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内閣総理大臣(
佐藤榮作君) お答えいたします。
私が出かけたのは、隣の国の
大統領の
就任式でございます。しかも、たいへん短い期間でございます。土曜、日曜、月曜、これで
国会の
審議や
国政の
審議に支障があると私は思いません。むしろ、隣の国の
大統領の
就任式に出かけることは、万障繰り合わせて出かける、こういう
意味で、
善隣友好外交の実をあげた、かように私は考えております。(
拍手)
また、ただいま、私は招かれざる客ではなかったかということでありますが、たいへん
韓国政府からは丁重な招待をいただいたのであります。
韓国政府ばかりではありません。ソウルの
市民もたいへん平穏に、また、私が不愉快を感ずるようなことは一切ございませんでした。これは
皆さん方にも見せたいような
金浦空港の
状況でございます。これを見せたら、ただいまのような
お話は絶対にないと思っております。
また、
朴大統領は、
日韓国交正常化にたいへん努力された方でございますが、今日、
日韓国交正常化ができ、
大統領選挙にも
国民大多数の支持を得られて
大統領選挙を終えられたのであります。この
大統領が
国民的に人気がある、そのもとにおける
就任式をまのあたり見、しかも
韓国が
経済再建に努力しておるその姿をこの目で見たこと、私はたいへんよかったと思っております。今後の
日韓の
正常化に一そうつとめる決意でございます。
また、私が出かけましたその
機会に、私も
政治家でございますから、当然
韓国の
大統領や
総理とも話をいたしますし、また、
韓国に来ております
ハンフリー副
大統領とも
懇談をいたしたのであります。
私は、これらのことを通じて、ただいま御披露いたしましたように、
韓国国民が積極的に
経済再建に努力しておられるその姿を見、また、
ハンフリー副
大統領とは、最近行なわれました
グラスボロにおける
ジョンソン米大統領と
コスイギン・
ソ連首相の
会談を主体にいたしまして、その
会談の模様を詳細に聞いたのでございます。その点はもうすでに
新聞にも報道されておりますが、中東問題、
ベトナム問題、さらに
核拡散防止の問題、さらに
米ソ両国間の軍縮に関する問題、さらにキューバ問題にも触れたようでございます。しかし、その
内容はしばらく預からしていただきます。私は、これらの
機会に、
わが国のかねての主張である平和に徹する
外交、
平和外交を十分説明いたしまして、
わが国に
誤解のないような処置をとったつもりでございます。私は、
アジアの平和のために必ずこれは役立つ、かように
確信をしております。恥また、ただいま
お尋ねがありましたが、ただいま言うような、私のほうから
平和外交こそ主張いたしましたが、いわゆる軍事的な
約束をするというようなことは全然ございません。また、
ベトナム問題につきましても、米国と私が軍事的な
話し合いをした、かような
約束は絶対にございません。私は、
国民の
皆さま方は、必ずや、忙しい
国会ではあろうが、週末を利用し隣の国の
大統領就任式に出ていったこと、これを高く評価されるのが
わが国民の実態だ、かように思っております。(
拍手)必ずあたたかい
理解を持ってこの問題を見守っていただき、今後の
日韓の
正常化について一そう拍車をかけるもの、かように思っております。
また、
韓国大統領との間に私が何だか
経済的な
約束でもしたような御
想像でございますが、さようなことはございません。私は一般的な
お話はいたしましたが、具体的な話はいたしておりません。と申しますのは、八月の上旬に
日韓間の
閣僚の
定期会議が行なわれることになっています。今度は東京で行なわれますので、
大統領と私、
総理と私、その間では、具体的な問題はこの
閣僚会議に譲ろう、こういうことで、それらの話はいたしておりません。
また、いわゆる
モーニングティーで四者が集まったことについていろいろ
想像を下されておりますが、これはいわゆる
モーニングティーという、社交的な
会合でございます。むしろ、政治的な
会合といわれるならば、
ハンフリー副
大統領と会ったことだとか、あるいは
総理と会ったことが、政治的な
意味を持つといわれましても、これはしかたございませんけれども、
先ほど来申すような
実情でございますから、
モーニングティーというものは、これは社交的なものだ、
韓国を離れるに際していずれの国と先に会うか、こういうようなことが
外交ではたいへん問題になるのであります。そういう
意味で、三者を一緒にしてそこで
