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1967-07-21 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十一日(金曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君 理事 中村 時雄君       安倍晋太郎君    小澤 太郎君       大野 市郎君    鹿野 彦吉君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       小山 長規君    坂田 英一君       坂村 吉正君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       八田 貞義君    藤田 義光君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 貞盛君    栗林 三郎君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    島口重次郎君       芳賀  貢君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       中野  明君    斎藤  実君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         林野庁長官   若林 正武君  委員外出席者         林野庁林政部長 木戸 四夫君         林野庁指導部長 手束 羔一君         林野庁指導部森         林保険課長   安江 宗七君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 七月二十一日  委員小沢佐重喜君、小坂善太郎君及び兒玉末男  君辞任につき、その補欠として三ツ林弥太郎君、  八田貞義君及び芳賀貢君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員八田貞義君、三ツ林弥太郎君及び芳賀貢君  辞任につき、その補欠として小坂善太郎君、小  沢佐重喜君及び兒玉末男君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九七号)(参議院送付)  閉会中審査に関する件      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  内閣提出森林病害中等防除法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案について補足説明を聴取いたします。若林林野庁長官
  3. 若林正武

    若林政府委員 森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。  この法律案を提案いたします理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、防除命令内容を拡充したことであります。  その第一点は、薬剤による防除を命じ得る範囲拡大したことであります。現行法におきましては、農林大臣または都道府県知事は、樹木伐採あと地または伐採木等所有者または管理者に対し、その樹木等につき伐倒、剥皮焼却による防除を命ずることができることとなっておりますが、この防除措置はかなりの手間がかかり、その上近年におきます農山村の労働力の減少は御承知のとおり著しいものがありますので、これらの方法による防除措置実施は、次第に困難な場合が多くなってまいりました。他方、薬剤による防除技術は近年目ざましい発達を遂げてまいっておりまして、これによる効果的な防除が可能となりましたので、第三条第一項の規定改正し、従来の伐倒、剥皮焼却による防除措置のほかに、薬剤による防除措置も命ずることができることとしたのであります。第二点は、近年のこのような薬剤による防除技術確立に対処しまして、第二条第二項の伐採木等定義及び第三条第一項第三号の指定種苗定義を改め、防除対象となる伐採木等には、剥皮した伐採木も含めることとし、また、伐採木等包装並びに種苗の容器及び包装も新たに防除措置対象とすることといたしたのであります。  第二は、緊急に防除を行なわなければならない場合の命令手続簡素化であります。  現行法では、第三条第三項の規定により防除命令をしますには、その二十日前に命令内容をあらかじめ公表しなければならないこととなっております。しかし、特にケムシ類などの森林病害虫はその成長及び蔓延がきわめて急速でありまして、その発見から効果的な防除措置の実行に着手しなければならないまでの期間がきわめて短いのであります。最近はこのような虫による被害が増大している実情もありますので、これらの事態に対処し、早急に防除措置を講じ得るようにいたしますため、前述の公表を行なういとまがないときは、あらかじめその公表をすることなく防除命令をすることができるようこの規定を改めることといたしたのであります。  第三は、防除措置実施徹底でございます。  その第一点は、防除命令に伴う損失補償に関する第八条の規定改正であります。最近におきましては、森林病害虫等による被害発生地域拡大し、被害は奥地の森林にも及ぶ状況であり、また、その対象枯損老齢木にとどまらず幼齢木にも及ぶ傾向が見られます。このような場合におきましては、防除命令に従って被害木を伐倒いたしましても被害木販売収入によって伐倒費用を回収することができない場合もありますが、現行法では樹木の伐倒費防除命令に伴う損失補償対象とされていないことから、その伐倒費はもっぱら受命者が負担することになるので、そのために防除措置が必ずしも円滑に実施されない事態も間々見られるのであります。このような実情に対処し、防除措置実施を確保するため、伐倒費につきましてもそれが損失となる場合には補償をすることとしたのであります。防除措置実施徹底につきましての第二点は、防除命令をした場合におけを代執行に関する第四条の規定改正であります。現行規定では、防除命令受命者が命ぜられた防除措置をその実施すべき期間内に行なわなかった場合に限り、命令者受命者にかわってその措置を行なうことができることとなっております。しかしながら、それでは必ずしも森林病害虫等の適期における防除が達成できないといううらみがありますので、最近の農山村における労働力不足等ということも考慮いたしまして、現行規定によって代執行を行ない得る場合のほか、受命者がその防除措置を行なっても十分でない場合、または受命者が不在である等のためその防除措置実施すべき期間内に行なう見込みがない場合におきましても、受命者にかわって命令者防除措置実施することができることといたし、また、これに伴いまして、この代執行を行なった場合の費用徴収につきまして所要の規定整備を行なうことといたしました。第三点は、防除実施体制確立をはかるための規定整備であります。森林病害虫等防除は、国、地方公共団体森林組合受命者が一体となってその実施に当たらなければ効果的に実施することができませんので、新たに第四条の二の規定を設け、農林大臣または都道府県知事は、森林病害虫等駆除またはその蔓延の防止のための措置を行なうときに必要があります場合には、地方公共団体または森林組合もしくは森林組合連合会に対しまして、その措置実施に関し必要な業務に協力することを要請することができることとしたのであります。  第四は、第六条及び第七条の規定改正し、森林害虫防除員等による検査範囲及び検査結果に基づく指示ができる範囲拡大することとしたことであります。すなわに、森林害虫防除員等は、新たに庭園その他森林以外の樹木が生育している土地や船舶、自動車等にも立ち入って必要な検査をすることができることとするとともに、その検査結果に基づいて薬剤による防除措置の、実施を指示することもできるようにいたしたのであります。  以上をもちましてこの法律案提案理由補足説明といたします。     —————————————
  4. 本名武

    本名委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  5. 柴田健治

    柴田委員 今国会の会期ももう幾ばくもないわけでありますが、ただいま補足説明をされました、また先般説明を受けました森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案に対して御質疑を申し上げたい、こう思っておりますので、順次御質問申し上げる点について適切な御答弁を願いたい、同時にまた、わかりやすく御答弁を願いたいと思うのであります。執行部答弁を今日までいろいろ聞かしていただいて、私は日本語のありがたさというものがつくづく身にしみておるわけでありまして、そういう点もわれわれは踏まえて判断をするわけでありますので、理解ができ得るような御答弁を前もってお願いを申し上げて、質疑に入りたいと思うわけであります。  この法案は歴史的に見て非常に古い法案でもあるわけでありまして、今回のこの改正をしなければならない理由というものの説明を受けたのでありますが、その欠陥といいますか、いままでやってまいりました施行上の欠陥というものを見出して、それを改正することによってまた前進をさしていこうという、そういう姿勢の中で改正というものが出されたと思うのでありますが、今度の改正説明を聞きまして、その理由とする骨子は大体四つに分かれておると思うのであります。その一つは、労働力が不足した、やはりそれによって薬剤防除体制拡大していく、そういう一つのねらい。また一つは、緊急の防除措置をできるように、緊急ということばを今度は明らかにしてきた、これが第二点である。第三点は、防除措置に伴う損失補償拡大という面。四つ目は、検査規定拡大、権限の拡大。こういうことで四つ出されたのでありますが、それが骨子改正をされておる、こう私は解釈いたしておるのであります。  この点について、先ほど補足説明がございましたが、どうも私は納得のいかない点があるわけであります。それは、要するに、森林病害虫対策というものは、ただ発生をしたからそれを駆除する、防除するというのではなくして、もっとその事前の策を考えなければならぬのではないか、要するに、予防措置予察といいますか、そういう以前の問題の取り組みが必要ではないか、発生をしたからすぐ駆除対策をやるというのじゃなしに、発生までの予察をどうするかということをもっと法文に明文化する必要があるのではないか、こういう気がいたすわけでありますが、この法案と関連して、やはり森林行政というものは広範にわたりますので、いろいろあちらこちら飛び火をいたすかもわかりませんが、ひとつその点はあらかじめ御了解いただいて、逐次本題に入っていきたいと思いますので、その点についてひとつ御見解を承りたいと思います。
  6. 若林正武

    若林政府委員 なぜこの発生予察事業実施しないのかというお尋ねでございますが、森林病害虫等被害につきましても発生予察を行なうことが必要であるということは申し上げるまでもないことでございます。しかしながら、森林病害虫等発生には、先生も御承知のように、きわめて多くの要因が複雑に関係をいたしておりまして、特に発生予察の基礎的な問題でございまする森林病害虫等生態をはじめといたしまして、気象地形樹木生理あるいは森林生態病害虫等被害発生との関連等につきましても、試験研究機関におきまして現在非常に努力はいたしておるのでございますが、いまだ明らかになっていないのが非常に多いのでございます。私どもたいへん残念に思うのでございますが、そういった点、それからもう一つは、森林農地等と異なりまして面積が非常に広大でございます。また、地形も複雑でございます。こういった関係で、局地的な気象というようなことにも左右されるというふうなこともございまして、こういうふうな森林というものに適応いたしました効率的な調査方法というものを確立いたしませんと、発生予察というものを本格的に実施をするということはなかなか困難でございます。したがいまして、今回の法律の中では、この発生予察ということにつきまして事業化をするということについてはうたっておらないのでございます。  なお、この病害虫等発生予察実施のための基礎的な研究につきましては、今後総合的に研究体制というものをさらに整備強化いたしまして、一日も早く実現できるというふうに積極的に取り進めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 柴田健治

    柴田委員 どうも長官答弁を聞くと、わかったようなわからぬようなことになるのですが、それなら、予算の面をちょっと見ても、発生消長調査費というものが前年度まであったが、今年度ぶち切った。われわれの立場から解釈すると、予算が切られるということは、もう調査が完了したか、調査が不能になったか、もう調査をする必要がないか、結論が出たか、こういういずれかの結果が出ない限りは、予算の打ち切りというものはあり得ない、こう私は思うのです。あなたは行政官としてその点は十分踏まえて御理解をされておると思う。それから、森林というものは広大な面積であるから、調査するにもたいへんだというおことばがございましたが、その調査というものは、われわれの立場から申し上げると、防除体制をとる以前に確認事項幾らでもあるわけです。確認をしなければ防除体制というものはできないわけです。やはり、そうしたことをあわせ考えてみて、なぜこの消長調査予算を切ったのか、まずその点をひとつお伺いしたい。
  8. 若林正武

    若林政府委員 昭和三十四年度から実施してまいりました発生消長調査を廃止した理由でございますが、発生消長調査と申しますのは、法定森林病害虫等につきまして、発生経過発生地域別特徴防除の要否の判定基準、さらに発生予察基礎資料、たとえば発生気象との関係等を明らかにする、こういうことのために実施をしてまいったのでございます。その結果、一部の森林病害虫につきましては、この発生経過地方別特徴防除の要否の判定基準、こういったものにつきまして結果が得られたのでございます。たとえて申し上げますと、ノネズミ、タマバエ、スギハダニ、マツケムシ等につきましては、防除を行なう必要があるのかどうかということにつきまして、これは虫の種類によって違いますが、大体二カ月ないし六カ月以前に判定ができるという調査方法確立いたしまして、これは現在実際に適用いたしておるのでございます。しかしながら、他の多くの森林病害虫につきましては、なおその生態なり樹木生理との関係等、基礎的な問題に未解決のところが多いのでございます。したがいまして、現在の発生消長調査というものを継続いたしまして直ちに現行以上の発生予察方式を明らかにするということは困難である、さらにこの必要な試験研究等の進捗にまつべきであるというふうに実は判断をいたしまして、昭和四十一年度をもちまして調査を一応中止することといたしたのでございます。
  9. 柴田健治

    柴田委員 それがまた私にはようわからぬのです。試験研究機関というものは、もう長い間、その試験機関としての果たす役割り任務というものが明確になっている。試験機関がいままでなかった、だから、そういう発生消長調査費を組んで、新たに専門的なそうした病害虫だけの試験機関をつくるのだ、いままで林業試験場という試験機関があるけれども、新たに別に病害虫だけの試験場をつくるために、そうした病害虫発生消長調査をやった、そして新たに試験機関をこしらえて、そこにおいて試験をし、調査をし、研究もして、要するに、発生を防ぐ予防対策予察制度というものを確立していくのだ、こういうことなら私は筋が通ると思うのです。いままで長い間試験機関があったわけです。消長調査をしない以前から試験機関はあったわけです。そうすると、無理にいままで三十四年から消長調査費をつけて調査をしたのは、何のために調査をしたか、今度は試験機関を移すだけの調査であるのか、この点があいまいなのです。新たに病害虫専門試験機関を設置するのだ、そのために調査をしたのだ、こういうことになれば、私は話がわかると思うのですよ。ところが、試験機関を移す、こういうことでは私ははっきりしない。今度のこの法案改正に私たちが疑問を持っておる点は、発生後の処置だけでは、これはもう何年たっても病害虫駆除確立できない。発生をいかにして防ぐかということを考えなければならない。これが大前提にならなければいかぬ。そうしない限りは、竹に木を継ぐようなことになってしまって、これはもうさいの河原といいますか、何年でも金をつぎ込んでいかなければならない。これでは森林保護、資源の保護という立場から言っても無意味だと思うのですが、その点のお考えはいかがですか。
  10. 若林正武

    若林政府委員 発生予察のための試験研究、またそれに必要な基礎的な研究、こういうものにつきましては、先生からただいまお話のございましたように、林業試験場その他におきまして従来からも研究はいたしてまいっておるのでございます。御承知のような最近の森林病害虫等被害状況にかんがみまして、私どもは、こういった試験研究体制というものをさらに強化をいたしまして、お話のように、被害が出てから駆除をするのでなくて、被害の出る前に予防的な措置をとるというふうな方向に一日も早く持ってまいりたいということで、努力をいたしておるのでございます。  そこで、この試験研究研究体制につきまして、若干申し上げますと、実は、昭和四十一年度に、林業試験場の中に林業薬剤研究室、それから、林業試験場支場が各地にございますが、その関西支場保護部、その保護部の中には保護研究室その他機構があるわけでございますが、こういうものを実は設置をいたしたのでございます。四十二年度におきましては、さらに森林保護関係試験研究体制を一段と強化をいたしたいということで、林業試験場の浅川の実験林がございますが、ここに天敵微生物研究室を、それから林業試験場本場の中に防疫薬剤研究室を、関西支場保護部樹病研究室こん虫研究室、九州の支場に新しく保護部を設けまして、樹病研究室こん虫研究室、菌類の研究室、こういうふうな試験研究体制整備もいたしておるのでございます。  現在、この試験場におきまして森林病害虫等に関します研究をいたしておりますテーマにつきまして要約して申し上げますと、四十二年度におきましては、病害関係におきましては二十七項目虫害関係におきまして十六項目獣害関係におきまして七項目、その他におきまして一項目というふうなことで、鋭意研究努力をいたしておるところでございます。それぞれテーマによりまして、昭和何年度までに一応結論が出るというものもございますし、相当の長期にわたって研究をしなければ結論が出ないというものももちろんあるわけでございますが、ただいま試験場で鋭意試験研究に取り組んでおるのでございます。  さらに、森林保護関係試験研究予算等の問題でございますが、概要について申し上げますと、昭和三十七年度の研究費を一〇〇といたしますと、今年度におきましては二一四というふうに二倍以上の予算措置も講じておるのであります。  一日も早く結論を得まして、先生からお話のございましたように、発生予察制度化ということに踏み切るようにさらに努力を重ねてまいりたいと考えております。
  11. 柴田健治

    柴田委員 やや誠意のある答弁に発展してきたと思うのですが、昭和三十七年からの予算の推移の説明を受けた。私も知っておるのですが、やはり、金をふやすというよりか、人をふやさなければならぬ。金だけ幾らあっても、実際の調査研究というものは人がやるわけでして、機関も必要でありましょう。そうした備品といいますか、備品拡大、それから、人は今度試験場にどの程度ふやしたのですか。
  12. 若林正武

    若林政府委員 林業試験場におきます保護関係職員でございますが、これは今年度におきまして七十八名ということでございます。
  13. 柴田健治

    柴田委員 七十八名、間違いないですか。確認しておきたいのです。
  14. 若林正武

    若林政府委員 この保護関係を直接担当しておる職員が七十八名でございます。
  15. 柴田健治

    柴田委員 いままでこの病害虫専門消長調査をやってきた。予防対策を立てるには、やはりいろんな病害虫種類によって発生地域がある。大体において限定されておると思うのです。多少ほかに出る地域もございましょう。この発生状況というものは、気温の関係もございましょうし、その年その年の雨量その他の諸条件が大きく支配しておる、こう私は解釈いたしておるのですが、やはり現地調査をしないと、これはなかなかっかみにくいと思うのですよ。虫そのものについて、大きくなったか、小さくなったか、産卵期はいつかというふうな調査試験場の部屋の中でもできましょう。けれども、実際の現地調査は、日本列島の中で針葉樹、広葉樹、いろいろの樹木があるわけですが、その現地で、どの地帯はおよそどういうものが発生をするということを確認して、そこに長期間滞在して調査研究をして、そうして適切なる予防対策を、その地域地域において、また病害虫種類に応じて立てていかなければいかぬ。それが将来のこれに取り組む姿勢じゃないか、こう私は思うのですよ。そうすると、試験場にだけ人を置いて、そこで研究だけやったのでは、その予防対策というものは、これを制度上立法化する場合に非常に矛盾が出てくるかと思うのです。現地において調査をするということになれば、相当の人をふやさなければならぬし、またそれだけの予算措置をもしなければならぬ、こう思うのですが、現地調査しなくても、試験場研究だけでそういう今後の立法措置ができるという見通しがありますか。
  16. 若林正武

    若林政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、林業試験場職員として試験研究に従事をいたしております職員の数でございます。国立の林業試験場のほかに、御承知のように、各都道府県にはそれぞれ林業試験場あるいは林業指導所等が設置されておりますし、さらに、都道府県林務関係、あるいは現地におきましては、御承知のように、森林害虫防除員あるいは林業改良指導員、こういうものも設置いたしておるわけでございます。国有林におきましては、各営林局におきましても現地におきます試験研究ということは実施をいたしておりますし、最端末におきましてはこの担当部というものがございまして、そこにも多少職員も配置いたしておるわけでございます。その他、市町村なりあるいは森林組合、こういったところにもこの技術員がおるわけでございまして、基礎的な研究林業試験場がやっておりますが、現地におきます調査研究、そういうことにつきましては、ただいま申し上げましたように、各地区におりますそういった林業関係技術者というものがそれぞれそういった仕事をやっておるのでございます。
  17. 柴田健治

    柴田委員 長官説明を聞いておると、たとえば幾らでも機関があるのではないかというような感じを持つわけです。それぞれの営林署があり、都道府県の中に林業関係技術員指導員もすべておるではないか、森林組合が持っておる指導員もおる、それからまた防除員もおるというように、あらゆる手足があるのだということなら、いままでにもそういう機関がなかったわけではないのですから、綿々と続いているわけですから、そういう機関をフルに使えるものなら使って、この法の改正をするまでに、そうした予防対策の構想なり、また法の改正というものができるはずだと私は思うのです。いまになって、あれもあります、これもあります。窓口がたくさんある、こう言って説明すると、いかさまそうかなと思いますけれども、長い間続いてきたそういう行政機構の中で果たす役割り任務というものはもうあらかじめあるわけですよ。では、営林署担当官の中に、おまえはノネズミ専門研究しろ、あなたはマツクイムシを専門研究しなさい、そういう者が何人おるか、都道府県林政課の中にそういう専門役割りを果たした者が何人おるか、そういうものをつかんでおれば知らせてもらいたい。各都道府県あるいは営林署専門家がいて、何年どういうことをやってきたかということが明らかに基礎的につかめれば、やはり予防対策というものは私はできるはずだと思うのですが、長官どうでございますか。
  18. 若林正武

