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1967-06-22 第55回国会 衆議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十二号   昭和四十二年六月二十二日    午後二時開議  第一 千九百五十四年の油による海水の汚濁の   防止のための国際条約締結について承認を   求めるの件  第二 大西洋まぐろ類保存のための国際条   約の締結について承認を求めるの件  第三 自治省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  皇室会議予備議員選挙  皇室経済会議予備議員選挙  裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員選挙  裁判官訴追委員及び同予備員選挙  検察官適格審査会委員及び同予備委員選挙  国土総合開発審議会委員選挙  東北開発審議会委員選挙  九州地方開発審議会委員選挙  四国地方開発審議会委員選挙  中国地方開発審議会委員選挙  北陸地方開発審議会委員選挙  豪雪地帯対策審議会委員選挙  離島振興対策審議会委員選挙  国土開発幹線自動車道建設審議会委員選挙  台風襲地帯対策審議会委員選挙  首都圏整備審議会委員選挙  北海道開発審議会委員選挙  日本ユネスコ国内委員会委員選挙  鉄道建設審議会委員選挙  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正す   る法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑  日程第一 千九百五十四年の油による海水の汚   濁の防止のための国際条約締結について承   認を求めるの件  日程第二 大西洋まぐろ類保存のための国   際条約締結について承認を求めるの件  日程第三 自治省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)    午後二時六分開議
  2. 石井光次郎

  3. 石井光次郎

  4. 亀岡高夫

    亀岡高夫君 各種議員及び委員選挙は、いずれもその手続を省略して議長において指名せられ、皇室会議予備議員皇室経済会議予備議員裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴追委員予備員職務を行なう順序については、議長において定められんことを望みます。
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 亀岡高夫君動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  議長は、皇室会議予備議員に       益谷 秀次君    久保田鶴松君を指名いたします。  なお、その職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、皇室経済会議予備議員に       船田  中君    原 健三郎君を指名いたします。  なお、その職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、裁判官弾劾裁判所裁判員に       高橋 英吉君    森田重次郎君       大竹 太郎君    四宮 久吉君       猪俣 浩三君    畑   和君       佐々木良作君を指名いたします。  また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に       安倍晋太郎君    橋口  隆君       横山 利秋君    藤波 孝生君を指名いたします。  なお、予備員職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、裁判所訴追委員に       清瀬 一郎君    松田竹千代君       中村 梅吉君    馬場 元治君       中垣 國男君    灘尾 弘吉君       神近 市子君    小松  幹君       松前 重義君    吉田 賢一君を指名いたします。  また、裁判官訴追委員予備員に       濱野 清吾君    岡崎 英城君       太田 一夫君    田村 良平君       中谷 鉄也君を指名いたします。  なお、予備員職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。  次に、検察官適格審査会委員に       赤澤 正道君    瀬戸山三男君       森   清君    田中 武夫君を指名いたします。  また、天野光晴君を赤澤正道君の予備委員に、小山長規君を瀬戸山三男君の予備委員に、古川丈吉君を森清君の予備委員に、長谷川正三君を田中武夫君の予備委員に指名いたします。  次に、国土総合開発審議会委員に       小川 半次君    志賀健次郎君       白浜 仁吉君    丹羽喬四郎君       大久保武雄君    赤路 友藏君       中井徳次郎君    渡辺 惣蔵君       内海  清君を指名いたします。  次に、東北開発審議会委員に       野原 正勝君    亀岡 高夫君       熊谷義雄君     西宮  弘君       島口重次郎君を指名いたします。  次に、九州地方開発審議会委員に       相川 勝六君    廣瀬 正雄君       藤田 義光君    村山 喜一君       井手 以誠君を指名いたします。  次に、四国地方開発審議会委員に       小笠 公韶君    福家 俊一君       毛利 松平君    森本  靖君       佐々栄三郎君を指名いたします。  次に、中国地方開発審議会委員に       中川 俊思君    藤井 勝志君       細田 吉藏君    浜田 光人君       山崎 始男君を指名いたします。  次に、北陸地方開発審議会委員に       福田  一君    井村 重雄君       稻村左近四郎君   佐野 憲治君       堂森 芳夫君を指名いたします。  次に、豪雪地帯対策審議会委員に       松浦周太郎君    坂田 英一君       佐々木義武君 、  石田 宥全君       安宅 常彦君を指名いたします。  次に、離島振興対策審議会委員に       櫻内 義雄君    金子 岩三君       小澤 太郎君    藤本 孝雄君       石橋 政嗣君    大柴 滋夫君       受田 新吉君を指名いたします。  次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に       辻  寛一君    西村 直巳君       福田 赳夫君    椎名悦三郎君       長谷川 峻君    山中 吾郎君       加藤 清二君    鈴木  一君を指名いたします。  次に、台風襲地帯対策審議会委員に       小山 長規君    池田 清志君       仮谷 忠男君    兒玉 末男君       井上  泉君を指名いたします。  次に、首都圏整備審議会委員に       天野 公義君    伊能繁次郎君       久保田円次君    板川 正吾君を指名いたします。  次に、北海道開発審議会委員に       佐藤 孝行君    地崎宇三郎君       中川 一郎君    島本 虎三君       岡田 利春君を指名いたします。  次に、日本ユネスコ国内委員会委員に       竹下  登君    塚田  徹君       橋本龍太郎君    三木 喜夫君を指名いたします。  次に、鉄道建設審議会委員に       辻  寛一君    西村 直己君       稲田 赳夫君    椎名悦三郎君       矢尾 喜三郎君   永井勝次郎君を指名いたします。      ————◇—————  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正   する法律案内閣提出)の趣旨説明
  7. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 内閣提出政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。自治大臣藤枝泉介君。   〔国務大臣藤枝衆介登壇
  8. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、その趣旨とその内容の概略を説明申し上げます。  御承知のとおり、政府は、選挙制度審議会に対し、選挙区制その他選挙制度根本的改善の方策について検討をお願いしてきたところでありますが、同審議会は、去る四月七日、最近の政治情勢にかんがみ当面緊急に措置することを要する事項として、政治資金規正及び連座制強化等中心とした「政治資金規正等改善に関する件」について、政府答申をいたしました。  政府といたしましては、この答申に基づき、その趣旨を尊重して、政治資金規正法及び公職選挙法所要改正を行なうこととし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案内容について説明申し上げます。  まず、政治資金規正法改正についてであります。  第一に、政治資金寄付制限についてでありますが、まず、寄付の総額につきましては、個人のする寄付にあっては最高額を一千万円とし、会社その他の団体のする寄付にあっては最高額二千万円、最低額五十万円の範囲内において、それぞれ団体規模に応じて制限を加えることといたしました。この場合、会社のする寄付につきましては、資本金のほか収益をも基準とし、労働組合等のする寄付につきましては、その組合員数に応じて十段階に区別して制限することとし、その他の団体のする寄付については、その規模等を表示する尺度を求めることがきわめて困難であるため、一律に前年の支出額の十分の三に相当する額を限度とすることとしたのであります。また、制限額昭和四十二年六月二十二日の範囲内において寄付をする場合には、政党及び政治資金団体に対する寄付については制限を設けないこととし、それ以外の政治団体または個人に対する政治資金寄付については、同一の者に対し、年間五十万円をこえてはならないことといたしました。  次に、国または公共企業体請負契約関係にある者及び日本開発銀行等政府関係金融機関から融資を受けている中小企業以外の会社のする寄付につきましては、請負契約額融資額の比重がきわめて低いものを除いて、一般の場合の二分の一に制限することといたしました。また、国から補助金等給付金の交付を受け、または資本金等の出資を受けているいわゆる特定会社その他の特定法人のする寄付につきましてもこれを禁止することといたしましたが、これらの場合において、国と関係のない地方公共団体議会議員または長の候補者等に対してする寄付については、適用を除外することといたしております。  なお、地方公共団体請負契約関係にある者、地方公共団体から補助金等給付金を受けている会社その他の法人等のする寄付についても、国の場合に準じて、制限ないし禁止することといたしました。  さらに、欠損を生じた会社のする寄付、匿名及び他人名義寄付並びに外国人等のする寄付につきましても禁止するとともに、寄付のあっせんにつきましては、寄付者威迫を加えたり、賃金、下請代金等から天引きして寄付を集めることのないよう措置することといたしました。  以上の政治資金寄付制限と関連して、その違反者に対する所要罰則規定を設けることといたしております。  第二に、政治団体届け出並びに収支報告及びその公表等についてであります。  すなわち、政治団体届け出があったときは、その内容を公表して、これを国民周知することとするほか、会計帳簿及び収支報告書に記載すべき内容等について改善合理化を加え、政治資金公開趣旨を徹底することといたしました。  第三に、政党等の定義についてであります。  今回の改正によりまして、政治資金寄付に関しましては一定の制限が加えられることとなり、かつ、政党本位政治活動の推進をはかるため、政党に対する寄付政党以外の政治団体に対する寄付を区別して制限することとなりますので、政党政党以外の政治団体との区別を明確に規定することといたしました。  また、政党中心資金調達を容易にするため、各政党について一の団体を限って政治資金団体を設けることを認め、これに対する政治資金寄付については、政党と同様の取り扱いをすることといたしました。  このほか、党費、会費及び政治活動に関する寄付等につきましても、その内容を明確にして、規制合理化をはかることといたしております。  以上申し上げましたほか、これらの改正に伴いまして、個人または法人寄付政党または政治資金団体に対してした場合には、その寄付金について課税上の優遇措置を講ずるとともに、その他必要な関係規定整備を行なうことといたしております。  次に、公職選挙法改正について申し上げます。  第一は、公職候補者等寄付規制についてであります。  すなわち、公職候補者等選挙区内にある者に対してする寄付は、政党その他の政治団体または親族に対してする場合及び公職候補者等がもっぱら政治上の主義または施策を普及するために行なう講習会等において必要やむを得ない実費の補償としてする場合を除き、全面的に禁止することとしたほか、公職候補者等がその役職員または構成員である会社その他の団体がこれらの氏名を表示し、またはこれらの者の氏名が類推されるような方法でする帯付についても、政党その他の政治団体に対してする場合を除き、一切禁止することといたしました。また、後援団体のする寄付等禁止期間を延長するとともに、後援団体以外の団体特定公職候補者等を推薦しまたは支持するものについても、後援団体に関する制限に準じて制限を設けることといたしました。  第二は、連座制等についてであります。  いわゆる連座制につきましては、選挙運動実態にかんがみ、数個に分けられた選挙区の地域における選挙運動または多数の選挙人が属する職域または組織を通じて行なう選挙運動を主宰した者をも連座対象者範囲に含めるとともに、公職候補者または総括主宰者等意思を通じて選挙運動をした公職候補者父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者と同居の有無にかかわらず、連座対象者範囲に含めることとし、同居している父母配偶者、子または兄弟姉妹については、公職候補者意思を通じているものと推定することといたしました。  また、選挙犯罪を犯し罰金の刑に処せられた者については、当該選挙犯罪がきわめて軽微なものである場合を除き、裁判所が情状により公民権を停止しない旨を宣告することができる制度を廃止することといたしました。  その他、昨年実施された永久選挙人名簿制度運用実態にかんがみ、選挙人名簿登録回数を増加する等その合理化をはかることといたしました。  以上がこの法律案の要旨であります。(拍手)      ————◇—————  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正   する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する   質疑
  9. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。赤澤正道君。   〔赤澤正道登壇
  10. 赤澤正道

