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1967-07-06 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月六日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小峯 柳多君 理事 砂田 重民君    理事 橋本龍太郎君 理事 武部  文君    理事 平岡忠次郎君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    鹿野 彦吉君       佐藤 文生君    竹内 黎一君       唐橋  東君    村山 喜一君       有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         厚生政務次官  田川 誠一君         厚生省薬務局長 坂元貞一郎君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局参事官  竹内 直一君         厚生省薬務局企         業課長     翁 久次郎君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君     ――――――――――――― 七月六日  委員井上普方辞任につき、その補欠として村  山喜一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員村山喜一辞任につき、その補欠として井  上普方君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月五日  物価値上げ反対に関する陳情書  (第二三七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、昨年物価特別委員会が衆議院に初めてつくられましたときの、当委員会理事といたしまして、六月二十二日に物価安定に関する決議を上げましたその責任立場から、新聞にあらわれました再販規制法案提出を見送るという問題につきまして、諸点をただしてまいりたいと思うのでございます。  宮澤長官も御記憶に新たなように、また公取委員長も御承知のように、その満場一致決議にあげましたのは十項目でございますが、その中の六項目に、「再販売価格維持契約についての現行制度には種々の弊害が現われているので、この際、例外的に認める必要のあるものについては、消費者利益を侵害することのないよう所要措置をとること。」という決議事項でございました。これは、原則として再販契約というのはもうやめるべきなんだ、例外的に残す場合でも、消費者利益を侵さないように所要措置を講じなさい、こういう趣旨であったことは、当時小笠委員長のもとで私たち満場一致決定いたしました、その時点において論議された内容をごらんいただくならば明らかであります。そのとき藤山国務大臣も、満場一致決定をされ、政府に建議されたこの趣旨を体して、全力をあげて処置いたしますということを答えておいでになるわけであります。  それからことしの三月二十四日、この委員会におきまして北島公取委員長が、立法措置規制を考慮中である、事務局でいま検討中である、今国会において審議を仰ぐ予定でございますということを言われました。六月十四日の議事録を開いてみますと、武部君が質問をいたしまして、それに答えて、四月の二十日ごろ委員会案ができ上がり、そして最近になって法制局との意見調整がついた、いま各省との折衝中である、こういうことを言われているのでございます。その内容はどこに問題があるのかという質問に対しましては、各省庁の意向というものをわれわれの線に近づけるためには、この際は言わないほうがいいだろう、こういうようなことで言明を避けておいでになります。ところが、七月四日の新聞によりますと、今国会提出はとりやめにする、こういう発表がなされ、きのう参議院におきましても追及が行なわれたその新聞記事を見ますと、今度の国会に提案するのはあきらめた、こういう内容のことが説明されているわけでございます。  したがいまして、私はこの問題につきましてまず初めに、あなた方が行政組織上の立場から行政委員会としての独立性が与えられ、そこには内閣総理大臣所轄に属するという程度の、そういう機構の上の位置づけがなされ、その独立性というものが保障されておる。そして委員長あるいは委員は、独立して職権を行なう権限が与えられ、また、任命につきましても両院の同意を必要とする。あるいは身分保障問題等につきましても、その独立性というものを保障するための権限が与えられているわけでございますし、さらにまた準司法的な機能、あるいは準立法的な権限も与えてあるわけでございますが、私はここでふしぎにたえないのは、公取委員長が今度の国会に提案するのはあきらめた、こういう説明でございますが、公取委員会としてこの国会法案提出権はないはずであります。法案提出権は、これは憲法並びに内閣法、あるいは国家行政組織法等によりましてそれぞれ内閣責任を持たなければならないということになっておる。とするならば、あなたがあきらめたということを言われましても、それはどういう立場においてあきらめたのか。また、この法案提出しないということをきめる権限はどこにあるのか。私たちが仄聞するところでは、この法案提出について、事務次官会議において中止するということをきめた、こういうような話も聞くのでありますが、政府としてこれを出さないということをきめたのか。一体それはどういう権限に基づいて出す出さないということを言われているのか。この点についてまず、国家行政組織法上どのような立場においてあなたが言明されているのか、その点を北島公取委員長から明らかにしていただきたいのであります。
  4. 北島武雄

    北島政府委員 お話のように、公正取引委員会は独立してその権限を行使することができるようになっておりますが、国家行政組織上におきましては、総理府の一外局というかっこうになっております。これは経済企画庁あるいは防衛庁とも同じかっこうになっておるわけでありまして、その行政委員会委員長北島である、こういうことでございます。  法案提出いたしますにつきましては、各省庁と同じように、各省庁が一応原案をこしらえまして、各省との調整をはかって閣議にはかる、その上で政府として提案をする、こういうかっこうになるわけでございます。公正取引委員会といたしましても、ただいま申しました方式によりまして、いわば原局として鋭意努力いたしてまいったのでありますが、国会の会期も切迫し、政府としても今後提案すべき法案の整理をしなければならぬ段階になりまして、去る四日の閣議におきまして、再販売価格規制法案国会に提案不可能という御了解ということになりまして、原局といたしましてもその御方針はやむを得ないということで、私も了承いたしたわけであります。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 原局としての御意見であり、そしていま承って初めてわかったのでありますが、四日の日の閣議でそういうようなことがきまった。これは閣議了承事項でありますか、閣議承認事項でありますか。なお、閣議にそういうようなものを付議するということになったその行政機構上の所轄庁というのは、行政機関である総理大臣がそういうことを言われたものであるのか、あるいは総理府がそういうような事態でございますからということで、総理府総務長官がこの問題について発言をして了承が得られたものであるか、その点はいかがでございますか。
  6. 北島武雄

    北島政府委員 その点はつまびらかにいたしませんが、機構といたしましては、これは総理府総務長官権限であろうか、こう考えるわけであります。行政機構といたしましては、総理府総務長官を経由いたしまして、あるいは閣議の稟請なり、あるいは予算におきましても、予算要求などをする場合には総理府総務長官を経由することになっておりますので、形式的に申しますと、総理府総務長官として閣議了承された、こういうふうに考えるべきではないかと思います。ただし、私のほうにはその一両日前に、内閣官房のほうから、もうすでに間に合わないがというような話がございまして、当方としても、もし間に合わなければいたし方ないということは申しております。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 これはあと法制局に来てもらって、もう少し詰めてみたいと思うのでありますが、いま総理府総務長官所管事項であろうという意見でありますが、私はこれはおかしいと思うのです。しからば総理府設置法の第何条に基づいてこの問題が処理されているのかということについて御説明をいただきたい。総理府設置法の中において問題が処理されているものではない。この問題については、六月十四日の武部君の質問に対しまして宮澤国務大臣がお答えになっている内容を見てまいりますと、考え方としては、公取考え方は現状より一歩前進するという方向において賛成なんだ、それで私は法案の作成に協力したい、こういうことを言われているわけですが、この席でその閣議に出られたのは宮澤長官お一人だと思いますので、もし差しつかえなければ、七月四日のその閣議模様について御説明を願いたい。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その日の閣議には私も出席いたしております。そこで、まことにおそれ入りますが、閣議で、いま北島委員長の言われましたようなことがどのような形式において決定され、あるいは了承されたかということにつきまして、私に記憶違いがございますといけませんから、ちょっと調べさせていただきたいと思うのでございます。と申しますのは、それにつきまして活発な論議があったとかなんとかということではございませんでしたので、もし不正確なことを申し上げるといけませんので、調査させていただきたいと思います。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 それではこの問題は、後ほど法制局のほうも参りましょうし、また、必要であれば総理府のほうからも出席を願いたいと思うのでありますが、やはり私は、その行政委員会独立性というものが保障される中において、独禁法の番人としての業務をやっておいでになる、それにかかわる法案でありますから、原局としての仕事をあなた方がおやりになるんだけれども、しかし、その法案をつくるかつくらないかという問題については、あなた方の意見というものを十分勘案しながら、内閣として責任を持たなければならないことは、これは憲法上明確である。したがって、単にあなたが責任をかぶるというのではなしに、佐藤内閣物価政策に対する国民への責任として、この問題について態度を明確にしたものと私たちは受け取っておるわけであります。それは、あなたがあきらめたということだけで了承できる問題ではございません。この問題は、物価政策に対して、国会決議に対して、佐藤内閣がどういう政治姿勢で臨んでおるかということが、国民の前に明らかになったという点を私は注目しなければならない。そういうような意味において、後ほど閣議模様については御報告をいただけるそうでございますので、この問題につきましては、しばらく中止をさせていただきます。  そこで、私たち決議を行ないましたその過程及び決議内容から、国民に対して政府がとるべき措置は次のとおりであると決定をいたした内容から考えてまいりまするならば、当然規制法案内容というものは、第一義的には、原則的には、再販売価格維持契約制度というものを禁止するのだ、こういう内容のものが大きな筋であり、そうして例外的に特定商品について認める場合には、どういうような内容のものについて認めるのかという例外規定を、原則規定に触れない範囲においてこれを列挙するという方式のものでなければ、再販制度方向国会決議に沿うたものにならないと考えます。したがいまして、原局として公正取引委員会のお考えになった方向というものは、確かにその二つ方向というものを内容としながら当初出発したものだと私は思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
  10. 北島武雄

    北島政府委員 実を申しますと、現行法でも再販売価格維持契約は、原則的には禁止なのでございます。ただ、独禁法の二十四条の二に基づきまして、著作物公正取引委員会指定する商品については、例外的に認めるというのが法のたてまえでございます。ただし、再販売価格維持契約と申しましても、いろいろな種類の形態がございまして、実際にこれを原則的に禁止をいたします場合におきまして、どの範囲のものまでが、いわゆる禁止すべき再販売価格維持行為になるのかという点につきましては、必ずしも現行独禁法一般指定におきますところの不当拘束条件つき取引規定だけでは明らかにならない。そこで、単独立法をする場合においては、禁止さるべき再販売価格維持行為範囲を明確にすることがまず第一に必要であるというふうに考えまして、原則禁止をはっきりうたい、それとともに現行法のように、特定の場合に例外的にそれを許容するという体系を考えたのでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、その再販行為範囲を明確にする、そしてそれ以外のものについては、独禁法の不公正な取引方法として禁止をする、これが原則禁止の基本的な考え方だろうと思うのです。その点については私は了承をいたしますが、しからば、その特定商品につきましての再販行為適用除外というものについて大体どういうふうな内容のものをお考えになったのか。もしこれは差しつかえがあればこの席でお漏らしいただくのもいかがかと思うのでございますが、私はその次の質問といたしまして、なぜ通産省なりあるいは厚生省が、この国民的な要望である再販規制に対して、例外的に認める場合にはこういうようなことで認めるのだというのに対して反対をしたのか、そのことが国民の前に明らかにならなければ、ややもすれば通産省なり厚生省というのは、業界の味方であって国民味方ではないというような批判もあるわけです。これは両省にとりましていずれもおもしろくない現象でございまするし、そういうようなことでは国民のための行政機構ではないということになりますので、そこには何らかの名分があって反対をされた理由というものについては、後ほどお伺いをいたしますが、そのためには、その伝えられる内容について、どういうところにおいて反対がされたんだということが明確にならなければ、この物価特別委員会において、国民要望にこたえる方向を次に打ち出す際において困ると思うのであります。したがいまして、あなた方が原則的には禁止する方向でその再販行為範囲を明確にして、そして独禁法の不公正な取引方法として禁止をされた、しかしながら、特定商品についてはこれこれのなにによって少なくとも認めたという場合には、弊害を除去しようという方法幾つかあるはずである。それで、その幾つかの方法については、まあ私ども想定ができるのでございますから、大体見当がつきますが、もし差しつかえなければあなたの口からお示しを願いたい。
  12. 北島武雄

