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1967-06-29 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 小峯 柳多君    理事 砂田 重民君 理事 武部  文君    理事 平岡忠次郎君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    鹿野 彦吉君       佐藤 文生君    唐橋  東君       有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    竹中喜満太君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         農林政務次官  草野一郎平君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君  委員外出席者         議     員 掘  昌雄君         経済企画庁国民         生活局参事官  竹内 直一君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局消費経済課長 森実 孝郎君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君     ————————————— 六月十五日  物価値上げ反対等に関する請願(神門至馬夫君  紹介)(第一四〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価安定緊急措置法案堀昌雄君外九名提出、  衆法第二三号)  物価問題等に関する件  生鮮食料品価格安定に関する件      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文雅
  3. 武部文

    武部委員 きょうまで委員会が開かれた中で、その大半以上は、当面する牛乳の問題についていろいろ質疑がかわされ、特に本委員会決議として、乳価の安定に関する決議案を四党一致で決定したところであります。先般来、公正取引委員会がこの乳価の問題で、特に兵庫県の価格の引き上げをめぐって、独占禁止法に違反しておるという立場から、これに対して勧告を出されました。続いて愛知県、続いて東京杉並というふうに、相次いで独占禁止法に基づく協定破棄勧告がなされておったわけでありますが、われわれの承知するところでは、まず最初兵庫県の牛乳商業組合はこの勧告を拒否いたしました。続いて愛知杉並、いずれもこの公正取引委員会勧告を拒否したのでありますが、その際に、拒否の理由が新聞紙上を通じて明らかにされたところであります。私は、きょうは特に農林省及び公正取引委員会及び経済企画庁が、この問題についてどのような見解を持っておるのか、その真実をぜひこの委員会で明らかにしていただきたい、このように考えて、以下質問をいたします。  まず、六月十七日から十九日にかけて、特に兵庫県下における新聞紙上に、まことにわれわれとしては遺憾なことばが載っております。まずその中で、相当な活字でありますが、「二枚舌行政と対決」、「許せぬ農林省」、あるいはまた価上げ農林省要請であるというような見出しのもとに、きわめて詳細にわたって二円の値上げをした経過が明らかにされております。それを見ますと、まず本年の二月、農林省岡田畜産局長は書籍で、原乳生産者のために常識範囲内で値上げ考えてほしい。続いて畜産局東京都内ホテルなどで、数回にわたって森本理事長——この森本理事長というのは、兵庫牛乳商業組合理事長であり、同町に全乳連の副会長であります。畜産関係者森本理事長岡田畜産局長が会った。このとき畜産局長から、口頭で二円という額を示した。畜産局長からは、生産者乳価の決定が迫っているので、ぜひ三月二十七日までにきめてくれという要請があった、こういう記事が載っております。他の新聞によりますと、もしかりに原乳価格を百八十cc当たり一円二十銭値上げした場合、それを国費で補償すると全額で年間三百億円が必要だ、したがって、現状でこれを国で見ることは不可能なので、ぜひ小売りのほうでこれをまかなってもらいたい、こういう記事が載っております。大体三つ、四つの新聞を見ましてもほとんど差がない。このような記事が載っておるのであります。  われわれは今回までのたくさんの委員会を通じて、農林省がいわれた、価格指導を取りやめれば自由競争になって、価上がりをむしろ抑えることができる、こういうお話を少なくとも私どもも信用し、同時に、企画庁長官もそのような発言をしばしばされておったので、われわれもそのように解釈しておった。ところが、このようなことが大々的に報道されると、一体何を信用していいかわからぬ、こういうことになるのですが、まず当面、このような明らかに名前があがっておる畜産局長は、このことについてどのような見解を持っておられるか、これをひとつ最初にお伺いしたい。
  4. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 いろいろと牛乳値上げの問題につきまして世間を騒がせましたことを、はなはだ恐縮に存じております。  経過につきましてごく簡単に申し上げてみたいと思いますが、先生も御承知のように、牛乳にはバター、脱粉等加工原料乳というのと、それから市乳原料になります生乳と、二種数あるわけでございます。加工原料乳につきましては、昨年度から不足払い法の適用を受けることになったわけでございます。市乳につきましては、これは地域の実情なり需給の実情に応じて、自由に形成される価格というふうなたてまえをとられておったのであります。原料乳価格につきましては、慣習といたしまして、毎年四月から新しい年度の取引価格をきめるというたてまえになっておるわけでございます。昨年度は加工原料乳不足払い法出発というふうな事情もございまして、原料乳価格話し合いが非常におくれたわけでございますが、四月ないし五月ごろから話し合い進行したわけでございます。進行をいたしたわけでございますけれども、なかなか話し合いがつきません。その間に、牛乳を川に放棄するとかいろいろな事態がございまして、いわゆる乳価闘争というものが一年にわたって行なわれたおけであります。しかし、その結果としまして、十二月にほぼ終結をしたわけでございますけれども、原料乳価格値上げというものはほとんど見るべきものがなかったわけでございます。  しかし、当時におきまして、御承知のように国内の乳牛は伸び率が非常に停滞をいたしておりました。前年度対比一・六%程度伸びしかなかったのでございますが、生乳生産につきましては、対前年同月比一・二%程度状態になりまして、非常に酪農の危険な状態にあったわけでございます。これは一つは、酪農というのは御承知のように周年労働でございまして、非常に拘束性のある労働だということもありまして、なかなか酪農に従事するということは、農業の部門の中におきましても非常にむずかしい問題でございます。また、非常に熟練を要するということもあります。一方で生産費を十分償っていないというふうな事情があったわけでございます。そういうふうな点から牛乳生産が減ってまいっておったわけでございますが、そこで、どうしても生産費を償うような正当な乳価が支払われなければ酪農生産伸びないということで、四十一年度に、いわゆる乳価闘争によりまして原乳価格値上げということを努力いたしたわけでございますけれども、十分実現をしなかった。そこで、四十二年度におきましては、ぜひその原乳価格を位上げをしたいというのが生産者の要望であったわけでございます。これに対しまして、酪農行政をあずかる私たちといたしましても、原乳価格がある程度上がらなければ、国内牛乳生産は今後伸びないであろうという点につきまして心配をいたしたわけでございます。それで、おそらく二月ごろからであったと思うのですが、生産者のほうからメーカーに対しまして、生産者への支払い価格値上げということの要求をいたしまして、交渉が始まることになったわけでございます。そこで畜産局のほうといたしましては、生産者価格値上げするのは必要であるということで、メーカーに対しましても協力方要請をしておったわけでございます。  そこで、そういう事情を反映いたしまして、メーカー生産者との間で、価格がきまってまいるということになったわけでございますが、私たちのほうといたしましては、メーカーに対しましては、そういうふうなことで協力を求めておったわけでございます。ただ、昨年一年間の乳価闘争過程においても明らかになりましたように、メーカーのほうにはなかなか支払い余力がないというふうな事情もあるわけでございます。三年間牛乳価格が据え置きをされました結果、相当経費も高くなってまいっておるわけでございまして、したがいまして、先般の当委員会でも御質問がありました際に、値上げ分流通過程で吸収するということははなはだむずかしいということを申し上げたおけでございますが、われわれとしましては、ある程度値上げもやむを得ないのではないかというふうに実は考えておったわけでございます。  私たちのほうはそういうふうな考えでおりましたけれども、しかし、本来価格形成は自由な価格形成で、当時者の話し合いによってきまるべき性質のものである。御承知のように一般の農産物につきましては、市場を通じまして自由な価格形成が認められておるわけでございます。ところが牛乳につきましては、自由な価格形成が認められるといっておりますけれども、当事者交渉によってきまるというふうなことで、これは農産物の中でも特異な性格を持っているというふうに思っておるわけでございますが、いずれにしましても当事者の間において自由にきめられる価格でございますので、私たちは具体的に価格内容に立ち入って指導はしないということを申し上げたわけでございますが、まさにそのような考え方で、立ち入った価格内容指導はしないということをいたしてまいったわけでございます。  結局、三月末か四月の初めであったと思いますけれども、生産者の一円二十銭というのがきまりまして、その結果、末端価格が二円値上がりするというふうなことになったわけでございますが、私たちのほうといたしましては、二円値上げをすべきであるとか、そういうふうな価格内容指導は全くいたしておりません。  以上が経過でございます。
  5. 武部文

