運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-05-16 第55回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)    午前十一時五分開議  出席委員    委員長 大坪 保雄君    理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君    理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君    理事 濱野 清吾君 理事 神近 市子君    理事 岡沢 完治君       千葉 三郎君    橋口  隆君       山下 元利君    加藤 勘十君       中谷 鉄也君    横山 利秋君       小沢 貞孝君    沖本 泰幸君       松本 善明君    松野 幸泰君  出席政府委員         法務政務次官  井原 岸高君  委員外出席者         法務大臣官房司         法法制調査部長 川島 一郎君         最高裁判所事務         総局人事局長  矢崎 憲正君         最高裁判所事務         総局民事局長  菅野 啓蔵君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 五月十六日  委員橋口隆辞任につき、その補欠として山手  滿男君が議長指名委員に選任ざれた。 同日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  中谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  旧執達吏規則に基づく恩給年額改定に関す  る法律案内閣提出第八八号)      ————◇—————
  2. 大坪保雄

    大坪委員長 これより会議を開きます。  この際、委員長から一言御報告を申し上げます。  かねて当委員会で論議のありました鹿児島地方裁判所地裁広報飯守裁判官の論文につきましては、その後最高裁判所当局のとられた措置について、本日福岡高等裁判所長官からの最高裁に対する報告文書が私の手元に提出されました。先ほど理事会で御協議を願ったのであります。このことを一応御報告を申し上げておきます。  横山君。
  3. 横山利秋

    横山委員 先ほど理事会で御報告を願ったわけでありますが、委員長のお取り計らいは、先般の委員会で私が事務総長にお願いした、五月六日高等裁判所長官から会同の席上において飯守裁判官に対して御注意があった内容について本委員会報告をされたい、それについて事務総長から承知をいたしましたといろ結末になっておるのでありますが、それにかわるものと理解してよろしゅうございますね。
  4. 大坪保雄

    大坪委員長 お答えいたします。横山委員の要望に沿うてなされたものであると了解をいたしております。
  5. 横山利秋

    横山委員 ありがとうございました。それでは、先ほど拝見いたしましたところによりますと、先般本委員会事務総長からお話をされました趣旨に基づいて行なわれたような状況だと私も判断をいたします。しかしながら、それによれば、飯守裁判官もその趣旨を了承をしたと御報告がされておるわけでありますが、問題は、前回もあったことでございますから、今後にかかると思うわけであります。したがいまして、そのとられた措置が、円滑かつ十分に行なわれるかどらかを私としては見守りたいと考えておる次第であります。  以上をもって私の質問を終わります。      ————◇—————
  6. 大坪保雄

    大坪委員長 旧執達吏規則に基づく恩給年額改定に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
  7. 大竹太郎

    大竹委員 まず第一にお伺いいたしたいのでありますが、今回のこの改正によりまして適用を受ける執行吏の数、それからできましたら年齢別の構成、これはちょっとわからないかもしれませんが、おわかりなら教えていただきたいと思います。
  8. 川島一郎

    川島説明員 私からお答えさしていただきます。今回の改定措置によりまして恩給改定を受けます執行吏人数につきましては、参考資料として提出してございます印刷物の八ページに表にして記載してございます。これを簡単に御説明申し上げますと、現在執行吏恩給を受けておりますものが一番下の欄に書いてございますが、六十五歳以上七十歳未満の者が二名、それから七十歳以上の者が六十四名、合計六十六名ございます。そのうちどれだけの者が今回の改定措置による恩給増額を受けるかという御質問であると存じますが、今回の改定によりまして、現行の十五万三千六百円という基準の額が、六十五歳以上七十歳未満の者につきましては十八万四千四百円に引き上げられますので、昭和三十八年九月三十日以前に退職した者がこれに該当するわけでありまして、これに該当する者は一名おるわけでございます。それから、七十歳以上の者につきましては、十九万七千五百円に引き上げられることになりますので、昭和三十九年八月三十一日以前に退職した者がこれに該当するわけでありまして、それに当たる者は五十六名おるわけでございます。したがいまして、この両者を合計いたしました五十七名が今回の措置によりまして恩給増額改定措置を受けることになるわけでございます。
  9. 大竹太郎

    大竹委員 次にお伺いしたいのでありますが、この五十七名でございますか、そのほかにあとのもございますが、現在この執行吏恩給受給者のうち、裁判所書記官とかまた事務官とか、こういうような普通文官前歴があり、普通恩給を受給している者はどの程度あるのでありますか。
  10. 川島一郎

    川島説明員 現在の執行吏恩給を受けております者のうち、文官普通恩給をも受けております者は、最高裁判所のほうでお調べになったところによりますと、四十五名程度あるということでございます。
  11. 大竹太郎

    大竹委員 それでお聞きしたいのでありますが、これらの執行吏は、結局普通恩給執行吏恩給と、それぞれ全額支給を受けておることになるのでありますか。その点は……。
  12. 川島一郎

    川島説明員 執行吏恩給とそれから一般公務員恩給とは、全然別個制度でございますので、そのそれぞれの条件を満たしている限りにおきましては、両方恩給全額支給を受けられるわけでございます。ただ、これは一般的な問題でございますが、恩給以外の所得が非常に高額であるという場合には、恩給の一部の支給を停止されるという規定がございまして、そういう高額な所得を受けておる者があるといたしますれば、そういう者は——実際にはあっても非常に少ないと思われますが。あるといたしますれば、そういう者は一部について支給を受けていないという結果になるわけでございます。
  13. 大竹太郎

    大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、執行吏恩給については、恩給法における一時金とか扶助料などの制度がないようであります。これはもちろん執行官になりましたらあれでありますが、あとのほうでもちょっとお聞きしたいと思うのでありますが、これは一体別々だという趣旨からいたしましても、当然あってもいいものではなかったかと思うのであります。そのときのお考えはどういうことだったのですか。
  14. 川島一郎

