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1967-07-19 第55回国会 衆議院 文教委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 久保田藤麿君 理事 坂田 道太君    理事 中村庸一郎君 理事 西岡 武夫君    理事 八木 徹雄君 理事 小林 信一君    理事 長谷川正三君 理事 鈴木  一君       菊池 義郎君    久野 忠治君       河野 洋平君    竹下  登君       葉梨 信行君    広川シズエ君      三ツ林弥太郎君    渡辺  肇君       唐橋  東君    川村 継義君       小松  幹君    斉藤 正男君       平等 文成君    三木 喜夫君       山崎 始男君    吉田 賢一君       有島 重武君    山田 太郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君  出席政府委員         文部政務次官  谷川 和穗君         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部省体育局長 赤石 清悦君         文部省文化局長 蒲生 芳郎君  委員外出席者         国税庁直税部法         人税課長    中西  清君         文部省文化局審         議官      安達 健二君         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 七月十八日  委員吉田賢一君及び有島重武君辞任につき、そ  の補欠として佐々木良作君及び大野潔君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  吉田賢一君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員大野潔辞任につき、その補欠として有島  重武君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十五日  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案小林武君外一名提出参法第一〇号)  (予) は撤回された。 同月十四日  学校図書館法の一部改正に関する請願菊池義  郎君紹介)(第三四一〇号)  同(池田清志紹介)(第三五四三号)  同(稻村左近四郎君紹介)(第三五四四号)  同外五件(小川半次紹介)(第三五四五号)  同外五件(小川平二紹介)(第三五四六号)  同(奧野誠亮紹介)(第三五四七号)  同(亀山孝一紹介)(第三五四八号)  同(佐藤孝行紹介)(第三五四九号)  同(砂田重民紹介)(第三五五〇号)  同(田中正巳紹介)(第三五五一号)  同(竹内黎一君紹介)(第三五五二号)  同(徳安實藏紹介)(第三五五三号)  同外一件(永山忠則紹介)(第三五五四号)  同(西岡武夫紹介)(第三五五五号)  同(古屋亨紹介)(第三五五六号)  同外十四件(三ツ林弥太郎紹介)(第三五五  七号)  同(村山達雄紹介)(第三五五八号)  同(和爾俊二郎紹介)(第三五五九号)  同(渡辺栄一紹介)(第三五六〇号)  学校教育費財源措置に関する請願下平正一  君紹介)(第三四二五号)  同(中澤茂一紹介)(第三四二六号)  同(原茂紹介)(第三四二七号)  同(平等文成紹介)(第三四二八号)  同(小川平二紹介)(第三四七五号)  同(小沢貞孝紹介)(第三四七六号)  同(吉川久衛紹介)(第三四七七号)  同(小坂善太郎紹介)(第三四七八号)  義務教育における毛筆習字必修に関する請願(  鹿野彦吉君紹介)(第三五六一号) 同月十五日  学校図書館法の一部改正に関する請願外十八件  (神田博紹介)(第三六七七号)  同外十四件(船田中紹介)(第三六七八号)  同外一件(小川半次紹介)(第三七八三号)  同(岡崎英城紹介)(策三七八四号)  同外六件(久保田藤麿紹介)(第三七八五  号)  同外二件(永山忠則紹介)(第三七八六号)  同(森義視紹介)(第三七八七号)  同(吉田之久君紹介)(第三七八八号)  学校教育費財源措置に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第三七二一号)  国際民族音楽評議会日本大会開催助成に関する  請願床次徳二紹介)(第三七八二号) 同月十七日  藤原宮跡の保存に関する請願外五件(床次徳二  君紹介)(第三九一八号)  同外十一件(小林信一紹介)(第三九一九  号)  同外四件(斉藤正男紹介)(第三九二〇号)  同外二件(笹山茂太郎紹介)(第三九二一  号)  同外一件(竹下登紹介)(第三九二二号)  同外四件(中村庸一郎紹介)(第三九二三  号)  同外三件(長谷川正三紹介)(第三九二四  号)  同外一件(鈴木一紹介)(第四一〇四号)  同外一件(八木徹雄紹介)(第四一〇五号)  各種学校制度確立に関する請願櫻内義雄君紹  介)(第三九二五号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外十三件  (内田常雄紹介)(第三九二六号)  同(塚田徹紹介)(第三九二七号)  同外一件(永田亮一紹介)(第三九二八号)  同外十二件(西村直己紹介)(第三九二九  号)  同(廣瀬正雄紹介)(第三九三〇号)  同(藤波孝生紹介)(第三九三一号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第三九三  二号)  同(田中正巳紹介)(第四一〇六号)  自閉症児教育施設等整備に関する請願(吉  田之久君紹介)(第三九四五号)  学校教育費財源措置に関する請願増田甲子  七君紹介)(第四一〇七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十七日  義務教育施設等整備充実に関する陳情書  (第  四二七号)  在日朝鮮人民族教育保障に関する陳情書  (第四二八号)  同外一件  (第四八四  号)  日本学術振興会法案等反対に関する陳情書  (第四  六七号)  自閉症児教育施設等整備に関する陳情書  (第四六八号)  女子教育職員育児休暇法案成立促進に関する  陳情書  (第四六九号)  学校警備員の設置に関する陳情書外一件  (第四八三号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  オリンピック記念青少年総合センター法の一部  を改正する法律案内閣提出第七一号)(参議  院送付)  著作権法の一部を改正する法律案内閣提出第  二六号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小松幹
  3. 小松幹

    小松委員 先般の質問の残りでございますが、センター運営している人の数、従業員の数をこの前お尋ねしたままになっております。
  4. 赤石清悦

    赤石政府委員 青少年センターは、役員といたしましては理事長一名、理事三名でございます。うち常勤二名、非常勤一名。監事二名で、うち常勤一名、非常勤一名でございます。職員は六十一名でございます。しかし、本年度予算におきまして十七名のプラスが認められまして、計七十八名でございます。
  5. 小松幹

    小松委員 七十八名のうちで、料理関係を扱っている人は何人ですか。
  6. 赤石清悦

    赤石政府委員 御承知のように、この種の施設はみずから食堂を経営することはなかなか困難でございますので、民間会社に対しまして、いろいろな選考基準を設けまして委託いたしております。でございますので、料理を特に担当いたします職員はおりません。
  7. 小松幹

    小松委員 それじゃ、委託経営で、差し入れさしているというわけですね。中ではやらないで、外からとるわけですね。
  8. 赤石清悦

    赤石政府委員 差し入れではございませんで、特にしっかりした業者を中に入れまして、そこで請負をさせているわけでございます。
  9. 小松幹

    小松委員 そうすると、請負人員は、そのセンター職員の中に入っていないわけですね。
  10. 赤石清悦

    赤石政府委員 さようでございます。
  11. 小松幹

    小松委員 そうすると、七十八名の職員というのは何をおもにやるのか。
  12. 赤石清悦

    赤石政府委員 六十一名の場合の内訳で御説明いたしますと、事務局長部長課長係長係員等を含めまして二十三名が普通の事務をとる職員でございます。それから、いろいろな研修をいたします場合に、研修のお手伝いをしたりする指導員が二名でございます。それから医師、看護婦が二名でございます。あとはもっぱらセンター運営するに必要な技能労務職員でございまして、それが三十四名でございます。
  13. 小松幹

    小松委員 技能労務職員というのはどういう役割りですか。
  14. 赤石清悦

    赤石政府委員 ボイラーマンとか電気工事関係、それから守衛さん、そういう一切の現場的な職員のことを総称いたしております。
  15. 小松幹

    小松委員 そうすると、清掃関係研修者にやらせるのですか、あるいは清掃会社を入れておるのか、職員がやるのか。
  16. 赤石清悦

    赤石政府委員 大がかりな清掃につきましては、やはり現在の職員をもってしては不十分でございますので、ときどき外部に頼みましてやっておりますが、小さなものにつきましてはこうした技能労務職員が手分けしてやる、こういうたてまえをとっております。
  17. 小松幹

    小松委員 平常の宿泊の人数などは、大体どのくらいですか。
  18. 赤石清悦

    赤石政府委員 これは昨年度の実績からいたしまして、非常にたくさん入る時期と、この前、先生から御指摘がありましたように、やや閑散とした時期がございます。それらを平均して申せば、千七百名の定員に対して三、四〇%でございますから、平均いたしますと五、六百人ということになるわけでございます。
  19. 小松幹

    小松委員 給与平均ベース幾らになっておりますか、年末手当等を含めて。
  20. 赤石清悦

    赤石政府委員 恐縮でございますが、まだセンターの人も見えておりませんので、ちょっと計算しないと出てまいりません。具体的な数字につきましては、あとでお答えさしていただきたいと思います。大体、国家公務員に準ずるというたてまえをとっております。
  21. 小松幹

    小松委員 国家公務員に準ずるといっても、独立採算制を与えられておるものは、平均ベースくらいぱっとわかるようにならなければ、経営者としておかしいじゃないですか。七十何人かかえるのでしょう。平均ベースを四万にとるか、三万にとるか、五万にとるかによって、経常経費がたいへん違ってくるのです。その平均ベースが一ぺんにつかめないようじゃ、これは独立採算のかまえもちょっとおかしくなるわけです。しかも二十三人がかりで六百人を平均まかなって——職員ですよ。部長課長課長補佐係長もあるかもしれぬが、二十三人のそういう役職的なものでこなさなければ、労務管理は別ですけれども電気とかボイラーとか掃除とかは別にして、二十三人のいわゆるホワイトカラー的な職員というものがおって六百人くらいなのは、どういう処理をしているのか。そうすると、そういう人たち平均ベースはどうなっているのか。将来そういう構成が、いま平均ベース四万円だったとしても、これから三年、五年たてばそれは六万円ベースにならざるを得ない。首切るわけにいかない。大体同じ年齢の者がずっと並行的に三年、五年続いていけば、現在の平均ベース四万円も、三年、四年先には平均ベース六万円くらいになるかもしれない。その辺の勘定がちょっとわからないのですか。わかる人はございませんか。
  22. 赤石清悦

    赤石政府委員 私ども特殊法人センター指導、監督という立場でございまして、直接のあれじゃありませんが、しかし、いまのような数字ははっきりつかまえる必要があることを感じます。いまセンターのほうに連絡いたしておりますので、いずれ参ると思いますが、いま御指摘の、平均ベースが高くなっていくことは確かに事実であろうと思います。また、この種の特殊法人につきまして人材を擁するために、国家公務員に準ずるとは申しながら、やはり給与の面において若干のくふうを加えなければ、なかなかうまくいかないということも事実であろうと考えまして、いろいろとくめんをいたしておるところでございます。
  23. 小松幹

    小松委員 そうすると、バランスシートもおたくのほうでわかっておりませんですね。わかっておりますか。経営バランスシート、そのバランスシートの中に減価償却は見ているか、見ていませんか。
  24. 赤石清悦

    赤石政府委員 この種の法人は、減価償却は見ないでもいいということになっておりますので、見ないでおります。  それから、先ほどの給与平均でございますが、理事とか部長、そういうものを全部含めての給与が出たんでございますが、先生の御指摘職員だけの平均給与は、大体の見当はつきますが、正確な……。
  25. 小松幹

  26. 赤石清悦

    赤石政府委員 人件費トータルは七千五百四十五万一千円でございます。月にいたしまして六百万程度でございます。
  27. 小松幹

    小松委員 そんなになりますか。そんなにならないでしょう。六百万というと、あなた、八万円で七十何人でしょう。八、八、六十四で、八万円弱の平均ベースを持たなければ六百万になりませんよ。私は四万と見ておいた。八万の平均給与になると、相当商い給与になる。
  28. 赤石清悦

    赤石政府委員 これは昨年度の決算ではございませんで、本年度予算でございますので……。
  29. 小松幹

    小松委員 予算で月に八百万……。
  30. 赤石清悦

    赤石政府委員 六百万でございます。これはもちろんいろいろな手当宿日直、全部含めてです。——もう少し、本俸だけについて申しましょう。本俸は四千二百万円になっております。
  31. 小松幹

    小松委員 六百万の人件費に、今年は職員をふやして八十人と見ますね、七十八人になりますけれども、八十人と見た場合に、平均ベース七万五千円というと、これは相当職員ということになる。理事さんあたりは相当取ることになると思うのですが、まあそれはいいでしょうが、そうした場合に、逆算してまいりますと、六百人の平均宿泊を見、それをとっていきますと、今年はどのくらい——去年は十五万五千の延べ宿泊者ですが、ことしは延べどのくらいに覚ますか。
  32. 赤石清悦

    赤石政府委員 昨年度延べ十五万五千、約十六万の収容人員でございましたが、本年度この法案が通りますとさらに収容人員がふえますし、それからまた、いろいろな利用状態に改善を加えまして従来の利用率を高める、こういうことでございます。ただし、増加投資分は大体一年の半分しか使えませんので、大体見積もりまして、昨年の十五万に対しまして、ことしは見当といたしまして二十万程度を目標といたしております。
  33. 小松幹

    小松委員 そうすると、二十万を十二カ月で割りまして月に二万六千、それを日に直しますと約六百人になるのですが、六百人の宿泊で六百万円の利潤——利潤と言ってはおかしいが、とにかく水揚げから食い落としを引いて、かりの利潤というものがあがらないと人件費だけでも落とせないわけですが、そうすると、学生一人の宿泊からどのくらいの上前をはねなければ、その人件費が回らないと計算していますか。
  34. 赤石清悦

