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1967-06-01 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 小峯 柳多君    理事 砂田 重民君 理事 武部  文君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    佐藤 文生君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       中山 マサ君    粟山  秀君       井上 普方君    武藤 山治君       河村  勝君    山田 太郎君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局参事官  矢野 智雄君         農林省農林経済         局消費経済課長 森実 孝郎君         参  考  人         (全国青果小売         商組合連合会会         長)      大澤常太郎君         参  考  人         (全国水産物小         売団体連合会会         長)      安井藤次郎君         参  考  人         (神戸生魚商組         合連合会会長) 三坂 則正君         参  考  人         (大阪中央卸         売市場長)   池内英太郎君         参  考  人         (東京中央卸         売市場長)   土屋 鉄蔵君     ————————————— 六月一日  委員有島重武君辞任につき、その補欠として山  田太郎君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(生鮮食料品流通問  題)      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  昨日に引き続き、生鮮食料品流通問題について、全国青果小売商組合連合会会長大澤常太郎君、全国水産物小売団体連合会会長安井藤次郎君、神戸生魚商組合連合会会長坂則正君、大阪中央卸売市場長池内英太郎君、東京中央卸売市場長土屋鉄蔵君の各参考人から意見を聴取することといたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人の皆さまには、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本日は、生鮮食料品流通問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、本委員会調査参考に供したいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  なお、御意見の開陳は、委員長指名順にお願いすることとし、お一人二十分以内におまとめいただくようお願いいたします。  それでは大津参考人にお願いいたします。
  3. 大澤常太郎

    大澤参考人 御指名でございますから、私が東京並び全国青果小売商組合を代表いたしまして、これから説明をさせていただきたいと思います。  物価値上がり原因が、その半分が食料品であって、そのまた半分が生鮮食料品であるということは、皆さん案内のとおりであります。生鮮食料品の中にもいろいろな種類がございますけれども消費者の声を伺ってみますと、一番生きていく上に欠くべからざるものは米と野菜だ、こういうお話がございまして、特に青果物うちでも蔬菜は、天候、気候に支配されまして、価格の高下がはなはだしい。そんな関係で、消費者の方から指弾をされやすく、物価値上がりのすべてが青果物しわ寄せをされておるというのが現状でございます。  私ども小売り商組合員が、東京並び全国にどのくらいあるかと申しますと、東京は店を持って販売をしている者が大体一万人、そのほか行商などを加えますと、まだ二割ほどふえることになると思うのでございます。全国では約十万ほどございます。  そこで、生産者手取り価格が安いのに小売り価格が非常に高いじゃないか、こういうことを常に消費者の方から言われるわけであります。それはそのとおりでございます。順序を経て申し上げますと、生産者につきましては、あんまりでき過ぎますと豊作貧乏というようなことで、非常にお気の毒なこともございます。けれども、逆にまた相当な値段取引をされるような、満足のされるようなときもございます。豊作貧乏のときには、特に政府が指定をいたしました品種につきましては、国または地方団体、あるいはその関係協同組合等から、その損害の補償をされるようなことになっております。それから卸売り会社は、出荷者委託品をそのまま大量販売をいたしまして、そうして値段のいかんにかかわらず規定の手数料というものが入ることになっておるのでございます。仲買い人は、自分の所属する市場仕入れをいたしまして、そうしてそのまま、産地から出荷をされました荷づくりのままでもって、自由な利益をもって卸売り行為をいたしておるわけでございます。  これに反しまして小売り商は、自分うちにいて一般の商品のように仕入れができない。どうしても市場へ買いに行かなければならない。そうして仕入れ品物は、他の商品と違いまして自分でもって始末をして、自分で運送をしてこなければならない。それから消費者向き手入れをしなければならない。一箱、一俵というような市場で買ってきたものを、そのまま売れるわけじゃありませんから、これを小分けにし、品によっては小口の包装もしなければならない。そうする上におきましてどうしてもロスが出る。腐敗品が出る。それから青果のほうでは、大体統制のある荷物でも十五キロという荷づくりになっておりますけれども、遠くを汽車にゆられ、自動車にゆられてくるのでございますから、水分の多い商品ですから、どうしても目方が減ってしまう。目切れが多い。こういうことが、一番小売り商仕入れたものに対する原価高騰原因にもなるわけであります。  それから、われわれが買ってきたものがそっくりそのまま一つも残らず毎日売れるかというと、そうはいかない。必ず何品かのものは売れ残り品がある。これはあくる日になれば鮮度が違いますから、前の日に売ったような値段で売れない。  このごろは産地のほうの荷づくりが非常によくなりました。ほんとに昔と比較になりません。けれどもまだまだごみがたくさんある。昨年の統計によりますと、東京中央市場関係だけで出たごみは七千五百トン、そうしてその清掃費が一億三千万ということであります。それから私ども組合員市場で買ったものを処理するために出たごみが、組合で払っておりますが、七、八百万円、さらに小売り店の店に持ってきましてまたそれを手入れをする。お客さんが大根葉を置いていってしまうとかいうようなごみ始末に困りまして、都の清掃局にお願いをしてとってもらっておるわけであります。これがこのくらいのバスケットに一ぱい三十六円。ですから、ちょっと売れる店でごみがたくさん出るような店になると何万、大型になりますと何十万というごみ代を払っておるわけでございます。そういうような売れ残り品であるとか腐敗品が出ないで、仲買い市場で売るように、買った品物がそのままそっくり消費者に売れるのですと、非常に小売り商もしあわせなのでございますが、いまのところそういうわけにいきません。  ところが、どんなことがありましても、小売り商に対しては何の保証もないのです。八百屋は御承知のとおり重労働でございます。皆さんにそんなことを言っちゃ恥ずかしいのですけれども、多くの業者うちでは、従業員を使いましても、なかなか労働基準法を完全に守るということはできないような状態でございます。それでも人手不足で、なかなか雇用が困難だ。いろいろな機関に頼んで人手を求めようといたしますが、安定所なんかへ行っても、何の御商売八百屋です、まああきらめてくれ、こういうような状態でなかなか進んで八百屋従業員になってくれる者がない。こういうようなことで、しかたがないから子供までも動員して、家族総動員商売をするというものが数多いのでございます。そうして市場との取引におきましては、代金の支払いは、中央市場規定に従ってほとんど現金です。きのうも大阪の魚のほうの関係の人に取引状況を聞きましたが、魚のほうは、大体十日から二十日ぐらいは小売り商に貸しているというお話がございましたけれども東京青果市場では、東京ばかりじゃありませんけれども、ほとんど現金に近い三日目払い、きょう品物を買って、あくる日請求書がきて、すぐ払ってしまう、これは三日目払いでございます。それを組合が引き受けまして、相当な資金をもって完全な代払いをいたしておりますために、何十年間の市場との取引きにおいて一銭の貸し倒れがない、まあこれは協会の美談だということで、第三者の方からほめられておるようなわけでございます。しかるに、お得意さんに対しては、特に上得意にはみんな貸しております。さらに配達をしろというなら配達もいたしております。  そういうようなことで、なかなか卸や仲買いのように、市場で買ったものをそのままそこで売るというようなわけにはいかない、小口で売るのですから。ものが高いときになると、キャベツを半分くれ、四つに切ってくれ、大根もしかり、そういうようなこともあります。そこで手数もかかる、人件費もかかる、物件費もかかる、こういうようなことで、卸や仲買いより小売りのほうが、利益を幾らか高くちょうだいしなければならないというのが現状でございます。  それから、私どもは、御案内の方も多いと思うのですが、物価の問題を非常に気にいたしまして、消費者団体との折衝も多いものですから、低物価政策実施のためにはやがて政府から何かの命令があるに違いない、われわれはその命令を待つことなく、自分の力でできることは進んで低物価政策協力をしたらよかろうじゃないか、こういうことで話し合いをいたしました結果、御案内のとおり、昨年の四月から、月に一回ですけれども安売りデーを実施いたしておるのであります。これは、従来三割もうけていたものは、そのうちから一割を犠牲にいたしまして、一割引きというようなことにして販売をいたしておるわけでございます。これに対するいろいろな御意見もあるかもしれませんけれども、いまのところ比較的順調にいっております。そして消費者団体のほうから歓迎されて、できることならもう少し回数をふやしてもらえないか、こういうようなことです。業者は利をもって生きているのですから、三割のうち一割でも犠牲にして安売りをするということは、ほんとうは望ましくないことでございます。けれども時代はそうしなければならないのだからというので、納得さして、それを東京では全部やっておるわけです。東京と申し上げましたが、現に東京では、私ども業者のほかに十一業種、十五団体が、日にちをきめまして安売りデーを実行いたしております。それで、ちょうど三日に一ぺんは安売り日があるというようなことで、幾らか低物価政策協力の意思が、消費者の方におわかりになるのじゃないか。まあ一ころよりは、非常に攻撃のしわ寄せがこなくなりました。  そこで、私どもも、青果物販売立場におりますけれども、やっぱり消費者立場にある、青果だけでは生きていかれませんから。そこで、私どもはよく消費者立場がわかりますので、販売立場を忘れて、いまのようなことをやってきておるわけです。業者は、生活状態を見ましても、新しい仕入れたばかりの品物、うまいものを家庭で食べるようなことはいたしておりません。また、そんな新しい、消費者の好むようなうまいものを、販売品を食べてしまうというようなことですと、結局商売が成り立たないということになる。きずものとかあるいはロスに近いようなものを何とかくふうをして、そうしてそれをおそうざいとしてやっておるようなわけでございます。  まあいろいろな御商売がありますが、てまえみそのようなことを申し上げるようですけれども、およそいろいろな商売うちで、八百屋ほど重労働はないと私は思うのです。ほんとう八百屋あと継ぎがなくなったり、八百屋に嫁がこなかったりするというようなこともあったのですから。しかし、このごろはだいぶ緩和されたようです。そういうようなことで、八百屋ほど重労働のものはないと思うのです。それで、八百屋をやめて他の営業に転業した成功者が来て話すところによると、八百屋をやっておったときの気持ちでその努力をすれば、他の商売では必ず成功するぞということを私に聞かしてくれた人があるわけであります。そういうようなことで、卸や仲買いに比較すると利潤は幾らかよけいにもらっておりますけれども、あまりいい商売じゃないということを、私は業界を代表して申し上げておきたいと思います。  この程度でよろしゅうございますか。——あとまた質問がありましたら……。(拍手)
  4. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次に、安井参考人にお願いいたします。
  5. 安井藤次郎