    川島説明員 執行吏につきましては一般公務員とは別個恩給制度が設けられているわけでございます。具体的に申しますと、一般公務員は、恩給法規定によって恩給を受けるわけでございますが、執行吏の場合は旧執達吏規則の第二十一条に、「執達吏ハ官吏恩給法ニ照シ恩給受ク」という規定がございまして、この規定によって恩給を受けるということになっております。したがって、一般公務員恩給制度執行吏恩給制度別個制度でございまして、その内容においても若干違う点があるわけでございます。この旧執達吏規則の第二十一条の規定が殺げられました当時におきましては、官吏恩給法には、現行恩給のうちの普通恩給増加恩給の二種類しか規定されていなかったわけであります。したがって、その当時におきましては、執行吏官吏恩給法に基づいて普通恩給増加恩給の二種類恩給を受けるということになっていたわけであります。その後官吏恩給法が廃止されまして、現在の恩給法が制定されたわけでございますが、この新しく制定されました現行恩給法では、普通恩給増加恩給のほかに、新しく一時恩給とか、扶助料といったようなものも規定されましたので、一般公務員はいま申しました一時恩給扶助料なども受けることができるようになったわけであります。しかしながら、執行吏の場合は、執達吏規則規定がそのままになっておりましたので、その恩給法規定解釈といたしまして、官吏恩給法当時に認められていた恩給種類、すなわち普通恩給増加恩給、この二種類だけが支給されるという解釈がとられて今日に至っているわけでございます。なぜこういうことになっておるかという点でございますが、官吏恩給法が現在の恩給法に振りかえられましたときに、国庫納金という制度恩給法に取り入れられました。そうして一般公務員は、俸給のうちから一定の割合を国庫に納めるということになったわけでございますが、執行吏につきましては、執行吏俸給制公務員でありません関係上、国庫納金制度適用がない。したがって、執行吏は国に対して一定の金額を納める必要がないということでまいったわけでございます。それで、いわばそのことと見合いの関係におきまして、執行吏につきましては従来から認められていた普通恩給増加恩給だけが支給される、それ以外の新たに認められた一時恩給扶助料は、執行吏には適用されない、こういう解釈がとられてきたわけであります。実質的にも執行吏公務員とは、一方は手数料制公務員であります、他方は俸給制公務員であるという点が違いますし、恩給法との関係におきましても、執行吏のほうは国庫納金を納める必要がない、一般公務員のほうは国庫納金を納める必要がある、こういった違いがございますので、その受けます恩給種類について差異が生じてくるということもやむを得ないのではな、いかというふうに考えております。
  15. 大竹太郎

    大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、今度執行官法ができまして、執行吏から大部分の者が執行官になったわけでありますが、そうなった場合には、執行吏から執行官になった者の恩給は一体どうなるのでありますか。執行吏であったときの在職年限も、今度の執行官になってからのものも、通算されるのでありますか、その点どうでしょうか。
  16. 川島一郎

    川島説明員 執行官につきましては、執行官法附則の十三条の第一項に規定がございます。それによりますと、「執行官は、恩給法の例によつて、」「普通恩給又は増加恩給相当する恩給を受ける。」ことができるということになっております。この制度は、内容的には、従来の執行吏恩給制度同一のものでございますが、根拠規定を異にいたしますので、執行吏恩給とは形式上は別個制度であるといわなければならないわけでございます。しかしながら、執行吏執行官は、これはつながりのある制度でありまして、沿革的にも執行吏が切りかえられて執行官になったという関係にございますので、恩給の点につきましても、執行吏執行官の間には、同一性を認めて取り扱うのが適当であろうということから、この二つの制度関係につきまして、特に執行官法附則両者関係についての規定が設けられております。それによりますと、執行吏をしていた者が執行官になった場合には、執行吏在職期間は、執行宮在職期間と通算して執行官恩給を受ける計算に組み入れられるということになっております。
  17. 大竹太郎

    大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、今度の新しい執行官法ができたについて、執行吏から執行官になった人でなくて、新たに執行官に任命された者の人数、また、その前歴についておわかりになっておりましたらお答え願いたい。
  18. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 具体的な問題でございますので、最高裁のほうからお答え申し上げたいと存じます。  裁判所書記官から執行官になりました者が十六名ございます。それから裁判所事務官からなりました者が一名ございます。それから家庭裁判所調査官からなりました者が一名ございます。それから検察事務官、これは地検の支部の課長をしておられた方でありますが、一名あるわけでございます。  以上でございます。
  19. 大竹太郎

    大竹委員 それでお聞きしたいのでありますが、新たに執行官になった人のいわゆる恩給でありますが、これは一般公務員とどう違っておるかということについて、大事なことだと思いますので、その点について具体的に御説明願いたいと思います。
  20. 川島一郎

    川島説明員 新たに執行官に任命された者もやはり執行官でございますので、先ほど申し上げました執行官としての恩給を受けることができるようになっておるわけでございます。しかし、この恩給制度は、先ほども申し上げましたように、執行官法附則規定に基づきまして設けられている恩給制度でございます。一般公務員恩給制度というのは、これは恩給法規定によって直接的に認められる制度でございますので、一般公務員恩給制度と、それから執行官法附則によって認められた執行官恩給制度とは、全然別個制度であるわけでございます。したがいまして、この両者の間には特別の関係はないわけでございまして、一般公務員執行官に新たに任命されたという場合には、公務員在職期間執行官在職期間とは、これはいずれの恩給計算についても通算されることはない、こういう関係になっております。  なお、一般公務員恩給執行官恩給とは、どういう点が違うかという点について簡単に申し上げますと、第一に、執行官恩給制度におきましては、普通恩給増加恩給の二種類しか認められていない。これに反して、一般公務員恩給制度においては、先ほど申しましたように一時恩給とか扶助料というようなものが認められておるわけでございます。範囲が違うという点がまず第一に異なるわけでございます。それから一般公務員の場合には、その受けます恩給年額というものは、公務員俸給年額基礎として計算される。ところが執行官の場合には、俸給を受けておりませんので、国威補助基準額基礎として恩給年額計算される、こういうことになっております。  それから先ほどもちょっと申しましたが、国庫納金制度、これは執行官につきましても、執行吏の場合と同様、納付する必要がないということになっております。
  21. 大竹太郎

    大竹委員 それでお聞きしたいのですが、国庫納金がないことはけっこうなんですが、結局、一時金というものがないということになると、恩給年限一ぱいつとめなければ、途中で何かのことでやめねばならぬというときには、それに対しての恩恵というものは全然ないということになると、率直に言って、国庫納金をしないのだからといえばそれまででありますが、いままでより待遇を非常によくして、執達事務官その他からひとつ執行官に移ってもらって、そうして若返らせようという御趣旨に反することになるのじゃないか。先ほど念のためにお聞きしたのですが、書記官なんかからは相当にいっていられるということなんですが、これらの人はもう書記官として、何といいますか、これは定年制はないのでありますからあれでありますが、そこへつとめているよりも執行官になったほうが一時的にも給与はよくなるという状態が現にあるわけなんでしょうか、それでないと、もっと書記官としてもつとめられる人だということになると、いまのようなことからいいますと、執行官になったといっても決して得じゃないと思いますが、その点はどうなんですか。
  22. 川島一郎

