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1967-05-25 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十五日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 鴨田 宗一君    理事 小峯 柳多君 理事 橋本龍太郎君    理事 武部  文君 理事 平岡忠次郎君    理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    木野 晴夫君       佐藤 文生君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    中山 マサ君       粟山  秀君    井上 普方君       武藤 山治君    河村  勝君       有島 重武君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         農林政務次官  草野一郎平君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省園芸局長 八塚 陽介君         水産庁次長   山中 義一君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部長 曽我 正雄君         経済企画庁国民         生活局参事官  竹内 直一君         農林大臣官房参         事官      大田 康二君         農林大臣官房調         査官      渡辺 文男君         農林省畜産局牛         乳乳製品課長  松本 作衛君         農林省園芸局経         済課長     小笠原正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。橋本龍太郎君。
  3. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 もうしばらく日時がたちましたが、先日、戸叶委員長以下この物価対策特別委員会委員として、東京都の中央卸売市場視察をし、そしてそれから、現在庶民生活の上で一番大きな問題となっております生鮮食料品について、この物価対策がはたして現状のままでいいのかどうか、また、それを改善していく上にはどういう方途をとっていけばいいのかという大きな問題を取り上げているわけでありますが、今日までもいろいろな対策が立てられ、そして実施に移されながら、それが十分な成果をあげ得たといえない点が多々あるように私どもは思います。それこそ日本の昔からのことわざの中に、薬九層倍ということばがあるくらい、薬というのは、ある意味では、その原価に比べて消費者の購入する時点での価格が高いという里謡がありますが、最近では、その薬九層倍ということばよりもはるかに、いわゆる生鮮食料品、特に青果物中心とした一連の国民食生活をささえる品目について、生産者の収益はごくわずかあるいは赤字に近いような状態で出荷をさせながらも、都市における、また都市以外でもそうですが、消費者の購入する際には非常に高価なものについて、国民生活に相当な圧迫を加えておるということは、遺憾ながらこれも事実であります。  われわれは、それこそ大半の委員の方々は、それぞれの選挙区内において、御自分地域において、生産者消費地へ向けて農産物出荷する場合、どの程度価格出荷をしておるか、またその利益はどの程度になっておるかということは、大体みんなが知っています。また逆に、私どもはみなこの国会におります関係東京生活をしいられ、その場合においては、私ども消費者でもあります。われわれが出荷地における生産物価格消費地において消費者として購入する場合の価格考えた場合、この間には非常に大きな開きがある。一体この差というものはどこにあるのか。これが、この前中央卸売市場をこの委員会として視察に行き、お話を伺おうとした要点でもありました。  ところが、この視察を通じまして、各委員ともに、その中から得てきたものに決して満足をしておらないと私は思います。各委員が行なわれた質問に対して市場側からいただいたお答えの中には、遺憾ながら非常に不十分なものがありましたし、あるいは裏づけとする資料等の不足しておるものも多くある。はたして今日までどれだけの力がこうした面に注がれてきたのか、またこれからも注がれようとしておるのか、私どもとしては寒心にたえない点が多くあります。  本日、農林大臣の御出席がたまたまどうしても不可能だということで、それこそ農政に関して、またこうした問題について、非常に大きな見識を持っておられる草野政務次官に、農林省を代表しておいでをいただきましたので、まず最初に、政務次官お答えをいただきたい点として、これから先においても新たに立て、農林省として推進していかれようという生鮮食料品流通に対し、あるいはその供給、あるいはその確保について確固とした御方針があるのか、また真剣に政府当局としてこれからのこうした問題に取り組んでいかれるだけの御決意があるか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
  4. 草野一郎平

    草野政府委員 生鮮食料品価格の面において各方面から御心配をいただいておることに対しまして、農林省として特にその御心配をいただいておるという問題点に対して、注意深くこれを検討しながら、部分的な問題から積み上げていって、総合的な対策をどうすべきかということは、ここ数年来真剣に検討を続けておるところであり、さらに新しく農林省部内におきましても、あるいは党の農政基本問題調査会等にも御依頼もして、この際、農業基本法制定後六年次にも入っておるわけでありますので、この問題を、理想としては抜本的な対策を立てるべきだという考え方に立って、努力はいたしておるのでありますが、御承知のとおり、生鮮食料品というものが多く季節性を持っており、しかも、それがきわめて確定的な要素といいますか、需給調整を行なう場合においては、まずもって供給の面からも需要の面からも、そこに不動原則というものがなければならぬのでありますが、それが確立してこないわけであります。なぜかと申しますと、季節変動に伴い、あるいは経済の上昇に伴って国民嗜好変遷等、それらは見通しを立てて進めねばならぬのでありますが、そうした中において、不動原則一つの狂いを生じてきます。その原則の立たないところに、確固たる方針の立てられないというのが非常に苦しいのでありますが、苦しいからといって、それを放任しておるわけにはいきません。  そこで、どうした総合対策を進めていくかということが根本の問題であって、生産対策において一つ計画性を持って、そして流通面において、この広い日本というものを見渡しながら——あるいは集中して、そこで価格暴落を来たし、その暴落が直ちに産地に影響して翌年の生産意欲を阻害する、そうするとまたそれが価格の暴騰になってあらわれてくる、そういう激しい価格変動を伴ってまいりますので、流通経路の問題をどう考えていくか、そうしたことに対して、明年度におきましても情報センター等をひとつ拡充しながら、できれば全国的に需給バランスというものをどうとり、そうして価格変動というものを最小限度調整をとりながら、しかも、生産者生産意欲を高めながら、需要者に対しては、経済成長に伴うところの高度の嗜好に即応するような供給をどうしてはかれるか、これは非常に大きな問題でもあり、したがって困難な問題でもあり、それだけにまたやりがいのある問題であると思って、ただいま真剣な努力は続けております。部分的には、今日すでに手を染めておる問題は、幾つか現在実現をいたしておりまするし、成功いたしておるものもあります。ただ、成功いたすと申しましても、たまたまそれが大増産を来たしたために暴落をしたとか、あるいは激しい、高い需要度のあるものに対して供給が伴わないとかいうような問題が出てきますと、その部分的な痛みというものが全面を刺激するというような結果を生じまして、なかなか思うようにはまいらないのでありますが、思うようにまいらないところがまた私たち努力点でもあると思って、今日、真剣な検討努力を続けておるわけであります。
  5. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 われわれはあくまでも政府当局関係各位熱意に対して疑いをはさむものではありません。その熱意に対しては私どもも承知し、また、その御努力に対しては御支援を惜しむものではありません。必ずしもそれが十分な効果をあげていないということが、いまの政務次官からの御答弁の中にも多少出てまいりました需給バランスの問題、この点にも多くのカギがあることは事実であります。これはこの機会に論ずべき問題ではないと思いますから、私は省きます。  ただ、いまセンターお話が出ました。これも大いにけっこうであります。しかし、そのセンターが十分な機能を発揮していくためには、そのセンターの積み重ねられてきた統計資料その他のものがなければ、それができた以降の機能を完全に果たし得ることはできないと私は思う。ところが、先般当委員会において、同僚であります唐橋委員有島委員等からの御質問に、多少そうした関連のものが触れられておりましたが、先日当委員会に御提出を願った生鮮食料品に関しての追跡調査資料は、でき上がってから相当期間を経過したものが与えられております。今日の時点には必ずしも正確、正鵠を得た資料とは申せません。これは私どもとしては非常に残念な感じを持たざるを得ないのであります。私どもはあくまでも、今日ただいまの時点から未来へ向かっての問題に取り組んでいくのであり、過去がどうであったかということを中心に議論したいとは思わない。むろん過去の資料は必要であります。しかし、三年も四年も経過した調査資料、その追跡調査資料というものは、今日そのままでいいのかどうか、私ははなはだ疑問があります。先日もそういう御質問が他の委員から出ておりました。  試みにこの東京中央卸売市場に問題をしぼって考えてまいります場合、現在の価格の形成というもの、いわゆる卸売り物価というものは、生産地から市場へ搬入された商品せりにかかり、そうしてそのせりによって決定した上価格、すなわち卸売り価格であります。その卸売り価格の中から卸売り業者のいわゆるマージンといいますか、五・五%あるいは品目によっては七・五%といったようなものを引いたものが、諸掛かりを含んだ生産者への手取りとして出てくる。言いかえれば、せりによって決定した価格が、その商品卸売り価格としてわれわれにも知らされております。私どもはこのせりという方式が、現行においてこれ以外に直ちに代替し得る方法がないことは存じております。  この場合に幾つかの疑問がある。たとえば、その生産地からの運ばれてきた距離によっては運賃も異なり、入ってくるそのロットによっても、梱包方式一つとっても違う。そうした諸掛かりというものが含まれながら、一斉に並べられた段階せりをせられてきまっていく価格というものははたしてどれだけ妥当なものであるか、これにも一つ問題点があるように私どもは思います。試みに本日ただいま、あるいは昨日でもけっこうです。この東京中央卸売市場が取り扱った生鮮品に問題をしぼりましょう。主たる取り扱い量を占めた大体上位五品目、これが平均するとどの程度価格卸売り価格を決定したか。これは鮮度により、品質によりむろん違うでしょう。大体その品目平均はどのくらいの価格で決定したのか。同時に、それが最終消費者の手に渡される小売り段階では、平均してどの程度価格で販売されたのか。本日のせり価格がわからなければ、昨日でもけっこうです。昨日の小売り物価がわからなければ、一昨日でもけっこうです。ここ近々、少なくともこの一週間くらいの間に、主たる取り扱い高を占めた五品目について、その卸売り価格平均小売り価格平均について、農林省としてお調べをいただいたかどうか。まず第一に、お調べをいただいたならば、その品目及び取り扱い量小売り価格、これだけの点をお教え願いたい。
  6. 大田康二

    大田説明員 手元にある資料で申し上げますと、東京青果物卸売り市場である神田市場卸売り価格、これに対応する小売り価格でございますが、五月十八、十九、二十日の三日間について申し上げます。キャベツでございますが、ずっと卸・小売り、卸・小売り、卸・小売りという順序で申し上げますと、十八耳が一キロあたり十円と三十円、十九日が二十二円と三十五円、二十円が二十三円と三十五円、キュウリでございますが、百六十円と二百二十円、それが十八日でございます。十九日が百二十円と二百円、二十日が百三十五円と二百円。トマトでございますが、百四十五円と二百円、百五十円と百九十円、百五十円と百八十円、主要な青果物で申し上げますと以上のとおりでございます。
  7. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 取り扱い数量がちょっといまの答弁に抜けておったのですが……。
  8. 大田康二

    大田説明員 これも十八、十九、二十日で、神田市場入荷量を申し上げますと、キャベツでございますが、百七十七トン、六十七トン、百十四トン。キュウリでございますが、七十三トン、七十二トン、百二トン。トマトは五十四トン、七十四トン、九十一トン、こういう数字になっております。
  9. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 では、これがその卸売り価格として決定したものであれば、逆にこの時期における大体の小売り価格標準小売り価格でもけっこうですが、実質的に最終消費者が購入した大体の価格、これをお示しいただきたい。
  10. 大田康二

    大田説明員 さっき申し上げたとおり、キャベツでございますと、五月十八日が三十円、十九日が三十五円、二十日が三十五円、キュウリは二百二十円、二百円、二百円。トマトが二百円、百九十円、百八十円こういうことでございます。
  11. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 いまそれこそ念を押したのには、多少わけがありまして、たまたまいまこういうふうな数字を出されました。トマトを例にとれば、百四十五円の卸売価物価のときに消費価格は二百円、あるいはその翌日は百五十円に対して小売り価格は百九十円、あるいは百五十円に対して百八十円。ところが、一つの例をあげますと、先日当委員会視察に参りました日に、季節商品としてのイチゴを拝見しました。そしてイチゴのこの箱一つが大体幾らだということを聞きましたときには、委員長も御記憶だと思いますが、大体当時店頭において、われわれが消費者として購入する場合の価格の約五分の一程度価格が、その日のせり価格として決定されていた。たまたまいまキャベツキュウリトマトという三品目を上げられましたが、確かにこの蔬菜大量消費に向かっているこの時期の蔬菜類として、季節商品として、これは適正な例かもしれません。しかし、国民生活水準が次第に向上している現在、食生活の内容も向上している現在、こうした蔬菜類だけが国民の感覚としては対象にとらえられていないと思う。いまあげられた例のみが、全体の趨勢を支配するものとは考えておりません。そこで、逆にこの中からひっくり返してお尋ねをしてみたいと思います。  キュウリが、百六十円あるいは百二十円という卸売り価格を出されましたが、主たる生産地から東京市場へ入るまでの諸掛かりが、大体キロ当たりどれくらいになっておるでしょうか。言いかえれば、卸売り価格として決定されたものの中から、せりによるその卸のマージンを省いて、あるいは運賃、その問の滞貨があれば倉庫料も入るでしょうし、梱包費等も入るでしょう。そうした諸掛かりを引いたものが、実際上の生産者手取りになりますね。逆に今度は、小売り価格生産者手元に残る価格とを、私はひとつ対比してみたいと思う。その場合、いまあげられたキャベツキュウリトマト等でけっこうですが、その主たる生産地の、東京市場に送り込まれている主たる品目について、東京市場に入るまでの諸掛かりが大体どれくらいかかっておるか、一つの例としてお尋ねしてみたい。
  12. 大田康二

