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1967-05-31 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十一日(水曜日)     午後一時三十二分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 小峯 柳多君    理事 砂田 重民君 理事 橋本龍太郎君    理事 武部  文君 理事 平岡忠次郎君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    佐藤 文生君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       中山 マサ君    粟山  秀君       井上 普方君    石田 宥全君       唐橋  東君    武藤 山治君       河村  勝君    有島 重武君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局参事官  矢野 智雄君         農林省農林経済         局消費経済課長 森実 孝郎君         参  考  人         (六大都市水産         物卸売人協会会         長)      伊藤 春次君         参  考  人         (全国青果物卸         売会社協会会         長)      関矢 尚一君         参  考  人         (全国青果卸売         組合連合会会         長)      江澤仁三郎君         参  考  人         (六大都市水産         物仲買組合連合         会理事長)   清久 辰治君     ————————————— 五月三十一日  委員木原実辞任につき、その補欠として石田  宥全君議長指名委員に選任された。 同日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として木  原実君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(生鮮食料品流通問  題)      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件についての調査を進めます。  本日は、生鮮食料品流通問題について、六大都市水産物卸売人協会会長伊藤春次君、全国青果物卸売会社協会会長関矢尚一君、全国青果卸売組合連合会会長江澤仁三郎君、六大都市水産物仲買組合連合会理事長清久辰治君の各参考人からの意見を聴取することといたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の皆さまには、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本日は、生鮮食料品流通問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、本委員会調査参考に供したいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  なお、御意見の開陳は委員長指名順にお願いすることとし、時間はおおむねお一人二十分程度におとどめいただきますようお願いいたします。  それでは伊藤参考人にお願いいたします。
  3. 伊藤春次

    伊藤参考人 ただいま御紹介にあずかりました六大都市水産物卸売人協会会長をしております伊藤春次でございます。  すでに先生方には先般来、東京卸売市場について実地に朝早くからごらんになり、その後、農林省その他の方面から諸統計その他をいただき相当御勉強になっておられると存じます。したがって、私は、きょうは時間の関係もございますので、水産物特殊性土台にしまして、主として水産物入荷状態がどういうふうに変わってきておるのか、種類別に、たとえば鮮魚冷凍魚加工水産物等割合がどう変わっておるか、それからもう一つ出荷者経路と申しますか、系統と申しますか、生産者もしくは第二次生産者の直接出荷と、それから出荷者、いわゆる産地における仲買い業者が一応買ってそれを中央市場出荷する、こういうふうな出荷者種類別、それから輸送経路なり、そういう状態がどう変わってきておるのか、これに対して中央卸売市場設備がどういうふうになってきたのか、こういった問題に焦点を合わせまして御説明申し上げ、なお、どういうふうな点が私どもから見て切実に改革を要し、これが、ひいて物価問題にも影響を及ぼすか、こういうふうなことを、時間がありましたら申し上げたいと思います。  初めに、水産物種類別入荷推移は、中央卸売市場を開設した昭和十年前後の東京大阪をはじめとする大都市入荷種別は、鮮魚が七、塩乾加工品が三、大体そこいらの区分けが、常識的な大まかな類別でございました。それがだんだん戦争を中核としまして推移いたしまして、現在では冷凍魚割合が非常に大きいウエートを占めてまいっております。  試みに、最近における東京大阪類別を御参考までに申し上げますと、昭和四十年度に東京市場における入荷量鮮魚割合が四八・六、冷凍魚が二三、塩乾加工品が二八・四、こういう割合を占めております。それが四十一年度になりますと、鮮魚が四六・二、冷凍魚が二六・三、塩乾加工品が二七・五、こういう割合で、最近におけるわずか一年間の推移でもこういう傾向をたどっております。大阪状態は、四十年度が、鮮魚が五八・四%、冷凍魚が一五・九%、塩乾加工品が二五・七%、四十一年度になりますと、鮮魚が五三・九%、冷凍魚が一八・八%、塩物加工品が二七・三%、かように東京大阪ともやや同じような推移をたどってまいっております。したがって、鮮魚戦前出荷されておったものが冷凍魚として出荷されるものが、非常に大きいウエートを占めてきておる。これには遠洋漁業、いわゆる国際漁場に活躍する遠洋トロールとの関係もございますが、大体こういったことで、塩乾加工品割合戦前とそれほど大きく変わっておりません。これまたこのうちには冷凍魚へ幾ぶん回ったものもございます。ただ、塩乾加工品製品そのもの内容が、やはり一応冷蔵庫に入れるような甘塩の品物あるいは一夜干しのような幾らか水分の多いもので、戦前のようにかちかちにかわき、あるいはかちかちになっておった塩辛いような塩乾加工品は影を消しておりますことは、皆さん台所を通して御承知のとおりでございます。  次に、よく中央卸売市場生産者消費者の間に立ってと、こう申しますが、もう一つは、生産者のいわゆる第一次生産者、第二次生産者、それから出荷者、いわゆる産地市場で一応買い取って、そして原価のきまったものをさらに消費地卸売り市場出荷する、こういうふうな区別がありますが、これがごっちゃにされて、そして論じられておる傾向がございます。このウエートは、まだ詳細には調べておりませんが、大体生産者、いわゆる自分で魚をとって出荷するというほうの側は、鮮魚には比較的少なくなってまいりました。これは、普通以西底びきと申しますいわゆる東シナ海等でとっておる漁業生産者のもの、それからマグロ漁業、あるいは最近開発されてまいりました遠洋トロール、主として北洋等における底びき、こういうふうなものが、直接生産者の手で鮮魚あるいは冷凍されて消費地卸売り市場へ参っております。それから、その次に多獲性のサンマとか、アジだとか、サバ、だとか、イカだとか、タラだとかあるいはサケ、マスというようなものを産地で買いまして、これを冷凍もしくは塩乾加工して、その第二次生産者中央卸売市場出荷する、こういうふうなもの、それから最後に、これはいわゆる多獲の鮮魚類で、さっき申しましたアジサバサンマイカその他ニシンイワシ、それにいわゆる近海物と称する高級鮮魚類、きわめて生産規模の小さい方々によってとられておる鮮魚類、こういったものが大体産地卸市場に上場されまして、そしてそれを買い取った産地における仲買い人の方が、いわゆる出荷者となって中央卸売市場出荷しておる、こういうふうな、大きくわけて三つの系統に分かれます。  しかしながら、その中で、産地仲買いをされて出荷をされておる業者が、だんだん規模が大きくなるに従って、あるいは冷蔵庫を建設し、加工業を営んで、第二次生産者出荷仲買い仕事を併営されておる向きがだんだん多くなってまいりました。したがって、これが出荷者手取り価格というようなものとの間に相当問題の生ずる余地があるのでございまして、資本漁業土台とするいわゆる遠洋漁業、これは船上で無頭毛内脱処理して凍結したり、あるいはマグロにおいても切り身もしくはラウンドのまま凍結して持ってくる。したがって、こういった類の相当大規模生産者のものは、貯蔵性規格性を持っておるのと、年じゅう出荷しておるために、しかも全国各地出荷しておるために、市況調査も十分に行き届いておるというふうなことで、いわゆる暴落したときの安い値段では魚を売ってはおりません。暴騰もないかわり暴落した値段では売っておりません。  ところが、これに反して、いわゆる沖合い漁業もしくは一本釣りのイカ等における多産獲される大衆魚類、これは漁業者中小漁業者であるばかりでなく、その日その日、あるいはその時期における天候、海況等に支配されまして、漁獲が常に一定しておりません。ことに、各般ごとにおける漁獲は、まき網等漁業でも、隣で数千万円とったものが、こっちのほうではまるっきりとれないといったふうな、非常に変動常ない漁業状態と、それから漁船乗り組み員が、やはり自分の目の前で、漁港で仕切りを清算してもらってそして歩合いを取る、こういったふうなことから、どうしても一応産地市場に上場する。こういうふうなかっこうなのと、調節機能は、陸上における冷凍加工その他のあれを除いては、どうしても大漁のときには、ことに魚種別に、アジが一ぺんにとれ過ぎて幾日も続いた、あるいはサバが一ぺんにとれ過ぎて幾日も続いた、こういうふうな場合には、消費者の購買がこれに伴わないのと、産地及び輸送消費地市場並びに小売り業者、そういうふうな面の処理能力といいますか、こういうふうなものが、特にその産地の特殊な魚種における供給というものにマッチしない関係上、どうしても少ないときには相当値段が暴騰し、反面多いときには、その処理ができなくて買い手がなく暴落する。こういうふうな状態で、これがいわゆる生産者は大漁貧乏を唱え、消費者割り高だ、こういうふうな声を聞いておるのでありまして、いま大体かような水産物生産入荷経路になっております。  これを輸送種別ごとに見こみますと、これまた戦前における中央市場開設当時における輸送種別とは、大きく変化してまいりました。大体東京大阪等市場における輸送種別のあれも、やはり塩乾鮮魚とやや同じように、七割が鉄道によって輸送されてきており、三割が船あるいはその他によってきておる。むしろ関西市場方面には、その七割が八割以上も鉄道に依存しておった向きがあると存じます。これが、ごく最近の調査では、こういうふうに変わってきております。昭和四十年度の三、七、十一月の抜粋の東京都の資料に基づいて申し上げますと、四十年度では貨車による入荷が四一・三%、自動車による入荷が四四・七%、船舶によるものが一四%であります。これが四十一年度では、貨車によるものが三〇・六%と激減し、自動車によるものが五三二%、船舶によるものが一六・三%、かように変わってまいっております。大阪市場は、四十年度の資料よりございませんが、これは年間通して貨車によるものが六五%、自動車によるものが三三%、船舶によるものが二%、かような状態に変わってまいっております。  ところが、東京市場中心に申し上げますと、この船舶内容が極端に変わってきております。戦前における船舶氷蔵運搬船で、いわゆる産地まで行って運搬業者産地で無を買い取って、そして氷蔵して、これを消費地市場に持ってきて上場した。そういった産地仲買いによる氷蔵運搬というものは、現在ではごくわずかなウエートより占めておりません。現在では、遠洋漁業におけるマグロをはじめとして北洋の底びきだとか、そういうふうな数百トンの船が、直接自分で魚をとって、鮮魚あるいは冷凍貯蔵したものを直接消費地市場に運ぶ。したがって、その規模が非常に大きくなったのと、消費地市場に対する要請というものが全然異なってまいっております。端的に申しますと、二カ月も三カ月も洋上で苦労してとってまいった漁船乗り組み員は、着くと同時に、荷役その他は消費地仕事としてやってもらいたい要請が強いのであります。したがって、そういう機械荷役設備が伴わなければならないのが、一向に、全然と言っていいくらい機械荷役設備がなっていない。したがって、やはり生産者側、いわゆる乗り組み員の労働によって水揚げされるというようなことが、わりあいに漁船乗り組み員に対して不評を買っております。大阪市場は、これは地理的な関係から、ことに防潮堤等の工事から、川をさかのぼる船が非常に少なくなってまいりました。いま申し上げたように、船舶による入荷量が非常にわずかなウエートより占めておりません。  かような状態で、極端に自動車による、いわゆるトラックによる入荷がふえてまいっています。私は、貨車によるものが東京の三〇・何%というのは、材料のとり方が少し低過ぎるような気がするので、年間を通して見ると、もう少し多いのではないかと思うのですが、少なくとも戦前七、八〇%を占めておった鉄道による輸送が大きなトラックに転換した。この事実はもう何人も否定できないものでありますが、トラック入荷したものが、ごらんになっておわかりのように、トラックターミナル設備市場にはございません。したがって、貨車で荷がおろされ、それが直結しておる同じ場所卸売り場に配列される。それと一緒に、トラックが持ってきたものがやはり卸売り場にそのまま入り、もしくは他のあき地におろされて、さらにそれが再運搬をする。御承知のように、労働力節約は、横の運搬による労働力節約が近代的な方法でありまして、大きい荷物を上げ下げする、それによる荷いたみもしくは労働力のむだな消費、これはもう明かなことでありまして、船の荷役並びにトラックがこういうふうにふえてきておるにもかかわらず、そういう設備なり作業が全然これに伴っていないというのが、中央市場現状であります。この点は、根本的に考えて何らかの対策を打ちませんと、中央卸売市場のような卸、仲買いを通して生産性の向上というものが非常に困難なような場所では、どうしても労働力節約していくというような方向に、設備と運営が伴ってまいりませんと、物価問題あるいは企業の経営上から見て、非常に遺憾な点が生じておるのが現状でございます。  こうして入荷してまいりますが、ものがなまでありますのと、貯蔵性保存性が非常に少ないというようなものでありますために、どうしても産地消費地情報連絡が、非常に迅速に行なわれなければ安心して出荷することができない、かような状態であります。ことに同じような消費動向を持っておる、たとえばアジサバとか、イワシサンマとか、あるいはニシンとどうとかというふうな類似性を持っておる魚の漁が、西だけの漁だと思っておったものが東にぽかっと出てきた、そういうふうな全国的な生産流通関係がありますので、そういう情報産地のほうでも十分に早くキャッチして送るのでなければ、非常な危険が伴うということで、卸売り市場ではこの情報連絡に第一級のくろうとを充てて、全国に早朝もしくは夜間連絡をして、そうして産地十分出荷の利便を提供すると同時に、仕切り金に対しては、市場法並びに業務規程によって裏づけられておるように、翌日もしくは翌々日には送金する。百円の価格で売られたものが、手数料等を引かれて、そうして正味の金に換算されるのであります。  こういうように、信用情報連絡によって出荷が円滑になされておるのでございますが、これはもう一つ内容を検討してみますと、同じアジならアジサバならサバ、というようなものが、大市場でありますと、十車送った場合と十五車送った場合では、それほど大きい価格変動もありませんけれども、小さい市場になりますと、トラック一台とトラック二台との場合には、その処理能力が極端に違うために非常な不安を持つ。こういうふうなことと相まちまして、どうしても大市場に集荷がまとまってくる。買い手側から見ますと、どういう無をどれくらい、いつでも入手できるというふうな、いわゆる魚の多様性といいますか、そういうふうなものが合致しまして、大都市市場へだんだんと、ことに水産物では集中されるという傾向が、御承知のようにふえてまいっております。  そういうふうに集められたものが、鮮魚ではせり売り、それから塩乾加工品では入札あるいは相対冷凍魚では、規格のきまったものはある程度値段を話し合って、いわゆる相対売買で販売される。仲買い人を主軸として売買参加人等に販売され為。東京市場では、このほかに輸出向け冷凍マグロ等が、やはり直接船が入るために、輸出業者売買参加人として販売される、こういうふうなことに相なっております。  私、この機会に御参考までに申し上げ、お考えを願いたいのは、先般もNHKの「こんにちは奥さん」に引っぱり出されまして、結局下関東京とを結んだ照の取引の実況放送のときに、鮮魚は一体商品ですかというような結論に落ちた。それは、産地のいわゆる生産者手取りが、アジは十キロ大体四百円、ところが東京市場では千百円についておる。しかも、その中の中アジの一尾を取り上げると百グラムで二十七、八円、極端に言うと十キロ二千七、八百円、そうすると七倍にもつくという話が消費者側から出た。これは極端な例でありますが、生産者手取り十キロ四百円というのは、一漁期を通じて多いときも少ないときも、小さいアジも大きいアジも全部ひっくるめにした平均値段をいっておる。下関市場でかかっておる場合は、その日その日の入荷の量と消費地状況——東京だけではありませんか、それを見て、その日その日に値段が変わっている。したがって、だんだん検討してくると、東京で千百円で売れたアジ下関ではそのものが千円であったということがわかったわけであります。それで全部ひっくるめになった生産者手取り値段というものと、消費地で、その中でも一番食いころ合いの一匹を、しかも一番鮮度のいいものをつかみ出して、これとそれとを比較するとまるっきりわからない、こういうふうな状態で、非常に消費者側不信を買った事例を持っております。  こういう点で、鮮魚は少なくともどこが一体内容責任を持っておるのかということがはっきりわかりません。これではいつまでたっても責任の所在がわからないばかりでなく、非常に不信感を来たす。結局、これは少なくとも小売り業者の店舗に行くまでは、生産地における荷づくりをされたブランドが、そのまま消費地卸売り市場を通して小売り業者の店頭に行くというふうな包装改革をやらなければ、この問題は解決しない。したがって、産地における荷づくりが、その規格鮮度あるいは内容等に対して責任を持つ、そうしてそれがあけてみて表示よりもいけない場合には、直ちにそのあとの値段に影響する、いわゆる産地信用というものによって裏づけられるような荷づくり出荷がなされるということでなければ、すっきりした状態にならないのではないか。これは鮮魚の形、大きさ、それから産地状態等によって非常にめんどうでありますために、現在鮮魚荷づくりは、おそらく数十種類、いや、それ以上の荷づくり規格がなされておって、そうしてその段階ごと責任が不明確になっておる、そして目減りがするし鮮度も落ちてしまう、こういう状態で、そのたびに労力をかけ、しかもロスを大きくしておるのが現状であります。少なくともこれに対しては、容器に対して、いま開発されておる耐水ダンボールなどが一つの目標になっておりますが、そういう包装容器改善によって、すっきりした商品化を進めなければならない。これには政府並びに国会のほうでも、さらにこれらの点に対して力を入れて、そうして包装改善を推進するようにお考えを願いたいということを御参考までに申し上げまして、私の陳述を終わります。(拍手)
  4. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次に、関矢参考人にお願いいたします。
  5. 関矢尚一