    若林政府委員 試験研究につきましては、国立の林業試験場、さらに都道府県林業試験場、さらに各地に所在いたしております大学、こういう試験研究機関と連絡を常時とっておるわけでございますが、そういう中で試験研究テーマというようなことも調整をとりまして、基礎的な研究を進めておるわけでございます。そこで、これは基礎的な研究ということにはまいらぬわけでありますが、それぞれの現地におきまする発生状況なりその他を調査する、こういうことには役立つわけでございますが、都道府県の場合におきましては、御承知のように、SP、専門技術員がおるわけでございます。それから林業改良指導員というものも、それぞれSPから教育を受けまして、森林病害虫等防除あるいは調査、こういう仕事に従事をいたしております。害虫防除員ももちろんそうでございます。申し上げましたように、人はそれぞれ従来からおるわけでございますが、今回私どもが考えておりますのは、もちろん従来でも連絡はとってやってまいっておるのでございますが、さらに今後は、こういった関係の林業技術者というものを組織化いたしまして、組織防除あるいは集団防除、こういった方向に持ってまいりたいということを考えておるのでございます。
  19. 柴田健治

    柴田委員 私は、その事前の策をこしらえてもらいたい。とにかく、こうした害虫が発生をして、先ほど説明があったように、集団防除とか何とかという防除対策をすぐつくってやるということではなくして、事前に、森林保護あるいは資源の保護という立場で、マツクイムシであろうと何であろうと、今度の予算を見ても、マツクイムシの予算が大半を占めておりますから、予算の額から見て、そうしたマツクイムシを中心に質問申し上げるようになるわけですけれども、その他いろいろの種類がございますが、とにかく、いま長官説明をされました実態が把握できておるものなら、そういう調査がある程度完了できておるものなら、なぜ予察制度というものができないのか、また、どことどことに不備があるのか、欠陥があるのか、矛盾があるのか、無理があるのか、そういう点をわかっている範囲内でひとつ説明願いたいと思います。
  20. 若林正武

    若林政府委員 マツケムシの成長は、積算気温のほか日照時間等の関係が大きいのではないかということが最近になって言われているというふうな状況にもございますし、タマバエの類につきましては、発生、これは羽化の時期でございますが、発生と気温との相関が求められていない。マイマイガにつきましては、不規則に大発生をいたしますが、大発生をいたしましたあとは急激に減少いたします。こういった現象の原因が一体何であるかというふうなことが明らかでございません。それから、マツクイムシの生息数と被害との相関が現在まだ求められていない。それから、マツクイムシも非常に種類が多く、その中の主要な種類でシラホシゾウというのがございますが、こういったもの等につきましてはまだ生活史がはっきりしていない。マツクイムシ全体といたしましては、マツクイムシの発育と気象との相関といったものがはっきりしていないというふうなことで、これは例示的に申し上げたのでございますが、基礎的な面で今後試験研究をやっていかなければならないというふうなものがまだ残されておりますので、こういうものが解決をされまして、初めて発生予察制度へ踏み切ることが可能ではなかろうかと思います。
  21. 柴田健治

    柴田委員 この問題をあなたと論争しておると、一日かかると私は思っておるので、たいていで切らなければならぬと思っておるのですが、提案説明の中で、老齢木から幼齢木のほうに移行してきた、こういう説明を受けたのですが、老齢木から幼齢木に移行してくるような時代になって、そういう心配があるならば、なぜ予察制度をこしらえないのかという気がするのです。幼齢木のほうに移ってきたらたいへんだ、これはだれしも同じ考えだと思うのですが、そこまで現地における確認ができておるとするならば、予察制度というものは思い切って取り組んでしかるべきだ、こう考えるのですが、どうですか。
  22. 若林正武

    若林政府委員 ただいまお話のございました幼齢木等にも被害が非常にふえてきたという点でございますが、これは、御承知のように、森林というものの開発が、社会経済情勢の発展に伴いまして相当広範な地域にわたりまして進められておるわけでございます。こういうことによりまして、自然環境が変化をいたしまして、生物界のバランスというものが変わってまいるというふうなことが一つございます。それと、病害虫等の生息密度というものが最近非常に大きくなってまいっておる。そして、一番根本的には、最近におきまする拡大造林の推進ということに伴いまして、非常に若い人工林がふえてまいっておるわけでございます。そういうことからいたしまして、幼齢木等にも被害が出るようになってまいっておるのでございます。  そこで、発生予察をやったらいいじゃないかというお話でございますが、これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、ほんとうの意味での発生予察制度というものは、まだ研究事項が相当残されておりますので、そういうものの制度化ということについては非常に困難でございますが、たとえば、ある程度の予報というものは、病害虫等種類によりましてはできるわけでございます。たとえて申し上げますると、ノネズミであるとか、スギハダニ、カラマツの先枯れ病等につきましては、気象の長期予報等によりまして、異常な繁殖についての予知をするということは現在でも可能でございます。夏季低温でササの結実等によりましてノネズミが異常繁殖をする、それから、からつゆのような場合にはスギハダニが異常繁殖をする、つゆ季の高温多湿の場合にはカラマツの先枯れ病菌の異常繁殖というふうなことが、ある程度予知ができるわけでございます。私どもは、こういうことによりまして事前の防除体制というものをとっておるわけでございますが、さらにまた、この被害等が発生いたしました場合に、前から申し上げておりますように、森林の害虫防除員であるとか林業改良指導員その他林業関係技術者等からいち早く被害状況等を事前に報告をしてもらうとか、さらにまた、通報カードというふうなものも実は用意をいたしておりまして、これはだいぶ前からやっておるのでございますが、こういうカード等を利用いたしまして即時に通報してもらう、さらにまた、この法律の中にも通報の義務制というふうなこともうたっておるのでございまして、一連のただいま申し上げましたようなことによりまして、なるべく早く、しかも、つかめるものは事前に把握をいたしまして、防除そのものについて遺憾のないようにやってまいるように指導いたしておるのでございます。
  23. 柴田健治

    柴田委員 どうも長官答弁を聞くと、一歩も前へ行かないような気がする。いずれあらためて大臣にこの問題はひとつ聞きたいと思う。やはり、人間でもそうですか、病気になってからの治療とかいうものは当然やらなければなりませんけれども、病気にならない前の処置、これを樹木といえどもわれわれは考えなければならない、こう思うわけですから、予察制度をまず考えなければならないというこの見解について、長官はどうも私の考え方と違うようで、つかみにくいということでございますので、いずれまた大臣に質疑をしてみたい、こう思っております。  今度のこの改正で、先ほど申し上げました大筋の四つ骨子でありますが、労働力が不足だ、こういうことをうたわれておりますという説明をいただいたのですが、労働力不足のとらえ方というものが問題だと思うのです。いま農村では労働力が他の産業に流出しておるということで、農業構造改善、林業構造改善、いろいろそれぞれの基本法に基づいてやるとして、農村の労働力をいかにして確保していくかということで、各界があげて心配いたしておることは御承知のとおりだと思うのです。ところが、特に山林業務に携わる労働者はほんとうに激減をしておるわけです。あなたも御承知だろうと思います。労働力が不足であるから、この法を改正して薬剤の散布という方式を拡大をしていく、こういう解釈を私はいたしておるわけですが、薬剤の散布の拡大というのはどういう方法でやるのですか。それをまずお尋ねして、労働力が不足と言うが、労働力がなぜ不足したか、山林労働者の働力が不足した原因、この点をひとつ御説明願いたいと思います。
  24. 若林正武

    若林政府委員 労働力の不足、それと、もう一つ森林病害虫等被害の態様、こういったものを前提に考えまして、個人防除というものは非常にやりにくくなってまいったわけです。したがいまして、今度御審議いただいております法律改正によりまして、組織防除、集団防除、こういったことで防除徹底を期してまいりたいということを考えておるわけでございます。  それから、薬剤の散布の方法でございますが、これは人力によりまする散布もございますが、総体から見ますと、空中散布、これが多いのでございます。
  25. 柴田健治

    柴田委員 どうも答弁がようわからぬですね。労働力が不足した原因をお尋ねしたのですが、まああなたにはわからぬと思いますから、それは別として、集団防除、共同防除ということをいまあなたが言われましたが、人がないのに集団防除や共同防除ができますか。その点ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  26. 若林正武

    若林政府委員 労働力の問題につきましては、私ども労働力対策ということでいろいろ努力はいたしてまいっておるわけでございます。たとえて申し上げますと、森林組合等に作業班というふうなものをつくるように指導いたしてまいっておりまして、現在のところ、概数で申し上げますと、作業班が約四千ほどございまして、人員にいたしまして約四万四千名というふうに、森林組合だけとりましてもそういうふうな組織づくりができつつあるわけでございます。その他、協業化等によりましても労働力の確保の問題がその中ではかられていくということもございますが、こういうふうなことによりまして、集団防除、組織防除、もちろんそれ以外に市町村なり都道府県関係者というものもあるわけでございますが、そういうものを総合いたしまして、防除の組織体制というものをさらに強化してまいりたいという考え方でございます。
  27. 柴田健治

    柴田委員 集田防除の問題や共同防除、組織防除という問題は、いずれ次の段階でまた御質問申し上げたいと思います。協同組合に協力体制、地方公共団体または森林組合に協力体制という問題がありますから、いずれそのときに御質疑申し上げたいと思いますが、薬剤の散布では特にどういうものを使われるのですか。薬剤を便って拡大散布するという場合に、たとえばいろいろ病名によって違いましょうけれども、あなたら林野庁が考えておられる薬剤種類、それをひとつ伺いたい。
  28. 若林正武

    若林政府委員 薬剤種類及び使用量というものは年々増加をしてまいっておりまして、昭和四十年度におきましては使用薬剤種類が百七十に及んでいるのでございまして、使用量を大別して種類ごとに申し上げますと、粉剤が三千五百六十トン、液剤が百万リットル、粒剤が五百トン、薫煙剤五万筒というふうになっております。なお、最近特に増加傾向にございますのは殺鼠剤とマツクイムシの殺虫剤でございます。
  29. 柴田健治

    柴田委員 たいへん薬剤はあるようでありますが、われわれが解釈いたしておるところでは特にBHCが多いと思うのです。いままでは、マック千ムシが発生したら、すぐ焼却をしろ、切って皮をむいて焼いてしまえ、根株は掘り起こして、これまた焼いてしまえということでいろいろやってきたのですが、今度薬剤をたくさん使うということになりますれば、乳剤、粉剤なんかでも、薬剤による他への弊害があるのかどうか、人体に影響があるのかどうか。昨日もブドウの問題でだいぶ御質疑があったようですが、薬剤を使う限りは、やはり細心の注意を払わなければならない。人体に影響がないということをよく聞くのでありますけれども、一方では、人体に影響があると言っておるのであります。近ごろ、ハチに刺されてたいへんな重症というか、生命に関するようなことまで起きている。二匹以上のハチに刺されたら死んでしまう。昔は、ハチに刺されたって、頭に食いつかれても大したことはなかったが、今は、ハチに刺されたら、農民はもうそれこそたいへんなことなんです。ハチという虫は、いま農薬を好んで吸うといわれているのであります。だから、山に行ってハチに刺されたらたいへんなことになるということで、いま山に行かないのです。そういう事態がいま出ているわけです。いま、ハチ一匹に刺されても、四十度くらい熱が出て、たいへんなことになる。心臓が圧迫をされるのです。心臓がすぐとまるといわれる。そういうふうに、薬剤を散布する限りにおいては、いろいろな面において心配と不安と悩みがある、こう言われておるのですが、そういう面で、薬剤を散布するのに拡大散布をする、虫が出た、それを征伐するのだということで、空中散布もするんだといった場合に、山林所有者は、それは法の精神を生かして大いにやっていかなければならぬけれども、他に影響が出てくるという心配があってちゅうちょする場合があるのですが、そういう面においての心配というか、不安を取り除く自信があるかどうかということをお聞きしたい。
  30. 若林正武

    若林政府委員 森林病害虫等防除に使用いたしておりまする薬剤種類は非常な数になっておるのでございますが、その中で特定毒物というものに指定をされておりますのはモノフルオール酢酸塩の製剤でございまして、これはフラトールと通称いたしておりますが、これを除きますと、大部分のものが成分なり使用濃度の点におきまして毒性が低く、安全なものが多いのでございます。また、その使用にあたりましては、森林害虫防除員等が必要な指導を行なっておりますので、現在までのところ、人畜あるいは水産動植物等につきまして特に薬害が問題になったという例はないのでございます。今後におきましても、こういった点は十分配慮をいたしてまいりたいと考えております。
  31. 柴田健治

    柴田委員 長官はだいぶん自信を持っておられるようですが、医学的にいまいろいろ言われておる。日本の農薬がいま二百種類あるわけですが、農薬の危険防止週間というものが年に一回持たれて、とにかく、農薬を扱う場合には、十分なる注意と、また、貯蔵にしても、相当完備した貯蔵をしなければならぬということで、行政機関をあげてきびしく指導しておるわけです。全くそのとおりだ、またそうしなければならぬ、こう思ってわれわれ住民のほうは協力しておるのですが、何ぼ害はないんだと言っても、いままでの取り扱いの習慣といいますか、先入観といいますか、そういうものから見て、労働者のほうは、これはたいへんだ、こういうことで拡大されたのでは、人体にも影響するし、また、他のいろいろな害のある鳥獣は征伐しなければならぬけれども、有益鳥獣に対する被害の心配がある、こう言っておるのですが、この有益鳥獣に対して何も心配ないか、その点をひとつ伺いたい。
  32. 若林正武

    若林政府委員 森林薬剤防除におきまして私ども一番心配いたしておりますのは、一つは魚毒性のございますドリン剤、これは魚に被害がございます。それから、いま先生からお話のございました有益鳥獣に対する被害、さらにフラトールという殺鼠剤による二次被害、こういうものをいろいろ心配いたしておるわけでございますが、この散布にあたりましては十分そういった点を注意いたしてやっておるわけでございます。有益鳥獣、野生鳥獣に対する被害がないようにいろいろ考慮いたしまして、薬剤の使用につきましては、散布区域というふうなものを明確にし、さらにまた、この野生鳥獣の繁殖期、ふ化時期、育雛期、こういつたものをなるべく避けるようにしてやっておるわけでございます。現在のところ、薬剤によりまする野生鳥獣の被害というようなものについては、実際に研究調査をやっておりますが、被害については幸いなことに出ておらないのでございます。
  33. 柴田健治

    柴田委員 有益鳥獣に害を与えないように最善の注意と手を打ちたい、こういう説明なんですが、いずれその点については損失補償のところでまた質疑申し上げたいと思うのですが、順序を追って御質問申し上げたいと思っておるわけであります。  薬剤散布の単価の問題ですが、いろいろ地方では問題が出るわけです。たとえば、林野庁が基準をきめる一ヘクタールの防除費の中で、粉剤散布、乳剤散布という場合の基準の単価がまたしても問題になってくるわけです。あなたのほうは発生調査消長調査を打ち切って、試験機関試験をやっておるわけですが、撲滅のそうした方法については、一ヘクタールにつき、それは樹木の体積数にもよりましょうし、樹齢によって違うでありましょうけれども、大体の基準単価というものがどうも問題になる。たとえば、空中散布でヘリコプターを使って散布する場合の単価、また動力ポンプでやる乳剤散布、粉剤散布、こういうところに基準単価というものが食い違う。それは、場所によりまして、山の地形といいますか、そういうものによって多少の差が出てくることは理解できるのですけれども、あなたのほうの机上論で単価を出されたのと、末端で散布する場合に食い違いが出てくるわけですが、その基準単価をひとつ示してもらいたいと思うのです。
  34. 若林正武

    若林政府委員 この基準単価の出し方でございますが、予算的には、全国を平均いたしました一つの作業工程というふうなものがわかっておりますので、そういうものをもとにいたしまして、さらに、薬剤の散布等をやります場合には薬代も入れるというふうなことで予算の積算をいたしておるのでございます。そこで、一例を、マツクイムシの場合の被害立木に対する駆除、これについて申し上げますと、四十二年度予算において計上いたしておりますのは、一立方メートルで千二百六十円ということになっておるのでございます。
  35. 柴田健治

    柴田委員 それは粉剤も乳剤も一律ですか。
  36. 若林正武

    若林政府委員 単価は事業のやり方によりまして全然違うわけでございます。これは、先ほど申し上げましたように、その事業をやりますために必要な工程その他から積み上げ計算をいたしておるわけでございます。
  37. 柴田健治

    柴田委員 あまり基準単価のことを追及していくとお困りの点が出るような気もしますので、遠慮するところは遠慮さしていただきたいと思っておるわけですが、ともかく、一立方メートル千二百六十円でやれるという自信が私にはどうにもわからぬのです。たとえば、乳剤でやるものは手間がかかるのです。水をたくさん使うわけですが、その水の運搬というものにはたいへんな労力が要るわけです。だから、薬剤散布の単価が千二百六十円かかるといっても、それに対する労力は、ヘリコプターでも頼んで空中散布する場合は能率が上がりましょうけれども、ヘリコプターを一時間チャーターするのに、チャーター料が大体いま十万円だといわれているのです。とにかく、能率は上がるけれども金がたくさんかかる。ところが、人力でやっても機械力でやっても粉剤の分は能率が上がるが、乳剤の分は水をたくさん使う。たとえば、BHCの五〇〇cc一本のびん、二百三十円か二百四十円取ると思いますが、それを百倍にしてまいたところでたいした数量じゃないわけですから、千二百六十円の基準で十本まいたってたいへんな矛盾が出てくるわけですが、そういう点について矛盾を感じておられますか、当然だと思われますか。
  38. 若林正武

    若林政府委員 単価の問題につきましては、それぞれその事業のやり方に応じまして単価の積算をいたしております。従来からこの単価の改定ということにつきましては私ども努力をいたしてまいっておりますし、今後におきましても、この単価の引き上げということにつきましては十分努力をしてまいるつもりでございます。  それから、先ほどちょっと申し上げましたマツクイムシの単価でございますが、あれは四十二年でございませんで、四十年度の単価でございますので、御了承いただきたいと思います。
  39. 柴田健治

    柴田委員 もう時間が来たようです。いずれ続いて御質疑をさしていただきたいと思いますが、これでちょっと質疑をやめさしていただきたいと思います。
  40. 本名武

    本名委員長 午後一時三十分より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後一時五十二分開議
  41. 本名武

    本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。柴田健治君。
  42. 柴田健治

    柴田委員 引き続いて御質疑を申し上げたいと思うのです。  集団防除、共同防除ということばで御説明をいただいたのですが、防除の時期というものが大きく影響すると思うのです。たとえば集団防除をやろうとしても、少ない面積でたくさんの人を動員したり、また相当薬剤を用意したりというようなことはむだだと思うのでありますが、事前のそれに要する調査というか、発生の実態というものをつかまなければ、集団防除をするにいたしましても、共同防除をするにいたしましても、そこにいろいろな矛盾が出てくると思うのであります。適期をつかむために、たとえば薬剤を使って散布する場合、一日二十四時間の中で、朝やったら効果がある場合、昼やったら効果がある場合、つまり炎天下にやって効果がある場合、夕方にやって効果がある場合、いろいろそれだけの人と経費を便ってやる限りにおいては、最大の撲滅の効果をあげるということが必要なんでありますから、やはりその時期というものを考えなければならぬ。それには十分調査を事前にしなければならぬのではないか、私はこういう考えを持っておるわけであります。   〔委員長退席、森田委員長代理着席〕 たとえば、同じ山であっても、日当たりのいいところの虫害の発生状況、日当たりの悪いところの状況というものがおのずから違うわけであります。たとえばマツクイムシの場合は、皮と実の中におるわけですから、それは乳剤にしろ粉剤にしろ、いかに空中散布したって効果がないと思うのです。やはり産卵期を目がけて、ガになって外に虫が出た時分をねらって散布しなければ効果がないのではないか。実と皮の間におる場合には、伐採して皮をむいて焼却をしていく。やはり薬剤でなしに、人力において防除していくということになると私は思う。そうしますと、薬剤をいかに使うという法の範囲拡大をしても、ほんとうに薬剤の散布が効果があるのかないのか、要するに時期の確認というものがたいへんだと思うのですが、長官はその点についてどういうお考えを持っていますか。
  43. 若林正武