    大田説明員 いま先生のおっしゃったものについて、ずばり適合するかどうかはございますが、昭和四十年度に東京都でやりました追跡調査の結果がございます。それで申し上げますと、千葉県産の大根が、東京卸売り市場に入ってまいります過程で、産地段階、これが、まず生産者手取り額キログラム当たり六円五十九銭、荷づくり包装運賃その他が一円六十五銭、それから卸売り手数料が七十六銭、したがいまして、それまでを足したものが卸売り価格になるわけでございますが、それが全部で九円。それに小売り段階小売り業者マージンが六円でありまして、小売り価格全体が十五円。そこで、各ウエートを申し上げますと、生産者手取り額、これが小売り価格に対しまして四三・九%、荷づくり包装運賃その他が二%、卸売り手数料が五・一%、したがいまして卸売り価格ウエートが全体で六〇%、小売り業者マージン六円というのがシェアでは四〇%、こういうことになります。それから白菜、これはやはり事例でございますから、茨城県産のものでございますが、いまの割合だけを申し上げますと、卸売り価格ウエートが七五%、小売り業者マージンが二五%。それから高知産のキュウリでございますが、これが卸売り段階シェアが七八・六%、小売り業者が二一・四%。したがいまして、いま申し上げました後者の白菜キュウリ等につきましては、産地段階の経費がウエートとしてはかなり高くなっておる、こういう結果に相なっております。
  13. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 四十年度と言われましたね。東京都のこの資料、これは私どもも存じております。しかし、すでにそれから二年間たって、その間にずいぶん価格変動もありました。ただ単に生鮮食料品のみでなしに、他のものもずいぶん変動がありました。特にこの東京というマンモス都会、人口の増も非常に激しいし、そして需要量もむろん多い都市です。むしろ四十年当時から見て、一番大きな値動きをしているものも、いま例にあげられたものをも含む、いわゆる青果物あるいは生鮮食料品です。はたして四十年度につくられた東京都の追跡調査というものが、今日の時点の議論の対象になるか。参考にはむろんなるでありましょう。しかし、そのままであるかどうかは実際上わかりません。むしろ四十年当時に比べまして、あるいは生産者のほうに目を向けてみるならば、生産者生活条件、言いかえれば、自分たちのつくっている農産物の収入というものは、次第に低下の傾向にあります。特に大きな産地になり、季節的に大量にでき過ぎるような性格の商品であるならば、そのバランスというものは非常に失われてきている。逆に消費地としては、それは非常に大きな値動きが目立ち、消費者生活に相当大きな影響を与えてきている。四十年度、あるいは農林省独自の調査は三十八年でしたか、七年でしたかに行なわれたものが、現在提示し得る最新の資料である、これでは、消費者行政をもつかさどる、特に国民食生活の当面の責任を負うべき農林省としては、はたしてその資料だけで十分といい得るのかどうか、私は非常に疑問に思います。しかも、センターをこしらえて、その基礎として積み上げていくデータが、はたしてこの調子で十分にあるのかどうか。センターをこしらえて、それから基礎情報をもう一度集め直しておって、その機能が十分に果たせるのかどうかにずいぶん問題があると思う。いまお答えをいただいたこの調査というものは、おそらく当委員会の各委員同じようなお考えをお持ちだろうと思いますが、この委員会でこれから審議をしていく上には、あまりに古過ぎると私は断定したい気持ちで一ぱいです。これは一朝一夕で片づく問題ではありませんし、この委員会として生鮮食料品流通問題、これには相当大きなウエートをかけてこれからも審議されるでありましょう。その上に必要なものは、基礎として私どもが今日ただいまの時点検討し得る資料である。二年前あるいは三年前の資料では決してありません。私どもは、これは決してできないことではないと思います。追跡調査そのものは無理かもしれなくても、これからこの審議が続けられていく間において、少なくとも東京市場において取り扱われる生鮮食料品、水産物に対して、あるいは青果物に対しても、その主要品目、少なくとも五品目か七品目かの主要品目の日々の卸売り物価と同時に日々の小売り価格というものは、調査ができ得るものだと思います。逆に、これは農林省としておできにならないならば、この委員会の中で調べていくことも可能なものである。農林省がこれからそうした調査一定期間を通じてしていただくことができ、その資料をこの委員会に提示することができるかどうか、これは、最高責任者である農林大臣にかわって御出席をいただいた政務次官からお答えをいただきたいと思います。農林省独自の手でそれができないならば、私どもはこの委員会においてそれを調べます。私どもはみな消費者であります。個々その家庭生活の中に、少なくとも日々の小売り価格というものは、各品目その居住地域の周辺において調査は簡単にできると思います。卸売り物価もまたすぐにわかることであります。しかし、これはただ単に私どもが集めた一、二のデータだけでは決して十分とはいえないのであります。当局が少なくともこうした調査おできになるはずでありますし、この委員会にその資料を御提出願えるものと私は考える。少なくともこの五月の中旬以降、あるいは五月の初めからでもけっこうです。それが無理ならば、今日ただいまの時点からでもけっこうです。そうした資料が出し得るものか。でき得れば東京だけでなしに、大きな消費地である京阪神等資料をも含めて私どもはほしいと思います。できなければ東京だけでもけっこうです。卸売り小売り価格とその入出荷量、そうした資料をおつくりいただけるかどうか。またこうしたものばかりでなしに、資料をこれからそろえていく上に、十分な当局の御協力がいただけるものなのかどうか、これは次官から御答弁をいただきたいと思います。
  14. 草野一郎平

    草野政府委員 統計調査の結果が古くさいというおしかりでありますが、新しいに越したことはございません。しかし、さればといって今明日のものをとらえたことだけが統計調査仕事になるわけでもございませんので、問題は、その傾向を把握しながら、さらに今後の進み方というものも頭の中に考えていかねばならぬということであります。  追跡調査お話がございましたが、追跡調査ということはやってやれることであります。しかし、ただいまも参事官から御答弁のありましたように、卸売り値段小売り値段に高まっていくその間というものは、ただ単に十円が三十円になったという一段階ではないのでありまして、そこには非常な要素が加わり、非常な段階を経ていくのでありますから、それを克明に追及していくということは非常に煩瑣な仕事でもありますが、不可能ではございません。  それともう一つ追跡調査ということは、生鮮食料品の場合におきましては、品目がきわめて多種多様であります。したがって、品目を追及いたしますことは、事例とはなりますけれども、それが全般を判定する根拠にはなかなかなりにくいのではないかというような考え方もあり、しからば全部追及するかといいますと、これは地域的の問題もあり、品種が多極多様であり、刻々にその品種の変わる事態を考えてみますと、むしろ不可能——と言ってはいけますまいが、不可能に近いところまで拡大していってしまうのではないかというふうにも考えられます。しかしこのことは、しばらくこれはおいてありましたわけですが、生鮮食料品流通対策を確立する上においての一つの重要な資料となってまいるのでありますから、今後これはやっていく考えをいたしております。
  15. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 いま政務次官の御答弁をいただきましたが、もとより私どもは、追跡調査自身を今日ただいまの時点ですぐに出せと申し上げておるのではございません。しかも、これは全品目に対してということを御要求申し上げておるわけでも決してないのであります。むしろ追跡調査は拙速でできるものではなく、相当な時間をかけ、こまかい分析をしてお続けいただかなければならないのであります。それを今日ただいま出してくれとお願いする意思は私はないのであります。ただ、私どもが今日ただいまの時点で議論をする上に、少なくともその参考に資すべき資料があまりに少な過ぎるのではないか。その一つとして、主たる東京都におけるという例をわざわざ限定いたしましたが、この一千万をこえる大きな消費者をかかえる都市において、現在の季節において、現在の日時において取り扱われている主要な品目を例として選び、そしてその流通の経路、その価格形成の経過を調べながら、この問題点に焦点をしぼっていきたいと考えたのであります。ところが、それに対しての問題としてはあまりにそのデータが少な過ぎるのであります。先日市場視察に参りました際にも、各委員から生鮮食料品価格形成はどう行なわれておるのか、それについての資料はどうか、あるいは生産者手取り価格と比べて、なぜ最終消費者であるわれわれが小売り商から買う段階においてこれだけ大きな開きがあるのかといったような御質問が集中いたしました。そしてまた国民の関心もその点にあります。私どもはいま直ちに、この流通経路の上において、どの点に問題があるということを指摘するだけの知識を、遺憾ながら、少なくとも私は持ちません。しかし、当委員会委員としてではなしに一国民として考えた場合にも、特に生鮮食料品流通の中にずいぶん問題点がひそんでおるように私は思います。  われわれの郷里は農村であります。いわゆる青果物というものもずいぶん多く運ばれておるのであります。そこから、あるいは鉄道輸送において、自動車輸送において市場に送り込まれ、そして、その市場から小売り商の手を経て、今度は一般家庭にその商品が入っていきます。その価格差というものは非常に大きなものがある。これはだれしもいなめない事実であります。ならば、それが一体どこでそういう状態を来たしているのか、それがどうしても避け程ない問題であるならば、これは私どもは、逆にそれを国民に納得してもらわなければなりません。しかし、現実に私はこの市場の中に、この価格形成の過程の中に、流通の過程の中に多くの問題点があり、そしてそれを改善していくことによって、消費者たる一般国民に対して、より安価な価格で購入ができる状態、また生産者としても、より安定し、大きな収益をあげ得る出荷体制というものが築けるんではないか、私どもは素朴なそういう感じを持ってこの問題に取り組みました。そして、それを検討していく上に、はっきり申し上げれば、あまりに資料が少な過ぎるということはいなめない事実であります。そして、それこそ日々その需要も違い、供給の状況も違う青果物において、これを完全に把握することが困難であるくらいのことは私ども知っています。しかし、把握することが困難だからといってそれを把握しないで、勘だけでこの議論を続けていくわけにはまいりません。むろん、先ほど申し上げましたとおり、本格的に追跡調査はこれからも続けていただきたい。そして、これは拙速をお願いするものでは断じてありません。少なくともこの委員会が誕生し、そしてこの生鮮食料品流通問題に取り組んでからの間に、卸売り物価小売り物価、主たる品目についてのみでも、こうしたものは調べ得るのではないか。私どもはそうした資料を求めます。もし農林省当局のほうからお出しいただけないならば、消費者として私たちは逆に小売り物価調べましょう。卸売り物価は日々これは調べることができるのですから、これを対比することは、必ずしもその一つ商品の経路として把握するには足りないかもしれません。それこそ入出荷の状況、その価格バランスをとることは、これでもできるはずであります。これから先参考人も招致し、その意見も聞き、また追及していく上に、私は、きょう一応の時間の制限の中でありますから、基本的な資料を集中してお尋ねをいたしました。現在までに当委員会に提出された資料は、決して私は十分なものだとは思えません。東京都の追跡調査、またかつて農林省がおやりになった追跡調査は、むろんこれからも私どもは参考にさせていただきます。それと同時に、今日現在の市況の変化、入出荷の状況、そしてそれとともに卸売り価格小売り価格との対比、これだけのものは今日ただいまの時点からでも農林省当局のほうで御用意をいただき、毎回開かれますこの委員会に順次それを提供願いたい。これだけは政府を代表し、農林省当局を代表して政務次官にお願いを申し上げます。  なお、この問題についての質疑は私どもは続行いたします。そして各委員から多くの問題点が拾い出されていくでありましょう。私どもは、ただ単に農林省当局責任を追及する、あるいは商店を監督しておられるというか、行政指導をしておられる立場の通産省当局に対して、その責任を追及するのが目的でありません。よりよい方法を何とかして見出していきたいというのが私どものねらいであります。この委員会のその姿勢をもお考えいただきまして、十分な資料の提供を願いたい。それとともに、なお政府としてお考えになっておる細部の対策に対して、方針のきまり次第十分な御提示を願いたい。  時間の関係がありますから、私はこれだけを申し上げてきょうの質問は終わりとし、残余は保留をさせていただきます。
  16. 草野一郎平

    草野政府委員 価格形成に至る流通問題に対して、非常に御熱意のある御意見なり御質問を拝聴したわけでありますが、ただいま御要求をいただきました資料に関しましては、農林省といたしましてあとう限りのものを作成いたしまして、御期待に沿いたいと考えております。
  17. 戸叶里子

    戸叶委員長 武部文君。
  18. 武部文

    ○武部委員 私は、きょうは主として公取の関係について質問をいたしますが、その前に、それと関係があるので、ちょっと農林省に最初にお伺いいたします。  四月一日以降全国的に小売りの乳価が相当上がっておりますが、その値上がりの状況を、まず最初に全国的に説明していただきたい。
  19. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま御質問がありました全国的な小売り価格の値上げの状況につきまして、御説明申し上げます。  四月以降小売り価格の改定の問題が出てまいったわけでございますが、この値上げの状況につきましては、各県とも必ずしも画一的ではございませんで、むしろ個々の小売り店ごとにさみだれ的な形でばらばらに行なわれるというふうな形でございますので、私どもといたしましても、その実態の把握は必ずしも確実にはできかねる面があったわけでございます。しかし、一応都道府県庁を通じまして、各県におきます傾向的な値上がりの時期及び幅等を調べました結果、全国的に見差して、四月上旬から行なわれた地域、それから四月中旬以降行なわれた地域を見ますと、四月中旬以降行なわれた地域が比較的多くなっておりますが、四月末から五月上旬にかけまして、ほぼ全国的に値上げの通知ないしは値上げの実施というものが行なわれたという報告に接しております。北海道につきましては、四月の下旬の段階では、まだ未確定であるというふうな連絡があったわけでございますが、その後五月に入りまして、北海道におきましても値上げが全道的に行なわれておるというふうに報告を受けております。  なお、値上げ幅につきましては、ほぼ二円という幅のようでございまして、二円以上大幅な値上げというものは、実態といたしましてはほとんど見当たらないというような報告に接しておる次第でございます。  全国的な現在までの状況は、以上のようなとおりでございます。
  20. 武部文