    赤石政府委員 御承知のように、財源収入の項目は宿泊料収入と、今度スポーツ研修館ができまして、また従来研修室がございますが、そうした研修館利用料もちょうだいいたしております。また体育館の体育室も、これはもちろん有料でお貸し申し上げる、こういうことになっておりますので、宿泊料をあまり上げることは一般大衆青年利用に対して非常に妨害になりますので、できるだけ宿泊料は低廉に押える。また各方面の研修施設をフルに利用してもらって、十分まかなってまいりたい、こういう計算をいたしておりますが、しかし、年度末にならなければ、そのはっきりした収支相対関係が明らかにならないと思っております。
  35. 小松幹

    小松委員 年度末にならなければ明らかにわからぬわけでしょうが、独立採算制というたてまえに立っておれば、これは相当バランスシートを立ててやらない限りは、出たとこ勝負経営になってしまうと思う。だから、管理者である体育局のほうで一年間のバランスシートくらいは持っておらなければ、これは出たとこ勝負経営であるとしか考えられない。理事長まかせだ。そのために体育局管理しておる。バランスシートの一枚くらい持っておれば、経営大かたくらいつかめるんだ。実際、私がちょっと見たところでは、人件費六百万をとにかく捻出しなければならぬ。それに管理費があるわけです。人件費六百万プラス管理費をどのくらいに見ておるんですか。
  36. 赤石清悦

    赤石政府委員 本年度予算からして大体の考え方を御説明いたしますと、支出の合計二億二千万円。ここの収入予算としては一億八千二百万円ございます。その差額が三千八百万円ございますが、その差額分は国庫より補てんをする、こういうことで、一応の収支とんとんにさせていただいております。  いま御指摘管理運営費は、約一億二千万円ほど見込んでおります。人件費は、職員給与が七千五百万円、それから諸役員給与でございます。大体そういう点が全体の収支のバランスでございます。
  37. 小松幹

    小松委員 年間の管理費が一億二千万円というと、月一千万円の管理費になりますね。
  38. 赤石清悦

    赤石政府委員 さようです。
  39. 小松幹

    小松委員 そうすると、どういう管理費の使い方をするか。私の聞いた管理費とあなたの言った管理費とはだいぶ違いがありますが、管理費として見た場合に、普通の経常管理費が一千万円かかるという管理は、どういう管理をするんですか。
  40. 赤石清悦

    赤石政府委員 一億二千万円のうち、一番多いのは管理運営諸費でございますが、そのうちで最も多いのは消耗品費の三千四百万円、それから光熱給水費の二千六百万円、設備費の二千百万円、各種修繕費の一千万円、それから、昨年度赤字返済金として一千二百万円、これがおもな管理運営費でございます。
  41. 小松幹

    小松委員 管理費の中に去年の赤字を入れるのは、簿記上どういうことですか。管理費の中に去年の赤字を繰り込んで、管理費を計上するなんて計算はおかしいじゃないか。管理上から出た赤字であろうけれども、一年たって決算したらまた管理費の中に入れる、そういう経理のしかたはないはずです。
  42. 赤石清悦

    赤石政府委員 できるだけ、このセンターをして、政府補助以外においては独立採算制をしていただこう、こういうたてまえでございますので、昨年度返済金につきましても、管理運営費に入れて便宜処理させていただいている次第でございます。
  43. 小松幹

    小松委員 赤字処理管理費にぶち込んでいくという経理のしかたはおかしい。私はそれを追及しているわけでないんで、派生的に出たのですが、赤字だったら赤字経理上きちっと計上して、それに対する対処を考えればいい。それを本年度管理費の中に入れて、償却していくというのはおかしいと思うのです。  それにしても、管理費が月に一千万円、人件費が六百万円、月に一千六百万円は絶対に出さなければ赤字になるということです。そうでしょう。そうなれば、どうしても研修青少年上前をはねなければ、月に一千六百万円の純粋な人件費管理費だけでも上がってこないと思うのです。そうなれば、六百人か八百人の宿泊なりあるいはそういう研修の場を提供したとしても、かなりの青少年研修者の、いわゆる上前をはねていかなければ、月々一千六百万円の実質管理費実質人件費は補えないと考えるわけなんです。そうすれば、この経営は、二十万人から割り出してもこれは赤字になるという前提経営になっておる。月に千六百万円、まるまる三十日で割った場合に、日に六百人から七百人を泊めていく計算にしなければならない。そうすると、一人の宿泊料幾らと見ているか知らないが、三百円か四百円の上前をはねなければ、千六百万円の月々経常経費をまかなえないということになる。もちろん、それはとんとんにいく、いわゆる赤字予算を出さないという経営のネックが前提にあるけれども、そうなるとこれは相当利潤計算を見積もっておかなければ赤字は解消できない、こう私は考えるんですが、どうなんですか。
  44. 赤石清悦

    赤石政府委員 基本的に申せば、いま先生の御指摘のような基本性格を持っているだろうと思います。したがいまして、このセンター運営費予算がきまります場合、私ども文部省と、補助金を出す関係で大蔵省とセンターの三者でいろいろ相談いたしまして、文部省といたしましては、新設途上でございますし、まだいろいろな点に不備がございます。また、一般大衆青年から多額宿泊費を徴収することはいかがであろうかといった点から、その上がる収入については現実に合うように考えたい。そうして国からの補助につきましては、その差額を補てんするということでございますので、それがやや多目になるようにというふうに考えて、いろいろと予算要求をいたすのでございますが、何ぶんいろいろな財政当局の考えもございまして、落ちついた点から申せば、御指摘のように去年千二百万円の赤字を計上されております。今年度もその赤字をできるだけ解消し、利用率を高めていこう、こういうことで努力いたしておるのでございますけれども、やはり年度末になってみないとわかりませんし、また、年度末になってみてその赤字が解消どころか、ふえていく可能性もあるかもしれない、こういう点を考えまして、このセンター運営についての基本的なあり方について、過去、ことしを含めて二、三年の経緯にかんがみまして、基本的に将来この問題を考え直す、もしくは検討し直す必要があろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、いま御質問ございましたが、私ども決して多額とは思っておりませんが、一応使用料といたしましては、中学生が二百円、高校、青年学級が二百五十円、一般勤労青少年その他四百円、こういうふうに考えております。食事は別でございます。
  45. 小松幹

    小松委員 そうすると、食事は別にして、食事請負にやらせておるということになれば、そういう四百円、二百五十円、二百円というのは、こちらを埋めていく金になるわけですね。それにしても管理費が一千万円、人件費が六百万円、計千六百万円の月々の出費を重ねていくということは、これは安く見積もっても相当費用を食っていくわけです。そうなれば、このバランスシート赤字バランスシートしかできないと見て、これをとんとんに持っていくというのは、先ほどのように去年の赤字をことしの管理費の中にぶち込んで、管理費用補助金を取るというおもしろいやり方をしなければ、うそのごまかしをしなければ、つじつまが合っていないのである。出発の当初から赤字管理費の中にぶち込んで、うやむやのうちに償却していこうというような形の経営をして、しかも二十万人の宿泊から見て逆算していっても相当赤字か出るという——二十万人が入るか入らぬかは別にして、予定の二十万人から逆算していっても赤字構想バランスシートしか出ないということになれば、独立採算という形は、もはやこの経営では単価を相当上げなければできない。いまでさえ一人に四百円の使用料を取る。宿泊の場合四百円のもうけになるわけです。食費は抜きで下請けでやっているから、四百円はまるまる取っている。こういうことになれば、これは大臣にお尋ねしますが、青少年研修するという全国版文部省墨つきセンターにおいて、一人四百円のいわゆる研修費をあえて取らなければ日本青少年研修ができないのかという本論に返らざるを得ないわけです。さらに、これをもつと綿密に赤字対策を解消していくとするならば、四百円はさらに五百円くらいには——食費は別にして、純粋に利潤的なもうけを考えなければこの経営は成り立たない。最初から成り立たない。そういうことであれば、オリンピック記念研修という名のもとに、一人に四、五百円の負担をかけなければ研修をやらせ得ないというのはおかしいじゃないか。商売で社員のレクリェーションのために来て使うならば、四百円が五百円であってもいいでしょう。それはかまいません。いやしくも文部省が銘を打って、オリンピック記念青少年総合センターとして全国版のピカ一の一つのセンターをつくって、上前を一人に四百円も五百円もはねなければ、この経営ができないというような研修センターということはおかしい。青少年は生産に働いておるとしても、ことに中学生や高校生はそれだけの財力もなければ、独立の生産もあげていない青少年なんです。親のすねをかじっている青少年から、一泊四百円から五百円の完全なる利潤を没収しなければセンター運営できないとするならば、ここは考えなければならぬじゃないかと思うのですが、大臣の御所見を承りたい。
  46. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 小松委員のおっしゃるとおり、現在の経営におきましてはいろいろな矛盾があると思います。ただ、このオリンピック記念青少年総合センターは、オリンピックに提供しました選手村のあと地をいかに使うかという問題から、文部省のほうで青少年宿泊訓練の場にこれを活用するということでお引き受けしたわけでございますが、それはもちろん、中学校や高等学校の学生対象もございますけれども、東京付近におきまして会社、工場等で働いておられます勤労青年の、会社におきましていろいろな研修をいたしますという場合において、会社が自分の負担においてそういう研修をやるといたしましても適当な場所がない。ですから、その会社の勤労青年に対しましても、研修する場を提供するというような意味も含めまして今日まで経営してまいったわけでございますが、実際問題としましては、季節的に非常に差がございまして、非常に多い時期と閑散な時期と、平均いたしますとなかなかバランスがとれないというような状況でございます。もちろんスタートがそういうことでございましたので、文部省のやっております青年の家というものとは全然違ったやり方をやってまいったわけでございますが、青少年宿泊訓練の場として今後実際上いかにあるべきか、はたして独立採算制をもってやるべきかどうかという問題につきましては、まさに十分再検討する時期が来ておると思います。そういう意味で局長からもお答え申し上げたのでございますが、まだ創設早々でございまして、いろいろな面において不備、欠陥が露呈しておるのでございますが、これに対しまして十分にこれを活用できますように、この活用の方法につきましては根本的に再検討してみたいと思っております。
  47. 小松幹

    小松委員 私の質問あと一、二で終わりたいと思いますが、オリンピック記念、オリンピック村をこの施設に提供してきた以上、オリンピックのいわゆるスポーツというものに関連を持った一つのセンターとしてここに生かすという方向か、あるいは青年の家式の形の一つのセンターとして生かすかという、生かし方には二通りあると思いますが、やはりオリンピック記念センターとすれば、スポーツに関係がございますかと言われたときに、大いに大手を振っていられるような一つのセンター宿泊施設あるいは研修センターという試みで、当初の目的どおりいってもらいたいと私は思う。それがためには、相当なスポーツの施設も一必要だと思う。それと同時に、そこで幾らスポーツを研修せよと言い、あるいは趣味のスポーツの研修をしようとしても、対象が青少年でございますから、その青少年を対象にしたそういう施設からあまりにも利潤をむさぼるようなたてまえの経営は、これはおかしいと思う。たった一つしかない日本施設で、青少年の一晩の上前を四百円も五百円もはねなければ、この経営がノーマルにいかないというようなことでは心もとない。とするならば、私は、いま文部大臣が言ったように独立採算制度という形の研修センターは、これは意味が非常に薄弱になってくる。ほんとうにオリンピック記念青少年全国版の総合センターとするならば、私は独立採算というような形のシートを敷かれたのでは目的が泣いてしまう。目的は高い目的で名前だけはいい名前をつけておるけれども、実態は、先般申し上げたようにホテル経営にしかすぎない、あるいは場を提供する貸し道場的な性格に落ちてしまう。それならば、やはり先般も申し上げたように、たった一つしかないセンターであるから、いま一回文部省としても再検討して、最初から赤字が出ることはわかっているんだ、そういうことに乗り出してあくせくしないで、思い切って青少年スポーツなり研修をやらせる国の施設、国の金をもってやらせるという形に基本的に持っていく。だからといって、国の金だからいいかげんに適当にやれというのではないが、子供の、青少年のつまみ出す金でなければ、月々一千六百万円の人件費管理費が絶対払えないというような追い込まれた経営では、私は、この趣旨がおかしくなっておる、こう思っておるわけであります。この点、文部省も、来年度予算編成あるいは次回の予算編成等についてはこの由を大蔵省に言って、方々に何ぼでもあるところのオリンピック記念センターならばいざ知らず、たった一つしかない銘を打った青少年研修センターでありますから、いやが上にも青少年上前をしぼり上げるような形にしない経営をしてもらいたい、それが一つの要望であります。  それともう一つは、ここに働いておる人の平均給与は七万五千円になっておりますが、やはり大蔵省が独立採算制をしいる場合には、そういう国家予算を使いたくないという一つの希望もありますけれども、どうも親方日の丸になりますと、適当に、一人でいい理事が三人になったり、三人の理事が五人になったり、文部省体育局をやめた人が、すぐに天下っていってそこで高給をはむようなことになってくる可能性もある。こういうことから、やはり経営というものは、バランスシートをにらみながらもっとシビアーにやっていく。この経営というものも配慮をしなければ、親方日の丸になったからどうでもいいんだということではいかない。この二面を持っているわけなんで、さしあたりいまの場合は、この経営は、これはシーズンオフもあるでしょうし、そう年がら年じゅう順番順番で、交代交代で一年じゅうをこっちが頭割りにして、研修計画を立てるわけにはいかぬ。それぞれの発意に基づく計画によれば、シーズンのときには断わって断わり切れぬくらいに来るかもしれぬが、シーズンオフの場合にはかんこ鳥が鳴くという形になってくる。こういう形の経営の中に独立採算は無意味だ、私はこういうように考えておるわけであります。先ほど文部大臣の答弁がありましたから、大臣の所見は承りました。今後の経営については、十二分の配慮をしていっていただきたい。体育の、たとえばバレーとテニスと柔道と剣道、あるいはフェンシングならフェンシングはあのスポーツセンター研修するのが一番いいんだ、野球なら甲子園だ、これならば記念センターだ、こういうようになればもっと価値があるものになるのじゃないか、私はこういうように考えるわけであります。  長々と質問をしましたけれども、以上をもって終わりであります。(拍手)
  48. 床次徳二

