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剱木国務大臣 医学部の学生の
国家試験の拒否は、ほかの理由もありますけれ
ども、主としてインターン
制度の廃止ということを要望してそういう問題が起こったことは事実でございます。医育機関として終戦後、大学を卒業してまた一年間インターンをやる、しかる後に
国家試験を受けて医師等の免状を得るという
制度は、アメリカの
制度にならった
制度であろうと思いますが、しかし、インターンの
あり方につきましては、率直に申しまして
相当これは当初から意見のあったところであります。私自身は、これは
文部省の
考えということを申し上げると語弊があると思いますが、私はやはり、医学
教育で大学をやる限りにおきましては、大学を卒業しますときに、免状をやるときに、一人前の医者になり得るところまで医育機関において責任を持って
養成すべきではないか。大学を出てもまだ一人前の医者になれないで、インターンを一年やらなければ医者の国原試験を受けることができないという
制度は、全く大学の
あり方というものについての
一つの矛盾であるように私は思います。まあこういうことは別としまして、インターン
制度については非常な批判があり、また学生もこれに対して非常な不満の意を表明しておりましたので、まあ大学卒業後のこの医療研修の
あり方につきまして
厚生省と
文部省と相談をいたしまして懇談会をつくり、至急これに対しまする
一つの
考え方のとりまとめ方を依頼いたしまして、そうして本年の二月にこの中間
答申が出まして、インターンはこれを廃止すべきものである、しかし、大学を卒業しますと
国家試験を受けさせ、しかも
国家試験を受けましていよいよ開業するとか、一人前の医者になるのにはまだどうしてもやはり診療研修は必要とするから、診療研修の
あり方は今後十分早急に研究をするけれ
ども、大体においてインターンは廃止し、その後の研修の
方法については懇談会において早急に結論を出すということになりまして、まあ
厚生省のほうでもそういう
意味で、研修のやり方の適当な
方法が
考えられればインターンを廃止しようということに
厚生省も踏み切ったようでございまして、近く研修に関しまする最終
答申が出てまいります。それに基づいて今国会中にどうしても
改正の
法律案を出そうというところに来ておるようでございます。
ただ、現
段階におきましては、私は、医学
教育については
相当基本的に
考えなければならぬ問題がある、さしあたりインターンの問題を解決しただけでは医学
教育の
あり方の
基本的な解決にはならぬと私は思います。特に無給医局員とか、こういう問題が大学の非常なガンとして今日あるわけでございます。私は、これは要するにいまの
日本の非常に特異な状況であって、医者の免許状だけではだめで、いわゆる医学博士の称号を持たないと開業その他ができないので、どうしても医者の免許状を持って、しかも学位を取るまで大学なり研究機関の中におるというこの
実情、これがやはり
基本的には医学
教育の今日の非常な
問題点ではなかろうか。それで私
どもは、やっぱりアメリカなんかの
制度から申しますと、専門医の
制度というものが
相当発展しておるようでございまして、いわゆる実力主義というか、専門的なのには非常に専門医としての
能力があるという表示こそ大事であって、いわゆる基礎医学で学位を取って内科の医学博士という看板でやるという状態が、今日の医者の
あり方として
日本の
あり方の誤りである。ですから、私は、医学
教育についてもっと
基本的に、もう一回
日本の医学
教育の
あり方について再検討をするときが来ておるのではなかろうか、そういうふうに今日
考えております。