この法律の規定に基づき、踏切道整備事業実施することといたしておりますが、当該事業にかかる計画につきましては、通学路における場合と同様に、順次段階ごとに作成しなければならないことといたしておるのでございます。  なお、計画提出期限等につきましても同様の定めをいたしております。  第三に、国は、市町村実施する通学路及び踏切道整備事業に要する費用について、二分の一以上、三分の二以内を補助することができることといたしております。  なおまた、踏切道整備事業にかかる費用の負担、鉄道事業者に対する補助等及び地方単独事業に対する国の財政上の措置について定めております。  第四に、都道府県公安委員会及び道路管理者は、通学路及び踏切道について、これらの事業実施に即応し、計画的な交通規制実施踏切道統合等をはかることといたしております。  第五に、これらの事業に関する計画を策定する等のため、必要な国及び地方公共団体組織について定めることといたしております。  その他本法施行に伴う諸要の経過措置等を定めております。  本案は、自由民主党、日本社会党民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかるもので、七月六日本委員会付託され、同日、提出者を代表して古川丈吉君から提案理由説明を聴取し、質疑を終了した後、内閣より意見を聴取し、討論もなく、直ちに採決の結果、本案全会一致をもちまして原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇————— 日程第五防衛庁設置法及び自衛隊法の一部  を改正する法律案内閣提出)  日程第六 防衛庁職員給与法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  19. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第五、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案日程第六、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————   〔關谷勝利登壇
  20. 關谷勝利

    關谷勝利君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案は、陸海空を通じて自衛官を合計四千二百七十八人、自衛官以外の職員を五十三人、予備自衛官を六千人、それぞれ増員することとするほか、第七航空団司令部を埼玉県の入間基地から茨城県の百里基地に移すこと等を内容とするもので、六月九日本会議において趣旨説明が行なわれ、同日本委員会付託、六月十三日に提案理由説明を聴取したのであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、予備自衛官手当の月額を五百円増額して千五百円に改めようとするもので、三月二十九日本委員会付託、五月九日提案理由説明を聴取したのであります。  右二法案は、六月二十九日より一括議題として質疑に入り、慎重審議を行ない、七月六日採決の結果、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本日、二法案に関して発言があり、日本社会党民主社会党及び公明党各党委員より意見表明が行なわれましたことを申し添えておきます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  21. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 両案中、日程第五につき討論の通告があります。順次これを許します。楢崎弥之助君。   〔楢崎弥之助登壇
  22. 楢崎弥之助

    楢崎弥之助君 ただいま議題になりましたいわゆる防衛関係法案に対しまして、私は、日本社会党を代表し、反対討論をいたしたいと存じます。(拍手)  まず、反対基本的理由は、何としてもわが党がかねてより主張しておりますとおり、自衛隊存在そのものが違憲であるからであります。しかし、わが党といえども、自衛隊現実に存在している事実を否定するものではありません。したがって、自衛隊をいかに解消していくかについては、実現可能な条件とそのプログラムとをすでに国民の前に明らかにしているところであります。  第一、わが国の平和と安全が、まぼろしの脅威に対する軍事的対応だけで確保されるという発想そのものが、すでに現実的な意義を失いつつあるのであります。(拍手)  以下、私は若干その点に触れてみたいと思います。  昭和三十二年五月二十日付国防会議決定国防基本方針の中におきましても、また本年から始まる三次防の文言の中におきましても出てまいっておるのでありますが、自民党内閣は、国防基本日米安保体制を置いているのであります。すなわち、自衛隊は自前でわが国の平和と安全を防衛するのではなくして、日米安保体制のもとで、アメリカ戦略体系の中に組み込まれて初めてわが国防衛ができるという仕組みになっておるのであります。  昨年、安保論争国会で蒸し返されましたときに、外務省もまたそのことを裏づける見解を出しました。次のように言っておるのであります。