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関口参考人 初めの二つはやや抽象的な御
質問だったので、ちょっと私了解しなかったかもしれませんが、私の受け取った範囲で申し上げさしていただきます。足りませんでしたら、なお御
質問願います。
一番困った点はどうか、困難な点はどうかという
お話がございました。
調査会といたしましては、この問題につきましては非常な熱情をわかして、それぞれの
専門家の方に参与していただきまして、長い時間をかけて討論し、まとめ上げたわけでございます。そこで、こういう
大学は
日本にぜひ必要であるということでございますが、困難な点は、いまも
今道先生から
お話がありました一つなんですが、
今道先生の
お話は、
人間形成についてもっといろいろな
講座を設けてやるべきだ。ごもっともなんで、われわれのほうも全然同感なんです。ところが、ただいまの
大学の基準の制度でございますと一応四年間でやることになっておりますけれ
ども、四年間で、私
どものほうでは一般
教育は非常に大事であるから、できるだけりっぱな一般
教育をしなければならぬという
意味で、ただいま
大学設置審議会から文部省のほうに出されております
大学設置基準の改善でございますけれ
ども、改善のうちの一番の問題点は何といっても一般
教育でございまして、従来の一般
教育ではとても新
制大学の使命は果たせぬ、ある場合には一年半も二年もかかってむだである――むだとまでは言いませんが、二年間で一般
教育を相当な時間を使ってやるといたしますれば、もう少しくふうがあるべきでございまして、その点のくふうは、新基準の趣旨によりましてカリキュラムの中では相当いたしておるのであります。しかし、もっとほしいのでありますけれ
ども、四年間の中に、百二十四単位が
卒業単位でございますが、この
大学は、詰め込みにわたらぬ
程度で百四十まではどうしてもやらないと、この
大学の
教育の使命は果たせない。ですから、一般
教育科目と基礎
教育科目、共通
専門科目及び
専門教育科目と四段階があります。いろいろ新しい授業科目がございます。そういうものを加えましても、百四十ではどうもつらいなというのが一番の問題点でございまして、われわれ
報告書のほうのごく末尾にも書いてございますが、
創設する
大学にすぐ
大学院、
研究科を置くわけにもいかないのがいままでのならいでございますけれ
ども、もし四年間の学年進行が済みまして
卒業生が出る暁になったら、どうしてもこの
大学には
研究科を置いて、そこでもう少し仕上げをしたり、やや不十分であった点の
教養は与えなければならぬと
考えております。そのことは付記してございます。その点が非常に困難な点で、
今道先生からもその点を突かれたわけでございますが、われわれとしては
今道先生のお
考えに全然同感なんですが、そういう与えられたワクの中でやるのには、どうにもこの
程度よりしかたがないというのがわれわれの苦しいところでございます。そのためには、
大学で将来
考えていかなければならぬと思っております。
その次に困難な問題は、当然、御
承知のように
教員組織の問題であります。従来もこの種の総合的な
研究部面につきましては、そう人があるわけではございません。ところが、
教育課程の中に新しい授業科目を相当たくさん取り入れておりますので、これに直ちに備え得る人が、大体見当はつけておりますけれ
ども、そうたくさんはない。この供給源は、裏話を申し上げますと、いまこの種の問題につきまして
学問的熱情を燃やして海外に留学している若い
研究者が相当おるのだそうであります。私は直接は存じませんけれ
ども、それらがたとえばアメリカにも相当行っておりますので、そういう方をぜひひとつ招聘したい。そういう方も招聘して教授陣容を充実したい。
それからもう一つは、何らかの財源を得て、助手クラスの人なり講師クラスの人、この
方面についての
研究の一端をやっております者を
大学の教員といたしまして、そうして一定期間海外に留学させましてこの新しい
方面の
研究をさせて、戻してこの
大学でそういう新しい授業科目についての担当をしてもらいたいというねらいを実は
調査会としては持って、文部当局にもそういうことは耳に入っておるわけなんです。これからの実行問題でございまして、それがどうなりますかは、いま文部省のほうでいろいろお
考えになっていることではないかと思います。
困難と申しますとその点が一番問題点だと思いますが、
調査会としては何とかそれは切り抜けられるというつもりで、そして
専門の
先生の中には、それぞれ人についてのめどをつけていらっしゃるようでございます。
それから、既設の
研究体制との関連をお尋ねのようでございます。これはこれからの問題でございまして、まだ、いま
教員組織をやっておりますから、その際にそういう問題が当然起こると思います。この
大学の教授科目の中には必修、選択、それぞれございます。選択科目の中には、各
大学のそれぞれの専攻の
先生の非常勤講師としての御協力を仰がなければならぬことが相当たくさんございますので、自然、これから、いま御指摘のような他の
研究機関、
大学等との連携の問題が出てくるかと思います。ただいまのところは、その
程度ではないかと思うのです。
それから、施設、設備のことでございます。これはもう、
調査会としては、できるだけこの新しい
大学の
目的に沿うような施設、設備がほしいことはもちろんでありまして、施設についてもこれだけの
研究室、あるいは実験室、自習室等が要るという調書を
報告書の中につけております。それから設備につきましても、各
学科につきまして一つ一つ器具、機械、その他点検いたしまして、必要なものを計上いたしまして、たしか約六億七千万円くらい必要であるということを、われわれの
考えをお出しいたしてございます。ただ、御
質問ですからお答えせざるを得ないのですが、幸いにして福岡の学芸
大学、いまの
教育大学が統合されまして、福岡の本部がいまあいております。そこに一万六千坪の校地と、それからどのくらいございますか、二、三千坪の
建物があるかと思うのでございますが、それをとりあえず使わなければならぬという問題がございます。それはある
程度補修したり、増強したりすることは必要であろうと思います。ただ、これまた、ここで申し上げるのもいかがかと思いますけれ
ども、
調査会としましては、できればこういう
芸術と
技術との総合されたような
学問をし、
教育をするところなんだから、施設そのものもそういう情緒に訴えるような雰囲気のある、ぜいたくなんですけれ
ども、あるような施設もほしいなと、そう言っているだけで、何も申し上げてはおりませんですけれ
ども、これは文部省御当局が予算とのにらみ合わせでしかるべくお
考えになることでありますが、
調査会としては、そういうものは、望むらくは将来ほしいなという
考えを実は持っております。
お答えになりましたかどうですか、一応……。