    北島政府委員 まず、今回私ども考えておりましたことにつきまして、だいぶ世の中に誤解もあるようでございますから、その点一、二誤解を解いておきたいと思います。  誤解の一つは、今度の法案は再販売価格維持契約をどんどん認める法案だという解釈であります。それから第二の誤解は、現在やっておるものをそのまま認めるんだという誤解であります。この点は二つとも違うのであります。これからどんどん認めるかと申しますと、現行法でも公正取引委員会指定する商品ということで、二十四条の二によってできることになっておりますが、この規定をそのまま移しただけでありまして、何も今後どんどん認めるというようなことじゃございません。これは当委員会におきましてもかねがね申し上げておりますように、現在行なわれております再販売価格維持契約というものを極力規制する必要がある、現在認めておる商品についても、これをぐっとしぼっていく必要があるという考えでありまして、今後新しく指定するかということは、当分そういうことは考えられません。とにかく現行法では、手不足などもございまして事実上ほとんど規制しておらなかったのを一ぺん厳格に規制してみたい、そしてその規制の効果があがって、これならば一定の理由ある場合には再販売価格維持契約を認めてもいいという時代がもしくるならば、これはまた別なことを考えるかもしれませんが、現在のような物価問題がこういう大きな時期におきまして、新しく認めるなどということはとうてい考えておらない。これが誤解の第一点。  第二点は、現在認めておるものをそのまま認めるんだということ、それもたいへんな誤解であります。実は立案に際しまして、法律が公布されましてから施行までに若干の期間を置くことを考えておりました。そしてその間にどういうことをやるかといいますと、現行法指定しておりますところの商品について逐一再検討を行ないまして、そして新法の精神からいたしまして、現行法におきましてすでに不適当と認められるものがあるといたしますれば、これは徹底的に削除して、その上でそれを新法の上に乗せるという考え方であります。現在認めておるものをそのまま認めるということはございません。これは二つとも考え方が違うわけであります。  そこで、今回の案につきましては、一応原則的に禁止さるべき再販売価格維持行為範囲を明確にするとともに、特定の場合にこれを適用除外するという考え方で、その適用除外の品目といたしましては、著作物は、これは当然そのまま認めていきます。これはもうはっきりいたしております。それから公正取引委員会指定する商品、これは、一応条件は現在程度ではございますが、やる場合にはあらかじめ事前公正取引委員会に届け出させまして、そして個々の内容につきまして、はたしてそれが一般消費者利益を不当に害することはないか、あるいは再販売事業者利益を不当に害することがないか等を検討いたしまして、その上で、もしそれに適合するということになれば契約内容登録する、契約内容登録いたしまして、その登録事項は、一般閲覧に供するという考えであります。それと、この再販売価格維持契約を合法的に認めましても、実施の過程において報告を徴しまして、もしその法の条件に当てはまらなかった場合には、これは登録を取り消すということもございましょう。それから、現在消費生活協同組合等に対しましては、再販売価格維持契約を認めておらないのです。それはそのままといたしまして、消費生活協同組合等が再販売価格維持契約ができないということだけのゆえをもって取引を拒否することはこれは違反である、こういうことをはっきりうたう、こんなふうな考えであったわけであります。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 あらましわかってまいりました。  そこで、結局指定にあたっては事前においてチェックをするための公聴会組織の問題も考えられましょう。あるいはまたいまお話がありましたように、契約内容事前調査というものもこれは必要になってまいりまするし、さらにまた契約内容登録、それに基づく監視体制強化という問題が、閲覧をさせることによって消費者監視をさせる、こういうような形のものがチェックする立場からは考えられる。あるいは小売り価格表示義務という問題も、これまた手段としては考えられる方法であります。また、実効性を高めるためには罰則を強化するという手も、これも規制方法であります。大体考えられる方向のものというのは、規制強化するという意味においては、そのような方向というものがあるであろうということが想定されるわけです。そしてまた、現在、消費生活協同組合等をはじめ農協その他の協同組合等規制が及ばないものが十二団体あるにもかかわらず、メーカーによりましてはそれに出荷しないことによりまして、自分たち再販利益をとろうとしている動きがある。こういうのは違法でございますよということでこれを規制する、そういうようなことにならないように、そちらの面から物価安定が推進できるようにしようという、そういう方向というものが当然孝えられてしかるべき方向であります。  そこで、そのような方向のものは、これは国民の待望している規制内容である。にもかかわらず、公正取引委員会がそれを推進しようとした場合に、なぜ通産省なり厚生省というのは、その原局原案をつくる段階の中で、調整段階に入ったときに反対をされたのか。これは新聞内容で明確でございませんが、たぶんそれぞれの局あたりにおいて話し合いをされた段階で、これが詰まってしまって、通産省なり厚生省としての統一ある見解として、そういうようなことじゃ困るという態度にまで表明をなされたものではないかとも思われるのでありますが、どの段階でその反対意思表示、あるいは疑問の意思表示、あるいはこれをチェックしようとしたその行為がとられたものであるのか、この点について、省としての統一見解を示していただきたいのでございます。まず宇野さんから……。
  14. 宇野宗佑

    宇野政府委員 よく物価問題に関しまして、通産省メーカーサイド消費者のことを思っておらないというようなお考え一般的でございますが、決してさようではございません。したがいまして、今回の再販価格維持行為規制強化に関しましては、通産省異存がなかったわけでございます。このことは、大臣も再三予算委員会等におきまして言明いたしております。だから、今回の法案提出に関しましても、通産省公取委員会反対を申し入れたという事実はございません。  ただ、そうしたことにおきましていろいろな御計画があったやに仄聞いたしましたので、もとより複雑多岐商取引のことでございますので、その実態をどのような姿で把握していただいているのであろうか、また、規制範囲はいかなる形になるのであろうかということに対する照会はいたしました。そしてその回答はまいったことはまいったわけでございまするが、その経緯に関しましては、次長が来ておりまするから、詳細御報告を申し上げさせますが、その間に公取委員会のほうから、今回は法律案提出を見合わせた、こういうような御回答があったわけでございます。したがいまして、ただいまも委員長が申されましたとおりに、現行法のワク内においても規制をするというような御言明がございましたが、もとより通産省はそうしたお考えに対しまして賛成でございます。協力を申し上げたいと思っておるものでございます。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 村山喜一君、厚生省政務次官はいま石炭の委員会に入っておられますので、あとから答弁を要求したいと思います。よろしゅうございますか。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 はい。原則としては異存ないということであろうと思うのであります。そこでいまのような答弁であれば、これはすらすらと出てこなければならないはずであるのに、どうも待ったがかかったようなかっこうになってしまったのは事実であります。だから、新聞によりましても、通産省なりあるいは厚生省の圧力があって、文句がついたから出すに出されなかったというのが実態であろうと私は思うのであります。しかし、実態把握がどのようになされておるのであろうかというようなことで照会をしたということでございますから、これは企業局次長ですか、せっかくお見えでございますから、どういうところでどのような注文をおつけになったのか、その点を明らかにしていただきたい。
  17. 下山佳雄

    下山説明員 まず、通産省公正取引委員会との折衝の経過につきまして申し上げてみたいと思います。  四月下旬公正取引委員会から試案の提示がございましたが、その後法制局におきましていろいろ検討が行なわれ、結局六月の上旬に至りまして公取から、最終案に対しまして通産省意見を述べてくれという提示があったわけでございます。これに対しまして私どもも、これは規制が広範にわたる影響の大きな問題でもございますので、先ほど政務次官からも申し上げましたように、いろいろその規制についての考え方規制範囲等について非常な疑問点がございますので、これにつきまして、一週間ばかりの後に公正取引委員会に御照会申し上げたわけでございます。それの御回答をいただきましたのが六月の末でございまして、七月の初めに断念した、こういうお話がございました。  折衝の経過は、大体以上のようなことでございます。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間的な経過をいま説明されたのですが、あなたはさっぱり内容についてはお答えになっていらっしゃらない。そこで、あなた方は意見を求めてきたのに対して疑問点をお出しになったはずなんですが、その疑問点について説明をしてもらわなければ納得はできない。まずそれをお伺いいたします。
  19. 下山佳雄

    下山説明員 私どもが伺いました二、三の点について、特に重要な点について申し上げますと、公取再販規制法案によりますと、生産業者等が再販価格を指定し、これを下回る価格で販売してはならないという条件をつけまして、再販取引をすることはいけないということで禁止しております。こうなりました場合に、次の場合は一体どういうふうに読むのでしょうかということでございます。  まず第一は、製造業者が御承知のように総代理店あるいは専属代理店の販売価格を指示している場合がございます。おそらく総代理店、専属代理店を持っております場合は、大体多くの場合におきまして販売価格も一緒に指示して物を売っているのではなかろうかと考えるわけでございますが、これは一体この法律にひっかかるのか、ひっかからないのかというのが第一点でございます。  それから第二は、製造業者が扱い問屋を指定いたしまして、その取り扱い商の一定割合を歩合として提供するということで、その扱い問屋の販売価格を一応指定している場合がございます。つまり、製造業者が問屋に対して、これだけの口銭をやる、そのかわりこれこれで売ってくれ、こういうような場合がございます。これは一体この規定にひっかかるのかひっかからないのか。  それから第三点といたしましては、輸出をいたします場合に、製造業者が輸出商社を経由して輸出している場合が多いわけでございますが、こういう場合に、輸出商社の再販売価格を指定している場合がございます。つまり、これこれの価格で売ってくれというような、いずれもこれは古くからの商慣習でございまして、これは妥当なものだと思うわけでございまするが、法案を読みますと、どうもそれがひっかかるような感じがいたします。こういう点は一体どのようにお考えになっておられるのであろうか、こういう法律規定でよろしいかという点の御照会をしているわけでございます。  それからまた、おとり廉売等の不公正な取引方法に対抗いたしまして、自分の商品の信用を維持するために、製造業者が荷どめをする場合がございます。こういうようなことは、公正な競争を維持する観点からすればむしろ必要ではなかろうか、これらの対抗措置についてもし禁止されるとしたら、これはやはり問題ではなかろうかということで、これについてはどういうふうなお考えであるかということを伺っているわけでございます。  そのような幾つかの点についてお伺い申し上げましたが、これに対する御回答をいただきましたのが六月末であったということでございます。
  20. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。いま下山さんから聞いた範囲では、私が頭の中で整理いたしますと、一から三にかかる問題は、これは、原則禁止規定条項の原案の中で卸問屋に対する規制をやろうとしたが、その問題について、これは商取引の慣習上からおかしいじゃないかという疑問を出された。  そこで、私は公取にお伺いしたいのですが、初め原則禁止の条項があった。ところが、しまいにはその原則禁止の条項まで抜いてしまって、そしていま疑問点が出ましたような、卸問屋に対するところの再販行為の不公正な取引禁止範囲を明確にするという意味において、卸問屋との間における問題も規制をしようとした。ところが、どうもそういうような通産省あたりの反対があって、この点は最終的には引っ込めたのだというふうに聞いておったのですが、この点はいかがであったのですか。なお、これに対しましてあなた方は、どうもいま伺っておりますと非常に時間的に——まあ人数も少ないからでもありましょうが、法案を作成する準備過程の中において、どうも国会の審議時間が得られないような時間帯になってしまった、こういうような原案作成の中において無理があるようなことをいま聞くのでありますが、これについて、なぜそのように事務的におくれていったのか、この点もあわせて解明を願いたい。
  21. 北島武雄