    若林政府委員 マツクイムシの被害防除につきましては、最近新しい薬剤の開発が行なわれまして、今回御審議をいただいています法律案におきましても、薬剤駆除対象というものを実は広げていきたいというふうに考えておるわけでございます。そこで、こういった薬剤等を使いまして、どういう時期に散布したらいいのかという問題でございますが、これは病害虫種類等によりまして生態がみな違っております。そういうものに対応いたしまして、あるいは気象条件その他も影響してくるかと思いますが、そういうものを十分考慮いたしまして、散布時期等もきめてまいるということになるわけでございます。
  44. 柴田健治

    柴田委員 時期を見てやらなければならないということだけは認められたのですが、やはりいろいろ調査費というものが必要だと思うのです。たとえば山がいま二十ヘクタールある。これがもうある程度いかれておる。その場合に、いまやられてどの程度になっておるのか、虫そのものが外に出ておるのか、まだ中におるのか、これはいつ薬剤を散布したら効果があるのか、そういう点の調査が最も必要だと私は思うのです。それから朝やる、昼やるという問題、たとえば一般の農作物の農薬散布にしても、粉剤ならば朝早く露がある時分に散布してやるという方法をいま農村はとっておるわけですが、山でもそうです。粉剤の場合は、朝早く暗いうちから出て露のある時分にやるということを考えると私は思うのです。その場合に、次の問題で御質疑申し上げたいと思うのですが、たとえば労働賃金の問題等もあるわけでありますが、そういうことはあと回しにいたしまして、時期を見る調査をこの法案との関連で予算的にはどう見ておるのか。調査というものが最も必要じゃないか。この点についてお答えを願いたいと思うのです。
  45. 若林正武

    若林政府委員 予算といたしましては、大臣命令の場合に四百万円、補助事業の場合に一千百万円計上いたしております。
  46. 柴田健治

    柴田委員 私は予算の額を知っておりますが、それだけではたして十分適切な調査ができるのか。法の改正までして薬剤の場所の拡大をはかったという法の精神からいうと、私ははなはだ不満足であり、疑問を持っておるところであります。これは単年度ではない。いずれこの病虫害対策は今後もおそらく続くわけだ、こう思っておりますから、そういう事前の調査については調査費を十分に見るべきではないか。あくまでこの改正した法の精神を生かしていくとするならば、やはり調査費というものを十分見るべきでないか、こう思っておりますから、ひとつ御考慮を願っておきたい、こう思っておるわけであります。  次にお尋ねを申し上げたいのは、この法の精神というものは、個人を中心に考えておる法であるかどうかということをまずお聞かせ願いたいと思います。
  47. 若林正武

    若林政府委員 法案の趣旨といたしましては、個人防除森林所有者自身が防除をするというのが原則でございます。
  48. 柴田健治

    柴田委員 この病害虫法案については、あくまでも個人だ、私はそう解釈している。あなたからもそういう御回答をいただいたのですが、個人を中心の法律とするならば、あくまでも個人の立場というものを考えなければならぬと思うのですが、先ほど説明を聞くと、集団防除だとか森林組合へとかなんとかいうことで、そういう方向でやっていくのだ、こういう説明をいただいたので、個人がやらなければならぬ法の精神からいうと、そこまで発展さしていくとするならば、もっと法の改正も角度を変えてやるべきではないか、こういう気がするわけですが、その点はいまのこの精神でもう十分だ、こういうお考えですか。
  49. 若林正武

    若林政府委員 法律の前提としては、原則と申しますか、そういうことで個人防除と申し上げたのでございますが、防除をやります場合に、個人がばらばらに防除をやったのでは、非常に能率もあがりませんし、また防除の成果等についてもいろいろ問題があろうかと思います。したがいまして、個人がばらばらにやるのでなくて、共同で防除をやる、あるいは場合によりましては、労働力等も他の労働力等を雇用いたしまして、集団的防除をやるというふうないろいろのやり方があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、最近におきます労働力状況等にもかんがみまして、原則は個人防除ではございますが、実際に防除をやります場合のやり方としては、集団防除あるいは共同防除という方向へ進めてまいりたいというふうに考えております。
  50. 柴田健治

    柴田委員 解釈がちょっとわれわれと違うようですが、押し迫って時間がないようですから、要点だけ続けてまいりたいと思うのですが、今度の法で緊急ということばが入ってきたわけですね。緊急ということばが入ってまいりましたが、いままでの経験から法を改正しなければ不備である、こういう観点で改正せられたのだということで、それを前提に判断してまいりますと、緊急ということばが入った場合に、いままでやってみた結果、そういう矛盾点、欠陥というものを見出して結論を出せばこそ法の改正になってきたと思うのですが、いままでの欠陥というものはどういう場合に欠陥が出たのか、緊急ということばを入れなければならぬという点について御説明を願いたい。
  51. 若林正武

    若林政府委員 マイマイガ、マツケムシ等のように、突発的に大量に発生いたしまして、しかも、こういったものは防除期間というものが非常に短いのでございます。したがいまして、現行のように二十日間の公表期間を置いて命令をするということになりますと、防除適期を失するというような心配もございます。そういうようなことによりましてまた被害拡大するということもあるわけでございますので、こういう場合には、公表を省略いたしまして緊急に命令をかける必要があろうかと思います。
  52. 柴田健治

    柴田委員 適期をはずさずに適切に防除しなければならぬということは、趣旨はわかるわけですが、緊急ということばを入れなくても——いままでどおりやっておられて緊急ということばを入れられたから、私は、十分予防制度、要するに予察制度をつくらずして、先へ先へ法を改正していく、そういう考え方にも林野庁はなっておるのじゃないかと思う、肝心なことを忘れてしまって。それでは、緊急というものは、だれが認定して、だれが判断を下してやるのか。たとえばノネズミが出た。ことしの天候でいうと、ネズミの発生率が非常に高いというふうな風評も聞くわけであります。ネズミにもいろいろ種類があって、従前の野生的なネズミ、しっぽの長い、頭の長い、民家に住んでおるネズミに似たようなノネズミもおるわけであります。また一つは、モグラに似たような、頭の短い、しっぽの短い、まんまるいようなネズミがおるというように、ノネズミにはいろいろな種類がありますが、そのノネズミ退治をするのに、緊急だという判定を下す資料があるのかないのか、その判定はだれがやるのか、防除員がやるのか、だれか来てやるのか、知事がやるのか、そういう点の緊急の決断を下す最終の責任者はだれですか。
  53. 若林正武

    若林政府委員 農林大臣または都道府県知事でございます。
  54. 柴田健治

    柴田委員 私は、各県の実態で多少違ってくると思うのですが、この法案は参議院で先議されておって、参議院でも長官答弁しておられますが、各県の防除員は千三百人程度おる、それを中心に、それを援助する援助体制の人員というものが、林業改良指導員とか、森林組合職員であるとか、県の一般の林業職員であるとか、いろいろなことでたくさんおるのだ、こういう答弁をしておられますが、やはり防除員ですね。その防除員の千三百名の力でそういう万全な処置がとれるのか。緊急まで認定して知事に申告し、報告して認定してもらって直ちにやれるのだろうか。緊急ということはいままででもやっておる。その緊急という場合を、どの辺をもってわれわれは判断したらいいのか、そういうことを考えた場合に、非常に不安を持っておるわけです。あなたのほうが、これでやります。こう言われるなら、われわれはあえて反対するわけではないのですけれども、その責任をどんどん末端にふやしていく、予算措置はあまりしないけれども、責任だけはどんどんふやしていく。責任分量というか、事務の量というか、そういうものをどんどんふやしていくようなことをやってはたしてやれるのかどうか、防除体制確立できるのか、こういう気がするのですけれども、自信があるかどうか、もう一度明快な御答弁を願いたいと思います。
  55. 若林正武

    若林政府委員 森林害虫防除員を中核といたしまして、先生からお話がございましたように、林業改良指導員なりあるいは市町村森林組合等の技術者というものも含めまして、防除体制というものの強化をはかりまして、遺憾のないようにやってまいりたいという、ふうに考えておるわけでございます。
  56. 柴田健治

    柴田委員 千三百人の防除員で、それを中心勢力として大きく役割りを果たしていくわけですが、千三百人でいまの日本の山の面積を大ざっぱに割ってみると、一人頭の大体の面積が一万七千ヘクタールくらいになるのではないか。大体一万七千ヘクタールの責任面積を与えるとしたら、一人の防除員で、一年間三百六十五日の中で日曜もあればいろいろと休みがあって、実質就労日数からいうとたいした日数は出てこない。役所の中を回るようなわけにはいかない。山林をめぐるというのはたいへんなことであって、事前の調査、緊急の認定を下すまでの調査というものは、山林所有者森林所有者の内々の承諾も得なければならない。あれやこれやの関連性を考えてわれわれが判断した場合に、それだけの処置がとれるのだろうか。長官は、そうした病害虫発生をしておる、特にマツケムシ等発生した山に入られて、どういうふうに駆除しているか、そういう現場を見ておられるかどうか。まず第一点として、見たことがあるならあると聞かしていただきたい。  それで、実際一人の人間の能力として、一ヘクタールの山を綿密に調査したら何時間かかる、何日かかる、そういう点について何か基準があろうかと思うのです。やはりいろいろな面で、予算の編成上、積算の基礎にする場合に、科学的に調査をしてつかんでおられると思うのですが、わかっておれば、ひとつその点もあわせて説明願いたいと思う。
  57. 若林正武

    若林政府委員 マツケムシの被害の現場あるいは駆除をやっておる現場等、私見ております。  それから、第二点のお尋ねの予算積算の調査の工程につきましては、いまちょっと調べておりますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。——予算積算に使っております調査の工程でございますが、これは一日一人五十ヘクタールということになっております。
  58. 柴田健治

    柴田委員 一日の調査が五十ヘクタール、たいへんな押え方をしておるものだと感心するのですが、どんな山をどういう形で見るのか。望遠鏡を持っていってじっと見て、それで報告書を書くのかどうかわかりませんけれども、とにかく綿密に調査をして、足を棒のようにして歩いて一生懸命一日やったところで、たいして一日の調査面積というものは上がってこない、そう私は思うのです。それが五十ヘクタールもできるというのは、どこかにごまかしがあるか、どこか逃げ道をしておる、それしか考えられない。だから、その点は別といたしまして、もっと科学的に、もっとだれでも納得するような基礎資料を持ってもらいたい、こう私は思うのですよ。そういうことから、今度の防除体制に緊急ということばを入れて認定する権限までつけた。だれがするかということまでわかった。しかし、それまでに集約してくる、自分の手足となってくる人員の構成、人員の体制というものが、林野庁が出されておるのはちょっとずさんではないか、大ざっぱではないか、あまりにも根拠が薄弱じゃないか、こういう気がするわけですよ。だから、防除員が千三百人おるのだからそれで万全だという考え方は、われわれの立場からいうと、林野庁はあまりにも事務的な判断だ、こう言わざるを得ないわけで、事務的な結論というものは、しばしば末端の現場では食い違うわけであります。だから、千三百人の防除員防除体制ができる、そして緊急の処置もできるのだ、こういうお考え方はひとつ改めてもらいたい。防除員を何とかふやしていくという考え方でこれから取り組んでいきたい、こういう答弁ならわかるのですが、千三百人を中心でやるんだ、これではどうも私は納得できないのですが、今後防除員に対する増員の処置、技術の向上をはかるための技術指導とか研修をうんとしてやるとか、たとえば研修費をふやしていく、調査費をふやしていくとか、人員をふやしていくとか、こういう処置をとっていくという説明なら私はわかる。それを言わないで、ただ、いまの体制でできるんだ、緊急という法の字句を改正してそれでやるんだ、これではどうもつじつまが合わないような気がするのですが、その点見解をひとつお願いしたいと思う。
  59. 若林正武

    若林政府委員 森林害虫防除につきましては、資質の向上をはかるのはもちろんでありますが、今後の実施状況等も十分勘案いたしまして、増員の必要性の有無等につきましても、今後慎重に検討してまいりたいというように考えております。
  60. 柴田健治

    柴田委員 政務次官、ただいま長官にお尋ね申し上げたのですが、お耳が悪いようですから、もう一度申し上げたいと思いますが、防除員が千三百人しかおらない、それを中心にして援助部隊というか、都道府県の林政の職員または林業指導員森林組合、町村役場、そういう方々のお力を得て防除していきたい、こういう御答弁で、それでは日本全体の林野面積から見て、病害虫発生状況、また駆除体制、いろいろな関連を判断した場合に、いまの人員で足らないと私は解釈する。この防除指導員の増員、また研修費をふやし、調査費をふやす、こういうことで両々相まっていくような施策を進めていかなければいかぬのではないか、私はこういう判断をしておるわけですが、行政の最高責任者である長官からの答弁はいただいたわけです。ところが、人をふやしてそういう体制の立て直しをしていくということになりますと、これは次官も力を入れてもらわなければならないのですが、その点についての見解と方針というものをお聞かせ願いたいと思うのです。いかがでしょうか。
  61. 草野一郎平

    ○草野政府委員 千三百人の人員の問題でございますが、県、町村長、森林組合等の一丸となっての努力をすることは当然でありますが、ただいまも事務当局も言っておったでありましょうが、今後積極的な実施を進めてまいる過程におきまして、どの程度の人員が足りないか、さらにどれだけの予算が要るかということを考え、同時に、その結果によってふやしていくような実態をとりたい、さように考えております。
  62. 柴田健治

    柴田委員 参議院でいろいろ大臣が答弁しておられるのですが、それをここで蒸し返してとやかく言うより、いずれ大臣にお聞きしたいのですが、いま日本の林業全体というものがあまりにも他の産業に比べておくれておる、すべて制度の上から見てもいろいろな欠陥がある、こういうことを私は感じておるわけです。だから、みんなで林業施策を進めていく。もう与党も野党もないんだ、あらゆる林業に関心がある者が、政策的にも制度的にも、すべてを進めていくという体制をつくって、一日も早くその欠陥を取り戻す、おくれている面を取り戻していく、こういう考え方を持たなければいけない、こう思っているわけですが、そのために、私は政務次官にもいま申し上げたように、最後の結論はどうだという問いただしをするんでなくて、真剣にこれは取り組んでもらいたい。林野庁もあげて取り組んで、病害虫防除を中心とする森林資源の保護という立場——少なくとも、先般の森委員からの御質疑の中にありましたように、外材をどんどん輸入しなければならぬ、農産物の輸入をのけると、石油、鉄鉱石に次いで二番目、三番目の輸入額であるという、まことに悲しいことだと思うのですよ。だから、森林資源の保護というものは、もっと一元化した考え方に立ってやってもらわなければならぬ、こう思うわけですから、次官もそのつもりで力を入れてもらいたい。これを特にお願いしておきたいと思いますが、今度の病害虫防除法の改正、これだけで災害関係全体が解決するとは思えないのです。病害虫一つの災害だ。ところが、災害の中にはいろいろある。雪害もあれば、風害もあるし、塩害もあるし、産業公害という関係では、亜硫酸ガス等で山林がもはやいけないという一般の産業公害、または山林火災、病害虫、こういういろいろな災害がいま訪れておることは、この日本列島の中でどこかは、一年十二カ月の間ずっといかれておるわけですが、その場合に、今度の法の改正病害虫防除だけの森林資源の保護という立場で、山林災害の防遏ができたんだ、これでは私は納得できないので、やはり山林の災害の予防、防遏、こういう立場から言うと、もっと立場を変えて考えてもいいんではないか、こういう気がするわけですが、他の災害との関連というとおかしいんですが、どういうつかみ方をしておられるのか。雪害の被害額、または風害の被害額、山林火災の被害額、そういう他の災害の被害額というものをどの程度押えておられるか、ひとつお知らせを願いたいと思います。
  63. 若林正武

    若林政府委員 御指摘のように、森林病害虫によります被害のほかに、森林といたしましては、気象災、それから森林火災、こういった被害があるわけでございます。気象災の状況でございますが、過去五カ年間の平均の罹災面積は約五万ヘクタールでございます。その損害額は三十五億円に達しております。特に近年異常気象の頻発ということに伴いまして、年々増大をするというふうな傾向にございます。それから森林火災でございますが、これも過去五年間の平均で申しますと、毎年の焼失面積は約二万ヘクタールでございまして、その損害額が十五億程度でございます。
  64. 柴田健治

    柴田委員 そういう災害というものを、病害虫の災害を含めまして、もう新たな考え方を打ち出す時期がきたのではないか、こういう気が私ばするわけであります。新たな制度といいますか、そういうものを考える時期がきたと申し上げるのは、ひとつ林業の災害補償制度をつくるべきではないか。一番最初私が申し上げたように、一つ予察制度をつくる、これが前提にならなければならぬ。要するに、災害の予防制度予防対策というものを考える。それが前提になって、災害が起きた後の処置、再建計画、再建政策というものを打ち出していく。それには、やはり全体の災害を含めて、林業の災害補償制度をつくるべきではないか、こういう気がするわけであります。それで、この時点でそういう考え方に立って、もうぼちぼち作業をして新しい制度をつくるべきではないか、こういう気もするわけですが、その点についてのお考えはどうですか。
  65. 若林正武

    若林政府委員 森林火災及び気象災害につきましては、先生も御承知のように、ただいまのところ、森林国営保険制度によって対処いたしておるわけでございますが、実は先生からただいまお話のございましたような問題も含めまして、森林国営保険制度というものを今後どう持っていくべきかということで、学識経験者によりまする研究会を組織いたしまして、だいぶ時間をかけて御審議をいただいてまいったのでございまして、先般その報告をいただきましたので、私どものほうといたしましては、この報告に基づきまして検討を開始しておるのでございます。
  66. 柴田健治

    柴田委員 私、今度の法改正で、地方公共団体または森林組合もしくは森林組合連合会に対して、当該措置実施に関して必要な業務をお願いする、こういう改正なんですが、いままでは、こういう機関に対しての要請といいますか、協力の点についてどういうことをやっておったのか。今度はわざわざ法文化しなければならないようになった。どう違うのか。この点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  67. 若林正武

    若林政府委員 森林組合、さらに市町村等につきましては、従来からも森林病害虫等防除につきましていろいろと協力を得ておるわけでございますが、御承知のように、最近、この森林組合の労務班の編成というものも非常に進んでまいっておりまして、その装備というものも逐次充実をしてまいっておるのでございます。かたがた、最近の労働事情等よりいたしまして、個人防除の困難性というものもだんだん出てまいっておりますので、従来以上にこの組織防除というものを推進する必要があるわけでございます。そういう意味で、今回の法律改正にあたりまして、市町村なり森林組合の協力も要請いたしたいということで、中に入れたのでございます。
  68. 柴田健治