    安井参考人 同じ生鮮食料品でありますが、ただいま大先輩大津さんが述べられたのは青果物でありますけれども、私のほうは水産であります。大体大津先輩が述べられたことですべての細目の点は御了解いただけたと思いますが、大体水産物は陸産と違いまして、若干鮮度保持とかいろいろな面で違う点がありますので、その点だけ皆さんに御了解を求めたい、かように思います。  全国組織を開いたのは私でありまして、もちろん関西をもとにして、全国的に昭和二十七年、昭和二十九年とかかって、この全国組織がなければ、すべて政府との折衝もできないし、またいろいろの交渉もしにくいということから、そうなってきたのであります。  大体日本の国は、御承知のとおり四方海でありまして、日本人栄養カロリーは、陸産というか畜産物よりも水産物に依存しなければならぬというのが、これは昔からそういう教えを受けてきたわけであります。私は実は貿易をやろうと思っておったところから、にわかにこの水産に入ったということは、深い事情もあります。魚を、日本人は非常に尊敬されているという面から、大阪の船場ででっち奉公してから五十年ですが、いろいろ勉強さしてもらったのですが、私は至って無学で、あまり勉強はできませんが、商売だけは苦労したということであります。  大体先ほど大澤先輩がおっしゃったとおり、この流通問題に対しましては、中央市場法がしかれている六大都市——現在六大都市以上に伸びておりますが、これは大阪におきましても、東京におきましても、大都市はほとんど中央市場を開かれておりますが、取引という問題に対しましては、これは大阪の場合は、卸、仲買い小売り、非常に円滑に、三位一体だ、こういういき方をやってきておるわけでありまして、これは皆さんがいろいろお考えになっておるようなそう簡単なものではない。特に魚に対しましては、非常に扱いにくい、むずかしいということ、これは先ほど大津さんのほうでおっしゃったとおりでありまして、お互いに現在では人手不足であって、この商売を習おうとする人は非常に少ないわけでありまして、むずかしい商売であります。  大阪実態を先に話しますと、実は大阪は、いまより五十年前に米騒動が起こってから公設市場を設立されまして、それで、物価対策ということはすでにそのときから始まっておる、私はかように思います。大阪市の公設市場は、主として生鮮食料品で、お互い市場の中で競争するような立場になっております。他の業者は一軒店でありますが、生鮮食料品に対しましてはたいがい三店舗、四店舗、五店舗、一番多いのが七店舖あります。この七店舗鮮魚だけでありますが、これに対して塩乾魚がありますから十何店舗あります。その中でみなお互い中央市場から——昔はざこ場ですが、現在は中央市場から仕入れたものに対しては競争しておった。むしろ大衆魚のごときはあまるほどとれて、要するに朝から元値で売って、運賃に氷代を損して売ったというような例も私は聞いておりますが、現在は、大衆魚がそんなにたくさんもありませんし、お互いに損をして売っているというようなことはないと思います。  そういうようなことからこれは大阪に端を発したのでありますが、特にそのときに大阪市としてはわれわれの店には監督をせられて、中央市場値段は何ぼだから何ぼ以上に高く売ったらいかぬという制限を受けたわけです。これが大阪公設市場の大体の出発です。戦争前は公設市場が大体五十一あったんです。現在は十カ所減って四十一。私設市場は、戦前は二百二十、現在は三百七、八十、大体四百近う店があります。だから、推して知るべし、それだけ大阪市内では小売り市場者が非常に競争しておるから、高く売るというようなことはできません。農林省統計を見ますと、魚の値段は若干安いけれども、あまり大差ないじゃないかと、こうおっしゃいますが、これは入っている品物が違う。サバタイと同じ値段で、トンで目方をはかって金額で合わすと、これはとても勘定が合わぬ。幸いにして関西は非常に瀬戸内海——このころは瀬戸内海も、いろいろな水が流されてよい魚も育たぬようになっていますが、大体瀬戸内海なり日本海、それからまた九州方面に近いし、いまはちょっと問題がありますが、朝鮮にも近いという関係から、魚の鮮度が非常によかったということから、大阪の人は非常に魚を愛しておった。いまの若い人はそういうわけにはまいりませんが、現在でも、大阪とか関西相当魚がよくはける、こういうところであります。  それで申しますと、現在物価対策の問題をいろいろ聞きますが、大体消費者お方が、どうもこのごろ金もうけがいいのか、どういうことになっているのか知りませんが、大衆魚とか安い冷凍魚とかいうものにはあまり手を出さぬ。何か知らぬけれどもよいものをほしがって、ないものを買いたがるというような実態であるように私は思います。それと同時に消費者の各位が、若干ここにも陸産と水産の違いがありますけれども、陸産物はある程度女の人は理解しておられますが、水産物に対しては、昔のごとく自分で手を施して、これは酢のものにするんだ、これは煮ものにするんだ、これはさしみにするんだという人はほとんどありません。全部われわれ業者にまかされるというようなことでありまして、まかされても、ある県によっては、タイ焼き賃何ぼだといって、別に値札をつけておられるところがあるらしいけれども関西ではそういうところはありません。結局消費者へのサービスということであります。特に露骨な話は、三年ほど前だと思いますが、西宮、芦屋方面お方が、大阪小売り市場大衆魚サバを買えば七十円か八十円だ、うちらのところでは百三十円も百五十円も値札がついている、こう言われましたので、私さっそく、大阪府下関西お世話をさしてもらっている関係上見に行ったのです。あなた、そんな高い札つけていかぬじゃないかと言うたら、うちじゃお客さんも少ないし、大阪市場のごとくサバ四つに切ってくれ、六つに切ってくれと言うて買う人はない、半分焼いて半分切り身にして持ってきてくれと言われたら、高い炭を使うてサバ半分焼いて何ぼになりますか、これをきずしにすれば酢も要るし、砂糖も要るし、味の素も要るし、コンブも要るんだ、口のぜいたくな人だから、持っていってもそう簡単に喜んでくれぬ、というて料理賃というて取れないからこういう結果になる、決して暴利はむさぼっておりません。こういうことを言われましたので、なるほどと私も思いました。  これはいろいろ問題はありましょうが、物価というものに対して大阪立場から見ますと、あまり暴利を取っているところはないと思いますし、また皆さんが、水戸黄門ではないけれども、一軒一軒魚小売り業者塩乾業者の店を回ってもらっても、そんなにえらい金もうけをしている人もなければ、えらいぜいたくな生活をしている人もありません。特に大阪というところは競争の激しいところでありますし、大体市場の多いところでありますので、そういう結果で、皆さんが考えておられるようなことは私はないと考えます。  また全国的に見ますと、中央市場のないところでは小売り屋さんが生産者から直接ものを仕入れておられるところもありますし、いろいろのこともせられているし、また現在におきましては、東北のごときは農協が非常に冷凍魚なり、そういうものを専門的に販売されておる。いろいろ全国組織からいってみますと、私も、なぜこういうものをようとめぬかという話を聞きますが、これは時代流れでやむを得ないのじゃないかということで進んでおります。それではいかぬじゃないかというておしかりも受けていますが、時代流れに逆行するということはなかなかわれわれの力でできるものではありませんので、いろいろ努力いたしておるわけでありますが、組合員また会員さんには十分そういう御期待に沿うようなわけにはいかぬわけです。  大体、われわれ水産物から見ますと、ほんまに食品衛生法の許可を受けている人は全国で約七万ですが、事実上、行商まではいきませんが、鮮魚塩乾合わすと約二十万前後の組合員がおるように私は承っております。そういうことで、いろいろ各府県によってわれわれの商売というものに対しては扱い方が非常にむずかしいので、特定のところから物価のことで問題が起こるということは非常にむずかしいと思いますので、特に関西はそういう面に対しては、私はある程度ひんぱんに連絡もいたしておりますが、問題があるように聞いておりませんし、もちろん大阪におきましても、そういうぐあいに問題は聞きません。  日本全国からいくと若干違いますが、大阪というところは特に消費者自体が、一日に一回は大阪小売り市場に買い出しに行くという一つの日課が設けてある家が多いわけであります。ほとんどの人が、いかなるりっぱなお方でも、いかなる金持ちのお方でも一応一日に一回は市場に行って、そうして四店舖も五店舗もある青果水産の店を回って、品物をよく研究されて、ここは安い、これは品物が新しいというて買いものされておる人が多いわけでありまして、電話で注文し、また持ってこいというようなことを言うて買う人はほとんどないように私は思います。大体大阪小売り市場が発展している関係上、最近名古屋も非常に発展しています。また神戸も、それから京都も非常に発展しています。関西と申しましても、現在関西ブロックと申しますと、六大都市の四大都市関西に入っておりますので、いろいろな問題に対して連絡いたしておりますが、特に生鮮食料品というものは、先ほど申しましたとおり、将来日本栄養カロリー一つの大きな原動力にならなければならぬ。外国の人はあまり魚を好かぬし、牛や豚が非常に愛好されますが、日本の、若い人は別として、相当な人はどうしても魚を利用される人が多いので、われわれももっと勉強して、皆さん誤解を受けぬようにやらなければならぬというのがわれわれの考え方です。私も終戦後二十数年大阪お世話をさしてもらい、また昭和二十七年から関西昭和二十九年から全国お世話をさしてもろうて、要するに、日本人として魚というもの、塩乾というものに対してどういうぐあいに持っていかなければならぬ、どういうぐあいに消費者に信用を受けなければならぬという気持ちでこれまでやっておりますから、皆さんから誤解のあるようなことは私はないように思いますが、これはまた皆さんの目から、物価対策から見られると、ほかの物価に比較して食料品が高いということになってくると、これは問題でありますが、御承知のとおり魚をとりに行くにしても、漁師にいわせれば命がけだというようなことにもなりますし、また荷受け会社にしても、鮮度保持とかあるいは人件費とか、また仲買いさんにしても同じことであり、それに対して荷受け仲買いさん以上に各個人の店が、輸送というものに対していろいろ問題があるということであります。こういう問題がありましても、お互い市場の中ではお客さん第一というので、小売り市場の中で競争が激しいたてまえ上、そういうことはないように私思いますが、いなかの魚屋さんなり、また、小さい町の一軒か二軒の魚屋さんの考え方は私はわかりませんが、私、方々回っておりますが、暴利を取っておるような店はないように伺うわけであります。陸産と水産の扱い方については、手間がかかる、また細工が要る、技能が要るという若干の違いだけのことでありまして、それ以上の特定な利益は取っておらないように、私の考え方でありますが、そう考えております。  皆さんがあとから質問があったら答えますが、一応私この程度で説明を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次に、三坂参考人にお願いいたします。
  7. 三坂則正

    ○三坂参考人 いま全水連の会長安井さんからいろいろ説明がありまして、神戸大阪と土地が接近しておるので同じような状態のこともあると思いますが、私は私なりのことを説明したいと思います。  第一に、私が四十幾年のほうちょう片手に営業に携わっておる感覚で、経験から申しますと、大体魚の値段というものは、消費者がきめるんだという観念で小売り商仕入れをしております。それで大体今日の状態を見ますのに、われわれは鮮度、とれて一番新しい場合には鮮度一〇〇%、腐敗直前、食用に適さないものを鮮度ゼロと、パーセンテージのようなことばでわれわれ業者同士が申し合わしております。その鮮度の比重によって——昔は値段がそうたいして差かなかったのです。今日では鮮度六〇%のものと八〇%、九〇%のものとは、昔なら五割くらいの差であったものが、今日では二倍半、三倍半という価格の差が出てくるのです。その価格の差が出ることによって、生産者が消費地へものを発送する場合にもそれが関連してくるのです。たとえば、昔は十五キロ、二十キロという箱に氷を入れて生産地から消費地に発送してきたものが、今日では、はなはだしいのは二キロ、三キロ、氷の中に魚を泳がしているような状態で生産地から消費地に発送してくるのです。それでも消費者は、鮮度が一〇%ないし二〇%新しければ、銭金をいとわないという買い方をされるのです。それが物価が上がる原因じゃないかと私は思うのです。  それともう一つは、魚のことであるから大量にとれる場合があるのです。そして品物が豊富になる場合があるのです。それで値段が下がって、いかに値段が下がっても、過去のように、われわれが若いときのように、消費者はつとめて買ってくれないのです。いかにすすめても買ってくれないのです。しつこくすすめますと、安くなった魚を買うと近所にていさいが悪いと言うのです。たとえば、はしりのサンマは買うが、最盛期になったサンマはにおいがするから、安くなったサンマを買うのは、近所にていさいが悪いというようなことで買ってくれないのです。そうすると、勢い品薄の品物に大衆の好み、要求のしわ寄せがきて、少ないものはだんだん高うなる、こういうような傾向ではないかと思います。そういう意味で、われわれも悩まされることが多いのです。  次に冷凍魚の問題なんです。冷凍魚の問題は、皆さん新聞紙上で見ますのに、冷凍魚は割安だということがおっしゃられておる。大手メーカーは、冷凍魚は割安だ、価格が安定しておる、こういう説を唱えておるのです。私は、魚が割安だというその標準は何によってきめるかということを大手メーカーに言いたいのです。魚というものは味によって価格がきまるのではないか、消費者もそれを要求するのではないかと思うのです。それにもかかわらず、冷凍魚は割安だ、値が安定しておるということを唱えられます。割安だということは、数量もあって、外見がりっぱであるものが割安ならば、鮮魚にも冷凍魚より安いものが多々あります。そして値が安定しておるということは、すなわち生産者の都合のいい値段で安定しておるという安定なら、安定しておるということが言えるのではないかと思います。  次に、私がここの席でお願いしたいのは、中央市場の問題なんです。われわれは日々朝五町から中央市場仕入れに参ります。その仕入れ気持ちは、われわれは消費者の代表だという気持ち仕入れに参ります。すなわち、中央市場においてはわれわれは買い方だ、荷取けは売り方だ、生産者の荷物を送っていただいてそれを売る売り方だ、仲買いさんはその中間に位していて、どちらにも偏しないはずです。また、偏していないとは言われるけれども、多少どちらかに偏しておるのではないかと、私のひがみかもしれませんけれども思います。それで、中央市場において私ら買い方が発言ができるように、多少発言がしたいと思うのです。ただ仲買いさんの買うたものを、われわれが、これが高いからまけておけというぐらいの発言しか、過去四十年間中央市場ではせられていないのです。  それで、前に戻りますけれども神戸市においても物価が高い、物価が高いということで、私はいま唱えた持論で、消費者の好みがぜいたくになっておるのだというような考え方を持っておりますから、私はそういうことをよく吹聴しますけれども神戸市においては神戸消費生活協同対策委員会というものができまして、モニターというものができまして、われわれを視察していただいて、よくわれわれ消費者と懇談会を開かせてもらう。この制度も、神戸選出の砂田代議士の提案によりまして神戸市にこれを開いていただきまして、われわれも業者代表として過去二年間懇談させていただきまして、いまでは消費者とわれわれ業者とが比較的スムーズにいくようになって、われわれは幸いと喜んでおる次第であります。  次に、われわれの生魚商組合利益の問題を聞いていただきたいと思うのです。大体私ら業者は、朝五時から晩の八町まで営業を続けております。五時十分が神戸中央市場の開始なんです。それに対して、私らは四時半に起きなければ五時十分の開始に間に合わないのです。朝の五時から八時まで営業を続けております。そうして亭主は大体十五時間、夫婦二人でやれば、女房は七時ごろから店の準備をしなければなりません。そうして、夕げの支度に亭主より一時間早く入って七時まで、合計十二時間、そして昼食に夫も妻も三十分を要しましても、夫婦で大体二十六時間働くと思います。一時間働いた報酬が百円ならば、日に二千六百円もうかるんじゃないかと思います。そして一カ月働いて七万八千円、月に三日定休日がありまして、正確にいえば七万二百円なんですけれども、約七万円ぐらいの収入が二人であるんじゃないかと思います。そうすると、弟が俸給生活者で、兄貴がそういう魚屋をしている場合は、兄さんようもうけとるな、兄さんのところは七万円も八万円ももうけとるやないか、ぼくのところは三万から三万五千円くらいしかない、こういう不平を言われます。また、いつも親戚同士でも言い合いするのですが、おまえのところはおまえ一人働くだけやないか、うちは夫婦が働くんだということで一応議論しておるのですが、消費者もそういう考えが——弟といえども多少ばわれわれ業界の消費者であると思うのですが、そういう錯覚があって魚屋はぼろいというような感じが町に出ておるのじゃないかと私は考えます。  次に、仲買いの問題なんですけれども中央市場仲買いには、よその都市の仲買いは知りませんけれども仲買いの名称がいやだとか、いやブローカーだ、こういう考えの仲買いさんがあるのじゃないかと思いますが、評価機関としての誇りを持って、仲買いとしての働きが公平であれば、名称はいかがであろうと問題はないと思います。結局、われわれの体験上、仲買いの制度よりも仲買いの業に携わるりっぱな人物がほしい、私はこう思うのです。そういうりっぱな心がけの、鮮魚仲買いをしておることに誇りのような感じを持っておられる仲買いさんがほしい。仲買い制度はわれわれは必要と思います。  これで終わります。(拍手)
  8. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 どうも御苦労さまでございました。  次に、池内参考人にお願いいたします。
  9. 池内英太郎