    北島政府委員 まず最初に、当初案では原則禁止となっておったが、それが変わってきたのではないかという御疑問であります。それは、そういうことはありません。ただ書き方といたしましては、これは立法技術の問題でございますが、私らといたしましては、次のような行為はしてはならないということをずっと並べまして、ただそれを独禁法とつなげる場合におきましては、あとのほうで、それを独占禁止法上の不公正な取引方法とみなして、独占禁止法の他の規定を適用する、こういう考え方でございますが、ただ、法制局における審議の過程におきまして、立法技術といたしまして、独占禁止法とつなげる場合におきまして、まず最初からこれはやはり不公正な取引方法という書き方がよろしかろうということになりまして、そして次のような行為は独占禁止法の不公正な取引方法とする、こんな書き方になったわけでございます。ただし、不公正な取引方法というのは、これは独占禁止法でしてはならぬということになっておりますので、原則禁止してあることは変わりはないのであります。ただ、書き方としては、最初に私のほうでは、してはならないということを書きたかったのを、独占禁止法の不公正な取引方法とするという書き方になっておりますので、感じが弱くなっておる。その点は、私自身、個人としては、立法技術からかもしれないが、はっきり言ってあまりぴんとこない、こういう点がございます。しかし、これは立法技術の問題でございますから、事立法技術の問題に関しては、これは法制局意見を尊重しなければならないと思います。  それから第二点は、ただいまのような審議の経過において、原則禁止規定がくずれるようなことになってはおらなかったかという御質問のように思いましたが、お話のような卸売り問屋の場合とかなんとか、公正な取引を阻害しない場合はいいというような規定が入らなかったかということであります。それは、私ども法制局に対しても徹底的に拒否しております。結局、やみの再販行為を取り締まれないような、取り締まりに不都合を来たすような法案は、私どもとしては出したくないということで、その点は、法制局に対しても徹底的にお断わりいたしております。したがいまして、私のほうの出しました案は、最後的にはまだ詰まっておりませんが、しかし、これは各省と話が詰まったら、法制局がそれをのんでくれるだろうという一応の了解はあったわけですが、最後の六月八日案というのは、この適用除外以外に例外を認めるような規定には決してなっておらないのであります。  それから、先ほどの卸問屋その他の問題ですが、独禁法考え方といたしましては、事業者は自己の販売する商品の販売価格については、自己の判断と責任において決定し得べきものである、その決定について、他の事業者が取引上拘束することがあってはならないというのが原則的な考え方でございます。もちろん、これには希望価格、推奨価格ということはあり得るわけです。メーカーが定価を指定して、希望価格あるいは推奨価格、これは差しつかえないのであります。それを守らなければならぬという拘束はあってはならない。これはやはり独占禁止法の規定しております不公正な取引方法の一体系に該当する、こういうのが私ども考え方でありまして、従来こういうことをやっておったかというお話でありますが、もしそれが単なる希望価格あるいは推奨価格程度のものではなくて、拘束を伴うものでありましたら、それは独禁法違反であることは変わりない。そういった考え方通産省には申し述べております。  なお、先ほど御質問にはございませんでしたが、登録事項の公開について、やはり通産省反対されております。こういう点がございますと、私どものほうといたしまして、やみの再販行為を取り締まるに不都合となるような法案、あるいはまた現在認めておる、あるいは今後認めらるべき適法な再販品につきましても、その規制が十分に行なわれないような法案では、私どもは、これはむしろ提案せざるにしかず、こういう考え方をだんだん持つに至ってまいりました。そこで、国会の会期も切迫しておりますし、とうてい今国会において御審議をいただくことは不可能と私自身判断いたしましてむしろこの際は断念いたしまして、現行法の実行上、現在公正取引委員会指定しております商品について徹底的に洗いまして、不適当なものは削除する、あるいはやみの再販行為規制強化する、こういう考えで当面まいるつもりでおります。
  22. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、原則的な考え方賛成だが、現実はそういうような企業の商取引実態があるんだ、だからその商慣習というものは認めてやるべきであり、またこれは権益として保護しなければならないんだという通産省考え方、この考え方があればこそ、あなた方が過去において鉄鋼の公販価格制度の問題等に対しましてもおとりになった考え方なんです。それで、行政指導と称していわゆるやみ行為が行なわれる中において企業が保護されてきた。そこには、自由主義的な商取引の需要と供給との関係で価格の決定の要素というものが働かない、いわゆる業者保護と言われても差しつかえないような形で今日まで慣習的に行なわれてきたところに、問題があるのじゃないかと私は思うのですよ。そういうような点から、さっき宇野さんが、原則的な問題として考え方賛成したのだとおっしゃったけれども、その実態把握の中において、われわれが考えている問題の考え方向と確かにずれがあるのじゃないか、こういうふうに受け取られてもしかたがないと思うのでありますが、現実問題としては支持価格とか、あるいは協定価格とかいうようなことで、独禁法違反すれすれのような商行為が行なわれている。このことをまず規制をしなければならないのじゃないか、疑問点をお出しになったその反面解釈といたしてそういうような気がしてならないのでございますが、希望価格なり推奨価格というものは認められるとしても、支持価格なりあるいはメーカーが問屋等にこれこれで売りなさいという決定を押しつける、こういうような行為については、あなた方としてはそれを野放しにされるつもりでございますか、その点を宇野さんからお聞きしたい。
  23. 宇野宗佑

    宇野政府委員 先ほど局長が申し上げましたとおり、新法に対するところの問題点というものを一応照会したわけでございまして、少なくとも私の感触といたしましては、現に行なわれておる商慣習、商慣習というが、その中にはきわめて非近代的なものがあるかもしれません。あるいはまた、そうしたことを許しておくことが消費者保護のためによからぬ結果を招くような行為もあるかもしれません。しかしながら、非常に広範多岐にわたっておりますので、通産省といたしましては公取考え方をいろいろとお伺いしつつ、また、こちらで行政指導で直すべきは直していかなくちゃならない、こういう考え方でございますから、頭から、すべての問題を現状維持でいいのであるから、問題点を提起したそれが、すなわち反対の意思表明であったというようにおとりにならないように、ひとつこの際こちらからむしろお願いをいたしたいと思うのでございまして、いま私は、政務次官としての考え方といたしましては、決して現在の商行為そのものがすべてがすべて正しいとは考えられない面もございますから、こうしたところはやはり消費者保護というたてまえから、また公正な取引というたてまえからも、検討すべきは検討すべきである、こういうふうに考えております。
  24. 村山喜一

    村山(喜)委員 きょうは時間がありませんので、この問題は、いずれこの委員会内容的にはさらに論議がされるであろうと思いますから、これ以上触れませんが、やはりこの際考えなければならないのは、貿易の自由化に引き続いて資本の自由化が始まる。その中において、外国投資家の対内証券投資の自動認可の限度等もきめられまして、そして現在再販の対象になっております化粧品等につきましては、すでに非常に大きなシェアを占めております資生堂等に対しまして、外人投資が行なわれるような情勢が生まれてきておる。その反面、なぜそのように外人がソニーなり資生堂に対して投資をする希望が出てきたかということを考えてみますと、資生堂の場合等においては、その製品もさることながら、チェーンメーカーとして販売店を網羅しているところにうまみを持っておるからこそ、これに外人が目をつけているに違いないのであります。そういうような今日の問題が出てきている中において、再販によってそういうような価格を維持しながらやっていこうとした場合に、これはいまのところ証券投資の自動認可の限度を示しているだけでありますが、かりにこれが外資系の化粧品会社等が日本の国内に進出してきた場合に、いまのような再販価格維持契約制度のもとにおいて業態を生かしているような状況の中で、はたして公正な競争ができ、そしてそういうような外資系の会社に対して対抗ができるかということを考えますと、やはりもうここら辺でそういうような大きな立場から再検討をしなければならない段階にきているのじゃないかと思うのであります。そういうような面もございますので、いままで非常に保護的な感触で企業に対しては行政指導をしてこられた通産省態度というものも、もうそろそろ限界にきておるし、消費者利益というものが守られなければならないという今日の時点において問題を考えてまいります際には、先ほど私が申し上げましたような点について、さらに的確な行政指導を宇野さんあたりは進めていただきたい。そして、いままで私たちがお伺いをしておると、理由なき理由によりまして、消費者の保護という立場から、公正取引委員会国会決議に基づいて出そうとしたものがチェックされた、そういう感じをぬぐい去ることができません。したがいまして、この点についてはきわめて遺憾であるということを私は申し上げまして、次に進ませていただきたいと思います。  次は、厚生省の田川さんがおいでになりましたのでお伺いをいたしますが、いま再販の対象になっております中で一番問題になっているのは薬剤だと思うのであります。私もときどきビタミン剤を飲むのでございますが、いま再販の契約を結んでいるメーカーの中で最大の力を持っているのは武田製薬だ、こういわれている。薬局に関する調査報告書、薬局新聞が編集をいたしましたのを私もここに持っておりますが、これを見ましても、そのシェアというものの最高は武田でございます。  そこで、武田の代表的な特許権を持っているアリナミンというのを調べてみますと、昨年まではアリナミンあるいはアリナミンFというのが市中で販売されておりました。ところが、このごろはアリナミンFあるいはアリナミンというのはないのですよ。薬店では売っておりません。もう全部アリナミンAというふうに変わっておる。その成分を調べてみますと、アリナミンなりアリナミンFというのはビタミンのB1、B2が入っておるようでございますが、このアリナミンAになると、それに加えてB6、B12が入っているのだ、こういうことで総合的な水溶性ビタミン剤で、これを飲んだら非常に健康だということで売っているわけであります。  それではなぜアリナミンなりアリナミンFが市場から姿を消したのかというのを調べてみますと、値くずれをした。値がくずれたので新製品をつくって、いままで薬店に預けておったアリナミン系の古いものは全部メーカーが回収をして、そして新薬だけを出している。それを再販の価格対象として販路を確保しているわけであります。それではアリナミンFは姿を消したのかということで調べてみますと、一万錠入りの大きなびんに入れまして病院にこれが移っているわけですね。  そこで今度は、アリナミン系統と同じようなビオタミンとかハイベストンとかいうようなビタミン剤がある。これとの競争というような問題もありましょう。そこで激烈な競争が行なわれると、小売り店でもいわゆる添付サービスというのですか、同じような系統のものを、価格をまけてやるわけにいかぬものですから、それはかたく禁止されておりますから、ほかの薬をくれるわけです。現に私たちももらっております。それから今度はメーカーのほうからは、薬局あたりには、それはたいへんな競争ですから、そこで、一万錠に対して一割くらいの千錠くらいは添付サービスをするわけですね。競争の激しいものは、一万錠に対して五千錠なりあるいは一万錠特別サービスをする。そうすると、その薬局では余っておりますから、それを今度は横流しをする、こういうような形が現に薬の業界においてはとられておるというような状態でございます。これはただビタミン系の問題だけでなくて、エーザイ社のユベラとかユベロンとかいう薬等についても、同じような形で、これは一般用、これは薬局用、こういうような形で販売されておるわけです。そういうようなことで、国民に非常に高性能の単位、二十五ミリとか五十ミリとかいうような単位のものが、よくききますからということで売られる。  そこで、私がふしぎでならないのは、日本人は食生活においてはカロリーとかたん白はあまり十分にとらないのに、薬屋に行ってビタミン剤なりその他の栄養剤はぼりぼり食べるという慣習があるわけですね。日本人ほど薬をよく飲む国民はおらない。それに加えて盛んに宣伝をいたしますから、ビタミンを飲んでおれば、あるいはその他の栄養剤をとっておれば、もりもり元気が出て非常にいい、食生活のほうよりもそちらの薬で栄養を補いなさいというような考え方が、いまのメーカーあたりの基本的な考え方ではなかろうかとさえ私たちには思われるのです。そういう薬によって栄養を補うような指導というものはおかしいのではなかろうかと思うのです。  そこで、こういうものが生まれてきたのは、やはりそこに再販のうまみというものによってメーカー利益を得ながら自分たちのシェアを確保する。こういうようなところから誇大な広告等もあらわれてくる。それにつられて勢い国民は盛んに栄養剤を薬屋さんで買う。薬屋さんで買うのはいいといたしまして、お医者さんのところでも、この人にはビタミンをあげましょうというので、袋一ぱいビタミン等の栄養剤をくれるものですから、保険のほうは赤字、こういうようなことでたいへんな、てんやわんやの騒ぎが出ておるわけでしょう。  こういうような実態から、厚生省態度というものは、基本的に一体どういうような方向国民に対して指示しておられるのか、指導しておられるのかということが、やはり問題であろうかと思うのであります。国民の健康を守るためにはどうなければならないかということを、もういまの段階としてはおそいくらいでございますが、総合的な立場で打ち立てて、その中における薬務行政の位置づけをはかっていく、そうしてまた薬務についての指導がとられていく中において再販の問題も取り上げられなければならない、再検討をされなければならない段階にきておると私は思うのであります。そういうマクロ的な立場といいますか、そういうような意味から、田川政務次官おいでをいただいておりますから、あなたの見解をお聞かせ願いたい。
  25. 田川誠一