    ○武部委員 それでは公取にお尋ねいたしますが、公取は今回の全国的な値上げに、農林省がどの程度介入しておるかということを突きとめるために、岡田農林省畜産局長の出頭を求めて、行政指導をしたかどうか事実関係を聴取する、その結果、農林省が今回の値上げで全く行政指導をしていないということが明らかになれば、さらに牛乳メーカーあるいは小売り店への追及を強化する方針である、こういうことが報道されておったわけでありますが、畜産局長の出頭を求めて内容を聴取されたか。されたならばどういうことであったか、それをまずお聞きしたい。
  21. 曽我正雄

    ○曽我説明員 この件につきましては、まだ畜産局長においでを願っておりません。私どものほうは、現在のところ、事業者関係から事情を聴取した結果、農林省の畜産局長あるいは牛乳乳製品課長から事情を聴取するという考えでおります。
  22. 武部文

    ○武部委員 この報道がされたのは四月十一日の新聞ですよ。そうすると、いま五月二十五日ですから、私どもはこれは当然されておったと見ておったのです。すでに一カ月以上前の話であります。されていないということでありますが、これはまことに私は遺憾だと思います。  次に、四月の六日から八日にかけて、まず、特に悪質だと思われた兵庫県あるいは愛知県、大阪で一斉立ち入り検査が行なわれました。その後全国的に、メーカーなりあるいは小売りについても大規模な調査が行なわれたわけでありますが、その検査の実態は、全国的に見て、大体小売り業者については何カ所くらい、メーカーについては何カ所くらいそういう立ち入り検査が行なわれておるか。同時に、その調査の進展状況、これを概略説明をいただきたい。
  23. 曽我正雄

    ○曽我説明員 ただいまの件につきましては、もうすでに御存じのように、四月六日から始まりまして現在に至っておりますが、まず兵庫県の牛乳商業組合、これをなぜ最初にやりましたかと申しますと、われわれ新聞でこの件を探知いたしまして、すぐに臨検手続をとりまして現地におもむいて臨検いたしたものでございます。続いて愛知県の牛乳商業組合、この件も同様に新聞紙上に出ておりましたので、直ちに愛知県におもむきまして、四月八日に臨検をいたしております。さらに御存じのように、四月十三日に至りまして全国一斉臨検に踏み切りまして、大手四社それから十事業団体、大手四社の中にも各地の営業所等を含めまして、ただいま申し上げました大手四社、十事業団体について一斉臨検を行なって、その後審査をなお継続しているものでございます。  その後新聞あるいはテレビで私どもが探知いたしましたものといたしましては、東京ストアの件、これは前回のときにも一応御質問を受けたものでございますが、これはやはり安売りの出荷停止の問題というものでございます。続いて小平団地の自治会に対する出荷停止の問題、これもNHKのテレビニュースに出ておりましたので、私どものほうといたしましては直ちに事情聴取を開始いたしておるものであります。さらに静岡県の生協に対するやはり出荷停止の問題、これも情報を探知いたしましたので、直ちに審査官を現地におもむかせまして審査いたしておるものでございます。  現在まで審査をいたしておりますものは、以上のものでございます。
  24. 武部文

    ○武部委員 先ほどここで国民生活局からの資料を配っていただきましたが、との中の三三ページ、いまおっしゃった兵庫県の牛乳商業組合に対する件、これは現在審査中、こういうことであります。そこで、私はこの際兵庫県のことについてさらに質問をしてみたいのであります。皆さんが摘発をされたそのときに、兵庫県のこの牛乳商業組合、これは二十四支部で約五百十の小売り店が加盟しておる商業組合です。その商業組合の話というのが新聞に載っておるのであります。それの新聞記事を端的に読み上げますと、「先月三十一日、さん下各支部に牛乳小売り価格を一日から百八十cc当たり二円値上げするよう指示し、一斉に値上げを実施した。この値上げは、自衛のために、やむを得ない措置なので、独禁法違反に問われるのも覚悟している」こういう記事が、あなた方の摘発の直後新聞に載りました。またその日に、森永乳業の専務の話として、これも新聞に載っておりますが、メーカーとしては、「生産者価格を引き上げたのだから、卸し売り価格の値上げを既定方針通り進める以外にない」こういう談話が載っております。これは明らかにメーカー側の談合を裏づけたものだと私は思うのです。この森永乳業の専務の話は、メーカー側の談合のこれは裏づけの発言ですよ。先ほどの兵庫県の商業組合の発言を見ても、これは明らかに独禁法違反を覚悟しておったというのです。それは四月九日、十日ごろの話なんです。すでに五十日を経過しておるのに、いまだにこれは審査中だという。こういうことでは、国民は納得しないと私は思うのです。明らかにメーカーもあるいは商業組合も、独禁法違反だということはもう覚悟の上でやっておるのです。それをいまだに審査中だ。全国的に見ても、先ほど課長から説明があったようにどんどん上がっておる。こういう中で、いまだに審査中一点ばりで国民の前に明らかにされない、こういうことでは、私は国民は納得しないと思うのです。いま公取に対して非常に関心が深いのでありますから、こういう点については早く結論を出して、審問を始めるなり、そうして最後の結論をやっぱり出してもらわなければならぬと私は思うのであります。特にこの問題が取り上げられてから、公取の委員長の談話がしばしば出ておるのであります。公取の発表による記事を見ても、この小売り値引き上げは一見ばらばらのようだけれども、裏でメーカーが糸を引いておると思われる節がある。あるいは委員長の談話として、なるべく早く審査を進めて公正な結論を得るよう努力する、また安売りを妨害するような業者があれば、これは明らかに独禁法違反となるから直ちに取り締まる。こういう談話が次々と出るけれども、一向にその取り締まられた形跡はないのであります。こういう点について、ひとつ独禁法の番人である公正取引委員会の明確な見解をこの際明らかにしていただきたい、こう思います。
  25. 曽我正雄

    ○曽我説明員 ただいまのお説をお伺いいたしまして、まことにそのとおり、私どもも鋭意早急に事件を解決したいという念願でやっておる次第でございます。したがいまして、私どもといたしましても、全国一斉臨検をやった問題と同時に、それ以前に手がけました先ほど申し上げました兵庫の問題、こういう問題については、まず第一にそれから片づけるという考えは私どもとしては持っております。お説のとおり、五十日を過ぎたというおしかりを受けるかもわかりませんが、私どもといたしましては、やります以上は審判開始決定という考え方で持っていくものでございますので、その間もう少し余裕をいただきたいとお願いする次第でございます。
  26. 武部文

    ○武部委員 先ほど配られた資料の中に、三四ページに、いま私が質問をしたメーカーや小売りの違反の記事の一番最後に、「その他、値引き販売に対する各種妨害行為について調査を行なっている。」こういう二行の記事があります。いま問題になっておるのは、むしろあとのこの行為だと思うのです。私は具体的な例をあげてひとつ質問をいたしますが、先ほど都下の小平団地の話が出ました。私も現地へ行って詳細に調べてみたわけです。これは非常に悪質であります。小平団地の自治会はすでに皆さんのところに提訴して、公取もこの経過を検討しておるということでありますが、たまたま新聞に出た。それは毎日新聞の記事でありますが、「独禁法二条七項の五「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」——優越的地位の乱用による不公正取引の疑いについて調査をはじめた。」こういう新聞記事があるのであります。これは、条文を私も読んでみたおけですが、どうもはっきりわかりません。こういう値引き、安売り妨害が独禁法の二条七項の五に該当するのかどうか、これをひとつ最初にお伺いいたしたい。
  27. 曽我正雄

    ○曽我説明員 その毎日新聞の件につきましては、私もそれを読んでおりますが、私どものほうといたしましては、そのようなことを新聞社に申し上げたこともございませんし、現在のところそういった妨害行為につきましては、まず不当な取引拒否という問題でございますと、「不公正な取引方法を用いてはならない。」という十九条の問題でございまして、その中の一般指定の一号、不当な取引拒否という問題がまず出ると思います。それと同時に、もし取引拒否を団体がさせているというような場合でございますが、たとえばその販売店に対して、メーカーの団体なりあるいは販売店の団体が、これに圧力をかけて取引を拒否させたというような場合でございましたら、やはり不公正な取引方法ではございますが、団体である以上は八条の、項五号、不公正な取引方法をさせてはならないという条項に当たるものと考えております。したがいまして、私どものほうは、現在といたしましては、そういう面で仕事を運んでいるものでございます。
  28. 武部文

    ○武部委員 わかりました。そうすると独禁法の二条の七項の五ではなしに、八条一項の五だ、こういうことでありますね。それはわかりました。  そこで、私は抽象的なことでなしに、今度は具体的な問題を一つ取り上げてみたいのであります。その小平団地は、新聞にも発表になったように、盗難事件まで実は起きておるのであります。奥さん方に、たくさん集まっておられたのでいろいろ聞いてみた。ここは一日牛乳が途中でストップしてしまって、全然飲むことができなかったという非常に苦い経験を持っておるぐらい、業者から圧迫を受けておるのであります。そのときに、八十八本の牛乳が、午後六時から八時までの暗やみを利用して盗難にかかっております。これは相当な重さでありますから——三十本は全然違ったところから出てきておる。あとの五十八本は、いまだにこれは行くえ不明です。奥さん方に、あなた方はだれが一体盗んだと思うか、少なくとも牛乳の一本や二本の盗難は、これはあり得るでしょうが、しかし、八十八本もの牛乳が、一体だれの手によってそういう盗難が起きたのかということについて、あなた方はどう思うか。こう言ったら、ほとんど全員の奥さんは、これは業者だと言うんです。業者がいやがらせにやったんだ。これだけの重い八十八本、たしか三箱ぐらいだったと思いますが、そういうものを、団地の入り口に置いてあるのを運んで、一気に持って逃げてしまうというのは、これはおとなが、しかも男が、自動車を利用して盗んだに違いないというのが、これは奥さん方の推理ですよ。私は警察まで行って聞いてみた。全然わからぬ。牛乳が盗まれたなんということは前代未聞だと言うのです。八十八本盗まれた、そういうことが現実に起きておる。それはなぜかというと、その牛乳の値段に関係しておるのです。三回もその牛乳のストップをかけられておるのです。こういう事態が次々に実は起きておる。こういうことについて、奥さん方が公取に大きな期待を持って提訴をした。調査をしておられるけれども、まだ何ら結論が出ない。こういうことでは、期待と同時に大きな不信感も、実はこれから日にちがたてばたつほど私は出てくると思うのです。  そこで、その際聞いたことについてつけ加えて質問をするわけですが、この間の五月十一日の読売新聞に、埼玉県の戸田市の一主婦が投書をしておりましたが、その投書によると、一本二十二円になったAという店、これは上がったので断わって、二十円のBという店に頼んだ。ところが、Bという店は配達できぬと断わった。なぜ配達できぬかと言ったら、理由は、組合の協定に違反するから配達できぬというわけです。Aという店の二十二円は困るから、二十円の安い店に配達を求めて買おうとしたら、それは配達できぬ、配達すると協定違反でほかの店からやられる、こういうことであります。たまたま小平団地でその話が出ました。消費者自分の意思で牛乳の銘柄を変えることはできぬ。その小平団地のうわさでは、もしかりに得意を取ったら一万円の罰金を払わなければならぬ、こういううわさが公然と言われておるのであります。これは一体独禁法の違反だと思うが、この点についてどうでしょうか。まずそのことと同時に、その裏づけとして、配達人がこういうことを言っておるそうです。配達人は自信を持って言っておる。もしあなた方が他の牛乳に変えるならば、直ちにあしたから一本の牛乳もここには入りませんぞということを言っておるのです。こういうことが一体許されていいかどうか。こういう問題について、私は独禁法の重大な問題だと思うので、ひとつ見解を明らかにしていただきたいし、こうしたことにこそ早く手を打って、国民、主婦の皆さんが安心するような方法をとることが、公正取引委員会の一番大きな当面する任務だと思うが、この点について公正取引委員会の見解を伺いたい。
  29. 曽我正雄

    ○曽我説明員 ただいまの件、私はうかつにもまだ存じておりませんでしたが、あるいは部下の者がそれについて、いま事件係のほうでやっておるかもわかりませんが、その点はいまここで申し上げることができませんが、ただいまおっしゃったとおりであるとすれば、その行為が事業者団体の行為であるといたしますならば、当然事業者団体の八条一項、かりに価格をその組合が協定しておるとすれば八条一項一号ということになりますし、もしそういうような方法をとらせておるということになりますれば、先ほど申し上げましたような八条一項五号あるいは八条一項四号の、「構成事業者の機能又は活動を不当に制限する」というような問題は当然出てくると思います。それにつきましては、私どものほうといたしまして直ちに審査を開始いたしたいと存じます。
  30. 武部文