    ○池内参考人 大阪市を中心といたしました生鮮食料品流れといいますか、実態を開設者の立場からお話いたしたいと思うわけでございます。参考までにお手元に「市場概要」という簡単なパンフレットをお配りいたしておりますので、それに基づきましてごく簡単に御説明したいと思います。  皆さん方いろいろよく御承知のとおりでございますので、なるべく簡単にやりたいと思いますが、まず三ページ、四ページをお開き願いたいと思うわけでございます。大阪市の場合、現在福島の本場と東部の市場と南部市場、南部市場は非常に小さい市場でございますので、実質的には大阪を中心とした生鮮食料品流れというものは、福島にある本場と東部市場と二つでやられておるという状況であります。大体そこに書いておりますように、詳しいことは見ていただけばわかるわけでございますが、本場の場合は規模が約十二万平方メートル、三万六千坪でございます。これは御承知のとおり昭和六年に開設いたしまして三十五年経過いたしておりますので、施設も非常に老朽化いたしておるわけでございます。その中にございます立体駐車場あるいは冷蔵庫、こういった施設は大体四十一年度に新たに建設いたしまして、非常にりっぱなものになっておるわけでございます。  それから東部市場のほうは、大体八万三千平方メートル、二万五千坪でございまして、施設の能力から申し上げますと、本場に対する六割の能力を持っておるわけでございます。これは昭和三十九年の十一月から業務を開始いたしておりますので、大体この二つで大阪を中心とした生鮮食料品がまかなわれておるといってよいと考えるわけでございます。  しからば、そこの市場でどのくらいの荷物がどういう形で扱われておるかということでございますが、それはまず八ページをごらん願いたいと思います。八ページのまん中でございますが、福島の本場では数量にいたしまして、そこに扱い品目を全部書いておりますが、合計いたしまして四十一年中に七十六万トン、金額にいたしまして八百五十五億円でございます。日にいたしまして、本場では大体二千四百五十トンの扱いをいたしております。それから九ページに書いておりますとおり、東部市場におきましては、現在、年間にいたしまして二十三万三千トン、二百二十億ということで、日に平均大体七百五十トンの扱いをいたしておるわけでございます。合計いたしまして、数量に直しますと、九十九万五千トン、金額で千七十七億円ほどの年間の扱いを中央市場でいたしておるわけでございまして、一日平均、数量に直しますと約三千二百トンの荷物を両市場において扱っておるわけでございます。  これが大体大阪市を中心といたしまして、大阪市の市場の供給圏において消費されます全体の量のうちどのぐらいの割合を占めておるかということば、多少業種品種によって違うわけでございますけれども鮮魚の場合は大体両市場におきましてその九五%、ほとんどが両市場を通じてまかなわれておる、こういうことでございます。それから蔬菜の場合は、大阪府下に約八十ほどの地方市場あるいは類似市場等がございまして、その周辺の地域の生産物を集めて周辺に販売する、こういうような市場がございますので、そういったものを考えますと、大体中央市場を経由して扱う荷物は六〇%ないし七〇%ではないか、こういうように考えるわけであります。それからくだものは約八〇%、こういう状況に相なっておりまして、大体生鮮食料品の流通といいますか、物の流れは、この両市場においてほとんどそのウエートを占めておると言って間違いはないと思うわけでございます。  大体そういうふうでございますが、そういった日量約三千トンの荷物でございますけれども、これがどのような地域に配給されておるかということでございます。それは十三ページと十四ページをごらん願います。そこに書いておりますとおり、四十一年十月の五日に調査いたしたわけで、これは毎年調査をいたしておりますので、一日の調査でございますので多少の誤差はありますけれども、ほとんど毎年同じような数字が出ておりますから、それも確実なものであると考えてよいわけでございます。大体約三千二百トンのその日の入荷があったわけでございますが、そのうち大阪市内で消費されますもの、そこに指定区域内搬出量と書いてありますが、これは市内を対象にいたしておるわけでございます。それが、品目によって違いますけれども、一番上にありますように、市内で消費されます分が五一%であります。それから指定区域外、大阪府下流れるのが約二九%、それから他府県でございますが、兵庫県の西のほう、それから奈良、和歌山、京阪間の一部でありますが、そこへ約二〇%というものが流れておるわけでございます。  大阪市の市場は、先ほど申し上げましたように、大阪市が昭和六年以降ずっと開設いたしまして、当時は大体大阪市内を消費圏というものに考えまして、事実そのとおりだったわけでございますが、その後における社会、経済の発展、特に輸送機関等の発展によりまして、ただいま申し上げましたように市内の消費量が約五〇%、あとの五〇%は府下並びに他府県に行っておるということでございまして、この点につきましては、大阪だけではございませんが、大都市中央市場が、いわゆる集散市場的な機能を多分に持ってきておる、消費市場として発展してまいりました市場が、そういった集散市場的な性格を非常に持ってきておるということが一つの大きな特徴でございまして、この傾向は、将来とも伸びていくのじゃないかというように考えておるわけでございます。  大体そういう状況でございますが、これらの荷物と現在の両市場の施設の関係、扱い能力の関係がどういうことになっておるかということでございます。本場では先ほど申し上げましたように約日量二千四百トンの荷物を扱っておるわけでございますが、農林省の基準から申し上げますと、大体の扱い能力は千五百トン、こういうことに相なっております。したがって、非常にオーバーロードの仕事をいたしておるわけであります。東部市場は、昨年中は七百五十トンですが、大体最近八百トンぐらいになっておるわけでございます。基準の扱い能力は約千トンでございます。したがって、多少余裕があるわけでございますが、これは大阪市の東南部並びに府下の人口増加に伴いまして、間もなくこの基準量もオーバーするのじゃないか、こういうように考えておるわけでございまして、そういった意味で、市場におきまする正常な取引、いわゆる市場法なり業務規程に定められました取引を正常に行なうためには、どうしてもこういった施設の整備拡充が必要になる、こういうように考えておるわけでございまして、この点につきましては、いま中央市場の審議会においても、過密都市における市場のあり方ということで、いろいろ御検討を願っておるわけでございますが、どうしてもやはり開設者の立場といたしましては、施設の整備拡充をやるということが絶対必要な状況になっておるわけでございます。  この点につきまして、特に私のほうから開設者の立場としてお願いいたしたいことは、物価問題その他で、国のほうではいろいろ問題を取り上げられ、特に中央市場の問題については、いろいろ御批判なり問題点があるわけでございますけれども、また農林省のほうにおいても、いろいろ指導監督その他については力を入れてもらっておるわけでございますが、どうしても正常な取引をやるためには、施設の整備拡充をいたしまして、ある程度われわれが業者に対しても十分指導監督できるような施設にしなくてはならないということでございまして、これには非常に多額の経費がかかるわけでございますが、国の中央市場に対する建設費その他の補助金というものは、非常にわずかでございます。  たとえば、この一、二年補助対象は、農林省の努力によって非常に拡大はしていただきましたけれども、新しく市場をつくる場合には、補助対象になります建設費の三分の一の補助であります。それから、一たん建ててしまいました既設市場につきまして、あといろいろな施設の整備拡充をやる場合には五分の一の補助しかないわけでございまして、ただ建設の途上だけではなしに、毎年の市場を運営管理いたしていきます場合にも、大阪市の場合におきましても、大体二億円程度の市費の持ち出しを毎年やっておるわけでございます。こういった状況でございますので、先ほど来申し上げました施設の整備拡充その他を考える場合には、どうしても国からの大幅な財政援助というものを考えていただかなくてはならぬのじゃないかと思います。いろいろ業界のほうからも、施設の整備拡充は、取引の正常化のためにはそれが必要であるということはいわれておりますし、われわれも努力はいたしておりますけれども、国も物価場合を取り上げて大きくいろいろ問題を推進されるためには、この点について格段の御努力をお願いいたしたいと同時に、先生方にも特にこの点を、開設者の立場としてお願いいたす次第であります。  大体、施設その他の状況はそういうことでございますが、ただ、次に、いろいろ流通機構の問題が出ておりますので、この点についてお話ししておきたいと思うのですが、私は、水産物あるいは青果物等を中心といたしました生鮮食料品の性格が——性格といいますか、内容あるいは取り扱いの状況というものが著しく変わらない限りは、現在の中央卸市場の機構というものは当分これでいいのじゃないか、こういう考え方を持っております。大体、せり取引の原則というものは、いまの生鮮食料品の取り扱いの状況からして当然ではないか、こういうふうに考えております。ただしかし、最近には、いろいろ先ほど来お話がありましたように、冷凍魚とか非常に高度の加工された食品も出てまいりますし、あるいは青果の一部で、これは特にくだものでございますが、非常に産地が大型化され、大型の産地で包装規格が非常に統一してきておるといった問題については、これは見本取引だとかあるいは定価売り的な販売もできるのじゃないか。こういう点は、いろいろ卸、仲買いの双方の立場もございますし、こういった問題を加味しまして一つのルールをつくっていくということは考えられると思うのでありますが、本質的に中央市場の機構をいますぐどうこうするということは、まだ少し早いのじゃないかというような気がいたしておるわけでございます。  といいまして、それでは市場機構の中で改善する点はないのかといわれますと、これはたとえば七ページ、八ページの辺をごらん願いましたらわかりますように、大阪市の場合の卸売り人の数あるいは仲買い人の数等を書いておりますけれども、やはり卸売り人の場合にも一定の規模を持つということが必要じゃないかと思います。いわゆる卸のある程度の整理統合というような面は考えてみなくてはならないのじゃないか。そういうことによって、卸の経常を安定化していくということによって、生産者に対する利益あるいは消費者に対する利益というものも保護されるのじゃないかということも考えるわけでございます。  それから仲買い人の問題でありますが、仲買い人は従来個人を対象として整理しましたので、非常に小さなものもあるわけでございまして、これらの整理統合の問題、ことに仲買いの合理化という問題につきましては、まずやはり個人的な経営では困るのでありまして、経営の実態を明らかにし、いろいろな経費その他の状況を見まして合理化をはかるというためには、どうしても法人化、法人化を進めた上でもさらに大型化を進めていくという必要があるのじゃないかということで、農林省並びにわれわれともに寄りまして、こういった線に向かいまして、いろいろ市場内部の合理化の問題をいまはかっていっておるわけであります。  中央市場の中の問題につきましては、大体そういった点が問題になるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。いろいろ卸、仲買いにつきまして問題がありますけれども、少なくとも現在の六大都市あるいはこれに類する大都市におきましては、大量の荷物を、また非常に保存性の少ない荷物を、短時間にしかも適正な需給を反映した価格をつくる、いわゆる価格形成と分荷の機能を果たすためには、現在の卸、仲買いの機構をいろいろ整備改善せんならぬ点はありますけれども、やはりこの組織が中心となっていくのじゃないかということでございまして、いろいろ生鮮食料品の内容、性格が変わってきました場合には、それに応じて卸、仲買いの制度あるいは中央市場の機構というものも逐次考えていくということでございまして、いろいろな実態を基礎にいたしまして、ルール化さらには法の改正に打っていくということまでやらなくてはならないのではないかというように考えておる次第でございます。  それと、これは私のほうの所管外になって恐縮でございますが、中央市場の中におきまして正常取引だとかいろいろ市場の問題について御批判があったりするわけでございますが、もちろん、われわれはその問題について真剣に取り組んでいく必要があるわけでございますが、生産地からのいろいろな出荷の状況、これについても格段の御努力をお願いせぬと、なかなか中央市場だけでは片がつかぬのではないか、こういうように考えるわけであります。たとえば、先ほど申し上げましたように、くだものの一部等については、かなり包装規格あるいは検査制度が統一されまして、こういったものについては、東部市場でやっておりますように、せりの機械化ということもやれるわけでございますか、一般的に申しまして魚——冷凍魚なんかは別ですけれども、無あるいは野菜類につきましては、県ごとに県の中での状況がいろいろ違いますし、あるいは、特に全国的にそんな包装規格の統一といったようなものはまだとうてい考えられない状況でございまして、いろいろな市場機構の合理化をはかるためには、生産地におけるそういった包装規格、検査制度の確立ということと同時に、生産、出荷の計画性というものをさらに強化していただかなくては、いつも値が上ががったり下がったりするという状況は片がつかないのじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。  それと同時に、小売り商の方も先ほど来いろいろお話がございましたとおり、最近の労働力の不足あるいは人件費の高騰等、御苦労を願ってやってもらっておるわけでございますが、これはいわゆる仲買い人と同様、大阪の場合特に小売り尾さんの数が非常に多い、しかも非常に零細であるということから、やはりこれは小売り業の近代化という点を、非常に抽象的でありますが、やっていただかなくてはならない、こういうように思うわけでございます。最近そういったきざしが多く見えてきておるわけでございますけれども小売り関係の共同化、協業化あるいはチェーン化、こういったいわゆる近代化の問題を進めていただきまして、中央卸市場の中でも卸、仲買いの、いわゆる生産性を高めると同時に、特に小売り業のほうにおきましても、そういった近代化を通じて、やはりこれは中小企業一般の問題にもなってくるわけですけれども、非常にむずかしい問題で、特に八百屋さん、魚屋さんは、業界の方を前に置いて非常に恐縮なんですけれども、なかなか一緒に商売をするということにはむずかしい面もございます。これは確かに技術的にむずかしい面もあるわけでございますが、やはりこういった問題を解決しなくてはならないと思いますので、こういった面につきましても、いろいろ今後国といたしましても特別な御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。  時間もまいりましたので、一応私の説明をこれで終わります。(拍手)
  10. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次に、土屋参考人にお願いいたします。
  11. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 私からも、東京市場実態と問題点を、ただいまの池内参考人とダブる面は省略いたしまして申し上げたいと思います。お手元に事業概要をお配りしてございますが、これをごらんになりながらお聞き取り願いたいと思います。  九ページをお聞き願いたいと思います。東京中央卸市場は、御案内のように二十三区内が、いわゆる指定区域になっております。三多摩は含んでおりません。二十三区に配置されております市場を掲げてあるわけでございます。本場から始まりまして、以下次のページの食肉市場まで入れまして八市場、こういうふうに相なるわけでございます。このうち本場と足立は、水産物青果物の両方扱います。それから、荏原市場の大森分場は水産物だけです。それから、次のページの食肉市場は、これは食肉だけでございますが、あとは青果物だけ、こういうふうな状況になっております。  ここで最も問題がございますのは、非常に市場が一般的に狭くなっておるということでございます。あとで取り扱い量を申し上げますけれども、開設当初の昭和十二、三年ごろから見ますと、取り扱い数量におきまして、三・八七倍程度になっております。これに対しまして、敷地の面だけとって、戦前からいままでにどのくらいふえたかと申しますと約四〇%、こういう状況でございまして、したがって、農林省の基準からいきましても、実は総体で充足率が五三・三%、こういうきわめて混雑した狭隘な状況になっておるわけであります。この混雑の原因が、いま申し上げましたように、取り扱い数量の著しい増加、これが大きな原因であることは申し上げるまでもないわけでありますが、このほかに自動車による搬入、搬出、買い出し、こういったものが多くなってきておるわけであります。それから、戦後の取引形態に即応するためのいろいろな団体の事務所、こういったものが非常に多くなっている。こういった原因から非常に狭くなっておるわけでございます。  これが対策といたしましては、先ほど申し上げましたように敷地の買収にもつとめ、拡張をはかっておるわけでございますが、この敷地の買収はいろいろな条件もありまして、わずか四〇%しか伸びておらないわけであります。そのほか立体化、こういったことにも力を注いでおるわけでありますが、根本的にはやはり新しい市場を適地に建設するということが最も重要なことだろうと思っておるわけであります。この点につきましては、私ども自体といたしましては、昭和三十八年を起点といたしまする八カ年計画で整備計画を立てておるわけでありますが、さらに政府におきましては、いわゆる過密都市の問題として取り上げられておるわけでありまして、われわれとしてもその線に沿って至急整備拡張をはかりたい、こういうふうに思っておるわけであります。  現在の都内の人口は、大まかに申しまして二十三区が八百九十万でございますが、そのほかに三多摩が二百十万ほどございます。そこで、二十三区内が私どもの指定区域になっておるわけでありますが、いまの人口の移動の状況、増加の状況から見まして、特に三多摩方面にやはり市場をつくる必要があるのじゃないか、こういうふうに私どもは考えておるわけなんです。そのほかに、特に過密対策の問題として、新市場の建設を緊急の問題として取り上げていかなければならないだろう、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、ずっと飛ばしまして、十八ページでございますが、ここの一番上のほうに市場業者数が書いてございます。御参考に申し上げますと、卸売り人、か三十四社、その内訳は、水産が十一社、青果が二十二社、食肉が一社というふうになっております。それから、これに対しましてせり人が合わせまして千四百八十七名というふうになっております。仲買い人が、これは若干現在数字が動いておりますが、四月現在で二千百九十七名、水産が千五百五十五名、青果が五百五十四名、食肉が八十八名、こうなっております。このうち水産仲買い人が特に多いのではないかというふうに私どもは考えております。したがって、これについては大型化を、政府の方針でもありますので進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから売買参加人、これは大口の消費者あるいは小売り商さん方、直接売買に参加する方々でありますが、これらの方が合わせまして二万九百七十八名、こういう数字になっておりまして、青果が一万余をこしておるというのが、東京の特徴と申しますか、関西市場に対しましては非常に特徴のある傾向でございます。売買参加人の数がこのように多いということは、問題であろうかと思います。今後やはりこういった点を十分私ども検討していくべきだろう、こういうふうに考えております。  それから付属営業人、これが四百三十五人であります。これは市場の中に入って、市場の中で働きます業者のいろいろな便宜のためにできておるものでございますが、たとえば食堂とか、あるいは金融機関、いろいろあるわけでございます。なお、その下にさらに卸売り人の一覧表として、水産青果と食肉に分けて掲げてあります。  次に、二十ページにまいりまして、水産物の取り扱い数量でございますが、昭和四十一年度の取り扱い数量でありまして、上のほうが数量で、下のほうが金額になりますが、数量のほうで申し上げますと、四十一年度の水産物の取り扱い総量は七十三万トンでございます。やや停滞気味であったのでありますが、しかし、四十一年度が四万トンほど伸びてこのような数字になっております。このうち鮮魚の伸びがむしろ少なく、冷凍魚が非常にふえてまいっております。冷凍魚は、三十五年を一〇〇とした場合に四十一年は二七九、こういうふうにふえておりまして、鮮魚は、実は三十五年に比較しまして四十一年は九四、こういうふうに伸びが縮まっております。  それから、次のページをめくっていただきまして、二十二ページは青果物でございますが、総量におきまして二百二十四万トン、蔬菜が百四十四万トン、果実が七十七万トン、その他、こういうふうになっております。この取り扱いの比率でございますが、本場がこのうち一六・四%程度でありまして、神田が二七%、こういうふうに多くなっております。  それから、二十四ページは食肉関係でございますが、これは昨年の十二月十九日から開設したばかりでございます。ここに一応数字を掲げておきました。  先ほど大阪市場長からもお話がございましたが、二十三区内の消費都民は市場からどのような供給を受けているかと申しますと、生鮮魚類ではほとんど一〇〇%近いわけでありますが、加工品が約六〇%くらいでございますので、ならして約八〇%程度ではなかろうか、こういうふうに思っております。それから蔬菜は八五%、果実はほとんど一〇〇%に近い、こういうふうに考えております。  それから、逆に市場に入りまして区域外に出るものでございます。これは三十九年の調査でございますが、水産物が、二十三区で六二%、三多摩が五・六%、都外が三二・四%で、したがいまして、水産物が区域外へ出ます数量は、約三八%であります。それから蔬菜は、二十三区内が八六・八%、三多摩が三・一%、都外が一〇・一%でございますから、区域外に出るものが約一三%ちょっとということになります。果実は三多摩が三・五%、部外が一二・四%でございますから、区域外に出ますのが約二五%、こういうふうな状態になっておるわけでございます。  次に、二十四ページの予算の収支関係を御参考までに簡単に申し上げたいと思いますが、この関係は、三十三ページにグラフかございますので、このほうをごらんいただきたいと思います。四十二年度の市場会計の当初予算でございますが、収人が総額におきまして——支出も同じでございますが、四十九億八千七百五十万、約五十億でございます。このうち四七・三%、約半分近いものが企業債でございます。その金額は二十三億六千万でございます。それから市場の事業収益、これは収益と申しましても、この中には実は通り抜け勘定の電気料、水道料、こういうものが入っております。これが二八・三%で、十四億余でございます。それから、国の補助金が下のほうにございますが、三・五%、一億七千余万円でございます。一般会計から繰り入れを予定しております金額が約七億でありますが、実はすでに同町議決で三千万円程度繰り入れてございますので、すでに七億をこしている金額を一般会計からいただいておる、こういう状況になっております。  これに対して支出の内訳でございますが、建設改良費が五〇・八%、半分以上がいわゆる施設の整備拡充に使われておるわけでございます。この金額は二十五億三千五百余万円であります。それから営業費用、人件費とかいろいろな管理費でございます。これが三一・七%、十五億八千百余万円、その他となっております。  あとは、私のほうから問題点として特に申し上げておきたいと思いますことは、いま申し上げましたような財政事情、しかも、非常に狭隘な事態を早急に解決しなければいかぬということから、早急に施設の整備拡充、新しい市場の建設をしなければならぬということになっております。それに対しまして国の補助金が、漸次改善されているとは申しながら、きわめて微々たるものでございまして、これは現在、先ほど申し上げましたように、集散市場化の傾向が非常に強い点、特にこの点をお考えいただきまして、特段の国の補助が望ましいのではないか。特に用地が非常に高く、これが取得困難でございます。用地に対する補助ということは問題もあろうかと思いますが、何らかの考え方を打ち出していただく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。  それから、私どもは開設者といたしまして、実施のための金を幾らか負担するわけでありますし、そういった点から、もう少し私ども開設者に権限がおろされてもいいのではないか、こういうふうに考えております。僭越でございますが、開設者として卸売り人のますを私どものほうでほとんど九〇何%費用を使ってつくるわけでございますから、そのますに入る卸売り人の許可あるいは認可、そういったものは、やはり地方庁のほうにおろしてもいいのではないかというふうに考えられるわけでございます。それから市場の計画というようなことも、この前の法律改正で国のほうに吸い上げられたかっこうになっておりますけれども、この点も国としては、大綱をつかんでおればよろしいのではないかと考えるわけであります。もっと開設者のほうにそういった権限をおろしていただくことが、われわれの仕事がさらにやりやすいというふうに考えるわけでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。(拍手)
  12. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより質疑に入るのでありますが、参考人の皆さまには、委員の質問にお答えの際は、そのつど委員長の許可を得られますようお願いいたします。また、質疑をなさる委員の質疑時間は、お一人十五分以内でお願いしたいと思います。  それでは大野市郎君。
  14. 大野市郎

