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1967-06-02 第55回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十七号   昭和四十二年六月二日    午後二時開議  第一 旧執達吏規則に基づく恩給年額改定   に関する法律案内閣提出)  第二 建設省設置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法   律の一部を改正する法律案内閣提出、参議   院回付)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出参議院回付)  公害対策基本法案内閣提出)及び公害対策基本   法案角屋堅次郎君外六名提出)の趣旨説明及   び質疑  日程第一 旧執達吏規則に基づく恩給年額の   改定に関する法律案内閣提出)  日程第二 建設省設置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出)  千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名さ   れた国際博覧会に関する条約第四条を改正す   る議定書の締結について承認を求めるの件  船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣   提出)  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣   提出)    午後二時八分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  私的独占禁止及び公正取引確保に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出、   参議院回付)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出参議院回付
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。  参議院から、内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して、右両回付案を順次議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  まず、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案参議院修正に同意の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、参議院修正に同意するに決しました。     —————————————
  7. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 次に、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。     —————————————
  8. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案参議院修正に同意するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————  公害対策基本法案内閣提出)及び公害対策基   本法案角屋堅次郎君外六名提出)の趣旨説   明
  10. 石井光次郎

  11. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 公害対策基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。  近年、わが国においては目ざましい経済高度成長が遂げられつつあり、産業構造近代化人口の農村から都市への集中、新工業地域形成等が予想を越えた速度で進行しておりますが、このような急激な経済的、社会的変動過程において、企業公害防止施設社会公共施設整備の立ちおくれ、立地土地利用に対する適正な配慮の不足等のため、大気や水の汚染騒音悪臭等による公害発生が各地に見られ、人の健康や生活環境に対する脅威となって重大な社会問題を引き起こしております。  このような公害を除去するため、政府としては、従来、大気汚染水質汚濁等発生源排出規制公害防止施設整備促進のための金融上、税制上の措置等をそれぞれ実施してまいったところでありますが、公害問題は複雑かつ困難な問題を内包しているため、必ずしも満足すべき効果をあげ得ず、また対策が制度化されていない公害も残されている現状であります。これらの個個の対策を今後とも強化充実することはもとより必要とするところでありますが、公害対策は相互に有機的な関係を保ちつつ、総合的、計画的に推進される必要があり、そのためには公害対策における共通原則を定め、事業者、国及び地方公共団体公害防止に関する責務を明らかにし、公害防止のための基本的な施策を確立することが重要であります。  このような見地から、国民の健康を保護するともに、生活環境経済の健全な発展との調和をはかりつつ保全することを目的として、ここに公害対策基本法提案することとした次第でございます。  以上がこの法律案提出した理由でありますが、次に、この法律案概要を御説明いたします。  第一に、公害防止に関する事業者、国、地方公共団体及び住民責務を明らかにしたことであります。  第二に、大気汚染水質汚濁及び騒音については、環境基準を定めることとし、公害防止施策は、この基準確保を目標にして、総合的かつ有効適切に講ずべき旨を規定したことであります。  第三に、公害防止のために国及び地方公共団体実施すべき施策について規定するとともに、特定地域については、施策の総合的な効果確保するため、公害防止計画を策定し、その実施を推進することといたしております。  その他、公害にかかる被害に関する救済制度整備促進公害防止についての費用負担財政措置並びに公害防止のための行政組織として公害対策会議及び公害対策審議会設置すること等について規定しております。  以上が公害対策基本法案趣旨及び概要でございます。(拍手)     —————————————
  12. 石井光次郎

