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1967-06-30 第55回国会 衆議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 久保田藤麿君 理事 中村庸一郎君    理事 西岡 武夫君 理事 八木 徹雄君    理事 小林 信一君 理事 長谷川正三君    理事 鈴木  一君       菊池 義郎君    河野 洋平君       葉梨 信行君   三ツ林弥太郎君       渡辺  肇君    唐橋  東君       川村 継義君    斉藤 正男君       平等 文成君    有島 重武君       山田 太郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      天城  勲君  委員外出席者         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 六月二十九日  委員竹下登辞任につき、その補欠として、桂  木鉄夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員桂木鉄夫辞任につき、その補欠として竹  下登君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十八日  義務教育における毛筆習字必修に関する請願外  一件(始関伊平紹介)(第一七二七号)  同(船田中君紹介)(第一七二八号)  同(八木徹雄紹介)(第一七二九号)  同(華山親義紹介)(第一七七九号)  同(黒金泰美紹介)(第一八四八号)  同(齋藤憲三紹介)(第一八四九号)  同(坂田英一紹介)(第一八五〇号)  同(一萬田尚登紹介)(第一八五一号)  同(福井勇紹介)(第一八五二号)  同(古井喜實紹介)(第一八五三号)  同(吉田重延紹介)(第一八五四号)  心臓病の子供の病、虚弱児学校学級増設に関  する請願外八十一件(神田博紹介)(第一七  三〇号)  同(川上貫一紹介)(第一九二八号)  私立大学の助成に関する請願阪上安太郎君紹  介)(第一八五五号)  同(山中吾郎紹介)(第一八五六号)  同(柳田秀一紹介)(第一八五七号)  国立大学授業料値上げ及び学校教育法改悪反  対に関する請願松本善明紹介)(第一九二  六号)  国立大学授業料値上げ及び大学米軍資金  導入反対に関する請願松本善明紹介)(第  一九二七号) 同月二十九日  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(細  田吉藏紹介)(第二一六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本学術振興会法案内閣提出第九〇号)      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本学術振興会法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。
  3. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 前回に引続いて御質問を申し上げたいと思います。  前回日本学術を全般的に振興する上にどういう方策が一番大切と考えておられるかという質問を申し上げ、いろいろ天城大学学術局長から御答弁がありまして、特に学術奨励審議会学術審議会に改組して、行政体制といいますか、そういうものを整える、こういうお話がございましたが、その中で、分科会四つにつきましては、従来あるものを必要と認めて残していく、あと特別委員会五つつくるというお話がありました。その内容についてお話がなかったのですが、その具体的構想をひとつお示しいただきたいと思います。
  4. 天城勲

    天城政府委員 四つ分科会のほかに五つ特別委員会を設置するということ、これは予算上の措置としてそういう用意をいたしているわけでございます。したがいまして、具体的にどのような内容特別委員会をきめるかということにつきましては、最終的には、審議会発足後、審議会でいろいろ御審議をいただいた上で決定していただきたいというのが現在の考え方でございます。しかし、大体五つくらいできるだろうと予定した、もちろんわれわれの心づもりではございますので、その考えておりますことを例として申し上げますれば、毎年のように日本学術会議から研究所新設勧告が出てまいります。また、個々の大学からも研究所新設要望が出てまいります。これに関しまして、最近の学術の新しい動き、それから関係学部との関係あるいは学界との関係等から、それぞれの勧告なり要望のあった研究所を具体的にどういう形で制度化するか、あるいはどこに置くか、どういう大学との関連で設置するかというようなことを、ぜひ検討していただくことが一つの課題でございますので、そういう意味特別委員会はつくりたいと考えております。また、最近は研究者の養成ということがいろいろな角度から問題になっております。これは大学院の問題にも関連いたしましょうが、同時に、新しい分野の問題も出てまいっておりますので、専門別の検討をつけながら、大学院拡充問題ですとか、あるいはわれわれやっております奨励研究員制度の拡大の問題というような制度を、具体的に実現していくための方向を見つけていく。それから、最近やはり特に問題になっております学術研究国際交流の問題でございます。これは私たち学術交流の問題は単に国家間の文化協定という形でなくて、学界を通じてものが非常に多くなっております。また、研究者海外での研究あるいは日本での研究ということが非常に活発になっておりますので、こういう問題もぜひ具体的な問題として取り扱っていきたい、こういうふうなことをいま考えております。最終的には、先ほど申したように審議会が発足しまして、ここで十分、学術体制あるいは学術方向を出された中からきめてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  5. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 どうもいまの御答弁、たいへんまだばく然としておりますが、もうちょっと、この第一、第二、第三、第四、第五の一つ一つについて、こう考えているというようなことはないのですか。
  6. 天城勲

    天城政府委員 これは、なぜ分科会制度をやめて特別委員会制度をつくったかといり趣旨は、ある意味では、もう恒常的に行なって、いきます仕事分科会でやっていけばできますが、学術の進展に即していろいろな問題が出てくるので、中身はある程度弾力的に考えようという意味で、名称をはずし、また特別委員会制度という形で五つ用意したというのがいま申し上げた考え方でございますので、最終的には、やはり審議会で何からやっていこう、どこが現在重点かということをきめていただいていくほうがいいのじゃないか、こういう考え方でございます。
  7. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 すでに一応明確に予算化もされているのですが、それにはもちろん学者意見審議会委員になった方々の意見というものを中心に進められると思うのですけれども、しかし、実際には具体的な、そういう方の御意見を伺って具体的な構想をお持ちになった上でやっておったのではないかと思って伺ったのですが、それはお隠しになっているのではなくて、事実いまおっしゃったとおりなんですか。
  8. 天城勲

    天城政府委員 これはほんとうに何も隠す理由もございませんし、ただいま私が申し上げましたとおりでございます。それで、各特別委員会も五名の本委員が加わるほかに五名の専門員、十名で構成するという考え方でございまして、別に隠し立て申し上げることは何もございません。
  9. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それでは、その点はこれ以上はお尋ねしても答えは出ないようですから、ここにとどめますけれども、何か私としてはまだ納得がいかないような気持ちを率直に持つわけであります。たいへんいいかげんな御提案じゃないかという感じを持つのですが、それは私の誤解でしょうか。大臣、いかがでしょう。
  10. 天城勲

