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1967-05-09 第55回国会 衆議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月九日(火曜日)     —————————————  議事日程 第九号   昭和四十二年五月九日    午後一時開議   一 国務大臣演説昭和四十二年度地方財    政計画について)並びに地方交付税法の一    部を改正する法律案内閣提出)及び昭和    四十二年度における地方財政特別措置に    関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対    する質疑     …………………………………  第一 昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算     昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算     昭和三十九年度国税収納金整理資金受払     計算書     昭和三十九年度政府関係機関決算書  第二 昭和三十九年度国有財産増減及び現在額   総計算書  第三 昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総   計算書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  国務大臣演説昭和四十二年度地方財政計画   について)並びに地方交付税法の一部を改正   する法律案内閣提出)及び昭和四十二年度   における地方財政特別措置に関する法律案   (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)、   相続税法の一部を改正する法律案内閣提   出)及び所得税法の一部を改正する法律案(   内閣提出)の趣旨説明及び質疑  日程 昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  第一 昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算     昭和三十九年度国税収納金整理資金受払     計算書     昭和三十九年度政府関係機関決算書  日程第二 昭和三十九年度国有財産増減及び現   在額総計算書  日程第三 昭和三十九年度国有財産無償貸付状   況総計算書    午後一時六分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) おはかりいたします。  議員赤城宗徳君、同川島正次郎君及び同濱野清吾君から、海外旅行のため、五月十八日から三十一日まで十四日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————   国務大臣演説昭和四十二年度地方財政計画について)並びに地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより自治大臣昭和四十二年度地方財政計画についての演説並びに内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案趣旨説明に対する質疑に入ります。山口鶴男君。   〔山口鶴男登壇
  6. 山口鶴男

    山口鶴男君 私は、日本社会党を代表し、昭和四十二年度地方財政計画並びに地方交付税法の一部を改正する法律案昭和四十二年度における地方財政特別措置に関する法律案に関し、政府所信を伺いたいと存じます。  まずお伺いしたいのは、地方自治体財政的危機に対する政府の認識と対策についてでございます。  昭和四十二年度地方財政計画について、藤枝自治大臣は、地方税伸び地方交付税伸びを強調し、自治省当局もまた、地方財政昭和四十一年度のように苦しくないと、バラ色の見通しを振りまいております。ところで、地方税伸び三千四百六十五円億といえば、かなりの数字に見えるのでありますが、これは当初との比較においてであり、昨年度中の地方税自然増収約二千億円を考慮するならば、決算比較では一千五百億円程度伸びしか期待し得ないでありましょう。一方景気は好転したとはいうものの、早くも景気過熱が懸念されている現在でございます。ブレーキをかけるべきときにアクセルを踏んだといわれる八千億円の公債発行を含む昭和四十二年度国家予算世界景気の停滞とベトナム戦争の成り行きをあわせ予想される国際収支危機などによって、経済政策が行き詰まり、景気が下降に転じた場合はどうなりますか。収支のバランスは根本的にくずれ去るでございましょう。  そればかりではありません。昭和四十年度における普通債の現在高は累計一兆三千四百八十五億円、公営企業債累計は一兆四千八百四十四億円、合計実に二兆八千三百二十九億円に達し、昭和四十一年度のそれは、優に三兆円をこえると見込まれるのでございます。公債発行下国家財政より早く地方は膨大な借金財政におちいっており、昭和四十二年度地方財政計画によっても、一般会計において起債の借り入れ二千三百一億円に対し、起債償還、すなわち歳出公債費は一千七百三十二億円であって、地方自治体財政は、借金借金の返済がほぼ同額というきわめて不健全な状況におちいっておるのでございます。  しかも、地方独自の財源である地方税は、大幅な伸びとはいうものの、一兆九千二百六億円で、地方財政計画歳入の四兆七千七百十四億円の四〇%を占めるにすぎないのであります。  ところでこの地方税たるや、応益原則と称して、所得税納入人口二千百万人より約一千万人多い三千万人から住民税均等割り所得割りを徴収し、所得税の場合、夫婦子供三人の五人世帯課税最低限年度ベース七十三万九千五百四十六円に対し、住民税課税最低限は平年度ベース四十三万三千五百二十五円という、まさに苛斂誅求の結果生み出されたものでございます。(拍手)「生計費には課税せず」が税の原則でございましょう。所得税課税最低限ですら成人の一人一日の食費は二百五円、一食六十八円という低さで、大蔵省作成メニュー国民の失笑を買ったではありませんか。自治省はいかなるメニューによって生計費を計算したのでございますか。課税最低限所得税住民税とで三十万円以上の開きがあるという不合理、また、標準世帯生活保護費三十九万二千六百五円とわずか四万円しか違わないという不合理、この不合理は早急に改めなければなりません。  また、府県民税税率は、かつて〇・八%から五・六%までの十三段階超過累進税率であったものを、昭和三十七年、百五十万円を境にして二%と四%の二段階比例税率に改悪して現在に至っております。