  13. 角屋堅次郎

    角屋堅次郎君 私は、公害対策基本法案につきまして、日本社会党を代表して、提案理由並びにその趣旨を御説明申し上げたいと存じます。  およそ公害は、今日、洋の東西を問わず、産業経済の目ざましい発展人口都市集中化交通機関の高度の発達等に伴い、逐年増大の傾向を示し、大きな社会問題、政治問題になっております。したがいまして、いずれの国においても、国民公害から守るために、公害予防排除救済について思い切った措置を講ずべきことは、まさに現代政治に課せられた重大な責務と申さなければなりません。(拍手)  「災害は忘れたころにやってくる」ということわざがありますが、公害には必ず公害発生源があり、この発生源に対する総合的な対策を誤れば、ときに被害人命にまで及ぶことがあります。かの有名なイギリスのロンドン事件では、一九五二年十二月五日から九日まで約一週間のスモッグで、四千名にのぼる痛ましい犠牲者を出しました。また、ベルギーのミューズ事件アメリカドノラ事件、メキシコのポザリカ事件等でも相当の死者を出しております。わが国では、熊本の水俣病事件で四十一名の死者を出し、その原因の徹底的究明をあいまいにしている間に、第二の水俣病事件が新潟の阿賀野川で発生し、現在大きな社会問題、政治問題になっていることは御承知のとおりであります。いやしくも、公害人命にまで被害が及ぶことは、近代国家の恥辱であり、人道上からも絶対許し得ないところであります。この意味で、二度にわたる水俣病事件政治的責任はきびしく糾弾されなければなりません。(拍手)  わが国憲法は、その第二十五条第一項において、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する」ことを述べ、同条第二項において「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生向上及び増進に努めなければならない」旨規定いたしております。わが国公害現状を見るとき、はたしてこの憲法条項は完全に守られているといえるのでありましょうか。いな、むしろ、公害にかかる国民基本的人権は全く無視され、侵害されていると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  今日、都市住民は、ばいじんによごれた空気を吸い、亜硫酸ガスのためにぜんそくなどで苦しんでおります。かつては魚をつり、遊泳ができるほど澄んでいた川の水は、工場の廃液や家庭の汚水のためにどぶ川と化しつつあります。また、ジェット機や交通騒音のために、静穏な日常生活は破壊され、学力の低下や食欲減退、高血圧の増加等を引き起こしております。地下水の過剰くみ上げ等による地盤の沈下は、災害の危険を増大させております。その上、住宅難交通難生活難等々が加わるのであります。かくして、都市生活環境に望まれる安全、健康、能率、快適の条件はますます遠のくばかりであります。東京都の美濃部知事が、選挙の際、「東京都に青い空を」と都民に訴えて共感を得たことは、けだし当然のことと申さなければなりません。(拍手)  日本都市公害が、国際的レベルにおいて決して好条件にないことは、降下ばいじん量一つをとってみてもおのずから明らかであります。降下ばいじん量は、毎月一平方キロ当たりのトン数で表示されますが、東京の二十六・五トンに対し、ロンドンでは半分以下の十一・五トンであり、大阪の三十三・七トンに対しロサンゼルスは四分の一以下の七・七トン、ピッツバーグでも半分の十六・四トンであります。その上、総合エネルギー調査会経済審議会答申にもあるとおり、昭和四十六年度の総合エネルギー需要石炭換算で三億七千万トンと昭和四十年度実績の一・六倍に達し、しかも石油が供給構成の六八%を占めるものと見込まれております。したがって、亜硫酸ガス発生等による大気汚染要因がさらに増大するわけであり、それに工場事業場等増加による大気汚染水質汚濁等悪化要因をあわせて考えれば、今後公害予防排除のため、総合計画に基づく土地利用区分設定工場立地適正化公害防止施設研究開発、厳格な規則等、なすべきことのきわめて多いことをあらためて痛感するものであります。その際、アメリカロサンゼルス日本の宇部市など、大気汚染防止対策で顕著な成果をあげてきた教訓は、公害防止の指針として積極的に取り上げられなければなりません。  いずれにせよ、今日わが国公害対策が、従来のような産業偏重生産第一主義姿勢では、これからの公害対策の万全を期することはとうてい不可能であり、われわれが、つとに国民の健康、静穏な日常生活財産及び農林水産資源等公害から守るという大前提に立ったみずからの公害対策基本法案を提示し、政府に強く善処を要請してまいりましたのも、責任ある政党の立場としてけだし当然のことであります。(拍手)  佐藤内閣も、われわれの強い要請と世論の前にようやくみこしを上げて、先ほど坊厚生大臣より御説明のありました内容政府案提案されたのでありますが、政府案発表当時、あらゆるマスコミがあげて批判したごとく、経済界の圧力に屈して、当初の厚生省試案より大幅に後退し、およそ公害対策基本法たるにふさわしいバックボーンに欠けていることはまことに遺憾であります。(拍手)  政府は、かつての水質二法、ばい煙規制法等で、本来の公害防止よりも産業との調和に目を奪われ、ほとんど実効をあげ得なかった過去の誤りを再びここで繰り返さんとしているのであります。われわれは、わが国公害現状と将来に深く思いをいたし、国民公害対策基本法案に寄せる期待にこたえるため最善の努力を尽くさなければなりません。その意味において、われわれの案こそ、まさに国民期待にこたえる最良の案と信じ、以下、若干政府案にも言及しつつ、その内容のおもなる点を御説明いたします。  まず第一は、本法の目的に関する事項についてであります。  われわれの掲げている目的は、そのまますなおに御理解いただけると存じますが、政府案には「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」というきわめて重要な字句が挿入されているところに問題があります。この表現は、第一条の目的と第八条の環境基準に出ておりますが、本来公害防止とは異質のものであり、国民生存権にかかる公害対策産業界要求に道を譲って公害対策の万全は期し得ないし、企業自身も、他の企業公害によって被害を受けている事例に徴しても当然削除すべきものであります。(拍手国民の健康と福祉の保持が事業活動その他の経済活動における利益の追求に優先することを原則としない限り、公害発生防止することはできないと思考するからであります。  第二は、公害に対する事業者責任を明確にうたっていることであります。  本来公害発生者責任主義によって処理すべきものであり、公害の主たる発生源たる事業者は、その社会的責任立場からも進んで公害防止のための万全の措置を講ずべきであります。このことは、われわれの基本的主張であるのみならず、公害審議会答申社会開発懇談会中間報告人口問題審議会意見国民生活向上対策審議会答申等の中でも一致して同様の主張を述べております。  従来、日本事業者の場合、政府企業擁護政策と相まち、公害に対する企業責任の自覚に欠け、あるいは責任を回避する傾向の強かったことは、経団連の「公害防止対策の基本的な考え方」の中でも明らかに読み取れる点であります。事業者の中には、日本産業経済地域開発に貢献しているというゆえをもって、ある程度の公害発生は大目にという尊大な気持ちがあったり、あるいは企業間競争国際競争に勝ち抜くためにはコストのかさむ公害防止施設設置や、所要公害防止事業実施などほどほどにという、企業エゴイズムの強いものもあります。われわれをして率直に言わしむれば、年間六千億円をこえる交際費のたとえ三分の一でも四分の一でも、思い切って公害防止事業に振り向けるという新しい企業者モラルを持つべきだと思うのであります。(拍手)  われわれは、一方で強く企業責任を追及する姿勢をとる反面、責任遂行に伴う必要な資金確保及びあっせん、税制上の措置助成金交付等施策は、企業実態に即して十分やってまいりたい所存であります。  なお、公害防止の徹底と、公害にかかわる被害救済に万全を期するため、事業者の無過失賠償責任を明らかにしたことはきわめて重大な点であります。  第三は、国及び地方公共団体責務を明確にし、公害発生防止のみならず、公害にかかる被害救済に関する施策を講ずることを明らかにいたしました。  第四は、政府公害対策に関する五ヵ年計画を作成して、国会提出するのみならず、これを広く天下に公表し、毎年その実施状況国会に報告する義務を課しております。これはなぜか政府案から除かれておりますが、公害防止に関する総合計画の樹立は絶対必要であり、その年度別計画実施状況とあわせ、国会国民にその内容を明らかにすることは、責任政治立場から見ても当然のことであります。  第五は、公害行政一元化による所要機構整備をはかったことであります。  すなわち、今回新たに公害発生防止に関する行政事務及び公害にかかる紛争処理に関する事務を統一的に、かつ、公正に遂行させるため、総理府の外局として中央公害対策委員会を置き、この委員会事務局及びその地方支分部局中央公害対策審議会並びに公害防止研究所を置くことといたしております。  また、都道府県または指定都市地方公害対策委員会を設けることができることとし、地方公共団体自主性を尊重しつつ、公害行政一元化をはかる所存であります。これらの新たな機構には、技術的職員の配置を含め、公害行政一元的運営に必要な陣容を整備することとし、公害に対する国民の強い要請にこたえてまいりたいと存じます。  この点について、政府案は、現体制の上に公害対策会議という、いわば関係閣僚会議ともいうべきものを設けるにすぎず、従来の各省のセクショナリズムの排除、迅速的確なる行政運営などほとんど期待し得ないことは、過去の実績に徴してもおのずから明らかなところであります。  第六は、公害にかかる許容限度設定についてであります。  中央公害対策委員会は、中央公害対策審議会意見を聞いて、大気汚染水質汚濁及び騒音のそれぞれについて許容限度設定することとし、その基本的条件は、住民の健康、静穏な日常生活財産農林水産資源等が侵害されないようにするため、必要かつ十分なものでなければならないと明確に規定して、公害から国民を守る国のき然たる態度を明らかにいたしております。しかも、この許容限度については、常に適切な科学的判断を加えて、必要な改定を行なうことといたしております。  第七は、排出等基準設定についてであります。  排出等基準設定については、中央公害対策委員会中央公害対策審議会意見を聞いて行なってまいりますが、その権限を一部地方公害対策委員会等に委任することができることとし、中央地方を通じて実態に即した機動的運営をはかる所存であります。  許容限度排出等基準との関係は、発生源対策としてきわめて重要な点でありますが、政府案のように両者の関係があいまいで、しかも環境基準経済発展との調和で制約されるようでは、そもそも環境基準を設けた本来の意義が失われてまいります。その点、われわれの案では、前述の基本的条件に適合した許容限度を越えないという大前提に立って、発生源たる事業者等の順守すべき基準設定してまいる所存であります。  第八は、公害にかかる被害についての救済制度についてであります。  これは公害にかかる被害を受けた国民からすれば重大関心事であります。従来の事例に徴しても、公害紛争被害者加害者の間で、短期間の間に処理されることが一般的に困難であり、かつ、加害者が不特定多数で見きわめがたい場合において、現に被害者公害にかかる死亡もしくは病気という事態も当然予想されます。したがって、われわれは、公害にかかる被害者立場に立って、救済基金制度救済のための公害保険制度等の創設を検討し、その結果に基づく救済制度を確立して、公害にかかる被害者に対する医療の給付もしくは生活費給付または公害にかかる被害についての原状回復等救済がすみやかに行なわれるようにいたしたいと存じます。  また、公害にかかる紛争が生じた場合における中央公害対策委員会等による紛争処理についても、必要な施策を講じ、問題を迅速的確に処理してまいりたいと考えております。  最後に、公害の顕著な地域等における特別の施策については、政府案は、基本法案の中に実体法的性格内容のものまで含まれていると考えられますが、われわれは、この点については明確に区分し、別に「公害の顕著な地域等における公害防止特別措置法案」として、基本法案と同時に提案しておりますことを申し添えておきます。  以上が、われわれの提出いたしました公害対策基本法案概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げまして、提案理由説明を終わる次第であります。(拍手)      ————◇—————  公害対策基本法案内閣提出)及び公害対策基   本法案角屋堅次郎君外六名提出)の趣旨説   明に対する質疑
  14. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。板川正吾君。   〔板川正吾登壇
  15. 板川正吾