    関矢参考人 全国青果物卸売会社協会会長をいたしております関矢でございます。  ただいま水産関係会長さんから、いろいろ魚の政策問題につきましてお話がございましたが、私のほうの野菜とくだものの関係におきましては、生産方法手段が非常に魚と相違しております。魚は非常に大資本で、しかも投機生産でございまして、青果とは正反対でございます。私のほうは、太陽を中心といたします気象の変化と、それから土地のいろいろな利用条件、こういうものによりまして、いろいろ生産関係が変わってくるものであります。きょう物価の問題について意見を申し述べますにつきまして、やはり小炭の問題というのを度外視して配給問題を論ずることは、ちょっと当を得ないように私は信ずるものでございます。  ただいまも魚の出回り状況につきまして御説明がございましたので、一応最近におきます青果物需給関係につきまして、まあ御高承だと思いますけれども、ちょっと簡単に申し上げておきたいと思います。  昭和三十五年を基準にいたしまして、これは東京都の数字でございますが、数策は、三十五年は約百万トンくらいでございましたが、四十年には百五十万トンくらいになっております。正確な数字はありますけれども、一応概算で申し上げます。それから、いまの数字上昇指数が大体二割五分くらいの上昇をいたしております。金額にいたしますと約六百億円、これが四十年でございます。三十五年は二百三十六億円でございまして、これは二四二%になっております。一キロ当たり平均価格は三十五年当時は二十二円二十銭でございました。ところが四十年におきましては、一キロ当たり平均価格は四十三円九銭になっております。こういうように多少価格が上がっております。一人当たり消費数量は、三十五年当時約六十キロでございますが、最近は約百キロになっております。  最近におきます東京都の人口上昇は非常に異常なものがございまして、三十五年には、東京都の総人口は約九百三十八万でございまして、二十三区の区部人口が八百二万でございます。これは中央市場指定区域の地帯だと思います。それから四十年におきましては、これが一千万になんなんとする数字になっておりまして、人口上昇指数が約一〇七%ということになっております。人口上昇率よりも蔬菜入荷量のほうが多いということは出ておりますけれども、これは全国的に——やはり京阪神におきましても、あるいは全国市場におきましても、全国流通市場傾向は、出回り数量におきましても、大体東京基準にいたしました程度のものとお考えくだすってさしつかえないと私は考えております。  こういうようなことで、東京に集めてまいります蔬菜全国津々浦々、山間僻地からも、これは大体三十あまりの都道府県から、私どもが日常いろいろと調査をいたしましてこれを集荷してまいるわけでございます。品目的に申しますと、非常に必需的な大衆蔬菜と申しますものは約十品目ほどでございまして、残余のものは業務用蔬菜あるいはその他高級蔬菜等でございまして、これは品種的には五十品目くらいはあるんじゃないかというふうに思っております。さような関係で、やはり人口増加に伴うところの需要の非常な増高と、それから生産のこれに対応した処置というものが完全に行なわれておりませんので、生産需要とのアンバランスということが、いまの物価問題の基本原因となることをやはり申し上げたいと思うものでございます。  この点につきまして、政府におきましても、野菜生産出荷安定法等の実施によりまして、そうして指定産地をつくりまして、ある程度の期間の需給計画を作定いたしまして、計画生産あるいは計画消費の新しい方向を樹立いたしました。そうして漸次この生産需要アンバランスを解消するために鋭意努力をいたしております。さらに、価格問題につきましても、生産出荷安定資金協会を設立いたしまして、やや変則的ではございますけれども価格に対する安値の補てんというようなことも行なっておりますし、そういうふうな政府の施策もいろいろ行なわれておりますけれども、しかしながら、先ほど申しましたように一朝干害、水害あるいはその他の気象変動か起こりますと、たちどころに蔬菜の作柄異変というものが起こるわけでございまして、こういう実情に即した生産の新しい毒処策というものが当然必要なわけでございまして、それに伴いまして、やはり蔬菜価格というものは非常に不安定でございます。  さらに最近におきましては、野菜生産労働力というものが非常に多くかかりまして、産地の地域構成というものが、従来は近郊蔬菜東京周辺の近郊地帯の蔬菜と遠隔地の地方蔬菜、こういうものと大体半分くらいでございました。ところが、最近におきまして、やはり都市の人口膨張に伴う近郊都市の住宅化というようなことが進んでまいりまして、東京で申しますと、三多摩地区のような蔬菜の非常に重要な供給産地消費地帯に変化しておりまして、遠方は北海道あるいは四国、九州のほうへ蔬菜の供給産地が離れてまいりまして、産地がだんだんと遠隔化してまいっております。道路が非常に整備されまして、鉄道輸送が減りまして、野菜輸送の大体九〇%ぐらいが現在はトラック輸送になっておりますけれども、そういうような意味で輸送等の諸経費が増加してまいりますし、さらに、野菜生産が、種類的に多様化してまいりまして、周年供給の傾向が強くなってまいりました。それはいわゆる施設園芸と一口で言っておりますが、そういうものに生産投資が行なわれるようになってまいりました。季節蔬菜でなく、あらゆる蔬菜において周年供給を行なうというような、加温施設等の資材の投資、あるいは先ほど申し上げましたようなそれに関する労働力の問題というのが生まれておりまして、このことはただいま申しましたような生産の非常に不安定な条件とともに、現在の蔬菜生産のコスト高の原因になっております。  とにかく、そういうような生産の段階におきまして、野菜価格上昇変動を抑止いたしまして、この安定をはかり、さらに、野菜需要に対しまして安定供給をはかるというような問題を解決するためには、やはりこの生産問題と真剣に取り組みまして、そうして需要に対応するようた生産の拡充、あるいは計画的な生産ということを実現しなければ、これを前提としなければ、野菜の配給あるいは野菜価格というような問題につきましては、私は解決できないということを信じますので、この点、やはり生産問題にもう少し政府なりあるいはあらゆる部門の努力を傾注すべきではないかということを、この機会にお訴え申し上げたいのでございます。  それから、野菜価格の問題でございますが、これは非常に季節的に変動いたしまして、大体三十九年、四十年、四十一年の全野菜数字が、一キロ当たり三十九年が三十九円でありまして、四十一年が四十二円、はなはだしい場合には、キャベツのごときは、三十九年に十九円のものが四十年には二十四円になっております。そういうように、先ほど申しましたような気象異変等による豊凶の差によりまして、価格変動ということは、生産される月々によっても大きな変動があるわけでございまして、非常にこれはその月、その季節によって野菜価格というものは不安定な変動をきわめるものでございます。こういうような点で、ぜひ生産の問題にもう少し力を入れていただきたいということをお願いしたい。  さらに、先ほど来お話のございましたような輸送の問題、あるいは商品の近代化が進んでまいりまして、全国的な規格の統一、あるいは包装改善等が進んでまいりまして、いろいろと野菜商品化が進んでまいっております。さような関係で、中央市場規模の問題——中央市場ができましたのは大正十二年でございますが、この立法の精神に基づきまして現在行なわれておりますが、発布以来約四十年を経過しております。この四十年間、実は先ほど申しましたような東京都あるいは京阪神その他の大都会におきましても、都市の構造が非常に変化しております。消費者人口分布等も非常に変化しております。消費者の地域移動あるいは住宅構造の変化というような問題もございまして、これに対応するような市場の、たとえば配置の問題、あるいは市場の施設の問題、そういうような問題が、一応四十年間いろいろな角度から改善はされてまいっておりますけれども、基本的には、この点で見るべきものがございません。こういう点で、都市の人口の急激な集中化に伴うところの市場設備の狭隘化をもたらしております。さらに市場の荷さばき機能が低下いたしまして、周辺地区の交通か渋滞し、販売時間等が経過いたしまして、いろいろな意味で人件費等も非常に高額なものを要するわけでございまして、流通コストと申しますか、流通の経費を増大させております。こういうような点で、やはり現在の中央市場の施設というものの改善、こういったものが当然行なわれなければならないものだということを私どもはお願いしたいわけでございます。  最近におきまして、開設者の東京都あるいは政府におきましても、ただいま申しましたような市場の配置に対して、新しい市場の増設、さらに、一つの国際的な傾向になっております新しい近代化の施設、機能を持った市場の建設を計画いたしまして、大井の埋め立て地に膨大な面積を持った市場を建設するような計画もおありやに承っておりますが、こういう点につきまして、私どもは双手をあげて賛意を表するものでございまして、こういうことの促進をぜひお願いしたいと思うものでございます。  それから最後に一つ、やはり物価関係する私どもの取引の方法の問題と、私どもの経営の問題の一番肝要な点について、時間がございませんので簡単に触れておきたいと思いますが、中央市場法によるところの取引の原則というのはせり万能でございます。せりが根本でございます。さような点でせりというのは私どもの取引の原則になっております。こういう青果物のような、野菜、くだもの等を取り扱う場合の方法といたしましては、少なくとも数百年来の伝統と経験によりまして、せりというものは一番理想的なものであるというたてまえにおいて、それの積み重ねられた、さような累積かせり制度を生んできたわけでございます。せりというのは非常に公正な、公開的な方法によって、衆人環視の中でこれを行なうわけでございまして、私は、やはりこれは青果物の取引として、一応基本的には正しいのではないかということを信ずるものでございます。このせり取引が、実はだんだん産地が近代化し、大型化してまいりまして、野菜産地においても共同計算、プール計算というような形で、零細な業者が団結して、そうして共同出荷、共同生産体制を確立してまいりまして、出荷の体制も、先ほど申しましたように全国規格を統一いたしまして、そうして大量出荷してまいりますような産地出荷体制が漸次確立されつつあります。さような見地から考えますと、こういうような蔬菜や果実を販売する場合に、せりが適当であるかどうかということにつきまして、いろいろ問題があるわけでございます。いま申しましたような全国的な規格が確立され、しかも貯蔵性があり、商品の販売に支障のない場合においては、せり以外の方法でこれを解決するようなことをやはり考えていかなければならないということを考えております。昨日も企画庁主催の物価安定推進会議で私は申し上げましたが、やはり何と申しても、見本取引と申しますか、狭隘な市場の中へ一々品物を搬入をいたしまして販売をするよりも、情報販売と申しますか、サンプルで販売するような方法、あるいはいま申し上げましたような共同出荷の大量出荷のものに対しましては、相対販売というような方法によってこれを解決していくようなことをひとつ考えていきたいと思っております。いろいろな物価上昇について問題がある際でございますので、話し合いの上で、両者納得の上で価格をきめる、しかも貯蔵性があり、規格の統一されたものを、そういう形で売るということをやってもらいたいと考えております。  それから、私どもの経営の問題でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、全国、あるいは最近貿易が行なわれておりますので、諸外国との交渉もございますが、ともかく私ども中央市場の全社員あるいは全国市場の者は、少なくとも朝早く、暗いうちから夜おそくまで真剣に勤労いたしまして、生産者消費者の中間に立った、両者の信頼にこたえるための仕事を現在懸命に努力してやっております。さような点で、私ども仕事というものは、大体経費の大半を占めるのは人件費でございます。この人件費の問題で一つ私がきょう申し上げたいのは、実は私どもの業界で働いております者の全国数字がいろいろ出ておりますので申し上げますが、大体全国市場労働者の一人当たりの平均給与の月額が三万八千円ぐらいになっております。ところが、一般の社会的水準におきますところの給与は、四万五、六千円あるいは四万八千円という数字が、現にこれはあらゆる方面調査によって明らかでございまして、そういう面では、私どもの全業界で働く青果物労働者の労働条件というものは、非常に骨の折れる、まことに努力を要する仕事であると同時に、さらに給与あるいは労働者の生活の面においては恵まれない面があるわけでございまして、こういう点でも私ども仕事というものは、いろいろな角度からこれを合理化して解決しなければならない必要に迫られておるわけでございます。  いろいろ申し上げたいのでありますけれども、実は時間の制限もございますので、ことばは足りませんけれども、一応この程度で私のお話を終わっておきたいと思います。(拍手)
  6. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 ありがとうございました。  次に、江澤参考人にお願いいたします。
  7. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 いま御紹介をいただきました江澤でございます。  流通問題に入ります前に、一言お断わりを申し上げておかなければなりませんが、いま戸叶委員長のほうから卸売組合という名称を——実は私は仲買い人でございます。本来ならば中央市場法で仲買い人として許可を受けておるのでございますけれども、私どもの先輩が戦前から、仲買い人という名称はふさわしくないということで、たびたび御当局にも陳情をいたしておったわけであります。戦後、御承知のとおりにアメリカの駐留軍が来られて、われわれ中央市場関係のことをお調べになりまして、仲買い人ということばを単なるブロカーというふうに訳されておっしゃられました。したがって、何か中間にありまして、よけいな存在のように思われることが多いようであります。正直に申し上げまして、私たち自主的に卸売り業者という名称に実は変更しておったわけであります。それではなぜ仲買い人がいけなくて卸売り業者というのだということでございますが、これはいま水産あるいは青果会長からいろいろお話がございましたように、中央市場にまいりました青果物を大量に仕入れまして、そうしてこれを都内の小売り商あるいは地方の小売り商などに売るのが私たちの役目でございます。大量に買って、これを分荷しながら売る立場にあります。私どもは、当然卸売り業者の行為をしておるのだということから卸売組合と名称を変更いたしたわけでございます。戦後中央市場法の改正が、一部分ではございますが三回ほどございました。お隣においでになります水産のほうの清久さんともども改正の委員に選ばれました。そしてこのことにつきまして陳情を申し上げましたが、いまもって名称の変更ができません。仲買い人ということでございます。このことだけ申し上げておきます。  流通問題でございますけれども現状中央市場で行なっておりますことは、先生方も先般、伊藤会長がおっしゃいましたように、市場を御視察になりましてよく御承知のことだろうと思います。現在の会社さんが生産者から委託を受けましたものを、われわれ仲買い人が主体になりまして、いわゆる価格の評価をする、それといま申しましたこれを分荷するというのが、私どもの大きな役目であります。生産者の代行と申しますか、荷受け機関の方々は当然そうあるべきである。また反面、私どものお客関係にあります小売り商さんは、結局は消費者の代表であります。片方は高く売り、片方は安く買いたい、これは当然のことだと思うのでございますが、私どもは中間にありまして、需給関係あるいは天候その他の問題等もございますけれども、そういうことを考慮いたしまして、そして価格の評価をいたします。ですから、中間にありまして公正な価格を生み出すことができるというのが、私ども仲買い人の役目である、またそれをしなければならないものだと思っております。  したがって、いま中央市場法下にありまして、荷受け機関とわれわれ仲買い人、これが市場の二つの業者です。小売り商さんの方々は、われわれ市場業者と違いまして、産地からじかにお買いになりましょうとも、別に特に規制を受けておりません。私ども仲買いは、会社よりほかからは買うことができません。しかも、場外で上販売することも禁止せられております。そういう関係にありますので、いまの三段階といいましょうか、いわゆる卸売り、仲買い、小売りの三段階は、現在におきましてなくてはならない過程であると私は思う。  最近欧米を御視察になりましてあちらの御様子を見てまいりました方々が、ややともいたしますと、それじゃ会社と仲買いが一本になればいいじゃないか、そうすれば一段階減るのじゃないかというような御意見を言われる方がある。これも一応ごもっともだと思う。しかし、欧米には中央市場法はございません。したがって、現在あります卸売り業者と申しますか、端的にいいますと、中央市場法施行以前各市場に個人問屋というものがございました。これは荷受けをいたしましたりあるいは買い付けをいたします。いま欧米におきましてわれわれと同様の仕事をしております方は、なるほど一面に都市によりましてはオークション会社もございます。これが競売に行って買ってまいりましたり、あるいは産地から買い付けをする、あるいは小部分のものは委託を受けてそれを小売り商さんに売っておる。ちょうど昔の個人問屋式のことでございます。それをやめまして、そして一つの荷受け機関をこしらえて現在の会社ができておる。したがって、その個人問屋当時であっても仲買い人というものがあったわけです。したがって、いま三段階はなくてはならないと思います。たまたま、もし中央市場法がほんとうの自由化になりましてなくなるということになりましたら、欧米のその調子にいくのじゃないか。元の姿に返る。しかし、いますぐに中央市場法を廃止するというようなことは現状ではでき得ないと思うので、そういう点よく御了承をいただきたいと思うわけです。もちろん、そういうようなお考え先生方がおいでになるとは思いませんけれども、ややともいたしますと、一般に言われておりますようなことがそういうことでございますので、一応この際申し上げておく次第であります。  それから、私ども競売に参加をいたしますいわゆる買参といいましょうか、買参権といいましょうか、これは関西と関東の実情が違う。いま水産のほうにおきましては、後ほど清久会長からお話があるだろうと思いますが、全部仲買いのみと申し上げていい。ある小部分の小売り商の方あるいは大口消費の方々が売買参加をされておる。ところが青果のほうにおきましては、関西では水産と同様に仲買いが主体で取引されておりますけれども、関東、東京あるいは横浜、名古屋におきましては、仲買いばかりでなく、小売り商さんが直接にわれわれと同様に競売に参加しております。しかし、実際には東京におきましても、くだものにおきましては、神田が一番低いと申し上げても、約六五%仲買いが扱っておる。逐次これは増加をしております。その他の市場におきましては、パーセンテージの一番多いところは八五%から九〇%、ただし軟弱蔬菜と申しましょうか、近郷蔬菜と申しましょうか、そういうものに限りましては、小売り商さんが、実は東京におきましては主体でお買いになっておる。そういう関係で、何から何まで仲買いがその中に入っているのだということではございません。したがって、私どもいま考えておりますことは、軟弱蔬菜というものにつきましては、小売り商さんが主体で競売に参加をされてもいいんだ、くだものあるいは地方蔬菜というものは仲買い主体の取引に現在なっておりまして、これを持続していくことはやむを得ない。というのは、軟弱蔬菜——先生方も御承知でこざいましょうが、以前神田の個人問屋に、あるいは現在の神田の秋葉原に市場が移りましてからも、生産者の方々が大根を近郷からお持ちになりまして、百ぱでも百五千ぱでも二百ばでも一山に積んでしまう。そうして上から五わ幾ら、十ぱ幾らというように小売り商さんに売っていたものです。ところが、現在はそうではございません。売買単位ができておる。十ぱとか五わというものを一山ずつに置いておきます。そうして、もしこれを仲買いが取り扱うとするならば、それをそのまま一括して買います。そうして上のほうに大きいのがあるとか、下に大きいのがあるとか、あるいは逆の傾向があるかもわかりませんが、それを逐次分けて売るということになります。  先ほども関矢会長が言われましたが、現在の中央市場は、どこの都市におきましても全部競売でございます。しかも神田におきましては、私ども仲買い人は正直申し上げて三坪です。現在使用しているのは全般的平均で六坪、約倍でございます。しかし、これをわれわれが六坪要求することはできない。この間先生方はお回りになりまして御承知になったと思うのですが、現在の市場内で小売り商さんのパーク場を持つことができない。やっと一昨々年でございますか、北口に立体的に増築されました。そうして二階を小売り商さんのパーク場にしておる。あとは、実を申し上げますと公道を使っておるというのが現状でございます。そういう際でございますので、われわれだけの主張で増坪してくれということは申し上げるわけにはまいりません。  そういうような実情でございまして、私どもといたしましては——関西では、戦前におきましては、実は軟弱蔬菜と申しますか、近郷蔬菜と旧しますか、そういうものにつきましては小売り商さんがじかに、競売参加ということではございませんけれども、立ち売り人制度というものがあった。これは、その会社に委託するのではなくて、年産者または産地の山仲買い、そういう方々が市場の一角を借りまして、そうして小売り商さんにじかに販売をする。これが関東と関西の相違でございます。  御承知のとおりに、私ども仲買い人といたしましては、十六年のあの大東亜戦争の戦時統制強化のために仲買い制度というものが廃止になりました。これは当然でございましょう。私ども仕事でございます評価と分荷、その仕事がなくなり公定価格ができまして配給制度をとったのでございます。これは仲買い仕事がないのですから、当然廃止になってやむを得ない。当時の井野大臣からお呼び出しを受けまして、おまえたち気の毒だが戦争が勝つまで、こういうおことば、勝ったならばすぐに復活させ為からというお話がございまして、われわれ東京におきましても千人の仲買い人を説き伏せまして、そうして三分の一は当時の国家の要請する部面、三分の一は会社、三分の一は小売り商に統合をいたしました。そうしてあの戦争中配給部門をやっておったわけでございます。したがって、そのときには会社と仲買いを通じないで小売り商さんとの直結ができた。その惰力でいまもって、特に東京などの競売につきましては、小売り商さんが全部参加しておるというのが実情でございます。  私、ちょうどこの席を拝借いたしまして先生方にお願い申し上げますことは——お願いというより希望でございましょうか、先ほども関矢会長からお話がございましたが、現在の中央市場法、これはもう四十年たちます。当時は、御承知のとおりに一括中央市場に全部集めまして、これがまた仲買いを通じて小売り商さんに分荷されておった。ところが、最近におきましては流通センターの問題あるいは総合センターの問題、しかも、いまここでは集配センターの問題が出ておる。したがって、四、五年前まではほとんど中央市場一本でございましたが、いまほかにそういうルートができてきたわけでございます。これから七〇%になりまするか、八〇%が中央市場の扱いになるかはわかりませんけれども、しかし、中央市場を通さないわけにはいかないと思います。私たちの仕事はまだまだ残るところがございます。そうでなければ価格の形成の上からいきまして、じか取引では価格のつけようがない。そこに生鮮食料品の特色があると思うのです。そういう関係もございまするし、また、自由化にありまする現状と当時と全然様子が違ってきておる。したがって、私どもといたしましては中央卸売市場法の改正をお願い申し上げます。そうして、でき得るならば、いま申し上げましたように、多年の懸案でございまする名称の変更もそのときにお願いをしたい。それからもう一つには、いま申し上げましたように、中央市場のある限り仲買いというものはなければならない存在だというたてまえからいって、現在中央卸売市場法におきましては、仲買い人をして競売に参加せしめることができる、こういうことだけでございます。必置論がございません。したがって、できるならば、少なくとも六大都市には仲買い人制度を設けなければいけないというふうにひとつお願いを申し上げたいという、この三つをお願い申し上げます。  最後に、おまえたちはそれでは何か市場内にあって安定した気持ちで営業に携わっているんじゃないか、こういう御疑念もあると思います。確かに使用料も安うございます。そういうことはよく承知しておりまするが、いま関矢会長からもお話がございましたが、産地も大型化され、出荷体制というものは郡単位から県単位になって、ほんとうの競売といいますか、販売体制というものが逐次合理化され、大型化されております。そういうことからいき、しかも、昨年小売り商の近代化推進協議会ができまして、農林大臣に中間報告を十一月の月末に出しまして、この八月ごろまでには、この結論を得まして答申が出るようであります。小売り商さんの方々にまで合理化、近代化ということで、私ども仲買いといたしましても、ただ易々諾々としていまの営業をやっていこうなどという考えは持っておりません。三十八年の七月、閣議決定によりまする生鮮食料品流通改善対策要綱というものがございますが、仲買いに対しましても大型化ということが書かれております。私たちはそれに従うとかという気持ちばかりでなく、自主的に体質の改善と申しますか、経営の合理化ということに対しては努力もいたしていかなければならない。同町に、小売り商さんの現状を見ますると、非常に販売面におきまする競争が激しい。そういうときに市場に毎日おいでになりまして——これは、先ほど申し上げました軟弱蔬菜を扱う八百屋さんの一部分は別といたしまして、全般的に仕入れに費やす時間を省くということ、それこそ私たちの役目であろうと思います。したがって、私どもといたしましては、この三月の総会におきまして、かような決議をいたしました。もちろん、小売り商さんの信頼を得なければならないことは当然でございますが、それに一歩進めまして、小売り商さんの代理買い出し人といいましょうか、仕入部を担当するのだという気持ちでわれわれはやっていかなければいかぬ。そうなりますと、小売り商さんの注文制等も出てまいりますれば、市場の狭隘の緩和にもなりましょう。いろいろなことにおいて好結果をきたすのではないかというようなことから、さようなことを考えて決議をいたしておる次第であります。  いまお手元に、まことに失礼ではありますが一冊の本を先生方に差し上げたのでありますが、実はこれは全般的な問題で、ひとり仲買いだけの問題ではないと思いますけれども、どうも一般の消費者の方々の中央市場に対しまする御認識がやや不足である。また先生方も、単に中央市場だけのことを御勉強なさるわけでもありませんで、いろいろ各方面にお仕事が多いわけでございますので、今度大阪の作道先生はじめ御三人、合計四人の方々が中央市場のことを本になさることになりまして、一昨々日われわれの手に入りましたが、中央市場のことがたいへん詳しく書かれておりますので、清久さんと御相談いたしまして、御参考のためにと思って差し上げたのでございます。御一読くださればけっこうであります。  ありがとうございました。(拍手)
  8. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次に、清久参考人にお願いいたします。
  9. 清久辰治