低所得層税率が二倍半にはね上がった反面、高額所得層府県民税大幅減税となったのでありまして、文字どおり金持ちには大幅減税貧乏人には大幅増税で、「貧乏人は麦を食え」と同様な思想であることは何人も否定し得ないでございましょう。(拍手)  地方税について、個人事業税をも含めて各種控除の大幅引き上げ府県民税超過累進税率への復元により、国民大衆に対する地方税大幅減税所得税課税最低限との格差解消を行なう意思ありゃ、総理並びに自治大臣に対し、具体的な構想の答弁を求める次第でございます。  また、かかる重税を行なって、なおかつ地方税地方財政計画歳入の四〇%であるという事態を抜本的に解決するために、わが党は、所得税法人税を大幅に地方税に移譲すること、たばこ消費税率引き上げなどによって、国税地方税との割合を、現状の七対三から五対五に改めるべきであることを主張してきたのでございます。地方制度調査会税制調査会臨時行政調査会においても、行政事務の再配分財源の再配分が論議され、答申も行なわれてきたのでありますが、第十一次地方制度調査会は再びこの問題を取り上げ、昨年十二月政府答申したところでございます。  この際、総理より、税の再配分の断行と地方財政抜本的強化に対する所信を承りたいと存じます。  これと関連して、昨年度特別事業債元利償還の問題がございます。昨年当然交付税措置すべきものを特別事業債で肩がわりしたことは、地方財政史上一大汚点でありましたが、この論議は一応別として、昨年衆議院本会議で、わが党の追及により、福田大蔵大臣は、「今回の特別事業債一千二百億円については、将来毎年の元利が支障なく払えるよう財政措置をとりたい」と答弁し、地方行政委員会は、特別事業債元利償還金については国の責任において措置する旨の附帯決議を行なってきておるのであります。しかるに、地方財政特別措置に関する法律案によれば、臨時地方財政交付金昭和四十二年度限り交付することとし、一千二百億円のうち九百億円について、交付団体償還金五十三億を計上しているにすぎないのであります。明年度以降への保障は全くないではありませんか。まさに公約違反といわなければなりません。(拍手)  大蔵大臣、ピーク時において百億円をこえると見込まれる元利償還金は、明年度以降も国の責任において、不交付団体をも含めて措置すべきが当然ではありませんか。大蔵大臣自治大臣の明確な答弁を求める次第でございます。(拍手)  第二は、交付税制度補助金制度の問題についてであります。  平衡交付金制度から交付税制度に移行してすでに十二年が経過いたしました。現在の経済変動と急激な人口移動は、自治体業務複雑化を招来し、過密対策と一方における過疎対策が焦眉の急となっております。しかるに、現在の交付税算定方式が旧態依然であり、その急激な変動に即応し得ないことは、府県百七十万人、市町村十万人の標準団体をそのまま採用していること一つをとってみても明白であります。後進対策百三億円、人口急増補正六十億円の操作で追いつくものではございません。  補助金制度についても、補助金単価基準の不備による超過負担の問題、零細補助金の問題は依然解決されていないのです。昭和四十一年の調査で、小中学校建築費公営住宅並びに用地取得費補助基本額決算実績との比率は、それぞれ七八%、八七%、五七%というありさまで、はなはだしいのは、保育所建設費一カ所あたり補助基本額百四十万円に対し決算実績は六百万円で、その比率はわずか二三%にすぎないのでございます。人間尊重人間の中に保育児童は入っていないのでしょうか。かくして本年度二百六十六億円の超過負担解消措置がとられても、なお一千億円近い膨大な超過負担地方財政への重圧となっていることを否定することはできないのでございます。  また、国民健康保険事務費は、被保険者一人当たり二百五十円から三百円に引き上げられたものの、実績の八〇%程度であり、国民健康保険法第六十九条違反であります。さらに自治体経費負担の義務のない国民年金事務費すら、完全に措置されない現状は、まさに地方財政法第十条の四の明確な違反といわなければなりません。  地方財政法はもちろん、各種関係法律違反する超過負担解消し、あわせて交付税制度現状に即応したものに改善する決意並びに具体的構想ありやいなや、総理並びに自治大臣決意をお伺いいたします。  第三に、社会開発、わけても道路財源の問題について質問いたします。  総理のいう社会開発は、一部大企業のみに奉仕する産業基盤開発を是正しようという意欲から出発したものでございましょう。しかるに、道路整備事業に関し、国は八五%の特定財源を持っているにかかわらず、地方は四八%、このうち府県は七〇%、市町村はゼロという不均衡さでございます。大企業中心産業道路高速道路、国道、府県直整備されても、住民が常に利用する市町村道は貧弱な市町村財政にまかされ、舗装率四%という悪路のまま放置されているのであります。これでは社会開発人間尊重という佐藤内閣の一枚看板が泣くではありませんか。当初七兆三千億円が六兆六千億円に削減されたという道路整備五カ年計画が、地方単独事業費のみ一兆九百億円から一兆一千億円に上積みされたのは、五カ年計画全体を水増ししようとするためのからくりであって、国の財政措置を伴わない単独事業を目一ぱい計上したとも言えるのでございます。無責任時代の先頭を行くやり方というべきでございましょう。(拍手)しかも、本年度地方単独事業一千八百億円に対する市町村道財源は、本年度限り二十五億円、小規模町村わずか二十万円という、まさに二階から目薬的な処置にすぎないのでございます。揮発油税地方譲与を行なうなど、恒久的な市町村に対する道路特定財源を付与すべきでございましょう。  建設大臣大蔵大臣自治大臣の誠意ある答弁を要求いたします。(拍手)  第四に、地方公営企業危機とその対策についてでございます。  昭和四十年度決算において、収益率は九六・八%、法適用団体累積赤字は九百四十八億円、不良債務額も九百七十一億円をかかえているといわれます。特に、累積赤字の八〇%は東京都及び六大都市に集中しており、この原因は、経済高度成長のしわ寄せと、政府公営企業公共性を無視して、独立採算を強要するばかりで、国の財政援助を怠ってきたことこそが、最大の問題点と言えるのでございます。すなわち、昨年わが党の要求を無視して、わずか二百億円を計上したにすぎず、本年度地方債計画につきましても、わずか四百二十億円を見込んでいるだけでございます。地方公営企業危機を、住民負担労働者への合理化によって糊塗しようとするものといっても過言ではございません。  この際、公営企業再建債の増額、企業債のワクの拡大、耐用年数に見合った償還年限の延長、利率引き下げ上水道補助など、地方公営企業危機打開への抜本的施策について、総理並びに自治大臣所信を表明せられたいのでございます。  