    赤澤正道君 私は、自由民主党を代表して、今回提案になりました政治資金規正法に対し、内閣総理大臣をはじめ関係大臣に若干の質疑を試みんとするものであります。  この法案は、近来まれに見る世評騒然たる中に策定せられました選挙制度審議会答申を受けて、これを尊重しながら法文化せられたものでありますが、この法律は、言うまでもなく、わが国民主政治政党政治の将来にきわめて重大な影響を持つものであります。しこうして、近く改正される選挙制度全般の一環をなすものでありますが、これら一連の法律の施行によって、わが国政党政治を正しい軌道に乗せ、議会政治の健全なる発展と、政党政治への信用を回復しなければならないことは当然のことであります。  昨年秋以来、政界不祥事件が相次ぎ、国民のきびしい批判を受けたことは、引き続いて議席にある者として、まことにざんきにたえないところであります。事件は司直のさばくところとなり、すべてが白日のもとにさらされ、政界にも大いなる反省が起こったことは事実であります。  しかしながら、議会政治政党政治は、人類がとうとい血と汗によってかち得た衆民政の所産であって、われわれはいかなる犠牲を払おうとも守り抜かなければならないものであります。このため、政治の衝に当たる者は、すべて姿勢を正し、清潔なる行動に終始し、全国民の信頼にこたえなければならないことは言うまでもありません。議会政治における政党活動の目的は、その主義、政策を国民周知徹底せしめ、選挙を通じてその支持を受けるにあります。したがって、平素政治活動選挙とは表裏一体をなすものであって、政党選挙に勝つために平素あらゆる努力を傾けるのは当然のことであります。  第五次選挙制度審議会は、本来政党本位選挙、金のかからない選挙について、その制度審議答申することを使命といたしているのであります。その使命を実現するためには、選挙区制の抜本的改正選挙運動方法改善、それに資金規正が総合的に実施された場合初めて実効があがるものと信ずるのであります。しかるに、昨年の秋の不祥事件に刺激されたとはいえ、きわめて重要と思われる他の事項に先んじて政治資金答申のみが行なわれ、今回法案提出を見るに至ったのであります。  政治資金については、制度全般改正があったあとと現行制度のもととでは、考え方根本的相違があることは言うまでもありません。佐藤総理は、この重大な関連についていかなるお考えに立っておられるものか、御所見をお伺いしたいのであります。  私は、審議会特別委員として多くの発言をいたしました。その中で、政党に対する寄付制限すべきではない、その他の寄付についての制限はやむを得ないことを繰り返し強調いたしました。議会制民主主義の基礎は政党にあります。政治活動は本来自由に行なわれなければなりません。わが国民主政治を発展させるためには、金のかからない選挙を行なうことは当然としても、政党政治活動自体は、より活発に、より徹底して行なう必要があり、そのために必要な資金を伴うことはやむを得ません。このことは、諸外国の実例に徴しても明らかであります。わが国政党はいまだきわめて未熟であって、その活動も不徹底でありますが、これは資金が不十分であるところにも原因があると考えられるのであります。  佐藤総理は、本法案に関連してこの点をいかがお考えになっているか、あわせてお答えをお願いいたします。  次に、本法案主務大臣である自治大臣に二、三お尋ねいたします。  私は、政治資金規正の眼目は、公開原則を守らせることにあると存じます。この点、現行法に多くの欠点があったことは周知の事実であります。元来、政治資金取り扱いがガラス張りの経理で行なわれる限り、国民監視の目は十分に行き届くはずであって、その間の不正は国民の良識によって判断され、また十分防止せられると思うのであります。しかし、相次ぐ事故への反省もあり、国民の怒りがこの法案となったことは認めざるを得ませんが、寄付を受ける側、また、寄付する側にそれぞれこまかい制限を設け、さらに罰則をつけたことは、はたして適当な方法でしょうか。法案によれば、受ける側の個人は、一年間に同一会社労働組合個人等から五十万円をこえて寄付を受けてはならない。また、寄付する側については、資本金二億円の会社は、寄付と名のつくものは、政党であれ、後援会であれ、一切加えて、年間を通じて五十万円以上してはならないとか、綿密に規定してあります。しかし、この程度の、しかも善意の寄付について罰則をつけることは、あまりに神経質に過ぎ、常識から考えて納得のいかないところでありますが、自治大臣の御所見をお伺いいたします。  次は、国または公共企業体請負その他特別の利益を伴う契約の当事者、あるいはまた、特定政府関係金融機関から融資を受けている法人寄付制限についてであります。国または公共企業体国内最大消費者であって、この制限に該当するものは無数にあると判断せられるのであります。融資についても同じでありますが、法文に書けばわずか数行であっても、これに罰則がつくとすれば容易なことではなく、この法律運用いかんによっては、生産活動経済活動を麻痺させ、警察国家の招来なしといたしません。私どもは、政治活動が不当に弾圧されたことによって、次第に取り締まり国家に移行していった戦前の忌まわしい記憶を持つものでありますが、自治大臣はこの点についてどのような御所見をお持ちになっているか、お伺いしたいのであります。  昭和四十二年六月二十二日  次は、金のかからない政治活動選挙についてであります。最近政治活動のための経費が次第に膨張して、まことに耐えがたいものになっているのは事実であります。このことはまことに憂うべき現象でありまして、これを解消する名案については、ひとしく頭を悩ましておるところであります。政治資金公開原則によってその収支届け出る場合、政治活動のための必要経費は何々をいうかについて、特に審議会で十分御検討願いたい旨を主張したのでありますが、これについての審議は全くありませんでした。政治活動のための必要経費について、その範囲と限界をきめることはきわめて困難ではありますが、わが国の慣習を認めながら、個々のケースを取り上げてこれを検討し制限することは可能であって、たとえ完ぺきが期せられなくても、これこそ、権威ある第三者で構成する審議会の任務であったと考えるのであります。政治に金をかけるのは悪である、資金さえ制限すれば政治活動も衰えるであろうという誤った考え方法案を支配していることはまことに遺憾であって、私は資金規正の方向を誤っているものと判断せざるを得ないのであります。  政治資金の誤れる使用は、これくらい国民を毒するものはありません。また、この使い方を規正することによって、政治姿勢を正すことにもなり、かつ、いつも問題になる政治家個人の所得の計算も可能になるのであります。しかるに政府は、これを十分検討することもなく、答申をうのみにして、寄付のみ厳に制限し、政治活動のためにする必要経費規正にほとんど配慮がなされないのはいかなる理由によるものか、あわせてお答えをお願いいたします。  現行選挙法のもとにあっては、各政党ともよって立つ基盤を異にするので、政治資金のみ規正することははなはだ不公平を招くことになると思うのであります。自由民主党は大政党であって、それぞれ選挙区ごとに複数の候補者を立てる関係上、勢い平素政治活動個人後援会基盤といたします。社会、民社両党は、組織された労働組合基盤といたします。また、公明党は、宗教団体基盤となっていることは周知の事実であります。  あなたも御承知のとおり、選挙に関する後援団体結束の要諦は、所属の各個人が相互に常に意思の疎通をはかり、集会を開き、団結を強固にするにあります。しかるに、今日、革新政党後援会ともいうべき労働組合は、年間の財政総額数百億円に達し、その決算報告書によれば、そのうち大きな部分が政治資金として支出されていると推定せられるのであります。労働組合は、組合員の経済的地位の向上、また、労働条件の維持改善のため、その団結権を憲法によって保障されているものであり、選挙のための団結を憲法が保障しているものではないことは言うまでもありません。(拍手)また、宗教法人と一体をなす政治結社の場合、資金の使用と会員の団結の点に関する限り同様であって、政治活動と宗教活動との区別を明らかにすることは不可能であると考えるのであります。  選挙制度審議会においては、政治活動とは何ぞや、その実態は何をさすかについて一言も審議することなく、また、労働組合、宗教法人の内部で消費されるばく大な資金は、政治活動、ひいては選挙活動と全く無縁のものかいなかについて一言も触れられなかったことは、私の全く不可解とするところであります。(拍手)  本法案には、それぞれ基盤の異なる政党に対し、少しでも公平に資金規正しようとの意図があらわれていることは当然の措置と考える次第でありますが、しかし、さらにもっと根底からこの問題を検討する必要があったと思うのであります。自治大臣並びに労働大臣の御所見をお伺いいたします。  以上申し述べたとおり、基盤を異にする政党政治資金を、いまだ政治活動の本質や相違も見きわめず、実態の調査も行なわずして、単に寄付の面からのみ簡単に制約することは、現段階においてはなはだ不公平のそしりを免れません。  しかも、この法律起案の過程を通じて、世論の一圧迫があったことは事実でありますが、さりとて、この種の重大法案は、拙速を旨として処理せらるべきではありません。政党の近代化あるいは体質改善については、ここに御列席の各大臣は長い体験を通じてよく御承知のはずであります。拙速をとうとぶあまり、角をためて牛を殺すの愚を行ない、それによってわが国議会政治の進展に思わぬ蹉跌があれば、それは取り返しのつかないことになると思うのであります。政府としては、審議会においてすでに完成しておる次の答申に期待し、これを同時に法案化して審議の機会を与え、また、その施行期日は同時とせられんことを切に希望いたしまして、私の質疑を終了いたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  11. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  御指摘のように、私ども政治家に課せられた今日の課題は、どうして議会民主政治を守り抜くか、また、政党政治に対する国民の信頼を高めるか、こういう点にあると思います。これはお説のとおりであります。そういう観点に立ちまして、すでに選挙制度審議会におきまして種々審議を続けられておるのであります。その問題は、御指摘になりましたように、選挙区制の問題、選挙運動方法、あるいはまた政治資金の問題さらには参議院選挙のあり方等々、いろいろ検討しなければならない問題があるのでございます。しかし、御承知のように、選挙制度審議会ができまして、第一回以来、この政治資金の問題につきましてはいろいろ答申を続けてまいっておるのであります。私は、これらのものはワンセットとして考えるべきことだというその説には賛成でございますが、最近の政情等にかんがみまして、選挙制度審議会が特に政治資金を緊急に処置すべき問題として取り上げて答申をしたこと、これにはそれなりの意義があると、かように私は思うのであります。選挙制度審議会の設置法で、答申は尊重しなければならない、かように法律が定めております。政府は、その答申を尊重いたしまして、今回、皆さまの御審議を仰ぐべく、また、政治資金規正法を成立さすべく、国会に提案した次第であります。  次に、ただいま申すように、議会民主政治のもとにおきましては、政党政治基盤をなすものであります。それは御指摘のとおりであります。私は、この観点に立ちまして、政党がより活発に、より効果的な活動をぜひしてもらいたいと思います。また、御指摘のありましたように、本来政治活動そのものは自由であるべきで、制限すべきではないのであります。そういう観点で、もちろん金のかかることもわれわれは了承しなければならないのであります。しかしながら、金がかかると申しましても、おのずからそこには節度が要るのであります。この節度がただいま問題になっておる。したがいまして、金の集め方、金の使い方等につきまして、選挙制度審議会はいろいろ意見を述べ、同時に答申をしたのでございます。私は、その答申を尊重いたしまして、このたび国会に法案を提案し、皆さんの御審議を仰ぐ次第でございます。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  12. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 政治資金規正原則公開にありますることは、御指摘のとおりであろうと存じます。しかしながら、最近の政治情勢にかんがみまして、ある種の規制を、量的な規制をいたすこともやむを得ないと考えた次第でございまして、そのためには、その法の確保のために罰則をつけたわけでございます。しかしながら、私どもは、あくまで国民がこの法の精神にのっとって良識的な行動をしていただくことを期待いたしておるのでございまして、いたずらに警察による摘発等をいたす所存は全然ございません。  また、政治活動必要経費につきまして問題になるのは、課税上の問題であろうかと思います。私どもも、この点につきましては十分今後考えていかなければならないと思いますが、各政党並びに政治家の皆さま方にも十分お知恵を拝借いたしたいと存ずる次第でございます。  労働組合あるいは宗教団体の本質についてのお話がございました。もちろん、労働組合等は、地位の向上を目ざすことでございますが、そのために従たる活動として政治活動をいたすというのは、現在のわが国の法制上はやむを得ないことと存じておる次第でございます。  最後に、お述べになりましたように、政党の近代化、組織化というものは、各政党が御努力をいただくものでございまして、私どもも、性急な規制によってその政党の近代化、組織化をむしろ逆行させるようなことは絶対にいたしたくないと考えております。(拍手)   〔国務大臣早川崇君登壇
  13. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 労働組合政治活動の自由は、ただいま自治大臣お答えになったとおりでございます。労働組合は、主たる目的が、経済的条件の向上、労働福祉の向上が主たる目的でございます。その従たる目的として政治活動法律上容認されておることは、自治大臣お答えのとおりでございます。しかしながら、この従たる政治活動が主たる目的を越えるようなことになりますと、おのずからそこに限界があると私は思います。  先般のドライヤー報告でも、政治活動労働組合が少し過ぎるという勧告もございました。しかし、今回の法律では、あくまで政党に対する寄付制限しておるのでございまして、組合自体の政治活動資金というものには、今回の選挙制度審議会答申におきましては、これに触れておらない、これは自由になっておるというのが、今回の法案でございます。(拍手)     —————————————
  14. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 堀昌雄君。   〔堀昌雄君登壇
  15. 堀昌雄