    清久参考人 ただいま御紹介いただきました大阪中央市場におきまして仲買い業をやっております清久でございます。  本日は、生鮮食料品流通問題につきまして意見を申し述べよということでございますが、私は水産物仲買いの立場から意見を申し上げたいと思います。なお、先生方におかせられましては幅広く、また奥深く市場の問題を御検討されておられますので、私の申し上げることは釈迦に説法というきらいがあるかわかりませんが、お許しを願いましてお聞き取り願いたいと思います。また、私は参考人としてしんがりを引き受けました関係上、いろいろ私の申し上げることが重複をいたす点もございますが、これまた御了承願いたいと思います。なるべく重複を避けて申し上げたいと存じております。  諸物価の値上がりに伴いまして、御承知のとおり生鮮食料品価格が、家庭必需物資であります関係上、大きな問題として取り上げられました。これに対するところの善処策といたしまして流通機構の改善をはかるべきだということでございまして、私の職場の中央卸売市場もその一つとして取り上げられておるわけでございます。率直に申し上げますと、ただいま江津さんも申されましたが、中央卸売市場の機能、特に私ら水産物仲買い人の職能について、御存じない方があまりにも多いのと違うか。これがゆえにいろいろな御議論がなされておりまして、私は非常に遺憾に存じておる次第でございます。  水産物流通機構の中で、中央卸売市場がどんな役割りを占めておるかということでありますが、平たく申しますと、まず生産者から消費者に移る経路でございます。すなわち、漁獲されました水産物消費地のお台所にいかなる方法でお届けするかということの機能は、どういう機能が必要であるかということでございます。生産状態また輸送その他の点につきましては伊藤さんから申されましたので、ここで省略いたすことにいたしまして、私が申し上げたいことは、生産者、すなわち供給者の生産されました水産物を、そのものを必要としておりますところの需要者である消費者へいかなる方法でこれを持ってくるか、また取引するかということで、どういう方法でお互いの希望を満たすかということの問題であると存じます。  その方法一つとして考えられますのが、これは取引の場所が必要となってくるのでございまして、そこで、すなわち市場の必要性が生まれてくるわけでございます。ところでこの市場が、市場での取引が生産者のためにもなり、そうして消費者のためにもなるというような公正な、適正な価格で取引するにはどうしたらいいかという問題がそこに起こるわけでありまして、また、金銭上にも信用のある市場でなければならないということが、これが大きな問題であるのでございます。これがゆえに、一定の大きな人口を有する都市につきましては、法律でもって監督し、規制し得るようにというのでできましたのが中央卸売市場法でございまして、その市場法に基づきまして、中央卸売市場が地方の公共団体において開設され、運営されておるのでございます。  そこで、中央卸売市場の機能はと申し上げますと、中央卸売市場は、生産地消費地の間に立ちまして、需要と供給の調整とその公正な取引に大きな役割りを占めておるのでございます。すなわち、中央卸売市場は、全国生産者より集荷いたしました大量の、多品種な、そして鮮度、品質、形態の不統一な入荷品を、せりまたは入札で価格を決定いたしまして、買い出し人の方々には、その希望に応じた必要な分量を再分割いたしまして卸売りいたしておるわけで、そして産地に対しては、確実に迅速に仕切り金を送付するというような機能を果しておるのでございます。いわゆる、流通機構としての中核として大きな役割りを占めておるわけでございます。  ここでお聞き願いたいと思いますことは、大都市中央卸売市場におきましては、大量の入荷価を短時間に処理しなければならない関係上、この市場に負荷せられました機能を高度に発揮するには、どういうふうな方法がいいかというようなことになりまして、六大都市中央卸売市場では、この中央卸売市場の持つ機能を大きく二つに、卸売りと仲賢いに分業しまして、卸は集荷に専念され、仲買いは卸の集荷されましたものをせりまたは入札によりましてこれを評価して買い取り、自己の責任におきまして買い出し人に卸売りしておるのでございます。すなわち、中央卸売市場の機能を卸と仲買いとが二つに分割してやっておるわけでございます。  私は、先ほど申し上げました水産物仲買い人でありますので、いま少し詳しく水産物仲買い人の職能についてお聞き願いたいと存じます。  御存じのごとく、卸売り人が全国より集荷されました大量の、多品種の入荷品を、私たちは朝四時過ぎより市場に参りまして、そうして産地鮮度、品質等を十分に下見しまして、そうしまして、前日の入荷量がどうであったか、また前日の入荷量に基づいて値段がどうであったか、また売れ行きがどうであったかということを頭に置きまして、そうして当日の入荷量と市況というものを判断いたしまして、そしてまたその当日の入荷品の鮮度、品質、形態等をいろいろ勘案しまして、そうしてからせりに立ち会い、または入札で、七の品物を適正な評価をして買い取るのでございます。以上のようにして買い取った品物を、自己の責任におきまして敏速に買い出し人または大口消費者の方々に、お好みに応じたところの品種、品質、形態及び数量に分荷しまして、そうして卸売り販売いたしておるわけでございます。  その販売先はと申しますと、区域内はもちろんのことでございますが、区域外や地方の方々にも取引申し上げまして、そうして送荷いたしておるわけでございます。御承知のごとく、私らの取り扱い品は時間を争う商品でございまして、また取引先が商売人、すなわち専門家であります関係上、私らの仲買い人の職能というものは非常に専門的な技能を必要とするものでございます。また、他の商売と違いまして、私らの商売はいわゆる商三労七と申しますか、商は三分で労働力が七分それに加わっておるというような職業でございまして、これを機械的に片づけるとかどうしようというような、そういう職業ではないのであることをお知りおき願いたいと存ずる次第でございます。  次に、代金決済のことについて申し上げたいと存じます。私ら水産物仲買い人の代金決済でございますが、卸売り人よりせりまたは入札で買い取った商品の代金は、中央卸売市場業務規程に定められておりまして、原則としては即日現金払いということになっておるのでございますが、現実は、いろいろ話し合いの末四十八時間日ないし七十二時間目に、仲買い人の団体が代払いをするかまたは支払い保証というような制度のもとで支払っておるのでございます。一方、買い出し人の方々には、都市によって多少の差異はございますが大体二十日から二十五日間というようなことでございまして、この間の金融は私ら仲買い人責任で金融の役目を果たしておるということをお取り上げ願いたいと存じます。  以上、仲買い人の機能について申し上げたのでありますが、卸は集荷に努力されまして、その取り扱い高によって手数料をいただいておられるという仕組みになっておるのでございますが、私ら仲買い人は、先ほど江澤さんが申されましたように生産者との中間に立つ、どちらかといいますと消費者側のほうに近いという立場に立ちまして、その日の入荷の増減や売れ行き等を考えながら公正な評価をして買い取っておりまして、そうして先ほども申しましたように、自己の責任において買い出しの人の方々に希望に応じた分荷と販売をし、また金融をいたしておるわけでございまして、事情のおわかりにならない方は、仲買い人という名称よりくるところのイメージで、先ほど江澤さんが申されましたように、これはブローカーということと間違われて、ここで仲買い人が要らぬのと違うかというような、仲買い人不要論が出るということは大きな誤りでありまして、これは、実際市場の事情を知らない方の申されることで、もし私がいま申しましたような、仲買い人の機能はこういうものかということをよく御検討になり、ほんとうによくそれをお知りくださいますれば、大都市市場では、その仲買い人不要論ということが、仲買い人という名称が不適当であるという論にお変わりになるように私は信じて疑わないものであります。  私はここで強く申し上げますと、もし市場の機構の中で仲買い人が不必要とか不要ということでございますれば、ただいま私が申し上げました仲買いの果たしておるところの重大な職能を、一体だれが果たすのかということに相なるわけでございます。事水産物に対しましては、小都市の小市場というようなことでございますれば、これはあるいは仲買い人の果たしておる機能の一部を卸売り人がやり、また買い出し人の方々がその一部の機能をやられるというようなことがやれるかもわかりませんが、大都市の、特に六大都市の大消費地中央卸売市場というようなところでは、こういうことは全然不可能なことでありまして、また、非能率もはなはだしいというよりほかはないのでございます。そういう見地から、六大都市中央卸売市場では、公共の機関であるところの開設者の監督のもとに、卸と仲買いとが市場の機能を二分して行なっておるのでございます。  以上私が申しましたので、中央卸売前場というものの機能と、特に仲買い人というものがどういうことをやっておるか、決して仲買い人というその名称からくるような仕事をしておらないということを、十二分に御理解いただけたと私は存じておる次第でございます。  次に、水産物価格の問題でございますが、これはいろいろ先生方もまた政府当局の方も御善処願っておって、御審議になられておるようなことでございますが、この水産物価格ということにつきましては、先ほども申されたごとく、あくまでもこれは需給のバランスによって生まれるものでございますれば、市場機構の改善等によって価格問題が解決できるんだというようなお考えでありますれば、私は少し違うのと違うか、かように思うのでございます。卸も経営の合理化につとめられておられます。私ども仲買い人といたしましても、現状に甘んずることなく体質の改善を行なっております。また、仲買いの大型化、法人化、協業化ということも進めてまいりまして、薄利多売の方向に指導いたしておるのでございますが、買い出し人の方々の体質ということも、先ほど申されましたように近代化推進協議会のほうでいろいろ御考慮願っておりますが、そういう買い出し人の方々の体質も考慮しながら、それに合わすように私らの体質改善を着々と進めておるのでございます。  しかしながら、先ほども申しましたように、物価問題になりますと、卸売市場内においての卸の手数料は五分五厘でありまして、私ら水産物仲買い人の平均マージンは約五分くらいであります。そういうことでありますれば、先ほども私るる説明いたしましたように、中央市場の機能が流通機構の中でどうしても欠くことのならぬところの必要な機能であるということでございますれば、どこの内部の機構を変えていただきましても、決定的な物価の引き下げということに影響は薄いのと違うか、それはむしろ関係がないのと違うか、私はこういう感じがいたすものでございまして、価格はあくまでも需給のバランスによって毎日毎日でき上がっておるということを御了承願いたいと存ずる次第でございます。  また、価格安定の問題につきまして、コールドチェーン等の問題がいろいろ御研究されておりますが、事水産物に関してのコールドチェーンということにつきましては、私は相当な疑念を持っております。先ほども申されましたが、水産物も同じことでございまして、この水産物価格は、生産者の方々は少しでも高いほうがいいということを望んでおられますし、消費者の方は何ぼでも安いものを買いたいというふうに考えられておられますので、この点につきまして、私らはどちら側についたらいいかというようなことになるのでございますが、これはその中間に立ちまして、公正な、適正な値段を立てておるのでございますが、いろいろな問題につきましても、こういう点につきましてはなはだむずかしい面があるのでございます。水産物は生鮮三品の中でも農産、畜産と違いまして、その生産事情が計画生産とかまた技術の改革とかいうようなことで、生産性を向上しようということが非常にむずかしい商品でございまして、また同じ魚でも、遠洋漁業でとれた魚と近海漁業でとれた魚との格差がございますし、なおまた生鮮魚冷凍魚加工魚の相違がございまして、なかなかこの点がむずかしいのでございます。こういうむずかしい条件がたくさんありまして、ほかの商品、農畜産物と同じような扱いができぬということでございます。それがゆえに、市場に一点的に大量に集中集荷いたしまして、そうしてそこで適正な価格の形成を要求されるゆえんでございます。そこにおいて中央卸売市場の使命、機能が要求されるわけでございます。  結論的に申し上げますと、重ねて申し上げることになるわけでございますが、水産物価格は需給のバランスによってでき上るものでございまして、この辺のことをよく消費者の方に御理解を願いまして、大漁貧乏ということばがよく使われますが、魚がたくさんとれますと、とれても値段が安いのでかえってそれが間尺に合わないというようなことに生産者の側が立たされておるのでございますから、こういうときには、消費者の方もどうか同じ魚を毎日食うというように、いわゆる料理法を考えていただきまして、そうして、それを毎日いただいていただきますと、生産者のほうに大漁貧乏というようなことが少なくて済むのと違うかというようなことになりますし、また、特に不漁のときに、魚の値段が高いというようなときには、ちょっと敬遠してもらいまして、そしてはたの生鮮食料品で間に合わしてもらうというようなことに、消費生活の上におきましてごくふうを願えれば、この間において価格の安定と申しますか、そういう点について非常に効果があるのと違うか、かように思うわけでございます。  以上、いろいろ重複を避けてやりました関係上、お聞き苦しい点があったかと存じますが、私の公述といたします。(拍手)
  10. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより質疑に入るのでありますが、参考人の皆さまには、委員の質問にお答えになるときの御発言の際は、そのつど委員長の許可を得られますようお願いいたします。  それでは小峯柳多君。
  12. 小峯柳多

    ○小峯委員 皆さまのお話を承って、たいへん勉強になりましたが、ただ需要供給だけが物価をきめるというふうなことですと、実はこの委員会の存在価値が非常に薄いのでございます。もとより根本的には需要供給の関係できまるとは存じますが、その需要供給の関係を生み出すところの制度機構にも、私は依然として問題があると思うのであります。そういう意味で少しお話を承りたいと存じます。  最初に、伊藤さんですが、水産物商品でないという占い方、実は私たいへん興味を持って伺ったのであります。それぞれの段階で回送され鮮度が落ち、幾段階を経て、だれの責任ということなしに最終の消費者まで至るというふうな意味だろうと伺ったのでありますが、どうでございましょうか、その回送される段階あるいは鮮度の落ちる段階というのは、たてまえだけからいうと、集荷、卸、仲買い、小売りになるのですが、かなり仲買いから小売りにいかれる段階にも、鮮度の落ちるような段階がないでしょうか。全体として見てその段階がどのくらいあるか。これは市場の機構にあらわれた段階でなしに、実際の経験者としてお感じになっている段階というものを、ひとつお教え願いたいと思います。
  13. 伊藤春次