    床次委員長 本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  49. 床次徳二

    床次委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  50. 床次徳二

    床次委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  52. 床次徳二

    床次委員長 内閣提出著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小松幹君。
  53. 小松幹

    小松委員 ストックホルムでベルヌ条約の改正会議があって、文部省からも一月にわたって出張なさったと思いますが、それの概略の報告を承りたい。
  54. 安達健二

    ○安達説明員 私、政府代表といたしましてストックホルム会議に出席してまいりましたので、その御報告を申し上げたいと思います。  ストックホルムの会議は、知的所有権会議というふうに銘打っておるわけでございますが、その内容といたしましては、一つは、一八八六年に制定されて二十年ごとに大体改正されておりますところの著作権に関するベルヌ条約の改正に関する問題、それから、工業所有権に関するパリ条約その他の改正に関する問題、それから著作権、工業所有権を通じまして世界知的所有権機構、こういう世界的な政府間の機構を設立するための条約を制定する、おおよそこういう三つの目的が総合されて議題に供されたわけであります。会議は、六月の十一日から七月の十四日まで、三十四日間開催されたわけでございます。  そのうちで、著作権関係についてのおもな問題点なり改正点を申し述べたいと思います。  この会議におきまして、第一の問題といたしましては、複製権、いわゆる著作物を文書あるいはレコード等に複製をする、そういう権利につきまして、文書等について複製をする権利は各国の国内法では認められておるわけでありますが、条約上の権利として認められていなかった、それを条約上の権利として確立する、と同時に、その複製権に対して、教育目的その他に関係するところの条約上の著作権の制限規定を定めるということが第一でございます。  第二の点は、映画の著作権につきまして、映画の国際的流通を円滑にするという意味からいたしまして、映画に関するそういう映画の国際的流通を円滑にするための措置に関する規定の改正。  それからもう一つは、アメリカ合衆国などは現在ベルヌ条約に入っていないわけでありますが、アメリカは現在著作権法改正作業をやっておりまして、もしその著作権法改正が通ったならばベルヌ条約にも入り得るようなふうに、アメリカなどが入り得るような配慮をするということで、現在ベルヌ条約におきましては、著作権を保護するにつきまして、著作物を文書とかその他によって固定しなければ保護しないということではなくて、講演にいたしましてもそれ自体が著作物であれば、原稿に書いてなくても保護するというたてまえでありますが、それを同盟国は、固定をしたものでなければ保護しないというように、固定を保護の要件とすることができるというような規定が入れられたということは、そういうアメリカその他できるだけ多くの国がベルヌ条約に入りやすいようにするというようなことであると伺っております。  それから第四点といたしまして、新興国に関しまして、新興国が教育その他の目的のために先進国の著作物を利用しやすいようにする、そのためには、先進国並みの条件で著作権を保護しておっては、後進国としてそういう目的の達成に困難を生ずるということで、新興国については、たとえば翻訳について特別の規定を設ける、あるいは複製権について制限を加える、そういうようなことにし、あるいは保護期間を半分にする、そういうふうにいたしまして、新興国がベルヌ条約に入りよくするために、新興国に関する議定書というものを条約の中に取り入れまして、新興国をして十分この著作権の保護をはかりつつ、その教育目的のための制限ができるようにするというような点が、今回の改正のおもな点でございますが、なお、わが国との関連において、特に問題といたしました点につきましてつけ加えさせていただきたいと思います。  一つは、翻訳権につきまして、現在ベルヌ条約の規定に留保できる規定がございまして、ベルヌ条約の、国の著作物を翻訳する場合におきまして、十年間以内に翻訳物が発行されないときはその翻訳権は消滅する、すなわち、イギリスの小説が出た場合に、それを翻訳が出ずに十年間経過いたしますと、その著作物については日本では翻訳が自由にできる、原著作者の許可を得ずにできるという、そういう規定といいますか、古い規定を留保できるという規定がございました。それを原案では削除するという原案が出ておりましたけれども、わが国は、現行法でそういう制度をとっておりますし、将来の改正の問題としては廃止する方向で審議会の答申も出ておりますけれども、廃止するかどうかは、それぞれの国家が独自の判断によって決定すべき問題である、条約上そのものを削除すべきではないということを主張いたしまして、これがいれられまして、翻訳権の留保はやはり従来どおり認めるということになったわけでございます。  それから第二の問題といたしまして、新聞、雑誌に掲載されました社説等につきましては、その留保がない限りは他の新聞、雑誌に転載することができる。中央の新聞に出ました論説を、そのまま地方紙では複製して出せるという特例規定がございます。これも、今度の原案では削除が提出されておりましたが、わが国においてはなおその必要があるというような意見でございましたので、それを主張いたしましたところ、それも認められた次第でございます。  その他技術的な点はたくさんございますが、主要な点は、大体以上のとおりでございます。
  55. 小松幹

    小松委員 もっとはっきりしていただきたいのは、一番困っているのは、ベルヌ条約と万国著作権条約とが、アメリカの独自性があって、日本の法改正ではマルCの指定などでも非常に取り扱いに困っておるわけです。この点について、いま著作権の組み立てが、アメリカの場合には固定したものに届け出なければ、出版ができないとなっている。日本の場合は、創作した者その者に著作権の存在を認めておる。未発行の分と既発行の違いがあると思うのですが、その場合に、アメリカがベルヌ条約に入りやすいようにするということはどういうことになるのですか。もしアメリカがベルヌ条約に日本のように二重加入をした場合には、ベルヌ条約のほうが優先をした形に持っていかれるという意味ですか。それはどうなんです。
  56. 安達健二

    ○安達説明員 万国著作権条約の中に規定がございますが、万国条約に入っている国でも、ベルヌ条約については、ベルヌ条約国同士の間ではベルヌ条約が優先適用されるという規定がございます。したがいまして、もしアメリカ合衆国がベルヌ条約に加入するとすれば、アメリカとの間はベルヌ条約によって規定される、こういう関係でございます。
  57. 小松幹

    小松委員 そうすると、ベルヌ条約が優先するという形になれば、日本の場合も、もしアメリカが今度の法律改正で入るということになれば、日本の法改正は、アメリカがベルヌ条約を承認して入るかどうかを見定めてからでなくては日本の法改正もちゅうちょする——しちゃ悪いということはないが、ちゅうちょしてもいいということになりますかどうですか。
  58. 安達健二

    ○安達説明員 アメリカとの関係におきましては、万国著作権条約ということでマルC条項をつければ、アメリカにおいても一応これを保護するという体制になっておるわけでございます。その保護の点について、ベルヌ条約国との関係では十分でないといたしましても、一応は保護の関係がすでに成立いたしておるということが一つ。  それから第二の点は、アメリカがそのベルヌ条約に必ず入るという保証はないわけでございます。アメリカ代表がこのストックホルムの会議に来まして、できれば入りたいというような希望でございまして、アメリカの国内においては、なおベルヌ条約に加入すべきではないというような意見も相当有力でございます。したがいまして、アメリカがベルヌ条約の体制に必ず入るという前提はとりがたいということ。  それともう一つは、ベルヌ条約に、すでに南米でもアルゼンチンとかメキシコなども入っております。ウルグアイも入ってきました。そういうようにいたしております関係からいたしまして、ベルヌ条約が将来の世界をカバーするような著作権に関する条約になるという可能性は十分あるわけでございますから、したがいまして、そのベルヌ条約に従ってわが国の法制を整備するということは、これはもう世界の大勢に順応しているわけでございますから、アメリカがベルヌ条約に入る入らずにかかわらず、やはりベルヌ条約に従って著作権の改正をするというのが、最も妥当な方法であろうと考えておるわけでございます。
  59. 小松幹

    小松委員 それは突っ込んで言えば、マルC条項はかりに日本内地の著作権がやっても、アメリカに届け出をしておかなければアメリカでは何の効力もないということで、国内法のワク内はそれはマルCの表示をしておればそれでいいようなことであるが、アメリカ国内としては、これはアメリカの著作権局にちゃんと届け出をしなければ、アメリカは適用にならないというようなハンディがあると思っているのですが、そういうようなハンディがありますと、なかなかこの著作権も、ベルヌ条約だけで押し切っていくのには、非常に国民を惑わす点が大きいわけなんです。その点、今後の問題でありますが、どう解釈されますか。
  60. 安達健二

    ○安達説明員 マルCの表示をしたもののアメリカ合衆国における保護につきましては、これは一応、これには著作権ありとしてアメリカ国内において保護しなければならないけれども、登録がなければ訴訟ができないというような意味でのマルCの効力はあるわけでございます。ただ、この日本における著作権法改正という問題は、日本におけるところの国内の著作権者の保護をより厚くし、また、時代の要請に従って著作権の制限を適切にするということが一番の主眼でございまして、そしてそういうような方向を考える場合において、一応具体的な基準であるところのベルヌ条約に従って考えを進めていくということが中心でございまして、アメリカとの関係は、その万国著作権条約の範囲内において適用するという以外に、これはほかの国内法とは別個な問題でございますので、それとこれとは別個に処理していくのが妥当であると考えておるわけでございます。
  61. 小松幹

    小松委員 その辺のところはまだ問題点があると思いますが、一応ストックホルム会議に出るまでは、翻訳権の十年保留は文部省は破棄するような言い方であったと思うのです。これはどうなんですか。最初出るときには、審議会あたりでも、世界の大勢上保留はできないだろうというように思われておった。今度はがんばって、保留をさらに取りつけて帰ったということですが、その辺、文部省の態度はどうだったのですか。
  62. 安達健二

    ○安達説明員 著作権制度審議会におきまして、この翻訳権について、翻訳物が十年発行されなければ、原著作者の翻訳権は、翻訳を許可する権利は消滅する、こういう制度は世界の大勢から見てこれを放棄すべき段階にきておる。すなわち、現在この翻訳権の留保をしております国は、日本のほか、東南アジアではタイ、トルコ、それからアイスランド、それからユーゴスラビア、そういうようなところでございましたので、日本としても、日本の経済力その他から見てこういう翻訳権の留保は破棄して、そして外国の著作物を翻訳して使う以上は、原作者にも応分の報酬を払うというのがいいのではないか、こういう御意見で、これを破棄すべき段階にきておる、しかし、この取り扱いについては、なお従来日本の主張あるいは出版界に対する影響等を考慮して十分慎重にやるべきである、こういう御答申をいただいたわけでございます。破棄するという方向で原案を作成いたしておったわけでございます。しかしながら、この法案が成立するためには国会での御審議を要するわけでございまして、最終的にこれをどうするかという国会の御判断の済むまでは、少なくとも政府といたしましては、条約においてはやはり留保のできる余地を残しておくべきである。したがって、わが国の主張は、翻訳権の留保が日本にとって永久に必要であるということではなくて、翻訳権の留保をやめるかどうかは各国の自主的判断にまかせるべき問題であるから条約でそれを奪うべきではない、こういうことを主張したわけでございまして、その主張がいれられたということでございます。今後は国会における最終的判断を待って留保するかやめるか、それはもっとそのあとの問題といたしまして、さように主張したわけでございます。
  63. 小松幹

    小松委員 草案を見ると、留保を破棄していくという方向に向いておったから、ストックホルムの会議でも、あなたたちはもう最初から留保をあきらめて投げて帰る、かように思っておったのですが、留保を取りつけてそのままで帰ったというので、問題は今後の国内法の改正過程にあると思うわけなんです。その点についてはそのときに申し上げたらいいと思いますが、やはりこれは留保を取りつけたから、一応のメンツの上ではおかしかったかもしれないが、留保を取りつけたということは自由選択の権利が日本に残っておるということになれば、十年保留がいいのか、またアメリカとの間は、万国著作権法によって七年になっているわけですね。そのかわり幾ぶんテクニカルが違うと思いますが、こういう問題を二十年にするとか三十年にするとかいうことは今後問題が起こるかもしれませんが、一応留保を取りつけたことは、私としても、ちょっと文部省のいままでの方針から意外だと思ったから尋ねただけでございます。  そこで、これは大臣に承りたいと思いますけれども日本は、いま実際はブラッセル規定にも入っていないわけですね。これは占領中でありましたから入っていない。ストックホルム規定は今後の問題でしょうが、一応の方針としては、留保の条件は別として、今後の国際条約に入る一つのかまえはどういうかまえをしておるのですか。
  64. 安達健二