    ○田川政府委員 いま村山委員がおっしゃったような芳しくない問題も、間々見られるようでございますが、しかし、薬がたくさん使われるということは、御承知のように、今日健康の面で非常に進歩のあとが見られたということは、薬の普及あるいはいい薬がどんどん出るというようなことで、国民の健康の面から見てプラスの面もずいぶんあるわけでございます。いま村山委員がおっしゃったような弊害の面が一部に出ておるかもしれませんけれども、健康の面には非常にプラスになっておるのではないかと思います。ただ、薬の乱用ということになりますと、これは健康保険の問題になりますけれども、制度の面で再検討をしなければならない点が幾つかございます。これは健康保険の制度の問題で、政府といたしましては、近々抜本的な改正に着手しようとしておるわけでございます。  薬の小売り店、あるいはメーカー、特にメーカーの広告の誇大、あるいはサービスの行き過ぎ、こういうようなことにつきましては、行き過ぎの起こらないようにわれわれとしては十分に監督指導をしておるつもりでございます。今後もそうした面につきまして、十分な監督指導を行なってまいります。
  26. 村山喜一

    村山(喜)委員 どうもあなたの話ではあまりすっきりしないのですよ。もう少し総合的に、大局的にとらえてもらわないといけないので、部分的にあなたは問題を処理しようという考え方のように聞こえてならない。というのは、薬務局長もお見えでございますから私お伺いしますが、私は専門家でございませんのでよくわかりません。そこでお尋ねをするわけでありますが、いわゆる活性持続型ビタミンというものがある。アリナミン系統のものでしょうが、成分を見たら、アリナミンFについてもあるいはAについてもB1、B2というようなビタミン系のものが主成分で、B6、B12をつけたといってもこれは非常に微成分で、ほんの少ししか入っていないんだというふうにも聞いているのですが、これが一体事実であるのかどうか。そしてまたそういうようなビタミンは、それぞれ何にきくということもわかっておるわけでありますが、高性能のビタミン剤を飲むことが、これは水溶性のビタミンですから、体内に蓄積されないで排出されるという意味においては害はないわけです。害はないと思いますが、しかし、それだけのビタミンが手軽に手に入るので、高性能ほどよいということでどんどん飲む。メーカーは、高性能のほうが商いわけですから、売るほうから考えたらそちらのほうが得になるわけです。しかし消費者立場から、ビタミンの五ミリでいいのを二十五ミリあるいは五十ミリ飲まなければならないのかどうかという点を考えてまいりますと、必ずしも二十五ミリあるいは五十ミリも一ぺんに飲まなくてもいいのではないか。にもかかわらず、そういうような高性能のほうが薬も高いからいいんだろう、きき目があるだろうというようなことで飲まなければならない。その消費者に対する消費者教育というものが、どの程度厚生省として行なわれているのかという点を考えると、私はあまり十分に行なわれていないように思うのでございます。そういう点から、あれはあれこれはこれということじゃなしに、やはり全体的な厚生省としての立場からの問題、取り組みの姿勢を田川さんに私は承りたかったのでございますが、どうも少し寸足らずの説明のように聞こえましたので、後ほど局長にも一緒に補足説明をしていただきたいのでございますが、その点もう一回お尋ねいたします。
  27. 田川誠一

    ○田川政府委員 説明のしかたが、不十分だったかと思いますけれども、薬の乱用ということになりますと、これはいろいろな面から見ていかなければいけないと思います。単に薬がたくさん使われるから、高い薬が使われるからということだけで、その問題を見ていくわけにはまいらないと思うのです。結局、いま薬がたくさん使われるということは、先ほど申し上げましたように、いまの医療制度にからんでおるわけでありまして、そういう問題を解決していかなければ、いま村山委員が言われました薬の乱用を押えていくというわけにはなかなかまいらないのでありまして、いま村山さんがおっしゃられたように、国民性として薬の好きな民族でございますし、そういうこともありますので、何といってもいまの医療制度を根本的に変えていくことが、そういうような問題を解決する一番の早道ではないか、そこに根本的な問題があるんではないか、私はそういうふうに思っておりますし、厚生省としても、そういう問題を解決することが基本的なことじゃなかろうかということを申し上げたわけであります。
  28. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 村山先生から専門的なお話がございましたので、やや技術的な問題として申し上げたいと思います。  第一点のアリナミンを例にとってみますと、アリナミンのAとFというような非常にまぎらわしい区別のしかたで現在販売している、この態度について厚生省考え方を申し上げたいと思いますが、実は、いま政務次官も触れましたように、御存じのような医療保険の赤字対策というものが昨今非常にやかましく言われているわけでございます。もちろん、薬の問題が医療保険の中で非常に大きな比重を占めていることも当然でございますが、ここ数年ぐらい製薬メーカーの、たとえば広告問題なり販売方法なりについて、いろいろ世間のほうから批判があったわけでございます。特に誇大な広告をして医療機関等に大量に押し込む傾向がございましたので、私どもとしましては医療保険の財政対策というものの一環としまして、薬の広告のしかたなり何なりを含めまして、生産、販売の姿勢を正させようというような配慮からしまして、医家向けの薬とそれから一般大衆向けの、いわゆる小売り薬局向けの薬との区別をできるだけやっていこう、そうしなければ、一般消費者の方もここらあたりについて非常に疑問を持ちますし、また乱用、誤用というような問題も出てまいりますので、そういうような観点からしまして、できる限り確実な根拠に基づきまして医家向け専門の薬と大衆向け専門の薬というような区別をとっていこう、こういう方針を一昨年ぐらいから打ち立てまして、その一環として、ただいま御指摘のようなアリナミンのAとFという関係が出てまいったわけでございます。昨今は、特にビタミン系統の薬剤について、そういうような区別を逐次可能なものから進めているわけでございます。したがいまして、これは決してメーカーのほうが、再販売価格制度にからんで価格の値くずれを云々というような配慮からやったわけではございませんで、むしろ政府のほうで大衆向け医薬品、医家向け医薬品の区別を推奨して、今後できるだけ両者を厳格に区別し、一般消費者の方に誤解を与えないように、また医療保険の財政対策の一環としてもそういう区別をしてできる限り姿勢を正させていこう、こういうのが一つの配慮であったわけでございます。  それから、第二のお尋ねのアリナミンのAとFというものについて、あまり成分なり何なりが違わないじゃないか。確かにこの点はわれわれも完全な分け方ではないということは認めざるを得ないと思っておりますが、最近のわが国の食生活の実態を見ますと、御存じのように、炭水化物系統の食物の摂取が非常に少なくなりつつあるわけでございます。逆にまた動物性たん白質なりあるいは脂肪類の摂取がだんだん多くなってきている。つまり、欧米並みの食生活の実情に逐次近づいてきている、そういうような日本人の食生活の実態というのがあるわけでございます。したがいまして、このビタミン等の場合、特にアリナミン等の場合は、ビタミンB1の単剤でございますと、これは御存じのように、大体炭水化物の代謝作用に関連を持っているわけでございますが、一昨年新しく発売しましたアリナミンAの場合には、これは先ほど御指摘のように、B6とかB12というようなものを加味しているわけでございますから、このB6なりB12の作用といいますものは、ただいま私が申し上げましたように、動物性のたん白質なり脂肪類等の代謝作用に関連を持っておりますので、何らかそういうような食生活の変更と申しますか、新しい傾向に対応した新しい薬剤のあり方ということを考えまして、B6、B12というような新しい傾向の医薬品がだんだんふえてまいったわけであります。これはもちろんわが国だけでなくて、諸外国においても、数年前まではB1だけであったわけでございますが、それにB6とかB12とかいうような新しい、食生活の変化に応じた成分が加味されている、こういう傾向が外国でも見られるわけでございます。そのような事情を背景にしまして、このアリナミンのAとかF、つまり逆から申しますと、大衆向けと医家向けとの区別をした。  ただ、御指摘のように、まだまだやり始めたばかりでございますので、一般国民の方、消費者の方にはその点のPRなり啓蒙というのがまだ非常に不十分であることはわれわれも認めておりすす。したがいまして、鋭意そういうような観点から、一般国民の方にも今後そういう考え方をできる限り的確に、また正確に認識して理解していただくように、PRなり教育をやっていきたい、かように考えているわけでございます。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御質疑の途中でまことに恐縮でございますが、先ほど御猶予を願いました件につきまして申し上げます。  内閣官房に問い合わせましたところ、その前日次官会議におきまして、この法案提出を、その他幾つかの法案とともに取りやめるという口頭了解がございました由であります。  それから、七月四日の閣議におきまして、本件について文書をもって何らかの決定があったかということにつきましては、文書をもって別段の決定がないということまでは確かでございます。そこで、ただいま実は内閣官房閣議出席者がおりませんので明確でございませんが、内閣官房の了解しておりますところでは、会期との関係で、幾つかの法案につきまして、これらについては今国会では提出を見合わせるものとするという口頭の了解があった、その中にこの法案が入っておる、こういうふうに内閣官坊では承知をいたしております由であります。  それで、もしこの点が村山委員の御質疑の中で非常に重大な点でございましたら、閣議につきましては、御承知のように記録がございませんので、なお出席者記憶を総合いたしまして、後刻聞きまして、後日御答弁を申し上げたいと存じます。
  30. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がありませんので、できるだけ結論を急ぎます。  そこで私は、どうもいま坂元さんから御説明をいただいたその厚生省の指導方針のもとに、そういうような総合的な一般市場のものと、それから専門的な、単純な、それぞれ配合の調整がきくような医局用のものと分離する、これは考え方としてはわからないでもございません。というのは、医者が投薬をする場合等においては、それぞれのものを組み合わせて患者の容態に応じて投薬するのでありましょうから、そういうような単純性のものが医局用に回ることは必要だろう。ただ、ふしぎでならないのは、薬剤師が医師の処方せんに基づいて調合するというところに私は薬剤師の使命があろうと思う。だから、薬剤師がおる薬局については、医者の処方せんに基づいて薬剤を調合するとするならば、そういうようないわゆる単純性のビタミン剤等について持っておらなければならないのに、ただ一般用の、販売用のものだけが薬局にはあって、そうしてその医療機関にだけそういうような専門医薬のようなものが存在をするというのは、これは薬剤師の地位を不当に侵しているものではないか、医薬分業の考え方からいいましてもこれはおかしいのじゃないかと思うのであります。  なぜならば、いま医者は技術料でめしを食っているのじゃなくて、薬でめしを食っている。そこに今日の日本の医療の問題点があるのですから、そこら辺にメスを入れなければいけないのが厚生行政であろうかと思うのであります。その点から、一般の薬剤師がおる薬局の中で、そういうようなものがつくられ売られないというような行政の実態があるとするならば、この点はやはり是正をしてもらわなければならない。健保の取り扱いをメーカーから特に認められたところについては、単純な薬剤を置くことができるようになってはおるようでございますけれども、そうでなしに、やはり医師の処方せんに基づいて薬剤を調合するところには、これは安いわけですから、安くてしかも調合がきいて、それだけ国民のためには役に立つのですから、そういうような点をやはり実情に即して、医薬分業という立場を貫いていくという基本的な姿勢をくずさないでやってもらわなければならないかと思うのであります。そしてまたわれわれが実感として受け取るのは、アリナミンなりあるいはアリナミンFというものが相当な値くずれがしたので、新製品をつくり出したのだろうと直観的に思わざるを得ないのですけれども、そしてそれはいずれもアリナミンF一万錠入りのもので医局のほうにはあるのですから、これの栄養価値というものとそしてアリナミンAのその価値というものとどれだけの違いがあるのかということを考えてまいりますと、そう極端な違いはないと私は思う。むしろそういうのは再販の利用行為として、メリットを求めるあまりそのようなことがなされているのじゃないか、こういうふうに疑われてもしかたがない実態にある。これは薬を取り扱っている薬店でもそう言っているのですから、間違いないと私は思う。そういうような点から、やはり再販規制法案というものは厳格に規制しなければならぬと私は思ったのですが、厚生省としてもこれに対しては何か注文をおつけになったように聞くのであります。まあ時間の関係がございますから、それはもう通産省と同じような立場に立ってやられたのだろうと思いますので質問をいたしませんが、その点は、もし後ほど時間が与えられましたならばお答えをいただきたいのであります。  ただ、いま宮澤長官のほうから御説明がございました、先ほど公取委員長からも話があったこの法案提出に対する取り扱いの所管事務というもの、これはやはり、いま法制局の方が入っておりますからただしておきたいと思いますが、次官会議が三日の日に開かれて、そこで申し合わせして、四日の日の閣議の了解できまった。まあ内閣官房が中心になっておるようであります。とするならば、私はやはりこれは行政機関の長である総理大臣が所掌事務として、内閣調整機能としての役割りを果たす閣僚の会議にかけて、そこで法案提出する、しないということをきめて、そうして最終的に今度の国会では見合わせようということになったのだ、こういうことに受け取らなければならないと思うのでありますが、次官会議というものでこれを決定する、その法的な根拠というものが法制局ございますか。これは私は、内閣法なりあるいは国家行政組織法の中で、そういうような次官会議調整機能というものを事実上は果たしておるとしても、そのようなものが法的に認められているとは思わないのでありますが、それを許している根拠規定があればそれも御説明を願いたいし、公取委員長責任を負うておるような形の中で、今回は国会には提案をいたしません、こういうようなことを言って、そして責任はすべて公取委員長にあるかのごとき新聞発表になっておりますので、国家行政組織法上あるいは憲法上の責任というものは、内閣総理大臣にあるということを法制の上から明確にしておいてもらわなければ、今後のこれに対します国民的な要望に対する答えが出てまいらないと思いますから、その点を法制局のほうから解明を願いたいと思います。
  31. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 まず第一の御質問でございます次官会議行政組織法上の法律的基礎ということでございますが、これはいま先生のほうで御指摘になりましたように、法律上の基礎は全然ございません。いわば単なるミーティングと申しますか、そういう実際上の組織と申しますか、合議体と申しますか、そういう意味であろうと思います。  次に、法律案国会内閣提出するあるいは提出しないという問題に関連しておりますので、その点について若干補足してお答えをいたしたいと思いますが、この問題につきましては、法律上の手続の問題と実際上の手続の問題と二つあろうと思います。法律上の手続の問題については、実は御質問趣旨がそこにあるのではなくて、事実上の問題であろうかと思いますが、事実上の問題としては、お話しのように内閣の官房のほうが実は主として扱っておりまして、私のほうではございませんが、多少承知しておる面もございますので、承知しております限りでお答えをいたしたいと思います。  まず、現在問題になっているのは、提出しないということがきめられたということが問題になっておるようでありますが、説明上は、実は提出をするというほうから御説明したほうがいいと思います。これは例年の例でございますと、大体一月の初めごろに内閣の官房のほうから各省庁照会をいたしまして、各省庁としてその国会提出する予定のある法律案を聞くわけでございます。各省庁からそれが出てまいりますと、内閣の官房でそれを一つのリストにまとめまして、閣議に、これは報告だろうと思います。あるいは報告された閣議としましては、それを了承するというようなことになると思いますが、一応予定法律案として、俗に登録と申しますが、登録をされた、そういうことになる。その後国会の進行状況その他いろいろな理由によりまして、各省庁であるいは追加したい、あるいは予定法律案としてさきに登録したものを削除したいという場合は、各省庁からそれぞれまた内閣官房のほうへ申し入れます。そのつど内閣官房のほうではそれを受けまして、またあらためて閣議のほうへ報告する、そして閣議としてそれを確認する、そういう手続がずっと続くわけでございます。ただ、国会の終わりになりますと、もう勢い会期もないということで、一応提出予定法律案をもう一回再検討しようというようなことが当然出てくるわけです。そういう場合に、正式にそのリストから落としてしまう場合もございますし、あるいは実際上いろいろな理由からリストから落とせないために、実際は出さないという了解がおのずから関係者の間にあって、リストの上にはそのまま残すという場合もございます。  今回の再販制限法案で申しますと、どういう取り扱いが具体的にされたかちょっとわかりませんけれども、おそらく、たしか七月の初めごろには、十三か十四の法律案が一応予定法律案としては残っていたと思うのです。しかし、会期も非常に間近でもうございませんので、今後実際に提出する予定というか、あるいは提出する可能性のある法律案幾つだろうかということをしぼろうじゃないかというような話が関係者の間であったと思います。そういうことになりまして、おそらく内閣の官房から関係の省庁にそれぞれ連絡をしまして、そうしてその結果、たしか三つか四つだったと思いますが、それだけの法律案が大体今国会提出される可能性がある、あるいは今後とも引き続きその方向に向かって努力をしなければいかぬ、そういうような意味で、おそらく官房のほうから次官会議報告されたと思います。しかし、これは次官会議でそういうものをきめたというふうには、おそらく了解はしにくいんじゃないか。翌日の閣議でまた報告をされたというようなことで、実際上、その場合に次官会議でききめたというよりは、次官会議では了承はしたと思いますが、積極的に、何か次官会議決定という形で、おそらく文書には残っていないだろうと思います。閣議のことは、私が想像するのははなはだ不遜でございますが、閣議でも官房長官か副長官あたりから御報告があった、大体そういうようなことが実態じゃないかと思います。  以上でございます。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、これは当然内閣総理大臣所轄に属する事項でございますから、内閣官房がこれについては事務的に責任を持たなければならない。これは総理府一般的所掌事務ではないわけであります。そのような意味において、北島さんの考え方を訂正願っておかなければならぬ。  そこで、私はこの際、あなたが原局としての立場から特別の権限を与えられた、行政組織法上の委員会として、行政委員会としての大きな権限を与えられておりますが、法律提出する際においては、なかなかそのような特別な権限は与えられていないわけであります。そのような意味において、あなたの責任というのは、言うならば各省庁責任者に比べたら局長クラスに当たると思うのですよ、法案提出については。そういう意味において、やはりこれを内閣閣議において決定するということになれば、あなたをバックアップして、そしてそれを法案として育てていくという方向をとらなければならない長は内閣総理大臣ということになるけれども内閣総理大臣が主になってやるわけにはいかぬ。内閣官房がやるといっても、やはりそれを応援する体制をつくるのは、内閣の中における宮澤長官が私は最も適任者であろうと思う。そういうような意味において、あなたの経済企画庁国民生活局があって、中西さんがそこにすわっているように、国民生活を守るという立場経済企画庁にあろうかと思う。したがいまして、今度の国会では事実上の問題として時間的に、物理的にもうちょっと間に合わないと思うのであります。そこで公取委員会としては、現状の規定をさらに確実に保障するために、現在再販上認められている五品目等についても、洗い直してやるという決意をお示しになっているように聞くのでありますが、やはり今度の国会には間に合わぬとしても、国会決議によりましてあなた方が取り組んでこられたその方向のものは、やはりいろいろなところから変な圧力がかかってきたというような形の中で、国民の前にそのままにしておくのではなしに、やはりきちんとけじめをつけて規制法案というものをお出しになる、その出される場合には、経済企画庁長官でございます宮澤さんにやはり全面的にバックアップしてもらわなければ、この法案は日の目を見ないと思うのであります。そういう意味において、公取委員長宮澤長官の御意見、御決意のほどを承りたいと思うのでございます。
  33. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 当委員会で何回か申し上げましたように、経済企画庁といたしましては、問題になっております法律案が、関係各省庁の了解のもとに閣議決定されることを実は願っておったわけでございます。そのために、できるだけ協力するという体制をとってまいったつもりでございます。先ほど公取委員長がお答えになりましたような結果といたしますと、私どもとしては、現行法のもとで可能な限りのことを公取委員会にしていただきたいと考えておりますし、また、当面公取委員長としてもそういう御方針であるように先ほどの御答弁でございました。  そこで、将来の問題でございますが、今回公取委員会が最初に考えられました、あるいは各省と協議されましたこの法案内容が、それなりに意味を持っておるものであるとすれば、今後の国会を対象に置きまして当然新しい努力をしていただけるのではないだろうか。もちろんそのときには、私どももできるだけそれに対して協力体制をとる、こういう考え方でおります。
  34. 北島武雄