    柴田委員 私は、森林組合の皆さんから、この森林病害虫等防除法の一部改正法案についてはぜひ通してくれ、こういう御意見を聞いたこともあるのですが、森林組合の皆さんがこの病害虫防除法案改正を強く通してくれという気持ちはわかるのですけれども、実際この予算とこの病害虫防除森林組合の協力体制というもののどこをつかんでおるのだろうかという気がするわけです。それで、私が疑問を持っておる点は、いままで病害虫発生について、森林組合役割りというものは、法の精神から見ると、森林所有者個人が対象だが、個人個人が集まって森林組合をこしらえておる。ある程度の意義はわかるわけですけれども、今度の法改正で集団防除、組織防除または共同防除という形で、農村に労働力が不足して、森林所有者にいかに勧告してもだめだ、法の改正で今度は代執行ができるのだ、かわって執行するのだ、労働力がないために、法の改正をします。薬剤の散布もかくかくいたします。今度は森林組合があるのだ、こういうことで、今度はそういう防除森林組合にやらした場合に、森林組合の皆さんは、今度の補助の項目が、たとえば労働賃金の補助と薬剤の補助、また機械の補助、そういう補助があるわけです。その補助単価の中を見ると、労働賃金が六百円です。六百円いただいて森林組合が共同防除防除作業班を編成してやる——私は、この法の精神と予算とを比べまして、森林組合の皆さんが、この法をぜひ通してくれ、そして六百円の賃金でよろしい、早くやりますという気になっておったのかどうか知りませんけれども、私は労働賃金の六百円という押え方がおかしいと思う。積算の根拠は私はもう言いません。そこまで尋ねると、いろいろ大蔵省との関係もありましょうから、省略しますが、とにかく六百円という単価は私は何としても割り切れない。特に林野関係の労働賃金の見方というものは非常に過酷だと思う。愛情のない見方だ、押え方だ、こう思っておるのです。山林労務者や農村労働者が農村からおらぬようになるのはあたりまえだ。労働賃金は六百円でよろしいというけれども、労働の価値というものをどう見ておるのか。八時間労働で六百円で押えておる。八時間労働だと一時間当たりが七十五円です。七十五円の賃金をもらって森林組合が喜んでやるのだろうかという気がする。その点について、たとえば今度森林組合が作業班をこしらえる、防除班をこしらえると、労働基準法の問題がある。また労働安全衛生規則という規則がある。そういう法律と関連をして考えた場合に、万一けが人を出したら森林組合は責任を持つのか。共同防除または集団防除森林組合にやらして、けが人やらそういうものを出した場合、森林組合は責任を持ってくれるのかどうか。どこが責任を持つのか。そういうことを考えて森林組合の皆さんは、この病害虫防除法案を是が非でも通してくれ、こう言うのか。   〔森田委員長代理退席、委員長着席〕  そのことは別として、先ほどお尋ね申し上げたように、六百円の単価で他の団体に協力願えると思っているなら、私は、長官というのはよほどずうずうしい人だと思う。この点、私は人間の価値をどこまで認めておるのだろうかという気がするのですが、その点についての見解をお聞かせ願いたい。
  69. 若林正武

    若林政府委員 予算の積算の細部については省略させていただきますが、これはマツクイムシの例でございますが、被害立木の駆除一立方メートル当たり、四十二年度予算で申し上げますと千四百七十六円でございます。御参考までに国有林が四十二年度に編成いたしておりまする同じ内容予算を申し上げますと千六百八十円、これは基準内外の賃金込みでございます。したがいまして、若干そういう面では異質のものが入っておるわけでございますが、こういう国有林の一立方メートル当たりの作業費というものを前提にいたして考えますと、千四百七十六円ということで大体バランスがとれておるのじゃなかろうかというふうに考えております。しかしながら、地域によりまして非常に賃金の格差もあるわけでございますので、実態に即しますように、今後さらに私ども努力をいたしてまいりたいと考えております。  なお、森林組合を今度の法律改正の中に入れましたが、森林組合等がこの共同作業等によって防除をやるというふうな場合におきましては、御承知のように、防除のために必要なチェーンソーあるいは動力噴霧機等の助成措置も考えておるわけでございますし、また、今回の協力要請をいたしまして、協力を森林組合からやっていただいたというふうな場合等におきましては、協力費も予算化をいたしておりまして、そういう面での助成も考えておるのでございます。
  70. 柴田健治

    柴田委員 積算の根拠は別といたしまして、六百円というのが出ておるが、林野庁はなぜこんなに低いのかという気がするわけです。たとえば苗木の生産で、賃金を何ぼに押えて一人当たり苗木何ぼだという——山林労務者か造林をやるにしてもそうです。ことし七百二十円程度に押えるというが、今度のマツクイムシにしても、薬剤散布だけでもたいへんな作業衣がかかる。普通の作業と違って、薬剤散布については作業衣だってたいへんですよ。作業衣だけでも、一つシャツをかえたらどんなことになる。それから、平たん地を歩くようなわけにいかない。どうしても山林というのは急傾斜地帯が多い。その中で動き回るということになると、たいへんな重労働だ、私はこう思うのですが、チェーンソーという機械を森林組合に買ってやるからというようなことで機械を補助したといっても、使うのは人間なんですからね。この防除作業というものは軽労働か重労働か、その判定をひとつ長官してもらいたいと思う。
  71. 若林正武

    若林政府委員 これは病害虫防除方法によりまして、両方が入ってくるというふうに考えております。
  72. 柴田健治

    柴田委員 両方と言われたらわからない。どこまでが軽労働で、どこから先が重労働とか、何とか色をつけてもらわないとぐあいが悪いのです。軽労働というのは、どの程度までが軽労働に入るか。ただ腰弁当で山を見て回るだけで軽労働か。山の作業というものは、法の解釈からいうと、危険度の高い部類に入るわけです。だから、その点をある程度明確にして、今後あなたが大蔵省と予算折衝をする場合に、もっと科学的に説明してもらいたいために——予算をもらわなければそういう価格が出てこないから、私はあなたにハッパをかけておるわけです。山林労務者というものについての科学的な根拠を持ってもらいたい。この辺までは軽労働で、たとえば高等学校卒業で、初任給が大体平均して一日八百円。高校卒業というのは軽労働が多いのです。事務系統が大体多いのです。ところが、ああいう山で働く作業というものは、着ておる作業衣だけでも普通の軽労働に従事する衣類とは違うわけです。それは手袋もよけい要るだろうし、地下たびもよけい要るだろうし、きゃはんもよけい要るだろうし、シャツもよけい要るだろうし、一つ一つ取り上げていったら、ほかの軽労働に従事する人よりか、衣類だけでもたいへん消耗するわけです。おまけに生命身体に危険の伴う作業も多いわけです。そういう点を一つ一つこれからの基準単価を大蔵省と折衝してきめる場合に、もっと科学的に説明できるように林野庁がひとつその認識を新たにしてもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  73. 若林正武

    若林政府委員 単価その他につきましては、実態に合うように今後さらに努力をいたしたいと考えております。
  74. 柴田健治

    柴田委員 私は、人間の価値、作業そのものというよりか、やはり人間としての価値を認めてもらいたい、労働の価値というものは、人間性——人間の価値を高めていくようにやはり認めていくのがいいんではないか、こういう立場から御質問申し上げておるのです。大体山林関係は安いですね。あなた、安いと思っておられるか高いと思っておられるかわからぬが、私たちからいうと安い。たとえば樹苗生産ですよ。さし木にしても実生にしても、三年はかかりますわね、苗をつくるのに。それで、拡大造林だとか、今度はとにかく昭和六十年までにはこれだけの造林をいたします。あの森林法の一部改正森林計画をやり直して、そうして造林をやるといっても、だれも造林しないようになる。やはり労働賃金が低いということなんです。すべてが低いから、せいぜい国土保全であるとか、緑化運動であるとか、大義名分——終戦後日本がたどってきた大義名分の表現というものは、国土保全と緑化運動という立場で治山治水を考える、こういうことで、森林、山の経済効果、経済力を高めるということはあまり重点を置いて考えていない。そのために、小規模林業だ、中規模林業だ、大規模林業だという林業別の規模においてのビジョンもなければ何もない。要するに、人間の使い方が悪いんじゃないか、こういうのです。もっと山に魅力を持たせようと思えば、山を持っている人間よりも、全体の人間が山にもっと魅力を持つような、山で働けば——先般農林大臣が、米価のときに、他の産業労働者と農民との労働賃金が違うのは、空気がいいし、企業家だし、こういう説明をされているのを聞いて、私はじっと黙って聞いておったんですが、空気がいい、半ば企業的な意識も持ち、のんびり生活ができて、生活の基盤が築かれるなら、スモッグに包まれた東京のどまん中に出て、三畳間や四畳半を八千円も一万円も一万二千円も高い家賃を払って、いま人間が蒸発するという世の中になって、いつ男が蒸発して雲隠れになるかわからぬような、夫婦の悲劇というか、家庭の悲劇というか、そういうものを起こさなくても済むわけです。空気がよくても生きていけない、人間として尊重してもらえない、そういうことになるから、農村の労働力がどんどんなくなってしまう。要するに、人間として認めてないじゃないか、こういう意見があるのです。われわれの労働力をもっと評価してもらいたい、価値を認めてもらいたい、こういう農村の青年の強い気持ちがある。この点について六百円というような——私は、この間も、苗木の生産は三年かかって一本八円五十銭、ナスビの苗は三カ月くらいで十五円だ、見てくれ、こう言った。三年間に苗木を一本をつくるのに、モグラに食われたりネズミに食われたりしないように消毒もし、そして草取りもして、雪が降ればおおいをするという、たいへんな労働力を費やして、一本七円か八円だ、林野庁は何でこんな低く標準をきめるんだろうか。労働賃金、草取りをする賃金はどのように見ているか、女の人で四百円しか基準を見てない。一日働いて四百円、その点から言うと、この六百円という防除の労賃、人夫賃というものはまだいいほうだと言われます。けれども、いまの基準で重労働のうちに入るか。私は重労働だと思う。重労働の作業に一時間当たり七十五円という基準は何としても考えられない。それなら遊んで何か悪いことをして刑務所にでも入ったらいいじゃないかという気がする。私は何かどうもそういう気がするわけです。食うていけぬじゃないかというのです。その点少しきびしく申し上げるようですが、農村におるこういう作業に携わる人の労働の価値というものをもっと冷静に判断を下すようにお考えを願いたい、こう思うのですが、今後ひとつ努力していただける、そういう気があるかないか、お尋ねしたいと思います。
  75. 若林正武

    若林政府委員 林業労働者の労働条件の改善につきましては、十分今後努力をしてまいりたいと考えております。
  76. 柴田健治

    柴田委員 それから、森林組合がそういう共同防除作業をして、万一作業員がけがをしたらどういうことになるのですか。たとえばチェーンソーで伐採をやる、これはもう薬剤散布じゃどうにもならぬ、伐採をして焼却をしなければならぬ、火入れをして焼く、そういう作業中にころんでけがをする、そういう場合の責任はどこが持つのですか、共同作業中に。
  77. 若林正武

    若林政府委員 森林組合労務班の場合でございますと、これは森林組合ということになるわけでございますが、当然労災保険等によって救うということを考えるわけでございます。
  78. 柴田健治

    柴田委員 そういう場合の処置ですね。処置は法に照らし合わせて、労働基準法とかいろいろたくさんございますが、そういう補償制度の法の運用に万遺漏なきように適切なる指導ができるという自信があるのですか。その点もう一回確認しておきたいと思う。
  79. 若林正武

    若林政府委員 適切な指導に努力いたしたいというふうに考えております。
  80. 柴田健治

    柴田委員 この四条の改正のところですね。「行なっても十分でないとき又は行なう見込みがないときは、当該措置の全部又は一部を行なう」、こういうことで、代執行なんですが、代執行という権限をふやしていることは一つの奨励制度——この法案は奨励制度だと思うのですが、奨励制度であり、個人中心の法制度である。こういう権限を拡大していくということになれば、どうしても予算措置をしてやらなければならぬと思うのです。要するに、損失補償の問題——午前中にも私、薬剤を使って有益鳥獣が死んだ、その場合の御意見を申し上げて、いずれまた損失補償のときにお尋ねいたしますと申し上げたのですが、損失補償の問題ですね。代執行してどんどんやる、また立ち入り検査をして伐採命令を出す、こういうふうに権限は拡大されていくが、補償というものがあまりにもないということになれば、法の精神は生きてこないと思うのですが、その点はどうですか。
  81. 若林正武

    若林政府委員 農林大臣命令に基づきます受命者がマツクイムシの防除実施をいたします場合に支払います損失補償でございますが、これは四十二年度におきましては、立木の伐倒費を含みます立木(二種)の駆除につきましては三百立方メートル、伐倒費を含まない立木(一種)の駆除につきましては二万七千七百立方メートル、伐採あと地駆除につきましては五千五百アール、伐採木等につきましては千立方メートルを実施する計画でございまして、これに必要な損失補償予算は二千三百万円を計上いたしておるのでございます。
  82. 柴田健治

    柴田委員 予算書に二千三百万円と書いてある。しかし、これだけ法の権限を拡大して、二千三百万円で補償が十分とは言えないと私は思うのです。たとえば一ヘクタールの中でマツクイムシのついた木が三、四本出た。あれを切れ、おまえやらなければ代執行やるぞと期限をつけた。ところが、虫がついた以後松が枯れて、外から何人の目にもかかるような枯れ方をしたというのは、もう手おくれなんですよ。もうその松は虫がおらないのです。どちらかといえば、もうそれはわきに移っているのですよ。その枯れただけを切って、それでしまいというわけにいかない。そうすると、そのぐるりを相当伐倒しなければならぬ。十倍の面積というか、一本出たら十本切らなければならぬということも考えられるわけです。五アール出たら、その二倍も三倍もぶっ切らなければならぬ。その場合に立木石数によって補償する。それが二千三百万円では、本気で損失補償する気でこのような予算措置をしたのか。ただ法の改正を通すために、たった二千三百万円、私から言わせれば、それこそ針の穴から天をのぞくというか、まことに少額でお粗末な気がするのです。二千三百万円の損失補償というもので、いまの価格でどれだけの補償ができるのか、こういう気がするわけですよ。私は、法の精神を生かして、これを順調に早く通して、早く駆除対策をやりたい。だれしも同じ考えだ。けれども、この法の適用を受けるものが森林所有者、農村です。それから考えたら、二千三百万円で損失補償というのはどうも納得がいきかねる。いま予算計上しておるのですから、これよりふやすわけにいかない。しかし、損失補償については、予備費でも使うのだ、林野庁のあらゆる公共事業の補助残でも使うのだ、これだけの決意があって、損失補償には十分御納得のいくように使います。適切な処置をしますというお答えがあるとするならば、私は納得する。この点どうですか。
  83. 若林正武

    若林政府委員 先ほど申し上げました数字は、農林大臣命令の場合の数字でございまして、それ以外に、都道府県知事命令をいたしました場合の補償金は、約一億三千万円予算計上いたしております。  それからなお、病害虫等被害が非常に激甚の場合でございまして、既定予算では駆除できないというふうな場合におきましては、当然予備費の充当ということを考えるわけでございます。過去におきましても、多い場合は約一億くらいの予備費等の使用もいたしております。今後も、必要に応じましては予備費の充当ということも考えてまいりたいというように思っております。
  84. 柴田健治

    柴田委員 今度立ち入り検査ができるし、命令権の拡大ですから、いろいろ措置ができるわけでありますが、ただ一つ私がこの際聞いておきたいのは、森林所有者は個人で都道府県知事を通じてそういう命令を受ける、立ち入り検査を受けるわけですが、たとえば国有鉄道が防風林として植えておる、あるいは文部省で天然記念物というか、そうした文部省の管轄の区域内、神社仏閣、そうしたいろんな関係の他省にまたがる樹木について発生をした場合、そういう他の文部省とか国有鉄道とかいうところが持っておるものについてはどういう措置ができるか。立ち入り検査もできるでしょう。けれども、都道府県知事はどうにもならない。これは直接農林大臣命令でそれぞれの省の大臣に命令を出すのか。この点を聞いておかぬと、片手落ちになるのですが、いかがでしょう。
  85. 若林正武

    若林政府委員 現在やっておりますのは、連絡をとりまして森林所有者のほうで駆除をしてもらうというふうな措置をとっておるのでございます。
  86. 柴田健治

    柴田委員 いままでの過去の歴史から私が苦い経験があるから申し上げておる。あれは国有鉄道の分だからかってに切ってはいかぬ、あれはあれで向こうは向こうでやるのだ、こういうことで逃げられてきておるから、十分でなかった。だれが命令を出すのです。都道府県知事命令を出せ、いやあれは大臣がやるのだ、こういうことで逃げられるから、そういう場合でも、遠慮会釈なしに大臣命令で他の省にもきびしくやるのだ、こういうことを明確にしておいていただきたい。その点についてもう一回お答えを願っておきたいと思うのです。
  87. 若林正武

    若林政府委員 十分相手方に連絡をいたしまして、防除に万全を期するようにいたしたいと考えております。
  88. 柴田健治

    柴田委員 私は、今度の法の精神をずっと生かすために、善意に善意に解釈をしてみて、この条文はこう改正せられたから、こう生かしていくべきだろう、こう思って善意に解釈してみてもどうもよくわからないことは、一番の肝心なところは、やはり都道府県役割りというものをもう少し明確にする必要があるんじゃないか、こう思うが、地方公共団体に対する補助金というか、助成というか、そういうことについては非常にあいまいになっておるように感ずるのです。補助金はやらないが、おまえたち都道府県知事はやれやれ、こういうのでは、地方公共団体はやりにくいと思うのですが、この点について都道府県にどれだけの援助措置というものができるのか、してやるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  89. 若林正武

    若林政府委員 この補助金でございますが、昭和四十二年度におきましても、森林病害虫防除の補助金といたしまして三億六千二百万円ほど計上いたしておるのでございます。
  90. 柴田健治

    柴田委員 林野庁関係の国庫補助職員で、都道府県知事のほうで林業改良指導員、あの指導員の国庫補助率が、法律からいうと二分の一ということになっているわけです。それは表面のたてまえだけで、十分財政的な措置をしていないわけです。これは自治省が悪いのか、大蔵省が悪いのか、ようわからないのですが、特に農林省関係が多いのです。その中で林野庁——いずれそういう国庫補助職員の各府県に配分をする額については、あらためて農林大臣かその他の人にまたお尋ねしたいと思うのですが、林野庁長官の管轄の中では、そうした林政全般にわたって国庫補助職員に対して、人件費ですら二分の一補助だと言いながら、実質賃金の中でどのくらいいっているかということを御承知であるかどうか、よく知っておられれば聞かしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  91. 若林正武

    若林政府委員 都道府県の補助職員の単価の問題でございますが、実際のものよりも下回っておるというのは事実でございまして、今後この引き上げということにつきましては、さらに努力をいたしたいという考えでおります。
  92. 柴田健治

    柴田委員 それは長年聞きなれたことばなんです。われわれは地方でちょうど二十一年間も地方のことをやってきて、戦後農業改良助長法ができて、政府の国庫補助職員の取り扱いやいろいろな点で矛盾を感じて、長い間要望してきたわけです。ところが、いまだに直らないのです。いままで、善処、調査研究、考慮いたします。こういう日本語で逃げられてきたわけです。いつまでたっても解決しない。いま各都道府県の国庫補助職員の中でまともに基準どおりの額が配分されておるのは、建設省の産業開発青年隊の事務職員だけ、あとは厚生省も農林省も国庫補助職員についてはほとんど基準どおり各府県に配分されていない。こういうことをするから、法をいかに拡大したって、今度のこの法改正都道府県のほうに協力体制を求めるといったって、防除員にしても、林業改良指導員にしても、応援しなさいといったって、一生懸命にやらせれば、日直や宿直費も定額の出張旅費も全部ふやしていかなければならぬというわけで、地方の持ち出し分がどんどんふえるから、やりたくてもやれない、こういう状態に追い込まれていくわけです。こういう地方の公共団体の悩みというものをどうして解決してやるのか、こういうことをお考え願って、この法の精神を生かしていくためには、どれだけの助成措置をしてやるのか、どれだけの援助措置をしてやるのか。防除員をどうする、林業改良指導員をどう使うのだ、こう使い方はここで簡単に言われますけれども、ほんとうに動かしておるのは地方公共団体です。地方公共団体のそういう国庫補助職員に対する基準までできないという現実の姿、先ほどから答弁を聞くと、いや、考慮します。基準どおりいっておらぬということは認めます。こういうことを認める認めないは言っていないのだから、そういうところの処置をしてやる、そういうことも考えてやるが、その事務費も、協力というか、そういうものの助成措置をしてやるから、この法の精神を生かすようにみんなでがんばってくれ、協力してくれ、こう言うならば、私はわかると思うが、この点あなたの回答では不満足ですが、いずれまた大臣が来たら質問したいと思いますが、もう一つこの点について矛盾があるから、どういう方法で解決するという一つの将来の取り組みの姿勢をひとつお答えを願いたいと思います。
  93. 若林正武

    若林政府委員 給与改定等に伴いまして年々増額はいたしてまいっておりますが、ただいま御指摘の点につきましては、さらに努力をいたすつもりでおります。
  94. 柴田健治