    天城政府委員 ちょっと補足させていただきます。  従来も、たとえば原子力の大学における研究の問題が起きたときにどうするかとか、あるいはガンを重要研究に取り上げる事態になったときにこれをどこでこなすかという、ときどきの問題が必ず出てまいります。したがいまして、そういうこなす場というものはやはり持っていなければならぬというのが基本的な考え方でございますので、決していいかげんという意味ではございませんで、そういった弾力的に運用できるという意味五つ用意しておるというのがわれわれの考え方でございます。
  11. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 これを改組しまして、四つ分科会だけは、これは常置的に残しますけれども、あと審議会が発足いたしましてから、いま局長が申しましたように、いろいろな必要に応じてこういう特別委員会を置いたほうがいいというような考え方審議会側で起こってまいりますのに対して、準備だけはしておくというつもりでございまして、それをあらかじめこうおぜん立てをして、そのとおりに審議会をするようにということよりも、学者審議会意見を聞きまして、時に触れてこれをつくっていく、予算的な用意だけはしておく、こういうので、かえってそれのほうが審議会意見を尊重する意味から申しましても適当ではなかろうかと思っております。
  12. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それでは、その点はその程度にとどめて次に進みます。  今年度学術研究推進予算、これを見ますと——先般川村委員の御質問申し上げたのは印刷の経過の何かそごがあったようですが、いま私、局長の持っておる資料と同じもので見ていると思うのですが、これを全般見渡しますと、学術行政体制の整備、それから科学研究費拡充重要基礎研究推進、その他在外研究員派遣充実等に、大きい項目がなっております。これで見てまいりますと、確かに日本学術振興会につきましては今年度三億三千万ですか、これに対して科学研究費充実のほうは四十一億というふうにかなり比率が違っておりますが、今回の日本学術振興会特殊法人化することによって予算もどんどんふやす、事業費もふやすことができるのだというふうにおっしゃっておりますが、私の考えでは——この前御質問申し上げた、学術振興全般を見て何がいま一番大切かという質問に対して、局長いろいろお答えになりましたが、私は第一は、いま日本学問研究の一番センターになっているのは何かといった場合には、やはり大学ではないかと思うのですね。大学及びその関係研究所ではないかと思いますので、そこに対する予算というものをまず十分にやるということが、私は第一の眼目ではないか。ただ、その上に、その総合性であるとか国際性であるとかいうものがいまの研究の進歩の段階で非常に強まってまいりますから、そういう面の配慮は、さらにその上にもちろん大いに必要と思いますが、この日本学術振興会特殊法人化することによって、今後この科学研究費拡充のほうにあります科学研究費、あるいは研究成果刊行費、こういったようなものをもっと拡充発展させるというお考えなのか、こういうものはだんだん日本学術振興会のほうに移して、こっちから補助費としてやるような方向にいこうとする考えなのか、その一体根本はどう考えるか。まず、私は、この費目で言えば、科学研究費充実というものを、もっともっとふやしていくということに努力すべきじゃないかと思うのですが、それについてどうお考えなのかということが第一点。それから、日本学術振興会特殊法人化して、ことしは人件費がふくらんだだけで事業費はふくらんでいない、来年度以降これがふくらんでいくということになりますと、これは科学研究費充実の費用というよりも、こちらに重点を置いていくというようなお考えになっているのか、その点をひとつ明らかにしてください。
  13. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 第一の点で申し上げますが、この科学研究費は、これは大学におきます研究に対します研究費でありまして、大学につきましては講座、各教官当たりに積算しまして講座に基本的な研究費を配分いたしておりますが、それは一般の、教育的にやります研究基礎になるものでございます。それ以外において、一定の研究テーマに対しまして科学研究費を配分しますのが科学研究費でございますが、実は私としましては、大学におきます研究費基礎的な部分について、いままで十分でなかったということを認めざるを得ないと思います。そこで、これを基本的には思い切って増額してまいりたい。それは、私自身としましては、ひとつ来年度には非常に重点的にこの研究費増額をはかりたいと思っております。その点は全く先生と同感でございます。ただ、学術振興会につきましては、御承知のように振興会事業は、一応今度事業内容については規定されておりますので、その規定されております事業に沿いまして、これをできるだけ増額はいたしてまいるつもりでございます。しかし、大学研究費をまず十分に増額してまいる、これがどうしても重点になってまいると考えております。
  14. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 局長、どうですか。
  15. 天城勲

    天城政府委員 大臣の御説明を若干補足さしていただきます。  研究費は、大ざっぱに分けて、国立大学基礎的な基盤をつちかう研究費、それから科学研究費と、このたび学術振興会を通じての事業とございます。国立大学講座研究費等につきまして、これは基本的なものでございますので、本年度も前年・度に対して一八%ほどの増額をいたしました。それから科学研究費学術テーマについてやっているものでございますので、これもいま大臣が申したように、新しい発展についてどんどん伸ばしていかなければならぬ計画でございます。先ほどの御質問で学振と科学研究費の点が指摘されておるわけでありますが、学振は政府が直接やりにくいもの、あるいはやるよりも、もっとこういう機関でやったほうがベターなものというものを中心考えておりますので、たとえば奨励研究員だとか流動研究員、あるいは外国との人物交流における共同研究、こういう研究者のフェローとか研究費を通じて流動的に行なう仕事にいまのところは重点を置いて考えておるのでございまして、これは政府が直接にやるには非常にやりにくい仕事でございます。そういう性格がおのずからございますので、大学の基本的な経費、それから科学研究費、また学振の研究費というものはそれぞれの立場重点的に考えていかなければならぬのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  16. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまのお考えで、科学研究費はそれはそれとしてますます今後ふやしていく、大学研究費はまた大学研究費として充実をしていく、振興会のほうは、あくまでそれとはまた別の角度流動分野研究員の設置であるとか、海外との交流の問題、あるいはいまはっきりおっしゃらなかったけれども日米科学協力とか、産学協同とか、そういう方向のお仕事を相当やるというように受け取れるのですが、そうですが。
  17. 天城勲

    天城政府委員 大ざっぱにこの三つの立場を申し上げますと、そういうふうな性格があるということでございます。
  18. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そこで、この学術振興会につきましては、いろいろ学界のほうでも疑問が持たれていることは前からも私が申し上げたし、また御報告もすでに御答弁の中にあったわけでありますが、特に予算面を見ますと、ことしの予算は、振興会に関しては三億三千万のうち日米科学協力事業補助というのが二億でございますね。そして振興会のほうの補助が一億三千万、国際交流とか国際的な研究推進というけれども、これはもう日米科学協力というところに非常に比重のかかった予算の組み方でありますが、これは先般、日本の各大学アメリカの陸軍から研究費をもらっておったということが明らかになりまして非常な物議をかもしましたけれども、それと同じようなにおいといいますか性格といいますか、ここにも非常にアメリカとの共同研究というものに片寄り過ぎている、国際的とは言いながら世界学問分野人文科学にしましても、自然科学分野にしましても、全世界交流するというなら、学問分野ではたくさんの要求がまた学界にあると思いますが、これはあまりにも片寄り過ぎているという感じをどうしてもぬぐい去れないのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  19. 天城勲

    天城政府委員 これは、予算書をごらんになりますと、たいへん不自然なバランスになっているのではないかという御疑問が起こるのは当然だと思うのであります。ただ、日米科学協力という仕事が出てまいりまして、これを扱う機関として現在の財団法人の学振が最も適当だということで、ここを通じてやることになりましてその仕事が始まっておるわけでございます。二億という金がほかとのバランスで多いということは確かでございますが、同時に、日米科学仕事日米対等立場で行なう、その対等の中にいろいろな対等やり方があるのでございますが、経費日本側のほうは日本側が負担し、アメリカ側のほうはアメリカ側が負担する、この経費対等でいこうということになっております。全体の事業からいたしましても、アメリカもほとんど同額の金を向こうで計上するというので、二億という金が出ているわけでございます。なお、国際協力仕事につきましては、ひとり日米だけではございませんで、現在ではその後、地域研究テーマ等を取り上げてきておりますが、なお学術会議からも国際協力事業についていろいろと御要望があるわけでございますので、今後はそういうものをできる限り学振の仕事として取り上げていきたい考えでございまして、たまたま現時点において、日米科学協力が非常に大きなウエートを占めているということが、学振の国際協力の今後の方向を決定しているというわけでは毛頭ございませんで、経過的に現時点でそういうことになっておるのだと御了解いただきたいと思います。
  20. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまのお答えによりますと、今後はさらに、国際的な幅と申しますか、共同研究のようなことをやる場合の対象も、もっと広い視野に立って行なうというふうに御答弁になったと受け取ってよろしゅうございますか。
  21. 天城勲

    天城政府委員 さようでございます。
  22. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 それから、ことしの予算産学協同研究事業として二千八百万円ということをこの間から言われておるのですが、同時に財界からの資金も約二千八百万円と、これはぴったり一致しておりますが、この産学協同というのは、これは財界から仰いだ寄付によってやるという意味ですか。
  23. 天城勲

    天城政府委員 結論的に申し上げますと、財界寄付と申しますのは産学協同事業に充てておる金でございます。産学協同に参加しております企業側が一種の会費というような形でもって、それぞれの分野によって違いますけれども拠金をいたしまして、それによって産学協同委員会を設けて事業をいたしておる。そういう意味で、寄付金というのは、産学協同事業民間側資金でございます。
  24. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 そうすると、この部分については、国費は一銭も出ないということですか。
  25. 天城勲

    天城政府委員 従来からもその金は民間の金で事業をやってまいりまして、学振がいわば産学協同事業あっせんをする、委員会を設定したり、関係者、しかるべき学者あっせんをするという仕事中心にやっておりましたので、国費は出ておりませんし、いまのところも、本年度もそのための予算は計上いたしておりません。
  26. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 その点どうもわからないのですが、私がしろうとのせいでわからないのだと思いますが、振興会法案のほうで、そういうお金会計の中へ入ってくるお金なんですか、入ってこない全然別のお金なんですか。
  27. 天城勲