    伊藤参考人 元来私の申し上げたのは、小峯先生のお尋ねのとおりでございますが、先ほどもお話の中に申し上げましたように、近海漁業でとれる主として高級な魚、あるいは鮮度の非常に新しい、消費地に近いような魚、これは一本釣り漁業とか定置網とか、そういうふうな、どちらかと申しますとごく規模の小さい生産者によってとられる。したがって、形状あるいは魚の種類等も非常にまちまちでありまして、消費の側から見ると幾らかぜいたく、それから選択性も非常に強いものでございます。そういうものは、どちらかと申しますと、やはり一定の容器に入れまして、そしてそれが産地から送られますと、消費地市場で、卸から仲買い人に販売し、仲買い人ではさらにそれをこまかく分荷する。それぞれの用途に向かって、いわゆる一般の魚屋さんに売れるものもありましょうし、中には食堂その他の直接業務用に売らなければならない、あるいはおすし屋さんとか、あるいはてんぷら屋さんとか、そういうふうな業務用に販売されなければならないような、非常にきめのこまかい流通を必要とするものが相当大きいわけです。こういうような場合には、やはり荷づくりあるいは取り扱い等は、そのつど専門的な処理鮮度を落とさないような方法が従来とられております。  私が先ほど申し上げましたのは、遠洋漁業あるいは沖合い漁業等で資本漁業のやっておりますものは、主として洋上あるいは産地で凍結されて、そうして一定の規格をもって市場もしくはその先の小売り商までは、生産者のブランドのまま、そのまま通っておる。したがって、どっちかと申しますと、外気の温度の変化とかあるいはその間の運搬とか、そういうふうなものによって中身を損ずることがわりあいに少なくて、そして、生産者手取り価格というものと、卸、仲買いを通じた小売り商の入手価格というものの間には、わりあいにすっきりした価格構成なり流通なりがなされておる。  問題は、先ほど申し上げましたように、大衆魚の中で非常にウエートを大きく持っておる多獲性の魚類、いわゆるアジサバイカサンマニシンイワシ、こういうふうな種類のものは、産地がほとんど全国的にわたっております。イカなんかの場合は北海道、東北を主としておりますけれども、これもまた全国的です。この漁業者は、資本漁業でなくて、むしろ中小漁業者によって営まれて、その間に漁業調整がやかましく水産庁でもやられておりますが、実際の漁業調整はほとんど不可能であります。したがって、これが産地市場に水揚げされるときには、すでに売買がなされておる。そこで、産地において、あるいは加工向け、あるいは他市場向け、大きい六大都市消費地市場向けというわけで分荷されるわけですが、この場合の標準が、いまのところ大体木箱をもって荷づくりされております。したがって、そこにはおおよそ十三キロ半とか、十五キロとか、十キロとか、思い思い、めいめいまちまちな容量、それから、中アジといってもはっきりきまっていない、規格がまちまちな荷づくりのまま消費地に送られてくる。ですから、そのつどその現品について、仲買いさんのほうでも会社のほうでも下見をしまして、そうして厳密な、いわゆる評価の前操作をやらなければならない。極端に申しますと、一箱一箱値段が違うのがほんとうでありますけれども、これは実際問題として大量販売をしなければならない、大量分荷をしなければならないということで、大口に売買取引がなされざるを得ない。したがって、その間に、一ぺん市場で売買されますと、その中身に対する責任というものは非常に不分明になってくる。それで今度は卸売り場から仲買い店舗にそれが交錯運搬されて、そしてまた仲買い店舗で業務用あるいは魚屋さんなどに販売される。それも、魚屋さんなり買い出し人の仕入れ分量が、魚種別に、あるいは魚屋さんのボリュームによって、いろいろ買い出しの単位が違ってきます。しかも、大きい箱に多種類のものがあけかえられて共同輸送するというような面も間々あります。そのために、専門家のいろいろな苦心にもかかわらず、外気の影響を受けて鮮度が落ちる、あるいはその間にロスが生じる、こういうような状態になっているのが現状であります。  したがって、目標としては、まず、そういう中小漁業者によって常に大漁貧乏をかこたれ、しかも大衆消費者がそれを要望しておるようなそういう多獲性の鮮魚に対して、何とか商品化の一歩を包装の改善から始めていかなければならない、こういうことを申し上げたのであります。
  14. 小峯柳多

    ○小峯委員 同僚の委員もたくさん質問したいだろうと思いますので、どうかひとつお答えは簡潔に願います。  それから、こちらのお二人は卸売り人で、そちらのお二人のうち、江津さん、あなたのところはむずかしい名前を言っておったけれども仲買い人なんでしょう。
  15. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 そうでございます。
  16. 小峯柳多

    ○小峯委員 卸売りのお二人に伺いたいのですけれども産地生産者と卸売り人との関係がだんだん密着してきて、そして、これは私どもは書いたもので承知したのでありますが、さし値のせりのようなことがかなり多くなってきている。言いかえますと、卸売り人と生産者との特殊な利害関係によって相場を押し上げるような傾向はないか。これはたいへん失礼な質問かもわかりませんが、率直にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  17. 伊藤春次

    伊藤参考人 簡単にお答え申し上げます。  そういう場合も間々ございます。ことに漁業経営が非常にめんどうになってきて、もちろんそれは、その生産者出荷者のみの品物で独占されるという傾向はきわめて少ない。したがって、いまの需要供給の市況を無視して高値をさし値したとしますれば、それはあとに残って、むしろ売れ残りの危険負担もしょわなければならぬというふうな場合がありますので、さし値というよりもむしろ希望さし値をして、あとは卸売り人にまかせる、こういうふうな状態のものが多いのであります。
  18. 小峯柳多

    ○小峯委員 これは一般論なんですが、市場というものがだんだん大きなところに集中する傾向があるのではないでしょうか。これはまるきり性質が違うのですが、アメリカの証券市場というのは、ニューヨーク一本であとはみな写真です。日本の証券市場東京大阪に集中されてきている。どうでしょうか、中央市場の取引量というものがそういう傾向がないでしょうか。その見通しはいかがでございますか。
  19. 伊藤春次

    伊藤参考人 水産物のほうは、先ほどもちょっと触れましたが、特に集中傾向が大きい。したがって、かりに関東、関西を見ますと、東京市場の価値が関東一円の経済界に大きな影響力を持ち、大阪価格が京阪神の価格のむしろ非常に大きい中心になる、こういう傾向がございます。
  20. 関矢尚一

    関矢参考人 青果物のほうは、やはり中央市場中心にした都市の衛星圏構造というものが非常に発達してまいっております。たとえば、東京の周辺の大宮、浦和、あるいはまた神奈川県のほう、さらに千葉県、山梨県というような衛星圏まで集散機能を持っております。さような関係でやはり東京市場のほうへ、輸送関係等もございまして、いまお話しのような集中傾向がございます。  それから、さっきの産地のさし値問題ですけれども、これは市場法業務規程によりまして、産地にきちんとした権利が与えられておりますから、さし値することはできます。しかしながら、不当にさし値で圧迫をして相場を指導するというようなことは、現在あまりございませんし、大体蔬菜なんかの出荷の現在の形態は、四割以上が産地の農協の共同出荷で、あとは、個人出荷がやはり四割くらいございましょうか。ですから、あとの二割が産地商人の方々の出荷になっております。まだ出荷の形態が、そういうふうに個人出荷のものが相当あるような状態でございますので、現在蔬菜の場合には、さし値というのは、産地の商人のほうが出荷する場合に多少あるようなこともございます。あとはほとんど無条件委託というような状態で現在出荷されております。
  21. 小峯柳多

    ○小峯委員 市場が集中して大きくなりますと、これは両方ともそうだと思うのですが、品物がトンボ返りで輸送される傾向が出てくるだろうと思います。消費地を通過して、東京大阪へ集まってまた返るという、この運賃は、理屈の上だけかもしれませんが、私はロスのような感じがするのです。したがって、地方市場との信用度の関連のようなものをどういう形でつけられるか。わざわざここまで持ってこぬでも、先ほどサンプルによる取引の話がちょっと出ましたが、何かそういうくふうがあってしかるべきものじゃないかと思いますが、どちらのほうでもけっこうでございますが、そういうアイデアはございませんか。
  22. 関矢尚一

    関矢参考人 蔬菜の場合ですと、必需的な大衆蔬菜は、いまお話のような転送問題というのは少のうございます。むしろ業務用商品のワサビとか、ミツバとか、そういったような一種の高級蔬菜需要が、北海道あたりまで行くような場合もございます。それは、東京全体で入荷の一割くらいじゃないかというふうに覚えております。その程度でございます。
  23. 伊藤春次

    伊藤参考人 水産物のほうは、蔬菜よりもややその傾向が強いのです。それは、先ほど申し上げましたように、非常に多様性といいますか、要求としていろいろな種類をほしい。それから地方の市場には、これは信用度もありますけれども全国的な集荷綱というものが張られていない。したがって、わりあいにこういう品物がほしい、こういう品物があり余るというふうなアンバランス、ばらつきが非常に多い。そこへいくと、やはり大市場のほうには何でもありますから、そこからそっちの市場消費地の要求するものが分荷されていく、こういう状態が現在やはり濃厚になっております。
  24. 小峯柳多

    ○小峯委員 仲買い人関係で二つ、三つ教えていただきたいのですが、江澤さんですか、先ほど仲買い人の法的規定の問題に触れましたが、法的に規定したほうが仲買い人の強化といいますか、大型化といいますか、そのことがやりやすいですか。いま法的地位をしっかり与えておかないで、かってなことを言われるという感じがございますか。どうでしょう。
  25. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 私どもといたしまして、結局、自分の職務に自信を持たせるということ、それが大きな原因でございます。したがって、いまの中央市場法によりますと、何となくあってもいいしなくてもいいんだ、そういう考え方です。これはやはり業者に自信を持たせること、それが一番大切じゃないかと思います。それによりまして自分の職責も果たし、あるいは、われわれ多少とも指導者の立場にあります者が、これを推進していくのにもしやすくなる、私はかように考えます。
  26. 小峯柳多

    ○小峯委員 これも率直な質問なのですが、仲買い人の権利の売買みたいなものがございますか。実際上御商売なさっていないで、自分の座席券みたいなものがあって、それをほかの方に一定の料金で譲渡するというふうなことが実際問題としてありますか。これは率直な質問でたいへん恐縮なのですが……。
  27. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 それは青果関係には絶対にございませんと申し上げます。ただし、お隣に清久さんもおいでになりますので、人さまのことは別に申し上げません。
  28. 清久辰治

    清久参考人 事水産物に関しましても、他都市のことの詳しいことは私もよくわかりませんけれども大阪市の場合を申し上げますと、そういう事例は一つもありませんということをはっきり申し上げます。
  29. 小峯柳多

    ○小峯委員 先ほど清久さんが、仲買い人の手数料はおおかた五分だとおっしゃいましたね。しかし、その五分で、問屋の機能を果たし、そして金融の機能も果たし得るかどうか。私は、五%のマージンで問屋の機能や金融の機能がほんとうに果たせるのだろうかという感じが実はするのでございます。ほんとうに、これも失礼な言い方でございますが、五分くらいでやれるのでしょうか。
  30. 清久辰治

    清久参考人 私が申し上げましたのは平均して五分、かように申し上げたわけでございまして、その取り扱い商品と星によりまして商売のしかたがいろいろ違うのです。いわゆる取り扱い高を大きくやるところは、その商売の内容といいますと地方に大量に出荷するとか、または、どこか市内での卸売り市場に類するところの曲人に多星に売るというような場合には、これはほんとうに低マージンでございます。またお料理屋さんとか、そういうところへこまかく、あるいは買い出し人の方でも少しずつ、一箱要らぬで一つずつ品数を多く買うというような方々に商売されておられる方は、労力がよけいかかって売り上げ高が上がらない、こういう場合の手数料はもう少し高い、こういうようなことになりまして、平均いたしまして私は約五分ということを申し上げたのであります。  なお、ついでに申し上げますけれども、各都市においていろいろ扱い方が違うわけでございまするが、いま六大都市水産物仲買い人の総数が二千九百十九人ということになっておりまして、一人当たりの平均の取り扱い高といいましても、これはもちろんう低い人高い人、こういう差はあります。しかし、平均をいいますと一年に九千六百七十五万円というのが一人の扱い高になっておりますから、これを五分としますと、一億円だったら年額収入で五百万円、こういうような数字になるわけでありますけれども、あくまでもこれは平均を申し上げましたので、その人その人によりましては、いわゆる一割口銭をもらわなければやれない場合もある。配達もいたすし、また御希望に応じていろいろのことも聞いておるような商売の品目もありますので、そういう点につきまして平均で約五分、こういうふうに申し上げたのでございます。
  31. 小峯柳多

    ○小峯委員 最後に一問だけ。二種類仲買い人二人にお伺いしたいのですが、どうですか、それぞれ仲買い人が統合したり大型化するような動きが現在進行中でございますか。まだ進行していないとすれば、もっとそれを進行させるとしたら、政治による、あるいは政府によるどういうお手伝いが必要か、お二人それぞれの分野で、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  32. 清久辰治

    清久参考人 私のほうは、先生のいま御質問ありました中での進行中のほうでございまして、結局、一昨年の暮れから始めましたので一年そこそこでございまするが、私のほうの組合員が六百二十名ほどありましたのが、現在五百八十名をちょっと割るというふうに、四十数名の者が、仲買い人の合同とか合併等によりまして数が少なくなったわけでありまして、なお今後におきましても、これをどんどん進めるという計画でやっておりますけれども、率直に申し上げますと、やはりいままでつちこうてきた自分のしにせといいますか、屋号に対する執着があるわけです。合併する場合には、一応自分たちのいままで長年つちこうておった店を廃業という形式にしまして、それからあらためて法人として、三人寄れば三人一つの権利をいただくといったような仕組みになっておりますので、自分の店に対するところの執着というものがわりあいにあるということが、これは全般論でございませんけれども、有力な一つの隘路になっておる、こういうことを申し上げたいと思います。
  33. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 青果におきましてもその気持ちで推し進めております。ただ、いま清久さんからもお話がございましたように、やはり仲買い人といたしましては古くからの屋号、それが三人、二人で一緒になって法人化いたしますと、一つの名称でしかなくなってしまう。そこで、現在三人なり二人なりの名前を残しまして共同経営、そういうことでやらしていただいております。しかし、法人化につきましては、現に私どものほうの神田におきましても、約十分の一くらいは法人化しておりますので、それを申し上げておきます。  それからもう一つ。先ほども清久さんから、仲買いは五分くらいの手数料だ。そこで先生からの御指摘で、それで食えるのかというお話でございますが、青果におきましても大体五、六分にしかなっておりません。取り扱い高につきましては、全国を通じましても、一人当たり仲買い人といたしまして一億ちょっとでございます。したがって、店舗のあれでまいりますと一億二、三千万円になっております。
  34. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 武部文君。
  35. 武部文

    ○武部委員 ほかの方からもたくさん質問があるようですから、私の質問には簡単に答えていただいてけっこうです。  関矢さんに最初お伺いします。先ほど取引の原則はせりが万能だ、せりは公開であって公正だ、こういうことをおっしゃったわけですが、私どもはせりについて若干の、しろうとですけれども見解を持っておるわけですが、それはさておきまして、規格の統一と商品の貯蔵が整備されることができるならば、せり以外の方法考えられる、こういう説明がございました。その方法としては、サンプル販売なりあるいは相対の売買ということがございましたが、それ以外に、せり以外ではどういう方法考えられるか。また同時に、規格の統一と商品の貯蔵ということは、いまの段階として、皆さんが直接おやりになっておって、ほとんど不可能な状態にあるのか、それともやりようによってはできるとお考えになるのか、この点最初にお伺いします。
  36. 関矢尚一

    関矢参考人 いまの、最初のせり以外の取引方法につきましては、私ども業務規程で認められておりますのは、認可を申請いたしますれば定価売り、入札売りあるいは相対売りというような方法、だと思います。  それから、いま御質問の商品規格全国統一の問題、これは非常に熱心に産地も、先ほど申しましたように生産から出荷までの共同化を漸次強力に推進しておりまして、蔬菜におきましても、果実におきましても、この段階が着々実現してまいりまして、それでさらにバレイショ、タマネギあるいは輸入商品のようなものにつきましては、これは非常に貯蔵性もございますので、いま御質問の可能性があるかということに対しまして、私は可能性があると申し上げます。
  37. 武部文

    ○武部委員 もう一つ関矢さんに。先ほど人件費が一カ月に平均して三万八千円程度で、他の業種の人たちに比べて非常に安く、大体一万円くらい安い。労働時間は、私どもが見させていただいたのでもわかるように、たいへんなことだと思うのですが、これがかりに上がれば、それが直ちに値段に影響するとか、そういうことがあるために、そういう賃金でいまのところしかたがないという状況なんですか。
  38. 関矢尚一

    関矢参考人 従来からの慣行上そういうベースになっておりますけれども、しかし、漸次労働者の意欲的な組織化というようなことが推進されてまいりまして、いま申しましたような深夜作業、あるいは早朝からの出勤というような、非常な異常労働に対しましては、なかなか積極的に——これはいろいろな問題がございます。それから、特に日曜は現在週休で休んでおりますけれども、きのうも日曜開くべきじゃないかという、ある消費者の方からの御提案もございました。そういうようなことで、給与ベースの問題につきましては、労働者側も一般の社会水準ベースまで何とかしてもらいたい。さらに給与以外の厚生施設につきましては、たとえば住宅問題等につきましても、社宅等の施設も全然ございませんし、さらに食堂とかあるいはその他の施設等も不完備でございまして、非常に厚生施設が劣悪でございます。そういう点では、今後の私ども中央市場の業界における労働問題というものは、予断を許さない発展段階にあるということをこの機会に申し上げておきます。
  39. 武部文

    ○武部委員 次に江津さんに。参考人名簿を私いただきましたときに、関矢さんと江津さんの肩書はちょっとわかりませんで、関矢さんが東京で江澤さんが大阪であろうかと思っておったのですが、先ほどお話を聞きまして大体わかりました。わかりましたが、発言されることばは、やはり仲買いということばしか出てこないのです。先ほど小峯委員からも質問がございまして、御回答によると、自分の職務に自信を持ってやるために仲買いということばは、先ほどのことばでいえばブローカーというようなことにとられる、こうおっしゃって、こういう名前のほうに変えてもらいたいというようなお話もありましたが、お聞きしておっても、仲買い人ということば以外は出てこないわけです。それで、別に名前を変えたからどうだというようなことも私はないように思うのですが、もうちょっとその辺意見をお聞かせいただきたい。
  40. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 私が卸売り業者でございますということを申し上げたのでは、かえって先生方が錯覚なさる。したがって、やむを得ませんから仲買い人ということばを使っております。本来ならば——私先ほど自称でありますからと申し上げましたが、こちらからいただきまする公式な書類におきましても、全国青果卸売組合連合会会長と書いてございます。これは農林省のほうからも、開設者の東京都からも、どんな書類をいただきましてもこうなっておる。しかし、いまこうやって二人が並んでおりますが、先生の御指摘のように、私が卸売り、卸売りといったのじゃ、あまり錯覚を起こしやすいものですから、仲買い人ということばを使っております。
  41. 武部文

    ○武部委員 その辺でわかったことにしましょう。  そこで、これも小峯委員の質問で出ましたが、権利金の問題ですけれども、そういうことは青果物に限っては絶対にない、こういう断言でございました。私ども神田の市場に行きましたときにもこの話が出たのです。そうしましたら、市場の担当の方は、ないとは言えないという答弁だったのですよ。ないとは言えないということは、若干あるということなんですよ。それで、あなたは断言されもからそれはいいとして、今度は水産物のほうはどうですか。——大阪ではないですか。青果のほうもないですか。
  42. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 これは正直に申し上げまして、さっき小峯先生から、おまえたち法人化する、あるいは合理化する、金融的にも何か頼むことはないか、そういうお誘いのおことばを受けながら江津がお答えを申し上げたわけですが、正直言いますと東京都におきましても築地と神田、築地は百五十人、神田には二百七十八人おります。東京都合計いたしまして五百五十余名で、ほかの市場は三十数名でありまして、むしろ仲買い人を増員していかなければいけない。ところが、築地は総合市場でございますから、魚関係の方あるいはお料理屋さんの方もおいでになりますが、神田のほうはそういうわけにはまいりません。正直申し上げて、二百七十八名をそのまま存続いたしてやっていこうという、これはもう合理化にも何にもなりませんですから、多少整理もしなくちゃいけないが、先ほど先生にお答え申し上げましたように、やはり自分の名前がほしいということです。したがって、それを処理していく上においては、私どもでき得るならば転業資金、そういった助成方法をお願いしなければならぬ。  それから、いや先生から御指摘のように、おまえ絶対ないと言いながら、神田にはあるかもしれないというおことばですが、いま申し上げましたように二百七十八名おりますので、正直言いまして、おはずかしい話でございますけれども、私ども組合員に合理化しろということばを使いながら、いま五組合あるわけです。これは生まれたときの性格が違うものです。それで、これを本年度じゅうに発展的解消をいたしまして、新組合を結成する用意をいまいたしております。そのときに、私ども合同委員と申しておりますが、その中におりまして、転業する者に対して組合から補助金を出す。ですから二百七十八名おりますと、これはもう事業に失敗する者もあるかと思います。だけれども、お金でもってするよりも、私自身は、前に私の店におった者が失敗いたしまして、私がそれを抱きかかえて二人でやっています。これは、三十八年の七月のあの閣議決定によりまして、小さなものは寄れ、統合してそうして大型化しろ、法人化しろ、こういうお達しがございましたけれども、実際問題は、小さなものが三人審りましてもうまい経営はできない。ですから大きいものが吸収する、そういうたてまえをとらざるを得ない。したがって、そういう問題がございますが、権利を売ったとか売らないとかいうよりも、むしろ友だち同士が寄り合うとか、あるいは私のほうが仲買い人でおりました者を引き受ける。これは借金を肩がわりしてやらなきやならない。そういうことで権利、権利ということが言われるのだろうと思います。  しかし、いま規定されておりまするので、もしこれから神田で仲買い人になろうとするには、もう定員以上に多いと私ども思いますが、もしこれがほかの市場でありましたならば、仲買い人にすぐなり得るということがあるかもしれませんが、いま現在の失敗した者のそれを肩がわりするということになれば、やっぱりお金で解決せざるを得ない、こういうのが実情でございます。
  43. 武部文