懇談をする、こういうことでありますから、この席には別に具体的に何々の問題について話し合おう、こういうようなことは全然ないのでございます。この点は
実情を十分御
理解がいただけるものだと私は
確信をいたしております。
次に、
韓半島の問題についての
お尋ねがございました。いわゆる
北鮮の問題であります。私は、
韓半島は必ずや平和のうちに
統一国家ができる、これが私どもの
願いでもあり、これは同一
民族がそういう形で
単一国家をつくるということ、これは望ましいことだ、かように思っております。したがいまして、この
日韓国交の
正常化をはかりました際もしばしば申し上げたのでございますが、今日
北鮮というものがあることは、事実としてこれを認めざるを得ない。したがいまして、人事的な交通、交流であるとか、あるいは貿易の問題であるとか、こういうことが
現実に行なわれていることを私は無視しようというものではございません。しかし、
国交はただいま
韓国との間に開けたのでありますので、
北鮮とはただいままで
国交は開けておりません。そういう
意味で、いわゆる具体的な
事柄については
ケース・バイ・
ケースできめていこう、
具体的措置をきめよう、そうしてそれは慎重に取り扱っていこう、こういうことで、何度もこの席でお答えをしておるのでございますので、いまさら重ねてこの点の
お尋ねを伺おうとは実は予期しなかったのであります。私は、これらの点については
国民の多数の方々はみんなすでに御
承知のことだ、かように思います。
次に、
日韓の
国交の
正常化について、何度も申しますように、
経済の
計画についての
お話をしたのであります。第一次
経済計画、第二次
経済計画とただいま取り組む
韓国政府の
態度であります。これらについては、
先ほど申しました八月の
閣僚会議におきましてその詳細を話し合うつもりでございます。
先ほど来申しますように、一切の軍事的な
話し合いはいたしておりません。何ら
約束はしておりませんし、また、
ベトナムにつきましても、
アメリカと特別な軍事的な
話し合いはいたしておりません。私は、
ベトナムの場合につきましても、その他につきましても、忠実に憲法を守るつもりでございますので、さような出過ぎたことは絶対にいたしませんから、御安心のほどを
願います。
次に、
南ベトナムへ出かけることにつきましていろいろ御心配をいただいておるようであります。私は、私の一挙手一投足、これは
わが国の安全、平和、繁栄、それにつながるものでございますから、もちろん慎重にするつもりでございます。したがいまして、
南ベトナムに出かけるにいたしましても、
誤解を受けるようなことは避けたいと思いますが、ただ私は
皆さま方に申し上げたいのは、今日
南ベトナムで
戦争が行なわれておる。これを
ほんとうに平和を招来すること、これは
国民全体の
願いだと思います。また、ただひとり
日本国民ばかりではありません、これは
アジア、さらには広くすれば
世界の人類の
願いだと思っております。一日も早く
戦闘を終息さすこと、これが必要なことだと思います。私は
アジアに位する
日本の
総理といたしまして、むしろこういう
事柄については積極的にその
実情を把握する、そういう勇気があってしかるべきだと思います。私はそういう
意味で
実情を把握して、そうして平和への
探求をしたい、かように私は念願しておるのでありまして、それ以外に他意はございません。
また、私がこの点を主張いたしますのは、いろいろ具体的に何を考えているかという
お尋ねでありますが、これもしばしば申し上げましたように、どうか一日も早く
戦闘状態を停止して
話し合いの場についてもらいたい、これが私の念願であります。御
承知のように、中東問題におきましても、すでに
戦闘は開始された、しかしながら、国連の決議によりまして関係国は
戦闘をやめた、そしてただいま
話し合いにつこうとしておる。なかなか最終的な結果をもたらすのはたいへんだと思います。困難なことだと思います。しかしながら、何よりもまず第一に
戦闘をやめることだ、
話し合いによって問題を片づけるという、そういうことでなければならないと思います。私はそういう
意味で、私のこの平和への念願、熱願を率直に披露してまいるつもりでございます。
また、
アメリカに行って話をしろ、こういうことでございますが、
アメリカにもそのうち出かけます。十分私は
世界の平和のために貢献し、役立つように行動するつもりでございます。(
拍手)
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日程第一
恩給法等の一部を改正する
法律案
(
内閣提出)