    天城政府委員 一般特殊法人の場合でございますが、民間からの寄付金はもちろん入り得るし、また今度の場合に入れなければならぬわけでございますが、それは若干技術的になりますが、経理やり方の問題になると思うのでございます。官庁会計とちょっと違いますが、経理単位というものが大体こういう場合にできると思います。わかりやすい例で申しますれば、たとえば共済組合ですと、長期経理とか短期経理とか福祉経理とか、ああいうふうにそれぞれの経理単位ができますが、それと同じように、事業種類ごと特殊法人でも経理単位ができます。産学協同関係経理単位ができまして、明らかになってくると思います。それから一般予算としましては、予算収入支出の立て方がございまして、収入の中に、国庫補助金あるいは事業収入あるいは寄付金という形で収入は入ってまいります。そういう形で、経理の問題として寄付金は明らかになってくると思います。
  28. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 いまの寄付金のことは、条文のどこに明らかになっていますか。
  29. 天城勲

    天城政府委員 寄付金を特にどうこうという規定はございませんで、寄付金が、事業という意味ではどこにも出ているわけじゃございません。ただ、寄付金に伴う事業という考え方をとりますれば、一括的には、二十条の最後の六号で、「前各号に掲げる業務に附帯する業務」という形で広く一般に読んでいるようでございます。
  30. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 その辺が、私幾ら読んでも出てこないのでいま御質問したのですが、どうもいまのお答えじゃちょっと納得いかないのですが……。
  31. 天城勲

    天城政府委員 私たち、特に特殊法人寄付を受けてはいけないという規定がない以上は、寄付を受ける場合の規定会計規程で明らかにしておけば、あるいは寄付の使い方について明らかにしておけば、受けられるという前提で理解しているわけでございます。
  32. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 寄付を受けてはいけないと書いてないから寄付金を受けられる道はあるのだ、こういうお話ですが、財源については、こういう場合、必ずきちっと国費及び寄付とかというふうになっているのが普通だと思いますけれども、いままでの経過で、だいぶ寄付金に仰ぐところが少なくなって、国の支出が多くなってきているということはありますけれども、将来どういうふうになりますか、これはなかなかわからないと思うのですね。そういう場合に、やっぱりそのことはきちっとどこかで規定をして、同時にまた、それに対する何かチェックもしておかなければならないのじゃないかと思います。これはどうもまことに不備だと思いますが、どうですか。
  33. 天城勲

    天城政府委員 特殊法人経理の問題、財務の問題全部に関連することから御理解いただけるのではないかと思っておりますけれども、要するに、学振の一つ事業計画予算資金計画というものができてまいりますので、その中で、いまお話しのように財源はどういうふうになってくるか、国庫補助金もあるでしょうし、事業収入もあるでしょうし、寄付金の場合もございますので、その資金計画の中で全部これは明らかになってくるという前提で、私たちおるわけでございます。
  34. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 まだ釈然と納得ができませんが、あと質問者がありますので、私ももう少し研究してみましてさらに深めたいと思いますけれども、この項は、一応本日のところは打ち切っておきます。  そこで、これ全体を見渡しまして、これは特殊法人だからこういう形になるのだとおっしゃればそれまでですけれども、条文に沿ってずっと見てみますと、いままでの財団法人としての学術振興会と比較した場合に、これは著しく文部大臣の権限というものが、あらゆるところに、すみずみまで行き渡るほど確立されておる。そして、これを運営するのは文部大臣の任命したきわめて少数の、五名以内の役員によって完全に牛耳られる。そして、評議員会制度も、単なる諮問機関であり、その数もこれまた少なくなっている。その人選についても、これまた文部大臣が任命することになっている。しかも、重要な条項につきましては大蔵大臣との協議が必要である。こういうことによって、文部大臣のみか、むしろ政府自体かなり細部にわたる統制、干渉ができるように体系が確立されておる。このことが、本法案に対しまして、私どもは、学問の真の意味の自由な発展一つの時の権力に左右されて、学問がそれに奉仕させられる、そういう過去の日本におきまして苦い経験をなめた戦時中の事実等々を思い合わせまして、これは非常に憂うべき要素を含んでおる。私は、いまこれを企画した方がとんでもない野望を持っているなどということは毛頭思っておりませんし、剱木文部大臣がそのような学問の統制を考えて、これを御提案なさっているとも思わないのでありますけれども、しかしながら、これが法律としてできた場合には、そういう点でまことにこれは重大な結果を来たすというこの危惧が、質問をすればするほど深まってくるばかりであって、解消されていかないという感じがしてならないのであります。したがって、私は、それらについて逐条的に御質問申し上げたいのでありますけれども、きょうは川村委員が次の質問を控えておられますし、関係者をすでにお呼びになっておられるようでありますから、また、その前に文部省への質問があるそうでありますから、私はきょうは一応ここで打ち切らさせていただいて、なお質問を保留させていただきまして、川村委員のほうにバトンを一応譲りたいと思います。
  35. 床次徳二

  36. 川村継義

    川村委員 数点お尋ねを申し上げます。  いま長谷川委員の最後に申しました感想でありますが、実は私は、大臣から五月の初めでしたか、提案理由の説明を承ったときには、そうびくっとはしなかった。あたりまえじゃないかという気持ちでお聞きしたのですが、法律案を最近ずっと見てみますと、長谷川さんも言われたように、これはちょっとたいへんな法律ができたな、こういう感じを受けております。特に大臣の提案理由の前文にございますように、これはあとでお聞きしようと思いますが、学術研究というものについては相当やはり弾力的な運用というものが許されねばならない、これを大臣の権限で一から十まで縛りつけてしまう、これはたいへん問題ではないか、こういうような印象を受けておるので、そこで、この点についてあとでお尋ねをいたしますが、私は、もういろいろ理屈ばったことはお聞きしょうとは思いません。きょうは端的に具体的な問題からお聞きしてまいります。  第一は、この法律の附則の第九条に、「一切の権利及び義務を承継」すると書いてある。ことばをかえて言えば、よく言われる地位の継承、承継ということに当たるかと思うのです。まず局長からお答えいただくことが適当だと思いますが、現在の財団法人日本学術振興会が持っておる権利とは一体何なのか、義務とは一体何なのか、それを具体的にお示しいただきたい。
  37. 天城勲

    天城政府委員 附則の九条で権利、義務といっております内容につきまして、現在の財団法人について申し上げますれば、権利といたしましては、基本財産、それから第二番目に銀行預金あるいは定期預金のたぐいでございます。それから「学術月報」という機関誌を出しております。それからまた、図書等を発行いたしておりますので、この出版権がございます。それから、ユネスコクーポンの売買の指定機関になっておりますので、売買権と申しますか、そういう権利がございます。あとは、庁用関係の動産類を持っておりますし、あるいは取引関係の未収金等もこの中に含まれると考えております。  それから、義務といたしましては、非常に包括的に申し上げますれば、今年度事業として、財団法人が解散になる前の日までに実施してまいりました事業に関して発生した義務というものは一切義務の中に入ると思います。たとえば流動研究員とかあるいは奨励研究員を採用いたした場合におけるいろいろな支払いの義務を持っております。給与ですとか、研究金ですとか、その他旅費などを支払う義務を持っております。それが包括的にその中に入ると思います。それから法人と職員との関係の雇用関係、これも義務に入る、かように考えております。
  38. 川村継義

    川村委員 そうすると、学術振興会寄付行為による第五条に規定されているもの、第六条に規定されているもの、これは一応権利と見て差しつかえございませんね。  そこで、この財団法人日本学術振興会の財産は、一体いまどのくらいありますか。それとあわせて不動産、土地や建物、そういうものはあるかないか、これをちょっとお聞きいたします。
  39. 天城勲

