○池内
参考人 大阪市を中心といたしました
生鮮食料品の
流れといいますか、
実態を開設者の
立場から
お話いたしたいと思うわけでございます。
参考までにお手元に「
市場概要」という簡単なパンフレットをお配りいたしておりますので、それに基づきましてごく簡単に御説明したいと思います。
皆さん方いろいろよく御
承知のとおりでございますので、なるべく簡単にやりたいと思いますが、まず三ページ、四ページをお開き願いたいと思うわけでございます。
大阪市の場合、現在福島の本場と東部の
市場と南部
市場、南部
市場は非常に小さい
市場でございますので、実質的には
大阪を中心とした
生鮮食料品の
流れというものは、福島にある本場と東部
市場と二つでやられておるという状況であります。大体そこに書いておりますように、詳しいことは見ていただけばわかるわけでございますが、本場の場合は規模が約十二万平方メートル、三万六千坪でございます。これは御
承知のとおり
昭和六年に開設いたしまして三十五年経過いたしておりますので、施設も非常に老朽化いたしておるわけでございます。その中にございます立体駐車場あるいは冷蔵庫、こういった施設は大体四十一年度に新たに建設いたしまして、非常にりっぱなものになっておるわけでございます。
それから東部
市場のほうは、大体八万三千平方メートル、二万五千坪でございまして、施設の能力から申し上げますと、本場に対する六割の能力を持っておるわけでございます。これは
昭和三十九年の十一月から業務を開始いたしておりますので、大体この二つで
大阪を中心とした
生鮮食料品がまかなわれておるといってよいと考えるわけでございます。
しからば、そこの
市場でどのくらいの荷物がどういう形で扱われておるかということでございますが、それはまず八ページをごらん願いたいと思います。八ページのまん中でございますが、福島の本場では数量にいたしまして、そこに扱い品目を全部書いておりますが、合計いたしまして四十一年中に七十六万トン、金額にいたしまして八百五十五億円でございます。日にいたしまして、本場では大体二千四百五十トンの扱いをいたしております。それから九ページに書いておりますとおり、東部
市場におきましては、現在、年間にいたしまして二十三万三千トン、二百二十億ということで、日に平均大体七百五十トンの扱いをいたしておるわけでございます。合計いたしまして、数量に直しますと、九十九万五千トン、金額で千七十七億円ほどの年間の扱いを
中央市場でいたしておるわけでございまして、一日平均、数量に直しますと約三千二百トンの荷物を両
市場において扱っておるわけでございます。
これが大体
大阪市を中心といたしまして、
大阪市の
市場の供給圏において消費されます全体の量の
うちどのぐらいの割合を占めておるかということば、多少業種品種によって違うわけでございますけれ
ども、
鮮魚の場合は大体両
市場におきましてその九五%、ほとんどが両
市場を通じてまかなわれておる、こういうことでございます。それから蔬菜の場合は、
大阪府下に約八十ほどの地方
市場あるいは類似
市場等がございまして、その周辺の地域の生産物を集めて周辺に
販売する、こういうような
市場がございますので、そういったものを考えますと、大体
中央市場を経由して扱う荷物は六〇%ないし七〇%ではないか、こういうように考えるわけであります。それからくだものは約八〇%、こういう状況に相なっておりまして、大体
生鮮食料品の流通といいますか、物の
流れは、この両
市場においてほとんどそのウエートを占めておると言って間違いはないと思うわけでございます。
大体そういうふうでございますが、そういった日量約三千トンの荷物でございますけれ
ども、これがどのような地域に配給されておるかということでございます。それは十三ページと十四ページをごらん願います。そこに書いておりますとおり、四十一年十月の五日に
調査いたしたわけで、これは毎年
調査をいたしておりますので、一日の
調査でございますので多少の誤差はありますけれ
ども、ほとんど毎年同じような数字が出ておりますから、それも確実なものであると考えてよいわけでございます。大体約三千二百トンのその日の入荷があったわけでございますが、その
うち大阪市内で消費されますもの、そこに指定区域内搬出量と書いてありますが、これは市内を対象にいたしておるわけでございます。それが、品目によって違いますけれ
ども、一番上にありますように、市内で消費されます分が五一%であります。それから指定区域外、
大阪府下に
流れるのが約二九%、それから他府県でございますが、兵庫県の西のほう、それから奈良、和歌山、京阪間の一部でありますが、そこへ約二〇%というものが
流れておるわけでございます。
大阪市の
市場は、先ほど申し上げましたように、
大阪市が
昭和六年以降ずっと開設いたしまして、当時は大体
大阪市内を消費圏というものに考えまして、事実そのとおりだったわけでございますが、その後における社会、経済の発展、特に輸送機関等の発展によりまして、ただいま申し上げましたように市内の消費量が約五〇%、あとの五〇%は府下並びに他府県に行っておるということでございまして、この点につきましては、
大阪だけではございませんが、
大都市の