    ○堀昌雄君 私は、日本社会党を代表して、今回提案されました政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、総理大臣及び各大臣に質問をいたします。  ただいま総理大臣も話しておりましたように、現在の日本の政治の情勢というものは、必ずしも国民が信頼をしておるところになっておらないのであります。日本国憲法は、その前文において、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と、こう書き出しておるのであります。一体、正当に選挙された代表者とはどういうものでありましょうか。これは少なくとも現在の公職選挙法の定めを守って、法律の定めた範囲内における選挙を行なっておる者が、すなわち正当に選挙された国民の代表であることに間違いはありません。(拍手)現在公職選挙法第二百四十七条では、「出納責任者が、第百九十六条《選挙運動に関する支出金額の制限額の告示》の規定により告示された額を超えて選挙運動に関する支出をし又はさせたときは、三年以下の禁錮又は五千円以上五万円以下の罰金に処する。」このように明らかに規定されておるのであります。  ところで、今度の総選挙についての資料はありませんから、前回の三十回総選挙、三十八年の資料について調べてみますと、三十八年の総選挙において、自由民主党は、公認料として六億三千八百万円を支出しておるのであります。三百三十四件でありまして、一件当たりは約百九十一万円であります。さらに、貸し付け金として二億九千六百四十万円、二百八十件で、一件当たり約百六万円、一人の候補者に対して二百九十六万円を公然と支出しておるのであります。ところが、前回の総選挙の法定選挙費用は、全国平均二百万円でありますから、自由民主党は、すでにこの選挙にあたって法定選挙費用を上回るものを公認料として与え、あるいは貸し付けておるというのが、この前の総選挙実態であります。(拍手)  さらに、三十八年の政治資金規正について、自由民主党寄付された金額で官報に告示されておりますものは、三十八年の上期が十二億九千三百万円、総選挙のあった下期は四十億九千万円であります。同じく、国民協会に対して寄付されたものは、上期五億四千万円、下期十八億九千五百万円、合わせて——自民党と国民協会の中で、国民協会から自民党への献金がありますから、これを純計して計算をいたしますならば、上期が十二億八千六百万円、下期が四十八億四千万円というのが、自民党及び国民協会への昭和三十八年の献金であります。さらに、自民党の派閥に対して行なわれた献金の総額は、上期に五億一千八百万円、下期に三十億一千五百万円でありまして、この金額は、年間九十六億五千九百万円に達しているのであります。昭和三十八年の総選挙にあたって自由民主党の諸君の使用した金額がこれらの総計であります。下期の七十八億五千五百万円を、当時の自民党の候補者三百五十九名で割り算をしてみるならば、一人当たりが二千百八十八万円、下期だけに使ったことになっておるのであります。はたして皆さん、これで正当な代表といえるでありましょうか。(拍手)  私たちは、このような巨額な政治資金が湯水のように使われておるところに——総理大臣が、昨年の十月二十日に言っておられるように、所信表明の中で明らかにしておられるように、「私は、今後一大決心を持って、積年の病弊を根絶するため、積極的かつ具体的な措置を講じていく決意であります。これが、いま私に与えられた国家国民に対する義務であると信じております。」と、こう言っておるのであります。私たちは、このような問題の背景になっておるところの政治献金の実態について、企業側の問題について触れておかなければなりません。  昭和三十八年における大口献金の会社名と金額を参考までに申し上げますと、一番大きいのは日本水産四千八百八十万円、二番目が出光興産三千四百八十五万円、三番目が東海ガス三千六十万円、四番目、大日本精糖二千七百七十万円、五番目、日魯漁業二千七百十万円、六番目、丸紅飯田二千六百三十五万円、大洋漁業が七番目で二千二百六十一万円、北海道炭磯二千百七十万円、前田建設千九百九十万円、台湾製糖千九百八十万円、これらが主たるものでありますが、かつて政治資金規正で問題になった八幡製鉄は、十九位で千五百六十一万円を献金しているのであります。  さらに、四十年において、会社以外の団体はいかなる形で自由民主党国民協会に寄付しておるかというと、石油連盟が三千九百八十万円、鉄鋼連盟の名で四千八百三十五万円、自動車工業会が四千五百万円、電気事業連合会が五千万円、東京銀行協会が六千五百万円、化学繊維協会が二千五百万円と、膨大な金額が四十年に国民協会に献金をされておるのであります。  私たちは、これらの問題が当然国民の批判を買い、今日の政治資金規正強化の声となったのは当然のことでありまして、先ほどのような世論の圧迫などという理解は、国民の側からすれば、まことに迷惑千万といわなければなりません。(拍手)  そこで、総理大臣にお伺いをいたします。  審議会はその答申の中で、「政党は、できるだけすみやかに近代化、組織化を図り、おおむね五箇年を目途として個人献金と党費によりその運営を行なうものとし、当審議会は差し当り、次の措置を講ずべきものと考える。」こう答申をしておるのであります。あなたは政党の総裁として、この答申で述べられておるところの、すみやかに近代化、組織化をはかるために、五年間で現在の団体寄付を党費及び個人献金に切りかえるための努力をここで明らかにすることができるのかどうか、はっきりお答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)  二番目は、六月八日のこの本会議におきまして、同僚の島上代議士の質問に答えて、「小骨一本も抜くようなことはございません」と、はっきり申されておるわけでございます。以下私が申し上げることは、一体それでは何に当たるのか、大骨に当たるのか、筋肉に当たるのか、いずれかをひとつお答え願いたいと思うのであります。(拍手)  今度の「特定会社等の寄附の禁止」の項目では、「国と特別の関係にある次に掲げる会社その他の法人は、政治資金の寄附をしてはならない」と、はっきり答申をしておるのであります。ところが、先ほども自治大臣趣旨説明にありましたように、国に関するものは地方には自由だ、こういう理解は審議会答申にはないわけであります。これが第一点。  第二点は、「国または公共企業体請負契約の当事者であるものおよび特定政府関係金融機関から融資を受けているものは、上記の金額のおおむね二分の一に相当する額を超えて寄附してはならないものとすること。」と、こうあるわけであります。これに対して、十分の一というワクを設けて、その大部分をこれから開放しようとしておるのは一体どういうわけでありますか。その次に、公職選挙法の部分で「公職候補者等の寄附の禁止」という項目について、答申は「候補者候補者となろうとする者および候補者等に係る後援団体等は、当該選挙区内にある者に対し、寄附をしてはならないものとすること。」と明らかになっておるのであります。上記の場合において例外は、「親族または政党その他の政治団体もしくは候補者等に対して寄附する場合は、この眠りではない」と、こうなっておるのでありますけれども、これについても重大な変更を与えておるのでありまして、特に後援会への寄付については完全に骨抜きにしておるではありませんか。  さらに、私は、非常に重大な問題であると考えておりますのは、答申の中で、「政治資金に係る課税については、たとえば個人の受けた寄附に対する課税、個人のした寄附についての優遇措置その他その合理化を検討するものとする」とあるのであります。ところが、今回の場合は、個人の受けた寄付については何ら触れることなく、会社法人については、現在すでに税制上の恩典があるにもかかわらず、別ワクとして全額損金に算入させることを提案しているのであります。  これは、皆さん、国民の側からすれば、政治家は、自分たちが受け取る金は、自分たちに不利益であるから、これは横へどけておいて、自分たちに有利な会社の献金に対してだけ優遇の道を開こうとすると、こう理解をするのは当然であります。今回のこの提案が国民の信頼にこたえるというのであれば、このようなやり方は、国民の期待を裏切るだけではなく、この考え方は、審議会答申団体から個人へと政治献金のシフトを考えておるにもかかわらず、逆に団体法人会社寄付を奨励する形をとっておることは、何としても審議会答申を完全に裏切っておるものといわなければならないのでありまして、これは骨抜きなんというものではないのであります。(拍手)  さらに、もっと重要な問題の一つは、政治資金に関する部分の施行は、すべて政令の定める日からということにして、おる点であります。御承知のように、いま総理も答えられましたけれども、今度の答申は「緊急に措置することを要する事項」として答申をしているのでありますから、その実施については、少なくとも時期を明らかにするのは政府の責任であります。にもかかわらず、審議会が緊急に措置すべき事項としておるものを、何ら日限をきめることなく提案しておるということは、これまた審議会答申に完全に反するものでありまして、この点については、もはや骨抜きの問題以上の問題であるわけであります。  この問題について総理にお伺いをしておかなければならないのは、一体、総理は、この問題について、いつからこの問題の実施をする考えでおられるのか。審議会答申を尊重するのならば、明らかに日時を示していただきたいと思うのであります。  さらに、四十二年五月四日の参議院において、総理はこのように言っておられるのであります。わが同僚の占部議員の質問に対し、「今日国民から私どもに対する期待というか、政界の浄化、政治資金規正の問題は国民の至上命令だと、かように実は考えておりますので、あらゆる善処をはかるつもりでございます。