○齋藤(正)政府
委員 幼稚園だけを申しますならば、国公私立の区別はなくて、
学校教育法に定められた
目的、しかも省令で定めております
教育要領、これは国公私立を通ずる問題でございますから、幼稚園であります限りは、小
学校へ入学する前の幼児
教育を
目的とすることに違いはございません。ただ、保育所のことをおっしゃったのでございますが、保育所は、たてまえといたしまして、要するに普通の家庭における幼児の
教育というものに欠ける方が長時間預けておく、その預けておく期間に保育という面と、それから一面
教育という面があるというのがたてまえになっております。ただ、実態といたしまして、沿革的に保育所が先にできたところは、幼稚園にかわった機能を実質的に果たしているとか、いろいろなことがございます。そういう
意味で、保育所のほうも、かつて問題になりましたときに、
文部省の初中
局長とそれから当時の厚生省の
児童局長とで共同の通達を出しまして、そして厚生省関係の保育所におきましても、保育に欠けるという事由で預けられる幼児に対しましては、その分の
教育については幼稚園に準じてやるということの指導をいたしておりますから、方向といたしましては、保育所にあげられるような方も、そのある部分というものは
——時間が長うございますから全部幼稚園式の
教育をやるわけではございませんが、そのある部分というものは、幼稚園の
教育に準ずる
教育をやっていくというふうに
行政の指導がなされているわけであります。
それからもう
一つは、御質問の要点は、義務
教育の入学時におきまして、幼稚園を出た者あるいは保育所を出た者あるいは全然行かない者、そこのバランスはどうかということでございますが、これは非常にむずかしい問題を含んでおります。と申しますのは、そもそも幼児
教育というものは、すべて
学校施設に委託すべきかどうかということについては
議論がございまして、幼児の段階においては、やはり
通常の家庭においては相当部分母の庇護のもとにあって、意図的な
教育ではないけれ
ども、おのずから
教育的な感化を受けるということが非常に重要なことでございますので、それと幼稚園
教育というものとが相助け合っていくということがたてまえであります。
それから、私
どもが振興計画を立てます場合にも、現在の段階では必ずしも全員が入るということを予想しておりません。これは非常に基本的な制度問題を含みます。現在は、保育に欠けるので保育所に行く者もある。それから、これは義務
教育でないわけでございますから、何らかの事由で信念を持って、その両親としては小
学校までは家庭でやるという
考え方もございます。そういう要素を入れまして六十数%という就園希望者を全部入れたいというのが、昭和四十五年までに
考えた七年計画でございます。
そこで今度は、小
学校の
教育課程におきましては、これはまだ一部世間に誤解があるようでございまして、ことにアカデミックなカリキュラム、文字とかあるいは算数だとかいうものを幼児
教育で非常に力を入れてやるということは、幼稚園
教育としては入れ過ぎるとこれは邪道でございまして、むしろ幼児
教育といたしましては、
社会的な集団のしつけだとか、そういうものの適応性だとかいうようなことを馴致いたしますことによって、義務
教育に入学するときに就学前
教育としてよりいいという
考え方が基本にあるわけでございますので、必ずしも幼稚園で行なったことを前提として小
学校のカリキュラムを組んでいく
——ことに知的なものについては、そういう
考え方をとることは危険じゃないかという
考え方を持っております。ただ、実態といたしまして、
先生御指摘のように、幼稚園に行かせたいという希望が非常に多いし、また、
社会生活の変化によりまして、家庭というものの機能が理屈なしに昔よりはやや両親を離れる機会が多いということがございますので、就学前の幼稚園
教育をますます拡充していく必要性はあるだろう。そして
社会的な行動様式というものも、就学前一年なり何なりにできるだけ身につけさせる必要がある、あるいは
学校教育を効果的にやっていくということはあろうと思います。この問題は二つの問題がございまして、そのために幼児
教育を将来に向かってどういうふうに
考えるかという基本問題がございます。この問題については
文部省として基本的に検討してまいりたい、かように存じます。