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1967-07-11 第55回国会 衆議院 法務委員会 第31号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年七月十一日(火曜日) 午前十時四分
開議
出席委員
委員長
大坪
保雄君
理事
安倍晋太郎
君
理事
大竹
太郎
君
理事
高橋
英吉君
理事
中垣 國男君
理事
濱野 清吾君
理事
加藤 勘十君
理事
横山 利秋君
理事
岡沢 完治君
塩谷
一夫
君 中村 梅吉君 馬場 元治君 藤波 孝生君
三ツ林弥太郎
君
山下
元利
君 神近 市子君 西宮 弘君 松前 重義君 三宅 正一君 沖本 泰幸君 松本 善明君
出席国務大臣
法 務 大 臣
田中伊
三次君 労 働 大 臣 早川 崇君
出席政府委員
法務政務次官
井原
岸高
君
法務省民事局長
新谷 正夫君
労働省労働基準
局長
村上 茂利君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
東京大学教
授) 三ケ月 章君 参 考 人 (
山陽特殊製鋼
下請企業共同組
合理事長
)
福永
常男
君 参 考 人 (
山陽特殊製鋼
労働組合組合
長)
白矢
勇君 参 考 人 (
司法書士会連
合会理事長
) 澤口 祐三君 専 門 員
高橋
勝好君
—————————————
七月十一日
委員瀬戸山三男
君、
田中角榮
君及び
橋口隆
君辞 任につき、その
補欠
として
塩谷一夫
君、
三ツ林
弥太郎
君及び
山下元利
君が
議長
の
指名
で
委員
に 選任された。 同日
委員塩谷一夫
君及び
三ツ林弥太郎
君辞任につき、 その
補欠
として
瀬戸山三男
君及び
田中角榮
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
七月十日 刑法の一部を
改正
する
法律案等反対
に関する請 願(楯兼次郎君
紹介
)(第二七五八号) 同(
東海林稔
君
紹介
)(第二七五九号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
会社更生法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第一四三号)
会社更生法
の一部を
改正
する
法律案
(
田中武夫
君外十二名
提出
、
衆法
第七号)
司法書士法
及び
土地家屋調査士法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第一一二号)(参議院送 付) ————◇—————
大坪保雄
1
○
大坪委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
委員各位
の御
了承
を願っておきます。 すなわち、
法務行政
に関する件、
内河昌富事件
につきましては、
世界政経調査会会長
の
廣岡謙二
君を
参考人
と
決定
いたしておりますが、本件につきましては、さきの
理事会
における
協議決定
のとおり、来たる十四日同
参考人
の出頭を求め、その
意見
を聴取することといたしまするので、さよう御
了承
を願います。 ————◇—————
大坪保雄
2
○
大坪委員長
内閣提出
、
会社庭生法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
田中武夫
君外十二名
提出
にかかる
会社更生法
の一部を
改正
する
法律案
の両案を
一括議題
といたします。 まず、両案について
参考人
より
意見
を聴取することといたします。 本日
出席
の
参考人
は、
東京大学教授
三ケ月章君、
山陽特殊製鋼下請企業共同組合理事長福永常男
君、
山陽特殊製鋼労働組合組合長白矢勇
君の三名であります。
参考人
の
各位
には、御多用中のところ、わざわざ御
出席
いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 何とぞ
各位
におかれましては、それぞれの
立場
から、両案について忌憚のない御
意見
をお述べくださるよう
お願い
を申し上げます。 なお、議事の都合によりまして、御
意見
は、最初お一人十分程度にお取りまとめを
お願い
申し上げます。 それでは、まず三ケ月
参考人
より
お願い
いたします。
三ケ月章
3
○三ケ月
参考人
このたびの
会社更生法改正
の動きは、
山陽特殊鋼
の
倒産
を頂点といたしまし
更生事件
の数の増大並びにその
大型化
に伴いまして、同法の
法律
上の規制ないし実際の
運用
が、社会的に深刻な問題として
一般
の関心を呼びまして、それに対して
改善策
を提示するという
意味
合いを持たざるを得ないわけでございまして、その点では
内閣提出
の
法案
も、
社会党提出
の
法案
も、共通の
性格
を持つように思われるのでございますが、
社会党案
のほうは、もっぱら、ないし主としてこの問題に集中しているのに対しまして、
内閣提出法案
のほうは、それと並びまして、立法上または
運用
上の
問題点
として、これまで指摘されておりました点に、かなりの
範囲
にわたって手直しを試みておるように思われるのであります。 こうした二つの
改正法案
の取り上げている問題の
範囲
の食い違いはともかくといたしまして、最も両
法案
の
対策
の違います点に焦点を合わせまして、両者を比較検討し、私の
意見
を述べさしていただきたいと存じます。
会社更生法
の
乱用
といわれる声がやかましかったのが、こういうふうな
改正法案
を生み出したことは、
前述
のごとくでありますが、その際、最も大きな
ポイント
として指摘されておりました点は、
親企業
が、
更生法
によりまして
更生
をはかり得るのに、
下請企業
が受ける打撃が大きく、アンバランスであるという
事情
、ないしこれが不当な
人員整理
の
手段
とされるような疑いがあるというふうな
事情
、その反面に、また異常にふくれ上がりました
社内預金
の
扱い
は、これまでどおりの
扱い
でいいのかというふうな問題が論議されたわけであります。こうした
事態
を背景といたしまして、両
法案
とも、これらの点の
対策
を打ち出しているわけであります。特に
ポイント
となりますのは、
下請債権
の
処理
の問題であろうかと存じますが、その
方法
といたしまして、
政府案
の
考え方
は、
下請代金債権
を無
担保債権
であるという
法律
上の
性格
から
更生債権
の
ワク
内にとどめながらも、その内部におきまして、
弁済禁止
の
制約
を解き、実質的には
共益債権
と同じように、
手続
中の
弁済
がはかれるようにしておるというのに比べまして、
社会党案
のほうは、これを一定の限度で
共益債権
として位置づけ、他の
更生債権
とは
性格
が違うのであるというふうなところを押し出しているように思われます。
更生法
という
法律
のみを見ますと、
社会党案
のほうが、すなわち
共益債権
という
体制
をとったほうが、
保護
が手厚くなるのは明らかであります。
政府案
の底にあります
考え方
は、これに対しましらて、どういう
立場
であったかと思いますと、私の考えによりますと、
下請代金
の
保護
は、
日本
の
社会的現実
の中できわめて大きな重要な問題であるということは重々認識しながらも、やはり
実体権
の格づけに応じて、
権利者
間の
取り扱い
を多少違えなければならないのが裁判上の
手続
というものであるという、こういう本質的な
制約
がありますので、これをのみ込んだ上で、その
ワク
内での
処理
を主としておると言えると思うのでございますが、
社会党案
のほうは、他の
手続
との
関連
を一応抜きにいたしまして、ともかく
更生手続
の
ワク
内で、先ほど問題となりましたような
日本的弊害
の除去を取り上げることこそが重要である、こういう
立場
に立っているかと思うのでございます。かりに
下請代金
が民法上も、たとえば
先取り特権
により
保護
されるというふうな形になっておりますならば、
破産
でも、
強制執行
でも、あるいは
和議
でも、さらには
更生
を通じまして、
一般
的なより強力な
保護
がはかれるのでございますが、残念ながら、
下請代金
というものにつきまして、これを
先取り特権
とするというふうな
意味
での
実体法
的な裏づけがないというふうなところから、
政府案
というふうなものの流れ、
考え方
が出てくるように思うのでございます。 確かに、
下請代金債権
の
保護
を
更生手続
の中ではかっていくことは重要でございますが、他面におきまして、この
手続
は、やはりある
意味
では獅子の
分け前
のぶんどり合いとでもいうべき
性格
を持つわけでございまして、必ずいろいろな他の方面のほうに
利害
が及ぶのが、こういう
手続
の免れがたい
制約
のように思うのでございます。かりに、
下請代金債権
を、必ず現金
弁済
しなければならない、こういうふうな形になってまいりまして、それがまた事実上
弁済
がむずかしいというふうな
事態
、これは過去の統計によりますと、かなり多いように見受けられるのでございますが、そういうふうな
事態
になりますと、おそらくはかの
権利者
というものは、これに対しまして自分の
分け前
というものが減ることを考えまして、自衛の策に出るというふうなことが十分予測されるわけでございます。たとえば、一番
表通り
の
対策
といたしましては、
更生手続
を避けて破
算手続
に持ち込むなり、あるいはまた
管財人
といたしましても、
更生手続
の見込みなしとして投げ出すというふうなことにもなりかねないわけでございます。かりに
破産
になりますと、これは
更生手続
で
保護
をいたしておりましても、やはり先ほどの
実体権
による
ワク
づけというのが働いてまいりまして、
一般
の
破産債権
になってしまうのは免れないというように思うわけでございます。 かく見てまいりますと、やはり
下請代金債権
の
保護
というふうなものの
保護
ということを、
更生法
の
ワク
内で
処理
し得る
範囲
というものにつきましては、
一つ
の限界があるように感じられるのでございます。将来これを
ほんとう
に
保護
していくための
表通り
の
方策
といたしましては、これはたとえば
実体法
上の
権利
として、
破産
、
和議
、その他の
手続
、
強制執行
を通じまして
保護
していくという
表通り
をとる、ないしそれとあわせまして、こういう
連鎖倒産
に対する
金融政策
の面というふうな点で受けとめていく、こういうふうなことが伴いまして初めて
更生法
上の
対策
も出てくるように感ずるのでございます。 元来、
会社更生法
というふうなものの直面する問題は、国によって違うのでございまして、アメリカが
会社更生法
を生み出した場合の一番大きな問題は、
投資家大衆
の
保護
という問題であったのに比べまして、
日本
で特に先鋭に出てまいりますのは、この
下請代金債権
の問題であるということは重々承知しておるのでございますが、先ほど申しましたような
会社更生手続
の
一つ
の免れがたい
制約
ということを認めまして、
法制審議会
におきましては、私は
政府原案
の
取り扱い
というものが、いろいろなことを考えました結果、妥当なバランスではなかろうかと思って賛成した次第でございます。もっとも、
政府案
の
考え方
の底には、
管財人
に握りつぶされるのではなかろうかという
危惧
が入り得るかと存じますが、この初期の
段階
と申しますのは、実は
下請債権
の調整のみならず、あるいは
従業員
の安定、
大口債権者
との
協議
、
計画
の資料の
収集等
の問題が山積しているわけでございまして、その時期におきまして、
下請債権
の問題だけに
裁判所
がエネルギーを注ぐというふうなことよりも、あるいは多少の
危惧
があるかとは存じますけれども、ともかく
管財人ルート
を通じて
裁判所
のほうにその問題の判定を取り継ぐという
体制
がとらるべきではなかろうかと考えるわけでございます。これを要するに、問題の抜本的な
解決
は、
更生法
だけではむずかしいのでございまして、
内閣提出法案
の中にもこういうふうな苦悶が反映していると私には感じられるのでございます。 時間がありませんので、以下飛ばしまして、
更生法乱用禁止対策
というふうなものにつきまして両
法案
を見てまいりますと、同じことをねらいながら、一方は
申し立て
の
段階
で
制約
をつけ、また
乱用防止
のために
過怠更生罪
を設けるという
対策
を打ち出すのに対しまして、
政府案
のほうは、
保全処分
の強化と、特に従来の
弁済禁止
のみならず、
管理人
の
選任等
の強力な
手段
で
乱用防止策
また
保全処分
の
申し立て
の
禁止
、これをお
墨つき
として使うことを封ずるというふうな
対策
を講じているわけでございます。私も
会社更生法
、これが旧
経営者
が抜け抜けと居すわるというふうな形になる、
下請商取引先
の
犠牲
において、大
企業
の
更生
をはかるという疑惑を、十分払うことはきわめて必要なことであると存じまして、その点を強調してまいったものでございますが、こういうふうな
対策
としては、あるいは
損害賠償
の査定の効果というふうなことも考えられましょう。あるいは
社会党案
のように、
過怠更生罪
ということによって制裁を課する
方法
も考えられるかと存じます。 こういうぐあいに政策的な問題が非常に大きくからむわけでございますが、そのほかにも、この
法案
ではいろいろ問題を残しております。特に
社会党案
の
理由書
にございますように、
更生法
がとかく大
企業
だけの
手続
になりがちである。小
企業
の
救済策
が抜けておるという点につきまして、私も以前から小
更生
とでもいうべき
方策
が必要ではないかというふうなことも考えておったのでございますが、今回の中にはそれが盛り込まれていないなどもその一例でございます。したがいまして、こういうふうな
改正案
、一応のあれが成立いたしましても、経済の実態に即応したこまめな
改正
がなされることを希望するわけでございます。
大坪保雄
4
○
大坪委員長
次に
福永参考人
。
福永常男
5
○
福永参考人
私は、
山特鋼下請企業共同組合理事長
の
福永常男
でございます。 本日、この権威ある
衆議院法務委員会
に
参考人
として
出席
し、
意見
を申し述べることができますことは、私をはじめ
組合員一同
の深く喜びとするところであります。 私は、
法律
問題につきましては、全くの門外漢ではございますが、事新しく申し述べるまでもなく、
現行会社更正法
では、親
会社
が
会社更生法
の
認可申請
をすれば、
保全命令
によってその
債権
は自動的に凍結され、
更生計画
の
認可
までたな上げされることは御存じのとおりでございます。
前述
の実例は、
昭和
四十年三月六日の
山陽特殊製鋼株式会社
の
会社更生法申請事件
に見ましても明らかなごとく、この
事件
により、私
たち中小下請企業者
が、文字通り
連鎖倒産
の
危機
に直面し、一時は
傘下従業員
二千数百名
ともども路頭
に迷うような大混乱を引き起こしました。 現今の大
企業
の
経営方式
は、数多くの
傘下中小下請企業者
を擁して
生産
を行なっております。ちなみに、
山特鋼
を例にとりまして考えますと、
会社更生法申請
時の
自社従業員総数
は約三千七百名、これに対しまして、私
たち下請企業協同組合員
の
傘下従業員総数
は約二千五百名でありました。
親企業
の
会社更生法
の
認可申請
の
犠牲
となり、これら
中小下請企業者
が
連鎖倒産
をするときは、ゆゆしき大社会問題であるということは明白でございます。 幸いにいたしまして、
山特鋼事件
の場合は、戦後最大の
倒産事件
のこととて、
政府
をはじめ
政党各位
の緊急かつ適切なる御指導と
特別金融措置等
により、私
たち中小下請企業者
はやっと
連鎖倒産
だけは免れましたが、自来二年有余を
経過
いたしましたる今日、なお膨大なる
借り入れ金
の
金利負担
にあえぎつつ呻吟を続けております。 このような
暫定的措置
は、
連鎖倒産
の
危機
を一時的に回避したとは言えましょうが、
決定
的な
根本解決策
ではなかったことを証明いたしております。 現時点におきまして、私
たち中小下請企業者
を
ほんとう
に救済する道は、抜本的なる
会社更生法
の
改正
により、その
債権擁護
をはかり、
連鎖倒産
の危険を防止する以外に道はないと確信いたしまして、たび重なる陳情を続けてまいったような次第でございます。 ただいま
国会
で御
審議
中の
会社更生法改正案
につきましては、大体におきましてわれわれが満足すべきものではございますが、特に第百十二条の二の二項のうち、「
利害関係人
の
利害
」とあるを削除願いたく存じます。その
理由
は、条文中の「
利害関係人
の
利害
」とあるは、
中小企業者
を除く
一般債権者
の
利害
をさすものと愚考されます。したがって、数多くの
一般債権者
の
利害事情
を調査検討することとなり、そのために相当の時日を要することは論をまちません。ひいては本条の目的である
事業
の
継続
に、著しい
支障
を来たすおそれのある
中小企業者
の
早期救済
は大いに阻害され、第百十二条の二の精神と相反する結果となると考えられます。 いま
一つ
は、
一般債権者
の
利害等
を
裁判所
が考慮される場合、「
中小企業者
との
取引
の状況、
会社
の
資産状態
」等から判断して、
債権弁済
を許可すべき条件を具備した場合といえども、
利害関係人
の同意を必要とすることとなれば、
中小企業者
と
利害
相反する者の
反対意見
によって、
債権弁済
の
可能性
すら危うくなることも考えられます。これでは、せっかくの同
法案
の
改正
も画竜点睛を欠くうらみなしとは言えません。以上述べました
理由
によりまして、ぜひとも「
利害関係人
の
利害
」とあるを御削除願いたく存じます。
山特鋼管財人グループ
は、最近ほぼ
更生計画案
の立案を終わりまして、七月下旬には
債権者
に対し
了解交渉
に入ろうといたしております。おそくとも九月の末までには
関係人集会
を終わり、
更生計画
の
認可
を得ようといたしておりますことは明白でございます。 以上申し述べましたように、今
国会
で
