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菅野最高裁判所長官代理者 執行吏が
——昨年までは
執行吏と申しておりましたのですが、そういう
人たちが
事務を行なういわゆる
執行吏役場というものがある、これがお説のように、設備が十分でございませんで、場所によっては非常に狭隘であり、かつ
裁判所構内における場所等も非常に悪いところにございまして、それが
執行吏の行なう
事務の明朗化ということに妨げとなっておったことは事実でございます。それがゆえに、
執行官法におきまして、
執行吏役場というものの
制度を実は廃止したわけでございます。
執行吏は、
執行官が
執行吏であった当時も
裁判所の職員であったことには間違いないわけでございますけれども、それが特殊の
裁判所の職員として、いわゆる
執行吏役場というものを経営いたしまして、そういう意味で、
裁判所の
一般職員とは非常に違った形態の執務のしかたをしておったわけでございます。これがやはり誤解を招き、明朗化を妨げておったのでございまするので、
執行吏を完全な
一般の
公務員化というところまでは踏み切れなかった、すなわち恒久
制度化には踏み切れなかったわけでございますけれども、
公務員化の
一つの段階といたしまして、まず
執行吏役場という
制度を廃止いたしました。
役場という意味は、実は二つあるわけでございまして、独立採算制的な
一つの企業形態という意味での役場、それから
執行吏が執務いたします場所としての役場があった。で、この
執行吏が執務する場所としての役場というものが廃止されまして、
裁判所の
事務室と同じ扱いをするということになったわけでございます。そうなりますと、
裁判所といたしましても、従来といえども役場がそうみすぼらしい姿でよかったわけではありませんけれども、
制度が変わりました以上、従来のような役場の姿ではならないわけでございますから、さっそく
執行官法施行と同時に、この執務室というものの明朗化のために、一そうの努力を傾けてまいっているわけでございます。ただ、これは何と申しましても営繕的な予算を伴うことでございまするので、一挙にはまいりませんけれども、一番ひどかった、たとえば大阪の役場のごときものは、昨年すでにこれを仮設の役場ではございまするけれども、従来に比べれば数等明朗化された
執行官室ができたものと
考えております。それから実は大都市といたしましては、名古屋の
執行吏役場というものが地下室にございまして、その環境が非常に悪かった。それを何とか改めなければということで、まず競売場につきましては、従来地下室でやっておりましたのを、一階の、前に交通事件の法廷に使っておった場所を競売場に充てました。それから
執行官室は、これは名古屋の簡易
裁判所の新営の
関係がございますので、これが竣工いたしてまいりますれば、ことしの九月ごろには
相当程度
執行官室というものを是正できるものというふうに
考えております。さようにいたしまして、執務環境から明朗化をはかり、いろいろの誤解を生んでおったところをなくしてまいりたいと思うのでございます。
先ほど、
執行官と暴力団、あるいはブローカーというものとの結びつきというような点の御
指摘がございました。暴力団との結びつきということにつきましては、さようなことがあっては、これは国の司法権の最後の権利実現の段階の場所におきまして、さようなことがあってはならないわけでございますので、私どもは常に査察という
制度を通じまして監督をいたしておるわけでございまするけれども、しかし、なおいろいろ世間からは御批判を受けておるわけでございます。私どももいろいろの調査をいたしまして、いやしくもそういう事実があればこれを是正する監督権を持っておるわけでありまするから、監督の手をゆるめるわけにはいかないというふうに思っております。ただ、ここでひとつ御了解いただきたいことは、何ぶんにも
執行ということは、権利実現の最後の段階のぎりぎりの場面でございますので、そして実力をもって反対を押し切って、強制的に権利を実現する場でございます。債務者、
執行を受ける立場の者から言いますれば、非常につらい立場といいますか、そういうところに立つわけでございますし、強力的にやられるがゆえに、非常に暴力的と受け取られる場合もございまするし、それから
執行の場に出てくる人というものが、たとえば家の明け渡しあるいは家の取りこわしというような
執行になりますと、
執行官が一人でやるわけにまいりませんので、どうしても人夫を使わなければならないというようなことになりまするので、その人夫の
人たちというものの言動というものを十分に慎しんでもらわないと、しかし、なおかつ強力にやらなければならないというむずかしさがあるために、非常にむずかしいところがある、むずかしい場面が出てくるという点については、そういうところからいろいろの風評も出てまいりますが、誤解に基づく点も多々あるという点を御了解いただきたいと思います。