最後に、佐藤総理、あなたは四月五日、三多摩発言を行ない、憲法と地方自治本旨をじゅうりんする暴言として、世論の激しい批判を浴びたのであります。その後、参議院予算委員会等において三多摩発言を取り消し、革新首長美濃部知事に積極的に協力することを表明せられました。まことに当然でございます。あくまで地方自治本旨を守り、民主主義基盤である地方自治の確立と地方財政強化をはかるべきでございます。  佐藤総理に強くこのことを要請し、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 私からお答えするのが適当だと思う事項についてお答えいたします。その他は各大臣からお答えするつもりでございます。  まず第一に、地方自治団体財政についていろいろの広範にわたる御意見が述べられました。そうして、この地方団体自主財源を確立しろという御要望でございます。私は、そのお説の中に引用されました行政調査会だとか地方制度調査会等々がすでに答申しておりますその点について、政府が真剣に取り組んでおることをお話いたします。  御承知のように、国、地方、この団体間におきましては、行政事務が適当に配分されることが、まず一つの問題であります。適当に配分されました事務に対して、財源の裏づけがなければならないこと、これは当然でございます。そういう意味におきまして、今後ともこの両者、行政需要とその財源と対応し得るように、この上とも努力していくつもりでございます。そういう際に特に私どもが気をつけなければならないのは、地方団体自主財源強化する、こういう方向で検討することでございます。  第二の問題といたしまして、超過負担についての御批判がございました。超過負担、これを解消するということにおきまして政府は過去において努力を続けてきたこと、これは御承知のとおりであります。しかし、まだまだこの超過負担解消、これは全部できておらない状況であります。まことに残念に思っております。ことに、ただいま御提示になりました国民健康保険等事務費処置等におきましてもなお不十分だということでございますが、問題は、十分実情を把握いたしまして、それに対する対策を立てることが望ましいことは申すまでもないのであります。政府在来からの超過負担解消への努力を今後ともきめこまかく続けていくつもりでございます。  次に、公共企業体赤字解消の問題につきまして御指摘がございました。この点ではもうすでに地方公営企業法改正が行なわれております。そうして、これによりまして財政再建規定等が設けられております。また、企業体自身につきましても、合理化を積極的にするようにいろいろ指導し、また相談もしておるわけでございます。これをさらにこの改正趣旨に沿ってそうして再建が行なわれるように、また、政府といたしましては、起債の問題あるいは利子補給の問題等々につきまして在来からの方針を徹底さして、そうして赤字解消へ一そう進めていくように努力したいものだと思います。  次に、さきの選挙についてのいろいろの御批判がございました。私自身もいろいろ反省をしております。ただいま、これについては要望だということでございましたので、その点を十分承っておきます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  8. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 本年度は、臨時地方財政交付金の中で利子償還費を五十三億円見込んでございますが、これは本年度限りの措置ということになっております。したがって、来年度からどうするかという問題でございますが、基準財政需要額の中へこれを織り込むことによって解決できるのか、いろいろ方法があると思いますが、いずれにしろ、政府がたびたび申しましたように、地方財政実情に応じて、地方公共団体財政運営に迷惑をかけないようにすると申しておりますので、迷惑をかけないように必ず来年度措置するつもりでございます。  その次に、地方道路財源の問題でございますが、御指摘のとおり、本年度は、臨時地方財政交付金の中に二十五億円計上いたしました。将来、ちょうどいま道路整備五カ年計画がつくられておるときでございますので、この具体的な内容をきめるときに、市町村道路財源はその過程において確保できるような方法を講じよう、こういうことが関係省内の約束になっておりますので、そうするつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  9. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 地方財政は、税の伸び等で昨年、一昨年よりやや好転したというだけでございまして、御指摘のように、内容的にはなお改善すべき多数のものを持っておると存じております。したがいまして、事務の再配分とそれに伴う財源の再配分につきましては、目下地方制度調査会で御審議をいただいておりますので、その答申を待って実現をはかりたいと存じております。  次に、地方税は、所得の再配分的性格を持つ所得税などと性格が異なりまして、地域社会経費をその地域住民が分に応じて広く分任するという性格のものでございますので、住民税最低限所得税最低限がある程度違うことはやむを得ないと考えておるわけでございますが、県民税をも含めまして、なお地方税負担住民にとって重いということもありますので、今後さらにこれの改善合理化につとめてまいりたいと存じております。  特別事業債処置につきましては、ただいま大蔵大臣答弁されたとおりでございまして、四十三年度以降におきましても、決して地方団体に迷惑をかけないような措置をするつもりでございます。  交付税の再検討の問題でございますが、これらにつきましては、常に社会経済変化に応じまして再検討を加え、合理化をしてまいったのでございまして、御指摘にもありましたような人口激増補正あるいは激減補正等もやっておりますが、今後も経済社会の非常な変化に対応できまするような改善を加えてまいりたいと存じております。  超過負担につきましては、先ほど総理もお話がございましたが、実態調査するために各省共同実態調査をいたしまして、昭和四十三年度予算編成を目途にこれの計画的な解消をはかってまいりたいと存じております。  地方公営企業につきましては、再建を申し出た団体が百六十三事業で、その赤字額は約六百九億であります。それに対しまして、四十一年度で二百億、本年度で四百億の事業債を見ておりますので、これで処置ができるものと考えておりますが、公営企業についての事業債内容を充実することにつきましては、今後さらに努力をしてまいりたいと思います。(拍手)   〔国務大臣西村英一登壇