会社更生法
の
改正
を
お願い
いたしますことは、非常に焦眉の急に迫っております。何とぞ今
国会
で同法の御
改正
を御
決定
くだされたく、また、その
実施
時期は、以上述べました山特問題の時期切迫という時点とからみ合わせまして、本年の九月一日に
実施
となるように特別の御考慮を全国数百万の
中小下請企業者
とともに伏して
お願い
を申し上げまして、私の
意見
にかえます。 終わります。
大坪保雄
6
○
大坪委員長
次に、
白矢参考人
。
白矢勇
7
○
白矢参考人
山陽特殊製鋼
の
労働組合
の
組合長
の
白矢
でございます。
会社更生法
の一部
改正案
の内容に至るまで、一応若干
経過
の
意見
を申し述べたいと思います。
昭和
四十年の三月六日に
会社更生法適用申請
、続いて同月二十三日
更生手続開始決定
以来、私
たち山陽特殊製鋼
の
従業員
はこの二年半の間、
更生法下
において、
会社
の
再建
のため
苦境
に耐えて全力を尽くしてまいったわけであります。 この間、私は
労働組合
の
最高責任者
として、初めて経験する
倒産
、そして
更生法下
の
労働運動
という未知の分野を悩み、また苦しみ、また憤りをもって手探りで進めてまいったわけでございます。私
たち
の
組合運動
が正しかったかどうかということにつきましては、
皆さん方
の御批判をまちまして、現在
管財人団
を中心といたしました
会社幹部
及び
組合員
、全
従業員
の努力によって
会社
の体質は大きく改善され、
会社更生
への基盤は固められつつある
段階
でございます。 本日、
会社更生法
の
改正案
の
審議
にあたって
意見
を求められておりますが、何ぶんにも私は
現場育ち
という
労働者
の
立場
で、非常に理論立ったことを申し上げることはできませんが、ただ、この二年半の
体験
から感じましたことを、率直に
皆さん方
に御披瀝申し上げたいと思います。 その前に、私
たち山陽特殊製鋼労働組合
が、この二年半、いわゆる
会社更生
を
申請
以来、基本的にとってきた
態度
を若干申し述べてみたいと思います。 私
たち
は、
会社倒産
に至った
事情
、
経営者
の
経営態度等
については、いろいろ掘り下げて問題にしなければならないことの多いということについても、よくわかっております。しかしながら、
現実
に
倒産
したということで、
従業員
のみならず、多くの
債権者
が
苦境
に立たされたという
現実
も直視してまいりました。そこで、
従業員
及び家族の生活と
権利
を守るためには、
会社
を
再建
させていくことが先決であるという一点の柱を立てたわけでございます。そのためには、職場を守り
生産
、の火を絶やしてはならない。それがまた同時に
関連下請企業
を救う道でもあるという基本的な第二点の柱を立てました。第三点目といたしまして、
会社再建
には全面的に協力いたしますけれども、ただし、
会社更生
の名のもとに、
労働者
に
犠牲
を転嫁するような
再建策
については、認められないという
組合
の基本的な
態度
をもって、今日まで歩んできたわけでございます。 以上の観点に立ちまして、若干、
会社更生法
の
改正審議
に際して、私の
体験
による
意見
を申し述べたいと思います。 まず第一点に、
会社更生法
の
趣旨
に沿い、
事業
の
継続
に
支障
のないよう万全の
措置
を望みたい。言いかえると、
手続開始決定
前の
事業経営
に欠かすことのできない
借り入れ金
の問題でございます。
倒産
に至るまでには、
経営者
は
金融対策
に
八方手
を尽くし、目ぼしい
担保価値
のあるものは、ほとんど
担保
に入っているはずでございます。
倒産
し、
会社更生法
の
適用
を
申請
すると、手持ちの現金のほかは、
銀行預金
なども、
借り入れ金
の
担保
ないしは
割引手形
の
担保
として押えられてしまっております。したがって、
手続開始決定
までの間は、
資金
繰りがつきません。
現行法
では
開始決定
までの期間は、融資してくれても、それが
更生債権
となり、
更生計画
によって
弁済方法
がきまるまでは、だれも好き好んで融資してはくれないからでございます。
勢い材料
、半製品、
売り掛け金
のみがたよりになりますが、
売り掛け金
とても簡単には回収できないのが現状でございます。 私
たち労働者
は、働くことが身上でございます。しかし、
運転資金
がないと、給料さえ支給されるのかどうか、また現在の
生産資材
の欠乏から、
生産休止
を余儀なくされ、働こうにも働けない
状態
に至るわけでございます。
倒産
のショックに加えて、こうした
事態
になると、
組合員
の
不安動揺
は、つのる一方となります。幸い、
山陽
の場合ですと、
毎日会社幹部
と
組合幹部
が
協議
いたしまして、
生産計画
を立てております。細々ながらも、
生産
の火を絶やすことなくがんばり続けてまいったわけでございます。このこと自体が、今日の
段階
では大きな心のささえとなり、
再建
への力になったと私は強く感じております。 今回の
改正案
では、
申請
後、
保全処分
の
決定
とともに、
保全管理人
が任命され、
裁判所
の許可を得て、
手続開始
前に
事業経営
に欠かすことのできない
借り入れ金
、原材料の購入などをしたときは、
共益債権
となって扱われることになっております。これで
資金借り入れ
の問題につきましては道が開けてまいりました。しかし、私の
体験
から言わせれば、もう一歩進めて、
資金
の貸し手を法的にはっきりとさせてもらいたい。
裁判所
が許可したときは、公的な
金融機関
が
更生
融資するという制度が必要だと考えるわけでございます。 第二点目といたしましては、
労働協約
あるいは
労使協定事項
については、
開始決定
の前後を問わず、そのまま
権利
継承し、すべて
共益債権
として随時
弁済
をできるよう法定化していただきたいと思います。
現行法
では第百二条第四項で、
労働協約
については
管財人
が継承することになっています。この
趣旨
を生かして
労働協約
、
協定
で明文の
定め
のある
事項
、たとえば
賃金
、
退職金
、
慶弔見舞い金
、
通勤費
、
社内預金
などは、すべて
権利
を尊重し、
共益債権
としていただきたいと思います。なぜならば、
会社再建
にとっては、
従業員
、
労働組合
の協力は、私は欠かすことができないと強く信じているからでございます。それゆえに、
労使関係
の基本的な問題である
協約
、
協定
を、尊重することが大切だということです。
協定事項
をめぐって紛争を生じ、不信を増すというようなことは、大きく
再建阻害
をする要因になるということが言えると思います。 第三点目といたましては、
退職金
の問題について。
現行法
では
取り扱い
がはっきりいたしておりません。まず一点目の
手続開始決定
前の
未払い退職金
は、
更生債権
としてたな上げされるようです。
開始
後も
共益債権
か
更生債権
か、自己退の場合は
劣後的更生債権
か、これらがはっきりいたしておりません。現に私どもも過去三月二十二日現在で、
組合員
の
退職金総額
を計算して、
債権届け出
を準備いたしました
経過
がございます。しかし、
退職金
の
性格
からいって、本来差別する
理由
はないと思います。また、
雇用関係
に断絶がなく、
一般感情
からいっても、
全員解雇
を前提にしたような
退職金債権
の計算と
届け出
というようなことは、ぴったりといたさない感覚もございます。幸い
改正案
ではこの点が配慮されております。しかし、労基法の
解釈例規
にも示されておりますように、
協約
の
定め
のある
退職金
は、
賃金
として取り扱っていただきたいということでございます。
開始決定
前の未払い給料との関係で、六カ月間の給料相当額、または
退職金
の三分の一のいずれか多いほうを限度に、
共益債権
化されたと思いますが、少なくとも
協約
、
協定
に
定め
た
退職金
は、全額を退職の時期にかかわらず
共益債権
としていただきたいことを希望したいものでございます。特に
倒産
——
更生
会社
という暗い見通しの中で退職する人
たち
にとっては、それが唯一の生活上欠かすことのできない
資金
になることは間違いない事実でございますから、この点御配慮願っておきたいと思います。 第四点目の
社内預金
の問題につきましては、現行どおり
共益債権
として随時
弁済
されることが私は望ましいと思います。特に労働省の指導で、
社内預金
の問題につきましては、制度的にもかなり改善され、労働基準監督署の指導監督も強化されておりますので、
共益債権
として随時
弁済
されたいということについても強調しておきたいと思います。幸い
山陽
におきましては、監督署の指導によりまして、払い出し
計画
につきましても在籍者は現
段階
においては全部完了いたしております。 第五点目の
下請債権
者の問題につきましては、少なくとも
従業員
の未払い給料について
保護
されている法の精神を、そのまま下請の加工賃
債権
、人件費に充当されるべきものにも
適用
していただきたいと思います。
改正案
では
下請債権
の
弁済
制度を設けられておりますけれども、もう一歩進めて、加工賃、
賃金
、
退職金債権
の
共益債権
化を明文化していただきたいと思います。 第六点目の、
会社更生
計画
への
労働組合
の参与についての
考え方
を述べたいと思います。
更生計画
の中には
人員整理
、賃下げ、労働強化等、労働条件の切り下げ、あるいは改悪を盛り込み、一方的に
労働者
に
犠牲
をしわ寄せすることのないようにしたい。
現行法
では
更生計画案
については、
裁判所
が
労働組合
の
意見
を聞くことを義務づけています。しかし、それはでき上がったものについて
意見
を聞かなければならないということだけで、
意見
が必ず取り上げられるというような保証はありません。また、
労働組合
は、
組合員
の
退職金債権
を、
更生債権
として
届け出
たときでない限り、
更生計画
の
決定
その他、
関係人集会
に
法律
上参加する
権利
がありません。少なくとも
更生
廃止といった
従業員
の生活に最も重要な
事項
については、必ず
組合
の
意見
を尊重し、報告できる
権利
を法的にも付与していただく必要があると思います。私ども
山陽
の場合ですと、労使対等の原則に立って、労働条件に関する
事項
につきましては、あらかじめ
協議
することを
会社
と申し合わせております。少なくとも、労働条件の問題にかかわる
事項
につきましては、既得権あるいは将来的
権利
に重要な影響を与え、
労使関係
を不安定にし、
更生計画
の遂行にも影響することについては考慮されまして、事前
協議
制を法的に義務づけていただきたいということにつきまして、強く
労働組合
の
意見
として申し述べておきたいと思います。 以上でございます。
大坪保雄
8
○
大坪委員長
ありがとうございました。
大坪保雄
9
○
大坪委員長
これより
参考人
に対する質疑に入ります。横山利秋君。
横山利秋
10
○横山
委員
参考人
の皆さんにはどうも御苦労さまでございました。それぞれ今日までいろいろな
経過
を経ていられて、この
法案
の作成にもいろいろな
意味
で御協力をいただいたことを厚くお礼を申し上げたいと思います。 まず三ケ月先生にお伺いをしたいのでありますが、たとえばいま
労働組合
の
委員長
が言われた中で
社内預金
の問題、これは
現行法
より
政府案
は明らかに後退であります。後退の
政府
の説明は、給料及び
退職金
と、社会預金と格差をつけることは、理論上正しくないのではないかというような
意見
だと私は考えております。しかし、そういう理論的な問題よりも、むしろ何とか改善をしようとみんなが考えた
立場
から言うならば、そういうところに理屈をつけなくたって、現状より悪くする必要、積極的な
理由
はないのではないか。しかも労働省は、
社内預金
についての規制を加えて、
社内預金
の質的な改善をはかり、大蔵大臣は、
社内預金
は今後やめたい、やめる方向でいきたい、こう言っておるときに、この
政府案
というのはいささか過酷に失するのではないかと考えられますが、まずその点からお伺いしたいと思います。
三ケ月章
11
○三ケ月
参考人
ただいまの御指摘でございますが、実は
会社更生法
が当初できましたときには、
社内預金
というふうなものがないまま、御承知のように預かり金という形で、身元保証人の預かり金みたいな感じでつくられて、これをひとつ
保護
しようという形で出てきたように思いますが、それがその後
社内預金
という制度が非常にふくらみまして、そしてそれがそのままあそこにいうところの預かり金であるというふうな形で
処理
されてまいったわけでございます。これに対しまして、たとえばいろいろと
会社更生法
の論議が出てまいります一環におきまして、
社内預金
というふうなものがすぐ全部払い渡され、しかし一方で
下請代金
とかなんとかいうふうなものが凍結され、それから——というふうな関係がかなり論議されたように私は思うのでございます。そういたしますと、やはりここいう辺のところに、
社内預金
制度というふうなものの将来のあり方ということにつきまして、もちろん労働省とか、あるいは大蔵省とかの指導で、不当にこれが広がらないようにと申しますか、異常
事態
になってくるというふうなことのないように、合理的な
範囲
で規制していくということは、これは非常に適当なことであり、望ましいことのように思うのでございますが、あわせてそういう問題が
現実
の課題として出てまいりましたときには、過去と違いましてもう一度バランスをとり直すというのも、やはりこの
段階
での立法の
一つ
としてやるべきではないだろうかというふうな角度から、この問題が取り上げられたのではなかろうかと愚考するわけでございます。そういたしますと、
社内預金
というものは、主として
従業員
の金銭
債権
になるわけでありますが、給料と、
退職金
と、
社内預金
と、それぞれやはりある程度のバランスというものが、先ほど私の申し上げましたような獅子の
分け前
のぶんどり合いになるような
手続
の場合には、筋を通していきますことのほうが、かえって中小
企業
債権
の
処理
等々のバランス、ないしは
担保
権者をも、多数決によって拘束するという、まことに
日本
の実定法としては異例な
処理
等々との
関連
で合理的なのではなかろうか、
政府案
の基底にある
考え方
は、こういうことであろうと思います。
社内預金
は、おそらくこういたしましても、
共益債権
、優先
債権
になるわけでございますから、
弁済
時期の前後ということはございましても、大体それほど従来の
扱い
とは違いはないのではないかという憶測もあるように感じられます。私、そういうふうに考えております。
横山利秋
12
○横山
委員
先ほど
過怠更生罪
に言及をされましたが、私どももこの
現行法
の最大の弱点は、当時世間に喧伝されましたように、結局大
企業
の
保護
法に終わっておるのではないか、下請や
労働者
がそれの
犠牲
によって
会社
が
再建
されるというきらいが実に多いという点で、
過怠更生罪
の創設を主張したのでございます。先ほど先生はそれに言及されて、何か他のやり方でということをおっしゃったのでございますが、いま少し詳しく先生の御
意見
を伺いたいと思います。
三ケ月章
13
○三ケ月
参考人
先ほど時間がございませんのではしょって申し上げまして、たいへん失礼いたしました。 実は、こういう
会社
を
倒産
におちいらしめた責任の追及というふうなものがございませんと、
会社更生法
に逃げ込むというふうな形になるのは当然でございまして、こういう形で
問題点
が出てまいりました
段階
におきまして、当然これに対する筋を通すと申しますか、責任追及の
手段
というものが備わらなければならないような感じがするわけでございます。その場合の責任の追及のしかたとして、私はいろいろ
考え方
があるように思うのでございまして 社会党の御案のように やはりそういうふうな
事態
におちいったものに刑罰的な制裁を科することによって、その責任を問うという行き方もございます。それからもう
一つ
は、最近大きな
事件
でようやく活用されるようになってまいりました取締役等に対する
損害賠償
の査定の
手続
というものを動かしまして、より実効的に
損害賠償
ということをかけていくということが
一つ
であろうかと思います。それからもう
一つ
、
更生計画
などを点検いたしておりますと、実際問題として過去の
経営者
というものが居すわる例があるわけでございます。やはり
更生法
の精神といたしましては、そういうふうな場合に、
理事
者の交代というふうな形で筋を通すことが、
法律
のそれの
計画
の中の条項として入っておりますように、その辺のところで、やはり実効的に居すわりという印象を除去するように、
計画
立案
段階
で指導していく、あるいはそういう形に持っていくいろいろな
対策
が考えられるかと思うのであります。 ところで、
過怠更生罪
という制度の当否につきましては、もちろんいろいろと検討がなされたわけでございますが、これが取り入れられなかった背景は、私の考えによりますとこういうことではなかろうか。それは、こういう制裁を置きますと、当然そういうどたんばに追い込まれました
理事
者、
会社
経営者
は、ますますそれをおそれまして時期を遷延し、泥沼の中に足を突っ込む。そういたしますと、かえってよりすみやかな
段階
で
更生手続
の
開始
をしたならば、傷口はかくも大きくならないであろう
段階
において
申し立て
がなされていくというふうなものに役立つべき効果がありはしないか。これに比べまして、より実効的な
方法
は、制裁を科していくというよりも、果敢に
損害賠償
請求権の査定というふうなことを動かしていく、こういうことが考えられるのではなかろうか。
政府案
の中でも調査
委員
の制度の
改正
というふうな形の一環といたしまして、
損害賠償
責任の査定の問題の必要があるという場合に、調査
委員
の任務を規定しておるのもこういう含みかと存じます。 こういうふうないろいろな形でもって、
理事
者の責任追及というものがなされなければならないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
横山利秋
14
○横山
委員
福永