    ○武部委員 私は具体的な例を二つ言ったわけでありますが、この埼玉県戸田の一婦人の新聞投書にしても、いまの小平団地の罰金の問題にしても、これはひとり戸田市や小平団地だけのものではないと思うのです。おそらく全国至るところにこういうケースがあると思うのです。東京ストアだってそうですよ。そういうケースがどんどん出ているのですから、確かに全国的にもあなた方が摘発されて——十団体、四社ですか、そう言われたのですが、確かにそれは日にちがかかるでしょう。かかるけれども、当面するこういう出荷停止、出荷妨害、安売り妨害、こういうことは毎日の家庭の生活に大きな影響を与えると思うのです。これは、ほかの公取が審問を開始したり何かする事件と内容が違うんですよ。生活関係する問題で、一日もゆるがせにすることができない問題なんです。したがって、他の問題をほうっておいていいというわけにはまいらぬでしょうが、少なくともこういういま起きておる、当面してみなが関心を持っておる問題は、少なくとも公取が全力をあげてそのことについての調査を早めて、早く結論を出して国民に安心させる、このことがいま一番大事なことではないかと私は思うのでありまして、ぜひ委員長なり事務局長等と相談をして、早急にこのことについての結論をお出し願いたい。ひとつ強く要望しておきたいと思います。  そこで、この際さらに公取の関係について質問をいたしますが、先般私どもがいただきました「公正取引委員会の業務の概略」というこの冊子の中の八ページに、審判開始決定1、2、3とずうっとありますが、1は明治商事、2は森永商事事、3は和光堂に対する件とあります。これは何も書いてありませんが、この審判が開始をされた原因は、地下カルテル容疑で摘発をされた育児用粉ミルクの大手メーカーだと思いますが、そうですか。
  31. 曽我正雄

    ○曽我説明員 それは再販売価格維持についての問題でございます。
  32. 武部文

    ○武部委員 いま私が言ったような育児用の粉ミルクですね。
  33. 曽我正雄

    ○曽我説明員 そうでございます。
  34. 武部文

    ○武部委員 それで、これから質問をするのは、なぜ審問等に時間がかかるかということについてでございます。この事件は、この調査によると、四十一年一月二十一日に審判が開始になっておりますね。そうすると、いまだに結論は全然出ていないのですか。
  35. 曽我正雄

    ○曽我説明員 この問題につきましては、審査側といたしましては最終陳述を終わり、代理人側のほうも最終陳述を終わりまして、目下審判官のほうで審決案を作成しているものでございます。
  36. 武部文

    ○武部委員 これは参考までに聞いたわけですから……。  最初に質問をいたしましたように、兵庫、大阪、愛知等から一連に始まったこの摘発、これは地方の事務所が、出先機関が調査をやったものですか。どうですか。
  37. 曽我正雄

    ○曽我説明員 御存じだと思いますが、地方事務所の人員というものが、現存審査官は二名ないし三名ということでございます。一応臨検という体制をとります場合に二名では不十分の場合が多いものでございますので、本件については全部東京から審査官を派遣いたしまして、地方事務所と協力して審査をいたしたものでございます。
  38. 武部文

    ○武部委員 四十一年四月から定員が約四十名近く増加になったと聞いておりますが、それは間違いありませんか。
  39. 曽我正雄

    ○曽我説明員 三十三名増員でございます。
  40. 武部文

    ○武部委員 四十二年度に公正取引委員会として増員要求した人数及び決定した人数は幾らですか。
  41. 曽我正雄

    ○曽我説明員 要求した人員については私ちょっと忘れましたが、三十三名というのが決定した人員でございます。
  42. 武部文

    ○武部委員 委員長がいないのでちょっとぐあいが悪いのですけれども、佐藤総理は、少なくとも公正取引委員会機能を強化して、国民の期待にこたえるような公正取引委員会にしたい、こういうことを言明しておったわけですが、私の持っておる資料によると、七十三名の要求に対して三十三名の決定であります。半分以下であります。先ほどから質問をしてもなかなか明確な答弁が出ないように、審査に非常に時間がかかる、これは人数が足らぬためだと私は大体想像ができます。今日くらい公正取引委員会に提訴が多くなったのはないと思うのです。ことしになってから急激にこの公正取引委員会に対する各種の提訴が始まっているのであります。それだけ国民公正取引委員会に対して大きな期待を持っておる。人数が足らなければ足らないで、それだけのことは私どもとしてはやはり考えなければならぬと思うのであります。ここは場が違うのでまたあらためて別な機会にそういう点について具体的なわれわれとしての見解を述べ、同時に政府の答弁を求めなければならぬと思いますが、時間がないので、次にもう一つ横浜の国立大挙の教科書の問題について質問します。  これもすでに皆さんのところへ提訴があったと思うのですが、この著作物の出荷停止、学生は停止を受けたために一冊の参考書や一冊の教科書をみんなで回し読みをしておるとか、これはたいへんなことなのです。独禁法の二十四条二で、これは明らかに独禁法の違反だと私は思うのですが、これについても先ほどと同様に、これは本がなければ毎日の勉強に差しつかえるので、たいへんなことなのだが、これについてはいまの諾否の状態はどうですか。
  43. 曽我正雄

    ○曽我説明員 本件につきましてもやはり一応提訴がございまして、私どものけうといたしましては、生協の問題は一応二十四条の二の五項の適用除外になっておりますので、再販維持のためにそういう行為が行なわれているとしたならば当然問題があるというふうに考えております。目下やはり審査を継続しております。
  44. 武部文

    ○武部委員 それでは、時間の関係で最後になると思いますが、この独禁法ができたのが昭和二十二年の四月だと思います。今日まで相当な年月がたっておるわけでありますが、この独禁法の違反に対する罰則は、八十九条によって、三年以下の懲役または五十万円以下の罰金ということが罰則規定にあるわけですが、昭和二十二年四月独禁法が制定されて以来今日まで、独禁法違反で刑事事件にかかったものはどのくらいございますか。
  45. 曽我正雄

    ○曽我説明員 いまおっしゃった八十九条ないし九十条、こういった問題のいままでの告発はございません。ただ、二十二年から現在に至るまで告発があったのは、当初三件というふうに私は記憶しております。
  46. 武部文

    ○武部委員 聞きますと、刑事事件は、制定以来今日まで一件もなかったということにいま答弁がありました。なるほど罰則を強化するということが能じゃないとは私は思います。思いますが、今日まで少なくとも二十年間にわたって一件も独禁法違反で刑事事件が起きていない、これは他の国と比較するとたいへんな相違なのです。もちろん事件がなかったらそれはけっこうであります。試みにアメリカのこの罰則を見ても、地下販売カルテルが摘発をされた場合に七人の人が三十日間の体刑を受けておる、あるいはまたそのことによって二十九社が七億円の罰金を払っておる、あるいは不当な不利益を受けたところの損害賠償は実に四十三億円、こういうケースがアメリカで起きております。いまの罰則規定が非常にやわらかい、そのために業者に、この独禁法に対して何か安易感を与えておるようなことは公取としてはお考えになっておりませんか。そういうことは全然関係がないのですか。
  47. 曽我正雄

    ○曽我説明員 本件につきましてはいろいろ問題はあると思います。私参りましてまだ一年わずかでございますが、告発という問題につきましては慎重に検討していかなければならないというふうに考えております。
  48. 武部文

    ○武部委員 これはたいへん大きな問題でして、罰則規定を強化しろ、もっと罰金をよけい取れ、体刑をよけいにしろということを言っているのじゃないのですよ。少なくとも二十年間のうちに全然体刑を受けた者もなければ何もないということは、私は初めて聞きまして、これはほかの国と比べて非常に開きがあるのですね。この点について私は非常に疑問に思っておるものですから、これはあらためて、もう少し検討してまたの委員会のときにいろいろと意見を述べたいと思います。  そこで、企画庁おられますか。——これで最後になりますが、小平団地でこういうことを聞いてきました。九段に日本住宅公団がありますね。あそこに自治会の人が、ひとつ牛乳の冷蔵庫を備えてもらえぬだろうか、こういうことを頼みに行ったところが、それはだめだ、自治会という第三者にそういう冷蔵庫を置かせると、占有権が確立するとかなんとかということを言って、そういうことはできぬ、こういうことをつい二、三日前に答えたそうです。私どもはこの委員会の決議で、プレハブを建てたり冷蔵庫をつくったり、そういうことについて農林省からも補助があるんだけれども、それでは足らぬからもっと出しなさいと言ったら、出します。それからまたこの間の新聞報道によると、経済企画庁は公社、公団に対して、そういうような申し出があったら、公社、公団は十分協力するようにということを出したいというようなことがちょっと載っておったわけですが、先ほど言ったように、小平の団地では全く逆なんです。そんなものはとてもじゃないが冷蔵庫さえ置かせない、ましてやプレハブのようなものはとんでもないことだ、現実にこういう声が出ているのです。これについて、経済企画庁としてどう思いますか。
  49. 竹内直一

    竹内説明員 この件は、実は去る十六日の物価安定推進会議の総合部会で、ある委員の方からそのようなお話がございましたので、さっそく住宅公団のほうの事務当局に連絡をいたしましたところが、検討いたします、団地の管理上いろいろ問題はあるらしいのですけれども、こういった衛生上の問題であるから検討したいという話でございますから、近く結論を出してもらえるのじゃないかと思っております。
  50. 武部文

    ○武部委員 こういうことでした。公団所有の土地に、第三者の自治会にそういうものを貸すと土地の占有権が確立するからだめだ、こう言ったそうです。こういうことじゃ話にならぬですよ。ですから公社、公団のそういう連中に、この点についてはっきりと、国会でこういうように取り上げられておる、十分協力してやれというような通達をもっと厳重にやってもらわなければ、現場に行ってみればとんでもないことなんですよ。プレハブなんてものはとんでもない、というので冷蔵庫さえ置かせないのですよ。そこへもってきて並べておけば盗難にあうわ、それは奥さん方としては腹が立ちますよ。そういう事実に私はぶつかってきたのです。ですからぜひひとつ、この委員会を機会にそういうなまの声を吸い上げてもらって、特に東京では公社、公団の団地が非常に多いわけですから、皆さんのほうで適切な指導をやっていただきたいと思います。  それでは時間もきましたので、私の質問は終わりますが、きょう公取委にいろいろ申し上げたのは、皆さんに対する国民の非常な期待があるからです。奥さん連中がやはり口をそろえて言うのは、一日も早くこうしたことについての具体的な結論を出してくれ、こういうことが家庭の奥さん方のほんとうの声でありました。したがって、物価高に悩む主婦にとっては、庶民にとっては、公取がいまの場合は頼みの綱なんですよ。こういう点について私は具体的な例を二、三申し上げましたけれども、早急にひとつ結論を出して、当委員会にその内容が発表されることを私は期待してやみません。  以上で終わります。
  51. 戸叶里子

    戸叶委員長 武藤山治君。
  52. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 物価対策委員会ができた経緯については、出席の皆さん全部御存じのとおりだと思います。  近年、物価の上昇がとまらぬということで、政府の大きな目標の一つ物価安定にある。ところが、議論はいろいろされますが、なかなか物価は下がらない。国民からいわしめるなら、物価を上げる真犯人を早くつかまえろ、つかまえて早く治療しろ。ところが、物価の上がる最大の真犯人はだれなのだろうか。流通機関に原因があるのだろうか、農業というその性格に原因があるのだろうか、あるいは八百屋さんのような商店の性格に原因があるのだろうか、それとも、政府自体のもっと大きい貨幣のほうの流通の問題に真犯人がいるのだろうか、いろいろ議論百出だと思うのでありますが、そこにいる皆さんに、それぞれ通産あるいは農林各担当官いらっしゃいますが、物価が上がる真犯人は何と心得るか、まず皆さんがその追跡をいままでいたしました判断をここでお聞かせ願ってから私の見解を述べてみたいと思います。  まず物価が上がる真犯人は何か、これをひとつ聞かせてもらいたい。別にここで言質をとったり、役人がこう言ったからといって皆さんをいじめるような材料にしたりする魂胆は全くありません。私は善意に物価問題と取り組みたいという気持ちから、まず糸口にそれからお聞きをいたしたいと思います。
  53. 大田康二

    大田説明員 実は先般物価安定推進会議に呼ばれまして、第一調査部会で野菜に関するお話をしてまいったのでございますが、たとえば、野菜について考えてみますと、基本的にはやはり需給のアンバランス、旺盛な需要に対して生産が十分追いつかないということに根本の問題があると思うわけでございますが、実はそういっただけの解決をはかれば問題の解決になるということではなしに、総合的な対策を講ずることによって価格の安定をはからなければならないだろうということを申し上げてきたのでございます。  と申しますのは、たとえば年産が不足すれば、当然生産のための向上対策というものを講じなければならない。このためには農業構造改善事業もはからなければなりませんでしょうし、土地基盤の整備もやらなければならない。さらに価格の安定に対する措置も講じなければならぬでしょう。一方、流通段階が非常に未整備だというようなこともいわれておるわけであります。これまた当然物的施設に対する投資のおくれというようなこともございましょうし、あるいは商的活動の近代化、合理化が非常におくれておるというようなこともいわれておるのでありまして、この面の合理化もやらなければならぬだろう。しかし、これも特に小売り業の段階になりますと、わが国経済の根本問題でございますところの中小企業の対策という問題を含めて検討しなければならないだろう。また、逆に物的施設をさらに拡充してまいるといいましても、実は都市周辺におきましては地価の非常なる値上がりによって、いろいろコストを上昇させる要因がそこにある。したがいまして、そういった意味での土地対策というものをやはり物価対策の一環として、最も根本的な問題として講じなければならぬだろう。さらには、これも近年における大きな問題でありますが、二次産業、三次産業の伸展に伴いまして、いわゆる労賃のアップという問題もございます。それらを含めまして総合的に対策を講じなければならないだろうというふうに思うのでございまして、一つの部面だけをとらえて対策を講じても、それでは不十分であるというふうに考えております。
  54. 竹内直一