    武部委員 長々と説明を受けたわけですが、端的に質問します。端的に答えてください。  報道によると、先ほど読み上げたように、農林省はまず書類で、原乳生産者のために常識範囲内で小売り値上げ考えてほしい。こういう書類を出されたことがありますか。
  6. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 全然ございません。
  7. 武部文

    武部委員 それでは次に、本委員会参考人として出席された中に田部清という方がおられましたが、その方が参考人として申されたときに、農林大臣やあるいは皆さんとしばしば会った、そのときに、いま価格指導を取りやめるとむしろ上がるぞということをあなた方に言った、こういうことを発言されました。したがって、畜産局長はこの問題について、先ほど私が申し上げ兵庫理事長、あるいは田部という全乳連会長、ないしは東京の島という小売り組合長、こういう人とお会いになったことがありますか。
  8. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 私のほうの行政の対象になっております事業でございますので、ときどき会う機会はございます。
  9. 武部文

    武部委員 ここにはあなた方とホテルで会ったなんて言っておるのですよ。少なくともこの二円値上げの背景に、非常に不可解なものがあるのです。私がしつこくこの委員会できょうもなお追及するのはそこなんですよ。あなた方は指導価格を取りやめることによって自由競争をということをしばしば言明されておる。ところが、こういう事実があらわれてくると、一体どっちがほんとうなのか。少なくとも新聞にこれだけのことが載っておる。子供が言っておるわけじゃないですよ。はっきりと何日ごろにしかじかこういうところで会って、どういうことを要請された、したがってわれわれは上げたのだ、農林省から上げろと言われたから上げたのだと言っている。あなた方はそんなことを言った覚えはないと言う。どっちがほんとうか。おそらくどっちかがほんとうでどっちかがうそなんです。国民はみなそう思っているのです。そんなばかげたことはこの席では通用しません。  ですから、もう一回あなたに質問しますが、本来なら生産者乳価値上げというものは、五月、六月ごろにきまるのだ。あなたのおっしゃるとおりですよ。それが四月にきまったのは、農林省からそういう要請があったために、三月二十七日ごろまでにぜひ上げてくれという強い要請があったために、実は四月一日からになったのだ、こういうことを新聞記者に発表しているのですよ、全乳連幹部は。これをどうお考えですか。
  10. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 先ほど申し上げましたように、乳価の改定は毎年四月から行なわれるというのが慣例になっておるわけでございます。昨年は不足払い法出発もありまして、いろいろごたごたをいたしました関係から、乳価交渉というものが非常におくれたわけでございまして、昨年は十二月のぎりぎりになりましてきまったという実情にあるわけでございます。
  11. 武部文

    武部委員 それでは重ねて質問いたしますが、おそらく今度は公取審判が行なわれると思うのです。その際に、特に兵庫がそうですが、審判農林大臣やあるいは畜産局長を証人として喚問して対決すると言っておるのです。おそらくやるでしょう。それでもなおあなたはこの席上でいま言われたことをあくまでも固執されますか。
  12. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 必要があれば、私はどこへでも出て話をするつもりでおります。
  13. 武部文

    武部委員 これ以上追及いたしましても水かけ論になるわけですが、私は、それならば農林省は、これだけの記事新聞に出、テレビに出て、農林省が強く要請したために実は二円の値上げをしたのだ、むしろ小売り商ペテンにかかった、公取委員会から摘発を受けるとは心外だ、片方では上げろと言い、片方ではけしからぬといって摘発する、これは二枚舌行政だ、こう言うのです。小売り業者は全くこれはけしからぬということを言っておるのです。これが大々的に報道されておる。聞くところによると、商工委員会でもこの話が出たそうであります。だから、もしかりにあなたのほうがどこまでもそういうことを言った覚えがない、三月二十七日ということも知らぬ、またどこで会ったかはあまり記憶がないというようなことを商工委員会でもおっしゃったのですが、向こうははっきりあなたと会ったということを言っておるのです。そういう話を受けたということを言っておるのですから、二人そこに並んでもらって、こっちが一人一人に質問すれば、案外本音が出るかもしれぬけれども、残念ながらきょうはそれはできません。できませんが、あなたがそういうことをあくまでもおっしゃるなら、なぜああいう新聞報道がなされたり、あるいはテレビにそういう事実がどんどん報道されたときに、全く事実無根だ、こういう抗議を、そういう兵庫組合なりあるいは愛知組合に対しておやりにならなかったのか。少なくともこれはあなた方にとっては大きな名誉棄損ですよ。あなた方の要請によって上げたと言っている。そういうことをなぜおやりにならなかったのか、それをひとつお聞きしたい。
  14. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 その話がございまして、各新聞社から私のほうへ問い合わせがございました。お会いした方もございます。その際お話がありまして、そういうことはございませんということを、私のほうは各新聞社お話を申し上げておるわけでございます。私のほうは、先ほど申し上げましたように、その全乳連会長等につきましては、仕事の関係でいろいろ会合することもございます。それから私のほうとしましては、先ほど申し上げましたように、生産者価格の値上がりにつれまして、流通段階でその吸収はなかなかむずかしいということを申し上げておるわけでございまして、そういうふうな点から、要するに私のほうが要請したというふうに誤解されておるのではなかろうかというふうに私たち考えておるわけでございます。
  15. 武部文

    武部委員 これ以上言っても水かけ論ですが、ただいまの最後のことばはちょっと気になるのですよ。自分が言ったことを誤解をしておるのじゃないか、こういうことを言われましたね。そのことは裏を返せば、小売り値段についても何かの話し合いをしたことになるのでしょう。あなたが何か言ったから、そのことを向こうが、二円値上げをしろとあなたが要請したというふうにとって、そうしてそういうふうにあの人たち値上げをしたのだ、こういうふうなものの言い方にとれますね。ですから、小売り値段について全然そういう話をあなた方はしていないと言うことができますか。そうじゃないでしょう。何か小売り値段についても、この際値上げをすることについて、あなたがお話しになったというふうに受け取れますが、どうですか。
  16. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 生産者価格値上げをしなければ酪農が発展をしないというふうなことは、私たちは申し上げておるわけです。そういう事情にあるということは、これは乳業界全体について申し上げておるのです。それから、しばしば委員会でも申し上げましたし、また新聞社等から質問があります場合に、流通段階で全部吸収するということは、過去の経緯から見てもなかなかむずかしいというふうなことは申し上げておるわけでございます。しかし、幾ら値上げをすべきだとか、値上げをどうすべきであるかというふうなことについて、私のほうが指示をしたり指導したことは全くないわけでございます。
  17. 武部文

    武部委員 私は、この問題が明らかになってから非常に大きな疑問を持ちました。冒頭申し上げるように、この問題については何回かの委員会を通じて、農林省なり経済企画庁の意見も承ってきたわけですが、残念ながら非常に大きな疑問を持たざるを得ない。少なくとも農林省が、いままでの報道によれば、何らかの形で二円の値上げをしろ、こういう話し合い事前に持たれて、そうしてその要請にこたえて小売り商が一斉に値上げをした、私はこういうふうにとらざるを得ないのです。したがって、これ以上は公取審判の際、これは公開でありますから、その審判の際に、小売り商の方も、農林大臣なりあなたを相手どって十分やりたいと弁護士も用意しておる、こういうことでありますから、その際に明らかになろうと思います。したがって、これ以上は水かけ論ですから次に移りたいと思います。  企画庁並び公正取引委員会は、今回の二円の値上げについて農林省から相談を受けておった、逆に言えば、農林省は全乳連幹部諸君に対して、今回の二円の仕上げ企画庁公取も全部了承しておる、こういうことを実は全乳連幹部に言っておると全乳連幹部は言っておる。企画庁もみんな納得づくだ、こういうことをわれわれは事前に聞いておった、こういうことを発言しておりますが、いかがですか、公取事務局長
  18. 竹中喜満太

    竹中政府委員 そういう事実はございません。
  19. 中西一郎

    中西政府委員 経済企画庁でも、そういう事実はございません。
  20. 武部文

    武部委員 それでは次に公取にひとつお伺いしたいと思います。  今度の値上げの中で、小売り関係が何件か立ち入り検査をされております。そうして勧告が出ました。勧告が拒否されて、それから審判に移るわけでしょう。メーカーについても立ち入り検査が行なわれたわけでありますが、メーカーについては現在の進行状況はどういうふうになっておりますか。
  21. 竹中喜満太