さんにお伺いをしたいのでありますが、
福永
さんの御
趣旨
は、「
利害関係人
」の「
利害
」を削除してもらいたい、それから
実施
期日を繰り上げしてもらいたい等に力点があったように記憶をいたしておるわけであります。 この
山陽特殊鋼
の
倒産
以来今日に至りますまでに、下請として、
経営者
に対してどういうことをお考えでございましょうか。きわめて抽象的な御質問になって恐縮でございますが、先ほど冒頭にちょっとおっしゃっただけで、
労働組合
と下請との間には、お話を聞いておりますと、若干のニュアンスの違いがあるようでございます。いま
白矢
さんの御
意見
を伺いますと、とにかく
再建
をしたいという気持ちが実に濃厚な御発言でございます。下請の皆さんは、
再建
もいいけれども
権利
確保という並行的なお考えのような感じが間々、これは
福永
さんばかりではなくて、
一般
的に感じられる点でございます。それらの点を含めまして、非常にお苦しみになりました下請の皆さんの
一般
的な考えはどういうことでございましょうか。抽象的で、おわかりでございましょうか。
福永常男
15
○
福永参考人
ただいまの御質問にお答えいたします。 われわれ
中小下請企業者
といえども、
会社
の
再建
につきましては、全面的にすみやかな立ち直りを希望いたしております。しかしながら、何分ともに山特の場合は、長期決済という問題もございまして、われわれがこれによって被害をこうむりました額は、力以上の実に膨大なものでございます。もちろん、
親企業
の
更生
がすべてを
解決
する問題ではございますが、時間をかけまして
親企業
がよし立ち直ったといたしましても、それまでにわれわれが
倒産
をした場合、先ほど申しましたように、山特の
従業員
総数三千七百名に対して、われわれとて二千五百名余りの
従業員
を擁しております。これは
親企業
とともどもに
更生
をいたしましたときには非常にけっこうでございますが、われわれの
犠牲
に立って
親企業
のみの存続がはかられましても、一向にわれわれのピンチを脱することはできないと思います。もちろん私が申しましたことと、
労働組合
長さんの御
意見
とは、若干のニュアンスの違いがあるような感じがございますが、本質的にいたしましても、もとよりわれわれは
親企業
の
更生
を望んでおります。しかしながら、
親企業
の
更生
と並行いたしまして、われわれともどもに
企業
の立ち直りをはかるということが、私
たち
の
ほんとう
の希望でございます。
横山利秋
16
○横山
委員
次に、
福永
さん、先ほど御希望になりました
実施
期日の繰り上げという問題でございますが、これが原案どおりでありますと、事実上どういうふぐあいが生ずるか。承れば九月末に
関係人集会
がおありになるそうでありますが、これが繰り上げを、私どももせっかくの御陳情でございますから考慮いたしておるところでございますが、原案ではどういう実害がございましょうか。
福永常男
17
○
福永参考人
お答えいたします。 現今の時点で判断いたしますと、
山特鋼
は九月の三十日までに
更生計画案
の
認可
を終わりたいという
管財人
は希望を持っております。もし本
改正案
が九月三十日以降において可決をされた場合、われわれの
債権擁護
のせっかくの御
改正
も何らなすところなく、恩恵にあずかり得られないということでございます。以上述べましたような
理由
で、私
たち
はぜひとも今
国会
に御
改正
を
お願い
し、しかも九月一日にさかのぼって
実施
をしていただきたいということでございます。
横山利秋
18
○横山
委員
三ケ月先生にもう
一つ
伺いますが、
共益債権
に基づく
強制執行
または仮差し押えの中止等を
定め
た
改正
法の規定二百十条の二なんでございますが、裁判長が
強制執行
の中止または取り消しを命じられるという場合、それをすることは、
更生
会社
の
更生
に著しい
支障
を及ぼし、かつ、
更生
会社
が他に遊休設備などの換価容易な財産を有する場合となっております。私ども心配しますのは、裁判長が
強制執行
の中止または取り消しを命ずる、ほかに売れるやつがあるではないかという
意味
でやる、けれども、売った金が確実に
強制執行
をした人間のところへ換価されて返ってくるという保証が一体ないではないかという感じがいたすのであります。差し押えなり
強制執行
なりなんなりをした人は、それをてこにして自分の
債権
を保全をしておるのですけれども、
裁判所
に、中止または取り消しをされた場合に、その見返りとして確実にその人に対する金が返ってくるという保証が一体これはどこにあるだろうかと思われるのでありますが、いかがでございましょう。
三ケ月章
19
○三ケ月
参考人
これはなるほど換価可能な財産を有するときの執行停止の規定でございますが、その
強制執行
の中止または取り消しを命ずることができるわけでございまして、逆に換価可能な財産を有する場合に、そちらのほうの
強制執行
というふうなものにかかっていくというふうなことのための規定のように私は考えるわけでございます。いわば差し押えがえの規定でございまして、要するに、こちらのAという財産であったならば、どっちみち満足はこちらの
共益債権
のほうにいくのでございますが、そのかわりに、Aという財産を押えないでBという財産を押えてこれでもってやってほしいという場合に、AからBに乗り移る、その限度においては、「その
強制執行
又は仮差押えの中止又は取消しを命ずる」というふうな規定で、差し押えがえという精神がここに出ているように私は思うわけでございます。ただし、こういうふうな問題も、あくまでも、元来は
強制執行
することは自由でございますが、どうしてもその財産がいま運転上必要であるというふうなことであるとか、それからまた、他の換価容易な財産があるときに限るわけでございまして、ないときには、これはできないわけでございますから、
強制執行
による満足が可能である、こういうふうに考えております。
横山利秋
20
○横山
委員
差し押えがえということではあるけれども、差し押えがえをしてもらう
趣旨
には違いないけれども、何かそこで一本抜けておる。そういう
趣旨
はわかる。やるかもしれぬ。けれども、やらぬかもしれぬ。返ってこないかもしれぬという感じがいたすのでありますが、いま
福永
さん、
白矢
さん、私の質問をお聞きになっていらっしゃって、何か御
意見
がございますれば伺いたいと思いますが、ございましょうか。——ございませんか。 それから
白矢
さんの御
意見
、いろいろ伺いました。具体的な御提案をいろいろいただきましたことは恐縮をしておるのでありますが、総じてこの
政府案
についてどうお考えでございますか。私どももある
意味
の前進があることは事実だとは思うのでございますけれども、しかし一番明白なことは、
社内預金
は明らかにこれは後退である。このほか、
保全管理人
という
性格
がどういう実際の動きをするものであろうかどうか。
労働組合
として団体交渉をなさいますときに、
手続
前ですと、
保全管理人
が指定されますと、社長は団体交渉権の当事者能力を失って、
保全管理人
がかわる。あなた方がいままで団体交渉をしていらっしゃった経緯から申しまして、責任のある社長は、
手続
前といえども、
保全管理人
が指定されますと、当事者能力を失って
保全管理人
がかわる。新しく参った
保全管理人
を団体交渉の当事者として
労働組合
としては選ばなければならぬということも含めまして、本
改正案
を原則的にどうお考えでございますか。賛成か反対か等も含めて御
意見
を承りたいと思います。
白矢勇
21
○
白矢参考人
改正案
の内容につきましては、かなり前回よりも前進したということについては、私どもこれを評価しております。ただ、私が前段に申し上げましたように、私の
体験
上からすると、全般にわたってもう少し具体性がほしいということを申し上げたわけでございます。たとえば、
一つ
の
問題点
を例示いたして申し上げますと、
社内預金
の問題、それから
組合員
の労働条件の問題につきましても、一応
保全管理人
がきまるまでの間はかなり
組合員
も動揺しておりますし、
保全管理人
がきまると同時に直ちに交渉に移行する場合、現行の
労働協約
の内容なり労働条件、それはもちろん
退職金
の関係その他すべての慶弔金の関係につきましても、一応法的に
保全処分
の内容におきまして停止されるわけでございますが、そろいう関係を法的にはっきりさせておけばスムーズにその移行
措置
が行なわれるだろうという見解をもちまして、若干突っ込んだ内容を申し上げたわけでございますので、その辺のところをよく御了解願いたいと思います。
横山利秋
22
○横山
委員
白矢
さんに、いま私が申し上げた一点、もう一度念を押しますが、
保全管理人
をどうお考えでございましょうか。つまり社長が当事者能力を失って、
手続開始
前といえども
保全管理人
が団体交渉の当事者となる制度について、どうお考えでございましょうか。
白矢勇
23
○
白矢参考人
私は
保全管理人
が団体交渉員となるということについては、当然だと思います。
横山利秋
24
○横山
委員
こういうおそれはございますまいか。なるほど社長は、だらしのない、こういう
事態
に陥らしめた責任はあるけれども、その責任というものは、団体交渉をする場合に
労働組合
として十分追及もし、
事情
も知悉しておる。そこで新しく
保全管理人
が来て、
事情
がわからないままに、権限もありませんから裁判長に一々お伺いをしなければならぬという点につきましては、私どもといたしましては原則として
保全管理人
は
指名
しないほうがよろしい。
保全管理人
が指定されるということは、まさに社長というものがたいへんな人間で何するかわからぬという場合に限って指定せられるべきであって、原則としては社長が団体交渉の当事者であるべきであろうと考えるのですが、その点についてどうお考えでございましょうか。
白矢勇
25
○
白矢参考人
少しわかりにくい点があると思います。いわゆる
保全管理人
といいますか
管財人
と社長との関係でございますけれども、
管財人
といいますと、いわゆる最終的な
段階
になると自分の
立場
といいますか、それが責任度合いからして非常にあいまいだ。そういう点からして社長が最高の権限といいますか、責任度合いを強く持つべきであるという私の印象が間違っているかどうかわかりませんが、そういう
考え方
でございますが、それでよろしゅうございますか。
横山利秋
26
○横山
委員
それではその点について三ケ月先生にお伺いをしたいと思います。おわかりでございますね、私の
意見
は。どちらにお考えでございましょうか。
三ケ月章
27
○三ケ月
参考人
会社更生法
の
乱用
論議の一環といたしまして、とにかく
更生手続
に逃げ込んで、そうして
保全処分
を使いながら、それをたてとしてかかるという問題が
一つ
ございます。と同時に、もう
一つ
過去の実績を点検してみますと、やはり
管財人
の人選で非常に
手続
が長くなる。勢いその間時間が延びる。その間
保全処分
一本でつなぐ。しかもそれは、従来の
経営者
が一応営業のできるたてまえのもとで
弁済禁止
等々の
手段
だけでいく、こういう
事態
があるわけでございまして、特にその責任追及をきびしくやらなければならないような
会社
の場合の
一つ
の抑えといたしまして、
保全管理人
制度というふうなものが考えられたわけで、
乱用防止
の一環と私は考えております。と同時に、これは置くことができる最も重症な場合の
対策
でございます。それより一歩手前には、今度は監督員という形で、それまで大きく出ていかない
保全処分
もできますし、それも要らない場合には、今度は従来どおりの
保全処分
でまかなうという場合、むしろ私の感じでは、これまでの
保全処分
だけではいささか旧
経営者
が表に立ち過ぎるという
乱用
論。こういうものまでやりますことの
一つ
の
対策
、こういう面があるんじゃなかろうか。実際の
運用
といたしましても
保全管理人
が出てまいりますのは、これをずっと徹底して責任追及をしなければならぬ。社会党の御案ですとむしろ
過怠更生罪
をかけていかなければならぬような、
損害賠償
請求の何億いくかもしれない
事態
、こういうふうな場合に出てくるのではなかろうか、こんなふうに考えておるわけでございます。
横山利秋
28
○横山
委員
時間があまりございませんので、ほかに御質問もしたいと思いますが省略をいたしまして、お三人の方にそれぞれ補足的な御
意見
がございましたらお伺いをしたいと思うのです。 私どもは今回の
政府案
の
改正
が不十分だという感じがしてならぬのです。しかもその中で
社内預金
のような、明らかに後退をしておる点があると感じておるわけであります。 そこで、お三人の方々に、いままで御発言があり、かつ、私から御
意見
を承った以外に、今後の
法律
改正
ないしは
運用
問題で、この際お聞かせを願うことがございましたら、簡潔でけっこうでございますが、それぞれの御
意見
を承りたいと思います。
福永常男
29
○
福永参考人
この
改正
政府案
につきまして、一言所見を申し述べます。文章が非常に抽象的でございますので、当を得ていないといううらみが大いにございます。現在の
改正案
によりますと、第四章で
更生債権
の
弁済
の許可の条文が入っております。この条文がこのまま
決定
されますと、われわれ
中小下請企業者
といたしましては、この実行につきまして
管財人
もしくは
裁判所
側が、われわれに非常なる好意をもって、そして便宜をはかってくれなければ空文になるおそれが十分にございます。これは文章が非常に抽象的である、どちらにでも判断ができるというような欠点があることを、特に指摘しておきたいと思います。 なお、もう
一つ
山特鋼
の場合を例にとりまして申し上げます。私
たち
二十四名の
下請企業
者の全
債権
は、
山特鋼
の債務総額のわずか一・二%にすぎないような
状態
でございます。立ち直りの非常に早かった
山特鋼
におきまして、現時点におきまして代金を払おうと思えば払えるというように私は確信をいたしております。ですから、今度の
改正
につきましては、いわゆる先ほど申しましたように、画竜点睛を欠くうらみのないように十分なる御
改正
を
お願い
したい。そして血の通った、いわゆる下請に対して代金の支払いがスムーズに行なわれるような条文に御改定願いたい。これを切に念願しておきます。
三ケ月章
30
○三ケ月
参考人
この
法案
の
性格
につきまして、私、冒頭に述べましたことを、最後に少し述べておきたいのであります。何分短時日の間にやらなければならなかったために、おっしゃるとおりに、しなければならない点がまだいろいろ残っているように感ずるのであります。ちょっと釈明さしていただきますが、私、実は
法制審議会
の
委員
といたしまして、多少原案の作成にタッチしたものでございますから、そういう
立場
から申し上げる面が出てくることを御了解いただきたいのでありますが、そこで、実はこのほかにもいろいろな問題が取り上げられまして、そういうふうな問題から見ますと、私個人の考えとしては、この際できればもう一歩こういうふうな点を突っ込んでいくべきであるという点が、先ほど申し上げましたように、たとえば中小
企業
更生法
というもののあり方はどうであるかというような問題について、やはり一応考えておかなければならぬ時期が来ているんではないか。さらに今度は
担保
現象の中で非常に特異な地位を占めております譲渡
担保
というようなものの規制についても、一ぺん考えていくべきじゃなかろうか等々の問題があるわけでございますが、これは先ほど申しましたように、今後、生きた経済と直結した
法律
でございますだけに、あまり法典として祭り上げることなしに、時々刻々の
現実
の生き方に応じまして、
改正
を理解していくということを期待するということでございます。 さて、それから先生の御指摘の、中途はんぱな点ということでございますが、確かに今回の
改正
はいろいろな問題が出てまいりました。それぞれ
利害
が対立するわけでございます。
労働者
の
債権
と、
下請企業
の
債権
と、
金融機関
の
債権
と、税金の
債権
と、
担保
を持つ者と持たない者そういうふうなもののいろいろな
権利
の調整というふうなものも、
実体法
秩序の
ワク
内で、これまでは少しばく然としておりましたような点について、あるいは一歩退きあるいは一歩前進するというような形で、バランスを取り直した
法律
の
性格
があるんじゃなかろうか。それぞれ見ますと、したがいましてたとえば後退している面もあるいは見られるかもしれない。税金をとる
立場
から見ますと、従来税金で非常に強く
保護
をされていたのが、今度は税金を待ってくれというような後退もあるわけでございます。そういうふうな面から見ますと、後退か、それともバランスの取り直しかというふうなことは、とる
立場
に立ってながめてみますといろいろ出入りがある問題でございまして、まさにそれであるからこそ、
更生法
の立案の場合に、それの調整におそらく非常な苦心があったのじゃなかろうか、こういうふうな感じでございます。
白矢勇
31
○
白矢参考人
全体的な問題この
法律
の
改正
とは若干ニュアンスが違うかもわかりませんけれども、私の
立場
から申しますと、第六点目に申し上げましたが、いわゆる
更生計画案
樹立の
段階
では、いまの
法律
では
労働組合
の
意見
を聞くということだけであって、この点は事前
協議
制を義務づけていただきたい、また労働条件の低下の問題、
人員整理
の問題も、
更生計画案
の中に盛り込まれるようなことであれば、法的に抗告できるような内容にしてもらいたいということを強く主張したいわけです。その間の
経過
の内容は、私
たち
はいまでこそ、景気の見通しの中で、かなりの利潤といいますか、それだけの条件をあげておりますけれども、あの苦しかった時代の内容は、想像に絶するほど、
従業員
は非常に
犠牲
をこうむりました。
管財人
側においても、雇用問題については、下請全体を含めて非常に配慮を払うといいながらも、あの一昨年の十月の
段階
では、非常に
生産
トン数も減少された時点では、あえて私
たち
は涙をのんで、四百人からの希望退職者をのんだわけであります。その間には、長年住みなれた職場を、涙を流しながら振り返って去って行った人もおるのでございます。そういう中で、私
