運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-04-20 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十日(木曜日)     午前十一時五十一分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 鴨田 宗一君    理事 小峯 柳多君 理事 砂田 重民君    理事 橋本龍太郎君 理事 武部  文君    理事 平岡忠次郎君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       木野 晴夫君    佐藤 文生君       坂村 吉正君    竹内 黎一君       中山 マサ君    粟山  秀君       井上 普方君    唐橋  東君       武藤 山治君    有島 重武君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    竹中喜満太君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁長官   大口 駿一君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局参事官  矢野 智雄君         農林省畜産局参         事官      立川  基君     ————————————— 四月七日  物価安定政策確立に関する請願(柳田秀一君紹  介)(第六七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件  乳価安定に関する件      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより会議を始めます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文
  3. 武部文

    武部委員 この委員会牛乳の、特に小売り値段値上げについて、それぞれ参考人等からもいろいろお話があり、また各委員から、小売り値段値上げ問題についていろいろ意見が出たところでありますが、去る十一月、農林大臣新聞記者会見において次のように発言をしておられます。四月に入ってから各地で値上げが行なわれておるけれども、一びん二円の値上げはほぼ常識的な値上げだ、したがって、二円の値上げはいまの段階から見れば当然だと言わぬばかりの発言農林大臣がしておられるわけであります。前の委員会の際に宮澤企画庁長官は、たとえ生産乳価が上がっても、合理化やその他の方法を講ずることによって消費者乳価値上げは食いとめることができる、またしなければならぬと言われた。したがって、端的にいえば、消費者乳価値上げはいまの段階では反対だというふうに私は受け取ったわけであります。ところが同じ行政府農林大臣がその旬日を出ずして、二円の値上げはほぼ常識的であたりまえだというような発言をし、それが大々的に報道されておるわけでありますが、その点について政府としての答弁をまずお伺いしたい。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 農林大臣がただいま御指摘のとおり発言されましたかどうか、実は私つまびらかにいたしておりません。私の推察でございますけれども、従来農林大臣お話をいたしておりますと、生産者にもう少し手取りをよけいやりたい、そうでないと増産ということもむずかしいということを言っておられました。それは私はそのとおりであると思いますので、おそらくそういう点に重点を置いて発言されたのではなかろうかということ、及び通達を廃止したことについての説明をされたのではなかろうか。これは推察でございますが、私といたしましては、いわゆる通達を廃止したことはもとより基本的に賛成でございます。生産者手取りがふえるということが、即最終消費者価格が上がるんだということに必ずしもつながるものではない。従来、販売機構でやっておりました方法にも多々改善すべきものがあるのではないだろうか。またその改善策については、消費者販売業者が直接に話し合うことによっていろいろな新しいくふうも生まれてくるのではないか。経済企画庁としましては、そういう場を全国あちこちでつくることに努力をいたしたいし、現にそれも開始をいたしたわけでございますが、私どもとしてはそういうふうに考えております。
  5. 武部文

    武部委員 農林大臣出席をしておりませんが、そのことについて、いま宮澤長官のほうからは推測だとおっしゃるけれども現実にこれは相当大きく取り上げられておるわけです。私の承知するところでは、ある県の知事は、何とかこの消費者乳価値上げを食いとめることができぬものだろうかというので、生産者業者を呼んでいま一生懸命努力をしておる。さらに良心的な小売り業者の皆さんも、何とかこの値上げを食いとめることができないものだろうかと一生懸命努力しておるということも私ども承知をしておるわけです。ところがそのような努力をよそに、少なくとも農林大臣が、二円の値上げは常識だ、こういうようなことを発言するということは、このような努力に対して水をぶっかけたということになるという非常な不満が地方においてはあるわけです。したがって、いまの宮澤長官発言農林大臣新聞記者に対する発言とはたいへん大きな食い違いがあって、私どもこの委員会でこの問題についていろいろ論議をした過程から申しますと、まことに不穏当な発言と言わざるを得ないと思いますが、もう一回この点について、農林大臣のそういう言明誤りなのか、政府の方針と違うのか、はっきりとした答弁を願いたい。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 農林大臣発言の趣旨は、私つまびらかでございませんが、いずれにいたしましても、政府が公に消費者価格が二円上がるということはやむを得ないことだ、そういうふうに政府として考えているということはない、これだけは申し上げてよろしいと思います。
  7. 武部文

    武部委員 そうすると、もうこれ以上やっても同じことですから、きょうは本人がいないわけですからやめますが、政府としては、生産者乳価が上がったが、このことによって消費者乳価の二円の値上げというものは本意ではない、このようにとっていいのですか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 少なくとも農林大臣の伝えられるような発言、正確には私存じませんけれども、そうであったといたしますと、それは政府の公式の態度として表明されたものではないと私は思います。
  9. 武部文

    武部委員 農林省の方おられますか。——このことについてはおそらく御承知だと思いますから、農林大臣言明がどのようなものか、農林省として発言ができるならば発言をしてもらいたい。
  10. 立川基

    立川説明員 私はその席におりませんので、明確にどうだというふうに申し上げかねますけれども、私がいままでお伺いしております限りにおきましては、今回の通達の廃止によりまして、価格は両当事者間できめられるべき性格のものでありまして、具体的に二円が妥当であるかどうかということを、大臣が御発言になったというふうには私は聞いておりません。
  11. 武部文

    武部委員 それではこれで終わりますが、新聞の発表が誤りだというふうに解してよろしいですか。
  12. 立川基

    立川説明員 ただいま先生の言われましたように、二円引き上げるのは当然であるという農林大臣発言だというふうに書いてありましたら、私たちが従来伺っております大臣の御真意とは違うと思います。
  13. 武部文