    天城政府委員 最初に不動産のことを申し上げますが、固有の建物を現在学振は持っておりません。  それから資産でございますが、いわゆる流動資産、現金、それから預金関係、有価証券を含めまして総額で五千四百七十二万九千九百八十五円というのが流動資産でございます。それから、固定資産といたしましては設備、什器類でございまして、不動産がございませんので、三百九十万四千二百五十三円。いまのを合計いたしまして、五千八百六十三万四千二百三十八円というのがいわゆる資産でございます。
  40. 川村継義

    川村委員 資産関係、それは一応権利である。そうなると、一切の権利、義務を継承するというならば、それはそのまま新しくできる特殊法人が引き継ぐことになる。  そこで、義務のほうも、いま局長お話しになったことが大体包含されると思いますが、財団法人のほうは、債務あるいは負債と申しますか、それがどれくらいあるかということ。それから、財団法人寄付行為に基づいていろいろと事業計画を立てて、研究の約束であるとか、あるいは奨励金を出す約束であるとか、そういういろいろの契約をしていると思う。それも私は義務だと考えねばならぬと思います。そういうものは、どういうものがあるか、それをちょっと聞かせていただきたい。
  41. 天城勲

    天城政府委員 最初の、負債といわれているものでございますが、借り受け金とか、あるいは未払い金、職員の退職資金の引き当て金等も含めまして、流動負債の合計と考えられるものが四千五百二十七万七千六十六円という数字でございます。それから、いまお話しの流動研究員とか奨励研究員に採用いたしますれば、これからそれぞれの種類によりまして研究費や旅費、滞在費を支払うということになっておりまして、それが、現時点まで払っているものは別といたしまして、年間といたしますれば、今後の分は、全部財団法人の義務でございますから特殊法人に引き継がれる。それはそれぞれの流動研究員——いま流動研究員が全部採用済みになっているか、あるいは奨励研究員が全部採用済みになっているか、ちょっとこまかい資料が手元にございませんが、たとえば流動研究員制度で申しますと、本年は三十六人採用できる予定になっております。これが現時点においてすべて採用になっておりますれば、これらの流動研究員の旅費研究費予算上では二千二百十四万というものを考えておりますから、これが当然特殊法人に引き継がれてくる、こういうことになってくると思います。あとはみんな事業ごとの経費にかかわって、それが出てくると考えております。
  42. 川村継義

    川村委員 そこで、先ほどお話しの流動資産、固定資産、それが合計して五千八百六十三万四千二百三十八円、負債は流動負債、そういうものを合わせて四千五百二十七万七千六十六円。そこで、差し引き千三百三十五万七千百七十二円というのが正味財産として残っている、これをそのまま引き継がれる。それに今回文部省から出ていくところの三億三千万——三億三千万といっても、その二億は日米研究の費用でありますから、残りの分がおそらくこの運営の費用になるだろう、こう私は考える。それに合わさって運営されることになる。それに民間資金からどれくらい、ことし寄付が入ってくるか考えねばならぬ。  そこで、これはさっきの長谷川委員質問関係しますけれども、先ほどの局長答弁で何か歯切れがはっきりしないのですが、私は、特殊法人になったればこそ、民間等の資金を受ける場合には、やはり一つの法的規制が必要だと思うのですよ。あなたの先ほどのおことばでは、どうも包括されているというようなことがありますけれども、というのはなぜか。この前アメリカから、たくさんの大学側の諸君が金をもらって研究いたしましたね、問題を起こした。ところが剱木文部大臣は、いろいろと学長と相談をされて、これから大臣の承認を受ける、そういうような話し合いを基本として取りかかっていこうということを言っておられるはずだ。大臣、そうでございますね。
  43. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 そうでございます。
  44. 川村継義

    川村委員 別の問題ではございましょうけれども、特殊法人学術振興会ができるならば、そういうような何かわけのわからぬような寄付で運営されることがないように、きちっとした文部大臣の認可を受けてこの寄付を受ける。それが、あなたがさっき言われたように、業務方法書等についてどういう規定を盛り込むか、あるいは政令で、そういうような財務及び会計に必要な事項は文部省令で定めるとなっておるから、そこでその使途についてはきちっと規定をして使う、明確にすべきじゃないかと思います。第二十九条には財産の処分等の制限事項がありますから、同様に寄付も、受け入れについて規定というものが必要ではないか。でないと、またあとでたいへんな問題を起こしますよ、どうです。局長。何もさっきのような、広く考えるとか狭く考えるというような答弁でなくて、やはりこれは率直にお考えになったほうがいいのじゃありませんか。
  45. 天城勲

    天城政府委員 おっしゃるとおり、財務、会計関係のいろいろな規定がございまして、それぞれ文部大臣の承認を求めるようなものは、法律に規定されております。二十三条にも毎年度事業計画予算資金計画、これは文部大臣の認可事項になっておりまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、予算資金計画というもので財源というものが明らかになってまいりますので、寄付の問題等も、うやむやになるという意味では毛頭ございませんで、文部大臣も了知してこの間の関係は十分判断ができる仕組みになっておるわけでございます。
  46. 川村継義

    川村委員 考え方がちょっと違うのですが、もうこれ以上は申し上げませんが、これは一応問題として私は考えておるわけです。  そこで、先ほどの一切の権利及び義務を承継するという問題について、あなたもお話しになったように、財団法人日本学術振興会の職員との雇用契約というものも、私は当然だと思います。義務だと思います。いま職員の方が何人おられるのですか。
  47. 天城勲

    天城政府委員 二十八名おります。
  48. 川村継義

    川村委員 二十八名おられますね。そこで、この職員は、財団法人寄付行為によって有給とする、こうなっておる。ちゃんと現在俸給をもらっておる。それはそのまま引き継がれますね。
  49. 天城勲

    天城政府委員 いま申し上げた権利、義務の内容でございますから、そのとおりでございます。
  50. 川村継義

    川村委員 そうしますと、このところをちょっと聞いておかねばなりませんので、見解を聞かせておいてください。現在職員が二十八名おられるということですが、その方々の俸給等は、もちろん一切の権利、義務の中に入るのだからこれを引き受ける。三十条に給与及び退職手当の支給基準というのがある。「振興会は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、文部大臣の承認を受けなければならない。」変更のときも同様、こう書いてある。ということは、この現在の財団法人の職員の俸給、そういうものに発足時において三十条が発動されて、変更を加えるということはありませんね。
  51. 天城勲

    天城政府委員 御質問の趣旨を十分把握していないのでございますが、こういうふうに理解して、お答えいたします。  財団法人の職員の給与につきましては、財団法人の解散時において支給されていた給与月額が保障される。これは移り変わりのときの職員の雇用契約上の保障でございます。それから特殊法人におきましては、一応給与の基準を定めることになっております。したがいまして、新しい特殊法人に引き継がれた場合の給与基準はこの法律によって定められる。ただ、両方あわせて読みますと、終の給与月額も保障されておるわけでありますから、それを下回るということはあり得ないわけでございます。
  52. 川村継義

    川村委員 わかりました。それだけお考えいただいて一切の権利、義務を承継するということになれば、受け継ぐ場合にたいして混乱は起こらないだろうと私、承知するわけであります。  そこで、次にもう一つ具体的な問題でお聞きしておかなければなりませんが、特殊法人ができた場合に、所得税法、それから法人税の非課税措置の適用を受ける、それからあるいは印紙税法の特典を受ける、こういうことになっておりますが、私しろうとでよくわかりませんからお聞きしておきますけれども、文部省の大臣の所管下にあるという幾つかの特殊法人があります。その特殊法人の中に、そういう非課税措置の適用を受けているもの、受けていないもの、こういうものがいろいろ出てくるわけです。そこでまずお聞きしますけれども、局長特殊法人といわれるものを所得税法では公共法人と一括して呼んでおるようですが、法人税法では公共法人と公益法人、別に考え分けておるようであります。公共法人と公益法人という法人税法にいう、つまり法人税法の別表第一にいうところの公共法人、法人税法別表第二にいうところの公益法人、これはどういう違いがあるのですか、ちょっと教えておいてください。
  53. 天城勲