中央市場が、いわゆる集散
市場的な機能を多分に持ってきておる、消費
市場として発展してまいりました
市場が、そういった集散
市場的な性格を非常に持ってきておるということが
一つの大きな特徴でございまして、この傾向は、将来とも伸びていくのじゃないかというように考えておるわけでございます。
大体そういう状況でございますが、これらの荷物と現在の両
市場の施設の
関係、扱い能力の
関係がどういうことになっておるかということでございます。本場では先ほど申し上げましたように約日量二千四百トンの荷物を扱っておるわけでございますが、
農林省の基準から申し上げますと、大体の扱い能力は千五百トン、こういうことに相なっております。したがって、非常にオーバーロードの仕事をいたしておるわけであります。東部
市場は、昨年中は七百五十トンですが、大体最近八百トンぐらいになっておるわけでございます。基準の扱い能力は約千トンでございます。したがって、多少余裕があるわけでございますが、これは
大阪市の東南部並びに府下の人口増加に伴いまして、間もなくこの基準量もオーバーするのじゃないか、こういうように考えておるわけでございまして、そういった意味で、
市場におきまする正常な
取引、いわゆる
市場法なり業務規程に定められました
取引を正常に行なうためには、どうしてもこういった施設の整備拡充が必要になる、こういうように考えておるわけでございまして、この点につきましては、いま
中央市場の審議会においても、過密都市における
市場のあり方ということで、いろいろ御検討を願っておるわけでございますが、どうしてもやはり開設者の
立場といたしましては、施設の整備拡充をやるということが絶対必要な状況になっておるわけでございます。
この点につきまして、特に私のほうから開設者の
立場としてお願いいたしたいことは、
物価問題その他で、国のほうではいろいろ問題を取り上げられ、特に
中央市場の問題については、いろいろ御批判なり問題点があるわけでございますけれ
ども、また
農林省のほうにおいても、いろいろ指導監督その他については力を入れてもらっておるわけでございますが、どうしても正常な
取引をやるためには、施設の整備拡充をいたしまして、ある程度われわれが
業者に対しても十分指導監督できるような施設にしなくてはならないということでございまして、これには非常に多額の経費がかかるわけでございますが、国の
中央市場に対する建設費その他の補助金というものは、非常にわずかでございます。
たとえば、この一、二年補助対象は、
農林省の努力によって非常に拡大はしていただきましたけれ
ども、新しく
市場をつくる場合には、補助対象になります建設費の三分の一の補助であります。それから、一たん建ててしまいました既設
市場につきまして、あといろいろな施設の整備拡充をやる場合には五分の一の補助しかないわけでございまして、ただ建設の途上だけではなしに、毎年の
市場を運営管理いたしていきます場合にも、
大阪市の場合におきましても、大体二億円程度の市費の持ち出しを毎年やっておるわけでございます。こういった状況でございますので、先ほど来申し上げました施設の整備拡充その他を考える場合には、どうしても国からの大幅な財政援助というものを考えていただかなくてはならぬのじゃないかと思います。いろいろ業界のほうからも、施設の整備拡充は、
取引の正常化のためにはそれが必要であるということはいわれておりますし、われわれも努力はいたしておりますけれ
ども、国も
物価場合を取り上げて大きくいろいろ問題を推進されるためには、この点について格段の御努力をお願いいたしたいと同時に、先生方にも特にこの点を、開設者の
立場としてお願いいたす次第であります。
大体、施設その他の状況はそういうことでございますが、ただ、次に、いろいろ流通機構の問題が出ておりますので、この点について
お話ししておきたいと思うのですが、私は、
水産物あるいは
青果物等を中心といたしました
生鮮食料品の性格が
——性格といいますか、内容あるいは取り扱いの状況というものが著しく変わらない限りは、現在の
中央卸売
市場の機構というものは当分これでいいのじゃないか、こういう考え方を持っております。大体、せり
取引の原則というものは、いまの
生鮮食料品の取り扱いの状況からして当然ではないか、こういうふうに考えております。ただしかし、最近には、いろいろ先ほど来
お話がありましたように、
冷凍魚とか非常に高度の加工された食品も出てまいりますし、あるいは
青果の一部で、これは特にくだものでございますが、非常に
産地が大型化され、大型の
産地で包装規格が非常に統一してきておるといった問題については、これは見本
取引だとかあるいは定価売り的な
販売もできるのじゃないか。こういう点は、いろいろ卸、
仲買いの双方の
立場もございますし、こういった問題を加味しまして
一つのルールをつくっていくということは考えられると思うのでありますが、本質的に
中央市場の機構をいますぐどうこうするということは、まだ少し早いのじゃないかというような気がいたしておるわけでございます。
といいまして、それでは
市場機構の中で改善する点はないのかといわれますと、これはたとえば七ページ、八ページの辺をごらん願いましたらわかりますように、