日本安保条約五条によって、アメリカ核戦力が、日本に対する核攻撃を未然に防止するための、主たる抑止力をなしていると言っております。さらに、安保条約第六条によって日本米軍基地を提供しているけれども、日本にある米軍基地への武力攻撃を行なおうとする国は、安保条約第五条によって、日本防衛に当たる米国との間の武力衝突を覚悟しなければならない。対米戦争の危険をおかしてまで対日武力攻撃を行なうことは、実際問題としてほとんど考えられないことである。以上のように言っておるのであります。  すでにお気づきのとおり、ここにおいてはベトナム戦争に対する認識経験とがあざやかに忘れ去られておるのであります。なぜなら、現にベトナム人民アメリカ武力侵略に対して勇敢に戦っているではありませんか。しかも、国会審議を通じてすでに明らかになりましたように、このベトナム戦争に対して、日本は進んで安保条約の適用を許しております。そのことによって、日本はみずから中立的立場を放棄し、侵略のための基地を提供しております。さらに、その特需に応じ、LST日本人乗り組み員をあっせんするなど、役務を提供するだけでなく、お金と引きかえに大学と企業の中から学者と技術者施設とを供出して、アメリカ軍事科学技術下請機関となり、あまつさえ国家最高機密であるべき最新のデータを盛り込んだ軍用地図を提供するなど、わが国政治経済、学術、技術のすべてをあげてベトナムに対するアメリカ侵略に奉仕しておるのであります。(拍手)  このような形の中で、アメリカ武力侵略を受けておる国が、その侵略基地である日本軍事基地を攻撃しないでいるのは一体なぜでありましょうか。すでにアメリカ軍戦争をしている国とその人民が、あらためてアメリカ軍武力衝突することをおそれるわけがありません。それでも彼らがそのことをしないのは、おそらくその力が許さず、またその効果に慎重であるからであると思うのであります。しかしながら、その能力があり、一たんその効果を見込むことができるようになれば、自国への侵略に利用されておる日本基地を攻撃しないという保証はどこにもありません。私は、昨年八月、空襲下のハノイに入り、ホーチミンその他の北ベトナム政府要人たちに会ってそのことを身をもって感じてまいったのであります。  かくして、現実にいまエスカレートしておるベトナム戦争、あるいは同様な形で起こるかもしれないさらに大きな戦争の場合に、日米安保条約のもとで、日本にはたして一体何が起こるであろうか。この想定を佐藤内閣が全く考えていないと私が指摘するゆえんのものは、以上のような理由からであります。それは一つの不幸な見通しであるかもしれません。あるいはまた思い過ごしであるかもしれません。しかし、それは決して架空の見通しでないことだけは断言できると思います。  現在の南ベトナムの事態を見ますと、アメリカ軍が地域の安全保障をするということは、すなわちアメリカ軍が欲する限り、果てしなく戦争を続けるということにほかならないではありませんか。人民がいかに戦争に苦しもうと、戦争反対しようと、全く意に介しないばかりか、その国の政府でさえ、自分に都合の悪いものは、次から次へかいらいを入れかえていくという事実を、私たちはずいぶん見てまいりました。かつての韓国がそうでありました。そしてまた、今日の南ベトナムがそうであります。  このような経験と教訓は、アメリカ相互安全保障条約関係にある限り、どこにでも起こり得ると考えねばなりません。起こり得べき脅威の備えとなるものが日米安保体制自衛隊ではなくて、むしろ逆に脅威を起こり得べきものにしているものこそ、日米安保体制であり自衛隊であるという認識を、ベトナム戦争経験は具体的に日本国民に教えておるのであります。  それでもなお、佐藤総理南ベトナムへ激励に行くというのであります。もしも、佐藤総理が真剣にアジア問題へのアジア的アプローチを考えておられるのなら、南ベトナム民族解放戦線はまさに民族独立運動であり、国連憲章が保障している民族自決の精神にのっとり、ベトナムベトナム人にまかせることが一番自然であるという認識を前提とすることが必要ではないでしょうか。中国問題もまたしかりであります。アジア独立国家がすでに認め、フランスのドゴールさえいまそれを知るに至っておるこの種の認識にさからって、朝鮮については南北分断を固定化する日韓条約を強行してソウルを訪問し、中国貿易については、台湾の介入を許して台北を訪れようとし、ベトナムについてはアメリカの言いなりになってサイゴンに足を踏み入れるようでは、アジアにおける独自の平和外交というものはとうてい望むべくもありません。(拍手)  かくして、防衛庁は、三次防においてもひたすら軍事力の拡大強化のみを求めておるのであります。一体、それによってどのような形の戦争を夢みているのでありましょうか。そうして、どのような安全な国民に約束しようとしているのでありましょうか。いま自衛隊が、起こり得べき脅威に対処しようというまぼろしの戦略は、まさに本土を決戦場とする苛烈な戦争を夢みているのであります。  三次防から四次防、四次防から五次防へと際限なく強化されていく軍事力が、国民の被害を増しこそすれ、本来の意味における安全を保障するなどということは絶対にできるものではありません。そのことを認識することのできない自衛力や防衛計画は、日本国民の犠牲によってアメリカの安全に奉仕するだけの意味しかないことになります。