    ○大野(市)委員 いろいろ参考人の方々の御意見を承りましたが、発言順でなくて、ばら、ばらにお願いいたします。  ただいまも大阪並びに東京市場長の御説明をいただきました。われわれ東京中央市場を視察に伺ったのでありますが、ただいまも承りますと開設者に権限の委譲が足らないぞ、こういう御指摘をいただきました。また、建設費の問題で、新設三分の一、増設五分の一というような形であっては、地方自治体として動くに動けない状況である、こういう御両人の折衷した御意見を伺いまして、この点は、私ども衆議院の委員としましては、国にしかるべき機会に相談しなければならぬ問題だ、かように承ったわけであります。それにいたしましても、東京中央市場に朝五時にみな集合して伺いますときに、ほかの委員はどうであったか知りませんが、私は何回か市場調査に参りました。しかし、残念ながらわれわれが期待するような、飛びついて、この部分が改正してほしいんだ、この部分はこんなによくできているんだというようなことを、積極的に市場開設者からいろいろと御教示がいただけるものと早のみ込みをして参りましたが、その点は、私の印象としては、はなはだ消極的でありまして、残念であります。これは主観かもしれませんが、せっかく調査に参りますときには、みなやはり相当の努力で行っておるので、何かつかんで帰りたいというのでありますから、その機会を一〇〇%今後も使っていただくように、これはお願いをいたしておきたいと思うのであります。  そんなぐあいで、われわれは中央市場の職能というものを、物価対策上あるいは国民生活の、いわゆる全国消費者層に対する栄養源として一番重要視しておるのです。これがお互いこんな程度しかめんどう見ないものを、いいかげんでよかろうとお考えになる向きがあるかもしれない。これは士気を阻喪される原因でありますから、これはたいへんな問題で、私は国の姿勢というものをこの機会にてこ入れをさせなければいかぬ、こういう感じを受けたわけであります。そういうふうな形でわれわれ物価委員会も勉強さしてもらうつもりでありますから、劈頭そのことを申し上げておきます。  そこで、お話の中で注目すべき点は出荷計画、大阪市場長さんからもお話がございました。これは昨日卸売り人の参考人の方からも議論が出ました。われわれの意見を申し述べて、出荷計画の指導を国と一緒にやらなければならぬというのでありますが、開設者の方もこれにもちろん非常な力、リーダーシップをとっていただくべきであろうと思います。御発言が市場長さんからございましたので、ぜひその方向を進めていただきたいと思います。  包装の検査制度の問題にも触れましたが、この問題に対しても、たとえば野菜の問題で、東印のほうで簡易包装——中へガスか何か入れるのだそうですが、簡易包装の設備ができたということを新聞で知ったわけです。これは、たいへん耳寄りなことでありますが、いま原価的に問題があると思いますが、これはきのう時間がなくて質問できませんでした。きょうはお答えはいただかぬでもいいのですが、高いそうですが、高いくらいでへこたれちゃならぬので、需給調節のためにこんな耳寄りな一つの方法ができたならば、私はそれらの東印が開発された包装技術というものを、国でも都でも公共機関がバックアップをして、それらが低廉にできるような方向に持っていくべきものであろうと思いますので、この点の御検討を参考人の方を通じて、また私どもは、国に対しては別の機会に要求するつもりでありますが、御検討をしていただきたい。  要するに、物価は下がっていいというものではない、また上がっていいというものではないというのが原理でございます。物価は安定が基本であろうと思います。そういう意味合いで、いたずらに値下げ値下げということには私ども疑問を持つ一人なんです。したがって、需給調節にはもうそれより方法がありません。冷凍、冷蔵、場所の移動、瞬間の移動、このほかにないわけです。そのほかに人工的にできることは出荷調整であろうと思います。出荷調整もその緒についただけだが、芽が出ておりますから、これからはその方向で、われわれの期待に沿うような出荷調整が可能になるだろうと期待をいたしておるわけであります。ですから、御質問する前にこのことを申し上げたのは、そういうぐあいで、現状を前向きに解決する方法というものはもう出ておるのです。出ておるが、今日まだできないという段階だと思います。  そこで、今日これからできることの開発と、それからまだ出てなかったけれども、この問題ならやれるのではないかという問題が出るはずでございます。そういう意味で私は申し上げてみたいのでありますが、たとえば、冷凍魚お話が出たわけです。それで小売りのお扱いの方々からは、冷凍魚鮮度の問題で、やはりいままでもお扱いが鮮度中心の消費者の好みでございましたから、関心が深いのはごもっともでございます。しかし、冷凍魚がもし食膳にのぼって、消費者が、低廉でしかも味もいいということで、喜んで食べられるようになるならば、よほど需給調整か緩和されるだろうと思うのです。そういう意味で、生鮮小売りのリーダーの皆さまが、コールドチェーンの研究が始まりまして——この冷凍魚は、大漁業会社かずいぶん遠くの海で冷凍にして持ち込みますから、また、この問題には定価売りという問題がついて回っております。定価売りの問題も、昨日私が質疑をいたしましたが、定価売りを安易に受け入れるということをしていったのでは市場の機能はなくなります。定価売りで、この値でございますといっても定価をつけられたので、それがそのままずるずると売られるのであれば、それがもし少数の寡占体制で定価がきまるものであるならば、公取の独禁法の調査対象になる可能性があります。また市場関係者は、市場を設備しながら、市場が狭隘であるというのに定価売りだの相対売りというものをいたずらに安易にずるずると引っ込むことになれば、過密都市対策は政府の責任などと言われる前に、私は、市場自身の機能として、これは定価売りや相対売りというものに対して、中央市場の機能自身に対する自殺行為だと思う。そういうような意味合いで昨日問答をしてみたのでありますが、きょうも定価売りの問題がちょっ出ましたが、選別して上ものと並みのものを分けて、消費者値段と味に向くようにしていただくのが流通過程の皆さまのお仕事だと思って尊敬しておるのです。たいへんな仕事です。この機能というものを中心に考えていただきますときには、機械的な値段という問題には、先ほど承ったお話のとおりで、私ども大賛成です。そういうことが消費者のみんなにわかってもらえば、私は物価の問題というのはおのずからおさまるところにおさまると思うのです。鮮度がいいものは高くてあたりまえであります。しかし、冷凍魚の中にエビ——こんなものは全部冷凍です。マグロもほとんど冷凍です。それが一番美味なものとして取り扱われておるのですから、私は冷凍魚の将来というものには、前向な形で流通過程においても勉強をしていただいて、どうやって解凍技術をうまく開発できるかどうか、それを家庭に教えることができるかどうかがこのかぎだろうと思うのです。野菜も同じだと思うのです。そんなわけで、すでにタマネギなどは、冷凍は可能なことはわかっておってもかさをとるものですから、なかなか単価関係でむずかしいと聞いておりますけれども、御承知のように米の低温倉庫が普及しております。国は膨大な金をこの低温倉庫の改造のためには出しております。ですから野菜ものでも、場所をとるというなら安い場所で、離れておってもトラックで持ってくれば何でもないのでありますから、そういう形で低温で、いわゆる凍結でなくて低温の形での温存というものを、国費が要るならば、専門家から教えていただいたら、われわれ国会においてそれを取り上げて、政府に要求することは可能なはずなんです。それらの事柄が私ども皆さまもまだうまい議題が出ないために、とば口で行ったり来たりというようなことでございますから、そういうこともひとつ有力なリーダーである皆さまから、自分のお仕事を通じて、こうやったらいいのじゃないかということを私どもに積極的に御提案をいただくことを、私どもは望んでおるわけでございます。  そんなような意味で、コールドチェーンの問題も、実は私飛びついて調べたんです。それは何のことはない、まだ科学技術庁の勉強の段階だということでありました。片や小売り商の安井さんのほうのお仕事でございましたか、私どものいなかの小売り商に、コールドチェン絶対反対というパンフレットが行っちゃったんですね。私も見せられました、か、それは、鮮度のいいものば値段が高うてあたりまえなんですから、何らそういうことに対して御心配なさらないで、コールドチェーンの問題は、たくさんの海の資源が食べられるか食べられないかのせとぎわなんですから、どうかそういう取り扱いを増加させるという意味で、業界の御指導がいただきたい、こんなふうに私お話を承っていて思いましたので、後ほどこの点についても、安井さんからひとつお聞きしたいと思います。  それでもう一つの問題点は、買参人の問題でございますが、これは大津さんに承ってひとつ御回答を願いたいのでありますけれども東京市場長の言われますのに、万人の青果物買参人ということは、市場長の見解では多くないか、こういうふうに言うておられましたが、私ども市場を視察に参りました形で見ますというと、サツマイモの取引を見ましたそのときに、十五キロくらいでしょうか、小さい一箱ずつで取引が始まったんですね。ですから、そういう形で中央卸売り場の取引というものが進むのでございますと、幾ら広い場所をとっても、問題が残るのでないかという印象を受けたのであります。小売り商が共同されてボランタリーチェーンのような形でまとまってやられるか、あるいは協同組合組織で荷を引いて来て、分荷をしてそれぞれの小売商のほしいものを分けてやるような形での、仲買いではないけれども小売り業者が協同組合を持って、力を持って参加をする、こういうことでありますと、仲買い人とやはり同じ仕事をされるわけでありますから、買参人という形で市場法の業務規程に載っておる趣旨に一番合うのではないか、そういうような形でありますと、特定の方々を対象とした大口消費の一つの形態としていいというふうに、自分はそのとき考えておったのでありますが、こういう点に対して大津さんの業界組織という問題、この問題をテーマにした御回答をいただけたらしあわせだと思います。  たくさんまだ申し上げてお聞きしたいことがございますが、時間を制限されましたので、いずれ政府との質疑において、残る問題は詰めてみたいと思いますが、以上、大まかに言って二、三点でございましたが、お答えをいただきたいと思います。
  15. 安井藤次郎