私自身総理であり、同時に総裁ですから、今日法律案を出すことは政府の責任だと、かように考えておりますので、万障を克服して、国会で御審議をいただくだけではなく、ぜひとも成立を期する、こういう覚悟でいるわけであります。」こうあなたは申しておられるのであります。さらに、テレビを見ておりましたらば、この間の十三日の閣議のときに、あなたは、会期中に成立を期するということを申されたと、木村官房副長官はテレビで国民の前に明らかにしておるわけであります。  総理は、総理として、さらに総裁として、この国会の会期中に必ず答申の線で成立をさせることを国民の前に重ねて確約してもらいたいのであります。(拍手)  これらの問題について、特に総理にお伺いした問題について、答弁が不明確な場合には、再質問を留保さしていただきたいと思うのであります。  次に、労働大臣にお伺いをいたします。  労働基準法二十四条は「労働組合または労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」と、こうなっているのであります。この法律に盛られておるあっせんの規制というのは、労働組合があっせんすることがあったとかりにいたしましても、そのあっせんによって寄付をすると約束した者のその寄付金を、チェックオフによって取ることが一体どこが悪いのでありましょうか。この現在の労働基準法二十四条との関係において、私は、今回の政治資金規正法の中での取り扱いは、この基準法の精神を踏みにじるものだと考えるのでありますけれども、労働大臣お答えをいただきたいのであります。  その次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。  先ほどの法人税の損金算入の例でありますけれども、現在すでに、資本金の千分の二・五及び収入の百分の二・五の二分の一は税法上明らかに寄付が認められて、損金として認められておるのであります。これが昭和四十年には三百億円に達しているのでありまして、百億円以上の会社百十二社について見ますならば、合計九十四億二千四百万円が、この寄付金の法令によって損金に算入されておるのであります。このように多額のものが、現在すでに政治資金を含めて損金に算入されておるにもかかわらず、新たにその全額を政党に対するものについては損金として認めるというのは、一体これは税の公平の原則から見てもおかしいのではないか。すでにそれだけが認められておるのにやるということは、税の立場から考えても、私は納得ができないのであります。さらに、個人の受けた寄付の課税について、一体どういう処置をしようとするのか、大蔵大臣の見解をお伺いいたしたいのであります。  最後に、法務大臣にお伺いをいたします。  法治国では、法律は守られなければなりません。ところが、公選法二百四十七条によって、過去十年間に出納責任者が起訴をされたり処分をされた例を、私は寡聞にして聞いておりません。一体、処分をされた者があるのかどうか。このような法律があって、明らかに選挙違反等で、多額の選挙費用を使ったことが明らかになっておる者すらも、この条項に該当して起訴されていないということであれば、選挙に関する法律は、きわめてルーズな適用しか受けていないということになるのではないでしょうか。小さなものに対してはきびしく、肝心なところだけが抜けているというような、そのような取り扱いでは、今度の政治資金規正についてのいろいろな罰則取り扱いについても、ほとんど期待をすることができないのではないかと、国民は心配をするであろうと思うのであります。この点について、政治家の立場からも、われわれはそのような誤解を一掃するために、法務大臣としてのき然たる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  16. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 私は、ただいま私ども政治家に課せられたことは、どうしたら政治に対する国民の信頼を高めることができるか、これにただいま全力を注がなければならないと思っております。これは、ひとり政府だけではございません。われわれ政治家でございます。どうか、そういう意味で、ことばは御自由に、また表現は御自由でございますが、われわれに対する国民の信頼を高めるように、一そう御協力のほどお願いをしておきます。そういう意味で、私どもは、党の近代化や組織化に今後とも一そう熱意を示すのでございます。  審議会は、ただいま、五年を目途として、個人献金並びに党費によって政党をまかなえ、こういうような希望意見を述べております。私どもはこれについて、この答申といわず、審議会の意見、これは尊重しなければならないというのが、設置法の定むるところであります。私は、その意味におきましても尊重いたしますが、もちろん、総裁といたしましても、党の近代化、組織化をはかることは、これはもう当然のことであります。国民の信頼を得るためにも、これは積極的にその道をはかるべきだと思います。ただ、五年の間に必ずできるか、こう言われますと、私は率直に申しますが、現状は、これを実現するのにはずいぶんかけ離れております。なかなかそれはむずかしいことだと、かように思っております。  次に、小骨の議論あるいは大骨の議論、いろいろ出ておりますが、私はこの審議会答申を尊重して法案をつくったのでございます。どうか委員会の席におきまして、大骨か小骨か、そういうものを失っておるかどうか、十分御審議をいただきたいと思います。(発言する者多し)どうも私の言うことがよくわからないようですが、私は審議会答申を尊重して出したのでございます。だから、御審議をいただきたいと言っておる。  次に、この成立の問題でありますが、いままで私が参議院に答えたとおりでありまして、ただいまその考え方を変えておりません。私は、ぜひとも皆さま方の御審議によりまして、御協力のもとに本法案を成立させたい。この上とも努力するつもりであります。政府自身よりも、これは国会の問題でございますから、どうか成立さすように御協力願います。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  17. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 直接に私へのお名ざしはなかったようでございますが、内容にわたっておりますので、一言お答え申し上げます。  国の補助を受けているものが、地方団体議員あるいは長に対して寄付をしてもいいことになっておるのはいかぬというお話でございますが、国の補助金というものは国会議員が関係いたしますから、国会議員あるいは国会議員の組織する政治団体寄付をするということはいけないわけでございますけれども、地方団体とは、地方団体議員あるいは長については何らの関係がないから、これは当然のことだと私は考えております。  政令についてのお話でございましたが、これはこのような非常な変革でございますから、国民への周知徹底をはかり、あるいは市町村の選挙管理委員会の準備をするために、相当の日時が必要であろうと思います。準備の整い次第施行することにいたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣早川崇君登壇
  18. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 労働基準法第二十四条は、労働者に賃金の全額を支払われることを原則としてうたっておる法令でございまして、例外的に法令または労働協定による場合のチェックオフを認めておる規定でございます。今回の政治資金規正法改正によるこの政治活動寄付のチェックオフは、その個人政治的自由意思を尊重するという立場から規制を行なうものでございまして、これは単に労働組合のみならず、下請会社の下請代金の控除をも禁止いたしておるわけでございます。したがって、労働者の賃金保護を目的とする労働基準法二十四条とは別個の観点から規制されておるものと考える次第でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  19. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 今回の政治資金規正法改正によって、法人政治資金寄付についてはきびしい制限が設けられることになりましたが、それでもなお、政治資金の公共性にかんがみまして、政党に対する法人寄付政治資金規正法で認められることになっており、その認められている寄付金の限度におきましても、大きな金額の寄付をしておりました一部の法人を除きまして、多数の法人につきましては、政党寄付が真に行なわれるようになりますと、他の公共寄付金のワクを圧迫しがちとなるおそれがあるというようなことから、特別措置を講じようとするものでありまして、要するに、政治資金規正法改正に関連して、政党寄付を他の公共寄付に準ずるものとしてこれを措置する、こういう趣旨から出たものでございます。(拍手)   〔国務大臣田中伊三次君登壇
  20. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 法定の選挙費用に超過をいたしまして公選法の二百四十七条によって起訴せられた先例は、国会の選挙に関しては、過去十年来ございません。ただし、地方選挙、ことに県会議員の三十八年の選挙の場合には、同じ案件が七件ございました。七件はいずれも起訴いたしまして、略式命令を発しております。(拍手)
  21. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 堀昌雄君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。堀昌雄君。   〔堀昌雄君登壇
  22. 堀昌雄