(拍手)  真に必要なものは、長期の防衛計画ではなくして、まさに長期の展望を持つ平和計画でなければなりません。(拍手)そのことの認識国民の間に潜在的にあるからこそ、自衛隊の自力募集は思うにまかせず、定員は不足し、結局徴兵制度を思わせるような適格者名簿作成による組織募集を市町村に強要するという違憲行為をあえてせざるを得ない羽目におちいっているではありませんか。(拍手)  しかし、ただ一つだけ内閣委員会における審議を通じ、私たちが支持を表明したいものがあります。それは、わが党の山本弥之助委員並びに山内広委員の関連質問に対しまして、増田防衛庁長官は、以下のようにはっきり答弁しておるのであります。すなわち、核装備の国内持ら込みは憲法に違反する、こう明確に答弁されました。さらにもう一つ、日本ベトナム戦争に対して中立的立場である、このように明確に答弁されました。この答弁は、従来の政府の態度と明確に相違するものでありまして、私どもは、この長官の見解を支持したいと思います。(拍手)  以上、「死んでいった者は黙して語らざるがゆえに、生き残った者は何をなすべきか」この戦没学徒出陣の若者たちが残していった命題にいまこそ真剣にこたえる意味におきましても、国民の代表たる同僚の皆さんの良心と良識にお訴えを申し上げまして、反対討論を終わる次第であります。(拍手
  23. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 橋口隆君。   〔橋口隆君登壇
  24. 橋口隆

    ○橋口隆君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題になっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して、賛成意見を表明せんとするものであります。(拍手)  いまさら申し上げるまでもなく、国際平和の維持は人類共通の念願であります。特に惨たんたる戦争の惨禍を経験したわが国民は、他のいかなる国民にも増して強く世界の平和を望んでいるのであります。それにもかかわらず、遺憾なことには、第二次大戦以後今日に至るまで、幾多の戦争や紛争が繰り返されているのであります。そして、このような事態に対処するために、世界の独立国は、大小、強弱の差こそあれ、いずれも国防軍を持って祖国の平和と安全を守ってきているというのが国際社会現実の姿であります。たとえば、永世中立国といわれるスイスですら、二日間で七十万人を動員できる防衛体制を持ち、また、平和的中立を標榜しているスウェーデンも、戦時には七十五万人を動員できるという防衛力を備えているのであります。  このような現実に対処して、わが国が必要最小限度の自衛力を持つことは、独立国家として存立するための当然の権利であります。(拍手)不当な侵略から国土と国民の安全を守るためには、むしろ絶対に必要欠くべからざる正当防衛の義務であるとすらいうべきであります。  現在の国際情勢を見ますと、いま直ちに全面的な戦争は起こらないとしても、幾多の局地紛争が続発しているのであります。すでに久しく戦火の続いているベトナム戦争は、残念ながらにわかには解決の見通しが立たない状態であり、さらに中東方面におきましては、去る六月上旬、アラブ連合とイスラエルの対立が戦闘行為にまで発展し、幸いにして短時日のうちに停戦を迎えたとはいうものの、その後たびたび交戦事件が発生し、この戦乱の解決にはなお幾多の困難が予想されているのであります。また、中共では、先般水爆の実験に成功し、核戦力保有への努力が積極的に進められており、近隣諸国に大きな不安と危惧の念を与えているのであります。このように、依然として国際情勢は、特にわが国に近接しているアジア大陸周辺を中心として、複雑な激しい流動を続けております。  このような国際情勢の現実をながめるとき、これに対応するわが国国防のあり方は、世界の戦火を静めるため平和機構たる国連活動を積極的に支持するとともに、近隣諸国との外交関係を緊密にして、国際紛争に巻き込まれないようにすることが最も肝要であります。同時に、志を同じくする自由主義国家との安全保障体制のもとに核戦争の勃発を抑制し、不当な侵略に対しては屈することなく、断固わが国の安全を擁護することが最も必要であります。(拍手)  このために、わが国は四十二年度から第三次防衛整備計画を中心として、自衛力の強化につとめんとしておるのであります。  わが国防衛費について申し上げますと、一般会計歳出予算の中に占める比率は、今年度約七・七%であり、この比率は最近減少または横ばいの傾向にあることは統計の示すとおりであります。また、これを海外諸国と比較してみれば、はるかに低い水準にあるものと断じて差しつかえありません。すなわち、国民総生産における比率をとってみれば、わが国の〇・九七%に対し、アメリカ八%、イギリス六・八%、西ドイツ五・七%であり、また高度の福祉国家といわれているスウェーデンでさえ四・六%を占めているのでありまして、他国に比べて、国民経済国民生活を著しく圧迫するものではありません。  ただいま提案されている法律案は、このような背景のもとに提出されているものでありますが、その内容は、防衛庁の任務遂行の円滑をはかるため、その職員の定員を改めるとともに、自衛隊の任務遂行の充実を期するため、予備自衛官の員数を改めるなどの条項を含んでおります。