    竹中政府委員 あまり詳しいことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、メーカーにつきましても引き続き審査を続けております。今後さらに続けていくつもりでおります。
  22. 武部文

    武部委員 メーカーは今度の問題について、やはり農林省から値げについての要請を受けたということを言っておるわけです。ところが、私がここで問題にしたいのは、二円の内訳が一円二十銭、三十銭、五十銭という三つの手取りに分かれておるわけですが、これが全国ほとんど一律であります。ということは、一円二十銭、三十銭、五十銭という配分について、これは何らかのサゼスチョンがなければこのようなことにはならないと、これは常識考えるわけであります。したがって、農林省からそういう要請メーカーにあったと私も思うし、同時にメーカー農林省からそういう要請を受けた、こういうことを言っておるわけであります。畜産局長はこれについてどういうお考えですか。
  23. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 私のほうで、先ほど申し上げましたように、価格内容に立ち入って具体的に指導するということは、全くいたしておりません。したがいまして、生産者メーカーとの間で一円二十銭ときめましたのも、私たちは全くタッチしていないわけであります。  御承知のように、牛乳価格特性といたしまして、競争が非常に激烈であるというふうな状態からしまして、競争の結果かなり均一化するというふうな傾向は、これは物資特性として私はあるというふうに思っております。しかし、そうだからといって、これはわれわれが指導して一円二十銭や三十銭や五十銭をきめたという性質のものではないわけでありまして、ところによりましては、三円値上げをするというようなところもあったわけでありますけれども、消費者との交渉その他から、最終的には二円になったというふうなところもあるように開いておるわけであります。
  24. 武部文

    武部委員 百八十ccが三十銭、五十銭、一円二十銭——五十銭の小売りはさておきまして、三十銭のメーカー、一円二十銭の生産者、これは偶然の一致で全国的にこうなったというふうにお考えですか。これは偶然の一致ですか、どうですか。
  25. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 おそらくどこかが値上げをすれば、そういうふうなことにおのずからなるような性格が強い物資であるというふうに私たち考えておるわけであります。ただ末端価格につきましては、御承知のように、前から必ずしも十八円ということではなくて、共同購入するものにつきましては十六円なり十七円なりというものはあったわけで、現在でもそういう形はあるわけでございます。末端につきましては、競争の結果そういうふうな事態もあるわけでございますけれども、しかし私は、これは具体的な内容指導したからこういうふうな価格になったというふうには考えていないわけでございます。
  26. 武部文

    武部委員 そうしますと、先ほど公取事務局長のほうから、メーカーについてはいま調査中であって、その経過については明らかにできないというお話がございました。私がここで申し上げたいのは、小売り段階摘発がされてそうして勧告される、こういうのが出てきた。メーカーには何らのそういう事態がまだないわけです。したがって、小売り業者としてはまことに心外だ、われわれだけが勧告を受けるのは心外だ、こういうことを言っておるわけです。われわれはあの値上げで、公取摘発というか、立ち入り検査をされた際に、メーカー側談話等新聞記事を見ると、明らかにこれは協定の事実があるというふうに受け取れる。したがって、早急にメーカー側協定について、独禁法違反としてこれを審判にかけてもらいたいということを、何回かこの委員会で申し上げたわけであります。事務局長は当時病気中だったそうでありまして、きょうまでずっと出ておられないから、その経過はお聞きになっていないかもしれませんが、そういうことを実は私ども要請しておったわけであります。いまの話の中で、メーカー農林省から要請を受けたと言い、あなた方はしないと言う。こういう中で証拠不十分、こういう形でメーカーの問題がうやむやにされるというようなことがあってはならぬと私は思う。そういう点について公取としては、小売り業者審判もこれから始まるわけでありますが、メーカーについて全然これが証拠不十分だとかいうようなことでおろそかにされないようにもメーカー協定の有無についてぜひ厳正な審判をいただきたい、こういうふうに要請をいたしておきたいと思います。  きょうは時間がありませんので、この機会に公取にもう一つ質問をいたしたいと思いますが、前回の委員会で、再販価格の問題について公取委員長経済企画庁の長官に質問をいたしまして、それぞれ回答をいただきました。そのときに、少なくとも去年の六月衆議院の物価特別委員会決議もあり、さらに同じように六月物懇の勧告もあって、いろいろ調整はとっておるけれども、できるだけ早くこの再販価格については改正の法律案を国会に提出して審議をいただきたい、こういう回答が大臣並びに公取委員長からございました。私は、当時国会の会期もまだ延長がきまっておりませんから、時間的に余裕はないから、早急に法案を出して審議をするようにお取り計らいを願いたい、こういうことを言って、両者ともそのことについて同意をきれました。今日国会が二十一日間延長になりましたが、この再販の法案についてはどのようになっておるのか、この機会にひとつお伺いをいたしたい。
  27. 竹中喜満太

    竹中政府委員 私のほうの委員長が申し上げたと思いますが、公正取引委員会といたしましては、一応の成案を得まして、それに基づきましてただいま各省と鋭意折衝を続けております。したがいまして、この折衝の結果修正すべき点は修正をしまして、できるだけ早い機会に国会に提出して御審議を願いたい、こう考えております。
  28. 武部文

    武部委員 企画庁長官どうですか。
  29. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 前回もお答え申し上げましたとおり、私どもとしては公正取引委員会のそういう御方針に協力をするつもりでおります。
  30. 武部文

    武部委員 そういたしますと、実はきょうの朝刊に次のような記事が出ておりますが、これはどういうことでしょうか。「再販価格契約規制法案、今国会提出を断念」という見出しで、内容もたくさん書いてあります。私はこのことについて前回も、このような背景があるのではないかと質問をいたしましたが、このことについては、そういう心配はないというようなことが言われておりました。このきょうの報道によりますと、提出を断念したという理由が実は電要であります。その報道によると、内閣の法制局からは、消費者保護の趣旨には全く反するような骨抜き法案だからこれはだめだ、こういうことで突き返された。経済企画庁からは、物価問題懇談会の勧告を無視して、業者を擁護する法律だと突き上げられ、さらに公取の内部においては、関係業界の牽制運動が強いため意見がまとまらず、法案提出を断念せざるを得なくなったと新聞報道しております。このことについていかがでしょう。
  31. 竹中喜満太

    竹中政府委員 法制局はああいう役所でございますので、そういう理由で法案の審議を拒否するあれはございませんので、立法技術的な問題だけでいろいろ言われることはございます。また、現に言っておられます。それから、ここに書いてあるような意見もないことはございません。ないことはございませんけれども、いろいろの議論がございますので、その調整を現在いたしておるわけでございます。  それから、業界から云々というお話がございますけれども、私のほうは、規制の法案を出す以上は、現在の二十四条の二よりさらに強いものをつくらなければならないという考えを持っておりますので、いかに反対がありましても、その信念に基づいて努力をしておるわけでございます。
  32. 武部文

    武部委員 企画庁長官いかがですか。
  33. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は前回もお尋ねがございまして、私は、望めばなおいろいろ望みたいことはあるとしても、現状に比べて何がしか前進するものであれば協力すべきものと考えますと、こういうふうに御答弁を申し上げたわけであります。  また事実問題といたしまして、数週間前と思いますが、公正取引委員会から最初の案について内々事務当局が御相談を受けましたときに、消費者保護の立場からもう少し強い内容であればさらに望ましいということを、事務当局が要望したことは数週間前にあったようであります。しかし、私その報告を事務当局から聞きまして、もしそういうことを言って、完全を期するために法案の作成を逆におくらせるようなことがあれば、これはかえってよい結果にならないので、私どもの役所としては、それはある段階からは、完全を期すという態度よりは、ともかくいまよりも幾らかよくなるならば協力をすべきだというふうに考えなければいけないということを申したのが数週間前でございますが、その後今日までそういう態度をとり続けてきております。これは前回お答えを申し上げたとおりであります。
  34. 武部文

    武部委員 そういたしますと、会期もあとわずかでありますが、きょう報道があったような再販の価格維持契約の問題についての法案を、今国会に提出することを断念したということは、全然ないというふうに考えていいのか、それともこの国今には提案をするが、いつごろ出すのかわからぬというような程度のものなのか、この点をはっきりひとつ述べていただきたい。
  35. 竹中喜満太