    武部委員 終わります。
  14. 戸叶里子

  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 私はきょうは、選挙中のことでこれという材料を仕入れておるわけではないのでありますが、企画庁長官物価問題の基本的知識と申しますか、現状の科学的認識をまず伺って、非常に複雑多岐にわたる物価問題について、政府はどのように具体的に国民の期待にこたえようとしておるか、そういう点を少々明らかにしたいと思うわけであります。  第一に、宮澤さんの非常に見識高い物価問題に対する認識でありますが、物価がなぜ上がるか、物価の上がる最大の原因は何と認識されておるか、まずこういう原因から物価が上がるのだという順序を、寄与率の多いもの、ウエートの高いものから幾つか、五つばかりをあげてみてもらいたい。こういう原因物価は上がるんだという、五つでけっこうですから……。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は基本的には、非常に高くかつ速い経済成長に、経済の諸部門が短時間に十分即応できていないということから消費者物価の問題が生じておると思います。経済の諸部門と申し上げる意味は、これはもう申し上げるまでもないことかと思いますけれども、低生産性部門、いわゆるサービス業あるいは農業などもそうでございますし、大企業においてすら、私はいろんな意味でこの成長に即応した体制が十分にとれていないのじゃないかと思います。消費面におきましても、消費者の物あるいはサービスに対する消費態度というものがこの速い経済成長に十分に即応していないということがいえると思うのでございます。基本的には問題をそういうふうに意識しております。  そこで寄与率の問題でございますが、これは従来でございますと、生鮮食料品の値上がりの寄与がかなり高うございました。これにはいろいろな理由があると思います。一つは、そもそも農産物でございますから生産性向上がおそいということ、それからその流通機構近代化が、御承知のように十分できておりません。そこにまた人がついておりますから、そういう点の生産性向上もおそかったということ、それから主として大都会地周辺でこれは起こっておることでございますが、人口の急増に対して生産体制が必ずしも直ちに即応していないということ、これらのことが主たる原因であると思いますが、なおもう一つ申せば、これは前段に申し上げましたことに関係いたしますが、生鮮食料品加工あるいは保存という過程を経ないでそのまま消費をするという習慣が存続しておって、しかも鮮度を損じないで加工保存ができるという技術の開発が比較的最近のことで、先進国に比べておくれておったというようなことがやはり一つ理由であったろうと思うのでございます。  それから、その次に寄与率が従来ずっと一貫して、しかも年とともに大きくなってきておると思われますのは、いわゆる保健衛生費であるとか、教養娯楽費であるとか、あるいは教育関係の費用であるとかいうものでございまして、これは主として人件費上昇というものを生産性向上で吸収し得ない、本来吸収することのむずかしい部門でございますが、それがやはり一貫してかなり大きな寄与をしておるように思います。現に昭和四十一年度などは生鮮食料品上昇寄与率は非常に少なかったにもかかわらず、季節商品を除きました、ただいま申しましたものの寄与率は依然として大きいのでございますから、このことの証左になるのではないかと思います。  それから全般の問題といたしましては、私は賃金生産性との関係についてあまり軽々しく発言をすべきだとは思っておりませんけれども、少なくとも労働需給関係の逼迫を背景にいたしまして、高い生産性部門でかなり高い賃金が払われて、しかも労働力が逼迫しておりますために、生産性の低い部門でもそれと競争するくらいの賃金を払わなければ人が雇えない、しかもそれだけ高く払いました賃金は、上産性の低い部門では十分に吸収し得ませんので、それが価格なりサービス料金なりに反映しておる、こういう循環が起こっておることも一つ理由であろうと考えております。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 いま長官五つの、特に物価が上がる原因について、寄与率の大体の順序に従って説明をされました。これについていまお尋ねしようと思いましたが、公明党のほうから、答弁者が十分しかいないから先にやらせてほしいということでありますから、ちょっと中断いたします。
  18. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 有島君。
  19. 有島重武

    有島委員 先日、四月五日の当委員会におきまして牛乳容器の問題が出ておりました。大野参考人のほうからこの容器について、ポリエチレンの袋を使うことの是非について答弁があったわけであります。一つは、ポリエチレンはいまのびんよりもかえって高くなる、第二番目は、消費者がこれを喜ばない、三番目には、うっかりすると漏れてしまう、したがって、世界的にはいかなる国でも実際の経済上の話にはなっておらない。こういうような大野参考人の話がございまして、これをすぐに裏づけまして、舘林政府委員のほうから、「ポリエチレン容器の御質問がございましたが、今日でもポリエチレン容器は許しておるわけでございますが、これは強度のしっかりしたものはかえってびんより高価になります。強度の弱いものは運搬上かえって不便になる。さらに、非常に薄い被膜のような、風船玉のような薄いものは、今日牛乳が非常にばい菌が繁殖しやすい、こういう薄いものは空気を通しやすいということから、まだ採用されておりませんし、業者の側からも申請が出ていない状況でございます。」というようなお話がございましたけれども、これは科学的根拠がしっかりあるのかどうか、たいへん失礼な聞き方でございますけれども、これをもう一ぺん伺っておきたいと思うわけであります。
  20. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お尋ねの件は、非常に薄いもののことかと思います。これは別に申請に基づいて実験をしてみた結果、こう言うことになるという意味で申し上げたわけではございませんで、申請があれば当然そういう点を重視して検討するという意味合いで申し上げたわけでございまして、いままでの申請といたしましては、いま非常に薄いものの申請は受け付けておらないわけでございます。もちろん厚生省といたしましては、非常に薄いものにつきましては、そういう観点から十分検討の上で、差しつかえないものであれば、もちろん牛乳価格が安くなることでございますし、許可いたしたい、かような気持ちでおります。
  21. 有島重武

    有島委員 問題が三つございまして、いまのびんよりも高くなる、この点についてはどうでしょうか。
  22. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ビニールの構造によりまして、非常に薄いものでございますと二、三十銭でございますので、今日のびんよりはるかに安いものになる、かように、私どもは考えております。しかしこれをかなりしっかりした、びんにかわるようなかたい容器ビニールを使う場合もございます。そういうものでございますと、一個当たり三円何がしという価格になりますので、びんよりもかえって高くなるということを申し上げたわけでございまして、ビニールの質を非常に薄いものを使えば、今日びんで使っております場合よりは安くなると思っております。
  23. 有島重武

