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1967-06-09 第55回国会 衆議院 文教委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月九日(金曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 久保田藤麿君 理事 中村庸一郎君    理事 西岡 武夫君 理事 八木 徹雄君    理事 小林 信一君 理事 長谷川正三君    理事 鈴木  一君       稻葉  修君    菊池 義郎君       久野 忠治君    河野 洋平君       葉梨 信行君    広川シズエ君      三ツ林弥太郎君    唐橋  東君       川崎 寛治君    川村 継義君       斉藤 正男君    平等 文成君       三木 喜夫君    吉田 賢一君       有島 重武君    山田 太郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君  出席政府委員         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部省初等中等         教育局長    齋藤  正君         文部省体育局長 赤石 清悦君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局財務課長 岩田 俊一君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 六月八日  委員竹下登君及び吉田賢一辞任につき、その  補欠として赤城宗徳君及び和田耕作君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員赤城宗徳君及び和田耕作辞任につき、そ  の補欠として竹下登君及び吉田賢一君が議長の  指名委員に選任された。 同月九日  委員山崎始男辞任につき、その補欠として川  崎寛治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川崎寛治辞任につき、その補欠として山  崎始男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第八九号)     —————————————
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公立高等学校設置適正配置及び教職員定数標準等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際、初等中等教育局長より発言を求められておりますので、これを許します。齋藤初等中等教育局長
  3. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 資料につきまして一言申し上げます。  縦につづりました資料は、関東各県につきまして、改正標準法に基づきます定数と実員との比較、それから現在の交付税基準による定数改正標準法案による定数比較を、都府県ごとに計算いたしました。それからその下に、かりに個々の学校に機械的に当てはめてみた場合が議論されておりますので、それにつきまして県内学校の一番増加数が少ない例と、それから増加する例が一番多いものとを御参考のために掲げてございます。以下、各県全部につきまして作業しております。そして、例にあげない学校につきましても、総計としての増がどうなるかということも全部一応書いてございますので、それが縦につづった資料でございます。  もう一つ資料は、横書きの資料でございまして、専門学科配当教員数がどうなるか、一つ模式を示してみよという唐橋先生からのお話がございましたので、現在の学習指導要領の科目に配当さるべき人員を当てはめてみました。左側にその考え方説明をいたしております。  以上でございます。
  4. 床次徳二

    床次委員長 次に、質疑の通告がありますので、これを許します。川村継義君。
  5. 川村継義

    川村委員 ただいま提案になっております法律案について、二、三お尋ねを申し上げます。  学校教育を進めていくときに、教育財政が非常に重要であるということは、これはもう私がいろいろ申し上げるまでもございません。施設の面から考えても、あるいは教材の面から考えても、教職員定数の問題を含めて行政の面から考えても、そのとおりだと思います。ところが、はたして今日、国が当然責任を負うべき財政施策というものが十分であるかどうか、いろいろと疑問になるわけであります。そこで私は、きょうは、そういう意味から具体的に、率直にお尋ねをしてまいりたいと思いますから、よろしくお願いいたします。  自治省交付税課長、おいででございますか。——自治省には久しぶりに勉強さしていただきますから、何ぶんよろしく……。  去る五月二十六日だったと思いますが、与党の葉梨委員質問に答えて、文部省齋藤局長は次のようなお答えがありました。それは全部読む必要はないと思うのですが、齋藤さんのお答えの中に、「私どもは、義務教育と違いまして、この法律の効果というものがむしろ財政措置財政保障的な意味でございますから、むしろ考え方といたしましては、その学級編制のほうを四十五人の限度にとどめて、教職員の厚みというものでものごとを考えるほうがよろしかろうという考え方でございます。」こういう答弁があった。なるほど、この法案の実効という点から考えますと、お話のとおりだと思います。そこで、この財政保障的な意味、これは一体どういうような解釈をすればいいのか、こういう考え方一つ私の頭の中に出てまいりました。ということは、この法律高等学校なら高等学校教育を進めていく上において、いわゆる財政的に最低基準保障しておるのか、あるいは一定の水準保障しておるのか、そういう考え方も出ると思います。しかし、私は最低水準を維持するための保障、そういう意味合いに、今日の財政施策を見ると考えられるのではないか、こう思います。  そこで、まず齋藤局長お答え願いたいと思いますが、ということは、各県においては、それぞれ定員増の問題においても、あるいは施設問題にかんがみましても、そこには十分自主性、自由というものが存在してもいいという解釈をとっていいのかどうか、いや、もうこれだけの基準だから、これをはるかに上回って定員をたくさん置いたりなどすることはけしからぬと、こういうように解釈をすべきなのか、いや、これは一つ最低水準保障する財政措置であるから、それは各県独自で、必要によって上回ったところの定員等増加をしてやっても差しつかえない、こういうように考えるのか、財政的保障という解釈の取り方はどうなのか、それをちょっとお答えいただきたい。
  6. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 私が財政保障的な意味を持つと言うことは、二つ意味がございます。一つは、面等学校でございますれば、第七条に教職員定数標準という都道府県ごと標準を掲げてございますから、その標準というものを考えて、県内では条例なり予算措置をするという意味一つございます。第二は、この標準法に基づきまして自治省においてこの交付税配分をしていただくという意味で、国としての財政保障意味も持ってくるということ、この二点につきまして財政保障的な意味を持つことになるということを申し上げたのであります。  いま直接の御質問の、この法律標準として定めた定数府県の具体的な処置との関係につきましては、これは標準を定めたものでございますから、もちろんこれに全部人数がぴしっと拘束されるわけではなくて、府県の判断によりましてこれを上下することはあるわけでございます。
  7. 川村継義

    川村委員 わかりました。  それから、同じ葉梨委員質問に対する答弁によりまして、やはり局長ことばによりますと、中は略しますが、「将来の見通しにつきましては、この法改正によりまして大体一万六千程度増加要因がございます。それから、もしかりに現行法で据え置くとすれば、一万五千程度の減が予想されます。これによりまして、差し引き増分が若干出るという考えであります。」こういうお答えがございます。そこで、このように解釈をしてよいのではないかと思います。つまり、この改正法が完全に実施されるということになると大体予定されるのが五年先、そのころになっても、やはりそこに一千名程度増加は確保できる、こういうことになりましょうか。それが一つと、それでは、提案理由趣旨説明補足説明等によりますと、四十二年度は大体四十八人の学級とか四十九人の学級を政令で規定される予定のようでありますが、本年度は一体全国的に見てどれくらいの増加要因になるのか。この二つをひとつ答えていただきたい。
  8. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 四十二年度においては四十八人県、四十九人県と振り分ける方法をとるつもりでございますが、その差し引き全部見まして、大体増減なしというふうに推定をいたしております。
  9. 川村継義

    川村委員 四十二年度増減なし、わかりました。そうしますと、いまいわゆる財政保障的意味二つお答えがございましたが、国の一つ財政保障としては交付税で見ていくということでございますから、これから少しばかり交付税課長のほうからひとつお答えを願いたいと思います。  本年度高等学校交付税算定を見ますと、もちろんその測定単位教職員数基準とするもの、生徒数基準とするもの、二つあるわけですが、教職員測定単位とする単位費用算定におきまして、ことしはその標準施設規模において生徒数を一千二百十一人減の三万四千二百六十四人と、こうしておられます。そのとおりですね。この一千二百十一人生徒の減は、標準施設規模において、普通課程商業課程工業課程農業水産のそれぞれの課程においてどういう減少配分をいたしてありますか。交付税課長のほうから。文部省のほうでわかっておったら、文部省のほうからでもけっこうです。
  10. 横手正

    横手説明員 交付税標準規模におきましては、先生御存じのように、一校当たり学級規模、一学級当たり生徒数規模、こうしたものから一校当たり生徒数算定いたしておる次第でございます。したがいまして、昨年度学級当たり五十人というところが四十九人となりました場合には、学級数に変動が生じない限り生徒数総数減少するという、自動的な減少を来たしておるわけでございます。これを課程別に見ますと、普通課程におきまして一校当たり学級数が九学級のところは学校数を三校と想定いたしておりますが、これが昨年千四百八十五人から千四百三十一人、また中規模校の一校当たり十五学級のところは入校と想定いたしておりますが、これが昨年六千六百人から六千三百六十人、以下省略さしていただきますが、商業課程農業課程工業課程水産課程、いずれもそうしたように算定いたしておるわけでございます。したがいまして、総数においては、昨年の三万五千四百七十五人から三万四千二百六十四人というふうに生徒数減少しておるのは事実でございます。ただ、これは単位費用を出すための数でございますので、これによりまして一人当たり単価が出てまいりますが、基準財政需要額算定いたします場合の生徒数は、これは指定統計の数をとることになっておりますので、標準規模における生徒数減少したからといって、それだけ基準財政需要額が過小に算定されるというような形にはならないわけでございますので、その面は支障ないもの、かように考えておるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村委員 その点については、またあとでお伺いいたします。  それでは、このところでちょっとお尋ねをしておきますが、ことし高等学校生徒数財政計画においてどのくらい見ておられますか。
  12. 横手正

    横手説明員 財政計画上の生徒数というお話でございましたが、人件費につきましては、教職員について基礎を確定いたしまして、それに基づいて人件費算定しておるような次第でございます。高等学校教職員数につきましては、大体指定統計による教職員数基礎に策定を行なうという原則をとっておりまして、今年度も昨年度指定統計と今年度指定統計の差額、これを増減要因として計上しておる、かように承知いたしております。
  13. 川村継義

    川村委員 ことしの財政計画を見ますと、昭和四十二年度財政計画人員は、高校教員において十四万六千五百八十四人となっておる。そのとおりですね。これはいまお話しのように、学校基本調査による教員数是正を、二千六百五十九人昨年度計画にプラスしたところの計画である、こういうことですね。そこで、これは先ほどの財政局長お話とも合致するわけですが、この点は一体それでいいのかと私考えるのです。文部省で出しておる文部統計要覧の昨年、四十一年の調べによるところの高等学校教員数も、ちょうど十四万六千五百八十四人、ぴったり合っておる。自治省が出しておる地方財政の状況の四十年度決算における高等学校定数の十四万六千五百八十四人、ぴったり合っておる。これは一体どういうことですか。四十年度決算におけるところの高等学校定数十四万六千五百八十四人、四十一年度文部省統計、これもおそらく四十年度調べた、この教員数も十四万六千五百八十四人で合っておる。ところが、昨年の財政計画人員は十四万三千九百二十五人で、それに二千六百五十九人プラスをして本年度計画人員、これも去年と同じ十四万六千五百八十四人と出してきている。これは一体どう読んだらいいんですか。考えたらいいんですか。これでいいんですか。
  14. 横手正