    安井参考人 ただいま御質問いただきました冷凍魚の問題ですが、冷凍魚は、これは先生方のおっしゃるとおりでありまして、私、最初にあいさつの中で申しましたとおり、日本の国は、世界の七つの海の水産物を非常に尊敬しなければならぬと同時に、これを日本の国民の常食として、これから栄養カロリーをとらなければならぬということは、皆さん承知のとおりでありますが、大体戦前は、日本はこういう島国で魚が多かったということでぜいたくをしておったのですが、戦後、いまの千島列島なり、それから樺太また台湾、朝鮮というようなところがみな独立したというようなかっこうで、われわれは世界の海の魚にある程度制限を受けてきた。こういうことでありますと同時に、また日本生産者である大洋漁業とか日本水産はそういう非常な危険なところ、漁師か捕獲されたりまた船を取られたりするようなところへ行かなくても、七つの海は広いのだからというんで、南氷洋へ魚をとりに行くということは言うまでもありませんが、しかし、そういうところは非常に距離も遠いし、鮮度の問題から、とった魚をすぐ冷凍にしなければならぬということになったので、冷凍魚というものに対してはわれわれは大いに関心を持っておるわけでありまして、これからそういうぐあいにみな勉強していかなくてはならぬ、かように思っております。また冷凍魚に対しては、御承知のとおり政府もばく大な金を投じておる。たとえばクジラにしても、図南丸というような問題でいろいろ施策を講じておられる。それはわれわれもわかっておるわけですが、冷凍魚は、御承知のとおりまだ日本消費者自体十分納得しておられぬお方が非常に多いわけでありまして、そこにちょっと無理がある。  もう一つはコールドチェーンですが、コールドチェーンの問題は、御承知のとおりこれは大体外国の行き方でありまして、日本政府のお考え方は、農林省の話を聞きますと、要するに、頭も骨も腹わたもあるようなものを輸送をするのは非常に問題がある、だから身ばかりにしてやったらよいじゃないかということであるが、これは冷凍角と別の問題で、全部の魚をコールドチェン式にいくということは非常に問題があるということと、また鮮度保持が非常にむずかしいのです。これは生産者なり、また荷受け会社なり、仲買いさんなり、あるいはわれわれのところでは、ある程度政府の施策、また農林省のおっしゃるとおりやっていきたいのですが、消費者自体がまだその施設、十分な冷蔵庫の設備がどうかと思います。大体これは、その日のものはその日に食するということは非常にむずかしい問題で、これは実は大阪の阿倍野区におきまして、タイ以外のマグロとかイカとかいう冷凍魚を専門的に売ったのでありますが、どうも売れない。わりかた十分な加工ができて、さし人にでもなるものはあまり安くないということと、もう一つは、お客さんがぴったり来ぬのか知りませんが、売れないというので、大阪阿倍野区方面の繁華街において四、五店の店舗をつくられましたが、これも閉店してしまった。こういうことと同時に、私この冷凍魚の問題で、農協が冷凍魚全国的に売るのだとかどうだとかこうだとか、それは東北、四国、九州方面からいろいろ問題を聞きますが、大阪ではこの冷凍魚の自動車も大体二台ほど、阿倍野区方面にいつも出発が起こるのですが、これへ冷凍の車をこしらえて二、三回方々回ったのですが、もちろん交通麻痺の問題もありますが、御承知のとおり小売り市場というものは、大体二万世帯に一つ市場が成り立つわけです。だが大阪は、大体六、七千世帯に一つ市場があるために、お客さんがどうも市場になじみがあるというか、市場へ行ったら無理を言えるからいいというのかもしれませんが、みな市場へ行かれて、冷凍車が売れないから店を締めて、損をして車を売ってしまったというような例があるわけで、全国的な話になってくると非常にむずかしい問題ですが、参考に申し上げますと大阪実態はそうでありまして、先生おっしゃるとおり、われわれは冷凍魚やコールドチェーンには決して反対いたしておりませんので、その点誤解のないように、ひとつよろしくお願いいたします。
  16. 大澤常太郎

    大澤参考人 大野先生の御質問に関連しましてちょっと申し上げます。  まず最初にコールドチェーン、これはおっしゃるとおり昨年ですか、政府から予算をとりまして科学技術庁が目下実験中でございます。魚類のほうの二とは私は知りませんが、青果のほうの関係といたしましては、現在やっておることは、東京の神田市場の全部の会社が共同で、コールドチェーンの品物をせりで販売いたしております。それから消費者直接の実験方法といたしましては、私が命令されまして、東京で現在十五店の相当なお唐を指定していただきまして、そして実験を行なっております。まだ研究の段階ですから大きな批判はできませんけれども消費者の御意見を伺いますと、まず衛生的である、それから貯蔵がきく、ロスが出ない、だからもし大量に生産された場合、多く出せば暴落するというようなときには、政府の力によってこれを大量貯蔵をしておいて、荷物の少ないときにこれを出荷して調整をはかる、したがってこれが価格の安定になるのじゃないか、いまのところこういうような結論であります。こういうような意味で、私どもは何とかこれを成功させたいというので一生懸命やっております。絶えずアンケートを取って消費者の御意見を伺っておりますが、大体いまのところ評判はいいようであります。  そこで、せんだって科学技術庁のほうから呼び出しがありまして、さらに実験を拡大するために今後約三十店の実験店をふやしたい、だから相談に乗ってもらいたい、小売り屋ばかりでなくデパートも、適当な店を選んでもらいたい、こういうようなお話がありました。主管の当局も相当に気が乗ってきたのじゃないかと思います。私もアメリカへ三回ばかり行ってまいりまして、ついこの間も行ってきたのですけれども、あちらでは成功しているのですからね。それで、衛生を重んじられる際でありますし、いま消費者は若い方が多くて、みんな教育がありますし、料理その他衛生方面でも、業者よりも非常に進んでいるくらいですから、そういう観点から見て、市場の相場というものは、荷がたくさんあるというときには人為的に操作ができない、下がってしまう、けれども需要に見合った必要なだけの量が出れば、適正な価格が出るというようなことははっきりしておりますから、これはひとつ予算の許す限り国民全体の利益のために、健康のためにやってもらいたい、私はこう思うのです。  それから、次は定価売りをやったらどうだろうというお話がありました。
  17. 大野市郎

    ○大野(市)委員 定価売りは問題だというのです。
  18. 大澤常太郎

    大澤参考人 問題だとおっしゃる。これは中央卸市場法を御存じでしょうが、現在の規則ではせり、相対、入札、正札、この四つあるのですよ。正札はあまりやっていませんが、ときどき仲買いなんかやっています。これは小売り屋が正札売りをやっているのですから、委託された者がせりでもって売買するには、これは不適当だと思います。しかし、買い付けた原価のあるものは、それに相当の利潤をかけて、そうして定価売りすることはできないことはないと思うのです。私はそう思うのです。
  19. 大野市郎

    ○大野(市)委員 いや、市場の定価売りというのは、卸売り市場のことです。そういうことで申し上げたのです。
  20. 大澤常太郎

    大澤参考人 逆でしたか。
  21. 大野市郎

    ○大野(市)委員 逆です。
  22. 大澤常太郎

    大澤参考人 それじゃ、逆ならやめます。  それから買参が多過ぎるというお話が、さっき市場長からありましたが、これは都市と市場の状況によって異なる。これは御案内かもしれませんが、戦争が起こりましてから配給制度になりまして、全部統制になりまして、それで既存の仲買いというものは、公定価格ができたので価格形成の必要がないというので全部廃止になった。それで、東京でも青果関係する仲買い人が一千人ばかり失業しました。そこで、これを町の農林大臣井野さんが三つの方法で解決をつけた。三分の一は統制会社に収容すること、三分の一は、小売りのほうが今度は配給制度になりましたから、その配給の業務に参加すること、残りの三分の一は、国家の要請する方面に転業をしてもらいたい、これには適当に転業資金をやろう、こういうようなことで解決がつきまして、私のほうにも数百人の仲買い人が参加をいたしまして、戦争中、あの苦労な配給を手伝っていただいたわけであります。  ところが、昭和二十二年になりまして、もう戦争も終わったし、配給の制度はいけない、公定価格は撤廃してしまえというようなことになりました。そこで、戦争中一時、荷受けの機関が卸になり、小売りが配給の機関になってやってきたのでありますけれども、これがもとの姿に返って、卸は卸で荷受け、それから小売りは、配給から自由の小売りの営業に変わったわけであります。ところが、変わらないのは仲買いなんです。仲買いは取り残されてしまった。戦前あれだけ役に立った仲闘いが取り残されてしまった。そこで仲買いが失業しましたので、東京では、私ども相談してこれに適当な生きる道を考えましたけれども全国的に仲買いというのは廃止をされてしまった。仲買いがなくなり、卸と小売りだけですから、買う人は、小売りが買わなければしょうがない、こういうことになった。  そこで、小売りが全面せり参加をいたしたわけであります。無理にしたわけではない、仲買いがないのですから、小売りが参加するよりしかたがない。そこで、私ども組合員を全面参加させた。御案内のとおり小売り関係というものは、東京も広いですから、地区によって消費の状況が違う。幾ら高くてもいいものをほしいというところもありますし、少しくたびれていても値段の安いものがほしいというのもありますし、団地の方面なんかにいきますと、安くても高くてもたくさんは償わない。キャベツ半分、大根は三分の一、こういうふうな消費の状況もありますものですから……。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 大津参考人、答弁は簡単に願います。きょうは二時から本会議もありますし、質問者もたくさんいらっしゃいますから、質問をされる方も答弁をされる方も要領よく簡単にお願いしたいと思います。
  24. 大澤常太郎

    大澤参考人 はい。そんなことで、仲買いがないものですから、小売り屋がせり参加をした。その一年後に仲買いが復活して現在のようなことになったのです。皆さんの聞きたいことは、私は仲買いの問題だろうと思いますが、いま御承知のとおり、物価抑制のために取引の段階を狭めろ、パイプを短くしろ、人によっては、仲買い不要論さえ唱えている者があるわけでございます。けれども、私ども小売り商はそれに賛成いたしておりません。  御案内のとおり、中央市場のせりというものは単位がある。いま一俵一個というお話がありましたけれども、それはどこの市場でごらんになったか知りませんが、東京では最低五個五俵なんです。そういう制度で取引をいたしておるわけでございます。ですから、それ以上大きくなりますと、行商とか小さい小売り屋は、一つ品物だけたくさん買ったのでは商売にならない。そこで、大量に買ってこまかく分ける人が必要なんです。、だから、仲買いというものは必要だというのです。けれども仲買いが増長して、中央市場取引を独占するとかなんとかということについては、私どもはまっ向から反対しております。あくまでも私ども消費者の代替人として、地区の事情によって消費者の希望に沿うような品物を、市場からなるべく安く買って売ろうということでやっておりますから……。  まだ話したいことはうんとありますけれども、やめましょう。またあとで必要があれば話します。
  25. 大野市郎

    ○大野(市)委員 いまのお話、私の質問の骨子にはお答えいただかなかったので一言だけ……。買参人二万人が青果にあるというのですが、これがどういう転化をするかという方法は別ですよ。そうでなくて、買参人の人数を、そういうふうに必要がないのじゃなかろうかという御質問をしたのです。
  26. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 簡単にお願いいたします。
  27. 大澤常太郎

    大澤参考人 簡単に申します。それはいま申し上げましたとおり、売買の単位というものが大きくなってきましたから、すべて大型化になってきましたから、そうすると、許可をとっても小さい者には買えないのです。買えない者はしかたがないから仲買いから小口に買うということをやっていますから、権利をとりましても、全部の者が現在参加をいたしてはおりません。買える者だけが参加をいたしておる、こういうことでございます。
  28. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 武部文君。
  29. 武部文

    ○武部委員 それでは、最初に大澤さんにお伺いいたします。先ほどの説明によりますと、東京都内で店頭の小売り商が一万人程度だという話がございましたが、そのほかに約二割の行商があるという説明でございました。私がお伺いしたいのは、行商は団地あたりへ行きますと、引き売り人ということばが使われておるようでありますが、この引き売り人について東京で約二千人、これは大澤さんの全国青果小売組合連合会というものに加盟をしておるのでありますか。
  30. 大澤常太郎

    大澤参考人 いまの御質問ですが、大体加盟しております。それから組合も、私どものほかに小さい者だけを集めている組合もありますから、そのほうへは参加いたしております。
  31. 武部文

    ○武部委員 行商人が行商することについて、店頭の小売り商皆さんから、行商のあり方については何か特別な制約がございますか。
  32. 大澤常太郎

    大澤参考人 ありません。
  33. 武部文

    ○武部委員 実は、私は都下のある団地へ参りましていろいろ聞きましたところ、団地の人たちが言うには、この引き売り人は非常に品物がよいし、また安い。ところが、この引き売り人が入ってくることについて、小売り商のほうから相当な苦情が出るようです。それをもうちょっと調べてみますと、団地の管理人が、引き売り人が団地に入ることについていろいろ制約をする、したがって、入ろうと思っても入れないので、実は目をかすめて入る、こういう現実の姿が都下の団地のあちこちにあるようです。こういうことですと、せっかく安い引き売り人から品物を手軽に買おうと思っても、現実には買えなくなっておる。こういう事実があるわけですが、これについて大津さんのほうは、どういうふうな御理解でございましょうか。
  34. 大澤常太郎

    大澤参考人 苦情のあるということは、これは商人の競争上、既設の業者はなるべく入ってもらわないほうがいいでしょう。そういう意味で反対をするので、そんなものは反対しても何の効果もありません。お客さんが買うのは自由でございますから、もう昔のように、あの八百屋から買うということをいまきめているようなお客さんはありません。二軒でも三軒でも歩いて一番安そうな、いい品物を売ってサービスのいいうちで買うということになっております。私どもそれをお願いいたしております。
  35. 武部文

    ○武部委員 それでわかりましたが、そうすると現実に起きておる問題は、公団の管理人が、引き売り人の入ってくることをいろいろな意味で妨害をしているというふうに理解をしていいわけですね、現実にそういうことがあるわけですから。引き売り人が入ることを非常にいやがっておる——いやがっておるというよりも入らせない。これは皆さんの方針ではなくして、公団の管理人が、小売り皆さんの店頭といろいろな関係があるから入らないようにしておるのであって、そういう点はあなた方の本意ではないというふうに理解していいわけですね。わかりました。  それで次、安井さんにお伺いします。きょうの朝日新聞の一面トップに、「水産物商の公庫を」というたいへん大きな記事が載りました。この全国水産物小団体連合会中根長吉理事長というのは、安井さんの下の理事長さんでございますか。
  36. 安井藤次郎