  10. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私に対するお尋ねは、現在の市町村道路の改修につきまして、補助方式によらず、特定財源を割愛して、それでもってやったらどうかというお尋ねでございます。しかし、御案内のように、わが国の道路はやはり現存でもまだ重要な府県道すらも整備が低い水準にあるのでございまして、これがある程度進みますれば、もちろん市町村道につきましても本格的に取り組みたいと私は思うのでございます。しかも、一口に市町村道と申しましても、現在八十数万キロあると申しておりますが、ただいま建設省といたしましてもこの調査に一生懸命になっておるところでございます。その結果を待ちまして、さいぜんも大蔵大臣が申しましたように、この財源の問題についても将来研究をしたいと思っております。しかし、そういうような基本的な問題は別にいたしましても、ただいまは特定法律山村振興とかいうような特別の法律のために、あるいはまた、緊急を要する市町村道につきましては、これは相当に現在でもやっておる次第でございまして、将来とも市町村道につきましては大いに財源の問題を含めて検討いたしたい、かように思っておる次第でございます。(拍手
  11. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)、   相続税法の一部を改正する法律案内閣提   出)及び所得税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明
  12. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) この際、内閣提出法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、及び所得税法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。大蔵大臣水田三喜男君。   〔国務大臣水田三喜男登壇
  13. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案、及び相続税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  政府は、さき経済安定的成長に即応する税制あり方とその具体化の方策につきまして、税制調査会に諮問いたしたところでありますが、本年二月に同調査会から、当面改正を必要とする事項について、昭和四十二年度税制改正に関する答申が提出されました。政府といたしましては、当面の経済情勢とこれに対応する昭和四十二年度財政金融政策の基本的なあり方と関連し、この答申中心として、昭和四十二年度税制改正につきまして鋭意検討を行なってまいったのであります。  その結果、最近における国民負担状況及び経済情勢の推移を勘案し、国民生活の安定と企業の体質の強化等をはかることを目的として、所得税減税中心とし、これに加えて相続税減税企業減税印紙税登録税全面改正税制簡素化、その他当面要請される諸施策に対応する税制改正を行なうことといたしたのであります。  以上の考え方に基づく今回の税制改正による減税額は、国税で平年度一千五百五十億円余にのぼるのであります。各税につきましての所要の法律改正案は逐次御審議を願うわけでありますが、今回は、そのうち所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案、及び相続税法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。  この改正案におきましては、さきに申し述べました考え方に従い、中小所得者中心とする所得税負担の軽減をはかることをその要点としております。このため、基礎控除配偶者控除扶養控除及び給与所得控除引き上げを行なうこととしており、これによりまして、夫婦子供三人の給与所得者課税最低限は、年収七十四万円程度まで約十万円引き上げられることになります。また、退職者の老後の生活の安定に資するため、退職所得課税最低限を大幅に引き上げることといたしております。さらに、中小企業の体質の強化に資する見地から、個人の青色申告者の事業専従者につき、昭和四十三年からいわゆる完全給与制の実現をはかることとしております。また、障害者控除等の税額控除を所得控除に改め、少額貯蓄非課税制度の適用要件の緩和をはかるほか、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案につき、その大要を御説明申し上げます。  この改正案におきましては、法人の清算所得に対する法人税課税の仕組みを改め、法人の解散、合併の場合には、清算に伴って生ずる法人所得についてのみ法人税を課税することとし、清算分配金は、これを受け取る株主の段階において配当所得として課税することに改めるほか、税制の簡素合理化をはかる見地から、所要の規定の整備を行なうことといたしております。  次に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。  この改正案におきましては、昨年度改正に引き続いて被相続人の配偶者に対する相続税負担を軽減することが要点でありますが、そのため、現行の配偶者の相続税の半額課税の制度を全額免税の制度とすることといたしております。また、生命保険金及び死亡退職金につきまして、相続人の総体ではそれぞれ百万円または五十万円に相続人数を乗じた金額まで非課税となるようその限度額を改めることとしております。その他、相続税の納付税額の計算の簡素化をはかることとしております。  以上、三法案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)、   相続税法の一部を改正する法律案内閣提   出)及び所得税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  14. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。広沢賢一君。   〔広沢賢一君登壇
  15. 広沢賢一