    川島説明員 お尋ねの点は確かにそういった面があるわけでございます。恩給権が発生いたしますためには、十七年間在職しなければならないわけでございますが、公務員を十年間つとめまして退職して、それから執行官を十年間つとめたという場合を考えますと、公務員も十七年間つとめていないし、執行官も十七年間つとめていないということで、いずれの普通恩給も受けられないという結果になりまして、こういう場合を考えますと、確かに在職期間の通算がないということは、執行官になります者にとって不利に作用するわけでございます。しかしながら、他面この制度別建てでありますために、かえって有利な場合も出てくるわけでございます。たとえば公務員を十七年間以上つとめまして、そこで退職いたしますと、公務員恩給権が発生するわけでございます。そのあとで今度執行官に任命されますと、その者は執行官になりました後も公務員恩給はずっと受けていられる。執行官恩給とは全然別の制度でありますから、執行官になりましても、公務員恩給を受ける権利は停止されないということになるわけです。そうして、さらにまた執行官を十七年以上つとめたという場合には、公務員恩給執行官恩給両方支給されるということになりますので、こういった面では、かえって制度が別であるということが有利に働くわけでありまして、御指摘のような不利益な点もございますけれども、ただいま申し上げましたような有利な点もあるわけでございまして、一がいにいずれとも断定しがたいのではないかというふうに考えております。  なお、執行官恩給制度につきましては、執行官法附則にも書いてございますが、今後さらに検討をして、必要な改善措置を講じたいというふうに考えております。その点もあわせて申し上げておきます。
  23. 大竹太郎

    大竹委員 そういたしますと、先ほど書記官その他からなられた方は、全部普通恩給のついておる人から大部分はなられた、こう了解してよろしゅうございますか、これは事実問題ですけれども……。
  24. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 大体において御質問のとおりの実態でございます。
  25. 大竹太郎

    大竹委員 次に、いまお話しの最後に出た問題でありますが、おそらくこの執行官法附則の十二条のことをおっしゃったんだろうと思うのですが、これをちょっと見ますと、執行官退職手当及び退職後の年金などについては、別途に必要な措置を講ずる云々という附則があるのでありますが、この附則を見て私は、これは附則といっても法律のようなものですが、法律としてはどうも変な法律で、委員会附帯決議のような法律だと思うのでありますが、いまお話があったのですが、これに何か具体的な案が考えられておれば御説明願いたいと思います。
  26. 川島一郎

    川島説明員 ただいまの点でございますが、率直に申し上げまして、現在のところ、まだここで申し上げるような具体的な案というものは持っていないわけでございます。執行官法が制定されましたときにも、この点は適当な措置があればそれを規定したいということで、検討が重ねられたように聞いておるのでありますけれども、なかなか問題がございますので、今後の課題として残されたというふうに聞いております。執行官法は昨年の十二月三十一日に制定され、施行されたばかりでございますので、その施行後の実績なども見ました上で、最高裁判所事務当局あるいは政府部内の関係機関とも十分相談をいたしまして、適当な措置を講ずるようにいたしたいと考えております。
  27. 大竹太郎

    大竹委員 終わります。
  28. 大坪保雄

  29. 沖本泰幸

    沖本委員 ただいまの大竹委員の御質問に重複するようなところがあるかもわかりませんが、その点お許しいただきます。  まず初めに、執行官執行吏関係性をもう少し御説明いただきたいのです。どういう順序で——段階がはっきりしておるものか、下からいけるものか、執行官から執行吏になるものか、執行吏から執行官になれるものなのか、そういう点、私しろうとなので、お伺いしたいのです。
  30. 川島一郎

    川島説明員 沿革的に申しますと、最初は執行吏というものがあったわけでございます。これは裁判所のいろいろな書類の送達であるとか、それから裁判所の裁判の執行、特に差し押えなんかの仕事でございますけれども、そういった仕事をする者として、執達吏という者が裁判所の職員として置かれておったわけであります。それが昭和二十二年に執行吏名前を変えたわけでございます。それでずっと執行吏としてまいったわけでございますが、この執行吏制度にはいろいろ問題があるということで、執行吏制度をもう少し改善したらどうかということがしばしば問題になりまして、当法務委員会でもその点の御指摘があったわけでございます。その結果、昨年制度を改正いたしまして、従来の執行吏をやめまして、それにかわるものとして執行官を置いた、こういう経過になっております。したがいまして、現在は執行吏というものはないわけでございます。
  31. 沖本泰幸

    沖本委員 ところが、一般新聞紙とかいろいろな記事を読むと、まだ執行官執行吏執達吏、こういうものがごちゃごちゃになって出ているのですね。で、一般国民は違った職種があるのか、あるいは同一人であるのか、一般的に考えるとさっぱり受け取り方がわからないわけです。まあ執行官代理人執行官であるというような社会的な誤解も現在十分あるわけなんですから、こういう点ははっきりした名前の徹底というものが、何かの形でなければならないと思うのですけれども、そういう点についてのお考えはありませんですか。
  32. 川島一郎

    川島説明員 ただいま申し上げました執行官法の制定によって執行吏執行官に切りかえられたというのは、昨年の十二月三十一日からでございまして、したがいまして、世間では執行吏執行官に切りかえられたということを、承知していない人も相当多いのではないかと思います。そういうようなところから、執行吏執行官との間の混同が生ずるのではないかと考えます。それと同時に、御指摘のように、執行吏とか執行官というものが、あまり世間的に重く評価されていないということも一つの原因になっていることと思われます。
  33. 沖本泰幸

    沖本委員 唐突に申し上げたのであれなんですが、一般新聞を読みましても、一つの事故の問題についても、新聞によって記事執行官になっていたり、執行吏になっていたり、同じものの扱いが、全然違う人があるような形で新聞に出るわけです。こういう点も混同しやすい点でもありますし、またいろんな訴訟問題で、国民には一番密接にこういういろいろな関係性が生じるわけですから、そういう点の身分的な問題を、そういうことに関係する人たちに、はっきりわかるような方法を今後とっていただかなければならないのじゃないか。また、執行官代理をする人たちのあり方についても、これは明らかに代理人であるというような点も、何かの形でわかるようにしていただかないと、たいへんな人たち執行官の肩書きを使っているように国民はとってしまうわけですから、そういう点について、今後はどういうふうなお考えをお持ちなんでしょうか。
  34. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。  法務省の調査部長から御説明申し上げましたように、執行吏というものは、制度上昨年の十二月からなくなったわけでございます。それから執行吏代理という制度が従前ございまして、これも廃止する方向に向かったわけでございますけれども、ただ現実にそういう者がおります関係上、その制度をなくしますとそういう人たちがすぐ職を失ってしまうという関係もございましたために、そういう執行吏代理執行吏代理の人も、当分の間は、そういう者が執行吏にかわって、代理として職務を行なうことができるということに執行官法はなっております。しかし近い将来において、そういう執行吏代理というものによって執行事務が行なわれるという姿はなくなっていく、それを私どもは目標としておるわけでございます。そういうわけでございますので、執行吏はなくなりまして執行官になったけれども、執行官代理してその事務を行なうというものが当分の間——臨時職務代行者とこう申しておりますが、それがしばらくの間は残るかと思います。  それで、もちろん両者の区別をはっきりさせるということが実際上必要でございますので、その君たちに持たします身分証明等におきましては、執行官執行官臨時職務代行者というものをはっきり区別しておるわけでありますが、外見上あるいは見分けにくいということもあるかもしれません。
  35. 沖本泰幸