    安井参考人 私は全国組織では骨折ったのですが、当時、東京の塩澤さんが会長で私が理事長をしておりました。それから塩澤さんがなくなられて、私が会長になって、東京の中根さんが塩澤さんのかわりに来られて理事長になられた。それで中根さんは東京理事長であり、私が大阪理事長である、全水連の編成はそういうことになっております。
  37. 武部文

    ○武部委員 それで、この新聞記事を見ますと、水産物の小売団体連合会は、全国に約八万軒の魚屋さん、一万軒の乾物商を組合員に持つところの有力な連合会だ、それが公庫を新設してほしいという非常に強い意向があって、農林省のほうも大体支持をするような傾向だ、こういうことですね。御承知のようにいま十八の公庫、公団が熱上に上がって、これが廃止になるかどうかということが国会でも相当取り上げられておる。百八の特殊法人がこれから一つ一つまた効上にのぼると思うのです。そういう段階で、約三十億の政府の出資金を魚商だけの場合でも要求する考えである、こういう記事が載っておるわけでありますが、これは特に皆さんのほうで、中小企業金融公庫なりその他の既設のそういう金融公庫のやり方では、現実問題として運営が非常に困難だ、いろいろな欠点もある、こういうような具体的な考え方があってこういう運動が現実に進んでおると思うのであります。具体的に皆さん立場でこういうようなことを希望される根本的な原因は一体どこにあるのか、そういう点をお伺いしたい。
  38. 安井藤次郎

    安井参考人 私、その新聞の記事をけさ聞きまして、実は意外に思っておるわけでありますが、それはなぜかと申しますと、現在の近代化設備資金というものに対しましては、四、五年前からいろいろ骨を折らしていただきまして、大体軌道に乗ってきたところでありまして、約三十億という金を了解していただいております。これは五年かかるということになっていますが、現在、昨年からは六大都市ということになっておりますが、六大部市とか十大都市とかいうことでなしに、零細業者にはあんばいしてもらいたいというのがわれわれの願いでありまして、近代化設備資金というのは、その金を使うものに制限があるわけでして、たとえば、建築とか店舗をあんばいするとかいうものに使えない金でありまして、その近代化設備に必要な冷凍ケースとか冷蔵車とか、そういうものに使用する金であります。そのわれわれ業界の公庫というものは、私は、話が東京の役員会であったものだと思います。この五日か六日ごろ大阪へ行って、私と一緒に東京の役員さんが話をしたいという話ではないか、こう解釈しておるわけて、東京の役員さんか——大体東京さんか全国理事長でもありますし、専務さんも東京におられますから、そういう話を話しかけられて、そういうことを言われたのだと思います。正式には、全国大会はことしの九月二日に執行しますから、まだそこまでの運びにはなっておりません。先月の二十三日、二十四日に、日本食品衛生協会というものがありますが、この席上では、要するに食料品全般の団体から、こういう希望を持っておるのだということを聞いておるので、それと錯覚を起こして新聞記者が書いたのではないか。この二つの見方をしておるわけで、ひとつよろしくお願いします。
  39. 武部文

    ○武部委員 わかりました。正式な名前が一緒なものですから、それであなたが会長さんでこっちが理事長さんだから、会長さんのほうが上だから御承知だろうと思って質問したわけですが、いまのところ全然お知りでないようですから、それではこの朝日新聞の記事については、この質問はこれで終わりまして、最後に三坂さんに伺います。  先ほど発言がいろいろございました中に、自分たちとしては中央市場で発言をする機会を得たいというような意味のおことばがありました。発言権を持ちたい。その裏には、この市場のあり方について、いまのやり方について、非常に何か大きな不満があるように、私はそのことばの中から受け取ったわけですが、現実問題として、そういう市場の中に皆さん立場としてどういうことが言いたいのか、これをひとつ遠慮なしに言っていただきたいと思います。
  40. 三坂則正

    ○三坂参考人 売ると買うと対等の立場でいろいろ話がしてみたい。いま大阪市場長さんが言われましたように、集荷機能の性格を帯びておる、荷物が余計入ったら大阪市場の発展だというような解釈ですが、われわれは神戸の商人として、神戸の市民に安定したものを買っていただきたいという希望で——集荷機能という美名のもとに、卸売りがせり参加以前に転送したり、そういうことが多々あるので、一たん中央市場へ入れば、市民の代弁をして仕入れるわれわれとも相談をして、そして転送、先取りという問題について、われわれ消費者代表、朝早うから仕入れに行っているわれわれと、三べんに一ぺん、十ぺんに一ぺん——三十五年に一ぺんも相談がないということじゃなくて、たまには相談していただきたいということなんです。
  41. 武部文

    ○武部委員 わかりました。これはたいへん大事なことだと思うのですよ。いまの御発言によると、せり以前に転送してみたり、先取りしてみたりというような事実が現実にある、こういうことがいまの御発言ではっきり読み取れました。われわれもそういうことがあるのではないかと思うから、いまの質問をしたのであります。昨日それがわかっておれば、卸の人がたくさんおったから、それを追及できたのですが、きょうはその人たちがいらしゃいません。したがって、いまの御発言によって、せり市場のあり方、こうしたものについて相当大きな問題があるように思います。これは御意見としてよくわかりましたので、あとは私どもとして、また適宜の場所を通じまして解明していきたいと思います。
  42. 三坂則正

    ○三坂参考人 いまの答弁で足りない点ちょっと。この問題を解決していただかなければ、魚の値段というものの評価に非常に重大な問題があると私は思うのであります。魚というものの価格は、数量と、鮮度と、消費者の買っていただく購買力と、この三者によって成り立つものと、私は四十年の経験で判断しております。
  43. 武部文

    ○武部委員 もう一つ、簡単です。いま言われましたせり以前の転送とか先取りとかいうことについて、大阪東京市場長はどういうふうにお考えでしょうか。
  44. 池内英太郎

    ○池内参考人 ただいまの先取り、転送ですが、先ほど御説明いたしましたように、大都市市場が非常に集散機能的なものを持っておる。大阪市といたしましても、大阪市の市民の要求を中心に大体まかなっておるわけでございまして、極論を言えば、大阪市の中央市場に入ったものは大阪府外には出さぬ、こういうようなことになって相しかるべきだというようなもことも考えるわけでござまいすが、これは先ほど来御説明いたしましたように、いわゆる市場行為というものは自由な取引でございますし、市場業者の力、いわゆる商権の問題もございまして、社会経済の発展に伴ってそういうことになっておるわけでございますけれども、いま言われましたような先取り、転送というような問題については、十分な規制を加えてやっておるわけでございます。たとえば、そういうような先取り、転送の形は、数量的には大阪の場合一〇%前後で、これは私のほうと卸、仲買いと協議いたしてやっておるわけでございますが、それをとめた場合には、おそらく市外あるいは府下のほうで魚が食べられないのじゃないか、こういう情勢が現実にございます。  先生がおっしゃいましたような先取り、転送をむやみやたらにやる、卸売り人の恣意的な形でやるというようなことについては、十分われわれも監督せねばならぬと思いますけれども、これは買い手である仲買い人のほうも絶対に——どう言いますか、卸売り人が自由に転送さすということについては反対の立場に立っておりますから、これは市場の入荷の状況その他を考えまして、ある程度のことは考えていかなくてはならないということで、農林省のほうともいろいろ御協議いたしまして、いまの大都市の集散市場的な機能というものは認めざるを得ないわけでございますから、そういった観点に立って、先取り、転送の問題を一応分荷しようということでやっておりますので、御了解を賜わりたいと思います。
  45. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 私どものほうでは、いまお話のような、いわゆるせり以前に、上場すべきものとして入った荷が転送されるということはないものと思っております。ただ、荷主が最初からどこそこの市場のほうに送ってもらいたい、こういうような指図による転送、こういったことはあり得ると思います。したがいまして、上場すべきものとして市場の中に入ってきたものが、せり以前にかってな転送はないだろうと私は思っております。ただ、そのほかに市場間転送、これは実際といたしまして認めざるのを得ないと思っております。たとえば、足立の市場に築地の本場から魚を送る、こういったことは認めざるを得ないと思っております。それから、むろん取引時間開始後せりなりによって区域外に出ていくということは、これは買参も認めている点もあるわけでございますから、当然のことだろうと思います。
  46. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 小峯柳多君。
  47. 小峯柳多

    ○小峯委員 私は二、三点簡単に伺ってみたいのですが、いま武部委員からお話のありましたことにも関連するのですが、卸売り人がわりあい数が少ない。私どもは、一人で占めるのを独占、比較的少ない数で占めるのを寡占と言っておりますが、どうも寡占の段階にあるように思われます。特に水産物関係にありはせぬかと思うのですが、卸売り人と産地生産者との間に特殊な関係、あるいは密着した関係があって、いま言ったようなこともそれから起こりはしないか。それから、せりのさし値なんかも、自分と非常に密着して、もう切っても切れない関係にあると、自然さし値というものが出てきはせぬだろうか。いまの市場に来てからの転送、先取りといいますか、その前にも——これはそこまでは市場では取り締まれないと思うのですが、上手に市場を泳ぐということがありはせぬだろうか。そこで、きょうは小売り関係皆さん三人おそろいですが、卸売り人が少な過ぎる。場所によると一人しかないようなところがあるように見ました。そういう数が、独占ないし寡占の段階になっておる卸売り人のあり方に対してどうお考えになりますか。これは特に水産物に多いんじゃないかというような感じがいたしますけれども、ひとつ御関係の方でお話をいただきたいと思います。
  48. 三坂則正

    ○三坂参考人 卸売り人が寡占というのですか、少ないじゃないか。単一である。私の小売り人としての考え方では、複数が望ましいと思います。一社では、どうしてもわれわれ買う立場小売り人は食わえて振られるというか、どうも不便でかなわぬ。われわれ買う立場としては得心がいきません。
  49. 安井藤次郎

    安井参考人 大阪は、戦後荷受け会社が五カ所あったと思います。だんだん合併されたのかつぶれたのかしりませんが、現在二つの荷受け会社があります。非常に一生懸命競争して荷物を引いていただいておるし、大阪は非常に順調にいっている、かように思うわけでありまして、いま先生の御質問の、いろいろの微妙な、複雑な問題があるかということですが、これは荷受け会社の人に聞いていただかないと、われわれはちょっとそこは答弁しにくいので……。
  50. 小峯柳多

    ○小峯委員 実は、きのう伺ったのですが、そういうことありませんというお話でございました。荷受け会社の卸売り人が加工の工場などを産地に持っている人があるやに聞いている。そうすると、これは一心同体なんです。卸売りの中にも多少専門があって、この魚はここがえてだというものがあるのじゃないか。そうすると、そういうことが響くと思うのですよ。これはあなたに聞かなくてもいいです。私どもはそういうふうににらんだし、私は、いま武部君のお話で、たいへんいい問題を出していただいたと思うのです。  それから市場の開設者に伺いたいのですが、集散市場ということを大阪の方がおっしゃいましたが、私は、市場というものは、どうしても大きくなって、なるべく出会いのいい、取引が円滑に行なわれるところへ集まる傾向を持つものだと思うのです。そこで東京大阪がますます大きくなる。したがって、その東京大阪に集まるものの品分けといいますか、転送する場合に、さっき小売り人のお話がありましたけれども、もっと明朗に、あなた方がその中に加わってこれをきっぱりやらぬと、やはりいろいろな問題が残るように思うのですが、そういうお考えはどうですか。
  51. 池内英太郎

    ○池内参考人 先生のおっしゃったとおりだと思います。先ほど来申しましたように、荷主のはっきりした意思によって転送するという場合は問題ありませんけれども、卸売り人が転送するということにつきましては、これは厳重にやっていく必要があると思います。しかし、これはおかしな例でございますが、一回、先取り業者に全部荷物を渡さぬということの話をしたときに、大阪府下の衛星都市の市長さんから、そんなことしてもらったら困るという声も出ましたようなことも事実あるわけであります。これは統制経済を通じまして、一時——統制経済というものは、全部大阪市の中央市場へものを集めて、そこから、大阪市はもちろん各市外にも流したというようなこともございますし、そういった取引実態的な行き方があってそういうことも残っておりますし、われわれといたしましてもできるだけこれはなくして、買参の形をとるということでやれればいいのですが、市場が遠隔であるとかということで、せり時間後持っていっては間に合わぬというような状況の市場もございますので、こういったものを最小限度に限定いたしまして、先取り、転送の品目、数量その他につきましては、前日にわれわれはその届け出をもらいまして、卸、仲買い、われわれと協議いたしまして、許可いたしておるということでございますので、先生の御趣旨に従ってやっていきたい、こういうふうに思っております。
  52. 小峯柳多

    ○小峯委員 私は、市場がますます大きくなるから、それを分けちゃいけないと言うのじゃない。分けるときに、いまお話があったように、みんながわかるように公明にやらないと、私は、どうしても市場というものは東京大阪に集中すると思う。これは市場の原則なんだ。だから、そういう傾向がますます強いから、その場合には、だれもかれもわかるようにそれをきっぱりしないと——この傾向は私は認めるし、しかたないと思うのですよ。その分け方、転送のしかたをもっときっぱりしないと、問題が、残るのじゃないかということを申し上げておる。  それからもう一つ東京市場長から権限強化の話が出ました。ただ、しかし、権限だけほしいのじゃ困るので、権限が強化されたら、末端の価格に響きますか。いまあなた方が持っていないものをもっと付与されたら、もう少し管理費というふうなものが下がりますか。そのプラスがなければ意味がないと思う。
  53. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 開設者に権限が許された場合に、端的に消費者価格に反映するか、こういうお話ですが、私は、中央市場が流通過程においてになう役割りは非常に大きいと思いますか、しかし、中央市場が端的、直接に値下げの効用は、私はないだろうと思います。ただ、間接的に、信用をつけて荷が非常に入りやすい。荷が非常に多く入るようになれば、これは自然と下がるということになりましょうけれども、直接には下がるものではないと私は思っております。したがって、そういう意味では、権限が移ったからさっそく値に響くかというと、私はそうはならないと思います。
  54. 小峯柳多

    ○小峯委員 私はそんなことを聞いているのじゃない。あなた方が権限を持ったってすぐ下がるとは思わない。そうじゃなくて、間接的にでも、あなた方が権限を持つことで、かなりむだなことが直るというふうなことかあれば——あなたか現実に末端をきめるわけではないのだから、そんなことを聞いているわけじゃない。影響がありますかと聞いているのです。
  55. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 私が権限移譲していただきたいというのは、やはりそういった権限を持っておることが業界の指導監督がさらにやりやすい、こういうことであります。そういうことから、いまのようないろいろな指導の面が徹底できれば、やはりそういった管理費とかいろいろなものを低減に導くことができるのではなかうか、こういうふうに考えるから申し上げたわけであります。
  56. 小峯柳多

