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村山(喜)
委員 きょうは時間がありませんので、この問題は、いずれこの
委員会で
内容的にはさらに論議がされるであろうと思いますから、これ以上触れませんが、やはりこの際
考えなければならないのは、貿易の自由化に引き続いて資本の自由化が始まる。その中において、外国投資家の対内証券投資の自動認可の限度等もきめられまして、そして現在
再販の対象になっております化粧品等につきましては、すでに非常に大きなシェアを占めております資生堂等に対しまして、外人投資が行なわれるような情勢が生まれてきておる。その反面、なぜそのように外人がソニーなり資生堂に対して投資をする希望が出てきたかということを
考えてみますと、資生堂の場合等においては、その製品もさることながら、チェーン
メーカーとして販売店を網羅しているところにうまみを持っておるからこそ、これに外人が目をつけているに違いないのであります。そういうような今日の問題が出てきている中において、
再販によってそういうような価格を維持しながらやっていこうとした場合に、これはいまのところ証券投資の自動認可の限度を示しているだけでありますが、かりにこれが外資系の化粧品会社等が日本の国内に進出してきた場合に、いまのような
再販価格維持契約制度のもとにおいて業態を生かしているような状況の中で、はたして公正な競争ができ、そしてそういうような外資系の会社に対して対抗ができるかということを
考えますと、やはりもうここら辺でそういうような大きな
立場から再
検討をしなければならない
段階にきているのじゃないかと思うのであります。そういうような面もございますので、いままで非常に保護的な感触で企業に対しては行政指導をしてこられた
通産省の
態度というものも、もうそろそろ限界にきておるし、
消費者の
利益というものが守られなければならないという今日の時点において問題を
考えてまいります際には、先ほど私が申し上げましたような点について、さらに的確な行政指導を
宇野さんあたりは進めていただきたい。そして、いままで私
たちがお伺いをしておると、理由なき理由によりまして、
消費者の保護という
立場から、
公正取引委員会が
国会の
決議に基づいて出そうとしたものがチェックされた、そういう感じをぬぐい去ることができません。したがいまして、この点についてはきわめて遺憾であるということを私は申し上げまして、次に進ませていただきたいと思います。
次は、
厚生省の田川さんが
おいでになりましたのでお伺いをいたしますが、いま
再販の対象になっております中で一番問題になっているのは薬剤だと思うのであります。私もときどきビタミン剤を飲むのでございますが、いま
再販の契約を結んでいる
メーカーの中で最大の力を持っているのは武田製薬だ、こういわれている。薬局に関する
調査報告書、薬局
新聞が編集をいたしましたのを私もここに持っておりますが、これを見ましても、そのシェアというものの最高は武田でございます。
そこで、武田の代表的な特許権を持っているアリナミンというのを調べてみますと、昨年まではアリナミンあるいはアリナミンFというのが市中で販売されておりました。ところが、このごろはアリナミンFあるいはアリナミンというのはないのですよ。薬店では売っておりません。もう全部アリナミンAというふうに変わっておる。その成分を調べてみますと、アリナミンなりアリナミンFというのはビタミンのB1、B2が入っておるようでございますが、このアリナミンAになると、それに加えてB6、B12が入っているのだ、こういうことで総合的な水溶性ビタミン剤で、これを飲んだら非常に健康だということで売っているわけであります。
それではなぜアリナミンなりアリナミンFが市場から姿を消したのかというのを調べてみますと、値くずれをした。値がくずれたので新製品をつくって、いままで薬店に預けておったアリナミン系の古いものは全部
メーカーが回収をして、そして新薬だけを出している。それを
再販の価格対象として販路を確保しているわけであります。それではアリナミンFは姿を消したのかということで調べてみますと、一万錠入りの大きなびんに入れまして病院にこれが移っているわけですね。
そこで今度は、アリナミン系統と同じようなビオタミンとかハイベストンとかいうようなビタミン剤がある。これとの競争というような問題もありましょう。そこで激烈な競争が行なわれると、小売り店でもいわゆる添付サービスというのですか、同じような系統のものを、価格をまけてやるわけにいかぬものですから、それはかたく
禁止されておりますから、ほかの薬をくれるわけです。現に私
たちももらっております。それから今度は
メーカーのほうからは、薬
局あたりには、それはたいへんな競争ですから、そこで、一万錠に対して一割くらいの千錠くらいは添付サービスをするわけですね。競争の激しいものは、一万錠に対して五千錠なりあるいは一万錠特別サービスをする。そうすると、その薬局では余っておりますから、それを今度は横流しをする、こういうような形が現に薬の業界においてはとられておるというような状態でございます。これはただビタミン系の問題だけでなくて、エーザイ社のユベラとかユベロンとかいう薬等についても、同じような形で、これは
一般用、これは薬局用、こういうような形で販売されておるわけです。そういうようなことで、
国民に非常に高性能の単位、二十五ミリとか五十ミリとかいうような単位のものが、よくききますからということで売られる。
そこで、私がふしぎでならないのは、日本人は食生活においてはカロリーとかたん白はあまり十分にとらないのに、薬屋に行ってビタミン剤なりその他の栄養剤はぼりぼり食べるという慣習があるわけですね。日本人ほど薬をよく飲む
国民はおらない。それに加えて盛んに宣伝をいたしますから、ビタミンを飲んでおれば、あるいはその他の栄養剤をとっておれば、もりもり元気が出て非常にいい、食生活のほうよりもそちらの薬で栄養を補いなさいというような
考え方が、いまの
メーカーあたりの基本的な
考え方ではなかろうかとさえ私
たちには思われるのです。そういう薬によって栄養を補うような指導というものはおかしいのではなかろうかと思うのです。
そこで、こういうものが生まれてきたのは、やはりそこに
再販のうまみというものによって
メーカーが
利益を得ながら
自分たちのシェアを確保する。こういうようなところから誇大な広告等もあらわれてくる。それにつられて勢い
国民は盛んに栄養剤を薬屋さんで買う。薬屋さんで買うのはいいといたしまして、お医者さんのところでも、この人にはビタミンをあげましょうというので、袋一ぱいビタミン等の栄養剤をくれるものですから、保険のほうは赤字、こういうようなことでたいへんな、てんやわんやの騒ぎが出ておるわけでしょう。
こういうような
実態から、
厚生省の
態度というものは、基本的に一体どういうような
方向を
国民に対して指示しておられるのか、指導しておられるのかということが、やはり問題であろうかと思うのであります。
国民の健康を守るためにはどうなければならないかということを、もういまの
段階としてはおそいくらいでございますが、総合的な
立場で打ち立てて、その中における薬務行政の位置づけをはかっていく、そうしてまた薬務についての指導がとられていく中において
再販の問題も取り上げられなければならない、再
検討をされなければならない
段階にきておると私は思うのであります。そういうマクロ的な
立場といいますか、そういうような
意味から、田川
政務次官に
おいでをいただいておりますから、あなたの
見解をお聞かせ願いたい。