    竹内説明員 非常に大きな問題として、前々から当委員会におきましても学者の方が、物価値上がりの要因は何であるかということで、それぞれの立場からいろんな説をお述べになっておりまして、一義的にこうだとそのものずばりで申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、いまも農林省のほうから話がございましたように、何といいましても生産性の向上によってコストアップを吸収できないような低生産性部門の合理化、近代化、その中には流通部門も含めての中小企業、それから農業その他の第一次産業、こういったものの生産性の向上に最も力を入れる必要があるのではないか。そういうことで政府といたしましても、物価対策としてそういった面に重点的に資金を投入するというような姿勢できておるわけであります。これは非常に根の深い構造問題でありますから、一朝一夕にはいかない、非常に気長にやっていく必要があるということだろうと思うのであります。
  55. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 概略、大体犯人はこの辺にいるのじゃないかという皆さんの見解はわかりました。私の見解は別ですよ。そこで、ひとつきょうは流通問題にライトを当てて議論せよ、こういう理事のほうからの仰せもありますので、主として流通問題を中心にした検討を少ししてみたいと思うわけであります。  過般、私ども中央卸売市場などを視察、見学をいたしまして、荷受け会社が八・五%、あるいは果実だったら七%の手数量を取る、仲買い人が五%前後だ。真偽のほどはわかりませんが、小売りが二割から三割程度だろう、出荷の経費が一五%くらいで、大体価格の中で占めるこれらの中間経費というのは五三・五あるいは五五%程度、高くても六〇%くらいではなかろうかという判断を私は持ったのでありますが、さすれば、生産価格に対してこの程度の上積みならば、それほど消費者が店頭で、これは高いという感じを持たずに済むのではないか。ところが実際には、それが三倍あるいはひどいのは三倍半以上という高い価格になっている。だから、どこか流通機構の中でもっとむだを省ける個所があるのではないか。一体それはどこをむだを省くかというところになかなかむずかしさがあると思うのであります。  まず皆さんの見解では、この流通機構の中でこういう非合理なもの、これはひとつはずせるではないか、こういうロスの多いもの、この制度はひとつ改廃しても心配ないではないかという、流通に支障がないと思われる範囲内における整理、近代化というものはどこにメスを入れたらいいとお考えになりますか、その点を教えていただきたいと思います。
  56. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 なかなかむずかしい問題でございます。物価対策と申しますか、流通改善ということで農林省が本格的に取り組みましたのは、たしか三十八年七月で、生鮮食料品流通改善対策要綱というのを閣議決定いたしまして、生産から流通、消費まで一貫して総合的な政策に出発したわけであります。私ども生鮮食料品でおしなべて申し上げますと、小売り価格の大体四割前後が生産者手取りであります。生産者手取りが四割前後ということは、これは統計上もなかなかむずかしい問題でございますから、正確には申しにくいわけでございますが、アメリカ、ヨーロッパ等と見比べましても、日本生産者手取りが低いわけでは決してございません。アメリカ、ヨーロッパの農業団体等の一つの政策的な力点の置くところも、消費者価格の中において生産者手取りをどれだけふやすかということが、非常に大きな問題であるわけであります。  それで生産から流通、消費までいく間に、とにかくおしなべて一〇〇のうち四〇程度生産者手取りでございますから、その中で六〇程度が大体流通に向けられるもので、明治以来私ども生鮮食料品関係流通も、中央卸売市場中心としてだんだん改善されてきて、外国に比べて日本流通制度が、非常に不合理だということはあまりないのではないか。アメリカに比べましてきわめて大きな違いは、スーパーマーケット的なものが、小売り関係でアメリカ、ヨーロッパにおいても相当発展しておりますのに比べて、日本においてはそれが決してそれほどの比重がないということが違うわけで、あとは多少の相違もございますけれども、おしなべて、日本流通制度がこの点が非常に古くさくて、むだがあって、そこを直しさえすれば消費者物価が非常に安くなる、あるいは生産者手取りが非常にふえるということはないのではないか。むしろ、そういう一つのかぎをあければ全体が開くというものはございませんけれども消費者物価が安定して、できるならば安くなるように、あるいは生産者価格ができるだけ高くなるようにすることが私ども仕事でございますから、ここのところを一つ直せば全体が変わるということはございませんけれども、とにかくいろいろなところをできるだけ手を打っていきたい。そのためには包装あるいは輸送の合理化、さらには四十二年度から私ども集配センターという形で生産地消費地をできるだけ近くに結びつけるために、実験的な試み東京でやりますし、また、小売り商を圧迫するという意図は毛頭ございませんけれども、できるだけ標準的な価格でいいものを売らせるように、公設市場的な試みで補助金を組んで、東京その他の十二の市場にわたって、スーパーマーケット的なものを取り入れて、公設市場を開くことを考えております。また、中央卸売市場につきましても予算を相当ふやしまして、東京、大阪等の過密都市対策、あるいは中央卸売市場が開けておりません中都市における新しい開設等にも努力をしておるわけでございます。  御質問の趣旨にはあるいは合わないかとも存じますが、私は、流通改善の仕事は元来きめ手というものがなかなか見出しがたいと思うのですけれども、とにかく生産から消費までの過程の一つ一つをきめこまかく少しずつほどいて、合理化していくことが私どものつとめだろうというふうに考えております。
  57. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 公営市場が拡大をしたり、スーパーマーケット的なものをつくり、日本流通機構がそういうふうに整備されれば、アメリカのように顧客と小売り商との関係がかなり望ましいものになると私は思うのであります。しかし、アメリカに行ってみて感じたことは、生活様式の違いから、顧客の足の運び方が、日本の八百屋さんなどに足を運ぶのと基本的に違っているわけですね。アメリカではハイヤーでさっと行って一週間分を買って冷蔵庫に入れておく。週に一回ぐらいしか買いに行かない。ところが、日本の八百屋さんはどうかというと、朝四時起きして中央市場に行って、威勢のいいかけ声を聞かなければどうも人生生きがいを感じないという習性に、八百尾さんも魚屋さんもなっているのですね。しかも、そこで買ってきたものを買いに来る人も大体きまっているのです。これはあとで統計をちょっと出してもらいたいのですが、日本小売り商へ、どこの奥さんは何時ごろに来る、どこの奥さんは何時ごろに来ると、もう八百尾さんのほうではわかっておるわけです。大体あそこの家の主人はどういうものが好みか、子供が何人ぐらいいるから何を買うかということがわかっているわけです。そして一日に平均二百人ぐらいの人が買いに来るとしても、大体日本の八百屋さんに来るお客さんというのは、その七、八割というものは固定した顧客ですね。ですから、八百屋さんの立場というものを科学的に、自分の主観を入れずに判断してやると、八百屋さんは、きょうはせりでもって高いと思ったけれども、あそこの奥さんが買いに来たときに品なしだといえないから高いのを買う。おとといは安かったので、きょう高く売るのは売りずらいという人情があって、もうけなしの原価で売らざるを得ない場合もある。そういう日本の八百屋さん、青果物瀞の慣習と、アメリカの今日のようなコールドチェーン式な、あるいはスーパーマーケット式な小売りの形態というものは、基本的に違っている。この構造をどう改善するかというところに、小売り問題として私は大きな問題があると思うのであります。  だから、政府が本腰にスーパーマーケット式に大量販売、一個の利益は少なくも、大量販売による利潤確保、資本蓄積というコースを小売り商に歩ませるとするならば、この辺で何か大きな手術をせざるを得ない情勢が私は迫っておると思います。それについて具体的に企画庁なりあるいは通産省なりで、小売り店の八百屋さんをひとつ協業化しよう、協業化した場合には何軒かはつぶれなきゃならぬ、つぶれる場合には転廃業資金は完全に保障しよう、二十年年賦くらいで貸してやろう、そのかわりこの区画に何カ所、何軒くらいのところにスーパーマーケットがあればいいかという一つの大きな構想、計画を持たなければだめだと思うのであります。そこまで真剣に消費者の立場に立った物価問題に政府は取り組もうとしておるのだろうか。私はいまの政府の物価問題というのは、やはり農民保護が中心で、農業生産を中心に視点を当てて、完全な消費者の立場の行政というものは皆無にひとしい。ここに私は大きな欠陥があるのではないだろうかと思う。まず小売りの問題の段階で、先ほどの私の見解についてひとつ、いや青果物小売りをこのように配置統合し、何十年くらい後には大体スーパーマーケット式に転換できるんだ、そういう長期の構想というものはお持ちですか。
  58. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私が先ほど申し上げましたことは、別にスーパーマーケットの網の目を政府の力で張りめぐらしてみるということではございません。それから日本の八百屋のいわばメンタリティーといいますか、心の持ち方についての先生のお話も、私そのとおりだと思います。スーパーマーケットが生鮮食料品にどの程度ウエートを持つかということにつきましては、日本で数年前にスーパーマーケットができ始めましたころに、学者によりましては、ちょうどアメリカが一九三〇年代にスーパーマーケットができて、数年で生鮮食料品を席巻したような勢いが日本にもあらわれるというふうに判断をいたしましたけれども、私どもは必ずしもその説に賛成をいたさなかったわけであります。  それから、私ども四十二年度の予算で、十二の公設市場の補助金を出しましたのは、一つは、できるだけ消費者価格を安定させるために適正価格で売る店をつくっていきたい。十分の施設をもってつくっていきたい。それに参加する人たちは、小売りができるだけ集団化して、あるいは協業化してそれに入るという構想でございます。小売りの問題につきましては、ちょうど農業問題と同じむずかしい問題がございまして、大型化して合理化すればコストが下がることは明らかでありましても、産業政策でありますと同時に人間の問題でございますから、そう簡単に小売りを整理するというようなことはできないわけでございますから、私ども、何年間でスーパーマーケットをどの程度張りめぐらしてというふうな計画はございません。それで通産省とも相談しながら、小売りの近代化のための資金の融通をかたわらでやりながら、無恥のない形でできるだけ近代化、大型化をはかっていくというふうに現在考えております。
  59. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大体この青果物類は、スーパーマーケットをやってももうからないんですね。結局はロスもあるし、顧客がきちんと来てくれればいいが、さっき言ったように小さい八百屋さんで、便利な、見なれた顔の八百屋さんで買ったほうが奥さん方はいいという消費慣習というか、主婦のものを買う姿勢にも、私はスーパーにする場合には一つ改善しなきゃならない問題があると思うのです。そういうような問題がいろいろからまってまいりますから、一体小売りマージンは高いのか、適正なのか、安いのか、この判定もなかなか議論があるところだと私は思うのです。しかし、やはりそこを議論しないと、いまの小売り——とにかく大量生産、薄利多売の資本主義経済の機構の中で、どうして大量生産、薄利多売の競争に勝つかということになりますと、これは非常なむずかしい問題がある。しかし、むずかしいからといって避けて通るわけにいかない。私はこれが役人の苦しいところだと思うのです。そこで避けずにそれを通るには、一体いまの小売り商の実態をどう把握し、どう改善するかということを真剣にひとつ考えてもらいたいのであります。  そこで、まず第一にお尋ねいたしますが、一体小売りマージンは高いと判断をするか、適正と判断するか、ちょっと幾つかの八百屋の例を引き出して、適正規模の八百屋で一日どれくらいの売り上げがあって、一人に換算してどれくらいの所得になって、一カ月どうだというそういう調査は、おそらく企画庁なり通産省なり農林省でやっておると思うのですが、その数字を一、二明らかにしてもらいたい。
  60. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 資料としては、小売り商に関する通産省の調査がございます。私、いま手元に持っておりませんので詳細に申し上げることはできませんけれども、私ども三十七年以降追跡調査をいたしましたもので申し上げますと、ものによっても違い、また実は日によっても違うわけでございますけれども白菜、ニンジン、大根、ネギ、タマネギ、キュウリ等それぞれ産地あるいは銘柄のきまっておるものでございますが、三十七年の調査によりますと、白菜小売りマージンが二九・四%、ニンジンで三一・七%、大根で二四%、ネギで三三%等とございます。それ以降の調査もございますけれども、おおむね三割前後というところであります。これは、小売り商が東京にずいぶんおりますけれども、別に非常にもうけて産をなしておるという八百屋さんもそう多くはないわけでございますから、やはり中小企業といいますよりも零細企業で、自分の労働あるいは家族労働、一人か二人の使用人の給料等々で、生活程度が上がるに従ってマージンの額も多少上がっていくという実態で、私ども安いというふうにも思いませんけれども、高くてけしからぬというふうにも現在考えておらないのであります。
  61. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 高からず安からず、まあまあ適当なところだという御判断のようでありますが、その点につきまして、私は国税庁長官にこの間大蔵委員会で一応注文をつけておきまして、全国の各県の都市の八百屋さんの所得、経費、そういうものを全部一覧表にして出してほしいという要求を国税庁にしておきました。おそらく農林省に頼んでも、農林省はもうのらりくらりでおそらく答えは出ない。私は、農林省はあまり消費者の立場に立っていないという判断に立っておりますので、これは国税庁側から正確な数字を出してもらって、後日の委員会でひとつ、所得構成の中でどういう商売であるかという性格をまず論じないと、一つ一つの品物に対して何%マージンをとっているということでは議論は進まないのです。問題は、八百屋がこれだけのマージンをとらなければならない必然性は何か、これから論議しなければだめです。  そこで私は、八百屋の規模を小、中、大と分けて、所得の分布をきちっと出してみる。そうすれば、一定以上の八百屋さんに対しては、こういう措置で政府は指導すればよろしいじゃないかという問題が一つ出てくる。それから零細な、ほんとうに家族労働だけで、いわゆる公正な賃金というものを支払わない八百屋というものがある。この場合は、いま言ったロスは奥さん方におまけにくれてやることも可能だし、あるいは仲買い人から買ってきた値段だけで、一銭ももうけずに売ることも、労賃部分というものは給与として払われていない八百屋の場合は可能なわけですね。完全なコスト計算というものをしなくても、何とかやっていける八百屋さんもあるわけです。そういうように非常にバラエティーに富んでおる。  そこで、一体八百屋の一日の売り上げの平均というものはどうなんだろうか。いろいろ文書や資料あるいは学者などの研究の資料を手に入れて読んでみるのでありますが、なかなか適切なものがない。一例を申し上げてみたいと思いますが、一日平均一人当たりの売り上げ高から見ると、大体、中以下の八百屋さんは、従業員一人当たり一万五千円程度です。しかも、それをこえる店というのは、全国の八百屋の中の大体一〇%にすぎない。大半の八百屋さんは非常にわずかな売り上げしかない。こういう状態ですから、八百屋さんのこまかいのがどんどんできては困るのです。行政指導上はあまりできると困るわけですね。しかし、八百屋さんというものを制限する法律はありません。たばこや酒屋のように許可制で商売するわけではありませんから、魚屋や八百屋に十年もつとめて、こつこつ日銭をためて、百万円もたまれば、八百屋を始める気になればすぐできるわけです。仲買い人に顔見知りでもいれば、どこか店だけ権利金を出せば、翌日から中央市場にすっ飛んでいけばすぐ八百屋を始めることもできる。あるのは、保健所の衛生許可くらいなものですからね。かりに大きなスーパーをつくりましても、いまのような価格形成が続く限りだめですね。コントロールできませんよ。というのは、たとえばコールドチェーンをつくったところで、コールドチェーンの卸す値段は、中央卸売市場せりの値段で卸すのです。価格形成があそこで行なわれて、流通機構だけ合理化されたって値段は下がらない、こういう問題も出てくるわけです。  だから、小売り商の存在意義というものは、長い伝統という歴史を持っておるわけですから、これにどのようにメスを入れて、ほんとうに消費者価格の低下にこれが結びつくような役割りが果たせるだろうか、なかなかむずかしい問題だと思いますが、先ほどの局長の御意見では、公営市場中央卸売市場に予算をふやしたり、あるいはスーパーマーケットを指導したり、いろいろやるべきことがあるという御意見でございますが、この問題はある程度宿命的なものを背負っているから、国がほんとうに本腰を入れて、八百屋、青果物に対する行政指導——法律で規制ができないにしても、一定の規格をきめたり、やるべきことはまだある。また、八百屋さんの使う冷蔵庫や自動車に対しては、特別償却を一年間に五〇%認めようとか、何かもっと国としてやるべき小売り業に対する対策というものが必要である。社会党の理論からいけば、零細企業切り捨てはけしからぬという議論が出てくる。大企業にして、寡占企業にどんどん発展するような資本主義には反対である、こういう公式論をいつも言い出します。しかし、そういう議論では解決されない問題が、この流通機構の中には大きな問題としてあるわけでありますから、これについては、政府側も真剣な検討を願いたいと思います。  何といっても青果物については、資本主義体制下にありながら不完全競争であるというところに大きな問題がある。この不完全競争をどう完全競争のワクの中に入れるようにするかということも、一つの視点であると思うのです。そこいらの視点は、どちらにウエートを置いて担当官は力を注いでいこうとしておられるのか。そこいらの小売り商に対する視点の当て方だけでいいから伺いたい。具体的な中身については、まだ無理でしょうかられ。
  62. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 先ほどから先生は、農林省は生産行政ばかりで、消費者行政をやっておらないという御批判でございますが、私ども農林省は農林食糧省のつもりでおりますので、食糧関係流通小売りを含めての流通の行政を所管しておりまして、消費者対策をかかえているために、実際問題としてずいぶん苦労いたしておるわけでございます。決して生産行政だけをやっておるわけではございません。  それから、先生の御質問お答えに入ります前に、実は通産省で商業統計がございまして、野菜、果実の年間の一店当たりの販売額等がございますので、御参考のために申し上げます。  これは、三十九年の数字でございますが、全国で年間の販売額が一店四百五十三万九千円、それで常時の従事者数が平均して二・六人でございますから、一人当たりの年間の販売額は百七十三万七千円でございます。これを東京、大阪、京都などの七大柳市に限定して申し上げますと、年間の販売商は、一店当たり六百六十六万七千円、それから常時従事者数が平均三・一人、したがいまして、一人当たりの年間の販売額は二百十七万六千円というふうになっております。  それから、小売り店に対する行政の、いわば心がまえの問題ですが、別の機会にあるいは御説明申し上げたかわかりませんが、私ども小売り商、特に生鮮食料品小売り商を近代化するために、どのように考えたらいいかということで、実は去年の夏以来業者の代表を含めまして、相当大きな人数で協議会をつくって真剣に検討をいたしております。その検討の中間報告を実は昨年出しまして、私が申し上げました公設小売市場の創設の問題も、その一つの協議の結果を受けて、私ども措置した次第で、最近またこれを再開いたしまして、小売りの実態、店員の教育の問題でありますとか、あるいは農業と同じようにあと取りが非常に確保難におちいっておるようでございますので、これをどうしたらいいかとか、あるいは包装、規格等をどうしたらいいかというようなことを議論してもらいまして、その成果が、予算的措置が必要でございますれば、四十三年度においてこれを実現いたしたいというふうに考えております。あわせて、消費者教育というと多少いやな響きがあるわけでございますけれども、先ほど先生が言われた小売り商と消費者の結びつきというものは、いわば伝統的な面もあるわけで、その中には確かに合理的でない面もあるわけであります。私は、いまのような消費者小売り商との結びつきがそのままずっと長く続くというふうには、実は必ずしも考えておりません。これは釈迦に説法でございましょうが、東京と大阪とで主婦の買いものに対する態度が違うということがよくいわれております。大阪では主婦が公設市場のあるところまで、相当遠くまで出かけて買うが、東京ではなかなかそうはなっておらないという問題もございまして、消費者教育と言うと語弊がありますけれども消費者がいいものを安く買うようにするにはどういうふうに考えてもらったらいいかということも、この協議会の一つの問題にいたしたい。また私どもは、そのためには予算的に多少の措置を講じておりまして、昨年の十一月からテレビ放送で一週三回くらい、午後に十五分か二十分くらいやりまして、市場にどういうものがたくさん入荷しているか、値段は幾らか、賢い得なものは何か、その料理方法はどうかというようなことを放送いたしております。実は昨年は東京だけでやりましたけれども、四十二年度からは東京と大阪にそれを拡充いたしまして、私ども、多少てまえみそになるかもしれませんが、市場関係者から聞きますと、お買い得だという放送をした品物は、大体夕方までにきれいに小売りで売れるので、相当な影響力があるんだというふうに私どもは聞いておるわけでございます。
  63. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あなたは、消費者の立場に立って、農林省は生産と消費とのバランス考えて施策をやっているとおっしゃるのですが、これだけ総理大臣以下各大臣が、本会議でも各委員会でも物価安定を叫んでおるときに、特に物価の上昇率が、全体の率が下がってきた中でも生鮮食料品が高いという情勢のときに、具体的な即効薬としてなぜ租税特別措置なり何なりで、八百屋なりあるいは市場なりの問題を大蔵省へ要求しないのですか。したけれどもけられたのですか。ほかは、社会開発だといって、いわゆる都心に乗り入れの鉄道のこれからの予算に対しては極度の償却を認めるとか、公害の問題でも、いろいろこう出てきたのですよ。ところが、佐藤総理の言う柱の中の物価安定については何も出てこないじゃないですか。そこらがやはり怠慢だと思うのです。やはり即効薬は即効薬として、長期の見通しは、資本主義だから物価が上がるのはやむを得ないというあきらめの中にも、長期に立った物価対策は必要である。と同時に即効薬をしなければ、消費者のほうを見ているとは言えないじゃないですか。そこらはなぜやらなかったのですか。やったけれどもけられたのですか。物価安定をやるために、小売り商なら小売り商に対する何らかの、大蔵省あたりでできる問題をやってくれということを注文をつけたのかつけないのか、そこらあたりを明らかにしてください。
  64. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども物価安定の一助として、小売り商に対する金融の問題を相当熱心にやっております。いま御指摘の税金の問題がそのまま物価対策ということでつながるかどうかということにつきましては、相当問題がございまして、私ども税金の問題は、実は大蔵省とはまだ話しておりません。
  65. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私は、やはりこういうときには即効薬としてのきき目はあると思うのです。たとえば農協や生協に対しては、留保所得に対する課税を二分の一にしてやり、そして資本蓄積ができるようにしてやる。小さな八百屋さんは、白色申告だけれども、八百屋は忙しくて、朝四時に起きて、夜は窓を締めてからも、包装だとか翌日のいろんな用で、夜の十一時、十二時までかせぐ、だからお前らは、青色申告した場合でも、普通の青色申告のようなきちょうめんな、きちっとした元帳は要らない。要するに、買い入れたときの伝票なら伝票をきちっととっておけば青色申告を認めることにしてやろう。同時に、その中から、家族の労働が特にひどいから、こういう場合には、法人でなくても専従者控除というものはこういうようにしてやろう、そういうような税の面で自分の企業が成り立つようなある程度の配慮をしてやれば、マージン率というものがある程度下がったって所得は出るのですから、だから私は、税制面から物価対策というものは全く考えられないという局長のいまの御意見は、ちょっといただけないのですよ。やはりそういうときにはやるべきじゃなかろうか。それはほんとうの時限立法にして、ただしまた通常の形に戻ったときにははずすという。そういう慣例でやらぬと、大企業ばかりみな租税特別措置をしてどんどんめんどうを見て、零細なそういう商人は全くめんどうを見られないという、その論拠もおかしいので、やはりそういうものはできるだけ思いやりのある施策をやってやっていいのではなかろうか。いままでやらなかったのだからしかたがありませんけれども、きき目がないということはございませんよ。なかなかそれを突破することは、大蔵省の壁は厚いかもしれませんよ。厚いかもしれませんが、総理大臣みずからが物価安定を口にしているいまがチャンスですから、そういうときにこそ八百屋さんや魚屋さんの問題にライトを当てて、税制面でも考慮すべきだ。これは参考意見としてよく頭に入れておいていただきます。  次に、小売りのほうは、マージンは高からず安からず、まあまあ適正なところであろうという局長の御意見でありますが、そのあとの仲買い人、荷受け会社、こういうところのマージンの取りぐあいはどうですか。あなたのほうの御判断では、これも局からず安からず、むだのないところでありますか。
  66. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども、先ほど申し上げましたところの三十八年七月に流通改善の閣議決定をいたしましたときには、卸売り人のマージンを若干引き下げました。これは、卸売り人のマージンを下げることが直接消費者物価の引き下げにつながるというようには特に言えないけれども卸売り人の手数料を引き下げると当然生産者手取りがふえるわけでありますから、それは生産の安定を呼ぶという判断で引き下げたわけであります。三十八年の九月に引き下げまして、野菜が一箱八・五%、くだものが七%、魚五・五%というふうにいたしたわけでございますが、その後の卸売り会社の監査あるいは経理の指導等をやっておりますたてまえから申し上げますと、大体青果、水産ともども、卸の経営が悪いことはございません。悪いことはございませんけれども、しかし、水産、青果おしなべまして、一般の卸売り業に対する人件費に比べまして、一人当たりの賃金が非常に安い状態になっておりますことから、その人件費の値上げの圧力がだんだん強くなってくるのではないか。あるいは産地に対する奨励金等々の問題もございますが、いまの段階では、卸売り人の手数料を引き下げるだけ卸のゆとりができているとは、実は考えられないわけであります。ただ、これは私ども主十八年九月に引き下げた経緯もございますから、別に不当にもうけさせるという趣旨では毛頭ございませんから、卸の経営からみて、十分基礎が固まって手数料の引き下げが可能であるような事態が来ますれば、これを引き下げることに私ども決してちゅうちょはいたさないつもりでございます。ただ、現在の段階で言いますと、まだ相当無理ではないかというふうに判断いたしております。
  67. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私も市場を見学したときに感じたのは、荷受け会社というのはかなり数も整理されて、ある程度姿勢がきちっとしてきたような気がするのです。ただ、リンゴなどのように、箱にちゃんと詰まっているものを七%とるというのは、一体そんなにも手数料というものはかかるものだろうか。あそこへ持ってきてせりにかけるまでの場所代というものは、倉庫料みたいな形のものは、かなりがさばりますからかかるかもしれませんが、一体リンゴから七%とるというようなことは妥当であるかどうかというようなことも、あそこへ行ってみて感じたわけであります。  それからもう一つ、仲買い人のマージンというものは五%前後だ、農林省ではこう公式的に言っておりますが、あそこへ行ってみたところ、どうも五%程度でとどまるような実情じゃないじゃないですか。もちろんあそこでせられたもの以外のものをかなり売っておりますから、他の市場から持っていったものをかなり売っているようでありますから、そういうふうな利益がかなりあるかもしれませんが、仲買い人の従業員の数、さらに売り上げ金額、そういうようなものの調査といいますか、それを小売り店と同じように、あったらちょっと明らかにしてください。
  68. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 仲買人のマージンは、別に卸売りと同じようにぴっちりきめておりませんけれども、私ども、これはかねて申し上げてあると思いますが、大体五%からもう少し上回って、八、九%あるいは一割くらいの間で、平均をいたしますと、大体七%前後であろうというふうに申し上げておるはずでございます。確かに仲買い人の数は青果、水産とも相当多くて、中には弱小のものも確かにございますので、私ども先ほど申し上げた三十八年七月の閣議決定のあとで、仲買人の整理、といってもむずかしいわけでありますが、統合して、法人化するような指導をいたしております。青果、水産ともども相当な実績があがっておるわけでございます。
  69. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵委員会のほうへも行ってまた質問をしなければなりませんので、なかなか忙がしい時間でございますので……。  真犯人をいろいろ見つけ出そうと思いましても、真犯人はうしろのほうへ隠れちゃって、小売りマージンもまあまあ適正、荷受け会社もそれほどぼろくはない、仲買い人も平均七%程度だ、こうなると、流通機構の消費者価格に占めるウエートというものはそうばかでかいものではない。したがって、これらは真犯人じゃなくて幇助罪くらいで、真犯人はほかにいることになるような感じがいたすわけであります。そこで、私はやはり犯人は農林省の生産指導と、これに対する適切なる作付計画などを持たない怠慢にある。ここらにまあまあ小犯人がおる。その上に大きい犯人は、日本銀行と大蔵大臣の金融財政政策の失敗にある。こういうところだと私は思って、その小犯人の問題に少し論を進めてみたいと思うわけであります。  冒頭に局長は、何と言っても需給のアンバランスだ、生産のおくれだ、こうおっしゃいました。確かに資本主義の経済ですから、需給関係によって価格はきまる。百姓がこの値段でこの野菜を売りたいと思っても、中央市場でのせりできまるんですから、生産者自分の思うような利益はとれない。結局品の出薄、品の豊富いかんによって中央のせり場できまってしまう。そうすると、これはやはり生産がうんとできれば値が安くなる。農民の立場になれば、安くなるのにうんとつくったんじゃ豊作貧乏だからほどほどの生産でいこう、こういう気持ちが働きますね。だから、卵がうんとできれば卵の値段が下がって、えさ代を払ったら農民がえさ屋のえさだった。豚がいいと農林省が教えるから、五千円、六千円の小豚をどんどん買って、うんと速効飼料をくれて太らせて売った、そして飼料屋の経費を払ってみたら、さいふの中はとんとんだった、こういう笑えない話が生産君側の姿であります。  そこで、農林省は野菜生産出荷安定法なんという法律をつくったけれども、実際にはこの法律が行為を果たしているのかどうか。この法律を、いま突然見たのでありますが、これは、価格の低落に対処することがまず目的ですね。値が下がらぬようにすることです。値が下がらぬということは、あんまり野菜の生産をばんばんさせないで、ほどほどのところで生産させておいて、値が下がると協会の基金で補給交付金を出さなければならぬから、あまり下がるような指導もできぬし、さりとてあんまり足りなければ、物価委員会なんかに呼び出されてぎゃあぎゃあやられて困るから、なかなかこれは農林省もむずかしいところですね。農林省はむずかしいところだけれども、この法律の姿勢が、この見出しを見たら、野菜生産出荷安定法というから消費者のほうを向いているのかと思っていたら、これは違いますね。生産者向けですね、この法律の向いているほうは。
  70. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 園芸局長も参っておりますから、私が答えるのもあまり適当ではないかもしれませんが、私ども生産者に対して価格の安定をすることは、同時に、先ほど申し上げました生産の安定的増大につながるわけでございますから、これは結局消費者価格を安定させる一番大きなきめ手であろうというふうに思います。したがいまして、この法律は、いま先生が御指摘になりましたように、生産者向きであるようでありますけれども、それは消費者政策に十分つながっておるというように考えます。
  71. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 十分つながっておるかどうかは、この条文を見なければだめなんですね。この条文がいかに実践されているかという問題です。そこで、いかに実践されているかをちょっとお尋ねしますが、現在、産地の指定というのはどのくらい行なって、どういう判断でそういう指定が行なわれているか、ひとつその計画をちょっと明らかにしてください。
  72. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 御説明いたします。  野菜生産出荷安定法の骨子は、野菜指定産地を育成するということでありまして、全国各地で野菜がいろいろ生産されておりますが、その中でも特に国民生活上重要な地位を占めております幾つかの野菜を、大都市へ安定的に供給し得る、そういう可能性のある産地品目別に、いろいろの動向とにらみ合わせて指定をするということで、昭和四十一年度の指定で、昨年の四月に法律が通過いたしました直後に、六品目で三百十産地の指定をいたしております。なお、現在国会で御審議をいただいております四十二年度予算におきましては、さらに二品目を追加いたしまして、新たに百三十産地を追加したいという計画になっております。したがいまして、近々八品目の主要な野菜について四百四十の野菜指定産地が指定をされるということになっておるわけでございます。なお、この野菜指定の各産地が、それぞれ産地の体質を改善するための計画を立てる、その計画を具体的に利用、実施していくという計画も、昨年度から始まったのでございます。
  73. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その四百四十カ所の指定地で、大体東京出荷する中心の指定地というのは何カ所くらいあるのですか。大部分が東京市場出荷するという指定地です。
  74. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 現在の指定産地は、東京だけでなく、京浜、京阪神、中京、北九州の四大消費地出荷してくれる産地ということで、産地によりましては京浜市場へ出すというばかりでなくて、中京にも出すあるいは京阪神にも出すという産地もありますから、必ずしも京浜だけという数字はございませんが、まず半分から三分の二程度は、もっぱら京浜に出すか、あるいは他の産地と同様に、京浜にも出すという産地になっております。
  75. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの中央市場価格というものが、現在くらいの価格で維持されることを農林省なり皆さんは希望しておるのか。それとも、いまの価格よりももうちょっと平均的に下がるところで安定と呼びたいのか。安定ということばの中身はいろいろありまして、安いところの安定もあれば、安いところの安定もあるし、まあまあちょうどいいという安定もあるでしょうが、大体いつごろの値段を安定的な水準に持っていこうというねらいはあると思うのです。それにマッチさせるための産地指定をどのくらいふやせばどういう種類のものをどのくらいどの地方にふやせば、大体値段がそう変動しないで、農民の所得も確保され、消費者にもそう不満を持たれない価格、値段を維持するかという、中央市場せりの量と、この産地の指定の面積、作付というものとのバランス考えなければ、今度は指定だけどんどんふやせば、過剰になって値が下がって農民が文句を言う。そうして、とても農林省の言うことは聞けぬ、農林省の逆をいけばもうかるという農民の意識になってしまうのですね。だから、そこらの青写真というものは非常にむずかしい判断ですね。そこいらは農林省はどういう判断に立っておりますか。
  76. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 野菜の価格季節によりまして、季節ものが出てまいったりあるいは露地ものが出てまいったりということで、年間を通じての価格の安定といいますのは、ごく一部の品目を除きましてはなかなか困難でございます。そういう意味におきまして野菜の産地指定も、それぞれの出荷時期といいますか、産地の作方といいますか、そういうものを類別に、それぞれ需要の動向に合うように指定をしていきたいということで、現在の三百十産地、これは、この三百十の指定産地以外に、まだ都市近郊の零細なまとまりのない産地からも品物が出てくるということでございますので、六品目で、大体の大消費地へ入ってまいります指定産地シェアと申しますか、これが約五二、三%になっております。私どもはこれをもう少し上げまして、大消費地へ向ける需要量の三分の二くらいを野菜指定産地でカバーできるというような計画で考えておるわけでございます。
  77. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 三分の二が確保され、しかも作付計画が立つということになれば、かなり前進しますね。しかし、その三分の二までもっていくのには何年かかりますか。農林省の指導は何年先になりますか。
  78. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 産地の指定のほうは、実はことし四十二年度で大体四百四十ということでございまして、大消費地に対する指定産地のカバー率が、大体六割前後になるのではないかというふうに考えております。八品目のままでいきますれば——来年度も若干追加をいたしまして、一応産地指定はその程度というふうに考えておりますが、産地指定だけでは効果を発揮できませんので、昨年度から始まった各生産地の生産出荷近代化計画の実施、これは各産地ともできるだけ急いでいただきまして、産地指定の年かその次の年、法令上は産地の指定を受けてから三年以内に立てていただきたいということになっておりますが、できるだけ産地指定を受けた年かその次の年にやっていただくようにする。それから、たとえば雨が降らないので野菜が不作になったということにならないようにするためのスプリンクラーの導入とか、そういうような具体的な事業になるわけですが、これは各産地が計画に基づきまして三カ年の間に実施をしていただくということで、現在のところではこの四百四十の産地がすべて着工するに至りますまで、まだ四、五年かかるのではないかというふうに考えております。
  79. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 婦人委員長の期待である青果物の値下がり、あるいは安定も、まだ三、四年先にいきそうな答弁で、委員長はなはだ御不満だろうと思うのです。私も同感に思います。  そこで、この安定資金協会を組織して、そこから補給交付金を出す。その場合の国の施策として援助、助成、それは金融の面、税制の面、補助金の面で何ぼくらい出すのか。それからもう一つは、政府は交付金を出さなければならないという法律規定になっているけれども、すでに昨年七月この法律ができてから今日の予算までで、どのくらい政府は金を出したというのですか。
  80. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 野菜の生産対策といたしましての生産出荷近代化事業あるいは近代化計画に対する補助金、これが昨年が大体一億四、五千万程度、それからことしが、昨年着工いたしましたものの第二年度分と、それからことし新たに着工する産地がございますので、三億程度になる予定でございます。  そのほかに価格補てん、これの関係の事業といたしましては、実はキャベツ、タマネギとを、昭和三十八、九年ごろから民間の財団法人を組織いたさせまして、国が三分の一の資金の助成をして昨年の夏までやってまいった。それをこの法律に基づきます社団的な法人に昨年から改組いたしたわけであります。その際、従来は財団法人でございますから、基本財産的なものに対する国の助成もなかったわけでございますが、初めて国といたしまして基本財産的な金として一億円を交付するというほかに、従来財団法人方式でやっておりました場合と異なりまして、国の資金造成に対する補助率を昨年度から二分の一に上げる。したがいましてそれ以前は、生産者三分の一、都道府県が三分の一、国が三分の一ということで仕事をやりかけてまいりましたのを、昨年度から国が二分の一、生産者が四分の一というふうにして生産者負担の軽減をはかっておるわけでございます。  なお、昨年発足いたします際に、新たに白菜も追加をいたしまして、現在三品目で約十億円の資金をこの協会は造成をしておるわけでございます。
  81. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの農林省の野菜生産出荷安定法は、社会党の物価安定緊急措置法案がかなり刺激をして誕生をした。われわれは、実は昨年この法案が出たときに内心賛意を表しておったわけであります。しかし、これの運用をきちっとやって、作付計画など、ほんとうに農林省の指導を誤りのないようにしないと効果はなくなりますから、この運用は十分力を注いでいただきたいと強く要望しておきます。さらに予算もわずかしか出ていないという点については、与野党とも十分これらにも目を当てて、明年度からはさらにこれらの点検を十分して、万遺漏のない作付計画の遂行ができるように、一そう力を入れていただきたいと思います。  最後に水産庁にお尋ねいたしますが、やはり需給の問題が基本だということになりますと、水産物の確保、漁場の開拓、魚類をどう確保するかという大きな国家的見地から、これらの問題についてもメスを入れなければならぬと思うのですが、漁場の開拓についての水産庁の指導方針はどうなんですか。
  82. 山中義一