    横手説明員 財政計画におきまして、人件費見込みを策定いたします場合、たとえば警察費等でございますとはっきりと定数がきまっておりますので、それを基礎にして算定いたしております。なお、教職員数というようなものにつきましても、小、中学校の場合には、これを合わせますと児童生徒数増減幅があまり少ないので、これも前年の指定統計によりましてもあまり大差が見られないということもございまして、確たる統計資料ということになりますと、前年度指定統計によらざるを得ないという面がありまして、そうした推計方法をとっております。高校教職員の場合、生徒急増期におきましては、先生のおっしゃられますように、前年度指定統計をとることは当を得ない面があろうかと思います。しかし、生徒の急減時期にかかりますと、前年度指定統計をとりましてもあまり見込みに大きな違いが生じないというような経緯がありまして、従来から一種推計方法として、前年度指定統計をとるという行き方をいたしております。ただ、昨年度においては四十一万三千九百二十五人見込んでおりますが、これは四十年度指定統計をとっておりますので、四十年から四十一年の間に二、三千人ふえておる。したがって、四十二年においても、四十一年の指定統計をとる限りにおいては問題があるんじゃないかということも予想されないわけではございません。ただ、今回の改正法によりましても、おおむね前年度横ばいのもよう、こういう見通しでもございますので、一応四十二年度高校教員推計にあたりましては前年度指定統計をとっておる次第でございます。一応、財政計画一種推計でございます。見込みでございますので、こうした形をとっておりますが、交付税算定上におきましては今年度の、五月一日現在の数字がとられることになりますので、財源措置においては支障を来たさないという面がございます。ただ、財政計画一種見通しということになりますので、多少推計方法について問題点がないわけではない、かように考えておるわけですが、こうした面、推計方法についてはこれらも検討を加えてみたい、かように思う次第でございます。
  15. 川村継義

    川村委員 最後のおことばで私も納得するところがあるのですが、これはやはり文部省にも責任があると思うのです。もう少し自治省とよく相談をされて、もちろん、これは決してぴしゃっといくわけではない。推計ということばは、決して私否定いたしません。しかし、私がいま申し上げたような形で財政計画上もきまり、しかもそれに合わさった財政計画上の歳入歳出ということになりますと、これは地方財政、特に府県財政には相当の影響を及ぼすということを考えていかなければならない。私が、教育に対する財政上の国の責任というものは一体どこにあるだろうかというような疑問が出てくるのも、こういう点からなんです。こういう点は、ひとつ文部省としてもできるだけ正確な推計をして、しかもとり方が、いま課長が言っておられましたように問題がないではないんだから、そういう問題はできるだけ解消して、そして十分な措置がとれるようにやってもらわなければ、地方団体財政はたいへん大きな負担を受ける結果になりかねないということを、私はこの際申し上げておきたいと思います。  そこで、これからいろいろそういう点についてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、いま交付税課長は、財政計画上は推計でこうなっておるけれども、実際の交付税配分等においては財源支障がないだろう、こういうお話であります。そこで次にお尋ねをすることは、いまの高等学校単位費用算定の中で、いわゆる教職員数単位測定とするものについて二、三お尋ねいたします。単位費用をどうして積算したかということになると、本年は昨年に比べて一千八百九十二人の定員を見ておる。ということは、これは昨年に比べて百三十六人の増加を見て単位費用積算をやっておる。そうあったのですね。ということは、先ほど斎藤局長は去年もことしも人員の異動はない、こういうようなことばでありましたが、標準団体におきましてこれを見ると、百三十六人の増加を見てある。しかもあなたのこの前の答弁によりますと、標準規模施設において考えていく場合には、大体上回ることはあっても下回るようなことはないであろうというような答弁のあったことを、私記憶しておる。たいへん答弁にちぐはぐが出てきておるように私は思う。それはそれとして、百三十六人の増加を見てある。そこで、本年の単位費用が一人当たり八十万五千百円になっておる。この八十万五千百円という単位費用は、去年に比べて総額においても増加を見てあるわけです。つまり総額において二億二千九百七十二万四千円、これだけの増加となっておるわけですが、それらを一人当たりにずっと見ていくと、大体単位費用においてどういう計算になるかといいますと、先ほど申し上げましたように八十万五千百円ということになる。そこでお尋ねしたいことは、この単位費用積算をなさるときの内訳について、どういうものを去年に比べて増加要因とされたか、これを少しおもなるものについて御説明をいただきたい。
  16. 横手正

    横手説明員 ただいま測定単位数値が、千七百五十六人から千八百九十二人に人数がふえておるというお話がございました。この原因は、今回の改正法、これによりまして算定いたします場合、先ほどお話の出ました生徒数三万四千二百六十四人になりますが、この生徒数基礎としながら、また想定しました学級数学校数、こうしたものから標準法どおり算定いたしますと、千八百九十二人にふえてまいるということになる次第でございます。したがって、もし今回の改正法によらないで、従来の現行法律によりますと、もちろん、標準規模においては生徒数減少見込みで立てておりますので教職員数も減ってまいる、かようになるわけでございます。しかし、これはいずれも標準規模における単位費用積算するための一応の指貫でございまして、教職員一人当たり単価というもので見ますと、昨年の七十二万七千円から一割以上アップの八十万五千円になります。しかも、この教職員数算定いたしておりますのは主として人件費になってまいりますので、人件費アップ率をかれこれ考えれば一応妥当な伸び率になっておるというふうにお考えおきいただいてもけっこうじゃなかろうか、かように思うわけでございます。しかも、基準財政需要額算定は、この単価標準定数による定数を乗ずることになりますので、財源措置としては支障を来たさない、かようになろうかと思います。  なお、おもな改正点は、これは主として人件費算定いたしておりますので、給与改定の平年度化あるいは昇給分、こうしたものを算定いたしております。そのほかには旅費単価引き上げ、あるいは実習助手の産振手当支給対象者の率の引き上げ、こうしたものを含めておるわけでございます。
  17. 川村継義

    川村委員 私のお尋ねがちょっとくどかったかもしれませんが、いま私が尋ねたように、高等学校教職員数測定中位とするものの単位費用は、ことしは八十万五千百円である。去年は七十二万七千円であった。  そこで、単位費用において七万八千百円増加をしておる。そうですね。ところが、人数とり方は、あなたも言われたように昨年は千七百五十六人で見てある。ことしは千八百九十二人で見ておる。だから、百三十六人の増加を見てあるわけでしょう。この百三十六人の増加を見ながら、単位費用の一人当たりは七万八千百円の増加である。そこで、この人件費であるとかいろいろな問題がこの消費的経費を見る場合に出てきますが、それは一体どこにその増加要因が大きく出ておるか、もっとことばを詰めて言いますと、百三十六人も増加をしてあるのに、単位費用の七万八千百円の増加で一体まかなえるのかどうか、こういうことですよ。
  18. 横手正

    横手説明員 百数十人の測定単位数値の増に伴いまして、総体経費として二億数千万円の増になっております。したがいまして、人員増に伴う一般財源増額もそれに見合ってふえておる、かように思うわけでございます。  なぜ二億数千万円もふえたかといいますと、この千七百五十六人から千八百九十二人までにふえた増員分にかかる  増長というとことはがちょっとおかしいのですが、標準規模における測定単位数値の置き直しにかかる人件費を算入したこと、それ以上には、先ほど申しましたように、昨年度給与改定の平年度化あるいは昇給分、こうしたものが算入されておりますので、そうした大幅な一般財源増額になっております。しかし、これを一人当たり単位費用というかっこうになりますと、測定単位数値で刷り返してしまいますので、一人当たりが八十万五千円というような形になるわけでございます。ここの見方としましては、もっぱら単位費用のところで御検討いただければと、かように思うわけでございます。大体一割前後上がっておれば、この費目では、教職員人件費旅費とを見ておる費目でございますので、おおむね人件費支障なく措置できるもの、かように考えているわけでございます。
  19. 川村継義

    川村委員 これはわかります。実は実際皆さん方積算されたその資料があると、私のほうも非常に質問しやすいのですが、一応その点は、いまのお話をお聞きしておくことにいたしておきます。  ただ、私が問題にしたのは、私は、これは旅費等の組み方におそらく問題があると思う。通勤手当とり方においてもずいぶん問題があるのではないかと思っている。また、統一単価とり方についても問題があるのじゃないか、こういう疑念がありますからお聞きしたのですけれども、これはこまかな積算基礎を私も持っておりませんから——去年のは見たことがありますけれども、ことしのは見ておりませんから、いまあなたの御答弁をひとつ了としておきます。  しかし、そこで了とはしながらも、もう一つお尋ねをしなければならぬ問題がある。この積算基礎の中に養護教諭を策定しておられますか。
  20. 横手正

    横手説明員 算定いたしております。今年度は千八百九十二人のうち、養護教諭としては四十人という見込みをいたしておるわけでございます。
  21. 川村継義

    川村委員 去年はありましたか。新しくふえたのですか。
  22. 横手正

    横手説明員 昨年度は二十四人でございましたので、十六人ふえております。
  23. 川村継義

    川村委員 私が持っております昨年度のその積算基礎の中には、校長教諭実習助手、講師、そういう者はいわゆる本俸あるいは家族扶養手当あるいは共済組合の掛け金等々は見てあったけれども、積算基礎の中には養護教諭はない。本年もないでしょう。ただ、あなたがいま言った数は、それは施設費標準規模の中にその数があるだけだ。積算基礎の中にはないはずだ、そうでしょう。
  24. 横手正