    ○堀昌雄君 答弁が明確でありませんから、再質問をいたします。  私がお伺いをしたのは、一体この法律はいつから実施をすることになるのか、政令にすべてをゆだねたのでは、いつから実施をするかわからないから、それを明確にしなさいということをお尋ねいたしました。ところが、自治大臣は、準備が整い次第と、こういう答弁であります。いま新聞紙上でいわれておることを皆さんも御承知でしょう。この法案をかん詰めにして、かん切りは別のところにしまっておけというのが、これが皆さんの言だと新聞で伝えておるではありませんか。(拍手)こんなばかなことが国民からいわれるようなことは私たちは避けなければならないと思うのであります。(拍手)これが政治に対する信頼を回復するもとではないのでしょうか。  私は自治大臣に重ねてお尋ねをいたしますが、一体準備にいつまでかかるかわからないというような、そんな無責任なことでどうしてこの法案ができたのですか。この法案の作業をする以上は、それを周知徹底する時間が、三カ月なのか、六カ月なのか、当然わからなければならない。いつまでたつかわからないなどというのは、無責任であるということの一語に尽きるのであります。私は、このようなことは、いろいろな借金返しのための時間をかせぐなどと、国民から要らぬ心配を自民党の皆さんが受けないためにも、この日にちを明確にすることを重ねて要求いたしたいのであります。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  23. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先ほどもお答えいたしたように、この法律案は、大きく言えば国民全体に関係をいたし、しかも罰則もつくようなものでございます。したがいまして、国民全体に理解を深めるためには相当の時日を要する。しかし、その準備のでき次第すみやかに施行する所存でございまして、決してかん詰めにするようなことはございませんことを御安心いただきたいと思います。(拍手)     —————————————
  24. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 小沢貞孝君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔小沢貞孝君登壇
  25. 小沢貞孝