    ○安達説明員 現在日本は、一九二八年に作成されましたローマ規定に加入しておるわけでございます。一九四八年に、いまお話しのようにブラッセルで改正会議が行なわれましたが、日本は、占領されておりましたので、その会議に招請されなかったわけでございます。そのブラッセルの規定に入るということが一つの問題として、著作権制度審議会でも審議されておったわけでございます。ただ、今度のストックホルム規定は、全般的に申しますると、ブラッセル規定よりも著作権の制限の面ではややより多く制限を加えておりまして、より多くの国がストックホルム改正規定に加入できるようにするということを目途にいたしておるわけでございます。したがいまして、問題点としては、まずブラッセル規定に入って、それからストックホルム規定に入るという方法と、ブラッセル規定には入らないで、直接ストックホルム規定に入るという方法がございます。そういう観点から国内法を整備した場合におきまして、いずれの方法がよいかということについては、なお検討を要するところであろうと思うのでございます。  ただ、ストックホルム規定の中で二つの部分に分かれておりまして、権利の内容に関する実体規定と、それから管理に関する規定になっておりまして、そのうちのいずれか一つでも加入できる、批准できるというようになっているわけでございます。その管理に関する規定は、同時に世界知的所有権機構との関連がございます。世界知的所有権機構ができましたので、日本としても、なるべく早く世界知的所有権機構の一員になるということが国際的な面から必要になるということがございます。そうなれば、少なくともストックホルムの管理規定に入り、世界知的所有権機構に入るということは、まずどうしてもやらなければならないという問題が生じてくるわけでございます。そういうような関連からいたしますると、どちらかといえば、ストックホルム規定に直接入る——ブラッセル規定に入らずしてストックホルム規定に入るというほうがあるいはいいかもしれないということはございまするが、今後どういう方法を選ぶかにつきましては、さらに慎重に検討を要する問題であると考えております。
  65. 小松幹

    小松委員 ブラッセル規定ができましてからかなりの年月がたって、まだ日本はそれに入っていません。私は、この問題の解決は日本の国内法の総合的な改正と切り離して考えてもいいんじゃないか、こういうふうにも考えておるわけですが、同時に、今度知的所有権機構が新しくできるとすれば、日本も勢いブラッセル規定だけ入って、ストックホルムのこの知的所有権構想には参加せないということもおくれをとるんじゃないか、こう見ると、この二つの条約の加盟というのが今度の法改正前提として——私はあえて前提と、こういうことばを使うのですけれども、国内法が常に国民の前に出てまいりますが、この著作権法というのは、国内法であると同時に国際法的な要素も持っておると思うのです。そういう意味でこの二つの条約の加盟あるいは一つの条約の加盟というような問題は、国内法の腹がきまる前の前提として国際条約の加盟選択が出てきていいのじゃないか、こういう考え方を持っておるのですが、文部省としてはどういうふうに考えておりますか。
  66. 安達健二

    ○安達説明員 条約に加入する場合は、当然それに即応した国内法を整備しなければならない、国内法を整備すれば条約に入れる、そういううらはらの関係でございますので、したがいまして、やり方といたしましては、国内法の改正と同時に条約の加入、批准についての御承認を国会にいただくという方法と、国内法を整備したあとで条約の加入、批准の御承認をいただくという方法とございます。最初に条約に入って、それからあとで法改正するというのはちょっと困難かと思います。
  67. 小松幹

    小松委員 困難ということは困難かもしれません。しかし、この著作権法を考える考え方として、国内法をつくってから条約に加盟するという考え方がいいのか、私は、同時なりあるいは前提として、国際条約に加盟という前提をもって国内法を整備していくというのが、著作権法が国際法的な性格を持っているという意味から考えて、まず国際的な条約の加盟というものをはっきり国民なりあるいは審議会の意思表示が出てきて後に、さてそれならば改正国内法はどのように取り扱うかというのが出てくるのが手順じゃないかと思う。ところが今度の審議会の報告などを見ると、国際条約の加盟についてはあまり触れておらない。国内法はこうだ、こうだ、こうだというようなかっこうの答申になっておるところに、いささか著作権法改正前提が、どうもひとりよがり的なものになっているんじゃないか。ただ裏から考えて、ベルヌの改正がこうなっているからこういうふうにつくろうじゃないか、あるいは万国著作権がこういうふうになっているからこういうふうにつくろうかという裏からのにらみはきいておるけれども、それはあくまでも裏からのにらみであって、国際条約というものは、前提条件としてここに腹をきめるならば、国際条約の加盟の腹がきまったときに、初めて国内法というものはそこに生かされてくるんじゃないか。同じようなことなんですが、著作権法改正する心がまえとして、国際条約の加盟、不加盟がはっきり腹ごしらえができなければいけぬのだ、こういう観点を持っておるんですが、この点は違いますか。
  68. 安達健二

    ○安達説明員 私が条約を批准してから国内法を整備することは困難であると申しましたのは、これは手続の問題といたしまして申し上げた点でございまして、内容的には、やはり小松委員の御指摘のとおりうらはらの内容でございます。ただ、先般の著作権制度審議会の基本的な考え方は、条約に入るということを先決にして、そのために国内の実情を無視しては困る、まず日本国内においていかなる著作権法制が最も妥当であるかということを考えて、それでもってそのときに入り得る条約に入ればいいのではないか、こういうような御意見もあって、したがって条約、ブラッセル規定に完全に入るということを前提にして審議するという方法ではなかったのでございます。その点についての批判は御説のとおりでございますが、ただ、そのブラッセル規定との関連は審議の過程において常に考慮されておりまして、この前の著作権制度審議会の答申のままに採用されるならば、ブラッセル規定にも入れる、もちろんストックホルム規定にも入れる、こういうような精神的な前提はあったわけでございますが、まず審議の前提としてブラッセル規定に入るのだということをきめて、それから審議したのではないというだけでございまして、手続の問題としてはそうでございますが、心の中は常にその問題があった、こういうことでございます。
  69. 小松幹

    小松委員 今度ストックホルムの論議で、工業所有権のパリ条約の修正——これは日本でも意匠登録の問題とか工業所有権の問題とかあって、著作権としての応用美術の関係で、いわゆるなわ張り争いと言ってはことばが悪いですけれども、どうも日本のベルヌ条約の観点からいうと、著作権の応用美術に限った場合には、工業所有権の場合とだいぶ違うようにも思われるわけなんです。そこで、工業所有権と応用美術の関係について、ストックホルムではどういうような形の論議がされたか、承りたい。
  70. 安達健二

    ○安達説明員 現在ブラッセル規定におきましては、応用美術につきましては、応用美術の著作物は、著作物として保護する著作物の中に列記されておるのでございます。したがって、同盟国は当然に応用美術の著作物を著作権法上保護するということが義務づけられておりますが、同時に、条件がついておりまして、「応用美術の著作物ならびに工業的の意匠およびひな型に関する法律の適用の範囲と右の著作物、意匠およびひな型の保護の条件とは、同盟国の法令の定めるところによる。」というのがございまして、応用美術は著作物として保護するけれども、どこまで応用美術として保護しあるいは工業的な意匠として保護するかは各国内法にまかせます。こういうようになっておるわけでございまして、各国によりまして全く、著作物として保護しているところもございますれば、あるいは両者の関係を調整した規定を置いているところもあるというようなことで、各国法制は区々でございまして、今度の改正会議におきましてデンマークの代表から、この規定を削除して応用美術は著作物として保護すべきである、こういう提案がなされました。それに対しまして、わが国とイギリス、それからオーストラリアの三国は、これについて反対をいたしました。現在わが国におきましては、応用美術につきまして保護の考え方は、一品制作、たとえば日展に出るようなそういう一品制作のようなものについては、これは美術品として著作権法上の保護も受けられるというように考えておるわけであります。それからまた、たとえば有名な画家がかいたものを劇場の引き幕にするというような場合においては、なおその著作権が主張できるけれども、たとえばネクタイのデザインのごとく、もっぱら物品に応用することを目的としたそういう応用美術のものについては、これは意匠法によって保護するのであるというような考え方に立っておるので、こういうネクタイの意匠まですべて著作権法上で保護することは、意匠法上の保護との間で非常に問題を生ずる。たとえば、意匠の保護期間でございますればそれは十五年間でございますが、著作権でいけば死後、今度の御改正が認められれば三十七年になる。そういうように非常に体制が違いますし、個々に内容も違いますので、そういう応用美術のものを全部著作権において保護することは疑問であるということを主張いたしまして、したがって、これはたいへん問題だから、この点については全然修正を加えない。したがって、応用美術は保護するけれども、どのようなものを保護するか、その範囲、その条件は名国内法にまかせるという、ブラッセル規定をそのまま維持するということが決定されたわけでございます。
  71. 小松幹

    小松委員 大体ストックホルムの審議の内容がわかりましたが、この応用美術と意匠法との関係は、私は対象が違う場合もあると思う。ベルヌ条約における基本的な発想からいえば、そういうもの、固定されないというものの著作権でございますから、そういう意味では、意匠法の対象と応用美術の著作権としての対象が違うように考えられるのです。  そこで、これは応用美術と工業所有権の登録とは性格が違うというようにも考えて、あるいはデンマークが全面的に破棄しようというのも意味があったのではないか、こういうようにも考えておるわけですけれども日本の場合はそこまでの段階に進んでおらないとすれば、今後応用美術の個々のとり方について、たとえば、いまあなたがおっしゃったデザイナーのデザインの問題などは、ネクタイにしてしまう場合には固定されたものになるからあるいは意匠法との関係も出るが、一つのデザインとして、ネクタイとして固定されないときの一つの未発行分というか、ことばで言えば未発行といいますか、そうした場合の著作権というようなものにどう対処していくかという、特にこれはデザインの問題になる。この辺について……。
  72. 安達健二

    ○安達説明員 いま御説のところは、いわゆるデザインの意匠の原図のお話かと思いますけれども、それは一種の美術的な者作物というようなふうに認められて、それが非常に個性があるというふうなもので、たとえば展覧会に出されるとか、あるいはその画集といいますか、そういうものに出される。その限りにおいてはやはり一種の保護が考えられると思うのでございますが、これを物品に応用するということになりますと、これは意匠法の問題である。意匠と著作物とは若干考えが違っておりまして、意匠のほうはデザイン、つまりアイデアのほうの保護である。著作権のほうは、そのもの自体を複製するということを禁ずる、それを許可するという権限ということで、権利の内容としても違います。それから意匠法でいけば、公知公用のもの、私のしておりますような水玉模様のようなものには、これは意匠は登録できないというような点で非常に考え方が違っておりますので、その原図それ自体が絵であるというようなものであれば、絵として保護されるというようなことではないかと思います。
  73. 小松幹

    小松委員 それから映画のことで、今度国際的に映画の交流が大きいから映画の問題が出たのだと思いますが、これは日本の今度の方針なり文部省の案を見ましても、この映画の著作人と著作権者との関係が非常に分けてあると思うのですが、この映画の二次使用といいますか、そういう面からくる請求権の問題、こういうような問題について、国際会議ではどういう話し合いがあったのですか。
  74. 安達健二

    ○安達説明員 映画の著作者、著作権者につきましては、おおよそ世界的に三つの考え方がございます。一つは、イギリスのように、映画の著作者なり著作権者は、その映画会社と申しますか、そのフィルムをつくった人という意味で、製作会社が著作者であり著作権者であるとする制度、それからイタリアとかオーストリアのように、映画をつくる著作者は自然人といいますか、監督であるとか、あるいはカメラマンであるとか、そういうような人であるけれども、その著作権者は映画製作者が法律上著作権をもらう、すなわち経済的利用権は映画製作者が持つんだというような法制の国、それから、それぞれ映画の著作者は、監督などがつくったもので、それが著作者であり著作権者であるけれども、映画の本来的流通を円滑にするために特別の協約を結ばない限りは、経済的利用権は製作会社に譲渡されたものと推定する、こういうおよそ三つの制度がございます。これを世界的に調整しようとするようなことは、もう国内法が違っている以上これは困難である。したがって、今度の条約会議におきましては、映画の著作権の帰属についてはそれぞれの国内法がきめる、保護の要求される国の法令で決定される。したがいまして、日本の映画がたとえばイギリスに行った場合は、イギリスの法律によって映画の製作者が著作権者として取り扱われる。それからフランスに行った場合はフランスの法律によって決定される。したがって、映画の著作権の帰属は保護の要求される国の法令で決定される、それぞれの国で適宜やってよろしい。ただし、推定規定を持っているような国でございますフランスとかそういうような国の著作者は、特別の協定を結んでおらない限りは、それの映画製作会社がそれを上映するとか、そういういろいろなことについて反対することができない。協定を結んでおけばいいけれども、協定を結んでいない限りは反対できない。つまり製作会社が法律上その自己の著作権を主張し得る地位に立つことについて文句が言えない、こういう規定を条約に設ける、こういうことになったわけでございます。  なお、映画の著作者、著作権者についてふえんして申し上げますと、著作者の中に実は二種類あるのでございます。著作者と申しまするか、たとえば小説を映画化する場合には小説の原作者というのがございますが、それからそれをシナリオにする、脚本化する、それからそれを監督が監督してつくるというようになるわけでございますが、その映画の原作となった小説も、これを映画の著作者に入れているところもございますが、多くの国は、既存の著作物の著作者であって、その著作物を映画化することの許諾権を持つ、こういう考え方でございます。それから、シナリオライターとかそういうものは両方の限界点に立っておりますが、それをどちらかに入れるかという問題はまた別個でありますが、一応このストックホルム規定では、推定規定の適用から除外するということになっております。
  75. 小松幹

    小松委員 映画のことで少しわからぬことがあるのですが、たとえば「七人の時」という映画をイギリスがビデオにとって、テレビ放送に使う場合の著作権者は映画会社になるのですね。そうした場合に、その報酬とかそういうもののいわゆる財産権というものは、これは映画会社の専有のものになるのですか。
  76. 安達健二