    横手説明員 算入されております。
  25. 川村継義

    川村委員 間違いありませんか。
  26. 横手正

    横手説明員 おそらく標準施設規模におきましては、教職員数内訳として校長教諭養護教諭、こういうかっこうになっております。ところが、経費の積算のほうでは、管理職手当の関係から、教諭を教頭と教諭に分けております。したがいまして、教頭と教諭を合算していただきますと、教諭の中に養護教諭が策定されておるということの計算と合うはずでございます。
  27. 川村継義

    川村委員 それでは私があるいは読み方が間違ったかもしれませんが、お話のように、校長、教頭、これはあったはずです。それから教諭というのがある。ところが、昨年のやつは、積算にあらわれてくるところの教諭の数千四百七十八人、この教諭の数と積算の中に見てある教諭の数は同じでした。養護教諭が入ってないのだ。養護教諭の二十四名というのは、プラスをしてみてないと私は見ておるのですよ。もう一ぺん確かめてください。そこで、ことしはおそらく入れて積算してあるだろうな、こう思っておるけれども、どうもことしもそれが出てきそうにない。これはたいへんな問題だ、こう考えたのでお尋ねをしておるわけです。
  28. 横手正

    横手説明員 今年度におきましては、間違いなく算入いたしております。昨年度も間違いなく算入されております。
  29. 川村継義

    川村委員 それでは、きょう、あしたというわけにはいきませんけれども、これからお尋ねする生徒測定単位とするものについても、それからいまの教職員測定単位とするものについても、いま積算基礎となっておるものを、少し表がめんどうですけれども、ひとつつくって委員会に御提出いただきたいと思います。めんどうですけれども、私が昨年から考えてきた問題が、あなたがお話しのように、養護教諭を見てあれば私も了解をいたします。  そこで、その次にお尋ねいたしますけれども、学校数標準規模の中で四十校と見てありますね。一体これの根拠、理由は何ですか。
  30. 横手正

    横手説明員 大体、標準規模と申しますか、人口百七十万前後の県の高校数の実態、こういったものを基礎に置きまして勘案し、定めたものでございます。ただこれは、学校数を四十校といたしておりましても、これから出る教職員数、これも一種の想定になってまいりますが、むしろ問題は、単位費用の一人当たり単価になってこようかと思います。この四十校を五十校で算定いたしましても、単位費用として変わらない数字になってまいる、こういうかっこうになるものでございますので、一応私どものほうは、標準府県学校数基礎にして、おおむねこの程度というかっこうで想定した次第でございます。
  31. 川村継義

    川村委員 それは違いますよ。四十校を五十校に見ると、五十人の校長を考えますよ。五十人の校長の本俸、家族手当等々が積算基礎の中に入ってくる。そうすると、単位費用に大きな影響があるじゃありませんか。そうでしょう。四十人とは違うでしょう。私の考えは間違いですか。まあそれはそれでいい。あとで答えてください。  そこで、文部省齋藤局長お尋ねいたしますが、こういう点も、長い間四十校四十校でやってきたのは、これは問題じゃないですかね。都道府県の中で、一体この四十校そこそこ、四十校から切れるような全日制——全日制だけを考えましょうか。全日制の高等学校を持っておるのは何県あります。
  32. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 全日制あるいは全旧制に定時制を併置したもの、その数で四十校前後のところは、たとえば埼玉が三十五校というのがございます。それから四十校の前後でございますと、神奈川が三十九校、それから四十に一番近いところでは、愛知が六十一校というのがございます。
  33. 川村継義

    川村委員 それはおかしいな。じゃ私は、文部省のこれからごまかされているのかな。齋藤さん、これはあなたのほうの統計表ですよ。全日制だけの学校数を見ても、全国の都道府県で四十校を割っているのは十三都道府県だけじゃないですか。埼玉県なんかは全日制は七十校ありますよ。私のこの統計はあなたのほうの統計です。
  34. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 その数字の差は公私立の関係で、私が申し上げましたのは、指定統計に基づきます公立の全日制と、それから全日制に定時制を付置したものというようなものを申し上げたのでございますが、全日制だけで申しまして、埼玉がいま申しますと全日制が公立で三十四校、定時制が十五校ということになっております——。失礼いたしました。そのほかに全定併置校が三十五校ございます。
  35. 川村継義

    川村委員 これはちっとおれはわからぬな。高等学校——これはずっと小学校、中学校と並んでいるのですよ。高等学校学校数、全日制これだけ、定時制これだけ、本教員数幾らと書いてある。その中で高等学校学校数、全日制は全国で二千八百五十四校と書いてある。埼玉なんか七十校と書いてある。その中で四十校に足らないのは十三都道府県しかない。
  36. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 失礼いたしました。埼玉で言えば、全日制の三十四校とそれから併置校の三十五校を合わしたものが公立の学校でございますから、六十九校でございます。
  37. 川村継義

    川村委員 そうでしょう。これは、ぼくのは七十と書いてある。六十九でもいい。そういうことを考えていきますと、四十六都道府県の中に、四十に足らないのはわずか十三都道府県しかない。それを交付税算定標準施設規模の中の学校数とするのは、少し時代おくれではないか。財政上問題が起こるのではないか。交付税課長交付税算定に関係がないと言ったが、関係ないですか。校長の数を考えてください。教員数を土台とする単位費用算定においては、校長四十人として積み重ねていった場合と五十人として積み重ねていった場合には、単位費用が大いに違うじゃありませんか。交付税課長、そうでしょう。
  38. 横手正

    横手説明員 先ほど四十校を五十校に見てもと申し上げましたが、正確に計算いたしますとやはり差は出てまいります。といいますのは、普通課程商業課程農業課程工業課程水産課程、こうした課程別学校数の配置によりまして多少の変動は出てまいりますが、一人当たり単価に直しますと、これはほとんど大差のない結果になるということが言えようかと思います。  それからなお、先ほどちょっとお答えが不十分だった点につきまして、あわせてお答えさしていただきたいと思うのでございますが、実は養護教諭の関係でございます。昨年度教諭のところで千四百八十六人と見ておりますが、この中で二十四人の養護教諭に全員算入いたしておりますので、お答えさせていただきます。
  39. 川村継義

    川村委員 実はこの生徒数測定単位とするものについても、いろいろお聞きすることがあるのです。しかし、いまの高等学校の数を標準規模施設の中に四十校見ておるということは、せっかくいまの交付税課長お話でありますけれども、これはなかなかそうはいかぬのですよ。そこで、来年は必ず文部省はよく自治省と相談をする。財政的に非常にえらい迷惑を人に与えぬように国がやはり責任を負うようにして、その辺のところはひとつ是正をする、こういうふうにぜひ考えていただきたい。これがいまの生徒数問題についての一つの問題だと私は考えておるのです。それから、いま申し上げましたように、生徒数測定単位とするものについても、ことしの単位費用とり方についていろいろ考えなければなりませんが、時間がありませんから、ちょっとこの辺は大ざっぱに申し上げますが、生徒のマイナスの問題であるとか単位費用の問題であるとか、それだけはお尋ねすることを割愛して、一点聞いておきます。  昨年は、特定財源の中に積算する場合、国庫支出金を五万円見ておった。ことしは二十一万四千円見てある。これは理科教育振興設備補助金等がうんと増額されたわけですか。
  40. 横手正

    横手説明員 昨年の、五万に対応いたしますものは六万円見込んでおります。理科教育の設備の補助金でございます。それから、そのほかに今年度は、校舎の建設関係におきまして、老朽危険校舎対策の一環としまして、一部を需要額に算入するということにいたしておりますので、それに見合う国庫補助金十五万四千円を見込んでおるわけでございます。
  41. 川村継義

    川村委員 大臣、大臣にお尋ねするわけじゃないですよ。いままでお聞きのとおり、標準施設規模においてのこの単位費用とり方で、去年は五万円国庫支出金を一校当たり見てあった。ことしは二十一万四千円見てある。高等学校教育をするのですよ。国庫支出金がことしは二十一万四千円ですね。これはあとでまた聞きますけれども、この点は、やはり文部省、大臣としてもひとつ非常に考えていただかなければならぬ問題があるのではないか。これだけ申し上げて、次を聞きます。  交付税課長、ことしは、この生徒測定単位とするものの中の、庁費関係につきましてはもうお聞きしませんが、事業費関係について、人夫の日当とか需用費というものを積算する場合、少し増加して見ておりますかね。
  42. 横手正

    横手説明員 今年度基準財政需要額算定にあたりまして、消費的経費関係におきましては、需用費に重点を置いて算定いたしております。なお、先生御承知のように、標準規模における測定単位数値が八百二十五人から七百九十五人に下げておるわけでございます。したがいまして、去年とかりに需用費積算基礎の額を同額にいたしましても、一人当たり単価は上がるというようなかっこうになっておるわけでありますが、その他の費目におきましても、昨年よりは落ちることのないように留意して策定いたしておるわけでございます。
  43. 川村継義

    川村委員 これは、いままで交付税を取り扱うときに、よく与党の委員さんからも野党の委員からも論議されたことですけれども、積算をする場合には、医師の報酬を見る場合でも、人夫の日当を見る場合でも、需用費を見る場合でも、備品購入を見る場合でも、もう少し実態に即したところの単価というものを考えてやってもらいたいということがあったのです。少しは手直しをされておりますけれども、なかなかこれがうまくいかない。よくなっていない。そういうことで、結局、交付税のワクがあるからと言うと理屈になりましょうけれども、必要な交付税単位費用というものが出てこない。そこで、教育財政に大きな問題を与えるということを私はおそれているわけです。こまかなことはまた資料をもらってから検討しますが、こういう点は、ぜひひとつ自治省もお考えいただくと同時に、文部省としても、やはり十分自治省に相談してもらって地方の財政がえらい圧迫にならないよう、あとでまた聞きますけれども、そういう点を配慮願わねばならぬと私は考えるわけです。  次に、交付税関係の三つ目で、これで終わりとなると思いますが、お聞きしますけれども、特殊学校について盲学校、ろう学校、養護学校児童生徒数測定単位とするものについて、標準施設規模の中になぜ養護学校を見ないのですか。
  44. 横手正

    横手説明員 盲学校、ろう学校並びに養護学校の関係経費その他の教育費で算定いたしておるわけでございますが、盲学校、ろう学校につきましては大体全国的に置かれておりますが、養護学校につきましては、普及率の面におきましていまだ全県に置かれているという事態になっていないものですから、算定積算基礎からははずしております。いずれこれが各県に置かれる事態になれば、われわれとしても十分取っ組んで算入することにいたしたい、かように考えております。
  45. 川村継義