たち
は、景気の見通し、あるいはその問題を含めまして、あらゆる
犠牲
内容を生かしながら小の虫を殺さざるを得なかったという苦況に立って、今日まで乗り切ってきたのでございます。それだけに、この
更生計画案
の樹立の内容を目前に控えて、私
たち
は、少なくとも
労働組合
の
意見
は最大限に取り入れてもらいたい。この
山陽
の問題が直ちに全般的にこの
会社更生法
の
適用
の
範囲
にあるかどうかということについては、先生方の御
意見
を待つといたしましても、この点については
労働組合
としては強く希望しているわけでございます。
大坪保雄
32
○
大坪委員長
加藤勘十君。
加藤勘十
33
○加藤(勘)
委員
大体いまの横山
委員
の質問で、皆さんのお
考え方
もわかりました。ただ
一つ
白矢
さんに、あなたが実際に
山陽
製鋼で経験された点と、今度の
改正案
との間において、こういう点はどういうようにお考えになっておりますか。すなわち、保全
管財人
が
定め
られて、
会社
の経営、財産の一切が保全
管財人
に移る。そのときに
労働組合
は
労働者
の生活を守るという点から、極力、たとえば
退職金
の問題にしても未払い
賃金
の問題にしても、全額を要求するということは当然でありますし、そういう点からいろいろ
経営者
との間に交渉がなされてきた。それが保全
管財人
の手に移ってしまいますと、もう
経営者
ではなくして単なる
法律
の番人である、そして
法律
の条項に従ってだけ
債権者
の
権利
を
保護
する、こういう
立場
にある
管財人
との折衝の場合に、はたして経営に責任を感じておった
会社
経営者
に対する交渉と、保全
管財人
に対する交渉の点と、この点は全然同じとごらんになっておるのか、あるいはそういう場合に著しく違う点があるというようにお考えになっておるのか、この点を、ひとつあなたの実際の経験に基づいて御説明を願いたいと思います。
白矢勇
34
○
白矢参考人
私の
体験
を率直に申し上げますと、三月六日の時点で、
更生法
適用
申請
という
事態
が起きました。その間には二月の
段階
でかなり金融不安説の問題から、株価の暴落した時点もございます。その時点から
労働組合
としては放置できない問題であるということで、旧
経営者
に団体交渉を申し入れまして、その件についての
問題点
の集約、いわゆる
退職金
の問題、それから
社内預金
の問題、未払い
賃金
の問題等について交渉を行なった経緯がございます。その間には、すでに
更生法
の問題が出た前後でございますので、旧
経営者
の内容については、どうしても私
たち
の一存ではいかないという問題が提起されまして、
労働組合
としてもかなり精神的にも、生活条件的にも、困った問題が生じてまいりました。しかし、私
たち
のとった
態度
は、いろいろこの間に話し合いをした集約した
問題点
を一応議事録、
協定
書に双方捺印して、保全
管財人
がきまると同時にこの問題を履行してもらう内容の
協定
書を旧
経営者
と取りかわしたことでございます。それを直ちに、
管財人
が着任した時点で、旧
経営者
と
管財人
と交えまして、こういう
問題点
についてこういうことで労使の間できまったのだということで、この
協定
書を履行してもらったわけであります。この
協定
書一に従いまして、保全
管財人
はその内容についていろいろ
労働組合
の
意見
を聞かれまして、いろいろ一
問題点
がございましたが、その時点、時点で話を進めながら、
管財人
との間を調整しながら、今日の
段階
で、
退職金
についても、
社内預金
の問題についても、スムーズに事が運んできた、こういう経緯がございますので、その
取引
の、いわゆる
更生手続
の
開始
の保全
管財人
がきまると同時に、前の
経営者
との
協定
を履行してもらうということをやった、こういう
経過
でスムーズにいったということが、この
債権
の内容については非常に重要な
ポイント
ではなかろうかというように考えます。
加藤勘十
35
○加藤(勘)
委員
実際に経験をなさいました経験の
経過
について御説明で、その間の
事情
はよくわかりましたが、問題は、保全
管財人
、
管財人
の手に移るまでの
裁判所
の
決定
を見るまでの過程において、保全
管財人
の
段階
において、保全
管財人
、まだ
経営者
との交渉が未
解決
のままに、いまあなたのおっしゃるように調印ができて、それを
管財人
のほうに移すということで、
労働組合
の主張は相当に重く取り上げられておるようでありますが、そうでなくして保全
管財人
の
段階
においてどうなるのであろうか、そういう点についての御配慮はございましたでしょうか。
白矢勇
36
○
白矢参考人
むずかしい問題だと思うのですが、旧
経営者
に対して、
労働組合
は、なかなか交渉の内容については、交渉をするかたわらにその問題の責任追及という形をとらざるを得ないのです。また保全
管財人
の内容については、交渉相手としては当を得ておるかどうかという
問題点
、二つの
問題点
がからまってきておると思いますが、その間の内容については、私どもの場合ですと、かなり時間が長い関係もございましたし、スムーズにいったということの内容で、私
たち
が全力を傾注したのは、むしろ
労働組合
、いわゆる
従業員
の動揺を押えるほうに全力を傾注したわけです。そういう関係もございまして、その間の内容については、はたして
管財人
が単なる
法律
の番人かといろ問題については、その時点では明確に私
たち
も勉強しておりませんでしたし、いまの
段階
で申し上げられますことは、その間の内容についてはかなり明確にしておかなければ、個々の
問題点
としては出てくるのであろうというように判断しておりますので、以上のことだけお答え申し上げておきます。
加藤勘十
37
○加藤(勘)
委員
ただいまの御説明で、
労働組合
の責任者としての御苦心のあるところよくわかります。ただ問題は、この
改正案
において、その他の点においてもそうですか、まだたくさん明確を欠いておる点があると思うのです。そういう点は御希望のありますように明確になることをわれわれは望んでおるわけです。しかし、全体としては、
現行法
に比べれば、少なくとも下請
中小企業者
の
立場
からいけば一歩前進であるということだけは認められますけれども、だからといって、この
改正案
が満足なものであるというわけにはわれわれは思っておりません。ただいま御希望のある点もよくわかります。だから、われわれはそういう方向に向かって、この
法律
を固定化して、そのままにしておくのでなく、やはり時代の動きと一緒に動いていくような方向に向かってその
改正
がなされなければならぬという
意味
では、先ほどの三ケ月
参考人
のおことばのとおりに思うのです。あなたもそういう点については御同様のようでありますが、そうですね。
大坪保雄
38
○
大坪委員長
これで終わりですね。
加藤勘十
39
○加藤(勘)
委員
終わります。
大坪保雄
40
○
大坪委員長
これにて
参考人
に関する議事は終了いたしました。
参考人
各位
には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御
意見
をいただき、両案の審査に御協力くださいましてまことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしましてここに厚く御礼を申し上げます。どうぞ御退席ください。
—————————————
大坪保雄
41
○
大坪委員長
質疑を続行いたします。横山利秋君。
横山利秋
42
○横山
委員
時間を節約いたしまして、あとで法務大臣、労働大臣に御
出席
を願うことになりますが、少し
局長
に詰めておきたいと思います。 まず最初に、先ほど
参考人
からずいぶん議論がありました預かり金の問題です。もう簡潔でよろしゅうございますから、いままでの質疑応答を整理して、あとで裁判問題ないしは労使の交渉の場合におきまして、どう考えるべきかという点をお答え願いたいと思います。
改正
法による預かり金の規定、百十九条の三が、
現行法
の規定百十九条後段よりも
共益債権
の
範囲
を狭めたという点については、どうしても納得ができない。これはずいぶん今後の紛争の問題になると思うのでありますが、いかなる
理由
であるか、そして後退をした場合における
労働者
の不利益はどう処遇されるのかという点をお伺いをいたします。
新谷正夫
43
○新谷
政府
委員
今回の
会社更生法
の
改正
におきましては、預かり金の
取り扱い
ももちろん必要でございますが、そのほかに、
中小企業者
の
債権
の
取り扱い
、あるいは
更生
会社
の
従業員
の
退職金
を、どう扱うべきかというふうないろいろの
権利
関係の調整を考えたわけでございます。 申し上げるまでもなく、この
会社更生法
の精神は、
従業員
も含めまして
会社
の
債権者
あるいは株主等の協力を得まして、
会社
を維持
更生
させるというところにねらいがあるわけでございます。
一般
の
破産
、
和議
等と違いまして、
会社更生法
は
会社
をあくまでも
更生
させていくということのために、
債権者
の協力を求めなければならないというふうになっておるのでございます。そこで、各種の
債権
をどのように扱えば、最もそれぞれの
債権者
の間の均衡もとれ、また
債権者
の
保護
も果たし得るか、それによって
会社
の
更生
の道が開けていくかということを考えなければならないのでございます。先ほど
参考人
の
意見
にもございましたように、現在の預かり金という制度が
会社更生法
に取り入れられました当時には、現在のような
社内預金
というものはございませんで、それが後にだんだんと大きくなってまいりまして、解釈上の問題も出てまいったのでございます。もちろん
労働者
の
債権
でございますので、できるだけこれは
保護
する必要がございますが、
一般
債権
あるいは給料、
退職金
との均衡も考慮して、その上に立って
会社
の
更生
をはかるという
趣旨
からいたしまして、ある程度の
社内預金
についての
扱い
を改める必要があろうということになったわけでございます。もちろん現在
社内預金
につきましては、これは文理上は
共益債権
というふうに解釈されるのでございますけれども、実際の
取り扱い
上はいろいろになっておるようでございます。その中にありまして、給料の六月分あるいは
社内預金
総額の三分の一を、ともかく
共益債権
といたしまして随時いつでも
弁済
できるようにいたしましたほかに、その残りの部分につきましてはこれを優先的
更生債権
といたしました。優先的
更生債権
でございますので、
一般
の
更生債権
のように減免の
措置
が講ぜられるということはまずないわけでございます。
共益債権
は即時
弁済
されますが、優先的
更生債権
はただその支払いが
更生計画
によってきまるということでございますので、若干支払いが延びる、そういう
意味
において
債権者
の協力を求めるということになるわけでございます。のみならず、現在
会社更生手続
に入っております
会社
につきましては、附則の規定によりまして従前どおりにこれはすることになっておりますほかに、一たん
破産
になりました場合に、
現行法
ではこれを
一般
の
破産債権
として減免の
措置
を大きく受けるわけでございます。
破産
の例で申し上げますならば、六〇%、七〇%ぐらいの減額を受けるのも通例でございます。しかし、それもやはりこの際考えなければならないということから、
破産
の場合におきましても、優先的
破産債権
ということにいたしまして、できるだけ
従業員
の
社内預金
のその面での
保護
をはかろうといたしたわけでございます。
会社更生
事件
は四十一年度におきまして六十数件の
申し立て
がございましたが、
破産
のほうは二千件をこえておる状況でございます。そういった面から見ますならば、この
破産
法上の
取り扱い
は従来に比べまして非常に有利な
扱い
になってくるということが言えるわけでありまして、それらをいろいろ総合してお考えいただきますならば、決してそれほど実質的な後退があるというふうには私どもは考えていないのでございます。
法律
制度としてほかの
債権
との均衡を考えましてこの程度のことはやむを得ないであろうというふうに考えておる次第でございます。
横山利秋
44
○横山
委員
次は、退職手当でございますが、
更生手続
開始
前と
開始
後における、また
現行法
と
改正
法における退職手当の相違点をこの際明白に説明をしておいていただきます。
新谷正夫
45
○新谷
政府
委員
退職手当につきましては、
現行法
の
扱い
をまず申し上げて、今回の
改正
とどれがどうなるかということを申し上げます。
現行法
の解釈によりますと、
更生手続
の
開始
が
一つ
の限界になるわけであります。
手続開始
前に
会社
をやめました人は、これは自己の都合による任意退職でございましても、また
会社
の都合による勧奨的な退職でございましても、一律にこれは優先的
更生債権
ということになるのでございます。しかし、今回の
改正
法によりますと、これは給料の六月分あるいは
退職金総額
の三分の一に相当するものは、すべて
共益債権
として
保護
を厚くいたしたわけでございまして、その残りの部分が優先的
更生債権
ということになるわけでございますので、
開始決定
前にやめました人につきましても、事由のいかんを問わず今回の
改正案
のほうが有利になるわけでございます。 それから
開始決定
後にやめました場合に、自分の都合で任意に退職いたしました場合には、これはやはり優先的
更生債権
という
扱い
になっております。この点も、今回の
改正
法によりますと六月分あるいは総額の三分の一に相当する金額につきましては
共益債権
といたしまして、残りの部分は同じく優先的
更生債権
として優遇の
措置
をいたしておるわけでございます。 それから
開始決定
後に労使の交渉あるいは勧奨等によりましてやめました場合につきましては、これはすべて金額につきまして
会社更生法
の二百八条の規定が
適用
になりますので、全額
共益債権
として取り扱われるわけであります。この点は従来必ずしも規定の上で明確でございませんでしたけれども、今回の
改正
法の百十九条の二の三項の規定にその点を明らかにいたした次第でございます。 なお、退職年金の場合におきましても、
改正案
によりましては同様の
趣旨
によりまして
共益債権
となる部分を明らかにいたしまして、退職手当の
取り扱い
についての
保護
の道を厚くいたしたということになっておる次第でございます。
横山利秋
46
○横山
委員
先ほど
参考人
からも話がありましたが、労使の交渉で、
手続開始
前に諸般の諸問題を
協定
をした
法律
的な効果については、
改正
法はどういう影響をもたらしますか。
新谷正夫
47
○新谷
政府
委員
開始決定
前に労使の話し合いによりまして
協定
ができました場合に、これはもちろんこの
協定
を尊重してまいるべきものでございます。
会社更生法
の条文の上では、そのことを正面からは取り上げておりませんけれども、現在の
更生法
の百二条の第四項には、
労働協約
がございます場合には、双務契約による解除の規定等も
適用
しないという規定が一項入っております。このことが、
労働協約
はそのまま尊重してやるという
趣旨
でこの規定が入っておるという解釈に現在なっております。お尋ねのような場合には、
管財人
もそのまま
労働協約
の内容を尊重して、自後の
更生手続
を進めてまいるということになろうかと思います。
横山利秋
48
○横山
委員
その尊重してという
意味
が、
協定
によって
共益債権
にするときめた場合には、それが拘束をされるのであるかどうかということでございます。
新谷正夫
49
○新谷
政府
委員
共益債権
になるかどうかということは、
法律
の規定によってきまるわけでございます。ただ、
共益債権
的に有利に扱おうということは
労働協約
に
定め
られるかもしれません。したがいまして、
労働協約
に
共益債権
とするということを書いてあるからといって、当然にそれが
共益債権
になるものではございません。
共益債権
は、あくまでも
法律
の規定に基づいて
共益債権
として認められるものの
範囲
に限られるわけであります。しかし、
協定
においてそれと同様に優遇的な
措置
を約束されました場合に、その約束がものをいって、
共益債権
に準じて取り扱われる、こういうことになる次第でございます。
横山利秋
50
○横山
委員
次の
問題点
は、労働基準法との関係であります。労働基準法二十三条第一項は、
退職金債権
の発生した後請求があれば、
労働者
の死亡または退職の日から七日以内に支払いを義務づけておる。
退職金
は基準法上の
賃金
だから通貨で全額支払わなければならぬと二十四条では
定め
、積み立て金、保証金、貯蓄金等のいわゆる
社内預金
も、請求があれば七日以内に全額支払わなければならない、これは二十三条第一項、第二項。これらの義務を怠った場合は百二十条によって犯罪成立ということになっておるわけであります。この基準法の規定と
会社更生法
との
関連
を説明を願いたい。
新谷正夫
51
○新谷
政府
委員
労働基準法は、
労使関係
のそういった
賃金
についての支払いの場合、通常の場合の基準を示したものでございます。
会社
の経営が順調に進んでおります場合に、ことさらに
賃金
の支払いを遅延させるということのないように労働基準法で厳重にその点の規定を
定め
たものでございます。しかし、
会社更生法
は、
会社
の経営が破綻におちいりまして、先ほど申し上げましたように
債権者
、株主の協力によって
会社
の
更生
をはかるということがねらいでございます。先ほどの
労働組合
の代表の
参考人
の方も述べられましたが、
労働組合
も
債権者
も一致協力して
会社
を
更生
させることが何よりも大事であるという御
意見
でございましたが、まさにそういう精神で
会社更生法
はできております。したがいまして、労働基準法に対しまして、
会社更生法
の規定は、その面においては
一つ
の特別法の形をなしておるというのが現在の
一般
の解釈でございます。したがいまして、
開始決定
がございますと、労働基準法の規定はそのようになっておりますけれども、
更生手続
上
弁済