    竹中政府委員 断念いたしておりません。それから、先ほど申し上げておりますように、できるだけ早い機会に各省との調整を終わりまして、国会に提出をいたしたいと思っております。
  36. 武部文

    武部委員 以上で終わります。
  37. 戸叶里子

    戸叶委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。砂田重民君。
  38. 砂田重民

    ○砂田委員 竹中事務局長質問いたします。  昨年の三月二十三日のこの価格の特別委員会で資料をお願いしたのですが、国会も変わったのですから、あらためてひとりお願いしておきたいと思うのです。  この再販売価格維持契約制度、この制度によってきわめて高水準の品質を保持し得ている商品もある、そういう面ではこれは一つのいい面を持っております。ところが、同じ目的に使われる商品が非常に少ない、消費者に選択の自由があまりない、きわめて高いシェアを握ってしまっている商品が、この制度の上にあぐらをかいてしまって、暴利をむさぼってきわめて高い配当をしている、そういうものがあるなら大問題だということで、そういったこの制度に乗っている商品の実情を把握したそういう資料を出していただけないか、それをお願いしたわけです。それが一つの資料であります。  もう一つは、一九六四年くらいですか、英国がこの制度を改めた。ヒースがやったというので、そのヒースの英断を非常にほめたたえる声と、一方、やってみたけれどもさっぱりものをいわなくて、五一件くらいの例外規定の例外みたいなものができてしまって、あんなのは人気取りだけで何もものをいわなかったという声と、二通りの批判を私たちは聞くわけです。ですから、英国あるいはその他の国の再販売価格維持契約制度の実態がどうなっているかというその資料も出してくれないかとあなたにお願いしたら、できるだけ早い機会に出しますと言われたけれども、まだできるだけ早い機会がこないらしい。あなたのところ人手が足りないので、なかなかそういう調査ができていないとすれば、いまの武部君の質問のような法案も、これまたなかなか出てこないんじゃないか。出してもらえますか、どうでしょう。
  39. 竹中喜満太