    ○広沢賢一君 私は、日本社会党を代表して、所得税法法人税法相続税法の一部改正法案に対する基本的な質疑を行なわんとするものであります。(拍手)  第一、所得税基礎控除について。  私は、今回国会に初登院して以来、期待に胸をふくらませて国会審議に参加してまいりました。しかし、いまは、わが国の議会制民主主義の将来にとって、はだえにアワを生ずるような危機感を感じているものでございます。それは、国の最高機関である国会の審議が、行政府たる官僚の勢力によって事あるごとに冷遇され、国政が官僚行政によって事実上独断専行されているありさまを如実に味わったからであります。  現に、ここに一つ昭和四十二年度予算案に対する与野党一致できめられた予算委員会の附帯決議第一項目取り扱いの問題があります。すなわち、第一項には、「所得税課税最低限引き上げは、標準五人世帯百万円を目標にして、なるべくすみやかに実現につとめる」と明記されております。御承知のように、このたびの所得税法改正は、物価上昇の今日、給与所得については課税最低限を十万円程度引き上げるため、諸控除をそれぞれ引き上げるというものでございますが、これを五人家族標準で換算すれば、平年度七十三万円、月給にして六万一千円程度、独身者で二万一千円まで引き上げられることになるのであります。これでは税制調査会の四十一年「長期税制あり方についての中間答申」に示されておりますいわゆる課税最低限の水準は、「基準生計費の水準を上回って、貯蓄のためのゆとりを織り込んで決定することが望ましい。」という政策目的にはほど遠いものがあることがすでに明らかにされております。たとえば、この一つの基準である最低生活について、いわゆる大蔵省メニュー、一日一人当たり食料費は物価上昇を見込んでも、何と成年男子一日二百五円、一食六十八円であります。政府閣僚の皆さんにお聞きしたい。議員各位にも訴えたい。私を含めて一体この中でだれが、ラーメン一ぱい百円もする今日、一食六十八円で生きていけるのかお聞きしたいのであります。(拍手)皆さんは、自分や自分の子供たちにとうてい要求もできないことをこの国会の決定によって国民に押しつけようとなさるのであろうか。このことを私たちは大蔵委員会において重ねて論議してまいりました。その結果、委員会においても課税最低限を年所得百万円まで引き上げ附帯決議が行なわれようとしました。しかし、その時期をめぐって、それはことし、来年か、または四十四、五年かという議論が対立したままついに決定されませんでした。  消費者物価は一昨年七・四%、去年は六%近くも上がりました。ことしもまた公債政策二年目に入り、消費者米価や健康保険料などの値上げを自民党政府は強行しようとしております。こうした引き続く物価上昇を考えるとき、ことしや来年でなくて、はるか三年後に控除を引き上げるというのでは、それは物価値上がりに追いまくられて何ら政策的効果がないことはだれにもはっきりわかることであります。したがって、権威のないことはやめたほうがよいというので、大蔵委員会では附帯決議をあえてとりやめたのでありますが、今回、そうしたいきさつの上で、予算委員会の附帯決議が与野党合意の上で決定されました。  本来、この物価、減税、住宅等五項目にわたる附帯決議は画期的なことであり、これによって国会の権威は著しく高められたと確信いたします。ところが、翌日の読売新聞によりますと、奇怪なことに、大蔵省では「すみやかに実現する」というこの時期を、早ければ四十四年、おそければ四十五年、すなわち四年先に実現したいという方針を固めたと、かってに発表されております。これこそ官僚の独断専行の実例であります。一体、大蔵省のだれが国会に断わりなく予算委員会の附帯決議をかってに解釈して、四十四年以降に回したのであるか。そのいきさつと、今後実現の見通しについて、大蔵大臣の所見を承りたいのであります。(拍手)  同時に、国の基本である、この議会制民主主義の確立について、総理大臣の御所見も承りたいのであります。  第二、給与所得税法人税について。  今年度の税金の自然増収は七千三百五十三億円にのぼります。税収の弾性値を昭和三十四年以来の平均一・四程度に見れば、一兆二千億円の自然増収さえ見込まれるといわれております。一方、減税は一千五十億円、増税分を差し引けば実質的にはわずか八百三億円であります。こんなに自然増収があるならば、年所得百万円までをはじめとして、もっと大衆減税はできるのではないかという野党の質問に対しまして、大蔵大臣は、景気過熱のおそれのあるとき、これ以上の減税は差し控えるべきであると答弁されております。確かに総理も、大蔵大臣も、景気過熱のおそれがあるから、民間設備投資は行き過ぎないようにと、財界に重ねて警告しておられますが、この行き過ぎをやろうとしておるのは、勤労大衆や中小企業ではございません。それは資本金一億円以上の大会社であります。この大会社こそ、ことしでも、地方税を合わせると、平年度千百三十四億円——利子配当の分離課税その他をこれは含まないで一千百三十四億円に及ぶ租税特別措置に加えて、交際費の非課税分は五千億に及びます。これは事実上法人税減税でございます。この減収分、事実上の減税の七割を占めている。これを許しておいて、景気過熱のおそれがあるから減税を差し控えるという大臣答弁は、全く本末転倒もはなはだしいものがあると思います。(拍手)この経済政策の合理性を無視した御答弁、態度に対して総理大臣はいかにお考えになるか、お聞きしたいと思うのであります。  第三、租税負担の公平について。  今回の三法改正に一貫して見られるところは、低所得の勤労大衆、特に独身者、青年層にきわめて冷たいものがあると思うのであります。  ここに二、三の実例を申し上げます。諸控除の引き上げにつきましても、減税の恩典は低所得者と高額納税者の間にかなりの差が出てまいります。たとえば課税最低限に近い納税者の控除が一万円引き上げられた場合には減税額は八百五十円、ところが年収一千万円程度の納税者にとっては五千円の減税になります。これは所得税率が累進制であるために、同じ額だけ控除を引き上げたとしても、減税の恩典は中産階級または高額所得者に吸い取られてしまうわけでございます。これを是正するためには、たとえば所得税段階別漸減控除方式を採用するとか、または二分二乗方式の採用等の方法があると思いますが、大蔵大臣はこの点いかにお考えになっておられるか。  さらにまた、今回の課税最低限は、独身者では平年度月二万一千円であります。これでは大学卒業生、高校卒業生はもちろん、中学を卒業して入社して一年後の方々も、ほとんど全員が所得税を取られるわけでございます。一方では、昼間額に汗して、夜間苦学してやっと入社したという若者や、結婚したくても家賃が一万数千円ではと、結婚もできない若い勤労者がたくさんいます。それがわずかの月給から所得税を差し引かれております。他方では、利子、配当など資産所得、つまり、親譲りの紙きれ一枚を持っていて遊んでいても収入のある不労所得者が、租税特別措置で、五人家族年収二百二十六万円まで所得税はかからないということは一体どういうことでございましょうか。(拍手)この税金の不公平について大蔵大臣として御答弁しようがないと思いますが、明確な答弁をお願いしたいと思います。