    柴田委員 長官とこれ以上やっても、大蔵省その他自治省もありましょうから、いろいろ遠慮さしていただいて、この法案と関連する法律が私はあると思うのです。たとえば植物防疫法、植防ですね。それから林業種苗法、この点では、もうこれだけの改正で、この法の関連を一つも考えなくてもいい、こういうお考えがあるかどうか、ひとつ……。
  95. 若林正武

    若林政府委員 ただいまお話しの植物防疫法あるいは林業種苗法等につきましては、今回の森林病害虫等防除法の一部改正に伴いまして改正をするとか、そういう問題はないのでございます。
  96. 柴田健治

    柴田委員 私はあるような気がするのです。たとえば四条でちゃんと「種苗」というのが入っておるのです。林業種苗法を見ると、この法の精神からいうと、立ち入り検査やいろいろな指示命令ができることになるわけですが、人手がないのに、わざわざ種苗の生産農家を一々立ち入り検査や指示命令して回らなくとも、種苗を生産をする農家に、商品として荷づくりをして、包装して発送する——今度の第二条の改正でその包装まで入ったわけですからね。林産物を運ぶのに、包装して運ぶといったら何と何とあるのか。包装種類が何と何とあるのか。その定義をひとつ聞かしてもらいたいのですが、そういうことから考えて、無理に人手のないのに、防除員が少ないのに、一々種苗生産の農家を回ってやるというよりか、林業種苗法を変えて、商品として発送する場合には、それだけの責任を持って病害虫駆除、とにかく消毒もし、完全なものを出していくという任務をある程度義務づけたらどうか。それを義務づけておかないと、こちらの病害虫の法の精神が生きてこないと思うのです。その点どうですか。
  97. 若林正武

    若林政府委員 現状におきましては、特に義務づけをする必要性はないかと思っております。
  98. 柴田健治

    柴田委員 そうしたら、包装種類というのはどうですか。「包装」という字句を入れたのは、どういうものを考えておるのですか。どういうものを包装というのですか。第二条の第二項に入れられた「包装」です。
  99. 若林正武

    若林政府委員 こも、なわ、袋等でございます。
  100. 柴田健治

    柴田委員 こも、なわ、袋というたら、林業関係でおもにどういうところに使うのですか。
  101. 若林正武

    若林政府委員 苗木が大体主体に使われております。
  102. 柴田健治

    柴田委員 苗木に使われると長官は言われたが、私はすなおに質問申し上げておるのですから、すなおに答弁してもらえばいいと思うのですが、こもやなわというものは大体苗木が中心なんですね。そうすると、苗木を生産するところに、ちゃんとこの種苗法の一部改正をして、消毒をして出すというくらいにある程度義務づけておいたほうがいいのじゃないか。人手が足らないのにわざわざ立ち入り検査で権限を乱用するような、そういう行政指導方針でなくして、苗木を生産する人が責任を持ってちゃんとそれだけの消毒をして出すという、そういう指導をやっていかなければいかぬのじゃないかと私は思う。予算もないのに、病害虫の法の第二条に今度は「包装」ということばを入れてきた。大体包装というのは限定されてくるわけですから、これだけの法の改正じゃいけないのではないか。林業種苗法も一部改正をしてかみ合わせていく、関連を持たしていく、こういうことでなければいけないから、とにかく他の法律との関連はどうですかという立場で、関係あるかないか、関係を結びつけるべきではないか、こういう考えを持っておるのですが、今後においては、そういうことはあなたはやらないという意地悪い答弁ではなしに、こちらはすなおに質問申し上げておるのだから、それは改正する用意があるとか、改正して結びつけるとかなんとか、その点はどうですか。
  103. 若林正武

    若林政府委員 林業種苗法につきましては、御承知のように、林木の育種事業というものは、非常に現在その推進を見つつあるわけでございますが、こういった問題との関連等におきまして、林業種苗法の改正というようなことも早晩検討しなければならぬだろうというふうに考えております。そういう時点におきまして、ただいま先生からお話のございました問題も含めまして、検討いたしたいというふうに考えております。
  104. 柴田健治

    柴田委員 今度はすなおになってこられたから、そういう解釈で一歩一歩前進さしていくという姿勢で、一つの法の改正をするのでも、他の法律との関連をよく見きわめてやってもらいたい。  それから、植物を外国産、国内産というふうに明記されておるのですが、今度の病害虫の法でこれから農林業を遂行する中で、この際ひとつ長官に聞いておきたいのは、クリタマバチの駆除についてはいままでは林野庁がやってきたが、先般の果樹保険臨時措置法の審議の際に、クリは果樹になるのか林産物に入るのかということで、今後果樹保険制度を拡充していく過程の中でこれを果樹に入れる。クリやカキは果樹の部類だ。ところが、農業構造改善事業でやっていくクリ栽培、それからいままである野生のクリ、たとえばクリ用材として用材を含めていく場合の解釈がおのずから違ってくると思いますが、クリというものは、今度の防除体制からいうと、クリタマバチは林野庁の森林病害虫の法の精神でやっていく。しかし、将来の展望としてクリは果樹に入れるべきか、あくまで林野庁で林木として取り扱うべきか、この点についてのお考えを聞いておきたい。
  105. 若林正武

    若林政府委員 用材を主目的といたしまして山地に植栽をする場合、当然これはクリの実がなるわけでございますが、そういう場合には林野庁のほうでやってまいる。里山あるいは平場地帯、農地等におきまして樹園地、クリの実を採集するのが目的であるというような場合には、これは園芸局のほうで所管をしてやってもらうというふうに考えております。なお、双方十分連絡をとって遺憾のないようにやってまいりたいと思います。
  106. 柴田健治

    柴田委員 いろいろ論議されなければならぬ問題だと思うのですよ。将来の農業の構造を変えていくというこの推移を続けていくならば、いろいろ論議されてくると思いますが、たとえば病害虫駆除対策で、あれは構造改善でやっておるクリ山だから、果樹の部類だからほうっておけ。たとえば都道府県の例をとっていくと、あれは特産園芸課の仕事だ、こちらは林政課の仕事だ、こういうふうに分けられたのでは、防除体制の一元化という立場で見ても不合理が出てくるのではないか。   〔委員長退席、森田委員長代理着席〕 いま特産園芸課というか、特産課で取り扱うとするならば、クリの品種というか、苗木の選定、技術指導、栽培技術、そういうものを全部特産課が人的構成から見て持たなければならぬ。ところが、現実は、末端の地方公共団体では全部林政課が持っておるわけですね。園芸課または特産課にはない。そういうことから、今度の病害虫の中にクリタマバチまで入っておるわけですから、そういう点については、農林省の中で園芸局とよく話をして、病害虫の対策については連携を保ってやってもらわないと——将来の果樹か林業かということの論争は別といたしましても、駆除対策については適切な措置がとれるように話し合いをして、連携を密にしておいていただかぬと、あれは園芸だ、こっちは林業だ、これではばらばらになってくると思うのです。その点を長官もよく踏まえておいていただきたいと思うのです。  その次に、検査のあり方なんですが、検査は、主体はだれがやるのですか。たとえば駆除が済んだとか、この法の精神からいえば、根株の検査から何から、前のほうもそうですか、何もかにも検査をすることになっておるのです。防除はみんなやってこい、これはやりますわ。人手があれば、賃金をたくさん出せば喜んで来るわけですから、防除はできますが、あとのあと地の検査、そういう検査はだれが責任を持ってやるのですか。
  107. 若林正武

    若林政府委員 あと地の検査森林害虫防除員が行ないます。
  108. 柴田健治

    柴田委員 この検査というものは、しかたによったら非常にむずかしいのです。だから、防除員検査をやられる、いままでからいえばそれしかないと私は思うのです。法のたてまえからいうと。林業改良指導員検査する権限も何もないわけですね。ところが、ややもすれば、いままで都道府県職員の中で、検査のできない者までが検査したようなことになっておる。これは報告書を検査様式とみなして、半ば脱法行為をやっておるところもあるわけですから、そこまでは追及しないといたしましても、千三百人程度の防除員で十分検査ができるのだろうか、私は、この点に疑問を持つのですね。防除もしなければならぬわ、検査もしなければならぬわということで、それでおまけに今度はいろいろなところに立ち入り検査ができるようになってくるわけですね。今度は庭園まで入ってくる。街路樹まで立ち入り検査ができる。よその庭まで入っていける。拡大解釈で検査拡大されてくるのですが、その検査防除員で全部できるのだろうか。一本や二本の検査で回るのなら、それはわけはないですよ。私はそれを見て、いまの人間の能力というものを考えて、たとえば交番所を一つ設置する場合に、警察庁が標準にきめるのは、都会の場合は四百戸前後を基準にしておる、いなかは六百戸前後を基準に置いて交番所を一つこしらえる、それが大体日本の警察の交番所の設置基準です。そうすると、千三百人の防除員防除する、防除指導から防除作業から検査もするということになったら、八手の観音じゃないけれども、口八丁手八丁じゃないけれども、国会議員じゃなくして、ほんとうに働くということはたいへんなことだと思うのですね。検査がこの法改正で十分できるのか、こういう気がするのですが、その点どうですか、長官
  109. 若林正武

    若林政府委員 検査をやります場合に、森林害虫防除員が単独でやるということでは必ずしもないのでございまして、場合によりましたならば、都道府県の一般職員等も使いまして、森林害虫防除員の責任において検査をする、こういうことでございます。
  110. 柴田健治

    柴田委員 どうもワクがあって、やりますというのとやれぬというのと、水かけ論になるから一のれんに腕押しというのはこのことなんですね。つかみどころのない答弁をいただくのですが、総合的に考えて、これだけの広範な面積の中で、悪条件の中で——山というのは地理的条件が悪いですからね。長官も最高責任者だからよく御存じだろうが、たいへんなところを検査して回る。自家用車やオートバイでだあっと回ってくるわけにいかぬのです。たいへん地理的条件の悪い、すべての条件の悪いところで検査を完全にやっていくということだから、相当の労力が要るし、千三百人の防除員で、全国いまの発生見込みの面積の数字から見てやれるのか、やれない場合には一般の職員まで動員する、その検査に要する費用というものはどう見ておられるのですか。
  111. 若林正武

    若林政府委員 予算的には事業事務費の中で見ております。
  112. 柴田健治

    柴田委員 一つ予算を組む場合に、長官、たとえば労賃が幾ら、事務費が幾ら検査費がどうだとか、雑費がどうであるとか、通信消耗費がどうだ、燃料費がどうだ、こう分類ができておるはずだと思う。そういう分類を合わせて初めて一つ予算という形が出てくるわけですからね。事業費の中で見ておるというのじゃなくして、検査費用というものは何ぼ見ているのか。
  113. 若林正武

    若林政府委員 事業の事務費につきましては、予算的には、事業費の三%ということで予算を計上いたしておりまして、その中にただいまの検査事務費も包括されておるのでございます。  なお、森林害虫防除員が現在の人数でやれるかどうかというお話でございますが、この点につきましては、草野政務次官からもお答え申し上げましたとおり、今後の実施状況というものを勘案いたしまして、慎重に検討してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  114. 柴田健治

    柴田委員 検査費用が三%、これも信用しておきますが、いずれ大臣がお見えになったら、たとえば労働賃金の問題と林業災害補償に対する制度化の問題、または防除体制の人的の問題、こういうものについての大臣の見解を聞いておきたいと思うのですが、それは別といたしまして、実務についておられる林野庁、要するに直接の責任者でありますから、特にこまかいことを聞いておかないと、末端ではもう現実にぶち当たるわけですからね。字を書いて字で済まされるものではない。ぜひ駆除しなければならぬ。焼くなら焼く。それで、焼く場合、焼却する場合があるのですが、現地焼却と、たとえば貯木場へ運んだ、これを立ち入り検査をしてみると病害虫を持っておるじゃないか、こういうことで、場所においての焼却というのにたいへんな経費の相違があると思うのですよ。その点について、焼却の分類をしておられますかどうか。その点はどうですか。
  115. 若林正武

    若林政府委員 剥皮焼却をいたします場合には、立木を伐採いたしました現地において行ないますので、先生のただいまのお話のように、これをどこかへ運んでいってやるというようなことは考えておらないのであります。
  116. 柴田健治

    柴田委員 運んでいって焼却するというのじゃなくして、発見の場所において、たとえば山で立木そのままでやらなければならぬという、大体現地というのが原則になっておると私は思うのですよ。ところが、あなたよく知っておられるでしょう。法の改正をすると、今度はどこでも検査がいけるようになって、どこでも発見できるようになる。その場合の駆除処置というものの考え方をちょっと聞かしていただきたい。いままでの法の精神からいけば、原則として山で見つけて、そこで焼却なり剥皮をするとか、薬剤散布をするとかなんとかで駆除処置をする。今度は法の解釈からもう窓口が広がったわけですから、駆除する場所が変わってくる、こういうことも一応考えておかなければならぬ。その場合の駆除の場所の分類というものの根拠をどう持っておられるか。
  117. 若林正武

    若林政府委員 立ち入り検査をいたしまして、病害虫等がそこに発生をいたしておりまして、防除しなければならぬという場合には、その現地におきまして防除する、こういうことになるわけでございます。
  118. 柴田健治

    柴田委員 その場合の経費等は同じように見るのですか。たとえば民家の付近へ出しておるのを何げなしに切ってみると、マツケムシがかかって枯れてしまっているじゃないか。だれが見ても、しろうとが見てもわかるようなものは、虫が食って味も何もなくなってしまって、虫が外へ出てしまっているんです。わきに移ってしまっているんですよ。なま木でも、枯れてないのでも移っている場合がある。そういうのをやはり綿密に検査しなければ駆除対策とは言えない。要するに、専門的に発生消長調査というものがぜひ必要だと思っておればこそ、私は開会劈頭に御質問申し上げたので、そういうしろうとでは見えないが、もう虫のついておるものがたくさんあるわけです。しろうとがわかるようになったら、それはもう、だめなんですよ。ちょうど人間で言えば、ガンにかかってもうなおらぬ。だめなんです。そんなものはやられたってたいしたことはないのです。なまでも、しろうとでわからぬものでも害虫は発生する。民家のところに運び出した。そうしてたまたま道を通る防除員が見て、これはおるじゃないか。その場合、民家の辺で焼くわけにいかないし、処置するわけにいかないから、森林組合に手を合わして拝んで、金はないけどやってくれとか、県にやってくれと拝み倒してやってもらうのか、ただでやってもらうのか、それをどういう根拠で経費を出してやらせるのか、その点はどうかというんです。ちょっとこまかい質問ですけれども……。
  119. 若林正武

    若林政府委員 先生のただいまのお話のように、もうすでに立木が伐採されまして民家の軒先に出ておる場合、あるいはまた貯木場等にはい積みされておるという場合におきましては、当然そこで駆除が行なわれるわけでございますが、経費の面では、立木を伐倒いたしまして剥皮焼却をする、あるいはまた薬剤を散布するというふうな場合とは違うわけでございます。お話のございましたような場合におきましても、経費は非常に安くなりますが、当然補助金というものの対象になるわけでございます。
  120. 柴田健治

    柴田委員 もう時間が刻々迫ってきておりますから簡単に……。私は、私のほうの理事に、二日間くらい余裕をもらいたいということの申し込みをしておったのだけれども、二日間どころか、半日もないのです。問題は、いわゆる防除員の作業衣ですね。その点については、万全な処置というと、無償支給と有償支給、いろいろあるんですが、その支給の考え方、たとえば薬剤をまくにはやはりマスクも必要でありましょうし、手袋から全部要るということになりますね。裸で素手で回るというわけにいかない。そういう薬剤散布に必要なすべての防備の作業衣、これについては無償でやるお考えですか、どうですか。
  121. 若林正武

    若林政府委員 安全衛生の見地から、ただいまお話しのような作業衣その他を置いたらどうかということでございますが、ただいま予算的には計上しておりません。今後の安全衛生対策というものを拡充いたします中で、こういった問題も検討いたしたいと考えております。
  122. 柴田健治

    柴田委員 長官予算措置をしてないのですね。予算措置をしてないのに、法だけはどんどん審議して可決してくれ、実施がおくれるということで、いろいろ御要望が強いようでございますが、何としてもやるほうの側を考えなければならぬですからね。それから、作業する側の立場もわれわれは考えて、そして法の精神を生かしていくように相ともに協力していかなければならぬと思うが、予算措置をしてないというのがそもそもおかしいと思う。これは矛盾を考えられませんか。農村では農夫症という病気がはやっておるのですが、農夫症というものは神経痛、リューマチを中心にいろいろあるわけです。その神経痛、リューマチというのは、いま学説がはっきりしてないのですけれども、やはり農薬や薬剤を使っておる者が神経系統をおかされておるということも一方ではいわれておる。農村では特に農夫症という病名で、いろいろ農村の皆さんは心配しておるわけです。そこで、薬剤を散布する限りにおいては、これだけ万全の処置をしてあるからやれということでなければならぬと思うのです。防毒面の一つも、帽子の一つも何も用意せずに、予算もつけてやらないで、千三百人の防除員森林組合も、何もかにもみなやれます。まことに絵にかいたもちのようなことを言われますが、やる者の立場になってみればたまったものじゃない。その点は、いま予算は組んでおりません。手落ちでありました、けれども実施についてはこういう処置をとります。こういうことを言ってもらわないと私は納得しかねるのです。
  123. 若林正武

    若林政府委員 従来、予算の中では、直接の事業費と申しますか、そういうものだけを計上してまいっておるわけでございますが、ただいま先生から御指摘もございましたし、かたがた安全対策の充実という面からの問題もございますし、今後そういった面での予算措置ということにつきましても十分配慮いたしたいと思っております。
  124. 柴田健治

    柴田委員 労働安全衛生規則というものを読んでごらんなさいよ。病害虫防除に作業する作業員なり防除指導員なりというものが身体、生命の保護を受けるために、労働する場合の安全の諸条件の完備というものが明記されておるわけです。それから、他の法律との関連がすべてありはしないか、こういろいろ申し上げておるわけです。労働安全衛生規則だとか、あるいは自然公園法との関係はどうなるとか、それは一つ法律改正する場合には、他の関係法律との組み合わせをいろいろ考えなければならぬし、一つ法案を生かそうと思えば、全体の法案の組み合わせを考えなければ生きてこないと思うのですね。それから、法の精神を生かすためには細心の注意を払ってもらいたい、こう思うわけであります。今度その点については最善の努力をするということで、善意ある回答をいただいたのでありますから、それに期待をしておりますが、とにかく、今度のこの法の改正で私が林野庁にぜひ考えていただきたいことは、まず助成金の問題ですね。都道府県なり森林組合にやらせる場合の助成措置を最大に考えてもらいたい、これが第一点。それから、作業員なり防除指導員の賃金と待遇、そうしたいろいろな物資の無償給付といいますか、そういうものの生命や身体を守る措置を十分予算措置の上に考えてもらいたい。それから、代執行するのであります。から、代執行する限りにおいては、損失補償の面で十分考えてもらわなければならぬ。この点に最大の配慮をして考えてもらいたい、こう思うわけであります。  ほかにまだたくさん御質問申し上げたいこともございます。各条項の字句を一つ一つ考えてまいりますと、お尋ねを申し上げなければならない点がたくさんございますけれども、私だけみなやったのではいけないので、いずれ民社も公明もあると思いますから、私はこの三つの点を長官の権限の範囲でやってもらいたい。それ以上のことについては、政務次官もおられることでありますし、また大臣に対して私は質問を残しておりますので、あとでお尋ね申し上げるとして、この三つの条件はぜひ長官ひとつ考えてもらいたい、こう思うのであります。  それから、最後に、もう一つ聞いておきたいことは、期間の問題なんですが、たとえば代執行する場合に命令を出す。いま二十日前後だけれども、もう期間もくそもないのだ、緊急の場合はその場でやるのだ、こういう法律解釈なのですが、あくまでも期日の問題はある程度尊重してやらなければいかぬのじゃないかという気がするわけです。法の精神はあくまで個人の防除でありまして、個人にあくまでもやらせるということが原則でありますから、個人にやらせるということになれば、期日をある程度は尊重してやらぬとできないのではないか。この点についてはお考えはどうですか。
  125. 若林正武