この法案は、御承知のように、四十年、四十一年と相次いで廃案となり、そのために部隊の整備や人事管理等に多大の支障を来たしているものであり、現在必要にして最低限度の要求を織り込んでいるものであります。  要するに、この法案は、国防基本方針に従って、国力に応ずる自衛力の充実と国情に沿ったその効率的な使用を意図するものでありまして、これはまさにわが国の現下の要請に沿うものであると確信をいたします。(拍手)  もちろん、わが国防衛はひとり自衛隊のみがその任に当たることによって全うされるものではありません。今日防衛の問題は、緊迫した国際情勢のもとで貴重な民衆の生命と財産の安全を守らなければならないというきわめて身近な国民的課題であります。そのためには国民一人一人が国防の現状と将来に対して正しい認識と理解を深め、自分の国は自分の力で守り抜くという国民的共感を高めることが最も肝要であります。(拍手)  同時に、私は政府に対して要望いたします。今日不遇な立場に置かれている自衛隊の隊員の処遇を改善するとともに、数々の問題をはらんでいる基地市町村とその住民に対して万全の処置を講じられたいのであります。  また、最近の中東戦争をはじめ、各地域の情勢に関連して、国民ひとしく懸念しておるところでありますが、石油、食糧等の重要物資の確保、あるいは海上交通の安全等については、かねてから十分の対策を講じ、わが国経済発展と国民生活にいささかの不安も与えないよう内政上の諸施策を強力に推進されんことを深く期待するものであります。(拍手)  なお、最後に、重ねて申し上げます。わが自由民主党は、あくまでもわが国の安全と平和を強く希求するものであります。たとえ海外においていかなる不測の事態が起きようとも、その紛争に巻き込まれないよう、引き続き一そうの外交努力を傾注していただきたいのであります。  以上、私は、政府わが国防衛のため、今後想定されるあらゆる事態に対処して、万全の措置を講じられるよう強く要望いたしまして、ここに本法案の成立に賛意を表明するものであります。(拍手
  25. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 吉田泰造君。   〔吉田泰造君登壇
  26. 吉田泰造

    ○吉田泰造君 私は、民主社会党を代表して、ただいま上程されました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案反対討論を行なわんとするものであります。(拍手)  まず、私が上述の防衛法案反対する根本の理由は、このような具体策決定の前提である、わが国安全保障基本姿勢に対する政府の態度が全く不明確であることであります。すなわち、根なし草の防衛計画がこのたびの防衛法案であります。  政府は、これまで第二次防衛計画、第三次防衛計画と、次々に防衛計画を立案、策定してまいりましたが、その根本となるわが国安全保障をいかなる諸原則にのっとって全うするかについては、これまで何ら明らかにしてこなかったのであります。今回の防衛法案、またしかりであります。われわれは、個々の具体的施策を決定するに先立って、安全保障に関する次の五つの原則を、政府国民の前に確認することが必要だと考えるものであります。  その第一は、わが国安全保障は、まずわが国の固有の権利と責任において確保するという自主防衛体制を確立し、この点に関する国民的合意を確立すること、その第二は、わが国の憲法は不当な外敵の侵略についてはこれを排除する立場をとっていることを確認すること、その第三は、防衛体制を確立するにあたっては、各面でシビリアンコントロールの原則を貫くべきこと、その第四は、現在の自衛隊については平和主義の立場に徹し、質的機能整備の方向に再編すること、その第五は、現在の国防会議を発展的に解消し、国家安全保障会議を設置するとともに、国会の中に防衛に関する委員会を設置して、シビリアンコントロールの具体化をはかること、以上の五点がそれであります。  しかるに、今回の法案提案にあたって、政府はそれらの諸原則について、国民の前に政府の立場を何ら明らかにしていないのであります。つまり基本方針なしの具体策が今回の法案であります。  以下、具体的に反対理由を明らかにしたいと存じます。  本法案反対する第一の理由は、この種防衛施策の策定にあたって、政府国民に対してその合意を得る努力を全く放棄していることであります。  言うまでもなく、自主防衛体制確立の最大の要素は、その防衛体制が国民の意思と力によってささえられる体制を確立することであります。いかなる近代兵器も部隊編成も、国民の意思に基づかざるものは、真の力とはなり得ません。今日までの政府の態度を見るとき、自主防衛の所信を率直に国民に披瀝し、国民合意の上に自主防衛体制を確立する努力は全くなかったといっても過言ではありません。(拍手政府の態度は、常になしくずし的に既成事実を積み重ねることによって国民反対を押し切り、無方針に防衛力増強を続けてきたといわざるを得ません。すなわち、政府は、国家防衛国民の意思と決意に根ざすという基本を忘れ、いたずらに他国の要請に従って軍事力の増強をはかろうとする姿勢にしか受け取られないのであります。