    有島委員 非常に薄いものとか厚いものとかいうお話がございましたけれども、大体その基準でございますが、私の聞いておりますのではコンマ一ミリくらいのもの、そうして価格においても、びんの場合でございますと回収のこともございますし、これはびんよりもずっと安くなる、そのように聞き及んでおります。いまお話しの薄い、厚いでございますけれども、その基準はどの辺にお置きになるのでしょうか。
  24. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま仰せられましたコンマ一ミリというような程度のものでございますれば、非常に薄いものでございまして、価格もきわめて安いもの、かように思っております。
  25. 有島重武

    有島委員 コンマ一ミリ程度のもので非常に薄いということになりまして、それでは漏れてしまう、そういうお話でございますが、それは科学的な実験を経てのお話でございましょうか。
  26. 舘林宣夫

    舘林政府委員 その点は先ほど申し上げましたように、漏れるおそれを十分検討して、申請があれば検査をいたしたいという気持ちでおるだけでございまして、したがいまして、それは申請に応じて十分衛生的に安全であるという点を確かめて、差しつかえないものであれば許可いたしたい、こういう気持ちでおるということを申し上げただけでございまして、いま具体的にそういう申請があり、そういう点について実験段階にある、こういう段階ではございません。
  27. 有島重武

    有島委員 いまのお話では、このポリエチレンの使用については非常に消極的な立場でいらっしゃる、そういうふうに受け取ってよろしいわけでしょうか。
  28. 舘林宣夫

    舘林政府委員 衛生上何ら差しつかえないものであれば、少しも消極的ではございません。
  29. 有島重武

    有島委員 私たち思いますには、もし積極的に当局でもっておはからいがあるとすれば、これほど問題になっておるのですから、コンマ一ミリなら一ミリのものでもってどれだけの科学的な弊害があるか、これを申請が出たならば調べるというようなお話でございましたので、それを私は消極的と申し上げたんですけれども、積極的にそういった試験をさせていくというようなお気持ちはありませんでしょうか。
  30. 舘林宣夫

    舘林政府委員 できるだけ価格が安くなるように、役所としてはそういう助長をしてまいりたいという気持ちでございますが、多くの場合、容器包装類について業者の使いますものを役所機関において一々積極的に調査をするということによって指導をしてまいるという方向でなくて、申請に基づいて、そのものが差しつかえないかどうかという検査国立機関で行ない、あるいは申請内容検査するということで処置いたしておりますので、積極的に国の機関がそういう検査をして云々することはいかがかと思いますけれども役所としても価格ができるだけ安くなることはたいへんけっこうなことでございますので、できるだけそのような指導はしてまいりたい、このように考えております。
  31. 有島重武

    有島委員 それでは、積極的にそのような実験を進めてくださるというようなお話ですか、それともいましないというようなお話でしょうか。
  32. 舘林宣夫

    舘林政府委員 すべて各種の容器包装類は、それぞれの申請者が十分な試験結果をもって国に申請を求めてくるわけでございまして、その内容審査において不千分であれば、国の機関がなお追試をするというようなことをする場合もございますが、一般的には、国の機関がそのような開発をするという方向では従来処理いたしておりません。ただ、この場合に牛乳価格が安くなるという方向であれば、私どもとしてもできるだけそういう点は検討してまいりたい、このように考えております。
  33. 有島重武

    有島委員 従来は、いろいろ問題があってからやって後手に回っておったけれども、今度の問題についてはひとつ先手を打っていただきたい、そういうように思うわけでございます。そして業者の側から申請が出ていない状況でございますというようなお話がございましたけれども、これはまだ一つも出ておらないわけでございますか。
  34. 舘林宣夫

    舘林政府委員 私の承知いたしております範囲では、正式に受け付けておりません。
  35. 有島重武

    有島委員 それでは、業者からそういった申請が出次第積極的にそれを扱っていただきたい、そのように思います。
  36. 平岡忠次郎

    平岡委員 関連してお伺いしますが、いまポリエチレンということでしたが、もっと範囲を広げまして、いわゆる紙器ですね、その中に入るのじゃないかと思うのですけれども、米国でテトラパックというのがありますね。これは現在の普通のガラス牛乳ぴんと比べましてコストダウンに寄与できるんじゃないかと思うのです。というのは、容器を洗う作業は相当コンベアシステムで機械化されておるとは思うのですけれども衛生的な観点から、テトラパックのほうがはるかに衛生的であると思うのですが、その点はどうなんでしょうか。現時点でペイできるのか、あるいはもう少し人件費それ自体が中期展望においては相当上がっていく、その場合においては、ある期間を経過した後においてはテトラパックのほうがいいという状況なのか、その辺のところをお聞かせいただければ幸いです。
  37. 舘林宣夫

    舘林政府委員 これも、こういうことを申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんが、テトラパックというのも非常に厚手のものと薄手のものとございます。厚手のものは、牛乳びんより見かけ上のコストは高くなります。それから非常に薄いものは、見かけ上のコストは安くなります。たとえば、厚いものというのはどういうものかといいますと、内側に銀紙のようなものを張ったものがございます。そこで、その見かけ上の価格と実際の価格と違いますのは、運搬テトラパックでございますと、箱詰めにする場合にびんの場合と多少違うかもしれないというような点が一つございます。ただビンの場合には、御承知のように回収という作業がございまして、このための人件費、洗うという作業、これが相当な価格でございますので、テトラパックが広く使われれば、将来の方向としては、あるいは安くなるかということを感ぜられるわけでございまして、これらのものはすでに許可になっております。ただ、やはりこれは消費者の嗜好にも関係いたします点が一つと、これをそのまま飲むということは非常に危険なことでございます。一たんガラスの透明な容器にあけて飲まないと、多少変化したものを飲むということの問題がございますので、将来十分その指導はしていかなければならぬ、かように思いますが、現在すでに許可にはなっております。
  38. 大野市郎