    板川正吾君 私は、日本社会党を代表いたしまして、内閣提出公害基本法について総理大臣及び関係大臣に対し質疑を行なわんとするものであります。  この国会で全国民が注目しておる重要な法案は、公害基本法制定政治資金規正法改正であると存じます。すなわち、前者は国民生活をめぐる黒い霧、よごれた環境を抜本的に浄化しようとするものであり、後者は金と利権による政界の黒い霧を一掃しようとするものでありまして、ともに日本が清潔で近代的文化国家となるためには必要不可欠な法律であることは言うまでもありません。(拍手)  ところが、この二つの重要法案立案過程を見ますると、不可解なる共通点があります。第一は、いずれも政府自身が認めた審議会答申骨抜きにしており、第二は、その重要部分財界自民党意見によって改悪され、国民要求が全く無視されている点であります。(拍手)  私は、以下順次質疑を通じまして、その内容を明らかにいたしたいと存じます。  まず、佐藤総理に伺います。  質問の第一は、あなたは公害日本現状をどう認識し、また、いかなる決意をもって対処しようとしておるのかという点であります。  御承知のように、わが国産業はこの十年間目ざましい発展を遂げ、確かに物質的な国民生活は改善されました。しかしその反面、産業発展に比例して、公害被害を訴える国民の声は年とともに高まり、すでに昭和三十六年内閣官房室調査によっても、公害に悩まされておる都市住民は、全都市住民の四九%に達していると報告されております。また近くは、東京都知事選挙で、美濃部候補が「都民に青空を」というスローガンを掲げて都民の圧倒的な共感を呼び、みごとに当選したことは、都市住民がいかに公害防止に切実な要求を持っているかということを物語っていると思うのであります。(拍手)本来国民生活を豊かにするはずの経済成長が、逆に国民生活環境を悪化し、その生命と健康をむしばみつつある現状は、まことにりつ然たるものがあります。  総理は、かつて政府自民党をめぐる黒い霧に対して、いみじくも積年の悪弊と言われましたが、今日公害日本現状は、まさに生産第一主義経済政策国民生命や健康を顧みなかった政府自民党積年の悪政の結果ではないかと思うがどうか。(拍手佐藤総理は、この公害日本現状をいかに認識し、いかなる決意をもってこれに対処されようとするのか、所信のほどを伺いたいのであります。  質問の第二は、この公害基本法制定も、結局は農業基本法中小企業基本法の前例が示すように、有名無実となるおそれがないかということであります。  過去における農業基本法中小企業基本法制定の際に見られましたように、政府自民党は美辞麗句をもって宣伝し、基本法制定されれば農業発展し、中小企業は安定するとの幻想をばらまき、善良なる農民中小企業者に大きな期待を抱かせましたが、その後の実績はどうか。農民と他産業所得格差はますます拡大し、中小企業の倒産は戦後最大を続けているではありませんか。国民の間には基本法に対する大きな失望と不信さえ起こりつつあるのであります。公害基本法の場合にも同様な事態を招かないことが明言できるかどうか。さらに本基本法のささえとなる付帯立法にはいかなる法案の用意があるのか、その提出時期等について総理責任ある答弁を求めたいのであります。  質問の第三は、公害基本法目的にある「経済との調和をはかるべし」という条項についてであります。  今回の政府原案は、公害審議会答申に比べると大幅に改悪されており、その最大なものが、目的に追加された「経済の健全な発展との調和をはかるべし」という条項であります。この条項は、財界の強い要求によって追加されたものであって、全く公害基本法本来の理念に相反し、基本法の運用を根本から骨抜きにしたものといえましょう。  そもそも公害が今日のように全国に蔓延し、その対策が手おくれになったのは、ばい煙規制法水質保全法目的にある「産業との調和をはかりつつ運用すべし」という規定に力点を置いてきた政府の誤れる認識によるものではないか。もしかりに、人権擁護法律に、経済との調和をはかりつつ運用すべしと規定されていたとしたらどうか。その法律資本主義社会力関係によって、人権擁護の機能を果たし得ないことは火を見るよりも明らかでありましょう。(拍手)  本来公害基本法目的は、憲法第二十五条に示された健康で文化的な生活を営む権利を保障したものでなければなりませんし、またいかなる生産活動といえども、国民生命や健康を侵害してよいという条理は成り立ちません。  私は、ここに財界要求に屈服して、経済との調和の規定を入れた政府公害対策に対する基本的な姿勢総理大臣から明らかにされるよう求めるものであります。  次に、私は企業責任について伺います。公害基本法のような社会立法には、当然に無過失責任原則が認められるべきだと思いますが、これに対し、法務、厚生、通産、農林、自治、経済企画庁、労働の各関係大臣の所見を伺いたいのであります。  政府原案は、公害企業責任については、過失なければ責任なしという原則をとっております。しかし、御承知のように、近代産業の活動には高度の危険性が内在し、しばしば不測の災害を起こすことがあります。この場合、被害者が相手方の故意または過失を立証することは困難であり、したがって、過失責任原則を前提とする限り、善意の被害者救済する道はほとんどなく、まことに不合理、不公平であります。私は、民法の規定する過失責任原則は、あくまでも一般原則を示すものであって、公害のような特殊な不法行為について特別の定めをすることを否定するものではないと思うのであります。  今日、すでに明白に無過失責任原則をとっている法律には、鉱業法、原子力損害賠償法、自動車賠償法、独禁法等があります。また、全産業に適用されている労働災害保険制度も、企業者の無過失責任を認めた上での制度であることは御承知のとおりであります。人命と健康を守ることを目的とする公害基本法には、当然無過失責任原則が認められるべきであり、また、そうすることが企業社会的責任を自覚させ、公害防止対策が実効をあげることになると思うが、各大臣の見解はどうか、お伺いいたします。  次に、被害者救済制度について、厚生、通産、法務、農林の各大臣に伺います。  政府は、いかなる救済制度を、いつまでに確立するのか、具体的方針を明らかにされたいのであります。  過般、社会保障制度審査会でも指摘されましたように、政府原案の中には、具体的に救済制度提案がありません。公害対策は、第一は、公害予防であり、第二は、現に起こっている公害排除であり、第三は、被害者救済制度の確立という三つの柱が基本とならなければなりません。公害の多くは、被害の影響が緩慢で長時間にわたり、その影響と発生源との因果関係を科学的に立証することが困難であります。また、企業の無過失責任原則が認められたといたしましても、それによって紛争が直ちに解決するわけでもありません。一方、企業者側は、和解等によって膨大な補償金を支払うより、長期の法廷闘争をしたほうが経済的に有利だと判断した場合には、法廷闘争を長期化することが可能であります。したがって、現行制度のもとでは、被害者が訴訟によって法の救済を求めようとしましても、実質的には救済は不可能であり、泣き寝入りするか、不本意な示談に甘んずるよりほか道がありません。そうした不合理を是正するために救済制度の早急なる確立が叫ばれるゆえんであります。  そこで伺いたいのでありますが、政府は、労働委員会に準じた紛争処理機関を、また労働災害保険に準じた責任保険機関等を設け、公害紛争の円滑なる処理と、公害被害者に不安のない救済制度を設けるべきではないかと思うが、政府にその意思ありやいなや、具体的に方針を承りたいのであります。  次に、公害行政一元化について、自治大臣、総務長官、行政管理庁長官に伺います。  従来の公害行政が実効をあげ得なかった最大理由は、公害行政が十五の官庁に区分され、行政区分がばらばらで、責任の所在が不明確であったという点にあります。したがって、公害行政を強力に推進するためには、一元的な行政機関が必要であります。  さきに発表されました厚生省試案でも、独立の行政委員会設置し、これに強い機能と権限を与えるべきだとしていました。しかるに、政府原案では大幅に後退し、一元化どころか、従来どおり各省による対策会議となっています。そこには公害行政と全面的に取り組むという政府の積極的姿勢は全くなく、おざなりの対策会議でお茶を濁そうとしていることはまことに遺憾というほかはありません。おそらく政府公害対策会議は、国民生命と健康を守るというよりも、産業官庁の代弁者によって経済との調和が強調され、公害対策にブレーキをかける会議となることは明らかに予想されるところであります。私は、社会党案のように、公正取引委員会のごとき各省から独立した行政委員会をつくり、それによって公害行政一元化をはかるべきではないかと思うが、関係大臣の見解はどうか、伺います。  次に、公害防止関係予算について、大蔵、通産、厚生各大臣に伺います。  公害責任は、第一義的には企業にあることは論をまたないところであります。しかし、今日までこれを放置してきた政府政策責任もまた重大であります。したがって、政府は十分なる予算的、財政的裏づけを持って早急に公害防止対策を進めるべきであります。しかるに、本年度予算における公害対策の費用はわずかに二十六億円であり、財政投融資資金も七十七億円にすぎません。