    沖本委員 先日の委員会でも、雑談の中でいろいろ出たわけでございますが、裁判所控え室とか、変なところに部屋をもらっている、そういうようなことからして不明朗ではないか、こういうような御意見も伺ったわけでございますけれども、大体行ってみますと、ほとんど地下室のようなところとか、あるいは別の、何か陰惨な感じを受けるようなところにそういう方々がいらっしゃるわけです。おやりになります職務は、みな国民に対して同じ印象を与えるような職務執行されるわけです。そういう点につきまして、しばしば事件が起きておるわけです。  まず、暴力団と関係があるのじゃないですかと、こういう点なんですが、大阪あたりですと、柳川組は解散をした、手を加えられたというのに、柳川組に関係のある組員が、やはりこういう代理業務をやっているかっこうもあるわけであります。執行官という人は表に出ないで、そういう者がすべてこういう裁判所執行業務をおやりになっている形もあるのじゃないか。そういう場合には、裁判所というものの受ける印象と、その人たちの行なう職務との間に、国民にはたいへんな受け取り方の違いがあるわけですが、どうしても一般ではそういうふうにとっておるわけです。そういう点についてのお考えを承りたいのです。
  36. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏——昨年までは執行吏と申しておりましたのですが、そういう人たち事務を行なういわゆる執行吏役場というものがある、これがお説のように、設備が十分でございませんで、場所によっては非常に狭隘であり、かつ裁判所構内における場所等も非常に悪いところにございまして、それが執行吏の行なう事務の明朗化ということに妨げとなっておったことは事実でございます。それがゆえに、執行官法におきまして、執行吏役場というものの制度を実は廃止したわけでございます。執行吏は、執行官執行吏であった当時も裁判所の職員であったことには間違いないわけでございますけれども、それが特殊の裁判所の職員として、いわゆる執行吏役場というものを経営いたしまして、そういう意味で、裁判所一般職員とは非常に違った形態の執務のしかたをしておったわけでございます。これがやはり誤解を招き、明朗化を妨げておったのでございまするので、執行吏を完全な一般公務員化というところまでは踏み切れなかった、すなわち恒久制度化には踏み切れなかったわけでございますけれども、公務員化の一つの段階といたしまして、まず執行吏役場という制度を廃止いたしました。  役場という意味は、実は二つあるわけでございまして、独立採算制的な一つの企業形態という意味での役場、それから執行吏が執務いたします場所としての役場があった。で、この執行吏が執務する場所としての役場というものが廃止されまして、裁判所事務室と同じ扱いをするということになったわけでございます。そうなりますと、裁判所といたしましても、従来といえども役場がそうみすぼらしい姿でよかったわけではありませんけれども、制度が変わりました以上、従来のような役場の姿ではならないわけでございますから、さっそく執行官法施行と同時に、この執務室というものの明朗化のために、一そうの努力を傾けてまいっているわけでございます。ただ、これは何と申しましても営繕的な予算を伴うことでございまするので、一挙にはまいりませんけれども、一番ひどかった、たとえば大阪の役場のごときものは、昨年すでにこれを仮設の役場ではございまするけれども、従来に比べれば数等明朗化された執行官室ができたものと考えております。それから実は大都市といたしましては、名古屋の執行吏役場というものが地下室にございまして、その環境が非常に悪かった。それを何とか改めなければということで、まず競売場につきましては、従来地下室でやっておりましたのを、一階の、前に交通事件の法廷に使っておった場所を競売場に充てました。それから執行官室は、これは名古屋の簡易裁判所の新営の関係がございますので、これが竣工いたしてまいりますれば、ことしの九月ごろには相当程度執行官室というものを是正できるものというふうに考えております。さようにいたしまして、執務環境から明朗化をはかり、いろいろの誤解を生んでおったところをなくしてまいりたいと思うのでございます。  先ほど執行官と暴力団、あるいはブローカーというものとの結びつきというような点の御指摘がございました。暴力団との結びつきということにつきましては、さようなことがあっては、これは国の司法権の最後の権利実現の段階の場所におきまして、さようなことがあってはならないわけでございますので、私どもは常に査察という制度を通じまして監督をいたしておるわけでございまするけれども、しかし、なおいろいろ世間からは御批判を受けておるわけでございます。私どももいろいろの調査をいたしまして、いやしくもそういう事実があればこれを是正する監督権を持っておるわけでありまするから、監督の手をゆるめるわけにはいかないというふうに思っております。ただ、ここでひとつ御了解いただきたいことは、何ぶんにも執行ということは、権利実現の最後の段階のぎりぎりの場面でございますので、そして実力をもって反対を押し切って、強制的に権利を実現する場でございます。債務者、執行を受ける立場の者から言いますれば、非常につらい立場といいますか、そういうところに立つわけでございますし、強力的にやられるがゆえに、非常に暴力的と受け取られる場合もございまするし、それから執行の場に出てくる人というものが、たとえば家の明け渡しあるいは家の取りこわしというような執行になりますと、執行官が一人でやるわけにまいりませんので、どうしても人夫を使わなければならないというようなことになりまするので、その人夫の人たちというものの言動というものを十分に慎しんでもらわないと、しかし、なおかつ強力にやらなければならないというむずかしさがあるために、非常にむずかしいところがある、むずかしい場面が出てくるという点については、そういうところからいろいろの風評も出てまいりますが、誤解に基づく点も多々あるという点を御了解いただきたいと思います。
  37. 沖本泰幸

    沖本委員 先ほど名前の取り違えなんですが、沼津の新聞で、富士宮で執行官の不正事件を摘発されたわけですが、これでも執行吏あるいは執行官一般紙ではそういう扱いをしているわけです。それについて富士宮の百貨店のいさみやで、競売の入札の不正事件で、地裁の沼津支部の三人の執行官が収賄の疑いで逮捕された。これについては、裁判所内で党々と現金を受け取るなど、監督判事をなめ切った行動に走っておる。こういう点で裁判所内の綱紀粛正が強く叫ばれておる。あるいは四人とも逮捕ざれた。ここにおる執行官は全部逮捕されたということになっているわけなんですが、この事件の詳細な点をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘になりました四人のうち、三名が本年の一月三十一日に収賄ということで起訴されました。その起訴状によりますと三人の執行吏、すなわち宮木正義、多家功、それから小野沢定雄、この三人の執行官が収賄ということで起訴されたわけでございますが、このうち宮本は、昭和四十一年、昨年の六月二十四日でございますけれども、相被告人の林東周、高田喜一郎という者から、三万円の現金を、競売について利益を与えてくれということを知りながら受け取り、それから多家功は、やはり昨年の六月二十四日に、同じような状況のもとにカフスボタン、ネクタイピンセット一万円相当というものを受け取り、それから小野沢定雄はやはり同一日時におきまして、三万円の現金を受け取ったということ。それから、なお、小野沢につきましては三十八年の十月五日、遠山きよ子という者から現金二万円を受け取った。それから宮本正義は、一昨年の十二月三十一日に、やはりこの競売についての便宜を得さしてくれということで、命三万円を受け取ったという事実について起訴され、それからもう一名の樋川経雄という執行官は、競売調書変造をいたしまして、競売期日の延期がなかったのに延期があったような記載をした、そういうような事実を二度ばかりしたということで、ことしの二月十九日に起訴されておるわけでございます。
  39. 沖本泰幸