    ○山中政府委員 先生御指摘のとおり、この物価の問題は、基本的には供給需要バランスをはかるということにあると思っております。したがいまして、水産庁としては生産増強のための施策といたしまして、わが水産庁の予算の大部分が、むしろ全部がこれに当たると申し上げても過言ではないと思っておるのでございますけれども、先生のいまの御質問の新漁場の開拓という点に問題をしぼって申し上げますと、この四十二年度予算といたしましても、海外漁場の開発の推進というような点に力を入れまして、三千トン以上の調査船、これは漁場開発に主として使うつもりでございますけれども、これをことしの九月に就航させまして、遠く世界の各地へ新しい漁場を求めてまいりたい。それから、国際漁業関係の問題が非常に問題になっておりますので、このような点におきましても、直接、国が業界の船を雇い上げまして、これでいまだ開拓されていない漁場へ、たとえばアフリカの浮き魚——いままではおもに底魚をやっているわけでございますが、浮き魚につきましても、業界の船を借り上げて調査をする、こういうことも考えております。
  83. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 もう一点、魚類が足りぬというので、たとえばソ連からニシンを緊急輸入しょう、あるいはどこからか買おうという場合に、これが値段に好影響を与えてくれなければ困ると思うのです。ところが、ニシンは買ったわ、消費者に直接安い値でそれがいくのかと思えば、中間の生産者団体、漁業団体、そういうところへ輸入したものが割り当てになってしまう。値段は依然として安くならない。こういう輸入のしかたに私は問題があると思うのであります。ですから、やはり輸入されたものをどこから売らせるかという問題を、大きな一つ流通過程の中で改善をする必要があると思うのでありますが、その辺についてはどう考えますか。
  84. 山中義一