これでは全国各地で深刻化しつつある公害問題に対して、まさに百年河清を待つにひとしいのであります。  政府は、公害基本法制定とともに、抜本的に予算的、財政的措置を強化して、過去におけるみずからの政策の誤りを是正する心がまえがあるかどうか、大蔵大臣の答弁を求めたいのであります。  また、政府財政措置は、基盤の弱い中小企業に重点的に向けらるべきでありますが、中小企業公害防止施設に対する金融は、公害防止事業団も中小企業金融公庫も、ともに年七%の貸し付け金利を取っており、中小企業者公害防止意欲を大きく阻害しておるのであります。一方、来年度から発足する通産省所管の中小企業振興事業団の公害施設に対する貸し付け金利は無利子となっております。同じ政府関係である事業団で、同じ目的に貸す金の金利にこのような差別があるのは一体なぜか、全く不可解であります。私は、中小企業向けの公害防止資金はすべて無利子にすべきであると主張するものでありますが、関係大臣意見はどうか、伺いたいのであります。  最後に、佐藤総理に伺います。  あなたは、在野時代、池田氏と総裁のいすを争った際に、「明日へのたたかい」と称するパンフレットで自己の政治信念を表明されましたが、その中で、「われわれは、今日物質万能の中に埋没した人間性の回復こそ政治の使命であると考える。したがって、政治の基本は人間尊重にあらねばならない。また、戦後の日本生産第一主義に極端に傾斜せざるを得なかったことは認めるが、しかし池田政治は、あまりにも生産第一主義に片寄り、人間不在の政治となった。」と批判し、そこで立ちおくれている社会開発を強力に行なって、暮らしよい生活環境をつくると主張しているのであります。  佐藤内閣誕生以来すでに三カ年、はたして公約どおり暮らしよい生活環境がつくられたでしょうか。公害日本現状を見て、佐藤総理自身深く反省すべきだと思うのであります。佐藤内閣国民的ブームがわかないのは、口先だけのきれいごとの政治を行なっているからではありませんか。(拍手)もし佐藤総理が、在野時代の初心に返って、社会開発によって人間尊重の政治を行なわんとするなら、このようなごまかしの公害基本法を引っ込めて、少なくとも公害審議会答申を基本とした法案として出し直すか、または社会党案に全面的に賛成すべきであると思うが、佐藤総理の見解をお伺いいたします。(拍手)  以上、総理及び関係大臣の具体的な答弁を求めまして、私の質疑を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  16. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  現状をいかに見るか、こういうお尋ねでございますが、お話にもありましたように、最近十数年来の経済の異常なる発展、これは国民に繁栄をもたらした、確かにそのとおりであります。また、各国から、たいへんすばらしい発展だ、かようにいわれております。その結果、都市集中化が行なわれ、産業の過大集中が行なわれた、そこでいろいろな問題が起きてきたのでございます。いわゆる公害に対するいろいろの意見がそこで出てきた。私がかねてから申しております社会開発の必要も、かような状態で最も必要なことがわかるわけであります。私は、しばしば、人間尊重、社会開発、こういうことを政治のモットーとしていろいろお話をしてまいりました。この問題と取り組むために、すでに発生している公害に対する対策、また、今後発生するであろうと思う公害に対する対策、その二つに分けまして、これに至急に施策を立てなければならない。そこで公害審議会を設けて、各界の御意見を徴したのであります。ようやくその意見が出てきた。今日、公害基本法を出してくる、その段階になったのでございます。私は、今回のこの基本法を中心にして、そうしてもろもろの施策計画的に総合的に実施してまいるつもりであります。そうして国民の健康を守り、生活環境の保持をはかっていくということでございます。いずれその具体的内容については委員会におきましてとくと御審議をいただきたいと思います。  この法律有名無実になるのではないかというような御心配がございます。しかし、私はさようには考えておりません。公害審議会の基本線は守られておりますし、また、そうしてこれを基準、中軸にいたしまして各種の施策をそれぞれ実施してまいるつもりでありますし、また、政府自身もこの施策実施にあたりましては、税制上あるいは金融面からも特別に配慮し、考慮して、この施策実施を円滑にするつもりでございます。  ただいまのお話にもありましたように、公害対策の基本的な問題といたしましては、事業者、いわゆる原因発生者の責任、さらにまた、国及び地方公共団体の分担すべき仕事、さらに、地方住民の協力を得るということ、この四つが今回の法律では明確にされております。したがいまして、基本法意味するものが何であるかは、国民のよく理解がいただけることだと思います。  次に、経済との関係についてお触れになりました。これは骨抜きになったのではないか、産業界要求に屈したのではないか、かような圧力に屈したのではないか、こういうことを言われますが、まず考えていただきたいのは、経済との調和がなければ公害対策というものの基本がないのだという、そのことをお考えいただきたい。と申しますのは、経済発展なければ、そこに公害の事実が起こらない。だからこそ——これはもう会社がないのです。また、近代産業は起こらない。したがって、経済との調和をはかっていくということは最も大事なことであります。この点を私は皆さん方にはっきり申し上げたい。この経済との調和をはかるというようなことばを使うと、いかにも企業の利益追求を何事にも優先する、かように考えられやすいのでありますが、私はさような考え方は持っておりません。人間尊重こそ、また健康を確保生活環境を保持することこそ、私どもの政治の大目標だ、かように考えておりますので、この点では誤解のないように願います。(拍手)   〔国務大臣坊秀男登壇
  17. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この法案の対象とする公害のうち、鉱害による損害賠償についての鉱業法の例、原子力損害の賠償に関する法律の例では、御指摘のとおり、無過失責任が採用せられておりますが、その他各般の公害による被害に関しましては、いかなる行為者について無過失責任を課するかについて、立法上及び立法政策上慎重な検討を要する。この法案は一般的な基本法でございますので、そこで一般的には無過失責任というものを規定するには至らなかった次第でございます。今後重大な検討事項として残していきたいと思います。  それから、公害による被害事件については因果関係を十分明らかにし得ない等の事例がありまして、訴訟技術上の問題もあり、民事訴訟処理がきわめて困難で、そういったことになじまないので、特別の救済制度を設けて、円滑にすみやかに処理をしたいと考えております。現在、公害救済制度といたしましては、水質保全法ばい煙規制法による和解の仲介等の制度がありますが、今後はさらに公害に関する紛争処理の制度の整備被害の判定や原因の把握のための専門機構整備、一般の住民からの苦情の処理や、救済基金または保険の構想といったものがありますが、これらにつきましては、検討の上、整備し得るものから順次制度化をはかっていきたいと思っております。  本年度の公害対策予算、厚生省でございますが、新規に地方公害監視等設備整備費補助金一億一千二百万円、四日市市公害保健医療研究助成費百万円等を計上したほか、公害調査等研究委託費約七千万円の増額計上を含め、前年度に比べ大幅な増加をはかっておりますので、本年度はこの予算によってその効果的運用をはかり、公害防止の実効を期する所存でございます。なお、明年度以降においては、公害対策基本法の具体的実施に必要な予算上財政上の措置を講ずべく、積極的に努力をいたす所存でございます。(拍手)   〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  18. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 公害の無過失責任についてのお尋ねがありましたが、ただいま厚生大臣がお答えになったと同じ意見を持っております。  それから、救済制度につきましても、厚生大臣から詳細なお話がありましたが、私も同じような救済制度をとりたいと考えております。  それから、公害対策の予算でありますが、通産省といたしましては、公害対策を重点施策の一つとして、従来から措置も積極的に講じてきておりまするが、昭和四十二年度には、公害を未然に防止するための調査の充実、亜硫酸ガス対策としての脱硫技術の開発、自動車排気ガス防止技術等の研究、企業防止施設設置促進のための助成措置等を中心に、予算は前年度に比して二倍の大幅な増額を講じております。なお、この基本法実施によりまして、それぞれまた公害対策の経費を計上したいと考えておる次第であります。  それから、公害防止事業団の金利と中小企業の事業団との金利が違うとお話がありましたが、中小企業のほうで共同で公害防止をする場合には、安い利子で公害防止をしていただくつもりであります。(拍手)   〔国務大臣田中伊三次君登壇
  19. 田中伊三次

