○武藤(山)
委員 高からず安からず、まあまあ適当なところだという御判断のようでありますが、その点につきまして、私は国税庁長官にこの間大蔵
委員会で一応注文をつけておきまして、全国の各県の
都市の八百屋さんの所得、経費、そういうものを全部一覧表にして出してほしいという要求を国税庁にしておきました。おそらく
農林省に頼んでも、
農林省はもうのらりくらりでおそらく答えは出ない。私は、
農林省はあまり
消費者の立場に立っていないという判断に立っておりますので、これは国税庁側から正確な
数字を出してもらって、後日の
委員会でひとつ、所得構成の中でどういう商売であるかという性格をまず論じないと、
一つ一つの品物に対して何%
マージンをとっているということでは議論は進まないのです。問題は、八百屋がこれだけの
マージンをとらなければならない必然性は何か、これから論議しなければだめです。
そこで私は、八百屋の規模を小、中、大と分けて、所得の分布をきちっと出してみる。そうすれば、一定以上の八百屋さんに対しては、こういう措置で政府は指導すればよろしいじゃないかという問題が
一つ出てくる。それから零細な、ほんとうに家族労働だけで、いわゆる公正な賃金というものを支払わない八百屋というものがある。この場合は、いま言ったロスは奥さん方におまけにくれてやることも可能だし、あるいは仲買い人から買ってきた値段だけで、一銭ももうけずに売ることも、労賃部分というものは給与として払われていない八百屋の場合は可能なわけですね。完全なコスト計算というものをしなくても、何とかやっていける八百屋さんもあるわけです。そういうように非常にバラエティーに富んでおる。
そこで、一体八百屋の一日の売り上げの
平均というものはどうなんだろうか。いろいろ文書や
資料あるいは学者などの研究の
資料を手に入れて読んでみるのでありますが、なかなか適切なものがない。一例を申し上げてみたいと思いますが、一日
平均一人当たりの売り上げ高から見ると、大体、中以下の八百屋さんは、従業員一人当たり一万五千円
程度です。しかも、それをこえる店というのは、全国の八百屋の中の大体一〇%にすぎない。大半の八百屋さんは非常にわずかな売り上げしかない。こういう状態ですから、八百屋さんのこまかいのがどんどんできては困るのです。行政指導上はあまりできると困るわけですね。しかし、八百屋さんというものを制限する法律はありません。たばこや酒屋のように許可制で商売するわけではありませんから、魚屋や八百屋に十年もつとめて、こつこつ日銭をためて、百万円もたまれば、八百屋を始める気になればすぐできるわけです。仲買い人に顔見知りでもいれば、どこか店だけ権利金を出せば、翌日から中央
市場にすっ飛んでいけばすぐ八百屋を始めることもできる。あるのは、保健所の衛生許可くらいなものですからね。かりに大きなスーパーをつくりましても、いまのような
価格形成が続く限りだめですね。コントロールできませんよ。というのは、たとえばコールドチェーンをつくったところで、コールドチェーンの卸す値段は、
中央卸売市場の
せりの値段で卸すのです。
価格形成があそこで行なわれて、
流通機構だけ合理化されたって値段は下がらない、こういう問題も出てくるわけです。
だから、
小売り商の存在意義というものは、長い伝統という歴史を持っておるわけですから、これにどのようにメスを入れて、ほんとうに
消費者価格の低下にこれが結びつくような役割りが果たせるだろうか、なかなかむずかしい問題だと思いますが、先ほどの
局長の御意見では、公営
市場や
中央卸売市場に予算をふやしたり、あるいはスーパーマーケットを指導したり、いろいろやるべきことがあるという御意見でございますが、この問題はある
程度宿命的なものを背負っているから、国がほんとうに本腰を入れて、八百屋、
青果物に対する行政指導
——法律で規制ができないにしても、一定の規格をきめたり、やるべきことはまだある。また、八百屋さんの使う冷蔵庫や自動車に対しては、特別償却を一年間に五〇%認めようとか、何かもっと国としてやるべき
小売り業に対する
対策というものが必要である。社会党の理論からいけば、零細企業切り捨てはけしからぬという議論が出てくる。大企業にして、寡占企業にどんどん発展するような資本主義には反対である、こういう公式論をいつも言い出します。しかし、そういう議論では解決されない問題が、この
流通機構の中には大きな問題としてあるわけでありますから、これについては、政府側も真剣な
検討を願いたいと思います。
何といっても
青果物については、資本主義体制下にありながら不完全競争であるというところに大きな問題がある。この不完全競争をどう完全競争のワクの中に入れるようにするかということも、
一つの視点であると思うのです。そこいらの視点は、どちらに
ウエートを置いて担当官は力を注いでいこうとしておられるのか。そこいらの
小売り商に対する視点の当て方だけでいいから伺いたい。具体的な中身については、まだ無理でしょうかられ。