が猶予されるというふうな場合には、これは
更生法
の規定によって認められるということになるわけでございます。
横山利秋
52
○横山
委員
その点は、私どもと少し見解が違うのでありますが、一応前へ進みたいと思います。
改正
法三十九条、四十条の
保全管理人
の
性格
及びそれの影響でありますが、先ほど
参考人
との質疑応答をしたわけでありますが、少なくとも社長、
会社
責任者と団体交渉をしてまいりましたのが、権限のない
保全管理人
を選定することによって労使の関係に不当な影響を及ぼさないかどうか、労使間の交渉を中断させるおそれはないかどうかと考えられるのであります。
保全管理人
の
性格
、団体交渉の当事者としての能力、
保全管理人
を置くべき
理由
、時期等について明らかにされたいのであります。
新谷正夫
53
○新谷
政府
委員
会社
の
理事
者が、放漫の経営をやったために
会社
が破綻におちいるとか、あるいはその
理事
者としての適格がないというふうなことによって、
会社
の経営が破綻におちいるわけでございます。そのような場合に、そのまま放置しておきますと、経営のみならず、
労使関係
についても非常に大きな影響が及ぶわけでございますので、これを防止いたしますために、
開始決定
までの
段階
において、とりあえず暫定的に
保全管理人
を選任して、適正な
事業
の経営なり労務管理をやってもらうということがこの
保全管理人
の設けられた
趣旨
でございます。あくまでもこれは
会社
が、どうしても
理事
者にまかせ切れないというふうな非常の
事態
に対する例外
措置
でございます。そのような場合に、むしろ
保全管理人
の選任によって、
一般
の経営ないし
労使関係
がうまく維持されていくということが期待されるのでございます。 なお、
保全管理人
が選任されました後に
開始決定
がございますと、多くの場合この
保全管理人
が
管財人
になってあとの
事業経営
なり財産の管理処分を引き継いでいくことになるかと思うわけでございます。もちろん
裁判所
におきましても、そういう
事態
において
保全管理人
を選任いたしますので、その人選につきましては十分配慮されまして、適正な仕事のできる人を選任されるということを私どもとしては期待いたしておる次第でございます。
横山利秋
54
○横山
委員
置くことができるという
意味
は、原則として置かないと解釈してよろしいのですか。つまり、
政府
の今日までの説明は、現取締役が不正行為をするおそれがある、その取締役が行くえをくらましておる等であって、現取締役をそのままにしておくと、
会社
の
事業経営
が乱れるおそれがある場合に、公正な管理をするために応急的に選任されるのであるから、通常
一般
の場合には、最も責任ある、
会社
責任者の社長が、団体交渉の当事者として責任を感じて事に当たるべきであるという解釈でよろしゅうございますか。
新谷正夫
55
○新谷
政府
委員
お説のとおりでございます。
横山利秋
56
○横山
委員
次は、
共益債権
に基づく
強制執行
または仮差し押えの中止を
定め
た場合の
改正
法二百十条の二でありますが、
労働者
の有する
共益債権
の行使にとって、不当な障害となるのではないかという感じであります。先ほども三ケ月
参考人
からもこの点については、ややしりが抜けておるような感じの御答弁をいただいたのでありますが、裁判長が
強制執行
または仮差し押えを中止したり、取り消したりした場合におけるその保証は、裁判長が善処するということだけに限られておるのであるかどうか。
強制執行
、仮差し押えを中止させたことによって受ける被害といいますか、それはどう保証なさるおつもりですか。
新谷正夫
57
○新谷
政府
委員
裁判所
は、
更生手続
の遂行を常時見ておりまして、
管財人
の
措置
等についての監督権を行使いたしております。その
段階
におきまして、
会社
の
事業経営
にとりまして、不可欠の財産を差し押えられてしまったというような場合には、そのために
事業経営
に
支障
を生ずるわけでございますので、これは何とか、
会社
のために経営ができるように考えなければならないのであります。ただそれだけで、それでは
強制執行
を取り相したり、あるいは中止したりすることができるかといいますと、それだけの要件ではございません。この
改正案
によりますと、なお、そのほかに要件がございまして、「
会社
が他に換価の容易な財産を有するとき」となっております。換価の容易な財産がある場合に限って、そのような
措置
がとれるということでございます。裏を返して申し上げますと、他の財産に
強制執行
のやり直しをしていく。それによって
債権者
は、もちろん
債権
の保全がはかられるわけでございますが、
会社
の
事業経営
も影響を受けないということになるわけでございます。
債権者
側も
会社
側も、これによって助かるということになるわけでございまして、
債権者
の
保護
の
措置
が、これだけでは徹底し切れないのではないかという御
意見
のようでございますが、すでに押えた財産の他の財産、換価の容易な財産があれば、
裁判所
にもそのことはわかりますので、
債権者
にその旨を告げまして、そのことを進めることもできましょうし、またその間にほかの財産についての処分を認めて、その代金によって
債権者
の
債権
の
弁済
をすることもできますし、また
債権者
としての他の換価の容易な財産をまず押えておいて、それから
裁判所
が、さきに出された
強制執行
の中止なり取り消しをするということも可能でございますので、その規定の
趣旨
によって、十分ただいまの
債権者
の
保護
ははかり得るものと考えております。
横山利秋
58
○横山
委員
労働大臣お見えになりましたから、短い時間でけっこうですが、大臣にお伺いします。 四十一年一月十八日、中央労働基準
審議
会は、社内機会問題についての答申を出し、そうして労働省は施行規則の
改正
をもって、この
趣旨
を管下に通達をされた模様であります。私のお伺いしたい点は、桂内預金の規制を、そういうふうに
労働者
で実行されておる。つまり
社内預金
の逸脱をしないように、質的に
社内預金
というものを適正に労働省ではなさったのであります。しかるところも今回
会社更生法
をもって、
社内預金
の
扱い
を後退をされたわけであります。いままでは
社内預金
は、実際上は全額
共益債権
というような
取り扱い
をされておったのが、今回は後退をする
扱い
を受けました。これはいささか私どもとしては意外なことでありまして、この点労働省として看過すべからざることではあるまいかということが第一であります。 第二番目は、
労働者
と大蔵省と、
社内預金
についての感覚が違うような気がいたします。私は、大蔵
委員
もあわせてやっておるのでありますが、大蔵大臣は、従来から、田中さんのときから、
社内預金
は漸次これをやめるということを明言をされておるわけであります。法務省が今回
会社更生法
で
社内預金
の
扱い
を後退をさせるとするならば、逆に
社内預金
はもう全廃をするという政策を実行するならばある程度恕すべき点もあろうかと思うのであります。真中に立って、労働省としては、片や大蔵省に対してちゅうちょされておる。片や規制されて、適正な方向に動こうとしておる。
社内預金
を
会社更生法
では不遇な
扱い
をされておるという点については、労働大臣としてどういうお考えであるかというのが第二点であります。 それから、第三点としては、労働基準法では、御存じのように請求があれば、退職の日から七日以内に
賃金
、積み立て金、保証金、貯蓄金等を払わなければ監獄にぶち込む、こういうことになっておるわけであります。だから、労働大臣としては、この基準法の守り神であるべき人が、
会社更生法
によって基準法がしり抜けになるということを、どうして御承知をなさったものであろうかという点に私どもとしてもきわめて意外に考えておるわけであります。この際、
社内預金
に関しまして、これらの各省間の調整、それから労働省の今後の方針を明らかにされたいと思います。
早川崇
59
○早川国務大臣 今般、
会社更生法
の
改正
にあたりましては、
法制審議会
におきまして、労働省といたしましては
現行法
どおり
社内預金
の全額を共用益
債権
とするよう主張をいたしましたことは御承知のとおりでございますが、同時に
下請代金
あるいはまた給料その他との均衡も考えまして、御承知のように六カ月間の給料または
社内預金
の三分の一という制限は、バランスの上から、そのように
審議
会か
決定
をいたしまして、これまたやむを得ない
措置
だと
労働者
は考えておる次第であります。ただし、同時に、残額は、何らかの
措置
がとられていないわけではないのでありまして、その残額の
社内預金
は、優先的
更生債権
とするということにされたものでございますので、こういう点も配慮いたしまして
了承
いたした次第でございます。 なお、この問題に
関連
いたしまして、従来
破産
法におきまして、何らの
保護
が加えられておらなかった
社内預金
が、これまた優先的
債権
ということになりました。そういったようなこともあわせて考慮をいたしまして、
審議
会の答申どおり
了承
いたした次第であります。 二番目の
社内預金
に対する私
たち
の
考え方
は、やはりこれは強制じゃございませんので、私はむしろ従来から主張いたしておるのは、
従業員
が自分の
会社
の株を持て、そして
会社
と共同体的な
利害
を持つということはいいことだと思います。
社内預金
もむろん銀行へ預金したらいいのですけれども、自分のつとめている
会社
に預金をする、その預金が、さらにその
会社
の運営に非常に利便を与える、また福利施設あるいは
労働者
の財産形成というよき面がございますので、私は、
審議
会におきまして、
労働者
側からこれは廃止したらどうかという
意見
もございましたけれども、この社内、預金という制度、これは強制しておるならばわれわれは反対ですけれども、
会社
というものと、
会社
につとめている
従業員
との一体感といいますか、いろいろな利便ということを考えまして、これはいいことである、決して悪いことではない、かように考えておる次第でございます。 なお、労働基準法の
法律
解釈につきましては、労働基準
局長
から、これとの
関連
につきまして、技術的な面はお答えさせたいと思います。
村上茂利
60
○村上(茂)
政府
委員
横山先生の御指摘の中で、労働基準法の二十三条の規定で、
労働者
の退職の場合における金品の返還の規定がありますけれども、それが
会社更生法
との
関連
におきまして、せっかくの二十三条の規定がありましても、
共益債権
あるいは優先
債権
といったような形で、別な角度からいわば押えられるような形になるので、二十三条の規定が働かなくなるのではないかという
趣旨
の御質問と理解いたしたのでありますが、私どもは、この二十三条の規定、それから二十四条の規定も同様でございますが、実質的には
賃金
請求権なり、あるいは
退職金
の請求権がございまして、それを実現するにあたりまして、労働基準法で特別の法的
措置
をした、つまりその
債権
を実現するにつきまして、たとえば二十三条で申しますと、金品を返還しない、あるいは支払わないという場合に、支払え、しかも罰則つきでそれを強制する、こういう形で
労働者
の
保護
をはかったわけでございますが、それとは別に、各種の
債権
がございました際に、それとの調整関係をどうするかという別な問題が存するわけでございます。こういう問題の場が
会社更生法
の問題になろうかと思うのであります。
賃金
横権のみならず、他の
債権
との調整をどうするかという別な問題があるわけでありまして、いわばこの立法の
趣旨
、目的が違いますので、
会社更生法
があるからといって、二十三条の規定は動かなくなるという
趣旨
のものではないわけでありまして、先生の御懸念の点は、二十三条は二十三条として発動いたしますし、違反があれば罰則の
適用
をする、こういう線で進むわけでありますから、一応、観念的には先生御指摘のような点も考えられることでありますが、そういった点は、制度の
趣旨
から見まして、それぞれ発動されるものであるというふうに考えておる次第でございます。
横山利秋
61
○横山
委員
そうしますと、適法に
会社更生法
の
適用
を受けて、七日以内に支払わなかったという場合においても、この百二十条によって罰に処せられる、こういうわけですか。
村上茂利
62
○村上(茂)
政府
委員
二十三条違反は、それ自体として構成されるわけであります。したがいまして、基準法は基準法として
定め
ておる一定の
手続
がございますから、それによって
処理
をする。ただ、実際の問題といたしましては、
会社更生法
の
適用
を受けるといったような
事態
になりますれば、それを法的にどのように評価するかという問題はあろうかと思いますが、たてまえとしては、労働基準法二十三条の規定はそれなりに動いていくと考えてよろしいと思います。
横山利秋
63
○横山
委員
労働大臣の先ほどの話、いささか意外に感ずるわけでありますが、時間がございませんから端的に申し上げますけれども、田中大蔵大臣、それから福田さん、大蔵
委員会
では、大蔵大臣はすべて
社内預金
は将来やめる、やめる方向に行くと明言をされて、
国会
で大臣として、議事録に残っておるのです。あなたがいいことだということをずけずけおっしゃるというのは、まことに意外千万なことで、そうなりますと、大蔵大臣にここに来てもらわなければどうもいかなくなるのでありますが、これはどういうふうなお考えか知りませんけれども、いささか大臣としては不適当な御発言だと私は思うのであります。
会社
と一体になって
会社
を運営するということを私は非難しておるものではありませんが、しかし、
社内預金
というものが
会社
の
運転資金
になる、そして
会社
がそれを利用をするということが、何といっても
社内預金
の本質なんであります。そういうことを労働大臣はいいことだといっておすすめになるかのごとき印象——もちろん先般の答申を得ていささか規制
措置
はおとりになりましたけれども、
考え方
が大蔵大臣とまるっきり違うということは、ちょっと見のがしがたいことになりますが、よろしゅうございますか。——いや、労働大臣にお伺いしたい。
早川崇
64
○早川国務大臣 大蔵大臣は、ほかの銀行との均衡上、大蔵行政から言われたのだろうと思うのであります。私は、労働行政の面からいえば、自分の
会社
に、強制されるのでなくて自由に預金をして、それが
運転資金
に役立ち、
労働者
の財産をつくる、住宅の融資にも回る、——いいことじゃありませんか。したがって、前の内閣の大蔵大臣の御発言は存じませんけれども、後ほど
局長
からお答えをさせますが、私はむしろ、アメリカのように、
労働者
は自分のつとめておる
会社
の株を持て、そうしてもうかったら配当も多く獲得する、損をした場合には、
会社
が損したのだから株が下がってもやむを得ない、そうすることによって、
会社
というものとそのつとめている人が、真剣に一体的に繁栄させる努力をしていく。私は基本的にはいいことだと思っておるのでありまして、これはそれぞれの担当する行政面からの
意見
であって、前の内閣のことは存じませんけれども、おそらく大蔵大臣も、金融面からいえば、銀行というのがございますから、銀行について、金利の問題、預金がそれだけ
会社
にとられるという問題から言われたのだろうと思うのであります。要は、その
社内預金
というものを、
会社更生法
やその他のように
保護
していく、そうしてある程度きちっと行政指導していく。これは
審議
会の答申もございましたので、労働省といたしましては行政指導をいたしたわけでございますが、私はいいことだと思っておるのであります。
横山利秋
65
○横山
委員
ますます奇怪な話です。大蔵大臣は、金融を守る
立場
から
社内預金
を廃止すると言ったのだろう、私は
労働者
を守る
立場
から、
社内預金
はいいと思っておるのだ、——
労働者
は
社内預金
には反対しているのですからね、そんな、大臣がかってに
国会
で、私は大蔵大臣だから、私は労働大臣だからといって、
意見
が違っていいなんてしゃあしゃあと言われて、ああそうですかというわけにまいりますまいよ。これは大蔵大臣と労働大臣と
意見
を調整してもらって、
社内預金
に対する
政府
の意思を明白にしてもらわなければだめですな。
村上茂利
66
○村上(茂)
政府
委員
田中元大蔵大臣が御発言になりましたその席には私もおりました。その後のいろいろな
事情
を私知っておりますので、補足して御答弁申し上げたいと思います。 当時、大蔵大臣が御答弁になりましたころは、まだ労働省と大蔵省との間の事務的な
意見
調整がついておりませんでした。そこで、どのように調整するかという点について、いろいろな
考え方
がありましたわけで、大蔵省としては、
金融政策
なりあるいは金利政策といった観点から、いろいろな
考え方
がございました。労働省としましては、
社内預金
というのは俗称であって、本来、労働契約に付随して使用者が貯金を強制したり、そういうことはいけないんだ。労働基準法の十八条の第一項では
禁止
しているんだ。その
禁止
を解除する
一つ
の場合としまして、労使が
協定
を結んで、いわば集団的な意思で合意したならば貯蓄金の管理契約はできるんだ。いわば強制貯蓄に対する例外
措置
としておりますものが、社会的、経済的な条件の中にそれなりに発展いたしまして、そうしていろいろな効用を発揮するようになったわけでございます。 そこで、この
社内預金
と俗称されておりますけれども、本来の基準法の
趣旨
に立ち返りまして規制をしなきゃいけないという観点からいろいろ検討したわけでございます。その結果、問題は中央労働基準
審議
会に諮問という形で移されまして、そこで労使がそれぞれの
意見
が非常にきわ立った対立を見せました結果、かなり長期にわたって
審議
をしたのでありますが、
社内預金
について一定の規制を加えまして、
労働者
の
保護
に遺憾なきを期する。しこうして、これを廃止するか存続するかという点については、
改正