    ○武部委員 それでは最後になります。これは清久さんがちょっと触れられましたので、お尋ねいたしますが、いま経済企画庁でも、私どものこの委員会でもこれから問題になると思いますが、コールドチェーンについてです。いまの清久さんの話によると、事水産物については、コールドチェーンについていささか見解を持っておる、こういう御見解でございました。このことについて簡単に、実際におやりになっておるあなたとしてコールドチェーンについてどういうお考えがあるか、これはたいへん大きな問題ですから、最後にお答えいただきたい。
  44. 清久辰治

    清久参考人 コールドチェーンの問題に簡単に触れよと吉われますと、私はよううまく述べられないのではないかと、こういうような懸念もありまするけれども、実際、事水産物に関してと申しましたのは、御存じのとおり低温流通というようなことについては、冷凍魚においてはすでに行なわれておる、こういうことであるわけでありまして、これをどういうふうにして推し進めて、合理的な、いわゆる理想的なといいましょうか、私の考えといたしましては机上論のように思いますけれども、理想的なことをやるか、こういうことになりますと、これは冷凍魚というものを冷凍食品という形に変えて加工して、そうしてそれを一つ規格包装して、それを消費者の台所にプリパッケージして流すということになろうかと思います。これを計画的に生産するということになりますと、生産地において非常な労働力というものが要る。これが現在の場合だったら、家庭の主婦が頭をはぐし、そうしてから料理するということをやられているのが、それが生産地においてやられるということになり、その頭とか中骨とかいうようなものにつきましても、生産地においてはそれを飼料化するということでありましても、消費地の台所へ持っていきますと、これはけっこうまたお料理のためになっておる。こういうようなことであるにかかわらず、それをやられるということについては、食えるものを産地においてむだなさばき方をしておるのと違うかということが、ものによっては一点あるわけです。  それから、そういう施設をしようとするときには、産地において冷蔵庫加工施設というものをこしらえなければいかぬということになるわけですね。そうすると、これは現在資本漁業家のやっておられることは別といたしまして、これからコールドチェーンを伸ばそうとするなれば、日本の津々浦々の生産地においてそういうことが考えられるということを予想するならば、そこに冷蔵庫と同町に加工場というものをこしらえなければいかぬ。冷蔵庫加工場というものをこしらえた以上は、それがやはりフルに回転せぬことには商業ベースに乗らない。こういことになった場合には、鮮魚でそのまま出そうというようなものでも、産地において買い付けをして、そこで押えて、その加工施設があるために、労力をかかえておるがゆえに、その経費を維持せんがために無理に加工しなければならぬ、こういうことが鮮魚に関しては起こるのじゃないか。  現在の冷凍魚についての流し方というものは、これは大体コールドチェーンシステムというものに乗っておる。ただ切れておるのは、仲買いの手から小売り商店へ行き、小売り商店から家庭のお台所、そのコールドチェーンのほんとうのねらっておるところの家庭のお台所において、それが行なわれておるかおらないかということについて、水産物の場合にはそこに問題点があるわけです。御承知のとおり日本の国の家庭生活としまして、あのアメリカ式に五日分も六日分も冷蔵庫へ、それが可能なところの冷蔵庫へ、それを一ぺんに買おうというような消費生活の内容かどうかというようなことに相なるわけでございまして、そういう点にいろいろ私は疑問を抱くわけであります。詳しく申し上げたいと思いますが、簡単にと言われますとちょっとつらいのですが……。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 砂田重民君。
  46. 砂田重民

    ○砂田委員 最初に関矢さんにお願いするのですが、冒頭のお話の中に、野菜生産出荷安定法のお話が出てまいりました。あの指定産地をきめましたことと、いままで長年の間関矢さんの会社で集荷の努力をしておられた数十の府県、それから長年の取引先の農協等があると思うのですが、そういった関矢さんの集荷努力と、この法律によってきめられた指定産地にどういうふうな変化が出てきているかということが一つ。  それから、この法律に基づいてきめました資金の制度が、関矢さんの会社で集荷をなさるのに、何か集荷が楽になったとか、その集荷の出先で、この資金の中にある生産者意見が、何かおたくのほうにはね返っているかどうか、そういうことをちょっと聞かしていただきたい。
  47. 関矢尚一

    関矢参考人 適地適作ということで、いま生産の指導を農林省はいたしております。さような関係で、指定産地と、私どもと従来取引をしておりました取引先との調和というのは、大体いま完全に一致しております。  それから、いまの資金の問題でございますけれども、これはさっきも、変則的なということで私申し上げておりますが、わずか二億やそこらのお金で、しかも生産者も拠金するというような制度で、価格保障などとということはおこがましいと思います。これではとても価格政策などということは言えないと私は思います。もっと積極的な、大規模価格の保障というような問題を取り上げるならともかく、こんなしみったれたことじゃためだと思います。
  48. 砂田重民

    ○砂田委員 実は、そういうことを初めから聞きたくておいでを願ったのです。  もう一つ関矢さんに伺いますが、東京で安売りデーというのをやっております。あれには卸、仲買いも何かの協力をしておられますか。
  49. 関矢尚一

    関矢参考人 応急拠置としては、やはり一日でも小売り商が自己のマージンを割愛して消費者に安いものを提供するという一つの精神に、私どもは多少の協力をいたしております。これは多少物質的な意味もございます。しかしながら、やはり蔬菜価格はそういうことでは解決はつかないと思いますので、抜本的な対策としてはあまり替意を表しておりません。
  50. 砂田重民

    ○砂田委員 東京でやっておるいろいろな食品の安売りデーというのは、決して抜本的な解決策としてやっておるのではないと考えます。これをやっておる小売り屋さんも、指導しておる農林省も、あるいは東京都庁もそう考えておるだろうと思いますが、実は消費者の代表の一番こわい春野さんに、今国会のこの委員会に来ていただいたときに、東京で十何種類か食品の安売りをやっておりますが、あれを一々全部たんねんに拾っていって、家計に響くところ月間二百数十円、だから、総理府の統計で出しておるような家計にはたいして影響はないけれども、心理的な気持ち——業界の方も生鮮食料品価格安定に努力してくれているという気持ちがわれわれには非常に大きく響くのだ、そういう御意見がありました。そういうことを初めてわれわれは消費者代表の方から今国会の当委員会で伺ったものですから、おっしゃるように、あるいは東京の安売りの日には、東京がきょうは安売りだから、神田の市場へ持っていこうというような生産者側考え方があるかもしれない。そういうことは、むしろ卸なり仲買い人の方々も一緒に小売り等に協力してあげれば、いま言われた関矢さんの御協力程度ではなくて、もう少し協力してあげれば、安売りだからといって、かえって入荷が少ないということもある程度防げるのじゃないだろうか。そういうことを前向きにこれからお考えになってごらんになりませんか、どうですか。
  51. 伊藤春次

    伊藤参考人 安売りデーの話は、いま砂田先生からお話がありましたから、これ以上詳しく申し上げませんが、私は、あの企画庁の会議で言われたときに、それは目薬だ、消費者がどうすれば安い魚やくだものを買えるかということに方向が向けられる、また業者もセールスに気をつける、この利点があるけれども基本的なものにならない、むしろそれよりも、ことに水産物で見ますと、その日の魚種別入荷量、それによる価格変動が非常に大きい、だからその日、その日に何を買って、どういう調理をすればいいかといういわゆるお買い徳品がある、ほんとうに安くて栄養のあるものを食おうとすれば、それを消費者に知らしめて、できるだけその需要を喚起するのだ、間接的に消費者中央市場のせりに関与する、こういうふうな流通情報の活用を国も一体になってやることが必要だ、こういうことを申し上げておきました。きのうの新聞等で見ますと、農林省のほうに流通統計課というようなものもできて、これを推進しようということであり、すでに去年から試験的に東京都、農林省のほうでテレビを使ってやっておられ、視聴率がだんだん上がってきておるようです。これをさらに一段とくふうをしてオールマスコミでそのことを知らしめて、そしてその時間になれば消費者がチャンネルをひねって、それぞれの家庭で、きょうはどういう魚、どういう青物を買えばわりあいに割安であるか、あるいは珍しくてうまいものがあるかというふうな、その日、その日の状況というものに対して消費者が敏感になって、そしてむしろ魚屋さんなり八百屋さんに消費者需要というものをもっと逆に反映させる、こういう傾向ができれば、日本的な生鮮食料品一つ流通改善ができるのじゃなかろうか、こういうことを申し上げたことがございました。参考までにちょっと……。
  52. 砂田重民

    ○砂田委員 伊藤さん、いまの程度のことと言うと失礼ですけれども、この委員会はだいぶ勉強を続けておりまして、その程度のことは承知しておるわけなんです。いろいろなことをやらなければならない、そのいろいろなことをたくさんやる中の一つに、安売りデーに御協力をなさいませんかということを伺ったのです。これからもう一度検討をやっていただきたい。お願いをしておきたいと思います。  そこで……。
  53. 関矢尚一

    関矢参考人 いまの問題でよろしゅうございますか。
  54. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 はい。
  55. 関矢尚一

    関矢参考人 いまの安売りデーの問題の一つの新しい提案でございますけれども、現在農林省で小売り商の近代化推進協議会というのがございまして、その第一ラウンドは終わっております。大体一つ改革方向に向かっておりまして、その中にいまの零細な小売り商の共同仕入れの問題、コオペラティブチェーン、ボランタリーチェーン、そういったようなチェーンシステムといったようなことで指導をなさっております。これはいまのように一人一人が零細な単位で買い出しをしないで、小売り商が共同仕入れをする体制になれば、先ほどあちらの先生の御質問にもありましたような、産地の体制がんだん大型出荷に変わっておりますから、しかも規格が統一されて、大量仕入れをするような形に即応するようになっておりますので、いま私がお願いしましたように、せり以外の方法か何かの方法によって——定価売りでもけっこうです、あるいは産地の要望によりましたところの相対売りでもけっこうですけれども、そういったような方法による共同仕入れの組織と、それからいま私どもは、大型化した産地取引きとの仲立ちをいたしまして、そうして厳正公平な一つの安定した価格でそういうものを取引をして、たとえば東京の都内におきましても新宿で売りましても、池袋で売りましても、浅草で売りましても、三多摩地区において売りましても、同一商品を同一価格で売るというようなチェーンシステムの販売方法が採用されれば、これは非常にいいと思います。この点は、現にくだもの小売組合がトーカチェーンという方法によって、終戦後の昭和二十三年ごろこれを実行しております。この点、私どももその事業に参画いたしまして、実はそれに携わった一人でございますので、せひ今後も安売りデーのようなものにかわりましてこういうような方向に持っていきたいと、私は卸人といたしまして、現在考えております。
  56. 砂田重民

    ○砂田委員 ありがとうございました。  次に、伊藤さんにもう一つ伺いたいのは、せりの問題なんです。私は、中央市場仲買い人が形成される価格というものは、元来非常に公正なものだと思うのです。一番公正なものだと思うのです。もしも仲買い人が過大評価をしたら、あるいは過小評価をしたら、どちらをやってみても、その場合にしっぺ返しを受けるのは仲買い人ですから、私は全国仲買い人がせりによって形成する価格というのは一番公正なものであり、必然的なものであると思うのです。ところが、その公正であるべきせり価格というものを阻害する、仲買い人が持っておるその価格形成機能を阻害するようなおそれが——いま関矢さんのお話のせりではなくて、相対売りとかさし値とか、そういうことも一つのいき方ではありますけれども、また一方、私がいま申し上げたような心配もあるわけです。  そこで、伊藤さんに伺っておきたいと思いますのは、あのせり人というのは荷受けの職員という立場でやってきておられるのであります。これは、教育にも相当会社の金もかかるだろうと思うし、日時もかかるたろうと思うのですが、このせり人の仕事というものをよほどしっかり荷受けで監督といいますか、していかなければ、たいへんな間違いが起こるのじゃないか、そういう心配をするのですが、無用な心配であればけっこうなんですけれども、せり人というものの仕事のあり方、荷受けの職員でありますだけに、伊藤さんのせり人に対する監督といいますか、教育といいますか、そういったものの心がまえをひとつ承っておきたいと思います。
  57. 伊藤春次

    伊藤参考人 数年前、ことに戦争後特にその点を気をつけまして、高校もしくは大学出をせり人に養成しました。そして法律規定等を十分頭に入れてやる。それから同時に、いわゆる単数卸売り人の場合と複数卸売り人の場合とはせり人の性格もだいぶ変わってまいります。これは先ほど来お話のように、相手が非常に大ぜいで一ぺんにせりに立ち会いますから、いろいろそのつどの個々のケースに対しては、あるいは問題のあるものもあるかもしれません。しかし、基本的には、そういう不公正なことをやっておっては続きません。したがってせり人はどっちかというと待遇、処遇等も、年齢に比してはわりあいにいい処遇を与え、そして瀞に公正な取引が行なわれるように気をつけておる、かように考えております。
  58. 砂田重民

    ○砂田委員 せりのことでもう一つ伺いますけれども大阪清久さんの会社にしても、清久さんお一人がせりに参加されるのじゃなくて、何人かの人がせりに参加しておると思う。そのせりに参加しておる仲買いの数というものは、いまの状態で、伊藤さんは適切なものだとお考えになっていらっしゃるでしょうか。これはせりの一つの単位の問題にも関係があると思うのですが、先ほど参考人のどなたかお話になったと思いますけれども昭和三十八年に閣議決定を見た流通改善対策要綱の中にも、せりの大型化ということが一文句うたってあるのです。いまのせりの単位というもの、それから各仲買い人は、おそらく許可を受けておると思うのですが、せり参加人の数はいまの状態で適正でございますか。
  59. 伊藤春次

    伊藤参考人 すでに大型取引というのが出されまして、その方向に、先ほど来お話のように進んでおります。したがって、いまの時点ではその場その場で、あるいは多いような場合もあり、また少ないような場合もある。正しい方向としては、出初者のほうがだんだん大型化され、取引単位も大型化される、したがって、仲賢い人の売買に参加される方もだんだん大型化して集約的になっていく必要がある、かように考えております。
  60. 砂田重民

    ○砂田委員 それでは仲買い人のお二人に、ちょっと仲買いの問題をお尋ねしたいと思うのです。  さっき同僚の武部委員のお話にもあったように、卸売り、仲買いということばの使い方ですが、いまの中央市場での仲買いの方々のお仕事、また果たしておられる機能は、世間一般、ほかの商売でいうならば問屋さんであり、卸売りもやっておられることは十分承知しておりますけれども、先ほどの江澤さんのお話のように、混乱するといけませんから、仲買いということばを使わしていただきます。仲買いの法的地位というものを確立したいというお気持ちがずいぶん以前からありました。私は、これは当然なお考えだと思うのです。当然なことだと考えますだけに、ちょっと勉強もしてみました。きょうまた、たいへんけっこうな御本をお二人からちょうだいしました。この本の中に書いてありますことをちょっと読みましても、仲買いの数というものはいまでもだいぶ多過ぎるのじゃなかろうか。それも都市、都市の中央市場によってアンバランス状態になっているじゃないだろうか。仲買い人の取り扱い量とかいろいろなものの平均を出してみると、いかにも規模が小さいですね。江澤さんや清久さんのような大きな店を持っておられる方はきわめて少なくて、たとえば、きょういただいた本の中をちょっと見ましても、仲買い人市場別年間平均取り扱い高を見ると、各地の格差はたいへん大きい。尼崎の千四百八十五万円が最低で、仙台にいくと二億六千八百二十七万円も取り扱っておる。三十六年度の農林省の統計によると、仲賢いに従事しております一人当たり平均の仕入れ高が一日三万円、同じ調査で、小売りの従事者一人当たり平均の一日の仕入れ高が七千円。これは、小売り従事者に対する仲買い従事者の経営規模が四・四倍にしかならない。同じ本の中のほかの統計を見ましても、東京都庁で調べた築地の仲買いの一日平均取り扱い高が十万八千円、魚商業協同組合の資料によると、都内小売り店の一日平均の取り扱い高が一万二、三千円、小売りに対する仲買い人規模は、平均値を出してみると、わずか八・八倍にしかならない。違うことばで言えば、一軒の仲買いさんで四軒ないし九軒しか小売り屋さんのお客さんを持っていない、こういう状態なんです。ですから、仲買いの方々の法的地位を与えよといわれるのは、ぼくは当然な御要求だと思うのですが、同時に、常識でなかなか判断しにくいようなこういう数字は、やはり皆さん方の企業努力も必要だと思う。さっきおっしゃった、代々持ち続けた店の名前を失うのは惜しいというお気持ち、これもわかります。ただ、そういった情だけでいっまでもこのままにしておられたのでは、私は消費者の理解がもらいにくいのじゃないかという気持ちがするのです。  そこで、企業努力をしていただくにつきましても、先ほど、政府からの助成もしてもらって大型化の努力をしている段階だというお話でしたけれども政府からの助成をしてもらってという抽象的なことばづかいではなくて、たとえば、市場の買参人の数というものはふえていきます。小売り人をせりに参加させていけば、大口の小売り屋さんがふえていく。こういう外部からのせりに参加してくる人たちは、外で自由に相当大きな商売をしているわけですね。ところが、仲買いの人の皆さんは、中央市場の中以外では商売をするわけにはいかない。中央市場の外に出たら、一切営業してはまかりならぬということを業務規程できめられている。しかし、仲買いの人たちも外で商売ができるようにしてもらうことも、仲買いをみずから大型化していく努力がたいへんやりやすいことになるのだとか、そういう具体的な御要望がありましたら、私はこの機会に伺っておきたいと思うのです。特に魚の場合なんかは、生産者、商事会社、特約店というような、市場の外での商売がだんだんふえてきておりますだけに、中央市場の中だけでなければ商売をしてはいかぬといっていたのでは、仲買い人というものは小さい環境の中に固まってしまって、大型化はなかなかむずかしいのじゃないか。できるだけ具体的な、こういうふうにしてくれたら自分らも大型化がやりやすいというのがありましたら、伺っておきたい。
  61. 清久辰治