    竹中政府委員 おそくなりましてまことに申しわけございません。直ちに提出するようにいたします。
  40. 戸叶里子

  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 主として畜産局長にお尋ねします。  農林省の畜産対策の貧困につきまして、農民の間でだじゃれ的風刺が横行しておるわけであります。牛を飼ったらモウからない、豚を飼ってもトントンで、鶏飼ったら元もケイラン、そういう次第であります。私は、いわゆる農村議員ではございませんが、しかし、農民の怨嗟の府となっている農林省の畜産行政は、実は単に農民だけでなしに、タックスペイヤーとしての国民にも大きな被害を加えつつあることは残念であります。きょうは、私はその一つでありますところの冷凍豚肉の問題につきましてお伺いしたいと思うのであります。  さきに要求いたしまして資料をちょうだいしました四十二年の六月付の衆議院物価問題等に関する特別委員会の要求資料、この冷凍豚肉の資料によりまして、その骨格となる事柄を拾いあげてみますと、全国の総飼養頭数約六百万頭、飼養戸数は四十年二月一日に比べて四十一年、四十二年と微減しているが、飼養頭数では、四十年に比べて四十一年同月には三〇%ふえております。さらにその傾向はアプワードトレンドをとりまして、八月のピークにおきましては三六%増となって、やや高水準のまま現在に至っています。後段のところは書いてない。これはあとから農林省の課長から聞いたことを補足したわけであります。畜産振興扇業団の価格安定調節の機能並びに生産調整の機能が働いておらないのではないかという疑問があるわけであります。四十一年三月から二度目の買い入れが始まりまして、四十二年二月までは万を単位とするところの買い入れでありましたところ、豚肉価格の低落実勢が強いために、横ばい価格をつなぎとめるために、今年三月以降は十万頭の単位をもって大量購入に転じておるということであります。その結果、同事業団買い入れの枝肉の五月現在の在庫高は三万一千二百三十八トン、八十万頭余に相当する数量に達しておる。  以上が要求資料から明らかにされたものでありますが、さらに朝日新聞の六月十二日の社説、あるいは四十二年六月付の全国農業協同組合中央会の畜産対策云々についての資料等を見まして、問題点を摘出してみますと、事業団手持ち約八十万頭分の肉は、価格にして約百六十億円という膨大な金額であります。量にいたしましても全国民一カ月の消費量をこえる量となっておる。冷凍倉庫に山積みのこの保管料だけで毎月二億円の支出を要するという。さらに腐り肉が出てまいりまして、都衛生局から最近百五十トンの不良肉の摘発があり、キロ五百円、トン五十万円として七千五百万円の実質的損害が出てきたという。おそるべきはこの百五十トンの腐敗肉にとどまらず、保管期間が相当長期間になっておりますので、なお不良肉が多量にあると推定されることであります。私は、現在ある、摘発以外の肉でも相当いたんできていはせぬかということを心配している。結局は、当面いたす畜産局のこれが対策は、在庫の処分を市価に混乱的な暴落をもたらすことなしに、いかに有効にこれを果たし得るかということ、この課題であろうかと思います。放出の方途の幾つかをこの際示すべきであろうと思われますが、この点につきましてお伺いします。  それから、さらにつけ加えますが、この二カ年の政府の買い上げの量が異常に多いにもかかわらず、放出のほうはどうかといいますと、資料にもありますとおり、四十一年の八月、九月、十月にそれぞれ約二百トンずつを放出しているにすぎません。世論の風当たりが強くなりまして、今月の上旬に二千トンを放出するということが決定した、こういう事情にあります。二千トンの放出は決定しましたが、その手順等はまだきまっていないようでありますから、この際具体的にお伺いしたいと思います。
  42. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 御質問の点は放出の問題であろうと思うのでありますが、御承知のように豚につきましては、いわゆるビッグサイクルというものがございます。これは単に日本だけではございません。世界的にビッグサイクルというのがありまして、価格がおおむね三年ないし四年周期で変動するという実態があるわけでございます。これは先生も御承知のように、豚は非常に生産力が高いというふうなことが原因であるというふうに思われるわけでございますが、三十七年に低落がございまして買い上げをしたわけでございますけれども、その当時はまさに三年周期という形で、典型的なタイプをとっておったわけでございます。その後、昨年の三月ごろから低落を始めまして、事業団が買い入れを始めたわけでございますが、本来の周期からいえば、四十年が価格の低落する時期だというふうなことが想定されたわけでございますけれども、四十年はかなり価格は向かったわけでございます。四十一年になって低落をするという状態になった。それで四十一年三月から買い入れを始めまして、現在もなお買い入れを続けておるという状態にあるわけでございます。  そこで、法律の規定に基づきますと、先生も御承知のように、安いときに基準価格で買い入れまして、市価が上位価格をこえるか、またはこえるおそれのある場合に放出するということになっておるわけでございます。いわば需給調節という意味も一つは持っておるわけでございます。生産者の保護ということもさることながら、需給調節ということで、消費者のための意味も持っておるわけでございます。そういうふうな形で、価格が高くなりましたら放出するというのがたてまえでございますけれども、しかし、長期にわたって保管するというふうなことがあります場合には、これを市場に放出してもよろしいという例外的な規定もあるわけです。一年有余にわたりまして買い入れが続いておりますので、一体いつまで保管できるかという問題になるわけでございますけれども、豚肉の冷凍したものにつきましていつまで保管が可能であるかということにつきましては、国際的にも国内的にも明確な基準はございません。したがいまして、初めての試みであるわけでございますけれども、それだけにわれわれとしましては、この事業団が買い入れたものが変敗したりすることによって損失が生ずるということを非常に心配いたしまして、絶えず肉の検査をいたしておるわけでございます。現在の状態のもとにおきましては、予想いたしましたよりもはるかに良好な状態で維持されておるわけでございます。ただしかし、いつまでも保管するということになりますと、永久に保管ができるという性質のものでもございませんし、必要に応じて売り渡しをすべきものだというふうに考えたわけでございますが、一方において法律制度の意味が、生産者に対して一定の価格を支持するというふうなたてまえもございますので、極端な価格変動、価格の低落を生じさせるというふうなことは、必ずしも妥当ではないということもございまして、その辺を慎重に配慮しながら、しかも、一方では保管の限度というものもあるわけでございますから、そういうふうな点を考慮しながら、六月の上旬に二千トンの放出を決定いたしたわけでございます。決定するにつきましては、先ほど申し上げましたような考え方に基づいてこれを放出することにいたしておるわけでありまして、何といたしましてもまず需要を拡大して、その需要の拡大したものに売り渡していくというたてまえをとるべきであるというのを、基本的な考え方としておるわけでございます。  そこで、まず第一に学校給食、自衛隊の消費、それから農村は、御承知のように都市に比べまして非常に豚肉の消費が少ないわけでございますから、農村の消費を拡大しながらそこに売っていくというふうなことで、まずこの三つを第一順位として考えておるわけでございます。  第二順位といたしまして、小売り業者並びに加工メーカー等を考えておるわけでございまして、この場合におきましても、できるだけ市況への影響を避けるという意味から、それぞれの県におきまして小売り業者の団体がございますが、これらの団体が消費の拡大事業をやるというふうなことを条件にいたしまして、そういう条件に従って消費拡大の事業をやる場合において、それらの団体に売り渡すということをいたしておるわけでございます。それから加工業者でございますが、加工業者は、主としてハム、ソーセージ等に使います場合には、中肉の消費が多いわけでございます。事業団が現在買い入れをいたしておりますのは上肉に限られておるわけでございまして、中肉の買い入れをいたしておりません。加工メーカーが事業団の放出したものを多量に買い入れるということになりますと、当然中肉価格に影響をするということにもなりかねないわけでございます。そういうことを配慮いたしまして、一定の価格以下に市場価格が低落をいたします場合には、一定量をみずから買い入れて調整保管をするということを条件にいたしまして、そういう条件をのめるものに対して売り渡しをするというふうなたてまえをとっておるわけでございます。これが第二の順位でございます。  それから第三の順位としまして、消費の拡大というような点から、主婦連等の消費者団体に売り渡しをいたすということにいたしておるわけでございます。
  43. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 あなたの考えている市場は非常に狭いですね。とてもストックが多いので、あなたの答弁の方途によってはそのストックを消化し得ないというのが私の実感であります。  それから大事なことは、その議論の前提として、現在保管の肉が品質的にりっぱに保存されておるというあなたの御答弁ですが、その点は議論が分かれるところであります。保管が非常に将来とも安心できるような状態にあるということ、品質がいたんでいないということでしたら、これからまだじっくり考える時間があるわけですが、そうではないと思うのです。私の聞き及んだのは確かな筋からなんですが、大体事業団では四十億円とか六十億円くらいのものは損をするという腹をきめた、そういう情報がありますが、事情はどうなんですか。
  44. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 売り出しをいたします場合に、いたんでいるかいたんでいないかという問題でありますけれども、これは先ほども申し上げましたように、私のほうは肉に関します専門家を集めて検査をいたしておるわけでございまして、したがいまして、その結果につきましては、私たちは信頼をすべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  それから売り渡しをいたすにつきましては、とりあえず二千トンの放出を決定いたしたわけでございまして、現在相当需要が出てまいっておるわけでございます。もしも非常にいたんでおるというふうなことがあるとすれば、そういうふうな需要はないと思うわけでございますけれども、相当な需要が出ておるわけでございます。現在売却をいたしております状況を見ながら、逐次放出数をきめてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、放出する価格につきましては、御承知のように、国内では原則的に生鮮ななま肉を消費するというのが一般的な習慣であります。冷凍肉につきましては、必ずしも一般的な流通の形態ではないわけでございます。そこで、冷凍肉につきましては、現在市販されておるものにつきましても一定の格差というものがあるわけでございます。冷凍いたしました格差、そういったものの格差あるいは歩どまり格差というものがございますので、そういうものを考慮して、市価を基準にして放出価格を決定しておるわけでございまして、これはまさにそのときの豚肉の市価がどうであるかということに全く関係をするわけで、私のほうは、初めから何十億損失をするというふうな覚悟でやっているということは決してないわけでございます。できるだけ国の損失を少なくするということが妥当であるというふうに考えておるわけであります。
  45. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 私は国民経済的視点からものを言っている。あなたは管理者として、所掌事項に対して大過なく一時を糊塗すればいいのだという考えではちょっとぐあいが悪いと思うのです。畜産振興事業団の会計というものは、結局手持ち状態では損失がないようになっておるわけです。したがって、放出したりあるいはこの間のように都衛生局から摘発をされて、百五十トンは捨てなさいというときに損失が計上されるわけです。そういうわけで、畜産局長は極力品質のいたんでいるという事実を隠蔽しようというお気持ちがあるように私は思えるのです。一カ年半以上保管されておるわけですから、品質に影響がないわけがない。したがいまして、事業団として四十億から六十億くらいの損を覚悟ということはかなり実態的に根拠のある話であると私は思うわけです。現状において肉は腐っていない、百五十トンの摘発されたものは摘発されたのだから往生いたします、しかしあとのものは優良だと言う。もっとも、神戸肉同様に、豚肉でも腐る直前がうまいというわけで、現状では需要があるかもしれませんけれども、そこが問題なんですよ。いま需要が相当なのだから御心配要りませんと言っているけれども、その一日一日が微妙なんで、あとがあぶないとこっちは思っておる。その点どうですか。少しはっきり言ってくれませんか。
  46. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 ただいま百五十トンの話が出ましたが、実は病菌豚事件がございまして、世間にいろいろ御迷惑をかけたことははなはだ恐縮に存じておるわけでございますが、たまたま南畜商事から納めました約百五十トンにつきまして問題が出たわけでございますが、そのうち廃棄処分を都の衛生局から指示されましたものは六トンでございます。残りの百四十六トンにつきましては、これは加工メーカーに販売するということを条件にされておるわけでございます。六トンにつきましては、まさに廃棄をする必要があるということで廃棄いたしたわけでございますが、それ以外につきましては、これは保管をいたしまして、衛生局の指示に従って処置をするという考えでおるわけでございます。  今後につきましては、先ほど申し上げましたように、二千トンを出しましてこれで終わりというふうには考えておらないわけでございまして、今後の実情に応じまして処分してまいるということを考えておりまして、今後の情勢を見ながら逐次放出をしていくというふうな考えをいたしておるわけでございます。
  47. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 しつこいようですけれども、四十億円、これは最低だと思うのですが、四十億円の損をするというそれを前提にして逆算しますと、現在のストック三万二千トンのうち、大体四分の一というものはだめだということですね。これにはもちろん加工のほうに回せば使えるのだという反論もあり得る。しかしならしとして、全体的に悪いやつが値引きをされるという形で四十億が出るということでも差しつかえないのであります。いずれにせよわかりやすく言うならば、四分の一がだめだという想定がないと四十億円の損失にならぬわけですが……。
  48. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 四十億円というのが、どういうふうなことでお話が出ているのか私は存じませんが、現在売ります価格は、先ほど申し上げましたように、冷凍格差、歩どまり格差というものがございますので、買い入れた価格そのままで売れるという保証はないわけでございます。したがいまして、現在の段階において売れば、価格は三百二十円でございますから、三百二十円で買い入れたものに加工をいたしまして冷凍保管をいたしますと、売却をいたしますときに損失が出るということは当然であると思うのでございます。ただ、しかし、今後売買いたします価格の推移によりまして、どのような形になって損失が出るのか、あるいは損失が出ないのかという問題になるわけでございまして、悪い肉があるからその分は損失だというふうなことは考えていないわけでございます。
  49. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 押し問答をしてもしようがないんですが、局長の言われることは、損失額は、保管の期間、売れる値のいかんにかかわるものであって、したがって、現状において四十億とか六十億ということは何も言えないということなんで、官僚的答弁ですよ。しかし、この危険があるということを、私どもタックスペイヤーの利害を代弁する議員としては、そのことを考慮しながら処置を求めるのは当然なんです。そういうことで、局長がもう少しおおらかにならないと問題が解決しないという懸念を、私はいよいよ強くするわけであります。きょうあなたは、何か農林水産委員会のほうで緊急な御用だそうですから、次回にもっととっくりお聞きする権利を私は保留しまして、ここであなたを放出いたすことにいたします。  経済企画庁長官がおいでですから、冷凍豚肉に関連しまして御意見をお伺いしたいと思います。  いま安定帯価格で操作しているわけですが、下限が三百二十円、上限が三百九十円、つまり中心値が三百五十五円です。上下に三十五円ずつのアローアンスをつけておるわけです。問題は、三百二十円の下限の価格が妥当かどうかということなんですね。私は農林議員ではないのです。農村が他産業に比して劣悪な扱いを受けていることに対しては、非常に同情はしているんですけれども、事豚の買い入れ価格に関しては、これは零細な、経営能力にかなり欠けるような農家、そういう飼い方をしている一番最低の飼養農家の採算に合うようにきめられておるんじゃないかという疑問があるわけです。いいところやはりバルクラインをもって処理せぬとならぬと思うのです。と申しますのは、この畜安法のたてまえというものは、やはり畜産農家を安定的にするという発想から出ておるわけで、必ずしも消費者行政を含めてこれを十全に運用するという発想からは出ていないような気がするのです。消費者の需要というものを顧慮せずに、何か生産者王国のような別個なそういう世界をつくっている。いまこれはとても通らぬ話だと思うのです。したがいまして、現状生産者価格調整機能を主力にしておるようでありますが、これはばかでもできるわけです。ふえてくれば買い入れればいいんですからね。しかし、百五十億とか百六十億、近く二百億その資金手当が要るということになれば、これは全般のタックスペイヤーからは文句の出るところでありまして、当然われわれも問題にしなければならぬ。狭い価格安定調整機能だけでなしに、実はそれ以前の生産調整それ自体にこの法律を働かさなければいかぬ段階になっていると思うのです。したがいまして、価格におきまして、安定帯価格の中心価格が飼養農家の損失を招かない程度にきめらるべきである。ただし、それは標準をバルクに置いてのことである。非能率飼養農家はやはり損する。それが安定帯価格と言えるかどうか知りませんけれども、そういう基準の取り方をしないと、これは野放しに事業団が貸い入れるというそのコースは避け得られないと思うのです。こういう点で企画庁長官のお考えをお聞かせ願いたいと思うのです。
  50. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先般来この問題につきまして、平岡委員の御質問を伺っておりまして、私も実は、非常にごもっともな御指摘が多いということを心の中では感じておるわけでございます。この制度そのものは、実は私自身もかつて主唱をした一人で出発したわけでございますが、そうして、豚肉の価格の安定ということには確かに現在貢献しておりますけれども、平岡委員の言われますように、国民経済的な視野、ことに納税者の負担ということを考えてまいりますと、やはり何かここで考えなければならない問題があるのではないだろうか。先ほどちょっとお触れになりました点につきましても、私はやはりそういうところに問題があるのかもしれないと思います。少なくとも現在の三百二十円という価格は、昭和四十一年以来それできておるわけでございますが、お手元の資料にもございますように、平均の飼養頭数がかなり上がってきておるというようなことから考えましても、はたしてこの価格というものがぎりぎりのものであろうかどうかというようなことは、あるいは問題があるのではなかろうか。しかし、また他方でそれについて考えるとすれば、これらの飼養に当たっている人々は、たとえば農林漁業金融公庫のようなところから融資を受けて仕事をいたしたりしておりますけれども、それらの融資条件について、何がしかそれに見合うような措置が並行してとられ得るものであろうかどうであろうか、相当いろいろな問題があるように思います。したがって、ただいま私としては軽率な発言をいたしてはならないと思いますので、所管大臣によく御発言の趣旨も伝えますし、また問題を検討することを御依頼いたそうと考えております。
  51. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 問題の処理の方向は、朝日の六月十二日の社説に指摘されておるわけであります。当面の多量ストックの処理につきましては、この社説はまとめのうちの第一にあげておりまして、かように書いてあります。「「思いきって、アジア・アフリカの飢えた人々へ、援助食糧として供与すべし」。当局は、学校給食や自衛隊への払下げを考えているというが、とても大量は望めないし、処理の名に値するほど放出すれば、国内に混乱状態をひきおこすであろう。援助食糧といっても、回教徒は豚肉を食べず、供与先は見つけにくいかもしれない。生肉がだめなら、加工方法を、被供与国と話合ってもよい。要は、処理に勇断をふるえ、ということである」。そういうことで現在の過剰ストックの処理について示唆をされ、それから今後、私が後段で申し上げました生産調整的な踏み込み方をするという意味から、まとめの第二に次のように論じておるわけであります。「「安定基準価格を引下げるべし」。畜産振興事業団が本来もっているはずの、生産調整の機能を呼びさますのである。これは生産者にとって、とくに零細農家にとって痛手となろう。別途に政府の救済策を必要とするが、ともかくも過剰生産なのである。いま少々痛い目にあっても、買上げ制度そのものが崩壊することを考えなければならない。われわれは、現在の豚肉需給安定制度を、今後も存続すべきものと考える。それは生産君だけでなく、消費者も十分保護できるからである。だがそのためには、制度そのものがもつ「経済の原則」を守らなければならない。生産者は一時の苦痛を負う。そのかわり消費者は、豚肉処理のための税金を分担する。豚肉を腐敗から救うには、両者が協力する以外に道はないであろう。」こういう指摘をしておる。非常に的を射た指摘であると思います。この指摘されたことを具現するには非常に大きな作業が要るかもしれませんけれども、要は、やはりこの朝日の論説で指摘しているような方向でこの問題を発展的に解決しなければならぬというのが、国民もそうであろうと思いますが、私の主張であります。どうぞこの点を政府自体におきまして、単に農林省だけでなしに大いに取り上げて、りっぱな活路を見出していただきますることを心からお願いする次第でございます。
  52. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先般来の御意見は私非常に示唆に富むものとして伺ってまいりましたし、実はその社説につきましても私も読みまして、傾聴に値する多くの点を含んでおると考えております。かりに海外にという場合に、確かに回教徒の問題もございますが、そのほかに、それが無償の援助であるのかどうかといったような問題、そうであるといたしますと今度は食肉を供給しております輸出国との関係などがどうなるか、あるいはまたこの価格に問題ありとした場合に、それに対応して、先刻ちょっと触れましたような別途の策が並行して行なわれるかどうかといったようなこともあろうかと思います。しかし、非常に示唆に富んだ御意見であると考えておりますので、所管大臣を中心に速急に研究をいたさなければならない問題だ、かように思います。
  53. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 冷凍豚肉に関する件はこれで一応終わります。  次に、これは園芸局のほうにお伺いします。  野菜生産出荷安定法に基づく野菜指定産地として、六月十七日に農林省は川越のキャベツなど新たに百産地を指定いたしまして、これによって指定産地数は四百十産地となり、作物種類は八種類となりました。物価高の犯人を生産、流通の場で私どもは追跡してまいりまして、この犯人をつかまえるということではありませんけれども、犯人逮捕の有力な手がかりの一つとして、私はこの野菜指定産地の制度というものは非常に貴重なものであると考えております。昔チューネンの法則というのがありまして——いまでもあるのでしょうが、チューネンの法則というのは、大都市を中心にしまして生産物種類の分布図がどういうように変化しているかということを説明した図表であります。しかし、現在はそういうことでなしに、新チューネンの法則が出てこなければならぬと思います。従来のチューネンは説明でございまするけれども、そうじゃなしに、われわれは意欲的に消費需要それ自身に合わせて、蔬菜地帯なりあるいは果実地帯なりを意欲的につくっていく。ただしチューネン時代と違いまして、現在新幹線で大阪から東京まで三時間で来るようなときですから、そういう点は必ずしもチューネンのような、いわゆる幾何学的に順次中心都市から郊外に向かって作物の態様が変わるというようなことではなしに、もう日本国じゅうを舞台にして相当の遠いところでも指定産地にできるようになっております点で、非常に楽な作業でできると思うのですけれども、いずれにいたしましても農林省の野菜生産出荷安定法に基づく野菜指定産地の制度は非常にいい制度と思うのであります。これは大いに今後進めていただきたいと思うのであります。  そこでお伺いしたいのは、百産地を指定したが、四十二年度の予算でどのように裏づけられておるかということであります。  さらに、今年度内に産地と作物の追加指定があり得るのかどうか。  三番目に、現在作物の種類は、キャベツ、タマネギ、キュウリ、大根、トマト、白菜、ニンジン、ネギの八種類になっておりますけれども、そのほかにゴボウを一つ加えていただけるか。選挙区だから言うわけではないが、実は入間ゴボウというのが関西を中心にしまして大きな需要があります。それに、大根、ニンジンと同様に、古くからわが国民の嗜好に合った蔬菜の一つですから、当然指定されていいと思うのです。現状を申しますと、ゴボウの産地は埼玉県と茨城県に集中しております。埼玉県の場合におきまして、入間ゴボウと申しまして、川越市とか所沢市とかあるいは入間郡プロパー、この地域から大体ピークにおきましては、大阪市、京都市、それに神戸市、それから岸和田市向けに年間十トン貨車で千二百車ぐらい行っております。現在では需要としての絶対量は変わらぬと思うのですけれども、茨城ものがせり込んでおりまして、入間産地それ自体としては関西への出荷は漸減しておりますが、それでもいま関西への出荷は全部販連を通じておりますから、正確なデータでわかっておりまして六百軍、それからそれ以外に東京の市場には、近いですから、川越周辺から直接市場へ持ち込まれる、それが推定でやはり同じくらいの壁です。こういうことでありまして、東京方面よりは関西の人がゴボウに非常に執着を持っておりますが、いずれにせよ指定作物の中にやはり加えていただく機会がなければならぬと思うのです。今年度中にそのことができるのかどうか、その点もあわせてお答えいただきたい。もし今年度できないとすれば四十三年度にはこれを入れる、そういう御用意があるかどうかもお伺いしたいと思います。
  54. 千野知長