    天城政府委員 別表一と二の違いのお話でございますが、別表第一に掲げる法人が公共法人、別表第二に掲げる法人が公益法人ということでございますが、別表第一に掲げております公共法人は、国が資本金の全額を出資している法人について言っておりまして、学術振興会のほうは、資本金を全額国が出資しているわけでもありませんし、資本金も有しておりませんので、別表第二に掲げられることになったのであります。
  54. 川村継義

    川村委員 何かちょっと私にはわかったようなわからないようなあれですが、まあいいでしょう。  そこで、法人の非課税というのは、国立教育会館からあなたのほうの大体の十幾つかの関係のある特殊法人については、別表第一の適用か、別表第二の適用を受けておる。それから印紙税の非課税については、これはみな別表第二か、これまた別表第三の適用を受けておる。所得税、法人税は両方とも、あなたのほうの関係のある十幾つかの法人については適用を受けておる。ところが、印紙税法の非課税適用は、なぜ日本学校安全会は適用を受けておらぬのか、それから、今度できようとする日本学術振興会はなぜ登録免許税法の適用を受けないのか、いま一つ日本学校給食会はなぜ登録免許税法の適用を受けないのか、その辺のところをちょっと説明していただきたいと思います。
  55. 天城勲

    天城政府委員 給食会、安全会のことにつきましては私どうも詳しく存じておりませんが、学術振興会におきましては、研究機器などの購入などもありまして、印紙税の適用を受ける印紙の添付が必要なことが多いので、印紙税法の非課税の適用を受けておるわけでございます。登録の関係でございますが、学術振興会は、先ほど申しましたように固有の建物、土地、不動産を持っておりませんので、対象にそもそもならないという意味で法律に規定がないわけでございます。その違いでございまして、安全会も給食会も、たしか固有の建物を持ってないからじゃないか、こう考えております。
  56. 川村継義

    川村委員 それでは、今度できます特殊法人日本学術振興会、これはこの後ずっと建物を持たせたり、敷地を持たせたりはやらないということですね。
  57. 天城勲

    天城政府委員 これは、われわれとしましても、法律の規定上今回規定しておいたほうがいいんじゃないかという考え方も当初持っておりましたけれども、現に不動産を所有いたしておりませんので、ないものに対する規定もおかしいということでしなかったわけでございますが、学振の将来のことを考えますと、私たちといたしましては、当然固有の建物なり場所を持つべきだと考えております。その段階において必要な法律の改正はまたお願いしなければならぬ、こういうふうにいま考えておるのでございます。
  58. 川村継義

    川村委員 わかりました。いまは必要ないけれども、あとで必要があるかもしれない、そのときには法律改正をまたお世話になろう、こういうことですね。  それでは、この法律の第五条、それから附則にずっといきますと、いろいろ登記事項が出てくる。「振興会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。」こういう登記事項がございますが、これは、そういう意味からすると、なぜ登録非課税の必要がないか、理由をちょっと聞かせてください。附則にも出てきますよ。
  59. 天城勲

    天城政府委員 ちょっと御質問意味が私には正確に把握できないのですが、設立の登記があるわけでございます。設立の登記の場合には、いまの登録税は課せられないわけでございますので、私はそういうふうに理解をしていまの御質問お答え申したわけでございますが、それでよろしいでしょうか。
  60. 川村継義

    川村委員 わかりました。第五条に、「登記しなければならない。」とある。先のほうにも、登記をしなければ第三者に対抗することができない、登記をして初めてこれが生きてくるとか、そういう法文があるのだが、この登記はいわゆる登録税のあれには入らぬのか。つまり私が言うのは、これはちゃんと法律によって課税範囲の外だ、こういうことなのか、そういう意味です。
  61. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のとおりでございます。登録税法上そうなっております。
  62. 川村継義

    川村委員 具体的なことを二つお聞きいたしましたが、その次、少しお尋ねしますからお答えいただきたいと思います。  大臣の提案理由をあけて読みますと、一番初めに、まず第一ページから第二ページに、ずっとその理由の前文的なお考えが述べられております。これを見ていきますと、つまり私なりに解釈すると、二ページの終わりから二行目の、「しかしながら、国の学術に関する施策と密接な関連を持ちながらこれらの事業を一そう拡充発展させるため、さらには国際的な信用を高める上からも、」特殊法人をつくったほうがいい、これだけの理由のようであります。ところが私は、大臣がその前に述べられておるいろいろの理由のほうが、学術研究の上から見て非常に重要ではないか、こう思っている。財団法人特殊法人にするところのその確たる理由が、まだ私は納得できないのです。そこで、大臣から、特殊法人にしなければならない必然性、それをひとつきちっと教えてくれませんか。もう一ぺん申し上げますよ。あなたの提案理由を読んでいきますと、一ページから二ページにわたってはいろいろと学術研究の必要な体制的なことをお述べになっておる。そして、二ページの終わりから二行目から二行ばかりにわたって述べられておることが、今度特殊法人にする主たる理由になっている。ところが私には、むしろ前に述べられておる、提案理由の三段、四段、五段のところに述べられておる、もう読みませんけれども、それが非常に大事なものではないか、こういうような受け取り方をされるわけです。大臣からひとつ、そのどうしても変えなければならない必然性、それをちょっと教えていただきたい。
  63. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 この前段に書いておりますように、最近における学術研究が非常に重要なことになりまして、この振興策は、国の政策として非常に重大な面を持ってまいりました。したがいまして、国がこの学術振興の施策を強力に行なっていくということは当然のことでございますし、今後もまたそれに重点を置いてまいるのは当然でございます。しかし、学術振興の具体的な面になってまいりますと、行政的にこれを取り扱うよりも、その奨励の趣旨をより有効にやるためには、いわゆる民間の団体にこれをかわってやらせたほうがいいという場合が現実にございまして、その方面に関するものをいままで財団法人学術振興会にやってもらっておったわけでございます。しかし、その民間になぜやらせなければならぬかという点につきましては、国がやる行政と違いまして、学問研究に対して相当流動的に対処し得るとか、あるいはまた、その判断が学者なりそういう民間的な、自由な判断にまかせてやる場合がいいとか、そういう問題がございまして、民間に適当として振興の面の一部分を分担してもらったわけでございますが、財団法人学術振興会がだんだんその事業内容が拡大してまいりまして、いろいろこの特殊法人にしなければならぬ理由はございますけれども、一番大きなのは、この財団法人のままでおきますというためにに、一番——一番と申しますより一つの例を申しますと、この内容が非常に複雑になってまいりますし、事業も強化されてまいりますが、財団法人でございますと、そこに働いておる方々の給与でございますとか身分の保障とか、そういった問題が確実でございません。したがいまして、非常に優秀な人を集めて仕事をしてもらうというわけにはいかないので、財団法人として事業拡張の限界がきてまいっておると思います。そういう意味特殊法人にいたしまして、国の公務員に類した給与体系をとりまして、そうして優秀な方を集めて事業の拡大をしていくということも一つでございます。  それからもう一つは、この財団法人ということはあくまで民間の団体でございまして、最近において振興会学術交流及び共同研究というような問題を強く広く取り扱ってまいりました。これに対応する外国の状態から申しますと、やはり純粋な民間法人でなしに、外国におきましてもやはり政府機関が取り扱っておる場合が多いのでございまして、これとの関係において、いわゆる国際的な信用度を高めるという意味におきましても特殊法人にする必要がある、こういうような状況で、特殊法人にいたしましてその事業内容を広くいたしますと同時に、その国際的な信用を高めてまいりたい、これが、まあそのほかにもいろいろございますけれども、主たる理由でございます。
  64. 川村継義