    清久参考人 砂田先生の御質問、私らにとりましては実に心強く感じるわけでありまして、自分自身のいままでやっておったことにつきまして、足らざるを恥じるわけであります。実は先生の申されておる方向に、私らは日々たゆみなく努力を続けておるわけでありまして、それがなかなか思うようにいかぬというのは、御指摘になりましたように市場法というものがありまして、いろいろ制約されておる。ここで率直に申したらどうか、こういうふうに言っていただいたわけでございますが、率直に申しますれば、現在の市場法というものを、今後のこういう水産物流通に当てはまるようなことに根本的な改正をしていただきたいというふうに、私らは前々から申しておるわけでありまして、中央市場法にかわるところの生鮮食料品の総合市場法というようなものもこしらえていただきたいということを、連合会の運動を通じて申し上げたわけでありますが、実際問題といたしまして、今日の私らの取り扱い商品が、先ほど御指摘がありましたような冷凍魚とか、ああいうような規格品化するものが出てきましたときに、こういうものの取り扱いというものはどうするか、加工品の取り扱いはどうするかというようなことが問題になってくるわけでございまして、こういう点が私らとしては、あくまでも自分の扱い高をふやそうとしましても、卸の手を通じなければ私どもが買い取ることができない、同時に自分たちの中央市場市場内でなければ商売してはいけないという、がんじがらめに手足を縛られての商売ということになっておりますので、これは率直にお願い申し上げまして、今後の流通事情に見合うところの中央市場法というものに根本的に御改正願いたい、こういうことをお願いいたす次第でございます。
  62. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 砂田先生から仲買い人に対しまして御指摘がありましたが、全く私ども赤面の至りで申しわけございません。私ども幹部といたしまして、指導方針にそういうふうに欠けている点があったということで、反省をしなければならないと思っておりますが、いま先生からのお話で、私どもがいま考えておりますことを申し上げまして、なお農林省はじめ先生方にもひとつ御援助をお願いしたいと思います。  というのは、これは市場ごとによって違いまして、大阪におきましては東部市場ができまして、三百四十人の仲買い人では多過ぎるというので、実は転廃業資金を組合自体が三百万円出しております。先ほど申し上げましたように東京におきましても、ほかの市場では仲買い人を増員しなければならぬが、神田におきましては二百七十八名は確かに多いです。ですから、これを合同するなり何なりして大型化する。それはなるほど人情論に走ってばかりおられません。ほんとうの合理化をしようとするならば、そこまで手をつけなければならないことはよく承知いたしております。そこで、いま政府において過密都市問題閣僚協議会をやられておりまして、そうして周辺に新市場の建設もやるということです。したがいまして、私どもといたしましてはそこへ進出の道を講じるということと、もう一つは、先ほどもお願い申し上げましたように、もし転廃業をする者があるならばその助成もひとつお願い申し上げたい、さように考えております。  それから先生から御指摘がございましたが、仙台は仲買い人が実は九人であります。先生も統計をごらんになったように、それは青果仲買い人といたしますと、大きいものは六億、七億、九七 十億くらい取り扱っているものもございます。それで、せめて少なくとも平均三億くらいの取り扱いにしていかなければならぬ、年間大体三億から五億を取り扱えるようにしたい、そのくらいを目標に私どもはこれから整理をしていくわけであります。  それからもう一つ、輸入品の問題であります。バナナやレモンにいたしましても、これは農林省の局長通達が出まして、お隣においでになります関矢さんのほうでも貿易品を行なっております。いわば場外業者です。したがいまして、そこからも買わなければならぬ。ですから、いま清久さんのお話のように、卸売り人から何でも買わなければいけないということを言っておったら、中央市場仲買い人は成り立ちません。したがって、さっきお願いいたしました法の改正におきましては、仲買い人も多少は外部から買ってよろしいというようなことでなければ困るわけです。その点も、ひとつ改正のときにおいては先生方の御援助をお願いしたいと思います。
  63. 砂田重民

    ○砂田委員 さっき武部委員からも仲買い人の数だとか権利売りをしているのではないかというふうなお話があったのですが、たとえば鮮魚のほうの仲買い人の数を清久さんがおっしゃいましたが、各都市、六大都市のそれぞれの中央市場仲買い人の数というものと東京の魚の仲買い人の数というものとを算術的に比較してみれば、東京がけたはずれに多いような気持ちもするわけです。あれだけの数の仲買いさんが五%のマージンではたしてやっていけているのだろうかという気持ちが私たちはするわけです。  最後に一つだけ、これは清久さんからお話がありましたのか、江澤さんからお話がありましたのか信用供与の問題でございます。今日の魚の仲買いだけ考えてみても、日本じゅうの仲買い人さんで信用供与を、さっきおっしゃったように二、三日と二十五日ぐらい、その間の金融をつけておられるのは百億近いものだろうと思う。その資金も自分らで全部まかなうというお話でありました。これからもその程度のものであるならば、皆さん仲買い人の力でそのくらいの信用供与はやっていける自信がおありですか。
  64. 清久辰治

    清久参考人 先ほど私が意見を述べるところで申し上げましたように、漸次私らの経営も合理化しまして、また仲買い人の体質の改善ということに持っていっておりますので、今後におきましても、いま申されましたような点につきましては、私は一応現在の仲買い人信用度においてやり得るというふうな自信は持っております。しかし社会情勢、経済情勢がどういうふうに変化するかわかりませんし、また先ほど江澤さんから、そしていま先生からも御指摘のあった仲買い人の数が多いという点につきまして、どうしたら仲買い人の数を少なくすることができるかということになりますと、企業合同しましてお互いののれんを返しましても、看板は一つになっても口の数は減らない、そういうことになってくる。そこで、根本的にどうするかということになってまいりますと、そのうちの何分の一かは他に転業させるということになります。これならほんとうの意味合いで仲買い人の頭数が少なくなって、ほんとうに一人当たりの取り扱い高がふえるということになるわけでありますが、そうするためにはどういう方法でやればいいかということになりますと、それは先ほどお話がありましたように、いわゆる自分仲買い人の現在の力でやり得るかどうかということになりますと、私は自信がございません。そういう意味合いといたしましては、何かそこに一つの融資とか援助とかいうことの御好意をちょうだいいたさぬことには、そういう問題の整理ということについては、ちょっと私ら現在の仲買い人の力では自信薄であるということを申し上げたいのであります。
  65. 砂田重民

    ○砂田委員 これで私も最後の質問にしたいと思いますが、仲買い人の数がきわめてというか、相当ひどく多いところはそうたくさんはないと私は思います。ある一つの都会だけが何か多いような気持ちがするのです。そうやって皆さん御努力なさって合併等をやられると、信用供与の出題もだんだん大きなものを見ていかなければならない。そこで私の希望としては、でき得ることならばひとつがんばって、金なんかも何か政府からの助成を仰ぐようなことなしに、ひとつ皆さんの努力で、おれたちは信用供与をやっているのだ、仲買い人として中央市場の大事な一つの機能をわれわれの力で果たしていっているのだという意気込みで、信用供与の問題も解決していっていただきたいと思います。  ただ、一つだけ私が心配いたしますのは、比較的大きなお店同士が合併されるような機運が最近あるのではないかと思います。もしもそういうことになってきますと、相当大きな信用供与を与えなければならない。その場合に、自分たちのほうでは資金調達がなかなか苦しいということで、少なくとも資金的に資本漁業の系列化に入ってしまわれたのでは、中央市場での仲買い人としての機能というものは全くそれ一つで失ってしまうと思うものですから、そのくらいだったら私は政府なり何なりの助成を仰がれるほうがまだ仲買い人としても生きがいがあるだろう、そういう意味でお尋ねをしたわけでありますが、さようにお含みおきを願いたいと思います。  私の質問はこれをもって終わります。
  66. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 いま砂田先生のお話、ごもっともでございます。実は私神田におります。先ほど申し上げましたように五組合であります。これは年内じゅうに五組合合同いたしまして新組合を結成するのでありますが、そのときには協同組合に改組いたします。そうしてやっていくつもりであります。三十八年七月に出ましたあの改善対策要綱でいきますと、代払いをしたものに対して、しかも完納者から一部を完納奨励金として出す、その内訳は三、三、四だという。三厘というものは代払い費用に充てるということなのでございます。したがって、私どもはいままで代払い制度を励行してまいりました。正直言いまして、私の組合は八十人、三億五千万くらいの借り入れ金で、そうして組合員に貸し付けしておる。今度は、五組合が一緒になりましたときには、私は協同組合にいたしまして、そして借り入れ金の点につきましても、これは開設者あるいは農林七にお願いするつもりで、いまからそのことは農林省の課長さん、また開設者にお話ししております。  それから、いま先生の御心配になっておられます仲買い人の大きい者だけが寄ってしまっては、というお話、ごもっともでございます。私どもはそういう指導をしないで、先ほども申し上げました改善対策要綱のときには、少額取り扱い者が寄って大型化せよということでございますが、これはもう私どもは反対でございます。したがって、大きい者が小さい者も一緒にかかえていくというやり方をいま指導をいたしております。それで、なるほど清久さんの言うとおり人数は減らないかもわかりません。法人化いたしまして三人、四人が一つになっても、人数の上においては減らないが、それを新市場へ進出させるなり、支店の形をとるなり何なりでやっていくということでございます。
  67. 戸叶里子

  68. 石田宥全

    石田(宥)委員 前の委員各位の御質問でほぼ明らかになったようでありますから、ごく簡単に要点だけを御質問申し上げたいと思います。  私は長い間農林水産委員会におりまして、中央卸売市場については改正のつど勉強してきたつもりでおるわけでありますが、先ほど来参考人の御意見にもありましたように、またもや大改正を必要とするのではないかと実は考えておるわけであります。そういう意味も含めてお伺いをしたいと思うのでありますが、そうした点についての抽象的な論議はきょうばいたしません。  そこで、最近は物価問題特別委員会が衆議院内にも設置されるほど、物価問題が国民生活の上に重大な影響を持つに至った今日でありますが、ややもすると、先ほど来参考人の御意見にもありましたように、何か生産者から消費者へ直結という議論が高まっておりまして、仲買いというようなものは必要はないのではないか、仲買いというようなものをなくすることによって、物価を下げることができるのではないかという報道やら言論が聞かれるわけです。私、実は一昨日の毎日新聞の夕刊を見てびっくりしたのでありますが、「消費ダイヤル」という囲いものの中に、「産地消費地との価格が大きく開くのは、流通機構に不合理があるの一言につきるのだが、」と、こういうふうにきめつけておるわけですね。私はこれからやはりその部分部分でいかに合理化しなければならないかという点を御質問申し上げたいと思うのでありますけれども、いやしくもいまのような日本の経済社会において、生産者から消費者へ直結するというようなことができるのであろうかどうか、疑いを持つものなんです。私も生産者でございまして、消費地へ直送したこともございますけれども、長い間これは失敗の連続でした。きょうここにいただきましたこの御本にも書いてあるとおりで、野菜、果実のマージンの問題にいたしましても、これはたいした問題ではないようでありますし、また農協が中に入ってやると、これは、農協は生産者の代表組織でありますから、これがルートに乗ればたいへん中間が合理化されると考えられるのであります。ところが、これを読んでみますと、農協の取り扱いというのは意外に少なくて、野菜の場合には一五・五%、くだものの場合で二六・二%という状態です。これは三十五年です。それから三十九年には、野菜が一七・一%、果実が四〇%で、果実のほうは比較的いいわけですね。そういうような状況を見てまいりますと、はたして生産者から消費者へというような、いまの中央卸売市場法に基づかないで直結するようなルートが一体考えられるのであろうかどうかということを、これはひとつ卸売り人の伊藤参考人並びに江澤参考人から御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  69. 伊藤春次

    伊藤参考人 一番原始的な方法で、自分が魚を釣りにいって、そして自分で食うということが一番近代的で安いのだ、こういうようなことにもなろうかと思います。この面に対しましては、いま一番それを有効に使っており、その必要をあれしておるのは資本漁業です。このほうは実は自分で直接小売りまで考えて、そして最近は冷凍食品等のあれをやっておりますが、いまだに冷凍食品は赤字の連続です。生産者は販売すればただで物が扱えるような錯覚を起こしております。ホワイトカラーにはやはりそれだけの人件費なりいろいろなものが要ります。リスクも伴います。したがって企業としての経営上一番敏感であるべき資本漁業なり漁業者が、ほとんど大部分を市場に依存することが一番確実だ、再生産の上にもいいと、こういうことがなされております。いま一番問題になっておりまして、考えなければならないのは、先ほど申し上げましたように沿岸及び沖合い漁業者の大漁貧乏と消費者の高価格、これをどうすればいいかということでありまして、これは生産者が個々に違いますから、生産者消費者に直結してやるというふうなことはおよそ全体の問題にはならない。個々のケースでそういうものがあるかもしれないけれども、これはごく特殊なあれで、流通問題とか流通機構とかいうふうな一つのテーマには、生産消費の直結というのはおよそナンセンスだ、かように存じます。
  70. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 石田先生のおっしゃるとおりで、ことばの上で直結、これは確かにいいことに違いないと思う。しかし、実際問題ではできない。人さまのことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、昨年でございました、消費科学センターの三巻先生が北海道のバレイショをおとりになりまして会員の皆さまに配給された。原価で出した。たいへん安い。しかし、これは会員の皆さんが奉仕をしてやられたからなのです。もし毎日それを続けられていたら、会員の奉仕なんかとてもできるものじゃないと思う。当然だれか分荷人を置かなければならぬ。その人件費、それを計算に入れましたならば、いまの仲買いを通じ、あるいは小売り商のある程度の利潤を見ましても、それは決して私は高くないと思う。そこにおいて私どもは、あくまでも中央市場は現在の機構が一番よいということを申し上げる。私は価格安定に対しましても、いまの中央市場のこの三者と申しますか、これによって価格安定策にも沿い得ることができるという確信を持っております。ですから、いま伊藤んさがナンセンスだと申し上げたけれども、私もさように考えております。
  71. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで次にお伺いしたいことは、先ほど来参考人の御意見あるいは質問に対するお答えで、仲買人というものは、仲買人という名前にふさわしいものではないところの業務を行なっておるということ、これはどうも一般によく知られていないと実は私考えておったのでありますが、きょうはそれが明らかになったわけでありますけれども、非常に困難な分荷、これは伊藤参考人からお話しになりました。それから一物一価という理想、目標、それに向かっての評価、これを行なうという使命、さらに一番大きなものは、やはり何と申しましても金融面だと思います。詳しくお話がございましたから、私詳しく触れませんけれども、相当な金額を代払いをして山場を安定させておるという仲買い人の中央卸売山場における使命というものは、最大のものだと思うのです。卸売りももちろんなくていいとは申しませんけれども、何といってもやはり中央卸売市場法における運営の中心仲買い人にあることは、これは少し勉強された方ならおわかりだと思う。私も実は非常に疑問を持ってこの問題を研究いたしたわけでありますが、そういう面で、先ほど申しましたように、ぼつぼつ中央卸売市場法も全面改正に踏み切る段階にきておるのではないかということを実は申し上げておるわけであります。きょうは政府委員を呼んでおりませんから、政府考えを聞くわけにまいりませんけれども、そういうことをきょう認識することができまして、たいへん参考になったわけであります。  そこで、それならばいまの中央卸売市場の運営の中で、どういう面でこの合理化を推し進めることができるかという点でありますが、私、何回か市場を見ておりますけれども、先ほど御意見がございまして、大会社がさし値をしてくる、そうするとそれ以下では売らさぬというようなことは、これは中央卸売市場法の精神に反するものではないか。ものによっては、それ以下ではどうもこれはやりきれないから、ある一定の最低限というもの、さし値というものをしなければならないという場合もないとは私は考えませんけれども、最近の中央卸売市場における卸売り人というものが、鮮魚の場合では、大漁業メーカーそのもの一つの卸売り会社という名称を使っておるのではないか。そうすると、大洋漁業なり日魯漁業なり大会社そのものが卸売り業ということになって、大会社はことごとくさし値でやってくる。こういうようなことは、いやしくも公正妥当な価格形成を行なわしめないのではないか、こう考えるのでありますが、これは清久参考人並びに伊藤参考人に、その点をお伺いしたいと思います。
  72. 伊藤春次

    伊藤参考人 先ほど鮮魚の場合と言われましたが、鮮魚中央卸売市場に対する資本漁業出荷というものは、ごく微々たるものです。資本漁業のほうの出荷は大部分が冷凍魚です。漁業自体が遠洋化され、大型化されて、出ていくのは、資本漁業を旗頭にやっておりますから、当然そういう傾向を持ってくるのでありますが、さっき申しましたアジサバサンマイワシニシン、こういうような魚は、ほとんど資本漁業の範疇ではありません。したがって、先ほど申し上げましたように、それは個々の生産者あるいは生産者団体が共同出荷する機能もまためんどうなんであります。結局、産地における出荷業者が買って送る、鮮魚の場合は大体そういうふうで、例外として以西底びきとかあるいはその他大洋漁業等では、自分でとったものを送る場合もありますが、これは鮮血の場合よりも、むしろそういういろいろなことが流布されておりますのは、規格冷凍品の場合に、どうもさし価といいますか、定価売りといいますか、そういうふうなものが間々いわれておりますけれども、クジラ等におきましても、最近沿洋漁業のなまのクジラがちょっと出回ると、もう冷凍クジラの指定さし値とかなんとかいうふうなものでは売れないというような、こういうような状態で、同種類の魚の需給関係を無視しては、そういうさし値は実際は成り立たない、こういう状態でありまして、中央卸売市場としても、そういう規格冷凍品その他がだんだん多くなるに従って、売買双方に対して公正な取引のできるような、具体的な取引方法をだんだんこれから樹立していかなければならない、かように考えております。
  73. 清久辰治

    清久参考人 石田先生の御指摘のとおりであると私は思います。伊藤さんがお答えになりましたが、少し私は見解が違う面があるかもわかりませんが、実は冷凍品のウエートがだんだん高くなってきております。今後も高くなることと思います。これらの商品につきましては、ほとんどこれは生産者の一方的のさし値できておるわけであります。そうしていま伊藤さんが、現実にそのものが売れなくなったときにこうだ、こういうふうにお話になりましたが、そのとおりでございます。売れなくなったときに初めて目がさめるということでございまして、その間に、やはりものを持っておる者とその持っておるものを置いたいという者の間柄におきましての比重と申しますか、その意味合いにおきまして、実際冷凍品その他のさし値ということにつきましては、それは正当な価格を生み出し得ないというような感は、私はなきにしもあらずということを申し上げたいと存じます。  それからもう一つ、これはちょっとはずれるかもわかりませんが、関連性があると思うので申し上げたいと存じます。卸が複数制であるという関係からしまして、卸のその企業の性格といたしまして、やはり自分のところに他社より少しでもよけい入荷させぬことには、入荷高イコールそれが手数料、業績ということで、これは極端な言い方かもしれませんけれども、そういうことであります関係上、非常に各社とも集荷に対して競争しておられるということは、私は害えると思います。その意味合いにおきまして、元来中央市場というものを設立しましたその趣旨からいいますと、全国のそういう生産者からの委託を原則として中央市場の卸売り人というものはやられておったのでありますが、現在ではそういうふうに複数制になりました。その後におきまして、非常にこういう面の集荷におけるところの過当競争という面がありまして、戦後倒産されました卸売り人もあったわけでございますが、そういう意味合いにおきまして、要約いたしますと、卸売り人の複数制ということにつきまして、このごろ、石田先生は触れておられませんでしたけれども、卸売り人の買い付けという問題が今度非常に出てまいりました。だから、ほんとうの意味合いでの中央卸売市場の委託を原則とするものから、今度さし値とか、定価品または買い付け品、こういうようなものがまじりまして、非常にその間において、公正な価格という面につきまして、私らそれを建てるのに苦労いたしております。こういう点を御返事申し上げます。
  74. 石田宥全