大阪市の場合の卸売り人の数あるいは
仲買い人の数等を書いておりますけれ
ども、やはり卸売り人の場合にも一定の規模を持つということが必要じゃないかと思います。いわゆる卸のある程度の整理統合というような面は考えてみなくてはならないのじゃないか。そういうことによって、卸の経常を安定化していくということによって、
生産者に対する
利益あるいは
消費者に対する
利益というものも保護されるのじゃないかということも考えるわけでございます。
それから
仲買い人の問題でありますが、
仲買い人は従来個人を対象として整理しましたので、非常に小さなものもあるわけでございまして、これらの整理統合の問題、ことに
仲買いの合理化という問題につきましては、まずやはり個人的な経営では困るのでありまして、経営の
実態を明らかにし、いろいろな経費その他の状況を見まして合理化をはかるというためには、どうしても法人化、法人化を進めた上でもさらに大型化を進めていくという必要があるのじゃないかということで、
農林省並びにわれわれともに寄りまして、こういった線に向かいまして、いろいろ
市場内部の合理化の問題をいまはかっていっておるわけであります。
中央市場の中の問題につきましては、大体そういった点が問題になるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。いろいろ卸、
仲買いにつきまして問題がありますけれ
ども、少なくとも現在の六
大都市あるいはこれに類する
大都市におきましては、大量の荷物を、また非常に保存性の少ない荷物を、短時間にしかも適正な需給を反映した
価格をつくる、いわゆる
価格形成と分荷の機能を果たすためには、現在の卸、
仲買いの機構をいろいろ整備改善せんならぬ点はありますけれ
ども、やはりこの
組織が中心となっていくのじゃないかということでございまして、いろいろ
生鮮食料品の内容、性格が変わってきました場合には、それに応じて卸、
仲買いの制度あるいは
中央市場の機構というものも逐次考えていくということでございまして、いろいろな
実態を基礎にいたしまして、ルール化さらには法の改正に打っていくということまでやらなくてはならないのではないかというように考えておる次第でございます。
それと、これは私のほうの所管外になって恐縮でございますが、
中央市場の中におきまして正常
取引だとかいろいろ
市場の問題について御批判があったりするわけでございますが、もちろん、われわれはその問題について真剣に取り組んでいく必要があるわけでございますが、生
産地からのいろいろな
出荷の状況、これについても格段の御努力をお願いせぬと、なかなか
中央市場だけでは片がつかぬのではないか、こういうように考えるわけであります。たとえば、先ほど申し上げましたように、くだものの一部等については、かなり包装規格あるいは検査制度が統一されまして、こういったものについては、東部
市場でやっておりますように、せりの機械化ということもやれるわけでございますか、一般的に申しまして魚
——冷凍魚なんかは別ですけれ
ども、無あるいは野菜類につきましては、県ごとに県の中での状況がいろいろ違いますし、あるいは、特に
全国的にそんな包装規格の統一といったようなものはまだとうてい考えられない状況でございまして、いろいろな
市場機構の合理化をはかるためには、生
産地におけるそういった包装規格、検査制度の確立ということと同時に、生産、
出荷の計画性というものをさらに強化していただかなくては、いつも値が上ががったり下がったりするという状況は片がつかないのじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。
それと同時に、
小売り商の方も先ほど来いろいろ
お話がございましたとおり、最近の労働力の不足あるいは
人件費の高騰等、御苦労を願ってやってもらっておるわけでございますが、これはいわゆる
仲買い人と同様、
大阪の場合特に
小売り尾さんの数が非常に多い、しかも非常に零細であるということから、やはりこれは
小売り業の近代化という点を、非常に抽象的でありますが、やっていただかなくてはならない、こういうように思うわけでございます。最近そういったきざしが多く見えてきておるわけでございますけれ
ども、
小売り関係の共同化、協業化あるいはチェーン化、こういったいわゆる近代化の問題を進めていただきまして、
中央卸売
市場の中でも卸、
仲買いの、いわゆる生産性を高めると同時に、特に
小売り業のほうにおきましても、そういった近代化を通じて、やはりこれは中小企業一般の問題にもなってくるわけですけれ
ども、非常にむずかしい問題で、特に
八百屋さん、魚屋さんは、業界の方を前に置いて非常に恐縮なんですけれ
ども、なかなか一緒に
商売をするということにはむずかしい面もございます。これは確かに技術的にむずかしい面もあるわけでございますが、やはりこういった問題を解決しなくてはならないと思いますので、こういった面につきましても、いろいろ今後国といたしましても特別な御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。
時間もまいりましたので、一応私の説明をこれで終わります。(拍手)