この結果、今日の自衛隊は全く国民の意思から浮き上がりつつあります。その具体的あらわれが欠員の慢性化であります。すなわち、自衛隊の充足率は今日九一%にすぎず、また、最近の自衛官募集の際の応募率も、依然として低迷していることは周知のとおりであります。このような現状で、どうしてわが国防衛力の質的向上をはかることができるでありましょう。  反対の第二の理由は、提案されている防衛の具体的施策と日米安保の関係が全く不明確であることであります。  今日、世界の近代国家が、自主防衛プラス集団安全保障という形でみずからの安全保障を確立していることは周知の事実であります。つまり、世界の安全保障の形は、自主防衛基本としているにもかかわらず、わが国戦後二十年の防衛は、日米安保プラス自主防衛という形がとられてきたのであります。ここに、わが国防衛体制の本末転倒があるといわねばなりません。したがって、まず、今日、日米安保の位置づけをどうするか、この点を政府はまず国民の前に明らかにすべきであります。現に、いわゆる一九七〇年の政治危機は、この日米安保を中心課題とする情勢にあることは周知のとおりであります。しかるに、この重大課題である日米安保について、政府の方針は不統一をきわめ、この問題に対する国論統一の努力が行なわれていないことは全く遺憾であります。(拍手)  今回の防衛法案に基づく自衛力の増強も、日米安保に対する位置づけが不明確なまま行なわれることは、無責任もはなはだしいといわなければなりません。  その第三は、核の問題に対する政府の態度の不明確さであります。  戦後の米ソの核独占時代は、世界を東西に二分して、二つの核のかさのいずれかの系列に入ることを余儀なくしたのでありますが、米ソは、その後、第二撃力を持つに及んで、平和共存を助長しつつ、米ソ優先の世界政策に転じたのであります。しかし、この不安と不満にささえられて、英国、フランス、中国などがみずから核を保有して米ソからの離脱を試み、ついに今日の多核時代に進展して、各国は、いずれも他国への追従を排して、国家的自主性回復の時代に入ろうとしております。しかも、今後は、西ドイツやわが国などは、潜在的核保有能力国として、非武装を貫くために、非核クラブを形づくって、核保有国に対して強く核軍縮を求めなければなりません。他方、核の持つ戦争抑止力の機能を特定国から超国家的なものに変えて、名実ともに、完全な国連による安全保障に持ち込むべきであります。にもかかわらず、わが国政府は旧態依然としてアメリカの核のかさにとどまることに甘んじ、むしろ、世界最強の核のかさにあることにひとり満足しているごとき態度は、進歩と平和を希求する基本的態度を喪失したものと批判せざるを得ないのであります。(拍手)  その第四は、今回の防衛計画並びに定員増加が全く無計画に行なわれている点であり、特に、今後の戦略、戦術の急速な変化に対応して、わが国防衛を具体的にどうしようとするのか、全く判然としないことであります。  わが国憲法のたてまえよりして、わが国自衛隊は、あくまで、自国防衛のみに専念すべきであって、いやしくも他国を侵す軍事力を持つべきでないことは言うまでもありません。しからば、なぜこれ以上の陸上の強化が必要なのであるか、むしろ、島国であるわが国防衛を全うするためには、何か一つに集中すべきではないかという国民の疑問にこたえずして、政府は、第三次防に奔命しているといわなければなりません。  要するに、政府は、依然として他国の軍隊に模倣する自衛隊増強の方針から一歩も出ず、しかも、最終的には常にアメリカ依存の他力本願的態度を持ち続けて、ために、日米安保のゆがんだ現状から離脱できず、量より質への転換を断行し得ず、防衛白書は出されようともせず、ついには、国民合意の防衛体制の確立をいよいよ遠ざける結果を招いているといわなければなりません。(拍手)  よって、わが党は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に強く反対であることを表明して、私の討論を終わります。(拍手
  27. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 鈴切康雄君。   〔鈴切康雄君登壇
  28. 鈴切康雄

    ○鈴切康雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、反対討論を行なうものであります。(拍手)  世界の平和と安全を確保し、すべての人類が社会の繁栄を享受し、幸福な生活を営むために、正しい世界秩序を確立し、平和な理想社会の建設を願わない者はないのであります。  しかし、今日の国際情勢を見ますと、まことに遺憾なことではありますが、中東紛争はいまだ完全な解決を見ず、また、悲惨なベトナム紛争は、いつ果てるとも知れない状況であります。さらに中共の水爆実験等の成功、米軍の極東戦略体制の強化などにより、極東の緊張緩和への道は、けだし遠いものといわねばなりません。世界は核の多極化という傾向をも示し、依然として国際情勢は複雑化し、なお流動を続けておる状態であります。  このような事態に対処するためには、まず何といっても自主、平和の外交方針の確立と、アジアの平和の確保こそ、きわめて重要といわざるを得ないのであります。