    川村委員 横手さん、そんなことを言ってはいかんですよ、養護学校は各県にないですか。齋藤さん、養護学校が各県にありますか、ないところが多いですか。
  46. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先般御説明いたしましたように、肢体不自由児の学校につきまして設置してない県が三県、その他の病弱、精薄その関係はまた非常に少ないわけでございますが、肢体不自由児について申しますならば、三県だけがまだ未設置という実情でございます。
  47. 川村継義

    川村委員 何を答弁しているのですか、養護学校を聞いているのですよ。
  48. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 養護学校の中に三種類のものがございますから、養護学校のうち肢体不自由児関係のものは、三県だけが未設置になっております。他のものは非常に普及がおくれているという意味で申し上げたわけでございます。
  49. 川村継義

    川村委員 横手さん、文部省は私をいつもごまかそうというわけではないでしょう。これは文部省統計で養護学校はみなあるのだ。養護学校学校数において昨年は百五十校、ろう学校は百六校、盲学校は七十四校、どっちが多い。文部省の調査統計によれば、養護学校が一番多いじゃありませんか。横手さんはさっきちょっと誤解していたようだけれども、各県にある。ないものもありますよ、養護学校はある。あるものをなぜ、交付税算定をする場合の標準施設の中に、養護学校を見ておらないかということです。横手さんは各県にまだないと言う。そんなことはない。ある。どうです。
  50. 岩田俊一

    ○岩田説明員 交付税課長説明に補足いたしますと、養護学校につきましては三種類ございまして、各種別を通じて見ますと、盲学校、ろう学校の普及率はわりあい各県にあるわけでございますか、肢体不自由児、病弱・虚弱の学校等、まだ未設置のものが相当あるというわけで、まだ一般的でないという意味交付税課長は申したと思います。  それから、交付税算定でございまするが、そういう意味で養護学校は、取り入れておりませんけれども、実際の交付税措置といたしましては、養護学校分の生徒も、この盲ろうの単位費用をもちまして算定して、実際財源措置されておりますので、養護学校分が、この交付税として全然いかないということにはなっておらないわけでございます。
  51. 川村継義

    川村委員 おかしいな。単位費用積算内訳表を見てみると、一体どこにそんなのが出ている。職員配置の数からいっても、積算する場合には盲学校、ろう学校生徒数、職員数しか見ていないじゃないですか。
  52. 横手正

    横手説明員 先ほど財務課長さんのほうから補足して説明していただきましたとおりでございまして、養護学校につきまして三種類ございますが、そのうちの肢体不自由児の学校につきましては、近年ほとんどの県で設置されておるということも承知いたしております。ただ、交付税積算にあたりましては、従来同様、盲学校、ろう学校基礎にして単位費用算定いたしております。基準財政需要額算定にあたりましては、養護学校児童生徒数数値の中へ含めて計算いたしております。したがいまして、正確に申しますと、養護学校の需要額が、盲ろう学校積算基礎とした単位費用に基づいて算定されておるという面において問題点がないわけではございませんが、ただ、交付税は国庫補助金等とは違いまして、その団体のおおむね必要とする経費を算入するという考え方に立っておるものですから、従来のところ懸案事項のまま残しておる次第でございます。今後その他の養護学校も整備され、また、その必要経費も積算基礎の中へ入れたほうがより的確な財源措置ができるというような状況になりました場合には、これを含めるように検討してまいりたい、かように思います。
  53. 川村継義

    川村委員 せっかくのお答えですが、含めてある。では、去年の例を申しますよ。聞いてくださいよ。去年の盲学校、ろう学校の在籍生徒数単位費用の中に見てある生徒数は七百四十五名。ことしはそれよりも十五名減してある。それはわかります。七百四十五人。ところが、盲学校、ろう学校生徒の在籍はちゃんと七百四十五人ではありませんか。養護学校の子供は入っていない。盲学校、ろう学校の在籍生徒数の合計は七百四十五人ですよ。交付税の中にも七百四十五人でしてあるのだ。入っておるというのはわからぬ。
  54. 横手正

    横手説明員 繰り返して御説明申し上げるのでまことに恐縮でございますが、単位費用積算に対しましては、盲学校、ろう学校基礎にいたしまして単位費用を出しております。この単位費用が、今年度で言えば一人当たり十五万六千円になるわけですが、この十五万六十円を、各県の指定統計によります公立の盲学校、ろう学校児童生徒数にのみ乗じているならば、養護学校の経費は算入されていないということになるわけでございます。ただ、この十五万六千円の単位費用を一応かりまして、養護学校児童生徒数にもこれを乗じて、養護学校の経費を算入するというような措置をとっておるわけでございます。確かに養護学校の児童生徒一人当たり単価を十五万六千円で押えることの適不適の問題はあろうかと思いますけれども、一応財政措置としてそれであまり支障のないというような状況も見られますので、う学校の児童生徒一人当たり単位費用をもって養護学校の児童生徒単位費用とみなして算定いたしておる、かような算定方法をとっておるわけでございます。ただ問題点は、先生のおっしゃられたところにございますので、われわれとしても、この面についてはなお十分検討を加えてみたい、かように思っておるわけでございます。
  55. 川村継義

    川村委員 あとのお答えの養護学校十五万幾らで、それが実際行なわれておれば、もうこれは言う必要はありませんが、ただ交付税は、私が申し上げるまでもなくワクがある。ただでさえ交付税が足らぬ足らぬと言っておるそのときに、そうおっしゃってもはたして十分に正しく配分されるかというと、それは実際あなたたちの鉛筆の先の動かし方だけれども、非常に問題が残るわけです。そこで、養護学校標準施設規模の中に入れるということは悪いことではないのだ。やはりちゃんと入れて、そして求めていくというやり方のほうがよいのである、そう考えます。これもやはり文部省あたり、あまり財政的保障保障だとおっしゃるならば、十分気をつけていただきたい。自治省と相談をしながらその責任を果たしていただくようにしなければならぬと、私はそれば強く考えておるわけです。  いろいろ聞いておっても時間がありませんから、そこで交付税課長、ちょっとあわせて聞いておきますが、特殊学校、盲学校、ろう学校、養護学校の寄宿舎の生徒の一日当たりのまかない料はどう算定されておられますか。この前参考人が来て、一日に大体百三十五円でありませんかと言った。ところが、あれは参考人として来た人がおそらく勘違いしておるのではないかと思う。一日のまかない料は幾らと算定しておられますか。その算定によってどうも盲学校、ろう学校生徒さんたちを養っているようです。これは非常に問題があるような気がするのですね。幾らと見てありますか。
  56. 横手正

    横手説明員 四十二年度におきましては百七十四円見ております。
  57. 川村継義

    川村委員 去年は百四十九円でしたね。
  58. 横手正

    横手説明員 さようでございます。
  59. 川村継義

    川村委員 百七十四円となると一食当たり五十円ちょとですね。しかもこれは、義務制も高等部も単価は同じでしょう。どうです。
  60. 横手正

    横手説明員 さようでございます。
  61. 川村継義

    川村委員 高等部の生徒、義務制の生徒が同じ、ちょっと何か奇異な感じがするのですかね。高等部の子供はからだも大きいですよ。しかも一食五十何円、朝はそれはみそのおつけを吸わせておけばよいかもしれないが、百七十四円の単価で一日を養うという、単価それ自体にも実に大きな問題がある。人間の子供ですからね。しかも高等部と義務制も同じ単価でまかない料を見る。これは考えてもらわなければならぬ問題じゃないでしょうかね。文部省齋藤局長、いかがです。
  62. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 実は、寄宿舎居住に伴う経費は、単に自治省だけの関係でなくて、私どもは就学奨励費を直接予算で持つ関係もございますので、寄宿舎居住に伴う経費につきましては、食費その他寝具購入費等あるいは日用品購入費等、就学援助費として直接予算も要求いたす関係から年々努力をしておるわけでございますが、毎年単価の改善等もいたしておりますが、まだ不十分な点がありますから、今後もなお努力をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  63. 川村継義

    川村委員 あとの質問者が予定されておるようですから……。  実は、そういう交付税の、これは自治省でやってくださっておるのですけれども、積算の内容、積算の細目、こういうものを見ていきますと、実態にマッチしないような問題点がたくさんあるはずです。こういう問題について、やはり文部省の努力というのが第一だと思います。そういうようなところを十分考えてもらわなければ、当然学校における財政保障する、こう言っても、これはたいへんなことになる。  そこで、大臣は数字は御記憶でないと思いますけれども、これは齋藤さんのほうからひとつお聞きいたしますけれども、実はいろいろ問題がある。全日制高校についても、公費と父兄支出の割合を考えると、実におそろしいほどのことがある。ここ二、三年の平均で見ますと、大体半分半分だ。全日制公費が半分、父兄負担が半分、こういうことで高等学校が運営をされている。これは文部省統計に書いてある。それから寄付金等々を見ると、実に驚くほどの数字が出てきておる。学校教育全部は申し上げません。高等学校だけを申し上げますと、全日制を考えてみると、昭和四十年度教育費調べによると、全日制が二千百六十八億二千七百万円と出ておる。そのうちの公費が一千九百九億二千六百万円、そのうち国庫支出金というのがわずかに六十二億円しかない。もちろん、これは高等学校だからという理由をつけられるでしょう。しかし、何と、これらの学校経営をするについて、寄付金、つまりPTA等が出したものを想定してみると、公費に組み入れられない寄付金、PTA負担等が百七十八億一千万円ある。しかも、その寄付金を寄付受け入れ等の名前で公費に繰り入れたものが三十二億九千九百万円と出ておる。これは全日制だけです。こうして高等学校教育というものが進められておる。これはたいへんなことなんです。四十年度の超過負担といわれるものが一千二百億円からある。四十一年度の超過負担というものが一千四百四十億円といわれておる。その超過負担の中の大部分が教育費が占めておる。ところが、超過負担のほかに、いまのようないわゆる税外負担というものがたくさんあるわけです。これは財政秩序の確立という意味からいっても、地方財政法からいっても問題だらけなんだ。こうして高等学校教育というものが進められておる。これは実に大きな問題だと言わなければなりません。公費に組み入れる寄付金、組み入れられない寄付金、全日制だけでも合計して二百十一億円、教育費全体からいうと四百二十六億円というのが寄付金なんです。こういうような状態が進んでいくということは残念なことじゃありませんか。大臣のひとつ御所信、お考えを聞いておきたいと思うのです。
  64. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 高等学校教育につきましても、父兄負担はできるだけ軽減すべきだと思いますが、特にまた、当然公費で支払うべきものが寄付金によって払われておりますものは、これはできるだけ避けなければならぬと存じますし、これはそういうことのないように今後いたすべきものと存じます。ただ、高等学校の場合は、多少義務教育とは変わるのでございますから、なおまた、将来におきましては、私どもとして教育費についての何らかの租税的な考慮を払うべきだと考えまして、ことしから努力をいたしておりますけれども、なかなかその解決を見ないでおります。とにかく、高等学校の父兄負担の軽減ということば重大な問題でございますから、今後努力してまいりたいと存じます。
  65. 川村継義