    若林政府委員 防除計画その他、相手方といたしましては相当準備が必要でございます。そういった点は十分考慮いたしまして、ただいま先生お話のございましたような運営をやってまいりたいというふうに考えております。
  126. 柴田健治

    柴田委員 最後に、政務次官にひとつお尋ねしたいのですが、森林行政というものはもう一元化していかなければならぬ、こう思うのです。たとえば需給計画というものをまず考えなければならないし、また、先般も、森林法の一部改正地域森林計画というような森林計画を立てるという立場でやられたのですが、やはりその森林計画を立て、また昭和六十年までの造林計画を立てる、こういうことで、順次整備といいますか、組み合わせをかっちりしていくようにやっておられるのですが、ただ一つ、災害だけがどうも後手後手に回っているというような気がするのでありますが、災害に対する次官としての考え方——山林災害というものがたくさんあるわけでありますが、この災害に対してどういう方法で取り組んでいくか。いまの災害対策については、法律はいろいろございますけれども、ほんとうの災害対策というものは十分でない、こう思うのであります。  たまたまこの病害虫の一部改正病害虫の災害だけはこれから講じてやるんだということが方向づけられたのですが、これだけではいけないのであって、もう一つ私は政務次官にお尋ねしたいのは、山林火災なんです。いま災害基本法というものがある。御承知でしょう。災害基本法によって、中央には中央の防災会議があって、議長は総理大臣であります。それから都道府県においては知事が責任を持って防災計画を立てる。市町村に至るまで防災計画を立てることになっている。それから市町村の防災計画を個々に目を通してみると、山林火災の場合は全然手放しだと言わざるを得ないのですよ。なぜこういう考え方に立つのか。山に木を植えましょう、山を愛しましょう、造林もしましょう、こういうことでいろいろ唱えておられますけれども、山林火災については一貫性がないと思うのです。  なぜこういう現象があらわれるかということをいろいろ私は私なりに検討いたしておるのですが、私の考えておるところを率直に申し上げると、やはり防災計画を立てる中で、各市町村の責任者、地方公共団体の責任者が山林火災に対する防除計画というものをあまり考えてない。防災計画の中で、水害だとかその他については、たとえば危険物の、石油が爆発したとか何かが爆発したとかいうような化学製品のそうした災害の防除計画というものはいろいろ立っている。ところが、山林火災については防除計画というものがない。この山林火災の防除計画がないということは、要するに、林野庁に責任があるのかどこにあるのか、われわれにはよくわからぬのですが、考えてみると、山林火災の防除対策に対する経費がやはり要るわけです。その経費をだれも見てくれない。自治省に行けば、それは山林のことに関する限りは林野庁でと言う。林野庁は、山林火災に対する防災計画はこうやりなさいという指導理念もなければ指導方針もない。財政援助もなし、交付税の算定基準にも入れてくれないし、こういうことで、市町村は金がないから、山林火災の防除計画というものには無関心で手放しだということになる。この点については、長官よりか次官に、これは抜本的に取り組んでもらわなければならぬ。大臣と相談して取り組んでもらいたいと思うのですが、災害というものはたくさんありますけれども、一番おくれているのは山林火災の防除計画、防除対策だと思う。この点についての次官の見解を聞きたいのです。
  127. 草野一郎平

    ○草野政府委員 山林火災の問題は、アメリカやカナダあたりでも弱っているらしいです。——らしいですということは、これはアメリカやカナダの上空を飛んでみましても、飛行機でものの五時間も飛んでいれば、際限なき火災が何カ所か発見できる状態を見ても、困っておるのではないかと思いますが、よそが困っておるから日本は手放しだというわけにはいきません。消防のことになりますと消防庁でありましょうが、森林のことだから林野庁、そういう役所めいたことは言っておられませんし、ことに森林火災という問題になりますと、ことに森林計画というものの根幹にも関することであり、同時に、森林経営それ自体が国土防衛にも連なることでもありますので、そういう基本的なものの考え方から対策を立てねばならぬ問題だと思います。特に森林火災の場合でも、手の届かぬようなところに対して一体どうするかというような問題、いわゆる空中から消火に当たるような計画にまでものは考えねばならぬとも思いますので、これはやはり関係省あるいは消防庁、そこらとも相談をしながら、防災会議との連絡もつけながら、十分な根幹的な対策を立てねばならぬ、さように考えております。
  128. 柴田健治

    柴田委員 次官はアメリカ、カナダの例まで出されましたが、私もアメリカ、カナダへ行って山林を見てきて、山林火災の防除計画、防除対策というものを知っておるわけです。それらのことをここで聞こうとは思わぬのですが、とにかく、山林火災に対する防除対策、防除計画というものは日本にはないわけですよ。災害基本法では防除、防災計画というものを立てることになって、中央、都道府県、市町村に至るまであるわけです。法の精神で明記されておるわけです。ところが、ほかの災害の防災計画、防除計画というものはできておるけれども、山林火災の防除計画というものは立ってない。ばらばらだ。ここに問題があるわけです。  だから、なぜ防除計画が立てられないのか、出てこないのか、その計画の中になぜ入らないのか。これはいままでの指導が悪いなら悪いと、人を責めるだけでなく、これをどうしたら解決するか、この点で、解決の方向について、次官の見解を求めたのですが、消防庁だとか林野庁というのでなくして、いままでの欠陥は、私に言わせれば、林野庁が国有林ばかりやってしまって、林や私有林は、正直いってほったらかしということです。民有林、私有林のことはほったらかしにして、国有林だけさぼりついて、国営保険法で大蔵省がもうかるような制度をつくって、そういうことのみきゅうきゅうとしておって——不偏な点は指摘すれば幾らでもあるのです。そんなことは私は言いたくないから、とにかくこれからの山林火災の防災計画、防除計画というものをどうしたらいいのか。それで、これは各省にもまたがるので、林野庁の長官だけではできないから、次官にひとつそういう役割りを果たしてもらいたい、こういうことで、そういう気持ちを前提にしてお尋ねを申し上げたのです。アメリカ、カナダを聞こうと思ったのではない。だから、その点について、いままで手落ちがありました、これからその問題については真剣に取り組んで、解決するような方向でいたします。こういうことをはっきり言ってくれればいいのに、あなたがそんなことを言うから——私は火消しを三十七年しておるのですよ。だから、私は、各市町村の防災計画に目を通してみてばらばらであるから、山林火災をなぜここまで放置するのか。だれの責任かという責任問題じゃないのです。これから一日も早く取り組んで解決しなければならぬときにきておるからお尋ねしておるのであって、手落ちは手落ちであっても、それを責めるのでなく、いままでのおくれを取り戻してもらうように、あなたにはその役割りをしてもらいたいという気持ちでお尋ねをしておるのですから、その点はもっと明確に御答弁願いたいと思います。
  129. 草野一郎平

    ○草野政府委員 おっしゃるとおりであります。山林火災をいかに防除するか、火事が出てから消すことも肝心でありますが、出ないようにしなければいけません。出たならば、すぐに発見して、直ちにそれに対するところの消火の方法をとる。そのためには、あるいは監視員を配置するとか、あるいは望楼を設置するとか、そうした問題も必要でありましょうけれども、同時にまた、一たび山林火災が起こりますと、これは非常に大きな災害となることも保しがたいのでありますから、そうした場合に対する出動体制から何から何まで基本的な計画がやはり必要でありましょうから、ひとつ今後——何も国有林の番さえしておればいいというわけにはいきません。これは国が全森林に対して、責任を持ってどう火災から守るかということについて基本的な対策を立ててまいりたい、さように考えております。
  130. 柴田健治

    柴田委員 時間がまいりましたので、これで次官以下政府委員に対する質問を終わらせていただいて、大臣に対して三、四点ぜひ質問をしておきたい、こう考えておりますので、お取り計らいをよろしくお願いいたします。終わります。
  131. 森田重次郎

    ○森田委員長代理 中村時雄君。
  132. 中村時雄

    ○中村(時)委員 これは委員長代理で悪いのですけれども、第一に委員長にお尋ねをしておきたい。  本日が本国会の最終日です。そこで、そういうことは賢明な自民党さんだからないと思うし、政府もないと思いますけれども、もしかりに、この法案がここを通過したとしましても、本会議場においていかなる不測の事故が起こるかもわからないという現状であります。そういう際、これがあるいは審議未了になるおそれもなきにしもあらずと危惧される。もしそういう不測の事態があった場合には、次国会あるいは臨時国会において必ず優先的に取り扱っていただきたい。そういうことをまずお願いをしておきたいのですが、どうでしょう。
  133. 森田重次郎

    ○森田委員長代理 よく理事会等へもはかりまして、善処いたします。
  134. 中村時雄

    ○中村(時)委員 政務次官、どうですか。
  135. 草野一郎平

    ○草野政府委員 本日の会期中に可決していただけるものと期待をいたしております。
  136. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それは期待することははっきりしている。こっちも通すために一生懸命努力しておる一人です。そこで、もしも不測の場合ということを言っておる。不測の場合には政府提案をおそらくされるであろうという予測をするから、あなたのほうで最優先的にこれを取り扱ってもらいたいことをいま委員長お話をし、政府提案としてやられるような場合には、そのことの構想もお考えを願っておきたい、こういうことなんですが、どうですか。
  137. 草野一郎平

    ○草野政府委員 目下のところ、本日中に御可決いただくことを希望するのみでございます。
  138. 中村時雄

    ○中村(時)委員 希望するということは期待なんです。同じことを言う。そうでしょう。簡単なことなんだ。それはけっこうな話ですから、与党に賛成しながら一生懸命やるように、あなたの与党のためのことを言いよるのだ。それに中途はんぱなことを言いよっては困る。通してもらえるでしょうが、もし不測という、もしということを前提にしておるのだから、何も心配することはない。ただ何とかうまいことを言って逃げようというのが政務次官ではない。だから、これはそのとおりです。しっかりやっていただきたいと言えば済むことです。その点はっきりしておきましょうや。
  139. 草野一郎平

    ○草野政府委員 時間的にも、そうした場合のことをいま想像いたしておりません。
  140. 中村時雄

    ○中村(時)委員 想像していません——あなたは先ほど森林火災の問題で、そういうことが起らぬことを期待しておると言ったでしょう。それと同じようなことじゃないのですか。そういうことが起こらぬことを私も期待しておる。しかし、万一ということを常に考えておくことが大事なことじゃないか。  そこで、ことばをかえて言いますが、そういう場合には再提案をしてもらえますか。私はしてもらいたいから言うのです。この点どうですか。
  141. 草野一郎平

    ○草野政府委員 そうした場合に際会したときにはそうなることかもしれませんが、いまの場合は、私たちは、通過させていただきたいということを念願するのみでございます。
  142. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたのおっしゃることはよくわかるのです。しかし、かもということばをいま使いましたが、このかもということばは、そのことを前提にしておることばなんだから、私は、それをどうしても通していただきたい、また、やるべきだと思っている。だから執拗に言っている。その責任を政府がとらなかったらやめてもよろしいということになる。そうでしょう。だから、いかなることがあっても、今国会だけでなく、その次でも、またその次でもという熱意をあなたが持っているかどうか。それによって私たちも協力のしかたをはっきりと打ち出さなくてはならぬのですが、どうですか。
  143. 草野一郎平

    ○草野政府委員 もしそういうことになるならばということならば、いかなることがあっても、これは最も近い機会に通していただけるようなことをいたさねばなりません。
  144. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それだけのことを最初に言ってくれれば何も言わないで済んだのです。しっかりしてちょうだい。  次に、お尋ねいたしますが、現在までの病害虫による森林被害状況並びに被害額を報告していただきたい。
  145. 若林正武

    若林政府委員 過去五カ年の平均で申し上げますと、毎年マツクイムシによります松の枯損材積が四十七万立方メートル、マツクイムシ以外の病害虫等による被害面積は約四十万ヘクタールでございます。これらの枯損及び食葉によります成長阻害の損害額は約八十億円というふうに推定をいたしておりまして、そのうち、国有林関係が約三〇%でございます。
  146. 中村時雄

    ○中村(時)委員 次に、この森林病害虫等の加除、予防に対する予算はどのくらいに相なっておりますか。
  147. 若林正武

    若林政府委員 昭和四十二年度総額で申し上げますと、四億一千二百六十四万四千円でございます。
  148. 中村時雄

    ○中村(時)委員 次に、森林病害虫防除員の人員はどのくらいおりますか。
  149. 若林正武

    若林政府委員 千二百五十名でございます。
  150. 中村時雄

    ○中村(時)委員 次に、お尋ねしたいのは、造林五十年計画というのをやっていらっしゃいますが、それに伴って拡大造林、再造林をどういうような計画に基づいてやっていらっしゃるか。
  151. 若林正武

    若林政府委員 昭和六十年度までの計画について申し上げますと、再造林が百九十五万五千ヘクタール、拡大造林が二百七十一万千ヘクタールでございます。
  152. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それに伴う概算の金額はどういうふうになっておりますか。
  153. 若林正武

    若林政府委員 正確を期しますために、後刻資料として提出させていただきます。
  154. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そこで、お尋ねしたい。たとえば、本年度の予算の上において四億一千万円、ところが、この五年間の病害虫被害金額だけで八十億円からになっている。これは間違いないですね。
  155. 若林正武

    若林政府委員 一年間の推定額でございます。
  156. 中村時雄

    ○中村(時)委員 しかも、人員がわずか千二百五十名、そうすると、現在の労働力の流出に伴って、おそらく今後は集団防除方法がより多くなってくるのではないか、こういうふうに見るのが普通の常識的な判断だと思うのです。その場合に、これらの労働に対するところの組織の確立、あるいはそれをどういうふうにやっていらっしゃるか、また、国として森林保護立場からどういうふうな責任体制をとるのか。いま言ったように、五年間で八十億円、これだけの被害でありながら、千二百五十名でやっている。おそらく林野庁にしてもこれが是なりという問題ではない、この数字を見ただけでも。常識的に考えられてもそうだと思う。しかも、いまの状況では、その上に占めている労働力というものはだんだん減っていくはずであります。そうすると、だんだん集団防除の方向に移行せざるを得ないという状況が生まれてくる。そうすると、実際の予算が四億一千万円で、はたして可能かどうかという問題に必ずぶつかってくる。しかも、いま造林のほうをお尋ねしたのは、この計画造林の上からいきますと、少なくともいまの状態では、より危険性がより重大な角度で増してくる、こう見るのが私は妥当だと思う。そういう意味において、いろいろな資料をあなたに説明してもらったわけです。一体林野庁の長官はどういうふうにお考えになっていますか。
  157. 若林正武

    若林政府委員 今年度予算と申し上げましたのは、これは国費でございまして、事業費に換算いたしますると十一億でございます。そこで、お尋ねの、だんだん人が減っていく、こういうことに対して組織防除をやらなければならないということでございまするが、森林害虫防除員を中核といたしまして、林業改良指導員、市町村、森林組合——森林組合には技術員のほかにすでに作業班という組織ができておりまして約四万四千名の人員が現在組織化されておるのでございます。こういったものを組織化いたしまして、集団防除、組織防除をやってまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  158. 中村時雄

    ○中村(時)委員 組織の形だけは、あなたは四万四千名という数字を発表しましたから、一応それでやるとして、実は私はまだ問題がこの中にはありますけれども、早くこれを通したいし、政務次官も一生懸命考えているようだから、その問題は一応摘発はしません。  そこで、お尋ねするが、一体今般の場合に補助金としては国が何ぼ持とうとしていらっしゃいますか。
  159. 若林正武

    若林政府委員 国からの補助金といたしましては三億六千二百三万円でございます。
  160. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、その対象はどういうようなものを目標にしていますか。
  161. 若林正武

    若林政府委員 補助対象都道府県対象にいたしております。
  162. 中村時雄

    ○中村(時)委員 都道府県に出していく。私の対象という意味は、都道府県という意味じゃなくて、たとえば労賃費であるとか、あるいはまた機械の設備費であるとか、そういう問題を私はお尋ねをしているので、その点をこまかく御説明願いたい。
  163. 若林正武

    若林政府委員 補助金の内容といたしましては、主体は労賃でございます。労賃、薬剤費、それから事業事務費、それから、別に防除組織等の整備促進費ということで、チェーンソー及び動力噴霧機等をセットにいたしまして補助対象に考えておるのでございます。
  164. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そこで、薬剤費であるとか、事務費であるとか、あるいは防除組織の整備促進費であるとか、そういう個々の問題については、もう時間が迫っておりますのでまた次の機会にするとして、そのうちの労賃は幾らに見ておりますか。
  165. 若林正武

    若林政府委員 総額の中で労賃は約六割ほどを見ております。
  166. 中村時雄

    ○中村(時)委員 長官、よく聞いておって……。労賃は幾らでやっているのかと聞いているのです。
  167. 若林正武

    若林政府委員 予算上の単価といたしましては六百円でございます。
  168. 中村時雄

    ○中村(時)委員 六百円という基準額、その査定のしかたはどこから出したか。
  169. 若林正武

    若林政府委員 これは一般作業員の単価でございます。
  170. 中村時雄

    ○中村(時)委員 もっと詳しく言ってください。一般作業員、そんなことを言ったら、それでは、そういう質的な問題から、いろいろなことを聞かなければならぬ。だから、どういうふうな基準で確立したか。
  171. 若林正武

    若林政府委員 屋外の一般作業員の単価でございます。
  172. 中村時雄

    ○中村(時)委員 国外の一般の作業員というのはどういうことなんですか。こまかく言ってください。国内の賃金をやるのに国外の……。
  173. 若林正武

    若林政府委員 屋外であります。
  174. 中村時雄

    ○中村(時)委員 屋外と言ったのですか。屋外というものにもいろいろあります。それなら、一体屋外のどれとどれとどれを取ったのか。
  175. 若林正武

    若林政府委員 この単価は一般作業員の単価でございますが、今後この単価の引き上げということにつきましては十分努力をしてまいりたいと考えております。
  176. 中村時雄

    ○中村(時)委員 どういう答弁になるのかな。質問のしかたが悪いのかしらぬけれども、私が内容を聞いたら、今後単価をだんだん上げていきますと言うたって、これは答弁にならないと思うのだけれども、まあ私は、これを通したいために、やめましょう。  そこで、六百円という賃金は、あなたも農林省にいらっしゃるのだから、米価の査定をするときの賃金と幾らの相違がありますか。
  177. 若林正武

    若林政府委員 ちょっとよくわかりません。
  178. 中村時雄

    ○中村(時)委員 農産物価格をきめ、その労働の価値をきめる、そういう事柄をきめる際の一番基本になるものは何かといえば、労賃であります。土地であります。金利であります。資本であります。その労賃について、査定をする基本準備がはっきりわからないということで労賃をきめられた。あなたはいいでしょう、デスクできめるのだから。きめられた者は、いまの実態と比べてどうなります。それじゃお聞きしますが、六百円ということは、あなたは妥当な賃金だというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか。
  179. 若林正武

    若林政府委員 予算の積算につきましては、まあいろいろございますので、申し上げかねる点もあるわけでございますが、この六百円がどうだという御質問に対しましては、従来からも私ども引き上げについて努力をいたしてまいっておったのでございますが、今後におきましても引き上げについては最善の努力をいたしたいというふうに考えております。
  180. 中村時雄

    ○中村(時)委員 いや、私の聞いているのは、むずかしいことを聞いておるのではない。あなたは、いまの実在されておる賃金と対照してみて、これが実際に妥当だと思うかどうかということを聞いただけなんです。そこで、妥当でないなれば、低いと思うかどうか。
  181. 若林正武