    川村委員 大臣、わからぬでもありませんけれども、どうも私、いまのお話大臣のお気持ちが、特殊法人にしようというもうほんとうに必然的な理由であるかどうか、まだ実はよく納得できないのです。そういう理由があるということもわかりますよ。むしろ私は、あなたが提案理由で言っておられます「これら学術振興に関する事業のうちには、弾力的に運営をはかる必要のあるものがあり、その性格にかんがみ、国が直接実施する法よりも、むしろ法人等の団体にその実施をゆだねるほうが適切なものが実際上多いのでありまして、従来とも財団法人日本学術振興会にこの種の事業を行なわせてまいりました。」こちらのほうが、学術振興あるいは学問研究する、学術を振興する人たちが責任を持って、自主的に文部大臣にいろいろ意見を聞きながら、また文部大臣のいろいろ指示を仰ぎながら運営をしていくということならたいへんいいのではないか、こういう考え方が私は頭から抜けないのです。人材を集めるとか集めないということは、これはあまり大きな理由ではないのではないかと私は考えるわけですが、そこで、これは長谷川委員質問のことばに返るわけではありませんけれども、どうもいまの、たいへん悪いことばを申し上げて大臣恐縮ですが、私の考えが間違っておったら、しかってください。どうもいまの財団法人にまかせていたら、その運営等について文部省が意図するような方向に動かない——世間にもそういう声があるのですよ。そういう意味で、これはやはり大臣の管轄、監督の中に置くところの特殊法人にするのではないか、あるいは日米関係研究体制を強化していくについても、財団法人にまかせておいてはどうもうまくやらぬ、そういう不信が特殊法人に持ってきたのではないか、そういういろいろな理由があちらこちらで指摘されている。これは私だけの考え方ではないのです。先ほど長谷川委員も申しておりましたけれども、そういうようなことで、この学術振興に関する仕事を、あるいは学問研究というものをあなたの絶対権限のもとに置くということは、たいへん憂慮される。そういうことが一つ考えられる問題であります。  そこで、大胆にお聞きしますけれども、特殊法人にしようというのは、去年あなたたちのほうで考えられたことではないわけですね。昭和三十三年にも、一応そういう考え方で大蔵省に予算要求しておられるでしょう。さらに、昭和三十七年にも、同様なことを考え予算要求しておられますね。私は、なぜそれがそのころ通らなかったか、成立しなかったかということについて、その辺のいきさつがよくわからない。そこで、もう十年ばかり前になる昭和三十三年、三十七年に、特殊法人にしようといって予算要求までなさったけれども通らなかった、大蔵省がだめだと言ってはねたのか、あるいは、いやいやそうじゃない、国会には一応法案を出したのですけれども、だめだった、こういうことなのか、文部省内部のいろいろな理由によって取りやめになったのか、そのいきさつをちょっとお知らせいただきたいと思います。これは局長のほうからでもいいです。
  65. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 お説のとおり、昭和三十三年ごろから、特殊法人にしてほしいというのは、一面財団法人自体からも、学会その他のほうからも、ずいぶん強く要望が文部省にまいったのであります。そこで、文部省といたしましては、そのころからこれを特殊法人にいたそうということで計画をしてまいりましたけれども、御承知のように、政府といたしましては新たな特殊法人の設立には消極的でございまして、できるだけつくらないようにするということでずっとまいりまして、今日まで特殊法人として設立を認められなかったのは事実でございます。しかし、最近に至りまして学術振興会事業内容、それから今後学術振興のために振興会が行なうべき事業が非常に重要な問題になってまいりまして、私どもとしては、特殊法人をつくることの非常に制約のある中におきましても、これだけは学術振興のためにぜひ必要であるから、特殊法人としてお認め願いたいということを、政府内におきましてもいろいろ御相談申し上げまして、この特殊法人を整理するというようなときにおきましても、これは必要であるからつくろうという決意を政府としてしていただいたわけであります。非常に難航はいたしましたけれども、やはり特殊法人として設立をするということ自体が非常に困難な事情で、今日までおそくなったということは率直に認めないわけにはまいらぬと思います。
  66. 川村継義

    川村委員 大臣、ことばを返して恐縮ですが、学会やそのほか、いろいろ特殊法人をつくれという要望があったとおっしゃいましたけれども、実は、私たちの耳に入ってくるのはそうではないんですね。これはいろいろ尋ねておってもあれですけれども、大臣がおっしゃったことと違ったものの考え方をしておる、特殊法人にすべきじゃない。特に今度の法案を見るとたいへんな問題が考えられるという意見も、非常に多いということをぜひ私の口から大臣に申し上げておかねばならぬと思います。とにかく十年の間で今度の法案ができ上がろうとしておりますが、さっきも申し上げましたように、あるいは他の委員からも申されましたように、いまの財団法人がどうも運営上あるいは業務上文部省の思うようにいかぬ、そういう不信感でこれを特殊法人にしてしまわなければいかぬということになったとしたらあれだと思うのですが、これは、そういうことを言ってもそうじゃないというお答えをいただくのは明らかでありますから、聞きませんけれども、学問研究あるいは学術の振興という面からは、文部省としては十分考えていただかなければならぬ大事な問題があると思う。この法案を見ましても、あなたのほうの学校安全会とかあるいは学校給食会、育英会、そのほかあなたのほうの関係の法律を見ると、大体似たり寄ったりの法文になっておる。昔の法案をこっちのほうにそのまま引き写してきたのではないかと思われるように、みなよく類似している。学校安全会であるとか、そのほかのものはしばらくおくとしましても、学術振興会というのは、先ほど申し上げましたように、私の考えをもってすれば学術の振興学問研究なんだから、文部大臣の権限できちっと押えて右左に行かせるようなことは、たいへんな法案ではないかと私は思う。一々ここで、私がこの条文を指摘するまでもないと思います。役員の仕命から、解任から、評議員の任命から、あるいは業務の認可から、業務方法書の認可から、事業計画の認可から、決算報告の承認、短期借り入れ金、立ち入り検査——短期借り入れ金まであなたのほうに承認を得なければならぬ。それが、先ほどちょっと申し上げましたように、寄付金などはどうも穴があいておるような感じを受ける。そういうように権限が非常に強いわけです。もう少し学術振興会そのものに——おそらくこの中には優秀な人材が入ってこられるでしょうから、そういう方々の自主的な運営というか、業務の遂行というか、それにまかせるような考え方を持つべきことが大事ではないか。もう少し民主的に考えてやるということをお考えいただいたほうがいいのではないかと、私には思われてなりません。  そこで、大急ぎであと二、三、大臣にお尋ねしますが、この十四条、これなんか、私は少しかってではないかと思うのです。役員の兼職禁止がありますね。「文部大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」これだけの条文を見ますと、これは全く抜けておる。文部大臣個人の見解で承認を与えたら、兼職禁止はだめなんです。そこで、私の考え考え方を申し上げますと、その大臣が承認を与えるものをチェックするものがなければ、この条文なんというものは無意味なんです。そういうことも考えられるわけです。それから会長の任命がありますが、どうですか。第十四条等についての考え方大臣、ちょっと聞かせてください。
  67. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 政府所管の特殊法人につきまして大体共通して言える問題だと思いますが、特に特殊法人にいたしました大きな理由は、事業内容が、政府が行ないます事業にかわりましてその特殊法人が行なうわけでございまして、その事業費のほとんど大部分国費をもって支弁されるものだと考えます。そういたしますと、この国費が乱用され、誤って使われますことは、これは当然に文部大臣の責任に帰することだと存じますので、この国民の血税を出すという限りにおきましては、責任の持てる姿において事業が実施されなければならないと存じます。そういう意味において、特殊法人におきましては大体同じような形式をもちまして規定をされておると思います。しかし、これをなぜ特殊法人にし、政府みずからが行なわないかと申しますと、その事業の実施の内容につきましては、行政的に判断をするよりも、学者の自由な判断によりまして、また弾力的にこれを行なっていくということが適当であるというので、その事業の遂行なりあるいは経理の面とかいうことについては相当責任を持てるような規定になっておるのでございますが、実施するこの事業やり方につきましては、全く振興会の自由な判断によって行なっていって、これに文部省が干渉するという意思はございません。ただ、十四条の場合におきまして、大体これはほとんどこういつたような種類の役員の規定で、営利事業に対する兼職禁止の規定がございますけれども、これは普通の場合におきましては、兼職禁止でほかの営利事業に従うというような方がなることはほとんどないと存じますけれども、おそらく、こういう規定を設けましたのは、適当な人があって、何かそういったものにかかわりがあってどうしてもそれをはずせないときがあった場合に、その人をこれにお願いができないというようなときを避ける意味においてこういう規定を設けたのではないかと存じまして、文部大臣の許しさえ受ければいつでも営利事業に従事してもいい、こういう種類のものではないと考えております。
  68. 川村継義