した処置の成り行きを見ましてさらに検討いたしたい、こういうことで結論は保留になっておるわけでございます。しかし、現に労働基準法の十八条第二項の規定には、この制度があるわけでございますから、この制度につきまして大臣が御答弁になりました点は、大臣とされましては御就任以来、勤労者の財産づくり政策という点を掲げられておりまして、昨年末から本年の初めにかけまして、勤労者持ち家政策についてのいろいろな施策を打ち出されたわけでありますが、ただいま御指摘の持ち株制度であるとか、あるいはいろいろな問題があるわけでございますから、そういった政策から、いろいろお考えを述べられたわけでございます。その基準法の十八条第二項の制度としての問題は、労働基準
審議
会においていろいろ、いわばフォロースルーのような形で検討されておるところでございます。
横山利秋
67
○横山
委員
大臣、いま
局長
の言ったように、百歩譲っても、この
審議
会だって
意見
が対立している問題ですよ。それをあなたが
国会
に来て、私は
社内預金
賛成だ、いいじゃないかと言うことは少し逸脱をしていると思いませんか。
審議
会で結論がつかないのですよ、重要な議論になって。片一方の大蔵大臣は、こういう
審議
会の前であっても、
社内預金
廃止ということが単に銀行行政だけ。あれは金融資本の味方だからああ言うのはあたりまえだ。あなたはだれの味方ですか。
労働者
は
社内預金
に反対しているんですよ。そうすると、あなたは
経営者
の味方だ。
経営者
の味方で
社内預金
に賛成している、そう言わざるを得ぬじゃないですか。少なくとも本日、との私が指摘しているように、
会社更生法
では理論的に
社内預金
は後退しているんですよ。あなたは何か先ほどのお話を聞けば労働省としては反対したけれども、この
法案
の結果について、まあしかし、しょうがない、あきらめたということをおっしゃった。そうだとしたら、少なくとも後退をしたこの
扱い
について、労働大臣として
社内預金
は賛成でありますなんという得意な顔をされたのでは、私どもはちょっと——労働大臣、いつも非常に努力をしてやっていらっしゃるのにかかわらず、今度はチョンボだな、こう考えざるを得ません。私は先ほどの
社内預金
に関する発言について、もう少し労働大臣として、周囲の
事情
からいっても、ああいう積極的な
社内預金
育成論なり
考え方
を説くことは、もう少し考え直してもらわなければいかぬし、本
法案
審議
に際しても、先ほどちょっとおっしゃったけれども、
社内預金
の
扱い
の後退については遺憾である、そのくらいのことをおっしゃらぬとかっこうがつきませんぞ。
早川崇
68
○早川国務大臣 現に
社内預金
は認められておるわけでございますし、ですから、私としては日ごろ考えておる
意見
を述べただけでありまして、これが全部認められておらないことに対して非常に論議があると思いますけれども、そういう
意味
でございます。その観点からいいまして、
社内預金
ができるだけ
保護
されるという点は、
審議
会におきましても、労働省の
立場
として主張いたしましたことは、先ほどお答え申したとおりでございますが、同時に
下請代金
、給料、
退職金
その他、いろいろなバランスの関係上、
審議
会におきましては、六カ月の給与分、あるいは三分の一という制限がありましたことも、不本意ながら連帯という
立場
に立ちました場合にやむを得ない。しかし、そのほかにも、
破産
法その他で非常に優遇
措置
がとられておるので、この
審議
会の結論というものに従った、こういう
意味
でございますので、どうかこの点は、私の眞意を御理解賜わりたいと存じます。
横山利秋
69
○横山
委員
おしかりおきまして、労働大臣御退席くださってけっこうです。 最後に、法務大臣並びに民事
局長
に、問題とすべき点を列挙して、最終的な締めくくりの質問をいたします。 私どもが心配をいたしております点はこういうことなんです。少なくとも現在の
法律
のもとで、
労働者
がしっかりしておるところ、その
労働者
というものは、先ほども
山陽特殊鋼
の
組合長
が言ったのですが、われわれ
労働者
としては、その
会社
でおまんまを食っておるのだから、つぶれることよりも、むしろ
再建
したいんだという
考え方
が非常に強い発言であります。これは
会社更生法
が
適用
されたときには、
一般
的に申しまして、ほとんど
組合
のほうがきわめて
再建
に熱心で、そういう
組合
の力のあるところは、この
改正
法よりも有利な条件において
解決
をしておるものが多い。
再建
ということと労働条件の
保護
ということについて、両立をしておる場合が多いのであります。ところが、この
改正
法によりますと、
裁判所
の権限もある程度強まり、
保全管理人
も置かれるということによって、なるほど底上げはできるけれども、六カ月、三分の一という一線以上にいくのは非常にむずかしくなる。そういう
意味
においては後退をしておる。こういう考えが強いのであります。 それから、これは
裁判所
の問題でありますけれども、この
法案
の
改正
を、裁判長なり、
管財人
なり、
保全管理人
が、下請や
労働者
を
保護
するんだという
法案
の
趣旨
を十分に理解して運営せぬことには、これは絵にかいたぼたもちに終わる。また逆転する場合もかなりある。したがって、
管財人
や
保全管理人
、あるいは監督者の、
法案
に対する周知徹底といいますか、この
趣旨
というものが、私の申し上げるような
意味
において徹底しないことには、この
法案
の
運用
はきわめてむずかしい、こう考えるのが第一であります。 第二番目に、先ほど三人の
参考人
からいろいろと具体的な
意見
の開陳がありました。一歩前進とは認めるけれども不十分であるという点が、かなり列挙されておるわけであります。その項目についてはあとで聞いていただきたいと思うのでありますが、不十分の点が多いということです。したがって、この
改正
以後の
運用
の状況を見て、また再
改正
ということが当然俎上にのぼると思うのであります。法務省におきまして、
法案
審議
の際に、満たされざる問題について、また
運用
状況について満たされざる問題について、今後どうお考えであるか、この二点をお伺いしたい。
田中伊三次
70
○田中国務大臣 御心配をいただきましたお説、まことにごもっともであります。そこで、新しい
更生
会社
の機関といたしましては
保全管理人
、
管財人
、それから
裁判所
の諮問機関ではございますけれども、調査
委員
というような制度の
運用
にあたりましては、いまおことばに出ましたような事柄を極力留意いたしまして善処をさしていきたいと存じます。 それからもう
一つ
は、この
会社更生法
は、何を申しましても、いろいろ御質問を承って反省をしてみますと、これで十全のものとも考えられぬ節もなくはないと存じます。これを
運用
してまいりまして、どうもこの点が不徹底であるというようなことになりました場合においては、さらに第二次の
改正
ということもできるだけ手っとり早く実情に即しまして、将来を考えていかなければならない。ただ、この
法案
を出しております御
審議
中に、次に行き届かないところができてくると
改正
をいたしますなどということを、大臣が発言するということ自体、たいへんどうも困ったことだと思うのでありますけれども、ありのままに申しますと、実情にそぐわざる点が出てまいりましたときは、また、ただいまおあげになりましたような事柄に行き詰まりを生じてくるということになりました場合においては、すみやかなる機会に、やはり第二次
改正
をいたしまして、御要望に沿うことにいたしていきたい、そういう決意であります。
大坪保雄
71
○
大坪委員長
この際、おはかりいたします。 すなわち、ただいま議題となっております
法律案
のうち、
内閣提出
、
会社更生法等
の一部を
改正
する
法律案
につきましては、これにて質疑を終了することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大坪保雄
72
○
大坪委員長
御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
—————————————
大坪保雄
73
○
大坪委員長
本案に対し、自由民主党、民主社会党及び公明党の共同提案にかかる修正案が、大竹
太郎
君より
提出
されております。 まず、
提出
者から、その
趣旨
の説明を求めます。大竹
太郎
君。
大竹太郎
74
○大竹
委員
私は自由民主党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、
会社更生法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する修正案について、その提案
理由
の説明を申し上げたいと思います。 まず、案文を朗読いたします。
会社更生法等
の一部を
改正
する
法律案
に対する修正案
会社
庭上法等の一部を
改正
する
法律案
の一部を次のように修正する。 第一条のうち、第百十二条の二第一項の
改正
規定中「申立てにより」の下に「又は職権で」を加える。 附則第一項中「十一月一日」を「九月二十日」に改める。
昭和
三十九年、経済界が深刻な不況に襲われましたのを契機といたしまして、
更生手続
開始
を
申し立て
る
会社
が非常に急激に増大いたしまして、その規模も
大型化
しまして、これに
関連
する
中小企業者
やその他の
債権者
の
範囲
も拡大してまいりました。
更生
会社
に対する
債権
をたな上げされたために
連鎖倒産
の危険にさらされる関係
中小企業者
が続出する傾向にありまして、これを救済するため、適切な施策を講ずることが緊急の要事として各方面から要望されていたことは、御承知のとおりであります。今回
更生
会社
に対する
中小企業者
の
債権
を
保護
することを
一つ
の大きな柱として内閣より
改正法案
が
提出
されましたことは、まことに時宜を得た
措置
と存ずるのでありますが、なお一歩を進め、
中小企業者
の
債権
の
保護
を厚くすることをはかる必要があると考えるのであります。 すなわち、
改正
法第百十二条の二の第一項において、
裁判所
は
管財人
の
申し立て
によって
中小企業者
の
債権
の
弁済
を許可することができることとしてありますが、各
委員
の質疑や
参考人
の
意見
にも見られますように、
裁判所
は
管財人
が
申し立て
をした
債権
のみについて
弁済
の許可を与えることができるのみでありまして、
管財人
が
申し立て
をしない
債権
についての救済規定は設けられていないのであります。業界においても、この点について多くの
危惧
の念を抱いているようであります。したがって、この点について適切な
対策
を講ずる必要があると考えまして、
裁判所
はその職権によって
会社
に対する
中小企業者
の
債権
の
弁済
を許可することができることとしたのであります。 次に、
改正
法の施行期日は
昭和
四十二年十一月一日となっておりますが、現在
更生手続
の進行中の
会社
についてできるだけ多くのものに対して
改正
法を
適用
し得るようにするため、その施行期日を繰り上げ、
昭和
四十二年九月二十日に改めたのであります。 以上が、本修正案を
提出
いたしました
理由
であります。何とぞ御
審議
の上御賛同をあらんことを
お願い
する次第であります。
大坪保雄
75
○
大坪委員長
これより原案及び修正案を一括して討論に付します。 討論の通告がありますので、これを許します。加藤勘十君。
加藤勘十
76
○加藤(勘)
委員
私は、社会党の
立場
から、
政府案
に対しては反対、修正案に対しては賛成、この
趣旨
を明らかにして反対の意思を表明したいと思います。
会社更生法
は、
現行法
は大
企業
の
倒産
を防止する、ことばをかえていえば、大
企業
の
保護
を主眼として立法された感がありまして、これが実際の運営にあたっては、この
更生法
の
適用
によって十分な
保護
をされるものは大
企業
会社
であり、そしてそれに
関連
する下請、中小
企業
のごときは、ほとんど
保護
される余地がなかった。そういう点から
政府
の
改正案
の提案となったものと思うのでありますが、
中小企業者
、ことに
下請企業
で、
関連
倒産
を免れることのできないような危険におちいった小さい業者を
保護
する、こういう
意味
で
改正案
が提案されたものでありましょうから、そういう点においては、
現行法
に比ぶれば一歩前進したものであるということは言われると思います。けれども、
現行法
においては、欠陥とされておった
従業員
の
保護
といろ点に対しては、ほとんど顧みられていない。のみならず、ある点においてはむしろ後退をしておる。こういうことは、われわれがこの
政府
提案の
改正案
にとうてい賛成することができないゆえんであります。もちろん、
会社
の
更生
でありますから、
破産
の場合と違って、
更生
をするという場合には、
労働者
が働かなければ
更生
にはならない。その
会社更生
の一番眼目である
労働者
に対して十分な
保護
が加えられて、
労働者
がそのことによって不利益な地位におちいらないように法はつとめなければならないはずである。それにもかかわらず、
改正案
においては
現行法
と変わりない
状態
であり、またある点からいくならば後退である。いわゆる
社内預金
の問題のごとく、たくさん問題を残しております。また、
賃金
あるいは
退職金
の問題のごときにおいても上限を制限しておる。こういうことも、本来の
立場
からいくならば、当然これは無条件で支払うべき性質のものなんです。労働基準法によって
労働者
の生活が
保護
されておる。しかも、労働基準法で
定め
るものは最低の条件、その最低の条件で
定め
られておる労働基準法の規定が、この
会社更生法
によっては、ある場合にはじゅうりんされる、そういうことがあってはならないはずであります。しかるに、法はそういう点を全然認めていない。もちろん
審議
の過程において、いろいろ質疑応答の中にあらわれた
政府
当局の弁明の中には、あるものはなるほどとうなずかしめるものもありますけれども、多くの点においては依然としてうやむやである。結局、私がしばしば言うように、立法者の考えがどうあろうとも、一たび正法となってこれが具体的な場合に
適用
される場合には、これは
裁判所
であろうと、あるいは行政官であろうと、法の執行にあたってはどうしても
法律
の条文にとらわれてしまう。したがって、これらの点についても、刑法の問題とは違いますけれども、民法においても、やはり法文は明確にして、疑義を残さないようにするということでなければならぬ。そういう点からいきますと、いろいろな点が結局うやむやに、運営にあたって自由裁量が許されるような表明がされておるのであります。執行者が自由裁量ができるような法文は不完全である。いま法務大臣も最後のことばとして、この
改正案
が
実施
されても、もし社会の実情に適しない場合には急速に
改正
の案を出す考えである、こういうことを言っておられるほどに、われわれから見ますならば、
会社
が
更生
を
申請
するような
状態
に
企業
の実態がおちいったときに、この
更生法
によってはたして労使の間の疑義あるいは
会社
と下請業者との間の疑義、こういうものが解明されるかどうかということになると、われわれは多くの疑いを持たないわけにはまいりません。そういう点から、社会党としましては、
政府
の
改正案
と比べて一歩前進した、中小業者、下請業者の
立場
からと、また経営の実態を握っておったものに対する責任の追及、こういう点を明確にした
対策
を出したのでありますが、これは顧みられていない。そして
政府
の
改正案
だけが主として
審議
の対象となって
審議
されてきたのでありますが、その
審議
の過程における質疑にあらわれた点から見るならば、結局うやむやである。こういうやむやに、運営が自由裁量にまかされるような法の条文の数々に対しては、われわれはどうしても賛成するわけにはまいりません。したがって、社会党としては
政府
の
改正
原案には反対をしないわけにはいかないのであります。 ただ、ただいま出された修正案の中で、第一項の
裁判所
が職権をもって中小業者を
保護
するような表現がなされております。これも、ないよりはあったほうがよい。これらの点についてももっと明確なものが出なければならないと思いまするが、ないよりはあったほうがよいという点で賛意を表しておるのです。 また施行期日の問題につきましても、
現実
に業者が苦しんでおる実情から、これを救済する
意味
において
改正案
には賛成をするのですが、しかし、
政府
の
改正案
そのものは、いま申しますような
理由
によって、どうしても賛成するわけにはいかない。ここで私どもははっきりと、次のよりよき
改正案
が
提出
されることを希望しつつ、反対の意思を表明するものであります。
大坪保雄
77
○
大坪委員長
これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 まず本修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大坪保雄
78
○
大坪委員長
起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大坪保雄
79
○
大坪委員長
起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。 これにて本案は修正議決すべきものと決しました。 次に、おはかりいたします。ただいま議決せられました
法律案
に対する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大坪保雄
80
○
大坪委員長
御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
大坪保雄
81
○
大坪委員長
午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ————◇————— 午後一時十二分
開議
大坪保雄
82
○
大坪委員長
休憩前に引き続き、
会議
を開きます。
内閣提出
、
司法書士法
及び
土地家屋調査士法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 まず、本案について
参考人
より
意見
を聴取することといたします。 本日
出席
の
参考人
は、
司法書士会連