    若林政府委員 私も妥当とは考えておらないのでございます。これは予算の積算の問題になりまするので、なかなか申し上げにくい点もございまするが、たとえば、先ほどマツクイムシの立木駆除の例を申し上げて柴田先生の御質問にもお答え申し上げたわけでございますが、一立方メートル当たりの伐倒、玉切り、剥皮焼却の経費でございますが、これが昭和四十二年度の予算でまいりますと約千四百円くらいになるわけでございます。それで、ただいま四十二年度におきまして国有林のほうで予算を編成いたしておりますのが約千六百円、これは先生承知のように基準内外の賃金を含めての千六百円ということでございますが、大体基準内賃金を勘案いたしますると、民有林ともそうバランスがとれてないというふうには考えていないのでございます。
  182. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それじゃ、業種によりますけれども、山林地帯において、この六百円ということは私一日八時間ということでしているのだと思うのですが、そうすると、いま一日六百円で現実に人が雇えますか。
  183. 若林正武

    若林政府委員 これは職種、年齢等によりまして雇える場合もあろうかと思うのでございます。
  184. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それじゃ、六百円ということであなたが責任を持って雇えるなら、私はあなたのところにたくさんお願いに行きます。あなたは責任を持って、こういう職種ならこれだけ雇えるということを言い切れますか。
  185. 若林正武

    若林政府委員 一日の賃金六百円ということで雇用することにつきましては、なかなかむずかしいというふうに考えております。したがいまして、今後単価の引き上げということにつきましては十分ひとつ努力してまいります。
  186. 中村時雄

    ○中村(時)委員 今後において十分努力するという意味は、裏から見れば、これは安いということをあなたは言い切っておることなんです。そこで、もうきれいごとやごまかしごとはやめましょう。私の言うのは、この基準賃金というものはやはり農業政策の基本をなすものだ、その基本をなすものを正常な立場に返すべきじゃないかということが私の持論なんです。正常な姿に返すについては、どこに欠陥があるのだということをここではっきりさせて、そして、われわれが政府に向かって、あるいは与党に向かって、与党の人は頭がいいからわかっているかもしれないけれども、十分説明をしてあげなければならぬ、そうして協力を求めなければならぬ、そういう意味において私はこう質問をしているわけなんです。  そこで、あなたは、少なくともこれは将来十分考慮して前進さしたいという御希望のようだから、その問題をこれ以上延ばしていこうとは思わないから、一応これで打ち切りますけれども、最後に一点だけお尋ねしておきたいのは、いままでのお話予算の上から全部見ておりますと、一番の問題として出てくるのは病虫害の予察の問題でありますが、これに対してどういうお考え方を持っていらっしゃるか。   〔森田委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 若林正武

    若林政府委員 病害虫による被害を事前に発見するというやり方でございまするが、発生予察というものの制度化につきましては、基本的な問題でまだ解明を要すべき点が多々ございまして、いま直ちに制度化するということが困難であるということは、柴田先生の御質問のときにもお答え申し上げているとおりでございます。そこで、被害を早期に発見する、そして適期にこれを駆除する、このためには、森林害虫防除員等を中核といたしました組織体制というものを大いに活用いたしますとともに、この法律の中にもございますように、通報の義務づけということもいたしておるわけでございます。また、林野庁といたしましては、速報カードというものも全国に配っておきまして、被害を発見いたしましたならば直ちにこれで報告をするというふうな通報体制も現在とって実行に移しておるわけでございます。
  188. 中村時雄

    ○中村(時)委員 私はなぜ言うかというと、これはすべての点でそうなんですね。災害を早期に発見をし、早期に手当てをする、あるいは平生にちゃんとしておくということのほうが、災害が起こってから結果を云々するよりもはるかに安い費用で効果的にこれができるのですね。私はそう思っているのです。実際に被害状況を見ても、特にマツクイムシなんかは、実際にやられておる立木よりも、その範囲の問題が出てくるわけですから、そういうことを考えれば、早期に被害を発見する、あるいは早期に手当てをしておく、そのことのほうがより重大だ、こういうふうに考えているわけです。ところが、この予算措置の上から見ると、ほとんどこれが出ていない。出ていないところに、私はいまの政府の大きな欠陥があるのじゃないかというふうに考えているのです。ですから、これに伴ってその問題は予算化をし、明確にその方法を取り上げることが必要じゃないか、こういうふうに考えているのです。  いままでお聞きでわかったと思うが、政務次官はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  189. 草野一郎平

    ○草野政府委員 予防なんですが、非常にむずかしいようであります。ただ、ネズミはやっておりますけれども、ほかのものは、もう発見してからこれをどう防除するかに努力しておるようなんで、とにかくむずかしいようであります。
  190. 中村時雄

    ○中村(時)委員 政務次官に尋ねるけれども、私の言っているのは国の予算ですよ。あなたの言っていることを聞いていると、事前に発見することのむずかしさがわかっただけなんだ。だから、私の言っておることをよく聞いておってください。私の言っているのは、早期にそういう発見をするために、国のほうで予算をきめて、一応こういうふうにしようではないかという前向きの姿勢が必要なんじゃないかということです。病気になってから医者にかかったらお金がかかる。その前にやったほうが安くて済む。同じことです。経済効果の問題を言っているわけだ。そういう努力をあなたも今後しなければならないから、あなたのような賢明な努力家に対してお願いをしたわけですが、どうですか。
  191. 草野一郎平

    ○草野政府委員 申しわけないことです。先ほど私にまさかお聞きにならぬだろうと思っておりましたものですから。  予防の問題につきましては、いままでのところむずかしかったというだけでは、もう事が済みませんから、むずかしいところをどう解決していくかということに対して、ひとつ前進的な方向をとりたいと思います。
  192. 中村時雄

    ○中村(時)委員 実は、いま私質問をして、たった一点労賃の問題だけを質問しても、十分な回答がない。みんなが十分納得する一つの方式の打ち出し方もできていない。この法案全体に流れる趣旨は、これはやはり価値あるものと認めなくちゃならぬという考え方を私は持っておる。しかし、不備な点は多々あります。したがって、政府並びに長官におかれては、今後これを十分整備して、もう一歩前進の体形をとる心がまえを持っていらっしゃるか、その点を最後にお聞きしておきたい。
  193. 草野一郎平

    ○草野政府委員 いろいろ御指摘をいただきました点につきまして、さらに実施する過程におきましてもまたいろいろと考えなければならぬ問題も出てくるかもしれません。十二分にこの問題の成果をあげるために整備の点においても努力したいと考えております。
  194. 若林正武

    若林政府委員 今後におきまして十分努力してまいるつもりでございます。
  195. 中村時雄

    ○中村(時)委員 最後に委員長にお願いしておきますが、すみやかにこの審議を終了させて、可決されんことをお願いいたします。
  196. 本名武

    本名委員長 承知しました。  中野明君。
  197. 中野明

    ○中野(明)委員 けさほどから非常に細部にわたって熱心な質疑があったわけですが、私も二、三お尋ねしたいと思います。  まず一点は、一たん病害虫被害が下火になったのが、再び上昇線をたどってきておる、こういう現状から、非常に大きな問題になっておるわけですが、最近、特に病害虫が幼齢小径木にも移行してきておる、こういう傾向が出てきておるようですが、その原因をどうお考えになっているか。いままでそういう傾向がなかったのに、最近そういう方向でふえてきた、その原因についてお尋ねします。
  198. 若林正武

    若林政府委員 御承知のように、造林事業というものが非常に伸びてまいっておりまして、したがいまして、幼齢林が非常にふえておる、こういうことが一番大きな原因だと思いまするが、もちろん、森林病害虫等発生密度が非常に高くなってきた、あるいは最近におきまする森林の開発、こういうことに伴いまする自然界の生物のバランスが変わってきたというようなことによりまして、幼齢木等にも被害が及んできたというふうに考えておるのでございます。
  199. 中野明

    ○中野(明)委員 そこで、病害虫発生しまして、大臣のほうで命令をして防除を行なうわけでありますが、そのときに国のほうからどういう面で補償を出していらっしゃるか、それをお尋ねします。
  200. 若林正武

    若林政府委員 損失補償金を出しておるのでございます。
  201. 中野明

    ○中野(明)委員 どういう計算の基礎で出していらっしゃるのでしょうか。
  202. 若林正武

    若林政府委員 四十二年度におきましては、立木の一種の駆除二万七千七百立方メートル、立木の二種の駆除三百立方メートル、伐採あと地駆除五千五百アール、伐採木等駆除千立方メートル、こういう事業を対象にいたしまして損失補償金の予算化をいたしておるのでございます。
  203. 中野明

    ○中野(明)委員 基本的にお尋ねしたいのです一が、病害虫防除はどこまでも個人防除を前提としているようですが、法律で一応指定して、大臣が命令でこれを防除させる、こういうことになってまいりますと、当然国のほうで責任を持ってやるべきじゃないか、こういう考え方、こういう議論が出てくるわけですが、その点長官としてどこまでお考えになっているのか。
  204. 若林正武

    若林政府委員 病害虫等防除につきましては、これは森林所有者防除をするというのをたてまえといたしておるのでございます。これは森林所有者が所有いたしておりまする森林の保全のために駆除をやるわけでございます。これに対しましては、もちろん国のほうから助成措置ということも現在やっておるわけでございます。この森林病害虫等被害が激甚でございまして、しかもこれを放置いたしておきますと蔓延をしていくというふうな場合等におきましては、これは農林大臣なりあるいは都道府県知事命令を出しまして駆除をする、こういうふうなたてまえになっておるのでございます。
  205. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣が命令をしてやった場合は、国の責任において全部一切の費用を持つのがほんとうじゃないか、こう思うわけで、その点について長官の考えを聞いておるわけです。
  206. 若林正武

    若林政府委員 事業費につきましては国のほうで補償するという考え方でやっておるわけでございます。
  207. 中野明

    ○中野(明)委員 その事業費の補償ですが、どれくらい単価を見ておられるか。一立方メートル当たりで……。
  208. 若林正武

    若林政府委員 一立方メートル当たりの立木の駆除費は千四百七十六円でございます。
  209. 中野明

    ○中野(明)委員 この千四百七十六円は、私は非常に安いように思うわけですが、長官として、現在予算の上ではそう出ておる、先ほどから労賃の問題についてもそういう答弁でしたが、おそらくこれもそのような考え方を持っておられるのじゃないかと思うのですが、現実に一千四百七十六円ではたして処理できるものであるかどうか、その点どうお考えになっておるか。
  210. 若林正武

    若林政府委員 国有林の場合におきまして、一立方メートル当たりの駆除費が千六百八十円でございます。これは基準内外の賃金込みの数字でございますので、その辺を勘案いたしますると、おおむね民有林の駆除費につきましてもバランスがとれておるのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。しかしながら、それぞれの地域におきまして賃金等におきましても相当差があるわけでございますので、実態に即しますように、さらに単価の改定等についても努力をしてまいるつもりでございます。
  211. 中野明

    ○中野(明)委員 これは私の質問の一つの焦点になっておりますが、実際に病害虫被害が出て、そして命令駆除する。このときに、もちろんこれに対して全額国が出しておられるのじゃなしに、補助は二分の一じゃなかったかと思いますが、そうなりますと、一立方メートル当たりの事業の経費の見積もりというのが非常に問題になってくるわけです。それの半額を補助してもらう、こういうふうな形になってまいりますから、この計算のあり方が実際の必要とする経費よりも非常に低い場合には、その半分でございますから、これは実際に被害を受けた人たちが相当痛手をこうむるわけであります。これではたして被害を最小限度にとどめるための伐採がうまくいくだろうか、こういう心配を持つわけであります。私が調べました範囲では、とうていこの一千四百七十六円ではできません。私の住んでおります県内で、約三十人ぐらいに特別に私のためだから割引をしてやってくれといって見積もりをしてもらいましたけれども、一番安く言った人は三千円、それで一番高かった人が三千七百円ぐらい、これは現実の問題でございます。他の県でも、ちょっと聞いてみますと、やはり三千円以下ではとうていできない、それが実情のようでございます。にもかかわらず、一千四百七十六円というような計算で、しかもその半額の補助、こうなりますと、七百円そこそこです。実際には三千五、六百円、こうなりますと、これはもうまるっきり被害を受けた人たちにとっては補助というのは名前ばかり、こういうようなことで、命令的に強制的に切らされるというようなことでこういうことになってまいりますと、非常に病害虫の問題をやかましく言いながらも作業がなかなかはかどらないんじゃないか、それがために作業がおくれて、マツクイムシの場合なんかはまだまだ蔓延していく、早く作業を開始すれば被害も最小限度でとどめられるものを、こういう予算面、経済的な事情から作業がおくれて、そして被害が最初以上に発展するということは問題だと私は思うわけです。その点、もう一度長官のほうから、それは国有林ことばかりじゃなしに民有林のこともありますし、一応の計算ぐらいはしておられるんじゃないかと思うのですが、林野庁のほうでは幾らぐらい実際にかかると思っておられるのか、御答弁願いたいです。
  212. 若林正武

    若林政府委員 実勢単価から申しますると、これは全国平均でございまするが、若干下回っておるというふうに考えております。従来からも予算の増額につきましては努力をいたしてまいっておるのでございまするが、今後はさらに予算の増額等につきまして努力をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  213. 中野明

    ○中野(明)委員 もちろん予算を増額せなければならぬことは当然でございますが、実際にあまりにも値段のかけ離れがありますので、いま私がお尋ねしているのは、長官がおっしゃったような千四百七十六円ではとうていできないと私は言っているわけです。実際には三千円から三千六百円くらいかかる、このように、私はあらゆるところで調べましたが、それ以下の答えは出てきません。林野庁のほうでどこまでその実情を把握しておられるか。これは将来予算措置を講じられて単価を値上げされる上において大きな基準になってくると思うわけです。ですから、そこのところをどこまで把握しておられるかということを一応私は聞いておきたいと思いましてお尋ねしているわけです。もういまの御答弁で、現実にはそれが少ないということはお認めになっておるようですから、これについてはこれ以上のことは申し上げませんが、現在実際にはこれぐらいかかるんだということをどこまで把握しておられるかということ、それが今後の予算編成の基本的な始まりになる、こう思いますので尋ねているわけです。
  214. 若林正武

    若林政府委員 一割前後低いのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
  215. 中野明

    ○中野(明)委員 ちょっといまよく聞き取れなかったのですが、金額的にもう一度おっしゃっていただきたいのです。
  216. 若林正武

    若林政府委員 金額そのものの数字はただいま手持ちをいたしておりませんので、大体のパーセントで申し上げますと、一割前後低いというふうに考えておるのでございます。
  217. 中野明

    ○中野(明)委員 一割前後といまおっしゃったようですが、一割前後ということになりますと、最初に申された千六百円程度ということになります。このような、長官そのものが現実とあまりにもがけ離れた考え方で、今後予算の増額をはかりますと言われても、私たちは納得できないわけです。結局、現実にはこれだけのものがかかっているんだ、それを把握された立場から、予算の増額も行ないます。こうおっしゃるのでしたら、将来のこととして私たちも希望も持てるし、増額にも納得できるわけですけれども、現在千四百七十六円で、わずかに一割程度で千六百円程度、実際は三千円くらいかかるのを千六百円程度にしか把握しないで、そして予算の増額を云々されるということは、もうとうていこれは話にならぬ考え方じゃないか、このように思うわけです。ですから、もうこれ以上私も申し上げませんが、現状はすでに林野庁内部でも御承知だと思います。また、御承知でなかったら、もう一度現地で実際に調べられて、その実情を把握した立場で将来予算措置を講じ、同時に値上げの折衝もしてもらいたい、このことを要望するわけです。  なお、この機会にもう一点だけお尋ねしたいのですが、これは大臣が来られれば大臣に聞きたいと思っておるのですが、病害虫にかかった被害木、この被害の状態に対して、当然これは法の基本的な精神になってくると思うのですが、国としてどう考えているかということです。すなわち、林業家の手落ちによる被害か、林業家の不注意というふうに考えているのか、それとも、これは一つの災害、こういうふうな考え方でおるのか、それによって、この病害虫被害に対する予算措置あるいはその他の付随した問題も全部変わってくると思うわけです。その基本的な考え方を長官はどう思っておられるか、これをはっきりしておいてもらいたいのです。
  218. 若林正武

    若林政府委員 主として災害であるというふうに考えておりますが、個人の不注意によりまして、たとえば蔓延をさせたというようなこと等もございますので、その辺の判定はなかなかむずかしいんじゃなかろうかというふうにも考えております。
  219. 中野明

    ○中野(明)委員 主として災害であって、あるいは個人の不注意から蔓延させた、そういうふうなことをいま言われましたが、それは、個人の不注意というよりも、予算の問題、経費の問題でそうなっているんじゃないか。これはやはり、私は、個人の不注意というよりも、国の防除体制欠陥、怠慢、そう言うほうが正しいんじゃないか。だれも、山を持って木を育てている人が、あたかも自分の子供を育てるような気持ちで育てている人が、故意に病気にかからして、故意に被害を受けることを望んでおる人は一人もおらぬと思います。そういう観点から考えますと、伝染病のように発展してくる病虫害、マツクイムシを先頭にして種々ありますが、こういうことについて、いま長官が後段で個人の不注意と言ったことは間違いじゃないか、そういう言い方は違うのじゃないか、このように私は思うわけです。どこまでもこれは一種の災害と考え、同時に、その後における被害の増大はやはり防除体制予算の問題がからんでいるんじゃないか、このように私は思うわけです。  ちょうど大臣も見えましたので、この点は基本的な問題ですので、もう一度私大臣にお尋ねしたいわけです。いま長官にも質問したのですが、森林病害虫にかかって被害が出た、この被害に対しての基本的な考え方ですが、一体農林大臣はどうお考えになっているかということなんです。すなわち、考え方にいろいろの問題があると思うのですが、災害としてお考えになっているのか、あるいは林業家の不注意、手落ちとしてこういう問題が起こっているんだ、おまえたちの怠慢だ、このようにお考えになっているか、その基本的な考え方をお尋ねしたいわけであります。
  220. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 だいぶ限界がむずかしいんじゃないかと思うのですが、必ずしも不注意ではないでしょうが、一種の災害ではないかと思います。政府も、この法律でもお願いいたしておりますように、そういうことの早期発見等もいたしまして、これを未然に防ぐべきである、それは国有林であろうと民有林であろうと同様にこういう災害をできるだけ未然に防いでいきたい、こういうのがたてまえでございます。
  221. 中野明

    ○中野(明)委員 一応基本的には災害、このように考えておられると私は理解したわけですけれども、それにしましては、この予算措置、そしてこの被害に対する防除対策、これが非常にお粗末過ぎるわけでして、これでは、被害が起こって大臣の命令によって被害木防除を発動されて、現実に被害を受けた林業家が補助を受けたといいながら、実際はもうスズメの涙のような補助でありまして、こういう現状を考え直していただいて、この法律は私たちもぜひ通していかなければならない法律だと考えておりますけれども、今後予算措置内容その他について格段の努力をお願いしたい、このように思うわけであります。いま大臣も申されたように、事故の発生を予防する、こういうことにつきましても、過去三十四年以来発生消長調査というのを予算を組んでやっておられたようですけれども、四十二年からはその予算すら削られております。そういうことも考えていきますと、この病害虫被害に対する考え方を、私はわかり過ぎたことながら基本的に聞くような気持ちになったわけであります。一体個人の手落ちと考えておられるのか、災害と思って、そして林業家を守り、災害対策のようなつもりで緊急処置をしていくという考え方なのか疑わしくなった、そういう気持ちがありましたので、基本的なことを尋ねたわけです。その点、今後の格段の努力をお願いしまして、時間も参りましたから、大臣に、いま申し上げたことについて今後の方向を話していただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  222. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御趣旨は全く同感でございまして、政府は、できるだけいま考えておりますような施策を講じまして、このような災害を皆無にいたしたい、そのためには予算的にもなお一そう努力をいたしてまいりたい、こう思っております。
  223. 中野明