(拍手)  日本の未来は青年の力によるものでございます。また、一円の金も切実に感じるのはこれからという青年であります。この低額勤労独身者に対する税の控除の引き上げ所得税最低限の底上げ、ということは非常に重要な問題であろうと存じます。  さらに、ことしは消費者米価引き上げによる国民負担分は千二百億円、政府管掌健康保険の赤  昭和四十二年五月九日 衆議院会議録第十一号字補てんのための保険料や患者負担値上がり四百九十四億円等が待ちかまえております。これらは一種の保険税や間接税の引き上げとでもいうべきであり、低所得大衆には非常につらい一番負担の大きいものでございます。ところが、最近所得税伸びに対して間接税の伸びが少ないからと、たばこの値上げをはじめ間接税増徴の動きが税制調査会はじめ政府部内にあるとお聞きしますが、これは低所得勤労大衆にとってたいへんな増税を意味します。間接税の見通しについて大蔵大臣の御所見を承りたいのでございます。  次に、所得税の控除が若干引き上げられても、住民税の控除は据え置きの状態で、そのアンバランスは物価上昇に伴いさらに大きくなる一方ではないかという、このことについては五月四日の参議院予算委員会で大蔵大臣自治大臣も、それは是正しなければならないと住民税減税の方向を明らかにしました。先ほどの御答弁ではそれがちょっとあいまいになって改善合理化と言われましたが、はっきりと住民税引き下げと言うべきでございます。しかし、伝えられるところでは、この住民税減税は、さらに地方財政の窮乏をもたらすから、実現するまでには紆余曲折があると伝えられております。そこで大会社に対する地方税の特別優遇措置を取りやめ、または国税地方税移譲を行なって、住民税減税しても、なおかつ地方財政強化する必要があると存じますが、大蔵大臣並びに自治大臣に伺いたいのであります。  以上のように、こまかい点にわたりましても、今日の税制は働く者、低所得者に対してきわめて冷たく、税負担の公平は著しく阻害されております。こうした状況改善しないで、国民特に低所得勤労青年の中に正しい納税意識、ほんとうに国を愛する心を養えというのも、それは無理なことではないでございましょうか。(拍手)私は、ただ単に税金の損得という問題以上に、ここに国の政治の基本がかかっている、こういう点から見て総理及び大蔵大臣の長期税制の基本的なお考えを十分お伺いしたいと思うのでございます。  最後に、税務行政の明朗化について。  今国会の予算分科会でも、日本の税法ほど条文難解で大衆にわからない法律はないということが力説されました。また、昨年八月、京都地方裁判所に、サラリーマンの税金で提訴した同志社大学大島教授も、日本の税法がむずかしいため、税法で規定するところよりも通達事項で処理する面が多いから、日本は税金に関する限り法治国家ではないと論じております。こうしたことのために官僚の独断専行は横行して、現に今国会の大蔵委員会でも、大蔵大臣国税庁長官は、配当所得の確定申告不要制度の法定期限切れを通達事項で処理したため、今後このような越権行為は一切いたしませんと一札をとられておるわけであります。さらに町の中小企業者にとっても、最近の税務官僚は警察官よりももっとひどい悪代官ぶりであるといわれておりますが、そこで税務行政の明朗化、民主化のために、第一、税法をやさしく書き改めて、通達、政令も国会に報告、承認を求めること、第二、国税通則法を再検討して、国民に公平、親切な税務行政制度に改めるべきであること、を提案いたしたいと思うのであります。この点について大蔵大臣の御所見を伺いたいと存ずるのでございます。  以上のほか、さらに相続税法その他具体的に伺いたい点がございますが、時間の限りがある現在、以上基本的な問題について御質問いたしました。総理をはじめ各大臣の明確な御答弁をお願いいたしたいと思います。  質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  16. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  私が申し上げるまでもなく、国会は国権の最高機関でございます。この最高機関が決定した附帯決議、その趣旨が尊重されなければならないことは当然であります。議会制民主政治のもとにおきまして、これは十分尊重される。いろいろお話がありまして、事務当局の考え方でこれを取りかえておるのじゃないかというようなお話がございましたが、さような点は御心配なく、今後、政府、私自身がこの附帯決議をいかに処理するか、これで御判断を願いたいと思います。  次に、税制の基本態度についてお尋ねがございました。また、長期税制あり方等についてのお尋ねでございます。  御承知のように、税制につきましては、税制調査会がすでに長期にわたる税制あり方について答申をいたしておりますから、政府はこれを尊重してまいるつもりでございます。実現を期するつもりでございます。  今日の国家歳入のその大半を占めるものは税であること、これは私が申し上げるまでもなく広沢君も御承知のとおりであります。しかし、一方でこの国民負担を軽減するという要請もありますが、他の面におきまして、さらに社会資本の拡充や社会保障の充実をはかるべしという、そういう財政需要の非常に強いこともこれまた御承知だと思います。こういう観点に立ちまして、ただいまは国債まで発行いたしておりますが、それらをも勘案しながら、税のあり方というものがいかにあるべきか、そこで、所得税についての長期減税の構想は、もうすでに説明されておりますとおり、四十五年には百万円、この所得税の軽減をしよう、これについて附帯決議が出て、できるだけすみやかにこれを実現するようにということでございます。政府はこの附帯決議を尊重するつもりでございます。  また、企業減税あり方につきましては、これは今後の問題でございますが、十分検討していかなければならないのでございます。私は、これらのものを、ただいまの税制調査会答申を尊重し、また具体的には、さらに年度割りの点につきましても、十分これらと連携をとりまして、この実現をはかっていく決意でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  17. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御質問にお答えいたします。  所得税課税最低限の問題は、ただいま総理大臣からお答えいたしましたとおりでございます。かりに一年でこれをやろうとしますと、所要財源が四千四、五百億円入り用だということになりまして、一年でこれを実現することはむずかしい問題でございますので、衆議院で御決議がありましたとおり、可及的すみやかにこの百万円まで最低限引き上げるつもりでございます。  