合会理事長
澤口祐三君であります。
参考人
には、御多用中のところ御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ本案について忌憚のない御
意見
をお述べくださるよう
お願い
を申し上げます。 なお、議事を進める都合によりまして、御
意見
は十分程度にお取りまとめ願いたいと思います。 それでは澤口
参考人
、
お願い
いたします。
澤口祐三
83
○澤口
参考人
ただいま御
指名
にあずかりました不肖、
日本
司法書士会連
合会理事長
澤口祐三でございます。今般、
司法書士法
の一部を
改正
する
法律案
の御
審議
がなされるにあたりまして、はからずも立法府にお招きを受け、ここに
意見
を述ぶる機会を得ましたことを、心から光栄に存ずる次第でございます。 まず、結論的に申しますならば、
政府
提案として本
国会
へ
提出
されております同
法案
につきましては、原案どおり可決成立せられますよう心から切望する次第でございます。 以下、司法書士制度の変遷過程について若干その歴史的事実を申し上げまするとともに、本
法案
に対する
意見
を申し上げ、御参考に供したいと存ずる次第でございます。 司法書士制度は、一世紀の古き昔にさかのぼりまするが、明治五年に布達されました司法職務定制、明治六年の訴答文例によって、いわばその社会的孤々の声をあげたわけでございまするが、自来今日までわが国
法務行政
の一翼をになってまいったのでありまして、その間、大正八年司法代書人法の制定、
昭和
十年
司法書士法
の
改正
、戦後
昭和
二十五年、
昭和
二十六年、
昭和
二十七年、
昭和
三十一年の数次にわたる法
改正
を経まして、現在におきましては連合会一個、司法書士会四十九個が、全国の司法書士を
一つ
に結びつける拠点として、一万二千名の会員を擁する強制会としての強固な基礎を確立するに至ったのでございます。 特に、戦後の経済の民主化、高度経済成長は、司法書士業務にも深い関係があるのでございまして、ちなみに、法務省統計年報によりましても、
昭和
二十六年の登記甲号
事件
数五百万件が、同三十九年には早くも一千万件と二倍を突破するに至り、登記乙号
事件
は同年対比で約十二倍という上昇ぶりを示しておるのでございます。 これらの状況は、司法書士が国民の
権利
義務に重要な役割りを果たすものとして、一段と会員の品位保持、業務の改善、進歩をはからなければならないことを示しているのでございます。
昭和
三十一年、法
改正
により、強制会に移行し、自主的統制の実をあげ、充実発展を進めてまいったのでございますが、組織の法的
性格
はいわゆる任意団体の域を出ず、諸般の不都合を惹起しているのでございます。 会の法人格保有の必要性は、単に財産の保有管理の問題にとどまるものではないのでございまして、福利厚生制度を確立することによって、強制会としての体質の一そうの強化発展をなし遂げ、ひいては国民と最も接触を密にするところの司法書士制度の近代化を達成し、国民の期待と信頼にこたえねばならぬと念願しているのでございます。 私ども司法書士は、いわゆる自由業者として自己の精神的、肉体的労務により出計を維持しているものでありまして、不慮の事故等によって所得活動が断絶したような場合は、経済的生活の瓦解するに至る危険性を常に内包しているのでございます。このような不安と危険性を取り除くためには、会員相互扶助による共済制度、年金制度、健康保険制度等を確立することが急務となっているのでございます。このような組織
体制
を備えることによりましてこそ、会員の綱紀の維持、品位の保持、資質の向上が十分になし遂げられるものと存ずるとともに、これらの
体制
のかなめをなすものこそ法人格保有という組織体の法的明確性にあると確信する次第でございます。 法人化とあわせ、法第一条の業務規定につきまして「司法書士は、他人の嘱託を受けて、その者が
裁判所
、検察庁又は法務局若しくは地
方法
務局に
提出
する書数を作成し、及び登記又は供託に関する
手続
を代ってすることを業とする。」として、
法案
は登記又は供託の
申請
代理を明確化するものでございますが、これは、現行
司法書士法
の解釈、
運用
の実態に即応したものと考えるものでございまして、当然のことであると思量するものでございます。 業界積年にわたり、その実現を願望し続けてまいった懸案でございますので、諸先生におかれましては、深い御理解をもって御
審議
賜わりますことを切に切に
お願い
申し上げる次第でございます。
—————————————
大坪保雄
84
○
大坪委員長
これより
参考人
及び
政府
当局に対する質疑に入ります。大竹
太郎
君。
大竹太郎
85
○大竹
委員
こういう機会でございますので、この
改正
に直接関係のない
事項
もあるかと思いますが、二、三これらをお尋ねをいたしたいと思います。 第一に、
司法書士法
を拝見いたしましてもよくわからないのでありますが、いわゆる司法書士や土地家屋調査士の資格の獲得とでも申しますか、資格試験とでも申しますか、これについては、この
法律
を見ただけではわからぬのでありますが、これについてまず御説明をお伺いしたいと思います。
新谷正夫
86
○新谷
政府
委員
司法書士と土地家屋調査士につきましては、その資格の取得の方式が異なっておるわけでございます。
司法書士法
、あるいは
土地家屋調査士法
にそれぞれ規定がございますが、司法書士のほうは、一定の要件を備えた者が司法書士となりまして、事務所を設けようとするところの法務
局長
、あるいは地
方法
務
局長
の選考によりまして、
認可
を受けることになっております。これによりまして司法書士となるわけでございます。 土地家屋調査士のほうは、選考ではございませんで、同じく法務局、あるいは地
方法
務局におきまして、試験を
実施
いたします。その試験に合格した者が登録をして土地家屋調査士になる、こいうことになっております。
大竹太郎
87
○大竹
委員
それでは、司法書士についてお伺いしますが、もちろん、事務所を設けて仕事をするのには、法務
局長
、または地
方法
務
局長
の選考による
認可
条項がありますが、これは、資格のある者がいわゆる
申請
をした場合に
認可
するのだと思いますが、それならば、司法書士の資格はどうして獲得するのでありますか。
新谷正夫
88
○新谷
政府
委員
司法書士法
によりますると、第二条に規定がございまして、
裁判所
事務官、
裁判所
書記官、あるいは法務事務官、検察事務官の職にありまして、その年数を通算して五年以上に達する者、またはこれらと同等の教養、学力を有する者、これが資格でございます。その中から選考されるわけでございます。
大竹太郎
89
○大竹
委員
次に、今度この会が法人となるわけでありますが、いままでも会はあったわけでありますが、その会と仕事を実際にやることと、何か関係がいままでもあったのでありますか、ないのでありますか。 御承知のように、弁護士は資格を獲響いたしましても、開業するのには、たしかそれぞれの地区の弁護士会に加入をして、それで初めて仕事をやるようになっておると思うのでありますけれども、司法書士は、その点はどういうことになっておるのでございますか。
新谷正夫
90
○新谷
政府
委員
法務
局長
の
認可
を受けまして司法書士になりましても、各事務所の所在地にございます法務局におきまして、法務局の管内にあります司法書士会に入会をしなければなりません。これは、入会する、しないは自由でございますけれども、入会していない人は、司法書士としての業務を取り扱うことができない。これは
司法書士法
の第十九条に規定がございます。
大竹太郎
91
○大竹
委員
この点は、それなら土地家屋調査士も同じことでありますか。
新谷正夫
92
○新谷
政府
委員
調査士も同様でございます。
大竹太郎
93
○大竹
委員
次に、お聞きしたいのでありますが、これは主としてやはり法務局関係の仕事をされるのが仕事の一番大きな部分でありますが、全国どこの法務局でも、司法書士あるいは土地家屋調査士がそこにいられるというのが現状でありますか。そこにそれがいない法務局は相当ありますか。現況はどうなっておりますか。
新谷正夫
94
○新谷
政府
委員
現在、司法書士の数が全国で一万二千名おります。土地家屋調査士は約一万六千人ぐらいといわれております。これが全国に分散いたしておりますが、やはり登記とか供託というような仕事の多いところにそういった方が集中をされておりますことは、当然のことであろうと思うのであります。いずれの法務局管内にも、司法書士あるいは土地家屋調査士がいないというところはございません。しかし、その管轄区域内で、各市町村にそれぞれまんべんなく分散されて国民の依頼を受け得るような
体制
になっているかどかということにつきましては、これは若干問題がございます。やはり末端のほうへ参りますと、司法書士の数が少ない、あるいはいないところもあるというのが現状でございます。
大竹太郎
95
○大竹
委員
時間がございませんので、簡単に最後にお聞きしておきたいのでありますが、最近、市役所とか、そういう行政官庁におきましては、書類の
取り扱い
、たとえば出産届け、あるいは婚姻届け、その他印鑑証明をもらうとか、こういう問題につきましては、非常にたくさん書類を刷っておきまして、だれが行っても簡単にもらえるというように、だんだん便利になってきておりますが、法務局関係の書類というものは、どんな簡単なものでも——どうもここに
理事
長さんがいらっしゃってたいへん恐縮なんでございますけれども、こういうことなんです。どんな簡単な書類でも手数をわずらわさなければいけないといようなことで、むだな費用がかかるし、時間もよけいかかるというようなことで、おっくうになる。
裁判所
は不親切だ、法務局は不親切だというような声が強いわけでありますが、これらもそうたいして金がかからない問題でございますので、登記所その他で一から十まで書類を備えておくということはもちろんなかなかできないことでありますけれども、簡単なものにつきましては、簡単に記入できるようにしたらどうか。たとえば市役所なんかの様式を見ますと、マルをつけるとかなんとかいうようなことで、便利な
取り扱い
ができるようになっているが、こういうようにもう少し考えたらいいのじゃないかというふうに思うのでありますが、それらについて何かお考えになっておりますか。
新谷正夫
96
○新谷
政府
委員
登記所の窓口ができるだけ能率的になり、また、
申請
者の
皆さん方
にとりましても便利になりますようにということは、これは最も大切なことでございまして、私どもも、年来そういったことについてはいろいろと努力してまいっておるわけでございます。ただ、たとえば登記をとりましても、
事件
が非常に多種多様にわたっておりまして、すべてにわたりまして完全にそういった書類を備えつけておくということも、なかなか容易なことではございません。しかし、きわめて簡単で、しかも
事件
の非常に多い謄本、抄本の請求とか、あるいは閲覧の請求などにつきましては、これはどなたでも書けることでございますので、書類を役所のほうで印刷いたしまして、窓口に備えつけて、これを利用していただくということをやっておるわけでございます。本件である甲号
事件
につきまして、すべてそれを
実施
していくということは、なかなか困難なことでございますけれども、これもやはり様式を統一いたしまして、できるだけそういった
趣旨
で国民にもサービスできるようにということを考えておる次第でございます。 なお、
申請
書そのものの内容が非常にむずかしい場合もございます。そういった
申請
書の書類だけではなくて、どういうことを書いたらいいかという書式のようなものも取りまとめまして、これは現に実行しつつあるわけでございます。できるだけ窓口を便利なものにしようという努力を今後ともいたしたいと考えております。
大竹太郎
97
○大竹
委員
最後に、もう一点だけ伺っておきたいと思いますが、先般東京都内の登記所等をこの
委員会
で視察をいたしたわけでありますが、これはもちろん建物が非常に狭い、それから事務職員その他の手不足ということもございますけれども、実際のこまかい仕事は、司法書士や、あるいは調査士の事務職員がお手伝いをしている。そして最後に署名なり何なりを登記所のお役人さんがやるというのが実情であるわけでありますが、現在としては、ああいうことよりしようがないのかもしれませんが、ああいうことをしておりますと、いろいろ間違いを起こしますし、ああいうことは私は好ましくないことだろうと思うわけでありますが、きょうちょうど
理事
長さんも見えておりますので、それらについて
理事
長さんの御
意見
、またお役所の御
意見
等も、あわせて最後にひとつ伺っておきたいと思います。
新谷正夫
98
○新谷
政府
委員
登記所の
事件
が激増いたしておりまして、法務局の職員だけで十分
処理
し切れないというのは、ただいま御指摘のとおりでございます。残念ながら各方面の方々の御協力をいただいておるということは、否定できない事実でございます。事務を
処理
するのは、もちろん法務局側におきまして責任を持って
処理
いたしておりますけれども、何と申しましても、こういった仕事を外部の方の応援にまつということは好ましいことではございませんので、増員あるいは事務の能率化等の
措置
を講じまして、極力これを縮小していく方向に努力いたしておる次第でございます。
澤口祐三
99
○澤口
参考人
いま新谷民事
局長
によって言い尽くされておると思いますが、登記所は中央省庁の出先機関の中では最も繁忙な職場であることは、世人の認めておるところでございまして、司法書士が国民と登記所の中間に存するところの専門家としての役割りを果たしている以上、いわゆる乙号
事件
、すなわち謄本とか抄本等につきましては、司法書士あるいは補助者が潤滑油的な役割りを果たしていることは、事実でございます。もちろん登記官と司法書士の分限につきましては、厳格にその
立場
を明確にしていることは、確信を持って申し述べることができるのでございますが、この点につきまして、登記所の抜本的な予算
措置
が緊要であるかと存ずる次第でございます。
大竹太郎
100
○大竹
委員
質問を終わります。
大坪保雄
101
○
大坪委員長
横山利秋君。
横山利秋
102
○横山
委員
澤口さんにお伺いします。大体私が考えるのに、仕事をやるには強制加入方式ということになっておる。だから、司法書士はみんな司法書士会に入らなければならない、こういう組織になっているのが、まだもって法人格を得ていなかったということが、実は私はおかしなことに考えておるわけであります。これは民事
局長
も、当時私は承知をいたしておりませんけれども、強制加入をさせるといいながら法人格を持たせない、どういう議論がそのときにあったのだろうか、不審に思うのであります。しかし、いずれにしてもここに法人格を取得する、そうして強制加入方式の連合会ができ上がるということで、澤口さんにお考えを願いたいのは、これからの司法書士会がどういう運営をなさるかということであります。少なくとも法人として、強制加入の司法書士会として、社会的な地位というものが向上され、そうして運営もきわめて——いままでも一生懸命おやりになったであろうけれども、いままでと違ったあり方が少なくてはならぬ。いわんや、先般起こりましたような、法務局の職員とそれから司法書士の補助職員とが結託をいたしまして、不正事実があるようなことがあったのでは、これは何ともならない責任が今後生じてくるわけであります。あなたが先ほど自主的な運営をしたい、あるいは統制をしたい、あるいは相互扶助をしたい、こういう
趣旨
のことをおっしゃいましたが、法人格を取得した以後のその連合会の運営について、どういう変化、どういう構想をお持ちなのか、この機会に承っておきたいと思うのであります。
澤口祐三
103
○澤口
参考人
ただいまの御質問は会に法人格を付与することの必要性と今後のあり方というふうにお聞きいたしますが、
法律
に
定め
られておりますように、司法書士会は、司法書士の品位の保持、あるいは業務の改善、進歩をはかるために、会員の指導、連絡を行なうことを目的といたしております。 冒頭にも申し上げましたように、現在の司法書士会におきましては、全国約一万二千の会員があり、会としての活動も年とともに充実、活発化してまいっております。 法人化の問題につきましては、
昭和
三十一年強制会に移行したとき、すでに実現されていてしかるべきであったとさえ考えられるのでございますが、現在におきましては、会の強化に伴い、会員の規律を厳守し、その相互扶助の制度を確立しなければなりません。 また一方、会は、会自体のいろいろの財産を保有するに至り、この財産保有の状況は、今後ますます増加することと思われまするので、福利厚生制度を確立することにいたしましても、財産保有にいたしましても、現在のようにいわゆる人格のない社団の
ワク
内にありましては、十分なる機能を発揮することができません。このようなことからいたしましても、会の法人化は、私どもにとりましては必須の問題となるわけでございます。
横山利秋
104
○横山
委員
今日まできわめて僅少の問題といえどもまずいことがありましたようなことが、ぜひ今後ないように、会員相互の研修機能、あるいは共済機能、あるいは自主的運営の機能を十分にひとつ高めて、司法書士会の社会的責任を果たしていただきたいと希望いたします。 次に、伺いたいのは、これは民事
局長
にあとでお伺いすることではありまするけれども、責任者としてのあなたの御
意見
を伺いたいのですが、補助者というものですね。税理士だって、公認会計士だって、補助者を使っている。弁護士だって、その
意味
においては事務職員を使っておる。けれども、一々国税
局長
ないしは税務署長に、補助者を使いますが、何のたれがしですが、いいでしょうかなんて承認を受けることはありません。司法書士が補助者を使いたいといって、法務
局長
や地
方法
務
局長
に、何で承認をもらわなければならぬのか。何か人数が制限されておるそうでありますが、こういうことはおかしいとはお思いにならぬでしょうか。何でそういうことをせんならぬとお考えでございましょうか。
澤口祐三
105
○澤口
参考人
補助者の承認権限が法務
局長
、地
方法
務
局長
に属しておりましても、補助者の指導、監督を会則に明足し、厳正に
実施