    国務大臣(田中伊三次君) 公害対策に無過失責任主義を採用すべきものであるという御意見でございます。お説は、注目すべき、検討を要するお説である。しかるところ、ありのままに申し上げますと、この公害の態様は、御承知のごとく、まことに多種多様にわたっております。どのような公害の行為、どのような範囲において無過失責任を課するのかということになりますと、立法技術上まことに困難なものがあろうかと存じます。こういう趣旨で、これは、ただいまの御意見にかんがみまして、ひとつ慎重に検討してみたいと考えております。  それから、私に関するもう一点は、人権侵犯の立場に立ってどう対処するかという問題でございますが、これは、ただいまのお説にもあったごとくに、憲法条項に基づいて、健康で文化的な生活をする権利を持っておる、これを侵害されたものとして、場合によりましては人権侵犯の対象としてこれを取り扱うことになります。この場合においては、人権侵犯の処置といたしまして最善を尽くす考えでございます。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  20. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 農林省関係公害では、水質汚濁による農業、漁業の被害でございますが、この救済対策といたしましては、現在、公共用水域の水質の保全に関する法律に基づいて、紛争の和解の仲介の制度が設けられておりますけれども、今後は、さらに関係各省とも密接な連絡を保ちまして、公害に関する紛争処理の制度の整備被害の判定や原因の把握につとめまして、そのために専門機関の整備などをいたす予定になっております。苦情の処理救済資金確保する等の方法も考慮いたしておりますので、そういうことについてさらに関係各省と検討を続けて、万全を期してまいりたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介君登壇
  21. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 企業責任につきましては、政府の統一見解を厚生大臣が申されましたので、省略いたします。  それから、地方公共団体公害対策につきましては、十二都道府県において、公害対策の専管の部課を置くなど、あるいはまた、庁内に公害対策の連絡会議などを置きまして、その対策一元化、総合化をはかっておる次第でございまして、今後もその方向で指導してまいりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  22. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 現在都道府県知事が和解のために仲介をするという制度は、水質保全法ばい煙規制法等にあるわけでございますが、さらに、このたびの基本法に基づきまして、先ほど厚生大臣からいろいろ述べられましたような諸種の機構、制度等が必要になろうと思っております。  なお、将来の救済のための基金を設けること、あるいはこれが保険の対象となるかどうかといったようなことについても、先の問題としては検討をする必要があるのではないか、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣早川崇君登壇
  23. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 無過失責任については、労働災害につきましては、労働基準法、労働災害保険法に規定されておりまするが、公害に対する無過失責任の問題は、先ほど法務大臣、厚生大臣のお答えされましたとおり、原因関係者が複雑多岐でございまして、なお慎重に検討する問題が含まれておると考えております。(拍手)   〔国務大臣塚原俊郎君登壇
  24. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 公害現象はきわめて多元的であり、また、これに携わる行政事務もきわめて多岐であります。立案にあたりましては、総合調整の立場から、つとめてセクショナリズムを除去し、そして有機的な、一元的な運営ができるよう努力してまいったわけでありまするが、お尋ねの、その機構一元化につきましては、先ほど提案理由説明にもありましたように、関係大臣を構成員とし、総理大臣を会長とする公害対策会議が最も実質的である、仰せのように決してお茶を濁すものでなく、これが一番最適であると考えております。(拍手)   〔国務大臣松平勇雄君登壇
  25. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 公害行政に対し、行政委員会のごとき機関を設けて一元化をはかる考えがないかというお尋ねでございますが、公害現象に関しましては、ただいま総務長官がお話し申しましたように、きわめて多元的で複雑でございまして、公害行政毛多角的でなければ実態に応じがたいのでございます。ただ公害であるという包括的な面からとらえて、異質的な行政を一カ所に集めてみても、かえって行政の能率を阻害する結果ともなるおそれがあるのでございます。しかし、行政機関が多岐にわたるため不統一で実効があがらないようなことがあってはならないので、政府としては、各省庁の専門的分野を生かしつつ、公害対策に一貫性を保ち、総合的に調整推進をはかり得る強力な機関として、関係大臣を構成員とし、総理大臣を会長とする公害対策会議が最も適切であると決定した次第でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  26. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 公害防止に関する措置についてでございますが、本年度は昨年度に比べて二倍に近い予算を計上いたしまして、また、事業団や民間企業の行なう公害防止事業に対する融資は、八十億円を予定しております。  さらに、税制の面におきましても、特別償却制度を導入する等の措置を講じておりますが、本基本法制定と相まって、今後一そうの推進をはかりたいと存じます。  次に、御質問にありました中小企業の金融についてでありますが、事業協同組合が行なう公害防止のための協同施設につきましては、その所要資金の八〇%までを無利子で融資する、新たにできます中小企業振興事業団を通じてこういう制度を新たにつくることにいたしたという次第でございます。(拍手)     —————————————
  27. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 吉田之久君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔吉田之久君登壇
  28. 吉田之久