    ○山中政府委員 ニシンの輸入につきましては、これは輸入の当初の水産庁の考え方が、日本の北海道のニシン地帯の沿岸漁業者が非常に困っておりますので、これらに加工——これは御案内のとおり、ニシン業者というのはいままで北海道の沿岸におりまして、魚をとると同時に、カズノコをとったり、ミガキニシンなどを家族の手で生産して回しておるというような点がございまして、北海道の漁業協同組合連合会が一手にその輸入の割り当てを受けておるわけでございます。しかし、先生のいまお話しの値段の点につきましては、ニシンは昨年、一昨年、その前の年からだんだん下がってきておりまして、今年あたりは、カズノコなどはもう去年の半値近くにも下がっておるというふうに聞いておりますので、これは効果は逐次あがってまいる、こういうふうに考えております。
  85. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それは他に下がるような要因があったから下がっておるのであって、私の言わんとしておるのはもっと原則論です。輸入するときには需給関係がアンバランスになり、緊急にこれは買わなければいかぬということは、大体中心消費者対策としてやるわけですから、したがって、消費者にそれがストレートに好影響をもたらすような手に渡る仕組みを考えていかなければいけない。今回は幸いにカズノコ、ニシンは下がったからいいけれども、肉なんかの場合には買っても下がらぬという不満がいつでも出てきたりするわけです。だから、輸入をして需給バランスをとろうという場合の卸をどうするかということについては、十分配慮してほしいと思いますが、どう思うか。配慮する必要はない、全くいままでと同じだということで踏襲しますか。
  86. 山中義一