    北島政府委員 公正取引委員会といたしましては、かくなりました上は、現行法公正取引委員会が再販売価格維持契約できるものとして指定しております商品について根本的な再検討を行ないまして、適当と認められない商品につきましては、指定の取り消しをするのが第一の仕事でございます。これにつきましては、私ども従来からその責任を感じておったのでございます。しかしながら、当面この法律の立案ということで、各国の再販売制度の検討から、国内の再販売の実情から、そういうことを調べますと、当面の指定商品検討については、実はまだ十分なことが行なわれていなかったというのが実情でございます。したがいまして、この法案が提案されることができなくなった暁におきましては、現行法のもとにおいての指定商品の再検討を、当然まず第一にやらなければならぬわけでございます。  それとともに、港間行なわれておりますところのやみの再販行為につきましては、これを厳重に規制していく方針を、この際さらに打ち立てるということでございます。その上さらに、その実効を見まして、今後の法案等のことについて考えてみたいと思います。  今回のことにつきましては、私どもいろいろ反省させられる点がございます。人員の不足という点もございましたでしょうが、私ども公正取引委員会意見がきまりましたのは四月十八日、これは若干おそきに失しております。しかも、内容におきましては、いろいろ立法技術上の問題もあり、さらにまた各省の御意見もあることでございまして、これはもっと早くやるべきであったということを痛切に感じております。それとともに、経済企画庁とも連携をよく保って、こういう法案についてはやる必要がある。遺憾ながら今回につきましては、委員会の準備も若干おくれた感じがいたしております。こういった点については今後十分反省の材料として、あやまちのないようにしていきたい、こう考えております。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 これで終わりますけれども、私は、国会決議というものは尊重してもらいたいと思うのです。その立場から、とするならばということでなしに、宮澤長官は非常に第三者的なものの言い方を軽くされたように私は聞いたのですが、やはり国会決議方向に向かって、そして公取が取り組んだ姿勢というものは正しい方向であるということを、あなた自身この委員会でもお認めになっていらっしおるのですから、そういうような方向の中で、さらに前向きに前述をさせたいという決意をお示しいただかなければ、これは引くに引かれぬという立場委員会のほうとしてはなってきます。いままでこの法案の動きを見ておりますると、何といいましても公取の陣容が少ない、そういうようなことで、通産、厚生両省を相手にして、あるいはそのほか農林省などの経済官庁がありますが、これを向こうに回して相撲をとるのには、やや力不足のように私たちは残念ながら思うのです。それをバックアップしてもらうには、経済企画庁をおいてほかにない。私はそう思うがゆえに、国民の総点におけるところの要望を実現していただくその決意を、さらにお聞かせいただきたいということをあなたに特に要望するわけですが、いかがですか。
  36. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 とするならばと申しましたのは、おそらくそうであろうからというつもりで実は申し上げました。  昨年の六月二十二日の御決議の第六項には、「所要措置をとること。」というふうにいっておられますので、おそらく私のそんたくでは、所要の立法をせよという御決議であれば、当然立法府として立法府がしてもいいことではないか。そういう御考慮から、わざわざ「所要措置をとること。」とお書きになったので、これは法律の改正をしろ、こういうふうにいっておられることだというふうに私も了解しておりますので、私もそのようなつもりでおります。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  38. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 武部文君。
  39. 武部文