    ○吉田之久君 私は、民主社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました政府提案公害対策基本法案について、二、三佐藤総理及び所管各大臣の御所見をただしたいと存じます。  言うまでもなく、最近のわが国経済高度成長人口の過度集中及び交通機関の目ざましい発達は、一面において刮目すべき近代国家への形成をなし遂げながら、他面においてどうにもならない幾つかの深刻な社会的犠牲をしいてまいったのであります。その一つが公害であることは、いまさら論をまたないのでありますが、特に公害公害たるゆえんは、だれも責任を負わないままに発生し、拡大し、際限なく国民の健康をむしばんで、ときには死に至らしめるという持続的な被害であるところにあります。それはまた、ひとり人間だけではなく、その財産と周辺の動植物にまで害を及ぼし、しかもこの原因者の多くは営利追求の近代企業であって、その被害者はえてして弱き立場農民、漁民であり、かかわりなき一般国民大衆であるところにその悲劇性の最たるものがあります。(拍手)  たとえば水俣病の場合、百十一名の発病と四十一名の死亡者を出しながらも、その原因の推定が下されたのは、事故発生後三年を経過してからであり、いまもって十分な対策救済がなされていない状態の中で、第二の水俣病と呼ばれる阿賀野川事件が起こっているのであります。しかも、この事故発生後二年たった今日、なお昭和電工側ではその原因者であることを認めておらず、そうした背景の中ですでに七名の人たちがこの世を去っているのであります。そして、ここでもまた十分な対策救済が行なわれているとは言えないのであります。四日市ぜんそくに代表される亜硫酸ガス公害東京、大阪、北九州のみならず、今日全国至るところに発生しているばい煙と排気ガス、騒音と地盤沈下などは、まさにとどまるところを知らない状態であります。  われわれはこのことを早くからおそれ、公害問題こそわが国の今日的課題であって、何ものにも優先されなければならないと考え、第四十六国会より今国会まで絶えず他に先がけて民社党の公害対策基本法案を掲げ、国民とともに政府にその決断を促し続けてまいったのであります。(拍手)、しかし、政府の熱意の乏しさのゆえか、基本法制定はいたずらに遅延してまいりました。幸い今回政府案提出を見ましたことは、おそきに失したうらみを覚えながらも、一応の敬意を表するにやぶさかではありません。  しかしながら、政府案をしさいにながめますとき、われわれは幾つかの疑問を感ぜざるを得ないのであります。なぜなら、いま国民政府に対し、公害基本法は具体的にわれわれをどう守ってくれるのか、公害防止責任分担はどうなるのか、公害対策基準はどう定められるのであろうか、救済はだれがはたして責任を持ってくれるのであるか、公害に対する住民の不満はどうくみ上げられ、どのように迅速に処理されるのか等々を訴えているのであります。  はたしてこれらの諸点がいかに政府案に明確化されているかについて、これから順を追ってお尋ねいたしたいと存じます。  まず第一は、公害対策に立ち向かう政府の基本的な姿勢であります。  政府は、この法案の最初に、「経済の健全な発展との調和を図りつつ、生活環境を保全する」と規定いたしておりますが、これは、国民の健康と経済の繁栄とが並列に並べられ、てんびんにかけられている発想であるとしか受け取れないのであります。繁栄という名のもとにいささかでも国民の健康が害されてよいという道理はございません。何ものにも優先して、国民の健康はよりよき環境の中に維持されなければなりません。その点、人間の尊重と風格ある社会を常に説かれる総理は、まず人間の健康なくしては経済発展はあり得ないというき然たる信念を発揮してもらいたいのであります。それなくしては、公害対策は、しょせん砂上の楼閣に終わってしまうであろうことを憂えて、あえて総理の御所信を承りたいと存じます。(拍手)  第二は、公害に対する責任の所在であります。  公害の態様はしばしば複雑多岐でありまして、その責任の所在が不明確であったり、解決をあいまいにしている例が非常に多いのであります。よって、公害基本法制定にあたっては、それぞれの責任をいかに明確に規定するかが法制定の眼目であります。何としても、公害発生の主たる原因者である事業者が、不特定多数ということばで責任を回避することは許されてはなりません。最近の内外の判例が、原因者の無過失責任まで強く追及しつつあるのもむしろ当然でありまして、政府案は、こうした点ではなはだ多くの疑問を残しております。  さらに、国及び地方公共団体は、それぞれの立場において必要な防止対策を講ずべきは当然でありますけれども、特に国は、国民の健康を保護し、その環境を保全しなければならない使命を痛感して、公害対策の万全を期する最終的責任者であることを明確にすべきであると私は考えます。(拍手)これらの点で総理の所見をお伺い申し上げるのであります。  第三は、公害防止基準設定についてであります。  政府は、従来、大気水質及び騒音についてそれぞれ特別法を制定して、排出基準による公害規制を企ててこられたのでありますけれども、基準設定までに多くの時間が費やされ、その間に次々と汚染汚濁等が広がってまいったのであります。しかも、この基準設定は、集積被害に対して何ら対応できない欠陥を持っていることを明らかにいたしました。また、かえって、基準以下であるならば免れて恥なしという事態を一そう助長したのであります。よって、政府は、さらに別個に環境基準なるものを設定して対処しようとしているのでありますが、はたしてこの基準設定と運用にどのような十分の配慮が織り込まれているのか、厚生大臣にお答えいただきたいと存じます。  あわせて、政府は、この機会に、きれいな空気、清らかな水、美しい自然をあとう限り残してほしいと願う国民的願望にこたえる決意を、この基本法の中に強く宣言しなければならないと思うのでありますが、厚生大臣のこの点についての御所見も承りたいと存じます。  第四は、公害にかかる被害者救済についてであります。  公害被害者がいかにむざんな死を遂げ、いかに悲惨な病苦に呻吟し、またいかに惨たんたる境遇にあえいでいるかは、水俣病その他の例ですでに明らかであります。世界の先端を行く経済発展の陰に、このような犠牲者があることは、あまりにも悲しむべき事実であります。  私は、この際、被害者に対する救済は、何よりも迅速かつ十分になされなければならないと思うのであります。特に公害の態様が複雑になればなるほど、その原因も明確を失い、また、責任追及に多くの時間を要するのであります。この点、政府は、今後被害発生した場合、そしてその原因の究明に一定の日時を要すると判断した場合には、遅滞なく国が被害者救済し、しかる後、原因の究明とともに、事業者にその負担を負わしめていくという原則を明らかにされなければならないと思うのでありますが、この点、総理の所信と厚生大臣の見解をお尋ねいたします。(拍手)  最後に、質問の第五は、公害対策の完ぺきを期するための総合対策の樹立と機構一元化の問題であります。  公害のよって来たる遠因は、まさしく今日までの政府の行政の怠慢にあります。無計画産業集中都市の過密、進まぬ都市計画、下水道事業の立ちおくれ、先行投資の欠除、科学技術のおくれ等枚挙にいとまありませんけれども、今後公害対策の推進のためには、各省行政の総合対策の樹立が何よりの急務であると考えられますので、この点、特に通産大臣及び建設大臣の所信をお伺いいたします。  さらに、総理にお尋ねいたしたいのであります。いまや公害対策の業務は、実に十五省庁にまたがるといわれておりますけれども、そうした点で相互の連携はとり得ず、多くの支障を来たし、むしろその成果を阻害していると識者は指摘いたしておりますけれども、この際・総理は、公害関係の部局を統合し、かつ、これを統括する行政委員会設置して、明確な目的と権限を付与し、一元的な機構によって公害絶滅に乗り出す御用意はないか、御決意のほどをお伺いいたす次第であります。  以上、私は、政府案の諸点について、それが真に国民期待にこたえ得るものであるかどうかをお尋ねいたしたのでありますけれども、終わりに、私は、この政府案総理の諮問されました審議会答申と比べてはるかに後退してしまっているものであることをたいへん遺憾に思うものであります。もしもこの基本法案がこのまま制定されるとするならば、またしてもざる法に終わるのかと国民は大きく失望するに至るでありましょう。(拍手)  総理、われわれは、この公害問題こそイデオロギーを越え、党派を越え、お互いの衆知を集めて打ち立てるべき緊急課題であると考えております。現に各党ともそうした建設的な構想と用意があると存ぜられますので、この際、政府案に強く固執されずに、国をあげて意見の一致を見るための熱意と度量を示していただき、よりよき基本法をすみやかに今国会で成立せしめらるるよう強く期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  29. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  公害対策基本法を出しましたのは、いわゆる経済開発が行なわれておるが、どうも社会開発が伴っておらない、人間尊重の観点から、どうしても公害対策基本法をつくらなければならない、かように決意をいたしまして、各界の御意見も徴して、ようやく今回提案の運びを見たのであります。  私は、各党ともみんな同じような考え方を持っておられることだと思いますし、私ども、この原案を出すにつきましては、十分の自信を持っておりますが、なお、審議過程におきまして、いろいろの御意見も拝聴いたしまして、そしてりっぱな基本法をつくりたい、かように思っておりますので、この点ではまず誤解のないようにお願いしておきます。  そうして、吉田君から御指摘になりましたように、いわゆる社会開発という観点に立つと、何よりも大事なことは国民の健康の保持と生活環境の保全の確保、これが最も必要なことでございます。そういう意味で、表現は簡単でありますが、国民の健康なくしては経済開発、経済発展なしという、ただいま吉田君も喝破されましたことについては、私もまことに同感でございます。私は、そういうような意味で、この問題が他に優先して尊重されなければならない絶対的な国民要請だと、かように考えて、この公害防止対策と取り組む決意でございます。  次に、責任の点についてのお尋ねがございましたが、先ほどお答えいたしましたように、無過失責任等の議論もございますけれども、今日大事なことは、事業者、国及び地方公共団体責務を明確にすることだと、かように思っております。この法律ではその点では十分これを明確にしたつもりでございますので、さらに詳細等につきましては審議過程におきまして御意見も聞かせていただきたいと思います。  第三の問題で、被害者救済について、事故が発生したら迅速にそれを調査し、十分の手当てをしろというお話、しごくごもっともなお話でございます。この救済対策としては、原因者が第一義的な責任者である、こういう原則ははっきりいたしております。非常にわかりやすいことばのようでございますが、ただ何人が原因者であるかということがなかなか決しかねている場合が多いのでありますので、ただいま申し上げるような原則だけでこの問題が片づいたと、かようには私は考えておりません。被害者の多数の方々がこれだけでは救済されておらない現状だ。そういう例が幾つもある。したがいまして、皆さん方の御意見も十分拝聴いたしまして、必要なる措置を講じていかなければならぬ、かように政府は考えております。  最後に、この行政機構一元化の問題であります。これは先ほど社会党の板川君にお答えしたように——私はお答えはいたしませんでしたが、各大臣からお答えいたしましたように、総理議長になって各省大臣を一緒にしての一つの会議をつくり、会議体でこの問題を処理する、こういうような事柄に結論としてただいま達したのであります。したがいまして、せっかくの御提案ではございますが、この会議でどういうような成果があがるか、しばらく時間をかしていただきたい、かように思います。(拍手)   〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  30. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 公害発生する遠因としては、無計画産業集中あるいは都市の過密化等によるのではないか、そういう点において政府の行政の怠慢ではないかというような御質問がありましたが、公害問題が大きな社会問題となった背景には、仰せのとおり、産業の過度の集中あるいは無秩序な工場立地、社会資本の整備の立ちおくれ等の複雑な事情があることは言うまでもありません。  しかし、政府は、従来からかかる公害問題を解決するために、ばい煙等の排出規制のほか、種々の地域開発施策による工場地方分散、土地利用の合理化、道路、下水道等公共施設の整備等につとめてまいっておりますし、今後も公害対策基本法に示された施策の線に沿うて努力したいと考えております。特に、過密地域等における工業の無秩序な立地につきましては、目下通産省におきましてそれが対策をいま研究中でありまして、やがてこれを法律案として皆さんの御審議をお願いしたいと思っておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣坊秀男登壇
  31. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 総理大臣から広範な御答弁がございましたが、私も補足をさせていただきます。  私に対する御質問は、環境基準をどうするのだ、こういうような御質問でございますが、もとよりこの法律は、日本国民の健康、生命というものについては、これはもう絶対に何者とも妥協しないでこれを守っていく、こういうことでございますけれども、さらに一歩進めまして、快適なる生活環境をつくっていこうといったような場合に、環境基準というものを制定していきまして、その環境基準に合致するような環境をつくっていこうというのが環境基準でございます。  それから、日本の国の美しい天然自然を保全していかなければならないじゃないか。そのとおりでございまして、本法ができましたならば、生活環境等と天然自然の美しさというものは、われわれの生活環境にはどうしても必要なものであり、日本のこの天然自然の美しさを守っていくためには、今後とも大いに努力をしてまいらなければならない、かように考えております。  以上でございます。(拍手)   〔国務大臣西村英一君登壇
  32. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 大都市の過密の弊害につきましてでございまするが、この問題につきましては、従来からも政府といたしましては、いろいろな方法で工場の分散あるいは業務センターの建設、流通業務団体等、やってまいりまして、都市の構造の改善につとめてまいったのでございます。しかし、現在におきましてはさらに一歩を進めまして、既成市街地における開発を進めまして、土地の高度の利用あるいは合理化を進めまして、りっぱな環境のよい都市づくりをしたいと思うのでございます。このためには、私は、都市再開発法をただいま検討いたしておるのでございまして、成案ができましたら不日また御審議を願うようなこともあると思うのでございます。  もう一つは、都市計画があまり力がないじゃないか、こういうことでございますが、現在の都市計画法は非常に古い法律でございまして、現在の都市の相貌を見ますと昔と全く違いまして、したがいまして、私は都市計画法の改正につきましても検討をいたしておるのでございます。  問題の所在は、現在の都市は、やはり、既成市街地とその周辺を含んでその土地の利用計画を確立するということでございます。すなわち、やはり市街地にすべき土地と、市街地として調整する土地あるいは保存する土地と、こういう土地の利用計画を確立する必要があると思うのでございます。したがいまして、そのためには、やはりこの現在の都市計画法に対して検討を進めておるのでございます。要するに、環境のいい、公害の少ない都市づくりに進まなければならぬと、かように考えておるものでございます。  下水道の話がございましたが、実は、下水道は、先般下水道整備緊急措置法を出しまして、その法律に基づきまして、四十二年度を初年度として五ヵ年計画をつくりまして、その投資額も、実に従来に例を見ないような九千三百億の投資をするわけでございます。しかし、下水道は、公共事業のうちでも最もおくれておる公共事業でございまして、政府はこのために一生懸命になりたいと思っています。したがいまして、今度のこの投資をもっていたしますれば、現在二割ぐらいな普及率が三割三分、三三%ぐらいは普及率に到達すると思うのでございまして、下水道は、水質保全のために絶対にこれは強力に進めなければならぬ、かように思っておる次第でございます。(拍手)     —————————————
  33. 園田直