    ○小峯委員 もう一点、設備強化の問題がお二人から出ましたか、これは設備が狭隘のために——これも間接ですよ。直接じゃないけれども、費用がかなりかかっているという面がありはせぬか。私は、設備増強の問題も、権限の問題も、間接ながら、いまあなたがおっしゃった御答弁でよくわかった。監督がよくいきやすくなるということをおっしゃった。これもやはり影響があると思う。そういう設備の問題も含めて、もっと合理的な設備増強ができれば、末端まで間接ながら響くというふうにあなた方が沈んで、どのぐらいそれが響く——これはおかしな言い方になるかもしれないけれども、かなり管理費がかかっているが、そういうものが安くなってくるのだ、合理的になってくるのだというふうな点がありますか。その見当をつけていらっしゃいますか。
  57. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 まだ具体的な数字は検討しておりません。
  58. 小峯柳多

    ○小峯委員 それでは、どうかお二人の市場長に、いま言ったように、設備が非常に狭隘なためからむだな費用がかかっているのだ、こういう点が直ってくるのだ、それから権限なんかも、私どもが自由に裁量できれば、もっと合理化される面があるのだということを、たいへん恐縮ですが、委員長、ひとつ資料にしていただきたいと思います。これをお願いいたしまして、私の質問を終わりまず。
  59. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 委員長からお願いいたします。資料にして出していただきたいと思います。  武藤山治君。
  60. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 参考人の方に、質疑と答弁の時間を入れて一人十五分間ですから、簡潔に、明瞭な御意見をお聞かせ願いたいと思います。  まず最初に、いま流通段階でいろいろロスがあって消費者価格が高いのではないか、特に野菜と魚の関係では、そういう改善をしなければならぬ面があるのではないか、こういう一般の意見がかなりあります。そこで、当事者として、青果商さらに水産物商の立場から、いまのマージンは適正なマージンなんだ、価格が上がっているのは決してわれわれのせいではないのだ、そういう場合の論拠を、簡単にひとつお聞かせ願って、同時に、そうではないにしても、こういう点をこう改善すれば、ある程度安定化に役立つ改善策はあるはずだ、それをわれわれは政府に望みたい、あるいは消費者に望みたい、そういう希望があったら、その点も明らかにひとつ示していただきたいと思います。
  61. 大澤常太郎

    大澤参考人 まず、私ども小売り商から考えたことですが、さっきいろいろな小売り立場について申し上げておりましたが、結局は、生産者のほうから申し上げますと、消費者に売るのですから、なるだけ手数のかからないような荷づくりをして、ロスの出ないように、目方の減らないように、たびたび頼んでおるのです。荷づくりしたら、その日付を入れてもらいたい、量目をはっきり書いてもらいたい——どうしても書かないようです。いろいろな御都合があるのでしょう、責任問題が起こるから。小売り商はそれを小さく何人にも売るのですから、そういう手数のかからないような荷づくりをして出してもらいたい。そうすればごみは出ませんよ。  それから、市場のほうでは——まあ他の方面に私はあまり触れたくないのですがね。触れたくないのですけれども、触れなければならぬこともあるでしょう。卸のほうでもいろいろ研究していますけれどもほんとうは、一般の商品というものは、私は八百屋だけじゃない、関連商品も売っていますが、電話で注文しても、注文に行っても、品物を届けてくれるわけですよ。ところが、市場では届けてくれないから、自分で買いに行って、自分の自動車で持ってくる。そういうようなことで市場も混雑してますから、一人で行ったんじゃしかたがない、買ったものを自分で積んでくるのですから。戦前はそうじゃなかった。買うと、売り手が買い手の車まで持ってきてくれたものですよ。いまの中央市場はそういうことじゃないのです。売るまでは売り手の責任だけれども取引が済んだら買い手の責任だ、とられても何でもしかたがない、そういうことのないようにやれ、こういうようなことですから、どうしても一人で行ったんじゃしょうがない。助手を連れていって、買った荷物を始末をさせるとか、こういうようなことで、市場仕入れにも相当人手が要るし、費用もかかるということです。そういうむだを省きたいのです。  それから、仲買いの問題もありますが、仲買いは私どもは擁護しています。ただ、卸は公定価格ですから、くだものは七分、野菜は八分五厘です。卸は手がかからないで、市場で買ったものをその場で売るのですから、仲買いは、卸よりは幾らか高く利潤をとっていただいていいですから、手数料を、平均にきめられなかったら、最高でもいいですがきめてもらいたい。そうすると、卸が幾らもうける、仲買いが幾らもうける、小売り屋が三割もうける——これは税務署に聞けばすぐわかるのです。一割八分以上二割二分というのが小売り商の利潤と税務署が確定していますから。そういうことになると消費者が納得するのですよ。そうでないと、生産者大根一本十円なのに八百屋が二十円に売っている、三十円に売っている、五十円に売っているというので、しょっちゅうそれでもってわれわれは痛めつけられています。だから、私はガラス張りでいってもらいたい。陰があってはいけません。せりで買ったものをあとで値切ったり、また荷主のほうでは、一手にまとめたものを東京の各市場に出すと、市場によって値段がみな違います。そうすると、高いものを安くしろなんて言ってきませんよ。おまえのところは安いんだから、よそは高いのだから高くしてくれと言う。これが増し仕切りというのですね。これは卸がたいへんな負担です。卸がいないから言うけれども、一年の増し仕切りというものはたいへんなものですよ。さし値がある、増し仕切りがある。値引きがある、なかなか卸の負担はたいへんですよ。だから、卸もずいぶんつらいこともあるでしょう。そういうことですから、そういうようなことを全部改めてもらいたい。仲買いも、卸が八分五厘ですから、たとえ一割でも幾らでもいいから適正な値段をきめてもらって、それを表へ出して売ってもらう。これなら正札販売できるじゃないですか。小売り屋はやっているのだからね。私はそういうぐあいにしてもらいたいと思う。  きょうはいろいろお話ししたいことがありますが、委員長のごきげんが悪いからやめます。(笑声)私どもは言いたいことうんとあります。私の言うことは全国の声だからね。だから、いずれ文書をもって委員長に出します。皆さんにも配っていただきますので、ひとつ読んでください。
  62. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大澤さんの明快なおもしろい御意見、いま私が三坂さんにお尋ねしようと思ったのも、仲買い人が競落して小売り商皆さんに売るときには、これは幾らで競落したという値段がついているのかついていないのかということを聞きたかったわけです。それがついていれば——五%のマージンだと市場長はわれわれに説明するのですが、私は仲買い人が平均五%のマージンで済んでいるとはどう考えても納得できないのですよ。実際三坂さんどうでしょう、仲買い人がいろいろ大量に仕入れたものを小売り人にこまかに分けて売る場合に、もうけは大体五%くらいと、八百屋さんや魚屋さんはおっしゃっているでしょうか。
  63. 三坂則正

    ○三坂参考人 仲買い人さんの言われるのは平均五%ということなんですね。大体神戸の場合には、最高は一〇%じゃないです。しかし、神戸の場合は、三割ぐらい小売り屋によって損をさせられる場合が多々あります。この前東京の生卸商からも神戸に来ていただいたのですが、東京中央市場のことは私はわかりませんが、東京の場合は、値が最高に沸騰した場合はある程度値段を押えるというシステムがあるらしいのです。神戸はそれはありません。最高で幾ら、買いたかったら何ぼでも買え、しかしわれわれは買わないのです。われわれが買わないのじゃないんです。お客さんが買うてくれないのです。それでわれわれが買えないのです。それで、神戸の場合は五分にはなっておりません、仲買いのマージンは。損させられる場合が多々ありますから。しかし、最高のマージンが一〇%じゃないです。もっと上です。われわれは仲買いの最高マージンも、きめられればきめていただきたいと思います。
  64. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大阪東京の両市場長にお尋ねしますが、いま大津さんがおっしゃったことぐらいなことは、中央市場としては、市場長のほうからの指導でできるのじゃないでしょうか。たとえば、せりで買ったものの値段は全部仲買いは表示する、それについてマージンを幾ら乗せるということを小売り人にいつも明らかにする。せり以外のものもあるでしょうから、そういうものはやむを得ないとしても、せりで買ったものだけはせりの値段を表示する、この指導はあなたたちの権限ではできませんか。
  65. 池内英太郎

    ○池内参考人 ちょっと私の考え方は違うのですけれども中央市場の機構というものが、大体卸は手数料商人である、仲買いはマージンの取引をするということで、市場法なり業務規程にきめられましたルールで取引を行なうのであれば、ぼく仲買いにも言うのですが、君らできるだけもうければいいじゃないか、思い切りもうけろというようなことを反対に言うわけです。しかし、これはそう簡単に行かぬわけでありまして、市場というものの機構はやはり競争の原則というもので成り立っておるわけでございますから、仲買い人も、大阪の場合は千人くらいおります。そこにみな専門の小売り屋さんが買いに来られるということで、大体きょうの相場はどのくらいであるということぐらいは、小売り屋さんでもみな御存じだと思うのです。そういう点もありますので、そういうものが同じような商品をすべて同じ店に並べて売る、小売り屋さんがそこに自由に買いに行かれるということでありますから、仲買いのマージンをきめるということは、いまの市場機構の上からはちょっとむずかしいのじゃないか、私はこういうふうに考えておるわけです。これは一応市場法なり業務規程に定められた取引の方法は厳守してもらう、正常な取引はやってもらわなくてはならないけれども、それ以外の商売上の問題についてはやはり市場の機構というものに沿ってやるのが経済の原則に従っておるのじゃないか。また、仲買いが自由にべらぼうなマージンを取れるという機構にはなっておりませんし、卸のほうだって手数料商人ですから、できるだけ荷物を多く集めて多く売れば会社の業績はあがりますが、これがまたときどき問題になるのですけれども中央市場というものは両側に生産者消費者というものがありまして、これらの利益の合致ということが一つ市場の機能でございまして、価格というものが一つの安全弁になって需給の調節がやられるということでございます。大阪の場合だって、特に京都、神戸の問題がありますし、それから東部と本場の問題がございますので、それらの間にはおのずと自然に競争の原則が働いておるということでございますので、そういった趣旨から、現在の機構ではそこまでやるのはちょっと無理じゃないか。そういうようなやり方よりも、市場運営というものを正常な形でやればおのずと仲買いのマージンその他も大体きまってくるのじゃないか、こういうように考えられるわけでございます。  それで、これも前に置いて恐縮でございますが、仲買い人がいろいろたくさんおってやりますが、どう言いますか、まあ外来の人が多いですから、人はのけても自分はもうけようというような気持ちの人も非常に多いわけでございます。というて、高く売ればなかなか小売り屋さんも来ませんし、そういった状況もございますので、ぼくはやはり自然にそういった競争の原則が働くのじゃないかということで、いまの市場法なり業務規程その他の機構の状況からして、仲買いのマージンを人為的に、ことに役所の行政指導によってやるということについては問題があるのじゃないか、こういうように考えております。
  66. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 いまの、せりの落札値を各店頭に表示したらどうか、この指導をやったらどうか、こういうお話が第一点だろうと思いますが、これは私はもちろん研究すべき問題ではなかろうかと思いますが、ただ、大阪市場長から申し上げましたように、売買に参加される方はそれぞれ専門家でありますから、それから小売り商もほぼ見ておられるわけてすし、ことに今度は機械化——きょうから実は私どものほうも発足しておりますが、機械化しておりますので、その数字もわかりますから、やってやれないことはないと思いますが、その必要性は、はたしてあるかどうかという疑問がございます。  それから、マージンをそれぞれ仲買いは何ぼ、あるいは小売りは三割というようなことを、全部守らせることができるかという御質問じゃないですか。
  67. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いやそうじゃないです。いまの二人の市場長の見解に私は——まあ東京市場長は検討に幾らか値するだろうというのですからいいけれども大阪市場長に至っては、まるでもう物価問題に対する感覚ゼロ、こういう役人がおるということは、まことに私は残念しごくに感じておるわけです。いま大洋さんも三坂さんも、仲買い人皆さんが発表するような五%程度の利益じゃないのですよ、そういう認識に立っておるわけです。それは、きょうせりで行なわれたものが相対価格競争して、ほんとう仲買い小売り人できまるならいざ知らず、大体小売り人は、どこの仲買いから買うかということは、もう慣習できまっておるわけですよ。借りるのですからね、幾日か。どこでもかまわない、片っ端毎日違う仲買いから小売り人は買っているのではないと私は思うのです。大体このAという魚屋さんは、どの仲買いといつも取引するかということはさまっておる。だから、完全な競争が行なわれる状況じゃないのですよ。不完全競争のもとにおける価格形成なんですよ。それはぼろいもうけを取る者もおるかもしらぬ。暴利をむさぼる仲買いもおるかもしらぬ。だから、せめて行政指導としては一定期間、こういう物価問題が騒がれるときは、一応せり値段はこうですよと表示させるくらいのことは、あってしかるべきだと私は思うのです。ところが、供給が非常に豊富になって、もうそういう物価問題との関連は考える必要がないという段階になればいいと思うのです。しかし、いまはもう総理大臣以下各大臣が、開けば物価問題を取り上げ、いま国政の最高の難点なんじゃと、こういうときに、大阪市場長みたいな、検討もしようともしない、まことに現状に唯々諾々とかじりついておるような、約束があるから、規定があるから、いまの制度では——制度は直したらいいじゃないですか。いまの機構の悪い点は直したらいいじゃないですか。直せるのですよ、法律も国会で修正できるのですから。そういう点を前向きに、いまの欠陥はこういうところにある、こういうところにある、それをどうぞ皆さんも審議して、直せるものは直してみてくれ、こういう前向きの姿勢で物価問題と取り組むような姿勢を持たぬということは、まことに不満です。参考人に少しきついことばではありますが、私はあなたのいまの答弁にはまことに不満です。もう私の割り当ての時間十五分間ですからやめますけれども……。
  68. 池内英太郎

    ○池内参考人 私のことばが足りなかったところもあるかもわかりませんけれども、一応市場機構の実態と、それから現行の方法はお話ししたとおりでございますが、価格の表示をせよということでございますが、これは大阪市場では全国に先がけて、東部市場の場合には機械化をやっております。これはせりが全部わかります。小売り屋さんのほうもみな見ております。ということで、そういう面については私のことばが足りなかった点があったので誤解を受けたかもわかりませんけれども、公開せりということで、大体のせり価格というものはわかっておると思います。  それからもう一つ小売り屋さんと仲買いとが結びついておるということでございますが、これは仲買いの肩を持って言うわけではございませんが、仲買いのほうにいたしましても、そういうお客さんこそ大事にすべきお客であると思うのです。だから、そういった場合にはそのお客さんにほかよりも暴利をむさぼるとか、ひどい利潤を取るということであれば、これはお客さんは離れていきます。そういうことで申し上げておりますので、御了解を賜わりたいと思います。
  69. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その離れていくというのは、完全競争が行なわれている市場ならばいいですよ。ところが、仲買い小売り人というものは完全競争が行なわれているとはわれわれは見られないのですよ。しかも、取引をして十日後に支払うあるいは五日間待ってくれ、そういうふうに常に、取引の条件の前からの継続があるわけですから、その簡単に、ここの店は十円高いからよそへ引っ越そうというわけに、おそらく小売り商はいかぬのです。そういう慣習というものがあるから簡単に変更できないのですよ。だから、私は仲買い小売り人の間は、完全競争のもとの価格形成ではないと見ているのです。そこらをできるだけ市場は公正な価格が形成されるように、不当なマージンがとられないように、常に監視をする必要があるということを強く私は申し上げておいて、時間ですから質問を終わりたいと思います。
  70. 大澤常太郎