    川村委員 大臣お話はわかりますが、剱木文部大臣が在職中は、あなたのようなお考えを持つ、りっぱな方ですから、これは間違いは起こらぬでしょうね。しかし、長く年月がたっていきますと、やはり法律というやつは非常にこわいですからね。そういう意味で私などは一応考えておるわけです。  時間もありませんから、実は一々の条章にわたって詳しくはこの際お聞きはしませんが、ただ、くどくなりますが、この前の委員会長谷川委員質問にちょっと関連して、十九条関係の評議員のことについて私お尋ねしました。いま実は速記録がありませんから、私お尋ねするのに非常に残念ですが、また時間もありませんからくどくど聞かないことにいたしましょうが、そのときに、私はこういうことを申し上げたと思う。評議員の任命についても、日本学術会議等の何らかの意向に基づいてあなたが任命されるようなことがあっていいではないか。ところがあなたは、国の機関がこういうものに入り込んでくるのは法律的に問題がある、日本学術会議は決議機関であるからそれは無理じゃ、こういうようなお話があったと記憶します。おそらく近いうち速記録が出ると思いますから、速記録をまた読んでさらにお尋ねいたします。  そこで、私は、その点はもうくどく申しませんで、ただ一つお聞きしておきますが、日本学術会議がその中の何らかの手続を経て民間の団体に代表を送り込むということも、これは不可能でしょうね、あなたの論説をもってすると。学術会議から、学術会議の何らかの手続を経て民間団体等に入っていくということも、国の機関がそんなものに入っていくとか、あるいは学術会議は決議機関であるから、決議に基づいていくからそれはだめだ、そういう解釈になるでしょうね。どうでしょうね、その辺は。
  69. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 ちょっと私の言い方が悪かったかと思いますけれども、ここの評議員の選出につきまして、学術会議の推薦する何名の評議員というようなきめ方をいたしますと、学術会議政府機関であって議決機関でございますから、法律のたてまえとしては、その何名というものを送りますのは、学術会議が議決をいたしまして、その三名なら三名というものを学術会議の代表として議決をして、評議員会に入れていくという形にとらざるを得ぬと考えたのでございます。そういう形になりますと、他の評議員はそれではどこから出すかということもきめてかかるということになりますと非常に規定上困難でございますので、それは避くべきではないかと私、申し上げたのでございます。ただ事実上、実はおぼしめしのように学術会議の意思を尊重するというようなことは、法文上は書いてはございませんけれども、いま学術会議と十分に話し合いを進めまして、実際上の内部的な機構におきまして学術会議の意思を反映するような方途を両者で誠意を持って話し合いをいたしまして、そうして取りきめてまいろうということを、私ども、学術会議の会長、副会長と一緒に話し合いをいたしまして、一致点に達しておるわけでございます。たとえば、これは御質問にございませんでしたが、今度文部省の中に学術審議会ができまして、科学研究費の配分を分科会を設けていたします。配分のメンバーは、事実上いままでもずっと学術会議の推薦した方によって構成されてまいっておるのでございます。この点については、もう学術会議もよく御承知でございますし、御協力をいただいておるわけであります。私ども文部省で、そういう学者の選定については、できるだけ学者の意思を承って選定してまいる。でございますから、今度の学術振興会ができましても、事実上両者において合意します一つの、どういう形になりますか、連絡委員会と申しますか、そういうことになるかどうかまだ確定はしておりませんけれども、学術会議と話し合いをいたしまして、常に業務の遂行につきまして実際上学術会議と連絡をとってまいる。ましてこの評議員の人選とか、そういうような問題につきましては、私ども、実際を申しますと、学者の問題になりますとわかりにくいのでございますから、十分相談をいたしまして、事実上は御心配のない運営ができると私は確信をいたしておるのでございます。その点はひとつぜひ御了承願いたいと思います。
  70. 川村継義

    川村委員 大臣のいまの、法律上の規定はともかくとして、実際の運用にあたってはお話のように善処していく、それはぜひそうあっていただかねばならぬと思いますが、私はたいへんくどいようでありますけれども、法律的に——あなたが在任をしておられるときには、御意見をよく承っております。心配はしませんよ。しかし、あなたが大臣でないような時代に、これまた変なふうに動いていったら困るということで、法律的に付かそういう規定が入れられないか、こういう心配から聞いておるわけです。ところが、あなたは、的にはそれは無理だとおっしゃる。そこで、私がいま聞いたのは、もう一つ日本学術会議等が民間の団体その他の団体にそういう人を送り出すというような規定を設けることは、法律的にどうでしょう、こういうことでありますが、大臣、それはどうでしょう。
  71. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 日本学術会議法に基づきまして、日本学術会議が、そういう法で大体のメンバーを他に送り出すという規定がなされたのか、ちょっと想像つきませんけれども、現実の問題におきましては、実は今度できます学振の評議員の中に、また文部省のいろいろな中にも、学術会議のメンバーでございましてもこれはちっともほかのメンバーになって悪いということはございませんので、どんどん入ってきていただいておるわけであります。ですから、そういう規定がなくても、学術会議委員がほかの——これはまた、特に学術会議におきましては合議体でございますが、本職を持たれた方が会員になっておられるわけでございます。会社、工場等の方でありましても学術会議の議員になれるわけでありますから、この点につきましては、規定がなくてもどんどんお入りになっていって差しつかえないのではないかと思います。
  72. 川村継義

    川村委員 実際のことについて私も大体わかっておりますが、どうもくどくて恐縮ですが、いまあなたが在職しておられるときには、私はそういう心配はしません。しかし、大臣がかわっていかれると、あなたのようなそういう考え方でなかなか運営されないのじゃないか、そういうこともあり得るではないかと心配しておるのです。そこで、何かいまあなたが考えられたようなことを規定づけておいたほうがいいのではないか、こう実は私は考えておる。そこで、私この次にまたいつか学術会議について機会を見てお聞きしますが、というのは、日本学術振興会寄付行為の二十条に「評議員は、次のとおりとし、理事長がこれを委嘱する。」となっておる。「本会には評議員二十八人以上三十二人以内を置く。」と書いて、第一号、「日本学術会議会長および同会議から推薦された者九人以内」、こうなっていますから、財団法人の場合には、日本学術会議の推薦決定による評議員の人が入っておる。これは可能なんです。そこで、同様に、特殊法人ではあってもこのような規定をしておいたほうが、私の先ほど申し上げるような心配が将来にわたってなくなるのではないか、こういうことなんです。まあいいでしょう、これは答弁要りません。これは考えておいてください。まあ私はそういう見解を持っておる、こういうことです。  そこで、時間がありませんからお聞きしますが、私がお願いしておきました調べの表をきょういただきました。これをみんなやっていたら時間がありませんから、大急ぎでお尋ねしますよ。局長お答えください。まず国立教育会館からいきましょう。これは非常勤の皆さんは抜きにいたします。常勤の天野さんからいきます。天野貞祐さんをちょっと教えてください。前歴と兼職があるかないか。急いでくださいよ、時間がないから。
  73. 天城勲

    天城政府委員 もと文部大臣をおやりになりまして、現在は独協大学の学長でございます。
  74. 川村継義

    川村委員 はいその次、中村さん。
  75. 天城勲

    天城政府委員 大阪大学の事務局長でございます。
  76. 川村継義

    川村委員 それから大田さん。
  77. 天城勲

    天城政府委員 東京国立博物館の次長でございます。
  78. 川村継義

    川村委員 その次、西田さん。
  79. 天城勲

    天城政府委員 安全会の西田理事長は、体育局長でございました。
  80. 川村継義

    川村委員 それから、塚田さん。
  81. 天城勲

    天城政府委員 体育局の保健課長でございました。
  82. 川村継義

    川村委員 伊藤日出登さん。
  83. 天城勲

    天城政府委員 かつて文部次官をやられました。
  84. 川村継義

    川村委員 清水康平さん。
  85. 天城勲

    天城政府委員 かつて文化財保護委員会の事務局長をされました。
  86. 川村継義

    川村委員 次に、深見さん。
  87. 天城勲

    天城政府委員 大学局の視学官をやられました。
  88. 川村継義

    川村委員 次に、雪田さん。
  89. 天城勲

    天城政府委員 亀田さんは、食糧庁の総務部長をやられました。
  90. 川村継義

    川村委員 枝広さん。
  91. 天城勲

    天城政府委員 枝広さんも農林省におられました。
  92. 川村継義

    川村委員 第二枚目——時間を食いますね。非常勤でなくて、常勤の中に二十万、二十三万、二十四万と書いてありますが、この方々を一括して一通り聞きたいのですよ。この中に文部省におられた方が何人おられますか。必要があればこの次また聞きますが、何人おられますか、常勤の中に。
  93. 天城勲