    石田(宥)委員 いま伊藤参考人からも御指摘になりましたけれども、そうでなくとも狭くて何とかしなければならないというあの狭隘な市場の中で冷凍魚とかいうような定価売りをしければならない、定価売りをたてまえとするようなものを市場に持ち込むのは、中央卸売市場法の趣旨に反するのではないか、これをやめますと市場の運営がたいへん容易になるのではないか、こう考えておるのでありますが、その定価販売をする冷凍魚をはじめかん詰め類のようなものは、中央卸売市場に持ち込まさないようにしてはどうか。かなりこれはむずかしい問題だと思うのですけれども、それによって、かりに卸売り人のマージンにしても、仲買い人のマージンにしても、それだけ要らなくなるのではないか。少なくとも市場における手数は省けることになるので、これらの点ではどうでしょうか。これはひとつ伊藤参考人清久参考人から……。
  75. 伊藤春次

    伊藤参考人 むずかしいお話で、なかなかお答えするのにめんどうなんですが、私は、これは総合性ということを書いております。鮮魚冷凍魚は紙一面で、消費者側からいうと同じ鮮魚なんです。これは、やはり両々相まって需給の調整が行なわれておるというのが少なくとも現状です。したがって、鮮魚だけを切り離して、鮮魚だけの単独な価格構成というものは、消費者に対する、あるいは産地に対する意味がだんだん減殺されてくる。  それともう一つは、市場狭隘の面ですが、これは規格冷凍魚の取り扱いは、必ずしもせりで、同時に狭隘な場所で競争販売をするとか、あるいは運搬をするとかいうふうなことよりも、むしろできるだけ閑散な、運搬に便利な時間を利用してやるというふうなために、むしろ市場の効率利用の面からもこの点は考えていかなければならぬ。ただ、そういうふうに複数制の過当競争の問題ももちろんありますけれども冷凍化というふうなものが、むしろ保存性を持ち、あるいは規格性を持つ、そういうふうなことから、必ずしもせり取引を必要としないというふうな面と、それからもう一つ、最近の傾向では、だんだん中漁業も遠洋に進出して、農林省の指導で大型化され、数百トンの船が直接東京市場等に入ってくる、そういうふうな場合には、漁業乗り組み員の水揚げ町における清算というものがすぐ要求される。それが直ちに——このころのように価格変動か、冷凍魚等に対してはわりあいに少ないというような場合に、仲買い人が全部買い取るということが必ずしも適切でない場合もあり得るので、そういうふうな場合には、一応例外として開設者の承認をとって買い付けをして、そして徐々に仲買い人を通じて販売をするというふうなことも出てまいっておりますので、冷凍魚鮮魚とを消費向けに区別をして取り扱うということも、これは、少し言い過ぎになりますけれども、われわれとしては考えられないことだ、かように考えております。
  76. 清久辰治

    清久参考人 石田先生の御質問に答えたいと思いますが、そういうような、いわゆる価格が大体きまっておる商品について、卸と仲買いというような段階を経ずして、それをそのまま外で、中央市場の取り扱い品の線の外でやることはどうかという御質問だったと存じますが、その点につきまして、私は二つの考え方があるわけであります。  一つはと申しますと、先生のおっしゃるように、そういう商品については外でお互いが自由に取り扱いするという行き方も、私はいいと思います。もう一つ考え方といたしましては、これは結局、いま伊藤さんがちょっと触れられましたけれども鮮魚というものと冷凍魚というものとやはり相合わして市場の取引、また値段の形成とか——お得意さんにおきましても、鮮魚だけが必要だとか、冷凍魚だけが必要だということでなしに、相合わして必要だ、こういうようなことに現在相なっておりますし、また私ら仲買い人はその両方を取り扱うておるということになりますと、取引の場として中央市場を利用したらいい、買い出し人の方との取引の場として中央市場を使うたらいい、私はこういうことを考えておるわけであります。ただ、先ほども根本的に市場法を改正していただいたらどうかということを申し上げましたのは、かような商品については、中央市場におきまして、買い出し人が中央市場に出てきますれば、場外において買い取ったものを、いわゆる情報取引とか見本取引というようなことで場内において取引してもいいのと違うか、私はこういうふうに考えておるわけです。もっと要約しますと、そういう商品の取り扱いというものは別に考えなければならぬということがしんをなしておるわけでありまして、それを全部外でやってしまうか、また場内においていろいろそういうふうな商売をするか、こういうふうなことについて特別の処置を講ずべきだと思うのです。  参考までに申し上げますと、大阪市場だけでございますけれども、評価を必要としないというようなもので、数年前にフィッシュソーセージとそれから冷凍食品の問題が出ましたときに、この問題につきまして、現在の大阪市の経済局長であります山口さんが場長でありましたが、こういう商品については、これは卸を通じて仲買い人がものを売るというような、そういう商品ではない。だから、これは仲買い生産者と直結して自分の得意先に販売すべきだということで、それを直接に取り扱いさせるということを申し上げたのでありましたが、その当時の場長の山口さんが中に入られまして、卸と仲買いと合弁で特定の卸売り会社をこしらえた。だから全国にない、私のところだけ、中央卸売市場に特定の加工品の卸売り人というものがあるわけでございまして、これは卸と仲買いと共同で出資いたしてそういう商品を取り扱うておる、こういうわけでございます。それがここ五、六年前にありました一つのケースであるわけでありまして、だから、今後出てくるところの、いま石田先生の指摘されておるような商品につきましては、そういうような考え方で取り扱うべきでないか、かように思うわけであります。
  77. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、ちょっと伺っておきたいのですが、昭和三十八年の七月ですか、先ほどどなたかおっしゃったと思うのですが、流通機構の合理化、中間経費の削減ということで、卸売り人の手数料の引き下げを農林省は行なわしめたことがあるわけです。ところが、ここに資料もございますけれども、詳しいことは申し上げませんが、その引き下げさせられた分は、一方は出荷人のほうの出荷奨励金のほうへしわ寄せをする、一方は仲買い人のほうへしわ寄せをして、卸売り人に対するマージンの引き下げというものは、結果においては、やはり小売り段階ではプラスマイナス・ゼロであったということがいわれておるのですが、これは事実そういうような処置がとられたのかどうか、ひとつ江津参考人から……。
  78. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 それは御指摘のとおり、むしろ卸売り人のお二方から御答弁していただいたらと思うのです。私ども、卸売り人のことであまり直接触れることはいやでございます。
  79. 石田宥全

    石田(宥)委員 どちらでもけっこうですが、卸売り人のほうはマージンを下げる余地があると農林省は判断をして、品目別にそれぞれマージンを引き下げさせたわけです。ところが、いま申し上げまするように、両方へそれを分担させてしまって、卸売り人は一銭も腹を痛めなかったという措置がとられた、こういうことですが、それは事実でしょうか、どうでしょうか。
  80. 伊藤春次

    伊藤参考人 石田先生御存じのように、あの通達にはこまかく、卸売り人の手数料と同時に——手数料は、御承知のように生産者のほうからとるわけですが、それと同時に、今度は仲買い人及び出荷者に対する交付金、こういうふうなものの限界もこまかく通達されたわけです。その通達に基づいて処置しているので、結果においてはお話に近いような状態になっておりますけれども、これは卸売り人の六大都市なら六大都市の経営内容等農林省で勘案して、そうしてむしろこまかく通達された。その通達の趣旨に基づいて、毎年農林省の監査を受けて、そうしてそのとおりに処理している、これが現状であります。
  81. 石田宥全

    石田(宥)委員 大体私の指摘したような御処理をなさったということでありますから、私も実は資料は持っておりますけれども、お認め願えればそれでけっこうなんです。  それで、最後にちょっと伺いたいのでありますけれども、これは蔬菜関係で江津参考人にお伺いしたいのでありますが、実は最初に私が申し上げたように、私もずいぶん野菜づくりをした農民でした。それで、いろいろなことで苦労をいたしましたが、どうもその暴騰暴落が激しいので、いまではみな田んぼにしてしまったわけです。それで、かって野菜ものを売っておった農民が、いまみな買って食べておるわけです。こういう状況で、何といっても生産の絶対量が相当低下しておるということは、これはいなめない事実です。従来は自家用蔬菜などというものは全部うちでつくっておったものが、今度は農家がみな市場野菜を買いに行くというのが、われわれ農村の実態になってきたわけです。そうすると、ここのところ物価が上がっておる、その中で青果物が一番値上がり幅が大きいといわれるけれども、これは当然なことではないか。もう一つは、だんだんと嗜好の変化と申しますか、芦は春のものは春食べるし、夏のものは夏食べたのだけれども、今度は冬のうちに夏の野菜を食べるというような状況から、それから一つは作物の安定といいますか、それがためにビニールハウスなどをつくっている。こうなれば生産費がうんと上がるのがあたりまえなんであって、今日のように青果物値段が上がるのはあたりまえなんじゃないか、こう思うのです。私、農業をやっておりますからよくわかるのですが、そういうふうな点で、どうも最近の一般に論ぜられておるところの論じ方というものが、妥当性を欠いておるような気がするのです。  その点は私の感じであって、江津先生はずいぶん手広くおやりになっていらっしゃるから、なおよくおわかりなんでありますが、その市場の問題で、最近どうも、これは魚にもあるわけですけれども蔬菜ものでも、いわゆる転送ということがある。あっちこっち電話で連絡をして、こっちのほう、ちょと品不足なよう、だということになると、こちらの市場へ来たものをそっちのほうへ回してしまう。そういうようなことで、これは卸売り人と仲買い人との間でどういう話し合いが行なわれるかわからないけれども、転送することによって公正妥当な評価が害されておるのではないかということが、かなり専門的に調べておる人の間に批判が出ておるわけなんでありますが、私どもはやはり市場を指定して、そこへ出荷した場合においては一応そこで、もうほかのほうの市場の相場だって電話でツーツーなんですから、だからそういう転送というようなことをやらなくて、公正妥当な評価が名市場でずっと行なわれるように、ばらばらにという意味ではありませんが、おのずからそこには連絡があるわけですから、転送というようなことが行なわれるべきでないのではないか、こういうふうに私は考えておるわけですが、専門家としてはいかがなものでしょうか。
  82. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 前の問題については石田先生がおっしゃられたとおりでございまして、三十五年ごろまでは、一般家庭の方々もその季節季節で上がっておられた。かりにキュウリにしろ何にしろ、みんなその季節なんです。ところが、いまはビニール栽培、温室栽培といって、冬の場合にもできる、それを召し上がる、当然高くなる。ですから、三十五年のときの家庭における野菜の費用のパーセンテージ、これより金額面からいきましたら高くなりますね。したがって、蔬菜が一番高い高いといわれますけれども、これは現在の生活様式が違ってきているのでございますから、もう御指摘のとおりだと思います。ですから、私が率直に申さしていただけば、高いとおっしゃることが間違いなんで、高いものをむしろお買いになっているだけなんだと思うわけです。その点は先生の御指摘ののとおりです。  それからいまの転送問題でございますけれども、わりあいに青果のほうは、会社からほかへの転送は少ないのでございます。ただ多少は、傍系会社といいましょうか、系列会社といいましょうか、そういうものが指定地域内にはできますから、そこへ回す問題はあろうかと思います。しかし、青果関係におきましては、さように先生の御指摘なさるほど、市況に関するほどの転送の量はございません。
  83. 関矢尚一

    関矢参考人 転送の問題につきまして私のほう、卸会社の関係から一言申し上げておきますが、卸会社は受託拒否もできませんし、それから入荷いたしました全量をその日に全部せりに上場いたしまして、販売を完了することになっておりますので、転送は絶対にできません。いま江津さんから、傍系会社とか系列会社に分けるという話がございましたが、そういうことはございません。そういう会社もまたせりに参加いたしまして、買ったものを持って帰る。逆に仲買いさんが買ったものを、さっきおっしゃいましたように新潟に持っていくとか北海道に持っていくということは、仲買いさんの責任において転送するという場合はございます。
  84. 伊藤春次

    伊藤参考人 水産物の場合はわりあいに問題になると思います。これは各市場ごとにそれぞれ事情が異なっております。しかしながら、産地出荷者のほうでは、転送というか何というか、域外販売がもっと自由にできるようにしてもらわなければ安心して出荷できない、販路を拡大してくれという要請が非常に強いのです。それは、たまに同一種類魚種が非常に多く入ってきた、そういう場合にだけ産地責任で、産地が直接他地方に出荷するということになりますと、多いときにだけ荷物をくれる荷主さんに対しては、地方市場では仕切り金の回収その他価格の点においても、それだけ信用に基づく取引ができるかどうかという非常な不安があるわけです。ほしいときにだけそっちに販売を委託する、こういうふうなことに非常に不安を持つわけです。しかしながら、先ほど来申し上げましたように、どうしても集約的な大市場集中、それに基づく広域化というふうなこと、これは必然の傾向でありますから、むしろそれを一定のルールのもとに、仲買い人の機能等を十分に活用して、そうして一般の——これは時間的なあるいは数量的な問題で、消費向けのセリと一緒にやることはほとんどめんどうなんです。したがって時間的にも、売買取引の方法等も、一定のルールに基づいて、市場機能ないし仲買いの機能を活用して、生産者なり周辺市場消費者の要望にこたえていく、こういうことにしていかなければならない、かように考えております。
  85. 清久辰治

    清久参考人 いまの石田先生の転送の問題でございますけれども、私も、生産者自分の思う市場出荷して、それから生産者の意思において転送されることにつきましては、これはあまり問題ないと思いますけれども、卸売り人が自分のところの商売として、手数料を取って、そしてそれをよそへ転送するということは、これはいけない。ということは、そういうことによって一手に入ったその商品を、私が先ほど申しましたようにいろいろの角度から値を定めるわけでありますが、そのときに一番問題になるのは、きょうの入荷量は何ほか、その入荷量によって私らは適正な価格をつけるのでありますのに、それを卸の商売として、一応手数料を取ってよそへやられる場合につきましては、入荷量が少なくなれば少なくなった価格において値段をつけなければいかぬ、こういうことになりますので、そういう意味合いにおいて、転送問題につきましては、その点を重点的にいろいろ御考慮願いまして、間違いのない方法処理していただければいい、そういうふうに考えておるわけであります。
  86. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 佐藤文生君。
  87. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 私は、関矢さんに対しまして二点だけで、もう再質問しません。考えられる、考えられないという、だけでけっこうです。  タマネギの値段を下げる考え方ですが、私、調査しまして、二十キロ五百円の価格のタマネギが、冷蔵費として月に平均三十五円取られて、六カ月間で二百十円取られまして七百円するタマネギを、小売り店で共同で冷蔵庫をつくったならば、二分の一に冷蔵費が下ると思うのです。したがって、七百円で売られるタマネギが六百円くらいになるじゃないかという考え方を持っているわけです。そういう考え方を持たれるかどうか。小売り店の近代化の融資というようなものでタマネギの値段が下がる方法があるかどうか、そういうことが考られるかどうか一つ。  二点は、卸売り人で一日百万円以下の取引しかないような、たとえば大阪東京、北九州などで、年間三億五、六千万円以下の卸売り人は、私はある程度統合してもいいんじゃないかと思うのです。ということは、これは憶測かもしれませんけれども、一番大切なことは、これはもうかるから少し自分のところに置いておこうじゃないかという投機的な要素が流通過程でなくなることが、私は一番いいと思うのです。そういうような投機的な要素をなくする意味においても、がっちりした卸売り人の会社でもって、私は市場というものを守っていくという考え方を持つておりますので、一日百万円以下の卸売り人会社は整理統合すべきじゃないかと思うのですが、そういうことが考えられるか考えられないか、以上二点お尋ねいたします。
  88. 関矢尚一

    関矢参考人 最初の、小売りが冷蔵庫を入れた場合のケースのことをちょっとよくのみ込めませんが、共同でやるわけでございますね。  二番目の問題でございますが、青果会社の売り上げというのは、現在最筒は三百億一年間に売る会社と、一年間に十億未満くらいの会社のハンディキャップがございます。そこで、先ほども私は人件費のデータを申し上げましたが、それの基因するところは、やはりある意味でいろいろな経営の不合理、過当競走などの原因によってそういう問題を生じているわけでございます。やはりそういう意味では、せりを中心にした現在の中央市場機構を存続いたしまして、価格を形成する場合には、公正なしかも安定した一つのベースで価格をつくるというたてまえになりますと、ある意味で、一物一価というお話が先ほどございましたが、売り場の共同化ということが、さっきの三十八年の流通改善対策要綱にも出ておりますけれども、それはとりもなおさず一つのびぼう策でございまして、実は市場の卸売り機構の単一化という一つ方向づけに私は考えられていいのじゃないかと思うのであります。特にいま御指摘のような零細な、経営的にペイしないような会社が、やはりいろいろの問題がございますので、卸売り会社のある適限規模の大型化ということは当然必要でございます。この点はぜひ早急に、私は役所のほうあるいは国会においてもお考えになることをお願いしておきたいと思います。  最初の問題は、タマネギの価格が安くなるかという問題でございますが、冷蔵庫を小売り商の直営で、タマネギを仕入れまして、それをいわゆる倉敷をある程度合理的な安さでまかなってまいって価格が安くなるか、こういうことでございますね。これは、たとえば冷蔵庫の経営というのは非常にむずかしいのでございまして、私どもの同業者でも現在——さっき申し上げましたよりに中央山場の施設というのは四十年来改善しておりませんので、もう使いものにならないような冷蔵庫が、中央市場開設当初のものが各市場に存在しております。そういう関係で、同業者冷蔵庫をつくりましても、一年じゅうフルに回転するということは、なかなか経営的に困難でございます。そういう問題を度外視いたしまして、ただ単純にいまの問題を考えた場合には、やはりコストの面で御指摘のようなことになるのではないかという感じが私はいたします。
  89. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 わかりました。けっこうでございます。
  90. 戸叶里子