    ○小沢貞孝君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま説明のありました政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案について、佐藤総理並びに藤枝自治大臣等に対し、若干の質問をいたしたいと存ずるものであります。  言うまでもありませんが、政治資金規正法は、政党、協会その他の団体等の政治活動の公明をはかり、選挙の公正を確保し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的としておるのであります。  昨年以来、政治資金をめぐって国民の疑惑を招くような事態が相次いで起こってまいりました。選挙制度審議会は、このような状況にかんがみて、当面緊急を要する措置として、四月上旬、佐藤総理に対し、政治資金規正等に関する答申を行ないました。その冒頭に、「政党政治資金は、個人献金と党費により賄なわれることが本来の姿である」、こういうように、これは基本的態度として明示しておるわけであります。しかも、具体的には、おおむね五年後にそれを実現するために、政党は近代化、組織化をはかるべきことを要請しております。先ほどの佐藤総理の答弁は、たいへん自信のないようなお話でございましたが、目標は、船の行き着くべき港は、政党近代化の目標として個人献金でなければならない、こういうように明示されたわけであります。  わが国においても、科学技術も発達するし、機械も人もみんな変わって、日本経済は、多くの問題点をはらんでおるとはいえ、着々と発展して、西欧に追いつき追い越すような状態となってまいりました。しかし、ひとりわが国政治は、その政党の非近代的なるがために、依然として後進性を保ったままであります。この事実は、党派を越えて国民のひとしく憂うるところでなければなりません。  今度の規正法に関する答申は、この国民的目標に対してその一里塚として与えられたものといっても過言ではありません。現実に足を踏まえ、さしあたり実現を期することを求められたものでございます。しかるに、答申案と今日提案された法案とを比べてみますると、一体どこに答申の精神が生かされておるでありましょうか。基本精神が全く失われておると申しても過言ではございません。(拍手)私は、まずこの点を佐藤総理にお尋ねいたしたいと思うわけであります。  第二には、政府は、審議会答申が出されてからすでに二カ月有半、今国会会期末まで提案の日を送ってまいりました。その間自治省案ができるまで、あるいはまた、自治省案ができてから政府最終原案ができるまで、自民党の幹事長が先頭に立って、いまだかつてないと思われるようなブロック会議も招集して検討を重ね、修正に修正を重ねてまいりました。したがって、ここに提案された本法案は、政府と与党とこん然一体となってつくり上げた法案であると私は信じて疑いません。  しかるに、どうも紙上伝えられるところによれば、国会審議の過程で政府・与党の手によってさらに改悪されるのではないかというように伝えられております。何がゆえに、本法案に限って、政府と自民党はかかる態度、言いかえるならば、二昭和四十二年六月二十二日刀づかいをしなければならないか。現にいま社会労働委員会に付託された健康保険等特例法案審議にあたっては、この法案の中に自民党の議員の中ですら多くの疑問を持っておりますけれども、なおかつ文字どおりごり押しのために政府・与党一体となって戦っておる現実であります。政府は一体政治資金規正法を本気で今国会で成立させようとしておるのかどうか、政府の責任者としての立場から明確な御答弁を佐藤総理にお願いいたしたいわけであります。(拍手)  どうも政府は、腹の中では、とにかく提案だけはしたということでその責任をのがれようとしておるように見えてなりません。国会審議の中でこの法案がさらに骨抜きになって成立するか、あるいはあわよくば審議未了、廃案となることを望んでいるのではないでしょうか。しかも、事もあろうに、先ほどの質問にもありましたが、労働組合の献金のほうのチェックオフを規制して、そうしてその責任の一部を野党に負わせようとしております。言いかえるならば、提案まぎわになって、あわてて、労働組合の行なう寄付について、先ほどの質問のあったように、チェックオフを禁止する条文を挿入したのであります。こういうことは、明らかに野党を刺激してこの法案を成立させないようにして、その責任の一端を野党に負わせようとする魂胆であるに違いありません。(拍手)労働、自治両省の事務当局は、天引き禁止の条文は不適当だ、と言っております。このことは新聞にも明らかに出ております。しかし、先ほどの早川労働大臣説明ではその点が不明確でありました。基準法できめられ、当局が不適当と思われるようなものを、なぜ提案まぎわに挿入しなければならなかったか、この経過について自治大臣並びに労働大臣の明確な御答弁をお願いいたします。  さて、従来から、政治資金規正法は、食管法あるいは売春禁止法とともに、ざる法だといわれてまいりました。まことに遺憾であります。したがって、このような弊害を除くためには、規定された条文がだれにもわかりやすくなければなりません。答申案では、国または公共企業体請負その他特別の利益を伴う契約の当事者であるもの及び特定政府関係金融機関から融資を受けているものは、すべて一般会社寄付制限額の二分の一、どういうようにきわめて明確であります。しかるに、提案された改正案は、契約高や融資額が十分の一以下のものは除外いたしました。これによって、あとでこの十分の一の制限をさらに十分の二、十分の三と、次々とワクを拡大するような余地を残した点、これが第一点。第二点としては、ざる法としての、そのざるの目をいよいよ拡大する役目をこれによって果たさせようとしたことであります。一体、特定会社政府との契約がその会社の売り上げまたは融資額の十分の一以下であるかどうかということは、事務的に調査し、公表し、周知徹底することはなかなか至難であります。単に、答申案のように、政府関係がある、こういうことであるならば、きわめて明確であるわけであります。  このように考えてまいりますと、十分の一のワクをわざわざつけたということは、その意味がきわめて重大だというように感ぜられます。まずこの点について自治大臣所見を私はお伺いいたしたいと思います。  そもそも、かくのごとく答申の線から一歩二歩と後退して、ついには答申の精神そのものの否定にもなりかねまじき状態にまで寄付制限の緩和をはからざるを得なかったのは、公然と派閥の温存を許したことをはじめ、候補者の支出のほうを食いとめなかったことにその根本原因があると思うのであります。すなわち、従来の派閥を公然と政治団体として認めたり、公職候補者寄付の禁止について、その規制答申案よりもはるかに後退して、政治上の主義または施策を普及するための講習会や、政治教育のための集会に実費を支出してよいということがきめられまして、いままで行なわれたような東京見物あるいは温泉旅行等を堂々と認めているところに問題があるわけであります。(拍手)  初めは与党の審議会委員もこの支出の全面禁止には賛成しておったと聞いております。一体、いかなる理由でかくのごとく後退せざるを得なかったか、これまた自治大臣の御答弁をわずらわしたいわけであります。  総じて、本法案は、匿名寄付の問題といい、法の実施が適正に行なわれておるかどうか、調査、監視、取り調べ、こういうことがきわめて困難であります。われわれもまた、この法の実施にあたって権力の介入を戒めなければならないと信ずるものでありますが、本法の適正な実施をいかにして行なわんとするか、担当大臣の所信を承りたいと存じます。  さて、私は先ほど、本法はざる法の一つであると申し上げました。この法案を、政党とその資金規正し取り締まるというように、受け身の見方で見るならば、まさにざる法となるでありましょう。そうではなくして、冒頭に私が述べましたように、政党近代化の一里塚として前向きに受けとめまして、政党近代化のための教育法、こういうようにして受けとめるならば、その意義もまた評価できるわけであります。しかし、そのためには、政府と自民党の最高責任者、佐藤総理の態度いかんに私はかかっておると信じて疑いません。答申以来、後退に後退を重ねてくることを許したことは、総理の責任はまことに重大であります。この点について総理はいかなる反省をなされておるでありましょうか、明確な御答弁をわずらわしたいわけであります。  その上、この法律は、施行を一体いつにするかきめてありません。先ほどの自治大臣の答弁は、準備のでき次第、国民が十分了解した後にということで、堀議員の質問に対して明確ではありません。国民はいま、車の両輪論者との妥協で、選挙区制とからませようとしているのではないか、あるいはまた、政治資金規正して政治姿勢を改めたいという国民世論の冷却を待ってうやむやにしようとしているのではないか、こういう不信の念を持って見ておるわけであります。したがって、この点については、今度は総理から、いついつから実施する、こういうように明確な御答弁をわずらわしたいわけであります。  さて、最後に、私は、国民から政党政治の信頼を高めて議会制民主主義の発展を期するための方途についてお伺いいたしたいと思います。  先ほども堀議員が若干申されましたが、私は、本年二月末の自治省発表の四十一年度上半期の政治資金をもとに、主要政党等の収入を分析してみますと、発表のあったものの中で、明らかに各政党に属するもの、あるいは派閥に属するものとわかったものを加えて、これを比較の便宜のために、その当日の衆議院議員の数で割ってみました。そうしたら、指数だけ申し上げますが、自民党は、議員一人当たり、ここ半年でありますが、千七百という数字が出ました。共産党のほうは一億六千六百という数字が出ました。公明党のほうは約千九百という数字が出ました。社会党百十五、民社党百四十、こういうような数字となります。これは一応の比較のめどであります。与党の政治資金は、民社党や社会党等野党の政治資金の約十倍であるということであります。  政治資金は、各政党いろいろと事情がありましょう。しかし、公平な使用額によって、政党間の争いは政策によって争われ、国民の審判を求めることが、より好ましいことであると私は信じて疑いません。かりに、ある政党政治資金の絶対的優位が保てないならば、その政党が凋落の危機に瀕する、もしこういうことであるならば、それはその政党の政策の貧困を物語っておる、こういうように断じて差しつかえありません。(拍手)  私は、四月に審議会答申佐藤総理に提示されてから今日までの政府と与党の動きを静観してまいりましたが、そのあわただしい動きは、何か焦燥にかられていると申しても過言ではありません。会社寄付のほうは、先ほど来論議されているように、骨抜き的修正を加え、税の優遇を行ない、反対に、約一割の政治資金しかない野党のほうに対しては、法律的に見ても不適当あるいは妥当性のないという方法規制しようとしております。これはまさに党利党略でなくして何でありましょうか。(拍手)こういうことで一体党近代化を志す政党といえるでありましょうか。この点について、国民佐藤総理と自民党に注目いたしております。佐藤総理のこの点に関する所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  26. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  先ほど赤澤君や堀君にお答えいたしましたように、今日、私ども政治家が当然の責務としてつとめなければならないことは、何といいましても議会民主政治を確立すること、同時に、政党政治に対する国民の信頼を高めることだ、かように私は思います。今日、政治資金規正法案が出てまいりましたのはそのゆえんだと思いますので、そういう意味で、私はたびたび申し上げましたように、いろいろの御批判はいただいておりますが、この答申は忠実に尊重いたしまして法案をつくったつもりであります。この点につきましては、いろいろの御意見がおありだと思いますが、政府は、ただいま申し上げるような確信のもとに出しておるのでありますから、どうか委員会の席等におきましてとくと御審議をいただきたいと思います。  また、ただいまも御指摘になりましたように、本来自然の姿といたしまして、政党資金個人献金並びに党費をもってまかなわるべきだ、かようなことを審議会は述べております。しかし、先ほどもお答えいたしましたように、現状は、この問題をそのとおり実施するのには非常なギャップがございます。そういう意味で、五年の間にこの目標を達成することはなかなか困難だ、私はかように考えております。この点は、一例で申しますが、たとえば、わが国における法人の存在というもの、これはたいへんな意義、価値を持っております。経済社会においての法人、これは全然無視はできません。また、ただいまもいろいろの御意見が出ておりますが、労働組合の存在、これまた、目標がいわゆる経済活動にしろ、そういう問題はこれも無視はできない、そういう現実を踏まえて、ただいまの個人献金と党費でまかなえということ、これはなかなか無理があるのでございますから、私は、たいへん率直に、これはなかなかむずかしいことだ、かようにお答えをしておるのであります。  次に、この法律はざる法だとか、あるいは党利党略だとか、いろいろの御意見が出ております。これは今日までもしばしば述べられたことでございますが、政府はただいま審議会の意見を最も忠実に尊重いたしましてこれを出したのでございます。先ほどから申し上げますように、その詳細は委員会において十分御審議をいただきたいと思います。同時に私は、皆さま方の御協力を得まして、わが国政党政治のためにも、わが国民主政治確立のために、りっぱなこの種の法律をつくりたいと思います。したがいまして、原案に必ずしもこだわりません。これは十分御審議をいただきまして、りっぱな意見であれば、また、わが国政党政治のためになるようなりっぱな意見なら、どんどん取り入れて、そしてりっぱな法律をつくろうではありませんか。このことを私は特に皆さま方にもお願いをいたします。  次に、施行期日の問題について重ねて私にお尋ねでございます。私も明確にお答えいたしますが、先ほど藤枝君が答えたとおりでございます。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  27. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 賃金、加工賃、下請代金等の天引きを禁じましたのは、元来こうした賃金や加工賃や下請代金を受け取る側は、経済的に弱い立場にありますから、したがいまして、これを天引きするということは強制のおそれがございますので、これを禁止したわけでございます。  国または公共企業体請負その他特別の利益を伴う契約の当事者に対する制限をきびしくしておるのでございますが、この答申趣旨は、国との契約で特別の利益を受けたものは制限をきびしくするということだと思います。ところで、請負そのものは、請負をしたから直ちに特別の利益があるものとは考えられないのでありまして、そのようなことがあっては、綱紀のことばかりでなく、刑法上の犯罪にもなるわけでございまして、ただ請負という国との特別な関係があるということで制限をきびしくするのでございますから、その金額が非常に少ないものは、これははずすのが当然であると考えております。  選挙区への寄付につきましては、審議の段階で、御承知のように、社交上の寄付は認めようという議論もずいぶんあったわけでございますが、最終段階にこれがはずされました。しかし、実態考えますと、社交上の寄付というものは、これはある程度は考えなければならない、しかし、社交上ということが非常に不明確でございますので、政治教育に対する必要最小限度の実費弁償としたわけでございます。  立ち入り検査等をやらなければだめではないかというお話でございますが、私は、こうした問題はすべて国民の良識に従って真実を発表していただくということが原則でございまして、立ち入り検査のようなことはすべきでないと考えている次第でございます。(拍手)
  28. 園田直