    ○安達説明員 著作権者のものでありますから、だれが著作権者かによるわけでありますが、いまの日本の場合は、一応製作会社がすべての権利を行使するということが監督その他の間で契約を結んでおりまして、原則としては、著作権者としての映画会社がその放送についての許諾権なりその使用料を徴収する権利を持っておる、こういうことでございます。
  77. 小松幹

    小松委員 ストックホルムの報告に基づく質問は大体それで終わりまして、この提案されておる法律と直接関係はない、延長法とは関係はございませんが、せっかく答申が出、文部省が試案を出しておりますから、一、二お伺いして、あと唐橋先生とかわりたいと思います。  この著作権法改正というのは非常に多岐に問題が多くして、突っ込んで研究すれば相当な問題点をかかえておると思います。それで、もう少し著作権に関係のある役所というか、そういうところというものは、国民各層にこの著作権の所在なり移行する姿を浮き彫りにして、教育をすると言うてはことばが悪いが、意見を聞くようなことはできないのか。ただ、国会で全面改正の論議が出て、二年待ち、三年待ちにして逐次権利保護の延長をしておるだけで追い込められて審議会をつくって、やっと審議会の答申は終わりましたけれども、何か審議会だけの手持ち、文部省の著作権課と指定された審議会委員だけの持ちごまのやりとり、こういうような私は気がする。ここに国会議員がおりますけれども、国会議員は四百何人、参議院議員も加えればもっとおりますが、ほんとうに著作権というものは国際法的な性格もあるし、同時に、民法のいわゆる所有権にかわるべき重大な、しかも奥のある所有権的な性格を持っておるんだが、もう少し広範囲に実態的な説明なり、あるいは問題点になるところをあげての指導啓蒙、あるいは意見調整などはやれないものか。文部省としてはやりました、それぞれの業界には聞きましたよ、こう言うけれども、それは専門の業界にお尋ねした程度で、ほとんど著作権というものの推移については文盲に類する問題だ。この日本の法改正の場合に、刑法の改正なりあるいは民法の改正なり著作権法改正という私的権利を大きく制限し、あるいは問題のある点についてはもう少し広範囲に啓蒙しなければ、いつの間にか自分の権利を喪失したり、知らなかったというようなことになるおそれがあると思うのですが、今日まで著作権課としてはそれにこたえるのにどのようなサービスをしたか、これは国民への重大な責任があると思うのですが、意見を聞いたかということを顧みると、りょうりょうたるもののような気がしてならないわけなんです。この点、文部省としてはどういうお考えを持っておるか、お伺いしたい。
  78. 安達健二

    ○安達説明員 まず一般的に申しますと、数年前から全国ブロックごとに著作権講習会というものを開きまして、学校の先生方あるいは新聞、報道関係その他の方々の御参加を得まして、著作権思想の普及につとめてまいっております。これは一般的でございますが、同時に、昭和三十七年以来著作権制度審議会が開催されたわけでございますが、その際、著作権制度審議会におきましてはすべての問題、特に重要な問題につきましては関係者の意見を常に聞いて審議を進めてこられたわけでございますが、昭和四十年の五月に著作権制度審議会の小委員会報告というのがございまして、これについての説明会を東京、大阪でやりました。さらに、四十一年四月に審議会の最終答申があった段階で、東京、大阪、福岡の三地域において答申の説明会を開催いたしました。それからさらに、特例といたしまして、文部省の著作権及び隣接権に関する法律草案というものを発表いたしたわけでございますが、一般の法律でございますればこういうことはないわけではございますが、特に国民の権利、義務に直接関連するものであるということで、草案という文化局試案という形で発表いたしまして、字句等についてのこまかい意見をも聞き得るような段階にいたしました。これについて、関係団体四十から詳細なる御意見をいただいておるわけでございます。したがいまして、文部省といたしましては、あらゆる手段を尽くしてその啓蒙につとめておる次第でございます。
  79. 小松幹

    小松委員 文部省としてはそういうお考えでありましょうが、アメリカもいま著作権法の基本改正を進めておりますけれども、それぞれの持ち場の委員会なりというものは非常に綿密な計画を立てて、綿密な資料を提供してやっておるのを見ますと、何だか日本の場合は官僚的なにおいがしてならない。そういうために、きわめて著作権というものは国民には迂遠なものになり果てているのではないか、こういうような感じがしてならないわけですが、あと一、二年、三年残されております歳月を、やはりもう少し綿密な——たとえば、言うならば答申案のパンフレットが出ましたね。そのパンフレットにしても、大体答申の審議委員が一体どなたかわからぬような、まるで十ぱ一からげにしたような答申案になっておる。少なくとも、答申案のメンバーは、どういうメンバーがやっておるのかというようなことも、もう少し綿密に国会議員なんかにも知らせていただかないと、非常に進んでおるほうはどんどん進んでおるようにも見えますけれども、私のタッチのしかたがにぶいからかもしれませんけれども、いかにも特殊な一つの関係グループだけでこういうものが進められておる、こういうようにも考えられるわけです。  私は、この問題として一番問題になるのは、アメリカの特殊的な地位というか、万国著作権会議とベルヌ条約との関係が、ほんとうは国民に非常にわかりにくい、こういうような点がまだ多々あるのじゃないか、こう思うわけであります。  それから、これとは別に仲介業務法が——私はまだ試案を見ていないのですが、何だか最近、審議会から仲介業務法の答申が出たかに承っておるわけなんですが、仲介業務法は同時に提出する意思はあるのかないのか。
  80. 安達健二

    ○安達説明員 本年の五月十日に、著作権制度審議会から、著作権等に関する仲介業務制度の改善についての御答申をいただいたわけでございます。これに基づきまして、現在あるところの仲介業務に関する法律の改正をしなければならない、こういう段階に入っておるわけでございまするが、これについて法制化の準備を進めてはおりますけれども、本法の改正が、いま御指摘のように非常にたいへんな作業でございますので、現在は、法制局におきまする本法のほうの改正の審議を進めていただいておるわけでございます。それで、もちろん著作権の本法と仲介業務法とを同時にできれば一番理想的でございまするが、審議なり準備の都合等からいって、あるいは同時にはできないことがあり得るかもしれないというふうに考えておるわけでございます。
  81. 小松幹

    小松委員 いま外国人の仲介業務者が、日本にばっこしておると言えばあれですが、既得権を持って相当入り込んできていると思うが、この仲介業務法の改正にあたって、既往の既得権を持っておると称する外国人の所有権仲介業務者をどのように処置していくのか。仲介業務者というものは一単位一つとして考えていくのか、複数と考えていくのか、この辺の関係について、まだ構想で、きまったなにはないでしょうか。
  82. 安達健二

    ○安達説明員 音楽の著作物にかかわる仲介業務につきまして、これは音楽の権利によって若干違いがあろうかと思うのでございます。たとえば、演奏権と申しますると、これは全国各個所で演奏されるものについて許可を与え、使用料を徴収しなければならないということになりまするので、そうたくさんあっては非常に困るわけであります。やはり、できれば一つがいいわけでございますけれども、一つでなければならない理由もございませんので、審議会の答申では少数複数制を前提としつつ、単一制の利点を取り入れたような許可基準をつくる、こういうことでございますが、同時に、もう一つ録音権、レコードに許可する権利等につきましても、これはある程度の少数があっても特に支障を生じないということもございますので、そういうものは必ずしも一つ、二つというようなことにこだわらずに、ある程度のものは認めてもいいのではないか、こういうことはございます。  現在、外国人がやっておりまするものは、録音権に関するものでございまして、演奏権に関するものではございません。したがいまして、そういうようなものについてはそれぞれの必要性、あるいは許可基準に該当するかどうかというようなことを十分審査の上、許可すべきかどうかを決定すべきものであるというように考えておるわけでございます。
  83. 小松幹

    小松委員 問題は、音楽の場合が一番多い。いまあなたのお話に出た二次使用になりますか、そういうような場合に、日本の場合には楽譜とか歌、あるいは作詞、作曲というのが演奏者とワンセットになって、作詞、作曲、歌い手までレコード会社のまるかかえの専属制度をとっているわけなんです。そうなると、この著作権というものが、仲介業務あたりでも非常に問題点になるのじゃないか。作詞、作曲——演奏のほうは、それはいいですよ。レコード会社とワンセットになっていいと思いますけれども、作詞、作曲というのが、どうも著作権としてはっきりしていないで、専属されている。こういう問題から日本音楽著作権協会の運営などに相当の問題が派生してきている。これが国際的になってくると、外人のあっせん業者あたりから見ると、さらに問題が拡大してくるのではないかと思いますが、その辺についてはどうなんですか。
  84. 安達健二

    ○安達説明員 作家のレコード会社への専属制というのは、現在行なわれているわけでございます。ただいま御指摘のございましたレコードの二次使用、すなわちレコードによる音楽の演奏権は、現在は、現行法上は認められてはいないわけでございます。新しい法律で、そのレコードの二次使用権を新しく認めようということになるわけでございますが、現在、レコード会社等におきましても、演奏権までレコード会社がとろうとは思わない、演奏権はそれぞれの作家が持ち、それは同時に音楽著作権協会をして行使せしめる、こういうことを言っておりますので、演奏権について、その録音権団体あるいはレコード会社が演奏権まで直接行使するということは、一応考えられないと思います。
  85. 小松幹

    小松委員 そこで、作詞、作曲の専属制度というものは、ある程度けじめをつけておかなければ、いまのように専属制度をとっている以上は、だんだん理詰めにしていきますと、二次使用なりをしていきますと——レコード会社がまるがかえで何もかもとっていけば、それでいいと思うのですよ。それでなければ、二次使用のときには、それまでレコード会社がとるとは言わない。こういったものの専属制度というものが生きておれば相当問題があると思うのですが、この辺は相当考えて、作詞、作曲の場合にも、著作権の確立をする場合には、専属制度というものを廃止の方向に向かわせたほうがいいのじゃないか、こういうふうにも考えるのですが、どうですか。
  86. 安達健二

    ○安達説明員 その点につきましては、著作権制度審議会におきまして、特定のレコード製作社が長期間にわたって録音権を独占することがないようにする、そういうことで、レコードが発行されてから三年間たったならばこれを自由にする、これを原作者に返す、そして音楽著作権協会をして行使せしめる、こういうようなことができるようにする、それは、第一段としては当時著聞の自主的な措置によって考える、自主的な措置ができなければ法律によって措置する、こういうことで、文部省から出しました改正草案については、いわゆるレコードの法定許諾と申しますか、そういう制度を一応案として載せておりまして、御説のように、レコード会社が録音権を長期間にわたって独占することができないような措置については検討いたしておるわけでございます。
  87. 小松幹

    小松委員 日本音楽著作権協会の信託約款の問題なんですが、それがいろいろ著作との間にいざこざが絶えないわけなんです。この問題について、どのように信託約款の問題は処理していこうとなさるのですか。
  88. 安達健二

    ○安達説明員 その点はおっしやるように問題点がございますが、それは今度仲介業務法を整備いたしました場合に、十分この点の問題点を解消するように努力いたしたいと思っております。
  89. 小松幹

    小松委員 仲介業務法の問題は、二次使用とかあるいは電波使用とか、こういうものがだんだん起こってきますと、相当仲介業務の問題がふくそうしてまいると思います。権利というようなものになって、著作権者がだれだったのかわからるようになって、その間に独占されたり、かすめられたりというようなことになるので、仲介業務法というのは、私は、著作権法改正と同時に、もう少しシビアーに考究をして出す、これを一括契約という形に持ってくるのがいいのか、あるいは法規制をやっていくのかという問題点などもたくさんあると思うのです。この点、仲介業務法も著作権法改正と同時に出していただきたい、こう思うわけですが、その点についての御判断はどうなんですか。
  90. 安達健二

    ○安達説明員 その方向で努力いたしたいと思いますけれども、これが不可能なことも生ずるかもしれないということが一つ。それからもう一つは、この新しい仲介業務に関する答申の考え方は、現行法と基本的にはあまり変わりはない。たとえば仲介業務の許可制であるとか、あるいは使用料の認可制であるとか、あるいは主務大臣の監督権とか、そういうような点は基本的には同じでございまして、むしろ運用のほうの点に力点が置かれておるわけでございます。したがいまして、その御答申の趣旨に従って運用の面で改善すべきところは改善するということも可能でございますが、そういうことも考慮いたしますが、いずれにいたしましても、できるだけ同時にできるように努力はいたします。
  91. 小松幹

    小松委員 いまの音楽著作権協会の信託約款の問題についていろいろトラブルがあるようでございますが、それは唐橋委員のほうからもっと具体的な問題をお尋ねするように聞いておりますから、この点には触れません。  最後に、翻訳権の問題で、今度はストックホルム会議で留保を取りつけてまいりましたが、これはおそらく十年あるいはアメリカの七年がそのままいくか、五十年でいくか、あるいはその中間をとるかというのは大問題になってまいりましょうと思いますが、いまの審議会なりあなたたちの一応の方向としては、留保を取り下げて五十年になるという方向に持っていくのか、あるいは依然として留保取り下げはしなかったが、五十年の方向に向いておるのか、アメリカの改正案の見通しはどうなのか、この辺を承りたい。
  92. 安達健二

    ○安達説明員 アメリカの改正案の見込みは、その担当の人に聞きましたところ、来年一ぱいかかるというようなことを申しておりました。  なお、翻訳権について、アメリカとの関係、万国条約との関係でございますが、これは十年たったら自由になるという制度とは併存しておるわけでございまして、アメリカの著作物については、十年たったら自由に使えるという制度は適用されないで、万国条約の、七年間たったならば連絡してできない場合に金を払って使うという制度が適用されるということでございまして、それぞれ国によって適用関係が違うということを申し上げたいわけでございます。  なお、翻訳権の留保をベルヌ条約上認められたわけでございますが、これを国内法上どういうふうに取り扱うかという問題についてはなお検討すべき問題であると思いますけれども、従来は、審議会の答申を尊重いたしまして、留保を放棄するという方向で現在までのところは進んでおるわけであります。
  93. 小松幹