    沖本委員 そうすると、この沼津の支部の執行宮は四人しかいなかったそうなんですが、四人とも関連してしまったということになると、その後は空席になったわけでしょうが、埋まったのでしょうか。
  40. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 沼津の執行官は、御指摘のように、四人おったわけでございます。これが四人とも事故を起こしまして仕事ができなくなった。そこで、直ちに後任を選任いたしまして、ただいままでに三人選任いたしました。
  41. 沖本泰幸

    沖本委員 そうすると、この人たちを監督する監督判事さんがいらっしゃるわけですが、そういうところの責任問題になってはいないのでしょうか。全く監督判事さんの責任であるということも新聞ではいっております。それに関連してですけれども、こういう類似事件は、これはただ表面に出ただけであって、全国全般に同じような内容が、いわゆる事件になるかならないかの違いだけで、あるのじゃないでしょうか。いま私の手元に資料はないのですけれども、大阪でもやはり同じような内容で、競売人とそれから執行官とが、同じようにその場で安い値で売ってしまうというようなあれで、圧力をかけている事件が起きているわけです。これはその人が泣き寝入りになっているわけですけれども、聞きますと、結局いつも談合をやって、そして安い値でたたく、そのためにあわてて買い戻しにかかっていく、そういうからくりの中に、いわゆる裁判の判決の終末がそういうところで決着している。こういう問題は全般的にあるということをみな言っているわけです。査察をやっていらっしゃるというのですけれども、事実そういうものが表面に出ないで一ぱいあるということになりますと、先ほど言いましたとおり、厳粛な法の場所の中に、最終的には不正になって終わってしまっている、こういうことになるわけですけれども、もう一度そういう点に対して、査察制度を強化したとおっしゃっておりますけれども、どの程度なさったのであろうか、あるいはまた、先ほど裁判所内のいわゆる競売場のお話、あるいはいわゆる執行吏役場ですか、そういうものも改善したとおっしゃるのですが、どの程度改善されておるのか、その点について、もう一度御説明いただきたいと思います。
  42. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 起訴されました四名につきましては、さっそく休職処分になったわけでございます。これは刑事事件で起訴中でございますので、一般の原則によりますれば、有罪の判決があるまでは、その事実についてまだ確定したというふうな取り扱いができませんので、また、すべきものでもないと思っておりますので、その刑事裁判の確定を待って、確定的な処分がなされるものと思います。  と同時に、その監督責任といたしましては、執行官を監督いたしておりますのは、その所属する地方裁判所でございます。もう少し具体的に申しますと、地方裁判所の裁判官会議の責任であろうかと思います。  実は、この監督の制度につきましては、執行官の監督の制度というものは、これはやはりその身分といいますか、裁判所職員としての地位の特殊性から、特殊な制度のもとにあったわけでございます。すなわち、裁判所職員であるがゆえに、裁判所の監督のもとにある、裁判官会議の監督のもとにあるのでございますが、それでは具体的な監督ができませんものでございますから、いわゆる査察官というものが、従前の制度のもとにおいて置かれておったわけでございます。これは執行吏の監督規程というものがございまして、その規程によりまして、裁判官会議が査察官というものを指定いたしまして、その査察官が補助者を使いまして執行吏を監督するという形になっておったわけであります。これは、執行吏というもの、執行官というものは、普通の職員といわゆる課長があり、係長があり、そして一般職員があるというような、ピラミッド型の組織をなしておりませんものでございますから、そういう特殊の監督系統というものが必要であったわけでございます。  昨年の十二月、制度が変わりました。変わりましたけれども、それはいわば中間的な変なり方でございまして、やはり課長があり、係長がありというようなピラミッド型の組織に変わったわけではございません。しかしながら、従来の査察制度というものが、とかく不十分であるという点を認識いたしまして、監督の体制というものを改めたわけでございます。しからば、どういう点を改めたかということでございますが、裁判官会議があり、その下に査察官というものがあったのを、監督官を置くということにいたしました。それはただ名前だけを変えたのかということになりますと、そうではございませんで、従来の査察というのは、年に何回かきめて役場を査察するという形をとっておったのでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、執行官の役場という制度が廃止されまして——ということは、執行官というものが裁判所の中に取り入れられたという形になるわけでございます。そういたしますと、監督の形も、外へ出ていって査察をするということでなしに、常時監督をする。そういうために、監督官というものを置き、監督補佐官というものを置きまして、常時監督をできる体制に改めたわけでございます。  なお、従来執行官の不正事件として問題になりました点は、何と申しましても、金銭を扱います関係上、金銭の保管という点に正確を期さなければならない。そこに不正の赴きる余地もあったわけでございますけれども、これを執行官法に改めることによりまして、金銭の保管というものを、執行吏役場から、裁判所が責任を持ってこれを保管するという制度に改めたわけでございます。普通はその執行が、そういう制度に改めたからといって直ちに実施できるわけではなく、そこには予算的手当て、人員の手当ても必要である関係上、漸次やっていく。現に一部は裁判所が金銭を保管するということを始めたわけでございますが、予算的にも手当てができるに従いまして、全面的に裁判所で金銭を保管して、この点で不明朗なことをなくすということをここ数年のうちに完成いたしたい、かように思っておるわけでございます。
  43. 沖本泰幸

    沖本委員 ちょっとことばのあげ足を拾うようで悪いのですが、昨年に認識されたというふうに受け取れますけれども、さっきのお話ですけれども、こういう点を認識して改めるようにしていった、同時に執行官法ができた、と同時に監督官もつくっていたというのですが、こういうふうな類似事件はずっと以前から内容についてはよくお認めだと思うのです。ですから、そういう点を認めて変えていくようになったという時限を考えてみると、どうも私たちに納得できない。それでもう少し突っ込んで申し上げますと、この手数料制度というもの自体が悪弊を生んでいるのじゃないでしょうか。何か制度を改革するようなお考えはありませんでしょうか。
  44. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 裁判所のほうからお答えするのが適当かどうか、制度の問題になりまするので、法務省のほうからお答えがあろうかと思いますけれども、私ども実際に執行官制度を運用しております立場から申し上げますと、完全な公務員制度俸給制度の執行官が生まれるということは理想としては好ましいと思います。ただ現実の問題といたしまして、と申しますのは、俸給制にいたしますと、どのくらいの資格で俸給のベースをきめてもらえるかというようなこまかい点もございまするし、それから現実にそういうベースの俸給で、どの程度の人がきてもらえるかという人員の補充の面もございまするので、なかなか一がいに行えないむずかしい点があるということだけを申し上げておきます。
  45. 沖本泰幸