    川村委員 大臣、通り一ぺんのごあいさつでは、これはなかなか簡単な問題ではないわけですよ。そこで、今度のこの法律が通過していっても、おそらくいろいろな財政的な問題がやはり出てくると思う。私がいま申し上げましたような実態は、これはなかなか解消できないのじゃないか。そこで、これはやはり文部省が先頭に立って努力してもらわねばならぬ問題です。特に高等学校教育は、もう今日では準義務教育だといわれておりますから、財政的な法律に不備があったらそれを直すくらいの勇気というものが要請されるのではないか。いま申し上げましたような超過負担の実態、税外負担の実態、あるいは寄付による公費負担の実態、実におそるべき今日の姿をあらわしているわけです。こういうものを解決していかなければ、正しい教育、これは進展をしない、私はそう思うのです。  私が口幅ったいことを言うようでありますけれども、やはり教育というものは子供をりっぱに育てる、人間をりっぱにつくっていくということになりますと、その教育環境、社会環境、それが大事であることは申し上げるまでもないと思う。特に、学校教育におけるところの教育環境を整備充実をする、施設、教材の整備充実をやる、教師、指導者の充実と安定をまず考えてやる、学校教員は黙って教室で授業をしておれ、政治的な発言なんかやるな、あるいは予算要求運動なんかやるな、こういうような締めつけ方で教育を進めようとしても、自由にして伸び伸びしたところの教育というものは決してできるわけはありません。  そういう意味で、決して財政だけの問題ではないわけでありますから、この法案の、一応前進した形で成立することになりますけれども、そういう点を十分考えていただきませんと、せっかく皆さん方が前進するであろうというこういう法律が、逆に財政等の十分な手当てがないままに、逆に、父兄にあるいは生徒に、教師にとんでもない迷惑をかけるということになりかねない。そういうのが今日の実態であるということを、私は実は申し上げておきたいのであります。どうかそういう点は、十分ひとつ、私が申し上げるまでもないことですけれども、御勘案、御努力をお願いするわけです。  実は、時間がありますと、そういう点についても、十分大臣のお考えを聞きながらお尋ねをすべきでありますけれども、時間ももうたくさんございませんから、一応最後に私の考えをちょっぴり、おこがましいことですけれども申し上げて、私の質問を終わります。またいずれそういう問題について、いろいろ大臣の御見解を承りたいと思います。
  66. 床次徳二

    床次委員長 ただいまの質問に関連して、唐橋君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。時間の関係上、質問は簡潔にお願いします。
  67. 唐橋東

    唐橋委員 簡潔にひとつお伺いしますが、父兄負担の軽減については、前回のこの委員会におきまして、特に具体的に高校体育館の半額寄付という問題に対して毒処する、特にそれを具体的に指示しますということを明言されておるわけでありますが、予算も通ったあと、どのような指示をされたかということと、さらにもう一つは、高校の入学金に対して、これも非常な問題があるという趣旨の答弁がありまして、大臣みずから、この点について本年度は特に解消の方向をとりたい、こういうような点で、地財法にからんだ御答弁をいただいたわけでございますが、その後どのような手だてでもって進められているかをお伺いしたいのでございます。
  68. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先回お答えいたしましたように、たとえば義務制につきまして、教材費等の基準を設けて、そしてそれを示す、それを解消する努力というものと、あわせて行政指導を強化するという点はお答えいたしました。一方また、PTA自身のあり方につきまして、現在社会教育局におきまして審議会に諮問をして結論を急いでおります。そういうものとあわせまして、まず、その教材費の基準というようなものが近くできます。そういうものを知らせる際に、あわせまして、PTAの会費の名をかりて、公費で持つべきものを転嫁するということを抑制するような行政指導をさらに強めてまいりたい、こういうふうに考えるわけであります。
  69. 唐橋東

    唐橋委員 義務教育関係でないのです。いま川村委員のほうから申されましたように、高校の場合ですね。御承知のように、地財法の、直接であると間接であると問わず住民に転嫁してならないということが、非常に空文になっておる。したがって、具体的な例を出して、高等学校の体育館を建てるのに各種名目によって実際行なわれておる。こういう点に対して、大臣は、その点は地財法の精神に反することを明確にこの前私の質問お答え願って、それに対しては、財政課長会議を通じて強く指示しますということを御答弁いただいておるわけです。したがって、その点についてお伺いし、さらに、高等学校の入学時における入学金の名前による建築費等もあわせて、これはやはり地財法の精神等に反するので、これを強く、その点を是正しますという御答弁をいただいておりますので、したがって、その後どのような進め方をされているかということをお伺いしたい。
  70. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 私、ただいまお答えいたしましたのは、単に義務制の学校だけでなくて、初等中等教育の全般にわたりまして、PTAの会費等による会費の名をかりまして、公費で持つべきものを——いろいろなものがございます。施設、設備あるいは教職員の給与の関係とか、部分的にございますから、その全般をだんだん姿勢を直していくという方向で行政を指導するということを申しているので、実は先般教育長協議会のございました際に、私もその点の注意を喚起しておきました。これは一挙にといいましても、なかなか実態として解消するものではございません。なお今後真剣にそういう方向に注意を喚起しつつ努力していかなければならないことだ、かように考えるわけでございます。
  71. 唐橋東

    唐橋委員 時間がないので、私のあとの質問者に御迷惑をかけないように端的にお伺いしたのですよ。この前、この問題は、私がお聞きした後に、来たるべき財政課長会議においてこの件は十分指示し、具体的にいまの地財法違反の問題を積極的に解決する方向をとりますということを言っておるわけなんですよ。したがって、財政課長会議に具体的にそれをとったかということを聞いているのです。
  72. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 この問題は、先ほど教育長協議会で全般的なことを申しましたけれども、機会があるごとにそれを続けて書わなければなりません。いま財政関係の問題につきましては、いろいろな法案が成立し、また交付税に関する問題を説明するというような機会に、この父兄負担問題につきましても十分に注意を喚起するようにいたしたいと思います。
  73. 床次徳二

    床次委員長 山田太郎君。
  74. 山田太郎

    ○山田(太)委員 このたびの法案についてはもう十数回論じ尽くされてきた感もありますし、したがって非常にこまかい点まで質疑がされております。私といたしましては、そういう観点から、別の立場から角度を変えて大臣並びに局長にお伺いしたい、そういう考えでおります。したがって、質問も非常にすなおな質問です。大臣も局長もひとつすなおに答弁していただきたいことを、冒頭まずお願いしておきます。一言お断わりしておきたいことは、この法案は、一歩前進とはいえども、私どもにとって非常に不満足な点も、基準法等を考えても、あるいはこれまでの附帯決議を守ってないという点からもまた非常に不満な点も多い。一歩前進とはいえども、その点はまず申し上げておきたいと思います。  そこで、別の観点からということは、まず大臣にお伺いしたいことは、先日の西欧の「サンライズ」という雑誌でございましたか、日本の発展は教育に負うところが多い、非常に高度な教育とその推進によって日本の発展がもたらされてきたというように、非常に日本の教育をほめて書いてあったのを大臣も御存じと思いますが、その点から、これは後期中等教育の拡充整備についての中教審の答申でございます。この一番最初にこのようなことがあります。御承知のことですが、簡単に一部分だけ読ましていただきますと、「今日、世界各国は、開発途上にある国々はもとより、先進国家群も、自国の繁栄と国民生活の向上のために、こぞって教育改革に力を傾けている。これらの教育改革のめざすところは、それぞれの国情によって異なる点を含んでいるが、そのいずれの場合にも、中等教育の改革が共通に重視されていることは、注目に値する。」と、このようにあります。大臣はこの答申の冒頭にある点についてどのような御見解を持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  75. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 答申の趣旨は全く私ども同感でございまして、現在、中教審で答申になりましたように、わが国の発展が非常に急速度にまいりまして、現在の後期中等教育のあり方について、これを充実振興するために再検討して、実際の世の進展に即応するような教育体制がとられなければならぬということでございまして、私どもとしては、その答申の趣旨に沿いまして、せっかく後期中等教育の振興に努力をいたしておるわけでございます。
  76. 山田太郎

    ○山田(太)委員 全く同感なわけですね。  そこで、いまの日本全体の経済力は世界でも五指に屈しられるような発展をしているとさえ言われております。ところが、現実の国民の生活というものは、先進国の四分の一あるいは五分の一の国民所得しかない、そういう統計表も出ているのも御存じと思います。この国民所得の格差、先進国との比較においても、あるいは日本の国内においても大きな所得の格差がある。大臣も教職の経験がおありともお伺いしておりますが、イデオロギーとは別個の立場から考えてみて、教職の立場からして、教育の力によってこのような所得の格差を是正していく方向に持っていくことができるとお思いですか、どうでしょう。
  77. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 終戦後におきまして、国民所得の関係は世界的にも非常に劣っておったことは事実でございますが、今や、終戦後の国民的な努力によりまして、国民所得は先進国に比べまして相当接近してまいったと思います。ある人によりますと、ここ何年かたちますと、日本の国民所得は、あるいはアメリカをもしのぐかもしれないという望みを持てるような状況にまでなるといわれておりますが、私もそう思うのです。でございますが、これらの国家興隆といいますか、発展します基礎は、私どもはやはりあくまで教育にあるというかたい信念を持っております。教育を充実し、盛んにすることによりまして、一面、国家を繁栄させますと同時に、また、国民各自の生活水準も向上いたしまして、いま申されましたように、この国民の間に格差のない、いわゆる国民こぞって生活が向上いたしますような状態に、私は教育の力でのみとは考えませんけれども、教育もまたその大きな原動力になると確信をいたしております。
  78. 山田太郎