しかるに、政府・自民党の国防に対する基本的姿勢は、第三次防衛整備計画にも明らかなように、日米安保体制の強化と、わが国の軍事力の増強という形のみで、これに対処しようとしているのであります。恒久的な世界平和を確立するためには、こうした地域的安全保障体制にかわって国連を強化し、世界安全保障体制を確立するとともに、軍縮達成に努力を払わねばなりません。人類破滅の危機を内蔵する現在の世界情勢から見て、世界の人類は運命共同体であるという自覚と責任を持って、イデオロギーを越え、この問題に対処せねばなりません。  このような観点から、私どもは、真の安全保障は、広く国民国防に対する正しい認識と理解の上に立つものでなければ、幾ら武力を増強しても、これは、ほんとうの効率的な安全保障にはならないと思うものであります。さらに、安全保障力に対しては、直接、間接に国を保障し得る総合力の充実を重視すべきであって、それは外交国民の意欲、経済力、政治の安定などの諸条件から構成されるべきものであり、いたずらに軍事力増強に固執することは、百害あって一利なしと思うものであります。したがって、そのいたずらな増強は慎むべきであり、むしろ、わが国防衛は、アジアの緊張緩和のためのあらゆる方策を積み重ね、アジアの平和維持によって確保されるべきであり、軍事力の増強に偏重することは、きわめて危険であるといわねばなりません。この方策とは、経済援助、文化交流、技術援助を主体とするアジア外交であり、中共の国連加盟の促進であります。  このような安全保障に対するわが党の立場から第三次防衛整備計画を見るとき、その裏づけとして一体何次防に到達するための三次防であるかの長期防衛構想の基本すら、何ら国民の前に明らかにされておらないのであります。政府は、昭和四十六年にわたる五カ年に約二兆三千数百億円という膨大な国防費を計上しながら、国民に対して納得のいくような説明すらなされていないのが現実であります。これについても国民的合意形成への誠意が全く認められないのであります。また、二万名にも及ぶ隊員の欠員をかかえながらさらに定員を増加しようとしておりますが、これは過去の充足率の状況から見て、私どもの理解のできない点であります。真に、国民的基盤の上に立ち、国民と密着し、国民と一体感をなす国民自衛隊としての努力が払われていないのであります。  さらに重要なことは、シビリアンコントロールについてであります。政府は口を開けばシビリアンコントロールについては万全を期しているがごとき発言をいたしております。なるほど一応体制だけはでき上がっておりますが、その実体は一々申し上げませんけれども、まことに寒心にたえない実情にあることを憂えるものであります。この点についての政府の配慮がきわめて不十分であると痛感いたすものであります。  以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対するわが党の反対理由であります。  わが党は、政府に対し、以上の見地から、この際防衛問題に対する根本的な姿勢を再検討することを求め、ここに公明党を代表して私の反対討論を終了する次第であります。(拍手
  29. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第五につき採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖〕
  30. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 氏名点命を命じます。   〔参事氏名を点呼〕   〔各員投票〕
  31. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。   〔議場開鎖〕
  32. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  33. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百五十七   可とする者(白票)       二百二十   〔拍手〕   否とする者(青票)       百三十七   〔拍手
  34. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 右の結果、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     —————————————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名       安倍晋太郎君    足立 篤郎君       阿部 喜元君    相川 勝六君       愛知 揆一君    青木 正久君       赤城 宗徳君    赤澤 正道君       秋田 大助君    天野 公義君       天野 光晴君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    有田 喜一君       井出一太郎君    井原 岸高君       伊藤宗一郎君    伊能繁次郎君       池田 清志君    池田正之輔君       稻村佐近四郎君    宇野 宗佑君       植木庚子郎君    臼井 莊一君       内田 