    ○副議長(園田直君) 岡本富夫君。   〔岡本富夫登壇
  34. 岡本富夫

    ○岡本富夫君 私は、公明党を代表いたしまして、政府より提出されました公害対策基本法案につきまして、総理並びに関係大臣質問をいたします。  ただいま趣旨説明にありましたように、近年における人口都市集中産業発展都市交通の増大に伴って、大気は極端に汚染され、河川は濁り、騒音に悩まされるという、およそ快適な日常生活からかけ離れたわずらわしい問題が数多く生じ、国民の健康にも大きな影響を与えていることは周知のとおりであります。これは、自民党政府高度成長政策を強力に推進し、住民生活環境の悪化を無視し、企業のみの発展に終結した結果であるといわなければならないのであります。人間だれしも経済発展を願わない者はありますまい。しかし、経済政策の目標は、何よりも国民大衆の福祉向上を第一義としなければならないのであります。  佐藤総理は、絶えず、「人間尊重は私の政治の信念であり、人間尊重の精神に基づく社会開発の強力な推進こそ、すべての課題の解決への道であると確信します。」と、こういうように言っておられますけれども、現実には、国民の健康を害し、住民を犠牲にした経済の活動であるということは、総理の発言と大きく矛盾しているではありませんか。  このたびの法案は、新聞論調等を見ましても、国民の声を聞きましても、ざる法であるというように非難が圧倒的であり、けんけんごうごうたる状態であります。すなわち、公害審議会答申に基づく厚生省の試案から公害対策会議の要綱へ、そしてさらにまた、今回提出されました法案へと、最終段階に近づくに従って大幅に後退しており、公害防除に対する国民期待とは逆に、その熱意も薄らぎ、その施策も後退して、地域住民の健康と環境を守るという公害対策の基本線からはなはだ遠ざかったのは、まことに残念であります。  その例をあげれば、目的規定において、国民の健康と生活環境の保持と競合する経済発展、すなわち、公害発生源である産業の保護を調和させようという矛盾をあえてしたことであります。また、事業者責務の規定が、単に協力を求めたのみで、その責務を義務化しなかったこと、国の責務については、財政措置の義務が緩和されたこと、環境基準設定について企業側に有利な条件がつけられたことなどであります。  このような結果になったのはいかなる理由によったものか、それぞれについて総理の明確な答弁をお願いするものであります。(拍手)  また、国民の健康保持の立場に立って最後まで抵抗されたとうわさされる厚生大臣の考えも、あわせてお聞きしたいのであります。(拍手)  過去の公害対策を見れば、公害関係行政が各省に分散し、統一的な推進体制に欠ける、こういうところもあって、事後的、結果的な措置にとどまり、抜本策を講じ得なかったことにかんがみ、公害行政機構の改善をはかりつつ、公害の防除、予防のための施策を強力に推進するとは、これは政府経済社会発展計画に述べられたところであります。また、この中において指摘しておりますことは、公害関係行政が常に後手に回っているということ、不統一であるということ、抜本策のないということ、まことにもっともしごくなことばかりであります。  このたびの法律案には、これらの欠陥の是正がどのように具体化されたのか、はなはだ疑問なのであります。事後的、結果的な措置の是正をどういうようにするのか、抜本策がはたしてどのように示されているのか、行政の不統一をどのように一元化しようとしているのか、その意味での公害対策会議にどのような強い権力を与えているのか、また、国と地方公共団体との責任の範囲がどのように明確化されているのか、それぞれ、総理並びに厚生、自治の各大臣にお答えを求めます。  次に、環境基準設定でありますが、公害防止の実際的効果の第一歩は、基準設定にかかっているといっても過言ではありません。そこで、この基準設定にあたって、過密の工場地帯では、個々の排出基準とその集積である環境基準に破綻を生ずることが当然予想されるのであります。個々の排出基準を強化するか、環境基準を緩和するか、また、工場分散をするか、それ以外にないのでありますが、政府はどの方策に重点を置くのか、その施策の方向についてお伺いしたいのであります。  また、これに関連して、企業責任の中に無過失責任を加えるかどうかという点について政府の考えをお聞きいたしましたが、本気になって公害問題に取り組む気があるのか、まことに疑わしいのであります。  本法案は、今後行なわれるべき方策を宣言的に規制しているにすぎないので、具体的な方策なり規制については、関係法規の改正、新規立法化等、今後制定されるところの法制にまつことになります。あのとうとい人命を失った水俣病あるいは阿賀野川の水銀中毒事件、さらには、臨海工業地帯の気管支障害に見るような多くの犠牲を再び繰り返すことのないように、関係法規を今後どのようにしていくのか、そのプログラムなりスケジュールを関係大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  35. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  公害審議会でいろいろ答申を得ておりますが、それがそのとおりでなくて、よほど後退したという御批判のようでございます。しかし、政府といたしましてはこの基本線は守ったつもりでございます。御審議の際に十分御検討願いたいと思います。  次に、具体的にいろいろお話がございましたが、それらの点も同時に委員会の場におきまして十分御審議をいただきたいと思います。  問題は、やはり何といいましても、公害は多種多岐にわたりますので、総合的また計画性を持って対策を立てなければなりません。その場合に大事なことは、各省所管事項で不統一があったり、実効があがらないようなことがあってはならないのであります。公害対策は一貫性を持ちまして、そうして総合的に計画性を十分発揮するということが最も大事だと思います。そういう意味で、公害対策会議、いわゆる行政の一元化をはかるべきこの機関も、そういう点に特に重点を置きまして運営していくつもりでございます。  環境基準等につきましてもいろいろ御意見がございましたが、この環境基準というものがやはり各行政の統一された目標でございますので、これに全部が合うようにそこに一貫性が保持される、かように私は考えておりますので、これらもそういう意味で十分御検討願いたいと思います。  また、先ほど吉田君にお答えいたしましたように、私自身は、人間尊重、その立場におきまして、国民の健康が保持される、それが何にもかえがたい絶対的な要請でございます。そういう意味で、経済発展もまたその利益が国民に還元されるようにいたしたいものだと思っております。そういう意味でこの公害対策基本法制定したわけでございます。(拍手)   〔国務大臣坊秀男登壇
  36. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 今回の法案審議会答申からたいへん後退したじゃないかという御質問に対しましては、総理大臣がお答え申し上げましたとおりです。本法は、人間の生命、健康というものを最優先に置きまして、この基本線を守っておりますので、決して後退はしていないと思っております。  それから、環境基準というものでございますが、これは生活環境をつくっていくに際して一体どの程度まで公害排除していったらいいか、こういう問題でございますが、個々の排出基準排出規制などによりましてはこれは十分でございません。そこで、排出規制だとか、立地規制だとか、あるいは都市計画など、総合的に勘案をいたしまして、そして環境基準をつくってまいる所存でございます。  現に公害発生いたしております地域に対しまして環境基準がつくられたならば、この環境基準まではどうしても公害防止していく、また、これから公害発生するおそれのあるような地域に対して。環境基準がつくられたならば、その環境基準まではどうしても守っていかなければならない。要するに、公害防止の一つの総合的な目標、目安となるものをつくってまいる、これが環境基準でございます。(拍手)   〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  37. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 基本法を作成した後に関係法律案をつくるかどうかというような御質問があったと思いますが、現にこの公害防止につきましては、通産省といたしましては、ばい煙規制法、また工場排水規制法などを設けておるのでありますが、この基本法制定されますれば、既成の法律についての改正あるいは新しい法律を考えなければならないと考えておりますが、さしあたり、目下工場誘致の場合に、また新しい工業立地の場合に、どういう工場をどのようにつくったらいいかということで、工業立地適正化法をいま成案中でありまして、これができ上がりましたら、また御審議をお願いしたいと思うのであります。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介君登壇
  38. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 住民に直結する地方自治体は、公害対策実施のおそらく中心になるであろうと思うわけでございまして、今回の法案の五条、十七条等にも地方自治体の責任を明確にしておるわけでございまして、これらのことが円滑に行なわれるように今後指導してまいりたいと存じます。(拍手)   〔国務大臣宮澤喜一君登壇
  39. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) この法律が母法として成立いたしますと、現在ございます水質保全法はおそらくやはり幾つかの点で改めたほうがよろしいのではないかと思っております。そうなりました節には御審議をお願いいたしたいと存じております。(拍手
  40. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑を終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 旧執達吏規則に基づく恩給年額   の改定に関する法律案内閣提出
  41. 園田直