    大野(市)委員 関連して。容器の問題で、厚生省というか、従来の官庁のしきたりはわかりました。そういうものだろうと思います。ただ、当面どうやって主食に似た牛乳を安く国民に渡るようにしようかというので相談をしておるわけですから、その点、業者から申請がなければ手も足も出ないというのじゃ問題にならぬので、先ほどのテトラパックですか、それも質問に対して参考人からの意見を聞きました。高くつくという話でした。それからポリエチレンは、とてものことそんなのはだめだというふうな話が出て、それを裏づけてあなたがいやそれはもうとにかく薄いもんだから、空気流通がよ過ぎてばい菌が入るのだという話でしたから、私どもしろうとは、そうか、そういうようなアイデアというのはもう専門家がだめとやったのかと失望して、実は再質問をしなかったんですよ。しかしいま承れば、それはそう思うので、そういうものが出てきてないからやってみないんだという話であると問題が変わる。そこで、何かやるのかわかりませんが、宮澤国務大臣一体国でこういう問題で相談をして忙しい時間使うなら、あなたは政府部内でそういうものを、研究機関があるはずですから、そういう研究機関で取り上げさせて、そうして業界の持ってくるのを待つなんということじゃなくて、アイデアに基づいて、そんなのは比較的簡単な実験なんだから、そういうものを推進するお約束をこの場でできませんか。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、外国ではすでに相当いろいろな容器が使われておりますので、あえて科学技術庁をわずらわしませんでも、比較的簡単な実験が可能なのではないかと思うのです。それで、そういうことをしかるべきところへ御依頼をしてみたいと思いますが、それと同時に、実は先日来本委員会でその点についていろいろ御議論がありましたことの収穫としまして、従来、ともすれば非常にそういうことについての壁が厚いというような認識処理業者の側にあったと思うのでございますが、厚生省としてもできるだけ前向きに、衛生上の疑点さえなければ迅速に解決しようという立場を表明されるに至りましたので、むしろ直接に関係のある業界でもって、そういうことを積極的に今度は進めていかれる心組みになっているのではないか。私どももまたそれをそういうふうにおすすめをしてみたい。役所の水準でもそうでございますけれども現実に実際にビジネスをやられる方々が、むしろこれからはそういうことを積極的に持ちかけられるようになる、またそういうふうに私どもとしてもおすすめをしたいと考えます。
  40. 大野市郎

    大野(市)委員 いまの御答弁で、あなたのほうで、部内で実験を早急にやるというお約束をいただきました。  それから環境衛生局長がおられるので、関連してもう一点なんですが、御承知の、かねてしょっちゅう問題になっております例の高温殺菌ですね。この問題に対しては、やはり衛生上の見地から問題点がしょっちゅういわれておりますが、この点もひとつ、地方の農協やその他におきまして処理が手軽にできるというたいへん便利な方法でありますから、そういう点に対しても、従来の説は説でわれわれは聞いておりますけれども、こういう方法でやればそれでもいいんだというふうな代案を、やはり役所のほうで出して研究をさせるという態度ですね。与えられたものを、持ってきたものをやるというのじゃなくて、このかわりがこうやればできるぞというふうな研究、そういうものを望みたいのですが、これもひとつそういう方向で進んでいただけますか。
  41. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今日でも特殊な場合、学校等の給食の場合における高温殺菌は、一定の衛生上の基準を守れば許しておるわけでございますので、お尋ねのような方向に今後とも大いに奨励するといいますか、そういうものは普及するように努力をしてまいりたいと思います。
  42. 有島重武

    有島委員 いま企画庁長官からもお話のございました点は、すでにドイツ、オランダ、スウェーデン、フランスなどでは、ポリエチレンの袋を用いていると聞いております。この間の大野参考人の御発言の、世界的にはいかなる国でも実際上の話になっておらないというようなことは、ここでもって訂正しておきたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
  43. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ポリエチレンの形の問題、形といいますか質の問題がございますが、多くの国でポリエチレンを許しておることは御指摘のとおりでございます。
  44. 有島重武

    有島委員 多くの国でもって許しておるが、大体それはコンマ一ミリであると聞いておりますけれども、ただいまのお話ですと、コンマ一ミリでは薄過ぎるようなお話がございましたけれども、それでよろしいでしょうか。
  45. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のように、外国はコンマ一ミリのものを広く許しておるようでございます。今日わが国ではそういうものは許可されておりませんが、一昨年より業者側に対して厚生省からもその問題を話しかけておりまして、積極的に検討するようにという話し合いを担当課のほうではいたしておるようでございますので、今後御趣旨の方向に従ってできるだけ指導してまいりたい、かように思います。
  46. 有島重武

    有島委員 たいへんけっこうなことだと思います。  それからポリエチレンについては、大変やかましくいわれたようでございますけれども、現在用いております紙のキャップでございますが、これについても試験はなさったわけでございましょうか。この浸透率と申しますか、空気が入るといったことについては、厳重な検査の上にこれを許されたのかどうか。
  47. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この紙キャップの構成そのものは、今日許されておるテトラパックの一部にも該当するような性質のものでございますが、すでにこれは世界的に多数許されておるというような点を考慮して、昔からわが国では許されておるものでございまして、あらためてわが国で詳しい通気試験をしたりして許されたものではござません。
  48. 有島重武

    有島委員 たいへん保守的なようなお話ですが、これも同じように検査していただいて、双方の利点なり欠点なりを公平に調べていただいたほうがよろしいのじゃないか、そういうふうに思う次第でございます。  以上で終わります。
  49. 武藤山治

    武藤(山)委員 話が途中で切れてしまって、どうも質問をする気力がなくなってしまったのでありますが、大臣、アメリカの同じ資本主義の経済体制、あるいは需給関係価格がきまるという経済体制のもとで、アメリカの過去五年間の消費者物価上昇率というのはどのくらいだと認識されておりますか。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 正確には申し上げられませんが、大体年で一%前後、ただ一九六六年の場合にはそれがもう少し、三・何がしまで、これは非常に異例でございますけれども、上がったのではないかと記憶いたします。
  51. 武藤山治