    ○山田(太)委員 国全体のことは別個の問題で考えさしていただいて、私の申し上げたことは、大臣の答弁の最後の一言でございますが、国民の中に、大衆と一部との所得に非常な格差があるという点ですね。それを縮めていくことができる。教育でのみと言うわけではありませんが、という断わり書きがありましたが、教育の面からは、ではどのようにそれを進めていくか、そういう点の御構想を、単に抽象的に言うのでなく、あるいは美文で言うのでなく、その構想をひとつ教えてもらいたいと思います。
  79. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 現在、教育上考慮いたすべきものは、現実の姿におきまして、いろいろの事情で、社会的な状況で格差があることは事実だと存じます。で、教育的な立場におきましては、現段階におきましては、いわゆる教育を受ける機会均等と申しますか、この面におきまして格差がありましても、その教育を受ける面から申しますと、できるだけ格差をなくして、教育を均等に受ける機会を与える、それが現在私どものとる教育的な処置であろうと思います。  しかし、いまお尋ねの点によりますと、要するに、教育で現社会の格差をなくするというような方向にいかにすべきかと、こういうお尋ねであったかと思いますが、これは教育だけで直ちにこの格差をなくするというような考え方は、私はできないと思うのです。これは、やはり教育を盛んにすることによって、日本の国力といいますか、国の体制を正して、この格差のない世界に持っていくように教育が基本的に努力してまいる、こういうことであって、いま直ちにこの教育をやったから社会の格差がなくなるとは、いま直ちに言える問題ではないと思います。
  80. 山田太郎

    ○山田(太)委員 教育の機会均等という意味の格差という点もあわせてお答えになったようでございますが、私のお聞きしたいのは、教育の力によってその面にどのような影響力を与えることができるか。そのようなことは全然考えたことがないというならば、また別です。ある人の言うのには、いかに法律や制度をつくってみたところで、いかにりっぱな規則をつくってみたところで、それを運用するのは人間でございますから、言うならば、学校先生はどんどんふえていかなければいけません。学級編制等の教育の効果から言うても、教師のほうはもっともっとふえていくのは当然でございますが、その観点からいいましても、ただ学校先生をふやせばいいという問題じゃないということを言いたいのです。制度や規則をいかにりっぱにつくってみたところで、それを動かしていくのが人間である以上は、この人間の形成がいかに大切かということを申し上げたいのが一番の含意です。おわかりでしょうか。人間の形成が大切だ。法律や制度を動かしていくのが人間である以上——私の申したいことは、悪い人間がその制度を動かしていくならば悪い結果が出るということを言っている。だから、教育の面は非常に大切だということですね。だから、その点において大臣の将来への所信というものをお聞きしたい、こういうことです。
  81. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私は、教育の目的は、その社会を構成する一人一人が高度の文化性を持ち、また、国家社会の形成員として優秀な一人ずつになっていくということが一番の目的だと思います。その意味において、私は、やはり明治以来日本が非常にこの教育を重んじてまいりましたのが、今日の国家、日本のだんだん繁栄してきた大きな原因だと思います。今後におきましても、やはり教育が、法律とかそういうものでなしに、教育自体が一人一人の人間を社会の形成員として世界に恥ずかしくないりっぱな国民に育てていく、これがすなわち日本が繁栄すると同時に、日本の国民全部がその格差是正とか、みんな一人一人がしあわせになっていくということでございまして、そういう意味において、この教育は非常な責任と申しますか、重大な役割りを果たすべきものと考えておるのでございます。
  82. 山田太郎

    ○山田(太)委員 まずその点は、この前の同僚有島委員からの質問にもありましたけれども、文部省からのアンケートの回答やあるいはその他のことによって、また次の機会に明らかにしていきたいと思いますから、きょうはその程度にしておきます。  次に、後期中等教育の中教審の答申が出ておりますが、この答申はこのたびの面においてどのように盛られておるか、この点を一ぺん聞いてみたいと思います。
  83. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 中教審の答申が、後期中等教育につきまして各般なことをいっておりますが、この法案との直接の関連を申し上げますと、高等学校における多様化ということをいっております。その多様化につきましては、まず学科の多様化という面で、現在各府県でも努力をいたしておりますし、また、文部省といたしましても、いかなる学科がさらに成立の可能性があるかということを審議会で検討しておりまして、それが順次出てまいりますならば、そして府県でそれを設置いたしますならば、それに対応できるように教職員の組織を加えていく、あるいは減じていく——これは種類によって減ずるものもあるかもしれませんが、大体において加重していくという余地を現在の時点で残しておく必要があるという意味で、その学科の指定とその内容を政令にゆだねるという規定を設けたわけでございます。
  84. 山田太郎

    ○山田(太)委員 多様化の面は、このたびは衛生看護科ですか、その点については盛られておると思いますが、もう少し具体的に、将来の構想を、時期もわかれば示していただきたい。
  85. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 まず学科の多様化につきましては、二つの面が考えられると思います。  一つは、たとえば工業に例をとりますならば、電気、機械という一般的に伝統的に広いものもなお必要でございます。それから、なおもっと専門的なところに深く入っていくという学科もまた必要でございます。その深く入っていくというようなものが、どういうものがあるかという点を現在検討しております。  それからもう一つは、高等学校生徒が同年齢層の青年の八〇%に及ぶということを予想いたしますならば、従来の高等学校教育として扱わないような分野がなおあるかどうかという新たな分野について、これが高等学校教育としてどこまでなじむか、なじむとすれば、どういう学科を立てればいいかというような点を、現在理科教育及び産業教育審議会で検討しておるわけでございます。そして、この答申は一挙に出てくるものではなくて、順次答申が出てくるものと予想いたしておりまして、第一回の答申はおよそこの夏ごろから出てくるものと思います。そういうものを参考にしながら、都道府県は、具体的な県内高等学校の展開をどうすべきかという判断に基づいて、学科の転換ないしは新設を行なう、そういうものに対しましては、一つは、職業教育につきましては現在五十三億にのぼる国庫補助金がございますから、そういうものを新設していくというところにつきましては施設設備の財政援助を行なうということと、それから、それが標準化してまいりますならば、われわれは自治省に交渉いたしまして、教員をさらに加えたほうがやりいいというものにつきましては、政令で指定をするということをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  86. 山田太郎

    ○山田(太)委員 そこで、別の面から申し上げたいのですが、先ほども同僚委員からお話がありまして、その点について重ねてお伺いしたい点がありますのが、高等学校、すなわち後期中等教育の義務化の点です。  御承知のとおり、現在四十二年度は七五%が後期中等教育、すなわち高等学校に進学しておりますが、東京都においては八三%と聞いております。もうすでにこのような状況になっておる。そこで、文部大臣は、この後期中等教育の義務化についてどのように構想を持っておられるか、中教審の答申を得てというのでなく、大臣としてはどのような考えを持っておられるか、その点を聞きたいと思います。
  87. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 義務教育年限の延長の問題は、やはりもう世界各国が、可能であれば、できるだけ義務教育を延長しようという考え方を持っておるのは、私否定できない問題だと思います。日本といえども、今後やはり日本の国家の伸展とともにできるだけ高等学校程度までくらいは義務教育年限を延長する方向に向かって国民的努力が払わるべきだと思います。  現段階において、それでは義務教育年限延長をやるかどうかという問題になりますと、これは非常に重大な問題でございます。また、私どもがそう考えるというだけで実施できるものではございません。  したがいまして、私は先般もこの委員会でも旧したと思いますが、その義務教育年限の延長も含めまして、たとえば、現在におきましては相当幼児教育は問題になっておりまして、就学年齢を下げていけという主張も相当あるようでございます。また、高等学校を義務化しろという主張も相当あるようでございますし、また六・三の制度そのものにつきましても、これを日本の伸展に即していって、ずっといまのままでいいかどうか、こういう問題もあると存じますので、私は、文部省でもその検討を始めますと同時に、中教審にも、これに類します長期的な視野に立ちまして現在の学制の検討を始めていただきたい、それで、それは同時に義務教育年限の延長も含めてこの検討を始めてもらいたい、こういうふうに考えておるのでございます。  結論といたしまして、私どもは、やはり義務教育年限を高等学校程度までぐらいは、どうしても日本の国力の伸展に伴いまして延ばしていきたいという希望だけは現に強く持っておるわけでございます。
  88. 山田太郎

    ○山田(太)委員 では、文部大臣の御意向としては、義務教育を延ばしていく、後期中等教育のほうへ延ばしていきたいというお考えであると了承していいでしょうか。
  89. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 この義務教育年限が、いま日本は九年でございますが、やはり十二年に近い義務教育を持っておる国も相当ございます。私どもとしても、やはり一流国家となってまいりますためには義務教育年限の延長ということはぜひ希望するわけでございますが、それは前にも申しましたとおり、それをそっくり高等学校そのものの姿で義務教育三年延長するのか、あるいは、幼児教育の面までも含めてまいりましてどの程度に持っていくかということは、やはり相当の研究をいたしませんと、即断すべき問題ではないと思います。要するに、十二年ぐらいの程度までは義務教育の年限を延長したいという希望は、現在において強く持っておるわけでございます。
  90. 山田太郎

    ○山田(太)委員 それで、趣を変えまして、国立教育研究所においては、現在どのような点が主眼点となって研究されておりますか。
  91. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 国立教育研究所は、教育内容、教育方法教育制度あるいは比較教育学、各般の問題について研究室を設けてやっておりますから、これはどこにというよりは、教育の制度、内容全般について検討を加えているというのが研究の実態だろうと思います。
  92. 山田太郎