    ○副議長(園田直君) 日程第一、旧執達吏規則に基づく恩給年額改定に関する法律案議題といたします。     —————————————   〔大竹太郎君登壇
  42. 大竹太郎

    ○大竹太郎君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、政府は、一般の退職公務員の恩給年額を増額するため、今国会恩給法等の一部を改正する法律案提出しておるのでありますが、本案は、これに対応して、一般の公務員の例に準じて、退職執行吏の恩給を増額しようとするものであります。  すなわち、退職執行吏の恩給について、その恩給年額計算の基礎となる一般公務員の仮定俸給年額に見合って定められている現行の十五万三千六百円を、受給者の年齢に応じ、六十五歳以上七十歳未満の者については十八万四千四百円、七十歳以上の者については十九万七千五百円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  本案は、四月十九日法務委員会に付託され、五月九日その提案理由説明を聴取した後、慎重審議を行ない、六月一日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  43. 園田直

    ○副議長(園田直君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 建設省設置法の一部を改正する法   律案(内閣提出)  宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出
  45. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、日程第二とともに、内閣提出宮内庁法の一部を改正する法律案を追加して両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  46. 園田直

    ○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第二、建設省設置法の一部を改正する法律案宮内庁法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  48. 園田直

    ○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長關谷勝利君。     ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔關谷勝利君登壇
  49. 關谷勝利

    ○關谷勝利君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げ直す。  まず、建設省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案の要旨は、日本道路公団監理官の定数二人を一人に改めるとともに、首都高速道路公団監理官及び阪神高速道路公団監理官を廃止して、新たに都市高速道路公団監理官一人を置くこと、中国地方建設局に新たに用地部を置くこと等であります。  本案は、三月十八日本委員会に付託、五月九日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、六月一日、質疑を終了いたしましたところ、細田委員外三名より、施行期日を「公布の日」に改める旨の修正案が提出され、趣旨説明の後、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、宮内庁法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案の要旨は、天皇及び皇族の活動状況の変化や、皇族の誕生、成立等の身分的変動に伴い、これらの実態に即応した適切な人員の配置が行なえるようにするため、現行の特別職、一般職別の定員の細分を廃止して、その合計数千二百十六人のみを法律上の定員として規定しようとするものであります。  本案は、四月十日本委員会に付託、五月九日政府より提案理由説明を聴取し、慎重審議を行ない、本六月二日、質疑を終了、討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————  〔参照〕    建設省設置法の一部を改正する法律案に対    する修正案(委員会修正)  建設省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則中「昭和四十二年六月一日」を「公布の日」に改める。     —————————————
  50. 園田直

    ○副議長(園田直君) 両案を一括して採決いたします。  両案中、日程第二の委員長の報告は修正、他の一案の委員長の報告は可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  51. 園田直

    ○副議長(園田直君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名   された国際博覧会に関する条約第四条を改   正する議定書の締結について承認を求める   の件
  52. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  53. 園田直

    ○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  下九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————     —————————————   〔福田篤泰君登壇
  55. 福田篤泰

    ○福田篤泰君 ただいま議題となりました案件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  国際博覧会に関する条約は、その開催及びこれへの参加を対外的には開催国及び参加国の政府責任のもとに行なうこと、開催回数及び開催期間を規制すること等により、秩序ありかつ効果的なものにすることを目的として締結されたもので、わが国は、一九六五年にこの条約の当事国に相なっております。  本改正は、近年国際博覧会の開催が増加し、参加国の負担が過重となるおそれがありますので、国際博覧会の開催回数の規制を強化するものであります。  しかしながら、本議定書を締結いしたましても、一九七〇年にわが国において開催される予定の万国博覧会は、本改正により何ら制限を受けないことに相なっております。  本件は、五月十六日本委員会に付託され、政府から提案理由説明を聴取し、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、六月二日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、本件は全会一致をもってこれを承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  56. 園田直

    ○副議長(園田直君) 採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  船舶整備公団法の一部を改正する法律案(内   閣提出
  58. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出船舶整備公団法の一部を改正する法律案議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  59. 園田直

    ○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————   〔内藤隆君登壇
  61. 内藤隆

    ○内藤隆君 ただいま議題となりました船舶整備公団法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案趣旨を簡単に申し上げます。  船舶整備公団の資金は、従来全額を資金運用部資金及び政府保証市中借り入れ金に依存しておりましたが、今回その大部分を同公団の発行する船舶整備債券によって、民間資金でまかなうことになったのであります。船舶整備債券は、現在の公団法の規定によっても発行できますが、その発行にかかる債務について、政府による保証の措置がとられていないのであります。したがいまして、公団の資金の調達を円滑にするため、同公団の発行する船舶整備債券にかかる債務について、政府が保証することができるように改めようとするものであります。  次に、公団の余裕金の運用についてでありますが、公団の余裕金は、現在、国債の取得及び銀行預金または郵便貯金に限定されておりまして、かなり不利な条件で運用しておるのであります。ところが、今回の債券の発行に伴い、多額の資金が一時的に滞留することが予想されますので、余裕金の運用のワクを広げ、運輸大臣の指定する有価証券の取得を認めようとするものであります。  本法案は、去る四月十八日本委員会に付託され、次いで同月二十八日政府より提案理由説明を聴取し、五月十九日、二十六日、三十日及び六月二日質疑を行なうとともに、同公団理事長林坦君及び理事山田泰造君を参考人として招致する等、慎重に審議をいたしましたが、その内容会議録によって御承知願います。  かくて、二日、質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  62. 園田直

    ○副議長(園田直君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  63. 園田直

    ○副議長(園田直君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内   閣提出
  64. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出簡易生命保険法の一部を改正する法律案議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  65. 園田直

    ○副議長(園田直君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————     —————————————
  67. 園田直

    ○副議長(園田直君) 委員長の報告を求めます。逓信委員会理事加藤常太郎君。     ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔加藤常太郎君登壇
  68. 加藤常太郎

    ○加藤常太郎君 ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告いたします。  まず、本案内容を申し上げますと、  第一には、特別養老保険の被保険者について保険金額の最高制限額を百五十万円に引き上げることとともに、全保険種類の最低制限額を十万円に引き上げること  第二に保険金の倍額支払いの事由を拡大し、被保険者が法定伝染病により死亡した場合も保険金の倍額を支払うこと  第三に、家族保険における廃疾支払いの範囲を拡大し、被保険者たる配偶者または子が廃疾となった場合もその廃疾による保険金を支払うこと等であります。  逓信委員会においては、四月十日本案の付託を受けて以来、慎重審議を重ねたのでありますが、六月二日、質疑を終了、次いで、委員加藤常太郎君外三名より、保険金額の最高制限額に関する規定の修正内容とする自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党四党共同提案修正案が提出され、修正部分及び修正部分を除く原案についてそれぞれ採決を行ないましたところ、いずれも全会一致をもってこれを可決、よって、簡易生命保険法の一部を改正する法律案修正議決を見た次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  69. 園田直

    ○副議長(園田直君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 園田直

    ○副議長(園田直君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  71. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時九分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 田中伊三次君         外 務 大 臣 三木 武夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         厚 生 大 臣 坊  秀男君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  菅野和太郎君         運 輸 大 臣 大橋 武夫君         郵 政 大 臣 小林 武治君         労 働 大 臣 早川  崇君         建 設 大 臣 西村 英一君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 松平 勇雄君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      真田 秀夫君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君      ————◇—————