常雄君    内海 英男君       浦野 幸男君    江崎 真澄君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       小川 半次君    小川 平二君       小澤 太郎君    小沢 辰男君       小渕 恵三君    大石 八治君       大石 武一君    大坪 保雄君       大橋 武夫君    大平 正芳君       大村 襄治君    岡崎 英城君       岡本  茂君    加藤常太郎君       加藤 六月君    鹿野 彦吉君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    桂木 鉄夫君       金子 一平君    金子 岩三君       上林山榮吉君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    仮谷 忠男君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅  太郎君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    木村 武雄君       木村 俊夫君    岸  信介君       北澤 直吉君    吉川 久衛君       久野 忠治君    久保田円次君       久保田藤麿君    草野一郎平君       熊谷 義雄君    倉成  正君       藏内 修治君    小泉 純也君       小平 久雄君    小峯 柳多君       小宮山重四郎君    小山 長規君       小山 省二君    河野 洋平君       河本 敏夫君    佐々木秀世君       佐々木義武君    佐藤 榮作君       佐藤 孝行君    佐藤 文生君       齋藤 邦吉君    齋藤 憲三君       坂田 英一君    坂田 道太君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       志賀健次郎君    椎名悦三郎君       塩川正十郎君    重政 誠之君       篠田 弘作君    澁谷 直藏君       島村 一郎君    正示啓次郎君       進藤 一馬君    周東 英雄君       菅波  茂君    鈴木 善幸君       砂原  格君    瀬戸山三男君       關谷 勝利君    田川 誠一君       田澤 吉郎君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 龍夫君       田中 六助君    田村  元君       田村 良平君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    高見 三郎君       竹内 黎一君    竹下  登君       谷川 和穗君    千葉 三郎君       地崎宇三郎君    中馬 辰猪君       塚田  徹君    塚原 俊郎君       辻  寛一君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       床次 徳二君    内藤  隆君       中尾 栄一君    中垣 國男君       中川 一郎君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    永田 亮一君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       丹羽 久章君    丹羽喬四郎君       丹羽 兵助君    西岡 武夫君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    野田 武夫君       野原 正勝君    野呂 恭一君       羽田武嗣郎君    葉梨 信行君       馬場 元治君    橋口  隆君       橋本登美三郎君    橋本龍太郎君       長谷川四郎君    長谷川 峻君       八田 貞義君    濱野 清吾君       原 健三郎君    原田  憲君       広川シズエ君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福井  勇君       福田 赳夫君    福田 篤泰君       福田  一君    藤井 勝志君       藤枝 泉介君    藤尾 正行君       藤田 義光君    藤波 孝生君       藤本 孝雄君    船田  中君       古井 喜實君    古川 丈吉君       古屋  亨君    保利  茂君       坊  秀男君    細田 吉藏君       前尾繁三郎君    益谷 秀次君       増岡 博之君    増田甲子七君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    三池  信君       三木 武夫君    