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川崎(寛)
委員 そのことは、日本の
教育制度について、たいへん重要な問題について
文部省が
中央教育審議会に付議をしていない具体的な例を後ほど取り上げます。しかし、
審議会の
役割りというものについては
大臣も御存じだろうと思います。
臨時行政調査会が三十九年の九月、中央省庁に対する改革意見を出しておりますが、この中で
審議会というものについての任務なりあるいは性格なり、そういうものを明確に整理をしておるわけです。でありますから、
中央教育審議会もそれにもとってはならない、こう思うわけであります。戦後
審議会を設けてきたゆえんというものは、「行政運営上、各種
専門知識の導入、公正の
確保、利害の調整、各種行政の総合調整等の
目的をもって設置される。」こういうのです。「戦前においては、多く勅令をもって設置され、普通「
委員会」と称し、
委員の構成には比較的
政府職員が多かった。戦後においてこの
制度は、行政の民主化」
——いいですか、これからが大事なんです。「行政の民主化または官僚行政の打破という観点から、行政
委員会
制度の採用と並んで重視されるようになったが、」こういうふうに書かれておるわけであります。行政の民主化、官僚行政の打破という点にたいへん重点を置かれ、この
審議会というものを置いてきておるわけであります。ところが、今日、行政
責任の不明確、つまり
責任官庁が隠れみの的に利用することがあるが、それはならぬ。行政
責任の不明確という点も、この中では
指摘をされておるわけであります。今日
中央教育審議会の
委員の任命は、
社会保障
制度審議会や雇用
審議会、あるいは
臨時行政調査会、そうしたものと比べますと、文部
大臣の一方的な、主観的な
基準の判断によって選ばれますので、ともしますと、
中央教育審議会が
文部省の隠れみのだ、こういうふうに
指摘をされておるわけであります。この点については文部
大臣も十分に御承知になっておる。
そこで、
審議会の
役割りというものが、このように行政の民主化あるいはは官僚行政の打破、そういう点から非常に重要なものとして
指摘されておるわけでありますが この
臨時行政調査会の勧告においても、
中央教育審議会については明確な勧告をいたしております。御存じであろうと思うのです。
教育行政の
内容は、党派的利害、特に政党政治からの中立性を保ちつつ、長期にわたって一貫した展望と安定継続した方針に基づいて、公正に決定
実施されるべきものである。この見地から、
現行の
中央教育審議会および
社会教育審議会を改組統合するとともにその権限を強化して、
学校教育行政のほか、
社会教育行政、大学学術行政および宗教その他一般文化行政に関し、その
制度および運営の総合的・基本的施策その他重要事項について
審議するものとするとともに、」、次が大事です。「
委員は広く
国民を公正に代表する者をもつて構成し、文部
大臣はその決定を尊重しなければならないものとする。」こうあるわけであります。
しかし、私が刷新
審議会の
委員の
基準等にも触れましたように、今日の
中央教育審議会というのは決して各界を代表しておる人ではありません。公の権利、義務というものが定められておりますけれども、そうした点についても十分ではないし、また、
教師集団の代表というものが入っていない。
中央教育審議会の前の
教育刷新
審議会には、
教師集団の代表として、日教組の代表もこの
教育刷新
審議会には入っておったわけであります。
社会保障
制度審議会等については、政治家あるいは労働計代表、雇用
審議会においても、労働者代表、中立として学者、そういうものが選ばれて、
社会保障
制度審議会の
委員の選び方、あるいは憲法二十七条を受けました雇用
審議会、中央
職業安定
審議会等の労使あるいは
専門的な中立、そういうものの選び方等からいたしますと、今日の
中央教育審議会は、臨調が
指摘をいたしております欠陥というものを、残念ながら持っておるわけであります。でありますから、私はその点を特に強く申し上げたい。そして都合が悪ければ、
中央教育審議会に付議をしないという具体的な例を申し上げたいと思います。
昭和三十一年四月七日、衆議院文教
委員会におきまする公聴会において、これは例のたいへんもめました
教育二法
改正の際の公聴会でございますが、
中央教育審議会を建議いたしました、
教育刷新
審議会の会長であります。元の東京大学の学長である南原
先生が、この点について、なぜ
教育二法
改正について
文部省は
中央教育審議会に諮問しなかったのか、こうたいへん強く言っておられるわけであります。つまり、
中央教育審議会の
委員に南原
先生がおられる、ぐあいが悪い、だから中教審に諮問していない、こういうことが明確に出ておるわけであります。そこでこの際、この
教育二法
改正に際しましては、
文部省はこう言っておる。
教育二法の
改正というものは、日本の
教育の根本的な問題ではないんだ、だから根本的な問題を検討願うときには臨時
審議会において諮問をいたします。こういうことを
教育三法
改正に際しては言っておるわけであります。最初に私が、今回の中教審に対する諮問が、日本の
教育制度の根本にかかわる長期のものかと言ったことに対しましては、そのとおりだと御
答弁になっておるのでありますけれども、この
教育二法
改正の際に、今後の
教育の基本問題については臨時
審議会において諮問をする、こういうふうに
答弁をしていた当時の
文部省の態度からいたしますと、この
中央教育審議会というものが、
教育刷新
審議会から変わって、
文部省の一方的な、直属的な、そして文部
大臣の都合のいいような
委員の任命によって行なわれる
中央教育審議会になってまいりましたので、安心をして今回は答申をしておる、こういうことになっておるわけであります。でありますから、そういう基本的な問題、根本的な問題については臨時
審議会において諮問をするんだということを言っておりました。その点はいかがでありますか。