    沖本委員 ですから、一足飛びに申し上げると、こういうふうな印象を受ける方がどうして恩給がいただけるのだろうか、何も知らない国民はそう感じると思うのですけれども、いままでもいただいていらっしゃるわけで、それを廃止すべきであるという意見ではなくて、国民の立場に立って考えてみると、ちょうどチェックのアロハを着て、ものすごいズボンをはいた人たち執行官だ、こう国民は認識しているわけです。そうすると、その人たちがどういうわけで恩給を受けるのだろう、特に手数料の問題になるわけですけれども、車代とか、あるいは食事代、手数料もいろいろ取れる、あるいは立てかえ金という内容で取ることができるといいますけれども、実際は債権者が全部こういうものを出しておるし、ものすごい要求があるということもあるわけなんですけれども、そういうイメージをみな受ける人たちが、どうして恩給が出るのだろうか、こう国民が思わないことはないと思うのです。そういう点についてどうしても制度を変えてもらわなければならないのじゃないだろうか。あるいはガス会社だって制服を着るように最近はなっておるわけです。ですから、何かの形で区別されていって、この人が執行官である、あるいは代理する人の権限はこの程度であるということが、いわゆる差し押えを受ける人であり、あるいは何らかの法の制度上の問題を受けていかなければならない人たちにも認識できるようにすることが公平じゃないか、私はそう考えるわけです。いわゆる刑法上の問題で法の執行を受ける場合には、非常にきびしい規定のもとにあるわけですけれども、それと同じ裁判所で判決された内容について、同じ執行する立場にある内容が、民法の場合は全然違ってくる、こういう関係もどうしても矛盾を感じないわけにはいかないのです。けれども、いまいろいろ申し上げた点についてお考えがあったら述べていただきたいと思います。
  46. 矢崎憲正

    矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように不詳事件もございまして、まことに申しわけないと思っているわけでございますが、この方たちは有罪判決が確定いたしますと、懲戒免職になりまして、恩給はもちろん剥奪されるわけでございます。したがいまして、一般執行官の立場に立ってよく行なっておる方たちは、御承知のように、非常にいやな仕事でございまして、執行のために参りまして、そして家の明け渡しを、泣き叫ぶ中を判決を執行するとか、いろいろいやな仕事の面があるわけでございます。したがいまして、一部少数な者につきましては、有罪判決が確定すれば、ほとんど懲戒免で恩給権は剥奪されるということでございまして、他の執行官につきましては、そういう面も考えあわせまして、恩給制度は存続させていくべきではなかろうかというように考えているわけでございます。
  47. 沖本泰幸

    沖本委員 さらにつけ加えて申し上げますけれども、いわゆる暴力団が最近手入れを受けて、資金源に非常に困って、巧妙になって、さらに執行官代理をする方向に向かっておる、またそういう事実がある、これは大阪の場合ですが、聞いておるわけなんです。ですから、それは聞き始めだとおっしゃるかもわかりませんが、ざらにこの点についてはもう一度よく御調査をいただいて、こういう点は改善していただいて、国民がいずれの立場に立っても明朗に、そういう問題にすなおに従っていけるような方法に変えていただかなければいけないと私は思うわけです。  これは話が変わりますけれども、国家公務員の共済組合法の規定によると、その点と、現在の手数料制度からなっておる執行官の方が受ける恩給制度の中に、少し食い違いを感じるわけですけれども、四十年の参議院の委員会の記録を読みましても、その点がどうもはっきりしないのだ、こういうようなお答えがあったように見えるのですが、その関係はどうなんでしょうか。さらにその後いろいろそういう点について御研究なさったかどうかという点についてお答えいただきたい。
  48. 川島一郎

    川島説明員 御質問趣旨は、おそらく執行官恩給と、一般公務員の国家公務員共済組合法による給付との関係が、どうなっているかという点ではないかと思われますので、一応その点についてお答え申し上げたいと思います。  御承知のように、一般公務員につきましては、従来恩給法というものがありまして、恩給法上の給付というものが行なわれておったわけでございますが、その後国家公務員共済組合法というものができまして、一般公務員につきましては、従来の恩給制度がなくなりまして、それにかわって共済組合による年令の制度が設けられたのでございます。したがって、現在の恩給法というのは、過去に退職した公務員について恩給支給するという関係で主として意味があるということになるわけでありまして、現時点におきましては、今後退職する公務員については、国家公務員共済組合法だけが適用になるという関係になっておるわけでございます。そこで執行官については、なぜ恩給のままに据え置かれているかということでございますが、これは国家公務員共済組合法によりますと、共済組合に加入する公務員というものは、組合に対して、恩給一定割合に応ずる掛け金を納めることになっております。ところが執行官につきましては、俸給を国から受けるという形になっておりませんので、掛け金を算出する根拠がない。したがって、共済組合には加入できないということになるわけでございます。そこで、共済組合法による年金も、したがって支給されないということになりますので、とりあえずの措置といたしまして、昨年執行官法が制定されましたときに、一応恩給制度を維持していくということで規定が設けられているわけでございます。その関係執行官法附則の十二条、十三条に出ておるわけでございまして、やや特殊な例になるわけでございます。そこで、将来執行官恩給をどうするかという点については、さらに検討を加えて適当な制度を設ける必要があるわけでありまして、その点は先ほど大竹委員から御質問ございましたが、執行官法附則の第十二条に規定されている、こういう関係になっておるわけでございます。
  49. 沖本泰幸

    沖本委員 古い記録で非常に引用が悪いのですが、この共済組合制度ができたときに執行官も、当時は執行吏だったわけですが、そういう制度の中へ入れてほしいというような声があったというのですが、そうだったのでしょうか。
  50. 川島一郎

    川島説明員 特にそういう要望があったということははっきりいたしませんが、執行官法制定、立案する当時において、そういうことも考えてはみたということでございます。
  51. 沖本泰幸

    沖本委員 結局、この委員会のときのやりとりの中に、現在の国家公務員制度は、これは一つの論文について議論しておりますけれども、俸給制の普通の公務員を念頭に置いてすべてつくられているという点で、手数料制の、性格が非常にあいまいな執行吏制度とは、そこにいろいろな矛盾が生じておる。そういう点については、執行官自身がそういうような処遇を国家公務員法上受けるということは、その人たち自身の意識の上にも悪影響が同時にあると考えられるという点で、これは今後改善しなければならない点だ、こういうふうな話のやりとりがあるわけなんですが、改善されなければならない点はいまおっしゃった点だったわけでしょうか。さらにそのほかあるわけなんでしょうか。
  52. 川島一郎

