○佐々木
政府委員 実はこれに着手いたしまして、実際に仕事に入りましたのは九月でございまして、今日引き続いてやっておりまして、本年度の予算の御承認がいただけましたら、来年の三月一ぱいまで続けるということでございます。実際はコールドチェーンの仕事そのものは低温
流通でございますから、夏場に向かうこれからが、いわばコールドチェーンのほんとうのいいところが出てくるということがあるのではないかと思います。したがいまして、秋から冬を通じて春先までというところの経過だけについて、いままでの
考え方を御
報告申し上げるということにとどまるわけでございます。
これは、内容から申しますと、多少の例外はございますが、一品目につきまして、野菜で申しますと、一日おきに出荷いたしまして、おおむね一カ月ということを基準にしております。十五回産地から東京都の市場に運ばれるということでございまして、何しろ野菜につきましては、あるいはくだものにつきましては、日本で初めての経験でもございまして、そのつど技術的には多少の手直しをするということが次々出てきまして、そのつどそれを手直しをしていくということで進んでまいっております。その限りにおきましては、おおむね手直しの範囲で満足すべき状態で品物が東京都に運ばれておるということは申し上げられるかと思います。
ただその間に、産地のほうでコールドチェンの品物として出荷いたしますことにつきまして、多少なれないということがあったりいたしまして、たとえばキャベツとかあるいはキュウリ等については、産地でもってフィルム包装をしてそれから出すわけでございます。そして市場ではそのまま
小売り店に出されるという形でございますので、勢い、選別が悪いといたんだものがそのまま包装されて市場に出てくる。普通の場合ですと、上物でございますと、適当にそれをのけて売るということができるのでございますが、その点が、いいものと悪いものとがまざってしまうということで不便を感じて、そこで、さっそく産地のほうに人が出向いたりいたしまして、普通物以上に選別をきびしくするようにというようなことも、技術的にはあるわけでございます。そういった問題を起こしながら、それを手直ししながら、喜ばれている品物が市場に出ているということで、むしろ私
どもの実験の中でも、アンケート等をとりますと、おおむねよろしいないしは非常によろしいというのが八、九割、特にキュウリなどは、おすし屋さんが、例のカッパのすしに使うので、非常によろしいということでお得意がつくといったような状態でございますし、また、たとえばニンジンでございますが、九州とか北海道ないしは青森のニンジンの東京への出荷というものは、どろつきで出しております。洗って丁寧にしますと、そのためにきずがついていたみが早い。しかしながら、市場のほうではどろつきはあまり好まれないというところから、お
値段が大体三分の二ぐらいのところですか、半分までは下がりませんか、非常に安く出荷しておるといったものが、産地洗いにして、
消費者にすぐ喜ばれる形に仕上げて送りましてもいたまない、長距離輸送をやってもいたまない、こういうようなことから、産地も非常に希望を持ってきておるといったようなこともございます。
品質の点ではおおむね大過なく、さらに、暑い時期に向かいまして大いに効果が出せるのではないかというふうに期待しております。
それから、同じコールドチェーンでも、実は青果物が
中心でやっております。と申しますのは、科学技術庁の姿勢としては技術の開発ということが
中心でございまして、たとえば魚のようなものは、すでに
農林省で事業としておやりになっておるということで、これは取り上げておりません。肉も若干いたしておりますが、これも実際は、低温で
流通しておるものも、魚ほどではございません、あるいは
牛乳ほどではございませんけれ
ども、多少はある。しかし問題がありますので、そこら辺の打開に乗り出しておるといったようなことでございます。肉につきましては、実は実験受託者の工場ができましたのが予定よりややおくれまして、一月から操業を開始したということもございまして、いまのところ特に問題はございません。特によくいったとか悪くいったとかというふうに、結論を下す
段階まではまだいっておらないというのが実情でございます。
それから、いわゆる海上輸送の問題がやはりございまして、これは、同じ輸送いたしますのも、ほかの場合はトラックとか貸車でございますか、冷蔵コンテナを船に乗せて輸送するという問題を取り扱っております。これも、いままでのところは、非常に鮮度の高いものが特に南九州からでございますが、勢い東京市場ではわりあい珍しいものを届けておるということでございまして、多少問題は残しながらも、全体としては鮮度の高いものを送る技術が
一つ見通しがついたということでございます。
それからチェーンでない、そのチェーンを展開させますのに必要な部分と申しますか、そういった点につきまして、たとえば二十世紀ないしはカキのガス貯蔵の、私
どもこれをスポット調査と申しておりますが、そういうこともいたしております。それにつきましては、大体一冬いたしまして、二十世紀等については三月までガス貯蔵をやっても、どうやらりっぱな商品として消費に向けることができそうなところまで到達いたしております。それからカキにつきましては、大体一月一ぱいぐらいまでは、ことしの実験では、まあまあ商品として使えそうだというところまでまいりましたけれ
ども、これは、ほんとうに進めるということになると、大量のものが動くわけでございますから、これも、もう一冬これを実験すれば、およそ何らかの形がつくのじゃなかろうかというふうに
考えております。
それから最後に、ちょっと質が違いますが、同じスポット調査の中で、最近工場給食とか学校給食が非常に進んでまいりまして、その中でだんだんに大量に
一つの施設がこれを扱うようになってまいりました。また、合理的に安くものを処理いたしますのには、多々ますます弁ずるということになるわけでございます。もっとも、内容に至りますと、むしろ品物を集めて調理するまでに整えるという
段階のものと、それからそれを煮たり焼
いたりして食堂に配るという仕事と、いささか性
質を異にしておりまして、前
段階のほうは大量になるほどいい。そしていつでも調理
段階のところに届けられるようにストックしておくのが合理的にできるのがいい。調理の
段階というのは、むしろ、たくさんの食堂を持っておりますから、それをいっときに一定の時間に届けるというためには、あまりふえては困る。それを
合理化するのには、むしろ食材の調達調製とその食材を調理するということとの二
段階に分化させまして、食材の調達調製の上それを調理部門に届けるという
段階までのところで
一つの実験が行なわれるということになれば、その場合、当然温度からいいますと、前
段階が低温帯であり、後段の調理が高温帯ということになるわけでございますが、その前
段階の分について、全国給食協同組合連合会などが施設をつくりましたので、そこに委託をいたしまして、そういう低温における食材の物の出し入れというところに
一つの基準をはっきりさせたいという仕事をしております。これがはっきりすれば、今後そういうのをどんどんおやりいただくという
一つの目安ができてくると思います。この点につきましては、工場がやはりことしの二月にでき上がりまして、三月から仕事を始めておる
段階でございます。これも調査はいたしておりますけれ
ども、しばらくその成果等については御
報告しかねるというのが実情でございます。