    小松委員 問題点がたくさんございますが、これは今度の延長法規に直接関係はございませんので、この程度で私の質問は終わりたいと思いますが、やはりもう少し国民の間に、その成り行きなり権利移行の模様というものを時間をかけて——今度は二年延長でございますが、二年間の時限的なもので、二年たってまた二年を延長するということはもうないと思います。三年延ばし、二年延ばし、また二年延ばしたのですから、ないと思いますが、その間に、国民に権利移行、著作権法の基本的な流れというものをさらに知らせる必要があるのではないか、このように私は考えておるわけであります。この点についてどのような——もうこれでいま内閣法制局で法案のチェックをしておるから、これができ上がればいつでも提案できるという考えに立っておるのか、さらに審議会等でもう一回検討をし直してやるのか、その辺のところ、今後の二年間の著作権法抜本改正への一つの方向性を御明示していただきたい。
  94. 安達健二

    ○安達説明員 まず著作権制度審議会におきまして審議をされましたものと、それから文部省改正草案として発表いたしましたもの、特に改正草案等におきましては、ストックホルム会議におけるところの動向等をしんしゃくしてやっておったつもりでございます。ある程度はそのことで出ておりますので、ストックホルム改正規定に従って特に手を入れて全面的な改正をしなければならないという個所は、まずはないように考えておるわけでございます。もちろん、技術的な点はございます。  それから、現在関係団体等といろいろ話し合いをしておりまして、たとえば、レコードの二次使用権を認めた場合に、放送局は一体幾らぐらい払うかというようなことについても、権利者、それから放送局側使用者あるいは喫茶店組合等との間でもいろいろ話し合いをしておりまして、そういう法律が実施された場合の実態的な取り扱いの問題なども調整をいたしておりますし、さらに関係団体等とも突っ込んだ研究会などもやっておりますので、そういうような意見をも法制局の審議の過程で十分生かしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、ストックホルム会議の経過については、著作権制度審議会に御報告いたしまして、さらに十分御意見を聞きたいと思うのでございますが、さらに法律全体について、もう一度著作権制度審議会に諮問をする必要はまずないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  95. 小松幹

    小松委員 今度出版権の問題で、やはり複製という形にウエートを置いてきておると思うのでございますが、そうすると、出版権の取りきめなどについては法律化をするのか、あるいは別個の法律をつくるのか、その辺のところをちょっとお漏らし願いたい。
  96. 安達健二

    ○安達説明員 現在出版権の設定については、現行の著作権法に一章を設けて規定されておるわけでございまして、改正案につきましても、その線に沿って大体現行法の制度を盛りつつ修正いたしておるわけでございまして、この点につきましては、複製と出版権その他についての問題点は、特に日本書籍出版協会等とも慎重に鋭意検討を進めておるわけでございますので、そういう検討の結果によって必要な修正は加えていきたい、かように考えておるわけでございます。
  97. 小松幹

    小松委員 これで終わります。
  98. 床次徳二

    床次委員長 この際、暫時休憩することとし、本会議散会後再開いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————    午後三時五十三分開議
  99. 床次徳二

    床次委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  著作権法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。唐橋東君。
  100. 唐橋東

    ○唐橋委員 午前中に小松委員のほうから、国際関係と、さらに国内関係の基本という問題の質問がありましたが、それに続きまして二、三お伺いしたいと思うわけでございます。  その一つは、具体的に申しまして、午前中の小松委員質問に対して、文部省の文化局試案について、この国内法は全面的な改正の必要は認めないが、個々的な改正の必要は今度の国際的な結果多少ある、こういうことでございますが、そのおもなる個所はどういう点であるか、まずお伺いしたいと思います。
  101. 安達健二

    ○安達説明員 先ほど申し上げましたように、今度の改正で映画に関する国際的流通を円滑にするための条約ができ上がったわけでございまして、これに関連しまして若干これに修正を加える必要があるのではないか、かように考えております。その点が第一点でございます。  それからなお、多少技術的にわたります点といたしましては、今度の条約で、日本国内に住所を有する者は、日本国籍を持っている者と同様に保護する、こういうことになりましたので、それに関する規定を整備するというようなところがあるかと思います。  そのほか、保護すべき著作物等につきまして字句的な面で修正を要するところも多少あろうかと思いますが、基本的には、特に根本的体制を変える必要はないかと思っております。
  102. 唐橋東

    ○唐橋委員 そのような点を含めながら、先ほどもいろいろと意見が出ておりますように、非常に大きな全面的な改正に取り組まなければならないという立場に立ちながら、この文部省の試案が発表されますと、各界からは非常にいろいろな意見が出ておる。先ほどのお答えの中に、四十くらいの団体から出ておるんだ、こういうことでございますが、いまのような点を含めて、さらにこの法律案草案を直しながら、もう一度やはり第二次草案ともいうべきものはこうなんだということを交渉する必要があると私は思うのですが、それに対してどのような取り組みをなさろうと思っておりますか、お伺いしたい。
  103. 安達健二

    ○安達説明員 先ほど申し上げましたように、四十団体に意見の提出を求めまして、現実に意見が提出されておるわけでございますが、その中の意見を二つに分けることができると思います。  一つは、従来から主張されましたことをやはり主張されておる。もうすでにその意見は審議会等において十分織り込み済みであって、審議会において採用できなかった、そういうような問題でございまして、そういうものは主として根本問題に関するものでございます。そういうものはいずれをとるかという判断の問題でございまして、それはすでに織り込み済みであるということが言えるわけでございます。  それからもう一つは、技術的な点でございまして、こういう点については関係の団体の意見等で非常に聞くべき点はあるわけでございますので、そういう点は法制局の審議の過程で取り入れることができる、そういうふうにいたしますると、もう一度第二次草案をつくって、それを一般に公表するまでの必要はないのではなかろうか。技術的な点は、むしろ関係団体との間で十分協議をいたしまして、納得をいただけるような点までは実際問題として処理できる。  ただ、最初申し上げました根本問題につきましては、これはとるかとらないかの問題でございますので、これを何回交渉しましても同じ意見が出てくる、こういう結果になるかと思います。
  104. 唐橋東

    ○唐橋委員 日本文芸著作権保護同盟、日本音楽作家クラブ、全日本写真者作者同盟、こういう方々からいろいろな意見があなたのほうにも出されており、私たちもまた資料として持っておるわけでございます。それらに対して、いまの映画に関する件というような点は多少やはり重要な事項でもあるわけでございますが、いまのような取り扱いで不十分だとも考えておるのです。それらもそのような取り扱いで悪いと私も考えていませんが、ともかくいま申し上げましたような中心になるべき方々から各種の意見が出ておる。そしてまた、先ほどお答えありましたように、その他四十に関する団体といいますか、あるいは個人的な立場の人も含んでいるかどうかわかりませんが、そういうような意見が集まっておるとするならば、私たちも、このような意見を十分取り入れながらもっともっと研究してみなければならない任務もあると思うのでございまして、それらの点をまとめて全部資料として委員会に出していただきたいのですが、いかがですか。
  105. 安達健二

    ○安達説明員 各団体から出されました意見書はまとめてございますので、あるだけの部数で御参考に供せられるものは、できるだけ用意いたします。
  106. 唐橋東

    ○唐橋委員 こういう問題は、相当利害関係なりあるいはお互いの一つの仕組みの中で、こちらを重んずればこちらが非常に軽くなるという一つの基本的な権利の問題ですから、どのような意見——いわゆる重複しているような意見が出ていたとしても、やはり出すのには、それぞれそれだけの立場を持っておいでになる方々からの意見だと思うので、全部の意見を一通り見てみなければならないと思うのです。それらをまとめて出してもらいたい。何か注釈しておも立ったものはこういうのだという考え方じゃなしに、やはり全資料的なものを出していただけますか。
  107. 安達健二

    ○安達説明員 承知しました。
  108. 唐橋東

    ○唐橋委員 それらの資料等を参考にしながら、私たちも真剣に、今後一番重要な——先ほども小松委員が言われましたように、基本的な問題でありながら、非常に国際的な立場に立ってみてもとかく私たちには認識の薄い問題でありますから、それらの点を含めながらもっと突っ込んでみたいと思うので、できるだけ早く資料を出していただくようにひとつお願いいたします。  その中で一番問題が生じやすいのは、先ほども出ましたが、仲介業務制度だと思うわけでございます。この仲介業務制度に対する答申が出ておるわけでございますが、これらの答申は、先ほどの答弁でもこれで大体いいんだ、あとは運用の点が一番中心になるんだというような考え方がございますが、いままでの日本音楽著作権協会のやってきた一つのやり方というものに対していろいろな問題が出ておる。しかもそれは、今度の改正においては、再びそういうような問題が起こらないように抜本的に整備しなければならないと思うのでございまして、これらの点について、答申案の全文はいま手に入っておりますが、関係官庁としての文部省に、もう少しこの仲介業務に対する基本的な考え方をお伺いしておきたいわけです。
  109. 安達健二

    ○安達説明員 この答申は五月の十日に出されまして、その答申と同時にその答申の説明書というのがございますので、それももしお持ちでございませんでしたらば、資料として御提出申し上げたいと思います。もう少し御理解いただけるかと思いますので、あとでお届けいたします。  この答申の考え方は先ほども一申し上げましたが、現行の著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律をいかに改正するかという観点でつくられておるということが一つと、同時に、御指摘のございました日本音楽著作権協会の運営に関連いたしまして、その適切でない点をさらに改善するというようなことの二つを含みとしながら、答申が出されたわけでございます。ただ、法律制度の大綱といたしましては、先ほども申し上げましたが、仲介業務をすることについての許可制とか、使用料についての認可制あるいは主務大臣の監督権とか、そういうことはおおむね同一の体制をとっておるわけでございまして、それが現在の法律は昭和十四年にできたものでございまして、旧憲法下においてつくられたものでございますから、新憲法下に沿うように許可基準を定めるなど整備をする、こういうことに中心を置いているわけでございます。
  110. 唐橋東

    ○唐橋委員 その際、いままでの問題を振り返ってみても、監督官庁である文部省の監督の姿勢を確立しなければならないということを、私はこの著作権協会の問題の解決の第一の条件として、経過を見ましたときに感じたのでございます。世上ずいぶんにぎやかな話題を投げた問題でございますが、その中で、いま申しましたように、文部省自体の姿勢として非常な疑惑を持たれる点があると思うわけでございます。したがって、これらの点について二、三お伺いして、そして過去は過去、現在は現在、将来は将来という中において、文部省の正しい指導体制がなければならないと思います。したがって、二、三の過去の事例の中からお伺いしておきたいのでございますけれども、雑誌の「新評」の一月号ですか、文部省がいろいろ接待を受けたとか、あるいは国税庁関係が接待を受けたというような記事が載っております。これについては御承知ですか。
  111. 安達健二

    ○安達説明員 ただいま御指摘の点につきまして実情を調査いたしましたところ、三十八年以前に職員の交代等の際の会食等の事実が認められまして、綱紀粛正の見地から自粛すべきものであることはもとよりでございますが、三十九年以降はこのようなことは行なわないようにいたしておるわけでございます。
  112. 唐橋東

    ○唐橋委員 国税庁関係もあるのですから、国税庁の方、そういう点について……。
  113. 中西清

    ○中西説明員 そういう接待を受けたという事実は聞いておりません。
  114. 唐橋東

    ○唐橋委員 あの雑誌の記事には、法人税課の関係接待費とかなんとかいうのがずいぶん出てきておるのですが、あの記事は御承知ないですか。
  115. 中西清

    ○中西説明員 その記事はまだ拝見いたしておりません。
  116. 唐橋東

    ○唐橋委員 それでは、その他週刊誌等に、ずいぶんこの種の問題がにぎやかに報道された点はどうですか。
  117. 中西清

    ○中西説明員 そういう事実は私まだ知らないのですが……。
  118. 唐橋東

    ○唐橋委員 直接雑誌は持ってこないのですけれども、「新評」には何月何日に国税庁の招待はこう受けたんだというような点が、具体的な日誌風として出ているのですよ。しかもその中には、法人税課の関係接待費、法人税打ち合わせ会、国税庁との懇談会、こんな事項で出ているわけです。こういう点を知らないということについてはちょっと了承できがたいのですが、どなたか、そのほか国税庁関係の方がおいでになっているならば——あなたは直税部法人税課長なので、そういう種の問題を国税庁として知らないということは許せないので、知っておる方がいれば電話ででも連絡をとってみていただけませんか。
  119. 中西清

    ○中西説明員 私は聞いておりません。それでは連絡させていただきます。
  120. 唐橋東

    ○唐橋委員 連絡をとっていただいて、もしその種の件について多少事務的にその後処理の衝に当たった、こういう方がおありでしたら、もし出ていただけるならばなおいいのでありますが、そういう点について至急連絡をとってみてください。  それで、文部省のほうとしては、調べた結果何件くらい出てきましたか。
  121. 安達健二