  91. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 江津さんにお伺いいたします。  あなたの陳述の冒頭におきまして特に強調されましたことは、どうも市場法の中において自分たちの地位が仲買い人であることは満足でない、何とか市場法の中で卸売りの地位を与えてくれということであったと思います。私あなたのあっせんによるこの本を見まして、たとえ名前は仲買い人であっても、あなた方は当然自分たちの職能というものを誇ってよい実態があると思っております。選別、評価、分荷、金融、この四つの機能をお持ちになっているのですから、名称の問題ではないような気がするのです。  ただ、この本を拝見しておりますと、あなたが危惧する理由があるように覚えました。この作道洋太郎さんほかの「生鮮食料品市場構造」の中の二三六ページに、あなた方のポジションにつきましては、次のように書いてあるわけです。「開設者必要アリト認ムルトキハ仲買ノ業務ヲ為ス者ヲ売買ニ参加セシムルコトヲ得」ということで、きわめて消極的に、開設者自身のかじのとりょうではどうでもいいというふうな、法制的に遇されることが非常に薄いという点、この点があなた方の気がかりの点であると思うのです。しかし、私は別な観点から、仲買い人という名称であっても別にかまわぬじゃないかと思うのです。たとえばロンドンの証券市場における仲買い人なんというのは、非常に権威を持ったものですね。そういう点で、名称にそうこだわらぬでもいいような気がします。しかしあえてあなた方の実態を、内包的なものを、この呼称が全部おおい尽くしていないという御不満があるならば、これは伊藤さんとか関矢さんの所属しているほうの卸売りというものは、産地のための荷受け問屋である。片や江澤さん清久さんの所属しておる職業のほうは、消費地のための荷さばき問屋である、こういう規定づけができそうな気がするわけです。もしそういうことで名称の点で固執され、やはり仲買い人というものを発展解消したいということでしたら、このお二方の属しているほうの御商売については、たとえば全国青果荷捌卸売組合連合会、こういうふうな名称を用いるならば区別はできますね。ただ、あなたのほうがせり込んで来て、もともとあります卸売りという同じ名称を使ってくるということになりますと、非常に事が混雑しまして、その真相がわからなくなるわけです。要するに、あなたのほうのやっていらっしゃる仕事のポジションを法的に正当に与うべしという主張であると理解をしたいのです。そういうことでよろしいのかどうかをまずお伺いしたいと思います。
  92. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 御指摘のとおりでございます。私いま自分たちの立場から言いまして、卸売り業務をしているんだから卸売りだ、こう申し上げましたが、現在の法の上におきまして、荷受け機関の方々が卸売り人でございますので、その名前をどうでもとってしまおう、必ずしもそういう考え方はございません。適当な名称がございましたら、それに変えてもけっこうでございますが、実態がそうであるということを申し上げたのです。  それから、いま先生からお話がございましたが、私よく存じませんけれども、たしか株式市場におきますあの仲買い人という名称でございます。あれはほんとうにお客さまから注文を受けて、その代理でもって買っているんですね。私たちはそうじゃないんです。その方でさえも仲買い人という名称を廃止しまして、このごろは取引員、ああいうふうになっている。ですから、先生どうぞ私たちの全般の気持ちをお察しいただきまして、よろしくお願い申し上げます。
  93. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 この場だけの話では、片や全国青果物荷受卸売会社協会会長、片や全国青果荷捌卸売組合連合会会長、こういうところが妥当なことではないかというふうに、私は考えるわけであります。  さて、私はこの名称だけでなしに、さらにあなた方の流通機構の中におけるポジションを正確に観念づけてもらわなければならぬと思うわけです。それは、たとえて言いますと、刑事訴訟の場合におきまして、国家を代弁するのは検事であります。片や被告を代弁するのは弁護士であります。そういうことがございますね。それと同じように、私がいまあなた方の立場を規定づけた消費者のための荷さばき問屋ということであるならば、あなたが先ほど来あいまいに言っておった生産者の立場と消費者の立場をあわせ調整あんばいをするといるような不明確な機能規定にはならずに、むしろ消費者を背負う小売り業者の側に立つということで、明確に性格づけたほうがいいと思うのです。そういたしますれば、生産者のための荷受け機関としての産地のための従来の卸売り機関と、市場という公の場でちょうちょうはっしすることができるわけですから、むしろそういうことを徹底的に性格づけて、それで市場法の中にそういう明確な形で改正を持ち込んだほうがいいように思います。その点はどうでしょう。
  94. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 全く、先生のお心持ちを察しましてありがたくお礼を申し上げるわけでございますけれども、私ども消費者の側といいましょうか、小売り商側だということ、この点は全般的ではないと思うのです。と申しますのは、生産者かう委託を受け、そうして現在の荷受け機関の方は高く売ると申しましょうか、その代理人ですから、そういう気持ちになる、それから小売り商のほうは、これは消費者の代理者でございますから安く買いたい。そういうたてまえからいいますと、さっき清久さんがおっしゃいましたように、ほんとうのまん中であるとは私ども考えておりません。これは消費者の側に近いものだということはよく承知しております。しかし、消費者側についての代弁者だということであっては違うのだ、さように私は思います。先生のお心待ちの、それほど大事なんだということを裏づけるのには、そうしたらいいのではないかというお気持ちだろうと思うのですが、私どもがさっきお願い申し上げましたことは、法の改正と、それから名称の変更と、いま先生から御指摘がありましたように、仲買い人をして売買に参加せしむることができるということ、それをひとつ必置論にお直し願うということが、私どもの三つの大きな願望でございます。
  95. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 あなたのおっしゃることはもっともなんです。それから、複雑な取引ですから、そう私のように観念的に割り切ることが妥当であるかどうかも問題だと思います。確かに問題であると思います。たとえば、こちらにおすわりの伊藤さん、関矢さんのほうにおきましても、何も生産者だけのことを代弁しておるのではない。いま問題になっている消費者物価の抑制のためにはおれたちも応分な助言とかあるいはその手助けを消費者のためにしてやりたい、こういうことはあると思うのです。感触からいえば、伊藤さん、関矢さんのほうにも、むしろ消費者のほうに立つお気持ちもある。逆にいいますと、江澤さん、清久さんのほうにも、生産者のためにという気持ちもある。それは感触としてはあると思うのですけれども、やはり市場論を論ずるということになれば、消費者のためにおれたちは、特に鮮度を生命とする生鮮食料品流通機構の中において、社会的に機能を果たし得るポジションがあるのだという、そういう明確なものがなければならぬと思うのです。感触の問題は理解できますけれども、やはり論理上そういう冷厳な立場でなければぐあいが悪いように思うのですけれども、何か御意見がございましたら……。
  96. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 むずかしい問題ですから……。
  97. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 いいですか。
  98. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ええ。
  99. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 大野委員
  100. 大野市郎

    ○大野(市)委員 二点だけ承りたい。承りたいといっても、議論になるかもしれませんから、並行線でもけっこうです。ただいま平岡君から問題が提示されました問題ですが、それも含んで二点なんです。  一点は、この卸売り業者の単複の問題が、市場開設以来問題があるわけです。おくれてまいりましたけれども、お話を承っていると、荷受け競争で過当競争がなされているというようなことも聞いたわけですね。私はその意味で、この中央卸売市場法に基づく卸売りの位置、ポジションというものは、非常に公の性格の強いものだと思っているわけです。しかも、そのポジションはどっち向きかというと集荷一本やり。先ほども私は、さし値がよくくるというようなお話がちょいちょい出て気になったのですが、市場法のほんとうの性格は、さし値なしのせりのはずです。したがって、集荷をした結果、そこで値づけはだれがするかという問題がある。そのときにわれわれしろうとは、せる人間が値づけしているような錯覚を持っていたんですが、よく聞いてみますと、仲買人さんが下見をして評価する。これはもう先ほどの議論でもわかるとおり、重要な職責を打っておられる。だから卸売り業者のほうは、品物がきて売れたら八%ですかの口銭か入るというので、とにかく一ぱい売れれば卸売りの会社は収益もあがることですから、収益を求めるという株式会社の本来の追求原理からいえば、たくさん市場で売りさばきたい、それだけのいわゆる利潤追求の意欲によってあれがつくられておるはずなんです。ですから、あらゆる努力をしてわがほうの市場へお持ちください、十分ひとつ売らしてくださいという集荷努力は、企業意欲の中で当然出てくるわけです。けれども、それはもうそこまでなのであって、さし値で幾らから下は売ってくれるな、幾らから下は売らないように、ひとつ仲買い人さんと下話をしておきましょうというようなことか、現実にはないとはいえませんが、それは本体であってはならぬ。そこに公け性がある。公け性に徹しますというと、これは議論になるが、単がむしろほんとうじゃないかと私は思うのです。もし意見かございましたら承りたい。  それから第二点は、仲買いさんの立場、ポジション、これはもう言い尽くされまして、非常に重要な内容を持っておられます。われわれも行ってたまげたのですけれども、評価から分荷、特に高級の料理屋向けからすし屋向け、家庭の奥さん方に買うてもらう場末の小売り店、そこら辺に行く大衆魚に至るまでを、一匹売りでなくて、骨を取って目方か減って——何か承れば、六掛けか七掛けに目方が減るはずなんです。買ったときの目方は、骨と頭、しっぽがくっついておるが、区分けした結果は六掛けか七掛けになってしまうものに値づけをするんです。そういうのが一般にはよく理解できないと思う。買うときにはキロ幾らというのに、売るときにはキロ三倍だぞという騒ぎが起きますけれども、これはその事情がよくわかれば、その値がつくはずなわけです。ですから、私どもさっき承って、五%じゃないかといわれても、それは一割、二割のもあるはずです。一番いい値段のすし屋に売るのは三倍だっていいでしょう。しかし、大衆売りをする切り身になるものを小売り商が買って行かれるときの値は、四分があるかもしれません。  ですから、そういうようなぐあいで、市場仲買いさんの立場というものは、いわゆる荷物を分けるという大きな仕事、それからさっきの金融ですね。すぐ金を払ってくれない。これは私どもは、どうしてもこれが公の仕事であるならば、金融措置を国がお世話をするのはあたりまえだろうと思います。そういうぐあいの仲買い人さんの重要な仕事をわれわれが認識してきますと、そこでさっきの平岡さんのお話が出てきて、私のほうは生産者消費者と両方向いて、ちょうどようするんでございますよという考えは、私は、これはひとつ意見を承りたいんですが、もっと割り切っていただいて、消費者にいかに有利な価格でこれを引渡すかというお考えに徹していただくほうが、公の存在理由になると思うんです。生産者のほうに向いて、とにかく値段を、きょうはもうこれだけの値でつけてやらにゃ生産者が気の毒だというような形で、大量に入ったときにせりが——せりはただ番号を呼ぶんですから、仲買いさんが値段を、需要供給上もっと下値につくべきものを上値につけられた分には、これはたまらないと思うのです。中央市場法の精神は、需要供給によればいいと思うのです。問題は何があるかといったら、卸売り業者が集荷してくるときに状況を流すべきなんですよ。生産着に対して状況を流して、集荷のテクニックをいろいろと御指導して御援助するのが仕事でして、これに手が足らないというんなら国が手を伸ばしてやる。今回政府が踏み切ったところの情報センターですが、仲買い人さんがそっちのほうの心配左でして、一ぱい入ったが、半分入ったぐらいの値段につけようということにされたら、これは情報サービスというものも芽をふかないと思うのです。やはり私どもは、今日の制度が利潤追求でけっこうなんですよ。卸売り業者も利潤追求でけっこう、そうして集荷がたくさんくればけっこう、仲買いさんも薄利多売で一ぱい売れて、消費者が魚、野菜が二倍ずつ食べられるようにしてもらうのが、私は公の任務だろうと思う。その間の調整は、これは政府が全体の責任を持つものであれば、金融を政府にさせればいいし、それから情報センターも政府の努力でさせればいいのであって、やはりこれは分業のいいところだろうと思いますので、この点、先ほど何か妙なお話でございましたので、私は平岡君の意見に賛成なんですが、ひとつ中央市場の卸売り業者の単複の問題と、それから仲買いさんの心がまえの問題、二点をひとつ承りたい。
  101. 伊藤春次

    伊藤参考人 卸売り人の単複問題は、もう市場開設以来の問題でありまして、御承知のように、中央市場開設当時はむしろ収用法的な性格を持っておった。そうして勅令第何号とかいうことの古い規定によって補償の規定があるにもかかわらず財源措置が考えられていない。したがって、自己賠償のような方法で営業権を奔走して、そうして新しい一つの会社が株券をもって買い取った。臨時的に複数でできたのも単一会社になっていった。これが戦前、開設当初の姿なんです。従来問屋及び仲買い業務をやっておられた方々には仲買いになられる、こういうようなシステムでやられた。当時は、ほとんどオール仲買いかオール株主、こういうような状態でありました。戦後、これがいわゆる登録制、向こうさんの指導で自由登録制ということで、東京都においては二十数個の卸売り人ができた。それが乱立競争でだんだん倒産、もしくは産地あるいは従業員に迷惑をかける者があるというので、市場信用上問題だというので、開設者と相談をしまして、卸売り会社が自主的に整備資金を持ち出しまして、そうして現在の姿に数年かかって整理をした、こういう状態になっております。  それから、あれは三十年ころでしたか、この単複問題が非常にやかましくなりまして、ことに一物一価の理論をたてにして、結局結論としては、理想的に考えれば単一が望ましい、公的性格の強い単一卸売り人が望ましい、こういう字句を使われてその行政指導が強く行なわれたところの結果が、やっと現状のとおりであります。  その後、そういう経済局長の通達なり次官通達に基づいて、しかも新しく開設される水産物中央卸売市場関係においては、実質上いろいろ紆余曲折があっても、二つ程度の複数卸売り人というものが現実に現出しておる。こういう傾向に対して、御承知のように、公取が最近またそういう目で、卸売り人というものを非常にやかましく検討し出した、こういう状態になっております。ですから、理論的には単一が望ましいという結論が出ておるのです。ただ、実際問題として、生鮮食料品、ことに鮮魚のみの状態ではなくて、いろいろ冷凍魚その他のものがふえてきた、いわゆるセールスという行為がふえてきた、こういうような事象と、それから現実の問題は、単一が望ましいといっても、現在の基本が、御承知のように自由経済の立法ですから、人の所有権を自由にいらうことができません。したがって、中央卸売市場でなければ魚は取り扱いできないんだという法律は、もちろんできないわけです。したがって、これはどこまでもやはり業者の自主的なあれで、大体目標を置いて、漸次やはり集荷の過当競争等に陥らないように、行政指導と自主的な統合をやっていく。現実の問題としては、ある程度やはり経営の限界点があるわけです。先ほども御指摘がありましたが、実際現在の水産物中央市場における卸売り会社では、少なくとも三十億や四十億程度の取り扱いでは適正規模の経営とは言い切れない。ですから、これは一定の限界点というものはやはりありますから、そういうものを目標にして各市場ごとに整理統合を行なっていく、こういうふうにあらためて行政指導なり強い自主的な整理を行なうことが妥当であろう。  それからもう一つは、現実の問題でありますから、いわゆる複数の過当競争の売買双方に対するいろいろな弊害をどうすれば除去できるか、どうすれば比較的公正な価格なりあるいは分荷、販売の方法がとられるか、こういう面に対しては、これも強力な行政指導と自主的な、この市場ではこういうルールでやむを得ないのだというふうな、少なくとも売買双方の取引相手方に対して公正であるようなルールと、それを守ることによって複数の弊害をできるだけ除去していく、こういうふうな方法の整理統合と相まって、そしてその目的をだんだん果たすようにやっていくことが現実であろう、かように考えております。
  102. 関矢尚一

    関矢参考人 魚と青果はやはり事情が違いますので、青果のほうから一言申し上げておきます。  私どもの却売り人の機能の本質につきまして、いろいろ皆さんのほうから御意見がございましたけれども、やはり私ども生産消費の中間にあって、厳正な中立的な立場にある事業でございます。いまお話のように、利潤追求ではないかというような御意見もいろいろございますけれども、自由経済下の現状におきましては、やはり一面そういう点もないわけではございません。しかしながら、いまお説のような社会的な公益的使命というものを十分自覚いたしまして、生産消費の両面に貢献することの責任、使命というものを十分痛感いたしております。それでやはり、いまこういった青果物物価問題がやかましくなった現状におきましては、特に手数料で経営をして競争していくということは、私は非常に不合理だと思います。そうしてこの手数料という問題につきましても、いろいろ議論がございますけれども、それはいま時間がございませんので、私ども意見を申し上げかねますが、とにかくアメリカのような実情におきましては、単純にただオークションだけをやって、三分でこれをやるというような一つの会社もございます。ただ私どもは、やはり産地に前渡金を出しましたり、先ほどお話のような産地に対しますいろいろな情報の提供であるとか、出荷指導であるとか、さらにはいろいろな産地に対しますところの事業の協力があるために、手数料がそういうところに参っておりません。さような関係で、現在の物価問題あるいは今後の青果物流通の段階におきまして、私どもは単複の問題につきまして、複数にも長所がございます。単数にも短所はございます。この長短相補いまして、現在手数料経常の中央市場の却売り会社の社会的な使命というものを完遂するためには、やはり独占的な単一機構が正しいということを確信いたしまして、現在私どもはそれに邁進いたしております。私どもの現在営業いたしております神田の市場におきましても、複数を主張いたしておりました隣の東京丸一青果という会社と、私ども東印という単一の会社で、五十年いろいろと営業の上の競争をしてまいりましたけれども、今回、現在の社会情勢を十分痛感いたしまして、そうして、お説のよう々単一機構に対します合同のことを決議いたしまして、いま公取に農林省を通じまして申請いたしております。ところが、中央卸売市場法の十五条の二にも、過当競争防止の独禁法の排除規定がございますけれども、公取のほうは、一般独占企業のカルテル価格等の問題もございまして、この問題は簡単に御承認いただけないような情勢になっておりますが、卸売り会社は、今後単一独占機構というものを理想的に推進することが、一番正しいと思っております。
  103. 江澤仁三郎

    ○江澤参考人 先生の御指摘ごもっともな点もあると思うのでありますが、中央市場というものは公共的なもので、しかも、荷受け機関が値引きをするから、仲買いは何もそんなところまで考える必要はないじゃないか、こういうおことばでございますが、私は、中央市場そのものは、生産者からも消費者からも信頼されるようなそういう市場でなければならないと思うわけです。両先生の御指摘のとおり、私たちは気持ちの上においてはいまの低物価政策に沿うように、消費者の立場においてという気持ちは持っております。それをちょっと公表するわけにはいかないというところに、先ほど申し上げたようなところがあるのです。それじゃおまえたち何でも安く買うのかということになったならば、これは中央市場の信頼感というものから言えば薄らいでしまう。そこに中央市場のむずかしさがあり、私どもの立場の苦労があるのです。両先生の御指摘のとおり、いまの低物価政策に沿うためには、消費者のお立場のことを十分考えてやっておるということだけは、はっきり申し上げておきます。
  104. 大野市郎

    ○大野(市)委員 いまの御答弁、実際上は単複の問題だけにつきましても、理論だけの問題でいかぬことはわかる。いまのあなたのお立場もわかるのですが、とにかく極端な筋論を言ったわけですから、それはよくわかります。  それからもう一点は、先ほど出ました冷凍魚の問題です。冷凍品とか定価売りの問題で、先ほど石田君からも、中央卸売市場に持ち込むなというお話です。それは総合売り場が必要だというのだから、持ち込まねばおられないというお話があったが、これも筋論で考えていただくと、中央卸売市場というものの存在の理由はせりなんです。ですから、大漁業会社が遠洋航海をして冷凍にしてきたから独占だ、この品物はもう定価なんでございますよといって持ち込まれて、あの狭隘な場所に置けばいいというのではなくて、これもやはりせりにかけて、そうして公正な値段がつくような制度がないものか。こういうくふうを担当の皆様が考えられて、またわれわれ国会でお手伝いすることがあるなら、そういう問題に対してもお手伝いする、こういう方向で行っていただきたいと、さっき聞いていながら思いました。  先ほどの独禁法違反の問題で、いまの公取が云々するなら、事実そういう問題があれば、われわれもやはり問題点になさねばならぬと思う。これは御承知のように、いわゆる法できめた場合は独禁法の排除の規定というのはあるのです。それで、何か売買しているように卸売りの方の仕事を見違えているのですよ。それは定価売りなんというもののお取り扱いが混入してくるところに、やはり何か売ったり買ったりしているじゃないかという印象になるので、中央卸売市場の卸売り人の地位は、売ったり買ったりなさっておらぬはずです。委託です。ですから、委託の公的機関が独占禁止法に違反をするなんということを言う者があったら、これは正面対決して考えねばならぬ問題があろうと思いますが、これはどうもわれわれわかりません。まあこれは問題点をいろいろ聞きながら承ったもので、これはお答え要りませんから……。
  105. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人の皆さまに一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  次会は、明六月一日午前十時三十分から委員会を開会し、引続き生鮮食料品流通問題について、参考人から意見を聴取することといたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後五時三十分散会