それから、本年度減税が、自然増が多いのに少ないというお話でございましたが、減税が多いか少ないかということを見る一つのものさしとして、いままで、その年の自然増に対して減税比率が幾らになっているかという比率で見るのが普通でございます。その点から見ますと、昭和二十五年から三十年までの間は、自然増はほとんど減税にしました。一〇〇%以上の減税をやったことがございますが、そういうことをしておりましたために、社会資本のおくれが出たり、公共事業の投資がおくれて、経済の均衡発展というものが阻害されるということになりましたので、三十年以後になりましては、自然増収のうちの一割五分から二割程度減税に回すというのが、三十年以来四十年までの大体普通のやり方でございました。せいぜい一五%から二〇%までというのが減税の幅でございましたが、四十一年とことしの四十二年度、この二年間を見ますというと、自然増に対する減税の幅が三割四分をこえておる。過去十年間にもない大幅な減税であるということがいえるのでございまして、決してことしの減税を小幅であるということは私はいえないだろうと考えております。(拍手)  それから、所得税段階的控除方式というようなものを考えられないかという御質問でございました。これは要するに、低所得者と高所得者との格差をもっとつけるような税制を考えられないかということだろうと思いますが、所得税は、やはり基礎控除課税最低限度をどこに置くかということと、累進税率をどうするかという、このかみ合わせで所得税の本来の分配機能をうまく発揮できるものであるというふうに考えますので、そういう点から見ますと、いまの日本の税法は所得差がないほうの税制ではございません。たとえばドイツとかフランスを見ますと、最低限が一九%で最高限が五三%というようなことになっておりますが、日本は、最低限が九%で最高限が七五%ということですから、低所得者に対する課税と、高所得者への課税の幅というもの、差というものは、日本の税制は非常に広いんだということでございまして、こういう点の不公平というものは私はないのじゃないかというふうに考えております。  それから、独身者の課税最低限の低いことは事実でございまして、過去何年かの税制改革が、世帯持ちを中心とした減税政策をやっておりましたため、独身者の税金が非常に高いということがはっきりしてまいりましたので、この四十二年度、本年度税制改革、減税によりましては、この独身者に非常に大幅な最低限引き上げをやりましたので、この点は非常に改善されたことと思っております。  それと、先ほど二百二十六万円のお話が出ましたが、これは所得最低限という問題とは別な問題でございまして、もうたびたび私どもが御答弁いたしましたように、問題は法人税性格の問題でございます。現行の税制は、この法人税を個人株主の所得税の前払いというふうに観念しておりますので、したがって、個人の配当所得につきましては、すでに支払われたこの法人税所得税段階において調整するということでございますので、そのために、個人株主には配当控除を認めるというふうな仕組みになっておりますが、問題は、これは法人税性格からくる問題で、法人税性格を別に変えて、いまの法人税は各企業の自主的な当然の負担であると見るのなら、ここはまた改正しなければなりませんので、税制調査会においてもこれを論議して、今後の法人税改正のときにこの問題は解決するよりほか方法はないということになっておる税制でございます。  それから税法の問題、先ほどございましたが、通達というのは解釈として部内に出すものでございますので、これは税制法定主義とすぐ結びついた法律的なものではございませんので、したがって、国会の御審議を得るものじゃございませんが、参考のためにいままでこれはそのつど配付してございますが、今後も、いまのようなお話がございましたので、こういう通達等につきまして、できる範囲においては国会にこれを配付するつもりでおります。  また、税制簡素化そのほかの問題については、お説のとおり私どもは運営に心がけておる次第でございますので、税制についてはさらに一そうの簡素化を私どもははかってまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣藤枝泉介登壇
  18. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 地方財政は非常に困難な現状でございますが、国民負担の現況にかんがみまして、住民税の軽減合理化については今後考えてまいりたいと思います。  租税特別措置の問題でございますが、国税の租税特別措置は、国の経済政策その他いろいろの一環としてそれだけの意味を持つものと思いますが、地方税については、それよりも地域内の負担の公平というものを中心に考えるべきものだと存じております。したがいまして、地方税の租税特別措置につきましては、この合理化をはかってまいりたいと思います。また、国税の租税特別措置が直ちに地方税に響かないような措置を従来も講じてまいったのでございますが、今後もその方針を堅持したいと存じます。(拍手
  19. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————       昭和三十九年度一般会計歳入歳出       決算       昭和三十九年度特別会計歳入歳出       決算  日程第一 昭和三十九年度国税収納金整理資       金受払計算書       昭和三十九年度政府関係機関決算       書  日程第二 昭和三十九年度国有財産増減及び   現在額総計算書  日程第三 昭和三十九年度国有財産無償貸付   状況総計算書
  20. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第一、昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九年度政府関係機関決算書日程第二、昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書日程第三、昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書、右各件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。決算委員長鍛冶良作君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔鍛冶良作君登壇
  21. 鍛冶良作