    武部委員 村山委員のほうから、再販の問題について非常に詳しい質問と同時に、また詳しい答弁もありました。したがって、長官の時間もないようでありますから、私は関連して、どうしても納得のできない点についてのみ御質問申し上げます。  この問題については、私は当委員会で何回かにわたってしつこいほど実は質問をしまして、なぜ法案が出ないのか、一体出す意思があるのかないのかというところまで質問をしたところが、何回かにわたって公取委員長のほうから、必ず提出をして今国会で成立をはかる、また企画庁長官のほうから協力する、こういう答弁がございました。つい先日の委員会で、このときは公取事務局長がおいでになっておりましたが、私はまたしつこく質問いたしました。これは六月も二十九日でしたが、そうしたら、二十四条の二よりさらに強いものをつくる考えであって、いかに反対があっても、その信念に基づいて努力しておると、こういうまことにりっぱな答弁をいただきました。ところが、いまの回答によると、一体これは何のことかと言いたくなるのです。  したがって、経過は長々と聞きましたが、私が疑問に思うのは、少なくともあなたが三月二十四日の当委員会説明をされて、そうして四月の十九日には——さっき十八日と言われましたが、十八日には要綱がきめられて、それが新聞に大々的に報道されました。ですから、四月十八日には公取としての基本的な要綱はきまっておったわけですよ。それが国民の前に明らかになったわけです。私もそれを見ました。ところが、だんだん日がたつに従って、後退に後退を続けて、いつの間にかみぞの中に落ち込んで見えなくなってしまった、これがいまの姿ではないかと思うのです。  そこで、厚生省通産省がこの問題についていろいろ疑問点を公取質問をした、こういうことが世上言われましたので、このことについて質問いたします。  まず、厚生省は、次官はお帰りになりましたが、おとり販売に対して規制をすべきだ、また医家用薬品までも対象にする必要はない、あるいは登録事項の公開はいかぬ、こういう意向を厚生省公取に述べておる、こういうふうに私どもは理解をするわけです。さらに通産省は、先ほどの意見によりますと、総代理店や扱い問屋、輸出の商社経由、こういうことについていろいろ疑問点がある、従来の古くからの商慣習、こういうことについて規制の対象にするのは行き過ぎじゃないか、こういうことの疑問点もある、それからさらに、おとり商品の安売りの問題もあるということでした。これをずっと検討してみると、私はそこは非常に疑問に思うのですが、私どもの手元に届いている再版制度に関する反対陳情書といいますか、説明書の中に、いま私が申し上げたことがみな書いてあるのです。この厚生省なり通産省反対の理論は、業者の反対論と何ら変わりがない。したがって、この委員会でわれわれは、外部からの圧力が公取にあってこの法案が出ないのではないかという質問をいたしました。なるほど業者からは直接あなた方にはないかもしれぬが、いま私が説明した文書によれば、業者が通産省なり厚生省を通じて公取に圧力をかけておる、こういうふうに理解せざるを得ないと思うのです。  さらにもう一つ、先ほどの説明によると、六月の末、つい先日ですが、こういう問題について公取からの回答をもらった、こういう話をしております。六月の末までこういう重要な問題をほったらかしにしておいて、そしてつい先日に回答するような公取だというので私はあ然とした。一体この真相はどうですか、それをひとつお伺いしたい。
  40. 北島武雄

    北島政府委員 まず、四月十八日に立案いたしましたものが、法制局で、重要法案が山積しておりました関係もございましょうが、相当審議がおくれたということが一つの原因でございました。その過程において、当初案に対して後退に後退を続けたということは決してございません。これは、立法技術の上からどうしてもこう書かざるを得ないのだ、また他の法律との調整から、この程度のことはこうしなければならぬのだ、ということが納得できますれば、私どもも引き下がったわけでありますが、根本的な方針については、何ら変更は加えられておらないのであります。したがいまして、後退に後退を続けたということはございません。しかし、それに対してさらにこれをゆるめるようなこと、先ほど申しましたようなやみの再販行為の取り締まりに十分なことができないような法案、あるいはまた合法的に認めます再販売価格維持契約につきまして、これを十分に規制ができないような法案になることは、私どもとしては全然納得し得ないわけでございます。したがいまして、もし妥協をはかるならば、そういう骨抜きの案でもって妥協できたはずでありますが、私どもといたしましてはそういうことは絶対にいたしたくないということで時間をとったわけでございます。  それから当初、四月十八日に委員会としての素案ができましたときに、法律案要綱を外部に発表いたしまして、それからその法律案各省にお渡しいたしまして、そしてそれについての御意見は、もうすでにそのときにかたまっておるのであります。なおそれを法制局との審議の上、法制局で相当審議が進んで、一応かたまったところでさらに各省に提示したわけでありまして、何も六月の末になって突然あんなことが各省に渡ったのではない。そのような前に御反対がありまして、私どもも事務的には折衝しておったわけでありますが、六月の末になりまして、通産省のほうから文書でもって質問がまいりましたから、それに対してお答えをしたのが六月の末になったわけでございます。そんなふうな事情でございますので、私どもといたしましては十分手を尽くしたつもりではございますが、とにかく十分な再販規制ができないような法案なら、とても御提案して御審議を仰ぐわけにはいかない、こういう感じになってまいったわけであります。
  41. 武部文

    武部委員 厚生省反対の理由をもう一回言ってください。
  42. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 先ほど通産政務次官からお話がございましたような趣旨で、私どものほうとしましても、今回の伝えられる公取考え方には、決して基本的には反対しているわけではございません。私どものほうが公正取引委員会の事務当局と接触いたしまして考え方をお伺いしている点は、究極的には一点でございます。その一点と申しますのは、おとり廉売というものを何らかの形で規制をしていただきたい、この点が私ども厚生省としての要望事項でございます。ただ、これにつきましては、公取の事務当局としょっちゅう接触をしておりますが、法制局のほうで立法技術上の問題があって、趣旨はわかるけれども、立法技術上の点から法律に明文化するということについては、早急に結論が出ないというような御連絡を受けているわけでございます。先ほど来から村山先生も申されましたけれども、それ以外に厚生省が根本的に反対しているというようなことが世上伝えられておりますけれども、決してそういうようなことはございませんで、このおとり廉売の規制というのが私ども厚生省としての意見でございます。  もう一つ重ねて申しますと、公開登録お話が出ましたが、公開登録自体については私ども反対しておりません。公開登録の中身について若干公取のほうのお考えに不明な点がございますので、これを事務的に接触している面はございますが、公開登録自体についての反対意見は、決して持っていないわけでございます。
  43. 武部文

    武部委員 先ほど通産省次長の方が説明されました総代理店や扱い問屋、それから輸出商社の経由、従来からの古い商慣習、私はこの再販規制で、これを規制するために公取考えたと思うのですよ。それを通産省のほうは、全然これはだめだというふうにおっしゃったんですか。
  44. 下山佳雄

    下山説明員 この点につきまして、私どもとしてもっと公取お話し合いを詰めることは、時日があればあるいは可能であったかというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても話を詰める時間がなかったということでございます。
  45. 武部文

    武部委員 時間的なことを言われますと、私どもはしろうとだからわかりませんが、四月十八日に法案の要綱が公取から示されて、それが六月末になって、疑問点がどうだこうだとかいうこと自身に私は疑問を持つのです。国民自身としても非常に疑問を持っておるのですよ。今度は公取が、少なくともこの法案についてき然たる態度で臨んでおる、こういう非常に期待を持っておるのに、いまごろになって、やれ日にちがなかったとかいうことでこの問題がつぶれたというようなことでは、国民は納得しないと思うのです。ですからその裏に、私が先ほど申し上げるような何ものかがあったのではないかとすら国民考えると思うのです。きょうの新聞にどういうことが載っておりますか。こういう記事が載っておるのですよ。「厚生省が、こんどは通産と手を組んで規制がきびしすぎると業界保護にまわっているのも皮肉である。」こう書いてある。こういう見方が巷間伝わっておるのです。ですから、私どもはこの法案が今回提出できなかった背後に——いろいろと業界から反対の資料をもらっております。そういうことが積もり積もって、今度の法案提出できなかった最大の原因ではないか、こういうふうに実は国民も思っておるし私自身もそう思っておる。ですから、これについての公取委員長としてのはっきりとした態度を、もう一回しつこいようですがこの席上で述べていただきたい。
  46. 北島武雄

    北島政府委員 業界方面の反対という問題でございますが、業界は私どものほうには、二、三回陳情に参りましただけでありまして、したがいまして、私どもとしては、業界の圧力ということは全然感じておりません。ただし、業界が相当運動しておるということは、私ども耳にはしております。私どもといたしましては、ただ鋭意法制局との法案の審議を詰めてまいり、そして一応でき上がりましたところで、各省との調整をした上で閣議に御提案申し上げ、国会提出する、こういう段取りでございましたが、あとからいろいろ——どこがどう申した、ああ申したということは言いたくはございませんけれども、詰まるところ調整がつかなかった。これも、もし公正取引委員会が妥協すればついたかと思いますが、それでは決して再販売価格維持行為規制するに十分な法案とは私は考えません。したがいまして、もう会期は切迫しておりますし、この際はそのような法案なら出してはならぬとまでに実は考えるに至ったのであります。こういう点につきましては、公正取引委員会の仕事の中におきましても、やり方はいろいろ私ども反省させられる点はあります。こういう点は今度の貴重な経験を生かしまして、今後に備えたいと考えておるのであります。
  47. 武部文

    武部委員 長官の時間があまりないようでございますし、あと有馬君の質問もあるようですから、私は最後に一つだけ意見を申し述べて終わります。  何回かこの委員会で再版の問題についていろいろ私ども質問もしたり、意見も申し上げました。結論は、先ほどいろいろ説明があったように、今度の国会法案提出することができなかったその過程を見ると、残念ながら公取の基本的な線が、反対にあってついに沈没してしまった、こういうふうに理解せざるを得ないと思うのです。  そこで、この法案に対して通産省なり厚生省反対をした、経済企画庁はこういう法案では骨抜きだ、これでは何にもならぬと、むしろ経済企画庁のほうはもっと強いものを出せ、厚生省通産省はこれではだめだ、こういう板ばさみになって、公取はついにこの問題についての意欲を失った、私はそういうふうにとりたいのです。いままでの皆さんの意見なり私の質問に対する答弁から、残念ながらそう思わざるを得ないのです。したがって、先ほど村山委員からの最後の締めくくりの発言に対して、公取委員長なりあるいは企画庁長官のほうからそういう発言がありましたから、これ以上のことは申し上げませんが、この問題について国民は注目しておるわけですから、ぜひひとつき然たる態度で、当面はこの法律のもとで、やみや何かそういうことのないように、厳重にひとつ取り締まってもらいたい。同時に、きのうの社会労働委員会で発言があって、テレビや新聞でも出ておりましたが、あの薬代を三割、四割水増しして売っておった、それを取り上げて質問をしたら、厚生大臣は初耳だと言う。こういうことは現実にあります。こういうことが堂々といま世の中で行なわれておるのです。ですから、ひとつ厳重に再販のこの法律を守って、やみはどんどんきびしく取り締まるようにしていただきたい。そのことを申し上げまして私の質問を終わります。
  48. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 有島重武君。
  49. 有島重武

    ○有島委員 私もただいまの問題につきまして、この規制強化法案が今度の国会に出なかったわけでございますけれども、これについて公取委としては、たとえ法案が出なかったとしても、再販の制度をきびしく監視してくださるというようなお話でございました。それで具体的にこの監視強化するといいますと、どういったことになるのでしょうか、この点を委員長から……。
  50. 北島武雄

    北島政府委員 先ほどから申し上げておりますように、具体的には、現在公正取引委員会指定している商品がございます。再販売価格維持契約ができるものとして指定している商品がございます。その品目も再検討いたしまして不適当なものは削除する、告示を取り消すということ、それによって再販売価格維持契約を合法的にできる範囲をぐっとしぼっていくということが第一点。それから第二点は、現在指定しております商品、それと法律上認めております著作物以外に、実際上やみの再販売価格維持行為が行なわれておる。これが相当あるように思います。このやみの再販売価格維持行為規制強化する。すなわち、やみの再販売価格維持行為は、これを独禁法違反として審査にかける、こういう方針を強化する、この二点でござごいます。
  51. 有島重武

    ○有島委員 指定品目の再検討をする、もう一つはやみ再販行為監視強化する、その二点でございますね。  宮澤長官が先にお時間があるらしいので、指定品目の問題はあと回しにしまして、このやみのことでございますけれども、プラザー工業のやみ再販の事件の説明を先にいたいと思います。
  52. 北島武雄

    北島政府委員 まだ審査に属する事件につきまして、中途でもっていろいろ申し上げるのは適当ではないのでございまして、先般もある委員会でそのような問題が出まして、途中でこれをうやむやに付したんじゃないか、こういう御質問が出たのであります。そのようなことはございません。ただ、私どもが独占禁止法違反として一応審査にかけておりましても、途中において違法行為をやめる場合が相当あるわけであります。公正取引委員会の年次報告にも出ておりますが、違法行為の自発的排除がございますと、それを、自分のほうの結論が出るまでちゃんとそういう協定を取り消してはならぬ、そんなことは申し上げない。違法行為を自発的に排除することは適当なことであります。そういう場合には、その事実を受け入れまして、はたして違法行為を打ち切って、その後もそのままだいじょうぶかどうかということを監視する。監視しまして、違法行為をずっとそのまま打ち切られておるという状態になりますと、最後にこれを不問決定ということにいたします。違法事実があったけれども、自発的に排除したので、監視の上でこれはもう十分だという場合には不問決定をする、こういうことをいたしております。  率直に申し上げて、当問題につきましても、自発的に排除したということで、しからばその状況を監視するというので、現存監視いたしまして、自発的に排除されるのが確実になったあとにおいて、これを委員会にかけて不問決定をするということであります。うやむやにすることは決してございません。それからまた審査にかけまして、それがもし証拠不十分でございますと、証拠がなければこれは独禁法違反として勧告なり審判にかけることができませんので、そういう場合には打ち切り決定ということをいたしております。いずれも途中でうやむやにすることは絶対にないのであります。
  53. 有島重武