    川島説明員 いずれにいたしましても将来の執行官のあり方というのが問題になるわけでございます。現在は抑せのとおり手数料制がとられております。この手数料制をそのまま今後も維持していくか、あるいは将来は俸給制執行官に切りかえたほうがいいのかどうかということが一つ根本にあるわけでございます。もし俸給制執行官というものをつくり出すということになれば、問題は比較的簡単に解決するということに思われるわけでございます。しかしながら、現在の手数料制もいろいろ長所がございまして、大都市などにおきましては、かえってそのほうが仕事に励みがつく、能率があがるというようなこともございます。それから完全な公務員にいたしますと、裁判所相当多数の人間を増員しなければならないといったような点もございます。そういった関係で、将来執行官をどういうふうに持っていくかというのが非常に大きな問題でございますけれども、その点はまだ現在のところでは執行官法が制定されたばかりでありますので、もう少し実績を見て考えなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。  それからいまの恩給の問題でございますが、これも将来執行官がどういう形に進むかということと関係があるわけでございますけれども、現在の執行官法が、そのまま維持されていくというふうに前提して考えました場合には、やはり現在の恩給制度をそのままいつまでも残しておくというわけにもまいらない。何かこれにかわる措置考えなければならないというふうになるわけでございます。その場合に、現在の手数料制のままで共済組合に加入することを認めるようにするか、あるいは全然別個の年金制度なり、退職金の制度というものを創設するかということが問題となるわけでありますが、その点は非常にむずかしい問題がありますので、もう少し検討して、これから適当な方法を考えていきたいと考えております。
  53. 沖本泰幸

    沖本委員 大竹委員の御質問のときにもあったのですが、書記官から執行官になるというようなお話があったわけですけれども、それに関連して、結局公務員の場合の十七年に満たない、恩給がなかったという点と、それから十七年の恩給がついて、執行官になっても、その恩給が生きてくる、こういう点で、損な面と得な面とがある、こういう御答弁があったと思うのですけれども、そういう点考えてみると、いままでの御発言を聞いておると、絶えず執行官の身分保障のいい点だけ一生懸命考えてあげておるというふうに受け取れるのですけれども、私が申し上げているのはそうじゃなくて、当然恩給といえば身分保障の問題でもあるのですから、そういうお考えも出るでしょうけれども、いわゆる先ほど手数料制、そういう点から悪弊が生まれて、実際一番困っているのは国民であるということは事実なんですから、そういう点をまず姿勢を改めて、こういう問題にかかっていただかなければならない。恩給法の改正があって、自動的にこっちへ影響してくる、スライドしていくということでなくて、この面は早急に何らかの制度に変えてもらわなければ、国民自体として納得できない、こう私は感じるわけなんです。ですから、実績を見てということよりも、この点をもっと具体的に早く研究していただいて、そうして俸給制度に改めるなり——そうすれば裁判所の費用が、ずいぶん人員の点も予算がかかってくるというお答えなんですけれども、国民のための法律なんですから、裁判所の都合で国民が困るということであっては困るわけです。そういう点はもっと立場を変えてお考えになって、早急に改善していただきたい、こういうふうに考えるわけですけれども、それに対してもう少し具体的なお答えをいただけないでしょうか。
  54. 川島一郎

    川島説明員 執行吏制度の欠陥ということにつきましては前々から非常にいわれておりまして、当委員会におきましても過去何年かにわたりましてこの点がいろいろ指摘されたわけでございます。その一番いけない点はどこかというと、いまおっしゃいました手数料制がまず問題になるわけでございますが、そのほかに、先ほど最高裁判所の民事局長のお話にもありましたように、執行吏が独立の役場を設けていて、いわば独立営業者のような形で仕事をしておる。債権者から執行の依頼を直接に執行吏が受け取る。そして自分の使用人を使って執行する。手数料などもいきなり自分が依頼者からもらう。そういう形で運営しておる、その事務のやり方にも問題があったわけであります。  そこで、これを何とかしなければならないということで、執行官法ができたわけでございます。その改正の要点といたしましては、従来の、役場を自分のかってな場所に設けて、そうして債権者とじか取引の事件の受け方をしておった。これを、執行官はすべて裁判所の中で執務しなければならない。それから事件を受けるには裁判所が受けて、その分配を受けて仕事をする、こういう形にしなくてはならないというふうに今度の執行官法の制定によって改められたわけであります。そこでその際、当然、従来の手数料制についてもどうするかということが問題になったわけでございます。これは先ほども申し上げましたようないろいろな問題があるので、この際はそこまで一挙にやるのはむずかしい点があるから、この程度で一応やっておこうということで執行官法ができたわけでございます。それで、執行官法が施行されましたのが昨年の十二月三十一日でありまして、まだ数カ月しかたっていないわけでございます。現在は、いままでの執行吏制度から、新しい執行官制度に移り変わりつつある過程でございまして、この執行官法が完全に理想どおりに執行されるようになりますれば、従来執行吏についていろいろいわれておりました弊害というものもよほど防げるのではないかというふうに考えております。  手数料制をどうするかという問題、これはいわば今後の研究課題として残されているわけでございますが、外国の制度を見ましても、執行官手数料制仕事をしているという例はかなり多いわけでございます。われわれとしては、理想的にはあるいは俸給制にもっていくほうがいいのではないかというような考えもいたしておるわけでございますけれども、これは問題が非常に大きい問題でありますので、もう少し今後の運用を見まして、その上で検討さしていただきたい、このように考えているわけでございます。
  55. 沖本泰幸

    沖本委員 民事局長さんにもう一度よくお聞きしておきますけれども、現実にまだ手元へ報告がきてないので、わかればすぐ持っていって見ていただくわけですが、事件が起きておりますので、監督官の方式をうんと活用していただいて、早急にこういう点を改めていただきたいわけです。暴力団は全然影をひそめてしまうように——裁判所の中で暴力団が執行官代理をやっておるということは、ほんとうに全く言語道断だといろことになるわけですから、こういう点は完全に早急に改まるように実行していただきたい、こう考えるわけでございます。その点はいかがでしょうか。
  56. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 大阪の暴力事件ということは、本日初めて承ったのでございます。さっそく調査いたしまして、もしそういう事実がございますれば、監督権を発動いたしまして十分な処置をとりたいと考えます。
  57. 大坪保雄