    ○中野(明)委員 以上で私の質問は終わります。
  224. 本名武

  225. 柴田健治

    柴田委員 大臣がお見えになったから、病害虫に関連して留保しておる点をぜひ大臣に見解を求めておきたい、こう思いまして、ややお手数をかけますけれども、お疲れのところどうも恐縮です。  まず、今度のこの病害虫等防除法の改正に伴って、私たちは、現時点でこの法案のよしあしを言うているんじゃなしに、将来への発展を期して判断をして審議するという立場でわれわれは取り組んでまいったわけでありますが、その中で、この法案を生かすために、やはりあとと先を考えなければならない。将来、前の問題としてはやはり予察制度というものをぜひ実現しない限りは、これはもうどうにもならない、こういう気がいたしておるわけでありますので、防除政策の中で、予防措置というものをまず考えてもらいたい、これを第一点に大臣にぜひ御配慮願いたい。これはやはり予算が伴う点もございますし、一つ制度ということになってまいりますので、大臣が腹をくくらなければならないんではないか、こう思うわけでありますので、ぜひ予察制度については大臣の見解を聞いておきたい、こう思って御質問を申し上げるわけであります。  いろいろこの法案の審議をしてみまして、ただ、病害虫発生した、それを駆除するのだ、防除するのだ、これではつじつまが合わない。その以前の問題の制度確立をはかってもらいたい。そのやり方については、試験機関整備拡充だとか、またいろいろ方法があると思いますけれども、やはり、それを一元化した予察制度の拡充、この点についてぜひ御配慮願いたいと思いますので、これについての見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  226. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 できるだけこの病害虫発生しないようにいたすことは政府も心がけておるわけでありますが、お話のように、予察制度というものを実施する段階までにはただいまいっておりませんが、御承知のように、いまいろいろ試験実施しておるわけであります。そこで、今度御審議を願っております法律等によりましても、政府の考えておる方向は、こういうことを逐次積み重ねていくことによって病害虫発生をできるだけ防除いたしてまいりたい、こういうわけであります。
  227. 柴田健治

    柴田委員 もう時間がありませんから、次に労働賃金の問題なんですが、先般も大臣には、農林大臣というか、労働大臣として敏腕をふるわれて、相当の権威を持っておられることが質疑応答の中でたびたび出たわけでありますが、この山林関係について特に賃金の安いことはおびただしいと言わざるを得ないわけであります。特に、この病害虫等防除法の精神を生かすために作業をいたしておる、その作業に携わる労務者、作業員の賃金が非常に安く押えられておる。これはたまたまこの問題だけではございませんけれども、林野庁関係が賃金が安いために、その他農林関係が特に安く押えられてくるということが言えると思うのでありまして、まず、この賃金問題をもっと合理的に、科学的に、また人間の価値を認めていく、労働の価値を認めていくという姿勢で取り組んでもらいたいと思うわけであります。  たとえて申し上げると、この駆除費の中で労務賃金が六百円ということになっております。この六百円はどう考えても私はもう無理があると思う。その積算の根拠についてはいろいろありましょうから申し上げませんけれども、とにかく六百円という表面に出してくる額では納得ができかねる。この点について、賃金体系全体のことを大臣はよく御承知だろうと思うのですが、やはり全国ベースに乗せるとかローカルベースに乗せるとかいうのでなくして、とにかく賃金の考え方というものを将来明確にしてもらわなければいけない、こう私は思うのです。六百円というと、八時間労働で一時間の単価が七十五円というのは、どんな部門でも納得ができかねるわけです。これはもう野党だとか与党だとかいうのではなくして、この賃金の出し方というものは、腹の中と口とは違うといろいろ言われますけれども、やはり六百円というと、人間の第一印象というか、先入観というか、人をばかにして、一日六百円で働けなんて言うて、こういうことになるわけであります。それから、この作業は、一般の普通作用だというのでなくして、この山の作業というものは、どちらかというと重労働が多いのです。軽労働じゃないのだ、重労働という立場で考えて、六百円の基準というのは何としても矛盾だ、こういう気がするわけであります。それに、こうした山の作業に安い賃金で基準をきめられることによって、他にたとえば造林をやろうとしたって、造林の賃金も七百円前後で押えてくる、こういうことになりますと、林野庁がどんなに気ばってみたところで、造林も十分できかねる、計画どおりいかないということになってまいります。病害虫駆除対策にしても十分のことはできない。どこかがしわ寄せを食う。労働者がしわ寄せを食うのか、地方公共団体がしわ寄せを食うのか、森林組合がしわ寄せを食うのか、どこかがしわ寄せを食うわけであります。だから、十分に万全の対策ができるとは言えないと私は思う。大臣の管轄にある林野庁がこういう賃金のきめ方をするところに、私は一つの義憤を感ずるわけであります。六百円というこの労務賃金の今後の改定については、何人も納得ができるように、みずから大臣が、そういうばかなきめ方はだめだと、こういう気持ちで取り組んでもらいたいと私は思うのですよ。長官のほうは、やろうとしても、いろいろ至るところに壁があるからできないと私は思うのです。善意に解釈して。ところが大臣はやれる力を持っておる。改定するだけの力を持っている。各省に折衝してでもやるだけの実力を持っておられるのですから、大臣が力を入れてもらいたい。この賃金のきめ方、これについての考え方をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  228. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 予算単価は知っておりますけれども、林野庁全体の作業員の賃金ベースのことについて、あまり深く検討するいとまもございませんでした。この間、森さんのお話にも、従業員の社会保障の関係お話がありまして、それらをあわせて、国会が済みましたら十分研究をいたしてみたいと思っています。
  229. 柴田健治

    柴田委員 ただいま、この病害虫の万全な駆除を法を改正してまでやりたいという御熱意によって、われわれがそれと取り組んでみて、何としても人が協力をしてくれなければどうにもならぬわけです。賃金においてその協力体制がくずれるということになれば、法が生きてこないということになる。ぜひこれは強い希望として私から大臣にお願いしておきたいと思う。  三番目は、林業において、森林資源の保護とともに、日本の山林原野の高度利用、経済的な効果をあげていくためには、何としても自給体制というものをつくらなければならぬ。その自給体制はやはり基本的な政策が必要だと思うのです。ただ病害虫だけが災害ではないわけでありますから、やはり風水害、いろいろな公害、山林火災、そういうものを含めて一つの災害だという解釈のもとに立って、今度の法の審議をしてみて、損失補償という補償制度もあるわけですが、その補償の十分なる予算措置もまだしてないし、命令権を発動してやらしていくということで、病害虫駆除だけを取り上げてみても、森林所有者に伐採命令を下すだけ、あとの再建をどうするか、あとの造林は——あなたは、造林の補助でめんどうを見てやる、こう言われた。林野庁はそう言われるかもしれませんけれども、やはり災害の事後処置というもの、この災害後の再建というものを真剣に考えなければいけない。私はそう解釈いたしておるわけです。  そうすると、いまの損失補償だけでは十分でない。また、いろいろな融資の制度もございますけれども、農林漁業の中で、農業にも共済制度がある。漁業にも共済制度が不完全ながらやや完備しつつある。林業だけが共済制度がない。要するに、災害補償制度がないということは、何としても納得ができないわけです。林業基本法があり、林業構造改善事業ということで、順次林業についての施策が進められている中で、林業に対する共済制度がない。こういうことはわれわれどうも理解に苦しむ点でありますので、災害補償制度をぜひつくっていくべきではないか、こう思っているわけです。この病害虫法律改正にわれわれが取り組んでみて、その点を強く感じたわけであります。だから、林業共済制度をぜひつくってもらいたい。またつくるべきだ、こう解釈しておるのですが、大臣の見解を聞きたい。
  230. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お説のとおりだと思います。私どもは、森林保護することは、国土の保全にもなり、同時にまた、大事な水資源の確保のためにも必要なことでありますから、いろいろな意味において森林保護しなければならない、この原則に立ちまして、病害虫の今回の法律も御審議を願っておるようなわけでありますが、さらにまた、森林火災、それから気象災害、こういうものには国営の保険があります。したがって、私どもは、そういう中で、ひとついまお話のありました共済的なことをどのようにしてやれるかというようなことも、いま研究をいたしておるわけでありまして、できるだけこの森林保護のためには行政の面で努力をしてまいらなければならない、こう思っております。
  231. 柴田健治

    柴田委員 国営保険制度があるということですが、その点は、私は、いまの国営保険制度の実態というものを大臣よく知らないのじゃないかと思うのです。いまの国営保険制度で全部救済できるという、そういう考えを持ってもらうと、私は論議を深めていかなければならぬと思うのですが、時間がないから省略させていただきますけれども、いずれ新たな機会にそういう保険法の論議をまたしたいと思います。いまの国営の保険制度は十分でないわけです。あれは大臣も御承知のように、どちらかというと特定の地域、特定の一部のやり方であって、ただ窓口は広がっておるという程度であるけれども、それが十分に生かされない欠陥があるわけです。欠陥があって、どちらかというと、大蔵省がいま保険制度の中でもうけておる保険制度と言うたらあの国営保険制度ですよ。ぼくらに言わしたら、大蔵省がもうけておるのですよ。そういう点であれは十分ではないから、林業全体の共済制度をつくってもらいたい、こう私は申し上げておるのです。ただ国営保険がある、それをひとつというくらいでは私は納得できかねるので、あれはあれで別にひとつ考えていただいて、ほんとうに林業全体の災害の補償制度という立場で考えてもらいたい、こう思っておるわけであります。ひとつ十分御研究を願いたいと思います。  それからもう一つは、林業関係法律の問題なんですが、ただ病害虫法律だけを改正してそれで事足れりというのではなくして、もう林業全体の法律の再検討の時期にきたと私は思うのです。林業関係法律制度整備というものにひとつ力を入れてもらいたい。この点については、いろいろそれぞれのほうの論議を深めていかなければなりませんけれども、いろいろな不備がある。ここでその点を指摘をして申し上げる時間がありませんけれども、関係法の整備にひとつ取り組んでもらいたい、こういうことをつけ加えて、簡単でございますけれども、私の質疑を終わりたいと思います。
  232. 本名武

    本名委員長 森義視君。
  233. 森義視

    ○森(義)委員 午前中からの審議で、法案内容につきましてはかなり論議を尽くされてまいったわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもの質問の内容から長官もお感じになりましたように、まだまだきわめて不十分な点がある。しかし、前向きの姿勢森林病害虫の問題について考えようという政府の意図に対しては協力する。そういう意味で私もこの法案の審議に協力するという点で、ただ三つばかり基本的な問題でぜひ質問していかなければならない問題がありますので、お答えを願いたいと思います。  まず第一は、先ほど公明党の中野さんも触れられましたが、長官はその答弁の中で、森林病害虫は大体災害という考え方に立っておる、こういう御答弁でありました。そこで、昭和二十五年に森林病害虫等防除法が制定された当時の立法精神、この問題は私はぜひ明らかにしておく必要があると思うのですが、災害という立場に立って立法されたのか、あるいは森林所有者個人の不注意というような点について立法されたのか。当時のあれをひもといてみますと、明治四十年に制定されました森林法の第八十条にはこう書いてあるわけです。「森林害蟲叢生シ又ハ発生ノ虞アルトキハ其ノ害蟲叢生シ又ハ凝生ノ虞アル森林所有者之ヲ駆除豫防スヘシ」、全く個人の全責任にこの森林法の旧法の八十条は明記されてあるわけです。この精神を受けて昭和二十五年の森林病害虫等防除法が制定された。そうすれば、あくまでもこの立法精神は、当時においては、森林病害虫というのは個人の責任である、こういう形であったのではないか。間違いであります。間違いでありますけれども、この立法精神はそこにあったのではないか。それが先ほどの答弁では、この立法精神というのは、いわゆる森林病害虫というのは災害である、こういうふうに長官は明確に答弁されたわけでございますが、私どももこれを災害という形で理解をしたいわけでございますが、そういうふうに立法精神を理解していいですか。この点、まず長官から、先ほどの答弁に関連して、いま一度明確に立法精神についての考え方を御披露願いたいと思います。
  234. 若林正武

    若林政府委員 二十五年の法律改正のときには災害という考え方が入ってきておるのでございます。
  235. 森義視

    ○森(義)委員 災害という考え方が入ってきた、こういう答弁ですが、そうすると、現在の森林病害虫のこの法律は災害であるというふうに完全に理解するとするならば、あとの諸条項の内容がいろいろ変わってくるわけですが、それでよろしいか。たとえば損失補償の問題等について、災害という見地に立った場合変わってきますよ。はっきりとそれは言い切れますか。これは重要な問題ですよ。
  236. 若林正武

    若林政府委員 災害が主体でございますが、一部につきましては個人の不注意ということによるものもあるわけでございまして、その辺の判定というものが非常にむずかしいというふうに考えておるわけでございます。
  237. 森義視

    ○森(義)委員 まだ不明確ですが、災害ということで一応理解をして、一部個人の不注意もある、こういうふうに長官濁しておられるわけですが、災害という見地に立つ場合に、損失補償の立木補償は全然考えてない。災害という立場に立つならば、私は当然立木補償は考えるべきだと思うわけです。たとえばマツクイムシの場合、伐倒された立木というのは青カビがはえます。そうして価格が非常に低下いたします。それに対してこれは損失補償一つも考えられておらないわけです。この病害虫が災害ならば、やはりそういう立木補償の問題についても当然考えるべきだと思うのですが、いかがですか。
  238. 若林正武

    若林政府委員 これは個人の財産が災害を受けたのでございますので、これを立木補償をするとかいうようなことには直ちにはならないと思うのでございます。これに対する救済制度というものを別の面で考えるということはあり得ると思うのでございます。
  239. 森義視

    ○森(義)委員 家畜伝染病とこれは種類は違いますけれども、家畜伝染病等で死んだ家畜は当時価格の三分の一補助していますね。法定病害虫は九種類ありますが、これによって損害を受けた場合においては一つも考えていない。私は、これは災害という考え方で見るならば、やはりその点についての配慮が必要じゃないか、考慮が必要じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。災害というのは個人の責任じゃないわけですね。主たる責任が外的なものなんです。外的な原因によって災害が起こるのですね。その場合において、林業の発展という見地から考えていく場合に、林業経営者を保護するという立場において考えても、その立木の損失に対する補償はこれは当然考えていいと思うのです。それはいかがですか。
  240. 若林正武

    若林政府委員 災害を受けました立木の損失補償ということにつきましては、これはなかなかむずかしい問題ではございますが、今後の検討によりまして、たとえば共済制度というふうなものの創設等によりまして、その中で救済できるというふうな措置等を検討すべきではないかというふうに考えておるのでございます。
  241. 森義視

    ○森(義)委員 この点についてはいろいろ意見があるわけですが、一応その辺で終わります。  第二点。森林病害虫で伐倒をする、これは国の命令、知事の命令でやらせる。そういう場合に、昨日この委員会で通りました森林改正の個人施業が変更になります。それとの関連においてはどうなりますか。
  242. 若林正武

    若林政府委員 災害その他やむを得ない場合にこれは該当すると思うのでございます。したがいまして、認定されました森林施業計画というものが取り消しをされるということでなくて、変更ということに取り扱いがなるというふうに考えております。
  243. 森義視

    ○森(義)委員 いま一つお聞きしておきますが、この災害を予防するため、あるいは災害を防除するために研究費予算昭和四十年で年間約三千二百万円ですか。この三千二百万円という金は、予防と防除と両面の研究がやられておると思うのですが、先ほど柴田委員からも指摘がありましたように、きわめて低い金額です。東洋レーヨンですか、これは一営利会社ですが、研究費に年間十億円使っております。国全体の林業をそういう災害、病害虫から守るための研究費が年間三千万円である。私は、こういうふうな零細な金額で、日本の林業が非常に苦しんでおる病害虫駆除なりあるいは予防にほんとうに役立つ研究が達成されるのかどうかということについて、たいへん疑問を持っているわけですが、この研究の中でどちらに重点を置かれた研究がされておるのか、いわゆる予防なのか、駆除なのか、この点、予算内の割り振りはどうなっておりますか。
  244. 若林正武

    若林政府委員 総体的に申し上げますと、大体半々くらいではなかろうかと考えております。
  245. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、長官、この予算はこれで十分とお考えですか。
  246. 若林正武

    若林政府委員 試験研究体制整備につきましては、四十一年度、四十二年度に抜本的な改善等をはかってまいったわけでありますが、これと並行いたしまして、予算措置につきましても努力をしてまいっております。これで十分なのかどうかということにつきましては、私どもも必ずしも十分だというふうには考えておりませんので、今後試験研究費の増額等につきましては、さらに努力いたしたいというふうに考えておるのでございます。
  247. 森義視

    ○森(義)委員 いま一つ、この間から討論されておりますように、外材の輸入がどんどん拡大をするわけですが、外国の病害虫実情はどうなっているのか、そうして外材の輸入に伴って日本に病害虫が持ち込まれることを防ぐための防疫がどうなっておるのか、この点について、簡単でよろしいですからお答え願いたい。
  248. 若林正武

    若林政府委員 輸入いたしました木材等の防疫につきましては、御承知のように、植物防疫法に基づきまして防疫を行なっているのでございます。この外材等から日本の森林病害虫等蔓延をしたという事例は現在のところまだございません。
  249. 森義視

    ○森(義)委員 最近のカラマツ先枯れ病は関係ありませんか。
  250. 若林正武

    若林政府委員 これは昔から日本の国内にあるものでございます。
  251. 森義視

    ○森(義)委員 もう一つ、集団防除の問題で、国有林と民有林との防除連携はどういうふうになっておりますか。
  252. 若林正武

    若林政府委員 防除計画を立てますとき、あるいは実際にまた防除をやりますときに、相互に緊密な連絡をとってやっているのでございます。
  253. 森義視

    ○森(義)委員 どうもその点は不十分なのですけれども、国有林と民有林に区分いたしまして、いままで統計の中で、病害虫によるところの被害はどういう比率になっておりますか。
  254. 若林正武

    若林政府委員 大ざっぱに申し上げまして、民有林が二、国有林が一程度でございます。
  255. 森義視

    ○森(義)委員 蓄積は大体一緒ですね。そうすると、国有林のほうが病害虫被害が非常に少ないということですね。そうじゃないですか。あなたは、面積がそうだからそれくらいの被害だろうと思って推定で言っているのではないですか。
  256. 若林正武

    若林政府委員 この病害虫被害でございますが、御承知のように、マツクイムシ等によります被害でございますが、これは蓄積が関係してまいります。食葉の被害、木の葉っぱを食べる被害でございますが、こういうものにつきましては蓄積と直接関係ございません。これは面積ということになろうかと思います。そういった関係で直接蓄積との関係はないということでございます。
  257. 森義視

    ○森(義)委員 冒頭に、審議に協力するということで、時間も制限をして御質問を申し上げたわけですが、最後に、大臣に要望申し上げたいと思います。  この森林病害虫の問題については、これから私どもは、日本の木材需要の拡大に伴う森林資源の国内の自給率を高めていき、長期にわたる森林資源の保続培養を考えていく場合に、当然重要な問題として考えなければならない問題であります。特に林業経営者は、一たびこの病虫害に見舞われますと、もう再起不能になるという実態が間々あるわけです。そういう日本の林業の今後の問題を考えていく場合においては、たいへん重要な問題でありますので、先ほど長官から、災害として、あるいはそれに伴う損失についての補てんの問題なり、防疫なり駆除の問題について、さらに格段の努力をしていくという御答弁があったわけでありますが、その点について大臣の決意のほどをお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
  258. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 森林病害虫防除につきましては、政府も全力をあげて努力をいたすつもりであります。
  259. 本名武

    本名委員長 他に質疑の申し出もありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  260. 本名武

    本名委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  261. 本名武

    本名委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  263. 本名武

    本名委員長 暫時休憩いたします。    午後五時三十二分休憩      ————◇—————    午後十時四十分開議
  264. 本名武

    本名委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。  農林水産業の振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件 以上の各件につきまして、閉会中もなお審査を行ないたい旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長への申し出に関する手続等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣の件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりまして、その審査のため現地委員派遣の必要が生じました場合は、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地等の決定は委員長に御一任願い、議長に対し委員派遣の承認申請を行ないたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後十時四十一分散会