    大澤参考人 ちょっと申し上げさせていただきますが、わが国で最初の中央市場というのは京都なんです。昭和二年に京都は開場したのです。それから他都市がだんだん実現したのですが、京都では、これは聞いた話ですからなんですが、いままで問屋からじかに買っていたものを、今度仲買いに独占されてしまって、仲買いの手を経なければ買えなくなったものだから、そこでいろいろ交渉しました結果、卸売り価格に五分、こういうことで約束ができて取引をしておったということを聞きました。この間全国連の大会が京都でありまして、それでそのときに京都の人から聞いたらば、今度は諸物価が高くなったしするから、七分にしてくれというので七分で承諾した、こういうことを聞いたのですが、大阪ですから、お隣だから御存じだと思うのです。それはどういう人がきめたのか知らぬが、小売り商はそう言っておりました。私の言うのは、卸の手数料が、野菜が八分五厘、くだものが七分ですから、だから卸より安く売ってくれと言うのではないのです。適正なマージンをきめて、そしてそれで仲買いに売ってもらったらいいじゃないか。そうすると、卸が幾らある、仲買いが幾らある、小売屋が幾らある、というので消費者は納得しますよ。そういう意味で申し上げたのです。
  71. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 砂田重民君。
  72. 砂田重民

    ○砂田委員 仲買いのマージンの問題等がだいぶ議論になっておりますけれども、もう残された時間がわずかでございますので、この問題は、私は検討の対象にすべきものだと思うのです。仲買いの最高マージンをきめたら、最高マージンに全部落ちついてしまうのではないか。そうでないという保証もまたありませんから、これは検討の対象にして、われわれはこれから取り上げていきたいと思いますので、価格問題ではなくて、二、三私はお伺いをしておきたいと思います。  まず第一に、大阪市場長さんの池内さんに、さっき市場のいろいろな施設の補助率の問題がありました。確かにこれだけ物価問題がやかましい、特に生鮮食料品価格安定がやかましいときに、わずか五分の一の補助というのは私たちにも納得がいかない。いろいろな公共事業の補助率が上がっておりますが、一向これは改められていないので、補助率のことは私も同感なんですが、もう一つ、率の問題ではなくて、こういう施設にまで補助対象を広げてもいいじゃないかという、いままで補助対象にしてもらいたいと皆さんが思っておられたけれども、いまだに補助対象になってこないというものがありましたら、この機会に聞かしていただきたい。
  73. 池内英太郎

    ○池内参考人 いま補助対象の拡大の問題についてでございますけれども、これは四十二年度、ことしから農林省の努力によりまして、いままではほんとう市場の基幹施設である卸売り場とか、仲買い売り場、それから買い受け人の場所、冷蔵庫等の建物だけであったのでございますが、四十二年度からは、そのほかに倉庫だとか、整地費だとか、それから排水衛生設備、電気設備等補助対象になるものを今後拡大していただきましたのでむしろ今後は補助率の引き上げということをお願いしたい、こういうように思います。
  74. 砂田重民

    ○砂田委員 それでは、四十二年度に改定したあの補助対象で、長い間市場を管理してこられた経験上、大体補助対象はあれでいいというお考えですか。
  75. 池内英太郎

    ○池内参考人 大体、おもな施設について全部補助対象になりましたので、まあいいと思います。一番問題は、いろいろ先ほど来出ておりますように、既設の市場の整備計画というものにつきましては補助率が五分の一、ここに一番大きな問題があろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  76. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 ただいまの補助率の問題でございますが、この補助率の前の基準単価が非常に低いということで、これを改めてもらう必要があるのではないかという点と、それから対象としまして、私先ほど申し上げたのですが、用地が非常に高いわけです。したがって、この用地に投資した原価を全部回収する必要もないと思いますけれども、実は年六分なりの地代相当額にも足りないという現在の使用料になっておるわけであります。そういう点から考えて、やはり一般には用地に対する補助というのはあまり例はないのでありますが、しかし、例としてなくはないわけです。公営住宅などの場合用地について補助をしておりますから、そういった点で補助ないしは利子補給とか何かの手を御考慮願いたい、こう思っております。
  77. 砂田重民

    ○砂田委員 大津さんに一つだけお伺いしたいのです。  三年ほど前に例の小管法、小売市場管理会法案、あの法律案が小売り屋さんたちの反対で流れましたね。大澤さんは何とかまとめようと思って一生懸命お骨折りになったのを私も知っているのですけれども、結局、おもに小売り商の方々の反対であれができなかった。今度は公設市場全国十二カ所ばかりつくったらどうだろうか、農林省がそういう予算を立てておりますが、その補助金の一市場一千万円なんていうけちな、わずかな、金額の多い少ないは別にして、この前の小管法のときのような反対の動きが、小売り商の方々にありますかどうですか。これは、実は私たちのように関西東京と二重生活をしておりますと、関西での生活東京での生活と、物を買うときの女房の苦労がまるで違うのですね。関西にあるような小売り市場、ああいう形態を東京に導入したいというのが、主として農林省の考え方だろうと思うのですけれども、またこの前の小管法のように、流されてしまったのでは意味がない。あのとき小管法を実現させようと思って大澤さんはたいへんお骨折りになったのですが、結局流れてしまった。今度はどうですか。
  78. 大澤常太郎

    大澤参考人 小管法は、先生御案内のとおりいろいろな意味がありますけれども、あれは役人が大体責任者になって、そして経営するというので、その責任者の顔ぶれもきまった。月給もきまった。そういうような意味で相当これに業界でも、つまり官営になるのではないかという誤解もあったのです。それでひどく反対した。ところが、いまの公設市場の問題は、私も委員になっておりますが、農林省生鮮食料品小売業近代化協議会というのですから、そこで、去年一ぱいかかっていろいろ討論をして、第一段階はまとまったのですけれども、あのときと今日では時勢が違います。さっきお話がありましたように、国をあげてこの物価問題をいかにすべきか、低物価政策をいかに実現するかというようなときに、消費者の勢いというのはたいしたものですから、私ども消費者に反対されたら商売にならぬのです。消費者があって初めて商売になる。そういう熱のあるときに、私どもは、消費者が希望するような公設市場のモデル式な増設、こういうようなものにまっこうから反対する勇気は、今日ではとてもありません。公設市場をつくりまして、農林省も一千万円出す、都でも出す、それで建設の方法は、なるべく既設の業者の多いところでない、人口がだんだん新しく増加していく、たとえば大きな公団住宅ができるとか、そういうような方面の人に便利のためにつくろうという考えで、おもに公団住宅といいますか、団地なんかの施設を利用するようた状況下にあるようでございまして、いまの場合は、消費者をお得意として生きていかなければたらない小売り商が、消費者が希嘱しておる公設市場の増設、これに対して、私どもは勇気を持って反対できないです。協力するよりしょうがないのです。
  79. 砂田重民

    ○砂田委員 今度の場合は協力すると大澤天皇が言われたが——。  最後に、三坂さんに伺いたいと思うのですが、最近は、安いいわゆる大衆魚というアジ、サバが、一ころほど売れなくなったという話を昨年も私は聞かされて、経済企画庁の物価担当のほうでどうだと言って聞いてみたところが、魚の小売り屋さんが、アジやサバやイワシなんていう安いものは、幾ら扱ってみても口銭が少ないから、もうからないから扱いたがらないのだ、そういう経済企画庁の見解だったわけです。これは、小売り屋さんには小売り屋さんの立場から、この経済企画庁の考え方には一言あるだろうと思うので、お魚屋さんとしての立場から、なぜそういうふうにアジ、サバが一ころほど売れなくなっているか、三坂さんの御意見を承りたい。
  80. 三坂則正

    ○三坂参考人 いまの御質問ですが、アジ、サバが売れないことは事実なんです。私も業界四十四年目です。しかし、いまの若い者に、おやじさんはアジ、サバ売りが好きだと言われて、アジ、サバ売りを——われわれの業界では、アジ、サバ、イワシをすじものと言っていますが、私はすじもの売り専門に育った業者で、いまだにすじものを売りたい執念というものはあります。そうしてアジ、サバが安かったら、口銭は少なくても売ってみせてやるという意欲を持って売っております。昨年この特別委員会から板宿市場へ視察に来られまして、昨年の委員の方なら御承知だろうと思いますが、私の市場は、商店街を入れて三百五十軒ほどあります。その中で魚屋が十数軒ありますが、その中で、今日アジ、サバ売りは私だけと言ってもいいくらいな状態になっております。それがいかに努力しても買わないのですよ。はなはだしいときは、サバ二本四十円、三本六十円に売っても買わないのです。企画庁長官の言われるような、もうけが薄いから売らないというようなぜいたくな商売は、われわれは今日までした覚えもありませんし、現在もそんなぜいたくな考えは持ったこともないし、また、そういうぜいたくな考えを、将来持ちたいという希望はありますけれども、持っておりません。このような状態です。
  81. 砂田重民

    ○砂田委員 そのアジ、サバが売れない、どうして消費者が買ってくれないか、その点どういうふうに考えておられるのか。それから、いまお話を伺うと、三坂さんは、店でアジ、サバを売りたいという意欲を相当持っておられるらしい。ところが、三坂さんの御努力にもかかわらず、アジ、サバが売れないというのはどういうことなのか、お店先で消費者から受けられる印象をひとつ聞かせていただきたい。
  82. 三坂則正

    ○三坂参考人 大体一番障害になると思うのは、神戸市あたりでも、砂田先生の御依頼で結成していただいた消費物価対策委員会という席上でも、私は委員として消費者と話をいたしますが、そのときに市の職員から、国民生活を豊かにするためにということばが始終出るのです。私は、国民生活を豊かにすることは国民がぜいたくをせよという意味ではないと思うのですが、消費者なり大衆はそう受け取っておるのではないかと思うのです。たとえば、サンマでもはしりのときは売れるのですが、最盛期になると売れないのです。アジ、サバでも高いときに買うのはていさいが悪いことはないのですが、安うなったらていさいが悪いという、その一念で買わないのですよ。それはしつこくねばるとおこってしまうから引き下がるのですけれども、そういう傾向が濃厚なんです。安いものを買うのはていさいが悪いという観念が、昭和生まれの主婦の方に、われわれの想像以上にあるのです。それで、値段の問題ではないということで売れないのです。私も直接売りに参加して売りますからよくわかりますが、ていさいが悪いので買わないのです。近所の人が付き添って、おったら絶対に買わないのです。そういう状態なんです。
  83. 砂田重民

    ○砂田委員 これで終わります。
  84. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 山田太郎君。
  85. 山田太郎

    ○山田(太)委員 きょうは参考人の方からほんとうに御熱心な御答弁をいただきまして、心から御礼を申し上げたい気持ちで一ぱいでございます。ほとんどの方が聞きたいことを聞いてくださいましたので、ただ一点だけお願いと、それから一点を市場長さんにお聞きしたいのです。  いま三坂さんからのお話では、安いものは買いたがらないというふうなお話もあったおりからで恐縮ですけれども、しかし、いまの物価問題はほんとう全国的な関心事でございます。そこで、先ほど大澤さんから、いかにすれば物価を、ことに食品の物価を下げることができるか、それを文書で出しますという御回答でございましたが、どうかそのときに安井さんに本、三坂さんにもともにお願いしたい。そうして消費者の代表として、主婦の二、三の方も交えて御検討願ったら幸いだと思いますので、お願いしておきます。  それから大阪市場長さんにお伺いしたいのですが、区域別搬出量の表がありますが、他の都道府県の搬出量はどういうふうな内容になっておりますか、教えてください。
  86. 池内英太郎

    ○池内参考人 先ほど申し上げましたように、約二〇%が他府県に出ておるわけでございます。これは野菜と果実、水産物といろいろ違いますが、兵庫県に対しましては大体六・八%、それから奈良県に対しまして四・三%、和歌山県に対しまして四・一%、その他が四・八%で、合計二〇%に相なっております。兵庫県の場合は、大体西宮以西、尼崎が中心でございます。奈良県のほうは、奈良市を中心として大和高田市とか大体おもなところ、それから和歌山県の場合は和歌山市が中心でございまして、向こうから荷物を持ってくると同時に市場から持って帰る、こういうような状況に相なっております。
  87. 山田太郎

    ○山田(太)委員 その他はどういうところでしょうか。
  88. 池内英太郎

    ○池内参考人 非常に恐縮でございますが、私きょうちょっとその他の資料を持ってきておりませんのですが、ほかは非常にわずかなところへ行っておると思うのです。
  89. 山田太郎

    ○山田(太)委員 東京市場長さんにお伺いしますが、東京の場合はどうでしょうか。
  90. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 まず魚のほうでございますが、これは四国とか九州を除いてほとんどの府県に大体行っておるわけでありますけれども、比較的多いところを申し上げますと、これは三十九年の調べでございます。埼玉八%、神奈川が六・八%、千葉が四・六%、長野が二・七%、静岡二%、群馬、茨城同じく二%、栃木が一・三%、その他となっております。  それから青果のほうであります。ここにあります資料は神田の市場だけの表でございますが、千葉が九・八%、それから神奈川が五・七%、埼玉が四・五%、それから静岡、茨城、秋田、新潟、こういうふうなところに行っております。
  91. 山田太郎

    ○山田(太)委員 お伺いした意味は、産地のほうから中央市場へ来てそれからまた——遠いところですね。遠いところから来てまた近くへ行くというような品物が、あるかどうかをお聞きしてみたいと思います。
  92. 池内英太郎

    ○池内参考人 先ほど私のお答えできなかった点につきましては、資料を後ほどまたお送りするか何かいたします。  それから、御質問の趣旨ちょっとわからなかったのですが、これは産地のほうが非常に大型化してまいりまして、いまどうしても大市場へ送っておくほうが価格が安定するというような傾向もございますし、つい大市場へ集めてそこから出るというようなかっこうになりますので、これは仲買いを通じて行く分が大部分でございますが、先ほど言いましたように、卸が転送する部分も一部あるわけでございます。ちょっといまの御趣旨に合ったかどうかわかりませんが……。
  93. 山田太郎

    ○山田(太)委員 もう時間もおそくなりましたので、品物別に、産地から近いものが市場へ入って、またその近くへ転送されていく、そういうものを文書でけっこうですから出していただきたいと思うのですが、できますでしょうか。
  94. 土屋鉄蔵

    土屋参考人 はい。
  95. 山田太郎

    ○山田(太)委員 お願いしておきます。  以上です。
  96. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人の皆さまに一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会