    ○有島委員 ただいまの委員長お話によりますと、現在は不問に付してもよいという、現在はそれをやめておるとか、やめることにするとか、何かそういうふうなあいまいな感じがいたすわけでありますけれども、現在はっきりとそういったようなことはやめてしまった、そういうことを断言されるのですか。
  54. 北島武雄

    北島政府委員 そういう場合には、やめるということがはっきりいたしますれば、その後の状況を監視して、そうしてはっきりやめた事実がわかれば、そこにおいてもう監視を解く、その際に不問決定ということをいたすのであります。
  55. 有島重武

    ○有島委員 不問決定の手続のことはわかりましたが、いまのブラザーの問題でございますけれども、その場合にはいまは取りやめているんですか。
  56. 北島武雄

    北島政府委員 取り上げたということを取りやめておるのであります。そこで、その後の手続は監視の状況に移して、はたしてそれをやめれば不問決定にする。そんなことをおまえは積極的にやる必要はない、審判まで持てなんということはいたさない。
  57. 有島重武

    ○有島委員 まだ何だか少し仮定形で、やめればなんというお話でございますけれども、現在やめているのかどうかという、そういうことを伺いたかったわけです。
  58. 北島武雄

    北島政府委員 これは、やめるということをはっきり先方で先月申し出たのです。そうなりますと、あと状況を見まして、はたして実際にやめたかどうかをずっと監視するわけであります。もしやめなければ審判開始、こういうようなことになるわけであります。
  59. 有島重武

    ○有島委員 やめるという約束をとったので不問に付してあるというお話でございますね。
  60. 北島武雄

    北島政府委員 まだ不問に付しているわけではございません。やめるという申し出があれば、それから監視する。監視して、はたしてやめた事実を出せということで、やめた事実がはっきりわかって、今後再び犯さないということがわかってくると不問決定ということをいたすのであります。
  61. 有島重武

    ○有島委員 そうするといまは、大ざっぱに伺っていますと、もうやめているんだというような印象を受けたわけですけれども、そうじゃなくて、まだやめるということを向こうも言明しておりませんし、それから、現在もうやめてしまったというわけじゃないですね。
  62. 北島武雄

    北島政府委員 これは先月の相当前でございますが、やめるということを言明いたしておりますから、そうすれば、私のほうはあと監視状態に移るわけです。そうしてやめたかどうかを見ていく。そうしてほんとうにやめたことが確保されれば、そこにおいて不問決定ということをするわけでございます。やめるという申し出があれば、まあ待て待て、おまえ審判まで待て、そういう岡っ引き根性は公正取引委員会は持っておりません。
  63. 有島重武

    ○有島委員 こちらで聞いておりますのは、実際にはやめるのはやめるんだけれども、半年後にやめるというようなことを言ってきたんだ、それで調査を打ち切る。しかも、それはまた先ほどおっしゃったように、正式に不問に付しているわけではないんだ、そういうようなお話でございます。その点はどうなんでしょう。
  64. 北島武雄

    北島政府委員 それは六カ月後にやめるなんて容赦することはございません。直ちにやめるということでなければ容赦はいたしません。  それから不問決定ということは、やはりやめたということがはっきりして、その実効を確保してから不問決定する。もう不問に付したんじゃございません。
  65. 有島重武

    ○有島委員 それじゃこちらの調べたことについてだけ申しますけれども、ブラザーは指定品目以外であるにもかかわらず、こうした再販価格の維持契約を結んでいるとの情報が入って、そしてそちらの委員会でもって、これは今後審査するということを決議され、それに従って事務局では調査した。ところが、向こうの会社の社長さんと公取委員の亀岡康夫さんがお知り合いであって、それで同氏に対して、本件について事を穏便に運んでもらいたいというような陳情があった。同時に、ブラザー工業の社長が宮澤企画庁長官のところに対しても同じような陳情をされた。そういうような話を聞いておるのですけれども、この点は長官いかがでしょうか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはおそらく社長ではございませんで、私の郷里のほうに何か代理店をやっておる者がおりまして、よく知っておる人間でございますが、この人は代理店のほうの、何か全部の連合会の大将でございますか、世話役でございますか、そういう人でございますが、それが参りまして、こういう事件になっておるので、公正取引委員会のほうへひとつ陳情をしたいが、私に取り次いでくれないか、こういう依願がございまして、私は、私の立場としてそれをお取り次ぎすることは全く不適当である、こう申し上げてお断わりをいたしたことがございます。二月ぐらい前あるいはもう少し前でございましたか、そういうことがございました。したがって、何にも私としてはお取り次ぎのようなことはいたしませんでした。
  67. 有島重武

    ○有島委員 実際に亀岡さんのほうから事務当局に、やみ再版の契約は取りやめにするけれども、急にやめるわけにもいかない、半年間の時間をかしてほしいと言ってきているけれども、どうにかならないかというようなお話があって、それでこの事件についての審査打ち切りを示唆した。通常の手続なら、先ほど言われましたように、この審査の結果を報告書にまとめて、委員会でもって報告によって処分を決定するはずでありますけれども、本件については非常に中途はんぱな状態にいま放置されている。これは公取委始まって以来の事件だというふうに聞いておりますけれども、これはすでにもうその契約書をつかんで、会社もその事実を認めているとすれば、一刻も早くこうした契約の破棄を勧告するという手続に、さっそくにも入らなければいけないのじゃないかと思うわけでありますけれども委員長、この点はどうでしょうか。
  68. 北島武雄

    北島政府委員 それはただいままで申し上げたことで尽きると思います。いままでお話しのような事柄はございません。私どもとしては、従来どおり途中でやめれば、あと監視に移して、最後にもう完全にやまったというときに、初めて不問決定いたしまして事件が落着する、こういうやり方をいたしております。その場合にも、必ず委員会にかけて、決して途中でうやむやにするということはございませんから、そういう点は、公正取引委員会の名誉のために私のほうとしても申し上げなければならぬ。どうぞひとつ揣摩憶測でなく、私どもの公正な態度を御認識いただきたいと思います。
  69. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、早急に処置をとるということは、これは現実にまだ行なわれているのですね。そして半年後にはその契約をやめるというような話であったというのですけれども、その事実はどうなんですか。
  70. 北島武雄

    北島政府委員 まだ審査に属する事件については、途中で国会で申し上げるのは適当でないのでありますが、あまり公正取引委員会の名誉に関することでありますので申し上げたので、決して不正なことはいたしておりません。不明朗なこともいたしておりません。はっきりやめたということがわかりまして、もう再びこういうことを起こさないという状況になって初めて不問決定をいたします。六カ月後にやめるから不問にしてくれというようなことは、いままでいたしておりませんから、その点はどうぞ御信用いただきたいと思います。
  71. 有島重武

    ○有島委員 こちらとしては願わくば全面的に公取を信頼申し上げて、そしてしっかりと取り締まっていただきたいと思うわけであります。これをお願いします。  それから、先ほどの指定品目のことでございますけれども、どういったことを基準にして指定品目の再検討をなさるのか、その点について……。
  72. 北島武雄

    北島政府委員 その点は、現在の独禁法二十四条の二に指定商品の要件がございまして、自由な競争が行なわれているということがまず第一の要件でございます。その他にも要件はございます。現在の指定した商品目については、指定後すでに相当年月を経ておりますので、指定した当時におきましてあるいはその要件に当てはまったかもしれませんが、現在の状態においてはたして自由な競争が行なわれておると見られるかどうか、そういう点の基準が一番中心となるのであります。その点につきまして、現在、品目は六品目でございますが、中身を洗えばたくさんあるわけであります。それについて個々に具体的に検討していきたい、こう考えております。
  73. 有島重武

    ○有島委員 その検討の目安と申しますか、自由に競争が行なわれているかどうかということの一つの目安としては、当然シェアということでないかと思うのですけれども、何%以下ならばこれは自由に競争されている、何%以上になるとこれは独占的なにおいが強くなる、そういうような何か基準をすでにお持ちなんでしょうか。
  74. 北島武雄

    北島政府委員 これは物資によりましてまちまちでございますけれども、単純にシェアだけではいかぬわけであります。もちろんシェアが多くなりますと自由競争が行なわれる範囲が狭くなります。これは問題になりますが、何十%以上になるといかぬというような点だけでは必ずしもいかない。あるいは事業者のビヘービアという問題もございます。業界の実情をよく見ないとこれは何とも言えないのであります。この点は業界の実情に応じて個々に判断するしかしかたがないというのがほんとうのところであります。かえってシェアによって一律でやることは適当ではないのであります。
  75. 有島重武

    ○有島委員 いまシェア以外の要素を列挙していただくと、どういうことになりますか。
  76. 北島武雄

    北島政府委員 これは、たとえば業者の数はどのくらいあるか、他の業者の力はどのくらいあるかといったようなことが中心になるかと思われます。
  77. 有島重武

    ○有島委員 業者の数と業者の実力というようなこと、これはやはりシェアのほうに還元されることになりませんでしょうか。
  78. 北島武雄

    北島政府委員 シェアに集約される場合もありますし、シニア以外にもそれはやはり関係してくるわけでありますけれども、業者の数といったものはたくさんの業者があって、一つの業者がある程度のパーセントを持っていたという場合に、どういった競争が行なわれるかというとき、単に一つのシェアだけではいかない。同業者の数と同業者の力、単にシェアだけではいかぬ。それから品質なんかも見なくてはいかぬ。品質の点においては非常にいいものがあって、シェアは比較的小さいけれども自由な競争が行なわれるということもあり得ましょうし、その点は単純にシェアだけではいかぬ、こう考えております。
  79. 有島重武

    ○有島委員 それでは具体的に伺ってみますけれども、私のほうの調査によりますと、指定品目である化粧品についてですけれども、コールドクリームなんかですと、資生堂とポーラでもって六五%以上になっている。それから乳液なんかでは資生堂と小林コーセーでもって七五%以上のシェアになっている。それから化粧水ですけれども、資生堂、ポーラでもって六〇%以上、ポマードが、これは液体も含みますけれども、ライオン、加美乃素で五〇%、おしろいが資生堂と小林コーセーで六〇%、また医薬品のほうにいたしましても、先ほど話が出ておりました活性ビタミン、武田のアリナミンと田辺のハイベストンだけでも八〇%以上を占めておる。ドリンク剤では、大正のリポビタンDと田辺のアスパラドリンクでもって六〇%以上、こんなような調査があるわけですけれども、これを一体どういうふうに御判断になりますでしょうか。
  80. 北島武雄

    北島政府委員 そういう数字を直ちに私がここで肯定いたしまして、それは自由な競争を阻害するということは申し上げかねると思います。もっと業界の実情を調べなければならぬ。これは今後公正取引委員会といたしまして、当該の所掌の課を動員いたしまして徹底的に調査をし、その上で判断しないと譲ることになると思います。
  81. 有島重武

    ○有島委員 当委員会でもって、この種の再販品目の占拠率の資料を出していただくように同僚委員からお願いしてあったと思うのでありますけれども、その資料については、いつごろ出していただけるでしょうか。
  82. 北島武雄

    北島政府委員 私が出ておった委員会でございませんが、もし国会の御要求がございますれば、もちろん提出いたします。私も、たしかその資料のお話は聞きました。それは提出しろ、こう申し上げております。
  83. 有島重武

    ○有島委員 おたくの事務局長さんが大至急出すというようなお話だったんですよ。それからだいぶ日がたっております。まごまごしておりますと今国会の会期が終わってしまいますので、早く出していただきたいと思います。いつごろ出していただけましょうか。
  84. 北島武雄

    北島政府委員 専務の都合もありますが、できるだけ早く御趣旨に沿って提出いたします。
  85. 有島重武

    ○有島委員 押し問答みたいなんで恐縮なんですけれども、この前はできるだけ早くということだったんですが、大体来週くらいにはお願いしたいと思います。ぜひどうかよろしくお願いします。
  86. 北島武雄