    ○副議長(園田直君) 大野潔君。   〔大野潔君登壇
  29. 大野潔

    ○大野潔君 私は、公明党を代表いたしまして、今回提出されました政治資金規正法に関し、総理並びに関係大臣に、特に重要な点にしぼって質問をいたします。  政治資金規正について、公明党は、政界浄化の立場から、過去数回にわたり改正案を提案してまいりましたが、そのつど目ざすところは達成できず今日に至りましたことは、はなはだ残念なことであります。しかし、この問題は、いまや全国民の世論となって、すみやかに政治資金規正せよとの声が日増しに激しくなっているのであります。公明党が主張する政治資金の理想像は、個人の献金に限れ、会社団体からの政治献金を禁止せよでございます。この主張は、選挙制度審議会の第一次、第二次の答申でさえそれを認めている政治献金本来の姿でございます。今日のように国民の中に根強い政治不信を植えつけたのは何か、それは、政治と金のきたないつながりであります。政党特定会社特定団体との黒い霧にほかならなかったのでございます。特に今特別国会は、黒い霧解散による出直しの国会であり、国民の最も期待するところは、政治姿勢を正すべしということであり、この期待にこたえる道は、いかにきびしくとも、政治資金規正の実をあげることに徹すべきであると思うのでございます。(拍手)  答申は、このような政治献金本来のあり方、すなわち、個人献金に限るべしとの理想を実現を五年後に譲り、とりあえず実行可能な事項を緊急に成立させるべきであるとの趣旨でなされたのであります。しかるに、今回提出されました政府案は、このような答申内容よりはるかに後退したものであることは、まことに残念なことでございます。ここに私どもが不満とする諸点について、総理並びに関係大臣の所信をただしたいのでございます。  まず第一に、施行日を政令に委任した問題は、最も理解に苦しむ点でございます。  答申は、当面緊急を要する措置として、早期実現を強く求めております。同じく世論も、一日も早く政治資金規正実現を強く期待しております。その肝心な施行期日を政令にゆだねんとする意図はどこにあるのか。党利党略に終始して大局を見誤っているのか。それとも、その根底に根強い小選挙区制の野望をひそめ、両輪論の実現をねらっているのではないか。自治大臣のいうところの、準備や徹底に時間を要するという言いわけは、政令委任の絶対的な理由としては、どうしても納得できないのでございます。  昨年、公選法を改正し、永久選挙人名簿を作成した際は、わずかの期間で七千万有権者に対して強行をはかったことを思うならば、きわめて容易に施行が可能である。しかも、当局の自治省も、十分徹底できる期間を見込み、自信を持って、四十三年一月一日施行、そのように原案に出したものを、なぜ政令委任と不明確にしてしまったのか、総理の明確な答弁を求める次第でございます。  第二の点は、罰則について伺います。  乱脈をきわめた政治資金姿勢を正すためには、違法行為に対して罰則の強化をすべきは当然であります。献金は善意のものであり、罰則をきびしくするのはおかしいなどとの論もあるようであります。その善意の名のもとに、それを利用し、無用し、国民のひんしゅくをかった事例こそ、共和製糖であり、昭和電工であり、保全経済会等々の汚職事件であり、国民政治不信のもととなったのであります。したがって、世論にこたえるためにも、厳格な罰則を付するのは当然でありましょう。それにもかかわらず、本法案罰則が、公選法の罰則に比してあまりにも軽きに失するのはいかなる考えによったものか、法務大臣並びに自治大臣お答えをお願いいたします。  一方、罰則があっても、違反の事実を確認するための監査機関を設けなければ、規制自体何ら実をあげることはできないのでございます。監査機関なくして、いかにその違反を取り締まり、公平を保つ所存なのか、総理並びに自治大臣の明快なお答えをお願いする次第でございます。  第三に、法人寄付に税制上破格の優遇措置を設けたことについて、大蔵大臣の所信を伺いたい。  答申には、法人寄付に対する税制上の優遇措置は全くないのでございます。本来この法律は、会社でも個人でも多額の献金は好ましくないとし、規制を設けたものでございます。さらに、献金は個人原則とし、現状やむなしとの立場より法人の献金を認めたものでございます。税の優遇措置をとることは、この法律の精神を曲げるものでございます。  大蔵大臣は、当初、子弟の教育費に対する免税措置もとれない現在、法人寄付の減税はしない、このように強調していながら、なぜ大幅な譲歩をしなければならなかったか、その理由を明らかにしていただきたいと思うのでございます。  最後に、規正法成立への総理の決意をお伺いいたします。  第五次選挙制度審議会より答申が出された四月七日以来政府のとってきた態度は、はたして、国民の前に政治姿勢を正す誠意としての本案成立をまじめにお考えでございましょうか。これについて、去る五月四日の予算委員会において、総理は次のように言明されたはずでございます。すなわち、「政界浄化、政治資金問題は国民の至上命令であり、あらゆる善処をはかる。与党内にも異論があるというが、私自身総理であり、同時に総裁ですから、万障を克服して、国会で審議を願い、成立を期する覚悟である。」このことばは、廃案ムードの中にあって国民は一条の希望の光として期待をいたしております。  ここで総理にお伺いをいたしたい。  一、この総理の発言から見て、国民の至上命令たるこの政治資金規正法改正案を本国会における最重要法案とお認めになっているかどうか。  二、総理は、かまぼこ論や骨抜き、とげつき、実施抜きと公然といわれている廃案ムードしきりの中で、あくまでも法案を今国会において成立させることに現在なお強く決意されておられるかどうか。  三、成立させるためには、もはや旬日を残すのみとなった現在、物理的にも会期中の成立は困難と見なければなりません。もちろん、提案がおくれた政府の責任はあくまでも重大でありますが、国民の期待に沿い得るためには、党利党略を捨てて、どのようなスケジュールによって成立を期されようとするのか、しっかりとお示し願いたいと思うのでございます。  四、また、予算委員会の発言の中にもありましたが、総理は、自民党の総裁として党内の異論を押え、本案件の審議促進と成立についていかなる方策をもって臨まれるのか、以上の点を明らかにしていただきたいのでございます。  いまわれわれは、与野党を問わず、国民の前に、国会の権威いまだ失墜せずとの厳然たる姿をもってこたえるためにも、また、政治姿勢を正すための本特別国会の使命を全うするためにも、国民の納得のいく政治資金規正法の成立を心から望んで、質問を終わるものでございます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  30. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 施行期日を政令に譲ったのはなぜかというと、御承知のように、これは立法技術上の問題で、その中身、本法の規定するところのものが、直ちにきめることが困難な場合には、これを政令に譲る場合がしばしばございます。先ほど来お答えしておりますように、準備でき次第これを実施する、こういうたてまえでございますので、これは政令に譲るのは当然であります。  第二に、成立の私の決意、これをお尋ねでございました。御承知のように、私は審議会答申を尊重いたしましてただいま法案提出しておるわけであります。成立を期さないような法律案を、皆さま方のごやっかいと申しますか、お手をわずらわすような考えはございません。成立を期すればこそ提案したのでございます。それを誤解のないようにお願いします。したがいまして、いろいろこまかくおあげになりましてお尋ねでございますが、私の決意のほどは御了承いただきたいと思います。  また、今日までこの法律案がいろいろ遅延したと、かような御批判もございますが、この法律案は、私が申すまでもなく、重大な画期的な法律でございます。そういう意味でいろいろ準備の都合もありましたのでおくれた、かように御了承いただきたい。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  31. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 罰則につきましては、法体系上あるいは他の法令との関係を考慮いたしてやったわけでございまして、特に軽いとは存じません。  監査機関につきましては、先ほどもお答え申しましたが、この種の政治献金等の問題につきましては、国民の良識に従ってやっていただくことが最も望ましいのでございまして、徴税機関のように立ち入りをして帳面をひっくり返して調べるというような性質のものではないのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  32. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 教育費控除の問題は、一般の課税最低限、さらには控除の論拠にも関係する問題でございまして、また、多額の財源を必要とする問題でございますので、いま慎重に検討されておるところでございますが、今回の寄付金に対する租税上の措置のほうは、先ほど申しましたように、規正法の改正に関連して、政党寄付を公共寄付に準ずるものとしてさしあたり特例を設けようとするものでございまして、多くの財源を必要とするものではございません。特に法人寄付につきましては非常にきびしい限度を設けられておりますので、大会社政治献金はむしろ制限されることになりますので、いまのところ税の減収は生じない見込みでございます。(拍手)   〔国務大臣田中伊三次君登壇
  33. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 本案の罰則が軽きに失するのではないかというお尋ねでございます。これは藤枝君のお答えと同様でございますが、中身を申し上げますと、何が軽いか、何が重いかという問題は、今日の法制上の考え方から申しますと、類似の法律罰則はどうなっておるかということを見る以外にない。そこで、現在の類似の法律とは、公職選挙法と現行の政治資金規正法の両法律でございます。この二つの法律罰則と比較をいたしまして無理のないようにという意味でここにつくり上げましたのが、提案をしております罰則でございます。決して軽きに失するものとは考えません。(拍手)     —————————————
  34. 園田直