三ツ林弥太郎君       三原 朝雄君    箕輪  登君       水野  清君    湊  徹郎君       武藤 嘉文君    村上  勇君       毛利 松平君    粟山  秀君       森   清君    森下 國雄君       森田重次郎君    森山 欽司君       八木 徹雄君    山口喜久一郎君       山口 敏夫君    山崎  巖君       山下 元利君    山田 久就君       山中 貞則君    山村新治郎君       和爾俊二郎君    渡辺 栄一君       渡辺  肇君    渡辺美智雄君  否とする議員の氏名       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    井岡 大治君       井上 普方君    石田 宥全君       石野 久男君    板川 正吾君       稻村 隆一君    江田 三郎君       枝村 要作君    小川 三男君       大出  俊君    太田 一夫君       岡田 春夫君    岡本 隆一君       加藤 勘十君    加藤 清二君       加藤 万吉君    勝澤 芳雄君       金丸 徳重君    神近 市子君       唐橋  東君    川崎 寛治君       川村 継義君    河野  正君       木原津與志君    久保 三郎君       久保田鶴松君    栗林 三郎君       小松  幹君    兒玉 末男君       後藤 俊男君    河野  密君       神門至馬夫君    佐々栄三郎君       佐々木更三君    佐藤觀次郎君       佐野  進君    柴田 健治君       島上善五郎君    島本 虎三君       東海林 稔君    田邊  誠君       多賀谷真稔君    高田 富之君       武部  文君    楯 兼次郎君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       内藤 良平君    中井徳次郎君       中澤 茂一君    中嶋 英夫君       中谷 鉄也君    中村 重光君       永井勝次郎君    楢崎弥之助君       成田 知巳君    西風  勲君       西宮  弘君    野口 忠夫君       野間千代三君    芳賀  貢君       長谷川正三君    畑   和君       華山 親義君    平林  剛君       平等 文成君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    古川 喜一君       穗積 七郎君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    三宅 正一君       美濃 政市君    武藤 山治君       村山 喜一君    森本  靖君       八百板 正君    八木 一男君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       柳田 秀一君    山内  広君       山中 吾郎君    山花 秀雄君       山本 幸一君    山本 政弘君       山本弥之助君    米田 東吾君       依田 圭五君    横山 利秋君       渡辺 惣蔵君    渡辺 芳男君       麻生 良方君    池田 禎治君       稲富 稜人君    受田 新吉君       春日 一幸君    神田 大作君       小平  忠君    佐々木良作君       曾禰  益君    田畑 金光君       竹本 孫一君    塚本 三郎君       中村 時雄君    西村 榮一君       門司  亮君    本島百合子君       山下 榮二君    吉田 泰造君       吉田 之久君    和田 耕作君       有島 重武君    伊藤惣助丸君       小川新一郎君    大野  潔君       近江巳記夫君    小濱 新次君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       竹入 義勝君    樋上 新一君       伏木 和雄君    正木 良明君       松本 忠助君    矢野 絢也君       渡部 一郎君    川上 貫一君       田代 文久君    谷口善太郎君       林  百郎君      ————◇—————
  35. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 次に、日程第六につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  36. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  37. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会