    ○山田(太)委員 では高校学級編制の問題でも、この国立教育研究所においてどの程度が一番妥当であるか、そのような研究もなされておるのでしょうか、どうでしょうか。
  93. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 これは研究所の所員である榊原さんが三十三年に「学級人数、授業期間、学習効力に関する一考察」というような論文を発表されております。これは必ずしも高等学校を対象にしたものではございません。それから、必ずしもこれによりまして、すべての現状を、すべての学校段階にわたって判断をするというところまでの研究ではない、一つの考察を施したというふうに承知いたしております。
  94. 山田太郎

    ○山田(太)委員 一つの考察をしただけにすぎないという、私もそれは見ております。承知しておりますが、その学級編制の問題をきめるにあたって、ただ考察しか基準がない。もちろん諸外国の例等も勘案していらっしゃると思いますが、どの学科においては何人が一番適当であるかという点が研究されてないというのは、これは怠慢のそしりを免れないとさえも思われるわけですが、どうでしょうか。
  95. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 榊原さんが、これは高等学校というのではございませんけれども、一つの考察として、平均的に成績をあげるためには四十四人というような数字を出しておられますけれども、これはわれわれがこれを立案いたします場合にこういう数字を参考としたのではなくて、むしろ、いろいろ経験則としてあります従来の中等教育なり何なりの経緯というものを見、しかも学級編制とそれから教職員の組織というのをどういうふうにかけ合わせるのが、現時点でより効果をあげるかということに着目をいたして、今回の学級編制をきめたわけでございます。
  96. 山田太郎

    ○山田(太)委員 この研究所には教育効果を実験するような教育施設を持っておりますか。
  97. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 学級規模教育効果というものは、実験施設を持つとかいうようなことばなかなかむずかしい問題でございますから、むしろ各学校の実態を見たり何かして、データを部分的に集める以外にないと思います。その意味で、その実験学校を持っておるかどうかということでございますが、国立教育研究所には付設の実験学校は持っておりません。
  98. 山田太郎

    ○山田(太)委員 実験学校は各学校を指定されて諸所からとっていらっしゃるのは、それは私も知っております。それでなくて、端的にこの国立教育研究所をもっと価値あらしめるためには、そこに教育の場としての、実験ということばは語弊がありますが、教育の場所を設けた、そういう国立教育研究所に発展させたほうがいいのではないかと思うわけですが、どうでしょうか。
  99. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 研究所は毎年研究室の整備を順次必要なことについて行なっております。いま御指摘の、研究所である以上は付属の実験学校を持ったほうがいいかどうかということは、将来の課題として研究すべき問題だろうと思いますが、現在のところさような計画はございません。
  100. 山田太郎

    ○山田(太)委員 現在のところその計画はないとのことですが、先進国においてはこの国立教育研究所に類したものもありますし、また、そこで教育の場を同時に設けて、そして非常に効果をあげておるところもあるのを聞いております。その点を勘案して、将来十分検討されたほうがいいのじゃないかと思います。これはそれくらいにしておきます。  次に、私立高等学校の問題ですが、今年度においても非常に入学者が少なくて、定員に満たない私立高等学校が相当数できておる。この全国的な、各県にわたるデータはできておりますでしょうか。
  101. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 大数的観察として、私立の同等学校と公立の高等学校の入学者というものがどうなるかというデータは、各府県を通じまして私どもは承知しております。それで、全体といたしましては、現在大きな比率を変えるような予想を持っておりませんが、部分的には、土地によりまして、そういうような、従来私立の中等学校に見られましたような傾向があるところもございますが、大量的な観察といたしましては、比率を変えるような実態にはなっておりません。
  102. 山田太郎

    ○山田(太)委員 私のお伺いしたのは、各県にわたって定員未満に終わってしまった私立学校の、何校においてどう、何校の何科においてどう、そういうふうなデータがとってあるかどうか、その点をお伺いしたわけです。
  103. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 そのデータはまだとっておりません。
  104. 山田太郎

    ○山田(太)委員 後期中等教育を熱心に推進していく上においても、この私立高等学校の点は考慮の外に置くことはできないはずですね。非常に大切なスペースを占めております。私の現在調べた範囲では約三割は占めております。しかも、これは私の県の岡山県のことで恐縮でございますが、私立高校十九校で、募集定員が六千六百五名、そうして入学者が五千七百二十一名、入学率は八六・六%、このような状況になっております。各県にわたってのデータも求めておりますが、やはりこれは一県の問題でなく、ほかの県に当たっても相当このような例があると思いますのでいまのようなことをお伺いしたわけですが、来年度においてもやはり同じような傾向、あるいはもっと進んだ傾向が出てくることはいま脱在予想されております。この面について、文部当局としてどのような対策、どのような対案をもって臨まれるか、その点を明確に——非常に私学のほうにおいても心配している問題ですし、また父兄の側も非常に心配している問題です。この点をおざなりではなく、もし企画があれば、明確に教えていただきたい。
  105. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 高等学校生徒の漸減の傾向があらわれてまいりまして、急増対策のときに、私学のほうでも相当収容人員を増してそれを分担したわけでございますが、その減少段階になりますと、その減少がどうしてもやはり私学のほうにしわ寄せがくるということは避けられない事実でございます。  そこで、各私学と公立との関係におきましては、この減少に対しまして、各府県で公立と私学との間の調整をとって、定員の調整は一応第一段階としてとると存じますが、なおまた、今回この定数表の法律案を出しまして、法律に基づきます学級定員減少していきますことは、同時に私学にとりましては非常に歓迎をいたしておるところでございます。しかし、定数表のこの問題だけではなおまた解決できない問題がございますので、ただいま臨時私学振興調査会におきまして、この問題を相当真剣に論議してもらっております。おそらくその答申が本月末日をもって出るのでありますが、その私学の定員が、生徒数がだんだん減少してまいります私学に対します援助の具体的方策というもの、答申が必ず出ると私は確信いたしておるのでありまして、その答申が出ますれば、私立の高等学校におきます具体的な援助計画を、その答申に基づきまして文部省としては樹立してまいり、私学のそういう問題に対処していきたい、こう考えております。
  106. 山田太郎

    ○山田(太)委員 いまのところはあなたの御答弁で了承しておきますが、これはつぶれるような私立高校も出ておるやに聞いております。やはり各県の問題、全国的な意味においてこれはたいへんな問題になると思いますから、早急にこの対策は講ぜられたいと希望しておきます。  その次は、夜間高校の問題に移らしていただきますが、定時制夜間高校定数等の問題は、もうすでに論議し尽くされましたので別の面から、現在定時制夜間高校の教師と、それから全日制のあるいはほかの面との兼任の教師が約何割おりますか。
  107. 岩田俊一

    ○岩田説明員 ただいま資料が手元にございませんので、後ほど……。
  108. 山田太郎

    ○山田(太)委員 わからなければよろしいです。  これは昼間働いて、向学意欲に燃えて夜間定時制高校に行く生徒に非常に不親切な問題ではないかと思います。その点は調査して、やはり対策を練っていかなければならないと思います。私の調べた範囲では、これは全部ではありませんから断定的には申し上げかねますが、約三割が兼任の教師でございます。そして、専任の教師も全日制の教師にかわりたいという意向を持っておる教師が非常に多いのは御存じと思いますが、ことに、この兼任の教師の教育への意欲の問題が相当問題になると思います。やっとかけつけて、そして九時あるいは九時過ぎまで、給食が出るとはいいながら、わずかの給食で、すき腹をかかえて長時間勉強していく、この向学心に燃えた定時制夜間高校の方たち、全国の高校の約四分の一は夜間定時制高校、これは約の問題ですが、そのように、多くの夜間定時制高校生に対して真の熱心な教育が行なわれてないという、そのような危惧がこの兼任の教師の問題においてあると思いますが、この点についてどのような見解を持たれておるか、あるいは、どのような対策をこの定時制夜間高校の教師の問題について考えておられるか、現在のままでいいとお思いになるのか、あるいは改良する余地があるとお思いになるのか、改良するとすれば、どのような点を改良しなければならないとお思いになるのか、その点を明確に答えてもらいたいと思います。
  109. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 定時制の先生方が二万一千強いらっしゃる中に、兼務者が六千六百三十という数字が出ております。これで全部ではございませんけれども、おそらく六千六百三十の中の相当の方が昼間との兼務だろうということを推定いたしております。私どもは、今回、従来もそうでございますが、定数法といたしまして、おおよそそういうことを予想しないで、定時制は定時制の生徒数学級数に応じまして編制し、今回の改正によりましても、学級改編十人を減らすということで一千名の増、それから小規模校に対する増というようなことを加えまして千五百七十人の増を見込んでおります。なお、実績から見ましても、この専任教員は実数としてなお未充足の部分もあるというようなことでございますから、私どもは定数上の措置をちゃんとするわけでございますから、できるだけ定時制の教育に専念する方をもって充足していただくように指導をしてまいりたいと思います。特に、定時制の生徒のように、勤労青年を扱うというのは、全日制と異なった異質の学校経営も必要になってくるわけでございますので、その点につきましては、私どもも全県一挙にまいりませんで、まず独立のモデル校をつくって、それに対して施設、設備等も特殊なくふうをこらし、それから運営の実態も昼夜を問わず開いておいて、そしてこの利用者たる生徒の便宜に供し、また授業以外の生活指導等も十分なし得るような方向へ持っていきたいということで検討をして、また、モデル校については所要の予算も計上してあるわけでございます。
  110. 山田太郎