    ○鍛冶良作君 ただいま議題となりました昭和三十九年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  初めに各件の概要について申し上げます。  まず、昭和三十九年度決算でありますが、一般会計決算額は、歳入三兆四千四百六十七億円余、歳出三兆三千百九億円余、差引千三百五十七億円余の剰余金を生じております。  特別会計の数は四十三、その決算総額は、歳入六兆一千四百八十億円余、歳出五兆五千五百七十五億円余、その歳入超過額は五千九百五億円余となっております。  国税収納整理資金の収納済額は二兆九千八百九十二億円余、支払命令済額及び歳入への組入額は二兆九千八百十六億円余となっております。  政府関係機関の数は十三、その決算総額は、収入二兆八千二百八十六億円余、支出二兆六千九百五十二億円余となっております。  次に、昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書でありますが、昭和三十九年度中に増加した国有財産の額は、一般、特別両会計を合わせて六千七百三十億円余、同じく減少額は三千五百八十八億円余、差引純増加額は三千百四十一億円余となり、本年度末現在額は三兆九千九百五十三億円余となっております。  次に、昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書でありますが、昭和三十九年度中の無償骨付の増加額は、一般、特別両会計を合わせて八十六億円余、同じく減少額は三十一億円余、差引純増加額は五十五億円余となっており、本年度末現在額は三百億円余となっております。  各件のうち、決算は四十年十二月二十八日、国有財産関係二件は昨年一月二十五日、第五十一回国会に提出され、決算は昨年二月二十五日、国有財産関係二件は昨年一月二十五日委員会に付託されました。  委員会は、昨年三月三日、各件について大蔵省当局よりその概要説明を、会計検査院より検査報告の概要説明を聴取した後、慎重審議を重ね、本年四月二十一日決算外二件の審査を終了いたしました。よって、決算については、直ちに委員長より議決案を提案し、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党各代表の討論の後、採決の結果、多数をもって議決案のとおり議決し、次いで、他の二件について採決の結果、各件はいずれも是認すべきものと多数をもって議決した次第であります。  決算議決の内容につきましては、会議録についてごらん願うことといたしまして、その概要を申し上げますと、  一、本年度決算を予算の効率的使用及び不当不正という観点から見ますと、次の諸点が特に留意されるべきものと思われます。  すなわち、補助工事の施行において、設計に対して出来高不足、粗漏工事、工事費の積算過大等の事例が見られます。また、災害復旧事業費の査定において、被災の事実がないもの、積算が過大となっているもの等の事例が多数見受けられます。政府は、事業主体に対し、適切な指導をするとともに、工事の監督、検査の徹底、適正な査定を行なうようつとめるべきであると存じます。  地方公共団体に対する国庫補助負担金の交付について、補助単価等が実情にそぐわない等のため、地方公共団体は多額の超過負担を余儀なくされていますが、政府は補助単価等の措置によりこの解消をはかるべきであります。  農林省所管、特定土地改良特別会計において、国が施行し、干拓工事によって造成された土地が、農業の用に供されないで、他の用途に転売されたり、遊休しているもの、また、工事施行状況がかなり完了まで年数を経過しているものが多数見受けられますが、かような事態を招かないため、事業計画の立案にあたっては、長期的見通しに立って効率的利用をはかるべきであります。  各種直轄工事の施行、補助金、委託費等の経理、国有財産の管理、処分、公社、公庫等の経理、職員の不正行為等について、本院は連年政府に対して注意を喚起してきたが、本年度においてもなお改善を要する点が多く認められます七政府は、本院の決算審議によって明らかにされた諸点について、十分に反省、検討を加えて、将来の改善向上につとめるべきであります。  二、会計検査院が指摘した不当事項については、本院においてもこれを不当と認めるものであります。政府は、これら指摘事項についてそれぞれ是正の措置を講ずるとともに、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう、制度、機構の改正整備をはかり、官紀を粛正して万全を期すべきであります。  三、決算のうち、前記以外の事項については異議がございません。  以上が議決の概要でございます。  なお、本議決においては、本院の毎年度決算審議に際し、予算の効率的執行並びに不当不正事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善のあとが見られないのはまことに遺憾であると警告し、今後予算の作成並びに執行にあたっては、本院の決算審議の結果を十分に考慮して財政運営の健全化をはかり、もって国民の信託にこたえるべきであると政府要望していることをつけ加えておきます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  22. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第一の各件を一括して採決いたします。  各件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  23. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、各件は委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第二及び第三の両件を一括して採決いたします。  両件の委員長の報告はいずれも是認すべきものと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、両件は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  25. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 本日は、これにて散会たします。    午後二時二十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         建 設 大 臣 西村 英一君         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君