    ○安達説明員 件数は、ここにちょっと資料を持っておりませんので、お答えできません。
  122. 唐橋東

    ○唐橋委員 あとでもいろいろ議論したいのですが、確かにこの音楽著作権協会の内部の問題は、それ自体として運営上の問題であるとは思うのですが、少なくとも監督官庁の立場に立って一切を掌握できる——いまさら私が、この著作権法の中にある文部省の権限なんというのは読み上げなくても、あなたたちはそういう重要な立場に立っておるものであって、しかもあれだけの大きな問題が生じておるときに、簡単な調べでこれはそうでなかったんだというようなことで、いわば綱紀粛正という中においてこれが処置できますか。これはむしろ大臣のほうに、基本的な姿勢なので、お伺いしておかなければならないと思うのですが、この種の件について大臣は、直接調査させ、その報告等を受けていますか。
  123. 安達健二

    ○安達説明員 その前にちょっと文部省関係で、文部省関係の接待費といわれておりますもののうちに、私ども詳細に調査いたしましたが、実質文部省関係でないものが、文部省関係として帳簿に記載されておったのが相当あるということでございました。
  124. 唐橋東

    ○唐橋委員 だから私は、そういう点を明確にしていただきたいのです。そうでないものが相当ある、これはことばのやりとりではそれでいいでしょう。しかし、いまのそのことばは新聞や雑誌等に出ております。しかも私は、この種の件については質問いたしますぞと通告してあるはずですから、少なくともここの国会の議論の中においてはそういう疑惑を正式に晴らさなければならない、そういう国会の場なのだとすれば、私が質問通告をしたときには、当然これはこうでございますというはっきりとした御答弁、つまりいままでの経過の中でそういうものが何件あって、何件はそうでないのだ、そのうちこの点はこういう趣旨で、いわば交際費的な単なる儀礼的なものであるというように、それらの性格を一々明瞭にしなければならないと私は考えるのです。そうでなかったら、あれだけ週刊誌に取り上げられ、あるいは雑誌に書かれているのに対して、文部省の立場というものをここで明白にしなかったならば、どこで明白にするのですか。
  125. 安達健二

    ○安達説明員 三十四年の四月から三十九年三月まで、文部省関係接待費として約百二十万円というのが協会の帳簿上に載っておったわけでありますが、そのうち五十万円は実質文部省には全然関係のないものであるということを発見いたしました。
  126. 唐橋東

    ○唐橋委員 残りはあるのですね。
  127. 安達健二

    ○安達説明員 残りの七十万円のものは、先ほど申し上げましたように、職員の交代等の際に会食をしたというものが主でございまして、一般社交儀礼上、自粛すべきものではございますけれども、特に非難するには当たらないものではないかと考えました。
  128. 唐橋東

    ○唐橋委員 私の手元にもそのコピーをとったものがあるのです。これがそのままだとすれば、これを資料にしながらこの資料の中でいまのような疑惑を晴らして、国民の自の前に文部省のあり方というものはこうだったのだということをはっきりとさせ、黒い霧をぬぐっておかなければしかたがないとわれわれは思うのです。今度この種の事件が、あとでも出てきますが、不起訴になったというようなことで一応ピリオドを打つ段階にきておるので、私はこれを取り上げて、そういう時期的なものも考えながら、しかも文部省の今後の立場というものの重要性もあるので聞いておるのでございますが、いまのような点で文部大臣、これらについて、私はやはり大臣の責任において明確にしておくべきだと思う。私がいま申しましたように、ちょうど時期的にもこの種の問題が一応終結のつく時期が出ましたし、二、三日前の新聞にも不起訴だというような点が出てきましたので、この辺で一切を出すべきである。何もそれを新聞紙に発表してやるべきではない、こういう場に出してこそ初めて国民の疑惑なり、文部省の考え方というものが明白になってくると思うのですが、それらに関するいま私が申し上げましたような態度、私の気持ちを申し上げながら、そういう考え方に対して大臣のとっていただきたい点をお伺いするわけなのですが、どうでしょうか。
  129. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 音楽著作権協会の不正問題につきましては、御指摘のとおりきわめて私ども遺憾に存ずる次第でございます。特に文部省との関係につきましては、私、就任後この著作権協会の問題につきましては厳重にこれを調査をいたしまして、特に私の就任ずっと以前の問題でございますけれども、将来にわたりまして文部省としてそういう疑惑を受けるようなことが絶対ないように、また、著作権協会のあり方につきまして、最善の改善を行なうように処置をいたしますように督促をして今日までまいっておるわけでございます。
  130. 唐橋東

    ○唐橋委員 大臣のお気持ちはわかりますが、くどいようですが、やはりどこかで、いままでのこの問題に対してあれだけ件数が正しく日誌風に出ているとするならば、こういう国会の中で出してこそ、初めてそうであったということがわかると思います。そうでなかったならば、文部省はずいぶんと疑惑を受けているわけでしょう。その中でも五十万円はそうじゃございませんということなんですから、あと七十万はありました、こういうことですから、七十万というのはどんな性質のものだということも、たとえ金額が七十万であったとしても、それは送別会の費用でございましたと——それならば送別会の費用でないものもありますよ。だとするならば、正しくいま申しましたような形で処理しておいていただく。その処理のしかたに、私がいま申しましたように、こういうふうな事件でありましたということを私たちに資料をよこしていただきさえすれば、それでやはり国民に対する一つの正しい釈明の方法、あるいは明らかにする方法が出てくると思うのですが、そのような方法は、大臣とれないものですか。
  131. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 過去におきまする事柄は厳重に調査をいたしておるのでございますが、できましたら、それはだいぶん個人にわたる問題もあるかと存じますので、調査の結果をごらんいただく程度にしておいていただければ——その中で、公務員として過去におきます過失、誤りにつきましては、将来を戒めましてそれ相応の処置をし、将来への更生をさせるということはやはり一面におきまして私どもの責任でもございますので、そういう点を御推察いただきまして、それがもし犯罪とか公務員として不当行為に及ぶものがあれば、これは完全に処置しなければなりませんけれども、それに注意を与えまして、将来への更生をさせるということもまた私どもの立場でございますので、その点を御了承いただきまして、調べるものは十分調べておりますので御了承いただきたいと思います。
  132. 唐橋東

    ○唐橋委員 大臣がそのようなお気持ちならば了承します。  その問題がずいぶん議論されております昭和四十一年の十一月二十二日の著作権協会の臨時総会に、担当者は出席いたしましたか。
  133. 安達健二

    ○安達説明員 従来文部省は、音楽著作権協会の総会等には出席いたしておりません。
  134. 唐橋東

    ○唐橋委員 その議事録等はおとりになって検討されましたか。
  135. 安達健二

    ○安達説明員 議事録は協会の会報に載っておりますので、私のほうにもそれが送付されてきております。
  136. 唐橋東

    ○唐橋委員 私の手元にはこの議事録があるんですが、その中で非常に大切なことは、「裏経理の大略」となって、しかもそれは正式にその前の総会においてきめた経理処理委員会が取り上げ、そしてその内容が報告されておるわけですが、この「裏経理の大略」というのを見てみますと、私たちが非常に驚くべき内容が出ておるわけでございます。これらの点については検討されましたか。
  137. 安達健二

    ○安達説明員 文部省といたしましては、基本的にはこの音楽著作権協会が自主的に処理されるということでございますから、文部省としてはあくまでも自主的に処理をするということをたてまえにしつつ、必要があればこれに指導監督をする、こういう立場で進んでおったわけでございまして、過去の経理について問題があるということでございましたので、文部省ではこの問題を明らかにするようにということを忠告いたしまして、その結果、過年度経理処理委員会が設けられて、こういうような結果になったという報告を受けたわけでございますが、間もなくこれが告訴になりまして、その点についての刑事的な捜査が行なわれることになりましたので、私どものほうは、その内容についてこれを一々検討するだけの資料、またそれだけの権限もございませんので、その中身についてさらに詳細に検討するということはいたしませんでした。
  138. 唐橋東

    ○唐橋委員 いま、権限の問題が出ましたね。法律の第七条に、「主務大臣ハ何時ニテモ当該官吏ヲシテ仲介人ノ事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ其ノ業務及財産ノ状況ヲ検査セシムルコトヲ得」と、臨検し得るまでの重要な権限を持っておることは、これはもう私から言うまでもなくおわかりなんでしょう。
  139. 安達健二

    ○安達説明員 承知いたしております。ただ、私ども申し上げましたのは、実際の帳簿等が警視庁のほうに提出されてございましたので、私どもの調査すべき帳簿等が現実にはない、こういう状態でございましたので、これはむしろ刑事訴訟法のほうにゆだねるべきことであるということで、私どもとしては一応控えたということでございます。
  140. 唐橋東

    ○唐橋委員 検査する資料が警視庁のほうにいっていてということは理解するのですが、何かあれだけ騒がれているのに、私のほうではそういうことの報告を受けるだけの義務であって、あとは検査をする義務はないのだというような趣旨に受け取ったのですが、こういうことだと思うのですよ。一番大切なことは、あの著作権協会のいままでの功績やその他は、私はやはり否定できないと思います。しかし、あの不正事件が発生していく一つの仕組みを見てみますと、いわば信託事務として入ってくる金、その中からの規定の手数料で協会は事務をしなければならない。あの協会の予算というのは、定款から出てくるのは手数料ということばになっていますが、それが会計であって、あとは入ってくればすぐに著作権者に出さなければならない。この仕組みが実は根本的に間違っていたと言わざるを得ないわけです。というのは、入ってきた金が全一部いつでも運営費の中に——著作権協会そのものの仕事と、配分しなければならない金というものをいつでもごっちゃにしている、このことが今度の事件の起こる基本的な会計のあり方としての間違いだということを私は指摘せざるを得ないのですが、いままでの監督の上に立って、そしてまた、この種の事件が起こったあと運営で、このような会計の基本的な姿勢といいますか、運営といいますか、そういうかまえの指導はどうなされていますか。
  141. 安達健二

    ○安達説明員 従来は、御指摘されるような余地があり得るような点があったということは遺憾であったと思うわけでございまして、その後、協会の財産と信託財産というものは、会計上はっきり分離いたしまして会計をするというように指導し、またそういう体制をつくってまいりました。それからまた、監査部をつくりましてその監査を厳重にする、こういうような体制、あるいは外部に委嘱して公認会計士の監査を経るというような体制もとっておるようになってまいりました。
  142. 唐橋東

    ○唐橋委員 そういう体制に入らなければならないと思いますが、たとえば、いま申しました未配分の使用料の融通というようなことが一番この種事件の基本的なものであって、その後そういう点は、監督権がありますから、いま申しましたようにやはり権限があるのですよ。だとするならば、やはりその後現場に行って、報告を受けるだけでなしに、改まってきたかどうかということを見ていますか。
  143. 安達健二

    ○安達説明員 現在までのところは、いわゆる法七条に基づいて立ち入り検査というようなものは行なっていません。新しい役員もできましたし、またそういう財政経理の規定等も整備いたしてやっておりますので、その状況を書類あるいは口頭での聴取等をいたしまして監督をしておる、こういう状況でございます。
  144. 唐橋東

    ○唐橋委員 それでもう一つ重大なことは、いまのような信託財産の経理というもののたてまえをはっきり分けました。こういうようなことは了解がつくのです。そのことが確実に行なわれているか、こういうことになってくると、私は、いまのあの財産の中で、そうしていまの会計方式の中で非常に困難な機能的なものを持っておる、こう思うのですよ。ですから、これは相当あの種事件から日時がたっていますので、長い一つの財政的な指導の中でないと、どうしてもいまのような信託財産を自分のものとして流用しているという、こういう点はあの運営の中では当然やはり出てくると思うのですが、これらに対して私がいまお聞きしたのは、これだけ問題があったんだから、その後半年たった、一年たったというならば、やはり指導的な立場で帳簿を見ていくという一身分証明を出して臨検まではいかなくても、指導的な立場で行って当然見られておる、こう思うのですけれども、そういうことも現実にしていないのですか。
  145. 安達健二

    ○安達説明員 ただいままでのところはやっておりませんけれども。必要に応じてまた考慮すべき問題だと考えております。
  146. 唐橋東

    ○唐橋委員 そうしますと、あなたのほうでは、一番大切な信託財産が公平にいま配分されているかどうかという状態はつかんでいないわけですね。
  147. 安達健二

    ○安達説明員 この日本音楽著作権協会は、もともとは権利者の団体でございまして、権利者の団体として評議員会を持ち、理事会を持ち、また責任ある役員がやっておるわけでございますが、まずは第一段としてその団体自体の自主的な管理経営というものを重んずべきだ、かように考えております。そういう過程においてなお必要があるならば、やはり必要な調査をすべき問題である、現在のところは新役員以下非常に一生懸命にやっておるようでございますので、状況に応じて必要あらばまた現地調査もすべきではないか、こういうように考えております。
  148. 唐橋東

    ○唐橋委員 御答弁はそれでいいと思うんだけれども、しかし、実際は、それであの内容があなたたち自信を持って監督官庁として行なわれているのですか。私はあの経理全体を見ておったときに、あのブランケット方式という会計の処理の方式というものは、いろいろあの方式をとらなければならない諸問題があったと思うのですが、非常にめんどうな会計だと思うのですよ。会計の処理方式ですね。しかし、あの方式を見たときに、いまあなたが言うような、ほんとうに今後は協会の財産だけですべての給与もあるいは運営費もまかなわれる。そうして今度、ほんとうに信託財産が入ったならばすぐに配分していくという状態が監督官庁として、あれだけ問題になったときに、今度は役員がかわりましたということですぐに変わるとあなたたちは見ているのですか。しろうとの私でさえ、これは非常に困難だと見ているのです。どうなんですか。
  149. 安達健二