する必要があると存じます。 なお、補助者の使用につきましては、現時点におきましては、一定の基準を設け、その基準内におきまして会長の承認を受けること、その基準外については、法務
局長
または地
方法
務
局長
と当該会長と
協議
の上、法務
局長
、地
方法
務
局長
の承認を要することとするのも、一案かと存ずる次第でございます。
横山利秋
106
○横山
委員
民事
局長
にお伺いしたいのですけれども、補助者が悪いことをした場合に、だれの責任ですか。
新谷正夫
107
○新谷
政府
委員
補助者自身の責任の場合もございますし、司法書士の責任になる場合もあるかと存じます。
横山利秋
108
○横山
委員
補助者自身の責任というのは、どういう場合ですか。
新谷正夫
109
○新谷
政府
委員
司法書士の業務と関係がなく、補助者個人で不正
事件
を働いたというふうな場合には、これは補助者の問題でございます。
横山利秋
110
○横山
委員
あなたは、いま
法律
がそうなっておるので、その
立場
で議論なさるかもしれませんが、私は、きわめて自由な
立場
で、自分が給料を出して雇っている補助者を、何で法務
局長
の承認を得んならぬ。先ほど言った税理士と比較してみまして、何も司法書士だけ、補助者を、あなた方が、よしおまえ使え、おれが許してやるといわれなければならぬ積極的な
理由
は、どこにありますか。
新谷正夫
111
○新谷
政府
委員
司法書士制度の向上発展、あるいは司法書士自体の品位の向上、能率の向上というようなことは、これは会のほうで自主的にやっておられるわけでございまして、だんだんその成果も上がってきておるように考えられるのであります。ただしかし、残念なことに、先年非常に問題になりましたが、
申請
事件
の書類が非常に不備なものが多いのでございます。最近はだんだんそれも減少の方向には向いておりますけれども、そのために、登記所の窓口が非常に混乱して、事務が渋滞するという結果が起きたわけでございます。これの原因をたぐってみますと、ほとんど大部分の場合、補助者の人
たち
がその書類をつくって、十分司法書士の人が監督が行き届いていなかったということが出てまいったわけでございます。そのほかに、横領
事件
とか、あるいは印紙の不正使用
事件
とか、そういった問題が補助者を中心にして行なわれておるという事実もかなりあるわけでございます。もちろん方向といたしましては、補助者の使用ということは、司法書士あるいは司法書士会のほうで自主的にきめられることが望ましいのでございますけれども、現
段階
におきましては、まだそういった事例があとを断ちませんので、現行の補助着の承認制度は維持していきたいというのが、私どもの
考え方
でございます。
横山利秋
112
○横山
委員
理屈に合わないですよ。
政府
が補助者に給料を払うとか、補助者の
法律
的な独立の権限があればともかく、補助者がやったことで悪かったことは、全部司法書士の責任じゃないですか。そうでしょう。補助者がかってに悪いことをやったといっても、監督責任は司法書士であり、責任を追及されるのは、司法書士の判こを持ってやったことであるから、あくまで司法書士の責任である。司法書士を厳重に処罰すればいい。その司法書士の事務員なり補助者に対して、
政府
が横やりを入れて、おまえはいかぬとか、いいとか、おまえは任命してやる、おまえは任命してやらぬという
政府
にどこにその権限がございましょうか。つまりあなたの言い分は、税理士会と——例を税理士会に引くのですが、税理士会と司法書士会と比べると段違いだ、また司法書士はなっておらぬ、こういう理論からそれは発しておるわけですか。まさかそういうつもりはないでしょう。もしそういうことをやるなら、あなたの監督責任だ、あなたは何をやっておったかということになるでしょう。だから、
法律
体系としても、補助者に対してこの任命権を
政府
が持っておるというのは、だれが考えた制度か知らぬが、いかぬですよ。
改正
すべきだ。どうですか。
新谷正夫
113
○新谷
政府
委員
事故が起きました後に、法務局側におきまして懲戒制度その他の制度を
運用
いたしまして、その
処理
をつけるということは、これは当然でございます。ただしかし、事故の発生するのを待つわけにもまいりません。先ほど申し上げましたように、やはり補助者は補助者なりに、十分その仕事のできるような人を
お願い
したい、それによって登記所の事務の渋滞も避けられますし、また依頼者側の不都合もなくなるわけでございますので、あらかじめそういう承認制度によりまして、有能な補助者を使っていただくということで、一応チェックしてまいりたい、こういうことでございます。司法書士そのものが
認可
制度になっております。それと一心同体となりまして、書類の作成等の仕事をします補助者につきましても、それに準じて考えて、ちっともおかしくないのではないかという
考え方
でございます。
横山利秋
114
○横山
委員
それはちょっと説得力がないですね。大臣、私の言っておることはわかるでしょう。聞いていらっしゃいましたか。
田中伊三次
115
○田中国務大臣 前の半分が……。
横山利秋
116
○横山
委員
大臣、こういうことなんですよ、私の言うのは。税理士会だってどこの会だって、税務署や役所が補助者の任命権を持っておるところはないのです。司法書士だけが、補助者を使うがどうですか、横山利秋という補助者ですが、どうですかといって、
局長
におそれながらと
認可
を
申請
する。そして、よし横山なら使え、澤口ならいかぬ、こういうしかたというのは、おかしい。
政府
が給料を出すわけじゃあるまいし、補助者が悪いことをやったら、司法書士の責任じゃないですか。これは明白なんです。そういうことはおかしいからやめたらどうだ、こういうわけです。
田中伊三次
117
○田中国務大臣 これは横山先生御承知のとおりに、司法書士自体については、地
方法
務
局長
が
認可
をしておるという制度でございます。そこで、補助者についても、同時にこの
認可
制度……(横山
委員
(なぜ、そんなことをせんならぬですか」と呼ぶ)それはそういうことになっておるわけでございます。なっておるわけですが、結論を申し上げますが、いまにわかに私が責任があることは申し上げられませんが、御説はまことにごもっともの点があると考えますので、将来の問題としましては、この補助者に対する
取り扱い
は、慎重に検討してまいります。
横山利秋
118
○横山
委員
まことに大臣はわかりがよくて、たいへんけっこうであります。私もいま直ちにとは言いません。やはり不利になる場合といままでの分とのあれがあるから……。ある時期を経て、これはどう考えても理屈に合わぬから検討をしていただきたい。 その次は、澤口さんに率直にお伺いしたいのですけれども、どうも町へ行くと、司法書士は高いね、こう言うのです。これにはあなたのほうの言い分もあるそうだが、この際、町でちょっとやっただけであんなに取るという俗説——率直に俗説と言っておきましょうか。そういう話について、どういうお答えをいただけるか、一ぺん聞かしてもらいたいと思います。
澤口祐三
119
○澤口
参考人
報酬の規定に関しましては、大臣の
認可
に基づくものでございまして、これに違反した報酬を取ることは懲戒処分の対象とされておるのでございます。司法書士の報酬が高いというわを聞くことは、私どもにも耳に入ることはあるのではございますが、
現実
は決して高いとは言えない場合が多いのでございます。
一つ
一つ
の仕事の内容について細かく御説明申し上げるいとまもございませんが、たとえば
取引
価格が数百万円あるいは数千万円という不動産の売買を原因とする所有権移転の登記の嘱託を受けた場合にいたしましても、私どもの報酬は、わずか千数百円ぐらいしか受け取ることはできないのでございます。あとはほとんど登録税でございまして、報酬が高いと言う嘱託人は、往々にしてこの登録税を含めた金額を、司法書士の報酬のごとく誤解されておる向きもあるように思われるのでございます。
横山利秋
120
○横山
委員
その登録税が今度高うなったのです。これは大臣、町へ行きますと、登録税と印紙税が高うなったことは圧倒的に評判が悪いのです。しかも、私も大蔵
委員会
で反対をしたのですが、登録税は、いまやっておる人には現行どおりなんですね。これからやろうとする人に登録税をかげる。だから、反対する人はおらぬ。おれが司法書士をやる、おれは何やるという人はまだきまっていないのだから。 そこで、私は大蔵
委員会
で、早稲田の学生デモの騒動を引用した。早稲田の大学生——私もあのときに一年生の子供を持っておったのですが、いま入学しておる人間は授業料は高うせぬ、これから入ってくる学生に授業料を高うする、おまえらは高うなるのじゃないのだから、何もストライキせぬでもいいじゃないかと言ったときには、早稲田の大学生いわく、後輩のためにがんばらずして先輩の価値があるか、こう言って早稲田は大騒動になったのですよ。けれども、これから登録税を出す人はだれだかわからぬのだから、入学したい、さむらいになりたいという気持ちの人が集結されていないものだからいかぬ。そこへいくと、法務大臣は最も登録税や印紙税の責任者ではなかったか。あなたは、あの税法の
改正
のときに、さぞかし閣議で反対をしてくださったと思いますが、どうでございますか。
田中伊三次
121
○田中国務大臣 まことに申しわけありません。
横山利秋
122
○横山
委員
何だか申しわけないと言われると、どっちの話かわけがわからない。 そこでもう
一つ
、法務大臣にやはりぜひ考えてもらわなければいかぬということを伺います。 この間、民事
局長
にはほかの
委員会
でたいへんなおしかりをしたわけでありますが、不動産登記法十七条、十八条にこういうことが書いてある。「登記所二地図及ビ建物所在図ヲ備フ」、これは十七条。十八条の一項が「地図ハ一筆又ハ数筆ノ土地毎ニ之ヲ作製スルモノトシ各筆ノ土地ノ区画及ビ地番ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」、第二項、「建物所在図ハ一箇又ハ数箇ノ建物毎ニ之ヲ作製スルモノトシ各箇ノ建物ノ位置及ビ家屋番号ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」、こう書いてある。ちっともそれを登記所はやっておらぬ。できておらぬ。全然皆無と言っていいほどできておらぬ。これは、民事
局長
ちょっとむずかしい顔してござるけれども、実際問題としてできておらぬ。大体何ができるかというと、まあ私とおたくさんと争って話がついた、こういうふうにいたしました、争いのないものは
改正
する、あるいは建設省やどこかよその省が区画整理をやった、市町村がやった、それでこうなりましたからというやつは、ここにいう建物所在図を作製する。ところが、そんなものは法務省は何もやっていない。この
法律
的責任は法務省なんですよ。何もやっておらぬ。予算もついておらぬようですね。この
法律
ができたときから、もう何年になっておると思いますか。これは法務大臣のたいへんな責任であります。この件はまだ御存じないであろうとすら私は思うのでありますが、御
意見
を伺います。
田中伊三次
123
○田中国務大臣 最近、参議院で田中一さんの御質問がございました。私は、不都合なことでありますが、初めてなるほどと理解したわけでございます。これはなかなか短日月にできるものでございませんが、これも将来の問題といたしましては、法の規定するところに従いまして、極力これを充実さすように予算的にも
措置
を講じ、努力をしてまいりたいと存じます。
横山利秋
124
○横山
委員
私どもは、同僚諸君と相談して、きょう附帯決議をつくろうとしておるのですが、いまや問題となっておるのは登記簿と土地台帳の一元化作業ですね。これが一体いつごろ終わるのかわからぬ。この間
局長
の話を聞きますと、とにかくこれをやって、それから不動産登記法に
定め
る地図及び建物所在図の整備についてやるのだ、——百年河清を待つようなもんだ。だから、私は少なくともモデル地域をきめて、山梨だとかどこか
一つ
のモデル地域をきめて、集中的にこの不動産登記法にきまっておる仕事をやってみなさい。それをやることによって、少なくとも全国くまなくこれが実行の
段階
に移すには、どういうような人員、どういうような予算、どういうようなやり方が必要かということがわかってくる。私だって、全国一斉にあしたからやれと言ったってできぬことは承知しておる。何か、とにかく緒についてもらわなければ——
法律
にはきまっておるけれども、年々歳々ちっともやっておらぬということは、法務省の怠慢、きわまるではないか。これほど国民に重大な
権利
義務関係に影響のある、
法律
に明定されておることを、いささかもしてない、言うとおこられるかもしらぬけれども、
ほんとう
に緒についてないのですよ。これはぜひ来年の予算要求にして、具体的に実行に移してもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
田中伊三次
125
○田中国務大臣 一元化問題等に相応じて、ひとつ
法律
の規定の精神に従いまして、具体的に着手をする
計画
を立ててみたいと思います。
横山利秋
126
○横山
委員
澤口さんにもう
一つ
伺いますが、この
法律
では、司法書士の制度というのは
認可
ということになっておって、試験ということではないのですね。ところが法務局は、かってに全国画一的な試験をやっておる。
法律
では試験をやれとはいっておりはせぬ。
認可
制度になっておるのに、かってに試験をやっておるということは、これまたおかしなことだと私は思っておる。あなたとしては、将来、
法律
にきまっておるように
認可
式でやれというふうにおっしゃるか、あるいはいまの全国一斉の統一的な選考試験を、
法律
的に裏づけをしていきたいという
立場
をとられるか、どちらでございましょう。
澤口祐三
127
○澤口
参考人
昭和
三十一年、法
改正
により強制会に移行し、非司法書士の取り締まりと会の自治的統制の充実がはかられるとともに、選考も相当に高度な全国統一の選考試験が、法務省において指導
実施
されておりますので、有能な司法書士が漸次増加する傾向にあります。概して満足をすべきものであると考えているのでございますが、司法書士の選考につきましては、より一そう厳正な試験が行なわれまするよう希望するのでございます。 なお、近い将来におきましては、特別の資格を有する者の選考、
認可
のほか、国家試験制度を併用すべきものでなかろうかと存ずる次第でございます。
横山利秋
128
○横山
委員
時間がなくなりましたので、まだ二、三点御質問をいたしたい点がございまするけれども、また別の機会に譲りまして、きょうはこれで終わります。
大坪保雄
129
○
大坪委員長
澤口
参考人
には御多用のところ御
出席
をいただき、貴重な御
意見
を承り、本案の審査に御協力くださいまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしましてここに厚く御礼を申し上げます。どうぞ御退席ください。 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————
大坪保雄
130
○
大坪委員長
これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出
、
司法書士法
及び
土地家屋調査士法
の一部を
改正
する
法律案
に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大坪保雄
131
○
大坪委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————
大坪保雄
132
○
大坪委員長
本案に対し、自由民主党、
日本
社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が横山利秋君かう
提出
されております。 この際、本動議について
提出
者からその
趣旨
の説明を求めます。横山利秋君。
横山利秋
133
○横山
委員
朗読をもって説明にかえたいと思います。
司法書士法
及び土地家屋調律士法の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議(案)
政府
は、登記事務が国民の
権利
義務に関する重要な職務であること並びに司法書士。土地家屋調査士が登記に関する業務を取扱うものであることに鑑み、次の諸点の早急な実現について配慮すべきである。 一、登記簿と台帳の一元化を急ぐと共に、不動産登記法に
定め
る地図及び建物所在図の整備について最善の努力を払うこと。 二、司法書士会及び土地家屋調査士会が、健全に発展し、会員の研修を自主的に行うことができるようにするとともに、懲戒制度についても、自主的
措置
がなし得るよう、育成指導すること。 三、司法書士の試験制度も、土地家屋調査士のそれと同様に、国家試験を採用するよう努力を致すこと。 四、登記所の人員増加、設備の充実等について格段の努力を払い、速やかに自主的に登記事務の適切且つ敏速な
処理
を行うことができるようにすること。 右決議する。 以上であります。
大坪保雄
134
○
大坪委員長
本動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大坪保雄
135
○
大坪委員長
起立総員。よって、本動議は可決されました。 この際、本附帯決議に関し、
政府
より所信を求めます。田中法務大臣。
田中伊三次
136
○田中国務大臣 ただいま御議決いただきました決議案の
趣旨
の実現に対して、最善を尽くして御期待に沿いたいと考えております。
—————————————
大坪保雄
137
○
大坪委員長
次に、おはかりいたします。 ただいま可決されました
法律案
に対する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大坪保雄
138
○
大坪委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
大坪保雄
139
○
大坪委員長
本日の議事は、この程度にとどめます。 次会は、来たる十三日午前十時より
理事会
、午前十時三十分
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時三分散会