    ○山中政府委員 その辺は十分そのルートその他の段階段階に応じまして、先ほど農林経済部長も説明いたしましたように、きめこまかく検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  87. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから、コールドチェーンは科学技術庁で検討の末、一〇%程度今日利用されている。しかし、私はコールドチェンの場合はコストということを考えると、はたしてそれだけのものを使って採算割れをしないでやれる業者というのがどの程度おるか、いろんな問題はあると思います。しかし、きょうはその問題について論ずる時間がありませんが、コールドチェーンで卸される品物の値段が中央卸売市場できめられた値段でなければ売れないというようないまのシステム、これではコールドチェーンの誕生の意味がない。価値がない。したがって、やはりコールドチェーンで運んだ生鮮食料品というものの値段は別途、別な角度から検討して出す必要があるのではないか。そういう検討をぜひしていただきたい、そう思うのでありますが、御見解いかがですか。
  88. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 コールドチェーンでも、いろいろ水産物あるいは野菜、くだもの等ものによって違いますから、一がいに言えませんけれども中央卸売市場を経由してそこでせりでさばかれるものもございましょうけれども、あるものにつきましては相当規格化されるわけですから、中央卸売市場せりにかけられないで相対売りという形でいくものが私は相当出てくるのではないかと思います。一がいに全部中央卸売市場せりにかけろというふうにもかたく考えておりません。
  89. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 真犯人はとうとうつかまえるわけにいきませんでしたが、この次はもう少し追跡をして、ややこの辺だというところまでひとつ議論ができますように資料その他の整備をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  90. 戸叶里子

    戸叶委員長 有島重武君。
  91. 有島重武

    有島委員 牛乳の問題について先に聞きます。  先日来、公取のほうでもってコーヒー牛乳、フルーツ牛乳につきまして不当表示のおそれがあるというような、そういうような訓育があるようでございますけれども東京都の衛生研究所に依頼して分析した結果では、明らかに成分から見てこれは牛乳と表示するのはおかしいという結果が出ている、そのような報道がございました。これにつきまして農林省の見解を伺いたい。
  92. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま御質問のございましたコーヒー牛乳、フルーツ牛乳の表示の問題につきましては、これは公正取引委員会におきましてその妥当性について検討中の事項でございまして、われわれもその問題につきまして意見を申し上げるというふうなお話し合いをいたしておるところでございます。  私ども農林省といたしましてはどういう見解かということでございますが、このコーヒー牛乳、フルーツ牛乳は、御承知のように厚生省の規格によりまして乳飲料として分類されておるものでございまして、内容的に乳飲料としての分類になるわけでございますが、その牛乳の成分につきましては、通常の普通飲用牛乳に比べますと、コーヒー牛乳につきましては、いわゆる脂肪分なり乳固形分なりが、商品によって若干の差はございますけれども、約半分ないしは六割程度のいわゆる乳成分が含まれております。なおフルーツ牛乳につきましては、いわゆる果汁を使います関係上、脂肪分はほとんど入っておらないという実態がございます。ただ、牛乳成分といたしましては両者とも普通牛乳の約半分程度の成分があるというふうに考えますと、牛乳という表現自体が誤解を招くかどうかという点についての問題はあろうかと思いますけれども、いわゆる乳製品であるということについては、これは間違いがないことではないか。私どもといたしましては、一般的に牛乳の需要が伸びる、ないしは消費が拡大されるということは必要でございますから、そういう意味におきまして、必ずしもコーヒー牛乳なりフルーツ牛乳なりが広い意味での乳製品ではないというような形で、否定的に取り扱うということはいかがかと思いますけれども、逆に牛乳と表示することが、一般の普通牛乳と同様に考えられるのだというふうな御意見もあろうかと思いますので、その辺のところについて公正取引委員会ともお話をして、それで妥当な線をきめていくということが必要なのではないかというふうに考えております。
  93. 有島重武

    有島委員 牛乳と乳製品との、区別が消費者側といたしましても非常につけにくい状態なわけです。学習院の初等科でも、これを牛乳だと思って使っていたという話がございますけれども、そういうことについて、これは公取のほうの問題だ、あるいは消費者側の問題だとだけ言っておられるのか、それとも農林省としてもこうした問題については何らかの処置を業者のほうにされる考えがあるのか、このまま放置しておくのか、その辺のところを伺いたいわけです。
  94. 松本作衛

    ○松本説明員 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、このコーヒー牛乳なりフルーツ牛乳なりにいたしましても、いわゆる牛乳の、需要といたしましては重要な部門であるというふうに考えておるわけでございますが、ただその際の表示のしかたが、現在は乳飲料という形でそれぞれのびんのキャップにはっきりと表示をすることになっております。そういうふうな乳飲料という表示のほかに、コーヒー牛乳なりフルーツ牛乳という名前を冠しておりますので、その点が誤解を招きやすいというお話であろうかと思います。ですから、その点につきましては、先ほど申しましたように、私どもといたしましては牛乳が入っておらないんだというふうに申し上げることは、かえってそれはまた真実に反するわけでございますが、ただ牛乳という名前が、通常の普通牛乳と同じだけの牛乳分が入っておるというふうに誤解を受けるという御意見もございますから、そのような点につきましては公正取引委員会ともお話し合いした上で、統一的な判断というものが必要になるであろうということで、いまの段階で、私どもとしていいとか悪いとかいうふうに決定的には、ちょっと申し上げられないというふうに思います。
  95. 有島重武

    有島委員 私が伺っているのは、こうした問題についてはっきりと区別をしていくという方針をおとりになるのか、あるいはこのまま成り行きにまかせていく方針なのか、その点のことを伺っているのです。理由を聞いているのじゃない。大体理由はわかりましたが、その方針はまだきまっておらないのか、あるいはあまり区別しないでいく方針であるのか。私どもの印象では、あまり区別をしないでいきたいといったようなお考えのもとにいろいろなことが進んでいるんじゃないか、そういうような印象を受けているわけなんです。その点はどうでしょうか。
  96. 松本作衛

    ○松本説明員 現在の段階でも、先ほど来申しておりますように、乳飲料という形で区分はされておるわけでございますが、それだけで十分かどうかという問題につきましては、公正取引委員会でわれわれも意見を申し上げて、現在検討中の段階でございます。まだきまっておらないということでございます。
  97. 有島重武

    有島委員 農林省の御意見を聞きたいわけなんですけれども、いまここではまずいのでしょうか。公取のほうの意見は、これは不当表示のおそれがあるという意見なんです。同意見であるならば非常に話が早いと思うのですけれども、これはいままでの成り行きにまかしていくほうがいいというような御意見なのか。その点だけを伺って、その先の論議は、きょうは時間がございませんから先にしたいと思うのです。そういうように大体了解していいでしょうか。
  98. 松本作衛

    ○松本説明員 いま話し合いをしている段階でございまして、農林省として必ずこれというふうに決定的なことを、いま申し上げられる段階になっておりません。まだはっきりきまっておらないと申し上げたほうがいいと思います。
  99. 有島重武

    有島委員 その問題については、いまの範囲で農林者の態度がややはっきりわかりました。  それから流通機構の問題でございますが、これは先ほど橋本委員のほうからもお話がありましたけれども情報センターのことは今後大きな問題になってくるんじゃないかと思います。本年度からですか、その予算が出て調査を開始していくようなお話がございましたけれども、これはどこで管轄してやっていくのか。農林省だけでやっていくのか。通産省も経企庁もあるいは水産庁でも、それぞれこれは必要な問題であると思います。おそらくそうした向きでもって、情報センターと銘打たなくても研究調査は進んでいるじゃないかと思うのですが、このことについてまず農林省から……。
  100. 大田康二

    大田説明員 御承知のとおり昭和四十二年度予算で、流通情報サービスの強化の予算を計上いたしたわけでございます。これにつきましては、いま先生お尋ねのように、私のほうの統計調査部で、二、三年前から、従来の生産統計中心であったものを新しく流通統計にかなり切りかえてきておりまして、流通統計に力を入れているのはもちろんでございますが、生鮮食料品の円滑な流通をはかるためには、価格等の流通情報生産者あるいは流通業者、さらには消費者の方々に十分提供するということが必要であろうと思うのでございまして、この点につきましては、従来、先ほども話が出ましたが、テレビあるいはラジオ等を通じまして情報の提供を行なってきておるのでございますが、昭和四十二年度からは、これをさらに流通情報サービスという形で新しく事業を起こし、これは青果物、畜産物等の主要な卸売市場におきます市況情報と、主要な産地産地情報を本省で取りまとめまして、これを、全国の統計調査事務所がございますが、そこにテレタイプにより送信して関係者に速報する、こういう計画にいま相なっております。
  101. 有島重武

    有島委員 これは経企庁なんかではやっていらっしゃらないのでしょうか。
  102. 竹内直一

    竹内説明員 いま農林省からお話のごさいました事業は、農林省でやっていただきましたものを必要があればわれわれのところで利用させていただく、そういうたてまえになっております。
  103. 有島重武

    有島委員 こういった調査は全然やらないわけですか。
  104. 竹内直一

    竹内説明員 はい。
  105. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、経企庁でもっていろいろな結論が出てくるのは、全部農林省からの調査基礎としていろいろな結論が出てくるようなしかけになっているわけですね。
  106. 竹内直一

    竹内説明員 農林省に限りませんが、たとえば通産省あるいは労働省、そういったそれぞれの所管官庁で統計調査仕事をやっておられますが、そういったところから出ました資料を私どもが利用さしていただいている、そういうたてまえでございます。
  107. 有島重武

    有島委員 これは個々の問題になるかと思いますが、整備すべき施設、たとえば電子計算機を使うとか、それから情報網をどのようにしていくとか、そういった点についての御計画はどうなっているのでしょうか。
  108. 大田康二

    大田説明員 電子計算機のお話が出ましたが、電子計算機につきましては、農林省はたしかいまから二年か三年前にすでに入れて、現実に統計のプログラミングのあれについて実際に利用しているという段階になっております。それから、この四十二年度に始めますいわゆるテレタイプによる情報の提供でございますが、これは本省と全国の統計調査事務所四十九カ所あるわけでございますが、これとの間にテレタイプを設置する経費といたしまして、テレタイプの施設費が一億五千七百万円、それからテレタイプの回線使用料が三千三百万円、これは電電公社の専用電信線の使用料でございます。それ以外に流通情報サービスの運営事業費として約一千五百万円、合計二億五百万円、こういった予算を計上いたしまして、先ほど申し上げましたような情報サービスをいたす、こういうことにいたしております。
  109. 有島重武

    有島委員 先ほど橋本委員から求められたような、ああいったデータというのは、最近のものはまだできておらないというお話でございましたけれども、ああいうようなデータというのは、その設備さえできれば自動的に、これを毎日もらおうとすれば即刻得られる、そういう状態になりましょうか。
  110. 大田康二

    大田説明員 先ほども申し上げましたように、統計調査部は二、三年前から流通統計をやっておりまして、その流通統計の結果、先ほどお話の出ましたような中央卸売市場など主要な市場における卸売り価格等がわかるわけでございまして、これはむしろそういった調査に基づいて集ってきたものを私のほうの中央で取りまとめまして、それを四十九カ所ございます統計調査事務所を通じて利用者の方々に流す、その事業をするための施設でございますので、先ほど橋本先生から御要求のございました資料につきましては、すでに現在の施設でできる、こういうことでございます。
  111. 有島重武

    有島委員 いま統計調査部で持っているおもな仕事と申しますと、集ってきたデータの整理提供ということに重点がかかるわけですね。
  112. 大田康二

    大田説明員 そのとおりでございます。
  113. 有島重武

    有島委員 そうすると、今度はその整理すべきデータについて、この点とこの点とこの点はどうしても必要であるというような、そのデータのポイントのきめ方というのはどの辺できまっているのですか。ここでなくてもけっこうでございますけれども、どういった項目にわたってデータをとっておるか、またそれがやや不足なんだけれども、これはこういう事情でしかたがないのでこうした項目にしぼっているとか、そういうことについて、これはきょうでなくてもけっこうですけれども、今度ひとつ書面でもって出していただきたいと思います。
  114. 渡辺文男

    ○渡辺説明員 現在統計でやっております主たる中身は、全国の主要な市場入荷量、おもな品目価格等々でございまして、小売り価格までは全部、全品目についてやっているというふうにはなっておりません。
  115. 有島重武

    有島委員 それについては、今度書面でもって出していただきたいと思いますので、質問はこれでもって打ち切ります。
  116. 戸叶里子

    戸叶委員長 以上で質疑は終わりました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会