    武藤(山)委員 国会図書館の考査局の調査で資料を取ってみたのでありますが、日本でいう昭和四十年を除いたそれ以前の五カ年間の、平均で、一・二%しかアメリカでは物価上昇をもたらしていない。四十年の場合も一・八%消費者物価が上がったということで、ジョンソンはたいへん大声で、ベトナム戦争と並列に物価戦争ということばを使って、物価問題を何とか処理しようとした。こういうアメリカの姿勢と、日本の物価騰貴に対する慢性的鈍感な日本政府と比較した場合に、あまりにも違うので私はびっくりいたしておるわけであります。  そこで企画庁長官物価のオーソリティーとして、アメリカの場合なぜ一・二%程度物価上昇を押えられ、日本の場合は六%ないし七%になってもどうにもならぬという、国民が失望したままで、政府はこれに対する適切な対策もとれないのは、どこに相違があるとお考えになりますか。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま統計がまいりまして、一九六六年には、一九六五年の一〇九・九から一二二・一に飛び上がっておりますので、先ほど御答弁申し上げたので大体間違いはなさそうでございます。  やはり冒頭に申し上げましたように、わが国の経済成長が非常に大幅でかつ急速であった、諸外国に比しまして、ことにアメリカに比しましてそうでございますが、その点が根本的に違っておるのではなかろうか。もとよりわが国もいつまでもこのような急速な成長を続けていくことはないと思いますし、冒頭に申し上げましたように、そのような成長した姿に経済の各分野が対応し得る一定の瞬間というものが経過をいたしますと、そこで一つの新しい均衡点に達するだろうと思うのでございますが、わが国の場合には、ちょうどそういう成長のさなかにある十年といったようなときにきわだってそういう現象が出てきておるのではないか、こう考えておるのでございます。
  53. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、その高度成長をわあっとした過程だから、十年ぐらい物価の問題がおさまりがつかぬ。均衡点に達するには相当の年数——大ざっぱな観測で、どのくらい物価の騰貴はやむを得ないのだという御判断ですか。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点では、経済社会発展計画では、昭和四十六年には物価上昇率をまず三%にするということをいっておるわけでございます。三%の上昇率というものは、しかしなお決して低い上昇率ではございません。そこで、いつになったら均衡点に達するかということは、私は予測するだけの知識なり何なりがございませんのですが、やはり日本の社会がいわゆる近代化をある程度完了するというのは、相当長い時間を要するのではないだろうか。これは、ことに消費者消費態度といったようなものも、人手を使わないで何事も自分でやるんだという、卑近な例を申しますと、日曜大工みたいなことまでまいりますのにはやはり人の気持ちの問題もございますので、かなり時間がかかるのではないかと私自身は思っております。
  55. 武藤山治

    武藤(山)委員 長官にこういうことを聞くのは失礼ですが、正確な三十九年度からの物価上昇率をちょっと発表してみてください。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三十九年度、一九六四年でございますが三・八、七・六、五・二でございます。
  57. 武藤山治

    武藤(山)委員 藤山前企画庁長官は四十年度、四十一年度、四十二年度と国会でいろいろ見通しの答弁をいたしたのでありますが、四十年度は七・五%、四十一年度は五・五%、四十三年度は三%程度段階的に物価上昇を押えられます。三%で四十二年度を押えると言ったのが——政府経済見通しですら四・五ですね。だから歴代の経企庁長官が、大体国民が信用しないような見通しをいつもしゃべっておるわけです。そこに国民が、物価問題に対する政府態度というものに非常な疑惑と不安を持っている。これが解消されない。これを解消させるためにどうしても宮澤さんに私は、政府はこういう方法物価上昇をとにかく食いとめているんだ、また食いとめるんだという具体的施策は、一体あるのかないのか伺いたい。まず昭和四十二年度の予算の中で、物価上昇を食いとめるために積極的な予算はどういうものを計上したか、それからまず明らかにしてください。藤山さんがいままで言ったことはみんな狂っているわけですね。国民は信用しない。だから具体的な予算の中で、こういうことで物価上昇をとにかく食いとめるのだという、これをひとつお示し願いたいと思うのです。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず基本的な認識といたしまして、私は消費者物価の問題というのはそう簡単に解決できるものではない、また、何か一つ改めれば問題がおさまってしまうというものでもない、基本的には冒頭に申しましたようにそう考えておりますために、短期路線というものでものが片づくとは考えておらないということをまず申し上げておきたいと思います。それに加えまして、実はこれははなはだ申し上げにくいことなんでございますが、毎年経済見通しを立てますときに、消費者物価上昇を幾らというふうに政府は見込むわけでございますが、この見通しを、非常に高いものを出しますと、あたかも政府がそれだけの物価上昇を容認しておるような印象を一般に与えますために、現実的でないことを申すという意味ではございませんが、かなりその見通しを出しますときに苦労をいたすのでございます。それが結果としては実らないで、どうも見通しがいつも低きに失するということを毎年繰り返しておるように思います。四十二年度の四・五%というのは、私しばしば努力目標だと申しておるのでございますが、これは手放しでそうなるという意味ではございません。努力をしないとなかなかむずかしいぞ、努力次第ではなるであろう、こういうところで言っておるのでございます。でありますから、冒頭に申し上げましたように、やはり一つ生産性の低い部門生産性をどうやって向上させていくかということ、これが基本であるというふうに考えます。  その点は、あるいは農業対策であり、中小企業対策であり、あるいは流通の対策でございますが、これにつきまして予算面でということになれば、非常に広い経済そのもののような問題になるわけでございますから、各方面に予算が盛られております。流通などは、特に流通と名ざして相当の予算を計上しておりますけれども、中小企業あるいは農業に対する貸し出しであるとか補助であるとかいったものも、もとの目的は、その生産性向上をどうやってはかるかということにございますから、そういったような予算の費目は非常に広範に、金額も大きいものだというふうに考えます。
  59. 武藤山治