    ○副議長(園田直君) 谷口善太郎君。   〔谷口善太郎登壇
  35. 谷口善太郎

    ○谷口善太郎君 私は、日本共産党を代表しまして総理に質問いたします。  第一点、汚職、腐敗の政治を根本的に一掃する、このためには、営利会社や資本家団体からの政治献金を全面的に禁止する。政党政治団体活動資金は、あくまでも党費、事業収入及び党を支持する個人寄付、それも現状では四十万円ぐらいを限度とする大衆的寄付でまかなわるべきであります。なぜなら、政党は金のために一部の営利団体の支配を受けたり、その利益に奉仕することが絶対にあってはならないからであります。これはわが党の一貫した主張であり、かつ、これを実践して三十万の党を動かしているのであります。ところが、今回の改正案は、依然として営利会社や資本家団体からの献金の道を大幅に残しているばかりか、国や公共企業体、地方団体請負関係を持つ会社あるいは融資を受けている会社、企業家等からの献金さえ事実上野放しにしているのであります。  総理は、この改正案で汚職、腐敗が根絶できると思いますか、お答えを願います。  第二点、政治献金に対する免税の問題であります。特に営利会社の献金、個人の大口寄付を大幅に免税したことは重大であります。最近の国民大衆に対する課税の過酷さは目に余るものがありますが、汚職、腐敗の根源である政治献金に税をかけぬとは、まさに献金を奨励するものであります。政治献金に税をかけぬ理由を明確に答えていただきたい。  第三点、改正案は、公職候補者等が、選挙区で、選挙の前後の一定期間を除くほかは、後援団体への供応や寄付政治集会への実費負担と称する事実上の接待行為などを自由に許すという規定を残しているのであります。なぜこの規定を残したか。買収、供応、地位利用とあらん限りの悪事を尽くして、しかも無罪となった小林章事件が、これを明らかにしております。こういう規定を残しておいて、選挙に金がかかるから営利会社から献金が必要だ、こういうことを言う。どういう量見か、はっきりさしていただきたい。まさにこの改正案は、汚職、腐敗政治の是正には何の役にも立たない、ざる法と断ぜざるを得ないのであります。  第四点、この改正案を提出する過程で、政府・自民党内に、政治資金の献金面を規制するなら、現行の選挙区制を改めて小選挙区制を実施せよという、いわゆる車の両輪論が出たことはきわめて重大であります。これこそ政府・自民党の陰謀であります。選挙で金がかかるかからぬの問題と区制の問題とは、全く別な問題であります。わが党は現行制度のもとでも金をかけずにやっておる。小選挙区制こそ、政府・自民党の現状から見て、一そう買収、汚職を容易にするでありましょう。問題はいまや明らかであります。政府・自民党は、国民の強い要求に押されて政治資金規正に応ずるように見せかけながら、実は汚職、腐敗政治を一掃する気など全くなく、むしろこれを機会に強引に小選挙区制実施の陰謀を推し進め、民主主義の破壊、憲法の改悪、軍国主義の復活という、アメリカ帝国主義と日本独占の要求実現に真の目標を置いているのであります。政府はこの欺瞞的な改正案を撤回して出直すべきであります。汚職、腐敗政治を一掃するための具体案をわが党はすでに明らかにしている。政府はわが党の具体案について真剣に検討を加えたかどうかを聞きたい。  以上の諸点について、総理の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  36. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 谷口君にお答えいたします。  この問題は、先ほど来いろいろお答えをいたしましたので、本筋は御理解をいただいたと思いますが、しかし、なお重ねてお尋ねがございますので、申し上げます。  私は、今回の答申、これを忠実に尊重いたしまして法案をつくったのであります。ただいまの、これができたら今後は汚職は一切ないのか、かようなお尋ねでございますが、私どもは、いま、政見政治政界の浄化、これについて最善の努力を払う決意でございます。まして、ただいまのような問題があるかどうか、起こるか起こらないか、こういうようなことは、政党及び政治家の倫理の問題だ、かように私は理解しておるのでありまして、また、そういう意味で国民も納得をしておると思います。  いろいろきびしい制限をつけろというお話でございましたが、審議会答申はそこまでは要求しておらない。私どもも、審議会答申をなかなか尊重しないというおしかりを受けておりますが、谷口君のようなきびしい答申にはまだなっておらないのであります。十分現実を認識しながらも将来の方向を示しておる、かように私は考えております。  次に、なぜ免税をするのか、こういうお話であります。これも答申の中に、こういうものについて特別な優遇措置をとれということがございます。したがいまして、免税ということをいろいろ考えられ、他の免税をする場合と均衡のとれる範囲、これで免税を考えたのであります。  次に、後援団体等に対する支出の問題でございますが、これは今回の法律では特別な場合にこれを認めるようなたてまえでございます。しかし、基本的にはこれは政党並びに政治家の倫理の問題だ、かように思いますので、そこにおのずから限度がある、かように御了承いただきたいと思います。(拍手)
  37. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約締結について承認を求めるの件  日程第二 大西洋まぐろ類保存のための国際条約締結について承認を求めるの件
  38. 園田直

    ○副議長(園田直君) 日程第一、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約締結について承認を求めるの件、日程第二、大西洋まぐろ類保存のための国際条約締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。   〔稲田篤泰君登壇
  39. 福田篤泰

    福田篤泰君 ただいま議題となりました二案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。まず、海水汚濁の防止条約について申し上げます。  海運及び石油産業の発達に伴い、船舶から排出される油による海水汚濁による被害が増大いたしてまいりましたので、これを防止するための措置を各国が協調してとることを目的として一九五四年にロンドンで開催された国際会議におきまして、油による海水の汚濁の防止のための国際条約が採択され、わが国もこれに署名いたしました。  この条約は一九五八年に発効いたしましたが、その後一九六二年にロンドンで開催された締約国政府間の会議において大幅な改正が決議され、本年五月十八日に発効いたしております。  本条約は、船舶からの油の排出の規制、港湾における廃油処理施設の整備等の措置を規定いたしております。  わが国は、本条約を実施するために必要な国内体制の整備に時日を要し、受諾がおくれておりましたが、今般国内体制を整備する見通しがつきましたので、受諾することにいたした次第であります。  次に、大西洋まぐろ類保存条約について申し上げます。  近年、大西洋まぐろ類の資源の保存に対する関心が多数の関係国により表明され、一九六三年及び一九六五年国際連合食糧農業機関主催のもとに大西洋まぐろ類の資源の合理的利用に関する作業部分がローマで開催せられ、国際条約案が作成せられたのであります。さらに一九六六年五月同機関主催のもとに右条約案を審議するため、リオデジャネイロで大西洋まぐろ類保存に関する全権代表会議が開催され、本条約が採択され、わが国は一九六六年十日本条約に署名いたしました。  本条約は、締約国の代表によりまして構成される大西洋まぐろ類保存国際委員会を設置すること、委員会は、大西洋まぐろ類の資源を最大限かつ持続的に漁獲が可能なる水準を維持するため、調査研究及び締約国に勧告を行なうこと、締約国はこの条約の実施を確保するため必要なすべての措置をとること等を規定いたしております。  海水の汚濁の防止条約は四月四日、大西洋まぐろ類保存条約は四月十一日、それぞれ外務委員会に付託せられましたので、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、六月十六日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、二案件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  40. 園田直

    ○副議長(園田直君) 両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、両件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第三 自治省設置法の一部を改正する法   律案(内閣提出
  42. 園田直

    ○副議長(園田直君) 日程第三、自治省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  43. 園田直

    ○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長關谷勝利君。     ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕     ————————————— 〔關谷勝利君登壇
  44. 關谷勝利

    ○關谷勝利君 ただいま議題となりました自治省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の要旨は、地方公務員に関する制度の企画、立案を、明確な責任体制と専門的機構によって行ない、地方公共団体の近代的人事行政確保のための協力体制を一そう充実するため、行政局に公務員部を設置するとともに、自治省の職員の定員を十四人増員しようとするものであります。  本案は、三月十八日本委員会に付託、五月九日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、六月二十日、質疑を終了、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して大出委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)
  45. 園田直

    ○副議長(園田直君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  46. 園田直

    ○副議長(園田直君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  47. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 田中伊三次君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         労 働 大 臣 早川  崇君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君      ————◇—————