    北島政府委員 御要望として承ります。
  87. 有島重武

    ○有島委員 先ほど言われましたところの問題は、今後法案はたとえ通さなくても、きびしくやっていくというようなお話であったと思いますけれども指定品目の再検討につきましても、そのデータをなかなか出してくださらない。それは悪意があってやっているんじゃないと思いますけれども、こちらから調べた資料を出せば、こちらの資料だけでは答えられないとおっしゃるし、また、先ほどのやみ再販の問題につきましても、何か非常にあいまいな印象を受けるわけであります。国民公取をほんとうにたよりにしているわけですよ。ことに、先ほども武部さんのほうからもお話がございましたけれども、断固たる態度をとっていただきたい。したがって、ただいまの調査の点もほんとうに早急に出していただきたい、そう願うわけであります。  それからもう一点でありますけれども、テレビの価格協定の審査が行なわれておる。これについて、業界が依頼しておる弁護士が、元公取委員であった人だった。そこを離職してすぐに介護士になって、独禁法審査専門の弁護士になっておられる方がいらっしゃるそうですが、それは事実でしょうか。
  88. 北島武雄

    北島政府委員 弁護士の方の一人に、そのような人がいると思います。
  89. 有島重武

    ○有島委員 これはやはり世間の疑惑もございますし、それからやはり一つの圧力になるのじゃないかと思われるわけでありますけれども委員長の御意見はどうでしょうか。
  90. 北島武雄

    北島政府委員 審判を受けます被審人は、弁護人選定の自由がございます。どういう方を選ぼうが、これは公正取引委員会としては何も関与できない。ただし、いかなる方が弁護人になられましょうとも、法のもとに厳正に審判を重ねる、これには間違いはございません。
  91. 有島重武

    ○有島委員 それじゃ北島さんの御見解によれば、そうしたことは一向に差しつかえないといったような御言明ですね。
  92. 北島武雄

    北島政府委員 差しつかえないと申すよりも、公正取引委員会がその方を拒否することはできないのですよ、法律上も。
  93. 有島重武

    ○有島委員 法律上拒否することはできないというわけですが、だけれども、そういうことじゃ好ましいことであるかどうかということは、これは言ってもいいことでしょう。いま伺っておるのは、こういったことは好ましいか、あるいはあまり好ましからざることであるか、その点についての公取委員長としての御見解を承りたいのです。
  94. 北島武雄

    北島政府委員 そういうことは私のほうとして批判すべき問題じゃないと思う。これはやはり世間の皆さんが判断なさることだと思います。ただ、公正取引委員会といたしましては、どなたが弁護人になられましょうとも、公正に解判をやって公正な結論を出す、こういうのが私どものたてまえでございます。
  95. 有島重武

    ○有島委員 御見解はよくわかりました。それでは、先ほどからもずっとお話がありましたように、公取としてはしっかりとした、それこそ広正な態度でもってひとつ取り締まりをやっていただきたい。私たちも大いに期待しております。いろいろな情報がありましたら、またこうして申し上げなければならなくなるわけでありますし、先ほどの問題についても、まだ疑義が少し残りますけれども、きょうは時間一ぱいでございますので、これにて終わります。
  96. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 小峯柳多君。
  97. 小峯柳多

    ○小峯委員 たいへんおなかがすいて申しわけないのですが、ほんとうに短く関係者の御意見を承りたいと思います。  先ほど来だんだん御答弁を伺っておりましたが、今度の再販規制に対する法案提出されないようになった理由の中にこの法律自体が非常にむずかしく、そうして通産省厚生省だけの問題でなしに、法制局との間にも、法の概念というものに対する打ち合わせがぴったりしなかったのではないだろうかと思うのです。そこで、お説にもありましたが、やはり少し準備不足だったと思うのです。だから、どうぞ諦めず事務的に煮詰めて、ひとつ次の機会をお考えいただきたい。もうあれがいけなければいかぬなんていうようなことをおっしゃらずに、ひとつ煮詰めていただきたい。何と言っても日本の経済の土壌の中で育ってきた商慣習がありますから、そういうものとやはりにらみ合わす必要があるだろうと思うのです。皆さんの趣旨とは少し違うだろうと思うけれども、そういうものもあって、再販契約というものは全部悪なんだというふうなきめ方をなさるのがいいのか、その中にも、いまの日本の経済の土壌の上からいうと、必要なものがあるのじゃないかと解釈するのがいいのか、その辺のところも、法の概念をつくる上に必要だと思いますので、そういうところをひとつ煮詰めて、この後とも勉強して法案を出す御準備をしていただきたいと思います。  それから、おとり販売の対策、これは通産省公取にも関係がありましょうが、どういうふうにお考えになっておりますか。この問題が案外軽く取り扱われているような感じがしてならぬのであります。同じおとり販売といいましても、販売マージンをできるだけ切ってする場合もありましょうし、また逆に、仕入れ価格を切り込んで売っているおとり販売のようなものもあると思うのであります。後者の場合は、正しい意味での取引じゃないと思うのです。たとえば、このくらい損をして販売しても、お客を集めるための広告費のかわりになるという解釈でやっておるようなおとり販売もあると思いますので、正常な取引の範疇を越えておると思うのです。こういう問題に対しましては、むしろこれはメーカーを保護するような意味で、対策というものを考えておかないと片手落ちになる。これが私の言う、日本的な土壌に育ったものをあまりしゃくし定木にやり過ぎると、むしろ弊害の出るものもあるというふうに考えておりますので、公取のほうとしても、そういう救済策をどう考えておるか、一言伺っておきたいと思います。
  98. 北島武雄

    北島政府委員 一口におとり廉売と申しましても、非常にむずかしいのでありまして、単に普通の市価よりも一割引き、二割引きで安く売ってお客を寄せる、これだけではおとり廉売になりません。ただ、巷間言うおとり廉売には、すべてそういうものも入っております。いい商品を目玉として安く売るというのは、一般的におとり廉売といえましょう。しかし、いわゆるおとり廉売として独禁法上の問題になりますのは、仕入れ価格を食い込んで不当廉売となる、そして他の業者を圧倒するような攻撃的な廉売、この場合には、明らかに独占禁止法上で禁止いたしております不公正な取引方法になるわけであります。そういったダンピングに対しましては、公正取引委員会も取り締まりをするにやぶさかではございません。しかし、日本全国にそういうのがあるわけでございますから、申告がなければできない。申告がありますれば、私どもは飛んでいって調査いたします。調査すると、すぐやむというのが実情でございます。そういうおとり廉売については、確かに問題がございます。ただ単に安く売るということだけでは、独禁法上の違反にはならない。消費者のことも考えなければなりません。ただ、先ほど申しましたように、あくまでも原価を切って他の業者を攻撃するようなやり方であると、このようなものは独禁法違反になるというふうに考えております。
  99. 下山佳雄

    下山説明員 ただいま先生のおっしゃいましたおとり廉売でございますが、実は私ども流通の近代化ということを考えます場合に、商業の単なる保護ということではなくて、なるべく競争がもっと活発に行なわれて値段が安くなることが望ましいわけでございますので、むしろそういう方向で今後商業の問題を考えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、中には非常に極端になりまして、おとり廉売というようなものがあちらこちらで間々見受けられるわけでございます。新聞だねにもなっておるわけでございまして、そういう場合におきましては、できるだけ業者を呼んで、話を聞いたり注意を与えたりいたしまして、私どもはできるだけそういうことについての弊害の除去につとめておるわけでございます。
  100. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 医薬品も関係いたしておりますが、私どもといたしましても、いま公取委員長から申されましたように、おとり廉売というものについて非常に大きな関心を持っておるわけでございます。公取委員長の御説明で尽きると思いますけれども、医薬品については、過去の歴史を見ますと、非常におとり廉売というものが行なわれて、ずっと今日まで続いてきておるわけでございます。私どもとしましても、できる限りそういうことのないように、平生から監視、指導を続けておるわけでございますが、なかなか実態がつかめないとか、いろいろな逃げ口上のために、その辺についても的確な解決策がなくて、かねがね非常に弱っている問題の一つでございます。  再販規制法案の中身等については、著しく原価を割ってまでも不当に顧客を誘引するような、非常にはなはだしいケース等の場合に、十分法律的な裏づけを持った規制法ができないかということを、先般から公取当局ともお話し合いをしておる、こういうことでございます。
  101. 小峯柳多

    ○小峯委員 もう一つ。おとり廉売に対する正当防衛というか、メーカーのほうで、いかにしてもコストを割って自分たちの業界に対する攻勢が感知されるというような場合には、正当防衛として、それに対して荷どめをしたり、あるいはそういうものを買い取りといいますか、何かそういう正当防衛策は許されるようにお考えになっておりますか。
  102. 北島武雄

    北島政府委員 もし私ども考えるようなダンピングに該当いたしますれば、それに対する対抗措置は、独禁法上違反とはいえないと考えておるわけであります。
  103. 小峯柳多

    ○小峯委員 私は不当廉売の場合に、メーカーが寡占状態にあるような場合、力のあるような場合には、正当防衛が十分できると思うのです。一つの例として、実は私は中小企業の問題を党のほうで担当しておりますのでこのごろ盛んに聞くのですが、しょうゆの中でキッコーマンの有名銘柄を、市販価格の半分以下くらいに売っておって、そのこと自体はキッコーマンとしても対抗策はあるのでございましょう。しかし、業者の数が非常に多いものですから、キッコーマンが幾らなら地方のしょうゆは幾らというふうに、自然にできているグレードというものが非常に混乱して、そのために営業が立ち行かないような傾向のものが見える、実はこういう陳情を受けたのでございます。実情さもあるべしと思われるような点もありますし、ことに、不当廉売のチラシをたくさん持ってこられて、見せていただきますと、二百円くらいの市価のものを九十五円くらいで売っておる。これは大分県の例でございます。こういうものに対しましては、正当防衛をする手段はない。要は、公正取引委員会がおっ取り刀でかけつけて、これは取引じゃないぞというふうなことで、これは先ほどの質問からいうと逆になるかもしれませんが、私は、公正取引委というものは、もちろん消費者のためにならなければならぬと思いますけれども、逆に、そういう形でメーカーをいじめるということに対しましても、やはり監視をしていかなければならぬ問題だと思うのです。私は家庭向きのことはあまり承知しませんけれども、何か月に二回くらい不当廉売をするそうです。不当廉売の日だけしょうゆを買い込みますと、一年じゅう消費に事欠かぬそうであります。だからたまたまじゃなくて、少ない日数の不当廉売で買ってくると一年じゅう消費がまかなえる。これは二六時じゅうやっておるような状態に実質的にはなるわけでございまして、私は小さいメーカー、いま言ったような伝統的な一つのグレードを持っておって、キッコーマンが幾らならこっちは幾らだということがくずれてきて、そのために営業上支障があるというような場合には、委員会としましても、違った角度からお取り上げいただくべきものだと考えますが、いかがでしょうか。
  104. 北島武雄

    北島政府委員 ただ、ある他の商店が安く売っているから困るというだけでは、独禁法上ぐあいが悪い。そのために同業者が一斉に押えられるとか、どんどん売り上げも減っていくということになると、これは攻撃的なダンピングということになりますので、そういう場合には、独禁法上の不公正な取引方法として取り締まることもできるわけです。これはなかなかむずかしいのでございまして、一方においては、安売りに対する荷どめはできるだけ排除せよという御要求も、最近はすこぶる多いのでございます。しかし、公正取引委員会として、ただ安くありさえすればいいというものではございません。たとえば、即席ラーメン類でございますが、昨年即席ラーメンにつきまして非常に景品競争が行なわれましたので、公正競争規約をつくらせまして景品競争をやめさせたわけでございます。そういたしますと、大手メーカーが新製品と称しまして、他の地域で一定の期間、たとえば市価一つ三十円程度のものを十五、六円で売るというようなことを、各メーカーが次々に他の地域でやっておった。それは明らかに攻撃的でございまして、地域によって対価を異にする、いわゆる差別待遇といいますか、これは独禁法上ぐあいが悪いということで警告を発して、これはとりやめたということでございまして、そういう点なかなかむずかしいのでございますが、ただいま申しましたような趣旨によりまして、私ども独禁法上の取り締まりに当たっておるわけでございます。
  105. 小峯柳多

    ○小峯委員 終わります。
  106. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会