    ○千野説明員 まず、第一点の野菜指定産地関係の昭和四十二年度におきます予算関係について申し上げますと、前年度は野菜生産出荷安定法に基づきまして三百十産地の産地指定がされたわけでございますが、本年度はさらにニンジン、ネギの二種類をふやしまして、既存の種類と合わせて八種類を対象にいたしまして百産地を新たに指定しております。そういった産地数の増加等に伴いまして、その指導体制あるいは生産、出荷の近代化事業の推進等の助成を含めまして、昨年度は予算額で六億一千二百万円程度でございましたが、四十二年度は八億四千万円程度の予算が盛られておるわけでございます。  その内容について簡単に申し上げますと、まず指定産地の近代化推進の事業で、この中身は、需給見通しの作成とか、あるいは近代化計画の作成、奨励品種の選定、作況調査のための圃場設定、あるいは生産出荷の指導、そういうような関係のものが一億三千万円くらいでございます。それから二番目には、指定産地の近代化事業、つまり指定産地の指定されますと、年次的に生産出荷の近代化計画を立てまして、それの実施のための助成を考えておるわけであります。この関係が一億九千万円くらい盛られておるわけであります。それから第三番目には、いわゆる野菜の安値対策といたしまして、野菜の生産出荷の安定供給というものがあるわけでございます。この関係の助成が三億一千万円くらい盛られておりまして、合わせまして八億四千万円くらいの額に相なっております。  それから第二点の本年の追加指定でございますが、本年は百産地の指定をする予定で予算措置が講ぜられておるわけでございますが、第一次の指定として、去る六月十九日に百産地を指定したわけであります。あとの追加につきましては、都道府県の希望によりまして、政令に基づく指定基準に合うものがあるならば、逐次都道府県知事の意見を聞いた上で指定してまいりたいと考えております。  それから第三点の、ゴボウを新たに八種類以下につけ加えることができるか、それが本年度可能かどうかという問題でございますが、種類の指定は政令で指定することになっております。なお、先般国会を通過いたしました四十二年度の予算におきましては、八種類を対象とすることになっております。四十二年度にゴボウを新たに対象に加えるということは、現在までのところ考えておりません。ただ、先生おっしゃるように、ゴボウは、これら八種類に次ぐ生産あるいは栽培面積、流通量を持っておる種類でございます。したがいまして、現在ゴボウの産地の実態がどうなっておるか、ただ生産量あるいは流通量が多いというだけでは、なかなか指定産地制度の対象に組み込めない性格のものであります。産地の生産あるいは出荷体制というものにある程度まとまりを持ち、組織系統化がされておらないと、やってみても効果があがらないというものもございますので、現在各産地の実態を調査しつつ検討を進めておる段階でございます。      ————◇—————
  55. 戸叶里子