    武藤(山)委員 それはあとで、特に企画庁として物価対策上予算に計上されたと思われる項目と金額を、ひとつ資料としてこの委員会にお出しを願いたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 承知いたしました。
  61. 武藤山治

    武藤(山)委員 もう一つ長官にお尋ねしておきたいのは、輸出入の物価指数を見ますと、昭和四十年と四十一年を比較して食糧品の輸入単価というものはかなり上がっていますね。日銀の統計によりますと、三十五年−三十七年平均を一〇〇として統計資料が出ておりますが、これによると四十一年が一〇五・六になっているわけで、この傾向は、四十二年度は一体輸入食糧品の価格は下がる傾向にあるのか、上がると見るか、その辺のまず企画庁の判断はどうですか。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は概して上がる傾向にあると思います。それの一つの大きな原因は、米国の余剰農産物が非常に減ってきたということに関係がありますし、インド等を中心として飢饉状態にある、つまり生産が伸びないということもまたそれに加わっていると思います。
  63. 武藤山治

    武藤(山)委員 私はこの統計数字を見て、政府のいう四・五%の物価騰貴率という形では、食糧一つを見てもおさまりがつかない、こう判断をする。それは正しいか正しくないか、結果で判断するよりほかありませんから、議論する気持ちはございませんが、まず食糧品の中で特に大きい小麦の問題一つをいま取り上げて検討してみたいと思います。  そこで食糧庁長官にちょっと数字をお尋ねしますが、小麦の輸入は非常な膨大な数量になるわけでありますが、小麦の四十二年度の買い付け価格が、この間予算委員会でちょっと飼料の問題でお尋ねをしたのでありますが、きようは中身の問題でちょっと長官にお尋ねするのでありますが、小麦の輸入価格が九・八%前年よりも単価が引き上げられた計算になっている。実際の買い付けは、あるいは九・八%より安く買えることものるかもしれないし、あるいは九・八%より高くなるかもわからない。その辺は食糧庁長官に聞かなければわかりませんが、大体予算単価ぐらいの値段になりますか、それともそれよりも安く買えると判断しておりますか。小麦の輸入価格です。
  64. 大口駿一

    ○大口政府委員 食管特別会計の予算上組んでおります価格は、御承知のようにいわゆるFOB価格に対しまして、さらに運賃あるいは輸入諸掛かり等を加算をいたしました、いわゆる食糧庁の現実に円で払う価格が組まれていることは御承知のとおりでございます。  そこで、ただいま御指摘になりました数字は、それらの諸掛かりが、若干人件費上昇等によって上がるだろうという要素を含んで、ただいま御指摘のような率で上がっているわけでございますが、その基礎になっておりますFOB価格と申しますか、外国の相場、これはここ一両年国際的な食糧の、ことに小麦の需給が非常にタイトになっているということから値上がり傾向を示しておりますので、昨年の下半期と比較をいたしまして大体二、三%くらい上がるであろうという計算でFOB価格をきめまして、その上に運賃、諸掛かり等を加えて予算単価を組んでおるわけであります。したがいまして、国際的な価格としては小麦の価格は若干上がってはきておりまするものの、比較的一次産品の中では、本質的に価格がそう急激に変動するということがわりあいに少ない商品でありまするので、現在の得られる得る材料をもとにして判断をいたしまする限り、この予算単価で不足をするという事態はまずまずないのではないかというふうに考えております。
  65. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、いまの予算単価でいくと、船賃や人件費の高騰を見込んで、九・八%上がるという数字は間違いありませんね。九・八%前年よりも予算単価では高くなる。間違いありませんね。
  66. 大口駿一

    ○大口政府委員 予算に計上いたしておりまする単価を前年度の予算単価と比較いたしますと、御指摘のとおりであります。
  67. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、小麦の値段も粉の値段も、本年は国内消費者に渡る場合に引き上げざるを得ないのではないかという判断を持つのでありますが、小麦は引き上げを全然考えずに一年間推移いたしますか。
  68. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在の輸入食糧の食糧管理制度のもとにおいて管理をいたしておりまする方式について基本的なことを申し上げますと、買い付けの価格は、国際相場の変動をある程度見越して組んでおるわけでありますが、麦の実際の売り渡し価格、これは米価でありますとかあるいは家計費等を考えまして、経済事情等を参酌して、家計の安定を旨として定めるというふうに食管法の規定できまっておりまして、その食管法の規定に基づいて内麦それから外麦の売り渡し価格をきめるという仕組みになっておるわけであります。したがって、輸入価格が上がれば、あるいは下がれば、直ちに政府の売り渡し価格をそれに応じて上げ下げをするという仕組みには実はなっておらないのでございまして、その意味からいたしますると、いまの御説のように、輸入価格が上がっておる場合に、そのことが直ちに麦の払い下げ価格あるいは小麦粉の価格にはね返るという仕組みになっておらないのでございます。またそのように過去においても運営されてまいったのでございます。しかし、これは現実にはことしの六月の末に麦の価格をきめまする米価審議会におはかりをした上で、本年度の麦の買い入れ価格並びに売り渡し価格というものは正式に決定されるわけでありますが、いま申しましたように、輸入価格と国内価格とは一応制度上遮断をされておりまするので、物価問題等も考えました上で、また各方面の御意見を伺った上で、具体的には最終決定になるものと思っております。しかし、最近麦が外国に依存する度合いが非常に強いので、国内の麦の価格というものを国際動向を反映してはどうかという議論が最近非常に多く出てきていることは確かでございますが、昨年までの売り渡し価格の決定にあたっては、直ちにその談論に従って価格を決定するというふうにはなっておりません。
  69. 武藤山治