    ○山田(太)委員 モデル校をつくり、また、そのような点を検討してそして進めておるということは、これは前進の姿ですから、これは悪いことじゃありません。もちろんいいことですが、しかし、実情には現在は沿うてない。私は二、三の夜間定時制高校にも参りました。そして生徒の意見も聞きましたが、いま局長の言われるような状況にはなってない。やはりお役人仕事で終わってしまっていると言えば言い過ぎかもしれませんが、この点は、やはり定時制高校の専任教師を、訓練といいますか、教育するといいますか、そのような施設を、いま現在の状況ならば持ってもいいのじゃないかとさえも思われます。なぜならば、やっとかけつけてきた子供さんに、ただほんとうに義務的に知識を教えていくだけで、人と人との触れ合いもなければ、将来のことまで心配してやるなどという教師はほんとうに数が少ないということから考えてみて、定時制高校の教師に生徒が非常に不満を持っていることもうなずけるのです。将来の多い青年に対して、もう少し親身になった文部当局の配慮と、それから施設等も勘案して、推進してもらいたいと思うのです。  給食等の問題にしても、カロリーは九百カロリーでしたか、しかもパンで、そして若いはつらつとしたからだをかかえて、もう帰るころにはすきっ腹になっちゃっている。やはりつい夜食をたくさんとって、からだをこわしていく人さえもおります。そのような生徒にも会いましたが、給食の点は、その中に含めて、米食等もでき得るならば夜間定時制には出してあげたいと思いますが、どうでしょうか。
  111. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 御承知のように、夜間定時制高校は働きながら苦心して学んでおりますので、十年ほど前から、夜間定時制高等学校に通います生徒のために給食を実施いたしております。その支給方法としまして、施設の補助がございます。それから、ことしから待望の食堂の補助もございます。なお、これは他の学校に比べても非常に特色とされております夜食費の補助金、これを約四億五千万円ほど毎年計上いたしております。また、負担を軽減するために小麦粉の一部補助、牛乳の一部補助、合わせまして、夜間定時制高校補助として六億八千四百万円、相当な金額を計上して夜間定時制高校の給食の普及と充実に努力いたしております。
  112. 山田太郎

    ○山田(太)委員 私の聞いているのは、そのことじゃないのです。また、その金額等も出ておるのですから承知しておりますが、米食等を考えてあげたらいいのじゃないかということに対する回答をいただきたいのです。
  113. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 実は、学校給食はそうした就学の便ということと同時に、国民の食生活の改善、この二本の目標を持っておるものでございますので、やはり学校における食生活の基準は、もちろん米食の現状は認めますけれども、やはりパンとミルク、こういうことでございますので、一応たてまえとしてはパン、ミルクということを中心にいたしております。
  114. 山田太郎

    ○山田(太)委員 全体の高校云々の問題じゃないのですからね。定時制夜間高校生徒に対してのことを言うているわけですから、そこに特別な血の通うた配慮が文部当局からなされてもいいのじゃないか、これに対して、ひとつ文部大臣。
  115. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 学校給食の形をとりまして米食に全部切りかえるとかいうことは、これはよほど私ども研究しませんと、にわかに御意見に賛成するわけにいかぬと思うのです。パン食に進みますことは、大体学校給食の起源からいたしまして、日本人の体位の向上の意味からいってパン食を学校給食に取り入れてまいったのでございまして、これを米食に切りかえるということにつきましては、お説ではございますけれども、そのこと自体が、まあそれは量の問題ではないかと思いますし、給食として米食に切りかえたほうが、あたたかい心持ちになるのだということには必ずしもなるものじゃないと私どもは考えております。
  116. 山田太郎

    ○山田(太)委員 それこそ机上の空論というのですね。だから、それじゃ一歩譲って、定時制夜間高校生徒のアンケートをとってごらんなさい。そして、ことに夜間定時制高校生徒には特別の配慮を要望したいと思いますから、検討事項として残しておきましょうよ。いいですね。  それから、時間がないのではしょって申し上げなければしょうがないのですが、定時制夜間高校の進学の問題です。  これは私の調査した範囲でも、一つ学校から国立の東大へ一人、二人と夜間定時制高校から東大へ入っております。このように、非常に進学意欲に燃えておる生徒も非常に多いわけです。したがって、私立の夜間大学に入っていく人もおりますが、月謝等の点で非常に苦労しております。これの数は全部は調査しておりませんが、これは文部当局で調査なさったら全体がわかると思いますが、夜間の国立大学、これはこの前同僚有島議員からも一言お話を申し上げたことですが、夜間の国立大学を、そういう方々のために文部当局として早急に検討して設置したほうがいいのじゃないかということを考えておるわけですが、どうでしょうか。
  117. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私どもは、これは個人的なことを申し上げて申しわけありませんが、私立大学のほうに実際上運営に当たったことがございますが、東京におきましては、実は私学におきましても、夜間の大学につきましては入学者が非常に減少してまいりました。私学によりましては、やっておりました夜間の大学をいま廃止をしておる大学もあるような状況でございます。大学にまいります場合は、だんだん昼間のほうに移っていくという傾向が非常に強うございます。  それから、国立大学につきまして、特に私どもは、終戦後実は国立大学が夜間をやらないということは非常に望ましいことでないものですから、たとえば東京大学なんかでも、何とか夜間をやってもらえないかということを相当具体的に交渉したことがございます。かりに東大なんかの場合を考えますと、一番夜間で国がやってほしいと思いますのは、むしろ自然科学的な理工系の学科でございますが、この理工系の学科については、大学の本質としまして、どうしても研究その他が夜間にわたる関係がございまして、国立の場合はまず受け入れるということは絶対に望めない状況でございます。それじゃ文科系統の夜間大学をつくるかと申しますと、大体私学のほうの関係は文科系統の夜間部でございまして、その夜間部がまさに減少しつつある状況でございます。国立のほうで夜間部をつくるということは、逆に私学のほうの圧迫になるというような関係になりまして、文科系統の夜間部は、国立ではつくるのはむしろ差し控えるべきだということからいままで国立大学には夜間部はつくっておりません。ただ、国立大学の場合におきましても、理工系におきましても、四年の大学に支障のない限りにおきまして、理工系の短大は希望の学校には相当つくっておるのでございまして、これからも希望があればつくってまいりたいと思っております。いまでも夜間の短期大学は併設しておりますのが国立に相当あります。  そういう状況でございますので、にわかに国立に夜間部をつくる、四年の夜間部をつくるということは、実は実際上は実施が非常に困難であろうと思っております。
  118. 山田太郎

    ○山田(太)委員 文部大臣の言われることもわからないのではないのですが、実情はそうではないのです。夜間の私立大学が減っていくのはなぜかというと、おもに経費の問題です。それから入学を差し控えるのもやはり経費の問題です。早稲田大学が結果として欠損を見込んでやっておりますけれども、あれは総合大学であるからこそできる問題であって、主としての問題は、やはり金がかかるということです。減っていくというのは、向学心がなくなったのでなくて、金が続かないというのが問題なのです。実情を調査してください。そして表面的な数字だけでなしに、真にそのような青年にもっと社会に有益な働きをさせてあげるためにも、これはいろいろな経費等を考えても、国立でなければできない要素が非常に多い問題です。あわせて再検討してもらいたいと思います。  一言だけ返事してもらいたい。
  119. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私学のほうでも、早稲田だけじゃございません。夜間部は相当苦労しております。ただ、国立の場合につきましては、御意見のこともございますので、十分検討をいたしてみたいと思います。
  120. 山田太郎

    ○山田(太)委員 そこで、もう二つ、三つ。定時制の高校の卒業者の就職の問題です。これが現在非常にへんぱな実情に置かれております。全日制の高卒と定時制の高卒と非常にへんぱな実情に置かれておりますが、これに対して、文部当局、あるいは政府としても、一度佐藤総理でしたか、呼びかけがあったときもありました。だけれども、これは一時だけに終わりまして、現状においてはまたもとのもくあみになっております。これに対して、文部当局としてどのような施策を講じていくか、また、これからこういう面で、もっと強力に進めていきたいというものがあれば、端的に答えていただきたいと思います。
  121. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私もこれは実際体験したことでございますが、夜出の高校の卒業生につきましては、会社、工場の採用におきまして非常に差別待遇をして、ひどいのは願書を受けつけないというような会社もございます。私どもは、これは文部省としてずっと一貫した方針でございまして、夜間、昼間部を問わず、平等に入社試験については取り扱うべきだ、これは長年にわたりまして主張してまいり、だんだん会社のほうもその趣旨に沿うような方向になっておりますけれども、まだまだその差別が多少残っておるということは否定できません。一般の会社、工場、これは採用するほうでございますから、私どもとしては、できるだけ文部省としてこれを強く要望して当たってまいるつもりでございます。
  122. 山田太郎

    ○山田(太)委員 もう少し具体的な方策を、では次に局長のほうから……。
  123. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 昭和三十八年ごろからの経緯を見ますと、とにかく、入社のための機会を与えるということにつきましては、三十八年当時五〇%程度であったものが順次改善をされてきておりますが、なおしかし、機会さえも与えないというところが、ことに非現業のほうではわりあいに多いという実態でありますので、事業場の団体を通じ、また例年、就職につきましてわれわれは各車業体に対して通牒を出しますから、その際にもそのことを特につけ加えるという措置もこの三月にはいたしたわけでございます。こういうふうにして、だんだん理解を得ていくという方向で、なお改善をはかっていきたいと思っております。
  124. 山田太郎

    ○山田(太)委員 まだいまの答弁では不満足ですが、時間の関係で、一応この問題はこの程度にしておきますが、委員長、どうでしょう、まだ三分の一くらいしか進まないのです。
  125. 床次徳二

    床次委員長 大体お約束して進行してまいったつもりでありまして……。
  126. 山田太郎

    ○山田(太)委員 次にしましようか。
  127. 床次徳二

    床次委員長 次回御質問なさるかどうかにつきましては、理事会でどう取り扱うか、そういう御希望であれば、理事会できめたいと思います。予定の時間は大体来ております。
  128. 山田太郎

    ○山田(太)委員 では、もう一点だけ。非常に時間がせっぱ詰まった感でございます。  定時制高校について、もう一点だけお伺いしておきますが、先ほどの御答弁の中にありましたように、脱落者が二分の一くらい出ております。それから東京都内の経緯を見てみますと、数にすれば約三分の一が脱落者になっております。この原因は、表にも出ておりますが、いろいろな面がありますが、経済的な面も非常にあります。この脱落者に対する防止策も、たいへんむずかしいこととは存じますが、定時制両校の方々は一人一人話してみても、向学心に燃えた人が非常に多いのです。全日制の生徒よりもかえって向学心に燃えておるとさえ言ってもいいのじゃないかと思うのです。それがそのようなことで脱落していく、この姿を見ると非常に悲しい思いさえしますが、どうかこの点に対して、もっと強力な推進の手を差し伸べていただきたいことを最後に要望しておきまして、また次の機会にいたします。  どうも御苦労さまでした。
  129. 床次徳二

    床次委員長 次回は、来たる十四日、水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会