    天城政府委員 では、お答えいたします。  国立競技場から申し上げますと、敬称を略しますが、前田充明、西田泰介、石沢貞義。国立劇場で寺中作雄、柴田小三郎、西森馨。私立学校振興会、岡田孝平、平間修、原敏夫。それから日本育英会で、森戸辰男、元文部大臣でございます。緒方信一、妹尾茂喜、内田英二でございます。
  94. 川村継義

    川村委員 私がこういうことをお聞きしたのは、大体これについて不明朗な情報を聞いておるのです。特殊法人日本学術振興会について、もうすでに会長、理事長全部きまっておるのだ。結局天下り的な人事配置というものを考えられておるのではないか。私はそう思いませんよ。ところが、そういうもっぱらの情報がある。そこで、時間がありませんから、せっかく大国さんに来ていただきましたので、大急ぎで二、三お尋ねしますから、答えておいてください。  行政管理庁長官及び官房長が、この前参議院の議院運営委員会において、二回ほどいろいろ公社、公団の問題について質疑が行なわれておる、その中で、松平長官は、公社、公団、特殊法人、国のこれらの設置についての基本的考え方を明らかにしておられる。また、三十九年ですか、臨調は、公社、公団についての整理統合すべきところのものをあげて、そうしてその答申をしておる。そういういろいろないきさつがある。政府は、四十二年度予算編成をするときに、ことしは絶対新しい公社、公団、特殊法人はつくらぬのだと言った。ところが、いよいよ予算の段階になるとこれがくずれて、全く新しいものが三つですか、形を変えたやつがこれまた三つくらい突然飛び出してきておるわけです。学術振興会もその一つに入る。そこで、行政管理庁として、この国の特殊法人、公社、公団等についてのお考えをまずお聞かせいただきたい。これが一つ。実はいろいろこまかに聞きたいのですが、またこの次おいでください。  そこで、もう時間がないから大臣にちょっとまたあわせて聞きますけれども、二月の七日でしたか、それから三月の三十一旧だったか、公社、公団、特殊法人、こういうものの人事について閣議了解事項がありますね。あなたは出ておられるから知っておられるはずだ。その閣議了解事項、それをまず大臣からひとつ詳細に聞かしてください。そうして管理庁のほうから、ひとつ方針を示していただきたい。
  95. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 この任命方式につきまして閣議了解という固まったものは、私が就任いたしましてから閣議はほとんど休んでおりませんが、そういう任命についての方式につきまして閣議了解事項というのは記憶いたしておりません。おそらく、私になりましてからはないと記憶いたしております。ただ、公社、公団その他の関係の会長とか理事長の任命につきましては、官房長官のほうから話がございまして、任命するということが決定してしまってからこの申し出をしないで、こういう者を任命しようと思うという予定のときに、一応官房長官の耳に入れてほしいという意味の発言がございました。これは二回ぐらいあったと記憶しております。それ以外におきまして、任命方式その他についての閣議了解事項というのは、私になりましてからなかったと私記憶しております。
  96. 川村継義

    川村委員 時間がなくて申しわけありません。  閣議は二月七日、三月三十一日の両回にわたって、公団など特殊法人の役員人事は各省庁からの天下り人事を極力避けて、広く人材を登用する、こういう基本方針をきめたといわれるがどうか、こういう質、問に対して、これは官房長官からこのときは福永さん病気ですから木村さんが出ておりましたが、「二月の七日に閣議了解をいたしました。その閣議了解の内容は、広く人材を登用するため、公社、公団等、特殊法人の役員の任命については」、あなたがおっしゃるように、「事前に内閣官房長官と協議すること、こういう内容でございます。」云々と答弁しております。こういうような広く人材を登用する、今日公社、公団、特殊法人等について、いろいろと人事について大問題をあちらこちらで指摘をされておる、そういう弊害をなくしていこう、あるいはそれぞれの各官庁の高級の役人さん方が結局横すべり的にそのまま入っていくというようなこと、退職救済みたいな形でやっちゃいかぬというようなことがいろいろと述べられておる。松平長官もそのことをはっきり言っておる。そういうようなことでございますから、この際、この特殊法人ができたとして、あなたが会長や理事長を任命なさるには、そういうお考えを持ってお臨みになる御決意であると私は思う。ちょっと所見をお聞かせ願いたい。
  97. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 私は、私自身がどなたにするということをまだ決定も、考えてもおりません。できるまでは、いまから予定するということはいけないと思いまして、考えておりません。巷間に何かうわさがあるように聞いておりますけれども、私は絶対にそういうことはございません。ただ、私は、非常に重要な人事でございますから、この会長、理事長をきめます場合には、あらゆる関係の方々の御意見も承りますし、なお、これは当然に官房長官が言われましたように、ある予定の人の目安がつきましたら、内閣官房長官のほうに申し出まして、十分御相談をして決定するつもりでございます。いま私の予定いたしました者がないということだけは、はっきり申し上げていいと思います。
  98. 川村継義

    川村委員 それでは、行政管理庁の局長さんに伺いますが、もう時間がありませんけれども、先ほどお話しいたしましたように公社、公団、特殊法人の設立について臨調等のいろいろ答申があっておるから、それらを受けて、また、行政監理委員会のほうからもいろいろと意見具申がなされておりますから、皆さん方のほうではこれらの設立についてどういう基本的なお考えをお持ちか、それをお聞かせいただくと同時に、今回のこの特殊法人学術振興会を含めて幾つかの新しいものができたが、これは一体行政管理庁としては快く認められたものかどうか。けしからぬと言ったけれどもしょうがなかった、こういうことになるのか、ちょっと聞かせておいてください。実はあなたにはいろいろお聞きしたいことがありますけれども、もう時間がございませんから、またいずれおいでいただいてお教えいただきたい。きょうはそれだけちょっと……。
  99. 大国彰

    ○大国政府委員 従来から政府は、行政規模の拡大につきましては、極力これを抑制する方針でまいったわけでございまして、お話のとおり本年度予算編成にあたりましても、新規の要求は極力これを押えるという方針でまいったわけでございます。しかし、現実には新しい行政需要の必要等の関係がございまして、七つの特殊法人を新しく認めましたわけでありますが、そのうちの三つは既存の特殊法人を改組いたしたものでございます。臨時行政調査会の答申におきましても、特殊法人等の新設を一切認めないという趣旨ではないのでございまして、それではかえって行政の硬直化を招くという心配もございますし、社会経済情勢の変化あるいはまた行政需要の拡大、そういった変化に応じまして必要最小限度のものは認める。しかし、そのかわりに、すでに業務を達成したもの、あるいは他と統合し得るもの、そういったものは極力これを簡素合理化する、こういう方針でおるわけでございまして、ただいま私どものほうにおきましても百八ございます全部につきまして再検討をいたしておりまして、その面で公社、公団等の合理的な運営をはかっていきたい、かように思っておる最中でございます。
  100. 川村継義

    川村委員 せっかくおいでいただいて、いろいろお聞きできませんで申しわけありませんが、ちょうどきょうは一時から清瀬先生のお葬式だそうでございますから、これ以上時間をいただくのは心苦しゅうございますので、一応私の質問はこの辺でとどめさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  101. 床次徳二

    床次委員長 この際、おはかりいたします。  本案について参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、日時、人選及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、来たる七月五日、水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会