    武藤(山)委員 たいへんいまの答弁で気にかかるのは、審議会で六月にどういう諮問を農林省がするか、どういう答申が出るか、それによって小麦の粉の値段が最終的にきまる。米のほうは十月から一四・四%値上げするということを予算単価に一応計上しているわけですね。そうすると小麦粉のほうも、おそらく農林省の腹の中ではこれは上げざるを得ない、そういう腹でおるのじゃなかろうかと思うのです。審議会には、小麦のほうは上げるという姿勢で諮問をなさるのですか。上げないでこのまま——小麦粉もまた上げないで、据え置きのままで農林省は臨もうという腹でおりますか。長官の考えはどうですか。
  70. 大口駿一

    ○大口政府委員 米の例を引き合いにお出しになりましたが、麦の払い下げ価格の最近の足取りは、御承知だと思いまするけれども、ほとんど最近数年間上げない、むしろ若干引き下げをしてまいっておるのが昨年までの実績でございます。と申しますのは、麦は加工業者加工した上で最終商品になるわけでございますので、加工賃等の値上がり等を考えますと、どうしても原麦の払い下げ価格は、最終商品の価格を頭に置いて若干引き下げざるを得ないという事情も過去においてあったかと思います。いまこの段階で私の口から、六月の審議会にどういう価格を諮問するかということを明言する立場にはございませんが、しかし、米が上がったから直ちに麦を上げるというふうなかっこうで過去において運用されておらないということだけをはっきり申し上げておきます。
  71. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、食糧庁としては予算の中には九・八%、いろいろな要素で輸入小麦の一段が上がるけれども、従来と同じに消費者に大体渡る程度価格で計算をして、赤字の分は一般会計から補てんするという予算措置がなされておるのかどうか、それとも足りない分は値上げを予想して予算を組んでおるのか。これはあとで予算を見ればきちっとすぐわかることでありますが、どういうことになっておりますか。
  72. 大口駿一

    ○大口政府委員 ことしの食管特別会計の予算では、買い入れ価格は、先生御指摘のような比率で値上がりを見越して組んでございますが、麦の売り渡し価格は、現在政府の採用いたしておりまする標準売り渡し価格どおりの単価で予算を組んでございます。そこで、その結果どういうことになっておるかと申しますと、輸入の小麦につきましては、食管特別会計では、従来損益上は益を出しておるわけでございますが、いま申しましたような事情もございまして、昨年と本年とでは、外麦の益がむしろ非常に減っておるという形で会計上は処理されておるわけでございます。
  73. 武藤山治

    武藤(山)委員 企画庁長官、もし六月の審議会で輸入価格が上がったからということで小麦粉が上がるようなことになりますと、これはもう給食のパンは全部はね返りますね。さらに輸入の小麦を使っているインスタントラーメンなどもみな値上がりになる。これは非常に大きな影響を与えるわけですが、閣議で小麦粉の値段は上げない、こういう態度で臨んでいただきたいと思いますが、長官、この時点で言明のできる小麦粉に対する価格の問題についての態度を、物価の問題から考えて答弁を願いたいと思います。
  74. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど食糧庁長官から御答弁がありましたように、実際にまだ食糧庁としても考えをきめておられないようであります。したがって、私どもにも上げたいと思うが云々という御相談は現在ございません。私としましては、食管の内部操作でかなりのことができるのではないかと考えておりますし、少なくともパンの値段にそれが影響するような形での処理をすることのないように、御意見方向で私としては考えたいと思います。
  75. 武藤山治

    武藤(山)委員 食糧庁長官、小麦粉のほうは、国民の食糧を確保するという食管法の精神からいって、それは足りない場合は一般会計から補てんをするとか、あるいは利益がまるでなくなっても操作をすべきだ、そういう精神で貫かれているから値上げしないですむかもしれぬが、どうして飼料だけ三十キロ二十九円、ふすまを値上げしなければならぬのですか。畜産価格上昇を押えるという立場から、当然飼料のほうの値上げも、専管ふすまは一切据え置きにしてよかったのではないですか。なぜ六月から値上げするのですか、その理由を明らかにしてください。
  76. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 それではえさの関係について申し上げますと、実はえさとしまして食管で輸入をしておりまするものは、輸入ふすまあるいは小麦を輸入しまして、それからふすまにして売却する、あるいは大麦、小麦を輸入しまして、それをそのまま売却するというふうな形をとっておるわけでございますけれども、従来から食糧の小麦とやや趣きを異にいたしまして、日本の畜産の現在置かれている事情のもとにおきましてできるだけ物価を安定したい、畜産物の価格の安定をはかりたい、そういうふうな趣旨から、原料のえさにつきましては、政府食管が赤字を負担いたしまして安く売っておるわけでございます。そういうふうな関係でございますが、最近国際的に小麦等の価格の高騰が顕著になってまいっておるわけでございます。したがいまして、すべて赤字を食管が幾らでも負担するというふうな形をとるということは、なかなかむずかしい点が一つございます。それからもう一つは、小麦と違いまして、一方で飼料というものは相当自由化されておる。自由化されておりまして、そのもとにおきまして国内の飼料の価格というものが成り立っておるわけであります。政府で操作いたしております飼料というものはその一部でございます。したがいまして、市場で流通しております飼料の価格政府の操作しております価格とがはなはだしく相違を来たしましてアンバランスになるということになりますと、流通上問題が一つは出てまいる。と同時に、安い飼料に対しまする需要が殺到するということになってまいるわけであります。そういたしまして一方では、国際的に需給の関係から供給には限度があるということものるわけでございます。そういうふうな点を考慮いたしまして、原料の価格が国際的に上がってまいっておるわけでございます。したがいまして、ある程度それに従って値上げせざるを得ない。ただし、値上げをするにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在置かれております畜産経営というふうなものを十分考慮いたしまして、値上げの幅も最小限度にとどめるということにいたしまして、大体四%程度値上げにとどめておるわけでございます。
  77. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまの畜産の問題の質問は、時間がございませんから後日にしますが、資料として連休明けの十日ごろまでに、現在民間で輸入しておる飼料を品月別に、トウモロコシ、コウリャン、マイロ、いろいろありますね。それの数量、金額を、過去三年間くらいの数字と本年度の大体の見通し、こういうものを一覧表にしてぜひ配っていただきたい。  企画庁長官が一時ごろまでに退席をするという用件のようでありますから、もう一点長官にお尋ねをしますが、資本主義の大量生産、薄利多売の競争の社会なら、これだけ高度成長して大企業の設備が近代化した、オートメ化したということになれば、当然もっと工業生産品の価格が下がっていいはずですね。その下がっていいはずなのが賃金部分に吸収され、配当の部分に吸収される。いろいろその配分の中身についての議論もあろうと思いますが、いずれにしても共同行為や管理価格、再販売価格維持契約、こういうふうなものが下方硬直性をもたらしてきている。これを何とかやはり物価問題として解消しなければならぬという議論は前々からあったわけでありますが、きのう、きょうの新聞によると、公取でまず再販価格維持契約についての規制の法案を今国会に出す。こういう新聞報道がありますが、これについて政府は積極的に、特に企画庁は積極的に、この法案の成立に前向きの姿勢で対処するか、業界からの圧力などで公取の態度というものが腰くだけにならぬようなささえをするかどうか、まずそこらの企画庁の姿勢をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非公式にしか作業の進み方を知っておりませんけれども、基本的には、私は大いに公取の考えを支持したいと考えております。
  79. 武藤山治