    ○安達説明員 その点は、会計の問題になりますと専門的な事項もございますし、外部に委嘱した公認会計士の監査を経るというようなことでやっておりますので、役員その他評議員会、理事会等の態度、それからまた監査の制度というようなもの、あるいは監査部の設置、そういうようなことでまずはうまくいっているのではないか、なお問題等発見する場合においては厳重に調査をいたしたい、かように考えております。
  150. 唐橋東

    ○唐橋委員 問題等を発見すると言うのですが、問題が出てしまってからではおそいですよ。そういうようにできないように指導していくことが、私はやはり文部省の、しかもこれだけ権限を与えられておる監督官庁の立場ではないかと思う。公認会計士を呼んで、いまほんとうはどうなっていますかと聞く方法も一つあるのですよ。私が問題にしたいのは、あれだけの問題の事後処理として、文部省はどれだけ真剣にこの問題の処理に当たっているのかということを非常に疑問に思いながら聞いているわけですよ。そうしますと、やはり私の持っておる疑問がどうしても了解できないのですよ。自主的団体、説明をなさらなくたって私はわかりますよ。そうして自主的団体でやらせて、あとは問題のないうちは、ほんとうは人の信託財灘なんだからその処理を公正にやりなさい、こういうようなかまえは、それは必要でしょう。必要でしょうが、あれだけ大きな問題が生じて、そのあと再建に入っていった場合には、役員がかわったのだ、公認会計士を入れたのだ、事件がないうちは私は監督官庁としては入る必要は認めません、問題が起こればやりましょうというかまえでは、この問題は処理できないと思います。だからこそ、いままだまだくすぶっているのではないですか。だから総会の問題を見詰めたって、あなたお読みになったとするならば、これですっきりしているという議事録になっておりますか、なっていないでしょう。だから、そういう点を、私は指導機関としてはっきりとやりなさいということを言っているわけです。
  151. 安達健二

    ○安達説明員 私の申しますのは、文部省は何もしないでほうっておくということでは毛頭ございませんので、もちろん定期の処理会計の報告がございますし、またその提出があった場合には単に処理だけでなくて、関係理事はもとより、あるいは担当の課長等に来てもらいまして、詳細にその内容を検討いたしているわけであります。ただ、こちらで申し上げましたのは、立ち入り検査とかそういうようなことは十分慎重にすべきであるけれども、その他一般的な監督として十分調査等はいままでもやっておりますし、将来もやるべき問題であるし、また、御指摘のような点につきましては十分われわれとしても心して、将来そういうような問題が起こらないように十分に監視をする必要があるということは、全くお説のとおりであると考えておるわけでございます。
  152. 唐橋東

    ○唐橋委員 総会の議事録の中に「裏経理の大略」として、「これらの原資を簿外に振替えるについては、著作物使用料を著作物使用者に返戻したかたちにし、また外国楽曲の使用料として外国著作権団体に送金したかたちにし、また本来協会が取得すべき外国楽曲の管理手数料分であるのにこれを計上しないで信託者に使用料分配金として支払ったかたちにして、協会の使用料収入金から支出したもの、あるいは、総務部経理課が業務部から著作物使用料を収納したにもかかわらずそれを帳簿に入金の記載をせず協会の使用料収入から除外したものなど、経理上不当な操作をしておりました。」というのが、正式な裏経理の発生の原因を記載したものなのですよ。この裏経理の問題になってくると、一つは、これに伴う税問題が出てくると思うのです。裏経理には当然脱税ということが出てきますね。この脱税の裏経理に対して、国税庁はどのような処置をいたしたか。
  153. 中西清

    ○中西説明員 この日本音楽著作権協会と申しますのは、御存じのように公益法人でございますので、公益法人は本来納税義務がございませんが、収益事業を行ないますと、その収益事業部について課税が行なわれることになっております。  この日本音楽著作権協会の問題でございますが、著作権者とこの協会の信託契約の約款を見ますと、当初は、剰余金が生じた場合は協会に帰属するということになっておりましたので、三十五年までは法人税の課税をいたしております。ところが、三十五年五月になりまして、協会のほうで約款を改正いたしまして、著作権者からは手数料はいただかないんだ、実費をいただくんだ、実費精算方式でまいります。したがいまして、収益事業には該当しないという判定をお願いしたいという上申書が国税庁に出てまいりました。それに基づきまして、私のほうで約款を検討いたしましたところ、事実そういう内容になっておりますので、約款のとおりでございましたならば収益事業には該当いたしませんという返事をいたしております。したがいまして、三十五年以降は、法人税は課税になっておりません。  それから、三十七年に、こういった公益法人の内容につきまして全国的に一度洗ったのでございますが、その当時は約款どおりの経営をやっておりましたので、問題はございませんでした。その当時に、この著作権協会は課税を受けない法人として表示いたしておりますので、それ以後、法人税は課税になっておりません。ただし、役員とか事務職員に対する所得税はもちろん課税しております。
  154. 唐橋東

    ○唐橋委員 協会自体の経理は、いま言うように手数料による経理であり、法人税の対象という団体としての収支というものと、もう一つは、その団体が取り扱う信託された財産に対する課税というものがあると思うのです。その信託された財産、金額が裏経理に入ってしまって、そして本人にいくべきもの、配分しなければならないものが配分されないでおる。こういうことで、いまの説明の中では、正面の説明はいいのです。協会自体の法人としての問題はいいんですけれども、それは一つの収支決算でしょう。しかし、裏経理をつくって、いま読み上げましたように外国から入ったものが入ってない。二度と読む必要はないわけですが、あなたたちもこれについては相当調査されておると思うのですけれども、そういう入ってきたときに当然課税しておかなければならない金額等に対してはどうされたのですか、そのことを聞いておるのです。
  155. 中西清

    ○中西説明員 こういう公益法人の収益事業につきましては、剰余金が発生した場合に、事業年度末で課税するということになっております。したがいまして、いまお話しのございましたように、裏経理が事実上ございまして、約款どおり行なわれていないということであれば、課税をしなければならないと思っております。
  156. 唐橋東

    ○唐橋委員 そうしますと、この問題ができましてから警視庁も入り、しかも先ほど申されてあとでお答えをされたんですが、全然わかりませんでしたということでは了承できないと思うのですけれども、いまの答弁のように当然課税対象になる。私のところにもだいぶ資料がありますが、時間がないので提出しませんけれども、このようないわゆる脱税行為に対して、いままでは協会自体の経理だけを見て、しかも総会には九千万円の裏経理がございますという中で、全然脱税行為はございませんというわけで、いままで手をつけていなかったですね。
  157. 中西清

    ○中西説明員 全然手をつけていないというわけではありませんので、著作権協会の問題はわれわれのほうも知っておりまして、ただ、帳簿、書類が全部取り上げられているものですから調査ができなかったわけで、後日帳簿が返ってまいりましてから、過去五カ年間にさかのぼって調査をしたいというように考えておるわけです。
  158. 唐橋東

    ○唐橋委員 先ほどの文部省の答弁と同じように、証拠書類が全部警視庁にあるというので、調査できないんだ、こういうことなんですが、そういう資料が戻ってくればあらためて調査します。こういうことなんですか。
  159. 中西清

    ○中西説明員 もちろん、帳簿書類が戻ってまいりませんと調査できませんので、その書類が全部戻ってまいりましてから、普通の場合時効は五年でございますので、さかのぼって調査いたしたいと思います。
  160. 唐橋東

    ○唐橋委員 大臣に一つお伺いしたいんですが、先ほども申しましたように信託財産、しかもいろいろ会計方式のむずかしい——レコード一つとってみても、それが今度演奏の場合と、いろいろむずかしい報酬を正しくしていく場合に、先ほど申しましたような今度役員がかわったんだからいいんだ、あとは公認会計士がおったからいいんだという問題でなく、実はこの会計処理方式の機能的な欠陥から一つは出てきている、こういう考え方を持っておるんですが、この機能的な欠陥について今後どうすべきかということこそ、文部省としても真剣に検討すべき問題だと私は思うのです。この検討の姿勢こそ、今後この次に行なわれてくる著作権法の全面改正と同時に行なわなければならない問題だと思うのですが、これに対してひとつ明確なお答えを願いたいと思うのです。
  161. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 音楽著作権協会の問題につきまして、いろいろ御叱正がございました。御迷惑をかけましたことを再び繰り返すことが絶対ないように、私たちは処置しなければならぬと思います。  この問題が起こりましてから、文部省といたしましては、先ほどお答えいたしましたように、まず役員もかえますし、経理のしかたその他監査部を置きますとか、まずできるだけ自発的な努力によりまして改善をいたさせてまいったわけでございます。しかし、その間刑事上の問題等が起こってまいっておりましたので、直接的には、この協会自体がまず第一にその体制を整えることを今日まで指導してまいったわけでございます。しかし、事件も大体最終段階に入ったようでございますので、ここで文部省としましては、ただいまお述べになりましたように、この際根本的に、将来そういう問題が起こりませんように、むずかしい経理の問題もあるかと思いますので、十分それに対処する万全の方法を考究してまいって、再びこういうことが起こらないように最善の措置をいたす覚悟でございます。
  162. 唐橋東

    ○唐橋委員 その基本的ないまの大臣の方針は了解できますけれども、一番大切な再建の方法は、やはり基礎的な財産だと思いますよ。協会自体が協会として年間運営し得るもの、それがあって初めてできると思うのです。人件費は集めたものから、出張所なら出張所のその中から俸給をとらなければならないというようなこの状態を残しておいたのでは、私は幾ら口で言ってもだめだと思うのですが、いまずっと事件が起こったあと、そのようないわば協会自体の費用というか、運営費というか、そういうものを、信託財産に手をつけなくても運営し得る金は、年間どのくらい見込まれるわけなんですか。それをつかんでいくことが今度の指導の最重点だと思うのですが、どうですか。
  163. 安達健二

    ○安達説明員 協会の収入として協会の費用に充て得るものが、昭和四十一年度におきまして三億七千四百九十五万ございます。これを信託財産とは完全に別個に経理し得るようにする。同時に、新しく経理規定というのをことしの三月から詳細なものをこしらえまして、それによってあやまちの起こらないように十分明確に、そうして詳細な規定のもとに運用をする、こういうように出発をいたしております。その状況を十分監視いたしまして、誤りのないように指導いたしたいと思います。
  164. 唐橋東

    ○唐橋委員 その三億円余があればいいと言うんですが、現在どのくらいあるんですか。
  165. 安達健二

    ○安達説明員 これは毎年音楽の使用料収入がございまして、昭和四十一年度は十八億ございました。それの約二割程度のものが協会の手数料として協会の収入になるわけでございまして、その使用料収入は年々増加をいたしておりますので、協会自体の運営はその使用料によって十分カバーできる、こういう状況でございます。
  166. 唐橋東

    ○唐橋委員 そこが問題だと思うのです。使用料か入る時期というものが、いろいろまちまちだと思うのですね。入ってくればそこから二割とっていける。十八億も入るんだから簡単なんだ、こういうところに実はいままでの運営上の問題がある。だから私が言うのは、相当な基礎的なもの、使用料が多少おくれて入ろうが、あるいは見込みしたものが入らなくても——こちらのほうには完全に準備金というか、基礎的な財産というものがないからこそいままでのような欠陥があるので、当然これは入ります。入ってくる予想だから三億くらい簡単だ、こういう経理のしかたを私は改めなさい、こういうことを言っておるわけなんです。したがって、そのような準備金的な、そういう形はとれないのですか。
  167. 安達健二

    ○安達説明員 もちろん、退職の給与引き当て金とか、そういう必要な準備金は用意いたしておりますけれども、一般に音楽の使用料については、年間とか月間とかいう契約を結んでおりますので、その契約によって次年度収入は予想できるわけでありますから、それによって十分予算を立てることができるわけであります。その予算の範囲内においてその収入の使用方法をあらかじめ定め、それを完全な規定のもとに運営するということは、これは当然できることだと思います。
  168. 唐橋東

    ○唐橋委員 だから、いまお答えをいただいたような形に速急にしておくべきものだ、私は、この質問をする場合にそういう方途を当然おとりになっておる、こう考えておるわけなんです。ですから、年間どれだけの金があって、たとえ使用料が入らなくとも、さっき出たような人件費の支払い、交際費の支払いは一切まごつかないで、完全にこちらのほうでやっていける。金がなければ、出先やその他の場合に、いつでもいまのような問題が繰り返されるというのです。そういう指導を十分なさっておると考えて、その実態をお聞きしたかったわけです。
  169. 安達健二

    ○安達説明員 信託財産と協会の財産とは完全に分離して、その経営に支障のないようにやっておりますし、また、そういうように今後も十分指導をいたしてまいりたいと思います。
  170. 唐橋東

    ○唐橋委員 大体これで私の質問を終わりたいと思うのですが、先ほど残っておりました国税庁関係の接待費というような問題について、国税庁がお知りになっていなかったということは了承できないので、もし電話等において連絡があったならば、その内容を前の質問に戻ってお聞きします。
  171. 中西清

    ○中西説明員 いま連絡がまいったのでございますが、この当時調べておりまして、その調査の担当者がいま席をはずしておりますので、後日調べてまたお答えいたしたいと思います。
  172. 唐橋東

    ○唐橋委員 わかっていたわけなんでしょう。
  173. 中西清

    ○中西説明員 一応わかっております。
  174. 唐橋東

    ○唐橋委員 なおあとで、ちょっと私のほうにお話しを願いたいと思います。  以上で終わります。
  175. 床次徳二

    床次委員長 次回は、明二十日、木曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会