    戸叶委員長 この際、生鮮食料品価格安定に関する件につきまして発言を求められておりますので、これを許します。武部文君。
  56. 武部文

    武部委員 この際、生鮮食料品価格安定に関する決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     生鮮食料品価格安定に関する件(案)   本委員会は、生鮮食料品価格安定を図るため、政府が左記の諸事項を積極的に講ずるよう要請するものである。       記  一、野菜集団産地指定の促進、育成の強化及び関係者の協議会による計画生産、計画出荷の体制を確立する。特に野菜安定資金制度の拡充強化に努めること。  二、水産物については、漁業生産基盤の整備、中小漁業の近代化を進めるとともに水産資源の保護育成等について積極的な施策を講ずること。  三、中央卸売市場の施設の急速な整備を図るため、国庫補助率の引上げその他必要な地方財政上の措置の拡充強化に努めること。  四、中央卸売市場において、国及び開設者は、次の諸事項に留意し改善を図ること。   1 中央卸売市場の取引については、公明かつ適正を旨とし、流通の実情に即した合理的なルールの確立と、これが遵守に努めること。   2 卸売人については、市場ごとにその実情に即した統合、合併あるいは大型化などによってその機能強化を促進すること。   3 仲買人については、その機能の充実を図るため、適正競争が行なわれる範囲での大型化を図るとともに共同化を促進すること。   4 標準的な卸売価格の表示装置の整備をすること。  五、地方市場の施設整備と統合を積極的に進めること。  六、小売商の近代化については、既存企業形態の近代化を基礎としながら協業化、総合化を進めるとともに、これが推進につき必要な援助措置を強化すること。  七、流通の円滑化のため、生鮮食料品の等級、規格、荷造、包装を改善すること。特に産地包装と小売包装の連続性を図ること。  八、コールドチェーンなどの保鮮流通については、技術開発とともに経済性についての検討を加えること。  九、生鮮食料品生産、流通、価格等に対する情報サービスを、生産者、流通関係者及び消費者に対して、十分に提供するよう施策を強化すること。  十、合理的な食生活を目標とする消費者意識の啓発に努めるため、消費者行政を強化すること。  十一、消費者への利便供与並びに具体的な啓発刺戟のため地域の実情に応じて、公設小売市場の増設、生活協同組合の活用に努めるとともに、移動販売方式の導入についても検討を進めること。 以上であります。  本案は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかるものであります。  本委員会は、この生鮮食料品問題につきまして、五月十日の委員会以来十数回にわたり鋭意調査を進めてまいったのであります。この間、五月十二日には、築地及び神田の中央卸売市場を早朝からつぶさに視察いたしまして、市場が当面いたしております諸問題につきまして、市場関係者から説明を聴取するとともに、これが解決策につきまして種々調査をしてまいったのであります。また五月三十一日及び六月一日には、東京、大阪の中央卸売市場の関係者を参考人として招致し、市場開設者、卸売り人、仲買い人並びに小売り商、それぞれの立場からの意見を聴取いたしますとともに、問題の究明とこれが解決の方法につきまして調査を進めてまいったのであります。また一作二十七日には、埼玉県の戸田市に参りまして、移動販売車の営業状況並びに食鶏の処理状況などを視察してまいったのであります。  本決議案は、これら調査の結果と、われわれの生鮮食料品問題に対する共通した意見を集約いたしまして、できるだけ調整をはかりまして、四党間において完全な意見の一致を見た次第であります。したがいまして、政府はこの決議案の趣旨を十分尊重されまして、できる限りすみやかに本趣旨が実現できますよう善処せられんことを強く要望いたしまして、提案の趣旨といたします。
  57. 戸叶里子

    戸叶委員長 おはかりいたします。  ただいま武部文君から提案のありました生鮮食料品価格安定に関する件を、本委員会決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 戸叶里子

    戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本決議関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 戸叶里子

    戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  この際、ただいまの決議に対しまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤経済企画庁長官。
  60. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 当委員会におかれましては、発足以来、生鮮食料品価格安定につきまして特に御関心をお寄せくださいまして、非常に詳細な審議、調査を行なわれました。また、何回か現地につきましても御調査をいただいたわけでありまして、特に御関心をお示しくださっておりますことに心から感謝をいたしております。  政府といたしましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、御趣旨に沿いますように行政をいたしてまいる所存でございます。
  61. 草野一郎平