    武藤(山)委員 公取来ておりますね。
  80. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 はい、来ております。
  81. 武藤山治

    武藤(山)委員 前回のこの委員会乳価の問題について、独禁法に触れるおそれのあるものものるかもしらぬので調査をする、こういう答弁があったわけでありますが、その後の牛乳の問題についての調査の経過、まだ結果は出ていないと思いますが、どんな状況になっておりますか。
  82. 竹中喜満太

    ○竹中政府委員 去る十三日、十四日の両日、独占禁止法違反の容疑をもちまして、審査官六十五名を動員いたしまして、全国牛乳協会等十団体十カ所、明治乳業株式会社等四事業所の本社、支社、営業所等十八カ所を、独占禁止法四十六条に基づきまして臨検検査をいたしまして、帳簿書類を領置いたしまして、ただいまこれを検討すると同時に、参考人を出頭させまして供述をとっております。なお、これと同時に生産者の団体である社団法人中央酪農会議及び中小メーカーの団体である日本製酪協同組合等よりも事情を聴取しております。なお、さらにこれより先、兵庫県、それから愛知県の牛乳商業組合を臨検検査いたしまして、同じように書類を領置、検討いたし、それと同時に参考人を審尋いたしております。
  83. 武藤山治

    武藤(山)委員 まだそれは調査中でありますから、中身についての質問は遠慮いたしますが、どうかひとつ、消費者の強い関心のまとである問題でありますから、公取としても所信を貫いて、適切な、公正な御処置をとっていただきたいと強く要望いたしておきます。  次の議題のほうの印刷物もきたようでありますから、きょうはこの程度質問にとどめておきたいと思います。
  84. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 以上で質疑は終わりました。      ————◇—————
  85. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 この際、乳価安定に関する件につきまして発言を求められておりますので、これを許します。橋本龍太郎君。
  86. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 この際、乳価安定に関する決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     乳価安定に関する件(案)   牛乳及び乳製品に対する需要は、さらに増大するものと予想されるので、酪農振興対策の強化を図ることは必要であるが、これが直ちに消費者の負担に転嫁されることは物価対策上問題である。   よって本委員会牛乳価格の安定を図るため政府が左記の諸事項をすみやかに講ずるよう要請するものである。       記  一、酪農振興の基本対策   1 草地の改良、造成、国有林野の活用及び飼料作物の裏作奨励等酪農適地の効率的利用を進めること。   2 飼料の自給基盤を確立するとともに、輸入飼料については、政府の操作量を適正にし、飼料価格の安定に努めること。   3 乳用牛の改良、子牛育成対策の強化を図ること。   4 酪農経営資金融資の拡充、円滑化を進めること。  一、牛乳及び乳製品価格安定のための緊急措置   1 販売組織の合理化、販売方法の改善等を積極的に進め、集団購入、店頭販売等の奨励策を講ずるとともに店舗の改装等に低利・長期の資金を確保すること。   2 現在の家庭配達の慣習は、これを再検討すべきである。   3 大型容器の採用をも含めて、新容器開発普及に努めること。   4 いわゆる色物加工乳については、その成分を表示せしめ、牛乳と乳飲料との区別を明確にすること。   5 前各項の実現のため必要な場合は、中小企業団体法による合理化事業を検討すること。  一、消費者行政について、経済企画庁指導的役割を強化する等、格段の配慮をすること。  一、公正取引委員会は、牛乳価格について、違法な協定等が行なわれないよう厳重にこれを監視すること。  以上であります。  本案は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかるものでありまして、本委員会で、去る五日の委員会におきまして参考人を招致し、酪農家、乳業者、小売り及び消費者のそれぞれの立場からの意見を聴取いたしますとともに、われわれの乳価問題に関する共通した意見を集約し、できるだけ調整をはかりまして、四党間において完全な意見の一致を見た次第であります。したがいまして、政府はこの決議の趣旨を十分に尊重されまして、できる限りすみやかに本趣旨が実現できますよう善処せられんことを強く要望いたしまして、提案の趣旨といたします。
  87. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 おはかりいたします。  ただいま橋本龍太郎君から提案のありました乳価安定に関する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、本決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  この際、ただいまの決議に対しまして、宮澤経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤経済企画庁長官
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま乳価安定に関する当委員会の御決議を承りました。各項目ともまことに適切な御指摘であると存じます。したがいまして、私どもといたしましては、政府部内の連携をとりつつ、御決議の趣旨を実現いたしますために極力努力をいたしたいと存じます。(拍手)
  91. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会