  58. 中谷鉄也

    中谷委員 私、一点だけお尋ねいたします。  競売屋とかブローカーといわれておるような人たちについて、競落許可決定をしない、チェックをするというふうな措置なども裁判所のほうで講じられるようになりましてから、執行吏役場の雰囲気というのはかなり改善されてきていると思うのですけれども、ただこの問題については、強制執行の実態との関係で、私自身も一体どういうふうに措置をしたらいいのかということについて、なかなかいい案がないのですけれども、執行官法にも書かれている労務者、要するに先ほど御答弁の中にありました人夫の問題がございます。家屋取りこわしの執行などは非常に困難な仕事だ、端的に言って、手の汚れる仕事だということで、なかなか人夫のなり手がない。そういうようなところに安直にと申しますか、組関係の人を、人夫ということで使うということが起きてくるのではないか。したがいまして、監督の面において、そこまで——あるいは執行官自身が、どういうかっこうで労務者を集めてくるかというふうな困難な問題があるわけでありまして、そういうふうなことが、いわゆる組関係の人が人夫というかっこうで執行に関与してくるということだろうと思うのですが、この点については局長さんのほうで、現在まで監督面においてどんな措置をおとりになったか、この点についてお答えをいただけませんでしょうか。
  59. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 御指摘になりました点は、実は執行官法制定の経過におきましても最も困難な問題の一つでございました。この人夫を規制する方法といたしましては、これを公務員にするというような措置でもとれば最も完璧な方法であろうかとも思うわけでございます。しかしながら、それにはそれでまた問題もございます。具体的に従来もその点で困りまして、実はそういう家屋取りこわしのための工事人夫といいますか、そういうものを認可の制度にしたらどうか。それから弁護士会のほうからそういう業者を推薦をしてもらって名簿をつくる。適当な者としての名簿を裁判所のほうで持っておるというようなことも考えたのでございますが、やはり弁護士会のほうの推薦ということもなかなかむずかしい面がありまして、職業の自由とかいうような問題もからんでまいります。この点につきましては、やはり制度だけの問題としては実は解決のできない面があるわけでございます。と申しますのは、競売の手続法の関係の改正ということも同時にやっていただかなければ、競売の合理的な運営というものができないというふうな認識に達しておるわけでございます。実はそういう面におきまして、制度としては中間的でありますけれども、先ほど執行官法というもので一応制度も固まってきたわけでございますが、それと同時に、法務省のほうに手続法の強制執行法の改正をお願いいたしまして、法務省のほうでこれに手をつけていただくことを裁判所としてお願いしておるわけでございます。
  60. 中谷鉄也

    中谷委員 政府委員の方からも御答弁がありましたように、執行という問題自体が決して愉快な、さわやかな問題でないわけですので、いろいろな問題が出てくると思うのですが、恩給のことに関係しましてもう一点だけお尋ねしておきたいと思います。これは執行官法の制定当時にもすでにもう論議されていることなんですけれども、もう一度お尋ねしておきます。要するに、手数料という制度のもとにおいて、たとえばずいぶん執行官の収入に差異があることは当然予想はできるわけですけれども、大都会の執行官はさておいて、いわゆる手数料の少ないほうの執行官の方はどの軽度の収入しかないか、この点についてひとつお答えいただけるようでしたらお答えをいただけませんでしょうか。
  61. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 その点につきましては、詳しい調査をしておるわけでございますが、きょうはその資料を持ってまいりませんでございました。しかし記憶で申しますと、ちょっと不確実になりますが、従来補助金の制度が二十数万円でございましたが、これで補助金を受けているという者が現にやはり十人足らずあったかと思います。そういたしますと、最初、年間の収入二十万という程度の者があったといわざるを得ないわけであります。それで補助金といたしましても二十万ということではとうていこれはやっていけませんので、これは執行官法の改正に伴いまして最小限度六十五万というところまで上げていただいたわけでございます。しかし、それが全部の人について六十五万ということならまあまあなんでございますが、実情といたしまして、執行官法施行後新しく執行官に任命された者につきましては最小限度六十五万は保障されるわけでございますけれども、執行官法制定以前の、昨年の十二月以前に任命された者につきましては、原則としては昔のままの補助金、ただいま二十八万になっておると思いますが、その程度の補助金しか出せないということになっておりますので、はなはだその点は不十分というふうに考えておるわけであります。
  62. 中谷鉄也

    中谷委員 執行官の涜職と申しますか、残念なできごとというのは、私よく統計を調べたわけではありませんけれども、むしろ収入の多い、手数料の多い大都会、本庁所在地の執行官の方にずいぶんそういう不祥事件があった。むしろ手数料の少ない方のほうが、ずいぶんそういう困難な仕事をやってくれていると私は思うけれども、いまの問題についてはひとつ御検討いただきたいと思います。  いま一つ執行官の人柄などによりまして、執行を受けるいわゆる債務者の気持ちなどもずいぶん違ってくる。それはひいては裁判所の信頼にも私はつながってくると思うのですけれども、そういうふうな人柄が私はずいぶん重要だと思います。  執行官の年齢なんですけれども、これももうすでに論議されていることだと思いますが、一番若い執行官の方、これは大体幾つぐらいの方がこういう、端的に申しまして私困難な仕事だと思うのですが、これに従事しておられるかどうか、この点についての御答弁をひとついただけませんでしょうか。
  63. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏の年齢は、平均的に非常に高いわけでございまして、その点で御批判を受けている、昨年の当委員会でも御指摘を受けているわけでございます。例外的には三十三、四歳の人が一番若いということでございますが、新しい執行官を任用するにつきましては、通達を出しておりまして、大体四十歳以上ということにいたしておるわけでございます。
  64. 中谷鉄也

    中谷委員 一点だけですけれども、執行官の方については、年齢の低い方がいいのか、それともある程度の社会的経験を持った年齢の方がいいのか、うんとお年をとられた方については若干執行の面でいろいろな問題も出てくるというふうなこともありまして、適当な年齢といいますか、それをきめるのは、これは継続的におやりになる仕事ですからむずかしい問題だと思うのです。ただ一つ、これは別のことになりますけれども、実務の面で、裁判所の監督なんです。実際に規則の五条にお書きになっているような、執行官職務執行する現場に臨んで、その職務執行を監察するというふうなことをおやりになっているのかどうか。何か裁判の結果の実現の最終的な場面というようなこともございまして、裁判官が執行の現場に行くというふうなことが、これはある意味では債務者自身に与える心理的な影響というようなこともあると思うし、実際実務的にこういうことはできるのだと規則には定められておりますが、事実上こういうことが行なわれているのでしょうか。この点をひとつ教えていただきたいわけです。
  65. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行の現場に臨みまして監督をするということは、問題といたしまして、御指摘のように債務者に対する関係もございまするし、それからやはり執行官職務というものは、これは独立の立場でなすという面があるわけでございますから、そこに干渉がましい面が出てきては困るということで、むずかしい点があるわけでございまするけれども、しかしやはり監督、査察の方法といたしましては、ある場合においては現場に臨まなければ、実効のあがる監督というものはできないわけでございます。しからばそういう実例があるかというお尋ねでございますが、全部が全部というわけではございませんけれども、たとえば競売揚の現場を裁判官がやはりちゃんと見ておるというところもあるわけでございます。それから差し押えの現場にも、執行官職務に、あるいは債務者の誤解を招かない限度で、現場に臨む方法で監督をしてくれということも可能でございます。
  66. 中谷鉄也

    中谷委員 ありがとうございました。
  67. 大坪保雄

    大坪委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は、来たる十八日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十八分散会