    ○草野政府委員 ただいま当委員会におきまして、生鮮食料品に関する価格安定の御決議をいただいたわけでございますが、御趣旨を十分に尊重いたしまして、実行方法につきましては検討を加え、十二分に善処いたしたい、かように考えております。     —————————————
  62. 戸叶里子

    戸叶委員長 次に、堀昌雄君外九名提出の物価安定緊急措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。堀昌雄君。
  63. 堀昌雄

    ○堀議員 ただいま議題となりました物価安定緊急措置法案の提案理由を御説明申し上げます。  今日、国民がひとしく望んでおりますのは物価の安定であると言っても過言ではありません。ここ五、六年、消費者物価の上昇は著しく、三十五年を一〇〇とする消費者物価指数は、四十一年に至り、一四二・一となりました。また、久しく安定しておりました卸売り物価指数も、四十一年は三・八%という驚くべき上昇を示しました。  消費者物価も四十年の対前年上昇率七・六%と比べ、四十一年の対前年上昇率は五・一%と低下いたしましたが、これをとらえて政府は、物価安定の実が大いにあがったと強調いたしております。しかし、これは、四十一年が好天候に恵まれ野菜の価格が下落したこと、消費者物価指数の構成比が変えられたこと、また四十年の異常ともいえる上昇に対する反動という要素があるのでありまして、政府の対策が功を奏したということとは、全く次元を異にするものであります。それのみか、五・一%という数字自体が、欧米諸国と比べて、異常なものであることを強調せざるを得ないのであります。  したがって、昨年の物価の趨勢を見て、即本年度以降物価が安定基調に移ると判断することはまことに危険であると言わざるを得ません。すでに十月からの生産者米価をはじめ電信電話料金、たばこなどの一連の公共料金の位上げがプログラムに入れられており、また昨年以来の卸売り物価の上昇基調を考えますならば、消費者物価上昇の要因は依然として除去されていないのであります。もとより物価問題は、日本経済に調節、間接に関連する問題であります。政府の経済政策、財政政策の破綻、さらには、その大企業中心の諸政策によって生じた二重構造、都市問題、こうした諸問題が放置されている限り、長期の物価安定がはかられるはずはないのであります。  物価の異常な上昇ほど、国民生活を破壊するものはありません。この国民生活を破壊する根源をいかにすれば断ち切ることができるのかを、いまこそ真剣に考えるべきであります。物価の異常な上昇は、国民の政治への不信を醸成し、社会の混乱の大きな原因になることは、諸外国の例を引くまでもなく、周知のとおりであります。こうした混乱を、国民生活の破壊を、あらゆる手段を講じても緊急に避けなければならない、年間六%も七%も上昇する物価を何はともあれ安定させなければならないという立場から、ここに物価安定緊急措置法案を提出することといたした次第であります。  今日、物価の問題は、単に物価そのものの対策だけでは解決し得ないのでありまして、総合的な経済政策、すなわち財政、金融政策を含んだ計画的な経済政策から、生産振興対策、流通対策、さらには消費構造にまで入り込みまして、包括的な対策を立てることが必要でありますが、そういたしますと、これは日本経済の根本的な立て直しをはかる経済計画法たる性格を有することになり、短期日のうちにはとうてい制定を見ることは不可能であります。  そこで、ここに提案いたしました物価安定緊急措置法案は、五年間に時限立法といたしまして、緊急な物価安定策を織り込んだのであります。この法案の大きな特徴は、公共的な料金を国会もしくは内閣の審議にゆだねるとともに、内閣に強力な諮問機関である臨時物価安定調査会を設けて、物価上昇に関連するあらゆる要因について調査し、内閣に答申するというものであります。  政府は、昨年十二月経済企画庁長官の諮問機関である物価問題懇談会が解散した後、本年に入り、総理大臣の諮問機関として、物価安定推進会議を発足せしめました。物価問題懇談会は、四十一年一月から、その解散にいたる同年十二月まで、十一項目にわたる提案をいたしましたが、そのほとんどが政府によって全く顧みられなかったことは、はなはだ遺憾といわざるを得ません。これは、単なる経済企画庁長官の諮問機関にすぎず、法律に基づいた機関でなかったところにその一端の理由があろうかと考えるのであります。総理大臣の諮問機関である物価安定推進会議、私どもの臨時物価安定調査会の役割りと、その発想において類似点が少なくはありません。しかし、最も異なっている点は、物価安定推進会議は法律に基づかない機関であるということであり、したがって、物懇と同様、単なるサロン会議にすぎなくなる危険が十分考えられることであります。今日の物価対策は、もはや語り合うことではなく、実行することに向けられなければなりません。われわれが法律に基づいた強力な機関の設置を主張する理由はここにあるのであります。  また、この法律におきまして特に強調いたしましたことは、経済政策が物価と不離一体の関係にあるとの観点から、予算の作成にあたって、内閣はその内容をこの調査会にはからなければならないとしたことであります。少なくともこの五年間、物価安定の緊急性にかんがみ、この法案が大きな役割りを果たすことを確信いたしまして提案をいたした次第です。  次に、法案の内容を御説明申し上げます。  第一は、この法案の目的であります。最近における著しい物価の高騰をすみやかに抑制するため、公共料金その他政府が規制する価格、料金等について特別の措置を講じ、臨時物価安定調査会を設置して、物価の安定に関する重要事項を調査審議させる等、物価の安定をはかるために必要な措置を講じ、もって健全な国民生活の維持及び向上をはかる、これが目的であります。  第二は、政府の義務についてであります。これは政府が長期経済計画その他の経済に関する基本的な政策を策定するにあたっては、物価の安定について十分な考慮を払い、いやしくも物価の安定を阻害することのないようにすること、さらに物価の安定をはかるために、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるべきことを義務づけているものであります。さらに内閣が予算を作成し、並びに財政投融資計画及び地方財政計画を策定するにあたっては、これが物価に重大な影響を及ぼすものであることにかんがみ、これらを後述いたします臨時物価調査会にはかるべきこと、及び物価に関する年次報告、講じようとする施策を明らかにした文書の国会提出を義務づけているのであります。  第三は、公共的な料金もしくは価格について、国会の議決または承認を要するものと、内閣の決定を経て定めるものに分類したことであります。前者は、国の独占的事業であります国鉄運賃、郵便、電信、電話料金、製造たばこの価格、NHK受信料、米穀の販売価格と、民間であっても、著しく公共性の高い電力料金とし、後者は従来各省認可であります私鉄運賃、通運料金、水道、ガス料金、航空運賃など二十二品目といたしました。なお、後者の内閣の決定を経て定める料金もしくは価格に関しては、その閣議決定にあたり、臨時物価安定調査会にはかることを義務づけているのであります。  第四は、この法律案の基底をなす臨時物価安定調査会の設置についてであります。臨時物価安定調査会は、内閣に置かれる諮問機関でありまして、両院の同意を得て、内閣が任命した三十名によって構成され、次の事項について調査審議し、内閣の諮問に答申し、意見を述べることができるのであります。  調査審議いたします項目は次のとおりであります。  一、鉄道における運賃その他の公共料金等政府が規制する価格または料金に関する事項  二、独占または寡占の状態にある大企業における生産品または役務の価格または料金に関する事項  三、農業、中小企業の低生産部門における生産品または役務の価格または料金に関する事項  四、生産品または役務についての価格または料金に関する共同行為に関する事項  五、生産品の流通機構に関する事項  六、地価、地代及び家賃に関する事項  七、その他物価の安定に関する事項  第五は、専門委員、幹事、事務局についてであります。専門委員は専門の事項を調査するものでありまして、学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命することといたしました。幹事は学識経験のある者及び関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命し、調査会の所掌事務について委員を補佐することといたしました。事務局は調査会の事務を処理することとし、内閣総理大臣によって任命される事務局長のもとに三十名を定数とすることにいたしました。  最後は、主務大臣と法律の有効期間についてでありますが、内閣法にいう主任大臣は総理大臣とし、また法律の有効期間は、施行の日から五年を経過した日までとすることにしたわけであります。  以上、提案の骨子について御説明申し上げましたが、よろしく御審議の上、物価安定の緊急性を御認識いただきまして、御賛同下さることをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
  64. 戸叶里子

    戸叶委員長 以上で、提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。   次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後、零時二十四分散会